(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-02
(54)【発明の名称】自動車の安全部品を診断する方法
(51)【国際特許分類】
B60R 21/01 20060101AFI20220222BHJP
G01M 99/00 20110101ALI20220222BHJP
G01M 17/007 20060101ALI20220222BHJP
B60R 22/48 20060101ALI20220222BHJP
B62D 6/00 20060101ALI20220222BHJP
B60T 7/12 20060101ALI20220222BHJP
【FI】
B60R21/01
G01M99/00 Z
G01M17/007 Z
B60R22/48
B62D6/00
B60T7/12 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535525
(86)(22)【出願日】2019-12-17
(85)【翻訳文提出日】2021-08-18
(86)【国際出願番号】 EP2019085616
(87)【国際公開番号】W WO2020127239
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】102018222659.8
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【氏名又は名称】鳥居 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】ユンガーマン,レビン
【テーマコード(参考)】
2G024
3D232
3D246
【Fターム(参考)】
2G024AD01
2G024BA22
2G024BA27
2G024CA13
2G024CA17
3D232CC38
3D232DA86
3D232DC10
3D246DA01
3D246GA01
3D246GB27
3D246GC14
3D246GC16
3D246JB02
3D246JB11
3D246MA01
3D246MA14
3D246MA16
(57)【要約】
本発明は、自動車の安全部品を動作させる方法であって、a)動作パラメータがしきい値に達したときにエラー値を設定するために、安全部品の動作パラメータと比較されるように設けられた、記憶されたしきい値を確認するステップと、b)しきい値に達したときにエラー値を検出するステップと、c)しきい値に達したとき、またはしきい値に達することが予想される状況が生じたときに、しきい値補正データを収集し、しきい値補正データを中央データ処理部に送信するステップと、d)安全部品の動作時にしきい値を補正するためのなくとも1つの補正しきい値を中央データ処理部から受信するステップであって、他の自動車の同一構成の安全部品で検出されたエラーデータから補正データが検出される、ステップと、e)補正しきい値を、記憶されたしきい値として適用するステップとを含む方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車の安全部品を動作させる方法であって、
a)動作パラメータがしきい値に達したときにエラー値を設定するために、安全部品の動作パラメータと比較されるように設けられた、記憶されたしきい値を確認するステップと、
b)前記しきい値に達したときにエラー値を検出するステップと、
c)前記しきい値に達したとき、または前記しきい値に達することが予想される状況が生じたときに、しきい値補正データを収集し、前記しきい値補正データを中央データ処理部に送信するステップと、
d)前記安全部品の動作時に前記しきい値を補正するための少なくとも1つの補正しきい値を中央データ処理部から受信するステップであって、他の自動車の同一構成の安全部品で検出されたエラーデータから補正データが検出された、ステップと、
e)前記補正しきい値を、記憶されたしきい値として適用するステップと
を含む方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、ステップc)におけるしきい値補正データの送信、またはステップd)における少なくとも1つの補正しきい値の受信は、前記安全部品または前記自動車のメンテナンス時に行われる、方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法であって、ステップc)におけるしきい値補正データの送信、またはステップd)における少なくとも1つの補正しきい値の受信は、前記自動車の通常の動作時にネットワークインターフェースを介して行われる、方法。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法であって、方法ステップa)~e)は、前記安全部品の通常の動作時に行われる、方法。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法であって、前記安全部品は、自動車の要構成素であり、乗員保護のために用いられる、方法。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法であって、該方法において方法ステップa)~e)が連続的に繰り返される、方法。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法であって、
