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特表2022-529331高齢者ケアおよびセキュリティシステム
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  • 特表-高齢者ケアおよびセキュリティシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-21
(54)【発明の名称】高齢者ケアおよびセキュリティシステム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20220614BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20220614BHJP
   H05B 45/20 20200101ALI20220614BHJP
   H05B 47/13 20200101ALI20220614BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20220614BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20220614BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20220614BHJP
   G08B 23/00 20060101ALI20220614BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20220614BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220614BHJP
【FI】
G08B25/04 K
F21V23/00 115
F21V23/00 110
H05B45/20
H05B47/13
H05B47/19
A61B5/11
G08B21/02
G08B23/00 530A
G08B17/00 C
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560603
(86)(22)【出願日】2020-02-18
(85)【翻訳文提出日】2021-12-03
(86)【国際出願番号】 EP2020054185
(87)【国際公開番号】W WO2020207649
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】19168787.0
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】521444332
【氏名又は名称】ノビ ベーフェー
【氏名又は名称原語表記】Nobi BV
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】デ ハース,ベルト,ヘンドリック
(72)【発明者】
【氏名】ペルグリム,ローランド
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーレプト,スティン
【テーマコード(参考)】
3K014
3K273
4C038
5C086
5C087
5G405
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K273PA09
3K273QA36
3K273SA02
3K273SA04
3K273SA19
3K273SA20
3K273SA38
3K273SA57
3K273SA60
3K273TA04
3K273TA14
3K273TA54
3K273UA22
4C038VA16
4C038VB01
4C038VC01
5C086AA01
5C086AA22
5C086AA26
5C086BA01
5C086BA07
5C086CA06
5C086CA12
5C086CA25
5C086CB07
5C086CB11
5C086CB26
5C086DA15
5C086FA06
5C086FA15
5C087AA16
5C087BB18
5C087BB64
5C087DD03
5C087DD24
5C087DD30
5C087DD37
5C087EE18
5C087FF04
5C087FF19
5C087FF25
5C087GG08
5C087GG59
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
5G405AA01
5G405AA08
5G405AB02
5G405AB03
5G405AC07
5G405AD02
5G405AD05
5G405AD06
5G405AD07
5G405AD09
5G405BA03
5G405BA07
5G405CA05
5G405CA19
5G405CA21
5G405CA23
5G405CA26
(57)【要約】
高齢者のケアおよびセキュリティシステムは、部屋に設置された1または複数のネットワーク化された照明器具(100)を備え、当該照明器具(100)が、A)1または複数のセンサ(101~107)であって、A1)転倒を検出し、A2)煙を検出し、A3)ガラスの破損を検出し、A4)高齢者がベッドに横たわっている間に、部屋に別の人がいることを検出し、A5)警報システムが作動している間に人の存在を検出し、予め設定された時間間隔よりも長い期間、人の不存在を検出するように構成された1または複数のセンサと、B)部屋を適応的に照らすように制御される照明ユニット(110)と、C)高齢者、介護者、親族との通信のために自動的に起動されるように構成された、無線双方向トランシーバ(140、150)、スピーカ(122)およびマイクロフォン(131、132)と、D)高齢者のためのセーフルームのドアを自動的にロック/ロック解除するように構成された電気式ドアロックに接続されたドアロック/ロック解除ユニット(184)と、E)警報を自動的に作動/解除するように構成された警報作動ユニット(185)とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数のネットワーク化された照明器具(100)を含む高齢者ケアおよびセキュリティシステムであって、
前記照明器具(100)が、高齢者の住宅の部屋において、天井または壁の電力(150)を利用可能な場所に取り付けられるように設計されており、前記照明器具(100)が、
A.1または複数のセンサ(101~107)であって、
A1.前記高齢者の転倒を確実に検出し、前記転倒の検出に応じて第1の信号を生成し、
A2.前記部屋における煙を検出し、前記煙の検出に応じて第2の信号を生成し、
A3.前記部屋におけるガラスの破損を検出し、前記ガラスの破損の検出に応じて第3の信号を生成し、
A4.前記高齢者がベッドに横たわっている間に、前記部屋における別の人の存在を検出し、前記別の人の存在の検出に応じて第4の信号を生成し、かつ、
A5.予め設定された時間間隔よりも長い期間にわたり人の存在を検出しなかった後に警報システムが作動している間に、人の存在を検出し、前記警報システムが作動している間に前記人の存在を検出したことに応答して第5の信号を生成するように構成された1または複数のセンサと、
B.前記第1、第2、第3、第4または第5の信号に基づいて、前記部屋を適応的に照明するように制御される照明ユニット(110)と、
C.前記第1、第4または第5の信号に応じて、前記高齢者、前記高齢者の介護者または親族との音声通信のために自動的に起動されるように構成された、無線双方向トランシーバ(140、150)、スピーカ(122)およびマイクロフォン(131、132)と、
