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特表2022-523328治療に対する応答での患者における疾患の進行および退行をモニタリングするための組成物および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-22
(54)【発明の名称】治療に対する応答での患者における疾患の進行および退行をモニタリングするための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20220415BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20220415BHJP
   C12Q 1/6897 20180101ALI20220415BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20220415BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20220415BHJP
   A61P 15/00 20060101ALI20220415BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20220415BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20220415BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220415BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220415BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20220415BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220415BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20220415BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220415BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20220415BHJP
   G01N 33/15 20060101ALI20220415BHJP
   A61K 45/00 20060101ALN20220415BHJP
   A61K 49/00 20060101ALN20220415BHJP
【FI】
G01N33/68
G01N33/53 Y
C12Q1/6897 Z
A61P3/00
A61P9/00
A61P15/00
A61P17/02
A61P21/00
A61P25/28
A61P29/00
A61P31/00
A61P35/00
A61P37/08
A61P37/02
G01N33/50 Z
G01N33/15 Z
A61K45/00
A61K49/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544678
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(85)【翻訳文提出日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 US2020015831
(87)【国際公開番号】W WO2020160234
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】62/800,089
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520484025
【氏名又は名称】グリンプス バイオ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バティア, サンギータ
(72)【発明者】
【氏名】クォン, ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】ファン, エリック
(72)【発明者】
【氏名】バナジー, スルシェンドゥ ルーポム
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレン, アンドリュー デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】カザナベ, ソフィー
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
4C084
4C085
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045AA26
2G045CB01
2G045CB02
2G045DA36
2G045FB01
2G045FB03
2G045FB07
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ08
4B063QR48
4B063QS32
4B063QS33
4B063QX02
4C084AA17
4C084NA05
4C084NA06
4C084NA07
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZA361
4C084ZA362
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZA891
4C084ZA892
4C084ZA941
4C084ZA942
4C084ZB071
4C084ZB072
4C084ZB111
4C084ZB112
4C084ZB131
4C084ZB132
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB321
4C084ZB322
4C084ZC211
4C084ZC212
4C085HH11
4C085KA27
4C085KB02
4C085KB74
4C085LL05
4C085LL12
4C085LL13
4C085LL18
(57)【要約】
本発明は、疾患変化および/または薬物応答の経時的モニタリングのための方法を提供する。複数の時点で、組成物が対象の体内に導入され(組成物は、治療的介入の知られている活性に伴う酵素が体内に存在するときには身体の組織において生じる酵素切断を介して遊離する複数のレポーターを含む活性センサーを含む)、レポーターが、疾患状態および/または薬物応答における変化に対して相関させられる対象における疾患関連酵素の活性レベルを決定するために検出される。報告または治療応答プロフィルがさらに、臨床試験を支援するために、また、対象における疾患の進行または退行の経時的モニタリングのために使用され得る。処置を受ける予想される臨床試験参加者または実際の臨床試験参加者あるいは患者が、決定された活性レベルに基づいて認定され得、階層化され得、または病期分類され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
経時的に複数の時点での測定を行うことによって、疾患状態における変化を、前記疾患のための治療的処置を受けた対象においてモニタリングする工程
を含む、薬物応答についての経時的モニタリング方法であって、それぞれの測定が、
検出可能なレポーターを含む活性センサーを前記対象に投与する工程であって、前記検出可能なレポーターが前記疾患の状態に比例して前記活性センサーから放出される、工程、
前記検出可能なレポーターを前記対象からのサンプルにおいて検出する工程、および
前記検出可能なレポーターの量を疾患状態に対して相関させる工程
を含む、方法。
【請求項2】
複数の時点での前記測定により、前記治療的処置に対する応答での、または治療的処置が終了した後での前記患者における前記疾患の進行または退行が明らかにされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記疾患を有する前記患者についての前記治療的処置の利益を複数の時点での前記測定に基づいて予測する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記治療的処置における変更を複数の時点での前記測定に基づいて推奨する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
