(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(54)【発明の名称】ハロゲン化炭化水素の2段階回収方法
(51)【国際特許分類】
B01D 53/04 20060101AFI20220316BHJP
A61L 2/07 20060101ALI20220316BHJP
A61M 16/01 20060101ALI20220316BHJP
【FI】
B01D53/04 230
A61L2/07
A61M16/01 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545959
(86)(22)【出願日】2020-02-04
(85)【翻訳文提出日】2021-10-01
(86)【国際出願番号】 EP2020052713
(87)【国際公開番号】W WO2020161115
(87)【国際公開日】2020-08-13
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521345545
【氏名又は名称】ゼオシス メディカル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100149032
【氏名又は名称】森本 敏明
(72)【発明者】
【氏名】フリードリッヒ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】エワーズ,クリスツィアン
【テーマコード(参考)】
4C058
4D012
【Fターム(参考)】
4C058AA30
4C058BB05
4C058DD04
4C058DD05
4C058DD06
4C058JJ16
4C058JJ24
4D012BA02
4D012BA03
4D012CA20
4D012CC06
4D012CD02
4D012CE01
4D012CE03
4D012CF01
4D012CF03
4D012CF04
4D012CG01
4D012CH01
(57)【要約】
本発明では、ハロゲン化炭化水素を回収するための2段階の方法(プロセス)を記載する。脱着工程において、吸着したハロゲン化炭化水素を含む吸着剤に水蒸気を通過させ、その結果、ハロゲン化炭化水素を含有する二次体積流が得られる。前記二次体積流は、冷却によりハロゲン化炭化水素と水とを含有する凝縮体に変換され、前記凝縮体からハロゲン化炭化水素が分離される。前記脱着工程に先行する滅菌工程において、吸着したハロゲン化炭化水素を含む吸着剤を、120℃を超える温度で、かつ0.15MPa~0.4MPaの圧力で、少なくとも10分間、水蒸気と接触させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱着工程において、吸着したハロゲン化炭化水素を含む吸着剤に、水蒸気が流し通され、その結果、ハロゲン化炭化水素を含む二次体積流を得て、そして
前記二次体積流は、冷却によってハロゲン化炭化水素及び水を含有する凝縮体に変換され、前記凝縮体から前記ハロゲン化炭化水素が分離される、ハロゲン化炭化水素を回収するための方法であって、
前記脱着工程に先行する滅菌工程において、吸着したハロゲン化炭化水素を含む前記吸着剤を、
- 少なくとも10分間、特に10~60分間、
- 120℃を超える温度、特に121~150℃の温度にて、かつ
- 0.15MPa~0.4MPaの圧力、特に0.15MPa~0.3MPaの圧力にて、
水蒸気と接触させることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
前記滅菌工程及び前記脱着工程は、同じ設備内で連続した順序で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記吸着したハロゲン化炭化水素を含む前記吸着剤は、患者の治療由来の呼吸空気をフィルタリングすることによって得られる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記滅菌工程は、
- 20~40分間、特に約30分間、
- 135~145℃の温度にて、かつ
- 0.24~0.26Mpaの圧力にて、
実施される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記滅菌工程及び前記脱着工程は、脱着管(100)内で実施され、前記脱着管(100)は、
- 蒸気入口(110)及び蒸気出口(120)を備え、かつ
- 前記蒸気入口(110)を通って前記脱着管(100)に入る蒸気が前記蒸気出口(120)を通って前記脱着管(100)を出る前に、前記吸着剤を通って流れなければならないように、前記吸着剤は、前記蒸気入口(110)と前記蒸気出口(120)との間の前記脱着管(100)に配置される、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記脱着管(100)は、蒸気出口(120)の後にバルブ(140)を備え、前記バルブ(140)は、前記滅菌工程中に閉じられ、かつ前記脱着工程中に開かれる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記脱着管(100)内で優勢な温度は、温度センサー(150)によって測定され、かつ前記温度センサー(150)は、前記脱着管(100)に導入された吸着剤容器(200)の下に、特に、前記蒸気出口(120)と前記脱着管(100)に導入された前記脱着容器(100)との間に、特に、前記脱着管(100)に導入された前記吸着剤容器(200)のすぐ下に配置される、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記脱着管(100)は、上下に配置された2つの吸着剤容器(200a、200b)を備え、前記吸着剤容器(200a、200b)に、前記吸着剤容器(200a、200b)の上にそれぞれ配置された2つの蒸気入口(110a、110b)を通して蒸気を供給することができる、請求項5又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記吸着剤容器(200)は、底部(230)及び/又は蓋(240)を備え、前記底部(230)及び/又は前記蓋(240)は、ガス透過性フィルター布(250)を備えるか、又はそれからなる、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
- 圧力安定性の脱着管(100)、
- 前記脱着管(100)に水蒸気を入れるために配置される蒸気入口(110)、
