(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-18
(54)【発明の名称】酸法による抗体薬物複合体中間体の調製方法及びその応用
(51)【国際特許分類】
C07K 16/00 20060101AFI20220311BHJP
A61P 35/00 20060101ALN20220311BHJP
A61K 39/395 20060101ALN20220311BHJP
A61K 38/05 20060101ALN20220311BHJP
A61K 38/06 20060101ALN20220311BHJP
A61K 47/68 20170101ALN20220311BHJP
【FI】
C07K16/00
A61P35/00
A61K39/395 L
A61K38/05
A61K38/06
A61K47/68
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021525571
(86)(22)【出願日】2019-11-14
(85)【翻訳文提出日】2021-05-11
(86)【国際出願番号】 CN2019118446
(87)【国際公開番号】W WO2021056754
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】201910934570.0
(32)【優先日】2019-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519463064
【氏名又は名称】煙台邁百瑞国際生物医薬股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MabPlex International Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.60, Beijing Middle Road, Yantai Development Zone, Yantai District, China(Shandong) Pilot Free Trade Zone Yantai, Shandong 264006 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 楽楽
(72)【発明者】
【氏名】黄 長江
(72)【発明者】
【氏名】孫 友祥
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE41
4C076EE59
4C084AA06
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA14
4C084BA15
4C084BA41
4C084CA51
4C084DA35
4C084NA20
4C084ZB261
4C084ZB262
4C085AA27
4C085BB31
4C085CC23
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA20
4H045BA11
4H045BA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA50
(57)【要約】
本発明は、酸法による抗体薬物複合体中間体の調製方法を提供し、酸性添加剤を使用してモノメチルアウリスタチン誘導体は塩となった後、反応に関与させ、酸性添加剤の加えにより最終生成物の収率を有意に向上させることができ、しかも、酸の価格が低く、最終的なADC製品の製造コストを大幅に削減する。さらに、本発明で提供される調製方法は、ワンステップ調製法を使用し、最終生成物のより高い収率の以外は、生産中、消耗品、手間、設備、場所、原材料などのコストを節約するだけでなく、生産廃液を大幅に削減し、生産コストを低減させ、生産効率を向上させ、工業的大規模生産に適している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸法による抗体薬物複合体中間体の調製方法であって、反応経路は、以下の通りであり、
【化1】
(式中、
Lは、アシル基を含む任意の連結基であり、
L’は、モノメチルアウリスタチン誘導体を共有結合させた後の連結基の残基であり、
溶媒A及び溶媒Bは、任意の極性又は非極性溶媒である。)
前記方法は、
1)連結基L、縮合剤、及び有機塩基を溶媒Aに溶解させ、溶液1を形成するステップと、
2)モノメチルアウリスタチン誘導体及び酸を溶媒Bに溶解させ、溶液2を形成するステップと、
3)溶液1を溶液2に加え、Lとモノメチルアウリスタチン誘導体の縮合反応によりL’-モノメチルアウリスタチン誘導体を得るステップと、を含み、
ここで、ステップ1)で加えられる有機塩基のモル量は、ステップ3)の反応系におけるすべての遊離カルボキシル基のモル量よりも多い、方法。
【請求項2】
前記酸は、トリフルオロ酢酸、スルホン酸から選ばれる1つ又は複数の組み合わせである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モノメチルアウリスタチン誘導体は、MMAF、MMAE、及びMMADを含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法の反応経路は、
【化2】
である請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記縮合剤は、DCC、EDCI、DIC、HATU、HBTU、HBPIPU、HBPyU、HCTU、HDMA、TATU、TBTU、TCTU、TCFH、TDBTU、TFFH、BTFFH 、PyBOP、PyClOP、PyAOP、PyCIU、DEPBT、EEDQの1つ又は複数であり、好ましくは、前記縮合剤はHATUであることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記有機塩基は、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、トリエチレンジアミン、N-メチルモルホリン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、N-メチルイミダゾール、キヌクリジン、トリメチルピリジンの1つ又は複数であり、好ましくは、前記有機塩基は、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミンであることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記溶媒A及び溶媒Bは、それぞれ独立して、DMF、DMA、NMP 、ジクロロメタン、四塩化炭素、DMSO、クロロホルム、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N,N-ジメチルプロピレン尿素、エチレングリコールジメチルエーテルから選ばれる1つ又は複数であり、溶媒A及び溶媒Bは、同一でも異なっていてもよく、好ましくは、溶媒A及び溶媒Bは、DMF、DMA、DMSOであることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記スルホン酸は、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルフィン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、(-)-10-カンファースルホン酸、(+)-10-カンファースルホン酸、及びメタンスルホン酸の1つ又は複数を含み、前記p-トルエンスルホン酸は、p-トルエンスルホン酸一水和物であることが好ましいことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記Lは、アシル基を含む任意の連結基であり、その構造が式(I)で示されることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【化3】
【請求項10】
前記Lは、
【化4】
から選ばれることを特徴とする請求項9前記方法。
【請求項11】
前記L’-MMAFは、
【化5】
から選ばれることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
