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特表2022-529899引裂き強度が強化された多層ストレッチフードフィルム
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  • 特表-引裂き強度が強化された多層ストレッチフードフィルム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-27
(54)【発明の名称】引裂き強度が強化された多層ストレッチフードフィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20220620BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20220620BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B65D65/40 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559576
(86)(22)【出願日】2020-04-20
(85)【翻訳文提出日】2021-10-06
(86)【国際出願番号】 US2020028955
(87)【国際公開番号】W WO2020219378
(87)【国際公開日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】62/837,794
(32)【優先日】2019-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】パーキンソン、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】エル マラッセ ザリオーイ、サルマ
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086AD16
3E086AD17
3E086BA15
3E086BA35
3E086BB02
3E086BB05
3E086BB35
3E086BB51
3E086BB58
3E086BB67
3E086BB74
4F100AK04A
4F100AK04C
4F100AK04E
4F100AK06A
4F100AK06B
4F100AK06D
4F100AK06E
4F100AK07C
4F100AK63A
4F100AK63B
4F100AK63D
4F100AK63E
4F100AL09C
4F100BA05
4F100BA06
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10E
4F100DA02
4F100GB15
4F100GB51
4F100JA13A
4F100JA13B
4F100JA13C
4F100JA13D
4F100JA13E
4F100YY00C
(57)【要約】
【解決手段】 本開示は、多層フィルムを提供する。多層フィルムは、第1の外層および第2の外層であって、第1および第2の外層のうちの少なくとも1つが、第1のポリエチレンを含む、第1の外層および第2の外層と、第1の外層と第2の外層との間のコア層であって、コア層の厚さが、多層フィルムの総厚の8~30%である、コア層と、を含む。コア層は、20~0重量%の第2のポリエチレンと、0.855g/cm~0.877g/cmの密度を有する80~100重量%のプロピレンベースのエラストマと、からなるコアポリマーから形成され、重量%が、コア層の総重量に基づく。多層フィルムは、多層フィルムの総重量%に基づいて、8~30重量%のプロピレンベースのエラストマを含む。多層フィルムはまた、第1および第2の内層を含み、第1および第2の内層のうちの少なくとも1つが、0.870g/cm~0.912g/cmの密度を有する80~100重量%のLLDPEと、20~0重量%のLDPEと、を含み、コア層が、第1の内層と第2の内層との間に位置決めされる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層フィルムであって、
第1の外層および第2の外層であって、前記第1の外層および前記第2の外層のうちの少なくとも1つが、第1のポリエチレンを含む、第1の外層および第2の外層と、
前記第1の外層と前記第2の外層との間のコア層であって、前記コア層の厚さが、前記多層フィルムの総厚の8~30%であり、前記コア層が、20~0重量パーセント(重量%)の第2のポリエチレンと、0.855g/cm3~0.877g/cmの密度を有する80~100重量%のプロピレンベースのエラストマと、からなるコアポリマーから形成され、前記重量%が、前記コア層の総重量に基づいており、前記多層フィルムが、前記多層フィルムの総重量%に基づいて、8~30重量%の前記プロピレンベースのエラストマを含む、コア層と、
前記第1の外層と前記第2の外層との間の第1の内層および第2の内層であって、前記第1の内層および前記第2の内層のうちの少なくとも1つが、0.870g/cm~0.912g/cmの密度を有する80~100重量%の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と、20~0重量%の低密度ポリエチレン(LDPE)と、を含む、第1の内層および第2の内層と、を含む、多層フィルム。
【請求項2】
前記コア層が、前記第1の内層と前記第2の内層との間に位置決めされる、請求項1に記載の多層フィルム。
【請求項3】
前記コア層が、前記コアポリマーの単層として形成されている、請求項1または2に記載の多層フィルム。
【請求項4】
前記第1の外層および前記第2の外層のうちの少なくとも1つの前記第1のポリエチレンが、0.898~0.918g/cmの密度を有する80~95重量%のLLDPEと、0.917~0.925g/cmの密度を有する20~5重量%のLDPEと、を含み、重量%が、前記第1の外層および前記第2の外層のうちの前記少なくとも1つの前記第1のポリエチレンの総重量に基づく、請求項1~3のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項5】
前記コア層の前記厚さが、前記多層フィルムの総厚の8~10%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項6】