複数の時点での前記測定により、前記患者における前記疾患の進行または退行の速度が明らかにされる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記対象における前記疾患の病期を判定することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記疾患が、アレルギー、心臓血管疾患、変性疾患、神経学的疾患、食事性疾患、遺伝性疾患、免疫疾患、炎症性疾患、感染性疾患、代謝性疾患、癌、臓器疾患、妊娠、筋傷害または外傷性疾患を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記疾患が癌である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記サンプルにおける前記検出可能なレポーターの測定されたレベルを前記癌の病期に対して相関させる工程、および前記対象における前記癌の病期を記載する報告を提供する工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記対象における腫瘍が薬物または治療的処置にどのように応答するかをモニタリングする工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の検出可能なレポーターが複数の酵素のための基質であり、前記酵素の少なくともいくつかが、健常な組織または細胞と比較して、前記疾患に冒される組織における示差的な活性レベルを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記酵素の1つが、前記疾患に冒される組織における示差的な活性レベルを示さず、ベースライン酵素活性レベルを示すために使用される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記酵素の1つが、前記疾患に対する1またはそれを超える併存症を表す、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
それぞれの活性センサーが、
1つまたは複数の分子サブユニットと、複数の前記検出可能なレポーターとを含むキャリアを含み、前記検出可能なレポーターのそれぞれが、酵素の切断部位を含有する切断可能なリンカーによって前記キャリアに連結される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記キャリアが、ポリエチレングリコール(PEG)サブユニットからなる20~60kDaの骨格、組織特異的もしくは器官特異的な抗体、または代替となる合成キャリアを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
それぞれのレポーターおよび切断可能なリンカーが、指定の疾患または状態に伴うことが知られているプロテアーゼによる切断を受けやすいポリペプチドを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
薬物効力を判定する方法であって、
検出可能なレポーターを含む活性センサーを、臨床試験に参加する対象または薬物処置を受ける対象に投与する工程であって、前記検出可能なレポーターが、疾患に冒される身体において所与の場所における前記活性センサーから放出される、工程、
前記レポーターを前記対象からのサンプルにおいて検出する工程、および
前記サンプルにおける前記レポーターの測定を、前記疾患に関して前記対象に与えられる薬物の効果に対して相関させる工程
を含む、方法。
【請求項18】
プラセボが投与される対象または現在治療を受けていない対象からの対照と比較して、前記レポーターのある特定のレポーターの量における低下または増大が、前記疾患に関しての前記薬物の効力を表す、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記疾患の病期または治療に対する応答を判定することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記薬物の投薬量を判定された効力に対して相関させる報告を提供する工程をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記報告が、前記薬物に応答した個々の対象についての、または少なくとも前記薬物に応答した試験参加者の部分集団に関しての服用情報を要約する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
薬物応答を前記対象において経時的にモニタリングする工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、治療に対する応答での患者における疾患変化の経時的モニタリングのための方法および組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
背景
多くの疾患が有痛性の症状を有しており、日常生活を著しく妨げ、または致命的でさえある。いくつかの事例において、研究者らは、疾患を治癒させる、または少なくともその症状を緩和させる可能性を有する薬物を既に発見している。しかしながら、新しい薬物または薬物組み合わせが使用される前には、この処置が安全かつ有効であることが立証されなければならない。
【0003】
多くの重要なヒト疾患において、医師および薬物開発者は、薬物または薬物の組み合わせが疾患の処置において効果的であるかどうかを評価するためのツールが限られている。薬物開発者は、治療応答を患者において判定するために組織病理学、画像化または他の診断方法に頼ることが多く、しかしながら、これらの方法は、疾患の進行または退行における変化を示すには(数年にまで及ぶ)非常に長い期間を要する可能性がある。したがって、臨床試験では、また臨床診療では、薬物応答を患者において迅速かつ非侵襲的にモニタリングするためのより良いツールが求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
要旨
本発明は、疾患活性を対象において示し、かつ疾患状態変化および/または薬物応答の経時的モニタリングのために有用である方法および組成物を提供する。経時的な患者モニタリングの期間中において、本発明の方法および組成物は、薬物または治療的介入の効力を明らかにするために、治療応答を経時的にモニタリングするために、そして再発および寛解を検出するために有用である。本開示の組成物は、対象に投与されたとき、検出可能なレポーターを放出する活性センサーを含む。検出可能なレポーターは、対象の組織内または身体区画内におけるある特定の疾患関連状態のもとで放出される。例えば、活性センサーは、体内で疾患関連酵素に遭遇すると、検出可能なレポーターを放出し得る。レポーターが対象からのサンプルにおいて検出されることにより、疾患の存在または病期が示され、その上、対象における疾患関連活性の速度の目安を与えることさえできる。本発明の組成物を使用する試験を、非侵襲的に、迅速に、かつX線などの画像化を必要とすることなく施し、判読することが可能である。
【0005】
本明細書中に記載される組成物および方法を使用する場合、経時的モニタリングが、本開示の合成バイオマーカーおよび関連した組成物を使用して薬物応答について行われる。経時的モニタリングは一般に、経時的な複数の測定によって示される生理学的状態における活性センサー速度または変化の反復した患者内測定を伴う。繰り返し測定が、患者の疾患が安定しているかどうかを判定するために、または患者が処置にどのように応答しつつあるかを示すために、または処置(例えば、外科的介入など)の効果を明らかにするために使用され得る。加えて、または代替において、様々な組成物および方法が、対象の集団をスクリーニングすることにおいて有用である。大きい集団が、特定の疾患状態を検出するために、または除外するために、迅速かつ効果的にスクリーニングされ得る。同様に、疾患に罹患した対象のコホートが、疾患に対する薬物の効果を検出し、定量化するためにアッセイされることが可能である。したがって、本開示の組成物および方法は、薬物治療を受ける患者の臨床試験および経時的患者モニタリングを支援するためのツールを提供する。特に、本発明は、対象集団の迅速かつ安価な認定、ならびに臨床試験設計または薬物選択およびそれらの組み合わせにおける適合化を可能にする。本発明はまた、薬物に対する対象の応答を迅速に判定するために有用である方法および組成物を提供する。
【0006】
本開示の組成物は、経時的患者モニタリング、精密医療(例えば、個別化された処置を特定すること)、臨床試験における患者認定、患者コホートの臨床試験の戦略および設計を定義すること、同様にまた、単独療法または併用療法を伴う臨床試験の続行/中断の決定のために特に有用である。組成物は、最小限に侵襲的な様式で投与することができ、有益な結果を迅速に(例えば、数時間の程度で)もたらすことができる。したがって、組成物は、臨床医のための、かつ、対象の大集団をスクリーニングして、試験参加者の予想されるコホートを特定するためのツール、同様にまた、臨床医が対象における疾患の進行または退行を経時的様式でモニタリングするためのツールを提供する。
【0007】
薬物処置を受ける対象について、組成物により、参加者が臨床試験または臨床診療において処置に応答しつつあるかどうかを表す活性が検出される。例えば、活性センサーが、腫瘍がサイズ的に成長しつつあるかどうか、または縮小しつつあるかどうか、疾患の活性または進行の速度、薬物の特定の投薬量が効果的であるかどうか、および参加者が処置に応答する可能性があるかどうかを検出するために設計され得る。
【0008】
本発明はまた、応答が認められるか否かを単に示すだけである代わりに、参加者における応答のタイプをプロファイリングすることを可能にする。例えば、ある特定の薬物が疾患の処置に向けられる場合があり、しかし、これらの薬物が、この疾患を処置する異なる方法に向けられる場合がある。例えば、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)のような疾患において、1つの薬物が抗線維化薬物である場合があり、一方で、別の薬物が抗炎症性または抗NASH性である。薬物が参加者の体内で引き起こす活性を検出することにより、参加者が処置に応答した理由または応答しなかった理由を理解するときの洞察がもたらされ得る。
