(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(54)【発明の名称】クロロシランの製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 33/107 20060101AFI20220209BHJP
C01B 33/035 20060101ALI20220209BHJP
【FI】
C01B33/107 Z
C01B33/035
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021535230
(86)(22)【出願日】2018-12-18
(85)【翻訳文提出日】2021-08-16
(86)【国際出願番号】 EP2018085443
(87)【国際公開番号】W WO2020125944
(87)【国際公開日】2020-06-25
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns-Seidel-Platz 4, D-81737 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(72)【発明者】
【氏名】カール-ハインツ、リンベック
(72)【発明者】
【氏名】タッシロ、フライヘル、フォン、アレティン
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンネス、スンドベリ
【テーマコード(参考)】
4G072
【Fターム(参考)】
4G072AA01
4G072AA11
4G072AA13
4G072AA14
4G072BB12
4G072GG03
4G072HH01
4G072HH07
4G072HH08
4G072HH09
4G072JJ14
4G072JJ26
4G072JJ28
4G072JJ34
4G072KK07
4G072KK09
4G072MM08
4G072MM21
4G072NN14
4G072RR17
4G072UU02
4G072UU30
(57)【要約】
本発明は、流動層反応器内における、塩化水素含有反応ガスと、シリコン及び任意に触媒を含有する粒子性接触剤との反応による、クロロシランの製造方法であって、前記クロロシランが一般式:
HnSiCl4-n及び/又はHmCl6-mSi2
(式中、n=1~4であり、m=0~4である。)を有し、前記反応器の設計が指標K1で表され、触媒を有しない前記接触剤の組成が指標K2uncatで表され、触媒を有する前記接触剤の組成が指標K2catで表され、反応条件が指標K3で表され、K1が1~10の値を有し、K2uncatが0.1~10の値を有し、K2catが0.005~3の値を有し、K3が1~700の値を有する、クロロシランの製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動層反応器内における、塩化水素含有反応ガスと、シリコン及び任意に触媒を含有する粒子性接触剤との反応による、クロロシランの製造方法であって、
前記クロロシランが一般式:
H
nSiCl
4-n及び/又はH
mCl
6-mSi
2
(式中、n=1~4であり、m=0~4である。)を有し、
前記反応器の設計が
【数1】
φ=前記反応器の充填レベル
V
reactor, eff=前記反応器の実効体積[m
3]
A
tot, cooled=前記反応器内の冷却表面積の合計[m
2]
d
hyd=油圧反応器の直径[m]
の指標で表され、
触媒を有しない前記接触剤の組成が
【数2】
B
AK=前記接触剤の粒子径分布の幅[μm]
d
32=粒子ザウター径[μm]
R
Si=前記シリコンの純度
の指標で表され、
触媒を有する前記接触剤の組成が
【数3】
δ
rel=前記接触剤における相対触媒分布
の指標で表され、
反応条件が
【数4】
u
L=表面ガス速度[m/s]
ν
F=流体の動粘性率[m
2/s]
ρ
F=流体密度[kg/m
3]及び
p
diff=流動層上の圧力降下[kg/m・s
2]
の指標で表され、
K1が1~10の値を有し、K2
uncatが0.1~10の値を有し、K2
catが0.005~3の値を有し、K3が1~700の値を有する、クロロシランの製造方法。
【請求項2】
K1が1.2~9の値を有し、好ましくは1.3~7、特に好ましくは1.5~5.5である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
K2
uncatが0.5~8の値を有し、好ましくは0.75~6であり、特に好ましくは1~5である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
K2
catが0.0075~2の値を有し、好ましくは0.009~1であり、特に好ましくは0.01~0.5である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
K3が1.5~600の値を有し、好ましくは2~450であり、特に好ましくは3~300である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記実効反応器体積V
Reactor, effが1~60m
3であり、好ましくは3~40m
3であり、特に好ましくは4~30m
3である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記油圧装置径d
