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特表2022-516875安定化熱伝達組成物、方法、及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-03
(54)【発明の名称】安定化熱伝達組成物、方法、及びシステム
(51)【国際特許分類】
   C09K 5/04 20060101AFI20220224BHJP
   C10M 105/38 20060101ALI20220224BHJP
   C10M 107/24 20060101ALI20220224BHJP
   C10N 40/30 20060101ALN20220224BHJP
   C10N 30/00 20060101ALN20220224BHJP
【FI】
C09K5/04 E
C09K5/04 C
C10M105/38
C10M107/24
C10N40:30
C10N30:00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538101
(86)(22)【出願日】2019-12-30
(85)【翻訳文提出日】2021-07-30
(86)【国際出願番号】 US2019068934
(87)【国際公開番号】W WO2020142427
(87)【国際公開日】2020-07-09
(31)【優先権主張番号】62/786,812
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】スミス、グレゴリー ローレンス
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BA04C
4H104BB05C
4H104BB08C
4H104BB09C
4H104BB34A
4H104CB02A
4H104LA11
4H104LA20
4H104PA20
(57)【要約】
本発明は、冷媒と、潤滑剤と、安定化剤とを含む熱伝達組成物に関し、冷媒は、約49重量%のジフルオロメタン(HFC-32)と、約11.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)と、約39.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)とを含み、かかる潤滑剤は、ポリオールエステル(POE)潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、かかる安定化剤は、アルキル化ナフタレンを含み、任意ではあるが好ましくは酸枯渇性部分を含む。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒と、潤滑剤と、安定化剤と、を含む、熱伝達組成物であって、前記冷媒は以下の3つの化合物から本質的になり、各化合物は以下の相対百分率:
約49重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
約11.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
約39.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)で存在し、(i)前記潤滑剤は、ポリオールエステル(POE)潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、(ii)前記安定化剤は、アルキル化ナフタレンを含み、(iii)前記アルキル化ナフタレンは、前記アルキル化ナフタレン及び前記潤滑剤の重量に基づいて、1重量%~10重量%未満の量で前記組成物中に存在する、熱伝達組成物。
【請求項2】
前記アルキル化ナフタレンが、前記アルキル化ナフタレン及び前記潤滑剤の重量に基づいて、1重量%~8重量%の量で前記組成物中に存在する、請求項1に記載の熱伝達組成物。
【請求項3】
前記アルキル化ナフタレンが、前記アルキル化ナフタレン及び前記潤滑剤の重量に基づいて、1.5重量%~8重量%の量で前記組成物中に存在する、請求項1に記載の熱伝達組成物。
【請求項4】
前記アルキル化ナフタレンが、前記アルキル化ナフタレン及び前記潤滑剤の重量に基づいて、1.5重量%~6重量%の量で前記組成物中に存在する、請求項1に記載の熱伝達組成物。
【請求項5】
前記潤滑剤がPVE潤滑剤である、請求項4に記載の熱伝達組成物。
【請求項6】
前記安定化剤が酸枯渇性部分(ADM)を更に含む、請求項5に記載の熱伝達組成物。
【請求項7】
前記安定化剤が、約40重量%~約99.9重量%のアルキル化ナフタレンと、前記安定化剤の重量に基づいて0.05重量%~約50重量%のADMと、を含む、請求項6に記載の熱伝達組成物。
【請求項8】
前記アルキル化ナフタレンがAN5を含む、請求項7に記載の熱伝達組成物。
【請求項9】
前記安定化剤がフェノールを更に含む、請求項8に記載の熱伝達組成物。
【請求項10】
前記フェノールがBHTを含む、請求項9に記載の熱伝達組成物。
【請求項11】
前記安定化アルキル化ナフタレンがAN10を含む、請求項7に記載の熱伝達組成物。
【請求項12】
前記安定化剤がフェノールを更に含む、請求項8に記載の熱伝達組成物。
【請求項13】
前記フェノールがBHTを含み、前記ADMがADM4を含む、請求項12に記載の熱伝達組成物。
【請求項14】
前記ADMがADM4から本質的になる、請求項13に記載の熱伝達組成物。
【請求項15】
前記潤滑剤がPOEである、請求項14に記載の熱伝達組成物。
【請求項16】
前記POE潤滑剤がネオペンチルPOEである、請求項15に記載の熱伝達組成物。
【請求項17】
前記POE潤滑剤が、ASTM D445に従って測定するとき、40℃にて約30cSt~約70cStの粘度を有する、請求項15に記載の熱伝達組成物。
【請求項18】
前記POE潤滑剤が、ASTM D445に従って100℃で測定するとき、約5cSt~約10cStの粘度を有する、請求項17に記載の熱伝達組成物。
【請求項19】
前記アルキル化ナフタレンがAN5から本質的になる、請求項18に記載の熱伝達組成物。
【請求項20】
前記アルキル化ナフタレンがAN5からなる、請求項18に記載の熱伝達組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2018年12月31日の出願日を有する米国仮出願第62/786,812号の優先的な利益を主張する。
【0002】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2018年12月31日の出願日を有する米国仮出願第62/786,802号の優先的な利益を主張する。
【0003】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2018年12月31日の出願日を有する米国仮出願第62/786,826号の優先的な利益を主張する。
【0004】
本出願は、現在係属中の2018年10月6日に出願された米国特許出願第16/153,733号に関し、その一部継続出願としての優先権の利益を主張するものであり、ひいては、本段落に記載される各出願が参照により本明細書に組み込まれる、2017年10月6日に出願された米国特許仮出願第62/569,419号及び2017年12月1日に出願された同第62/593,393号の優先権の利益を主張するものである。
【0005】
本発明は、現在係属中の2019年4月1日に出願された米国特許出願第16/371,866号の一部継続出願、ひいては、米国特許出願第15/661,980号、現在は米国特許第10,246,621号の継続出願、2017年7月27日に出願された国際出願PCT/US17/44182号の継続出願に関し、本段落に記載される各出願が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許仮出願第62/502,165号、同第62/502,231号、及び同第62/368,521号のそれぞれの優先権の利益を主張するものである。
【0006】
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2018年9月19日に出願された米国特許出願第16/135,962号に関し、その一部継続出願としての優先権の利益を主張するものである。
【0007】
(発明の分野)
本発明は、空調及び冷凍用途を含む、熱交換用途において有用性を有する組成物、方法、及びシステムに関する。特定の態様では、本発明は、冷媒R-410Aが使用されているであろうタイプの熱伝達システムにおいて有用な組成物に関する。本発明の組成物は、特に、加熱及び冷却用途のための冷媒R-410Aの代替品として、かつR-410Aと共に使用するために設計されたシステムを含む熱交換システムを追加導入することに対して有用である。
【背景技術】
【0008】
産業用、商用、及び家庭用の使用について、機械冷凍システム、並びにヒートポンプ及び空調機などの関連する熱伝達デバイスが当該技術分野で周知である。クロロフルオロカーボン(CFC)は、かかるシステムのための冷媒として1930年代に開発された。しかしながら、1980年代以降、成層圏オゾン層に対するCFCの影響が多くの注目を集めるようになった。1987年には、CFC製品の段階的削減のためのタイムテーブルを定めた、地球環境を保護するためのモントリオール議定書に多くの政府が署名した。水素を含有する、より環境的に許容される材料、すなわちヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)がCFCに取って代わった。
【0009】
最も一般的に使用されたヒドロクロロフルオロカーボンの1つが、クロロジフルオロメタン(HCFC-22)であった。しかしながら、モントリオール議定書のその後の改正は、CFCの段階的削減を加速させ、HCFC-22を含むHCFCの段階的削減をスケジュールした。
【0010】
CFC及びHCFCに代わる不燃性、非毒性の代替物の必要性に応じて、業界では、オゾン破壊係数がゼロであるいくつかのヒドロフルオロカーボン(HFC)が開発された。オゾン破壊に寄与しないため、空調及び冷却器用途におけるHCFC-22の産業用代替品としてR-410A(ジフルオロメタン(HFC-32)及びペンタフルオロエタン(HFC-125)の50:50w/wブレンド)が採用された。しかしながら、R-410Aは、R-22のドロップイン代替品ではない。したがって、R-410AでのR-22の置き換えは、R-22と比較して、R-410Aの実質的により高い動作圧力及び容積に適用させるための圧縮機の置き換え及び再設計を含む、熱交換システム内の主要な構成要素の再設計を必要とした。
【0011】
R-410Aは、R-22よりも許容されるオゾン破壊係数(ODP)を有する一方、地球温暖化係数(GWP)が2088と高いため、R-410Aの継続使用には問題が伴う。したがって、より環境的に許容される代替品でのR-410Aの置き換えが当該技術分野で必要とされている。
【0012】
代替の熱伝達流体が、中でも優れた熱伝達特性(特に特定の用途の必要性に十分に適合する熱伝達特性)、化学安定性、低毒性若しくは無毒性、不燃性、潤滑剤混和性、及び/又は潤滑剤適合性を含む、達成するのが困難な特性のモザイクを保有することが非常に望ましいことが当該技術分野で理解されている。更に、R-410Aの任意の代替品は、理想的には、システムの修正又は再設計を回避するために、R-410Aの動作条件に対して良好な一致となるものである。その多くが予測できないものであるこれらの要求の全てを満たす熱伝達流体の開発は、大きな課題である。
【0013】
使用効率に関しては、冷媒の熱力学性能又はエネルギー効率の喪失は、電気エネルギーの需要の増加の結果として化石燃料の使用量の増加をもたらし得ることに留意することが重要である。したがって、かかる冷媒の使用は、環境に対して二次的な悪影響を有することになる。
【0014】
燃焼性は、多くの熱伝達用途について重要な特性であると考えられている。本明細書で使用するとき、用語「不燃性」は、ASTM規格のE-681-2009 Standard Test Method for Concentration Limits of Flammability of Chemicals(Vapors and Gases)に従って、ASHRAE Standard 34-2016 Designation and Safety Classification of Refrigerants及びASHRAE Standard 34-2016のAppendix B1に記載されている条件で不燃性と判定される化合物又は組成物を指し、これは、参照により本明細書に組み込まれ、本明細書において便宜上、「不燃性試験」と呼ばれる。
【0015】
蒸気圧縮式熱伝達システム中を循環する潤滑剤がその意図される潤滑機能を行うために圧縮機に戻されることが、システム効率の維持及び圧縮機の適切かつ確実な稼動について非常に重要である。そうでなければ、潤滑剤が堆積し、熱伝達部品中を含む、システムのコイル及びパイプの中に留まる可能性がある。更に、潤滑剤が蒸発器の内面に堆積すると、蒸発器の熱交換効率が低下し、それによりシステムの効率が低減される。
【0016】
R-410Aは、かかるシステムの使用中に生じる温度でポリオールエステル(POE)と混和性であるため、R-410Aは現在、空調用途においてPOE潤滑油と共に一般的に使用されている。しかしながら、R-410Aは、低温冷凍システム及びヒートポンプシステムの動作中に典型的に生じる温度ではPOEと非混和性である。したがって、この非混和性を軽減する対策が講じられない限り、POE及びR-410Aを低温冷凍又はヒートポンプシステムに使用することはできない。
【0017】
本出願人らは、空調用途、特にルーフトップ空調、可変冷媒流(VRF)空調及び冷却器空調用途を含む住宅用空調及び商用空調用途において、R-410Aの代替品として使用可能な組成物を提供できることが望ましいと理解するようになった。本出願人らはまた、本発明の組成物、方法、及びシステムが、例えば、ヒートポンプ及び低温冷凍システムにおいて、動作中に生じる温度でPOEと非混和性になる欠点を解消するという利点を有することを理解するようになった。
【発明の概要】
【0018】
本発明は、R-410Aの代替品として使用され得、かつ好ましい実施形態において、低いGWP及びほぼゼロのODPと併せて、優れた熱伝達特性、化学安定性、低毒性若しくは無毒性、不燃性、潤滑剤混和性及び潤滑剤適合性の所望の特性のモザイクを示す、冷媒組成物を提供する。
【0019】
本発明は、冷媒と、潤滑剤と、安定化剤と、を含む、熱伝達組成物を含み、かかる冷媒は以下の3つの化合物から本質的になり、各化合物は以下の相対百分率:
約49重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
約11.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
約39.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)で存在し、
かかる潤滑剤は、ポリオールエステル(POE)潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、かかる安定化剤は、アルキル化ナフタレンを含み、かかるアルキル化ナフタレンは、アルキル化ナフタレン及び潤滑剤の重量に基づいて、1重量%~10重量%未満の量で組成物中に存在する。本段落による熱伝達組成物は、便宜上、本明細書において熱伝達組成物1と称することがある。
【0020】
特定化合物のリストに基づく百分率に関して本明細書で使用するとき、「相対百分率」という用語は、列挙された化合物の総重量に基づく特定化合物の百分率を意味する。
【0021】
重量パーセントに関して本明細書で使用するとき、特定成分の量に対する「約」という用語は、特定成分の量が+/-2重量%の量で変化し得ることを意味する。
【0022】
CF3I冷媒と、POE及び/又はPVEを含む潤滑剤とを含む、熱伝達組成物中のアルキル化ナフタレンを含む安定化剤の使用に関連して、出願人らは、アルキル化ナフタレンの安定化効果が、アルキル化ナフタレン及び潤滑剤に基づいて、1重量%~10重量%未満、又は好ましくは1.5重量%~8重量%未満、又は好ましくは1.5重量%~約6重量%、又は好ましくは1.5~5重量%の範囲外の安定化効果に対して、有益かつ予想外に増強される限界範囲が存在することを見出した。この限界範囲内で向上した性能の理由は、アルキル化ナフタレンの安定化性能が、以下に記載される他の溶液の非存在下で、約10%を超える量で使用される場合には、いくつかの用途にとって望ましくない程度まで劣化する場合があるという発見から得られる。更に、出願人らは、アルキル化ナフタレンの安定化性能がまた、1%未満の量で使用される場合には、いくつかの用途にとって望ましいものではないと考える。この限界範囲の存在は予想外である。
【0023】
したがって、本発明はまた、冷媒と、潤滑剤と、安定化剤と、を含む、熱伝達組成物を含み、かかる冷媒は以下の3つの化合物から本質的になり、各化合物は以下の相対百分率:
約49重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
約11.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
約39.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)で存在し、
かかる潤滑剤は、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、かかる安定化剤は、アルキル化ナフタレンを含み、かかるアルキル化ナフタレンは、アルキル化ナフタレン及び潤滑剤の重量に基づいて、1重量%~8重量%の量で存在する。本段落による熱伝達組成物は、便宜上、本明細書において熱伝達組成物2と称することがある。
【0024】
本発明は、冷媒と、潤滑剤と、安定化剤と、を含む、熱伝達組成物を含み、かかる冷媒は以下の3つの化合物から本質的になり、各化合物は以下の相対百分率;
約49重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
約11.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
約39.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)で存在し、
かかる潤滑剤は、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、かかる安定化剤は、アルキル化ナフタレンを含み、かかるアルキル化ナフタレンは、アルキル化ナフタレン及び潤滑剤の重量に基づいて、1.5重量%~8重量%の量で存在する。本段落による熱伝達組成物は、便宜上、本明細書において熱伝達組成物3と称することがある。
【0025】
本発明は、冷媒と、潤滑剤と、安定化剤と、を含む、熱伝達組成物を含み、かかる冷媒は以下の3つの化合物から本質的になり、各化合物は以下の相対百分率:
約49重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
約11.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
約39.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)で存在し、
かかる潤滑剤は、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、かかる安定化剤は、アルキル化ナフタレンを含み、かかるアルキル化ナフタレンは、アルキル化ナフタレン及び潤滑剤の重量に基づいて、1.5重量%~6重量%の量で存在する。本段落による熱伝達組成物は、便宜上、本明細書において熱伝達組成物4と称することがある。
【0026】
本発明は、冷媒と、潤滑剤と、安定化剤と、を含む、熱伝達組成物を含み、かかる冷媒は以下の3つの化合物から本質的になり、各化合物は以下の相対百分率:
49重量%+/-0.3重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
11.5重量%+/-0.3重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
39.5重量%+/-0.3重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)で存在し、かかる潤滑剤は、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、かかる安定化剤は、アルキル化ナフタレンを含み、かかるアルキル化ナフタレンは、アルキル化ナフタレン及び潤滑剤の重量に基づいて、1重量%~10重量%未満の量で存在する。本段落による熱伝達組成物は、便宜上、本明細書において熱伝達組成物5と称することがある。
