(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-02
(54)【発明の名称】カーテンウォール構造物と共に使用するための120分の分火災評価を有する、動的な耐火等級の熱的遮断および封止システム
(51)【国際特許分類】
E04B 2/88 20060101AFI20220422BHJP
E04B 1/94 20060101ALI20220422BHJP
【FI】
E04B2/88
E04B1/94 T
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021554629
(86)(22)【出願日】2020-03-02
(85)【翻訳文提出日】2021-09-10
(86)【国際出願番号】 EP2020055443
(87)【国際公開番号】W WO2020182519
(87)【国際公開日】2020-09-17
(32)【優先日】2019-03-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100, 9494 Schaan, LIECHTENSTEIN
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ゼムラー, マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ピートゥ,マリオ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレセン, アルント
【テーマコード(参考)】
2E001
2E002
【Fターム(参考)】
2E001DE04
2E001DF02
2E001FA04
2E001FA11
2E001FA54
2E001GA51
2E001HD03
2E001HD11
2E001JA22
2E001LA04
2E002WA04
2E002WA06
2E002XA16
(57)【要約】
カーテンウォール構造物と共に使用するための120分の分火災評価を有する、動的な耐火等級の熱的遮断および封止システムである。
建物の床と外壁構築物との間でセーフィングスロットを効果的に熱的遮断および封止するための、承認された動的な構築物を説明し、外壁構築物は、内壁表面によって画定されたカーテンウォール構成を備える。動的な熱的遮断および封止システムは、火災および熱ならびに動きに晒されている間、セーフィングスロットの熱的遮断および封止を維持して、セーフィングスロットにわたって延在する完全な封止を維持し、かつセーフィングスロット内の遮断および封止の止水特性を強化するために、チューブ状封止要素をカーテンウォール構築物および建物の床に取り付けるための翼状の接続領域を有するチューブ状封止要素を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの垂直骨組み部材および少なくとも1つの水平骨組み部材、ならびにカーテンウォール構築物の内壁表面と床の外側縁部との間に延在するセーフィングスロットを画定する前記カーテンウォール構築物の前記内壁表面から空間的に配置された少なくとも1つの前記床を含む前記内壁表面によって画定された前記カーテンウォール構築物を有する建物構築物内の前記セーフィングスロットを効果的に熱的遮断および封止するための、動的な熱的遮断および封止システムであって、
遮断および封止するための耐熱性の可撓性発泡体材料を含む、チューブ状封止要素を備え、前記チューブ状封止要素が、前記セーフィングスロット内に位置決めされ、前記チューブ状封止要素が、
a)底部側カバーと、
b)頂部側カバーであって、
前記頂部側カバーが、互いから空間的に配置された2つの位置において前記底部側カバーに接続され、前記底部側カバーおよび前記頂部側カバーが、前記耐熱性の可撓性発泡体材料を取り囲む、頂部側カバーと、
c)前記チューブ状封止要素を前記カーテンウォール構築物の前記内壁表面に取り付けるための第1の接続領域と、
d)前記チューブ状封止要素を前記床の前記外側縁部に取り付けるための第2の接続領域と、を含む、動的な熱的遮断および封止システム。
【請求項2】
前記接続領域がそれぞれ、前記底部側カバーおよび前記頂部側カバーの一部を構成する、請求項1に記載の動的な熱的遮断および封止システム。
【請求項3】
前記頂部側カバーが、少なくとも2つの層を備える頂部側積層体であり、前記底部側オーバーが、少なくとも2つの層を備える底部側積層体である、請求項1または2に記載の動的な熱的遮断および封止システム。
【請求項4】
前記第1の接続領域の下側が、前記チューブ状封止要素を前記カーテンウォール構築物の前記内壁表面に取り付けるためのものであり、前記第2の接続領域の下側が、前記チューブ状封止要素を前記床の頂面に取り付けるためのものである、請求項1~3のいずれか1項に記載の動的な熱的遮断および封止システム。
【請求項5】
前記チューブ状封止要素は、前記頂部側カバーが前記床の前記頂面と面一になるように前記セーフィングスロット内に位置決めするためのものである、請求項1~4のいずれか1項に記載の動的な熱的遮断および封止システム。
【請求項6】
前記第1の接続領域および/または前記第2の接続領域に位置決めされた接着剤層をさらに備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の動的な熱的遮断および封止システム。
【請求項7】
前記底部側積層体が、強化プラスチックフォイル層を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の動的な熱的遮断および封止システム。
【請求項8】
前記頂部側積層体が、強化アルミニウムフォイル層を備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の動的な熱的遮断および封止システム。
【請求項9】
前記頂部側積層体が、ガラス繊維材料またはセラミック繊維材料で作製されたメッシュ層を備え、前記底部側積層体が、ガラス繊維材料またはセラミック繊維材料で作製されたメッシュ層を備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の動的な熱的遮断および封止システム。
【請求項10】
頂部側積層体の前記メッシュ層のメッシュサイズが、前記底部側積層体の前記メッシュ層のメッシュサイズと異なる、請求項9に記載の動的な熱的遮断および封止システム。
【請求項11】
前記耐熱性の可撓性発泡体材料が、向上した疎水性を有する防火添加剤を含む膨張性のオープンセル発泡体材料である、請求項1~10のいずれか1項に記載の動的な熱的遮断および封止システム。
【請求項12】
前記耐熱性の可撓性発泡体材料が、非圧縮状態で90kg/m
3の密度を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の動的な熱的遮断および封止システム。
【請求項13】
前記チューブ状封止要素の断面形状が、前記チューブ状封止要素の断面形状が、一般に、長方形状、台形状、円形状、またはU字形状である、請求項1~12のいずれか1項に記載の動的な熱的遮断および封止システム。
【請求項14】
前記底部側カバーが、前記チューブ状封止要素の内側から外側に水を移動させるための開口部または穿孔を備える、請求項1~13のいずれか1項に記載の動的な熱的遮断および封止システム。
【請求項15】
前記チューブ状封止要素が、断面で約3.54インチ(約90mm)の幅、断面で約4.53インチ(約115mm)の幅、または断面で約5.55インチの幅(約141mm)を有する、請求項1~14のいずれか1項に記載の動的な熱的遮断および封止システム。
【請求項16】
1つ以上の骨組み部材、および前記カーテンウォール構築物の前記内壁表面と前記床の外側縁部との間に延在する前記セーフィングスロットを画定する前記カーテンウォール構築物の前記内壁表面から空間的に配置された少なくとも1つの前記床を含む内壁表面によって画定されたカーテンウォール構築物を有する、建物構築物であって、前記セーフィングスロットを効果的に熱的遮断および封止するための、動的な熱的遮断および封止システムであって、前記動的な熱的遮断および封止システムが、
