(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-14
(54)【発明の名称】ケーブル・ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 9/10 20060101AFI20220607BHJP
B25J 13/08 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
B25J9/10 Z
B25J13/08 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021546821
(86)(22)【出願日】2020-04-07
(85)【翻訳文提出日】2021-08-20
(86)【国際出願番号】 CA2020050457
(87)【国際公開番号】W WO2020206532
(87)【国際公開日】2020-10-15
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521353300
【氏名又は名称】アールボット9 インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァション、フレデリック
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707AS06
3C707AS11
3C707BS09
3C707BS24
3C707CS01
3C707CY01
3C707HT02
3C707HT07
3C707HT36
3C707KS23
3C707KS33
3C707MT05
(57)【要約】
その安定性が、平行四辺形に配置された3本のケーブルの少なくとも3つのグループを使用することによって改善することができる、懸架式ケーブル・ロボットが提供される。それによって、ロボット・プラットフォーム又はエンド・エフェクタに働く力を受けるときに安定を保つ能力が著しく向上する。ケーブル・ロボットは、ケーブルによって異なる作業箇所に移動させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットフォーム部材と、
少なくとも3つのケーブル・グループであって、前記ケーブル・グループのそれぞれ1つが前記プラットフォーム部材の1つの側に配置され、間隔を空けて配置された少なくとも3つのケーブル接続支持部を有して、鉛直方向に配置された多角形の頂点を形成して、3つの軸周りに前記プラットフォーム部材のための平行四辺形支持部を提供する、少なくとも3つのケーブル・グループであり、使用時、各ケーブル・グループが、前記プラットフォーム部材と壁又は天井アンカーとの間を延在することができて、前記ケーブル・グループから吊り下げられた前記プラットフォームに働く力及びトルクからの動きに対して所定の限度内で前記プラットフォームを重力で安定させる、少なくとも3つのケーブル・グループと、
前記プラットフォーム部材と前記アンカーとの間の前記ケーブル・グループの長さを制御するように動作可能な、前記ケーブル・グループのそれぞれと関係付けられた駆動部であって、前記少なくとも3つのケーブル・グループのそれぞれ1つの中の各ケーブルに対して共通の長さになるように制御する駆動部と
を備えるケーブル・ロボット・プラットフォーム装置。
【請求項2】
前記ケーブル・グループのそれぞれと関係付けられた前記駆動部に接続され、位置入力に反応する運動制御器をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記駆動部が、前記ケーブル・グループの各ケーブル用のスプールを備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記スプールが前記プラットフォーム部材に配置され、前記ケーブル・グループが壁又は天井アンカーにしっかりと固定可能である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ケーブル・グループの張力を表す張力信号を与えるための、前記ケーブル・グループと関係付けられた張力測定要素をさらに備える、請求項1から4までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
入力として前記張力信号、及び、出力として、前記ケーブル・グループの少なくとも1本のケーブルの張力の喪失によって不安定になる危険性を表す信号を有する警報状態検出器をさらに備える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
入力として、前記張力信号及び前記ケーブル・グループの前記長さの測定値、並びに、出力として、前記ケーブル・グループの前記長さの前記測定値の調節を表す信号を有する伸び計算器をさらに備える、請求項5又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記プラットフォーム部材が能動工具取付けプラットフォームを備える、請求項1から7までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記プラットフォーム部材の空間での位置を検知するために動作可能な位置センサをさらに備える、請求項1から8までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記ケーブル・グループの数が3つであり、各ケーブル・グループが3本のケーブルを備える、請求項1から9までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記ケーブル・グループが歯付ケーブル又はベルトを備える、請求項1から10までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
ケーブルが経時的に伸びることを抑えるように、使用していないときに前記プラットフォームの重量を支えるために、天井取付け可能な鉛直方向のケーブル又は支持具をさらに備える、請求項1から11までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記プラットフォームに接続された電力ケーブルであって、前記プラットフォームの上方に配置された電力ケーブルをさらに備える、請求項1から12までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記壁又は天井アンカーをさらに備え、前記壁又は天井アンカーが、壁又は天井に取付け可能で、前記鉛直方向に配置された多角形の前記頂点に対応するように間隔を空けて配置されたケーブル・アンカー箇所を有する少なくとも3つのケーブル・グループ・アンカレッジ部材を備える、請求項1から13までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記プラットフォーム部材が、前記プラットフォーム部材に取付け可能なロボット・アームとともに使用するためのモータ制御器及びロボット・アーム制御コンピュータ構成要素用のハウジングを提供する、請求項1から14までのいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記ケーブル・グループのそれぞれと関係付けられた前記駆動部に接続されて、位置入力に反応する運動制御器及びインターフェースをさらに備え、前記インターフェースが、前記ロボット・アーム制御コンピュータからのコマンドを受け取るために前記ハウジングへの接続部を備える、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
プラットフォーム部材と、
地面又はテーブル支持部を使用して前記プラットフォーム部材に安定性を提供するために、前記地面又はテーブル支持用の、前記プラットフォーム部材から延在する少なくとも1つの脚部と、
前記プラットフォーム部材と壁又は天井アンカーとの間を使用時に延在可能な少なくとも3本のケーブルであって、前記ケーブルを使用して前記プラットフォームを吊り下げることができる、少なくとも3本のケーブルと、
前記プラットフォーム部材と前記アンカーとの間の前記ケーブルの長さを制御するように動作可能な、前記ケーブルのそれぞれと関係付けられた駆動部と
を備えるケーブル・ロボット・プラットフォーム装置。
【請求項18】
少なくとも1つの前記脚部の下端を受け入れるための少なくとも1つの取付けソケットをさらに備える、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記ソケットが前記下端と係合するロック部を備える、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記プラットフォーム部材が、前記少なくとも1つの脚部に接続された下部プラットフォーム部材と、前記ケーブルに接続された上部プラットフォーム部材とを備え、前記下部プラットフォーム部材を前記上部プラットフォーム部材に相互接続する解除機構をさらに備える、請求項17、18、又は19に記載の装置。
【請求項21】
前記下部プラットフォーム部材が、前記プラットフォーム部材に取付け可能なロボット・アームとともに使用するためのモータ制御器及びロボット・アーム制御コンピュータ構成要素用のハウジングを提供する、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記少なくとも1つの脚部が、前記地面又はテーブル支持部から電力を受け取るために、前記モータ制御器及びロボット・アーム制御コンピュータ構成要素のための電力接続部を備える、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
製品を製造する方法であって、
請求項1から22までのいずれか一項に記載のケーブル・ロボット・プラットフォーム装置を提供するステップと、
エンド・エフェクタ又は工具を前記装置に取り付けるステップと、
物体ハンドリングを実行するステップ、及び/又は前記エンド・エフェクタ又は工具を使用して前記製品を製造することを処理するステップと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その内容が参照により本明細書に組み込まれている、2019年4月8日出願の米国仮特許出願第62/830,783号及び2019年11月7日出願の米国仮特許出願第62/931,979号の優先権を主張するものである。2019年11月12日に付与された米国特許第10,471,590号は、2019年4月8日出願の米国仮特許出願第62/830,783号の優先権を主張する。
【0002】
本特許出願はケーブル・ロボットの分野に関する。
【背景技術】
【0003】
天吊りロボット(Ceiling-mounted robots)は、当該技術において、例えば2009年9月17日公開のドイツ国特許出願第102008013729号からも知られている。この目的は、作業範囲内で物体の上方の自由空間を動くことを可能にしながら、ロボット・アームが広い範囲内でアクセスし作業することを可能にすることである。
【0004】