hydが0.7~1.8mであり、好ましくは0.8~1.7mであり、特に好ましくは0.9~1.6mである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記流動層上の圧力降下p
diffが10000~400000kg/m・s
2であり、好ましくは20000~100000kg/m・s
2であり、特に好ましくは30000~80000kg/m・s
2である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記粒子ザウター径d
hydが10~1000μmであり、好ましくは50~800μmであり、特に好ましくは100~500μmである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記接触剤の粒子径分布の幅B
AKが10~1500μmであり、好ましくは100~1000μmであり、特に好ましくは100~550μmである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記接触剤における相対触媒分布δ
relが0.005~3であり、好ましくは0.009~2であり、特に好ましくは0.01~0.5である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記表面ガス速度u
Lが0.05~4m/sであり、好ましくは0.06~2m/sであり、特に好ましくは0.1~1m/sであり、特に0.15~0.55m/sである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記流体密度ρ
Fが1.5~5kg/m
3である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記動粘性率ν
Fが3×10
-6~2.5×10
-5m
2/sである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記流動層反応器の絶対圧力が0.1~1MPaであり、好ましくは0.13~0.7MPaであり、特に好ましくは0.15~0.5MPaである、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
280℃~380℃、好ましくは300℃~380℃、特に好ましくは320℃~360℃の温度範囲で行われる、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
多結晶シリコンの製造用集積システムに集積される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動層反応器内における、塩化水素含有反応ガスと、シリコン及び任意に触媒を含有する粒子性接触剤との反応による、クロロシランの製造方法であって、前記クロロシランが一般式:
HnSiCl4-n及び/又はHmCl6-mSi2
(式中、n=1~4であり、m=0~4である。)を有し、前記反応器の設計が指標K1で表され、触媒を有しない前記接触剤の組成が指標K2uncatで表され、触媒を有する前記接触剤の組成が指標K2catで表され、反応条件が指標K3で表され、K1が1~10の値を有し、K2uncatが0.1~10の値を有し、K2catが0.005~3の値を有し、K3が1~700の値を有する、クロロシランの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チップ又は太陽電池を製造するための出発物質としての多結晶シリコンは、典型的には揮発性ハロゲン化合物、特にトリクロロシラン(TCS、HSiCl3)の分解によって製造される。
【0003】
多結晶シリコン(ポリシリコン)はシーメンス法によって棒状に製造してよく、反応器内で加熱された繊維棒上にポリシリコンが析出する。TCSとハロゲンとの混合物は、典型的にはプロセスガスとして利用される。或いは、粒状ポリシリコンが流動層反応器内で製造してもよい。これは、ガス流を用いた流動層におけるシリコン粒子の流動化を有し、前記流動層が加熱装置によって高温まで加熱される。TCSといったシリコン含有反応ガスを添加すると、熱い粒子表面で行われる熱分解反応を引き起こすことで、粒子径を増加させる。
クロロシラン、特にTCSの製造は、以下の反応に基づく3つの工程によって主に行ってよい(国際公開2010/028878A1及び国際公開2016/198264A1参照)。
【0004】
(1)Si+3HCl→SiHCl3+H2+副生成物
(2)Si+3SiCl4+2H2→4SiHCl3+副生成物
(3)SiCl4+H2→SiHCl3+HCl+副生成物
【0005】
生成される副生成物は、例えばモノクロロシラン(H3SiCl)、ジクロロシラン(H2SiCl2)、四塩化シリコン(STC、SiCl4)並びにジ及びオリゴシランといった、ハロシランをさらに含んでよい。炭化水素、オルガノクロロシラン、金属塩化物といった不純物は、副生成物の構成要素にもなり得る。そのため、高純度のTCSの製造は、典型的には後の蒸留を含む。
【0006】
反応(1)の塩化水素化(HC)は、流動層反応器への塩化水素(HCl)の添加により、冶金シリコン(Simg)からクロロシランを製造することを可能にし、反応が発熱的に進む。これは一般に、TCS及びSTCを主生成物として提供する。
