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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-06
(54)【発明の名称】ガス供給システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/36 20060101AFI20220530BHJP
   A61M 60/113 20210101ALI20220530BHJP
   A61M 60/39 20210101ALI20220530BHJP
【FI】
A61M1/36
A61M60/113
A61M60/39
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560142
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(85)【翻訳文提出日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 US2020024632
(87)【国際公開番号】W WO2020198309
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】62/823,297
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521438571
【氏名又は名称】マリンクロット ファーマシューティカルズ アイルランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ポテンジアーノ, ジェイムズ
【テーマコード(参考)】
4C077
【Fターム(参考)】
4C077AA11
4C077AA30
4C077HH03
4C077HH07
4C077HH17
4C077JJ03
4C077JJ06
4C077JJ22
4C077KK27
(57)【要約】
ガス供給システムが提供される。ガス供給システムは患者から血液を受けるように動作可能なポンプを含む。ガス輸送ユニットは、ポンプと流体連通し、血液をポンプから受け、キセノンガスの治療量を血液に供給するように動作可能である。患者コネクタは血液を採取する及び/または血液を患者に注入する。ガス供給システムは、ガス輸送ユニットの上流に位置し、ガス輸送ユニットを通過する前に血液中のキセノンの第1の濃度を測定するように動作可能である、第1のガス検出センサと、ガス輸送ユニットの下流に位置し、ガス輸送ユニットを通過した前に血液中のキセノンの第2の濃度を測定するように動作可能である、第2のガス検出センサとを含み得る。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キセノンガスを患者に供給するためのガス供給システムであって、
患者から血液を受けるように動作可能なポンプと、
前記ポンプと流体連通し、前記血液を前記ポンプから受け、キセノンガスの治療量を前記血液に供給するように動作可能なガス輸送ユニットと、
前記血液を採取する及び/または前記血液を前記患者に注入するように動作可能な患者コネクタと、
を備える、前記ガス供給システム。
【請求項2】
前記患者は起きている、請求項1に記載のガス供給システム。
【請求項3】
前記患者に挿管されていない、請求項1に記載のガス供給システム。
【請求項4】
前記ガス輸送ユニットの上流に位置し、前記ガス輸送ユニットを通過する前に前記血液中の前記キセノンの第1の濃度を測定するように動作可能である、第1のガス検出センサと、
前記ガス輸送ユニットの下流に位置し、前記ガス輸送ユニットを通過した前に前記血液中の前記キセノンの第2の濃度を測定するように動作可能である、第2のガス検出センサと、
をさらに備える、請求項1に記載のガス供給システム。
【請求項5】
前記ガス輸送ユニット、前記第1のガス検出センサ、及び前記第2のガス検出センサと結合されたコントローラをさらに備え、前記コントローラは、
前記キセノンの第1の濃度を前記第1のガス検出センサから受信し、
前記キセノンの第2の濃度を前記第2のガス検出センサから受信し、
前記第1の濃度及び前記第2の濃度を比較し、
前記第1の濃度が前記第2の濃度ガスよりも小さいとき、前記血液に供給されるキセノンガスの追加量を決定し、
前記第1の濃度が前記第2の濃度よりも小さいとき、前記ガス輸送ユニットを調整して、前記血液が前記キセノンの治療量を含むように、前記キセノンの追加量を前記血液に供給するように動作可能である、請求項4に記載のガス供給システム。
【請求項6】
