(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(54)【発明の名称】光学系、特にLiDARシステム、および車両
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20220308BHJP
G01S 17/931 20200101ALI20220308BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S17/931
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021542356
(86)(22)【出願日】2019-12-30
(85)【翻訳文提出日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 EP2019087137
(87)【国際公開番号】W WO2020151898
(87)【国際公開日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】102019200764.3
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】シュピースベルガー,シュテファン
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AC02
5J084BB28
5J084DA01
5J084EA04
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの光送信器(12)と、少なくとも1つの光検出器(13)と、を含む、光学系(11)、特にLiDARシステムが記載される。光送信器(12)は、第1の光路(14)に沿って周辺に走査光線を放出するように設定されている。光検出器(13)は、第2の光路に沿って周辺から反射光線を受信するように設定されている。第1の光路(14)および第2の光路の少なくとも1つにおいて、互いに90°傾いた2つの鏡面(15、16)が、光線を第1の平面からそれに平行な第2の平面に偏向させる。この種の公知な光学系は、視野が制限されており、走査面に対して垂直に均一な走査ができない。本発明によれば、2つの平面に垂直な1つの回転軸を中心に共に回転する際に周辺の走査が行われるように、鏡面(15、16)は回転可能に支承され、互いに連結されているため、回転中に光線の傾きが発生しない。走査光線のビームフォーミングは、少なくとも部分的に2つの鏡面(15、16)の湾曲部を介して、および/または、少なくとも部分的に第1の光路(14)のビームフォーマ(17)を介して行われる。また、本発明は、そのような光学系(11)を含む車両に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光送信器(12)と、少なくとも1つの光検出器(13)と、を含み、
前記光送信器(12)は、第1の光路(14)に沿って周辺に走査光線を放出するように設定されており、
前記光検出器(13)は、第2の光路に沿って周辺から反射光線を受信するように設定されており、
前記第1の光路(14)および前記第2の光路の少なくとも1つにおいて、互いに90°傾いた2つの鏡面(15、16)が、光線を第1の平面からそれに平行な第2の平面に偏向させる、光学系(11)、特にLiDARシステムであって、
前記2つの平面に垂直な1つの回転軸を中心に共に回転する際に周辺の走査が行われるように、前記鏡面(15、16)は回転可能に支承され、互いに連結されているため、回転中に光線の傾きが発生せず、前記走査光線のビームフォーミングは、少なくとも部分的に前記2つの鏡面(15、16)の湾曲部を介して、および/または、少なくとも部分的に前記第1の光路(14)のビームフォーマ(17)を介して行われることを特徴とする光学系(11)。
【請求項2】
前記光送信器および/または前記光検出器は、ステータ上に配置され、前記鏡面(15、16)と共に回転しない、請求項1に記載の光学系(11)。
【請求項3】
前記第1の光路(14)および前記第2の光路は重畳しているため、2つの光路が同一の鏡面(15、16)を使用する、請求項1または2に記載の光学系(11)。
【請求項4】
前記第1の光路(14)および前記第2の光路において、それぞれ互いに90°傾いた固有の一対の鏡面(15、16)が、光線を第1の平面からそれに平行な第2の平面へ偏向する、請求項1から3のいずれか一項に記載の光学系(11)。