ケーブル・ロボットは、学術及び特許文献において提案されてきたが、産業界で広くは使用されてはいない。ケーブル・ロボットは、ロボットを多関節アーム・ロボットと比べて比較的広い空間又は大きな容積内全体にわたって動かすことができるように、ケーブルを使用して空間に保持されるロボット又はロボット・プラットフォームである。安定性を与えるために、ほとんどのケーブル・ロボット・システムは、上方からロボット・プラットフォームの重量を支えるケーブル、及び下方からプラットフォームを安定させるケーブルを有する。実例が米国特許第7,753,642号に記載されている。安定性を満足できるものにすることができる一方、下側の安定化ケーブルが邪魔なことが、ケーブル・ロボットの可動性の利点を台無しにする。
【0005】
ケーブルのみから吊り下げられるケーブル・ロボットは、Springer International Publishing AG 2018(C. Gosselinら(編集)、Cable-Driven Parallel Robots、 Mechanisms and Machine Science 53)において出版されたDinh-Son Vu、Eric Barnett、Anne-Marie Zaccarin、及びClement Gosselinによる「On the Design of a Three-DOF Cable-Suspended Parallel Robot Based on a Parallelogram Arrangement of the Cables」という表題の文献でも知られており、この中では、ケーブル・ロボットは、上から見て(z軸)中央モジュールの向きを一定に保って3D環境内を動く能力を有するように平行四辺形として構成された3対のケーブルを使用するように説明されている。この研究の主な動機は、広い作業空間を確保しながら並進平行ケーブル懸架式ロボットに必要なアクチュエータの数を削減することである。このような機構の用途の1つは、典型的には、一定の向きでエンド・エフェクタ(end-effector)を位置決めすることが必要な大規模な3D印刷である。この概念は、ロボットにトルクを加えるエンド・エフェクタに対しては実際的な安定性を与えない。
【0006】
米国特許第6,809,495号では、カメラ・プラットフォームが4本のケーブルによって吊り下げられ、プラットフォームから吊り下がっているとき、プラットフォームは重力によって安定させられている。
【0007】
ロボットのエンド・エフェクタがその役目を果たすとき、力を及ぼし得るので、ロボットにとって安定性は重要である。従来技術の懸架式ケーブル・ロボットは、ケーブルを引き下げることなしにロボットのエンド・エフェクタを安定化させる能力に限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】ドイツ国特許出願第102008013729号
【特許文献2】米国特許第7,753,642号
【特許文献3】米国特許第6,809,495号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Dinh-Son Vu、Eric Barnett、Anne-Marie Zaccarin、及びClement Gosselin、「On the Design of a Three-DOF Cable-Suspended Parallel Robot Based on a Parallelogram Arrangement of the Cables」、Springer International Publishing AG 2018(C. Gosselinら(編集)、Cable-Driven Parallel Robots、 Mechanisms and Machine Science 53)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
出願人は、懸架式ケーブル・ロボットの安定性は、平行四辺形に配置された3本のケーブルの少なくとも3つのグループを使用することによって改善することができることを発見した。それによって、ロボット・プラットフォーム又はエンド・エフェクタに働く力を受けたときに安定を保つ能力は著しく向上する。
【0011】
出願人は、懸架式ケーブル・ロボットの安定性は、ケーブル作動部及びケーブル取込み部の重量が安定性を改善するので、ロボット・プラットフォーム内にこれらの構成要素を配置することによって改善することができることを発見した。ロボット・プラットフォーム内にケーブル作動部及びケーブル取込み部を配置するさらなる利点は、ロボット・プラットフォームにおける構成要素の取付けの簡素化及び集中化である。
【0012】
第1の広い態様は、プラットフォーム部材と、少なくとも3つのケーブル・グループであって、ケーブル・グループのそれぞれ1つがプラットフォーム部材の1つの側に配置され、間隔を空けて配置された少なくとも3つのケーブル接続支持部を有して、鉛直方向に配置された多角形の頂点を形成して、3つの軸周りにプラットフォーム部材のための平行四辺形支持部を提供する、少なくとも3つのケーブル・グループであり、使用時、各ケーブル・グループが、プラットフォーム部材と壁又は天井アンカーとの間を延在することができて、ケーブル・グループから吊り下げられたプラットフォームに働く力及びトルクからの動きに対して所定の限度内でプラットフォームを重力で安定させる、少なくとも3つのケーブル・グループと、プラットフォーム部材とアンカーとの間のケーブル・グループの長さを制御するように動作可能な、ケーブル・グループのそれぞれと関係付けられた駆動部であって、少なくとも3つのケーブル・グループのそれぞれ1つの中の各ケーブルに対して共通の長さになるように制御する駆動部とを含むケーブル・ロボット・プラットフォーム装置である。
【0013】
いくつかの実施例では、ケーブル・ロボットは、ケーブル・グループのそれぞれと関係付けられた駆動部に接続され、位置入力に反応する運動制御器をさらに含む。
【0014】
いくつかの実施例では、駆動部は、ケーブル・グループの各ケーブル用のスプールを含む。
【0015】
いくつかの実施例では、スプールはプラットフォーム部材に配置され、ケーブル・グループは壁又は天井アンカーにしっかりと固定可能である。
【0016】
いくつかの実施例では、ケーブル・ロボットは、ケーブル・グループの張力を表す張力信号を与えるための、ケーブル・グループと関係付けられた張力測定要素をさらに含む。
【0017】
いくつかの実施例では、ケーブル・ロボットは、入力として張力信号、及び、出力として、ケーブル・グループの少なくとも1本のケーブルの張力の喪失によって不安定になる危険性を表す信号を有する警報状態検出器をさらに含む。
【0018】
いくつかの実施例では、ケーブル・ロボットは、入力として、張力信号及びケーブル・グループの長さの測定値、並びに、出力として、ケーブル・グループの長さの測定値の調節を表す信号を有する伸び計算器をさらに含む。
【0019】
いくつかの実施例では、プラットフォーム部材は能動工具取付けプラットフォーム(active tooling attachment platform)を備える。
【0020】
いくつかの実施例では、ケーブル・ロボットは、プラットフォーム部材の空間での位置を検知するために動作可能な位置センサをさらに含む。
【0021】
いくつかの実施例では、ケーブル・グループの数は3つであり、各ケーブル・グループは3本のケーブルを備える。
【0022】
いくつかの実施例では、ケーブル・グループは歯付ケーブル又はベルトを備える。
【0023】
いくつかの実施例では、ケーブル・ロボットは、ケーブルが経時的に伸びることを抑えるように、使用していないときにプラットフォームの重量を支えるために、天井取付け可能な鉛直方向のケーブル又は支持具をさらに含む。
【0024】
いくつかの実施例では、ケーブル・ロボットは、プラットフォームに接続された電力ケーブルであって、プラットフォームの上方に接続された電力ケーブルをさらに含む。
【0025】
いくつかの実施例では、ケーブル・ロボットは、壁又は天井アンカーをさらに含み、壁又は天井アンカーは、壁又は天井に取付け可能で、鉛直方向に配置された多角形の頂点に対応するように間隔を空けて配置されたケーブル・アンカー箇所を有する少なくとも3つのケーブル・グループ・アンカレッジ部材を備える。
【0026】
いくつかの実施例では、プラットフォーム部材は、プラットフォーム部材に取付け可能なロボット・アームとともに使用するためのモータ制御器及びロボット・アーム制御コンピュータ構成要素用のハウジングを提供する。
【0027】
いくつかの実施例では、ケーブル・ロボットは、ケーブル・グループのそれぞれと関係付けられた駆動部に接続されて、位置入力に反応する運動制御器及びインターフェースをさらに含み、インターフェースは、ロボット・アーム制御コンピュータからのコマンドを受け取るためにハウジングへの接続部を含む。
【0028】
別の広い態様は、プラットフォーム部材と、地面又はテーブル支持部を使用してプラットフォーム部材に安定性を提供するために、地面又はテーブル支持用の、プラットフォーム部材から延在する少なくとも1つの脚部と、プラットフォーム部材と壁又は天井アンカーとの間を使用時に延在可能な少なくとも3本のケーブルであって、ケーブルを使用してプラットフォームを吊り下げることができる、少なくとも3本のケーブルと、プラットフォーム部材とアンカーとの間のケーブルの長さを制御するように動作可能な、ケーブルのそれぞれと関係付けられた駆動部とを含むケーブル・ロボット・プラットフォーム装置である。
【0029】
いくつかの実施例では、ケーブル・ロボットは、少なくとも1つの脚部の下端を受け入れるための少なくとも1つの取付けソケットをさらに含む。
【0030】
いくつかの実施例では、ソケットは下端と係合するロック部を備える。
【0031】
いくつかの実施例では、プラットフォーム部材は、少なくとも1つの脚部に接続された下部プラットフォーム部材と、ケーブルに接続された上部プラットフォーム部材とを備え、下部プラットフォーム部材を上部プラットフォーム部材に相互接続する解除機構をさらに含む。
【0032】
いくつかの実施例では、下部プラットフォーム部材は、プラットフォーム部材に取付け可能なロボット・アームとともに使用するためのモータ制御器及びロボット・アーム制御コンピュータ構成要素用のハウジングを提供する。
【0033】
いくつかの実施例では、少なくとも1つの脚部は、地面又はテーブル支持部から電力を受け取るために、モータ制御器及びロボット・アーム制御コンピュータ構成要素のための電力接続部を備える。
【0034】
別の広い態様は、ケーブル・ロボット・プラットフォーム装置を提供するステップと、エンド・エフェクタ又は工具(tool)を装置に取り付けるステップと、物体ハンドリングを実行するステップ、及び/又はエンド・エフェクタ又は工具を使用して製品を製造することを処理するステップとを含む、製品を製造する方法である。
【0035】
