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特表2022-521442機能性ハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂とその使用
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-07
(54)【発明の名称】機能性ハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂とその使用
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/075 20060101AFI20220331BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20220331BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20220331BHJP
【FI】
G03F7/075 511
G03F7/004 502
G03F7/075 521
G03F7/20 521
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549688
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(85)【翻訳文提出日】2021-09-28
(86)【国際出願番号】 FI2020050121
(87)【国際公開番号】W WO2020174126
(87)【国際公開日】2020-09-03
(31)【優先権主張番号】20195142
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521061601
【氏名又は名称】ピボンド オサケユキチュア
【氏名又は名称原語表記】PIBOND OY
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100196298
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 高雄
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ゲッタ
(72)【発明者】
【氏名】ロン ダン グエン
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ラウカネン
(72)【発明者】
【氏名】キンモ カラステ
(72)【発明者】
【氏名】オスカリ カフコネン
(72)【発明者】
【氏名】ユハ ランタラ
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
【Fターム(参考)】
2H197CA01
2H197CA06
2H197CA10
2H197CE01
2H197GA01
2H197HA03
2H197JA12
2H225AC60
2H225AM85P
2H225AN02P
2H225AN23P
2H225AN39P
2H225AN47P
2H225BA09P
2H225CA12
2H225CB14
2H225CB18
2H225CC01
2H225CC13
(57)【要約】
半導体基板上にパターンを形成するための、半導体基板上における炭素-炭素不飽和結合含有、ハロゲン含有、及び溶解度向上剤含有の被覆。本被覆は、半導体基板を、炭素-炭素不飽和結合含有、ハロゲン含有、及び溶解度向上剤含有のポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂溶液で被覆することによって製造することができる。本発明はまた、炭素-炭素不飽和結合、ハロゲン、及び溶解促進剤を含むポリハイドロジェンシルセスキオキサンの基板被覆を光の放射でパターニングする方法を提供する、この方法は、選択されたパターンに沿って被覆基板を照射して、照射された被覆領域及び照射されていない被覆領域を有する被照射構造を形成する工程、並びに前記被照射構造を選択的に現像して、照射されていない被覆の大部分を除去して、パターニングされた基板を形成する工程を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極紫外線又は電子ビームリソグラフィ用の機能性ポリハイドロジェンシルセスキオキサンレジスト組成物は、Si-Hを含む少なくとも50モル%のシロキシ繰り返し単位及び不飽和ヒドロカルビルラジカルを有する最大30モル%のシロキシ繰り返し単位を含む。
【請求項2】
請求項1に記載の組成物であって、ケイ素含有量が35重量%を超える。
【請求項3】
上記のいずれかに記載の組成物であって、溶媒中に少なくとも部分的に架橋されたオルガノシロキサンポリマーを含み、前記ポリマーは、ポリスチレン標準に対して測定された約500から100,000g/モル、特に約1,000から50,000g/モルの分子量を有する。
【請求項4】
上記のいずれかに記載の組成物であって、前記液相は、任意で水と混合された、官能性ポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂のための少なくとも1つの有機溶媒によって形成される。
【請求項5】
上記のいずれかに記載の組成物であって、二官能性又は三官能性シランを他の加水分解性ケイ素含有前駆体と加水分解/縮合反応させて官能性ポリハイドロジェンシルセスキオキサンを形成することによって得られる官能性ポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂溶液を含む。
【請求項6】
請求項6に記載の組成物であって、他の、例えば、二官能性又は三官能性ケイ素前駆体は、1つ以上のハロゲン原子を含む有機ラジカルを含む。
【請求項7】
請求項6に記載の組成物であって、他の、例えば、二官能性又は三官能性のケイ素前駆体は、ポリマー、特にオルガノシロキサンポリマーをアルカリ性現像剤により溶けやすくする官能性を有する有機ラジカルを含む。
【請求項8】
上記のいずれかに記載の組成物であって、前記組成物は光開始剤を含まない。
【請求項9】
上記のいずれかに記載の組成物であって、SiO部分、ポリマーに沿って分布する複数の反応性部位、及び第1SiH部分を含むシロキサンポリマー、不飽和ヒドロカルビルラジカルを含む第2有機ケイ素部分、並びに非官能性及びハロゲン含有ヒドロカルビルラジカルから任意に独立して選択される中間体シロキシ(SiO)部分を含む、ここで、前記ポリマーは500~50,000g/molの分子量を有し、前記組成物は好ましくは酸及び/又は塩基触媒並びに溶媒をさらに含む。
【請求項10】
上記のいずれかに記載の組成物であって、一般式(I)を有する官能性ポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂を含む、
【化1】
ここで、
A、B、C、D及びEはそれぞれ、独立して選択された1から1000までの整数を表す;
Xはハロゲン原子を表す;
Zは、アルカリ性現像剤への溶解性を高める官能基を表す;
R1は水素を表す;
R6は、不飽和部分を含むヒドロカルビルラジカルを表す;及び
R2からR5及びR7からR10は、それぞれ独立して、水素又はヒドロカルビルラジカル、特にヒドロカルビルラジカルを表す。
【請求項11】
上記のいずれかに記載の組成物であって、前記組成物は、基板上にキャストすることができる被覆配合物の製造に適しており、前記基板上の前記被覆は、任意で、直接照射又はマスクを使用することによってパターニングすることができる。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の機能性ポリハイドロジェンシルセスキオキサンレジスト組成物を製造する方法であって、少なくともSiH部分、及びSiに共有結合した不飽和炭化水素ラジカル、並びに任意でハロゲン、溶解度増強部分を含む炭化水素ラジカルを含む。
【請求項13】
請求項12に記載の方法は以下を含む:
ケイ素に結合した少なくとも2つ、任意で少なくとも3つの加水分解性基を有する第1のモノマー水素含有ケイ素化合物を加水分解すること、
少なくとも0、1、2、又は3つのヒドロカルビルラジカル、及び前記化合物のケイ素原子に結合した少なくとも1つの加水分解性基を有する第2モノマーケイ素化合物は、任意で少なくとも以下のうちの1つと共に:
少なくとも1つの官能基及び少なくとも1つの加水分解性基が化合物のケイ素原子に結合してシロキサン材料を形成する第3のモノマーケイ素化合物、ここで、前記官能基は不飽和である、及び
少なくとも1つの官能基と少なくとも1つの加水分解性基が前記化合物のケイ素原子に結合してシロキサン材料を形成する第4のモノマーケイ素化合物、ここで、前記官能基はハロゲン原子を含む、及び
少なくとも1つの官能基と前記化合物のケイ素原子に結合した少なくとも1つの加水分解性基とを有する第5のモノマーケイ素化合物、
シロキサン材料を形成する、ここで、前記官能基は、現像剤への溶解を促進し、溶媒系においてシロキサン材料を組成物、特に安定した組成物に配合する。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の方法であって、前記第1及び第2ケイ素化合物は0~100モル%で使用される、前記第3ケイ素化合物は0~30モル%で使用される、前記第4化合物は0~20モル%で使用される、前記第1及び第2ケイ素化合物の総量は少なくとも30モル%、特に少なくとも60モル%、例えば少なくとも70モル%である。
【請求項15】
請求項12から14のいずれかに記載の方法であって、一般式IIを有する第1ケイ素化合物を加水分解することを含む、
R1 a-Si-R2 b (II)
ここで、
aは1又は2の整数である、
bは2又は3の整数である、
R1は水素原子を示す、及び
R2は、ヒドロキシル、アルコキシ、アシルオキシ及びハロゲンから独立して選択される加水分解性基を示す。
【請求項16】
請求項12から15のいずれかに記載の方法であって、一般式IIを有する第1ケイ素化合物を加水分解することによってコポリ(オルガノシロキサン)を生成することを含む、ここで、前記記号a、b、R1及びR2は上記と同じ意味を有する、一般式IIIを有する化合物を含む、
R3 c-SiR21 n-R4 d (III)
ここで、
R3及びR4は、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基、エポキシ基を有する有機基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アルコキシアリール基、アシルオキシアリール基、イソシアヌレート基、水酸基、環状アミノ基、又はシアノ基、又はそれらの組み合わせから独立して選択される、
R21は、アルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基を表す、
cは0から1の整数である、
nは2から4の整数である、
dは0から2の整数である、
ここで、c + n + dの合計値は4を超えない。
【請求項17】
請求項12から16のいずれかに記載の方法であって、一般式IIを有する第1ケイ素化合物を加水分解することによってコポリ(オルガノシロキサン)を含む組成物を生成することを含む、ここで、前記記号a、b、R1及びR2は式IIにおける上記と同じ意味を有する、一般式IVを有する化合物を含む、
R5 e-SiR22 n-R6 f (IV)
ここで、
R5は、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基、エポキシ基を有する有機基、メルカプト基、アルコキシアリール基、アシルオキシアリール基、水酸基、環状アミノ基、又はシアノ基、又はそれらの組み合わせから独立して選択される、
R6は、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアリール基、アシルオキシアリール基、又はそれらの組み合わせに存在する二重結合又は三重結合を含む官能基である、
R22は、アルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基である、
eは0から1の整数である、
nは1から3の整数である、及び
fは0から2の整数である、
ここで、e + n + fの合計値は4以下である。
【請求項18】
請求項12から17のいずれかに記載の方法であって、一般式IIを有する第1ケイ素化合物を加水分解することによってコポリ(オルガノシロキサン)を含む組成物を生成することを含む、ここで、前記記号a、b、R1及びR2は式IIにおける上記と同じ意味を有する、一般式Vを有する化合物を含む、
R7 g-SiR23 n-R8 h-X (V)
ここで、
Xはハロゲン基であり、
R7は、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基、エポキシ基を有する有機基、メルカプト基、アルコキシアリール基、アシルオキシアリール基、水酸基、環状アミノ基、又はシアノ基、又はそれらの組み合わせから独立して選択される、
R8は、Z及びSiの両方に共有結合したスペーサー基であり、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基、アルコキシアリール基、アシルオキシアリール基、又はそれらの組み合わせに由来する二価基から独立して選択することができる、
R23は、アルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基であり、
gは0から1の整数である、
nは1から3の整数である、
hは0から1の整数である、及び
ここで、g + n +hの合計値は4以下である。
【請求項19】
請求項12から18のいずれかに記載の方法であって、一般式IIを有する第1ケイ素化合物を加水分解することによってコポリ(オルガノシロキサン)を含む組成物を生成することを含む、ここで、前記記号a、b、R1及びR2は式IIにおける上記と同じ意味を有する、一般式VIを有する化合物を含む、
R9 i-SiR24 n-R10 j-Zy k (VI)
ここで、
Zは、ヒドロキシ、カルボン酸、メルカプト、アミン又はその塩、若しくは水性現像剤への溶解を促進する第4級アンモニウム塩から選択される基であり、
R9は、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基、エポキシ基を有する有機基、メルカプト基、アルコキシアリール基、アシルオキシアリール基、水酸基、環状アミノ基、又はシアノ基、又はそれらの組み合わせから独立して選択される、
R10は、Z及びSiの両方に共有結合したスペーサー基であり、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基、アルコキシアリール基、アシルオキシアリール基、又はそれらの組み合わせに由来する二価基から独立して選択することができる、
R24は、アルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基である、
iは0から1の整数である、
nは1から3の整数である、
jは0から2の整数である、及び
ここで、i + n + jの合計値は4以下である、式(IV)の構造において、kは、スペーサー基R3が包含することができる値を示す、及び1以上でなければならない。
【請求項20】
請求項12から19のいずれかに記載の方法であって、一般式IIを有する第1ケイ素化合物を加水分解することを含む、ここで、前記記号a、b、R1及びR2は式IIにおける上記と同じ意味を有する、一般式IIIからVIのうちの1つによる少なくとも1つの第2化合物を含む、及び一般式IIIからVIのうちの1つによる少なくとも1つの第3化合物を含む、前記第3化合物は、前記第2化合物とは異なるものである。
【請求項21】
