(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-28
(54)【発明の名称】平面状ワークピースをコーティングする方法
(51)【国際特許分類】
B27M 3/00 20060101AFI20220621BHJP
E04F 15/02 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
B27M3/00 M
E04F15/02 A
B27M3/00 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021559135
(86)(22)【出願日】2020-01-09
(85)【翻訳文提出日】2021-10-13
(86)【国際出願番号】 EP2020050452
(87)【国際公開番号】W WO2020211989
(87)【国際公開日】2020-10-22
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501206633
【氏名又は名称】スイス・クロノ・テック・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】SWISS KRONO Tec AG
【住所又は居所原語表記】Museggstrasse 14, 6004 Luzern, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100106312
【氏名又は名称】山本 敬敏
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】ハッシュ,ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】カルヴァ,ノルベルト
(72)【発明者】
【氏名】シュワインド,フォルカー
【テーマコード(参考)】
2B250
2E220
【Fターム(参考)】
2B250AA06
2B250BA03
2B250CA11
2B250DA04
2B250FA31
2B250FA46
2B250GA03
2B250HA01
2E220AA07
2E220AA16
2E220AA26
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2E220AA49
2E220AB03
2E220AB12
2E220AB14
2E220AC01
2E220BA01
2E220BA03
2E220BA14
2E220BA19
2E220BB03
2E220BB04
2E220BC06
2E220EA02
2E220FA01
2E220GA22X
2E220GA24X
2E220GA25Y
2E220GA26X
2E220GA26Y
2E220GB32X
2E220GB32Y
2E220GB38X
2E220GB38Y
(57)【要約】
本発明は、平面状ワークピースをコーティングするための方法に関する。リグノセルロース繊維、50重量%を超える割合の結合剤及び任意に充填剤を有するワークピースから製造され、性能特性が改善された平面状ワークピースを提供するために、以下のステップ:-上面、下面、側面を有する平面状ワークピースを提供し、-コーティングを適用し、-装飾を適用し、-任意に、少なくとも上面、下面、又は側面の一部において、それぞれの場合にコーティングを構造化し、-任意に、コーティングを硬化させる、ステップを有する方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状ワークピースをコーティングする方法であって、前記平面状ワークピースは、リグノセルロース繊維を有する材料、50重量%を超える割合の、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)、又eMDIとして乳化された形態のもの、高分子ジメチルメタンジイソシアネート(PMDI)、又は前述の結合剤の混合物から製造され、以下の:
-上面、下面、及び複数の側面を有する前記平面状ワークピースを提供し、
-コーティングを適用し、
-装飾を適用し、
-任意選択で、少なくとも上面、下面、又は側面の一部において、それぞれの場合にコーティングを構造化し、かつ、
-任意選択で、コーティングを硬化させる、
ステップを有する、
ことを特徴とする平面状ワークピースをコーティングする方法。
【請求項2】
前記コーティングは、熱硬化性合成樹脂、例えば、メラミン樹脂、ワニス、例えば、UV硬化性ワニス、又はホットメルトの群から選択される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コーティングは、液体コーティングとして、粒子状コーティングとして、紙の形態で及び/又はフィルムの形態で適用される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記コーティングは、単層又は複数層である、
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
前記コーティングは、圧力及び/又は温度の影響下で硬化される、
ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記コーティングは、放射線、特に電子硬化放射線又はUV放射線によって硬化される、
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
前記構造化は、機械的又は化学的手段によって作製される、
ことを特徴とする請求項1ないし6いずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
前記コーティングは、骨材を備えている、
ことを特徴とする請求項1ないし7いずれか一つに記載の方法。
【請求項9】
リグノセルロース繊維を有する材料、50重量%を超える割合の、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)、又eMDIとして乳化された形態のもの、高分子ジメチルメタンジイソシアネート(PMDI)、又は前述の結合剤の混合物から製造される平面状ワークピースであって、
前記平面状ワークピースは、上面、下面、及び複数の側面を有し、
前記上面、下面、又は少なくとも一つの側面には、少なくとも部分的において、装飾及び任意に構造を有するコーティングが設けられている、
ことを特徴とする平面状ワークピース。
【請求項10】
プライマーが、前記ワークピースと前記コーティングとの間又はコーティングに、塗布される、
ことを特徴とする請求項9に記載の平面状ワークピース。
【請求項11】
接着剤が、前記ワークピースと前記コーティングとの間に塗布される、
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の平面状ワークピース。
【請求項12】
互いに向かい合う少なくとも二つの側面は、プロファイルを有する、
ことを特徴とする請求項9ないし11いずれか一つに記載の平面状ワークピース。
【請求項13】
床カバー、壁カバー、天井カバーとして、請求項9ないし12いずれか一つに記載のコーティングを施した平面状ワークピースの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面状ワークピースをコーティングする方法、コーティングされた平面状材料、及びコーティングされた平面状ワークピースの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
平面状ワークピースは、原則としてコーティングなしでも使用できるが、殆どの使用例では、ワークピースの使い易さを向上させ、ワークピースの美的印象を向上させるためにコーティングが適用される。平面状ワークピースの材料の組成によって、ワークピースを最適にコーティングする方法が決まる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この場合、50重量%を超える結合剤、及びさらにリグノセルロース繊維、及び必要に応じて骨材を有する平面状ワークピースの性能特性は、改善されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的は、請求項1に記載の方法および請求項9に記載の平面状ワークピースによって解決される。驚くべきことに、この平面状ワークピースは、全ての既知のコーティング技術を使用してコーティングされ得ることが見出された。
【0005】
コーティングされる平面状ワークピースは、リグノセルロース繊維及び結合剤並びに必要に応じて骨材を有する材料から製造され、結合剤の割合は、(固形として計算されて)少なくとも50重量%である。また、結合剤の割合は、アトロ繊維の割合に対して計算され、101重量%から500重量%までの結合剤であり得る(本発明に関連して、アトロは、繊維の割合が105℃で一定重量になるまで乾燥されることを意味する)。このような材料は、欧州特許出願19170159.8に記載されている。
【0006】
特に、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)、又eMDIとして乳化された形態のもの、高分子ジフェニルメタンジイソシアネート(PDMI)、及び強烈な彩りのために限られた範囲でのフェノール-ホルムアルデヒド樹脂、又は前述の結合剤の混合物は、結合剤として適している。材料の結合剤、特にメラミンの特性は、エラストマー又は熱可塑性プラスチックを添加することによって、例えば、ポリ酢酸ビニル(PVAc)又はエチレン酢酸ビニルを添加することによって、変更することができ、特に可塑化することによって改善することができる。モノエチレングリコール又はジエチレングリコールの添加も、平面状材料の可塑化に適している。平面状材料を可塑化するために、アクリレート、スチレンアクリレート、又はポリウレタン分散液(PUディスパージョン)が好ましく使用され、それらのガラス転移温度は好ましくは0℃未満(Tg<0℃)である。合成樹脂へのこれらの添加剤は、添加剤の固形分比率の重量として測定され、最大1:1、好ましくは最大0.7:1、特に最大0.2:1、有利には少なくとも0.1:1の比率で、使用する合成樹脂の固形分の重量に比例して、使用される。しかしながら、熱可塑性プラスチックは、結合剤の主成分として、特に定量的な主成分としては使用されないことが好ましい。
【0007】
また、天然繊維又は合成繊維、無機繊維又は有機繊維、又は、繊維、特に前述の繊維の混合物は、材料に添加することができる。平面状材料は、材料の総量に対して、最大30重量%の骨材、特に非吸湿性又は非膨潤性の骨材を含むことができる。骨材は、鉱物、セラミック、又は、合成材料又はガラスで構成されることができる。骨材の混合物も使用することができる。平面状材料は、DIN137(キャリアボードの膨潤)又はDIN13329(コーティングされたキャリアボードのエッジの膨潤)に準拠してそれぞれ測定された、最大3%、好ましくは最大2%、好ましくは1%未満の厚さの膨潤を有することができる。有利には、疎水剤、例えば、パラフィン又はワックスを、平面状材料の総重量に対して、典型的には最大5重量%の量で、好ましくは最大2重量%の量で、通常は0.1重量%から1.5重量%の量で使用することができる。疎水剤の混合物も使用することができる。さらに、1つ又はそれ以上の殺藻剤(アルジサイド)及び/又は殺菌剤を、通常、平面状材料の総重量に対して最大5重量%の量で平面状材料に添加することができる。
