(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-22
(54)【発明の名称】固形物の混合物を分離するための方法
(51)【国際特許分類】
B03B 5/30 20060101AFI20220314BHJP
B29B 17/02 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
B03B5/30
B29B17/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544477
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(85)【翻訳文提出日】2021-09-22
(86)【国際出願番号】 EP2020052462
(87)【国際公開番号】W WO2020157294
(87)【国際公開日】2020-08-06
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512323929
【氏名又は名称】ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ ユーエスエー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ブーハー, マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ポリーノ, ジョーエル
(72)【発明者】
【氏名】ゴータム, ケシャブ エス.
【テーマコード(参考)】
4D071
4F401
【Fターム(参考)】
4D071AA43
4D071AA62
4D071DA15
4F401AA27
4F401CA22
(57)【要約】
本発明は、密度に基づいて固形物の混合物を分離する方法に関する。本発明は、その密度に基づいて金属含有固形物からプラスチック固形物を分離するための分離液(L)の使用にも関し、分離液(L)は1.5<d3<2.0となるような密度d3を有し、上記固形物の粒径は0.1~100mmの範囲内である。分離液(L)は、好ましくはフッ素化流体である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その密度に基づいて固形物の混合物を分離する方法であって、
a)2つの異なる密度d1及びd2を有する少なくとも1つのプラスチック固形物及び少なくとも1つの金属含有固形物の混合物を、d1及びd2とは異なる密度d3を有する分離液(L)に接触させることであって、1.5<d3<2.0であり、前記分離液(L)は、フッ素化ポリエーテル,フッ素化アルキルポリマー、フッ素化ヘテロアルキルポリマー、及びヒドロフルオロエーテル(HFE)からなる群から選択されるフッ素化流体であり、前記固形物の粒径は、0.1~100mmの範囲である、ことと、
b)密度分離によって、少なくとも1つの金属含有固形物から少なくとも1つのプラスチック固形物を分離することと、
c)任意選択的に、工程a)と工程b)とを繰り返すことと、
を含む。
【請求項2】
前記プラスチック固形物は充填されているか、未充填であり、且つ酢酸セルロース、酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリアミド(例えばPA6,6、PA6、PA6,10、PA6,12、PA11、PA12)、ポリブチレン(PB)、ポリカーボネート(PC)、ポリ(カーボネート/エステル)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、グリコール変性コポリエステル(PCTG)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、コポリエステルPBT/PET、ポリエーテルイミド(PEI)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリフェニレンオキシド/ポリスチレン(PPO/PS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリアリールエーテルスルホン(PAES)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルジフルオリド(PVDF)、スチレン-アクリロニトリル(SAN)、及び熱可塑性エラストマー(T/Pエラストマー)からなる群から選択される少なくとも一つの成分を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プラスチック混合物が、少なくとも1つのポリアリールエーテルスルホン(PAES)及び/又は少なくとも1つのポリアリールエーテルケトン(PAEK)を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記金属固形物は、鋳鉄、炭素鋼、マンガン鋼、クロム鋼、クロム-ニッケル鋼、ステンレス鋼、銅、黄銅、錫青銅、アルミニウム、チタン、チタン合金、及びマグネシウムからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記分離液(L)が、少なくとも1つのフルオロポリエーテル(PFPE)鎖を含むフッ素化流体である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記分離液(L)が、式(III):
[(CF
2O)
n(CF
2CF
2O)
m]
p (III)
(式中、
-n及びmは、互いに独立して、0以上の整数であり、
-鎖の数平均分子量(Mn)が400~10,000であり、
-m及びnは、好ましくは両方ともゼロとは異なり、m/m比は、好ましくは0.1~10に含まれ、例えば0.5~10である)