前記ステップc)においてしきい値補正データを収集するために、
i)前記しきい値と前記動作パラメータとの比較を行うステップと、
ii)前記エラー値が設定されたときの前記安全部品の状態を表す状態情報を記憶するステップと、
iii)補正しきい値を検出するための状態情報をしきい値補正データとして供給するステップと
を実施する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書には、安全部品を診断する方法、特に自動車の安全部品を診断する方法が記載される。
【背景技術】
【0002】
自動車の安全部品は、基本的に、例えばエアバッグ、非常ブレーキシステムなどのあらゆる種類の能動的および受動的な安全部品であってもよい。
【0003】
自動車の安全部品は、多くの場合、入力変数に応じて作動または停止し、これは、多くの場合、1つ以上の入力変数を1つ以上のしきい値と比較することによって行われる。入力変数がしきい値に達すると、エラー値とみなすことができる条件が満たされる。エアバッグまたは非常ブレーキシステムなどの安全部品は、1つのしきい値を超過しただけではトリガされない場合が多い。むしろ、このような安全部品がトリガされるには複数の必要十分条件が満たされる必要がある。これらの必要十分条件は、それぞれ、動作パラメータとしきい値との比較という形で満たすことができる。このような条件は、通常、個々の安全部品の制御器または中央車両制御器(ECU:Electronic Control Unit)に記憶されている。
【0004】
多くのECU(例えばエアバッグ内)では、今日、開発段階でビルトインセルフテスト(BIST:Build-In Self-test)用のテスト限界値(しきい値)ならびにエラーのフィルタリングのオンおよびオフのための限界値が確定され、ECU耐用期間にわたって一定の値としてECUにプログラムされる。このようなしきい値条件は、本明細書に記載された方法によって改善されることが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本明細書には、自動車の安全部品を動作させる方法であって、
a)動作パラメータがしきい値に達したときにエラー値を設定するために、安全部品の動作パラメータと比較されるように設けられた、記憶されたしきい値を確認するステップと、
b)しきい値に達したときにエラー値を検出するステップと、
c)しきい値に達したとき、またはしきい値に達することが予想される状況が生じたときに、しきい値補正データを収集し、しきい値補正データを中央データ処理部に送信するステップと、
d)安全部品の動作時にしきい値を補正するための少なくとも1つの補正しきい値を中央データ処理部から受信するステップであって、他の自動車の同一構成の安全部品で検出されたエラーデータから補正データが検出される、ステップと、
e)補正しきい値を、記憶されたしきい値として適用するステップと
を含む方法が記載される。
【0006】
ステップa)~e)にしたがって説明した方法は、これらの安全部品が上述の方法にしたがって動作する場合に自動車の安全部品において実施される。この方法は、安全部品を診断するために、もしくは特に安全部品の正しい機能を診断するために使用することができる。監視されるべき動作パラメータは、しきい値に達したときに安全部品を実際にトリガする動作パラメータではなく、安全部品が正しく動作していることを確認するために(のみ)監視される動作パラメータである。例えば、安全部品における動作パラメータとして湿度または圧力を監視し、このためのしきい値(湿度しきい値または圧力しきい値)を設けることが可能である。このしきい値よりも小さいまたは大きい場合、このことは、安全部品のメンテナンスまたは交換を必要とする安全部品の故障を示しているかもしれない。この方法の1つの適用例としては、例えば、最初に危機的であるとみなされて初期しきい値を設定することとなった特定の圧力または湿度が、後になってやはり危機的ではないと判明し、しきい値を補正したり、もしくは、次にステップe)で補正しきい値を適用したりすることが挙げられる。
【0007】
しかしながら、この方法は、安全部品の本来の動作にも使用することができる。この場合、動作パラメータは、例えば、エアバッグをトリガするために使用される動作パラメータであり、エラー値は、しきい値に達したときにエアバッグをトリガするトリガ信号である。この構成では、この方法によって、例えば、エアバッグがあまりにも早くトリガされたことが判明したので、エアバッグをより遅くトリガする補正しきい値をステップe)で適用するというときに、エアバッグをトリガするための初期しきい値を補正することができる。