【0027】
本発明は、冷媒と、潤滑剤と、安定化剤と、を含む、熱伝達組成物を含み、かかる冷媒は以下の3つの化合物から本質的になり、各化合物は以下の相対百分率:
49重量%+/-0.3重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
11.5重量%+/-0.3重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
39.5重量%+/-0.3重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)で存在し、かかる潤滑剤は、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、かかる安定化剤は、アルキル化ナフタレンを含み、かかるアルキル化ナフタレンは、アルキル化ナフタレン及び潤滑剤の重量に基づいて、1重量%~8重量%の量で存在する。本段落による熱伝達組成物は、便宜上、本明細書において熱伝達組成物6と称することがある。
【0028】
本発明は、冷媒と、潤滑剤と、安定化剤と、を含む、熱伝達組成物を含み、かかる冷媒は以下の3つの化合物から本質的になり、各化合物は以下の相対百分率:
49重量%+/-0.3重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
11.5重量%+/-0.3重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
3.5重量%+/-0.3重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)で存在し、かかる潤滑剤は、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、かかる安定化剤は、アルキル化ナフタレンを含み、かかるアルキル化ナフタレンは、アルキル化ナフタレン及び潤滑剤の重量に基づいて、1.5重量%~8重量%の量で存在する。本段落による熱伝達組成物は、便宜上、本明細書において熱伝達組成物7と称することがある。
【0029】
本発明は、冷媒と、潤滑剤と、安定化剤と、を含む、熱伝達組成物を含み、かかる冷媒は以下の3つの化合物から本質的になり、各化合物は以下の相対百分率:
49重量%+/-0.3重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
11.5重量%+/-0.3重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
39.5重量%+/-0.3重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)で存在し、かかる潤滑剤は、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、かかる安定化剤は、アルキル化ナフタレンを含み、かかるアルキル化ナフタレンは、アルキル化ナフタレン及び潤滑剤の重量に基づいて、1.5重量%~6重量%の量で存在する。本段落による熱伝達組成物は、便宜上、本明細書において熱伝達組成物8と称することがある。
【0030】
本発明はまた、かかる安定化剤が以下に定義されるADMを本質的に含まない、熱伝達組成物1~8のいずれかを含む。本段落による熱伝達組成物は、便宜上、本明細書において熱伝達組成物8Aと称することがある。
【0031】
本発明はまた、かかる安定化剤がADMを本質的に含まず、かかる安定化剤がBHTを更に含む、熱伝達組成物1~8のいずれかを含む。本段落による熱伝達組成物は、便宜上、本明細書において熱伝達組成物8Bと称することがある。
【0032】
本発明はまた、冷媒と、潤滑剤と、安定化剤と、を含む、熱伝達組成物を含み、かかる冷媒は以下の3つの化合物から本質的になり、各化合物は以下の相対百分率:
約49重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
約11.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
約39.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)で存在し、
かかる潤滑剤は、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、かかる安定化剤は、アルキル化ナフタレン及び酸枯渇性部分を含む。本段落による熱伝達組成物は、便宜上、本明細書において熱伝達組成物9と称することがある。
【0033】
本明細書で使用するとき、用語「酸枯渇性部分」(本明細書において便宜上「ADM」と称される)は、約10重量%(かかる割合は熱伝達組成物中の全ての冷媒の重量に基づく)以上のCF3Iを含有する冷媒を含む熱伝達組成物中に存在するとき、これがない場合に熱伝達組成物中に存在するであろう酸部分を実質的に減少させる効果を有する化合物又はラジカルを意味する。本明細書で使用するとき、熱伝達組成物中の酸部分に関して使用されるとき、用語「実質的に減少させる」は、酸部分が、少なくとも約10相対パーセントのTAN値(以下に定義)の減少をもたらすのに十分に低減されることを意味する。
【0034】
アルキル化ナフタレン及びADMを含む安定化剤の使用に関連して、出願人らは、特定の物質が、アルキル化ナフタレン安定化剤を含む又はこれから本質的になる安定化剤の性能を実質的かつ予想外に向上できることを見出した。特に、出願人らは、特定の物質が、本発明の任意の熱伝達組成物を含む、CF3Iを含有する熱伝達組成物中の酸性部分の枯渇を助けることができることを見出した。出願人らは、ADMを有するように熱伝達組成物を配合することにより、本発明による少なくともアルキル化ナフタレン安定化剤の安定性機能に対する予想外かつ相乗的な向上をもたらすことを見出した。この相乗効果の理由は、確実には理解されていないが、いかなる動作理論に束縛されるものではなく、本発明のアルキル化ナフタレン安定化剤は、大部分は本発明の冷媒のCF3Iから形成されるフリーラジカルを安定化させることによって機能するが、この安定化効果は酸部分の存在下で少なくとも幾分減少すると考えられる。その結果、本発明のADMの存在は、アルキル化ナフタレン安定化剤が予想外かつ相乗的な向上効果を伴って機能することを可能にする。更に、出願人らは、比較的高濃度のアルキル化ナフタレン(すなわち約約10%)で出願人らが観察した性能の低下は、ADMの熱伝達組成物中(又は安定化潤滑剤中)への組み込みによって弱められ得ることを見出した。
【0035】
したがって、本発明は、アルキル化ナフタレンとADMとを含む安定化剤を含む。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤1と呼ばれることがある。
【0036】
本発明はまた、安定化剤の重量に基づいて、約40重量%~約99.9重量%のアルキル化ナフタレンと、0.05重量%~約50重量%のADMと、を含む安定化剤も含む。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤2と呼ばれることがある。
【0037】
本発明はまた、安定化剤の重量に基づいて、約50重量%~約99.9重量%のアルキル化ナフタレンと、0.1重量%~約50重量%のADMと、を含む安定化剤も含む。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤3と呼ばれることがある。
【0038】
本発明はまた、安定化剤中のアルキル化ナフタレン及びADMの重量に基づいて、約40重量%~約95重量%のアルキル化ナフタレンと、5重量%~約30重量%のADMと、を含む安定化剤も含む。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤4と呼ばれることがある。
【0039】
本発明はまた、安定化剤中のアルキル化ナフタレン及びADMの重量に基づいて、約40重量%~約95重量%のアルキル化ナフタレンと、5重量%~約20重量%のADMと、を含む安定化剤も含む。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤5と呼ばれることがある。
【0040】
本発明はまた、冷媒と、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含む潤滑剤と、安定化剤2と、を含む、熱伝達組成物を含み、かかる冷媒は以下の3つの化合物から本質的になり、各化合物は以下の相対百分率:
約49重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
約11.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
約39.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)で存在する。本段落による熱伝達組成物は、便宜上、本明細書において熱伝達組成物10と称することがある。
【0041】
本発明はまた、冷媒と、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含む潤滑剤と、安定化剤4と、を含む、熱伝達組成物を含み、かかる冷媒は以下の3つの化合物から本質的になり、各化合物は以下の相対百分率:
約49重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
約11.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
約39.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)で存在する。本段落による熱伝達組成物は、便宜上、本明細書において熱伝達組成物11と称することがある。
【0042】
本発明はまた、冷媒と、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含む潤滑剤と、安定化剤5と、を含む、熱伝達組成物を含み、かかる冷媒は以下の3つの化合物から本質的になり、各化合物は以下の相対百分率:
約49重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
約11.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
約39.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)で存在する。本段落による熱伝達組成物は、便宜上、本明細書において熱伝達組成物12と称することがある。
【0043】
本発明は、冷媒と、潤滑剤と、安定化剤1と、を含む、熱伝達組成物を含み、かかる冷媒は以下の3つの化合物から本質的になり、各化合物は以下の相対百分率:
49重量%+/-0.3重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
11.5重量%+/-0.3重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
39.5%+/-0.3重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)で存在し、かかる潤滑剤は、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含む。本段落による熱伝達組成物は、便宜上、本明細書において熱伝達組成物13と称することがある。
【0044】
本発明は、冷媒と、潤滑剤と、安定化剤2と、を含む、熱伝達組成物を含み、かかる冷媒は以下の3つの化合物から本質的になり、各化合物は以下の相対百分率:
49重量%+/-0.3重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
11.5重量%+/-0.3重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
39.5%+/-0.3重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)で存在し、かかる潤滑剤は、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含む。本段落による熱伝達組成物は、便宜上、本明細書において熱伝達組成物14と称することがある。
【0045】
本発明は、冷媒と、潤滑剤と、安定化剤3と、を含む、熱伝達組成物を含み、かかる冷媒は以下の3つの化合物から本質的になり、各化合物は以下の相対百分率:
49重量%+/-0.3重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
11.5重量%+/-0.3重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
39.5%+/-0.3重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)で存在し、かかる潤滑剤は、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含む。本段落による熱伝達組成物は、便宜上、本明細書において熱伝達組成物15と称することがある。
【0046】
本発明は、冷媒と、潤滑剤と、安定化剤4と、を含む、熱伝達組成物を含み、かかる冷媒は以下の3つの化合物から本質的になり、各化合物は以下の相対百分率:
49重量%+/-0.3重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
11.5重量%+/-0.3重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
39.5%+/-0.3重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)で存在し、かかる潤滑剤は、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含む。本段落による熱伝達組成物は、便宜上、本明細書において熱伝達組成物16と称することがある。
【0047】
本発明は、冷媒と、潤滑剤と、安定化剤5と、を含む、熱伝達組成物を含み、かかる冷媒は以下の3つの化合物から本質的になり、各化合物は以下の相対百分率:
49重量%+/-0.3重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
11.5重量%+/-0.3重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
39.5%+/-0.3重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)で存在し、かかる潤滑剤は、POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含む。本段落による熱伝達組成物は、便宜上、本明細書において熱伝達組成物17と称することがある。
【0048】
本発明はまた、(a)POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤と、(b)本発明の安定化剤と、を含む安定化潤滑剤を含む。
【発明を実施するための形態】
【0049】
説明
定義:
本発明の目的では、摂氏度(℃)の温度に関する「約」という用語は、規定温度が+/-5℃の量で変動し得ることを意味する。好ましい実施形態では、約であると指定された温度は、好ましくは特定温度の+/-2℃、より好ましくは+/-1℃、更により好ましくは+/-0.5℃である。
【0050】
「能力」という用語は、冷凍システムにおいて冷媒によって提供される冷却の量(BTU/hr)である。これは、冷媒が蒸発器を通る際の冷媒のエンタルピー(BTU/lb)の変化を、冷媒の質量流量で乗じることによって実験的に決定される。エンタルピーは、冷媒の圧力及び温度の測定から決定することができる。冷房システムの能力は、冷却される領域を特定の温度に維持する能力に関連する。冷媒の能力は、冷媒が提供する冷却又は加熱の量を表し、冷媒の所与の体積流量に対する熱量を送出する圧縮機のある程度の性能を提供する。換言すれば、特定の圧縮機を考慮すると、より高い能力を有する冷媒は、より多くの冷却又は加熱力を供給するであろう。
【0051】
「成績係数」という語句(以下「COP」)は、冷媒の蒸発又は凝縮を伴う特定の加熱又は冷却サイクルにおいて冷媒の相対的な熱力学的効率を表すのに特に有用な、広く受け入れられている冷媒性能の尺度である。冷蔵工学では、この用語は、蒸気の圧縮時に圧縮機によって印加されるエネルギーに対する有効な冷蔵又は冷却能力の比率を表し、したがって冷媒などの熱伝達流体の所与の体積流量に対する熱量を送出する所与の圧縮機の能力を表す。換言すれば、特定の圧縮機を考慮すると、より高いCOPを有する冷媒は、より多くの冷却又は加熱力を供給するであろう。特定の運転条件における冷媒のCOPを推定するための1つの手段は、標準的な冷蔵サイクル分析技術を用いた冷媒の熱力学的特性からのものである(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、R.C.Downing,FLUOROCARBON REFRIGERANTS HANDBOOK,Chapter 3,Prentice-Hall,1988を参照されたい)。
【0052】
「吐出温度」という語句は、圧縮機の出口における冷媒の温度を指す。低い吐出温度の利点は、好ましくは圧縮機部品を保護するように設計されたシステムの熱防御面を作動させることなく既存の設備の使用を可能にし、吐出温度を下げるための液体注入などの高価な制御装置の使用を回避することである。
【0053】
「地球温暖化係数」(以下「GWP」)は、様々な気体の地球温暖化への影響を比較することを可能にするために開発された。具体的には、ある気体の1トンの放出が、二酸化炭素の1トンの放出に対して相対的に、所与の期間にわたってどのくらいのエネルギーを吸収するかの尺度である。GWPが大きいほど、所与の気体は、CO2と比較して、その期間にわたって地球をより一層温めることになる。GWPに通常使用される期間は、100年である。GWPは、アナリストが異なる気体の放出推定値を合計することを可能にする、一般的な尺度を提供する。www.epa.govを参照されたい。
【0054】
「質量流量」という用語は、単位時間当たりの導管を通過する冷媒の質量である。
【0055】
「職業暴露限界(OEL)」という用語は、ASHRAE Standard 34-2016 Designation and Safety Classification of Refrigerantsに従って決定される。
【0056】
本明細書で使用するとき、特定の先行冷媒「に対する代替品」として、本発明の特定の熱伝達組成物又は冷媒に関する「~に対する代替品」という用語は、これまでその先行冷媒と共に一般的に使用されていた熱伝達システムでの本発明の指定された組成物の使用を意味する。例として、住宅用空調及び商用空調(ルーフトップシステム、可変冷媒流(VRF)システム及び冷却器システムを含む)などの、これまでR410A用に設計されてきた及び/又はR410Aと共に一般的に使用されてきた熱伝達システムにおいて、本発明の冷媒又は熱伝達組成物を使用するとき、本発明の冷媒は、そのようなシステムにおいてR410Aの代替品になる。
【0057】
「熱力学的グライド」という語句は、一定圧力での蒸発器又は凝縮器における相変化プロセス中に様々な温度を有する非共沸冷媒混合物に適用される。
【0058】
本明細書で使用するとき、用語「TAN値」は、加速エージングによる熱伝達組成物の長期安定性をシミュレートする、ASHRAE Standard 97-「Sealed Glass Tube Method to Test the Chemical Stability of Materials for Use within Refrigerant Systems」に従って測定したときの全酸価を指す。
【0059】
熱伝達組成物
出願人らは、本明細書に記載される熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明の熱伝達組成物が、特に熱伝達組成物をR-410Aの代替品として、特に従来の410A住宅用空調システム及び従来のR-410A商用空調システム(従来のR-410Aルーフトップシステム、従来のR-410A可変冷媒流(VRF)システム及び従来のR-410A冷却器システムを含む)で使用する場合、非常に有利な特性、特に使用時安定性及び不燃性を提供できることを見出した。
