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特表2022-514507実験試料を自動処理するための自動実験システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(54)【発明の名称】実験試料を自動処理するための自動実験システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20220204BHJP
【FI】
G01N35/10 G
G01N35/10 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533628
(86)(22)【出願日】2019-12-11
(85)【翻訳文提出日】2021-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2019084629
(87)【国際公開番号】W WO2020120567
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】18212806.6
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591121683
【氏名又は名称】エッペンドルフ エスイー
【氏名又は名称原語表記】Eppendorf SE
【住所又は居所原語表記】Barkhausenweg 1, D-22339 Hamburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】イェンス-ペーター・クローク
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058AA05
2G058CA01
2G058CB08
2G058CC01
2G058CD11
2G058CF01
2G058EA02
2G058EA04
2G058ED02
2G058ED10
2G058ED20
2G058ED36
(57)【要約】
実験試料を自動処理するための自動実験システムであって、
作業領域と、
作業領域にある、実験アイテム用の予め画定された複数のワークステーションであって、標準マイクロタイター・プレートのフットプリントに適合するフォーマットを備えている、複数のワークステーションと、
ツールを作業領域の上に移動させる少なくとも1つの移動装置と、
実験アイテムを作業領域に再配置するために、移動装置によって移動可能な少なくとも1つの搬送ツールと、
作業領域において、ピペット・チップを取り上げたり解除したりし、かつピペット・チップによって液体を吸い上げて分注するために、移動装置によって移動可能な少なくとも1つのピペッティング・ツールと、
ピペット・チップ保持具用のホルダと、を備え、
ピペット・チップ保持具用のホルダが、矩形の貫通開口部を有する少なくとも1つの保持装置と、保持装置に接続されている支持装置とを有するホルダとを備え、
支持装置を備えたホルダが、ワークステーションに取り付けられているピペット・チップ保持具の隣の作業領域に載置されるので、標準マイクロタイター・プレートのフットプリントに適合したフットプリントを有するピペット・チップ保持具の上に保持装置が載置され、保持装置の下に取り付けられたピペット・チップ保持具から、ピペット・チップをピペッティング・ツールによって保持装置の貫通開口部を通して取り出すことが可能であり、標準マイクロタイター・プレートのフットプリントに適合したフットプリントを有するピペット・チップ保持具を保持装置に取り付けることが可能であり、
自動実験システムは電子制御装置を備え、この電子制御装置は、移動装置に接続されており、ピペッティング・ツールによってピペット・チップを保持装置に取り付けられたピペット・チップ保持具から取り出すことができるように、ピペット・チップ保持具を搬送ツールによって保持装置から取り外すことができるように、かつ保持装置の下に取り付けられたピペット・チップ保持具から、保持装置の貫通開口部を通してピペット装置によってピペット・チップを取り出すことができるように、搬送ツールの動きとピペッティング・ツールの動きとを移動装置によって制御するように設計されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実験試料を自動処理するための自動実験システムであって、
作業領域(2)と、
前記作業領域(2)にある、実験アイテム用の予め画定された複数のワークステーション(3)であって、標準マイクロタイター・プレートのフットプリントに適合するフォーマットを備えている、複数のワークステーション(3)と、
ツールを前記作業領域(2)の上に移動させる少なくとも1つの移動装置(29)と、
実験アイテムを前記作業領域に再配置するために、前記移動装置(29)によって移動可能な少なくとも1つの搬送ツール(31)と、
前記作業領域(2)において、ピペット・チップ(25)を取り上げたり解除したりし、かつ前記ピペット・チップ(25)によって液体を吸い上げて分注するために、前記移動装置(29)によって移動可能な少なくとも1つのピペッティング・ツール(30)と、
ピペット・チップ保持具(7)用のホルダ(9.1,9.2)と、を備え、
前記ピペット・チップ保持具(7)用のホルダ(9.1,9.2)が、矩形の貫通開口部(19)を有する少なくとも1つの保持装置(10)と、前記保持装置(10)に接続されている支持装置(12)とを有し、
前記支持装置(12)を備えたホルダ(9.1,9.2)が、ワークステーション(3)に取り付けられているピペット・チップ保持具(7)の隣の前記作業領域(2)に載置されるので、前記標準マイクロタイター・プレートの前記フットプリントに適合したフットプリントを有する前記ピペット・チップ保持具(7)の上に前記保持装置(10)が載置され、前記保持装置(10)の下に取り付けられた前記ピペット・チップ保持具(7)から、前記ピペット・チップ(25)を前記ピペッティング・ツール(31)によって前記保持装置(10)の前記貫通開口部(19)を通して取り出すことが可能であり、前記標準マイクロタイター・プレートのフットプリントに適合したフットプリントを有する前記ピペット・チップ保持具(7)を前記保持装置(10)に取り付けることが可能であり、
前記自動実験システムが電子制御装置を備え、前記電子制御装置は、前記移動装置(29)に接続されており、前記ピペッティング・ツール(30)によって前記ピペット・チップ(25)を前記保持装置(10)に取り付けられた前記ピペット・チップ保持具(7)から取り出すことができるように、前記ピペット・チップ保持具(7)を前記搬送ツール(31)によって前記保持装置(10)から取り外すことができるように、かつ前記保持装置の下に取り付けられた前記ピペット・チップ保持具(7)から、前記保持装置(10)の前記貫通開口部(19)を通して前記ピペッティング・ツール(30)によって前記ピペット・チップ(25)を取り出すことができるように、前記搬送ツール(31)の動きと前記ピペッティング・ツール(30)の動きとを前記移動装置(29)によって制御するように設計されている、自動実験システム。
【請求項2】
前記ホルダ(9.1,9.2)が担持装置(14)を備え、前記支持装置(12)が前記担持装置(14)を介して前記作業領域(2)上に支持され、前記担持装置(14)は、矩形の受容開口部(22)に標準マイクロタイター・プレートのフットプリントに適合するフットプリントを有するピペット・チップ保持具(7)またはピペット・チップ・ホルダ(8)を受容するように、あるいは前記ピペット・チップ保持具またはピペット・チップ・ホルダを縁部に支持するように設計されている、請求項1に記載の自動実験システム。
【請求項3】
前記保持装置(10)が矩形の第1のフレーム(11)であり、前記担持装置(14)が矩形の第2のフレーム(15)である、請求項1または2に記載の自動実験システム。