- 前記脱着管(100)から水蒸気を排出するために配置された蒸気出口(120)であり、前記蒸気出口の方向の前記蒸気出口(120)の下流に配置された出口パイプ(190)を備える、前記蒸気出口(120)、
- 前記出口(190)を閉じることができるバルブ(140)、
- バルク材料を受け入れるために設計された空間、
を備える、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法を実施するための装置。
【請求項11】
前記脱着管(100)は、
- バルク材料を受け入れるための吸着剤容器(200)、及び
- 前記蒸気出口(120)に面する前記吸着剤容器(200)の側面に配置される温度センサー(150)、
を備える請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記温度センサー(150)は、目標温度に達した後に、及び/又は前記目標温度が維持される間、10~60分の事前に選択された時間が経過した後に、前記バルブ(140)を開くように構成される制御装置(160)に接続されている、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記脱着管(100)は、0.4MPaまで圧力安定性である、請求項10~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記脱着管は、上下に配置された2つの吸着剤容器(200a、200b)を受け入れるように配置され、かつ前記吸着剤容器(200a、200b)の上にそれぞれ配置された2つの蒸気入口(110a、110b)を有して構成される、請求項10~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
水蒸気を生成するために適用される蒸気発生器(300)を備え、前記蒸気発生器(300)は、蒸気入口(110)と流体連通状態にある、請求項10~13のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
吸入麻酔薬は、患者の麻酔を誘導又は維持するために投与される。投与された吸入麻酔薬は、主に患者の呼吸の空気を介して環境中に再放出されるため、手術室で継続的に抽出され、屋根を介して廃棄され、環境に悪影響を与える。これは、フルランクラスの吸入麻酔薬がハロゲン化炭化水素からなるためである。これらは強力な温室効果ガスであり、オゾン層を破壊する。そのため、患者が呼吸する空気から吸入麻酔薬を回収することは、環境的な理由から、かつ経済的な観点からも、無換気領域にいる病院スタッフの健康を守るために必要不可欠である。
【背景技術】
【0002】
吸入麻酔薬を患者の呼吸する空気からフィルター材料に吸着及び脱着させることができる装置及びプロセス(方法)は既に知られている。
【0003】
欧州特許第15166625号には、建物用、特に病院用のフィルターシステムが記載されており、このフィルターシステムは、フィルターシステムを通して流れるガス混合物から麻酔ガスをフィルター除去するように設定されている。
【0004】
欧州特許第15162339号は、麻酔ガス、特にハロゲン化炭化水素を回収するための装置を開示しており、この装置は、フィルター材料に吸着されたハロゲン化炭化水素を蒸気によって脱着するように適用されている。
【0005】
欧州特許第08701206号及び欧州特許第07787403号には、ハロゲン化炭化水素を吸着し、その後フィルターから脱着するためのプロセス及びフィルターが記載されている。
【0006】
国際特許出願第2007/093640号には、ハロゲン化炭化水素を吸着及び脱着するために配置されたフィルターカートリッジが記載されている。
【0007】
回収した吸入麻酔薬を患者を麻酔するのに再利用するためには、吸入麻酔薬を滅菌する必要がある。吸入麻酔薬の回収と滅菌とを1つのプロセスで行うように設計されたプロセス及び装置は、先行技術ではまだ知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第15166625号
【特許文献2】欧州特許第15162339号
【特許文献3】欧州特許第08701206号
【特許文献4】欧州特許第07787403号
【特許文献5】国際特許出願第2007/093640号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
発明の目的
従って、本発明の目的は、吸入麻酔薬の回収率を向上させるためのプロセス(方法)及び装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1に記載のハロゲン化炭化水素を回収するための方法によって解決される。本方法の有利な実施形態は、請求項2~9に示されている。この課題は、請求項10に記載の装置によってさらに解決される。本装置の有利な実施形態は、請求項11~15に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、取り外し可能な2つの吸着剤容器を備えた脱着管を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
本明細書の文脈での「吸着剤(Adsorbens又はSorptionsmittel)」という用語とは、その表面にガスを吸着することができる材料を指す。本発明では、吸着剤「Adsorbens」と「Sorptionsmittel」とは互換的に使用される。
【0013】
吸着体(Sorbat)とは、ガスが吸着された状態の吸着剤を表す。
【0014】
脱着体(Desorbat)とは、脱着したガスを表す。
【0015】
吸着質(Sorptiv)とは、吸着されるガスを表す。
【0016】
「ハロゲン化炭化水素」という用語は、本明細書では、「フッ素含有吸入麻酔薬」を指すものと理解されたい。
【0017】
発明の詳細な説明
本発明の第1の態様は、ハロゲン化炭化水素を回収するための方法に関する。この方法では、脱着工程において、吸着したハロゲン化炭化水素を含む吸着剤に、高温の乾燥水蒸気から本質的になる体積流が流し通される(特に、吸着したハロゲン化炭化水素を含む吸着剤に、水蒸気が流される)。その結果、吸着したハロゲン化炭化水素が吸着剤から脱着され、体積流へ吸着されることで、ハロゲン化炭化水素と水蒸気からなる二次体積流が発生する。この二次体積流は、冷却によりハロゲン化炭化水素と水とを含有する凝縮体に変換される。この凝縮体からハロゲン化炭化水素を分離する。この工程中、温度は、特に100℃以上である。様々な方法の変形では、この工程が、特に100~150℃の温度で、特に120℃~150℃の温度で実行されることを想定している。
