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特表2022-529172真空清掃機器における清掃プロセスを制御するための方法、及び真空清掃機器
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  • 特表-真空清掃機器における清掃プロセスを制御するための方法、及び真空清掃機器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-17
(54)【発明の名称】真空清掃機器における清掃プロセスを制御するための方法、及び真空清掃機器
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/20 20060101AFI20220610BHJP
【FI】
A47L9/20 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021561894
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(85)【翻訳文提出日】2021-10-18
(86)【国際出願番号】 EP2020060122
(87)【国際公開番号】W WO2020216628
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】19170577.1
(32)【優先日】2019-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100, 9494 Schaan, LIECHTENSTEIN
(74)【代理人】
【識別番号】100123342
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 承平
(72)【発明者】
【氏名】クサーヴァー ハンズルマイヤー
(72)【発明者】
【氏名】スウェンヤ ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】ライナー シュタール
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク ヴェニング
(57)【要約】
本発明は、真空清掃機器における清掃プロセスを制御するための方法に関し、この真空清掃機器は、定期的に清掃される少なくとも1つのフィルタを備える。本発明の方法は、特に、要求に応じて、圧力差に依存するフィルタ清掃を可能にし、その間に、フィルタの経年劣化及び/又はフィルタの摩耗もまた考慮に入れることができる。本発明はまた、提案された制御方法を実施することができる真空清掃機器に関する。この目的のため、真空清掃機器は、特に、フィルタ清掃ユニットを備え得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空清掃機器における清掃プロセスを制御するための方法であって、前記真空清掃機器が、定期的に清掃される少なくとも1つのフィルタを備え、
前記方法は、
a)圧力範囲を定義する第1の基準値を規定すること、
b)前記フィルタの現在の状態を表す圧力差値を取得すること、
c)前記圧力差値がa)で定義された圧力範囲内にあるかどうかを判定すること、そして
d)前記第1の基準値を保持するか、又は前記第1の基準値をb)で取得された前記圧力差値により置き換えるかのいずれかによって、第2の基準値を規定することであって、前記第2の基準値が、b)で取得された前記圧力差値がa)で定義された前記圧力範囲内にあるかどうかに依存する方法で指定される、こと、
のステップからなる
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第2の基準値が、前記第1の基準値よりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の基準値が、前記第1の基準値よりも小さい、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の基準値が、前記真空清掃機器の前記フィルタの状態、又は清掃品質を表す、ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記圧力差値が、前記フィルタの上流及び下流の前記真空清掃機器の抽出流において検出され得る圧力値間の差を形成することによって取得される、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記真空清掃機器のフィルタ清掃が、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法によって制御される、ことを特徴とする真空清掃機器。
