(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-16
(54)【発明の名称】広視野角・高画質接眼レンズ光学システム及び設備
(51)【国際特許分類】
G02B 25/00 20060101AFI20220208BHJP
G02B 13/18 20060101ALI20220208BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20220208BHJP
【FI】
G02B25/00 A
G02B13/18
G02B27/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021504311
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(85)【翻訳文提出日】2021-03-19
(86)【国際出願番号】 CN2019120967
(87)【国際公開番号】W WO2021102685
(87)【国際公開日】2021-06-03
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517291003
【氏名又は名称】深▲ゼン▼納徳光学有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】曹鴻鵬
(72)【発明者】
【氏名】郭建飛
(72)【発明者】
【氏名】彭華軍
【テーマコード(参考)】
2H087
2H199
【Fターム(参考)】
2H087KA00
2H087LA12
2H087PA02
2H087PA03
2H087PA04
2H087PA17
2H087PB02
2H087PB03
2H087PB04
2H087QA02
2H087QA03
2H087QA06
2H087QA07
2H087QA12
2H087QA14
2H087QA17
2H087QA21
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA32
2H087QA34
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA45
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA47
2H087UA01
2H199CA43
2H199CA58
2H199CA83
2H199CA85
(57)【要約】
本発明は、目視観察側からマイクロディスプレまでの間に光軸方向に順に配列される第1のレンズ群及び第2のレンズ群を含み、第1のレンズ群が1枚又は複数枚のレンズで構成され、第2のレンズ群がフレネルレンズを含み、フレネルレンズがフレネル面を含む広視野角・高画質接眼レンズ光学システム及び設備に関する。新規の光学面形状であるフレネル面形状と従来の光学球面及び非球面の面形状の組合せを用い、かつ各レンズ及びレンズ群の焦点距離が所定の条件を満たす場合、システム収差が大きく除去され、各光学部材の感度が低減され、部材の加工及び組み付けをしやすく、特に広視野角、低歪み、低色差、低像面湾曲、低非点収差等の光学指標を同時に実現した。観察者は、本発明に係る接眼レンズ光学システムにより、フルフレームで高精細度、無歪み、均一な画質の大画面を見、高臨場感の視覚体験を達成することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目視観察側からマイクロディスプレまでの間に光軸方向に順に配列される第1のレンズ群及び第2のレンズ群を含み、前記第1のレンズ群が1枚又は複数枚のレンズで構成され、前記第2のレンズ群がフレネルレンズを含み、前記フレネルレンズがフレネル面を含む広視野角・高画質接眼レンズ光学システムであって、
前記フレネル面の中心からエッジまでの範囲がN段に分けられ得、なかでも、第n段における周波数がfnであり、Nとnが以下の関係式(1)、(2)を満たし、
【数1】
前記フレネルレンズの焦点距離がF4であり、光学システムの総焦点距離がFであり、前記F4と前記Fが以下の関係式(3)を満たすことを特徴とする、広視野角・高画質接眼レンズ光学システム。
【数2】
【請求項2】
前記フレネルレンズの開口径がD4であり、かつ前記D4と前記F4が以下の関係式(4)を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の接眼レンズ光学システム。
