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特表2022-528531三官能性長鎖分岐オレフィンを重合させるプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-14
(54)【発明の名称】三官能性長鎖分岐オレフィンを重合させるプロセス
(51)【国際特許分類】
   C08F 210/18 20060101AFI20220607BHJP
   C08F 4/64 20060101ALI20220607BHJP
【FI】
C08F210/18
C08F4/64
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021558637
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-09-29
(86)【国際出願番号】 US2020025397
(87)【国際公開番号】W WO2020205593
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】62/826,414
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】フローセ、ロバート ディージェイ
(72)【発明者】
【氏名】ブルーナー、レイチェル イー.エム.
(72)【発明者】
【氏名】アリオラ、ダニエル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ストゥーベルト、ブライアン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】レッドワイン、オスカー ディー.
【テーマコード(参考)】
4J100
4J128
【Fターム(参考)】
4J100AA02P
4J100AA19Q
4J100AP17R
4J100CA04
4J100CA05
4J100CA25
4J100DA01
4J100DA04
4J100DA19
4J100DA24
4J100FA04
4J100FA10
4J100FA19
4J128AA01
4J128AB00
4J128AC01
4J128AE03
4J128AE06
4J128BA00A
4J128BA02B
4J128BB00A
4J128BB01B
4J128BC12B
4J128BC25B
4J128EA01
4J128EB02
4J128EB07
4J128EB26
4J128EC02
4J128EC04
4J128FA02
4J128FA06
4J128FA09
4J128GA01
4J128GA06
4J128GA16
4J128GA19
(57)【要約】
【解決手段】 長鎖分岐ポリマーを合成するプロセスである。プロセスは、1つ以上のC-C14アルケンモノマー、少なくとも1つのジエン、任意選択的に溶媒、および多鎖触媒を、任意選択的に水素の存在下でともに接触させることであって、多鎖触媒が、複数の重合部位を含む、接触させることと、C-C14アルケンモノマーのうちの少なくとも2つのポリマー鎖を生成することであって、各ポリマー鎖が重合部位のうちの1つで重合する、生成することと、2つのポリマー鎖をジエンと接続することによって長鎖分岐ポリマーを合成することであって、2つのポリマー鎖の接合が、重合中に共同様式で実施されている、合成することと、ジエンから三官能性長鎖分岐および四官能性長鎖分岐を生成することであって、長鎖分岐ポリマーが、0.05:1~100:0の、三官能性対四官能性長鎖分岐の比を有する、生成することと、三官能性および四官能性長鎖分岐の比を調節することと、を含む。ジエンは、式(I)による構造を有する:
【化1】
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長鎖分岐ポリマーを合成するプロセスであって、
1つ以上のC-C14アルケンモノマー、少なくとも1つのジエン、任意選択的に溶媒、および多鎖触媒を、任意選択的に水素の存在下でともに接触させることであって、前記多鎖触媒が、複数の重合部位を含み、前記ジエンが、式(I):
【化1】
による構造を有し、式中、Xが、-C(R)-、-Si(R)-、または-Ge(R)-であり、各Rが、独立してC-C12ヒドロカルビルまたは-Hである、接触させることと、
前記C-C14アルケンモノマーの少なくとも2つのポリマー鎖を生成することであって、各ポリマー鎖が前記重合部位のうちの1つで重合する、生成することと、
前記2つのポリマー鎖を前記ジエンと接続することによって前記長鎖分岐ポリマーを合成することであって、前記2つのポリマー鎖の接続が、重合中に共同様式で実施され、前記長鎖分岐ポリマーが、0.05:1~100:0の、三官能性対四官能性長鎖分岐の比を有する、合成することと、
前記比が、三官能性対四官能性長鎖分岐の目標比から逸脱する場合、前記C-C14アルケンモノマー対水素の供給比を変更することにより、三官能性対四官能性長鎖分岐の前記比を調節することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
式(I)中のXが、-C(R)-であり、各Rが、-Hである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
式(I)中のXが、-C(R)-であり、各Rが、C-C12アルキルである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
式(I)中のXが、-Si(R)-であり、各Rが、C-C12アルキルである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記ジエンが、ジメチルジビニルシランである、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記長鎖分岐ポリマーが、少なくとも50モル%のエチレンを含むエチレン系コポリマーである、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記多鎖触媒が、1平方ナノメートル当たり1.5個の金属原子(金属/nm)以上の金属原子の表面濃度を有する不均一触媒である、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記多鎖触媒が、ジアニオン活性剤によって連結された2つのライゲーションされた遷移金属を含み、前記金属原子間の距離が、8Å以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記多鎖触媒が、共有結合的に連結された2つ以上の遷移金属を含み、前記金属原子間の距離が、8Å以下である、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記多鎖触媒が、モノアニオン配位子と、チタン、ハフニウム、またはジルコニウムからなる群から選択される、IUPAC第IV族金属と、を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記三官能性長鎖分岐が、炭素原子1000個当たり少なくとも0.05の頻度で発生する、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記三官能性長鎖分岐が、炭素原子1000個当たり少なくとも0.1の頻度で発生する、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
前記三官能性長鎖分岐が、炭素原子1000個当たり少なくとも0.2の頻度で発生する、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
三官能性対四官能性長鎖分岐の前記比が、0.1:1超である、請求項1~13のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項15】
三官能性および四官能性長鎖分岐の前記比を制御することが、Hを増加させて、三官能性長鎖分岐の量を増加させることを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項16】
三官能性および四官能性長鎖分岐の前記比を制御することが、前記エチレン対Hモル比を999:1超に調節して、0.001:1未満の三官能性対四官能性長鎖分岐の比をもたらすことを含む、請求項1~15に記載のプロセス。
【請求項17】
三官能性および四官能性長鎖分岐の前記比を制御することが、前記エチレン対Hモル比を25:1未満に調節して、0.5:1超の三官能性対四官能性長鎖分岐をもたらすことを含む、請求項1~15に記載のプロセス。
【請求項18】
三官能性および四官能性長鎖分岐の前記比を制御することが、前記エチレン対Hモル比を50:50未満に調節して、1:1超の三官能性対四官能性長鎖分岐をもたらすことを含む、請求項1~15に記載のプロセス。
【請求項19】
前記長鎖分岐ポリマーが、三重検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される際、150,000ダルトン未満の重量平均分子量(M)を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項20】
前記重合が、溶液重合反応器、スラリー反応器、気相反応器、バッチ反応器、連続反応器、ハイブリッド反応器、非逆混合反応器、逆混合反応器、直列反応器、またはリサイクル反応器において発生する、請求項1~19のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項21】
前記長鎖分岐ポリマーが、三重検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される際、4未満の数平均分子量で除算した前記重量平均分子量(M/M)によって定義される分子量分布(MWD)を有する、請求項1~20のいずれか一項に記載のプロセス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年3月29日に出願された米国仮特許出願第62/826,414号に対する優先権を主張し、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の実施形態は、概して、三官能性長鎖分岐を有するポリマー組成物、およびポリマー組成物が合成されるプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
ポリエチレンなどのオレフィン系ポリマーは、様々な触媒系を介して生成される。オレフィン系ポリマーの重合プロセスに使用されるそのような触媒系の選択は、そのようなオレフィン系ポリマーの特徴および特性に寄与する重要な要因である。
【0004】
ポリエチレンおよびポリプロピレンは多種多様な製品のために製造される。ポリエチレンおよびポリプロピレン重合プロセスは、様々な樹脂を異なる用途での使用に好適なものとする異なる物理的性質を有する多種多様な結果として生じるポリエチレン樹脂を製造するためにいくつかの点で変えることができる。ポリオレフィンの長鎖分岐の量は、そのポリオレフィンの物理的特性に影響を与える。ポリエチレンの特性への分岐の影響は、分岐の長さと量に依存する。短い分岐は、主に機械的および熱的特性に影響を及ぼす。分岐長さが増加すると、分岐は、層状結晶を形成することができ、機械的および熱的特性が低下する。少量の長鎖分岐は、ポリマーの加工特性を有意に変更し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
長鎖分岐を形成するために、ポリマー鎖のビニルまたは末端二重結合が、新しいポリマー鎖に組み込まれる。ビニル末端ポリマーの再組み込み、およびジエンコモノマーの導入は、ポリマーストランド上のビニル基が、第2のポリマーストランドに組み込まれる2つの機構である。加えて、長鎖分岐は、ラジカルを介して誘導される。3つの機構すべてにおいて、分岐量を制御することは困難である。ラジカルまたはジエンを使用して長鎖分岐を開始する場合、分岐が多くなりすぎ、それによって、ゲル化および反応器汚損が発生し得る。再組み込み機構は、あまり多くの分岐を生成せず、分岐は、ポリマーストランドが生成された後にのみ発生し得、それによって、発生し得る分岐の量がさらに限定される。
【0006】
本開示の実施形態は、長鎖分岐ポリマーを合成するためのプロセスを含む。1つ以上の実施形態では、プロセスは、1つ以上のC-C14アルケンモノマー、少なくとも1つのジエン、任意選択的に溶媒、および多鎖触媒を、任意選択的に水素の存在下でともに接触させることを含み、多鎖触媒は、複数の重合部位を含む。C-C14アルケンモノマーのうちの少なくとも2つのポリマー鎖が生成され、各ポリマー鎖が、重合部位のうちの1つで重合する。次いで、長鎖分岐ポリマーは、2つのポリマー鎖をジエンと接続することによって合成される。2つのポリマー鎖の接続は、重合中に共同様式で実施される。三官能性長鎖分岐は、ジエンから生成され、長鎖分岐ポリマーは、0.05:1~100:0の三官能性対四官能性長鎖分岐の比を有する。三官能性対四官能性長鎖分岐の比は、比が、三官能性対四官能性長鎖分岐の目標比から逸脱する場合、C-C14アルケンモノマー対水素の供給比を変更することにより、調節され得る。
【0007】
1つ以上の実施形態では、ジエンは、式(I)による構造を有する:
【化1】
【0008】
式(I)において、Xは、CR、SiRまたはGeRであり、各Rは、独立して、C-C12ヒドロカルビルまたは-Hである。いくつかの実施形態では、式(I)中のXは、-C(R)-であり、各Rは、-Hであるか、または各Rは、C-C12アルキルである。他の実施形態では、式(I)中のXは、-Si(R)-であり、各Rは、C-C12アルキルである。1つ以上の実施形態では、ジエンは、ジメチルジビニルシランである。
【0009】
プロセスの様々な実施形態は、溶液重合反応器、またはスラリー反応器もしくは気相反応器などの粒子形成重合反応器内で起こり、分子または固体担持触媒は、反応媒体に送達されるか、または反応媒体中で発生させられ、反応器システムは、バッチ式、連続式または半バッチ式などのハイブリッド式であり、反応器滞留時間分布は、非逆混合反応器のように狭いか、または逆混合反応器ならびに直列およびリサイクル反応器のように広い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、炭素1000個当たりの分岐メチンの数としての、ポリマーの分子量のグラフ表示である。
図2A図2Aは、分子量増加対ジエン連結のプロットである。
【0011】
図2B図2Bは、多分散性対ジエン連結のプロットである。
図3図3は、分子量分布(MWD)曲線の三官能性ジエン分岐レベルに対する予測依存性のグラフ表示である。
図4図4は、分子量(MW)の相対ピークの三官能性ジエン分岐レベルに対する予測依存性のグラフ表示である。
図5図5は、最大傾斜点を使用して高MWDテール面積メトリックがどのように定義されるかを例解するMWD曲線のグラフ表示である。
図6図6は、ジエンの量を増加させる状態のジメチルジビニルシラン試料(実施例1.Cおよび実施例1.1~実施例1.7)の従来の(RI)GPCである。
図7図7は、ジメチルジビニルシラン分岐ポリエチレン(実施例12.1)の全体的な炭素NMRスペクトルである。
図8図8は、ジメチルジビニルシラン分岐ポリエチレン(実施例12.1)の炭素NMRスペクトルのSi(Me)領域である。三官能性LCB炭素=0.17Me/1000C、および四官能性LCB炭素=0.12Me/1000C。
図9図9は、ジメチルジビニルシラン分岐ポリエチレン(実施例12.1)の炭素NMRスペクトルのメチン領域である。三官能性LCB=0.09 CH/1000C、四官能性LCB=0.16 CH/1000C。
図10図10は、線状PE(実施例12.C)およびジメチルジビニルシラン分岐PE(実施例12.1)用の従来型(RI)および絶対(LS)GPCである。
図11図11は、ジメチルジビニルシラン分岐PE(実施例12.1)の伸長粘度フィクスチャー(EVF)である。
図12図12は、ジメチルジビニルシラン分岐ポリエチレン(実施例12.1)の溶融強度プロットである。
図13図13は、ジメチルジビニルシラン分岐ポリエチレン(実施例12.1)の190℃におけるDMSである。