【請求項7】
前記真空清掃機器が、圧力値を取得するためのセンサを備え、前記センサが、前記フィルタの上流及び下流の前記真空清掃機器の抽出流中に配置されている、ことを特徴とする請求項6に記載の真空清掃機器。
【請求項8】
前記真空清掃機器が、前記制御方法の前記方法ステップを開始及び実行するための制御機器を備える、ことを特徴とする請求項6又は7に記載の真空清掃機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空清掃機器における清掃プロセスを制御するための方法に関し、真空清掃機器は、定期的に清掃される少なくとも1つのフィルタを備える。提案された方法は、特に、要求に応じて、圧力差に依存するフィルタ清掃を可能にし、その間に、フィルタの経年劣化及び/又はフィルタの摩耗もまた考慮に入れることができる。本発明の第2の態様は、提案された制御方法により実行することができる真空清掃機器に関する。この真空清掃機器は、特に、フィルタ清掃ユニットを備え得る。
【背景技術】
【0002】
従来技術には、特に、電動工具、例えばドリル又はグラインダの使用に関連して形成されるダストを除去するために建設現場で使用される真空清掃機器を含む。そのような「建設現場の真空清掃機器」は、一般に、上部領域に真空清掃機器ヘッドと、真空清掃機器の下部領域に、収集されたダスト用の収集容器とを備える。本発明によれば、そのような真空清掃機器はまた、好ましくは、工業用真空清掃機器、建設現場の真空清掃機器、又は建設グレード真空清掃機器とも呼ばれる。
【0003】
既知の建設グレード真空清掃機器の場合、ダストは、モータによって駆動されるタービンによって吸い込まれる。特に、タービンは、真空清掃機器に真空を提供することによって抽出流を生成する。好ましい可能性として、タービンはまた、ブロワとして構成され得る。タービン又はブロワは、真空清掃機器の敏感な構成要素であり、特にダストから保護する必要がある。したがって、フィルタ又はフィルタエレメントは、通常、ダストがタービン又はブロワの領域に入る前に、抽出流に残っているいずれかのダストを抽出流からろ過するために、ブロワ又はタービンの上流に配置されている。これらのフィルタ又はフィルタエレメントは、経時的にダストで詰まってしまう場合があり、これにより、それらの機能性が損なわれ得る。
【0004】
従来技術から知られている従来の建設現場の真空清掃機器は、一般に、真空清掃機器のフィルタを定期的に清掃することができるフィルタ清掃ユニットを有する。本発明によれば、そのようなフィルタ清掃は、好ましくは、「フィルタ清掃」と呼ばれる。一般に、真空清掃機器の真空度はフィルタ清掃プロセスにおいて下がり、それによって、ダストの吸い込みを一時的に中断してフィルタを清掃する。いくつかの機器では、逆流を用いてフィルタエレメントをフラッシュする対策が講じられ、それによって存在し得る任意のフィルタケーキを解放する。フィルタ清掃プロセスは、一般に、時間ベースで制御される。例えば、真空清掃機器、又は真空清掃機器の制御ユニットに、フィルタ清掃が自動的に実行される、定期的に繰り返される時間間隔を記憶又は定義することが可能である。そのような時間ベースのフィルタ清掃プロセスでは、清掃サイクルは、一定の時間間隔で実行される。清掃品質は、清掃グレードを使用して説明又は文書化され得る。
【0005】
しかしながら、従来技術から知られているフィルタ清掃方法の不都合な点は、フィルタの摩耗又はフィルタの経年劣化が、フィルタ清掃プロセスの制御又は開始において考慮されないことであり、したがって、高い清掃品質を達成するための重要な要因が、清掃の制御に含まれていない。その結果、清掃が適切な時期に行われない場合、又は清掃が早過ぎて、したがって頻繁に行われ過ぎたり、若しくは頻度が低過ぎて、それゆえ品質の上限を超えた後に清掃が行われたりする、いずれかの場合が起こり得る。過度の清掃により、清掃中に、真空清掃機器内の真空度を低減しなければならない不都合があり、それによってダストの吸引時に短時間の望ましくない中断を引き起こす。実行が遅過ぎたり頻度が低過ぎたりするフィルタの清掃により、フィルタがすでにひどく詰まっている期間を引き起こし得る不都合があり、したがって真空清掃機器の吸引力が損なわれる場合がある。その結果、フィルタ効率が低下し、より多くのダストがタービン又はブロワの領域に入ってしまう可能性がある。これにより、次いで、タービン及び/又はブロワの損傷又は障害につながり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上述の課題を解決し、効率性チェックを用いて、必要に応じたフィルタ清掃によって、真空清掃機器における清掃プロセスを制御するための方法を提供することであり、清掃プロセスの制御と開始は、フィルタの摩耗及び/又はフィルタの経年劣化を考慮しながら行われる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本目的は、独立請求項の発明要旨によって達成される。独立請求項の発明要旨の有利な態様は、従属請求項において見出され得る。