D.電気式ドアロックに接続できるドアロック/ロック解除ユニット(184)であって、前記第2の信号に応じてドアのロックを自動的に解除し、前記第3の信号および/または前記第4の信号に応じて前記高齢者のためのセーフルームのドアを自動的にロックするように構成されたドアロック/ロック解除ユニット(184)と、
E.前記警報システムに接続できる警報作動ユニット(185)であって、前記予め設定された時間間隔よりも長い期間にわたり人の存在を検出しなかった後に、前記警報システムを自動的に作動させ、前記第5の信号および前記人の有効な識別に応じて前記警報システムを自動的に停止させるように構成された警報作動ユニットとを備えることを特徴とする高齢者ケアおよびセキュリティシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の高齢者ケアおよびセキュリティシステムにおいて、
前記1または複数のセンサ(101~107)が、
-サーモグラフィセンサ(101)、
-飛行時間型センサ、
-RGBセンサ(102)、
-3DのRGBセンサ、
-煙チャンバ、
-赤外線センサ(103)、
-レーダー、および/または、
-ライダ
のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする高齢者ケアおよびセキュリティシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の高齢者ケアおよびセキュリティシステムにおいて、
-前記1または複数のセンサ(101~107)が接続されるプロセッサ(180)をさらに備え、前記プロセッサ(180)が、前記第1、第2、第3、第4および/または第5の信号に少なくとも基づいてイベントを検出するように構成されるとともに、さらに、前記イベントを考慮して、発せられる光の色を適応させるべく前記照明ユニット(110)を制御するように構成されていることを特徴とする高齢者ケアおよびセキュリティシステム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の高齢者ケアおよびセキュリティシステムにおいて、
前記照明ユニット(110)が、バイオリズミカルな光を生成するように制御されることを特徴とする高齢者ケアおよびセキュリティシステム。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の高齢者ケアおよびセキュリティシステムにおいて、
前記高齢者の行動パターンを学習するように構成されたニューラルネットワーク(186)をさらに備え、前記無線双方向トランシーバ(140、150)が、前記行動パターンから予め設定されたレベルを超えて逸脱する前記高齢者の行動の検出に応じて、前記高齢者の介護者または親族にメッセージを自動的に送信するようにさらに構成されていることを特徴とする高齢者ケアおよびセキュリティシステム。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載の高齢者ケアおよびセキュリティシステムにおいて、
前記照明器具(100)が、1または複数の環境センサ(104~107)をさらに備えることを特徴とする高齢者ケアおよびセキュリティシステム。
【請求項7】
請求項6に記載の高齢者ケアおよびセキュリティシステムにおいて、
前記1または複数の環境センサ(104~107)が、
-湿度センサと、
-CO2センサと、
-VOCセンサ(106)と、
-COセンサ(107)と
を含むことを特徴とする高齢者ケアおよびセキュリティシステム。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の高齢者ケアおよびセキュリティシステムにおいて、
前記照明器具(100)が、1または複数の医療センサをさらに備えることを特徴とする高齢者ケアおよびセキュリティシステム。
【請求項9】
請求項8に記載の高齢者ケアおよびセキュリティシステムにおいて、
前記1または複数の医療センサが、
-心拍数センサと、
-呼吸数センサと
を含むことを特徴とする高齢者ケアおよびセキュリティシステム。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の高齢者ケアおよびセキュリティシステムにおいて、
前記照明器具(100)が、1または複数の外部医療センサへのインターフェースをさらに備えることを特徴とする高齢者ケアおよびセキュリティシステム。
【請求項11】
請求項10に記載の高齢者ケアおよびセキュリティシステムにおいて、
前記1または複数の外部医療センサが、
-体温センサと、
-血圧センサと、
-血中酸素飽和度センサと
を含むことを特徴とする高齢者ケアおよびセキュリティシステム。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか一項に記載の高齢者ケアおよびセキュリティシステムにおいて、
前記照明器具(100)が、RFIDリーダ(170)をさらに備え、このRFIDリーダが、
-前記高齢者が携行するトークンの検出、
-前記高齢者の介護者が携行するトークンの検出、
-材料の検出、および/または、
-デバイスの検出
のうちの少なくとも一つを実行するように構成されていることを特徴とする高齢者ケアおよびセキュリティシステム。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載の高齢者ケアおよびセキュリティシステムにおいて、
前記照明器具(100)が、
-治療、
-水を飲むこと、
-薬を服用すること、および/または、
-前記部屋を換気すること
のうちの少なくとも1つを実行するように前記高齢者を刺激するデバイス(110;122)をさらに備えることを特徴とする高齢者ケアおよびセキュリティシステム。
【請求項14】
請求項1乃至13の何れか一項に記載の高齢者ケアおよびセキュリティシステムにおいて、
前記照明器具(100)が、前記部屋の照明スイッチに無線接続または電力線接続することができる光遠隔制御モジュール(160)をさらに備え、前記光遠隔制御モジュール(160)が、前記照明スイッチからの信号の受信時に、前記照明器具(100)の電源を切ることなく、前記照明ユニット(110)による発光をオフに切り替えるように構成されていることを特徴とする高齢者ケアおよびセキュリティシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、高齢者が居住する個人住宅、サービス付きアパート、介護施設内の部屋などの住宅における高齢者のための高齢者ケアに関する。本発明は、より詳細には、恩着せがましくしたり高齢者のプライバシを侵害したりすることなく、高齢者の安全とセキュリティを向上させることを目的とする。
【背景技術】
【0002】
高齢者は、できるだけ長く自分の家やサービス付きアパートに住み、そのような家やアパートの自律性やプライバシ、また、高齢者が慣れ親しんだ環境、例えば、高齢者が長年住んでいる近所の環境を楽しみたいと考えている。一方、高齢者の介護者や親族、例えば友人や家族は、高齢者が転倒したり、他の医療上の問題が発生したりした場合に、恩着せがましくしたり高齢者のプライバシを侵害したりすることなく、できるだけ早く通知を受けることを望んでいる。また、高齢者やその親族、介護者のもう一つの心配は、高齢者が住んでいる家やアパート、部屋のセキュリティである。煙、火災、ガラスの破損、強盗などの場合に、高齢者が安全でなければならない。
【0003】