【0008】
安全部品は、自動車の任意の安全部品である。このような安全部品の例は、例えば、既に述べたエアバッグ、ブレーキシステム、非常時運転操作を行うためのシステム、シートベルトテンショナなどである。
【0009】
ステップa)における記憶されたしきい値の確認は、通常、記憶されたしきい値が格納されている制御器のメモリ領域へのアクセスを含む。上述のように、しきい値は、動作パラメータと比較され、しきい値に達したときにエラー値を設定するため使用される。この場合の達するとは、どのような動作パラメータであるかに応じて、動作パラメータがしきい値よりも大きくなるか、または小さくなることを意味する。いくつかの動作パラメータは、最大しきい値より大きくなることは望ましくない。他の動作パラメータは、最小しきい値よりも小さくなることは望ましくない。したがって、しきい値は、選択的に、最大しきい値または最小しきい値であってもよい。
【0010】
エラー値は、安全部品のトリガ機能を作動させるために、例えばエアバッグを開くなどのために使用される値であってもよい。エラー値は、例えば、エアバッグが正しく機能していること、またはシステムメンテナンスの範囲で補正されることが望ましいエラーがエアバッグ内またはエアバッグに生じていることを確定するために、診断目的でのみ収集される値であってもよい。
【0011】
「エラー値」という用語は、特に、しきい値と動作パラメータとの比較に応じて設定されたり設定されなかったりする2進値(バイナリフラグ)を意味する。したがって、バイナリフラグとしてのエラー値は、例えば、「エアバッグをトリガする」/「エアバッグをトリガしない」、または「エラーが生じている」/「エラーが生じていない」など、常に2つの異なる状態を有することができる。
【0012】
動作パラメータは、安全部品の任意の動作パラメータである。動作パラメータは、例えば、温度、または安全部品のトリガ構成要素からの信号であってもよい。動作パラメータは、1つ以上のさらなる動作データから計算された計算値であることも可能である。
【0013】
したがって、エラー値の検出はステップb)において行われ、ステップa)に関連してしきい値について既に上述した全てのことがステップb)にも適用される。
【0014】
ステップb)は、いつしきい値補正データが検出されるか、すなわち、しきい値に達することが予想される状況が生じた場合の代替案を定めるものである。しきい値自体にはまだ達していないが、しきい値の補正に関連する状況がある。なぜならば、これらの状況は、しきい値をより余裕をもって設定できることなどを必要に応じて示すことができるからである。このような状況も含めて検出するために、しきい値に達すると予想された場合には既にしきい値補正データを収集することが代替的に提案される。しきい値に達すると予想されることは、後に絶対にしきい値に到達する必要があることを必ずしも意味しない。しきい値に達すると予想される状況は、予想とは異なるように展開することもあり、この場合、予想したしきい値に達するという状況は実際には生じない。この方法の単純な実施形態では、しきい値に達することが予想される状況は、例えば、いわゆる「事前しきい値」によって特徴付けることができる。事前しきい値は、本来のしきい値よりも少しだけ大きいか、または小さいしきい値(例えば、本来のしきい値よりも10パーセント大きいか、または小さい値)である。この事前しきい値に達した場合、定義によれば、しきい値に達することが予想される状況が生じている。しかしながら、そのような状況が生じているかどうかを確認するためにチェックされるべきより複雑な条件によってそのような状況を定義してもよい。例えば、自動車の1つ以上の(さらなる)動作パラメータまたは動作データを監視し、しきい値に達すると予想される状況を認識するために、しきい値と比較するか、または互いに比較することができる。動作データおよび動作パラメータは、この場合、特に、いわゆる「環境センサシステム」によって検出される、自動車の周辺域からの環境データを含む。
【0015】
ステップc)におけるしきい値補正データの収集は、特に、このために設けられたメモリ(例えば、制御器内のデータメモリ、一般にRAM「ランダムアクセスメモリ」)に、関連するしきい値補正データを書き込むことによって行われる。しきい値補正データは、例えば、しきい値に達する前、後、および達したときの動作パラメータに関するデータ、ならびにしきい値に達した時点およびその前後のさらなる動作パラメータに関するデータである。
【0016】
中央データ処理部へのしきい値補正データの送信については後により詳細に説明する。好ましくは、中央データ処理は、(好ましくは)複数の異なる自動車からの(好ましくは)同一構成の様々な安全部品からのしきい値補正データを互いに組み合わせて処理し、しきい値補正データに基づいて少なくとも1つの補正しきい値を検出するように実行される。互いに処理することは、ここでは特に、次の手段のうちの少なくとも1つを含む。
