(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(54)【発明の名称】精神障害の治療のためのガボキサドールとリチウムとの組み合わせ
(51)【国際特許分類】
A61K 31/437 20060101AFI20220125BHJP
A61K 33/10 20060101ALI20220125BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20220125BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20220125BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20220125BHJP
A61P 13/02 20060101ALI20220125BHJP
A61P 1/12 20060101ALI20220125BHJP
A61P 1/08 20060101ALI20220125BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20220125BHJP
A61P 5/14 20060101ALI20220125BHJP
A61P 17/10 20060101ALI20220125BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20220125BHJP
【FI】
A61K31/437
A61K33/10
A61P25/24
A61P25/18
A61P13/12
A61P13/02
A61P1/12
A61P1/08
A61P3/04
A61P5/14
A61P17/10
A61P21/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021529144
(86)(22)【出願日】2019-11-21
(85)【翻訳文提出日】2021-07-14
(86)【国際出願番号】 US2019062644
(87)【国際公開番号】W WO2020106976
(87)【国際公開日】2020-05-28
(32)【優先日】2018-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521220987
【氏名又は名称】セルテゴ セラピューティクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CERTEGO THERAPEUTICS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】オステン、パヴェル
(72)【発明者】
【氏名】ボールドウィン、クリスティン
(72)【発明者】
【氏名】デビータ、ロバート
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB22
4C086HA01
4C086HA16
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA12
4C086ZA18
4C086ZA71
4C086ZA89
4C086ZA92
4C086ZA94
4C086ZC06
4C086ZC75
(57)【要約】
この開示は、低用量のリチウムがガボキサドールと相乗的に作用して、脳のシグナル伝達活性に対するリチウムの作用を増強できるという発見について報告している。リチウムとガボキサドールのこの組み合わせは、双極性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病、自殺傾向などの多くの衰弱性精神障害の治療に必要なリチウムの量を大幅に減らし、高用量および慢性リチウム治療に関連するしばしば深刻である副作用、特に腎毒性、腎性尿崩症および慢性腎疾患、低減することができる。ガボキサドールおよびリチウムの同時投与は、難治性双極性障害、すなわちリチウム単独の投与では適切に治療できない双極性障害の治療にも有用であり得る。ガボキサドールはまた、従来のリチウム単剤療法に反応しない患者のリチウムへの反応を増強するための追加療法として有用であることを証明している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相乗的に有効な量で存在する化合物の相乗的組合せを含む医薬組成物であって、前記相乗的組合せが、ガボキサドールおよびリチウム、またはそれらのいずれかもしくは両方の化合物の薬学的に許容される塩からなる組合せである、医薬組成物。
【請求項2】
前記リチウムが、標準以下の1日量のリチウムである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記標準以下の用量のリチウムは、それを必要とする対象に毎日投与される場合、双極性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病および自殺傾向を治療するための医学的に推奨された用量を下回る、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記標準以下の用量のリチウムの動物相当量は、ファーマコマッピングによって測定されたときに動物モデルの脳におけるc-fosシグナル伝達を活性化するのに効果がない、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記標準以下の用量のリチウムのヒト相当量は、約50~約600mgの炭酸リチウム/日の範囲にある、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記ガボキサドールが、低用量から中用量までのガボキサドールである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記ガボキサドールの低用量の動物相当量は、ファーマコマッピングによって測定されたときに動物モデルの脳におけるc-fosシグナル伝達を活性化するのに効果がない、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記ガボキサドールの低用量のヒト相当量が、約5~約15mgガボキサドール/日の範囲にある、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記ガボキサドールの中用量が、約15~約30mgガボキサドール/日の範囲にある、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記リチウムが標準用量のリチウムである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記リチウムの標準用量が約600~約1800mgの範囲にあり、最大1日用量が2400mgの炭酸リチウム/日である、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記ガボキサドールが高用量のガボキサドールである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記ガボキサドールの高用量の動物相当量は、動物モデルの脳において広いc-fosシグナル伝達を活性化するのに有効である、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記ガボキサドールの高用量のヒト相当量が、約30~約300mgガボキサドール/日の範囲にある、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項15】
それを必要とする動物モデルに毎日投与される動物等価用量のリチウムおよびガボキサドールが、1)運動(MO)、味覚(GU)、連合野内臓(VISC)、無顆粒島(AI)、体性感覚(SS)、聴覚、視覚(VIS)、聴覚(AUD)、前辺縁(PL)および下辺縁(ILA)、脳梁膨大後部(RSP)、頭頂(PTL)、側頭連合(TEa)、内嗅(ECT)、内嗅(ENT)、鼻周囲(PERI)、梨状(PIR)、および前帯状(ACA)皮質、前障(CLA)を含む広い皮質活性化、ならびに2)海馬CA1領域、分界条床核(BST)、中央扁桃体(CEA)、皮質扁桃体(COA)、扁桃体の基底外側部および内側基底核(BLAおよびBMA)、内側扁桃体(MEA)、視床腹側後内側核(VPM)、結合腕傍下核(SPF)、内側膝状複合体(MG)、膝状体上核(SGN)、結合核(RE)、菱形核(RH)、視床中央内側核(CM)、傍室視床下部核(PVH)、視床下部背内側核(DMH)、結節乳頭体核(TM)、視床下部傍核(PSTN)および視床下核(STN)、傍小脳脚核、青斑核(LC)および孤束核(NTS)を含む皮質下活性化、からなる群より選択される動物モデルの脳の少なくとも1つの領域におけるc-fosシグナル伝達を活性化するのに相乗的に有効である、請求項1、2、6、10および12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記ガボキサドールおよびリチウムが、それを必要とする対象に毎日投与されると、相乗的に作用して、双極性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病、および急性自殺傾向からなる群より選択される対象の精神障害を治療する、請求項1、2、6、10および12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記対象の精神障害の治療が、双極性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病、または自殺傾向に特異的な少なくとも1つの精神医学的評価尺度のスコアを改善するのに有効である、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
双極性うつ病、単極性うつ病または治療抵抗性うつ病と診断された対象に投与される場合、前記ガボキサドールおよびリチウムが、前記対象のモンゴメリー-アスバーグうつ病評価尺度(MADRS)スコアを増加させるのに相乗的に有効である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記ガボキサドールおよびリチウムが、それを必要とする対象に投与される場合、双極性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病、または自殺傾向に特異的な少なくとも1つの精神医学的評価尺度のスコアを増加させるのに相乗的に有効である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記リチウムが、それを必要とする対象に毎日投与される場合、リチウムの前記対象の血清レベルを約0.4~約1.2mmol/Lの範囲に維持するのに十分な量である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記リチウムが、それを必要とする対象に毎日投与される場合、リチウムの前記対象の血清レベルを約0.2~約0.8mmol/Lの範囲に維持するのに十分な量である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記医薬組成物が、経口摂取のための単一の錠剤の形態である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記医薬組成物が、制御放出製剤の形態でである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項24】
1つまたは複数の不活性な薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記医薬組成物が、前記リチウムおよびガボキサドールまたはそれらのいずれかもしくは両方の化合物の薬学的に許容される塩のための別個のコンパートメントを有する単一の投薬単位の形態である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項26】
請求項1に記載の医薬組成物を含むキット。
【請求項27】
請求項1、2、6、10および12のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与することを含む、それを必要とする対象を治療するための方法。
【請求項28】
前記対象が精神障害と診断される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記精神障害が、双極性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病、または急性自殺傾向から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記医薬組成物が、腎毒性、腎性尿崩症、慢性腎臓病、下痢、手の震え、喉の渇きの増加、排尿の増加、嘔吐、体重増加、記憶障害、集中力の低下、眠気、筋力低下、脱毛、にきびおよび甲状腺機能の低下、からなる群から選択される有害な副作用を軽減する、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
双極性障害、うつ病、または急性自殺傾向と診断されたヒトを治療するための方法であって、前記方法は、約5~約300mg/日の範囲の用量のガボキサドールと、
a)約50mg~約1800mgの炭酸リチウムの用量;または
b)約0.8mg/kg~約30mg/kgの炭酸リチウム;または
c)約0.2~1.2mmol/Lのリチウム血清濃度を達成するのに十分な量;
でのリチウムとの相乗的組み合わせを同時に投与することを含み:
前記ガボキサドールおよびリチウムの組み合わせ用量は、少なくとも1日1回投与される、方法。
【請求項32】
双極性障害、うつ病、または自殺傾向と診断されたヒトを治療するための方法であって、前記方法は、約5~約50mg/日の範囲の用量のガボキサドールと、
a)約50mg~約900mgの炭酸リチウム/日の用量;または
b)0.2~1.0mmol/Lのリチウム血清濃度を達成するのに十分な量;
でのリチウムとの相乗的組み合わせを同時に投与することを含み:
前記ガボキサドールおよびリチウムの組み合わせ用量は、少なくとも1日1回投与される、方法。
【請求項33】
双極性障害、うつ病、または自殺傾向の慢性型と診断された患者を治療するための方法であって、前記方法は、約5~約30mg/日の範囲の用量のガボキサドールと、
a)約50mg~約600mgの炭酸リチウムの用量;または
b)0.2~0.8mmol/Lのリチウム血清濃度を達成するのに十分な量;
でのリチウムとの相乗的組み合わせを同時に投与することを含み:
前記ガボキサドールおよびリチウムの組み合わせ用量は、少なくとも1日1回投与される、方法。
【請求項34】
双極性障害、うつ病、または自殺傾向の1つまたは症状を低減するための、ガボキサドールおよびリチウム、またはそれらのいずれかもしくは両方の化合物の薬学的に許容される塩の相乗的組み合わせの使用。
【請求項35】
双極性障害、うつ病、または自殺傾向の1つまたは症状を低減するための医薬の製造における、ガボキサドールおよびリチウム、またはそれらのいずれかもしくは両方の化合物の薬学的に許容される塩の相乗的組み合わせの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムとガボキサドールとの相乗的な組み合わせを用いて精神障害を治療する組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床診療ガイドラインによれば、リチウムは、1960年代以降、双極性障害(BD)における気分の安定と自殺傾向の減少のための第一選択薬であり、無数のBD患者に急性の抗躁病治療を提供し、BD再発の予防を提供している(バルデッサリーニ(Baldessarini)他、2006;シプリアーニ(Cipriani)他、2013;ケッシング(Kessing)他、2018年;ロバーツ(Roberts)他、2017年;サニ(Sani)他、2017;セベルス(Severus)他、2014年)。しかしながら、リチウムが広く使用されているにもかかわらず、患者がこの薬から重篤な副作用を経験することは珍しくない。
【0003】
例えば、リチウム治療に関する第1の懸念は、疑いなくその治療域が非常に狭いことであり、介護者は双極性障害の維持のために典型的には0.6~1.0mmol/Lの血清中濃度を維持し、急性躁病治療においてはより高レベルである1.0~1.2mmol/Lを維持する必要がある(アソシエーション(Association)、2002年;ゲレンベルク(Gelenberg)他、1989年;グランジャン(Grandjean)およびオーブリ(Aubry)、2009)。より低レベルでは効果がないと考えられており、この範囲を超えるリチウム血清レベルは深刻な副作用と毒性を引き起こす可能性があるため、リチウムによる治療は常に監視を継続する必要がある。これは、関連する糸球体濾過率の増加が、BD再発の有意なリスクが存在する点まで実質的に血清リチウムレベルを低下させるため、妊娠しているBD患者において特に当てはまる。したがって、妊娠中の臨床戦略は、妊娠中にリチウムの用量を増加させ、それによって、しばしば再発リスクの増加と関連する分娩後早期のより高い血清レベルを達成することである(デリジアンニディス(Deligiannidis)他、2014)。しかしながら、分娩後に患者の腎機能がより低い糸球体濾過率に戻ると、関連する血清リチウム濃度の上昇により、母親および乳児に急性毒性が生じる可能性があるため、血清リチウム濃度の綿密なモニタリングが不可欠である(ホートン(Horton)他、2012;ヴェッセロー(Wesseloo)他、2017年)。
【0004】
急性リチウム毒性は、非痙攣性てんかん重積状態、EEGアルファリズムの遅延、病理学的な3~10Hzデルタリズムおよびびまん性スパイク放電、生命を脅かす昏睡、筋緊張低下および反射低下として現れる(イボコビッチ(Ivkovic)およびステルン(Stern)、2014年;マドゥスダン(Madhusudhan)、2014年;メガルバーン(Megarbane)他、2014年;チョウ(Schou)他、1968年)。
【0005】
さらに、リチウムの長期維持療法に関連する慢性副作用には、甲状腺機能低下症、腎性尿崩症、特にすでに腎不全と診断されている患者における顕著な腎毒性および慢性腎臓病がある(デービス(Davis)他、2018a;デービス他、2018b)。BD患者がリチウムの投与を中止した理由を調査した疫学調査によると、主として腎疾患、下痢および/または振戦などの有害事象のためにリチウムの投与を中止した人が過半数62%を占めた(オルンド(Oehlund)他、2018年)。2014年だけで、米国で6850例のリチウム中毒が報告された。したがって、長期にわたる治療効果を得るためには、血清リチウム濃度を注意深く監視し、滴定する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、双極性障害を含む多くの重篤な精神障害のリチウム治療に関連する副作用を軽減する治療選択肢の改善が継続的に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この開示は、ガボキサドールがリチウムと相乗的に作用して、脳のシグナル伝達活動においてリチウムの作用を増強できるという発見について報告するものである。特に、標準を下回る用量範囲のリチウム(例えば、600mg未満/日)とガボキサドールとの併用は、双極性障害(急性躁病および長期維持(maintenance)の両方において)、うつ病、治療抵抗性うつ病および自殺傾向などの精神障害の治療に必要なリチウムの量を減少させ、前述の副作用、特に腎毒性および慢性腎臓病などの慢性副作用を伴わない。したがって、ガボキサドールと標準以下の用量のリチウムとを同時に投与すると、副作用のリスクが低下し、双極性障害やリチウム治療に反応する他の精神障害の管理が容易になる。加えて、リチウムの標準用量範囲(例えば、600~1800mg、1日最大用量2400mg)もまた、ガボキサドールと相乗的に、または特定の実施形態では相加的に作用し、このことは、リチウムの標準用量へのガボキサドールの追加が、従来のリチウム単剤療法に最初に反応しない治療抵抗性の患者におけるリチウムに対する反応の増強に有用であることを証明できることを示すものである。
【0008】
第1の態様において、相乗的な組合せは、ガボキサドールおよびリチウム、またはそれらの化合物のいずれかもしくは両方の薬学的に許容される塩を含む。
第1の態様の特定の実施形態において、リチウムは、それを必要とする対象に毎日投与される場合、双極性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病および自殺傾向の治療に無効である標準以下の(sub-standard)用量範囲で与えられる。
【0009】
第1の態様の特定の実施形態において、リチウムは、それを必要とする対象に毎日投与される場合、双極性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病および自殺傾向を治療するための医学的に推奨された用量を下回る標準以下の用量範囲で与えられる。
【0010】
第1の態様の特定の実施形態において、動物モデルの脳においてc-fosシグナル伝達を活性化する際に、標準以下の用量のリチウムの動物等価用量は、ファーマコマッピングによって測定されるように無効である。
【0011】
前臨床試験では、例えば、マウスやラットなどの動物において、最初期遺伝子(IEG)c-fosの誘導を視覚化することで表されるリチウム誘発脳活性化をマッピングしたり、動物の脳波図(EEG)においてリチウム誘発変化を記録したりすることによって、リチウムのヒトにおける標準以下の用量範囲を確立し、標準用量範囲と区別することができる。
