(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-16
(54)【発明の名称】MEMSセンサおよびMEMSセンサを動作させるための方法
(51)【国際特許分類】
G01L 9/00 20060101AFI20220309BHJP
B81B 3/00 20060101ALI20220309BHJP
B81B 7/02 20060101ALI20220309BHJP
H01L 29/84 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
G01L9/00 303Q
B81B3/00
B81B7/02
H01L29/84 B
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021542365
(86)(22)【出願日】2020-01-20
(85)【翻訳文提出日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 EP2020051257
(87)【国際公開番号】W WO2020152090
(87)【国際公開日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】102019200917.4
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】ダンネンベルク,アルネ
(72)【発明者】
【氏名】シュバルツ,ミケ
【テーマコード(参考)】
2F055
3C081
4M112
【Fターム(参考)】
2F055AA40
2F055BB20
2F055CC02
2F055DD04
2F055EE14
2F055FF49
2F055GG11
2F055HH19
3C081AA11
3C081BA22
3C081BA33
3C081BA45
3C081BA48
3C081BA77
3C081CA40
3C081DA03
3C081EA03
3C081EA21
4M112AA01
4M112BA01
4M112CA01
4M112DA13
4M112EA02
(57)【要約】
本発明は、撓み可能に配置された機能層と、機能層の撓みを電気信号に変換するための変換デバイスであって、少なくとも1つの電気素子を含む変換デバイスと、制御デバイスと、を含むMEMSセンサであって、少なくとも1つの電気素子が、第1の領域に少なくとも部分的に電気的に接続され、第1の領域が、第2の領域に少なくとも部分的に電気的に接続され、第1および第2の領域、ならびに/または第1の領域および少なくとも1つの電気素子が、逆方向および順方向で電気的に動作可能であり、制御デバイスが、少なくとも1つの電気素子および第1の領域、ならびに/または第1の領域および第2の領域を順方向で少なくとも部分的に動作させて、熱エネルギーを提供するように構成される、MEMSセンサに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撓み可能に配置された機能層(3)と、
前記機能層(3)の撓みを電気信号に変換するための変換デバイス(2)であって、少なくとも1つの電気素子を含む変換デバイス(2)と、
制御デバイス(5)と、を含むMEMSセンサ(1)であって、
前記少なくとも1つの電気素子(9)が、第1の領域(10)に少なくとも部分的に電気的に接続され、前記第1の領域(10)が、第2の領域(11)に少なくとも部分的に電気的に接続され、第1および第2の領域(10、11)、ならびに/または第1の領域(10)および前記少なくとも1つの電気素子(9)が、逆方向および順方向で電気的に動作可能であり、
前記制御デバイス(5)が、前記少なくとも1つの電気素子(9)および前記第1の領域(10)、ならびに/または前記第1の領域(10)および前記第2の領域(11)を順方向で少なくとも部分的に動作させて、熱エネルギーを提供するように構成される、
MEMSセンサ(1)。
【請求項2】
一方としての第1の領域(10)および少なくとも1つの電気素子(9)と、他方としての第1の領域(10)および第2の領域(11)とで、逆方向と順方向が逆である、請求項1に記載のMEMSセンサ。
【請求項3】
前記変換デバイス(2)が、抵抗器(9)の形での少なくとも4つの電気素子を有するホイートストンブリッジ回路を含む、請求項1または2に記載のMEMSセンサ。
【請求項4】
前記電気抵抗器(9)が、埋込型または拡散型のピエゾ抵抗器である、請求項3に記載のMEMSセンサ。
【請求項5】
前記制御デバイス(5)が、前記第1および第2の領域(10、11)を一時的に逆方向で、および一時的に順方向で動作させるように構成される、請求項1から4の少なくとも1つに記載のMEMSセンサ。
【請求項6】