【0008】
本目的は、真空清掃機器における清掃プロセスを制御するための方法によって達成される。真空清掃機器は、定期的に清掃される少なくとも1つのフィルタを備える。
この方法は、
a)圧力範囲を定義する第1の基準値を指定すること、
b)フィルタの現在の状態を表す圧力差値を取得すること、
c)圧力差値がa)で定義された圧力範囲内にあるかどうかを判定すること、そして
d)第1の基準値を保持するか、又は第1の基準値をb)で取得された圧力差値により置き換えるかのいずれかによって、第2の基準値を判定することであって、第2の基準値が、b)で取得された圧力差値がa)で定義された圧力範囲内にあるかどうかに依存する方法で指定される、こと、
のステップからなることを特徴とする方法である。
【0009】
提案された制御方法により、要求に応じた効果的で強力なフィルタ清掃を提供することができ、これにより、効率性チェックを可能にし、驚くべきことに、フィルタの摩耗及び/又はフィルタの経年劣化を考慮に入れることが可能になる。フィルタの摩耗及び/又はフィルタの経年劣化を考慮に入れることは、特に、真空清掃機器で得られた現在の圧力値に応じて保持又は変更することができる、基準値の適応によって可能になる。本発明の1つの特定の利点は、圧力差に依存して、フィルタ清掃が制御される、すなわち開始されることである。これにより、フィルタの摩耗及び/又はフィルタの経年劣化を、フィルタ清掃の制御において考慮に入れることを可能にするので都合がよい。
【0010】
本発明では、第1の基準値が、最初に規定される。この基準値は、好ましくは、フィルタ、又はフィルタを形成するフィルタエレメントの状態を表す。本発明によれば、第1の基準値は、経年劣化及び/又は摩耗に関する、フィルタ又はフィルタエレメントの状態を表すことが特に好ましい。フィルタ又はフィルタエレメントのこの状態は、有利には、フィルタ清掃品質に対応することができ、したがって、好ましくはフィルタ清掃品質に対する情報を、第1の基準値から導出することが可能である。第1の基準値は、真空清掃機器が作動する前又は作動中に得られることが好ましく、したがって、真空清掃機器の吸引モードの開始時におけるフィルタ又はフィルタエレメントの状態を表すことが好ましい。本発明によれば、第1の基準値は、以前に規定された動作時間の後、又は特定の数の清掃サイクルが実行された後に得られることも好ましくあり得、それによって、第1の基準値が、真空清掃機器の短い動作時間後のフィルタ又はフィルタエレメントの状態を優先的に表すことを確実にする。本発明によれば、圧力差値又は流動抵抗値を取得し、且つこの圧力差値又は流動抵抗値を最大圧力差値又は流動抵抗値から差し引くことによって、第1の基準値を規定又はチェックすることが好ましい場合もある。
【0011】
本発明の特に非常に好ましい実施態様では、基準値は、真空清掃機器がオンにされたときに得られ、且つ更なる清掃動作用の目標値として提供される状態を表す。有利にも、要求に応じて、且つフィルタの状態に依存して、前記の方法ステップを使用することにより、この目標値を上下に補正することが可能であり、したがって、特に、フィルタ清掃又はフィルタ清掃品質に対する目標値の適応が、本発明の文脈で行われることを確実にする。
【0012】
本発明では、許容可能なフィルタ清掃は、許容可能なフィルタ清掃を表す最小圧力差値又は流動抵抗値を上回る圧力差値又は流動抵抗値で実行されると想定される。本発明によれば、第1の基準値は、真空清掃機器及びその動作を参照して得られ得る動作パラメータに従って規定され得ることが特に好ましい。本発明の他の実施態様では、第1の基準値もまた、理論値として指定され得る。
【0013】
本発明によれば、提案された方法の開始点として第1の基準値が使用されることが好ましい。第1の基準値は、好ましくは、気流又は抽出体積流の圧力差に対応することができ、圧力差は、好ましくは、フィルタの上流及び下流の気流で測定される。換言すれば、本発明によれば、空気中又は抽出流の圧力が、真空清掃機器の異なる点において得られることが好ましく、第1の測定点は、例えば、気流がフィルタを通過する前の気流内にあり得、第2の測定点は、フィルタの下流の気流内に、又は気流がフィルタを通過した後にあり得る。別の言い方をすれば、本発明によれば、フィルタの上流及び下流の気流において圧力差が得られることが好ましい。フィルタの汚染に応じて、圧力差はより大きく又はより小さくなり、低度の汚染は小さな圧力差に関連し、重度の汚染は大きな圧力差に関連する。
【0014】