前記コントローラは前記血液に供給される前記キセノンガスの追加量を自動的に決定する、請求項5に記載のガス供給システム。
【請求項7】
前記ガス輸送ユニットは、さらに、所定量の酸素ガスを前記血液に供給するように動作可能である、請求項1に記載のガス供給システム。
【請求項8】
前記ガス輸送ユニットは体外式膜型人工肺(ECMO)システムに含まれる、請求項1に記載のガス供給システム。
【請求項9】
前記ポンプは遠心ポンプを含む、請求項1に記載のガス供給システム。
【請求項10】
前記患者コネクタは、さらに、
前記ポンプ及び前記ガス輸送ユニットと流体連通し、前記血液を採取するために前記患者の体内に挿入されて動作可能である、第1の導管と、
前記ポンプ及び前記ガス輸送ユニットと流体連通し、前記血液が前記患者に注入されるように前記患者に挿入されて動作可能である、第2の導管と、
を含む、請求項1に記載のガス供給システム。
【請求項11】
前記第1の導管は前記患者の静脈に挿入され流体連通するように動作可能であり、前記第2の導管は前記患者の動脈に挿入され流体連通するように動作可能である、請求項10に記載のガス供給システム。
【請求項12】
前記血液を所定の温度に維持するように動作可能な温度制御ユニットをさらに備える、請求項1に記載のガス供給システム。
【請求項13】
虚血の患者における再灌流傷害を予防または阻害する方法であって、
患者から血液を採取することと、
前記採取した血液をガス輸送ユニットにポンプで送ることと、
前記ガス輸送ユニットによって、キセノンガスの治療量を前記採取した血液に供給することと、
前記ガス輸送ユニットから前記患者に血液をポンプで送ることと、
を含む、前記方法。
【請求項14】
前記患者は起きている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記患者に挿管されていない、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
第1のガス検出センサによって、前記ガス輸送ユニットを通過する前に前記血液中の前記キセノンの第1の濃度を測定することと、
第2のガス検出センサによって、前記ガス輸送ユニットを通過した後に前記血液中のキセノンの第2の濃度を測定することと、
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
コントローラによって、前記第1の濃度及び前記第2の濃度を比較することと、
前記コントローラによって、前記第1の濃度が前記第2の濃度ガスよりも小さいとき、前記血液に供給されるキセノンガスの追加量を決定することと、
前記コントローラによって、前記第1の濃度が前記第2の濃度よりも小さいとき、前記ガス輸送ユニットを調整して、前記血液が前記キセノンガスの治療量を含むように、前記キセノンの追加量を前記血液に供給することと、
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記コントローラは前記血液に供給される前記キセノンガスの追加量を自動的に決定することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
所定量の酸素ガスを前記血液に供給することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記ガス輸送ユニットは体外式膜型人工肺(ECMO)システムに含まれる、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記ポンプは遠心ポンプを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
第1の導管を前記患者に挿入して、前記血液を採取することと、
第2の導管を前記患者に挿入して、前記血液を前記患者に注入することと、
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の導管は前記患者の静脈に挿入され流体連通するように動作可能であり、前記第2の導管は前記患者の動脈に挿入され流体連通するように動作可能である、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年3月25日に出願された米国仮出願第62/823,297号の優先権を主張し、その内容全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、治療用ガスを採取された血液に供給するためのシステム及び方法に関する。少なくとも1つの例では、本開示は、再灌流傷害のリスクがある患者の採取された血液にキセノンガスを治療的に供給するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