【0007】
クロロシラン、特にTCSを製造する更なる選択肢は、触媒の存在下又は不存在下における、気相でのSTC及び水素の熱変換である。
【0008】
反応(2)の低温変換(LTC)は、弱い吸熱工程であり、典型的には触媒(例えば、銅含有触媒又は触媒混合物)の存在下で行われる。LTCは、Simgの存在下、高圧(0.5~5MPa)、400℃と700℃との間の温度で、流動層反応器内にて行ってよい。無触媒反応モードには、Simgの使用及び/又は反応ガスへのHClの添加があり得る。しかし、他の生成物の分布に帰着してよく、及び/又は、触媒変異体よりも低いTCS選択性を達成してもよい。
【0009】
反応(3)の高温変換は吸熱工程である。この工程は、典型的には高圧且つ600℃と1200℃との間の温度で、反応器内にて行われる。
【0010】
原則として、公知の方法はコストが掛かり、エネルギーを大量に消費する。電気的方法によって一般的に引き起こされる必要なエネルギー入力は、著しいコスト要因となる。流動層反応器内におけるHCの有効な性能(例えばTCS選択性加重生産性、高沸点副生成物の邪魔になる少量の構成物により表される)は、調節可能な反応パラメータに決定的に依存する。継続的な加工モードはさらに、反応物であるシリコン及びHClを反応条件で反応器内に導入することを必要とし、これは相当の技術的な複雑さに関係する。この背景に対し、最高に可能な生産性(単位時間当たりに形成されるクロロシランの量及び反応体積)及び所望の目的生成物(典型的にはTCS)に基づく最高に可能な選択性(TCS選択性加重生産性)を、理解することが重要である。
【0011】
HCによるクロロシランの製造は、高度に動的な工程である。最も効率的に可能な性能及びHCの一定の最適化のためには、根底にある動態を理解し可視化することが必要である。これには、工程監視のための高い経時的分解能を有する方法が、一般的には必要である。
【0012】
取り除いた試料の分析(オフライン測定/アットライン測定)による人員集約的実験室法では、HCから生成物の混合物の組成を決めることが知られている。しかし、前記分析は常に時間遅延を生じるため、最良の場合で、流動層反応器の別々の操作状態の点状で遡及的な抽出物を提供する。しかし、例えば複数の反応器の生成ガスの流れが1つの縮合区域で結合し、縮合物の混合物の内ただ1つの試料が取り除かれると、分析結果に基づき個々の反応器の操作状態の具体的な結論を導くことは可能でない。
【0013】
高い経時的分解能でHCから生成物の混合物の組成の測定を可能にするため、気体及び/又は縮合物の流れ、例えば工程ガスクロマトグラフ(オンライン測定/インライン測定及び/又は非破壊測定)において、工程分析計を(好ましくは個々の反応器で)利用することができる。しかし、この不都合は原則として、高い機械的ストレス(摩耗)及び刺激性の化学環境による、利用可能な装置の限定的な数である。一般的に高い元手と維持コストは、更なるコスト要因である。
【0014】
HC反応器の別々の操作状態を確かめるためには、以下に分類され得る様々な工程分析法を原則として利用することができる(W.-D. Hergeth著、化学反応のオンライン監視:ウルマンの工業化学百科事典、ワイリー:ワインハイム、ドイツ 2006)。
【0015】
【0016】
工程分析計の不都合は、いわゆるソフトセンサー(仮想センサー)に基づくモデルベース方法論により回避してよい。ソフトセンサーは、工程の操作に必要な操作パラメータ(例えば温度、圧力、体積流量、充填量、出力、質量流量、弁の位置等)の、常時決まる測定データを利用する。これは例えば、主生成物及び副生成物の濃度の予測を可能にする。
【0017】
ソフトセンサーは数学的方程式に基づき、目標値に対する代表的な測定値の依存度シミュレーションである。換言すれば、ソフトセンサーは測定値に相関する依存性を示し、目標パラメータを導く。このようにして、目標パラメータは直接的に測定されるのではなく、寧ろこれらの測定値に相関する手段で決定される。これは、HCに適用すると、例えばTCS含有量又はTCS選択性が現実の測定センサー(例えば工程ガスクロマトグラフ)で決定されるのではなく、寧ろ操作パラメータ間の相関によって計算してよいことを意味する。
【0018】
ソフトセンサー用の数学的方程式は、十分に経験的なモデル化(例えば変換冪法則モデルに基づく)、半経験的なモデル化(例えば反応速度の記述用の動態方程式に基づく)又は基本的なモデル化(例えば流体力学及び動力学の基本方程式に基づく)により入手してよい。数学的方程式は、工程シミュレーションプログラム(例えばOpenFOAM、アンシス又はバラクーダ)又は回帰プログラム(例えばエクセルVBA、マトラボ又はメイプル)を用いて導出してよい。
【発明の概要】
【0019】
本発明は、HCによるクロロシランの製造の経済性を向上することを目的とする。
【0020】
この目的は、流動層反応器内部における、塩化水素含有反応ガスと、シリコン及び任意に触媒を含有する粒子性接触剤との反応による、反応(1)のクロロシランの製造方法であって、
前記クロロシランが一般式:
HnSiCl4-n及び/又はHmCl6-mSi2
(式中、n=1~4であり、m=0~4である。)を有する、クロロシランの製造方法により達成される。
【0021】
前記反応器の設計は、無次元指標K1で表される。
【0022】
【数1】
φ=前記反応器の充填レベル