【請求項4】
前記支持装置(12)が、前記保持装置(10)の上部および前記担持装置(14)の底部に接続される少なくとも1つのロッド(13)または別の線状接続バーを備える、請求項2または3に記載の自動実験システム。
【請求項5】
前記ワークステーション(3)が第1の整列要素(4)の配置によって境界を定められており、前記第1の整列要素(4)は間に挿入された標準マイクロタイター・プレートを前記ワークステーション(3)に位置合わせするように設計されており、前記ホルダ(9.1,9.2)が、その下縁部領域に、前記ホルダ(9.1,9.2)を前記第1の整列要素(4)に位置合わせするために、前記第1の整列要素(4)に対して相補的な形状を有する第2の整列要素(23)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の自動実験システム。
【請求項6】
前記第1の整列要素(4)が複数の第1のピン(5)と少なくとも1つの第1のばね要素(6)とを備え、前記ワークステーション(3)の角部において前記作業領域(2)から上を向いており、前記第2の整列要素(23)が前記第1のピン(5)と前記第1のばね要素(6)を受けるように設計されている第1の整列孔(24)を備える、請求項5に記載の自動実験システム。
【請求項7】
前記保持装置(10)が、前記ホルダ(9.1,9.2)の底面からある距離をおいて配置されており、その距離は、前記ピペット・チップ保持具(7)が上に載置された前記ピペット・チップ・ホルダ(8)と前記ピペット・チップ保持具に保持されている前記ピペット・チップ(25)からなる配置の高さを超える、請求項1から6のいずれか一項に記載の自動実験システム。
【請求項8】
前記保持装置(10)と前記ホルダ(9.1,9.2)の底面との距離は、前記保持装置(10)に載置されている前記ピペット・チップ保持具(7)に保持された前記ピペット・チップ(25)が、ピペット・チップ・ホルダ(8)に載置されている前記ピペット・チップ保持具(7)にあるピペット・チップ(25)の上の底部で終端するようになっている、請求項7に記載の自動実験システム。
【請求項9】
少なくとも2つの平行のフレーム部の内面に、前記ホルダ(9.1,9.2)の前記第1のフレーム(11)が、前記第1のフレーム(11)の上面に対して下方に中心をずらして配置されているレスト・レッジ(20)を備え、レスト・レッジ(20)は、ピペット・チップ保持具(7)またはピペット・チップ・ホルダ(8)を少なくとも2つの平行な端部に取り付けるための貫通開口部(19)を画定する、請求項3から8のいずれか一項に記載の自動実験システム。
【請求項10】
前記ホルダ(9.1,9.2)の前記第1のフレーム(11)が、少なくとも1つのフレーム部分(26)の外縁部にピペット・チップ(25)を受けるための孔の列(27)を備える、請求項3から9のいずれか一項に記載の自動実験システム。
【請求項11】
前記搬送ツールが、水平軸を中心に旋回可能な把持アーム(32)を備えるグリッパ・ツール(31)であり、前記把持アームは、互いに対向する内面に突出しているニードル(33)を備え、実験アイテムを把持するために前記移動装置(29)を用いて共に旋回し、かつ実験アイテムを解除するために離れるように旋回することが可能である、請求項1から10のいずれか一項に記載の自動実験システム。
【請求項12】
前記搬送ツール(31)用の前記作業領域(2)内の所定の保管場所と、前記保管場所にその下縁部の近くに載置可能な、矩形のチューブ(43)を有するアダプタ(40)とを備え、前記アダプタ(40)は、前記搬送ツール(31)への確実な接続装置(49)を有し、その上縁部は中に挿入されている前記ピペット・チップ(25)が前記チューブ(43)に到達するように前記ピペット・チップ保持具(7)を担持するように設計されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の自動実験システム。
【請求項13】
前記保管場所が、第3の整列要素(42)の配置を備え、前記アダプタ(40)が、前記保管場所の前記第3の整列要素(42)と前記アダプタ(40)を位置合わせするために、前記第3の整列要素と相補的な形状を有する第4の整列要素を底部に備え、かつ/または、前記アダプタ(40)が、第5の整列要素(45)の配置を上縁部に備え、前記第5の整列要素(45)は、前記アダプタ(40)に標準マイクロタイター・プレートのフットプリントに適合したフットプリントを有するピペット・チップ保持具(7)を位置合わせするように設計されている、請求項12に記載の自動実験システム。
【請求項14】
液体実験試料を自動処理するための、請求項1から13のうちのいずれか一項に記載の自動実験システムの使用であって、
標準マイクロタイター・プレートのフットプリントに適合するフットプリントを有するピペット・チップ保持具(7)内にあるピペット・チップ(25)が、所定のワークステーション(3)に設けられ、
保持装置(10)が前記ピペット・チップ保持具(7)の上に配置されるように、支持装置(12)を備えたホルダ(9.1,9.2)が作業領域(2)上の前記ワークステーション(3)に取り付けられているピペット・チップ保持具(7)に隣接して載置され、
標準マイクロタイター・プレートのフットプリントに適合するフットプリントを有するピペット・チップ保持具(7)にあるピペット・チップ(25)が、前記ホルダ(9.1,9.2)の前記保持装置(10)に設けられ、
ピペット・チップ(25)がピペッティング・ツール(30)を用いて前記保持装置(10)の前記ピペット・チップ保持具(7)から取り出され、それによって液体が移送された後に解除され、
前記ピペット・チップ保持具(7)が搬送ツール(31)を用いて前記保持装置(10)から取り外され、
ピペット・チップ(25)が前記ピペッティング・ツール(30)を用いて前記保持装置(10)の貫通開口部(19)を通して前記保持装置の下に配置されているピペット・チップ保持具(7)から取り出され、液体を移送するのに使用される、自動実験システムの使用。
【請求項15】
前記ピペット・チップ保持具(7)が前記ワークステーション(3)に載置されて、その中に保持されているピペット・チップ(25)が前記ワークステーション(3)の凹部に到達し、あるいはピペット・チップ保持具(7)がピペット・チップ・ホルダ(8)に載置されて、前記ピペット・チップ・ホルダ(8)が前記ワークステーション(3)に載置され、かつ/あるいは、前記ピペット・チップ保持具(7)が前記保持装置(8)に載置され、または前記ピペット・チップ保持具(7)が前記ピペット・チップ・ホルダ(8)の上部に載置されて、前記ピペット・チップ・ホルダ(8)が前記保持装置(10)に載置される、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
ピペット・チップ保持具(7)がホルダ(9.1,9.2)の前記保持装置(10)に配置されない場合、前記搬送ツール(31)を用いてピペット・チップ保持具(7)を前記アダプタ(40)から取り外し、前記ホルダの前記保持装置(10)またはその上に配置されているピペット・チップ・ホルダ(8)に載置し、前記ピペッティング・ツール(30)を用いてピペット・チップ(25)を前記ピペット・チップ保持具(7)から取り出し、液体を移送するのに使用される、請求項14または15に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実験試料を自動処理するための自動実験システムに関する。
【0002】