再灌流傷害は、酸素が不足した期間後に血液供給が組織に戻ったときの組織の損傷を含む。再灌流傷害は、例えば、脳卒中、心停止、及び/または外傷性脳損傷の後に発生する可能性がある。キセノン及び/またはアルゴン等の希ガスは、再灌流傷害による損傷を減らすのに役立ち得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
説明を単純化及び明確にするために、必要に応じて、対応する要素または類似の要素を示すために、異なる図にわたって符号が繰り返されていることが理解される。さらに、いくつかの具体的な詳細は、本明細書に説明される例の完全な理解を提供するために説明される。しかしながら、本明細書に説明される例をこれらの具体的な詳細がなくても実践できることが当業者によって理解される。他の例では、説明されている関連する関連機能を曖昧にしないように、方法、手順、及びコンポーネントは詳細を説明していない。また、この説明は、本明細書に説明される実施形態の範囲を限定するものと見なすべきではない。図面は必ずしも原寸に比例しておらず、本開示の詳細及び特徴を良く分かるように示すために、特定の部品の比率を誇張し得る。
【0005】
ここで、上記の開示全体に適用されるいくつかの定義が提示される。用語「結合される」は、介在するコンポーネントを介して直接的または間接的に接続されていると定義され、必ずしも物理的接続に限定されない。物体が永続的に接続されるまたは解放可能に接続されるように接続できる。用語「実質的に」は、特定の寸法、形状、または実質的に修正される他の単語に本質的に一致するように定義される。したがって、コンポーネントは正確である必要はない。例えば、「実質的に円筒形」とは、物体が円柱に似ているが、実際の円柱から1つ以上の寸法のずれがある可能性があることを意味する。用語「備える」、「含む」、及び「有する」は、本開示において交換可能に使用される。用語「備える」、「含む」、及び「有する」は、そのように説明されたものを含むことを意味するが、必ずしもこれらに限定されない。
【0006】
キセノンガス等の1つ以上の治療用ガスを虚血の患者に供給するためのガス供給システムが本明細書に開示される。治療用ガスは、肺を通してガスを導入する代わりに、血液に直接供給できる。肺はガスの処理が非効率であるため、処理されていないガスに廃棄物があり得る。また、処理されるガスの量は一貫して予測できないため、ガスを血液に直接供給/溶解し、肺をバイパスすることで、血液中のガスの濃度をより正確に確実にできる。
【0007】
さらに、肺からの吸入によってガスを導入するために、患者に挿管及び/または患者を鎮静させる必要がある。肺をバイパスし、ガスを血流に直接供給することにより、患者は起きている及び/または挿管されていない可能性があり、外来医療で治療され得る。例えば、患者が脳卒中、心停止、及び/または外傷性脳損傷等の衰弱性イベントを経験した場合、患者は組織の酸素が不足している期間を経験し得る。酸素不足の期間後、血液供給が組織に戻るとき、再灌流傷害が発生する可能性があり、有害な影響をもたらす。
【0008】
キセノンガスの導入は、再灌流傷害による損傷を減らすために示されている。いくつかの例では、アルゴン等の希ガスを被験者に導入して、再灌流傷害による損傷を減らすのに役立ち得る。さらに、いくつかの例では、患者が十分に呼吸することが不可能である場合、酸素が血液に導入できる。1つ以上の治療用ガスを患者により効果的に導入するために、ガス供給システムを利用して、治療用ガスを患者の血流に直接供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
ここで、本発明の技術の実施態様について、添付図を参照して、ほんの一例として説明する。
【0010】
図1】本開示による、治療用一酸化窒素を患者に供給するためのシステムの図である。
図2A】システムの例示的な構成の図である。
図2B】システムの別の例示的な構成の図である。
図2C】システムの別の例示的な構成の図である。
図3】治療用一酸化窒素を患者に供給するための例示的なシステムの図である。
図4】例示的なコントローラのブロック図である。
図5】患者における再灌流傷害を予防または阻害する例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