対応するモノメチルアウリスタチン誘導体に対する前記酸用量のモル比は、1以上であることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記溶液1の溶液2への添加方法は、均一に添加することであり、さらに好ましくは、滴下で添加することであることを特徴とする請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1項に記載の方法の、抗体薬物複合体の調製における応用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗体薬物複合体の分野に関し、具体的には、抗体薬物複合体中間体の調製方法及び抗体薬物複合体の調製におけるその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
抗体薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate、ADC)は、新規な生物学的ミサイルとして、モノクローナル抗体標的化と小分子薬物細胞毒性の強力な組み合わせを実現し、腫瘍標的療法の分野で最も急速に成長している分野の1つである。ADCの3つの要件(抗体、細胞毒素及びリンカー)は、一緒になって標的化薬物送達システムを形成し、中でも、抗体は、標的化を達成し、リンカーは、ADCの血液輸送中の安定性を保証し、標的点に到達した後、毒素は、癌細胞に殺傷効果を発揮する。
現在、auristatin又はmaytansinoidsは、ADC開発で最も広く使用されている2つの有糸分裂阻害剤であり、ビンブラスチン結合部位の近くのチューブリンに結合して、引起G2/M細胞周期停止とそれに続くアポトーシスを引き起こすことができる。この細胞殺傷メカニズムは急速に増殖する細胞に非常に効果的であるが、非分裂及び静止細胞は薬剤の影響に対する感受性が低く、薬剤耐性につながる可能性があり、腫瘍細胞はほとんどの正常細胞よりも速く分裂するため、抗有糸分裂薬は癌細胞に特に効果的である。この固有の選択性のために、効率よい微小管阻害剤、例えば、メイタンシン及びauristatinは、臨床的に承認されたADC医薬品(brentuximabvedotin及びtrastuzumabemtansineなど)として首尾よく使用されている。
ドラスタチン(dolastatin)は、インド洋産のアメフラシ類であるタツナミガイ(Dolabella auricularia)に見られる高い細胞毒性を持つ線状ペプチド化合物であり、このような細胞毒性薬は、チューブリンの形成及び重合を大幅に阻害することができる。しかしながら、ドラスタチン 10は、単独で使用した場合、毒性と副作用が大きく、薬物動態特性が低く、治療域が狭いため、その開発が制限されている。Miyazakiらは、N末端に2級アミンを有するモノメチルアウリスタチン D(monomethyl auristatin D、MMAD)の毒性がドラスタチン 10と同等であることを発見し、このようなN-モノメチル置換ドラスタチン誘導体をアウリスタチン(auristatin)と名付け、それらは、リンカーとの効果的な接続を実現でき、新世代の高効率ADCも生み出される。現在、ADCの開発で一般的に使用される弾頭分子は、アウリスタチン類化合物MMAE及びMMAFである(胡馨月、李艶萍、李卓栄. 抗体薬物複合体の弾頭分子の研究進展[J].中国医薬生物技術、2017(6):549-555.)。
【0003】
MMAF(Monomethyl auristatin F)は、ドラスタチン10(dolastatin10、D10)の誘導体であり、細胞の有糸分裂を阻害することができ、強力な抗腫瘍活性を持つ。現在、臨床試験を行っている複数のADC製品にカップリングされる細胞傷害性分子には、MMAFがあり、現在のADCにおいて最も多く選択されているモノメチルアウリスタチン誘導体の1つでもある。但し、これらの小分子薬は高価である。
MMAFの市場価格は、10mgあたり5000元に近く、抗体にカップリングするための中間体Mc-MMAFの市場価格は、1mgあたり6000元に近く、MMAFからMc-MMAF中間体への価格は、10倍以上上昇する(MMAF、Mc-MMAFの価格は、https://www.medchemexpress.cn/mmaf-hydrochloride.html?src=360-product、https://www.medchemexpress.cn/McMMAF.htmlを参照する)。ADC中間体の高価格は、関連するADCの高い製造コストの重要な要因になる。
対応する細胞毒性分子よりも、関連するADC中間体(共有結合的リンカー-薬物複合体)の価格が急激に上昇する重要な理由は、抗体薬物複合体の中間体、即ち調製プロセスの収率が低いことである。従って、関連するADC中間体の収率を向上させることにより、ADC薬の大規模生産コストを効果的に制御することができる。
Mc-MMAFの構造は、以下の通りである。
【0004】
【0005】
Mc-MMAEの構造は、以下の通りである。
【0006】
【0007】
Mc-MMADの構造は、以下の通りである。
【0008】
【0009】
特許公開番号CN1938046Aの中国特許は、Mc-MMAFを調製するための2つの方法(明細書第206~207頁及び明細書第207~208頁)を開示しており、そのうちの1つは、tert-ブチルエステルによるMc-MMAFの合成であり、もう1つは、ジメトキシベンジルエステルによるMc-MMAFの合成であり、これらの2つの方法の合成経路は、それぞれ、以下の通りである。
(1)tert-ブチルエステルによるMc-MMAFの合成
【0010】
【0011】
(2)ジメトキシベンジルエステルによるMc-MMAFの合成
【0012】
【0013】
これらの2つの経路は、いずれも二段階合成法を使用し、tert-ブチルエステルによるMc-MMAFの合成経路は、まず、Mc-MMAF-OtBu(即ち、Mc-MeVal-Val-Dil-Dap-Phe-OtBu)を合成し、次に、トリフルオロ酢酸で脱エステル化し、Mc-MMAF(総収率は、60%未満である。)を得る。ジメトキシベンジルエステルによるMc-MMAFの合成経路は、まず、Mc-MMAF-ODMB(即ち、Mc-MeVal-Val-Dil-Dap-Phe-ODMB)を合成し、次いで、トリフルオロ酢酸で脱エステル化し、Mc-MMAFを得る。欠点は、二段階合成において、第1の階段の収率が57%であり、第2の階段の収率が73%であり、総収率が42%だけであり、また、MMAF-ODMBが得られにくい。
特許公開番号CN109824759Aの中国特許は、McとMMAFの直接反応によるMc-MMAFの調製方法(明細書の第2頁第[0009]行)も開示しており、そのプロセス経路は、以下の通りである。
【0014】
【0015】
その経路は、MMAFのN末端バリンのNには1つのメチル基があり、立体障害が大きく、この場合には、マレイミドn-ヘキサン酸(Mc-hex-Acid)をMMAFに連結すると、反応速度が遅くなる。その経路は、1g未満のMC-MMAFの合成に使用され、最後に、逆相キラル分離用分取HPLCを使用して異性体不純物を除去し、収率は、50%未満である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、酸法による抗体薬物複合体の中間体の調製方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る実施形態は、酸法による抗体薬物複合体中間体の調製方法であって、その反応経路は、以下の通りであり、
【0018】
【0019】
(式中、
Lは、アシル基を含む任意の連結基であり、
L’は、モノメチルアウリスタチン誘導体を共有結合させた後の連結基の残基であり、
溶媒A及び溶媒Bは、任意の極性又は非極性溶媒である。)
1)連結基L、縮合剤及び有機塩基を溶媒Aに溶解させ、溶液1を形成するステップと、
2)モノメチルアウリスタチン誘導体及び酸を溶媒Bに溶解させ、溶液2を形成するステップと、
3)溶液1を溶液2に加え、Lとモノメチルアウリスタチン誘導体の縮合反応によりL’-モノメチルアウリスタチン誘導体を得るステップと、を含み、
ここで、ステップ1)で加えられた有機塩基のモル量は、ステップ3)の反応系におけるすべての遊離カルボキシル基のモル量よりも多い、方法である。