自動実験システムは、特に、生物学的実験室、生化学的実験室、医学的実験室、法医学的実験室、または化学的実験室において、主に液体実験試料を処理するために使用されている。処理操作は、特に、試料の計量、混合、分割、希釈、加熱/冷却、生化学的または化学的な変質、または分析を含む。その過程で、試料は、その量や組成に関して、または物理的に、生化学的に、化学的に、あるいは他の方法で、変質されてもよい。自動実験システムは、特に、希釈系列の作製、試薬の分配、容器からプレートへの試料の移送、試料の規格化、PCRの設定、リアルタイムPCR、磁気ビーズ法を用いた核酸の精製、次世代シーケンシングのための試料の調製、細胞試験の処理や通常のピペット操作に使用されている。自動的に試料を処理することは、これらを手動で行うよりも迅速で、正確で、かつ信頼性が高い。自動実験システムおよび実験試料を処理する方法は、欧州特許公開第2 713 166A1号に記載されている。
【0003】
エッペンドルフ社(Eppendorf AG)の自動実験システムepMotion(登録商標)5070、5073、および5075には、実験アイテム用のワークステーションを備えた作業領域や、グリッパやピペッティング・ツールを保管する保管領域がある。試料は、実験アイテム内に保管され取り扱うことができる。実験アイテムは、たとえば、試薬容器、反応容器、リザーバ、マイクロタイター・プレート(マイクロプレート)、ピペット・チップ、および廃棄物容器を含む。実験アイテムは、ワークステーションに直接配置されるか、ワークステーション上の保管装置に保管される。この保管装置は、たとえば、ピペット・チップ保持具、ピペット・チップ保持具用ホルダ、リザーバまたは容器用のラック、マイクロタイター・プレートの高さを調整するアダプタを含む。ピペット・チップ・ホルダおよびピペット・チップ保持具を備えるピペット・チップ用保持具は、独国特許第10 2009 006 511B4号に記載されている。実験液用のモジュール式貯蔵システムは欧州特許第2 168 684B1号に記載されている。
【0004】
さらに、自動実験システムは、ツール・ホルダを有するXYZロボット・アームを備え、ツール・ホルダにはグリッパ・ツールおよびピペッティング・ツールが任意選択的に接続可能である。自動実験システム用のグリッパ・ツール、ピペッティング・ツール、およびツール・ホルダは、欧州特許公開第1 407 861B1号に記載されている。ロボット・アームは、グリッパまたはピペッティング・ツールを保管場所から取り出すために、あるいはこのツールをその上に配置するために、グリッパ・ツールを使用して作業領域に実験アイテムを再配置するために、ピペッティング・ツールを使用してピペット・チップを取り出したり解除したりするために、ピペット・チップを用いて液体を吸い上げて分注するために、プログラム制御下で移動可能である。
【0005】
ピペッティング・ツールは、少なくとも1つのネックを有し、そこにピペット・チップが密閉式に固定可能である。ピペット・チップの下開口部を通して液体を吸引または排出するために、ピペッティング・ツールに配置されており、電線を介してネックの孔に接続された変位装置を用いて、ピペット・チップの上開口部を通して空気を移動させることができる。マルチ・ピペッティング・ツールの場合、ピペット・チップに固定するためのネックは、標準マイクロタイター・プレート内のウェルの少なくともいくつかに対応する1つ以上の列に配置される。標準マイクロタイター・プレートには96ウェルまたは384ウェルがあり、そのウェルの間隔に適合したマルチ・ピペッティング・ツールを有するものが、特に使用されている。測定中の異なる実験試料サンプルの交差汚染を防止するために、プラスチック材料から作られたピペット・チップが、ピペッティング・ツールから分離され、1回の使用後に廃棄物容器に廃棄することができる。
【0006】
ワークステーションには、その上に標準マイクロタイター・プレート、ピペット・チップ保持具、または標準マイクロタイター・プレートのフットプリントに対応するフットプリントを備えた他の実験アイテムを保存するために、標準マイクロタイター・プレートのフットプリントに適合する矩形のフォーマット(SBS/ANSIフォーマット)がある。ワークステーションのフットプリントは、確実に実験アイテムを正確に位置合わせする整列手段によって制限されている。
【0007】
ピペット・チップ保持具は、孔に複数のピペット・チップを保持する。その孔は、標準マイクロタイター・プレートのウェルに対応するように配置されている。標準マイクロタイター・プレートのいくつかのウェルまたはすべてのウェルの配置に対応する配置にある複数のピペット・チップを保持する複数のピペッティング・ツールを用いて、複数のピペット・チップを同時にピペット・チップ保持具から取り出すことが可能であり、液体をマイクロタイター・プレートの複数のウェルに同時に分注したり吸い上げたりすることが可能である。
【0008】
実験試料を処理するために、自動実験システムのワークステーション上に設けられるべき複数のピペット・チップ保持具にある多数のピペット・チップが、しばしば必要とされる。自動実験システムepMotion(登録商標)5070、5073、および5075には、4個、6個、および12個から15個のワークステーションがある。自動実験システムを設定するのに必要な設置面積は、ワークステーションの数によって増大する。
【0009】
さらに、片側に、マガジンと、ピペット・チップが保持されるピペット・チップ保持具の供給装置とを含む自動実験システムが知られている。これらの付加的な装置によって、自動実験システムの設置面積が増大する。しかし、設置スペースは、たいていの実験室では限られている。
【0010】
米国特許公開第2009/293643A1号は、実験試料を自動処理するための自動実験システムを記載しており、実験アイテム用のワークステーションを有する作業領域と、作業領域で実験アイテムを移動させるロボット・アームと、作業領域で移動可能なピペット・ヘッドと、ピペット・チップ用保持具とを備える。
【0011】
中国特許公開第108970664A号は、ピペット・チップを移送する装置を記載しており、この装置は、ホルダ上に櫛状の保持具を上下に配置したマガジン・ボックスと、ホルダ内に実験用チップ・ボックスとを備える。ピペット・チップは、この櫛状の保持具に保持されている。保持装置を引き出すことによって、ピペット・チップが下方に運搬され、実験用チップ・ボックス内に入る。実験用チップ・ボックスが満杯になると、ピペット・チップを充填するために、そのチップ・ボックスをホルダから取り外して空の実験用チップ・ボックスをホルダに挿入することができる。
【0012】
このことより、本発明の目的は、より多数のピペット・チップを省スペースで保管することができる自動実験システムを提供することである。さらに、ピペット・チップを省スペースで収納可能な自動実験システムの使用が提案されている。
【0013】
本目的は、請求項1に記載の自動実験システムによって達成される。本自動実験システムの有利な実施形態は、従属請求項に明記されている。
【0014】
本発明による、液体実験試料を自動処理するための自動実験システムであって、
・ 作業領域と、
・ 作業領域にある、実験アイテム用の予め画定された複数のワークステーションであって、標準マイクロタイター・プレートのフットプリントに適合するフォーマットを備えている、複数のワークステーションと、
・ ツールを作業領域の上に移動させる少なくとも1つの移動装置と、
・ 実験アイテムを作業領域に再配置するために、移動装置によって移動可能な少なくとも1つの搬送ツールと、
・ 作業領域において、ピペット・チップを取り上げたり解除したりし、かつピペット・チップによって液体を吸い上げて分注するために、移動装置によって移動可能な少なくとも1つのピペッティング・ツールと、
・ ピペット・チップ保持具用のホルダであって、矩形の貫通開口部を有する少なくとも1つの保持装置と、保持装置に接続されている支持装置とを有するホルダと、を備え、