請求項12から20のいずれかに記載の方法であって、前記一般式IIを有する第1ケイ素化合物を加水分解することを含む、ここで、前記記号a、b、R1及びR2が式IIにおける上記と同じ意味を有する、一般式IIIからVIのうちの1つによる少なくとも1つの第2化合物を含む、一般式IIIからVIのうちの1つによる少なくとも1つの第3化合物を含む、及び一般式IIIからVIの1つによる、少なくとも1つの第4分化合物及び任意で第5化合物を含む、前記第3化合物、前記第4化合物及び任意的な前記第5化合物は、前記第2化合物とは異なるものであり、任意的には相互に異なるものである。
【請求項22】
請求項12から21のいずれかに記載の方法であって、HTEOS(HSi(OC2H5)3)及び不飽和ヒドロカルビルラジカルを含むケイ素前駆体、又はHTEOS(HSi(OC2H5)3)及び他の加水分解性シランの混合物中の不飽和ヒドロカルビルラジカルを含むケイ素前駆体を使用することを含む、これらは部分的に縮合したポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂を製造するために、好ましくは制御された加水分解/縮合反応に供される。
【請求項23】
請求項12から22のいずれかに記載の方法であって、得られたポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂又は被覆溶液にラジカル抑制剤又は酸化防止剤を添加することを含む。
【請求項24】
請求項12から23のいずれかに記載の方法であって、得られたポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂又は被覆溶液に、ポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂の経時変化を防止する安定剤を添加することを含む。
【請求項25】
請求項24に記載の方法において、前記安定剤は、典型的には、少なくとも1つのジカルボン酸、典型的にはマレイン酸、マロン酸、又はコハク酸から選択される。
【請求項26】
炭素-炭素不飽和結合を含む、ハロゲンを含む、及び溶解性向上剤を含むポリハイドロジェンシルセスキオキサンで被覆基板を、特定の波長の光の放射を用いてパターニングする方法であって、前記方法は以下の工程を含む:
選択されたパターンに沿って被覆基板を照射して、照射された被覆領域及び照射されていない被覆領域を備えた被照射構造を形成すること;及び
被照射構造を選択的に現像して、前記照射されていない被覆の大部分を除去して、パターニングされた基板を形成すること。
【請求項27】
請求項26に記載の方法であって、被覆基板が、紫外線の波長、特に1から200nm、特に13.5nmなどの極紫外線波長範囲の光の放射で照射される。
【請求項28】
請求項26又は27に記載の方法であって、炭素-炭素不飽和結合含有、ハロゲン含有、及び溶解度向上剤含有のポリハイドロジェンシルセスキオキサン被覆基板は、1から200nmの間の波長の光線で照射される。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって、炭素-炭素不飽和結合含有、ハロゲン含有、及び溶解度向上剤含有のポリハイドロジェンシルセスキオキサン被覆基板は、波長13.5nmの光線で照射される。
【請求項30】
請求項26から29のいずれかに記載の方法であって、前記被覆は以下を含む、SiO部分を含むシロキサンポリマー、ポリマーに沿って分布する複数の反応性部位、及び第1SiH部分、第2中間芳香族及び非芳香族部分、メタクリレート、アクリレート、ノルボルネン、又はそれらの組み合わせから選択される炭素-炭素不飽和結合を含む第3部分、ハロゲンを含む第4部分、ヒドロキシ、カルボン酸、メルカプト、アミン又はその塩から選択される第5部分、若しくはポリマーが500~50000g/molの分子量を有する水性現像剤への溶解を促進する第4級アンモニウム塩。
【請求項31】
請求項26から30のいずれかに記載の方法であって、前記被覆は一般式(I)を有するポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂を含む、
【化7】
ここで、
A、B、C、D、及びEは、それぞれ独立して選択された1から1000までの整数を表す、
Xはハロゲン原子を表す、
Zは、アルカリ性現像剤への溶解性を高める官能基を表す、
R1は水素を表す、
R6は、不飽和部分を含むヒドロカルビルラジカルを表す、及び
R2からR5及びR7からR10は、それぞれ独立して、水素又はヒドロカルビルラジカル、特にヒドロカルビルラジカルを表す。
【請求項32】
請求項26から31のいずれかに記載の方法は、以下を含む基板をパターニングすることを含む:
選択されたパターンに沿って被覆基板を照射して、照射された被覆の領域及び照射されていない被覆を有する領域を有する被照射構造を形成する、ここで、前記被覆基板は、約5nmから約400nmの平均厚さを有する被覆を含み、材料構造にSi-H及び炭素-炭素不飽和結合を有するSi-O-Siネットワークを含む;
被照射構造を約45℃から約200℃の温度で0.1分から約30分間加熱して、焼き戻しされた被照射構造を形成する;及び
前記焼き戻しされた照射構造を選択的に現像して未照射被覆の大部分を除去して、パターニングされた基板を形成する。
【請求項33】
請求項26から32のいずれかに記載の方法であって、前記被照射構造は、前記被照射構造がネガティブトーンイメージングに供され得るように、水性塩基に不溶性である照射された被覆及び水性塩基に可溶な照射されていない被覆を有する。
【請求項34】
請求項26から33のいずれかに記載の方法であって、表面を有する基板及び表面に沿った選択された領域に被覆を含み、表面に沿った他の領域には被覆が存在しない基板をパターン形成することを含む、前記被覆は、ケイ素-炭素結合を有するケイ素-酸素ネットワークを含む、及び/又は炭素-炭素不飽和結合を含む、前記被覆は有機液体又は水性塩基に可溶である。
【請求項35】
請求項26から34のいずれかに記載の方法であって、光開始剤の非存在下でパターニングを実施する。
【請求項36】
請求項26から35のいずれかに記載の方法は、以下を含む:
Si-Hを含む少なくとも50mol-%のシロキシ繰り返し単位及び不飽和ヒドロカルビルラジカルを有する最大30mol-%のシロキシ繰り返し単位を含むポリハイドロジェンシルセスキオキサンレジスト組成物を提供する、前記組成物は35%重量を超えるケイ素含有量を有する;
前記組成物を基板上の層中又は被覆中に形成する;及び
光開始剤の非存在下で、1~200nmの波長又は13.5nmの波長の光の放射を使用する極紫外線ビームリソグラフィによって基板をパターニングする、ここで、前記組成物は、好ましくは炭素-炭素不飽和結合及びハロゲン、並びに任意で溶解性向上剤を含む。
【請求項37】
請求項1から11のいずれかに記載の組成物を塗布することによるレジスト膜の形成方法であって、これは半導体基板上にレジスト下層膜を形成して組成物をベーキングするために、光開始剤を含まない。
【請求項38】
半導体デバイスを製造するための方法は、以下を含む:
レジスト下層フィルム又は複数の下層フィルムを半導体基板上に塗布し、組成物をベーキングして、1つ以上のレジスト下層フィルムを形成する;
請求項1から11のいずれかに記載の組成物をレジストとして1つ以上のレジスト下層フィルムに塗布してレジストフィルムを形成する;
前記レジストフィルムを露光する;
露光後、前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する;
前記レジストパターンを使用して前記レジスト下層フィルムをエッチングする;及び
これによりパターニングされたレジスト膜及びこれによりパターン形成されたレジスト下層膜を使用して、半導体基板を製造する。
【請求項39】
半導体デバイスを製造するための方法は、以下を含む:
半導体基板上に有機下層膜を形成する;
レジスト膜を有機下層膜上に形成して組成物をベーキングしてレジスト膜を形成するために、請求項1から11のいずれかに記載の組成物を塗布する;
前記レジストフィルムを露光する;
露光後、前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する;
前記レジストパターンを使用してレジスト下層フィルムをエッチングする;
これによりパターン形成された前記レジスト下層フィルムを使用して、前記有機下層フィルムをエッチングする;及び
これによりパターニングされた前記有機下層膜を使用して、前記半導体基板を製造する。
【請求項40】
請求項38又は39のいずれかに記載の方法、ここで、前記レジスト膜が、紫外線、又は特に極端紫外線波長範囲、例えば1から200nmの範囲、特に約13.5nm(92eV)の光に曝される。
【請求項41】
請求項38から40のいずれかに記載の方法、ここで、請求項1から11のいずれかに記載の組成物は、光開始剤を含まない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、官能化ポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂被覆組成物を使用して基板上でパターニング工程を実行するための、放射線ベースの方法に関する。
【0002】
本発明はさらに、非常に高い解像度で直接またはマスクされた放射線を適用することによってパターニングできる樹脂コーティングに官能化ポリハイドロジェンシルセスキオキサンとして堆積できる溶液中の1つ以上の加水分解前駆体、被覆基板、及びパターニングの前後に前駆体溶液で形成された被覆に関する。
【背景技術】
【0003】
業界は、一般的な露光ツールを介して、436nm(g-line)、405nm(h-line)、365nm(i-line)、248nm(KrFエキシマ)、そして最後に193 nm(ArFエキシマ)(Okoroanyanwu 2015、Gangnaik et al. 2017、De Simone et al. 2014)に定義された波長に移行した。
【0004】
248nm及び193nmの波長で使用されるレジスト材料は化学増幅型レジスト(CAR)であり、その組成と微細構造は、基板上にこれまで以上に微細なフィーチャをプリントする必要性に従って進化してきた。この傾向の継続として、λ= 13.5 nm(92 eV)の極端紫外線(EUV)波長が、次世代リソグラフィの主要な候補となっている(De Simone et al. 2017)。
【0005】
過去10年間で、集積回路を大量生産するためのEUVリソグラフィ(EUVL)の開発に多額の投資が行われてきた。電子ビームリソグラフィ(EBL)、ソフトリソグラフィ、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)、フォトンビームリソグラフィ(PBL)、又はスキャニングプローブリソグラフィを含む様々なナノリソグラフィ技術があり、二次元平面にプリントできるフィーチャのスケールダウンを拡張することが提案されている。
【0006】
EUVLを成功させるには、すべてが特定の利点と欠点に直面する新しいフォトレジスト材料が必要である。機能性フォトレジストは、Higgins et al. 2011によって説明されているように、RLS特性、つまり、解像度(R)、ラインエッジ粗さ(LER)及び感度(S)を提供するべきである。
【0007】
無数の異なる材料アプローチが、EUVLを使用してパターンを形成するために開発されている。一般的なレベルでは、これらは有機レジスト、ケイ素ベースのレジスト及び金属含有レジストの、3つの異なるカテゴリに分類できる。
【0008】
非CARレジストとしばしば呼ばれる有機レジストは、十分なLERを実証することができるが、EUV吸収特性が低いことから高線量が必要になるため、非常に不利である。このレジストの感度を上げるために、CAR材料が採用されている。一方、CAR材料は、CAR内のフォトンショットノイズ及び光酸発生剤の分布の統計的影響に主に起因する低いLERに悩まされている。
【0009】
両有機タイプのレジストの課題に対処するために、レジスト材料に含まれる放射線感受性成分を含む製剤が調製されている。13.5nmのEUV光子の高いモル吸光係数を持つ元素は、金属である。したがって、感度を向上させるために金属が他のレジスト材料に添加された、若しくは金属が分子レジスト、金属酸化物ナノ粒子、有機金属前駆体又は金属有機フレームワークとして使用された、金属含有レジストへの関心が高まっている。
【0010】
このようなレジストは高い感度と解像度を示しているため、将来のEUVLレジストの主要な候補と見なされている。しかし、それらの主な欠点は、金属がトランジスタの機能を破壊する可能性があるため、集積回路の製造において金属が強く嫌われていること、及びLER特性を改善する必要があることである。さらに、De Simone et al.及びWatanabeは、EUVスキャナーにおいては、金属含有レジストの金属種が原子H又はラジカルH *と相互作用して金属水素化物(MxHy)を形成し、これが光学寿命に深刻なリスクをもたらすことに言及している。加えて、高いLERは、金属ベースのレジストと化学的に増幅されたレジストの両方において問題となる(De Simone et al. 2017)。
【0011】
CARのもう1つの欠点は、耐エッチング性が低く、パターンが不安定であることである(Grigorescu and Hagen 2009)。したがって、CARは、基板へのパターン転写のために、ケイ素に富む中間層及び炭素に富む下層の両方を必要とする。金属とケイ素をベースにした無機樹脂には、EUVLによって無機中間層が直接パターニングされるため、リソグラフィスタックが簡素化されるという利点がある。
【0012】
ハイドロジェンシルセスキオキサン(HSQ)は、広く利用されているネガ型電子ビーム及びEUVLレジスト材料である。その高密度パターン、つまり10 nm未満のピッチ構造の可能性があることから、最適なプロセスを見つけるために徹底的な調査が行われてきた。ただし、感度が非常に低いこと、濃縮現像剤が必要であること、及び処理中に比較的不安定であることが知られており、(Yang et al. 2009)で説明されているように産業での採用は制限されている。
【0013】
現像剤の温度、現像剤の濃度、及び現像剤の組成など、EUVLに適したプロセスの開発を容易にできるいくつかの要因がある。従来技術の進歩にもかかわらず、過度の金属汚染なしにRLS特性を提供する機能性フォトレジストが、依然として求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の目的は、新規の機能性ポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂被覆組成物を提供することである。
【0015】
本発明の別の目的は、新規の機能性ハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂を製造する方法を提供することである。
【0016】
本発明の第3の目的は、光の放射を用いて機能性ポリハイドロジェンシルセスキオキサン被覆基板にパターニングするための方法を提供することである。
【0017】
本発明のさらなる目的は、光又は電子ビームの放射によるパターニングに適した放射線感受性被覆を含む被覆基板を提供することである。
【0018】
さらなる目的として、本発明は、炭素-炭素不飽和結合及び/又はハロゲン含有ポリハイドロジェンシルセスキオキサン被覆基板を特定の波長の光を照射することでパターニングする方法に関する、前記方法は、選択されたパターンに沿って被覆基板を照射して、照射された被覆領域及び照射されていない被覆領域を有する被照射構造を形成する工程、並びに前記被照射構造を選択的に現像して、照射されていない被覆の大部分を除去してパターニングされた基板を形成する工程を含む。前記被覆基板は、一般に、ケイ素-炭素結合及びケイ素-水素を有する、及び/又は炭素-炭素不飽和結合及び/又はハロゲン含有結合を有する、ケイ素-酸素ネットワークを含むパターン形成に使用される被覆を含む。
