IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

特表2022-514292マイクロメカニカルセンサ機構およびマイクロメカニカルセンサ機構の製造方法
<>
  • 特表-マイクロメカニカルセンサ機構およびマイクロメカニカルセンサ機構の製造方法 図1a
  • 特表-マイクロメカニカルセンサ機構およびマイクロメカニカルセンサ機構の製造方法 図1b
  • 特表-マイクロメカニカルセンサ機構およびマイクロメカニカルセンサ機構の製造方法 図2
  • 特表-マイクロメカニカルセンサ機構およびマイクロメカニカルセンサ機構の製造方法 図3
  • 特表-マイクロメカニカルセンサ機構およびマイクロメカニカルセンサ機構の製造方法 図4
  • 特表-マイクロメカニカルセンサ機構およびマイクロメカニカルセンサ機構の製造方法 図5
  • 特表-マイクロメカニカルセンサ機構およびマイクロメカニカルセンサ機構の製造方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(54)【発明の名称】マイクロメカニカルセンサ機構およびマイクロメカニカルセンサ機構の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 9/00 20060101AFI20220203BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20220203BHJP
   B81C 1/00 20060101ALI20220203BHJP
   H01L 29/84 20060101ALI20220203BHJP
【FI】
G01L9/00 305A
B81B3/00
B81C1/00
H01L29/84 B
H01L29/84 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021534970
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(85)【翻訳文提出日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 EP2019085677
(87)【国際公開番号】W WO2020127283
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】102018222770.5
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】ヘルメス,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】デッセル,ケリン
(72)【発明者】
【氏名】フリードリヒ,トーマス
【テーマコード(参考)】
2F055
3C081
4M112
【Fターム(参考)】
2F055AA40
2F055BB20
2F055CC02
2F055DD05
2F055EE25
2F055FF43
2F055GG01
2F055GG11
3C081AA11
3C081AA17
3C081BA03
3C081BA22
3C081BA45
3C081BA48
3C081BA53
3C081CA02
3C081CA13
3C081DA03
3C081DA08
3C081DA09
3C081DA26
3C081DA30
3C081EA03
4M112AA01
4M112BA07
4M112CA02
4M112CA06
4M112EA02
4M112EA07
(57)【要約】
本発明は、基板(2)およびこの基板(2)の上に配置されており、かつ基板(2)上の内部領域(IB)を横で縁取っている周縁層(3);内部領域(IB)の上に張られており、かつ基板(2)上の覆われた空洞(K)を形成している少なくとも1つのダイアフラム(4);空洞(K)内で基板(2)とダイアフラム(4)の間に配置されている少なくとも1つの支持部(5)を含んでおり、かつダイアフラム(4)が周縁層(3)および/または少なくとも1つの支持部(5)に固定されており、支持部(5)がダイアフラム(4)を、力の作用(p)によって動く少なくとも1つの測定領域(MB)と力の作用(p)によって動かない少なくとも1つの基準領域(RB)に分離し、かつ基板(2)およびダイアフラム(4)が、空洞(K)内に、測定領域(MB)および基準領域(RB)内で互いに向き合う電極(E1;E2)を含んでいるマイクロメカニカルセンサ機構(1)を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 基板(2)および前記基板(2)の上に配置されており、かつ前記基板(2)上の内部領域(IB)を横で縁取っている周縁層(3)、