図14A図14Aは、可変量のジエンを有する従来の比較分岐ポリマー試料の絶対分子量分布のグラフである。
図14B図14Bは、可変量のジエンを有する従来の比較分岐ポリマー試料の従来の分子量分布のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ポリマーを合成するためのプロセスおよび本開示のプロセスによって合成されるポリマーの特定の実施形態についてここで説明する。本開示のポリマーを合成するためのプロセスが、異なる形態で実施され得、本開示に記載される特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではないことを理解されたい。むしろ、実施形態は、本開示が、徹底的かつ完全となり、また主題の範囲を当業者に完全に伝えるように、提供される。
【0013】
定義
「ポリマー」という用語は、同一または異なるタイプのモノマーにかかわらず、モノマーを重合することにより調製されるポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという総称は、1つのタイプのモノマーのみから調製されるポリマーを指すために通常用いられる「ホモポリマー」という用語、および2つ以上の異なるモノマーから調製されるポリマーを指す「コポリマー」を包含する。本明細書で使用される、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。したがって、インターポリマーという総称は、コポリマーと、ターポリマーなどの3種類以上の異なるモノマーから調製されたポリマーとを含む。
【0014】
「ポリエチレン」または「エチレン系ポリマー」は、エチレンモノマーに由来する50モル%超の単位を含むポリマーを意味するものとする。これは、ポリエチレンホモポリマーまたはコポリマー(2つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。当該技術分野において既知であるポリエチレンの一般的な形態としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状および実質的に直鎖状の低密度樹脂の両方を含むシングルサイト触媒直鎖状低密度ポリエチレン(m-LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、ならびに高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。
【0015】
「エチレン-ジエン系ポリマー」とは、エチレンモノマーに由来する50モル%超の単位を含み、また少量のジエン成分も含むポリマーを意味するものとする。エチレン-ジエン系ポリマーは、任意選択的に、1つ以上の(C-C12)α-オレフィンから由来する単位を含み得る。
【0016】
本開示の実施形態は、長鎖分岐ポリマーを合成するためのプロセスを含む。1つ以上の実施形態では、プロセスは、1つ以上のC-C14アルケンモノマー、少なくとも1つのジエン、任意選択的に溶媒、および多鎖触媒を、任意選択的に水素の存在下でともに接触させることを含み、多鎖触媒は、複数の重合部位を含む。C-C14アルケンモノマーのうちの少なくとも2つのポリマー鎖が生成され、各ポリマー鎖が、重合部位のうちの1つで重合する。次いで、長鎖分岐ポリマーは、2つのポリマー鎖をジエンと接続することによって合成される。2つのポリマー鎖の接続は、重合中に共同様式で実施されている。
【0017】
様々な実施形態では、長鎖分岐ポリマーは、0.05:1~100:0の三官能性対四官能性長鎖分岐の比を有する。
【0018】
1つ以上の実施形態では、三官能性長鎖分岐は、ジエンから生成され、三官能性長鎖分岐は、炭素原子1000個当たり少なくとも0.03の頻度で発生する。
【0019】
「2つのポリマー鎖を接続する」に関して「接続する」という用語は、広義には、ポリマー鎖が共有結合的に連結されることを意味する。
【0020】
1つ以上の実施形態では、三官能性対四官能性長鎖分岐の比は、比が三官能性対四官能性長鎖分岐の目標比から逸脱する場合、調節される。比は、C-C14アルケンモノマー供給量、水素供給量、C-C14アルケンモノマー供給対水素の比、反応器温度、またはそれらの組み合わせを変更することによって調節される。
【0021】
いくつかの実施形態では、C-C14アルケンモノマー供給対水素の供給比は、100:0~1:100である。1つ以上の実施形態では、供給比は、3:1~1:1である。様々な実施形態では、供給比は、100:1~2:1、10:2~1:2、または3:1~1:5である。
【0022】
様々な実施形態では、ジエンは、式(I)による構造を有する:
【化2】
【0023】
式(I)において、Xは、CR、SiRまたはGeRであり、各Rは、独立して、C-C12ヒドロカルビルまたは-Hである。いくつかの実施形態では、式(I)中のXは、-C(R)-であり、各Rは、-Hであるか、または各Rは、C-C12アルキルである。他の実施形態では、式(I)中のXは、-Si(R)-であり、各Rは、C-C12アルキルである。1つ以上の実施形態では、ジエンは、ジメチルジビニルシランである。
【0024】
いくつかの実施形態では、式(I)のRがC-C12アルキルであるとき、C-C12アルキルは、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-ブチル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル、1-ペンチル、1-ヘキシル、1-ヘプチル、n-オクチル、tert-オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、またはドデシルである。「C-C12アルキル」という用語は、1~12個の炭素原子の飽和した直鎖または分岐炭化水素ラジカルを意味する。
【0025】
1つ以上の実施形態では、本開示のプロセスは、エチレンの重合生成物、少なくとも1つのジエンコモノマー、および任意選択的に少なくとも1つのC~C14コモノマーを含むポリマーを生成する。ポリマーは、ポリマーの炭素原子1000個当たり少なくとも0.03の頻度で発生するジエンから得られる三官能性長鎖分岐を含む。
【0026】
様々な実施形態では、本開示の重合プロセスから生成されるポリマーは、炭素原子1000個当たり少なくとも0.05の頻度で発生する三官能性長鎖分岐を含む。1つ以上の実施形態では、ポリマーの三官能性長鎖分岐は、炭素原子1000個当たり少なくとも0.1の頻度で発生する。様々な実施形態では、ポリマーの三官能性長鎖分岐は、炭素原子1000個当たり少なくとも0.2の頻度で発生する。
【0027】
本開示によるポリマーを合成するプロセスは、各々2019年9月27日に出願され、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、出願番号第PCTUS2019/053524号、同第PCTUS2019/053527号、同第PCTUS2019/053529号、および同第PCTUS2019/053537号に記載された、従来の長鎖分岐または以前の「ラダー」分岐とは異なる。「長鎖分岐」という用語は、100個を超える炭素原子を有する分岐を指す。「分岐」は、第三級炭素原子から延びるポリマーの一部分を指す。分岐が第三級炭素原子から延在する場合、他に2つの分岐があり、それらは、集合的に、分岐が延在するポリマーストランドであり得る。本開示では、分岐は、分岐点がそれから発する3つのポリマー鎖を有するという点で、三官能性長鎖分岐として定義される。従来、長鎖分岐(LCB)は、スキーム1に示されるように、重合プロセスにおいて自然に発生し得る。自然に発生するLCBは、ポリマー鎖のビニル末端化および高分子ビニルの再挿入を通して発生し、三官能性長鎖分岐を作成し得る。分岐の程度に応じて、核磁気共鳴(NMR)などの様々な方法が、LCBを判定するか、またはポリマー中のLCBの影響を識別し得る。例えば、LCBの効果は、van Gurp-Palmen分析のせん断流において観察され、また、低い角周波数でのせん断粘度の増加およびせん断減粘挙動の強度は、LCBに起因し得る。伸長流では、LCBの影響は、通常、ひずみ硬化の程度または溶融物の強度、および達成される最大変形において識別される。ビニル末端ポリマーの限定された濃度(ポリマー鎖1つ当たり最大1つ)、およびLCBの形成を確保するために高いエチレン変換を実行する必要性に起因して、ポリマー内の高レベルの天然LCBを達成することは困難である。高い変換を確保するために、反応器内のエチレン濃度が低く、したがって、大量のビニル末端ポリマーを第2のポリマー鎖に再挿入し得る。
【化3】
【0028】
スキーム1では、「Cat」は触媒であり、「P」はポリマー鎖である。
【0029】
自然に発生する分岐を通じて形成される最小限の長鎖分岐がある。LCBを強化する1つの方法は、ラジカルプロセス、不均一プロセス、または均一プロセスのいずれであっても、重合系にα,ω-ジエンを添加することである。一般に、ジエンは、α-オレフィンと同様の様式でポリマー鎖に付加されるが、ペンダントビニル基を残し、これはスキーム2に例解されるように、ポリマー鎖にもう一度挿入して、LCBを作成することができる。一般に、ジエンの長さは重要ではなく、2つのポリマー鎖を一緒に連結し得ることだけが重要である。原則として、ペンダントビニルの濃度は、反応器に添加されるジエンの量を通して制御され得る。したがって、LCBの程度は、ペンダントビニルの濃度によって制御され得る。
【化4】
スキーム2では、「Cat」は触媒であり、「P」はポリマー鎖であり、この例におけるジエンは1,5-ヘキサジエンである。
【0030】
ジエンをポリマー合成系に組み込む従来のプロセスは、ゲル形成または反応器汚損の根本的な欠陥をこうむる。後の項で考察される速度論的モデリングは、ゲル形成へのより良好な理解を可能にする良好な予測結果を提供し得る。例えば、より長いポリマー鎖は、より多くの挿入されたオレフィン、したがって、より多くの挿入されたジエン、したがって、より多くのペンダントビニルを有し、より長いポリマー鎖が、触媒に再挿入されてLCBを形成する可能性が高いことを意味する。したがって、より長いポリマー鎖が、優先的に再挿入されて、さらに大きなポリマー分子である四官能性分岐を形成し、ゲルの問題が生じる。スキーム2に示されるように、4四官能性LCBは、短いセグメント(ジエンの2つの二重結合間の炭素数)を有し、それは、短いセグメントの両側にある2つの長鎖を架橋する。分岐の関数としての重量平均分子量(M)および数平均分子量(M)のシミュレーションが、一定圧力のセミバッチ反応器内のポリエチレンについて、図1に示される。図1では、Mは、Mが無限大になると、わずかに増加するだけである。Mが、200,000グラム/モル(g/モル)を超える数に増加すると、ポリマーゲル、ゲル化の発生、または反応器汚損が存在する。
【0031】
「ゲル」または「ゲル化」という用語は、少なくとも2つの成分から構成される固体を指し、第1は三次元架橋ポリマーであり、第2はポリマーが完全に溶解しない媒体である。ポリマーがゲル化して完全に溶解しない場合、反応器は、ポリマーゲルで汚損され得る。
【0032】
「ラダー分岐」ポリマーという用語は、「ラダー分岐機構」から形成されたポリマーを指す。スキーム2に記載されるように、ポリマーは、四官能性長鎖分岐構造を有する。加えて、「ラダー分岐」ポリマーおよび「ラダー分岐機構」という用語はまた、三官能性ポリマーおよび三官能性長鎖分岐ポリマーを生成する重合プロセスも指す。
【0033】
四官能性長鎖分岐ポリマーを合成するプロセスは、長鎖分岐を達成し、ゲル形成または反応器汚損を回避する。理論に拘束されるつもりはないが、ジエンの2つのアルケンを2つの近位ポリマー鎖にわたって協調様式で反応させることによって、反応器汚損が回避されると考えられる。例えば、スキーム3に示されるように、ジエンの1つのアルケンは、第2のアルケンの前に反応し、第2のアルケンは、あまりにも多くのエチレン分子がポリマーストランドに添加される前に反応し、それによって、第2のアルケンが反応部位に近接していることを取り除く。多くのエチレンモノマーが挿入される前の、ジエンの第1のアルケンの1つのポリマーへの反応、およびジエンの第2のアルケンの隣接するポリマー鎖への反応は、近位ポリマー鎖へのジエンの協調付加と称される。
【化5】
【0034】
触媒またはジエンに応じて、異なる中間体が、ジエン反応から生じる可能性がある。以前の研究で、ジエンの二重鎖触媒への付加(スキーム3)による四官能性LCBの形成が示されるが、三官能性長鎖分岐の形成もまた可能である。(スキーム4)。
【化6】
【0035】
ポリマーストランドは、ポリマー、またはより具体的にはコポリマーの直鎖状セグメントであり、分岐接合によって末端で任意選択的に接合される。例えば、スキーム1に示されるように、3つのポリマーストランドの末端を接合する三官能性分岐接合とは対照的に、四官能性分岐接合は4つのポリマーストランドの末端を接合する。
【0036】
理論に拘束されることを意図することなく、この項で説明されるように、機構は、ジエンコモノマーを所望の条件下で重合するときに、二重鎖触媒がどのように独特の三官能性架橋分子構造を生成し得るかについて記載する。「ジエン」という用語は、2つのアルケンを有するモノマーまたは分子を指す。機構の図解をスキーム5に示し、このスキームでは触媒中心が、2つのポリオレフィン鎖を生成する。スキーム5は、ジエン架橋と連鎖移動との組み合わせが、ジエンの「ラダー分岐」三官能性ポリマー構造をどのように生成し得るかを示す。ジエンの「ラダー分岐」ポリマーという用語は、長鎖分岐を指し、この長鎖分岐では、1~12個の炭素原子を含む短鎖またはラングが2つのポリマー鎖をともに連結する。示されるように、少なくとも2つのポリマー鎖部位を有する金属-配位子触媒は、2つの別個のポリマー鎖を成長させる。ジエンの1つのアルケンは、触媒の部位の1つに組み込まれ、成長部位の近接に起因して、ジエンの第2のアルケンは、次いで、第2のポリマー鎖に迅速に組み込まれ、それによって、ブリッジまたはラングを形成すると考えられる。ジエンのこの連続的な付加は、ジエンの「協調」付加と称され、2つの近位鎖を有さない触媒とは区別され、ここで、ジエンの付加が反応器内の後で反応するビニル含有ポリマーの濃縮をもたらす。「ラング」という用語は、ジエンがひとたび2つの別個のポリマーストランドに組み込まれると、それによって、ストランドを一緒に連結するジエンを指す。第1および第2のポリマーストランドは、ポリマーが別の触媒に移動するか、ポリマーが触媒から放出されるか、触媒が死滅するか、または別のジエンが付加されるまで成長し続ける。
【化7】
【0037】
スキーム5に図示されるように、水素ガスの導入時に、三官能性ラダー分岐が発生する可能性がある。水素ガスの導入により、多鎖触媒の重合部位のうちの1つでポリマー鎖が末端化する。末端化により、ポリマー鎖は、切断され、それゆえ三官能性ポリマーをもたらす。本開示のポリマーは、式(I)のジエンから生じる三官能性長鎖分岐を含む。
【0038】
1つ以上の実施形態では、三官能性対四官能性長鎖分岐の比は、比が、三官能性対四官能性長鎖分岐の目標比から逸脱する場合、C-C14アルケンモノマー対水素の供給比を変更することにより、調節される。いくつかの実施形態では、供給比は、反応中に変更され得る。三官能性分岐対四官能性分岐の比は、水素に依存する。水素の濃度が増加する場合、三官能性分岐対四官能性分岐の比が増加する。加えて、重合プロセスが溶液中で発生するとき、溶液中の水素の濃度は、三官能性分岐対四官能性分岐の比に影響を及ぼす。いくつかの実施形態では、重合反応を開始する前に、特定量の水素が、反応器に導入されてもよく、温度は、三官能性または四官能性分岐の比を調節するために、増加または低下されてもよい。温度が増加すると、水素およびC-C14アルケンモノマーの反応性が増加し、増加した量の三官能性長鎖分岐を生成する。
【0039】
1つ以上の実施形態では、三官能性分岐対四官能性分岐の比は、反応器または温度などの他の反応器条件におけるエチレン/水素比を調節することを介して制御される。いくつかの実施形態では、三官能性対四官能性長鎖分岐の比は、0.1:1超~約100:0である。
【0040】
