(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-19
(54)【発明の名称】アキュムレータ落下保護具
(51)【国際特許分類】
H01M 50/242 20210101AFI20220512BHJP
H01M 50/247 20210101ALI20220512BHJP
H01M 50/211 20210101ALI20220512BHJP
H01M 50/213 20210101ALI20220512BHJP
【FI】
H01M50/242
H01M50/247
H01M50/211
H01M50/213
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556748
(86)(22)【出願日】2020-03-16
(85)【翻訳文提出日】2021-09-21
(86)【国際出願番号】 EP2020057056
(87)【国際公開番号】W WO2020193246
(87)【国際公開日】2020-10-01
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100, 9494 Schaan, LIECHTENSTEIN
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】特許業務法人ナガトアンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ホルバッシュ, マルクス
(72)【発明者】
【氏名】シュミット, シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】トビアス, ケーニガー
(72)【発明者】
【氏名】ゲットリンガー, ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】マルシグリア, カタリナ
(72)【発明者】
【氏名】ハルバウム, ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ジーグラー, ベルント
(72)【発明者】
【氏名】プロファンサー, ディーター
(72)【発明者】
【氏名】マイクスナー, ラルフ
(72)【発明者】
【氏名】クリンゲン, ダーヴィト
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA37
5H040AS19
5H040AT01
5H040AT04
5H040AY04
5H040AY08
5H040NN03
(57)【要約】
本発明は、特に工作機械に電気エネルギーを供給するためのアキュムレータであって、少なくとも1つのエネルギー蓄積セルを収容するためのハウジングを含むアキュムレータのための衝撃吸収装置に関する。衝撃吸収装置は、アキュムレータのハウジングに加えられた衝撃エネルギーを吸収するための少なくとも1つの衝撃吸収素子を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に工作機械に電気エネルギーを供給するための充電式バッテリ(1)であって、少なくとも1つのエネルギー蓄積セル(4)を収容するためのハウジング(2)を含む充電式バッテリ(1)のための衝撃吸収デバイス(7)において、前記充電式バッテリ(1)の前記ハウジング(2)に加えられた衝撃エネルギーを吸収するための少なくとも1つの衝撃吸収素子(8a、8b、8c、8d)を含むことを特徴とする衝撃吸収デバイス(7)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの衝撃吸収素子(8a、8b、8c、8d)は、前記充電式バッテリ(1)の前記ハウジング(2)の第1の側面から前記充電式バッテリ(1)の前記ハウジング(2)の第2の側面まで延在することを特徴とする、請求項1に記載の衝撃吸収デバイス(7)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの衝撃吸収素子(8a、8b、8c、8d)は、ヨークの形態で構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の衝撃吸収デバイス(7)。
【請求項4】
ヨークとして構成された前記衝撃吸収素子(8a、8b、8c、8d)は、第1の端部(9a)及び第2の端部(9b)を含み、前記第1の端部(9a)は、前記ハウジング(2)の第1の側面(2a、2b、2c、2d、2e、2f)に位置決めされ、及び前記第2の端部(9b)は、前記ハウジング(2)の第2の側面(2a、2b、2c、2d、2e、2f)に位置決めされることを特徴とする、請求項3に記載の衝撃吸収デバイス(7)。