例えば、図1に示されるように、ガス供給システムは患者と共に利用できる。ガス供給システム100は、1つ以上の治療用ガスを患者10に供給する(例えば、溶解する)ように動作可能である。例えば、ガス供給システム100は、治療用キセノンガス、アルゴンガス、及び/または酸素ガスを、患者10(例えば、再灌流傷害を受け得る患者)に供給できる。治療用ガスは血液中で可溶化できる。ガス供給システム100は患者コネクタ101を含み得、患者コネクタ101は、患者10に接続され、血液を採取する及び/または血液を患者10に注入するように動作可能である。いくつかの例では、患者コネクタ101は第1の導管102及び第2の導管104を含み得る。第1の導管102及び第2の導管104は、例えば、カニューレであり得る。第1の導管102及び第2の導管104は患者10の循環系に挿入できる。
【0012】
呼吸速度及び肺の効率には変動がある可能性があるため、吸入によって一定の治療量の治療用ガスを患者10に供給することが困難である可能性がある。さらに、血液中の可溶化されたガスは、患者によって吐き出され得る及び/または組織によって取り込まれ得るため、血液中の治療用ガスの濃度は一貫し得ない。したがって、肺40をバイパスすることにより、治療用ガスの治療量が血液中で可溶化され、患者10に供給されることをさらに良く確実にできる。図1に示されるように、肺40をバイパスするために、第1の導管102は右心房18に挿入され、患者10からガス供給システム100を介して血液をポンプで送ることができる。流体がガス供給システム100を通過した後、1つ以上の治療用ガスで可溶化された流体をポンプで患者の体内に戻すことができる。血液が心臓12から患者10の残りの部分にポンプで送られるように、第2の導管104は大動脈30に挿入できる。
【0013】
図2A図3は、患者10と流体接続するガス供給システム100の構成の異なる例を示す。図2A図3にガス供給システム100のコンポーネントを分離して独立したコンポーネントとして示されるが、少なくとも1つの例では、ガス供給システム100のコンポーネントの少なくとも1つは、1つ以上のハウジング(図示しない)の内部に収容できる。いくつかの例では、ガス供給システム100の1つ以上のコンポーネントは、ガス供給システム100内に取り外し可能に結合され、容易な交換及び/または洗浄を可能にし得る。
【0014】
ガス供給システム100はポンプ106及びガス輸送ユニット108を含み得る。ガス輸送ユニット108は1つ以上の治療用ガスの治療量を血液等の流体で溶解するように動作可能である。例えば、ガス輸送ユニット108はキセノンガスの治療量を血液に供給するように動作可能であり得る。少なくとも1つの例では、血液中の可溶化キセノンの治療量は、血液中の可溶化酸素量の約2倍であり得る。別の例では、血液中のキセノンの分圧は、酸素の分圧(PaO)の約2倍であり得る。いくつかの例では、ガス輸送ユニット108は、また、所定量の酸素ガスを血液に供給できる。いくつかの例では、ガス輸送ユニット108は、ガスを交換及び/または血液に供給できるガス交換膜109を含み得る。いくつかの例では、ガス輸送ユニット108は、体外式膜型人工肺(ECMO)システムに含まれ得る。いくつかの例では、ガス輸送ユニット108は携帯型ECMOシステムに含まれ得る。ポンプ106は、流体を患者10からガス輸送ユニット108を介して患者10にポンプで戻すように動作可能である。少なくとも1つの例では、ポンプ106は遠心ポンプであり得る。第1の導管102はポンプ106及びガス輸送ユニット108と流体連通でき、患者10に挿入され、血液を採取するように動作可能である。第2の導管104はポンプ106及びガス輸送ユニット108と流体連通でき、血液が患者10に戻して注入されるように、患者10に挿入されて動作可能である。
【0015】
図2A図2Cに示されるように、第1の導管102及び第2の導管104は患者10に挿入できる。図2A図2Cに例示的な構成が示されるが、システム100は示される構成に限定されない。さらに、状況及び/または患者によって構成を調整し得る。例えば、乳児は大人とは異なる構成を必要とし得る。また、外来医療も病院の設定とは異なる構成が必要であり得る。
【0016】
少なくとも1つの例では、第1の導管102は患者10の静脈に挿入され流体連通でき、第2の導管は患者10の動脈に挿入され流体連通できる。図2Aに示されるように、第1の導管102は下大静脈に挿入され、第2の導管104は右心房に挿入できる。図2Bに示されるように、第1の導管102は下大静脈に挿入でき、第2の導管104は大動脈に挿入できる。他の例では、第1の導管102を動脈に挿入でき、第2の導管104を静脈に挿入できる。図2Cに示されるように、第1の導管102は大動脈に挿入でき、第2の導管104は下大静脈に挿入できる。図2Cに示されるように、ガス供給システム100は、心臓12に依存してガス供給システム100を介して流体をポンプで送るポンプ106を含み得ない。少なくとも1つの例では、第1の導管102及び/または第2の導管104は、大腿静脈及び/または大腿動脈を介して患者10に挿入できる。いくつかの例では、第1の導管102及び/または第2の導管104は頸静脈を介して患者10に挿入できる。