理論に拘束されるつもりはないが、これらの提案された速度論に関連する分子量分布は、ジエン架橋反応が分岐の唯一の源である場合、高い分岐レベルで本質的に安定であると考えられる。分子量分布(MWD)は、重量平均分子量を数平均分子量で割って定義される(M/M)。MWDの固有の安定性は、重量平均分子量(M)が、高い分岐レベルでも適度に増加することを意味し、それは、MおよびM/Mが、中程度の四官能性分岐レベルで無限になる従来のジエンコモノマー分岐技術とは対照的である。
【0041】
多重鎖触媒とジエンの組み合わせは、分岐の量と種類に影響を及ぼす。本開示の実施形態は、1)複数のジエン種の使用、2)複数の多鎖触媒種の使用、3)複数の反応器領域または領域の勾配を含む重合環境の組み合わせ、または4)例えば、三官能性および四官能性長鎖分岐などの異なるタイプの長鎖分岐の制御および組み合わせ、などのポリマー特性を制御することに関する。
【0042】
にもかかわらず、単鎖触媒を含む複数の触媒を使用することによって、従来の分岐が可能となり得る。複数のジエン種の使用はまた、分岐を作成しないか、または「従来の」LCBをもたらす傾向があるそれらのジエンも含む。本開示によるポリマーを合成するプロセスは、従来の長鎖分岐とは異なる。「長鎖分岐」という用語は、100個を超える炭素原子を有する分岐を指す。「分岐」という用語は、第三級炭素原子から延びるポリマーの一部分を指す。分岐が第三級炭素原子から延在する場合、他に2つの分岐が存在し、それらは、集合的に、分岐が延在するポリマー鎖であり得る。長鎖分岐(LCB)は、スキーム1に示されるように、重合プロセスにおいて自然に発生し得る。これは、ポリマー鎖の末端化および高分子ビニルの再挿入を通して発生して、三官能性長鎖分岐を作成し得る。
【0043】
1つ以上の実施形態では、長鎖分岐ポリマーを重合するためのプロセスは、近接して少なくとも2つの活性部位を有する触媒(多重鎖触媒)を含む。近接は、8オングストローム(Å)未満、6Å未満、または約5Åの距離を含む。
【0044】
現代の計算技術が、触媒の鎖間の距離を推定する方法として、既知の実験的構造を高精度で再現できることがよく知られている。式(I)によるジエン構造は、Xが-C(R)-、-Si(R)-、または-Ge(R)-であり、各Rは、独立して、水素またはヒドロカルビル基であり、ジエンのサイズを推定することを可能にする。式(I)によるジエンの端から端までの距離は、Xが、-Ge(R)-であり、ジエンは約7.5 Åである。したがって、多鎖の重合部位は、8Å以内である可能性があり、バイメタル触媒の場合、2つの金属が、8Å以内である可能性がある。
【0045】
不均一系の場合、金属の表面濃度を推定し得、それは、多くの場合、ナノメートルの2乗当たりの金属原子(M/nm)で測定される。この表面被覆は、均一に分散される場合、ポリマー鎖間距離を反映する、MーM距離に変換され得る、表面上のアクセス可能な金属の推定値を提供する。拡張された表面の場合、1個金属/nmで、金属の原子間の距離10Åにつながる。8Åにおいて、1.5個金属/nmの被覆率が得られ得る。
【0046】
活性部位が近接している、少なくとも2つの活性部位を有する触媒の例には、バイメタル遷移金属触媒、不均一触媒、2つの関連活性触媒を有するジアニオン活性剤、2つ以上の成長ポリマー鎖を有するライゲーションされた遷移金属触媒、モノアニオン基、二座モノアニオン基、三座モノアニオン基、または外部ドナーを有する単座、二座、もしくは三座モノアニオン基を含む第IV族オレフィン重合触媒が含まれるが、これらに限定されない。
【0047】
表1における触媒は、前述の触媒のクラスおよび企図される特定の触媒の例示的な実施形態である。表1における例は、限定されることを意図されるものではなく、むしろ、それらは、前述の触媒のクラスの単なる例示的かつ具体的な例である。
【表1】
【0048】
理論に拘束されることを意図することなく、この項で説明されるように、機構は、ジエンコモノマーを所望の条件下で重合するときに、二重鎖触媒がどのように独特の三官能性架橋分子構造を生成し得るかについて記載する。「ジエン」という用語は、2つのアルケンを有するモノマーまたは分子を指す。機構の図解をスキーム5に示し、このスキームでは触媒中心が、2つのポリオレフィン鎖を生成する。スキーム5は、ジエン架橋と連鎖移動との組み合わせが、ジエンの「ラダー分岐」三官能性ポリマー構造をどのように生成し得るかを示す。ジエンの「ラダー分岐」ポリマーという用語は、長鎖分岐を指し、この長鎖分岐では、短鎖またはラングが2つのポリマー鎖をともに連結する。示されるように、少なくとも2つのポリマー鎖部位を有する金属-配位子触媒は、2つの別個のポリマー鎖を成長させる。ジエンの1つのアルケンは、触媒の部位の1つに組み込まれ、成長部位の近接に起因して、ジエンの第2のアルケンは、次いで、第2のポリマー鎖に迅速に組み込まれ、それによって、ブリッジまたはラングを形成すると考えられる。ジエンのこの連続的な付加は、ジエンの「協調」付加と称され、2つの近位鎖を有さない触媒とは区別され、ここで、ジエンの付加が反応器内の後で反応するビニル含有ポリマーの濃縮をもたらす。「ラング」という用語は、ジエンがひとたび2つの別個のポリマーストランドに組み込まれると、それによって、ストランドを一緒に連結するジエンを指す。第1および第2のポリマーストランドは、ポリマーが別の触媒に移動するか、ポリマーが触媒から放出されるか、触媒が死滅するか、または別のジエンが付加されるまで成長し続ける。
【0049】
以上の実施形態では、本開示のポリマーは、少なくとも50モル%のエチレンを含むエチレン系コポリマーである。本開示では、「エチレン系ポリマー」は、エチレンのホモポリマー、および/またはエチレンと任意選択的にα-オレフィンなどの1種以上のコモノマーとのインターポリマー(コポリマーを含む)を意味し、エチレンから誘導されるモノマー単位を少なくとも50モルパーセント(mol%)含み得る。「少なくとも50モルパーセントから」に包含されるすべての個々の値および部分範囲は、別個の実施形態として本明細書に開示され、例えば、エチレン系ポリマー、エチレンのホモポリマーおよび/またはインターポリマー(コポリマーを含む)、ならびに任意選択的にα-オレフィンなどの1つ以上のコモノマーは、エチレン由来のモノマー単位を少なくとも60モルパーセント、エチレン由来のモノマー単位を少なくとも70モルパーセント、エチレン由来のモノマー単位を少なくとも80モルパーセント、エチレン由来のモノマー単位を50~100モルパーセント、またはエチレン由来のモノマー単位を80~100モルパーセントを含み得る。
【0050】
速度論
数学的モデルは、以前は四官能性の「ラダー分岐」長鎖分岐用に導出されており、各々2019年9月27日に出願された、出願第PCTUS2019/053524号、同第PCTUS2019/053527号、同第PCTUS2019/053529号、および同第PCTUS2019/053537号に記載される。ここでは、モデルは、三官能性「ラダー分岐」長鎖分岐用に導出される。数学的モデルは、特許請求の範囲のメトリクスおよび範囲を確立するためにも使用される。本開示で記載されるような分岐構造の数学的モデルは、提案された分岐機構の速度論記載から導出され得る。このモデルは、数学的簡潔性を促進するためのいくつかの仮定に基づいているが、これらの仮定は、この開示の範囲を限定することを意図したものではない。仮定は、コポリマーの非リビング付加の一般的な工業用途、ならびに仮定されたジエン分岐機構に固有の追加の仮定に従う。作成される一般的な仮定は、(1)成長は、連鎖移動よりもはるかに速く、したがって、平均鎖長は、1つのモノマーよりもはるかに長いこと、(2)単一の純粋な触媒種のみが活性であること、(3)触媒中心は、その寿命の間に多くの鎖を作製し、したがって、鎖の寿命は、反応または滞留時間のごく一部であること、(4)共重合は、組成のドリフトがごくわずかである場合、ホモ重合モデルによって近似され得ること、を含む。
【0051】
ジエンの三官能性「ラダー分岐」理論のための速度論
モデルの導出。システムのモデルを導出する第1の工程は、速度論を記号形式で記述し、対象の分子属性に対する各反応の影響を示すことである。成長中の(リビング)またはデッドポリマー鎖と関連付けられた繰り返し単位の数を示すために指標を使用するのが標準的な方法である。さらに、ホモポリマーの割合定数が有効な複合共重合の割合定数と見なされるとき、付加コポリマーの分子構造は、ホモポリマーの速度論およびモデルによって正確に記載され得ることも認識される(Tobita and Hamielec,Polymer 1991,32(14),2641)。
【0052】
n,mが、2つのポリマー分子を成長させる活性触媒中心である二重部位触媒を用いた単純な付加重合の速度論が以下に記述され、左側の分子は、n個の繰り返し単位を有し、右側の分子は、m個の繰り返し単位を有する。以前の研究では、2つの成長するポリマー分子にわたるジエン架橋からの四官能性分岐の形成が研究されている。以下の速度論では、三官能性(b)分岐または二官能性連結(b)は、2つの成長分子にわたり架橋するジエンから作成されると想定されるジエン架橋を考慮する。環化または単一挿入などのジエン反応は、非生産的であると見なされ、速度論スキームでは無視される。
【0053】
ジエンの三官能性および二官能性ラダー分岐理論の速度論
【表2】
【0054】
速度論は、左および右として識別される、触媒上で成長する2つのポリマー分子の各々について記述される。成長の結果は、左側(Pn+1,m)または右側(Pn,m+1)のどちらであっても、分子サイズにおける1繰り返し単位ずつの増分増加である。連鎖移動反応は、触媒から鎖を切り離し、左側(D)または右側(D)の枯れ(wither)からデッドポリマー分子を生成する。水素化またはベータ水素化物脱離などの追加の単純な連鎖移動タイプの反応は、モデルに複雑さを付加しない。
【0055】
ジエン架橋反応kは、各触媒側のために記述され、各割合は、ジエン(D)上の2つの反応性基のために2の係数を使用する。ジエン架橋反応kは、両方の(2)の側面に一度記述され、ジエン(D)は2つの反応部位を有するため、その割合において4の係数を使用する。したがって、ジエン消費速度論は、分子ベースではなく群方向ベースで定義される割合定数を有する。
【0056】
ポリマー鎖の再開始は、成長に関連して非常に迅速かつ比較的まれにしか発生しないと想定するのが標準的な実践である。瞬間的な再開始を想定することにより、種Pn,0、P0,m、およびP0,0は、ポリマーポピュレーションにおける考慮から本質的に除外される。
【0057】
ポピュレーションバランスおよび割合。速度論スキームは、各反応が分子構造にどのように影響するかを記載する一連のバランス方程式となり得る。これらのバランスの記述では、各反応率を表すために略記法を使用すると便利である。これらの割合群は、以下に定義される。Ω=ktraA+ktrh+kなどの移動項の定義を拡張することによってのみ、速度論的モデルを拡張して、水素(ktrh)およびベータ水素化物脱離(k)などの他の鎖移動反応を含めることができる。
【0058】
定義された速度論割合群:Ω=ktraA Ψ=kD П=kD Φ=k
【0059】
成長するポリマー(Pn,m)分子およびデッドポリマー分子(D)に関する離散ポピュレーションバランスは、上記で定義された速度論群を使用して、n≧1およびm≧1の分子サイズについて以下に記述される。これらのバランスは、分子ポピュレーション対サイズの変化率を定義し、特定の反応器環境またはタイプに適用されるバランスである、追加の対流項を含めるように修正することができる。δ項は、項が、K=0のときのみ含まれることを指定するために、これらの離散バランスで使用される。
【0060】
【数1】
【数2】
式中、
【数3】
【0061】
他の重要なポピュレーションバランスは、左側(L)および右側(R)の成長するポリマー亜種の分布、および畳み込み分布(V)など、上記から導出することができる。速度論スキームを定義する際に課せられる対称性に起因して、成長するポリマー亜種の左側および右側の分布は等しい。
【0062】
【数4】
【数5】
【0063】
総活性触媒濃度としてξ0,0を使用すると、
【0064】
式中、
【数6】
【0065】
使用可能なモデルとする第1の工程は、関連するポリマー亜種の割合(RPn,m,RL,RV)をゼロに設定することにより、成長するポリマー種の分布に「定常状態の仮定」を実装することである。これは、成長する鎖の寿命が対象期間のごく一部であるとき、追加の重合モデリングにおける非常に一般的な仮定である。このタイプのほとんどの非リビング商用重合では、反応器滞留時間が少なくとも数分であるのに対し、鎖の寿命は、通常1秒よりはるかに短い。
【0066】
MWD平均の予測のためのモーメントの方法
ポリマー種の鎖長分布のモーメントを説明するモデルは、多くの場合、速度論スキームから得られるポピュレーションバランスから導出され得る。モーメントベースモデルは、分子量平均および多分散指数を予測するのに有用であるが、一般に、バイモダリティ、ピークMW、およびテーリングなどのMWDにおけるより小さなニュアンスについては説明していない。モーメントの方法は、以下のもののような様々な高分子亜種の鎖長分布モーメントの定義を伴う。バルクポリマーモーメント(λ)は、バルクポリマー特性を反映し、バルクモーメントのモデルの解は、一般に、様々なリビングポリマーモーメントの解を必要とする。
【0067】
リビングポリマーモーメント:
【数7】
【0068】
バルクポリマーMWDモーメント:
【数8】
【0069】
リブ種の変化率がゼロであると仮定されたことを考慮すると、バルクモーメントの変化率は、デッドポリマーのポピュレーションバランスから容易に導出される。
【0070】
【数9】
【0071】
いずれの熟練したポリマー反応エンジニアでも、一連のポピュレーションバランスからモーメントモデルを導出することができると予想される。主要バルクポリマーモーメントの変化率(λ、λ、λ)について、以下に示され、速度論的鎖が長いという、したがって、Φ>>Ω、Φ>>Ψ、Φ>>Пという仮定を課した後に、無視できる項が取り除かれる。
【0072】
【数10】
【0073】
これらのバルクモーメントの変化率の評価は、多数のリビングポリマー亜種モーメントを必要とする。これらのライブポリマーモーメントは、「定常状態の仮定」のために代数的量であり、以下に与えられる。λなどのより高いバルクモーメントが予測される場合、追加のライブモーメントが必要とされる。
【0074】
【数11】
【0075】
モーメント率の評価代数的単純化の後の、瞬時の数および重量の平均鎖長(DP、DP)を以下に示す。当然のことながら、平均分子量(M、M)は、平均鎖長に見かけの単量体繰り返し単位重量(g/モル)を掛けたものに等しい。
【0076】
【数12】
【数13】
【0077】
分岐メトリック
このモデルの表現は、Φ/Ωに等しいジエンフリー平均直鎖状速度論的鎖長DPnoなどのいくつかの置換によってさらに単純化される。また、モデルは、二官能性であるジエン接合部の割合である、Fなど、無次元の瞬間分岐メトリックで表現することにより、さらに単純化することができる。ジエンのレベルを変化させることで、Fはほぼ一定であることを予想するかもしれないが、確かに触媒の選択に応じて変化し、おそらく反応条件に応じて変化するので、メトリックとしてのFの使用は、合理的である。
【数14】
【0078】
分岐の相対レベルを説明するには追加のメトリックが必要であり、2つのオプションが、示される。1つの好ましいオプションは、ジエン接合部対元のポリマー分子の比である、Rを使用することである。Rの利点の1つは、それが単にジエン接合部のスケーリングであり、ジエンに比例して増加すると予想されることである。Rkcの不利点は、元の速度論的鎖の長さまたは濃度が、概して、ゼロジエン分岐レベルを含む一連のデータが測定されたときにのみ直接利用可能であることである。
【数15】
【0079】
メトリックRは、分岐メトリックRkcの代替であり、Rは、ジエン接合部対ポリマー分子の比である。データを分析するためのRの使用は、数平均分子量のGPC測定を通して、鎖長または濃度の可測性によって利用される。しかしながら、二官能性接合部は、ポリマー分子の数に影響を与えるので、Rは、ジエンに単に比例しない。ゼロ二官能性カップリング(F=0)の場合、2つのメトリックRkcおよびRは、同一である。
【数16】
【0080】