前記多層フィルムが、前記多層フィルムの総重量%に基づいて、9.6~20重量%の前記プロピレンベースのエラストマを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項7】
前記プロピレンベースのエラストマが、前記プロピレンベースのエラストマの総重量に基づいて、9~20重量%のエチレンを含有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項8】
前記コアポリマーが、10~0重量%の前記第2のポリエチレンと、0.855g/cm~0.877g/cmの密度を有する90~100重量%の前記プロピレンベースのエラストマと、を含み、前記重量%が、前記コア層の総重量に基づく、請求項1~7のいずれか一項に記載の多層フィルム。
【請求項9】
前記多層フィルムが、60~120μmの厚さを有する、請求項1~8のいずれかに記載の多層フィルム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の多層フィルムから形成されるストレッチフード。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、多層フィルム、より具体的には、引裂き抵抗が強化された多層ストレッチフードフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ストレッチフードは、一端がシールされたフィルムのチューブであり、パレットに積載された積荷の上で引き伸ばされて、中身をパレットに固定する。フィルムは適切な長さにカットされ、上端がヒートシールされ、4本の「指」上に集められる。これらの指は、フィルムの寸法が積荷の寸法よりわずかに大きくなるまでフィルムを水平(横)方向に引き伸ばし、次いで、引き伸ばしたフィルムをパレットの上で引き伸ばして下ろし、移動しながら展開させる。展開速度を変えることによって、垂直(縦)方向にある程度の引き伸ばしを得て、パレット上の荷物をよりよく保持することができる。パレットの底部で、指はフィルムを離し、フィルムは通常、パレットの底部の下で巻き付く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ストレッチフードは要求の厳しい用途であり、良好な引裂きおよび/または穿刺抵抗、ならびに保持力と弾性のバランスを有するフィルムが必要である。しかしながら、ストレッチフードフィルムは、ストレッチフードプロセス(例えば、ストレッチフードがパレットに積載された積荷の上で展開されるとき)、および一度積荷に適用されたときの両方の間に、特に縦方向に引裂きが生じることが知られている。ストレッチフードフィルムが積荷に適用される場合、それらは横方向に引き伸ばされ、次いでパレット上の積荷の上にかぶせられる。ストレッチフードフィルムは、パレットに積荷を固定している間、張力がかかっている。張力がかかると、ストレッチフードフィルムは縦方向の引裂きが発生するリスクが高くなり、これが始まると、フィルムが垂直方向にすばやく「開き」、ひいては積荷が固定されなくなる。このような引裂きは、多くの場合、固定された積荷がフォークリフトトラックを介して移動しているときに発生する。より厚いストレッチフードフィルムは、ストレッチフードフィルムの穿刺および意図しない引裂きを防ぐのにも役立ち得る。したがって、ストレッチフードに使用されるフィルムの縦方向の引裂きに対する耐性を向上させることは、非常に重要である。
【0004】
本開示は、ストレッチフードフィルムの引裂き抵抗を改善するのに役立つ多層フィルムを提供する。さらに、本開示の多層フィルムは、ダウンゲージされている間、縦方向の引裂き損壊の低減改善を達成するのに役立ち、これは、パレット積荷の封じ込めを改善しつつ、原材料の使用量を低減するのに役立つ。本開示の多層フィルムをダウンゲージすることを用いて、縦方向の引裂き損壊の低減および原材料の使用量の低減の改善に加えて、積荷の安定性が改善され、これもまたパレット積荷の封じ込めに役立つ。
【0005】
様々な実施形態について、本開示の多層フィルムは、第1の外層と、第2の外層と、第1の外層と第2の外層との間のコア層と、第1の内層と、第2の内層とを含み、第1の内層および第2の内層は、第1の外層と第2の外層との間に位置決めされる。第1の外層および第2の外層のうちの少なくとも1つは、第1のポリエチレンを含む。コア層の厚さは、多層フィルムの総厚の8~30パーセント(%)である。さらに、コア層は、20~0重量パーセント(重量%)の第2のポリエチレンと、0.855g/cm~0.877g/cmの密度を有する80~100重量%のプロピレンベースのエラストマと、を含むコアポリマーから形成され、重量%は、コア層の総重量に基づく。多層フィルムは、多層フィルムの総重量%に基づいて、8~30重量%のプロピレンベースのエラストマを含む。第1の内層および第2の内層のうちの少なくとも1つは、0.870g/cm~0.912g/cmの密度を有する80~100重量%の直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)と、20~0重量%の低密度ポリエチレン(LDPE)とを含む。
【0006】
様々な実施形態について、コア層は、第1の内層と第2の内層との間に位置決めすることができる。様々な実施形態について、コア層は、コアポリマーの単層として形成することができる。様々な実施形態について、プロピレンベースのエラストマは、プロピレンベースのエラストマの総重量に基づいて、9~20重量%のエチレンを含有し得る。本実施形態について、コア層はまた、多層フィルムの総厚の8~10%の厚さを有し得る。
【0007】
追加の実施形態では、第1の外層および第2の外層のうちの少なくとも1つの第1のポリエチレンは、0.898~0.918g/cmの密度を有する80~95重量%のLLDPEと、0.917~0.925g/cmの密度を有する20~5重量%のLDPEとを含み得、重量%は、第1の外層および第2の外層のうちの少なくとも1つの第1のポリエチレンの総重量に基づく。多層フィルムは、60μm~120μmの範囲の厚さを有し得る。本明細書で論じられるように、本開示の多層フィルムは、ストレッチフードを形成するために使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本開示によるストレッチフードフィルムの作製に有用な多層フィルムの断面を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示は、ストレッチフードフィルムにおける縦方向の引裂きに耐えるのに役立つ多層フィルムを提供する。さらに、本開示の多層フィルムは、ダウンゲージされている間、縦方向の引裂き損壊の低減改善を達成するのに役立ち、これは、パレット積荷の封じ込めを改善しつつ、原材料の使用量を低減するのに役立つ。本開示の多層フィルムをダウンゲージすることによる縦方向の引裂き損壊の低減および原材料の使用量の低減における改善に加えて、荷重の安定性が改善され、これもまたパレット荷重の封じ込めに役立つ。
