▶ クラーク、ティモシー ウィリアム、イングラハムの特許一覧
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-03
(54)【発明の名称】閉塞回収装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/3207 20060101AFI20220527BHJP
A61B 17/22 20060101ALI20220527BHJP
【ＦＩ】
A61B17/3207
A61B17/22 528
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560637
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-10-12
(86)【国際出願番号】 US2020025361
(87)【国際公開番号】W WO2020210059
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】16/379,080
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521445409
【氏名又は名称】クラーク、ティモシー ウィリアム、イングラハム
(74)【代理人】
【識別番号】100071010
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 行造
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】クラーク、ティモシー ウィリアム、イングラハム
【テーマコード（参考）】
4C160
【Ｆターム（参考）】
4C160EE22
4C160FF21
4C160MM36
4C160NN01
(57)【要約】
患者の身体導管内に位置する閉塞を捕捉するように構成された回収アセンブリが提供される。１つの実装例によれば、回収アセンブリであって、細長いワイヤ上に静止して固定された遠位カラーと、細長いワイヤの長さの一部分に沿って摺動可能である近位カラーと、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素と、を備え、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、近位カラーに連結された近位端、および遠位カラーに連結された遠位端を有する、回収アセンブリが提供される。回収装置は、半径方向に拘束された状態から、拡張休止状態へと自動的に遷移するように構成されており、拡張休止状態にあるとき、近位カラーは、遠位カラーの近くに位置する。回収装置が半径方向に拘束された状態から、拡張休止状態へと遷移する際、血餅捕捉要素の近位部分が、近位カラーの周りで反転する。
【選択図】図１Ａ
【選択図】図１Ａ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
血餅回収アセンブリであって、長さおよび長手方向軸を有する、細長いワイヤと、
第１の回収装置と、を備え、前記第１の回収装置が、
前記細長いワイヤ上に静止して固定された遠位カラー、
前記細長いワイヤの前記長さの一部分に沿って摺動可能である近位カラー、および
複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素、を備え、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、前記近位カラーに連結された近位端、および前記遠位カラーに連結された遠位端を有し、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、近位端部分および遠位端部分を有し、
前記第１の回収装置が、半径方向に拘束された状態から、半径方向に拘束されていない拡張休止状態へと自動的に遷移するように構成されており、前記半径方向に拘束された状態では、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素のいずれの部分も、前記近位カラーの近位に位置せず、前記近位カラーが、前記遠位カラーの近位にある前記細長いワイヤ上の第１の軸方向位置に位置し、前記遠位カラーから第１の距離だけ離隔されており、前記半径方向に拘束されていない拡張休止状態では、前記近位カラーが、前記遠位カラーの近位にある前記細長いワイヤ上の第２の軸方向位置に位置し、前記遠位カラーから、前記第１の距離よりも少ない第２の距離だけ離隔されており、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の前記近位端部分のうちの少なくともいくつかが、前記近位カラーの周りで反転し、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の前記近位端部分のうちの少なくともいくつかが、前記近位カラーの近位に配設され、前記近位カラーが前記第２の軸方向位置にあるとき、前記近位カラーのいずれの部分も、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の前記遠位端部分に接触せず、前記第１の回収装置が前記半径方向に拘束されていない拡張休止状態にあるとき、前記近位カラーが、前記遠位カラーの近位にある前記細長いワイヤ上の第３の軸方向位置まで遠位方向に移動可能であり、前記遠位カラーから、前記第２の距離よりも少ない第３の距離だけ離隔されている、血餅回収アセンブリ。
【請求項2】
前記第１の回収装置の前記近位カラーが前記細長いワイヤ上の前記第３の軸方向位置にあるとき、前記第１の回収装置が、拡張応力状態にある、請求項１に記載の血餅回収アセンブリ。
【請求項3】
前記第１の回収装置が前記半径方向に拘束された状態にあるとき、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々のいずれの部分も、折り返されない、請求項１に記載の血餅回収アセンブリ。
【請求項4】
第２の距離が、前記第１の距離の３０％～６０％である、請求項１に記載の血餅回収アセンブリ。
【請求項5】
前記第１の回収装置が前記半径方向に拘束されていない拡張休止状態にあるときに、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素のうちの少なくともいくつかが、前記近位カラーから前記遠位カラーまでジグザグの経路を呈し、前記経路の第１の部分が、近位方向に延在し、前記経路の第２の部分が、遠位方向に延在する、請求項１に記載の血餅回収アセンブリ。
【請求項6】
前記第１の回収装置が前記半径方向に拘束されていない拡張休止状態にあるとき、前記第１の回収装置が、前記形状記憶の細長い血餅捕捉要素が前記近位カラーの周りで反転する近位反転部分と、遠位非反転部分と、を含み、前記遠位非反転部分が、前記形状記憶の細長い血餅捕捉要素の遠位端部分から構成されている、請求項１に記載の血餅回収アセンブリ。
【請求項7】
前記近位カラーが前記第２の軸方向位置にあるとき、前記形状記憶の細長い血餅捕捉要素のうちの１つ以上が、第１の剛性を有し、前記近位カラーが前記第３の軸方向位置にあるとき、前記１つ以上の形状記憶の細長い血餅捕捉要素が、前記第１の剛性よりも大きい第２の剛性を有する、請求項１に記載の血餅回収アセンブリ。
【請求項8】
前記第１の回収装置の前記遠位非反転部分が、透過性カバーを含む、請求項６に記載の血餅回収アセンブリ。
【請求項9】
前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、近位端および遠位端を有し、前記近位端および前記遠位端が、接着剤によって、前記近位カラーおよび前記遠位カラーにそれぞれ付着されている、請求項１に記載の血餅回収アセンブリ。
【請求項10】
前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、近位端および遠位端を有し、前記近位端および前記遠位端が、ハンダによって、前記近位カラーおよび前記遠位カラーにそれぞれ付着されている、請求項１に記載の血餅回収アセンブリ。
【請求項11】
前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、近位端および遠位端を有し、前記近位端および前記遠位端が、前記近位カラーおよび前記遠位カラーにそれぞれ溶接されている、請求項１に記載の血餅回収アセンブリ。
【請求項12】
前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素、ならびに前記近位カラーおよび前記遠位カラーが、単一の材料片から形成されている、請求項１に記載の血餅回収アセンブリ。
【請求項13】
前記遠位カラーが、非侵襲的な遠位先端を有する、請求項１に記載の血餅回収アセンブリ。
【請求項14】
血餅回収アセンブリであって、長さおよび長手方向軸を有する、細長いワイヤと、
第１の回収装置であって、
前記細長いワイヤ上に静止して固定された遠位カラー、
前記細長いワイヤの前記長さの一部分に沿って摺動可能である近位カラー、および
複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素、を備え、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、前記近位カラーに連結された近位端、および前記遠位カラーに連結された遠位端を有し、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、近位端部分および遠位端部分を有し、
前記第１の回収装置が、半径方向に拘束された状態から、拡張休止状態へと自動的に遷移するように構成されており、前記半径方向に拘束された状態では、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素のいずれの部分も、前記近位カラーの近位に位置せず、前記近位カラーが、前記遠位カラーの近位にある前記細長いワイヤ上の第１の軸方向位置に位置し、前記遠位カラーから第１の距離だけ離隔されており、前記拡張休止状態では、前記近位カラーが、前記遠位カラーの近位にある前記細長いワイヤ上の第２の軸方向位置に位置し、前記遠位カラーから、前記第１の距離よりも少ない第２の距離だけ離隔されており、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の前記近位端部分のうちの少なくともいくつかが、前記近位カラーの周りで反転し、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の前記近位端部分のうちの少なくともいくつかが、前記近位カラーの近位に配設される、第１の回収装置と、
前記第１の回収装置の遠位にある前記細長いワイヤ上に位置する第２の回収装置と、を備え、前記第２の回収装置が、
前記細長いワイヤ上に静止して固定された遠位カラー、
前記細長いワイヤの前記長さの一部分に沿って摺動可能である近位カラー、および
複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素、を備え、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、前記第２の回収装置の前記近位カラーに連結された近位端、および前記第２の回収装置の前記遠位カラーに連結された遠位端を有し、前記複数の形状記憶の細長い捕捉要素の各々が、近位端部分および遠位端部分を有し、
前記第２の回収装置が、半径方向に拘束された状態から、拡張休止状態へと遷移するように構成されており、前記半径方向に拘束された状態では、前記第２の回収装置の前記近位カラーが、前記第２の回収装置の前記遠位カラーの近位にある前記細長いワイヤ上の第１の軸方向位置に位置し、前記第２の回収装置の前記遠位カラーから第１の距離だけ離隔されており、前記拡張休止状態では、前記第２の回収装置の前記近位カラーが、前記第２の回収装置の前記遠位カラーの近位にある前記細長いワイヤ上の第２の軸方向位置に位置し、前記第２の回収装置の前記遠位カラーから、前記第１の距離よりも少ない第２の距離だけ離隔されている、血餅回収アセンブリ。
【請求項15】
前記第２の回収装置が前記半径方向に拘束された状態にあるとき、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素のいずれの部分も、前記近位カラーの近位に位置せず、前記第２の回収装置が前記半径方向に拡張した状態にあるとき、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の前記近位端部分のうちの少なくともいくつかが、前記近位カラーの周りで反転し、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の前記近位端部分のうちの少なくともいくつかが、前記近位カラーの近位に配設される、請求項１４に記載の血餅回収アセンブリ。
【請求項16】
前記第２の回収装置が前記拡張休止状態にあるとき、前記近位カラーが、前記遠位カラーの近位にある前記細長いワイヤ上の第３の軸方向位置まで遠位方向に移動可能であり、前記遠位カラーから、前記第２の距離よりも少ない第３の距離だけ離隔されている、請求項１４に記載の血餅回収アセンブリ。
【請求項17】
血餅回収アセンブリであって、長さおよび長手方向軸を有する、細長いワイヤと、
第１の回収装置であって、
前記細長いワイヤ上に静止して固定された遠位カラー、
前記細長いワイヤの前記長さの一部分に沿って摺動可能である近位カラー、および
複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素、を備え、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、前記近位カラーに連結された近位端、および前記遠位カラーに連結された遠位端を有し、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、近位端部分および遠位端部分を有し、
前記第１の回収装置が、半径方向に拘束された状態から、拡張休止状態へと自動的に遷移するように構成されており、前記半径方向に拘束された状態では、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素のいずれの部分も、前記近位カラーの近位に位置せず、前記近位カラーが、前記遠位カラーの近位にある前記細長いワイヤ上の第１の軸方向位置に位置し、前記遠位カラーから第１の距離だけ離隔されており、前記拡張休止状態では、前記近位カラーが、前記遠位カラーの近位にある前記細長いワイヤ上の第２の軸方向位置に位置し、前記遠位カラーから、前記第１の距離よりも少ない第２の距離だけ離隔されており、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の前記近位端部分のうちの少なくともいくつかが、前記近位カラーの周りで反転し、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の前記近位端部分のうちの少なくともいくつかが、前記近位カラーの近位に配設される、第１の回収装置と、
前記第１の回収装置の近位にある前記細長いワイヤ上に位置する第２の回収装置と、を備え、前記第２の回収装置が、
前記細長いワイヤ上に静止して固定された近位カラー、
前記細長いワイヤの前記長さの一部分に沿って摺動可能である遠位カラー、および
複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素、を備え、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、前記第２の回収装置の前記近位カラーに連結された近位端、および前記第２の回収装置の前記遠位カラーに連結された遠位端を有し、前記複数の形状記憶の細長い捕捉要素の各々が、近位端部分および遠位端部分を有し、
前記第２の回収装置が、半径方向に拘束された状態から、拡張休止状態へと遷移するように構成されており、前記半径方向に拘束された状態では、前記第２の回収装置の前記遠位カラーが、前記第２の回収装置の前記近位カラーの近位にある前記細長いワイヤ上の第１の軸方向位置に位置し、前記第２の回収装置の前記近位カラーから第１の距離だけ離隔されており、前記拡張休止状態では、前記第２の回収装置の前記遠位カラーが、前記第２の回収装置の前記近位カラーの遠位にある前記細長いワイヤ上の第２の軸方向位置に位置し、前記第２の回収装置の前記近位カラーから、前記第１の距離よりも少ない第２の距離だけ離隔されている、血餅回収アセンブリ。
【請求項18】
前記第２の回収装置が前記半径方向に拘束された状態にあるとき、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素のいずれの部分も、前記遠位カラーの遠位に位置せず、前記第２の回収装置が前記拡張休止状態にあるとき、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の前記遠位端部分のうちの少なくともいくつかが、前記遠位カラーの周りで反転し、前記複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の前記遠位端部分のうちの少なくともいくつかが、前記遠位カラーの遠位に配設される、請求項１７に記載の血餅回収アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
［関連出願の相互参照］
本出願は、２０１９年４月９日に出願された米国出願第１６／５５５，７４５号に関するものであり、その利益および優先権を主張するものである。
本出願は、２０１９年４月９日に出願された米国出願第１６／５５５，７４５号に関するものであり、その利益および優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、例えば、患者の脈管構造内に位置する血餅を除去することなど、患者の身体導管から閉塞を除去するための装置、アセンブリ、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
既存の血餅回収装置は、ガイドワイヤが血栓を越えるまで、ガイドワイヤを、血栓の中心またはその近くに通過させ、送達カテーテルを、血栓を横切ってガイドワイヤの上に通過させ、次いで、ガイドワイヤを回収器と交換するという概念に基づいている。これにより、送達カテーテルが引き抜かれ、血餅に対して回収器が露出することにより、回収器の拡張後の捕捉が可能になる。これに続いて、血餅を含む回収器装置が、十分な直径の血餅の近位に位置付けられた吸引カテーテル内に引き抜かれることにより、血餅を保持した状態での装置の回収が可能になる。１つのかかる回収装置は、Ｓｏｌｉｔａｉｒｅ（商標）血管再生装置である。
【0004】
現在の回収装置のほとんどの血餅捕捉要素は、ニチノール製であり、血栓を除去するために、装置が収縮する前に、装置固有の半径方向の力を使用して、血餅内におよび血餅を通って受動的に拡張する。この半径方向の力は、ニチノールの幾何学的形状における所定の形状変化によって装置のニチノール要素の熱的に誘起されたマルテンサイト変態によるものである。必然的に、この拡張は、血餅捕捉要素が、血餅内に直線状の欠陥を生み出すことなく、血管壁に接触するように血餅を通って拡張することができないため、血栓のせん断および破砕を生み出す。次に、この血餅のせん断および破砕が、遠位塞栓のリスクを増加させる場合がある。
