IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 奎克生技光電股▲フン▼有限公司の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-16
(54)【発明の名称】健康リスク評価方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/68 20180101AFI20220208BHJP
【FI】
C12Q1/68
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021534795
(86)(22)【出願日】2019-12-24
(85)【翻訳文提出日】2021-07-14
(86)【国際出願番号】 CN2019127934
(87)【国際公開番号】W WO2020135422
(87)【国際公開日】2020-07-02
(31)【優先権主張番号】62/784,541
(32)【優先日】2018-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519364808
【氏名又は名称】奎克生技光電股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100181272
【弁理士】
【氏名又は名称】神 紘一郎
(72)【発明者】
【氏名】陳 偉銘
(72)【発明者】
【氏名】康 詩▲チン▼
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QX02
(57)【要約】
【目的】本発明は、健康リスク評価方法を提供する。
【解決手段】健康リスク評価方法は、以下のステップを含む。健常者集団のマイクロRNA発現量データベースを作成する。その後、被験者の血漿サンプル中のマイクロRNA発現量を分析する。それから、被験者のマイクロRNA発現量データを健常者集団のマイクロRNAデータベースのマイクロRNA発現量と比較して、被験者の血漿の中から発現量が高すぎる、または低すぎるマイクロRNAを見つけ出し、被験者の健康リスクを評価する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
健常者集団のマイクロRNA発現量データベースを作成するステップと、
被験者の血漿サンプル中のマイクロRNA発現量を分析するステップと、
前記被験者のマイクロRNA発現量データを前記健常者集団のマイクロRNAデータベースのマイクロRNA発現量と比較して、前記被験者の血漿の中から発現量が高すぎる、または低すぎるマイクロRNAを見つけ出し、前記被験者の健康リスクを評価するステップと、
を含み、前記健常者集団のマイクロRNAデータベースに対し、各マイクロRNA発現量の検出頻度に基づいて、各マイクロRNAを分類する健康リスク評価方法。
【請求項2】
前記健康リスクの判別が、癌または糖尿病を含む請求項1に記載の健康リスク評価方法。
【請求項3】
前記健常者集団のマイクロRNAデータベースに対し、各マイクロRNA発現量の検出頻度に基づいて、各マイクロRNAをH型、M型、L型、またはCn型に分け、H型が、検出頻度が60%よりも高いことを示し、M型が、検出頻度が20%~60%であることを示し、L型が、検出頻度が20%よりも低いことを示し、Cn型が、この型のマイクロRNAの発現を検出できなかったことを示す請求項1に記載の健康リスク評価方法。
【請求項4】
前記被験者のマイクロRNA発現量データに対し、発現量に基づいて、マイクロRNAをU型、D型、N型、またはEn型に分け、U型が、前記被験者のその型のマイクロRNAの発現量が前記健常者集団のその型のマイクロRNAの発現量の基準範囲よりも高いことを示し、D型が、前記被験者のその型のマイクロRNAの発現量が前記健常者集団のその型のマイクロRNAの発現量の基準範囲よりも低いことを示し、N型が、前記被験者のその型のマイクロRNAの発現量が前記健常者集団のその型のマイクロRNAの発現量の基準範囲内にあることを示し、En型が、前記被験者のその型のマイクロRNAの発現を検出できなかったことを示す請求項3に記載の健康リスク評価方法。
【請求項5】
前記被験者の各マイクロRNAを第1集団、第2集団、第3集団、第4集団、または第5集団に分類し、各マイクロRNAが前記第1集団、前記第2集団、前記第3集団、前記第4集団、または前記第5集団に属する時は、1つの赤い点を示し、前記第1集団が、その型のマイクロRNAがH型とU型に同時に属することを示し、前記第2集団が、その型のマイクロRNAがM型とU型に同時に属することを示し、前記第3集団が、その型のマイクロRNAがCn型とU型に同時に属することを示し、前記第4集団が、その型のマイクロRNAがH型とD型に同時に属することを示し、前記第5集団が、その型のマイクロRNAがM型とD型に同時に属することを示す請求項4に記載の健康リスク評価方法。
【請求項6】