【0012】
第1の態様の特定の実施形態において、リチウムの標準以下の用量は、1日あたり約50~約600mgの炭酸リチウムの範囲である。
第1の態様の特定の実施形態において、ガボキサドールは、低~中程度のヒト用量範囲で投与され、それは、動物等価用量(AED)でマウスまたはラットのような動物に投与される場合、ファーマコマッピングによって測定されるように、脳におけるc-fos活性のわずかな誘導を誘発することができないかまたは誘発するに過ぎない。
【0013】
第1の態様の特定の実施形態において、低用量のガボキサドールは、成人ヒトにおいては約5~約15mgのガボキサドール/日の範囲であり、中用量のガボキサドールは、成人ヒトにおいて約15~約30mgのガボキサドール/日の範囲である。
【0014】
第1の態様の特定の実施形態において、リチウムは、リチウムの標準的な用量範囲で与えられる。
第1の態様の特定の実施形態において、リチウムの標準的な用量範囲は、約600~約1800mgの範囲であり、成人ヒトの1日あたりの炭酸リチウムの1日最大用量は2400mgである。
【0015】
第1の態様の特定の実施形態において、ガボキサドールは、動物等価用量(AED)でマウスまたはラットなどの動物に与えられる場合、脳におけるc-fos活性の強力な誘導を誘発する高用量として与えられる。
【0016】
第1の態様の特定の実施形態において、高用量のガボキサドールは、成人ヒトの場合、1日あたり約30~約300mgのガボキサドールの範囲である。
第1の態様の特定の実施形態において、それを必要とする対象に毎日投与されるリチウムおよびガボキサドールの量は、運動(MO)、味覚(GU)、連合野内臓(VISC)、無顆粒島(AI)、体性感覚(SS)、聴覚、視覚(VIS)、聴覚(AUD)、前辺縁(PL)および下辺縁(ILA)、脳梁膨大後部(RSP)、頭頂(PTL)、側頭連合(TEa)、内嗅(ECT)、内嗅(ENT)、鼻周囲(PERI)、梨状(PIR)、および前帯状(ACA)皮質の各皮質および前障(CLA)からなる群から選択される対象の皮質脳の少なくとも1つの領域におけるIEG c-fosシグナル伝達の誘導において相乗的に有効である。
【0017】
第1の態様の特定の実施形態において、それを必要とする対象に毎日投与されるリチウムおよびガボキサドールの量は、運動(MO)、味覚(GU)、連合野内臓(VISC)、無顆粒島(AI)、体性感覚(SS)、聴覚、視覚(VIS)、聴覚(AUD)、前辺縁(PL)および下辺縁(ILA)、脳梁膨大後部(RSP)、頭頂(PTL)、側頭連合(TEa)、内嗅(ECT)、内嗅(ENT)、鼻周囲(PERI)、梨状(PIR)、および前帯状(ACA)皮質の各皮質および前障(CLA)からなる群から選択される対象の皮質脳の少なくとも2つの領域におけるIEG c-fosシグナル伝達の誘導において相乗的に有効である。
【0018】
第1の態様の特定の実施形態において、それを必要とする対象に毎日投与されるリチウムおよびガボキサドールの量は、運動(MO)、味覚(GU)、連合野内臓(VISC)、無顆粒島(AI)、体性感覚(SS)、聴覚、視覚(VIS)、聴覚(AUD)、前辺縁(PL)および下辺縁(ILA)、脳梁膨大後部(RSP)、頭頂(PTL)、側頭連合(TEa)、内嗅(ECT)、内嗅(ENT)、鼻周囲(PERI)、梨状(PIR)、および前帯状(ACA)皮質の各皮質および前障(CLA)からなる群から選択される対象の皮質脳の少なくとも3つの領域におけるIEG c-fosシグナル伝達の誘導において相乗的に有効である。
【0019】
第1の態様の特定の実施形態において、それを必要とする対象に毎日投与されるリチウムおよびガボキサドールの量は、海馬CA1領域、分界条床核(BST)、中央扁桃体(CEA)、皮質扁桃体(COA)、扁桃体の基底外側部および内側基底核(BLAおよびBMA)、内側扁桃体(MEA)、視床腹側後内側核(VPM)、結合腕傍下核(SPF)、視床の内側膝状核(MG)、膝状体上核(SGN)、結合核(RE)、菱形核(RH)、視床中央内側核(CM)、傍室視床下部核(PVH)、視床下部背内側核(DMH)、結節乳頭体核(TM)、視床下部傍核(PSTN)および視床下核(STN)、傍小脳脚核、青斑核(LC)および孤束核(NTS)からなる群より選択される対象の皮質下脳の少なくとも1つの領域におけるIEG c-fosシグナル伝達の誘導において相乗的に有効である。
【0020】
第1の態様の特定の実施形態において、それを必要とする対象に毎日投与されるリチウムおよびガボキサドールの量は、海馬CA1領域、分界条床核(BST)、中央扁桃体(CEA)、皮質扁桃体(COA)、扁桃体の基底外側部および内側基底核(BLAおよびBMA)、内側扁桃体(MEA)、視床腹側後内側核(VPM)、結合腕傍下核(SPF)、視床の内側膝状核(MG)、膝状体上核(SGN)、結合核(RE)、菱形核(RH)、視床中央内側核(CM)、傍室視床下部核(PVH)、視床下部背内側核(DMH)、結節乳頭体核(TM)、視床下部傍核(PSTN)および視床下核(STN)、傍小脳脚核、青斑核(LC)および孤束核(NTS)からなる群より選択される対象の皮質下脳の少なくとも2つの領域におけるIEG c-fosシグナル伝達の誘導において相乗的に有効である。
【0021】
第1の態様の特定の実施形態において、それを必要とする対象に毎日投与されるリチウムおよびガボキサドールの量は、海馬CA1領域、分界条床核(BST)、中央扁桃体(CEA)、皮質扁桃体(COA)、扁桃体の基底外側部および内側基底核(BLAおよびBMA)、内側扁桃体(MEA)、視床腹側後内側核(VPM)、結合腕傍下核(SPF)、視床の内側膝状核(MG)、膝状体上核(SGN)、結合核(RE)、菱形核(RH)、視床中央内側核(CM)、傍室視床下部核(PVH)、視床下部背内側核(DMH)、結節乳頭体核(TM)、視床下部傍核(PSTN)および視床下核(STN)、傍小脳脚核、青斑核(LC)および孤束核(NTS)からなる群より選択される対象の皮質下脳の少なくとも3つの領域におけるIEG c-fosシグナル伝達の誘導において相乗的に有効である。
【0022】
第1の態様の特定の実施形態において、ガボキサドールおよびリチウムの量は、それを必要とする対象に毎日投与される場合、双極性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病および自殺傾向からなる群より選択される対象の精神障害を治療する上で相乗的に有効である。
【0023】
第1の態様の特定の実施形態において、対象の精神障害の治療は、双極性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病または自殺傾向に特有の少なくとも1つの精神医学的評価尺度のスコアを改善するのに有効である。
【0024】
第1の態様の特定の実施形態において、ガボキサドールおよびリチウムは、うつ病と診断された対象に投与される場合、対象のモンゴメリー-アスバーグうつ病評価尺度(MADRS)スコアを増加させるのに相乗的に有効である。
【0025】
第1の態様の特定の実施形態において、ガボキサドールおよびリチウムは、それを必要とする対象に投与される場合、双極性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病または自殺傾向に特異的な少なくとも1つの精神医学的評価尺度のスコアを増加させるのに相乗的に有効である。
【0026】
第1の態様の特定の実施形態において、ガボキサドールおよびリチウムは、それを必要とする対象に投与される場合、双極性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病または自殺傾向に特異的な少なくとも2つの精神医学的評価尺度のスコアを増加させるのに相乗的に有効である。
【0027】
第1の態様の特定の実施形態において、ガボキサドールおよびリチウムは、それを必要とする対象に投与される場合、双極性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病または自殺傾向に特異的な少なくとも3つの精神医学的評価尺度のスコアを増加させるのに相乗的に有効である。
【0028】
第1の態様の特定の実施形態において、リチウムは、それを必要とする対象に毎日投与される場合、約0.2~約1.2mmol/Lの範囲のリチウムの血清レベルを維持するのに十分な量である。
【0029】
第1の態様の特定の実施形態において、リチウムは、それを必要とする対象に毎日投与される場合、約0.4~約0.8mmol/Lの範囲のリチウムの対象血清レベルを維持するのに十分な量である。
【0030】
第2の態様において、リチウムとガボキサドールの相乗的組み合わせの先行する実施形態のいずれか1つを含む医薬組成物が開示される。
第2の態様の特定の実施形態において、医薬組成物は、経口摂取用の単一の錠剤の形態である。
【0031】
第2の態様の特定の実施形態において、医薬組成物は、制御放出製剤の形態である。
第2の態様の特定の実施形態において、医薬組成物は、1つ以上の不活性な薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。
【0032】
第2の態様の特定の実施形態において、医薬組成物は、リチウムおよびガボキサドールまたはそれらのいずれかもしくは両方の化合物の薬学的に許容される塩のための別個のコンパートメントを有する単一の投薬単位の形態である。
【0033】
第3の態様において、前述の医薬組成物のいずれか1つを含むキットが開示されている。
第4の態様において、リチウムとガボキサドールの相乗的組み合わせの前述の実施形態のいずれか1つを投与することを含む、それを必要とする対象を治療するための方法が開示されている。
【0034】
第4の態様の特定の実施形態において、対象は精神障害と診断されている。
第4の態様の特定の実施形態において、精神障害は、双極性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病または自殺傾向から選択される。
【0035】
第4の態様の特定の実施形態において、この組み合わせは、腎毒性、腎性尿崩症、慢性腎臓病、下痢、手の振戦、口渇増加、排尿増加、嘔吐、体重増加、記憶障害、集中力低下、眠気、筋力低下、脱毛、にきびおよび甲状腺機能低下からなる群から選択される少なくとも1つの副作用を軽減する。
【0036】
第4の態様の特定の実施形態において、この組み合わせは、腎毒性、腎性尿崩症、慢性腎臓病、下痢、手の振戦、口渇増加、排尿増加、嘔吐、体重増加、記憶障害、集中力低下、眠気、筋力低下、脱毛、にきびおよび甲状腺機能低下からなる群から選択される少なくとも2つの副作用を軽減する。
【0037】
第4の態様の特定の実施形態において、この組み合わせは、腎毒性、腎性尿崩症、慢性腎臓病、下痢、手の振戦、口渇増加、排尿増加、嘔吐、体重増加、記憶障害、集中力低下、眠気、筋力低下、脱毛、にきびおよび甲状腺機能低下からなる群から選択される少なくとも3つの副作用を軽減する。
【0038】
第5の態様において、双極性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病または急性自殺傾向と診断されたヒトを治療するための方法が開示され、同方法は、約5~約300mg/日の範囲の用量のガボキサドールと、同時に約50mg~約1800mgの用量の炭酸リチウム、最大1日用量2400mg[ヒト60kgについて]、または最大用量40mg/kgで約0.8mg/kg~約30mg/kgの炭酸リチウム;あるいは約0.2~1.2mmol/Lのリチウム血清濃度を達成するのに十分な量でのリチウムと、の相乗的組み合わせを同時に投与することを含み、前記組み合わせは、少なくとも1日1回投与される。
【0039】
第6の態様において、双極性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病または自殺傾向の急性の形態と診断されたヒトを治療するための方法が開示され、同方法は、約5~約150mg/日の範囲の用量のガボキサドールと、約300mg~約1800mgの炭酸リチウム/日[ヒト60kgについて];もしくは約0.4~1.2mmol/Lのリチウム血清濃度を達成するのに十分な量でのリチウムと、の相乗的組み合わせを同時に投与することを含み、前記組み合わせは、少なくとも1日1回投与される。
【0040】
第7の態様において、双極性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病または自殺傾向の急性の形態と診断された患者を治療するための方法が開示され、同方法は、約5~約150mg/日の範囲の用量のガボキサドールと、約50mg~約900mgの炭酸リチウム/日[ヒト60kgについて];もしくは約0.2~1.0mmol/Lのリチウム血清濃度を達成するのに十分な量でのリチウムと、の相乗的組み合わせを同時に投与することを含み、前記組み合わせの用量は、少なくとも1日1回投与される。
【0041】
第8の態様において、双極性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病または自殺傾向の急性の形態と診断された患者を治療するための方法が開示され、同方法は、約5~約150mg/日の範囲の用量のガボキサドールと、同時に約50mg~約900mgの炭酸リチウム/日[ヒト60kgについて];もしくは約0.2~1.0mmol/Lのリチウム血清濃度を達成するのに十分な量でのリチウムと、の相加的組み合わせを同時に投与することを含み、前記組み合わせの用量は、少なくとも1日1回投与される。
【0042】
第9の態様において、固定した用量の組み合わせ医薬の調製におけるガボキサドールおよびリチウムの使用が開示され、リチウムは、約10mg~約300mgの範囲[炭酸リチウム50mg~約1800mg]の範囲にて存在し、かつガボキサドールは、双極性障害、うつ病、または急性自殺傾向と診断されたヒト患者の治療のために、約5mg~約150mgの範囲で存在する。
【0043】
第10の態様において、単位剤形でリチウムとガボキサドールを含む固定した用量の組み合わせの使用が開示され、リチウムは、約10mg~約360mgの範囲[炭酸リチウム50mg~約1800mg]の範囲にて存在し、かつガボキサドールは、双極性障害、うつ病、または急性自殺傾向と診断されたヒト患者の治療のために、約5mg~約150mgの範囲で存在する。
【0044】
第11の態様において、1日1回投与するための単位剤形でリチウムとガボキサドールを含む固定した用量の組み合わせの使用が開示され、双極性障害、うつ病、または急性自殺傾向と診断されたヒト患者の治療のために、ガボキサドールは約5mg~約150mgで存在し、最初の週ではリチウムは、約40mg~約360mgの範囲[炭酸リチウム200mg~約1800mg]の範囲にて存在し、最初の週の後、リチウムは、約10mg~約180mgの範囲[炭酸リチウム50mg~約900mg]の範囲にて存在する。
【0045】
第12の態様において、ガボキサドールおよびリチウム、またはそれらのいずれかもしくは両方の化合物の薬学的に許容される塩の相乗的組み合わせの使用が、双極性障害、うつ病、または自殺傾向の1つまたは症状を軽減するために開示される。
【0046】
第13の態様において、ガボキサドールおよびリチウム、またはそれらのいずれかもしくは両方の化合物の薬学的に許容される塩の相乗的組み合わせの使用が、双極性障害、うつ病、または自殺傾向の1つまたは症状を軽減するの薬剤の製造において開示される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】
図1は、マウスの薬物誘発性脳活性化を表す例示的な全脳ファーマコマップ(pharmacomap)(登録商標)を示す。(A)マウスは、腹腔内(i.p.)、経口(p.o.)、皮下(s.c.)、筋肉内(i.m.)または静脈内(i.v.)の送達のいずれかを使用して、対照群の薬物またはビヒクル溶液で治療される。(B)薬物での治療は、活性化ニューロンにおける最初期遺伝子(immediate early gene)c-fosの誘導をもたらし、それは、薬物の薬物動態に応じて、約1.5~約3時間以内にピークに達する。(C)前述のc-fosの誘導の期間の後、マウスをと殺し、c-fos誘導は全脳免疫染色を使用して視覚化した。次に、脳を化学的に除去し、ライトシート蛍光顕微鏡(LSFM)によって画像化した。(D)全脳スキャンは、4×4×5ミクロン(μm)のXYZ解像度のシリアルセクションデータセットとして表される。(E)c-fos陽性細胞は、カスタムアルゴリズムを使用してこれらのデータセットで検出した。(F)次に、検出したc-fos陽性細胞の全脳分布は、マウス脳の3D空間内の重心点の空間マップとして3Dで表した。(G)この3Dマップ分布は、参照マウスの脳に登録され、重なり合う150ミクロン(μm)の球体ボクセルを使用して空間的にボクセル化される。(H)最後に、薬物誘発性ファーマコマップ(登録商標)は、薬物治療済みマウスと対照ビヒクル治療済みマウスのc-fos陽性細胞分布の統計的比較によって生成され、通常はグループあたり6匹の動物を使用する。
【
図2】
図2は、リチウム用量曲線の例示的なファーマコマップを示す。白色は、マウス脳においてリチウムによって誘発されたc-fos活性の有意な誘導を示す空間領域を示す。用量の増加に伴ってリチウムによって誘発される幅広い活性化パターンは、例えば、以下の解剖学的構造に局在化していた:皮質:前辺縁(PL:prelimbic)および下辺縁(ILA:infralimbic)皮質、梨状皮質(PIR:piriform cortex)、連合野内臓(VISC:associational visceral)、味覚(GU:gustatory)、無顆粒島(AIp:agranular insular)皮質領域、脳梁膨大後部(RSP:retrosplenial)、運動(MO:motor)、体性感覚(SS:somatosensory)、聴覚(AUD:auditory)、視覚(VIS:visual)、側頭連合(TEa:temporal associational)、鼻周囲(PERI:perirhinal)および内嗅(ENT:entorhinal)、ならびに内嗅(ECT:entorhinal)皮質;大脳基底核:側坐核(ACB:the nucleus accumbens)、分界条床核(BSTa:the bed nuclei of the stria terminalis)の前部、皮質扁桃体および中央扁桃体(CEA:cortical amygdala and central amygdala);正中視床:室傍核(PVT:paraventricular nucleus)、中背核(IMB:intermediodorsal nucleus)、内側中心核(CM:central medial nucleus)および菱形核(RH:rhomboid nucleus);中脳:膝状複合体(MG:geniculate complex);脳幹:青斑核(LC:locus coeruleus)。
【
図3】
図3は、リチウムによって誘発される脳の活性化の例がガボキサドールの活性化と類似していることを示す。白色は、マウス脳においてリチウムによって誘発されたc-fos活性の有意な誘導の空間領域を示す。300mg/kg(上段;ヒト等価用量約1500mg)の用量でリチウムによって誘発された広範な活性化パターンは、以下の解剖学的構造を含む20mg/kg(下段;ヒト等価用量約100mg)のガボキサドールの効果と類似しているように思われる。皮質:下辺縁(ILA)皮質、梨状皮質(PIR)、連合野内臓(VISC)、味覚(GU)、無顆粒島(AIp)皮質領域、脳梁膨大後部(RSP)、運動(MO)、体性感覚(SS)、聴覚(AUD)、視覚(VIS)、側頭連合(TEa)、鼻周囲(PERI)および内嗅(ENT)、ならびに内嗅(ECT)皮質;大脳基底核:側坐核(ACB)、分界条床核(BSTa)の前部、皮質扁桃体および中央扁桃体(CEA);正中視床:室傍核(PVT)、中背核(IMB)、内側中心核(CM)および菱形核(RH);中脳:膝状複合体(MG);脳幹:青斑核(LC)。
【
図4】
図4は、低用量のガボキサドールと標準以下の用量のリチウムとの同時投与による相乗効果の例を示す。白色は、マウス脳においてリチウムによって誘発されたc-fos活性の有意な誘導の空間領域を示す。85mg/kgのリチウム(上段;ヒト等価用量約425mg)も3mg/kgのガボキサドール(中段;ヒト等価用量約15mg)も単独では脳の活性化を誘発しなかったが、これらの低用量の併用は顕著で広範な活性化を誘発し(下段)、以下を含む複数の解剖学的脳構造内での2つの化合物間の相乗作用を示した:皮質:下辺縁(ILA)皮質、梨状皮質(PIR)、連合野内臓(VISC)、味覚(GU)、無顆粒島(AIp)皮質領域、脳梁膨大後部(RSP)、運動(MO)、体性感覚(SS)、聴覚(AUD)、視覚(VIS)、側頭連合(TEa)、鼻周囲(PERI)および内嗅(ENT)、ならびに内嗅(ECT)皮質;大脳基底核:側坐核(ACB)、分界条床核(BSTa)の前部、皮質扁桃体および中央扁桃体(CEA);正中視床:室傍核(PVT)、中背核(IMB)、内側中心核(CM)および菱形核(RH);中脳:膝状複合体(MG);脳幹:青斑核(LC)。尾状核被殻(CP:caudoputamen)と海馬(HIPP)にわたって見られる弱い抑制パターン(緑色)は、2つの化合物によって誘発される中程度の鎮静を示唆している。
【
図5A】
