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特表2022-519066車両の駆動部のための動作方法および制御ユニットならびに車両
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  • 特表-車両の駆動部のための動作方法および制御ユニットならびに車両 図1
  • 特表-車両の駆動部のための動作方法および制御ユニットならびに車両 図2
  • 特表-車両の駆動部のための動作方法および制御ユニットならびに車両 図3
  • 特表-車両の駆動部のための動作方法および制御ユニットならびに車両 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-18
(54)【発明の名称】車両の駆動部のための動作方法および制御ユニットならびに車両
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/45 20100101AFI20220311BHJP
【FI】
B62M6/45
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544501
(86)(22)【出願日】2020-01-13
(85)【翻訳文提出日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 EP2020050637
(87)【国際公開番号】W WO2020156784
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】102020200198.7
(32)【優先日】2020-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019201338.4
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】マネバルト,メルリン・マルティン
(57)【要約】
本発明は、筋力でおよび追加的にモータの力で駆動可能な車両(1)、自転車、電動自転車、eバイク、ペデレック、および/またはS-ペデレックの駆動部(80)のための動作方法であって、(i)駆動部(80)によって生成されてまたは生成可能で、車両(1)の従動軸(15)に供給可能なおよび/または供給されるモータトルクが、車両(1)の速度に依存して、第1および低い方の境界速度(vmin)と第2および高い方の境界速度(vmax)との間の範囲内で、車両(1)の速度に伴って単調に落ちていく推移で制御および/または調節され、かつ(ii)第1の境界速度(vmin)および第2の境界速度(vmax)の少なくとも一方が可変に調整可能であるおよび/または可変に調整される動作方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筋力でおよび追加的にモータの力で駆動可能な車両(1)、自転車、電動自転車、eバイク、ペデレック、および/またはS-ペデレックの駆動部(80)のための動作方法であって、
- 前記駆動部(80)によって生成されて、前記車両(1)の従動軸(15)に供給可能なおよび/または供給されるモータトルクが、前記車両(1)の速度に依存して、第1および低い方の境界速度(vmin)と第2および高い方の境界速度(vmax)との間の範囲内で、前記車両(1)の前記速度に伴って単調に落ちていく推移で制御および/または調節され、かつ
- 前記第1の境界速度(vmin)および前記第2の境界速度(vmax)の少なくとも一方が可変に調整可能であるおよび/または可変に調整される動作方法。
【請求項2】
- 前記車両(1)の第1の動作量が捕捉されて、前記捕捉した動作量の値に基づいて前記第1の境界速度(vmin)および前記第2の境界速度(vmax)の可変の調整がなされ、かつ/または
- 可変の調整が、とりわけ手動のユーザ入力および/もしくはユーザ要求に基づいてなされる、請求項1に記載の動作方法。
【請求項3】
前記車両(1)の動作量として、前記車両(1)の加速度および/または運転者により前記車両(1)の前記従動軸(15)に供給された筋肉によるトルクが捕捉される、請求項2に記載の動作方法。
【請求項4】
前記第1および低い方の境界速度(vmin)が、前記車両(1)の加速度に依存しておよび/または運転者により筋肉で前記車両(1)の前記従動軸(15)に供給されたトルクに依存して調整される、請求項1から3のいずれか一項に記載の動作方法。
【請求項5】
前記第1および低い方の境界速度(vmin)が、前記第1および低い方の境界速度(vmin)が、前記車両の加速度の低下の際には高くされる、請求項1から4のいずれか一項に記載の動作方法。
【請求項6】