平均鎖長および分子量が、多分散性を用いて以下に記載され、ジエンフリー多分散度指数は、速度論の想定される単純性および理想性に起因して、2である。
【0081】
【数17】
【数18】
【数19】
【0082】
、Rkc、Rなどの物理的に重要なパラメータの関数として表されると、上記のモデルからいくつかの単純な結論が成され得る。例えば、モデルは、重量平均鎖長(DP)または分子量(M)は、ジエンを組み込むと最大2倍のみ増加し得ることを示す。任意の二官能性連結は、DPまたはMを低下させると予測され、DPまたはMにおける任意の増加を緩和する。2のゼロジエン多分散度から始めて、高い三官能性分岐レベルにおける多分散度(Z)は、最大で4であり、任意の二官能性連結の発生によって緩和される。
【0083】
図2は、ポリマーの分子量および多分散性に対するジエン接合官能基(F)の効果を実証する。本モデルは、純粋な三官能性ジエン架橋が、分子量および多分散性上の制限された2倍の潜在的影響を有し、および増分効果が、Rkc>3などの高ジエンレベルで減少することを明確に示す。さらに、F=5%または10%の適度な二官能性ジエン接合レベルが予想される場合、実験データは、ジエンレベルとMの間の正の相関さえ証明しない可能性がある。
【0084】
完全なMWD曲線のモデル
ときには、分子量分布曲線のポピュレーションバランスを解くことが可能である。明示的な代数的解は、通常、この場合に仮定されるように、反応速度に空間的または時間的変動がない場合にのみ利用可能である。特に興味深いのは、以前に、バルクMWDのモーメントのためのモデル式を表すために使用された、ポリマーの分布関数Dである。同様に、瞬間的なバルクポリマー鎖長分布、Xは、次のように表すことができる。
【0085】
瞬間的なバルク鎖の長さの分布:
【数20】
【0086】
長い鎖を想定しているため、すべての種の分布(X、D、L、Vなど)を、離散関数ではなく連続関数であるかのように扱うことが可能である。定常状態ポリマー種のポピュレーションバランスは、差分項が導関数に置き換えられたとき、連続変数nの微分方程式によって厳密に近似できる。例えば、Lに関する定常状態のポピュレーションバランスは、以下に示すような導関数によって置き換えられる差項L-Ln-1を含有する。
【数21】
【0087】
同様の置き換えにより、次の一連の常微分方程式(ODE)がもたらされ、これらを統合して、様々な定義済みのリブ亜種の分布L(n)およびV(n)の鎖長分布をもたらすことができる。このモデルは、初期値問題として以下に要約され、ここで、鎖長分布関数は、n=0で開始すると仮定される。分布関数のn=0の下限は、数学的簡潔性のためだけに選択され、最終的には、高分子ポリマーが形成される場合、モデルの予測に有意な影響を及ぼさない。
【0088】
【数22】
【数23】
【0089】
分析解は、連続分布関数L(n)およびV(n)に対して存在し、これらの関数は、連続バルクポリマー鎖長分布(X(n))のための関数を表すために使用することができる。
【0090】
【数24】
【0091】
X(n)に関する解は、やや複雑であるが、次のように容易に表すことができる:
【数25】
【0092】
用語には次の割り当てを有する:
【数26】
【数27】
【数28】
【数29】
【0093】
X(n)関数項に対する代替割り当ては、瞬間平均鎖長および分子量モデルに以前に適用された分岐メトリック(F、Rkc、R)を使用して表され得る。以下のX(n)の用語は、FおよびRkcの関数として記載され、置換Rkc=R/(1-F)を適用することによって、Rを使用するために変換することができる。
【0094】
α=1+Rkc+1/2Fkc
【0095】
【数30】
【数31】
【数32】
【0096】
X(n)の積分は、多分散性だけでなく、数および重量の平均鎖長を表すために使用することができる。
【数33】
式中、
【数34】
【0097】
予想通り、分布方程式X(n)の積分により、平均重合度および平均分子量について以前に表された瞬間モーメントモデルと正確に一致する結果が得られる。X(n)分布モデルは、MWD平均および多分散度の追加または矛盾する予測を提供することはない。しかしながら、この完全な鎖長分布モデルは、MWDにおけるニュアンスがジエンの付加によってどのように影響を受けるかの理解を得るために使用することができる。特に、モデルは、ジエンの取り込みレベルおよび取り込みのモードの関数として、MWDのモダリティ、急勾配、およびテーリングを予測することができる。
【0098】
MWDモデルの限定的な場合
鎖長分布モデルには2つの限定的な場合がある。些細な場合として、F=1、およびポリマーが完全に線形で、最も可能性が高いMWDを有するときに発生する。結果として得られる最も可能性の高いMWDの平均鎖長は、ジエン架橋レベルとともに減少し、これは、F=1であるため完全に二官能性である。
【0099】
より興味深い限定的な場合は、二官能性連結(F=0)がなく、分岐メトリックRkcおよびRが同一であるときである。各ジエン連結は、三官能性分岐点であるため、分岐ポリマーに固有の命名法が使用され得る。
【0100】
=0の場合、B=ポリマー分子当たりの分岐点=Rkc=R
【0101】
=0の場合、B=線形鎖セグメント当たりの分岐点=(1+B)/B
【0102】
この純粋な三官能性分岐鎖長分布は、以下に対BおよびBで示される。
【0103】
=0の場合、
【数35】
【0104】
=0の場合、
【数36】
【0105】
上記の分布関数は、F=0のMWD平均を与えるために統合することができ、これは以下に示される。この三官能性分岐システムの数平均分子量は、分岐反応がシステム内のポリマー分子の数を変化させないため、ジエンの取り込みが増加しても変化しない。
【数37】
【数38】
【数39】
【0106】
多分散度(M/M)と三官能性分岐レベルとの上記の関係は、どの分岐レベルでも不安定性または発散を示さない。最も驚くべきことは、高い分岐レベルでは、多分散度が、4で横ばいになると予測されることである。当然のことながら、この予測は、理想的な共重合および対称触媒系に対するものであり、非理想的なものは、多分散度を高めることが予想される。
【0107】
鎖長分布関数を再び使用して、予測されたMWD曲線を作成し得る。図3は、三官能性分岐のレベル(BまたはB)が変化する一連のシミュレートされたSEC曲線である。図3の独立変数は、プロットが普遍的であり、かつ開始分子量から独立するように、直鎖状分子量または鎖長によってスケーリングされる。図3におけるゼロ分岐の場合は、既知の「最も可能性が高い」MWDであり、理想的な均一条件下で実施される直鎖状付加共重合が予想される。図4は、三官能性ジエン分岐に対する相対ピークMWのプロットであり、MWDピークが、0.2<B<0.9または0.17<B<0.5の概ねの範囲の中間分岐レベルで分岐レベルに最も高感度であることを実証する。
【0108】
従来の分岐モデル
この項の目的は、様々な従来のジエン分岐およびランダムポリマーカップリングを、「ラダー分岐」モデルと比較することである。この比較は、「ラダー分岐」とは対照的に、従来のジエン分岐およびランダムポリマーカップリングに固有の不安定性を実証する。ジエン「ラダー分岐」から得られる分子構造は、(a)従来のジエン連続撹拌槽型反応器(CSTR)分岐モデル、(b)従来のジエンセミバッチ分岐モデル、(c)ポリマーCSTRカップリングモデル、および(d)ポリマーバッチカップリングモデルとは異なる。
【0109】
a)従来のジエンCSTR分岐モデル、Ver Strate-1980(G.Ver Strate,C.Cozewith,W.W.Graessley,J.App.Polym.Sci.1980,25,59)、Guzman-2010(J.D.Guzman,D.J.Arriola,T.Karjala,J.Gaubert,B.W.S.Kolthammer,AIChE 2010,56,1325):
【数40】
【0110】
b)従来のジエンセミバッチ分岐モデル、Cozewith-1979(C.Cozewith,W.W.Graessley,G.Ver Strate,Chem.Eng.Sci.1979,34,245)、およびd)ポリマーバッチカップリングモデル、Cozewith-1979、Flory-1953(P.J.Flory,Principles of Polymer Chemistry,Cornell University Press,1953)、Tobita-1995(H.Tobita,J.Polym.Sci.B 1995,33,1191):
【数41】
【数42】
【0111】
c)ポリマーCSTRカップリングモデル:
【数43】
【0112】
三官能性長鎖分岐ポリオレフィンの特性評価
分岐の程度に応じて、核磁気共鳴(NMR)などの様々な方法が、LCBを判定するか、またはポリマー中のLCBの影響を識別し得る。例えば、LCBの効果は、van Gurp-Palmen分析のせん断流において観察され、また、低い角周波数でのせん断粘度の増加およびせん断減粘挙動の強度は、LCBに起因し得る。伸長流では、LCBの影響は、通常、ひずみ硬化の程度または溶融物の強度、および達成される最大変形において識別される。他のプロット、例えば、Mark-Houwinkプロット、拡大分子量分布(MWD)、およびg’visプロットなどは、LCBに関する追加の情報を提供する。ビニル末端ポリマーの限定された濃度(ポリマー鎖1つ当たり最大1つ)、およびLCBの形成を確保するために高い変換を実行する必要性に起因して、ポリマー内の高レベルの天然LCBを達成することは困難である。高い変換を確保するために、反応器内のエチレン濃度が低く、したがって、大量のビニル末端ポリマーを第2のポリマー鎖に再挿入し得る。
【0113】
三官能性と四官能性長鎖分岐の違いを区別するには、NMR分析が最適である。いくつかのジエンは、三官能性および四官能性の長鎖分岐の診断手段を可能にする。スキーム6における機構は、三官能性および四官能性長鎖分岐の形成における違いを図示する。この場合、分岐の比は、反応器内のエチレン対水素の比によって制御することができる。この特定の実施例では、ジメチルジビニルシランは、シリコン原子上に診断用メチル基を有し、これを使用して、三官能性または四官能性長鎖分岐を判定することができる(スキーム6および図7図9を参照)。四官能性分岐ポリマーのシリコン上の炭素は、三官能性分岐ポリマーのシリコン上の炭素に対して高磁場にシフトされる(図8を参照)。実施例は、三官能性対四官能性長鎖分岐の比の制御が可能であることを示す。
【化8】
【0114】
水素化分解に加えて、β-水素化物脱離などの末端化事象もまた、三官能性長鎖分岐につながる可能性がある。β水素化物脱離が重要な機構である場合、例えば、スキーム7のビニレン基として示されているように、不飽和が存在するはずである。温度効果は、多くの場合、分子内(β-水素化物)対二分子プロセス(エチレンの成長)を制御するために使用され得る。
【化9】
【0115】
ジエンをポリマー合成系に組み込む従来のプロセスは、高分岐レベルでのゲル形成または反応器汚損の根本的な欠陥をこうむる。先の項で考察された速度論的モデリングは、ゲル形成のより良好な理解を可能にする良好な予測結果を提供し得る。例えば、より長いポリマー鎖は、比例してより多くのペンダントビニルを有し、より多くのペンダントビニルを含有するポリマー鎖は、触媒に再挿入されてLCBを形成する可能性が高い。したがって、より大きなポリマー鎖が、優先的に再挿入されて、さらに大きなポリマー分子である四官能性分岐を形成し、LCBレベルが閾値に達する場合、ゲルの問題または不安定結果が生じる。従来の四官能性分岐の関数としての重量平均分子量(M)および数平均分子量(M)のシミュレーションが、一定圧力のセミバッチ反応器内のエチレン系ポリマーのために、図1に示される。図1では、Mは、Mが無限大になると、わずかに増加するだけである。この例では、Mが、1モル当たり200,000グラム(g/モル)を超える数に増加すると、ポリマーの分子量分布(MWD)は不安定になり、ゲル形成が始まる。MWDは、重量平均分子量Mを数平均分子量Mで割って定義される(M/M)。
【0116】
ポリマーゲルは、本開示の目的のために、その高分岐レベルおよび/または高分子量に起因して相分離されたポリマー画分であると狭義に定義される。ポリマーゲルは、溶液中または溶融状態で観察され得、光学的透明度、ならびにフィルムおよび繊維の性能などの特性を妨害する傾向がある。ポリエチレンインターポリマーゲルは、高温キシレンへのポリマーの不溶性度によって測定され得る。ゲル含有量は、多くの場合、GPCポリマーの回収パーセンテージと相関し、したがって、それから推定される。ポリマーゲルが形成される場合、それらは反応器内に堆積し、汚損をもたらし得る。
【0117】
ジエンが重合に付加されたときの高分子量テーリング効果を説明するための手段が、以前に開示されており、各々2019年9月27日に出願された、出願第PCTUS2019/053524号、同第PCTUS2019/053527号、同第PCTUS2019/053529号、および同第PCTUS2019/053537号に記載される。四官能性「ラダーブランチ」ポリマーは、このテーリング効果を示さない。高MWポリマーの量を定量化する、一連のメトリック、すなわちG(79/29)、G(96/08)、AHIGH、およびATAILが以前に開示されている(図5を参照)。「高MWテーリング」または「高分子量テール」という用語は、従来のGPCおよび絶対GPCによって示されるような高分子量画分を指す。触媒とジエンとのペアリングおよび実験条件に応じて、「ラダー分岐」系が何らかの従来の分岐を有し、それによって、上記の形状メトリック値が、純粋な「ラダー分岐」に予想される値よりも高くなることが予想され得る。
【0118】
HIGHまたはATAILによって定義される値は、従来の分岐レベルが増加するにつれて劇的に増加する。しかしながら、「ラダー分岐」モデル(四官能性または三官能性)は、高MW面積メトリック(AHIGHまたはATAIL)が、「ラダー分岐」レベルの影響をほとんど受けないと予測する。最も可能性の高いMWDについてのAHIGHおよびATAILの値はそれぞれ、約0.07および0.015である。例示のMWDデータは、ジエンフリーの直鎖状ポリマーが、重合の非理想的な側面のためにAHIGHおよびATAILのわずかに高い値を有する傾向があることを示している。例示的データは、最も可能性が高いMWDから予想されるものを超える高MWテールが本質的にない、様々な高度に分岐した「ラダー分岐」ポリマーも示す。高MW面積メトリクスは、ある程度の従来の分岐を伴う場合、「ラダー分岐」ポリマーが示し得るわずかなレベルの高MWテール形成の診断にもなる。メトリックATAILは、AHIGHよりも直鎖状MWD非理想による影響を受けにくい。しかしながら、理論的には、AHIGHメトリックおよびATAILメトリックは、高MWテール形成を等しく示す。
【0119】
三官能性長鎖分岐ポリオレフィン
スキーム4に記載されているように、「ラダー分岐」から生成されたポリマーは、本開示に含まれる。
【0120】
いくつかの実施形態では、本開示のポリマーは、炭素原子1000個当たり0.1超の三官能性長鎖分岐レベルを有する。いくつかの実施形態では、本開示のポリマーは、炭素原子1000個当たり0.2超、炭素原子1000個当たり0.3超、炭素原子1000個当たり0.4超、または炭素原子1000個当たり0.5超の三官能性長鎖分岐レベルを有する。
【0121】
実施形態では、本開示のエチレン系ポリマーは、少なくとも10の190℃での溶融粘度比またはレオロジー比(V0.1/V100)を含み、V0.1は、0.1ラジアン/秒の角周波数で190℃でのエチレン系ポリマーの粘度であり、V100は、100ラジアン/秒の角周波数で190℃でのエチレン系ポリマーの粘度である。1つ以上の実施形態では、溶融粘度比は、少なくとも14、少なくとも20、少なくとも25、または少なくとも30である。いくつかの実施形態では、溶融粘度比は、50を超え、少なくとも60、または100を超える。いくつかの実施形態では、溶融粘度比は、14~200である。
【0122】
「レオロジー比」および「溶融粘度比」は、190℃でのV0.1/V100によって定義され、V0.1は、0.1ラジアン/秒の角周波数で190℃でのエチレン系ポリマーの粘度であり、V100は、100ラジアン/秒の角周波数で190℃でのエチレン系ポリマーの粘度である。
【0123】