いくつかの実施例では、プラットフォーム部材と、少なくとも3つのケーブル・グループであって、ケーブル・グループのそれぞれ1つが3つの軸周りにプラットフォーム部材のための平行四辺形支持部を提供するように配置され、使用時、各ケーブル・グループが、プラットフォーム部材と壁又は天井アンカーとの間を延在することができて、ケーブル・グループから吊り下げられたプラットフォームに働く力及びトルクからの動きに対して所定の限度内でプラットフォームを重力で安定させる、少なくとも3つのケーブル・グループと、プラットフォーム部材とアンカーとの間のケーブル・グループの長さを制御するように動作可能な、ケーブル・グループのそれぞれと関係付けられた駆動部とを含むケーブル・ロボット・プラットフォーム装置が提供される。これらの実施例のいくつかでは、装置は、ケーブル・グループのそれぞれと関係付けられた駆動部に接続され、位置入力に反応する運動制御器をさらに備えることができる。
【0036】
いくつかの実施例では、プラットフォーム部材と、間隔を空けて配置されて、鉛直方向に配置された多角形の頂点を形成する少なくとも3つのケーブル・アンカー箇所をそれぞれが有する少なくとも3つの壁又は天井アンカーと、少なくとも3つのケーブル・グループであって、ケーブル・グループのそれぞれ1つがプラットフォーム部材の1つの側に配置され、間隔を空けて配置された少なくとも3つのケーブル接続支持部を有して、鉛直方向に配置された多角形の頂点を形成して、3つの軸周りにプラットフォーム部材のための平行四辺形支持部を提供する、少なくとも3つのケーブル・グループであり、使用時、各ケーブル・グループが、プラットフォーム部材と壁又は天井アンカーとの間を延在することができて、ケーブル・グループから吊り下げられたプラットフォームに働く力及びトルクからの動きに対して所定の限度内でプラットフォームを重力で安定させる、少なくとも3つのケーブル・グループと、ケーブルのそれぞれに関係付けられた駆動部とを備えるケーブル・ロボット・プラットフォーム装置が提供される。
【0037】
ケーブル・ロボットは、ケーブルによって異なる作業箇所に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1A】ケーブル取込みスプール及びモータがプラットフォームに配置され、従来のロボット・アームがプラットフォームの下側に取り付けられた、平行四辺形に配置された3本のケーブルの3つのグループを有する懸架式ケーブル・ロボットの斜視部分図である。
【
図1B】上下逆に取り付けられた溶接エンド・エフェクタを有する懸架式ケーブル・ロボットの斜視部分図である。
【
図1C】ケーブル形状、及びロボット・アームを支える調節可能な取付けプラットフォームを有するプラットフォーム配置/位置決め構成要素を示す、
図1Aと同様なケーブル・ロボット実施例の概略図である。
【
図2A】上側の平行四辺形を強調した3本のケーブルのケーブル・グループの概略斜視図である。
【
図2B】左側の平行四辺形を強調した3本のケーブルのケーブル・グループの概略斜視図である。
【
図2C】右側の平行四辺形を強調した3本のケーブルのケーブル・グループの概略斜視図である。
【
図3A】平行四辺形に配置された3本のケーブルの3つのグループを有する懸架式ケーブル・ロボットの上面図である。
【
図3B】平行四辺形に配置された3本のケーブルの3つのグループを有する懸架式ケーブル・ロボットの斜視図である(1つの側のみ示されている)。
【
図3C】平行四辺形に配置された4本のケーブルの3つのグループを有する懸架式ケーブル・ロボットの上面図である。
【
図3D】平行四辺形に配置された4本のケーブルの3つのグループを有する懸架式ケーブル・ロボットの斜視図である(1つの側のみ示されている)。
【
図3E】平行四辺形に配置された3本のケーブルの4つのグループを有する懸架式ケーブル・ロボットの上面図である。
【
図3F】平行四辺形に配置された3本のケーブルの4つのグループを有する懸架式ケーブル・ロボットの斜視図である(1つの側のみ示されている)。
【
図3G】平行四辺形に配置された4本のケーブルの4つのグループを有する懸架式ケーブル・ロボットの上面図である。
【
図3H】平行四辺形に配置された4本のケーブルの4つのグループを有する懸架式ケーブル・ロボットの斜視図である(1つの側のみ示されている)。
【
図3I】平行四辺形に配置された3本のケーブルの5つのグループを有する懸架式ケーブル・ロボットの上面図である。
【
図3J】平行四辺形に配置された3本のケーブルの5つのグループを有する懸架式ケーブル・ロボットの斜視図である(1つの側のみ示されている)。
【
図3K】平行四辺形に配置された4本のケーブルの5つのグループを有する懸架式ケーブル・ロボットの上面図である。
【
図3L】平行四辺形に配置された4本のケーブルの5つのグループを有する懸架式ケーブル・ロボットの斜視図である(1つの側のみ示されている)。
【
図3M】平行四辺形に配置された3本のケーブルの6つのグループを有する懸架式ケーブル・ロボットの上面図である。
【
図3N】平行四辺形に配置された3本のケーブルの6つのグループを有する懸架式ケーブル・ロボットの斜視図である(1つの側のみ示されている)。
【
図3O】平行四辺形に配置された4本のケーブルの6つのグループを有する懸架式ケーブル・ロボットの上面図である。
【
図3P】平行四辺形に配置された4本のケーブルの6つのグループを有する懸架式ケーブル・ロボットの斜視図である(1つの側のみ示されている)。
【
図4A】ケーブル操作部が中央モジュールに集中されたときの、ケーブル・グループ及びその取付け部の斜視図である。
【
図4B】ケーブル操作部がアンカー点に分散されたときの、ケーブル・グループ及びその取付け部の斜視図である。
【
図5A】専用工具(specialized tool)が取り付けられるプレートである、最も簡単な形態の取付けプラットフォームの図である。
【
図5B】専用工具の最終位置に精度を加えるために、横に動くことができる例示的な取付けプラットフォームの能動型の図である。
【
図5C】専用工具の最終位置に精度を加えるために、上下に動くことができる例示的な取付けプラットフォームの能動型の図である。
【
図5D】専用工具の最終位置に精度を加えるために、ねじれて動くことができる例示的な取付けプラットフォームの能動型の図である。
【
図6】例示的なケーブル・グループ・アンカレッジの図である。
【
図7】例示的なケーブル操作モジュールの図である。
【
図8A】中央モジュールの動的安定性を向上させるために安定ジャイロスコープを取り付けることができる例示的な位置の図である。
【
図8B】中央モジュールの動的安定性を向上させるために安定ジャイロスコープを取り付けることができる例示的な位置の図である。
【
図8C】中央モジュールの動的安定性を向上させるために安定ジャイロスコープを取り付けることができる例示的な位置の図である。
【
図9】電力などのパワーを懸架式ロボット・プラットフォームに供給する例示的な仕組みの図である。
【
図10】中央モジュールを支えるための例示的な安全ケーブル取付け部の図である。
【
図11】懸架式ロボット・プラットフォームを動作させるために必要な、又はそれとやり取りをする例示的なソフトウェア・モジュールの組の図である。
【
図12】懸架式ロボット・プラットフォームが使用されるとき、移動制御を提供する例示的な機能ステップの組の図である。
【
図13】懸架式ロボット・プラットフォームが位置フィードバック用の外部センサとともに使用されるとき、移動制御を提供する例示的な機能ステップの組の図である。
【
図14】懸架式ロボット・プラットフォームが専用工具の位置決めを操作することによって補償されるとき、移動制御を提供する例示的な機能ステップの組の図である。
【
図15】懸架式ロボット・プラットフォームが能動工具取付けプラットフォームとともに使用されるとき、移動制御を提供する例示的な機能ステップの組の図である。
【
図16】懸架式ロボット・プラットフォームの様々な構成要素と数学的に同一の図である。
【
図17】中央モジュールへの平行四辺形の影響を示した上面図である。
【
図18】床又はテーブルに取り付けられたいくつかの相補的基部の1つと嵌合する安定化アームを含むケーブル・ロボットの斜視図である。
【
図19】ロボットからケーブル・プラットフォームを取り外すことができる、床又はテーブルに取り付けられた相補的基部と嵌合する安定化アームを含むケーブル・ロボットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
全体的な機能
ケーブルを使用する懸架式ロボット・プラットフォームは、より長い距離にわたって、専用工具(specialized tools)(53)を3次元で正確に移動させるために使用することができる(
図1A、
図2B参照)。最も簡単な形態では、合計3グループの各グループに3本のケーブルが設けられる。ケーブル・グループは4本のケーブルを有することができ、所望により、4、5、又は6つのケーブル・グループを有することが可能である。したがって、9-12-15-16-18-20-24本のケーブルを、3-4-5-6つのグループに配置することができる。3-4本の可撓性ケーブルは、中央モジュール(50)からケーブル・グループ・アンカレッジ(52)まで、ケーブル・グループ(51)ごとに3又は4つの平行四辺形(80)を形成するように配置することができる。ケーブルの張力は重力によって、すなわち中央モジュール(50)の重量によって引き起こされ、したがって、すべてのケーブル・グループ(51)はより高くにあるアンカレッジ点の方に向けられている。これらの平行四辺形(80)によって、プラットフォームは常にある平面に平行にされ、その向きが動作環境で保たれる。また、平行四辺形(80)は、振動、搭載物の種類、慣性による再方位、及び外部誘発力に対する高められた安定性を提供する。平行四辺形(80)は、動作環境における中央モジュール(50)の位置に従って変わる、中央モジュールの全重量の比に関係する誘発力に対抗する。言い換えれば、各平行四辺形(80)は、モジュールが所望の位置に留まるように中央モジュール(50)に必要な力を与える。精度を加えるために、最終用途に応じて、外部センサ(54)及び安定化ジャイロスコープ(85a及び85b)が必要になることがある。正確な平行四辺形が望ましいが、適切なケーブル作動制御を使用して補償することができるので、正確な平行四辺形から誤差があっても許容可能な場合があることは理解されよう。
【0040】
中央モジュールの重量の安定化効果を最大化するため、及びロボット・プラットフォームをその環境で統合しやすくするため、すべての動的構成要素は中央モジュール(50)内に入れられてもよい。いくつかの場合、動的構成要素は、同じく統合原理で、支持構造体に取り付けることができ、したがって、中央モジュール(50)は、専用工具(53)に関係する構成部品のみを含むことになる。
【0041】
用途
この構成のロボット・プラットフォーム(
図1A)は、専用工具(53)が設計よりも長い距離にわたって作業する必要がある動作環境において、すなわち、専用工具が特定の部品に届かず、所望の動作のすべてを実行するためには移動させる必要がある領域において使用することができる。例えば、小型のロボット・アーム・マニピュレータは、ロボット・プラットフォームに取り付けられると、広い範囲をカバーして物体を取り扱うことができる。
【0042】
