(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-03
(54)【発明の名称】圧縮された流体を蓄えるタンク装置を運転するための方法
(51)【国際特許分類】
F17C 13/04 20060101AFI20220127BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20220127BHJP
H01M 8/04082 20160101ALI20220127BHJP
H01M 8/0438 20160101ALI20220127BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20220127BHJP
H01M 8/04858 20160101ALI20220127BHJP
【FI】
F17C13/04 301D
H01M8/04 J
H01M8/04082
H01M8/0438
H01M8/04746
H01M8/04858
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531223
(86)(22)【出願日】2019-11-18
(85)【翻訳文提出日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 EP2019081593
(87)【国際公開番号】W WO2020120072
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】102018221600.2
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ベイヤー,マルコ
【テーマコード(参考)】
3E172
5H127
【Fターム(参考)】
3E172AA02
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BD03
3E172DA41
3E172DA51
3E172DA90
3E172JA02
3E172JA05
3E172KA02
3E172KA03
3E172KA22
5H127AB04
5H127BA02
5H127BA22
(57)【要約】
圧縮された流体を蓄えるタンク装置(1)を運転するための方法(200)であって、タンク装置がタンク(2)と、弁装置(100)と、供給管路(29)と、前記供給管路(29)内に配置された流量調整エレメント(27)と、コントロールユニット(64)とを有しており、前記弁装置(100)が磁石装置(11)を有していて、該磁石装置(11)によって、前記弁装置(100)の開放過程および閉鎖過程が制御可能であって、前記磁石装置(11)がマグネットコイル(10)を有しており、前記コントロールユニット(64)内に特性マップ(80)が保存されていて、該特性マップ(80)内に、マグネットコイル(10)のためのそれぞれ割り当てられた電気的な電流の強さを有する基準圧力差(70)が記憶されており、この場合、前記電気的な電流の強さは、前記弁装置(100)がまだ開放されているように選択されていて、前記特性マップ(80)内に初期の電気的な電流の強さが保存されている方法において、
a.前記初期の電気的な電流の強さを前記マグネットコイル(10)に印加(60)するステップと;
b.前記タンク(2)内の圧力p
0を算出(61)し、前記弁装置(100)と前記流量調整エレメント(27)との間の前記供給管路(29)内の圧力p
1を算出(61)するステップと;
c.前記タンク(2)内の圧力p
0と、前記弁装置(100)と前記流量調整エレメント(27)との間の前記供給管路(29)内の圧力p
1との差を決定(62)するステップと;
d.
・前記タンク(2)内の前記圧力p
0と、前記弁装置(100)と前記流量調整エレメント(27)との間の前記供給管路(29)内の圧力p
1との所定の差を、前記基準圧力差(70)のうちの1つに割り当てることができるときに:
i.前記所定の基準圧力差(70)に割り当てられた、前記マグネットコイル(10)のための前記電気的な電流の強さを選択(64)し;
ii.前記選択された電気的な電流強さを前記マグネットコイル(10)に印加(65)し;
iii.前記ステップa.b.c.d.の周期的な繰り返し(66)を行い、
・前記タンク(2)内の圧力p
0と、前記弁装置(100)と前記流量調整エレメント(27)との間の前記供給管路(29)内の圧力p
1との所定の差を、前記基準圧力差(70)のうちの1つに割り当てることができないときに:前記ステップa.にジャンプバックする、
ようにして、前記タンク(2)内の圧力p
0と、前記弁装置(100)と前記流量調整エレメント(27)との間の前記供給管路(29)内の圧力p
1との所定の差を、前記特性マップ(80)内の前記基準圧力差(70)のうちの1つに割り当てる(63)ステップと、
を有していることを特徴とする。
【選択図】
図1
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮された流体を蓄えるタンク装置(1)を運転するための方法(200)であって、前記タンク装置がタンク(2)と、弁装置(100)と、供給管路(29)と、前記供給管路(29)内に配置された流量調整エレメント(27)と、コントロールユニット(64)とを有しており、前記弁装置(100)が磁石装置(11)を有していて、該磁石装置(11)によって、前記弁装置(100)の開放過程および閉鎖過程が制御可能であって、前記磁石装置(11)がマグネットコイル(10)を有しており、前記コントロールユニット(64)内に特性マップ(80)が保存されていて、該特性マップ(80)内に、前記マグネットコイル(10)のためのそれぞれ割り当てられた電気的な電流の強さを有する基準圧力差(70)が記憶されており、この場合、前記電気的な電流の強さは、前記弁装置(100)がまだ開放されているように選択されていて、前記特性マップ(80)内に初期の電気的な電流の強さが保存されている方法において、この方法は:
a.前記初期の電気的な電流の強さを前記マグネットコイル(10)に印加(60)するステップと;
b.前記タンク(2)内の圧力p
0を算出(61)し、前記弁装置(100)と前記流量調整エレメント(27)との間の前記供給管路(29)内の圧力p
1を算出(61)するステップと;
c.前記タンク(2)内の圧力p
0と、前記弁装置(100)と前記流量調整エレメント(27)との間の前記供給管路(29)内の圧力p
1との差を決定(62)するステップと;
d.