の少なくとも1つのフルオロポリエーテル(PFPE)鎖を含むフッ素化流体である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
式(III)は、m及びnが両方とも0より大きい整数であり、m/m比は0.1~10の範囲内、好ましくは0.5~10の範囲内である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記分離液(L)が、下記密度:1.55<d3<1.9を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記分離液(L)との接触の後、浮いている固形物を取り除き、前記固形物を乾燥させることを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
その密度に基づき金属含有固形物からプラスチック固形物を分離するための分離液(L)の使用であって、
前記分離液(L)はフッ素化ポリエーテル、フッ素化アルキルポリマー、フッ素化ヘテロアルキルポリマー、及びヒドロフルオロエーテル(HFE)からなる群から選択されるフッ素化流体であって、1.5<d3<2.0となる密度d3を有し、
固形物の粒径は0.1~100mmの範囲内であり、
前記プラスチック固形物は充填されているか、未充填であり、且つ酢酸セルロース、酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリアミド(例えばPA6,6、PA6、PA6,10、PA6,12、PA11、PA12)、ポリブチレン(PB)、ポリカーボネート(PC)、ポリ(カーボネート/エステル)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、グリコール変性コポリエステル(PCTG)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、コポリエステルPBT/PET、ポリエーテルイミド(PEI)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリフェニレンオキシド/ポリスチレン(PPO/PS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリアリールエーテルスルホン(PAES)、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルジフルオリド(PVDF)、スチレン-アクリロニトリル(SAN)、及び熱可塑性エラストマー(T/Pエラストマー)からなる群から選択され、
前記金属固形物は、鋳鉄、炭素鋼、マンガン鋼、クロム鋼、クロム-ニッケル鋼、ステンレス鋼、銅、黄銅、錫青銅、アルミニウム、チタン、チタン合金、及びマグネシウムからなる群から選択される、使用。
【請求項11】
前記分離液(L)は、少なくとも1つのフルオロポリエーテル(PFPE)鎖を含むフッ素化流体である、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
前記分離液(L)は、式(III):
[(CF
2O)
n(CF
2CF
2O)
m]
p (III)
(式中:
-n及びmは、互いに独立して、0以上の整数であり、
-鎖の数平均分子量(Mn)が400~10,000であり、
-m及びnは、好ましくは両方ともゼロとは異なり、m/m比は、好ましくは0.1~10に含まれ、例えば0.5~10である)
の少なくとも1つのフルオロポリエーテル(PFPE)鎖を含むフッ素化流体である、請求項10又は11に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年2月1日出願の米国特許出願第62/799831号及び2019年3月13日出願の欧州特許出願第19162690.2号に対する優先権を主張するものであり、これらの出願のそれぞれの全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、密度に基づいて固形物の混合物を分離する方法に関する。本発明は、密度に基づいて金属含有固形物からプラスチック固形物を分離するための分離液(L)の使用にも関し、ここで分離液(L)はフッ素化流体であり、1.5<d3<2.0になるような密度d3を有し、上記固形物の粒径は0.1~100mmの範囲内である。
【背景技術】
【0003】
プラスチックは一般的に、プラスチックを広範な製品に対して有益なものにする一連の物性を示す。プラスチック製品は特に軽量で、耐久性が高く耐腐食性を有し、これらの特性のおかげで多くの用途、例えば携帯電子機器において非常に重要なものとされる。広く使用されているため、プラスチックは現在、廃棄物の流れの重要な割合を占めているものの、残念なことに、プラスチックのうちわずかしかリサイクルされていない。それは特に、混合物からリサイクル可能なプラスチックを回収する利用可能な方法がないことによる。
【0004】
成分の混合物からリサイクル可能な物を回収する場合、分離と分粒が最初の処理ステージとなる。異なる種類の成分を含む混合物は、分離方法において仕分ける必要がある。手作業で分離及び分粒を行う方法が一般的に用いられているが、時間も費用もかかる。
【0005】
独国特許出願公開第A-3800204号明細書には、異なるタイプのプラスチックの異なる相対密度に基づく、浮沈法を用いたプラスチックゴミの分離方法が記載されている。所定の相対密度を有する液体媒体中で選別が行われ、その際、重い部分は沈み、軽い部分が浮くことで、別々に取り去ることができる。この選別方法は、段階的な相対密度を有する複数の液体媒体を用いることにより繰り返すことができる。その際に最初に除去される粒子は乾燥ドラムを介して充填ステーションに届く。分離剤として、水性塩溶液及び特定の有機液体が一般的に示される。