遮断および封止するための耐熱性の可撓性発泡体材料を含む、チューブ状封止要素を備え、前記チューブ状封止要素が、前記セーフィングスロット内に位置決めされ、前記チューブ状封止要素が、
a)底部側カバーと、
b)頂部側カバーであって、
前記頂部側カバーが、互いから空間的に配置された2つの位置において前記底部側カバーに接続され、前記底部側カバーおよび前記頂部側カバーが、前記耐熱性の可撓性発泡体材料を取り囲む、頂部側カバーと、
c)前記チューブ状封止要素を前記カーテンウォール構築物の前記内壁表面に取り付けるための第1の接続領域と、
d)前記チューブ状封止要素を前記床の前記外側縁部に取り付けるための第2の接続領域と、
前記チューブ状封止要素を前記カーテンウォール構築物に固定するための少なくとも1つの接着剤層と、を含む、建物構築物。
【請求項17】
前記カーテンウォール構築物が、ガラスカーテンウォール構築物、または鋼製バックパン設計またはフォイル表面カーテンウォール遮断材を含む一般的なカーテンウォール構築物を有するカーテンウォール構築物である、請求項16に記載の建物構築物。
【請求項18】
前記セーフィングスロットを効果的に熱的遮断および封止するための、前記備えた動的な熱的遮断および封止システムが、請求項2~15のいずれか1項に従って定義される、請求項16または17に記載の建物構築物。
【請求項19】
カーテンウォール構造物のセーフィングスロットを音響的に遮断および封止するための、請求項1~15のいずれか1項に記載の動的な熱的遮断および封止システム。
【請求項20】
遮断および封止するための耐熱性の可撓性発泡体材料を備えるチューブ状封止要素であって、前記チューブ状封止要素が、
a)底部側カバーと、
b)頂部側カバーであって、
前記頂部側カバーが、互いから空間的に配置された2つの位置において前記底部側カバーに接続され、前記底部側カバーおよび前記頂部側カバーが、前記耐熱性の可撓性発泡体材料を取り囲む、頂部側カバーと、
c)前記チューブ状封止要素をカーテンウォール構築物の内壁表面に取り付けるための第1の接続領域と、
d)前記チューブ状封止要素を前記床の外側縁部に取り付けるための第2の接続領域と、
e)前記チューブ状封止要素を前記カーテンウォール構築物に固定するための少なくとも1つの接着剤層と、を含む、チューブ状封止要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンウォールと建物の個々の床との間に画定されたセーフィングスロット領域を熱的および音響的に遮断および封止するように設計された構築物、アセンブリ、およびシステムの分野に関する。特に、本発明は、フォイル表面カーテンウォール遮断材、鋼製バックパン設計を含む、またはガラス、特に完成した床レベルより下側に延在するビジョンガラスを含む、一般的なカーテンウォール設計を有するカーテンウォール構造物と共に使用するための、120分の分火災等級を有する動的な耐火等級の熱的遮断および封止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
カーテンウォールは、一般に、現代の建物構築物に使用および適用され、また、外壁が非構造的である該構築物の外装であるが、単に、天気から保護し、居住者を保持するだけである。カーテンウォールは、通常、軽量材料で作製され、構築コストおよび重量を低減させる。ガラスをカーテンウォールとして使用する場合、大きな利点は、自然光が建物内により深く入り込むことができることである。
【0003】
カーテンウォールは、一般に、そこに入射する水平風荷重を、建物の床または支柱の接続部を通して主建築構造物に伝達する。カーテンウォールは、空気および水の浸入、建物に作用する風および地震によって誘発される揺れ、およびそれ自体の死荷重重量力に抵抗するように設計される。カーテンウォールは、それらが複数の階に架かるように、ならびに熱膨張および収縮、建物の揺れおよび運動、排水などの設計要件、ならびに建物内を費用効果的に暖房、冷房、および照明するための熱効率を考慮するように設計されているという点で、ストアフロントのシステムとは異なる。
【0004】
異なるタイプのカーテンウォール構造物、例えば、フォイル表面カーテンウォール遮断材、鋼製バックパン設計を含む、またはガラス、特に完成した床レベルより下側に延在するビジョンガラスを含む、一般的なカーテンウォール設計を有するカーテンウォール構造物が存在する。
【0005】
典型的なカーテンウォール構成は、垂直スタッド、いわゆる方立、および水平スタッド、いわゆる無目の輪郭形成されたフレームワークを備える。これらの輪郭の間の隙間は、窓領域内のガラスパネルまたは床の前方内のスパンドレルパネルのいずれかで満たされる。一般的なスパンドレル設計は、絶縁材料で満たされた、予め製造された金属パンを備える。スパンドレルと床との間の残存空隙は、火災、煙、および音に対して封止され、かつ特定の運動に耐えなければならない。
【0006】
モジュール式設計では、バックパン、またはカーテンウォールの内面にわたって延在する金属もしくは他の材料であり得る他の類似の構築物などの内部パネルを含む、カーテンウォール構造物が一般的である。カーテンウォールの内部パネルは、一般に、強烈な日光または火災事象などの際の熱などの、強風または高温に晒されたときに、容易に曲がること、歪むこと、または別様に変形することができる、金属または遮断材材料から作製される。これらの内部パネルが曲がること、歪むこと、または変形することは、嵐または火災中に床構築物の外側縁部と外部カーテンウォール構築物との間のセーフィングスロット内で完全な熱の遮断および封止を維持しようとする際に、重大な問題をもたらし得る。特に、熱、煙、および炎がある階から隣接する階に広がることを防止するために、火災中に常に完全な熱的遮断および封止を維持することが重要である。さらに、水の浸入を防止すること、ならびに建築構造物内の水の移動を阻止すること、およびセーフィングスロット封止システムの水密性を強化することが重要であり、すなわち、概して、セーフィングスロット内の遮断材および封止の止水特性を強化することが重要である。
【0007】
床とカーテンウォールの内壁表面との間の空隙は、セーフィングスロットを画定し、周辺スラブ縁部(空洞)または周辺ジョイントとも称され、カーテンウォール構築物の内壁表面と床の外側縁部との間に延在する。このセーフィングスロットは、階の間の火災および燃焼ガスの通過を遅れさせることが重要である。したがって、熱、煙、および炎が、ある階から隣接する階に広がらないようにするために、セーフィングスロットでの防火を向上させることが非常に重要である。周辺スラブ縁部での防火が、床スラブの耐火等級の継続とみなされることに留意することが重要である。概して、標準火災試験方法NFPA285は、カーテンウォールアセンブリの構成要素として使用される、および可燃性材料を使用して構築される、または外部壁がNFPA285試験に合格しなければならない建物に設置するために可燃成分を組み込んでいる、非耐力外壁アセンブリおよびパネルの適合性を評価するための標準火災試験手順を提供する。
【0008】
建物内の火災および煙の拡散、ならびに建物へのまたは建物からの火災の拡散から保護するために隣接する空間の構造的な耐火性および分離に使用するための公認の材料、システム、およびアセンブリを得るために、国際建築基準法IBC2012は、新しいおよび既存の建物および構造物の居住者の公衆衛生、安全、および一般的な福祉を保護するための最小限の要件を提供する。国際建築基準法IBC2012第715.4節によれば、外部カーテンウォールアセンブリおよびそのような床アセンブリの交差部に生じる空洞は、耐火等級の床または床/天井アセンブリが必要とされる場所での火災の内部拡散を防止するための承認されたシステムによって封止されるものとされる。そのようなシステムは、ASTM E2307に従って確実に設置し、試験して、少なくとも床アセンブリの耐火等級に等しい期間にわたって火災等級を提供するものとされる。