前記第1および低い方の境界速度(vmin)が、運転者により前記従動軸(15)に供給された筋肉によるトルクの低下に対しては高くされる、請求項1から4のいずれか一項に記載の動作方法。
【請求項7】
前記第1および低い方の境界速度(vmin)が、前記車両の加速度の上昇の際には高くされる、請求項1から4のいずれか一項に記載の動作方法。
【請求項8】
前記第1および低い方の境界速度(vmin)が、運転者により前記従動軸(15)に供給された筋肉によるトルクの上昇に対しては高くされる、請求項1から4のいずれか一項に記載の動作方法。
【請求項9】
前記駆動部(80)によって生成されて、前記車両(1)の前記従動軸(15)に供給される前記モータトルクが、前記第1の境界速度(vmin)と前記第2の境界速度(vmax)の間の範囲内で、前記車両(1)の前記速度に伴って線形の推移、部分的に線形の推移、および/または厳密に単調に落ちていく推移で制御および/または調節される、請求項1から8のいずれか一項に記載の動作方法。
【請求項10】
前記駆動部(80)により前記車両(1)の前記従動軸(15)に供給可能なおよび/または供給された前記モータトルクが、基礎になっているモータ(3)によって最大限で生成可能で、かつ/もしくは最大限で前記従動軸(15)に供給可能なトルクに対する割合を介して、ならびに/または運転者によりとりわけその時に供給可能なおよび/もしくは供給された前記筋肉によるトルクに対する増強率を介して決定される、請求項1から9のいずれか一項に記載の動作方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の動作方法を実行する、動作させる、指示する、および/もしくは制御するよう、ならびに/またはこのような方法において使用されるよう適応された、筋力でおよび追加的にモータの力で駆動可能な車両(1)、自転車、電動自転車、eバイク、ペデレック、および/またはS-ペデレックの駆動部(80)のための制御ユニット(10)。
【請求項12】
駆動部(80)と、前記駆動部(80)の制御のために適応された請求項11に記載の制御ユニット(10)とを備えた、筋力でおよび追加的にモータの力で駆動可能な車両(1)、自転車、電動自転車、eバイク、ペデレック、および/またはS-ペデレック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の駆動部のための動作方法および制御ユニットならびに車両自体に関する。本発明は、特に、筋力でおよび追加的にモータの力で駆動可能な車両、とりわけ自転車、電動自転車、eバイク、ペデレック、および/またはS-ペデレックの駆動部のための動作方法および制御ユニットならびにこのような車両自体に関する。
【背景技術】
【0002】
筋力に加えてモータの力でアシストされる車両、とりわけ電動自転車、eバイク、ペデレック、および/またはS-ペデレックの場合、最大アシスト速度とも言える第1の設定された境界速度に達すると、モータによるアシストが下方に調節され、最終的には第2の設定された境界速度を超えた時点で終了される。これまで用いられていた制御メカニズムでは、この下方調節がしばしば邪魔および唐突と感じられる。
【発明の概要】
【0003】
これに対し、請求項1の特徴を有する、駆動部のための本発明による動作方法は、必要な下方調節が適合可能であり、よって、例えばさほど唐突および邪魔とは感じないという利点を有する。これは本発明によれば、請求項1の特徴により、筋力でおよび追加的にモータの力で駆動可能な作動装置、とりわけ車両、自転車、電動自転車、eバイク、ペデレック、および/またはS-ペデレックの駆動部のための或る動作方法が提供されることによって達成され、この動作方法では、
(i)駆動部によって生成可能で/生成されて、車両の従動軸に供給可能なおよび/または供給されるモータトルクが、車両の速度に依存して、とりわけ第1または下の最大アシスト速度と解釈される第1および低い方の境界速度と第2または上の最大アシスト速度と解釈される第2および高い方の境界速度との間の範囲内で、車両の速度に伴って単調に落ちていく推移で制御および/または調節され、かつ
(ii)第1の境界速度および第2の境界速度の少なくとも一方が可変に調整可能であるおよび/または可変に調整される。
【0004】
本発明によって提供される措置により、下方調節の工程を、例えば運転者および/または車両の固有の特性に関連するそれぞれの動作状況に適合させることが可能である。これにより、異なる動作条件が顧慮される。
【0005】
従属請求項は本発明の好ましい変形形態を示している。
境界速度の少なくとも一方、つまり第1の境界速度および/または第2の境界速度の適合または調整の工程は、様々な措置によって行われ得る。
【0006】