【0009】
加えて、本発明は、対象が処置に応答しようとしているかどうかを検出するために使用され得る。一例において、対象が腫瘍と診断されている。この対象はチェックポイント遮断薬物により処置され得る。チェックポイント遮断を施した後で、腫瘍はサイズ的に成長し続けるので、この対象は、処置に対して非応答性であるように見える場合がある。しかしながら、体内の活性を検出することができるために、本発明では、成長が免疫細胞の流入に由来することが検出され得る。したがって、腫瘍がたとえサイズ的にまだ縮小していなくても、対象は処置に対して応答性である場合があり、サイズ減少が今にも起こり得る。疾患活性をインビボにおいて分子レベルで感知することによって、本発明は、変化が組織病理学、画像化または他の予後判定法により識別可能であるよりもかなり前に、薬物治療に対する応答者および非応答者を予測し得る。
【0010】
本開示の方法によれば、活性センサーを含む組成物が、どのような手段であれ好適な手段によって、例えば、注射などによって対象に、または臨床試験の実際の参加者もしくは可能性のある参加者に、または臨床診療において導入される。一旦体内に入ると、活性センサーは、特定の疾患に伴う酵素によって活性センサーから切断される際に遊離しやすい複数のレポーターをもたらす。そうならば、遊離したレポーターが検出される場合があり、結果から、体内に存在する酵素活性が表される。その酵素活性は疾患または状態に特徴的である場合があり、それらの結果が、個体を臨床試験および経時的疾患モニタリングのために認定し、階層化するために使用され得る。その酵素活性はまた、参加者が薬物処置にどのように応答しつつあるかに特徴的である場合があり、そのため、処置のモニタリングのために、また、効力を臨床試験および臨床診療において判定するために使用される。
【0011】
ある特定の局面において、本発明により、疾患活性を対象においてプロファイリングするための様々な経時的モニタリング方法が提供される。本方法は、疾患の存在下で放出される複数の検出可能なレポーターを含む複数の活性センサーを対象に投与すること、および検出可能なレポーターを対象からのサンプルにおいて検出することを含む。好ましくは、検出は経時的に複数の時点で行われる。本方法は、薬物応答についての経時的モニタリングのために有用である。本方法は、対象を特定の処置に応答しつつあるとして特定することを含む場合がある。すなわち、個別化医療用途において、本方法は、例えば、処置決定を支援するために臨床医または支払者によって使用され得る。本方法は、サンプルにおける検出可能な標識の有無に基づいて、臨床試験に含めるために対象を認定することを含む場合がある。本方法はさらに、集団のメンバーを、活性センサーを使用して試験すること、および疾患に冒される第1の集団を特定することを含む場合がある。臨床試験のためのコホートとしての第1の集団の要約および人口統計学情報を含む報告がもたらされ得る。報告により、対象が人口統計学情報または医学情報に基づいて階層化され得る。報告により、治療的処置に応答するであろう対象が特定され得る。報告により、疾患に罹患していない第2の集団がさらに、すなわち、コホートのための対照群を認定するために特定され得る。
【0012】
いくつかの実施形態において、複数の活性センサーのそれぞれが、特異的酵素による切断を受けやすい複数のレポーターを含む。したがって、複数の活性センサーは、そのようなレポーターがどのような一組の酵素と対象の体内で遭遇するかに依存して異なる検出可能なレポーターを放出するであろう。好ましくは、活性センサーは、疾患状態のもとで示差的に発現される酵素を含む一組の酵素に対して感受性である。この一組には、対象のベースライン酵素活性レベルを示すために有用である健常な組織を表す少なくとも1つの酵素が含まれる場合がある。様々な一組には、疾患に対する1またはそれを超える併存症を表す1またはそれを超える酵素が含まれる場合がある。好ましくは、それぞれの活性センサーがキャリアおよび複数のレポーターを含む。それぞれのキャリアが1つまたは複数の分子サブユニットを含む場合がある。複数のレポーターにおけるそれぞれのレポーターが、酵素(例えば、プロテアーゼなど)の切断部位を含有する切断可能なリンカー(例えば、ペプチド)によってキャリアに連結され、この場合、1またはそれを超える酵素による1またはそれを超えるレポーターの切断により、酵素活性が表される。1つの実施形態において、キャリアは、共有結合により連結されたPEGサブユニットからなる30~50kDaのポリエチレングリコール(PEG)骨格を含む。1つの実施形態において、それぞれのレポーターおよび切断可能なリンカーが、指定の疾患または状態に伴うことが知られているプロテアーゼによる切断を受けやすいポリペプチドを含む。
【0013】
好ましくは、検出可能なレポーターは、高まった活性レベルを疾患に冒された組織において少なくともいくつかが示す複数の酵素のための基質である。いくつかの実施形態において、酵素の少なくとも1つが、高まった活性レベルを疾患に冒された組織において示さず、ベースライン酵素活性レベルを示すために使用される。必要に応じて、酵素の1つにより、疾患または状態に対する1またはそれを超える併存症が表される。
【0014】
ある特定の実施形態において、それぞれの活性センサーが、1つまたは複数の分子サブユニットと、複数の検出可能なレポーターとを含むキャリアを含み、この場合、検出可能なレポーターのそれぞれが、酵素の切断部位を含有する切断可能なリンカーによってキャリアに連結される。キャリアは、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)サブユニットからなる20~60kDaの骨格(好ましくは約40kDa)である場合がある。それぞれのレポーターおよび切断可能なリンカーが、指定の疾患または状態に伴うことが知られているプロテアーゼによる切断を受けやすいポリペプチドを含む場合がある。
【0015】
本開示の組成物は、どのような方法であれ好適な方法によって、例えば、注射または摂取などによって個体に導入され得る。組成物が個体において酵素活性に遭遇するために十分に長い期間である好適な期間の後で、サンプルが個体から採取される。例えば、尿サンプルが約1時間後に採取され得る。サンプルはその後、どのような方法であれ好適な試験方法によって、例えば、質量分析法などによって試験される。試験の結果は、指定の酵素活性が体内に存在することを示しており、それにより治療プロフィルを個体に提供する。
【0016】
したがって、本発明は、個体の治療プロフィルを決定するために酵素活性について試験を行う方法を提供する。例えば、特定の酵素活性を検出するために設計される組成物を注射し、続いて尿サンプル採取を短い待機期間の後で行うことは、液体細胞診、組織生検または他の試験方法よりも時間がかからず、かつ身体的負担が少ない試験方法である。
【0017】
本方法のある特定の実施形態において、対象を認定すること、または薬物に対する患者応答をモニタリングすることは、疾患の病期を対象において判定することを含む。疾患には、アレルギー、心臓血管疾患、変性疾患、食事性疾患、遺伝性疾患、免疫疾患、感染性疾患、代謝性疾患、癌、臓器疾患、妊娠、筋傷害または外傷性疾患が含まれる場合がある。いくつかの実施形態において、疾患は癌である。様々な方法がさらに、対象における腫瘍が薬物または治療的処置にどのように応答するかをモニタリングすることを含む場合がある。
【0018】
本開示の様々な局面により、薬物の効力を判定するための様々な方法が提供される。本方法は、臨床試験に参加する対象または医師によって処置されている対象に、疾患に冒される身体において所与の場所で活性センサーから放出される検出可能なレポーターを含む活性センサーを投与すること、レポーターを対象からのサンプルにおいて検出すること、およびサンプルにおけるレポーターの測定を、疾患に関して対象に与えられる薬物の効果に対して相関させることを含む場合がある。いくつかの実施形態において、プラセボが投与される対象または現在処置を受けていない対象からの対照と比較して、レポーターのある特定のものの量における低下が、疾患に関しての薬物の効力を表す。本方法は、疾患の病期または病期の変化を判定することを必要に応じて含み、あるいは薬物応答を対象において経時的にモニタリングすることを含む場合がある。本方法はさらに、薬物の投与量を決定された効力に対して相関させる報告を与えることを含む場合がある。好ましくは、報告では、少なくとも薬物に応答した対象の部分集団に関しての服用情報が要約される。
【0019】
ある特定の局面において、本発明により、疾患活性を対象においてプロファイリングするための方法が提供される。本方法は、疾患関連酵素によって遊離させられる複数の検出可能なレポーターを含む活性センサーを含む組成物を対象の体内に導入することを含む。本方法は、検出可能なレポーターを対象からのサンプルにおいて検出すること、および、検出されたレポーターが対象における所定の疾患状態を示しているときには、対象を臨床試験のための報告に含めることを含む。報告には、以下のことが含まれる場合がある:疾患活性の存在に基づいて臨床試験における参加について認定される対象;薬物またはプラセボに対する対象の応答;人口統計学情報または医学情報に基づいて階層化される対象;他の情報;あるいはそれらの組み合わせ。報告により、治療的処置に応答するであろう対象が特定され得る。報告は、薬物処置またはプラセボ処置に対する対象の応答を経時的にモニタリングするために使用され得る。