以下は、ロボット・プラットフォームが、特に適した専用工具と関連付けられ、オートメーションが関わる例示的な適用領域のリストである。以下は、ロボット・プラットフォームと専用工具との組合せが現実的な目的を有することができる実例であるが、これらに限定するものではない。
- マテリアル・ハンドリング(
図1A参照)
・ 複数のCNC機械への材料の供給
・ 製品組立
・ 構成部品のハンドリング
・ 倉庫でのハンドリング
・ 出荷ハンドリング
・ 実験室でのハンドリング
- 工業製造
・ 溶接(
図1B参照)
・ 塗装
・ 研磨
・ サンドブラスト
・ レーザ切断
- 検査
・ カメラ
・ X線
・ レーザ距離取得
- インベントリ
・ データセンタ
・ 倉庫
- 人の輸送
- レストランのロボット・サービス
- 3D印刷(大規模)
- 洗浄が決められた動作領域
- 建物の建築
- 医療ロボット
【0043】
ケーブルを使用する懸架式ロボット・プラットフォームと専用工具(57)との組合せは、用途すべての全体の動作を管理し制御するマスタ制御器(16)によって管理することができるより大きな組立体の一部である場合がある。
【0044】
全体設計
ケーブルによって吊り下げられ、重力によって安定化されるロボット・プラットフォーム(
図2A、
図2B、
図2C参照)は、3つの主要な部分、すなわち、中央モジュール(50)、3つ以上のケーブル・グループ(51)、及び工具取付けプラットフォーム(60)から構成することができる。
【0045】
ケーブル・グループ(51)は、ケーブル(56)、ケーブル操作ユニット(57)、及びケーブル・グループ・アンカー又はアンカレッジ(52)を備える。
【0046】
専用工具を吊り下げ、それを3D容積内で動かすための最小限の構成は、それぞれ3本のケーブルの3つのケーブル・グループを使用することができる。
【0047】
図4Aに示すように、すべての動的システムを中央モジュール(50)に集中させることができる。しかしながら、
図4Bに示すように、ケーブル・グループ・アンカー構造体(66)に動的構成要素を有することが好ましい場合がある。ロボット・プラットフォームが、3D環境で一定の向きと平面構造を有することが必要なとき、正確に同じ長さの少なくとも3本のケーブル(56)をケーブル・グループ(51)に使用することができ、平行四辺形(80)を生成する構成体になるように取り付けることができる。確実に最適の性能にするため、及び全体の安定性における弾性の効果を最小限にするように補償するため、各ケーブルは、センサを用いて別々に張力を監視することができ、独立したケーブル牽引ユニット(71)によって制御することができる。
【0048】
ケーブル・グループ
ケーブル・グループ(51)は、一緒に使用される既定の数(3又は4本)のケーブル(56)を代表する。ケーブル・グループのケーブルは、初期安定性を確実にする平行四辺形(80)に構成される。ケーブル(56)は、移動しているときも平行四辺形がその特性を保つように、ほとんど均等に巻き取られ、繰り出される。平行四辺形の形状を保ちながら、張力を釣り合わすために、及びケーブル・グループの弾性に対応するために、ケーブルごとに1つのケーブル牽引ユニット(71)を使用することができる。
【0049】
図1Cは、平行四辺形(80)を生成するための、ケーブル・グループ(51)ごとの3本のケーブル(56)の構成の実例である。
【0050】
ケーブル・グループ(51)は、
1- 3本又は4本の所与の数のケーブル(56)
a.ケーブルは、金属ロープ又はワイヤ、合成繊維又は天然繊維のロープ、ベルト又はチェインから作ることができる。歯付ベルトがうまく機能することが判っている。
2- 1つのケーブル・グループ・アンカレッジ(52)
3- ケーブル(56)と同じ数のケーブル操作ユニット(57)。いくつかの場合、1つのケーブル操作ユニット(57)が、単一のモータを用いることによって同時に2本以上のケーブル(56)を操作することができる。
を備えることができる。
【0051】
ケーブル・グループ(51)は、中央モジュール(50)をケーブル・グループ・アンカー(52)に接続する。ケーブルがチェインを備えるとき、又はその他適切な可撓性があるとき、ケーブル操作部は、スプール、リール、又はカセット構成体の代わりに収容容器を含むことができる。
【0052】
取付け点(67)は、ケーブル・グループ・アンカー(52)を取り付けるために使用される動作環境において、中央モジュール(50)の重量のうちの必要な負担分以上を支えることができる十分頑丈な点、すなわち、構造的に堅固な固定点である。それらは、中央モジュール(50)領域又は動作容積より高いところに配置される又は取り付けられる。
【0053】
ケーブル・グループ(51)に含まれるケーブル(56)は、平行四辺形(80)を生成するようにいかようにも配置することができる。取付け点が三角形を形成する、1つのケーブル・グループに3本のケーブルがある場合、取付け点は、予め向きを定めない非等辺取付け構成で使用することもできる。4つの取付け点の場合、取付け点は、予め向きを定めない任意の四辺形構成を有することができる。
【0054】
中央モジュール(50)は、専用工具(53)を支える別個の工具取付けプラットフォーム(60)を支えることができる。中央モジュール(50)はまた、ロボット・プラットフォームのすべての能動制御構成要素及び動力構成要素を含むことができる。中央モジュール(50)はまた、能動モードの工具及び工具取付けプラットフォーム(60)に関係するすべての制御及び動力品を支援することができる。
【0055】
中央モジュール(50)は、3、4、5、又は6つのケーブル・グループ(51)を通じて取付け点(67)に結合することができる。ケーブル・グループ(51)は、最終用途の必要な仕様に従って安定性を最大にするように中央モジュール(50)の側部に取り付けられる。
【0056】
【0057】
中央モジュール(50)は、その下にあることが最も可能性が高い専用工具(53)を支えることができるが、中央モジュール(50)はまた、その上部又は側部で専用工具(53)を支えることもできる。プラットフォーム(60)はまた、ロボット・アーム工具(53)をアームの下端の上側で従来の基部に取り付けることができるL字形又はC字形のアーム部材を備えることができる。この専用工具(53)は、受動工具取付けプラットフォーム(
図5A)によって中央モジュールに直接取り付けることができる、又は能動工具取付けプラットフォーム(
図5B、
図5C、
図5D)に取り付けることができる。
【0058】
専用工具は、協働ロボット・アーム(コボット(cobot))などの小型産業ロボット・アームを備えてもよい。このようなロボットは、モータ付き、関節アーム構成要素、つかみ又はエンド・エフェクタ構成要素、モータ駆動構成要素、及び制御コンピュータを有することができる。制御コンピュータは、プロセッサの命令を実行して、操作者が定めた所望の動作をロボットに実行させることができる。中央モジュール(50)は、ロボット構成要素を収容することができ、その重量は、ケーブルで支えられ吊り下げられたプラットフォームを安定化させるのに有用となることがある。
【0059】
工具取付けプラットフォーム
工具取付けプラットフォーム(60)は中央モジュール(50)の一部分の場合があり、受動的であっても能動的であってもよい。
【0060】
受動工具取付けプラットフォーム(60)は、専用工具(53)を中央モジュール(50)に接続する専用組立体プレートとすることができる。これは、中央モジュール(50)の下で専用工具(53)に接続するように取り付けることができる。いくつかの場合、プレート受動工具取付けプラットフォーム(60)は、特定の形態を採って、中央モジュール(50)の側部又は上部に取り付けることができる。
【0061】
能動工具取付けプラットフォーム(
図5B、
図5C、
図5D)は、独立したセンサからアルゴリズムによって自動レベリング、自動位置決め、及び自動配向の目的を有することができる。これはまた、位置決め及び移動の補償を行うことができるように、ロボット・プラットフォームによって定位置に調節することができる。これは、工具取付けプラットフォーム(60)、中央モジュールに固定される留めプレート(61)、及び工具取付けプラットフォーム(60)を定位置に調節することができるアクチュエータ(62)から構成される。
【0062】
ケーブル・グループ・アンカレッジ
ケーブル・グループ・アンカー(52)は、平行四辺形(80)を完全に保つように配向可能とすることができる。平行四辺形は、一旦配向されると、新たな弾性撓み度を入れることによって、ロボット・プラットフォームの安定性を損なわないように、ケーブル(56)の張力を保つことができる。ケーブル・グループのアンカー構造体(66)は、ケーブル・グループ(51)に加えられるあらゆる方向の弾性が無視できるように強固にすることができる。
【0063】
ケーブル・グループ・アンカレッジ(52)のケーブル留め具(65)は、例えば自在継ぎ手を使用することによって、ケーブル(56)の曲がりを引き起こさずに張力方向に従うことができ、その結果、ケーブルは決して曲がらない。ケーブル(56)の曲がりは張力に依存し、中央モジュール(50)の位置決めの精度を損なう可能性があり、より大きな弾性を引き起こす可能性がある。
【0064】
ケーブル・グループ・アンカレッジ(52)は、最小限の構造安定性要件に従って動作領域に特定された取付け点(67)に取り付けることができる。
【0065】
平行四辺形のコンセプトによって安定性を最大化するために、ケーブル・グループ・アンカレッジ(52)は、各ケーブル・グループにおいて、動作領域のいかなる点においても、上部ケーブルが下部ケーブルとともに距離を最大化するように傾けることができる。ケーブル操作モジュール(57)は、テンション・プーリ(70)を配置することによってこの傾きを反映することができる。
【0066】
ケーブル操作モジュール
ケーブル操作モジュール(57)は、ケーブル牽引ユニット(71)、ケーブル巻取りカセット(73)又はスプール、及び、張力センサを含むことができ、ケーブル(56)の最終位置決めのためにも使用することができるテンション・プーリ(70)を含むことができる。これを使用して、用途に従い、1つのモータを用いて、ケーブル・グループ(51)の(たいていは)1本のケーブル(56)又は最も多くはすべてのケーブル(56)を操作することができる。
【0067】
これは、ケーブル操作モジュール(57)全体をケーブル(56)構成及び重力によって引き起こされる張力の方向に向ける受動ヒンジ(75)によって中央モジュール(50)に取り付けることができる。張力センサはまた、上部受動ヒンジ(75)に取り付けることができる。この構成では、下部受動ヒンジ(75)は、上部受動ヒンジ領域の張力センサ位置の方に自由に回転できる必要がある。特定の場合には、安定性を最大化するために、能動ヒンジを使用してケーブル操作モジュールをケーブル・グループ・アンカレッジ(52)の方に向けることができる。
【0068】
ケーブル牽引ユニット(71)は、最小限の弾性しか引き起こさないように直動軸に使用することができるモータを含む。歯車を使用してモータの方向を変える場合、又は回転比を変える場合、低弾性継手及び低巻取り歯車システムを使用することができる。ロボット・プラットフォームの重心を下げるために、モータは、ケーブル操作モジュール(57)のできるだけ低い位置に取り付けることができる。
