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特表2022-523055CRISPR活性をモジュレートするための系および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(54)【発明の名称】CRISPR活性をモジュレートするための系および方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20220414BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20220414BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20220414BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220414BHJP
【FI】
C12N15/09 110
C12N15/11 Z ZNA
A61K31/7125
A61P43/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021543277
(86)(22)【出願日】2020-01-25
(85)【翻訳文提出日】2021-09-17
(86)【国際出願番号】 US2020015127
(87)【国際公開番号】W WO2020154714
(87)【国際公開日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】62/939,553
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/797,122
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/876,177
(32)【優先日】2019-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521324676
【氏名又は名称】シンテゴ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ケルソ, リード
(72)【発明者】
【氏名】カールソン-スティーヴァーマー, ジャレド
(72)【発明者】
【氏名】ジョシ, サヒル
(72)【発明者】
【氏名】モーレス, トラヴィス
(72)【発明者】
【氏名】カディナ, アナスタシア
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー, ジョン アンドリュー ザ セカンド
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086NA14
4C086ZC80
(57)【要約】
CRISPRエフェクタータンパク質に結合するように構成された配列を含むポリヌクレオチドが本発明で提供される。ポリヌクレオチドの1つまたは複数の修飾のモジュレーションを使用して、ポリヌクレオチドと複合体を形成したCRISPRエフェクタータンパク質の活性を調整することができる。本発明は例えば、以下を提供する:(i)標的核酸分子内の標的配列とアニーリングするように構成されたガイド配列と、(ii)CRISPR酵素と結合するように構成された配列と、(iii)前記ガイド配列の最も5’側のヌクレオチドの3’側に切断可能なリンカーを含むポリヌクレオチドを切断する方法であって、前記ポリヌクレオチドを切断因子に曝露させ、それにより、前記切断可能なリンカーを切断するステップを含む、方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)標的核酸分子内の標的配列とアニーリングするように構成されたガイド配列と、(ii)CRISPR酵素と結合するように構成された配列と、(iii)前記ガイド配列の最も5’側のヌクレオチドの3’側に切断可能なリンカーを含むポリヌクレオチドを切断する方法であって、前記ポリヌクレオチドを切断因子に曝露させ、それにより、前記切断可能なリンカーを切断するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記切断因子がUV光である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記切断因子が可視光線である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記切断可能なリンカーが、天然に存在する核酸ではない、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記切断可能なリンカーが、前記ポリヌクレオチドの3’末端には存在しない、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記切断可能なリンカーが、感光性リンカーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記感光性リンカーが、紫外線放射によって切断可能なものである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記感光性リンカーが、可視光線によって切断可能なものである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記切断可能なリンカーが、3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記切断可能なリンカーが、
【化17】
(式中、
*は、Hの付着点または第1のヌクレオチドを示し、
**は、OHの付着点または第2のヌクレオチドを示す)
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記切断可能なリンカーが、ホスホロアミダイトを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記切断可能なリンカーが、クマリンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記切断可能なリンカーが、tracrRNA配列内に位置付けられている、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記切断可能なリンカーが、前記ポリヌクレオチド内のヌクレオチド56または73のすぐ3’側に位置付けられており、前記ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり、ヌクレオチドに、前記ガイド配列の5’末端から前記ポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリヌクレオチドが、5’から3’までに、テトラループ、ネクサス、ステムループ1およびステムループ2を含み、前記切断可能なリンカーが、前記ネクサスのループ内または前記ステムループ1のループ内に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記切断可能なリンカーが、前記ネクサスのループ内、および5’から3’まで番号を付して前記ステムループ1のループ内に存在する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記切断可能なリンカーが、前記ポリヌクレオチド内のヌクレオチド56または73のすぐ3’側に位置付けられており、前記ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり、ヌクレオチドに、前記ガイド配列の5’末端から前記ポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリヌクレオチドが、別の切断可能なリンカーを含み、前記ポリヌクレオチド内で、前記切断可能なリンカーが、ヌクレオチド56のすぐ3’側に位置付けられており、別の切断可能なリンカーがヌクレオチド73のすぐ3’側に位置付けられており、前記ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり、ヌクレオチドに、前記ガイド配列の5’末端から前記ポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
(a)標的核酸分子内の標的配列とアニーリングするように構成されたガイド配列と、
(b)CRISPR酵素と結合するように構成された配列と、
(c)可視光線によって切断可能な切断可能なリンカーと
を含むポリヌクレオチド。
【請求項20】
前記切断可能なリンカーが、
【化18】
(式中、
*は、Hの付着点または第1のヌクレオチドを示し、
**は、OHの付着点または第2のヌクレオチドを示す)
を含む、請求項19に記載のポリヌクレオチド。
【請求項21】
前記可視光線が、385nmよりも長い波長を含む、請求項19に記載のポリヌクレオチド。
【請求項22】
前記切断可能なリンカーが、クマリンを含む、請求項19に記載のポリヌクレオチド。
【請求項23】
前記切断可能なリンカーが、前記ポリヌクレオチド内のヌクレオチド56または73のすぐ3’側に位置付けられており、前記ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり、ヌクレオチドに、前記ガイド配列の5’末端から前記ポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている、請求項19に記載のポリヌクレオチド。
【請求項24】
前記ポリヌクレオチドが、別の切断可能なリンカーを含み、前記切断可能なリンカーが、前記ポリヌクレオチド内のヌクレオチド56のすぐ3’側に位置付けられており、前記別の切断可能なリンカーが、前記ポリヌクレオチド内のヌクレオチド73のすぐ3’側に位置付けられており、前記ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり、ヌクレオチドに、前記ガイド配列の5’末端から前記ポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている、請求項23に記載のポリヌクレオチド。
【請求項25】
前記ポリヌクレオチドが、5’から3’までに、テトラループ、ネクサス、ステムループ1およびステムループ2を含み、前記切断可能なリンカーが、前記ネクサスのループ内または前記ステムループ1のループ内に存在する、請求項19に記載のポリヌクレオチド。
【請求項26】
前記切断可能なリンカーが、前記ポリヌクレオチドのステムループのループ内に存在する、請求項25に記載のポリヌクレオチド。
【請求項27】
前記切断可能なリンカーが、前記ネクサスのループ内、または、5’から3’まで番号を付して前記ステムループ1のループ内に存在する、請求項25に記載のポリヌクレオチド。
【請求項28】
第2の切断可能なリンカーを含み、前記第1の切断可能なリンカーが前記ポリヌクレオチドの前記ネクサスのループ内にあり、前記第2の切断可能なリンカーが前記ステムループ1のループ内に存在する、請求項28に記載のポリヌクレオチド。
【請求項29】
(a)請求項1から28までのいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含むCRISPR複合体を細胞に導入するステップと、
(b)前記ポリヌクレオチドを切断因子に曝露させ、それにより、前記切断可能なリンカーを切断するステップと
を含む方法。
【請求項30】
(a)の前に、請求項1から28までに記載のポリヌクレオチドとCRISPR酵素の複合体を形成するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
(a)標的核酸分子内の標的配列とアニーリングするように構成されたガイド配列と、
(b)CRISPR酵素と結合するように構成された配列と、
(c)
(i)前記ガイド配列内の最も5’側の塩基の3’側かつ(ii)前記ポリヌクレオチドのテトラループの外側に位置付けられた切断可能なリンカーと
を含むポリヌクレオチド。
【請求項32】
前記切断可能なリンカーが、天然に存在する核酸ではない、請求項31に記載のポリヌクレオチド。
【請求項33】
前記切断可能なリンカーが、ポリヌクレオチドの3’末端には存在しない、請求項31に記載のポリヌクレオチド。
【請求項34】
前記切断可能なリンカーが、感光性リンカーを含む、請求項31に記載のポリヌクレオチド。
【請求項35】
前記感光性リンカーが、紫外線放射によって切断可能なものである、請求項34に記載のポリヌクレオチド。
【請求項36】
前記感光性リンカーが、可視光線によって切断可能なものである、請求項34に記載のポリヌクレオチド。
【請求項37】
前記切断可能なリンカーが、3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトを含む、請求項31に記載のポリヌクレオチド。
【請求項38】
前記切断可能なリンカーが、
【化19】
(式中、
*は、Hの付着点または第1のヌクレオチドを示し、
**は、OHの付着点または第2のヌクレオチドを示す)
を含む、請求項31に記載のポリヌクレオチド。
【請求項39】
前記感光性リンカーが、ホスホロアミダイトを含む、請求項31に記載のポリヌクレオチド。
【請求項40】
前記感光性リンカーが、クマリンを含む、請求項31に記載のポリヌクレオチド。
【請求項41】
前記切断可能なリンカーが、tracrRNA配列内に位置付けられている、請求項31に記載のポリヌクレオチド。
【請求項42】
前記切断可能なリンカーが、前記ポリヌクレオチド内のヌクレオチド56または73のすぐ3’側に位置付けられており、前記ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり、ヌクレオチドに、前記ガイド配列の5’末端から前記ポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている、請求項31に記載のポリヌクレオチド。
【請求項43】
前記切断可能なリンカーが、ネクサスのループ内、または5’から3’まで番号を付してステムループ1のループ内に存在する、請求項31に記載のポリヌクレオチド。
【請求項44】
前記切断可能なリンカーが、ネクサスのループ内、および5’から3’まで番号を付してステムループ1のループ内に存在する、請求項31に記載のポリヌクレオチド。
【請求項45】
前記切断可能なリンカーが、前記ポリヌクレオチド内のヌクレオチド56または73のすぐ3’側に位置付けられており、前記ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり、ヌクレオチドに、前記ガイド配列の5’末端から前記ポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている、請求項31に記載のポリヌクレオチド。
【請求項46】
前記切断可能なリンカーが、前記ポリヌクレオチド内のヌクレオチド56および73のすぐ3’側に位置付けられており、前記ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり、ヌクレオチドに、前記ガイド配列の5’末端から前記ポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている、請求項31に記載のポリヌクレオチド。
【請求項47】
(a)請求項31から46までのいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含むCRISPR複合体を導入するステップと、
(b)前記ポリヌクレオチドを、前記切断可能なリンカーの切断を引き起こすように構成された切断因子に曝露させ、それにより、前記切断可能なリンカーを切断するステップと
を含む方法。
【請求項48】
(a)の前に、請求項31から46までのいずれか一項に記載のポリヌクレオチドとCRISPR酵素の複合体を形成するステップをさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
(a)標的核酸分子内の標的配列とアニーリングするように構成されたガイド配列と、
(b)CRISPR酵素と結合するように構成された配列と、
(c)第1の特定の修飾を受けて第1の修飾されたポリヌクレオチドを生成するように構成された第1のエレメントであって、第1の修飾されたポリヌクレオチドが、CRISPR酵素と複合体を形成した場合に、前記第1の特定の修飾を受けていないポリヌクレオチドを含むCRISPR複合体よりも高い標的特異的切断活性を有する第1のCRISPR複合体を形成する、第1のエレメントと、
(d)第2の特定の修飾を受けて第2の修飾されたポリヌクレオチドを生成するように構成された第2のエレメントであって、第2の修飾されたポリヌクレオチドが、CRISPR酵素と複合体を形成した場合に、前記第1のCRISPR複合体よりも低い標的特異的切断活性を有する第2のCRISPR複合体を形成する、第2のエレメントと
を含むポリヌクレオチド。
【請求項50】
前記ガイド配列の5’側の配列エレメントをさらに含む、請求項49に記載のポリヌクレオチド。
【請求項51】
前記配列エレメントが、RNAを含む、請求項50に記載のポリヌクレオチド。
【請求項52】
前記配列エレメントが、ステムループを形成する、請求項50または51に記載のポリヌクレオチド。
【請求項53】
前記ステムループが、前記ガイド配列に対する塩基対を含まない、請求項52に記載のポリヌクレオチド。
【請求項54】
前記ステムループが、前記ガイド配列に対する塩基対を含む、請求項52に記載のポリヌクレオチド。
【請求項55】
前記ステムループの最も5’側の塩基が、前記ガイド配列のすぐ5’側の配列エレメント内の塩基とアニーリングする、請求項52に記載のポリヌクレオチド。
【請求項56】
前記第1のエレメントが、第1の切断可能なリンカーを含む、請求項50から55までのいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項57】
前記第1の切断可能なリンカーが、前記ガイド配列のすぐ5’側に位置付けられている、請求項56に記載のポリヌクレオチド。
【請求項58】
前記第1の切断可能なリンカーが、光、小分子の存在、または細胞プロセスによって切断されやすいものである、請求項56または57に記載のポリヌクレオチド。
【請求項59】
前記第1の切断可能なリンカーが、感光性リンカーを含む、請求項56または57に記載のポリヌクレオチド。
【請求項60】
前記第1の切断可能なリンカーが、3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトを含む、請求項56または57に記載のポリヌクレオチド。
【請求項61】
前記第1の切断可能なリンカーが、
【化20】
(式中、
*は、Hの付着点または第1のヌクレオチドを示し、
**は、OHの付着点または第2のヌクレオチドを示す)
を含む、請求項56または57に記載のポリヌクレオチド。
【請求項62】
前記第2のエレメントが、前記第1のエレメントと同じ型のエレメントである、上記の請求項のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項63】
前記第2のエレメントが、前記第1のエレメントとは異なる型のエレメントである、請求項49から59までのいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項64】
前記ポリヌクレオチドが、CRISPR酵素と複合体を形成した場合に、前記第2のエレメントを有さないポリヌクレオチドがCRISPR酵素と複合体を形成した場合と実質的に同様の標的特異的切断活性を含む、上記の請求項のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
【請求項65】
前記第2のエレメントが、第2の切断可能なリンカーを含む、請求項49から59までのいずれか一項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項66】
前記第2の切断可能なリンカーが、CRISPR酵素と結合するように構成された配列内に位置付けられている、請求項65に記載のポリヌクレオチド。
【請求項67】
前記第2の切断可能なリンカーが、前記ポリヌクレオチド内のヌクレオチド56または73のすぐ3’側に位置付けられており、前記ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり、ヌクレオチドに、前記ガイド配列の5’末端から前記ポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている、請求項66に記載のポリヌクレオチド。
【請求項68】
請求項49に記載のポリヌクレオチドの前記第1のエレメントに第1の特定の修飾を受けさせ、それにより、前記第1の修飾されたポリヌクレオチドを生成するステップを含む方法。
【請求項69】
前記第1の修飾されたポリヌクレオチドと前記CRISPR酵素の複合体を形成し、それにより、前記第1のCRISPR複合体を形成するステップをさらに含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記ポリヌクレオチドが、前記ガイド配列の5’側の配列エレメントを含む、請求項68または69に記載の方法。
【請求項71】
前記配列エレメントが、RNAを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記配列エレメントが、ステムループを形成する、請求項70または71に記載の方法。
【請求項73】
前記ステムループが、前記ガイド配列に対する塩基対を含まない、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記ステムループが、前記ガイド配列に対する塩基対を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記ステムループの最も5’側の塩基が、前記ガイド配列のすぐ5’側の配列エレメント内の塩基とアニーリングする、請求項73に記載の方法。
【請求項76】
前記第1のエレメントが、第1の切断可能なリンカーを含む、請求項68から75までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記第1の切断可能なリンカーが、前記ガイド配列のすぐ5’側に位置付けられている、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記第1の切断可能なリンカーが、感光性リンカーを含む、請求項76または77に記載の方法。
【請求項79】
前記第1の特定の修飾が、前記切断可能なリンカーの特異的切断を含む、請求項76から78までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記第1のエレメントに前記第1の特定の修飾を受けさせるステップが、前記ポリヌクレオチドを光に曝露させることを含む、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
前記光が、紫外線を含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記第1のエレメントに前記第1の修飾を受けさせた後に、前記第2のエレメントに前記第2の特定の修飾を受けさせ、それにより、前記第2の修飾されたポリヌクレオチドを形成するステップをさらに含む、請求項68から81までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記第2のエレメントが、感光性リンカーを含む、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記第2の切断可能なリンカーが、CRISPR酵素と結合するように構成された配列内に位置付けられている、請求項82または83に記載の方法。
【請求項85】
前記第2の切断可能なリンカーが、前記ポリヌクレオチド内のヌクレオチド56または73のすぐ3’側に位置付けられており、前記ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり、ヌクレオチドに、前記ガイド配列の5’末端から前記ポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記第1の切断可能なリンカーが、ヌクレオチド56のすぐ3’側に位置付けられており、前記第2の切断可能なリンカーが、前記ポリヌクレオチド内のヌクレオチド73のすぐ3’側に位置付けられており、前記ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり、ヌクレオチドに、前記ガイド配列の5’末端から前記ポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
前記ポリヌクレオチドが、第1のステムループを含み、前記切断可能なリンカーが、ネクサスまたは前記ポリヌクレオチドの5’末端から3’末端まで番号を付してステムループ1内に存在する、請求項84に記載の方法。
【請求項88】
前記第2の切断可能なリンカーが、ネクサスのループまたはステムループ1のループ内に位置付けられており、ステムループに、前記ガイド配列の5’末端から前記ポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記第1の切断可能なリンカーが、ネクサスのループ内にあり、前記第2の切断可能なリンカーが、ステムループ1のループ内にあり、ステムループに、前記ガイド配列の5’末端から前記ポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている、請求項87に記載の方法。
【請求項90】
前記第2のエレメントに前記第2の特定の修飾を受けさせるステップが、前記第1の修飾されたポリヌクレオチドを別の光に曝露させることを含む、請求項83に記載の方法。
【請求項91】
前記別の光が、紫外線を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記別の光が、420nmよりも長い光波長を含む、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
標的核酸分子内の標的配列とアニーリングするように構成されたガイド配列と、CRISPR酵素と結合するように構成された配列と、前記ガイド配列の最も5’側の塩基の3’側に位置付けられた第1の切断可能なリンカーとを含み、前記切断可能なリンカーが、感光性リンカーを含まず、前記切断可能なリンカーが、核酸内に天然に存在しない、ポリヌクレオチド。
【請求項94】
前記切断可能なリンカーが、前記ポリヌクレオチドの3’末端には存在しない、請求項93に記載のポリヌクレオチド。
【請求項95】
前記第1の切断可能なリンカーが、前記CRISPR酵素と結合するように構成された配列内に位置付けられている、請求項93に記載のポリヌクレオチド。
【請求項96】
請求項93に記載のポリヌクレオチドを、前記切断可能なリンカーを切断することが可能な薬剤に曝露させ、それにより、前記切断可能なリンカーを切断するステップを含む方法。
【請求項97】
標的核酸分子内の標的配列とアニーリングするように構成されたガイド配列と、CRISPR酵素と結合するように構成された配列と、前記ガイド配列の5’末端に共有結合により連結し、前記ガイド配列とハイブリダイズした配列エレメントと、前記配列エレメントと前記ガイド配列の5’末端の間に位置付けられた感光性基とを含むポリヌクレオチド。
【請求項98】
前記配列エレメントが、RNAを含む、請求項97に記載のポリヌクレオチド。
【請求項99】
前記配列エレメントが、ステムループを形成する、請求項97または98に記載のポリヌクレオチド。
【請求項100】
前記ステムループが、前記ガイド配列に対する塩基対を含まない、請求項99に記載のポリヌクレオチド。
【請求項101】
前記ステムループが、前記ガイド配列に対する塩基対を含む、請求項100に記載のポリヌクレオチド。
【請求項102】
前記ステムループの最も5’側の塩基が、前記ガイド配列のすぐ5’側の配列エレメント内の塩基とアニーリングする、請求項99に記載のポリヌクレオチド。
【請求項103】
前記感光性基が、3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトを含む、請求項51に記載のポリヌクレオチド。
【請求項104】
前記感光性基が、
【化21】
(式中、
*は、Hの付着点または第1のヌクレオチドを示し、
**は、OHの付着点または第2のヌクレオチドを示す)
を含む、請求項51に記載のポリヌクレオチド。
【請求項105】
(a)請求項97から103までのいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含むCRISPR複合体を導入するステップと、
(b)前記ポリヌクレオチドを光に曝露させ、それにより、前記ポリヌクレオチドを前記感光性リンカーにおいて切断するステップと
を含む方法。
【請求項106】
(a)の前に、請求項97から103までに記載のポリヌクレオチドとCRISPR酵素の複合体を形成するステップをさらに含む、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記ポリヌクレオチドが、CRISPR酵素と複合体を形成するものである、請求項105に記載の方法。
【請求項108】
前記ポリヌクレオチドが、細胞内に存在しない、請求項105または107に記載の方法。
【請求項109】
前記ポリヌクレオチドが、細胞内に存在する、請求項105または107に記載の方法。
【請求項110】
前記曝露により、前記ポリヌクレオチドと複合体を形成した前記CRISPR酵素の標的特異的切断活性が低下する、請求項107に記載の方法。
【請求項111】
標的核酸分子内の標的配列とアニーリングするように構成されたガイド配列とCRISPR酵素と結合するように構成された配列とを含むポリヌクレオチドを特異的に切断し、それにより、前記ポリヌクレオチドと複合体を形成したCRISPR酵素の標的特異的切断活性を低下させるステップを含む方法。
【請求項112】
前記ポリヌクレオチドが、切断可能なリンカーを含む、請求項111に記載の方法。
【請求項113】
前記切断可能なリンカーが、感光性リンカーを含む、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記切断が、前記ポリヌクレオチドを前記感光性リンカーにおいて切断することを含む、請求項112に記載の方法。
【請求項115】
前記切断可能なリンカーが、前記CRISPR酵素と結合するように構成された配列内に位置付けられている、請求項112に記載の方法。
【請求項116】
前記切断可能なリンカーが、前記ポリヌクレオチド内のヌクレオチド56または73のすぐ3’側に位置付けられており、前記ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり、ヌクレオチドに、前記ガイド配列の5’末端から前記ポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記第1の切断可能なリンカーが、ヌクレオチド56のすぐ3’側に位置付けられており、前記第2の切断可能なリンカーが、前記ポリヌクレオチド内のヌクレオチド73のすぐ3’側に位置付けられており、前記ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり、ヌクレオチドに、前記ガイド配列の5’末端から前記ポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている、請求項112に記載の方法。
【請求項118】
前記ポリヌクレオチドが、第1のステムループを含み、前記ポリヌクレオチドの5’末端から3’末端まで番号を付して、前記切断可能なリンカーが、ネクサスまたはステムループ1内に存在する、請求項117に記載のポリヌクレオチド。
【請求項119】
前記第2の切断可能なリンカーが、ネクサスのループまたはステムループ1のループ内に位置付けられており、ステムループに、前記ガイド配列の5’末端から前記ポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記第1の切断可能なリンカーが、ネクサスのループ内にあり、前記第2の切断可能なリンカーが、ステムループ1のループ内にあり、ステムループに、前記ガイド配列の5’末端から前記ポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている、請求項118に記載の方法。
【請求項121】
前記ポリヌクレオチドおよびCRISPR酵素が、細胞内に存在しない、請求項111から116までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
前記ポリヌクレオチドおよびCRISPR酵素が、細胞内に存在する、請求項111から116までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
(i)標的核酸分子内の標的配列とアニーリングするように構成されたガイド配列と(ii)CRISPR酵素と結合するように構成された配列とを含み、修飾を含むポリヌクレオチドであって、CRISPR酵素と複合体を形成した場合に、前記CRISPR酵素と複合体を形成した前記修飾を有さない前記ポリヌクレオチドを含む第2のCRISPR複合体よりもオフターゲット核酸分子に対する編集活性が低い第1のCRISPR複合体が形成される、ポリヌクレオチド。
【請求項124】
前記修飾が、標準的なヌクレオチド塩基を含まないリンカーを含む、請求項123に記載のポリヌクレオチド。
【請求項125】
前記修飾が、標準的なヌクレオチド塩基を含まないリンカーを少なくとも2つ含む、請求項123に記載のポリヌクレオチド。
【請求項126】
ii)の配列が、5’から3’まで、テトラループ、第1のステムループ、第2のステムループ、および第3のステムループを形成する、請求項123に記載のポリヌクレオチド。
【請求項127】
第4のステムループを含まない、請求項126に記載のポリヌクレオチド。
【請求項128】
前記ポリヌクレオチドの5’末端にはステムループを含まない、請求項123に記載のポリヌクレオチド。
【請求項129】
前記リンカーが、切断可能なリンカーを含む、請求項124に記載のポリヌクレオチド。
【請求項130】
前記リンカーが、3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトを含む、請求項129に記載のポリヌクレオチド。
【請求項131】
前記リンカーが、
【化22】
(式中、
*は、Hの付着点または第1のヌクレオチドを示し、
**は、OHの付着点または第2のヌクレオチドを示す)
を含む、請求項126に記載のポリヌクレオチド。
【請求項132】
前記修飾が前記ポリヌクレオチドの57位または74位にあり、1位が前記ガイド配列の5’末端に存在し、位置が5’から3’まで計数される、請求項130に記載のポリヌクレオチド。
【請求項133】
前記修飾が、前記ポリヌクレオチドの57位および74位に存在する、請求項132に記載のポリヌクレオチド。
【請求項134】
前記修飾が、前記テトラループのループ、前記第1のステムループ、前記第2のステムループ、または前記第3のステムループ内に存在する、請求項126に記載のポリヌクレオチド。
【請求項135】
前記修飾が、前記第1のステムループまたは前記第2のステムループ内に存在する、請求項126に記載のポリヌクレオチド。
【請求項136】
前記修飾が、前記第1のステムループのループまたは前記第2のステムループのループ内に存在する、請求項135に記載のポリヌクレオチド。
【請求項137】
前記修飾が、57位および74位の一方または両方に存在し、1位が、前記ガイド配列の5’末端に存在し、位置が、5’から3’まで計数される、請求項135に記載のポリヌクレオチド。
【請求項138】
前記修飾が、光切断可能な結合を含む、請求項128に記載のポリヌクレオチド。
【請求項139】
前記修飾が、ステムループ内には存在しない、請求項128に記載のポリヌクレオチド。
【請求項140】
最初の3つの5’および3’末端RNAヌクレオチドに2’-O-メチル類似体および3’ホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含む、請求項123に記載のポリヌクレオチド。
【請求項141】
前記編集活性が、編集されるオフターゲット核酸分子のパーセンテージとして測定される、請求項123に記載のポリヌクレオチド。
【請求項142】
前記第1のCRISPR複合体による前記オフターゲット核酸分子に対する編集活性が、前記第2のCRISPR複合体の編集活性よりも低く、p値≦0.0001である、請求項123に記載のポリヌクレオチド。
【請求項143】
前記第1のCRISPR複合体の前記標的核酸分子に対する編集活性と前記第2のCRISPR複合体の前記標的核酸分子に対する編集活性が5%以内である、請求項123に記載のポリヌクレオチド。
【請求項144】
前記第1のCRISPR複合体の標的核酸分子に対する編集活性および前記第2のCRISPR複合体の標的核酸分子に対する編集活性が、編集される標的核酸分子のパーセンテージとして測定される、請求項143に記載のポリヌクレオチド。
【請求項145】
第1のCRISPR複合体を細胞に供給するステップであって、前記第1の複合体が、CRISPR酵素と複合体を形成した請求項123に記載のポリヌクレオチドを含む、ステップと、前記細胞の標的配列を編集するステップであって、オフターゲット核酸分子に対する編集活性が、前記CRISPR酵素と複合体を形成した修飾を有さないポリヌクレオチドを含む第2のCRISPR複合体よりも低い、ステップとを含む方法。
【請求項146】
請求項31~42、49~67、93~94、97~102、または70~144のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドと複合体を形成したCRISPR酵素。
【請求項147】
請求項31~42、49~67、93~94、97~102、または70~144のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドおよび説明書を含むキット。
【請求項148】
請求項31~42、49~67、93~94、97~102、または70~144のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドおよび薬学的に許容される賦形剤を含む医薬製剤。
【請求項149】
請求項148に記載の医薬製剤を対象に投与するステップを含む方法。
【請求項150】
請求項31~42、49~67、93~94、97~102、または70~144のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを合成するステップを含む方法
【請求項151】
請求項31~42、49~67、93~94、97~102、または70~144のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを細胞に導入するステップを含む方法。
【請求項152】
請求項123から144までのいずれか一項に記載のポリヌクレオチドおよびCRISPR酵素を含むCRISPR複合体。
【請求項153】
請求項123から144までのいずれか一項に記載のポリヌクレオチドおよび説明書を含むキット。
【請求項154】
請求項152に記載のCRISPR複合体および説明書を含むキット。
【請求項155】
請求項123から144までのいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む医薬製剤。
【請求項156】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項155に記載の医薬製剤。
【請求項157】
請求項152に記載のCRISPR複合体を含む医薬製剤。
【請求項158】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項157に記載の医薬製剤。
【請求項159】
請求項123から144までのいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを細胞に導入するステップを含む方法。
【請求項160】
請求項159に記載の細胞を含む医薬製剤。
【請求項161】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項160に記載の医薬製剤。
【請求項162】
請求項152に記載のCRISPR複合体を細胞に導入するステップを含む方法。
【請求項163】
請求項155から157までのいずれか一項に記載の医薬製剤を対象に投与するステップを含む方法。
【請求項164】
前記CRISPR複合体により前記標的配列が編集される、請求項162に記載の方法。
【請求項165】
式(I):
【化23】
(式中、
、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシアルキル、アミノ、アミノアルキル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、C-カルボキシ、O-カルボキシ、C-アミド、N-アミド、ニトロ、スルホニル、スルホ、スルフィノ、スルホネート、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、置換されていてもよいカルボシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロシクリルから選択されるか;
あるいは、R、R、R、およびRのうちの2つまたはそれよりも多くは、それらが付着している原子と一緒になって、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロシクリル、および置換されていてもよいC5~10の炭素環式化合物から選択される環または環系を形成し、
mは、2から10までから選択される整数であり、
Xは、O、S、またはジシアノメチレンから選択され、
*は、Hの付着点または第1のヌクレオチドを示し、
**は、OHの付着点または第2のヌクレオチドを示す)
のリンカーを含むヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド。
【請求項166】
前記式(I)のリンカーが、式(I’):
【化24】
(式中、
、R、R3a、R3b、R、およびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシアルキル、アミノ、アミノアルキル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、C-カルボキシ、O-カルボキシ、C-アミド、N-アミド、ニトロ、スルホニル、スルホ、スルフィノ、スルホネート、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、置換されていてもよいカルボシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロシクリルからなる群から選択されるか;
あるいは、R、R2a、R3a、およびRのうちの2つまたはそれよりも多くは、それらが付着している原子と一緒になって、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロシクリル、および置換されていてもよいC5~10の炭素環式化合物から選択される環または環系を形成し、
Xは、酸素である)
によって表される、請求項165に記載のヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド。
【請求項167】
、R、R、およびRが、それぞれ独立に、HまたはC1~6アルキルであり、
3a、およびR3bが、C1~6アルキルである、請求項166に記載のヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド。
【請求項168】
、R、R、およびRが、それぞれHであり、
3a、およびR3bが、それぞれエチルである、請求項166に記載のヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド。
【請求項169】
【化25】
(式中、
*は、Hの付着点または第1のヌクレオチドを示し、
**は、OHの付着点または第2のヌクレオチドを示す)
を含む化合物。
【請求項170】
請求項169に記載の化合物を含むポリヌクレオチド。
【請求項171】
CRISPR酵素に結合するように構成された配列をさらに含む、請求項170に記載のポリヌクレオチド。
【請求項172】
標的核酸分子内の標的配列とアニーリングするように構成されたガイド配列をさらに含む、請求項171に記載のポリヌクレオチド。
【請求項173】
CRISPR酵素および請求項170から172までのいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含むCRISPR複合体。
【請求項174】
式(I):
【化26】
(式中、
、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシアルキル、アミノ、アミノアルキル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、C-カルボキシ、O-カルボキシ、C-アミド、N-アミド、ニトロ、スルホニル、スルホ、スルフィノ、スルホネート、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、置換されていてもよいカルボシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロシクリルから選択されるか;