【0010】
図1は、本開示の多層フィルム100の実施形態を提供する。図示のように、多層フィルム100は5つの(5)層を含む。具体的には、多層フィルム100は、第1の外層102-1、第2の外層102-2、第1の外層102-1と第2の外層102-2との間のコア層104、第1の内層106-1、および第2の内層106-2を含む。
【0011】
図1では、コア層104が、第1の内層106-1と第2の内層106-2との間に位置決めされて示されている。代替の実施形態では、コア層104は、第1の内層106-1と第1の外層102-1との間に位置決めすることができる。あるいは、コア層104は、第2の内層106-2と第2の外層102-2との間に位置決めすることができる。追加の実施形態では、本開示の多層フィルムは、5つを超える層を有することができる。例えば、本開示の多層フィルムは、6つの(6)層、7つの(7)層、またはそれ以上を有することができる。この多層構造でも、多層フィルムは、60μm~120μmの範囲の厚さを有している。本明細書で論じられるように、本開示の多層フィルムは、ストレッチフードを形成するために使用され得る。
【0012】
相反する記載がなく、文脈から暗黙的でなく、または当該技術分野で慣例的でない限り、本明細書のすべての部分およびパーセンテージは、論じされている材料(例えば、本明細書で論じられているコアポリマー)の総重量に基づいており、すべての温度は摂氏(℃)であり、すべての試験方法は本開示の出願日の時点で最新のものである。
【0013】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を指す。
【0014】
「ポリマー」は、同じタイプかまたは異なるタイプにかかわらず、モノマーを重合させることによって調製されたポリマー化合物を意味する。したがって、ポリマーという一般的な用語は、ホモポリマーという用語(微量の不純物がポリマー構造内に組み込まれ得るという理解の下に、1種類のみのモノマーから調製されたポリマーを指すために用いられる)、コポリマーという用語、および本明細書において以下に定義されるようなインターポリマーという用語を包含する。微量の不純物(例えば、触媒残渣)が、ポリマー中および/またはポリマー内に組み込まれている場合がある。ポリマーは、単一ポリマー、ポリマーブレンド、またはポリマー混合物であり得る。
【0015】
本明細書で使用される場合、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。したがって、インターポリマーという一般的な用語は、コポリマー(2つの異なる種類のモノマーから調製されたポリマーを指すために用いられる)、および3つ以上の異なる種類のモノマーから調製されたポリマーを含む。
【0016】
本明細書で使用される場合、「ポリオレフィン」という用語は、重合形態で、(ポリマーの重量に基づいて)過半量のオレフィンモノマー、例えばエチレンまたはプロピレンを含み、かつ任意に1つ以上のコモノマーを含み得るポリマーを指す。
【0017】
「~を含む(comprising)」、「~を含む(including)」、「~を有する(having)」という用語、およびそれらの派生語は、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、任意の追加の成分、ステップ、または手順の存在を除外することを意図するものではない。疑義が生じないようにするために、「含む(comprising)」という用語の使用を通して主張されるすべての組成物は、相反する記載がない限り、ポリマーであるか、ポリマーでないかに関わらずに、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、操作性に必須ではないものを除いて、あらゆる後続の記載の範囲から、任意の他の成分、ステップ、または手順を排除する。「から成る」という用語は、具体的に規定または列挙されていない任意の構成要素、ステップ、または手順を除外する。
【0018】
「ポリエチレン」は、エチレンモノマーから誘導された、50重量%超の単位を含むポリマーを意味するものとする。これは、ポリエチレンホモポリマーまたはコポリマー(2つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。当該技術分野において既知のポリエチレンの一般的な形態としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が挙げられる。これらのポリエチレン材料は、当該技術分野において一般に既知であるが、以下の説明は、これらの異なるポリエチレン樹脂のうちのいくつかの差異を理解する上で役立つ可能性がある。
【0019】
「LDPE」という用語はまた、「高圧エチレンポリマー」または「高度分岐ポリエチレン」と呼ばれてもよく、ペルオキシドなどのフリーラジカル開始剤を用いて、14,500psi(100MPa)超の圧力でオートクレーブまたは管型反応器中で部分的または完全に、ポリマーがホモポリマー化されるかまたはコポリマー化されることを意味するように定義される(例えば、参照として本明細書に組み込まれるUS4,599,392を参照のこと)。
【0020】
「LLDPE」という用語は、従来のチーグラー・ナッタ触媒系、ならびにビス-メタロセン触媒(「m-LLDPE」と呼ばれることもある)および拘束幾何触媒を含むがこれに限定されないシングルサイト触媒を使用して作製される樹脂の両方を含み、直鎖状、実質的に直鎖状、または不均質なポリエチレンコポリマーまたはホモポリマーを含む。LLDPEは、LDPEよりも少ない長鎖分岐を含有し、米国特許第5,272,236号、米国特許第5,278,272号、米国特許第5,582,923号、および米国特許第5,733,155号でさらに定義される実質的に線状のエチレンポリマー、米国特許第3,645,992号のものなどの均質分岐線状エチレンポリマー組成物、米国特許第4,076,698号に開示されるプロセスに従って調製されるものなどの不均質分岐エチレンポリマー、ならびに/またはそれらのブレンド(US3,914,342もしくはUS5,854,045に開示されるものなど)を含む。LLDPEは、当該技術分野において既知である任意の種類の反応器または反応器構成を使用して、気相、液相、もしくはスラリー重合、またはそれらの任意の組み合わせにより製作され得る。
