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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(54)【発明の名称】画像を投影するための光結合装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20220121BHJP
   G02B 5/32 20060101ALI20220121BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B5/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021528957
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(85)【翻訳文提出日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 EP2019077442
(87)【国際公開番号】W WO2020104098
(87)【国際公開日】2020-05-28
(31)【優先権主張番号】102018220017.3
(32)【優先日】2018-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】ピラード,ゲール
【テーマコード(参考)】
2H199
2H249
【Fターム(参考)】
2H199CA32
2H249CA05
2H249CA15
2H249CA22
(57)【要約】
本発明は、特定のインパクト領域、特に人の眼(4)に画像を投影するための光結合装置(1)であって、互いに間隔(50)をおいて配置された少なくとも第1および第2の層(2,3)を備え、第1の層(2)が第2の層(3)よりもインパクト領域までの距離が短く、第1の層(2)が少なくとも2つの機能領域(21,25)を有し、少なくとも2つの機能領域(21,25)の第1の機能領域(21)および第2の機能領域(25)が互いに空間的に分離されており、第1および第2の層(2,3)が、第1の機能領域(21)への入射ビーム(10)の一部(11)を第2の層(3)の方向に透過させ、第1および第2の層(2,3)の間で透過された一部(11)を、少なくとも2つの層(2,3)の延在方向に沿って少なくとも部分的に伝搬させ、第1の層(2)の第2の機能領域(25)を介して、インパクト領域の方向(100)に出射するビーム(17)として少なくとも部分的に伝搬するビームを提供するように構成されている光結合装置(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定のインパクト領域、特に人の眼(4)に画像を投影するための光結合装置(1)であって、
互いに間隔(50)をおいて配置された第1および第2の層(2,3)を少なくとも備え、前記第1の層(2)は前記第2の層(3)よりもインパクト領域までの距離が短く、前記第1の層(2)が少なくとも2つの機能領域(21,25)を有し、前記少なくとも2つの機能領域(21,25)の第1の機能領域(21)と第2の機能領域(25)とが互いに空間的に分離されており、
前記第1および第2の層(2,3)が、前記第1の機能領域(21)への入射ビーム(10)の一部(11)を前記第2の層(3)の方向に透過させ、透過させた一部(11)を、前記少なくとも2つの層(2,3)の延在方向に沿って前記第1および第2の層(2,3)の間で少なくとも部分的に伝搬させ、前記第1の層(2)の第2の機能領域(25)を介して、少なくとも部分的に伝搬するビームを、前記インパクト領域の方向(100)に出射するビーム(17)として提供するように構成されている、光結合装置(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の光結合装置であって、前記第1の層(2)の前記第1および第2の機能領域(21,25)が、少なくとも1つの第3の機能領域(22,23,24)によって分離されている、光結合装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光結合装置であって、前記第1の層(2)の少なくとも1つの前記第3の機能領域(22,23,24)が反射領域として構成されており、これにより、該反射領域に入射する光線(11,13,15)が反射される、光結合装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の光結合装置であって、前記第2の層(3)が、反射領域として構成された少なくとも1つの第4の機能領域(31,32,33,34)を備え、特に、前記第2の層(3)の全ての機能領域(31,32,33,34)が反射領域として構成されている、光結合装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の光結合装置であって、前記第1の層(2)の機能領域(21,22,23,24,25)が、それぞれ分割機能または透過機能を提供するように構成されている、請求項1から4までのいずれか1項に記載の光結合装置。