【0019】
もう1つの目的として、本発明は、炭素-炭素不飽和結合及び/又はハロゲン含有結合ポリハイドロジェンシルセスキオキサン被覆基板に、波長が13.5nm以下である特定の波長の光を放射することでパターニングを行う方法に関する。
【0020】
別の目的として、本発明は、約5ミクロン以下の平均厚さ及び前記被覆に沿った任意の点における前記平均からの厚さ変動が約50%以下である放射線感受性被覆を含む被覆基板に関し、前記被覆は、ケイ素-炭素結合及びケイ素-水素を有する、及び/又は炭素-炭素不飽和結合及び/又はハロゲン含有結合を有する、ケイ素-酸素ネットワークを含む。
【0021】
本発明の別の目的は、表面を有する基板と、表面に沿った選択された領域にあり、表面に沿った他の領域には存在しない第1被覆とを含む、パターニングされた基板に関する。一般に、前記第1被覆は、ケイ素-炭素結合及びケイ素-水素及び/又は炭素-炭素不飽和結合及び/又はハロゲン含有結合を有するケイ素-酸素ネットワークを含む。あるいは、前記第1被覆は、少なくともいくつかの有機液体に可溶であるか、又は前記第1被覆は水性塩基に可溶である。
【0022】
追加の目的として、本発明は、有機液体と、ケイ素-酸素ネットワークのケイ素-炭素結合及びケイ素-水素中のSi-H又はSi-Rと比較して約0.001Mから約1Mの炭素-炭素不飽和結合を含む前駆体溶液に関し、前記前駆体溶液は、約0.5センチポアズ(cP)から約150cPまでの粘度を有する。前記有機液体は、少なくとも10℃の引火点及び20℃において約10kPa未満の蒸気圧を有してもよい。
【0023】
もう1つの目的として、本発明は、表面と、表面に沿った選択された領域にあり、表面に沿った他の領域には存在しない第1被覆とを含む基板を含む、パターニングされた基板に関する。一般に、前記第1被覆は、ケイ素-炭素結合及びケイ素-水素を有する、及び/又は炭素-炭素不飽和結合を有する、ケイ素-酸素ネットワークを含み、酸素プラズマ又は灰化プロセスにおけるエッチング速度が50nm/分未満である。
【0024】
本発明の最後の目的の1つは、現像剤への被覆の溶解性を制限又は促進する前駆体の共重合の方法による、ケイ素-炭素結合及びケイ素-水素及び/又は、炭素-炭素不飽和結合及び/又はハロゲン含有結合を有するケイ素-酸素ネットワークを含む被覆の溶解度を変更する能力である。
【0025】
従来のHSQ樹脂はシラノール機能を有さない。係属中の我々の発明(FI特許出願20185677)では、HSQ樹脂にシラノール部分が存在すると、HSQ樹脂と比較して被覆のパターン形成能力が向上することが示されている。その結果、シラノール含有ポリハイドロジェンシルセスキオキサンは、今日までの文献に記載されているものと比較して、EUVリソグラフィでより高い感度を実証する。
【0026】
さらに、本明細書では、炭素-炭素不飽和結合、ハロゲン含有結合、及び溶解性増強基又はそれらの組み合わせと組み合わせた、ケイ素-炭素結合及びケイ素-水素を有するネットワークを有するポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂を提供する。
【0027】
フィルムに存在する樹脂のシラノール基は、EUVによってSiHから生成された中間反応性ケイ素種と反応するように見えるが、これは考えられる説明の1つにすぎない。
【0028】
さらに、官能基を添加するとポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂の感度をさらに高めることが見出された。不飽和結合又はハロゲン原子などの官能基を含むケイ素含有前駆体を添加すると、樹脂の感度がさらに向上し、より広いプロセスマージン又はプロセスウィンドウが可能になる。
【0029】
同様に、水性現像剤への溶解性を高める官能基を含むケイ素含有前駆体素は、パターン形成及び化合物をさらに改善して、より広いプロセスマージンを得ることができる。
【0030】
これらの溶液は、半導体基板上にパターンを形成するためのキャストシラノール含有機能性有機-無機ハイブリッド被覆を製造するために使用することができる。
【0031】
本発明はまた、機能性ケイ素-炭素結合及びケイ素-水素を有する、及び/又はシラノール結合を有するケイ素-酸素ネットワークを含む、放射線感受性被覆を含む被覆基板を提供する。
【0032】
本発明はさらに、特定の波長の光線又は電子ビームで機能性ポリハイドロジェンシルセスキオキサン被覆基板をパターニングする方法を提供する、前記方法は、選択されたパターンに沿って前記被覆基板を照射して、照射された被覆領域及び照射されていない被覆領域を有する被照射構造を形成する工程、並びに前記被照射構造を選択的に現像して、前記照射されていない被覆の大部分を除去して、パターニングされた基板を形成する工程を含む。
【0033】
さらに、本発明は、特定の波長の光の放射によって機能性ポリハイドロジェンシルセスキオキサン被覆基板をパターニングする方法を提供する、ここで、前記波長は13.5nm以下である。
【0034】
さらに、本発明は、表面と、表面に沿った選択された領域にあり、表面に沿った他の領域には存在しない第1被覆とを有する基板を含むパターニングされた基板を提供する。一般に、前記第1被覆は、ケイ素-炭素結合及びケイ素-水素を有する、及び/又はシラノール結合を有する機能性ポリハイドロジェンシルセスキオキサンを含む。あるいは、前記第1被覆は、少なくともいくつかの有機液体に可溶であるか、又は前記第1被覆は、水性塩基に可溶である。
【0035】
より具体的には、本発明は、独立請求項の特徴的な部分に記載されていることを特徴とする。
【0036】
本発明により、かなりの利点が得られる。
【0037】
本明細書に記載の本発明は、20nm以下の特徴のパターニングにおける重要な課題に対処する。さらに、記載されている材料は、高い酸素プラズマエッチング耐性を提供して、リソグラフィスタックの簡素化を可能にする。さらに、我々にとって驚いたことに、炭素-炭素不飽和結合及び/又はハロゲン含有結合及び/又は溶解度向上基と組み合わせて存在するケイ素-炭素結合及びケイ素-水素を有するポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂ネットワークを含む被覆の使用により、業界標準2.38wt-%TMAH溶液を使用して、照射された被覆の溶解特性を現像剤に設計する手段を用いてパターンを現像することが可能になる。
【0038】
したがって、本溶液は、半導体基板上に被覆をキャストして、その後のベーク、照射、及び現像工程を通じてパターンを形成するために使用することができる。特に、本発明は、工業的に実現可能、及び従来技術の欠点を解決するような方法で、樹脂の微細構造の制御を可能にする。例えば、前記機能性ポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂組成物は、より高い感度及びより広いプロセスウィンドウを与えるように調整することができ、これは、EUVLに適用するための高感度被覆を得るために非常に望ましい。
【0039】
本明細書に記載の本発明は、RLSの主要な課題に対処し、さらに、高い酸素プラズマエッチング耐性を提供して、リソグラフィスタックの簡素化を可能にする。
【0040】
さらに、ケイ素-酸素を有する機能性ポリハイドロジェンシルセスキオキサン、又はケイ素-炭素結合及びケイ素-水素を有する、及び/又はシラノール結合を有するケイ素-酸素-金属ネットワークを有する、機能性ポリハイドロジェンシルセスキオキサンを含む被覆を使用することによって、業界標準2.38 wt-%TMAH溶液を使用して、照射された被覆の溶解特性を現像剤に設計する手段を用いてパターンを現像することが可能になる。
【0041】
光開始剤又は光触媒は、従来のポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂に使用される。そのような成分の例は以下の通りである:ベンゾフェノン、メチル-2-ベンゾイルベンゾエート、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、オキシ-フェニル-酢酸2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステルとオキシ-フェニル-酢酸2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステルの混合物、エチル-2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド及びそれらの混合物。驚くべきことに、本技術では、光開始剤又は光触媒を全く使用する必要がないことが見出された。むしろ、本組成物は光触媒なしで硬化することができる。したがって、本組成物は、いかなる光開始剤も存在しない状態で実行されるパターニングに供することができる被覆を提供するであろう。
【0042】
本技術のさらなる特徴及び利点は、以下の実施形態の詳細な議論から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】三層リソグラフィスタックのアセンブリを概略的に示す側面図である。
図2】四層リソグラフィスタックのアセンブリを概略的に示す側面図である。
図3】一実施形態による、ポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂を含む炭素-炭素二重結合によるパターニングを示す側面図である。
図4】一実施形態のポリハイドロジェンシルセスキオキサンを含む炭素-炭素二重結合のEUV架橋機構を概略的に示す図である。
図5図5a、図5b及び図5cは、a)比較例1、b)実施例1、及びc)実施例2で得られた電子ビーム処理結果のSEM画像を示す図である。
図6図6 a、図6b及び図6cは、a)比較例1、b)実施例2、及びc)実施例3で得られた電子ビーム処理結果のSEM画像を示す図である。
図7図7a及び図7bは、a)比較例1及びb)実施例4で得られた電子ビーム処理結果のSEM画像を示す図である。
図8図8 a及び図8bは、a)実施例5及びb)比較例2で得られた電子ビーム処理結果のSEM画像を示す図である。
図9図9 a、図9b及び図9cは、a)LER = 3.87 nmを示す比較例1、b)LER = 2.86 nmを示す実施例6、及びLER = 2.77nmを示す実施例7、の材料を使用したEUVLによって得られた22nmハーフピッチパターニング線の電子ビームの結果を示すSEM画像である、ここで、適用されたEUV線量はそれぞれ77.5 mJ/cm2、97.5 mJ/cm2、及び82.5 mJ/cm2であった。
図10図10 a、図10b及び図10cは、a)比較例1、b)実施例8、及びc)実施例9で得られた電子ビーム処理結果のSEM画像を示す図である。
図11図11 a、図11b及び図11cは、a)LER = 3.87 nmを示す比較例1、b)LER = 2.80 nmを示す実施例10、及びc)LER=3.05nmを示す実施例11、の材料を使用したEUVLによって得られた22nmハーフピッチパターニング線の電子ビームの結果を示すSEM画像である、ここで、適用されたEUV線量はそれぞれ77.5 mJ/cm2、87.5 mJ/cm2、及び107.5 mJ/cm2であった。
図12図12 a、図12b及び図12cは、a)LER = 3.87 nmを示す比較例1、b)LER = 4.96 nmを示す実施例10、及びc)LER = 3.00nmを示す実施例11、の材料を使用したEUVLによって得られた22nmハーフピッチパターニング線の電子ビームの結果を示すSEM画像である、ここで、適用されたEUV線量はそれぞれ77.5 mJ/cm2、87.5 mJ/cm2、及び90 mJ/cm2であった。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本明細書に別段の記載がない限り、又は文脈から明らかでない限り、本明細書で言及されるパーセンテージはいずれも、それぞれの組成物の総重量に基づく重量パーセントとして表される。
【0045】
特に明記しない限り、本明細書で実験的に測定又は決定された特性は、室温で測定又は決定されたものである。特に記載のない限り、室温は25℃である。
【0046】
明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」及び「the」は、特に明記しない限り、複数の指示対象を含むことにも留意されたい。
【0047】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、記載された値の±5%である値を表す。
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、実際の所与の値、及びそのような所与の値の実験及び/又は測定条件による概算を含む、当業者に合理的に推論されるそのような所与の値の概算も表す。
【0048】
特に明記しない限り、「分子量」又は「平均分子量」という用語は、重量平均分子量(「MW」とも略される)を表す。
【0049】
本発明の実施形態は、機能性ポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂溶液を製造する方法に関する、ここで、加水分解性ケイ素前駆体は、単独で、又は適切な他のケイ素含有前駆体と共に、制御された加水分解/縮合反応に供される。
【0050】
以下から明らかなように、本技術は、半導体基板上にパターンを形成するための、半導体基板上の炭素-炭素不飽和結合含有、ハロゲン含有、及び溶解度向上剤含有の被覆を提供する。本被覆は、炭素-炭素不飽和結合含有、ハロゲン含有、及び溶解度向上剤含有のポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂溶液で半導体基板を被覆することによって製造することができる。
【0051】
炭素-炭素不飽和結合含有、ハロゲン含有、及び溶解度増強剤含有のポリハイドロジェンシルセスキオキサン被覆基板を、特定の波長の光を放射することでパターニングを行うための方法を含む実施形態もまた、より詳細に説明する。典型的には、本方法の実施形態は、選択されたパターンに沿って被覆基板を照射して、照射された被覆領域及び照射されていない被覆領域を有する被照射構造を形成する工程、並びに前記被照射構造を選択的に現像して、前記照射されていない被覆の大部分を除去してパターニングされた基板を形成する工程を含む。
【0052】
本材料は、「機能性ポリヒドロシルセスキオキサン樹脂」として特徴付けることができる。このような材料は、以下で説明するように、有機化合物及び無機化合物に由来する残留物を含む。さらに、本材料は、シラノール基、すなわち、接続性Si-O-Hを示す基、及び典型的にはその主鎖に沿って、特にその主シロキサン鎖に沿って、Siへの接続性を示す他の官能基を含む。
【0053】
「官能性」という用語は、例えば、新規のポリハイドロジェンシルセスキオキサンポリマーが「官能性」、すなわち反応可能な基を表すことを示すために使用される。そのような官能基は、樹脂及び/又は樹脂から調製された被覆の特性に寄与するであろう。
【0054】
より具体的には、ポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂に関連する本発明の官能基は、炭素-炭素不飽和結合を含む樹脂中のケイ素原子に結合したヒドロカルビルラジカルに関連し、これが少量でも存在する場合、基板上のパターン形成を大幅に改善することができる。
【0055】
ポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂に関連する本発明の官能基に関連する本発明の実施形態はまた、ハロゲン原子を含む樹脂中のケイ素原子に結合したヒドロカルビルラジカルに関連し、これが少量でも存在する場合、樹脂の吸収を更に改善することによって基板上のパターン形成を更に改善する。
【0056】
より具体的には、ポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂に関連する本発明の官能基は、溶解度増強基を含む樹脂中のケイ素原子に結合したヒドロカルビルラジカルに関連し、これが少量でも存在する場合、非露光領域をさらに現像剤へ溶解させることによって、基板上のパターン形成を大幅に改善する。
【0057】
前記樹脂又は前記被覆のケイ素含有量は、通常、少なくとも30重量%、特に35重量%以上であり、約52重量%までの値に達することさえできる。一実施形態において、前記組成物は、前記組成物の総重量に基づいて35重量%を超えるケイ素含有量を有する。
【0058】
一般に、ポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂の主鎖の繰り返し単位あたり約70~99%のSi-H基がある。一実施形態において、典型的には、ポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂主鎖の各ユニットに対して約90から98%のSi-H基が存在する。
【0059】
本組成物中に任意的に存在する成分に関連して使用される場合の「潜在的」という用語は、組成物又は樹脂の、例えば光による処理中に活性化される特性を表す。したがって、前記組成物中の潜在的な酸及び潜在的な塩基は、光に曝されたときに活性化され得る。
【0060】
一実施形態において、本材料は、光触媒なしで硬化される。
【0061】
一実施形態において、EUVLを使用することによる本材料のパターニングは、光開始剤の非存在下で実行される。
【0062】
一実施形態において、本ポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂又は樹脂組成物は、光開始剤を含まない。
【0063】
本発明の実施形態はまた、機能性ポリハイドロジェンシルセスキオキサン溶液を使用して、半導体基板上に被覆をキャストし、その後のベーク工程、照射工程、及び現像工程を通じてパターンを形成することに関する。特に、本発明は、工業的に実現可能且つ先行技術の欠点を解決するような方法で、樹脂の微細構造を制御する能力に関する。例えば、本発明は、ポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂中の炭素-炭素不飽和結合の量を制御する能力に関し、これは、EUVLで適用するための高感度被覆を得るためには、非常に望ましい。
【0064】
一実施形態は、以下を含む:
Si-Hを含む少なくとも50mol-%のシロキシ繰り返し単位及び最大30mol-%の不飽和ヒドロカルビルラジカルを有するシロキシ繰り返し単位を含むポリハイドロジェンシルセスキオキサンレジスト組成物を提供する、前記組成物は35%重量を超えるケイ素含有量を有する、
前記組成物を基板上の層又は被覆に形成する;及び
光開始剤の非存在下で、1~200nmの波長又は13.5nm(又は13.5 nm以下)の波長の光の放射を使用する極紫外線ビームリソグラフィによってパターニングする、ここで、前記組成物は好ましくは炭素-炭素不飽和結合及びハロゲンを含み、並びに任意で溶解性向上剤を含む。
【0065】
一実施形態において、本技術は、基板上に照射硬化性シロキサン層を形成することに適した組成物に関する、前記組成物は、SiO部分、ポリマーに沿って分布する複数の反応部位、及び第1SiH部分を含むシロキサンポリマー、及び中間芳香族及び非芳香族部分、不飽和結合を含む第3有機ケイ素部分、ハロゲン基を含む第4有機ケイ素部分、及び前記ポリマーが500から50000g/モルの重量平均分子量を有する現像剤への溶解性を高める官能基を含む第5有機ケイ素部分を含む、前記組成物は、好ましくは酸及び/又は塩基並びに溶媒をさらに含む。
【0066】
好ましい実施形態において、本発明は、基材上にキャストすることができる被覆配合物の製造に適した組成物に関する、ここで、前記基板上の前記被覆は、パターニング可能なフィルムの照射によってパターニングすることができ、前記被覆は一般式(I)で表される、
【化1】
【0067】
式Iにおいて、記号A、B、C、D及びEはそれぞれ、1から1000より独立して選択された整数を表し、Zは官能基を表し、Xはハロゲン原子を表す。
【0068】
さらに、式Iにおいて、R1からR10はそれぞれ独立して水素又はヒドロカルビルラジカルを表し、特にR1は水素を表す;R6は、不飽和部分を含むヒドロカルビルラジカルを表す;及び、R2からR5及びR7からR10はそれぞれ、独立して水素又はヒドロカルビルラジカルを表す。実施形態において、R1は水素を表してもよい;R6は不飽和部分を含むヒドロカルビルラジカルを表してもよい;及び、R2からR5及びR7からR10はそれぞれ、ヒドロカルビルラジカルを表す。
【0069】
本文脈において、「不飽和部分」という用語は、特に炭素原子間で二重結合又は三重結合を示す構造を表す。このような結合は「不飽和結合」と呼ばれる。前記不飽和部分は、1つ又はいくつかの不飽和結合を含むことができる。前記不飽和結合は、共役又は非共役にすることができる。
【0070】
典型的には、一実施形態において、不飽和部分は、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を含む。不飽和部分の例には、アルケニレン基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアリール基、アシルオキシアリール基、又はそれらの組み合わせ等の、二重結合又は三重結合を含む基又は構造が含まれる。R1からR10のそれぞれはまた、アルキレン基、シクロアルキレン基、ハロゲン化アルキル及びアルキレン基、並びにアルコキシルアルキル基から選択される1つ以上の部分を表すか、またはそれらを含み得る。
【0071】
もちろん、各部分、特に不飽和部分は、典型的にはハロゲン化物、アルコキシ基、水酸基、チオール基、エステル基、オキソ基、ケトン基、カルボン酸基、アミン及びアミドよりなる群から選択される置換基もまた含んでもよい。
【0072】
不飽和部分の具体例には、ビニル、ビニルエーテル、アクリレート、アクリル酸アルキル、アリール、ノルボルネン、及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0073】
さらに、不飽和部分は、様々な前駆体と併せて以下で検討される。
【0074】
「アルコキシ」基及び「アルキル」基、「アルキレン」基、及び「アルケニレン」基は、1から12個の炭素原子、典型的には1から10個の炭素原子を含むアルカンに由来する直鎖又は分岐基である。本技術の実施形態において、アルコキシ及びアルキルは、好ましくは、直鎖又は分枝基、特に低級アルコキシ及び低級アルキル基である。このような基には、1~6個、特に1~4個の炭素原子が含まれる。
【0075】
「シクロアルキレン」基は、少なくとも3個、好ましくは少なくとも4個、特に少なくとも5個の炭素原子及び最大20個の炭素環原子を含む。
【0076】
「アリール」は、芳香環、通常はフェニル及びナフチル又はアントラセニルなどの芳香族炭化水素に由来する官能基又は置換基の従来の意味を有する。アリール基は通常、1~5個の芳香環を含み、これらは融合又は部分的に融合することができる。
【0077】
上記の組成物は、ケイ素に結合した少なくとも1つの加水分解性基を有する第1モノマー水素含有ケイ素化合物(「前駆体A」)を加水分解すること、これは、
任意で、少なくとも1つのヒドロカルビルラジカル、及び化合物のケイ素原子に結合した少なくとも1つの加水分解性基を有する第2モノマーケイ素化合物、すなわち(「前駆体B」)と、
不飽和結合を含む少なくとも1つの官能基と、前記化合物のケイ素原子に結合した少なくとも1つの加水分解性基とを有する第3モノマーケイ素化合物(「前駆体C」)と、
任意で、少なくとも1つの加水分解性基及び少なくとも1つのハロゲン含有基を有する第4モノマーケイ素化合物(「前駆体D」)と、
任意で、少なくとも1つの官能基と、化合物のケイ素原子に結合してシロキサン材料を形成する少なくとも1つの加水分解性基とを有する第5モノマーケイ素化合物(「前駆体E」)とを有する、ここで、前記官能基は現像剤への溶解を促進する、及び
適切な溶媒系において、シロキサン材料を組成物、特に安定な組成物に配合すること、によって得られる。
【0078】
本発明で使用される前駆体の比率は変動し得る。前駆体Aは50~100 mol-%で使用できる、前駆体Bは0~20 mol-%で使用できる、前駆体Cは0.1~20 mol-%、通常は1~10 mol-%で使用できる、前駆体Dは0~20 mol-%で使用できる、前駆体Eは0~10 mol-%で使用できる。前記シロキサン組成物は、同じ反応容器内で、又は特定の部分で別々に、又は各前駆体で独立して、加水分解及び縮合を実施することによって得ることができる。
【0079】
一実施形態において、前記前駆体Aは、99:1から80:20モルの前駆体A対前駆体Cのモル比で使用される。
【0080】
本発明は、一般式IIを有する第1ケイ素化合物を加水分解することによって得られるポリ(オルガノシロキサン)を含む組成物の製造に特に適している、
R1 a-Si-R2 b (II)
【0081】
本組成物において、aは1又は2の整数であり、bは2又は3の整数である。R1は水素原子を示し、R2は、ヒドロキシル、アルコキシ、アシルオキシ及びハロゲンから独立して選択可能な加水分解性基を示す。「ハロゲン」の意味において、加水分解性基のそれぞれは、好ましくはそして独立して、塩素、ヨウ素、フッ素、又は臭素を表す。「アルコキシ」の意味において、加水分解性基のそれぞれは、好ましくはそして独立して、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシを表す。「アシルオキシ」の意味において、加水分解性基のそれぞれは、好ましくはそして独立して、アセトキシ、アクリロキシ、又はメタクリロキシを表す。そのような前駆体の具体例は、トリエトキシシラン(HTEOS)、トリメトキシシラン(HTMOS)、ジエトキシシラン及びトリクロロシランである。場合によっては、R2はメチル、エチル、プロピル、ビニルなどの有機ラジカルであってもよい。そのような前駆体の具体例には、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジクロロシラン、ビニルジメトキシシラン、ビニルジエトキシシラン及びビニルジクロロシランが含まれる。
【0082】
本発明はまた、前記一般式IIを有する前記第1ケイ素化合物を、一般式IIIを有する前駆体を使用して加水分解することによって得られるコポリ(オルガノシロキサン)を含む組成物に関する、
R3 c-SiR21 n-R4 d (III)
【0083】
ここで、R3及びR4は、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基、エポキシ基を有する有機基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アルコキシアリール基、アシルオキシアリール基、イソシアヌレート基、水酸基、環状アミノ基、又はシアノ基、若しくはそれらの組み合わせから独立して選択することができる。R21は、上記のR2と同じ意味を持つことができる。具体的には、R21及びR3はまた、アルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基であってもよい。cは0から1の整数である、nは2から4の整数である、dは0から1の整数である、及びm + n + oの合計値は4を超えてはならない。
【0084】
本発明はさらに、前記一般式IIを有する前記第1ケイ素化合物を、一般式IVを有する前駆体を使用して加水分解することによって得られるコポリ(オルガノシロキサン)を含む組成物に関する、
R5 e-SiR22 n-R6 f (IV)
【0085】
ここで、R5は、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基、エポキシ基を有する有機基、メルカプト基、アルコキシアリール基、アシルオキシアリール基、水酸基、環状アミノ基、又はシアノ基、若しくはそれらの組み合わせから独立して選択される、R6は、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基、アルコキシアリール基、アシルオキシアリール基、又はそれらの組み合わせに存在する二重結合又は三重結合を含む官能基である。R22は、上記のR2と同じ意味を持つことができる。具体的には、R22は、アルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基を表すことができる。eは0から1の整数である、nは1から3の整数である、fは0から2の整数である、及びe + n + fの合計値は4以下である。
【0086】
最後に、本発明は、一般式IIを有する第1ケイ素化合物を、一般式Vを有する前駆体を使用して加水分解することによって得られるコポリ(オルガノシロキサン)を含む組成物に関する、
R7 g-SiR23 n-R8 h-X (V)
【0087】
ここで、Xはハロゲン基であり、R7は、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基、エポキシ基を有する有機基、メルカプト基、アルコキシアリール基、アシルオキシアリール基、水酸基、環状アミノ基、又はシアノ基、若しくはそれらの組み合わせから独立して選択される、R8は、X及びSiの両方に共有結合したスペーサー基であり、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基、アルコキシアリール基、アシルオキシアリール基、又はそれらの組み合わせに由来する二価基から独立して選択することができる。R23は、上記のR2と同じ意味を持つことができる。具体的には、R23は、アルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基であり得る。gは0から1の整数である、nは1から3の整数である、hは0から1の整数である、及びg + n + hの合計値は4以下である。式(V)の構造において、hは、スペーサー基R8が包含することができる値を示す、及び1以上の整数である。
【0088】
最後に、本発明は、一般式IIを有する第1ケイ素化合物を、一般式VIを有する前駆体を使用して加水分解することによって得られるコポリ(オルガノシロキサン)を含む組成物に関する、
R9 i-SiR24 n-R10 j-Zy (VI)
【0089】
ここで、Zは、ヒドロキシ、カルボン酸、メルカプト、アミン又はその塩、若しくは水性現像剤への溶解を促進する第4級アンモニウム塩から選択される基であり、R9は、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基、エポキシ基を有する有機基、メルカプト基、アルコキシアリール基、アシルオキシアリール基、水酸基、環状アミノ基、又はシアノ基、又はそれらの組み合わせから独立して選択される、R10は、Z及びSiの両方に共有結合したスペーサー基であり、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、ハロゲン化アラルキル基、アルケニル基、アルコキシアリール基、アシルオキシアリール基、またはそれらの組み合わせに由来する二価基から独立して選択することができる。R24は、上記のR2と同じ意味を持つことができる。具体的には、R2は、アルコキシ基、アシルオキシ基、又はハロゲン基である。iは0から1の整数である、nは1から3の整数である、jは0から2の整数である、及びi + n + jの合計値は4以下である。式(VI)の構造において、jは、スペーサー基R10が包含することができる値を示す、及び1以上でなければならない。