図5Aは、中用量のガボキサドールおよび標準用量のリチウムの同時投与の例示的な相乗的および相加的脳活性化効果を示す。白色は、マウス脳においてリチウムによって誘発されたc-fos活性の有意な誘導の空間領域を示す。150mg/kgのリチウム(上段;ヒト等価用量約750mg)および6mg/kgのガボキサドール(中段;ヒト等価用量約30mg)は、それ自体で、下辺縁(ILA)皮質、分界条床核(BSTa)の前部、青斑核(LC)およびいくつかの付加的な皮質領域を含んで、中等度の脳活性化を引き起こしたが、これらの2つの用量の併用は、以下の解剖学的構造:皮質:下辺縁(ILA)皮質、梨状皮質(PIR)、連合野内臓(VISC)、味覚(GU)、無顆粒島(AIp)皮質領域、脳梁膨大後部(RSP)、運動(MO)、体性感覚(SS)、聴覚(AUD)、視覚(VIS)、側頭連合(TEa)、鼻周囲(PERI)および内嗅(ENT)、ならびに内嗅(ECT)皮質;大脳基底核:側坐核(ACB)、分界条床核(BSTa)の前部、皮質扁桃体および中央扁桃体(CEA);正中視床:室傍核(PVT)、中背核(IMB)、内側中心核(CM)および菱形核(RH);中脳:膝状複合体(MG);脳幹:青斑核(LC)を含んで、2つの化合物間の相乗作用および相加作用をさらに示す、かなり顕著な活性化(下段)を引き起こした。尾状核被殻(CP)と海馬(HIPP)にわたって見られる弱い抑制パターン(緑色)は、2つの化合物によって誘発される中程度の鎮静を示唆している。
【
図5B】
図5Bは、中用量のガボキサドールおよび標準用量のリチウムの同時投与の例示的な相乗的および相加的脳活性化効果を示す。白色は、マウス脳においてリチウムによって誘発された有意な活性化の空間領域を示す。200mg/kgのリチウム(上段;ヒト等価用量約1000mg)および6mg/kgのガボキサドール(中段;ヒト等価用量約30mg)は、それ自体で、下辺縁(ILA)皮質、分界条床核(BSTa)の前部、青斑核(LC)およびいくつかの付加的な皮質領域を含んで、中等度の脳活性化を引き起こしたが、これらの2つの用量の併用は、以下の解剖学的構造:皮質:下辺縁(ILA)皮質、梨状皮質(PIR)、連合野内臓(VISC)、味覚(GU)、無顆粒島(AIp)皮質領域、脳梁膨大後部(RSP)、運動(MO)、体性感覚(SS)、聴覚(AUD)、視覚(VIS)、側頭連合(TEa)、鼻周囲(PERI)および内嗅(ENT)、ならびに内嗅(ECT)皮質;大脳基底核:側坐核(ACB)、分界条床核(BSTa)の前部、皮質扁桃体および中央扁桃体(CEA);正中視床:室傍核(PVT)、中背核(IMB)、内側中心核(CM)および菱形核(RH);中脳:膝状複合体(MG);脳幹:青斑核(LC)を含んで、2つの化合物間の相乗作用をさらに示す、かなり顕著な活性化(下段)を引き起こした。尾状核被殻(CP)と海馬(HIPP)にわたって見られる弱い抑制パターン(緑色)は、2つの化合物によって誘発される中程度の鎮静を示唆している。
【
図6】
図6は、低用量のガボキサドールと標準以下の用量のリチウムとの同時投与の例示的な相乗的行動効果を示す。3.5mg/kgのd-アンフェタミンによる処置の前に、20分間、ビヒクル(生理食塩水)、治療用量以下のリチウム(リチウム14.1mg/kg;ヒト等価用量約70mg)、低用量のガボキサドール(ガボキサドール-3mg/kg;ヒト等価用量約15mg)、またはリチウムとガボキサドールとの併用(リチウム14.1mg/kg+ガボキサドール-3mg/kg)でマウスを前処置した。運動量(locomotion)は、歩行回数(歩行中にビームが途切れた回数)で表され、最初の20分間は4群間で同等であったが、d-アンフェタミンを投与すると、ビヒクル処置動物の運動量が急激に増加し(上の紺色の線)、14.1mg/kgのリチウム単独(上から2番目のオレンジ色の線)では緩和されず、3mg/kgのガボキサドール単独(下から2番目の黄色の線)ではわずかに緩和された(Anova p値=0.007、Fisher’s PLSD試験p=0.6)が、これに対して、リチウム14.1mg/kgおよびガボキサドール3mg/kgの組み合わせ(下の水色の線)では運動量が顕著に緩和され(Anova p値=0.007、Fisher’s PLSD試験p=<0.01)、2つの分子の相乗効果が示された。
【発明を実施するための形態】
【0048】
次に、本発明の各実施形態について詳細に説明する。そのような実施形態は、本発明の説明として提供され、本発明に限定されることを意図していない。実際、当業者であれば、本明細書を読み、本図面を見ると、さまざまな修正および変形を行うことができることを理解することができる。
【0049】
1)定義
他に規定されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0050】
本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上他に明白に示されていない限り、複数形も含むことが意図される。
本明細書および特許請求の範囲において使用される際の「および/または」という句は、そのように結合された要素、すなわち、ある場合には結合的に存在し、他の場合には分離的に存在する要素の「いずれかまたは両方」を意味すると理解されたい。したがって、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「含む(comprising)」などのオープンエンド言語と組み合わせて使用される場合、一実施形態では、Aのみ(任意選択でB以外の要素を含む)、別の実施形態では、Bのみ(任意選択でA以外の要素を含む)、さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(任意選択で他の要素を含む)等を指すことができる。
【0051】
本明細書の明細書および特許請求の範囲で使用される際、1つまたは複数の要素のリストに関連する「少なくとも1つ」という句は、要素のリスト内の要素のうちの任意の1つまたは複数から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素のリスト内に具体的にリストされている各々のおよびすべての少なくとも1つを含む必要はなく、要素のリスト内の要素の任意の組み合わせを除外するものではないことを理解されたい。この定義はまた、「少なくとも1つ」という句が参照する要素のリスト内で具体的に識別される要素以外の要素が、具体的に識別される要素に関連するかどうかにかかわらず、任意選択で存在し得ることを可能にする。したがって、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または、同等に、「AまたはBの少なくとも1つ」、または同等に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、任意選択で2つ以上のAを含み、Bが存在しない(および任意選択でB以外の要素を含む)ということを含む、少なくとも1つ、別の実施形態では、任意選択で2つ以上のBを含み、Aが存在しない(および任意選択でA以外の要素を含む)ということを含む、少なくとも1つ、さらに別の実施形態では、任意選択で2つ以上のAを含む、少なくとも1つと任意選択で2つ以上のBを含む(および任意選択で他の要素を含む)、少なくとも1つと、等を指すことができる。
【0052】
特定の実施形態では、本明細書で使用される際の「約」または「ほぼ」という用語は、当業者によって決定される特定の値の許容可能な誤差範囲内を意味し、これは、値がどのように測定または決定されるか、すなわち、測定系の制限に部分的に依存する。特定の実施形態では、「約」は、当技術分野の慣行に従って、3標準偏差以内または3標準偏差を超えることを意味することができる。特定の実施形態では、特に生物学的システムまたはプロセスに関して、この用語は、値の10倍以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味することができる。
【0053】
特定の実施形態では、「約」または「ほぼ」という用語が数値範囲と組み合わせて使用される場合、それらの数値の上下の境界を拡張することによってその範囲を変更する。一般に、「約」という用語は、本明細書では、記載された値の上下の数値を20%、10%、5%、または1%の変動で修正するために使用される。特定の実施形態では、「約」という用語は、記載された値の上下の数値を10%の分散で修正するために使用される。特定の実施形態では、「約」という用語は、記載された値の上下の数値を5%の分散で修正するために使用される。特定の実施形態では、「約」という用語は、記載された値の上下の数値を1%の分散で修正するために使用される。特定の実施形態では、「約」という用語は、記載された値の上下の数値を0.1%の分散で修正するために使用される。
【0054】
値の範囲が本明細書でリストされている場合、それは各値およびその範囲内のサブ範囲を包含することを意図している。例えば、「1~5ng」または「約1ng~約5ng」は、1ng、2ng、3ng、4ng、5ng、1~2ng、1~3ng、1~4ng、1~5ng、2~3ng、2~4ng、2~5ng、3~4ng、3~5ng、および4~5ngを包含することを意図する。
【0055】
さらに、「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、および/または「含む(including)」という用語は、本明細書で使用される場合、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を指定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそのグループの存在または追加を排除するものではないことが理解されるであろう。
【0056】
本明細書中で使用される場合、「同時に(contemporaneously)」とは、ガボキサドールおよびリチウムの別々の投与が行われる間の時間の長さを指す。特定の実施形態において、ガボキサドールおよびリチウムの「同時投与(coadministration)」は、ガボキサドールおよびリチウムの同時投与(contemporaneous administration)を指す。特定の実施形態において、ガボキサドールおよびリチウムの投与は、ガボキサドールが、リチウムの投与の約5分、約30分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間または約12時間以内に、それを必要とする患者に投与される場合に、同時である。特定の実施形態において、ガボキサドールは、それを必要とする患者に、リチウムの投与から約2時間以内に投与される。特定の実施形態において、ガボキサドールおよびリチウムの投与は、リチウムが、ガボキサドールの投与の約5分、約30分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間または約12時間以内に、それを必要とする患者に投与される場合に、同時である。特定の実施形態において、リチウムは、それを必要とする患者に、ガボキサドールの投与から約2時間以内に投与される。特定の実施形態において、リチウムおよびガボキサドールの同時投与は、別々の用量または組み合わせた用量のいずれかとして、ガボキサドールと同時に投与されるリチウムを含み得る。
【0057】
本明細書で言及されるように、特に明記しない限り、すべての組成パーセンテージは、特に明記しない限り、全組成物の重量によるものである。本明細書で使用される場合、用語「含む(include)」およびその変形は、リスト中の項目の列挙が、この技術の組成物および方法においても有用であり得る他の同様の項目を排除しないように、非限定的であることを意図している。同様に、用語「can」および「may」ならびにそれらの変形は、実施形態が特定の要素または特徴を含むことができるまたは含むことができるという記載が、それらの要素または特徴を含まない本技術の他の実施形態を排除しないように、非限定的であることを意図している。
【0058】
本明細書で使用される場合、別段の記載がない限り、用語「対象」は、哺乳類、例えば、ヒト、マウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、またはサル、チンパンジー、ヒヒなどの非ヒト霊長類を指す。「対象」および「患者」という用語は交換可能に使用される。特定の実施形態において、対象は、うつ病または双極性障害などの精神障害を患っているヒトである。特定の実施形態において、対象はヒトである。特定の実施形態において、ヒトは小児ヒトである。特定の実施形態において、対象は成人ヒトである。
【0059】
本明細書で使用される用語「有効量」または「治療有効量」は、別段の記載がない限り、所望の結果を達成する、例えば、治療される疾患または状態の1つ以上の症状をある程度まで緩和するために投与される、十分な量の少なくとも1つの薬剤を指す。特定の例において、結果は、疾患の徴候、症状、または原因の減少および/または緩和、あるいは生体系の他の所望の変化である。いくつかの実施形態において、有効量は、双極性障害または躁病に関連する症状を軽減、低減、著しく低減、または排除するのに一般的に有効である用量である。特定の例において、治療的使用のための「有効量」は、疾患の臨床的に有意な減少を提供するために必要とされる、本明細書に記載の薬剤を含む組成物の量である。個々の症例における適切な「有効な」量は、用量漸増試験などの適切な技術を使用して決定される。
【0060】
本明細書で使用される「治療抵抗性」という用語は、別段の記載がない限り、当業者に理解される用語として使用され、本発明で使用されるように、約6週間の十分な用量で抗うつ薬を少なくとも1回試した後に治療応答がないことを意味する。
【0061】
本明細書で使用される「投与する(administer)」、「投与する(administering)」、「投与(administration)」などの用語は、生物学的作用の所望の部位への薬剤または組成物の送達を可能にするために使用される方法を指す。これらの方法には、経口経路、十二指腸内経路、非経口注射(静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、血管内又は注入を含む)、局所および直腸投与が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に記載されている薬剤および方法とともに任意に使用される投与技術は、例えば、グッドマン(Goodman)およびギルマン(Gilman)の「The Pharmacological Basis of Therapeutics」、最新版(ペルガモン);およびレミントン(Remington)の「Pharmaceutical Sciences」、最新版(Mack Publishing Co.、ペンシルバニア州イーストン)において論じられているものを含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の薬剤および組成物は経口投与される。
【0062】
本明細書で使用される用語「薬学的に許容される(pharmaceutically acceptable)」は、本明細書に記載される作用物質の生物学的活性または特性を阻害せず、比較的無毒である(すなわち、当該物質の毒性が当該物質の有益性を著しく上回ること)物質を指す。場合によっては、薬学的に許容される材料は、重大な望ましくない生物学的効果を引き起こしたり、それが含まれる組成物の成分のいずれかと有害な方法で著しく相互作用したりすることなく、個体に投与される。
【0063】
本明細書で使用される「共結晶」は、化学量論比(1:1)または比(2:1)で2つ以上の非同一の化合物(共結晶前駆体)を含有し、その各々が、それらの純粋な形態である場合、周囲条件下(すなわち、22℃、1気圧)で固体である多成分結晶を指す。
【0064】
本明細書中で使用される、用語「治療する」、「治療」または「治療する」とは、治療的処置を意味し、ここで、その目的は、精神障害、例えばうつ病、治療抵抗性うつ病、急性自殺傾向および双極性障害の進行または重症度を逆転させる、軽減する、改善する、阻害する、減速する、または停止することである。用語「治療する」は、精神障害の少なくとも1つの副作用または症状を低減または軽減することを含む。1つ以上の症状や臨床マーカが減少した場合、一般的に治療は「有効」であると考えられる。あるいは、障害の進行が減少または停止した場合、治療は「有効」であると考えられる。つまり、「治療」には、症状やマーカの改善だけでなく、治療を行わなかった場合に予測され得ることと比較して、症状の進行や悪化が止まること、あるいは少なくとも遅れることも含まれる。有益で望ましい臨床結果には、限定されるものではないが、1つ以上の症状の緩和、疾患の範囲の縮小、疾患の状態の安定化(すなわち、悪化しないこと)、疾患の進行の遅延または減速、疾患の状態の改善または緩和、寛解(部分的または全体的)、および/または検出可能または検出不可能な死亡率の低下などが含まれる。「治療」という用語はまた、障害(例えば、精神障害)の症状または副作用からの軽減を提供することを含む(緩和治療を含む)。
【0065】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「予防する」、「予防する」および「予防」という用語は、患者が特定の疾患や障害に苦しみ始める前に発生する作用であって、疾患や障害の重症度や症状を抑制または軽減する作用、を企図している。
【0066】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「管理する」、「管理する」および「管理」という用語は、すでに病気や障害を患っている患者の特定の病気や障害の再発を防止すること、および/または、病気や障害を患っている患者が寛解状態を維持する時間を長くすることを包含する。これらの用語は、疾患または障害の閾値、発症および/または期間を調節すること、または患者が疾患または障害に応答する方法を変更することを包含する。
【0067】
本明細書で使用される場合、「c-fosシグナル伝達」、「c-fos活性」、「c-fos発現」、「c-fos活性化」、「c-fos遺伝子発現」、「c-fosシグナル伝達活性」、「脳内シグナル伝達活性」または「c-fos最初期遺伝子(IEG)発現」は、互換的に使用され、例えば、免疫組織化学、c-fos指定プローブのin situハイブリダイゼーション、c-fos-GFPマウスにおけるGFP発現、または本明細書に開示されているようなファーマコマッピングによって測定される、例えばc-fosのような最初期遺伝子(IEG)の発現の活性化を意味する(実施例1~5を参照)。
【0068】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「相乗効果」または「相乗(synergism)」または「相乗的に」または「相乗的な」という用語は、リチウムとガボキサドールの相互作用により、それらの併用効果が個々の効果の合計よりも大きくなることを意味する。特定の実施形態において、リチウムとガボキサドールの相乗的組み合わせは、双極性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病および自殺傾向を含むがこれらに限定されない精神障害を治療、予防および/または管理するのに効果的である。
【0069】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「相加的な」または「相加的に」または「相加効果」または「相加作用」という用語は、リチウムとガボキサドールの相互作用により、それらの併用効果が個々の効果の合計に等しいことを意味する。特定の実施形態において、リチウムとガボキサドールの相加的組み合わせは、双極性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病および自殺傾向を含むがこれらに限定されない精神障害を治療、予防および/または管理するのに効果的である。
【0070】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「脳におけるc-fos活性の低誘導」という用語は、前帯状(ACA)および脳梁膨大後部(RSP)皮質のような1~2個の皮質、および/または、分界条床核(BST)、中央扁桃体(CEA)、青斑核(LC)などの1~3個の皮質下領域を含む、ガボキサドール誘発またはリチウム誘発またはガボキサドール+リチウム併用誘発のc-fosの誘導を指す。
【0071】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「脳におけるc-fos活性の中程度の誘導」という用語は、ACA、RSP、味覚(GU)、連合野内臓(VISC)、聴覚(AUD)および、視覚(VIS)皮質のような3~6個の皮質領域、および/または、BST、CEA、LC、結合核(RE)、菱形核(RH)および内側中心核(CM)などの4~6個の皮質下領域を含む、ガボキサドール誘発またはリチウム誘発またはガボキサドール+リチウム併用誘発のc-fosの誘導を指す。
【0072】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「脳におけるc-fos活性の強力な誘導」という用語は、ACA、RSP、GU、VISC、AUD、VIS、運動(MO)、無顆粒島(AI)、体性感覚(SS)、前辺縁(PL)および下辺縁(ILA)、頭頂(PTL)、側頭連合(TEa)、内嗅(ECT)、内嗅(ENT)、鼻周囲(PERI)および、梨状(PIR)皮質と幽門(CLA)などの6個以上の皮質領域;および/または、BST、CEA、LC、RE、RH、CM、海馬CA1領域、皮質扁桃体(COA)、基底外側扁桃体および基底内側扁桃体(BLA、BMA)、内側扁桃体(MEA)、視床腹側後内側核(VPM)、傍脳室下核(SPF)、膝状複合体(MG)、上帯状核(SGN)、視床傍室下核(PVH)、視床下部背内側核(DMH)、結節乳頭核(TM)、視床下部傍核(PSTN:parasubthalamic nucleus)と視床下核(STN:subthalamic nucleus)、傍盲腸核、孤路核(NTS)などの6個以上の皮質下領域、を含む、ガボキサドール誘発またはリチウム誘発またはガボキサドール+リチウム併用誘発のc-fosの誘導を指す。
【0073】