【0009】
しかしながら、ビジョンガラスが完成した床レベルまで延在する、外部カーテンウォールアセンブリおよびそのような床アセンブリの交差部に作成される空洞は、承認された材料で封止して、火災の内部拡散を防止することを許可するものとすると記載した、基準法の例外が存在する。そのような材料は、確実に設置されて、少なくとも床アセンブリの耐火等級に等しい期間にわたって0.01インチの水柱の正差圧の下でASTM E119の時間-温度火災条件を受けたときに、綿屑に点火するのに十分な炎および高温ガスの通過を防止することが可能であるものとする。
【0010】
適用可能な火災試験および建築基準法要件に合格することが可能であるいくつかのガラスおよびフレーム技術が開発されてきたが、国際建築基準法IBC2012第715.4節に記載されている例外に対処し、かつ基準法ASTM E2307節のフルスケール試験を満たすシステムは殆ど存在しない。上述した例外に対処し、かつ同時に特にクラスIVの運動分類を有するASTM表記:E1399-97(2005年再承認)による要件を満たすことが知られている、複雑なカーテンウォールシステムは極めて少ない。クラスIVは、熱、風、揺れ、および地震運動タイプの組み合わせである。これらは、水平および垂直両方の条件で、本発明に従って試験した。E1399「周期的運動のための標準試験方法と建築用ジョイントシステムの最小および最大ジョイント幅の測定」は、例えば地震などの地面の運動、さらには地震または高い風荷重または寿命負荷下での運動のシミュレーションに使用される。
【0011】
しかしながら、例えば、内壁表面によって画定されたカーテンウォール構造物などの、ASTM E1399を満たす動的なシステムを追加的に提供するカーテンウォール構造物で使用されることが知られているシステムは存在しておらず、該システムは、バックパンなどの内部パネルを含み、該内部パネルは、その内面および内壁表面から空間的に配置された少なくとも1つの床の上に延在し、それによって、特にビジョンガラスを用いたときに、内部パネルの内壁表面と床の外側縁部との間に延在する、床とこのカーテンウォールのバックパンとの間のセーフィングスロットを封止する。該セーフィングスロットは、コンクリートで覆った床の寸法許容差を補償すること、および寿命、地震、または風荷重などの荷重によって生じる床とファサード要素との間の運動を可能にする必要がある。
【0012】
さらに、隔離する目的でミネラルウールだけを使用することが知られている、数多くの封止システムが存在する。しかしながら、ミネラルウール自体は、水密性ではなく、それをカーテンウォール構造物のセーフィングスロット内に用いる前にコーティングするか、または別様に含侵させて、浸水を防止するだけでなく、水の移送を阻止し、かつセーフィングスロット封止システムの水密性を強化しなければならない。したがって、上記のことに対処し、よって、遮断材の止水特性およびセーフィングスロット内の封止を強化する、代替的なセーフィングスロット充填システムに対する必要性が存在する。
【0013】
耐火性ならびに水平運動および垂直運動に関するますます厳しくなる要件のため、既存の例外を含む既存の火災試験および建築基準法要件および規格を満たすかまたはそれを超えることが可能な、カーテンウォール構造物ための動的な熱的および音響的遮断および封止システムに対する必要性が存在する。特に、(クラスIVの運動の要件を満たす)特定の運動に晒される場合であっても、カーテンウォール構造物のビジョンガラスが完成した床レベルより下側に延在する場合に、火災の拡散を防止するシステムに対する必要性が存在する。
【0014】
さらに、耐火性ならびに防音性を向上させ、同時に、強化された止水特性を有し、また、カーテンウォール構造物の設置中に容易に組み込むことができるシステムに対する必要性が存在する。特に、建物構造物内の水の浸水ならびに水の移送の阻止に追加的に対処し、セーフィングスロット封止システムの水密性を強化する、動的な耐火等級の熱的遮断および封止システムに対する必要性が存在する。
【0015】
さらに、例えば片側のアクセスだけしか必要とせず、片側の適用を実現する場合に、セーフィングスロット内に容易に設置することができるシステムに対する必要性が存在する。
【0016】
さらになお、現場組み立ての外部動的カーテンウォールファサードに容易に用いること、または外部動的カーテンウォールアセンブリ内で使用するための統合パネルの組み立て中に使用すること、のいずれかを行うことができ、設置者が予め組み立てられたカーテンウォールパネルを現場で設置することをより容易にするシステムに対する必要性が存在する。
【0017】
以上のことを考慮して、本発明の目的は、1つ以上の骨組み部材を含む内壁表面によって画定されたカーテンウォール構築物と、カーテンウォール構築物の内壁表面から空間的に配置された少なくとも1つの床と、を有する、建物構築物内のセーフィングスロットを効果的に熱的に遮断および封止するための、動的な熱的遮断および封止システムを提供することである。
【0018】
さらになお、本発明の目的は、特に火災安全ならびに運動安全の建築的区画化を提供するための試験システムを提供することによって、基準法の例外に対処し、書面および工学的判断を回避し、かつ本出願に関して定義/試験される建築的細部を確実にし、提供するために、特にビジョンガラスが完成した床レベルまで延在する、床アセンブリのためのフルスケールのASTM E2307ならびにASTM E1399の試験システムを提供することである。
【0019】
さらになお、本発明の目的は、例えば片側のアクセスだけしか必要とせず、片側の適用を実現する場合に、セーフィングスロット内に容易に設置することができるシステムを提供することである。
【0020】
さらになお、本発明の目的は、現場組み立ての外部動的カーテンウォールファサードに用いること、または外部動的カーテンウォール内で使用するための統合パネルを組み立てる際に使用することができるシステムを提供することである。
【0021】
さらになお、本発明の目的は、向上した耐火性ならびに防音性を有し、同時に、強化された防水特性を有し、かつカーテンウォール構造物の設置中に容易に組み込むことができるシステムを提供することである。さらに、目的は、建物構造物内の浸水ならびに水の移送の阻止に追加的に対処し、セーフィングスロット封止システムの水密性を強化する、耐火等級の熱的遮断および封止システムを提供することである。
【0022】
本発明の説明を確実にすることによって明らかになるこれらのおよび他の目的は、独立請求項に記載の本発明によって解決される。従属請求項は、好適な実施形態に関する。
【発明の概要】
【0023】
一態様では、本発明は、少なくとも1つの垂直骨組み部材および少なくとも1つの水平骨組み部材、ならびにカーテンウォール構築物の内壁表面と床の外側縁部との間に延在するセーフィングスロットを画定するカーテンウォール構築物の内壁表面から空間的に配置された少なくとも1つの床を含む内壁表面によって画定されたカーテンウォール構築物を有する建物構築物内のセーフィングスロットを効果的に熱的遮断および封止するための、動的な熱的遮断および封止システムを提供し、該封止システムは、遮断および封止するための耐熱性の可撓性発泡体材料を含む、チューブ状封止要素であって、チューブ状封止要素は、セーフィングスロット内に位置決めされ、チューブ状封止要素は、底面側カバーと、頂部側カバーと、を含み、頂部側カバーは、互いから空間的に配置された2つの位置において底部側カバーに接続され、底部側カバーおよび頂部側カバーは、耐熱性の可撓性発泡体材料を取り囲む、チューブ状封止要素と、チューブ状封止要素をカーテンウォール構築物の内壁表面に取り付けるための第1の接続領域と、チューブ状封止要素を床の外側縁部に取り付けるための第2の接続領域と、を備える。
【0024】
別の態様において、本発明は、該熱的遮断および封止システムを備える建物構築物を提供する。
【0025】