あるいは、R、R、R、およびRのうちの2つまたはそれよりも多くは、それらが付着している原子と一緒になって、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロシクリル、および置換されていてもよいC5~10の炭素環式化合物から選択される環または環系を形成し、
mは、2から10までから選択される整数であり、
Xは、O、S、またはジシアノメチレンから選択され、
*は、Hの付着点または第1のヌクレオチドを示し、
**は、OHの付着点または第2のヌクレオチドを示す)
を含む化合物。
【請求項175】
式(I)が、式(I’):
【化27】
(式中、
、R、R3a、R3b、R、およびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシアルキル、アミノ、アミノアルキル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、C-カルボキシ、O-カルボキシ、C-アミド、N-アミド、ニトロ、スルホニル、スルホ、スルフィノ、スルホネート、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、置換されていてもよいカルボシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロシクリルからなる群から選択されるか;
あるいは、R、R2a、R3a、およびRのうちの2つまたはそれよりも多くは、それらが付着している原子と一緒になって、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロシクリル、および置換されていてもよいC5~10の炭素環式化合物から選択される環または環系を形成し、
Xは、酸素である)
で表される、請求項174に記載の化合物。
【請求項176】
、R、R、およびRが、それぞれ独立に、HまたはC1~6アルキルであり、
3a、およびR3bが、C1~6アルキルである、請求項175に記載のヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド。
【請求項177】
、R、R、およびRが、それぞれHであり、
3a、およびR3bが、それぞれエチルである、請求項175に記載のヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年1月25日出願の米国仮特許出願第62/797,122号、2019年7月19日出願の米国仮特許出願第62/876,177号、および2019年11月22日出願の米国仮特許出願第62/939,553号の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
核酸編集を遺伝子疾患の処置に使用することができる。最先端の編集機構は、機構の標的細胞への送達、および編集機構が細胞に導入された際のどちらに関しても、本質的に制御できないものであり得る。この制御できないことに起因して、修飾がゲノム内の望ましくない場所に導入される可能性があり、これは、オフターゲット効果として公知である。Casヌクレアーゼの望ましくないオフターゲット活性により、染色体転座を含めた破局的な生物学的事象が導かれる恐れがある。CRISPRリボ核タンパク質(RNP)の活性により、in vivo編集に対する難題も創出される可能性がある。さらに、生物体への全身送達により、所望の細胞型ならびに意図されたものではない細胞型におけるオンターゲット編集が生じる可能性がある。したがって、ゲノム編集の特異性を改善することが、科学的および治療的関心のある話題である。
【0003】
プログラム可能な核酸編集には、広範な生物学的適用および治療的適用があり得る。プログラム可能な核酸編集とは、活性およびゲノムまたはトランスクリプトームにわたる種々の標的部位の認識をますます精密に制御するための、ヌクレアーゼに基づくプラットフォーム、例えば、CRISPRエフェクタータンパク質と、標的核酸分子の標的配列とアニーリングするように構成された配列およびCRISPRエフェクタータンパク質(例えば、Cas9)に結合するように構成された配列を含むCRISPRポリヌクレオチドとを含むCRISPR RNPなどを工学的に作製できることを指し得る。
【0004】
CRISPRエフェクタータンパク質と複合体を形成することができるCRISPRポリヌクレオチドを修飾することは、プログラム可能なゲノム編集の実行可能かつ強力な代替手法になり得る。オフターゲット編集活性の低下およびゲノム編集活性の制御できる誘導および休止ならびにCRISPRエフェクタータンパク質/CRISPRポリヌクレオチド複合体の持続性を可能にする、CRISPRエフェクタータンパク質と複合体を形成することができるCRISPRポリヌクレオチドが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、(i)標的核酸分子内の標的配列とアニーリングするように構成されたガイド配列と、(ii)CRISPR酵素と結合するように構成された配列と、(iii)ガイド配列の最も5’側のヌクレオチドの3’側に切断可能なリンカーを含むポリヌクレオチドを切断する方法であって、ポリヌクレオチドを切断因子(cleavage agent)に曝露させ、それにより、切断可能なリンカーを切断するステップを含む、方法が本発明で提供される。切断因子は、UV光であり得る。切断因子は、可視光線であり得る。一部の実施形態では、切断可能なリンカーは、天然に存在する核酸ではない。一部の実施形態では、切断可能なリンカーは、ポリヌクレオチドの3’末端には存在しない。切断可能なリンカーは、感光性リンカーを含み得る。感光性リンカーは、紫外線放射によって切断可能なものであり得る。感光性リンカーは、可視光線によって切断可能なものであり得る。切断可能なリンカーは、3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトを含み得る。切断可能なリンカーは、1-(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-4-イル)プロピルを含み得る。切断可能なリンカーは、
【化1】
(式中、*は、Hの付着点または第1のヌクレオチドを示し、**は、OHの付着点または第2のヌクレオチドを示す)を含み得る。感光性リンカーは、ホスホロアミダイトを含み得る。感光性リンカーは、クマリンを含み得る。切断可能なリンカーは、tracrRNA配列内に位置付けることができる。切断可能なリンカーは、ポリヌクレオチド内のヌクレオチド56または73のすぐ3’側に位置付けることができ、ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり、ヌクレオチドに、ガイド配列の5’末端からポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている。ポリヌクレオチドは、5’から3’まで、テトラループ、ネクサス、ステムループ1、およびステムループ2を含み得、切断可能なリンカーは、ネクサスのループまたはステムループ1のループ内に存在する。切断可能なリンカーは、ネクサスのループ内、または5’から3’まで番号を付してステムループ1のループ内に存在し得る。テトラループは、ヌクレオチド21~51を含み得る。ネクサスは、ヌクレオチド52~62を含み得る。ステムループ1は、ヌクレオチド68~81を含み得る。ステムループ2は、ヌクレオチド81~97を含み得る。切断可能なリンカーは、ネクサスのループ内、および5’から3’まで番号を付してステムループ1のループ内に存在し得る。切断可能なリンカーは、ポリヌクレオチド内のヌクレオチド56または73のすぐ3’側に位置付けることができ、ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり、ヌクレオチドに、ガイド配列の5’末端からポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている。切断可能なリンカーは、ヌクレオチド56のすぐ3’側に位置付けることができ、別の切断可能なリンカーは、ポリヌクレオチド内のヌクレオチド73のすぐ3’側に位置付けることができ、ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり、ヌクレオチドに、ガイド配列の5’末端からポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている。
【0006】
別の態様では、標的核酸分子内の標的配列とアニーリングするように構成されたガイド配列と、CRISPR酵素と結合するように構成された配列と、420nmよりも長い波長の光によって切断可能な切断可能なリンカーとを含むポリヌクレオチドが本発明で提供される。切断可能なリンカーは、1-(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-4-イル)プロピルを含み得る。切断可能なリンカーは、
【化2】
(式中、*は、Hの付着点または第1のヌクレオチドを示し、**は、OHの付着点または第2のヌクレオチドを示す)を含み得る。切断可能なリンカーは、クマリンを含み得る。切断可能なリンカーは、ホスホロアミダイトを含み得る。切断可能なリンカーは、ポリヌクレオチド内のヌクレオチド56または73のすぐ3’側に位置付けることができ、ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり、ヌクレオチドに、ガイド配列の5’末端からポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている。ポリヌクレオチドは、5’から3’までに、テトラループ、ネクサス、ステムループ1およびステムループ2を含み得、切断可能なリンカーは、ネクサスのループまたはステムループ1のループ内に存在する。切断可能なリンカーは、ネクサスのループ内、および5’から3’まで番号を付してステムループ1のループ内に存在し得る。切断可能なリンカーは、ポリヌクレオチド内のヌクレオチド56または73のすぐ3’側に位置付けることができ、ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり、ヌクレオチドに、ガイド配列の5’末端からポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている。ポリヌクレオチドは、別の切断可能なリンカーを含み得、ポリヌクレオチド内で切断可能なリンカーがヌクレオチド56のすぐ3’側に位置付けられており、別の切断可能なリンカーがヌクレオチド73のすぐ3’側に位置付けられており、ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり、ヌクレオチドに、ガイド配列の5’末端からポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている。第1の切断可能なリンカーは、ポリヌクレオチド内のヌクレオチド56のすぐ3’側に位置付けることができ、第2の切断可能なリンカーは、ポリヌクレオチド内のヌクレオチド73のすぐ3’側に位置付けることができ、ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり、ヌクレオチドに、ガイド配列の5’末端からポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている。
【0007】
別の態様では、標的核酸分子内の標的配列とアニーリングするように構成されたガイド配列と、CRISPR酵素と結合するように構成された配列と、可視光線によって切断可能な切断可能なリンカーとを含むポリヌクレオチドが本発明で提供される。切断可能なリンカーは、
【化3】
(式中、*は、Hの付着点または第1のヌクレオチドを示し、**は、OHの付着点または第2のヌクレオチドを示す)を含み得る。可視光線は、385nmよりも長い波長を含み得る。切断可能なリンカーは、クマリンを含み得る。切断可能なリンカーは、ポリヌクレオチド内のヌクレオチド56または73のすぐ3’側に位置付けることができ、ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり、ヌクレオチドに、ガイド配列の5’末端からポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている。ポリヌクレオチドは、別の切断可能なリンカーを含み得、切断可能なリンカーは、ポリヌクレオチド内のヌクレオチド56のすぐ3’側に位置付けられており、別の切断可能なリンカーは、ポリヌクレオチド内のヌクレオチド73のすぐ3’側に位置付けられており、ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり、ヌクレオチドに、ガイド配列の5’末端からポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている。ポリヌクレオチドは、5’から3’まで、テトラループ、ネクサス、ステムループ1およびステムループ2を含み得、切断可能なリンカーは、ネクサスのループまたはステムループ1のループ内に存在する。切断可能なリンカーは、ポリヌクレオチドのステムループのループ内に存在し得る。切断可能なリンカーは、ネクサスのループ内、または5’から3’まで番号を付してステムループ1のループ内に存在し得る。ポリヌクレオチドは、第2の切断可能なリンカーを含み得、第1の切断可能なリンカーはネクサスのループ内にあり、第2の切断可能なリンカーはポリヌクレオチドのステムループ1のループ内に存在する。
【0008】
別の態様では、上述のポリヌクレオチドを含むCRISPR複合体を細胞に導入するステップと、ポリヌクレオチドを切断因子(cleaving agent)に曝露させ、それにより、切断可能なリンカーを切断するステップとを含む方法が本発明で提供される。方法は、(a)の前に、上述のポリヌクレオチドとCRISPR酵素の複合体を形成するステップをさらに含み得る。
【0009】
別の態様では、ポリヌクレオチドを光に曝露させ、それにより、ポリヌクレオチドを感光性リンカーにおいて切断するステップを含む方法が本発明で提供される。ポリヌクレオチドは、CRISPR酵素と複合体を形成し得る。ポリヌクレオチドは、細胞内に存在し得る。ポリヌクレオチドは、細胞の外側に存在し得る。曝露により、ポリヌクレオチドと複合体を形成したCRISPR酵素の標的特異的切断活性が低下し得る。
【0010】
別の態様では、(a)標的核酸分子内の標的配列とアニーリングするように構成されたガイド配列と、(b)CRISPR酵素と結合するように構成された配列と、(c)(i)ガイド配列内の最も5’側の塩基の3’側かつ(ii)ポリヌクレオチドのテトラループの外側に位置付けられた切断可能なリンカーとを含むポリヌクレオチドが本発明で提供される。切断因子は、UV光であり得る。切断因子は、可視光線であり得る。一部の実施形態では、切断可能なリンカーは、天然に存在する核酸ではない。一部の実施形態では、切断可能なリンカーは、ポリヌクレオチドの3’末端には存在しない。切断可能なリンカーは、感光性リンカーを含み得る。感光性リンカーは、紫外線放射によって切断可能なものであり得る。感光性リンカーは、可視光線によって切断可能なものであり得る。切断可能なリンカーは、3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトを含み得る。切断可能なリンカーは、1-(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-4-イル)プロピルを含み得る。切断可能なリンカーは、
【化4】
(式中、*は、Hの付着点または第1のヌクレオチドを示し、**は、OHの付着点または第2のヌクレオチドを示す)を含み得る。切断可能なリンカーは、感光性リンカーであり得る。感光性リンカーは、ホスホロアミダイトを含み得る。感光性リンカーは、クマリンを含み得る。切断可能なリンカーは、tracrRNA配列内に位置付けることができる。切断可能なリンカーは、ポリヌクレオチド内のヌクレオチド56または73のすぐ3’側に位置付けることができ、ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり、ヌクレオチドに、ガイド配列の5’末端からポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている。切断可能なリンカーは、ネクサスのループ内、または5’から3’まで番号を付してステムループ1のループ内に存在し得る。切断可能なリンカーは、ネクサスのループ内、および5’から3’まで番号を付してステムループ1のループ内に存在し得る。切断可能なリンカーは、ポリヌクレオチド内のヌクレオチド56または73のすぐ3’側に位置付けることができ、ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり、ヌクレオチドに、ガイド配列の5’末端からポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている。切断可能なリンカーは、ポリヌクレオチド内のヌクレオチド56および73のすぐ3’側に位置付けることができ、ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり、ヌクレオチドに、ガイド配列の5’末端からポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている。
【0011】
別の態様では、上述のポリヌクレオチドを含むCRISPR複合体を導入するステップと、ポリヌクレオチドを、切断可能なリンカーの切断を引き起こすように構成された切断因子に曝露させ、それにより、切断可能なリンカーを切断するステップとを含む方法が本発明で提供される。方法は、(a)の前に、上述のポリヌクレオチドとCRISPR酵素の複合体を形成するステップをさらに含み得る。
【0012】
別の態様では、(a)標的核酸分子内の標的配列とアニーリングするように構成されたガイド配列と、(b)CRISPR酵素と結合するように構成された配列と、(c)第1の特定の修飾を受けて第1の修飾されたポリヌクレオチドを生成するように構成された第1のエレメントであって、第1の修飾されたポリヌクレオチドが、CRISPR酵素と複合体を形成した場合に、第1の特定の修飾を受けていないポリヌクレオチドを含むCRISPR複合体よりも高い標的特異的切断活性を有する第1のCRISPR複合体を形成する、第1のエレメントと、(d)第2の特定の修飾を受けて第2の修飾されたポリヌクレオチドを生成するように構成された第2のエレメントであって、第2の修飾されたポリヌクレオチドが、CRISPR酵素と複合体を形成した場合に、第1のCRISPR複合体よりも低い標的特異的切断活性を有する第2のCRISPR複合体を形成する、第2のエレメントとを含むポリヌクレオチドが本発明で提供される。ポリヌクレオチドは、ガイド配列の5’側の配列エレメントを含み得る。配列エレメントは、RNAを含み得る。配列エレメントは、ステムループを形成し得る。一部の実施形態では、ステムループは、ガイド配列に対する塩基対を含まない。ステムループは、ガイド配列に対する塩基対を含み得る。ステムループの最も5’側の塩基は、ガイド配列のすぐ5’側の配列エレメント内の塩基とアニーリングし得る。第1のエレメントは、第1の切断可能なリンカーを含み得る。第1の切断可能なリンカーは、ガイド配列のすぐ5’側に位置付けることができる。第1の切断可能なリンカーは、光、小分子の存在、または細胞プロセスによって切断されやすいものであり得る。第1の切断可能なリンカーは、感光性リンカーを含み得る。第1の切断可能なリンカーは、3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトを含み得る。第1の切断可能なリンカーは、
【化5】
(式中、*は、Hの付着点または第1のヌクレオチドを示し、**は、OHの付着点または第2のヌクレオチドを示す)を含み得る。第2のエレメントは、第1のエレメントと同じ型のエレメントであり得る。第2のエレメントは、第1のエレメントとは異なる型のエレメントであり得る。ポリヌクレオチドは、CRISPR酵素と複合体を形成した場合に、第2のエレメントを有さないポリヌクレオチドがCRISPR酵素と複合体を形成した場合と実質的に同様の標的特異的切断活性を含み得る。第2のエレメントは、第2の切断可能なリンカーを含み得る。第2の切断可能なリンカーは、CRISPR酵素と結合するように構成された配列内に位置付けることができる。第2の切断可能なリンカーは、ポリヌクレオチド内のヌクレオチド56または73のすぐ3’側に位置付けることができ、ここで、ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり得、ヌクレオチドに、ガイド配列の5’末端からポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている。
【0013】
別の態様では、上述のポリヌクレオチドの第1のエレメントに第1の特定の修飾を受けさせ、それにより、第1の修飾されたポリヌクレオチドを生成するステップを含む方法が本発明で提供される。方法は、第1の修飾されたポリヌクレオチドとCRISPR酵素の複合体を形成し、それにより、第1のCRISPR複合体を形成するステップをさらに含み得る。ポリヌクレオチドは、ガイド配列の5’側の配列エレメントを含み得る。配列エレメントは、RNAを含み得る。配列エレメントは、ステムループを形成し得る。一部の実施形態では、ステムループは、ガイド配列に対する塩基対を含まない。ステムループは、ガイド配列に対する塩基対を含み得る。ステムループの最も5’側の塩基は、ガイド配列のすぐ5’側の配列エレメント内の塩基とアニーリングし得る。第1のエレメントは、第1の切断可能なリンカーを含み得る。第1の切断可能なリンカーは、ガイド配列のすぐ5’側に位置付けることができる。第1の切断可能なリンカーは、感光性リンカーを含み得る。第1の特定の修飾は、切断可能なリンカーの特異的切断を含み得る。第1のエレメントに第1の特定の修飾を受けさせるステップは、ポリヌクレオチドを光に曝露させることを含み得る。光は、紫外線を含み得る。方法は、第1のエレメントに第1の修飾を受けさせた後に、第2のエレメントに第2の特定の修飾を受けさせ、それにより、第2の修飾されたポリヌクレオチドを形成するステップをさらに含み得る。第2のエレメントは、感光性リンカーを含み得る。第2の切断可能なリンカーは、CRISPR酵素と結合するように構成された配列内に位置付けることができる。第2の切断可能なリンカーは、ポリヌクレオチド内のヌクレオチド56または73のすぐ3’側に位置付けることができ、ここで、ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり得、ヌクレオチドに、ガイド配列の5’末端からポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている。第1の切断可能なリンカーは、ヌクレオチド56のすぐ3’側に位置付けることができ、第2の切断可能なリンカーは、ポリヌクレオチド内のヌクレオチド73のすぐ3’側に位置付けることができ、ここで、ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり得、ヌクレオチドに、ガイド配列の5’末端からポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている。ポリヌクレオチドは、第1のステムループを含み得、切断可能なリンカーは、ネクサス内、またはポリヌクレオチドの5’末端から3’末端まで番号を付してステムループ1内に存在し得る。第2の切断可能なリンカーは、ネクサスのループ内またはステムループ1のループ内に位置付けることができ、ステムループに、ガイド配列の5’末端からポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている。第1の切断可能なリンカーはネクサスのループ内に位置付けることができ、第2の切断可能なリンカーはステムループ1のループ内に位置付けることができ、ステムループに、ガイド配列の5’末端からポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている。第2のエレメントに第2の特定の修飾を受けさせるステップは、第1の修飾されたポリヌクレオチドを別の光に曝露させることを含み得る。別の光は、紫外線を含み得る。別の光は、420nmよりも長い光波長を含み得る。
【0014】
別の態様では、標的核酸分子内の標的配列とアニーリングするように構成されたガイド配列と、CRISPR酵素と結合するように構成された配列と、ガイド配列の最も5’側の塩基の3’側に位置付けられた第1の切断可能なリンカーとを含み、切断可能なリンカーが、感光性リンカーを含まず、切断可能なリンカーが、核酸内に天然に存在しない、ポリヌクレオチドが本発明で提供される。一部の実施形態では、切断可能なリンカーは、ポリヌクレオチドの3’末端には存在しない。第1の切断可能なリンカーは、CRISPR酵素と結合するように構成された配列内に位置付けることができる。
【0015】
別の態様では、上述のポリヌクレオチドを、切断可能なリンカーを切断することが可能な薬剤に曝露させ、それにより、切断可能なリンカーを切断するステップを含む方法が本明細書に開示される。
【0016】
別の態様では、標的核酸分子内の標的配列とアニーリングするように構成されたガイド配列と、CRISPR酵素と結合するように構成された配列と、ガイド配列の5’末端に共有結合により連結し、ガイド配列とハイブリダイズした配列エレメントと、配列エレメントとガイド配列の5’末端の間に位置付けられた感光性基とを含むポリヌクレオチドが本明細書に開示される。配列エレメントは、RNAを含み得る。配列エレメントは、ステムループを形成する。一部の実施形態では、ステムループは、ガイド配列に対する塩基対を含まない。ステムループは、ガイド配列に対する塩基対を含み得る。ステムループの最も5’側の塩基は、ガイド配列のすぐ5’側の配列エレメント内の塩基とアニーリングし得る。感光性基は、3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトを含み得る。感光性基は、
【化6】
(式中、*は、Hの付着点または第1のヌクレオチドを示し、**は、OHの付着点または第2のヌクレオチドを示す)を含み得る。
【0017】
別の態様では、上述のポリヌクレオチドを含むCRISPR複合体を導入するステップと、ポリヌクレオチドを光に曝露させ、それにより、ポリヌクレオチドを感光性リンカーにおいて切断するステップと方法が本明細書に開示される。方法は、(a)の前に、上述のポリヌクレオチドとCRISPR酵素の複合体を形成するステップを含み得る。ポリヌクレオチドは、CRISPR酵素と複合体を形成し得る。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、細胞内に存在しない。ポリヌクレオチドは、細胞内に存在し得る。曝露により、ポリヌクレオチドと複合体を形成したCRISPR酵素の標的特異的切断活性が低下し得る。
【0018】
別の態様では、標的核酸分子内の標的配列とアニーリングするように構成されたガイド配列とCRISPR酵素と結合するように構成された配列とを含むポリヌクレオチドを特異的に切断し、それにより、ポリヌクレオチドと複合体を形成したCRISPR酵素の標的特異的切断活性を低下させるステップを含む方法が本明細書に開示される。ポリヌクレオチドは、切断可能なリンカーを含み得る。切断可能なリンカーは、感光性リンカーを含み得る。切断は、ポリヌクレオチドを感光性リンカーにおいて切断することを含み得る。切断可能なリンカーは、CRISPR酵素と結合するように構成された配列内に位置付けることができる。切断可能なリンカーは、ポリヌクレオチド内のヌクレオチド56または73のすぐ3’側に位置付けることができ、ここで、ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり得、ヌクレオチドに、ガイド配列の5’末端からポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている。第1の切断可能なリンカーは、ヌクレオチド56のすぐ3’側に位置付けることができ、第2の切断可能なリンカーは、ポリヌクレオチド内のヌクレオチド73のすぐ3’側に位置付けることができ、ここで、ガイド配列の5’末端に存在するヌクレオチドがヌクレオチド1であり得、ヌクレオチドに、ガイド配列の5’末端からポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている。ポリヌクレオチドは、第1のステムループを含み得、切断可能なリンカーは、ネクサス内、またはポリヌクレオチドの5’末端から3’末端まで番号を付してステムループ1内に存在し得る。第2の切断可能なリンカーは、ネクサスのループ内またはステムループ1のループ内に位置付けることができ、ステムループに、ガイド配列の5’末端からポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている。第1の切断可能なリンカーはネクサスのループ内に位置付けることができ、第2の切断可能なリンカーはステムループ1のループ内に位置付けることができ、ステムループに、ガイド配列の5’末端からポリヌクレオチドの3’末端までの順序で番号が付されている。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドおよびCRISPR酵素は、細胞内に存在しない。ポリヌクレオチドおよびCRISPR酵素は、細胞内に存在し得る。
【0019】
別の態様では、(i)標的核酸分子内の標的配列とアニーリングするように構成されたガイド配列と(ii)CRISPR酵素と結合するように構成された配列とを含み、修飾を含むポリヌクレオチドであって、ポリヌクレオチドがCRISPR酵素と複合体を形成し得る場合、第1のCRISPR複合体が形成され得、第1のCRISPR複合体のオフターゲット核酸分子に対する編集活性が、CRISPR酵素と複合体を形成した修飾を有さないポリヌクレオチドを含む第2のCRISPR複合体よりも低い、ポリヌクレオチドが本明細書に開示される。修飾は、標準的なヌクレオチド塩基を含まないリンカーを含み得る。修飾は、標準的なヌクレオチド塩基を含まない少なくとも2つのリンカーを含み得る。ii)の配列は、5’から3’まで、テトラループ、第1のステムループ、第2のステムループ、および第3のステムループを形成し得る。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、第4のステムループを含まない。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドの5’末端にはステムループを含まない。リンカーは、切断可能なリンカーを含み得る。リンカーは、3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトを含み得る。リンカーは、
【化7】
(式中、*は、Hの付着点または第1のヌクレオチドを示し、**は、OHの付着点または第2のヌクレオチドを示す)を含み得る。修飾は、ポリヌクレオチドの57位または74位に存在し得、ここで、1位はガイド配列の5’末端にあり得、位置は、5’から3’まで計数される。修飾は、ポリヌクレオチドの57位および74位に存在し得る。修飾は、テトラループ、第1のステムループ、第2のステムループ、または第3のステムループのループ内に存在し得る。修飾は、第1のステムループ内または第2のステムループ内に存在し得る。修飾は、第1のステムループのループ内または第2のステムループのループ内に存在し得る。修飾は、57位および74位の一方または両方に存在し得、ここで、1位はガイド配列の5’末端にあり得、位置は、5’から3’まで計数される。修飾は、光切断可能な結合を含み得る。一部の実施形態では、修飾は、ステムループ内には存在しない。ポリヌクレオチドは、最初の3つの5’および3’末端RNAヌクレオチドにおける2’-O-メチル類似体および3’ホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含み得る。編集活性は、編集されるオフターゲット核酸分子のパーセンテージとして測定することができる。第1のCRISPR複合体によるオフターゲット核酸分子に対する編集活性は、第2のCRISPR複合体の編集活性よりも低いものであり得、p値≦0.0001である。第1のCRISPR複合体の標的核酸分子に対する編集活性と第2のCRISPR複合体の標的核酸分子に対する編集活性は、5%以内である。第1のCRISPR複合体の標的核酸分子に対する編集活性および第2のCRISPR複合体の標的核酸分子に対する編集活性は、編集される標的核酸分子のパーセンテージとして測定される。
【0020】
別の態様では、第1のCRISPR複合体を細胞に供給するステップであって、第1の複合体が、CRISPR酵素と複合体を形成した上述のポリヌクレオチドを含み得る、ステップと、細胞の標的配列を編集するステップであって、オフターゲット核酸分子に対する編集活性が、CRISPR酵素と複合体を形成した修飾を有さないポリヌクレオチドを含む第2のCRISPR複合体よりも低いものであり得る、ステップとを含む方法が本発明で提供される。
【0021】
別の態様では、上記のポリヌクレオチドのいずれかと複合体を形成したCRISPR酵素が本発明で提供される。別の態様では、上記のポリヌクレオチドのいずれかと複合体を形成したCRISPR酵素を含む医薬製剤が本発明で提供される。別の態様では、上述のポリヌクレオチドのいずれか、および説明書を含むキットが本発明で提供される。別の態様では、上述のポリヌクレオチドのいずれか、および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬製剤が本発明で提供される。別の態様では、医薬製剤を対象に投与するステップを含む方法が本発明で提供される。別の態様では、上述のポリヌクレオチドのいずれかを合成するステップを含む方法が本発明で提供される。別の態様では、上述のポリヌクレオチドのいずれかを細胞に導入するステップを含む方法が本発明で提供される。上述のポリヌクレオチドのいずれかを細胞に導入するステップを含む方法が本明細書に開示される。別の態様では、上述の細胞を含む医薬製剤が本発明で提供される。
【0022】
別の態様では、式(I):
【化8】
(式中、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシアルキル、アミノ、アミノアルキル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、C-カルボキシ、O-カルボキシ、C-アミド、N-アミド、ニトロ、スルホニル、スルホ、スルフィノ、スルホネート、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、置換されていてもよいカルボシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロシクリルから選択されるか;あるいは、R、R、R、およびRのうちの2つまたはそれよりも多くが、それらが付着している原子と一緒になって、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロシクリル、および置換されていてもよいC5~10の炭素環式化合物から選択される環または環系を形成し、mは、1から10までから選択される整数であり得、Xは、O、S、H、OTBDMS(O-tert-ブチルジメチルシリルエーテル)、ジシアノメチレンまたはOMeから選択され得、*は、Hの付着点またはペントース部分を示し得、**は、OHの付着点またはヌクレオチドのリン酸基を示し得る。式(I)のリンカーは、式(I’):
【化9】
(式中、R、R、R3a、R3b、R、およびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシアルキル、アミノ、アミノアルキル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、C-カルボキシ、O-カルボキシ、C-アミド、N-アミド、ニトロ、スルホニル、スルホ、スルフィノ、スルホネート、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、置換されていてもよいカルボシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロシクリルからなる群から選択されるか;あるいは、R、R2a、R3a、およびRのうちの2つまたはそれよりも多くは、それらが付着している原子と一緒になって、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロシクリル、および置換されていてもよいC5~10の炭素環式化合物から選択される環または環系を形成し得、Xは、酸素であり得る)によって表され得る。R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、HまたはC1~6アルキルであり得、R3a、およびR3bは、C1~6アルキルであり得る。R、R、R、およびRは、それぞれ、Hであり得る;ならびにR3a、およびR3bは、それぞれ、エチルであり得る。
【0023】
別の態様では、
【化10】
を含む化合物が本発明で提供される。上述の化合物を含むポリヌクレオチドが本明細書に開示される。ポリヌクレオチドは、CRISPR酵素に結合するように構成された配列をさらに含み得る。ポリヌクレオチドは、標的核酸分子内の標的配列とアニーリングするように構成されたガイド配列をさらに含み得る。CRISPR酵素と上述のポリヌクレオチドで構成されるCRISPR複合体が本明細書に開示される。
【0024】
別の態様では、式(I):
【化11】
(式中、R、R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシアルキル、アミノ、アミノアルキル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、C-カルボキシ、O-カルボキシ、C-アミド、N-アミド、ニトロ、スルホニル、スルホ、スルフィノ、スルホネート、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、置換されていてもよいカルボシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロシクリルから選択されるか;あるいは、R、R、R、およびRのうちの2つまたはそれよりも多くが、それらが付着している原子と一緒になって、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロシクリル、および置換されていてもよいC5~10の炭素環式化合物から選択される環または環系を形成し、mは、1から10までから選択される整数であり得、Xは、O、S、H、OTBDMS(O-tert-ブチルジメチルシリルエーテル)、ジシアノメチレンまたはOMeから選択され得、*は、Hの付着点またはペントース部分を示し得、**は、OHの付着点またはヌクレオチドのリン酸基を示し得る)を含む化合物が本明細書に記載される。式(I)の化合物は、式(I’):
【化12】
(式中、R、R、R3a、R3b、R、およびRは、それぞれ独立に、H、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシアルキル、アミノ、アミノアルキル、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、C-カルボキシ、O-カルボキシ、C-アミド、N-アミド、ニトロ、スルホニル、スルホ、スルフィノ、スルホネート、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、置換されていてもよいカルボシクリル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリールおよび置換されていてもよいヘテロシクリルからなる群から選択されるか;あるいは、R、R2a、R3a、およびRのうちの2つまたはそれよりも多くは、それらが付着している原子と一緒になって、置換されていてもよい5~10員ヘテロアリール、置換されていてもよい5~10員ヘテロシクリル、および置換されていてもよいC5~10の炭素環式化合物から選択される環または環系を形成し、Xは、酸素であり得る。R、R、R、およびRは、それぞれ独立に、HまたはC1~6アルキルであり得、R3a、およびR3bは、C1~6アルキルであり得る。R、R、R、およびRは、それぞれ、Hであり得る;ならびにR3a、およびR3bは、それぞれ、エチルであり得る)によって表され得る。
参照による組込み
【0025】
本明細書において言及されている全ての刊行物、特許および特許出願は、個々の刊行物、特許、または特許出願が、具体的にかつ個別に参照により組み込まれることが示されたものと同じく参照により本明細書に組み込まれる。
【0026】
本発明の新規の特徴は、添付の特許請求の範囲において詳細に記載されている。本発明の原理が利用されている例示的な実施形態が記載されている以下の詳細な説明および付属図を参照することにより、本発明の特徴および利点のよりよい理解が得られよう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1A~1Cは、CRISPRオン(CRISPR-ON)標的切断活性の活性化の例示的なモデルを示す図である。図1Aは、CRISPRエフェクタータンパク質であるCas9と複合体を形成した標準的なsgRNAの5’末端に位置する付加されたステムループ構造を含むCRISPRオン単一ガイドRNA(sgRNA)を例示する。ステムループ構造により、複合体の活性を抑止し、その結果、不活性型(inactive)複合体をもたらすことができる。切断因子の添加(図1B)により、ステムループ構造を遊離させ(図1C)、それにより、ゲノム編集を生じさせることを可能にし得る活性型(ON)複合体を生成することができる。
【0028】
図2図2は、活性化可能なCRISPRオンsgRNAバリアントの切断の有効性を示す図である。UVの影響を受けやすい切断可能なリンカーによってガイド配列と分離された5’ステムループエレメントを含むCRISPRオンsgRNAを、UV光に0分間、5分間、10分間、または15分間曝露させた。15分間の曝露後、sgRNAは、ガイド配列の5’側の配列の切断と一致する横縞模様を示した。「対照」レーンは、ガイド配列の5’側にいかなる追加的な配列も有さないsgRNAであり、「第2なし(No 2nd)」条件は、ガイド配列に対するステムを形成しない5’付加を伴うsgRNAを使用したものである。「3bpステム」および「6bpステム」条件は、ガイド配列の5’末端にそれぞれ3bpおよび6bpの長さのステム領域を有するように設計されたsgRNAを使用するものである。
【0029】
図3図3は、標的DNA切断に関するin vitro CRISPRオンsgRNA活性化の有効性を示すグラフである。切断可能な5’ステムループを有するCRISPRオンsgRNAを、標的DNA(ヒトFANCF)と一緒に1時間インキュベートし、切断因子であるUVA光(320~390nm)に規則的な間隔で曝露させた。「Mods」は、最初の3つの5’および3’末端RNAヌクレオチドに2’-O-メチル類似体および3’ホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含み、ガイド配列の5’へのいかなる塩基付加も有さないように修飾されたsgRNAである。sgRNAに対する標準の修飾は含む。「二次構造なし(No Secondary)」条件は、ガイド配列に対するステムを形成しない5’付加を伴うsgRNAを使用したものである。「3bpステム」および「6bpステム」条件は、sgRNAの5’末端に、それぞれ3bpおよび6bpのステム領域を形成するように設計された配列を有するsgRNAを使用するものである。
【0030】
図4図4は、非活性化可能なCRISPRオフ(CRISPR-OFF)sgRNAバリアントの切断の有効性を示す図である。5つの異なる切断点を有するsgRNAを切断因子(UV光)に0分間(左側)または5分間(右側)晒した。
【0031】
図5図5は、sgRNAにおける切断可能なリンカーの位置を例示する概略図である。
【0032】
図6図6は、細胞におけるゲノム編集効率の時間依存的なCRISPRオフ非活性化の概略図を示すグラフである。非活性化可能なsgRNAバリアントをトランスフェクトした細胞をRNP送達後の時点でUV光を用いて処理し、RNP送達後に合計48時間、編集、修復、および回復を生じさせた。48時間後、ゲノムDNAを全ての試料から収集し、インデルの存在について分析した。2種のCRISPRオフsgRNA(57および74)でゲノム編集効率の時間依存的な非活性化が示された。
【0033】
図7図7は、CRISPRオフ複合体を使用して遺伝子配列を切断する実験の結果を示すグラフである。X軸は、ガイド配列によって標的化される遺伝子ならびにガイド配列のバージョンを示し、Y軸は、編集された標的化遺伝子を含有するDNA配列のパーセントを示す。
【0034】
図8図8は、標準sgRNAを含むCRISPR複合体を使用して遺伝子配列を切断する、図7に対応する実験に対する対照としての実験実行の結果を示すグラフである。X軸は、ガイド配列によって標的化される遺伝子ならびにガイド配列のバージョンを示し、Y軸は、編集された標的化遺伝子を含有するDNA配列のパーセントを示す。
【0035】
図9図9は、CRISPRオフ複合体を使用して遺伝子配列を切断する実験の結果を示すグラフである。X軸は、ガイド配列によって標的化される遺伝子ならびにガイド配列のバージョンを示し、Y軸は、編集された標的化遺伝子を含有するDNA配列のパーセントを示す。
【0036】
