IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

特表2022-512305ガス状媒体を貯留するためのタンク装置
<>
  • 特表-ガス状媒体を貯留するためのタンク装置 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-03
(54)【発明の名称】ガス状媒体を貯留するためのタンク装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20220127BHJP
   F17C 13/04 20060101ALI20220127BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20220127BHJP
【FI】
F16K31/06 385A
F17C13/04 301C
H01M8/04 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021531226
(86)(22)【出願日】2019-11-18
(85)【翻訳文提出日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 EP2019081602
(87)【国際公開番号】W WO2020120074
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】102018221602.9
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ラウ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ハーン,ヨルグ
(72)【発明者】
【氏名】シャイヒ,ウド
【テーマコード(参考)】
3E172
3H106
5H127
【Fターム(参考)】
3E172AA05
3E172AB01
3E172BA01
3E172BB12
3E172BB17
3E172BD03
3E172CA11
3E172EA02
3E172JA04
3H106DA04
3H106DA07
3H106DA10
3H106DA13
3H106DA23
3H106DC02
3H106DC17
3H106DD03
3H106EE34
3H106KK17
5H127AB04
5H127AC07
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA59
5H127EE13
5H127EE19
(57)【要約】
弁装置(2)とタンク(10)とを備え、前記弁装置(2)が縦軸線(11)を備えた弁箱(20)を有し、前記弁箱(20)内に内部空間(7)が形成されている、ガス状媒体、特に水素を貯留するためのタンク装置(1)。前記内部空間(7)内に、前記縦軸線(11)に沿って可動な起動弁要素(18)が配置され、前記起動弁要素(18)は排出口(31)を開閉するために弁座(40)と協働し、したがって起動弁(44)を形成しており、前記弁装置(2)は磁気コイル(14)を含んでいる。さらに、前記弁座(40)は下流側において前記弁箱(20)と前記排出口(31)とに形成され、筒状の前記排出口(31)は筒状の貫通通路(80)に通じ、前記貫通通路(80)の直径Dは前記排出口(31)の直径dよりも大きい。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁装置(2)とタンク(10)とを備え、前記弁装置(2)が縦軸線(11)を備えた弁箱(20)を有し、前記弁箱(20)内に内部空間(7)が形成され、前記内部空間(7)内に、前記縦軸線(11)に沿って可動な起動弁要素(18)が配置され、前記起動弁要素(18)が排出口(31)を開閉するために弁座(40)と協働し、したがって起動弁(44)を形成しており、前記弁装置(2)が磁気コイル(14)を含んでいる、ガス状媒体、特に水素を貯留するためのタンク装置(1)において、前記弁座(40)が下流側において前記弁箱(20)と前記排出口(31)とに形成され、筒状の前記排出口(31)が筒状の貫通通路(80)に通じ、前記貫通通路(80)の直径Dが前記排出口(31)の直径dよりも大きいことを特徴とするタンク装置(1)。
【請求項2】
前記貫通通路(80)が円錐状の移行領域(36)により前記排出口(31)へ移行していることを特徴とする、請求項1に記載のタンク装置(1)。
【請求項3】
前記タンク(10)が首領域(6)を有し、前記首領域(6)内に前記弁装置(2)が配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のタンク装置(1)。
【請求項4】
前記タンク装置(1)が被覆要素(12)を有し、前記被覆要素(12)によって前記弁装置(2)が前記タンク(10)の前記首領域(6)に固定して統合され、且つ周囲(50)に対し密封されていることを特徴とする、請求項3に記載のタンク装置(1)。
【請求項5】
前記首領域(6)に貫通口(4)が形成され、前記貫通口(4)がタンク内部空間(100)に通じていることを特徴とする、請求項3または4に記載のタンク装置(1)。
【請求項6】
前記弁箱(20)の前記内部空間(20)が、前記弁箱(20)内に形成されている吸込口(28)によりタンク内部空間(100)と結合可能であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のタンク装置(1)。
【請求項7】
前記起動弁要素(18)の繰り抜き部(45)内にばね(26)が配置されてばね空間(25)が形成され、前記ばね(26)によって主弁要素(16)が前記弁座(40)の方向に力の作用を受けていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のタンク装置(1)。
【請求項8】