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれかに記載の光結合装置であって、少なくとも1つの機能領域(21,22,23,24,25,31,32,33,34)が、入射ビーム(10,11,12,13,14,15,16,17)に対して、位置に依存した光学機能および/または入射角に依存した光学機能を提供するように構成されている、光結合装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれかに記載の光結合装置であって、入射角に依存して、前記第2の層(3)への入射ビーム(10)の投影断面積が前記第2の層(3)の機能領域(31)よりも小さいか、または同じであるように、前記第1および第2の層(2,3)の間の距離(50)と前記第1の層(2)の第1の機能領域(21)とが構成されている、光結合装置。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の光結合装置であって、機能領域が、1つ以上のホログラム、特に多重ホログラムを含む、光結合装置。
【請求項9】
特定のインパクト領域、特に人の眼に画像を投影する方法であって、
第1の層(2)の第1の機能領域(21)にビーム(10)を入射させるステップ(S1)と、
入射ビーム(10)の少なくとも一部(11)を、前記第1の層(2)の第1の機能領域(21)によって第2の層(3)の方向に透過させるステップ(S2)であって、前記第2の層(3)が前記第1の層(2)に対して間隔(50)をおいて配置されており、前記第2の層(2)が前記第1の層(2)よりもインパクト領域までの距離が長いステップ(S2)と、
入射ビーム(10)の透過した一部(11)を、少なくとも2つの層(2,3)の延在方向に沿って前記第1および第2の層(2,3)の間で少なくとも部分的に伝搬させるステップ(S3)と、
少なくとも部分的に伝搬したビーム(11,12,13,14,15,16)の少なくとも一部(17)を、前記第1の層(2)の第2の機能領域を介して前記インパクト領域の方向に出射させるステップであって、前記第2の機能領域(25)が前記第1の機能領域(21)から空間的に分離されているステップ(S4)と
を含む方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記少なくとも部分的に伝搬するステップ(S3)を、反射領域の形態の第1の層(2)および第2の層(3)の機能領域(22,23,24,31,32,33,34)によって行う、方法。
【請求項11】
画像を提供するための照射装置(9)と、特定のインパクト領域、特に人の眼(4)に照射装置(9)の画像を投影するための、請求項1から8までのいずれか1項に記載の光結合装置(1)とを備える投影システム(101)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のインパクト領域、特に人の眼に画像を投影するための光結合装置に関する。
【0002】
さらに本発明は、特定のインパクト領域、特に人の眼に画像を投影する方法に関する。
【0003】
本発明は、さらに、画像を提供するための照射装置と、光結合装置とを備える投影システムに関する。
【0004】
本発明は、一般に、任意の光結合装置に適用可能であるが、頭部で支持される結合システム、例えば、拡張現実を表示するための眼鏡に関して本発明を説明する。
【背景技術】
【0005】
拡張現実を表示するためのシステムは、実像を虚像と重ね合わせる。このようなシステムは、例えば、自動車産業の分野においてはヘッドアップディスプレイとして知られており、またはコンピュータアプリケーションの分野においても「スマートメガネ」として知られており、周辺の代わりにまたは周辺に加えて、人の眼に画像を投影することができる。
【0006】
米国特許出願公開第2015/0362734号明細書により、レーザスキャナシステムによってユーザの眼の瞳孔を通して網膜に画像が直接に投影されるシステムが知られている。このために、ユーザの瞳孔に光を偏向させるホログラフィック結合素子が使用される。
【0007】
国際公開第2017/0117991号パンフレットにより、結合素子を有するヘッドアップディスプレイが知られており、この結合素子は表示ユニットの画像を観察者に向ける。このために、結合素子は複数のホログラフィック層を有し、それぞれの層は干渉パターンを有する。これらのホログラフィック層は、スイッチオンまたはスイッチオフできるように、切換可能に構成することができる。