【0020】
さらに、前記酸は、トリフルオロ酢酸、スルホン酸から選ばれる1つ又は複数の組み合わせである。
さらに、前記モノメチルアウリスタチン誘導体は、MMAF、MMAE、及びMMADを含む。
さらに、前記方法の反応経路は、次のとおりである。
【0021】
【0022】
さらに、前記縮合剤は、DCC、EDCI、DIC、HATU、HBTU、HBPIPU、HBPyU、HCTU、HDMA、TATU、TBTU、TCTU、TCFH、TDBTU、TFFH、BTFFH 、PyBOP、PyClOP、PyAOP、PyCIU、DEPBT、EEDQの1つ又は複数であり、好ましくは、前記縮合剤は、HATUである。
さらに、前記有機塩基は、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、トリエチレンジアミン、N-メチルモルホリン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、N-メチルイミダゾール、キヌクリジン、トリメチルピリジンの1つ又は複数であり、好ましくは、前記有機塩基は、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミンである。
【0023】
さらに、前記溶媒A及び溶媒Bは、それぞれ独立して、DMF、DMA、NMP、ジクロロメタン、四塩化炭素、DMSO、クロロホルム、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N,N-ジメチルプロピレン尿素、エチレングリコールジメチルエーテルから選ばれる1つ又は複数であり、溶媒A及び溶媒Bは、同一でも異なっていてもよく、好ましくは、溶媒A及び溶媒Bは、DMF、DMA、DMSOである。
また、前記スルホン酸は、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルフィン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、(-)-10-カンファースルホン酸、(+)-10-カンファースルホン酸、メタンスルホン酸の1つ又は複数を含み、前記p-トルエンスルホン酸は、p-トルエンスルホン酸一水和物であることが好ましい。
好ましくは、前記Lは、アシル基を含む任意の連結基であり、その構造が式(I)で示される。
【0024】
【0025】
より好ましくは、前記Lは、
【0026】
【0027】
から選ばれる。
より好ましくは、前記L’-MMAFは、
【0028】
【0029】
から選ばれる。
さらに、対応するモノメチルアウリスタチン誘導体に対する前記酸用量のモル比は、1以上、又は2以上であることが好ましい。
さらに、前記溶液1への溶液2の添加方法は、いずれも均一に添加する又は滴下することである。
【0030】
本発明は、さらに、抗体薬物複合体の調製における上記のいずれか1項に記載の方法の応用を提供する。
【発明の効果】
【0031】
本発明で提供される酸法による抗体薬物複合体中間体(具体的には、共有結合的な連結基-MMAF複合体)の調製方法は、従来の調製方法(特許公開番号CN1938046Aの中国特許の明細書の第2頁第[0009]行に開示されている調製方法)に基づいて酸性添加剤を加え、MMAFが塩になった後、反応に関与させ、一連の反応を経った後、酸性添加剤の添加により最終生成物の収率を有意に向上させることができることを予想外に発見し、しかも、酸の価格は低く(MMAFと比較して無視できる。)、最終的なADC製品の製造コストを大幅に削減する。さらに、特許公開番号CN1938046Aに開示されている2つの方法よりも、本発明で提供される調製方法は、ワンステップ調製法を使用し、最終生成物のより高い収率の以外は、生産中に、消耗品、手間、設備、場所、原材料などのコストを節約するだけでなく、生産廃液を大幅に削減し、生産コストを低減させ、生産効率を向上させ、工業的大規模生産に適している。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本発明の実施例2で各種のスルホン酸系添加剤を加えた生成物の液体クロマトグラムを示す。
【
図2】
図2は、本発明の実施例3で異なるモル量のp-トルエンスルホン酸一水合物を加えた場合の反応生成物の面積比(面積比とは、クロマトグラムにおいて生成物のピーク面積と基準面積の比であり、基準面積は、酸性添加剤とMMAF用量のモル比が1:1になる時のピーク面積である。)の折れ線グラフを示す。
【
図3】
図3は、本発明の実施例4で異なるモル量のN,N-ジイソプロピルエチルアミンを加えた反応生成物の液体クロマトグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[略語]
特に断りのない限り、本発明で使用されるすべての略語は、当業者によって理解されるのと同じ意味を有する。本発明で使用されるように、一般的に使用される略語およびそれらの定義は以下の通りである。
【0034】
【0035】
[定義]
明細書の様々な側面に関連する様々な用語は、明細書および特許請求の範囲全体で使用されている。特に明記しない限り、そのような用語は、当技術分野においてそれらの通常の意味を有する。その他の具体的に定義された用語は、本明細書で提供されている定義と一致する方法で理解する必要がある。
本明細書で使用される「1つ」、「1種」及び「前記」という用語は、標準的な慣習に従って使用され、文脈上別段の指示がない限り、1つまたは複数を意味する。従って、例えば、「抗体薬物複合体」への言及は、2つ又はそれ以上の抗体薬物複合体の組み合わせなどを含む。
本明細書において「含む」という言葉を使用して説明する場合の以外は、さらに「...からなる」及び/又は「基本に...からなる」という言葉で説明する類似の場合があることを理解すべきである。
【0036】
発明の広い範囲に示されている数値範囲およびパラメータの近似値であるが、具体的な実施例に示されている数値は、可能な限り正確に記録されている。しかしながら、いずれの値にもそれぞれの測定値に存在する標準偏差によって引き起こされる一定のエラーが本質的に含まれている。また、本明細書に開示されるすべての範囲は、そこに含まれるすべてのサブ範囲をカバーすると理解されるべきである。例えば、記載されている「1~10」という範囲は、最小値1から最大値10まで(エンドポイントを含む)のすべてのサブ範囲、つまり、最小値1又はそれ以上から始まるすべてのサブ範囲、例えば、1~6.1、及び最大値10又はそれ以下まで終わるすべてのサブ範囲、例えば、5.5~10を含むことを理解すべきである。また、「本明細書に組み込まれる」と呼ばれる参照は、その全体が組み込まれるものとして理解されるべきである。
本発明で使用される
とは、
を含む基がここで化学結合を介して他の基と結合していることを意味する。
本発明に係る「連結基」という用語とは、タンパク質/抗体分子およびMMAFとそれぞれ反応することができる二官能性または多機能基を有する分子を指し、したがって、「ブリッジ」としてタンパク質/抗体とMMAFとを連結される。本発明に係る連結基は、特に、構造にアシル基を含む基を指す。
本発明に係る「抗体薬物複合体中間体」という用語とは、共有結合的な連結基-MMAF複合体を意味する。
【0037】
以下、具体的な実施形態により本発明をさらに説明する。これらの実施形態は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解すべきである。以下の実施形態で特定の条件を指定しない実験方法は、通常、従来の条件又は製造元が推奨する条件に従って実施され、具体的な供給源が記載されていない試薬は、市場で購入されている通常の試薬である。特に明記されていない限り、すべての百分率、比率、割合、又は部は、重量とするものである。
本発明に係る重量体積パーセントの単位は、当業者に周知であり、例えば、100mlの溶液中の溶質の重量を指す。
特に定義されていない限り、本明細書で使用されているすべての本分野および科学的用語は、当業者によって理解されるものと同じ意味を有する。さらに、本明細書に記載されたものと類似又は同等である任意の方法及び材料は、本発明の方法に適用することができる。本明細書に記載されている好ましい実施形態及び材料は、例示されたものだけである。