さらに別の態様において、本発明は、動的な熱的遮断および封止システムを提供し、動的な熱的遮断および封止システムは、現場組み立ての外部動的カーテンウォールファサード内で使用するためのもの、または外部動的なカーテンウォールアセンブリ内で使用するための統合パネルを組み立てる際に使用するためのものである。
【0026】
さらに別の態様において、本発明は、セーフィングスロット内の遮断および封止の止水特性を強化する、動的な熱的遮断および封止システムを提供する。
【0027】
さらに別の態様において、本発明は、カーテンウォール構築物内で使用するためのチューブ状封止要素を提供する。
【0028】
さらに別の態様において、本発明は、カーテンウォール構造物のセーフィングスロットを音響的に遮断および封止するのに好適である、動的な熱的遮断および封止システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の主題を、以下の図を参照することによってより詳細にさらに説明する。
【
図1】チューブ状封止要素が床の外側縁部とカーテンウォール構築物の内壁表面との間に配設され、最初にカーテンウォール構築物の水平骨組み部材(床レベル、すなわちゼロスパンドレルの無目)に設置および取り付けられたときの、ビジョンガラスが完成した床レベルより下側に延在する、動的な熱的遮断および封止システムの一実施形態の側断面図を示す。
【
図2】チューブ状封止要素が、長方形断面を有し、かつ頂部側積層体および底部側積層体を備える、チューブ状封止要素の側断面図を示す。
【
図3】チューブ状封止要素が、長方形断面を有し、かつ頂部側カバーおよび底部側カバーを備える、チューブ状封止要素の別の実施形態の側断面図を示す。
【
図5】底部側カバーがいくつかの開口部を備える、
図3および
図4のチューブ状封止要素の底面図を示す。
【
図6】チューブ状封止要素が床の外側縁部と標準カーテンウォール構築物の内壁表面との間に配設された、動的な熱的遮断および封止システムの実施形態の側断面図を示す。
【
図7】チューブ状封止要素が床の外側縁部と鋼製バックパン設計を有するカーテンウォール構築物の内壁表面との間に配設された、動的な熱的遮断および封止システムの実施形態の側断面図を示す。
【
図8】台形断面および凸状頂部側カバーを有する、チューブ状封止要素の別の実施形態の側断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の文脈において、以下の用語および定義を使用する。
【0031】
本発明の文脈において使用するとき、別途文脈が明確に指示しない限り、「a」および「an」という単数形の用語はまた、それぞれの複数形も含む。したがって、別途指示されない限り、「a」または「an」という用語は、「1つ以上」または「少なくとも1つ」を意味することを意図している。
【0032】
本発明に関する文脈で、「カーテンウォール構造物」または「カーテンウォール構築物」という用語は、1つ以上の骨組み部材およびカーテンウォール構築物の内壁表面から空間的に配置された少なくとも1つの床を含む内壁表面によって画定された壁構造体を指す。特に、これは、フォイル表面カーテンウォール遮断材、鋼製バックパン設計を含む、またはガラス、特に完成した床レベルより下側に延在するビジョンガラスを含む、一般的なカーテンウォール設計を有するカーテンウォール構造物を指す。
【0033】
本発明に関する文脈で、「セーフィングスロット」という用語は、上で定義したカーテンウォール構築物の床と内壁表面との間の空隙を指し、これはまた、カーテンウォール構築物の内壁表面と床の外側縁部との間に延在する、「周辺スラブ縁部」または「周辺ジョイント」とも称される。
【0034】
本発明に関する文脈で、「内壁表面」という用語は、上で定義したカーテンウォール構築物の内側対向面を指し、例えば、塞がれたビジョンガラスの内側対向面および骨組み部材の内側対向面を指す。
【0035】
本発明に関する文脈で、「接続領域」という用語は、「取り付け領域」ともみなされ、チューブ状封止要素の本体から外方に突出する可撓性の翼またはタブを指し、これらは、発泡体材料(本体)を取り囲む底部側カバーおよび頂部側カバー(翼状)の一部を構成する。接続領域は、好ましくは、底部側カバーが頂部側カバーに接続される領域内で本体の上隅部に位置決めされる。
【0036】
本発明に関する文脈で、「止水特性を強化する」という用語は、浸水の防止、ならびに建物構造物内の水の移動の阻止、およびセーフィングスロット封止システムの水密性の強化を指す。
【0037】
驚くべきことに、本発明による動的な熱的遮断および封止システムは、基準法の例外に対処し、かつ標準方法ASTM E2307「中規模多階建て試験装置を用いた耐火障壁の耐火性を決定するための標準試験方法、2015」の要件を満たし、ならびに標準方法ASTM E1399-97(2005年承認)「周期的運動のための標準試験方法と建築用ジョイントシステムの最小および最大ジョイント幅の測定」の要件を満たし、クラスIVの運動分類をもたらす水平運動ならびに垂直運動に対処し、同時に、セーフィングスロット内の遮断材および封止の止水特性を強化することを見出した。
【0038】
本発明による動的な熱的遮断および封止システムは、基準法の例外に対処し、標準方法ASTM E2307の要件を満たし、かつ標準方法ASTM E1399の要件を満たす、チューブ状封止要素で構成されており、下で説明する。
【0039】
少なくとも1つの垂直骨組み部材および少なくとも1つの水平骨組み部材、ならびにカーテンウォール構築物の内壁表面と床の外側縁部との間に延在するセーフィングスロットを画定するカーテンウォール構築物の内壁表面から空間的に配置された少なくとも1つの床を含む内壁表面によって画定されたカーテンウォール構築物を有する建物構築物内のセーフィングスロットを効果的に熱的遮断および封止するための、動的な熱的遮断および封止システムは、
遮断および封止するための耐熱性の可撓性発泡体材料を含む、チューブ状封止要素であって、チューブ状封止要素は、セーフィングスロット内に位置決めされ、チューブ状封止要素は、
a)底部側カバーと、
b)頂部側カバーと、を含み、
頂部側カバーは、互いから空間的に配置された2つの位置において底部側カバーに接続され、底部側カバーおよび頂部側カバーは、耐熱性の可撓性発泡体材料を取り囲む、チューブ状封止要素と、
c)チューブ状封止要素をカーテンウォール構築物の内壁表面に取り付けるための第1の接続領域と、
d)チューブ状封止要素を床の外側縁部に取り付けるための第2の接続領域と、を備える。
【0040】
特に、本発明によるチューブ状封止要素は、耐火等級および運動等級のカーテンウォール構築物と共に使用するためのものであり、カーテンウォール構造物は、フォイル表面カーテンウォール遮断材、鋼製バックパン設計を含む、またはガラス、特に完成した床レベルより下側に延在するビジョンガラスを含む、一般的なカーテンウォール設計を有する。加えて、予め製造した製品とすることができる本発明のチューブ状封止要素は、動的な熱的遮断および封止システムの止水特性を強化する。特に、チューブ状封止要素は、設置されたときに、浸水を防止し、ならびに建物構造物内の水の移動を阻止し、かつセーフィングスロット封止システムの水密性を強化する。本発明のチューブ状封止要素は、遮断および封止するための耐熱性の可撓性発泡体材料を含み、チューブ状封止要素は、例えばフォイル表面カーテンウォール遮断材、鋼製バックパンを含む、またはガラスを含む、一般的なカーテンウォール設計を有するカーテンウォール構造物を利用する建物に存在するセーフィングスロット内に位置決めされる。
【0041】
チューブ状封止要素をカーテンウォール構築物の内壁表面に取り付けるための第1の接続領域、およびチューブ状封止要素を床の外側縁部に取り付けるための第2の接続領域がそれぞれ、発泡体材料を取り囲む、底部側カバーおよび頂部側カバーの一部を構成することが好ましい。好ましくは、接続領域はまた、チューブ状封止要素の本体(翼状)から外方に突出する可撓性翼またはタブとも称される。接続領域は、好ましくは、底部側カバーが頂部側カバーに接続される領域内で本体の上隅部に位置決めされる。最も好ましくは、接続領域は、ほぼ正方形状の断面を有するチューブ状封止要素の上隅部に位置決めされる。