【数3】
【請求項3】
前記フレネルレンズにおけるマイクロディスプレイデバイスに近接する側の光学面からマイクロディスプレイデバイスまでの距離がfdであり、かつ前記fdと前記Fが以下の関係式(5)を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の接眼レンズ光学システム。
【数4】
【請求項4】
前記F4と前記Fがさらに以下の関係式(6)を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の接眼レンズ光学システム。
【数5】
【請求項5】
前記D4と前記F4がさらに以下の関係式(7)を満たすことを特徴とする、請求項2に記載の接眼レンズ光学システム。
【数6】
【請求項6】
前記fdと前記Fがさらに以下の関係式(8)を満たすことを特徴とする、請求項3に記載の接眼レンズ光学システム。
【数7】
【請求項7】
前記第1のレンズ群と前記第2のレンズ群の各前記レンズが全てガラス材料又はプラスチック材料から構成されることを特徴とする、請求項1に記載の接眼レンズ光学システム。
【請求項8】
前記フレネルレンズが一般的な光学面をさらに含み、前記一般的な光学面が平面、球面又は非球面の面形状であることを特徴とする、請求項1に記載の接眼レンズ光学システム。
【請求項9】
前記第1のレンズ群中の各前記レンズの面形状が球面の面形状、偶数次非球面の面形状又はフレネル面形状であり、かつ前記第1のレンズ群と前記第2のレンズ群に少なくとも1つの軸対称非球面レンズがあることを特徴とする、請求項1に記載の接眼レンズ光学システム。
【請求項10】
それぞれ人の左右の目の位置に対応する2つのマイクロディスプレイデバイスを備える広視野角・高画質接眼レンズ光学設備であって、人の目と前記マイクロディスプレイデバイスとの中間位置に設けられ、前記マイクロディスプレイデバイスに示す画面を高画質、低歪み、広視野角の特徴で人の目に投射する請求項1~9に記載の光学システムをさらに備えることを特徴とする、広視野角・高画質接眼レンズ光学設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭部装着表示設備光学システムに関し、より詳しくは、広視野角・高画質接眼レンズ光学システム及び設備に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスが超小型化に発展しており、及び新規のコンピュータ、マイクロエレクトロニクス、光電デバイスや通信理論並びに技術が発展しているとともに、ウェアラブルコンピューティングのような「人間本位」、「人機一体」に基づく新しいパターンが可能となっている。軍事、工業、医療、教育、消費等の分野に応用されてきている。典型的なウェアラブルコンピューティングのシステムアーキテクチャにおいて、頭部装着型表示装置は肝心な構成要素である。頭部装着型表示装置は光学技術を介して、小型画像表示装置(例えば透過型又は反射型液晶ディスプレイ、有機電界発光素子、DMDデバイス)から発されるビデオ画像の光をユーザの瞳孔に導き、ユーザの目に近い範囲において仮想の拡大画像を実現し、ユーザに直観的で目に見える画像、ビデオ、文字情報を提供する。接眼レンズ光学システムは頭部装着型表示装置の核であり、小型画像を人の目の前に表示して仮想の拡大画像を形成するという機能を実現するものである。
【0003】
頭部装着型表示装置は体積がコンパクトで、軽量で、頭部装着が容易になり、負荷が軽減される等の方向に進んでいる。同時に、広視野角及び快適な視覚体験も次第に頭部装着型表示装置の優劣を評価する肝心な要素となっている。広視野角は高臨場感の視覚体験効果を決めるものであり、高画質、低歪みは視覚体験の快適性を決めるものである。これらの要求を満たすために、光学システムは広視野角、高画像解像度、低歪み、小像面湾曲、小体積等の指標をできるだけ実現する必要があり、上記光学性能を同時に満たすことはシステムの設計及び収差の最適化に対して大きなチャレンジである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の光学構造の画質が高くなく、歪み及び視野角があまり大きくない。本発明が解決しようとする課題は、従来技術の前記デメリットに対して、接眼レンズの光学構造、システム及び設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、その課題を解決するために、新規のフレネル面形状と従来の球面及び非球面の面形状を用いて創造的で合理的に組み合わせ、高画質、広視野角であり、加工しやすい接眼レンズ光学システムを構築するという技術的手段が用いられる。