高齢者を監視するための様々なソリューションが存在するが、その多くは高齢者の家やアパートに設置されたカメラや、高齢者が身に付けるウェアラブルに基づくものである。高齢者の家やアパート、部屋にあるカメラは、プライバシを侵害していると感じられる。一方、ウェアラブルは、高齢者によって取り外すことができる。特に、認知症の高齢者は、馴染みのないデバイスを外したり、単に身に付けるのを忘れたりする傾向がある。また、高齢者に監視デバイスの常時装着を義務付けることは、恩着せがましく、プライバシを侵害していると感じられる。
【0004】
飛行時間型(TOF)カメラおよび/または赤外線(IR)センサなどの3Dセンサに基づく転倒検知システムが知られている。既知の最高性能の転倒検知システムは、IRベースの3DサーモグラフィセンサとTOF距離センサの組合せに依存しており、「Dual Sensor System and Related data Manipulation Methods and Uses」という名称の米国特許出願US2015/0379851A1に記載されている。しかしながら、IRベースのサーモグラフィセンサとTOFセンサは、高齢者の転倒を検出するためだけに使用されている。
【0005】
「Lamp and Alarm System」という名称の中国実用新案CN207115700Uには、LED、転倒検出器、高齢者の部屋用のBluetoothモジュールを備えた照明器具が記載されている。転倒検出器は、物体までの距離を検知するレーダーセンサを使用し、距離の変化に基づいて高齢者の転倒を検出する。Bluetoothモジュールは、サーバとの通信を確立し、サーバが、3G/4Gネットワークを介して介護者に送信する警報をさらに生成する。
【0006】
CN207115700Uでは、転倒検出技術とランプ機能(LED)との間に相互作用は存在しない。また、落ち着きのない状態など、他の医療上の異常を検出する提案もなく、照明器具はセキュリティ/安全機能を提供しない。
【0007】
「Elderly People Living Alone-Oriented Intelligent Lighting and Alarm System」という名称の中国特許出願CN104048275Aには、温度検知によって高齢者の経路を監視するIRセンサのアレイと、周囲光センサと、検知された経路および検知された周囲光を考慮して高齢者の部屋の照明を制御し、高齢者が転倒したときに警報を作動させるコントローラとを備える、高齢者監視のためのシステムが記載されている。
【0008】
CN104048275Aでは、IRセンサのアレイが高齢者のベッドの前に設置されている。ランプや照明器具には転倒検出技術は組み込まれていない。すなわち、コントローラは部屋の既存の照明に接続され、その結果、設置の複雑さは依然として高いままである。CN104048275Aで知られているシステムは、高齢者のためのセキュリティ/安全性向上機能をさらに欠いている。
【0009】
住宅のセキュリティを強化するために、例えば、煙探知器、人感センサ、赤外線センサおよび/またはドア/窓の接触センサを備えた警報システムなど、様々なソリューションが存在する。
【0010】
「照明及び/又は防災制御装置」という名称の日本の特開2002-100484号公報には、転倒などの異常の検出、不法侵入(強盗)の存在の検出、火災/煙の検出を行う高齢者用の照明器具が記載されている。この照明器具は、センサの出力に応じて光を調節することができ、さらに自動的に通信を確立することができる統合されたスピーカと通信モジュールを備えている。
【0011】
特開2002-100484号公報から知られている照明器具は、ガラスの破損を検出することはなく、不法侵入の場合に高齢者用のセーフルームを作ることができない。また、特開2002-100484号公報には、特定のセンサを使用することは明記されておらず、提案もされていない。
【0012】
「Integrated Safety Guard System of Smart Type」という名称の韓国の特許出願KR101385211B1には、火災センサを含み、人の存在や異常をさらに検出する高齢者向けのセキュリティシステムが記載されている。このシステムは、スピーカ/マイクロフォン、無線トランシーバ、および電力線通信用の電力線への接続を備える。
【0013】
KR101385211B1で知られているセキュリティシステムは、既存の電動デバイスを置き換えるように設計されていないため、設置が複雑である。さらに、KR101385211B1で知られているシステムは、転倒を検知することはなく、不法侵入の場合に高齢者のためのセーフルームを作ることができない。また、高齢者の住宅、アパートまたは部屋の照明を制御して、高齢者にとって安全で安心な環境を自動的に作り出すこともできない。
【0014】
「Device for Sensing Human Body Abnormality by Standing-Wave Radar and Method for Using Same」という名称の米国特許出願US2014/155729A1には、通常のランプの代わりに設置される介護用照明器具が記載されている。この介護用照明器具は、人の位置、心拍数および呼吸数を検出するレーダー技術を備える。警報を生成するために、スピーカと無線トランシーバが設けられている。これにより、転倒を検出して報告することができる。
【0015】
US2014/155729A1の介護用照明器具は、煙、火災、ガラス破損、不審者検出などの場合に、高齢者のセキュリティを高めるものではない。その結果、それらの危険な状況の何れにおいても、高齢者のためのセーフルームは作られない。
【0016】
「Multifunction-Adaptable,Multicomponent Devices」という名称の米国特許出願US2005/0185398A1には、医療/健康モニタリング、無線/有線通信、監視/セキュリティ、煙フィルタリング、空気清浄/浄化などの広範な統合機能を備えた照明器具が記載されている。
【0017】
US2005/0185398A1の照明器具は、転倒を検出することはなく、不法侵入の場合に、人のためのセーフルームを作ることもない。
【0018】
既存のセキュリティ強化システムは、一般的に、設置、構成および保守が複雑である。多くの場合、高齢者を監視するために展開された技術(すなわち、安全システムまたはケアシステム)と、住宅を監視するために展開された技術(すなわち、セキュリティシステム)は、重複している。それらのシステムは、別々の電源配線、別々の信号ネットワーク、別々の設置と保守を必要とし、それによりコストと複雑さが増大し、その結果、それらシステムは高齢者やその親族および介護者に統合的な価値を提供することができない。そのため、高齢者のケア、安全およびセキュリティを向上させるシステムであって、プライバシを侵害せず、設置、構成および保守が複雑ではなく、高齢者やその親族および介護者に統合的な機能を提供するシステムが一般に求められている。
【発明の概要】
【0019】
本発明によれば、請求項1に規定される高齢者ケアおよびセキュリティシステムによって、既存のソリューションの1または複数の欠点が解決されるとともに、上記目的が達成され、当該高齢者ケアおよびセキュリティシステムは、1または複数のネットワーク化された照明器具を含み、照明器具が、高齢者の住宅の部屋において、天井または壁の電力を利用可能な場所に取り付けられるように設計されており、照明器具が、
A.1または複数のセンサであって、
A1.高齢者の転倒を確実に検出し、転倒の検出に応じて第1の信号を生成し、
A2.部屋における煙を検出し、煙の検出に応じて第2の信号を生成し、
A3.部屋におけるガラスの破損を検出し、ガラスの破損の検出に応じて第3の信号を生成し、
A4.高齢者がベッドに横たわっている間に、部屋における別の人の存在を検出し、高齢者がベッドに横たわっている間の別の人の存在の検出に応じて第4の信号を生成し、かつ、