1つ以上の実施形態では、本開示のエチレン系ポリマーは、0.86未満の平均g’を有し、平均g’は、三重検出器を使用してゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される固有粘度比である。いくつかの実施形態では、本開示のエチレン系ポリマーは、0.55~0.86の平均g’を有する。「0.55~0.86」に含まれるすべての個々の値および分部範囲は、別個の実施形態として本明細書に開示されていて、例えば、エチレン系ポリマーの平均g’は、0.64~0.75、0.58~0.79、または0.65~0.83の範囲であり得る。1つ以上の実施形態では、平均g’は、0.55~0.84、0.59~0.82、または0.66~0.80である。
【0124】
様々な実施形態において、本開示のエチレン系ポリマーの溶融強度は、6cNを超え得る(Rheotens装置、190℃、2.4mm/秒、ダイ出口からホイールの中心まで120mm、38.2秒-1の押出速度、長さ30mm、直径2mm、および入口角度180°のキャピラリーダイ)。いくつかの実施形態では、エチレン系ポリマーの溶融強度は、10cNを超え得る。
【0125】
実施形態では、エチレン系ポリマーは、MWD面積メトリックATAILによって定量化された分子量テールを有し得、ATAILは、0.04以下である。「0.04以下」によって包含されるすべての個々の値および部分範囲は、別個の実施形態として本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態では、本開示のエチレン系ポリマーのATAILは、三重検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される際、0を超え、0.03以下である。
【0126】
1つ以上の実施形態では、本開示のポリマーは、三重検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される際、800,000ダルトン以下の重量平均分子量(M)を有し得る。様々な実施形態では、ポリマーは、三重検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される際、400,000ダルトン以下、200,000ダルトン以下、または150,000ダルトン以下の重量平均分子量(M)を有し得る。
【0127】
1つ以上の実施形態では、本開示のポリマーは、三重検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される際、6以下のM/M(重量平均分子量/数平均分子量)を有し得る。様々な実施形態では、ポリマーは、三重検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される際、5未満、または4未満のM/Mを有し得る。いくつかの実施形態では、長鎖分岐ポリマーのMWDは、1~3であり、他の実施形態は、1.5~2.5のMWDを含む。
【0128】
各Mw0およびMp0は、先に考察されたように、重合中に反応器にジエンを添加しないポリマー樹脂のメトリックである。ジエンの各後続の添加は、メトリックMまたはMが判定され得るポリマー樹脂を生成する。反応器に組み込まれるジエンの量は、反応器内の他の反応物と比較して少ない。したがって、ジエンの添加は、反応器内のコモノマー、エチレン、および溶媒の総量に影響を及ぼさない。
【0129】
様々な実施形態において、エチレン系ポリマーは、0.1~3.0のgpcBR分岐指数を有する。「0.10~3.00」によって包含されるすべての個々の値および部分範囲は、別個の実施形態として本明細書に開示され、例えば、エチレン系ポリマーは、0.10~2.00、0.10~1.00、0.15~0.65、0.20~0.75、または0.10~0.95のgpcBR分岐指数を含み得る。
【0130】
前項に記載される長鎖分岐重合プロセスは、オレフィン、主にエチレンおよびプロピレンの重合に利用される。いくつかの実施形態では、重合スキーム中に単一種類のオレフィンまたはα-オレフィンのみが存在し、本質的に少量の組み込まれたジエンコモノマーンを有するホモポリマーを作成する。しかしながら、追加のα-オレフィンを重合手順に組み込んでもよい。追加のα-オレフィンコモノマーは、典型的には、20個以下の炭素原子を有する。例えば、α-オレフィンコモノマーは、3~10個の炭素原子、または3~8個の炭素原子を有し得る。例示的なα-オレフィンコモノマーとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、4-メチル-l-ペンテン、およびエチリデンノルボルネンが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、1つ以上のα-オレフィンコモノマーは、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から、または代替的に1-ヘキセンおよび1-オクテンからなる群から選択することができる。
【0131】
長鎖分岐ポリマー、例えば、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα-オレフィンなどのコモノマーのホモポリマーおよび/またはインターポリマー(コポリマーを含む)は、少なくとも50重量パーセントのエチレンに由来する単位を含み得る。「少なくとも50重量パーセントから」によって包含されるすべての個々の値および部分範囲は、別個の実施形態として本明細書に開示され、例えば、エチレン系ポリマー、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα-オレフィンなどのコモノマーのホモポリマーおよび/またはインターポリマー(コポリマーを含む)は、少なくとも60重量パーセントのエチレンに由来する単位、少なくとも70重量パーセントのエチレンに由来する単位、少なくとも80重量パーセントのエチレンに由来する単位、または50~100重量パーセントのエチレンに由来する単位、または80~100重量パーセントのエチレンに由来する単位を含み得る。
【0132】
エチレン系ポリマーのいくつかの実施形態では、エチレン系ポリマーは、追加のα-オレフィンを含む。エチレン系ポリマー中の追加のα-オレフィンの量は、50モルパーセント(モル%)以下であり、他の実施形態では、追加のα-オレフィンの量は、少なくとも0.01モル%~25モル%を含み、さらなる実施形態では、追加のα-オレフィンの量は、少なくとも0.1モル%~10モル%を含む。いくつかの実施形態では、追加のα-オレフィンは1-オクテンである。
【0133】
いくつかの実施形態では、長鎖分岐ポリマーは、少なくとも50モルパーセントのエチレンに由来する単位を含み得る。少なくとも90モルパーセントからのすべての個々の値および部分範囲は本明細書に含まれ、別個の実施形態として本明細書に開示される。例えば、エチレン系ポリマーは、エチレン由来の単位を少なくとも93モルパーセント、単位を少なくとも96モルパーセント、エチレン由来の単位を少なくとも97モルパーセント、または代替的に、エチレン由来の単位を90~100モルパーセント、エチレン由来の単位を90~99.5モルパーセント、エチレン由来の単位を97~99.5モルパーセント含み得る。
【0134】
長鎖分岐ポリマーのいくつかの実施形態では、追加のα-オレフィンの量は、50%未満であり、他の実施形態は、少なくとも1モルパーセント(モル%)~20モル%を含み、さらなる実施形態では、追加のα-オレフィンの量は、少なくとも5モル%~10モル%を含む。いくつかの実施形態では、追加のα-オレフィンは1-オクテンである。
【0135】
任意の従来の重合プロセスを用いて、長鎖分岐ポリマーを生成し得る。かかる従来の重合プロセスとしては、1つ以上の従来の反応器、例えばループ反応器、等温反応器、流動床気相反応器、撹拌槽型反応器、バッチ反応器などの並列、直列、またはそれらの任意の組み合わせを使用する、溶液重合プロセス、気相重合プロセス、スラリー相重合プロセス、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0136】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器系、例えば一重ループ反応器系において、溶液重合によって生成され得、ここで、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα-オレフィンは、本明細書に記載の触媒系および任意選択的に1つ以上の助触媒の存在下で重合される。別の実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器系、例えば二重ループ反応器系において、溶液重合によって生成することができ、そこで、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα-オレフィンは、本開示および本明細書に記載の触媒系および任意選択的に1つ以上の他の触媒の存在下で重合される。本明細書に記載の触媒系は、任意選択的に1つ以上の他の触媒と組み合わせて、第1の反応器または第2の反応器において使用することができる。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器系、例えば二重ループ反応器系において、溶液重合によって生成することができ、そこで、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα-オレフィンは、本明細書に記載の触媒系の存在下で両方の反応器において重合される。
【0137】
別の実施形態では、長鎖分岐ポリマーは、一重反応器系、例えば一重ループ反応器系において、溶液重合によって生成され得、ここで、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα-オレフィンは、本開示に記載の触媒系、および前項に記載の任意選択的に1つ以上の助触媒の存在下で重合される。いくつかの実施形態では、長鎖分岐ポリマーを生成するための長鎖分岐重合プロセスは、触媒系の存在下で、エチレンおよび少なくとも1つの追加のα-オレフィンを重合することを含む。
【0138】
長鎖分岐ポリマーは、1つ以上の添加剤をさらに含み得る。かかる添加剤としては、帯電防止剤、色増強剤、染料、潤滑剤、顔料、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、加工助剤、紫外線安定剤、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。エチレン系ポリマーは、任意の量の添加剤を含有し得る。エチレン系ポリマーは、エチレン系ポリマーおよび1つ以上の添加剤の重量に基づいて、そのような添加剤の合計重量で約0~約10パーセント妥協し得る。エチレン系ポリマーは、充填剤をさらに含み得、その充填剤としては、有機または無機充填剤を挙げることができるが、これらに限定されない。長鎖分岐ポリマーは、エチレン系ポリマーおよびすべての添加剤または充填剤の合計重量に基づいて、例えば炭酸カルシウム、タルク、またはMg(OH)などの充填剤を約0~約20重量パーセント含有し得る。エチレン系ポリマーは、1つ以上のポリマーとさらに配合されてブレンドを形成することができる。
【0139】
いくつかの実施形態では、長鎖分岐ポリマーを生成するための長鎖重合プロセスは、2つのポリマー生成部位を有する触媒の存在下で、エチレンおよび少なくとも1つの追加のα-オレフィンを重合することを含み得る。2つのポリマー生成部位を有するそのような触媒系から得られる長鎖分岐ポリマーは、ASTM D792(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に従って、例えば、0.850g/cm~0.960g/cm、0.880g/cm~0.920g/cm、0.880g/cm~0.910g/cm、または0.880g/cm~0.900g/cmの密度を有し得る。
【0140】
別の実施形態では、長鎖重合プロセスから得られる長鎖分岐ポリマーは、5~100のメルトフロー比(I10/I)を有してもよく、ここで、溶融指数Iは、190℃および2.16kgの荷重下で(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)ASTM D1238に従って測定され、溶融指数I10は、190℃および10kgの荷重下でASTM D1238に従って測定される。他の実施形態では、メルトフロー比(I10/I)は、5~50であり、他では、メルトフロー比は、5~25であり、他では、メルトフロー比は、5~9である。
【0141】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(従来のGPC)
クロマトグラフィー系は、内部IR5赤外検出器(IR5)を装備したPolymerChar GPC-IR(Valencia、Spain)高温GPCクロマトグラフ、およびPrecision Detectors(現在は、Agilent Technologies)2角レーザ光散乱(LS)検出器モデル2040に結合された4-キャピラリー粘度計(DV)からなる。すべての絶対光散乱測定に関して、15度角が測定に使用される。オートサンプラーオーブン区画を摂氏160度に設定し、カラム区画を摂氏150度に設定した。使用したカラムは、4つのAgilent「Mixed A」30cm、20ミクロンの直線状混合床カラムであった。使用したクロマトグラフィー溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼンであり、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有していた。溶媒源は、窒素注入された。使用した注入体積は200マイクロリットルであり、流速は1.0ミリリットル/分であった。
【0142】
GPCカラムセットの較正は、580~8,400,000の範囲の分子量を有する少なくとも20の狭い分子量分布のポリスチレン標準を用いて実施し、個々の分子量の間に少なくとも10の間隔を空けて、6つの「カクテル」混合物中に該標準を配置した。標準は、Agilent Technologiesから購入した。1,000,000以上の分子量については50ミリリットルの溶媒中0.025グラムで、また1,000,000未満の分子量については50ミリリットルの溶媒中0.05グラムでポリスチレン標準を調製した。ポリスチレン標準を穏やかに攪拌しながら摂氏80度で30分間溶解させた。ポリスチレン標準ピーク分子量を、式48を使用してポリエチレン分子量に変換した(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載されている)。
ポリエチレン=A×(Mポリスチレン(48)
式中、Mは分子量であり、Aは0.4315の値を有し、Bは1.0に等しい。
【0143】
第三次と第五次との間の多項式を使用して、それぞれのポリエチレン同等較正点にあてはめた。NIST標準NBS1475が、52,000Mwにおいて得られるように、Aをわずかに調整して(約0.415~0.44)カラム分解能およびバンド広がり効果を補正した。
【0144】
GPCカラムセットの合計プレートカウントは、エイコサン(50ミリリットルのTCB中0.04gで調製され、穏やかに撹拌しながら20分間溶解した)を用いて行った。プレートカウント(式49)および対称性(式50)を、以下の式に従って200マイクロリットル注入で測定した。
【数44】
式中、RVはミリリットルでの保持体積であり、ピーク幅はミリリットルであり、ピーク最大値はピークの最大高さであり、1/2高さはピーク最大値の1/2の高さである。
【数45】
式中、RVはミリリットルでの保持体積であり、ピーク幅はミリリットルであり、ピーク最大値はピークの最大位置であり、1/10の高さはピーク最大値の1/10の高さであり、リアピークはピーク最大値よりも後の保持体積でのピークテールを指し、フロントピークはピーク最大値よりも早い保持体積でのピーク前部を指す。クロマトグラフィーシステムのプレート計数は、24,000超となるべきであり、対称性は、0.98~1.22の間となるべきである。
【0145】