本明細書で使用される場合、および別段の指示がない限り、リチウムに対する「標準以下用量(sub-standard dose)」という用語は、双極性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病および自殺傾向のリチウム単独療法において治療効力を欠くことが予想される、成人ヒトに対する約50~約600mgの範囲のヒト用量を指す。
【0074】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、リチウムの「標準用量」という用語は、双極性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病および自殺傾向のリチウム単剤療法として治療的に有効であることが期待される炭酸リチウムの600~1800mgの範囲のヒト用量を指し、最大1日用量は2400mg(成人ヒトの場合)である。
【0075】
本明細書で使用される場合、および別段の指示がない限り、ガボキサドールの「低用量」という用語は、成人ヒトに対して5~約15mgの範囲のヒト用量、またはマウスまたはラットなどの動物モデルに投与された場合、マウス脳における最初期c-fos遺伝子(IEG)発現の活性化を誘導しない約1~約3mg/kgの動物等価用量を指す。
【0076】
本明細書中で使用される場合、および別段の指示がない限り、ガボキサドールについての「中用量」という用語は、成人ヒトについての15~約30mgの範囲のヒト用量、またはマウスまたはラットなどの動物モデルに投与される場合、マウス脳においてc-fos最初期遺伝子(IEG)発現の中等度活性化を誘導する約3~約6mg/kgの動物等価用量を指す。
【0077】
本明細書で使用される場合、および別段の指示がない限り、ガボキサドールの「高用量」という用語は、成人ヒトに対して約30~約100mgの範囲のヒト用量、またはマウスまたはラットなどの動物モデルに投与された場合、マウス脳においてc-fos最初期遺伝子(IEG)発現の強い活性化を誘導する約6~約20mg/kgの動物等価用量を指す。本明細書で使用される場合、mg/kgとして表される用量は、薬物を服用している対象の体重1キログラムあたりの薬物のミリグラム数を指す。
【0078】
2)リチウム単剤療法
リチウムは、1949年にオーストラリアの精神科医ジョン・ケイドによって急性躁病の治療のために気分安定薬として最初に説明された(Cade JF Med J Aust.1949;2(10):349-52)。1970年に米国食品医薬品局により承認されたリチウムの作用機序は謎のままであるが、リチウムの作用は少なくとも部分的には、酵素活性に不可欠な補因子であるマグネシウムを置換することにより、グリコーゲンシンターゼキナーゼ3およびイノシトールモノホスファターゼを阻害するLi+イオンの能力に由来すると提唱されている(例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第9,265,764号明細書を参照されたい)。リチウムは現在、双極性障害、単極性うつ病、治療抵抗性うつ病、および自殺予防の治療のために広く処方されている。
【0079】
a)双極性障害の治療
双極性障害は、「気分エピソード」と呼ばれる明確な期間に発生する異常に激しい感情状態を特徴とする気分障害である。過度に高揚または過度に興奮した状態は躁病エピソードと呼ばれ、極度に悲しい状態や絶望的な状態はうつ病エピソードと呼ばれる。双極性障害に苦しむ個人は躁病エピソードを経験し、また一般的にうつ病エピソードまたは症状、あるいは躁病とうつ病の両方の特徴が同時に存在する混合エピソードを経験する。これらのエピソードは通常、「通常の」気分の期間によって分けられるが、一部の個人では、うつ病と躁病が急速に交互に起こることがあり、これは急速サイクリングとして知られている。極端な躁病エピソードは、妄想や幻覚などの精神病症状を引き起こすことがある。双極性障害の影響を受けた患者は、少なくとも一回の躁病または軽躁病(軽度の躁病)のエピソードを受けている。完全な躁病とうつ病を有する患者は、「双極I型障害」を有することが示唆される。軽躁病とうつ病を有する患者は「双極II型障害」と記載される。エピソードの発生は急性の傾向があり、症状は数日から数週間かけて現れる。
【0080】
躁病または躁病エピソードの症状には、気分変化および行動変化の両方がある。気分の変化には以下のようなものがある:「ハイ」な気分が長く続く;過剰に幸せな気分や外向的な気分になる;極端にイライラした気分、焦燥感、「ビクビク(jumpy)」した気分、または「ドキドキ(wired)」した気分。行動上の変化としては、早口になる、考えが次々に浮かぶ、思考を繰り返す、気が散りやすい;新しいプロジェクトに取り組むなど目標に向かって行動することが増える;落ち着きがない;睡眠時間が短い;自分の能力を非現実的に信じる;衝動的に行動し、楽しいことにたくさん参加する;浪費、衝動的なセックス、衝動的な事業投資などリスクの高い行動をとる、などが挙げられる。
【0081】
うつ病やうつ病エピソードの症状には、気分の変化と行動の変化がある。気分の変化には、以下のようなものが含まれる:不安感や空虚感が長く続く;セックスを含むかつて楽しんでいた活動に興味がなくなる、など。行動の変化には、以下のようなものが含まれる:疲労感や「動きが鈍くなった」と感じること;集中力や記憶力、判断力に問題があること;落ち着きがなくイライラすること;食事や睡眠またはその他の習慣が変わること;および、死や自殺を考えたり、自殺を試みたりすることなど。
【0082】
成人BP患者において、急性躁病の治療効果を得るために必要なリチウムの投与量は、通常、1日あたり炭酸リチウム600~900mg、または成人ヒトで約10~15mg/kgから始まり、これを1日あたり成人ヒトの炭酸リチウムで、1800mgまで、または約30mg/kgで徐々に増やしていく。リチウムは従来、2~4回に分けて投与されてきたが、夜間の単回投与も行われており、同等の治療効果が得られ、コンプライアンスも改善され、さらに腎障害の副作用も少ないことが示されている(カーター(Carter)ら、2013年、リュビッチ(Ljubicic)ら、2008年、シン(Singh)ら、2011年)。通常、1日の最大投与量は、成人ヒトの場合、炭酸リチウム2400mgまたは約40mg/kgを超えてはならない。躁病エピソードの急性期治療における典型的な血清中のリチウムの治療濃度は0.6~1.2mmol/Lの範囲であり、血清中のリチウム濃度が高くなるにつれて治療効果が得られる患者の数が増加する。
【0083】
成人のBDを長期的にコントロールするためには、成人ヒトの場合は1日当たり、炭酸リチウム900~1500mg/日、または約15~25mg/kgを経口投与することが推奨されている。BDの維持療法において安全と考えられる血中リチウム濃度は、0.4mmol/L~1.2mmol/Lの範囲であり、この範囲の上限は有効な予防療法の可能性を改善する。しかしながら、リチウムの長期使用による副作用が懸念されることから、0.4~0.8mmol/Lという低い目標範囲が用いられることが多い。一方、1.2~2.5mmol/Lの濃度は軽度の毒性に関連し、2.5~3.5mmol/Lの濃度は重度の毒性に関連し、3.5mmol/L以上の濃度では生命を脅かす可能性がある。
【0084】
小児のBD患者では、リチウムの投与は、体格を考慮した成人の推定用量の範囲内、すなわち、急性期治療では1日当たり、20~30mg/kgの炭酸リチウム、慢性期治療では10~25mg/kgの炭酸リチウムを投与する。
【0085】
高齢者の投与量は、加齢に伴う腎機能の低下を考慮して注意深く監視する必要があり、望ましい血清濃度を得るために必要な投与量は2~3倍減少する(レイ(Rej)ら、2014年)。
【0086】
妊娠中のリチウム治療およびモニタリングは、糸球体濾過率の上昇がリチウム濃度の大幅な低下およびBD再発リスクをもたらすため、特に困難である。したがって、妊娠中の臨床戦略は、妊娠中にリチウムの用量を増加させることに加えて、再発リスクの大幅な増加と関連している分娩後早期に高い血清中濃度を達成することである(デリジアニディス(Deligiannidis)ら、2014)。しかしながら、分娩後に腎機能が正常に戻ると、高用量のリチウムは母親および乳児に急性毒性を引き起こす可能性がある(ホートン(Horton)ら、2012年;ヴェッセロー(Wesseloo)ら、2017年)。
【0087】
急性躁病を患っている成人および12歳以上の小児には、徐放錠900mgを1日2回または600mgを1日3回経口投与することができる。躁病の長期治療については、12歳以上の成人及び小児では600mgを1日2回、または1日1200mgまでを3回、経口投与することができる。12歳未満の小児の躁病の治療は推奨されていない。
【0088】
b)単極性うつ病の治療と自殺予防
単極性うつ病(unipolar depression)または大うつ病性障害(MDD)は、当技術分野で理解される用語として使用され、DSM-IVまたはICD-10、または類似の命名法(DSM IV-TR-DSM IV-TRの診断基準を参照したDesk、 reference to the diagnostic criteria from DSM-IV-TR、米国精神医学会(American Psychiatric Association)ワシントンDC、2000年;カプラン(Kaplan)、H.I.ら、カプラン(Kaplan)およびサドック(Sadock)の「Synopsis of Psychiatry」(第8版)、1998年、Williams&Wilkins(ボルチモア))に列挙された診断基準によって導かれる診断を指す。単極性うつ病は、西洋文化における生涯有病率が4%~12%と推定される主要な臨床的問題である。約70%の患者が抗うつ薬による治療に反応するが、最大75%が10年以内に再発し、非常に高い割合の患者が診断されず未治療のままである。単極型は大うつ病と、うつ病と躁病の間の振動状態を意味する双極性うつ病と、の違いを意味する。その代わり、単極性うつ病は、否定的な感情に対する反芻を特徴とする「低さ」だけに焦点を当てている。DSM IVは大うつ病の診断に大うつ病エピソードの存在を必要とする。これは、同じ2週間にみられる9つの症状のうち少なくとも5つで構成されており、そのうちの1つは抑うつ気分、興味または喜びの喪失でなければならない。体重/食欲の変化、睡眠、エネルギー、精神運動遅滞または激越、罪悪感、集中力の低下、自殺傾向は他の症状である。自殺につながる精神障害はうつ病だけではないことにも注意が必要だ。双極性障害、精神病性障害(統合失調症など)、不安障害(パニック障害、OCD、PTSDを含む)、アルコール依存症や薬物依存症、人格障害などの他の障害も自殺につながることがある。
【0089】
リチウムはまた、単極性うつ病、特に治療抵抗性うつ病(シプリアニ(Cipriani)ら、2013年;シプリアニ(Cipriani)ら、2005年;ロバーツ(Roberts)ら、2017年)患者の集団において、補助療法および自殺傾向の軽減にも使用される。さらに、この集団における単極性うつ病エピソードの再発予防にもリチウムが推奨されており、5年以内に自殺リスクを伴う重度のうつ病エピソードが2回発生した場合には、予防的な生涯にわたる治療を開始することが提唱されている(アブ-サレ(Abou-Saleh)ら、2017年;バルデッサリーニ(Baldessarini)ら、2003;ポスト(Post)、2018年;ティホネン(Tiihonen)ら、2016年;トッフォル(Toffol)ら、2015年)。注目すべきことに、リチウムは、飲料水中の非常に低い濃度、典型的には150μg/L未満であっても、抗自殺効果を有するようである(アンドウ(Ando)ら、2017年;ヴィタ(Vita)ら、2015年)。
【0090】
BDの治療におけるその十分に確立された有効性にもかかわらず、リチウム治療にはいくつかの欠点がある。治療効果のある範囲は非常に狭く、わずかな血清中濃度の変化でも重大な毒性を示すことがあり、例えば、極度の口渇、吐き気、嘔吐、下痢、眠気、筋力低下、振戦、協調運動障害、幻覚、痙攣発作(ブラックアウトまたは痙攣)、視覚障害、めまい、失神、心拍数の低下、心拍数の増加または不均等などを伴う腎毒性を引き起こす。加えて、BD患者間の長期治療維持は非常に多様であり、良好な長期有効性を示す患者はわずか約30%である(スコット(Scott)ら、2017年)。したがって、より広いBD集団における良好な治療効果を有するリチウム形態の開発は、BD治療選択肢を劇的に改善するであろう。
【0091】
3)ガボキサドール単剤療法
ガボキサドール、ガボキサドラム(gaboxadolum)またはTHIP(4,5,6,7-テトラヒドロイソオキサゾロ(5,4-c)ピリジン-3-オール;C6H8N2O2型;Cas番号:64603-91-4;PubChem CID:3448)は、以下の構造:
【0092】
【0093】
を有するδ-サブユニット含有GABAA受容体を優先する、選択的GABAA受容体作動薬である。
「ガボキサドール」は、任意の形態の化合物、例えば、塩基(双性イオン)、薬学的に許容される塩、例えば、薬学的に許容される酸付加塩、塩基または塩の水和物または溶媒和物、ならびに無水物、および非晶質形態または結晶形態を含むことが意図される。
【0094】
典型的には、薬剤は、錠剤またはカプセルなどの固体経口投与形態、または液体経口投与形態であり得る。したがって、典型的な実施形態は、有効量の2.5mg~100mgのガボキサドールを含む経口投与形態の薬剤を調製するためのガボキサドールの使用である。好ましくは、ガボキサドールは結晶形である。薬剤のさらなる実施形態は、約2.5mg~約100mg、例えば2.5mg~4mg、4mg~6mg、6mg~8mg、8mg~10mg、10mg~12mg、12mg~14mg、14mg~16mg、16mg~18mg、または18mg~20mg、例えば2.5mg、5mg、7.5mg、10mg、12.5mg、15mg、20mg、40mg、または50mgの有効量のガボキサドールを含む。典型的な実施形態は、約15mg~約50mgの結晶性ガボキサドール、例えば、ガボキサドールの塩酸塩である。
【0095】
固形医薬調製物の調製方法は当技術分野でよく知られている。従って、錠剤は、活性成分を通常のアジュバントおよび/または希釈剤と混合し、次いで、その混合物を便利な打錠機で圧縮することによって調製することができる。アジュバントまたは希釈剤の例は、コーンスターチ、ラクトース、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ゼラチン、ラクトース、ガムなどを含む。着色剤、芳香剤、保存剤などのような任意の他のアジュバントまたは添加剤も、それらが活性成分と適合性であることを条件として使用することができる。
【0096】
ガボキサドール製剤またはその薬学的に許容される塩の例は、以下の特許刊行物に開示されている:国際公開第WO2018144827号、米国特許出願公開第20110082171号明細書、米国特許出願公開第20090048288号明細書、国際公開第WO2006118897号、国際公開第WO2006102093号、米国特許出願公開第20050137222号明細書、国際公開第WO2002094225号、国際公開第WO2001022941号、これらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0097】
1980年初頭、ガボキサドールは一連のパイロット研究の対象となり、鎮痛薬および抗不安薬としての有効性、ならびに遅発性ジスキネジア、ハンチントン病、アルツハイマー病、および痙縮の治療薬としての有効性が検証された。1990年、ガボキサドールは不眠症の治療のための後期開発段階に移行した。3カ月間の有効性試験において、化合物の入眠及び睡眠維持に有意な効果が認められなかったため、開発は中止された。
【0098】
オヴィド・セラピューティクインコーポレイティッド社(Ovid Therapeutics Inc.)(米国臨床試験登録データベース(ClinicalTrials.gov)識別子:NCT02996305)が後援するアンジェルマン症候群(発達障害)の症状の治療におけるガボキサドールの有効性を調査するための臨床試験が、現在進行中である。関連する主題に関する特許出願には、米国特許第9744159号明細書、公開された米国特許出願公開第2017/348232号明細書及びWIPO国際特許出願WO2017015049号が含まれ、これらの内容は全体として参照により本明細書に組み込まれる。睡眠時無呼吸の治療のためのガボキサドールは国際公開第WO2005094820号に開示されており、その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。ガボキサドールを用いてうつ病を治療する方法は、米国特許出願公開第2009/0048288号明細書に開示されており、その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0099】
4)ヒト等価用量(HED)
げっ歯類などの実験動物に投与される薬物の用量は、体表面積(BSA)法(例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれている「産業のためのガイダンス:成人健康ボランティアにおける治療のための初期臨床試験における最大安全開始用量の推定」(2005年7月)は、FDAのウェブサイトwww.fda.gov/files/drugs/published/Estimating-the-Maximum-Safe-Starting-Dose-in-Initial-Clinical-Trials-for-Therapeutics-in-Adult-Healthy-Volunteers.pdf、からダウンロードすることができる。下記の表Iを参照)を用いてヒト等価用量(HED)に外挿することができる。
【0100】
ヒトの等価用量(HED)は次式1を用いて計算することができる。
【0101】
【0102】
したがって、成人ヒトには、ヒト1日等価用量(mg/kg)又は1日投与量(mg)を投与する。ヒト(human)は、マウスに投与された薬剤の1日用量(mg/kg)から推定することができる。
【0103】
【0104】
a)リチウム
特に明記しない限り、本明細書で使用される場合、「リチウム」という用語は、炭酸リチウムなどのリチウム塩、共結晶、ならびに同位体修飾リチウム化合物などの合成リチウム医薬品を含む任意のリチウム含有化合物を指す。
【0105】
リチウム塩
精神状態の治療に最も一般的なリチウム含有化合物は、天然に存在する炭酸リチウム(Li2CO3)である。炭酸リチウム分子は、酸素イオンに結合した中心炭素原子と、リチウムイオンに結合した2個の酸素イオンからなる。構成原子の電子価は分子構造と分子の化学的および生化学的反応の両方を決定する。Liの分子量は6.94g/molであり、Li2CO3の質量は73.89g/molであり、炭酸リチウムの用量におけるリチウムイオン(Li+)の質量は炭酸リチウム(Li2CO3)の質量の18.79%に等しい。
【0106】
特定の実施形態において、リチウムの供給源として機能することができる他の塩形態としては、例えば、安息香酸リチウム、臭化リチウム、フッ化リチウム、カコジル酸リチウム、カフェインスルホン酸リチウム、塩化リチウム、オロト酸リチウム、クエン酸リチウム、ジチオサリチル酸リチウム、ギ酸リチウム、グリセロリン酸リチウム、ヨウ素酸リチウム、乳酸リチウムおよびサリチル酸リチウムが挙げられるが、これらに限定されない。クエン酸リチウム(Li3C6H5O7)は躁病および双極性障害の治療薬としてFDAに承認されており、カプセル剤、シロップ剤および錠剤の形で経口摂取することができる。オロト酸リチウム(LiC5H3N2O4)および他のいくつかのリチウム化合物は、ビタミンとして店頭で市販されている。
【0107】
特定の実施形態において、リチウム源は、リチウムガボキサドール塩を含まない。
特定の実施形態では、リチウム塩、好ましくはリチウムの有機アニオン塩、および相補的な中性有機化合物の組成物を化学量論比で組み合わせる。共結晶は、式LiX.aMを有し、式中、Xは、例えば、サリチル酸塩または乳酸塩であり、Mは、中性有機分子であり、aは、0.5~4である。本発明の特定の変形例において、サリチル酸リチウムまたは乳酸リチウムは、有機分子に対して1:1または1:2のモル比を有する。任意選択で、有機分子は、アミノ酸、合成アミノ酸、キサンチン、ポリフェノール、または糖である。一般に、有機アニオンリチウムイオン共結晶組成物は、リチウム塩と相補的有機化合物(すなわち、共結晶前駆体)とを溶媒中で組み合わせ、結晶化を促進するために一般的に使用される方法、例えば、溶媒を蒸発または冷却して共結晶を形成することによって調製することができる。
【0108】
アミノ酸または合成アミノ酸の例は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、イソロイシン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セレノシステイン、セリン、タウリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、ニコチン酸、およびバリンである。さらなる例として、アミノ酸はL-フェニルアラニン、L-ロイシン、またはL-チロシンなどのL-アミノ酸である。代替的な実施形態において、アミノ酸は、D-フェニルアラニン、D-ロイシン、またはD-チロシンなどのD-アミノ酸である。代替的な実施形態において、共結晶前駆体は、非タンパク質生成性アミノ酸を含む。合成アミノ酸は、天然アミノ酸を骨格としてのアルキル、置換されたアルキル、シクロアルキル、複素環、置換された複素環、アリールアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキルなどの部分、およびカルボキシル、アミン、ヒドロキシル、フェノール、カルボニル、またはチオール官能基で修飾または伸長する天然に存在する側鎖官能基または合成側鎖官能基を含むことができ、例示的な合成アミノ酸には、β-アミノ酸および天然(標準)アミノ酸のホモまたはβ-類似体が含まれる。他の例示的なアミノ酸としては、ピロリジン、ベタイン、およびカルニチンが挙げられる。