【請求項5】
前記走査光線は略線プロファイルに成形される、請求項1から4のいずれか一項に記載の光学系(11)。
【請求項6】
前記走査光線の前記線プロファイルは、前記鏡面(15、16)の回転により伝搬方向を中心に回転しない、請求項5に記載の光学系(11)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の少なくとも1つの光学系(11)を含む車両であって、前記光学系(11)は、走査光線が前記車両の周辺を略水平に走査するように前記車両に設置されている車両。
【請求項8】
前記光学系(11)は、少なくとも200°、好ましくは少なくとも250°、特に好ましくは少なくとも300°の連続した水平視野(18)を提供する、請求項7に記載の車両。
【請求項9】
少なくとも1つの光学系(11)は、前記光学系(11)の連続する視野(18)の中心が、前記車両の主な進行方向に配置されている、請求項8に記載の車両。
【請求項10】
少なくとも1つの光学系(11)は、前記光学系(11)の連続する視野(18)の中心が、前記車両の主な進行方向と反対方向に配置されている、請求項8または9に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系、特にLiDARシステムであって、少なくとも1つの光送信器と、少なくとも1つの光検出器と、を含み、光送信器は、第1の光路に沿って周辺に走査光線を放出するように設定され、光検出器は、第2の光路に沿って周辺から反射光線を受信するように設定され、第1の光路および第2の光路の少なくとも1つにおいて、それぞれ90°傾いた2つの鏡面が、光線を第1の平面からそれに平行な第2の平面に偏向させる光学系、特にLiDARシステム、に関する。
【背景技術】
【0002】
特にLiDARシステム(英語:light detection and ranging)のような光学系は、とりわけ光学的な距離および速度測定のためのレーダに類似した方法として機能している。しかし、レーダとは対照的に、はるかに小さくて近い物体をより高い精度で測定できるため、この技術は近年、特に自動車の周辺を測定するために重要視されている。
【0003】
しかし、複数の光送信器や光検出器を使用せずに、光学系の広いFoV(Field of View、視野の英語)を取得することは難しいとされてきた。スキャニングLIDARシステムでは、通常、水平方向の空間分解能を得るために、回転部材を使用することが多い。ここでは、2つの手法がある。
【0004】
手法1では、光送信器(通常1つまたは複数のレーザを含む)と光検出器とを備えたシステム全体が回転する。これは、回転部材への電源供給とデータ送信を実現しなければならないという欠点がある。
【0005】
手法2は、光送信器と通常は光検出器も固定したまま、ビーム偏向光学系のみを回転させることで、手法1の欠点を回避している。
回転する光学系は通常、鏡であり、送信ビームと受信ビームの2つをある角度範囲で偏向させる。ここでも2つの手法がある。第1に、ビーム偏向の前後でビームが平面上にあるシステムがある。この種類の欠点は、ビームの偏向角が大きくなると、有効な鏡面積が減少するため、有効な送信面積および検出面積が小さくなることである。これにより、達成可能な水平方向のFoVの角度スパンが制限され、大きい偏向角に対するシステムの解像度と精度が常に低下する。最大の送信面積および検出面積は、角度0°の時に得られる(走査光線の直接後方反射)。しかし、ここでは、送信または受信されたビームは、光送信器または光検出器によって遮られる。この理由から、この種類では、通常10°~150°または-10°~-150°の角度範囲のみを照射することができる(ここで、角度とは、光線の垂直入射に対する鏡面の回転角度を示す)。したがって、視野は死角を有する。多くの用途では、FoVは連続している必要があるため、通常は片側のみ、すなわち例えば10°~150°が使用される。
【0006】
このような解決策は、例えば、US2015268331A1(米国特許出願公開第2015268331号)およびDE102010047984A1(独国特許出願公開第102010047984号明細書)から知られている。
【0007】