【0018】
本発明によれば、脱着工程に先行して、滅菌工程がある。これにより、特に吸着体は、流し通しする前に高温の水蒸気雰囲気の水蒸気にさらされる。本発明者らは、病原菌に汚染された可能性のある吸着体から回収した有効成分を、欧州医薬品当局の規制及び他国の類似の規制に適合するように処理するために必要かつ十分であるこの工程のパラメータを決定している。特に、脱着工程及び滅菌工程は、この方法の効果を高めるために、連続した順序で実施される。ただし、脱着工程と滅菌工程との間に休止時間を設けることも考えられる。さらに、脱着工程と滅菌工程とは、特に同じ設備で行うことも、又は異なる設備で行うことも可能である。例えば、脱着管を最初に滅菌装置に連結し、次に脱着設備に連結することができる。
【0019】
本発明によれば、滅菌工程中に、吸着したハロゲン化炭化水素を含む吸着剤は、少なくとも10分間、特に10分間~60分間、120℃を超える温度で、特に121℃~150℃の温度で、かつ0.15MPa~0.4MPaの圧力、特に0.15MPa~0.3MPaの圧力で特に乾燥水蒸気と接触させられる。
【0020】
一実施形態では、吸着したハロゲン化炭化水素を含む吸着剤を、温度135℃~145℃で、かつ圧力0.24MPa~0.26MPaで、20分~40分、特に約30分、特に乾燥水蒸気と接触させられる。
【0021】
滅菌のパラメータである時間、温度、及び圧力を組み合わせることで、吸着体に存在するすべての病原菌の完全な不活性が確証される条件が形成される。
【0022】
同時に、上記の殺菌パラメータである時間、温度、及び圧力は、吸着されたハロゲン化炭化水素がこの優勢な条件下で分解又は化学反応を起こさないように選択され、その結果、脱着後に滅菌されたハロゲン化炭化水素を再び使用することができる。
【0023】
一実施形態によれば、水蒸気は、滅菌工程中に吸着剤に流し通されない。一実施形態によれば、水蒸気は、水蒸気の導入中に、特に一度吸着剤を通って流れ、その後、陽圧で蒸気雰囲気に留まる。特に、滅菌工程が完了した後にのみ、ハロゲン化炭化水素の脱着のために、吸着剤は、水蒸気によって流し通される。
【0024】
滅菌工程での圧力の上昇、及び脱着工程での吸着剤を通る水蒸気の流れは、例えば脱着管のバルブを開閉することで制御することができる。或いは、方法の工程を実行するために、他の手動の手段を提供してもよい。例えば、脱着管は、滅菌設備及び脱着設備の導管に順番に手動で接続することができ、滅菌設備によって管内で圧力が上昇され、続いて、脱着設備によって管内で体積流が生成される。
【0025】
さらなる実施形態によれば、滅菌工程及び脱着工程は、同じ設備の脱着管内で連続した順番で行われる。
【0026】
脱着の場合、特に吸着体を通る水蒸気の安定した流れは、ハロゲン化炭化水素が水蒸気に吸収されて、従って取り除かれることを可能にするように、水蒸気は吸着体を通過する。水蒸気とハロゲン化炭化水素との混合物が形成される。
【0027】
この混合物は、本方法の一実施形態によれば、混入された不純物が除去され、30℃未満の温度にされる。二相液体混合物である凝縮体が形成される。この凝縮体からハロゲン化炭化水素が分離され、さらに処理される。この水は本方法(プロセス)に戻すことができる。
【0028】
さらなる実施形態によれば、水蒸気とハロゲン化炭化水素との混合物は、70℃未満、特に65℃未満、さらに特に60℃未満、さらに特に55℃未満、さらに特に50℃未満、さらに特に45℃未満の温度にされ、二相液体混合物(又は凝縮体)を形成し、さらに特に40℃未満、さらに特に35℃未満、さらに特に30℃未満、さらに特に25℃未満、さらに特に20℃未満、さらに特に15℃未満、さらに特に10℃未満、さらに特に5℃未満であり、前記混合物は、特に混入された不純物が前もって除去される。特に、二相液体混合物である凝縮体がそれによって形成され、ハロゲン化炭化水素が分離され、さらに処理される。特に、水は本方法(プロセス)に再利用することができる。
【0029】
この混合物を凝縮体が生成するようにする温度は、脱着すべきハロゲン化炭化水素の沸点に応じて選択することができる。この場合、温度はそれぞれの炭化水素の沸点未満である必要がある。さらに、重い相が沈む場合に通常形成される脱着体-水の混合物上のガス分率を最小化し、気相を介する損失を最小限に抑えるように温度を最適化することができる。凝縮体にもたらされる温度を選択する際には、それぞれのハロゲン化炭化水素の沸点に加えて、プロセス制御パラメータもまた考慮に入れられる。例えば、温度が低すぎると、冷却器又は導管の凍結を引き起こし、本方法(プロセス)に負の影響を与える可能性がある。例えば、いくつかの一般的な吸入麻酔薬の沸点は、以下のとおりである:セボフルラン:58.5℃、イソフルラン:48.5℃、デスフルラン:22.5℃、エンフルラン:56.5℃、ハロタン:50.2℃。
【0030】
ハロゲン化炭化水素の脱着の後、吸着剤が特に冷却される。これより、吸着質遊離吸着剤を、さらなる吸着・脱着のサイクルに提供することができる。
【0031】
さらなる実施形態によれば、ハロゲン化炭化水素が吸着される吸着剤は、活性炭、特に疎水性活性炭、及び/又はゼオライト、特に疎水性ゼオライト、特に修飾疎水性ゼオライトである。吸着剤は、特に多孔質であり、かつ特にマイクロメートル及び/又はナノメートル領域の細孔を備える。吸着剤の混合物を使用することもできる。
【0032】
本発明のさらなる実施形態によれば、吸着剤は、吸着前、又はプロセスサイクル全体が実施された後、及び麻酔薬の吸着に使用する前に、≦5%(w/w)の含水率、特に≦2%(w/w)の含水率であることを特徴とする。この含水率は本方法の過程の間で変化してもよい。
【0033】
吸着剤には親水性のものと疎水性のものの両方がある。本方法では、特に疎水性の吸着剤が使用される。疎水性の吸着剤はまた、大量の水を吸収することができる。吸着は、水が占有していない吸着剤の部位でのみ可能である。このように、本発明に従って使用される吸着剤は、可能な限り多くのハロゲン化炭化水素を吸着できるようにするために、特に可能な限り低い含水率を備える必要がある。ハロゲン化炭化水素の脱着の後、吸着剤は、例えば、30%(w/w)を超える含水率を備え得る。ほとんどの水を除去した後、該吸着剤は再利用することができる。
【0034】
さらなる実施形態によれば、脱着工程で使用される水蒸気は、本質的に液体の水を含有せず、特に0.1重量パーセント未満の液体の水を含有し、さらに特に液体の水を含有しない。
【0035】