小さな圧力差が観察された場合、これはフィルタの汚染又は目詰まりの程度が低いことを示し得、清掃プロセスの品質が良好であることを示している。高い圧力差が観察された場合、フィルタの高度な汚染又は目詰まりが推測され得、清掃性能が制限されて、清掃プロセスの品質が低下していることを示している。
【0015】
本発明によれば、得られた圧力値又は圧力差値を、情報技術によって処理されるように、作成することもできる。特性値、特性変数、又は比較データは、例えば、得られた圧力値又は圧力差値から計算及び/又は導出することができる。本発明の特に非常に好ましい実施態様では、得られた圧力値又は圧力差値を使用して、そこから流動抵抗を計算する。特に、この目的のために、C値を取得することが可能であり、これは、好ましくは、フィルタが空気又は抽出流において有する流動抵抗を表す。得られた圧力値又は圧力差値に基づいて、フィルタの流動抵抗値が特に良好に得られ得ることが見出された。さらに、フィルタのC値は、フィルタの汚染の程度又はフィルタ清掃品質に関して、特に高度の技術情報コンテンツを有する。本発明によれば、真空清掃機器のモータ特性を使用して得られる流動抵抗値が特に好ましい。
【0016】
本発明の第1の基準値の周りに配置される圧力範囲は、例えば、第1の基準値が圧力範囲の中央又は実質的に中央に位置するような方法で規定され得る。圧力範囲の上限又は下限を表す第1の基準値、及びそれぞれの場合に第2の閾値によって限定される圧力範囲が好ましい場合もある。例えば、基準値によって規定される圧力範囲は、定性的に許容可能なフィルタ清掃に対して適切であると見なされる圧力差値又は流動抵抗値を含み得る。この圧力差値又は流動抵抗値は、例えば、圧力範囲の限界を形成し得る。
【0017】
以前に規定された動作時間に従って、又は特定の数の清掃サイクルが実行された後、本発明の文脈では、フィルタの現在の状態を表す圧力差値を得ることができる。この圧力差は、好ましくは、フィルタの上流及び下流の空気又は抽出流の圧力状態間の差であり、これは、特に、フィルタの上流及び下流の抽出流において得られる圧力値を比較することによって得られる。本発明によれば、圧力状態間の差はまた、好ましくは、圧力差と呼ばれる。本発明によれば、元の規定された第1の基準値と、特定の動作時間後、又は特定の回数の清掃プロセスが実行された後に実行されるように得られた圧力差値との間の比較が、非常に特に好ましい。2つの値が、事前定義された閾値と異なる場合、得られた圧力差値は、後続の清掃動作用の比較に使用される。この比較により、本発明は、有利には、経年劣化プロセス又はフィルタの目詰まりを考慮に入れることを可能にする。本発明によれば、得られた圧力差値を第1の基準値と比較することが特に好ましい。したがって、好ましい実施態様では、提案された方法は、以前に得られた圧力差値を第1の基準値と比較する、方法ステップを含む。
【0018】
次いで、圧力差値が以前に定義された圧力範囲内にあるかどうかが判定される。以前に得られた圧力差値が最初に定義された圧力範囲内にあるかどうかに応じて、第2の基準値が規定され、ここで以下のケース間の区別が実行される。得られた圧力差値が以前に定義された圧力範囲内にある場合、第1の基準値は保持される。得られた圧力差値が以前に定義された圧力範囲内にない場合、第1の基準値は現在得られた圧力差値に置き換えられ、それによって第2の基準値が得られる。この第2の基準値は、好ましくは、後続の清掃プロセスの開始点として使用され、したがって第2の基準値は、好ましくは、プロセスが繰り返されるときの「第1の基準値」として使用される。本発明によれば、現在得られている圧力差が第1の基準値に対してどのように振る舞うかに依存して、第2の基準値の規定を作成することもまた好ましい場合がある。本発明によれば、フィルタの上流及び下流の真空清掃機器の抽出流において検出され得る圧力値間の差を形成することによって得られる圧力差値が特に好ましい。
【0019】
本発明によれば、第2の基準値の規定は、好ましくは、フィルタの経年劣化の許容を有利に達成するために実行される基準値の適応に対応する。この適応では、第1の基準値が得られた圧力値により置き換えられ、且つ得られた圧力値が比較的重度の経年劣化したフィルタに対応する場合、後続のフィルタ清掃プロセスを実行又は制御する際に、この比較的重度の経年劣化を考慮することができる。したがって、この実施態様では、提案された真空清掃機器は、もはや元の品質のフィルタ清掃を達成しようとはしないことになる。これまで、自動フィルタ清掃制御システムが、未使用のフィルタから期待される種類のフィルタ清掃品質を常に達成しようとした場合、このことがフィルタ清掃プロセスが過度に頻繁に開始されることにつながり得たため、課題をもたらす可能性があった。提案された制御方法に従ってフィルタの現在の状態に対して達成されるフィルタ清掃品質の適応で動作する真空清掃機器の場合、フィルタ清掃プロセスは、代わりに、現在の要求に従って、並びにフィルタの経年劣化及び/又は摩耗に関するフィルタに従って開始される。それによって、有利にも、単位時間あたりのフィルタ清掃プロセスの数を最適化することが可能であり、その結果、一方では、真空清掃プロセスを過度に頻繁に中断する必要がなく、且つ他方では、真空清掃機器の効率的な吸引性能、及び真空清掃機器内の気流の効率的なフィルタリングが達成される。