図10図10は、標準sgRNAを含むCRISPR複合体を使用して遺伝子配列を切断する、図9に対応する実験に対する対照としての実験実行の結果を示すグラフである。X軸は、ガイド配列によって標的化される遺伝子ならびにガイド配列のバージョンを示し、Y軸は、編集された標的化遺伝子を含有するDNA配列のパーセントを示す。
【0037】
図11図11は、CRISPRオフ複合体を使用して遺伝子配列を切断する実験の結果を示すグラフである。X軸は、ガイド配列によって標的化される遺伝子ならびにガイド配列のバージョンを示し、Y軸は、編集された標的化遺伝子を含有するDNA配列のパーセントを示す。
【0038】
図12図12は、標準sgRNAを含むCRISPR複合体を使用して遺伝子配列を切断する、図11に対応する実験に対する対照としての実験実行の結果を示す。X軸は、ガイド配列によって標的化される遺伝子ならびにガイド配列のバージョンを示し、Y軸は、編集された標的化遺伝子を含有するDNA配列のパーセントを示す。
【0039】
図13図13は、3種の遺伝子標的にわたって、上位の予測されるオフターゲット部位において、CRISPRオフsgRNAまたは修飾sgRNAのいずれかを使用したオフターゲット編集活性を比較する一連の散布図である。CRISPRオフsgRNAでは、最初の3つの5’および3’末端RNAヌクレオチドに2’-O-メチル類似体および3’ホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含むようにだけ編集されたsgRNAよりも有意に少ないオフターゲットインデルが引き起こされた(****p<0.0001、スチューデントの対応のないt検定、n=24の技術的反復実験)。
【0040】
図14図14は、DNMT1を標的とするCRISPRオフ複合体の時間依存的な編集活性を、DNMT1を標的とする標準sgRNAを含むCRISPR複合体と比較して示すグラフである。
【0041】
図15図15は、GRK1を標的とするCRISPRオフ複合体の時間依存的な編集活性を、GRK1を標的とする標準sgRNAを含むCRISPR複合体と比較して示すグラフである。
【0042】
図16図16は、VEGFAを標的とするCRISPRオフ複合体の時間依存的な編集活性を、VEGFAを標的とする標準sgRNAを含むCRISPR複合体と比較して示すグラフである。
【0043】
図17図17は、CRISPRポリヌクレオチドに対して修飾を行うことができる例示的な位置を例示する図である。
【0044】
図18図18は、CRISPRポリヌクレオチドに対してクマリンリンカーを含む修飾を行うことができる例示的な位置を例示する図である。
【0045】
図19図19は、切断可能なリンカーを有さない修飾sgRNAと比較した、CRISPRポリヌクレオチドに対して切断可能なリンカーを含む修飾を行うことができる例示的な位置を例示する図である。
【0046】
図20-1】図20Aは、断片化が光の非存在下では観察されないことを実証する、図18のインタクトなCRISPRポリヌクレオチドのエレクトロスプレーイオン化(ESI)質量分析トレースである。
【0047】
図20-2】図20Bは、ポリヌクレオチドが、420nmよりも長い波長の光に曝露すると、両方の光切断可能な部位で切断されることを実証する、光切断後の図18のCRISPRポリヌクレオチドのエレクトロスプレーイオン化(ESI)質量分析トレースである。
【0048】
図21図21は、UV光への曝露後に57位および74位における光切断可能なリンカーの切断後に創出された断片、UV光への曝露後に創出された断片、およびインタクトなsgRNAに対応するポリヌクレオチド断片の比較を示すゲルの画像である。
【0049】
図22図22は、図18の光切断可能な部位を含む23カ所の異なる標的部位を標的とする23種のガイドRNAのHEK293細胞におけるパーセント編集として数量化された性能を比較し、3つの条件:光なし、環境光あり、または345nmよりも長い波長の光ありを比較したグラフである。
【0050】
図23図23は、57位および74位の光切断可能なリンカーを含む、23カ所の異なる標的部位を標的とする23種のガイドRNAのHEK293細胞におけるパーセント編集として数量化された性能を比較し、3つの条件:光なし、環境光あり、または345nmよりも長い波長の光ありを比較し、光切断可能な部位を有さないsgRNAと比較したグラフである。
【0051】
図24図24は、57位および74位の光切断可能なリンカーを含む、18カ所の異なる標的部位を標的とする18種のガイドRNAのHep3B細胞におけるパーセント編集として数量化された性能を比較し、3つの条件:光なし、環境光あり、または345nmよりも長い波長の光ありを比較し、光切断可能な部位を有さないsgRNAと比較したグラフである。
【0052】
図25図25は、57位および74位の光切断可能なリンカーを含む、13カ所の異なる標的部位を標的とする13種のガイドRNAのU2OS細胞におけるパーセント編集として数量化された性能を比較し、3つの条件:光なし、環境光あり、または345nmよりも長い波長の光ありを比較し、光切断可能な部位を有さないsgRNAと比較したグラフである。
【0053】
図26図26は、修飾されていないsgRNAを対照として用いて、sgRNAをより長く活性にさせておくとオフターゲット編集が増加することによって実証される、sgRNAが活性である時間の量とオンターゲット編集とオフターゲット編集の比の関係を例示する図である。
【0054】
図27図27は、細胞において観察されるパーセント編集が、385nmの光への曝露が増加するに伴って低減することを示すグラフである。
【0055】
図28図28は、一部の細胞に対して光への曝露を防ぎ、したがって、暗闇で維持された細胞ではGFP遺伝子がノックアウトされ、一方、光に曝露した細胞はGFPを発現するように選択的に遮蔽された細胞のプレートの画像である。
【0056】
図29図29は、光切断可能なリンカーを有さないsgRNAと比較して、図18のポリヌクレオチドの存在量が光に曝露すると有意に減少することを示すグラフである。
【0057】
図30図30は、光切断可能なリンカーを有さないsgRNAと比較して、図18のポリヌクレオチドによるパーセント編集が、光に曝露すると有意に低減することを示すグラフである。
【0058】
図31図31は、HEK293細胞において観察された、Cas9ヌクレアーゼと複合体を形成した図18のポリヌクレオチドによるパーセント編集活性の経時的な変化を示すグラフである。各時点は、試験したHEK293細胞の集団を光に曝露させた時間を表す。
【0059】
図32図32は、図27と同じプロトコールを使用した、図18のCRISPRポリヌクレオチドが430±23nmの波長の光への曝露によって不活性化される時間枠を示すグラフである。
【0060】
図33図33は、切断可能なリンカーをsgRNAに沿って異なる場所で活性化した場合に得られた切断生成物を示すゲルである。
【0061】
図34図34A~Cは、異なる遺伝子を標的とした場合の種々のCRISPRオフ切断可能なリンカーの場所の編集活性のグラフである。
【0062】
図35図35は、光への曝露の持続時間に対する編集の消失の影響のグラフを示す。完全な消失が45秒から60秒の間に実現される。
【0063】
図36図36は、細胞を広スペクトルの光に曝露させる時間の増大の細胞生存率に対する影響を示すグラフである。
【0064】
図37図37は、Cas9ヌクレアーゼと複合体を形成した、CAMK1を標的とするCRISPRオフポリヌクレオチドのインデルプロファイルをCas9ヌクレアーゼと複合体を形成した標準sgRNAと比較して示す図である。
【0065】
図38図38は、必須遺伝子を標的とするためにCas9ヌクレアーゼと複合体を形成した図18のポリヌクレオチドを使用する細胞培養物の画像である。光に曝露させた細胞培養物(+hv)では、光に曝露させていない細胞培養物よりも高い集密度が実証され、これにより、不活性化の欠如により高度の細胞死が引き起こされたことが示される。
【0066】
図39図39は、トランスフェクション後様々な時点でのオンターゲット編集:オフターゲット編集比を示すグラフである。
【0067】
図40図40は、透明な領域では光の通過が可能になり、それにより、CRISPRオフと複合体を形成したCas9ヌクレアーゼの編集活性が不活性化され、暗闇領域は不透明になって編集が妨害されずに進行することが可能になるように、図28の細胞培養に適用した薄膜遮蔽の画像である。
【0068】
図41-1】図41Aは、57位および74位に光切断可能なリンカーを有するインタクトなCRISPRオフポリヌクレオチドのエレクトロスプレーイオン化(ESI)質量分析トレースを示すグラフである。断片化が光の非存在下では観察されないことが実証される。
【0069】
図41-2】図41Bは、57位および74位に光切断可能なリンカーを有するCRISPRオフポリヌクレオチドの光切断後のエレクトロスプレーイオン化(ESI)質量分析トレースを示すグラフである。ポリヌクレオチドが、345nmよりも長い波長の光に曝露すると、両方の光切断可能な部位において切断されることが実証される。
【発明を実施するための形態】
【0070】
I.概要
一般に、CRISPRエフェクタータンパク質、例えば、CRISPR酵素、例えば、Cas9と複合体を形成することができるクラスター化された規則的な配置の短い回文配列リピート(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)(CRISPR)ポリヌクレオチド(例えば、ガイドRNA(gRNA)または単一ガイドRNA(sgRNA))が本発明で提供される。CRISPRポリヌクレオチドは、(i)CRISPRエフェクタータンパク質に結合するように構成された配列と、(ii)必要に応じて、標的核酸分子内の標的配列とアニーリングするように構成されたガイド配列と、(iii)CRISPRポリヌクレオチドと複合体を形成したCRISPRエフェクタータンパク質の活性に影響を及ぼすようにモジュレートすることができる1つまたは複数のエレメントとを含み得る。一部の場合では、CRISPRポリヌクレオチドと複合体を形成したCRISPRエフェクタータンパク質は、「調整可能」であるとみなすことができる。一部の場合では、1つまたは複数のエレメントを、CRISPRポリヌクレオチドと複合体を形成したCRISPRエフェクタータンパク質の活性が増大するようにモジュレートすることができる(例えば、CRISPR「ON」複合体)。一部の場合では、1つまたは複数のエレメントを、CRISPRポリヌクレオチドと複合体を形成したCRISPRエフェクタータンパク質の活性が低下するようにモジュレートすることができる(例えば、CRISPR「オフ」複合体)。一部の場合では、CRISPRポリヌクレオチドの第1のエレメントを、CRISPRポリヌクレオチドと複合体を形成したCRISPRエフェクタータンパク質の活性が増大するようにモジュレートすることができ、第2のエレメントを、CRISPRポリヌクレオチドと複合体を形成したCRISPRエフェクタータンパク質の活性が低下するようにモジュレートすることができる(例えば、CRISPR「オン/オフ」複合体)。CRISPR複合体の使用を使用して、活性をモジュレートすることができないsgRNAと比較してオフターゲット編集を低減することができる。一部の場合では、1つまたは複数の修飾をCRISPRポリヌクレオチドに導入することができ、したがって、CRISPRエフェクタータンパク質と複合体を形成した場合に、1つまたは複数の修飾を有さないポリヌクレオチドを含むCRISPR複合体と比べてオフターゲット編集活性が低いCRISPR複合体がもたらされる。
【0071】
CRISPRポリヌクレオチドと複合体を形成したCRISPRエフェクタータンパク質を含む複合体(例えば、CRISPRオン複合体;CRISPRオフ複合体;またはCRISPRオン/オフ複合体)も本発明で提供される。CRISPRポリヌクレオチドをモジュレートする方法が本発明で提供される。ポリヌクレオチド、および、例えば説明書、および必要に応じてCRISPRエフェクタータンパク質を含むキットが提供される。さらに、CRISPRポリヌクレオチドおよび薬学的に許容される賦形剤を含む医薬製剤、ならびに医薬製剤を投与する方法が提供される。CRISPRポリヌクレオチドを細胞に導入する方法も本発明で提供される。
A.CRISPRオン
【0072】
CRISPRエフェクタータンパク質と複合体を形成して、CRISPRオン複合体を形成することができるCRISPRオンポリヌクレオチドが本発明で提供される。CRISPRオンポリヌクレオチドは、(i)標的核酸分子内の標的配列とアニーリングするように構成されたガイド配列と、(ii)CRISPRエフェクタータンパク質に結合するように構成された配列(例えば、tracrRNA配列)と、(iii)第1のガイド配列の5’側の配列エレメントとを含み得る。第1のガイド配列の5’側の配列エレメントは、ポリヌクレオチドリーダー配列と称することができる。第1の配列エレメントは、二次構造、例えばステムループを含み得る。ステムループは、約3塩基対(bp)から約30bpまでを含み得る。第1の配列エレメントの5’末端は、ガイド配列のすぐ5’側の配列エレメント内の塩基とアニーリングし得る。一部の場合では、第1の配列エレメントの5’末端はガイド配列とアニーリングする。CRISPRオンポリヌクレオチドは、第1の切断可能なエレメント、例えば、第1の天然に存在しない切断可能なエレメント、例えば、感光性リンカーをさらに含み得る。切断可能なエレメントは、ガイド配列のすぐ5’側に位置付けることができる。切断可能なエレメントは、光、小分子、または1つまたは複数の細胞プロセスによる切断を受けやすい場合がある。ポリヌクレオチドリーダー配列は、ガイド配列の標的配列とアニーリングする能力に干渉し得る。
【0073】
CRISPRエフェクタータンパク質とCRISPRオンポリヌクレオチドとを含む複合体をアセンブルすることができる(例えば、図1Aを参照されたい)。第1のガイド配列の5’側の配列エレメントを有するCRISPRオンポリヌクレオチドとCRISPRエフェクタータンパク質とを含むCRISPR複合体は、第1の配列エレメントを有さないCRISPRポリヌクレオチドを含むCRISPR複合体よりも低い標的特異的活性を有し得る;例えば、活性は、約2分の1~約100分の1であり得る。標的核酸、例えば、DNAに対するCRISPR複合体の調整可能なターゲティングのための方法が本発明で提供される。方法は、切断可能なエレメントを切断因子で切断し(例えば、図1Bを参照されたい)、それにより、第1のガイド配列の5’側の配列エレメントを遊離させる(例えば、図1Cを参照されたい)ステップを含み得る。例えば、切断可能なエレメントは、感光性リンカーであり得、感光性リンカーは、光に曝露すると切断され得る。切断可能なリンカーの切断により、切断前のCRISPR複合体よりも標的特異的切断活性が高いCRISPR複合体をもたらすことができる。
B.CRISPRオフ
【0074】
CRISPRエフェクタータンパク質と複合体を形成してCRISPRオフ複合体を形成することができるCRISPRオフポリヌクレオチドが本発明で提供される。CRISPRオフポリヌクレオチドは、(i)CRISPRエフェクタータンパク質に結合するように構成された配列(例えば、tracrRNA配列)と、(ii)切断可能なリンカーとを含み得る。一部の場合では、CRISPRオフポリヌクレオチドは、標的核酸分子内の標的配列とアニーリングするように構成されたガイド配列をさらに含む。切断可能なリンカーは、天然に存在しない切断可能なリンカーであり得る。CRISPRオフポリヌクレオチドがガイド配列を含む場合、切断可能なリンカーは、ガイド配列の最も5’側の塩基の3’側に位置付けることができる。切断可能なリンカーは、CRISPRエフェクタータンパク質に結合するように構成された配列(例えば、tracrRNA配列)内に位置付けることができる。一部の場合では、切断可能なリンカーのすぐ3’側および/またはすぐ5’側の塩基は、CRISPRオフポリヌクレオチド内の別の塩基とはアニーリングしない。切断可能なリンカーは、感光性リンカーであり得る。切断可能なリンカーは、光、小分子、または1つまたは複数の細胞プロセスによる切断を受けやすい場合がある。
【0075】
CRISPRオフポリヌクレオチドと複合体を形成したCRISPRエフェクタータンパク質のオフターゲット編集活性は、非CRISPRオフポリヌクレオチド、例えば、1つまたは複数の切断可能なリンカーを有さないsgRNAと複合体を形成したCRISPRエフェクタータンパク質のオフターゲット編集活性よりも低いものであり得る。1つまたは複数の切断可能なリンカーを有さないsgRNAは、最初の3つの5’および3’末端RNAヌクレオチドにおける2’-O-メチル類似体および3’ホスホロチオエートヌクレオチド間連結のみで修飾されたものであり得る。CRISPRオフポリヌクレオチドと複合体を形成したCRISPRエフェクタータンパク質の、切断されていない(例えば、CRISPRオフポリヌクレオチドが光切断可能なリンカーを有する場合、光に曝露していない)場合のオフターゲット編集活性は、非CRISPRオフポリヌクレオチドと複合体を形成したCRISPRエフェクタータンパク質よりも統計学的に低いものであり得、p値≦0.05、≦0.01、≦0.005、≦0.001、≦0.0005、または≦0.0001である。オフターゲット編集活性(例えば、本明細書に記載の通り測定される)は、約1.1分の1、1.5分の1、2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、7分の1、8分の1、9分の1、10分の1、11分の1、12分の1、13分の1、14分の1、15分の1、16分の1、17分の1、18分の1、19分の1、20分の1、21分の1、22分の1、23分の1、24分の1、25分の1、26分の1、27分の1、28分の1、29分の1、30分の1、31分の1、32分の1、33分の1、34分の1、35分の1、36分の1、37分の1、38分の1、39分の1、40分の1、41分の1、42分の1、43分の1、44分の1、45分の1、46分の1、47分の1、48分の1、49分の1、50分の1、51分の1、52分の1、53分の1、54分の1、55分の1、56分の1、57分の1、58分の1、59分の1、もしくは60分の1;少なくとも1.1分の1、1.5分の1、2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、7分の1、8分の1、9分の1、10分の1、11分の1、12分の1、13分の1、14分の1、15分の1、16分の1、17分の1、18分の1、19分の1、20分の1、21分の1、22分の1、23分の1、24分の1、25分の1、26分の1、27分の1、28分の1、29分の1、30分の1、31分の1、32分の1、33分の1、34分の1、35分の1、36分の1、37分の1、38分の1、39分の1、40分の1、41分の1、42分の1、43分の1、44分の1、45分の1、46分の1、47分の1、48分の1、49分の1、50分の1、51分の1、52分の1、53分の1、54分の1、55分の1、56分の1、57分の1、58分の1、59分の1、もしくは60分の1;または最大で1.1分の1、1.5分の1、2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、7分の1、8分の1、9分の1、10分の1、11分の1、12分の1、13分の1、14分の1、15分の1、16分の1、17分の1、18分の1、19分の1、20分の1、21分の1、22分の1、23分の1、24分の1、25分の1、26分の1、27分の1、28分の1、29分の1、30分の1、31分の1、32分の1、33分の1、34分の1、35分の1、36分の1、37分の1、38分の1、39分の1、40分の1、41分の1、42分の1、43分の1、44分の1、45分の1、46分の1、47分の1、48分の1、49分の1、50分の1、51分の1、52分の1、53分の1、54分の1、55分の1、56分の1、57分の1、58分の1、59分の1、または60分の1に低下し得る。一部の場合では、低下は、切断因子、例えば、UV光または可視光線への曝露の非存在下で生じる;一部の場合では、低下は、切断因子への曝露後に生じる。例えば、57位および/または74位に切断可能なリンカーを有するCRISPRオフポリヌクレオチドと複合体を形成したCRISPRエフェクタータンパク質を含む複合体は、切断可能なリンカーを有さないsgRNAと複合体を形成したCRISPRエフェクタータンパク質よりも低いオフターゲット編集効率を有し得る。CRISPRオフポリヌクレオチドと複合体を形成したCRISPRエフェクタータンパク質を含む複合体は、切断されていない(例えば、CRISPRオフポリヌクレオチドが光切断可能なリンカーを有する場合、光に曝露していない)場合、非CRISPRオフポリヌクレオチド、例えば切断可能なリンカーを有さないsgRNAと複合体を形成したCRISPRエフェクタータンパク質のオンターゲット編集効率と同じ、またはその1%以内、2%以内、3%以内、4%以内、または5%以内のオンターゲット編集効率を有し得る。
【0076】
CRISPRオフポリヌクレオチドと複合体を形成したCRISPRエフェクタータンパク質を含む複合体をアセンブルすることができる。標的DNAに対するCRISPR複合体の調整可能なターゲティングのための方法が本発明で提供される。方法は、切断可能なリンカーの切断を含み得る。切断可能なリンカーの切断により、切断前よりも標的特異的切断活性が低いCRISPR複合体をもたらすことができる。一部の場合では、切断可能なリンカーの切断により、切断してCRISPRエフェクタータンパク質から解離させることによって生成されるCRISPRオフポリヌクレオチドの断片が生じる。一部の場合では、切断可能なリンカーの切断により、CRISPR複合体が不活性になる。
C.CRISPRオン/オフ
【0077】
CRISPRエフェクタータンパク質と複合体を形成して、CRISPR「オン/オフ」複合体を形成することができるCRISPR「オン/オフ」ポリヌクレオチドが本発明で提供される。CRISPRオン/オフポリヌクレオチドは、標的核酸分子内の標的配列とアニーリングするように構成されたガイド配列と、CRISPRエフェクタータンパク質に結合するように構成された配列(例えば、tracrRNA配列)と、(a)CRISPRエフェクタータンパク質と複合体を形成した場合に、第1の特定の修飾を受けていないポリヌクレオチドを含むCRISPR複合体よりも高い標的特異的切断活性を有する第1のCRISPR複合体を形成する第1の特定の修飾を受けて第1の修飾されたポリヌクレオチドを生成するように構成された第1のエレメント、および(b)CRISPRエフェクタータンパク質と複合体を形成した場合に、第1のCRISPR複合体よりも低い標的特異的切断活性を有する第2のCRISPR複合体を形成する第2の特定の修飾を受けて第2の修飾されたポリヌクレオチドを生成するように構成された第2のエレメントを含み得る。CRISPRオン/オフポリヌクレオチドは、本明細書に記載のCRISPRオンポリヌクレオチドとCRISPRオフポリヌクレオチドの特色を含み得る。
【0078】
CRISPRオン/オフポリヌクレオチドと複合体を形成するCRISPRエフェクタータンパク質を含む複合体をアセンブルすることができる。標的DNAに対するCRISPR複合体の調整可能なターゲティングのための方法が本発明で提供される。方法は、CRISPRオン/オフポリヌクレオチドの第1のエレメントに第1の特定の修飾を受けさせ、それにより、CRISPRエフェクタータンパク質と複合体を形成した場合に、第1の特定の修飾を受けていないポリヌクレオチドを含むCRISPR複合体よりも高い標的特異的切断活性を有する第1のCRISPR複合体を形成する第1の修飾されたポリヌクレオチドを生成するステップを含み得る。方法は、第1のエレメントに第1の修飾を受けさせた後に、第2のエレメントに第2の特定の修飾を受けさせ、それにより、CRISPRエフェクタータンパク質と複合体を形成した場合に、第1のCRISPR複合体よりも低い標的特異的切断活性を有する第2のCRISPR複合体を形成する第2の修飾されたポリヌクレオチドを形成するステップをさらに含み得る。一部の場合では、第2の修飾により、CRISPRポリヌクレオチドの断片化および/またはCRISPRエフェクタータンパク質からの解離を引き起こすことができる。
【0079】
別の実施形態が本明細書に記載されている。
II.CRISPRの概要
A.CRISPR複合体の概要
【0080】
CRISPR複合体は、1つまたは複数のDNAまたはRNA標的化CRISPRエフェクタータンパク質と1つまたは複数のCRISPRポリヌクレオチドとを含む、天然に存在しないまたは工学的に作製されたDNAまたはRNA標的化系である。1つまたは複数のCRISPRポリヌクレオチドは、本明細書に提示される任意のCRISPRポリヌクレオチドであり得る。標的配列は、それと相補性を有するようにCRISPRポリヌクレオチドのガイド配列を設計することができる配列であり得、「相補性」は、核酸の、別の核酸配列と従来のワトソン・クリック塩基対合または他の従来型ではない塩基対合のいずれかによって水素結合を形成する能力を指し得る。CRISPR複合体は、二重鎖構造を形成する2つの核酸鎖、多重鎖複合体を形成する3つまたはそれよりも多くの鎖、単一の自己ハイブリダイズする鎖、またはこれらの任意の組合せと相互作用し得る。
【0081】
CRISPR複合体が標的配列に結合すると、標的配列に付随する配列がCRISPRエフェクタータンパク質によって修飾され得る。CRISPRエフェクタータンパク質は、1つまたは複数の異種タンパク質ドメイン(例えば、CRISPRエフェクタータンパク質に加えて約1個もしくは約1個よりも多く、約2個もしくは約2個よりも多く、約3個もしくは約3個よりも多く、約4個もしくは約4個よりも多く、約5個もしくは約5個よりも多く、約6個もしくは約6個よりも多く、約7個もしくは約7個よりも多く、約8個もしくは約8個よりも多く、約9個もしくは約9個よりも多く、約10個もしくは約10個よりも多く、またはそれよりも多くのドメイン)を含み得る融合タンパク質の一部であり得る。一部の実施例では、CRISPR複合体の機能性は異種タンパク質ドメインによって付与される。
【0082】
一部の場合では、CRISPR系の1つまたは複数のエレメントは、I型、II型、またはIII型CRISPR系に由来するものであり得る。CRISPR II型系では、CRISPRポリヌクレオチド(例えば、ガイドRNA)は、Casエンドヌクレアーゼと相互作用し、Cas酵素のヌクレアーゼ活性を標的領域に方向付けることができる。標的領域は、「プロトスペーサー」および「プロトスペーサー隣接モチーフ」(PAM)を含み得、両方のドメインがCas酵素により媒介される活性(例えば、切断)に使用され得る。ガイド配列は、プロトスペーサーの逆の鎖(結合性部位)と対合(またはハイブリダイズ)して、Cas酵素を標的領域に方向付けることができる。PAM部位は、Cas酵素によって認識され、一部の場合では、Cas酵素活性に必要な短い配列を指し得る。PAM部位のヌクレオチドの配列および数はCas酵素の型に応じて異なり得る。
B.CRISPRポリヌクレオチドの概要
【0083】
本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオン、CRISPRオフ、CRISPRオン/オフは、ガイド配列を含み得る。ガイド配列は、CRISPR RNA(例えば、tracrRNA、crRNA)内に存在し得る。ガイド配列は、標的核酸配列に対して、標的核酸配列とハイブリダイズするために十分な相補性を含み得る。相補性の程度は、適切なアラインメントアルゴリズムを使用して最適にアラインメントした場合、約50%もしくは約50%よりも大きい、約60%もしくは約60%よりも大きい、約75%もしくは約75%よりも大きい、約80%もしくは約80%よりも大きい、約85%もしくは約85%よりも大きい、約90%もしくは約90%よりも大きい、約95%もしくは約95%よりも大きい、約97.5%もしくは約97.5%よりも大きい、または約99%もしくは約99%よりも大きいものであり得る。相補性の程度は100%であり得る。一部の場合では、ガイド配列は、例えば、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、50、またはそれよりも多くのヌクレオチドの長さであり得る。ガイド配列は、約5~約40ヌクレオチドの長さであり得る。ガイド配列を、ガイド配列がそれ自体と塩基対合するまたはCRISPRポリヌクレオチドの別の部分と塩基対合する可能性が低下するように設計することができる。CRISPRポリヌクレオチドが最適にフォールディングされた場合、ガイド配列の別の部分またはCRISPRポリヌクレオチドの別の部分と塩基対合するのは、ガイド配列のヌクレオチドの約75%もしくは約75%未満、約50%もしくは約50%未満、約40%もしくは約40%未満、約30%もしくは約30%未満、約25%もしくは約25%未満、約20%もしくは約20%未満、約15%もしくは約15%未満、約10%もしくは約10%未満、約5%もしくは約5%未満、約1%もしくは約1%未満、またはそれ未満であり得る。
【0084】
一部の場合では、単一のCRISPRポリヌクレオチドが単一のCRISPRエフェクタータンパク質に結合する。単一のCRISPRポリヌクレオチドは、ガイド配列、およびCRISPRエフェクタータンパク質に結合する配列を含み得る。CRISPRエフェクタータンパク質に結合し得る配列は、トランス活性化型RNA(tracrRNA)であり得る。単一のCRISPRポリヌクレオチドがガイド配列およびtracrRNAを含む場合、単一のCRISPRポリヌクレオチドは、単一ガイドRNA(またはsgRNA)と称することができる。
【0085】
一部の場合では、2つのCRISPRポリヌクレオチドが単一のCRISPRエフェクタータンパク質に結合する。第1のCRISPRポリヌクレオチドはガイド配列を含むものであり得、第2のCRISPRポリヌクレオチドはtracrRNAを含み、ガイド配列を欠くものであり得る。
【0086】
一部の場合では、第1のCRISPRポリヌクレオチドは、ガイド配列、およびcrRNAを形成する配列の第1の部分(tracrメイト配列と称することができる)を含み、第2のCRISPRポリヌクレオチドは、tracrRNA(tracr配列と称することができる)を形成する配列の第2の部分を含む。一部の場合では、tracr配列(またはtracrRNA)はcrRNA内の「tracrメイト」配列とハイブリダイズし、それにより、CRISPRエフェクタータンパク質によって認識される二本鎖RNA二重鎖タンパク質結合性セグメントが形成される。ガイド配列(スペーサー配列としても公知)を含むが、CRISPRエフェクタータンパク質に結合し得る配列は欠くCRISPRポリヌクレオチドは、ガイドRNA(またはgRNA)と称することができる。ガイド配列およびCRISPRエフェクタータンパク質に結合し得る配列の一部分(例えば、tracrメイト配列)のみを含む(tracr配列を欠く)CRISPRポリヌクレオチドもガイドRNA(またはgRNA)またはcrRNAと称することができる。
【0087】
tracrRNAはcrRNA内の「tracrメイト」配列とハイブリダイズし得、それにより、CRISPRエフェクタータンパク質によって認識される二本鎖RNA二重鎖タンパク質結合性セグメントが形成される。一部の実施例では、これら2つのハイブリダイゼーションにより、ヘアピンなどの二次構造が生じる。一部の場合では、CRISPRポリヌクレオチド配列は、3つ、4つ、5つ、またはそれよりも多くのヘアピンを含み得る。tracrRNAは、1つまたは複数のヘアピンを含み得るまたはそれからなり得、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100ヌクレオチドの長さであり得る。
【0088】
一部の場合では、第1のCRISPRポリヌクレオチドはcrRNAであり得、第2のCRISPRポリヌクレオチドはtracrRNAであり得、第1のCRISPRポリヌクレオチドと第2のCRISPRポリヌクレオチドは2つの別々のRNA分子であり得る。一部の場合では、単一のCRISPRポリヌクレオチドは、(1)標的配列(例えば、真核細胞のゲノム標的遺伝子座)とハイブリダイズすることができるガイド配列(またはガイド配列を含むcrRNA)と(2)tracrRNAとを含み得る。一部の場合では、第1のCRISPRポリヌクレオチドは、(1)ガイド配列(またはガイド配列を含むcrRNA)(例えば、真核細胞の標的配列とハイブリダイズすることができる)と(2)tracrメイト配列(ダイレクトリピート配列としても公知)とを含むが、tracrRNA配列は欠くものであり得る。CRISPRエフェクタータンパク質には、標的配列とハイブリダイズすることができるガイド配列およびtracrメイト配列(ダイレクトリピート配列)が付随し得るが、tracrRNAの必要性は伴わない。
【0089】
tracr配列とtracrメイト配列が単一のCRISPRポリヌクレオチドとして存在する場合、tracr配列とtracrメイト配列は、共有結合により連結していてよい。tracr配列とtracrメイト配列は、リン酸ジエステル結合によって連結していてよい。tracrとtracrメイトは、スペーサー、付着、バイオコンジュゲート、発色団、レポーター基、色素標識されたRNA、または天然に存在しないヌクレオチド類似体などの部分を含む非ヌクレオチドループを介して共有結合により連結していてよい。スペーサーは、ポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコール、多価アルコール、ポリプロピレングリコールまたはエチレンとプロピレングリコールの混合物)、ポリアミン基(例えば、スペルミン(spennine)、スペルミジン、またはそのポリマー誘導体)、ポリエステル(例えば、ポリ(アクリル酸エチル))、ポリホスホジエステル、アルキレン、およびこれらの組合せであり得る。付着は蛍光標識であり得る。バイオコンジュゲートは、例えば、ペプチド、配糖体、脂質、コレステロール、リン脂質、ジアシルグリセロール、ジアルキルグリセロール、脂肪酸、炭化水素、酵素基質、ステロイド、ビオチン、ジゴキシゲニン、炭水化物、または多糖であり得る。発色団、レポーター基、または色素標識されたRNAは、蛍光色素、例えば、フルオレセインまたはローダミン、化学発光、電気化学発光、または生物発光マーカー化合物であり得る。
【0090】
一部の場合では、例えば、CRISPRポリヌクレオチド、例えば、gRNAまたはsgRNAの効果を増大させるために、他の二次構造をCRISPRポリヌクレオチド、例えばgRNAまたはsgRNAに付加して、CRISPRポリヌクレオチドの安定性を増強する。一部の場合では、安定性の増大により、核酸編集が改善し得る。
【0091】
一部の場合では、例えば、CRISPRポリヌクレオチド、例えば、gRNAまたはsgRNAの効果を増大させるために、CRISPR酵素と複合体を形成したCRISPRポリヌクレオチドのオフターゲット編集活性を低下させる1つまたは複数の修飾をCRISPRポリヌクレオチド、例えばgRNAまたはsgRNAに付加することができる。1つまたは複数の修飾は、糖部分、リン酸ジエステル連結、および/または塩基を含めた種々の場所に存在し得る。例えば、CRISPRポリヌクレオチドは、ホスホルアミド、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ボラノホスフェート連結、O-メチルホスホロアミダイト連結、および/またはペプチド核酸を含む骨格を含み得る。1つまたは複数は、2’フルオロ-アラビノ核酸、三環-DNA(tc-DNA)、ペプチド核酸、シクロヘキセン核酸(CeNA)、ロックド核酸(LNA)、リボース環の2’炭素と4’炭素の間にメチレン架橋を含むロックド核酸(LNA)ヌクレオチド、架橋核酸(BNA)、エチレン-架橋核酸(ENA)、ホスホジアミデートモルホリノ、(3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイト)、またはこれらの組合せを含み得る。
【0092】
CRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオン、CRISPRオフ、およびCRISPRオン/オフは、RNA、DNA-RNAハイブリッド、またはその誘導体を含み得る。CRISPRポリヌクレオチドは、糖部分、例えば、リボースまたはデオキシリボースに共有結合により付着した塩基を含み得るヌクレオシドを含み得る。ヌクレオシドは、リボヌクレオシドまたはデオキシリボヌクレオシドであり得る。ヌクレオシドは、遊離のカルボキシル基、遊離のアミノ基、または保護基(protecting group)を含み得るアミノ酸またはアミノ酸類似体と連結した塩基を含み得る。保護基は、例えば、P. G. M. Wuts and T. W. Greene, ”Protective Groups in Organic Synthesis”, 2nd Ed., Wiley-Interscience, New York, 1999に記載されている保護基であり得る。CRISPRポリヌクレオチドは、標準的な環状ヌクレオチド、例えば、cAMP、cGMP、cCMP、cUMP、cIMP、cXMP、またはcTMPを含み得る。標準的なヌクレオチド塩基は、アデニン、シトシン、ウラシル、グアニン、またはチミンであり得る。ヌクレオチドは、リン酸基またはリン酸類似体に付着したヌクレオシドを含み得る。
【0093】
CRISPRポリヌクレオチドは、RNA、またはDNAの1つまたは複数の分子として存在し得る(例えば、前記RNAの1つまたは複数の分子またはタンパク質をコードする1つまたは複数のベクター内)。CRISPRポリヌクレオチドは、一本鎖形態、二本鎖形態または多重鎖形態のいずれかのデオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)およびそれらのポリマーであり得る。CRISPRポリヌクレオチドは、一本鎖、二本鎖または多重鎖DNAもしくはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA-RNAハイブリッド、またはプリンおよび/もしくはピリミジン塩基または他の天然の、化学修飾された、生化学的に修飾された、天然でない、合成のもしくは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含むポリマーを含み得る。
【0094】
本明細書に開示されるCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)は、糖部分、リン酸ジエステル連結、および/または塩基を含めた種々の場所に1つまたは複数の修飾を含み得る。例えば、CRISPRポリヌクレオチドは、ホスホルアミド、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ボラノホスフェート連結、O-メチルホスホロアミダイト連結、および/またはペプチド核酸を含む骨格を含み得る。CRISPRポリヌクレオチドは、2’フルオロ-アラビノ核酸、三環-DNA(tc-DNA)、ペプチド核酸、シクロヘキセン核酸(CeNA)、ロックド核酸(LNA)、リボース環の2’炭素と4’炭素の間にメチレン架橋を含むロックド核酸(LNA)ヌクレオチド、架橋核酸(BNA)、エチレン-架橋核酸(ENA)、ホスホジアミデートモルホリノ、またはこれらの組合せを含み得る。
【0095】
CRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)は、1つまたは複数の天然に存在しないヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体、例えば、ホスホロチオエート連結を有するヌクレオチド、ボラノホスフェート連結を有するヌクレオチド、リボース環の2’炭素と4’炭素の間にメチレン架橋を含むロックド核酸(LNA)ヌクレオチドまたは架橋核酸(BNA)を含み得る。天然に存在しないヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体は、2’-0-メチル類似体、2’-デオキシ類似体、2-チオウリジン類似体、N6-メチルアデノシン類似体、または2’-フルオロ類似体であり得る。
【0096】
一部の場合では、ポリヌクレオチドは、5’末端の最初の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12ヌクレオチドに修飾されたヌクレオチドおよび/または修飾されたヌクレオチド間連結を含み得る。一部の場合では、ポリヌクレオチドは、3’末端の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12ヌクレオチドに修飾されたヌクレオチドおよび/または修飾されたヌクレオチド間連結を含み得る。一部の場合では、ポリヌクレオチドは、5’末端の最初の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12ヌクレオチドまたは3’末端の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12ヌクレオチドに修飾されたヌクレオチドおよび/または修飾されたヌクレオチド間連結を含み得る。一部の場合では、ポリヌクレオチドは、5’末端の最初の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12ヌクレオチド、および3’末端の最初の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12ヌクレオチドに修飾されたヌクレオチドおよび/または修飾されたヌクレオチド間連結を含み得る。修飾は、2’-O-メチル類似体および/または3’ホスホロチオエートヌクレオチド間連結であり得る。
【0097】
CRISPRポリヌクレオチドは、1つまたは複数の修飾された塩基を含み得る。1つまたは複数の修飾された塩基は、2-アミノプリン、5-ブロモ-ウリジン、プソイドウリジン(ψ)、N^メチルプソイドウリジン(mel P)、5-メトキシウリジン(5moU)、イノシン、または7-メチルグアノシンであり得る。
【0098】
CRISPRポリヌクレオチドは、糖部分を含み得る。糖部分は、天然の、修飾されていない糖、例えば、単糖(例えば、ペントース、例えば、リボース、デオキシリボース)、修飾された糖、または糖類似体であり得る。一部の場合では、糖部分は、1つもしくは複数のヒドロキシル基がハロゲン、ヘテロ原子、脂肪族基で置き換えられたものであり得る、または、1つもしくは複数のヒドロキシル基がエーテル、アミン、チオールなどに官能化されたものであり得る。
【0099】
CRISPRポリヌクレオチドは、リボースの2’位に1つまたは複数の修飾を含み得る。リボースの2’位の1つまたは複数の修飾は、例えば、細胞の状況下で免疫刺激を低減するために導入することができる。2’部分は、H、OR、R、ハロ、SH、SR、H2、HR、R2またはONであり得、RはC1~C6のアルキル、アルケニルまたはアルキニルであり、ハロはF、CI、BrまたはIである。糖修飾の例としては、2’-デオキシ-2’-フルオロ-オリゴリボヌクレオチド(2’-フルオロ-2’-デオキシシチジン-5’-三リン酸、2’-フルオロ-2’-デオキシウリジン-5’-三リン酸)、2’-デオキシ-2’-デアミンオリゴリボヌクレオチド(2’-アミノ-2’-デオキシシチジン-5’-三リン酸、2’-アミノ-2’-デオキシウリジン-5’-三リン酸)、2’-0-アルキルオリゴリボヌクレオチド、2’-デオキシ-2’-C-アルキルオリゴリボヌクレオチド(2’-O-メチルシチジン-5’-三リン酸、2’-メチルウリジン-5’-三リン酸)、2’-C-アルキルオリゴリボヌクレオチド、およびそれらの異性体(2’-アラシチジン-5’-三リン酸、2’-アラウリジン-5’-三リン酸)、アジド三リン酸(2’-アジド-2’-デオキシシチジン-5’-三リン酸、2’-アジド-2’-デオキシウリジン-5’-三リン酸)、およびこれらの組合せが挙げられる。糖修飾されたリボヌクレオチドは、2’OH基がH、アルコキシ(もしくはOR)、Rもしくはアルキル、ハロゲン、SH、SR、アミノ(例えば、NH2、NHR、NR2など)、またはCN基で置き換えられたものであり得、Rは低級アルキル、アルケニル、またはアルキニルである。2’位における修飾は、メチル基であり得る。
【0100】
CRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチドは、1つまたは複数の核酸塩基修飾されたリボヌクレオチドを含み得る。1つまたは複数の修飾されたリボヌクレオチドは、5’位において修飾されたウリジンまたはシチジン、例えば、5’(2-アミノ)プロピルウリジンまたは5’-ブロモウリジン;8位において修飾されたアデノシンおよびグアノシン、例えば、8-ブロモグアノシン;デアザヌクレオチド、例えば、7-デアザ-アデノシン;ならびにN-アルキル化されたヌクレオチド、例えば、N6-メチルアデノシンなどの、天然に存在しない塩基を含有し得る(天然に存在する塩基の代わりに)。
【0101】