すなわち本発明による動作方法の好ましい一形態によれば、車両の第1の動作量を捕捉して、捕捉した動作量の値に基づいて第1の境界速度および第2の境界速度の可変の調整をすることができる。
【0007】
その代わりにまたはそれに加えて、境界速度の少なくとも一方の可変の調整が、とりわけ手動のユーザ入力および/またはユーザ要求に基づいてなされることが考えられる。
動作量に基づく可変の調整は、基礎になっている作動装置または車両の1つまたは複数の動作パラメータによって行うことができ、例えば、第1および/または第2の境界速度が車両の加速度に依存して調整または適合される。
【0008】
すなわち本発明による動作方法の好ましい1つの例示的実施形態によれば、作動装置、とりわけ車両の動作量として、車両の加速度および/または運転者により従動軸に供給された筋肉によるトルクが捕捉されることが考えられる。
【0009】
これに関して特に有利なのは、第1または下の最大アシスト速度の意味での第1および低い方の境界速度が、車両の加速度に依存しておよび/または運転者により筋肉で従動軸に供給されたトルクに依存して調整される場合である。
【0010】
基本的に、可変の調整のすべての可能性が考えられるのではあるが、特に均一と感じられる動作を考慮して特に有利なのは、本発明による動作方法の別の好ましい一形態に基づき、第1および低い方の境界速度が、車両のより低い加速度に対しては高くされまたは上げられまたはより高い速度に調整される場合である。言い換えれば、第1の境界速度が、捕捉される加速度の低下に伴って高くされ、または第1の境界速度が、加速度の上昇に伴って低くされる。これに対応して、第1および低い方の境界速度が、車両のより高い加速度に対しては低くされまたは下げられまたはより低い速度に調整されることが有利である。
【0011】
その代わりにまたはそれに加えて、本発明による動作方法の別の1つの例示的実施形態によれば、第1および低い方の境界速度が、運転者により車両の従動軸に供給された、より低い筋肉によるトルクに対しては高くされまたは上げられまたは比較的より高い速度に調整され、かつ運転者により車両の従動軸に供給された、より高い筋肉によるトルクに対しては低くされまたは下げられまたは比較的より低い速度に調整され得る。
【0012】
動作方法の別の一実施形態では、第1および低い方の境界速度が、車両の加速度に依存して、とりわけ設定された規定の期間のあいだ適合され、これに関しては、第1および低い方の境界速度が、車両の加速度の上昇の際には高くされまたは上げられまたはより高い速度に調整もしくは変更される。この実施形態では、第1および低い方の境界速度を、車両の加速度の低下の際には低くしまたは下げまたはより低い速度に調整することが有利である。これは、とりわけS-ペデレックまたはスピードペデレックの場合に有利であり、なぜなら、例えば車両の電気モータの連続負荷を減らすために、第1および低い方の境界速度が第2の境界速度との比較で既に低く選択されたからである。言い換えれば、この実施形態では駆動システムまたは駆動モータとしての電気モータの耐久性が保証され得る。この実施形態では、設定された規定の期間のあいだ、車両の加速度の上昇に伴って、アシストの増加が、第1の境界速度より上の速度でも行われ、これにより車両の運転者にとって、より敏速な走行感覚が結果として生じることが有利である。
【0013】
下方調節の際に用いられる調節の特色は、第1と第2の境界速度の間で、割合(または一般的にはモータによるアシスト)がとりわけ単調に減少することが保証されてさえいれば、基本的に任意に形成され得る。
【0014】
例えば、駆動部によって生成されて、車両の従動軸に供給されるモータトルクは、第1の境界速度と第2の境界速度との間の範囲内で、車両の速度に伴って線形の推移、部分的に線形の推移、および/または厳密に単調に落ちていく推移で制御および/または調節され得る。特定の動作状況を達成するために、非線形の推移も考えられる。
【0015】
モータアシストの評価は、異なるパラメータに基づいて行われ得る。
すなわち本発明による動作方法の別の好ましい1つの例示的実施形態によれば、駆動部によって生成されて/生成可能で、車両の従動軸に供給可能なおよび/または供給されたモータトルクが、基礎になっているモータによって最大限で生成可能で/生成され、かつ/または最大限で従動軸に供給される/供給可能なトルクに対するモータトルクの割合を介して決定され得る。
【0016】
その代わりにまたはそれに加えて、運転者によりとりわけその時に供給可能なおよび/または供給された筋肉によるトルクに対する増強率を介した関連づけが可能である。この増強率は、運転者によって生成されて供給された筋肉によるトルクがどのくらいの割合または率で増強されたかを提示する。例えば値2の増強率の場合、運転者によって供給された筋肉によるトルクは、同一のモータトルクにより、全体としては倍増されている。
【0017】