【0005】
米国では推定７００，０００人、ヨーロッパでは推定９５０，０００人の患者が毎年虚血性脳卒中を患っており、その大部分は大血管閉塞（ＬＶＯ）である。これまでの重要なランダム化された前向きな臨床試験のうちのいくつかは、前大脳循環のＬＶＯに対する薬物療法単独よりも、半径方向に拡張可能な回収器装置の優位性を確立した。これらの臨床試験には、公開された分析がＮｅｗ Ｅｎｇｌａｎｄ Ｊｏｕｒｎａｌ ｏｆ Ｍｅｄｉｃｉｎｅ ２０１５に掲載されているＭＲ ＣＬＥＡＮ、公開された分析がＮｅｗ Ｅｎｇｌａｎｄ Ｊｏｕｒｎａｌ ｏｆ Ｍｅｄｉｃｉｎｅ ２０１５に掲載されているＳＷＩＦＴ ＰＲＩＭＥ、公開された分析がＮｅｗ Ｅｎｇｌａｎｄ Ｊｏｕｒｎａｌ ｏｆ Ｍｅｄｉｃｉｎｅ ２０１５に掲載されているＥＳＣＡＰＥ、公開された分析がＮｅｗ Ｅｎｇｌａｎｄ Ｊｏｕｒｎａｌ ｏｆ Ｍｅｄｉｃｉｎｅ ２０１５に掲載されているＥＸＴＥＮＤ ＩＡ、公開された分析がＮｅｗ Ｅｎｇｌａｎｄ Ｊｏｕｒｎａｌ ｏｆ Ｍｅｄｉｃｉｎｅ ２０１５に掲載されているＲＥＶＡＳＣＡＴ、公開された分析がＬａｎｃｅｔ Ｎｅｕｒｏｌｏｇｙ ２０１６に掲載されているＴＨＲＡＣＥ、が含まれる。
【0006】
これらの試験の公開された分析は、標準的な医療療法と比較して、これらの研究のインターベンショナルアームでは新しい虚血性脳卒中の数を重要視していない。これらの新しい脳卒中は、遠位塞栓、血管攣縮、または血管解離に起因する。ＭＲ ＣＬＥＡＮ研究では、回収器アームにおける患者の５．６％（２３３人中１３人）が、対照群の０．４％（２６７人中１人）と比較して、異なる血管支配域での新しい虚血性脳卒中の臨床徴候を有し、１４倍の相対リスクを示した。ＲＥＶＡＳＣＡＴ研究では、対照群ではいなかったのに対して、患者の４．９％が新しい血管支配域への遠位塞栓を有し、ならびに対照群ではいなかったのに対して、１２．７％が、回収器装置の通過に起因する局所動脈合併症（解離３．９％、穿孔４．９％、および治療を必要とする血管攣縮３．９％）を有した。ＴＨＲＡＣＥ研究では、６％が新しい支配域において遠位塞栓を有し、２６％が血管攣縮、解離、または穿孔を経験した。これらの事象のいずれも対照群では発生しなかった。
【0007】
これまでのこれらの装置の臨床試験では、追加の通過（血管の初期の血餅を含むセグメントを横切る回収器の引き抜き）の数も重要視していない。回収器の繰り返しの送達／展開を可能にするために、回収器の通過ごとに、血栓を含む動脈のセグメントを横切るカテーテルおよびガイドワイヤの操作および前進が必要となり、それによって、血管攣縮、解離、または穿孔の形態での潜在的な血管損傷が作り出される。最近の研究では、意図された血栓除去のために５回もの別々の回収器の通過が必要であり（ＲＥＶＩＶＥ ２０１８）、平均通過回数は２．２回であった。Ｓｏｌｉｔａｉｒｅ（商標）血栓摘出装置（Ｍｅｄｔｒｏｎｉｃが販売）の使用説明書（ＩＦＵ）では、同じ血管内で３回までの除去の試みを行うように医師に指示している。Ｔｒｅｖｏ（商標）血栓摘出装置（Ｓｔｒｙｋｅｒが販売）のＩＦＵでは、部位または動脈血管攣縮を通して装置を引き抜く際に注意を払うように医師に指示している。３Ｄ血管再生装置（Ｐｅｎｕｍｂｒａが販売）により、回収器装置を最大５回通過させることができ、各通過にはカテーテルおよびガイドワイヤを用いて標的血管（例えば、中大脳動脈のＭ１セグメント）を再交差させる必要がある。
【発明の概要】
【0008】
閉塞回収装置、アセンブリ、および方法を、回収装置を製造する方法と共に本明細書に開示する。本明細書に開示される例示的な実装例は、患者の動脈内に位置する血液血餅の除去を対象とするが、装置、アセンブリ、および方法は、患者の他の身体導管内に位置する他のタイプの閉塞の回収に適用可能であることが理解される。
【0009】
いくつかの実装例によれば、血餅回収アセンブリであって、細長いワイヤおよび細長いワイヤ上に装着された回収装置、を含む、血餅回収アセンブリが提供される。いくつかの実装例によれば、回収装置は、細長いワイヤ上に静止して固定された遠位カラーと、細長いワイヤの長さの一部分に沿って摺動可能である近位カラーと、を含む。近位カラーと遠位カラーとの間に延在するのは、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素であり、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々は、近位カラーに連結された近位端、および遠位カラーに連結された遠位端を有する。いくつかの実装例によれば、回収装置は、半径方向に拘束された状態、拡張休止状態、および拡張応力状態、をとるように構成されている。回収装置が半径方向に拘束された状態にあるとき、近位カラーは、遠位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第１の軸方向位置に位置し、遠位カラーから第１の距離だけ離隔されている。回収装置が拡張休止状態にあるとき、近位カラーは、遠位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第２の軸方向位置に位置し、遠位カラーから、第１の距離よりも少ない第２の距離だけ離隔されている。回収装置が拡張応力状態にあるとき、近位カラーは、遠位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第３の軸方向位置に位置し、遠位カラーから、第２の距離よりも少ない第３の距離だけ離隔されている。
【0010】
回収装置が半径方向に拘束された状態にあり、拘束している力が除去されると、細長い血餅捕捉要素の形状記憶特性が、回収装置を半径方向に拘束された状態から拡張休止状態へと遷移させる。回収装置は、回収装置が半径方向に拘束された状態から拡張休止状態へと遷移する間に、細長い血餅捕捉要素の反転が回収装置の近位セクションで発生し、その結果、細長い血餅捕捉要素がアーチ状の構成をとるように、構成されている。近位カラーは、反転の間、細長いワイヤ上の第２の軸方向位置へと遷移し、反転の後に、アーチ状の血餅捕捉要素によって少なくとも部分的に取り囲まれる。
【0011】
遠位の力が回収装置の近位側に加えられるか、または近位カラーの近位端に加えられると、回収装置は、拡張休止状態から拡張応力状態へと遷移する。近位カラーと遠位カラーとの間の距離を短くすることにより、アーチ状の血餅捕捉要素が半径方向外方に拡張するように付勢され、かつ／または形状記憶の細長い血餅捕捉要素がより明白に曲がる結果として、アーチを形成する細長い血餅捕捉要素の剛性が増加する。いずれの事象においても、回収装置の血餅捕捉能力は、アーチ状の血餅捕捉要素によって加えられる半径方向の力の増加によって、および／またはアーチ状の血餅捕捉要素の剛性の増加によって増強される。
【0012】
いくつかの実装例によれば、形状記憶の細長い血餅捕捉要素は、独立した要素であり、独立した要素は、これらの近位端で近位カラーに固定され、これらの遠位端で遠位カラーに固定されている。他の実装例によれば、近位カラー、遠位カラー、および形状記憶の細長い血餅捕捉要素は、一体的に形成されている（すなわち、単一の材料片から作製されている）。
【0013】
いくつかの実装例によれば、回収装置は、その半径方向に拘束された状態で、送達カテーテルの内側において、血餅の部位に送達される。いくつかの実装例によれば、回収装置は、血餅の遠位にある位置で、患者の脈管構造の内側に展開される。展開中、血餅捕捉要素の近位端部分は、上記で説明したように、近位カラーの周りで反転する。患者の動脈の内側に回収装置を展開した後、細長いワイヤは、回収装置の近位端部分を血餅に係合させるように、臨床医によって近位方向に引き抜かる。これは、遠位の力が回収装置の近位側に加えられることをもたらし、近位カラーを、遠位カラーのより近くに遠位方向に移動させる。回収装置が展開された後に、近位カラーが細長いワイヤ上で遠位方向に摺動する能力の結果として、アーチ状の血餅捕捉要素によって及ぼされる半径方向の力は、回収プロセス中に変化し得る。この可変的な半径方向の力の特性は、上記で説明される回収装置の血餅捕捉能力を増強する。
【0014】
これらおよび他の実装例は、実装例の利点および特徴と共に、図面および詳細な説明を考慮すると明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】１つの実装例による閉塞回収アセンブリを説明しており、回収装置が拡張状態にある。
【図4A-B】１つの実装例による回収装置の遠位カラーの近位端図および断面側面図をそれぞれ示す。
【図5A-C】１つの実装例による回収装置の近位カラーの近位端図、遠位端図、および断面側面図をそれぞれ示す。
【図5D】非侵襲的な近位端を有する回収装置の近位カラーの断面側面図である。
【図8A】１つの実装例に従って、回収装置を一元的に作製する管状部材を説明する。
【図8C】近位カラーおよび遠位カラーのうちの一方または両方に加えられた軸方向の力が存在するときに形成される反転した近位端部分を有する、回収装置を示す。
【図9A】長さの一部分に沿って薄くなった壁セクションを有するニチノール管を説明する。
【図9C】中に湾曲した凹部が形成されている血餅捕捉要素の断面図を示す。
【図10A】別の実装例に従って、回収装置を一元的に作製する管状部材を説明する。
【図11】近位カラーおよび遠位カラーの環状開口部の内側に配置するためのインサートを説明する。
【図12】切断され、表面上に平坦に置かれた管状部材であって、そこから回収装置を作製することができる、管状部材を示す。
【図13A】別の実装例に従って、回収装置を一元的に作製する管状部材を説明する。
【図14A】１つの実装例に従って、回収装置を一元的に作製する管状部材を説明する。
【図15A】１つの実装例に従って、回収装置を一元的に作製する管状部材を説明する。
【図16A】１つの実装例に従って、回収装置を一元的に作製する管状部材を説明する。
【図17A】１つの実装例に従って、回収装置を一元的に作製する管状部材を説明する。
【図18A】１つの実装例に従って、回収装置を一元的に作製する管状部材を説明する。
【図19A-D】１つの実装例による、患者の身体導管内の閉塞を捕捉するための方法を示す。
【図20A】近位回収装置および遠位回収装置を有する、閉塞回収アセンブリを説明する。
【図20C】送達カテーテルの遠位端部分の断面側面図であり、送達カテーテルの内側で半径方向に拘束された状態にある、近位回収装置および遠位回収装置を示す。
【図21】近位回収装置が細長い部材の長さに沿って軸方向に移動可能である、別の実装例による閉塞回収アセンブリを説明する。
【図24】送達カテーテルから展開された後の遠位回収装置を示す。
【図25A】送達カテーテルから展開された後の、近位回収装置および遠位回収装置を示しており、近位回収装置が遠位回収装置から第１の距離だけ離隔されている。
【図25B】送達カテーテルから展開された後の、近位回収装置および遠位回収装置を示しており、近位回収装置が遠位回収装置から第２の距離だけ離隔されており、第２の距離が第１の距離よりも少ない。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図１Ａは、例えば、大脳の解剖学的構造内に位置する血液血餅の除去など、患者の身体導管内に位置する閉塞を除去する際に有用なアセンブリを説明する。いくつかの実装例によれば、アセンブリは、細長いワイヤ１０に貼着された回収装置２０を含む。使用中、回収装置２０は、図２Ｂに示されるように、送達カテーテル３０の内側で半径方向に拘束されたまま、閉塞の部位へと送達される。回収装置を閉塞部位へと送達し、その後、閉塞を回収する方法を、以下により詳細に開示する。
【0017】
上記で考察されるように、本明細書に開示される例示的な実装例は、患者の脈管構造内に位置する血液血餅の除去を対象とするが、装置、アセンブリ、および方法は、患者の他の身体導管内に位置する他のタイプの閉塞の回収に適用可能であることが理解される。
【0018】
いくつかの実装例によれば、回収装置２０は、細長いワイヤ１０に静止して固定された遠位カラー２１と、細長いワイヤ１０上で摺動可能である近位カラー２２と、を含む。近位カラーと遠位カラーとの間に延在するのは、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素２３であり、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素２３は、回収装置２０が、図１Ａ～図１Ｃに示されるように、拡張／展開状態にあるとき、閉塞と係合するように構成されている。回収装置が拡張／展開状態にあるとき、形状記憶の細長い血餅捕捉要素２３は、図に示されるもののような、または図に示されるものとは異なる、湾曲した構造をとる場合がある。以下では、形状記憶の細長い血餅捕捉要素２３は、その拡張／展開状態にあるとき、「アーチ」として、または「アーチ状の構成」もしくは「アーチ状の構造」を有するものとして称される。本明細書で使用される場合、「アーチ」および「アーチ状」という用語は、血餅捕捉要素２３の任意の特定の湾曲を示すことを意味するものではない。上記にもかかわらず、血餅捕捉要素２３は、回収装置２０が展開／拡張状態にあるとき、血餅捕捉要素を、閉塞除去プロセス中に閉塞の少なくとも部分的な除去を容易にする方法で閉塞と係合させるのに十分な湾曲した構成をとる。
【0019】
いくつかの実装例では、形状記憶の細長い血餅捕捉要素２３の各々は、近位カラー２２に固設された近位端と、遠位カラー２１に固設された遠位端と、を有する。図に示されるように、形状記憶の細長い血餅捕捉要素２３の近位端は、近位カラー２２の遠位端２２ｂに付着され得、形状記憶の細長い血餅捕捉要素２３の遠位端は、遠位カラー２１の近位端２１ａに付着され得る。以下でより詳細に考察されるように、形状記憶の細長い血餅捕捉要素２３は、結合剤（例えば、接着剤、ハンダなど）によって、および／または結合プロセス（例えば、溶接）によって近位カラーおよび遠位カラーに固定される、独立した要素を含み得る。遠位カラー２１、近位カラー２２、および形状記憶の細長い血餅捕捉要素２３は、以下でより詳細に考察されるように、単一の材料片から形成することもできる。
【0020】
いくつかの実装例によれば、回収装置２０は、送達カテーテル３０から展開されて拡張状態をとるとき、近位反転部分２４および遠位非反転部分２５を含む。近位反転部分２４は、回収装置が展開状態にあるときに、形状記憶の細長い血餅捕捉要素２３が近位カラー２２の外周表面２２ｋの周りに分散することによって特徴付けられ得る。近位反転部分２４は、回収装置が展開状態にあるときに、形状記憶の細長い血餅捕捉要素２３の少なくともいくつかの部分２３ｃが、それらの近位末端２３ａの近位に位置し、近位末端２３ａが近位カラー２２の遠位端部分２２ｂに連結されるか、または近位カラー２２の遠位端部分２２ｂの内側に位置することによって特徴付けられ得る。近位反転部分２４は、回収装置が展開状態にあるときに、近位カラー２２の近位端２２ａが回収装置２０の最近位端２０ａの遠位に位置することによって特徴付けられ得る。近位反転部分２４は、反転部分内の形状記憶の細長い血餅捕捉要素２３のジグザグ構成によって特徴付けられ得る。つまり、図１Ｂに最も明確に示されるように、形状記憶の細長い血餅捕捉要素２３の一部分は、最初に近位カラー２２の遠位端２２ｂから遠位方向Ｄに向かって延在し、次いで、近位方向Ｐに向かって延在するように進路を変更し、次いで、また遠位方向Ｄに向かって再び延在するように進路を変更する。近位反転部分２４は、上記の特性のうちの１つまたは任意の組み合わせを備え得る。
【0021】
図１Ａに示されるように、いくつかの実装例によれば、回収装置の遠位非反転部分２５は、回収プロセスの間に取り除かれ得る閉塞の破片を捕捉することができる、透過性の生体適合性材料で作製されたカバー２７を備える。いくつかの実装例によれば、生体適合性材料は、０．０００８～０．０１６インチの厚さを有するカプセル化ポリテトラフルオロエチレン（ｅＰＴＦＥ）である。いくつかの実装例によれば、回収装置２０の非反転部分２５内の形状記憶の細長い血餅捕捉要素２３の部分は、ジグザグではなく、遠位カラー２１の近位端２１ａから近位方向Ｐに向かって連続的に延在する。
【0022】
いくつかの実装例によれば、回収装置２０がその拡張休止状態にあるとき、形状記憶の細長い血餅捕捉要素２３は、回収装置の近位端から見たときに、隣り合うアーチ構造が好ましいが、必ずしも互いに重なり合わない、図７Ｃ、図８Ｄ、および図１０Ｅに示されるもののような複数のアーチ構造を形成する。
【0023】
図２Ａは、閉塞回収アセンブリの側面図を示しており、回収装置２０が送達カテーテル３０の遠位端部分の内側に位置する。図２Ｂは、図２Ａの送達カテーテル３０の遠位端部分の側面断面図であり、送達カテーテルの内側で半径方向に拘束された回収装置２０を示している。回収装置２０の半径方向に拘束された状態では、近位カラー２２は、細長いワイヤ上の第１の軸方向位置に位置し、近位カラー２２の遠位端２２ｂは、遠位カラー２１の近位端２１ａから第１の距離ｄ１だけ離隔されている。図に示されるように、いくつかの実装例によれば、遠位カラー２１は、湾曲した／丸みを帯びた非侵襲的な端部２１ｂを含む。
【0024】
回収装置２０が、図１Ａおよび図１Ｂに示されるように、拘束されていない休止状態にあるとき、近位カラー２２は、細長いワイヤ１０上の第２の軸方向位置に位置し、遠位カラー２１の近位端２１ａは、近位カラー２２の遠位端２２ｂから離れた第２の距離ｄ２に位置し、第２の距離ｄ２は、第１の距離ｄ１より少ない。回収装置が拡張休止位置にあるとき、近位カラー２２は、遠位カラー２１の近位端２１ａが近位カラー２２の遠位端２２ｂから離れた第３の距離ｄ３に位置し、第３の距離ｄ３が第２の距離ｄ２よりも少ないように、細長いワイヤ１０の長さに沿って、第３の軸方向位置まで移動可能である。近位カラーと遠位カラーとの間の距離を第２の距離ｄ２から第３の距離ｄ３まで短くすることにより、アーチ構造２８が半径方向外方に拡張するように付勢され、かつ／または血餅捕捉要素がより明白に曲がる結果として、血餅捕捉要素２３の剛性が増加する。患者の脈管構造内の血餅を除去する間、細長いワイヤ１０上での近位カラー２２の遠位運動が特に有利である。これにより、結果として、アーチ構造２８が半径方向に拡張するよう付勢され、その結果、アーチ構造２８が血餅回収プロセス中に動脈壁によりしっかりと押し付けられ得る。血餅捕捉要素２３の剛性化は、血餅捕捉要素２３の剛直性を増加させ、アーチ構造２８が血餅回収プロセス中に脱落することをより困難にする。いずれの場合にも、回収装置の血餅捕捉能力が増強される。
【0025】
いくつかの実装例によれば、遠位カラー２１および近位カラー２２のうちの一方または両方は、放射線不透過性材料で作製されているか、または放射線不透過性材料でコーティングされており、これにより、当該カラーの場所を蛍光透視法で観察することができる。
【0026】
図３は、展開状態の回収装置２０を示す。使用中、回収装置２０は、細長いワイヤ１０を固定して保持しながら近位方向に送達カテーテルを引き抜くか、または細長いワイヤ１０を遠位方向に前進させながら送達カテーテル３０を固定して保持するかのいずれかによって、送達カテーテル３０の遠位端から展開され得る。