V
reactor, eff=前記反応器内部の実効体積[m
3]
A
tot, cooled=前記反応器中の冷却表面積の合計[m
2]
d
hyd=油圧反応器の直径[m]
【0023】
触媒が存在しない前記接触剤の組成は、無次元指標K2uncatで表される。
【0024】
【数2】
B
AK=前記接触剤の粒子径分布の幅[μm]
d
32=粒子ザウター径[μm]
R
Si=前記シリコンの純度
【0025】
触媒が存在する前記接触剤の組成は、無次元指標K2katで表される。
【0026】
【数3】
δ
rel=前記接触剤における相対触媒分布
【0027】
反応条件は、無次元指標K3で表される。
【0028】
【数4】
u
L=表面ガス速度[m/s]
ν
F=流体の動粘性率(反応器内部の気体反応混合物)[m
2/s]
ρ
F=流体密度[kg/m
3]
p
diff=流動層上の圧力降下[kg/m・s
2]
【0029】
前記方法では、K1が1~10の値で与えられ、K2uncatが0.1~10の値を有し、K2catが0.005~3の値を有し、K3が1~700の値を有する。これらの範囲内で、前記方法の生産性が特に高い。
【発明を実施するための形態】
【0030】
所定のパラメータの設定及びその組み合わせの選択を通じて、特に経済的な方法で工程が操作可能という点で、工程監視の物理的且つ実質的な方法を使用し、3つの指標K1、K2(K2uncat又はK2cat)及びK3を通じたHCの記述を可能にするHCにおける新しい相関を同定できた。本発明の方法は、HCの「先進的プロセス制御(APC)」という面に関し、集積された予測的プロセス制御を考慮に入れる。特にプロセス制御システム(好ましくはAPC制御器)を通じて独創的なK1、K2(K2uncat又はK2cat)及びK3の範囲でHCが行われると、最高に可能な経済効率が達成される。シリコン製品(例えば様々な品質等級のポリシリコン)製造用の集積システムにおいて、工程の集積が製造順序を最適化し、製造コストを減らす。
【0031】
直交座標系に示すと、指標K1、K2(K2
uncat又はK2
cat)及びK3の範囲は、特に有利なHCの操作範囲を表す3次元空間に及ぶ。このような操作範囲を模式的に
図1に示す。本発明の方法は特に、HC用の新しい流動層反応器の構成の単純化もする。
【0032】
その上、ソフトセンサーは、K1、K2(K2uncat又はK2cat)及びK3の機能として、例えばTCS選択性といった性能パラメータを示す。このようにして、高い時間分解能で決まる性能データを、操作変数として、プロセス制御の手段、特にモデル予測制御手段に提供することができ、経済的に最適な方法で工程を操作する。
【0033】
前記方法の好ましい形態では、K1は1.2~9の値を有し、好ましくは1.3~7、特に好ましくは1.5~5.5である。
【0034】
K2uncatは好ましくは0.5~8の値を有し、好ましくは0.75~6、特に好ましくは1~5である。
【0035】
K2catは好ましくは0.0075~2の値を有し、好ましくは0.009~1、特に好ましくは0.01~0.5である。
【0036】
K3は好ましくは1.5~600の値を有し、好ましくは2~450、特に好ましくは3~300である。
【0037】
図2は、前記方法を実行するための、反応器内部6を有する流動層反応器1を模式的に示す。好ましくは下から及び任意に横から(例えば、下からのガス流と接線方向又は直交方向に)反応ガス2を粒子性接触剤に注入し、接触剤の粒子を流動化して流動層3を形成する。一般的に反応は、反応器の外部に配置された加熱装置(図示せず)を用い、流動層3の加熱により誘導される。連続的な操作の間、加熱は典型的には必要でない。流動層3からその上の空間4へ、粒子の一部がガス流により輸送される。空間4は極めて低い固体密度で特徴付けられ、該密度は反応器出口の方向に向かって減少する。ガス流とともに反応器から出る粒子画分は、粒子排出5として表される。流動層反応器の一例はUS4092446に記載されている。
【0038】
K1 - 充填レベル加重反応器の設計
【0039】
指標K1は式1を通じ、反応器配置のパラメータ、即ち反応器内部の実効体積VReactor, eff、反応器内部の冷却表面積の合計Atot, cooled及び油圧径dhydを、無次元の充填レベルφで表される流動層と関連付ける。
【0040】
VReactor, effは、反応器内部の合計体積から全内容物の体積を引いたものと一致する。VReactor, effは好ましくは1~60m3、好ましくは3~40m3、特に好ましくは4~30m3である。
【0041】
流動層反応器内部の配置が流体力学及び生産性にも決定的効果を有し得ることを、流動層反応器中の流体力学研究は明らかにした。内部とは特に、反応ガス及び/又は接触剤の粒子と接触した状態になってよい領域(即ち、例えば空間及び流動層が形成される領域の両方)という意味だと分かっている。内部の配置は、高さ、幅、形状(例えば円柱又は円錐)といった一般的な構造上の特徴だけでなく、内部に配置された内容物によっても決まる。内容物は特に熱交換器ユニット、硬化面、反応ガス導入用の給送管(導管)及び反応ガス分配用の装置(例えばガス分配板)であってよい。
【0042】
反応器内部の冷却表面積の合計Atot, cooledは、どの位の表面積が目的の熱交換に利用できるかを規定する。例えば、Atot, cooledは冷却基盤(個々の槍、U管等からなる)及びジャケット冷却器の表面積からなる。