【0008】
平面状ワークピースの厚さは、1mmから500mm、通常は3mmから80mmの間である。平面状ワークピースが製造される材料の密度は、1000kg/m3から1800kg/m3であり、通常は1000kg/m3から1600kg/m3の間である。
【0009】
本発明に係る平面状ワークピースの材料は、木質材料ボードを製造するための既知のシステムで製造することができる。繊維は接着され、すなわち接着剤が供給され、散乱されて繊維ケーキを形成し、熱及び圧力の影響下で、平面状材料の上面及び下面に圧力を加えるプレス機において、例えば、ダブルベルトプレス又は短サイクルプレスでプレスされて、平面状材料を形成する。典型的なプレス条件は、140℃から220℃、通常は160℃から200℃の温度、及び0.3N/mm2から5.5N/mm2、好ましくは1N/mm2から3N/mm2の圧力、通常は6秒/mm(板厚)から20秒/mm(板厚)のプレス時間である。平面状材料は、利用可能なプレスが可能にする任意のサイズで製造することができる。
【0010】
以前に知られている平面状ワークピース、特に木質材料で作られたワークピースとは対照的に、ワークピースの上面,下面,及び側面を意味する表面は、繊維が大幅に少なく、その代わりに使用される材料として主に硬化した結合剤を有する。以前のコーティング方法が新しい平面状材料に問題なく使用できるとは予想されていなかった。しかしながら、リグノセルロース繊維と50重量%を超える割合の結合剤を有する材料の平面状ワークピースをコーティングするために、本発明による方法を実施することが可能であり、この方法は、以下の:
-上面と下面と側面を持つ平面状ワークピースを供給し、
-コーティングを適用し、
-装飾を適用し、
-任意に(必要に応じて)、少なくとも上面、下面、又は側面の一部上において、コーティングを構造化(structuring)し、及び
-任意に(必要に応じて)コーティングを硬化させる、
ステップにより達成される。
【0011】
大部分が硬化した結合剤からなるワークピースの表面は、良好にコーティングできることが見出された。コーティングは、主に合成樹脂で形成されたワークピースの表面に良く付着する。平面状ワークピースが製造される材料の構成要素、結合剤及び繊維並びに任意選択の骨材も、特に、圧力及び高温の適用下でプレスによって適用されるコーティングに適している。しかしながら、塗装や積層加工(フィルムや紙の接着)もコーティングの可能な形態である。以下に説明する個々のコーティング手段及び方法は組み合わせることができる。本発明に従って適用されるコーティングは、以下で詳細に説明されるように、単層又は複数の層であり得る。コーティングは、平面状ワークピースの性能特性を大幅に向上させる。それらは、とりわけ、ワークピースの表面を湿気に対してシールし、その結果としてワークピースを好ましくは耐水性に設計し、メンテナンス特性を改善し、ワークピースの表面の美的デザインを可能にする。
【0012】
また、本発明は、リグノセルロース繊維及び50重量%を超える結合剤を有する平面状材料に関し、平面状材料は、上面、下面、及び側面を有し、その上面、下面、又は側面は、少なくとも部分的に装飾及び任意選択で(必要に応じて)構造(ストラクチャー)を有するコーティングが施される。設計に応じて、コーティングは、例えば物理的観点(例えば、耐熱性及び耐水性、耐引っかき性、耐摩耗性、導電性)において、化学的観点において、例えば改善された耐酸性及び耐アルカリ性を通して、あるいは美的観点において、例えば魅力的な装飾及び任意選択の構造の適用を通して、本発明に係るワークピースの使用可能性を高める。
【0013】
ワークピースの表面の美的デザインのために、装飾が適用される。これは、実質的に少なくとも一つ、通常は二つ以上の色からなる二次元のアプリケーションを意味する。模造の木や石などの自然な装飾だけでなく、想像力豊かな装飾も典型的である。特にシンプルな装飾は、シンプルな色の面を示す。装飾は、本発明によるワークピースの表面上に、又は、それに適用されたコーティング上に、例えば、プライマー(下塗り剤)上に、直接適用することができ、例えば、印刷するか、噴霧するか、又はロールすることができる。或は代わりに、装飾を紙又はフィルムに印刷し、その後印刷された紙又は印刷されたフィルムを平面状ワークピースの表面に適用し、通常貼り付け、又は、合成樹脂に含浸させて乾燥させた後、合成樹脂を硬化させながらプレスすることができる。装飾は、通常、耐摩耗性ではないため、通常、合成樹脂、ワニス、又はホットメルト等で作られたシーラントで保護される。
【0014】
特に木を模した装飾の場合だけでなく、他の装飾においても、構造(ストラクチャー)を導入することでリアルなイメージの印象を強める。構造は、装飾とは対照的に三次元である。それは通常空間的に制限される。それは通常例えば木の装飾において細孔を含む。構造は、一般に装飾の上に配置されたコーティングに導入される。構造は、装飾の上のこのコーティングに窪みとして導入することができる。或は代わりに、構造は、装飾又は装飾の上のコーティングに隆起したパターンとして適用することができる。構造の深さ又は高さは、通常、1μmから400μm、好ましくは10μmから100μmである。窪みは、通常、対応する隆起したパターンを備えたエンボスローラー又はエンボスシートによって導入される。或は代わりに、窪みは、湿潤性材料と非湿潤性材料とを組み合わせることによって、例えば、湿潤性材料のマトリックスにおいて、窪みが形成されるべき各場所に非湿潤性材料の一部が適用(塗布)された第1層によって、化学的な細孔として知られるものとして、適用することもできる。次に、湿潤性材料のみを濡らす材料の第2層が適用される。そして、非湿潤性材料の残りの部分は窪みを形成する。隆起したパターンは、少量のコーティング材料(ワニス、インク、ペイント)を塗布するプリンター又はローラーによって適用される。装飾と構造が同時に適用される場合は特に好ましい。これは、例えば、装飾に色で適用されている細孔が構造に対応している場合を意味する。このようにして、木の装飾は例えば、特に自然な方法で模倣される。
【0015】
或は代わりに、装飾とは独立して構造を適用することもできる。通常、指紋を示さないマット効果(艶消効果)又は表面が望まれる。最後に、装飾から独立した構造と装飾と同時に生じる構造を組み合わせることができる。
【0016】
本発明に係る方法に従って平面状ワークピースに適用(塗布)されるコーティングは、例えば、合成樹脂又はワニスを含むことができる。メラミンホルムアルデヒド樹脂が好ましくは使用される。好ましくは、放射線硬化ワニス(電子ビーム硬化ワニス又はUV硬化ワニス)がワニスとして使用される。合成樹脂は、直接、例えば液体の形で塗布することができ、合成樹脂を複数の層で塗布することが好ましく、有利には、例えば2層から10層で、総量が約20g/m2から100g/m2である。合成樹脂としては、例えば、メラミンホルムアルデヒド樹脂が適用される。合成樹脂は、一般に、固形分、すなわち、合成樹脂の総量に占める合成樹脂の割合が、40%から70%、好ましくは55%から70%である。
【0017】
合成樹脂は、骨材、例えば、コランダム、ガラス、又はセラミックの粒子を含むことができる。これらの骨材は、例えば、本発明によるワークピースの表面の耐摩耗性又は耐引っかき性を改善する。グラファイト又は金属粒子又は繊維のような他の骨材は、平面状ワークピースの表面の導電性を改善する。骨材は、1μmから100μm、好ましくは5μmから90μm、特に20μmから70μmの直径を有するもの、或は代わりに、コランダムの場合に、FEPA規格によるF180からF240の粒子のもが、通常5g/m2から100g/m2、有利には10g/m2から60g/m2の量で合成樹脂に添加される。特に、耐引っかき性及び耐摩耗性を改善する骨材は、好ましくは、コーティングの外側を形成する最も外側の合成樹脂層に含まれない。
【0018】
個々の合成樹脂層は、有利には、例えば熱風又はIR放射によって、中間段階で、5%から25%、好ましくは4%から10%の水分含有量まで乾燥される。そして、それらは、B状態と呼ばれる状態に達し、この状態では、合成樹脂は一般に粘着性がなくなるが反応性はある。そして、完全に塗布された合成樹脂コーティングは、プレス機において、例えば短サイクルプレスにおいて、圧力及び上昇する温度の影響下で硬化される。典型的なプレス条件は、プレス温度が160℃から220℃、好ましくは180℃から200℃、プレス圧力が20kg/cm2から50kg/cm2、好ましくは22kg/cm2から40kg/cm2、及びプレス時間が5秒から60秒、好ましくは5秒から30秒である。
【0019】
コーティングは、紙の形態及び/又はフィルムの形態で適用することができる。特に、合成樹脂が乾燥しているが反応性がありB状態を意味する合成樹脂含浸紙は、平面状ワークピースの表面をコーティングするために容易に使用される。この実施形態において、合成樹脂は、紙の層に塗布され、その後乾燥されるが硬化されない。このプロセスは、含浸とも呼ばれる。含浸は、複数のステップで、任意に(必要に応じて)すでに塗布されている合成樹脂を中間乾燥させて、行うことができる。この場合、異なる合成樹脂又は合成樹脂の混合物を適用することもできる。また、上述の骨材は、上述の量及びサイズでここに添加することができ、この場合、好ましくは、後でコーティングの外側を形成する合成樹脂層には添加しない。一般に、液体状の合成樹脂と粉末状の合成樹脂の混合物も、平面状ワークピースに直接塗布するため及び紙の含浸のための両方に使用することができる。一つ又はそれ以上の合成樹脂含浸紙を、平面状ワークピースの表面に配置できる。そして、それらは、プレス機で、特に短サイクルプレスで、平面状ワークピースと一緒にプレスされ、そこで合成樹脂は最初に液化されて次に硬化される。プレス条件は、液体として塗布された合成樹脂コーティングを硬化させるための上述された条件に対応する。
【0020】