【0006】
目視観察側からマイクロディスプレまでの間に光軸方向に順に配列される第1のレンズ群及び第2のレンズ群を含み、前記第1のレンズ群が1枚又は複数枚のレンズで構成され、前記第2のレンズ群がフレネルレンズを含み、前記フレネルレンズがフレネル面を含み、
前記フレネル面の中心からエッジまでの範囲がN段に分けられ得、なかでも、第n段における周波数がfnであり、Nとnが以下の関係式(1)、(2)を満たす。
【0007】
【数1】
前記フレネルレンズの焦点距離がF4であり、光学システムの総焦点距離がFであり、F4とFが以下の関係式(3)を満たす広視野角・高画質接眼レンズ光学システムを構築する。
【0008】
【0009】
本発明のさらなる実施態様として、前記フレネルレンズの開口径がD4であり、かつD4とF4が以下の関係式(4)を満たす。
【0010】
【0011】
本発明のさらなる実施態様として、前記フレネルレンズにおけるマイクロディスプレイデバイスに近接する側の光学面からマイクロディスプレイデバイスまでの距離がfdであり、かつfdとFが以下の関係式(5)を満たす。
【0012】
【0013】
本発明のさらなる実施態様として、前記F4とFがさらに以下の関係式(6)を満たす。
【0014】
【0015】
本発明のさらなる実施態様として、前記D4とF4がさらに以下の関係式(7)を満たす。
【0016】
【0017】
本発明のさらなる実施態様として、前記fdとFがさらに以下の関係式(8)を満たす。
【0018】
【0019】
本発明のさらなる実施態様として、前記第1のレンズ群と前記第2のレンズ群の各レンズが全てガラス材料又はプラスチック材料から構成される。
【0020】
本発明のさらなる実施態様として、前記フレネルレンズが一般的な光学面をさらに含み、前記一般的な光学面が平面、球面又は非球面の面形状である。
【0021】
本発明のさらなる実施態様として、前記第1のレンズ群中の各レンズの面形状が球面の面形状、偶数次非球面の面形状又はフレネル面形状であり、かつ前記第1のレンズ群と前記第2のレンズ群に少なくとも1つの軸対称非球面レンズがある。
【0022】
本発明は、それぞれ人の左右の目の位置に対応する2つのマイクロディスプレイデバイスを備える広視野角・高画質接眼レンズ光学設備であって、人の目と前記マイクロディスプレイデバイスとの中間位置に設けられ、マイクロディスプレイデバイスに示す画面を高画質、低歪み、広視野角の特徴で人の目に投射する前記何れか1項に記載の光学システムをさらに備える、広視野角・高画質接眼レンズ光学設備をさらに提供する。
【0023】
本発明の効果としては、本発明は、新規のフレネル面形状と従来の光学球面及び非球面の面形状の組合せを用い、かつ各レンズ及びレンズ群の焦点距離が所定の条件を満たす場合システム収差が大きく除去され、各光学部材の感度が低減され、部材の加工及び組み付けをしやすく、特に広視野角、低歪み、低色差、低像面湾曲、低非点収差等の光学指標を同時に実現した。したがって、観察者は、本発明に開示される接眼レンズ光学システムにより、フルフレームで高精細度、無歪み、均一な画質の大画面を見、高臨場感の視覚体験を達成することができる。
【0024】
本発明の実施例又は従来技術中の技術的手段をより明確に説明するために、以下に添付図面及び実施例を参照しながら本発明をさらに説明する。以下の説明における添付図面は本発明の一部の実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的活動を行うことなく、さらにこれらの添付図面に応じて他の添付図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明のフレネル面の面形状の概略図である。
【
図2】本発明の
図1におけるA-A部の拡大断面図である。
【
図3】本発明の実施例1の接眼レンズ光学システムの概略構成図である。
【
図4】本発明の実施例1の接眼レンズ光学システムのスペックルアレイの概略図である。
【