前記第1の領域(10)が凹部の形状に形成され、前記凹部内に少なくとも1つの電気素子(9)が配置され、特に、凹部(10)と前記少なくとも1つの電気素子(9)とが異なるドーピングを有する、請求項4または5に記載のMEMSセンサ。
【請求項7】
前記第1および/または第2の領域(10、11)に、それぞれ複数の接点、特に貫通接点(60a、60b)によって電圧を印加することができる、請求項1から6のいずれか一項に記載のMEMSセンサ。
【請求項8】
前記撓み可能に配置された機能層(3)が、前記第1の領域(10)に配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載のMEMSセンサ。
【請求項9】
少なくとも1つの追加の周囲要素(14、15)が、特に追加の凹部の形状で配置され、前記少なくとも1つの追加の周囲要素(14、15)が、前記第1の領域(10)および前記第2の領域(11)を少なくとも部分的に取り囲むように構成される、請求項1から8のいずれか一項に記載のMEMSセンサ。
【請求項10】
少なくとも1つの追加の接点(12、13)が配置され、前記制御デバイス(5)が、順方向での前記第1および第2の領域(10、11)の動作によって熱エネルギーを提供し、時間的に並行して、前記変換デバイス(2)から電気信号を提供することができるように変換デバイス(2)を動作させるように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のMEMSセンサ。
【請求項11】
温度測定素子(8)、特にダイオード(8)が配置され、前記制御デバイス(5)が、熱エネルギーの提供のために前記温度測定素子(8)を動作させるように構成される、請求項1から10のいずれか一項に記載のMEMSセンサ。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のMEMSセンサ(1)を動作させる方法であって、前記制御デバイス(5)によって、前記第1および第2の領域(10、11)が、熱エネルギーを提供するために順方向に少なくとも部分的に動作される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撓み可能に配置された機能層を含むMEMSセンサに関する。
さらに、本発明は、MEMSセンサを動作させるための方法に関する。
本発明は、一般に、撓み可能に配置された機能層を有する任意のMEMSセンサに適用可能であるが、MEMS圧力センサを参照して述べる。
【背景技術】
【0002】
マイクロシステム技術で製造された圧力センサは、通常、シリコンから成るメンブレンを有し、メンブレンは、メンブレン表面の圧力が変化したときにメンブレンの撓みにより反応する。この撓み、またはそれに起因するメンブレン縁部の機械的応力を、ピエゾ抵抗器によって電気信号に変換することができる。例えば構造全体の膨張率による低温でのセンサ性能に対する悪影響を避けるために、センサの温度を特定の最低レベルまで上昇させることができる組込型のヒータを有する圧力センサが知られている。これらの圧力センサでは、追加のボンドパッドを介して接続される金属導体路または拡散型の半導体導体路内で、電流によりジュール熱が生成される。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態では、本発明は、撓み可能に配置された機能層と、機能層の撓みを電気信号に変換するための変換デバイスであって、少なくとも1つの電気素子を含む変換デバイスと、制御デバイスと、を含むMEMSセンサであって、少なくとも1つの電気素子が、第1の領域に少なくとも部分的に電気的に接続され、第1の領域が、第2の領域に少なくとも部分的に電気的に接続され、第1および第2の領域、ならびに/または第1の領域および少なくとも1つの電気素子が、逆方向および順方向で電気的に動作可能であり、制御デバイスが、少なくとも1つの電気素子および第1の領域、ならびに/または第1の領域および第2の領域を順方向で少なくとも部分的に動作させて、熱エネルギーを提供するように構成される、MEMSセンサを提供する。
【0004】
第1および第2の領域は、基板がドープされることによって基板の一部とすることができる。これにより、表面に近い第1および第2の領域を生成することができるが、より深い凹部も生成することができる。代替として、適切にドープされた面を基板に設けることで、これらの第1および第2の領域を画定することもできる。次いで、適切なドーピングによって、一方または両方の領域/凹部に少なくとも1つの電気および/または電子構成要素を導入することができる。したがって、nドープされた凹部にpドープされたピエゾ抵抗器を導入することが考えられる。これにより、曲げによって生成されるピエゾ抵抗器での電流が、妨げなく基板に流れるのが防止される。
