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  • 特表-打ち込み装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-09
(54)【発明の名称】打ち込み装置
(51)【国際特許分類】
   B25C 7/00 20060101AFI20220202BHJP
   B25C 1/06 20060101ALI20220202BHJP
【FI】
B25C7/00 B
B25C1/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021534240
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(85)【翻訳文提出日】2021-06-15
(86)【国際出願番号】 EP2019083020
(87)【国際公開番号】W WO2020126408
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】18214817.1
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100, 9494 Schaan, LIECHTENSTEIN
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】ボルフラーム シュベルトナー
(72)【発明者】
【氏名】ディオヌス シャールベッター
【テーマコード(参考)】
3C068
【Fターム(参考)】
3C068AA01
3C068BB01
3C068CC07
3C068EE04
(57)【要約】
本発明は、留め付け要素を基体に打ち込むための装置に関し、前記装置は、ドライブと、特にピストンとして構成された、留め付け要素を基体に打ち込むために、ドライブによって初期位置から設定位置へと打ち込み方向に駆動される打ち込み要素と、支え面を備える制動要素であって、この支え面は、打ち込み要素の設定位置を画定し、設定位置では、打ち込み要素は支え面に特に支持される、制動要素と、端面を有する押圧要素であって、この端面は、基体に対して打ち込み方向に押圧することができ、端面と支え面とは、打ち込み方向に、互いに間隔を有し、この間隔は、基体への留め付け要素の打ち込み深さを画定する、押圧要素と、調整デバイスであって、この調整デバイスによって、端面と支え面との間の間隔を調整することができる、調整デバイスと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
留め付け要素を基材(被打ち込み材)に打ち込むための装置であって、
電源ユニットと、ピストンとして構成された、留め付け要素を前記基材に打ち込むために、前記電源ユニットによって開始位置から設定位置へと打ち込み方向に駆動される打ち込み要素と、を含み、さらに
接触面を備える制動要素であって、前記接触面は、前記打ち込み要素の前記設定位置を画定し、特に前記設定位置では、前記打ち込み要素は前記接触面に対して置かれる、制動要素と、
端面を有する押圧要素であって、前記端面は、前記基材へと前記打ち込み方向に押圧することができ、前記端面と前記接触面は、前記打ち込み方向に、互いに距離を置いており、前記距離は、前記基材への前記留め付け要素の打ち込み深さを画定する、押圧要素と、
調整デバイスであって、前記調整デバイスによって、前記端面と前記接触面との間の前記距離を調整することができ、前記調整デバイスは調整要素を含み、前記調整要素は、第1のねじ付き接続部によって前記制動要素に、第2のねじ付き接続部によって前記押圧要素に接続されており、したがって、前記調整要素が回転すると、最初に、前記調整要素は前記制動要素及び前記押圧要素に対してオフセットし、次に、前記押圧要素は前記制動要素に対してオフセットする、調整デバイスと
を含む、装置。
【請求項2】
前記第1のねじ付き接続部のねじ軸線は、前記打ち込み方向に方向付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第2のねじ付き接続部のねじ軸線は、前記打ち込み方向に方向付けられている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1のねじ付き接続部は右ねじを有し、前記第2のねじ付き接続部は左ねじを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のねじ付き接続部は左ねじを有し、前記第2のねじ付き接続部は右ねじを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1のねじ付き接続部は第1のねじピッチを有し、