- 前記内部領域(IB)の上に張られており、かつ前記基板(2)上の覆われた空洞(K)を形成している少なくとも1つのダイアフラム(4)、
- 前記空洞(K)内で前記基板(2)と前記ダイアフラム(4)の間に配置されている少なくとも1つの支持部(5)を含んでおり、かつ前記ダイアフラム(4)が前記周縁層(3)および/または前記少なくとも1つの支持部(5)に固定されており、前記支持部(5)が前記ダイアフラム(4)を、力の作用(p)によって動く少なくとも1つの測定領域(MB)と前記力の作用(p)によって動かない少なくとも1つの基準領域(RB)に分離し、かつ前記基板(2)および前記ダイアフラム(4)が、前記空洞(K)内に、前記測定領域(MB)および基準領域(RB)内で互いに向き合う電極(E1;E2)を含んでいるマイクロメカニカルセンサ機構(1)。
【請求項2】
前記ダイアフラム(4)が、複数の長方形の、多角形の、または丸い測定領域(MB)を含んでいる、請求項1に記載のセンサ機構(1)。
【請求項3】
前記ダイアフラム(4)が、相互にホイートストンブリッジとして接続されている同数の測定領域(MB)および基準領域(RB)を含んでいる、請求項2に記載のセンサ機構(1)。
【請求項4】
前記支持部(5)が、前記基板(2)の平面図では丸く、正方形に、長方形に、または多角形に成形されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のセンサ機構(1)。
【請求項5】
前記支持部(5)が、前記測定領域(MB)の少なくとも1つを全体的に、および互いに対して1μm~10μmのそれぞれの間隔(d)をあけて取り囲んでいる、請求項1から4のいずれか一項に記載のセンサ機構(1)。
【請求項6】
前記周縁層(3)および/または前記支持部(5)が前記ダイアフラム(4)と同じ材料を含んでいる、請求項1から5のいずれか一項に記載のセンサ機構(1)。
【請求項7】
前記周縁層(3)および/または前記支持部(5)が酸化物で充填されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のセンサ機構(1)。
【請求項8】
少なくとも1つの基準領域(RB)が前記少なくとも1つの測定領域(MB)を横で取り囲んでいる、請求項1から7のいずれか一項に記載のセンサ機構(1)。
【請求項9】
圧力センサとして実施されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のセンサ機構(1)。
【請求項10】
- 周縁層(3)を備えた基板(2)を提供し(S1)、前記周縁層(3)が前記基板(2)の上に配置され、かつ前記周縁層(3)が前記基板(2)上の内部領域(IB)を横で縁取るステップ、
- 前記内部領域(IB)内の前記基板(2)の上に少なくとも1つの支持部(5)を配置し(S2)、前記少なくとも1つの支持部(5)が前記基板(2)上の少なくとも1つの測定領域(MB)および少なくとも1つの基準領域(RB)を定義し、かつ互いから分離するステップ、
- ダイアフラム(4)を前記周縁層(3)および前記支持部(5)に配置し(S3)、これにより前記ダイアフラム(4)が、前記周縁層(3)および/または前記支持部(5)に固定され、かつ前記内部領域(IB)の上に張られ、かつ覆われた空洞(K)が前記内部領域(IB)内で前記ダイアフラム(4)と前記基板(2)の間に形成され、かつ前記支持部(5)により前記ダイアフラム(4)が、力の作用(p)によって動く少なくとも1つの測定領域(MB)と前記力の作用(p)によって動かない少なくとも1つの基準領域(RB)に分離されるステップを含む、マイクロメカニカルセンサ機構(1)の製造方法。
【請求項11】
前記空洞(K)がガスで満たされ、または真空が生成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの測定領域(MB)が、別の1つの測定領域(MB)より大きな厚さで成形される、請求項10または11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロメカニカルセンサ機構およびマイクロメカニカルセンサ機構の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイアフラムベースのセンサ、例えば圧力センサを実現するため、ダイアフラム幾何形状、ダイアフラム配置、ダイアフラム選択、およびダイアフラムの接続に関する複数の形態可能性が知られている。
【0003】