【0042】
第1の接続領域の下側は、チューブ状封止要素をカーテンウォール構築物の内壁表面に取り付けるためのものであり、第2の接続領域の下側は、チューブ状封止要素を床の頂面に取り付けるためのものであり、それらによって、動的な熱的遮断および封止システムを容易に載置することを可能にすることが好ましい。
【0043】
好ましい実施形態では、チューブ状封止要素は、頂部側カバーがコンクリート床の頂面と面一になるようにセーフィングスロット内に配置される。チューブ状封止要素は、床の上側または下側からセーフィングスロットに挿入し、好ましくは床の上側から挿入し、容易に固定して、セーフィングスロットの完全な封止を確実にすることができる。
【0044】
好ましい実施形態において、動的な熱的遮断および封止システムは、第1の接続領域および/または第2の接続領域に位置決めされた接着剤層をさらに備え、接着剤層は、接続領域の上側または下側に位置決めすることができる。最も好ましくは、接着剤層は、接続領域の下側に位置決めされる。接着剤層は、ホットメルト接着剤、ブチルシーリング、両面接着剤、自己接着剤層であることが好ましい。本発明による動的な熱的遮断および封止システムの好ましい実施形態において、接着剤の裏紙を含む接着剤層は、ホットメルト自己接着剤層である。最も好ましい実施形態において、接着剤のベーカーは、シリコーン紙である。
【0045】
チューブ状封止要素の好ましい実施形態において、底部側カバーは、底部側積層体である。この積層体は、少なくとも2つの層を備えることができ、好ましくは3つの層を備える。特に、底部側積層体は、プラスチックフォイル層を備え、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、などを含み、メッシュ層は、プラスチックフォイル層の間に、最も好ましくは、2つのポリエチレンフォイル層の間に積層される。最も好ましい実施形態において、底部側積層体は、2つのポリエチレン層の間に積層ガラス繊維メッシュ層を有する積層体である。あるいは、底部側カバーはまた、織布材料からの層または強化層、織布、フォイル、強化繊維布、など、またはこれらの組み合わせの1つ以上の層または組み合わせからなり得る。
【0046】
チューブ状封止要素の好ましい実施形態では、頂部側カバーは、頂部側積層体である。この積層体は、少なくとも2つの層を備えることができ、好ましくは3つの層を備える。特に、頂部側積層体は、アルミニウム層、プラスチックフォイル層、およびメッシュ層を備え、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、などを含む。最も好ましくは、頂部側積層体は、ポリエチレンバックを有する強化アルミニウム層で構成される。代替的には、頂部側カバーはまた、織布材料からの層または強化層、織布、フォイル、強化繊維布、など、またはこれらの組み合わせの1つ以上の層または組み合わせからなり得る。
【0047】
底部側カバーおよび頂部側カバーは、材料特性および意図する機能に応じて、異なるまたは同じ材料とすることができる。しかしながら、底部側カバーおよび頂部側カバーは、異なる材料であることが好ましい。
【0048】
チューブ状封止要素の特定の好ましい実施形態において、底部側積層体のメッシュ層および/または頂部側積層体のメッシュ層は、ガラス繊維材料またはセラミック繊維材料で作製される。繊維メッシュは、発泡体材料を適所で保持し、システムの安定性を強化するために使用され、ならびに耐熱性の可撓性発泡体材料が火と接触したときに封止部を安定させる。底部側積層体のメッシュ層および/または頂部側積層体のメッシュ層は、例えば、2つの層の可燃性のフォイルの間に積層させることができる。さらに、メッシュ層は、固定すること、または固定しないことができる。好ましくは、頂部側積層体のメッシュ層のメッシュサイズは、底部側積層体のメッシュ層のメッシュサイズと異なる。好ましくは、メッシュサイズは、約2mm×2mm~約10mm×10mmの範囲、より好ましくは約5mm×5mmである。
【0049】
好ましい実施形態では、耐熱性の可撓性発泡体材料は、向上した疎水性を有する防火添加剤を含む膨張性の連続気泡発泡体材料である。好ましくは、膨張性のオープンセル発泡体材料は、ポリウレタンに基づく発泡体材料である。耐熱性の可撓性発泡体材料は、非圧縮状態の90kg/m3の密度を有することが好ましい。
【0050】
本発明によれば、チューブ状封止要素の断面形状は、一般に、長方形状、台形状、円形状、またはU字形状である。好ましくは、チューブ状封止要素の断面形状は、長方形状である。チューブ状封止要素は、異なるセーフィングスロット幅に適用するために、断面形状に関して異なる幅で容易に製作することができ、例えば、チューブ状封止要素は、1.5インチ~3インチ(38.1mm~76.2mm)のセーフィングスロット幅に使用する約3.54インチ(約90mm)の幅、2インチ~4インチ(50.8mm~101.6mm)のセーフィングスロット幅に使用する約4.53インチ(約115mm)の幅、さらには3インチ~5インチ(76.2mm~127mm)のセーフィングスロット幅に使用する約5.55インチ(約141mm)の幅で製作することができる。これらの異なるサイズは、チューブ状封止要素をセーフィングスロットの中へ圧入する必要がないという点で、設置を容易にする。略台形の断面形状を有するチューブ状封止要素を有する代替の実施形態では、チューブ状封止要素の大きいほうの側をカーテンウォール側に位置決めすることができ、チューブ状封止要素の小さいほうの側を床側に位置決することができる。例えば、チューブ状封止要素は、カーテンウォール側に3.5インチの厚さ、および床側に2.375インチの厚さを有し、それによって、防火を強化することができる。また、台形状の任意の他の寸法も可能である。
【0051】
動的な熱的遮断および封止システムの特定の実施形態において、チューブ状封止要素の底部側カバーは、水が建物構造物の中へ、したがって封止要素の中へ侵入した場合に、チューブ状封止要素の内側から外側へ水を移動させるための開口部または穿孔を備え、一方で、頂部側カバーは、好ましくは、例えば雨による頂部側からの水の浸入を防止するために、穿孔または開口部を含まない。代替的な実施形態において、頂部側カバーの外面は、凸状である。
【0052】
本発明によれば、動的な熱的遮断および封止システムは、好ましくは床の上側からチューブ状封止要素を挿入することによって、好ましくはセーフィングスロット内に設置される。動的な熱的遮断および封止システムを設置するために、以下のステップを全体として、または単にステップの一部を実行することができる。
【0053】
第1のステップで、スラブカーテンウォールジョイントの所望の縁部の幅を測定する。続いて、測定したジョイントの幅を使用して、動的な熱的遮断および封止システムのチューブ状封止要素の幅が現在のジョイント幅に好適であるかどうかを判定し、チューブ状封止要素の各設計は、製品ごとの所定のジョイント幅の範囲を有する。続いて、カーテンウォールジョイントの長さを測定する。この長さは、通常、カーテンウォールアンカーの間で測定される。
【0054】
次のステップで、動的な熱的遮断および封止システムのチューブ状封止要素の長さを測定し、必要な場合は、必要な長さに一致するように切断する。必要な場合は、チューブ状封止要素を設置するブラケットのプロファイルに一致するようにチューブ状封止要素の縁部を切断し、カーテンウォールおよびスラブの表面の塵、油、破片、および水を除去する。
【0055】
続いて、動的な熱的遮断および封止システムのチューブ状封止要素をその長端部に配置し、スラブの縁部に整列させる。続いて、チューブ状封止要素を圧縮して、スラブの縁部の上でカーテンウォールジョイントの中へ90度回転させる。チューブ状封止要素をスラブの上面と面一に設置した時点で、カーテンウォールテープ上の接着剤の裏紙を取り除いて、接着剤をカーテンウォールファサードに接着する。次に、スラブ接着剤上の接着剤の裏紙を取り除いて、スラブ縁部に接着する。