【0021】
「多層フィルム」という用語は、本明細書で提供されるポリマー組成物から形成された5つ(5)以上の層を有するフィルムを指す。多層フィルムに加えて、本開示は、これらに限定されないが、多層シート、積層フィルム、多層剛性容器、多層パイプ、および多層コーティングされた基板を許容することができる。
【0022】
本明細書中で別様に示されない限り、以下の分析方法が、本発明の記載態様において使用される。
【0023】
「密度」は、ASTM D792に従って決定される。
【0024】
「メルトインデックス」:メルトインデックスI(またはI2)は、ASTM D-1238に従って、190℃および2.16kg荷重で測定される。値は、g/10分で報告される。「メルトフローレート」は、ASTM D1238(2.16kgにおいて230℃)に従って決定される。
【0025】
追加の特性および試験方法は、本明細書でさらに説明される。
【0026】
コア層
様々な実施形態について、多層フィルムのコア層は、多層フィルムの総厚の8~30パーセント(%)である厚さを有する。本実施形態では、コア層は、多層フィルムの総厚の8~10%の厚さも有することができる。例えば、コア層は、多層フィルムの総厚の16%、15%、13%、12%、10%、9.6%、または8%の下限から、多層フィルムの総厚の20%、23%、25%、26%、27%、29%、または30%の上限までの総厚を有することができる。コア層の総厚の例には、多層フィルムの総厚の8~30%が含まれ、その間のすべての個々の値が含まれる。例えば、コア層は、多層フィルムの総厚の16~20%、15~23%、13~25%、12~26%、10~27%、9.6~29%、8~20%、または16~29%の総厚を有することができる。
【0027】
様々な実施形態について、コア層はコアポリマーから形成される。コアポリマーは、0.850~0.902g/cmの密度を有する20~0重量%の第2のポリエチレンおよび80~100重量%のプロピレンベースのエラストマを含み、重量%は、コア層の総重量に基づく。第2のポリエチレンは、0.870~0.912g/cmの密度、および0.5~1.1g/10分のメルトインデックスを有する。好ましくは、プロピレンベースのエラストマは、0.855~0.892g/cm、より好ましくは0.855~0.877g/cmの密度を有する。
【0028】
様々な実施形態では、多層フィルムは、多層フィルムの総重量%に基づいて、8~30重量%のプロピレンベースのエラストマを含んでおり、その間のすべての個々の値を含む。本実施形態について、多層フィルムは、8~10重量%の多層フィルムを含むこともできる。例えば、多層フィルムは、多層フィルムの16重量%、15重量%、13重量%、12重量%、10重量%、9.6重量%、または8重量%の下限から、多層フィルムの20重量%、23%、25重量%、26重量%、27重量%、29重量%、または30重量%の上限を含み得る。例えば、多層フィルムは、多層フィルムの16~20重量%、15~23重量%、13~25重量%、12~26重量%、10~27重量%、9.6~29重量%、8~20重量%、または16~29重量%を含むことができる。
【0029】
プロピレンベースのエラストマは、プロピレンに由来するユニットと、アルファオレフィンに由来するポリマーユニットから構成されている。プロピレンベースのエラストマを形成するのに利用される好ましいアルファオレフィンには、C2およびC4~C10のアルファオレフィン、好ましくはC2、C4、C6およびC8アルファオレフィン、そして最も好ましくはC2(エチレン)が含まれる。
【0030】
プロピレンベースのエラストマは、好ましくは、アルファオレフィンに由来する10~33モルパーセント単位、より好ましくは、アルファオレフィンに由来する13~27モルパーセント単位を含む。エチレンがアルファオレフィンである場合、プロピレンベースのエラストマは、プロピレンベースのエラストマの総重量に基づいて、プロピレンに由来する単位の80~91重量%、およびエチレンに由来する単位の9~20重量%を含有する。好ましくは、プロピレンベースのエラストマは、プロピレンベースのエラストマの総重量に基づいて、プロピレンに由来する単位の85~90重量%、およびエチレンに由来する単位の10~15重量%を含有する。より好ましくは、プロピレンベースのエラストマは、プロピレンベースのエラストマの総重量に基づいて、プロピレンに由来する単位の86~89重量%、およびエチレンに由来する単位の11~14重量%を含有する。最も好ましくは、プロピレンベースのエラストマは、プロピレンベースのエラストマの総重量に基づいて、プロピレンに由来する単位の87~89重量%、およびエチレンに由来する単位の11~13重量%を含有する。
【0031】
様々な実施形態について、プロピレンベースのエラストマは、1重量%(少なくとも2ジュール/グラムの融解熱)~30重量%(50ジュール/グラム未満の融解熱)、より好ましくは1~24重量%(40ジュール/グラム未満の融解熱)、さらにより好ましくは1~15重量%(24.8ジュール/グラム未満の融解熱)、また取り扱いが問題にならない場合(すなわち、粘着性ポリマーを利用できる)、好ましくは1~7重量%(11ジュール/グラム未満融解熱)、さらにより好ましくは1~5重量%(8.3ジュール/グラム未満の融解熱)の結晶性を有することができ、すべてWO2007/044544A2で提供されるDSC法に従って決定され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。プロピレンベースのエラストマの結晶化度は、好ましくは2.5重量%(少なくとも4ジュール/グラムの融解熱)~30重量%、より好ましくは3重量%(少なくとも5ジュール/グラムの融解熱である)~30重量%である。
【0032】