A5.予め設定された時間間隔よりも長い期間にわたり人の存在を検出しなかった後に警報システムが作動している間に、人の存在を検出し、警報システムが作動している間に人の存在を検出したことに応答して第5の信号を生成するように構成された1または複数のセンサと、
B.第1、第2、第3、第4または第5の信号に基づいて、部屋を適応的に照明するように制御される照明ユニットと、
C.第1、第4または第5の信号に応答して、高齢者、高齢者の介護者または親族との音声通信のために自動的に起動されるように構成された無線双方向トランシーバ、スピーカおよびマイクロフォンと、
D.電気式ドアロックに接続できるドアロック/ロック解除ユニットであって、第2の信号に応じてドアのロックを自動的に解除し、第3の信号および/または第4の信号に応じて高齢者のためのセーフルームのドアを自動的にロックするように構成されたドアロック/ロック解除ユニットと、
E.警報システムに接続できる警報作動ユニットであって、予め設定された時間間隔よりも長い期間にわたり人の存在を検出しなかった後に警報システムを自動的に作動させ、第5の信号および人の有効な識別に応じて警報システムを自動的に停止させるように構成された警報作動ユニットとを備える。
【0020】
このため、本発明は、高齢者の住宅に存在することが望まれるプライバシを侵害しない技術を統合して、安全/セキュリティ機能とケア機能の両方を、利用可能な電力のみが必要でありかつ高齢者にとって身近に感じる単一のデバイス:高齢者の住宅に現在設置されているランプや照明器具を置き換えることができるケアおよびセキュリティ照明器具によって提供することにある。本発明に係るケアおよびセキュリティ照明器具は、転倒検知、煙または火災の存在の検知、ガラス破損検知、および設置されている部屋の人の有無の検知を行うことができるセンサを少なくとも備える。好ましくは、複数のケアおよびセキュリティ照明器具が高齢者の住宅の様々な部屋に設置され、照明器具どうしが、無線または利用可能な電源配線を介して互いにネットワーク接続される。ケアおよびセキュリティ照明器具は、少なくとも、転倒の検出、煙/火災の検出、ガラス破損の検出、高齢者がベッドで眠っている間に高齢者の住宅に別の人が存在することの検出、特定の期間存在しないことを検出した後に警報システムが作動している間の人の検出に応じて、様々な信号を生成し、いずれの検出であっても、部屋の照明をそれらの状況に適応させることができる。ケアおよびセキュリティ照明器具は、スピーカ、マイクロフォンおよび無線トランシーバを備え、それらが互いに接続されており、転倒した高齢者が介護者または親族と双方向に通信できるように、転倒を検知するとそれらが自動的に起動するように構成されている。ケアおよびセキュリティ照明器具は、遠隔操作でドアをロック/ロック解除するユニットを備え、火災/煙の場合には、高齢者に安全な照明付きの出口が確保され、高齢者の住宅でガラスの破損、または人間の不法侵入があった場合には、高齢者にロックされたセーフルームが確保されるようになっている。また、高齢者が寝ている間に別の人の侵入を検出した場合には、スピーカを作動させて本人確認を要求するとともに、音声認識とともにマイクロフォンを作動させて、高齢者の住宅に入る人が自分自身を識別できるようにしたり、または秘密のコードを入力して親族または介護者が警報を受けるのを回避したりすることができる。さらに、ケアおよびセキュリティ照明器具は、高齢者が一定期間自宅や部屋を不在にしていることが検出された時点で、高齢者宅の警報監視を自動的に作動するように構成された警報作動ユニットを備えている。後者の場合は、高齢者が警報を作動させずに外出することが想定される。ケアおよびセキュリティ照明器具は、高齢者が不在の間の不法侵入や強盗を防ぐために、警報監視を自動的に作動させるか、高齢者が不在の間に不法侵入や強盗があった場合には少なくとも警報を発生させる。警報システムが作動している間に人を検出すると、高齢者の住宅に入る人が自分自身を識別できるようにしたり、秘密のコードを入力したりすることができるように、マイクロフォンを音声認識とともに作動させることができる。本人確認や秘密のコードが有効であった場合には、ケアおよびセキュリティ照明器具は、警報システムを停止させることができる信号を生成する。ケアおよびセキュリティ照明器具は、利用可能な電力のみを必要とするため、既存のランプや照明器具を本発明に係るケアおよびセキュリティ照明器具に置き換えることで、設置の複雑さが軽減される。電気式ドアロックへの接続は、例えばBluetooth、WiFiなどの無線通信によって実現することができる。既存の電気式ロックとの接続は、ケアおよびセキュリティ照明器具の設置者が現場で設定することができる。代替的には、既存のロックが、ケアおよびセキュリティ照明器具と接続するように構成された新しい電気式ロックと交換される。ケアおよびセキュリティ照明器具は、好ましくは、高齢者にとって馴染みのある照明器具として設計され、高齢者による支持をさらに高めるとともに、デバイスが高齢者にとって恩着せがましいものでも、プライバシを侵害するものでもないという説得力をさらに高めることができる。
【0021】
請求項2で規定される高齢者ケアおよびセキュリティシステムの実施形態では、1または複数のセンサが、
-サーモグラフィセンサ、
-飛行時間型センサ、
-RGBセンサ、
-3DのRGBセンサ、
-煙チャンバ、
-赤外線センサ、
-レーダー、および/または、
-ライダ
のうちの少なくとも1つを含む。
【0022】
本発明に係るケアおよびセキュリティ照明器具は、転倒を検出することができるセンサを少なくとも備える必要がある。様々なタイプのセンサが、単独で、または組合せにより、この目的を果たすことができる。このため、当業者は、本発明が特定のタイプのセンサの使用に限定されないことを理解するであろう。したがって、例示的なセンサの上記リストは、網羅的なものではない。本発明に係るケアおよびセキュリティ照明器具の好ましい実施形態は、サーモグラフィセンサおよび飛行時間型センサ(略してTOFセンサ)および煙チャンバを備える。サーモグラフィセンサおよびTOFセンサは、転倒を確実に検出し、その結果、そのような転倒が検出されたときに、信頼性のある第1の信号を生成するように構成されている。そのような好ましい実施形態に存在する煙チャンバは、ケアおよびセキュリティ照明器具が設置されている部屋において、煙/火災を検出し、煙/火災を警告する信頼性の高い第2の信号を生成するようにさらに構成されている。ガラスの破損は、好ましくは音によって検出される。ガラスが割れると、マイクロフォンで捉えた音に特定の周波数が含まれる。すなわち、この周波数を検出することで、おそらくは音声認識および/または秘密コードの入力で高齢者の安全を確認する機会が高齢者に与えられた後に、高齢者の親族や介護者に自動的に警告するための第3の信号を生成することができる。さらに、サーモグラフィセンサとTOFセンサは、部屋の中または(ネットワーク化された複数の照明器具が設置されている場合は)高齢者の住宅の中の人の動きを検出するように構成されている。これにより、本発明に係るケアおよびセキュリティシステムは、高齢者がベッドで眠っている間に、高齢者の住宅における強盗や人間による不要な侵入を検出して、信頼性の高い第4の信号を生成することができ、この第4の信号は、住宅の1または複数のドアロックを制御して、高齢者のためのセーフルームを作るために、かつ/またはスピーカおよびマイクロフォンを作動させて、部屋に入る人が、本人が発声しなければならないセキュアコードまたは音声認識により自分自身を識別できるようにするために、使用することができる。また、サーモグラフィセンサおよびTOFセンサは、警報システムが作動している間、例えば、特定の時間間隔で不在を検出した後に自動的に作動している間に、人の存在を検出して、第5の信号を生成することもでき、この第5の信号は、スピーカおよびマイクロフォンを自動的に作動させて、人が自分自身を識別したり、秘密コードを入力したりするために、そして、有効な識別または有効な秘密コードの場合には、警報を自動的に停止する(部屋の監視を停止する)ために、使用することができる。