【請求項5】
実質的に一定の距離(b)は、前記衝撃吸収素子(8a、8b、8c、8d)の内側表面(11)と、前記充電式バッテリ(1)の前記ハウジング(2)の外側表面(12)との間に設けられることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の衝撃吸収デバイス(7)。
【請求項6】
ヨークとして構成された前記衝撃吸収素子(8a、8b、8c、8d)は、ヨークとして構成された前記衝撃吸収素子(8a、8b、8c、8d)の弧状の部分が、前記ハウジング(2)の2つの相互に隣接する側面(2a、2b、2c、2d、2e、2f)の横方向の縁部(10)の周りに延在するように前記ハウジング(2)に位置決めされることを特徴とする、請求項3~5のいずれか一項に記載の衝撃吸収デバイス(7)。
【請求項7】
ヨークとして構成された前記衝撃吸収素子(8a、8b、8c、8d)は、少なくとも2つの構成要素片(81、82、83、84、85)、特に5つの構成要素片(81、82、83、84、85)を含み、2つの相互に隣接する構成要素片(81、82、83、84、85)は、それぞれの場合において、互いに鈍角(α、β、γ、δ)で配置されることを特徴とする、請求項3~6のいずれか一項に記載の衝撃吸収デバイス(7)。
【請求項8】
ヨークとして構成された前記衝撃吸収素子(8a、8b、8c、8d)は、円弧の形態で構成されることを特徴とする、請求項3~7のいずれか一項に記載の衝撃吸収デバイス(7)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に工作機械に電気エネルギーを供給するための充電式バッテリであって、少なくとも1つのエネルギー蓄積セルを収容するためのハウジングを含む充電式バッテリのための衝撃吸収デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
市場で入手可能な充電式バッテリは、通常、充電式バッテリセルとも呼ばれる、電気エネルギーを蓄積及び放出するために使用される複数のエネルギー蓄積セルを含む。充電式バッテリのハウジングは、通常、比較的硬質のプラスチックシェルで構成される。例えば、硬質のプラスチックは、ポリアミドであり得る。
【0003】
従来のエネルギー蓄積セル又は充電式バッテリセルは、比較的感度が高く、突然発生する力の影響、衝撃などから保護しなければならない。エネルギー蓄積セルに対する力のこのような影響は、充電式バッテリのハウジングが特定の落下高さから硬い非弾性の表面(例えば、コンクリート床)に当たるとき、充電式バッテリの落下又は脱落の結果として発生し得る。この過程中、衝撃エネルギーは、充電式バッテリハウジングを介してエネルギー蓄積セルに伝送され、エネルギー蓄積セルに損傷が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上述の問題を解決し、特に落下した場合に充電式バッテリハウジングの内部でエネルギー蓄積セルをより良好に保護することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に記載の主題、特に工作機械に電気エネルギーを供給するための充電式バッテリであって、少なくとも1つのエネルギー蓄積セルを収容するためのハウジングを含む充電式バッテリのための衝撃吸収デバイスによって特に達成される。
【0006】
本発明によれば、衝撃吸収デバイスは、充電式バッテリのハウジングに加えられた衝撃エネルギーを吸収するための少なくとも1つの衝撃吸収素子を含む。
【0007】
本発明の有利な一実施形態によれば、少なくとも1つの衝撃吸収素子は、充電式バッテリのハウジングの第1の側面から充電式バッテリのハウジングの第2の側面まで延在することが可能である。これにより、充電式バッテリのハウジングの第1の側面と第2の側面との間の横方向の縁部を衝撃吸収素子によって効果的に保護することが可能である。充電式バッテリが硬い表面上に落下又は脱落した場合、衝撃エネルギーが突然作用すると、特に側面間の横方向の縁部で充電式バッテリのハウジング及びエネルギー蓄積セルへの損傷につながる可能性がある。
【0008】
ここで、2つの相互に隣接する側面は、それぞれの場合において、互いに実質的に直角(すなわち90°)に配置されることに留意されたい。しかしながら、2つの相互に隣接する側面は、それぞれの場合において、互いに直角に配置されない(すなわち90°よりも大きいか又は小さい)ことも可能である。
【0009】
この場合、充電式バッテリのハウジングは、6つの側面を含むことができる。