プロピレンベースのエラストマのメルトフローレートは、良好な加工性を達成するために、好ましくは0.1g/10分、より好ましくは0.2g/10分の低い値から、10g/10分、好ましくは8g/10分、より好ましくは4g/10分、最も好ましくは2g/10分の高い値である。プロピレンベースのエラストマはまた、1.0~3.5、より好ましくは1.0~3.0、最も好ましくは1.8~3.0の重量平均分子量を数平均分子量(Mw/Mn)で割ったものとして定義される、分子量分布(MWD)を有している。重量平均分子量および数平均分子量を測定する技術には、当技術分野で知られているように、かつ参照によりその全体が本明細書に組み込まれるWO 2007/044544 A2に記載されているように、ポリスチレン標準を使用する静的光散乱またはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
様々な実施形態について、コアポリマーのプロピレンベースのエラストマは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、WO2007/044544 A2に記載されている方法に従って形成することができる。簡単に言えば、コアポリマーのプロピレンベースのエラストマは、2002年5月5日に出願された米国特許出願第10/139,786(WO03/040201)に記載されているように、非メタロセン、金属中心のヘテロアリール配位子触媒を使用して形成され、そのような触媒に関するそれらの教示については、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0034】
様々な実施形態について、コア層は、本明細書で提供されるようなコアポリマーの単一の隣接層として形成することができる。そのため、例えばコア層は、図1に見られるような5層フィルムの単一の隣接層を含み得るか、または本明細書に提供されているように、コア層が外層と内層の間にある7層フィルムのコア層として構成され得る。本明細書で論じられるように、コア層は、多層フィルムに存在する層の数に関係なく、多層フィルムの第1の内層と第2の内層との間に位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、コア層は、第1の内層と第2の内層との間に直接位置決めされ、それらと接触する。追加の実施形態では、コア層は、第1の外層と第1の内層との間に、かつそれらと接触して直接位置決めされるか、またはコア層は、第2の外層と第2の内層との間に、かつそれらと接触して直接位置決めされる。
【0035】
様々な実施形態では、コア層は、コアポリマーの単一の隣接(例えば、離散)層から形成され、コアポリマーの2つ以上の隣接層(例えば、2つ以上の別個の層)を使用して形成されない。
【0036】
コアポリマーの商業的な例には、Dow Chemical Company(TDCC)から入手可能な商品名VERSIFY(商標)で提供されるものが含まれ得、好ましい例は、TDCCからのVERSIFY(商標)2300プロピレンエラストマである。コアポリマーの他の商業的な例には、ExxonMobil Chemicalから入手可能な商品名「VISTAMAXX」で提供されるものが含まれ得る。
【0037】
第1の外層および第2の外層
多層フィルムはまた、それぞれが第1のポリエチレンを含む第1の外層および第2の外層を含む。第1のポリエチレンは、本明細書で提供されるように、LLDPE、LDPE、またはLLDPEとLDPEの混合であり得る。第1の外層および第2の外層の各々は、多層フィルムの総厚の10~30%である厚さを有する。好ましくは、第1の外層および第2の外層の各々は、多層フィルムの総厚の20~30%の厚さを有する。より好ましくは、第1の外層および第2の外層の各々は、多層フィルムの総厚の20~25%の厚さを有する。最も好ましくは、第1の外層および第2の外層の各々は、多層フィルムの総厚の22~25%の厚さを有する。さらに、第1の外層および第2の外層の各々は、多層フィルムの総重量に基づいて、第1のポリエチレンの15~30重量%、好ましくは、多層フィルムの総重量の15~20重量%を構成することができる。
【0038】
追加の実施形態では、第1の外層および第2の外層のうちの少なくとも1つの第1のポリエチレンは、0.898~0.918g/cmの密度を有する80~95重量%のLLDPEを含み得、重量%は、第1の外層および第2の外層のうちの少なくとも1つの第1のポリエチレンの総重量に基づく。好ましくは、第1のポリエチレンは、80~90重量%、より好ましくは80~85重量%のLLDPEを含む。さらに、第1の外層および第2の外層のうちの少なくとも1つの第1のポリエチレンは、0.917~0.925g/cmの密度を有する20~5重量%のLDPEを含み得、重量%は、第1の外層および第2の外層のうちの少なくとも1つの第1のポリエチレンの総重量に基づく。好ましくは、第1のポリエチレンは、20~10重量%、より好ましくは20~15重量%のLDPEを含む。好ましくは、第1の外層および第2の外層の両方は、本明細書で提供されるように、第1のポリエチレンから形成される。
【0039】
第1の外層および第2の外層のうちの少なくとも1つの第1のポリエチレンのLLDPEは、2~8、より好ましくは2~6、最も好ましくは2~4のMWDを有する。MWDは、本明細書に記載されているように計算される。当業者は、MWDが3未満のポリマーが、メタロセンまたは束縛構造触媒(特にエチレンポリマーの場合)を使用するか、またはチーグラー・ナッタ触媒とともに電子供与体化合物を使用したりして、便利に作製されることを知っている。
【0040】
本明細書で使用されるLLDPEは、少なくとも60重量%のエチレンおよび最大40重量%のアルファオレフィンコモノマーに由来する単位のコポリマーである。好ましいアルファオレフィンコモノマーは、C4~C10アルファオレフィン、より好ましくはC4~C8アルファオレフィン、さらにより好ましくはC4、C5、C6およびC8アルファオレフィン、そして最も好ましくは1-ブテン、1-ヘキセンおよび1-オクテンである。それらの優れたフィルム強度特性(引裂き抵抗、ダート衝撃強度および保持力など)のために、チーグラー・ナッタ触媒システムで少なくとも部分的に作製されたポリエチレンコポリマーが好ましい。
【0041】
LLDPEは、気相、溶液、またはスラリーポリマーの製造プロセスを使用して作製することができる。それらの優れた縦方向引裂強度、ダーツ耐衝撃性および他の特性のバランスのために、溶液重合プロセスで作製されたエチレン/1-オクテンおよびエチレン/1-ヘキセンコポリマーが最も好ましい。本開示で利用されるLLDPEは、0.900~0.923g/cm、好ましくは0.902~0.922g/cm、より好ましくは0.904~0.920g/cmの密度を有する。