【実施例】
【0038】
実施例1 Mc-MMAF調製方法の酸性試薬の添加効果の対照
Mc-MMAF調製方法1(酸なし)
【0039】
【0040】
Mc-OH 84.6mg及びHATU 144.6mgを秤量し、50mLの丸底フラスコに加え、5mLシリンジを使用してN,N-ジメチルホルムアミド 5mLを丸底フラスコに入れ、次いで、200μLのピペットマンを使用してN,N-ジイソプロピルエチルアミン 165.4μLを吸い取ってサンプルボトルに入れ、マグネチックスターラー上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 146.4mgを秤量して25mL丸底フラスコに投入し、10mLのシリンジでN,N-ジメチルホルムアミド 10mLを採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、マグネチックスターラー上の氷浴を取り外し、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
反応終了後、ロータリーエバポレーターで溶媒をよく蒸発させ、アセトニトリル 5mLを加え、5mLのシリンジで吸い取った後、シリンジフィルター(有機溶媒用)で10mLのオートサンプラーバイアルにろ過し、分取HPLCにより精製した。調製方法は、移動相A:H2O、0.1%HCOOH、移動相B:MeCN、0.1%HCOOH、流速40mL/min、グラジエント:25% B-70% B、30min、25.1minの時点にピークが現れた。1回目の注入で5mLロードし、分取液45mLを得、サンプルボトルにアセトニトリル 5mLを加え、2回目の注入で5mLロードし、分取液45mLを得た。得られた分取液を250mLの丸底フラスコに合わせ、-80℃の冷蔵庫に入れて3h冷凍し、凍結乾燥機に入れて凍結乾燥した後、Mc-MMAFの純粋な製品102.7mg(収率52%)を得た。LC-MS:(M+H) +:924.4;(M-H) -:922.9。
【0041】
Mc-MMAFの調製方法2(トリフルオロ酢酸の添加)
【0042】
【0043】
Mc-OH 84.8mg及びHATU 144.7mgを秤量し、50mLの丸底フラスコに入れ、5mLのシリンジでN,N-ジメチルホルムアミド 5mLを採取して丸底フラスコに入れ、次いで200μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン165.4μLを採取してサンプルボトルに入れ、マグネチックスターラー上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 146.4mg及びトリフルオロ酢酸22.8mgを秤量し、25mLの丸底フラスコに加え、10mLのシリンジでN,N-ジメチルホルムアミド 10mLを採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、マグネチックスターラー上の氷浴を取り外し、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
反応終了後、ロータリーエバポレーターで溶媒をよく蒸発させ、アセトニトリル 5mLを加え、5mLのシリンジで吸い取った後、シリンジフィルター(有機溶媒用)で10mLのオートサンプラーバイアルにろ過し、分取HPLCにより精製した。調製方法は、移動相A:H2O、0.1%HCOOH、移動相B:MeCN、0.1%HCOOH、流速40mL/min、グラジエント:25% B-70% B、30min、25.1minの時点にピークが現れた。1回目の注入で5mLロードし、分取液45mLを得、サンプルボトルにアセトニトリル 5mLを加え、2回目の注入で5mLロードし、分取液45mLを得た。得られた分取液を250mLの丸底フラスコに合わせ、-80℃の冷蔵庫に入れて3h冷凍し、凍結乾燥機に入れて凍結乾燥した後、Mc-MMAFの純粋な製品114.1mg(収率62%)を得た。LC-MS:(M+H) +:924.4;(M-H) -:922.9。
【0044】
Mc-MMAFの調製方法3(p-トルエンスルホン酸一水合物の添加)
【0045】
【0046】
Mc-OH 84.6mg及びHATU 144.2mgを秤量し、50mLの丸底フラスコに入れ、5mLのシリンジでN,N-ジメチルホルムアミド 5mLを採取して丸底フラスコに入れ、次いで200μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン165.4μLを採取してサンプルボトルに入れ、マグネチックスターラー上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 146.4mg及びp-トルエンスルホン酸一水合物34.8mgを秤量し、25mLの丸底フラスコに加え、10mLのシリンジでN,N-ジメチルホルムアミド 10mLを採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、マグネチックスターラー上の氷浴を取り外し、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
反応終了後、ロータリーエバポレーターで溶媒をよく蒸発させ、アセトニトリル 5mLを加え、5mLのシリンジで吸い取った後、シリンジフィルター(有機溶媒用)で10mLのオートサンプラーバイアルにろ過し、分取HPLCにより精製した。調製方法は、移動相A:H2O、0.1%HCOOH、移動相B:MeCN、0.1%HCOOH、流速40mL/min、グラジエント: 25% B-70% B、30min、25.1minの時点にピークが現れた。1回目の注入で5mLロードし 、分取液45mLを得、サンプルボトルにアセトニトリル 5mLを加え、2回目の注入で5mLロードし 、分取液45mLを得た。得られた分取液を250mLの丸底フラスコに合わせ、-80℃の冷蔵庫に入れて3h冷凍し、凍結乾燥機に入れて凍結乾燥した後、Mc-MMAFの純粋な製品125.9mg(収率68%)を得た。LC-MS:(M+H) +:924.4;(M-H) -:922.9。
【0047】
Mc-MMAFの調製方法4((-)-10-カンファースルホン酸の添加)
【0048】
【0049】
Mc-OH 84.2mg及びHATU 144.4mgを秤量し、50mLの丸底フラスコに入れ、5mLのシリンジでN,N-ジメチルホルムアミド 5mLを採取して丸底フラスコに入れ、次いで200μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン165.4μLを採取してサンプルボトルに入れ、マグネチックスターラー上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 147.0mg及び(-)-10-カンファースルホン酸46.8mgを秤量し、25mLの丸底フラスコに加え、10mLのシリンジでN,N-ジメチルホルムアミド 10mLを採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、マグネチックスターラー上の氷浴を取り外し、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
反応終了後、ロータリーエバポレーターで溶媒をよく蒸発させ、アセトニトリル 5mLを加え、5mLのシリンジで吸い取った後、シリンジフィルター(有機溶媒用)で10mLのオートサンプラーバイアルにろ過し、分取HPLCにより精製した。調製方法は、移動相A:H2O、0.1%HCOOH、移動相B:MeCN、0.1%HCOOH、流速40mL/min、グラジエント: 25% B-70% B、30min、25.1minの時点にピークが現れた。1回目の注入で5mLロードし 、分取液45mLを得、サンプルボトルにアセトニトリル 5mLを加え、2回目の注入で5mLロードし 、分取液45mLを得た。得られた分取液を250mLの丸底フラスコに合わせ、-80℃の冷蔵庫に入れて3h冷凍し、凍結乾燥機に入れて凍結乾燥した後、Mc-MMAFの純粋な製品117.4mg(収率64%)を得た。LC-MS:(M+H) +:924.4;(M-H) -:922.9。
【0050】