・複数の異なるしきい値補正データの評価、
・複数の異なるしきい値補正データの比較、
・複数の異なるしきい値補正データの理解、および
・複数の異なるしきい値補正データ、もしくは特にこれらしきい値補正データの意味の解釈。
【0017】
動作時にしきい値を補正するための少なくとも1つの補正しきい値の受信は、ステップd)において中央データ処理部によって行われる。
【0018】
次に、ステップe)においてこの補正しきい値が適用され、安全部品は、ステップe)の後には補正しきい値で動作することとなる。
【0019】
しきい値は、しきい値に達したときにのみ特定の変数(動作パラメータ)をエラーとして認識するために使用されるので、しきい値は、特に、「BIST限界値」または「エラーフィルタリング限界」とも呼ばれる。
【0020】
上記方法は、安全部品の現場(フィールド)耐用期間中に収集されたしきい値補正データを系統的に評価することを可能にし、これらの知識に基づいて、Flash-Over-The-Air(FOTA)による(BIST限界値)およびエラーフィルタリング限界値を適用することを可能にする。しきい値補正データはしきい値に達した場合の安全部品の挙動を表現するので、しきい値補正データは、特に「挙動データ」とも呼ばれる。
【0021】
ECUのアクティブな現場耐用期間中にBIST限界値およびエラーフィルタリング限界値を適用することは、とりわけ、次の利点を有する場合がある。
・選択された限界が厳しすぎることによる不要な返却/リコールの防止、
・広範囲のリコールを防止して疑わしいECUの意図的な回収、および
・関連する誤動作の新たな兆候が生じた場合に制限値を後から強化し、これにより、潜在的に安全性関連の故障を防止すること。
【0022】
前述のように、初期BISTおよびエラーフィルタリング限界値は、ECUの開発段階に定義される。これは、上述の方法のステップa)、もしくは開発段階でしきい値を確認するというさらに先行するステップに相当する。
【0023】
制御器(ECU)の現場耐用段階においては、系統的なフィールドデータ検出(sFDE:systematic field data exploration)によって現場におけるECUの挙動が観察される。これは、例えば、以下のしきい値補正データ(例えば、内部エラーメモリの状態、リセット挙動、温度プロファイル、振動プロファイルなど)の検出を含む。上述の方法は、安全部品の第1の現場耐用段階においてのみ、例えば、安全部品を装備した自動車の第1のモデルにおいて、または新しいタイプの安全部品が現場で使用される1年目にのみ実施されることが可能である。後に、この方法によって極めて良好な補正しきい値が利用可能であり、上述の方法の動作を停止することができる。
【0024】
少なくとも1つの補正しきい値が、ステップd)で安全部品または自動車のメンテナンス時に受信される場合、特に好ましい。
【0025】
好ましくは、次に、ステップe)も安全部品または自動車のメンテナンス時に行われる。安全部品または自動車のメンテナンスは、例えば、ワークショップ滞在の範囲内における「定期的な」車両メンテナンスであってもよい(ワークショップインターバル)。好ましくは、しきい値補正データは、診断機器が自動車に接続された場合に自動車の制御器から自動的にダウンロードされる。好ましくは、しきい値補正データは、その後、または、診断機器により自動車の診断を評価する際に直接に中央データ処理部に伝送される。同じことが、少なくとも1つの補正しきい値の受信にも当てはまる。
【0026】
さらに、ステップc)におけるしきい値補正データの送信、またはステップd)における少なくとも1つの補正しきい値の受信は、自動車の通常の動作時にネットワークインターフェースを介して行われる場合が、特に好ましい。
【0027】
このようなネットワークインターフェースは、例えば、自動車の(永続的な)移動無線接続部であってもよい。このような移動無線接続部は、車載診断のライブデータを中央データ処理部に伝送するために自動車においても一般的であることが多い。
【0028】
しきい値補正データは、安全部品の挙動を表す挙動データであるだけではない。しきい値補正データは、現場(自動車の通常の動作時)で使用されるフィールドデータである。これらのフィールドデータは、例えば、現場から戻ったものの分析からのデータ、サプライヤからの自主報告、および他の構成要素からの他の関連データと比較される。
【0029】
この評価に基づいて、BISTおよびエラーフィルタリングの新しい限界値が設定され、FOTA(Flash-Over-The-Air)またはワークショップテスタによってECUにインポートされる。並行して、これらの新たな限界値はボッシュの生産現場でも展開される。
【0030】