【0060】
本明細書で使用するとき、参照熱伝達組成物1~17は、熱伝達組成物8A及び8Bを含む熱伝達組成物1~17のそれぞれを指す。
【0061】
本発明の熱伝達組成物中に含まれる冷媒の特有の利点は、不燃性試験に従って試験したときに不燃性であることであり、上述したように、R-410Aの代替品として様々なシステムで使用でき、優れた熱伝達特性、低い環境影響(特に低いGWP及びほぼゼロのODPを含む)、化学安定性、低毒性若しくは無毒性、及び/又は潤滑剤適合性を有し、使用時に不燃性を維持する、冷媒及び熱伝達組成物を提供することが当該技術分野において望まれている。この望ましい利点は、本発明の冷媒及び熱伝達組成物によって達成され得る。
【0062】
好ましくは、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明の熱伝達組成物は、熱伝達組成物の40重量%超の量の冷媒を含む。
【0063】
好ましくは、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明の熱伝達組成物は、熱伝達組成物の50重量%超、又は70重量%超、又は80重量%超、又は90%超の量の冷媒を含む。
【0064】
好ましくは、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明の熱伝達組成物は、冷媒、潤滑剤及び安定化剤から本質的になる。
【0065】
本発明の熱伝達組成物は、好ましくは本発明に従って提供される増強された安定性を損なうことなく、組成物に対して特定の機能性を増強させるか、又は特定の機能性を提供する目的で他の成分を含んでもよい。かかる他の成分又は添加剤には、染料、可溶化剤、相溶化剤、安定化剤、抗酸化剤、腐食抑制剤、極圧添加剤、及び耐摩耗剤が含まれ得る。
【0066】
安定化剤:
アルキル化ナフタレン
本出願人らは、驚くべきことに、かつ予想外に、アルキル化ナフタレンが、本発明の熱伝達組成物の安定化剤として非常に有効であることを見出した。本明細書で使用するとき、用語「アルキル化ナフタレン」は、以下の構造:
【0067】
【化1】
(式中、各R~Rは、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、及び水素から独立して選択される)を有する化合物を指す。アルキル鎖の特定の長さ、並びに混合物又は分岐鎖及び直鎖及び水素は、本発明の範囲内で変化することができ、このような変化は、アルキル化ナフタレンの物理的特性、特にアルキル化化合物の粘度などに反映されることが当業者には認識及び理解されようし、このような物質の製造業者は、特定のR基の明記に代えてこのような特性のうちの1つ以上に言及することで物質を定義することが多い。
【0068】
出願人らは、予想外の、驚くべき、かつ有利な結果が、以下の特性を有する本発明による安定化剤としてのアルキル化ナフタレンの使用に結びつくことを見出しており、示された特性を有するアルキル化ナフタレン化合物は、以下の表の列1~5にそれぞれ示すように、本明細書において便宜上、アルキル化ナフタレン1(又はAN1)~アルキル化ナフタレン5(又はAN5)と呼ばれる。
【0069】
【表1】
【0070】
ASTM D445に従って測定された40℃での粘度に関連して本明細書で使用するとき、用語「約」は、+/-4cStを意味する。
【0071】
ASTM D445に従って測定された100℃での粘度に関連して本明細書で使用するとき、用語「約」は、+/-0.4cStを意味する。
【0072】
ASTM D97に従って測定された流動点に関連して本明細書で使用するとき、用語「約」は、+/-5℃を意味する。
【0073】
出願人らはまた、予想外の、驚くべき、かつ有利な結果が、以下の特性を有する本発明による安定化剤としてのアルキル化ナフタレンの使用に結びつくことを見出しており、示された特性を有するアルキル化ナフタレン化合物は、以下の表の列6~10にそれぞれ示すように、本明細書において便宜上、アルキル化ナフタレン6(又はAN6)~アルキル化ナフタレン10(又はAN10)と呼ばれる。
【0074】
【表2】
【0075】
アルキル化ナフタレン1(AN1)及びアルキル化ナフタレン6(AN6)の意味の範囲内における、アルキル化ナフタレンの例としては、NA-LUBE KR-007A、KR-008、KR-009、KR-015、KR-019、KR-005FG、KR-015FG、及びKR-029FGの商標名にてKing Industriesにより販売されているものが挙げられる。
【0076】
アルキル化ナフタレン2(AN2)及びアルキル化ナフタレン7(AN7)の意味の範囲内における、アルキル化ナフタレンの例としては、NA-LUBE KR-007A、KR-008、KR-009及びKR-005FGの商品名にてKing Industriesにより販売されているものが挙げられる。
【0077】
アルキル化ナフタレン5(AN5)及びアルキル化ナフタレン10(AN10)の意味の範囲内における、アルキル化ナフタレンの例としては、King Industriesによって商品名NA-LUBE KR-008として販売されている製品が挙げられる。
【0078】
本発明は、本明細書の熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンは、AN1又はAN2又はAN3又はAN4又はAN5又はAN6又はAN7又はAN8又はAN9又はAN10から選択される。
【0079】
本発明はまた、本明細書の熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンはAN1である。
【0080】
本発明はまた、本明細書の熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンはAN5である。
【0081】
本発明はまた、本明細書の熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンはAN10である。
【0082】
酸枯渇性部分(ADM)
当業者は、実験を取り消すことなく、本発明に従って有用な様々なADMを決定することができ、そのようなADMは全て本明細書の範囲内である。
【0083】
エポキシド
出願人らは、エポキシド、及び特に(partculrly)アルキル化されたエポキシドが、アルキル化ナフタレン安定化剤と組み合わせて使用されるときに、本明細書に記載の強化された安定性をもたらすのに有効であることを見出し、また、出願人らは、理論に束縛されるものではないが、この相乗効果は、本発明の熱伝達組成物中のADMとしての有効な機能により、少なくとも部分的に起因すると考えられる。
【0084】
好ましい実施形態では、エポキシドは、酸により開環反応を受け、それによって、システムに悪影響を及ぼすことなく酸系を枯渇させるエポキシドからなる群から選択される。
【0085】
有用なエポキシドとしては、芳香族エポキシド、アルキルエポキシド、及びアルケニルエポキシドが挙げられる。
【0086】
好ましいエポキシドとしては、式I:
【0087】
【化2】
(式中、かかるR1~のうちの少なくとも1つは、2~15個の炭素(C2~C15)の非環式基、C2~C15脂肪族基、及びC2~C15エーテルから選択される)のエポキシドが挙げられる。式1によるエポキシドは、本明細書において便宜上、ADM1と呼ばれることがある。
【0088】
好ましい実施形態では、式IのR1~R4のうちの少なくとも1つは、以下の構造:
【0089】
【化3】
(式中、R5及びR6のそれぞれは、独立して、C1~C14直鎖又は分枝鎖、好ましくは非置換のアルキル基である)を有するエーテルである。本段落によるエポキシドは、本明細書において便宜上、ADM2と呼ばれることがある。
【0090】
好ましい実施形態では、式IのR~Rのうちの1つは、以下の構造:
【0091】
【化4】
(式中、R及びRのそれぞれは、独立して、C1~C14直鎖又は分枝鎖、好ましくは非置換のアルキル基であり、R~Rの残りの3つはHである)を有するエーテルである。本段落によるエポキシドは、本明細書において便宜上、ADM3と呼ばれることがある。
【0092】
好ましい実施形態では、エポキシドは、2-エチルヘキシルグリシジルエーテルを含むか、これから本質的になるか、又はこれからなる。本段落によるエポキシドは、本明細書において便宜上、ADM4と呼ばれることがある。
【0093】
本発明は、本明細書の熱伝達組成物1~8及び9~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンはAN1であり、ADM1を更に含む。
【0094】
本発明は、熱伝達組成物1~8及び9~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンはAN1であり、ADM2を更に含む。
【0095】
本発明は、熱伝達組成物1~8及び9~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンはAN1であり、ADM3を更に含む。
【0096】
本発明は、熱伝達組成物1~8及び9~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンはAN1であり、ADM4を更に含む。
【0097】
本発明は、熱伝達組成物1~8及び9~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンはAN5であり、ADM1を更に含む。
【0098】
本発明は、熱伝達組成物1~8及び9~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンはAN5であり、ADM2を更に含む。
【0099】
本発明は、熱伝達組成物1~8及び9~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンはAN5であり、ADM3を更に含む。
【0100】
本発明は、熱伝達組成物1~8及び9~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンはAN5であり、ADM4を更に含む。
【0101】
本発明は、熱伝達組成物1~8及び9~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンはAN10であり、ADM1を更に含む。
【0102】
本発明は、熱伝達組成物1~8及び9~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンはAN10であり、ADM2を更に含む。
【0103】
本発明は、熱伝達組成物1~8及び9~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンはAN10であり、ADM3を更に含む。
【0104】
本発明は、熱伝達組成物1~8及び9~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンはAN10であり、ADM4を更に含む。
【0105】
本発明は、熱伝達組成物1~8及び9~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンはAN2又はAN3又はAN4又はAN6又はAN7又はAN8又はAN9であり、ADM1を更に含む。
【0106】
本発明は、熱伝達組成物1~8及び9~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンはAN2又はAN3又はAN4又はAN6又はAN7又はAN8又はAN9であり、ADM2を更に含む。
【0107】
本発明は、熱伝達組成物1~8及び9~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンはAN2又はAN3又はAN4又はAN6又はAN7又はAN8又はAN9であり、ADM3を更に含む。
【0108】
本発明は、熱伝達組成物1~8及び9~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含み、アルキル化ナフタレンはAN2又はAN3又はAN4又はAN6又はAN7又はAN8又はAN9であり、ADM4を更に含む。
【0109】
熱伝達組成物1~8及び9~17のそれぞれを含む本発明の熱伝達組成物中にADMが存在するとき、アルキル化ナフタレンは、好ましくは、0.01%~約10%、又は約1.5%~約4.5%、又は約2.5%~約3.5%の量で存在し、これらの量は、システム内のアルキル化ナフタレン及び冷媒の量に基づく重量パーセントである。
【0110】
熱伝達組成物1~8及び9~17のそれぞれを含む本発明の熱伝達組成物中にADMが存在するとき、アルキル化ナフタレンは、好ましくは、0.1%~約20%、又は1.5%~約10%、又は1.5%~約8%の量で存在し、これらの量は、システム内のアルキル化ナフタレン及び潤滑剤の量に基づく重量パーセントである。
【0111】
カルボジイミド
ADMは、カルボジイミドを含み得る。好ましい実施形態では、カルボジイミドは、以下の構造を有する化合物を含む。
【0112】
【化5】
【0113】
他の安定化剤
アルキル化ナフタレン及びADM以外の安定化剤が、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む、本発明の熱伝達組成物に含まれ得ることが想到される。このような他の安定化剤の例を以下に説明する。
【0114】
フェノール系化合物
好ましい実施形態では、安定化剤はフェノール系化合物を更に含む。
【0115】
フェノール系化合物は、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);4,4’-ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);4,4’-ビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール)を含む2,2-又は4,4-ビフェニルジオール;2,2-又は4,4-ビフェニルジオールの誘導体;2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tertブチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール);4,4-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール);4,4-イソプロピリデンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-ノニルフェノール);2,2’-イソブチリデンビス(4,6-ジメチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール);2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT);2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール:2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール;2,6-ジ-tert-アルファ-ジメチルアミノ-p-クレゾール;2,6-ジ-tert-ブチル-4(N,N’-ジメチルアミノメチルフェノール);4,4’-チオビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール);4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール);2,2’-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール);ビス(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルベンジル)スルフィド;ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド、トコフェロール、ヒドロキノン、2,2’6,6’-テトラ-tert-ブチル-4,4’-メチレンジフェノール、及びt-ブチルヒドロキノンから選択されるフェノール系化合物、好ましくはBHTのうちの1つ以上の化合物から選択される。
【0116】
フェノール化合物、特にBHTは、0を超える量で、好ましくは0.0001重量%~約5重量%、好ましくは0.001重量%~約2.5重量%、より好ましくは0.01重量%~約1重量%の量で熱伝達組成物中に提供され得る。各々の場合において、重量百分率は、熱伝達組成物の重量を指す。
【0117】
フェノール化合物、特にBHTは、0を超える量で、好ましくは0.0001重量%~約5重量%、好ましくは0.001重量%~約2.5重量%、より好ましくは0.01重量%~約1重量%の量で熱伝達組成物中に提供され得る。各場合において、重量百分率は、熱伝達組成物中における潤滑剤の重量に基づく重量を意味する。
【0118】
本発明はまた、組成物中の全ての安定化剤成分の重量に基づいて、約40重量%~約95重量%のAN1~AN10のそれぞれを含むアルキル化ナフタレンと、0.1~約10重量%のBHTと、を含む安定化剤を含む。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤6と呼ばれることがある。
【0119】
本発明はまた、組成物中の全ての安定化剤成分の重量に基づいて、約40重量%~約95重量%のAN1~AN10のそれぞれを含むアルキル化ナフタレンと、5重量%~約30%のADM1~ADM4のそれぞれを含むADMと、0.1~約10重量%のBHTと、を含む安定化剤を含む。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤7と呼ばれることがある。
【0120】
本発明は、本明細書の熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含み、熱伝達組成物は安定化剤6を含む。
【0121】
本発明は、本明細書の熱伝達組成物1~8及び9~26のそれぞれを含む熱伝達組成物を含み、熱伝達組成物は安定化剤7を含む。
【0122】
本発明は、AN1とBHTとを含む、本明細書の熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含む。
【0123】
本発明は、AN5とBHTとを含む、本明細書の熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含む。
【0124】
本発明は、AN10とBHTとを含む、本明細書の熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含む。
【0125】
本発明は、AN5とADM4とBHTとを含む、本明細書の熱伝達組成物1~8及び9~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含む。
【0126】
本発明は、AN10とADM4とBHTとを含む、本明細書の熱伝達組成物1~8及び9~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を含む。
【0127】
ジエン系化合物
ジエン系化合物は、C3~C15ジエン、及び任意の2種以上のC3~C4ジエンの反応によって形成された化合物を含む。好ましくは、ジエン系化合物は、アリルエーテル、プロパジエン、ブタジエン、イソプレン、及びテルペンからなる群から選択される。ジエン系化合物は、好ましくはテルペンであり、これにはテレベン、レチナール、ゲラニオール、テルピネン、デルタ-3カレン、テルピノレン、フェランドレン、フェンケン、ミルセン、ファルネセン、ピネン、ネロール、シトラル、カンフル、メントール、リモネン、ネロリドール、フィトール、カルノシン酸、及びビタミンA1が含まれるがこれらに限定されない。好ましくは、安定化剤は、ファルネセンである。好ましいテルペン安定化剤は、参照により本明細書に組み込まれる、2004年12月12日に出願され、米国特許出願公開第2006/0167044(A1)号として公開された、米国特許仮出願第60/638,003号に開示されている。
【0128】
更に、ジエン系化合物は、0を超える量で、好ましくは0.0001重量%~約5重量%、好ましくは0.001重量%~約2.5重量%、より好ましくは0.01重量%~約1重量%の量で熱伝達組成物中に提供され得る。各々の場合において、重量百分率は、熱伝達組成物の重量を指す。
【0129】
リン系化合物