【0017】
ガス供給システム100は、キセノンガスを血液に供給する前後の血液中のキセノンガスの量を継続的に監視することによって、患者にキセノンガスの一貫した供給を提供できる。血液中の可溶化キセノンガスは、患者によって吐き出され得る及び/または組織によって取り込まれ得るため、血液中の治療用ガスの濃度は一貫し得ない。したがって、ガス供給システム100は、少なくとも1つのガス検出センサからのフィードバックに基づいて、ガス輸送ユニット108で供給されるキセノンガスの量を自動的に調整し得る。いくつかの例では、ガス供給システム100は第1のガス検出センサ110及び/または第2のガス検出センサ112を含み得る。第1のガス検出センサ110が第1の導管102に沿って患者10とガス輸送ユニット108との間に位置するように、第1のガス検出センサ110はガス輸送ユニット108の上流に位置する。第1のガス検出センサ110は、ガス輸送ユニット108を通過する前に、血液中の治療用ガスの第1の濃度を測定するように動作可能である。例えば、第1のガス検出センサ110は、ガス輸送ユニット108によるガス供給の前に、患者10からの血液中のキセノンの第1の濃度を測定できる。いくつかの例では、第1のガス検出センサ110はキセノンの可溶化濃度を測定できる。少なくとも1つの例では、図2A図3に示されるように、第1のガス検出センサ110はポンプ106の上流に位置して、患者10によって放出された治療用ガスの量を決定できる。いくつかの例では、第1のガス検出センサ110は、ポンプ106の下流に位置するが、ガス輸送ユニット108の上流に位置し得、ポンプ106によって血液から排出され得る治療用ガスの量も考慮できる。いくつかの例では、第1のガス検出センサ110がポンプ106の上流に位置し得、追加センサがポンプ106の下流に位置し及びガス輸送ユニット108の上流に位置し得ることにより、ポンプ106により損失した治療用ガスの量を決定できる。ポンプ106を交換する必要があるかどうか及び/またはシステム100内が非効率であるかどうかを決定できる。
【0018】
第2のガス検出センサ112はガス輸送ユニット108の下流に位置し、ガス輸送ユニット108を通過した後、流体中の治療用ガスの第2の濃度を測定するように動作可能である。例えば、第2のガス検出センサ112は、ガス輸送ユニット108を通過した後、血液中のキセノンの第2の濃度を測定できる。いくつかの例では、第2のガス検出センサ112はキセノンの可溶化濃度を測定できる。したがって、第2のガス検出センサ112は、患者10に供給されているキセノンの濃度を検出及び決定できる。
【0019】
血液中の追加のガスを測定することで、さらに、患者の体がどのように機能しているかをユーザに知らせ、さらに、患者への治療用ガスの供給の調整を知らせることができる。ガス供給システム100は、さらに、血液中の追加のガスの濃度を測定するために動作可能な追加のガス検出センサを含み得る。例えば、ガス供給システム100は、第1の導管102または第2の導管104に沿ったいずれかの点に、酸素ガス検出センサ及び/または二酸化炭素ガス検出センサを含み得る。いくつかの例では、第1のガス検出センサ110及び/または第2のガス検出センサ112は、さらに、酸素及び/または二酸化炭素の濃度を測定するために動作可能であり得る。
【0020】
ガス供給システム100は、ポンプ106、ガス輸送ユニット108、第1のガス検出センサ110、及び/または第2のガス検出センサ112と通信可能に結合されたコントローラ400を含む。いくつかの例では、コントローラ400は、いずれかの追加のガス検出センサに通信可能に結合され得る。コントローラ400の特徴は図4にさらに詳細に説明される。コントローラ400は、いずれかの適切な有線接続または無線接続(例えば、イーサネット(登録商標)、ブルートゥース(登録商標)、RFID、及び/または光ファイバーケーブル)によって、ガス供給システム100のコンポーネントと結合できる。少なくとも1つの例では、コントローラ400は、ガス供給システム100のコンポーネントを伴うハウジング内に含まれる。いくつかの例では、コントローラ400は、ガス供給システム100のコンポーネントから分離して独立できる。
【0021】