湿り蒸気と過熱蒸気とは区別される。過熱蒸気は、所定の圧力での水の沸点を超える温度を備える蒸気である。それ故、過熱蒸気には液体の水をもはや含有しない。湿り蒸気では、蒸気中に常に水滴の一部が存在する。
【0036】
さらなる実施形態によれば、使用する蒸気は純粋な蒸気である。完全に脱塩した水を蒸発させることにより、純粋な蒸気が得られる。
【0037】
さらなる実施形態によれば、ハロゲン化炭化水素は、フッ素含有吸入麻酔薬を含むか、又はフッ素含有吸入麻酔薬であり、特にセボフルラン、イソフルラン、エンフルラン、ハロタン、デスフルラン、又はそれらの混合物である。
【0038】
さらなる実施形態によれば、ハロゲン化炭化水素を含む吸着剤は、ハロゲン化炭化水素で麻酔された患者の治療由来の呼吸空気をフィルタリングすることによって得られる。
【0039】
本方法のさらなる実施形態によれば、滅菌工程及び脱着工程は、0.4MPaまで圧力安定性である脱着管内で実行される。脱着管は、特に、少なくとも1つの蒸気入口及び少なくとも1つの蒸気出口を備える。特に、蒸気は、蒸気入口を介して脱着管に供給され、特に蒸気出口を介して脱着管を出る。吸着したハロゲン化炭化水素を含む吸着剤は、蒸気入口を通って脱着管に入る蒸気が蒸気出口を通って脱着管を出る前に吸着剤を通過しなければならないように、蒸気入口と蒸気出口との間の脱着管内に配置される。吸着したハロゲン化炭化水素を含む吸着剤の各位置は、したがって、蒸気と接触するようになる。吸着剤を通って蒸気が流れると、特に蒸気入口から蒸気出口にかけて温度勾配が形成される。脱着管の中で最も温度が低い位置は、従って特に蒸気出口である。この場所には温度センサーが設置されている。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、脱着管は、蒸気出口の下流にあるバルブを備え、前記バルブは、滅菌工程の間は閉じられ、脱着工程の間は開かれる。このように、脱着管内の必要な圧力は、滅菌工程時に確立することができる。脱着工程の間、二次体積流が蒸気出口を介して脱着管から出ることができるように、前記バルブは特に開いている。
【0041】
ハロゲン化炭化水素を含む吸着剤は、一実施形態によれば、脱着管から取り外し可能な吸着剤容器内の脱着管に含まれていてもよい。
【0042】
脱着管は、一実施形態によれば、円周壁及び前記円周壁で終端する底部を備え、前記底部は、特に湾曲した底部、特にDIN28011に従う皿型(「クロッパー(Klopper)」)底部である。特にその湾曲のために、前記底部は、脱着管に導入された吸着剤容器の下に空洞を形成し、凝縮体を受け入れるように構成される。凝縮体は、特に凝縮ガスを含む。凝縮体は、水蒸気並びにハロゲン化炭化水素を含み得る。前記底部は必ずしも皿型(「クロッパー」)底部として設計されているわけではないが、脱着体-水の混合物がいずれの残留物を残さずに出口バルブを通過できるので、本発明による方法にとって有利である。
【0043】
一実施形態によれば、前記底部は、操作条件の下で可能な限り最大量の凝縮体を吸着するように設計されている。吸着された凝縮体の量は、脱着管との温度差に依存する。特定の実施形態では、前記管の底部をさらに予熱して凝縮体の量をできるだけ少なく維持することが意図される。一度、凝縮体がある量形成されると、熱伝達表面が小さいため、後続の蒸気によって完全に気相に移動することができないため、ほとんどの操作条件で凝縮体の量の残留を回避するのが困難である。
【0044】
さらなる実施形態によれば、脱着管の底部は第1のシェル及び第2のシェルを備え、前記第1のシェルと第2のシェルとの間には空間が形成され、かつ特に滅菌工程の間に蒸気が前記空間に導入され、その結果、前記底部が加熱されるようになっている。
【0045】
脱着管内に広がる温度は、特に温度センサーによって測定及び制御される。温度センサーは、脱着管に導入された吸着剤容器の下、特に蒸気出口と脱着管に導入された吸着剤容器との間、特に脱着管に導入された吸着剤容器のすぐ下に配置されている。
【0046】
温度センサーは、一実施形態によれば、吸着剤容器のすぐ下に配置されている。これにより、温度センサーは、センサー要素が吸着容器の底部の真下に位置するように配置されている。温度センサーは、従って常に気相の温度を測定するが、脱着管の底部の領域に堆積され得る凝縮体の温度は測定しない。
【0047】
一実施形態によれば、温度センサーは本プロセスを制御するように構成されている。滅菌工程時に所定の滅菌温度に達するとすぐに、設定された滅菌時間が計測される。滅菌時間が経過した後、滅菌工程は終了する。これは、バルブを開き、従って、脱着工程を開始することで実行することができる。
【0048】
さらなる実施形態によれば、本プロセスを制御するためのコントローラが提供され、前記コントローラは、温度センサーによって測定された温度、特に蒸気相の温度に基づいてプロセスを制御するように形成されている。
【0049】
一実施形態によれば、温度センサーは、本発明による本プロセスをモニタリング及び制御するために使用されるが、温度が設定温度を下回った場合に滅菌プロセスが再起動される範囲に限られている。特に、本プロセスの蒸気発生器との接続はない。これらの実施形態では、本プロセス自体は、特に、設定された操作圧力上の圧力の観点でのみ操作される。
【0050】
一実施形態によれば、蒸気発生器、及び該当する場合は接続されたバルブを直接制御することによって、本発明によるプロセスをモニタリング及び制御のために温度センサーが使用される。
【0051】
一実施形態によれば、脱着管は、上下に配置された2つの吸着剤容器を備える。吸着剤容器は、特に、吸着剤容器の上又は上流にそれぞれ配置された2つの蒸気入口を通して蒸気が供給される。2つの吸着剤容器を収容することにより、それぞれが独自の蒸気入口を備え、吸着剤内の温度勾配が減少する。従って、蒸気入口が1つしかない装置と比較して、吸着剤の任意の位置にてより低い蒸気温度でも滅菌が可能である。もちろん、脱着管はまた、類似の方法で上下に配置された3つ以上の吸着剤容器を含み得る。
【0052】
吸着剤容器は、一実施形態によれば、円周壁、前記円周壁で終端する底部及び/又は蓋部を備える。さらなる実施形態によれば、前記底部及び/又は蓋部は、ガス透過性フィルター布を含むか、又はそれからなる。
【0053】
一実施形態によれば、フィルター布は、10~100μmの範囲、特に20~50μmの範囲、特に40μmの範囲の細孔を備える。
【0054】
さらなる実施形態によれば、フィルター布は、10nm~100μm、特に100nm~100μm、さらに特に1μm~100μmの範囲の細孔サイズの細孔を備え、前記細孔は、特に異なるサイズであり得る。