【0027】
上記で考察されるように、回収装置２０の遠位カラー２１、近位カラー２２、および形状記憶の細長い血餅捕捉要素２３は、一緒に組み立てられた部品の集合体を備え得るか、または単一の材料片から形成され得る。図４Ａ～図７Ｃは、部品の集合体からなる回収装置を対象とし、図８Ａ～図１９Ｂは、一元的な構造の（すなわち、単一の材料片から作製された）回収装置を対象とする。
【0028】
図４Ａおよび図４Ｂは、１つの実装例による遠位カラー２１の近位端図および断面側面図をそれぞれ示す。遠位カラー２１は、遠位カラーが細長いワイヤに固定されている場合、中を細長いワイヤ１０が通過する中央貫通開口部２１ｃを含む。いくつかの実装例によれば、カラーの近位端部分２１ｄは、中央開口部２１ｃの周りに半径方向に配列された複数のアパーチャー２１ｅ～ｊを含む。アパーチャー２１ｅ～ｊは、図４Ｂに示されるようなブラインドアパーチャーであり得るか、または遠位開口部を有する貫通アパーチャーを備え得る。いくつかの実装例によれば、図４Ａに示されるように、アパーチャー２１ｅ～ｊは、中央開口部２１ｃの周りに等距離で離隔されている。いくつかの実装例によれば、遠位カラーの遠位端２１ｂの外表面は、回収器２０が患者の脈管構造を通って操縦されるときに組織の傷害を最小限に抑えるように、湾曲している。
【0029】
図５Ａ、図５Ｂ、および図５Ｃは、いくつかの実装例による近位カラー２２の近位端図、遠位端図、および断面側面図をそれぞれ示す。近位カラー２２は、近位カラーが摺動可能な方法で細長いワイヤ上に装着されている場合、中を細長いワイヤ１０が通過する中央貫通開口部２２ｃを含む。いくつかの実装例によれば、カラーの遠位端部分２２ｄは、中央開口部２２ｃの周りに半径方向に配列された複数のアパーチャー２２ｅ～ｊを含む。アパーチャー２２ｅ～ｊは、図５Ｃに示されるようなブラインドアパーチャーであり得るか、またはカラーの全長を通して延在する貫通アパーチャーを備え得る。いくつかの実装例によれば、図５Ｂに示されるように、アパーチャー２２ｅ～ｊは、中央開口部２２ｃの周りに等距離で離隔されている。いくつかの実装例によれば、近位カラー２２の近位端２２ａは、回収器２０が患者の脈管構造を通って操縦されるときに組織の傷害を最小限に抑える目的で、図５Ｄに示されるように湾曲している。
【0030】
図４Ａおよび図４Ｂならびに図５Ａ～図５Ｄの実施例では、近位カラー２２および遠位カラー２１の各々は、６つのアパーチャー２２ｅ～ｊおよび２１ｅ～ｊをそれぞれ携持し、６つのアパーチャー２２ｅ～ｊおよび２１ｅ～ｊは、図６に示されるように、６つの形状記憶の細長い血餅捕捉要素２３ｅ～ｊの、近位端２３ａおよび遠位端２３ｂをそれぞれ受容するように構成されている。いくつかの実装例によれば、上記で考察されるように、形状記憶の細長い血餅捕捉要素は、接着剤または他の手段を使用することによって、近位カラーおよび遠位カラーのアパーチャーの内側に固定される。
【0031】
本開示全体を通して、例示的な回収器は、５つまたは６つの形状記憶の細長い血餅捕捉要素を携持するように示される。回収器は、５つより少ないもしくは多い、または６つより少ないもしくは多い、形状記憶の細長い血餅捕捉要素を有し得ることに留意することが重要である。
【0032】
図７は、図４Ｂおよび図５Ｄに描かれる遠位カラー２１および近位カラー２２に固定された、形状記憶の細長い血餅捕捉要素２３ｅ～ｊを示す。いくつかの実装例によれば、形状記憶の細長い血餅捕捉要素２３－ｊは、ニチノール製であり、血餅捕捉要素を、これらの熱的に誘起されたマルテンサイト変態温度を超えて加熱することによって、図１Ａおよび図１Ｂに示されるように、それぞれの休止状態の構成で形状設定される。その後、血餅捕捉要素２３は、半径方向に拘束され、その後拘束されなくなると、自動的に血餅捕捉要素２３の拡張休止状態をとることを目指す。
【0033】
血餅捕捉要素２３を、これらの拡張休止状態をとるように形状決めすることは、遠位カラーおよび近位カラーのうちの一方または両方を互いに対して時計回りまたは反時計回り方向に回転させながら、図７Ａに示されるように、遠位の力ＤＦを近位カラー２２に、および／または近位の力ＰＦを遠位カラー２１に加えることを含み得る。代替的に、または前述の形状決めする方法と併せて、特別に設計された固定具を使用して、血餅捕捉要素２３を、これらの拡張休止状態の構成に拘束することができる。いずれの場合においても、上記で考察されるように、血餅捕捉要素２３は、血餅捕捉要素２３を、血餅捕捉要素２３の拡張休止状態の構成でロックするように加熱処理され得る。
【0034】
図７Ｂに示されるように、遠位の力ＤＦが近位カラー２２に加えられたとき、および／または近位の力ＰＦが遠位カラー２１に加えられたときに、近位カラー２２が遠位カラー２１のより近くに移動するにつれて反転が発生し、結果として、近位カラー２２の外側周縁表面２２ｋは、血餅捕捉要素２１ｅ～ｊの曲がった部分によって少なくとも部分的に取り囲まれる。１つの実装例によれば、反転の間または反転の後に、遠位カラー２１および近位カラー２２のうちの一方または両方をもう一方に対して回転させることにより、血餅回収要素が、隣接するアーチ状の構造の少なくとも一部分が互いに重なり合う状態で、図７Ｃに示されるようなアーチ状の構成をとる。
【0035】
いくつかの実装例によれば、回収装置２０は、その拡張休止状態に形成されている場合、細長いワイヤ１０に装着され、その後、例えば、ピールアウェイシースの内側に半径方向に拘束された状態で格納される。後続の血餅除去プロセスの間、回収装置２０は、その半径方向に拘束された状態で送達カテーテル３０内に装填され、患者の脈管構造内に送達カテーテルの外側で展開するための準備ができている。
【0036】
図１９Ａ～図１９Ｄは、血餅５２を患者の動脈通路５０から除去することができる方法を説明する。プロセスは、典型的には、送達カテーテルの遠位端部分が血餅５２の遠位に存在するように、血餅５２を横切るガイドワイヤの送達と、ガイドワイヤ上の送達カテーテル３０の後続の前進と、を含む。送達カテーテルが定位置にある状態で、回収装置２０は、上記のように、送達カテーテル３０内に装填される。いくつかの実装例によれば、図１９Ａに示されるように、回収装置２０は、その遠位湾曲端２１ｂのみが送達カテーテル３０の遠位端３５から突出するように、送達カテーテル３０の遠位端部分の中に位置付けられる。その後、回収装置２０は、図１９Ｂに示されるように、送達カテーテル３０から展開される。上記で考察されるように、回収装置２０は、細長いワイヤ１０を固定して保持しながら近位方向に送達カテーテルを引き抜くか、または細長いワイヤ１０を遠位方向に前進させながら送達カテーテル３０を固定して保持するかのいずれかによって、送達カテーテル３０の遠位端から展開され得る。
【0037】
患者の通路５０の内側で展開された状態にあるとき、回収装置２０のアーチ状の血餅捕捉要素２３は、血管の動脈壁５４に押し付けられる。（回収装置は、その休止状態の最大直径寸法が動脈通路の直径よりも大きくサイズ決めされている結果として、患者の動脈通路の内側で展開されたときに、回収装置の拡張休止状態に達しないようにサイズ決めされていることに留意されたい。）回収装置２０が通路５０の内側で展開された後、図１９Ｃに示されるように、送達カテーテル３０は引き抜かれ、回収装置２０は、血餅５２と係合するように近位方向に引っ張られる準備ができている。図１９Ｃに示されるように、回収装置２０が血餅５２と係合する直前に、近位カラー２２の遠位端２２ｂは、遠位カラー２１の近位端２１ａから距離Ａだけ離隔されている。いくつかの実装例によれば、図１９Ｄに示されるように、回収装置２０が血餅５２内に近位方向に引っ張られると、近位カラー２２は、近位カラー２２の遠位端２２ｂが、遠位カラー２１の近位端２１ａから、距離Ａよりも少ない距離Ｂだけ離隔されるように、遠位カラー２１のより近くに遠位方向に移動する。血餅捕捉中の細長いワイヤ１０上の近位カラー２２の遠位運動に関連付けられた利点については、上で考察されている。
【0038】
血餅５２を回収装置２０によって捕捉する際に、細長いワイヤ１０を近位方向に引っ張って、血餅を吸引カテーテルの口に、または送達カテーテル３０内に移動させることによって、血餅の除去を少なくとも部分的に達成することができる。
【0039】
いくつかの実装例では、回収装置２０の血餅捕捉要素２３は、除去プロセス中に、血餅が付着した動脈壁５４に沿って掃引して、血餅または血餅の残りを、影響を受ける血管５０の中心に向かって中央に移動させるように構成されている。
【0040】
図１Ａおよび図１９Ａ～図１９Ｄの実装例では、血餅回収アセンブリは、単一の回収装置２０を含む。他の実装例によれば、回収アセンブリは、細長いワイヤ１０の軸方向の長さに沿って離隔された複数の回収装置を含む。使用中、２つ以上の回収装置は各々、血餅５２の遠位に展開される。２つ以上の回収装置を使用することにより、近位方向に配設された回収装置によって捕捉されなかった血餅５２の残りを、遠位方向に配設された回収装置によって捕捉することができる。図１Ｄは、拡張休止状態で、細長いワイヤ１０の遠位端部分の長さに沿って配設された３つの回収装置３１、３２、および３３を有する、例示的な回収アセンブリを示す。いくつかの実装例によれば、回収装置３１、３２、および３３は、離隔されており、かつ回収装置３１、３２、および３３が、これらの半径方向に拘束された状態で、シースの内側または送達カテーテル３０の内側に格納されているときに、回収装置３３の摺動可能な近位カラー３３ａが回収装置３２の固定された遠位カラー３２ｂの遠位に位置し、回収装置３２の摺動可能な近位カラー３２ａが回収装置３１の固定された遠位カラー３１ｂの遠位に位置するように、構成されている。図１Ｄの実施例では、回収装置３２は、回収装置３１と回収装置３３との間で、等距離で離隔されている。別の実装例によれば、回収装置３２は、回収装置３３よりも回収装置３１の近くに位置する。別の実装例によれば、回収装置３２は、回収装置３１よりも回収装置３３の近くに位置する。
【0041】
いくつかの実装例によれば、細長いワイヤ１０は、約２００センチメートルの長さ、および約０．０１～０．０１４インチの直径を有する。「約」という用語は、本明細書において寸法特性を説明する際に併せて使用される場合、記載寸法±１０％を示す。（例えば、約２００センチメートルの長さを有する細長いワイヤ１０の記載は、１８０～２２０センチメートルの長さを意味する。）いくつかの実装例によれば、送達カテーテル３０は、約１５０センチメートルの長さ、および約０．０２７インチの内径を有する。いくつかの実装例によれば、回収装置２０は、約１６～３０ミリメートルの半径方向に拘束された長さ、および回収装置が拡張休止状態にあるときに約８～１５ミリメートルの長さを有する。回収装置２０が拡張休止状態にあるとき、拡張した装置の最大直径寸法は、約３～６ミリメートルである。いくつかの実装例によれば、形状記憶の細長い血餅捕捉要素２３は、約０．０００２～０．０００８インチの直径を有する。（添付の図は縮尺に従って描かれていないことに留意することが重要である。）
【0042】
上記で考察されるように、いくつかの実装例によれば、回収装置２０は、一元的な構造のものであり、近位カラー２２、遠位カラー２１、および血餅捕捉要素２３は、単一の材料片から作製されている。いくつかの実装によれば、単一の材料片は、ニチノール管である。
【0043】
図８Ａ～図８Ｄは、１つの実装例による回収装置を作製する方法を説明する。いくつかの実装例によれば、本方法は、ニチノール管６０をレーザー切断して、管６０の実質的な長さＬ１に沿って連続的に（すなわち、いかなる破断または中断も伴わずに）延在する、複数の離隔された細長い血餅捕捉要素６２を形成するように、複数の円周方向に離隔された長手方向のスロット６１を形成することを含む。図８Ｂは、図８Ａのスロット付き管６０を、その長さに沿って切断され、表面上に平坦に置かれているかのように示す。
【0044】
スロット６１は、近位端６３を有し、近位端６３は、近位カラー２２を形成するために、管６０の近位端６５から、ある距離だけ離隔されている。同様に、スロット６１は、遠位端６４を有し、遠位端６４は、遠位カラー２１を形成するために、管６０の遠位端６６から、ある距離だけ離隔されている。したがって、スロットの近位端６３と遠位端６４との間の長さの距離Ｌ２は、管６０の長さＬ１よりも少ない。長さの距離Ｌ１およびＬ２の各々は、図８Ｂに示されるように、管１６０の長手方向軸１６４に対して平行に走る直線距離である。いくつかの実装例によれば、長さＬ２は、長さＬ１の少なくとも５０％、および好ましくは長さＬ１の少なくとも７０％である。
【0045】
スロット６１の形成後、管６０は、レーザー切断プロセス中に形成されたスラグ（酸化物）を除去するために研磨され得る。その後、装置を、図７Ａ～図７Ｃの実装例と併せて上述されるもののように操縦して、血餅捕捉要素６２に、図８Ｃおよび図８Ｄに示されるような曲がった構成をとらせることができる。１つの方法によれば、回収装置は、図８Ａに示されるように、遠位の力ＤＦを近位カラー２２に加えること、および／または近位の力ＰＦを遠位カラー２１に加えることにより、血餅捕捉要素６２を装置の近位端部分で反転させることによって、形成される。遠位の力ＤＦおよび近位の力ＰＦのうちの一方または両方を加えることと同時に、または反転が発生した後の時点で、遠位カラー２１および近位カラー２２のうちの一方または両方を、他方に対して時計回りまたは反時計回りに回転させて、血餅捕捉要素６２ａ～ｅのうちの少なくともいくつかにアーチ状の構成をとらせることができる。図８Ｄは、回収装置の近位端図であり、アーチ状の構成にある血餅捕捉要素６２を示している。いくつかの実装例によれば、アーチ状の構造７２のうちの少なくともいくつかは、図８Ｄに示されるように、互いに重なり合う。いくつかの実装例によれば、拡張休止状態にある回収装置２０の長さは、管６０の反転前の長さの４０％～７０％である。
【0046】
図８Ｃおよび図８Ｄに示されるように、血餅捕捉要素６２を、これらのそれぞれの拡張休止状態の構成に形状設定するために、血餅捕捉要素は、それらが半径方向に拘束され、その後拘束されなくなると、血餅捕捉要素の拡張休止状態に向かって自動的に付勢されるように、血餅捕捉要素の休止状態の構成で熱処理される。上記で考察されるように、血餅捕捉要素６２を形状決めすることは、遠位の力ＤＦを近位カラー２２に加え、かつ／または近位の力ＰＦを遠位カラー２１に加えながら、同時にまたは後で、遠位カラーおよび近位カラーのうちの一方または両方を互いに対して時計回りまたは反時計回り方向に回転させることを含み得る。代替的に、または前述の形状決めする方法と併せて、特別に設計された固定具を使用して、血餅捕捉要素６２を、これらの拡張休止状態の構成に拘束することができる。いずれの場合においても、血餅捕捉要素６２は、血餅捕捉要素６２を、血餅捕捉要素６２の拡張休止状態の構成でロックするように加熱処理される。
【0047】
いくつかの実装例によれば、図１１に示されるもののような円筒状カラー７０は、遠位カラー２１および近位カラー２２の環状開口部６７および６８のうちの一方または両方に嵌め込まれる。円筒状カラー７０は、環状貫通開口部６７および６８の直径よりも小さい直径を有する、中央貫通開口部７１を含む。より小さな直径の開口部７１により、回収装置２０が細長いワイヤ１０上に、より中央に位置することを可能にし、回収装置がその半径方向に拘束された状態から、拡張休止状態へと遷移するとき、およびまた、回収装置がその拡張休止状態から拡張応力状態へと遷移するときに、細長いワイヤ１０上での近位カラー２２のより滑らかで、より制御された摺動作用を行う。いくつかの実装例によれば、カラー７０の中央貫通開口部７１は、細長いワイヤ１０の外径よりも５％～２０％大きい内径を有する。図８Ｄは、近位カラー２２の環状貫通開口部６８内に位置する円筒状カラー７０を示す。カラー７０は、スロット付き管から作製される、本明細書において開示および企図されるすべての回収装置の近位カラーおよび遠位カラーのうちの一方または両方の中に配置され得る。
【0048】
他の実装例によれば、スロット６１は、血餅捕捉要素６２の近位端セクション６２ａおよび遠位端セクション６２ｂが、異なる幅を有し、遠位端セクション６２ｂの幅が、図８Ｅに示されるように、近位端セクション６２ａの幅よりも大きくなるように、切断される。（スロット６１の近位端セクション６１ａは、スロット６１の遠位端セクション６１ｂの幅よりも大きい幅を有する。）より大きな幅を有する遠位端セクション６２ｂを提供すると、結果として得られる回収装置が拡張／展開状態にあるときに、より小さな隙間が、近位端セクション６１ａと遠位端セクション６１ｂとの間に存在するという結果をもたらす。これは、有利には、血餅回収処置中に、取り除かれた血餅の断片が回収装置を横切って通過することを大幅に妨げる。
【0049】
回収装置の反転部分の形成には、血餅捕捉要素６２が血餅捕捉要素６２の長さに沿ったどこかで、最初にへこむか、または外方に曲がることが必要である。図９Ａおよび図９Ｂに示されるように、スロット付き管６０は、最初にへこむか、または外方に曲がる場所を制御するために、スロット付き管６０の長さに沿ったどこかに、減少した壁厚の領域６９を備え得る。減少した壁厚の領域６９は、遠位の力ＤＦおよび／または近位の力ＰＦが、図８Ａに示されるもののように管６０の近位端および遠位端に加えられたときに、管の減少した壁厚の領域に沿って、最初にへこむか、または曲がることをもたらす、様々な形状のうちのいずれかを呈し得る。
【0050】
図９Ａは、中にスロット６１が形成される前のニチノール管６０を示す。管６０は、その外側円筒状表面７５に円筒状凹部７６を形成するように切断される。その後、図８Ａおよび図８Ｂに示されるように、スロット６１が管内に形成される。図９Ｂは、スロット６１の形成後の、（管の切断が管の長さに沿っており、表面上に平坦に置かれているかのように）平坦化された状態で、図９Ａの管６０を示す。図９Ｂの場合に示されるように、血餅捕捉要素６２の各々は、減少した壁厚のゾーン６９を携持する。図９Ｂは、血餅捕捉要素６２内に形成された凹部７６が矩形プロファイルを有する実装例を示し、図９Ｃは、血餅捕捉要素６２内に形成された凹部７６が、例えば、半円形プロファイルまたはＵ字形プロファイルなどの、湾曲したプロファイルを有する実装例を示す。
【0051】
いくつかの実装例によれば、減少した壁厚のゾーン６９は、図９Ｂに示されるように、近位端６５よりもスロット付き管の遠位端６６の近くに位置する。
【0052】
いくつかの実装例によれば、凹部７６は、凹部面積における管の壁厚を５～３０％、および好ましくは１０～２０％減少させるように、管６０内で切断される。
【0053】
図８Ａ～図８Ｄおよび図９Ａ～図９Ｃの実装例では、スロット６１は、血餅捕捉要素６２を形成するように切断され、血餅捕捉要素６２は各々、これらの全長に沿って、管６０の長手方向軸７７に対して平行に配列されている。以下により詳細に開示されるように、スロット６１は、しかしながら、異なる幾何学的形状を有し、かつ／または異なる向きを有する、血餅捕捉要素を形成するように切断され得る。
【0054】
