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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-02
(54)【発明の名称】高度封じ込め取り出し装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/32 20060101AFI20220222BHJP
【FI】
B65G65/32 B
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021526662
(86)(22)【出願日】2018-11-15
(85)【翻訳文提出日】2021-07-12
(86)【国際出願番号】 EP2018081372
(87)【国際公開番号】W WO2020098940
(87)【国際公開日】2020-05-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520132090
【氏名又は名称】ファイデック・ホールディング・エスアー
【氏名又は名称原語表記】FYDEC HOLDING SA
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100213470
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(72)【発明者】
【氏名】ディートリッヒ・フレデリック
【テーマコード(参考)】
3F075
【Fターム(参考)】
3F075DA29
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、硬質または軟質容器(12)、特に袋およびドラム(13)から、健康に有害な、ばらばらの、特に粉末状の物質を取り出す取り出し装置であって、容器(12)から移した後に物質を吐出する吐出し口(5)を有する取り出し室(2)を備え、取り出し室(2)が容器(12)の少なくとも一部を取り出し室(2)に挿入するための挿入口(3)をさらに有する。取り出し室(2)は通気口(4)を有し、通気口(4)が、取り出し室(2)の挿入口(3)とは反対側に配置され、取り出し室(2)内に空気流を生成できるようにポンプ手段(10)に接続されており、挿入口(3)から通気口(4)への層流を生じさせる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質または軟質容器(12)、特に袋およびドラム(13)から、健康に有害な、ばらばらの、特に粉末状の物質を取り出すための取り出し装置であって、
容器(12)から移した後に前記物質を吐出する吐出し口(5)を有する取り出し室(2)であって、容器(12)の少なくとも一部を当該取り出し室(2)に挿入するための挿入口(3)をさらに有する取り出し室(2)を備え、
前記取り出し室(2)が通気口(4)を有し、その通気口(4)が、好ましくは前記取り出し室(2)において前記挿入口(3)とは反対側に配置され、前記取り出し室(2)内に空気流を生成できるようにポンプ手段(10)に接続されており、前記空気流により前記挿入口(3)から前記通気口(4)への層流を生じさせることを特徴とする、取り出し装置。
【請求項2】
請求項1に記載の取り出し装置(1)において、前記取り出し室(2)の少なくとも一部の断面が、前記挿入口(3)から前記通気口(4)に向かって大きくなることを特徴とする、取り出し装置(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の取り出し装置(1)において、前記取り出し室(2)内において前記挿入口(3)と前記取り出し室(2)との間に、可変通路開口部(18)を有する好ましくは垂直な隔壁(16)が配置されていることを特徴とする、取り出し装置(1)。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の取り出し装置(1)において、前記挿入口(3)を可逆的に開閉するための閉鎖装置が前記挿入口(3)に設けられていることを特徴とする、取り出し装置(1)。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の取り出し装置(1)において、容器面(21)、特にドラム(13)に密封状態で接触するための密封装置(20)が、前記挿入口(3)の領域に配置されていることを特徴とする、取り出し装置(1)。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の取り出し装置(1)において、前記挿入口(3)の領域にノズル設備(22)が配置され、そのノズル設備(22)が、前記通気口(4)への空気流を生成できるように前記ポンプ手段(23)に接続されていることを特徴とする、取り出し装置(1)。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の取り出し装置(1)において、容器搬送機または移送手段が前記取り出し室(2)内に配置されていることを特徴とする、取り出し装置(1)。
【請求項8】
硬質または軟質容器(12)、特に袋およびドラム(13)から、健康に有害な、ばらばらの、特に粉末状の物質を、好ましくは請求項1から7のいずれか一項に記載の装置により取り出すための方法であって、
前記容器(12)の少なくとも一部を取り出し室(2)にその取り出し室(2)の挿入口(3)を介して挿入し、前記容器(12)を空にし、前記物質を前記取り出し室(1)の吐出し口(5)を介して吐出することを備え、