【0020】
いくつかの実施形態において、活性センサーが対象に導入され、レポーターが、対象に薬物が投与される前において、また、対象に薬物が投与された後において両方で検出される。疾患は、アレルギー、心臓血管疾患、変性疾患、食事性疾患、遺伝性疾患、免疫疾患、感染性疾患、代謝性疾患、癌、臓器疾患、妊娠、筋傷害または外傷性傷害である場合がある。ある特定の実施形態において、疾患は癌である。本方法は、対象における腫瘍が薬物または治療的処置にどのように応答しつつあるかをモニタリングすることを含む場合がある。
【0021】
好ましくは、検出可能なレポーターは、高まった活性レベルを疾患に冒された組織において少なくともいくつかが示す複数の酵素のための基質である。いくつかの実施形態において、酵素の少なくとも1つが、高まった活性レベルを疾患に冒された組織において示さず、ベースライン酵素活性レベルを示すために使用される。必要に応じて、酵素の1つにより、疾患または状態に対する1またはそれを超える併存症が表される。
【0022】
ある特定の実施形態において、それぞれの活性センサーが、1つまたは複数の分子サブユニットと、複数の検出可能なレポーターとを含むキャリアを含み、この場合、検出可能なレポーターのそれぞれが、酵素の切断部位を含有する切断可能なリンカーによってキャリアに連結される。キャリアは、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)サブユニットからなる20~60kDaの骨格(好ましくは約40kDa)である場合がある。それぞれのレポーターおよび切断可能なリンカーが、指定の疾患または状態に伴うことが知られているプロテアーゼによる切断を受けやすいポリペプチドを含む場合がある。
【0023】
様々な方法が、組成物を対象の体内に導入することによって対象の治療応答プロフィルを決定するために使用され得る。治療応答プロフィルは、薬物に対する対象の応答をモニタリングするために使用され得る。例えば、活性センサーが対象の身体に導入される場合があり、レポーターが検出され得る。モニタリング目的のために、このプロセスが、対象に薬物が投与される前に行われ、そして対象に薬物が投与された後で再び行われる。
【0024】
必要に応じて、治療応答プロフィルは疾患または生理学的状態の進行を示している。生理学的状態または疾患は、好適な生理学的状態または疾患をどのようなものであれ含む場合がある。例えば、生理学的状態または疾患は、アレルギー、心臓血管疾患、変性疾患、食事性疾患、遺伝性疾患、免疫疾患、感染性疾患、代謝性疾患、癌、臓器疾患、妊娠、筋傷害または外傷性疾患を含む場合がある。ある特定の実施形態において、疾患は癌であり、本発明は、対象における腫瘍が薬物または治療的処置にどのように応答しつつあるかをモニタリングする。
【0025】
本発明の1つの実施形態において、組成物は、特異的酵素による切断を受けやすいレポーターによりそれぞれがプログラムされる複数の活性センサーを含む。特異的酵素が、健常な組織を表し、それにより、対象のベースライン酵素活性レベルを示している。別の特異的酵素が疾患または状態を表す。他の特異的酵素が、疾患または状態に対する1またはそれを超える併存症を表す。
【0026】
1つの実施形態において、活性センサーはキャリアおよび複数のレポーターを含む。それぞれのキャリアが1つまたは複数の分子サブユニットを含む。複数のレポーターにおけるそれぞれのレポーターが、酵素の切断部位を含有する切断可能なリンカーによってキャリアに連結され、この場合、1またはそれを超える酵素による1またはそれを超えるレポーターの切断により、酵素活性が表される。1つの実施形態において、キャリアは、共有結合により連結されたPEGサブユニットからなる30~40kDaのポリエチレングリコール(PEG)骨格を含む。1つの実施形態において、それぞれのレポーターおよび切断可能なリンカーが、指定の疾患または状態に伴うことが知られているプロテアーゼによる切断を受けやすいポリペプチドを含む。
【0027】
本発明は、臨床試験を支援する方法、および経時的疾患モニタリングのための方法を提供する。組成物が、疾患のための処置を受ける予想される臨床試験参加者または実際の臨床試験参加者あるいは患者の体内に導入される。組成物は、酵素的切断を介して遊離する複数のレポーターを含む活性センサーを含む。治療的介入の知られている活性に関連する酵素が体内に存在するとき、酵素的切断が身体の組織において生じる。1またはそれを超える遊離したレポーターが、疾患のための処置を受ける予想される臨床試験参加者または実際の臨床試験参加者あるいは患者の治療応答プロフィルを決定するために検出される。予想される臨床試験参加者または実際の臨床試験参加者、すなわち、処置を受ける患者が、治療応答プロフィルに基づいて階層化される。
【0028】
治療応答プロフィルは患者における生理学的状態を示している。1つの実施形態において、生理学的状態は疾患を含み、治療応答プロフィルはさらに、疾患の病期分類を示している。ある特定の実施形態において、生理学的状態は疾患前の状態を含む。疾患前の状態により、予想される臨床試験参加者または実際の臨床試験参加者が臨床試験のために、または治療に対する応答の継続的なモニタリングのために認定され得る。
【0029】
1つの実施形態において、本発明の方法はさらに、薬物または治療的処置に応答するであろう、処置を受ける予想される臨床試験参加者または実際の臨床試験参加者あるいは患者を治療応答プロフィルに基づいて特定することを含む。ある特定の実施形態において、治療応答プロフィルは、薬物または1クールの処置を施す前および施した後において治療応答プロフィルを決定することによって薬物または1クールの処置に対する臨床試験参加者または患者の応答をモニタリングするために使用される。1つの局面において、治療応答プロフィルは、施された薬物または1クールの処置に対する臨床試験参加者の応答性を示している。他の局面において、治療応答プロフィルは、指定用量の薬物または1クールの処置に対する臨床試験参加者または患者の応答性を示している。他の実施形態において、治療応答プロフィルは、処置を受ける臨床試験参加者または患者についての薬物または1クールの処置の効力または有効性を示している。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は薬物応答の経時的モニタリングの方法を例示する。
図2図2は、ある特定の実施形態による方法を示す。
図3図3は本発明の活性センサーの実施形態を例示する。
図4図4は、本発明を使用する方法を例示する。
図5図5は、組成物または活性センサーカクテルを設計するための方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
詳細な説明
本発明は、疾患活性を対象において示し、かつ疾患状態変化および/または薬物応答の経時的モニタリングのために有用である方法および組成物を提供する。特定の実施形態において、本発明は、経時的モニタリングおよび個別化医療のために、同様にまた、研究参加者の募集、強化、認定および階層化のために有用である。本発明はまた、処置の効力を検出するために、処置に対する応答を経時的にモニタリングするために、また、再発および寛解を検出するために有用である。レポーターが対象からのサンプルにおいて検出されることにより、疾患の存在、疾患の病期、および対象における疾患活性の速度またはレベルが示され得る。本発明の組成物を使用する試験を、非侵襲的に、迅速に、かつX線または他のモダリティによる画像化を用いることなく施し、判読することが可能である。
【0032】
本開示の組成物は、薬物に対する対象の応答性、および処置の効力を判定するために使用され得る。例えば、組成物を複数の時点で投与し、試験して、疾患の変化または進行または寛解における経時的な傾向を観察するために読み取ることが可能である。対象が処置を受けていたか、または組成物が診断的に使用されているかどうかにかかわらず、組成物は、体内の活性を測定するために使用され得る。したがって、本発明は、単に疾患の効果だけの代わりに、疾患のさらなる理解をもたらす。様々な組成物が、疾患を研究するために、および/または他の関連活性を研究するために使用され得る。例えば、疾患の活性または進行が検出され得る(例えば、腫瘍の成長速度など)。薬物処置を受ける対象については、組成物は、参加者が処置に応答しつつあるかどうかを表す活性を検出するために使用され得る。例えば、活性センサーが、腫瘍がサイズ的に成長しつつあるかどうか、または縮小しつつあるかどうか、疾患の活性または進行の速度、薬物の特定の投薬量が効果的であるかどうか、および参加者が処置に応答する可能性があるかどうかを検出するために設計され得る。
【0033】