Mc-MMAFの調製方法5(トリフルオロメタンスルホン酸の添加)
【0051】
【0052】
Mc-OH 84.6mg及びHATU 144.7mgを秤量し、50mLの丸底フラスコに入れ、5mLのシリンジでN,N-ジメチルホルムアミド 5mLを採取して丸底フラスコに入れ、次いで200μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン165.4μLを採取してサンプルボトルに入れ、マグネチックスターラー上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 146.5mg及びトリフルオロメタンスルホン酸30.0mgを秤量し、25mLの丸底フラスコに加え、10mLのシリンジでN,N-ジメチルホルムアミド 10mLを採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、マグネチックスターラー上の氷浴を取り外し、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
反応終了後、ロータリーエバポレーターで溶媒をよく蒸発させ、アセトニトリル 5mLを加え、5mLのシリンジで吸い取った後、シリンジフィルター(有機溶媒用)で10mLのオートサンプラーバイアルにろ過し、分取HPLCにより精製した。調製方法は、移動相A:H2O、0.1%HCOOH、移動相B:MeCN、0.1%HCOOH、流速40mL/min、グラジエント: 25% B-70% B、30min、25.1minの時点にピークが現れた。1回目の注入で5mLロードし、分取液45mLを得、サンプルボトルにアセトニトリル 5mLを加え、2回目の注入で5mLロードし 、分取液45mLを得た。得られた分取液を250mLの丸底フラスコに合わせ、-80℃の冷蔵庫に入れて3h冷凍し、凍結乾燥機に入れて凍結乾燥した後、Mc-MMAFの純粋な製品121.2mg(収率66%)を得た。LC-MS:(M+H) +:924.4;(M-H) -:922.9。
【0053】
前記の試験では、上記Mc-MMAFの調製方法1に基づいてさらに検討を行い、MMAF反応溶液を調製する際、酸又はアルカリ試薬を加えることによりMMAFをまず塩に変換させ、その後、反応を行った。予備試験においてトリフルオロ酢酸、カリウムtert-ブトキシドなどの試薬を添加することにより、MMAF反応試薬を調製する際、トリフルオロ酢酸を加えた後(Mc-MMAFの調製方法2)、Mc-MMAFの製品収率が大幅に向上したことを発見した。
そして、他の酸を添加する効果を検討した。中でも、さまざまな酸の添加は、いずれも製品収率に驚くべき影響を及ぼした。例えば、比較対照試験のために、p-トルエンスルホン酸一水和物を添加すると(Mc-MMAFの調製方法3)、Mc-MMAFの製品収率も驚くほど向上した。Mc-MMAFの製品収率は、52%から68%に向上し、収率の絶対値は、16%向上し、酸を添加しない調製方法1よりも、酸を添加した後の収率の相対値は、30.7%((68%-52%)/52%)向上した。さらに、(-)-10-カンファースルホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸を加える試験群におけるMc-MMAFの製品収率は、それぞれ64%及び66%に達した。
試験結果は、反応系に酸性試薬を加えることによりMc-MMAFの製品収率を効果的に向上させることができることを示した。
【0054】
実施例2 各種のスルホン酸系添加剤の添加による試験結果
【0055】
【0056】
試験例1)(-)-10-カンファースルホン酸の添加:
Mc-OH 11.5mg及びHATU 20.5mgを秤量し、5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを採取してサンプルボトルに入れ、次いで100μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン22.3μLを採取してサンプルボトルに入れ、並行反応撹拌機上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 20.0mg及び(-)-10-カンファースルホン酸6.3mgを秤量し、別の5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを2回採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、反応フラスコを並行反応器上にセットし、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
【0057】
試験例2)(+)-10-カンファースルホン酸の添加:
Mc-OH 11.5mg及びHATU 20.5mgを秤量し、5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを採取してサンプルボトルに入れ、次いで100μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン22.3μLを採取してサンプルボトルに入れ、並行反応撹拌機上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 20.0mg及び(+)-10-カンファースルホン酸6.3mgを秤量し、別の5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを2回採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、反応フラスコを並行反応器上にセットし、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
【0058】
試験例3)10-カンファースルホン酸の添加:
Mc-OH 11.5mg及びHATU 20.5mgを秤量し、5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを採取してサンプルボトルに入れ、次いで100μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン22.3μLを採取してサンプルボトルに入れ、並行反応撹拌機上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 20.0mg及び10-カンファースルホン酸6.3mgを秤量し、別の5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを2回採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、反応フラスコを並行反応器上にセットし、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
【0059】
試験例4)メタンスルホン酸の添加:
Mc-OH 11.5mg及びHATU 20.5mgを秤量し、5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを採取してサンプルボトルに入れ、次いで100μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン22.3μLを採取してサンプルボトルに入れ、並行反応撹拌機上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 20.0mg及びメタンスルホン酸2.6mgを秤量し、別の5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを2回採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、反応フラスコを並行反応器上にセットし、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
【0060】
試験例5)トリフルオロメタンスルホン酸の添加:
Mc-OH 11.5mg及びHATU 20.5mgを秤量し、5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを採取してサンプルボトルに入れ、次いで100μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン22.3μLを採取してサンプルボトルに入れ、並行反応撹拌機上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 20.0mg及びトリフルオロメタンスルホン酸 4.1mgを秤量し、別の5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを2回採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、反応フラスコを並行反応器上にセットし、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
【0061】
試験例6)p-トルエンスルホン酸一水合物の添加:
Mc-OH 11.5mg及びHATU 20.5mgを秤量し、5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを採取してサンプルボトルに入れ、次いで100μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン22.3μLを採取してサンプルボトルに入れ、並行反応撹拌機上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 20.0mg及びp-トルエンスルホン酸一水合物4.7mgを秤量し、別の5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを2回採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、反応フラスコを並行反応器上にセットし、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
【0062】
検出結果は、
図1に示し、各種のスルホン酸、例えば、(-)-10-カンファースルホン酸、(+)-10-カンファースルホン酸、10-カンファースルホン酸、メタンスルホン酸及びトリフルオロメタンスルホン酸といった添加剤を反応系に加えることにより、p-トルエンスルホン酸一水和物の添加剤の添加と同等の反応促進効果が得られ、いずれもMc-MMAFの製品収率を効果的に向上させることができた。
【0063】
実施例3 酸性添加剤の添加量による試験への影響
試験例1)酸性添加剤なし:
Mc-OH 11.5mg(0.055mmol)及びHATU 20.5mg(0.054mmol)を秤量し、5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを採取してサンプルボトルに入れ、次いで100μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン 35.7μL(0.216mmol)を採取してサンプルボトルに入れ、並行反応撹拌機上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。秤量MMAF 20.0mg(0.027mmol)、別の5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを2回採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、反応フラスコを並行反応器上にセットし、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
【0064】
試験例2)酸性添加剤とMMAF用量のモル比1:
100: Mc-OH 11.5mg及びHATU 20.5mgを秤量し、5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを採取してサンプルボトルに入れ、次いで100μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン35.7μLを採取してサンプルボトルに入れ、並行反応撹拌機上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 20.0mg及びp-トルエンスルホン酸一水合物46μg(2.7*10-4mmol)を秤量し、別の5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを2回採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、反応フラスコを並行反応器上にセットし、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
【0065】
試験例3)酸性添加剤とMMAF用量のモル比1:20:
Mc-OH 11.5mg及びHATU 20.5mgを秤量し、5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを採取してサンプルボトルに入れ、次いで100μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン35.7μLを採取してサンプルボトルに入れ、並行反応撹拌機上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 20.0mg及びp-トルエンスルホン酸一水合物0.23mg(13.5*10-4mmol)を秤量し、別の5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを2回採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、反応フラスコを並行反応器上にセットし、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
【0066】
試験例4)酸性添加剤とMMAF用量のモル比1:10:
Mc-OH 11.5mg及びHATU 20.5mgを秤量し、5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを採取してサンプルボトルに入れ、次いで100μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン35.7μLを採取してサンプルボトルに入れ、並行反応撹拌機上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 20.0mg及びp-トルエンスルホン酸一水合物0.46mg(2.7*10-3mmol)を秤量し、別の5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを2回採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、反応フラスコを並行反応器上にセットし、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
【0067】
試験例5)酸性添加剤とMMAF用量のモル比1:5:
Mc-OH 11.5mg及びHATU 20.5mgを秤量し、5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを採取してサンプルボトルに入れ、次いで100μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン35.7μLを採取してサンプルボトルに入れ、並行反応撹拌機上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 20.0mg及びp-トルエンスルホン酸一水合物0.92mg(5.4*10-3mmol)を秤量し、別の5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを2回採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、反応フラスコを並行反応器上にセットし、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