ここでの目標は、センサコア内でダイアフラム構成体として存在する複数のダイアフラムの配置および分布を達成することであり得る。
DE102016107275A1では、ベース面内の複数の小さな圧力セルを含む圧力センサが説明されている。
【0004】
さらに、長方形のダイアフラム、例えばダイアフラム長さとダイアフラム幅の比が3:1以上のアスペクト比をもつダイアフラムを備えた容量式圧力センサが知られている(米国特許第9,442,032(B2)号またはEP2994733B1)。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、請求項1に従うマイクロメカニカルセンサ機構および請求項10に従うマイクロメカニカルセンサ機構の製造方法を提供する。
好ましい変形形態は従属請求項の対象である。
本発明の利点
本発明の基礎となるアイデアは、1つまたは複数のダイアフラムを備えたセンサ機構を提示することにあり、この場合、ベース面内の複数のダイアフラムは分離可能および接続可能/連結可能であり得る。このセンサ機構が、信号ストローク(Signalhub)の上昇を特色とし得ることが有利である。
【0006】
正方形のベース面内の長方形のダイアフラムおよび有利にはその連結体が、ベースキャパシタンスに関連した信号ストロークの大きさ(ΔC/C0)に基づいて挙動し得ることが有利である。
【0007】
本発明によれば、マイクロメカニカルセンサ機構は、基板およびこの基板の上に配置されており、かつ基板上の内部領域を横で縁取っている周縁層;内部領域の上に張られており、かつ基板上の覆われた空洞を形成している少なくとも1つのダイアフラム;空洞内で基板とダイアフラムの間に配置されている少なくとも1つの支持部を含んでおり、かつダイアフラムが周縁層および/または少なくとも1つの支持部に固定されており、支持部はダイアフラムを、力の作用によって動く少なくとも1つの測定領域と力の作用によって動かない少なくとも1つの基準領域に分離し、かつ基板およびダイアフラムは、空洞内に、測定領域および基準領域内で互いに向き合う電極を含んでいる。
【0008】
このようなセンサ機構は、MEMS部品内で、例えば圧力センサまたはダイアフラムベースのセンサ内で用いられ得る。
センサ機構の好ましい一実施形態によれば、ダイアフラムは、複数の長方形の、多角形の、または丸い測定領域を含んでいる。
【0009】
センサ機構の好ましい一実施形態によれば、ダイアフラムは、相互にホイートストンブリッジとして接続されている同数の測定領域および基準領域を含んでいる。
センサ機構の好ましい一実施形態によれば、センサ機構は圧力センサとして実施されている。
【0010】
センサ機構の好ましい一実施形態によれば、支持部は、基板の平面図では丸く、正方形に、長方形に、または多角形に成形されている。
センサ機構の好ましい一実施形態によれば、支持部は、測定領域の少なくとも1つを全体的に、および互いに対して1μm~10μmのそれぞれの間隔をあけて取り囲んでいる。
【0011】
センサ機構の好ましい一実施形態によれば、周縁層および/または支持部はダイアフラムと同じ材料を含んでいる。
センサ機構の好ましい一実施形態によれば、周縁層および/または支持は酸化物で充填されている。
【0012】
センサ機構の好ましい一実施形態によれば、少なくとも1つの基準領域が少なくとも1つの測定領域を横で取り囲んでいる。
本発明によれば、マイクロメカニカルセンサ機構の製造方法では、周縁層を備えた基板の提供が行われ、この周縁層は基板の上に配置され、かつ周縁層が基板上の内部領域を横で縁取り;内部領域内の基板の上での少なくとも1つの支持部の配置が行われ、この少なくとも1つの支持部は基板上の少なくとも1つの測定領域および少なくとも1つの基準領域を定義し、かつ互いから分離し;ダイアフラムの周縁層および支持部での配置が行われ、これによりダイアフラムは、周縁層および/または支持部に固定され、かつ内部領域の上に張られ、かつ覆われた空洞が内部領域内でダイアフラムと基板の間に形成され、かつ支持部によりダイアフラムが、力の作用によって動く少なくとも1つの測定領域と力の作用によって動かない少なくとも1つの基準領域に分離される。
【0013】
この方法が、既に圧力センサ機構に関連して挙げた特徴およびその利点も特色とし得ること、ならびにその逆であることが有利である。
力の作用は圧力であり得る。
【0014】
方法の好ましい一実施形態によれば、空洞がガスで満たされ、または真空が生成される。
方法の好ましい一実施形態によれば、少なくとも1つの測定領域が、別の1つの測定領域より大きな厚さで成形される。
【0015】
本発明の実施形態のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照した以下の説明から明らかである。