平面状ワークピースの表面コーティングは、ワニスのみで行うことができ、この場合、多層の適用でも好ましい。或は代わりに、ワニスを、特にコーティングの外側を形成するために、合成樹脂コーティングに塗布することもできる。また、ワニスでコーティングされた紙を使用することもでき、そこではワニスは塗布された後に乾燥又は硬化される。ワニスだけでなく合成樹脂も、液体の形態で使用することができ、又、固体として、例えば粉末ワニスの粒子の形態で使用することもできる。また、合成樹脂、例えば、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂も粉末の形態で使用することができる。粉末は、圧力と上昇する温度の影響下で溶融し、通常は流動して閉じたコーティングを形成し硬化する。液体状のワニスは、スプレー、ローリング、及び/又は注入によって適用(塗布)することができる。ワークピースは、全ての面(上面、下面、側面)に塗装することができ、特に、プロファイル(輪郭付け)された表面、例えば、ワークピースの側面に導入されるVジョイントを備えた表面も塗装することができる。ワニスは、無着色又は着色ワニスとして使用することができる。ワニスは、合成樹脂の塗布に関連して述べられた骨材を含むことができる。ワニスは、透明又は不透明のワニスとして使用することができる。ワニスは、ローラーで塗り付けたり、注いだり、スプレーしたり、印刷したり、又はドクターナイフで塗ったりすることができる。ワニスは、本発明に係るワークピースの表面全体又は一部に塗布される。ワニスは、5g/m2から300g/m2の量で平面状ワークピースの表面に塗布され、これには、既存のコーティング又はプライマーへの塗布も含まれる。好ましくは、電子ビーム又はUV硬化ワニスが適用される。ワニスの次の層が塗布される前に、ワニスの多層塗布中に既に塗布されたワニスの層を、部分的に硬化させることを意味する、部分的にセットする(固める)ことも有利である。そして、ワニスの多層コーティングは完全に硬化される。
【0021】
本発明に係る平面状ワークピースの表面をコーティングするための別の代替案は、ホットメルト、例えばポリウレタンホットメルト(PUホットメルト)、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、又はポリ酢酸ビニルホットメルト、例えばエチレン酢酸ビニルホットメルトの適用である。ホットメルトは、単層又は複数層で塗布することができ、多層塗布が好ましい。ホットメルトは、プラスチックの適用(用途)のために上述と同じ骨材を有することができる。ホットメルトは、無着色又は着色された形態で使用することができ、顔料の割合は最大30重量%であり得る。ホットメルトは、透明又は不透明にすることができる。ホットメルトは、本発明に係るワークピースの表面全体又は一部に適用することができる。ホットメルトは、10g/m2から30g/m2の量で、好ましくは50g/m2から200g/m2の量で適用される。ホットメルトは、80℃から160℃、通常は100℃から130℃の温度で適用された後に、冷却によって固定される。ホットメルトは、ローラー付けしたり、ドクターナイフで塗布したり、スプレーしたりすることができる。既に塗布されかつ好ましくは既に冷却されたホットメルトの層は、装飾を施すために、特に水性又はUV硬化印刷インクを用いて印刷され得る。ホットメルトコーティングは、コーティングされた平面状ワークピースの外側を形成するワニス層、通常は最終的な外側ワニス層と組み合わされることもよくある。また、ホットメルトは、以下に説明するように他のコーティング材料を固定するために、特に連続圧力ラミネート(CPL)又は高圧ラミネート(HPL)、又はプラスチックフィルム、例えばポリ塩化ビニルフィルム(PVCフィルム)、又は印刷された紙と組み合わせて使用される。
【0022】
最後に、本発明に係るワークピースの表面の使い易さは、ラミネーション(積層物、貼り合わせ)が適用されるという点で改善することができる。ラミネーションは、例えば上記のように、ホットメルト又は接着剤によって、本発明に係る材料に接着される、通常はすぐに使用できる外側を備えたコーティングを有する。ラミネーションの典型的な実施形態は、例えば、複数の合成樹脂含浸紙からなるCPL又はHPLであり、合成樹脂含浸紙又はフィルムは、合成樹脂の硬化中にすでに一緒にプレスされている。しかしながら、PVCフィルムを積層することもできる。CPL又はHPL又はPVCフィルムのようなすぐに使用できる表面を備えた他のコーティングは、通常、接着剤としてホットメルトを用いて平面状ワークピースの表面に適用される。ラミネーションは、例えば、80℃から200℃において、最大300N/cm2の圧力でラミネートプレスにおいてプレスされる。プレス時間は、短く、通常は最大1秒である。ラミネートシステムは、通常、カレンダーシステム(艶出し機械システム)として構成される。
【0023】
ラミネーションの表面は既にそれ自体ですぐに使用できる状態になっている場合でも、美的理由又は使い易さの追加の改善のために、これは追加のコーティング又はシーラントの適用を妨げるものではない。例えば、ワニスの塗布は、例えば、特別な視覚効果を達成するために、又は、例えば少なくとも一つのワニス層が耐摩耗性を改善するためのコランダムを含むために、又は、耐擦傷性(耐引っかき性)を改善するためのアエロジル(Aerosil)を含むために、一つ又はそれ以上の層が典型的である。
【0024】
主に結合剤、特にメラミンを含むが、さらにリグノセルロース繊維も含むワークピースの表面は、良好に印刷できることも見出された。印刷は、ローラーなどのアナログ手段を用いて行うことができるが、インクジェット又はレーザープリンターなどのデジタル手段を用いて行うこともできる。印刷インクで少なくとも部分的にコーティングされたワークピースの表面は、任意に(必要に応じて)、追加のコーティングを適用することによってシールすることができる。例えば、単一層又は複数層に塗布されたワニス、単一層又は複数層に塗布されたホットメルト、又は、例えばオーバーレイ又は液体として塗布された合成樹脂の形態で単一層又は複数層に塗布された合成樹脂コーティングは、この目的に適している。
【0025】
上記の印刷インクを含むコーティングは、本発明に係るワークピースの表面によく付着することが見出された。これは、接着をさらに最適化するためにプライマーを使用することを妨げるものではない。例えば、同じ又は異なるコーティングの追加層の接着を改善するために、合成樹脂をプライマーとして適用することができる。さらに、プライマーを使用して、平面状ワークピースの着色を均一にすることができる。例えば、着色された合成樹脂、着色されたワニス、又は着色されたホットメルトは、プライマーとして使用することができる。追加のコーティング又はコーティングの追加の層を適用するために必要な場合は、プライマーを既存のコーティングに適用することもできる。
【0026】
平面状ワークピースの上面又は下面のみにコーティングを施すと、他の材料、例えば、木製チップボード又は木製ファイバーボードで作られた平面状ワークピースの場合よりも大幅に低い程度の曲げが生じることが見出された。これにも拘わらず、個々の場合の片面コーティングは、ワークピースの望ましくない曲げにつながる可能性がある。これに対抗するために、又はそのような曲げを防ぐために、バッキング(裏打ち)が、好ましくは、コーティングの反対側のワークピースの側に適用される。バッキングは、コーティングと同じ、類似、又は異なるもので有り得る。バッキングが、片面コーティングのために平面状材料に作用する変形力を少なくとも部分的に補償することだけが重要である。通常、バキングは装飾又は構造を有しておらず、装飾及び/又は構造はコーティングの場合と同じように確実に適用することができるけれども、特に、例えば、本発明に係るワークピースの上面及び下面の両方は、後の使用で目に見えるものである。
【0027】
別の代替案によれば、足音遮音材を適用することができ、特にワークピースの下面に、特に接着又は積層することができる。例えば、板紙や段ボール紙だけでなく、発泡スチロール(EPS)もバッキングとしての使用に特に適している。板紙又は段ボール紙を使用する場合、これらの材料は疎水性であることが好ましい。
【0028】
好ましい実施形態では、コーティングによって強化された材料で形成された本発明に係るワークピースは、パネルに分割され、ワークピース又はパネルは、それぞれに対面する少なくとも二つの機械加工された特にプロファイルされたエッジを備えている。有利なエッジプロファイルは、さねはぎ(tongue‐and‐groove)プロファイルに基づくが、好ましくは、ボードの面内で引き離されるのを防ぐ部分をさらに有する。しかしながら、パネルは、接着剤で又は接続要素で相互に接続することもできる。パネル同士間の耐水性接続は、壁、天井、又は床の耐水性カバーを得るために、又は、屋内又は屋外構造、例えばファサードのための耐水性構造を設計するために、選択されることが好ましい。
【0029】
上記のようにコーティングされ、任意選択でパネルに分割された本発明に係るワークピースは、特にプロファイルされたエッジが設けられている場合、様々な方法で使用することができる。典型的な用途は、床、壁、及び/又は天井カバーであるが、構造要素又はクラッディング要素として屋外建造物にも使用できる。
【0030】
キャリアボードのコーティングに関する特徴が、以下の例示的な実施形態を含むこの説明の文脈で説明される限り、これらの個々の特徴は、技術的に可能な限り、特定の文脈での開示とは無関係に、自由に組み合わせることができ、すなわち、キャリアボードの他のコーティングにも使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の詳細は、例示的な実施形態を使用して、以下により詳細に説明される。
【0032】
以下において、キャリアボードがワークピースとしてコーティングされる場合、キャリアボードは、常に、54重量%のメラミン樹脂及び45重量%の木質繊維並びに1重量%のパラフィンからなることを意味する。必要に応じて、より高い又はより低い割合の結合剤を使用することができ、例えば、51重量%、52重量%、56重量%、58重量%、又は60重量%の割合の結合剤を使用することができる。パラフィンの割合は、常に同じである。木質繊維の割合は、それぞれの場合に結合剤の割合に適合する。キャリアボードは、8mmの厚さを有する。しかしながら、その厚さは、例えば、4mmから12mmの間で問題なく選択することができ、特定の場合又は特定の用途のために、より小さい又はより大きい厚さを選択することもできる。厚さ4.5mmのキャリアボードは、特に典型的である。キャリアボードは、結合剤と繊維を混合し、繊維ケーキを散乱させ、そしてプレス機でプレスすることによって製造され、そこでは、典型的なように、プレスプレート又は循環金属ベルトが、圧力下でかつ上昇する高温にて、繊維ケーキ又は平面状材料の上面及び下面に作用する。以下の実験では、キャリアボードは、2800mm×2070mmの大きなサイズを有する。以下に説明される例示的な実施形態では、キャリアボードは、コーティングされていないボードとして使用される。
【0033】
必要に応じて、キャリアボードは、コーティングを施す前に研磨することができる。片側の研磨損失は、0.1mmから0.15mmであり、したがって、研磨の総損失は、元のボードの総厚の0.1mmから0.3mmである。
【0034】
例示的な実施形態のために、例えば、装飾用原紙、印刷インクの数、又は使用されるワニス、合成樹脂、又はホットメルトの量について、以下に表示される範囲において、本発明は、表示された範囲全体に亘って実行することができることに留意されたい。範囲の表示は、単に、本発明に係る方法の柔軟性、又は、本発明に係るワークピースのコーティングの可能性の多様性を示す。同じことが、例えば、印刷インク又はインクを適用するために又はコーティングを適用するために、代替物の表示にも適用される。