【0006】
この発明の方法は、密度分離アプローチを用いて、混合物中の少なくとも2成分を分離する方法を提案する。
【0007】
国際公開第83/02281A1号明細書は、プラスチックスクラップ及びスクラップ金属若しくはガラス、又はその混合物を含む混合物の非破壊分離の方法であって、液体分離媒体を利用した、沈殿物又は非沈殿物中の微粉化されたプラスチック及び金属若しくはガラススクラップ材料、又はその混合物の分離を含む方法に関する。この特許文献は、より具体的にはフロンタイプのハロゲン化脂肪族炭化水素媒体の使用を記載している。しかしながら、フロンはオゾン層破壊に繋がるクロロフルオロカーボン(CFC)である。更に、この特許文献によれば、フッ素置換炭化水素は、このような分離方法で用いるにしては沸点が低すぎる。
【0008】
旧東ドイツ仮専用特許第293742A5号明細書は、プリント配線板の製造におけるゴミから銅を分離することに関する。液体は、好ましくはブロモホルムとクロロホルムの混合物である。
【発明の概要】
【0009】
本開示の一態様は、密度に基づいて固形物の混合物を分離する方法に関し、
a)2つの異なる密度d1及びd2を有する少なくとも2つの固形物の混合物を、d1及びd2とは異なる密度d3を有する分離液(L)に接触させることであって、ここで上記固形物の粒径は0.1~100mmの範囲内である、ことと、
b)密度分離により、沈んでいる固形物から浮いている固形物を分離することと、
c)任意選択的に、工程a)と工程b)とを繰り返すことと、
を含む。
【0010】
出願人は、密度と、リサイクルされる固形物を溶解又は膨潤させる能力のなさとに基づいたある特定の分離液(L)を使用することにより、密度分離アプローチを用いて固形物の混合物の分離、例えば金属含有成分からのプラスチックの分離を行うことができるようになることを見出した。
【0011】
本発明によれば、分離液(L)は、フッ素化ポリエーテル類、フッ素化アルキルポリマー類、フッ素化ヘテロアルキルポリマー類、及びヒドロフルオロエーテル類(HFE)からなる群から選択されるフッ素化流体である。好ましい実施形態によると、分離液(L)は少なくとも1つのフルオロポリマー(PFPE)鎖を含むフッ素化流体である。PFPE流体は、Solvay Specialty Polymers USA,L.L.C製のGalden(登録商標)PFPE及びFomblin(登録商標)、Dupont社製のKrytoxTM、及びダイキン工業株式会社製のDemnum(登録商標)として市販されているものを入手可能である。
【0012】
本開示の別の態様は、密度に基づいて金属含有固形物からプラスチック固形物を分離するための、分離液体(L)の使用に関する。分離液(L)の密度d3は1.5<d3<2.0を満たすような密度である。固形物の粒径は0.1~100mmの範囲内である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の目的は、リサイクルが可能なように、異なる密度を有する少なくとも2つの固形物の混合物の分離を可能とすることである。本発明によれば、この目的は、粒径が0.1~100mmの範囲内の固形物混合物を、少なくとも1つの、選択された密度の分離液(L)に接触させ、それにより密度に応じて固形物の物理的な分離を可能とする方法によって達成できる。分離液/流体(例えばフッ素化流体)に沈降させると、密度の低い固形物は液体の上部に浮き上がり、密度の高い固形物は底に沈む。その後、浮いている及び/又は沈んでいる固形物を取り去り、リサイクルすることができる。
【0014】
本発明は、密度と、リサイクルされる固形物を溶解又は膨潤させる能力のなさとに応じて選択される特定の分離液(L)の特定に基づく。
【0015】
より正確には、本発明は、密度に基づいて固形物の混合物を分離する方法に関し、
a)2つの異なる密度d1及びd2を有する少なくとも2つの固形物の混合物を、d1及びd2とは異なる密度d3を有する少なくとも1つの分離液(L)と接触させることであって、ここでd1<d3<d2を満たし、上記固形物の粒径は0.1~100mmの範囲内である、ことと、
b)密度分離により、沈んでいる固形物から浮いている固形物を分離することと、
c)任意選択的に、工程a)と工程b)とを繰り返すことと、
を含む。密度d3は好ましくは1.5~2.0であり、例えば1.55~1.9又は1.56~1.8である。そのような密度を有する分離液(L)の例は、フッ素化流体、例えばフッ素化ポリエーテル、フッ素化アルキルポリマー、フッ素化ヘテロアルキルポリマー、及びハイドロフルオロエーテル(HFE)からなる群から選択されるフッ素化流体である。上に示す密度範囲の分離液(L)を用いて、プラスチック固形物を金属含有固形物から分離することができる。
【0016】
本発明の方法は、少なくとも1つの成分、好ましくは両方をリサイクルする観点から、より好ましくは少なくとも1つの金属含有固形物から少なくとも1つのプラスチック固形物を分離することに関する。
【0017】
プラスチック成分