代替的に、ビームを通常2回90°偏向させるシステムもある。この種類では、360°のFoVを容易な方法で実現することができる。しかし、複数の画素を異なる角度で放出したり、レーザ線を放出したりする場合、すでにレーザ線として整形されている光線が偏向光学系に約45°の角度で入射すると、角度が大きくなると垂直方向の線が水平方向の線の方向に傾いてしまうため、大きな立体角で線の向きを回転させないと線照明が実現できないという欠点が生じる。これは、結果的として偏向角が大きくなると、視野の垂直方向の広がりが小さくなることを意味する。しかし、これは多くの用途において望ましくなく、システムの精度が角度によって悪化することになる。
【0008】
WO2011/150942A1(国際公開第2011/150942号)は、風力タービンに関し、特に、LiDARシステムを用いて風速を決定するための改良型ドップラー流速計を開示す。詳細な実施形態では、設計を簡素化するために、対応するLiDARシステムをステータに取り付け、風向きを追跡するための光路は、回転可能に支承された偏向鏡を介すことが提案されている。さらに、風向きに合わせた光路調整を改善するために、45°傾いた第2の鏡による偏向も提案されている。
【0009】
EP2172790B1(欧州特許第2172790号明細書)には、送信装置と受信装置とを含むLiDARシステムが開示されている。特に、この文書は対流圏の分子、粒子、エアロゾルを検出するための従来の光学系の構成要素を開示している。1つの直径を有する光線は、プリズムによって、光線をより大きな直径に拡大する光線エキスパンダに偏向される。光線は、2枚の調整可能な鏡を有するZステージを通過し、Zステージは回転不能に支承されたペリスコープである。
【発明の概要】
【0010】
本発明によれば、2つの平面に垂直な1つの回転軸を中心に共に回転する際に周辺の走査が行われるように、鏡面が回転可能に支承され、互いに連結されているため、回転中に光線の傾きが発生せず、走査光線のビームフォーミングは、少なくとも部分的に2つの鏡面の湾曲部を介して、および/または、少なくとも部分的に第1の光路のビームフォーマを介して行われる。
【0011】
[発明の利点]
すなわち、本発明によれば、走査光線(例えば、レーザ光線)は、放出または受信された反射光線が、ビーム偏向後に2つの平行平面のうちの1つに位置するように、2つの鏡面を介して偏向される。これにより、鏡面の回転中に走査光線が傾くことを防止し、同時に大きなFoVが実現される。
【0012】
本発明によれば、1つの軸を中心に共に回転できる2つの鏡面を用いて、それぞれ90°の二重のビーム偏向が行われる。このため、最も単純な場合では、鏡面は走査光線の伝搬面に対してそれぞれ45°傾いている。
【0013】
生成された走査光線は、まず、ビームフォーマによって成形される。2つの鏡面は、代替的または追加的に、ビームフォーミングのタスクも担うことができる。これは、鏡面の一方または2つが湾曲部を有するか、または他の光学素子を含むことを意味する。これにより、構成が簡素化され、エラーが発生しにくくなる。
【0014】
光線は鏡面によって2回それぞれ90°偏向される。2つの鏡面は、1つの軸を中心に共に回転する。偏向された光線は、2つの鏡面を含む偏向ユニットから、入射面から遠く離れた平行面に出るため、ビームは光送信器を支障なく通過できるようになる。光検出器はそれに応じて機能する。ここでは、受信した反射光は、回転式の偏向ユニットで2回90°偏向され(ビームフォーマに当たる、および/または鏡面で成形される)、光検出器で検出される。用途によっては、光送信器と光検出器の2つ、または光送信器と光検出器のどちらかのみをこの方法で偏向させることが有意義である場合もある。
【0015】
「光」という用語は、本出願の範囲において広く理解されるべきものであり、可視光のみではなく、赤外光および/または紫外光を含む場合もある。光送信器は、1つまたは複数の(好ましくは光学的な)レーザを含むことができる。
【0016】
1つの実施形態では、光送信器および/または光検出器は、ステータ上に配置され、鏡面と共に回転しない。これにより、回転部材への電源供給やデータリンクが不要となり、構成が簡素化される。
【0017】
別の好ましい実施形態では、第1の光路および第2の光路が重畳しているため、2つの光路が同一の鏡面を使用する。したがって、システムは同軸上に設計されていてもよい。これは第1の光路および第2の光路の一部が同一であることを意味する。すなわち、走査光線はまず成形(拡大)され、次に、反射光線の逆ビームフォーミングを、少なくとも部分的に2つの鏡面の湾曲部を介して、および/または少なくとも部分的に第1/第2の光路のビームフォーマを介して、同一のコンポーネントによって行うことができる。これにより、別個の第2の光路において通常であれば必要な追加部品を省くことができる。