【0035】
合成樹脂の使用が以下に記載されている限りにおいて、典型的には、硬化剤、湿潤剤などの通常の補助物質を含むか又は含むことができる合成樹脂が使用され、それは、通常、使用される合成樹脂の総量の1重量%から5重量%に達する。
【0036】
例示的な実施形態1
紙アセンブリを備えてプレスされたキャリアボード
装飾紙とオーバーレイが、キャリアボードの上面に配置され、任意に使用されるバッキングが、キャリアボードの下面の下に配置され、三つ又は四つの層で構成されるプレスされた材料スタックが、短サイクルプレスでプレスされる。オーバーレイ、装飾紙、及び任意に使用されるバッキングは、それぞれ合成樹脂含浸紙として使用される。
【0037】
例示的な実施形態1では、装飾紙が、キャリアボードをコーティングするための含浸紙として、以下に基づいて、110から200g/m2の総重量で使用される。
-50から90g/m2の重さの装飾原紙、それには、
-例えば、印刷ローラーによるアナログ方式にて及び/又は例えばインクジェットプリンターによるデジタル方式にて適用される着色インクから生成された、1から6色の装飾オーバープリント(加刷)を備える。インクは水ベースであるため、塗布後に温風で乾燥させることができ、又、インクは、UV硬化させることができ及び塗布後に紫外線照射で硬化させることができる。さらに、装飾含浸紙を製造するために、
-印刷の前後に行われる樹脂の含浸は、尿素樹脂又はメラミン樹脂、又は二つの樹脂の混合物に基づいて行われ、合成樹脂は、液体として又は固体として、特に粉末の形態で適用される。そして、合成樹脂は、60g/m2から110g/m2の重量で状態Bにて存在するまで、乾燥されるが未だ硬化されない。
【0038】
さらに、総重量120から400g/m2の含浸紙としてのオーバーレイは、以下に基づいてコーティングとして使用される。
-重量が3g/m2から70g/m2の原紙、ここでは、重量が10g/m2から25g/m2の軽い原紙が好ましく使用される。
-メラミン樹脂をベースにした樹脂含浸、これは、水状又は固体、特に粉末状で適用され、状態Bで乾燥した後に存在し、85g/m2から280g/m2の重量で、未だ硬化していないことを意味し、
-5g/m2から50g/m2、好ましくは10g/m2から15g/m2の量で、仕様F180からF240(FEPA規格に準拠)のコランダムで充填、そこでは、コランダムが、散在させられているか又は合成樹脂との混合物で適用される。
【0039】
最後に、含浸紙としてのバッキングが、任意に、以下に基づいて、総重量150g/m2から240g/m2で使用される。
-70g/m2から120g/m2の重さの原紙
-尿素樹脂及び/又はメラミン樹脂又は二つの樹脂の混合物に基づく樹脂含浸、それは、水状又は固体、特に、重量が80から120g/m2で、状態Bで存在する、粉末状で適用(塗布)される。
【0040】
或は代わりに又はバッキングに加えて、足音遮音材、例えば、板紙又は段ボール紙又はEPSの層を、典型的には積層することによって、すなわち、接着剤で接着することによって、キャリアボードの下面に取り付けることができる。
【0041】
ワークピース上のコーティングのさらなる生成は、上から下に、含浸紙としてのオーバーレイ、含浸紙としての装飾紙、キャリアボード、及び任意で選択される含浸紙としてのバッキング(裏打ち)を有するプレスされた材料スタックが生成されるという点で行われる。プレスされた製品スタックは、ラミネートを形成するべく短サイクルホットプレスでプレスされ、短サイクルプレスは、オーバーレイに作用する上部プレスプレートと、キャリアボード又はバッキングの下面に作用する下部プレスプレートを有し、又、短サイクルプレスは次のように調整される。すなわち、
-プレスプレートで測定される、少なくとも25kg/cm2の上昇する圧力、180℃から220℃、好ましくは200℃までの上昇する温度の影響下、
-及び6秒から30秒のプレス時間、
-上部プレスプレートによって表面構造を形成しながら、その上部プレスプレートは、少なくとも、装飾(“エンボスインレジスタ(embossed in register)”として知られている)に部分的に適合する構造を任意に有する。
【0042】
この方法で製造されたコーティングされたキャリアボードは、水の影響下でも寸法的に安定しており、膨潤せず、又、面の変形も見られず、つまり、曲がりや歪みが無い。
【0043】
例示的な実施形態2
単層又は複層のワニス層をオーバーレイに適用することができ、その中において、特に表面の光沢、高光沢、又はマット効果のような表面特性を調整するために又は指紋防止特性を形成するために、例示的な実施形態1によるコーティングされたワークピースに従って、構造がエンボス加工される。ワニスは、好ましくは、UVワニスとして、通常二層から三層で塗布され、好ましくは複層のワニス塗布の場合、各ワニス層が塗布された後に、すでに塗布された層が部分的にセット(硬化)される。最後のワニス層が塗布された後に、ワニス層は完全に硬化する。オーバーレイ上のワニス層の接着性は、ワニスが塗布される前にプライマーがオーバーレイに塗布されるという点で、必要に応じて改善することができる。
【0044】
オーバーレイへのワニス塗布の典型的な例は、例えば、ハイドロワニスとして知られる水性ワニス、例えば、UV硬化性アクリルワニスによって行われる。10g/m2のワニスの第1層が、オーバーレイの表面に塗布されて部分的に固まる(硬化する)。この層は、オーバーレイの合成樹脂と次のワニス層の間の接着剤として機能する。例えば、全体層厚が50g/m2のワニスコーティングを実現するために、28g/m2のハイドロワニスを含む第2層が第1層に塗布され、続いて、5.5g/m2のハイドロワニスを含む二つの追加層が塗布される。各層の後で、適用されたワニスは部分的に固まることができ、全ての層が塗布された後に、塗布されたワニスは完全に硬化する。ワニスは、注入により、スプレーにより、ローリングにより、又はドクターナイフを用いて、任意の方法で塗布することができる。
【0045】
好ましくは、ワニス層は、ワニス表面の耐引っかき性を改善するために、通常最後の層又は最後の二層において、好ましくは1μmから5μmの直径を有するコランダムで補足される。コランダムは、好ましくは、未だ硬化していないワニス層にばら撒かれる(散乱させられる)。したがって、装飾は、エンボス構造によってさらに進展し、ワニスのコーティングによってさらに保護される。
【0046】
合成樹脂表面にワニスを塗布するこの方法は、例えば、EN16511に準拠した使用クラス23~34のラミネートを作製するのに適している。その後、コーティングされたキャリアボードは、1000から2800mmの長さで90から500mmの幅の長方形のパネルに分割される。さねはぎ形式の接続手段は、四つの側面においてパネル上に機能し、その四つの側面には、隣接するパネルが配置されてフローティング結合(クリックパネルとして知られている)において水平方向及び垂直方向に固定される固定プロファイルを形成するための固定要素が任意に装備されており、ここでは、接続手段及び/又は固定要素は、キャリアボードのコア材料からなりかつこの目的のためにそれから切り取られるか、又は、固定要素は別個の要素として成し遂げられ、その中に、固定プロファイルが導入され、それがキャリアボードの側面に取り付けられる。
【0047】
このようにラミネートとして製造されたコーティングされたキャリアボードは、耐水性があり又寸法的に安定している。それは、とりわけ、床、壁、又は天井カバーとして、屋内建築の構造要素として、屋外建築の構造要素として、車両構造において、又はファサードを設計するために、使用することができる。
【0048】
例示的な実施形態3
PVC製のラミネート層を備えたキャリアボード
コーティングとしてのPVCの層は、上記のようにキャリアボード上に積層される。この目的のために、例えば60g/m2から100g/m2の量の接着剤がキャリアボードの上面に塗布される。PVCの層を固定するに、全てのホットメルト接着剤を使用することができるが、ポリウレタンベースの耐水性ホットメルト接着剤が好ましい。外側に装飾が施されたPVCの層は、その内側がキャリアボード上の接着剤の上に配置される。PVCの層は、通常1mmから5mmの厚さである。
【0049】
キャリアボード、接着剤、及びPVC層で構成されたスタックは、ホットメルト接着剤が実質的に接着力を発揮するまで、圧力をかけ、通常は温度を上げながら、ラミネートプレスでプレスされる。
【0050】
PVCでコーティングされたキャリアボードは、例えば、床の敷物の耐水性パネルとして使用できるが、屋外建築の構造物、例えばファサード又は仕切りやプライバシーシールド壁のような構造要素にも使用できる。
【0051】
例示的な実施形態4
装飾的な直接印刷を含む液体オーバーレイを備えたキャリアボード
ワークピース、この場合は、液体合成樹脂でコーティングされたキャリアボードが製造され、事前にプライマーがキャリアボードに塗布され、そして直接印刷を使用してこのプライマーに装飾が適用される。そして、直接印刷が、液体として適用(塗布)される合成樹脂の層で覆われ、そこでは、コランダムが(外側の層ではない)非外層に導入される。このようにコーティングされたキャリアボードは、短サイクルプレス(SCプレス)で硬化される。具体的には、例示的な実施形態2からのコーティングが、以下のように適用される。
・コーティングとして液体の形で、約20g/m2から30g/m2の量(固形分:メラミン樹脂:約65重量%、尿素樹脂:合成樹脂総塗布量の約50重量%)が適用される、メラミン樹脂、尿素樹脂、又は二つの合成樹脂の混合物を用いて、ボードを下塗りする。塗布はローラーを用いて行われる。
・空気循環乾燥機又はIR放射器を使用して、約20%の水分量まで樹脂を乾燥する。
・カラープライマー(例えば、顔料とカゼインやコーンプロテインのような結合剤の混合物)を液体の形でそれぞれ5g/m2から10g/m2(固形分:約50重量%)の量で、例えば空気循環又はIR放射器によって中間乾燥し、繰り返し塗布する。カラープライマーの塗布は、ローラー塗布で行われる。この場合、白色顔料(二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム)の使用が好ましい。
・後で塗布される層の接着性を改善するために、液体プライマー、例えばイソシアネートプライマーを、約10g/m2から20g/m2の量で塗布する。プライマーは、空気循環乾燥機又はIR放射器によって乾燥される。ここでもローラー塗布が使用される。
・アナログ方式で例えばローターによって又はデジタル方式で例えば水性インクを使用したインクジェットプリンターを用いて、その表面に装飾を印刷し、その接着性はプライマーによって改善され、そして必要に応じて、空気循環乾燥機を使用してインクを乾燥する。
・ローラー塗布によりコーティングとしてのシーラントを塗布し、ここで、液体シーラントは、メラミン樹脂(固形分約65重量t%)とそれに混合されたガラス球(ガラス球の直径:70μmから90μm)から成る。その塗布量は、20g/m2~30g/m2である。そして、