少なくとも前記容器(12)を空にしている間に、好ましくは前記取り出し室において前記挿入口(3)とは反対側に配置された通気口(4)と、その通気口(4)に割り当てられたポンプ手段(10)とにより、空気流を生成し、その空気流により前記挿入口(3)から前記通気口(4)への層流を生じさせることを特徴とする、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、0.5m/s~1.0m/sの空気流、好ましくは0.6m/s~0.8m/sの空気流が前記挿入口(3)の領域に生成されることを特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の方法において、前記取り出し室(2)の少なくとも一部の断面が前記挿入口(3)から前記通気口(4)に向かって大きくなり、これにより、前記吐出し口(5)の領域における前記空気流の速度が、前記挿入口(3)の領域における速度の約1/3~1/6に、特に0.1m/s~0.3m/sに減少することを特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項8~10のいずれか一項に記載の方法において、前記通気口(4)を通して、前記挿入口(3)の大きさまたは面に比例した体積流量、好ましくは200m3/h~800m3/hの体積流量、が排気されることを特徴とする、方法。
【請求項12】
請求項8~11のいずれか一項に記載の方法において、前記容器(12)が空になる前に、前記取り出し室(2)内において前記挿入口(3)と前記取り出し室(2)との間に、可変通路開口部(18)を有する好ましくは垂直な隔壁(16)が配置されることを特徴とする、方法。
【請求項13】
請求項8~12のいずれか一項に記載の方法において、前記挿入口(3)を可逆的に開閉するための閉鎖装置(11)により前記挿入口(3)を開いて前記容器(12)の少なくとも一部を挿入し、好ましくは前記容器(12)を空にしている間は前記挿入口(3)を開いたままにしておくことを特徴とする、方法。
【請求項14】
請求項8~13のいずれか一項に記載の方法において、前記挿入口(3)の領域に密封装置(20)が配置され、容器(12)が空になる前に、前記密封装置(20)が、容器面(21)、特にドラム面に密封状態で接触することを特徴とする、方法。
【請求項15】
請求項8~14のいずれか一項に記載の方法において、ノズル設備(22)が、前記挿入口(3)の領域に配置され、ポンプ手段(23)に接続されており、前記ノズル設備(22)により前記通気口(4)への空気流が生成されることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質または軟質容器、特に袋およびドラムから、健康に有害なおよび/または有毒な、ばらばらの、特に粉末状の物質を取り出す取り出し装置に関し、当該取り出し装置は、容器から移した後に上記物質を吐出する吐出し口を有する取り出し室を備え、当該取り出し室はさらに、取り出し室に容器の少なくとも一部を挿入するための挿入口を有するものである。
【0002】
また、本発明は、硬質または軟質容器、特に袋およびドラムから、健康に有害なおよび/または有毒な、ばらばらの、特に粉末状の物質を好ましくは本発明に係る装置によって取り出す方法に関し、上記方法は、取り出し室の挿入口を介して当該取り出し室に容器の少なくとも一部を挿入し、上記容器を空にし、上記取り出し室の吐出し口を介して上記物質を吐出することを備えるものである。
【背景技術】
【0003】
健康に有害なおよび/または有毒な物質の取り出しは、物質を産業的に取り扱う様々な領域で避けられない。上記物質を取り出す前に、上記物質は通常、対応する容器内に順に収容して固定する等して、物質を安全に移送できるようにする。しかし、問題となる上記物質をさらに処理するには、当該物質を上記容器から移して、別の、好ましくは遮蔽または閉鎖された、さらなる処理工程へ送らなければならない。労働安全衛生上の理由により、対応する取り出しステーションの作業者、つまり、このような有害物質の使用者は、取り出しの過程において放出可能な、特に大気中に漏れ出てもよい物質の量について、一部個別的な一部標準化された仕様書を作成している。典型的には、各物質の有毒性または有害性により限界値が設定される。ここで、上記限界値は通常、OEL(職業曝露限界)またはOEB(作業曝露バンド)と称される。これら限界値は、取り出しステーションの周囲で上記問題となる物質が大気1立方メートル当たり何マイクログラム測定または検出されてもよいかを規定する。例えば、OEBクラス4に割り当てられた物質の場合、該当物質について大気1立方メートル当たり1μm~10μmが限界値として設定される。また、OEBクラス5の物質の場合、大気1立方メートル当たりわずか0.1μm~1μmの物質しか検出されてはいけない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような有害なおよび/または有毒な物質には、各容器に取り出しロックまたはエアロックを設けて使用する取り出しステーションおよび取り出し方法がこれまで用いられていた。これはつまり、各容器が、取り出しステーションの対応する取り出し室に移動する前に、最初に外部からロック室に移動されていたことを意味する。しかし、このようなロックまたはエアロックシステムには多くのデメリットがある。
【0005】
まず、取り出し室からロック状態の容器へのアクセス手段が不十分である。結果的に、非人間工学的な動き、つまり作業者にとって非健康的な動きをしなければならず負担に耐えなければならない。加えて、対応するロックにおける一時的な格納を含む取り出し作業または空にする作業は時間がかかり、したがって、特に、容器の処理量またはそれに対応する取り出される物質の量もしくは体積が制限される。
【0006】
一方で、外側ライナー状の使い捨てのアダプターを用いるシステムおよび装置が知られている。最初に、当該アダプターまたは外側ライナーと、ドラム等の容器との接続および密封を行う。そして、外側ライナーをグローブボックスとしっかりと結合して、例えば、内側ライナーを取り除く等して、容器を空にする。空にした後、汚染が少ないかまたは汚染がない状態での容器の切り離しを確実にしなければならない。このためには、当該アダプターまたは内側ライナーを、例えば、2か所で密封してから、2つに分離する。このシステムもまた、非常に手間がかかり、容器から取り出すかまたは容器を空にするために多くの時間とリソースを必要とする。
【0007】