【0055】
吸着剤容器(1つ又は複数)は、脱着管に導入することができる。
【0056】
吸着剤容器の壁は、特に、脱着管の壁に接触しておらず、脱着管の壁と吸着剤容器の壁の間に空間が形成されている。
【0057】
吸着容器と脱着管との間の空間における蒸気の流れを防止するために、一実施形態によれば、吸着容器の蓋には、蒸気が前記吸着容器を通過しなければならないようにシールが設けられている。このシールは、膨張式プロファイルシールである。
【0058】
さらなる実施形態によれば、脱着管と吸着剤容器(複数の吸着剤容器がある場合は各吸着剤容器)との間にシール、特に円周シールが設けられており、脱着管と吸着剤容器との間の空間を特に気密に閉鎖する。特に、(それぞれの)吸着剤容器が脱着管に導入される場合、シールは、吸着剤容器(又はそれぞれの吸着剤容器)の上端の高さに配置される。特に、シールは超過圧(例えば、不活性ガスのもの、例えば、脱着管内で優勢なプロセス圧力を超えて最大0.12MPaまで)によって、シールが特に気密的に空間を閉鎖するように変形する(特に、シールは吸着剤容器の外壁に対して、又は脱着管の内壁に対して圧力をかける)。一実施形態によれば、シールは、超過圧により脱着工程の間だけ変形する。滅菌工程中、シールが特に超過圧に供されず、その結果、安定した蒸気雰囲気を(また吸着剤容器と脱着管の間の空間にも)形成することができる。
【0059】
本方法の別の態様は、回収工程においてハロゲン化炭化水素を回収することである。この目的のために、一実施形態によれば、蒸気出口を介して脱着管を出る二次体積流は、特定の洗い流し可能な前フィルター及び特定の洗い流し可能な後フィルターによるコレクターラインを介して混入した不純物が除去される。一実施形態によれば、二次体積流は、後続の冷却器、特に3つのそのような下流の冷却器によって30℃未満の温度にされる。
【0060】
さらなる実施形態によれば、二次体積流は、後続の冷却器、特に3つのそのような後続の冷却器によって、70℃未満、特に65℃未満、さらに特に60℃未満、さらに特に55℃未満、さらに特に50℃未満、さらに特に45℃未満、さらに特に40℃未満、さらに特に35℃未満、さらに特に30℃未満、さらに特に25℃未満、さらに特に20℃未満、さらに特に15℃未満、さらに特に10℃未満、さらに特に5℃未満の温度にされる。
【0061】
最後の冷却の後、このようにして形成された凝縮体-水の混合物は、特に凝縮体の回収容器に移される。二相液体混合物が形成される。特に、ハロゲン化炭化水素はこの凝縮体から分離され、さらに処理される。水は蒸発プロセスに戻すことができる。
【0062】
本発明のさらなる態様は、ハロゲン化炭化水素を回収する記載の2段階の方法を実施するための装置を含む。この装置は、圧力安定性の脱着管を備える。この脱着管は、以下を備える:
- 前記脱着管に蒸気を入れるように構成された蒸気入口であり、特に蒸気発生器と接続するための前記蒸気入口、
- 前記脱着管から蒸気を排出するように構成された蒸気出口であり、蒸気排出の方向の前記蒸気出口の下流に配置された出口を備える、前記蒸気出口、
- 前記出口を閉じることができるバルブ、
- 特に前記蒸気入口と前記蒸気出口との間の空間であり、ハロゲン化炭化水素を含むバルク材料、例えば吸着剤を受け入れるように設計される、前記空間。
【0063】
本方法に必要な蒸気は、特に、本発明による装置の一部である蒸気発生器によって生成することができる。或いは、別個の外部の蒸気発生器を前記装置の蒸気入口に接続することもできる。
【0064】
本発明による方法による凝縮体の形成は、特に脱着管内で、又は別個の凝縮部もしくは凝縮管で行うことができる。
【0065】
前記バルブは特に少なくとも0.4MPaの圧力に近い圧力安定性がある。前記バルブは、特に脱着管内の圧力を制御するように構成されている。バルブが閉じている場合、特に、脱着管内に圧力が上昇することを可能にするように構成されている。バルブが閉じている場合、蒸気出口は特に塞がれている。バルブが開いている場合、体積流は、特に蒸気出口を介して脱着管を出ることができる。
【0066】
本発明による装置の一実施形態によれば、脱着管は、バルク材料を受け入れるために設けられた少なくとも1つの取り外し可能な吸着剤容器、及び温度センサーを備え、この温度センサーは、蒸気出口に面する吸着剤容器上に、又はその側面に、したがって蒸気入口から反対を向く側面に配置されている。温度センサーは、特に吸着剤容器のすぐ下に配置されている。それにより、吸着剤容器は、特に空間の少なくとも一部、特に空間全体を形成し、これはバルク材料を受け入れるように構成されている。複数の吸着剤容器の場合、複数の吸着剤容器は、特に、バルク材料を受け入れるための前記空間を共同で形成する。
【0067】
前記装置の一実施形態によれば、温度センサーは、制御装置に接続され、前記制御装置は、目標温度に達した後、及び/又は事前に選択された期間(その間、目標温度が維持される)、特に10分~60分経過した後にバルブを開くように設計されている。制御装置は、脱着管の外側に配置され得る。
【0068】
さらなる実施形態によれば、脱着管は、湾曲した底部、特にDIN28011に従う皿型(「クロッパー」)底部を備える。前記底部は、特に、滅菌工程中に凝縮した部分を吸着するように構成されている。
【0069】
さらなる実施形態によれば、脱着管は最大0.4MPaまで圧力安定性である。
【0070】
さらなる実施形態によれば、脱着管は、上下に配置された2つの吸着剤容器を受け入れるように、かつ吸着剤容器の上にそれぞれ配置された2つの蒸気入口を有するように構成される。
【0071】
さらなる実施形態によれば、前記装置は、特に乾燥蒸気を生成するように構成された蒸気発生器を備え、前記蒸気発生器は、流体連通状態にあるか、又は少なくとも1つの蒸気入口に接続されている。
【0072】
さらなる実施形態によれば、前記装置は、蒸気発生器の下流に乾燥装置を備え、前記乾燥装置は、所与の条件下で過熱蒸気条件を生成するように構成される。前記乾燥装置は、液滴分離カラムであり得る。
【0073】
蒸気発生器は、特に、レベル制御のための下部及び上部のスイッチングポイントを備える。この水のレベルは、特に前記レベル制御によって制御することができるので、蒸気発生器が乾燥又はオーバーフローで運転することはなく、したがって、所望の品質の蒸気を提供することができる。
【0074】
充填レベルが所定の充填レベルを下回る場合、蒸気発生器、又は特に個別に切り替えカートリッジ(それぞれ5KW)のスイッチが自動的にオフにされて、乾燥運転及び過剰加熱を防止することを提供することができる。