前記赤い点の数が5よりも大きいか、それに等しい時、前記被験者に健康リスクが存在することを示す請求項5に記載の健康リスク評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、健康リスク評価方法に関するものであり、特に、マイクロRNA(microRNA, miRNA)発現解析による健康リスク評価方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロRNA(microRNA)は、長さが約18~25ヌクレオチドのノンコーディングRNA(non-coding RNA)であり、進化過程において高度に保存され、且つ細胞内制御において非常に重要な役割を果たす。1993年に、マイクロRNAは、カエノラブディティス・エレガンス(Caenorhabditis elegans)において最初に発見された。相次いで、人類や他の種においてもさらに多くのマイクロRNAが発見されている。現在、ヒト細胞内には約2,500個の既知のマイクロRNAがあり、これらのマイクロRNAは、50%以上のメッセンジャーRNA発現量(mRNA expression)を制御できることが実証されている。また、異常なマイクロRNA発現量(microRNA expression)は、癌病変、慢性疾患、自己免疫疾患等を含む多くの疾患の形成に関連することが既に実証されている。
【0003】
過去数年の間、マイクロRNAは、既に広く賞賛され、新しい分子検出のターゲットとみなされている。現在、マイクロRNAは、細胞から血液に分泌されることも既に実証されており、タンパク質RNA複合体(protein-RNA complexes)を形成することにより、リボヌクレアーゼ(RNase)によって分解されないことが確認されている。このような特徴も非常に価値があり、血液中の無細胞マイクロRNAを非常に取得しやすくするとともに、無細胞マイクロRNA発現量(cell-free miRNA expression profiling)を検出することによって、疾患の初期診断の根拠とすることができる。例を挙げて説明すると、異なる種類の癌は、それぞれ独特の無細胞マイクロRNA発現量を有することが既に実証されており、あるいは、マイクロRNAシグネチャー(miRNA signature)と称され、癌の初期診断の根拠として利用されている。
【0004】
これまで、便利性を有し、診断率の高い非侵襲的疾患検出法が、医学会によって追求され続けてきた目標であった。癌を例に挙げると、潜在的に未発見で初期無症状の癌を早期発見するためには、癌検診(cancer screening)を行うことによって、この目的を達成することができる。癌検診は、検査、試験、またはその他の方法を利用して、癌を患っているかいないかを識別するプロセスを指す。
【0005】
現在、患者は、多くの症状や検査結果によって癌を患っているかどうかを検出することができるが、悪性の腫瘍を診断する最も確実な方法は、病理医により生体組織に対して生検を行うか、あるいは手術で採取した組織に対して病理試験を行い、癌細胞の存在を実証する方法であり、侵襲的な検出方法に属する。
【0006】
また、腫瘍マーカー検出は、悪性腫瘍細胞に関連する特殊なタンパク質の変化を検出することによって、癌を患っているかどうかを判断することを指す。しかしながら、腫瘍マーカー検出は、敏感性や特殊性が悪く、腫瘍がかなり大きくなってから、あるいは既に他の器官に転移してからでないと検出できないことがよくある。
【0007】
以上のように、非侵襲的な早期評価の健康リスク評価方法を開発し、病気になる健康リスクを一刻も早くリアルタイムでモニタリングすることが、現在研究すべき重要な課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、マイクロRNA発現量を分析することによって、健康リスクをリアルタイムでモニタリングする健康リスク評価方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の健康リスク評価方法は、以下のステップを含む。まず、健常者集団のマイクロRNA発現量データベースを作成し、その後、被験者の血漿サンプル中のマイクロRNA発現量を分析する。それから、被験者のマイクロRNA発現量データを健常者集団のマイクロRNAデータベースのマイクロRNA発現量と比較して、被験者の血漿の中から発現量が高すぎる、または低すぎるマイクロRNAを見つけ出し、被験者の健康リスクを評価する。
【0010】
本発明の1つの実施形態において、健康リスクの判別は、癌または糖尿病を含む。
【0011】
本発明の1つの実施形態において、健常者集団のマイクロRNAデータベースに対し、発現量に基づいて、マイクロRNAをH型、M型、L型、またはCn型に分ける。H型は、健常者集団において、その型のマイクロRNA発現量の検出頻度が60%よりも高いことを示し、M型は、健常者集団において、その型のマイクロRNA発現量の検出頻度が20%~60%であることを示し、L型は、健常者集団において、その型のマイクロRNA発現量の検出頻度が20%よりも低いことを示し、Cn型は、健常者集団において、その型のマイクロRNAの発現を検出できなかったことを示す。
【0012】