・前記タンク(2)内の前記圧力p
0と、前記弁装置(100)と前記流量調整エレメント(27)との間の前記供給管路(29)内の圧力p
1との所定の差を、前記基準圧力差(70)のうちの1つに割り当てることができるときに:
i.前記所定の基準圧力差(70)に割り当てられた、前記マグネットコイル(10)のための前記電気的な電流の強さを選択(64)し;
ii.前記選択された電気的な電流強さを前記マグネットコイル(10)に印加(65)し;
iii.前記ステップa.b.c.d.の周期的な繰り返し(66)を行い、
・前記タンク(2)内の圧力p
0と、前記弁装置(100)と前記流量調整エレメント(27)との間の前記供給管路(29)内の圧力p
1との所定の差を、前記基準圧力差(70)のうちの1つに割り当てることができないときに:前記ステップa.にジャンプバックする、
ようにして、前記タンク(2)内の圧力p
0と、前記弁装置(100)と前記流量調整エレメント(27)との間の前記供給管路(29)内の圧力p
1との所定の差を、前記特性マップ(80)内の前記基準圧力差(70)のうちの1つに割り当てる(63)ステップと、
を有していることを特徴とする、圧縮された流体を蓄えるタンク装置(1)を運転するための方法(200)。
【請求項2】
前記タンク(2)内の圧力p
0と、前記弁装置(100)と前記流量調整エレメント(27)との間の前記供給管路(29)内の圧力p
1との圧力差を、前記弁装置(100)の幾何学形状によって、および/または前記流量調整エレメント(27)における流過横断面によって決定することを特徴とする、請求項1記載の方法(200)。
【請求項3】
前記弁装置(100)と前記流量調整エレメント(27)との間の前記供給管路(29)内の圧力p
1を、前記流量調整エレメント(27)における流過横断面を用いて算出することを特徴とする、請求項1または2記載の方法(200)。
【請求項4】
前記タンク(2)内の圧力p
0を、前記タンク(2)内に配置された圧力測定ユニット(43)によって連続的に測定することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法(200)。
【請求項5】
前記タンク(2)が、ネック領域(28)を有するタンクハウジング(3)を含有しており、前記ネック領域(28)内に前記弁装置(100)が配置されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法(200)。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法を実行するために設計された装置(65)において、タンク装置(1)とコントロールユニット(64)とを有しており、該コントロールユニット(64)によって、請求項1に記載した方法のステップa.b.c.d.を実行する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法を実行するために設計された装置(65)。
【請求項7】
前記コントロールユニット(64)が単数または複数の制御器を含有していることを特徴とする、請求項6記載の装置(65)。
【請求項8】
燃料電池装置において、請求項6または7記載の装置(65)を有する燃料電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば燃料電池駆動装置を有する車両に使用するための、圧縮された流体を蓄えるタンク装置、特に水素を蓄えるための燃料電池タンクを運転するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
事前公開されていない特許文献1には、燃料電池タンクの温度圧力除去のためのタンク装置が記載されており、この場合、タンク装置は、様々な弁、例えば遮断弁等を有しているタンク容器を備えており、これらの弁は、例えば燃料電池システムの正常な機能形式を保証する。
【0003】
このようなタンク装置のための安全装置は規格化されている。この場合、各タンク装置はそれぞれ1つの遮断弁を有している。従って、遮断弁は、燃料電池駆動装置を備えた車両の事故によって生ぜしめられるタンク装置の損傷時にまたはタンク装置の管路の破断時に、タンク容器を閉鎖することができ、それによって、気体が貯蔵装置から漏れ出ないようになっている。
【0004】
このような遮断弁の正常な機能形式を保証するために、遮断弁の完全な開放過程若しくは閉鎖過程が保証されなければならない。そうでなければ、水素がタンク容器から無秩序に流出することになり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102018209057号明細書