【0069】
ケーブル巻取りカセット(73)は、ケーブル(56)がケーブル牽引ユニット(71)によって引っ張られるとケーブル(56)を巻き取る。巻取りの方向付けプーリ(77)は、ケーブルが常にケーブル牽引ユニット(71)の主プーリの周りにうまく巻かれることを確実にする。ケーブル巻取りカセット(73)による巻取り動作は、渦巻ばね組立体(76)を使用することによって受動的に操作することができる。
【0070】
ケーブル操作モジュール(57)に含まれる構成要素のすべては、ケーブル操作構造体(74)に取り付けることができる。
【0071】
各テンション・プーリの端部におけるケーブルのねじれを補償するために、ケーブル・グループ(51)を操作するケーブル操作モジュール(57)は、グループとしてケーブル・グループ・アンカー(52)の方を自由に向き続けることができるように、一緒に取り付けることができる。生じる可能性のある振動をさらに低減するために、減衰システムをリンクに取り付けることができる。
【0072】
安定ジャイロスコープ
外乱力又は専用工具の慣性がケーブルの弾性と組み合わさって生じる力がロボット・プラットフォームの安定性に影響を与えることがある。これらの力は主に、x及びy軸上でロボット・プラットフォームに作用し、ケーブルの不均一な張力のために軸線からわずかにずれるトルクを生成する。各ケーブルは異なる伸び方をして、最初は、中央モジュールの中心に回転点を生成する。
【0073】
その結果、ロボット・プラットフォームを安定させるための補助的な要素は、ロボット・プラットフォームの中心点に配置される安定ジャイロスコープ(85a及び85b)を組み入れることができる。これらの安定ジャイロスコープ(85a及び85b)は、中央モジュール(50)の軸方向の動きを打ち消すことによって、外部の干渉のいくらかを防ぎ、安定性と精度に影響を及ぼすことができる。外部トルクを打ち消す安定ジャイロスコープ(85a及び85b)から生じる歳差力はよりゆっくりとした角度付加トルクを生成し、それは、ケーブル牽引ユニット(71)に適用される安定アルゴリズムを用いてより容易に管理することができる。代替策として、歳差を補償する回転安定用の独立したジャイロスコープ・システムを使用して安定性への外力の影響を打ち消すことができる。
【0074】
すべてのトルクの可能性にわたって、このコンセプトから利益を得るために、ロボット・プラットフォームは、ケーブル操作モジュール(57)に取り付けられたケーブル・グループ(51)と同じ数の、中央の(その軸線によって)鉛直方向に向けられた安定ジャイロスコープ(85a)、或いは、同じ又は2倍の数の鉛直方向に向けられた安定ジャイロスコープ(85a)を含むことができる。水平方向に向けられた1つの安定ジャイロスコープ(85b)は、中央モジュール(50)に取り付けられて、中央モジュール(50)の向きを乱すトルクを打ち消すことができる。
【0075】
本書で規定するような安定ジャイロスコープ(85a及び85b)は、構造体に振動を引き起こすことなしに高速度で回転するようにバランスをとった円盤の形態の単なる質量とすることができることを留意されたい。
【0076】
安全上部ベルト
安全又は保全上部ベルト(96)は、
- 非常停止が確認された
- ロボット・プラットフォームを動作環境から離して置かなければならない
- 吊り下げられている間にメンテナンスが必要である
場合に中央モジュール(50)を吊り下げることができる。
【0077】
すべての場合、保全上部ベルト(96)は、ロボット・プラットフォームが動作時に、渦巻ばねを使用して作動するリールを使用して行うことができるベルト巻取り機構(95)を使用して巻き上げることができる。保全上部ベルト(96)の張力は、ロボット・プラットフォームの安定性を妨げない。ベルトは、動作環境内での移動に必要な長さ、すなわち、ベルトが、ロボット・プラットフォームの所望の到達範囲を制限しない長さである必要がある。ベルト又はケーブル(96)を使用すると、休止期間中に吊り下げられたロボットの重量を支えることから生じる、ケーブル(56)の張力、したがって伸びも減らすことができる。
【0078】
保全上部ベルト(96)は以下の条件でブロック(block)する。
- 電力が切られている
- モータの電力の1つが遮断される
- キル・スイッチが押される
- ソフト・キル・スイッチが作動される
【0079】
ベルト巻取り機構(95)は受動的であってもよいし、能動的であってもよい。受動モードでは、ブロック・システムは、デフォルトでは、作動され、信号が適切に受け取られる場合に無効にすることができる。能動モードでは、保全上部ベルト(96)は受動モードの特徴を含み、天井牽引ユニットを提供するために牽引モータを追加することができる。
【0080】
安全又は保全上部ベルト(96)が、吊り下げられた電装箱(90)に取り付けられる場合、追加の保全アンカー・ケーブル(97)が天井、又はロボット・プラットフォーム及びその搭載物の全重量を支えることができる別の構造体に結合することができる。これを使って、プラットフォームを使用していないとき、特に、停止又は休止位置が高い位置に選ばれるとき(この場合、ケーブル・グループにかかる張力はより低い通常の作業位置よりもかなり高い)、プラットフォームの重量を支えてケーブルの経時的な伸びを減らすことができる。上部ベルトはまた、プラットフォームが接続することができる、天井に接続された任意の支持体とすることができる。上部ベルトはいつもプラットフォームに接続されているわけでないが、その代わり、プラットフォームがドック入り又は停止するとき、プラットフォームは上部ベルト又は支持体に接続する。プラットフォームは、電磁継手、フック・アンド・アイ継手などの、上部ベルト又は支持体に接続するための任意の適切なコネクタを有することができる。この上部ベルトシステムの目的は、プラットフォームの重量のほとんどが鉛直方向の上部ベルト又は支持体によって支持された状態で、プラットフォームを吊り下げることを可能にすることである。
【0081】
電力管理
ケーブル駆動装置がプラットフォーム(50)に集中されている実施例では、プラットフォーム(50)における電力要求は大きくなることがある。同様に、エンド・エフェクタ/ロボット・アーム・システム(53)は、かなりの量の電力を必要とすることがある。
【0082】
電源(93)は、動作環境からもたらされてもよく、ロボット・プラットフォームに持ってくることができる。電力ケーブル(92)は、張力をかけられたケーブル(91)を用いて上部からロボット・プラットフォームに持ってくることができ、ケーブル(91)は、吊り下げられた電装箱(90)に動作範囲の中央にあるがその上方で結合することができる。これらの張力をかけられたケーブルは、ケーブル・グループ・アンカレッジ(52)を通じて構造体に取り付けることができる。
【0083】
ケーブル(56)が導電性コアを有し、電気絶縁が保証されている場合、ロボット・プラットフォームに必要な電力は、これらのケーブルを通じて受け取ることができる。
【0084】
バッテリが適切で、用途の自立要求に合致するとき、バッテリもまた、ロボット・プラットフォームに電力を供給するために使用することができる。安定性のために、中央プラットフォーム(50)に追加の重量を搭載することは有利になることがあるので、追加のバッテリ重量は好適である場合がある。
【0085】
安定性運動力学
ロボット・プラットフォームは、以下の方法のうちの少なくとも1つの方法で安定させることができる。
1- 平行四辺形(80)として配置されたケーブル・グループ(51)
2- 高周波数安定性を付け加えるジャイロスコープ(85)
3- このロボット・プラットフォーム専用のアルゴリズムを使用する閉ループ・モータ制御
【0086】
平行四辺形の巨視的安定性
巨視的安定性は、ケーブルが重力によって張力がかかっているとき、平行四辺形(80)によって直接もたらされる。いかなる位置においても、平行四辺形は、中央モジュール(50)を(x軸及びy軸に関して)水平にし、(z軸に関して)特定の方向に向け、したがって、あるレベルまでは、移動中の精度に影響を及ぼすいかなる攪乱力も打ち消す。平行四辺形は、ケーブル角度(99)、平行四辺形の形状、及び中央モジュール(50)の重量に関してヒステリシスを生じる。
【0087】
平行四辺形(80)は、ケーブル取付け点が互いから特定の距離にあるとき、特定のヒステリシス効果を引き起こす。用途によって必要とされる全体的な安定性を高めるために、又は隅部での特定の安定性のために、ケーブルの取付け点間の距離を総重量に応じて適合させてもよい。
【0088】
より正確には、x及びy軸(
図16、ケーブル・グループ(51)の側面図)については、距離の値(98)が大きい場合、平行四辺形(80)はよりよいヒステリシスになる。平行四辺形(80)を有するケーブル構成の結果、中央モジュール(50)及びその専用工具(53)を持ち上げるには十分な横方向の力が生じる。ヒステリシスの作用は、反対側の平行四辺形からの径方向反対側の2本のケーブルから生じる。
【0089】
この原理は、z軸(
図17、ケーブル・グループ(51)の上面図)の周りの配向ヒステリシスに関しても同様である。ケーブルの張力が、中央モジュール(50)及びその専用工具(53)を持ち上げる、球の縁をたどる動きをさせる。
【0090】
移動時、ロボット・プラットフォームの慣性が安定性に影響を及ぼすことがあり、したがって、中央モジュールの加速及び減速を特定の値に制限してもよい。これらの値はまた、ケーブルの角度(空間での中央モジュールの位置)、吊り下げ総重量、中央モジュール及び質量中心位置に加えられる速度変化、並びに動作している専用工具(53)による変動に依存する。
【0091】
位置決め及び動きへの弾性の影響
弾性は、ケーブル構造にのみ依存し、弾性定数で説明される。しかしながら、動作領域が低品質のケーブル・グループ・アンカレッジ構造体(66)を提供する場合、何らかの追加の弾性が補償をさらに複雑にすることがある、言い換えれば、アンカレッジ構造体はシステムに弾性構成要素を付け加えることがあり、それは補償機構の動作を複雑にする。この場合、あらゆる方向の弾性効果を特徴付けるために支持構造体について試験を行わなければならない。
【0092】
弾性によって、位置の不正確さが生じることがあり、また、中央モジュールが振動することがある。この弾性定数を安定性アルゴリズムに使用することができ、また、弾性定数は、ケーブル長さ、ケーブル角度、取付け点の位置、中央モジュールの重量、中央モジュールの寸法、及び中央モジュールの速度と関係することがある。
【0093】
弾性を補償するための1つの方法は、位置決めアルゴリズムに相対位置のフィードバックを与えることができる位置決めセンサ(54)を中央モジュール(50)に付け加えることである。位置決めセンサ(54)は、中央モジュール(50)を吊り下げるケーブルからは独立している。距離レーザセンサ及びワイヤ作動変位エンコーダなど、必要な精度を有する多くのタイプのシステムを使用することができる。絶対的な位置決めを効果的に支援する別の方法は、独立した位置決めセンサ(54)を動作領域内又は動作領域外に基準を設定するために有することである。この能動的な基準は、絶対基準として考えることができる固定点で、位置決めアルゴリズムにフィードバックを与える固定点である。