図5】本発明の実施例1の接眼レンズ光学システムの歪みの概略図である。
【
図6】本発明の実施例1の接眼レンズ光学システムの光学伝達函数MTFの概略図である。
【
図7】本発明の実施例2の接眼レンズ光学システムの概略構成図である。
【
図8】本発明の実施例2の接眼レンズ光学システムのスペックルアレイの概略図である。
【
図9】本発明の実施例2の接眼レンズ光学システムの歪みの概略図である。
【
図10】本発明の実施例2の接眼レンズ光学システムの光学伝達函数MTFの概略図である。
【
図11】本発明の実施例3の接眼レンズ光学システムの概略構成図である。
【
図12】本発明の実施例3の接眼レンズ光学システムのスペックルアレイの概略図である。
【
図13】本発明の実施例3の接眼レンズ光学システムの歪みの概略図である。
【
図14】本発明の実施例3の接眼レンズ光学システムの光学伝達函数MTFの概略図である。
【
図15】本発明の実施例4の接眼レンズ光学システムの概略構成図である。
【
図16】本発明の実施例4の接眼レンズ光学システムのスペックルアレイの概略図である。
【
図17】本発明の実施例4の接眼レンズ光学システムの歪みの概略図である。
【
図18】本発明の実施例4の接眼レンズ光学システムの光学伝達函数MTFの概略図である。
【
図19】本発明の実施例5の接眼レンズ光学システムの概略構成図である。
【
図20】本発明の実施例5の接眼レンズ光学システムのスペックルアレイの概略図である。
【
図21】本発明の実施例5の接眼レンズ光学システムの歪みの概略図である。
【
図22】本発明の実施例5の接眼レンズ光学システムの光学伝達函数MTFの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施例の目的、技術的手段及びメリットがより分かりやすいように、以下に本発明の実施例中の技術的手段及び添付図面を参照しながら明確で完全に説明を行う。明らかに、説明される実施例は本発明の全部の実施例ではなく、一部の実施例である。本発明の実施例に基づき、当業者が創造的活動を行うことなく、得られた全ての他の実施例は、何れも本発明の保護範囲に属する。
【0027】
本発明に係る広視野角・高画質接眼レンズ光学システムは、
図1及び
図2に示すように、以下の広視野角・高画質接眼レンズ光学システムを提供する。目視観察側からマイクロディスプレまでの間に光軸方向に順に配列される第1のレンズ群A1及び第2のレンズ群A2を含み、第1のレンズ群A1が1枚又は複数枚のレンズで構成され、第2のレンズ群A2がフレネルレンズを含み、フレネルレンズがフレネル面を含む広視野角・高画質接眼レンズ光学システムであって、
フレネル面の中心からエッジまでの範囲がN段に分けられ得、なかでも、第n段における周波数がfnであり、Nとnが以下の関係式(1)、(2)を満たす広視野角・高画質接眼レンズ光学システム。
【0028】
【0029】
前記関係式2において、nの値は1、2、3、4、5……Nである。なかでも、異なる段における周波数fnが異なってもよい。例えば、表1に示すように、フレネル面の組合せデータは下記の通りである。
【0030】
【0031】
フレネルレンズの焦点距離がF4であり、光学システムの総焦点距離がFであり、F4とFが以下の関係式(3)を満たす。
【0032】
【数9】
前記関係式(3)において、|F4/F|の値は、0.3、0.3455、1.193、0.3479、0.3787、0.472、10.61であってもよい。
【0033】
前記実施例において、新規のフレネル面形状と従来の光学球面及び非球面の面形状の組合せを用い、かつ各レンズ及びレンズ群の焦点距離が所定の条件を満たす場合システム収差が大きく除去され、各光学部材の感度が低減され、部材の加工及び組み付けをしやすく、広視野角、低歪み、低色差、低像面湾曲、低非点収差等の光学指標を実現した。
【0034】
更なる実施例において、フレネルレンズの開口径がD4であり、かつD4とF4が以下の関係式(4)を満たす。
【0035】
【数10】
前記関係式(4)において、|D4/F4|の値は、2.05、0.073、0.338、0.45、1.45、2.5であってもよい。
【0036】
更なる実施例において、フレネルレンズにおけるマイクロディスプレイデバイスに近接する側の光学面からマイクロディスプレイデバイスまでの距離がfdであり、かつfdとFが以下の関係式(5)を満たす。