・ ワークステーションの隣の作業領域に支持装置を配置するように、ワークステーションに取り付けられており、標準マイクロタイター・プレートのフットプリントに適合したフットプリントを有するピペット・チップ保持具の上に保持装置を保持するように、保持装置の下に取り付けられたピペット・チップ保持具から、ピペット・チップをピペッティング・ツールによって保持装置の貫通開口部を通して取り出すように、標準マイクロタイター・プレートのフットプリントに適合したフットプリントを有するピペット・チップ保持具を保持装置に取り付けるように、ホルダが設計されており、
・ 電子制御装置をさらに備え、当該電子制御装置は、移動装置に接続されており、ピペッティング・ツールによってピペット・チップを保持装置に取り付けられたピペット・チップ保持具から取り出すことができるように、ピペット・チップ保持具を搬送ツールによって保持装置から取り外すことができるように、かつ保持装置の下に取り付けられたピペット・チップ保持具から、保持装置の貫通開口部を通してピペット装置によってピペット・チップを取り出すことができるように、搬送ツールの動きとピペッティング・ツールの動きとを移動装置によって制御するように設計されている。
【0015】
本発明による自動実験システムでは、ピペット・チップが中に保持されている多数のピペット・チップ保持具を作業領域に保管することができる。というのは、ピペット・チップが中に保持されているピペット・チップ保持具は、1つまたは複数のワークステーションに、ホルダを用いて、少なくとも2つの異なる高さで上下に取り付けられるからである。対応するホルダの設計では、2つ以上のピペット・チップ保持具のみを同じワークステーションに上下に取り付けることができる。実験試料を自動的に処理する前に、自動実験システムは、ピペット・チップが中に保持されているピペット・チップ保持具を手動で装着することができる。自動シーケンスの間、ピペッティング・ツールは、ホルダの最上段にあるピペット・チップ保持具からピペット・チップを取り出し、ピペット操作が終了すると、汚れたピペット・チップを廃棄物容器に落下させることができる。すべてのピペット・チップが最上段のピペット・チップ保持具から除去されると、自動実験システムは搬送ツールを用いてホルダからその最上段のピペット・チップ保持具を取り外すことができ、このピペット・チップ保持具を廃棄物容器に落下させることもできる。その後、自動実験システムは、ピペッティング・ツールを用いて、ホルダの保持装置の下に配置されているピペット・チップ保持具から、ホルダの保持装置の貫通開口部を通してピペット・チップを取り出すことができる。ピペット・チップがすべてこのピペット・チップ保持具から取り出され、ピペット・チップが別の保持装置にある別の下のピペット・チップ保持具に保管されると、搬送ツールは空のピペット・チップ保持具を除去し、ついで、ピペッティング・ツールは、2つの上側の保持装置の下に配置されているピペット・チップ保持具から、2つの上側の保持装置の貫通孔を通して、ピペット・チップを取り出すことができる。このようにして、同じワークステーションに取り付けられているピペット・チップ保持具のすべてからピペット・チップを除去することができる。
【0016】
本発明による自動実験システムでは、作業領域に保管されているピペット・チップの数は複数であってもよい。上下2段だけの配置の場合、ピペット・チップの数を2倍にすることができ、上下2段よりも多い配置の場合には、それに応じてピペット・チップの数を増やして収納することができる。
【0017】
本願では、「標準マイクロタイター・プレート」という用語は、米国国立標準研究所(ANSI)によるSBS(Society for Biomolecular Screening)の推奨(ANSI SLAS 1-4-2004およびANSI SLAS 6-2012)に従って基準化されたマイクロタイター・プレートを指す。これらのマイクロタイター・プレートは、略矩形のフットプリントを有し、外寸(長さ127.76mm、幅85.48mm)、角の丸み、および公差は、ANSI SLAS規格1-2004(旧ANSI/SBS 1-2004)に規定されている。本発明による自動実験システムでは、マイクロタイター・プレートおよび標準マイクロタイター・プレートのフットプリントを有する他の実験アイテムがその上に載置されるように、ワークステーションが設計されている。
【0018】
本願において、「ピペット・チップ保持具」という用語は、ピペット・チップが挿入可能な、マトリックス配置にある複数の孔を備えたプレート状の装置を指す。ピペット・チップ・ホルダは断面が矩形のチューブまたは箱であり、ピペット・チップが上側開口部を通ってチューブまたは箱に係合するように、ピペット・チップ保持具をチューブまたは箱の上縁部に載置可能である。ピペット・チップ保持具およびピペット・チップ・ホルダのフットプリントは、標準マイクロタイター・プレートのフットプリントに適合する。
【0019】
本発明の一実施形態によると、ホルダは、単一のみの保持装置を備え、ピペット・チップ保持具を保持装置の上に取り付け可能であり、その下に、別のピペット・チップ保持具を同じワークステーション上に載置可能である。別の実施形態によると、ホルダは、1つ以上の保持装置を備え、複数のピペット・チップ保持具を上下に保持装置に取り付け可能であり、その下に、別のピペット・チップ保持具を同じワークステーションに載置可能である。保持装置に取り付けられていないピペット・チップ保持具を、ワークステーションに載置されているピペット・チップ・ホルダに取り付け可能である。この場合、ピペット・チップ保持具に挿入されているピペット・チップは、ピペット・チップ・ホルダ内に到達している。さらに、このピペット・チップ保持具をワークステーションに直接載置することが可能であり、ワークステーションは、ピペット・チップ保持具に保持されているピペット・チップが中に到達する凹部を備える。さらに、ワークステーションは、ピペット・チップが中に保持されているピペット・チップ保持具を挿入可能な凹部を備えていてもよく、ピペット・チップ保持具に保持されているピペット・チップが凹部の中に下方に十分な空間を持てるように、ピペット・チップ保持具は、凹部の底部の上からある距離をもって凹部内に支持されている。本実施形態は、ピペット・チップ保持具を2つ以上の高さで同じワークステーションに収納するのに有利である。
【0020】
本発明の一実施形態によると、ホルダが、支持装置がそれを介して作業領域上に支持される担持装置を備え、担持装置は、矩形の受容開口部に標準マイクロタイター・プレートのフットプリントに適合するフットプリントを有するピペット・チップ保持具を受容するように、あるいはこのピペット・チップ保持具を縁部に支持するように設計されている。担持装置はまた、ワークステーションにホルダと所定の方法で、および/または、ホルダにピペット・チップ保持具と所定の方法で位置合わせするように設計されていてもよい。別の実施形態では、ホルダが担持装置を備えず、支持装置が作業領域に直接支持されている。
【0021】
別の実施形態によると、支持装置が矩形の第1のフレームであり、かつ/または、担持装置が矩形の第2のフレームである。フレームの設計は、ホルダをワークステーション上で正確に位置合わせし、ピペット・チップ保持具をホルダ上で正確に位置合わせするのに有利であり、ホルダの資源を節約しやすくなり、また安定した設計を容易にする。
【0022】
ホルダは、複数のピペット・チップを1つのマルチチャネルのピペッティング・ツールに同時に固定もしながら、押圧力に十分に耐えるように安定して設計することができる。8チャネルのピペッティング・ツールの場合、この力は、たとえば、合計で120ニュートンに達する可能性がある。ホルダは、たとえば、ステンレス鋼や他の金属材料、および/または適切な強度を備えたプラスチック材料から製造される。
【0023】
別の実施形態によると、第1のフレームにおける貫通開口部の寸法は、第2のフレームにおける受容開口部の寸法よりも小さく、そのため、保持装置は、ピペット・チップ保持具を外縁部で支持することが可能であり、担持装置は、ピペット・チップ保持具を受容開口部に受容することができる。