【発明の概要】
【発明の効果】
【0006】
本発明は、圧縮された流体を蓄えるタンク装置を運転するための方法およびこの方法を実行するための装置に関する。これによって、タンク装置からの流過横断面を制御する、弁装置の正常な開放過程若しくは閉鎖過程が保証され、この場合、事故の際に弁装置のシールが保証されている。
【0007】
これは、タンクと、弁装置と、供給管路と、この供給管路内に配置された流量調整エレメントと、コントロールユニットとを有する、圧縮された流体を蓄えるタンク装置を運転するための方法によって得られ、この場合、弁装置が磁石装置を有しており、この磁石装置によって、弁装置の開放過程および閉鎖過程が制御可能であって、磁石装置がマグネットコイルを有しており、コントロールユニット内に特性マップが保存されていて、この特性マップ内に、マグネットコイルのためのそれぞれ割り当てられた電気的な電流の強さを有する基準圧力差が記憶されており、この場合、電気的な電流の強さは、弁装置がまだ開放されているように選択されていて、特性マップ内に初期の電気的な電流の強さが保存されており、この方法は:
a.初期の電気的な電流の強さをマグネットコイルに印加するステップと;
b.タンク内の圧力p0を算出し、弁装置と流量調整エレメントとの間の供給管路内の圧力p1を算出するステップと;
c.タンク内の圧力p0と、弁装置と流量調整エレメントとの間の供給管路内の圧力p1との差を決定するステップと;
d.
・タンク内の圧力p0と、弁装置と流量調整エレメントとの間の供給管路内の圧力p1との所定の差を、基準圧力差のうちの1つに割り当てることができるときに:
i.所定の基準圧力差に割り当てられた、マグネットコイルのための電気的な電流の強さを選択し;
ii.選択された電気的な電流強さを前記マグネットコイルに印加し;
iii.前記ステップa.b.c.d.の周期的な繰り返しを行い、
・タンク内の圧力p0と、弁装置と流量調整エレメントとの間の供給管路内の圧力p1との所定の差を、基準圧力差のうちの1つに割り当てることができないときに:前記ステップa.にジャンプバックする、
ようにして、タンク内の圧力p0と、弁装置と流量調整エレメントとの間の供給管路内の圧力p1との所定の差を、特性マップ内の基準圧力差のうちの1つに割り当てるステップと、を有することを特徴とする。
【0008】
弁装置の幾何学形状並びに、弁装置および流量調整エレメントにおける流過状態によって、基準圧力差を算出することができるので、この基準圧力差から、マグネットコイルに印加される電気的な電流の強さを算出することができる。これは、生ぜしめられた磁力によって弁装置における圧力および流動力は、弁装置がちょうど開放位置にあるように補正されるように、選定される。例えば供給管路の破損によって誘発されて、タンク内の圧力p0と、弁装置と流量調整エレメントとの間の供給管路内の圧力p1との、保存されていない圧力差範囲に達すると、マグネットコイルにおける調整された電気的な電流の強さは、弁装置における圧力および流動力に抗する十分に高い磁力を生ぜしめるために、もはや十分ではなくなる。その結果、弁装置は閉鎖され、圧縮された媒体がタンクから漏れ出ることはなくなる。従って、圧縮された媒体がタンクから無秩序に漏れ出すことは阻止され、最適な安全性要求が満たされ得る。
【0009】
本発明の第1の好適な発展形態では、タンク内の圧力p0と、弁装置と流量調整エレメントとの間の供給管路内の圧力p1との圧力差が、弁装置の幾何学形状によって、および/または流量調整エレメントにおける流過横断面によって決定されるようになっている。従って、気体状の媒体の体積流量に応じて、例えば流量調整エレメントを介して圧力差を調整することができる。
【0010】
好適な発展形態によれば、弁装置と流量調整エレメントとの間の供給管路内の圧力p1が、流量調整エレメントにおける流過横断面を用いて算出されるようになっている。従って、簡単な形式で、弁装置と流量調整エレメントとの間の供給管路内の圧力p1は、タンク内の圧力p0によって、および/または水素が流過する弁装置の流過横断面によって決定することができる。
【0011】
本発明の別の実施態様では、タンク内の圧力p0は、タンク内に配置された圧力測定ユニットによって連続的に測定されるようになっているのが好ましい。従って、タンク装置の実際の状態に合わせてこの方法の最適な実行が得られる。
【0012】