【0005】
さらなる実施形態では、本発明は、請求項1から11のいずれか一項に記載のMEMSセンサを動作させる方法であって、制御デバイスによって、第1および第2の領域が、熱エネルギーを提供するために順方向に少なくとも部分的に動作される、方法を提供する。
【0006】
これにより達成される利点の1つは、それによって別個の加熱デバイスが不要になり、したがって設置スペースを全体的に縮小することができることである。さらなる利点は、これにより製造コストを削減することができることである。
【0007】
本発明のさらなる特徴、利点、およびさらなる実施形態は、以下の記述で述べる、または以下の記述により明らかになる。
有利な発展形態によれば、一方としての第1の領域および少なくとも1つの電気素子と、他方としての第1の領域および第2の領域とで、逆方向と順方向が逆である。この利点は、これにより、第1の領域から第2の領域へ、または第1の領域から少なくとも1つの電気素子への電流の流れが生じることであり、これは、一方では信号の読み出し、他方では加熱を行う簡単な動作を可能にする。
【0008】
さらなる発展形態によれば、変換デバイスは、抵抗器の形での少なくとも4つの電気素子を有するホイートストンブリッジ回路を含む。これにより、機能層を撓ませるための電気信号を提供するための変換デバイスを簡単に提供することができる。
【0009】
さらなる有利な発展形態によれば、電気抵抗器は、埋込型または拡散型のピエゾ抵抗器である。これにより達成される利点の1つは、これにより抵抗器がメンブレンと直接相互作用することができ、メンブレンの撓みが抵抗器によって直接検出可能であることである。
【0010】
さらなる有利な発展形態によれば、制御デバイスは、第1および第2の領域を一時的に逆方向で、および一時的に順方向で動作させるように構成される。したがって、簡単に、一方では意図的に機能層の撓みのための電気信号を読み出すことができ、他方では、順方向でMEMSセンサに大電流を流すことができ、したがってMEMSセンサが加熱される。
【0011】
さらなる有利な発展形態によれば、第1の領域が凹部の形状に形成され、凹部内に少なくとも1つの電気素子が配置され、特に、凹部と少なくとも1つの電気素子とが異なるドーピングを有する。このようにして、電流が変換デバイスを通って流れずに、少なくとも1つの電気素子から流出するのを避けることができる。これにより、効率およびセンサ性能が改善される。「凹部」は、特に、丸みが付いた隅を有する本質的に3次元の体積を意味し、体積は、第1の材料によって側面まで画定され、残りの部分は第2の材料で完全に埋められる。
【0012】
さらなる有利な発展形態によれば、第1および/または第2の領域に、それぞれ複数の接点、特に貫通接点によって電圧を印加することができる。これにより達成される利点の1つは、それにより電流を2つの領域間の接合部の大きな断面積にわたって分散させることができることであり、これは、2つの領域間の接合部での抵抗を小さく保つことができるので、高い均一な電流の流れを可能にし、高い加熱を保証することができる。
【0013】
さらに有利な発展形態によれば、撓み可能に配置された機能層が第1の領域内に配置される。このようにして、少なくとも1つの電気素子によって、機能層の撓みを電気信号に直接変換することができる。この点で、設置スペースが縮小される。
【0014】
さらなる有利な発展形態によれば、少なくとも1つの追加の周囲要素が、特に追加の凹部の形状で配置され、少なくとも1つの追加の周囲要素が、第1の領域および第2の領域を少なくとも部分的に取り囲むように構成される。これにより、さらに多くの熱エネルギーの提供が可能になる。
【0015】
さらなる有利な発展形態によれば、少なくとも1つの領域に関して少なくとも1つの追加の接点が配置され、前記制御デバイスが、順方向での第1および第2の領域の動作によって熱エネルギーを提供し、時間的に並行して、変換デバイスから電気信号を提供することができるように変換デバイスを動作させるように構成される。このようにして、センサ性能がさらに改善される。
【0016】
さらなる有利な発展形態によれば、温度測定素子、特にダイオードが配置され、制御デバイスが、熱エネルギーの提供のために温度測定素子を動作させるように構成される。これにより、熱エネルギーの出力の正確な調整または制御が可能になる。
【0017】
本発明のさらなる重要な特徴および利点は、従属請求項、図面、および図面に基づく関連の図説から明らかになる。
当然、上述および後述の特徴は、それぞれ提示した組合せだけでなく、他の組合せでも、または単独でも、本発明の範囲を逸脱することなく使用することができることを理解されたい。
【0018】