【0023】
請求項3で規定される高齢者ケアおよびセキュリティシステムの実施形態は、
-1または複数のセンサが接続されたプロセッサをさらに備え、プロセッサが、第1、第2、第3、第4および/または第5の信号に少なくとも基づいてイベントを検出するように構成されるとともに、さらに、イベントを考慮して、放出される光の色を適応させるべく照明ユニットを制御するように構成されている。
【0024】
このため、照明器具により発せられる光は、高齢者からの行動を引き起こすイベントを知らせるように適合させることができる。部屋で高いCO2濃度が検出された場合、発せられる光が緑色であり、それにより、窓を開けて部屋を換気することが望ましいことを高齢者に示すことができる。また、高齢者が薬を服用しなければならない場合には、照明器具により発せられる光が青色に変わって、高齢者が薬を服用する時間であることを示すことができる。また、夜間に高齢者がベッドに座っていることが検出された場合には、転倒防止および姿勢を変える補助のために、あまり強くない光、好ましくは赤色成分の多い光を提供するように、照明器具を制御することができる。また、高齢者がベッドから離れる際には、光の強さを徐々に増加させるようにしてもよい。また、転倒、煙/火災、ガラス破損または人間の不法侵入など、他の検出可能なイベントが発生した場合には、光の強さや色を変えて部屋を照明することができる。光の色または強度を変化させる代わりに、または光の色または強度を変化させることと組み合わせて、ケアおよびセキュリティ照明器具は、スピーカおよびマイクを作動させて、音声フィードバックを使用することにより、高齢者に部屋を換気しなければならないことや、薬を服用しなければならないこと等を知らせるようにしてもよい。
【0025】
請求項4で規定されるように、本発明に係る高齢者ケアおよびセキュリティシステムの実施形態では、照明ユニットが、バイオリズミカルな光を生成するように制御される。
【0026】
実際に、ケアおよびセキュリティ照明器具の好ましい実施形態では、利用可能な日光に自動的に適応される強度と、概日リズムに調整されたホワイトバランス(ケルビンで表される)で、高齢者の部屋が照らされる。バイオリズムは、予めプログラムされるか、あるいはケアおよびセキュリティ照明器具で利用可能な光強度センサや周囲光センサを介して感知されるものであってもよい。
【0027】
請求項5で規定されるように、本発明に係る高齢者ケアおよびセキュリティシステムの実施形態は、高齢者の行動パターンを学習するように構成されたニューラルネットワークをさらに備え、無線双方向トランシーバが、行動パターンから予め設定されたレベルを超えて逸脱する高齢者の行動の検出に応じて、高齢者の介護者または親族にメッセージを自動的に送信するようにさらに構成されている。
【0028】
実際に、ケアおよびセキュリティ照明器具の有利な実施形態は、高齢者の行動パターンを学習するニューラルネットワークを備えている。行動パターンは、例えば、高齢者の動き、高齢者の姿勢(例えば、ソファに座っているとき、ベッドに横たわっているとき、立ち上がっているとき、歩いているときなど)、一連の動き、動きの日中のタイミング、動きの速度などを包含することができる。高齢者の行動パターンが学習した行動パターンから予め設定された測定可能な量だけ逸脱する(例えば、立ち上がった姿勢から座った姿勢に移行する速度が学習した平均速度を20%上回る)とすぐに、ケアおよびセキュリティ照明器具の無線トランシーバが作動して、高齢者の親族または介護者に、検出された異常に言及するメッセージを送信する。
【0029】
請求項6で規定されるように、本発明に係る高齢者ケアおよびセキュリティシステムの実施形態では、照明器具が、1または複数の環境センサをさらに備える。
【0030】
このため、ケアおよびセキュリティ照明器具の有利な実施形態は、例えば空気質センサのような追加のセンサを含むことができ、高齢者の部屋の空気質が特定の閾値を下回った場合にスピーカが可聴警報を生成するように、かつ/または、高齢者の部屋の空気質が特定の閾値を下回った場合に照明ユニットが可視警報を生成するように、かつ/または、高齢者の部屋の空気質が特定の閾値を下回った場合に無線トランシーバが高齢者の親族や介護者に警報メッセージを送信するように、ケアおよびセキュリティ照明器具を構成することができる。このようにして、ケアおよびセキュリティ照明器具は、高齢者のプライバシを侵害することなく、高齢者の安全とセキュリティにさらに貢献する。
【0031】
請求項7で規定されるように、本発明に係る高齢者ケアおよびセキュリティシステムの実施形態では、1または複数の環境センサが、
-湿度センサと、
-CO2センサと、
-VOCセンサと、
-COセンサと
を含む。
【0032】
実際、湿度センサの出力は、湿度が特定の閾値を超えて高齢者が異常な呼吸の危険に曝されている場合に、上述したような警報を生成するために使用することができる。同様に、CO2センサの出力は、CO2濃度が特定の閾値を超えたときに上述したような警報を生成するために使用することができ、それにより高齢者に窓を開けさせたり部屋を換気させたりすることができる。また、COセンサまたはVOC(揮発性有機化合物)センサの出力を利用して、例えば暖房の故障の結果として、CO濃度または別の有害化合物の濃度が特定の閾値を超え、高齢者がCO中毒等の危険に曝されている場合に、警報を発生させることもできる。高濃度のCOの検出は非常に重要であり、緊急性が高い。この場合に発生する警報は、高齢者に部屋を出るように促す。当業者は、本発明に係るケアおよびセキュリティ照明器具の実施形態に組み込まれた他のセンサが、高齢者の部屋の空気質の監視に貢献し、高齢者の健康が危険に曝されているときにはいつでも警報を引き起こすことができることを理解するであろう。
【0033】
請求項8で規定されるように、本発明に係る高齢者ケアおよびセキュリティシステムの実施形態では、照明器具が、1または複数の医療センサをさらに備える。
【0034】
このため、ケアおよびセキュリティ照明器具の有利な実施形態は、例えば医療センサのような追加のセンサを含むことができ、高齢者の医療状態に問題が生じる可能性がある場合に、無線トランシーバが高齢者の親族または介護者に警報メッセージを送信するようにケアおよびセキュリティ照明器具を構成することができる。このようにして、ケアおよびセキュリティ照明器具は、高齢者のプライバシを侵害することなく、高齢者の安全およびセキュリティにさらに貢献する。
【0035】
請求項9で規定されるように、本発明に係る高齢者ケアおよびセキュリティシステムの実施形態では、1または複数の医療センサが、
-血圧センサと、
-心拍数センサと、
-呼吸数センサと
を含む。
【0036】