少なくとも1つの例では、コントローラ400は、第1のガス検出センサ110から治療用ガスの第1の濃度を受信できる。治療用ガスの第2の濃度は第2のガス検出センサ112からコントローラ400によって受信できる。コントローラ400は、第1の濃度を第2の濃度と比較し、第1の濃度が第2の濃度よりも小さいとき、コントローラ400は、治療用ガスの第1の濃度及び治療用ガスの第2の濃度に基づいて、ガス輸送ユニット108によって流体に供給される治療用ガスの追加量を決定できる。いくつかの例では、コントローラ400は、人間の相互作用または補助なしに、治療用ガスの追加量を自動的に決定できる。次に、第1の濃度が第2の濃度よりも小さいとき、コントローラ400は、血液が治療用ガスの治療量を含むように治療用ガスの追加量を血液に供給するようにガス輸送ユニット108を調整できる。例えば、キセノンの第2の濃度は、血液に供給されるキセノンの所望の及び所定の治療量と相関し得る。キセノンガスは希ガスであるため、体がキセノンガスを代謝しないはずである。したがって、キセノンガスの第1の濃度は、最初に患者の血液にキセノンガスを供給した後のキセノンガスの第2の濃度と同じはずである。しかしながら、キセノンガスは患者によって吐き出され得る及び/またはいくつかの組織によって吸収され得る。正しい量のキセノンを体に供給することを確実にするために、第1の濃度が第2の濃度よりも小さいとき、コントローラ400は、必要な治療用ガスの追加量を決定し、ガス輸送ユニット108を調整して、追加量のキセノンを血液に供給できる。
【0022】
少なくとも1つの例では、コントローラ400は、第2のガス検出センサ112からの第2の濃度によって、ガス輸送ユニット108が正しい量の治療用ガスを血液に供給したかどうかを決定できる。例えば、第2のガス検出センサ112からの第2の濃度が治療量よりも小さいとき、ガス輸送ユニット108を交換及び/または再較正する必要があり得る。いくつかの例では、コントローラ400は流量を増加させ及び/またはガス供給システム100を調整して、所望の量の治療用ガスが血液に供給されることを確実にできる。
【0023】
安全対策として、酸素及び二酸化炭素等の血液中の追加のガスの量を使用して、ガス供給システム100が適切に機能していることを確認し得る。ある例では、ガス供給システム100は、さらに、コントローラ400と通信する自動遮断弁を含み得る。少なくとも1つの例では、コントローラ400は、追加のガス検出センサから酸素または二酸化炭素の濃度を受信できる。次に、コントローラ400は、酸素または二酸化炭素の濃度を、ユーザによって設定された酸素または二酸化炭素の閾値レベルと比較し、酸素または二酸化炭素の濃度が閾値レベル以外の値である場合、自動遮断弁を閉じることができる。
【0024】
上記に説明したように、図3は例示的なガス供給システム100を示し、例示的なガス供給システム100は第1の導管102、第2の導管104、ポンプ106、ガス輸送ユニット108、第1のガス検出センサ110、及び/または第2のガス検出センサ112を含む。ガス供給システム100は図3に示されるコンポーネントのいずれかの組み合わせを含み得る。いくつかの例では、ガス供給システム100はECMOシステムを含み得る。
【0025】
ブリッジ13は第1の導管102及び第2の導管104を流体的に接続できる。ブリッジ13は、血液がブリッジ13を通過することを可能にするまたは制限するための1つ以上の弁を含み得、ガス供給システム100の残りの部分をバイパスする。ガス輸送ユニット108の上流に配置された静脈飽和モニター114は採取された血液の酸素飽和度を決定できる。ブラダー118は、ポンプ106から患者からの血液の吸引を制御できる。ブラダー118は、第1の導管102が、例えば、数秒よりも長く閉塞されたとき、吸引の継続を防ぐ。第1の圧力モニター120はポンプ106の上流に位置し、ブラダー118の下流に位置し得、第1の導管102内の圧力を監視できる。ポンプ106及び/またはガス輸送ユニット108がバイパスするように、血液濾過器116は第1の導管102及び第2の導管104を流体的に接続する。血液は、血液濾過器116を通過して、老廃物及び水を除去できる。第1の導管102は、血液の回収及び/または血液への成分の供給を可能にする1つ以上のポート122を形成できる。例えば、ヘパリンはポート122を介して血液に注入できる。いくつかの例では、サンプルはポート122を介して回収できる。
【0026】
気泡センサ124はガス輸送ユニット108の下流に位置し得、血液中の気泡を検出するように動作可能である。気泡センサ124は、気泡が血液中に検出されたことをユーザに合図するための警報を含み得る。警報は、可聴警報、視覚警報、及び/または振動等の機械的警報であり得る。第2の圧力モニター126はガス輸送ユニット108の下流に配置でき、第2の導管104内の圧力を監視できる。流量計128は、第2の導管104を介して患者10に流れる血流を測定及び監視できる。少なくとも1つの例では、流量計128は遷音速流量計を含み得る。温度制御ユニット130は、所定の温度の血液を測定、監視、及び/または維持するように動作可能である。例えば、温度制御ユニット130は、血液が所定の温度範囲(例えば標準体温)以内に維持されるように、熱を血液に輸送し及び/または熱を血液から除去する温度交換システムを含み得る。