【0024】
別の実施形態によると、支持装置が、保持装置の上部に接続される少なくとも1つのロッドまたは別の線状接続バーを備える。別の実施形態によると、少なくとも1つのロッドまたは別の線状接続バーが、担持装置の底部に接続される。別の実施形態によると、少なくとも1つのロッドまたは別の線状接続バーが、第1のフレームの上部および第2のフレームの底部に接続される。これらの実施形態は、特に、材料を節約することができ安定性がある。別の実施形態によると、第1のフレームおよび第2のフレームが、これらのフレームの平行面に互いに対抗する少なくとも1組のロッドまたは他の線状接続バーを介して相互に連結されている。別の実施形態によると、第1のフレームおよび第2のフレームが、それぞれ2つのロッドを介してフレームの同じ面に相互に連結されている。別の実施形態によると、これらのフレームがフレームの長辺で相互に連結されている。
【0025】
ピペット・チップ保持具がフレームを用いて均等に縁部に支持されているので、ピペット・チップがピペッティング・ツールの座部に固定される場合にピペット・チップ保持具に均一に負荷がかかり、材料を節約して設計することができる。別の実施形態では、保持装置および/または担持装置は、いずれの場合も、複数の保持要素および/または担持要素を備え、その上にピペット・チップ保持具を支持することができる。本実施形態では、関連するピペット・チップ保持具が、複数の部分において間に支持体なしで外縁部に支持することができる。本実施形態は、たとえば、保持装置の下に配置されたピペット・チップ保持具を、搬送ツールを用いて支障なく把持したり除去したりすることができるように使用されてもよい。
【0026】
別の実施形態によると、ワークステーションが第1の整列要素の配置によって境界を定められており、第1の整列要素は間に挿入された標準マイクロタイター・プレートをワークステーションに位置合わせするように設計されており、ホルダが、その下縁部領域に、ホルダを第1の整列要素に位置合わせするために、第1の整列要素に対して相補的な形状を有する第2の整列要素を備える。その結果、ホルダをワークステーションに正確に位置合わせすることができる。
【0027】
別の実施形態によると、第1の整列要素が複数の第1のピンと少なくとも1つの第1のばね要素とを備え、ワークステーションの角部に隣接する作業領域から上を向いており、第2の整列要素が第1のピンと第1のばね要素を受けるように設計されている第1の整列孔を備える。別の実施形態によると、第1の整列孔が第2のフレームの内側に向かって開口している。その結果、第1の整列要素は、ホルダと標準マイクロタイター・プレートまたはワークステーションにある標準マイクロタイター・プレートのフットプリントを有する別の実験アイテムとを同時に位置合わせすることができる。
【0028】
別の実施形態によると、保持装置が、ホルダの底面からある距離をおいて配置されており、その距離は、ピペット・チップ保持具が上に載置されたピペット・チップ・ホルダとピペット・チップ保持具に保持されているピペット・チップからなる配置の高さを超える。この距離は、従来のピペット・チップ・ホルダ、ピペット・チップ保持具、およびピペット・チップを使用するには、35mmから110mmの範囲内であることが好ましい。本実施形態は、第1の保持装置の下にある対応する装置との衝突を防ぐために、保持装置の上部にピペット・チップ・ホルダとピペット・チップ保持具からなる装置を配置するのに特に適している。
【0029】
別の実施形態によると、保持装置とホルダの底面との距離は、保持装置に載置されているピペット・チップ保持具に保持されたピペット・チップが、ピペット・チップ・ホルダに載置されているピペット・チップ保持具にあるピペット・チップの上の底部で終端するようになっている。この距離は、従来のピペット・チップ・ホルダ、ピペット・チップ保持具、およびピペット・チップを使用するには、70mmから230mmの範囲内であることが好ましい。本実施形態によると、保持装置に直接載置されるピペット・チップ保持具内のピペット・チップが、保持装置の下にあるピペット・チップ・ホルダ上のピペット・チップ保持具に保持されたピペット・チップに衝突したり、詰まったりすることを防止する。
【0030】
別の実施形態によると、少なくとも2つの平行のフレーム部の内面に、ホルダの第1のフレームが、第1のフレームの上面に対して下方に中心をずらして配置されているレスト・レッジを備え、そのレスト・レッジは、ピペット・チップ保持具またはピペット・チップ・ホルダを少なくとも2つの平行な端部に取り付けるための貫通開口部を画定する。レスト・レッジに載置されているピペット・チップ保持具またはピペット・チップ・ホルダは、貫通開口部の縁部を用いて案内され、ホルダに位置合わせすることができる。ピペット・チップ保持具またはピペット・チップ・ホルダを2つの平行縁部にのみ支持させることによって、ピペッティング・ツールを挿入するための大きな貫通開口部を設けることができる。別の実施形態では、2つのレッジが第1のフレームの2つの幅狭面に配置されている。
【0031】
別の実施形態によると、ホルダの第1のフレームが、少なくとも1つのフレーム部分の外縁部にピペット・チップを受けるための孔の列を備える。これによって、さらなるピペット・チップを収容することができるので、実験試料を自動処理するのに有用なピペット・チップの数をさらに増やすことができる。ピペット・チップ保持具にあるピペット・チップと同じ種類のピペット・チップや、別の種類のピペット・チップを、フレームの孔に保持することができる。別の実施形態によると、第1のフレームが、幅狭のフレーム面にピペット・チップを受けるための孔の列を備える。
【0032】
別の実施形態によると、ピペッティング・ツールは少なくとも1つのプランジャ・シリンダ装置を備えるピペッティング・ツールであり、1つ以上のピペット・チップに固定するための1つ以上のネックまたは他のシートを備え、プランジャ・シリンダ装置が1つ以上のラインを介して各シートの孔に接続されている。ピペット・チップは、シートに直接固定されることによって、あるいはシートに保持されている少なくとも1つのOリングを用いて密封することによってのいずれかで、シートに堅固に固定される。ネックは円錐形または円筒形が好ましい。プランジャはそれぞれ、移動装置を用いてプランジャ・シリンダ装置のシリンダ内で移動可能である。ピペット装置は、欧州特許第1 407 861B1号の計量ツールのように設計されることが好ましい。この明細書に記載の計量ツールは、マルチチャネル計量ツールとして設計されてもよく、出力部はピペット・チップを嵌合させるための、平行ネックに接続されている複数の平行なプランジャ・シリンダ装置に接続されている。代替として、ピペッティング・ツールは、独国特許公開第10 2016 111 910A1号または独国特許公開第10 2016 111 912A1号の計量ツールのように設計されでもよい。この点に関して、上述の文献を参照し、これによってその内容は本願に組み込まれるものとする。
【0033】
別の実施形態によると、搬送ツールがグリッパ・ツールであり、水平軸を中心に旋回可能な把持アームを備える。把持アームは、互いに対向する内面に突出しているニードルを備え、実験アイテムを把持するために移動装置を用いて共に旋回し、かつ実験アイテムを解除するために離れるように旋回することが可能である。グリッパ・ツールは、欧州特許第1 407 861B1号に記載されているように設計されることが好ましい。この点に関して、欧州特許第1 407 861B1号の文献を参照し、これによってその内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0034】