このようにして、ケアおよびセキュリティ照明器具は、高齢者の血圧を監視して、血圧が特定の閾値を下回るか、または第2の閾値を超えた場合に、親族や介護者に警報信号を送信することができる。また、ケアおよびセキュリティ照明器具は、高齢者の心拍数も監視して、心拍数が特定の第1の閾値を下回るか、または特定の第2の閾値を超えた場合に、親族や介護者に警報信号を送信することができる。追加的または代替的には、ケアおよびセキュリティ照明器具は、高齢者の呼吸数を監視して、呼吸数が特定の第1の閾値を下回るか、または特定の第2の閾値を超えた場合に、親族や介護者に警報信号を送信することができる。また、呼吸数を監視することで、高齢者が例えば睡眠中に落ち着きのないときを確定することもでき、高齢者の部屋の照明を、高齢者が呼吸数を低下させることを可能にする安らぎのある光のパターンで制御することができる。ケアおよびセキュリティ照明器具は、代替的または追加的には、高齢者の体温を監視して、体温が特定の第1の閾値を下回るか、または特定の第2の閾値を超えた場合に、親族または介護者に警報信号を送信することができる。当業者は、他のまたは追加の医療センサをケアおよびセキュリティ照明器具の更なる実施形態に組み込むことができ、高齢者のプライバシを侵害することなく、高齢者の安全およびセキュリティに対する照明器具の貢献度をさらに高めることができることを理解するであろう。
【0037】
請求項10に係る高齢者ケアおよびセキュリティシステムの実施形態では、照明器具が、1または複数の外部医療センサへのインターフェースをさらに備える。
【0038】
このため、ケアおよびセキュリティ照明器具に組み込まれた医療センサとは別に、またはそれら医療センサに加えて、例えば、特定の医療パラメータを測定するために、高齢者の身体に接触する必要があるセンサなどの外部医療センサとの接続のために、1または複数のインタフェースを提供することができる。
【0039】
請求項11に係る高齢者ケアおよびセキュリティシステムの実施形態では、1または複数の外部医療センサが、
-体温センサ、
-血圧センサ、および/または、
-血中酸素飽和度センサ
を含む。
【0040】
体温センサは、例えば、高齢者の皮膚に取り付けられる。血中酸素飽和度センサは、高齢者の血液中の酸素濃度を測定するために、高齢者の指の上にはめられる。それらセンサによって測定された体温および/または血中酸素濃度は、無線でケアおよびセキュリティ照明器具に伝達され、ケアおよびセキュリティ照明器具は、心配なパラメータ値の場合には光の色を調整したり、心配なパラメータ値の場合には高齢者の介護者や親族に通知を送信したりすることができる。
【0041】
請求項12で規定されるように、本発明に係る高齢者ケアおよびセキュリティシステムの実施形態では、照明器具が、RFIDリーダをさらに備え、このRFIDリーダが、
-高齢者が携行するトークンの検出、
-高齢者の介護者が携行するトークンの検出、
-材料の検出、および/または、
-デバイスの検出
のうちの少なくとも一つを実行するように構成されている。
【0042】
高齢者が携行するトークンを検出するように構成されたRFIDリーダは、高齢者が可聴警報または可視警報を停止することを可能にすることができる。介護者が携行するトークンを検知するように構成されたRFIDリーダは、警報すべき状況の場合に、高齢者を支援することができる部屋内の人の存在を検出することができる。部屋の中に介護者がいることを自動的に検出することは、ケアおよびセキュリティ照明器具が、警報を作動させるべきか、送信すべきか、警報を繰り返すべきかなどを決定することができるため、有利である。材料を検出するように構成されたRFIDリーダは、高齢者が着用している失禁素材の充填レベルなど、材料の状態を自動的に確立できるという利点がある。このようにして、材料を交換するための自動警報を作動させることができる。例えば、カート、車椅子、歩行器、チルトリフトなどのデバイスを検出するように構成されたRFIDリーダは、高齢者が居住する住宅、サービス付きアパートまたは介護施設におけるそのようなデバイスの位置を監視および追跡することができる。
【0043】
請求項13で規定されるように、本発明に係る高齢者ケアおよびセキュリティシステムの実施形態では、照明器具が、
-治療、
-水を飲むこと、
-薬を服用すること、および/または、
-部屋を換気すること
のうちの少なくとも1つを実行するように高齢者を刺激するデバイスをさらに備える。
【0044】
実際、ケアおよびセキュリティ照明器具のスピーカ、照明ユニットまたは無線トランシーバは、適切なタイミングで投薬または代替的な治療を行わなければならないこと、部屋の温度が特定の閾値を超えた状態が一定時間続いた場合に高齢者が水を飲まなければならないこと、部屋の状態が換気を必要とする場合にそうしなければならないことなどを、可聴または可視のメッセージによって高齢者に知らせるように構成または制御されるものであってもよい。そのようにしてケアおよびセキュリティ照明器具は、高齢者の治療に対する忠誠心を高めるとともに、高齢者が部屋の中の不健康または危険な状態を避けるために必要な措置を取ることを支援する。
【0045】
請求項14で規定されるように、本発明に係る高齢者ケアおよびセキュリティシステムの実施形態では、照明器具が、部屋の照明スイッチに無線接続または電力線接続することができる光遠隔制御モジュールをさらに備え、光遠隔制御モジュールが、照明スイッチからの信号の受信時に、照明器具の電源を切ることなく、照明ユニットによる発光をオフに切り替えるように構成されている。
【0046】
実際、従来のランプまたは照明器具は、部屋のスイッチによって電源が切られるのに対し、その同じスイッチは、従来のランプまたは照明器具に取って代わる本発明に係るケアおよびセキュリティ照明器具の電源を切ることはない。スイッチは依然として照明をオン/オフに切り替えるために使用することができるが、照明がオフに切り替えられた場合に、ケアおよびセキュリティ照明器具に組み込まれたセンサによって提供される他のすべての機能は、引き続き動作しなければならず、よって電源が切られることはない。これは、部屋のスイッチに接続された照明器具の光遠隔制御モジュールであって、照明器具の他のすべてのケアおよびセキュリティ機能が継続して動作するように、照明器具の電源を切ることなく、スイッチからの信号に応じて発光をオフに切り替えるように構成された照明器具の光遠隔制御モジュールによって実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1図1は、本発明に係る高齢者ケアおよびセキュリティシステムの一実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、高齢者の部屋の利用可能な電源150に接続されたケアおよびセキュリティ照明器具100を示している。ケアおよびセキュリティ照明器具100は、サーモグラフィセンサFIR(遠赤外線)または101と、カラーセンサRGB(赤緑青)または102と、赤外線センサIRまたは103とを備える。ケアおよびセキュリティ照明器具100は、煙/火災センサ104、周囲光センサ105、VOC(揮発性有機化合物)センサ106、CO(一酸化炭素)センサ107を含む多数の環境センサをさらに含む。ケアおよびセキュリティ照明器具100は、センサ101~107に加えて、LEDランプ110、アンプ121およびスピーカ122、マイクロフォン131~132、アンテナ141を有するWiFiトランシーバ140、アンテナ151を有する4G無線トランシーバ150、アンテナ161を有する光遠隔制御モジュール160およびRFIDリーダ170を備える。センサ101~107、LEDランプ110、アンプ121、マイクロフォン131~132、WiFiトランシーバ140、4G無線トランシーバ150、光遠隔制御モジュール160およびRFIDリーダ170はすべて、ケアおよびセキュリティ照明器具100に統合されたプロセッサ180と接続されている。後者の照明器具100は、さらに、電力管理モジュール190も備えている。
【0049】