・合成樹脂の硬化しない乾燥が、B状態に達するまで、空気循環又はIR放射器を使用して行われ、その後、冷却及び中間保管が行われる。
・液体メラミン樹脂で作られた別のコーティングを、ローラー塗布により、60g/m2から80g/m2の量(固形分約65重量%)で、印刷され合成樹脂の層で既にシールされたボードの側面に、塗布する。
・散乱(スキャッタリング)装置を用いて、乾燥していない液体メラミン樹脂にコランダムを散乱させる。コランダムは、FEPA規格に準拠してF180からF240の粒径を有する。コランダムの量は、10g/m2から50g/m2で、必要な耐摩耗性に依存する。
・ボードの上面へのメラミン樹脂のコーティングの塗布が、1層あたり20g/m2から40g/m2の量で(好ましくは5層まで)繰り返され、ここで、メラミン樹脂は、上記された固形分を有する。最後の層の塗布中に、ガラス球(直径:70μmから90μm)が樹脂に加えられる。各々の塗布後に、中間乾燥が空気循環又はIR放射器を使用して行われる。
・上面のコーティングと並行して、バッキング(裏打ち)として液体メラミン樹脂の塗布を、ボードの裏側に行うことができる。これは、ローラー塗布プラントの一部において行うことができ、例えば、合計量が100g/m2から140g/m2に達する。メラミン樹脂は、上記の通常の固形分を含んでいる。さらに、合成樹脂には染料や顔料を含めることもできる。この場合、中間乾燥が、空気循環又はIR放射器のいずれかによって実行される。
・そして、例示的な実施形態1において既に説明したように、片面又は両面がコーティングされたキャリアボードは、ラミネート(積層体)を形成するべく短サイクルホットプレスにおいて、
-少なくとも25kg/cm2の上昇する圧力、200℃の上昇する温度の影響下で、
-6から30秒のプレス時間で、
-“エンボスインレジスタ”として知られ、任意に相互に適合される、表面構造を装飾の上に形成しながら、
プレスされる。
【0052】
コーティングされたキャリアボードのさらなる機械加工が望まれる場合、これは、例示的な実施形態1に記載されたものと同じ方法で行うことができる。コーティングされたキャリアボード又はコーティングされたキャリアボードから製造されたパネルの使用も同じ方法で行うことができる。例示的な実施形態4によるコーティングされたキャリアボードの特性は、例示的な実施形態1によるコーティングされたキャリアボードの特性に匹敵する。
【0053】
この例示的な実施形態4によるコーティングを有するキャリアボードの場合、液体として適用される合成樹脂の代わりに、合成樹脂含浸紙をバッキングとして使用することもできる。或は代わりに、板紙又はEPSの層を、接着剤を使用してキャリアボードの下面に固定することもできる。
【0054】
例示的な実施形態5
装飾的な直接印刷を含むホットメルトカバーを備えたキャリアボード
・白色着色ポリウレタンホットメルト(PUホットメルト)を、コーティングとして液体又は溶融状態でキャリアボードに塗布する(塗布量:約60g/m2から60g/m2)。ホットメルトは、好ましくは、それぞれ5g/m2から20g/m2の複数の層に塗布される。塗布は、この場合はワークピースとして機能するキャリアボードの表面又は上面にローラー塗布プラントを使用して、液体として120℃の温度で行われる。必要に応じて、まだ液体のホットメルトの平滑化が、第2の塗布プラントで行われる。PU配合物における顔料の割合は、約20重量%である。
・その表面を冷却する。
・最初の代替案によれば:デジタルプリンターで白色の液体カラー層を印刷し(塗布量:10g/m2から20g/m2)、そして、任意に、カラー層を、例えば赤外線又は空気循環乾燥機で乾燥させる。
・水性インク又はUVインクを使用して、デジタルプリンターでその表面に装飾を印刷し、任意に、例えばUV又は空気循環乾燥機でインクを乾燥させる。
・第2の代替案によれば:硬化した合成樹脂を含浸させた装飾紙又は装飾紙フィルムをまだ液体のホットメルト上に配置し、圧力及び殆どの場合上昇する温度の影響下で、望ましい接着剤の力が発揮されるまで、ラミネートプレスで接着剤を活性化する。80℃から150℃の温度と150N/cm2から350N/cm2の圧力が一般的である。
・上記の両方の代替案の場合:ローラー塗布ユニットを用いて、別のコーティング、この場合は、無着色、好ましくは透明なPUホットメルト層(塗布量:50g/m2)を塗布する。
・任意選択:散乱装置を用いて、ホットメルト内にコランダム粒子(粒径:FEPA基準に準拠したF180からF240)を散乱させる(適用量:10g/m2から50g/m2の間、所望される耐摩耗性に依存する)。
・ローラー塗布ユニットを用いて別のPU層を塗布する(塗布量:約30g/m2)。
・その表面を冷却する。
・任意選択:後に続くUV硬化で耐引っかき性を改善するべく、コランダムで作られた約30g/m2のナノ粒子を含むUVワニスで表面を塗装する(ワニスの塗布量:10g/m2から40g/m2)。
【0055】
このコーティングされたキャリアボードは、例示的な実施形態1に記載されているように、パネルに分割することもでき、又、エッジプロファイルを設けることもできる。例示的な実施形態5によるコーティングされたキャリアボードの使用、及び該当する場合、そこから製造されたパネルは、例示的な実施形態1のように説明される。
【0056】
例示的な実施形態6
多層プラスチックフィルムへのラミネーティング(積層)及びUVワニスの塗布
ワークピース、この場合はキャリアボードを、多層プラスチックフィルムでコーティングすることが記載されており、その層は、接着剤又は合成樹脂によって互いに接続され、又、例えば、キャリアボードの上面に、接着剤で接続される。プラスチックフィルムは、装飾が施されたすぐに使用できる表面を有する。さらに、UVワニスがシーラントとして塗布される。キャリアボードの反対側、この場合下面には、バッキング(裏打ち)が適用される。コーティングされたキャリアボードは、以下により製造される。
・ローラー塗布プラントを用いて、キャリアボードの下面に、約100g/m2の量で、PUホットメルトを塗布する。
・薄いラミネート、多層プラスチックフィルム、又は多層合成樹脂含浸紙から成るバッキングを、PUホットメルト上に配置する。
・ラミネートプレスでバッキングをプレスする。ラミネートプレスは、次のラミネートプロセスでも使用されるものであり、80℃から160℃の温度と、150N/cm2から350N/cm2の圧力である。ラミネーティング(積層)は、例えば、約120℃の温度、300N/cm2の圧力、及び0.8秒のプレス時間で、行うことができる。
・下面にコーティングされたキャリアボードを回転させる。
・ローラー塗布プラントを用いて、キャリアボードの上面に、コーティングとして約100g/m2のPUホットメルトを塗布する。
・それぞれ内側のコア層と外側の装飾フィルムにより形成され、この場合、しかしながら、コーティングとしての摩耗層(wear layer)が無い、多層装飾プラスチックフィルム又は多層合成樹脂含浸紙を、キャリアボードの上面に塗布されたPUホットメルトの層上に適用する。そして、
・連続プレスとして設計されたラミネートプレスで、上記のプレス条件の範囲内で、ここでは、約120℃の温度、300N/cm2の圧力、1秒のプレス時間で、フィルムをプレスする。
・UVワニスの複数層(通常は2層から5層)で作られたコーティングを塗布する。ここで、非外層には、耐摩耗性を高めるためのコランダムと、耐引っかき性を高めるためのナノ粒子(例えば、アエロジル(Aerosil))が含まれ、好ましくは、耐引っかき性を高めるための粒子は、コーティングの外側に近いワニス層に適用される。
・他の例示的な実施形態で既に説明したように、各々の塗布後に個々のワニス層を部分的に硬化させ(定着させ)、最後の塗布後にUV又はEBH放射器を用いて最後の硬化をする。
【0057】
このコーティングされたキャリアボードは、例示的な実施形態1に記載されているようにパネルに分割することもでき、エッジプロファイルを設けることもできる。例示的な実施形態6によるコーティングされたキャリアボードの使用、及び該当する場合、そこから製造されたパネルも、例示的な実施形態1のように説明される。
【0058】
例示的な実施形態7
CPL/HPLへのラミネーティング(積層)
例示的な実施形態7は、例示的な実施形態6に類似しているが、コーティングとしての装飾、装飾紙、又は装飾フィルムの代わりに、装飾が施された薄いラミネート(CPL又はHPL)が、摩耗層を有するワークピースに適用される。したがって、コーティングは、ワニスを塗布せずに行うことができる。以下のことが行われる。
・ボードの下面に、約100g/m2の量のPUホットメルトを、ローラー塗布により塗布する。
・薄いラミネート、プラスチックフィルム、又は紙で構成されるバッキングを、ワークピース、この場合キャリアボードの下面に配置する。
・例示的な実施形態6にて述べたように調整できるラミネートプレスで、この場合、連続プレスで、約120℃の温度、300N/cm2の圧力、及び約1秒のプレス時間で、バッキングをプレスする。
・キャリアボードを回転させる。
・ボードの上面に100g/m2の量のPUホットメルトの層をローラーで塗布する。
・装飾が施されたCPL又はHPLの薄いラミネートを配置する。このラミネートは、例えば、使用クラス23から32のためのEN13329の要件を満たす。
・ラミネートプレスで、約120℃の温度、300N/cm2の圧力、及び1秒のプレス時間で、アセンブリをプレスする。
【0059】
ワークピース、この場合はコーティングされたキャリアボードのさらなる機械加工が望まれる場合、これは、例示的な実施形態1に記載されたものと同じ方法で行うことができる。コーティングされたキャリアボード又はコーティングされたキャリアボードから製造されたパネルの使用は、同様に行うことができる。例示的な実施形態7によるコーティングされたキャリアボードの特性は、例示的な実施形態1によるコーティングされたキャリアボードの特性に匹敵する。
【0060】
例示的な実施形態8
合成樹脂コーティンを備えたキャリアボード及びワニス処理
接着剤(例えば、PVAc接着剤、尿素ベースの接着剤等)を使用して、装飾仕上げフィルムが上面のコーティングとしてキャリアボードに積層され、バッキングが下面に積層される。装飾が施された仕上げフィルムは、約80g/m2の紙の重さを有し、装飾的な印刷に耐え、バッキングは、約60g/m2の紙の重さを有し、仕上げフィルムとバッキングには、それぞれ合成樹脂例えばメラミンが含浸されている。仕上げフィルムとバッキングを固着させるために、それぞれの場合に、約60g/m2の量の接着剤が、仕上げフィルム又はバッキングがそれぞれ配置される前に液体の形でキャリアボードに塗布される。
【0061】
ラミネーション(積層)は、約160℃温度、20m/分の速度、及び300N/cm2の圧力において、連続プレスで行われる。
【0062】