以下では、図面の概略図に提示した例示的実施形態に基づいて本発明をより詳しく解説する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1a】本発明の1つの例示的実施形態によるセンサ機構の概略的な側面図である。
図1b】本発明のさらなる1つの例示的実施形態によるセンサ機構の概略的な側面図である。
図2】本発明の1つの例示的実施形態によるセンサ機構のダイアフラムの概略的な平面図である。
図3】本発明の1つの例示的実施形態によるセンサ機構の回路図である。
図4】本発明のさらなる1つの例示的実施形態によるセンサ機構の概略的な側面図である。
図5】本発明の1つの例示的実施形態によるダイアフラムの概略的な平面図および空洞の概略的な側面図である。
図6】本発明の1つの例示的実施形態によるセンサ機構の製造方法の概略的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図では、同じ符号は同じまたは機能的に同じ要素を意味している。
図1aは、本発明の1つの例示的実施形態によるセンサ機構の概略的な側面図を示している。
【0018】
圧力センサ機構1は、基板2およびこの基板2の上に配置されており、かつ基板2上の内部領域IBを横で縁取っている周縁層3と、周縁層3に係止されており、かつ内部領域IBの上に張られており、かつ基板2上の覆われた空洞Kを形成しているダイアフラム4と、有利には、空洞K内で基板2とダイアフラム4の間に配置されている支持部5とを含んでおり、支持部5はダイアフラム4を、圧力pによって動く少なくとも1つの測定領域MBと圧力pによって動かない少なくとも1つの基準領域に分離し、かつ基板2およびダイアフラム4は、空洞K内に、測定領域MBおよび基準領域内で互いに向き合う電極E1およびE2を含んでいる。周縁層は、周縁領域として成形することができ、かつ有利には複数の層を含むこともできる。
【0019】
周縁層3が、内部領域を閉じられた空洞として、有利には密閉された空洞として形成することが有利である。
しかも周縁層3は、それ自体が複数の重なり合って配置された層を含むこともでき、かつ有利には鉛直に基板2から遠ざかるように延びており、したがって周縁層3は空洞の側壁を構成し得る。周縁層3は、空洞を横で全体的に取り囲むことができ、しかもそれ自体が貫通ビアとしてのコンタクト部Kiを含むことができ、このコンタクト部Kiと空洞内の電極E1およびE2が接続され得る。電極は、基板2での下側電極E2およびダイアフラム4での上側電極E1で構成され得る。支持部5は、ダイアフラム4の材料を含むことができ、かつ有利にはその内部に酸化物材料を含むことができる。支持部は、(例えば全体的に)ダイアフラム材料、例えばシリコン、ポリSi、アモルファスシリコン、SiN、シリコンリッチ窒化物から成り得る。
【0020】
ダイアフラムに1つまたは複数のスペーサ(当止め構造、当止めコブ、または当止めストッパ)が配置されていて、空洞K内へ延びていることができる(示されていない)。スペーサは、ダイアフラムの材料または別の材料を含むことができ、かつむき出しになっているかまたは上側電極E1で覆われ得る。ダイアフラム4も、複数の重なり合って配置された層を含むことができ、または1種の材料、例えばシリコンから成り得る。図1では、圧力センサ機構1が、内部領域IB内に、測定領域間の支持部5によって分離された複数の測定領域MBを含んでおり、かつこの複数の測定領域MBは複数のダイアフラム領域の連結に相応し得る。空洞上のダイアフラム全体として成形され得る1つのダイアフラムに対し、複数のダイアフラム領域(測定領域)は全部で単一ダイアフラムのベース面より小さな全体面を有し得る。この場合、確かに単一ダイアフラム(単一キャパシタンス)の場合より小さなキャパシタンス面が生じ得るが、ただし空洞Kおよびダイアフラムの区分けにより、複数の測定領域MBが、1つの空洞およびその有利には密閉された体積を分け合うことができ、それにより、空洞K内の封入された圧力の、ガス放出に対するまたは温度変化に対する安定性に関する利点が達成可能であり得る。空洞内には、ガス、製造プロセスからの残留ガス、または真空が存在し得る。この配置での複数の測定領域(ダイアフラム領域)は、1つの密閉された空洞を、とりわけ、基板と、側壁(周縁層)と、上側のダイアフラム層とによって形成され得る正確に1つの空洞を分け合うことができる。
【0021】
個々のダイアフラム、例えば測定領域(ダイアフラム領域)は、この全体配置内で、点状に基板をダイアフラムと結合し得る支持部の相応の配置によって実現され得る(支持部により、ダイアフラム領域が互いから分離され得る)。支持部の補剛作用が、1つの密閉空間内での複数の個々のダイアフラム(測定領域、ダイアフラム領域)を可能にする。