【0043】
流動層反応器の油圧径dhydは、流体力学的摩擦及び内容物の表面効果、経路又は他の配置の記述を、等価の径へ分配することで可能にする工学指標である。dhydは式2で計算される。
【0044】
【0045】
Aq, free=内部の自由流れ断面[m2]
Utot, wetted=全内容物の潤辺長[m]
【0046】
自由流れ断面は、流動層が形成された反応器(内容物なし)の一部の断面である。
【0047】
油圧装置径dhydは好ましくは0.7~1.8m、好ましくは0.8~1.7m、特に好ましくは0.9~1.6mである。
【0048】
全対象物(内部の直径、内容物の周囲長、冷却表面積)の測定は、例えばレーザー測定/3-D走査(例えば、ZEISS COMET L3D 2)で決定してよい。典型的には反応器製造者の文献から、或いは設計図を参照して、このような寸法を識別することもできる。
【0049】
充填レベルφは、どの位の接触剤が反応器内部に存在するかを示す。φは式3で計算される。
【0050】
【0051】
pdiff=流動層上の圧力降下[kg/m・s2]
ρp=接触剤の粒子固体密度[kg/m3]
g=重力加速度[m/s2]
【0052】
粒子固体密度ρpはほぼ一定と見なしてよい。典型的な値は例えば2336kg/m3(20℃でのSiの密度)である。比重瓶を用いて測定を行ってもよい。
【0053】
流動層上の圧力降下pdiffは好ましくは10000~400000kg/m・s2、特に好ましくは20000~100000kg/m・s2、特に30000~80000kg/m・s2である。pdiffを決めるために、反応ガス用の給送導管と排出ガス用の排出導管との両方で、例えば圧力計を用いて圧力を測定する。pdiffは差である。
【0054】
K2uncat及びK2cat - 接触剤の組成
【0055】
K2uncat及びK2catは、利用される粒子性接触剤の組成、特に造粒を、式4及び6で記載する。
【0056】
K2uncatはHCの非触媒性の変異体に用いる。K2uncatは無次元のシリコンの純度RSi、接触剤の粒子径分布の幅BAK及びザウター径d32からなる。BAKは式5で導き出す。
【0057】
BAK=d90-d10 (式5)
【0058】
画分又は造粒混合物において、d10[μm]が相対的に小さい粒子の大きさ用の尺度であり、値d90[μm]が相対的に大きい粒子用の尺度である。d10及びd90は一般的に、粒子径分布の特徴にとって重要なパラメータである。例えば値d10は、全粒子の10%が記載値よりも小さいことを意味する。値d50はさらに粒子径の中央値を定義する(DIN 13320参照)。
【0059】
10~1500μm、特に好ましくは100~1000μm、特に300~800μmの接触剤の粒子径分布の幅BAKが得られるように、d10及びd90の値が好ましく選ばれる。
【0060】
ザウター径d32は、接触剤の等体積の粒子径の中央であり、好ましくは10~1000μm、特に好ましくは50~800μm、特に100~500μmである。
【0061】
粒子径分布の/ザウター径の幅の同定は、ISO 13320(レーザー回折)及び/又はISO 13322(画像分析)に従って行ってよい。平均粒子径/粒子径分布からの直径の計算は、DIN ISO 9276-2に従って行ってよい。
【0062】
K2catはHCの触媒性の変異体に用いる。K2catは式6によれば、利用される接触剤のシリコンの純度RSi及び接触剤における相対触媒分布δrelの比である。
【0063】
触媒分布という用語は、流動層反応器に添加してよい触媒及び/又は促進剤の包括混合物としても理解される。接触剤における相対触媒分布は、湿潤/触媒、触媒混合物又は触媒-促進剤混合物と粒子性接触剤との一般的な水和性の尺度である。
【0064】
δrelは式7で計算してよい。
【0065】
【0066】
λ=触媒/シリコン造粒の質量比、又は触媒負荷
Ospec, cat=触媒の平均比表面積[m2/kg]
Ospec, SiK=シリコン造粒の平均比表面積[m2/kg]
【0067】
接触剤における相対触媒分布δrelは好ましくは0.005~3、好ましくは0.009~2、特に好ましくは0.01~0.5である。
【0068】
平均比面積は、例えばBET法(ISO 9277)に従い、ガス吸収で直接決めてよい。
【0069】
「造粒」は特に、例えばシリコン塊、特にSimgの粉砕や、粉砕工場及び製粉工場の手段で入手可能な、シリコン粒子の混合物の意味として理解される。シリコン塊は平均粒子径10mm超、好ましくは20mm超、特に好ましくは50mm超でよい。最大の平均粒子径は、500mmが好ましい。
造粒は基本的に、篩い掛け及び/又は篩い分けにより画分に分類してよい。
【0070】
造粒は、
-シリコン塊の粉砕及び製粉;これに続く任意の篩い掛け及び/又は篩い分け(分類)
-様々なシリコン型(ウェハ、多結晶/多結晶/単結晶ケイ質、Simg)の加工(粉砕、製粉、鋸引き)で産生され、分類及び/又は加工してよい(ゼタバイト、凝縮/凝集、例えばペレットの形態)廃棄物、特に粉塵の形態;目的の粒子径の外側の画分である、特大及び/又は小型の形態
-造粒Simg又はポリシリコンの製造工程、及びこうして形成される共産生材料、特にシリコン粉塵(平均粒子径10μm未満、任意に加工(凝縮/凝集)され、例えばペレットの形態)
により/から製造できる。
【0071】