前記第2のねじ付き接続部は、前記第1のねじピッチとは異なる第2のねじピッチを有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のねじ付き接続部は、第1の雌ねじ及び第1の雄ねじを有し、前記第2のねじ付き接続部は、第2の雌ねじ及び第2の雄ねじを有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記調整要素は、前記第1の雄ねじ及び/又は前記第2の雄ねじを有する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記調整要素は、前記制動要素上及び前記押圧要素上にねじ止めされるねじ付きスリーブとして構成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
ハウジングと押圧センサとを更に含み、前記押圧センサは、前記装置が前記基材に対して前記打ち込み方向に押圧されたときにのみ前記基材と接触し、開始位置と押圧位置との間で、前記ハウジングに対して前記打ち込み方向の反対方向にオフセットさせることができ、前記装置が前記基材に対して押圧されていないとき、前記押圧センサは前記開始位置にあり、前記装置が前記基材に対して押圧されているとき、前記押圧センサは前記押圧位置にある、請求項1~9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記開始位置における前記押圧センサは、前記押圧要素を越えて前記打ち込み方向に突出する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記押圧センサは、前記押圧要素によって形成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記電源ユニットは、ばねとして構成された、位置エネルギーを貯蔵するための位置エネルギー貯蔵部であって、前記位置エネルギーによって前記打ち込み要素が駆動される、位置エネルギー貯蔵部と、エネルギー源から前記位置エネルギー貯蔵部にエネルギーを伝達するためのエネルギー伝達デバイスとを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、留め付け要素を基材(被打ち込み材)に打ち込むための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の場合、基材への留め付け要素の打ち込み深さは、いくつかの影響を与える変数に依存し、且つ様々な用途により異なる。所望の打ち込み深さを確保するために、打ち込み深さ調整デバイスを備える打ち込み装置を設け、使用者がその打ち込み深さ調整デバイスを用いて、打ち込み深さを規定の範囲内で調整することができることは知られている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の目的は、留め付け要素を基材に打ち込むための装置であって、電源ユニットと、好ましくはピストンとして構成されており、留め付け要素を基材に打ち込むために、電源ユニットによって開始位置から設定位置へと打ち込み方向に駆動される打ち込み要素と、を含み、接触面を備える制動要素であって、この接触面は、打ち込み要素の設定位置を画定し、特に設定位置では、打ち込み要素は接触面に対して置かれる、制動要素を更に含み、端面を有する押圧要素であって、この端面は、基材へと打ち込み方向に押圧することができ、端面と接触面は、打ち込み方向に、互いに距離を置いており、距離は、基材への留め付け要素の打ち込み深さを画定する、押圧要素を更に含み、調整デバイスであって、この調整デバイスによって、端面と接触面との間の距離を調整することができ、この調整デバイスは調整要素を含み、調整要素は、第1のねじ付き接続部によって制動要素に、第2のねじ付き接続部によって押圧要素に接続されており、したがって、調整要素が回転すると、最初に、調整要素は制動要素及び押圧要素に対してオフセットし、次に、押圧要素は制動要素に対してオフセットする、調整デバイスを更に含む、装置において達成される。これにより、設定位置と基材との間の距離の簡単な調整が可能になり、したがって、基材への留め付け要素の打ち込み深さを、装置の使用者が設定することができる。
【0004】
本発明の有利な態様は、第1のねじ付き接続部のねじ軸線は、打ち込み方向に方向付けられていることを特徴とする。第2のねじ付き接続部のねじ軸線は、同様に、有利には、打ち込み方向に方向付けられている。
【0005】