別の実施形態は、搬送ツール用の作業領域内の所定の保管場所と、保管場所にその下縁部の近くに載置可能な、矩形のチューブを有するアダプタを備える。アダプタは、搬送ツールへの確実な接続装置を有し、その上縁部は中に挿入されているピペット・チップがチューブに到達するようにピペット・チップ保持具を運搬するように設計されている。この結果、さらなる保管場所がピペット・チップ用の作業領域に設けられる。原則として、ピペット・チップ保持具をアダプタ上に配置すれば、ピペット・チップをピペット・チップ保持具から取り外すことができる。搬送ツールがピペット・チップ保持具からピペット・チップを除去することを妨げる場合、まず、搬送ツールを保管場所から移動させ、別の場所に搬送させることができる。他の保管場所が利用できない場合や、移動装置がピペット装置を用いてアダプタのピペット・チップ保持具からすべてのピペット・チップを除去するのに適していない場合、まず、搬送ツールを用いてピペット・チップ保持具をアダプタから取り外し、ホルダの保持装置またはワークステーション上のピペット・チップ・ホルダに載置することができる。その後、ピペット装置を用いて、ピペット・チップをこのピペット・チップ保持具から除去することができる。
【0035】
別の実施形態によると、保管場所が、第3の整列要素の配置を備え、アダプタが、保管場所の第3の整列要素とアダプタを位置合わせするために、第3の整列要素と相補的な形状を有する第4の整列要素を底部に備え、かつ/または、アダプタは、第5の整列要素の配置を上縁部に備え、第5の整列要素は、アダプタに標準マイクロタイター・プレートのフットプリントに適合したフットプリントを有するピペット・チップ保持具を位置合わせするように設計されている。このことによって、ピペット・チップ保持具を保管場所に正確に位置合わせすることが可能となり、グリッパ・ツールによりピペット・チップ保持具を、および/または、ピペッティング・ツールによってピペット・チップを、自動的に取り出すことが簡単となる。別の実施形態によると、第3の整列要素が、保管場所から上方を向いている複数の第2のピンを備え、第4の整列要素が、アダプタの底面に、第2のピンを受けるように設計された第2の整列孔を備える。別の実施形態によると、第5の整列要素が複数の上向きの第3のピンと、少なくとも1つの第2のばね要素をアダプタの上縁部の角部に備える。アダプタはまた、たとえばマイクロタイター・プレートなどの別の実験アイテムや、そのフットプリントが標準マイクロタイター・プレートのフットプリントと適合する別の実験アイテムを保管するのにも適している。
【0036】
別の実施形態によると、移動装置が、ピペッティング・ツールまたはグリッパ・ツールまたは別の搬送ツールのいずれかに接続されるように設計されているツール・ホルダを備える。別の実施形態によると、ツール・ホルダが、少なくとも1つのプランジャ・シリンダ装置のプランジャの移動または実験アイテムを把持する把持アームもしくは別の要素の移動を制御するために、駆動装置を移動装置からピペッティング・ツールまたは搬送ツールまで移動させるように設計されている。
【0037】
別の実施形態によると、ツール・ホルダは、欧州特許第1 407 861B1号に記載されているように設計されている。この点に関して、欧州特許第1 407 861B1号の文献を参照し、これによってその内容は参照により本願に組み込まれるものとする。
【0038】
液体の実験試料や試薬、および他の液体を、本発明による自動実験システムを用いて処理することができる。このような液体には、純粋な液体、単相および多相の液体混合物(溶液やエマルジョンなど)、ならびに液体および固体の混合物(懸濁液など)が含まれる。
【0039】
本発明は、請求項14に記載の自動実験システムの使用によってもまた達成される。
【0040】
液体試料を自動処理するための、請求項1から13のうちのいずれか一項に記載の本発明による自動実験システムの使用において、
・ 標準マイクロタイター・プレートのフットプリントに適合するフットプリントを有するピペット・チップ保持具内にあるピペット・チップが、所定のワークステーションに設けられ、
・ 保持装置がピペット・チップ保持具の上に配置されるように、支持装置を備えたホルダが作業領域上にピペット・チップ保持具に隣接して載置され、
・ 標準マイクロタイター・プレートのフットプリントに適合するフットプリントを有するピペット・チップ保持具にあるピペット・チップが、ホルダの保持装置に設けられ、
・ ピペット・チップがピペッティング・ツールを用いて保持装置のピペット・チップ保持具から取り出され、それによって液体が移送された後に解除され、
・ ピペット・チップ保持具が搬送ツールを用いて保持装置から取り外され、
・ ピペット・チップがピペッティング・ツールを用いて保持装置の貫通開口部を通して保持装置の下に配置されているピペット・チップ保持具から取り出され、液体を移送するのに使用される。
【0041】
上述の自動実験システムの有利な効果は、この使用にも適用される。これは、以下の使用の実施形態についても同様である。
【0042】
一実施形態によると、ピペット・チップ保持具がワークステーションに載置されて、その中に保持されているピペット・チップがワークステーションの凹部に到達し、あるいはピペット・チップ保持具がピペット・チップ・ホルダに載置されて、ピペット・チップ・ホルダがワークステーションに載置され、かつ/あるいはピペット・チップ保持具が保持装置に載置され、またはピペット・チップ保持具がピペット・チップ・ホルダの上部に載置されて、ピペット・チップ・ホルダが保持装置に載置される。
【0043】
別の実施形態によると、ピペット・チップ保持具が保持装置に配置されない場合、搬送ツールを用いてピペット・チップ保持具をアダプタから取り外し、ホルダの保持装置またはその上に配置されているピペット・チップ・ホルダに載置し、ピペッティング・ツールを用いてピペット・チップを保持装置のピペット・チップ保持具から取り出し、液体を移送するのに使用される。
【0044】
ピペット・チップがピペット・チップ保持具と複数の所定のワークステーション上のホルダに上下に配置される別の実施形態によると、まず、ピペット・チップがピペッティング・ツールを用いてワークステーション上の最上段のピペット・チップ保持具から取り出され、ついで最上段のピペット・チップ保持具が搬送ツールを用いて最上段の保持装置から取り外され、ついで、ピペット・チップがピペッティング・ツールを用いて最上段の保持装置の下に取り付けられているピペット・チップ保持具から取り出され、ピペット・チップが同じワークステーションに配置されているすべてのピペット・チップ保持具から取り出されるまでこの工程が適宜繰り返される。ついで、ピペット・チップが、別のワークステーション上に様々な高さで配置されているピペット・チップ保持具から取り出される。代替実施形態では、まず、ピペット・チップがピペッティング・ツールを用いて様々なワークステーションの上にある様々なホルダに配置されているピペット・チップ保持具から取り出される。ついで、搬送ツールが最上段の保持装置からピペット・チップ保持具を取り外し、ついで、ピペッティング・ツールは最上段の保持装置の下に取り付けられているピペット・チップ保持具からピペット・チップを取り出すことができる。この結果、搬送ツールとピペッティング・ツールを交互にのみ備えることの可能な移動装置を含む自動実験システムの場合、ツールの交換時間を短縮することが可能である。
【0045】
例示的実施形態の添付の図面を参照しつつ、本発明を以下にさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】ホルダおよびピペット・チップ保持具を備えた自動実験システムの作業領域におけるワークステーションを、上部および側部から斜めに見た斜視図である。
図2】下側ホルダ、ピペット・チップ・ホルダ、およびピペット・チップ保持具を備えたワークステーションを上部から斜めに見た斜視図である。
図3】下側ホルダを上部から斜めに見た斜視図である。
図4】ピペット・チップを下側のピペット・チップ保持具から取り外す際の大ホルダを上部から斜めに見た斜視図である。