本発明のさらなる一態様に基づき、筋力でおよび追加的にモータの力で駆動可能な車両、とりわけ自転車、電動自転車、eバイク、ペデレック、および/またはS-ペデレックの駆動部のための制御ユニットも提供される。
【0018】
この制御ユニットは、本発明による動作方法の一実施形態を実行する、動作させる、指示する、および/もしくは制御するよう、ならびに/またはこのような方法において使用されるよう適応されている。
【0019】
本発明の対象はさらに、筋力でおよび追加的にモータの力で駆動可能な車両、とりわけ自転車、電動自転車、eバイク、ペデレック、および/またはS-ペデレックである。
本発明による車両は、駆動部と、本発明に基づいて構成された制御ユニットとを備えて形成されており、これに関し後者は、駆動部の制御のために適応されている。
【0020】
添付した図を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施形態が実現された電動自転車の形式での車両の一例の概略図である。
図2】本発明による手順で用いられ得るような、車両速度に依存したモータアシストの様々な推移形態をグラフの形式で示す図である。
図3】従来の手順で用いられるような、車両速度に依存したモータアシストの1つの推移形態をグラフの形式で示す図である。
図4】本発明による手順で代替的に用いられ得るような、車両速度に依存したモータアシストの1つの推移のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、図1図4を参照しながら本発明の例示的実施形態および技術的背景を詳細に説明する。同じおよび同等の要素およびコンポーネントならびに同じまたは同等に作用する要素およびコンポーネントは同じ符号で表している。符号を付けた要素およびコンポーネントが登場するすべての場合に、その詳細説明を再現しはしない。
【0023】
図示した特徴およびさらなる特性は、本発明の本質を逸脱することなく、任意の形態で互いから分離でき、かつ任意に相互に組み合わされ得る。
最初に、図1を参照しながら例示的に本発明による車両1の好ましい一実施形態としての電動自転車を詳細に説明する。
【0024】
車両1は、電動自転車として、前輪9-1と、後輪9-2と、ペダル7-1および8-1を具備する2つのクランク7、8を備えたクランクドライブ2とが配置されたフレーム12を含んでいる。電気駆動部3は、クランクドライブ2に組み込まれている。後輪9-2にはスプロケット6が配置されている。
【0025】
運転者および/または電気駆動部3によって提供される駆動トルクは、クランクドライブ2の傍らのチェーンリング4からチェーン5を介してスプロケット6に伝達される。
さらに車両1のハンドルには、本発明に基づいて増備および適応された制御ユニット10が配置されており、制御ユニット10は、必要に応じて形成される電気駆動部3とつながっている。さらにフレーム12の中または表面には、電気駆動部3の電流供給に用いられるバッテリー11が形成されている。
【0026】
フレーム12内には、クランクケース14およびクランク軸15を有するクランク軸受13またはボトムブラケット軸受が組み込まれている。
図1からの本発明による車両1の駆動構成80は、クランクドライブ2および電気駆動部3を有しており、これに関し、後者によって生成可能なまたは生成されるトルクは、筋肉で運転者によって供給されたトルクをアシストするため、相応のおよび図1では明確に図示されていない伝達機構を介して取り込むことができ、かつ例えば従動要素4と解釈されるチェーンリング4に伝達可能である。
【0027】
制御ユニット10は既知のやり方で、駆動部80によって生成されて、とりわけ車両1のクランク軸15の意味での従動軸15に供給可能なおよび/または供給されるモータトルクを、筋肉で運転者によって供給されたトルクをアシストするため、第1または低い方の境界速度vminと第2および高い方の境界速度vmaxとの間の範囲内で、車両1の速度に伴って単調に落ちていく推移で制御および/または調節するために適応されている。
【0028】
上で既に詳述したように、本発明の中心的一態様は、とりわけ車両の動作条件を顧慮できるよう、好ましくは第1または低い方の境界速度を、ただし一般的には第1および第2の境界速度vmin、vmaxの少なくとも一方を、可変に調整することにある。
【0029】
これはとりわけ、第1または低い方の境界速度、つまりいわゆる最大アシスト速度を、車両1の加速度および/または運転者により従動軸15に供給されたトルクによって制御または調節することであり、これにより、加速度および/または筋肉によるトルクが強い場合に、加速度および/または筋肉によるトルクがより小さい場合より早く、つまりより低い速度で、モータアシストの下方調節が行われる。
【0030】