好適な発展形態では、タンクが、ネック領域を有するタンクハウジングを含有しており、このネック領域内に弁装置が配置されている。従って、弁装置は同時にタンク内に組み込まれ、それによって外部の影響、例えば振動による損傷に対して保護されている。
【0013】
この方法を実行するために設計された装置は、タンク装置とコントロールユニットとを有しており、このコントロールユニットによってこの方法が実行され得る。
【0014】
好適な発展形態では、コントロールユニットは単数または複数の制御器を含有している。従ってこの方法は簡単な形式で、タンク装置を構造的に再構成することなしに、また追加的な構成部品なしに、実行することができる。
【0015】
前記方法および装置は、好適な形式で、燃料電池の陽極範囲への水素供給のための燃料電池装置に適している。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明によるタンク装置の一実施例の縦断面図である。
【
図2】タンク装置を運転するための本発明による方法の一実施例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面には、圧縮された流体を蓄えるための、本発明によるタンク装置の実施例、およびこのようなタンク装置を運転するための方法のフローチャートが示されている。
【0018】
図1は、圧縮された流体、特に水素を蓄えるための、弁装置100を備えた本発明によるタンク装置1の一実施例の縦断面図を示す。
【0019】
弁装置100は、縦軸線18を有するバルブハウジング6を有している。バルブハウジング6内に、内室42内に開口する吸入孔22および吐出孔40が形成されている。さらに、バルブハウジング6内に、コイルハウジング8を有するマグネットコイル10が配置されている。バルブハウジング6はさらに、ストッパエレメント12を有しており、このストッパエレメント12はコイルハウジング8によって取り囲まれていて、シールエレメント24によってマグネットコイル10を内室42に対してシールする。
【0020】
内室42内に、縦軸線18に沿って移動可能な第1の磁石電機子14が配置されており、この第1の磁石電機子14は一体成形部44で以って、吐出孔40を開閉するために第1のシール座32と協働する。第1のシール座32はここでは、ストッパエレメント12のショルダ48に形成されている。第1の磁石電機子14内に通路20が形成されており、この通路20は、第1のシール座32とは反対側の、第1の磁石電機子14の端部で切欠38内に開口している。
【0021】
切欠38内に、縦軸線18に沿って可動な第2の磁石電機子16が受けられており、この第2の磁石電機子16は一体成形部46で以って、第1の磁石電機子14内で通路20を開閉するための第2のシール座34と協働する。第2のシール座34は、第1の磁石電機子14に形成されている。
【0022】
バルブハウジング6の切欠50内に配置されていて、第2の磁石電機子16とバルブハウジング6との間で支持されているスプリング30によって、第2の磁石電機子16は第2のシール座34に向かう方向の力で付勢されるので、第2の磁石電機子16は第2のシール座34に当接する。それによって通路20は閉鎖されている。
【0023】
第1の磁石電機子14と第2の磁石電機子16とが連動接続していることによって、第1の磁石電機子14はスプリング30によって第1のシール座32に押し付けられ、それによって吐出孔40は閉鎖されている。さらに、第1の磁石電機子14はショルダ36を有しており、このショルダ36は第2の磁石電機子16のショルダ52と協働する。従って、第2の磁石電機子16は、第2のシール座34の開放時にその長手方向運動の際に、第1の磁石電機子14のための連動手段として働き、それによって第1のシール座32の開放が加速される。
【0024】
内室42は、第1の磁石電機子14および第2の磁石電機子16によって、外側の環状室422と内側の環状室420とばね室421とに分割されている。この場合、外側の環状室422は、ストッパエレメント12と第1の磁石電機子14とによって画成されており、これに対して、内側の環状室420は、第1の磁石電機子14と第2の磁石電機子16とによって画成されている。
【0025】
内側の環状室420も外側の環状室422も、ばね室421内に開口しており、この場合、ばね室421は、バルブハウジング6の切欠50を含んでいて、吸入孔22内に移行している。
【0026】