リン化合物は、亜リン酸化合物又はリン酸化合物であり得る。本発明の目的では、亜リン酸化合物は、ジアリール、ジアルキル、トリアリール、及び/若しくはトリアルキルホスファイト、並びに/又は混合されたアリール/アルキル二若しくは三置換ホスファイト、特にヒンダードホスファイト、トリス-(ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジ-n-オクチルホスファイト、イソ-オクチルジフェニルホスファイト、イソーデシルジフェニルホスファイト、トリ-イソ-デシルホスフェート、トリフェニルホスファイト、及びジフェニルホスファイトから選択される1種以上の化合物、特にジフェニルホスファイトであり得る。
【0130】
リン酸化合物は、トリアリールホスフェート、トリアルキルホスフェート、アルキルモノ酸ホスフェート、アリール二酸ホスフェート、アミンホスフェート、好ましくはトリアリールホスフェート及び/又はトリアルキルホスフェート、特にトリ-n-ブチルホスフェートであり得る。
【0131】
リン化合物は、0を超える量で、好ましくは0.0001重量%~約5重量%、好ましくは0.001重量%~約2.5重量%、より好ましくは0.01重量%~約1重量%の量で熱伝達組成物中に提供され得る。各々の場合において、重量によるは、熱伝達組成物の重量を指す。
【0132】
窒素化合物
安定化剤が窒素化合物であるとき、安定化剤は、ジフェニルアミン、p-フェニレンジアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、及びトリイソブチルアミンから選択される1種以上の第二級又は第三級アミンなどのアミン系化合物を含み得る。アミン系化合物は、アミン抗酸化剤、例えば、置換ピペリジン化合物、すなわち、アルキル置換ピペリジル、ピペリジニル、ピペラジノン、又はアルキオキシピペリジニルの誘導体、特に、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリドン、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノール;ビス-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル)セバケート;ジ(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ポリ(N-ヒドロキシエチル-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシ-ピペリジルスクシネート;アルキル化パラフェニレンジアミン、例えば、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチル-ブチル)-p-フェニレンジアミン又はN,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、並びにヒドロキシルアミン、例えば、獣脂アミン、メチルビス獣脂アミン、及びビス獣脂アミン、又はフェノール-アルファ-ナフチルアミン、若しくはTinuvin(登録商標)765(Ciba)、BLS(登録商標)1944(Mayzo Inc)、及びBLS(登録商標)1770(Mayzo Inc)から選択される1種以上のアミン抗酸化剤であり得る。本発明の目的では、アミン系化合物はまた、ビス(ノニルフェニルアミン)などのアルキルジフェニルアミン、(N-(1-メチルエチル)-2-プロピルアミンなどのジアルキルアミン、又はフェニル-アルファ-ナフチルアミン(PANA)、アルキル-フェニル-アルファ-ナフチル-アミン(APANA)、及びビス(ノニルフェニル)アミンのうちの1つ以上であってもよい。好ましくは、アミン系化合物は、フェニル-アルファ-ナフチルアミン(PANA)、アルキル-フェニル-アルファ-ナフチル-アミン(APANA)、及びビス(ノニルフェニル)アミンのうちの1種以上、より好ましくはフェニル-アルファ-ナフチルアミン(PANA)である。
【0133】
代替的に、又は上記で識別した窒素化合物に加えて、ジニトロベンゼン、ニトロベンゼン、ニトロメタン、ニトロソベンゼン、及びTEMPO[(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-イル)オキシル]から選択される1種以上の化合物を安定化剤として使用してもよい。
【0134】
窒素化合物は、0を超えかつ0.0001重量%~約5重量%、好ましくは0.001重量%~約2.5重量%、より好ましくは0.01重量%~約1重量%の量で熱伝達組成物中に提供され得る。各々の場合において、重量百分率は、熱伝達組成物の重量を指す。
【0135】
イソブチレン
本発明による安定化剤として、イソブチレンを使用することもできる。
【0136】
追加の安定化剤組成物
本発明はまた、AN1~AN10のそれぞれを含むアルキル化ナフタレンと、ADM1~ADM4のそれぞれを含むADMと、フェノールと、を含む、安定化剤を提供する。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤8と呼ばれることがある。
【0137】
本発明はまた、AN1~AN10のそれぞれを含むアルキル化ナフタレンと、ADM1~ADM4のそれぞれを含むADMと、ホスフェートと、から本質的になる、安定化剤を提供する。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤9と呼ばれることがある。
【0138】
本発明はまた、AN1~AN10のそれぞれを含むアルキル化ナフタレンと、ADM1~ADM4のそれぞれを含むADMと、ホスフェート及びフェノールの組み合わせと、を含む、安定化剤を提供する。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤10と呼ばれることがある。
【0139】
本発明はまた、約40重量%~約95重量%の量のAN1~AN10のそれぞれを含むアルキル化ナフタレンと、約0.5重量%~約25重量%の量のADM1~ADM4のそれぞれを含むADMと、約0.1重量%~約50重量%の量の、ホスフェート、フェノール、及びこれらの組み合わせから選択される追加の安定化剤と、を含む、安定化剤を提供し、このときかかる重量百分率は、安定化剤の総重量に基づく。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤11と呼ばれることがある。
【0140】
本発明はまた、約70重量%~約95重量%の量のAN1~AN10のそれぞれを含むアルキル化ナフタレンと、約0.5重量%~約15重量%の量のADM1~ADM4のそれぞれを含むADMと、約0.1重量%~約25重量%の量の、ホスフェート、フェノール、及びこれらの組み合わせから選択される追加の安定化剤と、を含む、安定化剤を提供し、このときかかる重量百分率は、安定化剤の総重量に基づく。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤12と呼ばれることがある。
【0141】
本発明はまた、AN1~AN10のそれぞれを含むアルキル化ナフタレンと、ADM1~ADM4のそれぞれを含むADMと、BHTと、から本質的になる、安定化剤を提供する。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤13と呼ばれることがある。
【0142】
本発明はまた、AN1~AN10のそれぞれを含むアルキル化ナフタレンと、ADM1~ADM4のそれぞれを含むADMと、BHTlと、からなる、安定化剤を提供する。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤14と呼ばれることがある。
【0143】
本発明はまた、AN1~AN10のそれぞれを含むアルキル化ナフタレンと、ADM1~ADM4のそれぞれを含むADMと、BHTと、ホスフェートと、から本質的になる、安定化剤を提供する。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤15と呼ばれることがある。
【0144】
本発明はまた、AN1~AN10のそれぞれを含むアルキル化ナフタレンと、ADM1~ADM4のそれぞれを含むADMと、BHTと、ホスフェートと、からなる、安定化剤を提供する。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤16と呼ばれることがある。
【0145】
本発明はまた、約40重量%~約95重量%の量のAN1~AN10のそれぞれを含むアルキル化ナフタレンと、約0.5重量%~約10重量%の量のADM1~ADM4のそれぞれを含むADMと、約0.1重量%~約50重量%の量のBHTと、を含む、安定化剤を提供し、このときかかる重量百分率は、安定化剤の総重量に基づく。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤17と呼ばれることがある。
【0146】
本発明はまた、約70重量%~約95重量%の量のAN1~AN10のそれぞれを含むアルキル化ナフタレンと、約0.5重量%~約10重量%の量のADM1~ADM4のそれぞれを含むADMと、約0.1重量%~約25重量%の量のBHTと、を含む、安定化剤を提供し、このときかかる重量百分率は、安定化剤の総重量に基づく。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤18と呼ばれることがある。
【0147】
本発明はまた、約40重量%~約95重量%の量のAN1~AN10のそれぞれを含むアルキル化ナフタレンと、約5重量%~約25重量%の量のADM1~ADM4のそれぞれを含むADMと、約1重量%~約55重量%の量の、BHT、ホスフェート、及びこれらの組み合わせから選択される第3の安定化剤化合物と、を含む、安定化剤を提供し、このときかかる重量百分率は、安定化剤の総重量に基づく。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤19と呼ばれることがある。
【0148】
本発明はまた、約40重量%~約95重量%の量のAN1~AN10のそれぞれを含むアルキル化ナフタレンと、約5重量%~約25重量%の量のADM1~ADM4のそれぞれを含むADMと、約0.1重量%~約5重量%の量のBHTと、を含む、安定化剤を提供し、このときかかる重量百分率は、安定化剤の総重量に基づく。本段落による安定化剤は、本明細書において便宜上、安定化剤20と呼ばれることがある。
【0149】
安定化剤1~20のそれぞれを含む本発明の安定化剤は、熱伝達組成物1~8及び9~17のいずれかを含む本発明の熱伝達組成物のいずれかで使用することができる。
【0150】
安定化剤1~6のそれぞれを含む本発明の安定化剤はまた、熱伝達組成物8A及び8Bのいずれかで使用することができる。
【0151】
潤滑剤
熱伝達組成物1~17の各々を含む本発明の熱伝達組成物は、POE潤滑剤及び/又はPVE潤滑剤を含み、潤滑剤は、熱伝達組成物の重量に基づいて、好ましくは、約0.1重量%~約5%、又は0.1重量%~約1重量%、又は0.1重量%~約0.5重量%の量で存在する。
【0152】
POE潤滑剤
本発明のPOE潤滑剤は、好ましい実施形態では、ネオペンチルPOE潤滑剤を含む。本明細書で使用するとき、用語ネオペンチルPOE潤滑剤は、ネオペンチルポリオール(好ましくはペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、又はネオペンチルグリコール、より高い粘度が好ましい実施形態では、ジペンタエリスリトール)と、直鎖又は分枝鎖カルボン酸との反応に由来するポリオールエステル(POE)を指す。
【0153】
市販のPOEとしては、Emery 2917(登録商標)及びHatcol 2370(登録商標)として入手可能なジペラルゴン酸ネオペンチルグリコール、並びにCPI Fluid Engineeringによって商品名Emkarate RL32-3MAF及びEmkarate RL68Hとして販売されているものなどのペンタエリスリトール誘導体が挙げられる。Emkarate RL32-3MAF及びEmkarate RL68Hは、以下で特定される特性を有する好ましいネオペンチルPOE潤滑剤である。
【0154】
【表3】
【0155】
他の有用なエステルには、リン酸エステル、二塩基酸エステル、及びフルオロエステルが含まれる。
【0156】
ASTM D445に従って測定された40℃での粘度が約30cSt~約70cStであり、ASTM D445に従って測定された100℃での粘度が約5cSt~約10cStであるPOEから本質的になる潤滑剤は、本明細書において潤滑剤1と呼ばれる。
【0157】
ASTM D445に従って測定された40℃での粘度が約30cSt~約70cStであるネオペンチルPOEから本質的になる潤滑剤は、本明細書において、便宜上、潤滑剤2と呼ばれる。
【0158】
好ましい実施形態では、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明の熱伝達組成物は、POE潤滑剤を含む。
【0159】
好ましい実施形態では、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明の熱伝達組成物は、POE潤滑剤から本質的になる潤滑剤を含む。
【0160】
好ましい実施形態では、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明の熱伝達組成物は、POE潤滑剤からなる潤滑剤を含む。
【0161】
本発明は、各熱伝達組成物1~17を含む本発明の熱伝達組成物を含み、潤滑剤は潤滑剤1及び/又は潤滑剤2である。
【0162】
PVE潤滑剤
本発明の潤滑剤は、一般にPVE潤滑剤を含むことができる。好ましい実施形態では、PVE潤滑剤は、以下の式IIによるPVEとしてである。
【0163】
【化6】
式中、R及びRはそれぞれ独立して、C1~C10炭化水素、好ましくはC2~C8炭化水素であり、R及びRはそれぞれ独立して、アルキル、アルキレングリコール、又はポリオキシアルキレングリコール単位であり、n及びmは、好ましくは、所望の特性を有する潤滑剤を得るための当業者の要件に従って選択され、好ましくは、n及びmは、ASTM D445に従って測定された40℃での粘度が約30~約70cStである潤滑剤を得るために選択される。直前の説明によるPVE潤滑剤は、便宜上、潤滑剤3と呼ばれる。市販のポリビニルエーテルとしては、Idemitsuから商品名FVC32D及びFVC68Dとして販売されている潤滑剤が挙げられる。
【0164】
好ましい実施形態では、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明の熱伝達組成物は、PVE潤滑剤を含む。
【0165】
好ましい実施形態では、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明の熱伝達組成物は、PVE潤滑剤から本質的になる潤滑剤を含む。
【0166】
好ましい実施形態では、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明の熱伝達組成物は、PVE潤滑剤からなる潤滑剤を含む。
【0167】
好ましい実施形態では、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明の熱伝達組成物中のPVEは、式IIによるPVEである。
【0168】
本発明は、各熱伝達組成物1~17を含む本発明の熱伝達組成物を含み、潤滑剤は潤滑剤1及び/又は潤滑剤2及び/又は潤滑剤3である。
【0169】
安定化潤滑剤
本発明はまた、(a)POE潤滑剤と、(b)安定化剤1~20のそれぞれを含む本発明の安定化剤と、を含む、安定化潤滑剤を提供する。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤1と呼ばれることがある。
【0170】
本発明はまた、(a)ネオペンチルPOE潤滑剤と、(b)安定化剤1~20のそれぞれを含む本発明の安定化剤と、を含む、安定化潤滑剤を提供する。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤2と呼ばれることがある。
【0171】
本発明はまた、(a)潤滑剤1と、(b)安定化剤1~20のそれぞれを含む本発明の安定化剤と、を含む、安定化潤滑剤を提供する。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤3と呼ばれることがある。
【0172】
本発明はまた、(a)潤滑剤2と、(b)安定化剤1~20のそれぞれを含む本発明の安定化剤と、を含む、安定化潤滑剤を提供する。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤4と呼ばれることがある。
【0173】
本発明はまた、(a)POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤と、(b)安定化剤1と、を含む安定化潤滑剤を含む。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤5と呼ばれることがある。
【0174】
本発明はまた、(a)POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤と、(b)安定化剤2と、を含む安定化潤滑剤を含む。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤6と呼ばれることがある。
【0175】
本発明はまた、(a)POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤と、(b)安定化剤3と、を含む安定化潤滑剤を含む。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤7と呼ばれることがある。
【0176】
本発明はまた、(a)POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤と、(b)安定化剤4と、を含む安定化潤滑剤を含む。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤8と呼ばれることがある。
【0177】
本発明はまた、(a)POE潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤と、(b)安定化剤5と、を含む安定化潤滑剤を含む。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤9と呼ばれることがある。
【0178】
本発明はまた、(a)POE潤滑剤と、(b)潤滑剤及びアルキル化ナフタレンの重量に基づいて、1重量%~10重量%未満のアルキル化ナフタレンと、を含む、安定化潤滑剤を含む。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤10と呼ばれることがある。
【0179】
本発明はまた、(a)POE潤滑剤と、(b)潤滑剤及びアルキル化ナフタレンの重量に基づいて、1重量%~8重量%のアルキル化ナフタレンと、を含む、安定化潤滑剤を含む。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤11と呼ばれることがある。
【0180】
本発明はまた、(a)POE潤滑剤と、(b)潤滑剤及びアルキル化ナフタレンの重量に基づいて、1.5重量%~8重量%のアルキル化ナフタレンと、を含む、安定化潤滑剤を含む。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤12と呼ばれることがある。
【0181】
本発明はまた、(a)POE潤滑剤と、(b)潤滑剤及びアルキル化ナフタレンの重量に基づいて、1.5重量%~6重量%のアルキル化ナフタレンと、を含む、安定化潤滑剤を含む。本段落による安定化潤滑剤は、本明細書において便宜上、安定化潤滑剤13と呼ばれることがある。
【0182】
本発明は、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明の熱伝達組成物を含み、潤滑剤及び安定化剤は、安定化潤滑剤1~13のそれぞれを含む本発明の安定化潤滑剤である。
【0183】
方法、使用、及びシステム
本明細書に開示される熱伝達組成物は、空調用途を含む熱伝達用途に使用するために提供され、非常に好ましい空調用途としては、住宅用空調用途、商用空調用途(ルーフトップ用途、VRF用途、及び冷却器など)が挙げられる。
【0184】