サーモグラフィセンサ101、RGBセンサ102およびIRセンサ103の出力信号は、プロセッサ180によって処理され、部屋にいる人の存在/不在を検出し、部屋にいる人の動きを検出する。プロセッサ180は、転倒検出アルゴリズムを適用して、照明器具100によって監視されている部屋に住む高齢者の転倒を検出する。転倒が検出されると、プロセッサ180内の音声/スピーチモジュール181が、アンプ121、スピーカ122および1または複数のマイクロフォン131~132を作動させて、高齢者に転倒したことの確認を要求する。モジュール181における音声認識および音声処理を通じて、プロセッサ180は転倒の確認を得る。転倒の確認を受信するとすぐに、または高齢者から何の反応もない場合には、プロセッサ180の警告モジュール183が、4Gトランシーバ150および/またはWiFiトランシーバ140を作動させて、高齢者の親族または介護者に高齢者の転倒を知らせるメッセージを送信する。高齢者が転倒したことを否定した場合、プロセッサ180は何もせずに、誤検出が生じたとみなす。
【0050】
サーモグラフィセンサ101、RGBセンサ102およびIRセンサ103の出力信号は、監視された部屋に住む高齢者がベッドに横たわっていることを検出するために、プロセッサ180によってさらに処理される。そのような場合、サーモグラフィセンサ101、RGBセンサ102およびIRセンサ103の出力信号は、監視された部屋にいる別の人の存在を検出するために、あるいは複数の照明器具100が様々な部屋に設置されてネットワーク接続されている場合は、高齢者の自宅の別の部屋にいる別の人の存在を検出するために、プロセッサ180によって処理される。高齢者がベッドに横たわっている間に別の人の存在が検出されると、プロセッサ180内のロック/ロック解除モジュール184は、高齢者のためのセーフルームを作るために、WiFiトランシーバ140を作動させて、高齢者の住宅の1または複数の電気式ロックに制御メッセージを送信する。さらに、プロセッサ180内の音声/スピーチモジュール181は、高齢者が安全であることを確認するために、アンプ121、スピーカ122および1または複数のマイクロフォン131~132を作動させる。モジュール181による音声認識および音声処理を通じて、プロセッサ180は、入室者から識別情報および/またはセキュリティコードを取得しようと試みる。識別情報がない場合、または高齢者が安全であることを否定する状況では、プロセッサ180内の警告モジュール183は、4Gトランシーバ150および/またはWiFiトランシーバ140を作動させて、高齢者の親族または介護者にメッセージを送信し、高齢者の住宅への不法侵入が想定されることを親族または介護者に通知する。
【0051】
サーモグラフィセンサ101、RGBセンサ102およびIRセンサ103の出力信号は、高齢者の住宅の複数の部屋に複数の照明器具100が設置されてネットワーク接続されている場合に、監視された部屋に住む高齢者が自分の部屋を不在にしていること、または自宅を不在にしていることを検出するために、プロセッサ180によってさらに処理される。高齢者が少なくとも一定の予め設定された時間、例えば15分間不在である場合、プロセッサ180は、高齢者が自宅を出たものと見なす。そして、プロセッサ180内の警報モジュール185は、4Gトランシーバ150および/またはWiFiトランシーバ140を作動させて、制御メッセージを警報監視システムに送信し、警報監視システムを自動的に作動させる。このようにして、高齢者が自宅を出て警報監視システムを作動させるのを忘れる都度、高齢者の自宅は強盗や不法侵入から保護される。高齢者が再び自宅に入ると、ケアおよびセキュリティ照明器具は、警報システムを停止させるために、高齢者に本人確認および/または安全コードの入力を要求する。
【0052】
環境センサ104~107の出力信号は、高齢者にとって安全でない状況、または健康に良くない状況を検出するために、プロセッサ180によって処理される。煙/火災センサ104の出力信号に基づいて煙または火災が検出される場合、プロセッサ180内の警告モジュール183は、アンプ121およびスピーカ122を作動させて、高齢者に部屋または住宅を出るよう促す警告音または信号を発する。さらに、プロセッサ180内のロック/ロック解除モジュール184は、高齢者の安全な退出を保証するために、WiFiトランシーバ140を作動させて、高齢者の部屋または住宅のドア/窓の1または複数の電気式ロックを解除する。
【0053】
周囲光センサ105の出力信号は、部屋を照らすためにIR発光LEDをオンにする必要があるか否かを知るために使用される。IR光はユーザには見えない光であるが、センサの1つによって検出される。電力を節約するために、十分な可視光がある場合は、再びオフにされる。周囲光センサ105の出力信号は、プロセッサ180内の照明制御モジュール182が周囲光を考慮してLEDランプ110により放出される光を制御できるように、さらに処理される。LEDランプ110によって放出される光の強度および/または色は、例えば、日中/夜間の時間の変化、気象条件の変化などに起因する、一日を通した周囲光の変動を補償するように制御されるものであってもよい。
【0054】
VOCセンサ106の出力信号は、例えば、高齢者が生活する部屋のCO2濃度が予め設定された特定の閾値未満に留まっているか否かを検出するために処理される。閾値を超えた場合、プロセッサ180内の警告モジュール183は、アンプ121とスピーカ122を作動させて、換気を作動させたり、窓を開けたりして、部屋の換気や空気の入れ替えを行うように高齢者に助言するメッセージを発する。プロセッサ180内の照明制御モジュール182は、さらに、LEDランプ110により放出される光の色を緑がかった色に制御して、部屋の換気や空気の入れ替えを勧めることを高齢者にさらに示すことができる。
【0055】
COセンサ107の出力信号を処理して、高齢者が住んでいる部屋のCO濃度が、予め設定された特定の閾値未満に留まっているか否かを検出する。例えば、加熱デバイスの故障の結果として閾値を超えた場合、高齢者は危険に曝される。このため、プロセッサ180内の警告モジュール183は、アンプ121およびスピーカ122を作動させて、高齢者に部屋を出るように促すトーンまたは信号を生成する。さらに、プロセッサ180内のロック/ロック解除モジュール184は、高齢者の安全な退出を保証するために、WiFiトランシーバ140を作動させて、高齢者の部屋または住宅のドアまたは窓の1または複数の電気式ロックを解除するための制御メッセージを送信する。
【0056】
プロセッサ180はさらに、例えばマイクロフォン131などの常時オンのマイクロフォンによって捕捉された音を永続的に処理して、音スペクトル中に、ガラスの破損と相関のある周波数を検出する。そのような周波数が音スペクトル中で検出された場合、プロセッサ180内のロック/ロック解除モジュール184は、高齢者のためのセーフルームを作るために、WiFiトランシーバ140を作動させて、高齢者の住宅の窓またはドアの1または複数の電気式ロックに制御メッセージを送信する。さらに、プロセッサ180内の音声/スピーチモジュール181は、アンプ121、スピーカ122および1または複数のマイクロフォン131~132を作動させて、高齢者から安全であるという確認を得る。確認がない場合、または高齢者が安全であることを否定した場合には、プロセッサ180内の警告モジュール183は、4Gトランシーバ150またはWifiトランシーバ140を作動させて、高齢者の親族または介護者に警告を送信し、高齢者の部屋または自宅でのガラス破損が想定されることを知らせる。
【0057】