接着剤が冷却されて硬化した後、コランダムを含むEBHワニスが、コーティングとして、約90g/m2(コランダムの含有量:約15重量%)で仕上げフィルムに塗布される(EBH:電子ビーム硬化)。ワニスは、部分的にUV放射器でセット(硬化)される。次に、EBHサンディングベース(塗布量:約80g/m2)が塗布され、EBH放射器で部分的にセット(硬化)される。その後、ナノ粒子を充填した20gのトップコートが、耐引っかき性を改善するために、コーティングとして塗布された。全ての塗布は、ローラーユニットを用いて行われた。次に、アセンブリ全体が、別のEBH放射器で硬化された。
【0063】
この製品は、DINEN14978のクラス33の要件を満たす。
【0064】
例示的な実施形態9
ワニスベースのコーティングが施されたキャリアボード
第1のプリプレグ(prepreg)が、キャリアボードの上面に積層される。第1のプリプレグは、透明、着色されているがまだ透明、又は半透明のワニスを、又は、着色された、通常は不透明なワニスを含浸させた紙であり、この紙は、ワニスを乾燥又は硬化させることによって事前に含浸されている。ラミネーティング(積層)の場合、先ず、ホットメルトがキャリアボードに塗布され、次に、第1のプリプレグが配置され、そして、キャリアボードと第1のプリプレグが、例示的な実施形態4又は5で述べられた条件でホットメルトによって第1のプリプレグをキャリアボードに固定する、ラミネートシステムを介してガイドされる。淡い色付け又は着色されたワニスが使用される場合、キャリアボードは、プライマーのように着色された均一な表面を示し、その上に適用された装飾は、特によく誇示される。
【0065】
プリプレグを備えたこのキャリアボード上に、第2のプリプレグが、追加のコーティングとして配置され、これもワニスを含浸させた紙で構成され、任意に装飾が印刷される。任意選択で、第1のプリプレグへの第2のプリプレグの接着を最適化するためにプライマーが適用される。例えば、サンディングベースが適用され得る。これは、サンディングなしで追加のコーティングを適用できるワニスを意味する。第2のプリプレグは、第1のプリプレグについて説明したのと同じ方法で積層することによって第1のプリプレグに固着される。或は代わりに、第2のプリプレグが、溶媒含有接着剤によって、第1のプリプレグに固着され得る。
【0066】
しかしながら、ここで、少なくとも単層、好ましくは多層のワニスコーティングが、第1及び第2のプリプレグでコーティングされたキャリアボードに塗布される。通常、二つ又は三つのワニス層が適用される。任意に(必要に応じて)、プリプレグへのワニス層の結合を改善するために、プライマーを第2のプリプレグに適用することができる。或は代わりに、第2のプリプレグに導入されたワニス及びその後に塗布されたワニス層は、ワニス層が第2のプリプレグのワニスに十分に付着するように、互いに適合される。
【0067】
任意選択で、足音遮音材が、キャリアボードの下面に適用される。
【0068】
例示的な実施形態10
ベニヤを備えたキャリアボード
本発明に係るキャリアボードは、上面のみ又は上面及び下面のいずれかに、オーク材で形成されたベニヤで覆われる。ベニヤが上面にのみ適用される場合、ボードの変形を防ぐために、バッキングが下面に有利に適用される。
【0069】
その接着効果のためにベニヤを固定する接着剤、又は結合剤、この場合は好ましくは部分的に架橋された結合剤が、ベニヤとキャリアボードとの間に導入される。
【0070】
部分的に架橋された結合剤は、有利には合成樹脂、有利には熱硬化性プラスチック、特にアミノプラストであり、好ましくは、結合剤は、例えばメラミン-ホルムアルデヒド樹脂としてのメラミン樹脂を有する。結合剤は、ベニヤをキャリアボードの上面又は下面に固定するのにちょうど十分な量で使用することができる。好ましくは、結合剤は、結合剤がベニヤに浸透し、おそらくそれに浸みわたるように、過剰に使用される。結合剤は、任意選択で、結合剤を含浸させた紙の形で導入することができる。紙は対称的に結合剤を含浸させるか、又は、過剰の結合剤を紙の少なくとも片面に塗布することができる。結合剤は、紙を液体の形で含浸させるために使用され、その後、部分的に架橋された状態で乾燥される。或は代わりに、それは、紙に含浸するまだ液体の部分的に架橋された結合剤に付着する、例えば粉末又は粉塵として、部分的に固体状態で使用することもできる。結合剤は、或は代わりに、ベニヤ又はキャリアボードの上面又は下面に直接的に塗布することもできる。
【0071】
ベニヤは、プレスによって、キャリアボードに固定される。ベニヤを固定するために接着剤が使用される場合、例えば、それ自体が知られている真空プレスを、固定するために使用することができる。
【0072】
結合剤がベニヤを固定するために使用される場合、例えば、短サイクルプレスを使用することができ、そこでは、合成樹脂は、100℃から240℃の温度、25N/mm2から50N/mm2の圧力、20秒から60秒の範囲内で、その後架橋されて、硬化する。
【0073】
この場合、架橋中に液体である合成樹脂は、少なくとも部分的にベニヤに浸透し、任意選択で、特に過剰の結合剤が使用される場合、結合剤は、少なくとも部分的にベニヤに浸みわたる。好ましい代替案によれば、合成樹脂がベニヤに完全に浸みわたり、キャリアボードのコーティングの外面を形成するように、非常に多くの過剰な結合剤が使用される。上記の圧力では、ベニヤも通常圧縮される。結合剤が使用されるとき、ベニヤはプレス後の耐圧性が高くなり、圧縮されていないベニヤよりも繊細でない(虚弱でない)表面を提供する。
【0074】
結合剤と同じように、ポリウレタンプレポリマー(PUプレポリマー)を、代わりに使用して、キャリアボード又はベニヤの表面に直接塗布することができる。PUプレポリマーを硬化させてポリウレタンを形成することにより、ベニヤはキャリアボードに結合される。芳香族イソシアネートと比較して耐光性が改善されるため、ポリウレタンプレポリマーとして脂肪族イソシアネートが好ましい。黄変や変色が問題にならない場合は、芳香族イソシアネートをポリウレタンプレポリマーとして使用することもできる。ベニヤとキャリアボードは、上記の結合剤のプレス条件下で、例えば短サイクルプレスで一緒にプレスすることができる。
【0075】
ベニヤに面する結合剤の表面に添加剤を塗布することができる。添加剤は、例えば、色、導電率、又は耐光性に影響を及ぼすことができる。また、添加剤は、互いに組み合わせて使用することもできる。添加剤が結合剤の表面に塗布される場合、添加剤は、プレスでの架橋中に、その後液化した結合剤によって、結合剤がベニヤに浸みわたる程度までベニヤを通して運ばれる。このように、添加剤の使用量を少なくすることで、最大の効果が得られる。
【0076】
このようにベニヤでコーティングされたキャリアボードは、さらにコーティングすることができ、特に、湿気の影響に対してシールすることができ、例えば、ベニヤを塗装することができる。
【0077】
結合剤がベニヤキャリアボードの表面を形成する場合、又は、シーラントが湿気から保護するためにその後に適用される場合、耐水性キャリアボードは、例えば、床のカバーや家具、特にバスルーム又はキッチンの家具として、又はサウナやスイミングプールに設置するために、湿った部屋において、装飾的で耐水性のコーティングと一緒に使用することができる。
【手続補正書】
【提出日】2020-11-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面状ワークピースをコーティングする方法、コーティングされた平面状材料、及びコーティングされた平面状ワークピースの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
平面状ワークピースは、原則としてコーティングなしでも使用できるが、殆どの使用例では、ワークピースの使い易さを向上させ、ワークピースの美的印象を向上させるためにコーティングが適用される。平面状ワークピースの材料の組成によって、ワークピースを最適にコーティングする方法が決まる。典型的な平面状ワークピースは、US2015/0017461A1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、50重量%を超える結合剤、及びさらにリグノセルロース繊維、及び必要に応じて骨材を有する平面状ワークピースの性能特性は、改善されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に記載の方法および請求項9に記載の平面状ワークピースによって解決される。驚くべきことに、この平面状ワークピースは、全ての既知のコーティング技術を使用してコーティングされ得ることが見出された。
【0006】
コーティングされる平面状ワークピースは、リグノセルロース繊維及び結合剤並びに必要に応じて骨材を有する材料から製造され、結合剤の割合は、(固形として計算されて)少なくとも50重量%である。また、結合剤の割合は、アトロ繊維の割合に対して計算され、101重量%から500重量%までの結合剤であり得る(本発明に関連して、アトロは、繊維の割合が105℃で一定重量になるまで乾燥されることを意味する)。このような材料は、欧州特許出願19170159.8に記載されている。
【0007】
特に、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、メチレンジフェニルイソシアネート(MDI)、又eMDIとして乳化された形態のもの、高分子ジフェニルメタンジイソシアネート(PDMI)、及び強烈な彩りのために限られた範囲でのフェノール-ホルムアルデヒド樹脂、又は前述の結合剤の混合物は、結合剤として適している。材料の結合剤、特にメラミンの特性は、エラストマー又は熱可塑性プラスチックを添加することによって、例えば、ポリ酢酸ビニル(PVAc)又はエチレン酢酸ビニルを添加することによって、変更することができ、特に可塑化することによって改善することができる。モノエチレングリコール又はジエチレングリコールの添加も、平面状材料の可塑化に適している。平面状材料を可塑化するために、アクリレート、スチレンアクリレート、又はポリウレタン分散液(PUディスパージョン)が好ましく使用され、それらのガラス転移温度は好ましくは0℃未満(Tg<0℃)である。合成樹脂へのこれらの添加剤は、添加剤の固形分比率の重量として測定され、最大1:1、好ましくは最大0.7:1、特に最大0.2:1、有利には少なくとも0.1:1の比率で、使用する合成樹脂の固形分の重量に比例して、使用される。しかしながら、熱可塑性プラスチックは、結合剤の主成分として、特に定量的な主成分としては使用されないことが好ましい。
【0008】
また、天然繊維又は合成繊維、無機繊維又は有機繊維、又は、繊維、特に前述の繊維の混合物は、材料に添加することができる。平面状材料は、材料の総量に対して、最大30重量%の骨材、特に非吸湿性又は非膨潤性の骨材を含むことができる。骨材は、鉱物、セラミック、又は、合成材料又はガラスで構成されることができる。骨材の混合物も使用することができる。平面状材料は、DIN137(キャリアボードの膨潤)又はDIN13329(コーティングされたキャリアボードのエッジの膨潤)に準拠してそれぞれ測定された、最大3%、好ましくは最大2%、好ましくは1%未満の厚さの膨潤を有することができる。有利には、疎水剤、例えば、パラフィン又はワックスを、平面状材料の総重量に対して、典型的には最大5重量%の量で、好ましくは最大2重量%の量で、通常は0.1重量%から1.5重量%の量で使用することができる。疎水剤の混合物も使用することができる。さらに、1つ又はそれ以上の殺藻剤(アルジサイド)及び/又は殺菌剤を、通常、平面状材料の総重量に対して最大5重量%の量で平面状材料に添加することができる。