【0109】
キサンチンの例には、カフェイン、パラキサンチン、テオフィリン、トレオブロミン(threobromine)がある。
ポリフェノールの例は、以下のカテゴリーに分類することができる:1)フェノール酸類、(2)フラボノイド類、(3)スチルベノイド類;(4)タンニン類、(5)ヒドロキシチロソール又はp-チロソール等のモノフェノール類、(6)カプサシン及び他のカプサイシノイド類、並びに(7)クルクミン。フェノール酸は、例えば、(a)ヒドロキシ桂皮酸、例えば、p-クマル酸、カフェ酸、及びフェルラ酸;(b)ヒドロキシベンゾイド酸、例えば、p-ヒドロキシ安息香酸、没食子酸及びエラグ酸;および(c)ロスマリン酸、を含む多様な基を形成する。
【0110】
特定の実施形態において、フラボノイドは、レスベラトロール、エピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)、ケルセチン、フェルラ酸、エラグ酸、ヘスペレン、およびプロトカテク酸であり得る。
【0111】
有機分子としての糖が糖である特定の実施形態において、糖は単糖および二糖を含むことができる。例えば、糖は、フルクトース、ガラクトース、グルコース、ラクチトール、ラクトース、マルチトール、マルトース、マンニトール、メレジトース、ミオイノシトール、パラチナイト、ラフィノース、スタキオース、スクロース、トレハロース、またはキシリトールであり得る。
【0112】
特定の実施形態において、組成物は、ビタミンB2(リボフラビン)、グルコサミンHCI、クロロゲン酸、リポ酸、カテキン水和物、クレアチン、アセチル-L-カルニチンHCI、ビタミンB6、ピリドキシン、カフェ酸、ナリンゲニン、ビタミンB1(チアミンHCI)、バイカレイン、ルテオリン、ヘスペレディン、ロスマリン酸、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、ビタミンB9(葉酸)、ゲニステイン、メチルバニリン、エチルバニリン、シリビニン、ジアゼイン、メラトニン、ルチン水和物、ビタミンA、レチノール、ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)、ビタミンE(トコフェロール)、ジオスミン、メナジオン(K3)、ビタミンD3(カホールカルシフェロール)、フロレチン、インドール-3-カルビノール、フィセチン、グリシテイン、クリシン、ガロカテキン、ビタミンB4(アデニン)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB7(ビオチン)、テオブロミン、レスベラトロール、エピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)、ケルセチン、フェルラ酸、エラグ酸、ヘスペレテンおよびプロトカテキン酸からなる群より選択される1つ以上の栄養補助食品を任意に含む。さらに例を挙げると、本実施形態において、栄養補助食品は、ビタミンB2(リボフラビン)、グルコサミンHCI、クロロゲン酸、リポ酸、カテキン水和物、クレアチン、アセチル-L-カルニチンHCI、ビタミンB6、ピリドキシン、カフェ酸、ナリンゲニン、ビタミンB1(チアミンHCI)、バイカレイン、ルテオリン、ヘスペレディン、ロスマリン酸、エピカテキンガレート、エピガロカテキン、ビタミンB9(葉酸)、ゲニステイン、メチルバニリン、エチルバニリン、シリビニン、ジアゼイン、メラトニン、ルチン水和物、ビタミンA、レチノール、ビタミンD2(エルゴカルシフェロール)、ビタミンE(トコフェロール)、ジオスミン、メナジオン(K3)、ビタミンD3(カホールカルシフェロール)、フロレチン、インドール-3-カルビノール、フィセチン、グリシテイン、クリシン、ガロカテキン、ビタミンB4(アデニン)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB7(ビオチン)、テオブロミン、ケルセチン、フェルラ酸、エラグ酸、ヘスペレテンおよびプロトカテキン酸、からなる群より選択され得る。
【0113】
特定の実施形態において、リチウム塩および相補的な中性有機化合物は、水系において組み合わされる。特定の実施形態において、リチウム塩および相補的な中性有機化合物は、アセトン、アセトニトリル、DMSOおよびアルコールなどの極性有機溶媒に溶解され得る。
【0114】
特定の実施形態において、有機アニオンリチウムイオン共結晶組成物は、リチウム含有化合物、有機酸、および相補的な中性有機化合物を、水などの溶媒中で組み合わせ、溶媒を蒸発または冷却するなど、結晶化を促進するために一般的に使用される方法を使用することによって調製することができる。
【0115】
リチウム塩および/または共結晶化合物を製造および投与する組成物および方法は当技術分野で知られており、例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第9744189号明細書に記載されている。
【0116】
同位体修飾(Isotope-Modified)リチウム化合物
多くの原子にはいくつかの安定同位体があり、原子核内の中性子の数によって区別されている。リチウムには2つの安定同位体があり、4中性子のリチウム7と3中性子のリチウム6である。自然界では、リチウム原子の92.5%がリチウム7であり、リチウム6が残りの7.5%を占める。概して生物学は異なる原子同位体に対して鈍感である。しかしながら、1986年から実施された試験では、リチウムを投与された雌親ラットは、プラセボを投与された対照ラットと比較して覚醒状態が「低」であったのに対し、リチウム6を投与された雌ラットは、対照ラットと比較して覚醒状態が「非常に高」であったと報告されている。したがって、リチウム6を主成分(総リチウムの95%を超える)とする合成リチウム6精製化合物は、全てが天然のリチウム同位体濃度(リチウム7が92.5%、およびリチウム6が7.3%のみである)を有する現在のリチウム医薬品では十分に治療できない疾患である、慢性うつ病や大うつ病など覚醒レベルが低下した精神状態の治療に有効である可能性がある。リチウム6を精製するには合成手段が必要である。なぜなら、天然に存在するすべてのリチウム(例えば乾燥した湖底から採掘されたもの)は、天然に存在するリチウム同位体を豊富に含んでいるからである。
【0117】
炭酸リチウムのような天然に存在するリチウム化合物において、リチウム7およびリチウム6原子の濃度は、天然の比率-92.5%のリチウム7および7.5%のリチウム6に一致する。ただし、この濃度比は、合成手段によって変更することができ、合成同位体修飾リチウム化合物は、既存の薬物に耐性のものを含む、または本明細書に開示されるようなガボキサドールと組み合わせて、種々の精神障害および状態を治療するために使用することができる。
【0118】
Li-6-精製化合物:
精製されたLi-6化合物は、化合物中の全リチウム(すなわちリチウム6とリチウム7)の少なくとも95%の量で存在するリチウム-6を有する任意のリチウム含有化合物であり得る。95%閾値は、(合成されていない)リチウム医薬品中に存在するリチウム6の7.5%天然存在量よりもはるかに高く、100%リチウム6を含むリチウム化合物の理想的な限界に近い。
【0119】
Li-7-精製化合物:
Li-7精製化合物は、化合物中のリチウム7の割合が総リチウム含有量の少なくとも99%である任意のリチウム含有化合物であり得る。このリチウム7の濃度は、天然のリチウム7存在量の92.5%よりも有意に高い。Li-7精製化合物はリチウム6濃度が非常に低く(1%未満)、天然のリチウム6存在量の7.5%よりもはるかに低い。
【0120】
Li-6富化(Enriched)化合物:
Li-6富化化合物は、化合物中に存在するリチウム6の割合が全リチウム含有量の10%より大きく95%未満である任意のリチウム含有化合物であり得る。10%リチウム6は、天然リチウム6の存在量7.5%よりも有意に多い。Li-6富化化合物中のリチウム6の濃度は、原理的に任意に変更することができるが、実際的には、10%の増分で濃度を制御することが可能であり得る。特定の実施形態において、Li-6富化化合物のクラスは、約10%~25%、約25%~35%、約35%~45%、約45%~55%、約55%~65%、約65%~75%、約75%~85%および約85%~95%のリチウム6の濃度を含むことができる。特定の実施形態において、Li-6富化化合物中のリチウム6の平均濃度は、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%および約90%であり得る。
【0121】
Li-7富化化合物:
Li-7富化化合物は、全リチウム含有量の約95%を超えるが約99%未満であるリチウム7の割合を有する任意のリチウム含有化合物であり得る。95%リチウム7は、天然リチウム7の存在量92.5%よりも有意に大きい。
【0122】
同位体修飾リチウム化合物を製造および投与する方法は当技術分野で公知であり、例えば米国特許第9044418号明細書に記載されており、その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0123】
リチウムのヒト等価用量(HED)
特定の実施形態において、成人ヒトに毎日投与される炭酸リチウムの量(mg/kg)は、BSAに基づく用量変換のための前記式を使用して、例えば表IIを参照することにより、実験動物、例えば、マウスに投与される炭酸リチウムの用量から外挿することができる。特定の実施形態において、炭酸リチウムの投与量は、60の成人ヒトに毎日投与されるmgでの炭酸リチウムの量を指す。
【0124】
【0125】
b)ガボキサドール
特に明記しない限り、本明細書で使用される場合、「ガボキサドール」(例えば、エスカリス(Eskalith(登録商標))、リトビッド(Lithobid(登録商標)))という用語は、ガボキサドール塩、ならびに例えば、重水素化および/またはフッ素化医薬品を含む任意のガボキサドール含有化合物を指す。
【0126】
ガボキサドール、またはTHIP(4,5,6,7-テトラヒドロイソオキサゾロ(5,4-c)ピリジン-3-オール)は、δ-サブユニット含有GABAA受容体を優先する、選択的GABAA受容体作動薬である。ガボキサドールは、欧州特許第0000338号明細書、欧州特許第0840601号明細書、欧州特許第1641456号明細書、米国特許第4278676号明細書、米国特許第4362731号明細書、米国特許第4353910号明細書、および公開された国際特許出願WO2005/094820号に記載されており、これらの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0127】
ガボキサドール塩
ガボキサドールまたはその薬学的に許容される塩は、酸付加塩、双性イオン水和物、双性イオン無水物、塩酸塩または臭化水素酸塩として、または双性イオン一水和物の形態で提供され得る。酸付加塩には、限定されるものではないが、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、シュウ酸、ビス-メチレンサリチル酸、メタンスルホン酸、エタン-ジスルホン酸、酢酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデリック酸、桂皮酸、シトラコン酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、イタコン酸、グリコール酸、p-アミノ安息香酸、グルタミン酸、ベンゼンスルホン酸またはテオフィリン酢酸付加塩、ならびに8-ハロテオフィリン、例えば8-ブロモ-テオフィリンが含まれる。他の適切な実施形態において、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸または硝酸付加塩を含むがこれらに限定されない無機酸付加塩を使用することができる。特定の実施形態において、ガボキサドールは、ガボキサドール一水和物として提供される。
【0128】
特定の実施形態において、ガボキサドールの塩基塩形態が調製され、ここで、塩基は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、マグネシウム、マンガン塩、マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛の塩基、および第一級、第二級および第三級のアミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、および塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N-ジベンジル(エチレン)ジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチル-モルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミン、から選択される無機塩基または有機塩基である。
【0129】
特定の実施形態において、ガボキサドール源はリチウムガボキサドール塩を含まない。
重水素化またはフッ素化ガボキサドール
特定の実施形態において、ガボキサドールは、重水素化またはフッ素化された形態で提供される。当業者は、医薬組成物中の有効成分の量が、提供されるガボキサドールの形態に依存することを容易に理解するであろう。
【0130】
薬物動態学(PK)、薬力学(PD)および毒性プロファイルを改善するための医薬品の重水素化および/またはフッ素化は、これまでにいくつかのクラスの薬物で示されている。したがって、重水素またはフッ素で富化された(enriched)ガボキサドールの使用が企図されており、本明細書に記載の方法および組成物の範囲内である。重水素またはフッ素は、当技術分野で知られている合成手順に従って、水素の代わりに任意の位置に合成的に組み込むことができる。例えば、重水素またはフッ素は、プロトン-重水素平衡交換を介して、アミンN--Hなどの交換可能なプロトンを有する様々な位置に組み込まれ得る。したがって、重水素またはフッ素は、重水素に富むガボキサドールを提供するために、当技術分野で知られている方法を介して選択的または非選択的に組み込まれ得る。たとえば、Journal of Labeled Compounds and Radiopharmaceuticals、19(5)巻、689-702頁(1982年)を参照されたい。
【0131】
重水素またはフッ素が富化されたガボキサドールは、水素の代わりに分子内の特定の位置に重水素またはフッ素が取り込まれた割合で表すことができる。例えば、所与の位置での1%の重水素の富化(enrichment)は、所与の試料中の分子の1%が、その特定の位置に重水素を含有することを意味する。重水素の富化は、質量分析や核磁気共鳴分光法などの従来の分析方法を使用して決定できる。実施形態において、重水素が富化されたガボキサドールは、指定された位置が、天然に存在する分布を超える重水素(すなわち、約0.156%超)で富化されることを意味する。実施形態において、重水素の富化は、少なくとも指定された位置にある重水素の、約1%以上、約5%以上、約10%以上、約20%以上、約50%以上、約70%以上、約80%以上、約90%以上、または約98%以上である。
【0132】
ガボキサドールのヒト等価用量
特定の実施形態において、成人ヒトに毎日投与されるガボキサドールの量(mg/kg)を、実験動物、例えば、マウスに投与されるガボキサドールの用量から、BSAに基づく用量変換のための前記式を使用して、例えば、表IIIを参照することにより外挿することができる。
【0133】
特定の実施形態において、ガボキサドールの投与量は、成人ヒトに毎日投与されるmgでのガボキサドールの量を指す。特定の実施形態において、ガボキサドールは、結晶性塩酸塩、結晶性臭化水素酸塩、または結晶性双性イオン一水和物などの結晶性である。特定の実施形態において、ガボキサドールは、ガボキサドール一水和物として提供される。特定の実施形態において、5.0、10.0、15.0、33.0、50.0または150.0mgのガボキサドールは、それぞれ5.6、11.3、16.9、37、56または169mgのガボキサドール一水和物に対応する。
【0134】
【0135】
5)ガボキサドールおよびリチウムの相乗的組み合わせ
「ファーマコンパッピング」と呼ばれる独自の大部分が自動化された薬物スクリーニングプラットフォームは、c-fosなどの最初期遺伝子(IEG)の薬物誘発性発現によって表される薬物誘発性ニューロン活性化の全脳検出を含む。ファーマコマッピングは、ニューヨーク州ファーミングデールのCRO Certerra社によりサービス料として市販されている。
【0136】
抗精神病薬、抗うつ薬、覚醒剤、抗不安薬を含むさまざまな向精神薬に対するマウスまたはラットの脳のファーマコマッピング(エングバー(Engber)ら(1998年)、サルミネン(Salminen)ら(1996年)、センバ(SEMBA)ら(1996年)、スラッタリー(Slattery)ら(2005年)、サムナー(Sumner)ら(2004年))は、げっ歯類の脳におけるc-fos活性化の画像化が向精神薬のスクリーニングの有効な方法であることを確認した(サムナー(Sumner)ら(2004年))。
【0137】
この実験的アプローチを用いて、低用量のガボキサドールが、実施例2および3に見られる標準的な治療的に有効なリチウム単独療法で見られるように、脳の同じ領域でc-fos発現を活性化するために、リチウムの標準以下の用量と相乗的に作用することを、実施例4および実施例5Aに示す。重要なことに、低用量のガボキサドールのみまたは標準以下の用量のリチウムのみを投与されたマウスの脳は、検出可能なc-fosシグナル伝達活性を誘発しなかった。結果として、単剤療法で通常使用されるよりも低用量のガボキサドールおよびリチウム、またはそれらのいずれかもしくは両方の化合物の薬学的に許容される塩を使用する併用療法が効果的であり、単剤療法で使用される大量のリチウムに関連する副作用減らすか、完全に防ぐことができる。
【0138】
さらに、リチウムの標準用量はまた、ガボキサドールと相乗的および/または相加的に作用し(実施例5B)、ガボキサドールが、特に従来の単剤療法に反応しないまたは再発する患者において、従来のリチウム単剤療法を増強できる可能性があることを示唆する。
【0139】
a)標準以下の用量のリチウム
本明細書中で用いるように、リチウムの「標準以下の」用量は、マウスのような動物に適用された場合、検出可能ないかなるものも誘導せず、または脳c-fosシグナル伝達の低活性化のみを誘導する炭酸リチウムのヒト等価用量として定義される。
【0140】
特定の実施形態において、リチウムの「標準以下」用量は、それ自体で、すなわち、リチウム単剤療法として、うつ病、治療抵抗性うつ病、急性自殺傾向または双極性障害を治療することができない炭酸リチウムの1日量として定義される。
【0141】
特定の実施形態において、ヒトにおけるリチウムの「標準以下」用量は、成人ヒトの場合、約10mg炭酸リチウム/kg未満の1日量であり、これは、約600mg炭酸リチウム/日未満の用量に対応する。
【0142】
特定の実施形態において、成人のヒト患者に対するリチウムの「標準以下」の1日量は、約50~600mgの炭酸リチウム、約55~600mgの炭酸リチウム、約60~600mgの炭酸リチウム、65~600mgの炭酸リチウム、約70~600mgの炭酸リチウム、約75~600mgの炭酸リチウム、約80~600mgの炭酸リチウム、約85~600mgの炭酸リチウム、約90~600mgの炭酸リチウム、または約95~600mgの炭酸リチウム、約100~600mgの炭酸リチウム、約105~600mgの炭酸リチウム、約110~600mgの炭酸リチウム、約115~100mgの炭酸リチウム、約120~100mgの炭酸リチウム、約125~600mgの炭酸リチウム、約130~600mgの炭酸リチウム、約135~600mgの炭酸リチウム、約140~600mgの炭酸リチウム、約145~600mgの炭酸リチウム、約150~600mgの炭酸リチウム、約155~600mgの炭酸リチウム、約160~600mgの炭酸リチウム、約165~600mgの炭酸リチウム、約170~600mgの炭酸リチウム、約175~600mgの炭酸リチウム、約180~600mgの炭酸リチウム、約185~600mgの炭酸リチウム、約190~600mgの炭酸リチウム、約195~600mgの炭酸リチウム、約200~600mgの炭酸リチウム、約215~600mgの炭酸リチウム、約210~600mgの炭酸リチウム、約215~100mgの炭酸リチウム、約220~100mgの炭酸リチウム、約225~600mgの炭酸リチウム、約230~600mgの炭酸リチウム、約235~600mgの炭酸リチウム、約240~600mgの炭酸リチウム、約245~600mgの炭酸リチウム、約250~600mgの炭酸リチウム、約255~600mgの炭酸リチウム、約260~600mgの炭酸リチウム、約265~600mgの炭酸リチウム、約270~600mgの炭酸リチウム、約275~600mgの炭酸リチウム、約280~600mgの炭酸リチウム、約285~600mgの炭酸リチウム、約290~600mgの炭酸リチウム、約295~600mgの炭酸リチウム、約300~600mgの炭酸リチウム、約315~600mgの炭酸リチウム、約310~600mgの炭酸リチウム、約315~600mgの炭酸リチウム、約320~600mgの炭酸リチウム、約325~600mgの炭酸リチウム、約330~600mgの炭酸リチウム、約335~600mgの炭酸リチウム、約340~600mgの炭酸リチウム、約345~600mgの炭酸リチウム、約350~600mgの炭酸リチウム、約355~600mgの炭酸リチウム、約360~600mgの炭酸リチウム、約365~600mgの炭酸リチウム、約370~600mgの炭酸リチウム、約375~600mgの炭酸リチウム、約380~600mgの炭酸リチウム、約385~600mgの炭酸リチウム、約390~600mgの炭酸リチウム、または約395~600mgの炭酸リチウム(その間のすべての値と範囲を含む)の1日量を指す。