【0008】
ドイツ特許出願公開第102014224189号明細書により、さらに、結合素子を有するヘッドアップディスプレイシステムが知られており、この結合素子は観察位置に光を向けることができる。この結合素子は、1つ以上のホログラム、特に多重ホログラムを有することができる。この場合、ホログラムを円板状に構成し、視線方向に前後に配置することができ、それぞれのホログラムは、アイボックスを有する部分を定める。
【発明の概要】
【0009】
一実施形態では、本発明は、特定のインパクト領域、特に人の眼に画像を投影するための光結合装置であって、互いに間隔をおいて配置された第1および第2の層を少なくとも備え、第1の層が第2の層よりもインパクト領域までの距離が短く、第1の層が少なくとも2つの機能領域を有し、少なくとも2つの機能領域の第1の機能領域と第2の機能領域とが互いに空間的に分離されており、第1および第2の層が、第1の機能領域への入射ビームの一部を第2の層の方向に透過させ、透過させた一部を、少なくとも2つの層の延在方向に沿って第1および第2の層の間で少なくとも部分的に伝搬させ、第1の層の第2の機能領域を介して、少なくとも部分的に伝搬したビームを、インパクト領域の方向に出射するビームとして提供するように構成されている、光結合装置を提供する。
【0010】
さらなる実施形態では、本発明は、特定のインパクト領域、特に人の眼に画像を投影する方法であって、
第1の層の第1の機能領域にビームを入射させるステップと、
入射ビームの少なくとも1つの部分を第1の層の第1の機能領域によって第2の層の方向に透過させるステップであって、第2の層が第1の層に対して間隔をおいて配置されており、第2の層は、第1の層よりもインパクト領域までの距離が長いステップと、
入射ビームの透過した部分を、少なくとも2つの層の延在方向に沿って第1および第2の層の間で少なくとも部分的に伝搬するステップと、
少なくとも部分的に伝搬したビームの少なくとも1つの部分を、第1の層の第2の機能領域を介してインパクト領域の方向に出射させるステップであって、第2の機能領域が第1の機能領域から空間的に分離されているステップと
を含む方法を提供するものである。
【0011】
さらなる実施形態では、本発明は、画像を提供するための照射装置と、特定のインパクト領域、特に人間の眼に照射装置の画像を投影するための請求項1から8のいずれか1項に記載の光結合装置とを備える投影システムを提供する。
【0012】
特に入射ビームの透過された一部に関して、「伝搬」との用語は、最も広い意味で理解されるべきであり、特に特許請求の範囲において、好ましくは本明細書において、光、特に入射ビームの透過された一部の光の伝送、搬送、伝播、拡散に関する。
【0013】
このようにして達成される利点の1つは、互いに対して異なる間隔をもつ複数のアイボックスをユーザの瞳孔に簡単に生成することができ、ユーザの眼の動きが考慮され、眼が動いた場合であっても、瞳孔に配置された複数のアイボックスの異なる位置によってユーザが鮮明な画像を見ることができることである。さらに、複数のアイボックスにより、得られるアイボックスがより大きく、これにより、より高い解像度を有する画像が可能になり、同時にアイボックスが十分に大きいことが利点である。別の利点は、極めて小型の光結合装置を提供できることである。「アイボックス」との用語は、特に、人の少なくとも1つの眼が生成された画像を完全に見ることができる3次元空間であると理解される。換言すれば、「アイボックス」は、人が投影システムの機能を利用もしくは認識することができる空間領域である。
【0014】
次に本発明のさらなる特徴、利点、およびさらなる実施形態を記載し、または記載により開示する。
【0015】
有利な実質形態によれば、第1の層の第1および第2の機能領域は、少なくとも1つの第3の機能領域によって分離されている。これにより、一方では、第1の機能領域と第2の機能領域との間の間隔が拡大され、他方では、第1の機能領域と第2の機能領域との間の第3の機能領域によって、第3の機能領域への入射ビームに対して光学機能を提供することができるので、柔軟性が高まる。
【0016】
さらなる有利な実施形態によれば、第1の層の少なくとも1つの第3の機能領域は反射領域として構成されており、これにより、第3の機能領域への入射ビームが反射される。したがって、ビームを簡単に伝送し、同様に機能領域を簡単に構成することも可能である。
【0017】
さらなる有利な実施形態によれば、第2の層は、反射領域として構成された少なくとも1つの第4の機能領域を有し、特に、第2の層のすべての機能領域は反射領域として構成されている。これにより、第2の層の安価な製造が可能になり、同時に、第1および第2の層に平行な単純な「導波機能」が可能になる。