【0056】
動的な熱的遮断および封止システムのチューブ状封止要素の追加ピースが必要である場合、その追加ピースについて、上で開示したステップを繰り返されなければならない。
【0057】
最後に、隣接するチューブ状封止要素間の、および各ブラケットの周囲の各継ぎ目、接合部、または当接部を、この位置にだけ水密封止を適用することによって封止して、動的な熱的遮断および封止システムの止水特性を強化することができる。特に、水密封止は、任意の継ぎ目の上に2mmの湿潤厚さで、およびチューブ状封止要素、隣接するカーテンウォールアセンブリ、およびコンクリート床アセンブリの上に最小で1インチの重なりで適用することができる。シーラントをセーフィングスロット領域全体にわたって塗布する必要はない。好ましくは、水密封止は、エマルジョン、スプレー、コーティング、発泡体、塗料、またはマスチックの形態である。
【0058】
すなわち、チューブ状封止要素は、約10%~40%の圧縮でセーフィングスロットの中へ連続的に設置され、側面は、床の外側縁部に対して当接した状態、およびカーテンウォール構築物の内壁表面に対して当接した状態のそれぞれで位置決めされ、その頂部側カバーは、好ましくは床の上面と面一である。設置したときに、1つ以上のチューブ状封止要素が様々な程度に圧縮されるが、通常は、約10%~40%に圧縮される。この圧縮は、外方への力を働かせ、外方へ拡大させて、セーフィングスロット内に生じた空洞を満たす。チューブ状封止要素の第1の接続領域は、カーテンウォール構築物の内壁表面に取り付けられ、第1の接続領域は、殆ど垂直に配設され、チューブ状封止要素から上方へ突出し、また、カーテンウォール構築物の内壁表面と平行である。チューブ状封止要素の第2の接続領域は、床の上面に取り付けられ、第2の接続領域は、殆ど水平に配設され、チューブ状封止要素から外方へ突出し、また、床の上面と平行であり、頂部側カバーと床の縁部との間に面一の接続をもたらす。
【0059】
本発明による動的な熱的遮断および封止システムは、好ましくは、1つ以上の枠組み部材、およびカーテンウォール構築物の内壁表面と床の外側縁部との間に延在するセーフィングスロットを画定するカーテンウォール構築物の内壁表面から空間的に配置された少なくとも1つの床を含む内壁表面によって画定された、建物構築物と共に使用するためのものである。
【0060】
特に、建物構築物は、セーフィングスロットを効果的に熱的遮断および封止するための、動的な熱的遮断および封止システムを備え、動的な熱的遮断および封止システムは、
遮断および封止するための耐熱性の可撓性発泡体材料を含む、チューブ状封止要素であって、チューブ状封止要素は、セーフィングスロット内に位置決めされ、チューブ状封止要素は、
a)底部側カバーと、
b)頂部側カバーと、を含み、
頂部側カバーは、互いから空間的に配置された2つの位置において底部側カバーに接続され、底部側カバーおよび頂部側カバーは、耐熱性の可撓性発泡体材料を取り囲む、チューブ状封止要素と、
c)チューブ状封止要素をカーテンウォール構築物の内壁表面に取り付けるための第1の接続領域と、
d)チューブ状封止要素を床の外側縁部に取り付けるための第2の接続領域と、
チューブ状封止要素を前記カーテンウォール構築物に固定するための少なくとも1つの接着剤層と、を備える。
【0061】
建物構築物は、ビジョンガラス充填材ならびに少なくとも1つの垂直金属骨組み部材および少なくとも1つの水平金属骨組み部材で構成されるカーテンウォール構築物を備えることができる。代替的には、建物構築物は、フォイル表面カーテンウォール遮断材または鋼製バックパン設計を含む一般的なカーテンウォール設計を有するカーテンウォール構築物を備えることができる。
【0062】
本発明による動的な熱的遮断および封止システムは、現場組み立ての外部動的カーテンウォールファサードに使用すること、または外部動的カーテンウォールアセンブリ内で使用するための統合パネルを組み立てる際に使用することができる。特に、チューブ状封止要素は、統合パネル構造の一部とすることができる。統合カーテンウォールパネルの製造は、カーテンウォール製造者が、全ての必要なカーテンウォール構成要素を敷地外で設置し、次いで、建物への容易で素早い設置のための、施設内で完成した統合パネルを出荷することを可能にする。
【0063】
本発明の動的な熱的遮断および封止システムはまた、カーテンウォール構造物のセーフィングスロットを音響的に遮断および封止するためのものでもある。遮断および封止するために使用される材料は、合成ゴムに基づくエラストマーインタレース発泡体(例えば、armacell(登録商標)からのArmaprotect(登録商標)またはArmaflex(登録商標))、ポリエチレン発泡体、ポリウレタン発泡体、ポリプロピレン発泡体、またはポリ塩化ビニル発泡体などの、音響抵抗材料および/または気密材料である。
【0064】
本発明は、本明細書で特に示され、明確に説明されているが、好ましい実施形態は、以下の詳細な説明に記載されており、添付図面と併せて読み込んだときに最良に理解することができる。
【0065】
図1は、最初に、統合カーテンウォール構築物の水平骨組み部材(床レベル、すなわちゼロスパンドレルの無目)に設置して、取り付けたときに、床の外側縁部とガラスカーテンウォール構築物の内壁表面との間にあり、ビジョンガラスが完成した床レベルの下側に延在する、動的な熱的遮断および封止システムの実施形態の側断面図を示す。特に、動的な熱的遮断および封止システム100は、最初に、1つ以上の骨組み部材、すなわち、垂直骨組み部材-方立2-および床レベルに位置する水平骨組み部材-横木3-を含む内壁表面1、ならびにカーテンウォール構築物の内壁表面1と床4の外側縁部6との間に延在するセーフィングスロット5を画定するカーテンウォール構築物の内壁表面1から空間的に配置された少なくとも1つの床4によって画定された、ガラスカーテンウォール構築物のゼロスパンドレル領域の領域内に設置される。骨組み部材2および3は、完成した床レベルより下側に延在するビジョンガラス7で塞がれる。本発明の動的な熱的遮断および封止システム100は、耐熱性の可撓性発泡体材料11を共に取り囲む頂部側カバー9および底部側カバー10を備える、チューブ状封止要素8を有する。発泡体材料は、ある割合の防火添加剤材料、好ましくは発泡グラファイトを伴う、ポリウレタン基部上の膨張性の発泡体材料である。火災事象中に、膨張性材料は、防火機能を提供するアッシュクラストを作成する。発泡体の組成、すなわち密度、防火、フィラーの割合、などは、必要な防火機能がセーフィングスロットに提供されるように調整することができる。好ましくは、チューブ状封止要素8は、上面12と共にほぼ長方形の断面を有し、下面13は、互いにほぼ平行に配設され、第1の側面14および第2の側面15は、互いにほぼ平行に配設される。好ましくは、頂部側カバー9は、上面12を構築する頂部側積層体9であり、一方で、底部側カバー10は、好ましくは、下面13ならびに側面14および15を構築する底部側積層体10である。耐熱性の可撓性発泡体材料11は、頂部側カバー9および底部側カバー10によって取り囲まれ、耐熱性の可撓性発泡体材料11は、頂部側カバー9の内面および底部側カバー10の内面に接続される。載置されたとき、チューブ状封止要素8の第1の側面14は、床4の外側縁部6に隣接し、第2の側面15は、カーテンウォール構築物の内壁表面1に隣接し、好ましくはカーテンウォール構築物のゼロスパンドレル領域17内に位置決めされた遮断材に隣接する。載置されたチューブ状封止要素8の上面12は、床4の上面18と面一である。本実施形態において、チューブ状封止要素8は、床4よりも低い高さを有し、チューブ状封止要素8の高さは、好ましくは、床4の高さの約半分である。
【0066】
図2~
図5は、チューブ状封止要素8の構造物をより詳細に示す。