【0143】
特定の実施形態において、成人のヒト患者に対するリチウムの「標準以下」の1日量は、約50~600mgの炭酸リチウム、50~595mgの炭酸リチウム、50~590mgの炭酸リチウム、50~585mgの炭酸リチウム、50~580mgの炭酸リチウム、50~575mgの炭酸リチウム、50~570mgの炭酸リチウム、50~565mgの炭酸リチウム、50~560mgの炭酸リチウム、50~555mgの炭酸リチウム、50~550mgの炭酸リチウム、50~545mgの炭酸リチウム、50~540mgの炭酸リチウム、50~535mgの炭酸リチウム、50~530mgの炭酸リチウム、50~525mgの炭酸リチウム、50~520mgの炭酸リチウム、50~515mgの炭酸リチウム、50~510mgの炭酸リチウム、50~505mgの炭酸リチウム、50~500mgの炭酸リチウム、50~495mgの炭酸リチウム、50~490mgの炭酸リチウム、50~485mgの炭酸リチウム、50~480mgの炭酸リチウム、50~475mgの炭酸リチウム、50~470mgの炭酸リチウム、50~465mgの炭酸リチウム、50~460mgの炭酸リチウム、50~455mgの炭酸リチウム、50~450mgの炭酸リチウム、50~445mgの炭酸リチウム、50~440mgの炭酸リチウム、50~435mgの炭酸リチウム、50~430mgの炭酸リチウム、50~425mgの炭酸リチウム、50~420mgの炭酸リチウム、50~415mgの炭酸リチウム、50~410mgの炭酸リチウム、50~405mgの炭酸リチウム、50~400mgの炭酸リチウム、約50~395mgの炭酸リチウム、約50~390mgの炭酸リチウム、約50~385mgの炭酸リチウム、約50~380mgの炭酸リチウム、約50~375mgの炭酸リチウム、約50~370mgの炭酸リチウム、約50~365mgの炭酸リチウム、約50~360mgの炭酸リチウム、約50~355mgの炭酸リチウム、約50~350mgの炭酸リチウム、約50~345mgの炭酸リチウム、約50~340mgの炭酸リチウム、約50~335mgの炭酸リチウム、約50~330mgの炭酸リチウム、約50~325mgの炭酸リチウム、約50~320mgの炭酸リチウム、約50~315mgの炭酸リチウム、約50~3500mgの炭酸リチウム、約50~305mgの炭酸リチウム、約50~300mgの炭酸リチウム、約50~300mgの炭酸リチウム、約50~295mgの炭酸リチウム、約50~290mgの炭酸リチウム、約50~285mgの炭酸リチウム、約50~280mgの炭酸リチウム、約50~275mgの炭酸リチウム、約50~270mgの炭酸リチウム、約50~265mgの炭酸リチウム、約50~260mgの炭酸リチウム、約50~255mgの炭酸リチウム、約50~250mgの炭酸リチウム、約50~245mgの炭酸リチウム、約50~240mgの炭酸リチウム、約50~235mgの炭酸リチウム、約50~230mgの炭酸リチウム、約50~225mgの炭酸リチウム、約50~220mgの炭酸リチウム、約50~215mgの炭酸リチウム、約50~210mgの炭酸リチウム、約50~205mgの炭酸リチウム、約50~200mgの炭酸リチウム、約50~195mgの炭酸リチウム、約50~190mgの炭酸リチウム、約50~185mgの炭酸リチウム、約50~180mgの炭酸リチウム、約50~175mgの炭酸リチウム、約50~170mgの炭酸リチウム、約50~165mgの炭酸リチウム、約50~160mgの炭酸リチウム、約50~155mgの炭酸リチウム、約50~150mgの炭酸リチウム、約50~145mgの炭酸リチウム、約50~140mgの炭酸リチウム、約50~135mgの炭酸リチウム、約50~130mgの炭酸リチウム、約50~125mgの炭酸リチウム、約50~120mgの炭酸リチウム、約50~115mgの炭酸リチウム、約50~110mgの炭酸リチウム、約50~105mgの炭酸リチウム、約50~100mgの炭酸リチウム、約50~95mgの炭酸リチウム、約50~90mgの炭酸リチウム、約50~85mgの炭酸リチウム、約50~80mgの炭酸リチウム、約50~75mgの炭酸リチウム、約50~70mgの炭酸リチウム、約50~65mgの炭酸リチウム、約50~60mgの炭酸リチウム、約50~55mgの炭酸リチウム(その間のすべての値と範囲を含む)の1日量を指す。
【0144】
b)リチウムの標準用量
本明細書で使用される場合、リチウムの「標準」用量は、それ自体で、すなわち単回用量として、マウスなどの動物モデルにおいて脳のc-fosシグナル伝達を誘発するリチウムの1日量として定義される。
【0145】
特定の実施形態において、リチウムの「標準」用量は、それ自体で、すなわち、リチウム単剤療法として、うつ病、治療抵抗性うつ病、急性自殺傾向または双極性障害を治療することができるリチウムの1日量として定義される。
【0146】
特定の実施形態において、ヒトにおけるリチウムの「標準」用量は、約10mg/kg超の炭酸リチウムの1日量であり、これは、成人ヒトについての約600mg炭酸リチウム/日超の用量に対応する。
【0147】
特定の実施形態において、マウスにおけるリチウムの「標準」用量は、約120mg/kg~480mg/kgの炭酸リチウムの範囲の1日量である。ヒト等価用量は、約10mg/kgおよび40mg/kgに対応し、これは、成人ヒトの場合、約600mg~約2400mgの炭酸リチウム/日の用量である。
【0148】
特定の実施形態において、成人のヒト患者に対するリチウムの「標準的な」1日量は、約600~2400mgの炭酸リチウムの1日量を指す。
特定の実施形態において、成人のヒト患者に対するリチウムの「標準的な」1日量は、約600~2400mgの炭酸リチウムの1日量を指す。
【0149】
特定の実施形態において、成人のヒト患者に対するリチウムの「標準的な」1日量は、約600~2350mgの炭酸リチウム、約600~2300mgの炭酸リチウム、約600~2250mgの炭酸リチウム、約600~2200mgの炭酸リチウム、約600~2150mgの炭酸リチウム、約600~2100mgの炭酸リチウム、約600~2050mgの炭酸リチウム、約600~2000mgの炭酸リチウム、約600~1950mgの炭酸リチウム、約600~1900mgの炭酸リチウム、約600~1850mgの炭酸リチウム、約600~1800mgの炭酸リチウム、約600~1750mgの炭酸リチウム、約600~1700mgの炭酸リチウム、約600~1650mgの炭酸リチウム、約600~1600mgの炭酸リチウム、約600~1550mgの炭酸リチウム、約600~1500mgの炭酸リチウム、約600~1450mgの炭酸リチウム、約600~1400mgの炭酸リチウム、約600~1350mgの炭酸リチウム、約600~1300mgの炭酸リチウム、約600~1250mgの炭酸リチウム、約600~1200mgの炭酸リチウム、約600~1150mgの炭酸リチウム、約600~1100mgの炭酸リチウム、約600~1050mgの炭酸リチウム、約600~1000mgの炭酸リチウム、約600~950mgの炭酸リチウム、約600~900mgの炭酸リチウム、約600~850mgの炭酸リチウム、約600~800mgの炭酸リチウム、約600~750mgの炭酸リチウム、約600~700mgの炭酸リチウム、または約600~650mgの炭酸リチウム(その間のすべての値と範囲を含む)の1日量を指す。
【0150】
特定の実施形態において、成人のヒト患者に対するリチウムの「標準的な」1日量は、約600~2400mgの炭酸リチウム、約650~2400mgの炭酸リチウム、約700~2400mgの炭酸リチウム、約750~2400mgの炭酸リチウム、約800~2400mgの炭酸リチウム、約850~2400mgの炭酸リチウム、約900~2400mgの炭酸リチウム、約950~2400mgの炭酸リチウム、約1000~2400mgの炭酸リチウム、約1050~2400mgの炭酸リチウム、約1050~2400mgの炭酸リチウム、約1100~2400mgの炭酸リチウム、約1150~2400mgの炭酸リチウム、約1200~2400mgの炭酸リチウム、約1250~2400mgの炭酸リチウム、約1300~2400mgの炭酸リチウム、約1350~2400mgの炭酸リチウム、約1400~2400mgの炭酸リチウム、約1450~2400mgの炭酸リチウム、約1500~2400mgの炭酸リチウム、約1550~2400mgの炭酸リチウム、約1600~2400mgの炭酸リチウム、約1650~2400mgの炭酸リチウム、約1700~2400mgの炭酸リチウム、約1750~2400mgの炭酸リチウム、約1800~2400mgの炭酸リチウム、約1850~2400mgの炭酸リチウム、約1900~2400mgの炭酸リチウム、約1950~2400mgの炭酸リチウム、約2000~2400mgの炭酸リチウム、約2050~2400mgの炭酸リチウム、約2100~2400mgの炭酸リチウム、約2150~2400mgの炭酸リチウム、約2200~2400mgの炭酸リチウム、約2250~2400mgの炭酸リチウム、約2300~2400mgの炭酸リチウム、または約2350~2400mg(その間のすべての値と範囲を含む)の1日量を指す。
【0151】
c)低用量から中用量のガボキサドール
本明細書で使用される場合、ガボキサドールの1日の「低」用量は、それ自体では動物モデル試験において検出可能な脳のc-fosシグナル伝達の活性化を誘発しないガボキサドールの用量として定義される一方で、中用量のガボキサドールは、それ自体で、動物モデル試験において検出可能な脳のc-fosシグナル伝達のわずかな活性化のみを誘発するガボキサドールの用量として定義される。
【0152】
特定の実施形態において、ガボキサドールの「低用量」の用量は、マウスにおいて、1~3mg/kgの単回用量として定義され、成人ヒトについての約5~15mgのヒト等価用量に対応する。
【0153】
特定の実施形態において、ガボキサドールの「中用量」の用量は、マウスにおいて、3~6mg/kgの単回用量として定義され、成人ヒトについての約15~30mgのヒト等価用量に対応する。
【0154】
特定の実施形態において、マウスにおける「低用量」から「中用量」のガボキサドールは、約1~約6mg/kgの範囲の1日用量である。ヒト等価用量は、約0.081~約0.49mg/kgに相当し、これは、成人ヒトの場合、約5~約30mgガボキサドール/日の範囲の用量に対応する。
【0155】
特定の実施形態において、成人ヒト患者に対する「低」用量のガボキサドールは、約5~約15mgのガボキサドール、約5~約18mgのガボキサドール、約5~約17mgのガボキサドール、約5~約16mgのガボキサドール、約5~約15mgのガボキサドール、約5~約14mgのガボキサドール、約5~約13mgのガボキサドール、約5~約12mgのガボキサドール、約5~約11mgのガボキサドール、約5~約10mgのガボキサドール、約5~約9mgのガボキサドール、約5~約8mgのガボキサドール、約5~約7mgのガボキサドール、約5~約6mgのガボキサドール(その間のすべての値および範囲を含む)の1日量を指す。
【0156】
特定の実施形態において、成人ヒト患者に対する「低」用量のガボキサドールは、約5~約15mgのガボキサドール、約6~約15mgのガボキサドール、約7~約15mgのガボキサドール、約8~約15mgのガボキサドール、約9~約15mgのガボキサドール、約10~約15mgのガボキサドール、約11~約15mgのガボキサドール、約12~約15mgのガボキサドール、約13~約15mgのガボキサドール、約14~約15mgのガボキサドール(その間のすべての値および範囲を含む)の1日量を指す。
【0157】
特定の実施形態において、マウスにおける「中用量」の用量のガボキサドールは、約3~約6mg/kgの範囲の1日量である。ヒト等価用量は、約0.24~約0.48mg/kgに相当し、これは、成人ヒトの場合、約15~約30mgガボキサドール/日の範囲の用量に対応する。
【0158】
特定の実施形態において、成人ヒト患者に対する「中」用量のガボキサドールは、約15~約30mgのガボキサドール、約16~約30mgのガボキサドール、約17~約30mgのガボキサドール、約18~約30mgのガボキサドール、約19~約30mgのガボキサドール、約20~約30mgのガボキサドール、約21~約30mgのガボキサドール、約22~約30mgのガボキサドール、約23~約30mgのガボキサドール、約24~約30mgのガボキサドール、約25~約30mgのガボキサドール、約26~約30mgのガボキサドール、約27~約30mgのガボキサドール、約28~約30mgのガボキサドール、または約29~約30mgのガボキサドール(その間のすべての値および範囲を含む)の1日量を指す。
【0159】
特定の実施形態において、成人ヒト患者に対する「中」用量のガボキサドールは、約15~約30mgのガボキサドール、約15~約20mgのガボキサドール、約15~約28mgのガボキサドール、約15~約27mgのガボキサドール、約15~約26mgのガボキサドール、約15~約25mgのガボキサドール、約15~約24mgのガボキサドール、約15~約23mgのガボキサドール、約15~約22mgのガボキサドール、約15~約21mgのガボキサドール、約15~約20mgのガボキサドール、約15~約19mgのガボキサドール、約15~約18mgのガボキサドール、約15~約17mgのガボキサドール、または約15~約16mgのガボキサドール(その間のすべての値および範囲を含む)の1日量を指す。
【0160】
d)高用量のガボキサドール
本明細書で使用される場合、ガボキサドールの「高用量」の1日量は、それ自体で、動物モデル試験において脳におけるc-fosシグナル伝達を強力に誘発するガボキサドールの用量として定義される。
【0161】
本明細書で使用される場合、ガボキサドールの「高」用量は、6~30mg/kgのガボキサドールのマウスにおける1日量である。ヒト等価用量は、約0.48~約2.4mg/kgに相当し、これは、成人ヒトの場合、約30~約150mgガボキサドール/日の範囲の用量に対応する。
【0162】
特定の実施形態において、成人ヒトに対する「高」用量のガボキサドールは、30~150mgのガボキサドール、約35~150mgのガボキサドール、約40~150mgのガボキサドール、約45~150mgのガボキサドール、約50~150mgガボキサドール、約55~150mgガボキサドール、約60~150mgガボキサドール、約65~150mgガボキサドール、約70~150mgガボキサドール、約75~150mgガボキサドール、約80~150mgガボキサドール、約85~150mgガボキサドール、約90~150mgガボキサドール、約95~150mgガボキサドール、約100~150mgガボキサドール、約105~150mgガボキサドール、約110~150mgガボキサドール、約115~150mgガボキサドール、約120~150mgガボキサドール、約125~150mgガボキサドール、約130~150mgガボキサドール、約135~150mgガボキサドール、約140~150mgガボキサドール、約145~150mgガボキサドール(その間のすべての値と範囲を含む)の1日量を指す。
【0163】
特定の実施形態において、成人ヒトに対する「高」用量のガボキサドールは、約30~300mgのガボキサドール、約30~245mgのガボキサドール、約30~240mgのガボキサドール、約30~235mgのガボキサドール、約30~230mgのガボキサドール、約30~230mgのガボキサドール、約30~220mgのガボキサドール、約30~215mgのガボキサドール、約30~210mgのガボキサドール、約30~205mgのガボキサドール、約30~200mgのガボキサドール、約30~195mgのガボキサドール、約30~190mgのガボキサドール、約30~185mgのガボキサドール、約30~180mgのガボキサドール、約30~175mgのガボキサドール、約30~170mgのガボキサドール、約30~165mgのガボキサドール、約30~160mgのガボキサドール、約30~155mgのガボキサドール、約30~150mgのガボキサドール、約30~145mgのガボキサドール、約30~140mgのガボキサドール、約30~135mgのガボキサドール、約30~130mgのガボキサドール、約30~130mgのガボキサドール、約30~120mgのガボキサドール、約30~115mgのガボキサドール、約30~110mgのガボキサドール、約30~105mgのガボキサドール、約30~100mgのガボキサドール、約30~95mgのガボキサドール、約30~90mgのガボキサドール、約30~85mgのガボキサドール、約30~80mgのガボキサドール、約30~75mgのガボキサドール、約30~70mgのガボキサドール、約30~65mgのガボキサドール、約30~60mgのガボキサドール、約30~55mgのガボキサドール、約30~50mgのガボキサドール、約30~45mgのガボキサドール、約30~40mgのガボキサドールまたは約30~35mgのガボキサドール(その間のすべての値と範囲を含む)の1日量を指す。
【0164】
e)ガボキサドールおよびリチウムの相乗的な組み合わせ
多くの実施形態において、リチウムおよびガボキサドールの有効量は相乗的な量である。本明細書中で使用されるように、リチウムおよびガボキサドールの「相乗的組合せ」または「相乗的な量」は、(i)単剤療法と同じ用量で投与された場合のリチウムの治療上または予防上の有益性、および(ii)単剤療法と同じ用量で投与された場合のガボキサドールの治療上または予防上の有益性、の単なる相加的組合せから予測または期待され得る、治療結果の増分的改善(incremental improvement)よりも、精神障害の治療上または予防上でより効果的である組合せ用量である。
【0165】
特定の実施形態において、それを必要とする対象へのリチウムおよびガボキサドールの「相乗的組み合わせ」の投与は、1)運動(MO)、味覚(GU)、連合野内臓(VISC)、無顆粒島(AI)、体性感覚(SS)、聴覚、視覚(VIS)、聴覚(AUD)、前辺縁(PL)および下辺縁(ILA)、脳梁膨大後部(RSP)、頭頂(PTL)、側頭連合(TEa)、内嗅(ECT)、内嗅(ENT)、鼻周囲(PERI)、梨状(PIR)、および前帯状(ACA)皮質、前障(CLA)を含む広い皮質活性化、ならびに2)海馬CA1領域、分界条床核(BST)、中央扁桃体(CEA)、皮質扁桃体(COA)、扁桃体の基底外側部および内側基底核(BLAおよびBMA)、内側扁桃体(MEA)、視床腹側後内側核(VPM)、結合腕傍下核(SPF)、視床の内側膝状核(MG)、膝状体上核(SGN)、結合核(RE)、菱形核(RH)、視床中央内側核(CM)、傍室視床下部核(PVH)、視床下部背内側核(DMH)、結節乳頭体核(TM)、視床下部傍核(PSTN)および視床下核(STN)、傍小脳脚核、青斑核(LC)および孤束核(NTS)を含む皮質下活性化、からなる群より選択される動物モデルの脳の少なくとも1つの領域におけるc-fosシグナル伝達を活性化する。
【0166】
特定の実施形態において、それを必要とする対象へのリチウムおよびガボキサドールの「相乗的組み合わせ」の投与は、1)運動(MO)、味覚(GU)、連合野内臓(VISC)、無顆粒島(AI)、体性感覚(SS)、聴覚、視覚(VIS)、聴覚(AUD)、前辺縁(PL)および下辺縁(ILA)、脳梁膨大後部(RSP)、頭頂(PTL)、側頭連合(TEa)、内嗅(ECT)、内嗅(ENT)、鼻周囲(PERI)、梨状(PIR)、および前帯状(ACA)皮質、前障(CLA)を含む広い皮質活性化、ならびに2)海馬CA1領域、分界条床核(BST)、中央扁桃体(CEA)、皮質扁桃体(COA)、扁桃体の基底外側部および内側基底核(BLAおよびBMA)、内側扁桃体(MEA)、視床腹側後内側核(VPM)、結合腕傍下核(SPF)、視床の内側膝状核(MG)、膝状体上核(SGN)、結合核(RE)、菱形核(RH)、視床中央内側核(CM)、傍室視床下部核(PVH)、視床下部背内側核(DMH)、結節乳頭体核(TM)、視床下部傍核(PSTN)および視床下核(STN)、傍小脳脚核、青斑核(LC)および孤束核(NTS)を含む皮質下活性化、からなる群より選択される動物モデルの脳の少なくとも2つの領域におけるc-fosシグナル伝達を活性化する。
【0167】
特定の実施形態において、それを必要とする対象へのリチウムおよびガボキサドールの「相乗的組み合わせ」の投与は、1)運動(MO)、味覚(GU)、連合野内臓(VISC)、無顆粒島(AI)、体性感覚(SS)、聴覚、視覚(VIS)、聴覚(AUD)、前辺縁(PL)および下辺縁(ILA)、脳梁膨大後部(RSP)、頭頂(PTL)、側頭連合(TEa)、内嗅(ECT)、内嗅(ENT)、鼻周囲(PERI)、梨状(PIR)、および前帯状(ACA)皮質、前障(CLA)を含む広い皮質活性化、ならびに2)海馬CA1領域、分界条床核(BST)、中央扁桃体(CEA)、皮質扁桃体(COA)、扁桃体の基底外側部および内側基底核(BLAおよびBMA)、内側扁桃体(MEA)、視床腹側後内側核(VPM)、結合腕傍下核(SPF)、視床の内側膝状核(MG)、膝状体上核(SGN)、結合核(RE)、菱形核(RH)、視床中央内側核(CM)、傍室視床下部核(PVH)、視床下部背内側核(DMH)、結節乳頭体核(TM)、視床下部傍核(PSTN)および視床下核(STN)、傍小脳脚核、青斑核(LC)および孤束核(NTS)を含む皮質下活性化、からなる群より選択される動物モデルの脳の少なくとも3つの領域におけるc-fosシグナル伝達を活性化する。