図3はこれについて、従来の手順で用いられるような、車両速度vに依存したモータアシストの1つの推移形態をグラフ30の形式で示している。
したがってグラフ30の横座標31では車両1の速度vが、縦座標32では、例えば実際に車両1の従動軸またはクランク軸15に供給されたモータトルクの相対的な割合、つまり最大限可能なモータトルクを基準として標準化された割合の意味での相対的アシストが示されている。軌道33は、車両速度vの関数としてのモータアシストの推移を表している。
【0031】
つまり値1は、従動軸15に供給されたモータトルクが、(最大の)生成される/生成可能なモータトルクに相当する状況を表す。値0は、モータアシストなしの状況を表す。
軌道33の推移で認識できるのは、モータアシストが、約24km/hの第1および低い方の境界速度vminまでは最大であり、かつ第1および低い方の境界速度に達してからは、値27.5km/hの第2および高い方の境界速度vmaxまで線形に値0へと低下するということである。
【0032】
この手順は、様々な動作シナリオでユーザまたは運転者に唐突過ぎると感じられるので、本発明により、上述のやり方で第1および低い方の境界速度vminが様々な動作パラメータに依存して可変に調整される手順が提案される。
【0033】
この状況は、車両速度vに依存したモータアシストの様々な推移形態をグラフの形式で示している図2で図解されている。
図3に基づく表示に倣って、グラフ20の横座標21ではここでもまた車両1の速度vが、および縦座標22では相対的モータアシストが示されている。
【0034】
軌道23、23-1、および23-2は、車両速度vの関数としてのモータアシストの様々な推移形態を示している。
これに関し軌道23は、図3との関連で説明したような従来の手順の軌道33に基づく推移に相当する。つまり、vmin=24km/hおよびvmax=27.5km/hで、第1と第2の境界速度vminとvmaxとの間のモータアシストの線形に落ちていく推移が適用されている。
【0035】
特に大きな加速度および/または運転者もしくはユーザによりクランク軸15に供給される特に高い筋肉によるトルクの場合には、第1および小さい方の境界速度の値が、値vmin,1=20km/hへと、より低い速度にずらされる。これは、この適用事例では値1から値0への相対的モータアシストの下方調節がより早く、つまりより低い境界速度で始まることを意味する。グラフ23-1に基づいて生じている比較的平坦な推移形態は、下方調節がさほど突然には行われないことを明らかにしている。
【0036】
これとは異なり、より小さな加速度の場合および/またはユーザもしくは運転者により従動軸としてのクランク軸15に供給される、より小さな筋肉によるトルクの場合、下方調節が「より遅く」、つまりそれぞれより高い第1の境界速度vminで行われ得る。
【0037】
この状況はグラフ20では、第1および低い方の境界速度vmin,2がおおよそ26km/hである軌道23-2で表されている。軌道23-2によれば線形に落ちていく推移は明らかにより急であるにもかかわらず、これは本発明によれば、車両1の小さな加速度および/またはユーザもしくは運転者により供給された、より小さな筋肉によるトルクの故に、突然とは感じられない。
【0038】
本発明のこのおよびさらなる特徴および特性を、以下の説明に基づいてさらに解説する。
eバイクの場合、一般的には、EU全体で25km/hで取り決められている設定された最大アシスト速度を超えると、モータアシストの下方調節により、ユーザまたは運転者はあたかも壁にぶつかっているかのような不快な感覚になり得る。
【0039】
これは一つには心理的に、ユーザ、運転者がモータアシストに慣れて、自分の踏み込み出力を25km/h超に増強して知覚することと関連がある。
それに加えてこれは技術的には、ユーザまたは運転者が、25km/hの最大アシスト速度未満ではモータアシストの故に比較的強くおよび/または少ない努力で加速できるまたは加速することと関連がある。
【0040】
例えば、24km/hからモータアシストの線形の下方調節または遮断が始まり、モータアシストは、例えば27.5km/hでゼロに低下しているまたは落ちている。
この相対的に唐突な、例えば傾斜線の意味での下方調節は、加速度の、もしかするとネガティブに感じる負の経時的変化を生じさせる。これは、極端な場合にはあたかも積極的に運転者またはユーザがブレーキをかけられているかのように感じられ得る。
【0041】
本発明による機能方式のアイデアは、上に挙げた技術的関連に介入する。
- 車両または自転車の加速度に依存して、モータアシストの下方調節が、既に、従来の24km/hより早く行われる。車両/自転車の加速度が高ければ高いほど、下方調節が始まる速度の値がより小さく調整される。
【0042】