【0010】
本発明の有利な一実施形態によれば、少なくとも1つの衝撃吸収素子は、ヨークの形態で構成されることが可能であり得る。
【0011】
衝撃吸収素子の材料を選択し、特定の形状に作ることにより、前記素子を塑性的又は弾性的に変形可能にすることができる。
【0012】
本発明の有利な一実施形態によれば、ヨークとして構成された衝撃吸収素子は、第1の端部及び第2の端部を含むことが可能であり、第1の端部は、ハウジングの第1の側面に位置決めされ、及び第2の端部は、ハウジングの第2の側面に位置決めされる。これにより、側面と衝撃吸収素子との間に空洞又は凹部を生成することが可能であり、これは、衝撃エネルギーが充電式バッテリハウジングに突然作用した場合、衝撃吸収帯として又は衝撃吸収素子をその中に変形させることができる領域として使用され得る。衝撃吸収素子の変形により、エネルギー、特に衝撃エネルギーを吸収することができる。ここで、衝撃吸収素子の変形は、弾性的又は塑性的に起こり得る。
【0013】
本発明の有利な一実施形態によれば、実質的に一定の距離は、衝撃吸収素子の表面と、充電式バッテリのハウジングの外側表面との間に設けられることが可能であり得る。
【0014】
しかしながら、本発明の別の有利な実施形態によれば、衝撃吸収素子の表面と、充電式バッテリのハウジングの外側表面との間の距離は、一定でないか又は可変であることも可能である。
【0015】
本発明の有利な一実施形態によれば、ヨークとして構成された衝撃吸収素子は、ヨークとして構成された衝撃吸収素子の弧状の部分が、ハウジングの2つの相互に隣接する側面の横方向の縁部の周りに延在するようにハウジングに位置決めされることが可能である。
【0016】
本発明の有利な一実施形態によれば、ヨークとして構成された衝撃吸収素子は、少なくとも2つの構成要素片、特に5つの構成要素片を含むことが可能であり得、2つの相互に隣接する構成要素片は、それぞれの場合において、互いに鈍角で配置される。鈍角は、110°~150°の値を有することができる。構成要素片は、ヨーク部と呼ぶこともできる。
【0017】
本発明の有利な一実施形態によれば、ヨークとして構成された衝撃吸収素子は、円弧の形態で構成されることが可能である。
【0018】
本発明の有利な一実施形態によれば、衝撃吸収デバイスの衝撃吸収素子は、充電式バッテリのハウジングに固定されるか、又は充電式バッテリのハウジングと一体化された部分であることが可能であり得る。衝撃吸収デバイスを充電式バッテリのハウジングに固定接続(すなわち永久接続)することにより、衝撃吸収デバイスの高い強度又はロバスト性をもたらすことができる。固定接続は、充電式バッテリハウジング及び衝撃吸収デバイスを生産するための一般的なカプセル化又は鋳造プロセスによるものであり得る。これは、特に、充電式バッテリハウジング及び衝撃吸収デバイスが同じ材料(例えば、ポリカーボネート又はポリアミド)から製造される場合に可能である。
【0019】
代替として且つ本発明の別の有利な実施形態によれば、衝撃吸収デバイスの少なくとも1つの衝撃吸収素子は、充電式バッテリのハウジングに固定されるのではなく、ハウジングから取り外し可能であることが可能であり得る。固定されておらず、取外し可能な接続は、例えば、ねじ込みジョイントによって実現することができる。
【0020】
更なる利点は、以下の図の説明から明らかになる。図には、本発明の様々な例示的実施形態が示されている。図、説明及び特許請求の範囲は、多数の特徴を組み合わせて含む。当業者はまた、有用な更なる組み合わせを生成するために、適宜、特徴を個別に検討し、それらを組み合わせるであろう。
【0021】
図では、同一及び類似の構成要素は、同一の参照符号で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1a】ハウジングを有する充電式バッテリ、本発明による衝撃吸収デバイス及び衝撃吸収素子の斜視図を示す。
【
図2】ハウジングを有する充電式バッテリ、本発明による衝撃吸収デバイス及び衝撃吸収素子の側面図を示す。
【
図3】第1のエネルギー蓄積セルの列及び第2のエネルギー蓄積セルの列を有する充電式バッテリのハウジングを通る横方向の断面図を示す。
【
図4】第1のエネルギー蓄積セルの列、第2のエネルギー蓄積セルの列及び第3のエネルギー蓄積セルの列を有する充電式バッテリのハウジングを通る横方向の断面図を示す。
【
図5】充電式バッテリのハウジング及び衝撃吸収素子の角部領域を通る横方向の断面図を示す。
【
図6a】無負荷状態における、第1の実施形態による充電式バッテリのハウジング及び衝撃吸収素子の角部領域を通る横方向の断面図を示す。