【0068】
試験例6)酸性添加剤とMMAF用量のモル比2:5:
Mc-OH 11.5mg及びHATU 20.5mgを秤量し、5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを採取してサンプルボトルに入れ、次いで100μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン35.7μLを採取してサンプルボトルに入れ、並行反応撹拌機上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 20.0mg及びp-トルエンスルホン酸一水合物1.84mg(0.011mmol)を秤量し、別の5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを2回採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、反応フラスコを並行反応器上にセットし、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
【0069】
試験例7)酸性添加剤とMMAF用量のモル比1:2:
Mc-OH 11.5mg及びHATU 20.5mgを秤量し、5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを採取してサンプルボトルに入れ、次いで100μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン35.7μLを採取してサンプルボトルに入れ、並行反応撹拌機上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 20.0mg及びp-トルエンスルホン酸一水合物2.3mg(0.014mmol)を秤量し、別の5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを2回採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、反応フラスコを並行反応器上にセットし、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
【0070】
試験例8)酸性添加剤とMMAF用量のモル比1:1:
Mc-OH 11.5mg及びHATU 20.5mgを秤量し、5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを採取してサンプルボトルに入れ、次いで100μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン35.7μLを採取してサンプルボトルに入れ、並行反応撹拌機上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 20.0mg及びp-トルエンスルホン酸一水合物4.6mg(0.027mmol)を秤量し、別の5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを2回採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、反応フラスコを並行反応器上にセットし、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
【0071】
試験例9)酸性添加剤とMMAF用量のモル比2:1:
Mc-OH 11.5mg及びHATU 20.5mgを秤量し、5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを採取してサンプルボトルに入れ、次いで100μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン35.7μLを採取してサンプルボトルに入れ、並行反応撹拌機上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 20.0mg及びp-トルエンスルホン酸一水合物9.3mg(0.054mmol)を秤量し、別の5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを2回採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、反応フラスコを並行反応器上にセットし、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
【0072】
試験例10)酸性添加剤とMMAF用量のモル比3:1:
Mc-OH 11.5mg及びHATU 20.5mgを秤量し、5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを採取してサンプルボトルに入れ、次いで100μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン35.7μLを採取してサンプルボトルに入れ、並行反応撹拌機上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 20.0mg及びp-トルエンスルホン酸一水合物13.9mg(0.081mmol)を秤量し、別の5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを2回採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、反応フラスコを並行反応器上にセットし、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
【0073】
試験例11)酸性添加剤とMMAF用量のモル比4:1:
Mc-OH 11.5mg及びHATU 20.5mgを秤量し、5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを採取してサンプルボトルに入れ、次いで100μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン35.7μL を採取してサンプルボトルに入れ、並行反応撹拌機上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 20.0mg及びp-トルエンスルホン酸一水合物18.6mg(0.108mmol)を秤量し、別の5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを2回採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、反応フラスコを並行反応器上にセットし、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
【0074】
検出結果は、
図2に示し、酸性添加剤とMMAF用量のモル比が1を超える場合には、反応に有意な促進効果を発揮することを示した。
【0075】
実施例4 溶液1における有機塩基の添加量による反応系への影響
溶液1(連結基を含む溶液)で使用される有機塩基の用量が反応の結果に影響を与えるかどうかを検証するために、本実施例では、DIPEAを例として関連する実験をさらに実行した。
【0076】
試験例1)塩基性添加剤(DIPEA)と酸性添加剤用量のモル比2:1:
Mc-OH 11.5mg(0.055mmol)及びHATU 20.5mg(0.054mmol)を秤量し、5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを採取してサンプルボトルに入れ、次いで100μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン8.9μL(0.055mmol)を採取してサンプルボトルに入れ、並行反応撹拌機上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 20.0mg(0.027mmol)及びp-トルエンスルホン酸一水合物4.6mg(0.027mmol)を秤量し、別の5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを2回採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、反応フラスコを並行反応器上にセットし、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