【0042】
適切なLLDPEの例には、Dow Chemical Companyから商品名「DOWLEX(商標)」で入手可能なエチレン/1-オクテンおよびエチレン/1-ヘキセン線状コポリマー、Dow ChemicalCompanyから商品名「ATTANE(商標)」で入手可能なエチレン/1-オクテン線状コポリマー、Dow Chemical Companyから商品名「ELITE(商標)」で入手可能なエチレン/1-オクテン強化ポリエチレン、Dow Chemical Companyから商品名「DowlexGM」で入手可能なエチレン/アルファオレフィンコポリマー、Polimeri Europaから「CLEARFLEX」および「FLEXIRENE」の商品名で入手可能なエチレンベースのコポリマー、ExxonMobil Chemicalから「Exact」および「Exceed」の商品名で入手可能なエチレン/アルファオレフィンコポリマー、Innovexから「INNOVEX」の商品名で入手可能なエチレン/アルファオレフィンコポリマー、Basellから「LUFLEXEN」および「LUPOLEX」の商品名で入手可能なエチレン/アルファオレフィンコポリマー、Dex Plastomersから「STAMYLEX」の商品名で入手可能なエチレン/アルファ-レフィンコポリマー、およびSabicから「LADENE」の商品名で入手可能なチレン/アルファオレフィンコポリマーが含まれる。
【0043】
第1の外層および第2の外層のうちの少なくとも1つの第1のポリエチレンのLDPEは、0.1~9g/10分、より好ましくは0.2~6g/10分、さらにより好ましくは0.2~4g/10分、最も好ましくは0.25~2g/分のメルトインデックス(MI)を有する。メルトインデックスは、ポリマーの分子量に反比例する。したがって、関係は線形ではないが、分子量が高いほど、メルトインデックスは低い。
【0044】
LDPEは、0.917~0.925g/cmの密度を有することができる。好ましくは、LDPEは、0.917~0.922g/cmの密度を有する。
【0045】
本開示で使用されるLDPEは、当業者に知られている高圧フリーラジカル製造プロセスを使用して作製される。LDPEは、通常ホモポリマーであるが、少量のコモノマー(コモノマーに由来する重量単位での1パーセント(1%)未満を含有し得る。
【0046】
LDPEの市販例は、様々なメーカから購入することができる。例えば、LDPEは、Dow Chemical CompanyからDOW(登録商標)LDPE150E、303E、320E、310E、450およびその他の多くのグレードとして、またLyondellBasell Industriesから「LUPOLEN」および「PETROTHENE」の商品名で購入することができる。
【0047】
第1の内層および第2の内層
多層フィルムはまた、第1の内層および第2の内層を含む。第1の内層および第2の内層の各々は、多層フィルムの総厚の10~31%である厚さを有する。好ましくは、第1の内層および第2の内層の各々は、多層フィルムの総厚の15~30%の厚さを有する。より好ましくは、第1の内層および第2の内層の各々は、多層フィルムの総厚の20~27%の厚さを有する。最も好ましくは、第1の内層および第2の内層の各々は、多層フィルムの総厚の22~25%の厚さを有する。
【0048】
様々な実施形態について、第1の内層および第2の内層のうちの少なくとも1つは、本明細書に記載のように、0.870~0.912g/cmの密度を有する80~100重量%のLLDPE、および本明細書に記載されているように、20~0重量%のLDPEを含む。好ましくは、第1の内層および第2の内層は、85~100重量%のLLDPE、および15~0重量%のLDPE、より好ましくは、90~100重量%のLLDPE、および10~0重量%のLDPEを含む。いくつかの実施形態では、第1の内層および第2の内層の各々は、0.902~0.907g/cmの総密度、および0.7~1.1g/10分のメルトインデックスを有する。
【0049】
様々な実施形態において、第1の内層および第2の内層は、第1の外層と第2の外層との間に位置決めされる。いくつかの実施形態では、第1の内層は、第1の外層とコア層との間に、これらと接触して直接位置決めされ、第2の内層は、第2の外層とコア層との間に、これらと接触して直接位置決めされる。代替の実施形態では、コア層は、第1の外層と第1の内層との間に、これらと接触して直接位置決めされ、第2の内層は、第2の外層と第1の内層との間に、これらと接触して直接位置決めされる。別の実施形態では、コア層は、第2の外層と第2の内層との間に、これらと接触して直接位置決めされ、第1の内層は、第1の外層と第2の内層との間に、これらに接触して直接位置決めされる。
【0050】
多層フィルムの形成
多層フィルムは、概して、本明細書の教示に基づいて、当業者に知られている技術を用いて生産され得る。例えば、多層フィルムは、共押出しによって生産することができる。多層フィルム押出しの技術は、薄いプラスチックフィルムの生産でよく知られている。適切な多層フィルムプロセスは、例えば、The Encyclopedia of Chemical Technology,Kirk-Othmer,Third Edition,John Wiley&Sons,New York,1981,Vol.16,pp.416-417 and Vol.18,pp.191-192に記載されている。
【0051】
共押出し多層フィルムの形成は当技術分野で知られており、本開示に適用可能である。「共押出し」という用語は、好ましくは冷却または急冷の前に、押出物が一緒に層状構造に混合するように配置された2つ以上のオリフィスを有する単一のダイを通して2つ以上の材料を押出すプロセスを指す。多層フィルムを作製するための共押出しシステムは、共通のダイアセンブリに供給する少なくとも2つの押出機を使用する。押出機の数は、共押出しフィルムを構成する異なる材料の数に依存する。異なる材料ごとに、異なる押出機が使用される。したがって、5層の共押出しには、最大で5つの押出機が必要になる場合があるが、2つ以上の層が同じ材料で作製されている場合は、使用する押出機は少なくなる。
【0052】