有利な態様は、第1のねじ付き接続部は右ねじを有し、第2のねじ付き接続部は左ねじを有することを特徴とする。或いは、第1のねじ付き接続部は左ねじを有し、第2のねじ付き接続部は右ねじを有する。更に有利な態様は、第1のねじ付き接続部は第1のねじピッチを有し、第2のねじ付き接続部は、第1のねじピッチとは異なる第2のねじピッチを有することを特徴とする。前記手法は、調整要素を回転させて押圧要素を制動要素に対してオフセットさせることを簡単なやり方で可能にする。
【0006】
有利な態様は、第1のねじ付き接続部は、第1の雌ねじ及び第1の雄ねじを有し、第2のねじ付き接続部は、第2の雌ねじ及び第2の雄ねじを有することを特徴とする。調整要素は、好ましくは、第1の雄ねじ及び/又は第2の雄ねじを有する。調整要素は、特に好ましくは、制動要素上及び押圧要素上にねじ止めされるねじ付きスリーブとして構成されている。
【0007】
有利な態様は、装置は、ハウジングと押圧センサとを含み、押圧センサは、装置が基材に対して打ち込み方向に押圧されたときにのみ基材と接触し、開始位置と押圧位置との間で、ハウジングに対して打ち込み方向の反対方向にオフセットさせることができ、装置が基材に対して押圧されていないとき、押圧センサは開始位置にあり、装置が基材に対して押圧されているとき、押圧センサは押圧位置にあることを特徴とする。開始位置における押圧センサは、好ましくは、押圧要素を越えて打ち込み方向に突出する。或いは、押圧センサは、押圧要素によって形成されている。
【0008】
有利な態様は、電源ユニットは、好ましくはばねとして形成された、位置エネルギーを貯蔵するための位置エネルギー貯蔵部であって、位置エネルギーによって打ち込み要素が駆動される、位置エネルギー貯蔵部と、エネルギー源から位置エネルギー貯蔵部にエネルギーを伝達するためのエネルギー伝達デバイスとを含むことを特徴とする。
【0009】
以下、留め付け要素を基材に打ち込むための装置の実施例について、図面を参照しながら更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】打ち込み装置の側面図である。
図2】ハウジングが開かれた状態の打ち込み装置の側面図である。
図3】第1の設定における打ち込み装置の一部の長手方向断面図である。
図4】第2の設定における打ち込み装置の一部の長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0011】
図1は、留め付け要素、例えば釘又はボルトを基材に打ち込むための打ち込み装置10を側面図で示す。打ち込み装置10は、留め付け要素にエネルギーを伝達するための打ち込み要素(図示せず)、並びに打ち込み要素を駆動するための打ち込み要素と電源ユニット(同様に図示せず)とを収容するハウジング20も有する。
【0012】
打ち込み装置10はまた、ハンドル30と、マガジン40と、ハンドル30をマガジン40に接続するブリッジ50とを有する。ブリッジ50には、打ち込み装置10を足場などに吊り下げるための足場フック60と、蓄電池590として構成された電気エネルギー貯蔵部とが取り付けられている。ハンドル30には、トリガー34と、ハンドスイッチ35として構成されたグリップセンサとが配置されている。更に、打ち込み装置10は、留め付け要素を案内するためのガイドチャネル700と、基材(図示せず)からの打ち込み装置10の距離を検出するための押圧デバイス750とを有する。基材に対する打ち込み装置の垂直位置合わせは、位置合わせ補助部45によって支援される。
【0013】
図2は、ハウジング20が開かれた状態の打ち込み装置10を示す。ハウジング20は、打ち込み要素71を運ぶための電源ユニット70を収容する。電源ユニット70は、ストレージバッテリー590からの電気エネルギーを回転エネルギーに変換するための電動機(図示せず)と、スピンドルドライブ300として形成されたモーションコンバータに電動機のトルクを伝達するための歯車機構400を含むトルク伝達デバイスと、モーションコンバータからばね200として形成された力学的エネルギー貯蔵部に力を伝達するための、及びばね200からエネルギー伝達要素に力を伝達するためのローラ列260を含む力伝達デバイスとを含む。
【0014】
図3及び図4は、ハウジング320とマガジン340とを備える打ち込み装置310を部分的に長手方向断面図で示す。打ち込み装置310は、電源ユニット370と、ピストンとして構成されており、留め付け要素を基材に打ち込むために、電源ユニット370によって開始位置から設定位置へと打ち込み方向330に駆動される打ち込み要素371とを含む。打ち込み装置310は、接触面351を備える制動要素350を含み、接触面351は、打ち込み要素371の設定位置(図3及び図4に示される)を画定する。制動要素350は、接触面351を備えるホルダ352と、減衰要素353と、衝突要素354と、スリーブ要素355とを有する。打ち込み動作の終了時に、打ち込み要素371は、衝突要素354にぶつかり、減衰要素353によって減衰される形で制動される。衝突要素354は、例えば鋼などの剛性材料で構成されており、減衰要素353は、例えばエラストマーなどの弾性的に高度に変形可能な材料で構成されている。設定位置において、打ち込み要素は、図3及び図4に示すように、衝突要素354に対して置かれている。図示されていない実施例では、設定位置において、打ち込み要素は、接触面に対して置かれている。