【0020】
本発明によれば、第2の基準値は第1の基準値よりも大きいことが好ましい。この方法の他の実施態様では、第2の基準値が第1の基準値よりも小さいことが好ましい場合もある。これは特に、品質で平均を上回る清掃が検出された場合に当てはまる。換言すれば、品質で平均を上回る清掃の場合、再較正によって、新しい第2の基準値を元の第1の基準値よりも下回って設定することも可能である。これは、例えば、実行された清掃動作が、例えば、真空清掃機器が始動されたときよりも、清掃が実行された後のフィルタの汚染度が低い良好な清掃結果をもたらした場合に当てはまる。本発明によれば、この程度に、方法ステップは、一度だけではなく、繰り返し実行されることが好ましい場合がある。
【0021】
本発明は、効率性チェックを用いて、要求に応じた、圧力差に依存するフィルタ清掃を提供し、この効率性チェックは、特に、現在得られている圧力差値を第1の基準値と比較し、続いて、現在の圧力差値が第1の基準値に対してどのように振る舞うかに従って第2の基準値を規定することによって達成される。第2の基準値は、好ましくは、第1の基準値に対応することができ、又は第1の基準値は現在の圧力差値により置き換えることができるため、それによって、新しい又は変更された基準値が得られ、これは好ましくは、第2の基準値と呼ばれる。提案された方法には、好ましくは、経年劣化プロセス又はフィルタの摩耗を考慮に入れるための基準値適応を含む。本発明の好ましい実施態様では、元の、すなわち第1の基準値がアンダーシュートされた場合、基準値を再較正することができる。
【0022】
本発明の第2の態様は、提案された方法によって制御可能な、すなわち制御することができる、真空清掃機器用のフィルタ清掃動作に関する。真空清掃機器は、好ましくは、圧力値を取得するためのセンサを備え、特に、センサは、フィルタの上流及び下流の真空清掃機器の抽出流中に配置される。それにより、差の形成によって、すなわち特に減算を実行することによってそこから圧力差値を形成することができる、少なくとも2つの圧力値を判定することが可能である。さらに、真空清掃機器は、好ましくは、制御方法の方法ステップを開始及び実行するための制御機器を備える。
【0023】
本発明の更なる利点は、以下の図面の説明から明らかになるであろう。図には、本発明の様々な実施例が示されている。図、説明、及び特許請求の範囲は、多数の特徴を組み合わせて含む。当業者はまた、有用な更なる組み合わせを形成するために、適宜、特徴を個別に検討し、それらを組み合わせるであろう。
【0024】
図面において、同一の構成要素及び同一種類の構成要素は、同一の参照符号によって表される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本方法の好ましい実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、真空清掃機器の清掃プロセスを制御するための方法の好ましい構成を示している。図1のフロー図に概略的に示されている方法では、その間にフィルタの経年劣化又はフィルタの摩耗も考慮される、要求に応じた、圧力差に依存するフィルタ清掃を、好ましくは、真空清掃機器のフィルタの状態を表す基準値を、任意のフィルタの経年劣化又は任意のフィルタの摩耗に対して経時的に適応させることができるという事実によって達成された。本発明によれば、好ましくは第1の基準値とも呼ばれる基準値は、好ましくは、提案された制御方法のための制御パラメータとして使用される。それは、真空清掃機器のフィルタの状態に関する情報を提供することができ、したがって、基準値は、好ましくは、フィルタ清掃動作を用いてどのフィルタ清掃品質を試みるべきかを示している。それによって、真空清掃機器の動作時間の過程で、真空清掃機器のフィルタが動作により目詰まりしてしまう場合があるという事実を考慮に入れることが可能であり、その結果、真空清掃機器は、もはや後続の清掃プロセス中に元のフィルタの清掃品質を達成しようとはせず、フィルタの現在の状態に適応したフィルタ清掃品質を達成しようとする。
【0027】
これは、好ましくは、基準値をフィルタの現在の状態に適応させることができるという事実によって達成され、フィルタの現在の状態は、有利には、フィルタの上流及び下流の抽出流において得られる圧力差値によって表される。
図1
【国際調査報告】