本発明はまた、空調方法を含む熱伝達を提供する方法も含み、非常に好ましい空調方法としては、住宅用空調を提供すること、商用空調を提供すること(ルーフトップ空調を提供する方法、VRF空調を提供する方法、及び冷却器を使用する空調を提供する方法など)が挙げられる。
【0185】
本発明はまた、空調システムを含む熱伝達システムも含み、非常に好ましい空調システムとしては、住宅用空調システム、商用空調システム(ルーフトップ空調システム、VRF空調システム、及び空調冷却器システムなど)が挙げられる。
【0186】
本発明はまた、冷凍、ヒートポンプ、及び(可搬式水冷器及び集中型水冷器を含む)冷却器に関連した、熱伝達組成物の使用、熱伝達組成物を使用する方法、並びに熱伝達組成物を含むシステムも提供する。
【0187】
本発明の熱伝達組成物のいずれかへの任意の言及は、本明細書に記載される熱伝達組成物の各々いずれかを指す。したがって、本発明の組成物の使用、方法、システム又は用途の以下の考察について、熱伝達組成物は、熱伝達組成物1~17のいずれかを含み得るか、又はこれらから本質的になり得る。
【0188】
圧縮機を含む本発明の熱伝達システム、及びシステム内の圧縮機用潤滑剤に関して、システムは、システム内の潤滑剤充填量が、約5重量%~60重量%、又は約10重量%~約60重量%、又は約20重量%~約50重量%、又は約20重量%~約40重量%、又は約20重量%~約30重量%、又は約30重量%~約50重量%、又は約30重量%~約40重量%であるように、冷媒及び潤滑剤の充填量を含むことができる。本明細書で使用するとき、用語「潤滑剤充填量」は、システム内に含まれる潤滑剤及び冷媒の合計の割合として、システム内に含まれる潤滑剤の総重量を指す。このようなシステムはまた、熱伝達組成物の約5重量%~約10重量%、又は約8重量%の潤滑剤充填量を含み得る。
【0189】
本発明による熱伝達システムは、互いに流体連通する圧縮機、蒸発器、凝縮器、及び膨張装置と、システム内の熱伝達組成物1~17及び封鎖材料とを含むことができ、かかる封鎖材料は、好ましくは、i.銅若しくは銅合金、又はii.活性アルミナ、又はiii.銅、銀、鉛若しくはこれらの組み合わせを含むゼオライトモレキュラーシーブ、又はiv.陰イオン交換樹脂、又はv.水分除去材料、好ましくは水分除去モレキュラーシーブ、又はvi.上記の2つ以上の組み合わせを含む。
【0190】
本発明はまた、冷媒液を蒸発させて冷媒蒸気を生成することと、冷媒蒸気の少なくとも一部分を圧縮機で圧縮することと、複数の繰り返しサイクルにおいて冷媒蒸気を凝縮することと、を含む種類の熱を伝達する方法を含み、当該方法は、
(a)熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明による熱伝達組成物を提供することと、
(b)所望によるが、好ましくは当該圧縮機に潤滑剤を提供することと、
(b)当該冷媒の少なくとも一部分及び/又は当該潤滑剤の少なくとも一部分を封鎖材料に曝露することと、を含む。
【0191】
使用、設備、及びシステム
好ましい実施形態において、住宅用空調システム及び方法は、約0℃~約10℃の範囲内の冷媒蒸発温度を有し、凝縮温度は約40℃~約70℃の範囲内である。
【0192】
好ましい実施形態において、加熱モードで使用される住宅用空調システム及び方法は、約-20℃~約3℃の範囲内の冷媒蒸発温度を有し、凝縮温度は約35℃~約50℃の範囲内である。
【0193】
好ましい実施形態において、商用空調システム及び方法は、約0℃~約10℃の範囲内の冷媒蒸発温度を有し、凝縮温度は約40℃~約70℃の範囲内である。
【0194】
好ましい実施形態において、温水システムシステム及び方法は、約-20℃~約3℃の範囲内の冷媒蒸発温度を有し、凝縮温度は約50℃~約90℃の範囲内である。
【0195】
好ましい実施形態において、中温システム及び方法は、約-12℃~約0℃の範囲内の冷媒蒸発温度を有し、凝縮温度は約40℃~約70℃の範囲内である。
【0196】
好ましい実施形態において、低温システム及び方法は、約-40℃~約-12℃の範囲内の冷媒蒸発温度を有し、凝縮温度は約40℃~約70℃の範囲内である。
【0197】
好ましい実施形態において、ルーフトップ空調システム及び方法は、約0℃~約10℃の範囲内の冷媒蒸発温度を有し、凝縮温度は約40℃~約70℃の範囲内である。
【0198】
好ましい実施形態において、VRFシステム及び方法は、約0℃~約10℃の範囲内の冷媒蒸発温度を有し、凝縮温度は約40℃~約70℃の範囲内である。
【0199】
本発明は、住宅用空調システムにおける、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明の熱伝達組成物の使用を含む。
【0200】
本発明は、冷却器システムにおける、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明の熱伝達組成物の使用を含む。
【0201】
一般的に使用される圧縮機の例としては、本発明の目的では、往復動式、回転式(ローリングピストン及び回転弁を含む)、スクロール式、ねじ式、及び遠心式圧縮機が挙げられる。したがって、本発明は、往復動式、回転式(ローリングピストン及び回転弁を含む)、スクロール式、ねじ式、又は遠心式圧縮機を含む熱伝達システムにおける使用のための、本明細書に記載される冷媒及び/又は熱伝達組成物の各々を提供する。
【0202】
一般的に使用される膨張装置の例としては、本発明の目的では、キャピラリーチューブ、固定オリフィス、温度膨張弁、及び電子膨張弁が挙げられる。したがって、本発明は、キャピラリーチューブ、固定オリフィス、温度膨張弁、及び電子膨張弁を含む熱伝達システムにおける使用のための、本明細書に記載される冷媒及び/又は熱伝達組成物の各々を提供する。
【0203】
本発明の目的では、蒸発器及び凝縮器は、それぞれ、好ましくはフィンチューブ型熱交換器、マイクロチャネル熱交換器、シェルアンドチューブ式、プレート式熱交換器、及びチューブインチューブ式(tube-in-tube)熱交換器から選択される熱交換器の形態であり得る。したがって、本発明は、蒸発器及び凝縮器が、フィンチューブ型熱交換器、マイクロチャネル熱交換器、シェルアンドチューブ式、プレート式熱交換器、又はチューブインチューブ式熱交換器を一緒に形成する熱伝達システムにおける使用のための、本明細書に記載される冷媒及び/又は熱伝達組成物の各々を提供する。
【0204】
したがって、本発明のシステムは、好ましくは、本発明による冷媒の少なくとも一部分及び/又は潤滑剤の少なくとも一部分と接触する封鎖材料を含み、当該接触時の当該封鎖材料の温度及び/又は当該冷媒の温度及び/又は当該潤滑剤の温度が、好ましくは少なくとも約10℃の温度であり、封鎖材料は、好ましくは、陰イオン交換樹脂、活性アルミナ、銀を含むゼオライトモレキュラーシーブ、及び水分除去材料、好ましくは水分除去モレキュラーシーブを含む。
【0205】
本出願において使用されるとき、「少なくとも一部分と接触している」という用語は、その広い意味において、システム内の冷媒及び/又は潤滑剤の同じ部分又は別個の部分と接触している当該封鎖材料の各々及び封鎖材料の任意の組み合わせを含むことを意図し、また、必ずしも限定されるものではないが、各種類又は特定の封鎖材料が、(i)存在する場合に、物理的に互いに一緒に位置する種類又は特定の材料、(ii)存在する場合に、物理的に互いに別個に位置する種類又は特定の材料、及び(iii)2種以上の材料が物理的に一緒であること、及び少なくとも1種の封鎖材料が少なくとも1種の他の封鎖材料から物理的に別個であることと、の組み合わせ、である実施形態を含むことを意図する。
【0206】
本発明の熱伝達組成物は、加熱及び冷却用途に使用することができる。
【0207】
本発明の特定の特徴では、熱伝達組成物は、熱伝達組成物を凝縮することと、その後冷却される物品又は本体の付近で当該組成物を蒸発させることとを含む冷却方法に使用することができる。
【0208】
したがって、本発明は、蒸発器、凝縮器、及び圧縮機を含む熱伝達システムにおける冷却方法であって、プロセスが、i)本明細書に記載される熱伝達組成物を凝縮することと、
ii)冷却される本体又は物品の付近で組成物を蒸発させることと、を含み、
熱伝達システムの蒸発器温度は、約-40℃~約+10℃の範囲内である、方法に関する。
【0209】
代替的には、又は更には、熱伝達組成物は、加熱される物品又は本体の付近で熱伝達組成物を凝縮することと、その後、当該組成物を蒸発させることとを含む加熱方法に使用することができる。
【0210】
したがって、本発明は、蒸発器、凝縮器、及び圧縮機を含む熱伝達システムにおける加熱方法であって、プロセスが、i)加熱される本体又は物品の付近で本明細書に記載される熱伝達組成物を凝縮することと、
ii)組成物を蒸発させることと、を含み、熱伝達システムの蒸発器温度は、約-30℃~約5℃の範囲内である、方法に関する。
【0211】
本発明の熱伝達組成物は、輸送及び定置型空調用途の両方を含む空調用途における使用のために提供される。したがって、本明細書に記載される熱伝達組成物のいずれかは、
- モバイル空調、特に列車及びバス用空調を含む、空調用途、
- モバイルヒートポンプ、特に電気自動車用ヒートポンプ、
- 冷却器、特に容積型冷却器、とりわけ空冷又は水冷直接膨張式冷却器(モジュラー式であるか又は従来法で単独包装されているかのいずれか)、
- 住宅用空調システム、特にダクトスプリット型又はダクトレススプリット型空調システム、
- 住宅用ヒートポンプ、
- 住宅用空気-水ヒートポンプ/温水システム、
- 産業用空調システム、
- パッケージ式ルーフトップユニット又は可変冷媒流(VRF)システム;
- 商用の空気熱源、水熱源、又は土壌熱源ヒートポンプシステム、のうちのいずれか1つにおいて使用され得る。
【0212】
本発明の熱伝達組成物は、冷凍システムにおける使用のために提供される。「冷凍システム」という用語は、冷却を提供するために冷媒を用いる任意のシステム若しくは装置、又はかかるシステム若しくは装置の任意の部品若しくは部分を指す。したがって、本明細書に記載される熱伝達組成物のいずれかは、
- 低温冷凍システム、
- 中温冷凍システム、
- 商用冷蔵庫、
- 商用冷凍庫、
- 製氷機、
- 自販機、
- 輸送冷凍システム、
- 家庭用冷凍庫、
- 家庭用冷蔵庫、
- 産業用冷凍庫、
- 産業用冷蔵庫、及び
- 冷却器、のうちのいずれか1つにおいてR10Aに代わるために使用され得る。
【0213】
熱伝達組成物1~17を含む本明細書に記載される熱伝達組成物のそれぞれは、住宅用空調システム(冷却のために約0~約10℃の範囲、特に約7℃、及び/又は加熱のために約-20~約3℃の範囲、特に約0.5℃の蒸発器温度を有する)における使用のために特に提供される。代替的には、又は更には、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本明細書に記載される熱伝達組成物のそれぞれは、往復動式、回転式(ローリングピストン又は回転弁)、又はスクロール式圧縮機を有する住宅用空調システムにおける使用のために特に提供される。
【0214】
熱伝達組成物1~17を含む記載される熱伝達組成物のそれぞれは、空冷式冷却器(約0~約10℃範囲、特に約4.5℃の蒸発器温度を有する)、特に、容積型圧縮機を有する空冷式冷却器、とりわけ往復動式又はスクロール式圧縮機を有する空冷式冷却器における使用のために特に提供される。
【0215】
熱伝達組成物1~17を含む本明細書に記載される熱伝達組成物の各々は、住宅用空気-水ヒートポンプ温水システム(約-20~約3℃の範囲、特に約0.5℃の蒸発器温度を有するか、又は約-30~約5℃の範囲、特に約0.5℃の蒸発器温度を有する)における使用のために特に提供される。
【0216】
熱伝達組成物1~17を含む本明細書に記載される熱伝達組成物のそれぞれは、中温冷凍システム(約-12~約0℃の範囲内の、特に約-8℃の蒸発器温度を有する)における使用のために特に提供される。
【0217】
熱伝達組成物1~17を含む本明細書に記載される熱伝達組成物のそれぞれは、低温冷凍システム(約-40~約-12℃、好ましくは約-40℃~約-23℃の範囲内の、好ましくは約-32℃の蒸発器温度を有する)における使用のために特に提供される。
【0218】
熱伝達組成物1~17を含む本発明の熱伝達組成物は、住宅用空調システムにおける使用のために提供され、住宅用空調システムは、例えば、夏季に冷気(当該空気は、例えば、約10℃~約17℃、特に約12℃の温度を有する)を建物に供給するために使用される。
【0219】
熱伝達組成物1~17を含む本発明の熱伝達組成物は、したがって、スプリット型住宅用空調システムにおける使用のために提供され、住宅用空調システムは、冷気(当該空気は、例えば、約10℃~約17℃、特に約12℃の温度を有する)を供給するために使用される。
【0220】
熱伝達組成物1~17を含む本発明の熱伝達組成物は、したがって、ダクトスプリット型住宅用空調システムにおける使用のために提供され、住宅用空調システムは、冷気(当該空気は、例えば、約10℃~約17℃、特に約12℃の温度を有する)を供給するために使用される。
【0221】
熱伝達組成物1~17を含む本発明の熱伝達組成物は、したがって、窓用住宅用空調システムにおける使用のために提供され、住宅用空調システムは、冷気(当該空気は、例えば、約10℃~約17℃、特に約12℃の温度を有する)を供給するために使用される。
【0222】
熱伝達組成物1~17を含む本発明の熱伝達組成物は、したがって、可搬式住宅用空調システムにおける使用のために提供され、住宅用空調システムは、冷気(当該空気は、例えば、約10℃~約17℃、特に約12℃の温度を有する)を供給するために使用される。
【0223】
直前の段落の住宅用空調システムを含む、本明細書に記載される住宅用空調システムは、好ましくは、空気-冷媒蒸発器(室内コイル)、圧縮機、空気-冷媒凝縮器(室外コイル)、及び膨張弁を有する。蒸発器及び凝縮器は、丸管プレートフィン、フィンチューブ、又はマイクロチャネル熱交換器であり得る。圧縮機は、往復動式、又は回転式(ローリングピストン又は回転弁)、又はスクロール式圧縮機であり得る。膨張弁は、キャピラリーチューブ、温度膨張弁、又は電子膨張弁であり得る。冷媒蒸発温度は、好ましくは0℃~10℃の範囲内である。凝縮温度は、好ましくは40℃~70℃の範囲内である。
【0224】
熱伝達組成物1~17を含む本発明の熱伝達組成物は、住宅用ヒートポンプシステムにおける使用のために提供され、住宅用ヒートポンプシステムは、冬季に温風(当該空気は、例えば、約18℃~約24℃、特に約21℃の温度を有する)を建物に供給するために使用される。これは、住宅用空調システムと同じシステムであり得るが、ヒートポンプモードでは冷媒流が反転し、室内コイルが凝縮器となり、室外コイルが蒸発器となる。典型的なシステムの種類は、スプリット型及びミニスプリット型ヒートポンプシステムである。蒸発器及び凝縮器は通常、丸管プレートフィン、フィン式、又はマイクロチャネル熱交換器である。圧縮機は通常、往復動式、又は回転式(ローリングピストン又は回転弁)、又はスクロール式圧縮機である。膨張弁は通常、温度膨張弁又は電子膨張弁である。冷媒蒸発温度は、好ましくは約-20~約3℃又は約-30℃~約5℃の範囲内である。凝縮温度は、好ましくは約35℃~約50℃の範囲内である。
【0225】
熱伝達組成物1~17を含む本発明の熱伝達組成物は、商用空調システムにおける使用のために提供され、商用空調システムは、オフィス及び病院などの大きな建物に冷水(当該水は、例えば約7℃の温度を有する)を供給するために使用される冷却器であり得る。用途に応じて、冷却器システムは通年稼働している場合がある。冷却器システムは、空冷式又は水冷式であり得る。空冷式冷却器は通常、冷水を供給するためのプレート、チューブインチューブ式、又はシェルインチューブ式蒸発器、往復動式又はスクロール式圧縮機、熱を周囲空気と交換するための丸管プレートフィン、フィンチューブ式、又はマイクロチャネル凝縮器、及び温度膨張弁又は電子膨張弁を有する。水冷式システムは通常、冷水を供給するためのシェルアンドチューブ式蒸発器、往復動式、スクロール式、ねじ式、又は遠心式圧縮機、熱を冷却塔又は湖、海、及び他の天然源からの水と交換するためのシェルアンドチューブ式凝縮器、並びに温度膨張弁又は電子膨張弁を有する。冷媒蒸発温度は、好ましくは約0℃~約10℃の範囲内である。凝縮温度は、好ましくは約40℃~約70℃の範囲内である。
【0226】
熱伝達組成物1~17を含む本発明の熱伝達組成物は、住宅用空気-水ヒートポンプ温水システムにおける使用のために提供され、住宅用空気-水ヒートポンプ温水システムは、冬季に床暖房又は同様の用途のために温水(当該水は、例えば、約50℃又は約55℃の温度を有する)を建物に供給するために使用される。温水システムは通常、熱を周囲空気と交換するための丸管プレートフィン、フィンチューブ式、又はマイクロチャネル蒸発器、往復動式、スクロール式、又は回転式圧縮機、水を加熱するためのプレート、チューブインチューブ式、又はシェルアンドチューブ式凝縮器、及び温度膨張弁又は電子膨張弁を有する。冷媒蒸発温度は、好ましくは約-20℃~約3℃又は-30℃~約5℃の範囲内である。凝縮温度は、好ましくは約50~約90℃の範囲内である。
【0227】
熱伝達組成物1~17を含む本発明の熱伝達組成物は、中温冷凍システムにおける使用のために提供され、冷媒は、好ましくは約-12℃~約0℃の範囲内の蒸発温度を有し、このようなシステムでは、冷媒は、好ましくは約40℃~約70℃、又は約20℃~約70℃の範囲内の凝縮温度を有する。
【0228】
したがって、本発明は、冷蔵庫又はボトルクーラーなどの食べ物又は飲み物を冷却するために使用される中温冷凍システムを提供し、冷媒は、好ましくは約-12℃~約0℃の範囲内の蒸発温度を有し、このようなシステムでは、冷媒は、好ましくは約40℃~約70℃、又は約20℃~約70℃の範囲内の凝縮温度を有する。
【0229】
直前の段落に記載されるシステムを含む本発明の中温システムは、好ましくは、例えば内部に収容された食べ物又は飲み物に、冷却を提供するための空気-冷媒蒸発器、往復動式、スクロール式、又はねじ式、又は回転式圧縮機、熱を周囲空気と交換するための空気-冷媒凝縮器、及び温度膨張弁又は電子膨張弁を有する。熱伝達組成物1~17を含む本発明の熱伝達組成物は、低温冷凍システムにおける使用のために提供され、冷媒は、好ましくは約-40℃~約-12℃の範囲内の蒸発温度を有し、冷媒は、好ましくは約40℃~約70℃、又は約20℃~約70℃の範囲内の凝縮温度を有する。
【0230】
したがって、本発明は、冷凍庫において冷却を提供するために使用される低温冷凍システムを提供し、冷媒は、好ましくは約-40℃~約-12℃の範囲内の蒸発温度を有し、冷媒は、好ましくは約40℃~約70℃、又は約20℃~約70℃の範囲内の凝縮温度を有する。
【0231】
したがって、本発明はまた、クリーム製造機において冷却を提供するために使用される低温冷凍システムを提供し、冷媒は、好ましくは約-40℃~約-12℃の範囲内の蒸発温度を有し、冷媒は、好ましくは約40℃~約70℃、又は約20~約70℃の範囲内の凝縮温度を有する。
【0232】
直前の段落に記載されるシステムを含む本発明の低温システムは、好ましくは、食べ物又は飲み物を冷却するための空気-冷媒蒸発器、往復動式、スクロール式、又は回転式圧縮機、熱を周囲空気と交換するための空気-冷媒凝縮器、及び温度膨張弁又は電子膨張弁を有する。
【0233】
したがって、本発明は、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明の熱伝達組成物の冷却装置における使用を提供し、このとき、かかるアルキル化ナフタレンはAN5であり、かかる熱伝達組成物はBHTを更に含み、AN5は、潤滑剤の重量に基づいて約0.001重量%~約5重量%の量で提供され、BHTは、潤滑剤の重量に基づいて約0.001重量%~約5重量%の量で提供される。
【0234】
したがって、本発明は、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明の熱伝達組成物の冷却装置における使用使用を提供し、このとき、かかる熱伝達組成物はBHTを更に含み、AN5は、熱伝達組成物の重量に基づいて約0.001重量%~約5重量%の量で存在し、BHTは、熱伝達組成物の重量に基づいて約0.001重量%~約5重量%の量で存在する。
【0235】
本発明の目的では、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明による各熱伝達組成物は、約0℃~約10℃の範囲の蒸発温度及び約40℃~約70℃の範囲の凝縮温度を有する冷却器における使用のために提供される。冷却器は、空調又は冷凍における使用のため、好ましくは商用空調のために提供される。冷却器は、好ましくは容積型冷却器、とりわけ空冷又は水冷直接膨張式冷却器(モジュラー式であるか又は従来法で単独包装されているかのいずれか)である。