図5】大きなピペット・チップ・ホルダとピペット・チップ保持具を備えた2つのワークステーションを上部から斜めに見た斜視図である。
図6】自動実験システムを上部から斜めに見た斜視図である。
図7】ピペット・チップ保持具を上に配置したアダプタを上部から斜めに見た斜視図である。
図8】アダプタが上に載置され、ピペット・チップ保持具がアダプタに載置され、グリッパ・ツールがアダプタに取り付けられている、自動実験システムの作業領域にある保管場所を、上部から斜めに見た斜視図である。
【0047】
図1によると、自動実験システム1が、標準マイクロタイター・プレート用の複数のワークステーション3を平坦な作業領域2(天板)に備える。したがって、各ワークステーション3は、標準マイクロタイター・プレートのフットプリントに適合するフォーマットを備えている。
【0048】
各ワークステーション3は、作業領域に堅固に接続されている4つの第1のピン5および第1のばね要素6によって形成される第1の整列要素4の配置によって境界が定められる。2つの第1のピン5は、ワークステーションの長辺および短辺の端部にあるワークステーションの角部の横に配置されている。第1のばね要素6は、この角部と直径方向に対向するワークステーションの角部に配置されている。さらなる第1のピン5が、ワークステーション3の長辺および短辺の縁部に隣接した別の角部の横に配置されている。
【0049】
本実施例では、自動実験システムが6つのワークステーション3を備える。
【0050】
標準マイクロタイター・プレートはそれぞれのワークステーション3に載置可能であり、マイクロタイター・プレートは第1の整列要素4に包囲されている。これに関連して、マイクロタイター・プレートは、第1のピン5によって横方向に案内され、第1のばね要素6によって第1のピン5に押圧される。
【0051】
ピペット・チップ保持具7およびピペット・チップ・ホルダ8および図に示す他の実験アイテムのフットプリントは、標準マイクロタイター・プレートのフットプリントに適合する。下部領域では、これらは第1の整列要素4を用いてワークステーション3に位置合わせができるように設計されている。
【0052】
1つの下側ホルダ9.1および1つの大ホルダ9.2はピペット・チップ保持具7とピペット・チップ・ホルダ8とを保持するのに使用されるが、2つのワークステーション3上に配置されている。図3によると、下側ホルダ9.1は、その上部に矩形の第1のフレーム11によって形成される保持装置10を備える。さらには、下側ホルダ9.1は、4つのロッド13の形態をした支持装置12を備える。ロッド13は第1のフレームの底面から突出し、そこに接続されている。最終的に、下側ホルダ9.1は、矩形の第2のフレーム15の形態をした担持装置14を備え、そこにロッド13が接続され、その上面からロッド13が上方に突出する。ロッド13はねじ16を用いて第1のフレーム11および第2のフレーム15に接続されている。ねじのねじ頭17はフレーム11および15の凹部18内に配置されているので、外側に突出しない。
【0053】
第1のフレーム11は、矩形の貫通開口部19を備える。平行な短いフレーム部の両方ともに、第1フレーム11はレスト・レッジ20および21を有し、これらはその上面に対して下方にずれており両面の貫通開口部19を区分する。
【0054】
第2のフレーム15は、矩形の受容開口部22を備える。受容開口部22の寸法は貫通開口部19の寸法よりも大きいので、受容開口部22は標準マイクロタイター・プレートを受けることができる。
【0055】
第2のフレーム15は角部に、第1の整列孔24の形態をした第2の整列要素23を備え、これらは第1のピン5および第1のばね要素6を受けるように設計されている。第1の整列孔24は、第2のフレーム15の内側に向かって開口している。
【0056】
ホルダは、たとえばステンレス鋼から製造される。
【0057】
図1および図2によると、第1のネック5および第1のばね要素6が第1の整列孔24内で係合し、ホルダをワークステーション3上で位置合わせする。
【0058】
ピペット・チップ・ホルダ8は第1のフレーム11に載置され、ピペット・チップ25が中に保持されているピペット・チップ保持具7はピペット・チップ・ホルダの上縁領域に載置される。上縁部の角部に、ピペット・チップ・ホルダ8は上方に突出したピン26を有し、ピン26はピペット・チップ保持具7の縁領域にある孔27に下から係合する。この結果、ピペット・チップ保持具7がピペット・チップ・ホルダ8上で位置合わせされる。ピペット・チップ・ホルダ8は、貫通開口部19内で係合し、レスト・レッジ20および21にその下縁部を載せて幅狭面に支えられている。ピペット・チップ保持具7がホルダ9.1上に位置合わせされるように、ピペット・チップ・ホルダ8は貫通開口部19の縁部を用いて位置合わせされる。
【0059】
別のピペット・チップ・ホルダ8がワークステーション3に直接載置され、別のピペット・チップ保持具7を上縁領域に担持する。
【0060】
下側ピペット・チップ・ホルダ8は、受容開口部22に挿入されている。第1の整列孔24が第2のフレーム15の内側に向かって開口しているという事実により、ピペット・チップ・ホルダ8が受容開口部22内で位置合わせされる。さらには、あるいは代替として、ピペット・チップ・ホルダ8は受容開口部の内縁部を用いてホルダ9.1内で位置合わせされてもよい。
【0061】
上側ピペット・チップ保持具7に配置されているピペット・チップ25は、第1のフレーム11の底面より上に突出しない。このように、第1のフレーム11は下側ピペット・チップ保持具7に保持されているピペット・チップ25からの距離が短くて十分である。
【0062】
図1および図4は、ホルダ9.2の広範な実施形態をさらに示しており、下側ホルダ9.1と異なるのは、第1のフレーム11と第2のフレーム15との距離がより大きい点である。第1のフレーム11は、下側ホルダ9.1上の上側ピペット・チップ・ホルダ7の上面と同じ高さである。したがって、大ホルダ9.2では、上側ピペット・チップ保持具7は第1のフレーム15のレスト・レッジ20および21に直接載置可能であり、ここでは、ピペット・チップ25が第1のフレーム11の貫通開口部19を通って下方に突出している。ホルダ9.2はより高いため、下に配置されているピペット・チップ25と衝突しない。
【0063】
図5は大ホルダ9.3の別の実施形態を示す図であり、第1のフレーム11は、短いフレーム部分26の側方に突出している縁部にそれぞれピペット・チップ25を受けるための一列の孔27を備える。すべてのピペット・チップ25が第1のフレーム11とほぼ同じ高さで配置され、ピペッティング・ツールを用いて取り出すことができるように、ピペット・チップ・ホルダ7は上側フレーム11に直接載置されている。
【0064】
図6によると、自動実験システム1は、筐体1.1において、作業領域2の上にあるXYZロボット・アーム(三軸式搬送手段)29にツール・ホルダ28を備える。筐体1.1は側壁に窓1.2と前面に上方にスライド可能な扉1.3とを有する。ツール・ホルダ28は、少なくとも1つのピペッティング・ツール30およびグリッパ・ツール31(図1、4および8を参照)を含む様々なツールを受容することのできるネック容器を備える。
【0065】
少なくとも1つのピペッティング・ツール30(図1および4を参照)はマルチチャネルのピペッティング・ツールであり、たとえば8チャネルのピペッティング・ツールである。シングルチャネルのピペッティング・ツールもまた、設けることができる。いろいろな容積範囲を網羅する複数のマルチチャネル・ピペッティング・ツール、および/または複数のシングルチャネル・ピペッティング・ツールを設けてもよい。
【0066】
グリッパ・ツール31(図8を参照)は、把持アーム32を備える。把持アーム32は、水平軸を中心に旋回可能であり、実験アイテムを堅固に固定するために相互に対向している内面に突出するニードル33を備える。