図１０Ａ～図１０Ｅは、別の実装例による回収装置を作成するための方法を説明する。いくつかの実装例によれば、本方法は、ニチノール管８０をレーザー切断して、複数の円周方向に離隔された長手方向スロット８１を形成することを含む。スロット８１間に形成されるのは、管８０の実質的な長さに沿って連続的に（すなわち、いかなる破断または中断も伴わずに）延在する、複数の細長い血餅捕捉要素８２である。いくつかの実装例によれば、血餅捕捉要素８２は、スロット付き管８０の長さＬ１の５０％を超える長さＬ２を有する。他の実装例によれば、血餅捕捉要素８２は、スロット付き管８０の長さＬ１の７０％を超える長さＬ２を有する。長さの距離Ｌ１およびＬ２の各々は、管８０の長手方向軸１４５に対して平行に走る直線距離である。
【0055】
近位カラー２２および遠位カラー２１をそれぞれ形成するように、スロット８１の近位端８６は、管８０の近位端８３から、ある距離だけ離隔され、スロット８１の遠位端８７は、管８０の遠位端８４から、ある距離だけ離隔されている。
図１０Ｂは、図１０Ａのスロット付き管８０を、その長さに沿って切断され、表面上に平坦に置かれているかのように示す。
図１０Ｂは、図１０Ａのスロット付き管８０を、その長さに沿って切断され、表面上に平坦に置かれているかのように示す。
【0056】
上記で考察されるように、スロット８１は、それらの間に複数の血餅捕捉要素８２を形成するように切断される。スロット８１の全長は、単独の真っ直ぐな経路には切断されない。代わりに、各スロットは、互いに円周方向にオフセットされる真っ直ぐな近位セクション８２ａおよび真っ直ぐな遠位セクション８２ｂを有する、血餅捕捉要素８２を生み出すように切断される。いくつかの実装例によれば、図１０Ｂに示されるように、血餅捕捉要素８２は、真っ直ぐな近位セクション８２ａの遠位端を真っ直ぐな遠位セクション８２ｂの近位端に接続する、屈曲部８５を含む。いくつかの実装例によれば、屈曲部８５は、図１０Ｂに示されるように、血餅捕捉要素８２の近位セクション８２ａおよび遠位セクション８２ｂの各々に対して、ある角度で配列された真っ直ぐなセグメントを備える。他の実装例によれば、屈曲部８５は、時計回りまたは反時計回りの方向に曲がり得る、湾曲したセグメントを備える。スロット８１、血餅捕捉要素８２、および屈曲部８５は、遠位の力ＤＦが近位カラー２２に加えられたとき、および／または近位の力ＰＦが遠位カラー２１に加えられたときに、図１０Ｃに示されるように、管８０が屈曲部８５の場所またはその周りで隆起し始めるように、構成および配列されている。いくつかの実装例によれば、屈曲部８５は、図１０Ｄに示されるように、近位カラーおよび遠位カラーが互いに近づくように移動するときに、（屈曲部８５が螺旋状に曲がるときなどに）近位カラー２２を遠位カラー２１に対して回転させるように構成されている。
【0057】
図１０Ｄに示されるように、遠位の力ＤＦおよび／または近位の力ＰＦが管に加えられ続けるにつれて、血餅捕捉要素８２の反転が管の近位端部分内で発生する一方、同時に、血餅捕捉要素８２の各々は、図１０Ｅに示されるように、アーチ状の構成をとるように曲がり続ける。必要に応じて、遠位カラー２１および近位カラー２２のうちの一方または両方を、反転プロセスの間または後に、血餅捕捉要素が、図１０Ｅに示されるように、隣接するアーチ７４が好ましくは互いに重なり合う、血餅捕捉要素のアーチ状の構成をとるように、もう一方に対して回転させることができる。代替的に、または前述の形状決めする方法と併せて、特別に設計された固定具を使用して、血餅捕捉要素８２を、これらの所望の拡張休止状態に拘束することができる。血餅捕捉要素８２ならびにカラー２１および２２が互いに対して適切に向き付けされると、ユニットは、結果として得られる回収装置を、その拡張休止状態に形状設定するように、加熱処理される。いくつかの実装例によれば、拡張休止状態にある結果として得られる回収装置２０の長さは、管８０の反転前の長さの５０％～７０％である。
【0058】
いくつかの実装例によれば、上記で考察されるもののような減少した壁厚のゾーンは、管８０の近位端部分が反転することを誘発するのを補助するための、血餅捕捉要素８２のセクションに沿って形成され得る。いくつかの実装例によれば、屈曲部８５の各々は、減少した壁厚のゾーンを備える。かかる例では、減少した壁厚のゾーンは、屈曲部の全長に、または全長よりも少なく、またがり得る。後者の場合、減少した壁厚のゾーンは、屈曲部の中央セクション、近位端セクション、または遠位端セクション内に位置し得る。
【0059】
図１２は、切断され、表面上に平坦に置かれた、ニチノール管９０を描いている。管９０は、長さＬ１を有し、かつ管９０に切断されて、管９０の実質的な長さに沿って連続的に延在する複数の細長い血餅捕捉要素９２を形成する、複数の円周方向に離隔された長手方向スロット９１を含む。いくつかの実装例によれば、血餅捕捉要素は、スロット付き管９０の長さＬ１の５０％を超える長さＬ２を有する。他の実装例によれば、血餅捕捉要素は、スロット付き管９０の長さＬ１の７０％を超える長さＬ２を有する。近位カラー２２および遠位カラー２１をそれぞれ形成するように、スロット９１の近位端８８は、管９０の近位端９３から、ある距離だけ離隔され、スロット９１の遠位端８９は、管９０の遠位端９４から、ある距離だけ離隔されている。
【0060】
図１２の実施例では、スロット９１の各々は、血餅捕捉要素９２の各々の中に、減少した幅のゾーン９６を作り出す、フレア状の部分９５をそれぞれ含む。減少した幅のゾーン９６の各側面において、血餅捕捉要素９２は、近位セクション９２ａおよび遠位セクション９２ｂを含み、近位セクション９２ａおよび遠位セクション９２ｂは、図１２の実施形態において、同じ幅Ｗ１を有する。図１２の実施例では、減少した幅のゾーン９６の各々は、その中央セクション内に位置する、最小幅Ｗ２の面積を備える。いくつかの実装例によれば、幅Ｗ２は、幅Ｗ１より５～２５％小さい。
【0061】
いくつかの実装例によれば、血餅捕捉要素９２の近位端セクション９２ａおよび遠位端セクション９２ｂは、異なる幅を有し、遠位端セクション９２ｂの幅は、近位端セクション２の幅よりも大きい。いくつかの実装例によれば、近位セクション９２ａおよび遠位セクション９２ｂのうちの一方または両方の幅は、これらの長さに沿って変化し得、近位セクションは、その長さに沿って最大幅寸法を有し、近位セクションは、その長さに沿って最大幅寸法を有し、遠位セクション９２ｂの最大幅寸法は、近位セクション９２ａの最大幅寸法よりも大きい。
【0062】
スロット９１、血餅捕捉要素９２、および減少した幅のゾーン９６は、遠位の力ＤＦが近位カラー２２に加えられたとき、および／または近位の力ＰＦが遠位カラー２１に加えられたときに、管９０が、管９０の近位端部分内での血餅捕捉要素の反転を容易にするのを補助するために、減少した幅のゾーン９６の場所またはその周りで隆起し始めるように、構成および配列されている。他の実装例によれば、血餅捕捉要素の第１のセクション９２ａおよび第２のセクション９２ｂのうちの一方または両方は、管９０の長手方向軸に対して平行に配列されず、代わりに、以下の図１５Ａ～図１７Ｂに示されるように、管９０の長手方向軸を中心として湾曲し（例えば、螺旋パターンで配列され）得る。
【0063】
図１２の実施例では、フレア状の部分の幅は、フレア状の部分が傾斜付けされた真っ直ぐな壁セグメント９８ａ、９８ｂ、９８ｃ、および９８ｄによって境界付けされる結果として、フレア状の部分の長さに沿って直線的に変化する。他の実装例によれば、フレア状の部分は、フレア状の部分の長さに沿って非直線的な幅の変動を結果としてもたらす湾曲した壁セグメントによって境界付けされる。図１２の実装例では、近位壁セグメント９８ａおよび９８ｃは、互いに遠位方向に離れて発散し、遠位壁セグメント９８ｂおよび９８ｄは、互いに遠位方向に向かって収束する。いくつかの実装例によれば、スロット９１のフレア状の部分９５は、図１２に示されるように、結果として得られる血餅捕捉要素９２が、これらの長さの一部分に沿って砂時計の形態を呈するように、形状決めされている。
【0064】
いくつかの実装例によれば、血餅捕捉要素９２の減少した幅のゾーン９６は、図１２に示されるように、遠位端９４よりも、スロット付き管９０の近位端９３の近くに位置する。他の実装例によれば、減少した幅のゾーンは、近位端９３よりも、スロット付き管９０の遠位端９４の近くに位置する。
【0065】
先に開示の実装例と同様に、近位カラー２１の周りでの血餅捕捉要素９２の近位端部分９２ａの反転の間または後に、遠位カラー２１および近位カラー２２のうちの一方または両方を、もう一方に対して回転させて、図８Ｃおよび図８Ｄに描かれるものと同様の回収装置の形成を引き起こすことができる。
【0066】
代替的に、または前述の形状決めする方法と併せて、特別に設計された固定具を使用して、血餅捕捉要素９２を、これらの所望の拡張休止状態に拘束することができる。いずれの場合においても、結果として得られる回収装置が、その所望の拡張休止状態をとるように形成されている場合、製造プロセスの後に、結果として得られる血餅回収装置を、その拡張休止状態に形状設定するための定義された加熱処理が続く。いくつかの実装例によれば、拡張休止状態にある結果として得られる回収装置の長さは、管９０の反転前の長さの５０％～７０％である。
【0067】
図１３Ａおよび図１３Ｂは、図１２のスロット付き管の変形例を描いている。図１３Ａおよび図１３Ｂは、複数のスロット１０１を備えるスロット付きニチノール管１００をそれぞれ示す。スロット１０１間には、血餅捕捉要素１０２が介在している。図１３Ａは、円筒状の構成にある管１００を示す。図１３Ｂは、スロット付き管１００を、その長さに沿って切断され、表面上に平坦に置かれているかのように示す。図１２の実施例と同様に、スロット１０１のうちの１つ以上またはすべては、血餅捕捉要素１０２の長さの一部分に沿って、減少した幅のゾーン１０６の形成をもたらす、フレア状の部分１０５を備える。図１３Ａおよび図１３Ｂのフレア状の部分１０５は、サイズおよび形状の両方において、図１２のフレア状の部分９６とは異なり、長さがより短く、より矩形の形状を備える。
【0068】
図１４Ａおよび図１４Ｂは、図１０Ｄおよび図１０Ｅに描かれるものと同様の回収装置を作製するために使用されるスロット付きニチノール管１２０を示す。図１４Ａは、円筒状の構成にある管１２０を示す。図１４Ｂは、管１２０を、その長さに沿って切断され、表面上に平坦に置かれているかのように示す。管１２０は、その近位端１３０と遠位端１３１との間に長さＬ１を有する。
【0069】
スロット付き管１２０は、管１２０の実質的な長さにわたって連続的に延在する、複数の円周方向に離隔されたスロット１２１を含む。いくつかの実装例によれば、スロット１２１の各々は、管１２０の長さＬ１の少なくとも５０％である長さＬ２、および好ましくは管１２０の長さの少なくとも７０％である長さＬ２を有する。図１２に示されるように、長さの距離Ｌ１およびＬ２の各々は、管１２０の長手方向軸１２９に対して平行に走る直線距離である。
【0070】
スロット１２１の各々は、近位セグメント１２１ａおよび遠位セグメント１２１ｂを含み、近位セグメント１２１ａおよび遠位セグメント１２１ｂは、互いに円周方向にオフセットされており、これらのそれぞれの重なり合う遠位端１２３および近位端１２４で、横方向の通路１２８によって、一緒に接合されている。円周方向に隣接するスロット１２１は、これらの間に血餅捕捉要素１２２を形成し、血餅捕捉要素１２２は、第１の幅Ｗ１の円周方向にオフセットされた近位セグメント１２２ａおよび遠位セグメント１２２ｂを含み、近位セグメント１２２ａおよび遠位セグメント１２２ｂは、幅Ｗ１よりも小さい幅Ｗ２を有する減少した幅のセグメント１２７によって、接合されている。いくつかの実装例によれば、幅Ｗ２は、幅Ｗ１の５～５０％であり、他の実装例によれば、幅Ｗ２は、幅Ｗ１の５～２０％である。
【0071】
いくつかの実装例によれば、減少した幅のセグメント１２７は、近位端１３０よりも、スロット付き管１２０の遠位端１３１の近くに位置する。
【0072】
近位カラー２２および遠位カラー２１をそれぞれ形成するように、スロット１２１の近位端１２３は、管１２０の近位端１３０から、ある距離だけ離隔され、スロット１２１の遠位端１２６は、管１２０の遠位端１３１から、ある距離だけ離隔されている。
【0073】
図１４Ｂに示されるように、血餅捕捉要素１２２の各々は、減少した幅のセグメント１２７が血餅捕捉要素の軌道の変化と一致する、ゾーン１４０を含む。血餅捕捉要素の構成の結果として、最初の遠位の力ＤＦが近位カラー２２に加えられたとき、および／または最初の近位の力ＰＦが遠位カラー２１に加えられたときに、管１２０は、ゾーン１４０の場所またはその周りで隆起し始める。
【0074】
遠位の力ＤＦおよび／または近位の力ＰＦが管１２０に加えられ続けるにつれて、血餅捕捉要素１２２の反転が、図１０Ｄに示されるものと同様の管の近位端部分内で発生する。必要に応じて、反転の間または後に、遠位カラー２１および近位カラー２２のうちの一方または両方を、もう一方に対して回転させて、血餅捕捉要素１２２に、図１０Ｅに示されるように、隣接するアーチが好ましくは互いに重なり合う、所望のアーチ状の構成をとらせることができる。
【0075】
代替的に、または前述の形状決めする方法と併せて、特別に設計された固定具を使用して、血餅捕捉要素１２２を、これらの所望の拡張休止状態に拘束することができる。いずれの場合においても、結果として得られる回収装置が、その所望の拡張休止状態をとるように形成されている場合、製造プロセスの後に、結果として得られる血餅回収装置を、その拡張休止状態に形状設定するための定義された加熱処理が続く。いくつかの実装例によれば、拡張休止状態にある結果として得られる回収装置の長さは、管１２０の反転前の長さの５０％～７０％である。
【0076】
図１５Ａおよび図１５Ｂは、図１０Ｄおよび図１０Ｅに描かれているもののような回収装置を作製することができる、スロット付き管１５０を説明する。図１５Ａは、円筒状の構成にあるスロット付き管を示し、図１５Ｂは、管１５０を、その長さに沿って切断され、表面上に平坦に置かれているかのように示す。管は、その近位端１５６と遠位端１５７との間に長さＬ１を有する。
【0077】
管１５０は、複数の円周方向に離隔されたスロット１５１を含み、複数の円周方向に離隔されたスロット１５１は、これらの間に複数の円周方向に離隔された血餅捕捉要素１５２を形成する。管１５０は、近位端部分１５０ａおよび遠位端部分１５０ｂを含み、近位端部分１５０ａおよび遠位端部分１５０ｂは各々、円周方向に隣接するスロット間に、血餅捕捉要素１５２を生み出すための、内部に切断されたスロット１５１を有する。管１５０の近位端部分１５０ａにおいて、血餅捕捉要素は、例えば、螺旋様式に、管１５０の長手方向軸１５４の周りに湾曲する、近位端セクション１５２ａを含む。管１５０の遠位端部分１５０ｂにおいて、血餅捕捉要素は、長手方向軸１５４に対して実質的に平行に配列された遠位端セクション１５２ｂを含む。
【0078】
いくつかの実装例によれば、スロット１５１は、フレア状の部分１５５を含み、フレア状の部分１５５は、血餅捕捉要素１５２内に、近位セクション１５２ａおよび遠位セクション１５２ｂを接合する、減少した幅のゾーン１５３を生み出す。いくつかの実装例によれば、減少した幅のゾーン１５３は、図１５Ｂに最もよく見られるように、管１５０の長手方向軸１５４に対して非平行に、かつまた、血餅捕捉要素１５２の近位セクション１５２ａおよび遠位セクション１５２ｂの各々に対して非平行に配列されている。
【0079】
いくつかの実装例によれば、減少した幅のゾーン１５３は、近位端１５６よりも、スロット付き管１５０の遠位端１５７の近くに位置する。
【0080】
いくつかの実装例によれば、血餅捕捉要素１５２の螺旋状の近位端セクション１５２ａおよび真っ直ぐな遠位端セクション１５２ｂの各々は、同じ第１の幅Ｗ１を有し、減少した幅のゾーン１５３は、第１の幅Ｗ１よりも小さい第２の幅Ｗ２を有する。いくつかの実装例によれば、幅Ｗ２は、幅Ｗ１の５～５０％であり、他の実装例によれば、幅Ｗ２は、幅Ｗ１の５～２０％である。
【0081】
他の実装例によれば、スロット１５１は、血餅捕捉要素１５２の近位端セクション１５２ａおよび遠位端セクション１５２ｂが、異なる幅を有し、遠位端セクション１５２ｂの幅Ｗ３が、図１５Ｃに示されるように、近位端セクション１５２ａの幅Ｗ４よりも大きくなるように、切断される。より大きな幅を有する遠位端セクション１５２ｂを提供すると、結果として得られる回収装置が拡張／展開状態にあるときに、より小さな隙間が、近位端セクション１５２ａと遠位端セクション１５２ｂとの間に存在するという結果をもたらす。これは、有利には、血餅回収処置中に、取り除かれた血餅の断片が回収装置を横切って通過することを大幅に妨げる。
【0082】
図１５Ａおよび図１５Ｂを引き続き参照すると、スロット１５１は、近位端１５１ａを有し、近位端１５１ａは、近位カラー２２を形成するために、管１５０の近位端１５６から、ある距離だけ離隔されている。同様に、スロット１５１は、遠位端１５１ｂを有し、遠位端１５１ｂは、遠位カラー２１を形成するために、管１５０の遠位端１５７から、ある距離だけ離隔されている。したがって、スロットの近位端１５１ａと遠位端１５１ｂとの間の長さの距離Ｌ２は、管１５０の長さＬ１よりも少ない。長さの距離Ｌ１およびＬ２の各々は、管１５０の長手方向軸１５４に対して平行に走る直線距離である。いくつかの実装例によれば、長さＬ２は、長さＬ１の少なくとも５０％、および好ましくは長さＬ１の少なくとも７０％である。
【0083】
上記に開示されるように、いくつかの実装例によれば、血餅捕捉要素１５２は、血餅捕捉要素の軌道の変化と一致する、減少した幅のゾーン１５３を含む。かかる血餅捕捉要素の構成に起因して、最初の遠位の力ＤＦが近位カラー２２に加えられたとき、および／または最初の近位の力ＰＦが遠位カラー２１に加えられたときに、管１５０は、減少した幅のゾーン１５３の場所またはその周りで隆起し始める。血餅捕捉要素１５２の近位端セクション１５２ａの螺旋状の性質により、近位の力および／または遠位の力を加えることによって、遠位カラー２１および近位カラー２２が互いに近づくにつれて、近位カラー２２が、遠位カラー２１に対して回転する。
【0084】
遠位の力ＤＦおよび／または近位の力ＰＦが管１５０に加えられ続けるにつれて、血餅捕捉要素１５２の反転が、図１０Ｄに示されるものと同様に、少なくとも管の近位端部分１５０ａ内で発生する一方、同時に、血餅捕捉要素１５２の各々は、図１０Ｅに示されるように、隣接するアーチが好ましくは互いに重なり合う、例えば、図１０Ｄに示されるもののようなアーチ状の要素を生み出すように曲がり続ける。
【0085】
代替的に、または前述の形状決めする方法と併せて、特別に設計された固定具を使用して、血餅捕捉要素１５２を、これらの所望の拡張休止状態に拘束することができる。いずれの場合においても、結果として得られる回収装置が、その所望の拡張休止状態をとるように形成されている場合、製造プロセスの後に、結果として得られる血餅回収装置を、その拡張休止状態に形状設定するための定義された加熱処理が続く。いくつかの実装例によれば、拡張休止状態にある結果として得られる回収装置の長さは、管１５０の反転前の長さの５０％～７０％である。
【0086】
図１６Ａおよび図１６Ｂは、図１０Ｄおよび図１０Ｅに描かれているもののような回収装置を作製することができる、スロット付き管１６０を説明する。図１６Ａは、円筒状の構成にあるスロット付き管を示し、図１６Ｂは、管１６０を、その長さに沿って切断され、表面上に平坦に置かれているかのように示す。管は、その近位端１６６と遠位端１６７との間に長さＬ１を有する。