【0037】
【数11】
前記関係式(5)において、fd/Fの値は、0.05、0.095、0.2、0.355、0.499、0.87、0.89、1.0であってもよい。
【0038】
更なる実施例において、F4とFがさらに以下の関係式(6)を満たす。
【0039】
【0040】
更なる実施例において、D4とF4がさらに以下の関係式(7)を満たす。
【0041】
【0042】
更なる実施例において、fdとFがさらに以下の関係式(8)を満たす。
【0043】
【0044】
フレネルレンズの有効焦点距離の値の範囲をさらに最適化することにより、光学システムの光学性能と加工製造難易度のバランスがより良く取れた。
【0045】
更なる実施例において、第1のレンズ群A1と第2のレンズ群A2の各レンズが全てガラス材料又はプラスチック材料から構成されることで、前記接眼レンズ光学システムの各級の収差が十分に補正されると同時に、光学素子の製造コスト及び光学システムの重量も制御される。
【0046】
更なる実施例において、フレネルレンズが一般的な光学面をさらに含み、一般的な光学面が平面、球面又は非球面の面形状である。
【0047】
更なる実施例において、第1のレンズ群A1中の各レンズの面形状が球面の面形状、偶数次非球面の面形状又はフレネル面形状であり、かつ第1のレンズ群A1と第2のレンズ群A2に少なくとも1つの軸対称非球面レンズがある。新規のフレネル面形状と従来の光学球面及び非球面の面形状の組合せを用い、かつ各レンズ及びレンズ群の焦点距離が所定の条件を満たす場合システム収差が大きく除去され、各光学部材の感度が低減され、部材の加工及び組み付けをしやすく、広視野角、低歪み、低色差、低像面湾曲、低非点収差等の光学指標を実現した。
【0048】
前記実施例において、非球面の式は以下の通りである。
【0049】
【数15】
なかでも、zは光学面の矢高であり、cは非球面の頂点における曲率であり、kは非球面係数であり、α2、4、6…は各階の係数であり、rは曲面における点からレンズシステムの光軸までの距離の座標である。
【0050】
以下に添付図面の説明及び具体的な実施の態様を参照しながら、本発明をさらに説明する。下記の各実施例の光路図において、マイクロディスプレから発される光は、順にフレネルレンズと第1のレンズ群A1を経由した後、人の目に入る。絞りは接眼レンズ光学システムの結像の射出瞳であってもよく、バーチャルの光出射アパーチャである。人の目EYEの瞳孔が絞り位置にある場合、最も好ましい結像効果を観察することができる。
【実施例1】
【0051】
実施例1の接眼レンズの設計データは下記の表に示す通りである。
【0052】
【0053】
図3は実施例1の接眼レンズ光学システムの2D構成図である。当該光学構造は4枚の光学レンズで構成され、第1のレンズ群A1は第1のレンズL1、第2のレンズL2及び第3のレンズL3で構成される。なかでも、第1のレンズL1と第3のレンズL3は正レンズであり、第2のレンズL2は負レンズであり、第1の光学面1、第3の光学面3、第4の光学面4、第5の光学面5及び第6の光学面6は目に向けて突出する球面又は非球面の面形状であり、第2の光学面2は目に向けて凹む偶数次非球面の面形状である。第2のレンズ群A2中のフレネルレンズはL4であり、第7の光学面7は偶数次非球面であり、第8の光学面8はフレネル面である。なかでも、第8の光学面8のフレネル面のパラメータである4次の項の係数は1.57e-06であり、6次の項の係数は6.9e-10であり、8次の項の係数は-7.75e-13であり、10次の項の係数は4.4e-16である。フレネルレンズの焦点距離はF4であり、フレネル面の開口径はD4であり、光学構造のシステム総焦点距離はFであり、第8の光学面8からマイクロディスプレイデバイスまでの距離はfdであり、その|F4/F|は1.193であり、|D4/F4|は1.425であり、fd/Fは0.605である。
【0054】
図4、
図5、
図6は、それぞれ、前記光学システムのスペックルアレイ図、歪み図及び光学伝達函数MTF図である。本実施例の各視野の光線が像平面(表示デバイスI)の単位画素に高い解像度及び小さな光学歪みを有することが反映されている。単位周期における10mm当たりの解像度が0.78以上となり、光学システムの収差が良く補正され、接眼レンズ光学システムを介して、均一で光学性能が高い表示画像を観察することができる。
【実施例2】