【0009】
平面状ワークピースの厚さは、1mmから500mm、通常は3mmから80mmの間である。平面状ワークピースが製造される材料の密度は、1000kg/m3から1800kg/m3であり、通常は1000kg/m3から1600kg/m3の間である。
【0010】
本発明に係る平面状ワークピースの材料は、木質材料ボードを製造するための既知のシステムで製造することができる。繊維は接着され、すなわち接着剤が供給され、散乱されて繊維ケーキを形成し、熱及び圧力の影響下で、平面状材料の上面及び下面に圧力を加えるプレス機において、例えば、ダブルベルトプレス又は短サイクルプレスでプレスされて、平面状材料を形成する。典型的なプレス条件は、140℃から220℃、通常は160℃から200℃の温度、及び0.3N/mm2から5.5N/mm2、好ましくは1N/mm2から3N/mm2の圧力、通常は6秒/mm(板厚)から20秒/mm(板厚)のプレス時間である。平面状材料は、利用可能なプレスが可能にする任意のサイズで製造することができる。
【0011】
以前に知られている平面状ワークピース、特に木質材料で作られたワークピースとは対照的に、ワークピースの上面,下面,及び側面を意味する表面は、繊維が大幅に少なく、その代わりに使用される材料として主に硬化した結合剤を有する。以前のコーティング方法が新しい平面状材料に問題なく使用できるとは予想されていなかった。しかしながら、リグノセルロース繊維と50重量%を超える割合の結合剤を有する材料の平面状ワークピースをコーティングするために、本発明による方法を実施することが可能であり、この方法は、以下の:
-上面と下面と側面を持つ平面状ワークピースを供給し、
-コーティングを適用し、
-装飾を適用し、
-任意に(必要に応じて)、少なくとも上面、下面、又は側面の一部上において、コーティングを構造化(structuring)し、及び
-任意に(必要に応じて)コーティングを硬化させる、
ステップにより達成される。
【0012】
大部分が硬化した結合剤からなるワークピースの表面は、良好にコーティングできることが見出された。コーティングは、主に合成樹脂で形成されたワークピースの表面に良く付着する。平面状ワークピースが製造される材料の構成要素、結合剤及び繊維並びに任意選択の骨材も、特に、圧力及び高温の適用下でプレスによって適用されるコーティングに適している。しかしながら、塗装や積層加工(フィルムや紙の接着)もコーティングの可能な形態である。以下に説明する個々のコーティング手段及び方法は組み合わせることができる。本発明に従って適用されるコーティングは、以下で詳細に説明されるように、単層又は複数の層であり得る。コーティングは、平面状ワークピースの性能特性を大幅に向上させる。それらは、とりわけ、ワークピースの表面を湿気に対してシールし、その結果としてワークピースを好ましくは耐水性に設計し、メンテナンス特性を改善し、ワークピースの表面の美的デザインを可能にする。
【0013】
また、本発明は、リグノセルロース繊維及び50重量%を超える結合剤を有する平面状材料に関し、平面状材料は、上面、下面、及び側面を有し、その上面、下面、又は側面は、少なくとも部分的に装飾及び任意選択で(必要に応じて)構造(ストラクチャー)を有するコーティングが施される。設計に応じて、コーティングは、例えば物理的観点(例えば、耐熱性及び耐水性、耐引っかき性、耐摩耗性、導電性)において、化学的観点において、例えば改善された耐酸性及び耐アルカリ性を通して、あるいは美的観点において、例えば魅力的な装飾及び任意選択の構造の適用を通して、本発明に係るワークピースの使用可能性を高める。
【0014】
ワークピースの表面の美的デザインのために、装飾が適用される。これは、実質的に少なくとも一つ、通常は二つ以上の色からなる二次元のアプリケーションを意味する。模造の木や石などの自然な装飾だけでなく、想像力豊かな装飾も典型的である。特にシンプルな装飾は、シンプルな色の面を示す。装飾は、本発明によるワークピースの表面上に、又は、それに適用されたコーティング上に、例えば、プライマー(下塗り剤)上に、直接適用することができ、例えば、印刷するか、噴霧するか、又はロールすることができる。或は代わりに、装飾を紙又はフィルムに印刷し、その後印刷された紙又は印刷されたフィルムを平面状ワークピースの表面に適用し、通常貼り付け、又は、合成樹脂に含浸させて乾燥させた後、合成樹脂を硬化させながらプレスすることができる。装飾は、通常、耐摩耗性ではないため、通常、合成樹脂、ワニス、又はホットメルト等で作られたシーラントで保護される。
【0015】
特に木を模した装飾の場合だけでなく、他の装飾においても、構造(ストラクチャー)を導入することでリアルなイメージの印象を強める。構造は、装飾とは対照的に三次元である。それは通常空間的に制限される。それは通常例えば木の装飾において細孔を含む。構造は、一般に装飾の上に配置されたコーティングに導入される。構造は、装飾の上のこのコーティングに窪みとして導入することができる。或は代わりに、構造は、装飾又は装飾の上のコーティングに隆起したパターンとして適用することができる。構造の深さ又は高さは、通常、1μmから400μm、好ましくは10μmから100μmである。窪みは、通常、対応する隆起したパターンを備えたエンボスローラー又はエンボスシートによって導入される。或は代わりに、窪みは、湿潤性材料と非湿潤性材料とを組み合わせることによって、例えば、湿潤性材料のマトリックスにおいて、窪みが形成されるべき各場所に非湿潤性材料の一部が適用(塗布)された第1層によって、化学的な細孔として知られるものとして、適用することもできる。次に、湿潤性材料のみを濡らす材料の第2層が適用される。そして、非湿潤性材料の残りの部分は窪みを形成する。隆起したパターンは、少量のコーティング材料(ワニス、インク、ペイント)を塗布するプリンター又はローラーによって適用される。装飾と構造が同時に適用される場合は特に好ましい。これは、例えば、装飾に色で適用されている細孔が構造に対応している場合を意味する。このようにして、木の装飾は例えば、特に自然な方法で模倣される。
【0016】
或は代わりに、装飾とは独立して構造を適用することもできる。通常、指紋を示さないマット効果(艶消効果)又は表面が望まれる。最後に、装飾から独立した構造と装飾と同時に生じる構造を組み合わせることができる。
【0017】
本発明に係る方法に従って平面状ワークピースに適用(塗布)されるコーティングは、例えば、合成樹脂又はワニスを含むことができる。メラミンホルムアルデヒド樹脂が好ましくは使用される。好ましくは、放射線硬化ワニス(電子ビーム硬化ワニス又はUV硬化ワニス)がワニスとして使用される。合成樹脂は、直接、例えば液体の形で塗布することができ、合成樹脂を複数の層で塗布することが好ましく、有利には、例えば2層から10層で、総量が約20g/m2から100g/m2である。合成樹脂としては、例えば、メラミンホルムアルデヒド樹脂が適用される。合成樹脂は、一般に、固形分、すなわち、合成樹脂の総量に占める合成樹脂の割合が、40%から70%、好ましくは55%から70%である。
【0018】
合成樹脂は、骨材、例えば、コランダム、ガラス、又はセラミックの粒子を含むことができる。これらの骨材は、例えば、本発明によるワークピースの表面の耐摩耗性又は耐引っかき性を改善する。グラファイト又は金属粒子又は繊維のような他の骨材は、平面状ワークピースの表面の導電性を改善する。骨材は、1μmから100μm、好ましくは5μmから90μm、特に20μmから70μmの直径を有するもの、或は代わりに、コランダムの場合に、FEPA規格によるF180からF240の粒子のもが、通常5g/m2から100g/m2、有利には10g/m2から60g/m2の量で合成樹脂に添加される。特に、耐引っかき性及び耐摩耗性を改善する骨材は、好ましくは、コーティングの外側を形成する最も外側の合成樹脂層に含まれない。
【0019】
個々の合成樹脂層は、有利には、例えば熱風又はIR放射によって、中間段階で、5%から25%、好ましくは4%から10%の水分含有量まで乾燥される。そして、それらは、B状態と呼ばれる状態に達し、この状態では、合成樹脂は一般に粘着性がなくなるが反応性はある。そして、完全に塗布された合成樹脂コーティングは、プレス機において、例えば短サイクルプレスにおいて、圧力及び上昇する温度の影響下で硬化される。典型的なプレス条件は、プレス温度が160℃から220℃、好ましくは180℃から200℃、プレス圧力が20kg/cm2から50kg/cm2、好ましくは22kg/cm2から40kg/cm2、及びプレス時間が5秒から60秒、好ましくは5秒から30秒である。
【0020】
コーティングは、紙の形態及び/又はフィルムの形態で適用することができる。特に、合成樹脂が乾燥しているが反応性がありB状態を意味する合成樹脂含浸紙は、平面状ワークピースの表面をコーティングするために容易に使用される。この実施形態において、合成樹脂は、紙の層に塗布され、その後乾燥されるが硬化されない。このプロセスは、含浸とも呼ばれる。含浸は、複数のステップで、任意に(必要に応じて)すでに塗布されている合成樹脂を中間乾燥させて、行うことができる。この場合、異なる合成樹脂又は合成樹脂の混合物を適用することもできる。また、上述の骨材は、上述の量及びサイズでここに添加することができ、この場合、好ましくは、後でコーティングの外側を形成する合成樹脂層には添加しない。一般に、液体状の合成樹脂と粉末状の合成樹脂の混合物も、平面状ワークピースに直接塗布するため及び紙の含浸のための両方に使用することができる。一つ又はそれ以上の合成樹脂含浸紙を、平面状ワークピースの表面に配置できる。そして、それらは、プレス機で、特に短サイクルプレスで、平面状ワークピースと一緒にプレスされ、そこで合成樹脂は最初に液化されて次に硬化される。プレス条件は、液体として塗布された合成樹脂コーティングを硬化させるための上述された条件に対応する。
【0021】