多層フィルムでは、各層は、耐候性、ヒートシール、接着性、耐薬品性、バリア層(例えば、水または酸素に対して)、弾性、収縮、耐久性、手触り、騒音または騒音低減、テクスチャ、エンボス加工、装飾要素、不浸透性、剛性などの所望の特性を有利に与える。多層フィルムの隣接する層は、任意選択で互いに直接接着されるか、あるいは、特にそれらの間で接着を達成する目的で、それらの間に接着剤、タイまたは他の層を有し得る。層の構成要素は、所望の目的を達成するために選択される。
【0053】
多層フィルムは、当技術分野で知られているように、収縮包装フィルム、ストレッチフードフィルムなど、様々な原因で使用することができる。例えば、本開示の多層フィルムは、好ましくは、ストレッチフードフィルムを形成する際に使用される。
【0054】
ストレッチフードフィルム
ストレッチフードとして使用するために、本開示の多層フィルムは、好ましくは、60~120μmの厚さであり、3.0~4.0のブローアップ比で作製される。このような多層フィルムは、製造中およびストレッチフード用途での使用中の穿刺および引裂きを回避するのに役立ち、積荷の封じ込めを呈する。多層フィルム構造に関して前述した他の物理的特性に加えて、ストレッチフードの最終使用の用途では、多層フィルム構造は通常、少なくとも1900グラム、多くの場合ははるかに高い縦方向の引裂きを呈する。例えば、本開示の多層フィルムの縦方向の引裂きは、ASTM D1922-09の手順に従って測定されるように、1900から3450gの範囲である。
【0055】
添加剤
第1の外層および第2の外層は、1つ以上の添加剤をさらに含み得る。添加剤は、任意選択で、第1の内層、第2の内層、および/またはコア層に含まれる。添加剤は、当技術分野における技術の範囲内である。そのような添加剤には、例えば、フリーラジカル阻害剤および紫外線(UV)安定剤を含む安定剤、中和剤、核剤、スリップ剤、粘着防止剤、顔料、帯電防止剤、清澄剤、ワックス、樹脂、シリカおよびカーボンブラックなどの充填剤、ならびに組み合わせてまたは単独で使用される当技術分野の他の添加剤が含まれる。有効量は当技術分野で知られており、それらがさらされる組成および条件におけるポリマーのパラメータに依存する。
【0056】
当業者に知られているように、粘着防止添加剤は、ポリマーフィルムに添加されると、製造、輸送、および保管中にフィルムが別のフィルムまたはそれ自体に付着する傾向を最小限に抑える添加剤である。粘着防止剤として使用される典型的な材料には、シリカ、タルク、粘土粒子、および当業者に知られている他の物質が含まれる。
【0057】
当業者に知られているように、スリップ添加剤は、ポリマーフィルムに添加されると、フィルムの摩擦係数を低下させる添加剤である。スリップ剤として使用される典型的な材料には、エルカミド、オレアミド、および当業者に知られている他の物質が含まれる。
【実施例
【0058】
実施例において、例えば、以下を含む、材料の様々な用語および呼称を使用した。
【表1】
【0059】
表1に記載されている材料を使用して、多層フィルムを生産する。表5に見られる多層フィルムの例(EX)は、LLDPE Copolymerの2つの層の間にプロピレンベースのエラストマコア層を使用して生産される。表5に見られる多層フィルムの比較例(CE)には、LLDPE Copolymerと混合されたプロピレンベースのエラストマ、プロピレンベースのエラストマの2つの層の間のプロピレンベースのエラストマ、またはプロピレンベースのエラストマ層とLLDPE Copolymer層との間のプロピレンベースのエラストマが含まれる。LLDPE Copolymerコポリマーは、以下の手順で作製される。
【0060】
LLDPE Copolymerは、すべての原料(モノマーおよびコモノマー)とプロセス溶媒(狭沸点範囲高純度イソパラフィン系溶媒「Isopare-E」)をモレキュラーシーブで精製してから、反応環境に導入している。水素は加圧されて供給され、さらに精製されていない高純度グレードから作製される。縦式コンプレッサを使用して、反応器モノマー供給ストリームを表2に示す反応器圧力まで加圧する。また、ポンプを使用して、溶媒とコモノマーの供給を表2に示す反応器圧力まで加圧する。個々の触媒成分は、表2に示す反応器圧力まで、精製された溶媒を使用して手動でバッチ希釈される。全ての反応供給流は、質量流量計を用いて測定し、コンピュータにより自動化された弁制御システムによって独立して制御される。
【0061】
2つの反応器システムを、直列構成で使用する。各連続溶液重合反応器は、熱を除去する連続撹拌槽型反応器(CSTR)を再現する、液体が充填された非断熱、等温循環ループ反応器で構成される。すべての新たな溶媒、モノマー、コモノマー、水素、および触媒成分供給物の独立した制御が可能である。各反応器への全新供給物ストリーム(溶媒、モノマー、コモノマー、および水素)は、供給物ストリームを熱交換器に通過させることによって、単一溶液相を維持するように温度制御する。各重合反応器への全新供給物は、2つの場所において反応器(例えば、第1の反応器および第2の反応器)に注入され、各注入場所の間で反応器の体積はほぼ等しくなる。新供給物は、全新供給物流量の半分を受容する各注入器によって制御される。触媒成分を、重合反応器に注入する。主要な触媒成分供給物は、特定の目標で各反応器のモノマー転化を維持するためにコンピュータ制御する。共触媒成分は、主触媒成分に対して計算された特定のモル比に基づいて供給される。各々の反応器供給注入場所の直後に、供給流を循環重合反応器の内容物と静的混合要素を用いて混合する。各反応器の内容物を反応熱の大部分を除去する役割を果たす熱交換器に通して、および特定温度で等温反応環境を維持する役割を果たす冷却剤側の温度で連続的に循環させる。各反応器ループの周りの循環は、ポンプによって提供される。
【0062】
二重直列反応器構成では、第1の重合反応器からの流出物(溶媒、モノマー、コモノマー、水素、触媒成分、ポリマーを含有する)は、第1の反応器ループを出て、第2の反応器ループに添加される。
【0063】
第2の反応器流出物は、適切な試薬(例えば、水)を添加して不活性化されるゾーンに入る。この同じ反応器の出口の場所において、ポリマー安定化のために他の添加剤が添加される(オクタデシル3,5-ジ-タート-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート、テトラキス(メチレン(3,5-ジ-タート-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート))メタン、トリス(2,4-ジ-タート-ブチル-フェニル)ホスファイト)など、押出しおよびフィルム製作時の安定化に適した典型的な酸化防止剤)。