異なる造粒の混合物は造粒混合物といってもよく、造粒混合物を構成する造粒は造粒画分といってもよい。造粒画分は互いに粗粒子画分と微粒子画分とに分類してよい。造粒混合物の場合、1超の造粒画分を粗粒子画分及び/又は微粒子画分として原則的に分類してよい。流動層反応器に導入される造粒は、操作造粒といってもよい。接触剤は一般的に、反応器内の反応ガスと接触して反応する造粒混合物である。
【0072】
接触剤は特に造粒混合物である。接触剤は更なる成分を含まないことが好ましい。5重量%超、特に好ましくは2重量%超、特に1重量%超の、不純物としての他の要素を含まないシリコンであることが好ましい。典型的には純度98%~99.9%のSimgであることが好ましい。典型的な組成物は、例えば98%のシリコンを含み、残り2%は一般的には大部分がFe、Ca、Al、Ti、Cu、Mn、Cr、V、Ni、Mg、B、C、P及びOの元素からなる。存在してよい更なる元素としては、Co、W、Mo、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Zr、Ge、Sn、Pb、Zn、Cd、Sr、Ba、Y及びClが挙げられる。従って、特定の純度のシリコンとは、列挙した元素の含有量が測定されるシリコン試料において決まり、これらの合計を純度の計算(例えば重量%で)に用いるようなものと理解される。2重量%の不純物の全含有量が決まると、これは98重量%のシリコン含有量と等しい。75重量%~98重量%という低純度のシリコンの使用も可能である。しかし、シリコン含有量は75重量%超が好ましく、85重量%超が好ましく、95重量%超が特に好ましい。
【0073】
シリコン中に不純物として存在する多くの元素は触媒活性を示す。故に、触媒の添加は原則として不要である。しかし前記方法は、1以上の追加の触媒の存在により、特に選択性に関して積極的に影響を受け得る。
【0074】
一実施形態において、利用されるシリコンはSimgと超高純度シリコン(純度99.9%超)との混合物である。換言すれば、Simgと超高純度シリコンとを有する造粒混合物が関係する。造粒混合物の全重量に対するSimgの割合は、少なくとも50重量%が好ましく、少なくとも70重量%が好ましく、少なくとも90重量%が特に好ましい。超高純度シリコンは特に微粒子画分の成分である。微粒子画分は更に独占的に超高純度シリコンを含んでもよい。
【0075】
更なる実施形態では、利用されるシリコンはSimgと超高純度シリコンとであり、造粒混合物の全重量に対するSimgの割合は50重量%未満である。造粒混合物/接触剤は更に触媒を有する。超高純度シリコン及び/又は触媒は、微粒子画分の成分であることが好ましい。微粒子画分は超高純度シリコンからなることが好ましい。
【0076】
他の実施形態では、利用されるシリコンは独占的に超高純度シリコンであり、接触剤/造粒混合物が触媒を含む。
【0077】
超高純度シリコンは原則として、元素Co、Mo及びWの内の1つが単に少量存在する下で、HCにより変換されてもよい(一般的には不純物として超高純度シリコン中に既に存在する)。相対的に多くの量の触媒活性元素を不純物として含むSimgとの結合変換は、絶対的に必要ではない。しかし、クロロシラン選択性は触媒の添加で更に増加し得る。これは本方法では特に、造粒混合物における超高純度シリコンの割合がSimgの割合よりも大きい場合、及び/又は、造粒混合物が超高純度シリコンを独占的に含む場合であり得る。
【0078】
触媒はFe、Cr、Ni、Co、Mn、W、Mo、V、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、Te、Ti、Zr、C、Ge、Sn、Pb、Cu、Zn、Cd、Mg、Ca、Sr、Ba、B、Al、Y、Clからなる群からの1以上の元素であってもよい。触媒はFe、Al、Ca、Ni、Mn、Cu、Zn、Sn、C、V、Ti、Cr、B、P、O、Cl及びこれらの混合物からなる群から選ばれることが好ましい。以上で述べたように、これらの触媒活性元素は不純物として、例えば酸化若しくは金属の形態に、他の冶金相にケイ化物として、又は酸化物若しくは塩化物として、一定割合でシリコン中に既に存在してよい。これらの割合は、利用されるシリコンの純度に依存する。
【0079】
接触剤、例えば金属、合金及び/又は塩様の形態に、触媒を添加してもよい。触媒活性元素の塩化物及び/又は酸化物が特に関係し得る。好ましい化合物は、CuCl、CuCl2、CuP、CuO又はこれらの混合物である。接触剤は促進剤、例えばZn、ZnCl2及び/又はSnを更に含んでもよい。
【0080】
利用されるシリコン及び接触剤の元素組成は、例えばX線蛍光分析で決定してよい。
【0081】
触媒はシリコンに対し、好ましくは0.1重量%~20重量%、特に好ましくは0.5重量%~15重量%、特に0.8重量%~10重量%、特別に好ましくは1重量%~5重量%の割合で存在する。
【0082】
K3 - 反応条件
【0083】
指標K3は互いに式8を通じ、HCの最重要パラメータに関する。そこに含まれるものは、表面ガス速度uL、流動層上の圧力降下pdiff、流体の動粘性率νF、及び流体密度ρFである。流体は、反応器内部の気体反応混合物という意味として理解される。
【0084】
表面ガス速度uLは0.05~4m/sが好ましく、0.06~2m/sが好ましく、0.1~1m/sが特に好ましく、特に0.15~0.55m/sである。