弁装置100は、タンク2を有するタンク装置1の一部である。タンク2はタンクハウジング3を有しており、このタンクハウジング3内にタンク内室4が形成されている。タンクハウジング3はネック領域28を有しており、このネック領域28内に弁装置100が配置されている。この場合、弁装置100はタンクハウジング3内に組み込まれていて、それによってタンク内室4を外に対して閉鎖する。弁装置100のバルブハウジング6とタンク2のタンクハウジング3との間のシールエレメント26によって、タンク内室4はシールされており、それによって気体状の媒体、特に水素は、弁装置100だけを介してタンク2から流入若しくは流出し得る。
【0027】
第1の磁石電機子14と第2の磁石電機子16とは、マグネットコイル10およびコイルハウジング8と協働して磁石装置11を形成する。
【0028】
この場合、第1のシール座32における気体状の媒体の流過横断面は、第2のシール座34における気体状の媒体の流過横断面よりも大きい。何故ならば、円筒形状に構成された吐出孔40の直径は、円筒形状の通路20の直径よりも大きいからである。第2のシール座34は小さい磁力によって開放され、この場合、第2のシール座34の開放によって、第1のシール座32における圧力比は、第1のシール座32を開放させるために必要な磁力がもはや、第2のシール座34および第2の磁石電機子16が省かれている場合におけるよりも高くない程度に、変えられる。従って全体として弁装置100の開放のために僅かな磁力が必要なだけである。
【0029】
吐出孔40は、供給管路29と流体接続されており、この場合、供給管路29内に流量調整エレメント27が配置されていて、この流量調整エレメント27は、圧縮された流体を消費器31に向かう方向に制御し、ここではタンク装置1から水素を燃料電池装置に向かう方向に制御する。流量調整エレメント27と弁装置100との間の供給管路29内では圧力p1が支配する。
【0030】
さらに、タンク内室4内に圧力測定ユニット43が配置されており、それによって、タンク内室4内の圧力p0が算出され、監視され得る。
【0031】
従って、圧力p1は、タンク内室4内の圧力p0と、弁装置100の公知の幾何学形状での弁装置100における水素の流過横断面と、圧力調整エレメント27における水素の流過横断面とによって決定することができる。
【0032】
さらに、コントロールユニット64を有する装置65が設けられており、この装置は、圧力調整エレメント27、圧力測定ユニット43およびマグネットコイル10と連動接続している。
【0033】
タンク2内では圧力p0が支配する。弁装置100が開放された状態、つまり第1のシール座32と第2のシール座34とが開放され、タンク2が供給管路29と流体接続されていて、流量調整エレメント27が圧縮された流体を消費器31に向かう方向に制御しない場合、弁装置100と流量調整エレメント27との間の供給管路29内にも、タンク2内と同じ圧力が支配する。つまり、p0=p1である。
【0034】
流量調整エレメント27が圧縮された流体を消費器31に向かう方向に制御すると、弁装置100と流量調整エレメント27との間の供給管路29内の圧力p1は低下する、つまり、p0>p1である。この場合、p0とp1との差は、弁装置100の幾何学形状および流量調整エレメント27における流過横断面によって生ぜしめられた、弁装置100内の圧縮された流体の第1のシール座32および第2のシール座34における流出横断面によって、決定される。
【0035】
p0とp1との差、つまり弁装置100、タンク2および供給管路29内の圧力および流動力は、第1の磁石電機子14に閉鎖力として作用するので、第1のシール座32を開放するかまたはこれを開放維持するために、より大きい磁力が必要とされる。
【0036】
以下に、タンク装置1の標準的な運転時において、磁力が第1の磁石電機子14において見込まれる圧力および流動力に適合され、例えば管路破断または欠陥のある流量調整エレメント27において発生する圧力差において、磁力が第1のシール座32を開放維持するためにもはや十分ではない方法について記載する。従って、タンク2からの水素の流出が阻止される。
【0037】
図2は、圧縮された流体を蓄えるタンク装置1を運転するための、本発明による方法200のフローチャートを示し、この場合、このフローチャートは以下に説明されている。
【0038】
コントロールユニット64内に特性マップ80が保存されており、この特性マップ80内に、磁石コイル10のためのそれぞれ割り当てられた電気的な電流の強さを有する基準圧力差70が記憶されている。この場合、電気的な電流の強さは、弁装置がまだ開放されているように、つまり第1のシール座32および第2のシール座34を開放維持するために第1の磁石電機子14および第2の磁石電機子16に作用する磁力がかろうじて十分であるように、選定されている。