【
図7a】部分的に負荷がかかった状態における、第1の実施形態による充電式バッテリのハウジング及び衝撃吸収素子の角部領域を通る横方向の断面図を示す。
【
図8a】完全に負荷がかかった状態における、第1の実施形態による充電式バッテリのハウジング及び衝撃吸収素子の角部領域を通る横方向の断面図を示す。
【
図9a】無負荷状態における、第2の実施形態による充電式バッテリのハウジング及び衝撃吸収素子の角部領域を通る横方向の断面図を示す。
【
図10a】部分的に負荷がかかった状態における、第2の実施形態による充電式バッテリのハウジング及び衝撃吸収素子の角部領域を通る横方向の断面図を示す。
【
図11a】完全に負荷がかかった状態における、第2の実施形態による充電式バッテリのハウジング及び衝撃吸収素子の角部領域を通る横方向の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1及び
図2は、ハウジング2を有する充電式バッテリ1を示す。充電式バッテリ1のハウジング2は、充電式バッテリハウジングとも呼ばれ得、6つの側面又は6つの面、すなわち前側面2aと、左側の壁側面2bと、右側の壁側面2c及び後側面2dと、下側面2eと、上側面2fとを含む。
【0024】
図1では、左側の壁側面2b、後側面2d及び下側面2eは、単に表示されているのみである。
【0025】
消費装置(例えば、工作機械)に電気エネルギー(電流)を出力するか、又は充電デバイスを介して電気エネルギーを受け取るためのインタフェース3が上側面2fの上に設けられる。インタフェース3を利用して、充電式バッテリ1は、工作機械又は充電デバイスに取り外し可能に接続され得る。図には、工作機械も充電デバイスも示されていない。
【0026】
図1に図示されている充電式バッテリ1は、特に工作機械(図示せず)に電気エネルギーを供給するために使用される。
【0027】
図3及び
図4に図示されているように、複数のエネルギー蓄積セル4が充電式バッテリ1のハウジング2の内部に含まれる。エネルギー蓄積セル4は、充電式バッテリセルとも呼ばれ得、電気エネルギーを蓄積するために使用される。明らかなように、充電式バッテリセル4は、並べて且つ2層又は3層に重ねて配置することができる。並んでおり、且つ上下に重なっている充電式バッテリセル4の数は、可変である。しかしながら、単一のエネルギー蓄積セル4のみを充電式バッテリ1のハウジング2の内部に設けることも可能である。
【0028】
図3及び
図4に同様に図示されているように、エネルギー蓄積セル4は、円筒形の構成であり、セル保持デバイス5(セル保持具とも呼ばれる)に位置決めされる。「セル保持具」5は、充電式バッテリハウジング2の内部に位置決めされる。この目的のために、セル保持デバイス5は、実質的に、複数の穿孔6を有するブロックとして構成される。個々の充電式バッテリセル4は、これらの穿孔6に挿入され、これにより充電式バッテリセル4がセル保持デバイス5によって確実に保持される。穿孔6は、凹部又は穴とも呼ばれ得る。
【0029】
代替的な一実施形態によれば、エネルギー蓄積セル4は、「パウチセル」(パウチバッグセル又はコーヒーバッグセルとも呼ばれる)の形態で構成することも可能である。
【0030】
更に、充電式バッテリ1のハウジング2上に衝撃吸収デバイス7がある。
図1及び
図2に示されている例示的な実施形態によれば、衝撃吸収デバイス7は、第1の衝撃吸収素子8aと、第2の衝撃吸収素子8bと、第3の衝撃吸収素子8cと、第4の衝撃吸収素子8dとを含む。各図では、第4の衝撃吸収素子8dは、単に表示されているのみである。衝撃吸収素子8a、8b、8c、8dの構成は、実質的に同一であり、充電式バッテリ1のハウジング2上のそれらのそれぞれの位置に適合される。
【0031】
第1の衝撃吸収素子8aは、充電式バッテリハウジング2の第1の角部に位置決めされ、第1の端部9a及び第2の端部9bを有するヨークとして構成される。
図2に図示されているように、ヨークとして構成された衝撃吸収素子8a、8b、8c、8dは、第1の構成要素片81と、第2の構成要素片82と、第3の構成要素片83と、第4の構成要素片84と、第5の構成要素片85とを含む。第1の構成要素片81は、鈍角αで第2の構成要素片82に接続される。第2の構成要素片82は、鈍角βで第3の構成要素片83に更に接続される。第3の構成要素片83は、次に、鈍角γで第4の構成要素片84に接続される。最後に、第4の構成要素片84は、鈍角δで第5の構成要素片85に接続される。鈍角α、β、γ、δは、110°~150°の値を有することができる。しかしながら、設計に応じて、これよりも大きい角度又はこれよりも小さい角度α、β、γ、δも可能である。角度α、β、γ、δは、同じ値を有する必要はなく、したがって、角度α、β、γ、δは、異なる値を有し得る。6つ以上の構成要素片又は4つ以下の構成要素片を使用することも可能である。