一実施形態によれば、プラスチック固形物は充填されているか、又は未充填である。プラスチック固形物は、プラスチック成分を一種含んでいてもよく、複数種含んでいてもよい。上記プラスチック固形物は、例えば、酢酸セルロース、酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリアミド(例えばPA6,6、PA6、PA6,10、PA6,12、PA11、PA12)、ポリブチレン(PB)、ポリカーボネート(PC)、ポリ(カーボネート/エステル)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、グリコール変性コポリエステル(PCTG)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、コポリエステルPBT/PET、ポリエーテルイミド(PEI)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリフェニレンオキシド/ポリスチレン(PPO/PS)、ポリアリーレンスルフィド(PAS)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリアリールエーテルスルホン(PAES)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルジフルオリド(PVDF)、スチレン-アクリロニトリル(SAN)及び熱可塑性エラストマー(T/Pエラストマー)からなる群から選択される少なくとも一つの成分を含んでもよい。好ましくは、プラスチック固形物は少なくとも1つのポリアリールエーテルスルホン(PAES)、少なくとも1つのポリアリーレンスルフィド(PAS)、及び/又は少なくとも1つのポリアリールエーテルケトン(PAEK)を含む。
【0018】
ポリマーがPAEKである場合、ポリ(エーテルエーテルケトン)(PEEK)、ポリ(エーテルケトンケトン)(PEKK)、ポリ(エーテルケトン)(PEK)又はPEEKとポリ(ジフェニルエーテルケトン)のコポリマー(PEEK-PEDEKコポリマー)が好ましい。ポリマーがPAESである場合、ポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリエーテルスルホン(PES)又はポリスルホン(PSU)が好ましい。ポリマーがPASである場合、ポリ(パラ-フェニレンスルフィド)(PPS)が好ましい。これらのポリマーは文献に十分に説明されている。
【0019】
プラスチック固形物は上記ポリマー物質以外の他の成分を含んでもよい。
【0020】
一実施形態によれば、プラスチック固形物は、プラスチック固形物の総重量を基準として、0~50重量%のフィラー、例えば、無機フィラー、カーボングラス、若しくはガラス繊維、及び/又は少なくとも1種の追加の成分、例えば、着色剤、潤滑剤、可塑剤、難燃剤、核形成剤、及び安定剤からなる群から選択される少なくとも1種の追加の成分を含む。プラスチック固形物は、例えば、プラスチック固形物の総重量を基準として、40重量%未満、30重量%未満、20重量%未満、10重量%未満、又は更には5重量%未満の少なくとも1つの着色剤、潤滑剤、可塑剤、難燃剤、核形成剤、又は安定剤を含んでもよい。
【0021】
一部の特定の実施形態によれば、プラスチック固形物の密度は以下の通りである。d1<1.5、好ましくはd1<1.4、更により好ましくはd1<1.3。
【0022】
金属含有成分
金属含有固形物は、部分的に又は完全に金属から構成されていてもよい。一実施形態によれば、金属含有固形物は本質的に金属からなる。言い換えると、この場合、金属含有固形物は、金属含有固形物の総重量を基準として1重量%未満の他の成分、例えば着色剤、潤滑剤、可塑剤、難燃剤、核形成剤、及び安定剤からなる群から選択される他の成分を含む。或いは、金属含有固形物は、金属含有固形物の総重量を基準として0.8重量%未満、0.5重量%未満、0.3重量%未満、更には0.1重量%未満の他の成分を含む。
【0023】
一実施形態によれば、金属固形物中の金属は、鋳鉄、炭素鋼、マンガン鋼、クロム鋼、クロム-ニッケル鋼、ステンレス鋼、銅、黄銅、錫青銅、アルミニウム、チタン、チタン合金、及びマグネシウムからなる群から選択される。
【0024】
一部の特定の実施形態によれば、金属含有固形物の密度は以下の通りである。d2>2.0、好ましくはd2>2.5、更により好ましくはd2>3.0。
【0025】
分離液(L)
本発明の方法において使用される分離液(L)は、その密度と、リサイクルされる固形物を溶解させるその能力のなさとに応じて選択される。
【0026】
分離液(L)の密度(d3)は、この方法において分離される固形物の密度(d1、d2)とは異なる。より正確には、分離液(L)は、その密度d3がd1とd2の間になるように選択される。したがって、密度d3は以下の通りである。
d1<d3<d2
d3は分離液の密度であり、d1及びd2は分離される少なくとも2つの固形物の密度である。
【0027】
一部の特定の実施形態によれば、分離液(L)の密度は以下の通りである。1.5<d3<2.0、好ましくは1.55<d3<1.9、更により好ましくは1.56<d3<1.8。
【0028】
一部の特定の実施形態によれば、分離液(L)の粘度は室温で100センチポワズ(cP)又は0.1Pa・s未満、好ましくは90cP未満である。
【0029】
本発明の方法において使用される分離液(L)はフッ素化流体である。フッ素化流体は、好ましくはフッ素化ポリエーテル、フッ素化アルキルポリマー、フッ素化ヘテロアルキルポリマー、及び/又はヒドロフルオロエーテル(HFE)である。
【0030】
異なる化学的性質の数種類の分離液(L)を本発明の方法において使用することができる。例えば、分離方法のコストを相殺するために希釈剤を用いてもよい。
【0031】
フッ素化ポリエーテル
分離液(L)は、特にフッ素化ポリエーテルであってもよい。
【0032】
別の一実施例によれば、分離液(L)は、「(パー)フルオロポリエーテル」とも呼ばれる、少なくとも1つのフルオロポリエーテル(PFPE)鎖を含むフッ素化ポリエーテルである。
【0033】
フッ素化ポリマーのフルオロポリエーテル(PFPE)鎖(又は骨格)は、有利には式(I):
-[(CFX1)aO(Rh)(CFX2)b]- (I)
[式中、
-a及びbは、互いに独立して1以上の整数であり、