本発明はまた、参加者が処置に応答するかどうかの2値超の応答を可能にする。本発明は、応答が認められるか否かを単に示すだけである代わりに、参加者における応答のタイプをプロファイリングすることをもたらす。例えば、ある特定の薬物が、疾患を処置するために使用され得る。しかしながら、これらの薬物は、その疾患を処置する異なる方法に向けられる場合がある。非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)のような疾患を処置するとき、1つの薬物が抗線維化薬物である場合があり、別の薬物が抗炎症性または抗NASH性の薬物である場合がある。薬物が参加者の体内で引き起こす活性を検出することにより、参加者が処置に応答した理由または応答しなかった理由に関する洞察がもたらされる。
【0034】
加えて、本発明は、対象が処置に応答しようとしているかどうかを検出するために使用され得る。例えば、対象は、チェックポイント遮断薬物により処置された腫瘍または何度も処置されている腫瘍を有し得る。チェックポイント遮断を施した後で、腫瘍はサイズ的に成長し続けるので、この対象は、処置に対して非応答性であるように見える場合がある。しかしながら、本発明は体内の活性を検出するので、本発明では、成長が免疫細胞の流入に由来することが検出され得る。したがって、対象は処置に対して非応答性であり、しかし、それどころか処置に応答しようとしている。
【0035】
本発明の活性センサーは、非酵素的な活性から生物において生じるシグナルを検出し得る。一例として、活性は立体配座に関連づけられる場合があり、活性センサーは、酸、シアー(sheer)または競合的結合事象を検出し得る。例えば、活性センサーにより、機械的事象の結果が検出される場合があり、例えば、細胞損傷時または膜損傷時に圧迫される赤血球からの漏出などが検出され得る。一例として、ペプチドは、体内におけるpH変化に基づいて、異なる立体配座を取る場合があり、または異なるように折り畳まれる場合がある。
【0036】
活性センサーによって検出されるシグナルはまた、生物の体内で起こる二次的な相互作用を示し得る。二次的な相互作用は、生物学的に局所的に起こる事象の結果である場合がある。例えば、シグナルAが、細胞が体内で殺傷されることをもたらす活性を示している場合があり、一方、シグナルBが、細胞が殺傷されることからの結果を示している。活性センサーはシグナルAを単独で検出する場合があり、シグナルBを単独で検出する場合があり、また、シグナルAおよびシグナルBを一緒に検出し得る。シグナルAおよびシグナルBが一緒に検出され得るので、活性センサーはより大きい感度および特異性を提供する。検出は、シグナルAおよびシグナルBが身体において局所的に、同じ領域の内部で起こっていること、またはシグナルAおよびシグナルBが異なる場所で起こっていることを示し得る。
【0037】
図1は、薬物応答についての経時的モニタリングのための方法101を示す。方法101は、薬物または薬物組み合わせの効力を判定するための経時的研究の状況で実施され得る。処置を受ける予定である対象または現在受けている対象が含まれる(105)。活性センサーが対象に投与される(119)。方法101は、測定を経時的に複数の時点で(すなわち、経時的様式で)行うことによって、疾患状態における変化を、その疾患のための治療的処置を受けた対象においてモニタリングすることを含む。これらの測定では、疾患の状態に比例して活性センサーから放出される検出可能なレポーターを含む活性センサーを対象に投与することが含まれる(119)。活性センサーは、状態に影響される身体内の場所にまで対象の体内を移動する(125)。その場所において、活性センサーは、非侵襲的に検出することができるシグナルを放出する(129)。サンプルが対象から得られ(131)、アッセイが、サンプルにおけるシグナルを検出するために行われる(135)。レポーターを対象からのサンプルにおいて検出することによって、レポーターの量が疾患状態に対して相関させられる場合がある。様々な実施形態において、多数の測定が経時的に行われるので、方法101は、どのような疾患状態変化であれ対象におけるその経時的な経時的モニタリングを提供する。
【0038】
方法101は好ましくは、複数の活性センサー21を使用する。活性センサー21は、体内の疾患関連活性を測定して、その結果、センサーを使用して測定されるそのような活性のレベルが疾患の進行を示すようにするために、または処置が現在効果的であることを示すようにするために使用される。活性センサーは、処置に対する対象の応答をモニタリングするために、また、処置により現在、疾患が対象において効果的に処置されているか否かを示すために経時的に与えられる場合がある。異なる薬物または薬物組み合わせを、状態を処置するために申し分なく働く薬物または組み合わせを特定するために、異なる対象において、または異なる時間で調べることができる。活性センサーは健康/疾患進行のマーカーを提供し、かつ、このマーカーを非常に迅速に提供する(シグナルを対象からのサンプルにおいて検出することが、活性センサーを投与した数時間以内である場合がある)。活性センサーはまた、発現が疾患状態において調節不全である酵素、および共存症に特異的である他の酵素を含めて多数の酵素の活性を特異的に報告することができる。好ましくは、シグナルは、状態に影響されたときに身体内の場所で発現がアップレギュレーションされる酵素(例えば、細胞外プロテアーゼ)によって放出される活性センサーの断片によってもたらされる。経時的モニタリングのための本方法を使用すると、(プラセボを受ける対照と比較して)対象由来のある特定の断片における低下が状態に関しての処置の効力を表していることが見出され得る。
【0039】
図2は本発明の方法10を例示する。組成物が、プロテアーゼ活性に基づいて設計される(11)。この組成物が対象に投与される(13)。どのような方法であれ好適な導入方法が使用され得る。例えば、組成物は、とりわけ、静脈内注射、摂取および吸入によって対象に導入され得る。組成物における活性センサーが所望の組織に集まる。所望の組織において、切断部位が、活性なプロテアーゼによって切断され、レポーターを活性センサーから遊離させる。指定された期間の後で、例えば、約1時間などの後で、サンプルが対象から採取される(15)。採取されたサンプルは、好適なサンプルであればどのようなものであってもよい。例えば、採取されたサンプルは尿サンプルである。サンプルは、サンプルにおける活性なプロテアーゼによって切断された遊離しているレポーターを検出するために分析される(17)。
【0040】
一組の活性なプロテアーゼは、どのような時間であれ所与の時間で組織において協力して、健康状態の徐々の変化に沿った高感度なマーカーを提供しており、疾患および疾患の病期を示し得る。また、活性センサーは酵素切断には多すぎる数のレポーターをもたらすので、身体からのサンプルにおけるレポーターまたは検出可能な分析物の存在が、各プロテアーゼの活性の速度の目安を与えるために定量的に測定され得る。各酵素の活性の速度はひとまとめにして、疾患の進行速度の即時的な目安として役立つ場合がある。
【0041】
疾患の活性の速度が本発明の組成物によって検出され得る。例えば、線維症は、進行の階級を有する疾患である。階級の一方の端において、組織が線維化しており、酵素活性を呈しないので、患者は、処置不可能であると見なされる場合があり、また、「バーンアウトNASH」を有し得る。線維症を有する対象には、本発明の組成物が、酵素活性を線維化組織において検出するために、したがって、対象が処置に対して応答性となるであろうかどうかを判定するために投与され得る。組織生検または肝硬度が代わりに検出方法として使用されたならば、試験は、対象が線維化組織を有することを示すであろうし、しかし、酵素活性に関する情報は何ら提供されないであろう。したがって、本発明は、他の場合には示されないであろう活性を検出するための経時的に多数の患者内測定を含む個別化医療方法を提供する。従って、本発明は、単に疾患の有無だけである代わりに、オルソゴナル(orthogonal)疾患測定基準の検出を可能にする。
【0042】
どのような方法であれ好適な方法が、遊離したレポーターの検出および分析のために使用され得る。例えば、検出方法には、質量分光測定、クロマトグラフィー、揮発性有機化合物(VOC)、酵素免疫アッセイ、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)など、画像化、例えば、磁気画像化など、呼気分析装置、ならびに、単分子、紙診断、核酸コード化、画像化および対照プローブが含まれる。例えば、レポーターは蛍光性金属ナノ粒子によりバーコード化される場合があり、蛍光性金属ナノ粒子が、レポーターが集まる身体または組織の領域にわたる画像化によって検出される。例えば、サンプルが、(活性センサーから切断されるポリペプチドの質量対電荷比についてアッセイし、結果が質量スペクトルにおいてピークによって示される)質量分光測定によって分析される。
【0043】
好ましい実施形態において、検出方法はELISAである。ELISAを使用する場合、サンプルからの抗原が表面に、例えば、プレートのウエルなどに付着させられる。無関係なタンパク質を含有する緩衝液が、例えば、プレートのウエルにおけるフリーな部位を阻止するために使用され得る。その後、特異的な抗体が、抗原に結合することができるように加えられる。この抗体が酵素に連結される。最終工程において、酵素の基質を含有する物質が加えられ、これにより、検出可能なシグナル、一般には基質における色変化が生じる。
【0044】