しかし、汚染限界値がOEB4である物質の場合、適用例やその場面によっては1時間当たり40~45個の容器からの取り出し作業または容器を空にする作業を行うことになるかまたは行わなければならない場合が確実に存在し、既知の取り出しステーションおよび既知の取り出し方法をこれに対応させて使用することは不可能である。上記技術水準から出発して、本発明は、対応する容器から健康に有害なまたは有毒な物質を取り出すための改良された取り出し装置および改良された取り出し方法であって、極めて有毒な物質についての環境汚染に対する厳しい限界値を遵守することができ、さらに迅速かつ安全に当該物質を取り出すかまたは当該容器を空にすることができる取り出し装置および取り出し方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記取り出し装置に関し、上記目的は請求項1の特徴により達成される、すなわち、上記目的は、取り出し室が通気口を有し、その通気口が、好ましくは上記取り出し室の挿入口とは反対側に配置され、上記取り出し室内に空気流を生成できるようにポンプ手段に接続されており、上記空気流により上記挿入口から上記通気口への層流を生じさせる包括的な装置において達成される。
【0009】
驚くべきことに、上記により、何ら対応するロックまたはエアロックを設けずとも、環境汚染を増大させることなく、上記物質を取り出すかまたは上記容器を空にすることができる。特に驚くべきことに、ここでさらに分かることは、ロックの原理は完全に放棄され、大気汚染に悪影響を及ぼすことなく、上記取り出し室内で空にするかまたは取り出す工程中に、上記挿入口を開けたままにしておくかまたは開けたまま放っておくことすら可能である。また、取り出しの間または空にする間開いている挿入口は、容器面との嵌合または密封を行う必要がないため、異なる形状および寸法、例えば異なる直径を有する複数の容器を処理して空にすることができるという利点を有する。
【0010】
したがって、本発明の概念は、少なくとも上記容器からの取り出しの間または上記容器を空にする間、上記取り出し室内に層流が存在し、当該層流により、取り出される上記物質の粒子が上記挿入口から遠ざかるよう搬送され、これにより、大気汚染が概ねまたはほぼ完全に回避されるというものである。上記空気流が層流として生成および維持されることにより、特に有利な効果として、空気流の渦または類似の乱流が防止される。このような乱流は、空気流を逆流させることにつながり得るものであり、その結果、大気汚染を引き起こすかまたはそれに寄与することになる。
【0011】
ロックを備えた解決手段と比較した他の特に有利な点として、装置の清掃が非常に簡潔かつ容易になる。なぜなら、ロック室と取り出し室の2つの室を別々に清掃することが不要になり、取り出し室のみを清掃すればよいからである。これにより、装置のセットアップ時間または停止時間が大幅に短縮される。
【0012】
上記取り出し装置の第1の有利な実施形態として、上記取り出し室の少なくとも一部の断面が上記挿入口から上記通気口に向かって大きくなるように構成することができる。この場合、上記空気流、特に、層流の速度が挿入口から離れるにつれて減少する、逆に言えば、挿入口に近づくにつれて増加することを意味する。これにより、特に以下のような利点を有する。すなわち、上記空気流が全体として層流の範囲内、特に、物質の粒子が大気中に漏れ出る可能性がとりわけ高い挿入口の領域にある限り、適度に強力な空気流が存在することになり、したがって、上記物質の粒子が上記空気流により効果的に運び去られる。原則として、上記取り出し室の断面は変化し得る。当該断面は矩形状であることが好ましい。上記断面の少なくとも部分的な拡大により上記層流の速度の大幅な減少が達成され、それにより、上記取り出し室内において乱流が発生せず、上記物質の粒子が上記空気流により効果的に上記挿入口の領域から運び去られるという有利な効果が得られる。通気口の領域においても大気汚染を引き起こさないかまたは生じさせないために、二重HEPAフィルターおよび追加の前置フィルター等のフィルター装置を上記通気口と上記ポンプ手段との間で使用して、上記取り出し室内に上記物質粒子を留めておくことができる。
【0013】
他の特に有利な実施形態として、上記挿入口を可逆的に開閉するための閉鎖装置を上記挿入口に設けるように構成することができる。これにより、特に上記取り出し装置の動作の前後、すなわち、上記通気口を介して上記ポンプ手段により層流が生成されていない場合はいつでも、まだ上記取り出し室内にある物質粒子が周囲および大気中に放出されないようにすることができる。既に上述した通り、特に有利な点として、上記閉鎖装置は、実際に容器から取り出すかまたは容器を空にする間、開けたままにしておくことができ、これにより、特に、上記挿入口と上記通気口との間の層流が確実に維持され、また特に、上記取り出し室内に真空が生じないようにすることができる。別案として、取り出している間または空にしている間、上記閉鎖装置を閉じ、したがって上記挿入口を閉じるように構成することができる。この場合、取り出している間または空にしている間、上記挿入口から上記通気口への層流を生じさせ続けるための適当な手段を設けることになる。この場合の実施形態は後述する。例えば、上記閉鎖装置は変位式または回動式の閉鎖装置として実現できる。
【0014】
他の有利な実施形態として、上記取り出し室内において上記挿入口と上記吐出し口との間に、可変通路開口部を有する好ましくは垂直な隔壁を配置するように構成することもできる。このような実施形態によれば、層流における乱流、特に上記挿入口への逆流が防止されるかまたは最低限に抑えられるというさらなる利点が得られる。例えば、上記好ましくは垂直な隔壁の可変通路開口部は、両側でヒンジ留めされた両開き戸を有する垂直にヒンジ留めされた扉とすることができ、例えば、上記開口部は、空にする上記容器が、上記取り出し室内で完全に受け取られる限りにおいて、上記通路開口部を通り抜けられるように設計および寸法決めされる。また、上記通路開口部は、空にしている間、いかなる状態においても上記隔壁により密封または閉鎖されて気密状態となってしまわないよう設計される。なぜなら、上記通路開口部が完全に開いていない状態であっても、上記挿入口から上記通気口への上記隔壁を通じた層流の通路が確実に残るようにして、上記層流を維持しなければならないからである。