【0087】
管１６０は、複数の円周方向に離隔されたスロット１６１を含み、複数の円周方向に離隔されたスロット１６１は、これらの間に複数の円周方向に離隔された血餅捕捉要素１６２を形成する。管１６０は、近位端部分１６０ａおよび遠位端部分１６０ｂを含み、近位端部分１６０ａおよび遠位端部分１６０ｂは各々、円周方向に隣接するスロット間に、血餅捕捉要素１６２を生み出すための、内部に切断されたスロット１６１を有する。管１６０の近位端部分１６０ａにおいて、血餅捕捉要素１６２は、管１６０の長手方向軸１６４の周りで第１の方向（例えば、反時計回り方向）に湾曲する近位端セクション１６２ａと、管１６０の長手方向軸１６４の周りで第１の方向と反対の第２の方向（例えば、時計回り方向）に湾曲する遠位端セクション１６２ｂと、を含む。
【0088】
いくつかの実装例によれば、スロット１６１は、フレア状の部分１６５を含み、フレア状の部分１６５は、血餅捕捉要素１６２内に、近位セクション１６２ａおよび遠位セクション１６２ｂを接合する、減少した幅のゾーン１６３を生み出す。いくつかの実装例によれば、縮小した幅のゾーン１６３は、管１６０の長手方向軸１６４に対して平行に配列されている。
【0089】
いくつかの実装例によれば、減少した幅のゾーン１６３は、近位端１６６よりも、スロット付き管１６０の遠位端１６７の近くに位置する。
【0090】
いくつかの実装例によれば、血餅捕捉要素１６２の近位端セクション１６２ａおよび遠位端セクション１６２ｂの各々は、同じ第１の幅Ｗ１を有し、減少した幅のゾーン１６３は、第１の幅Ｗ１よりも小さい第２の幅Ｗ２を有する。いくつかの実装例によれば、幅Ｗ２は、幅Ｗ１の５～５０％であり、他の実装例によれば、幅Ｗ２は、幅Ｗ１の５～２０％である。
【0091】
他の実装例によれば、スロット１６１は、血餅捕捉要素１６２の近位端セクション１６２ａおよび遠位端セクション１６２ｂが、異なる幅を有し、遠位端セクション１６２ｂの幅が近位端セクション１６２ａの幅よりも大きくなるように、切断される。より大きな幅を有する遠位端セクション１６２ｂを提供すると、結果として得られる回収装置が拡張／展開状態にあるときに、より小さな隙間が、近位端セクション１６２ａと遠位端セクション１６２ｂとの間に存在するという結果をもたらす。これは、有利には、血餅回収処置中に、取り除かれた血餅の断片が回収装置を横切って通過することを大幅に妨げる。
【0092】
図１６Ａおよび図１６Ｂを引き続き参照すると、スロット１６１は、近位端１６１ａを有し、近位端１６１ａは、近位カラー２２を形成するために、管１６０の近位端１６６から、ある距離だけ離隔されている。同様に、スロット１６１は、遠位端１６１ｂを有し、遠位端１６１ｂは、遠位カラー２１を形成するために、管１６０の遠位端１６７から、ある距離だけ離隔されている。したがって、スロットの近位端１６１ａと遠位端１６１ｂとの間の長さの距離Ｌ２は、管１６０の長さＬ１よりも少ない。長さの距離Ｌ１およびＬ２の各々は、管１６０の長手方向軸１６４に対して平行に走る直線距離である。いくつかの実装例によれば、長さＬ２は、長さＬ１の少なくとも５０％、および好ましくは長さＬ１の少なくとも７０％である。
【0093】
上記に開示されるように、いくつかの実装例によれば、血餅捕捉要素１６２は、血餅捕捉要素の軌道の変化と一致する、減少した幅のゾーン１６３を含む。かかる血餅捕捉要素の構成に起因して、最初の遠位の力ＤＦが近位カラー２２に加えられたとき、および／または最初の近位の力ＰＦが遠位カラー２１に加えられたときに、管１６０は、減少した幅のゾーン１６３の場所またはその周りで隆起し始める。血餅捕捉要素１６２の近位端セクション１６２ａの湾曲した性質により、遠位カラー２２および近位カラー２２が遠位カラー２１に軸方向に近づくにつれて、近位カラー２２および遠位カラー２１のうちの一方または両方が、もう一方に対して回転する。
【0094】
遠位の力ＤＦおよび／または近位の力ＰＦが管１６０に加えられ続けるにつれて、血餅捕捉要素１６２の反転が、図１０Ｄに示されるものと同様に、少なくとも管の近位端部分１６０ａ内で発生する一方、同時に、血餅捕捉要素１６２の各々は、隣接するアーチが好ましくは互いに重なり合う、アーチ状の要素を生み出すように曲がり続ける。
【0095】
代替的に、または前述の形状決めする方法と併せて、特別に設計された固定具を使用して、血餅捕捉要素１６２を、これらの所望の拡張休止状態に拘束することができる。いずれの場合においても、結果として得られる回収装置が、その所望の拡張休止状態をとるように形成されている場合、製造プロセスの後に、結果として得られる血餅回収装置を、その拡張休止状態に形状設定するための定義された加熱処理が続く。いくつかの実装例によれば、拡張休止状態にある結果として得られる回収装置の長さは、管１６０の反転前の長さの５０％～７０％である。
【0096】
図１７Ａおよび図１７Ｂは、図１０Ｄおよび図１０Ｅに描かれているもののような回収装置を作製することができる、スロット付き管１７０を説明する。図１７Ａは、円筒状の構成にあるスロット付き管を示し、図１７Ｂは、管１７０を、その長さに沿って切断され、表面上に平坦に置かれているかのように示す。管は、その近位端１７６と遠位端１７７との間に長さＬ１を有する。
【0097】
管１７０は、複数の円周方向に離隔されたスロット１７１を含み、複数の円周方向に離隔されたスロット１７１は、これらの間に複数の円周方向に離隔された血餅捕捉要素１７２を形成する。管１７０は、近位端部分１７０ａおよび遠位端部分１７０ｂを含み、近位端部分１７０ａおよび遠位端部分１７０ｂは各々、円周方向に隣接するスロット間に、血餅捕捉要素１７２を生み出すための、内部に切断されたスロット１７１を有する。管１７０の近位端部分１７０ａにおいて、血餅捕捉要素１７２は、単一の曲がり部を備える、図１７Ｂに示されるような、湾曲した近位端セクション１７２ａを含む。図１７Ｂにも示されるように、管１７０の遠位端部分１７０ｂにおいて、血餅捕捉要素１７２は、複数の曲がり部を備える、湾曲した遠位端セクション１７２ｂを含む。
【0098】
いくつかの実装例によれば、スロット１７１は、フレア状の部分１７５を含み、フレア状の部分１７５は、血餅捕捉要素１７２内に、スロット１７２の近位端セクション１７２ａおよび遠位端セクション１７２ｂを接合する、減少した幅のゾーン１７３を生み出す。いくつかの実装例によれば、減少した幅のゾーン１７３は、近位端１７６よりも、スロット付き管１７０の遠位端１７７の近くに位置する。
【0099】
いくつかの実装例によれば、血餅捕捉要素１７２の近位端セクション１７２ａおよび遠位端セクション１７２ｂの各々は、同じ第１の幅Ｗ１を有し、減少した幅のゾーン１７３は、第１の幅Ｗ１よりも小さい第２の幅Ｗ２を有する。いくつかの実装例によれば、幅Ｗ２は、幅Ｗ１の５～５０％であり、他の実装例によれば、幅Ｗ２は、幅Ｗ１の５～２０％である。
【0100】
他の実装例によれば、スロット１７１は、血餅捕捉要素１７２の近位端セクション１７２ａおよび遠位端セクション１７２ｂが、異なる幅を有し、遠位端セクション１７２ｂの幅が近位端セクション１７２ａの幅よりも大きくなるように、切断される。より大きな幅を有する遠位端セクション１７２ｂを提供すると、結果として得られる回収装置が拡張／展開状態にあるときに、より小さな隙間が、近位端セクション１７２ａと遠位端セクション１７２ｂとの間に存在するという結果をもたらす。これは、有利には、血餅回収処置中に、取り除かれた血餅の断片が回収装置を横切って通過することを大幅に妨げる。
【0101】
図１７Ａおよび図１７Ｂを引き続き参照すると、スロット１７１は、近位端１７１ａを有し、近位端１７１ａは、近位カラー２２を形成するために、管１７０の近位端１７６から、ある距離だけ離隔されている。同様に、スロット１７１は、遠位端１７１ｂを有し、遠位端１７１ｂは、遠位カラー２１を形成するために、管１７０の遠位端１７７から、ある距離だけ離隔されている。したがって、スロットの近位端１７１ａと遠位端１７１ｂとの間の長さの距離Ｌ２は、管１７０の長さＬ１よりも少ない。図１７Ｂに示されるように、長さの距離Ｌ１およびＬ２の各々は、管１７０の長手方向軸１７４に対して平行に走る直線距離である。いくつかの実装例によれば、長さＬ２は、長さＬ１の少なくとも５０％、および好ましくは長さＬ１の少なくとも７０％である。
【0102】
血餅捕捉要素１７２内の減少した幅のゾーン１６３は、血餅捕捉要素の湾曲部内に位置することの結果として、血餅捕捉要素の軌道の変化と一致する。かかる血餅捕捉要素の構成に起因して、最初の遠位の力ＤＦが近位カラー２２に加えられたとき、および／または最初の近位の力ＰＦが遠位カラー２１に加えられたときに、管１７０は、減少した幅のゾーン１７３の場所またはその周りで隆起し始める。血餅捕捉要素１７２の近位端セクション１７２ａの湾曲した性質により、近位の力および／または遠位の力を加えることによって、遠位カラー２１および近位カラー２２が互いに近づくにつれて、近位カラー２２および遠位カラー２１のうちの一方または両方が、もう一方に対して回転する。
【0103】
遠位の力ＤＦおよび／または近位の力ＰＦが管１７０に加えられ続けるにつれて、血餅捕捉要素１７２の反転が、図１０Ｄに示されるものと同様に、少なくとも管の近位端部分１７０ａ内で発生する一方、同時に、血餅捕捉要素１７２の各々は、隣接するアーチが好ましくは互いに重なり合う、アーチ状の要素を生み出すように曲がり続ける。代替的に、または前述の形状決めする方法と併せて、特別に設計された固定具を使用して、血餅捕捉要素１７２を、これらの所望の拡張休止状態に拘束することができる。いずれの場合においても、結果として得られる回収装置が、その所望の拡張休止状態をとるように形成されている場合、製造プロセスの後に、結果として得られる血餅回収装置を、その拡張休止状態に形状設定するための定義された加熱処理が続く。いくつかの実装例によれば、拡張休止状態にある結果として得られる回収装置の長さは、管１７０の反転前の長さの５０％～７５％である。
【0104】
図１８Ａおよび図１８Ｂは、図１０Ｄおよび図１０Ｅに描かれているもののような回収装置を作製することができる、スロット付き管２００を説明する。図１８Ａは、円筒状の構成にあるスロット付き管を示し、図１８Ｂは、管２００を、その長さに沿って切断され、表面上に平坦に置かれているかのように示す。管は、その近位端２０６と遠位端２０７との間に長さＬ１を有する。
【0105】
管２００は、複数の円周方向に離隔されたスロット２０１を含み、複数の円周方向に離隔されたスロット２０１は、これらの間に複数の円周方向に離隔された血餅捕捉要素２０２を形成する。管２００は、近位端部分２００ａおよび遠位端部分２００ｂを含み、近位端部分２００ａおよび遠位端部分２００ｂは各々、円周方向に隣接するスロット間に、血餅捕捉要素２０２を生み出すための、内部に切断されたスロット２０１を有する。スロット２０１は、スロット２０１の幅がスロット２０１の長さに沿って常に変化するように切断される。その結果、スロット２０１間に配設された血餅捕捉要素２０２は、スロット２０１の長さＬ２に沿って常に変化する幅も有する。
【0106】
図１８Ａおよび図１８Ｂの実装例では、血餅捕捉要素２０２は、近位端２０４ａおよび遠位端２０４ｂを有する、近位端セクション２０４を含む。血餅捕捉要素２０２はまた、遠位端２０５ｂと、近位端セクション２０４の遠位端２０４ｂと一致する近位端２０５ａと、有する、遠位端セクション２０５を含む。血餅捕捉要素の遠位端セクション２０５および遠位端セクションの各々は、湾曲した壁のセグメント２０４ｃ、２０４ｄ、および２０５ｃ、２０５ｄによってそれぞれ画定される。いくつかの実装例によれば、湾曲した壁のセグメントは、近位セクション２０４および遠位セクション２０５の最大幅の場所Ｗ１が、当該セクションのそれぞれの近位端２０４ａ／ｂおよび遠位端２０５ａ／ｂの各々に存在するように、形状決めされている。いくつかの実装例によれば、湾曲した壁のセグメントは、近位端セクション２０４および遠位端セクション２０５の各々の長さに沿って単一の最小幅の場所Ｗ２を生み出すように形状決めされている。いくつかの実装例によれば、近位端セクション２０４および遠位端セクション２０５の各々の最小幅の場所Ｗ２は、当該セクションのそれぞれの近位端２０４ａ、２０４ｂと、遠位端２０５ａ、２０５ｂとの間で、等距離で配設される。
【0107】
いくつかの実装例によれば、幅Ｗ２は、幅Ｗ１の３０～９０％であり、他の実装例によれば、幅Ｗ２は、幅Ｗ１の２５～８０％である。
【0108】
いくつかの実装例によれば、血餅捕捉要素２０２の近位端セクション２０４の遠位端２０４ｂは、管の近位端２０７よりも、管２００の遠位端２０８の近くに位置する点で、遠位端セクション２０５の近位端２０５ａと合流する。他の実装例によれば、血餅捕捉要素２０２の近位端セクション２０４の遠位端２０４ｂは、管２００の近位端２０７と遠位端２０８との間の等距離に位置する点で、遠位端セクション２０５の近位端２０５ａと合流する。
【0109】
図１８Ａおよび図１８Ｂを引き続き参照すると、スロット２０１は、近位端２０１ａを有し、近位端２０１ａは、近位カラー２２を形成するために、管２００の近位端２０７から、ある距離だけ離隔されている。同様に、スロット２０１は、遠位端２０１ｂを有し、遠位端２０１ｂは、遠位カラー２１を形成するために、管２００の遠位端２０８から、ある距離だけ離隔されている。したがって、スロットの近位端２０１ａと遠位端２０１ｂとの間の長さの距離Ｌ２は、管２００の長さＬ１よりも少ない。図１８Ｂに示されるように、長さの距離Ｌ１およびＬ２の各々は、管２００の長手方向軸２０９に対して平行に走る直線距離である。いくつかの実装例によれば、長さＬ２は、長さＬ１の少なくとも５０％、および好ましくは長さＬ１の少なくとも７０％である。
【0110】
上記に開示されるスロット付き管の実装例と同様に、図１０Ｄおよび図１０Ｅに描かれているものと構造の点で同様の血餅回収装置の形成は、遠位の力ＤＦを近位カラー２１に、および／または近位の力ＰＦを遠位カラー２１に加えて、血餅捕捉要素２０２の少なくとも近位端セクション２０４の反転を誘発することによって、達成され得る。また、上記に開示されるように、反転の間または後に、近位カラー２２および遠位カラー２１のうちの一方または両方を、互いに対して回転されて、血餅捕捉要素２０２に所望のアーチ状の構成を達成させることができる。代替的に、または前述の形状決めする方法と併せて、特別に設計された固定具を使用して、血餅捕捉要素２０２を、これらの所望の拡張休止状態に拘束することができる。いずれの場合においても、結果として得られる回収装置が、その所望の拡張休止状態をとるように形成されている場合、製造プロセスの後に、結果として得られる血餅回収装置を、その拡張休止状態に形状設定するための定義された加熱処理が続く。いくつかの実装例によれば、拡張休止状態にある結果として得られる回収装置の長さは、管２００の反転前の長さの５０％～７５％である。
【0111】
図２０Ａ～図２０Ｃは、細長いワイヤ３１０上に装着された、遠位血餅回収装置３２０および近位血餅回収装置３４０を含む、血餅回収アセンブリ３００を説明する。使用中、回収装置３２０および３４０は、図２０Ｃに示されるように、送達カテーテル３６０の内側で半径方向に拘束されたまま、閉塞の部位へと送達される。
【0112】
いくつかの実装例では、遠位回収装置３２０は、細長いワイヤ３１０に静止して固定された遠位カラー３２１と、細長いワイヤ３１０上で摺動可能である近位カラー３２２と、を含む。近位カラーと遠位カラーとの間に延在するのは、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素３２３であり、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素３２３は、図２０Ａおよび図２０Ｂに示されるように、遠位回収装置３２０が拡張／展開状態にあるときに、閉塞と係合するように構成されている。遠位回収装置３２０が拡張／展開状態にあるとき、形状記憶の細長い血餅捕捉要素３２３は、図２０Ａおよび図２０Ｂに示されるものと同様であっても、異なってもよい、湾曲した構成をとる。
【0113】
いくつかの実装例では、近位回収装置３４０は、細長いワイヤ３１０に静止して固定された近位カラー３４２と、細長いワイヤ３１０上で摺動可能である遠位カラー３４１と、を含む。近位カラー３４２と遠位カラー３４１との間に延在するのは、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素３４３であり、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素３４３は、図２０Ａおよび図２０Ｂに示されるように、近位回収装置３４０が拡張／展開状態にあるときに、閉塞と係合するように構成されている。近位回収装置３４０が拡張／展開状態にあるとき、形状記憶の細長い血餅捕捉要素３４３は、図２０Ａおよび図２０Ｂに示されるものと同様であるか、または異なる、湾曲した構成をとる。
【0114】
いくつかの実装例によれば、遠位回収装置３２０および近位回収装置３４０の各々は、図４Ａ～図６に描かれているもののような独立した部品の集合体から構築されている。他の実装例によれば、遠位回収装置３２０および近位回収装置３４０の各々は、図８Ａ～図１８Ｂと併せて上記で考察されるもののようなスロット付き管から作製されている。
【0115】
遠位回収装置３２０は、送達カテーテル３６０から展開されて拡張状態をとるとき、近位反転部分３２４および遠位非反転部分３２５を含む。遠位回収装置３４０は、送達カテーテル３６０から展開されて拡張状態をとるとき、遠位反転部分３４４および近位非反転部分３４５を含む。図２０Ａに示されるように、いくつかの実装例によれば、遠位回収装置３２０の遠位非反転部分３２５は、生体適合性材料で作製された透過性カバー３２７を備える。透過性カバー３２７の目的は、血餅回収プロセス中に取り除かれ得る血餅の断片を捕捉することである。いくつかの実装例によれば、生体適合性材料は、０．０００８～０．０１６インチの厚さを有するカプセル化ポリテトラフルオロエチレン（ｅＰＴＦＥ）である。
【0116】
いくつかの実装例によれば、図２０Ａおよび図２０Ｂに示されるように、遠位回収装置３２０がその拘束されていない拡張休止状態にあるとき、形状記憶の細長い血餅捕捉要素３２３は、遠位回収装置３２０の近位端から見たときに、隣り合うアーチ構造が好ましいが、必ずしも互いに重なり合わない、図７Ｃおよび図８Ｄに示されるもののような複数のアーチ構造を形成する。
【0117】
いくつかの実装例によれば、図２０Ａおよび図２０Ｂに示されるように、近位回収装置３４０がその拘束されていない拡張休止状態にあるとき、形状記憶の細長い血餅捕捉要素３４３は、遠位回収装置３４０の遠位端から見たときに、隣り合うアーチ構造が好ましいが、必ずしも互いに重なり合わない、図７Ｃおよび図８Ｄに示されるもののような複数のアーチ構造を形成する。
【0118】
図２０Ｃは、送達カテーテル３６０の遠位端部分の側面断面図であり、送達カテーテルの内側で半径方向に拘束された、遠位回収装置３２０および近位回収装置３４０を示している。遠位回収装置３２０は、図１Ａ～図３の説明と併せて上記で考察される回収装置２０のように機能し、半径方向に拘束された状態と、拡張休止状態と、拡張応力状態との間で遷移する。近位回収装置３４０は、遠位回収装置３２０と同様に機能するが、逆に機能する。