検出および分析の結果から、対象の治療応答プロフィルがもたらされ、その後、治療応答プロフィルは対象に報告され得る(19)。例えば、結果から、疾患もしくは状態の存在、疾患の病期分類、および/または組織における疾患の進行速度(例えば、質量スペクトルにおけるピーク)が示されている場合がある。報告はさらに、対象の治療プロフィルを記載する場合があり、また、対象の生理学的状態を示し得る。報告は、対象の診断、モニタリングおよび/または処置のために、また、臨床試験における患者の認定および階層化のために使用され得る。
【0045】
本発明は、治療応答プロフィルを決定する方法を提供する。組成物が対象の体内に導入される。組成物は、治療的介入の知られている活性に関連する酵素が体内に存在するときに身体の組織において生じる酵素的切断を介して遊離する複数のレポーターを含む活性センサーを含む。1またはそれを超えるレポーターが、対象の治療応答プロフィルを決定するために検出される。治療応答プロフィルはさらに、臨床試験を支援するために使用され得る。例えば、治療応答プロフィルは、個体が特定の状態または疾患に罹患することを示し得る。さらに、治療応答プロフィルは、予想される臨床試験参加者または実際の臨床試験参加者を階層化するために使用され得る。例えば、治療応答プロフィルは、個体が特定の1クールの処置または薬物に応答する可能性がより高いことを示し得る。
【0046】
図3は、ある特定の実施形態による活性センサー21を示す。本発明の組成物は複数の活性センサーを含む。それぞれの活性センサー21が、複数のレポーター26が結合しているキャリアまたはコア23を含む。レポーター26は、酵素による切断および遊離を受けやすい。遊離したレポーター27が、特定の疾患または状態に伴う酵素活性を表す。従って、遊離したレポーターが複数の時点で検出されることにより、経時的モニタリングがもたらされる。遊離したレポーターの検出された量が、対象における疾患状態または薬物応答に対して相関させられる場合がある。例えば、疾患がプロテアーゼ(例えば、グランザイムB)の発現を伴う場合、より少ない量のペプチド断片(遊離したレポーター27)が経時的に検出されることにより、疾患の退行および陽性の薬物応答が示され得る。
【0047】
臨床試験支援方法において、遊離したレポーターは、健常または正常な酵素挙動を示している場合があり、したがって、参加者が第I相のために認定され得る。遊離したレポーターは、疾患に伴う酵素活性を示している場合があり、したがって、患者が臨床試験のその後の段階のために、すなわち、第II相~第IV相のために認定され得る。経時的モニタリングのために、活性センサー21が、関連するサンプル採取およびアッセイとともに多数回投与され得る。活性センサー21には、キャリアに連結されるペプチド鎖が含まれ、その結果、検出されたシグナルが、状態に影響されたときに身体内の場所で発現がアップレギュレーションされるプロテアーゼによって放出されるペプチド鎖の断片によってもたらされるようにされる。それぞれのキャリアが、それぞれの活性センサーが1つのプロテアーゼに対して特異的であるように1つだけのペプチド鎖の多数のコピーを含む場合がある。一組のものとしての活性センサーにより、多数のプロテアーゼの活性が報告され得る。そのような一組の活性センサーを、状態が疾患であるときに使用すると、また、この疾患がヒトにおいて現れるときには、多数のプロテアーゼの少なくともいくつかがアップレギュレーションされており、多数のプロテアーゼの少なくとも1つが特異的にアップレギュレーションされていない。
【0048】
さらに、遊離したレポーターは、疾患の特定の病期に伴う酵素活性を示し得る。疾患の病期を表すレポーターの検出により、臨床試験における参加者の認定および階層化が可能になる。参加者には、指定された用量の新しい薬物が与えられる場合があり、その後、処置が、有効性を明らかにするためにモニタリングされ得る。
【0049】
キャリアは、好適なキャリアまたはコアであればどのようなものであってもよい。好ましい実施形態において、キャリアまたはコアはポリエチレングリコール(PEG)ポリマーである。例えば、キャリアは、共有結合により連結されたPEGサブユニットからなる30kDa~40kDaのPEG骨格を含む場合がある。例えば、キャリアは、PEG-MALおよび40kDaの8アーム状PEGから選択され得る。PEGキャリアの使用は、より良好な生物学的利用能、循環時間および安全性をもたらす。ペプチドをPEGに連結することにより、ペプチドが投与の数分以内における腎臓によるクリアランスに耐えることが可能になる。従って、活性センサーおよびレポーターは、組成物を投与した直後に臨床試験参加者から採取されることがある尿サンプルにおいて検出可能である。さらに、PEGとのそのような連結により、より大きい分子構造がもたらされ、細胞への取り込みが制限される。PEGは免疫原性または毒性を有しておらず、それにより、より少ない頻度での投与およびより少ない用量を可能にする。
【0050】
キャリア21がプロテアーゼ29にさらされたとき、プロテアーゼ29はレポーター26を切断部位25において切断する。遊離したレポーターがこの場合、検出可能な分析物27である。遊離したレポーターまたは分析物は、好適な物質であればどのようなものであってもよく、好ましくはアミノ酸、ペプチドまたはポリペプチドである。好ましい実施形態において、活性センサー21のレポーター26は、プロテアーゼの切断部位25を含み、かつ、プロテアーゼによって切断されてレポーターまたは検出可能な分析物27を放出するポリペプチドである。切断部位25をポリペプチドレポーター26に含めることによって、活性センサー21は、どのようなプロテアーゼであれその活性を報告するために設計され得る。好適なプロテアーゼまたはプロテアーゼカテゴリーがどのようなものであれ、活性センサー21によって検索される場合があり、これらには、例えば、システインプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、トレオニンプロテアーゼまたはメタロプロテアーゼが含まれる。さらに、それぞれのレポーターおよび切断可能なリンカーが、臨床試験において試験される処置選択肢に関連する指定の疾患または状態に伴うことが知られているプロテアーゼによる切断を受けやすいポリペプチドを含む場合がある。
【0051】
酵素的切断が本明細書中で議論されるが、他の方法が、レポーターを切断するために使用され得る。光および化学的切断による切断は、酵素活性から生じない切断の限定されない例である。レポーターは、好適なレポーターであればどのようなものであってもよい。ある特定の実施形態において、レポーターは、検出目的のためにバーコード化され得る。好ましい実施形態において、レポーターは、臨床試験において試験される処置選択肢に関連する特定の疾患または状態に伴うプロテアーゼによって切断可能である基質であるように操作される。
【0052】
本発明は、疾患変化の経時的モニタリングの方法を提供する。組成物が対象に導入され、測定が経時的に行われる。組成物は、酵素的切断を介して遊離する複数のレポーターを含む活性センサーを含む。治療的介入の知られている活性に関連する酵素が体内に存在するとき、酵素的切断が身体の組織において生じる。1またはそれを超える遊離したレポーターが、予想される臨床試験参加者または実際の臨床試験参加者の治療応答プロフィルを決定するために検出される。
【0053】
図4は、臨床試験支援のためのある特定の実施形態による方法30を示す。方法30において、本開示の組成物が、臨床試験のための患者を認定するために、または薬物効力を臨床試験の実施期間中に判定するために使用される。方法30は、臨床試験における対象すなわち参加者(実際の参加者または予想される参加者)の疾患関連の生理学的状態が読み取りにより報告される組成物を決定することを含む(31)。本明細書中に記載されるような組成物は、予想される臨床試験参加者または実際の臨床試験参加者に投与または導入され得る(33)。例えば、組成物が、予想される臨床試験参加者または実際の臨床試験参加者に静脈内注射によって導入され得る。組成物が活性センサーを含む場合、活性センサーが所望の組織に集まるであろう。組織において、切断部位が、活性なプロテアーゼによって切断される。一組の活性なプロテアーゼは、どのような時間であれ所与の時間で組織において協力して、健康状態の徐々の変化に沿った高感度なマーカーを提供しており、生理学的状態または状態、例えば、疾患状態または疾患前の状態などを示し得る。
【0054】
どのような経路であれ好適な送達経路が、臨床試験支援方法30において使用され得る。例えば、送達経路には、静脈内、エアロゾル吸入、皮下持続放出、経口摂取および経皮送達が含まれる。限定されない例として、エアロゾル化されたプローブがプロテアーゼ活性検出能を保持している場合があり、エアロゾル化プローブのエアロゾル送達は肺腫瘍において著しく集積し得る。好ましい実施形態において、送達経路は、注射による静脈内送達である。
【0055】
臨床試験支援方法30において、その後、サンプルが臨床試験における予想される参加者または実際の参加者から採取される(35)。例えば、サンプルは尿サンプルである。サンプルは、対象から得られる好適なサンプルであればどのようなものであってもよい。例えば、サンプルは、尿サンプル、呼気サンプル、汗サンプルまたは組織サンプルである場合がある。さらに、サンプルは、どのような方法であれ好適な方法によって採取され得る。例えば、サンプルは身体から排出される場合があり、サンプルは液体細胞診または組織生検によって得られる場合があり、また、サンプルは、画像化方法を使用して画像化され得る。
【0056】