【0015】
上記取り出し装置の他の特に好ましい実施形態は、容器面、特にドラムに密封状態で接触するための密封装置が上記挿入口の領域に配置されるように構成される。この構成は、上記取り出し装置の周囲の大気中に放出される物質が極めて少なくなるようにする上で有利となり得る。上記密封装置は、例えば、膨張式のリングシールとして構成でき、好ましくは、上記空にする過程において、上記取り出し装置により完全ではなく一部分のみ(特に上端縁のみ)受け入れられた(特に取り出し装置内に挿入された)容器、特にドラムに接続して用いることができる。
【0016】
この場合、上記密封装置は、上記容器を上記取り出し装置にさらに固定する効果も有し、これにより、安全に取り出すかまたは空にすることが可能となる。
【0017】
他の特に好ましい実施形態として、挿入口の領域にノズル設備を配置し、上記通気口への空気流を生成できるように上記ノズル設備を上記ポンプ手段に接続するように構成することもできる。既に上述した通り、本発明に係る装置は、概して、また非常に驚くべきことに、大気を汚染することなく、上記容器から取り出すかまたは容器を空にする工程中であっても上記取り出し室の挿入口を開けたままにしておくことができる。
【0018】
しかしこの場合、同時に、大気中からの粒子によって上記取り出されるかまたは空にされる物質そのものが汚染されるかまたは汚れてしまう危険性を伴い、特に化学または薬学産業の分野において、重大な問題となり得る。したがって、特に、上記のようなノズル設備を設けることにより、一方では、取り出しているかまたは空にしている間に上記挿入口を閉鎖または密封し、他方では、上記ノズル設備およびそれに接続される上記ポンプ手段を用いて、必要とする空気を上記取り出し室に入れることにより、上記挿入口と上記通気口との間の層流を特に上記挿入口の領域において維持することを可能にする。特に有利な構成として、上記空気は、上記ノズル設備により供給する前に浄化またはろ過することにより、取り出される上記物質の汚染を防ぐことができる。このような実施形態は、上記取り出し作業または空にする作業を、例えば窒素雰囲気内で行う場合に特に有利である。なぜなら、取り出される物質には爆発性等の何らかの危険性があったり、水分、特に湿気の影響を受けやすかったりするからである。この場合、窒素の層流が確実に発生し、環境汚染を防止することができる。
【0019】
他の有利な実施形態として、上記ノズル設備のポンプ手段は、上記取り出し装置の取り出し室における反対側から、上記通気口およびポンプ手段により排気される空気と概ね同じ体積流量の空気を、上記取り出し装置、特に取り出し室に供給するように構成することができる。これにより、上記取り出し室内の圧力条件を一定に保つことができる。特に好ましい実施形態では、可能であれば、上記と同じポンプ手段を用いて、上記通気口側で排気される空気を、上記挿入口を介した閉回路により上記取り出し室に戻す構成とすることができる。
【0020】
上記取り出し装置の他の好ましい実施形態として、容器搬送機または移送手段を上記取り出し室内に設置する構成とすることもできる。このような手段は、例えば、滑車システムまたは搬送ベルトとして実現でき、これを用いて上記容器またはその内側の層を移送することができる。
【0021】
有毒で健康に有害な、ばらばらの、特に粉末状の物質を取り出すための方法に関して、上記目的は、少なくとも上記容器を空にしている間に、好ましくは上記取り出し室の上記挿入口とは反対側に配置された通気口と、それに割り当てられたポンプ手段とにより、空気流を生成し、当該空気流により上記挿入口から上記通気口への層流を生じさせる包括的な方法により達成される。
【0022】
これにより、本発明に係る方法は、特に、上記のような容器のロックまたはエアロックのデメリットを受け入れることなく、極めて高レベルの汚れまたは汚染防止(高度封じ込め)を達成する。言い換えれば、本発明に係る方法により、有毒な物質または健康に有害な物質を保持する容器を空にする作業または容器からの取り出し作業を、高い処理量で、また特に人間工学的に有利な態様で、行うことができることを意味する。
【0023】
上記方法の第1の有利な変形例は、上記ポンプ手段に接続された上記通気口により、速度が0.5m/s~1.0m/s、好ましくは0.6m/s~0.8m/sの空気流を上記挿入口の領域に生成する構成とすることができる。これにより、上記層流の速度が他のどの隔離装置またはクリーンルームにおける速度よりも大幅に速くなる。このような空気流により、効果的に、上記物質の粒子に力を働かせ、その結果、これらの粒子を上記挿入口から遠ざけて上記通気口へ移送することができる。
【0024】
他の有利な実施形態として、上記取り出し室の少なくとも一部の断面が上記挿入口から上記通気口に向かって大きくなり、これにより、上記吐出し口の領域における上記空気流の速度が、上記挿入口の領域における速度の約3分の1~6分の1に、特に0.1m/s~0.3m/sに減少するように構成することができる。これは、逆流およびこれによる上記取り出し装置、特に取り出し室からの粒子の吐出を引き起こし得る乱流または渦が、上記空気流において生じないようにする特に有利な構成である。
【0025】
上記方法の他の有利な実施形態として、上記通気口を通して200立方メートル毎時~800立方メートル毎時の体積が排気されるように構成することもできる。もちろん、この処理量は、対応する各ポンプ手段が作動して取り出し室内で層流が生成されている時間または動作期間においてのみ当てはまる。上記処理量または排気体積は上記挿入口の大きさまたは面に比例し、上記値と異なる値にもなり得る。
【0026】