【0119】
いくつかの実装例によれば、遠位回収装置３２０の遠位カラー３２１および近位カラー３２２のうちの一方または両方、ならびに／または近位回収装置３４０の遠位カラー３４１および近位カラー３４２のうちの一方または両方は、放射線不透過性材料で作製されているか、または放射線不透過性材料でコーティングされており、これにより、当該カラーの場所を蛍光透視法で観察することができる。
【0120】
使用中、送達カテーテル３６０の遠位端部分は、図１９Ａに示されるもののようなガイドワイヤを介して血餅の部位の遠位に送達される。図２０Ｃに示されるように、送達カテーテルが定位置にある状態で、回収装置３２０および３４０は、これらの半径方向に拘束された状態で送達カテーテル３６０に装填される。その後、遠位回収装置および近位回収装置は、細長いワイヤ１０を固定して保持しながら近位方向に送達カテーテルを引き抜くか、または細長いワイヤ１０を遠位方向に前進させながら送達カテーテル３０を固定して保持するかのいずれかによって、血餅の遠位に展開される。
【0121】
患者の通路の内側で展開された状態にあるとき、回収装置３２０および３４０のアーチ状の構造は、血管の動脈壁に押し付けられる。回収装置３２０および３４０が展開された後、回収装置が付着した細長いワイヤ３１０を近位方向に引っ張って、最初に近位回収装置３４０を血餅に係合して、血餅捕捉要素３４３間に血餅の少なくとも一部分を閉じ込める。血餅の少なくとも一部分が近位回収装置３４０内に閉じ込められた後、細長いワイヤ３１０は近位方向にさらに前進して、遠位回収装置３２０を血餅の任意の残りの部分に係合する。いくつかの実装例では、遠位回収装置３２０の血餅捕捉要素３２３は、血餅が付着した動脈壁に沿って掃引して、血餅または血餅の残りを、影響を受ける血管の中心に向かって中央に移動させるように構成されている。
【0122】
いくつかの実装例によれば、近位回収装置３４０の遠位カラー３４１および遠位回収装置３２０の近位カラー３２２は、回収装置が血餅を通して近位方向に引っ張られるにつれて、細長いワイヤ３１０に沿って遠位方向に移動する。いくつかの実装例によれば、近位回収装置３４０を血餅の近位に位置付けて、血餅除去プロセス中に血餅に押し付けるか、または血餅に押し込むことができる。かかる例では、その遠位カラー３４１は、回収装置が血餅内に遠位方向に押し込まれるにつれて、細長いワイヤ３１０に沿って近位方向に移動する。上記で考察されるように、血餅捕捉プロセス中の細長いワイヤ上でのカラーの運動は、血餅捕捉要素に応力を与え、カラーが血餅を閉じ込める能力を増強する。
【0123】
回収装置３２０および３４０のうちの一方または両方によって血餅を捕捉する際、細長いワイヤ１０を近位方向に引っ張って、血餅を吸引カテーテルの口に、または送達カテーテル３６０内に移動させることによって、血餅の除去を少なくとも部分的に達成することができる。
【0124】
図２１は、上記に開示される方法を含むいくつかの方法のうちのいずれによって作製され得る、遠位回収装置３２０および近位回収装置３４０を含む、血餅捕捉アセンブリを示す。血餅捕捉アセンブリは、近位回収装置３４０が細長いワイヤ３１０の長さに沿って軸方向に移動可能であり、その結果、近位回収装置３４０を遠位回収装置３２０から分離する距離が変動し得るという点で、図２０Ａ～図２０Ｃのアセンブリとは異なる。他のすべての点で、遠位回収装置および近位回収装置は、上記のように機能する。
【0125】
図２０Ａ～図２０Ｃの実装例と同様に、遠位回収装置３２０は、細長いワイヤ３１０に装着され、遠位回収装置３２０の遠位カラー３２１は、細長いワイヤに静止して固定され、近位カラー３２２は細長いワイヤ上で摺動可能である。一方で、近位回収装置３４０の遠位カラー３４１および近位カラー３４２は、両方とも細長いワイヤ３１０上で摺動可能であり、近位カラー３４２は、中を細長いワイヤ３１０が通過する細長いハイポ管３７０の遠位端３７１に固定されている。ハイポ管３７０の近位端部分は、ユーザハンドル３８０の内側に位置する摺動タブ３８１に付着されている。ユーザハンドル３８０は、ハンドルがユーザによって把持されているときに、ユーザの親指が摺動タブ３８１に作用して、タブを前方方向Ｆまたは後方方向Ｒに移動させ得るように構成されている。細長いワイヤ３１０が静止したままの状態で、タブ３８１を前方方向Ｆに移動させると、ハイポ管３７０が遠位方向に前進して、近位回収装置３４０を、細長いワイヤ３１０に沿って遠位方向に、遠位回収装置３２０のより近くに移動させる。逆に、タブ３８１を後方方向Ｒに移動させると、ハイポ管３７０が近位方向に前進して、近位回収装置３４０を、細長いワイヤ３１０に沿って近位方向に、遠位回収装置３２０から離れる方向に移動させる。
【0126】
回収装置３２０および３４０は、典型的には、以前に配置された送達カテーテル３６０を通して血餅の部位に送達される。図２２は、側面図を示し、図２３は、送達カテーテル３６０の管腔の内側で半径方向に拘束された回収装置３２０および３４０の断面側面図を示す。図２１に示されるように、ユーザハンドル３８０の摺動タブ３８１が中心位置にあるとき、遠位回収装置３２０および近位回収装置３４０は、送達カテーテル３６０の管腔の内側で距離Ｄだけ分離している。回収装置３２０および３４０のうちの一方または両方を送達カテーテル３６０から展開する前に、ユーザは、摺動タブ３８１を後方方向Ｒまたは前方方向Ｆにそれぞれ移動させることによって、回収装置間の距離Ｄを増加または低下させることができる。近位回収装置３４０が遠位回収装置３２０に対して所望の位置に配置されると、摺動タブ３８１は、ハイポ管３７０の任意の軸方向の運動を防止するように、適所にロックされる。その後、遠位回収装置３２０は、図２４に示されるように、送達カテーテル３６０の外側に展開され、かついくつかの例では、図２５Ａに示されるように、送達カテーテルの外側への近位回収装置３４０の展開が続く。回収装置３２０および３４０のうちの一方または両方は、細長いワイヤ３１０を固定して保持しながら近位方向に送達カテーテルを引き抜くか、または細長いワイヤ３１０を遠位方向に前進させながら送達カテーテルを固定して保持するかのいずれかによって、送達カテーテル３６０の遠位端から展開され得る。
【0127】
図２５Ａは、送達カテーテル３６０の外側に展開され、第１の距離Ｄ１だけ分離している、遠位回収装置３２０および近位回収装置３４０を示す。図２５Ｂは、送達カテーテル３６０の外側に展開され、第１の距離より少ない第２の距離Ｄ２だけ分離している、遠位回収装置３２０および近位回収装置３４０を示す。
【0128】
いくつかの実装例によれば、ハイポ管１７０は、約１８０センチメートルの長さ、および約０．０１０～０．０１６インチの内径を有する。
【0129】
以下のグループＡ～Ｅの条項は、無制限な方法で追加の実装例を開示する。
【0130】
グループＡの条項：
条項１．血餅回収アセンブリであって、
長さおよび長手方向軸を有する、細長いワイヤと、
第１の回収装置と、を備え、第１の回収装置が、
細長いワイヤ上に静止して固定された遠位カラー、
細長いワイヤの長さの一部分に沿って摺動可能である近位カラー、および
複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素、を備え、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、近位カラーに連結された近位端、および遠位カラーに連結された遠位端を有し、複数の形状記憶の細長い捕捉要素の各々が、近位端部分および遠位端部分を有し、
第１の回収装置が、半径方向に拘束された状態から、拡張休止状態へと自動的に遷移するように構成されており、半径方向に拘束された状態では、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素のいずれの部分も、近位カラーの近位に位置せず、近位カラーが、遠位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第１の軸方向位置に位置し、遠位カラーから第１の距離だけ離隔されており、拡張休止状態では、近位カラーが、遠位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第２の軸方向位置に位置し、遠位カラーから、第１の距離よりも少ない第２の距離だけ離隔されており、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の近位部分のうちの少なくともいくつかが、近位カラーの周りで反転し、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の近位部分のうちの少なくともいくつかが、近位カラーの近位に配設される、血餅回収アセンブリ。
条項１．血餅回収アセンブリであって、
長さおよび長手方向軸を有する、細長いワイヤと、
第１の回収装置と、を備え、第１の回収装置が、
細長いワイヤ上に静止して固定された遠位カラー、
細長いワイヤの長さの一部分に沿って摺動可能である近位カラー、および
複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素、を備え、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、近位カラーに連結された近位端、および遠位カラーに連結された遠位端を有し、複数の形状記憶の細長い捕捉要素の各々が、近位端部分および遠位端部分を有し、
第１の回収装置が、半径方向に拘束された状態から、拡張休止状態へと自動的に遷移するように構成されており、半径方向に拘束された状態では、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素のいずれの部分も、近位カラーの近位に位置せず、近位カラーが、遠位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第１の軸方向位置に位置し、遠位カラーから第１の距離だけ離隔されており、拡張休止状態では、近位カラーが、遠位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第２の軸方向位置に位置し、遠位カラーから、第１の距離よりも少ない第２の距離だけ離隔されており、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の近位部分のうちの少なくともいくつかが、近位カラーの周りで反転し、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の近位部分のうちの少なくともいくつかが、近位カラーの近位に配設される、血餅回収アセンブリ。
【0131】
条項２．第１の回収装置が拡張休止状態にあるとき、近位カラーが、遠位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第３の軸方向位置まで遠位方向に移動可能であり、遠位カラーから、第２の距離よりも少ない第３の距離だけ離隔されている、条項１に記載の血餅回収アセンブリ。
【0132】
条項３．第１の回収装置の近位カラーが細長いワイヤ上の第３の軸方向位置にあるとき、第１の回収装置が、拡張応力状態にある、条項２に記載の血餅回収アセンブリ。
【0133】
条項４．第１の回収装置が半径方向に拘束された状態にあるとき、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々のいずれの部分も、折り返されない、条項１に記載の血餅回収アセンブリ。
【0134】
条項５．第２の長さが、第１の長さの３０％～６０％である、先行条項のいずれか一項に記載の血餅回収アセンブリ。
【0135】
条項６．第１の回収装置が拡張休止状態にあるときに、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素のうちの少なくともいくつかが、近位カラーから遠位カラーまでジグザグの経路を呈し、経路の第１の部分が、近位方向に延在し、経路の第２の部分が、遠位方向に延在する、先行条項のいずれか一項に記載の血餅回収アセンブリ。
【0136】
条項７．第１の回収装置が拡張休止状態にあるとき、第１の回収装置が、形状記憶の細長い血餅捕捉要素が近位カラーの周りで反転する近位反転部分と、遠位非反転部分と、を含み、遠位非反転部分が、形状記憶の細長い血餅捕捉要素の遠位端部分から構成されている、先行条項のいずれか一項に記載の血餅回収アセンブリ。
【0137】
条項８．近位カラーが第２の軸方向位置にあるとき、形状記憶の細長い血餅捕捉要素のうちの１つ以上が、第１の剛性を有し、近位カラーが第３の軸方向位置にあるとき、１つ以上の形状記憶の細長い血餅捕捉要素が、第１の剛性よりも大きい第２の剛性を有する、条項２に記載の血餅回収アセンブリ。
【0138】
条項９．第１の回収装置の遠位非反転部分が、透過性カバーを含む、条項７に記載の血餅回収アセンブリ。
【0139】
条項１０．複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、近位端および遠位端を有し、近位端および遠位端が、接着剤によって、近位カラーおよび遠位カラーにそれぞれ付着されている、先行条項のいずれか一項に記載の血餅回収アセンブリ。
【0140】
条項１１．複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、近位端および遠位端を有し、近位端および遠位端が、ハンダによって、近位カラーおよび遠位カラーにそれぞれ付着されている、先行条項のいずれか一項に記載の血餅回収アセンブリ。
【0141】
条項１２．複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、近位端および遠位端を有し、近位端および遠位端が、近位カラーおよび遠位カラーにそれぞれ溶接されている、先行条項のいずれか一項に記載の血餅回収アセンブリ。
【0142】
条項１３．複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素、ならびに近位カラーおよび遠位カラーが、単一の材料片から形成されている、先行条項のいずれか一項に記載の血餅回収アセンブリ。
【0143】
条項１４．遠位カラーが、非侵襲的な遠位先端を有する、先行条項のいずれか一項に記載の血餅回収アセンブリ。
【0144】
条項１５．
第１の回収装置の遠位にある細長いワイヤ上に位置する第２の回収装置をさらに備え、第２の回収装置が、
細長いワイヤ上に静止して固定された遠位カラー、
細長いワイヤの長さの一部分に沿って摺動可能である近位カラー、および
複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素、を備え、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、第２の回収装置の近位カラーに連結された近位端、および第２の回収装置の遠位カラーに連結された遠位端を有し、複数の形状記憶の細長い捕捉要素の各々が、近位端部分および遠位端部分を有し、
第２の回収装置が、半径方向に拘束された状態から、拡張休止状態へと遷移するように構成されており、半径方向に拘束された状態では、第２の回収装置の近位カラーが、第２の回収装置の遠位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第１の軸方向位置に位置し、第２の回収装置の遠位カラーから第１の距離だけ離隔されており、拡張休止状態では、第２の回収装置の近位カラーが、第２の回収装置の遠位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第２の軸方向位置に位置し、第２の回収装置の遠位カラーから、第１の距離よりも少ない第２の距離だけ離隔されている、先行条項のいずれか一項に記載の血餅回収アセンブリ。
第１の回収装置の遠位にある細長いワイヤ上に位置する第２の回収装置をさらに備え、第２の回収装置が、
細長いワイヤ上に静止して固定された遠位カラー、
細長いワイヤの長さの一部分に沿って摺動可能である近位カラー、および
複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素、を備え、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、第２の回収装置の近位カラーに連結された近位端、および第２の回収装置の遠位カラーに連結された遠位端を有し、複数の形状記憶の細長い捕捉要素の各々が、近位端部分および遠位端部分を有し、
第２の回収装置が、半径方向に拘束された状態から、拡張休止状態へと遷移するように構成されており、半径方向に拘束された状態では、第２の回収装置の近位カラーが、第２の回収装置の遠位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第１の軸方向位置に位置し、第２の回収装置の遠位カラーから第１の距離だけ離隔されており、拡張休止状態では、第２の回収装置の近位カラーが、第２の回収装置の遠位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第２の軸方向位置に位置し、第２の回収装置の遠位カラーから、第１の距離よりも少ない第２の距離だけ離隔されている、先行条項のいずれか一項に記載の血餅回収アセンブリ。
【0145】
条項１６．第２の回収装置が半径方向に拘束された状態にあるとき、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素のいずれの部分も、近位カラーの近位に位置せず、第２の回収装置が半径方向に拡張した状態にあるとき、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の近位部分のうちの少なくともいくつかが、近位カラーの周りで反転し、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の近位部分のうちの少なくともいくつかが、近位カラーの近位に配設される、条項１５に記載の血餅回収アセンブリ。
【0146】
条項１７．第２の回収装置が拡張休止状態にあるとき、近位カラーが、遠位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第３の軸方向位置まで遠位方向に移動可能であり、遠位カラーから、第２の距離よりも少ない第３の距離だけ離隔されている、条項１５および１６に記載の血餅回収アセンブリ。
【0147】
条項１８．
第１の回収装置の近位にある細長いワイヤ上に位置する第２の回収装置をさらに備え、第２の回収装置が、
細長いワイヤ上に静止して固定された近位カラー、
細長いワイヤの長さの一部分に沿って摺動可能である遠位カラー、および
複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素、を備え、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、第２の回収装置の近位カラーに連結された近位端、および第２の回収装置の遠位カラーに連結された遠位端を有し、複数の形状記憶の細長い捕捉要素の各々が、近位端部分および遠位端部分を有し、