本発明の好ましい構成および実施形態は、図面に示され、本明細書で以下により詳細に説明され、同じ参照符号は、同一、同様、または機能的に同一の構成要素または要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態によるMEMSセンサを示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるMEMSセンサを示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるMEMSセンサを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の一実施形態によるMEMSセンサを示す。
詳細には、
図1には、MEMSセンサ1が上面図で示されている。ここで、MEMSセンサ1は、基板(参照符号なし)を含む。基板には、第1の領域10および第2の領域11が配置される。ここで、第1および/または第2の領域は、表面に近いドープされた領域として、またはより深いドープされた凹部として、基板に直接提供することができる。ここでは、2つの領域が異なるドーピングを施されることが特に企図される。代替として、マスキングおよびドーピングの使用など従来のマイクロメカニクス的方法によって、第1および第2の領域を画定するための第1および第2の面が基板に設けられることも企図することができる。さらに、変換デバイス2が配置され、変換デバイス2は、ピエゾ抵抗器9を第1の領域10に有し、対応する電気接点4a、4b、6a、6bを第2の領域11に有するホイートストンブリッジ回路16を備える。さらに、第2の領域11には、温度センサダイオード8用の電気接点7も配置される。さらに、ホイートストンブリッジ回路16の接点4a、4bは、制御デバイス5に接続される。さらに、本質的に正方形の面上に本質的にL字形に形成された第2の領域11に、2つの接点6aおよび6bが配置される。ここで、接点4a、4b、6a、6bは、対応するメタライゼーション経路を介して、ピエゾ抵抗器9ならびに第1および第2の領域10、11などに接続される。
【0021】
第1の領域10は、L字形の第2の領域11の2つの辺の間に配置される。上述したように、第1の領域10には、4つのpドープされたピエゾ抵抗器9を有するホイートストンブリッジ回路16が配置される。これらは、一方では、第2の領域11に配置された電気信号を取り出すための接点6a、6bに接続され、他方では、同じく第2の領域11に配置された2つの接点4a、4bに接続され、それらの接点4a、4b間には制御デバイス5によって電圧を印加することができる。第1の領域10は、ここでは凹部として形成され、nドープされる。それに対し、第2の領域11は、pドープされる。さらに、pドープされたピエゾ抵抗器9は、MEMSセンサ1の撓み可能なメンブレン3に接続され、例えばメンブレン3に組み込まれる、または埋め込まれる。メンブレン縁部が、参照符号3aで示されている。メンブレン3が例えば圧力変化によって撓められる場合、それぞれのピエゾ抵抗器9が変化し、それに対応して変化した電気信号が、圧力またはその変化を測定するために接点6a、6bを介して提供される。
【0022】
接点4a、4bへの印加時に、電流が、完全なホイートストンブリッジ回路16を通って流れずにピエゾ抵抗器9から基板に流出するのを回避するために、これらのピエゾ抵抗器9は、凹部の形状を有する第1の領域10内に配設または配置され、例えば、pドープされたピエゾ抵抗器9はnドープされた凹部10内に配設または配置される。pドープされたピエゾ抵抗器9の場合、一方では、pドープされたピエゾ抵抗9がnドープされた凹部10に接続され、他方では、nドープされた凹部10が同様にpドープされた第2の領域11に逆方向で接続されるように、pドープされたピエゾ抵抗9はnドープされた凹部10よりも常に低い電位でなければならない。
【0023】
制御デバイス5は、ここで、nドープされた凹部10およびpドープされたピエゾ抵抗器9を、一方では、メンブレン3の撓みによる圧力信号を読み出すことができるように意図的に逆方向に動作させ、他方では、MEMSセンサ1を加熱する高い電流をMEMSセンサ1に導通することができるように意図的に順方向に動作させることを交互に行う。ここで、シーケンスまたはチェーン(「高電位」である接点4a、4bから、「低電位」である接点4b、4aへ)における最大抵抗は、順方向で動作されて2つの領域10、11、すなわちp型の領域11/n型の凹部10によって形成されたダイオードであり、あるいはまた金属導体路または半導体導体路からの抵抗であり得る。また、逆に、nドープされた抵抗器9の場合、pドープされた凹部10を使用することができる。
【0024】