核酸塩基修飾されたリボヌクレオチドは、m5C(5-メチルシチジン)、m5U(5-メチルウリジン)、m6A(N6-メチルアデノシン)、s2U(2-チオウリジン)、Um(2’-0-メチルウリジン)、mlA(1-メチルアデノシン)、m2A(2-メチルアデノシン)、Am(2-1-O-メチルアデノシン)、ms2m6A(2-メチルチオ-N6-メチルアデノシン)、i6A(N6-イソペンテニルアデノシン)、ms2i6A(2-メチルチオ-N6 イソペンテニルアデノシン)、io6A(N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン)、ms2io6A(2-メチルチオ-N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン)、g6A(N6-グリシニルカルバモイルアデノシン)、t6A(N6-トレオニルカルバモイルアデノシン)、ms2t6A(2-メチルチオ-N6-トレオニルカルバモイルアデノシン)、m6t6A(N6-メチル-N6-トレオニルカルバモイルアデノシン)、hn6A(N6.-ヒドロキシノルバリルカルバモイルアデノシン)、ms2hn6A(2-メチルチオ-N6-ヒドロキシノルバリルカルバモイルアデノシン)、Ar(p)(2’-0-リボシルアデノシン(リン酸)、I(イノシン)、mi l(1-メチルイノシン)、m’lm(l,2’-0-ジメチルイノシン)、m3C(3-メチルシチジン)、Cm(2T-0-メチルシチジン)、s2C(2-チオシチジン)、ac4C(N4-アセチルシチジン)、f5C(5-フォンニルシチジン)、m5Cm(5,2-O-ジメチルシチジン)、ac4Cm(N4アセチル2TOメチルシチジン)、k2C(リシジン)、mlG(1-メチルグアノシン)、m2G(N2-メチルグアノシン)、m7G(7-メチルグアノシン)、Gm(2’-0-メチルグアノシン)、m22G(N2,N2-ジメチルグアノシン)、m2Gm(N2,2’-0-ジメチルグアノシン)、m22Gm(N2,N2,2’-0-トリメチルグアノシン)、Gr(p)(2’-0-リボシルグアノシン(リン酸)、yW(ワイブトシン)、o2yW(ペルオキシワイブトシン)、OHyW(ヒドロキシワイブトシン)、OHyW*(未修飾ヒドロキシワイブトシン)、imG(ワイオシン)、mimG(メチルグアノシン)、Q(キューオシン)、oQ(エポキシキューオシン)、galQ(ガルタクトシル-キューオシン)、manQ(マンノシル-キューオシン)、preQo(7-シアノ-7-デアザグアノシン)、preQi(7-アミノメチル-7-デアザグアノシン)、G(アルカエオシン)、D(ジヒドロウリジン)、m5Um(5,2’-0-ジメチルウリジン)、s4U(4-チオウリジン)、m5s2U(5-メチル-2-チオウリジン)、s2Um(2-チオ-2’-0-メチルウリジン)、acp3U(3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウリジン)、ho5U(5-ヒドロキシウリジン)、mo5U(5-メトキシウリジン)、cmo5U(ウリジン5-オキシ酢酸)、mcmo5U(ウリジン5-オキシ酢酸メチルエステル)、chm5U(5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジン))、mchm5U(5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジンメチル エステル)、mcm5U(5-メトキシカルボニルメチルウリジン)、mcm5Um(S-メトキシカルボニルメチル-2-O-メチルウリジン)、mcm5s2U(5-メトキシカルボニルメチル-2-チオウリジン)、nm5s2U(5-アミノメチル-2-チオウリジン)、mnm5U(5-メチルアミノメチルウリジン)、mnm5s2U(5-メチルアミノメチル-2-チオウリジン)、mnm5se2U(5-メチルアミノメチル-2-セレノウリジン)、ncm5U(5-カルバモイルメチルウリジン)、ncm5Um(5-カルバモイルメチル-2’-0-メチルウリジン)、cmnm5U(5-カルボキシメチルアミノメチルウリジン)、cnmm5Um(5-カルボキシメチルアミノメチル-2-L-Oメチルウリジン)、cmnm5s2U(5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン)、m62A(N6,N6-ジメチルアデノシン)、Tm(2’-0-メチルイノシン)、m4C(N4-メチルシチジン)、m4Cm(N4,2-0-ジメチルシチジン)、hm5C(5-ヒドロキシメチルシチジン)、m3U(3-メチルウリジン)、cm5U(5-カルボキシメチルウリジン)、m6Am(N6,T-0-ジメチルアデノシン)、rn62Am(N6,N6,0-2-トリメチルアデノシン)、m2’7G(N2,7-ジメチルグアノシン)、m2’2’7G(N2,N2,7-トリメチルグアノシン)、m3Um(3,2T-0-ジメチルウリジン)、m5D(5-メチルジヒドロウリジン)、f5Cm(5-ホルミル-2’-0-メチルシチジン)、mlGm(1,2’-0-ジメチルグアノシン)、m’Am(1,2-0-ジメチルアデノシン)イリノメチルウリジン)、tm5s2U(S-タウリノメチル-2-チオウリジン))、imG-14(4-デメチルグアノシン)、imG2(イソグアノシン)、またはac6A(N6-アセチルアデノシン)、ヒポキサンチン、イノシン、8-オキソ-アデニン、その7置換誘導体、ジヒドロウラシル、プソイドウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-アミノウラシル、5-(C1~C6)-アルキルウラシル、5-メチルウラシル、5-(C2~C6)-アルケニルウラシル、5-(C2~C6)-アルキニルウラシル、5-(ヒドロキシメチル)ウラシル、5-クロロウラシル、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-ヒドロキシシトシン、5-(C1~C6)-アルキルシトシン、5-メチルシトシン、5-(C2~C6)-アルケニルシトシン、5-(C2~C6)-アルキニルシトシン、5-クロロシトシン、5-フルオロシトシン、5-ブロモシトシン、N2-ジメチルグアニン、7-デアザグアニン、8-アザグアニン、7-デアザ-7置換グアニン、7-デアザ-7-(C2~C6)アルキニルグアニン、7-デアザ-8置換グアニン、8-ヒドロキシグアニン、6-チオグアニン、8-オキソグアニン、2-アミノプリン、2-アミノ-6-クロロプリン、2,4-ジアミノプリン、2,6-ジアミノプリン、8-アザプリン、置換7-デアザプリン、7-デアザ-7置換プリン、7-デアザ-8置換プリン、およびこれらの組合せであり得る。
【0102】
核酸塩基修飾されたリボヌクレオチドは、アミノプリン、2,6-ジアミノプリン(2-アミノ-dA))、5-ブロモdU、デオキシウリジン、逆向きdT(Inverted dT)、逆向きジデオキシ-T、ジデオキシ-C、5-メチルdC、Super(T)、Super(G)、5-ニトロインドール、2’-O-メチルRNA塩基、ヒドロキシメチルdC、イソdG、イソdC、フルオロC、フルオロU、フルオロA、フルオロG、2-メトキシエトキシMeC、2-メトキシエトキシG、または2-メトキシエトキシTであり得る。
【0103】
一部の場合では、CRISPRポリヌクレオチドの1つまたは複数のヌクレオチドを、CRISPRポリヌクレオチドのヌクレアーゼに対する抵抗性、血清の安定性、標的特異性、血液系循環、組織分布、組織透過、細胞内取り込み、効力、および/または細胞透過性が改善されるように修飾することができる。例えば、ある特定のCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)修飾により、CRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)の活性に有意に影響を及ぼすことなく、ヌクレアーゼ安定性を増大させ、かつ/またはインターフェロン誘導を低減することができる。修飾されたCRISPRポリヌクレオチドは、同じ配列を有する修飾されていないCRISPRポリヌクレオチドと比較して改善された血清および/または脳脊髄液中での安定性を有し得る。
【0104】
一部の場合では、CRISPRポリヌクレオチドの3’末端および5’末端を、例えば、3’または5’連結を修飾することにより、ヌクレアーゼから実質的に保護することができる(例えば、米国特許第5,849,902号およびWO98/13526)。例えば、CRISPRポリヌクレオチドを、1つまたは複数の「ブロッキング基(blocking group)」を含めることによって抵抗性にすることができる。1つまたは複数の「ブロッキング基」は、ポリヌクレオチドまたはヌクレオモノマーに保護基としてまたは合成用のカップリング基としてのいずれかで付着させることができる置換基(例えば、OH基以外)であり得る(例えば、FITC、プロピル(CH2-CH2-CH3)、グリコール(-O-CH2-CH2-O-)リン酸(PO3 2-)、水素ホスホネート、またはホスホロアミダイト)。1つまたは複数のブロッキング基は、修飾されたヌクレオチドおよび非ヌクレオチドエキソヌクレアーゼ抵抗性構造を含めた、CRISPRポリヌクレオチドの5’末端および3’末端を保護することができる1つまたは複数の「末端ブロッキング基」または1つまたは複数の「エキソヌクレアーゼブロッキング基」であり得る。
【0105】
1つまたは複数の末端ブロッキング基は、キャップ構造(例えば、7-メチルグアノシンキャップ)、例えば3’-3’または5’-5’末端逆位を有する逆向きヌクレオモノマー(例えば、Ortiagao et al. 1992. Antisense Res. Dev. 2: 129を参照されたい)、メチルホスホネート、ホスホロアミダイト、非ヌクレオチド基(例えば、非ヌクレオチドリンカー、アミノリンカー、コンジュゲート)などであり得る。3’末端ヌクレオモノマーは、修飾された糖部分を含み得る。例えば、3’-ヒドロキシルをヌクレオチドに対して3’→3’ヌクレオチド間連結を通じてエステル化することができる。例えば、アルキルオキシラジカルは、メトキシ、エトキシ、またはイソプロポキシであり得る。必要に応じて、3’末端において3’→3’連結したヌクレオチドを置換連結によって連結することができる。ヌクレアーゼ分解を低減するために、最も5’側の3’→5’連結を、修飾された連結、例えば、ホスホロチオエートまたはP-アルキルオキシホスホトリエステル連結にすることができる。
【0106】
CRISPRポリヌクレオチドは、1つまたは複数の標識またはタグを含み得る。1つまたは複数の「標識」または「タグ」は、別の分子、例えば、CRISPRポリヌクレオチドまたはそのセグメントに付着させて、他の分子を容易に検出することができる手段をもたらすことができる分子であり得る。CRISPRポリヌクレオチドは、蛍光性、発光性、放射性、酵素的に活性なものなどの標識を含み得る。1つまたは複数の標識として、蛍光色素、例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、ローダミン、テキサスレッド、フィコエリトリン、アロフィコシアニン、6-カルボキシフルオレセイン(6-FAM)、2,7-ジメトキシ-4,5-ジクロロ-6-カルボキシフルオレセイン(JOE)、6-カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、6-カルボキシ-2,4,7,4,7-ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、5-カルボキシフルオレセイン(5-FAM)またはN,N,N,N-テトラメチル-6-カルボキシローダミン(TAMRA)、放射性標識、例えば、32P、35S、3Hなどを挙げることができる。1つまたは複数の標識は、CRISPRポリヌクレオチドを親和性が高い結合パートナー、例えば、アビジン、特異的抗体などを有するビオチン、ハプテンなどとコンジュゲートし、結合パートナーを検出可能な標識とコンジュゲートする、二段階系であり得る。
C.CRISPRエフェクタータンパク質の概要
【0107】
CRISPRエフェクタータンパク質は、Casタンパク質であり得る。「Cas」という用語は、野生型Casタンパク質、その断片、またはその突然変異体もしくはバリアントを指し得る。
【0108】
CRISPRエフェクタータンパク質は、CRISPR Cas、CRISPR-CasXまたはCRISPR-CasY細菌系に由来する酵素のいずれかであり得る。Casタンパク質は、RNAによりガイドされるポリヌクレオチド結合性またはヌクレアーゼ活性を有するCRISPR/Cas I型、II型、またはIII型系のタンパク質またはそれに由来するタンパク質を含み得る。Casタンパク質は、Cas3、Cas4、Cas5、Cas5e(またはCasD)、Cas6、Cas6e、Cas6f、Cas7、Cas8a1、Cas8a2、Cas8b、Cas8c、Cas9(CsnlおよびCsxl2としても公知)、Cas10、Cas10d、CasF、CasG、CasH、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1(またはCasA)、Cse2(またはCasB)、Cse3(またはCasE)、Cse4(またはCasC)、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csz1、Csx15、Csf1、Csf2、Csf3、Csf4、Cu1966、そのホモログ、またはその修飾バージョンであり得る。一部の場合では、Casタンパク質は、Cpf1、C2c1、C2c2、そのホモログ、および修飾バージョンなどの、CRISPR/Cas V型またはVI型系のタンパク質またはそれに由来するタンパク質を含み得る。
【0109】
CRISPRエフェクタータンパク質は、以下の細菌種のいずれかにおいて見出されるCRISPRエフェクタータンパク質の配列、または以下の種のいずれかにおいて見出されるCRISPRエフェクタータンパク質に由来する配列を含む:Streptococcus pyogenes、Veillonella atypical、Fusobacterium nucleatum、Filifactor alocis、Solobacterium moorei、Coprococcus catus、Treponema denticola、Peptoniphilus duerdenii、Catenibacterium mitsuokai、Streptococcus mutans、Listeria innocua、Staphylococcus pseudintermedius、Acidaminococcus intestine、Olsenella uli、Oenococcus kitaharae、Bifidobacterium bifidum、Lactobacillus rhamnosus、Lactobacillus gasseri、Finegoldia magna、Mycoplasma mobile、Mycoplasma gallisepticum、Mycoplasma ovipneumoniae、Mycoplasma canis、Mycoplasma synoviae、Eubacterium rectale、Streptococcus thermophilus、Eubacterium dolichum、Lactobacillus coryniformis subsp.Torquens、Ilyobacter polytropus、Ruminococcus albus、Akkermansia muciniphila、Acidothermus cellulolyticus、Bifidobacterium longum、Bifidobacterium dentium、Corynebacterium diphtheria、Elusimicrobium minutum、Nitratifractor salsuginis、Sphaerochaeta globus、Fibrobacter succinogenes subsp.Succinogenes、Bacteroides fragilis、Capnocytophaga ochracea、Rhodopseudomonas palustris、Prevotella micans、Prevotella ruminicola、Flavobacterium columnare、Aminomonas paucivorans、Rhodospirillum rubrum、Candidatus Puniceispirillum marinum、Verminephrobacter eiseniae、Ralstonia syzygii、Dinoroseobacter shibae、Azospirillum、Nitrobacter hamburgensis、Bradyrhizobium、Wolinella succinogenes、Campylobacter jejuni subsp.Jejuni、Helicobacter mustelae、Bacillus cereus、Acidovorax ebreus、Clostridium perjringens、Parvibaculum lavamentivorans、Roseburia intestinalis、Neisseria meningitidis、Pasteurella multocida subsp.Multocida、Sutterella wadsworthensis、proteobacterium、Legionella pneumophila、Parasutterella excrementihominis、Wolinella succinogenes、またはFrancisella novicida。
【0110】
一部の場合では、CRISPRエフェクタータンパク質をコードする核酸配列を、真核生物、例えばヒトにおける発現のために最適化することができる(すなわち、ヒトにおける発現のために最適化される)、または本明細書で考察されている別の真核生物、動物もしくは哺乳動物における発現のために最適化することができる。一般に、コドン最適化は、目的の宿主細胞における発現を増強するために、ネイティブな配列の少なくとも1つのコドン(例えば、約1個もしくは約1個よりも多く、約2個もしくは約2個よりも多く、約3個もしくは約3個よりも多く、約4個もしくは約4個よりも多く、約5個もしくは約5個よりも多く、約10個もしくは約10個よりも多く、約15個もしくは約15個よりも多く、約20個もしくは約20個よりも多く、約25個もしくは約25個よりも多く、約50個もしくは約50個よりも多く、またはそれよりも多くのコドン)を、その宿主細胞の遺伝子においてより頻繁にまたは最も頻繁に使用されるコドンに置き換える一方で、ネイティブなアミノ酸配列を維持することによって核酸配列を修飾するプロセスを指し得る。
【0111】
一部の実施例では、CRISPRエフェクタータンパク質に修飾を導入して、安定性、調整可能性を増強し、かつ/またはインターフェロン誘導を低減することなどができる。
III.CRISPRオンポリヌクレオチドおよびCRISPRオン/オフポリヌクレオチドにおけるポリヌクレオチドリーダー配列
【0112】
CRISPRオンポリヌクレオチドまたはCRISPRオン/オフポリヌクレオチドは、第1のガイド配列の5’側の配列エレメントを含み得る。第1のガイド配列の5’側の配列エレメントは、ポリヌクレオチドリーダー配列と称することができる。ポリヌクレオチドリーダー配列を有するCRISPRポリヌクレオチドとCRISPRエフェクタータンパク質とを含むCRISPR複合体は、ポリヌクレオチドリーダー配列を有さないCRISPRポリヌクレオチドを含むCRISPR複合体よりも低い活性を有し得る。ポリヌクレオチドリーダー配列の除去により、活性が増大したCRISPR複合体(CRISPRオン)をもたらすことができる。
A.ポリヌクレオチドリーダー配列の長さ
【0113】
ポリヌクレオチドリーダー配列は、約1ヌクレオチドから約50ヌクレオチドまで、例えば、約5ヌクレオチド~約30ヌクレオチド、約10ヌクレオチド~約20ヌクレオチド、約15ヌクレオチド、または少なくとも4ヌクレオチド、3ヌクレオチド~約15ヌクレオチド、例えば、約5ヌクレオチド~約15ヌクレオチド、約3ヌクレオチド~約10ヌクレオチド、約3~約15ヌクレオチド、または約3ヌクレオチド~約12ヌクレオチド、約4ヌクレオチド~約13ヌクレオチド、約3ヌクレオチド~約18ヌクレオチド、約4ヌクレオチド~約19ヌクレオチド、4ヌクレオチドから約30ヌクレオチドまで、4ヌクレオチドから約25ヌクレオチドまで、5ヌクレオチドから約12ヌクレオチドまで、5ヌクレオチドから約少なくとも4ヌクレオチド、または30またはそれ未満のヌクレオチドの長さにわたり得る。
B.ポリヌクレオチドリーダー配列の組成
【0114】
ポリヌクレオチドリーダー配列は、リボヌクレオチドおよび/またはデオキシリボヌクレオチドを含み得る。ポリヌクレオチドリーダー配列は、非標準ヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体を含み得る。ポリヌクレオチドリーダー配列は、本明細書に記載の任意のヌクレオチドまたは修飾されたヌクレオチドまたはヌクレオチド間連結を含み得る。一部の場合では、ポリヌクレオチドリーダー配列は、本明細書に記載の任意のリンカーを含み得る。
C.ポリヌクレオチドリーダー配列の二次構造
【0115】
ポリヌクレオチドリーダー配列は、二次構造を形成し得るまたはそれを形成するように設計することができる。二次構造は、例えば、ステムループ構造であり得る。ステムループのステムは、相補的なX配列とY配列で構成される少なくとも約3bpを含み得る(Xはステムの一方の鎖の配列を表し、Yはステムの他方の鎖の配列を表す)。ステムは、少なくとも(または最大で)2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40塩基対を含み得る。ステムは、1~20bp、または2~5bp、2~9bp、3~10bp、4~9bp、5~10bp、5~20bp、6~20bp、7~20bp、8~20bpなどにわたる二重鎖ドメインを含み得る。一部の場合では、ステムの2つの鎖は共有結合により架橋結合していてよい。
【0116】
ステムループは、一本鎖ループを含み得る。一本鎖ループは、1~50塩基、例えば、3~5塩基、3~7塩基、4~10塩基、5~20塩基、6~25塩基、3~25塩基、3~30塩基、4~30塩基、または4~50塩基にわたり得る。
【0117】
ステムループまたはポリヌクレオチドリーダー配列の最も5’側の塩基は、ガイド配列のすぐ5’側のポリヌクレオチドリーダー配列内の塩基とアニーリングし得る。一部の場合では、ポリヌクレオチドリーダー配列の最も5’側の塩基は、ガイド配列の最も5’側の塩基から1~20塩基3’側、例えば、ガイド配列の最も5’側の塩基から2塩基、3塩基、4塩基、5塩基、6塩基、7塩基、8塩基、9塩基、10塩基、11塩基、12塩基、15塩基、または20塩基3’側の塩基とアニーリングし得る。一部の場合では、ポリヌクレオチドリーダー配列は、ガイド配列内の塩基と塩基対合する塩基を含まない。
【0118】
ポリヌクレオチドリーダー配列は、1つまたは複数のバルジ(一本鎖配列の領域;これらの領域は、二次構造における配列塩基対合の100%未満を含む位置に対応し得る)を含むヘアピンループまたはステムループ構造を形成し得る。1つまたは複数のバルジの数、長さ、および/または位置は、変動し得、ステムループ構造の全体的な安定性に影響を及ぼし得る。ポリヌクレオチドリーダー配列は、最適にフォールディングされた場合、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれよりも多くのバルジを含み得る。
【0119】
一部の場合では、ポリヌクレオチドリーダー配列は、非ポリヌクレオチド部分を含み得る。ポリヌクレオチドリーダー配列内の非ヌクレオチド部分は、ビオチン、抗体、ペプチド、親和性、レポーターまたはタンパク質部分(例えば、NHSエステルまたはイソチオシアネートなど)、ジゴキシゲニン、アルカリホスファターゼなどの酵素などであり得る。
【0120】
一部の場合では、ポリヌクレオチドリーダー配列は二次構造を欠く。ポリヌクレオチドリーダー配列は、ヌクレオチドの一本鎖の連続したひと続きを含み得る、またはそれからなり得る。
【0121】
ポリヌクレオチドリーダー配列によって形成されるステムループの融解温度は、約25℃~約60℃、または約30℃~約50℃、または約40℃~約50℃であり得る。
D.ポリヌクレオチドリーダー配列が原因の活性の低下
【0122】
ポリヌクレオチドリーダー配列を有するCRISPRポリヌクレオチドとCRISPRエフェクタータンパク質とを含むCRISPR複合体(例えば、Cas9)は、ポリヌクレオチドリーダー配列を有さないCRISPRポリヌクレオチドを含むCRISPR複合体よりも低い活性を有し得る。一部の場合では、活性は、少なくとも(または最大で)0.1倍、0.25倍、0.5倍、0.75倍、1倍、2分の1、5分の1、10分の1、50分の1、100分の1、または1000分の1である。一部の場合では、ポリヌクレオチドリーダー配列を有するCRISPRポリヌクレオチドとCRISPRエフェクタータンパク質とを含むCRISPR複合体は活性を有さない。活性は、例えば、酵素活性または転写活性化活性であり得る。例えば、CRISPRエフェクタータンパク質が触媒として活性型のCasタンパク質である場合、CRISPR複合体は、標的核酸を切断することができないものであり得る。別の例では、CRISPRエフェクタータンパク質が、転写活性化ドメインと融合した、触媒として不活性型のCasタンパク質である場合、CRISPR複合体は、標的遺伝子の転写を活性化することができないものであり得る。
E.ポリヌクレオチドリーダー配列の除去
【0123】
CRISPRポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドリーダー配列の遊離を可能にするための1つまたは複数の切断可能なエレメントを含み得る。1つまたは複数の切断可能なエレメントは、ポリヌクレオチドリーダー配列とガイド配列の間に存在し得る。一部の場合では、1つまたは複数の切断可能なエレメントは、ポリヌクレオチドリーダー配列内に存在する。一部の場合では、少なくとも1つの切断可能なエレメントがポリヌクレオチドリーダー配列内に存在し、少なくとも1つの切断可能なエレメントがポリヌクレオチドリーダー配列とガイド配列の間に存在する。一部の場合では、1つまたは複数の切断可能なエレメントはガイド配列の5’側に位置付けられた。1つまたは複数の切断可能なエレメントは、少なくとも、または最大で、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の切断可能なエレメントであり得る。一部の場合では、1つまたは複数の切断可能なエレメントを、切断後にポリヌクレオチドリーダー配列の一部(例えば、1塩基、2塩基、5塩基、または10塩基)がガイド配列と共有結合により連結したままになるように位置付ける。一部の場合では、1つまたは複数の切断可能なエレメントを、切断後に、ポリヌクレオチドリーダー配列のいずれもガイド配列と共有結合により付着したままにならないように位置付ける。
【0124】
1つまたは複数の切断可能なエレメントは、本明細書に記載の任意の切断可能なエレメントであり得る。1つまたは複数の切断可能なエレメントは、同じ型の切断可能なエレメントまたは異なる型の切断可能なエレメントであり得る。
【0125】
CRISPRポリヌクレオチドを1つまたは複数の切断可能なエレメントにおいて切断することができる一方でCRISPRポリヌクレオチドはCRISPRエフェクタータンパク質に結合していない。CRISPRポリヌクレオチドを1つまたは複数の切断可能なエレメントにおいて切断することができる一方でCRISPRポリヌクレオチドはCRISPRエフェクタータンパク質と複合体を形成している。CRISPRポリヌクレオチドを1つまたは複数の切断可能なエレメントにおいて切断することができる一方でCRISPRポリヌクレオチドはCRISPRエフェクタータンパク質と複合体を形成し、標的配列に結合している。一部の場合では、ポリヌクレオチドリーダー配列により、CRISPRポリヌクレオチドがCRISPRエフェクタータンパク質と複合体を形成することが妨げられる、またはCRISPRポリヌクレオチドのCRISPRエフェクタータンパク質に結合する能力が、ポリヌクレオチドリーダー配列を欠くCRISPRポリヌクレオチドと比べて低下する;ポリヌクレオチドリーダー配列をCRISPRポリヌクレオチドから切断することにより、CRISPRポリヌクレオチドのCRISPRエフェクタータンパク質に結合する能力が増大し得る。
【0126】
CRISPRポリヌクレオチドをin vitroで1つまたは複数の切断可能なエレメントにおいて切断することができる。CRISPRポリヌクレオチドを細胞または生物体、例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、霊長類、例えば、チンパンジー、ゴリラ、またはヒトにおいて1つまたは複数の切断可能なエレメントにおいて切断することができる。
【0127】
1つまたは複数の切断可能なエレメントにおけるCRISPRポリヌクレオチドの切断のタイミングは、変動し得る。例えば、1つまたは複数の切断可能なエレメントをCRISPRポリヌクレオチドが細胞もしくは生物体に導入された直後に、または細胞もしくは生物体への導入の少なくとも(もしくは最大で)0.25時間後、0.5時間後、0.75時間後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、7時間後、8時間後、9時間後、10時間後、11時間後、12時間後、13時間後、14時間後、15時間後、16時間後、17時間後、18時間後、19時間後、20時間後、21時間後、22時間後、23時間後、24時間後、48時間後、72時間後、または96時間後に切断することができる。
【0128】
CRISPRポリヌクレオチドを切断因子に1回曝露させることができる。CRISPRポリヌクレオチドを切断因子に1回よりも多く、例えば、2回、3回、5回、または10回晒すことができる。CRISPRポリヌクレオチドを、1つよりも多くの型の切断因子、例えば、少なくとも(または最大で)2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、または10種の切断因子に曝露させることができる。
【0129】
CRISPRポリヌクレオチドを切断因子に種々の持続時間にわたって曝露させることができる。例えば、CRISPRポリヌクレオチドを切断因子に0.1分間、0.5分間、1分間、2分間、3分間、4分間、5分間、10分間、30分間、60分間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、または96時間にわたって曝露させることができる。
【0130】
一部の場合では、試料は複数のCRISPRポリヌクレオチドを含み、切断因子を使用してある特定のパーセンテージのCRISPRポリヌクレオチドを切断することができる。例えば、切断因子(cleaving agent)を使用して、試料中のCRISPRポリヌクレオチドの少なくとも(または最大で)5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%を切断することができる。ある用量の切断因子(cleaving agent)を使用して、試料中のCRISPRポリヌクレオチドの100%を切断することができる。その量の切断が少なくとも(または最大で)1分間、5分間、10分間、15分間、30分間、45分間、1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、または96時間にわたって起こり得る。
【0131】
ポリヌクレオチドリーダー配列の遊離の結果、CRISPRポリヌクレオチドと結合したCRISPRエフェクタータンパク質(例えば、CRISPR酵素、例えば、Cas9)の活性の増大がもたらされ得る。一部の場合では、試料において、ポリヌクレオチドリーダー配列の遊離の結果、活性の少なくとも0.1倍、0.25倍、0.5倍、0.75倍、1倍、2倍、5倍、10倍、50倍、100倍、または1000倍の増大がもたらされる。
F.他の特色
【0132】
ポリヌクレオチドリーダー配列を含むCRISPRポリヌクレオチドは、CRISPRエフェクタータンパク質と複合体を形成した場合に、標的特異的切断活性がより低い第2のCRISPR複合体を形成する修飾されたCRISPRポリヌクレオチドを生成するために特定の修飾を受けさせることができる1つまたは複数のエレメントの第2のセットを含み得る。1つまたは複数のエレメントの第2のセットは、1つまたは複数の切断可能なエレメントの第2のセットであり得る。例えば、CRISPRポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドリーダー配列、および、ポリヌクレオチドリーダー配列の遊離が可能になるように構成された1つまたは複数の切断可能なエレメントの第1のセット、および残りのCRISPRポリヌクレオチドの切断が可能になるように構成された1つまたは複数の切断可能なエレメントの第2のセットを含み得る;このポリヌクレオチドは、CRISPRオン/オフポリヌクレオチドと称することができる。
IV.CRISPRオフおよびCRISPRオン/オフポリヌクレオチド
【0133】
CRISPRオフポリヌクレオチドまたはCRISPRオン/オフポリヌクレオチドは、特定の修飾を受けて、CRISPRエフェクタータンパク質(例えば、Cas9)と複合体を形成した場合に第1のCRISPR複合体よりも低い標的特異的切断活性を有する第2のCRISPR複合体を形成する修飾されたCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)を生成するように構成されたエレメントを含み得る。エレメントは、1つまたは複数の切断可能なエレメントであり得、特定の修飾は、1つまたは複数の切断可能なエレメントの切断であり得る。
A.1つまたは複数の切断可能なエレメントの位置
【0134】
1つまたは複数の切断可能なエレメントは、ガイド配列内の最も5’側の塩基(またはヌクレオチド)の3’側またはガイド配列内の最も3’側の塩基(またはヌクレオチド)の5’側に位置付けることができる。1つまたは複数の切断可能なエレメントは、crRNAまたはガイド配列の5’末端の約1~30塩基、例えば、2塩基、3塩基、4塩基、5塩基、6塩基、7塩基、8塩基、9塩基、10塩基、11塩基、12塩基、13塩基、14塩基、15塩基、16塩基、17塩基、18塩基、19塩基、20塩基、21塩基、22塩基、23塩基、24塩基、25塩基、26塩基、27塩基、28塩基、29塩基、または30塩基3’側に位置付けることができる。1つまたは複数の切断可能なエレメントは、crRNA配列またはガイド配列の3’末端から約1~30塩基、例えば、2塩基、3塩基、4塩基、5塩基、6塩基、7塩基、8塩基、9塩基、10塩基、11塩基、12塩基、13塩基、14塩基、15塩基、16塩基、17塩基、18塩基、19塩基、20塩基、21塩基、22塩基、23塩基、24塩基、25塩基、26塩基、27塩基、28塩基、29塩基、または30塩基3’側に位置付けることができる。
【0135】
1つまたは複数の切断可能なエレメントは、CRISPRエフェクタータンパク質(例えば、Cas9)に結合するように構成されたCRISPRポリヌクレオチドの配列、例えば、tracrRNA配列内に位置付けることができる。一部の場合では、1つまたは複数の切断可能なエレメントは、tracr配列の5’末端の1~30塩基、例えば2塩基、3塩基、4塩基、5塩基、6塩基、7塩基、8塩基、9塩基、10塩基、11塩基、12塩基、13塩基、14塩基、15塩基、16塩基、17塩基、18塩基、19塩基、20塩基、21塩基、22塩基、23塩基、24塩基、25塩基、26塩基、27塩基、28塩基、29塩基、または30塩基3’側に存在し得る。一部の場合では、1つまたは複数の切断可能なエレメントは、tracr配列の3’末端の1~30塩基、例えば、2塩基、3塩基、4塩基、5塩基、6塩基、7塩基、8塩基、9塩基、10塩基、11塩基、12塩基、13塩基、14塩基、15塩基、16塩基、17塩基、18塩基、19塩基、20塩基、21塩基、22塩基、23塩基、24塩基、25塩基、26塩基、27塩基、28塩基、29塩基、または30塩基5’側に存在し得る。
【0136】
一部の実施例では、1つまたは複数の切断可能なエレメントは、CRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)内の塩基(またはヌクレオチド)56および/またはヌクレオチド73のすぐ5’側または3’側に位置付けることができ、ここで、CRISPRポリヌクレオチドのガイド配列(例えば、sgRNA)の最も5’側のヌクレオチドはヌクレオチド1である、またはヌクレオチド57および/もしくはヌクレオチド74に置き換わる。一部の実施例では、1つまたは複数の切断可能なエレメントは、CRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)の塩基(またはヌクレオチド)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100のすぐ5’側または3’側に位置付けることができ、ここで、CRISPRポリヌクレオチドのガイド配列(例えば、sgRNA)の最も5’側の塩基(またはヌクレオチド)は、CRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)の塩基(またはヌクレオチド)1である、または塩基1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100に置き換わる。
B.切断因子への曝露前の1つまたは複数の切断エレメントの影響
【0137】
一部の場合では、1つまたは複数の切断可能なエレメントを含み、CRISPRエフェクタータンパク質(例えば、Cas9)と複合体を形成するCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)は、1つまたは複数の切断可能なエレメントを有さない、CRISPRエフェクタータンパク質と複合体を形成したCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)と比べて活性の低下を有さない(例えば、CRISPRポリヌクレオチドを切断因子に曝露させる前)。一部の場合では、1つまたは複数の切断可能なエレメントを含み、CRISPRエフェクタータンパク質(例えば、Cas9)と複合体を形成するCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)は、1つまたは複数の切断可能なエレメントを有さない、CRISPRエフェクタータンパク質と複合体を形成したCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)と比べて活性の低下を有する(例えば、CRISPRポリヌクレオチドを切断因子に曝露させる前)。
C.1つまたは複数の切断可能なエレメントの切断
【0138】
1つまたは複数の切断可能なエレメントは、本明細書に記載の任意の切断可能なエレメントであり得る。1つまたは複数の切断可能なエレメントは、同じ型の切断可能なエレメントまたは異なる型の切断可能なエレメントであり得る。1つまたは複数の切断可能なエレメントは、少なくとも、または最大で、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の切断可能なエレメントであり得る。
【0139】
CRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)を1つまたは複数の切断可能なエレメントにおいて切断することができる一方でCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)はCRISPRエフェクタータンパク質(例えば、Cas9)に結合していない。CRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)を1つまたは複数の切断可能なエレメントにおいて切断することができる一方でCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)はCRISPRエフェクタータンパク質(例えば、Cas9)と複合体を形成している。CRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)を1つまたは複数の切断可能なエレメントにおいて切断することができる一方でCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)はCRISPRエフェクタータンパク質(例えば、Cas9)と複合体を形成しており、標的配列に結合している。一部の場合では、切断後に、得られたCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)の断片のうちの1つまたは複数はCRISPRエフェクタータンパク質(例えば、Cas9)に結合したままである。一部の場合では、切断後に、得られたCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)の断片のうちの1つまたは複数(または全て)はCRISPRエフェクタータンパク質(例えば、Cas9)ともはや結合しない、またはもはや結合することができない。
【0140】
CRISPRポリヌクレオチドをin vitroで1つまたは複数の切断可能なエレメントにおいて切断することができる。CRISPRポリヌクレオチドをin vivoで1つまたは複数の切断可能なエレメントにおいて切断することができる。CRISPRポリヌクレオチドを細胞または生物体、例えば、マウス、ウサギ、ヤギ、霊長類、例えば、チンパンジー、ゴリラ、またはヒトにおいて1つまたは複数の切断可能なエレメントにおいて切断することができる。
【0141】
1つまたは複数の切断可能なエレメントにおけるCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)の切断のタイミングは、変動し得る。例えば、1つまたは複数の切断可能なエレメントをCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)が細胞もしくは生物体に導入された直後に、または細胞もしくは生物体への導入の少なくとも(もしくは最大で)0.25時間後、0.5時間後、0.75時間後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、7時間後、8時間後、9時間後、10時間後、11時間後、12時間後、13時間後、14時間後、15時間後、16時間後、17時間後、18時間後、19時間後、20時間後、21時間後、22時間後、23時間後、24時間後、48時間後、72時間後、または96時間後に切断することができる。
【0142】
CRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)を切断因子に1回曝露させることができる。CRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)を切断因子に1回よりも多く、例えば、2回、3回、5回、または10回晒すことができる。CRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)を1つよりも多くの型の切断因子、例えば、少なくとも(または最大で)2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、または10種の切断因子に曝露させることができる。
【0143】
CRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)を切断因子に種々の持続時間にわたって曝露させることができる。例えば、CRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)を切断因子に0.1分間、0.5分間、1分間、2分間、3分間、4分間、5分間、10分間、30分間、60分間、2時間、4時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、または96時間にわたって曝露させることができる。
【0144】
一部の場合では、試料は複数のCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)を含み、切断因子を使用してある特定のパーセンテージのCRISPRポリヌクレオチドを切断することができる(例えば、sgRNA)。例えば、切断因子(cleaving agent)を使用して、試料中のCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)の少なくとも(または最大で)5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%を切断することができる。ある用量の切断因子(cleaving agent)を使用して、試料中のCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)の100%を切断することができる。その量の切断が少なくとも(または最大で)1分間、5分間、10分間、15分間、30分間、45分間、1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、48時間、72時間、または96時間にわたって起こり得る。
【0145】
切断の結果、CRISPRポリヌクレオチドと結合したCRISPRエフェクタータンパク質(例えば、CRISPR酵素、例えば、Cas9)の活性(例えば、sgRNA)の低下がもたらされ得る。一部の場合では、試料において、1つまたは複数の切断因子への曝露の結果、活性が少なくとも0.1倍、0.25倍、0.5倍、0.75倍、1倍、2分の1、5分の1、10分の1、50分の1、100分の1、または1000分の1に低下する。一部の場合では、試料において、もう1つの切断因子への曝露の結果、活性の完全な喪失がもたらされる。
【0146】
CRISPRオフ複合体を使用して、オフターゲット編集を標準sgRNAと複合体を形成したCas9と比較して低減することができる。オフターゲット編集は、Hsiau et al. ”Inference of CRISPR Edits from Sanger Trace Data”, January 14, 2019 bioRxiv or deep-sequencing techniques as described in Tsai et al. ”GUIDE-seq enables genome-wide profiling of off-target cleavage by CRISPR-Cas nucleases”, Nature Biotechnology 33, 187-197 (2015)に記載されている通り、サンガー配列決定トレースを解析し、配列分解のレベルをマッピングして、インデル形成頻度を決定することによって遺伝子編集の量を測定したICE(CRISPR編集の推論(Inference of CRISPR Editing))を使用して決定することができる。