第２の回収装置が、半径方向に拘束された状態から、拡張休止状態へと遷移するように構成されており、半径方向に拘束された状態では、第２の回収装置の遠位カラーが、第２の回収装置の近位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第１の軸方向位置に位置し、第２の回収装置の近位カラーから第１の距離だけ離隔されており、拡張休止状態では、第２の回収装置の遠位カラーが、第２の回収装置の近位カラーの遠位にある細長いワイヤ上の第２の軸方向位置に位置し、第２の回収装置の近位カラーから、第１の距離よりも少ない第２の距離だけ離隔されている、条項１に記載の血餅回収アセンブリ。
第１の回収装置の近位にある細長いワイヤ上に位置する第２の回収装置をさらに備え、第２の回収装置が、
細長いワイヤ上に静止して固定された近位カラー、
細長いワイヤの長さの一部分に沿って摺動可能である遠位カラー、および
複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素、を備え、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、第２の回収装置の近位カラーに連結された近位端、および第２の回収装置の遠位カラーに連結された遠位端を有し、複数の形状記憶の細長い捕捉要素の各々が、近位端部分および遠位端部分を有し、
第２の回収装置が、半径方向に拘束された状態から、拡張休止状態へと遷移するように構成されており、半径方向に拘束された状態では、第２の回収装置の遠位カラーが、第２の回収装置の近位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第１の軸方向位置に位置し、第２の回収装置の近位カラーから第１の距離だけ離隔されており、拡張休止状態では、第２の回収装置の遠位カラーが、第２の回収装置の近位カラーの遠位にある細長いワイヤ上の第２の軸方向位置に位置し、第２の回収装置の近位カラーから、第１の距離よりも少ない第２の距離だけ離隔されている、条項１に記載の血餅回収アセンブリ。
【0148】
条項１９．第２の回収装置が半径方向に拘束された状態にあるとき、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素のいずれの部分も、遠位カラーの遠位に位置せず、第２の回収装置が拡張休止状態にあるとき、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の遠位部分のうちの少なくともいくつかが、遠位カラーの周りで反転し、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の遠位部分のうちの少なくともいくつかが、遠位カラーの遠位に配設される、条項１８に記載の血餅回収アセンブリ。
【0149】
グループＢの条項：
条項１．血餅回収アセンブリであって、
長さおよび長手方向軸を有する、細長いワイヤと、
第１の回収装置と、を備え、第１の回収装置が、
細長いワイヤ上に静止して固定された遠位カラー、
細長いワイヤの長さの一部分に沿って摺動可能である近位カラー、および
複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素、を備え、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、近位カラーに連結された近位端、および遠位カラーに連結された遠位端を有し、
第１の回収装置が、半径方向に拘束された状態から、拡張休止状態へ、そして拡張休止状態から拡張応力状態へと遷移するように構成されており、半径方向に拘束された状態では、近位カラーが、遠位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第１の軸方向位置に位置し、遠位カラーから第１の距離だけ離隔されており、拡張休止状態では、近位カラーが、遠位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第２の軸方向位置に位置し、遠位カラーから、第１の距離よりも少ない第２の距離だけ離隔されており、拡張応力状態では、近位カラーが、遠位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第３の軸方向位置に位置し、遠位カラーから、第２の距離よりも少ない第３の距離だけ離隔されている、血餅回収アセンブリ。
条項１．血餅回収アセンブリであって、
長さおよび長手方向軸を有する、細長いワイヤと、
第１の回収装置と、を備え、第１の回収装置が、
細長いワイヤ上に静止して固定された遠位カラー、
細長いワイヤの長さの一部分に沿って摺動可能である近位カラー、および
複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素、を備え、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、近位カラーに連結された近位端、および遠位カラーに連結された遠位端を有し、
第１の回収装置が、半径方向に拘束された状態から、拡張休止状態へ、そして拡張休止状態から拡張応力状態へと遷移するように構成されており、半径方向に拘束された状態では、近位カラーが、遠位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第１の軸方向位置に位置し、遠位カラーから第１の距離だけ離隔されており、拡張休止状態では、近位カラーが、遠位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第２の軸方向位置に位置し、遠位カラーから、第１の距離よりも少ない第２の距離だけ離隔されており、拡張応力状態では、近位カラーが、遠位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第３の軸方向位置に位置し、遠位カラーから、第２の距離よりも少ない第３の距離だけ離隔されている、血餅回収アセンブリ。
【0150】
条項２．第１の回収装置が半径方向に拘束された状態にあるとき、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々のいずれの部分も、折り返されない、条項１に記載の血餅回収アセンブリ。
【0151】
条項３．第１の回収装置が半径方向に拘束された状態にあるとき、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素のいずれの部分も、近位カラーの近位に位置しない、条項１に記載の血餅回収アセンブリ。
【0152】
条項４．第２の長さが、第１の長さの３０％～６０％である、先行条項のいずれか一項に記載の血餅回収アセンブリ。
【0153】
条項５．第１の回収装置が拡張休止状態にあるときに、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素のうちのいくつかの少なくとも一部分が、近位カラーの近位に延在する、先行条項のいずれか一項に記載の血餅回収アセンブリ。
【0154】
条項６．第１の回収装置が拡張休止状態にあるときに、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素のうちの少なくともいくつかが、近位カラーから遠位カラーまでの経路を呈し、経路の第１の部分が、近位方向に延在し、経路の第２の部分が、遠位方向に延在する、先行条項のいずれか一項に記載の血餅回収アセンブリ。
【0155】
条項７．第１の回収装置が拡張休止状態にあるとき、第１の回収装置が、近位反転部分と、遠位非反転部分と、を含み、近位反転部分が、形状記憶の細長い血餅捕捉要素の近位端部分から構成され、遠位非反転部分が、形状記憶の細長い血餅捕捉要素の遠位端部分から構成されている、条項１に記載の血餅回収アセンブリ。
【0156】
条項８．第１の回収装置が半径方向に拘束された状態にあるとき、近位反転部分が存在しない、条項７に記載の血餅回収アセンブリ。
【0157】
条項９．近位カラーが第２の軸方向位置にあるとき、形状記憶の細長い血餅捕捉要素のうちの１つ以上が、第１の剛性を有し、近位カラーが第３の軸方向位置にあるとき、１つ以上の形状記憶の細長い血餅捕捉要素が、第１の剛性よりも大きい第２の剛性を有する、先行条項のいずれか一項に記載の血餅回収アセンブリ。
【0158】
条項１０．第１の回収装置の遠位非反転部分が、透過性カバーを含む、条項７に記載の血餅回収アセンブリ。
【0159】
条項１１．複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、近位端および遠位端を有し、近位端および遠位端が、接着剤によって、近位カラーおよび遠位カラーにそれぞれ付着されている、先行条項のいずれか一項に記載の血餅回収アセンブリ。
【0160】
条項１２．複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、近位端および遠位端を有し、近位端および遠位端が、ハンダによって、近位カラーおよび遠位カラーにそれぞれ付着されている、先行条項のいずれか一項に記載の血餅回収アセンブリ。
【0161】
条項１３．複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、近位端および遠位端を有し、近位端および遠位端が、近位カラーおよび遠位カラーにそれぞれ溶接されている、先行条項のいずれか一項に記載の血餅回収アセンブリ。
【0162】
条項１４．複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素、ならびに近位カラーおよび遠位カラーが、単一の材料片から形成されている、先行条項のいずれか一項に記載の血餅回収アセンブリ。
【0163】
条項１５．遠位カラーが、非侵襲的な遠位先端を有する、先行条項のいずれか一項に記載の血餅回収アセンブリ。
【0164】
条項１６．
第１の回収装置の遠位にある細長いワイヤ上に位置する第２の回収装置をさらに備え、第２の回収装置が、
細長いワイヤ上に静止して固定された遠位カラー、
細長いワイヤの長さの一部分に沿って摺動可能である近位カラー、および
複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素、を備え、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、第２の回収装置の近位カラーに連結された近位端、および第２の回収装置の遠位カラーに連結された遠位端を有し、
第２の回収装置が、半径方向に拘束された状態から、拡張休止状態へと遷移するように構成されており、半径方向に拘束された状態では、第２の回収装置の近位カラーが、第２の回収装置の遠位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第１の軸方向位置に位置し、第２の回収装置の遠位カラーから第１の距離だけ離隔されており、拡張休止状態では、第２の回収装置の近位カラーが、第２の回収装置の遠位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第２の軸方向位置に位置し、第２の回収装置の遠位カラーから、第１の距離よりも少ない第２の距離だけ離隔されている、条項１に記載の血餅回収アセンブリ。
第１の回収装置の遠位にある細長いワイヤ上に位置する第２の回収装置をさらに備え、第２の回収装置が、
細長いワイヤ上に静止して固定された遠位カラー、
細長いワイヤの長さの一部分に沿って摺動可能である近位カラー、および
複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素、を備え、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、第２の回収装置の近位カラーに連結された近位端、および第２の回収装置の遠位カラーに連結された遠位端を有し、
第２の回収装置が、半径方向に拘束された状態から、拡張休止状態へと遷移するように構成されており、半径方向に拘束された状態では、第２の回収装置の近位カラーが、第２の回収装置の遠位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第１の軸方向位置に位置し、第２の回収装置の遠位カラーから第１の距離だけ離隔されており、拡張休止状態では、第２の回収装置の近位カラーが、第２の回収装置の遠位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第２の軸方向位置に位置し、第２の回収装置の遠位カラーから、第１の距離よりも少ない第２の距離だけ離隔されている、条項１に記載の血餅回収アセンブリ。
【0165】
条項１７．第２の回収装置が拡張休止状態にあるとき、近位カラーが、遠位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第３の軸方向位置まで遠位方向に移動可能であり、遠位カラーから、第２の距離よりも少ない第３の距離だけ離隔されている、条項１６に記載の血餅回収アセンブリ。
【0166】
条項１８．
第１の回収装置の近位にある細長いワイヤ上に位置する第２の回収装置をさらに備え、第２の回収装置が、
細長いワイヤ上に静止して固定された近位カラー、
細長いワイヤの長さの一部分に沿って摺動可能である遠位カラー、および
複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素、を備え、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、第２の回収装置の近位カラーに連結された近位端、および第２の回収装置の遠位カラーに連結された遠位端を有し、
第２の回収装置が、半径方向に拘束された状態から、拡張休止状態へと遷移するように構成されており、半径方向に拘束された状態では、第２の回収装置の遠位カラーが、第２の回収装置の近位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第１の軸方向位置に位置し、第２の回収装置の近位カラーから第１の距離だけ離隔されており、拡張休止状態では、第２の回収装置の遠位カラーが、第２の回収装置の近位カラーの遠位にある細長いワイヤ上の第２の軸方向位置に位置し、第２の回収装置の近位カラーから、第１の距離よりも少ない第２の距離だけ離隔されている、条項１に記載の血餅回収アセンブリ。
第１の回収装置の近位にある細長いワイヤ上に位置する第２の回収装置をさらに備え、第２の回収装置が、
細長いワイヤ上に静止して固定された近位カラー、
細長いワイヤの長さの一部分に沿って摺動可能である遠位カラー、および
複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素、を備え、複数の形状記憶の細長い血餅捕捉要素の各々が、第２の回収装置の近位カラーに連結された近位端、および第２の回収装置の遠位カラーに連結された遠位端を有し、
第２の回収装置が、半径方向に拘束された状態から、拡張休止状態へと遷移するように構成されており、半径方向に拘束された状態では、第２の回収装置の遠位カラーが、第２の回収装置の近位カラーの近位にある細長いワイヤ上の第１の軸方向位置に位置し、第２の回収装置の近位カラーから第１の距離だけ離隔されており、拡張休止状態では、第２の回収装置の遠位カラーが、第２の回収装置の近位カラーの遠位にある細長いワイヤ上の第２の軸方向位置に位置し、第２の回収装置の近位カラーから、第１の距離よりも少ない第２の距離だけ離隔されている、条項１に記載の血餅回収アセンブリ。
【0167】
グループＣの条項：
条項１．血餅回収アセンブリを作製する方法であって、方法が、
第１のカラーを得ることであって、第１のカラーが、近位端、遠位端、近位端と遠位端との間に、かつ近位端と遠位端とを通って延在する中央長手方向貫通開口部、および中央長手方向貫通開口部の周りで近位端内に位置する複数の長手方向チャネルを有し、中央長手方向貫通開口部が、中央軸を有する、第１のカラーを得ることと、
第２のカラーを得ることであって、第２のカラーが、近位端、遠位端、第２のカラーの近位端と遠位端との間に、かつ近位端と遠位端とを通って延在する中央貫通開口部、および第２のカラーの中央貫通開口部の周りで第２のカラーの遠位端内に位置する複数のチャネルを有し、第２のカラーの中央長手方向貫通開口部が、中央軸を有する、第２のカラーを得ることと、
複数の細長い要素を得ることであって、複数の細長い要素の各々が、近位端、遠位端、および長さを有する、複数の細長い要素を得ることと、
複数の細長い要素の各々の第１の端を、第１のカラー内の複数のチャネルのうちのそれぞれ１つの内側に固定することと、
複数の細長い要素の各々の第２の端を、第２のカラー内の複数のチャネルのうちのそれぞれ１つの内側に固定することと、
第１および第２のカラーの中央貫通開口部の中央軸を軸方向に整列させることと、
第１および第２のカラーの中央貫通開口部の中央軸を軸方向に整列させた後に、複数の細長い要素が第２のカラーの周りで反転するように、第１のカラーおよび第２のカラーのうちの一方または両方に軸方向の力を加えることにより、第１のカラーおよび第２のカラーのうちの一方または両方を、もう一方に向かって軸方向に移動させることと、
複数の細長い要素を第２のカラーの周りで反転させる間に、複数の細長い要素を形状設定することと、
遠位カラーが細長いワイヤ上に静止して固定され、近位カラーが細長いワイヤ上で摺動可能である状態で、近位カラーおよび遠位カラーを細長いワイヤの遠位端部分の上に装着することと、を含む、方法。
条項１．血餅回収アセンブリを作製する方法であって、方法が、
第１のカラーを得ることであって、第１のカラーが、近位端、遠位端、近位端と遠位端との間に、かつ近位端と遠位端とを通って延在する中央長手方向貫通開口部、および中央長手方向貫通開口部の周りで近位端内に位置する複数の長手方向チャネルを有し、中央長手方向貫通開口部が、中央軸を有する、第１のカラーを得ることと、
第２のカラーを得ることであって、第２のカラーが、近位端、遠位端、第２のカラーの近位端と遠位端との間に、かつ近位端と遠位端とを通って延在する中央貫通開口部、および第２のカラーの中央貫通開口部の周りで第２のカラーの遠位端内に位置する複数のチャネルを有し、第２のカラーの中央長手方向貫通開口部が、中央軸を有する、第２のカラーを得ることと、
複数の細長い要素を得ることであって、複数の細長い要素の各々が、近位端、遠位端、および長さを有する、複数の細長い要素を得ることと、
複数の細長い要素の各々の第１の端を、第１のカラー内の複数のチャネルのうちのそれぞれ１つの内側に固定することと、
複数の細長い要素の各々の第２の端を、第２のカラー内の複数のチャネルのうちのそれぞれ１つの内側に固定することと、
第１および第２のカラーの中央貫通開口部の中央軸を軸方向に整列させることと、
第１および第２のカラーの中央貫通開口部の中央軸を軸方向に整列させた後に、複数の細長い要素が第２のカラーの周りで反転するように、第１のカラーおよび第２のカラーのうちの一方または両方に軸方向の力を加えることにより、第１のカラーおよび第２のカラーのうちの一方または両方を、もう一方に向かって軸方向に移動させることと、
複数の細長い要素を第２のカラーの周りで反転させる間に、複数の細長い要素を形状設定することと、
遠位カラーが細長いワイヤ上に静止して固定され、近位カラーが細長いワイヤ上で摺動可能である状態で、近位カラーおよび遠位カラーを細長いワイヤの遠位端部分の上に装着することと、を含む、方法。