【0018】
さらなる有利な実施形態によれば、第1の層の機能領域は、それぞれ分割機能または透過機能を提供するように構成されている。このようにして、一方では、第1の層への入射ビームを分割することができ、他方では、単に第2の層にさらに透過させることができる。
【0019】
さらなる有利な実施形態によれば、少なくとも1つの機能領域は、入射ビームに対して、位置に依存した光学機能および/または入射角に依存した光学機能を提供するように構成されている。これにより、機能領域への入射ビームに対して光学機能を正確かつ柔軟に提供することが可能になる。
【0020】
さらなる有利な実施形態によれば、第1および第2の層と第1の層の第1の機能領域との間の間隔は、入射角に依存して、第2の層への入射ビームの投影断面積が、第2の層の機能領域よりも小さいか、またはこれと同じであるように構成されている。このことの利点は、「クロストーク」が防止され、インパクト領域への画像の投影の確実性が高められることである。
【0021】
さらなる有利な実施形態によれば、機能領域は、1つ以上のホログラム、特に多重ホログラムを含む。このことの利点は、正確で柔軟な光学的機能を簡単に提供できることである。
【0022】
本方法のさらなる有利な実施形態によれば、透過は、反射領域の形式の第1および第2の層の機能領域によって行われる。このようにして、簡単に、同時に確実に、透過されたビームを伝送することができる。
【0023】
本発明のさらなる重要な特徴および利点が、従属請求項、図面、および図面に基づいた関連する図面の説明から明らかになる。
【0024】
言うまでもなく、本発明の範囲から逸脱することなく、上述した特徴および以下に説明する特徴を、それぞれに示した組合せだけでなく、他の組合せで、または単独で使用することもできる。
【0025】
本発明の好ましい構成および実施形態を図面に示し、以下の説明でより詳細に説明する。同じ参照符号は、同じか、もしくは類似の、または機能的に同じ構成要素もしくは素子に関する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施形態による光結合装置を示す図である。
図2】本発明の一実施形態による光結合装置を示す図である。
図3】本発明の一実施形態による投影システムを示す図である。
図4】本発明の一実施形態による方法のステップを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、本発明の一実施形態による光結合装置を概略的に示す。
【0028】
図1には、光結合装置1が詳細に示されている。光結合装置1は、第1の層2と第2の層3とを有し、第1の層2は、インパクト領域の方向100においてインパクト領域までの距離がより短い。この場合、2つの層2,3は互いに間隔50を有する。直径2rの円形断面を有するビーム10が第1の層2に当たると、これにより、投影された領域21が第1の層2に生じる。円形のビーム10を仮定すると、領域21の表面は、入射ビーム10がある角度で第1の層2に入射した場合、入射ビーム10の半径よりも大きい半径r’を有する。領域21は、機能領域として構成されており、すなわち、入射ビーム10に対して光学機能を提供する。
【0029】
入射ビーム10は、機能領域21によって、入射ビーム10の入射角に対応する入射角αで第1の層2を通って第2の層3の方向にさらに伝搬する。第2の層3から、入射ビーム10は、反射領域として構成された第2の層3の機能領域31を通って、第1の層2の裏側の方向に再び反射される(ビーム11)。このビーム11は、次に第1の層2の機能領域22に入射し、この機能領域から再び第2の層3の方向に反射される(ビーム12)。第2の層3の機能領域32,33,3における入射ビーム12,14,16によって、および第2の層2の機能領域23,24における入射ビーム13,15によって繰り返し反射されることにより、入射ビーム10は、入射方向に対して実質的に垂直に、したがって方向100に対して垂直に、もしくは2つの層2,3の延在方向に対して平行に伝搬する。換言すれば、ビームは2つの層2,3の間を往復して反射される。最後に、ビーム17は、反射特性ではなく、透過特性をもつように構成された第1の層2の機能領域25に当たる。ビーム17は、機能領域25を介して所望のインパクト領域の方向100に第1の層2を離れる。それぞれの機能領域21,22,23,24,25,31,32,33,34を、それぞれの光学機能を提供する機能領域として形成するために、これらの機能領域は、1つ以上のホログラムおよび/または1つ以上の回折光学素子、例えば、光学格子を含むことができる。この場合、それぞれの機能領域21,22,23,24,25,31,32,33,34は互いに離間しており、すなわち、機能領域の直径2r’は、互いに対する間隔p(参照符号51)よりも小さい。