上記方法の他の好ましい変形例として、容器は空になる前に、上記取り出し室の内部で上記挿入口と上記吐出し口との間において可変通路開口部を有する好ましくは垂直な隔壁を通過するように構成することもできる。これによっても、逆流または乱流が確実に防止される。さらに、このような隔壁は、たとえ逆流または乱流が起きたとしても、問題となる粒子を、当該隔壁を通過させずに確実に留めておくことができる。
【0027】
さらに、上記方法の特に好ましい実施形態として、上記挿入口を可逆的に開閉するための閉鎖装置により、上記挿入口を開いて容器の少なくとも一部を挿入し、好ましくは当該容器を空にしている間は上記挿入口を開いたままにしておくように構成することもできる。しかし、上記装置について既に上述した通り、容器の少なくとも一部を挿入した後、上記挿入口を上記閉鎖装置により閉鎖または一部閉鎖するように構成することもできる。この場合、上記挿入口の領域において空気の供給が保証され、上記取り出し室内の層流を維持することができる。
【0028】
上記方法の好ましい実施形態として、上記挿入口の領域に密封装置が配置され、容器が空になる前に、上記密封装置を、容器面、特にドラム面に密封状態で接触させるように構成することもできる。これにより、問題となる上記容器、特に、問題となる上記ドラムが上記挿入口において配置され密封されたときに、上記挿入口は開いた部分が全く残らないかまたは定まった一部しか開いた部分が残らないようにすることができる。
【0029】
上記方法の好ましい実施形態として、ノズル設備が、上記挿入口の領域に配置されポンプ手段に接続されており、上記ノズル設備により上記通気口への空気流が生成されるように構成することもできる。これにより、空にするかまたは取り出しを行う間、特に上記挿入口を閉じているときに、上記取り出し室内の層流を確実に維持することができる。
【0030】
本発明のさらなる効果、特徴、および詳細は、好ましい例示的な実施形態についての下記説明および図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明に係る方法を行うための、本発明により実現される取り出し装置の第1の実施形態を示す模式図である。
図2】本発明に係る方法を行うための、本発明の概念により実現される取り出し装置の第2の実施形態を示す模式図である。
図3】本発明に係る方法を行うための、本発明の概念により実現される取り出し装置の第3の実施形態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、取り出し室2を有する取り出し装置1を示しており、取り出し室2は一方側が挿入口3として開口し、反対側に通気口4を有している。例えば、挿入口3は、0.1m2~0.4m2の、好ましくは0.2m2~0.3m2の面Aを有し得る。通気口4は、好ましくは0.4m2~0.8m2の面を有し得るものであり、作業する容器がドラムである取り出し装置1の場合は0.6m2~0.8m2の面が好ましく、作業する容器が袋である取り出し装置1の場合は0.4m2~0.6m2の面が好ましい。
【0033】
さらに、取り出し装置1の取り出し室2は、吐出し口5を備え、それにより、取り出されるかまたは空にされる物質を吐出することができる。例えば、固まった物質を粉砕するために、機械的な粉砕装置を吐出し口5の領域に配置することができる。当該粉砕装置は、砕塊機(図1では不図示)として設計することができる。取り出し装置の移送長さLは、好ましくは挿入口3の中心と吐出し口5の中心との間で定義される。移送長さLに対する挿入口3の面Aの比が0.3mより小さければ、好ましくは0.08m~0.22mであれば、特に好ましくは0.10m~0.20mであれば、層流が特に良好となり環境汚染が特に低いレベルとなりさらに好ましい。
【0034】
好ましくは、移送長さLは可能な限り長く選択することができる。なぜなら、吐出し口5の領域で容器の処理が行われると、空気流に乱流を引き起こす可能性があるからである。
【0035】
また、取り出し装置1の取り出し室2は排出口6を備え、例えば、適切に密封した上で、当該排出口6を介して、空になった容器、すなわち、袋またはドラムの内側ライナーを取り出し装置1から取り除くことができる。図1の例では、通気口4の後に前置フィルター7および二重HEPAフィルター8が配置され、通気口4はフィルター7、8および配管9を介してポンプ手段10に接続される。ポンプ手段10により空気を吸引することができ、これにより、挿入口3から通気口4への層流が取り出し室2内に生成される。
【0036】
ポンプ手段10は、空気流を変化させるかまたは調整するように構成された制御手段に接続されることが好ましい。上記制御手段は、取り出される物質に応じて、例えば、粒子体積、粒子密度、および/または粒子重量に応じて、最適な態様で粒子の移送が行われるように、特に、対応する最適な空気流が生成されるように、制御することができる。上記制御手段は、使用者が空気流を指定または設定する態様で設計することができる。また、上記制御手段による物質の自動特定およびポンプ手段10の自動制御を行うこともできる。総じて、物質が低密度のまたは軽い粒子である場合は、空気流を減少させることができる。
【0037】
前置フィルター7は、例えば、取り出し室2の壁面に接触させて枠体(不図示)に挟み込む等して固定した布により実現することができる。前置フィルター7は、取り出し室2の内部で、特に、枠体を取り外して布を取り除くことにより、交換できることが好ましい。使用後の、また場合によっては目詰まりしたかまたは塞がった前置フィルター7は、排出口6を通して安全に処分することができる。
【0038】
フィルター7、8の状態およびポンプ手段10の性能に応じて層流を生成および維持するために、取り出し装置1は、それぞれ取り出し装置1の特定箇所で空気圧を測定する1または複数の圧力センサ手段24を備えることもできる。図1の例では、各圧力または空気圧を測定する3つの圧力センサ手段24を前置フィルター7およびフィルター8の領域に設けることができる。例えば、各フィルター7、8を介して、対応する評価手段(不図示)により圧力差を求めることもできる。さらに、当該圧力差を用いてこれらのフィルターの状態およびフィルター交換の必要性について判断することができる。
【0039】