【0147】
V.CRISPRオフポリヌクレオチドおよびオフターゲット編集の低減
【0148】
CRISPRオフポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチドがCRISPRエフェクタータンパク質(例えば、Cas9)と複合体を形成した場合に、CRISPR複合体が形成され、CRISPR複合体が、光または別の切断誘導処理に曝露していない場合に、1つまたは複数の修飾を有さないポリヌクレオチドを有するCRISPR複合体よりも低いオフターゲット編集活性を有するように、1つまたは複数の修飾を含み得る。1つまたは複数の修飾は、本明細書に記載の1つまたは複数のリンカーであり得る。1つまたは複数の修飾は、本明細書に記載の1つまたは複数の切断可能なリンカーであり得る。1つまたは複数の修飾は、本明細書に記載のリボースの2’位における1つまたは複数の修飾であり得る。1つまたは複数の修飾は、1つまたは複数の切断可能なエレメントであり得る。1つまたは複数の修飾は、3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトを含み得る。CRISPRオフポリヌクレオチドは、最初の3つの5’および3’末端RNAヌクレオチドに2’-O-メチル類似体および3’ホスホロチオエートヌクレオチド間連結をさらに含み得る。
A.1つまたは複数の修飾の位置
【0149】
1つまたは複数の修飾は、ガイド配列内の最も5’側の塩基(またはヌクレオチド)の3’側またはガイド配列内の最も3’側の塩基(またはヌクレオチド)の5’側に位置付けることができる。1つまたは複数の修飾は、crRNAまたはガイド配列の5’末端の約1~30塩基、例えば、2塩基、3塩基、4塩基、5塩基、6塩基、7塩基、8塩基、9塩基、10塩基、11塩基、12塩基、13塩基、14塩基、15塩基、16塩基、17塩基、18塩基、19塩基、20塩基、21塩基、22塩基、23塩基、24塩基、25塩基、26塩基、27塩基、28塩基、29塩基、または30塩基3’側に位置付けることができる。1つまたは複数の修飾は、crRNA配列またはガイド配列の5’末端の約1~30塩基、例えば、2塩基、3塩基、4塩基、5塩基、6塩基、7塩基、8塩基、9塩基、10塩基、11塩基、12塩基、13塩基、14塩基、15塩基、16塩基、17塩基、18塩基、19塩基、20塩基、21塩基、22塩基、23塩基、24塩基、25塩基、26塩基、27塩基、28塩基、29塩基、または30塩基3’側に位置付けることができる。
【0150】
1つまたは複数の修飾は、CRISPRエフェクタータンパク質(例えば、Cas9)に結合するように構成されたCRISPRポリヌクレオチドの配列、例えば、tracrRNA配列内に位置付けることができる。一部の場合では、1つまたは複数の修飾は、図17に示されているCRISPRポリヌクレオチドのテトラループ、ネクサス、ステムループ1、またはステムループ2内に存在し得る。一部の場合では、1つまたは複数の修飾は、テトラループのループ、テトラループのバルジ、テトラループの第1のステム、テトラループの第2のステム、ネクサスのループ構造内、ネクサスのステム内、ステムループ1のループ構造内、ステムループ1のステム内、ステムループ2のループ構造内、またはステムループ2のステム内に存在し得る;テトラループ、ネクサス、ステムループ1、およびステムループ2の例は図17に例示されている。一部の場合では、1つまたは複数の修飾は、例えば、ガイド配列とステムループを形成するように構成されたガイド配列の5’側の配列を含まない。一部の場合では、1つまたは複数の修飾は、tracr配列の5’末端の1~30塩基、例えば、2塩基、3塩基、4塩基、5塩基、6塩基、7塩基、8塩基、9塩基、10塩基、11塩基、12塩基、13塩基、14塩基、15塩基、16塩基、17塩基、18塩基、19塩基、20塩基、21塩基、22塩基、23塩基、24塩基、25塩基、26塩基、27塩基、28塩基、29塩基、または30塩基3’側に存在し得る。一部の場合では、1つまたは複数の修飾は、tracr配列の3’末端の1~30塩基、例えば、2塩基、3塩基、4塩基、5塩基、6塩基、7塩基、8塩基、9塩基、10塩基、11塩基、12塩基、13塩基、14塩基、15塩基、16塩基、17塩基、18塩基、19塩基、20塩基、21塩基、22塩基、23塩基、24塩基、25塩基、26塩基、27塩基、28塩基、29塩基、または30塩基5’側に存在し得る。
【0151】
一部の実施例では、1つまたは複数の修飾は、CRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)内の塩基(またはヌクレオチド)56および/またはヌクレオチド73のすぐ5’側または3’側に位置付けることができ、ここで、CRISPRポリヌクレオチドのガイド配列(例えば、sgRNA)の最も5’側のヌクレオチドはヌクレオチド1である、またはヌクレオチド57および/もしくはヌクレオチド74に置き換わる。一部の実施例では、1つまたは複数の複合体を変更させるエレメントは、CRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)の塩基(またはヌクレオチド)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100のすぐ5’側または3’側に位置付けることができ、ここで、CRISPRポリヌクレオチドのガイド配列(例えば、sgRNA)の最も5’側の塩基(またはヌクレオチド)は、CRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)の塩基(またはヌクレオチド)1である、または塩基1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100に置き換わる。
B.1つまたは複数の修飾の影響
【0152】
一部の場合では、1つまたは複数の修飾を含む、CRISPRエフェクタータンパク質(例えば、Cas9)と複合体を形成したCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)は、1つまたは複数の修飾を有さない、CRISPRエフェクタータンパク質と複合体を形成したCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)と比べて標的配列における編集活性の低下を有さない(例えば、CRISPRポリヌクレオチドを切断因子に曝露させる前)。一部の場合では、1つまたは複数の修飾を含む、CRISPRエフェクタータンパク質(例えば、Cas9)と複合体を形成したCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)は、1つまたは複数の複合体を変更させるエレメントを有さない、CRISPRエフェクタータンパク質と複合体を形成したCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)と比べて標的配列における編集活性の低下を有する(例えば、CRISPRポリヌクレオチドを切断因子に曝露させる前)。一部の場合では、標的配列における編集活性は、標準のCRISPR複合体と比べて約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、もしくは10%または最大で1%、2%、または3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、もしくは10%低下する。
【0153】
一部の場合では、1つまたは複数の修飾を含む、CRISPRエフェクタータンパク質(例えば、Cas9)と複合体を形成したCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)は、1つまたは複数の修飾を有さない、CRISPRエフェクタータンパク質と複合体を形成したCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)と比べてオフターゲット配列における編集活性の低下を有する(例えば、CRISPRポリヌクレオチドを切断因子に曝露させる前)。オフターゲット配列における編集活性は、オフターゲット編集と記載される。オフターゲット編集は、CRISPRポリヌクレオチドのガイド配列と正確には相補的でない配列における編集であり得る。一部の場合では、オフターゲット配列における編集活性は、約、少なくとも、または最大で5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%低下する。一部の場合では、オフターゲット編集活性は、0%、1%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または95%である。一部の場合では、オフターゲット編集活性は、1%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満、25%未満、30%未満、40%未満、50%未満、60%未満、70%未満、80%未満、90%未満、または95%未満である。一部の場合では、オフターゲット編集活性は、0%~5%、5%~10%、10%~25%、25%~50%、50%~75%、または75%~95%である。
【0154】
オフターゲット編集活性(例えば、本明細書に記載の通り測定される)は、約1.1分の1、1.5分の1、2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、7分の1、8分の1、9分の1、10分の1、11分の1、12分の1、13分の1、14分の1、15分の1、16分の1、17分の1、18分の1、19分の1、20分の1、21分の1、22分の1、23分の1、24分の1、25分の1、26分の1、27分の1、28分の1、29分の1、30分の1、31分の1、32分の1、33分の1、34分の1、35分の1、36分の1、37分の1、38分の1、39分の1、40分の1、41分の1、42分の1、43分の1、44分の1、45分の1、46分の1、47分の1、48分の1、49分の1、50分の1、51分の1、52分の1、53分の1、54分の1、55分の1、56分の1、57分の1、58分の1、59分の1、または60分の1;少なくとも1.1分の1、1.5分の1、2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、7分の1、8分の1、9分の1、10分の1、11分の1、12分の1、13分の1、14分の1、15分の1、16分の1、17分の1、18分の1、19分の1、20分の1、21分の1、22分の1、23分の1、24分の1、25分の1、26分の1、27分の1、28分の1、29分の1、30分の1、31分の1、32分の1、33分の1、34分の1、35分の1、36分の1、37分の1、38分の1、39分の1、40分の1、41分の1、42分の1、43分の1、44分の1、45分の1、46分の1、47分の1、48分の1、49分の1、50分の1、51分の1、52分の1、53分の1、54分の1、55分の1、56分の1、57分の1、58分の1、59分の1、または60分の1;または最大で1.1分の1、1.5分の1、2分の1、3分の1、4分の1、5分の1、6分の1、7分の1、8分の1、9分の1、10分の1、11分の1、12分の1、13分の1、14分の1、15分の1、16分の1、17分の1、18分の1、19分の1、20分の1、21分の1、22分の1、23分の1、24分の1、25分の1、26分の1、27分の1、28分の1、29分の1、30分の1、31分の1、32分の1、33分の1、34分の1、35分の1、36分の1、37分の1、38分の1、39分の1、40分の1、41分の1、42分の1、43分の1、44分の1、45分の1、46分の1、47分の1、48分の1、49分の1、50分の1、51分の1、52分の1、53分の1、54分の1、55分の1、56分の1、57分の1、58分の1、59分の1、または60分の1に低下し得る。
【0155】
一部の場合では、オフターゲット編集活性を1つの核酸領域において測定する。オフターゲット編集活性を1つよりも多くのゲノム領域(例えば、遺伝子)において測定することができる。オフターゲット編集活性を1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、25、50、75、または100のゲノム領域(例えば、遺伝子)において測定することができる。オフターゲット編集活性を1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、25、50、75、100、1000、または10,000のゲノム領域(例えば、遺伝子)において測定することができる。オフターゲット編集活性を最大で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、25、50、75、100、1000、または10,000のゲノム領域(例えば、遺伝子)において測定することができる。
【0156】
オフターゲット編集活性は、CRISPR複合体を接触させた細胞由来の核酸分子を解析することによって測定することができる。測定は、形質転換の約または最大で30分後、1時間後、2時間後、5時間後、10時間後、12時間後、24時間後、36時間後、48時間後、60時間後、72時間後、4日後、5日後、または6日後に細胞から抽出された核酸分子を使用して行うことができる。CRISPR複合体を細胞にトランスフェクションによって導入することができる。核酸分子を、例えば、配列決定、PCR、質量分析、サザンブロットなどによって解析することができる。オフターゲット編集を、例えば、データを、例えば、グラフ、例えば、散布図として提示することによって可視化することができる。
【0157】
CRISPRポリヌクレオチドを含むCRISPR複合体を使用して、本明細書に記載の修飾を有さないsgRNAと複合体を形成したCas9と比較してオフターゲット編集を低減することができる。オフターゲット編集は、Hsiau et al. ”Inference of CRISPR Edits from Sanger Trace Data”, January 14, 2019 bioRxiv or deep-sequencing techniques as described in Tsai et al. ”GUIDE-seq enables genome-wide profiling of off-target cleavage by CRISPR-Cas nucleases”, Nature Biotechnology 33, 187-197 (2015)に記載されている通り、サンガー配列決定トレースを解析し、配列分解のレベルをマッピングして、インデル形成頻度を決定することによって遺伝子編集の量を測定するためのICE(CRISPR編集の推論(Inference of CRISPR Editing))を使用して決定することができる
【0158】
オフターゲット編集部位は、標的配列に対するパーセント配列同一性が高い配列を有し得る。配列同一性は、99%未満であるもしくは99%と等しい、98%未満であるもしくは98%と等しい、97%未満であるもしくは97%と等しい、96%未満であるもしくは96%と等しい、95%未満であるもしくは95%と等しい、94%未満であるもしくは94%と等しい、93%未満であるもしくは93%と等しい、92%未満であるもしくは92%と等しい、91%未満であるもしくは91%と等しい、90%未満であるもしくは90%と等しい、89%未満であるもしくは89%と等しい、88%未満であるもしくは88%と等しい、87%未満であるもしくは87%と等しい、86%未満であるもしくは86%と等しい、85%未満であるもしくは85%と等しい、84%未満であるもしくは84%と等しい、83%未満であるもしくは83%と等しい、82%未満であるもしくは82%と等しい、81%未満であるもしくは81%と等しい、80%未満であるもしくは80%と等しい、79%未満であるもしくは79%と等しい、78%未満であるもしくは78%と等しい、77%未満であるもしくは77%と等しい、76%未満であるもしくは76%と等しい、75%未満であるもしくは75%と等しい、74%未満であるもしくは74%と等しい、73%未満であるもしくは73%と等しい、72%未満であるもしくは72%と等しい、71%未満であるもしくは71%と等しい、70%未満であるもしくは70%と等しい、69%未満であるもしくは69%と等しい、68%未満であるもしくは68%と等しい、67%未満であるもしくは67%と等しい、66%未満であるもしくは66%と等しい、65%未満であるもしくは65%と等しい、64%未満であるもしくは64%と等しい、63%未満であるもしくは63%と等しい、62%未満であるもしくは62%と等しい、61%未満であるもしくは61%と等しい、60%未満であるもしくは60%と等しい、59%未満であるもしくは59%と等しい、58%未満であるもしくは58%と等しい、57%未満であるもしくは57%と等しい、56%未満であるもしくは56%と等しい、55%未満であるもしくは55%と等しい、54%未満であるもしくは54%と等しい、53%未満であるもしくは53%と等しい、52%未満であるもしくは52%と等しい、51%未満であるもしくは51%と等しい、50%未満であるもしくは50%と等しい、49%未満であるもしくは49%と等しい、48%未満であるもしくは48%と等しい、47%未満であるもしくは47%と等しい、46%未満であるもしくは46%と等しい、45%未満であるもしくは45%と等しい、44%未満であるもしくは44%と等しい、43%未満であるもしくは43%と等しい、42%未満であるもしくは42%と等しい、41%未満であるもしくは41%と等しい、40%未満であるもしくは40%と等しい、39%未満であるもしくは39%と等しい、38%未満であるもしくは38%と等しい、37%未満であるもしくは37%と等しい、36%未満であるもしくは36%と等しい、35%未満であるもしくは35%と等しい、34%未満であるもしくは34%と等しい、33%未満であるもしくは33%と等しい、32%未満であるもしくは32%と等しい、31%未満であるもしくは31%と等しい、または30%未満であるもしくは30%と等しい。オフターゲット編集部位は、PAM領域の極めて近くの配列を有し得、例えば、オフターゲット編集が生じるにはプロトスペーサーの5’末端(PAMより遠位)におけるガイドRNAとDNAの間のミスマッチが許容され得る。2つの核酸間の配列同一性の決定の仕方は当業者には容易に理解される。例えば、2つの配列をアラインメントした後に配列同一性を算出することができ、したがって、配列同一性はその最高レベルになる。配列同一性を算出する別のやり方は、公開されているアルゴリズムによって実施することができる。比較のための配列の光学的アラインメントを、Smith and Waterman Adv. Appl. Math. 2: 482 (1981)の局所相同性アルゴリズムによって、Needleman and Wunsch, J. MoL Biol. 48: 443 (1970)の相同性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson and Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.85: 2444 (1988)の類似性の方法の検索によって、これらのアルゴリズムのコンピュータによる実行によって(Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、Wis.中のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA;National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/blast/b12seq/b12.htmlから入手可能なTatusova and Madden FEMS Microbiol. Lett. 174: 247-250 (1999)のBLASTアルゴリズム)、または検査によって行うことができる。
VI.切断可能なエレメント
【0159】
1つまたは複数の切断可能なエレメントは、本明細書に記載の任意の切断可能なエレメントであり得る。
A.切断可能なエレメントの型
【0160】
CRISPRポリヌクレオチドの切断特性は、妥当な条件下で、組み入れられた点におけるCRISPRポリヌクレオチドの切断の傾向を変更することができる切断可能なエレメントによって変更することができる。「切断可能なエレメント」は、天然のヌクレオチドまたは1つもしくは複数の修飾されたヌクレオチドを含み得る。切断可能なエレメントは、核酸合成の間にCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)に組み入れることができる。
【0161】
CRISPRポリヌクレオチド内の2つまたはそれよりも多くの切断可能なエレメントは、異なる切断特徴を有し得、例えば、2つまたはそれよりも多くの切断可能なエレメントは、CRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)に組み入れられた場合、異なる作用因子および/または反応条件を使用することによって互いの存在下で選択的に切断することができる。
【0162】
本明細書で使用される場合、「切断すること(cleaving)」、「切断された(cleaved)」および「切断(cleavage)」という用語は全て、実質的に、CRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)内の切断可能なエレメントが存在する各ポイントでCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)を切ることに関し得る。
【0163】
切断は、作用因子によって開始することができる。作用因子は、例えば、切断可能なエレメントの切断を引き起こす化学的実体または物理的な力であり得る。作用因子は、化学物質もしくは化学物質の組合せ、生体分子もしくは生体分子の組合せ、正常なもしくは可干渉性の(レーザー)可視光もしくは紫外線(UV)光、熱または他の形態の電磁気エネルギーであり得る。一部の場合では、作用因子、例えば、2つまたはそれよりも多くの作用因子の組合せを同時にまたは逐次的に使用してCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)を切断することができる。同時にとは、CRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)を2つまたはそれよりも多くの作用因子に同じ時間に曝露させることができるが、2つまたはそれよりも多くの作用因子はCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)と1つずつ反応することができることを意味する。逐次的にとは、CRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)を1つの作用因子と接触させ、次いで、その後に第2の作用因子と接触させることができることを意味する。
【0164】
CRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)は、1つよりも多くの型の切断可能なエレメントを含み得る。一部の実施例では、第1の切断可能なエレメントと第2の切断可能なエレメントは同じ切断特徴を有する。一部の実施例では、第2の切断可能なエレメントは第1の切断可能なエレメントとは異なる切断特徴を有する。例えば、第1の切断可能なエレメントは光切断可能なリンカーであり得、第2の切断可能なエレメントは化学的ヌクレアーゼによる切断を受けやすい場合がある。別の例では、第1の切断可能なエレメントは化学的ヌクレアーゼによる切断を受けやすく、第2の切断可能なエレメントは光切断可能になるように工学的に作製されていてよく、それにより、オルソゴナルな(orthogonal)処理レジメンを適用することが可能になる。一部の場合では、同じ切断可能なエレメントは、1つよりも多くの型の切断特徴を有し得る。第1の切断可能なエレメントおよび第2の切断可能なエレメントは、本明細書に記載の任意の切断可能なエレメントであり得る。
【0165】
切断可能なエレメント(例えば、切断可能なリンカー)は、CRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)を妥当な条件下での切断を受けやすいものにするCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)の2つまたはそれよりも多くの構成物を接続することができる実体を指し得る。例えば、妥当な条件は、UV光への曝露であり得る。切断可能なリンカーは、妥当な条件下で切れやすい1つまたは複数の修飾されたまたは修飾されていないヌクレオチドを含み得る。
【0166】
切断可能なリンカーは、修飾されたヌクレオシド間連結を含み得る。修飾されたヌクレオシド間連結は、リン原子を有するヌクレオチド間連結またはリン原子を有さないヌクレオチド間連結であり得る。リン原子を含有するヌクレオシド間連結としては、例えば、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステラーゼ、アミノアルキルホスホトリエステル、メチル、および3’-アルキレンホスホネート、5’-アルキレンホスホネートおよびキラルホスホネートを含めた他のアルキルホスホネート、ホスフィネート、3’-アミノホスホラミデートおよびアミノアルキルホスホラミデートを含めたホスホラミデート、P-エチオキシホスホジエステル、P-エトキシホスホジエステル、P-アルキルオキシホスホトリエステル、メチルホスホネート、チオノホスホラミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、セレノホスフェートおよびボラノホスフェート、ならびにリンを含有しない連結、例えば、アセタールおよびアミド、例えば、これらの通常の3’-5’連結を有することが当技術分野で公知であるもの、2’-5’連結類似体、および1つまたは複数のヌクレオチド間連結が3’-3’、5’-5’または2’-2’連結である逆極性を有するものなどが挙げられる。逆極性を有するポリヌクレオチドは、最も3’側のヌクレオチド間連結において単一の3’-3’連結、すなわち、塩基を欠く(核酸塩基が欠損しているまたはその代わりにヒドロキシル基を有する)であり得る単一の逆方向ヌクレオシド残基を含み得る。
【0167】
リンを含有しないヌクレオシド間連結としては、短鎖アルキル、シクロアルキル、混合ヘテロ原子アルキル、混合ヘテロ原子シクロアルキル、1つまたは複数の短鎖ヘテロ原子および1つまたは複数の短鎖複素環が挙げられる。これらのヌクレオシド間連結としては、これだけに限定されないが、シロキサン、硫化物、スルホキシド、スルホン、アセチル、ホルムアセチル、チオホルムアセチル、メチレンホルムアセチル、チオホルムアセチル、アルケニル、スルファミン酸;メチレンイミノ、メチレンヒドラジノ、スルホネート、スルホンアミド、アミドおよび混合N、O、SおよびCH2構成部分を有するその他が挙げられる。他のリン原子を含有しない修飾されたヌクレオシド間連結としては、-CH-NH-O-CH-、-CH-N(CH)-O-CH-(メチレン(メチルイミノ)骨格として公知)、-CH-O-N(CH)-CH-、-CH-N(CH)-N(CH)-CH-および-O-N(CH)-CH-CH-が挙げられる。
【0168】
切断可能なリンカーは、非ヌクレオチドの性質であり得る。「非ヌクレオチド」は、糖および/またはリン酸置換のいずれも含めた、1つまたは複数のヌクレオチド単位の代わりにポリヌクレオチド鎖に組み入れることができる任意の基または化合物を指し得る。基または化合物は、例えば糖のC1位に、アデノシン、グアニン、シトシン、ウラシルまたはチミンなどの一般に理解されるヌクレオチド塩基を含有しないという点で、塩基を欠くものであり得る。
【0169】
非ヌクレオチドリンカーは、例えば、塩基を欠く残基(dSpacer)、トリエチレングリコール(スペーサー9)もしくはヘキサエチレングリコール(スペーサー18)などのオリゴエチレングリコール、またはブタンジオールなどのアルカン-ジオールであり得る。スペーサー単位は、リン酸ジエステルまたはホスホロチオエート結合によって連結していることが好ましい場合がある。リンカー単位は、例えば、リン酸ジエステル、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、またはアミド連結を介して、分子内にただ1回出現し得る、または数回組み入れることができる。別の好ましいリンカーは、C3、C6、C12アミノリンカーなどのアルキルアミノリンカー、および同様にC3またはC6チオールリンカーなどのアルキルチオールリンカーである。一部の実施例では、ヘテロ二官能性およびホモ二官能性連結部分を使用してペプチドおよびタンパク質をヌクレオチドとコンジュゲートすることができる。例としては、5’-アミノ-修飾因子C6および3’-アミノ-修飾因子C6試薬が挙げられる。
B.切断可能なエレメントを切断する方法
【0170】
切断可能なエレメントを、酸、塩基、求核試薬、求電子試薬、ラジカル、金属、還元剤または酸化剤、光、温度、酵素、小分子、核酸、タンパク質などへの曝露を含めた任意の適切な方法によって切断することができる。一部の実施例では、切断可能なエレメント(例えば、切断可能なリンカー)は、細胞プロセスまたはその副産物による切断を受けやすい。細胞プロセスは、酵素、二次メッセンジャー分子、代謝産物、タンパク質、およびフリーラジカルを伴い得る。
C.感光性基
【0171】
切断可能なエレメントは、感光性基であり得る。感光性基は、ホスホロアミダイト化学によってCRISPRポリヌクレオチドに導入することができる。PC-アミノタグホスホロアミダイトと成長しているオリゴヌクレオチド鎖の遊離の5’-OH基の選択的反応、その後の支持体からの切断および脱保護の結果、第一脂肪族アミノ基に光切断可能なリンカーを通じて連結したリン酸ジエステル基の導入をもたらすことができる。次いで、このアミノ基を使用して、アミン反応性試薬との合成後修飾反応を通じて種々の光切断可能なマーカーを導入することができる(Olejnik J et. al, Nucleic acids research. 1998; 26: 3572-6)。例えば、CRISPRポリヌクレオチドは、CRISPRポリヌクレオチド内の2つのヌクレオチド(例えば、ヌクレオチド53とヌクレオチド54)を連結する光切断可能な脂肪族基を含み得、CRISPRポリヌクレオチドをUV光に曝露させ、その結果、CRISPRポリヌクレオチド(例えば、ヌクレオチド53と54の間)の切断(break)をもたらすことができる。他の例では、光切断可能なアミノタグホスホロアミダイトをCRISPRポリヌクレオチド内のポリヌクレオチドリーダー配列とガイド配列の間に位置付けることができ、UV光を使用して光切断可能なアミノタグホスホロアミダイトにおける切断を開始させ、それにより、ポリヌクレオチドリーダー配列を分離することができる。CRISPRポリヌクレオチドの切断を開始させるために使用することができる光切断可能なリンカーの例は、3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトであり得る。例えば、CRISPRポリヌクレオチドは、CRISPRポリヌクレオチド内の2つのヌクレオチド(例えば、ヌクレオチド53とヌクレオチド54)を連結する光切断可能な脂肪族基を含み得、CRISPRポリヌクレオチドを可視光線に曝露させ、その結果、CRISPRポリヌクレオチド(例えば、ヌクレオチド53と54の間)切断(break)をもたらすことができる。他の例では、光切断可能なクマリンフォトリンカーをCRISPRポリヌクレオチド内のポリヌクレオチドリーダー配列とガイド配列の間に位置付けることができ、可視光線を使用して光切断可能なクマリンフォトリンカーの切断を開始させ、それにより、ポリヌクレオチドリーダー配列を分離することができる。CRISPRポリヌクレオチドの切断を開始させるために使用することができる光切断可能なリンカーの例は、クマリンリンカーであり得る。光切断可能なリンカーをポリヌクレオチド配列に導入する他の方法は、例えば、その内容全体が本明細書において参照される米国特許出願第US20080227742A1号、同第US20100022761A1号、同第US7897737B2号に記載されている。
D.リボヌクレアーゼに基づく切断
【0172】
一部の実施例では、1つまたは複数の切断可能なエレメントは、エンドリボヌクレアーゼ、例えば、RNAを定義されたリボヌクレオチド配列モチーフにおいてまたはその内部で切断するエンドリボヌクレアーゼに対する切断部位を含む。例えば、切断可能なエレメントは、配列特異的エンドリボヌクレアーゼによって認識される切断部位を含み得る。エンドリボヌクレアーゼは、天然に存在するものまたは工学的に作製されたものであり得る。一部の実施例では、エンドリボヌクレアーゼは、一本鎖RNA、二本鎖RNAまたはDNA:RNAハイブリッドによって形成されるヌクレオチド配列に特異的なものであり得る。一部の実施例では、エンドリボヌクレアーゼの配列特異性を、オリゴヌクレオチドとの融合によって、または他のタンパク質ドメインとの融合によって工学的に操作することができる。例えば、配列特異的エンドリボヌクレアーゼ酵素を、2つの機能的に独立したドメイン、DNA-RNAハイブリッド内のRNAを前進的かつ配列に無関係の様式で加水分解するRNase HIと、DNA-RNAハイブリッド内の配列を認識するジンクフィンガーとを融合することによって工学的に操作することができる。アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドとリボヌクレアーゼHの別のコンジュゲーションにより、配列特異的切断をもたらすことができる。例えば、Sulej et.al, Nucleic acids research. 2012; 40 (22): 11563-70およびFukuma et. al, Bioconjugate chemistry. 2003; 14 (2): 295-301を参照されたい。一部の場合では、切断可能なエレメントは、RNase H1を動員してCRISPRポリヌクレオチドの二本鎖領域を切断することができる(例えば、米国特許第5,849,902号を参照されたい)。
【0173】
切断可能なエレメントは、例えば、Zaug et. al, Biochemistry 1988; 27, 25, 8924-8931に記載されている通り、Tetrahymena thermophilaの切除されたIVS rRNA部分などの配列特異的ssRNAエンドリボヌクレアーゼによって認識される切断部位を含み得る。他の例では、切断可能なエレメントは、例えば、Beloglazova et.al, J Biol Chem. 2008;283 (29): 20361-20371に記載されている通り、配列特異的ssRNAエンドリボヌクレアーゼCas2によって認識される1つまたは複数の切断部位を含み得る。他の例では、切断可能なエレメントは、例えば、Glow et. al, Nucleic Acids Res. 2015; 43 (5)2864-73において考察されている通り、Bacillus subtilis由来のRNase Mini-IIIによって認識されるdsRNA1つまたは複数の好ましい部位を含み得る。他の例では、短いオリゴヌクレオチドを外部ガイド配列(EGS)として使用してヒトRNase Pによる部位特異的CRISPRポリヌクレオチドの切断を方向付けることができる。例えば、B型肝炎ウイルス(HBV)の2.1kbの表面抗原mRNAを標的とする13merのEGSにより、RNase PによるHBV RNAの切断を誘導することができた。(Werner M et. al, RNA. 1998;4(7):847-55. を参照されたい)。エンドリボヌクレアーゼは、配列または構造特異的エンドリボヌクレアーゼCas6スーパーファミリー、例えばCas6Aのメンバーであり得る(Hong Li (2015), Structure, January 6; 23(1): 13-20を参照されたい)。エンドリボヌクレアーゼは、Cas6fとしても公知のCsy4であり得る。ssRNAエンドリボヌクレアーゼは、CRISPRエンドリボヌクレアーゼのCas13ファミリーに属するものまたはその誘導体であり得る。エンドリボヌクレアーゼは、プレcreRNA転写物を処理することができるCpf1またはCas5d酵素であり得る(Zetsche, B. et al. (2016), ”Multiplex gene editing by CRISPR-Cpf1 using a single crRNA array”, Nature Biotechnology (2016)doi: 10.1038/nbt.3737)。
【0174】
切断可能なエレメントは、リボザイム、例えば、ハンマーヘッド型リボザイム、デルタ肝炎ウイルスリボザイムなどによって切断可能なエレメントであり得る。リボザイムは、天然に存在するものであってもよく、例えばLevy et. al, RNA 2005. 11: 1555-1562において考察されている通り、「触媒」鎖と「基質」鎖に分離することによってトランス作用リボザイムになるように工学的に作製されたものであってもよい。一部の場合では、2つのリボザイムを協働させて使用して、所望の標的配列の後での切断を可能にすることができる。一部の場合では、異なる細胞の区画において機能する代替の人工リボザイム-タンパク質複合体を、Samarsky et. al, Proc Natl Acad Sci U S A. 1999;96 (12): 6609-6614において示されている通り、リボザイムを特定の細胞内部位に送達するため、または特定の型のRNAを標的とするために局在化決定因子を使用することによって設計することができる。一部の場合では、リボザイムの使用には、活性のための外因性小分子の結合、例えば、glmSリボザイムが伴い得る。
【0175】
一部の実施例では、アプタマーとカップリングすることにより、リボザイムの活性をリガンドにより制御されるようにさらに調整することができる。アプタマーは、リガンドに結合する、または他の点では、環境(例えば、pH、温度、容量オスモル濃度、塩濃度など)の変化を、情報伝達ドメインを通じてループIおよび/またはループIIと直接カップリングした様式で「検知する」能力に基づいて選択することができる。リガンドは、例えば、タンパク質、ヌクレオチドまたは小分子リガンドであり得る。例えば、US8603996B2に記載されている通り、リガンドのアプタマーへの結合により、情報伝達ドメインとループ、ステムまたは触媒コアのうちの1つまたは複数の相互作用の変化を引き起こすことができ、したがって、リボザイム活性をリガンドの存在または非存在に依存的にモジュレートすることができる。
【0176】
切断可能なエレメントのCRISPRポリヌクレオチドの切断(例えば、sgRNA)を所望の時点で独立に誘導することができる;例えば、遺伝子にコードされたエンドリボヌクレアーゼを宿主細胞内で活性化することができる。エンドリボヌクレアーゼをコードするベクターまたはプラスミドを所望の時点で細胞にトランスフェクトすることができる。1つまたは複数のエンドリボヌクレアーゼを1つまたは複数の独立したプロモーターの制御下に置くことができる。プロモーターのうちの1つまたは複数を所望の時点で活性化することができる。
E.アンチセンスオリゴヌクレオチド
【0177】
CRISPRポリヌクレオチドの1つまたは複数の切断可能なエレメントを、アンチセンスオリゴヌクレオチドの結合が可能になるように設計することができる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、一本鎖DNA(ssDNA)オリゴヌクレオチドであり得る。ssDNAオリゴヌクレオチドはCRISPRポリヌクレオチド内の一本鎖RNA配列にハイブリダイズすることができ、RNAse Hを使用して、DNA:RNAハイブリッドのRNAを切断することができる。アンチセンスオリゴヌクレオチドが結合することができる切断可能なエレメント(例えば、CRISPRポリヌクレオチド内のステムループのRNAループ)に関しては、切断可能なエレメント(例えば、ステムループのループ)は、約6~約40ヌクレオチドの長さであり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約12~約16ヌクレオチドの長さ、または約12~約25ヌクレオチド、または約10~約30ヌクレオチドの長さであり得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドとCRISPRポリヌクレオチドの切断可能なエレメント(例えば、ステムループのループ)の相補性の程度は、少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%、または100%であり得る。配列が切断可能なエレメントと完全にまたは部分的に相補的であるアンチセンスオリゴヌクレオチドを宿主細胞内で産生させることまたは宿主細胞に導入することができる。アンチセンスオリゴヌクレオチドを、ポリエチレンイミン(PEI)または他の公知のトランスフェクション方法を使用して細胞にトランスフェクトすることができる。
【0178】
CRISPRポリヌクレオチドの1つまたは複数の切断可能なエレメントは、miRNA応答エレメントを含み得る。miRNA応答エレメントの長さは、約15~約30ヌクレオチド、例えば、約20~約25ヌクレオチドの長さであり得る。miRNAの長さは、約20~約24ヌクレオチド、例えば、約21~約23ヌクレオチド、例えば、約22ヌクレオチドの長さであり得る。miRNAとCRISPRポリヌクレオチド内のmiRNA応答エレメントの配列相補性の程度は、少なくとも80%、85%、90%、95%、98%、99%、または100%であり得る。
【0179】
切断可能なエレメントはmiRNA応答エレメント(MRE)を含み得、MREに結合することができるmiRNAを宿主細胞内で産生させることまたは宿主細胞に導入することができる。miRNAは、MREを標的とし、第1の切断可能なエレメントを切断することができるmiRISC複合体の形態で存在し得る。
F.部位特異的化学的ヌクレアーゼ
【0180】
特異的CRISPRポリヌクレオチドの切断は、部位特異的ヌクレアーゼ活性を有するように設計された化学化合物によって実現することができる。
【0181】
化学的ヌクレアーゼを、CRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチドに対する配列特異的親和性を有するように設計することができる。例えば、トリス(2-アミノベンズイミダゾール)を切断するRNAをDNAオリゴヌクレオチドまたは2’-O-メチルオリゴリボヌクレオチドにジスルフィド結合またはアミド結合を介して付着させて、RNA基質および部位選択性を示す有機触媒ヌクレアーゼを形成することができる(例えば、Gnaccarini et.al, J. Am. Chem. Soc., 2006, 128 (24), pp 8063-8067を参照されたい)。他の例では、化学的RNAse(例えば、1,10-フェナントロリン部分、ネオクプロイン(neocuprine)Zn(II)、ネアミン)のCRISPRポリヌクレオチドに対する部位特異性は、ペプチド核酸(PNA)、例えば、ポリアミド核酸を使用することによって実現することができる。
【0182】
化学的RNAse(例えば、ジエチレントリアミン部分)のCRISPRポリヌクレオチドに対する部位特異性は、アンチセンスオリゴヌクレオチド、ペプチドタンパク質またはPNAを組み合わせて使用することによって実現することができる。一部の実施例では、RNA結合性タンパク質を、1,10-フェナントロリン-銅複合体などの配位化合物を共有結合により付着させることにより、配列特異的ヌクレアーゼに化学的に変換することができる。例えば、Chen et.al, Sigman DS. Science. 1987; 237 (4819): 1197-201を参照されたい。別の例では、部位特異的CRISPRポリヌクレオチドの切断を、ブレオマイシン-Fe(II)とEDTAまたはオリゴヌクレオチドをコンジュゲートして、CRISPRポリヌクレオチドに対する特異性を有する人工ヌクレアーゼを形成することによって実現することができる。
【0183】
化学的ヌクレアーゼの例としては、1,10-フェナントロリン銅(Sigman et al., 1993)、二価鉄エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、大環状ランタニド複合体、メタロポルフィリン、サレンの金属複合体、酢酸ウラニル、ロジウム(III)の八面体金属錯体、ベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボレート、脂肪族モノアミン-、ジアミン-およびポリアミン、ネオマイシンBならびに銅(II)アミノグリコシド複合体などのアミノグリコシドなどが挙げられる。一部の場合では、化学的ヌクレアーゼは、ヌクレオシドの糖部分を標的とし、切断部位において糖から水素原子を引く抜くことによる酸化的切断を触媒することができる。
G.光化学的切断
【0184】