【0055】
実施例2の接眼レンズの設計データは下記の表に示す通りである。
【0056】
【0057】
図7は実施例2の接眼レンズ光学システムの2D構成図である。実施例1に比べ、実施例2の主な特徴は、前記光学構造が2枚の光学レンズで構成されることである。なかでも、第1のレンズ群A1は第1のレンズL1で構成される。なかでも、第1のレンズL1は負レンズである。第1の光学面1と第2の光学面2の面形状は目に向けて突出する偶数次非球面の面形状であり、第2のレンズ群A2中のフレネルレンズは第2のレンズL2である。なかでも、第3の光学面3は偶数次非球面であり、第4の光学面4はフレネル面である。第4の光学面4のフレネル面のパラメータである4次の項の係数は-4.1467078e-05であり、6次の項の係数は2.5702072e-07であり、8次の項の係数は-1.1292358e-09であり、10次の項の係数は2.4473554e-12である。フレネルレンズの焦点距離はF4であり、フレネル面の開口径はD4であり、光学構造のシステム総焦点距離はFであり、第4の光学面4からマイクロディスプレイデバイスまでの距離はfdであり、その|F4/F|は0.3479であり、|D4/F4|は1.993であり、fd/Fは0.941である。
【0058】
図8、
図9、
図10は、それぞれ、前記光学システムのスペックルアレイ図、歪み図及び光学伝達函数MTF図である。本実施例の各視野の光線が像平面(表示デバイスI)の単位画素に高い解像度及び小さな光学歪みを有することが反映されている。単位周期における10mm当たりの解像度が0.15以上となり、光学システムの収差が良く補正され、接眼レンズ光学システムを介して、均一で光学性能が高い表示画像を観察することができる。
【実施例3】
【0059】
実施例3の接眼レンズの設計データは下記の表に示す通りである。
【0060】
【0061】
図11は実施例3の接眼レンズ光学システムの2D構成図である。実施例1、実施例2に比べ、実施例3の主な特徴は、前記光学構造が3枚の光学レンズで構成されることである。なかでも、第1のレンズ群A1は第1のレンズL1と第2のレンズL2で構成され、なかでも、第1のレンズL1は正レンズであり、第2のレンズL2は負レンズである。第1の光学面1と第4の光学面4の面形状は目に向けて突出する偶数次非球面の面形状であり、第2の光学面2と第3の光学面3の面形状は目に向けて凹む偶数次非球面である。第2のレンズ群A2中のフレネルレンズは第3のレンズL3であり、第5の光学面5は偶数次非球面であり、第6の光学面6はフレネル面である。フレネルレンズの焦点距離はF4であり、フレネル面の開口径はD4であり、光学構造のシステム総焦点距離はFであり、第6の光学面からマイクロディスプレイデバイスまでの距離はfdであり、その|F4/F|は0.3787であり、|D4/F4|は2.0であり、fd/Fは0.791である。
【0062】
図12、
図13、
図14は、それぞれ、前記光学システムのスペックルアレイ図、歪み図及び光学伝達函数MTF図である。本実施例の各視野の光線が像平面(表示デバイスI)の単位画素に高い解像度及び小さな光学歪みを有することが反映されている。単位周期における10mm当たりの解像度が0.50以上となり、光学システムの収差が良く補正され、接眼レンズ光学システムを介して、均一で光学性能が高い表示画像を観察することができる。
【実施例4】
【0063】
実施例4の接眼レンズの設計データは下記の表に示す通りである。
【0064】
【0065】
図15は実施例4の接眼レンズ光学システムの2D構成図である。実施例1、実施例2、実施例3に比べ、実施例4の主な特徴は、前記光学構造が3枚の光学レンズで構成され、かつ第1のレンズ群A1に1つのフレネルレンズを備えることである。なかでも、第1のレンズ群A1は第1のレンズL1、第2のレンズL2で構成され、かつ第1のレンズL1は正レンズであり、第2のレンズL2はフレネルレンズである。なかでも、第1の光学面1の面形状は目に向けて突出する偶数次非球面の面形状であり、第2の光学面2の面形状は目に向けて凹む球面であり、第3の光学面3の面形状は目に向けて凹む偶数次非球面である。第2のレンズ群A2中のフレネルレンズは第3のレンズL3であり、かつ第5の光学面5は偶数次非球面であり、第6の光学面6はフレネル面である。第6の光学面6のフレネル面のパラメータである4次の項の係数は-4.8396642e-05であり、6次の項の係数は9.6819004e-08であり、8次の項の係数は-1.60209e-10であり、10次の項の係数は1.294112e-13である。フレネルレンズの焦点距離はF4であり、フレネル面の開口径はD4であり、光学構造のシステム総焦点距離はFであり、第6の光学面6からマイクロディスプレイデバイスまでの距離はfdであり、その|F4/F|は0.472であり、|D4/F4|は1.45であり、fd/Fは0.93である。