【0085】
流体密度ρF及び動粘性率νFは、加工工学ソフトウェアを用いた相平衡状態のシミュレーションで決めてよい。これらのシミュレーションは典型的には、気相及び液相の両方で実測された反応混合物の組成物を生かし、様々な物理パラメータ(例えばp及びT)に対して適合する、相平衡に基づく。このシミュレーションモデルは実際の操作状態/パラメータを使用して確認してよいため、パラメータρF及びνFに関して操作の最適条件を指定できる。
【0086】
相平衡の決定は、例えば測定装置(例えば修正ロック及びジーク再循環装置、例えばMSK Baraton Typ 690、MSK Instruments)を使用して行ってよい。圧力及び温度といった物理的な影響変数の変動は、物質混合物に対して状態の変化を引き起こす。異なる状態を後に分析し、例えばガスクロマトグラフを用いて組成物の組成が決まる。コンピュータ支援モデリングを用いて状態方程式を適用し、相平衡を記述することができる。相平衡を計算できるように、データを加工工学ソフトウェアプログラムに移す。
【0087】
動粘性率は、移動する流体において、流れ方向に垂直な運動量移動の尺度である。動粘性率νFは動的粘度及び流体密度で記述してよい。密度は例えば気体に対して、流体のラケット方程式及び状態方程式、例えばペン-ロビンソンで近似してよい。密度の測定は、ねじれ振り子法(固有振動数測定)を使用したデジタル密度測定装置(例えばDMA 58、Anton Paar)を用いて行ってよい。
流体密度ρFは1.5~5kg/m3の範囲にあることが好ましい。動粘性率νFは3×10-6~2.5×10-5m2/sの範囲にあることが好ましい。
【0088】
本発明の方法が行われる流動層反応器の絶対圧力は、0.1~1MPaが好ましく、0.13~0.7MPaが特に好ましく、特に0.15~0.5MPaである。
【0089】
前記方法は、好ましくは280℃~400℃、特に好ましくは300℃~380℃、特に320℃~360℃の温度範囲で行われる。
【0090】
反応ガスは、好ましくは少なくとも50体積%、特に好ましくは少なくとも70体積%、特に少なくとも90体積%のHClを有する。HClに加えて、反応ガスは更にH2、HnSiCl4-n(n=0~4)、HmCl6-mSi2(m=0~6)、HqCl6-qSi2O(q=0~4)、CH4、C2H6、CO、CO2、O2、N2からなる群から選ばれる1以上の成分を含んでよい。これらの成分は、例えば集積システムで回復されたHClから由来してよい。
【0091】
反応ガスは搬送ガス、例えば窒素又はアルゴン等の希ガスを更に含んでよい。
【0092】
更に、反応ガスに対して水素を添加すること、特に反応の平衡位置に影響を及ぼすことが可能である。水素も不純物として回収HCl中に存在してよい。
【0093】
反応ガスの組成の決定は、典型的には反応器への供給前に、ラマン分光法及び赤外分光法、並びにガスクロマトグラフィーを通じても行われる。これは、抜き取り検査の方法で抜き取った試料及びその後の「オフライン分析」、或いはシステムに集積された「オンライン」分析装置、のいずれかで行ってよい。
【0094】
前記方法は、ポリシリコン製造用の集積システムに組み込むことが好ましい。集積システムは、好ましくはシーメンス加工により又は造粒として、以下の工程を有することが好ましい。本発明の方法によるTCSの製造;半導体品質のTCSの提供のための、製造したTCSの精製;ポリシリコンの析出。
【実施例】
【0095】
クロロシランの製造において、この知見及び生産性との相関を適用するため、並びに指標K1、K2(K2uncat又はK2cat)及びK3(操作範囲)の範囲を定義するため、大きさが異なる連続運転の流動層反応器に関して詳細な研究を行った。
【0096】
様々な実験Vを行い(表1:触媒されないHC用のV1~V28、及び表2:触媒されたHC用のV1~V16)、それぞれの場合で変えたのは、油圧装置径dhydを0.7m~1.8mの値、表面ガス速度uLを0.05m/s~4m/sの値、粒子ザウター径d32を5μm~1000μmの値、操作造粒の幅BAKを10~1500μmの値、前記接触剤における相対触媒分布δrelを0.005~3の値、純度を0.75~0.9999の値、触媒負荷λを0.001~0.1の値、及び流動層上の圧力降下pdiffを5000~400000kg/m・s2の値であった。
【0097】
粒子固体密度ρpはほぼ一定と想定してよい。流体密度ρFは典型的には1.5~5kg/m3の範囲である。動粘性率νFは典型的には3×10-6~2.5×10-5m2/sの範囲である。
【0098】
触媒変異体において、K1及びK3の組み合わせのうちたった2つの最適化の場合が、K2catの効果を解明すると報告した。指標K1、K2uncat、K2cat及びK3は選択したパラメータに起因した。生産性[kg/(kg×h)]、即ち反応器内で利用された操作造粒の量[kg]に対する1時間当たりのクロロシランの製造量[kg/h]は、選択された組み合わせK1、K2uncat、K2cat及びK3の評価用並びに最適範囲の定義用の基礎に用いた。0.01kg/(kg×h)超の生産性は、最適/どちらの変異体にも適用可能と考えられる。
【0099】
【0100】
【0101】
指標K1、K2uncat、K2cat及びK3の最適な範囲で加工が行われるときに、いずれのHCクロロシラン変異体も特別に高い生産性で製造できることを、実験は示している。