臨床試験支援方法30において、その後、サンプルは、サンプルにおけるレポーターを検出し、分析して、治療応答プロフィルを決定するために検出方法を使用して試験される(36)。活性センサーは酵素切断には多すぎる数の基質をもたらすので、身体からのサンプルにおけるレポーターまたは検出可能な分析物の存在が、プロテアーゼ活性または治療応答プロフィルの目安を与えるために測定され得る。
【0057】
臨床試験支援方法30において、遊離したレポーターの検出は、どのような方法であれ好適な検出方法によって行われる場合がある。本発明の遊離したレポーターは、どのような方法であれ検出の好適な方法によって検出され得る。例えば、活性バーコードを検出する方法には、質量分光測定、クロマトグラフィー、揮発性有機化合物(VOC)、酵素免疫アッセイ、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)など、画像化、例えば、磁気画像化など、呼気分析装置、ならびに、単分子、紙診断、核酸コード化、画像化および対照プローブが含まれる。好ましい実施形態において、検出方法は酵素免疫アッセイである。
【0058】
その後、治療応答プロフィルは、予想される臨床試験参加者または実際の臨床試験参加者を認定するために、または階層化するために使用され得る(37)。治療応答プロフィルは、予想される臨床試験参加者または実際の臨床試験参加者が特定の生理学的状態または状態に罹患することを示している場合があり、あるいは、予想される臨床試験参加者または実際の臨床試験参加者が特定の1クールの処置に応答し得ることを示し得る。ある特定の実施形態において、治療応答プロフィルならびに可能性のある臨床試験参加者の認定および/または階層化の結果が報告され得る(39)。治療応答プロフィルは、予想される臨床試験参加者または実際の臨床試験参加者における生理学的状態を示し得る。1つの実施形態において、生理学的状態は疾患を含み、治療応答プロフィルはさらに、疾患の病期分類を示している。ある特定の実施形態において、生理学的状態は疾患前の状態を含む。疾患前の状態により、予想される臨床試験参加者または実際の臨床試験参加者が臨床試験のために認定され得る。
【0059】
臨床試験支援方法30の1つの実施形態において、薬物または治療的処置に応答するであろう予想される臨床試験参加者または実際の臨床試験参加者が治療応答プロフィルに基づいて特定される。ある特定の実施形態において、治療応答プロフィルは、薬物または1クールの処置を施す前および施した後において治療応答プロフィルを決定することによって薬物または1クールの処置に対する臨床試験参加者の応答をモニタリングするために使用される。1つの局面において、治療応答プロフィルは、施された薬物または1クールの処置に対する臨床試験参加者の応答性を示している。他の局面において、治療応答プロフィルは、指定用量の薬物または1クールの処置に対する臨床試験参加者の応答性を示している。他の実施形態において、治療応答プロフィルは、臨床試験参加者についての薬物または1クールの処置の効力または有効性を示している。
【0060】
さらに、臨床試験における参加者が階層化され得る。階層化は、与えられる処置とは異なる要因に基づいて参加者を区分化することである。例えば、階層化により、参加者が、実験条件、健康状態、性別、年齢または他の人口統計学要因によるサブグループに割り当てられる場合がある。階層化はまた、特定の薬物または処置に応答する可能性がより高い参加者を特定するために使用され得る。
【0061】
図5は、本発明による組成物の設計を示す。組成物407は好ましくは、複数の活性センサーを含む。それぞれの活性センサーが複数のレポーターを有する。それぞれの活性センサーのためのレポーターは、目的とする疾患において特異的に発現することが見出されるプロテアーゼによって切断可能である。プロテアーゼは、重要な生物学的プロセスを行う酵素である。特異的プロテアーゼの検出にそれぞれが関連する活性センサーの完全な一組401、すなわち、特異的プロテアーゼの検出にそれぞれが関連する活性センサーのライブラリーが設計または作製され得る。従って、ライブラリーにおけるそれぞれの活性センサーまたはナノセンサーが特定の酵素に関連する。したがって、ライブラリーにおけるそれぞれの活性センサーが特定の疾患または状態に特徴的である。本発明において、レポーターに関連するプロテアーゼは、臨床試験時に処置されることになる特定の疾患または状態に特徴的である。従って、臨床試験において使用される組成物が、複数の酵素の検出を含むように設計され得る。
【0062】
所与の疾患について、患者サンプルが、疾患に伴うそれぞれのプロテアーゼの発現レベルのプロフィル405を作成するために使用され得る。疾患において特異的に発現するそのようなプロテアーゼに基づいて、特定の活性センサー(例えば、410、420、430および440など)が、組成物407に含めるために一組401から選択される。例えば、活性センサー(410、420、430および440)が、肺癌における腫瘍に伴うプロテアーゼに向けられる場合がある。従って、活性センサー(410、420、430および440)が、肺癌における腫瘍の検出に向けられる組成物407に含められる場合があり、そのため、組成物407は、肺癌の処置に向けられる臨床試験における参加者を認定する際に使用され得る。
【0063】
本発明の活性センサーにより、疾患に伴う調節不全プロテアーゼが検出される。活性センサーは、好適な物質であればどのようなものからでも策定される場合があり、好ましくはPEGおよび質量バーコード化プロテアーゼ基質である。活性センサーはそれぞれが、複数の検出可能なレポーターを含む。好ましい実施形態において、レポーターは、特異的プロテアーゼによって切断されるように設計されるペプチド基質である。1つの実施形態において、センサーがもたらすシグナルが、活性センサー上にバーコード化され得る。活性センサーは操作されるので、読み取りは、どのような方法であれ好適な方法によって行われる場合がある。例えば、読み取りは、質量分析法、側方流動またはELISAによって行われる場合がある。バーコード化活性センサーのカクテルまたは組成物が、プロテアーゼを疾患発現について調べることによって、目的とするそれぞれの疾患について組み立てられる。活性センサーカクテルが操作され、対象に投与される。サンプルが、例えば、尿サンプルなどが、好適な期間の後で、例えば、約1時間後に対象から採取される。その後、サンプルは、バーコードを検出し、結果を対象に提供するために分析される。
【0064】
ある特定の実施形態において、組成物は、特異的酵素による切断を受けやすいレポーターによりそれぞれがプログラムされる複数の活性センサーを含む。酵素は、好適な酵素であればどのようなものであってもよい。特定の実施形態において、特異的酵素は組織または健常組織における正常な酵素活性に関連し、それにより、対象のベースライン酵素活性レベルを示している。そのような指示は、臨床試験の第I相のための参加者を認定するために使用され得る。特異的酵素は特定の疾患または状態に伴う場合があり、そのため、臨床試験のその後の段階、すなわち、第II相~第IV相のための患者を認定するために使用され得る。
【0065】
さらに、特異的酵素は、疾患または状態に対する1またはそれを超える併存症を表す場合がある。他の検出可能なレポーターが、標的疾患の効果と同様である効果をもたらす併存症または関連疾患であるかもしれないが、標的の疾患または状態とは異なる疾患または状態を表すプロテアーゼに関連する。「標的外」プロテアーゼ検出を組成物に含めることによって、検出がより高感度になり、かつ、指定された疾患についての偽陽性結果を示す可能性がより低くなるので、より具体的な治療応答プロフィルが決定され得る。このことは、臨床試験における参加者のさらなる階層化を可能にする。臨床試験のサブセットは、併存症を有する参加者において処置の効果を判定するための、併存症を有するモニタリング中の参加者である場合がある。
【0066】
本発明の1つの局面において、組成物は、特異的酵素による影響を受けやすいレポーターによりそれぞれがプログラムされる複数の活性センサーを含む。組成物は、それぞれがナノセンサーである数千の活性センサーを含む場合がある。組成物における活性センサーのうち、数百個が、第1の特定の酵素の活性検出に向けられる活性センサーである場合があり、数百個が、第2の特定の酵素の活性検出に向けられる活性センサーである場合があり、数百個が、第3の特定の酵素の活性検出に向けられる活性センサーである場合がある。従って、組成物は、指定の状態を検出するために操作され、臨床試験における参加者を最適に階層化するように設計され得る。
【0067】
一例として、臨床試験支援方法30において、臨床試験が非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の新たな薬物や処置方法に関し得る。特異的酵素はNASHを表し、NASHの検出に向けられる組成物は、NASHに伴う酵素による切断を受けやすいレポーターを有する活性センサーを含む。組成物には、NASHに伴うプロテアーゼFAPによる影響を受けやすい複数の活性センサー、NASHに伴うプロテアーゼMMP2による影響を受けやすい複数の活性センサー、およびNASHに伴うプロテアーゼADAMTS2による影響を受けやすい複数の活性センサーが存在し得る。さらに、別の特異的酵素が、NASHに対する併存症、例えば、肥満および2型糖尿病などを表す。従って、NASHの検出に向けられる組成物はまた、肥満に伴う酵素による切断を受けやすい複数のレポーターと、2型糖尿病に伴う酵素による切断を受けやすい複数のレポーターとを有する活性センサーを含むに違いない。