【0032】
この配置では、ヨークとして構成された衝撃吸収素子8a、8b、8c、8dの第1の端部9aは、前側面2aに配置され、ヨークとして構成された衝撃吸収素子8a、8b、8c、8dの第2の端部9bは、下側面2eに配置される。ヨークとして構成された衝撃吸収素子8a、8b、8c、8dは、したがって、充電式バッテリハウジング2の前側面2aと下側面2eとの間の横方向の縁部10にわたって延在する(
図1及び
図2を参照されたい)。
【0033】
図、特に
図5に図示されているように、ヨークとして構成された衝撃吸収素子8a、8b、8c、8dは、一定の距離b(移動距離bとも呼ばれ得る)が、衝撃吸収素子8a、8b、8c、8dの内側表面11と、充電式バッテリハウジング2の外側表面12との間に設けられるように充電式バッテリハウジング2上に位置決めされる。特に
図5~
図11bに示されているように、ヨークとして構成された衝撃吸収素子8a、8b、8c、8dは、壁厚t(厚さとも呼ばれる)を有する。
【0034】
更に、ヨークとして構成された衝撃吸収素子8a、8b、8c、8dは、充電式バッテリセル4の表面13から充電式バッテリハウジング2の外側表面12まで距離aが設けられるように充電式バッテリハウジング2上に位置決めされる(
図5を参照されたい)。
【0035】
衝撃吸収素子8a、8b、8c、8dと同様に充電式バッテリハウジング2も、距離a、距離b及び壁厚tが特定の値を有し、且つ互いに特定の関係で形成されるように構成される。使用される充電式バッテリ1のタイプ(充電式バッテリタイプ)に応じて、すなわち充電式バッテリセル4の列数又は層数(1p=1層の充電式バッテリセル、2p=2層の充電式バッテリセル及び3p=3層の充電式バッテリセル)に応じて、距離a、距離b及び壁厚tは、表01の数値を有する。
【0036】
【0037】
更に、距離b及び壁厚tの数値の比率は、式01による関係で設定することができる。
0.5×b≦t≧2×b 式01
【0038】
上記ですでに言及したように、衝撃吸収デバイス7及び特に衝撃吸収素子8a、8b、8c、8dは、充電式バッテリが落下又は脱落した場合に充電式バッテリハウジング2に突然作用する衝撃エネルギーを、その特定の物理的性質の力によって変形エネルギーに変換する役割を果たし、これにより、充電式バッテリハウジング2に配置された充電式バッテリセル4を、起こり得る損傷から保護する。
【0039】
衝撃吸収素子8a、8b、8c、8dの実際の変形形態は、
図6a~
図11bに衝撃吸収デバイス7のそれぞれの実施形態について図示されている。
【0040】
図6a及び
図6bは、第1の実施形態による衝撃吸収デバイス7を示し、衝撃吸収素子8aは、対称的な矩形の断面領域20を有する。ここで、
図6aは、無負荷状態における、第1の実施形態による充電式バッテリハウジング2及び衝撃吸収素子8aの角部領域を通る横方向の断面図を示す。衝撃吸収素子8aは、充電式バッテリハウジング2から距離bにある。
図6bは、同様に無負荷状態における
図6aの断面A-Aの断面図を示す。無負荷状態とは、衝撃吸収素子8aに作用する外部からの力がないことを意味する。
図6bにおいても明らかなように、充電式バッテリハウジング2は、矢印方向Nにセル保持具5の底縁部を越えて重なり部sを有して突出する。
【0041】
図7aでは、第1の力Fが衝撃吸収素子8aに加えられたときの、第1の実施形態による衝撃吸収デバイス7が示されている。第1の力Fは、充電式バッテリ1が落下し、充電式バッテリハウジング2が、硬い非弾性の下にある表面(例えば、コンクリート)に衝突した結果として生じる。
図7aでは、
図6aと比較すると、衝撃吸収素子8aは、変形し、充電式バッテリハウジング2の外側表面12の方に移動されることが明らかである。
【0042】
図7bに図示されているように、衝撃吸収素子8aの内側表面11は、充電式バッテリハウジング2の外側表面12に当たり、その結果、衝撃エネルギー又は力の流れFFは、衝撃吸収素子8aから前側面2aを経由して充電式バッテリハウジング2の上側面2fに、且つ部分的にセル保持具5に迂回され、充電式バッテリセル4の周囲に導かれる。同様に
図7bから明らかなように、充電式バッテリハウジング2の前側面2aは、圧縮されておらず、したがって充電式バッテリハウジング2の重なり部sが依然として存在する。
【0043】
図8a及び