取り出し室2の一部の断面は、挿入口3から通気口4または吐出し口5に向かって大きくなっている。例えば、取り出し室2の断面は、挿入口3の領域において第1断面Aを有し、当該第1断面Aから大きくなり、吐出し口5の領域における最大断面Amaxに至る。これにより、例えば、挿入口3の領域において、吐出し口5または通気口4の領域よりも速い流速の層流が生み出される効果がある。
【0040】
例えば、有毒な物質または健康に有害な物質の袋は、挿入口3を介して取り出し室の内部へ挿入され得る。そのために、挿入口の閉鎖装置11を開くことができる。取り出し室内にこのような容器が入れられるとすぐに、またはそれよりも前に、ポンプ手段10を、例えば閉鎖装置11が開かれると同時に、駆動することができ、それにより、挿入口3から通気口4への層流が生成され得る。そして、上記容器、例えば袋を取り出し室の内部で開いて空にする際、仮に容器を空にするかまたは容器から取り出す間に閉鎖装置11が一時的にまたは完全に開いたままであっても、取り出し室2内の層流により、確実に、上記物質の粒子が漏れ出ないようにすることができる。これにより、容器の、ひいては、物質の極めて高い処理量を達成することができるとともに、極めて高レベルの汚染保護が保証される。
【0041】
図2は、取り出し装置1の変形例を示しており、ドラム13形状の容器12を取り出し室2の挿入口3へ持ち上げることができ、必要であれば、持ち上げ装置(不図示)により傾けることができる。図2に示す工程段階において、挿入口3の閉鎖装置11は既に開いており、容器12は既に持ち上げられ、傾けられ、開かれた状態であり、ドラム13の内側の包装は容器搬送機または移送手段により既に取り除かれている。当該容器搬送機または移送手段は、図2の例では、滑車システム14の形態で示されている。当該工程において、容器12の内側の包装またはライナー15は滑車システム14により垂直隔壁16を通過する。上記隔壁16は、片側でヒンジ留めされた開き戸17を可変通路開口部18として有する。通路開口部18は、隔壁16の高さの30%~50%以上で延在するのが好ましい。これにより、図2に示す工程段階で、挿入口3と通気口4との間の層流も既にポンプ手段(図2では不図示)で生成されており、そして、当該層流は、空気が取り出し室内に流れ込み続けることができるように容器12と挿入口3との間に意図的に残しておいたかまたは設けたエアギャップ19により、維持されており、また維持可能となっている。
【0042】
取り出し装置1の断面は、挿入口の領域における第1断面A1および隔壁16の領域におけるより大きな第2断面A2に加えて、吐出し口5の領域において最大断面Amaxを有する。拡大された断面A2は、主に、層流を生成し維持するために使用される。この層流の維持に加えて、最も大きな断面Amaxもまた別の目的を果たす。すなわち、取り出し室2の最大高さもまた当該最大断面により実現される。これにより、空にするかまたは取り出しを行う容器が滑車システム14により完全に空中で保持されるように、つまり、可能な限り吐出し口5の真上の位置で保持されるように、滑車システム14を構成して配置することができる。これにより、上記容器、この場合ライナー15を、揺さぶることなく、またそれにより乱流を起こすことなく、開いて、例えばスライスし、空にすることができる。また、上記容器は、開いた後またはスライスした後、滑車システム14により吐出し口5へ降下させることができ、これにより、極力埃を出さずに空にする処理が可能になる。
【0043】
上記容器またはライナー15を滑車システム14に、例えば、滑車システム14のフックにしっかりと結合するために、使い捨てコード等の取り扱い補助具を滑車システム14とともに用いることができる。好ましくは、まず、上記取り扱い補助具を容器またはライナー15に固定し、特に、結び付け、そして滑車システム14に接続する。上記取り扱い補助具は、容器を安全に取り扱えるように、特にライナー15の位置に応じて例えば図2に示すように容器を安全に持ち上げられるように、寸法決めして構成される。
【0044】
このようにして、滑車システム14により取り除かれた容器12のライナー15は、該当するOEBまたはOEL限界値を超える環境汚染を起こす危険性なく、開いて、例えばスライスし、空にすることができる。
【0045】
図3は、基本的には図2の工程状態に対応する工程状態を示しており、当該取り出し装置1は、容器12と挿入口3との間にエアギャップ19が存在しない点において、図2の取り出し装置と異なっている。代わりに、密封装置20が設けられ、容器面21が密封状態で密封装置20に接触する。例えば、これは、圧力を加えることが可能で適切な圧力手段を備えた伸縮性の密封リングとして密封装置20を構成することにより実現できる。そして、容器12を対応させて配置した後、上記密封リングに圧力を働かせるかまたは加えることができ、これにより、上記密封リングは容器面21を密封状態で押圧する。
【0046】
図3の例示的な実施形態において、挿入口3と通気口4との間の層流を確実に維持するかまたは維持可能とするために、取り出し装置1は、挿入口3の領域に配置されたノズル設備22を備え、当該ノズル設備22は、ポンプ手段23との作用により通気口4への空気流を生成することができる。これにより、図3の例示的な実施形態において、容器12を空にし、取り出しを行う過程で、挿入口3が閉鎖され、さらには密封される。一方で、挿入口3の領域にまだ位置しているかまたは配置されている物質の粒子を確実に挿入口3から遠ざけて移送する層流は、依然として維持され得る。さらに、これにより、物質を汚すかまたは汚染する可能性がある周囲の空気が取り出し装置1、特に取り出し室2に全くまたはわずかな量しか入らないようにすることができる。
【符号の説明】
【0047】
1 取り出し装置
2 取り出し室
3 挿入口
4 通気口
5 吐出し口
6 排出口
7 前置フィルター
8 二重HEPAフィルター
9 配管
10 ポンプ手段
11 閉鎖装置
12 容器
13 ドラム
14 滑車システム
15 ライナー
16 垂直隔壁
17 開き戸
18 通路開口部