【0094】
前述のように配置されたジャイロスコープは、ロボット・プラットフォームの速度が変化(速度変動又は方向変化)したときに、弾性の安定性への影響を弱めることを助けることができる。
【0095】
制限
ケーブルに横方向の張力成分があるために存在する横方向の安定性は、中央モジュール(50)への重力の影響及びケーブルの角度と関係している。中央モジュール(50)が動作環境の隅にあるとき、(水平方向に対して)90度の角度になり、ケーブル(56)のいくつかを横方向に引っ張ることができない。この状況ではロボット・プラットフォームは安定性を保証することができず、したがって、動作領域は、その用途のために最小限の横方向の張力を得るためにケーブルが作る最大角度に制限されるより小さな3D空間に制限されることがある。ロボット・プラットフォームは、ケーブルが90度の角度を成す領域を越えては、良好な安定性をもって動作することができない。
【0096】
細くなりすぎる平行四辺形(80)によって引き起こされる、隅での安定性に関するいくつかの課題を解決するために、ケーブル・グループ・アンカレッジ(52)を傾けることができる。これはまた、ケーブル操作モジュール(57)の位置に影響を及ぼす。
【0097】
また、ケーブルの水平に対する角度(99)が小さければ小さいほど、モータが互いに対して働く力が大きくなるので、到達する高さに限界がある。最大限の高さは用途の要件に依存し、適切なモータの大きさを使用することを含む。
【0098】
初期化:ロボット・プラットフォームの原点位置を見出すこと
較正の最小限の要件
- モータ・エンコーダの特性:刻み数、モータの精度
- 巻き上げ歯車の特性:周囲長
- 最終テンショニング歯車の特性:周囲長、張力センサの可撓性
- 中央モジュールの縁と最終テンショニング歯車との間の距離
- 中央モジュールの寸法及び基準点との関係
- 最終テンショニング歯車間のすべての距離
- アンカレッジの接続部までのケーブルの距離
- ケーブルの最大許容張力
- ジャイロスコープ及び加速度計の精度
- 空間での高さ対位置における理論的なケーブル張力データのマトリックス
- 外部位置決めシステムのひずみ
- 加速度計及び張力センサのひずみ
【0099】
初期条件
- ロボット・プラットフォームは、
・ 床上にある
・ 中央に吊り下げられている
・ 中央でない位置に吊り下げられている
とすることができる。
【0100】
初期化手順
1.2つの電子レベルセンサを使用して高さを見出しながらケーブルの張力を調節する
a.両方の回転に対する初期高さの読みを得る
b.上部ケーブルを対で張力を較正する
c.各下部ケーブルを適切なレベルの張力に設定する
d.各上部ケーブルの張力を同じにすることによって中央を見出す
e.両方の回転に対して高さの読みを得る
f.下部ケーブルを緩める
g.各上部ケーブルに対して張力を再調節する
h.下部ケーブルの張力を調節する
2.下記によって相対位置を見出す
a.ケーブルの測定スタブ(stub)を読み取る
b.又は、中央モジュールに位置決めセンサが使用される場合、エンコーダの正確な位置の読みを得る
c.又は、外部位置決めセンサ・システムが使用される場合、別の方法によってフィードバックを得る
3.下記によって上部最大距離を見出す
a.張力センサがモータ容量の閾値を検知するまですべてのケーブルを巻き上げる(較正データの設定)
4.以下の方法の1つを用いて床距離を見出す
- 近接スイッチがオンになるまでロボット・プラットフォームをゆっくり下げる
- レーザを用いて、基準ビーコン(この位置は測定されている)からの高さ距離を測定する
- レーザ距離センサを用いて床距離を測定する
- ケーブル・グループ・アンカレッジ(52)のそれぞれから基準床までの距離(設置時に較正データに含まれる)を知る
5.共振を検証し、位置に関する加速及び減速の制約に適合させるために動的試験を実施する
6.安定性補償アルゴリズムに適合させるために専用工具とともに手順を実施する
【0101】
機能図
主な使用環境
ロボット・プラットフォームは、製造又はハンドリング作業に貢献する環境に使用される。これは、印刷、溶接、切断、(光学、X線、又は超音波)検査、物体仕分けなどを含むことができる。ロボット・プラットフォームは、用途に特化した全動作を担当するマスタ制御器(16)によって制御することができる。ロボット・プラットフォームは、作業の中心となる単純な作業の一部、又は多くのロボット、多くの自動化された専用工具、及び外部センサ(18)を必要とする複雑な作業の一部の場合がある。ロボット・プラットフォームは、目標とする移動の精度を達成するように支援する外部センサ(18)からのフィードバックを通じて情報を集めることができる。ロボット・プラットフォームが必要な精度を得ることができない可能性があることに対応して、専用工具の完全な又は部分的な制御を行ってその移動又は位置決めを最終的に調節することもできる。
【0102】
マスタ制御器の説明
マスタ制御器(16)は、自動動作を実施するために使用される様々な項目を制御する存在である。これは、ロボット・プラットフォーム制御器(15)、及び専用工具制御器(17)にコマンドを送り、これらからフィードバックを受け取ってそのふるまいの進行を調節する。マスタ制御器(16)は、自動化解決策におけるすべての能動要素を考慮するオーケストレータとして考えることができる。
【0103】
専用工具制御器の説明
専用工具制御器(17)は、マスタ制御器(16)によって、製造又はハンドリング作業の一部を実施するようにコマンドを与えられる存在である。この工具は通常、製造作業時の特定の処理を実行するものの一部である。専用工具はロボット・プラットフォームに取り付けられ、また、ロボット・プラットフォーム制御器(15)によって直接制御することができる。
【0104】
外部センサの説明
外部センサ(18)は、ロボット・プラットフォームの一部ではないが、ロボット・プラットフォームに位置決め及び移動の追加情報を送るために使用される1つ又は多くの装置である。受け取られた情報は処理されて、位置決めを検証する、又はロボット・プラットフォームの移動に精度を加える。
【0105】
ロボット・プラットフォーム制御器の説明
移動制御センタの部分
ブロック1:モータN制御モジュール
モータN制御モジュール(1)は、特定の制御器のAPIを通じてタイプに応じて各モータを個別に制御することができる。APIインターフェースを有するこのようなモータ制御器は当該技術において知られている。これは、モータを動かすようにコマンドを送り、要求がうまく実行されたことを確認することができる。モータN制御モジュール(1)は、コマンド蓄積によって及びエンコーダからのフィードバック(又はモータ制御器のフィードバック)によって、リミット・スイッチの状態及びモータ・ブレーキ(又はクラッチ)の状態によってモータ回転位置を常に認識することができる。これはまた、デフォルトの設定、モータ容量の最小及び最大を認識及び考慮することができる。
【0106】
各モータN制御モジュール(1)は、その位置、速度、加速度、及びタイムスタンプを相対運動制御モジュール(relative kinematic Control module)(2)から受け取ることができる。モータN制御モジュール(1)は、あらゆるパラメータを考慮しなければならない、又はエラー・コードを送らなければならない。モータN制御モジュール(1)は、それぞれの移動後、実行された距離をフィードバックする。
【0107】
ブロック2:相対運動制御モジュール(relative kinematic Control module)
相対運動制御モジュール(2)は、最終的な位置決めを得るために速度及び加速度に移動経路を考慮することを確実にするように、各モータN制御モジュールへの要求を順番に並べることができる。このモジュールは、センサから受け取った情報を考慮し、各モータN制御モジュール(1)へ送られるコマンドを調節して、適切な移動と位置決めを確実にすることができる。このモジュールは、適切なコードを有するマイクロコントローラを備えることができる。
【0108】
相対運動制御モジュール(2)は、異なるモータN制御モジュール(1)にモータごとにコマンドを送ることができる。相対位置制御モジュール(3)は、ロボット・プラットフォームの位置及び経路に関する情報を有することができ、相対運動制御モジュール(2)へ送ることができる。位置は、ロボット・プラットフォームの基準位置に関係付けることができる。オンボード・センサ制御モジュール(4)が相対運動制御モジュール(2)にフィードバックを与える間、調節を行うことができる。較正表(5)は、相対運動制御モジュール(2)のための、ロボット・プラットフォームの構造に対する予め設定されたモータごとの基準を与えることができる。
【0109】
ブロック3:相対位置制御モジュール
相対位置制御モジュール(3)は、プラットフォームの位置を認識するロボット・プラットフォームの部分である。これは、これらのコマンドを受け取って移動し、フィードバックにおいて受け取った様々な情報を用いて、新しい位置を生じさせる補償を決定することができる。
【0110】
このモジュールは、各モータの状況を理解する必要はない。補償命令のほとんどは、相対運動制御モジュール(2)に伝えることができる。
【0111】
RP-API(8)は、マスタ制御器(16)からの移動命令を相対位置制御モジュール(3)に伝えることができる。位置誤差計算器(9)は、ロボット・プラットフォームの位置決めを調節するために、外部センサ制御器(18)からの、専用工具制御器(17)からの、及び能動プラットフォーム制御器(12)からの編集され処理されたフィードバックを与えることができる。初期化機能(14)は、コマンドを与え、フィードバックを受け取って、空間での位置を見出すことができる。較正表(5)は、相対位置制御モジュール(3)のための、ロボット・プラットフォームの構造に対する全体的な予め設定された基準を与えることができる。オンボード位置決めセンサ(4)は、ロボット・プラットフォームの位置決めを調節するために、相対位置制御モジュール(3)に一定のフィードバックを与えることができる。相対運動制御モジュール(2)は、相対位置制御モジュール(3)からの移動命令を受け取り、それらを実行することができる。
【0112】
他のモジュール
ブロック4:オンボード位置決めセンサ
オンボード位置決めセンサ(4)モジュールは、ロボット・プラットフォームの正確な位置決めを確実にするために、ロボット・プラットフォームに使用される様々な標準センサと接続することができる。これは、すべての読みにタイムスタンプを与え、それらを蓄積し、他のモジュールに要求された値を送ることができる。
【0113】
センサのタイプは、
- 張力センサ
- ケーブル(56)位置センサ
- 近接スイッチ(リミット・スイッチ)
- 加速度計及び電子ジャイロスコープ・センサ
- 角度センサ
- 3D位置決めシステム
- 離隔距離エンコーダ
のうちの1つ又は複数を備えることができる。
【0114】