- これにより、より調和的に最終速度に到達することが達成され、25km/hをマークするときに加速度がそれほど突然には減少しない。
- それにもかかわらず同じ最終速度に到達する。しかもそのうえこの傾斜線は必要に応じて、ごくわずかな加速度の場合には24km/h超のより高い車両速度でようやく始まることができ、したがってモータアシストにより、事情によってはより高い最終速度が可能である。
【0043】
この下方調節は、法的に許容される最大速度と、できるだけソフトな下方調節との折り合い点と解釈され得る。
高い加速度の場合、例えば加速度に比例してより早く、つまりより低い速度で、および/または最も早くて20km/hから下方調節される。
【0044】
これにより利点として、加速度のより小さな負の経時的変化、モータアシストのよりソフトな遮断が生じ、したがって壁にぶつかっている感覚が起こらず、これに関しては、運転者のトルク放出が多ければ多いほど、壁にぶつかっている邪魔な感じがより強く現れることが考慮される。だから本発明によって得られる利点は、強いアシストモータの場合、とりわけ上り坂での加速を伴う工程の場合により大きい。
【0045】
小さな加速度の場合、下方調節は例えば加速度に比例してより遅く、および/または最も遅くてある特定の設定された車両速度から始められ得る。
これに関しては利点として、モータアシストが効果的により高い速度まで可能である。
【0046】
さらに、それぞれの動作点に依存して、より高い最終速度が考えられる。例えば、それにより法的な基本条件を犯すことのない1km/hまたは4%上昇した最終速度が考えられる。
【0047】
図4は、車両速度vおよびそれぞれの車両加速度に依存したモータアシストの代替的な1つの推移のグラフを示している。ただしここでは図2とは異なり、運転者を踏力に加えてモータで45km/hまでアシストするか、または45km/hの車両速度まで、アシストするモータトルクを生成もしくは提供するスピードペデレックまたはS-ペデレックを用いた、モータアシストの1つの推移である。
【0048】
図2に基づく表示に相応して、横座標41は車両1の速度vを、および縦座標42は相対的モータアシストを表している。相対的モータアシストは、とりわけ、運転者の踏力によってもたらされ、かつ有利には車両のクランク軸の領域で確定される、運転者によって供給された運転者トルクと比較した、車両を駆動するための車両の電気モータの、生成されたモータトルクを表している。
【0049】
推移または軌道43は、第1の境界速度44および第2の境界速度45をもつモータトルクの調節を表している。車両のその時の速度、とりわけ捕捉された速度47では、加速度の上昇が捕捉され、この捕捉された加速度はとりわけ加速度に関する閾値を超えている。続いて第1の境界速度44が、車両の捕捉された加速度に依存して適合または調整され、それにより、結果として生じる車両速度に依存して推移43-1または43-2がもたらされる。第1の境界速度の適合は、設定された期間のあいだ行われることが好ましい。その後、第1の境界速度が再び、第1の境界速度の当初の数値44に戻されるまたは変更されることが好ましく、これに関し、調整または適合中にそれぞれモータトルクが絶え間なく生成されていることが有利である。
【0050】
推移または軌道43は、加速しないかまたはわずかに加速した状態を表しており、かつ25km/h~45km/hの間のモータアシストの線形の下降を有している。モータアシストのこの下降およびそれにより既に25km/hで始まっている出力低下は、一つには製品差別化のために使用でき、しかし駆動部のための駆動システムまたは電気モータの耐久強度を保証するためにも必要であり得る。
【0051】
推移または軌道43-1および43-2はそれぞれ、車両の捕捉された加速度に依存した第1の境界速度の変更または調整を表している。加速度の閾値以降は、加速度の上昇に伴って第1の境界速度が高くなることが有利であり、これに関し第2の境界速度はこの実施形態では適合されず、例えば45km/hの法定最大許容速度を表している。
【0052】
したがって軌道43は、閾値a以下の車両の加速度aに対する相対的モータアシストの推移であり、相対的モータアシストは、生成されたモータトルクを表している。軌道43-1および43-2は、当初の第1の境界速度より大きな速度47のときの、閾値aより大きな捕捉された加速度に対する相対的モータアシストの推移を表している。
【0053】
軌道43-1および43-2は軌道43に比べ、モータアシスト特性曲線の下の面積の拡大を表している。ごく一般的には、このような拡大は他の方法を介しても獲得され得る。例えば、第1の境界速度の代わりに傾斜線上の他の点が、車両の加速度および/または運転者のトルクに依存して、より高い速度にずらされ得る。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】