【0039】
さらに、特性マップ80内に、例えば0Aの値に相当する初期の電気的な電流の強さが保存されている。この初期の電気的な電流の強さの値範囲は、一般的に基準圧力差70のための特性マップ80内に保存されている範囲内にあってもよい。
【0040】
この初期の電気的な電流の強さは、方法200の第1のステップでマグネットコイル10に印加される(印加60)。
【0041】
圧力測定ユニット43および/または弁装置100の公知の幾何学形状および/または流量調整エレメント27における流過横断面によって、タンク2内の圧力p0、および弁装置100と流量調整エレメント27との間の供給管路29内の圧力p1が算出される(算出61)。
【0042】
タンク2内の圧力p0と、弁装置100と流量調整エレメント27との間の供給管路内の圧力p1との差が決定される(決定62)。
【0043】
タンク2内の圧力p0と、弁装置100と流量調整エレメント27との間の供給管路内の圧力p1との所定の差は、特性マップ80内の基準圧力差70のうちの1つに割り当てられる(割り当て63)。これは、タンク2内の圧力p0と、弁装置100と流量調整エレメント27との間の供給管路29内の圧力p1との所定の差が、基準圧力差70のうちの1つに割り当てられると、所定の基準圧力差70のうちの1つに割り当てられた、マグネットコイル10のための電気的な電流の強さが選択され(選択64)、マグネットコイル10に印加される(印加65)ように、行われる。次いで、全タンク装置1の効果的な機能形式のためにすべての前記ステップが周期的に繰り返される(周期的な繰り返し66)。
【0044】
タンク2内の圧力p0と、弁装置100と流量調整エレメント27との間の供給管路29内の圧力p1との所定の差を、基準圧力差70のうちの1つに割り当てる(割り当て63)ことが不可能である場合、方法200が再び最初から実行される(ジャンプバック67)。
【0045】
このようなケースは、例えばタンク2内の圧力p0と、弁装置100と流量調整エレメント27との間の供給管路29内の圧力p1との所定の差のための値範囲が保存されていないときに発生する。何故ならば、この値は一般的な運転方法では生じないからである。
【0046】
従って、マグネットコイル10によって生ぜしめられ、第1の磁石電機子14および第2の磁石電機子16に作用する磁力が、タンク装置1内に実際に存在している圧力および流動力に適合され得る。しかしながら、コントロールユニット64内に基準圧力差70として保存されていない、p0とp1との圧力差が得られると、マグネットコイル10に印加された電気的な電流の強さは、第1のシール座32および第2のシール座34を開放維持するためには、もはや不十分である。弁装置100は閉鎖し、圧縮された流体がタンク2から到達することはない。従って、例えば流量調整エレメント27の欠陥のある機能形式においてまたはタンク装置1に損傷の可能性がある場合、弁装置100は閉鎖され、タンク2は閉鎖されることが保障され得る。
【0047】
本発明による方法200は、単数の制御器または複数の制御器を含むことが可能なコントロールユニット64によって実行される。さらに、コントロールユニット64によって、マグネットコイル10の制御、流量調整エレメント27の制御並びに圧力測定ユニット43,45の制御がコントロールされ得る。
【0048】
記載された方法および装置は、例えば燃料電池の陽極範囲への水素供給を制御するための燃料電池装置に適している。
【符号の説明】
【0049】
1 タンク装置
2 タンク
3 タンクハウジング
4 タンク内室
6 バルブハウジング
8 コイルハウジング
10 マグネットコイル
11 磁石装置
12 ストッパエレメント
14 第1の磁石電機子
16 第2の磁石電機子
18 縦軸線
20 通路
22 吸入孔
24 シールエレメント
27 流量調整エレメント、圧力調整エレメント
28 ネック領域
29 供給管路
30 スプリング
31 消費器
32 第1のシール座
34 第2のシール座
38 切欠
40 吐出孔
42 内室
43,45 圧力測定ユニット
44,46 一体成形部
48 ショルダ
50 切欠
60 印加
61 算出
62 決定
63 割り当て
64 コントロールユニット、選択
65 装置、印加
66 周期的な繰り返し
67 ジャンプバック
70 基準圧力差
80 特性マップ
100 弁装置
200 方法
420 内側の環状室
421 ばね室
422 外側の環状室
p0,p1 圧力
【国際調査報告】