【0168】
特定の実施形態において、それを必要とする対象へのリチウムおよびガボキサドールの「相乗的組み合わせ」の投与は、動物モデル脳の、1)運動(MO)、味覚(GU)、連合野内臓(VISC)、無顆粒島(AI)、体性感覚(SS)、聴覚、視覚(VIS)、聴覚(AUD)、前辺縁(PL)および下辺縁(ILA)、脳梁膨大後部(RSP)、頭頂(PTL)、側頭連合(TEa)、内嗅(ECT)、内嗅(ENT)、鼻周囲(PERI)、梨状(PIR)、および前帯状(ACA)皮質、前障(CLA)を含む広い皮質活性化、ならびに2)海馬CA1領域、分界条床核(BST)、中央扁桃体(CEA)、皮質扁桃体(COA)、扁桃体の基底外側部および内側基底核(BLAおよびBMA)、内側扁桃体(MEA)、視床腹側後内側核(VPM)、結合腕傍下核(SPF)、視床の内側膝状核(MG)、膝状体上核(SGN)、結合核(RE)、菱形核(RH)、視床中央内側核(CM)、傍室視床下部核(PVH)、視床下部背内側核(DMH)、結節乳頭体核(TM)、視床下部傍核(PSTN)および視床下核(STN)、傍小脳脚核、青斑核(LC)および孤束核(NTS)を含む皮質下活性化、において、c-fosシグナル伝達を活性化する。
【0169】
特定の実施形態において、リチウムとガボキサドールの「相乗的組み合わせ」の投与は、それを必要とする対象に、リチウム単剤療法によっても活性化される動物モデルの脳の少なくとも1つ、2つ、3つ以上の領域におけるc-fosシグナル伝達を活性化する。
【0170】
特定の実施形態において、リチウムとガボキサドールの「相乗的組み合わせ」の投与は、それを必要とする対象に、ガボキサドール単剤療法によっても活性化される動物モデルの脳の少なくとも1つ、2つ、3つ以上の領域におけるc-fosシグナル伝達を活性化する。
【0171】
特定の実施形態において、リチウムとガボキサドールの「相乗的組み合わせ」は、本明細書で定義される標準以下の用量のリチウムを含む。
特定の実施形態において、リチウムとガボキサドールの「相乗的組み合わせ」は、本明細書で定義される標準の用量のリチウムを含む。
【0172】
特定の実施形態において、リチウムとガボキサドールの「相乗的組み合わせ」は、本明細書で定義される低用量のガボキサドールを含む。
特定の実施形態において、リチウムとガボキサドールの「相乗的組み合わせ」は、本明細書で定義される中用量のガボキサドールを含む。
【0173】
特定の実施形態において、リチウムとガボキサドールの「相乗的組み合わせ」は、本明細書で定義される高用量のガボキサドールを含む。
特定の実施形態において、本明細書で定義されるような標準以下の用量のリチウムは、実施例4に例示されるような低用量のガボキサドールと共に投与される。
【0174】
特定の実施形態において、リチウムとガボキサドールの「相乗的組み合わせ」は、成人のヒト患者に対して、約50~600mgの炭酸リチウムおよび約5~約30mgのガボキサドールの1日量を含む。
【0175】
特定の実施形態において、リチウムとガボキサドールの「相乗的組み合わせ」は、成人のヒト患者に対して、約50~600mgの炭酸リチウムおよび約30~約150mgのガボキサドールの1日量を含む。
【0176】
特定の実施形態において、リチウムとガボキサドールの「相乗的組み合わせ」は、成人のヒト患者に対して、約600~2400mgの炭酸リチウムおよび約5~約30mgのガボキサドールの1日量を含む。
【0177】
特定の実施形態において、リチウムとガボキサドールの「相乗的組み合わせ」は、成人のヒト患者に対して、約600~2400mgの炭酸リチウムおよび約30~約150mgのガボキサドールの1日量を含む。
【0178】
特定の実施形態において、リチウムとガボキサドールの「相乗的組み合わせ」は、1:1のモル比でリチウムとガボキサドールとを含まない。
特定の実施形態では、リチウムとガボキサドールとの相乗作用により、動物モデルの脳における最初期遺伝子(例えば、c-fos、arc、egr-1、fosb、npas4)の活性化がもたらされ、これは、脳のc-fosシグナル伝達に対するリチウム単独およびガボキサドール単独の作用の合計(相加効果)よりも、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、100%、200%、400%、500%または1000%大きい。
【0179】
特定の実施形態において、リチウムとガボキサドールとの相乗作用により、動物モデルの脳において、脳のc-fosシグナル伝達に対するリチウム単独およびガボキサドール単独の作用の合計(相加効果)よりも、少なくとも約5%、10%、20%、30%、40%、50%、100%、200%、400%、500%または1000%大きいc-fos遺伝子発現の活性化がもたらされる。
【0180】
特定の実施形態において、リチウムとガボキドールとの間の相加効果は、動物モデルの脳において、脳のc-fosシグナル伝達におけるリチウム単独およびガボキサドール単独の作用の合計に等しい最初期遺伝子(例:c-fos、arc、egr-1、fosb、npas4)の活性化がもたらされる。
【0181】
特定の実施形態において、リチウムとガボキドールとの間の相加効果は、動物モデルの脳において、脳のc-fosシグナル伝達におけるリチウム単独およびガボキサドール単独の作用の合計に等しい最初期c-fos遺伝子の活性化がもたらされる。
【0182】
特定の実施形態において、リチウムとガボキサドールの「相加的組み合わせ」は、本明細書で定義される標準以下の用量のリチウムを含む。
特定の実施形態において、リチウムとガボキサドールの「相加的組み合わせ」は、本明細書で定義される標準の用量のリチウムを含む。
【0183】
特定の実施形態において、リチウムとガボキサドールの「相加的組み合わせ」は、本明細書で定義される低用量のガボキサドールを含む。
特定の実施形態において、リチウムとガボキサドールの「相加的組み合わせ」は、本明細書で定義される中用量のガボキサドールを含む。
【0184】
特定の実施形態において、リチウムとガボキサドールの「相加的組み合わせ」は、本明細書で定義される高用量のガボキサドールを含む。
特定の実施形態において、リチウムとガボキサドールの「相加的組み合わせ」は、1:1のモル比でリチウムとガボキサドールとを含まない。
【0185】
特定の実施形態において、リチウムおよびガボキサドールは、併用療法のための別個の組成物として(それらが別々に処方されることを示す)、または一緒に(それらが一緒に処方されることを示す)投与され得る。
【0186】
特定の実施形態において、リチウムおよびガボキサドールは、本明細書で定義されるように、同時に(simultaneously)または同時に(contemporaneously)投与することができる。
【0187】
6)ガボキサドールおよびリチウムの相乗的組み合わせによる精神障害の治療
ガボキサドールおよびリチウムの相乗的併用療法と従来のリチウム単独療法との間のファーマコマップの類似性に基づき、ガボキサドールは、双極性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病および急性自殺傾向の治療におけるリチウムの確立された活性を増強する(上記参照)。
【0188】
したがって、特定の実施形態において、双極性障害、うつ病、治療抵抗性うつ病および急性自殺傾向を治療する方法であって、ガボキサドールおよびリチウム、またはそれらのいずれかもしくは両方の化合物の薬学的に許容される塩の相乗的組み合わせを、それを必要とする患者に投与することを含む方法が開示される。
【0189】
特定の実施形態では、治療の有効性は、疾患固有の精神医学的評価尺度を使用して医師によって監視することができる。精神医学的評価尺度とは、特定の気分障害の症状の重症度を監視し、治療への反応を測定する信頼性が高く客観的な方法を提供するために開発された心理学的検査を指す。例えば、ベア、リー(Baer,Lee)およびブライス、マーク A.(Blais,Mark A.)による「Handbook of clinical rating scales and assessment in psychiatry and mental health」、ニューヨーク、Humana Press社、2010年;ISBN:9781588299666(その内容全体を参照により本明細書に組み込む)を参照されたい。
【0190】
例示的な精神医学的評価尺度には、限定されるものではないが:
うつ病については、ベックうつ病調査表(BDI:Beck Depression Inventory)、ベック抑うつ尺度(Beck Hopelessness Scale)、疫学研究センター-うつ病評価尺度(CES-D)、小児用の疫学研究センター-うつ病評価尺度(CES-DC)、エジンバラ産後うつ病評価尺度(EPDS)、高齢者うつ病評価尺度(GDS)、ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)、病院不安およびうつ病評価尺度、カッチャー(Kutcher)青年うつ病評価尺度(KADS)、大うつ病評価尺度(MDI)、モンゴメリー-アスバーグうつ病評価尺度(MADRS)、PHQ-9、気分および感情質問票(MFQ)、ワインベルグスクリーン情動尺度(WSAS)、およびズング(Zung)うつ病自己評価尺度;
躁病および双極性障害に対しては、アルトマン自己評価躁病尺度(ASRM)、双極スペクトル診断尺度、小児躁病評価尺度、一般行動調査票(General Behavior Inventory)、軽躁病チェックリスト、気分障害質問票(MDQ)、ヤング躁病評価尺度(YMRS);
自殺リスクに対しては、SAD PERSONS尺度、
が含まれる。
【0191】
特定の実施形態において、治療の有効性は、動物モデルにおいて前臨床的に確立された薬物誘発性バイオマーカ変化に基づくEEGにおける薬物誘発性バイオマーカ変化を伴う、薬物併用適用時、および適用後の期間におけるEEG記録を使用して医師によって監視され得る。
【0192】
7)ガボキサドールおよびリチウムの製剤
ガボキサドールおよびリチウム、またはそれらのいずれかもしくは両方の化合物の薬学的に許容される塩の相乗的組み合わせの投与方法には、限定されるものではないが、経口、皮下、皮内、筋肉内(非限定的な例として、例えば、米国特許第6,569,449号明細書(その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているような筋肉内デポー)、腹腔内、静脈内、鼻腔内、硬膜下、舌下、鼻腔内、脳内、膣内、経皮、経直腸、吸入によるもの、または局所的に、特に耳、鼻、目、または皮膚への投与、が含まれる。投与方法は医師の裁量に任せることができる。ほとんどの場合、投与は、本明細書に記載の化合物またはそれらの薬学的に許容される塩の血流への放出をもたらす。
【0193】
特定の実施形態において、本発明は、治療効果の迅速な開始のために設計された、ガボキサドールおよびリチウム、またはそれらのいずれかもしくは両方の化合物の薬学的に許容される塩、の投与を企図する。以前に文献に記載されたものを含む多種多様な剤形を使用することができる。好ましい剤形は、経口または鼻腔内投与に適している。経口送達用の組成物は、錠剤、ロゼンジ、水性または油性懸濁剤、液剤、顆粒剤、カプセル剤、粉末、ピル、ペレット、液体を含有するカプセル、乳剤、シロップ剤、またはエリキシル剤、坐剤、徐放性製剤、または使用に適したその他の形態、であり得る。
【0194】
経口投与される組成物は、1つ以上の剤(agent)、例えば、フルクトース、アスパルテームまたはサッカリンなどの甘味剤;ペパーミント、ウィンターグリーンオイル、チェリーなどの香味料;着色料;および保存料のような1種類以上の剤を含んでいてもよく、薬学的に嗜好性の高い製剤を提供することができる。さらに、錠剤またはピルの形態では、組成物をコーティングして、胃腸管での崩壊および吸収を遅延させることができ、それにより、長期間にわたって持続的な作用を提供することができる。本発明の浸透圧的に活性な化合物を取り囲む選択的に透過性の膜もまた、経口投与用に適している。これらの後者のプラットフォームでは、カプセルを取り巻く環境からの流体が駆動化合物によって吸収され、それが膨潤して、薬剤または薬剤組成物が開口部から押し出される。これらの送達プラットフォームは、即時放出製剤のスパイクプロファイルとは対照的に、本質的にゼロオーダーの送達プロファイルを提供することができる。グリセロールモノステアレートまたはグリセロールステアレートなどの時間を遅延させる材料も有用であり得る。経口組成物は、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、および炭酸マグネシウムなどの標準的な賦形剤を含むことができる。一実施形態において、賦形剤は医薬品グレードのものである。
【0195】
本発明の組成物は、場合により、対象への適切な投与のための形態を提供するために、適切な量の薬学的に許容される賦形剤を含むことができる。そのような医薬賦形剤は、石油、動物、植物、またはピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの合成由来のものを含む、水および油などの液体であり得る。医薬賦形剤は、生理食塩水、アラビアガム、ゼラチン、デンプンペースト、タルク、ケラチン、コロイダルシリカ、尿素などであり得る。さらに、補助剤、安定剤、増粘剤、潤滑剤、および着色剤を使用することができる。一実施形態において、薬学的に許容される賦形剤は、対象に投与された場合、無菌である。本発明の化合物またはそれらの薬学的に許容される塩が静脈内投与される場合、水は有用な賦形剤である。生理食塩水および水性のデキストロースおよびグリセロール水溶液も、特に注射可能な溶液のために、液体賦形剤として使用することができる。適切な医薬賦形剤にはまた、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、モルト、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、一ステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノール、などが含まれる。さらに、必要に応じて、本発明の組成物は、少量の湿潤剤または乳化剤またはpH緩衝剤を含み得る。適切な医薬賦形剤の他の例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれているRemington’s Pharmaceutical Sciences、1447-1676(アルフォンソ(Alfonso) R.、ゲンナロ(Gennaro)編、第19版、1995年)に記載されている。
【0196】
急速な発症に特に好ましい形態は、口腔内で崩壊する剤形(ODDF)であり、患者の頬腔内で直ちに放出され、薬物の頬側の吸収を高める。ODDFは、舌の上に置くと通常数秒以内に急速に崩壊する薬用物質または有効成分を含む固形剤形である。ODDFの崩壊時間は、一般に1~2秒から約1分の範囲である。ODDFは、唾液と接触すると急速に崩壊または溶解するように設計されている。この投与方法は、本質的に精神医学的な状態で一般的であるように、錠剤を飲み込むのに問題があるかもしれない人々にとって有益であり得る。
【0197】
特定の実施形態において、本明細書の医薬組成物は、ガボキサドールおよびリチウム、またはそれらのいずれかもしくは両方の化合物の薬学的に許容される塩の即時放出を提供し、これは、口腔に投与された場合、例えば、米国薬局方(USP)崩壊試験法(2008年8月1日改正公報、701項)に基づき、1分未満、55秒未満、50秒未満、45秒未満、40秒未満、35秒未満、30秒未満、25秒未満、20秒未満、15秒未満、10秒未満、または5秒未満で崩壊する。
【0198】
好ましい実施形態において、ODDFは、20分以下のTmaxを含む薬物動態特性をもたらす。特定の実施形態において、本明細書の医薬組成物は、20分以下、19分以下のTmax、18分以下のTmax、17分以下のTmax、16分以下のTmax、15分以下のTmax、14分以下のTmax、13分以下のTmax、12分以下のTmax、11分以下のTmax、10分以下のTmax、9分以下のTmax、8分以下のTmax、7分以下のTmax、6分以下のTmax、または5分以下のTmaxを提供する。このような医薬組成物には、口腔内崩壊錠(ODT)などのODDFが含まれる。
【0199】
ODTは、舌の上に置くと通常数秒以内に急速に崩壊する薬用物質または有効成分を含む固形剤形である。ODTの崩壊時間は、一般に数秒から約1分の範囲である。ODTは、唾液と接触すると急速に崩壊または溶解するように設計されており、錠剤を噛んだり、無傷の錠剤を飲み込んだり、液体と一緒に服用したりする必要性を排除できる。一般的に、ODDFと同様に、この投与方法は、治療の迅速な開始を必要とする人々にとって有益であり得る。
【0200】
特定の実施形態において、ODTの迅速な溶解特性は、錠剤マトリックスへの水の迅速な侵入を必要とする。これは、錠剤の多孔性構造を最大化し、適切な崩壊剤を組み込み、製剤に水溶性の高い賦形剤を使用することによって達成することができる。ODTで使用される賦形剤は、典型的には、少なくとも1つの超崩壊剤(導水、膨潤、またはその両方のメカニズムを持つことができる)、希釈剤、潤滑剤、および任意選択で膨潤剤、甘味料、香料を含有する。例えば、ナガール(Nagar)ら、Journal of Applied Pharmaceutical Science、(2011年)、01(04):35~45を参照されたい。超崩壊剤は、合成、天然、および共処理に分類することができる。これに関連して、合成超崩壊剤は、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶性セルロース、部分アルファ化デンプン、架橋アルギン酸および変性樹脂によって例示することができる。天然超崩壊剤は、加工粘液であり、ガムは植物から得られ、レピジウムサティバム種子粘液、バナナ粉末、ジェランガム、イナゴ豆ガム、キサンタンガム、グァーガム、カラヤガム、カッシア瘻種子ガム、マンギフェラインディカガム、カラギーナン、テングサおよびその他の紅藻由来の寒天、大豆多糖類およびキトサンによって例示することができる。希釈剤には、例えば、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、三ケイ酸マグネシウムなどを含めることができる。潤滑剤には、例えば、ステアリン酸マグネシウムなどを含めることができる。当業者であれば、ODT製造技術に精通している。
【0201】
本明細書で使用できる他のODDFには、ガボキサドールおよびリチウムなどの薬物、またはそれらのいずれかもしくは両方の化合物の薬学的に許容される塩を、口腔に投与した直後に放出する薄い経口ストリップである迅速溶解フィルムを含めることができる。フィルムは、患者の舌または他の粘膜表面に置かれ、唾液で即座に濡れると、フィルムは迅速に水和および溶解して薬剤を放出する。例えば、チャトゥルヴェディ(Chaturvedi)ら、Curr Drug Deliv.、第8巻、第4号、373~380ページ(2011年7月)を参照されたい。ファストキャップ(Fastcaps)は、ゼラチンカプセルをベースにした迅速に崩壊するドラッグデリバリーシステムである。従来のハードゼラチンカプセルとは対照的に、ファストキャップは、ブルーム強度の低いゲル化と、カプセルシェルの機械的特性および溶解特性を改善するためのさまざまな添加剤で構成されている。例えば、シパー(Ciper)およびボドマイヤー(Bodmeier)、Int J Pharm.、第303巻、第1-2号、62~71ページ(2005年10月13日)を参照されたい。フリーズドライ(凍結乾燥)ウエハースは、薬剤を含有する迅速に崩壊する薄いマトリックスである。ウエハースまたはフィルムは、口腔内で迅速に崩壊し、唾液に溶解または分散する薬物を放出する。例えば、ボアテング(Boateng)ら、Int J Pharm.、第389巻、第1-2号、24~31ページ(2010年4月15日)を参照されたい。当業者であれば、凍結乾燥、噴霧乾燥、相転移処理、溶融造粒、昇華、大量押出、綿菓子処理、直接圧縮など、ODDFを製造するために利用されるさまざまな技術に精通している。例えば、上記のナガール(Nagar)らを参照されたい。
【0202】
投与されると、ガボキサドールおよびリチウム、またはそれらのいずれかもしくは両方の化合物の薬学的に許容される塩を含有するODDFは、迅速に崩壊して薬物を放出し、それが唾液に溶解または分散する。薬物は、唾液が下に移動するときに口腔内に、例えば、咽頭および食道から、または胃腸管の他のセクションから舌下に、頬側に吸収され得る。このような場合、生物学的利用能は、薬物が放出され得る胃または腸に移動する従来の錠剤剤形から観察されるものよりも大幅に大きくなることができる。
【0203】
鼻腔内形態は、鼻および肺系を介したガボキサドールおよびリチウム、またはそれらのいずれかもしくは両方の化合物の薬学的に許容される塩の迅速な取り込みを促進する。治療剤の鼻腔内製剤は周知であり、当業者であれば、ガボキサドールおよびリチウム、またはそれらのいずれかもしくは両方の化合物の薬学的に許容される塩をそのようなフォーマットに適合させることができる。設計の選択は、製品が懸濁液か溶液になるかによって異なる。重要なパラメータには、pHと緩衝剤の選択、浸透圧、粘度、賦形剤の選択、および鼻腔内での滞留時間を強化するための浸透促進剤またはその他の成分の選択が含まれる。(www.dptlabs.comでのDPTラボラトリーズリミティッド社(DPT Laboratories Ltd)の出版物を参照されたい)。
【0204】