【0027】
図4は例示的なコントローラ400のブロック図である。コントローラ400は、データの処理を行い、例えば、図1図3に示されるように、ガス供給システム100の1つ以上のコンポーネントと通信するように構成される。動作中、コントローラ400は、上記に説明したコンポーネントの1つ以上と通信し、また、リモートデバイス/システムと通信するように構成し得る。
【0028】
示されるように、コントローラ400は、ネットワークインターフェース410、少なくとも1つのプロセッサ420、センサ460、及びシステムバス450によって相互接続されたメモリ440等のハードウェアコンポーネント及びソフトウェアコンポーネントを含む。ネットワークインターフェース(複数可)410は、有線無線通信リンクまたは無線通信リンクを含み得る通信リンクを通じてデータを通信するための機械回路、電気回路、及び信号回路を含み得る。ネットワークインターフェース410は、当業者によって理解されるように、様々な異なる通信プロトコルを使用してデータを送信及び/または受信するように構成される。
【0029】
プロセッサ420は、裸孔環境でタスクを行うための命令またはロジックを実行するように構成されるデジタル信号プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、または固定ロジックプロセッサ等)を表す。プロセッサ420は、汎用プロセッサ、専用プロセッサ(ソフトウェア命令がプロセッサに組み込まれている場合)、ステートマシン、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドPGAを含むプログラマブルゲートアレイ(PGA)、個々のコンポーネント、プロセッサの分散グループ等を含み得る。通常、プロセッサ420は、限定ではないが、ソフトウェア及びハードウェアを実行することが可能であるハードウェアを含む共有ハードウェアまたは専用ハードウェアと連動して動作する。例えば、プロセッサ420は、ソフトウェアプログラムを実行し、メモリ440に存在し得るデータ構造445を操作するように適合する要素またはロジックを含み得る。
【0030】
本明細書に開示される第1のガス検出センサ110及び/または第2のガス検出センサ112を含み得るセンサ460は、通常、プロセッサ420と連動して動作して測定を行い、専用プロセッサ、検出器、送信機、受信機等を含み得る。このように、センサ460は、磁場、地震活動、及び/または音波、温度、圧力、または他のパラメータを生成、送信、受信、検出、ロギング、及び/またはサンプリングするためのハードウェア/ソフトウェアを含み得る。
【0031】
メモリ440は、本明細書に説明される実施形態に関連するソフトウェアプログラム及びデータ構造445を記憶するためにプロセッサ420によってアドレス指定可能な複数の記憶場所を含む。オペレーティングシステム442(オペレーティングシステム442の一部が通常メモリ440に常駐し、プロセッサ420によって実行され得る)は、とりわけ、コントローラ400で実行するソフトウェアプロセス及び/またはサービス444をサポートする動作を呼び出すことによって、デバイスを機能的に編成する。これらのソフトウェアプロセス及び/またはサービス444は、本明細書に説明されるように、データの処理及びコントローラ400との通信を行い得る。プロセス/サービス444は集中型メモリ440に示されるが、いくつかの例は、これらのプロセス/サービスが分散コンピューティングネットワークで動作することを提供していることに留意されたい。
【0032】
様々なコンピュータ可読媒体を含む他のプロセッサ及びメモリタイプを使用して、本明細書に説明される流体チャネル評価手法に関連するプログラム命令を記憶及び実行し得ることは当業者には明らかである。また、説明は様々なプロセスを示しているが、様々なプロセスは、プロセス/サービス444の一部がその上にエンコード化されているモジュールとして具体化され得ることが明確に想到される。このように、プログラムモジュールは、固定ロジックまたはプログラマブルロジック等で実行するために、1つ以上の有形のコンピュータ可読記憶媒体でエンコード化され得る(例えば、プロセッサによって実行されるソフトウェア/コンピュータ命令、及びいずれかのプロセッサは、プログラマブルプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ等のプログラマブルデジタルロジック、または固定デジタルロジックを含むASICであり得る)。概して、いずれかのプロセスロジックは、プロセッサ420、またはプロセッサ420による実行のための命令でエンコード化されたコンピュータ可読媒体に具体化され得、プロセッサによって実行されるとき、プロセッサに本明細書に説明される機能を行わせるように動作可能である。