【0066】
図16、
図17、
図18は、それぞれ、前記光学システムのスペックルアレイ図、歪み図及び光学伝達函数MTF図である。本実施例の各視野の光線が像平面(表示デバイスI)の単位画素に高い解像度及び小さな光学歪みを有することが反映されている。単位周期における10mm当たりの解像度が0.30以上となり、光学システムの収差が良く補正され、接眼レンズ光学システムを介して、均一で光学性能が高い表示画像を観察することができる。
【実施例5】
【0067】
実施例5の接眼レンズの設計データは下記の表に示す通りである。
【0068】
【0069】
図19は実施例5の接眼レンズ光学システムの2D構成図である。他の実施例に比べ、実施例5の主な特徴は、前記光学構造が4枚の光学レンズで構成されることである。なかでも、第1のレンズ群A1は第1のレンズL1、第2のレンズL2及び第3のレンズL3で構成される。なかでも、第1のレンズL1と第3のレンズL3は正レンズであり、第2のレンズL2は負レンズであり、かつ第1の光学面1の面形状は目に向けて突出する球面の面形状であり、第3の光学面3、第4の光学面4、第5の光学面5の面形状は目に向けて突出する偶数次非球面の面形状であり、第2の光学面、第6の光学面6の面形状は目に向けて凹む偶数次非球面の面形状である。第2のレンズ群A2中のフレネル光学レンズはL4であり、かつ第7の光学面7は偶数次非球面であり、第8の光学面8はフレネル面である。第8の光学面のフレネル面のパラメータである4次の項の係数は-1.6683367e-06であり、6次の項の係数は1.3777189e-10であり、8次の項の係数は-1.2996377e-11であり、10次の項の係数は6.9607322e-15である。フレネルレンズの焦点距離はF4であり、フレネル面の開口径はD4であり、光学構造のシステム総焦点距離はFであり、第6の光学面6からマイクロディスプレイデバイスまでの距離はfdであり、その|F4/F|は10.61であり、|D4/F4|は0.073であり、fd/Fは0.62である。
【0070】
図20、
図21、
図22は、それぞれ、前記光学システムのスペックルアレイ図、歪み図及び光学伝達函数MTF図である。本実施例の各視野の光線が像平面(表示デバイスI)の単位画素に高い解像度及び小さな光学歪みを有することが反映されている。単位周期における10mm当たりの解像度が0.50以上となり、光学システムの収差が良く補正され、接眼レンズ光学システムを介して、均一で光学性能が高い表示画像を観察することができる。
【0071】
前記実施例1~実施例5の諸データは全て明細書に記載されるパラメータの要求を満たすものである。結果は下記の表7に示す通りである。
【0072】
【0073】
別の実施例において、本発明は、広視野角・高画質接眼レンズ光学設備をさらに提供する。当該接眼レンズ光学設備は、それぞれ人の左右の目の位置に対応する2つのマイクロディスプレイデバイスを備えるものであり、人の目とマイクロディスプレイデバイスとの中間位置に設けられ、第1のレンズ群A1とフレネルレンズA2を介して、各正負レンズの組合せを介して、システムの収差が十分に補正され、及び目に向けて突出する第1のレンズL1と、十分な正の視度を提供できるフレネルレンズとを用いて、マイクロディスプレイデバイスに示す画面を高画質、低歪み、広視野角の特徴で人の目に投射する光学システムをさらに備える。観察者は、接眼レンズ光学設備により、フルフレームで高精細度、無歪み、均一な画質の大画面を見、高臨場感の視覚体験を達成することができる。なかでも、マイクロディスプレイデバイスは有機電界発光素子又は透過型液晶ディスプレイである。
【0074】
なお、当業者であれば、前記説明に応じて改善又は変形することができる。これらの改善及び変換の全ては、本発明に添付される特許請求の範囲の保護範囲に属すべきである。
【国際調査報告】