本発明の1つの実施形態において、被験者のマイクロRNA発現量データに対し、その発現量に基づいて、マイクロRNAをU型、D型、N型、またはEn型に分ける。U型は、被験者のその型のマイクロRNAの発現量が健常者集団のその型のマイクロRNAの発現量の基準範囲よりも高いことを示し、D型は、被験者のその型のマイクロRNAの発現量が健常者集団のその型のマイクロRNAの発現量の基準範囲よりも低いことを示し、N型は、被験者のその型のマイクロRNAの発現量が健常者集団のその型のマイクロRNAの発現量の基準範囲内にあることを示し、En型は、被験者のその型のマイクロRNAの発現を検出できなかったことを示す。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、被験者の各マイクロRNAを第1集団、第2集団、第3集団、第4集団、または第5集団に分類する。各マイクロRNAが第1集団、第2集団、第3集団、第4集団、または第5集団に属する時は、1つの赤い点を示し、第1集団は、その型のマイクロRNAがH型とU型に同時に属することを示し、第2集団は、その型のマイクロRNAがM型とU型に同時に属することを示し、第3集団は、その型のマイクロRNAがCn型とU型に同時に属することを示し、第4集団は、その型のマイクロRNAがH型とD型に同時に属することを示し、第5集団は、その型のマイクロRNAがM型とD型に同時に属することを示す。
【0014】
本発明の1つの実施形態において、赤い点の数が5よりも大きいか、それに等しい時は、被験者に健康リスクが存在する可能性があることを示す。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、非侵襲的な早期評価の健康リスク評価方法を提供し、被験者の血漿中のマイクロRNA発現量を分析してから、健常者集団のマイクロRNAデータベースと比較するため、リアルタイムで、且つ効率的に健康リスクを評価することができ、さらに、既存の健康リスクスクリーニングの便利性および診断率を改善することができる。
【0016】
本発明の上記の特徴および利点をより分かり易くするため、以下に実施形態を挙げて詳しく説明する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、以下のステップを含む改良された核酸サンプル測定方法を提供する。まず、健常者集団のマイクロRNA発現量データベースを作成する。その後、被験者の血漿サンプル中のマイクロRNA発現量を分析する。それから、被験者のマイクロRNA発現量データを健常者集団のマイクロRNAデータベースのマイクロRNA発現量と比較して、被験者の血漿の中から発現量が高すぎる、または低すぎるマイクロRNAを見つけ出し、被験者の健康リスクを評価する。
【0018】
本実施形態において、健常者集団のマイクロRNAデータベースを作成する方法は、以下の通りである。まず、3万以上の文献に基づいて疾患に関連するマイクロRNA情報データベースを作成し、疾患との関連性が高い167個のマイクロRNAをフィルタリングする。300名以上の健康な被験者(医師により癌/糖尿病/その他の主要疾患を患っていると判定されていない者)を募集し、医師により腫瘍のリスクがないと評価された後、血漿検体を収集して、血漿検体内の167個のマイクロRNA発現量を検出し、健常者集団における各マイクロRNA発現量の平均値および標準偏差を計算するとともに、それに基づいて、健常者集団における各マイクロRNA発現量の正常範囲を統計し、健常者集団のこれら167個のマイクロRNA発現量に対するデータベースを作成する。
【0019】
本実施形態において、フィルタリングした疾患との関連性が高い167個のマイクロRNAは、下記の表1に示した通りである。
【0020】
【表1】
【0021】
本実施形態において、血漿中のマイクロRNAを検出する方法は、以下のステップを含む。
【0022】
1、血液サンプルを採集する
【0023】
採血者の皮膚の採血部位をアルコールで拭き、止血帯を使用してスリップノット法で採血部位の上方5cmから15cmを縛る。19Gから22Gの針で10mlの全血をK2EDTA真空採血管(K2EDTA BD Vacutainer tube)に抽出し、血液が採血管に流入した後、すぐに止血帯をほどく。採血が完了してから、すぐに採血管を軽く上下に反転させて5~8回混合し、抗凝血剤が完全に作用を発揮していることを確認する。採血管を常温で保存し、採血後1時間以内に血漿分離ステップを完了させなければならない。
【0024】
2、血漿分離方法
【0025】
採血管をスイングロータ(Swinging-Bucket Rotor)に置き、1200xgで10分間、室温で遠心する。遠心が終わった後、上澄み液を新しい15mlの遠心管に取り出す。15mlの遠心管をピペット(pipette)で5回吸脱着して混合されたことを確認してから、1.5mlのDNase/RNaseフリーのエッペンドルフ(eppendorf)に均等に分け、1200xgで10分間、室温で遠心する。遠心が終わった後、1.5mlのエッペンドルフの底部にある白色沈殿物を採取しないように、上澄み液を新しい15mlの遠心管に取り出す。上澄み液をピペットで5回吸脱着して混合されたことを確認して、1.5mlのDNA LoBindチューブ(エッペンドルフ、22431021)に積み分け、すぐに-80℃の冷蔵庫に入れて保存する。
【0026】