【0068】
対象についてのベースライン酵素活性レベルを示すための特異的酵素、指定の疾患または状態についてのプローブ、およびその指定の疾患または状態に対する併存症についてのプローブを提供することによって、本発明は治療プロフィルを対象に提供する。
【0069】
したがって、本発明は、可能性のある臨床試験参加者または実際の臨床試験参加者についての治療応答プロフィルを決定するための方法を提供する。本発明の方法および組成物は、臨床試験の設計において、治療に応答する可能性が最も高い患者および患者コホートを予測することにおいて、参加者の認定および階層化について立案することにおいて、また、法的規制承認の後における薬物に関する経時的患者モニタリングのために有用である。本発明による組成物は、臨床試験時に処置されることになる疾患または状態を表す特定の酵素活性の検出およびスクリーニングを行うために設計される。これは、費用と時間がかかる試験、例えば、液体細胞診、組織生検または他の方法などを受けることを必要とすることなく参加者を認定する、または階層化する迅速で簡便な方法をもたらす。疾患の有無を示すこと、疾患の活性の速度、および疾患の病期分類は、臨床試験における参加者を認定し、階層化するために使用される。例えば、検出されたレポーターは、参加者が特定の疾患を有することを示している場合があり、このことは、参加者を認定するために使用される。検出されたレポーターはさらに、参加者を階層化するために使用され得る。例えば、疾患は初期段階にある場合があり、それならば、参加者は、疾患の初期段階にある他の参加者と一緒に階層化されるであろう。
【0070】
臨床試験支援方法30において、活性センサーが、体内の疾患関連活性を測定して、その結果、センサーを使用して測定されるそのような活性のレベルが疾患の進行を示すようにするために、または処置が現在効果的であることを示すようにするために使用される。活性センサーは、処置に対する対象の応答をモニタリングするために、また、処置により現在、疾患が対象において効果的に処置されているか否かを示すために経時的に与えられる場合がある。臨床試験支援方法30において、異なる薬物または薬物組み合わせを、状態を処置するために申し分なく働く薬物または組み合わせを特定するために、異なる対象において、または異なる時間で調べることができる。活性センサーは健康/疾患進行のマーカーを提供し、かつ、このマーカーを非常に迅速に提供する(シグナルを対象からのサンプルにおいて検出することが、活性センサーを投与した数時間以内である場合がある)。その活性センサーはまた、疾患状態において発現が調節不全である酵素、および併存症に特異的である他の酵素を含めて多数の酵素の活性を特異的に報告することができる。したがって、活性センサーは、処置に対する応答の有益なシグナチャーを提供する。疾患の活性または進行の様々な具体的な局面が、例えば、腫瘍の成長速度などが検出され得る。
【0071】
本明細書中に記載されるような組成物および方法を使用して、大きい集団が、特定の疾患状態を検出するために、または除外するために迅速かつ効果的にスクリーニングされ得る。同様に、疾患に罹患した対象のコホートが、疾患に対する薬物の効果を検出し、定量化するためにアッセイされることが可能である。したがって、本開示の組成物および方法は、臨床試験を支援するためのツールを提供する。特に、本発明は、対象集団の迅速かつ安価な認定を可能にする。本発明はまた、薬物に対する対象の応答を迅速に判定するために有用である方法および組成物を提供する。
【0072】
本開示の組成物は患者認定のために特に有用である。組成物は、最小限に侵襲的な様式で投与することができ、有益な結果を迅速に(例えば、数時間の程度で)もたらすことができる。したがって、組成物は、試験参加者の予想されるコホートを特定するために被験者の大きい集団をスクリーニングするための臨床試験計画者用のツールを提供する。
【0073】
ある特定の局面において、本発明は、処置の効力を判定するための方法を提供する。活性センサーが、状態のための処置を現在受けている対象または受ける予定である対象に投与される。活性センサーはシグナルを状態に影響される身体内の場所で放出する。サンプルが対象から得られ、アッセイが、シグナルをサンプルにおいて検出するために行われる。方法は、状態に関する処置の効果を検出されたシグナルに基づいて報告することを含む。複数の対象が、複数の異なる処置に対する応答について経時的にモニタリングされ得る。状態は疾患(例えば、肝臓の疾患、例えば、NASHなど)である場合があり、複数の異なる処置はそれぞれが薬物または薬物組み合わせを含む場合がある。本方法は、疾患を処置することにおいて効力を有する処置を特定することを含む場合がある。
【0074】
ある特定の実施形態において、シグナルは、状態に影響されたときに身体内の場所で発現がアップレギュレーションされる酵素(例えば、細胞外プロテアーゼ)によって放出される活性センサーの断片によってもたらされる。経時的モニタリングのための本方法を使用すると、(プラセボを受ける対照と比較して)対象由来のある特定の断片における低下が状態に関しての処置の効力を表していることが見出され得る。
【0075】
経時的モニタリングのために、活性センサーが第2の時点で投与され、その後、さらなるサンプル採取およびアッセイが行われ、その結果、処置の効果を報告することが対象についての経時的な進行または寛解を含むようにされ得る。
【0076】
本方法の各工程が、薬物の1つまたは組み合わせをそれぞれが含む複数の試験処置のうちの1つをそれぞれが受ける複数の重複しない対象のそれぞれについて行われる場合がある。本方法は、試験処置の効力に関する報告を提供すること、またはデータベースに試験処置の効力を追加することを含むことができる。本方法は、疾患を処置するための試験薬物の複数の組み合わせの効力の経時的分析を提供することを含む場合がある。
【0077】
いくつかの実施形態において、活性センサーには、キャリアに連結されるペプチド鎖が含まれ、その結果、検出されたシグナルが、状態に影響されたときに身体内の場所で発現がアップレギュレーションされるプロテアーゼによって放出されるペプチド鎖の断片によってもたらされるようにされる。ある特定の実施形態において、それぞれのキャリアが、それぞれの活性センサーが1つのプロテアーゼに対して特異的であるように1つだけのペプチド鎖の多数のコピーを含む。一組のものとしての活性センサーにより、多数のプロテアーゼの活性が報告され得る。そのような一組の活性センサーを、状態が疾患であるときに使用すると、また、この疾患がヒトにおいて現れるときには、多数のプロテアーゼの少なくともいくつかがアップレギュレーションされており、多数のプロテアーゼの少なくとも1つが特異的にアップレギュレーションされていない。状態が炎症状態を含むとき、投与工程は、活性センサーを炎症組織の部位に局在させることを含む場合がある。好ましくは、活性センサーは、キャリアに連結されるペプチド鎖を含み、その結果、シグナルは、状態の部位で発現がアップレギュレーションされるプロテアーゼによって放出されるペプチド鎖の断片を含むようにされ、かつ、そのような場合、アッセイは、断片をサンプルにおいて検出するための、または定量するための質量分光測定またはアフィニティーアッセイを含む。
【0078】
本発明の組成物および方法は、処置効力を、例えば、薬物研究または経時的研究の状況の中で決定するために有用である。活性センサーが、処置を現在受けている対象または受ける予定である対象に投与される。活性センサーはシグナルを疾患または状態に影響される身体内の場所で放出する。サンプルが対象から得られ、アッセイが、シグナルをサンプルにおいて検出するために行われる。方法は、状態に関する処置の効果を検出されたシグナルに基づいて報告することを含む。複数の対象が、複数の異なる処置に対する応答について経時的にモニタリングされ得る。状態は、肝臓の疾患、例えば、NASHなどである場合があり、異なる処置はそれぞれが薬物または薬物組み合わせを含む場合がある。したがって、本開示の方法および組成物は、疾患を処置することにおいて効果的である薬物の新しい組み合わせまたは投薬量を特定するために使用され得る。
【0079】
参照による組み込み
他の文書、例えば、特許、特許出願、特許公報、雑誌、書籍、論文、ウェブコンテンツなどに対する様々な参照および引用が、本開示の全体にわたって行われている。すべてのそのような文書が、あらゆる目的のためにその全体において参照によって本明細書中に組み込まれる。
【0080】
均等物
本発明は、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態で具体化され得る。したがって、前述の実施形態は、本明細書中に記載される発明に関して限定ではなく、むしろ、あらゆる点で例示であると見なされなければならない。したがって、本発明の範囲は、前述の説明によってではなく、むしろ、添付された特許請求項によって示されており、したがって、特許請求項の均等性の意味および範囲に含まれるすべての変化が、本発明の範囲に包含されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】