試料はPolymerChar「Instrument Control」ソフトウェアを用いて半自動の様式で調製された:2mg/mlを試料の標的重量とし、PolymerChar高温オートサンプラーを介して、予め窒素をスパージしたセプタキャップ付きバイアルに溶媒(200ppmのBHTを含有)を添加した。試料を、「低速」振とうしながら摂氏160度で2時間溶解した。
【0146】
n(GPC)、Mw(GPC)、およびMz(GPC)の計算は、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェア、等間隔の各データ収集ポイント(i)においてベースラインを差し引いたIRクロマトグラム、および式1からの点(i)についての狭い標準較正曲線から得られたポリエチレン当量分子量を使用して、式51~53に従って、PolymerChar GPC-IRクロマトグラフの内部IR5検出器(測定チャネル)を使用して得られたGPC結果に基づいていた。
【数46】
【数47】
【数48】
【0147】
経時的な偏差を監視するために、PolymerChar GPC-IRシステムで制御されたマイクロポンプを介して各試料に流量マーカー(デカン)を導入した。この流量マーカー(FM)は、試料中のそれぞれのデカンピーク(RV(FM試料))を狭い標準較正(RV(FM較正済み))内のデカンピークとRV整合することによって各試料のポンプ流量(流量(見かけ))を直線的に較正するために使用された。こうして、デカンマーカーピークの時間におけるいかなる変化も、流量(流量(有効))における線形シフトに関連すると推測される。流量マーカーピークのRV測定の最高精度を促進するために、最小二乗フィッティングルーチンを使用して、流量マーカー濃度クロマトグラムのピークを二次方程式に適合させる。次に、二次方程式の一次導関数を使用して、真のピーク位置を求める。流量マーカーのピークに基づいてシステムを較正した後、(狭い標準較正に対する)有効流量は式7のように計算される。流量マーカーピークの処理は、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアにより行われた。許容される流量補正は、有効流量が見かけ流量の+/-2%以内であるべきである。
流量(有効)=流量(見かけ)*(RV(FM較正済み)/RV(FM試料))(54)
【0148】
三重検出器GPC(TDGPC)(絶対GPC)
クロマトグラフィーシステム、分析条件、カラムセット、カラム較正および従来の分子量モーメントの計算および分布は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)に記載されている方法に従って実施された。
【0149】
IR5検出器からの粘度計および光散乱検出器オフセットの判定に関して、多重検出器オフセットの判定のための体系的手法は、Balke、Moureyらによって公開されたもの(Mourey and Balke,Chromatography Polym.Chpt 12,(1992))(Balke,Thitiratsakul,Lew,Cheung,Mourey,Chromatography Polym.Chpt 13,(1992))に一致する様式で行われ、それは、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを使用して、広いホモポリマーポリエチレン標準物(M/M>3)からの三重検出器log(MWおよびIV)の結果を、狭い標準較正曲線からの狭い標準カラム較正の結果に最適化する。
【0150】
絶対分子量データは、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを使用して、Zimm(Zimm,B.H.,J.Chem.Phys.,16,1099(1948))、およびKratochvil(Kratochvil,P.,Classical Light Scattering from Polymer Solutions,Elsevier,Oxford,NY(1987))によって公開されたものと一致する様式で得られる。分子量の判定において使用される全体的な注入濃度は、好適な直鎖状ポリエチレンホモポリマー、または既知の重量平均分子量のポリエチレン標準物のうちの1つに由来する、質量検出器面積および質量検出器定数から得られる。(GPCOne(商標)を使用して)計算される分子量は、以下に述べるポリエチレン標準物のうちの1つ以上に由来する、光散乱定数、および0.104の屈折率濃度係数、dn/dcを使用して得られる。一般に、(GPCOne(商標)を使用して判定される)質量検出器応答(IR5)および光散乱定数は、約50,000g/モルを超える分子量を有する直鎖状標準物から判定され得る。粘度計の較正(GPCOne(商標)を使用して判定される)は、製造業者によって記載される方法を使用して、または代替的に、標準参照材料(SRM)1475a(米国国立標準技術研究所(NIST)から入手可能)などの好適な直鎖状標準物の公開された値を使用して、達成され得る。較正標準に関する特定の粘度面積(DV)および注入された質量を、その固有粘度に関連付ける(GPCOne(商標)を使用して得られる)粘度計定数を計算する。クロマトグラフィー濃度は、第2のウイルス係数効果(分子量に対する濃度効果)への対処を排除するのに十分に低いと仮定される。
【0151】
絶対重量平均分子量(Mw(Abs))は、(GPCOne(商標)を使用して)光散乱(LS)の面積積分クロマトグラム(光散乱定数によって因数分解)を、質量定数および質量検出器(IR5)面積から回収された質量で割って得られる。分子量および固有粘度応答は、信号対雑音が低くなるクロマトグラフィーの端部で線形に外挿される(GPCOne(商標)を使用して)。他のそれぞれのモーメント、Mn(Abs)およびMz(Abs)は、等式55~56に従って次のように計算される。
【数49】
【数50】
【0152】
動的機械的スペクトル(または小角度振動せん断)
複素粘度(η*)、弾性率(G’、G”)、タンジェントデルタ(tan delta)、および位相角(δ)は、190℃で0.1~100rad/sの周波数範囲で動的振動周波数掃引試験によって得られる。ひずみのレベルは、190℃で100rad/sでのひずみ掃引試験によって特定される線形粘弾性領域内に設定される。試験は、TA Instruments製のひずみ制御レオメーターARES-G2で直径25mmのステンレス鋼平行板を使用して行われる。実際の試験の前に、厚さ3.3mmの試料を絞り、次いで、2工程でトリミングする。最初のステップでは、試料を2.5分間溶融し、3mmのギャップまで絞り、トリミングする。さらに190℃で2.5分間浸漬した後、試料を2mmのギャップまで絞り、余分な材料をトリミングする。この方法は、システムが温度平衡を達するのを可能にするために、さらに5分間の遅延を組み込む。試験は、窒素雰囲気下で実施される。
【0153】
三重検出器GPC(TDGPC)によるgpcBR分岐指数
gpcBR分岐指数は、前述の光散乱、粘度、および濃度検出器をまず較正することによって決定された。その後、光散乱、粘度計、および濃度クロマトグラムからベースラインを差し引いた。その後、屈折率クロマトグラムからの検出可能なポリマーの存在を示す光散乱および粘度計クロマトグラムにおける低分子量保持体積範囲のすべての積分を確保するために、積分ウィンドウを設定した。その後、直鎖状ポリエチレン標準物を使用して、ポリエチレンおよびポリスチレンのマルク-ホウインク定数を確立した。定数を得ると、2つの値を使用して、式(57)および(58)に示すように、溶出体積の関数としてのポリエチレン分子量およびポリエチレン固有粘度についての2つの線形基準従来較正を構築した。
【数51】
【数52】
【0154】
gpcBR分岐指数は、Yau,Wallace W.,“Examples of Using 3D-GPC-TREF for Poly-olefin Characterization,”Macromol.Symp.,2007,257,29-45に記載のように、長鎖分岐を特性評価するための堅固な方法である。この指数は、ポリマー検出器面積全体に有利な、g’値の決定および分岐頻度計算において従来使用されている「スライスごとの」TDGPC計算を回避する。TDGPCデータから、ピーク面積法を使用して、光散乱(LS)検出器によって試料バルク絶対重量平均分子量(M、絶対)を得ることができる。この方法は、伝統的なg’決定で必要とされる光散乱検出器シグナルの濃度検出器シグナルに対する「スライスごとの」比を回避する。TDGPCを用いて、式(59)を用いて独立して試料固有粘度も得た。この場合の面積計算は、全体的な試料面積として、検出器ノイズおよびTDGPC設定によってベースラインおよび積分限界に対して引き起こされる変動にあまり高感度ではないため、より高い精度を提供する。さらに重要なことに、ピーク面積計算は、検出器体積オフセットの影響を受けなかった。同様に、高精度の試料固有粘度(IV)を、式(59)における面積法によって得た。
【数53】
【0155】
式(59)中、DPiは、オンライン粘度計から直接監視される差圧信号を表す。gpcBR分岐指数を決定するために、試料ポリマーの光散乱溶出面積を使用して、試料の分子量を決定した。試料ポリマーの粘度検出器溶出面積を使用して、試料の固有粘度(IVまたは[η])を決定した。最初に、溶出体積の関数としての分子量および固有粘度の両方について、従来の較正(「cc」)を使用して、SRM1475aまたは等価物などの直鎖状ポリエチレン標準試料の分子量および固有粘度を決定した。
【数54】

式(61)を用いてgpcBR分岐指数を決定した。
【数55】

式中、[η]は、測定された固有粘度であり、[η]ccは、従来の較正(または従来のGPC)からの固有粘度であり、Mwは、測定された重量平均分子量であり、Mw,ccは、従来の較正の重量平均分子量である。光散乱(LS)による重量平均分子量は、通常、「絶対重量平均分子量」または「M(絶対値)」と呼ばれる。従来のGPC分子量較正曲線(「従来の較正」)を使用することによるMw,ccは、「ポリマー鎖骨格分子量」、「従来の重量平均分子量」、および「M(従来)」と呼ばれることが多い。
【0156】
「ccまたは従来」の下付き文字を有するすべての統計値は、それらそれぞれの溶出体積、前述の対応する従来の較正、および濃度(Ci)を使用して決定される。下付き文字のない値は、質量検出器、LALLS、および粘度計面積に基づく測定値である。KPEの値は、線形基準試料がゼロのgpcBR測定値を有するまで反復して調整される。例えば、この特定の場合において、gpcBRを決定するためのαおよびログKの最終値は、ポリエチレンではそれぞれ0.725および-3.355、ポリスチレンではそれぞれ0.722および-3.993である。考察された手順を使用して、ひとたびKおよびα値が判定されると。
【0157】
以前は、分岐試料を使用して、手順を繰り返していた。最良の「cc」較正値として最終的なマルク-ホウインク定数を使用して、分岐試料を分析した。
【0158】
gpcBRの解釈は、単純である。直鎖状ポリマーの場合、LSおよび粘度計によって測定される値が従来の較正標準に近いため、gpcBRはゼロに近くなる。分岐ポリマーの場合、測定されるポリマー分子量が計算されるMw,ccよりも高く、また計算されるIVccが測定されるポリマーIVよりも高いため、特に高レベルの長鎖分岐では、gpcBRがゼロよりも大きくなる。実際に、gpcBR値は、ポリマー分岐の結果としての分子サイズ収縮効果による分数IV変化率を表す。0.5または2.0のgpcBR値は、等価重量の直鎖状ポリマー分子に対する、それぞれ50%および200%のレベルでのIVの分子サイズ収縮効果を意味する。これらの特定の例では、伝統的な「g’指数」および分岐頻度計算と比較して、gpcBRを使用する利点は、gpcBRのより高い精度によるものである。gpcBR指数決定に使用されるすべてのパラメータは、良好な精度で得られ、濃度検出器からの高分子量での低TDGPC検出器応答による悪影響を受けない。検出器体積の整列の誤差も、gpcBR指数決定の精度には影響しない。
【0159】
NMR分析
サンプル調製生のポリマー試料は、不飽和および分岐のNMR測定の前に除去されなければならない溶媒および触媒の残留物を含有した。ポリマーを、最初に120~125℃でテトラクロロエタン(TCE)中に溶解し、次いで3-プロパノール(IPA)を使用して沈殿させ、室温まで冷却した。ポリマーを、遠心分離によって単離した。ポリマーを洗浄するこのプロセスを、少なくとも3回繰り返した。次いで、得られたポリマーを、50℃の真空オーブンで乾燥させた。
【0160】
洗浄および乾燥したポリマー約70mgを、2.8mlのTCEとともに10mmNMRチューブに配置した。試料を通してハウス窒素を15分間バブリングすることにより、試料をパージした。次いで、パージされた試料を、125℃のアルミニウム加熱ブロック内に配置した。
【0161】
分岐分析のために、試料の単一パルス13C NMRスペクトルを、10mm 13C/1H DUL CryoProbeを装備した600MHz Bruker Avance III HD分光計を使用して、120℃で取得して、90パルスおよび10秒の総緩和遅延(AQ+D1)で1400~5000スキャンを収集した。
【0162】
ジエンとしてジメチルジビニルシランを使用して作製されたポリマーにおける四官能性および三官能性長鎖分岐の定量化のために、試料の単一パルス13C NMRスペクトルを、10mm 13C/1H DUL CryoProbeを装備した600 MHz Bruker Avance III HD分光計を使用して、120℃で取得して、90パルスおよび12秒の総緩和遅延(AQ+D1)で960~5000スキャンを収集した。代替的に、QA-RINEPTスペクトル(J.Hou,Y.He,X.Qiu,Macromolecules,2017,50,2407-2414)を、7秒、緩和遅延を使用して取得した。パラメータQA-RINEPTを、QA-RINEPTに関するメチル対総炭素比、および単一のパルスデータに一致するように選択した。
【0163】
データ処理および割り当ての方法。すべてのNMRデータを、プロトンスペクトルに対して0.5HZの線幅を用い、炭素スペクトルに対して3Hzの線幅を用いるMnovaを使用して処理した。プロトンデータは、5.99ppmにおけるTCE溶媒共鳴を基準とした。炭素スペクトルは、29.99ppmのポリマーの主CHを基準とした。
【0164】
三官能性LCB(-3.36ppm)および四官能性LCBシリルメチル(-4.06ppm)に対する仮想割り当ては、ACD CNMR予測子を使用して取得し、観察された共鳴と密接に一致していることが見出された。これらの割り当てを、分岐メチン共鳴(24.9ppmにおいて四官能性、25.7ppmにおいて三官能性)とY分岐シリコンへのCH炭素アルファに対する共鳴(~15.3ppm)との間の定量的関係を使用して確認した。
【0165】
バッチ反応器重合手順
バッチ反応器の重合反応は、2LのParr(商標)バッチ反応器内で行われる。反応器は、電気加熱マントルによって加熱し、冷却水を含有する内部蛇管冷却コイルによって冷却した。反応器および加熱/冷却システムの両方は、Camile(商標)TGプロセスコンピュータによって制御および監視される。反応器の底部には、反応器の内容物をステンレス鋼のダンプポットに移すダンプ弁が取り付けられている。ダンプポットには、触媒失活溶液(典型的には、5mLのIrgafos/Irganox/トルエン混合液)が事前に充填されている。ポットおよびタンクの両方を窒素でパージして、ダンプポットを30ガロンのブローダウンタンクに通気する。重合または触媒補給のために使用したすべての溶媒を溶媒精製カラムに通過させて、重合に影響を及ぼし得る一切の不純物を除去する。1-オクテンおよびIsoparEを、A2アルミナを含有する第1のカラム、Q5を含有する第2のカラムの2つのカラムに通す。エチレンを、A204アルミナおよび4
【数56】
モレキュラーシーブを含有する第1のカラム、Q5反応物質を含有する第2のカラムの2つのカラムに通す。移送に使用されるNを、A204アルミナ、4
【数57】
モレキュラーシーブ、およびQ5を含有する単一のカラムに通す。
【0166】