【0168】
条項２．複数の細長い要素を第２のカラーの周りで反転させる間に、第１のカラーおよび第２のカラーのうちの一方または両方を、もう一方に対して回転させることをさらに含む、条項１に記載の方法。
【0169】
条項３．複数の細長い要素が第２のカラーの周りで反転した後、第１のカラーおよび第２のカラーのうちの一方または両方を、もう一方に対して回転させることをさらに含む、条項１に記載の方法。
【0170】
条項４．第１のカラーおよび第２のカラーのうちの一方または両方が、放射線不透過性材料で作製されている、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0171】
条項５．第１のカラーおよび第２のカラーのうちの一方または両方が、放射線不透過性材料でコーティングされている、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0172】
条項６．複数の細長い要素が、ニチノール製である、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0173】
条項７．複数の細長い要素のうちの１つ以上に透過性カバーを付着させることをさらに含み、透過性カバーが、複数の細長い要素の一部分の周りに円周方向に延在する、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0174】
条項８．複数の細長い要素を形状設定する前に、固定具を使用することによって、複数の細長い要素を形状決めすることをさらに含む、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0175】
条項９．複数の細長い要素が、ワイヤを含む、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0176】
条項１０．複数の細長い要素が、リボンを含む、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0177】
条項１１．ワイヤのうちのいくつかが、第１の直径を有し、ワイヤのうちのいくつかが、第１の直径よりも小さい第２の直径を有する、条項９に記載の方法。
【0178】
条項１２．複数のリボンのうちのいくつかが、第１の幅を有し、複数の細長い要素のうちのいくつかが、第１の幅よりも小さい第２の幅を有する、条項１０に記載の方法。
【0179】
条項１３．第１のカラーが、非侵襲的な先端を有する、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0180】
条項１４．第１のカラーが、非侵襲的な先端を有し、第２のカラーが、非侵襲的な先端を有する、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0181】
条項１５．シースの内側で回収装置を半径方向に拘束することをさらに含む、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0182】
条項１６．回収装置が、シースの内側で半径方向に拘束されており、それにより、形状記憶の細長い血餅捕捉要素のいずれの部分も近位カラーの近位に存在しない、条項１５に記載の方法。
【0183】
グループＤの条項：
条項１．血餅回収装置を作製する方法であって、方法が、
円筒状の管を得ることであって、円筒状の管が、近位端、遠位端、長さ、および中央長手方向軸を有し、管が、複数の円周方向に離隔された連続的な細長いスロットを有し、複数の円周方向に離隔された連続的な細長いスロットの各々が、管の長さの一部分に沿って延在し、離隔された細長いスロットの各隣接するセットの間に存在するのが、細長い血餅捕捉要素であり、細長いスロットの各々が、近位端および遠位端を有し、近位端および遠位端が、管の近位端および遠位端からそれぞれ離隔されており、管が、細長いスロットの近位端と管の近位端との間に配設された近位カラーを含み、管が、細長いスロットの遠位端と管の遠位端との間に配設された遠位カラーを含み、細長い血餅捕捉要素の各々が、近位端部分および遠位端部分を有する、円筒状の管を得ることと、
遠位方向に向けられた力を、近位カラーおよび／または遠位カラーに加えることにより、細長い血餅捕捉要素の近位部分のうちの少なくともいくつかを近位カラーの周りで反転させることと、
複数の細長い要素を近位カラーの周りで反転させる間に、複数の細長い要素を形状設定することと、を含む、方法。
条項１．血餅回収装置を作製する方法であって、方法が、
円筒状の管を得ることであって、円筒状の管が、近位端、遠位端、長さ、および中央長手方向軸を有し、管が、複数の円周方向に離隔された連続的な細長いスロットを有し、複数の円周方向に離隔された連続的な細長いスロットの各々が、管の長さの一部分に沿って延在し、離隔された細長いスロットの各隣接するセットの間に存在するのが、細長い血餅捕捉要素であり、細長いスロットの各々が、近位端および遠位端を有し、近位端および遠位端が、管の近位端および遠位端からそれぞれ離隔されており、管が、細長いスロットの近位端と管の近位端との間に配設された近位カラーを含み、管が、細長いスロットの遠位端と管の遠位端との間に配設された遠位カラーを含み、細長い血餅捕捉要素の各々が、近位端部分および遠位端部分を有する、円筒状の管を得ることと、
遠位方向に向けられた力を、近位カラーおよび／または遠位カラーに加えることにより、細長い血餅捕捉要素の近位部分のうちの少なくともいくつかを近位カラーの周りで反転させることと、
複数の細長い要素を近位カラーの周りで反転させる間に、複数の細長い要素を形状設定することと、を含む、方法。
【0184】
条項２．複数の細長い要素を第２のカラーの周りで反転させる間に、近位カラーおよび遠位カラーのうちの一方または両方を、もう一方に対して回転させることをさらに含む、条項１に記載の方法。
【0185】
条項３．複数の細長い要素を第２のカラーの周りで反転させた後に、近位カラーおよび遠位カラーのうちの一方または両方を、もう一方に対して回転させることをさらに含む、条項１に記載の方法。
【0186】
条項４．近位カラーおよび遠位カラーのうちの一方または両方が、放射線不透過性材料でコーティングされている、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0187】
条項５．管が、ニチノール製である、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0188】
条項６．血餅捕捉要素のうちの１つ以上に透過性カバーを付着させることをさらに含み、透過性カバーが、細長い血餅捕捉要素の遠位端部分の周りに円周方向に延在する、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0189】
条項７．細長い血餅捕捉要素を形状設定する前に、固定具を使用することによって、複数の細長い血餅捕捉要素を形状決めすることをさらに含む、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0190】
条項８．細長い血餅捕捉要素の各々が、減少した厚さの面積を含む、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0191】
条項９．減少した厚さの面積が、遠位方向に向けられた力が近位カラーに加えられたとき、および／または近位方向に向けられた力が遠位カラーに加えられたときに、減少した厚さの面積における細長い血餅捕捉要素の最初のへこみを引き起こすように構成されている、条項８に記載の方法。
【0192】
条項１０．細長い血餅捕捉要素の近位端部分が、第１の幅を有し、細長い血餅捕捉要素の遠位端部分が、第１の幅とは異なる第２の幅を有する、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0193】
条項１１．第２の幅が、第１の幅よりも大きい、条項１０に記載の方法。
【0194】
条項１２．遠位方向に向けられた力が近位カラーに加えられる前、および／または近位方向に向けられた力が遠位カラーに加えられる前に、細長い血餅捕捉要素の近位端部分が、管の長手方向軸を中心として湾曲する、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0195】
条項１３．細長い血餅捕捉要素の近位端部分が、管の長手方向軸に対して螺旋状に配列されている、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0196】
条項１４．細長い血餅捕捉要素の遠位端部分が、真っ直ぐである、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0197】
条項１５．細長い血餅捕捉要素の真っ直ぐな遠位端部分が、管の長手方向軸に対して平行に配列されている、条項１４に記載の方法。
【0198】
条項１６．細長い血餅捕捉要素の遠位端部分が、湾曲している、条項１２に記載の方法。
【0199】
条項１７．細長い捕捉要素の近位端部分が、第１の長さを有し、細長い捕捉要素の遠位端部分が、第１の長さよりも短い第２の長さを有する、条項１２に記載の方法。
【0200】
条項１８．細長い血餅捕捉要素の各々が、減少した幅の面積を含む、条項１に記載の方法。
【0201】
条項１９．減少した幅の面積が、遠位方向に向けられた力が近位カラーに加えられたとき、および／または近位方向に向けられた力が遠位カラーに加えられたときに、減少した幅の面積における細長い血餅捕捉要素の最初のへこみを引き起こすように構成されている、条項１８に記載の方法。
【0202】
条項２０．細長い血餅捕捉要素が、近位端部分と遠位端部分との間に位置する中間部分を含み、細長い捕捉要素の、近位端部分および遠位端部分が、互いに円周方向にオフセットされて配列され、中間部分によって接合されている、条項１に記載の方法。
【0203】
条項２１．遠位方向に向けられた力が近位カラーに加えられる前、および／または近位方向に向けられた力が遠位カラーに加えられる前に、円周方向に離隔された連続的な細長いスロットの各々が、円筒状の管の長さの７０％以上の長さを有する、条項１に記載の方法。
【0204】
グループＥの条項：
条項１．血餅回収装置を作製する方法であって、方法が、
円筒状の管を得ることであって、円筒状の管が、近位端、遠位端、長さ、および中央長手方向軸を有し、管が、複数の円周方向に離隔された連続的な細長いスロットを有し、複数の円周方向に離隔された連続的な細長いスロットの各々が、管の長さの一部分に沿って延在し、離隔された細長いスロットの各隣接するセットの間に存在するのが、細長い血餅捕捉要素であり、細長いスロットの各々が、近位端および遠位端を有し、近位端および遠位端が、管の近位端および遠位端からそれぞれ離隔されており、管が、細長いスロットの近位端と管の近位端との間に配設された近位カラーを含み、管が、細長いスロットの遠位端と管の遠位端との間に配設された遠位カラーを含み、細長い血餅捕捉要素の各々が、近位端部分および遠位端部分を有する、円筒状の管を得ることと、
遠位方向に向けられた力を、近位カラーおよび／または遠位カラーに加えることにより、細長い血餅捕捉要素の近位部分のうちの少なくともいくつかを近位カラーの周りで反転させることと、
複数の細長い要素を近位カラーの周りで反転させる間に、複数の細長い要素を形状設定することと、
遠位カラーが細長いワイヤ上に静止して固定され、近位カラーが細長いワイヤ上で摺動可能である状態で、近位カラーおよび遠位カラーを細長いワイヤの遠位端部分の上に装着することと、を含む、方法。
条項１．血餅回収装置を作製する方法であって、方法が、
円筒状の管を得ることであって、円筒状の管が、近位端、遠位端、長さ、および中央長手方向軸を有し、管が、複数の円周方向に離隔された連続的な細長いスロットを有し、複数の円周方向に離隔された連続的な細長いスロットの各々が、管の長さの一部分に沿って延在し、離隔された細長いスロットの各隣接するセットの間に存在するのが、細長い血餅捕捉要素であり、細長いスロットの各々が、近位端および遠位端を有し、近位端および遠位端が、管の近位端および遠位端からそれぞれ離隔されており、管が、細長いスロットの近位端と管の近位端との間に配設された近位カラーを含み、管が、細長いスロットの遠位端と管の遠位端との間に配設された遠位カラーを含み、細長い血餅捕捉要素の各々が、近位端部分および遠位端部分を有する、円筒状の管を得ることと、
遠位方向に向けられた力を、近位カラーおよび／または遠位カラーに加えることにより、細長い血餅捕捉要素の近位部分のうちの少なくともいくつかを近位カラーの周りで反転させることと、
複数の細長い要素を近位カラーの周りで反転させる間に、複数の細長い要素を形状設定することと、
遠位カラーが細長いワイヤ上に静止して固定され、近位カラーが細長いワイヤ上で摺動可能である状態で、近位カラーおよび遠位カラーを細長いワイヤの遠位端部分の上に装着することと、を含む、方法。
【0205】
条項２．複数の細長い血餅捕捉要素を第２のカラーの周りで反転させる間に、近位カラーおよび遠位カラーのうちの一方または両方を、もう一方に対して回転させることをさらに含む、条項１に記載の方法。
【0206】
条項３．複数の細長い血餅捕捉要素を第２のカラーの周りで反転させる間、および複数の細長い血餅捕捉要素を形状設定する前に、近位カラーおよび遠位カラーのうちの一方または両方を、もう一方に対して回転させることをさらに含む、条項１に記載の方法。
【0207】
条項４．近位カラーおよび遠位カラーのうちの一方または両方が、放射線不透過性材料でコーティングされている、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0208】
条項５．管が、ニチノール製である、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0209】
条項６．細長い血餅捕捉要素のうちの１つ以上に透過性カバーを付着させることをさらに含み、透過性カバーが、細長い血餅捕捉要素の遠位端部分の周りに円周方向に延在する、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0210】
条項７．細長い血餅捕捉要素を形状設定する前に、固定具を使用することによって、複数の細長い血餅捕捉要素を形状決めすることをさらに含む、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0211】
条項８．細長い血餅捕捉要素の各々が、減少した厚さの面積を含む、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0212】
条項９．減少した厚さの面積が、遠位方向に向けられた力が近位カラーに加えられたとき、および／または近位方向に向けられた力が遠位カラーに加えられたときに、減少した厚さの面積における細長い血餅捕捉要素の最初のへこみを引き起こすように構成されている、条項８に記載の方法。
【0213】
条項１０．細長い血餅捕捉要素の近位端部分が、第１の幅を有し、細長い血餅捕捉要素の遠位端部分が、第１の幅とは異なる第２の幅を有する、条項１に記載の方法。
【0214】
条項１１．第２の幅が、第１の幅よりも大きい、条項１０に記載の方法。
【0215】
条項１２．遠位方向に向けられた力が近位カラーに加えられる前、および／または近位方向に向けられた力が遠位カラーに加えられる前に、細長い血餅捕捉要素の近位端部分が、管の長手方向軸を中心として湾曲する、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0216】
条項１３．細長い血餅捕捉要素の近位端部分が、管の長手方向軸に対して螺旋状に配列されている、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0217】
条項１４．細長い血餅捕捉要素の遠位端部分が、真っ直ぐである、条項１２に記載の方法。
【0218】
条項１５．細長い血餅捕捉要素の真っ直ぐな遠位端部分が、管の長手方向軸に対して平行に配列されている、条項１４に記載の方法。
【0219】
条項１６．細長い血餅捕捉要素の遠位端部分が、湾曲している、条項１２に記載の方法。
【0220】
条項１７．細長い捕捉要素の近位端部分が、第１の長さを有し、細長い捕捉要素の遠位端部分が、第１の長さよりも短い第２の長さを有する、条項１２に記載の方法。
【0221】
条項１８．細長い血餅捕捉要素の各々が、減少した幅の面積を含む、先行条項のいずれか一項に記載の方法。
【0222】
条項１９．減少した幅の面積が、遠位方向に向けられた力が近位カラーに加えられたとき、および／または近位方向に向けられた力が遠位カラーに加えられたときに、減少した幅の面積における細長い血餅捕捉要素の最初のへこみを引き起こすように構成されている、条項１８に記載の方法。
【0223】
条項２０．細長い血餅捕捉要素が、近位端部分と遠位端部分との間に位置する中間部分を含み、細長い捕捉要素の、近位端部分および遠位端部分が、互いに円周方向にオフセットされて配列され、中間部分によって接合されている、条項１に記載の方法。
【0224】
条項２１．遠位方向に向けられた力が近位カラーに加えられる前、および／または近位方向に向けられた力が遠位カラーに加えられる前に、円周方向に離隔された連続的な細長いスロットの各々が、円筒状の管の長さの７０％以上の長さを有する、条項１に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図15C】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図18A】
【図18B】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図19D】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25A】
【図25B】
【手続補正書】
【提出日】2021-10-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図２２
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図22】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図２３
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図23】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図２４
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図24】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図２５Ａ
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図25A】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図２５Ｂ
【補正方法】変更
【補正の内容】
【図25B】
【国際調査報告】