【0022】
支持部5は、それぞれ同じまたは異なる形状を有し得る。しかも支持部5はそれ自体が長方形に、例えば直方体として、例えば大きさの異なる直方体の組合せとして形成することができ(示されていない)、コアおよびシェル材料、例えばシェルとしてのダイアフラム材料を含むことができ、または1種の材料だけから製造され得る。さらに、その他の形状、例えば水平断面では丸い形状(円形、楕円形)、長方形、多角形、三角形、もしくはさらなる形状、例えば十字形を、または鉛直方向では上もしくは下へのある特定の開き角度での錐形もしくは円錐形を形成することもでき、したがって、支持部の側面とダイアフラムおよび/または基板とは直角でなくてよい。支持部は、測定領域MBを横で部分的にまたは全体的に取り囲み得る。測定領域は、少なくとも1つの側で、側壁としての周縁層3によっても囲まれおよび画定され得る。
【0023】
測定領域MBが成形可能である内部領域IB内のダイアフラム4のベース面は、例えば350×350μmであり得る。そのようなベース面内では、様々なダイアフラム配置が可能であり、例えば、長方形もしくは丸であり得る単一の測定領域または同様に丸もしくは長方形であり得る複数の測定領域が可能であり、例えば、辺の長さが最大約160×160μmの、測定領域内の幾つかの正方形のダイアフラム領域;または直径が最大350μmの1つの丸い測定領域、または直径がそれぞれ最大約160μmの複数の丸い測定領域、または辺の長さが最大約320μmで辺の長さの比が2:1より大きい複数の長方形の測定領域が可能である。これに加え、同様に多くの基準領域RBがさらに存在し得る。
【0024】
ダイアフラム4は、例えばシリコン(またはポリSi、アモルファスSi)を含み得る。ダイアフラム4は、絶縁性のシリコンリッチ窒化物層(SiRiN)と導電性のポリSi電極層から成る組合せを含むこともできる。ポリシリコンの場合、有利にはポリで結晶成長を意味しており、これに対しアモルファスまたは単結晶Siの場合はまた別である。
【0025】
ダイアフラム4は、測定領域MB上で、この領域内のダイアフラム4を自由にし得るために、少なくとも1つまたは複数のエッチング孔を含み得る。
図1bは、本発明のさらなる1つの例示的実施形態によるセンサ機構の概略的な側面図を示している。
【0026】
図1bの実施形態は、センサ機構、有利には圧力センサ機構1が、内部領域を2つのダイアフラム領域/測定領域(MB)に区分けし得る1つだけの支持部5を含むことにおいてのみ、図1aの実施形態とは異なっている。したがってダイアフラム4は、周縁領域3にある外側領域(周縁)で固定されて、もう一方の側で、つまり空洞内で支持部5に固定されることができる。ダイアフラム4は、少なくとも1つのダイアフラムとして成形でき、かつ例えば一続きの層として成形され得る。周縁層は、横の外周縁でのダイアフラム保持部6であることができ、ダイアフラム保持部6は、基板2と固定的に結合され得る。ダイアフラムにスペーサがあることができ(示されていない)、またはスペーサはなくすことができる。
【0027】
図2は、本発明の1つの例示的実施形態によるセンサ機構のダイアフラムの概略的な平面図を示している。
図2は、4つの長方形の領域へのダイアフラム4の分割の可能なレイアウトを示しており、そのうちの2つは測定領域MBとして、およびそのうちの2つは基準領域RBとして形成することができ、かつ周縁層3内のダイアフラム4より小さなベース面を有し得る。図2によれば、測定領域が、測定領域内では圧力pによって湾曲し得る自由にされたダイアフラムを有しており、かつ基準領域が、犠牲層または別の材料によって裏張りされ得ることにより、測定領域と基準領域が異なり得る。基準領域および測定領域での上側電極E1は、外部のコンタクトAおよびBによって接触でき(例えば導線として)、かつ周縁層3を介して導かれ得る。基準領域および測定領域での下側電極E2は、外部のコンタクトCおよびDによって接触でき、かつ周縁層3を介して導かれ得る。支持部5は、測定領域MBを互いから、および基準領域RBから分離でき、かつ周縁層3の2つの向かい合う側壁の間で、平行なラインに沿って走り得る。支持部は互いに対してそれぞれ10μm~50μmの距離dを有し得る。両方の測定領域MBは、直接的に互いに隣接することができ、かつ空洞Kを分け合うことができる。測定領域または基準領域のダイアフラム面は、例えばそれぞれ300μm×80μmおよび15μmの範囲の半幅(Halbbreite)を含み得る。
【0028】
図の下の部分には、センサ機構1の相応の側面図を示している。