一部の実施例では、CRISPRポリヌクレオチドの切断に使用される作用因子の活性をさらに制御するために、光ケージング基を使用することができる。例えば、本開示に記載されている部位特異的化学的ヌクレアーゼの遊離を制御するために、光活性化可能なまたは「ケージド」プローブの光分解を使用することができる。別の例では、例えば、Bohacova et.al, Biomol. Chem., 2018. 16, 1527に示されている通り、光ケージング基を使用して、リボヌクレアーゼまたは制限酵素によるCRISPRポリヌクレオチドの切断を、光分解による遊離まで遮断することができる。別の例では、CRISPRポリヌクレオチド内のヌクレオチドの1つまたは複数上の光ケージング基を使用して、アンチセンスヌクレオチドに対する認識配列を、光分解による遊離まで遮蔽し、それにより、CRISPRポリヌクレオチドの切断を開始させることができる。別の例では、光ケージング基をアンチセンスオリゴヌクレオチドなどの切断因子に付着させることができ、これは、光分解されると、CRISPRポリヌクレオチドへの結合およびRISC複合体の形成の開始に利用可能になる。別の例では、光ケージング基を使用して、CRISPRポリヌクレオチドの切断のための「miRNA応答エレメント」を光分解による遊離まで遮蔽することができる。他の態様では、これだけに限定することなく、光ケージング基を、異なる切断特徴を有する多数の切断エレメントの切断のためにオルソゴナルな処理レジメンで使用することができる。
【0185】
光ケージング基を、タグが1つまたは複数の方法による検出および/または数量化に適し得る「タグ付け」切断反応に使用することができる。例えば、2-ニトロ-ベンジルに基づく光切断可能な基を、光分解時に遊離する色素をさらに用いて標識することができ、例えば、CRISPRオンポリヌクレオチドの活性化の「効率」またはCRISPRオフポリヌクレオチドの非活性化に関する検出可能なマーカーとして使用することができる。別の例では、「切断事象」が開始されたら、切断可能なエレメントに組み入れられた光ケージドヌクレオチドからの「蛍光タグ」の遊離によりCRISPRポリヌクレオチドの切断可能なエレメントに結合するリボヌクレアーゼタンパク質がタグ付けされ得、ここで、蛍光タグの測定値がCRISPRポリヌクレオチドの切断に関する代理マーカーになり得る。
【0186】
CRISPRポリヌクレオチドに合成により組み入れることができる光ケージング基の例としては、当技術分野で公知の方法によってヘテロ原子(通常O、SまたはN)にエーテル、チオエーテル、エステル(リン酸またはチオホスフェートエステルを含む)、アミンまたは同様の官能基として連結することができるオルト-ニトロベンジルに基づくケージング基が挙げられる。2-ニトロベンジルに基づくケージング基の例としては、α-カルボキシ-2-ニトロベンジル、1-(2-ニトロフェニル)エチル、4,5-ジメトキシ-2-ニトロベンジル、1-(4,5-ジメトキシ-2-ニトロフェニル)エチル、5-カルボキシメトキシ-2-ニトロベンジル、ニトロフェニルなどが挙げられる。光除去可能な保護基の他の例としては、ベンジルオキシカルボニル、3-ニトロフェニル、フェナシル、3,5-ジメトキシベンゾイニル、2,4-ジニトロベンゼンスルフェニル、エチジウムモノアジド、ビマンアジドおよびそれらのそれぞれの誘導体が挙げられる。
【0187】
本明細書に記載の感光性リンカーは、いくつかのメソメリズム形態として表すことができる。単一の構造が描かれている場合、関連性のあるメソメリズム形態のいずれも意図されている。構造式によって表される本明細書に記載のクマリンリンカーは関連するメソメリズム形態のいずれかで示すことができる。例示的なメソメリズム構造を以下に式(I’)に関して示す:
【化13】
【0188】
感光性保護基をヌクレオシドおよびヌクレオチド内のヒドロキシおよびリン酸または核酸塩基に付着させることができる。例えば、Bohacova et.al, Org. Biomol. Chem., 2018, 16,152に記載されている通り、例えば、2-ニトロベンジル-、6-ニトロピペロニル-およびアントリル-9-メチル基によって保護された2’-デオキシ-5-(ヒドロキシメチル)ウリジンヌクレオシド、一リン酸および三リン酸の光ケージド誘導体をポリヌクレオチドに酵素的に組み入れることができる。光切断は、糖環からの水素結合の引き抜き、塩基から光により励起された切断因子までの直接電子伝達、または光切断からのエネルギーの伝達および付加生成物の形成による一重項酸素生成などの種々の機構を通じて起こり得る。
H.切断可能なエレメントの切断
【0189】
2種またはそれよりも多く(例えば、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種または10種)のCRISPRポリヌクレオチドの切断可能なエレメントを同じ切断性部分によって切断することができる。2種またはそれよりも多く(例えば、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種または10種)の異なるCRISPRポリヌクレオチドの切断を異なる外部因子によって誘導することができる。
【0190】
切断誘導性作用因子は、電磁放射線であり得る。切断誘導性作用因子は、可視スペクトル内の特定の波長の光であり得る。切断エレメントを、UV光によって切断することができる。
【0191】
光の波長は、220~465nmにわたり得る。曝露プロトコールにおける光の強度は、約5、10、15、20、25、35、40、50、70、90、110、120、140、160、175、190、200、220、240、260 280、300、320、340、360、380、400、420、440、460、480、500、520、540、560、580、600、620、650、675、700、720、745、765、790、810、830、850、870、900、920、945、965、985、1000、1025、1050、1080、1100、1125、1150、1175、1200、1240、1275、1290、1320、1350、1380、1400、1420、1450、1470、1490、1520、1540、1560、1600、1630、1650、1670、1700、1720または1750mW/cmであり得る。曝露プロトコールにおける光の強度は、約70mW/cmから100mW/cmまで、80mW/cm~110mW/cm、90mW/cm~120mW/cm、100mW/cm~130mW/cm、110mW/cm~140mW/cm、120mW/cm~150mW/cm、130mW/cm~160mW/cm、140mW/cm~170mW/cm、150mW/cm~180mW/cm、160mW/cm~190mW/cm、170mW/cm~200mW/cm、180mW/cm~210mW/cm、190mW/cm~220mW/cm、200mW/cm~230mW/cm、210mW/cm~240mW/cm、220mW/cm~250mW/cm、230mW/cm~260mW/cm、240mW/cm~270mW/cm、250mW/cm~280mW/cm、260mW/cm~290mW/cm、または270mW/cm~300mW/cmにわたり得る。光の波長は、約320nmから約390nmまでにわたり得る。光の波長は、約320nmから425nmまで、320nm~420nm、420nm~520nm、520nm~620nm、420nm~700nmにわたり得る。光の波長は、約320nmよりも長い、330nmよりも長い、340nmよりも長い、350nmよりも長い、360nmよりも長い、370nmよりも長い、380nmよりも長い、390nmよりも長い、400nmよりも長い、410nmよりも長い、420nmよりも長い、430nmよりも長い、440nmよりも長い、450nmよりも長い、460nmよりも長い、470nmよりも長い、480nmよりも長い、490nmよりも長い、500nmよりも長い、510nmよりも長い、520nmよりも長い、530nmよりも長い、540nmよりも長い、550nmよりも長い、560nmよりも長い、570nmよりも長い、580nmよりも長い、590nmよりも長い、600nmよりも長い、610nmよりも長い、620nmよりも長い、630nmよりも長い、640nmよりも長い、650nmよりも長い、660nmよりも長い、670nmよりも長い、680nmよりも長い、690nmよりも長い、または700nmよりも長いものであり得る。光の波長は、約700nm未満、690nm未満、680nm未満、670nm未満、660nm未満、650nm未満、640nm未満、630nm未満、620nm未満、610nm未満、600nm未満、590nm未満、580nm未満、570nm未満、560nm未満、550nm未満、540nm未満、530nm未満、520nm未満、510nm未満、500nm未満、490nm未満、480nm未満、470nm未満、460nm未満、450nm未満、440nm未満、430nm未満、または425nm未満であり得る。光の波長は、約420nmから430nmまで、430nm~440nm、440nm~450nm、450nm~460nm、460nm~470nm、470nm~480nm、480nm~490nm、490nm~500nm、500nm~510nm、510nm~520nm、520nm~530nm、530nm~540nm、540nm~550nm、550nm~560nm、560nm~570nm、570nm~580nm、580nm~590nm、590nm~600nm、600nm~610nm、610nm~620nm、620nm~630nm、630nm~640nm、640nm~650nm、650nm~660nm、660nm~670nm、670nm~680nm、680nm~690nm、または690nm~700nmにわたり得る。曝露プロトコールにおいて使用される光の出力ワット数は、OAI 306 UVパワーメーターによって測定して、約50、70、80、90、100、120、140、160、175、190、210、230、250、270、290、310、330、250、370、390、420、4450、480、500、530、550、570、600、620、650、670、700、720、750、770、800、820、850、870、900、920、950、970、1000、1020、1050、1070、1100、1120、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400 4500、4600、4700、4800、4900、5000、5100、5200、5300、5400、5500、5600、5700、5800、5900、または6000Wであり得る。
【0192】
曝露の持続時間は、1秒間から30分間までであり得る。曝露の持続時間は、1秒間から30秒間まで、30秒間~60秒間、1分間~5分間、5分間~10分間、10分間~20分間、20分間~30分間、30分間~40分間、40分間~50分間、または50分間~1時間であり得る。曝露の持続時間は、約1時間よりも長く、約50分間よりも長く、約40分間よりも長く、約30分間よりも長く、約20分間よりも長く、約10分間よりも長く、約5分間よりも長く、約1分間よりも長く、約30秒間よりも長く、または約1秒間よりも長くであり得る。曝露の持続時間は、約2秒間未満、約30秒間未満、約1分間未満、約5分間未満、約10分間未満、約20分間未満、約30分間未満、約40分間未満、約50分間未満、または約1時間未満であり得る。曝露プロトコールは、連続した曝露またはパルス状曝露またはその両方を含み得る。パルス曝露の持続時間は均一であっても変動してもよい。
【0193】
光源は、帯域フィルターにかけた広範なスペクトルの光であり得る。帯域フィルターは、345nmの帯域フィルターであり得る。帯域フィルターは、420nmロングパスフィルターであり得る。光源は紫外線(UV)であり得る。光源はLEDであり得る。LEDは紫外線を放出し得る。LEDは可視光線を放出し得る。LEDは赤外線を放出し得る。
VII.CRISPR複合体の機能
【0194】
本明細書に記載のCRISPR複合体は、異なる機能に関して使用することができる。機能としては、酵素活性、例えば、標的特異的核酸編集を挙げることができる。一部の場合では、触媒として不活性型のCRISPRエフェクタータンパク質を、CRISPR複合体を形成するために使用することができる。一部の場合では、1つまたは複数の機能的ドメインを、CRISPR複合体に、例えば、CRISPRポリヌクレオチドまたはCRISPRエフェクタータンパク質、またはその両方を通じて、共有結合によりまたは非共有結合により連結することができる。
A.CRISPRポリヌクレオチドステムループおよびRNA結合性タンパク質
【0195】
CRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)は、1つまたは複数のステムループRNA結合性タンパク質(RBP)と相互作用することができる1つまたは複数のステムループを含み得る。これらのステムループは、CRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)とCRISPRエフェクタータンパク質(例えば、CRISPR酵素)の相互作用またはCRISPR複合体と標的DNAの結合に悪影響が及ばないように位置付けることができる。1つまたは複数のステムループをCRISPRポリヌクレオチドのガイド配列(例えば、sgRNA)の外側に置くことができる。1つまたは複数のステムループRNA結合性タンパク質は、例えば、MS2、PP7、Qp、F2、GA、fr、JP501、M12、R17、BZ13、JP34、JP500、KU1、M11、MX1、TW18、VK、SP、Fl、ID2、NL95、TW19、AP205、S1、S1m、7s、またはPRR1であり得る。
【0196】
一部の場合では、ステムループRNA結合性タンパク質(RBP)は、ステムループRNAと1種もしくは複数種の他のタンパク質もしくはポリペプチド、または1つもしくは複数の機能的ドメインのどちらにも結合することができるアダプタータンパク質(すなわち、媒介体)として作用し得る。アダプタータンパク質は、1つまたは複数の機能的ドメインを含み得るエフェクタータンパク質または融合体を動員することができる。一部の場合では、RNA結合性タンパク質は、1つまたは複数の機能的ドメインを有する融合タンパク質であり得る。
B.CRISRPエフェクタータンパク質および機能的ドメイン。
【0197】
一部の場合では、1つまたは複数の機能的ドメインをCRISPRエフェクタータンパク質(例えば、CRISPR酵素)に直接または間接的に付着させることができる。1つまたは複数の機能的ドメインをCRISPRエフェクタータンパク質と共有結合により融合することができる。CRISPRエフェクタータンパク質は、触媒として活性型のCasタンパク質または触媒として不活性型のCRISPRタンパク質であり得る。
C.機能的ドメインの例
【0198】
1つまたは複数の機能的ドメインは、核局在化配列(NLS)または核外移行シグナル(NES)であり得る。
【0199】
1つまたは複数の機能的ドメインは、転写活性化ドメインであり得る。転写活性化ドメインは、VP64、p65、MyoD1、HSF1、RTA、SET7/9、またはヒストンアセチルトランスフェラーゼであり得る。
【0200】
1つまたは複数の機能的ドメインは、メチラーゼ活性、デメチラーゼ活性、転写活性化活性、転写抑止活性、転写放出因子活性、ヒストン修飾活性、RNA切断活性、DNA切断活性、DNA組込み活性または核酸結合活性を含む1つまたは複数の活性を有し得る。
【0201】
1つまたは複数の機能的ドメインは、トランスポザーゼドメイン、インテグラーゼドメイン、リコンビナーゼドメイン、リゾルバーゼドメイン、インベルターゼドメイン、プロテアーゼドメイン、DNAメチルトランスフェラーゼドメイン、DNAヒドロキシルメチラーゼドメイン、DNAデメチラーゼドメイン、ヒストンアセチラーゼドメイン、ヒストン脱アセチル化酵素ドメイン、ヌクレアーゼドメイン、リプレッサードメイン、活性化因子ドメイン、核局在シグナルドメイン、転写調節タンパク質(または転写複合体動員)ドメイン、細胞内取り込み活性関連ドメイン、核酸結合性ドメイン、抗体提示ドメイン、ヒストン修飾酵素、ヒストン修飾酵素の動員因子;ヒストン修飾酵素の阻害剤、ヒストンメチルトランスフェラーゼ、ヒストンデメチラーゼ、ヒストンキナーゼ、ヒストンホスファターゼ、ヒストンリボシラーゼ、ヒストンデリボシラーゼ、ヒストンユビキチナーゼ、ヒストンデユビキチナーゼ、ヒストンビオチナーゼ、またはヒストン尾部プロテアーゼであり得る。
【0202】
一部の場合では、機能的なドメインを不活性型CRISPRエフェクタータンパク質(例えば、不活性型Cas9酵素)に連結することができる。不活性型CRISPRエフェクタータンパク質(例えば、不活性型Cas9酵素)と連結した機能的なドメインを、プロモーターまたはエンハンサーに結合させ、かつ/またはそれを活性化するために使用することができる。CRISPRエフェクタータンパク質(例えば、不活性型Cas9)を含むCRISPR複合体をプロモーターまたはエンハンサーとの結合に方向付けるために、プロモーターまたはエンハンサーとアニーリングし得るガイド配列を含む1つまたは複数のCRISPRポリヌクレオチドを提供することもできる。
D.CRISPRエフェクタータンパク質の突然変異
【0203】
CRISPRエフェクタータンパク質、例えば、Cas9は、1つまたは複数の突然変異を含み得る(したがって、それをコードする核酸分子も突然変異を有し得る)。1つまたは複数の突然変異は、人工的に導入された突然変異であり得、触媒ドメイン内の1つまたは複数の突然変異であり得る。Cas9酵素を参照した触媒ドメインの例は、RuvC I、RuvC II、RuvC IIIおよびHNHドメインであり得る。1つまたは複数の突然変異により、Cas9の1つまたは複数の触媒ドメインを不活性にすることができる。1つまたは複数の突然変異により、Cas9の触媒活性を0.1倍、0.25倍、0.5倍、0.75倍、1倍、2分の1、5分の1、10分の1、50分の1、100分の1、または1000分の1に低下させることができる。一部の場合では、1つまたは複数の突然変異により、Cas9の触媒活性を0.1倍、0.25倍、0.5倍、0.75倍、1倍、2倍、5倍、10倍、50倍、100倍、または1000倍増大させることができる。
E.CRISPRポリヌクレオチドを細胞に送達するためのRNAアプタマー
【0204】
CRISPRポリヌクレオチドを、細胞透過性RNAアプタマーを用いて修飾することができる。細胞透過性RNAアプタマーにより、CRISPRポリヌクレオチドの細胞への有効な送達を改善することができる。RNAアプタマーは、細胞表面受容体に結合し、CRISPRポリヌクレオチドの細胞への進入を促進することができる。細胞特異的送達を媒介するために、細胞透過性アプタマーを、特定の細胞受容体を標的とするように設計することができる。
F.多数のCRISPR複合体
【0205】
一部の場合では、系は、本発明で提供される1つまたは複数のCRISPR複合体を含む。第1のおよび第2の(またはそれよりも多くの)CRISPR複合体をin vitroまたはin vivoにおける方法に使用することができる。第1のおよび第2の(およびそれよりも多くの)CRISPR複合体内のCRISPRエフェクタータンパク質(例えば、CRISPR酵素)は同じであっても異なってもよい。一実施例では、in vitroまたはin vivo系は、異なるガイド配列と同じCRISPRエフェクタータンパク質(例えば、Cas9)を有する複数のCRISPRポリヌクレオチドを含み得る。別の例では、in vitroまたはin vivo系は、CRISPRポリヌクレオチドと複数の異なるCRISPRエフェクタータンパク質(例えば、触媒として活性型のCRISPRエフェクタータンパク質と触媒として不活性型(inactive)のCRISPRエフェクタータンパク質の混合物)を含み得る。
G.例えば細胞における多数のCRISPRポリヌクレオチド
【0206】
in vitro系またはin vivo系、例えば、宿主細胞は、2種またはそれよりも多く(例えば、2種、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、6、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99種または100種)の異なるCRISPRポリヌクレオチドを含み得、ここで、異なるCRISPRポリヌクレオチドのガイド配列のヌクレオチド配列は、独立に、2種またはそれよりも多くの異なる標的核酸(例えば、DNA)の領域と完全にまたは部分的に相補的である。多数のCRISPRポリヌクレオチド(例えば、2種、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、6、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99種または100種の異なるCRISPRポリヌクレオチド)を使用して、1つまたは複数の細胞型における標的配列を同時にまたは同時にではなく切断することができる。異なるCRISPRポリヌクレオチドは、異なる1つもしくは複数の切断エレメントの相対的位置、または同じ1つもしくは複数の切断エレメントの相対的位置を有し得る。
VIII.CRISPR複合体構成成分の発現
【0207】
一部の場合では、本発明で提供されるCRISPRエフェクタータンパク質および/またはCRISPRポリヌクレオチドを核酸から発現させることができる。
A.CRISPRエフェクタータンパク質および/またはCRISPRポリヌクレオチドの発現
【0208】
一部の場合では、CRISPRポリヌクレオチドおよびCRISPRエフェクタータンパク質(例えば、CRISPR酵素)を発現させるための1つまたは複数の発現ベクターを宿主細胞にトランスフェクトすることができる。CRISPRポリヌクレオチドをコードするDNA配列を含む発現ベクターをまず宿主細胞にトランスフェクトし、次いで、CRISPRエフェクタータンパク質(例えば、CRISPR酵素)をコードするDNA配列を含む発現ベクターを宿主細胞にトランスフェクトすることができる。CRISPRエフェクタータンパク質(例えば、CRISPR酵素)をコードするDNA配列を含む発現ベクターおよび誘導性CRISPRポリヌクレオチドをコードするDNA配列を含む発現ベクターを宿主細胞に同時にトランスフェクトすることができる。単一の(型の)CRISPRエフェクタータンパク質(例えば、CRISPR酵素)をコードするDNA配列を含む発現ベクターおよび誘導性CRISPRポリヌクレオチドをコードするDNA配列を宿主細胞にトランスフェクトすることができる。宿主細胞は、CRISPRエフェクタータンパク質(例えば、CRISPR酵素)を内因性に発現する宿主細胞であり得る。CRISPRエフェクタータンパク質(例えば、CRISPR酵素)をコードするメッセンジャーRNAを遺伝子編集のためにCRISPRポリヌクレオチド、例えば、sgRNAと一緒に使用することもできる。ベクターを使用する場合、ベクターは、誘導性プロモーターを含有し得る。条件付きプロモーターおよび/または誘導性プロモーターおよび/または組織特異的プロモーターは、RNAポリメラーゼ、pol I、pol II、pol III、T7、U6、H1、レトロウイルスラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40プロモーター、ジヒドロ葉酸レダクターゼプロモーター、β-アクチンプロモーター、ホスホグリセロールキナーゼ(PGK)プロモーター、およびEF1αプロモーターであり得る。一部の場合では、CRISPRエフェクタータンパク質(例えば、CRISPR酵素)をコードする導入遺伝子を細胞のゲノム内に組み込むことができる。
【0209】
CRISPRエフェクタータンパク質(例えば、CRISPR酵素)を発現する導入遺伝子を細胞に導入することができる。CRISPRエフェクタータンパク質(例えば、CRISPR酵素、例えば、Cas9)導入遺伝子を単離された細胞に導入することができる。CRISPR複合体トランスジェニック細胞を、トランスジェニック生物体から細胞を単離することによって得ることができる。CRISPRエフェクタータンパク質(例えば、CRISPR酵素、例えば、Cas9)導入遺伝子を、同じく本明細書に記載の通り、ベクター(例えば、AAV、アデノウイルス、レンチウイルス)および/または粒子および/またはナノ粒子送達によって真核細胞に送達することができる。
B.CRISPRポリヌクレオチドおよび/またはCRISPRエフェクタータンパク質の誘導性発現
【0210】
一部の場合では、CRISPRポリヌクレオチドを誘導的に発現させることができる。一部の場合では、CRISPRエフェクタータンパク質(例えば、CRISPR酵素)を誘導的に発現させることができる。CRISPRポリヌクレオチドおよび/またはCRISPRエフェクタータンパク質(例えば、CRISPR酵素)の発現を誘導することにより、所望の時点で、標的核酸(例えば、標的DNA)を標的とし、その標的核酸(例えば、標的DNA)を切断するように「オン」にすることができるCRISPRポリヌクレオチド/CRISPRエフェクタータンパク質(例えば、CRISPR酵素)複合体の形成をもたらすことができる。誘導性複合体を使用して、複合体の活性半減期を限定することによってまたはモデル生物体またはヒト細胞における組織特異的編集を実現することによってオフターゲット効果を低減することができる。誘導性複合体を使用して、ディープシーケンシングによって測定して、細胞に依存しない刺激に曝露させる前の活性の持続時間を最適化することによってオフターゲット効果を除去することができる。誘導性複合体を使用して、細胞に依存しない刺激に曝露させる前の活性の持続時間を最適化することによって最大化されたオンターゲット編集効率:オフターゲット編集効率の比を得ることができる。誘導性組織特異的編集を使用して、標的化された組織の編集された領域と編集されていない領域の間の表現型の差異を観察することができる。
【0211】
誘導性CRISPRポリヌクレオチドおよび/またはCRISPRエフェクタータンパク質(例えば、CRISPR酵素)を宿主細胞内で発現させることができる。発現は任意の順序であってよい。
IX.適用
【0212】
CRISPRポリヌクレオチドおよび本明細書に記載のCRISPR複合体をin vitroまたはin vivoで使用して、細胞または生物体における変化を引き起こすことができる。CRISRPポリヌクレオチドおよびCRISPRエフェクタータンパク質を複合体として導入することもでき、細胞内でそれらの複合体を形成させることもできる。CRISPRポリヌクレオチドおよび/またはCRISPRエフェクタータンパク質を細胞に受動的に導入することもでき、ビヒクルを通じて導入することもできる。CRISPRポリヌクレオチドおよびCRISPRエフェクタータンパク質は導入時に緩衝剤中に存在し得る。
【0213】
一部の場合では、遮蔽を、細胞培養物全体を覆うように創出することができる。遮蔽は、様々な技法(レーザー切断、3D印刷、写真平板など)を使用して創出することができる。遮蔽は、光を定義済みの領域内に透過するように設計することができる。光切断可能なリンカーを含むCRISPRオフ複合体と併せて使用する場合、光(例えば、UV光)が透過する領域における編集を低減することができ、光に曝露されない領域における編集は維持することができる。CRISPRオン複合体と併せて使用する場合、光(例えば、UV光)が透過する領域における編集を開始させることができる。
【0214】
一部の場合では、CRISPRオフ複合体活性は時間依存的であり得る(例えば、実施例8、図14~16において見ることができる通り)。細胞を、完全な編集前の時点でUV光などの切断活性化因子に曝露させることができ、その結果、ヘテロ接合性クローンが生じる。あるいは、そのような方法を使用して、患者由来の細胞系の病的な対立遺伝子を標的化することができる。
A.核酸編集
【0215】
本明細書に記載のCRISPR複合体により、真核細胞における1つまたは複数の突然変異を誘導することができる。1つまたは複数の突然変異は、CRISPRポリヌクレオチド(例えば、ガイドRNAまたはsgRNA)による細胞の各標的配列における1つまたは複数のヌクレオチドの導入、欠失、または置換を含み得る。1つまたは複数の突然変異は、前記細胞の各標的配列における約1~約75ヌクレオチドの導入、欠失、または置換であり得る。1つまたは複数の突然変異は、前記細胞の各標的配列における1、5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、または75ヌクレオチドの導入、欠失、または置換であり得る。標的配列は遺伝子であり得、BUB1B、CAMK1、PRKAG3、STK3、CAMK1、Chr8q23、CEL、IRAK4、DNMT1、EMX1、FANCF、GRK1、PRGN、AAVS1、BUB1B、CXCR4、FAM163A、GAA、CRK1、IRAK4、MAPRE1、MIP、OMP、OPN1SW、PRKAG3、STK3、ならびにVEGFAおよびVEGFAを含み得る(例えば、実施例5、6、9、11および12において見ることができる通り)。
【0216】
核酸編集は、内因性調節性制御エレメント(例えば、エンハンサーまたはサイレンサー)を標的とし得る。核酸編集は、プロモーターまたはプロモーターの近位のエレメントを標的とし得る。これらの制御エレメントは、転写開始部位(TSS)の上流または下流に、TSSから200bpのところから開始して100kb離れたところまで位置し得る。公知の制御エレメントを標的とすることを使用して、目的の遺伝子を活性化または抑止することができる。単一の制御エレメントが多数の標的遺伝子の転写に影響を及ぼし得る。したがって、単一の制御エレメントを標的とすることを使用して、多数の遺伝子の転写を同時に制御することができる。
【0217】
1.核酸編集のためのCRISPRオン機構
【0218】
一部の場合では、ON CRISPRポリヌクレオチドおよびCRISPRエフェクタータンパク質が細胞内に入ったら、CRISPR複合体を形成することができる。CRISPRオンポリヌクレオチドは、光切断可能なエレメントによってガイド配列から分離されたポリヌクレオチドリーダー配列を含み得る。細胞をUV照射に曝露させ、その結果、切断エレメントの切断およびポリヌクレオチドリーダー配列の遊離をもたらすことができる。次いで、CRISPR複合体により標的配列を切断することができる。一部の場合では、ドナー核酸も細胞に導入し、それを、切断部位における相同組換えに使用して、核酸に編集を導入することができる。
【0219】
2.核酸編集のためのCRISPRオン/オフ機構
【0220】
一部の場合では、宿主細胞内の標的DNAの標的遺伝子の編集の調整可能なモジュレーションは、(i)本明細書に記載のまたは当技術分野で公知のウイルスによるまたはウイルスによらない送達方法またはこれらの組合せを使用して、(a)第1の切断エレメントおよび第2の切断エレメントを含むCRISPRポリヌクレオチドであって、切断エレメントが、切断を受けやすく、ガイド配列のヌクレオチド配列が、標的核酸配列と完全にまたは部分的に相補的であり、第1の切断エレメントが、ポリヌクレオチドリーダー配列とガイド配列の5’末端の間に位置付けられている、CRISPRポリヌクレオチドと、(b)触媒活性を有するCRISPRエフェクタータンパク質(例えば、CRISPR酵素、例えば、Cas9)とを宿主細胞に導入し、その結果、CRISPRポリヌクレオチドとCRISPR酵素がCRISPR複合体を形成する、ステップと、(ii)UV光への曝露により、ポリヌクレオチド内の第1の配列エレメントの切断を誘導し、それにより、ポリヌクレオチドリーダー配列を遊離させ、CRISPR複合体による標的遺伝子のより高い標的特異的切断を活性化するステップとを含む。その後、方法は、(iii)CRISPRポリヌクレオチドの足場配列内に位置し得る第2の配列エレメントの切断を所望の時点でUV光へのパルス状曝露によって誘導し、それにより、CRISPRポリヌクレオチドを切断し、CRISPR複合体による標的遺伝子の標的特異的切断を非活性化または低減するステップを含み得る。
B.遺伝子の調節
【0221】
CRISPRオン/オフポリヌクレオチドを、触媒として不活性型のCas9であり得るCRISPRエフェクタータンパク質と複合体を形成させることができる。触媒として不活性型のCas9を転写活性化ドメイン(例えば、VP64)と融合することができる。融合、例えば、Cas9-VP64融合を使用して、標的遺伝子またはクロマチン領域の発現を調整可能にモジュレートすることができる。例えば、CRISPRオン/オフポリヌクレオチドのポリヌクレオチドリーダー配列は、ガイド配列を介したCRISPR複合体の標的遺伝子への効率的な局在を妨げ得る。ポリヌクレオチドリーダー配列の切断により、ガイド配列を介したCRISPR複合体の標的配列への効率的なターゲティングをもたらすことができ、これにより、転写活性化をもたらすことができる。その後、第2の切断因子を、CRISPRポリヌクレオチドに曝露することにより、CRISPRポリヌクレオチドの切断をもたらし、CRISPR複合体(または切断されたCRISPRポリヌクレオチドがCRISPRエフェクタータンパク質から解離されている場合にはCRISPRエフェクタータンパク質)の、遺伝子の転写を活性化する能力を低下させるかまたは阻害することができる。
【0222】
本明細書に記載の活性化系または抑止系のいずれかを有する領域を標的とした後、例えば、RNAseqまたはマイクロアレイによる、a)推定上の標的のセット(例えば、制御エレメントの極めて近くに位置する遺伝子のセット)の転写の読み取り、またはb)全トランスクリプトーム読み取りのいずれかを行うことができる。
【0223】
別の例では、本発明で提供されるCRISPR複合体を使用して、宿主細胞における2種またはそれよりも多くの標的遺伝子の上位相互作用を試験することができる。方法は、(i)ウイルスによるまたはウイルスによらない送達方法またはこれらの組合せを使用して、(a)第1の切断エレメントおよび第2の切断エレメントを含むCRISPRポリヌクレオチドであって、切断エレメントが、切断を受けやすく、ガイド配列のヌクレオチド配列が、第1の標的核酸配列と完全にまたは部分的に相補的である、CRISPRポリヌクレオチドと、(b)触媒活性を有するCRISPRエフェクタータンパク質(例えば、CRISPR)酵素とを宿主細胞に導入し、その結果、CRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)とCRISPR酵素がCRISPR複合体を形成するステップと、(ii)所望の時点で、CRISPRポリヌクレオチド内の第1の切断エレメントの切断を誘導し、CRISPR複合体による標的遺伝子のより高い標的特異的切断を活性化するステップと、次いで、(iii)所望の時点で第2の切断エレメントの切断を誘導し、それにより、CRISPR複合体による標的遺伝子の標的特異的切断を非活性化または低減するステップとを含み得る。
【0224】
方法は、(i)ウイルスによるまたはウイルスによらない送達方法またはこれらの組合せを使用して、(a)第1の切断エレメントおよび第2の切断エレメントを含む第2のCRISPRポリヌクレオチドであって、切断エレメントが、切断を受けやすく、ガイド配列のヌクレオチド配列が、第2の標的配列の領域(例えば、標的遺伝子内)と完全にまたは部分的に相補的である、第2のCRISPRポリヌクレオチドと、(b)触媒活性を有するCRISPR酵素とを宿主細胞に導入し、その結果、第2のCRISPRポリヌクレオチド(例えば、sgRNA)とCRISPR酵素が第2のCRISPR複合体を形成するステップと、(ii)所望の時点で、第2のCRISPRポリヌクレオチド内の第1の切断エレメントの切断を誘導し、CRISPR複合体による標的遺伝子のより高い標的特異的切断を活性化するステップと、次いで、(iii)所望の時点で第2の切断エレメントの切断を誘導し、それにより、第2のCRISPR複合体による標的遺伝子の標的特異的切断を非活性化または低減するステップとをさらに含み得る。
【0225】
さらに、第1のCRISPR複合体および第2のCRISPR複合体内の第1の切断エレメントの切断は、組織特異的プロモーター、例えば、筋肉特異的プロモーターの制御下に置くことができる。例えば、細胞における遺伝子操作されたエンドリボヌクレアーゼCas6a/Csy4の発現を、所与の時点で第1の切断エレメントの切断を誘導するために活性化することができる組織特異的プロモーター(例えば、筋肉)プロモーターの制御下に置くことができる。第1のCRISPR複合体および第2のCRISPR複合体内の第2の切断エレメントを所望の時点で所与の配列特異的小分子に曝露させることによって誘導的に切断することができる。CRISPR酵素は、転写活性化因子またはリプレッサー活性を有するドメインと融合したdCas9であり得、特定の組織における所与の遺伝子の対間の上位相互作用を試験するために使用することができる。
【0226】
別の例では、本明細書に記載のCRISPR複合体を使用して、1つまたは複数の宿主細胞内の標的DNA内の2種またはそれよりも多くの標的遺伝子のオルソゴナルな転写を誘導することができる。「オルソゴナル」という用語は、独立していることを意味し得る、すなわち、2種またはそれよりも多くの標的遺伝子は、独立に調節され得るまたは独立に転写され得る。方法は、(a)第1の切断エレメントおよび第2の切断エレメントを含む2種またはそれよりも多くの異なる誘導性CRISPRポリヌクレオチドであって、第1の配列エレメントおよび第2の配列エレメントが、切断を受けやすく、ガイド配列のヌクレオチド配列が、2種またはそれよりも多くの異なる標的遺伝子の付近の1つまたは複数の標的DNAと完全にまたは部分的に相補的である、誘導性CRISPRポリヌクレオチドと、(b)転写活性化因子ドメインと連結した触媒として不活性型(inactive)のCRISPR酵素とを宿主細胞に導入し、その結果、異なる誘導性CRISPRポリヌクレオチドとCRISPR酵素が異なるCRISPR複合体を形成するように、ウイルスによるまたはウイルスによらない送達方法またはこれらの組合せを使用するステップであって、CRISPR複合体が、1つまたは複数のエフェクタードメインを含む、ステップと、(ii)所望の時点で、第1のポリヌクレオチドおよび第2のポリヌクレオチド内の第1の切断エレメントの切断を誘導し、したがって、標的遺伝子の発現を調和させるステップとを含み得る。標的DNAは、単一の遺伝子または制御エレメント内の隣接領域であり得る。
X.キット
【0227】
キットは、本明細書に記載の構成成分のうちの1つまたは複数を含み得る。キットは、本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチドを含み得る。キットは、本明細書に記載のCRISPRエフェクタータンパク質(例えば、CRISPR酵素、例えば、Cas9)を含み得る。キットは、本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチドと本明細書に記載のCRISPRエフェクタータンパク質とを含む本明細書に記載のCRISPR複合体を含み得る。キットは、リンカー、例えば、切断可能なリンカーを含み得る。キットは、光切断可能なリンカーを含み得る。キットは、説明書を含み得る。キットは、本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチド、CRISPRエフェクタータンパク質、またはCRISPR複合体を含む細胞または生物体を含み得る。
【0228】
キットは、遺伝子構築物、例えば、1つまたは複数のCRISPRポリヌクレオチドおよび/または1つまたは複数のCRISPRエフェクタータンパク質を発現させるためのベクター系ならびにキットの使用に関する説明書を含む。キットは、本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチドおよび/またはCRISPRエフェクタータンパク質を発現させるための1つまたは複数の遺伝子構築物(例えば、1つまたは複数のベクター系)を含む細胞を含み得る。
【0229】
キットは、核酸標的を、例えば本明細書に記載のCRISPR複合体と接触させるために適した組成物を生成するための賦形剤を含み得る。組成物は、ゲノム内の核酸標的配列を接触させるために適したものであり得る。組成物は、組成物(例えば、CRISPRポリヌクレオチド、例えばsgRNA、例えば、CRISPRエフェクタータンパク質、例えばCRISPR酵素、例えばCas9と複合体を形成したもの)を細胞に送達するために適したものであり得る。組成物は、CRISPRポリヌクレオチド、例えばgRNA、またはそれとCRISPR酵素の複合体)を対象に送達するために適したものであり得る。賦形剤は、薬学的に許容される賦形剤であり得る。
【0230】
キットは、本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチドの切断可能なエレメントの1つまたは複数の切断に使用するための1つまたは複数の試薬を含み得る。1つまたは複数の試薬は、任意の適切な容器に入れて提供することができる。キットは、1種または複数の反応または保管緩衝剤を含み得る。キットは、試薬を含み得る。試薬は、特定のアッセイに使用可能な形態で、または使用前に1種または複数の他の構成成分の添加を必要とする形態で(例えば、濃縮物または凍結乾燥した形態で)提供することができる。反応または保管緩衝剤は、任意の緩衝剤、例えば、炭酸ナトリウム緩衝剤、炭酸水素ナトリウム緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、トリス緩衝剤、MOPS緩衝剤、HEPES緩衝剤、またはこれらの組合せであり得る。緩衝剤のpHは約7から約10までであり得る。
【0231】
キットは、ガイド配列および調節エレメントに作動可能に連結するようにベクターに挿入するための、ガイド配列に対応する1種または複数のポリヌクレオチドを含み得る。キットは、相同組換え鋳型ポリヌクレオチドを含み得る。
XI.CRISPRポリヌクレオチドの合成
【0232】
CRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチドは、当業者に公知の任意の方法によって合成することができる。CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチドは、化学的に合成することができ。CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチドは、2’-0-チオノカルバメートで保護されたヌクレオシドホスホロアミダイトを使用して合成することができる。ポリヌクレオチドの合成方法は、例えば、Dellinger et al., J. American Chemical Society 133, 11540-11556 (2011);Threlfall et al., Organic & Biomolecular Chemistry 10, 746-754 (2012);およびDellinger et al, J. American Chemical Society 125, 940-950 (2003)に記載されている。本明細書に記載の修飾のいずれかを組み合わせ、CRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチドを、例えば、ガイド配列および/またはCRISPRエフェクタータンパク質に結合する配列(例えば、足場配列)に組み入れることができる。あるいは、CRISPRポリヌクレオチドは、そのそれぞれが具体的に参照により本明細書に組み込まれるBeaucage and Caruthers (Tetrahedron Lett., (1981) 22: 1859-1862)に記載されているホスホロアミダイト法によって、またはMatteucci, et al., (J. Am. Chem. Soc, (1981) 103: 3185)によるトリエステル法によって、または市販の自動ポリヌクレオチドの合成機を使用する他の化学的方法によって調製することができる。
【0233】
CRISPRポリヌクレオチドは、例えば、Beaucage and Caruthers, Tetrahedron Lett. 22: 1859-1862 (1981)に最初に記載された固相ホスホロアミダイトトリエステル法に従って、Van Devanter et. al, Nucleic Acids Res. 12: 6159-6168 (1984)に記載されている通り、自動合成機を使用して化学的に合成することができる。CRISPRポリヌクレオチドの合成は、固相合成の間に特別なホスホロアミダイト試薬を使用する化学修飾を導入することを含み得る。
A.sgRNA連結
【0234】
sgRNAであるCRISPRポリヌクレオチドは、非リン酸ジエステル結合を介して化学的に連結またはコンジュゲートした、修飾されたcrRNAとtracrRNA配列を含み得る。修飾されたcrRNAとtracrRNA配列は、非ヌクレオチドループを介して化学的に連結またはコンジュゲートすることができる。修飾されたcrRNAとtracrRNAは、非リン酸ジエステル共有結合性リンカーを介して接合することができる。共有結合性リンカーは、クマリン、カルバメート、エーテル、エステル、アミド、イミン、アミジン、アミノトリジン、ヒドロゾン、ジスルフィド、チオエーテル、チオエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、スルホンアミド、スルホネート、フルホン、スルホキシド、尿素、チオ尿素、ヒドラジド、オキシム、トリアゾール、感光性連結、ディールス・アルダー環化付加対または閉環メタセシス対、およびマイケル反応対などのC-C結合形成基からなる群から選択される化学的部分であり得る。
B.切断可能なエレメント
【0235】
本明細書のCRISPRポリヌクレオチド内の切断可能なエレメントは、適切に保護または活性化することができる官能基を各末端に伴って提供することができる。官能基は、エーテル、エステル、カルバメート、リン酸エステルまたはアミン連結を介して共有結合により付着させることができる。例えば、ヘキサエチレングリコールを、一方の末端において感光性保護基(すなわち、NVOCまたはMeNPOC)を用いて保護することができ、他の末端において2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルアミノ-クロロホスファイトを用いて活性化して、ホスホロアミダイトを形成することができる。エーテル、カルバメートまたはアミン連結を形成する他の方法は、当業者に公知であり、特定の試薬および参考文献は、March, Advanced Organic Chemistry, 4th Ed., Wiley-Interscience, New York, N.Y., 1992などのテキストに見出すことができる。