【0090】
一実施形態は、一般式IIを有する第1ケイ素化合物を加水分解することを含み、ここで、記号a、b、R1及びR2は、式IIにおける上記と同じ意味を有する、一般式IIIからVIの1つによる少なくとも1つの第2化合物を有する、及び一般式IIIからVIの1つによる少なくとも1つの第3化合物を有する、前記第3化合物は、前記第2化合物とは異なるものである。
【0091】
一実施形態は、一般式IIを有する第1ケイ素化合物を加水分解することを含む、ここで、前記記号a、b、R1及びR2は、式IIにおける上記と同じ意味を有する、一般式IIIからVIの1つによる少なくとも1つの第2化合物を有する、一般式IIIからVIの1つによる少なくとも1つの第3化合物を有する、及び一般式IIIからVIのいずれか1つによる少なくとも1つの第4化合物及び任意で少なくとも1つの第5化合物を有する、前記第3化合物、前記第4化合物及び任意での前記第5化合物は、前記第2化合物とは異なり、及び任意的には相互に異なるものである。
【0092】
前駆体(III)の具体例は以下を含むが、これらに限定されない:テトラメトキシシラン、テトラクロロシラン、テトラアセトキシシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラ-n-プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリベンジルオキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルトリアセトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、β-シアノエチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジプロピルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトメチルジエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ-グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ-グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α-グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α-グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β-グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β-グリシドキシエチルエチルジメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β-グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ-グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、及びフェニルスルホニルアミノプロピルトリエトキシシラン。
【0093】
前駆体(IV)の具体例は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、ジメチルビニルメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリアセトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、3-ブテニルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリエトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、(メタクリロキシメチル)メチルジエトキシシラン、(メタクリロキシメチル)メチルジメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリクロロシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、3-アクリルアミドプロピルトリメトキシシラン、アクリルオキシメチルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、アクリルアミドプロピルトリエトキシシラン、アクリルアミドプロピルトリクロロシラン、アクリルオキシメチル(フェニルエチル)トリメトキシシラン、メタクリルアミドプロピルトリエトキシシラン、メタクリルアミドプロピルトリクロロシラン、[2-(3-シクロヘキセニル)エチル]トリメトキシシラン、[2-(3-シクロヘキセニル)エチル]トリエトキシシラン、[2-(3-シクロヘキセニル)エチル]トリクロロシラン、[2-(3-シクロヘキセニル)エチル]メチルジメトキシシラン、[2-(3-シクロヘキセニル)エチル]メチルジクロロシラン、(5-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エニル)トリエトキシシラン、(5-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エニル)トリメトキシシラン、(5-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エニル)メチルジエトキシシラン、(5-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エニル)エチルジエトキシシラン、(5-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エニル)ジメチルメトキシシラン、(5-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エニル)トリクロロシラン、(5-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エニル)メチルジクロロシラン、(5-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エニル)ジメチルクロロシランである。
【0094】
前駆体(V)の具体例は、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルメチルジクロロシラン、クロロメチルメチルジメトキシシラン、クロロメチルトリクロロシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、2-クロロエチルメチルジメトキシシラン、2-クロロエチルメチルジクロロシラン、2-クロロエチルトリメトキシシラン、2-クロロエチルトリクロロシラン、-クロロエチルメチルジメトキシシラン、2-クロロエチルメチルジクロロシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルトリアセトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3-クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ビス(クロロメチル)ジクロロシラン、ビス(クロロメチル)メチルクロロシラン、ビス(クロロメチル)ジメトキシシラン、ビス(クロロメチル)メチルメトキシシラン、ビス(クロロメチル)ジエトキシシラン、ビス(クロロメチル)メチルエトキシシラン、ビス(3-クロロプロピル)ジクロロシラン、クロロフェニルメチルジメトキシシラン、クロロフェニルトリメトキシシラン、クロロフェニルトリエトキシシラン、クロロフェニルトリクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)メチルジメトキシシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)トリメトキシシラン、及びクロロ基が同等のブロモ又はヨード基で置換されている同様の化合物である。上記に加える具体例は:4-ブロモブチルトリメトキシシラン、4-ブロモブチルトリクロロシラン、2-ブロモエチルトリメトキシシラン、5-ブロモペンチルトリメトキシシラン、ブロモフェニルトリメトキシシランである。前駆体(V)の例にはまた、1つ以上の水素原子が(1つ以上の)ハロゲン原子で置き換えられた、線状、分岐、環状、芳香族及びアルキル芳香族化合物も含まれる。これらの具体例には、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルメチルジメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、ノナフルオロヘキシルトリメトキシシラン、ノナフルオロヘキシルメチルジメトキシシラン、1,2-ジブロモエチルトリメトキシシラン、1,2-ジブロモエチルトリクロロシラン、ペンタフルオロフェニルトリメトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリエトキシシラン、ペンタフルオロフェニルトリクロロシラン、ビス(ペンタフルオロフェニル)ジメトキシシラン、4-ブロモ-3,3,4,4-テトラフルオロブチルトリメトキシシランが含まれる。
【0095】
前駆体(VI)の具体例は、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、4-アセトキシフェニルエチルトリメトキシシラン、4-アセトキシフェニルエチルトリエトキシシラン4--(アセトキシフェニルエチル)メチルジクロロシラン、4--(アセトキシフェニルエチル)メチルジメトキシシラン、4-(アセトキシフェニルエチル)メチルジエトキシシラン、2-(カルボメトキシ)エチルトリメトキシシラン、2-(カルボメトキシ)エチルメチルジメトキシシラン、2-(カルボメトキシ)エチルトリクロロシラン、2-(カルボメトキシ)エチルメチルジクロロシラン、トリエトキシシリルプロピルカルバメート、トリエトキシシリルプロピルマレアミド酸、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4-ヒドロキシブチルアミド、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)グルコナミド、(3-トリエトキシシリル)プロピルコハク酸無水物、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ヒドロキシ-3,3-ビス(トリフルオロメチル)プロピルトリエトキシシラン、4-(メトキシメトキシ)トリメトキシシリルベンゼン及び6-(メトキシメトキシ)-2-(トリメトキシシリル)ナフタレンである。
【0096】
一実施形態は、HTEOS(HSi(OC2H5)3)、及び不飽和ヒドロカルビルラジカルを含むケイ素前駆体、又はHTEOS(His(OC2H5)3) 、及び他の加水分解性シランの混合物中の不飽和ヒドロカルビルラジカルを含むケイ素前駆体を使用することを含む、これらは部分的に縮合したポリハイドロシルセスキオキサン樹脂を製造するために、加水分解/縮合反応に供される。
【0097】
一実施形態によれば、加水分解及び重合は、完全に溶媒なしで実施されるか、又は有機溶媒中、任意的に非プロトン性有機溶媒中で実施される。溶媒の例には、アルコール、エステル、ケトン、及びエーテルが含まれる。特定の適切な溶媒は、アセトン、エチルメチルケトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、及びテトラヒドロフランである。特に適切な溶媒は、特に加水分解中のケイ素原子との配位による特定の安定化効果が存在する場合、ケトン及びエーテルである。そのような例は、エチルメチルケトン、メチルテトラヒドロフルフリルエーテル及びエチルテトラヒドロフルフリルエーテルである。
【0098】
モノマーの制御された加水分解は、0.0001Mから1Mの範囲のモル比の酸又は塩基溶液を添加することによって得られる。有機酸又は無機酸を合成に使用できる。硝酸、硫酸、塩酸、ヨウ化水素酸、臭化水素酸、フッ化水素酸、ホウ酸、過塩素酸、炭酸、リン酸などの無機酸を使用することができる。硝酸又は塩酸は沸点が低く生成物の精製が容易であるため、これらを使用することが好ましい。別のオプションでは、無機酸の代わりに様々な有機酸が使用される。有機酸は、カルボン酸、スルホン酸、アルコール、チオール、エノール、及びフェノール基の群、並びにそれらの組み合わせから選択することができる。具体的には、メタンスルホン酸、酢酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ギ酸、又はシュウ酸を使用することができる。合成に使用される塩基は、同様に無機又は有機であってよい。典型的な無機塩基並びに金属水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩及び他の塩は、アルカリ性水溶液を生成する。そのような材料の例は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、及び重炭酸ナトリウムである。有機塩基はまた、有機酸の金属塩(酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、アクリル酸ナトリウム、メタクリレートナトリウム、安息香酸ナトリウムなど)からなるより大きな基、又は線状又は分枝状又は環状アルキルアミン(ジアミノエタン、プルテシン、カダベリン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ピペリジンなど)アミジン及びグアニジン(8-ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデカ-7-エン、1,1,3,3-テトラメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]-dec-5-eneなど)、ホスファザン(P1-t-Bu、P2-t-Bu、P4-t-Buなど)、及び第4級アンモニウム化合物(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなど)を含んでもよい。
【0099】
加水分解及び縮合プロセス中の反応混合物の温度は、-30~170℃の範囲で変化させることができる。反応温度が低いと反応の制御が改善されるが、反応時間が長くなり、一方で温度が高すぎるとプロセスが速すぎて適切な制御ができなくなる可能性がある。したがって、0~100℃の温度で1~48時間の反応時間が好ましい;上記の温度範囲での2~24時間の反応時間がさらに好ましい。適切な条件を使用して、本発明による方法は、有機溶媒系において、部分的に架橋された、場合によっては炭素-炭素不飽和結合を含む、オルガノシロキサンポリマーを産出する、前記ポリマーは、ポリスチレン標準に対して測定して、約5000から100,000g/モル、特に約1,000から50,000g/モルの重量平均分子量を有する。
【0100】