19 エアギャップ
20 密封装置
21 容器面
22 ノズル設備
23 ポンプ手段
24 圧力センサ手段
第1断面
第2断面
max 最大断面
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2021-10-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質または軟質容器(12)、特に袋およびドラム(13)から、健康に有害な、ばらばらの、特に粉末状の物質を取り出すための取り出し装置であって、
容器(12)から移した後に前記物質を吐出する吐出し口(5)を有する取り出し室(2)であって、容器(12)の少なくとも一部を当該取り出し室(2)に挿入するための挿入口(3)をさらに有する取り出し室(2)を備え、
前記取り出し室(2)が通気口(4)を有し、その通気口(4)が、前記取り出し室(2)において前記挿入口(3)とは反対側に配置され、前記取り出し室(2)内に空気流を生成できるようにポンプ手段(10)に接続されており、前記空気流により前記挿入口(3)から前記通気口(4)への層流を生じさせる、取り出し装置において、
前記取り出し室(2)内において前記挿入口(3)と前記吐出し口(5)との間に、可変通路開口部(18)を有する好ましくは垂直な隔壁(16)が配置されており、
前記可変通路開口部(18)は、空にする前記容器(12)が、前記取り出し室(2)内で完全に受け取られる限りにおいて、前記可変通路開口部(18)を通り抜けられるように設計および寸法決めされているとともに、空にしている間、いかなる状態においても前記隔壁(16)により密封または閉鎖されて気密状態となってしまわないよう設計されており、
前記挿入口(3)の領域にノズル設備(22)が配置され、そのノズル設備(22)が、前記通気口(4)への空気流を生成できるようにポンプ手段(23)に接続されていることを特徴とする、取り出し装置。
【請求項2】
請求項1に記載の取り出し装置(1)において、前記取り出し室(2)の少なくとも一部の断面が、前記挿入口(3)から前記通気口(4)に向かって大きくなることを特徴とする、取り出し装置(1)。
【請求項3】
請求項に記載の取り出し装置(1)において、前記挿入口(3)を可逆的に開閉するための閉鎖装置が前記挿入口(3)に設けられていることを特徴とする、取り出し装置(1)。
【請求項4】
請求項1~のいずれか一項に記載の取り出し装置(1)において、容器面(21)、特にドラム(13)に密封状態で接触するための密封装置(20)が、前記挿入口(3)の領域に配置されていることを特徴とする、取り出し装置(1)。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一項に記載の取り出し装置(1)において、容器搬送機または移送手段が前記取り出し室(2)内に配置されていることを特徴とする、取り出し装置(1)。
【請求項6】
硬質または軟質容器(12)、特に袋およびドラム(13)から、健康に有害な、ばらばらの、特に粉末状の物質を、好ましくは請求項1からのいずれか一項に記載の装置により取り出すための方法であって、
前記容器(12)の少なくとも一部を取り出し室(2)にその取り出し室(2)の挿入口(3)を介して挿入し、前記容器(12)を空にし、前記物質を前記取り出し室(1)の吐出し口(5)を介して吐出することを備え、
少なくとも前記容器(12)を空にしている間に、前記取り出し室において前記挿入口(3)とは反対側に配置された通気口(4)と、その通気口(4)に割り当てられたポンプ手段(10)とにより、空気流を生成し、その空気流により前記挿入口(3)から前記通気口(4)への層流を生じさせる、方法において、
前記容器(12)が空になる前に、前記容器(12)が、前記取り出し室(2)の内部で前記挿入口(3)と前記吐出し口(5)との間において可変通路開口部(18)を有する好ましくは垂直な隔壁(16)を通過し、
前記可変通路開口部(18)は、空にする前記容器(12)が、前記取り出し室(2)内で完全に受け取られる限りにおいて、前記可変通路開口部(18)を通り抜けられるように設計および寸法決めされているとともに、空にしている間、いかなる状態においても前記隔壁(16)により密封または閉鎖されて気密状態となってしまわないよう設計されており、
前記挿入口(3)の領域にノズル設備(22)が配置され、そのノズル設備(22)が、前記通気口(4)への空気流が生成されるようにポンプ手段(23)に接続されていることを特徴とする、方法。
【請求項7】
請求項に記載の方法において、0.6m/s~0.8m/sの空気流が前記挿入口(3)の領域に生成されることを特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項またはに記載の方法において、前記取り出し室(2)の少なくとも一部の断面が前記挿入口(3)から前記通気口(4)に向かって大きくなり、これにより、前記吐出し口(5)の領域における前記空気流の速度が、前記挿入口(3)の領域における速度の約1/3~1/6に、特に0.1m/s~0.3m/sに減少することを特徴とする、方法。
【請求項9】
請求項のいずれか一項に記載の方法において、前記通気口(4)を通して、前記挿入口(3)の大きさまたは面に比例した体積流量、好ましくは200m3/h~800m3/hの体積流量、が排気されることを特徴とする、方法。
【請求項10】
請求項のいずれか一項に記載の方法において、前記挿入口(3)を可逆的に開閉するための閉鎖装置(11)により前記挿入口(3)を開いて前記容器(12)の少なくとも一部を挿入し、好ましくは前記容器(12)を空にしている間は前記挿入口(3)を開いたままにしておくことを特徴とする、方法。
【請求項11】
請求項10のいずれか一項に記載の方法において、前記挿入口(3)の領域に密封装置(20)が配置され、容器(12)が空になる前に、前記密封装置(20)が、容器面(21)、特にドラム面に密封状態で接触することを特徴とする、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