このモジュールはまた、モータ(電流センス、回転エンコーダ)からの値を保存し再送することができる。
【0115】
相対位置制御モジュール(3)及び相対運動制御モジュール(2)は、オンボード位置決めセンサ(4)から、フォーマットされタイムスタンプされた形態で位置及び安定性の情報を受け取ることができる。
【0116】
ブロック5:較正表
較正表(5)は、製造時に定められ、ロボット・プラットフォームのメモリに記憶された較正パラメータを含んでもよい。
【0117】
他のモジュールが使用することができる較正データの実例
- ケーブル弾性係数
- モータ回転設定及びフィードバック構成
- 構造体牽引追加弾性
- 構造体ねじり弾性
- 機械的特性(プーリ直径、各ケーブル操作モジュール間の距離)
- ケーブル操作モジュール(57)の軸ずれ角度
-平行四辺形不均一性
【0118】
相対位置制御モジュール(3)は、較正表(5)のデータを考慮に入れて、その軌道を計算し、その相対位置を微調整することができる。相対運動制御(2)は、較正表(5)のデータを考慮に入れてモータ制御モジュールを制御することができる。RP-API(8)は、ファクトリーモードにあるとき、このモジュール内で読み書きすることができる。
【0119】
ブロック6:ログ・モジュール
ログ・モジュール(6)は、マスタ制御器(15)から受け取ったすべてのコマンドを含む、すべてのモジュールからの情報を記憶することができる。ログを記録するのに利用できるスペース量に応じて、保持すべき情報のタイプに応じてログのローテーションを行うことができる。
【0120】
ログはデバッグのために使用され、他の監視モジュール(位置誤差計算器(9)などのオンボード監視部)に与えることができ、又は、マスタ制御器(16)から与えることができる。
【0121】
すべてのモジュールは、モジュールの機能に対する情報を受け取って記憶することができる。
【0122】
ブロック7:手動制御インターフェース
手動制御インターフェース(7)は、ロボット・プラットフォームの手動操縦を可能にするGUIとすることができる。GUIはウェブページとすることができ、オンボードPCで直接アクセスすることができ、又はWi-Fi接続を使用してブラウザの助けを借りて遠隔でアクセスすることができる(このモジュールは、ウェブサーバー上でサポートすることができる)。
【0123】
RP-API(8)は、マスタ制御器(16)から送られたかのように、手動制御インターフェース(7)から移動命令を受け取ることができる。
【0124】
ブロック8:RP-API
RP-API(8)(ロボット・プラットフォーム・アプリケーション・プロトコル・インターフェース:Robotic Platform Application Interface)は、マスタ制御器(15)がロボット・プラットフォームと通信することを可能にするために使用するインターフェースである。すべてのコマンドは予め定めることができる。RP-API(8)は命令を受け取ることができる、又はマスタ制御器(15)に情報を戻すことができる。タイムスタンプは各要求と関連付けることができる。
【0125】
RP-API(8)は、構成の目的で、ロボット・プラットフォーム制御器(15)に含まれる各モジュールと相互作用するコマンドを有することができる。移動要求に対して、これは、主に相対位置制御モジュール(3)とともに働くことができる。
【0126】
オプション・モジュール
ブロック9:位置決め誤差計算器
位置決め誤差計算器(9)は、位置決め及び移動用の精度管理部として働くことができる。このモジュールは、外部センサの読取り及び制御部(13)からの絶対位置決め情報を受け取ることができ、相対位置制御モジュール(3)の位置決め状況を認識することができる。データ集計及び計算によって、このモジュールは相対位置制御モジュール(3)にフィードバックを与えて、相対位置と絶対位置との間の違いを減らすことができる。
【0127】
ロボット・プラットフォームを使用するだけで精度要求に従うことが不可能な場合、
- ロボット・プラットフォームを停止する警報を発する
- オンボード・コマスタ制御器(11)によって専用工具(53)にコマンドを送って位置変動に関して先端位置を調節する。
- 能動工具取付けプラットフォーム(60)にコマンドを送って位置差の違いを減らす
ことができる。
【0128】
このモジュールはまた、最終位置だけでなく、移動中に経路を補正することができる。このモジュールは、人口知能を用いて管理することができる。
【0129】
外部センサの読取り及び制御部(13)からもたらされるセンサ情報は、すべての他のフィードバックを用いて位置決め誤差計算器(9)によって検証されて、絶対位置決め計算が最も適切であることを確実にしなければならない。位置決め誤差計算器(9)モジュールは、相対位置制御モジュール(3)に移動命令を与えて、外部センサ(18)による位置決めを調節する。位置決め誤差計算器(9)は、能動微視的位置決めプラットフォーム制御器(active micro-positioning platform controller)(12)に位置決め情報を与えて専用工具の位置を調節する。位置決め誤差計算器(9)は、オンボード・コマスタ制御器(11)に位置決め情報を与えて専用工具(53)の位置の特定の調節を行う。位置決め誤差計算器(9)は、採り得る様々な機能を用いて位置又は移動誤差を再吸収できない場合、適合警報モジュール(10)に誤差コードを送る。
【0130】
ブロック10:適合警報(Conformity alarm)モジュール
適合警報モジュール(10)は、ロボット・プラットフォームを止めること、又はコマンドの無効手順を実行することを担当する唯一のモジュールとすることができる。このモジュールは、すべての不適合に反応してすべての安全及び保全プロセスのために使用することができる。検出された誤差は、マスタ制御器(16)によって取り除くことができる。
【0131】
位置決め誤差計算器(9)は、とり得る様々な機能を用いて位置又は移動誤差を再吸収できない場合、適合警報モジュール(10)にコマンドを送ることができる。RP-APIは、マスタ制御器(16)に適合警報モジュール(10)の情報を再送することができる。
【0132】
ブロック11:オンボード・コマスタ制御器
専用工具用のオンボード・コマスタ制御器(11)は、ロボット・プラットフォームに含まれるインターフェースであり、専用工具(53)用のコマンドを伝達する。これは、マスタ制御器(16)によって、又は位置決め誤差計算器(9)によって駆動することができる。このモジュールは、専用工具(53)レベルでの位置及び移動補正を実行して、ロボット・プラットフォームが維持することができるより高い精度を確実にする必要性を満たすことができる。これはまた、ロボット・プラットフォームと専用工具(53)との間の協調移動を確実にするために使用することができる。
【0133】
位置決め誤差計算器(9)は、正しい精度を得るために必要になり得る移動誤差補正の位置をオンボード・コマスタ制御器(11)に送ることができる。RP-APIは、マスタ制御器(16)からのコマンドをオンボード・コマスタ制御器(11)に再送することができる。
【0134】
ブロック12:能動微視的位置決めプラットフォーム制御器(active micro-positioning platform controller)
ロボット・プラットフォームは、専用工具(53)を取り付けることができる取付けプラットフォームを含むことができる。取付けプラットフォームが能動的である場合、能動微視的位置決めプラットフォーム制御器(12)は、コマンドを通じて、能動プラットフォームを制御する信号を実行することができる。
【0135】
位置決め誤差計算器(9)は、能動微視的位置決めプラットフォーム制御器(12)に、位置及び移動の調節を示して必要な精度を達成することができる。
【0136】
ブロック13:外部センサ読取り及び制御部
外部センサ読取り及び制御部(13)は、よりよい絶対位置決め又は移動を得ることを確実にするためにその用途に加えられた外部センサの情報を取得することができる。外部センサ読取り及び制御部(13)はまた、これらのセンサから必要な情報を得るためにこれらのセンサを設定する能力を有することができる。
【0137】
位置決め誤差計算器(9)は、外部センサ(54)によってなされる読取り及び制御モジュール入力を入力に受け取ることができる。
【0138】
本書で説明するブロック又はモジュールの多くは、専用制御ロジックを用いて具現化することに加えて、コンピュータ・メモリに記憶されたソフトウェアを用いて具現化することができ、プロセッサによって実行することができることは理解されよう。
移動コマンドの変形例
フロー1:直接移動実行のコマンド
30- マスタ制御器(16)は、ロボット・プラットフォームに特定の位置の方への移動を実行するように要求する。
31- ロボット・プラットフォームはこの要求を確認し、標準化された方法で相対位置制御モジュール(3)に命令を送る。
32- 相対位置制御モジュール(3)は、オンボード位置決めセンサ(4)を参照して、行うべき移動を計算する。
33- オンボード位置決めセンサ(4)は較正表(5)を参照して、行うべき移動を計算する。
34- オンボード位置決めセンサ(4)は、相対運動制御モジュール(2)にセグメント化された移動を送出する。
35- 相対運動制御モジュール(2)は、相対位置制御モジュール(3)に実行可能性及び実際の移動詳細についてフィードバックを与える。
36- 相対位置制御モジュール(3)は較正表(5)を参照して、各モータに対して行うべき移動を計算する。
37- 相対位置制御モジュール(3)は、モータN制御モジュール(1)ごとに標準化されたコマンドを送出して移動を引き起こす。
38- モータN制御モジュール(1)は位置及び移動に関する情報を送り返し、その結果、相対位置制御モジュール(3)はその移動を検証してそのコマンドを確認することができる。
39- 移動が完了すると、相対位置制御モジュール(3)は要求を完了したと知らされる。
40- RP-API(8)は、移動完了状態を知らされて、マスタ制御器(16)に伝える準備をする。
フロー2:外部フィードバックを用いた直接移動実行のコマンド
31a- 位置決め誤差計算器(9)はまた、マスタ制御器(16)から要求される移動を知らされる。
43- 位置決め誤差計算器(9)は、外部位置決めフィードバックから知らされる。
44- 位置決め誤差計算器(9)は、相対位置制御モジュール(3)に位置の変化を絶えず知らせる。
42- 移動が行われると、相対位置制御モジュール(3)は位置決め誤差計算器(9)にフィードバックを与える。
41- 最終位置決めが正しい場合、位置決め誤差計算器(9)はマスタ制御器(16)に知らせる。
フロー3:専用工具操作を用いた移動実行のコマンド
45- RP-API(8)は、正規化された命令をオンボード・コマスタ制御器(11)に与える。
45a- RP-API(8)は、位置決め誤差計算器(9)に専用工具(53)コマンドを知らせて予期される結果での誤差を検証する。
46- 専用工具(53)に生じる移動は外部センサ(54)からの読みに影響を及ぼす。
47- 位置決め誤差計算器(9)は、オンボード・コマスタ制御器(11)に特定の命令を与えて、要求された最終位置決めに従って専用工具(53)を調節する。