より高い加熱電流を達成するために、pドープされたピエゾ抵抗器9の代わりに、pドープされた凹部11を使用することもできる。さらに、多数の密に配置された貫通接点60a、60bが示されており、貫通接点60a、60bは、2つの領域10、11のp/n接合の大きな断面積に電流を分配することができる。例えば、MEMS圧力センサパッケージを通常の熱結合で15℃加熱するためには、MEMSセンサ1に1.6Vの供給電圧で100Ω未満の加熱抵抗が必要とされ、したがって、16mAの電流の流れと32mWの電力出力が得られる。既知の圧力センサで一般的に使用されている温度ダイオードは、0.8Vで約1mAの電流を通す。
図1に示されるp/n領域ダイオード10、11についても同じ挙動を仮定すると、必要な電流の通過を可能にするために必要な断面積は16倍でよい。この断面積は、メンブレン3の周りに配設された領域10、11によって達成可能である。ここで、加熱出力の半分(0.8V)はダイオードで出力され、残りの半分(0.8V)は金属または半導体導体路で出力され、したがって、後者の導体路を適切に位置決めすることによって、チップ表面にわたって低い温度勾配を実現することができる。
【0025】
図1では、有利には、領域10、11が逆方向に動作される圧力センサ信号読み出しモードにおいて領域10、11のバリア層によって生じ得る漏れ電流がセンサ信号に影響を与えないように、ホイートストンブリッジ回路16の信号線用ではなく電圧供給用の接点4a、4bが、対応する金属導体路またはメタライゼーションを介して多数のバイアまたは貫通接点60a、60bに接続される。ホイートストンブリッジ回路16またはその接点4a、4bの外部電圧制御を行う場合には、ホイートストンブリッジ回路16を通る電流は、漏れ電流が変化しても大きく変化しない。
【0026】
電気信号を読み出すために、第1の接点4aは接地され、第2の接点4bには電圧VDDが印加される。したがって、第2の領域11は、第1の領域10よりも低い電位にあり、そのようにして2つの領域10、11の間に形成されたダイオードは、逆方向に動作される。電流は、ホイートストンブリッジ回路16を通って流れる。熱エネルギーを提供するためには、接点4bが接地され、制御デバイス5によって接点4aに電圧VDDが印加される。これにより、第2の領域11は、第1の領域10よりも高い電位を有し、したがって、2つの領域10、11の間に形成されたダイオードは順方向で動作される。電流は、第2の領域11から第1の領域10へ方向50に流れ、ダイオードによって形成される抵抗器は加熱抵抗器である。
【0027】
さらなる実施形態では、第1の領域10での貫通接点60b間の距離は、第2の領域11での貫通接点60aに比べて大きくすることができる。さらなる代替実施形態では、貫通接点60a、60bは、
図1に示されているのとは異なり、接点4a、4bに接続することはできず、少なくとも部分的に、特に完全に、接点6a、6bに接続される信号線に接続することができる。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態によるMEMSセンサを示す。
図2には、本質的に、
図1によるMEMSセンサ1が示されている。
図1によるMEMSセンサ1とは異なり、
図2によるMEMSセンサ1では、ここでは2つの追加の異なるドーピングを有する凹部14、15が配置されており、したがって、本質的に、内から外に以下の配置となる:内側にはnドープされた凹部10が配置され、nドープされた凹部10は、pドープされたピエゾ抵抗器9を有するホイートストンブリッジ回路16を含む。このnドープされた凹部10は、第2の凹部11によって取り囲まれ、第2の凹部11はpドープされ、第2の領域11に対応し、ホイートストンブリッジ回路16用の接点4a、4b、6a、6bを有する。さらに、ここでは、さらなるnドープされた凹部14が配置されており、nドープされた凹部14は、2つの凹部10、11を含み、さらにpドープされた凹部15内に配置される。ホイートストンブリッジ回路16の電気信号を読み出し、熱エネルギーを提供するための動作は、ここでも以下の通りであり、電流の流れ50は、加熱モードで凹部10から追加の凹部14に向かう。加熱モードでの電流の流れ50は、本質的に内から外に向かう。さらに、追加の接点12が配置され、この接点12は、接点4bと同じ電位にあり、貫通接点60aに電圧を均一に印加できるようにする。
【0029】
図3は、本発明の一実施形態によるMEMSセンサを示す。
詳細には、
図3には、
図2によるMEMSセンサ1が示されている。
図2によるMEMSセンサ1とは異なり、
図3によるMEMSセンサ1では追加の接点13が配置され、接点13は、接点4a、4bのそれぞれの電圧印加に依存せずに、加熱と測定とを並行して行うことを可能にする。このために、例えば、供給電圧V
DDを接点4aに印加することができ、接点4bを接地することができ、追加の接点13に負の供給電圧-V
DDを印加することができる。