図3の例示的な実施形態において、挿入口3と通気口4との間の層流を確実に維持するかまたは維持可能とするために、取り出し装置1は、挿入口3の領域に配置されたノズル設備22を備え、当該ノズル設備22は、ポンプ手段23との作用により通気口4への空気流を生成することができる。これにより、図3の例示的な実施形態において、容器12を空にし、取り出しを行う過程で、挿入口3が閉鎖され、さらには密封される。一方で、挿入口3の領域にまだ位置しているかまたは配置されている物質の粒子を確実に挿入口3から遠ざけて移送する層流は、依然として維持され得る。さらに、これにより、物質を汚すかまたは汚染する可能性がある周囲の空気が取り出し装置1、特に取り出し室2に全くまたはわずかな量しか入らないようにすることができる。
なお、本発明は、実施の態様として以下の内容を含む。
[態様1]
硬質または軟質容器(12)、特に袋およびドラム(13)から、健康に有害な、ばらばらの、特に粉末状の物質を取り出すための取り出し装置であって、
容器(12)から移した後に前記物質を吐出する吐出し口(5)を有する取り出し室(2)であって、容器(12)の少なくとも一部を当該取り出し室(2)に挿入するための挿入口(3)をさらに有する取り出し室(2)を備え、
前記取り出し室(2)が通気口(4)を有し、その通気口(4)が、好ましくは前記取り出し室(2)において前記挿入口(3)とは反対側に配置され、前記取り出し室(2)内に空気流を生成できるようにポンプ手段(10)に接続されており、前記空気流により前記挿入口(3)から前記通気口(4)への層流を生じさせることを特徴とする、取り出し装置。
[態様2]
態様1に記載の取り出し装置(1)において、前記取り出し室(2)の少なくとも一部の断面が、前記挿入口(3)から前記通気口(4)に向かって大きくなることを特徴とする、取り出し装置(1)。
[態様3]
態様1または2に記載の取り出し装置(1)において、前記取り出し室(2)内において前記挿入口(3)と前記取り出し室(2)との間に、可変通路開口部(18)を有する好ましくは垂直な隔壁(16)が配置されていることを特徴とする、取り出し装置(1)。
[態様4]
態様1~3のいずれか一態様に記載の取り出し装置(1)において、前記挿入口(3)を可逆的に開閉するための閉鎖装置が前記挿入口(3)に設けられていることを特徴とする、取り出し装置(1)。
[態様5]
態様1~4のいずれか一態様に記載の取り出し装置(1)において、容器面(21)、特にドラム(13)に密封状態で接触するための密封装置(20)が、前記挿入口(3)の領域に配置されていることを特徴とする、取り出し装置(1)。
[態様6]
態様1~5のいずれか一態様に記載の取り出し装置(1)において、前記挿入口(3)の領域にノズル設備(22)が配置され、そのノズル設備(22)が、前記通気口(4)への空気流を生成できるように前記ポンプ手段(23)に接続されていることを特徴とする、取り出し装置(1)。
[態様7]
態様1~6のいずれか一態様に記載の取り出し装置(1)において、容器搬送機または移送手段が前記取り出し室(2)内に配置されていることを特徴とする、取り出し装置(1)。
[態様8]
硬質または軟質容器(12)、特に袋およびドラム(13)から、健康に有害な、ばらばらの、特に粉末状の物質を、好ましくは態様1から7のいずれか一態様に記載の装置により取り出すための方法であって、
前記容器(12)の少なくとも一部を取り出し室(2)にその取り出し室(2)の挿入口(3)を介して挿入し、前記容器(12)を空にし、前記物質を前記取り出し室(1)の吐出し口(5)を介して吐出することを備え、
少なくとも前記容器(12)を空にしている間に、好ましくは前記取り出し室において前記挿入口(3)とは反対側に配置された通気口(4)と、その通気口(4)に割り当てられたポンプ手段(10)とにより、空気流を生成し、その空気流により前記挿入口(3)から前記通気口(4)への層流を生じさせることを特徴とする、方法。
[態様9]
態様8に記載の方法において、0.5m/s~1.0m/sの空気流、好ましくは0.6m/s~0.8m/sの空気流が前記挿入口(3)の領域に生成されることを特徴とする、方法。
[態様10]
態様8または9に記載の方法において、前記取り出し室(2)の少なくとも一部の断面が前記挿入口(3)から前記通気口(4)に向かって大きくなり、これにより、前記吐出し口(5)の領域における前記空気流の速度が、前記挿入口(3)の領域における速度の約1/3~1/6に、特に0.1m/s~0.3m/sに減少することを特徴とする、方法。
[態様11]
態様8~10のいずれか一態様に記載の方法において、前記通気口(4)を通して、前記挿入口(3)の大きさまたは面に比例した体積流量、好ましくは200m 3 /h~800m 3 /hの体積流量、が排気されることを特徴とする、方法。
[態様12]
態様8~11のいずれか一態様に記載の方法において、前記容器(12)が空になる前に、前記取り出し室(2)内において前記挿入口(3)と前記取り出し室(2)との間に、可変通路開口部(18)を有する好ましくは垂直な隔壁(16)が配置されることを特徴とする、方法。
[態様13]
態様8~12のいずれか一態様に記載の方法において、前記挿入口(3)を可逆的に開閉するための閉鎖装置(11)により前記挿入口(3)を開いて前記容器(12)の少なくとも一部を挿入し、好ましくは前記容器(12)を空にしている間は前記挿入口(3)を開いたままにしておくことを特徴とする、方法。
[態様14]
態様8~13のいずれか一態様に記載の方法において、前記挿入口(3)の領域に密封装置(20)が配置され、容器(12)が空になる前に、前記密封装置(20)が、容器面(21)、特にドラム面に密封状態で接触することを特徴とする、方法。
[態様15]
態様8~14のいずれか一態様に記載の方法において、ノズル設備(22)が、前記挿入口(3)の領域に配置され、ポンプ手段(23)に接続されており、前記ノズル設備(22)により前記通気口(4)への空気流が生成されることを特徴とする、方法。
【国際調査報告】