【0033】
図5を参照すると、例示的な実施形態によるフローチャートが提示される。本方法を実行するための様々な方法があるため、方法500は例として提供される。以下に説明する方法500は、例えば、図1図4に示される構成を使用して実行でき、これらの図の様々な要素は例示的な方法500を説明する際に参照される。図5に示される各ブロックは、例示的な方法500で実行される1つ以上のプロセス、方法、またはサブルーチンを表す。さらに、示されるブロックの順序は一例にすぎず、ブロックの順序は本開示に従って変更できる。本開示から逸脱することなく、追加のブロックを追加し得る、または少ない数のブロックを利用し得る。
【0034】
例示的な方法500は、患者における再灌流傷害を予防または阻害する方法である。少なくとも1つの例では、患者は虚血を有し得る。いくつかの例では、患者は起き得る。いくつかの例では、患者に挿管され得ない。したがって、方法500では、患者に挿管及び/または患者を鎮静する必要はない。ブロック502において、例示的な方法500は開始できる。
【0035】
ブロック502において、血液は患者から採取される。第1の導管(例えば、カニューレ)を患者に挿入して、血液を採取できる。少なくとも1つの例では、第1の導管は、患者の静脈に挿入され、患者の静脈と流体連通できる。血液は第1の導管と流体連通しているポンプ(例えば、遠心ポンプ)によって採取できる。
【0036】
ブロック504において、採取された血液はガス輸送ユニットを介してポンプで送られる。ガス輸送ユニットの上流に位置する第1のガス検出センサは、ガス輸送ユニットを通過する前に、血液中のキセノンの第1の濃度を測定できる。
【0037】
ブロック506において、ガス輸送ユニットはキセノンガスの治療量を採取された血液に供給する。少なくとも1つの例では、ガス輸送ユニットは、また、所定量の酸素ガスを血液に供給できる。いくつかの例では、ガス輸送ユニットは、血液がガス交換膜を通過するとき、1つ以上の治療用ガスを血液に供給できる。いくつかの例では、ガス輸送ユニットは体外式膜型人工肺(ECMO)システムに含まれ得る。
【0038】
ガス輸送ユニットの下流に位置する第2のガス検出センサは、ガス輸送ユニットを通過した後の血液中のキセノンの第2の濃度を測定できる。第2の濃度は所望のキセノンの治療量に一致し得る。コントローラは、第1のガス検出センサ、第2のガス検出センサ、ポンプ、及び/またはガス輸送ユニットと通信可能に結合できる。コントローラは第1の濃度及び第2の濃度を比較できる。第1の濃度が第2の濃度よりも小さいとき、コントローラは血液に供給されるキセノンガスの追加量を決定できる。次に、第1の濃度が第2の濃度よりも小さいとき、コントローラはガス輸送ユニットを調整して、血液がキセノンガスの治療量を含むように、キセノンの追加量を血液に供給できる。少なくとも1つの例では、コントローラは、人間の相互作用または補助なしに、血液に供給されるキセノンガスの追加量を自動的に決定できる。
【0039】
ブロック508において、血液はガス輸送ユニットから患者にポンプで送られる。血液は、患者に挿入して血液を患者に注入できる第2の導管を介してポンプで送ることができる。少なくとも1つの例では、第2の導管はカニューレを含み得る。いくつかの例では、第2の導管は、患者の動脈に挿入され、患者の動脈と流体連通できる。いくつかの例では、血液が所定の温度に維持されるように、温度制御ユニットは血液の温度を測定及び調整できる。
【0040】
上記に示した及び説明した開示は単なる例である。本発明の技術のいくつかの特徴及び利点が、本開示の構造及び機能の詳細と一緒に前述の説明に記載されているが、本開示は一例にすぎず、特に、添付の特許請求の範囲で使用される用語の広い一般的な意味によって示される全範囲まで、本開示の原理の範囲内の部品の形状、サイズ、及び配置の事項において詳細に変更がなされ得る。したがって、上記に説明した例は、添付の特許請求の範囲内で修正され得ることが理解される。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
【国際調査報告】