C.sgRNAの合成
【0236】
まず、crRNAおよびtracrRNAを含むsgRNAを、ホスホロアミダイト合成プロトコールを使用して合成することができる(Herdewijn, P., ed., Methods in Molecular Biology Col 288, Polynucleotide Synthesis: Methods and Applications, Humana Press, New Jersey (2012))。crRNAおよびtracrRNAを含むsgRNA配列を、ライゲーションのための妥当な官能基を含有するように官能化することができる(例えば、Hermanson, G.T., Bioconjugate Techniques, Academic Press (2013)を参照されたい)。官能基は、ヒドロキシル、アミン、カルボン酸、カルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸活性エステル、アルデヒド、カルボニル、クロロカルボニル、クマリン、ソラレン、ジアジリン、またはアジドであり得る。修飾されたtracrおよびtracrメイト配列が官能化されたら、この2つのポリヌクレオチド間に共有結合性の化学結合または連結を形成することができる。化学結合は、クマリン、カルバメート、エーテル、エステル、アミド、イミン、アミジン、アミノトリジン、ヒドロゾン、ジスルフィド、チオエーテル、チオエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、スルホンアミド、スルホネート、フルホン、スルホキシド、尿素、チオ尿素、ヒドラジド、オキシム、トリアゾール、感光性連結、ディールス・アルダー環化付加対または閉環メタセシス対、およびマイケル反応対などのC-C結合形成基に基づくものであり得る。
【0237】
crRNAおよびtracrRNAを含むsgRNA配列を化学的に合成することができる。sgRNAは、融合体の形態で一緒に合成してもよいし、別々に合成してもよいし、化学的に連結してもよい。化学合成は、固相ポリヌクレオチド合成機械を使用した自動化を使用し、2’-アセトキシエチルオルトエステル(2’-ACE)(Scaringe et al., J. Am. Chem. Soc. (1998) 120: 11820-11821;Scaringe, Methods Enzymol. (2000) 317: 3-18)または2’-チオノカルバメート(2’-TC)化学(Dellinger et al., J. Am. Chem. Soc. (2011) 133: 11540-11546;Hendel et al., Nat. Biotechnol. (2015) 33: 985-989)を用いることができる。
【0238】
sgRNAは、糖の修飾、ヌクレオチド間リン酸ジエステル結合、プリンおよびピリミジン残基を介した種々のバイオコンジュゲーション反応、ループ、架橋、および非ヌクレオチド連結を用いて共有結合により連結することができる。Sletten et al., Angew. Chem. Int. Ed. (2009) 48: 6974-6998;Manoharan, M. Curr. Opin. Chem. Biol. (2004) 8: 570-9;Behlke et al., Polynucleotides (2008) 18: 305-19;Watts, et al., Drug. Discov. Today (2008) 13: 842-55;Shukla, et al., ChemMedChem (2010) 5: 328-49。
【0239】
sgRNAは、クリックケミストリーを使用してアセンブルすることができる。crRNA tracrRNAおよび/またはその中の配列エレメントをトリアゾールリンカーを使用して共有結合性の連結によってアセンブルすることができる。5’-ヘキシンtracrRNAと3’-アジドcrRNAをライゲーションすることによって共有結合により連結したsgRNAにすることができる。5’-ヘキシンtracrRNAおよび3’-アジドcrRNAのいずれかまたは両方を2’-アセトキシエチルオルトエステル(2’-ACE)基で保護することができ、これはその後、Dharmaconプロトコールを使用して除去することができる(Scaringe et al., J. Am. Chem. Soc. (1998) 120: 11820-11821;Scaringe, Methods Enzymol. (2000) 317: 3-18)。
XII.CRISPRポリヌクレオチドの細胞への投与
【0240】
ウイルス媒介性技法および非ウイルス媒介性技法を使用してCRISPRポリヌクレオチドを細胞に導入することができる。非ウイルス媒介性技法は、電気穿孔、リン酸カルシウム媒介性移入、ヌクレオフェクション、ソノポレーション、熱ショック、マグネトフェクション、リポソーム媒介性移入、微量注射、微粒子銃媒介性移入(ナノ粒子)、カチオン性ポリマー媒介性移入(DEAE-デキストラン、ポリエチレンイミン、ポリエチレングリコール(PEG)など)または細胞融合であり得る。
【0241】
CRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチドおよび関連するベクターを細胞にネイキッドで(すなわち、トランスフェクションを促進する作用因子を伴わずに)送達することができる。ネイキッドCRISPRポリヌクレオチドを細胞に、当技術分野で公知であり、本明細書に記載されている投与経路を使用して送達することができる。
XIII.医薬組成物:製剤化、投与、送達および投薬
【0242】
本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチドを、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物として製剤化することができる。医薬組成物は、1種または複数種の追加的な活性な物質、例えば、治療的におよび/または予防的に活性な物質を含み得る。医薬組成物の製剤化および/または製造における一般的な考慮事項は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 2 ed., Lippincott Williams & Wilkins, 2005(その全体が本明細書に参照により組み込まれる)に見出すことができる。
【0243】
本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチドは、(1)安定性を増大させる;(2)細胞トランスフェクションを増大させる;(3)持続放出または遅延放出を可能にする(例えば、ポリヌクレオチドのデポ製剤から);(4)体内分布(例えば、標的ポリヌクレオチド、一次構築物、または特定の組織もしくは細胞型に対するmRNA)を変更する;(5)in vivoにおけるコードされるタンパク質の翻訳を増加させる;かつ/または(6)in vivoにおけるコードされるタンパク質の放出プロファイルを変更するための1つまたは複数の賦形剤を使用して製剤化することができる。
【0244】
賦形剤は、溶媒、分散媒、希釈剤、または他の液体ビヒクル、分散または懸濁の補助剤、表面活性剤、等張化剤、増粘剤または乳化剤(emulsifying agent)、保存剤、および/または乳化剤(emulsifier)、保存剤、緩衝剤、平滑剤、および/または油であり得る。賦形剤は、リピドイド、リポソーム、脂質ナノ粒子、ポリマー、リポプレックス、コアシェルナノ粒子、ペプチド、タンパク質、ポリヌクレオチドがトランスフェクトされた細胞、一次構築物、またはCasヌクレアーゼmRNA(例えば、対象への移植のため)、ヒアルロニダーゼ、ナノ粒子模倣体およびこれらの組合せであり得る。
【0245】
医薬組成物中のCRISPRポリヌクレオチド、CRISPRエフェクタータンパク質、またはいずれかをコードする核酸、および薬学的に許容される賦形剤、および/または任意の追加的な成分の相対量は、処置を受ける対象の同一性、サイズ、および/または状態に応じて変動し得、組成物を投与する経路にもさらに依存する。組成物は、CRISPRポリヌクレオチド、CRISPRエフェクタータンパク質、またはいずれかをコードする核酸を、0.1%から100%の間、例えば、0.5%から50%の間、1~30%の間、5~80%の間、少なくとも80%(w/w)含み得る。
【0246】
リピドイドの合成は広範囲にわたって記載されており、これらの化合物を含有する製剤は、本明細書に記載の修飾されたCRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチド、および一次構築物の送達に特に適する(Mahon et al., Bioconjug Chem. 2010 21: 1448-1454;Schroeder et al., J Intern Med. 2010 267: 9-21;Akinc et al, Nat Biotechnol. 2008 26: 561-569;Love et al, Proc Natl Acad Sci U S A. 2010 107: 1864-1869;Siegwart et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 201 1 108: 12996-3001を参照されたい;全てその全体が本明細書に組み込まれる)。リピドイドと、これだけに限定されないが、ジステロイルホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG-DMGを含めた他の構成成分の異なる比を使用して、ポリヌクレオチドの製剤、一次構築物、またはCasヌクレアーゼmRNAを、これだけに限定されないが、肝細胞、骨髄細胞、筋肉細胞などを含めた異なる細胞型を送達するために最適化することができる。
【0247】
本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチドは、1つまたは複数のリポソーム、リポプレックス、または脂質ナノ粒子(LNP)を使用して製剤化することができる。医薬組成物はリポソームを含み得る。本明細書に記載の医薬組成物は、以前に記載されており、in vitroおよびin vivoにおけるポリヌクレオチド送達に適することが示されている、安定化されたプラスミド-脂質粒子(SPLP)または安定化された核酸脂質粒子(SNALP)の合成から形成されるものなどのリポソームを含み得る(Wheeler et al. Gene Therapy. 1999 6: 271-281;Zhang et al. Gene Therapy. 1999 6: 1438-1447;Jeffs et al. Pharm Res. 2005 22: 362-372;Morrissey et al, Nat Biotechnol. 2005 2: 1002-1007を参照されたい)。CRISPRポリヌクレオチドは、官能化された脂質二重層間に架橋結合を有し得る脂質小胞として製剤化することができる。
【0248】
本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチドは、脂質-ポリカチオン複合体として製剤化することができる。脂質-ポリカチオン複合体の形成は、当技術分野で公知であり、かつ/またはその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許公開第20120178702号に記載されている方法によって実現することができる。医薬組成物は、参照により本明細書に組み込まれる国際特許公開第2012099755号に記載されているPEG化された脂質のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0249】
LNP製剤は、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる国際特許公開第WO2011 127255号または同第WO2008 103276号に記載されている方法によって製剤化することができる。CRISPRポリヌクレオチドを、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれるWO2011 127255および/またはWO2008103276に記載されている通りLNP製剤に封入することができる。
【0250】
本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチドは、固体脂質ナノ粒子として製剤化することができる。固体脂質ナノ粒子(SLN)は、平均直径が10~1000nmの球状であり得る。SLNは、親油性分子を可溶化することができ、界面活性物質および/または乳化剤(emulsifier)を用いて安定化することができる固体脂質コアマトリックスを有し得る。脂質ナノ粒子は、自己組織化脂質-ポリマーナノ粒子であり得る(その全体が参照により本明細書に組み込まれるZhang et al, ACS Nano, 2008, 2 (8), pp 1696-1702を参照されたい)。
【0251】
本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチド、一次構築物、またはCasヌクレアーゼmRNAを脂質ナノ粒子または迅速に排出される脂質ナノ粒子に封入することができ、次いで、脂質ナノ粒子または迅速に排出される脂質ナノ粒子を本明細書に記載のおよび/または当技術分野で公知のポリマー、ハイドロゲルおよび/または外科用密封材に封入することができる。
【0252】
本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチド、制御放出および/または標的化送達のための製剤は、少なくとも1つの制御放出コーティングも含み得る。制御放出コーティングとしては、これだけに限定されないが、OPADRY(登録商標)、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースが挙げられる。
【0253】
制御放出および/または標的化送達製剤は、ポリカチオン側鎖を含有し得る分解性ポリエステルを少なくとも1つ含み得る。分解性ポリエステルは、ポリ(セリンエステル)、ポリ(L-ラクチド-co-L-リシン)、ポリ(4-ヒドロキシ-L-プロリンエステル)、およびこれらの組合せであり得る。分解性ポリエステルは、PEG化ポリマーを形成するためのPEGコンジュゲーションを含み得る。
【0254】
CRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチドは、治療用ナノ粒子に封入することができる。治療用ナノ粒子は、持続放出用に製剤化することができる。期間は、数時間、数日、数週、数カ月および数年を含み得る。非限定的な例として、持続放出ナノ粒子は、ポリマーおよび治療剤、例えば、本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチドを含み得る(それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる国際特許公開第2010075072号ならびに米国特許公開第US20100216804号および同第US20110217377号を参照されたい)。治療用ナノ粒子は、標的特異的になるように製剤化することができる。治療用ナノ粒子は、コルチコステロイドを含み得る(国際特許公開第WO2011084518号を参照されたい)。
【0255】
本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチドは、合成ナノ担体に封入する、それと連結するおよび/またはそれと結び付けることができる。合成ナノ担体は国際特許公開第WO2010005740号、同第WO2010030763号に記載されている方法によって製剤化することができる。合成ナノ担体は、本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチドを放出するための反応性基を含有し得る(そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる国際特許公開第WO20120952552号および米国特許公開第US20120171229号を参照されたい)。
【0256】
合成ナノ担体は、標的化放出用に製剤化することができる。合成ナノ担体は、CRISPRポリヌクレオチドを指定のpHにおいて、かつ/または所望の時間間隔後に放出するように製剤化することができる。合成ナノ粒子は、ポリヌクレオチド、一次構築物および/またはCasヌクレアーゼmRNAを24時間後に、かつ/またはpH4.5で放出するように製剤化することができる(そのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる国際特許公開第WO2010138193号および同第WO2010138194号ならびに米国特許公開第US201 10020388号および同第US20110027217号を参照されたい)。
【0257】
合成ナノ担体は、本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチドの制御放出および/または持続放出のために製剤化することができる。持続放出用の合成ナノ担体は、例えば、本明細書に記載の通りおよび/またはそのそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる国際特許公開第WO2010138192号および米国特許公開第20100303850号に記載されている通り製剤化することができる。
【0258】
本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチドは、高分子化合物と共にまたはその中に製剤化することができる。ポリマーとしては、少なくとも1つのポリマーポリエチレン、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリ(L-リシン)(PLL)、PLLに移植されたPEG、カチオン性脂質ポリマー、生分解性カチオン性脂質ポリマー、ポリエチレンイミン(PEI)、架橋結合した分枝ポリ(アルキレンイミン)、ポリアミン誘導体、修飾ポロキサマー、生分解性ポリマー、生分解性ブロック共重合体、生分解性ランダム共重合体、生分解性ポリエステル共重合体、生分解性ポリエステルブロック共重合体、生分解性ポリエステルブロックランダム共重合体、直鎖状生分解性共重合体、ポリ[a-(4-アミノブチル)-L-グリコール酸)(PAGA)、生分解性架橋結合カチオン性マルチブロック共重合体、ポリカーボネート、ポリ酸無水物、ポリヒドロキシ酸、ポリプロピルフメレート、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル、ポリ(オルトエステル)、ポリシアノアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシアノアクリレート、ポリ尿素、ポリスチレン、ポリアミン、ポリリシン、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(セリンエステル)、ポリ(L-ラクチド-co-L-リシン)、ポリ(4-ヒドロキシ-L-プロリンエステル)、アクリルポリマー、アミン含有ポリマーまたはこれらの組合せを挙げることができる。
【0259】
本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチドは、別の化合物とコンジュゲートすることができる。CRISPRポリヌクレオチドは、ポリマー、脂質、および/または他の生分解性作用因子、例えば、リン酸カルシウムの組合せを使用してナノ粒子として製剤化することもできる。構成成分を、ナノ粒子の微調整が可能になるように組み合わせてコアシェル、ハイブリッド、および/または層ごとのアーキテクチャにすることができ、したがって、CRISPRポリヌクレオチドの送達を増強することができる(Wang et al, Nat Mater. 2006 5: 791-796;Fuller et al, Biomaterials. 2008 29: 1526-1532;DeKoker et al, Adv Drug Deliv Rev. 201 1 63: 748-761;Endres et al., Biomaterials. 2011 32: 7721-7731;Su et al., Mol Pharm. 2011 Jun 6; 8 (3): 774-87;その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
【0260】
本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチドは、CRISPRポリヌクレオチドによる細胞のトランスフェクションを増大させるために、ペプチドおよび/またはタンパク質と共に製剤化することができる。ペプチドは細胞透過性ペプチドおよびタンパク質であり得、細胞内送達を可能にするペプチドを使用して医薬製剤を送達することができる。
【0261】
本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチドをex vivoで細胞にトランスフェクトし、その後、対象に移植することができる。そのようなベクターの例としては、CRISPRエフェクタータンパク質または関連するポリペプチドをコードする一次核酸構築物または合成配列が挙げられる。医薬組成物は、修飾されたRNAを肝臓および骨髄細胞に送達するための赤血球、修飾されたRNAをウイルス様粒子(VLP)中に入れて送達するためのビロソーム、ならびに、修飾されたRNAを送達するための電気穿孔された細胞、例えば、MAXCYTE(登録商標)(Gaithersburg、MD)およびERYTECH(登録商標)(Lyon、France)からのものを含み得る。
【0262】
本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチド、または関連するベクター構築物の細胞に基づく製剤を、細胞トランスフェクション(例えば、細胞担体において)を確実にするため、CRISPRポリヌクレオチドの体内分布を変更するため(例えば、細胞担体を特定の組織または細胞型にターゲティングすることによって)、および/またはコードされるタンパク質の翻訳を増大させるために使用することができる。
【0263】
組成物は、例えば、直接浸漬するまたは浸すことによって、カテーテルを介して、ゲル、粉末、軟膏剤、クリーム剤、ゲル、ローション剤、および/または点滴薬によって、組成物をコーティングしたまたは含浸させたファブリックまたは生分解性材料などの基質を使用することなどによって、臓器または組織への直接送達のために製剤化することもできる。
【0264】
本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチド、および関連する配列/ポリペプチドは、治療的に有効な転帰をもたらす任意の経路によって投与することができる。これらとしては、経腸、胃腸内、硬膜外、経口、経皮、硬膜外(epidural)(硬膜外(peridural))、脳内(大脳の中に)、脳室内(脳室の中に)、皮膚上(皮膚への塗布)、皮内(皮膚自体の中に)、皮下(皮膚の下に)、経鼻投与(鼻を通じて)、静脈内(静脈の中に)、動脈内(動脈の中に)、筋肉内(筋肉の中に)、心臓内(心臓の中に)、骨内注入(骨髄の中に)、くも膜下腔内(脊柱管の中に)、腹腔内(腹膜への注入または注射)、膀胱内注入、硝子体内(眼を通じて)、空洞内注射(陰茎の基部の中に)、膣内投与、子宮内、羊膜外投与、経皮(全身に分布させるための無傷の皮膚を通じた拡散)、経粘膜(粘膜を通じた拡散)、吹送(鼻で吸い込むこと)、舌下、唇下、浣腸、点眼剤(結膜上に)、または点耳剤中が挙げられる。組成物は、組成物が血液脳関門、血管関門、または他の上皮性関門を横断することを可能にするやり方で投与することができる。
【0265】
本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチドを、物質(「ペイロード」)の生物学的標的への送達が望まれる多数の異なるシナリオ、例えば、標的を検出するための検出可能な物質の送達、または治療剤の送達に使用することができる。CRISPRポリヌクレオチドおよび関連するベクター構築物を1種または複数種の他の治療剤、予防剤、診断剤、または造影剤と組み合わせて使用することができる。
【0266】
本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチド、および他の一次構築物は、リンカーおよびペイロードの両方を任意の有用な方向で含むように設計することができる。例えば、末端を2つ有するリンカーを使用して、一方の末端をペイロードに付着させ、他方の末端を核酸塩基に、例えばデアザ-アデノシンもしくはデアザ-グアノシンのC7位もしくはC8位またはシトシンもしくはウラシルのN-3位もしくはC5位に付着させることができる。ペイロードは、細胞毒、放射性イオン、化学療法薬、または他の治療剤などの治療剤であり得る。
【0267】
本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチドを、細胞の表現型を変更するために使用することができる。CRISPRポリヌクレオチドまたはCRISPRエフェクタータンパク質をコードする配列を治療薬ならびに/または臨床および研究の場において使用することができる。本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチド、例えば、CRISPRオンポリヌクレオチド、CRISPRオフポリヌクレオチド、またはCRISPRオン/オフポリヌクレオチドおよび関連するベクター構築物ならびにそれらから翻訳されたタンパク質を治療剤または予防剤として使用することができる。例えば、本明細書に記載のCRISPRポリヌクレオチドまたはCasヌクレアーゼmRNA(例えば、CRISPR関連ポリペプチドまたはエフェクタータンパク質をコードする修飾されたmRNA)を対象に投与し、in vivoで翻訳させて、対象における治療的に関連性のあるまたは予防的ポリペプチドの発現を方向付けることができる。
【0268】
ガイド配列(核酸標的化ガイドRNAまたはsgRNA内の)の、核酸標的化複合体の標的核酸配列への配列特異的結合を方向付ける能力を任意の適切なアッセイによって評価することができる。例えば、試験されるガイド配列を含めた、核酸標的化複合体を形成するために十分な核酸標的化CRISPR系の構成成分を、対応する標的核酸配列を有する宿主細胞に、例えば核酸標的化複合体の構成成分をコードするベクターを用いたトランスフェクションによって供給することができ、その後、標的核酸配列内の優先的な標的化(例えば、切断)の評価を行うことができる。標的核酸配列の切断を、試験管中、標的核酸配列、試験されるガイド配列および試験ガイド配列とは異なる対照ガイド配列を含めた核酸標的化複合体の構成成分を準備し、試験ガイド配列反応と対照ガイド配列反応の間で標的配列における結合または切断率を比較することによって評価することができる。
【0269】
本発明で提供される組成物は、種々の疾患、障害、および/または状態のいずれか、例えば、以下のうちの1つまたは複数の処置に使用することができる:自己免疫障害(例えば、糖尿病、ループス、多発性硬化症、乾癬、関節リウマチ);炎症性障害(例えば、関節炎、骨盤内炎症性疾患);感染性疾患(例えば、ウイルス感染症(例えば、HIV、HCV、RSV)、細菌感染症、真菌感染症、敗血症);神経性障害(例えば、アルツハイマー病、ハンチントン病;自閉症;デュシェンヌ型筋ジストロフィー);心血管障害(例えば、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、血栓症、凝固障害、黄斑変性症などの血管新生障害);増殖性障害(例えばがん、良性新生物);呼吸器疾患(例えば、慢性閉塞性肺疾患);消化性障害(例えば、炎症性腸疾患、潰瘍);筋骨格障害(例えば、線維筋痛症、関節炎);内分泌障害、代謝障害、および栄養障害(例えば、糖尿病、骨粗鬆症);泌尿器障害(例えば、腎疾患);心理学的障害(例えば、うつ病、統合失調症);皮膚障害(例えば、創傷、湿疹);血液およびリンパ性障害(例えば、貧血、血友病)など。
【0270】
【実施例
【0271】
以下の実施例は、本発明の作製および使用の仕方の完全な開示および説明を当業者に提供するために提示され、発明者らが自身の発明とみなすものの範囲を限定するものでも、以下の実験が、実施した全ての実験または唯一の実験であることを表すものでもない。標準の略語、例えば、bp、塩基対;kb、キロベース;nt、ヌクレオチド;などが使用される場合がある。
【0272】
(実施例1)
光切断可能なリンカーを有する修飾されたポリヌクレオチドの生成および機能的特徴付け
【0273】
4種のsgRNAを合成した。sgRNAの一部を表す配列を以下に提示する。sgRNAに対する修飾は、最初の3つの5’および3’末端RNAヌクレオチドにおける2’-O-メチル類似体および3’ホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含む。
【0274】
「対照」:
NNNNNNNNNNNNNNNNNNNNGUUUUAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUU
「第2なし」:
GAAANNNNNNNNNNNNNNNNNNNNGUUUUAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUU
「3bpステム」:
UGAGAAAUCANNNNNNNNNNNNNNNNNNNNGUUUUAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUU
「6bpステム」:
【0275】
CACUGAGAAAUCAGUGNNNNNNNNNNNNNNNNNNNNGUUUUAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUU
【0276】
第1のsgRNA(「対照」または「Mods」)は、ガイド配列の5’側のポリヌクレオチドリーダー配列を欠くsgRNAである。第2のsgRNA(「第2なし」または「二次構造なし」)は、ステムループを形成しないように設計されたガイド配列の5’側のポリヌクレオチドリーダー配列を有し、その後、光切断可能なリンカー、3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイト(www.glenresearch.com/data/ProductInfo.php?item=10-4920)がポリヌクレオチドリーダー配列の3’末端とガイド配列の5’側の間に挿入されたものであった。ガイド配列の5’側の塩基の前でステムループを形成するように設計されたポリヌクレオチドリーダー配列が追加され、その後、3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイト(http://www.glenresearch.com/data/ProductInfo.php?item=10-4920)光切断可能なリンカーが追加されたポリヌクレオチドリーダー配列の3’末端とガイド配列の5’側の塩基の間に挿入された、2種の追加的なsgRNAを合成した。第3のsgRNA(「3bpステム」)は、3bpのステムループを形成するように設計されたポリヌクレオチドリーダー配列を有するものであり、第4のsgRNA(「6bpステム」)は、6bpのステムループを形成するように設計されたポリヌクレオチドリーダー配列を有するものであった。次いで、これらの4つの型のsgRNAを、sgRNAをin vitroで光切断するために十分であることが分かっている条件を使用してUVA光(320~390nm)に曝露させた。
【0277】
図2は、Advanced Analyticalからの低分子RNA解析キットを使用して断片解析機器で流したゲル画像であり、UV光に0分間、5分間、10分間、または15分間曝露させた後の4種のsgRNAが示されている。設定時点からの全ての画像は、同じゲルにおいて隣接するレーンに流したものである、すなわち、10分間の試料は全て互いの隣で流したものである。異なる時点からの試料は、多数のsgRNA標的部位の試験を可能にするために異なるゲルで流したものである。条件間の比較は、主に定性的観察に基づくものであった。UV光に5分間曝露させた後、第2のsgRNA、第3のsgRNA、および第4のsgRNAではポリヌクレオチドリーダー配列の切断と一致する横縞模様が示された。10分曝露後および15分曝露後の横縞模様も、第2のsgRNA、第3のsgRNA、および第4のsgRNAからのポリヌクレオチドリーダー配列の切断と一致するものであった。
【0278】
(実施例2)
sgRNA活性化の際の標的DNAカット効率の特徴付け
【0279】
上記の通り、4種のsgRNAを、spCas9と複合体を形成させ、in vitroにおいて標的DNAと一緒に妥当な持続時間にわたってインキュベートした。次いで、図3に示されているように、4種のsgRNAをそれぞれUV光(320~390nm)に175mW/cm、示されている周期的間隔で曝露させた。設計されたステム(「3bpステム」および「6bpステム」)を有するsgRNAのUV媒介性切断は、CRISPR複合体を活性化する働きをし、その結果、標的特異的DNAのカットがもたらされた。次いで、標的DNAを断片解析機器に流して、CRISPR媒介性カットを実証した。図3は、標的DNA(FANCF)と一緒にインキュベートし、切断因子に規則的な間隔で曝露させたsgRNA-Cas9 CRISPR複合体の例を示す。曝露後0分の時点で、第3のsgRNAおよび第4のsgRNA(「3bpステム」および「6bpステム」)では、第1のsgRNAおよび第2のsgRNAと比較してカット効率の低下が示された。切断因子に15分間曝露させた後、活性化されたsgRNAでは標的DNAのカット効率の上昇が記録された。カットされなかったDNAとカットされたDNAの比の測定により、「6bpステム」について15分間の曝露での約45%から30分間の曝露での約20%までの低下が示された。比較して、5’ポリヌクレオチドリーダー配列を欠く第1のsgRNA(「Mods」)または5’二次構造を欠くsgRNA(「二次構造なし」)では、カットされなかったDNAとカットされたDNAの比によって測定して、切断因子による活性化は示されなかった。「Mods」は、最初の3つの5’および3’末端RNAヌクレオチドに2’-O-メチル類似体および3’ホスホロチオエートヌクレオチド間連結を有し、ガイド配列の5’へのいかなる塩基付加も有さない修飾された合成sgRNAであり、「二次構造なし」条件では、ガイド配列に対するステムを形成しない5’付加を伴うsgRNAを使用する。「3bpステム」および「6bpステム」条件では、sgRNAの5’末端にそれぞれ長さ3bpおよび6bpのステムを形成するように設計された領域を有するsgRNAを使用する。
【0280】
(実施例3)
非活性化可能なsgRNAの生成および特徴付け
【0281】
6種のsgRNAを合成した。sgRNAの一部を表す配列を以下に提示する。sgRNAに対する修飾は、最初の3つの5’および3’末端RNAヌクレオチドにおける2’-O-メチル類似体および3’ホスホロチオエートヌクレオチド間連結を含む。
【0282】
対照:
【0283】
NNNNNNNNNNNNNNNNNNNNGUUUUAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUU
21
NNNNNNNNNNNNNNNNNNNN*UUUUAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUU
24
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50
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57
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74
【0284】
NNNNNNNNNNNNNNNNNNNNGUUUUAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUG*AAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUU
【0285】
第1のsgRNA(「対照」)は光切断可能なエレメントを含まないものであった。第2のsgRNA、第3のsgRNA、第4のsgRNAおよび第5のsgRNAは、sgRNAの5’末端から21位、24位、50位、57位および74位に光切断可能な結合を有するものであった。次いで、5種のsgRNAをUV光に5分間曝露させた。図4は、Advanced Analyticalからの断片解析機器を使用して流した、UV光に曝露させた後の5種のsgRNAのゲルの画像である。全ての試料を、低分子RNAキットを用い、製造者のプロトコールに従って流した。UV光に5分間曝露させた後、5種のsgRNA全てで、それぞれの光切断可能な結合の位置における切断と一致する横縞模様が示された。
【0286】
(実施例4)
ゲノム編集された細胞系の迅速な生成
【0287】
Cas9を発現するHEK 293T細胞に、光切断可能なリンカーを含むsgRNAをトランスフェクトし、切断因子に晒した。図5は、DNMT1を標的とする6種の異なるsgRNAを用いたプログラム可能なゲノム編集効率の概略図を示す。第1のsgRNA(「Mod」)は、光切断可能な部位を欠くものであった。第2のsgRNA、第3のsgRNA、第4のsgRNAおよび第5のsgRNAは、sgRNAの5’末端から21位、24位、50位、57位および74位に光切断可能な結合を有するものであった(それぞれb21、b24、b50、b57、およびb74)。sgRNA:Cas9混合物[9:1の比]を細胞に導入した。細胞を48時間にわたって2時間ごとに切断因子に曝露させた。各試料を指定された時点まで暗闇で維持し、次いで、UV光に1回曝露させて切断を誘導した。次いで、細胞を、トランスフェクションの48時間後まで暗闇に置いた。トランスフェクションの48時間後に全ての試料を収集した。トランスフェクションの48時間後、ゲノムDNAを全ての試料から収集し、挿入および欠失の存在について当技術分野で公知の標準の手順を使用して解析した。Brinkmann et al. 2014 Nucleic Acids Research and Hsiau et al. ”Inference of CRISPR Edits from Sanger Trace Data”, January 14, 2019 bioRxivに記載されているものと同様に、ICE(CRISPR編集の推論(Inference of CRISPR Editing))により、サンガー配列決定トレースを解析し、配列分解のレベルをマッピングして、インデル形成頻度を決定することによって遺伝子編集の量を測定した。図6のグラフは編集効率を表す。試料を、PCRを使用して増幅し、配列決定にかけた。配列決定後、増幅後に野生型であるまたは編集された配列の数をICEによって解析した。編集を野生型ではない配列のパーセンテージによって表した。57位に光切断可能な結合を有するsgRNAおよび74位に光切断可能な結合を有するsgRNAではゲノム編集効率の時間依存的な非活性化が示された。
【0288】
(実施例5)
編集されたHEK293細胞系の生成
【0289】
HEK293細胞に、Cas9および光切断可能な(PC)リンカーを含むsgRNAをトランスフェクトし、UV光に晒してリンカーを切断した。Cas9を、57位および74位に組み入れられたPCリンカー、ホスホロアミダイト(3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイト)を含み、BUB1B(AGTGAAGCCATGTCCCTGGA)、CAMK1(sg1:TGCCAGGATCACCTCCGAGA)、PRKAG3(sg1-AGCAAGAAAACAGCAGCTCA;sg2-AGCAAGAAAACAGCAGCUCA)、STK3(sg1-TCCTGAAGATCTGATTCAAC;sg2-AAAGCAATACACAAGGAATC;sg3-CCATAATGCAGCAATGTGAC;4-UUUAAUUGCGACAACUUGAC)、IRAK4(GTCCTGTCTTTGTCACAGAA)、およびChr8q23(sg1-AGTCTACTATGAGTTTTCTG;sg2-TTATAGTTACGATGTTTGAT;sg3-AAGCCTCAAATTAGGAGAAA)を標的とする標的結合性領域を有する、12種の異なるsgRNAと複合体を形成させて(CRISPRオフ)、12種の実験集団を作製した。Cas9をまた、光切断可能なリンカーを有さない、上記の標的結合性領域を有する12種の異なるsgRNA(標準)とも複合体を形成させた。24種の複合体溶液のそれぞれを形成するために、Cas9タンパク質10pmolをsgRNA、30pmolと混合した。各溶液を、トランスフェクション緩衝剤を使用して20μLまで希釈し、室温で15分間にわたって混合させた。HEK293細胞を、TrypLEを使用して室温で5分間にわたって収集して細胞を個別化した。集団を計数して妥当な細胞数を決定し、その後、100×gで3分間遠心分離した。次いで、得られたペレットをヌクレオフェクション緩衝剤に5μL当たり細胞200,000個の濃度で再懸濁させた。次いで、細胞懸濁液を予め複合体形成させたCas9 sgRNA溶液に添加し、トランスフェクトを行った。各実験集団を2つのウェルに分割して対照と処理細胞の対の反復実験を形成した。トランスフェクションの4時間後、処理細胞をUV光に1分間、および15秒間曝露させた(帯域フィルターを用いて波長を345nmよりも長いものに限定した)。その後、細胞をインキュベーターに戻した。トランスフェクションの48時間後、対照および処理試料を収集し、ゲノムDNAを抽出した。ゲノムDNAをAmplitaqならびにオンターゲット遺伝子座およびオフターゲット遺伝子座に特異的なプライマーを使用したPCRに供した。配列決定データを編集の存在についてICEを使用して解析した。Hsiau et al. ”Inference of CRISPR Edits from Sanger Trace Data”, January 14, 2019 bioRxivに記載されている通り、ICE(CRISPR編集の推論(Inference of CRISPR Editing))により、サンガー配列決定トレースを解析し、配列分解のレベルをマッピングして、インデル形成頻度を決定することによって遺伝子編集の量を測定した。編集を野生型ではない配列のパーセンテージによって表した。
【0290】
図7は、12種の異なるCRISPRオフsgRNAを有するCas9の編集効率のグラフを示す。灰色の棒は、UV光への曝露なしの場合の、CRISPRオフsgRNAと複合体を形成したCas9の編集効率を示す。黒棒は、UV光への曝露後の、CRISPRオフsgRNAと複合体を形成したCas9の編集効率を示す。
【0291】
図8は、光切断可能なリンカーを有さない、図7のsgRNAと同じ標的結合性領域を有する12種の異なる標準sgRNAを伴うCas9の編集効率を示す。灰色の棒は、UV光への曝露なしの場合の、標準sgRNAと複合体を形成したCas9の編集効率を示す。黒棒は、UV光への曝露後の、標準sgRNAと複合体を形成したCas9の編集効率を示す。
【0292】
(実施例6)
編集されたU2OS細胞系の生成
【0293】
U2OS細胞に、Cas9および光切断可能なリンカーを含むsgRNAをトランスフェクトし、UV光に晒してリンカーを切断した。Cas9を、57位および74位に組み入れられたホスホロアミダイト(3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイト)を含む、DNMT1(GGAGTGAGGGAAACGGCCCC)、EMX1(GAGTCCGAGCAGAAGAAGAA)、FANCF(GCTGCAGAAGGGATTCCATG)、GRK1(GCCGTCAAAGCTGCCTCGGG)、PRGN(CAGATGCCTGCTCAGTGTTG)、およびVEGFA(GGTGAGTGAGTGTGTGCGTG)を標的とする標的結合性領域を有する6種の異なるsgRNAと複合体を形成させて(CRISPRオフ)、6種の実験集団を作製した。Cas9をまた、光切断可能なリンカーを有さない、上記の標的結合性領域を有する6種の異なるsgRNA(標準)とも複合体を形成させた。12種の複合体溶液のそれぞれを形成するために、Cas9タンパク質10pmolをsgRNA、30pmolと混合した。各溶液を、トランスフェクション緩衝剤を使用して20μLまで希釈し、室温で15分間にわたって混合させた。U20S細胞を、TrypLEを使用して室温で5分間にわたって収集して細胞を個別化した。集団を計数して妥当な細胞数を決定し、その後、100×gで3分間遠心分離した。次いで、得られたペレットをヌクレオフェクション緩衝剤に5μL当たり細胞200,000個の濃度で再懸濁させた。次いで、細胞懸濁液を予め複合体形成させたCas9 sgRNA溶液に添加し、トランスフェクトを行った。各実験集団を2つのウェルに分割して対照と処理細胞の対の反復実験を形成した。トランスフェクションの4時間後、処理細胞をUV光に1分間、および15秒間曝露させた(帯域フィルターを用いて波長を345nmよりも長いものに限定した)。その後、細胞をインキュベーターに戻した。トランスフェクションの48時間後、対照および処理試料を収集し、ゲノムDNAを抽出した。ゲノムDNAをAmplitaqならびにオンターゲット遺伝子座およびオフターゲット遺伝子座に特異的なプライマーを使用したPCRに供した。配列決定データを編集の存在についてICEを使用して解析した。Hsiau et al. ”Inference of CRISPR Edits from Sanger Trace Data”, January 14, 2019 bioRxivに記載されている通り、ICE(CRISPR編集の推論(Inference of CRISPR Editing))により、サンガー配列決定トレースを解析し、配列分解のレベルをマッピングして、インデル形成頻度を決定することによって遺伝子編集の量を測定した。編集を野生型ではない配列のパーセンテージによって表した。