【0236】
したがって、本発明は、定置型空調、特に住宅用空調、産業用空調、又は商用空調における、熱伝達組成物1~26のそれぞれを含む本発明による熱伝達組成物のそれぞれの使用を提供する。
【0237】
したがって、本発明は、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明の熱伝達組成物の、定置型空調、特に住宅用空調、産業用空調、又は商用空調における使用を提供し、このとき、かかるアルキル化ナフタレンはAN5であり、かかる熱伝達組成物はBHTを更に含み、AN5は、潤滑剤の重量に基づいて約0.001重量%~約5重量%の量で存在し、BHTは、潤滑剤の重量に基づいて約0.001重量%~約5重量%の量で存在する。
【0238】
したがって、本発明は、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明の熱伝達組成物の、定置型空調、特に住宅用空調、産業用空調、又は商用空調における使用を提供し、このとき、かかるアルキル化ナフタレンはAN5であり、かかる熱伝達組成物はBHTを更に含み、AN5は、熱伝達組成物の重量に基づいて約0.001重量%~約5重量%の量で存在し、BHTは、熱伝達組成物の重量に基づいて約0.001重量%~約5重量%の量で存在する。
【0239】
熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明による各熱伝達組成物は、冷媒R-410Aの低地球温暖化(GWP)代替品として提供される。
【0240】
熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明による各熱伝達組成物は、冷媒R-410Aの低地球温暖化(GWP)追加導入品として提供される。
【0241】
熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明の熱伝達組成物及び冷媒は、したがって、追加導入冷媒/熱伝達組成物として、又は代替冷媒/熱伝達組成物として使用することができる。
【0242】
したがって、本発明は、既存のシステムの実質的な工学的変更を必要とすることなく、とりわけ凝縮器、蒸発器、及び/又は膨張弁の変更を伴わずに、R-410A冷媒用に設計された及びそれを含有する既存の熱伝達システムを追加導入する方法を含む。
【0243】
したがって、本発明はまた、R-410Aの代替品として、特に住宅用空調冷媒におけるR-410Aの代替品として、既存のシステムの実質的な工学的変更を必要とすることなく、とりわけ凝縮器、蒸発器、及び/又は膨張弁の変更を伴わずに、本発明の冷媒又は熱伝達組成物を使用する方法も含む。
【0244】
したがって、本発明はまた、R-410Aの代替品として、特に住宅用空調システムにおけるR-410Aの代替品として、本発明の冷媒又は熱伝達組成物を使用する方法も含む。
【0245】
したがって、本発明はまた、R-410Aの代替品として、特に冷却器システムにおけるR-410Aの代替品として、本発明の冷媒又は熱伝達組成物を使用する方法も含む。
【0246】
したがって、R-410A冷媒を含有する既存の熱伝達システムを追加導入する方法が提供され、かかる方法は、既存のR-410A冷媒の少なくとも一部を、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明の熱伝達組成物に置き換えることを含む。
【0247】
置き換え工程は、好ましくは、本発明の冷媒に適用させるためにシステムのいかなる実質的な変更も伴わずに、既存の冷媒(R-410Aであり得るが、これに限定されない)の少なくともかなりの部分、好ましくはそのほぼ全てを除去することと、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む熱伝達組成物を導入することとを含む。好ましくは、この方法は、少なくとも約5重量%、約10重量%、約25重量%、約50重量%、又は約75重量%のR-410Aをシステムから取り出し、それを本発明の熱伝達組成物で代替することを含む。
【0248】
代替的には、熱伝達組成物は、R410A冷媒を含有するように設計されているか又はそれを含有する既存の熱伝達システムを改修する方法に使用することができ、システムは、本発明の熱伝達組成物と共に使用するために変更される。
【0249】
代替的には、熱伝達組成物は、R-410A冷媒を含有するように設計されているか又はそれとの使用に好適である熱伝達システムにおいて代替品として使用することができる。
【0250】
代替的には、本発明は、R-410Aの低GWP代替品としての熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明の熱伝達組成物の使用を包含するか、又は既存の熱伝達システムを追加導入する方法に使用されるか、又は本明細書に記載されるようにR-410A冷媒との使用に好適である熱伝達システムに使用されることが理解されよう。
【0251】
熱伝達組成物が上記のように既存の熱伝達システムを追加導入する方法で使用するために提供されるとき、この方法は、好ましくは、既存のR-410A冷媒の少なくとも一部をシステムから除去することを含むことが、当業者であれば理解されよう。好ましくは、この方法は、少なくとも約5重量%、約10重量%、約25重量%、約50重量%、又は約75重量%のR-410Aをシステムから取り出し、それを熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明の熱伝達組成物に置き換えることを含む。
【0252】
本発明の熱伝達組成物は、既存の又は新規の熱伝達システムなどの、R-410A冷媒と共に使用されるか又はそれとの使用に好適であるシステムにおいて代替品として用いられ得る。
【0253】
本発明の組成物は、R-410Aの所望の特性の多くを示すが、R-410Aよりも実質的に低いGWPを有し、同時に、R-410Aと実質的に同様であるか又はそれと実質的に一致し、より好ましくはそれと同等に高いか又はそれよりも高い動作特性、すなわち能力及び/又は効率(COP)を有する。これにより、例えば凝縮器、蒸発器、及び/又は膨張弁の大きなシステム変更を一切必要とすることなく、既存の熱伝達システムにおいて特許請求される組成物がR-410Aに代わることが可能となる。したがって、組成物は、熱伝達システムにおけるR-410Aの直接的な代替品として使用することができる。
【0254】
したがって、本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、R-410Aと比較して、組成物の効率(COP)が熱伝達システムにおいてR-410Aの効率の95~105%である動作特性を示す。
【0255】
したがって、本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、R-410Aと比較して、能力が熱伝達システムにおいてR-410Aの能力の95~105%である動作特性を示す。
【0256】
したがって、本発明の熱伝達組成物は、好ましくは、R-410Aと比較して、組成物の効率(COP)が熱伝達システムにおいてR-410Aの効率の95~105%であり、かつ能力が熱伝達システムにおいてR-410Aの能力の95~105%である動作特性を示す。
【0257】
好ましくは、本発明の熱伝達組成物がR-410Aに代わる熱伝達システムにおいて、本発明の組成物は、好ましくは、R-410Aと比較した動作特性を示し、
- 組成物の効率(COP)が、R-410Aの効率の100~105%であり、かつ/又は
- 能力は、R-410Aの能力の98~105%である。
【0258】
本発明の組成物は、R-410A冷媒に代わる。
【0259】
熱伝達システムの信頼性を高めるために、本発明の熱伝達組成物がR-410A冷媒に代わって使用される熱伝達システムにおいて、本発明の組成物がR-410と比較して以下の特性を更に示すことが好ましい:
- 吐出温度は、R-410Aの吐出温度よりも10℃以上高くない、かつ/又は
- 圧縮機圧力比は、R-410Aの圧縮機圧力比の95~105%である。
【0260】
本発明の組成物は、R-410A冷媒に代わるために使用される。
【0261】
R-410Aに代わるために使用される既存の熱伝達組成物は、好ましくは、モバイル空調システム及び定置型空調システムの両方を含む空調熱伝達システムである。本明細書で使用するとき、モバイル空調システムという用語は、トラック、バス、及び列車の空調システムなどの、移動式の非乗用車用空調システムを意味する。したがって、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む、本明細書に記載されるような熱伝達組成物のそれぞれは、
- モバイル空調システム、特にトラック、バス、及び列車の空調システムを含む、空調システム、
- モバイルヒートポンプ、特に電気自動車用ヒートポンプ、
- 冷却器、特に容積型冷却器、とりわけ空冷又は水冷直接膨張式冷却器(モジュラー式であるか又は従来法で単独包装されているかのいずれか)、
- 住宅用空調システム、特にダクトスプリット型又はダクトレススプリット型空調システム、
- 住宅用ヒートポンプ、
- 住宅用空気-水ヒートポンプ/温水システム、
- 産業用空調システム、並びに
- パッケージ式ルーフトップユニット又は可変冷媒流(VRF)システム、
- 商用の空気熱源、水熱源、又は土壌熱源ヒートポンプシステム、のうちのいずれか1つにおいてR-410Aに代わるために使用され得る。
【0262】
本発明の熱伝達組成物は、冷凍システムにおいてR410Aに代わるために代替的に提供される。したがって、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む、本明細書に記載されるような熱伝達組成物のそれぞれは、
- 低温冷凍システム、
- 中温冷凍システム、
- 商用冷蔵庫、
- 商用冷凍庫、
- 製氷機、
- 自販機、
- 輸送冷凍システム、
- 家庭用冷凍庫、
- 家庭用冷蔵庫、
- 産業用冷凍庫、
- 産業用冷蔵庫、及び
- 冷却器、のうちのいずれか1つにおいてR10Aに代わるために使用され得る。
【0263】
熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本明細書に記載される熱伝達組成物のそれぞれは、住宅用空調システム(冷却のために約0~約10℃の範囲、特に約7℃、及び/又は加熱のために約-20~約3℃の範囲、又は30~約5℃、特に0.5℃の蒸発器温度を有する)においてR-410Aに代わるために特に提供される。代替的には、又は更には、熱伝達組成物1~35のそれぞれを含む本明細書に記載される熱伝達組成物のそれぞれは、往復動式、回転式(ローリングピストン又は回転弁)、又はスクロール式圧縮機を有する住宅用空調システムにおいてR-410Aに代わるために特に提供される。
【0264】
熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本明細書に記載される熱伝達組成物のそれぞれは、空冷式冷却器(約0~約10℃範囲、特に約4.5℃の蒸発器温度を有する)、特に、容積型圧縮機を有する空冷式冷却器、とりわけ往復動式又はスクロール式圧縮機を有する空冷式冷却器においてR-410Aに代わるために特に提供される。
【0265】
熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本明細書に記載される熱伝達組成物の各々は、住宅用空気-水温水システム(約-20~約3℃の範囲又は約-30~約5℃の範囲、特に約0.5℃の蒸発器温度を有する)においてR-410Aに代わるために特に提供される。
【0266】
熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本明細書に記載される熱伝達組成物のそれぞれは、中温冷凍システム(約-12~約0℃の範囲内の、特に約-8℃の蒸発器温度を有する)においてR-410Aに代わるために特に提供される。
【0267】
熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本明細書に記載される熱伝達組成物のそれぞれは、低温冷凍システム(約-40~約-12℃、特に約-40℃~約-23℃、又は好ましくは約-32℃)おいてR-410Aに代わるために特に提供される。
【0268】
したがって、R-410A冷媒を含有するように設計されているか若しくはそれを含有するか、又はR-410A冷媒との使用に好適である既存の熱伝達システムを追加導入する方法が提供され、かかる方法は、既存のR-410A冷媒の少なくとも一部を、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明の熱伝達組成物に置き換えることを含む。
【0269】
したがって、R-410A冷媒を含有するように設計されているか若しくはそれを含有するか、又はR-410A冷媒との使用に好適である既存の熱伝達システムを追加導入する方法が提供され、かかる方法は、既存のR-410A冷媒の少なくとも一部を、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む本発明による熱伝達組成物に置き換えることを含む。
【0270】
本発明は更に、流体連通した圧縮機、凝縮器、及び蒸発器と、システム内に熱伝達組成物と、を含む、熱伝達システムを更に提供し、かかる本発明による熱伝達組成物は、熱伝達組成物1~17のそれぞれを含む。
【0271】
特に、熱伝達システムは、住宅用空調システム(冷却のために約0~約10℃の範囲、特に約7℃、及び/又は加熱のために約-20~約3℃若しくは約-30~約5℃の範囲、特に約0.5℃の蒸発器温度を有する)である。
【0272】
特に、熱伝達システムは、空冷式冷却器(約0~約10℃範囲、特に約4.5℃の蒸発器温度を有する)、特に、容積型圧縮機を有する空冷式冷却器、とりわけ往復動式又はスクロール式圧縮機を有する空冷式冷却器である。
【0273】
特に、熱伝達システムは、住宅用空気-水温水システム(約-20~約3℃の範囲又は約-30~約5℃の範囲、特に約0.5℃の蒸発器温度を有する)である。
【0274】
熱伝達システムは、冷凍システム、例えば、低温冷凍システム、中温冷凍システム、商用冷蔵庫、商用冷凍庫、製氷機、自動販売機、輸送冷凍システム、家庭用冷凍庫、家庭用冷蔵庫、産業用冷凍庫、及び冷却器であり得る。
【0275】
実施例1-燃焼性試験
以下の表1で冷媒Aとして特定される冷媒組成物を、本明細書に記載のとおり試験した。
【0276】
【表4】
【0277】
現行方法のASTM E681-09付属書A1を使用して、ASHRAEの現行標準34-2016試験プロトコル(条件及び装置)に従って燃焼性試験を実施した。フラスコを真空にし、所望の濃度に充填するために分圧を使用することによって混合物を作製した。混合を助けるために空気を速やかに導入し、混合後に温度平衡状態にして、点火を行う前に混合物を滞留させた。上記の表1で評価した冷媒Aは、不燃性試験を満たすことが判明した。
【0278】
実施例2-30熱伝達性能
上記の実施例1で表1に示した冷媒Aを熱力学的分析に供して、様々な冷凍システムにおいてR-4104Aの動作特性と一致するその能力を判定した。CF3IとHFC-32及びHFC-125の各々との2つの二成分対の特性について収集した実験データを使用して分析を実施した。具体的には、HFC-32及びR125の各々との一連の二成分対におけるCF3Iの気液平衡挙動を判定し、調査した。実験評価において各二成分対の組成を一連の相対百分率にわたって変化させ、各二成分対の混合パラメータを実験的に得られたデータに回帰させた。分析を行うために使用した仮定は以下のとおりであった:全ての冷媒について同じ圧縮機容積、全ての冷媒について同じ動作条件、全ての冷媒について同じ圧縮機断熱効率及び容積効率。各実施例では、測定された気液平衡データを使用してシミュレーションを行った。各実施例についてシミュレーション結果を報告する。
【0279】
実施例2A.-住宅用空調システム(冷却)
夏季に冷気(約12℃)を建物に供給するように構成された住宅用空調システムについて試験する。住宅用空調システムとしては、スプリット型空調システム、ミニスプリット型空調システム、及び窓用空調システムが挙げられ、本明細書に記載される試験は、このようなシステムから得られる結果を代表する。実験システムは、空気-冷媒蒸発器(室内コイル)、圧縮機、空気-冷媒凝縮器(室外コイル)、及び膨張弁を含む。試験の動作条件は、以下のとおりである。
1. 凝縮温度=約46℃(対応する室外周囲温度は約35℃)
2. 凝縮器過冷却=約5.5℃
3. 蒸発温度=約7℃(対応する室内周囲温度は約26.7℃)
4. 蒸発器過熱=約5.5℃
5. 断熱効率=70%
6. 容積効率=100%
7. 吸気ライン中の温度上昇=約5.5℃
【0280】
試験の性能結果を下記の表2に報告する。
【0281】
【表5】
【0282】
表2は、同じシステムにおけるR-410Aと比較した、本発明の冷媒Aを用いて動作する住宅用空調システムの熱力学的性能を示す。特に、冷媒Aは、R-410Aに対して98%の能力及びR-410Aと比較して102%の効率を示す。これは、冷媒Aが、このようなシステムにおけるR-410Aの代替品として、かつこのようなシステムにおけるR-410Aの追加導入品として、ドロップイン又はほぼドロップインであることを示し、更に、冷媒Aは、R-410Aと比較して99%の圧力比を示し、これは、圧縮機の効率がR-410Aと十分同等であり、R-410Aと共に使用される圧縮機に変更を加える必要がないことを示す。また、冷媒Aは、R-410Aと比較して10℃以内の圧縮機の吐出温度上昇を示し、これは、オイル分解又はモータ焼損のリスクが低い、良好な圧縮機の信頼性を示す。冷媒Aの蒸発器勾配が2℃未満であることは、蒸発器勾配がシステム性能に影響を与えないことを示す。
【0283】
実施例2B.-住宅用空調システム(冷却)
住宅用空調システムを、実施例2Aに従って冷気(約12℃)を供給するように構成し、ここでは、POE潤滑剤をシステムに含め、本発明によるアルキル化ナフタレン(潤滑剤の重量に基づいて約6重量%~約10重量%の量のAN4)、及び本発明によるADM(潤滑剤の重量に基づいて約0.05~0.5重量%の量のADM4)によって安定化させた。このように構成されたシステムは、長期間にわたって連続的に動作し、そのような動作後に潤滑剤を試験すると、このような実際の動作中に安定なままであったことが判明した。
【0284】
実施例3A.住宅用ヒートポンプシステム(加熱)
冬季に温風(約21℃)を建物に供給するように構成された住宅用ヒートポンプシステムについて試験する。実験システムは住宅用空調システムを含むが、システムがヒートポンプモードにあるときには冷媒流が反転し、室内コイルが凝縮器となり、室外コイルが蒸発器となる。住宅用ヒートポンプシステムとしては、スプリット型空調システム、ミニスプリット型空調システム、及び窓用空調システムが挙げられ、本明細書に記載される試験は、このようなシステムから得られる結果を代表する。試験の動作条件は、以下のとおりである。
1. 凝縮温度=約41℃(対応する室内周囲温度は約21.1℃)
2. 凝縮器過冷却=約5.5℃
3. 蒸発温度=約0.5℃(対応する室外周囲温度=8.3℃)
4. 蒸発器過熱=約5.5℃
5. 断熱効率=70%
6. 容積効率=100%
7. 吸気ライン中の温度上昇=約5.5℃
【0285】
試験の性能結果を下記の表3に報告する。
【0286】
【表6】
【0287】
表3は、同じシステムにおけるR-410Aと比較した、本発明の冷媒Aを用いて動作する住宅用ヒートポンプシステムの熱力学的性能を示す。特に、冷媒Aは、R-410Aに対して97%の能力及びR-410Aと比較して101%の効率を示す。これは、冷媒Aが、このようなシステムにおけるR-410Aの代替品として、かつこのようなシステムにおけるR-410Aの追加導入品として、ドロップイン又はほぼドロップインであることを示す。更に、冷媒Aは、R-410Aと比較して99%の圧力比を示し、これは、圧縮機の効率がR-410Aと十分同等であり、R-410Aと共に使用される圧縮機に変更を加える必要がないことを示す。また、冷媒Aは、R-410Aと比較して10℃以内の圧縮機の吐出温度上昇を示し、これは、オイル分解又はモータ焼損のリスクが低い、良好な圧縮機の信頼性を示す。冷媒Aの蒸発器勾配が2℃未満であることは、蒸発器勾配がシステム性能に影響を与えないことを示す。
【0288】
実施例3B.-住宅用ヒートポンプシステム(加熱)