【0067】
ツール30および31はすべて、頂部に締結ネック34を有し、締結ネック34はツール・ホルダ28のネック容器に挿入可能であり固定可能である。締結ネック34がネック容器に挿入されると、ロボット・アーム29は駆動装置を関連したツール30および31まで移動させる。このために、ドライブ軸がツール・ホルダ28に設けられており、連結装置を介してドライブ軸に連結可能なスピンドルがそれぞれツール30および31に設けられている。ピペッティング・ツール30では、この駆動装置によって、シリンダ内のピストンが移動し、エア・クッションを移動させ、1つ以上のピペット・チップ25から液体を吸い上げたり吐出したりする。グリッパ・ツール31では、この駆動装置によって把持アーム32が旋回する。
【0068】
自動実験システム1用のピペッティング・ツール30、グリッパ・ツール31、およびツール・ホルダは、欧州特許公開第1 407 861B1号に記載されている。
【0069】
ピペッティング・ツール30は、横梁25を上面に備え、そこから締結ネック34が上方に突出している。横梁は端部に孔36がある。後ろに、上端部にネック38を備えるロッド37が作業領域から上に突出しており、1組のロッドがそれぞれピペッティング・ツール30用の保管場所39を形成している。横梁の孔を用いて、ピペッティング・ツール30はロッドの上端にあるネックに押されネックの上に保持される。
【0070】
図7および8によると、グリッパ・ツールは作業領域2にあるアダプタ40に取り付け可能である。この目的を達成するために、作業領域2は、2つの上向きピン42の形態をした第3の整列要素41を備える。ピン42は、作業領域2に堅固に接続されている(図6を参照)。アダプタ40は、基台44によって底部が閉止されている矩形チューブ43を備える。基台には、アダプタ40は、垂直な整列孔の形態をした第4の整列要素を備える。
【0071】
チューブ43の上縁部は、ピペット・チップ保持具7を支持するように設計されているので、その中に保持されたピペット・チップ25はチューブ内に到達する。アダプタ40は、ピペット・チップ保持具7をアダプタに位置合わせするための第5の整列要素45の配置を、その上縁部に備える。このような第5の整列要素の配置は、第3のピン46と第2のばね要素47との配置によって形成され、この配置はワークステーション3の境界を定める第1のピン5と第1のばね要素6との配置に対応する。角部には、アダプタが突起リブ48を備え、その上端部に第3のピン46と第2のばね要素47とが固定されている。ピペット・チップ保持具7は、その側縁部がアダプタ40の側壁と面一に終端するように、アダプタ40に保持されている。
【0072】
側壁に、アダプタ40は搬送ツールへの確実な接続装置49を備える。この装置49は、心出し孔50によって形成され、グリッパ・ツール31のニードル33を中に係合することができる。図8は、アダプタ40に確実に接続されているグリッパ・ツール31を示す。グリッパ・ツール31はそれによって、アダプタ40の上縁部に載置されているピペット・チップ保持具7を跨ぐ。
【0073】
図1および6によると、リザーバまたは容器のためのラック51が別のワークステーション3に保持されている。この種のラック51や関連したリザーバならびに容器を保持するモジュールは、たとえば欧州特許2 168 684B1号に記載されている。
【0074】
作業領域は前部に、タブ形の廃棄物容器53を受ける凹部52がある。
【0075】
ピペット・チップ25は、マルチチャネル・ピペッティング・ツール30を用いてピペット・チップ保持具7から取り出し可能である。ついで、ピペット・チップ25はピペット操作に使用可能である。ピペット操作が終了すると、ピペット・チップ25は廃棄物容器53に廃棄可能である。すべてのピペット・チップ25がホルダ9.1および9.2の第1のフレーム11に配置されているピペット・チップ保持具7から取り出されると、ピペッティング・ツール30をロッド37に配置し、ツール・ホルダ28から分離することが可能である。ついで、グリッパ・ツール31はツール・ホルダ28に接続可能であり、ピペット・チップ保持具7をホルダ9.1および9.2の第1のフレーム11から除去するために使用することができる。ピペット・チップ保持具7は、たとえば廃棄物容器53に廃棄してもよい。
【0076】
その後、グリッパ・ツール31を再度アダプタ40に取り付けることができ、ツール・ホルダ28をピペッティング・ツール30に連結することができる。図1および4によると、第1のフレーム11の下にあるピペット・チップ・ホルダ8に取り付けられているピペット・チップ保持具7からピペット・チップ25を取り出すために、ピペッティング・ツール30は第1のフレーム11の貫通開口部19に導入可能である。
【0077】
アダプタ40に保管されているピペット・チップ25を使用するために、ピペッティング・ツール30をその保管場所39まで下げて、ツール・ホルダ28をグリッパ・ツール31に接続する。グリッパ・ツール31を用いて、ピペット・チップ保持具7がアダプタ40から取り出され、ピペット・チップ保持具7が支えられていないホルダ9.1および9.2の第1のフレーム11まで下げられる。ついで、グリッパ・ツール31をアダプタ40に取り付け、ピペッティング・ツール30をツール・ホルダ28に接続する。その後、ピペット・チップ25は、ピペット・チップ保持具7から取り出し可能である。
【0078】
作業領域2は実験試料の処理より前に手動でピペット・チップ25を備えてもよい。このために、ピペット・チップ保持具7が載置されておりピペット・チップ25がピペット・チップ保持具に保持されているピペット・チップ・ホルダ8を、1つ以上のワークステーションに載置可能である。その後、少なくとも1つのホルダ9.1および9.2が作業領域2に載置され、第1の整列要素4が第2の整列要素24に導入される。ホルダ9.1および9.2の設計に応じて、ピペット・チップ保持具7は第1のフレーム11に直接載置されるか、ピペット・チップ保持具7が上に載置されているピペット・チップ・ホルダ8がこの第1のフレーム11に載置されるかのどちらかである。ホルダ9.3では、第1のフレーム11の孔27が追加的に2列のさらなるピペット・チップ25を備えていてもよい。
【0079】
最終的に、アダプタ40は別のピペット・チップ保持具7を備えていてもよい。
【0080】
プログラムを実行している間、自動実験システム1は少なくとも1つのホルダ9.1および9.2の様々なフレーム11および15に保管されているピペット・チップ25、ならびにアダプタ40に保管されているピペット・チップ25を利用する。
【符号の説明】
【0081】
1 自動実験システム
1.1 筐体
1.2 窓
1.3 扉
2 作業領域
3 ワークステーション
4 整列要素
5 第1のピン
6 第1のばね要素
7 ピペット・チップ保持具
8 ピペット・チップ・ホルダ
9.1 下側ホルダ
9.2 大ホルダ
9.3 大ホルダ
10 保持装置
11 第1のフレーム
12 支持装置
13 ロッド
14 担持装置
15 第2のフレーム
16 ねじ
17 ねじ頭
18 凹部
19 貫通開口部
20,21 レスト・レッジ
22 受容開口部
23 整列要素
24 整列孔
25 ピペット・チップ
26 ピン
27 孔
28 ツール・ホルダ
29 ロボット・アーム
30 ピペッティング・ツール
31 グリッパ・ツール
32 把持アーム
33 ニードル
34 締結ネック
35 横梁
36 孔
37 ロッド
38 ネック
39 保管場所
40 アダプタ
41 整列要素
42 ピン
43 チューブ
44 基台
45 整列要素
46 第3のピン
47 第2のばね要素
48 リブ
49 接続装置
50 心出し孔
51 ラック
52 凹部
53 廃棄物容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】