【0077】
試験例2)塩基性添加剤(DIPEA)と酸性添加剤用量のモル比3:1:
Mc-OH 11.5mg及びHATU 20.5mgを秤量し、5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを採取してサンプルボトルに入れ、次いで100μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン13.4μL(0.081mmol)を採取してサンプルボトルに入れ、並行反応撹拌機上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。秤量MMAF 20.0mg和p-トルエンスルホン酸一水合物4.6mg、別の5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを2回採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、反応フラスコを並行反応器上にセットし、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
【0078】
試験例3)塩基性添加剤(DIPEA)と酸性添加剤用量のモル比4:1:
Mc-OH 11.5mg及びHATU 20.5mgを秤量し、5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを採取してサンプルボトルに入れ、次いで100μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン17.9μL(0.108mmol)を採取してサンプルボトルに入れ、並行反応撹拌機上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 20.0mg及びp-トルエンスルホン酸一水合物4.6mgを秤量し、別の5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを2回採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、反応フラスコを並行反応器上にセットし、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
【0079】
試験例4)塩基性添加剤(DIPEA)と酸性添加剤用量のモル比5:1:
Mc-OH 11.5mg及びHATU 20.5mgを秤量し、5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを採取してサンプルボトルに入れ、次いで100μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン22.3μL(0.135mmol)を採取してサンプルボトルに入れ、並行反応撹拌機上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 20.0mg及びp-トルエンスルホン酸一水合物4.6mgを秤量し、別の5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを2回採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、反応フラスコを並行反応器上にセットし、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
【0080】
試験例5)塩基性添加剤(DIPEA)と酸性添加剤用量のモル比6:1:
Mc-OH 11.5mg及びHATU 20.5mgを秤量し、5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを採取してサンプルボトルに入れ、次いで100μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン26.8μL(0.162mmol)を採取してサンプルボトルに入れ、並行反応撹拌機上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 20.0mg及びp-トルエンスルホン酸一水合物4.6mgを秤量し、別の5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを2回採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、反応フラスコを並行反応器上にセットし、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
【0081】
試験例6)塩基性添加剤(DIPEA)と酸性添加剤用量のモル比7:1:
Mc-OH 11.5mg及びHATU 20.5mgを秤量し、5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを採取してサンプルボトルに入れ、次いで100μLのピペットマンでN,N-ジイソプロピルエチルアミン31.3μL(0.189mmol)を採取してサンプルボトルに入れ、並行反応撹拌機上に置き、回転子を入れ、室温で0.5h撹拌した。MMAF 20.0mg及びp-トルエンスルホン酸一水合物4.6mgを秤量し、別の5mLのサンプルボトルに入れ、1mLのピペットマンでN,N-ジメチルホルムアミド1mLを2回採取してサンプルボトルに入れ、回転子を入れ、マグネチックスターラー上に置き、氷浴中で撹拌した。氷浴条件下で、5mLのプラスチックスポイトを使用してMc-OH系をMMAFの溶液に移し、反応フラスコを並行反応器上にセットし、1h撹拌し続けた。反応を停止し、10μLのピペットマンで10μL採取して1.5mL遠心分離管に入れ、次に1mLのピペットマンでアセトニトリル1mLを採取して遠心分離管に入れ、さらに、1mLのシリンジで吸い取った後にシリンジフィルター(有機溶媒用)を使用してろ過した後、サンプルを注入し、LC-MSにより反応の状況を検出した。
【0082】
反応系全体において、MMAFの投入量が0.027mmolである場合には、投入されるMc-OHは0.055mmolモルであり、酸試薬は0.027mmolモルであり、反応系に存在する遊離カルボキシル基の合計は0.109mmolである。
図3の検出結果より、DIPEAが投入されるモル量が0.108mmol以下である場合には、反応しないか、反応速度が遅く、DIPEAモル量が0.108mmolを超えた後、つまり、系中に存在する有機塩基のモル量が反応系中に存在する遊離カルボキシル基の合計のモル量を超えた後、反応促進効果が有意になることを示した。
上記の実施例から、酸性添加剤を添加しない場合(実施例1中調製方法1)よりも、本発明で提供される調製方法(即ち、酸法による抗体薬物複合体の中間体の調製法)によって調製されるMc-MMAFの収率が有意に向上し、予期しない技術的効果を持つことを理解することが困難ではない。
【0083】
以上より、上記のMc-MMAFの合成を試験例として検証された試験原理によれば、酸試薬を添加してモノメチルアウリスタチン誘導体を塩に変換した後、その後の反応を行うことにより、反応の進行を促進し、収率を大幅に向上させることができることを推定できる。また、生産においては、生産消耗品、手間、設備、場所、原材料などのコストを節約するだけでなく、生産廃液を大幅に削減し、生産コストを削減し、生産効率を向上させ、工業用大規模生産に適している。
【0084】
本発明は、それぞれの具体的な実施形態によって例示されて説明された。しかしながら、当業者は、本発明がそれぞれの具体的な実施形態に限定されず、本発明の範囲内で様々な変更または修正を行うことができ、かつ本明細書の様々な場所で言及される様々な技術的特徴を互いに組み合わせることができ、本発明の精神および範囲から逸脱しないことを理解すべきである。これらの変更および修正は、いずれも本発明の範囲内である。
【国際調査報告】