-X1及びX2は、互いに独立して、F又はCF3であり、但し、a及び/又はbが1超である場合、X1及びX2はFであり、
-(Rh)は、下記(i)~(v)からなる群から独立して選択される繰り返し単位を含む。
(i)-CFX1-O-(式中、X1は、F又はCF3である)、
(ii)-CFX1CFX1O-(ここで、X1は、出現ごとに等しいか又は異なり、F又はCF3であり、但し、X1の少なくとも1つはFであることを条件とする)、
(iii)-CF2CF2CW2O-(式中、Wのそれぞれは、互いに独立して、F、Cl、又はHである)、
(iv)-CF2CF2CF2CF2O-、
(v)-(CF2)j-CFZ-O-(ここで、jは、0~3の整数であり、Zは、一般式-O-Ri-T(式中、Riは、0~10の数の反復単位を含むフルオロポリオキシアルケン鎖であり、上記反復単位は、CFX1O、CF2CFX1O、CF2CF2CF2O、CF2CF2CF2CF2O(各X1は、互いに独立して、F又はCF3である)からなる群から選択され、Tは、C1~C3パーフルオロアルキル基である)の基である)]
に従うものであってもよい。
【0034】
好ましくは、a及びbは、互いに独立して、1~10の整数、更に好ましくは1~3である。
【0035】
フッ素化ポリマーのフルオロポリエーテル(PFPE)鎖(又は骨格)は、有利には式(II):
-[(CFX1O)g1(CFX2CFX3O)g2(CF2CF2CF2O)g3(CF2CF2CF2CF2O)g4]- (II)
(式中、
-X1は、出現ごとに独立して、F又はCF3であり、
-X2及びX3は、出現ごとに互いに独立して、F又はCF3であり、但し、Xの少なくとも1つはFであり、
-g1、g2、g3、及びg4は、互いに独立して、(g1+g2+g3+g4)の合計が2~300、好ましくは2~100の範囲にあるような、0以上の整数であり、g1、g2、g3及びg4の少なくとも2つがゼロとは異なる場合、上記異なる繰り返し単位は、一般に、上記鎖に沿って統計的に分布している)
に従うものであってもよい。
【0036】
フッ素化ポリマーのフルオロポリエーテル(PFPE)鎖(又は骨格)は、有利には式(III):
[(CF2O)n(CF2CF2O)m]p (III)
(式中、
-n及びmは、互いに独立して、0以上の整数であり、
-上記鎖の数平均分子量(Mn)は、好ましくは、400~10,000の範囲であり、好ましくは400~5,000の範囲であり、
-mとnは両方とも好ましくは0より大きく、
-m/m比は、0.1~10の間の範囲が好ましく、例えば、0.5~10の間の範囲である)
に従うものであってもよい。
【0037】
フッ素化ポリマーのフルオロポリエーテル(PFPE)鎖(又は骨格)は、有利には式(IV):
-[(CF2CF2O)b1(CF2O)b2(CF(CF3)O)b3(CF2CF(CF3)O)b4]- (IV)
(式中、
-b1、b2、b3、及びb4は、互いに独立して、0以上の整数であり、
-上記鎖の数平均分子量(Mn)は400~10,000、好ましくは400~5,000であり、
-好ましくは、b1は、0であり、b2、b3、b4は、0より大きく、比b4/(b2+b3)は、1以上である)
に従うものであってもよい。
【0038】
フッ素化ポリマーのフルオロポリエーテル(PFPE)鎖(又は骨格)は、有利には式(V):
-[(CF2CF2O)c1(CF2O)c2(CF2(CF2)cwCF2O)c3]- (V)
(式中、
-cwは1又は2であり、
-c1、c2、及びc3は、互いに独立して、0以上の整数であり、
-上記鎖の数平均分子量(Mn)は400~10,000、好ましくは400~5,000であり、
-好ましくはc1、c2及びc3は全て0より大きく、且つ比c3/(c1+c2)は概ね0.2未満である)
に従うものであってもよい。
【0039】
フッ素化ポリマーのフルオロポリエーテル(PFPE)鎖(又は骨格)は、有利には式(VI):
-[(CF2CF(CF3)O)d]- (VI)
(式中、
-dは0より大きい整数であり、
-上記鎖の数平均分子量(Mn)は400~10,000、好ましくは400~5,000である)
に従うものであってもよい。
【0040】
フッ素化ポリマーのフルオロポリエーテル(PFPE)鎖(又は骨格)は、有利には式(VII):
-[(CF2CF2C(Hal*)2O)e1-(CF2CF2CH2O)e2-(CF2CF2CH(Hal*)O)e3]- (VII)
(式中、
-Hal*は、出現ごとに互いに同じであるか又は異なり、フッ素原子及び塩素原子から選択されるハロゲン、好ましくはフッ素原子であり、
-e1、e2、及びe3は、互いに独立して、(e1+e2+e3)の和が2~300であるような0以上の整数である)
に従うものであってもよい。
【0041】
好ましい実施形態によれば、分離液(L)は、上述したような1つの鎖(又は骨格)と、2つの鎖末端とを含むフッ素化ポリマーであって、少なくとも1つの鎖末端は1つのヒドロキシ基又は中性基を保持する。更に好ましい実施形態によれば、鎖の両端はヒドロキシ基又は中性基を保持する。中性末端基は1~6個の炭素原子を有するフッ素化アルキレン鎖である。中性末端基は、例えばCF3又はCF2CF3である。
【0042】
好ましい実施形態によれば、分離液(L)は式(VIII):
CF3CF2-O-鎖-O-CF2CF3 (VIII)、
(式中、「鎖」は、式(I)~(VII)のいずれか1つに従う)
のフッ素化ポリエーテルである。
【0043】
別の好ましい実施形態によれば、分離液(L)は式(IX):
HOCF2-O-鎖-O-CF2OH (IX)、
(式中、「鎖」は、式(I)~(VII)のいずれか1つに従う)
のフッ素化ポリエーテルである。
【0044】