【0015】
打ち込み装置310は、端面381を有する押圧要素380を更に含み、端面381は、基材に対して打ち込み方向330に押圧され得る。端面381と接触面351は、打ち込み方向330に、互いに距離を置いている。打ち込み動作中、端面381は、基材に対して置かれ、接触面351は、打ち込み要素371の設定位置を画定するので、この距離は、基材への留め付け要素の打ち込み深さを画定する。前記距離は、調整デバイス410によって調整することができる。調整デバイス410は調整要素420を含み、調整要素420は、第1のねじ付き接続部430によって制動要素350のスリーブ要素355に、第2のねじ付き接続部440によって押圧要素380に接続されている。第1のねじ付き接続部430及び第2のねじ付き接続部440はそれぞれ、打ち込み方向330に方向付けられたねじ軸線を有する。
【0016】
第1のねじ付き接続部430のせいで、調整要素420が回転すると、制動要素350に対する調整要素420のオフセットが生じる。第2のねじ付き接続部440のせいで、調整要素420が回転すると、押圧要素380に対する調整要素420のオフセットが生じる。第1のねじ付き接続部430は右ねじを有する一方で、第2のねじ付き接続部440は左ねじを有する。その結果、調整要素420が回転すると、全般的に、制動要素380に対する押圧要素350のオフセットが生じる。それにより、設定位置と基材との間の距離の簡単な調整が可能になる。ここでは、第1のねじ付き接続部430のねじピッチと第2のねじ付き接続部440のねじピッチは同一である。図示されていない実施例では、第1のねじ付き接続部は左ねじを有し、第2のねじ付き接続部は右ねじを有する、又は第1のねじ付き接続部のねじピッチと第2のねじ付き接続部のねじピッチは互いに異なり、ねじの向きは同じ若しくは反対である。
【0017】
図3及び図4に示されるように、第1のねじ付き接続部430は、第1の雌ねじ431及び第1の雄ねじ433を有する。更に、第2のねじ付き接続部440は、第2の雌ねじ442及び第2の雄ねじ444を有する。調整要素420は、第1の雄ねじ433と第2の雄ねじ444とを有するねじ付きスリーブとして構成されており、したがって、制動要素350上又は押圧要素380上にねじ止めされる。
【0018】
打ち込み装置310は、押圧センサ450を更に含み、押圧センサ450は、押圧要素380及び押圧要素380の端面381を越えて打ち込み方向330に突出し、このため、打ち込み装置310が基材に対して打ち込み方向330に押圧されたときに基材に最初に接触する。押圧センサ450は、開始位置と押圧位置との間で、ハウジング320に対して打ち込み方向330に及び打ち込み方向330の反対方向にオフセットさせることができる。押圧センサ450は、押圧ばね460によって、図3及び図4に示される開始位置に予め装填されている。打ち込み装置310が基材に対して押圧されているとき、押圧センサは、打ち込み装置310の打ち込み動作が可能になる押圧位置にある。打ち込み装置310が基材に対して押圧されていないとき、押圧センサは、図3及び図4に示されている、打ち込み動作が阻止される開始位置にある。図示されていない実施例では、押圧センサは、押圧要素によって形成されている。
【0019】
図3において、調整デバイス410は、端面381と接触面351との間が最小可能距離、したがって、最大可能打ち込み深さの位置にある。この位置においては、スリーブ要素355と押圧要素380は互いに接して置かれ、その結果、調整デバイス410の調整移動(adjustment travel)、故に、打ち込み深さは、上向きに画定される。これとは対照的に、図4においては、調整デバイス410は、端面381と接触面351との間が最大可能距離、したがって、最小可能打ち込み深さの位置にある。調整要素420は、ラッチング装置(特に図示せず)によってこの位置に、及び好ましくは、1つ以上の中間位置に留められる。
【0020】
本発明を、打ち込み装置のいくつかの実施例に基づいて上述してきた。説明した特徴は、互いに矛盾しない限り、個々に又は組み合わせて、各実施例から他の全ての実施例に移し替えることができる。本発明による装置は、他の目的にも用いることができることに留意されたい。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】