図2に示す実施形態の頂部側積層体9ならびに底部側積層体10は、それぞれ、好ましくは3つの層を備える。底部側積層体10は、プラスチックフォイル、すなわち可燃性のポリエチレン、ポリプロピレン、などの2つの層20、21と、強化メッシュ層22、すなわち可燃性フォイルの層20と21との間に積層されたガラス繊維メッシュと、を備える。好ましくは、層20および21は、層20と層21との間に積層されたメッシュ層22またはグリッドを有するポリエチレン層である。強化メッシュ層22は、火災事象の中に発泡体材料11が活性化された時点で、それを適所で保持するために使用される。火災事象中に発泡体材料11によって作られるアッシュクラストは、防火機能を提供する。頂部側積層体9は、内側層24および外側層25を備え、少なくとも1つの層24、25は、アルミニウムを含むこと、またはそれで作製することができ、一方で、1つの層24、25は、プラスチックフォイル、すなわち可燃性のポリエチレン、ポリプロピレン、などを含むこと、またはそれで作製することができる。さらに、頂部側積層体9は、層24と25との間に積層強化メッシュ層26を備える。好ましい実施形態において、頂部側積層体9の外側層25は、アルミニウムフォイルであり、頂部側積層体9の内側層24は、ポリエチレンフォイルであり、ガラス繊維メッシュ層26がそれらの間に積層される。底部側積層体10のメッシュ層22の、および頂部側積層体9のメッシュ層26のグリッドサイズは、同程度とすること、または互いに異なることができ、メッシュ層22および26は、好ましくは、約5mm×5mmのメッシュサイズを有する。
【0067】
動的な熱的遮断および封止システム100を、床4の外側縁部6に、およびカーテンウォール構築物の内壁表面に取り付けるために、チューブ状封止要素8は、第1の接続領域28と、第2の接続領域29と、を備える。各接続領域28、29は、好ましくは、頂部側カバー9および底部側カバー10を第1の接続領域28内の、および第2の接続領域29内の平面に互いに取り付けることによって、併せて構築される。接続領域28、29またはタブは、チューブ状封止要素8の隅部から突出し、そこでは、頂部側カバー9の上面12が、第1の側面14または底部側カバー10の第2の側面15にそれぞれ接続される。翼状の接続領域28、29は、チューブ状封止要素8の長方形の主形状に対して可撓的に運動可能であり、約270°旋回させることができる。各接続領域28、29の下側には、接着剤層23、27が配設され、これらは、接続領域28、29の下側の長さ全体にわたって延在させることができ、または単に接続領域28、29の下側の一部を覆うことができる。接着剤層23、27は、チューブ状封止要素8をカーテンウォール構築物の内壁表面に、および床4の外側縁部6に接着するために使用される。さらに、接着剤層23、27は、チューブ状封止要素8を適所で保持して、水および音に対する封止を確実にする。火災事象中は、最小限の粘着力が残った状態を維持する。接着剤は、即時の耐雨保護物ならびにカーテンウォール建造者に対する設置の容易さを提供することができるように、タブ28、29上に位置付けられる。第1の接続領域28は、チューブ状封止要素8をカーテンウォール構造物に取り付けるためのものであり、接続領域28の下側は、例えば無目3の領域内で、カーテンウォール構造物の内壁表面1に取り付けることができる。動的な熱的遮断および封止システム100の載置位置において、第1の接続領域28は、内壁表面1と整列され、ほぼ垂直に配設される。第2の接続領域29は、チューブ状封止要素8を床4の上面18に取り付けるためのものである。動的な熱的遮断および封止システム100の載置位置において、第2の接続領域29は、床の上面18と整列され、ほぼ水平に配設される。
図5で分かるように、底部側積層体10は、システムへの水の浸入の場合に底部側積層体10を通して発泡体材料11から動的な熱的遮断および封止システム100の外側に水を移動させるための、多数の規則的または不規則に分散された開口部31または穿孔を備える。好ましくは、開口部31は、3列に配設される。
【0068】
図6は、チューブ状封止要素8が標準カーテンウォール構築物内にあり、上で説明した動的、チューブ状封止要素8が床4の外側縁部6と標準カーテンウォール構築物の内壁表面1との間に配設された、上で説明した熱的遮断および封止システム100の応用例を示す。
【0069】
図7は、チューブ状封止要素8が鋼製バックパン設計を有するカーテンウォール構築物を有し、チューブ状封止要素8が床4の外側縁部6と鋼製バックパン設計のカーテンウォール構築物の内壁表面1との間に配設された、上で説明した動的な熱的遮断および封止システム100の応用例を示す。
【0070】
図8は、代替的な形状を有するチューブ状封止要素の別の実施形態を示す。チューブ状封止要素35は、台形状および凸状の頂面を有する。火災試験中に、このチューブ状封止要素設計はまた、その形状のため、セーフィングスロットの完全な封止も確実にする。チューブ状封止要素35は、台形状を有し、それによって、カーテンウォール側部は、床側と比較してより厚いプロファイルを有する。例えば、チューブ状封止要素35は、カーテンウォール側部上で3.5インチの厚さ、および床側部上で2.375インチの厚さを有し得る。
【0071】
図8は、台形断面および凸状の頂部側カバーを有するチューブ状封止要素の別の実施形態の側断面図を示す。
【0072】
本発明のこれらの実施形態は、材料が有効な高温遮断および防水特性を有する限り、チューブ状封止要素に使用される多くの異なるタイプの遮断材料と協働することを理解されたい。
【0073】
本出願の動的な熱的遮断および封止システムは、以下のように、標準方法ASTM E2307「中規模多階建て試験装置を用いた耐火障壁の耐火性を決定するための標準試験方法、2015」に従う試験、ならびに標準方法ASTM表記:E1399-97(2005年承認)「周期的運動のための標準試験方法と建築用ジョイントシステムの最小および最大ジョイント幅の測定」に従う試験を受けさせた。
【0074】
要素およびアセンブリの説明
本出願の動的な熱的遮断および封止システムは、フォイル表面カーテンウォール遮断材、鋼製バックパン設計を含む、またはガラス、特に完成した床レベルより下側に延在するビジョンガラスを含む、一般的なカーテンウォール設計を有するカーテンウォール構造体によって試験した。以下、ガラスカーテンウォール構造物を有する、本出願の動的な熱的遮断および封止システムを適用する。本出願の動的な熱的遮断および封止システムは、最も可能なセーフィングスロットにおいて、すなわち5インチ(127mm)のジョイント幅を有するもので試験した。
【0075】
1.コンクリート床アセンブリ(床、2時間火災等級):
100~150pcfの密度を有し、接合面で最小4-1/2インチの厚さを有する、軽量または普通重量のコンクリートから、2時間等級のコンクリート床アセンブリを作製した。壁からスラブまで、5インチの開口ジョイント(セーフィングスロット)が存在した。
【0076】
2.カーテンウォール(無火災等級、0時間火災等級):
カーテンウォールは、幅2-1/2インチおよび深さ4インチ(最小1/4インチのガラスおよび最小1/2インチのアルミニウムキャップを含む壁の総深さは、最小5-1/4インチである)の最小寸法を有し、最小厚さ0.1インチのアルミニウムから作成された、長方形のチューブ材料で構築した(骨組み部材)。最小厚さ1/4インチの透明な熱強化したまたはテンパーガラス(ビジョンガラス)と、アルミニウム圧縮プレート(キャップ)およびグレージングガスケットによって適所に設置した。
【0077】
3.スパンドレルアングル:
最小22GAで2インチ×2インチの亜鉛メッキ鋼製アングルを、スパンドレルの周囲に設置した。アングルの裏面と面一に配置したときに垂直骨組み部材の内面と面一になるように、カーテンウォール遮断材を位置決めする。最小3/4インチのNo.10のセルフタッピングシート材料ねじで、最大8インチocの間隔で、上側無目ならびに垂直部材の下側にアングルを固定する。鋼製アングルは、各隅部で重ねて、2つのシートメタルねじによって共に固定する。