【0075】
さらなる実施形態によれば、前記装置は、複数の脱着管を備え、前記蒸気発生器は、複数の脱着管のそれぞれの蒸気入口に接続されている。一実施形態では、蒸気発生器は4つの脱着管に接続されている。純粋な蒸気の最大生成速度は60kg/h、0.2MPa(1気圧ゲージ圧)である。これは、特に4つの脱着管の並列始動操作で十分に利用される。その後の操作では、これは特にその約3分の1~2分の1である。
【0076】
さらなる実施形態によれば、前記装置は、1~2分の時間遅延で様々な数の脱着管を並行して運転するように構成されている。
【0077】
さらなる実施形態によれば、前記蒸気発生器は、脱塩水から純粋な蒸気を生成するように構成されている。
【0078】
一実施形態によれば、完全に脱塩された水は、前記蒸気発生器の上流にある水処理装置によって提供される。これは、特に水道水の供給部、特に軟化設備、及び特に下流の逆浸透モジュールを備える。一実施形態によれば、処理された水は、前記蒸気発生器に接続された貯水タンクに貯蔵される。特に、水道の供給部と軟化設備との間に前フィルターが設置されている。
【0079】
前記前フィルターは、一実施形態によれば、50μm~最大100μmの大きさの細孔を有している。
【0080】
さらなる実施形態によれば、前記前フィルターは、10nm~100μm、特に100nm~100μm、さらに特に1μm~100μmの範囲の細孔サイズの細孔を備え、特に前記細孔は、異なるサイズのものでもよい。
【0081】
特に、軟化設備と逆浸透モジュールとの間に微細フィルターが配置されている。
【0082】
前記微細フィルターの細孔は、一実施形態によれば、サイズが2μm~8μmであり、前記細孔は、サイズが異なり得る。特定の実施形態では、平均サイズは5μmである。
【0083】
さらなる実施形態によれば、微細フィルターは、10nm~8μm、特に100nm~8μm、さらに特に1μm~8μmの範囲の細孔サイズの細孔を備え、特に細孔は、異なるサイズであり得る。
【0084】
さらなる実施形態によれば、前記装置は、凝縮部を備え、前記脱着管が前記凝縮部に接続され、かつ前記凝縮部は二次体積流を冷却し、そこから凝縮体を生成するために配置されている。特に脱着管と凝縮部との間にフィルターが配置される。このフィルターは、特に、二次体積流に混入し、吸着剤を通って流れる場合にそこから分離されるすべての粒子をフィルター除去するように構成されている。このフィルターは特に洗い流すことができる。このフィルターを直列に複数個配置することも可能である。
【0085】
一実施形態では、脱着管と凝縮部との間に、前フィルター、特に洗い流し可能な前フィルター、及び後フィルター、特に洗い流し可能な後フィルターが配置され、前記前フィルターは、前記後フィルターの上流に配置されている。
【0086】
一実施形態によれば、前記前フィルターは、15μm~30μm、特に約25μmの細孔のサイズを備える。
【0087】
さらなる実施形態によれば、前記前フィルターは、10nm~30μm、特に100nm~30μm、さらに特に1μm~30μmの範囲の細孔サイズの細孔を備え、特に前記細孔は、異なるサイズのものであってもよい。
【0088】
一実施形態によれば、前記後フィルターは、1μm~5μm、特に約5μmの細孔サイズを備える。
【0089】
さらなる実施形態によれば、前記後フィルターは、10nm~5μm、特に100nm~5μm、さらに特に1μm~5μmの範囲の細孔サイズの細孔を備え、特に前記細孔は、異なるサイズのものであってもよい。
【0090】
さらなる実施形態によれば、前記凝縮部は、順番に配置される前冷却器、中間冷却器、後冷却器を備える。一実施形態によれば、前記前冷却器及び中間冷却器は、(特に非冷却の)水道水で動作されるか、又は(特に非冷却の)水道水で動作可能である。後冷却器は、特に冷却された水道水で動作されるか、又は冷却された水道水で動作可能である。特に中間冷却器と後冷却器の間には微細フィルターが配置されている。
【0091】
或いは、前冷却器、中間冷却器、後冷却器のすべての冷却器を、冷却された水道水で動作することもでき、これらはプロセス制御に応じて温度が異なり得る。
【0092】
一実施形態によれば、微細フィルターは、1μm~5μm、特に約5μmの細孔サイズを備える。
【0093】
さらなる実施形態によれば、微細フィルターは、10nm~5μm、特に100nm~5μm、さらに特に1μm~5μmの範囲の細孔サイズの細孔を備え、特に前記細孔は、異なるサイズであり得る。
【0094】
さらなる実施形態によれば、前記装置は、フィルター洗い流しシステムを備え、前記フィルター洗い流しシステムは、特に自動的に、前フィルター、中間フィルター、後フィルター、及び/又は微細フィルターを洗い流すように構成されている。さらなる実施形態によれば、前記フィルター洗い流しシステムは、前フィルター、中間フィルター、後フィルター、及び/又は微細フィルターを、異なる容積の洗い流し液、特に水(例えば、脱塩水、脱イオン化水)で洗い流すように構成されている。さらなる実施形態によれば、前記フィルター洗い流しシステムは、前フィルター、中間フィルター、後フィルター及び/又は微細フィルターを時間差で洗い流すように設計されている。フィルター洗い流しシステムは、特に洗い流し液を貯蔵するための貯蔵タンクに接続されているか、洗い流し液を貯蔵するための貯蔵タンクを備えている。特に、前記フィルター洗い流しシステムは、洗い流し液を貯蔵タンクから前フィルター、中間フィルター、後フィルター、及び微細フィルターを通してポンプするためのポンプを備える。フィルターを洗い流すための総容積の上限は、特に貯蔵タンクの容積から、ポンプが空運転しないような容量の残留充填量を差し引いて計算される。
【0095】
さらなる実施形態によれば、凝縮部の後に回収部がある。これには、特に凝縮体回収容器、圧縮空気発生装置、並びにバッファー容器を備える。
【0096】
凝縮体回収容器は、特に後冷却器の下流に接続される。この凝縮体回収容器は、特に、冷却された凝縮体を回収し、凝縮体を相に分離するように構成されている。
【0097】
さらなる実施形態によれば、前記装置はバッファー容器を備えており、装前記置は、それぞれの充填レベルに達した場合に、密度に起因して水から分離可能なハロゲン化炭化水素を排出口によってバッファー容器に移すように構成されている。
【0098】
さらなる実施形態によれば、前記装置は、吸着剤容器(又は各吸着剤容器)と脱着管との間の空間に配置又は配置可能なシール、特に円周のシールを備えており、このシールは、吸着剤容器が脱着管に挿入されたときに、特に気密的に空間を閉じるように、したがって、特に、吸着剤容器と脱着管との間の空間における蒸気の流れを防止するように形成されている。