本発明の別の実施形態は、加水分解及び重合が行われる溶媒が、重合後に、何らかの形の安定化を通じて材料により良い被覆性能及び製品貯蔵特性を提供する溶媒に変更されることである。そのような安定化有機溶媒系は、任意的に他の共溶媒又は共溶媒と混合された有機エーテルによって形成される。有機エーテルは、一般に4~26個の炭素原子及び任意的にヒドロキシル基などの他の官能基を含む線状、分岐又は環状エーテルである。特に適切な例は、環上に置換基を任意に有する5員及び6員の環状エーテル、並びに(C1-20)アルカンジオール(C1-6)アルキルエーテルなどのエーテルである。前記アルカンジオールアルキルエーテルの例は、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール。ジメチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル及びそれらの混合物である。本エーテルの特に好ましい例は、メチルテトラヒドロフルフリルエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコール、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールn-メチルエーテル、プロピレングリコールn-エチルエーテル及びそれらの混合物である。安定化溶媒系は、この種のエーテルのみ、又はそのようなエーテルと加水分解の典型的な反応媒体との混合物、又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの他の溶媒からなる。そのような場合、エーテルの割合は、溶媒の総量の約10から90重量%、特に約20から80重量%である。
【0101】
選択された溶媒と樹脂材料からなる放射線感受性製剤の固形分は、0.1%から50%以下の範囲である;最も好ましくは、0.5%から10%の範囲である。前記固形分(又はポリマー含有量)は、被覆プロセス中に得られる膜厚を調整するために使用される。被覆の均一性の観点から被覆性能を改善するために、ケイ素又はフルオロ界面活性剤などの異なる界面活性剤を使用して、シラノール含有ポリハイドロジェンシルセスキオキサン配合被覆の表面張力を低下させることができる。そのような界面活性剤の使用は、必要に応じて被覆品質を改善する可能性がある。界面活性剤の量は、シラノール含有ポリハイドロジェンシルセスキオキサンの量と比較して、0.001質量%から10質量%以下の範囲である。
【0102】
(前駆体IIIとしての)炭素-炭素不飽和結合部分をポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂へ導入することは、HSQ樹脂と比較して被覆のパターン形成能力を大いに促進することが見出された。EUV又は電子ビームなどの同様の照射方法を使用中に、H *ラジカルがSiHから形成されやすい。形成されたラジカルは変換を受け、これが膜の架橋につながる。この結果、露出領域は水性現像剤への溶解性を失う。不飽和結合を含む前駆体の使用は、代替の架橋メカニズムを提供し、これはポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂の架橋を容易にする。不飽和結合は、SiHから形成されたラジアルと反応する可能性がある。
【0103】
図4は、炭素-炭素不飽和結合含有ポリハイドロジェンシルセスキオキサンのEUVパターニングメカニズムを示す実施形態を示す、ここで、メタクリレートベースの化合物の重合を示す。
【0104】
一般的に言えば、材料に炭素-炭素不飽和結合が存在すると、ポリマーの架橋が改善され、感度が向上する。
【0105】
炭素-炭素不飽和結合を含む被覆は、官能基の量の増加の関数として感度が向上する。その結果、炭素-炭素不飽和結合含有ポリハイドロジェンシルセスキオキサンは、ポリマー構造にこれらの炭素-炭素不飽和結合を含まないものと比較して、EUVリソグラフィでより高い感度を示す。この効果は、炭素-炭素不飽和結合含有機能性有機ケイ素前駆体の量が増えると感度が上がる、つまり樹脂をパターニングするための線量が減少する例で実証されている。したがって、機能性ポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂組成物を調整して、リソグラフィパターニングプロセスの結果を最適化することができる。
【0106】
一実施形態において、樹脂組成物中に炭素-炭素不飽和結合を含む有機ケイ素前駆体の1~30モル%、例えば2~20モル%の量が使用される。このような追加により、感度が向上する。
【0107】
炭素-炭素不飽和結合を含む機能性有機ケイ素前駆体の効果は、電子ビームリソグラフィによって実証され、パターンの走査型電子顕微鏡(SEM)画像を図5に示す。
【0108】
実施例1~2及び比較例1は、被覆をキャストするために使用され、EUVで照射され、及びパターン形成された画像を得るために最後に2.38%のTMAHで現像された、1.3%の固形分を有する樹脂組成物の概要を示す。
【0109】
図5に見られるように、22nmのハーフピッチの高解像度SEM画像が得られた。パターンを得るために必要な線量は、2.5%及び5%のMAPTMOSモノマーを合成に使用した場合、それぞれ33%及び42%減少した(例1及び2を参照)。炭素-炭素不飽和結合を含む異なる機能性有機ケイ素前駆体を選択することにより、感度をさらに高めることができ、例5のパターンを得るために必要な線量は、メタクリレートベースの前駆体の代わりにアクリレートベースの前駆体を使用した場合に9%減少した(図8)。同様の結果は、ノルボルネン部分を含む機能性有機ケイ素前駆体の使用によっても見出された(実施例6及び7)。このことは、EUVを使用してさらに確認された(図9)。
【0110】
炭素-炭素不飽和結合を含む他の有機ケイ素前駆体を、本発明による実施形態で使用することができる。
【0111】
ポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂組成物中にハロゲン原子を含む機能性有機ケイ素前駆体を使用すると、被覆された樹脂が照射に対してより高い感度を示し、これが被覆された樹脂のリソグラフィーパターニングにおける露光工程で適用される線量の減少につながる同様の効果が得られることもわかった(実施例4)。
【0112】
さらに、実施例3で論じたように、ハロゲン原子を含む機能性有機ケイ素前駆体と組み合わせたモノマーと一緒に炭素-炭素不飽和結合を含む機能性有機ケイ素前駆体の併用をすることは、照射に対する感度の増加に寄与し、必要線量の減少につながることが見出された。図6及び7も参照されたい。
【0113】
非機能性ポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂又は従来のHSQ樹脂は、パターン形成された線又は他の形状の間にスカミング又は残留物を示す場合がある。過度の露出の場合、これらの残留物は線のブリッジに発展する、つまり、所望のパターンの線が、不要な「ブリッジ」を介して接続される。したがって、好ましくは大きなプロセスウィンドウを可能にするために線量範囲が可能な限り広くなるように、ブリッジを減少させる方法が必要である。
【0114】
ポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂組成物に別の機能性有機ケイ素前駆体を添加することにより、スカミング、又はライン間の残留物を減らすことができる。このような機能性有機ケイ素前駆体は、現像剤への樹脂の溶解性を高める。これは、実施例10及び11で実証された(図11)。
【0115】
ポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂組成物に対する機能性有機ケイ素前駆体が、形成されたパターンの残留物を減少させるだけでなく、樹脂のプロセスウィンドウを増加させたことは驚くべき発見である。
【0116】
硬化メカニズムが主にラジカル反応メカニズムを介して進行することを考慮すると、スカミング又はブリッジングは、機能性ポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂配合物にラジカルスカベンジャーを添加することによっても対処することができる。一般的に知られているラジカル阻害剤又は抗酸化剤を添加することにより、残留物を減らすことができる(図12に示す実施例12及び13)。
【0117】
本発明は、有機ケイ素前駆体の加水分解された溶液の安定化に関連するもう1つの発見を含む。酸又は塩基触媒の存在下で多機能有機ケイ素前駆体を加水分解することは、加水分解及び縮合プロセスを開始し、最終的に架橋ポリマーネットワークにつながる。一般に、このプロセスはゾルゲル材料として説明される。有機ケイ素前駆体溶液それ自体又は有機溶媒との混合物の一部として、触媒の存在下で水に導入されると、加水分解及びその後の縮合プロセスが開始される。最初に、前記前駆体は加水分解及び縮合して「ゾル」、つまり溶媒又は溶媒の組み合わせに可溶な材料を形成する。縮合反応が進行するにつれて、多機能前駆体は、もはや溶解しない架橋ネットワークを生成する。このような状態は、溶媒の形態の希釈剤が存在する場合、しばしば「ゲル」と呼ばれる。
【0118】
本発明で使用するのに最も好ましい複数の化合物が多機能有機ケイ素前駆体であることを考慮すると、材料がその「ゾル」の状態で保存されるときに縮合反応の速度を低下させる手段を提供することは非常に興味深い。有機酸の添加は、驚くべきことに安定化効果をもたらすことが見出された。この安定化効果は、GPCで監視することができる。ポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂溶液に有機酸又は二酸を添加すると、驚くべきことに、これらの安定性が大幅に改善された(実施例12及び13)。
【0119】
特定の実施形態において、本発明は、図1及び2に示されるように、半導体基板上でのパターンの形成における本明細書に記載の組成物の使用に関する。
【0120】
したがって、本種のプロセスでは、典型的には、基板表面10が有機下層12で被覆され、続いて、典型的には高ケイ素含有材料からなる無機中間層14が被覆及び硬化される。この上に、フォトレジスト16が被覆される。193nmの波長を使用して30を照射した後、パターンが形成及び現像される。このような層の組み合わせは、層の数を参照して、「3層」スタックとしてしばしば文献で説明されている。
【0121】
その後のパターン転写エッチングプロセスを適用して、フォトレジスト上に形成されたパターンを基板に転写することができる(図1)。リソグラフィで使用される様々な層のスタックが3層より高くてもよいことは注目に値する。
【0122】
層の別の組み合わせは4層スタックであり、これは有機下層12が最初に適用され、続いて、典型的には高ケイ素含有材料からなる無機中間層14が被覆及び硬化される。この上に、4層スタックを完成させるフォトレジスト16の前に、有機底部反射防止18層が適用される(図2)。
【0123】
本種のフォトレジストパターニングでは、記載されているすべての下層は、被覆及び硬化されるだけでなく、化学蒸着(CAV)、原子層堆積(ALD)及び同様の方法などの気相堆積プロセスによっても適用され得る。
【0124】
同じ手順を13.5nmのEUVLにも適用することができる。ただし、吸収の課題と、光酸及び光子照射の両方の確率的分布とにより、プロセスで一般的に使用されるCARは、特にLERとLWRに関連する深刻な課題に直面する。したがって、かなりの関心が無機フォトレジストの使用に向けられており、このことは、層数の減少と、LERとLWRの課題とを減らすスタックの簡素化を約束している。ほとんどの場合、無機レジストは、容易に加水分解可能又は加水分解された金属酸化物前駆体の形態の1つ以上の化合物の金属酸化物、及びハイドロジェンシルセスキオキサンからなる。これらの利点は次のとおりである:金属酸化物レジストは前例のないEUVL線量感度をもたらし、一方でハイドロジェンシルセスキオキサンポリマーは低いLER/LWRで優れた解像度を示し、EUVL感度は非常に低くなる。したがって、どちらの方法も、EUVLパターニングプロセスでの使用を困難にする属性がある。本発明は、スタックの単純化とパターニングプロセスで使用される金属の削減との両方を達成するための好ましい方法として、炭素-炭素不飽和結合及び/又はハロゲン含有シロキサンを使用する。
【0125】
図3に示される実施形態を参照する。この実施形態では、基板20は、スピンオンカーボン又はEUV中のアモルファスカーボン層の形態で主に有機被覆22で被覆される。本発明22による薄いパターニング可能なフィルムは、炭素-炭素不飽和結合及び/又はハロゲン及び/又は溶解度向上剤を含むポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂24に基づく。この被覆は、文献中のHSQ樹脂と比較して高感度でEUVLによって容易にパターニング可能であり、また、文献に記載されているCAR及び無機樹脂と比較してLER/LWRが大幅に低くなっている。特に、本発明は、金属の非存在下で二層構造を有する平均的解像度から高解像度のパターニング手段を提供し、これは、有意な歩留まり損失なしに完全に機能するトランジスタダイを製造する上で有意な利点となり得る。
【0126】
ケイ素含有材料は、EUVへの吸収が比較的低い。他方、ハロゲン含有レジストは、EUVへのEUV吸収を改善し、したがって、パターニング結果を改善する可能性がある。
【0127】
望ましい炭素-炭素不飽和結合及び溶解度向上剤を含有するポリハイドロジェンシルセスキオキサン溶液は、一般に非水溶媒中で、溶液が良好な放射線感受性を有する放射線パターニング可能被覆の形成のための高度の安定性を有する高解像度パターニングを提供する。炭素-炭素不飽和結合及び溶解度向上剤を含有するポリハイドロジェンシルセスキオキサン溶液で形成された被覆の望ましい特徴は、パターン形成された酸化ケイ素被覆の形成のための優れた直接パターニングを提供する。対象の実施形態では、放射線への曝露は、照射された被覆材料を、選択的に除去できるように、現像剤組成物による除去に耐性のある材料に変換する。したがって、被覆をネガティブパターニングすることができる。被覆材料の少なくとも一部を選択的に除去することは、被覆の領域が除去されて下にある基板が露出するパターンを残すことができる。照射に続いて被覆を現像した後、パターニングされた酸化ケイ素材料は、優れたパターン解像度でデバイス形成の処理を容易にするために使用することができる。被覆材料は、極紫外線、紫外線及び/又は電子ビームなどの選択された放射線に敏感になるように設計することができる。
【0128】
さらに、前駆体溶液は、商業的流通のための適切な貯蔵寿命で安定するように調製することができる。本文脈において、「安定」という用語は特に、5~30℃、特に室温で、好ましくは元の密封容器に保管した場合に、少なくとも7日間、特に少なくとも14日間、例えば21日間から48ヶ月間、典型的には6から24ヶ月間の貯蔵寿命を有する組成物を表す。
【0129】
放射線感受性被覆材料は、ネガティブ放射線パターニング被覆として使用することができる。ネガティブパターニングでは、放射線への曝露により、照射された被覆材料が、照射されていない被覆材料に対して、現像剤組成物による除去に対してより耐性のある材料に変換される。被覆材料の少なくとも一部を選択的に除去すると、下にある基板を露出させるために領域が除去されたパターンが残る。
【0130】
統合された電子デバイスなどの形成は、一般に、構造内に個々の要素又はコンポーネントを形成するための材料のパターニングを伴う。このパターニングは、所望の機能を誘導するために互いに垂直及び/又は水平に相互作用する積み重ねられた層の選択された部分をカバーする異なる組成物を含み得る。
【0131】
様々な材料は、選択されたドーパント、誘電体、導電体及び/又は他のタイプの材料を有することができる半導体を含むことができる。
【0132】
高解像度パターンを形成するために、放射線感受性有機組成物を使用してパターンを導入することができ、選択したパターンを導入するために選択的材料の除去を使用することができるように前記組成物の一部が現像/エッチングに耐性があるように処理されるため、この組成物はレジストと呼ぶことができる。
【0133】