フロー4:能動取付けプラットフォームの微視的位置決めを用いた移動実行のコマンド
48- 位置決め誤差計算器(9)は、位置決め命令との違いを埋めるように能動取付けプラットフォームを配向する。
49- 外部センサ(54)は、配向を調節された能動工具取付けプラットフォーム(active tooling attachment platform)(60)よって影響される。
【0139】
適用可能な使用に対する制御変形例
懸架式ロボット・プラットフォームは、自動化解決策において少なくとも4つの統合使用ケースに分けることができる多くの用途に使用することができる。
1.懸架式ロボット・プラットフォームは、
図18に示すように、様々なワークステーション(100)において専用工具(53)を位置決めするために使用することができる。
2.懸架式ロボット・プラットフォームは、専用工具(53)をワークステーション(100)に移送し、定位置に置いてその作業を実行することができる。
3.懸架式ロボット・プラットフォームはまた、同じワークステーションの異なる箇所に位置決めすることによって、専用工具(53)の範囲に持ってくることによって用途に直接関係させることができる。
4.懸架式ロボット・プラットフォームは、専用工具(53)と動きを組み合わせて完全な作業を実行することができる。
【0140】
懸架式ロボット・プラットフォームを用いる完全な解決策は、これらの上記使用ケースのいくつか又はすべてを組み合わせたものとすることができる。
【0141】
これらの実施例では、ロボット・アーム(53)の安定性はケーブル(56)ではなく支持基部(101)によってもたらされるので、この特許出願の前述の実施例にわたって、ロボット・プラットフォームの特性を簡略化することができる。例えば、上記の実施例と同様の運動範囲を提供するが、同じ安定性を提供しない3本のケーブル(56)は、ロボット・アームをステーションからステーションに効率的に移動させるために使用することができる。
【0142】
脚部材(103)が、取付けソケット又はラック(101)内に受け入れられる単一の固定された脚部として
図18に示されている。脚部材(103)を、アーム(53)の移動範囲外にあるように固定することができる、又は伸縮自在とすることができ、これは、単一の脚部材とすることができる、又は2つ以上の部材とすることができることは認識されよう。3つの脚部(103)がある場合、脚部材は、ドッキング・ソケット(101)を必要とせずに(100)などの表面と係合することができる。ソケット(101)は、ロック機構を含んでプラットフォーム(60)に安定性及び精度を提供することができることもまた認識されよう。ロック機構は、例えば、電磁ロック、ソレノイド作動ピン、又はモータで動くねじ付きロック機構とすることができる。このようなロックは、ロボット・プラットフォーム制御器によって制御することができる。
【0143】
これらの使用ケースのすべてにおいて、オーケストレータ(16)は、懸架式ロボット・プラットフォーム、専用工具(53)、及び各ワークステーションで使用されるすべての他の自動化された装置又はセンサを制御することができる。マスタ制御器(16)とも呼ばれるこのオーケストレータ(16)は、懸架式ロボット・プラットフォームのアプリケーション・ソフトウェアの一部として具現化することができる、又はサードパーティーのアプリケーション・ソフトウェアとすることができる。
【0144】
ワークステーションから別のワークステーションへの専用工具の移動(
図18)
この用途の移動は、専用工具(53)を多くのワークステーションで共有することができるという事実によって特徴付けられる。懸架式ロボット・プラットフォームは、1つのワークステーションから別のワークステーションへ専用工具(53)を正確な位置に運ぶことができる。各行先では、プラットフォームが静止しているとき、専用工具(53)は、ロボット・プラットフォームからその作業を実行することができる。懸架式ロボット・プラットフォームの位置は、空間での絶対位置によって、又は各ワークステーション(100)の位置ビーコン(54)を参照することによって決めることができる。アンカー又はラック・ドック(101)に達するようにプラットフォーム(60)を案内するために、無線ロケーション・ビーコンの使用をマシンビジョン、又は他の正確な位置特定技術によって置き換えることができる。
【0145】
静止時の懸架式ロボット・プラットフォームの固有の安定性は、各ワークステーション(100)において作業を実行するために専用工具(53)によって必要とされる安定性特性を満足させることができる。最小限の要件を満たさない場合、懸架式ロボット・プラットフォームは、ワークステーション(100)に着くと、専用工具(53)を固定する能動的又は非能動的なソケット又はラック・システム(101)で接続するように位置を定めることができる。
例示的な手順
1- 懸架式ロボット・プラットフォームは、最終位置の方へ特定の移動を実行するように求められる。
2- 懸架式ロボット・プラットフォームは、要求された位置に達したことをオーケストレータ(16)に確認する。これはまた、位置誤差値を送ることができる。
3- オーケストレータ(16)は、新しい位置基準に対して正確になるように専用工具を初期化することができる。オーケストレータ(16)は、他のセンサ及びビーコンに依存して、専用工具(53)に精度又は命令を加えることができる。
4- 専用工具はその作業を実行する。終了すると、次の行先に行くことができることをオーケストレータ(16)に確認する。
5- ステップ1に戻る。
【0146】
プラットフォームから専用工具を外してワークステーションから別のワークステーションへの専用工具の移送(
図19)
この実施例はまた、専用工具(53)を多くのワークステーション(100)で共有又は使用することができるという事実によって特徴付けられる。懸架式ロボット・プラットフォーム(60)は、専用工具(53)を1つのワークステーション(100)から別のワークステーションへ正確な位置に運ぶことができるが、専用工具(53)をワークステーションに残すこともできる。専用工具(53)は、適切な解除機構(102)を有する取外し可能なプラットフォームに取り付けることができる。ロボット・プラットフォームからの専用工具(53)の分離は、ワークステーション(100)の能動的又は非能動的なラック・システム(101)を用いることを必要とする。通常、モジュール(50)内に設けられるロボット・システムの構成要素は、工具(53)に接続されたままとなるように取外し可能な構造体に配置することができる。基部又はソケット101はまた、プラットフォーム(60)から取り外されたとき、ロボット・アーム及び任意選択的にその構成要素への電力及び/又はデータ接続を提供することができる。この特別の場合、懸架式ロボット・プラットフォーム(60)は、専用工具(53)がその作業を実行している間、待機状態のままにすることができる、又は別のワークステーションにある他の専用工具(53)を移送するために使用することができる。待機位置は、完全に引っ込んだ邪魔にならない位置とすることができる。これは、作業者がロボットの隣に立ってロボットの状況を点検又は監視するために、ロボットが作業している領域を空けるのに有用となり得る。懸架式ロボット・プラットフォームは、目的としてきた自動化解決策に応じて多くの専用工具を同時に運ぶ又は移送することができる。
例示的な手順
1- 懸架式ロボット・プラットフォームに最終位置の方へ所与の移動を実行するように要求することができる。
2- 懸架式ロボット・プラットフォームは、要求された位置に達したことをオーケストレータ(16)に確認することができる。センサは、専用工具がラック・システム(101)に対して正しい位置に達したことをオーケストレータに知らせることができる。
3- 専用工具(53)がラック・システム(101)に適切に取り付けられると、専用工具(53)を懸架式ロボット・プラットフォームから外すことができる。
4- オーケストレータ(16)は、新しい位置基準に対して正確になるように専用工具を初期化することができる。オーケストレータは、他のセンサ及びビーコンに依存して、専用工具(53)に精度又は命令を加えることができる。
5- 専用工具(53)はその作業を実行することができる。終了すると、次のステップに行くことができることをオーケストレータ(16)に確認することができる。
6- 懸架式ロボット・プラットフォーム(60)は、専用工具(53)をつかむために戻ることができる。専用工具は、解除機構(102)を逆に作動させることによって懸架式ロボット・プラットフォームに取り付けられて、ラック・システム(101)から取り外すことができる。
7- ステップ1に戻る。
【0147】
組み合わされた移動の手順
この移動は、1つのワークステーションから別のワークステーションに行くように定められた移動と同様であるが、同じワークステーション(100)内での位置決め手順を対象としている。オーケストレータは、専用工具(53)が作業を実行しているときに、懸架式ロボット・プラットフォームに対して異なる位置への要求をすることによって同じ動作状況を考慮しなければならない。自動化された解決策のすべての能動要素は、同時に動いていることができるが、懸架式ロボット・プラットフォームは、1つの位置から他の位置に移行している間、精度を有する必要はない。絶対位置又は位置決めビーコン(54)は、作業時に必要なすべての移動の行先精度を支援するために使用することができる。専用工具(53)に安定性を付け加えるために、専用工具(53)は、経路に沿って1つ又は多くの能動的又は受動的ラック・システム(101)に接続することができる。
例示的な手順
1- 懸架式ロボット・プラットフォームに最終位置の方へ所与の移動を実行するように要求する。
2- 懸架式ロボット・プラットフォームは、要求された位置に達したことをオーケストレータに確認する。これはまた、誤差値を送る。その位置に達しているとき、専用工具(53)を次の作業のために準備することができる。
3- オーケストレータは、新しい位置基準に対して正確になるように専用工具(53)を初期化することができる。オーケストレータは、他のセンサ及びビーコンに依存して、専用工具(53)に精度又は命令を加えることができる。
4- 専用工具(53)はその作業を実行する。終了すると、次の作業に行くことができることをオーケストレータに確認する。
5- ステップ1に戻る。
【0148】
連続した組み合わされた移動
懸架式ロボット・プラットフォームは、通常では可能ではない作業を行わせる専用工具に移動領域を追加するために使用することができる。懸架式ロボット・プラットフォームの3D移動能力と専用工具(53)の可能な移動とを組み合わせることによって、ロボット解決策は、大規模なワークステーション(100)での正確な作業に使用される。そうするために、絶対位置決めによって、又は動作経路に沿って配置された1つ又は複数の位置決めビーコン(54)を参照することによって位置決めを行うことができる。これらの条件では、懸架式ロボット・プラットフォームは、自動化解決策に応じて1つ又は多くの専用工具(53)を支えることができる。
【国際調査報告】