反応器は、反応器の負荷に応じて、IsoparE溶媒、および/または1-オクテンを含有し得るショットタンクからまず装填する。ショットタンクは、ショットタンクに取り付けたラボスケールを使用して負荷設定点まで充填する。液体供給物を添加した後、反応器を重合温度設定点に加熱する。エチレンが使用される場合、反応圧力設定点を維持するための反応温度で、エチレンが反応器に添加される。添加されるエチレンの量を、マイクロモーション流量計で監視する。いくつかの実験では、150℃での標準条件は、585gのIsoparE中の13gのエチレン、15gの1-オクテン、および240psiの水素であり、150℃での標準条件は、555gのIsoparE中の15gのエチレン、45gの1-オクテン、および200psiの水素である。
【0167】
プロ触媒および活性剤を適量の精製したトルエンと混合して、所望のモル濃度の溶液を得る。プロ触媒および活性化剤は、不活性グローブボックス内で処理され、シリンジ内に引き込まれ、触媒ショットタンク内に加圧移送される。シリンジを5mLのトルエンで3回すすぐ。触媒が添加された直後に、実行タイマーが始まる。エチレンを使用する場合は、それは、反応器内の反応圧力設定点を維持するためにカミールによって添加される。重合反応を10分間実行し、次いで、撹拌機を停止し、下部のダンプ弁を開放して、反応器の内容物をダンプポットに移す。ダンプポットの内容物をトレイ中に注ぎ、ラボフード内に置き、そこで、溶媒を一晩蒸発させる。残存するポリマーを含有するトレイは、真空オーブンに移送され、真空下で140℃まで加熱されて、いずれの残存する溶媒も除去する。トレイが周囲温度に冷却された後、効率を測定するためにポリマーの収量が測定され、ポリマー試験に供された。
【0168】
バッチ反応器からの実施例
【化10】
【0169】
バッチ反応器の実施例1
表2では、比較直鎖状ポリマー試料(1.C)のポリマー特性を、バッチ反応器からの分岐ポリマーと比較した。重合反応は、150℃の温度、585gのISOPAR-E(商標)、15gのオクテン、および240psiの水素圧(ΔH)で発生した。14gのエチレンを充填し、圧力を0.3マイクロモルの触媒1、0.36マイクロモルの共触媒A(メチルジ(テトラデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)、および10マイクロモルのMMAO-3Aの存在下で保った。表に示されるように、ジエンジメチルジビニルシランを付加した。
【表3】
【表4】
【0170】
表2は、比較例、1.C、および他のジエン例、1.1~1.7、に関するデータを収集する。NMRデータは、三官能性および四官能性の両方のLCB、およびジエンの増加に伴うLCBのレベルの増加を実証する。
【0171】
図6は、異なる量のジエンを用いた実施例の従来の分子量分布を図示する。
【0172】
バッチ反応器の実施例2
表3では、比較直鎖状ポリマー試料(2.C)のポリマー特性を、バッチ反応器からの分岐ポリマーと比較した。重合反応は、150℃の温度、585gのISOPAR-E(商標)、15gのオクテン、および240psiの水素圧(ΔH)で発生した。15gのエチレンを充填し、圧力を0.3マイクロモルの触媒1、0.36マイクロモルの共触媒A(メチルジ(テトラデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)、および10マイクロモルのMMAO-3Aの存在下で保った。表に示されるように、ジエンジメチルジビニルシランを付加した。
【表5】
【表6】
【0173】
表3は、比較例2.C、およびジエン例2.1に関するデータを収集する。NMRデータは、1.4:1(三:四LCB)の比において三官能性(0.15LCB/1000C)および四官能性(0.10LCB/1000C)の両方を実証する。
【0174】
分岐した実施例2.1の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表3に記録した。0.1ラジアン/秒における粘度は、609,361Pa sであると判定され、100ラジアン/秒における粘度は、2,453Pa sであると測定され、248.4のレオロジー比(V0.1/V100)を提供した。
【0175】
バッチ反応器の実施例3
表4では、比較直鎖状ポリマー試料(3.C)のポリマー特性を、バッチ反応器からの分岐ポリマーと比較した。重合反応は、140℃の温度、585gのISOPAR-E(商標)、15gのオクテン、および240psiの水素圧(ΔH)で発生した。10gのエチレンを充填し、圧力を0.3マイクロモルの触媒1、0.36マイクロモルの共触媒A(メチルジ(テトラデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)、および10マイクロモルのMMAO-3Aの存在下で保った。表に示されるように、ジエンジメチルジビニルシランを付加した。
【表7】
【表8】
【0176】
表4は、比較例3.C、およびジエン例1.1に関するデータを収集する。NMRデータは、1.8:1(三:四LCB)の比において三官能性(0.23LCB/1000C)および四官能性(0.13LCB/1000C)の両方を実証する。
【0177】
分岐した実施例3.1の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表4に記録した。0.1ラジアン/秒における粘度は、515,022Pa sであると判定され、100ラジアン/秒における粘度は、2,140Pa sであると測定され、240.6のレオロジー比(V0.1/V100)を提供した。
【0178】
バッチ反応器の実施例4
表5では、比較直鎖状ポリマー試料(4.C)のポリマー特性を、バッチ反応器からの分岐ポリマーと比較した。重合反応は、150℃の温度、585gのISOPAR-E(商標)、15gのオクテン、および160psiの水素圧(ΔH)で発生した。15gのエチレンを充填し、圧力を0.4マイクロモルの触媒1、0.48マイクロモルの共触媒A(メチルジ(テトラデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)、および10マイクロモルのMMAO-3Aの存在下で保った。表に示されるように、ジエンジメチルジビニルシランを付加した。
【表9】
【表10】
【0179】
表5は、比較例4.C、およびジエン例4.1に関するデータを収集する。NMRデータは、1.03:1(三:四LCB)の比において三官能性(0.31LCB/1000C)および四官能性(0.30LCB/1000C)の両方を実証する。
【0180】
分岐した実施例4.1の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表5に記録した。0.1ラジアン/秒における粘度は、867,379Pa sであると判定され、100ラジアン/秒における粘度は、2,818Pa sであると測定され、307.8のレオロジー比(V0.1/V100)を提供した。
【0181】
バッチ反応器の実施例5
表6では、比較直鎖状ポリマー試料(5.C)のポリマー特性を、バッチ反応器からの分岐ポリマーと比較した。重合反応は、160℃の温度、585gのISOPAR-E(商標)、15gのオクテン、および80psiの水素圧(ΔH)で発生した。15gのエチレンを充填し、圧力を0.4マイクロモルの触媒1、0.48マイクロモルの共触媒A(メチルジ(テトラデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)、および10マイクロモルのMMAO-3Aの存在下で保った。表に示されるように、ジエンジメチルジビニルシランを付加した。
【表11】
【表12】
【0182】
表6は、比較例5.C、およびジエン例5.1に関するデータを収集する。NMRデータは、0.8:1(三:四LCB)の比において三官能性(0.25LCB/1000C)および四官能性(0.30LCB/1000C)の両方を実証する。
【0183】
分岐した実施例5.1の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表6に記録した。0.1ラジアン/秒における粘度は、813,746Pa sであると判定され、100ラジアン/秒における粘度は、2,742Pa sであると測定され、296.7のレオロジー比(V0.1/V100)を提供した。
【0184】
バッチ反応器の実施例6
表7では、実施例6.1に関する重合反応は、150℃の温度、585gのISOPAR-E(商標)、15gのオクテン、および240psiの水素圧(ΔH)で発生した。13gのエチレンを充填し、圧力を0.3マイクロモルの触媒1、0.36マイクロモルの共触媒A(メチルジ(テトラデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)、および10マイクロモルのMMAO-3Aの存在下で保った。表に示されるように、ジエンジメチルジビニルシランを付加した。表7では、実施例6.2に関する重合反応は、160℃の温度、600gのISOPAR-E(商標)、オクテン無し、および240psiの水素圧(ΔH)で発生した。13gのエチレンを充填し、圧力を0.4マイクロモルの触媒1、0.48マイクロモルの共触媒A(メチルジ(テトラデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボ0レート)、および10マイクロモルのMMAO-3Aの存在下で保った。表に示されるように、ジエンジメチルジビニルシランを付加した。表7では、実施例6.3に関する重合反応は、160℃の温度、600gのISOPAR-E(商標)、オクテン無し、および240psiの水素圧(ΔH)で発生した。13gのエチレンを充填し、圧力を0.4マイクロモルの触媒2、0.48マイクロモルの共触媒A(メチルジ(テトラデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)、および10マイクロモルのMMAO-3Aの存在下で保った。表に示されるように、ジエンジメチルジビニルシランを付加した。
【表13】
【表14】
【0185】
表7は、ジエンの実施例、6.1、6.2、および6.3のデータを収集する。実施例6.2および6.3は、異なる触媒が、異なる量の三官能性LCBおよび異なる比の三官能性LCB:四官能性LCBを形成することができることを示す。同じ条件下の実施例に関して、触媒1(実施例6.2)および触媒2(実施例6.3)は、0.26LCB/1000Cおよび0.07LCB/1000Cの三官能性LCBレベル、およびそれぞれ2.2:1および0.4:1の三官能性:四官能性LCBの比を有した。三官能性LCBの量、および三官能性:四官能性LCBの比は、触媒に大きく依存する。
【0186】
実施例6.1および実施例6.2は、実施例6.1は、オクテンを含有し、一方で実施例6.2は、オクテンを含有しないという重要な違いがある状態で、同等の条件下で重合が実行されることを示す。三官能性LCBの量、および三官能性:四官能性LCBの比は、2つの実行で非常に類似する。
【0187】
実施例6.1の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表7に記録した。0.1ラジアン/秒における粘度は、306,441Pa sであると判定され、100ラジアン/秒における粘度は、1,754Pa sであると測定され、174.7のレオロジー比(V0.1/V100)を提供した。
【0188】
バッチ反応器の実施例7
表8では、比較直鎖状ポリマー試料(7.C)のポリマー特性を、バッチ反応器からの分岐ポリマーと比較した。重合反応は、160℃の温度、580gのISOPAR-E(商標)、20gのオクテン、および水素無しで発生した。11gのエチレンを充填し、圧力を0.7マイクロモルの触媒1、0.84マイクロモルの共触媒A(メチルジ(テトラデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)、および10マイクロモルのMMAO-3Aの存在下で保った。表に示されるように、ジエンジメチルジビニルシランを付加した。
【表15】
【表16】
【0189】
表8は、比較例7.C、およびジエン例7.1に関するデータを収集する。NMRデータは、水素が存在しない状態のこの実施例において、三官能性がないことを実証した。四官能性LCBは、存在し(0.14LCB/1000C)、三官能性:四官能性の比は、ゼロである。
【0190】
実施例7.1の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表8に記録した。0.1ラジアン/秒における粘度は、475,848Pa sであると判定され、100ラジアン/秒における粘度は、1,982Pa sであると測定され、240.1のレオロジー比(V0.1/V100)を提供した。
【0191】
バッチ反応器の実施例8
表9では、比較直鎖状ポリマー試料(8.C)のポリマー特性を、バッチ反応器からの分岐ポリマーと比較した。重合反応は、160℃の温度、580gのISOPAR-E(商標)、20gのオクテン、および28psiの水素圧(ΔH)で発生した。13gのエチレンを充填し、圧力を0.7マイクロモルの触媒1、0.84マイクロモルの共触媒A(メチルジ(テトラデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)、および10マイクロモルのMMAO-3Aの存在下で保った。表に示されるように、ジエンジメチルジビニルシランを付加した。
【表17】
【表18】
【0192】
表9は、比較例8.C、およびジエン例8.1に関するデータを収集する。NMRデータは、0.8:1(三:四LCB)の比において三官能性(0.09LCB/1000C)および四官能性(0.11LCB/1000C)の両方を実証する。
【0193】
実施例8.1の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表9に記録した。0.1ラジアン/秒における粘度は、721,022Pa sであると判定され、100ラジアン/秒における粘度は、2,297Pa sであると測定され、313.8のレオロジー比(V0.1/V100)を提供した。
【0194】
バッチ反応器の実施例9
表10では、比較直鎖状ポリマー試料(9.C)のポリマー特性を、バッチ反応器からの分岐ポリマーと比較した。重合反応は、160℃の温度、580gのISOPAR-E(商標)、20gのオクテン、および46psiの水素圧(ΔH)で発生した。13gのエチレンを充填し、圧力を0.7マイクロモルの触媒1、0.84マイクロモルの共触媒A(メチルジ(テトラデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)、および10マイクロモルのMMAO-3Aの存在下で保った。表に示されるように、ジエンジメチルジビニルシランを付加した。
【表19】
【表20】
【0195】
表10は、比較例9.C、およびジエン例9.1に関するデータを収集する。NMRデータは、0.9:1(三:四LCB)の比において三官能性(0.09LCB/1000C)および四官能性(0.10LCB/1000C)の両方を実証する。
【0196】
実施例9.1の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表10に記録した。0.1ラジアン/秒における粘度は、697,565Pa sであると判定され、100ラジアン/秒における粘度は、2,782Pa sであると測定され、250.7のレオロジー比(V0.1/V100)を提供した。
【0197】
バッチ反応器の実施例10
表11では、比較直鎖状ポリマー試料(10.C)のポリマー特性を、バッチ反応器からの分岐ポリマーと比較した。重合反応は、160℃の温度、575gのISOPAR-E(商標)、25gのオクテン、および83psiの水素圧(ΔH)で発生した。14gのエチレンを充填し、圧力を0.6マイクロモルの触媒1、0.72マイクロモルの共触媒A(メチルジ(テトラデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)、および10マイクロモルのMMAO-3Aの存在下で保った。表に示されるように、ジエンジメチルジビニルシランを付加した。
【表21】
【表22】
【0198】
表11は、比較例10.C、およびジエン例10.1に関するデータを収集する。NMRデータは、0.7:1(三:四LCB)の比において三官能性(0.07LCB/1000C)および四官能性(0.10LCB/1000C)の両方を実証する。