図3は、本発明の1つの例示的実施形態によるセンサ機構の回路図を示している。
測定領域MBおよび基準領域RBがホイートストンブリッジ内で相互に接続され得ることが有利である。このために、同数の測定領域MBおよび基準領域RBが存在しており、これらの領域がすべて、実質的に同じキャパシタンスを有し得ることが有利である。外部電極A、B、C、およびDは、例えば図2に相応しており、測定領域MBおよび基準領域RBの割当ても同様である。外部電極A、B、C、およびDならびに測定領域および基準領域MBおよびRBによる接続は、下側の図で示したように、他のやり方でもよい。
【0029】
図4は、本発明のさらなる1つの例示的実施形態によるセンサ機構の概略的な側面図を示している。
図4は、図3(下側または上側の図に従うような回路で)の配置の側面図を示しており、測定領域MBはそれぞれ、例えばエッチング法に基づいて自由にされたダイアフラム4を含んでおり、かつ基準領域RBは、ダイアフラムを自由にしないことができ、したがって実質的に、ダイアフラム4での、測定領域MBを変位し得る圧力では動かないでいられる。外部電極A、B、C、およびDは、例えば図2に相応しており、測定領域MBおよび基準領域RBの割当ても同様である。2つの隣り合う測定領域MBは、空洞の体積も分け合うことができ、その際、支持部5の間での結合が存在し得る(示されていない)。
【0030】
ダイアフラムは、例えば320μm×80μmのベース面およびSiRiNから成る層を含み得る。その代わりにダイアフラムは、シリコン、ポリSi、またはその他の材料、例えばSiN、SiOとの組合せから成る少なくとも1つの層を含むこともできる。
【0031】
図5は、本発明の1つの例示的実施形態によるダイアフラムの概略的な平面図および空洞の概略的な側面図を示している。
基準領域および測定領域MB内のダイアフラム4の別の区分けによれば、基準領域RBは、測定領域MBを横で、例えば全体的に取り囲み得る。ダイアフラム4の外側領域は、周辺層に接するまたは周縁層の外側のランドと結合していることができ、一般的に、ダイアフラムの中央の領域より少ししかたわむことができず、これにより、測定領域を横で取り囲む基準領域の配置は、ダイアフラム幾何形状に関係なく支持部によって可能であり得る(周りを取り囲むキャパシタンス領域が測定領域を囲み得る)。したがって支持部5は、基準領域RBの機械的補強であり得る。支持部は、例えば2μm~20μmの直径を有することができ、かつ例えば丸いことができる。その代わりに支持部は、辺の長さが1μm~20μmの範囲内の直方体または長方形(平面図)を含むこともできる。支持部はその内部に、酸化物から成るコアを含み、かつこのコアを被覆することができる。支持部の例示的な直径が2μmの一重に充填された支持部または支持部の例示的な直径が8μmの二重に充填された支持部。基準領域RBは、測定領域とは異なるキャパシタンスを有することもできる。図5では上の領域で、測定領域MBと周縁層3の結合を示している。これに関し、結合は電極のレベルだけであってよく、ダイアフラムとしての基準領域は、それでもなお電極の上で測定領域を全体的に取り囲み得る(示していない)。図5の下の領域は圧力センサ機構1の側断面図を示しており、この側断面図では、支持部5が基準領域RBと測定領域MBを互いから分離し得る。この場合、周縁層3は、空洞および基準領域に、横で外側へとつながり得る(下側の図では示されていない)。基準領域RB内および測定領域内ではそれぞれ、基板2に下側電極E2が、およびダイアフラム4に上側電極E1が配置され得る。この場合にも、空洞K内で有利には密閉封入された体積が拡大され得る。しかしダイアフラムの外側の周縁層も空洞を有し得る。よってこの場合にも、封入された圧力の、ガス放出に対する安定性に関するまたは温度変化に対する安定性についての利点が達成され得る。
【0032】
図6は、本発明の1つの例示的実施形態によるセンサ機構の製造方法の概略的なブロック図を示している。
センサ機構(有利には圧力センサ機構)の製造方法では、周縁層を備えた基板の提供S1が行われ、この周縁層は基板の上に配置され、かつ周縁層が基板上の内部領域を横で縁取り;内部領域内の基板の上での支持部の配置S2が行われ、この支持部は基板上の少なくとも1つの測定領域および少なくとも1つの基準領域を定義し、かつ互いから分離し;ダイアフラムの周縁層および支持部での配置S3が行われ、これによりダイアフラムは、周縁層で係止され、かつ内部領域の上に張られ、かつ覆われた空洞が内部領域内でダイアフラムと基板の間に形成され、かつ支持部によりダイアフラムが、圧力(力の作用)によって動く少なくとも1つの測定領域と圧力によって動かない少なくとも1つの基準領域に分離される。