【0078】
4.カーテンウォール遮断材:
全てのスパンドレルパネルは、最小3インチの厚さで8pcfのミネラルウールカーテンウォール遮断材によって遮断し、片側が、部屋内に露出されるアルミニウムフォイルスクリム(蒸気抑制剤)と面した。遮断材は、垂直骨組み部材の間に強固に嵌合させて、鋼製ねじまたは穿刺ピンによってスパンドレルアングルに固定し、鋼製クリンチシールドを最高12インチocで配置した。垂直アングルには、最低3つのねじが必要とされる。遮断材とアルミニウム骨組み部材との接触縁部は全て、その接合部を中心に、公称4インチ幅の感圧性アルミニウムフォイル表面のテープによって封止した。
【0079】
5.骨組みカバー(オプション):
所望の場合には、最小2インチの厚さ×8インチの幅で、8pcfのミネラルウールカーテンウォール遮断材を、片側が、室内に露出されるアルミニウムフォイルスクリム(蒸気抑制剤)と面するように設置する。骨組みカバーは、各垂直骨組み部材を中心にし、鋼製ねじまたは穿刺ピンによってスパンドレルアングルに固定し、鋼製クリンチシールドを、最高10インチocで離間した。骨組みカバーは、周辺ジョイント処理の底面に突き合わせる。
【0080】
6.セーフィングスロット遮断材料(周辺ジョイント保護物):
動的な熱的遮断および封止システムは、特に本発明のチューブ状封止要素は、要素の頂面がコンクリート床の頂面と面一になるように、周辺ジョイント内に位置決めした。接着剤から台紙を取り外し、タブ(翼)をコンクリート床の頂部側および方立の前面に接着した。スプライス(突き合わせジョイント)は、共に強固に圧縮した(約1/8インチ)。
【0081】
7.取り付けアタッチメント:
カーテンウォール製造業者の指示に従うアルミニウム骨組みの構造物骨組みへの取り付けは、カーテンウォール製造業者の指示に従って、取り付けアタッチメントをコンクリート床アセンブリの接合面に接続する。
【0082】
8.ジョイントカバー:
周辺ジョイント保護物を設置した後に、カーテンウォール製造業者の指示によって設置した建築用ジョイントカバーを使用して、ジョイントを完全に覆うことができる。
【0083】
試験および評価方法
1.ASTM E2307:
計装:
35個の24GAでタイプKのガラス繊維ジャケット付き熱電対(TC)を、規格に従って設置した:そのうち12個のTCは、外部の中心までの温度を測定し、11個のTCは、周辺ジョイントおよび支持フレームの温度を測定し、12個のTCは、炉内温度を測定した。熱電対の出力は、100チャネルのYokogawa,Inc.,製Darwin Data Acquisition Unitによって監視した。コンピュータは、15秒ごとにデータをスキャンし、保存するようにプログラムした。
【0084】
試験標準:
試験は、適用可能な要件に従って、および標準方法ASTM E2307(2015年承認)「周期的運動のための標準試験方法と建築用ジョイントシステムの最小および最大ジョイント幅の測定」に従って行った。
【0085】
アセンブリは、アセンブリと効果的な封止を生じさせるための炉との間に設置したセラミック繊維遮断材によって、中規模多階建て試験装置(ISMA)に固定した。ウインドウバーナーは、ウインドウの垂直中心線上で、開口部の頂部より9インチ下側に、およびバーナーの縦方向中心線上で、外壁の平面から3インチに中心があり、試験装置の標準および較正を維持した。アセンブリは、装置の較正中に決定した流量で、商業レベルのプロパンガスを使用して試験した。
【0086】
2.ASTM E1399:
計装:
油圧シリンダと組み合わせた溶接鋼製試験装置を使用して、所望の運動分類に従って、試験片を指定された最大および最小ジョイント幅まで、必要回数の連続繰り返し運動をサイクルさせた。ジョイント幅の変位出力は、所定のハードウェア位置で較正し、0.25±0.013mm(0.010±0.005インチ)の精度に対して監視した。
【0087】
試験標準:
試験は、適用可能な要件に従って、およびASTM表記の標準方法:E1399-97(2005年承認)「周期的運動のための標準試験方法と建築用ジョイントシステムの最小および最大ジョイント幅の測定」に従って行った。
【0088】
アセンブリは、様々なハードウェアおよびねじ付きロッドの組み合わせによって、中規模多階建て試験装置(ISMA)に固定した。油圧シリンダは、一貫したおよび均一な荷重配分が試験標本に適用されるように、アセンブリと共に中央に配置した。油圧シリンダは、垂直方向および水平方向における所望の運動クラスを達成するように、ISMA上の所定の位置に取り付けた。
【0089】
サイクルは、30cpm以上のサイクル速度で100回の最小サイクル数を適用し、続いて10cpm以上のサイクル速度で400回の最小サイクル数を適用することによって、クラスIV運動等級の要件を満たすように行った。
【0090】
結果
説明した試験アセンブリは、120分の火災等級ならびにクラスIVの運動等級を達成した。
【0091】
結果は、床の縁部とカーテンウォール構築物の内壁表面との間を封止するための本発明の動的な熱的遮断および封止システムが、建物内の各レベルの床を取り囲むセーフィングスロットの封止を維持することを示した。
【0092】
結果は、特にガラスカーテンウォール構造物のための、本発明の動的な熱的遮断および封止システムが、既存の例外を含む既存の火災試験および建築基準法の要件を満たすこと、または超えることを実証した。追加的に、火災への露出を含む様々な条件に対応する、住宅または商業ビルの床と外部カーテンウォールとの間のセーフィング遮断材の維持が保証される。
【0093】
さらに、特に、本発明の動的な熱的遮断および封止システムは、ビジョンガラスが完成した床レベルまで延在する、床アセンブリに関するフルスケールのASTM E2307ならびにフルスケールのASTM E1399試験システムの要件を満たすこと、基準法の例外に対処すること、書面および工学的判断を回避すること、ならびに本出願に関して定義/試験される建築的細部を確実にし、提供すること、特に、火災安全ならびに運動安全の建築的区画化を提供するための被試験システムを提供することを示した。
【0094】
本発明による試験システムは、片側から設置して、片側の適用を実現する。
【0095】
さらに、本出願の動的な熱的遮断および封止システムは、それが異なるサイズで提供されたときに、異なるサイズのセーフィングスロットに低圧縮で容易に載置することができ、それでも、最適な耐火性を提供する。
【0096】
また、本システムを、現場組み立ての外部動的カーテンウォールファサードに用いることができること、または外部動的カーテンウォール内で使用するための統合パネルを組み立てる際に使用することができることも示した。
【0097】
さらに、向上した耐火性ならびに防音性を有し、同時に止水特性を強化し、また、カーテンウォール構造物の設置中に容易に統合することができるシステムが提供される。さらに、提供される耐火等級の熱的遮断および封止システムは、追加的に、浸水ならびに建物構造物内の水の移動の阻止、およびセーフィングスロット封止システムの水密性の強化に対処する。
【0098】
また、カーテンウォール構造物と床の縁部との間のセーフィングスロットを効果的に熱的に遮断および封止するための、そのような動的な熱的遮断および封止システムを備える、建物構築物が提供されることも示した。
【0099】
このように、本発明の動的な熱的遮断および封止システムは、カーテンウォール構築物、特にガラスカーテンウォール構築物を使用し、ビジョンガラスが完成した床レベルより下側に延在するときに、セーフィングスロットの完全な封止を効果的に維持するためのシステムを提供する。
【0100】
本発明の特定の実施形態を図面に示し、上で説明してきたが、組み合わせの様々な要素の形態、配設、および位置決めにおいて数多くの変更が行われ得ることが認識されるであろう。それを考慮して、本明細書で開示する本発明の好ましい実施形態は、単なる例示であることを意図しており、本発明の範囲を制限することを意図していないことを理解されたい。
【国際調査報告】