【0099】
さらなる実施形態によれば、前記装置は、前記シールが、特に気密的に空間を閉じるように(特に、前記シールは、超過圧によって吸着剤容器の外壁に、又は脱着管の内壁に圧力をかけることが可能である)、超過圧(例えば、脱着管内で優勢なプロセスの圧力を超えて最大0.12MPaの不活性ガスのもの)によってシールを変形させるように構成される。
【0100】
一実施形態によれば、前記装置は、前記超過圧によって脱着工程中にのみシールを変形させるように構成される。
【0101】
さらなる実施形態によれば、吸着剤容器の蓋は前記シールを備える。
【0102】
さらなる実施形態では、前記シールは膨張式プロファイルシールとして設計されている。
【0103】
さらなる実施形態によれば、前記脱着管は底部を備え、前記底部は第1のシェル及び第2のシェルを備え、空間が前記第1のシェルと前記第2のシェルとの間に設計され、特に前記装置は、前記底部が加熱可能であるように、滅菌工程中に前記空間に蒸気を導入するように設計されている。
【0104】
図1は、円周壁170及び前記円周壁170で終端する底部130を備える脱着管100を示し、これは2つの蒸気入口110a、110b、及び前記脱着管の前記底部130に配置された蒸気出口120を備える。前記蒸気出口には、バルブ140が配置されている。このバルブ140は、前記蒸気出口120の下流の出口190を開閉するように構成されている。取り外し可能な2つの吸着剤容器200a、200bは、前記脱着管100内に上下に配置されている。前記蒸気入口110a、100bは、取り外し可能な前記吸着剤容器200a、200bの上方に配置されている。温度センサー150は、前記下部吸着剤容器200bのすぐ下の、前記蒸気出口120と前記下部吸着容器200bとの間に配置されている。これは、制御装置160に接続されている。
【0105】
図2は、吸着剤容器200を示す。これは、底部230及び蓋240で終端する円周壁220を備える。前記吸着剤容器の前記底部230及び前記蓋240は、フィルター布250が設けられている。シール210は、前記吸着剤容器200の前記蓋240に配置され、前記吸着剤容器が前記脱着管に挿入される場合に、前記脱着管170の前記壁と前記吸着剤容器220との間の空間を気密的に閉鎖するように適用されている。
【0106】
図3は、回収設備の模式図である。滅菌及び脱着のプロセスは、前記脱着容管100内で行われる。この目的のために必要とされる乾燥純粋蒸気は、下流の乾燥装置310を備えた蒸気発生器300にて提供される。前記乾燥装置310は、液滴分離カラムであり得る。クリーンな蒸気は脱塩水から生成される。脱塩水は、前記蒸気発生器300の上流の浄化装置にて提供され、これは、軟化設備420による第1の工程、及び逆浸透モジュール430による第2の工程において、水道水供給部410からの水を浄化するために配置される。前フィルター450は、前記水道水供給部410と前記軟化設備420との間に配置されている。微細フィルター460は、前記軟化設備420と前記逆浸透モジュール430との間に配置されている。前記逆浸透モジュール430の後に、貯水タンク440が、前記蒸気発生器300で使用するための精製された水道水を貯蔵するために配置されている。前記脱着管100は、前記蒸気発生器300と凝縮部との間に配置されている。前記凝縮部は、凝縮体を形成するために、脱着工程における前記脱着管100を出るガス混合物を冷却するように構成される。前記凝縮部は、前冷却器520、中間冷却器530、並びに後冷却器540を備える。前記前冷却器520の上流には、前フィルター510a及び後フィルター510bがある。微細フィルター550は、前記中間冷却器530と前記後冷却器540との間に配置されている。
【0107】
回収部は、凝縮部に隣接している。1つ又は複数の相互接続された凝縮体回収容器610は、前記後冷却器540の下流に配置され、前記後冷却器540を通過する凝縮体を回収し、それを相に分離するように構成されている。
【0108】
1つ又は複数のバッファー容器630は、相に分離された凝縮体を受け取るように構成される凝縮体回収容器610に接続することができる。或いは、脱着工程の凝縮体全体(特に、脱着体を分離するために必要な一定量の水を加えたもの)を受け取ることができる1つの凝縮体回収容器610のみ(追加のバッファー容器630なし)を提供することができる。
【0109】
前記脱着管100からの脱着体の除去は、特に、脱着体の位置エネルギーを利用することによって、又は、例えば、不活性ガス(例えば、窒素)との衝突によって行うことができる。
【実施例】
【0110】
例示的な実施形態の説明
実施例1
過熱蒸気の導入は2つの段階に分けられる。第一段階では、過熱蒸気は、0.2MPa以上の圧力に達するまで、出口バルブを閉じた状態で前記蒸気発生器から前記脱着管に流れる。この圧力及び対応する温度は30分間維持される。この時間の間、前記脱着管内ではオートクレーブのような状態が優勢であり、吸着体に存在するすべての病原体(細菌、マイクロプラズマ、真菌、ウイルス、ウイロイド、プリオン、及び/又は寄生虫)が完全に不活化することを確実にする。この不活性化段階の後に120分間の脱着段階が続き、その間、前記出口バルブが開いた状態で、前記脱着管を通る過熱蒸気の安定した流れにより、吸着体から排出されるハロゲン化炭化水素が吸着及び除去されることを可能にする。この凝縮体-蒸気の混合物は、洗い流し可能な前フィルター(ステンレス鋼フィルター、25ミクロン)及び洗い流し可能な後フィルター(ステンレス鋼、5ミクロン)の手段による回収ラインを介して混入した不純物を除去し、3つの連続して接続される冷却器によって30度未満の温度にされる。脱着されるハロゲン化炭化水素、特に吸入麻酔薬に応じて、この温度の差は上記のとおり調整することができる。最後の冷却の後、凝縮体-水の混合物は、凝縮体回収容器に移される。
【0111】
実施例2
【0112】
【符号の説明】
【0113】
100 脱着管
110 蒸気入口
110a 第1の蒸気入口
110b 第2の蒸気入口
120 蒸気出口
130 脱着管の底部
140 バルブ
150 温度センサー
160 制御装置
170 脱着管の壁
190 出口
200 吸着剤容器
210 シール
220 吸着剤容器の壁
230 吸着剤容器の底部
240 吸着剤容器の蓋
250 フィルター布
300 蒸気発生器
310 乾燥装置
410 水道水の供給部
420 軟化設備
430 逆浸透モジュール
440 貯水タンク
450 前フィルター