選択されたパターン又はパターンのネガによる放射線を使用して、レジストを露光し、現像剤耐性領域及び現像剤溶解性領域を有するパターン又は潜像を形成することができる。本明細書に記載の放射線感受性金属及びシラノール含有ポリハイドロジェンシルセスキオキサン組成物は、デバイス内の所望の無機材料構造の直接形成のために、及び/又は有機レジストの代替である放射線パターニング可能な無機レジストとして使用することができる。いずれの場合も、大幅な処理の改善を活用でき、パターニングされた材料の構造も改善することができる。
【0134】
一実施形態において、レジスト膜は、紫外線、又は特に極端紫外線波長範囲、例えば1から200nmの範囲、特に約13.5nm(92eV)の光に曝される。
【0135】
一実施形態において、レジストフィルムに使用される組成物は、光開始剤を含まない。
【0136】
本発明で提示された実施例に基づいて、溶解度向上剤含有化合物の存在が、非曝露領域の溶解を促進するか、又は非曝露領域での反応を防ぎ、したがって解像度及びLER/LWRを改善することは明らかである。同様に、ラジカル抑制剤又は酸化防止剤添加剤は、露出領域に形成されたラジカルが非露出領域に不所望に移動することを防止する。したがって、より低いLER/LWRを実現することができる。
【0137】
特定の実施形態は、集積回路の製造に使用される表面20上への炭素に富む下層22の堆積を含む。前記下層は、CVDなどの気相プロセス又はスピンコート及び硬化によって堆積される。次に、本明細書に記載の組成物が24適用され、EUVLなどの新規のパターニング技術によって直接パターン形成することができる、主にケイ素及び金属に富む酸化物被覆を産出することができる。
【0138】
スピン被覆又は他の適切な液体堆積方法の適用後、プリベーク工程が適用されて、被覆材料に含まれる溶媒及び揮発性化合物が除去される。これは、製造装置内における汚染を避けるために必要である。プリベークは、溶剤と揮発性成分の沸騰温度に応じて、異なる温度と時間で行うことができる。通常、プリベークは60℃から120℃で30秒から30分以内で行うことができる。
【0139】
乾燥又はプリベーク工程の後、任意で使用されるマスクを介したEUV光、電子ビーム、又は同様の露光方法(26)への被覆の露光を使用して、基板上にパターンを生成する。パターンを生成するために必要な線量は、最小で10 mJ/cm2、最大で200 mJ/cm2である。
【0140】
前述のように、本技術の実施形態では、産業用途における合理的なスループット及びRLSトレードオフへの対処を含む様々な理由のために、線量がより低いことが好ましい。
【0141】
露光後ベークは、EUV露光後に任意で実行される。この工程は、レジストのより高いコントラストにつながる露出領域の架橋を改善することができる。露光後のベークは、80°Cから150°C以下の温度で、30秒から30分以内の範囲の時間で行うことができる。
未露光領域を除去するための現像を行い、それにより設計されたパターンを取得する。現像工程中に、レジスト24の非露光領域が現像剤に溶解する。
【0142】
テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど、質量比0.1%~25%の異なる塩基を基に、業界で一般的に使用されている水性塩基現像剤を有効に使用することができる。現像は、現像剤のスプレー又は現像液たまり方法を使用して現像剤を塗布する一般的に知られている方法で実施される。あるいは、基板を、現像剤からなる浴に浸漬することができる。
【0143】
露出及び現像されたパターンを緻密化するための硬化工程を、さらなる架橋材料を得るために、又は材料がいくらかのリフローを示すプロセスを通じてレジストパターンの形状を変更するために、任意で実行することができる。この工程は、硬化工程なしで調製された材料の耐エッチング性と比較して、より高い耐エッチング性の材料をもたらす可能性がある。硬化は、120°Cから400°Cで2分から30分以内で行うことができる。硬化は、ホットプレート又はオーブンに配置された被覆を加熱することによって実施することができる。
【0144】
実施形態は、以下によって表される:
【0145】
特に極限紫外線又は電子ビームリソグラフィ用の機能性ポリハイドロジェンシルセスキオキサンレジスト組成物は、Si-Hを含む少なくとも50モル%の第1シロキシ繰り返し単位及び不飽和ヒドロカルビルラジカルを有する最大30モル%の第3シロキシ繰り返し単位を含む、ここで、前記第1シロキシ繰り返し単位はトリアルコキシシランモノマーに由来し、前記第3シロキシ繰り返し単位は3-(アルク)アクリルオキシアルキルトリアルコキシシランモノマーに由来し、前記第1単位と前記第3単位のモル比は99:1から85:15である。
【0146】
特に極限紫外線又は電子ビームリソグラフィ用の機能性ポリハイドロジェンシルセスキオキサンレジスト組成物は、Si-Hを含む少なくとも50モル%の第1シロキシ繰り返し単位及び不飽和ヒドロカルビルラジカルを有する最大30モル%の第3シロキシ繰り返し単位を含む、ここで、前記第1シロキシ繰り返し単位はトリアルコキシシランモノマーに由来し、前記第3シロキシ繰り返し単位はノルボルネントリアルコキシシランモノマーに由来し、前記第1単位と前記第3単位のモル比は99:1から85:15である。
【0147】
上記の実施形態において、アルコキシ及びアルキル基は、好ましくは、1~6、特に1~4個の炭素原子を含む、より低い、線状又は分枝状のアルコキシ及びアルキル基に由来する。
【0148】
以下の非限定的な実施例は、実施形態を説明する。
【実施例
【0149】
方法
【0150】
直列に接続されたShodex KFカラム(KF-G; KF-803L; KF-802; KF-801)を備えたAgilent 1260 Infinity LCで、ゲル浸透クロマトグラフィーデータを収集した。検出器とカラムの温度は40°Cに保たれた。THF溶離液の流速は1.0ml/分であった。
【0151】
電子ビームリソグラフィを、Vistecツールで実行した。配合物は1.3%の固形分である。配合物を、スピンコーターを介して1500rpmの回転速度で30秒間シリコンウェーハ上にスピン被覆した。次に、80℃のホットプレート上で1分間ソフトベークを行った。電子ビームの線量は、100kV及び1nAの電流で100~900 μC/cm2の範囲で変化した。現像工程は、フィルムを2.38%TMAH溶液に1分間浸漬することによって実施した。次に、フィルムを脱イオン水で3回繰り返し洗浄し、最後に窒素ガスで乾燥させた。
EUVリソグラフィ:1.3%の固形分を含むポリマー配合物を、スピンコーターを介して1500rpmの回転速度で30秒間シリコンウェーハ上にスピン被覆した。次に、80℃のホットプレート上で1分間ソフトベークを行った。ソフトベーク後のフィルムサンプルを、スイスのVilligen所在のPaul ScherrerInstituteにおけるXIL-IIEUVツールで照射した。線量を2~150mJ/cm2まで変化させた。現像工程を、フィルムを2.38%TMAH溶液に1分間浸漬することによって実施した。次に、フィルムを脱イオン水で3回繰り返し洗浄し、最後に窒素ガスで乾燥させた。
【0152】
<実施例1>
HTEOS:MAPTMOS = 97.5:2.5のモル比を有するポリマー溶液の調製
【0153】
1つのフラスコ内で、100グラムのトリエトキシシラン(HTEOS)と3.88グラムの3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MAPTMOS)モノマーの混合物を、193.02グラムのメチルテトラヒドロフルフリルエーテル(MeOTHF)に溶解した。HTEOS:MAPTMOSのモル比は97.5:2.5であった。48.26グラムのMeOTHF、21.55グラムの脱イオン水(DIW)、及び9.88グラムの0.01M硝酸の混合物を混合し、上記のモノマーの溶液に1.5時間で3等分に添加した。添加完了後、反応を継続させてさらに17時間混合させた。固形分が15~25%になるように蒸発させた。メチルエチルケトン(MEK)をポリマー重量に4回加えた。得られたポリマー溶液を0.2ミクロンフィルターで濾過した。ゲル浸透クロマトグラフィーのデータは、Mwが3945、Mnが2047、及び多分散度が1.93であることを示している。
【0154】
<実施例2>
HTEOS:MAPTMOS = 95:5のモル比を有するポリマー溶液の調製
【0155】
1つのフラスコ内で、100グラムのトリエトキシシラン(HTEOS)と7.96グラムの3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MAPTMOS)モノマーの混合物を、193.02グラムのメチルテトラヒドロフルフリルエーテル(MeOTHF)に溶解した。HTEOS:MAPTMOSのモル比は95:5であった。48.28グラムのMeOTHF、22.12グラムの脱イオン水(DIW)、及び10.14グラムの0.01M硝酸の混合物を混合し、上記のモノマーの溶液に1.5時間で3等分に添加した。添加完了後、反応を継続させてさらに17時間混合させた。固形分が15~25%になるように蒸発させた。メチルエチルケトン(MEK)をポリマー重量に4回加えた。得られたポリマー溶液を0.2ミクロンフィルターで濾過した。ゲル浸透クロマトグラフィーのデータは、Mwが3052、Mnが1690、及び多分散度が1.81であることを示している。
【0156】
<比較例1>
参照として、100%トリエトキシシラン(HTEOS)ベースのポリマーを有するポリマー溶液の調製
【0157】
1つのフラスコ内で、100グラムのトリエトキシシラン(HTEOS)の混合物を193.02グラムのメチルテトラヒドロフルフリルエーテル(MeOTHF)に溶解した。48.26グラムのMeOTHF、21.04グラムの脱イオン水(DIW)、及び9.63グラムの0.01M硝酸の混合物を混合し、上記のモノマーの溶液に1.5時間で3等分に添加した。添加完了後、反応を継続させてさらに17時間混合させた。固形分が15~25%になるように蒸発させた。メチルエチルケトン(MEK)をポリマー重量に4回加えた。得られたポリマー溶液を0.2ミクロンフィルターで濾過した。ゲル浸透クロマトグラフィーのデータは、Mwが3311、Mnが1669、及び多分散度が1.98であることを示している。
【0158】
ポリマー試験
【0159】
フィルムサンプルを、1.3%の固体ポリマー溶液から、1500rpmの回転速度で30秒間スピン被覆することによって調製した。80℃の温度で、1分間ソフトベークを行った。2.38%TMAH溶液を、電子ビームリソグラフィの現像剤として使用した。
【0160】
結果の評価。 実施例1及び2の走査型電子顕微鏡画像は、電子ビームリソグラフィを使用した高解像度のパターニングを実証する(図5)。実施例1及び2は、比較例1で調製された材料と比較して、感度の明らかな改善を示した。.パターンを得るために必要な線量は、比較例1と比較して、実施例1では33%、実施例2では42%減少した。
【0161】
<実施例3>
HTEOS:MAPTMOS:Cl-TEOS = 90:5:5のモル比を有するポリマー溶液の調製
【0162】
1つのフラスコ内で、100グラムのトリエトキシシラン(HTEOS)、8.40グラムの3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MAPTMOS)、及び8.14グラムの3-クロロプロピルトリエトキシシラン(Cl-TEOS)モノマーの混合物であって、HTEOS:MAPTMOS:Cl-TEOSのモル比が90:5:5であるものを、214.47グラムのメチルテトラヒドロフルフリルエーテル(MeOTHF)に溶解した。53.60グラムのMeOTHF、23.35グラムの脱イオン水(DIW)、及び10.73グラムの0.01M硝酸の混合物を混合し、上記のモノマーの溶液に1.5時間で3等分に添加した。添加完了後、反応を継続させてさらに17時間混合させた。固形分が15~25%になるように蒸発させた。メチルエチルケトン(MEK)をポリマー重量に4回加えた。得られたポリマー溶液を0.2ミクロンフィルターで濾過した。ゲル浸透クロマトグラフィーのデータは、Mwが2630、Mnが1500、及び多分散度が1.75であることを示している。
【0163】
ポリマー試験
【0164】
フィルムサンプルを、1.3%の固体ポリマー溶液から、1500rpmの回転速度で30秒間スピン被覆することによって調製した。80℃の温度で、1分間ソフトベークを行った。2.38%TMAH溶液を、電子ビームリソグラフィの現像剤として使用した。
【0165】
結果の評価。 実施例3の走査型電子顕微鏡画像は、電子ビームリソグラフィを使用した高解像度のパターニングを実証する(図6)。実施例3で調製されたレジストは、実施例1~2と比較して改善された感度を示し、比較例1の参照サンプルは、比較例1で調製された材料と比較して感度の明らかな改善を示した。パターンを得るために必要な線量は、比較例1と比較して、実施例2では42%、実施例3では70%減少した。
【0166】
<実施例4>
HTEOS:Cl-TEOS = 95:5のモル比を有するポリマー溶液の調製
【0167】
1つのフラスコ内で、50グラムのトリエトキシシラン(HTEOS)及び3.86グラムの3-クロロプロピルトリエトキシシラン(Cl-TEOS)モノマーの混合物であり、HTEOS:Cl-TEOSのモル比が95:5であるものを、101.59グラムのメチルテトラヒドロフルフリルエーテル(MeOTHF)に溶解した。25.39グラムのMeOTHF、11.06グラムの脱イオン水(DIW)、及び5.07グラムの0.01M硝酸の混合物を混合し、上記のモノマーの溶液に1.5時間で3等分に添加した。添加完了後、反応を継続させてさらに17時間混合させた。固形分が15~25%になるように蒸発させた。メチルエチルケトン(MEK)をポリマー重量に4回加えた。得られたポリマー溶液を0.2ミクロンフィルターで濾過した。ゲル浸透クロマトグラフィーのデータは、Mwが2130、Mnが1224、及び多分散度が1.74であることを示している。
【0168】
ポリマー試験
【0169】
フィルムサンプルを、1.3%の固体ポリマー溶液から、1500rpmの回転速度で30秒間スピン被覆することによって調製した。80℃の温度で、1分間ソフトベークを行った。2.38%TMAH溶液を、電子ビームリソグラフィの現像剤として使用した。
【0170】
結果の評価。 実施例4の走査型電子顕微鏡画像は、電子ビームリソグラフィを使用した高解像度のパターニングを実証する(図7)。実施例3で調製されたレジストは、実施例1~2と比較して改善された感度を示し、比較例1の参照サンプルは、比較例1で調製された材料と比較して感度の明らかな改善を示した。パターンを得るために必要な線量は、比較例1と比較して、実施例4では70%減少した。
【0171】
<実施例5>
HTEOS:APTMOS = 90:10のモル比を有するポリマー溶液の調製
【0172】
1つのフラスコ内で、25グラムのトリエトキシシラン(HTEOS)及び3.96グラムの3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(APTMOS)モノマーの混合物であり、HTEOS:APTMOSのモル比が90:10であるものを、60.08グラムのメチルテトラヒドロフルフリルエーテル(MeOTHF)に溶解した。15.02グラムのMeOTHF、5.84グラムの脱イオン水(DIW)、及び2.67グラムの0.01 M硝酸の混合物を混合し、上記のモノマーの溶液に1.5時間で3等分に添加した。添加完了後、反応を継続させてさらに17時間混合させた。固形分が15~25%になるように蒸発させた。メチルエチルケトン(MEK)をポリマー重量に4回加えた。得られたポリマー溶液を0.2ミクロンフィルターで濾過した。ゲル浸透クロマトグラフィーのデータは、Mwが2302、Mnが1409、及び多分散度が1.63であることを示している。