ここで、本明細書に記載される化合物またはそれらの薬学的に許容される塩は、放出制御(controlled-release)または徐放手段(sustained-release means)によって、または当業者に周知の送達装置によって投与することができる。例としては、限定されるものではないが米国特許3845770号明細書;米国特許第3916899号明細書;米国特許第3536809号明細書;米国特許第3598123号明細書;米国特許第4008719号明細書;米国特許第5674533号明細書;米国特許第5059595号明細書;米国特許第5591767号明細書;米国特許第5120548号明細書;米国特許第5073543号明細書;米国特許第5639476号明細書;米国特許第5354556号明細書;および米国特許第5733556号明細書(それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれている)が含まれる。そのような剤形は、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透圧システム、多層コーティング、微粒子、リポソーム、ミクロスフェア、またはそれらの組み合わせを用いて、1つ以上の活性成分の制御されたまたは持続された放出を提供するために有用であり、様々な比率で所望の放出プロファイルを提供することができる。本明細書に記載されるものを含む、当業者に公知の適切な制御放出製剤または持続放出製剤は、ガボキサドールおよびリチウム、またはそのいずれかもしくは両方の化合物の薬学的に許容される塩の相乗的組み合わせで使用するために容易に選択することができる。したがって、特定の実施形態において、本発明は、制御放出または持続放出に適合される錠剤、カプセル、ゲルキャップ、およびカプレットなどであるがこれらに限定されない、経口投与に適した単一単位剤形を提供する。特定の実施形態において、単一の単位用量の成分は、例えば、活性剤の量を示すアンプルまたはサシェのような密閉容器中の凍結乾燥粉末または水を含まない濃縮物として、別々にまたは一緒に混合されて供給される。本明細書に記載の化合物またはそれらの薬学的に許容される塩が注入によって投与される場合、それらは、例えば、滅菌医薬グレードの水または生理食塩水を含む注入ボトルで分配することができる。本明細書に記載の化合物またはそれらの薬学的に許容される塩が注射によって投与される場合、注射用の滅菌水または生理食塩水のアンプルを提供して、投与前に成分を混合することができる。
【0205】
8)投与計画
ガボキサドールおよびリチウムまたはそれらのいずれかもしくは両方の化合物の薬学的に許容される塩の相乗的組み合わせを利用する投与計画は、対象のタイプ、種、年齢、体重、性別および医学的状態;治療すべき疾患の重症度;投与経路;対象の腎機能または肝機能;および使用される本発明の特定の化合物、を含む種々の因子に従って選択することができる。
【0206】
ガボキサドールおよびリチウムまたはそれらのいずれかもしくは両方の化合物の薬学的に許容される塩の相乗的組み合わせは、1日1回投与されてもよく、または1日の総投与量が、1日2回、1日3回または1日4回、分割用量で投与されてもよい。
【0207】
特定の実施形態において、ガボキサドールおよびリチウムまたはそれらのいずれかもしくは両方の化合物の薬学的に許容される塩の組み合わせは、例えば、400mg/20mg、400mg/10mg、300mg/10mg、300mg/5mg、200mg/5mg、または100mg/5mgの炭酸リチウム/ガボキサドールの用量を有するカプセルで投与されてもよい。
【0208】
特定の実施形態において、ガボキサドールおよびリチウムの相乗的組み合わせが、制御放出性薬剤として投与される。本明細書で使用される「制御された放出(Controlled release)」は、使用環境によって実質的に影響されない、選択された、または他の方法で制御可能な速度、間隔、および/または量での物質(例えば、リチウムおよび/またはガボキサドール)の放出を包含することを意味する。したがって、「制御された放出」は、実質的に連続的な送達、およびパターン化された送達(例えば、定期的または不規則な時間間隔によって中断される、ある期間にわたる断続的な送達)を含むが、必ずしもこれらに限定されない。薬物送達の文脈で使用される「パターン化された」または「一時的な(temporal)」とは、事前に選択された期間(例えば、ボーラス注入に関連する期間以外)にわたり、一般に実質的に規則的なパターンでの薬物の送達を意味する。「パターン化された」または「一時的な」薬物送達とは、増加、減少、実質的に一定、または拍動性(pulsatile)、速度または速度の範囲(例えば、単位時間あたりの薬物の量、または単位時間あたりの薬物製剤の量)での薬物の送達を包含することを意味し、さらに、連続的または実質的に連続的な、あるいは慢性的な送達を包含する。
【0209】
特定の実施形態において、双極性障害と診断された成人ヒトは、以下のように治療することができる:
【0210】
【0211】
9)キット
精神障害、例えば、うつ病、治療抵抗性うつ病、急性自殺傾向および双極性障害を治療するためのキットは、複数のガボキサドールおよびリチウムの剤形、ならびに所定の投薬計画に従って同剤形を投与するための指示書を含む。ここで、所定の投薬計画は、ガボキサドールおよびリチウムの用量を同時に投与することを含み得る。所定の投薬計画は、ガボキサドールおよびリチウム、またはそれらのいずれかもしくは両方の化合物の薬学的に許容される塩の一定の用量を、午前中、例えば、午前6時または午前6時~午前9時の間に投与すること、およびリチウム用量を、午後、例えば午後12時(正午)または午後12時~午後3時の間、夕方、例えば午後6時または午後6時~午後9時の間、または深夜、例えば午前12時(深夜)に投与されるべく、提供される。
【0212】
キットは、所定の投薬計画に従って剤形を組織化するように構成されたハウジングを含み得る。例えば、ハウジングは、複数の剤形を、朝の剤形および夕方の剤形に組織化するように構成され得る。幾つかの変形例では、ハウジングは、急速に又は徐々に減少する投薬計画に従って複数のガボキサドール剤形及びリチウム剤形を組織化するように構成することができる。さらに別の変形例では、ハウジングは、服用する曜日に従ってガボキサドール剤形およびリチウム剤形を組織化するように構成することができる。
【0213】
キットは、所定の投薬計画に従って剤形を組織化するように構成されたハウジングを含み得る。例えば、ハウジングは、複数の剤形を、朝の剤形および夕方の剤形に組織化するように構成され得る。幾つかの変形例では、ハウジングは、急速に又は徐々に減少する投薬計画に従って複数の剤形を組織化するように構成することができる。さらに別の変形例では、ハウジングは、服用する曜日に従って剤形を組織化するように構成することができる。キットは、特定の双極性状態またはサブタイプを治療するように調整することもできる。例えば、キットは、双極I型障害、双極II型障害、混合双極性障害、急速に循環する双極性障害、急性躁病、薬物誘発性躁病、軽躁病、気分循環性障害、またはそれらの組み合わせを治療するように調整することができる。
【0214】
本発明をある程度具体的に説明してきたが、本開示は説明のためだけになされたものであり、部品の構造および配置の詳細における多くの変更は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく行われ得ることを理解されたい。
【0215】
明細書において特定される特許、特許出願、公開又は他の開示資料は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。参照により本明細書に組み込まれると言われているが、本明細書に明示的に示されている既存の定義、記述、または他の開示材料と矛盾する任意の材料またはその一部は、組み込まれた材料と本開示材料との間に矛盾が生じない範囲においてのみ組み込まれる。本願の明示的な開示と参照により組み込まれた文書との間に矛盾がある場合、本願の明示的な開示が有効な開示であるものとする。
【実施例】
【0216】
実施例1:全脳薬物スクリーニングプラットフォーム
現在、多くの前臨床アッセイが、脳に対する新薬の臨床効果を解明しようとまたは予測しようとするために使用されている。これらには、特定の分子標的に対する薬物の薬物動態および単純な細胞アッセイ、におけるその効果を測定するin vitroハイコンテントスクリーニング(HCS)アッセイ、比較的低解像度(PET/CT、PET/MRI、fMRI)でのグローバル応答または高細胞分解能(電気生理学または2光子イメージング)での局所応答を測定するin vivoアッセイ、およびさまざまなタスクにおける動物のパフォーマンスを測定する行動アッセイ(ジェイン(Jain)およびヒューティンク(Heutink)(2010年)、ユーデンホーファー(Judenhofer)ら、(2008年)、マルコウ(Markou)ら(2009年))が含まれる。前臨床研究に多大な努力が払われているにもかかわらず、薬剤の臨床効果は予測不可能であり続けており、薬剤開発パイプラインを悩ませ、臨床試験で90%超の失敗率をもたらしている(パモッリ(Pammolli)ら(2011年))。
【0217】
ライブイメージングが到達しにくい領域におけるニューロン活性を評価するために、その発現レベルがニューロン活性の最近の変化を反映するc-fosのような最初期遺伝子(IEG)が代用として使用されている。ニューロンに誘導されたc-fos発現の最初のin vivoの例は、侵害受容刺激後の脊髄の後角で報告された(ハント(Hunt)ら、1987年)。それ以来、c-fos、arc、egr-1、fosbおよびnpas4のようなIEGの発現のアップレギュレーションが、大部分の神経系および脳の大部分の領域におけるニューロン活性の代用として用いられている。
【0218】
精神病薬の前臨床試験への開示されたユニークで新規なアプローチは、精神病薬が脳内の特定の神経回路と細胞の種類の活性化または阻害を介してその効果を発揮するため、動物における薬物誘発脳の活性化または阻害の直接読み取りが最も適切な前臨床アッセイであるという提案に基づいている。
【0219】
重要なことに、低い空間分解能に悩まされるPET/CT、PET/MRI、phMRI、または空間範囲が限られている電気生理学もしくは2光子イメージングなどの、脳の活性化を測定するための既存のin vivo法の制限とは対照的に、開示された「ファーマコマッピング(pharmacomapping)」のアプローチは、前例のない単一細胞解像度でマウス脳全体にわたり薬物誘発脳活性化または阻害の直接の可視化および測定を可能にする。「ファーマコマッピング」と呼ばれるこの方法(ニューヨーク州ファーミングデールのCRO サーテラインコーポレイティッド社(CRO Certerra,Inc.)によって実装される)は、最初期遺伝子(IEG)c-fosの薬物誘発性発現によって表される薬物誘発性ニューロン活性化の全脳検出を含む、独占的かつ大部分が自動化された薬物スクリーニングプラットフォームに基づいている。これまで、脳活性化のマーカとしてのc-fosの検出は、脳組織切片でのin situハイブリダイゼーションまたは免疫組織化学の時間のかかる骨の折れる方法、続いて顕微鏡スライドへの切片のマウント、手動イメージング、および主に視覚的定量化によって行われてきた。それにもかかわらず、過去20年間にわたって、多くの研究がこれらの方法を使用して、抗精神病薬、抗うつ薬、覚醒剤、抗不安薬などのさまざまな向精神薬について、マウスまたはラットの脳における薬物誘発活性を試験した(エングバー(Engber)ら(1998年)、サルミネン(Salminen)ら(1996年)、センバ(SEMBA)ら(1996年)、スラッタリー(Slattery)ら(2005年)、サムナー(Sumner)ら(2004年))。これらの研究は、典型的には、一度に少数の脳領域のみを分析する場合であっても、向精神薬のスクリーニングでげっ歯類の脳でc-fos発現を使用するという概念の検証を表している(サムナー(Sumner)ら(2004年))。
【0220】
以前の方法とは対照的に、ファーマコマッピング法では、自動化および標準化された全脳免疫染色と脳クリアリングを、高度な顕微鏡(ライトシート蛍光顕微鏡、LSFM)、計算的(機械学習など)方法および統計的方法とともに使用する(
図1、例えば、その内容が参照により本明細書中に組み込まれている米国特許出願公開第2014/0297199号明細書を参照されたい)。このプラットフォームの第1世代では、イメージングの方法としてのシリアル2光子トモグラフィ(STPT)と、c-fosプロモータの制御下での緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するc-fos-GFPマウスとを使用した(例えば、その内容が参照により本明細書中に組み込まれている、米国特許出願公開第2014/0297199号明細書を参照)。
【0221】
サーテラ社(Certerra)が現在採用している第2世代のファーマコマッピングプラットフォームは、iDISCO+という名前の全脳免疫染色およびクリアリング手順と、ライトシート蛍光顕微鏡による全脳イメージングとを使用して、野生型マウスのc-fos陽性ニューロンを検出する(レニエル(Renier)ら、2016年)。従って、ファーマコマッピングプラットフォームは、ニューロン活性化の細胞マーカとしてのc-fos発現の確立された概念を使用し、ファーマコマップ(pharmacomap(登録商標))と呼ばれる詳細で再現性のある薬物誘発性全脳活性化パターンを生成できる標準化された高定量の全脳アッセイとして適用される。
【0222】
実施例2:精神医学におけるリチウムの治療作用の基礎となる脳活性化のマッピング
脳全体にわたるリチウムの作用機序を理解するために、前述のファーマコマッピング法を用いて、マウス(mg/kg)における次の用量に応答したリチウム誘発脳活性化をマッピングした:120、150、200および300、これらはヒト等価用量(mg):600、750、1000および1500にほぼ相当する。これらの実験から、脳の活性化パターンが用量依存的に増加することが明らかになり、その中には、120および150mg/kgにて少数の構造のわずかな活性化から中等度の活性化と、200および400mg/kgでのかなり広範な活性化が含まれていた(
図2)。120と150mg/kgのリチウム用量で観察された活性化パターンは、分界条床核(BSTa)の前部、中央扁桃体(CEA)および青斑核(LC)を含んでいた(
図2、上方の段)。同じ構造は200と300mg/kgでのリチウムによって顕著に活性化され、上記に加えて、ブレグマ1.5mmでの前辺縁(PL)および下辺縁(ILA)皮質、梨状皮質(PIR)と側坐核(ACB)、ブレグマ0.15~1.8mmでの味覚(GU)、無顆粒島(AIp)皮質領域、運動(MO)、体性感覚(SS)、聴覚(AUD)、側頭連合(TEa)、鼻周囲(PERI)および内嗅の皮質、ならびに室傍核(PVT)、中背核(IMB)、内側中心核(CM)、および菱形核(RH)を含む正中視床核、ならびに、ブレグマ2.7mmでの視覚(VIS)、内嗅(ECT)、TEa、AUD、PERIおよびENT皮質領域、ならびに内側膝状体複合体(MG)皮質扁桃体の活性化であった(
図2、下方の段)。
【0223】
実施例3:リチウム誘導c-fos活性化のパターンは、GABA-Aアゴニストであるガボキサドールのパターンとほぼ一致する
前述のファーマコンパッピングプラットフォームを使用して、マウスの脳全体でリチウムの効果をマッピングすることにより、リチウムによって引き起こされる脳の活性化パターンを他の試験化合物のパターンと直接比較することができる。注目すべきことに、高用量の300mg/kgのリチウムによって誘発されたファーマコマップパターンは、20mg/kgのガボキサドールのそれと密接に一致しており、それは、1)運動(MO)、味覚(GU)、連合野内臓(VISC)、無顆粒島(AI)、体性感覚(SS)、聴覚、視覚(VIS)、聴覚(AUD)、前辺縁(PL)および下辺縁(ILA)、脳梁膨大後部(RSP)、頭頂(PTL)、側頭連合(TEa)、内嗅(ECT)、内嗅(ENT)、鼻周囲(PERI)、梨状(PIR)、および前帯状(ACA)皮質、前障(CLA:claustrum)を含む広い皮質活性化、ならびに2)海馬CA1領域、分界条床核(BST)、中央扁桃体(CEA)、皮質扁桃体(COA)、扁桃体の基底外側部および内側基底核(BLAおよびBMA)、内側扁桃体(MEA)、視床腹側後内側核(VPM)、結合腕傍下核(SPF)、内側膝状複合体(MG:medial geniculate complex)、膝状体上核(SGN)、結合核(RE:nucleus of reunions)、菱形核(RH)、視床中央内側核(CM)、傍室視床下部核(PVH:paraventricular hypothalamic nucleus)、視床下部背内側核(DMH:dorsomedial nucleus of the hypothalamus)、結節乳頭体核(TM:tuberomammillary nucleus)、視床下部傍核(PSTN:parasubthalamic nucleus)および視床下核(STN:subthalamic nucleus)、傍小脳脚核(parabrachial nucleus)、青斑核(LC)および孤束核(NTS:nucleus of the solitary tract)を含む皮質下活性化、のc-fos活性化を含んでいた。
【0224】
ガボキサドールおよびリチウムは構造的に無関係な分子であるため、この発見はさらに驚くべきものである:即ち、ガボキサドールは脳内の抑制性GABA-A受容体のシナプス外集団を構成すると考えられているδサブユニット含有GABA作動性受容体にてアゴニストである一方、脳内でのリチウムの作用機序はまだ十分に確立されていないが、いくつかの研究はグリコーゲンシンターゼキナーゼ3-βの阻害の下流のシグナル伝達カスケードへの関与を示唆しており、それが神経栄養効果と神経可塑性および細胞の弾力性を増強していることを示唆している(ウォン(Won)およびキム(Kim)、2017年)。したがって、リチウムがガボキサドールで見られるパターンと一致する脳の広い活性化を引き起こすという発見はまったく予想外であり、科学文献の報告に基づいて予測することはできなかった。
【0225】
実施例4:ファーマコマッピングアッセイにおけるリチウムおよびガボキサドールの相乗効果
リチウムとガボキサドールのファーマコマップの類似性は、最初の化合物特異的シグナル伝達イベントが共通の下流脳回路活性化をもたらすことを示唆した。ガボキサドールおよびリチウムが互いに相乗的に作用できるかどうかを試験するために、各化合物の2つの低用量を、各化合物のそれ自体の用量が急性脳活性化を引き起こさない条件下で組み合わせた。
図4に示すように、3mg/kgのガボキサドールおよび85mg/kgのリチウムは単独では、ファーマコマッピングアッセイを用いて検出可能な脳活性化をいずれも誘発しなかった(
図4、上の2段)。しかしながら、3mg/kgでのガボキサドール+85mg/kgでのリチウムの併用は、上記したように、多くの領域にて強い活性化を誘導し、それは、それぞれ20および300mg/kgの用量で、各薬剤を個別にそれぞれ投与した時にも活性化された(
図4、上下段(top bottom row))。
【0226】
さらに、この相乗作用は、低用量のリチウム(<100mg/kg)およびガボキサドール(<5mg/kg)に限定されるものではなく、6mg/kgのガボキサドールおよび150mg/kgのリチウム(
図5A)または6mg/kgのガボキサドールおよび200mg/kgのリチウム(
図5B)のような高用量での2つの化合物の併用においても見られる。より高用量の薬物の組み合わせでは、相乗効果に加えて、ガボキサドールおよびリチウムの間の相加効果も観察される。
【0227】
まとめると、これらのデータは、リチウムとガボキサドールが脳の活性化作用において相乗効果を発揮できることを明確に示しており、リチウムが誘発する副作用を抑えながらリチウムの有効性を達成するための効果的な戦略が併用療法であることを証明している。また、ガボキサドールは臨床試験で試験されており、本願の試験で使用されたマウスの6mg/kgに相当するヒト等価用量では副作用がないことが明らかになっていることに注目することも重要である。例えば、1980年初頭において、ガボキサドールは一連のパイロット研究の対象となり、鎮痛薬および抗不安薬としての有効性、ならびに遅発性ジスキネジア、ハンチントン病、アルツハイマー病、および痙縮の治療薬としての有効性を検証されている。1990年、ガボキサドールは不眠症の治療のための後期開発段階に移行した。3カ月間の有効性試験において、同化合物の入眠及び睡眠維持に有意な効果が認められなかったため、開発は中止された。
【0228】
実施例5:リチウムおよびガボキサドールは躁病のアンフェタミン誘発げっ歯動物モデルで相乗効果を発揮する
リチウムによる前処置がアンフェタミン誘発性運動亢進を抑制することが示されたことから、覚醒剤のd-アンフェタミン誘発性運動亢進は躁病の治療的予測げっ歯類試験として用いられてきた(ベルグレン(Berggren)ら、1978年;カッペリーズ(Cappeliez)およびムーア(Moore)、1990年;カトウ(Kato)ら、2007年)。上記のファーマコマッピング実験で見られたリチウムとガボキサドールとの間の脳活性化相乗作用は、2つの分子がd-アンフェタミン試験でも相乗作用し、いずれかの分子単独で見られるよりも運動亢進の抑制を増強することを示唆する。
【0229】
図6に示すように、有効量以下のリチウム(14.1mg/kg)による前処置は行動効果を示さなかったが、14.1mg/kgの有効量以下のリチウムと3mg/kgの低用量のガボキサドールとの併用による前処置は、リチウムまたはガボキサドール単独のいずれかと比較してアンフェタミン誘発性運動亢進の抑制において相乗効果を示した。
【0230】
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【国際調査報告】