【0033】
本発明を好ましい例示的実施形態に基づいて上で全体的に説明してきたが、本発明は、この例示的実施形態に限定されるのではなく、多種多様なやり方で改変可能である。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2021-06-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 基板(2)および前記基板(2)の上に配置されており、かつ前記基板(2)上の内部領域(IB)を横で縁取っている周縁層(3)と、
- 前記内部領域(IB)の上に張られており、かつ前記基板(2)上の覆われた空洞(K)を形成している少なくとも1つのダイアフラム(4)と、
- 前記空洞(K)内で前記基板(2)と前記ダイアフラム(4)の間に配置されている少なくとも1つの支持部(5)と、を含んでおり、かつ前記ダイアフラム(4)が前記周縁層(3)および前記少なくとも1つの支持部(5)に固定されており、前記支持部(5)が前記ダイアフラム(4)を、力の作用(p)によって動く少なくとも1つの測定領域(MB)と前記力の作用(p)によって動かない少なくとも1つの基準領域(RB)に分離し、かつ前記基板(2)および前記ダイアフラム(4)が、前記空洞(K)内に、前記測定領域(MB)および基準領域(RB)内で互いに向き合う電極(E1;E2)を含んでおり、
前記ダイアフラム(4)が、複数の長方形の、多角形の、または丸い測定領域(MB)を含んでおり、かつ
前記ダイアフラム(4)が、相互にホイートストンブリッジとして接続されている同数の測定領域(MB)および基準領域(RB)を含んでいるマイクロメカニカルセンサ機構(1)。
【請求項2】
前記支持部(5)が、前記基板(2)の平面図では丸く、正方形に、長方形に、または多角形に成形されている、請求項1に記載のセンサ機構(1)。
【請求項3】
前記支持部(5)が、前記測定領域(MB)の少なくとも1つを全体的に、および互いに対して1μm~10μmのそれぞれの間隔(d)をあけて取り囲んでいる、請求項1または2に記載のセンサ機構(1)。
【請求項4】
前記周縁層(3)および/または前記支持部(5)が前記ダイアフラム(4)と同じ材料を含んでいる、請求項1から3のいずれか一項に記載のセンサ機構(1)。
【請求項5】
前記周縁層(3)および/または前記支持部(5)が酸化物で充填されている、請求項1から4のいずれか一項に記載のセンサ機構(1)。
【請求項6】
少なくとも1つの基準領域(RB)が前記少なくとも1つの測定領域(MB)を横で取り囲んでいる、請求項1から5のいずれか一項に記載のセンサ機構(1)。
【請求項7】
圧力センサとして実施されている、請求項1から6のいずれか一項に記載のセンサ機構(1)。
【請求項8】
- 周縁層(3)を備えた基板(2)を提供し(S1)、前記周縁層(3)が前記基板(2)の上に配置され、かつ前記周縁層(3)が前記基板(2)上の内部領域(IB)を横で縁取るステップと、
- 前記内部領域(IB)内の前記基板(2)の上に少なくとも1つの支持部(5)を配置し(S2)、前記少なくとも1つの支持部(5)が前記基板(2)上の少なくとも1つの測定領域(MB)および少なくとも1つの基準領域(RB)を定義し、かつ互いから分離するステップと、
- ダイアフラム(4)を前記周縁層(3)および前記支持部(5)に配置し(S3)、これにより前記ダイアフラム(4)が、前記周縁層(3)および/または前記支持部(5)に固定され、かつ前記内部領域(IB)の上に張られ、かつ覆われた空洞(K)が前記内部領域(IB)内で前記ダイアフラム(4)と前記基板(2)の間に形成され、かつ前記支持部(5)により前記ダイアフラム(4)が、力の作用(p)によって動く少なくとも1つの測定領域(MB)と前記力の作用(p)によって動かない少なくとも1つの基準領域(RB)に分離されるステップと、を含み、
前記基板(2)および前記ダイアフラム(4)の、前記測定領域(MB)および基準領域(RB)内で互いに向き合う電極(E1、E2)が含まれ、
前記ダイアフラム(4)の複数の長方形の、多角形の、または丸い測定領域(MB)が含まれ、かつ
前記ダイアフラムの、同数の相互にホイートストンブリッジとして接続されている測定領域(MB)および基準領域(RB)が含まれる、マイクロメカニカルセンサ機構(1)の製造方法。
【請求項9】
前記空洞(K)がガスで満たされ、または真空が生成される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの測定領域(MB)が、別の1つの測定領域(MB)より大きな厚さで成形される、請求項8または9に記載の方法。
【国際調査報告】