【0173】
<比較例2>
HTEOS:MAPTMOS = 90:10のモル比を有するポリマー溶液の調製
【0174】
1つのフラスコ内で、25グラムのトリエトキシシラン(HTEOS)及び4.2グラムの3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MAPTMOS)モノマーの混合物を、60.08グラムのメチルテトラヒドロフルフリルエーテル(MeOTHF)に溶解した。HTEOS:MAPTMOSのモル比は90:10である。15.02グラムのMeOTHF、5.84グラムの脱イオン水(DIW)、及び2.67グラムの0.01M硝酸の混合物を混合し、上記のモノマーの溶液に1.5時間で3等分に添加した。添加完了後、反応を継続させてさらに17時間混合させた。固形分が15~25%になるように蒸発させた。メチルエチルケトン(MEK)をポリマー重量に4回加えた。得られたポリマー溶液を0.2ミクロンフィルターで濾過した。ゲル浸透クロマトグラフィーのデータは、Mwが2281、Mnが1396、及び多分散度が1.63であることを示している。
【0175】
ポリマー試験
【0176】
1.3%ポリマー溶液を1500rpmの回転速度で30秒間スピン被覆することによって、フィルムサンプルを調製した。その後、80℃の温度で、1分間ソフトベークを行った。2.38%TMAH溶液を、電子ビームリソグラフィの現像剤として使用した。
【0177】
結果の評価。実施例5及び比較例2は、アクリレート官能基が、メタクリレート官能化ポリマーレジストの感度と比較してより高い感度を与えることを示している。(電子ビームのSEM画像を図8に示す)。より高い感度は、アクリレート基のより少ない立体障害、したがってメタクリレート基のそれと比較してより高い活性化エネルギーによって説明することができる。実施例5のパターンを得るために必要な線量は、比較例2のそれより7%少ない。
【0178】
<実施例6>
HTEOS:NorTEOS = 95:5のモル比を有するポリマー溶液の調製
【0179】
1つのフラスコ内で、30グラムのトリエトキシシラン(HTEOS)及び2.46グラムのノルボルネントリエトキシシラン(NorTEOS)モノマーの混合物であって、HTEOS:NorTEOSのモル比が95:5のものを、60.95グラムのメチルテトラヒドロフルフリルエーテル(MeOTHF)に溶解した。15.24グラムのMeOTHF、6.64グラムの脱イオン水(DIW)、及び3.04グラムの0.01M硝酸の混合物を混合し、上記のモノマーの溶液に1.5時間で3等分に添加した。添加完了後、反応を継続させてさらに17時間混合させた。固形分が15~25%になるように蒸発させた。メチルエチルケトン(MEK)をポリマー重量に4回加えた。得られたポリマー溶液を0.2ミクロンフィルターで濾過した。ゲル浸透クロマトグラフィーのデータは、Mwが2960、Mnが1424、及び多分散度が2.08であることを示している。
【0180】
<実施例7>
HTEOS:NorTEOS = 90:10のモル比を有するポリマー溶液の調製
【0181】
1つのフラスコ内で、10グラムのトリエトキシシラン(HTEOS)及び1.73グラムのノルボルネントリエトキシシラン(NorTEOS)モノマーの混合物であって、HTEOS:NorTEOSのモル比が90:10のものを、24.03グラムのメチルテトラヒドロフルフリルエーテル(MeOTHF)に溶解した。6.01グラムのMeOTHF、2.34グラムの脱イオン水(DIW)、及び1.07グラムの0.01M硝酸の混合物を混合し、上記のモノマーの溶液に1.5時間で3等分に添加した。添加完了後、反応を継続させてさらに17時間混合させた。固形分が15~25%になるように蒸発させた。メチルエチルケトン(MEK)をポリマー重量に4回加えた。得られたポリマー溶液を0.2ミクロンフィルターで濾過した。ゲル浸透クロマトグラフィーのデータは、Mwが3332、Mnが1475、及び多分散度が2.26であることを示している。
【0182】
ポリマー試験
【0183】
フィルムサンプルを、1.3%ポリマー溶液を、1500rpmの回転速度で30秒間スピン被覆することによって調製した。その後、80℃の温度で、1分間ソフトベークを行った。2.38%TMAH溶液を、電子ビームリソグラフィの現像剤として使用した。
【0184】
EUV結果の評価。 実施例6~7及び比較例1は、ポリマーレジストに組み込まれたノルボルネン官能基の有益な効果を実証する。わずかな重量パーセントを追加するだけで、スカミングの問題を明確に排除し、LERを改善することができる(図9のSEM画像)。図9は、a)LER = 3.87nmを示す比較例1、b)LER = 2.86 nmを示す例6、及びLER = 2.77nmを示す例7の材料を使用してEUVLによって得られた22nmハーフピッチパターニング線の電子ビームの結果を示している;ここで、適用されたEUV線量はそれぞれ77.5mJ/cm2、97.5mJ/cm2、及び82.5 mJ/cm2であった。
【0185】
<実施例8>
1%マレイン酸(MA)を有するポリマー溶液の調製
【0186】
実施例1で調製したポリマー溶液に、1重量%(重量%)のマレイン酸を加えた。得られた混合物を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶媒でさらに希釈して、所望の濃度の配合物を得ることができる。最終製剤を0.2ミクロンフィルターで濾過した。
【0187】
<実施例9>
2%MAを有するポリマー溶液の調製
【0188】
実施例1で調製したポリマー溶液に、2重量%(重量%)のマレイン酸を加えた。得られた混合物を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶媒でさらに希釈して、所望の濃度の配合物を得ることができる。 最終製剤を0.2ミクロンフィルターで濾過した。
【0189】
ポリマー試験
【0190】
フィルムサンプルを、1.3%ポリマー溶液を、1500rpmの回転速度で30秒間スピン被覆することによって調製した。その後、80℃の温度で、1分間ソフトベークを行った。2.38%TMAH溶液を、電子ビームリソグラフィの現像剤として使用した。
【0191】
結果の評価。実施例8~9及び比較例1は、ポリマーレジストに添加されたマレイン酸の有益な効果を実証する。図10の電子ビームの結果は、1%MA及び2%MAによるポリマーの安定化を示している。
【0192】
<実施例10>
HTEOS:HFIPTEOS = 99:1のモル比を有するポリマー溶液の調製
【0193】
1つのフラスコ内で、40グラムのトリエトキシシラン(HTEOS)及び0.92グラムのヘキサフルオロイソプロピルトリエトキシシラン(HFIPTEOS)モノマーの混合物であって、HTEOS:HFIPTEOSのモル比が99:1であるものを、77.99グラムのメチルテトラヒドロフルフリルエーテル(MeOTHF)に溶解した。19.50グラムのMeOTHF、8.50グラムの脱イオン水(DIW)、及び3.89グラムの0.01M硝酸の混合物を混合し、上記のモノマーの溶液に1.5時間で3等分に添加した。添加完了後、反応を継続させてさらに17時間混合させた。固形分が15~25%になるように蒸発させた。メチルエチルケトン(MEK)をポリマー重量に4回加えた。得られたポリマー溶液を0.2ミクロンフィルターで濾過した。ゲル浸透クロマトグラフィーのデータは、Mwが4612、Mnが1558、多分散度が2.96であることを示している。
【0194】
<実施例11>
HTEOS:HFIPTEOS = 98:2のモル比を有するポリマー溶液の調製
【0195】
1つのフラスコ内で、40グラムのトリエトキシシラン(HTEOS)及び1.85グラムのヘキサフルオロイソプロピルトリエトキシシラン(HFIPTEOS)モノマーの混合物であって、HTEOS:HFIPTEOSのモル比が99:1であるものを、78.78グラムのメチルテトラヒドロフルフリルエーテル(MeOTHF)に溶解した。19.70グラムのMeOTHF、8.59グラムの脱イオン水(DIW)、及び3.93グラムの0.01M硝酸の混合物を混合し、上記のモノマーの溶液に1.5時間で3等分に添加した。添加完了後、反応を継続させてさらに17時間混合させた。固形分が15~25%になるように蒸発させた。メチルエチルケトン(MEK)をポリマー重量に4回加えた。得られたポリマー溶液を0.2ミクロンフィルターで濾過した。ゲル浸透クロマトグラフィーのデータは、Mwが3762、Mnが1247、及び多分散度が3.02であることを示している。
【0196】
ポリマー試験
【0197】
フィルムサンプルは、1.3%の固体ポリマー溶液から、1500rpmの回転速度で30秒間スピン被覆することによって調製された。80℃の温度で、1分間ソフトベークを行った。2.38%TMAH溶液を、電子ビームリソグラフィの現像剤として使用した。
【0198】
結果の評価。実施例11で調製されたレジストは、比較例1で調製されたポリマーサンプルと比較して、はるかに少ないスカミングの問題を示している(図11のSEM画像)。図11は、a)LER = 3.87nmを示す比較例1、b)LER = 2.80nmを示す例10、及びc)LER = 3.05nmを示す例11の材料を使用してEUVLによって得られた22nmハーフピッチパターニング線を示している;ここで、適用したEUV線量は77.5mJ/cm2、87.5mJ/cm2、及び107.5mJ/cm2であり、それぞれa、b、及びcに対応する。
【0199】
<実施例12>
比較例1で調製したポリマー溶液に1重量%(重量%)のマレイン酸及び0.75wt%のペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(I1010)阻害剤を加えた。得られた混合物を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶媒でさらに希釈して、所望の濃さの配合物を得ることができる。最終製剤を、0.2ミクロンフィルターで濾過した。
【0200】
<実施例13>
比較例1で調製したポリマー溶液に、1重量%(重量%)のマレイン酸及び1.25重量%のペンタエリスリトールテトラキス(3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)(I1010)阻害剤を加えた。得られた混合物を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)溶媒でさらに希釈して、所望の濃さの配合物を得ることができる。最終製剤を、0.2ミクロンフィルターで濾過した。
【0201】
ポリマー試験
【0202】
実施例12~13及び比較例1のポリマーのフィルムサンプルを、1500rpmの回転速度で30秒間スピン被覆することにより、1.3%固体ポリマー溶液から調製した。80℃の温度で、1分間ソフトベークを行った。2.38%TMAH溶液を、電子ビームリソグラフィの現像剤として使用した。
【0203】
結果の評価。EUVの結果は、少量のI1010を追加すると、スカミングの問題が改善され、したがって比較例1と比較してより優れたLERが提供されることを示している(図12)。図12は、a)LER = 3.87nmを示す比較例1、b)LER = 4.96 nm示す例12、及びc)LER = 3.00nmを示す例13の材料を使用してEUVLによって得られた22nmハーフピッチパターンラインを示しており、ここで、適用したEUV線量は77.5mJ/cm2、87.5 mJ/cm2、及び90 mJ/cm2であり、それぞれa、b、及びcに対応する。
【産業上の利用可能性】
【0204】
一般に、本技術は半導体産業で使用することができる。例えば、本技術は、特にフォトリソグラフィプロセスなどのリソグラフィプロセスを使用して、マイクロエレクトロニクスデバイスにおいて複雑な回路を達成するために使用することができる。実施形態は、炭素-炭素不飽和結合、ハロゲン、及び溶解度向上剤含有量を含むポリハイドロジェンシルセスキオキサン樹脂を含む。炭素-炭素不飽和結合、ハロゲン、及び溶解性向上剤の含有量を調整することにより、極端紫外線リソグラフィに適用するための高感度被覆を得ることが可能になる。
【0205】
略語
CAR:化学増幅型レジスト
EBL:電子ビームリソグラフィ
EUV:極紫外線(波長)
EUVL:極紫外線リソグラフィ
GPC:ゲル浸透クロマトグラフィー
HSQ:ハイドロジェンシルセスキオキサン
LER:ラインエッジ粗さ
LWR:線幅粗さ
MAPTMOS:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
NIL:ナノインプリントリソグラフィ
PBL:フォトンビームリソグラフィ
SEM:走査型電子顕微鏡
TEOS:トラエトキシシラン
TMAH:テトラメチルアンモニウムヒドロキシド
【0206】
参考文献一覧
非特許文献
1. Okoroanyanwu, U. Molecular Theory of Lithograph. (SPIE Press, 2015)。
2. Gangnaik, A. S., Georgiev, Y. M. & Holmes, J. D. New Generation Electron Beam Resists: A Review. Chem. Mater. 29, 1898-1917 (2017)。
3. Simone, D. De et al. Progresses and Challenges of EUV Lithography Materials. J. Photopolym. Sci. Technol. 27, 601-610 (2014)。
4. Higgins, C. D. et al. Resolution, line-edge roughness, sensitivity tradeoff, and quantum yield of high photo acid generator resists for extreme ultraviolet lithography. Jpn. J. Appl. Phys. 50, 1-8 (2011)。
5. De Simone, D., Vesters, Y. & Vandenberghe, G. Photoresists in extreme ultraviolet lithography (EUVL). Adv. Opt. Technol. 6, 163-172 (2017)。
6. 渡邊健夫 Current status and prospect for EUV lithography. 2017 7th Int. Conf. Integr. Circuit, Des. Verif. 3-8 (2017)。
7. Grigorescu, A. E. & Hagen, C. W. Resists for sub-20-nm electron beam lithography with a focus on HSQ: State of the art. Nanotechnology 20, 292001 (2009)。
8. Yang, J. K. W. et al. Understanding of hydrogen silsesquioxane electron resist for sub-5-nm-half-pitch lithography. J. Vac. Sci. Technol. B Microelectron. Nanom. Struct. 27, 2622 (2009)。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
図8a
図8b
図9a
図9b
図9c
図10a
図10b
図10c
図11a
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図11c
図12a
図12b
図12c
【国際調査報告】