照明器具100の変形実施形態では、プロセッサ180が、特定のイベントを考慮して、LEDランプ110により放出される光の色を制御するように構成されるものであってもよい。それらのイベントは、センサ101~107を介して検出することができる。例えば、空気中のCO2濃度がある閾値を超えたことが検知されると、LEDランプ110により発せられる光が緑がかった色に変わるように制御して、高齢者に窓を開けたり、あるいは自室の換気システムを作動させたりするように助言することができる。また、高齢者が薬を服用しなければならない時など、他のイベントをプログラムすることもできる。そのような時には、LEDランプ110によって発せられる光を青みがかった色に変わるように制御して、高齢者に薬を服用しなければならないことを知らせることができる。
【0058】
照明器具100の実施形態は、例えば、典型的な歩数、加速度、姿勢、典型的な一連の行動または動作など、高齢者の行動を学習するように構成された、例えばニューラルネットワーク186のような自己学習技術を備えることができる。特定の閾値を超える、学習した行動からの逸脱は、高齢者に質問して高齢者の安全性に関する確認を得たり、親族や介護者に警告したり、照明を制御したり、かつ/または高齢者の住宅の電気式ロックを制御したりするために、照明器具100により利用することができる。
【0059】
照明器具100は、多数の環境センサ104~107を備えるが、当業者は、照明器具100の変形実施形態において、他のまたは追加の環境センサを統合することができることを理解するであろう。一例として、高齢者の部屋や住宅内の湿度を検知するために、照明器具の変形実施形態に湿度センサを組み込むことができる。そのようなセンサの出力は、例えば、LEDランプによって発せられる光の色をさらに制御するために使用することができ、例えば、高齢者が定期的に水を飲むように助言するために、湿度が高い場合にLEDランプに赤みを帯びさせることができる。
【0060】
環境センサに加えて、照明器具100の変形実施形態は、例えば心拍数センサ、呼吸数センサなどの医療センサも含むことができる。図1の例では、FIRセンサ101、RGBセンサ102およびIRセンサの出力を処理して、追加のセンサを必要とせずに、例えばベッドで眠っている間に、高齢者の心拍数および/または呼吸数を監視することもできる。また、プロセッサ180は、照明器具100に組み込まれた医療センサの出力を使用して、LEDランプ110により発せられる光の色および/または明るさを制御したり、アンプ121、スピーカ122および1または複数のマイクロフォン131~132を使用して高齢者に質問したり、無線インタフェース141または151を介して親族または介護者に警告したり、かつ/または安全上の理由から高齢者の自宅のドアのロック/ロック解除を制御したりすることができる。
【0061】
照明器具100の変形実施形態は、例えば高齢者に取り付けられた又は高齢者が携行する体温センサ、血圧センサ、高齢者の指に取り付けられた血中酸素センサなどの外部センサへの接続を提供する、例えばBluetoothインターフェースなどの無線インターフェースを備えることもできる。このようなインターフェースにより、照明器具に組み込まれていない様々なセンサから信号を収集することができ、それら信号を、LEDランプにより発せられる光の色および/または明るさをさらに調整したり、心配な状況について高齢者に質問したり、親族または介護者に警告したり、かつ/または高齢者の安全を確立するためにドアをロック/ロック解除したりするために、プロセッサ180により使用することができる。
【0062】
図1に示す照明器具100は、RFIDトークンを検出するように構成されたRFIDリーダ170をさらに備える。そのようなRFIDトークンは、例えば、照明器具100に向けて高齢者を識別するために、高齢者が身に付けることができる。また、RFIDトークンは、照明器具100に向けて、高齢者の部屋または自宅へのアクセスを許可された高齢者の介護者または親族を識別するために、そのような介護者または親族が携帯するようにしてもよい。当然のことながら、RFIDリーダ170は、例えば、車椅子、歩行器、医療デバイスなどの材料やデバイスを分類するために使用される他のRFIDトークンを検知することも可能である。特に、介護施設の部屋に設置された場合、RFIDリーダを備えたネットワーク化されたケアおよびセキュリティ照明器具は、高齢者や職員が建物内のデバイスを見付けるのを支援することができる。
【0063】
照明器具100の重要な構成要素は、無線アンテナ161を備えた光遠隔制御モジュール160である。無線アンテナ161は、例えばEnOcean 868Mhzアンテナであってもよく、LEDランプ110をオン/オフに切り替えるために使用される高齢者の部屋や住宅の各スイッチの背後に設置され、それらに接続されたEnOceanモジュールからの信号を受信する。従来、そのようなスイッチは、電源150を遮断して照明をオフに切り替えていた。そのようなスイッチの背後に設置されたEnOceanモジュールは、電源150の遮断を回避する。スイッチがLEDランプの照明をオフに切り替えるために使用される場合、スイッチの背後に設置されたEnOceanモジュールは、光遠隔制御モジュール160に通知し、この光遠隔制御モジュールがプロセッサ180にLEDランプ110が発する光をオフに切り替えるよう指示する。電源150は遮断されず、その結果、照明器具100により提供される他のすべての機能は、照明がオフに切り替えられている期間も、電力が継続して供給される。
【0064】
図1に示すケアおよびセキュリティ照明器具100の一部を形成する電力管理モジュール190は、利用可能な電力、例えば220ボルト、50HzのACを、照明器具100の様々な構成要素によって必要とされる電力レベルおよび周波数、例えば6ボルトDC、12ボルトDCなどに変換する。
【0065】
特定の実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上述した例示的な実施形態の細部に限定されるものではなく、本発明がその範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えて具現化することができることは、当業者には明らかであろう。このため、本実施形態は、すべての点において例示的なものであり、限定的なものではないと見なされるべきであり、本発明の範囲は、上述した説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示されるものであり、よって、特許請求の範囲の意味および同等性の範囲内に入るすべての変更は、そこに包含されることが意図されている。換言すれば、基本的な原理の範囲内にあり、その本質的な属性がこの特許出願で請求されている、あらゆる修正、変形または均等物に及ぶことが企図されている。さらに、この特許出願の読者は、「comprising」または「comprise」という語が他の要素またはステップを除外しないこと、「a」または「an」という語が複数を除外しないこと、並びに、コンピュータシステム、プロセッサまたは別の統合ユニットなどの単一の要素が、特許請求の範囲に記載されたいくつかの手段の機能を果たし得ることを理解するであろう。特許請求の範囲内の符号は、対象となるそれぞれの請求項を限定するものと解釈されるべきではない。「第1」、「第2」、「第3」、「a」、「b」、「c」などの用語は、本明細書または特許請求の範囲で使用される場合、同様の要素またはステップを区別するために導入されるものであり、必ずしも連続的または時系列的な順序を記述するものではない。同様に、「上」、「下」、「上方」、「下方」などの用語は、説明のために導入されるものであり、必ずしも相対的な位置を示すものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本発明の実施形態は、他の順序で、または上述または例示したものとは異なる方向で、本発明に従って動作することが可能であることを理解されたい。
図1
【国際調査報告】