図8bでは、第1の力Fよりも大きい第2の力F’が衝撃吸収素子8aに加えられているときの、第1の実施形態による衝撃吸収デバイスが示されている。衝撃吸収素子8aに加えられた第2の力F’は、衝撃吸収素子8aが充電式バッテリハウジング2の前側面2aにより強く押し付けられるという効果を有する。第2の力F’が大きくなることにより、充電式バッテリハウジング2の前側面2aは、圧縮され、その結果、充電式バッテリハウジング2の重なり部sが押し込まれる。重なり部sが押し込まれることにより、追加の衝撃エネルギー又は衝突エネルギーが充電式バッテリハウジング2によって吸収され、充電式バッテリセル4は、更に保護される。
【0044】
図9a及び
図9bは、第2の実施形態による衝撃吸収デバイス7を示し、衝撃吸収素子8aは、非対称の断面領域又は台形(くさび形とも呼ばれる)の断面領域30を有する。ここで、断面領域30は、台形として構成された断面領域の短辺側の面が矢印方向Mになるように構成される。換言すれば、台形の(又は台形として構成された断面領域30の)短辺側の面は、充電式バッテリハウジング2の前側面2aに面する。
【0045】
図9aは、無負荷状態における、第2の実施形態による充電式バッテリハウジング2及び衝撃吸収素子の角部領域を通る横方向の断面図を示す。衝撃吸収素子8aは、充電式バッテリハウジングから距離bにある。
図9bは、同様に無負荷状態における
図9aの断面A-Aの断面図を示す。無負荷状態とは、衝撃吸収素子8aに作用する外部からの力がないことを意味する。
図9bにおいても明らかなように、充電式バッテリハウジング2は、矢印方向Nにセル保持具5の底縁部を越えて重なり部sを有して突出する。
【0046】
図10aでは、第1の力Fが衝撃吸収素子8aに加えられたときの、第2の実施形態による衝撃吸収デバイス7が示されている。第1の力Fは、充電式バッテリ1が落下し、充電式バッテリハウジング2が、硬い非弾性の下にある表面UG(例えば、コンクリート)に衝突した結果として生じる。
図10aでは、
図9aと比較すると、衝撃吸収素子は、変形し、充電式バッテリハウジングの表面の方に移動されることが明らかである。
図10bに図示されているように、衝撃吸収素子8aの内側表面11は、充電式バッテリハウジング2の外側表面12に当たり、その結果、衝撃エネルギー又は力の流れFFは、衝撃吸収素子8aから前側面2aを経由して充電式バッテリハウジング2の上側面2fに、且つ部分的にセル保持具5に迂回され、充電式バッテリセル4の周囲に導かれる。同様に
図10bから明らかなように、充電式バッテリハウジング2の前側面2aは、圧縮されておらず、したがって充電式バッテリハウジング2の重なり部sが依然として存在す。
【0047】
図11a及び
図11bでは、第1の力Fよりも大きい第2の力F’が衝撃吸収素子8aに加えられているときの、第2の実施形態による衝撃吸収デバイス7が示されている。衝撃吸収素子8aに加えられた第2の力F’は、衝撃吸収素子8aが充電式バッテリハウジング2の前側面2aにより強く押し付けられるという効果を有する。第2の力F’が大きくなることにより、充電式バッテリハウジング2の前側面2aは、圧縮され、その結果、充電式バッテリハウジング2の重なり部sが押し込まれる。重なり部sが押し込まれることにより、追加の衝撃エネルギー又は衝突エネルギーが充電式バッテリハウジング2によって吸収され、充電式バッテリセル4は、更に保護される。
【符号の説明】
【0048】
1 充電式バッテリ
2 充電式バッテリ用ハウジング
2a 前側面
2b 左側の壁側面
2c 右側の壁側面
2d 後側面
2e 下側面
2f 上側面
3 インタフェース
4 エネルギー蓄積セル
5 セル保持デバイス
6 穿孔
7 衝撃吸収デバイス
8a、8b、8c、8d 衝撃吸収素子
9a ヨークとして構成された衝撃吸収素子の第1の端部
9b ヨークとして構成された衝撃吸収素子の第2の端部
10 充電式バッテリハウジングの前側面と下側面との間の横方向の縁部
11 衝撃吸収素子の内側表面
12 充電式バッテリハウジングの外側表面
13 エネルギー蓄積セルの表面
20 衝撃吸収素子の対称的な矩形の断面領域
30 台形の断面領域
81 ヨークとして構成された衝撃吸収素子の第1の構成要素片
82 ヨークとして構成された衝撃吸収素子の第2の構成要素片
83 ヨークとして構成された衝撃吸収素子の第3の構成要素片
84 ヨークとして構成された衝撃吸収素子の第4の構成要素片
85 ヨークとして構成された衝撃吸収素子の第5の構成要素片
α、β、γ、δ ヨークとして構成された衝撃吸収素子の構成要素片間の鈍角
UG 下にある表面
FF 力の流れ
F 第1の力
F’ 第2の力
【国際調査報告】