ヒートポンプシステムを実施例3Aに従って構成し、ここでは、POE潤滑剤をシステムに含め、本発明によるアルキル化ナフタレン(潤滑剤の重量に基づいて約6重量%~約10重量%の量のAN4)、及び本発明によるADM(潤滑剤の重量に基づいて約0.05~0.5重量%の量のADM4)によって安定化させた。このように構成されたシステムは、長期間にわたって連続的に動作し、そのような動作後に潤滑剤を試験すると、このような実際の動作中に安定なままであったことが判明した。
【0289】
実施例4A.商用空調システム-冷却器
冬季に温風(約21℃)を建物に供給するように構成された商用空調システム(冷却器)について試験する。このようなシステムは、オフィス、病院などの大きな建物に冷水(約7℃)を供給し、特定の用途に応じて、冷却器システムは、通年稼働している場合がある。本明細書に記載される試験は、このようなシステムから得られる結果を代表する。
【0290】
試験の動作条件は、以下のとおりである。
1. 凝縮温度=約46℃(対応する室外周囲温度=35℃)
2. 凝縮器過冷却=約5.5℃
3. 蒸発温度=約4.5℃(対応する冷却退出水温度=約7℃)
4. 蒸発器過熱=約5.5℃
5. 断熱効率=70%
6. 容積効率=100%
7. 吸気ライン中の温度上昇=約2℃
【0291】
試験の性能結果を下記の表4に報告する。
【0292】
【表7】
【0293】
表4は、同じシステムにおけるR-410Aと比較した、本発明の冷媒Aを用いて動作する商用空冷式冷却器システムの熱力学的性能を示す。特に、冷媒Aは、R-410Aに対して98%の能力及びR-410Aと比較して102%の効率を示す。これは、冷媒Aが、このようなシステムにおけるR-410Aの代替品として、かつこのようなシステムにおけるR-410Aの追加導入品として、ドロップイン又はほぼドロップインであることを示す。更に、冷媒Aは、R-410Aと比較して99%の圧力比を示し、これは、圧縮機の効率がR-410Aと十分同等であり、R-410Aと共に使用される圧縮機に変更を加える必要がないことを示す。また、冷媒Aは、R-410Aと比較して10℃以内の圧縮機の吐出温度上昇を示し、これは、オイル分解又はモータ焼損のリスクが低い、良好な圧縮機の信頼性を示す。冷媒Aの蒸発器勾配が2℃未満であることは、蒸発器勾配がシステム性能に影響を与えないことを示す。
【0294】
実施例4B.商用空調システム-冷却器
商用空調システムを実施例4Aに従って構成し、ここでは、POE潤滑剤をシステムに含め、本発明によるアルキル化ナフタレン(潤滑剤の重量に基づいて約6重量%~約10重量%の量のAN4)、及び本発明によるADM(潤滑剤の重量に基づいて約0.05~0.5重量%の量のADM4)によって安定化させた。このように構成されたシステムは、長期間にわたって連続的に動作し、そのような動作後に潤滑剤を試験すると、このような実際の動作中に安定なままであったことが判明した。
【0295】
実施例5A.-住宅用空気-水ヒートポンプ温水システム
冬季に床暖房又は同様の用途のために温水(約50℃)を建物に供給するように構成された住宅用空気-水ヒートポンプ温水システムについて試験する。本明細書に記載される試験は、このようなシステムから得られる結果を代表する。
【0296】
試験の動作条件は、以下のとおりである。
1. 凝縮温度=約60℃(対応する室内退出水温度=約50℃)
2. 凝縮器過冷却=約5.5℃
3. 蒸発温度=約0.5℃(対応する室外周囲温度=約8.3℃)
4. 蒸発器過熱=約5.5℃
5. 断熱効率=70%
6. 容積効率=100%
7. 吸気ライン中の温度上昇=2℃
【0297】
試験の性能結果を下記の表5に報告する。
【0298】
【表8】
【0299】
表5は、同じシステムにおけるR-410Aと比較した、本発明の冷媒Aを用いて動作する住宅用空気-水ヒートポンプ温水システムの熱力学的性能を示す。特に、冷媒Aは、R-410Aに対して100%の能力及びR-410Aと比較して103%の効率を示す。これは、冷媒Aが、このようなシステムにおけるR-410Aの代替品として、かつこのようなシステムにおけるR-410Aの追加導入品として、ドロップイン又はほぼドロップインであることを示す。更に、冷媒Aは、R-410Aと比較して98%の圧力比を示し、これは、圧縮機の効率がR-410Aと十分同等であり、R-410Aと共に使用される圧縮機に変更を加える必要がないことを示す。また、冷媒Aは、R-410Aと比較して、10℃近くの圧縮機の吐出温度上昇を示す。冷媒Aの蒸発器勾配が2℃未満であることは、蒸発器勾配がシステム性能に影響を与えないことを示す。
【0300】
実施例5B.-住宅用空気-水ヒートポンプ温水システム
住宅用空気-水ヒートポンプ温水システムを実施例5Aに従って構成し、ここでは、POE潤滑剤をシステムに含め、本発明によるアルキル化ナフタレン(潤滑剤の重量に基づいて約6重量%~約10重量%の量のAN4)、及び本発明によるADM(潤滑剤の重量に基づいて約0.05~0.5重量%の量のADM4)によって安定化させた。このように構成されたシステムは、長期間にわたって連続的に動作し、そのような動作後に潤滑剤を試験すると、このような実際の動作中に安定なままであったことが判明した。
【0301】
実施例6A.中温冷凍システム
冷蔵庫及びボトルクーラーなどにおいて食べ物又は飲み物を冷やすように構成された中温冷凍システムについて試験する。実験システムは、食べ物又は飲み物を冷やすための空気-冷媒蒸発器、圧縮機、熱を周囲空気と交換するための空気-冷媒凝縮器、及び膨張弁を含む。本明細書に記載される試験は、このようなシステムから得られる結果を代表する。
【0302】
試験の動作条件は、以下のとおりである。
1. 凝縮温度=約45℃(対応する室外周囲温度=約35℃)
2. 凝縮器過冷却=約5.5℃
3. 蒸発温度=約-8℃(対応する庫内温度=1.7℃)
4. 蒸発器過熱=約5.5℃
5. 断熱効率=65%
6. 容積効率=100%
7. 吸気ライン中の温度上昇=10℃
【0303】
試験の性能結果を下記の表6に報告する。
【0304】
【表9】
【0305】
表6は、同じシステムにおけるR-410Aと比較した、本発明の冷媒Aを用いて動作する中温冷凍システムの熱力学的性能を示す。特に、冷媒Aは、R-410Aに対して100%の能力及びR-410Aと比較して102%の効率を示す。これは、冷媒Aが、このようなシステムにおけるR-410Aの代替品として、かつこのようなシステムにおけるR-410Aの追加導入品として、ドロップイン又はほぼドロップインであることを示す。更に、冷媒Aは、R-410Aと比較して98%の圧力比を示し、これは、圧縮機の効率がR-410Aと十分同等であり、R-410Aと共に使用される圧縮機に変更を加える必要がないことを示す。また、冷媒Aは、R-410Aと比較して、10℃近くの圧縮機の吐出温度上昇を示す。冷媒Aの蒸発器勾配が2℃未満であることは、蒸発器勾配がシステム性能に影響を与えないことを示す。
【0306】
実施例6B.中温冷凍システム
冷蔵庫又はボトルクーラーなどの食べ物又は飲み物を冷却するための中温冷凍システムを実施例6Aに従って構成し、ここでは、POE潤滑剤をシステムに含め、本発明によるアルキル化ナフタレン(潤滑剤の重量に基づいて約6重量%~約10重量%の量のAN4)、及び本発明によるADM(潤滑剤の重量に基づいて約0.05~0.5重量%の量のADM4)によって安定化させた。このように構成されたシステムは、長期間にわたって連続的に動作し、そのような動作後に潤滑剤を試験すると、このような実際の動作中に安定なままであったことが判明した。
【0307】
実施例7A.低温冷凍システム
アイスクリーム製造機及び冷凍庫などにおいて食べ物を冷凍するように構成された低温冷凍システムについて試験する。実験システムは、食べ物又は飲み物を冷却又は冷凍するための空気-冷媒蒸発器、圧縮機、熱を周囲空気と交換するための空気-冷媒凝縮器、及び膨張弁を含む。本明細書に記載される試験は、このようなシステムから得られる結果を代表する。試験の動作条件は、以下のとおりである。
1. 凝縮温度=約55℃(対応する室外周囲温度=約35℃)
2. 凝縮器過冷却=約5℃
3. 蒸発温度=約-23℃(対応する庫内温度=1.7℃)
4. 蒸発器過熱=約5.5℃
5. 断熱効率=60%
6. 容積効率=100%
7. 吸気ライン中の温度上昇=1℃
【0308】
試験の性能結果を下記の表7に報告する。
【0309】
【表10】
【0310】
表7は、同じシステムにおけるR-410Aと比較した、本発明の冷媒Aを用いて動作する低温冷凍システムの熱力学的性能を示す。特に、冷媒Aは、R-410Aに対して104%の能力及びR-410Aと比較して105%の効率を示す。更に、冷媒Aは、R-410Aと比較して94%の圧力比を示す。冷媒Aの蒸発器勾配が2℃未満であることは、蒸発器勾配がシステム性能に影響を与えないことを示す。
【0311】
実施例7B.低温冷凍システム
アイスクリーム製造機及び冷凍庫などにおいて食べ物を冷凍するための低温冷凍システムを実施例7Aに従って構成し、ここでは、POE潤滑剤をシステムに含め、本発明によるアルキル化ナフタレン(潤滑剤の重量に基づいて約6重量%~約10重量%の量のAN4)、及び本発明によるADM(潤滑剤の重量に基づいて約0.05~0.5重量%の量のADM4)によって安定化させた。このように構成されたシステムは、長期間にわたって連続的に動作し、そのような動作後に潤滑剤を試験すると、このような実際の動作中に安定なままであったことが判明した。
【0312】
実施例8A.商用空調システム-パッケージ式ルーフトップ
冷却又は加熱した空気を建物に供給するように構成されたパッケージ式ルーフトップ商用空調システムについて試験する。実験システムは、パッケージ式ルーフトップ空調/ヒートポンプシステムを含み、空気-冷媒蒸発器(室内コイル)、圧縮機、空気-冷媒凝縮器(室外コイル)、及び膨張弁を有する。本明細書に記載される試験は、このようなシステムから得られる結果を代表する。試験の動作条件は、以下のとおりである。
1. 凝縮温度=約46℃(対応する室外周囲温度=約35℃)
2. 凝縮器過冷却=約5.5℃
3. 蒸発温度=約7℃(対応する室内周囲温度=26.7℃)
4. 蒸発器過熱=約5.5℃
5. 断熱効率=70%
6. 容積効率=100%
7. 吸気ライン中の温度上昇=5.5℃
【0313】
試験の性能結果を下記の表8に報告する。
【0314】
【表11】
【0315】
表8は、同じシステムにおけるR-410Aと比較した、本発明の冷媒Aを用いて動作するルーフトップ商用空調システムの熱力学的性能を示す。特に、冷媒Aは、R-410Aに対して98%の能力及びR-410Aと比較して102%の効率を示す。これは、冷媒Aが、このようなシステムにおけるR-410Aの代替品として、かつこのようなシステムにおけるR-410Aの追加導入品として、ドロップイン又はほぼドロップインであることを示す。更に、冷媒Aは、R-410Aと比較して99%の圧力比を示し、これは、圧縮機の効率がR-410Aと十分同等であり、R-410Aと共に使用される圧縮機に変更を加える必要がないことを示す。また、冷媒Aは、R-410Aと比較して10℃未満の圧縮機の吐出温度を示し、これは、オイル分解又はモータ焼損のリスクがない、良好な圧縮機の信頼性を示す。冷媒Aの蒸発器勾配が2℃未満であることは、蒸発器勾配がシステム性能に影響を与えないことを示す。
【0316】
実施例8A.商用空調システム-パッケージ式ルーフトップ
冷却又は加熱した空気を建物に供給するように構成されたパッケージ式ルーフトップ商用空調システムを実施例8Aに従って構成し、ここでは、POE潤滑剤をシステムに含め、本発明によるアルキル化ナフタレン(潤滑剤の重量に基づいて約6重量%~約10重量%の量のAN4)、及び本発明によるADM(潤滑剤の重量に基づいて約0.05~0.5重量%の量のADM4)によって安定化させた。このように構成されたシステムは、長期間にわたって連続的に動作し、そのような動作後に潤滑剤を試験すると、このような実際の動作中に安定なままであったことが判明した。
【0317】
実施例9A-商用空調システム-可変冷媒流システム
冷却又は加熱した空気を建物に供給するように構成された可変冷媒流を用いる商用空調システムについて試験する。実験システムは、複数(4つ以上)の空気-冷媒蒸発器(室内コイル)、圧縮機、空気-冷媒凝縮器(室外コイル)、及び膨張弁を含む。本明細書に記載される試験は、このようなシステムから得られる結果を代表する。試験の動作条件は、以下のとおりである。
1. 凝縮温度=約46℃、対応する室外周囲温度=35℃
2. 凝縮器過冷却=約5.5℃
3. 蒸発温度=約7℃(対応する室内周囲温度=26.7℃)
4. 蒸発器過熱=約5.5℃
5. 断熱効率=70%
6. 容積効率=100%
7. 吸気ライン中の温度上昇=5.5℃
【0318】
【表12】
【0319】
表9は、同じシステムにおけるR-410Aと比較した、本発明の冷媒Aを用いて動作するVRF商用空調システムの熱力学的性能を示す。特に、冷媒Aは、R-410Aに対して98%の能力及びR-410Aと比較して102%の効率を示す。これは、冷媒Aが、このようなシステムにおけるR-410Aの代替品として、かつこのようなシステムにおけるR-410Aの追加導入品として、ドロップイン又はほぼドロップインであることを示す。更に、冷媒Aは、R-410Aと比較して99%の圧力比を示し、これは、圧縮機の効率がR-410Aと十分同等であり、R-410Aと共に使用される圧縮機に変更を加える必要がないことを示す。また、冷媒Aは、R-410Aと比較して10℃未満の圧縮機の吐出温度を示し、これは、オイル分解又はモータ焼損のリスクがない、良好な圧縮機の信頼性を示す。冷媒Aの蒸発器勾配が2℃未満であることは、蒸発器勾配がシステム性能に影響を与えないことを示す。
【0320】
実施例9B.商用空調システム-可変冷媒流
冷却又は加熱した空気を建物に供給するように構成された可変冷媒流を用いる商用空調システムを実施例9Aに従って構成し、ここでは、POE潤滑剤をシステムに含め、本発明によるアルキル化ナフタレン(潤滑剤の重量に基づいて約6重量%~約10重量%の量のAN4)、及び本発明によるADM(潤滑剤の重量に基づいて約0.05~0.5重量%の量のADM4)によって安定化させた。このように構成されたシステムは、長期間にわたって連続的に動作し、そのような動作後に潤滑剤を試験すると、このような実際の動作中に安定なままであったことが判明した。
【0321】
比較例1-冷媒と潤滑剤とBHTとを含む熱伝達組成物
本発明の熱伝達組成物を、ASHRAE Standard 97-「Sealed Glass Tube Method to Test the Chemical Stability of Materials for Use within Refrigerant Systems」に従って試験して、加速エージングによる熱伝達組成物の長期安定性をシミュレートした。試験した冷媒は、49重量%のR-32、11.5重量%のR-125、及び39.5重量%のCF3I(本明細書ではR-466aとも呼ばれる)からなり、1.7体積%の空気を冷媒中に有する。試験したPOE潤滑剤は、40℃で約32cStの粘度を有し、300ppm以下の含水量を有するISO 32 POEであった(潤滑剤A)。潤滑剤には安定化剤BHTが含まれたが、アルキル化ナフタレン及びADMは含まなかった。試験後、流体を透明性について観察し、全酸価(TAN)を決定する。TAN値は、熱伝達組成物において使用される条件下での流体中の潤滑剤の安定性を反映すると考えられる。流体は、トリフルオロメタン(R-23)の存在についても試験したが、この化合物は、CF3Iの破壊による生成物であると考えられるため、冷媒安定性を反映すると考えられる。
【0322】
この実験は、それぞれ脱気した後、R-466a冷媒の50重量%と示した潤滑剤の50重量%とを含有する封止チューブを調製することによって実施した。各チューブは、鋼、銅、アルミニウム、及び青銅のクーポンを含む。封止チューブを約175℃に維持した炉内に14日間配置することによって、安定性を試験した。結果は以下のとおりであった。
潤滑剤の外観-黄色~褐色
TAN-4.0mgKOH/g
R-23-1.157重量%
【0323】
実施例10-冷媒及び潤滑剤を含む熱伝達組成物のための安定化剤
潤滑剤の重量に基づいて2重量%のアルキル化ナフタレン(AN4)を添加したことを除いて、比較例1の試験を繰り返した。結果(E10と表記)は、比較例1(CE1と表記)の結果と共に、以下の表10に報告する。
【0324】
【表13】
【0325】
上記データから分かるように、本発明によるアルキル化ナフタレン安定化剤を含まない冷媒/潤滑剤流体は、理想的な外観ではなく、TANは4であり、比較的高いR-23濃度を呈する。この結果は、BHT安定化剤の含有にかかわらず達成される。対照的に、本発明による2%アルキル化ナフタレンの添加は、TAN及びR-23濃度の両方における劇的で大規模の改善を含む、全ての試験された安定性結果において劇的かつ予期せぬ改善をもたらす。
【0326】
実施例11-冷媒及び潤滑剤を含む熱伝達組成物のための安定化剤
潤滑剤の重量に基づいて4重量%のアルキル化ナフタレン(AN4)を添加したことを除いて、実施例10の試験を繰り返す。結果は、実施例10の結果と同様である。
【0327】
実施例12-冷媒及び潤滑剤を含む熱伝達組成物のための安定化剤
潤滑剤の重量に基づいて6重量%のアルキル化ナフタレン(AN4)を添加したことを除いて、実施例10の試験を繰り返す。結果は、実施例10の結果と同様である。
【0328】
実施例13-冷媒及び潤滑剤を含む熱伝達組成物のための安定化剤
潤滑剤の重量に基づいて8重量%のアルキル化ナフタレン(AN4)を添加したことを除いて、実施例10の試験を繰り返す。結果は、実施例10の結果と同様である。
【0329】
実施例14-冷媒及び潤滑剤を含む熱伝達組成物のための安定化剤
潤滑剤の重量に基づいて10重量%のアルキル化ナフタレン(AN4)を添加したことを除いて、比較例1の試験を繰り返した。結果(E14と表記)は、比較例1(CE1と表記)及び実施例10(E10と表記)の結果と共に、以下の表11に報告する。
【0330】
【表14】
【0331】
上記のデータから分かるように、10%アルキル化ナフタレン安定化剤を含む冷媒/潤滑剤流体(及びADMなし)は、2%のAN濃度を有する流体と比較して、試験された各基準に関して安定化性能の実質的な劣化を呈する。
【0332】
実施例15-冷媒及び潤滑剤を含む熱伝達組成物のための安定化剤
添加される潤滑剤の重量に基づいて10重量%のアルキル化ナフタレン(AN4)に加えて、1000重量ppm(0.1重量%)のADM(ADM4)も加えたことを除いて、実施例14の試験を繰り返した。結果(E15と表記)は、比較例1(CE1と表記)、実施例10(E10と表記)及び実施例14(E14と表記)の結果と共に、以下の表12に報告する。
【0333】
【表15】
【0334】
上記のデータから分かるように、10%アルキル化ナフタレン安定化剤及び0.1重量%(1000ppm)ADMを有する冷媒/潤滑剤流体は、最良の性能を予想外に示し、R-23値は、実施例10の優れた結果よりも更に2桁良好なR-23値を有する。
【0335】
実施例16-冷媒及び潤滑剤を含む熱伝達組成物のための安定化剤
潤滑剤が、40℃で約74cStの粘度を有し、300ppm以下の含水量を有するISO 74 POE(潤滑剤B)であったことを除いて、実施例15の試験を繰り返した。結果は以下のとおりであった。
潤滑剤の外観-透明~淡黄色
TAN-<0.1mgKOH/g
R-23-<0.012重量%
【0336】
実施例17-冷媒及び潤滑剤を含む熱伝達組成物のための安定化剤
潤滑剤が、40℃で約68cStの粘度を有し、300ppm以下の含水量を有するISO 68 PVE(潤滑剤C)であったことを除いて、実施例15の試験を繰り返した。結果は以下のとおりであった。
潤滑剤の外観-極めて透明
TAN-<0.1mgKOH/g
R-23-0.028重量%
【0337】
実施例18-冷媒及び潤滑剤を含む熱伝達組成物のための安定化剤
潤滑剤が、40℃で約32cStの粘度を有し、300ppm以下の含水量を有するISO 32 PVE(潤滑剤C)であったことを除いて、実施例15の試験を繰り返した。結果は、実施例17の結果と同様であった。
【0338】
実施例19-POE油との混和性
ISO POE-32油(40℃の温度で約32cStの粘度を有する)の混和性を、R-410A冷媒に対して、及び上記実施例1の表1に示した冷媒Aに対して、潤滑剤と冷媒との異なる重量比及び異なる温度について試験する。この試験の結果を下記の表11に報告する。
【0339】
【表16】
【0340】
上記の表から分かるように、R-410Aは、約-22℃未満でPOE油と不混和性であり、したがって蒸発器内のPOE油の蓄積を克服する対策を講じなければ、R-410Aを低温冷凍用途で使用することはできない。更に、R-410Aは、50℃超でPOE油と非混和性であり、これは、高い周囲条件でR-410Aを使用する場合に凝縮器及び送液ラインにおいて問題を引き起こす(例えば、分離したPOE油が閉じ込められて堆積する)ことになる。反対に、出願人らは、驚くべきことに、かつ予想外に、本発明の冷媒が、