【0030】
さらなる実施形態では、領域10、11、14、15によって形成されるダイオードの代わりに、またはそれに加えて、別個の温度センサダイオード8または温度センサMOSFETを使用することができる。これは、低電流では温度センサとして使用することができ、高電流では代替または追加の加熱素子として動作させることができる。
【0031】
要約すると、本発明の実施形態の少なくとも1つは、以下の利点のうちの少なくとも1つを有する。
・設置スペースの縮小
・コストの削減
・MEMSセンサのチップ面積の縮小
・容易な実装
本発明を好ましい例示的実施形態に基づいて述べてきたが、本発明は、それらの例示的実施形態に限定されるものではなく、様々に変更可能である。
【手続補正書】
【提出日】2021-07-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撓み可能に配置された機能層(3)と、
前記機能層(3)の撓みを電気信号に変換するための変換デバイス(2)であって、少なくとも1つの電気素子を含む変換デバイス(2)と、
制御デバイス(5)と、を含むMEMSセンサ(1)であって、
前記少なくとも1つの電気素子(9)が、第1の領域(10)に少なくとも部分的に電気的に接続され、前記第1の領域(10)が、第2の領域(11)に少なくとも部分的に電気的に接続され、第1および第2の領域(10、11)、ならびに/または、第1の領域(10)および前記少なくとも1つの電気素子(9)が、逆方向および順方向で電気的に動作可能であり、
前記制御デバイス(5)が、前記少なくとも1つの電気素子(9)および前記第1の領域(10)、ならびに/または、前記第1の領域(10)および前記第2の領域(11)を順方向で少なくとも部分的に動作させて、熱エネルギーを提供するように構成される、
MEMSセンサ。
【請求項2】
一方としての第1の領域(10)および少なくとも1つの電気素子(9)と、他方としての第1の領域(10)および第2の領域(11)とで、逆方向と順方向が逆である、請求項1に記載のMEMSセンサ。
【請求項3】
前記変換デバイス(2)が、抵抗器(9)の形での少なくとも4つの電気素子を有するホイートストンブリッジ回路を含む、請求項1または2に記載のMEMSセンサ。
【請求項4】
前記抵抗器(9)が、埋込型または拡散型のピエゾ抵抗器である、請求項3に記載のMEMSセンサ。
【請求項5】
前記制御デバイス(5)が、前記第1および第2の領域(10、11)を一時的に逆方向で、および一時的に順方向で動作させるように構成される、請求項1から4の少なくとも1つに記載のMEMSセンサ。
【請求項6】
前記第1の領域(10)が凹部の形状に形成され、前記凹部内に少なくとも1つの電気素子(9)が配置され、凹部(10)と前記少なくとも1つの電気素子(9)とが異なるドーピングを有する、請求項4または5に記載のMEMSセンサ。
【請求項7】
前記第1および/または第2の領域(10、11)に、それぞれ複数の接点(60a、60b)によって電圧を印加することができ、前記複数の接点を通って流れる電流が、前記電流のためのより広い断面積にわたってp/n接合によって分散される、請求項1から6のいずれか一項に記載のMEMSセンサ。
【請求項8】
前記撓み可能に配置された機能層(3)が、前記第1の領域(10)に配置される、請求項1から7のいずれか一項に記載のMEMSセンサ。
【請求項9】
少なくとも1つの追加の周囲要素(14、15)が、追加の凹部の形状で配置され、前記少なくとも1つの追加の周囲要素(14、15)が、前記第1の領域(10)および前記第2の領域(11)を少なくとも部分的に取り囲むように構成される、請求項1から8のいずれか一項に記載のMEMSセンサ。
【請求項10】
少なくとも1つの追加の接点(12、13)が配置され、前記制御デバイス(5)が、順方向での前記第1および第2の領域(10、11)の動作によって熱エネルギーを提供し、時間的に並行して、前記変換デバイス(2)から電気信号を提供することができるように変換デバイス(2)を動作させるように構成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のMEMSセンサ。
【請求項11】
温度測定素子(8)が配置され、前記制御デバイス(5)が、熱エネルギーの提供のために前記温度測定素子(8)を動作させるように構成される、請求項1から10のいずれか一項に記載のMEMSセンサ。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のMEMSセンサ(1)を動作させる方法であって、前記制御デバイス(5)によって、前記第1および第2の領域(10、11)が、熱エネルギーを提供するために順方向に少なくとも部分的に動作される、方法。
【国際調査報告】