【0030】
図2は、本発明の一実施形態による光結合装置を示す。
【0031】
図2には、実質的に、図1に示した光結合装置1が詳細に示されている。図1に示した光結合装置1とは異なり、図2に示す光結合装置1では、第1の層2の機能領域21,22,23,24,25と第2の層3の機能領域31,32,33,34とに異なった光学機能が割り当てられている。一方では、第2の層3の機能領域31,32,33,34は全て反射領域として構成されており、すなわち、対応する入射ビーム12,14,16に対して反射機能が提供される。他方では、第1の層2の機能領域21,22,23,24,25は次のように構成されている。入射ビーム10は、当該入射ビーム10に対して光学的な分割機能を提供する第1の機能領域21に当たる。ビーム10の一部は第2の層3の方向に、より正確には第2の層3の領域31の方向に透過され、別の一部は方向100にビーム17aとして眼4の第1のアイボックス5aの方向に反射される(図3参照)。第1の層2の第2の機能領域22は、第1の領域21の右隣に第1の領域21から離間して配置されており、第2の機能領域22への入射ビーム11に対して反射機能を提供する。すなわち、入射ビーム11は、ビーム12として第2の層3の方向に反射される。第2の層2の第3の機能領域23は、第1の領域21と同様に構成されており、ビーム13の前方で第3の機能領域23への入射ビームに対して分割機能を提供する。すなわち、一部は出射するビーム17bとして第2のアイボックス5bの方向に第1の層2を通って透過され、別の一部は反射ビーム14として第2の層3の方向に再び反射される。第2の機能領域22と同様に、機能領域23の隣りに配置された機能領域24も反射領域として構成されている。この場合、第5の機能領域25は透過領域として構成されている。すなわち、第2の層3によって反射されたビーム17は、第3のアイボックス5cの方向に完全に透過される(ビーム17c)。この場合には、第2の層3の方向への新たな部分的な反射は生じない。
【0032】
図3は、本発明の一実施形態による投影システムを示す。
【0033】
図3は、画像を提供するためのレーザ走査システム9を有する投影システム101と、図2による光結合装置1とを示す。レーザ走査システム9によって、ビーム、ここでは例として示したビーム10,10’を異なった角度で光結合装置1の方向に放射する。光結合装置1の第1の層2で、入射ビームは、図2の説明にしたがって部分的に分割され、インパクト領域である眼4の異なる複数のアイボックス5a,5b,5cに伝搬される。この場合、図2に示されているように、複数のビームは部分的に、光結合装置1の2つの層2,3の間で、これらの層の延在方向に沿って平行に反射されることによって伝搬され、対応する領域において再び光結合装置1から出射し、ビーム17a,17a’によってアイボックス5aを形成し、ビーム17b,17b’によってアイボックス5bを形成し、ビーム17c,17c’によってアイボックス5cを形成する。
【0034】
図4は、本発明の一実施形態による方法のステップを示す。
【0035】
図4は、特定のインパクト領域、特に人の眼に画像を投影する方法を概略的に示す。この方法は、次の複数のステップを含む。
【0036】
第1のステップS1において、ビームは、第1の層の第1の機能領域に入射する。
【0037】
さらなるステップS2において、入射ビームの少なくとも一部を、第1の層の第1の機能領域によって第2の層の方向に透過させ、第2の層は、第1の層に対して間隔を置いて配置されており、第2の層は、第1の層よりもインパクト領域までの距離が長い。
【0038】
さらなるステップS3において、入射ビームの透過された一部を、少なくとも2つの層の延在方向に沿って第1の層と第2の層との間で少なくとも部分的に伝搬する。
【0039】
さらなるステップS4では、少なくとも部分的に伝搬したビームの少なくとも一部を、第1の層の第2の機能領域を介してインパクト領域の方向に出射させ、第2の機能領域は第1の機能領域から空間的に分離されている。
【0040】
要約すると、本発明の少なくともいずれか1つ実施形態は、次の利点のうちの少なくともいずれか1つを有する。
・小型の構造、
・確実な投影、
・安価な製造コスト、
・大きなアイボックス。
【0041】
好ましい例示的な実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、むしろ多様に変更可能である。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】