【0064】
触媒の不活性化および添加剤の添加に続いて、反応器流出液は、ポリマーが非ポリマー流から除去される脱揮発システムに入る。単離されたポリマー溶融物を、ペレット化して収集する。
【表2】
【表3】
【0065】
表5の多層フィルムは、Collin共押出しインフレーションフィルムライン上に多層フィルムを押出すことにより、3.5のブローアップ比(BUR)、および100μmで生産される。Collin共押出しインフレーションフィルムラインは、Collin Lab&Pilot Solutions GmbHによって生産される。Collin押出インフレーションフィルムラインは、表5の多層フィルムを調製するために、以下の表4に示すように構成されている。
【表4】
【0066】
表5の多層フィルムの比較例は、組み合わされたコア層を含む。例えば、表5の多層フィルムの第1の内層、コア層、および第2の内層を組み合わせてもよく(比較例B、C、D、E、およびF)、または表5の多層フィルムの第1の内層とコア層を組み合わせることができる(比較例A)。
【表5】
【0067】
表7の多層フィルムは、5層のWindmoller&Holscher OPTIMEXインフレーションフィルムラインで、出力速度300kg/hr、出力速度300kg/hr、BUR3.8において生産されている。表7の多層フィルムは、原材料の使用を最小限に抑えるために、100mおよびダウンゲージされた厚さ80μmにおいて生産された。表7に提供されているすべてのパーセント(%)値は、各層の総重量に基づく重量パーセントである。Windmoller&Holscher OPTIMEXインフレーションフィルムラインは、Windmoller&Holscher Corporationによって生産されている。Windmoller&Holscher OPTIMEXインフレーションフィルムラインは、表7の多層フィルムを調製するために、以下の表6に示すように構成されている。
【表6】
【0068】
表7の多層フィルムの例は、混合されたコア層を含む。例えば、例3と例4のコア層には、Versify2300とSchulmanUVK90の混合が含まれている。
【表7】
【0069】
試験方法
引裂き抵抗
縦方向(MD)と横方向(CD)の両方での多層フィルムの引裂き抵抗は、パレットのユニット化のためにフィルムを査定するための貴重なデータである。ASTM D1922-09に従って、多層フィルムの引裂き抵抗テストを実施する。ASTM D1922-09規格は、引裂きが開始された後、指定された長さのプラスチックフィルムを通した縦および横方向での引裂きを伝播させる平均力を判定する。
【0070】
積荷安定性試験
積荷安定性試験は、輸送中にフィルムで固定されたパレットに積載された積荷の完全性と安全性を判定する。荷重安定性試験は、EUMOS40509に従って多層フィルムに対して実施される。EUMOS40509は、0~2gの水平加速度を受ける積荷ユニット(例えば、トラック内で輸送される積荷)に適用される国際規格である。EUMOS40509では、特定の方向に慣性力を受けたときの、その方向での積荷ユニットの剛性を定量化する試験方法が記載されている。パレットに積載された試験積荷の水平方向の永久変位は、高さの5%を超えてはならない。使用するパレットの高さは、180cmである。そのため、永久変位は9cm未満である必要がある。積荷安定性は、EN12195Normに基づく傾斜試験を使用してチェックした。ただし、永久変位を評価するための基準は、EUMOS40509に基づいています。
【0071】
結果
表8に提示されるデータは、実施例(EX)1~3が、比較例A~Fと比較して、縦方向および横方向において増加した引裂き抵抗を有することを実証している。実施例4は、100μmの厚さの比較例と同様の縦方向の引裂き抵抗を有するが、実施例4は、80μmの厚さで生産される(例えば、比較例より20%少ない材料)。個別のversify2300コア層(EX1~4)を有する多層フィルムは、縦方向および横方向でより高い引裂き抵抗を生じさせた。個別のversify2300コア層を使用すると、フィルムの他の特性を損なうことなく、引裂き抵抗が増加する。例えば、本開示の実施例は、引裂き抵抗を増加させながら、積荷安定性を維持または改善することができる。つまり、表8に示す実施例では、縦方向および横方向に優れた引裂き抵抗を示し、ストレッチフード用途として許容されるレベル(例えば、許容されるレベルは、約750~1000gと見なされる)を超えている。
【表8】
【0072】
表9に提示されているデータは、実施例3および4の永久変位が設定された基準の範囲内にあることを実証している。実施例3および4の永久変位は、パレットの高さに基づいて許容される最大9cmを下回っている。すなわち、本開示の実施例3および4は、輸送中の積荷安定性の確保および維持において高い完成度を呈し、引裂き抵抗を高めながら積荷安定性を維持または向上させることができる。
【表9】
【0073】
結論
多層フィルムの総厚の8~30%を構成するプロピレンベースのエラストマの離散層を有する多層フィルムは、大幅なダウンゲージを容易にする高品質の多層ストレッチフードフィルムを生産する。
【0074】
Collin共押出しインフレーションフィルムラインで生産された実施例(Ex1及び2)は、比較例フィルムと比較して強化された特性を呈する。
【0075】
5層のWindmoller&Holscher OPTIMEXインフレーションフィルムラインで生産された実施例(Ex3および4)は、試験中に非常に良好に機能した。5層のWindmoller&Holscher OPTIMEXインフレーションフィルムラインで生産された多層ストレッチフードフィルムは、優れたスナップバック品質とタイガーストリッピングのない高い加工性を示す。実施例の多層ストレッチフードフィルムは、積荷安定性とともに、縦および横方向における引裂き抵抗の増加を呈する。本開示の多層ストレッチフードフィルムの引裂き抵抗は、大幅なダウンゲージ(例えば、プロピレンベースのエラストマ層がないか、またはより厚いプロピレンベースのエラストマ層を有するフィルムと比較して、少なくとも20%)を容易にするのに十分に高く、それでもなお積荷安定性が向上した高性能ストレッチフードフィルムを生産する。

図1
【国際調査報告】