PFPE流体は、Solvay Specialty Polymers USA,L.L.C製のGalden(登録商標)PFPE及びFomblin(登録商標)、Dupont社製のKrytoxTM、及びダイキン工業株式会社製のDemnum(登録商標)として市販されているものを入手可能である。
【0045】
フッ素化アルキル
分離液(L)は特にフッ素化アルキルポリマーであってもよい。
【0046】
用語「フッ素化アルキル」は、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されている、直鎖、分岐鎖、又は環状の炭化水素鎖を指す。用語「フッ素化アルキル」は、任意選択的にハロゲン又はヒドロキシル基で置換されるか、或いは任意選択的に不飽和であるフッ素化アルキル又はフッ素化ヘテロアルキルを含んでもよい。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、分離液(L)は、1~20個の炭素原子、2~15個の炭素原子、又は3~10個の炭素原子を含むフッ素化アルキル又はその鎖(又は骨格)である。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、分離液(L)の鎖(又は骨格)は(CF2)x(式中、xは0~20)である。
【0049】
好ましい実施形態においては、分離液(L)の上記鎖(又は骨格)はC4~C10フッ素化アルキルである。本発明に係る好ましいC4~C10フッ素化アルキルの例は-C(CF3)2-、-C4F8-、又は-C2F4-である。
【0050】
好ましい実施形態によれば、分離液(L)は、上述したような1つの鎖(又は骨格)と、2つの鎖末端とを含むフッ素化アルキルポリマーであって、少なくとも1つの鎖末端は1つのヒドロキシ基又は中性基、例えばCF3又はCF2CF3を有する。更に好ましい実施形態によれば、鎖の両末端はヒドロキシ基又は中性基、例えばCF3又はCF2CF3を保持する。
【0051】
フッ素化アルキルポリマーは、Chemours社製のOpteon(登録商標)として市販されているものを入手可能である。
【0052】
フッ素化ヘテロアルキル
分離液(L)は特にフッ素化ヘテロアルキルポリマーであってもよい。
【0053】
用語「フッ素化ヘテロアルキル」は、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されている、1以上のヘテロ原子(例えばO又はS、好ましくはO)を含む直鎖、分岐鎖、又は環状の炭化水素鎖を指す。
【0054】
用語「フッ素化ヘテロアルキル」は、任意選択的にハロゲン又はヒドロキシル基で置換されるか、或いは任意選択的に不飽和であるフッ素化アルキル又はフッ素化ヘテロアルキルを含んでもよい。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、分離液(L)は、フッ素化ヘテロアルキル及びその鎖(又は骨格)であって、
-1~20個の炭素原子、2~15個の炭素原子、又は3~10個の炭素原子と、
-1~10個のヘテロ原子、1~5個のヘテロ原子、又は1~3個のヘテロ原子例えばO又はS、好ましくはOと、を含むフッ素化ヘテロアルキル及びその鎖(又は骨格)である。
【0056】
好ましい実施形態によれば、分離液(L)は、上述したような1つの鎖(又は骨格)と、2つの鎖末端とを含むフッ素化ヘテロアルキルポリマーであって、少なくとも1つの鎖末端は1つのヒドロキシ基又は中性基、例えばCF3又はCF2CF3を保持する。更に好ましい実施形態によれば、鎖の両末端はヒドロキシ基又は中性基、例えばCF3又はCF2CF3を保持する。
【0057】
フッ素化ヘテロアルキルは Chemours製のOpteon(登録商標)として、及び3M社製のNovec(登録商標)として市販されているものを入手可能である。
【0058】
ヒドロフルオロエーテル類(HFE)
分離液(L)は特にヒドロフルオロエーテル(HFE)、例えば式(X)の芳香族HFE、又は式(XI)の脂肪族HFEであってもよい。
【0059】
HFE流体は、式(X):
Ph(ORf)x (X)
(式中、
-Phは、1つ以上のエーテル基-ORfと結合した芳香環であり、好ましくPhは6つのC原子を有する環であり、
-Rfは
-少なくとも1つのC-F結合を含む一価のフッ素化アルキル基であり、
-直鎖状であることができるか又は分岐及び/又は環を含むことができ、且つ、任意選択的に、O、N若しくはSから選択されるヘテロ原子を鎖中に含むことができる、炭素鎖、好ましくはC1~C10の炭素鎖を有し、
-X>1の場合、同じ分子上のRf基は、互いに等しいか又は異なっていてもよい)
であってもよい。
【0060】
好ましくは、xは、1、2、3、又は4、より好ましくはxは2及び3に等しく、更により好ましくはxは2に等しい。
【0061】
各Rf基は、直鎖状である又は分岐及び/又は環を含むことができる、好ましくはC1~C10、より好ましくはC2~C6炭素鎖を有する。炭素鎖は、例えばO、N又はS、好ましくはOから選択されるヘテロ原子を任意選択的に含んでもよい。
【0062】
各Rf基は、少なくとも1つのC-F結合を含み、好ましくは各Rf基は少なくとも1つのC-H基を更に含む。より好ましくは、各Rfは、単一のC-H結合を持ったフッ素化アルキル基であり、更にいっそう好ましくは、上記フッ素化アルキル基であって、上記単一のC-H結合は、炭素鎖の2位の炭素原子上にあるフッ素化アルキル基である。
【0063】
Phは芳香族の、6つのC原子を有する環であり、x個は、-ORf基と結合し、(6-x)個は、任意のタイプの置換基と結合することができ、好ましくはそれらは、H原子と又はF原子と、より好ましくはH原子と結合している。
【0064】