【0199】
実施例10.1の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表11に記録した。0.1ラジアン/秒における粘度は、240,894Pa sであると判定され、100ラジアン/秒における粘度は、1,642Pa sであると測定され、146.7のレオロジー比(V0.1/V100)を提供した。
【0200】
バッチ反応器の実施例11
表12では、比較直鎖状ポリマー試料(11.C)のポリマー特性を、バッチ式反応器からの分岐ポリマーと比較した。重合反応は、150℃の温度、575gのISOPAR-E(商標)、25gのオクテン、および160psiの水素圧(ΔH)で発生した。14gのエチレンを充填し、圧力を0.4マイクロモルの触媒1、0.48マイクロモルの共触媒A(メチルジ(テトラデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)、および10マイクロモルのMMAO-3Aの存在下で保った。表に示されるように、ジエンジメチルジビニルシランを付加した。
【表23】
【表24】
【0201】
表12は、比較例11.C、およびジエン例11.1に関するデータを収集する。NMRデータは、1.5:1(三:四LCB)の比において三官能性(0.09LCB/1000C)および四官能性(0.06LCB/1000C)の両方を実証する。
【0202】
実施例11.1の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表12に記録した。0.1ラジアン/秒における粘度は、203,979Pa sであると判定され、100ラジアン/秒における粘度は、1,523Pa sであると測定され、133.9のレオロジー比(V0.1/V100)を提供した。
【0203】
実施例11.1のポリマーの測定された溶融強度は、32mm/秒の伸長性で18cNであった。
【0204】
バッチ反応器の実施例12
表13では、比較直鎖状ポリマー試料(12.C)のポリマー特性を、バッチ反応器からの分岐ポリマーと比較した。重合反応は、150℃の温度、570gのISOPAR-E(商標)、30gのオクテン、および240psiの水素圧(ΔH)で発生した。20gのエチレンを充填し、圧力を0.3マイクロモルの触媒1、0.36マイクロモルの共触媒A(メチルジ(テトラデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)、および10マイクロモルのMMAO-3Aの存在下で保った。表に示されるように、ジエンジメチルジビニルシランを付加した。
【表25】
【表26】
【0205】
表13は、比較例12.C、およびジエン例12.1に関するデータを収集する。NMRデータは、1.3:1(三:四LCB)の比において三官能性(0.08LCB/1000C)および四官能性(0.06LCB/1000C)の両方を実証する(図7図9参照)。
【0206】
実施例12.Cおよび実施例12.1の従来の絶対分子量は、図10にプロットされる。
【0207】
実施例12.1の伸長粘度フィクスチャ-(EVF)は、図11に示される。
【0208】
実施例12.1のポリマーの測定された溶融強度は、32mm/秒の伸長性で19cNであった(図12参照)。
【0209】
実施例12.1の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表13に記録した。0.1ラジアン/秒における粘度は、395,948Pa sであると判定され、100ラジアン/秒における粘度は、2,075Pa sであると測定され、190.8のレオロジー比(V0.1/V100)を提供した(図13参照)。
【0210】
バッチ反応器の実施例13
表14では、比較直鎖状ポリマー試料(13.C)のポリマー特性を、バッチ反応器からの分岐ポリマーと比較した。重合反応は、150℃の温度、585gのISOPAR-E(商標)、15gのオクテン、および240psiの水素圧(ΔH)で発生した。11gのエチレンを充填し、圧力を0.4マイクロモルの触媒1、0.48マイクロモルの共触媒A(メチルジ(テトラデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)、および10マイクロモルのMMAO-3Aの存在下で保った。表に示されるように、ジエンジメチルジビニルシランを付加した。
【表27】
【表28】
【0211】
表14は、比較例13.C、およびジエン例13.1に関するデータを収集する。NMRデータは、1.7:1(三:四LCB)の比において三官能性(0.12LCB/1000C)および四官能性(0.07LCB/1000C)の両方を実証する。
【0212】
実施例13.1の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表14に記録した。0.1ラジアン/秒における粘度は、53,390Pa sであると判定され、100ラジアン/秒における粘度は、887Pa sであると測定され、60.2のレオロジー比(V0.1/V100)を提供した。
【0213】
実施例13.1のポリマーの測定された溶融強度は、65mm/秒の伸長性で10cNであった。
【0214】
実施例7(表8)~実施例13(表14)は、所与の触媒および同等の条件について、三官能性対四官能性LCBの比の制御が、スキーム6における機構を支持する、反応器内の水素対エチレンの比によって制御することができることを示す。
【0215】
実施例7(表8)~実施例13(表14)は、三官能性対四官能性LCBの比が増加するにつれて、M/Mw0が系統的に減少することを示し、Mは、ジエン分岐試料の重量平均分子量であり、Mw0は、分岐していない比較試料の重量平均分子量である。より高い比の三官能性分岐が含まれる際、Mにおける増加が減少し、本明細書の三官能性速度論モデル、および各々2019年9月27日に出願された、出願第PCTUS2019/053524号、同第PCTUS2019/053527号、同第PCTUS2019/053529号、および同第PCTUS2019/053537号で記載された以前に導出された四官能性モデルを支持する。
【0216】
Guzman-2010は、定常状態のCSTRにおける従来のジエン分岐から得られるMWDおよび物理的特性を実証および分析した。拘束幾何触媒(CGC)を使用して、非常によく混合された1ガロンの反応器系において、エチレン、1-オクテン、および1,9-デカジエンを共重合した。Guzman-2010によって使用された特定のCGC触媒については、米国特許第5,965,756号(構造IX)および米国特許第7,553,917号(実施例3)によって詳細に記載された。Guzman-2010触媒は、触媒中心から単鎖を成長させるように設計された。Guzman-2010のデータは、CSTRを525psigの圧力、155℃の温度でジエン供給濃度の範囲にわたって操作しながら、定常状態で収集された。Guzman-2010によって収集された様々な定常状態のポリマー試料には、測定可能なレベルのゲルまたは不溶性物質は含有されていなかった。しかしながら、最高レベルのジエン供給では、若干の内部反応器汚損が観察され、より高いレベルのジエン供給は、ゲル形成または反応器MWD不安定性をもたらすことが見込まれた。
【0217】
Guzman-2010では、選択された一連のデータを、ジエン供給レベルのスペクトル全体で固定された反応器条件についてまとめた。シリーズ全体にわたって、エチレンおよび1-オクテンの供給濃度を、それぞれ13.8重量%および3.6重量%に設定した。触媒供給速度を、シリーズ全体にわたって79%の一定のエチレン変換を維持するように連続的に調整し、2.2kg/時の固定のポリマー生成速度がもたらされた。コポリマー組成の尺度であるポリマー密度は、約0.922g/ccで一定であった。
【0218】
Guzman-2010のデータにより、IおよびI10によって反映されているように、従来のジエン分岐レベルの変化が平均分子量および多分散性ならびに粘度などの特性にどのように影響を与えるかについて実証された。分子量に対する従来のジエン分岐の影響を、絶対MWD測定技術および従来のMWD測定技術の両方に関して示した。絶対MWD測定は、分岐ポリマーに好ましい方法であるが、常に利用可能であるとは限らない。したがって、Guzman-2010はまた、屈折率検出器を使用する従来の技術によって測定された分子量も含有する。表33における結果は、どちらの測定技術でも、ジエンの供給がゼロから923ppmに増加すると、重量平均分子量(M)が実質的に上昇することを実証する。
【0219】
Guzman-2010では報告されていないが、MWD曲線が見出され、絶対GPC測定技術および従来のGPC測定技術についてそれぞれ、図14Aおよび図14Bにプロットした。図14におけるMWD曲線データは、従来のジエン分岐から得られる予想された高いMテール形成が発生したことを実証する。ジエン分岐の増加に伴うピークMWの有意な動きの欠如もまた、MWD曲線から明らかである。
【0220】
図14Aおよび図14Bの分子量分布データは、より多くのジエンモノマーがCSTRに供給されたときのMWD曲線の位置および形状の進化を説明する単純なメトリックに低減された。データは、Guzman-2010のポリマー試料の絶対MWD測定および従来のMWD測定の両方に対するMWDメトリックを示した。絶対MWD測定データは、1,9-デカジエン供給量が0~923ppmの範囲である際、分子量における最大87%の増加を示した。Mによって示されるような、ピーク分子量変化は、分子量測定のどちらの手段でも大幅に変化することはなく、「ラダー分岐」ポリマーの結果と矛盾する。形状係数は、表34(Guzman-2010)にまとめられ、ジエン供給レベルおよびMが増加するにつれて、G79/29およびATAILの両方に関する値が増加するため、形状係数は「ラダー分岐」ポリマーと一致しない。
【0221】
特許請求の範囲に記載の主題の趣旨および範囲から逸脱することなく、説明した実施形態に様々な修正を加えることができることが当業者には明らかであろう。したがって、本明細書は、そのような修正形態および変形形態が添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内に入る限り、記載された実施形態の修正形態および変形形態を網羅することが意図される。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2021-01-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長鎖分岐ポリマーを合成するプロセスであって、
1つ以上のC-C14アルケンモノマー、少なくとも1つのジエン、任意選択的に溶媒、および多鎖触媒を、任意選択的に水素の存在下でともに接触させることであって、前記多鎖触媒が、バイメタル触媒ではなく、複数の重合部位を含み、前記ジエンが、式(I):
【化1】
による構造を有し、式中、Xが、-C(R)-、-Si(R)-、または-Ge(R)-であり、各Rが、独立してC-C12ヒドロカルビルまたは-Hである、接触させることと、
前記C-C14アルケンモノマーの少なくとも2つのポリマー鎖を生成することであって、各ポリマー鎖が前記重合部位のうちの1つで重合する、生成することと、
前記2つのポリマー鎖を前記ジエンと接続することによって前記長鎖分岐ポリマーを合成することであって、前記2つのポリマー鎖の接続が、重合中に共同様式で実施され、前記長鎖分岐ポリマーが、0.05:1~100:0の、三官能性対四官能性長鎖分岐の比を有する、合成することと、
前記比が、三官能性対四官能性長鎖分岐の目標比から逸脱する場合、前記C-C14アルケンモノマー対水素の供給比を変更することにより、三官能性対四官能性長鎖分岐の前記比を調節することと、を含む、プロセス。
【請求項2】
式(I)中のXが、-C(R)-であり、各Rが、-Hである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
式(I)中のXが、-C(R)-であり、各Rが、C-C12アルキルである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
式(I)中のXが、-Si(R)-であり、各Rが、C-C12アルキルである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記ジエンが、ジメチルジビニルシランである、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記長鎖分岐ポリマーが、少なくとも50モル%のエチレンを含むエチレン系コポリマーである、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記多鎖触媒が、1平方ナノメートル当たり1.5個の金属原子(金属/nm)以上の金属原子の表面濃度を有する不均一触媒である、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記多鎖触媒が、モノアニオン配位子と、チタン、ハフニウム、またはジルコニウムからなる群から選択される、IUPAC第IV族金属と、を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記三官能性長鎖分岐が、炭素原子1000個当たり少なくとも0.05の頻度で発生する、請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記三官能性長鎖分岐が、炭素原子1000個当たり少なくとも0.1の頻度で発生する、請求項1~9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
前記三官能性長鎖分岐が、炭素原子1000個当たり少なくとも0.2の頻度で発生する、請求項1~10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
三官能性対四官能性長鎖分岐の前記比が、0.1:1超である、請求項1~11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
三官能性および四官能性長鎖分岐の前記比を制御することが、Hを増加させて、三官能性長鎖分岐の量を増加させることを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
三官能性および四官能性長鎖分岐の前記比を制御することが、前記エチレン対Hモル比を999:1超に調節して、0.001:1未満の三官能性対四官能性長鎖分岐をもたらすことを含む、請求項1~13に記載のプロセス。
【請求項15】
三官能性および四官能性長鎖分岐の前記比を制御することが、前記エチレン対Hモル比を25:1未満に調節して、0.5:1超の三官能性対四官能性長鎖分岐をもたらすことを含む、請求項1~13に記載のプロセス。
【請求項16】
三官能性および四官能性長鎖分岐の前記比を制御することが、前記エチレン対Hモル比を50:50未満に調節して、1:1超の三官能性対四官能性長鎖分岐をもたらすことを含む、請求項1~13に記載のプロセス。
【請求項17】
前記長鎖分岐ポリマーが、三重検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される際、150,000ダルトン未満の重量平均分子量(M)を有する、請求項1~16のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項18】
前記重合が、溶液重合反応器、スラリー反応器、気相反応器、バッチ反応器、連続反応器、ハイブリッド反応器、非逆混合反応器、逆混合反応器、直列反応器、またはリサイクル反応器において発生する、請求項1~17のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項19】
前記長鎖分岐ポリマーが、三重検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される際、4未満の数平均分子量で除算した前記重量平均分子量(M/M)によって定義される分子量分布(MWD)を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載のプロセス。
【国際調査報告】