3、マイクロRNAの抽出方法
【0027】
-80℃の冷蔵庫から血漿サンプルを取り出して、氷の上に置いて解凍し、解凍後、キアゲン(Qiagen)社のmiRNeasy Serum/Plasmaキットによって提供された操作マニュアルに基づいて実験を行い、30μlのヌクレアーゼフリー水で再溶解を行う。
【0028】
4、cDNAの合成
【0029】
適量のマイクロRNAを取り出し、Quarkbio 社のmicroRNA Universal RTキットで逆転写反応を行って、cDNAを合成する。
【0030】
5、qPCR実験
【0031】
適量のcDNAを取り出し、Quarkbio 社のmiRSCAN Panelchip(R)によって提供された操作マニュアルに基づいてqPCR実験を行う。
【0032】
本実施形態において、健康リスクの判別は、癌または糖尿病を含むが、本発明はこれに限定されず、その他の疾患または健康に対して悪い影響をもたらす危険因子を含んでもよい。
【0033】
本実施形態において、健常者集団のマイクロRNAデータベースに対し、発現量に基づいて、マイクロRNAをH型、M型、L型、またはCn型に分ける。H型は、健常者集団において、その型のマイクロRNA発現量の検出頻度が約60%よりも高いことを示し、M型は、健常者集団において、その型のマイクロRNA発現量の検出頻度が約20%~60%であることを示し、L型は、健常者集団において、その型のマイクロRNA発現量の検出頻度が約20%よりも低いことを示し、Cn型は、健常者集団において、その型のマイクロRNAの発現を検出できなかったことを示す。
【0034】
本実施形態において、被験者のマイクロRNA発現量データに対し、その発現量に基づいて、マイクロRNAをU型、D型、N型、またはEn型に分ける。U型は、被験者のその型のマイクロRNAの発現量が健常者集団のその型のマイクロRNAの発現量の基準範囲よりも高いことを示し、D型は、被験者のその型のマイクロRNAの発現量が健常者集団のその型のマイクロRNAの発現量の基準範囲よりも低いことを示し、N型は、被験者のその型のマイクロRNAの発現量が健常者集団のその型のマイクロRNAの発現量の基準範囲内にあることを示し、En型は、被験者のその型のマイクロRNAの発現を検出できなかったことを示す。
【0035】
本実施形態において、被験者の各マイクロRNAを第1集団、第2集団、第3集団、第4集団、または第5集団に分類する。各マイクロRNAが第1集団、第2集団、第3集団、第4集団、または第5集団に属する時は、1つの赤い点を示し、第1集団は、その型のマイクロRNAがH型とU型に同時に属することを示し、第2集団は、その型のマイクロRNAがM型とU型に同時に属することを示し、第3集団は、その型のマイクロRNAがCn型とU型に同時に属することを示し、第4集団は、その型のマイクロRNAがH型とD型に同時に属することを示し、第5集団は、その型のマイクロRNAがM型とD型に同時に属することを示す。赤い点の数が5よりも大きいか、それに等しい時は、被験者に健康リスクが存在する可能性があることを示す。
【0036】
以下、実験例により上述した実施形態の健康リスク評価方法について詳しく説明する。しかしながら、下記の実験例は、本発明を限定するためのものではない。
【0037】
実験例
【0038】
本発明において提出する健康リスク評価方法がリアルタイムで、且つ効率的に健康リスクを評価できることを証明するため、以下の実験例を特別に行った。
【0039】
実例1:癌に対するリスク評価
【0040】
198例の低リスク集団および癌集団(医師による判定済み)であることが既に知られている被験者を分析して、上記の実施形態で言及した判別方法により各被験者の赤い点の数を判定し、下記の表2に示す結果を得た。表2において、低リスク集団は、被験者がまだいかなる主要疾患も診断されていないことを指し、癌集団は、いずれもまだ治療をしていない。198個の試験サンプルにおいて、潜在的健康リスクを有する高リスク集団の識別に成功した正確率は、約73%であった。
【0041】
【表2】
【0042】
実例2:糖尿病に対するリスク評価
【0043】
56例の低リスク集団および糖尿病集団(医師による判定済み)であることが既に知られている被験者を分析して、上記の実施形態で言及した判別方法により各被験者の赤い点の数を判定し、下記の表3に示す結果を得た。表3において、低リスク集団は、被験者がまだいかなる主要疾患も診断されていないことを指す。56個の試験サンプルにおいて、潜在的健康リスクを有する高リスク集団の識別に成功した正確率は、約70%であった。
【0044】
【表3】
【0045】
以上のように、本発明は、非侵襲的な早期評価の健康リスク評価方法を提供し、被験者の血漿中の健康リスク因子に関連するマイクロRNA発現量を分析してから、健常者集団のマイクロRNAデータベースと比較するため、リアルタイムで、且つ効率的に健康リスクを評価することができ、さらに、既存の癌検診の便利性および診断率を改善し、個別化された専門的な健康リスクモニタリングを提供することができる。
【0046】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
【国際調査報告】