式(X)のHFEは一価若しくは多価のフェノールをフッ素化オレフィン、好ましくは完全フッ素化オレフィンと反応させることによって調製することができる。Ph-OH基は二重C=C結合に付加し、H原子は2位のC原子上に付加する。結果として生じた化合物は、したがってハイドロフルオロエーテルである。このハイドロフルオロエーテルは、更にフッ素化してパーフルオロエーテルにすることができるが、好ましくは、上で既に述べられたように、ハイドロフルオロエーテルとして使用される。
【0065】
式(X)のHFEは以下の群:
式(X
1)の1,4-ビス(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)ベンゼン
式(X
2)の1,4-ビス(2-トリフルオロメチルー1,1,2-トリフルオロエトキシ)ベンゼン
-それらの相当するオルト及びメタ異性体
1,3-ビス(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)ベンゼン(X
3)
1,3-ビス(2-トリフルオロメチル-1,1,2-トリフルオロエトキシ)ベンゼン(X
4)、
1,2-ビス(1,1,2,2-テトラフルオロエトキシ)ベンゼン(X
5)、
1,2-ビス(2-トリフルオロメチル-1,1,2-トリフルオロエトキシ)ベンゼン(X
6)、
-パーフルオロメチルビニルエーテルの、カテコール、レゾルシノール及びヒドロキノンとの相当する誘導体:
1,2-ビス(2-トリフルオロメトキシ-1,1,2-トリフルオロエトキシ)ベンゼン(X
7)、
1,3-ビス(2-トリフルオロメトキシ-1,1,2-トリフルオロエトキシ)ベンゼン(X
8)、
1,4-ビス(2-トリフルオロメトキシ-1,1,2-トリフルオロエトキシ)ベンゼン(X
9)
から選択することができる。
【0066】
式(X)のHFE流体は、2018年12月20日に出願された、係属中の欧州特許出願第18214418.8号明細書に記載されており、この特許出願の内容は参照により本明細書に援用する。
【0067】
HFE流体は、式(XI):
Rg-O-Rh-O-Rg’ (XI)
(式中、
-Rg及びRg’は、互いに独立して、フルオロ脂肪族基であり、
-Rg及びRg’はそれぞれ1つのH原子を含み、
-Rhは、2~8個のC原子と、少なくとも4つのH原子を含む、直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキレンである)
であってもよい。
【0068】
式(XI)のHFE流体は、参照により本明細書に援用される、米国特許第7,128,133号明細書に記載されている。
【0069】
方法の工程
上記方法は、有利には連続方法である。その場合、上記方法の工程a)とb)は繰り返される。
【0070】
本発明によれば、上記固形物の粒径は0.1~100mmの範囲内である。粒径の好ましい範囲は0.5~80mmである。
【0071】
一部の特定の実施形態によれば、上記方法により分離される固形物の充填量は、容器の総体積を基準として、50体積パーセント(体積%)未満、好ましくは30体積%未満、更に好ましくは20体積%未満である。
【0072】
既に述べたように、上記方法は、分離液(L)に接触させた後、浮いている固形物を取り去るようにして実行してもよい。しかしながら、分離液に接触させた後、沈んだ固形物を取り除く場合にも、本発明に係る方法を実行することは可能である。
【0073】
本発明の方法はどのような入れ物、容器、又は器でも行うことができ、本開示においてはこれらを分離容器(C)と呼ぶ。上記方法は、必要な時に分離液(L)を追加したり、取り除いたりすることができる分離容器(C)内で行われるのが好ましい。
【0074】
一実施形態によれば、分離される固形物の混合物は分離容器(C)に充填される。その後、分離容器に分離液(L)を添加することにより、その固形物の混合物を分離液(L)に接触させて、固形物の重力分離を行う。
【0075】
別の一実施例によれば、分離液(L)は分離容器(C)に充填される。その後、固形物の混合物を上記容器(C)に添加する。その後、固形物の重力分離を行うことができる。
【0076】
固形物と分離液(L)との間の接触は、攪拌、例えば機械的撹拌、振とう、超音波処理、及び気泡攪拌によって増加させることができる。容器(C)は、例えばすくい取り装置又はデブリトラップ等の追加のピースを備えていてもよく、それにより分離される成分の取り去りを促進してもよい。
【0077】
固形物の分離液(L)への接触は、好ましくは分離液(L)の凝固点と沸点の間の温度、例えば10℃~50℃、好ましくは15℃~40℃、更に好ましくは室温で行われる。
【0078】
本発明の方法(方法が連続方法の場合には、特に工程a)とb)のサイクル)は、一般的には20分未満、例えば15分未満である。
【0079】
一実施形態によれば,上記方法は、分離液(L)との接触の後、浮いている固形物を取り去り、その固形物を乾燥させることからなる工程を含む。
【0080】
一実施形態によれば、リサイクルされる固形物を取り去る工程の後、方法は、例えば、リサイクルした分離液(L)を本発明の方法に再導入するために、固形物と一緒に残っているかもしれない分離液(L)の一部を、例えば濃縮工程を用いて回収することからなる追加の工程を含む。
【0081】
ある方法の変形例において、本発明は、密度に基づいて固形物の混合物を分離する方法であって、
a)2つの異なる密度d1及びd2を有する少なくとも2つの固形物の混合物を、密度d4を有する第1の液体(L1)に接触させることであって、ここで上記固形物の粒径は0.1~100mmの範囲内である、ことと、
a’)容器内の液体の密度が、密度に基づいて上記固形物の分離を可能にする密度d3に到達するまで、密度d5を有する少なくとも1つの第2の液体(L2)を注ぐことと、
b)密度分離により、沈んでいる固形物から浮いている固形物を分離することと、
c)任意選択的に、工程a)と、工程a’)と、工程b)とを繰り返すことと、