方法ステップa)~e)が方法において連続的に繰り返される場合が、特に好ましい。この方法が繰り返される場合、既存の補正しきい値は、必要に応じて、ステップa)において(新しい)初期しきい値としても考慮される。
【0031】
この方法は、ステップc)において、しきい値補正データを収集するために、
c1)しきい値と動作パラメータとの比較を行うステップと、
c2)エラー値が設定された場合に安全部品の状態を表す状態情報を記憶するステップと、
c3)補正しきい値をしきい値補正データとして検出するための状態情報を供給するステップと
を実施する場合が特に好ましい。
【0032】
ステップcl)におけるしきい値の比較は、ステップa)において既に提案された比較に相当する。ステップc2)は、安全部品のさらなる多数の動作パラメータを、動作パラメータがしきい値に達する前、後、および達したときに記憶することに相当する。ステップc3)は、(ステップc1およびc2で)収集された全ての情報が供給されることを再度明確にするものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】自動車の安全部品を診断する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に図面を参照して上記方法をより詳細に説明する。本方法は、もちろん、図示の実施形態に限定されるものではない。
【0035】
この方法は、(i)で初期しきい値の確定によって開始する。これらの初期しきい値に基づいて、(ii)で安全部品のしきい値が定義される。この場合に、フィールドデータの分析(ix)からのデータも、そのようなデータが利用可能である場合には、含めることができる。このようにして、安全部品の初期しきい値は、フィールドデータからの情報も考慮に入れることができる。
【0036】
次に、(iii)現場における安全部品の使用について説明する。安全部品が使用されている場合に、安全部品を使用して、エラーデータのオンラインデータ収集(iv)を行う。オンラインデータ収集(iv)は、現場における安全部品の使用(iii)と並行して定期的に行われる。オンラインデータ収集(iv)は、収集されたデータを、好ましくは、ここでは矢印で示されるネットワーク接続2を介して、フィールドデータ処理部(vi)に供給する。
【0037】
同じことが、フィールドデータの分析(ix)から新しい安全性データのダウンロード(v)を行う場合にも当てはまる。この新しい安全性データのダウンロード(v)も現場(iii)における安全部品の使用と並行して定期的に行われる。フィールドデータの分析(ix)は、これらの新しい安全性データを、同様にここでは矢印で示されるネットワーク接続3を介して新しい安全性データのダウンロード(v)に利用可能にする。
【0038】
安全部品の使用は、ブロック(iii)で(オンラインデータ収集(iv)および新しい安全性データのダウンロード(v)の前後で)3回示されている。さらに、ループ1は、現場における安全部品の使用(iii)が原則として永続的であることを示す。これは、現場における安全部品の連続的な使用(iii)を表し、その間にエラーデータはオンラインデータ収集(iv)によって定期的に収集され、その間に新しい安全性データは新しい安全性データのダウンロード(v)によって定期的に読み込まれる。
【0039】
フィールドデータ処理(vi)は、受信されたフィールドデータから使用可能なデータを生成するために用いられ、これらのデータは安全部品の前述のしきい値を改善するために使用することができる。使用可能なデータを生成するために、フィールドデータ処理(vi)は、好ましくは、エキスパートデータベース(x)またはマニュアルエラー分析(xi)などの他のデータソースからの情報も使用する。
【0040】
使用可能なデータは、更新(vii)によってフィールドデータ(viii)を有するデータベースに書き込まれる。フィールドデータ(viii)を有するこのデータベースから、フィールドデータの分析(ix)には、新しい安全性データのダウンロード(v)のための新しい安全性データを供給することができるように、データ材料が供給される。フィールドデータ(ix)は、初期しきい値を設定するために、リンク6を介して利用可能(ii)にすることもできる。
【0041】
フィールドデータの分析(viii)は、さらに好ましくは、(ii)で初期しきい値を確定するためのデータも利用可能にする。
【0042】
方法ステップ(iii)、(iv)および(v)は、好ましくは、例えば自動車の一部であってもよい安全部品4において実施される。
【0043】
方法ステップ(i)、(ii)および(vi)、(vii)、(viii)、(ix)、(x)および(xi)は、好ましくは、例えば、安全部品4の製造業者のサーバ上の中央データ処理部5で実施される。安全部品は、例えば、移動無線ネットワークによって実現されるネットワーク接続2および3を介して、好ましくは永続的または一時的にこの中央データ処理部5に接続されている。
【国際調査報告】