-40℃~80℃の温度範囲にわたってPOE油と完全に混和性であり、したがってこのようなシステムで使用する場合、実質的かつ予想外の利点を提供することを見出した。
【0341】
番号付けした実施形態
本発明は、以下の番号付けした実施形態によって更に例示される。番号付けした実施形態の主題は、本明細書又は特許請求の範囲の1つ以上の主題と更に組み合わされてもよい。
【0342】
番号付けした実施形態1。冷媒と、潤滑剤と、安定化剤とを含む熱伝達組成物であって、かかる冷媒は、次の3つの化合物から本質的になり、各化合物は、約49重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、約11.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び約39.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)である相対百分率で存在し、かかる潤滑剤は、ポリオールエステル(POE)潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、かかる安定化剤はアルキル化ナフタレンを含む、熱伝達組成物。
【0343】
番号付けした実施形態2。かかるアルキル化ナフタレンが、1%~10%未満の量で組成物中に存在する、番号付けした実施形態1に記載の熱伝達組成物。
【0344】
番号付けした実施形態3。かかるアルキル化ナフタレンが、1.5%~10%未満の量で組成物中に存在する、番号付けした実施形態1に記載の熱伝達組成物。
【0345】
番号付けした実施形態4。かかるアルキル化ナフタレンが、1.5%~8%未満の量で組成物中に存在する、番号付けした実施形態1に記載の熱伝達組成物。
【0346】
番号付けした実施形態5。かかるアルキル化ナフタレンが、1.5%~6%未満の量で組成物中に存在する、番号付けした実施形態1に記載の熱伝達組成物。
【0347】
番号付けした実施形態6。かかるアルキル化ナフタレンが、1.5%~5%未満の量で組成物中に存在する、番号付けした実施形態1に記載の熱伝達組成物。
【0348】
番号付けした実施形態7。かかる冷媒が、次の3つの化合物から本質的になり、各化合物は、
49重量%+/-0.3重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、11.5重量%+/-0.3重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び39.5重量%+/-0.3重量%のトリフルオロヨードメタン(CF3I)である相対百分率で存在する、番号付けした実施形態1~6のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【0349】
番号付けした実施形態8。かかるアルキル化ナフタレンが、AN1又はAN2又はAN3又はAN4又はAN5又はAN6又はAN7又はAN8又はAN9又はAN10から選択される、番号付けした実施形態1~7のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【0350】
番号付けした実施形態9。かかるアルキル化ナフタレンがAN5を含む、番号付けした実施形態1~8のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【0351】
番号付けした実施形態10。かかるアルキル化ナフタレンがAN5から本質的になる、番号付けした実施形態1~8のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【0352】
番号付けした実施形態11。かかるアルキル化ナフタレンがAN5からなる、番号付けした実施形態1~8のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【0353】
番号付けした実施形態12。かかるアルキル化ナフタレンがAN10を含む、番号付けした実施形態1~8のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【0354】
番号付けした実施形態13。かかるアルキル化ナフタレンがAN10から本質的になる、番号付けした実施形態1~8のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【0355】
番号付けした実施形態14。かかるアルキル化ナフタレンがAN10からなる、番号付けした実施形態1~8のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【0356】
番号付けした実施形態15。かかる安定化剤がADMを更に含む、番号付けした実施形態1~14のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【0357】
番号付けした実施形態16。かかるADMがADM4を含む、番号付けした実施形態1~15のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【0358】
番号付けした実施形態17。かかるADMがADM4から本質的になる、番号付けした実施形態1~15のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【0359】
番号付けした実施形態18。かかるADMナフタレンがADM4からなる、番号付けした実施形態1~15のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【0360】
番号付けした実施形態19。かかる安定化剤が、安定化剤1、安定化剤2、安定化剤3、安定化剤4、安定化剤5、安定化剤6、安定化剤7、安定化剤8、安定化剤9、安定化剤10、安定化剤11、安定化剤12、安定化剤13、安定化剤14、安定化剤15、安定化剤16、安定化剤17、安定化剤18、安定化剤19、安定化剤20から選択される、番号付けした実施形態1~9のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【0361】
番号付けした実施形態20。かかる潤滑剤がPOEを含む、番号付けした実施形態1~19のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【0362】
番号付けした実施形態21。かかる潤滑剤がPOEから本質的になる、番号付けした実施形態1~19のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【0363】
番号付けした実施形態22。かかる潤滑剤がPOEからなる、番号付けした実施形態1~19のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【0364】
番号付けした実施形態23。かかる潤滑剤が潤滑剤1を含む、番号付けした実施形態1~22のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【0365】
番号付けした実施形態24。かかる潤滑剤が潤滑剤1から本質的になる、番号付けした実施形態1~22のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【0366】
番号付けした実施形態25。かかる潤滑剤が潤滑剤1からなる、番号付けした実施形態1~22のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【0367】
番号付けした実施形態26。かかる潤滑剤がPVEを含む、番号付けした実施形態1~19のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【0368】
番号付けした実施形態27。かかる潤滑剤がPVEから本質的になる、番号付けした実施形態1~19のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【0369】
番号付けした実施形態28。かかる潤滑剤がPVEからなる、番号付けした実施形態1~19のいずれかに記載の熱伝達組成物。
【0370】
番号付けした実施形態29。組成物が、染料、可溶化剤、相溶化剤、腐食抑制剤、極圧添加剤、及び耐摩耗剤からなる群から選択される1つ以上の成分を更に含む、番号付けした実施形態1~28のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0371】
番号付けした実施形態30。安定化剤が、フェノール系化合物を更に含む、番号付けした実施形態1~29に記載の熱伝達組成物。
【0372】
番号付けした実施形態31。安定化剤が、リン化合物及び/又は窒素化合物を更に含む、番号付けした実施形態1~30に記載の熱伝達組成物。
【0373】
番号付けした実施形態32。アルキル化ナフタレンが、NA-LUBE KR-007A、KR-008、KR-009、KR-0105、KR-019、及びKR-005FGのうちの1つ以上である、番号付けした実施形態1~8及び15~31のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0374】
番号付けした実施形態33。アルキル化ナフタレンが、NA-LUBE KR-007A、KR-008、KR-009、及びKR-005FGのうちの1つ以上である、番号付けした実施形態1~8及び15~31のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0375】
番号付けした実施形態34。アルキル化ナフタレンが、NA-LUBE KR-008である、番号付けした実施形態1~33のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0376】
番号付けした実施形態35。安定化剤が、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);4,4’-ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);4,4’-ビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール)を含む2,2-又は4,4-ビフェニルジオール;2,2-又は4,4-ビフェニルジオールの誘導体;2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tertブチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール);4,4-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール);4,4-イソプロピリデンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-ノニルフェノール);2,2’-イソブチリデンビス(4,6-ジメチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール);2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール(BHT);2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール:2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール;2,6-ジ-tert-アルファ-ジメチルアミノ-p-クレゾール;2,6-ジ-tert-ブチル-4(N,N’-ジメチルアミノメチルフェノール);4,4’-チオビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノール);4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール);2,2’-チオビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール);ビス(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルベンジル)スルフィド;ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド、トコフェロール、ヒドロキノン、2,2’,6,6’-テトラ-tert-ブチル-4,4’-メチレンジフェノール、及びt-ブチルヒドロキノンから選択されるフェノール系化合物を含む、番号付けした実施形態1~34のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0377】
番号付けした実施形態36。安定化剤がBHTを含む、番号付けした実施形態30~34のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0378】
番号付けした実施形態37。フェノールがBHTから本質的になる、番号付けした実施形態30~34のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0379】
番号付けした実施形態38。フェノールがBHTからなる、番号付けした実施形態30~34のいずれか1つに記載の熱伝達組成物。
【0380】
番号付けした実施形態39。かかるフェノールが、0を超える、好ましくは0.0001重量%~約5重量%、好ましくは0.001重量%~約2.5重量%、より好ましくは0.01重量%~約1重量%の量で熱伝達組成物中に存在し、重量百分率が熱伝達組成物の重量を指す、番号付けした実施形態30~35に記載の熱伝達組成物。
【0381】
番号付けした実施形態40。かかるフェノールが、0を超える、好ましくは0.0001重量%~約5重量%、好ましくは0.001重量%~約4重量%、より好ましくは1重量%~約4重量%の量で熱伝達組成物中に存在し、重量百分率が潤滑剤熱伝達組成物の重量を指す、番号付けした実施形態30~35に記載の熱伝達組成物。
【0382】
番号付けした実施形態41。互いに流体連通した圧縮機、蒸発器、凝縮器、及び膨張装置と、番号付けした実施形態1~40のいずれか1つに記載の熱伝達組成物と、を含む、熱伝達システム。
【0383】
番号付けした実施形態42。封鎖材料を更に含み、かかる封鎖材料が、i.銅若しくは銅合金、又はii.活性アルミナ、又はiii.銅、銀、鉛若しくはこれらの組み合わせを含むゼオライトモレキュラーシーブ、又はiv.陰イオン交換樹脂、又はv.水分除去材料、好ましくは水分除去モレキュラーシーブ、又はvi.上記の2つ以上の組み合わせを含む、番号付けした実施形態41に記載の熱伝達システム。
【0384】
番号付けした実施形態43。かかるシステムが、住宅用空調システム、又は産業用空調システム、又は商用空調システムである、番号付けした実施形態41及び42のいずれか1つに記載の熱伝達システム。
【0385】
番号付けした実施形態44。蒸発器と、凝縮器と、圧縮機とを備える熱伝達システムにおける冷却方法であって、プロセスは、i)必要に応じ、番号付けした実施形態1~33のいずれかに記載の熱伝達組成物である冷媒を凝縮することと、ii)冷却される体又は物品の付近で冷媒を蒸発させることと、を含み、
熱伝達システムの蒸発器温度は、約-40℃~約+10℃の範囲内である、方法。
【0386】
番号付けした実施形態45。蒸発器と、凝縮器と、圧縮機とを備える熱伝達システムにおける冷却方法であって、プロセスは、i)必要に応じ、番号付けした実施形態1~33のいずれかに記載の熱伝達組成物である冷媒を凝縮することと、ii)組成物を蒸発させることと、を含み、熱伝達システムの蒸発器温度が、約-30℃~約5℃の範囲内である、方法。
【0387】
番号付けした実施形態46。空調で使用するための、番号付けした実施形態1~33のいずれか1つに記載の必要に応じた熱伝達組成物の使用。
【0388】
番号付けした実施形態47。かかる空調における使用が、住宅用空調システム、産業用空調システム、又は商用空調システム、又はルーフトップシステムである商用空調システム、又は可変冷媒流システムである商用空調システム、又は冷却器システムである商用空調システム、又は輸送用空調システム、又は定置型空調での使用から選択される、番号付けした実施形態46に記載の熱伝達組成物の使用。
【0389】
番号付けした実施形態48。モバイルヒートポンプ、又は容積型冷却器、又は空冷若しくは水冷直接膨張式冷却器、又は住宅用ヒートポンプ、住宅用空気-水ヒートポンプ/温水システム、又は商用の空気熱源、水熱源、若しくは土壌熱源ヒートポンプシステム、又は冷凍システム、低温冷凍システム、又は中温冷凍システム、又は商用冷蔵庫、又は商用冷凍庫、又は製氷機、又は輸送用冷却システム、又は家庭用冷凍庫、又は家庭用冷蔵庫、又は産業用冷凍庫、又は産業用冷蔵庫、又は冷却器で使用するための、番号付けした実施形態1~33のいずれか1つに記載の必要に応じた熱伝達組成物の使用。
【0390】
番号付けした実施形態49。かかる空調における使用が、往復動式、回転式(ローリングピストン又は回転弁)、又はスクロール式圧縮機を有する住宅用空調システム、又はスプリット型住宅用空調システム、又はダクト型住宅用空調システム、又は窓用住宅用空調システム、又は可搬式住宅用空調システム、又は中温冷凍システムで使用するために選択される、番号付けした実施形態46に記載の熱伝達組成物の使用。
【0391】
番号付けした実施形態50。R410Aの代替品として使用するための、番号付けした実施形態1~33のいずれか1つによる必要に応じた熱伝達組成物の使用。
【0392】
番号付けした実施形態51。R-410A冷媒を含有するように設計されているか若しくはそれを含有するか、又はR-410A冷媒との使用に好適である既存の熱伝達システムを追加導入する方法であって、かかる方法は、既存のR-410A冷媒の少なくとも一部分を、番号付けした実施形態1~33に記載の熱伝達組成物で置き換えることを含む、方法。
【0393】
番号付けした実施形態52。R410Aを置き換えるための、番号付けした実施形態1~33に記載の熱伝達組成物の使用が、熱伝達システムにおける凝縮器、蒸発器、及び/又は膨張弁の変更を必要としない、番号付けした実施形態51に記載の方法。
【0394】
番号付けした実施形態53。実施形態1~33に記載の熱伝達組成物の使用が、冷却器システム、又は住宅用空調システム、又は産業用空調システム、又は商用空調システム、又は商用空調システム、又はルーフトップシステムである商用空調システム、又は可変冷媒流システムである商用空調システム、又は冷却器システムである商用空調システムにおけるR-410Aの代わりとして提供される、番号付けした実施形態51に記載の方法。
【0395】
番号付けした実施形態54。少なくとも約5重量%のR-410Aをシステムから取り出し、それを、番号付けした実施形態1~33に記載の熱伝達組成物と置き換えることを含む、番号付けした実施形態51~53に記載の方法。

【手続補正書】
【提出日】2021-08-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒と、潤滑剤と、安定化剤と、を含む、熱伝達組成物であって、前記冷媒は以下の3つの化合物から本質的になり、各化合物は以下の相対百分率:
約49重量%のジフルオロメタン(HFC-32)、
約11.5重量%のペンタフルオロエタン(HFC-125)、及び
約39.5重量%のトリフルオロヨードメタン(CFI)で存在し、(i)前記潤滑剤は、ポリオールエステル(POE)潤滑剤及び/又はポリビニルエーテル(PVE)潤滑剤を含み、(ii)前記安定化剤は、アルキル化ナフタレンを含み、(iii)前記アルキル化ナフタレンは、前記アルキル化ナフタレン及び前記潤滑剤の重量に基づいて、1重量%~10重量%未満の量で前記組成物中に存在する、熱伝達組成物。
【請求項2】
(i)前記アルキル化ナフタレンが、前記アルキル化ナフタレン及び前記潤滑剤の重量に基づいて、1.5重量%~6重量%の量で前記組成物中に存在し、(ii)前記潤滑剤が、POE潤滑剤及び/又はPVE潤滑剤であり、(iii)前記安定化剤が、酸枯渇性部分(ADM)を更に含む、請求項1に記載の熱伝達組成物。
【請求項3】
(i)前記安定化剤がBHTを更に含み、(ii)前記ADMがADM4から本質的になり、前記アルキル化ナフタレンがAN5から本質的になり、(iv)前記潤滑剤が、ASTM D445に従って測定された40℃での粘度が約30cSt~約70cStであるPOE潤滑剤から本質的になる、請求項2に記載の熱伝達組成物。

【国際調査報告】