を含む方法に関する。
【0082】
この変形例によれば、容器内の上記液体は、密度に基づき固形物の分離を可能にする密度d3に達する。なおこの液体のことも、本開示では分離液(L)と呼ぶ。工程b)の後、分離液(L)は新たな密度、例えば密度d4に戻すか、又は完全に取り除いてもよい(工程b’))。
【0083】
応用
本発明は、密度に基づき金属含有固形分からプラスチック固形物を分離するための分離液(L)の使用にも関し、
ここで分離液(L)の密度d3は1.5<d3<2.0を満たすような密度であり、
ここで、固形物の粒径は0.1~100mmの範囲内であり、
ここで、上記プラスチック固形物は充填されているか、未充填であり、且つ酢酸セルロース、酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリアミド(例えばPA6,6、PA6、PA6,10、PA6,12、PA11、PA12)、ポリブチレン(PB)、ポリカーボネート(PC)、ポリ(カーボネート/エステル)、ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG)、グリコール変性コポリエステル(PCTG)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、コポリエステルPBT/PET、ポリエーテルイミド(PEI)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリフェニレンオキシド/ポリスチレン(PPO/PS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリアリールエーテルスルホン(PAES)、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルジフルオリド(PVDF)、スチレン-アクリロニトリル(SAN)、及び熱可塑性エラストマー(T/Pエラストマー)からなる群から選択され、
ここで上記金属固形物は、鋳鉄、炭素鋼、マンガン鋼、クロム鋼、クロム-ニッケル鋼、ステンレス鋼、銅、黄銅、錫青銅、アルミニウム、チタン、チタン合金、及びマグネシウムからなる群から選択される。
【0084】
上に記載した実施形態の全てがこの章に適用される。特に、分離液(L)は、少なくとも1つのフルオロポリエーテル(PFPE)鎖を含むフッ素化流体であってもよい。更に、上記分離液(L)は、式(III):
[(CF2O)n(CF2CF2O)m]p (III)
(式中、
-n及びmは、互いに独立して、0以上の整数であり、
-鎖の数平均分子量(Mn)が400~10,000であり、
-m及びnは、好ましくは両方ともゼロとは異なり、m/m比は、好ましくは0.1~10に含まれ、例えば0.5~10である)
の少なくとも1つのフルオロポリエーテル(PFPE)鎖を含むフッ素化流体であってもよい。
【0085】
参照により本明細書に援用される任意の特許、特許出願、及び刊行物の開示が、それが用語を不明確にし得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合、本記載が優先するものとする。
【0086】
本発明は、以下の実施例を用いてより詳細に開示される。
【実施例】
【0087】
原材料
American Elements社製アルミニウム、密度2.0~2.9
American Elements社製ステンレス鋼、密度7.0~9.0
Solvay Specialty Polymers USA社製、Radel(登録商標)PPSU、密度1.30
Solvay Specialty Polymers USA社製KetaSpire(登録商標)PEEK、密度1.30
3M社製Novec(登録商標)7500、密度1.61
Specialty Polymers Italy Spa社製、Galden(登録商標)SV55、密度1.65
【0088】
実施例1(発明的)
アルミニウム削りくずとPPSUを含む原料を、下記の方法を用いて分離し回収した。粒径分布が0.1~10mmの範囲内のアルミニウムとプラスチックの混合物を60mLの容器に加え、次に40mLのNovec(登録商標)7500を注ぎ込んだ。
プラスチック部分を上からすくい取って真空オーブン(Hgで-20)内で100℃で一晩乾燥させた。乾燥後、そのプラスチックをTGA及びDSCにより分析した。熱分解温度又は温度遷移に変化は見られなかった。
【0089】
実施例2(発明的)
ステンレス削りくずとPEEKを含む原料を、下記の方法を用いて分離し回収した。粒径分布が0.1~10mmの範囲内のアルミニウムとプラスチックの混合物を60mlの容器に加え、次に40mLのGalden(登録商標)SV55を注ぎ込んだ。
プラスチック部分を上からすくい取って真空オーブン(Hgで-20)内で100℃で一晩乾燥させた。乾燥後、そのプラスチックをTGA及びDSCにより分析した。熱分解温度又は温度遷移に変化は見られなかった。
【0090】
実施例3(発明的及び比較的)
PPSUペレットを60mLの容器に添加し、次に40mLの、以下の4つの溶媒のうち一つの溶媒を注いだ。
Galden(登録商標)(密度=1.65g/cm3)
クロロホルム(密度=1.49g/cm3)
1,2-ジクロロエタン(密度=1.25g/cm3)
1,1,2,2-テトラクロロエタン(密度=1.59g/cm3)
【0091】
3つの塩素化流体(クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、及び1,1,2,2-テトラクロロエタン)全てにおいてほぼ即座に変化が見られたのに対し、Galden(登録商標)では変化が見られなかった。2時間曝露した後、塩素系溶剤は明らかにペレットと共に溶解/膨潤していた。
【国際調査報告】