【0018】
代替的に、第1の光路および第2の光路において、それぞれ互いに90°傾いた固有の一対の鏡面が、光線を第1の平面からそれに平行な第2の平面へ偏向する。実施形態によっては、光検出器を光送信器から空間的にずらして配置することが望ましい場合がある。
【0019】
好ましい実施形態では、走査光線は略線プロファイルに成形される。ここで、線プロファイルは有限の長さを有する。ここで、「略線プロファイル」とは、線プロファイルが絶対的に均一な線形状ではなく、単に伝搬方向に垂直な2つの横軸のうちの1つに沿って大きく伸びることを意味すると理解できる。例えば、線プロファイルは、偏心率の高いほぼ楕円形の断面を有することができる。
【0020】
一実施形態では、走査光線の線プロファイルは、鏡面の回転により伝搬方向を中心に回転しない。これは、本発明にかかる鏡面の相対的な配置構成によって達成され、この配置構成は、非円形のビーム形状を有する走査光線の傾きの通常の発生を補償することができる。これにより、FoV全体で著しく均一な走査結果を得ることができる。
【0021】
本発明はさらに、実施形態のいずれか1つに従う少なくとも1つの光学系を含む車両に関し、光学系は、走査光線が車両の周辺を略水平に走査するように車両に設置されている。
【0022】
一実施形態では、光学系は、少なくとも200°、好ましくは少なくとも250°、特に好ましくは少なくとも300°の連続した水平視野を提供する。異常に大きな視野は、走査光線を平行平面に移動させることによって、本発明にかかる光送信器または光検出器を「バイパス」することによって達成される。したがって、基本的に、2つの走査光線、すなわち例えば2つの光送信器と2つの光受信器を用いて、全方位走査が実現可能である。
【0023】
一実施形態では、光学系は、その連続する視野の中心が車両の主な進行方向に配置されている。車載用途では、障害物を検知するために、通常、進行方向において可能な限り高い走査精度が望まれる。
【0024】
一実施形態では、少なくとも1つの光学系は、その連続する視野の中心が、車両の主な進行方向と反対方向に配置されている。車載用途では、例えば後退時に後続車や障害物を検知するために、同時に進行方向と反対方向に対しても、同様に可能な限り高い走査精度が望まれる。
【0025】
本発明の有利なさらなる改善形態は、従属請求項に記載され、本明細書に説明されている。
本発明の実施例を、図面および以下の説明を参照して詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図3】偏向角90°の鏡を用いた従来技術の光学系。
【
図5】本発明にかかる光学系における第1の光路の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、共通のハウジングに収容された光送信器2と光検出器3とを含む従来技術の光学系1を示す。光送信器2は、第1の光路4に沿って走査光線を周辺に放出するように設定されている。光路には、ビームフォーミング用の光学素子5が配置されている。その後、走査光線は鏡面6に当たり、鏡面6は周辺を走査するために光線を偏向する。この光学系は、0°の偏向角を中心とした死角の左右に配置された、例えばそれぞれ140°の2つの別々のFoVを有する。したがって、多くの場合、2つのFoVのうち1つしか使用されず、光学系の機能が大幅に制限される。
【0028】
図2および
図3は、従来技術の別の問題点を示す。ここでは、
図1と比較して、簡素化のために光路4と鏡面6のみが示されており、また、走査光線の形状を示す2つのスクリーン9、10が示されている。走査光線はそれぞれ線プロファイルに成形されている。
【0029】
図2は、走査面の0°の偏向角を示しており、走査光線はスクリーン9上に垂直な線プロファイルを生成する。これにより、(例えば車両用LiDARにおいて)高さ方向に一定の範囲で走査することができる。
【0030】
ここで、
図3に示すように鏡面6を90°回転させると、走査光線は第1の光路4内で傾き、スクリーン10に水平に到達する。偏向角が0°から相違するほど、線プロファイルは高さ方向の走査に活用されなくなる。
【0031】