【0294】
図9は、6種の異なるCRISPRオフsgRNAを有するCas9の編集効率のグラフを示す。灰色の棒は、UV光への曝露なしの場合の、CRISPRオフsgRNAと複合体を形成したCas9の編集効率を示す。黒棒は、UV光への曝露後の、CRISPRオフsgRNAと複合体を形成したCas9の編集効率を示す。
【0295】
図10は、光切断可能なリンカーを有さない、図9のsgRNAと同じ標的結合性領域を有する6種の異なる標準sgRNAを伴うCas9の編集効率を示す。灰色の棒は、UV光への曝露なしの場合の、標準sgRNAと複合体を形成したCas9の編集効率を示す。黒棒は、UV光への曝露後の、標準sgRNAと複合体を形成したCas9の編集効率を示す。
【0296】
(実施例7)
UV光への曝露なしの場合の、HEK293T細胞におけるCRISPRオフCas9複合体によるオフターゲット編集の解析
【0297】
図13は、上記のDNMT1、FANCF、およびVEGFAを標的とするsgRNAに関して高度のオフターゲット編集を有することが分かっているオフターゲット部位における編集のパーセンテージを示すグラフを含む。
【0298】
使用した配列は以下の通りであり、*は、リンカー(3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイト)の場所を示す:
【0299】
DNMT1
【0300】
オンターゲットsgRNA:
GGAGTGAGGGAAACGGCCCCGTTTTAGAGCTAGAAATAGCAAGTTAAAATAAGGCTAGTCCGTTATCAACTTGAAAAAGTGGCACCGAGTCGGTGCTTTT
【0301】
オンターゲットCRISPRオフ:
GGAGTGAGGGAAACGGCCCCGTTTTAGAGCTAGAAATAGCAAGTTAAAATAAGGCT*GTCCGTTATCAACTTG*AAAAGTGGCACCGAGTCGGTGCTTTT
【0302】
オフターゲット1:GGAGGGAGGGAAACAGCCCC
【0303】
FANCF
【0304】
オンターゲットsgRNA:
GCTGCAGAAGGGATTCCATGGTTTTAGAGCTAGAAATAGCAAGTTAAAATAAGGCTAGTCCGTTATCAACTTGAAAAAGTGGCACCGAGTCGGTGCTTTT
【0305】
オンターゲットCRISPRオフ:
GCTGCAGAAGGGATTCCATGGTTTTAGAGCTAGAAATAGCAAGTTAAAATAAGGCT*GTCCGTTATCAACTTG*AAAAGTGGCACCGAGTCGGTGCTTTT
【0306】
オフターゲット2:GCTGCAGAAGGGATTCCAAG
【0307】
VEGFA
【0308】
オンターゲットsgRNA:
GGTGAGTGAGTGTGTGCGTGGTTTTAGAGCTAGAAATAGCAAGTTAAAATAAGGCTAGTCCGTTATCAACTTGAAAAAGTGGCACCGAGTCGGTGCTTTT
【0309】
オンターゲットCRISPRオフ:
GGTGAGTGAGTGTGTGCGTGGTTTTAGAGCTAGAAATAGCAAGTTAAAATAAGGCT*GTCCGTTATCAACTTG*AAAAGTGGCACCGAGTCGGTGCTTTT
【0310】
オフターゲット3:GCTGAGTGAGTGTATGCGTG
【0311】
Hsiau et al. ”Inference of CRISPR Edits from Sanger Trace Data”, January 14, 2019 bioRxivに記載されている通り、ICE(CRISPR編集の推論(Inference of CRISPR Editing))により、サンガー配列決定トレースを解析し、配列分解のレベルをマッピングして、インデル形成頻度を決定することによって遺伝子編集の量を測定した。sgRNA:Cas9の比30pmol:10pmolを使用してCRISPRリボ核タンパク質(RNP)を形成した。次いで、RNPをHEK293T細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、n=24の生物学的反復実験で細胞を収集し、ゲノムDNAを細胞から収集した。細胞をUV光に曝露させなかった。編集を野生型ではない配列のパーセンテージによって表した。X軸は、3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトを含むsgRNA(「CRISPRオフ」)と複合体を形成したCas9によって、または3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトを有さないsgRNA(「標準sgRNA」)と複合体を形成したCas9によってオフターゲット編集が生じたかどうかを示す。Y軸は、編集されたオフターゲット部位のパーセンテージを示す。図13において見ることができる通り、3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトを有さない、DNMT1を標的とするsgRNAと複合体を形成したCRISPR酵素に関して観察されるオフターゲット編集は、CRISPRオフsgRNAと複合体を形成したCRISPR酵素よりも多く、p値≦0.0001である;3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトを有さない、FANCFを標的とするsgRNAと複合体を形成したCRISPR酵素に関して観察されるオフターゲット編集は、CRISPRオフsgRNAと複合体を形成したCRISPR酵素よりも多く、p値≦0.0001である;3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトを有さない、VEGFAを標的とするsgRNAと複合体を形成したCRISPR酵素に関して観察されるオフターゲット編集は、CRISPRオフsgRNAと複合体を形成したCRISPR酵素よりも多く、p値≦0.0001である。上述のCRISPRオフsgRNAのそれぞれの標的部位における編集効率は、上記の通りICEによって測定して、上述の標準sgRNAのそれぞれの標的部位における編集効率と同じかまたは1~3%低かった。結果から、ネクサスおよびステムループ1内に3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトを有するsgRNAを編集アッセイにおいて使用することにより、ネクサスおよびステムループ1内に3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイトを欠くsgRNAの使用と比べて低いオフターゲット編集活性がもたらされることが例示される。
【0312】
(実施例8)
U2OS細胞におけるCRISPRオフと複合体を形成したCas9の時間依存的活性の解析
【0313】
図14~16は、「標準sgRNA」と複合体を形成したCas9の活性と対照した、DNMT1、GRK1、およびVEGFAを標的とする「CRISPRオフ」と複合体を形成したCas9の時間依存的活性を示すグラフである。細胞を、48時間にわたって2時間ごとにUV光に曝露させた。Hsiau et al. ”Inference of CRISPR Edits from Sanger Trace Data”, January 14, 2019 bioRxivに記載されている通り、ICE(CRISPR編集の推論(Inference of CRISPR Editing))により、サンガー配列決定トレースを解析し、配列分解のレベルをマッピングして、インデル形成頻度を決定することによって遺伝子編集の量を測定した。
【0314】
(実施例9)
編集されたK562細胞系の生成
【0315】
K562細胞に、Cas9および光切断可能なリンカーを含むsgRNAをトランスフェクトし、UV光に晒してリンカーを切断した。Cas9を、57位および74位に組み入れられたホスホロアミダイト(3-(4,4’-ジメトキシトリチル)-1-(2-ニトロフェニル)-プロパン-1-イル-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホロアミダイト)を含む、EMX1(GAGTCCGAGCAGAAGAAGAA)およびGRK1(GCCGTCAAAGCTGCCTCGGG)を標的とする標的結合性領域を有する2種の異なるsgRNA(CRISPRオフ)と複合体を形成させて、2種の実験集団を作製した。Cas9をまた、光切断可能なリンカーを有さない、上記の標的結合性領域を有する2種の異なるsgRNA(標準)とも複合体を形成させた。4種の複合体溶液のそれぞれを形成するために、Cas9タンパク質10pmolをsgRNA、30pmolと混合した。各溶液を、トランスフェクション緩衝剤を使用して20μLまで希釈し、室温で15分間にわたって混合させた。K562細胞を、TrypLEを使用して室温で5分間にわたって収集して細胞を個別化した。集団を計数して妥当な細胞数を決定し、その後、100×gで3分間遠心分離した。次いで、得られたペレットをヌクレオフェクション緩衝剤に5μL当たり細胞200,000個の濃度で再懸濁させた。次いで、細胞懸濁液を予め複合体を形成させたCas9 sgRNA溶液に添加し、トランスフェクトを行った。各実験集団を2つのウェルに分割して対照と処理細胞の対の反復実験を形成した。トランスフェクションの4時間後、処理細胞をUV光に1分間、および15秒間曝露させた(帯域フィルターを用いて波長を345nmよりも長いものに限定した)。その後、細胞をインキュベーターに戻した。トランスフェクションの48時間後、対照および処理試料を収集し、ゲノムDNAを抽出した。ゲノムDNAをAmplitaqならびにオンターゲット遺伝子座およびオフターゲット遺伝子座に特異的なプライマーを使用したPCRに供した。配列決定データを編集の存在についてICEを使用して解析した。Hsiau et al. ”Inference of CRISPR Edits from Sanger Trace Data”, January 14, 2019 bioRxivに記載されている通り、ICE(CRISPR編集の推論(Inference of CRISPR Editing))により、サンガー配列決定トレースを解析し、配列分解のレベルをマッピングして、インデル形成頻度を決定することによって遺伝子編集の量を測定した。編集を野生型ではない配列のパーセンテージによって表した。
【0316】
図11は、2種の異なるCRISPRオフsgRNAを伴うCas9の編集効率のグラフを示す。灰色の棒は、UV光への曝露なしの場合の、CRISPRオフsgRNAと複合体を形成したCas9の編集効率を示す。黒棒は、UV光への曝露後の、CRISPRオフsgRNAと複合体を形成したCas9の編集効率を示す。
【0317】
図12は、光切断可能なリンカーを有さない、図11のsgRNAと同じ標的結合性領域を有する2種の異なる標準sgRNAを伴うCas9の編集効率を示す。灰色の棒は、UV光への曝露なしの場合の、標準sgRNAと複合体を形成したCas9の編集効率を示す。黒棒は、UV光への曝露後の、標準sgRNAと複合体を形成したCas9の編集効率を示す。
【0318】
(実施例10)
転写調節
【0319】
10bpのステムループを形成する5’ポリヌクレオチドリーダー配列を含む修飾された活性化可能な(CRISPRオン)sgRNAポリヌクレオチドを、VP64の転写活性化因子ドメインと融合した不活性(inactive)Cas9ヌクレアーゼ(dCas9)と複合体を形成させる。光切断可能なエレメントを、ポリヌクレオチドリーダー配列の3’側およびガイド配列のすぐ5’側に挿入する。dCas9融合酵素と複合体を形成したsgRNAを含むCRISPR複合体をHEK 293T細胞にトランスフェクトする。5’ポリヌクレオチドリーダー配列により、CRISPR複合体がガイド配列と相補的な標的配列のプロモーターと効率的にアニーリングすることができなくなる。標的遺伝子は比較的低い転写活性を有する。所望の時点で、トランスフェクトされた細胞をUV光に曝露させ、その結果、光切断可能な結合およびポリヌクレオチドリーダー配列の遊離の切断をもたらす。その時からCRISPR複合体は標的配列のプロモーターにより効率的に結合し、標的配列のより効率的な転写がもたらされる。
【0320】
(実施例11)
UV光への曝露ありの場合およびUV光への曝露なしの場合の、HEK293細胞におけるCRISPRオフCas9複合体によるオンターゲット編集の解析
【0321】
ヒト胎児由来腎臓細胞(HEK293)を先進の改変イーグル培地(Life Technologies)および10%v/vのFBS中、5回~20回の間の継代で維持した。細胞を2週間に1回、TrypLE(Life Technologies)を用いて1:8の比で継代した。
【0322】
HEK293細胞に、Cas9および光切断可能な(PC)リンカーを含むsgRNAをトランスフェクトし、345nmの帯域フィルターにかけた光に晒してリンカーを切断した。Cas9を、57位および74位に組み入れられた光切断可能なリンカー(1-(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-4-イル)プロピル)を含む、AAVS1(GGGGCCACUAGGGACAGGAU)、BUB1B(AGUGAAGCCAUGUCCCUGGA)、CAMK1_sg1(UGCCAGGAUCACCUCCGAGA)、CAMK1_sg2(GCGUCCUCUUAUCUUCUGCC)、CEL(AACCAGUUGCAGGCGCCCCA)、Chr8q23_sg1(UUAUAGUUACGAUGUUUGAU)、CXCR4(GAUAACUACACCGAGGAAAU)、DNMT1(GGAGUGAGGGAAACGGCCCC)、EMX1(GAGUCCGAGCAGAAGAAGAA)、FAM163A(CUGCAGGGCUCGCUGGUGAG)、FANCF(GCUGCAGAAGGGAUUCCAUG)、GAA(AGGAGCCGGUGGGAGCAGGG)、GRK1(GCCGUCAAAGCUGCCUCGGG)、ITGA7(GGUGCUGGAGGGCGAGGCUG)、IRAK4(GUCCUGUCUUUGUCACAGAA)、MAPRE1(UUCUCUGCAGAUAAUUCCUG)、MIP(GCUGGGGUCCUCACUGCGCU)、OMP(GAACUGUAGCCGCUGCUGCU)、OPN1SW(ACAGGGGCAAUGUGGUACUG)、PRGN(CAGAUGCCUGCUCAGUGUUG)、PRKAG3(AGCAAGAAAACAGCAGCUCA)、STK3_sg1(AAAGCAAUACACAAGGAAUC)、STK3_sg2(CCAUAAUGCAGCAAUGUGAC)、およびVEGFA(GGUGAGUGAGUGUGUGCGUG)を標的とする標的結合性領域を有する23種の異なるsgRNA(CRISPRオフ)と複合体を形成させて、23種の実験集団を作製した。次いで、各実験集団を3つの群に分割し、1つは暗闇で維持するものとし、1つは環境光に曝露させるものとし、1つは345nmの帯域フィルターにかけて波長を345nmよりも長いものに限定した光に曝露するものとした。4種の複合体溶液のそれぞれを形成するために、Cas9タンパク質10pmolをsgRNA、30pmolと混合した。各溶液を、トランスフェクション緩衝剤を使用して20μLまで希釈し、トランスフェクション前に10分間にわたって混合させた。トランスフェクションの4時間後、処理細胞を、環境光に20分間曝露させたか、または345nmの帯域フィルターにかけて波長を345nmよりも長いものに限定した光に60秒間曝露させた。トランスフェクションの48時間後、試料を収集し、ゲノムDNAを抽出した。
【0323】
ゲノム解析
【0324】
DNA QuickExtract(Lucigen)を使用し、製造者のプロトコールに従ってゲノムDNAを単離した。収集後、抽出物溶液を65℃で15分間、68℃で15分間、その後、98℃で10分間インキュベートした。ゲノムPCRを、AmpliTaq Gold 360マスターミックス(Thermo Fischer)を使用し、表1に見出されるプライマー配列を使用して実施した。サンガー配列決定後、インデルの存在をICE(Synthego)によって解析した。
【0325】
図22は、23種の異なるCRISPRオフsgRNAを有するCas9の編集効率のグラフを示す。左から右に、各sgRNAについて:黒棒(丸)は、光への曝露なしの場合の、CRISPRオフsgRNAと複合体を形成したCas9の編集効率を示す;灰色の棒(四角)は、環境光への曝露後の、CRISPRオフsgRNAと複合体を形成したCas9の編集効率を示す;薄い灰色の棒(三角形)は、345nmよりも長い波長の光への曝露後の、CRISPRオフsgRNAと複合体を形成したCas9の編集効率を示す。矢印で示されている通り、FANCFおよびFAM163部位では、曝露後に編集の低減は示されない。使用したランプは600W、強度は90~120mW/cmであった。核局在化シグナルを有するAldevronからのCas9(NLS-Sp.Cas9-NLS)を全ての実験に使用した。
【0326】
図23は、26種の異なるCRISPRオフsgRNAを有するCas9の編集効率を同じ標的結合性配列を有する修飾されていないsgRNAと比較したグラフを示す。
【0327】
図30は、光への曝露後の、Cas9と複合体を形成したCRISPRオフを発現する細胞において観察される、光への曝露なしの場合のCas9と複合体を形成したCRISPRオフを発現する細胞、および光への曝露ありの場合となしの場合の標準sgRNAと複合体を形成したCas9を発現する細胞と比較したパーセント編集の低減を実証するグラフを示す。
【0328】
図31は、試験した細胞によって発現されるCas9-CRISPRオフ複合体を光で不活性化する前の期間を漸増させて観察されたパーセント編集の増大を実証するグラフを示す。
【0329】
図37は、Cas9ヌクレアーゼと複合体を形成したCAMK1を標的とする上述のポリヌクレオチドのCas9ヌクレアーゼと複合体を形成した標準sgRNAと比較したインデルプロファイルである。
【0330】
図35は、光への曝露の持続時間に対する編集の消失の影響のグラフを示し、完全な消失が45秒から60秒の間に実現される。
【0331】
図36は、細胞を広スペクトルの光に曝露させる時間の増大の細胞生存率に対する影響を示すグラフである。
表1:標的配列プライマー
【表1-1】
【表1-2】
【0332】
(実施例12)
UV光への曝露ありの場合およびUV光への曝露なしの場合の、U2OS細胞におけるCRISPRオフCas9複合体によるオンターゲット編集の解析
【0333】
U2OS細胞を、10%v/vのFBSを補充したRPMI 1640中、5回~15回の間の継代で維持した。細胞を、週に1回、TrypLEを用いて1:4の比で継代した。全ての細胞を37℃および5%CO2で維持した。
【0334】
U2OS細胞に、Cas9および光切断可能な(PC)リンカーを含むsgRNAをトランスフェクトし、345nmの帯域フィルターにかけた光に晒してリンカーを切断した。Cas9を、57位および74位に組み入れられた光切断可能なリンカー(1-(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-4-イル)プロピル)を含む、AAVS1(GGGGCCACUAGGGACAGGAU)、BUB1B(AGUGAAGCCAUGUCCCUGGA)、CAMK1_sg1(UGCCAGGAUCACCUCCGAGA)、CAMK1_sg2(GCGUCCUCUUAUCUUCUGCC)、Chr8q23_sg1(UUAUAGUUACGAUGUUUGAU)、Chr8q23_sg2(AGUCUACUAUGAGUUUUCUG)、DNMT1(GGAGUGAGGGAAACGGCCCC)、EMX1(GAGUCCGAGCAGAAGAAGAA)、FAM163A(CUGCAGGGCUCGCUGGUGAG)、FANCF(GCUGCAGAAGGGAUUCCAUG)、GRK1(GCCGUCAAAGCUGCCUCGGG)、ITGA7(GGUGCUGGAGGGCGAGGCUG)、IRAK4(GUCCUGUCUUUGUCACAGAA)、PRGN(CAGAUGCCUGCUCAGUGUUG)、PRKAG3(AGCAAGAAAACAGCAGCUCA)、STK3_sg1(AAAGCAAUACACAAGGAAUC)、STK3_sg2(CCAUAAUGCAGCAAUGUGAC)、およびVEGFA(GGUGAGUGAGUGUGUGCGUG)を標的とする標的結合性領域を有する18種の異なるsgRNA(CRISPRオフ)と複合体を形成させて、18種の実験集団を作製した。次いで、各実験集団を3つの群に分割し、1つは暗闇で維持するものとし、1つは環境光に曝露させるものとし、1つは345nmの帯域フィルターにかけて波長を345nmよりも長いものに限定した光に曝露するものとした。4種の複合体溶液のそれぞれを形成するために、Cas9タンパク質10pmolをsgRNA、30pmolと混合した。各溶液を、トランスフェクション緩衝剤を使用して20μLまで希釈し、トランスフェクション前に10分間にわたって混合させた。トランスフェクションの4時間後、処理細胞を、環境光に20分間曝露させたか、または345nmの帯域フィルターにかけて波長を345nmよりも長いものに限定した光に60秒間曝露させた。トランスフェクションの48時間後、試料を収集し、ゲノムDNAを抽出した。
【0335】
ゲノム解析
【0336】
DNA QuickExtract(Lucigen)を使用し、製造者のプロトコールに従ってゲノムDNAを単離した。収集後、抽出物溶液を65℃で15分間、68℃で15分間、その後、98℃で10分間インキュベートした。ゲノムPCRを、AmpliTaq Gold 360マスターミックス(Thermo Fischer)を使用し、表1に見出されるプライマー配列を使用して実施した。サンガー配列決定後、インデルの存在をICE(Synthego)によって解析した。
【0337】
図24は、18種の異なるCRISPRオフsgRNAを有するCas9の編集効率を同じ標的結合性配列を有する修飾されていないsgRNAと比較したグラフを示す。
【0338】
(実施例13)
UV光への曝露ありの場合およびUV光への曝露なしの場合の、Hep3b細胞におけるCRISPRオフCas9複合体によるオンターゲット編集の解析
【0339】
Hep3B細胞を先進の改変イーグル培地(Life Technologies)および10%v/vのFBS中、5回~20回の間の継代で維持した。細胞を2週間に1回、TrypLE(Life Technologies)を用いて1:8の比で継代した。
【0340】
Hep3b細胞に、Cas9および光切断可能な(PC)リンカーを含むsgRNAをトランスフェクトし、345nmの帯域フィルターにかけた光に晒してリンカーを切断した。Cas9を、57位および74位に組み入れられた光切断可能なリンカー(1-(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-4-イル)プロピル)を含む、AAVS1(GGGGCCACUAGGGACAGGAU)、BUB1B(AGUGAAGCCAUGUCCCUGGA)、CAMK1_sg1(UGCCAGGAUCACCUCCGAGA)、CAMK1_sg2(GCGUCCUCUUAUCUUCUGCC)、CEL(AACCAGUUGCAGGCGCCCCA)、Chr8q23_sg1(UUAUAGUUACGAUGUUUGAU)、CXCR4(GAUAACUACACCGAGGAAAU)、EMX1(GAGUCCGAGCAGAAGAAGAA)、FAM163A(CUGCAGGGCUCGCUGGUGAG)、FANCF(GCUGCAGAAGGGAUUCCAUG)、GAA(AGGAGCCGGUGGGAGCAGGG)、GRK1(GCCGUCAAAGCUGCCUCGGG)、ITGA7(GGUGCUGGAGGGCGAGGCUG)、IRAK4(GUCCUGUCUUUGUCACAGAA)、MAPRE1(UUCUCUGCAGAUAAUUCCUG)、MIP(GCUGGGGUCCUCACUGCGCU)、OMP(GAACUGUAGCCGCUGCUGCU)、OPN1SW(ACAGGGGCAAUGUGGUACUG)、PRGN(CAGAUGCCUGCUCAGUGUUG)、PRKAG3(AGCAAGAAAACAGCAGCUCA)、STK3_sg1(AAAGCAAUACACAAGGAAUC)、STK3_sg2(CCAUAAUGCAGCAAUGUGAC)、およびVEGFA(GGUGAGUGAGUGUGUGCGUG)を標的とする標的結合性領域を有する23種の異なるsgRNA(CRISPRオフ)と複合体を形成させて、23種の実験集団を作製した。次いで、各実験集団を3つの群に分割し、1つは暗闇で維持するものとし、1つは環境光に曝露させるものとし、1つは345nmの帯域フィルターにかけて波長を345nmよりも長いものに限定した光に曝露するものとした。4種の複合体溶液のそれぞれを形成するために、Cas9タンパク質10pmolをsgRNA、30pmolと混合した。各溶液を、トランスフェクション緩衝剤を使用して20μLまで希釈し、トランスフェクション前に10分間にわたって混合させた。トランスフェクションの4時間後、処理細胞を環境光に20分間曝露させたか、または345nmの帯域フィルターにかけて波長を420nmよりも長いものに限定した光に60秒間曝露させた。トランスフェクションの48時間後、試料を収集し、ゲノムDNAを抽出した。
【0341】
ゲノム解析
【0342】
DNA QuickExtract(Lucigen)を使用し、製造者のプロトコールに従ってゲノムDNAを単離した。収集後、抽出物溶液を65℃で15分間、68℃で15分間、その後、98℃で10分間インキュベートした。ゲノムPCRを、AmpliTaq Gold 360マスターミックス(Thermo Fischer)を使用し、表1に見出されるプライマー配列を使用して実施した。サンガー配列決定後、インデルの存在をICE(Synthego)によって解析した。
【0343】
図25は、23種の異なるCRISPRオフsgRNAを有するCas9の編集効率を同じ標的結合性配列を有する修飾されていないsgRNAと比較したグラフを示す。
【0344】
(実施例14)
クマリンリンカーを有するCRISPRオフsgRNAの可視光線への曝露
【0345】
図18は、sgRNAの57位および74位にクマリンリンカー、ジエチルアミノクマリン(1-(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-4-イル)プロピル)を含むCRISPRポリヌクレオチドの図である。クマリンリンカーは有意に赤色移動し、可視光線を使用してオリゴヌクレオチドを切断するために使用することができる。クマリンリンカーの遊離は、密接なイオン対形成、その後のクマリニルメチルカチオンと水および他の入手可能な求核試薬との反応を通じて起こる。
【0346】
エレクトロスプレーイオン化
【0347】
TE緩衝剤(3μM)中RNA試料を質量分析(Agilent 1290 Infinity II液体クロマトグラフィーシステム(LC)とAgilent 6530B Q-TOF質量分析計(MS)の結合)により、陰イオン極性モードで分析した。LCを、Acquity UPLC BEH C18 VanGuard Pre-column(1.7μm、2.1×5mm)でグラジエント溶離(緩衝剤A:50mMのHFIP;15mMのヘキシルアミン2%MeOH;緩衝剤B:MeOH、毎分0.75mL、1.05分で2~95%B)を用いて実施した。エレクトロスプレーイオン化をデュアルESIソース(ガス温度325℃、乾燥ガス毎分12L、ネブライザー40psi、Vcap 4kV、フラグメンター250、スキマー65)を用いて実施した。データを100~3200m/z範囲で取得し、4000~35000m/z範囲にデコンボリューションした。
【0348】
図20Aは、光への曝露前の、VEGFA(GGUGAGUGAGUGUGUGCGUG)を標的とする上記のCRISPRオフsgRNAのESIトレースである。
【0349】
図20Bは、420nmロングパスフィルターにかけた光への曝露後の、上記のCRISPRオフsgRNAのESIトレースである。光に晒さなかったCRISPRオフsgRNAは修飾されていないsgRNAと同じ分子量に保持された。光に晒さなかったCRISPRオフsgRNAについて断片化は観察されなかった。図20Bは、CRISPRオフsgRNAが420nmの光に曝露したら両方の光切断可能な部位において切断されたことを実証する。
【0350】
(実施例15)
UVにより切断可能なリンカーを有するCRISPRオフsgRNAのUV光への曝露
【0351】
エレクトロスプレーイオン化
【0352】
TE緩衝剤(3μM)中RNA試料を質量分析(Agilent 1290 Infinity II液体クロマトグラフィーシステム(LC)とAgilent 6530B Q-TOF質量分析計(MS)の結合)により、陰イオン極性モードで分析した。LCを、Acquity UPLC BEH C18 VanGuard Pre-column(1.7μm、2.1×5mm)でグラジエント溶離(緩衝剤A:50mMのHFIP;15mMのヘキシルアミン2%MeOH;緩衝剤B:MeOH、毎分0.75mL、1.05分で2~95%B)を用いて実施した。エレクトロスプレーイオン化をデュアルESIソース(ガス温度325℃、乾燥ガス毎分12L、ネブライザー40psi、Vcap 4kV、フラグメンター250、スキマー65)を用いて実施した。データを100~3200m/z範囲で取得し、4000~35000m/z範囲にデコンボリューションした。
【0353】
図41Aは、UV光への曝露前の、57位および74位に光切断可能なリンカーを有する、VEGFA(GGUGAGUGAGUGUGUGCGUG)を標的とするCRISPRオフsgRNAのESIトレースである。
【0354】
図41Bは、345nmの帯域フィルターにかけた光への曝露後の、図41AのCRISPRオフsgRNAのESIトレースである。光に晒さなかったCRISPRオフsgRNAは修飾されていないsgRNAと同じ分子量に保持された。図41Bは、CRISPRオフsgRNAが、345nmの光に曝露したら両方の光切断可能な部位で切断されたことを実証する。
【0355】
(実施例16)
CRISPRオフsgRNAと複合体を形成したCas9のUV光を用いた不活性化
【0356】
10pmolのNLS-Cas9-NLSタンパク質(Aldevron)を30pmolの合成sgRNAと合わせて総体積20μLにし、10分間にわたって複合体を形成させた。このインキュベーション中、細胞を収集し、計数した。RNP溶液に細胞溶液5μLを1μL当たり細胞4×10個の濃度で添加し、穏やかに混合した。
【0357】
4D-ヌクレオフェクター(Nucleofector)システム(Lonza)を20μLフォーマットで使用して細胞+RNP溶液をトランスフェクトした。トランスフェクションは製造者のプロトコールに従って行った。トランスフェクション後、細胞を培養培地中に回収し、96ウェルプレートにプレーティングした。
【0358】
CRISPRオフ不活性化を、Sunray 600 UV Flood Lamp(Uvitron International)を使用して実施した。345nmおよび355nmの6.5インチ×6.5インチの色ガラス代替ロングパスフィルターをNewport.comから入手し、特注の3Dプリントした容器に乗せた。
【0359】
正立顕微鏡を使用した不活性化を、Zeiss Axios Observerを使用し、Colibriの7つのフレキシブルな光源および385nmのLEDを用いて実施した。
【0360】
図38は、Cas9ヌクレアーゼと複合体を形成したCRISPRオフを使用して必須遺伝子を標的とした細胞培養物の画像である。光に曝露させた細胞培養物(+hv)では、光に曝露させていない細胞培養物よりも高い集密度が実証され、これにより、不活性化の欠如により高度の細胞死が引き起こされたことが示される。
【0361】
図26は、標準sgRNAを用いた場合に見られる比と比較した、オフターゲット編集が起こる前にCRISPRオフsgRNAを不活性化することによるオンターゲット編集とオフターゲット編集の比のモジュレーションを示す。CRISPRオフsgRNAの不活性化を、トランスフェクション後の別個の時点で細胞に光を当てることによって実現した。表2において見ることができる通りゲノム内の1つまたは2つの部位で有意なレベルのオフターゲット編集を有した標的部位を選択した。
【0362】
図39は、HEK293細胞におけるトランスフェクション後の種々の時点でのオンターゲット編集:オフターゲット編集比を示すグラフである。
【0363】
表2:オフターゲット部位
【表2】
【0364】
表3:オフターゲット配列決定プライマー
【表3-1】
【表3-2】
【0365】
ゲノム解析
【0366】
DNA QuickExtract(Lucigen)を使用し、製造者のプロトコールに従ってゲノムDNAを単離した。収集後、抽出物溶液を65℃で15分間、68℃で15分間、その後、98℃で10分間インキュベートした。ゲノムPCRを、AmpliTaq Gold 360マスターミックス(Thermo Fischer)を使用し、表1に見出されるプライマー配列を使用して実施した。サンガー配列決定後、インデルの存在をICE(Synthego)によって解析した。
【0367】
(実施例17)
Cas9-CRISPRオフを使用したGFPノックアウト
【0368】
10pmolのNLS-Cas9-NLSタンパク質(Aldevron)を30pmolの合成sgRNAと合わせて総体積20μLにし、10分間にわたって複合体を形成させた。このインキュベーション中、細胞を収集し、計数した。RNP溶液に細胞溶液5μLを1μL当たり細胞4×10個の濃度で添加し、穏やかに混合した。
【0369】
4D-ヌクレオフェクターシステム(Lonza)を20μLフォーマットで使用して細胞+RNP溶液をトランスフェクトした。トランスフェクションは製造者のプロトコールに従って行った。トランスフェクション後、細胞を培養培地中に回収し、96ウェルプレートにプレーティングした。
【0370】
CRISPRオフ不活性化を、Sunray 600 UV Flood Lamp(Uvitron International)を使用して実施した。345nmおよび355nmの6.5インチ×6.5インチの色ガラス代替ロングパスフィルターをNewport.comから入手し、特注の3Dプリントした容器に乗せた。
【0371】
正立顕微鏡を使用した不活性化を、Zeiss Axios Observerを使用し、Colibriの7つのフレキシブルな光源および385nmのLEDを用いて実施した。
【0372】
図27は、細胞において観察されるパーセント編集が、385nmの光への曝露が増加するに伴って低減することを示すグラフである。
【0373】
図28は、光に曝露した細胞内のGFPをコードする遺伝子は不活性化される一方で光に曝露していない細胞はGFPを発現し続けるように、遮蔽を使用してCRISPRオフsgRNAを発現する細胞を光に選択的に曝露させた細胞培養物を示す。
【0374】
図40は、透明な領域では光の通過が可能になり、それにより、CRISPRオフと複合体を形成したCas9ヌクレアーゼの編集活性が不活性化され、暗闇領域は不透明になって編集が妨害されずに進行することが可能になるように図28の細胞培養物に適用した薄膜遮蔽の画像である。
【0375】
(実施例18)
CRISPRオフsgRNAと複合体を形成したCas9の可視光線を用いた不活性化
【0376】
図32は、57位および74位にクマリンリンカーを有する、MIPを標的とするCRISPRオフsgRNAがLED光源によってどのくらい迅速に不活性化されるかを示す。クマリンリンカーを有するCRISPRオフsgRNAをトランスフェクトしたHEK293細胞を5つの独立したウェルに分割した。4時間後、対の反復実験に覆いをして環境光を取り除いたか、または430±23nmのLEDに1分間、2分間、3分間、または4分間曝露させた。遺伝子編集を不活性化するには1分で十分であった。100%強度の430±23nmのLEDを有するColibri 7光源を、1回に1つのウェルに光を当てることができる標準の倒立蛍光顕微鏡と一緒に使用した。
【0377】
(実施例19)
sgRNA上の多数のリンカーの場所に関する試験。
【0378】
RNPの形成および送達
【0379】
10pmolのNLS-Cas9-NLSタンパク質(Aldevron)を30pmolの合成sgRNAと合わせて総体積20μLにし、10分間にわたって複合体を形成させた。このインキュベーション中、細胞を収集し、計数した。RNP溶液に細胞溶液5μLを1μL当たり細胞4×10個の濃度で添加し、穏やかに混合した。
【0380】
4D-ヌクレオフェクターシステム(Lonza)を20μLフォーマットで使用して細胞+RNP溶液をトランスフェクトした。トランスフェクションは製造者のプロトコールに従って行った。トランスフェクション後、細胞を培養培地中に回収し、96ウェルプレートにプレーティングした。
【0381】
CRISPRオフ不活性化
【0382】
CRISPRオフ不活性化を、Sunray 600 UV Flood Lamp(Uvitron International)を使用して実施した。345nmおよび355nmの6.5インチ×6.5インチの色ガラス代替ロングパスフィルターをNewport.comから入手し、特注の3Dプリントした容器に乗せた。
【0383】
正立顕微鏡を使用した不活性化を、Zeiss Axios Observerを使用し、Colibriの7つのフレキシブルな光源および385nmのLEDを用いて実施した。
【0384】
ゲノム解析
【0385】
DNA QuickExtract(Lucigen)を使用し、製造者のプロトコールに従ってゲノムDNAを単離した。収集後、抽出物溶液を65℃で15分間、68℃で15分間、その後、98℃で10分間インキュベートした。ゲノムPCRを、AmpliTaq Gold 360マスターミックス(Thermo Fischer)を使用し、表1に見出されるプライマー配列を使用して実施した。サンガー配列決定後、インデルの存在をICE(Synthego)によって解析した。
【0386】
図34A~34Cは、上記の通りCas9ヌクレアーゼと複合体を形成した18種の異なるsgRNAによって観察されたパーセント編集を示す。図34Aは、それぞれDNMT1を標的とする、Cas9ヌクレアーゼと複合体を形成した6種の異なるsgRNAにおいて観察されたパーセント編集を示す。sgRNAは、標準(Mod)または21位、24位、50位、57位、または74位に単一の切断可能なリンカーを有するものである。図34Bは、それぞれFANCFを標的とする、Cas9ヌクレアーゼと複合体を形成した6種の異なるsgRNAにおいて観察されたパーセント編集を示す。sgRNAは、標準(Mod)または21位、24位、50位、57位、または74位に単一の切断可能なリンカーを有するものである。図34Cは、それぞれVEGFAを標的とする、Cas9ヌクレアーゼと複合体を形成した6種の異なるsgRNAにおいて観察されたパーセント編集を示す。sgRNAは、標準(Mod)または21位、24位、50位、57位、または74位に単一の切断可能なリンカーを有するものである。
【0387】
(実施例20)
光への曝露後のCRISPRオフの断片化を検出するための液滴PCR
【0388】
デジタル液滴PCR
【0389】
細胞RNAを、DNaseを伴わないRNA QuickExtract(Lucigen)を使用して抽出した。RNAを、RiboGreen(Thermo Fisher)を使用して数量化し、正規化した。
【0390】
CRISPRオフ不活性化を、Sunray 600 UV Flood Lamp(Uvitron International)を使用して実施した。345nmおよび355nmの6.5インチ×6.5インチの色ガラス代替ロングパスフィルターをNewport.comから入手し、特注の3Dプリントした容器に乗せた。
【0391】
正立顕微鏡を使用した不活性化を、Zeiss Axios Observerを使用し、Colibriの7つのフレキシブルな光源および385nmのLEDを用いて実施した。
【0392】
全RNAを、iScript Advanced cDNA Synthesis Kit(BioRad)を使用し、0.4μMの転写用リバースプライマーを用いて逆転写した。逆転写産物を、2×EvaGreen ddPCR Mastermixおよび95℃で3分間の熱サイクル、その後、95℃で30秒間および52.4℃で1分の40サイクルを使用して増幅した。次いで、シグナルを4℃で5分間にわたって安定化し、その後、90℃で5分間にわたって不活性化した。次いで、液滴をQX200 Droplet Digital PCR System(BioRad)によって読み取った。
【0393】
表4:ddPCR試薬:
【表4】
【0394】
図29は、標準sgRNAと比較した、光への曝露後のCRISPRオフの存在量の減少を実証するグラフを示す。
【0395】
(実施例21)
1-(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-4-イル)プロピルの調製
【0396】
ホスホロアミダイト化合物3(3-(ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)-1-(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-4-イル)プロピル(2-シアノエチル)ジイソプロピルホスホロアミダイト)をWenzel et al. (2003)(NUCLEOSIDES、NUCLEOTIDES & NUCLEIC ACIDS, Vol. 22, Nos. 5-8, pp. 1579-1581)に開示されている方法に従い、アルデヒド化合物1(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-4-カルバルデヒド)とアリルトリメチルシランをTiClの存在下で反応させることによって合成する。次に、前の化合物のオゾン分解およびNaBHを用いた還元ワークアップによってジオール化合物2(7-(ジエチルアミノ)-4-(1,3-ジヒドロキシプロピル)-2H-クロメン-2-オン)を生成する。2のジメトキシトリチル化、その後のホスフィチル化により、ホスホロアミダイト化合物3を優れた収量で得る。
【化14】
【0397】
(実施例22)
1-(7-(ジエチルアミノ)-2-オキソ-2H-クロメン-4-イル)プロピルとヌクレオチドの連結
【0398】
化合物3の添加後に形成されたリンカーを有するRNAのDMT(DMT=4,4’-ジメトキシトリチル)保護基を酸により触媒される脱トリチル化反応で除去した。脱トリチル化RNAは、ヌクレオシドホスホロアミダイト単量体の形態で添加されるヌクレオチドと反応する準備ができている。妥当なヌクレオシドホスホロアミダイトを性化因子(テトラゾールまたは誘導体)と混合する。これらの両方をアセトニトリルに溶解させる。ヌクレオシドホスホロアミダイトのジイソプロピルアミノ基が活性化因子によりプロトン化され、それにより、良好な脱離基に変換される。これは脱トリチル化RNAの脱保護されたヒドロキシル基によるその近くのリン原子に対する攻撃によって急速に除かれ、新しいリン-酸素結合が形成され、それにより、ホスファイトトリエステル結合が創出される(すぐ下の図に示されている通り)。ヌクレオシドホスホロアミダイトは不活性雰囲気中で合理的に安定であり、多量に調製することができる。
【0399】
【化15】
【0400】
Xは、O、S、H、OTBDMS(O-tert-ブチルジメチルシリルエーテル)、ジシアノメチレンまたはOMeであり得る。
【0401】
一部の実施形態では、ホスホロアミダイトリンカー化合物3のジイソプロピルアミノ基が活性化因子によってプロトン化され、それにより、良好な脱離基に変換される。これは、ヌクレオシド塩基の3’または5’ヒドロキシル基の攻撃によって急速に除かれ、新しいリン-酸素結合が形成される(すぐ下の図に示されている通り)
【化16】
【0402】
Xは、H、OTBDMS(O-tert-ブチルジメチルシリルエーテル)、またはOMeであり得る。
【0403】
前述の例に記載されているホスホロアミダイト法は、一般に、4つのステップ:ステップ1(脱トリチル化)、ステップ2(カップリング)、ステップ3(キャップ形成)、およびステップ4(酸化)を含むことが当業者には理解されよう。
【0404】
本発明の好ましい実施形態が本明細書において示され、記載されているが、そのような実施形態が単に例として提供されていることは当業者には明白であろう。当業者は、本発明から逸脱することなく多数の変形、変化および置換をすぐに思いつくであろう。本明細書に記載の発明の実施形態に対する種々の代替を本発明の実施に任意の組合せで使用することができることが理解されるべきである。以下の特許請求の範囲により本発明の範囲が定義されること、ならびに、それにより、これらの特許請求の範囲内の方法および構造およびそれらの等価物が包含されることが意図されている。

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【国際調査報告】