前記起動弁要素(18)が縦方向開口部(33)と他の開口部(32)とを有し、前記縦方向開口部(33)と前記他の開口部(32)とが流動的に前記ばね空間(25)と結合されていることを特徴とする、請求項7に記載のタンク装置(1)。
【請求項9】
前記起動弁要素(18)に密封体(19)が配置され、前記密封体(19)が半球状先端部を有していることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のタンク装置(1)。
【請求項10】
前記密封体(19)がプラスチックから製造されていることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載のタンク装置(1)。
【請求項11】
前記弁座(40)が円錐状に形成され、前記弁座(40)が前記排出口(31)を開閉するために前記密封体(19)の前記半球状先端部と協働することを特徴とする、請求項9または10に記載のタンク装置(1)。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の燃料電池作動用水素を貯留するためのタンク装置(1)を備えた燃料電池装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば燃料電池駆動型車両で使用するための燃料電池タンク用タンク装置、特に水素を貯留するためのタンク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願出願前に公開されていない特許文献1は、燃料電池タンクの温度減圧を行うためのタンク装置を記述しており、この場合タンク装置は、たとえば燃料電池システムの正規の機能態様を保証する、たとえば遮断弁のような種々の弁を備えたタンク容器を含んでいる。
【0003】
このようなタンク装置の安全装置は規格化されている。この場合、どのタンク装置もこのような遮断弁を有していなければならない。このようにして遮断弁は、燃料電池駆動型車両の事故によって発生するタンク装置の損傷時またはタンク装置のパイプの破断時にタンク容器を閉めることができ、その結果ガスが貯留ユニットから流出することがない。
【0004】
したがって、多数の弁を設けることで、複雑な、高コストのタンク装置になることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許公開第102018209057A1号明細書
【発明の概要】
【0006】
これに対し、請求項1の特徴ある構成要件を備えた本発明によるタンク装置には、それぞれの安全弁がコンパクトでコスト上好ましい構成を有し、その際ガス密封性に関する高い安全要求がいつでも満たされているという利点がある。
【0007】
このため、ガス状媒体、特に水素を貯留するためのタンク装置は、弁装置とタンクとを有している。弁装置は縦軸線を備えた弁箱を有し、弁箱内には内部空間が形成されている。内部空間内には、縦軸線に沿って可動な起動弁要素が配置され、起動弁要素は排出口を開閉するために弁座と協働し、したがって起動弁を形成している。弁装置はさらに磁気コイルを含んでいる。さらに、弁座は下流側において弁箱と排出口とに形成され、筒状の排出口は筒状の貫通通路に通じ、その際貫通通路の直径Dは排出口の直径dよりも大きい。
【0008】
このようにして、コンパクトに構成された、スイッチ動作が簡単な安全電磁弁を得ることができ、この安全電磁弁は統合構成により安全要求を満たし、コスト節減を達成する。
【0009】
第1の有利な更なる構成では、貫通通路が円錐状の移行領域により排出口へ移行していることが企図されている。
【0010】
本発明の更なる構成では、有利には、タンクが首領域を有し、この首領域内に弁装置が配置されていることが企図されている。有利な態様では、タンク装置は被覆要素を有し、被覆要素によって弁装置はタンクの首領域に固定して統合され、且つ周囲に対し密封されている。このように、タンク内への弁装置の統合によって高い安定性を得ることができるので、タンク装置全体の堅牢性を保証することができる。事故の場合も、弁装置は外部影響から保護されている。
【0011】
本発明の更なる構成では、有利には、首領域に貫通口が形成され、貫通口がタンク内部空間に通じていることが企図されている。これは、特に事故の場合にタンク全体のより高い堅牢性につながる。
【0012】
有利な更なる構成では、弁箱の内部空間は、弁箱内に形成されている吸込口によりタンク内部空間と結合可能である。このようにして、タンクからのガス状媒体の流動横断面を簡単に制御可能である。
【0013】
本発明の更なる構成では、有利には、起動弁要素の繰り抜き部内にばねが配置されてばね空間が形成され、ばねによって主弁要素が弁座の方向に力の作用を受けていることが企図されている。このようにして、磁気コイルが通電されていない時、弁装置の密封性が保証されている。
【0014】
有利な更なる構成では、起動弁要素が縦方向開口部と他の開口部とを有し、縦方向開口部と他の開口部とが流動的にばね空間と結合されている。このようにして、吸込口は弁装置の排出口と最適に結合可能である。
【0015】
本発明の更なる構成では、有利には、起動弁要素に密封体が配置され、密封体が半球状先端部を有していることが企図されている。有利な態様では、密封体はプラスチックから製造されている。
【0016】
本発明の更なる構成では、弁座が円錐状に形成され、弁座が排出口を開閉するために密封体の半球状先端部と協働する。このようにして、弁座での高い密封性を得ることができる。
【0017】
以上説明したタンク装置は、好ましくは、燃料電池作動用水素を貯留するための燃料電池装置において適している。
【0018】