【手続補正書】
【提出日】2019-07-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動層反応器内における、塩化水素含有反応ガスと、シリコン及び任意に触媒を含有する粒子性接触剤との反応による、クロロシランの製造方法であって、
前記クロロシランが一般式:
H
nSiCl
4-n及び/又はH
mCl
6-mSi
2
(式中、n=1~
3であり、m=0~4である。)を有し、
前記反応器の設計が
【数1】
φ=前記反応器の充填レベル
V
reactor, eff=前記反応器の実効体積[m
3]
A
tot, cooled=前記反応器内の冷却表面積の合計[m
2]
d
hyd=油圧反応器の直径[m]
の指標で表され、
V
reactor, eff
=1~60m
3
であり、d
hyd
=0.7~1.8mであり、
触媒を有しない前記接触剤の組成が
【数2】
B
AK=前記接触剤の粒子径分布の幅[μm]
d
32=粒子ザウター径[μm]
R
Si=前記シリコンの純度
の指標で表され、
B
AK
が10~1500μmであり、d
32
が10~1000μmであり、
触媒を有する前記接触剤の組成が
【数3】
δ
rel=前記接触剤における相対触媒分布
の指標で表され、
δ
rel
が0.005~3であり、R
Si
が0.75~0.9999であり、
反応条件が
【数4】
u
L=表面ガス速度[m/s]
ν
F=流体の動粘性率[m
2/s]
ρ
F=流体密度[kg/m
3]及び
p
diff=流動層上の圧力降下[kg/m・s
2]
の指標で表され、
u
L
が0.05~4m/sであり、ν
F
が3×10
-6
~2.5×10
-5
m
2
/sであり、ρ
F
が1.5~5kg/m
3
であり、p
diff
が10000~400000kg/m・s
2
であり、
K1が1~10の値を有し、K2
uncatが0.1~10の値を有し、K2
catが0.005~3の値を有し、K3が1~700の値を有する、クロロシランの製造方法。
【請求項2】
K1が1.2~9の値を有し、好ましくは1.3~7、特に好ましくは1.5~5.5である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
K2
uncatが0.5~8の値を有し、好ましくは0.75~6であり、特に好ましくは1~5である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
K2
catが0.0075~2の値を有し、好ましくは0.009~1であり、特に好ましくは0.01~0.5である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
K3が1.5~600の値を有し、好ましくは2~450であり、特に好ましくは3~300である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記実効反応器体積V
Reactor, eff
が3~40m
3であり
、好ましくは4~30m
3である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記油圧装置径d
hyd
が0.8~1.7mであり
、好ましくは0.9~1.6mである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記流動層
反応器上の圧力降下p
diff
が20000~100000kg/m・s
2であり
、好ましくは30000~80000kg/m・s
2である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記粒子ザウター径d
32
が50~800μmであり
、好ましくは100~500μmである、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記接触剤の粒子径分布の幅B
AK
が100~1000μmであり
、好ましくは100~550μmである、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記接触剤における相対触媒分布δ
rel
が0.009~2であり
、好ましくは0.01~0.5である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記表面ガス速度u
L
が0.06~2m/sであり
、好ましくは0.1~1m/sであり、特に0.15~0.55m/sである、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記流動層反応器の絶対圧力が0.1~1MPaであり、好ましくは0.13~0.7MPaであり、特に好ましくは0.15~0.5MPaである、請求項1~1
2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
280℃~380℃、好ましくは300℃~380℃、特に好ましくは320℃~360℃の温度範囲で行われる、請求項1~1
3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
多結晶シリコンの製造用集積システムに集積される、請求項1~1
4のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】