図4は、少なくとも1つの光送信器12と、少なくとも1つの光検出器13と含む、本発明にかかる光学系11、特にLiDARシステムを示す。光送信器12は、第1の光路14に沿って走査光線を周辺に放出するように設定されている。光送信器12は、例えばレーザを含むことができる。光検出器13は、周辺から第2の光路(明示的に示されていない)に沿って反射された光線を受信するように設定されている。第2の光路は、このケースのように第1の光路14と逆方向に重畳してもよいが、別個に配置してもよい。第1の光路14および第2の光路の少なくとも1つには、互いに90°傾いた2つの鏡面15、16が配置されており、鏡面15、16は光線を第1の平面からそれに平行な第2の平面に偏向させる(
図5も参照)。
【0032】
本発明によれば、鏡面15、16は、2つの平面に垂直な1つの回転軸を中心に共に回転する際に、周辺の走査が行われるように、互いに回転可能に取り付けられ、連結されている。この時、回転中に光線は傾かない(
図6、7も参照)。
【0033】
走査光線のビームフォーミングは、少なくとも部分的2つの鏡面の湾曲部を介して、および/または少なくとも部分的に第1の光路14のビームフォーマ17を介して行われる。その後、ビームは鏡面15、16によって2回それぞれ90°偏向される。2つの鏡面15、16は、1つの軸を中心に共に回転する。偏向されたビームは、2つの鏡面15、16を含む偏向ユニットから、入射面から遠く離れた平行面に出るため、ビームは光送信器を支障なく通過できるようになる。偏向ユニットはしかしなおさらなる光要素を含む。光検出器13はそれに応じて機能する。ここでは、受信した反射光は、回転式の偏向ユニットで2回90°偏向され、任意選択的にビームフォーマに当たり、光検出器13で検出される。用途によっては、このように光送信器12からの第1の光路14と、光検出器13への第2の光路の両方をそれぞれ偏向させることが有意義である場合もあれば、光送信器12からの第1の光路14のみ、または光検出器13への第2の光路のみをこのように偏向させることが有意義である場合もある。
【0034】
2つの鏡面15、16は、代替的または追加的にビームフォーミングにおけるタスクも担うことができる。これは、鏡面15、16の1つまたは2つが湾曲部を有するか、または他の光学素子を含むことを意味する。すなわち、
図4に示すビームフォーマ17は任意である。
【0035】
光学系11は、約200°の連続した水平視野18を有する。しかし、300°以上の途切れない視野も実現可能である。
異常に大きな視野は、鏡面15、16での二重反射によって走査光線を平行平面に移動させることにより、本発明にかかる光送信器12または光検出器13を「バイパス」することで達成される。これは、
図4の実施形態を簡略化した
図5の側面図に概略的に示されている。すなわち、本発明によれば、走査光線(例えばレーザ光線)は、ビーム偏向後に放出または受信された反射光線が2つの平行平面のうちの1つに位置するように、2つの鏡面15、16を介して偏向される。
図5では、光送信器12および光検出器13が走査光線をこれ以上遮らないように、走査光線をある程度、平行な高い平面に移動させる。
【0036】
本発明によれば、1つの軸を中心に共に回転することができる2つの鏡面15、16を用いて、それぞれ90°の二重のビーム偏向が行われる。最も単純な場合では、
図5に示すように、鏡面は互いに、かつ走査光線の伝搬面に対して45°傾いている。
【0037】
同時に、鏡面15、16の回転中に走査光線が傾くことは、
図6および
図7に示されるように、2つの鏡面15、16を使用することによって防止される。
図2および
図3と同様に、
図4と比較して簡素化するために、第1の光路14および鏡面15、16のみが示されており、また、2つのスクリーン19、20が示されている。走査光線は、それぞれ線プロファイルに成形される。
【0038】
図6は、走査面における0°の偏向角を示し、走査光線はスクリーン19上に垂直な線プロファイルを生成する。これにより、(例えば車両用LiDARにおいて)高さ方向に一定の範囲で走査することができる。
【0039】
ここで、
図7に示すように、鏡面15、16を共に90°回転させると、第1の光路14の走査光線は、傾くことなく、鏡面15、16の回転軸のみを中心に回転する。したがって、走査光線は、依然としてスクリーン20上に垂直な線プロファイルを生成する。したがって、従来技術と比較して、より大きいFoVのみならず、FoV内の走査面に対して垂直な、より均一な走査を達成することができる。
【国際調査報告】