図面には、ガス状媒体、特に水素を貯留するための本発明によるタンク装置の実施形態が図示されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】弁装置を備えた本発明によるタンク装置の1実施形態を縦断面図で示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図には、ガス状媒体のための本発明によるタンク装置1の1実施形態が示されている。タンク装置1は、タンク10と弁装置2とを有している。タンク10はタンクハウジング47を有し、タンクハウジング内にはタンク内部空間100が形成されている。さらに、タンクハウジング47は首領域6を含み、首領域は、内部に貫通口4が形成されている底部領域を有する。この貫通口4は一端でタンク内部空間100に通じており、タンク内部空間内にはガス状媒体、たとえば水素を貯留することができる。
【0021】
首領域6の他端では、弁装置2がタンク10の貫通口4内に配置されて、タンク10のタンクハウジング47内に統合されている。さらに、首領域6は被覆要素12によって取り囲まれ、その結果弁装置2とタンク内部空間100とは周囲50から密封されている。
【0022】
このようにして、ガス状媒体、特に水素を、タンク内部空間100から弁装置2を介して且つ筒状の貫通通路80を介してたとえば燃料電池装置内の燃料電池のアノード領域に供給することができる。
【0023】
弁装置2は縦軸線11を備えた弁箱20を有し、弁箱内には段状の内部空間7が形成されている。弁装置2は、弁箱20内に、筒状の吸込口28と筒状の排出口31とを有し、その際吸込口28は、首領域6にあるタンク10の貫通口4に通じている。ここでは、弁装置2の流入も排流も弁装置2の縦軸線11に対し軸線方向に行われる。
【0024】
さらに、弁箱20内には磁気コイル14が受容されて統合されており、その際磁気コイル14は支持要素22を用いて弁箱20内に固定され、且つ密封要素32を用いて支持要素22において内部空間7に対し密封されている。この場合、磁気コイル14は電気接続部30を介して起動可能である。
【0025】
内部空間7内には、縦軸線11に沿って可動な起動弁要素18が配置されている。起動弁要素18と弁箱20とは、環状空間27とばね空間25とを画成している。この場合、環状空間27は排出口31に通じ、これに対しばね空間25は吸込口28に通じている。
【0026】
起動弁要素18には密封体19が配置され、密封体は、弁箱20に円錐状に形成されている弁座40とともに起動弁44を形成する。密封体19は半球状先端部を有し、この半球状先端部でもって密封体は弁座40に載置され、そして密封体は好ましくはプラスチックから作製されている。起動弁44により、環状空間27と排出口31との間の、よって貫通通路80との間の結合部を開閉させることができる。
【0027】
この場合、貫通通路80は円錐状の移行領域36により排出口31に通じ、その際貫通通路80は直径Dを有し、排出口31は直径dを有している。貫通通路80の直径Dは、排出口31の直径dよりも大きい。
【0028】
起動弁要素18内には、縦方向開口部33と複数の他の開口部32とが形成されている。他の開口部32は環状空間27に通じ、縦方向開口部33は一方では他の開口部32に、他方ではばね空間25に通じている。
【0029】
さらに、起動弁要素18は繰り抜き部45を有し、繰り抜き部は縦方向開口部33と結合されている。繰り抜き部45内にはばね空間25が形成されてばね26が配置され、ばねは一方では弁箱20で支持され、他方では起動弁要素18で支持されて、起動弁要素18を弁座40の方向に押している。
【0030】
弁箱20はここでは多分割に形成されており、その結果磁気コイル14は多分割の弁箱20の間で受容され、統合されている。
【0031】
弁装置の機能態様
磁気コイル14が通電されていない場合、弁座40はばね26の力によって閉じており、その結果吸込口28と排出口31との間の結合部は閉じられている。したがって、ガス状媒体もシステムの方向においてタンク内部空間100から起動弁44を介してたとえば燃料電池装置を流動することができない。タンク内部空間100内では、たとえば700バールの高圧が支配している。これに対し、燃料電池装置内では低圧が支配している。
【0032】
磁気コイル14が通電されると、磁場が形成され、これにより弁箱20と起動弁要素18との間に力が作用することになる。これにより、起動弁要素18に対して磁力が生成され、この磁力はばね26の力およびガス状媒体によって生成される圧力とは逆方向である。このため、起動弁要素18が弁座40から離間して、これを開放する。この時点で、吸込口28と排出口31との間の結合部は開放されている。この時点で、ガス状媒体は吸込口28と、ばね空間25と、縦方向開口部33および他の開口部32と、環状空間27と、排出口31とを介して、システムの方向においてタンク内部空間100から貫通通路80内へ流れる。
【0033】
燃料電池への水素供給を中断すべき場合には、磁気コイル14をそれ以上通電させず、その結果磁力が撤去され、起動弁要素18がばね26の力により再び弁座40の方向に移動してこれを閉じる。
【0034】
排出口31の直径dと、貫通通路80の直径Dと、主弁要素16のストロークとは、有利には、燃料電池にすべての作動状態において十分な水素の質量流が供給されるように設計されている。この場合、貫通通路80の直径Dは排出口31の直径dよりも大きい。
【0035】
さらに、タンク10をガス状媒体で充填する場合、ここでは流動方向が排出口31から吸込口28の方向に延びるような水素で充填する場合、タンク10を短時間で、たとえば数分で充填させることができる。
【符号の説明】
【0036】
1 タンク装置
2 弁装置
4 貫通口
6 タンクの首領域
7 内部空間
10 タンク
11 縦軸線
12 被覆要素
14 磁気コイル
16 主弁要素
18 起動弁要素
19 密封体
20 弁箱
25 ばね空間
26 ばね
28 吸込口
31 排出口
32 他の開口部
33 縦方向開口部
36 移行領域
40 弁座
44 起動弁
45 繰り抜き部
50 周囲
80 貫通通路
100 タンク内部空間
図1
【国際調査報告】