460 微細フィルター
510 フィルター
510a 前フィルター
510b 後フィルター
520 前冷却器
530 中間冷却器
540 後冷却器
550 微細フィルター
610 凝縮体回収容器
620 圧縮空気発生装置
630バッファー容器
【0114】
項目
1. 脱着工程において、吸着したハロゲン化炭化水素を含む吸着剤に、水蒸気が流し通され、その結果、ハロゲン化炭化水素を含む二次体積流を得て、そして
前記二次体積流は、冷却によってハロゲン化炭化水素及び水を含有する凝縮体に変換され、前記凝縮体からハロゲン化炭化水素が分離される、ハロゲン化炭化水素を回収するための方法であって、
前記脱着工程に先行する滅菌工程において、吸着したハロゲン化炭化水素を含む前記吸着剤を、
- を少なくとも10分間、特に10~60分間、
- 120℃を超える温度、特に121~150℃の温度にて、かつ
- 0.15MPa~0.4MPaの圧力、特に0.15MPa~0.3MPaの圧力にて、
水蒸気と接触させることを特徴とする、前記方法。
2. 前記滅菌工程中に前記吸着剤に流し通されない、項目1に記載の方法。
3. 前記滅菌工程及び前記脱着工程は、同じ設備内で連続した順序で実施される、項目1又は2に記載の方法。
4. 前記吸着剤は、活性炭、特に疎水性活性炭、及び/又はゼオライト、特に疎水性ゼオライトである、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
5. 前記脱着工程で使用される前記水蒸気は、本質的に液体の水を含有せず、特に0.1重量パーセント未満の液体の水を含有し、さらに特に液体の水を含有しない、項目1~4のいずれか一項に記載の方法。
6. 前記ハロゲン化炭化水素は、フッ素含有吸入麻酔薬、特にセボフルラン、イソフルラン、エンフルラン、ハロタン、デスフルラン、又はそれらの混合物を含む、項目1~5のいずれか一項に記載の方法。
7. 吸着したハロゲン化炭化水素を含む吸着剤は、患者の治療由来の呼吸空気をフィルタリングすることによって得られる、項目1~6のいずれか一項に記載の方法。
8. 前記滅菌工程は、
- 20~40分間、特に約30分間、
- 135~145℃の温度にて、かつ
- 0.24~0.26MPaの圧力にて、
実施される、項目1~7のいずれか一項に記載の方法。
9. 前記滅菌工程及び前記脱着工程は、脱着管(100)内で実行され、かつ
- 前記脱着管(100)は、蒸気入口(110)及び蒸気出口(120)を備え、かつ
- 前記蒸気入口(110)を通って前記脱着管(100)に入る蒸気が前記蒸気出口(120)を通って前記脱着管(100)を出る前に、前記吸着剤を通って流れなければならないように、前記吸着剤は、前記蒸気入口(110)と前記蒸気出口(120)との間の前記脱着管(100)に配置される、項目1~8のいずれか一項に記載の方法。
10. 前記脱着管(100)は、前記蒸気出口(120)の後にバルブ(140)を備え、前記バルブ(140)は、前記滅菌工程中に閉じられ、かつ前記脱着工程中に開かれる、項目9に記載の方法。
11. 前記脱着管(100)内の吸着剤は、前記脱着管から取り外し可能な吸着剤容器(200)内に含有される、項目9又は10に記載の方法。
12. 前記脱着管(100)は、円周壁(170)及び前記円周壁(170)で終端する底部(130)を備え、前記底部(130)は、湾曲した底部であり、特にDIN28011に従う皿型の底部であり、
前記底部(130)の湾曲は、脱着体を受け入れるように構成される前記吸着剤容器(200)の下の空洞を形成する、項目9~11のいずれか一項に記載の方法。
13. 前記脱着管(100)内で優勢な温度は、温度センサー(150)によって測定され、かつ前記温度センサー(150)は、前記脱着管(100)に導入された前記吸着剤容器(200)の下に、特に、前記蒸気出口(120)と前記脱着管(100)に導入された前記吸着剤容器(200)との間に、特に、前記脱着管(100)に導入された吸着剤容器(200)のすぐ下に配置される、項目9~12のいずれか一項に記載の方法。
14. 前記脱着管(100)は、上下に配置された2つの吸着剤容器(200a、200b)を備え、前記吸着剤容器(200a、200b)に、前記吸着剤容器(200a、200b)の上にそれぞれ配置された2つの蒸気入口(110a、110b)を介して蒸気を供給することができる、項目9~13のいずれか一項に記載の方法。
15. 前記吸着剤容器(200)は、底部(230)及び/又は蓋(240)を備え、前記底部(230)及び/又は前記蓋(240)は、ガス透過性フィルター布(250)を備えるか、又はそれからなる、項目9~14のいずれか一項に記載の方法。
16. 項目1~15のいずれか一項に記載の方法を実行するための装置であって、
- 圧力安定性の脱着管(100)、
- 水蒸気を前記脱着管(100)に入れるように配置された蒸気入口(110)、
- 前記脱着管(100)から水蒸気を排出するように配置された蒸気出口(120)であり、前記蒸気出口の方向の前記蒸気出口(120)の下流に配置された出口パイプ(190)を備える、前記蒸気出口(120)、
- 前記出口(190)を閉じることができるバルブ(140)、
- バルク材料を受け入れるように設計された空間、
を備える、前記装置。
17. 前記脱着管(100)は、
- バルク材料を受け入れるための吸着剤容器(200)、及び
- 前記蒸気出口(120)に面する前記吸着剤容器(200)の側面に配置される温度センサー(150)、
を備える項目16に記載の装置。
18. 前記温度センサ(150)は、目標温度に達した後に、及び/又は前記目標温度が維持される間、10~60分の事前に選択された時間が経過した後に、前記バルブ(140)を開くように構成される制御装置(160)に接続されている、項目17に記載の装置。
19. 前記脱着管(100)は、皿型の底部(130)、特にDIN28011に従う皿型の底部を備える、項目17又は18に記載の装置。
20. 前記脱着管(100)は、0.4MPaまで圧力安定性である、項目16~19のいずれか一項に記載の装置。
21. 前記脱着管は、上下に配置された2つの吸着剤容器(200a、200b)を受け入れるように配置され、かつ前記吸着剤容器(200a、200b)の上にそれぞれ配置された2つの蒸気入口(110a、110b)を有するように構成される、項目16~20のいずれか一項に記載の装置。
22. 水蒸気を生成するために適用される蒸気発生器(300)を備え、前記蒸気発生器(300)は、蒸気入口(110)と流体連通状態にある、項目16~21のいずれか一項に記載の装置。
【国際調査報告】