平面状ワークピースの表面コーティングは、ワニスのみで行うことができ、この場合、多層の適用でも好ましい。或は代わりに、ワニスを、特にコーティングの外側を形成するために、合成樹脂コーティングに塗布することもできる。また、ワニスでコーティングされた紙を使用することもでき、そこではワニスは塗布された後に乾燥又は硬化される。ワニスだけでなく合成樹脂も、液体の形態で使用することができ、又、固体として、例えば粉末ワニスの粒子の形態で使用することもできる。また、合成樹脂、例えば、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂も粉末の形態で使用することができる。粉末は、圧力と上昇する温度の影響下で溶融し、通常は流動して閉じたコーティングを形成し硬化する。液体状のワニスは、スプレー、ローリング、及び/又は注入によって適用(塗布)することができる。ワークピースは、全ての面(上面、下面、側面)に塗装することができ、特に、プロファイル(輪郭付け)された表面、例えば、ワークピースの側面に導入されるVジョイントを備えた表面も塗装することができる。ワニスは、無着色又は着色ワニスとして使用することができる。ワニスは、合成樹脂の塗布に関連して述べられた骨材を含むことができる。ワニスは、透明又は不透明のワニスとして使用することができる。ワニスは、ローラーで塗り付けたり、注いだり、スプレーしたり、印刷したり、又はドクターナイフで塗ったりすることができる。ワニスは、本発明に係るワークピースの表面全体又は一部に塗布される。ワニスは、5g/m2から300g/m2の量で平面状ワークピースの表面に塗布され、これには、既存のコーティング又はプライマーへの塗布も含まれる。好ましくは、電子ビーム又はUV硬化ワニスが適用される。ワニスの次の層が塗布される前に、ワニスの多層塗布中に既に塗布されたワニスの層を、部分的に硬化させることを意味する、部分的にセットする(固める)ことも有利である。そして、ワニスの多層コーティングは完全に硬化される。
【0022】
本発明に係る平面状ワークピースの表面をコーティングするための別の代替案は、ホットメルト、例えばポリウレタンホットメルト(PUホットメルト)、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、又はポリ酢酸ビニルホットメルト、例えばエチレン酢酸ビニルホットメルトの適用である。ホットメルトは、単層又は複数層で塗布することができ、多層塗布が好ましい。ホットメルトは、プラスチックの適用(用途)のために上述と同じ骨材を有することができる。ホットメルトは、無着色又は着色された形態で使用することができ、顔料の割合は最大30重量%であり得る。ホットメルトは、透明又は不透明にすることができる。ホットメルトは、本発明に係るワークピースの表面全体又は一部に適用することができる。ホットメルトは、10g/m2から30g/m2の量で、好ましくは50g/m2から200g/m2の量で適用される。ホットメルトは、80℃から160℃、通常は100℃から130℃の温度で適用された後に、冷却によって固定される。ホットメルトは、ローラー付けしたり、ドクターナイフで塗布したり、スプレーしたりすることができる。既に塗布されかつ好ましくは既に冷却されたホットメルトの層は、装飾を施すために、特に水性又はUV硬化印刷インクを用いて印刷され得る。ホットメルトコーティングは、コーティングされた平面状ワークピースの外側を形成するワニス層、通常は最終的な外側ワニス層と組み合わされることもよくある。また、ホットメルトは、以下に説明するように他のコーティング材料を固定するために、特に連続圧力ラミネート(CPL)又は高圧ラミネート(HPL)、又はプラスチックフィルム、例えばポリ塩化ビニルフィルム(PVCフィルム)、又は印刷された紙と組み合わせて使用される。
【0023】
最後に、本発明に係るワークピースの表面の使い易さは、ラミネーション(積層物、貼り合わせ)が適用されるという点で改善することができる。ラミネーションは、例えば上記のように、ホットメルト又は接着剤によって、本発明に係る材料に接着される、通常はすぐに使用できる外側を備えたコーティングを有する。ラミネーションの典型的な実施形態は、例えば、複数の合成樹脂含浸紙からなるCPL又はHPLであり、合成樹脂含浸紙又はフィルムは、合成樹脂の硬化中にすでに一緒にプレスされている。しかしながら、PVCフィルムを積層することもできる。CPL又はHPL又はPVCフィルムのようなすぐに使用できる表面を備えた他のコーティングは、通常、接着剤としてホットメルトを用いて平面状ワークピースの表面に適用される。ラミネーションは、例えば、80℃から200℃において、最大300N/cm2の圧力でラミネートプレスにおいてプレスされる。プレス時間は、短く、通常は最大1秒である。ラミネートシステムは、通常、カレンダーシステム(艶出し機械システム)として構成される。
【0024】
ラミネーションの表面は既にそれ自体ですぐに使用できる状態になっている場合でも、美的理由又は使い易さの追加の改善のために、これは追加のコーティング又はシーラントの適用を妨げるものではない。例えば、ワニスの塗布は、例えば、特別な視覚効果を達成するために、又は、例えば少なくとも一つのワニス層が耐摩耗性を改善するためのコランダムを含むために、又は、耐擦傷性(耐引っかき性)を改善するためのアエロジル(Aerosil)を含むために、一つ又はそれ以上の層が典型的である。
【0025】
主に結合剤、特にメラミンを含むが、さらにリグノセルロース繊維も含むワークピースの表面は、良好に印刷できることも見出された。印刷は、ローラーなどのアナログ手段を用いて行うことができるが、インクジェット又はレーザープリンターなどのデジタル手段を用いて行うこともできる。印刷インクで少なくとも部分的にコーティングされたワークピースの表面は、任意に(必要に応じて)、追加のコーティングを適用することによってシールすることができる。例えば、単一層又は複数層に塗布されたワニス、単一層又は複数層に塗布されたホットメルト、又は、例えばオーバーレイ又は液体として塗布された合成樹脂の形態で単一層又は複数層に塗布された合成樹脂コーティングは、この目的に適している。
【0026】
上記の印刷インクを含むコーティングは、本発明に係るワークピースの表面によく付着することが見出された。これは、接着をさらに最適化するためにプライマーを使用することを妨げるものではない。例えば、同じ又は異なるコーティングの追加層の接着を改善するために、合成樹脂をプライマーとして適用することができる。さらに、プライマーを使用して、平面状ワークピースの着色を均一にすることができる。例えば、着色された合成樹脂、着色されたワニス、又は着色されたホットメルトは、プライマーとして使用することができる。追加のコーティング又はコーティングの追加の層を適用するために必要な場合は、プライマーを既存のコーティングに適用することもできる。
【0027】
平面状ワークピースの上面又は下面のみにコーティングを施すと、他の材料、例えば、木製チップボード又は木製ファイバーボードで作られた平面状ワークピースの場合よりも大幅に低い程度の曲げが生じることが見出された。これにも拘わらず、個々の場合の片面コーティングは、ワークピースの望ましくない曲げにつながる可能性がある。これに対抗するために、又はそのような曲げを防ぐために、バッキング(裏打ち)が、好ましくは、コーティングの反対側のワークピースの側に適用される。バッキングは、コーティングと同じ、類似、又は異なるもので有り得る。バッキングが、片面コーティングのために平面状材料に作用する変形力を少なくとも部分的に補償することだけが重要である。通常、バキングは装飾又は構造を有しておらず、装飾及び/又は構造はコーティングの場合と同じように確実に適用することができるけれども、特に、例えば、本発明に係るワークピースの上面及び下面の両方は、後の使用で目に見えるものである。
【0028】
別の代替案によれば、足音遮音材を適用することができ、特にワークピースの下面に、特に接着又は積層することができる。例えば、板紙や段ボール紙だけでなく、発泡スチロール(EPS)もバッキングとしての使用に特に適している。板紙又は段ボール紙を使用する場合、これらの材料は疎水性であることが好ましい。
【0029】
好ましい実施形態では、コーティングによって強化された材料で形成された本発明に係るワークピースは、パネルに分割され、ワークピース又はパネルは、それぞれに対面する少なくとも二つの機械加工された特にプロファイルされたエッジを備えている。有利なエッジプロファイルは、さねはぎ(tongue‐and‐groove)プロファイルに基づくが、好ましくは、ボードの面内で引き離されるのを防ぐ部分をさらに有する。しかしながら、パネルは、接着剤で又は接続要素で相互に接続することもできる。パネル同士間の耐水性接続は、壁、天井、又は床の耐水性カバーを得るために、又は、屋内又は屋外構造、例えばファサードのための耐水性構造を設計するために、選択されることが好ましい。
【0030】
上記のようにコーティングされ、任意選択でパネルに分割された本発明に係るワークピースは、特にプロファイルされたエッジが設けられている場合、様々な方法で使用することができる。典型的な用途は、床、壁、及び/又は天井カバーであるが、構造要素又はクラッディング要素として屋外建造物にも使用できる。
【0031】
キャリアボードのコーティングに関する特徴が、以下の例示的な実施形態を含むこの説明の文脈で説明される限り、これらの個々の特徴は、技術的に可能な限り、特定の文脈での開示とは無関係に、自由に組み合わせることができ、すなわち、キャリアボードの他のコーティングにも使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の詳細は、例示的な実施形態を使用して、以下により詳細に説明される。
【0033】
以下において、キャリアボードがワークピースとしてコーティングされる場合、キャリアボードは、常に、54重量%のメラミン樹脂及び45重量%の木質繊維並びに1重量%のパラフィンからなることを意味する。必要に応じて、より高い又はより低い割合の結合剤を使用することができ、例えば、51重量%、52重量%、56重量%、58重量%、又は60重量%の割合の結合剤を使用することができる。パラフィンの割合は、常に同じである。木質繊維の割合は、それぞれの場合に結合剤の割合に適合する。キャリアボードは、8mmの厚さを有する。しかしながら、その厚さは、例えば、4mmから12mmの間で問題なく選択することができ、特定の場合又は特定の用途のために、より小さい又はより大きい厚さを選択することもできる。厚さ4.5mmのキャリアボードは、特に典型的である。キャリアボードは、結合剤と繊維を混合し、繊維ケーキを散乱させ、そしてプレス機でプレスすることによって製造され、そこでは、典型的なように、プレスプレート又は循環金属ベルトが、圧力下でかつ上昇する高温にて、繊維ケーキ又は平面状材料の上面及び下面に作用する。以下の実験では、キャリアボードは、2800mm×2070mmの大きなサイズを有する。以下に説明される例示的な実施形態では、キャリアボードは、コーティングされていないボードとして使用される。
【0034】
必要に応じて、キャリアボードは、コーティングを施す前に研磨することができる。片側の研磨損失は、0.1mmから0.15mmであり、したがって、研磨の総損失は、元のボードの総厚の0.1mmから0.3mmである。
【0035】
例示的な実施形態のために、例えば、装飾用原紙、印刷インクの数、又は使用されるワニス、合成樹脂、又はホットメルトの量について、以下に表示される範囲において、本発明は、表示された範囲全体に亘って実行することができることに留意されたい。範囲の表示は、単に、本発明に係る方法の柔軟性、又は、本発明に係るワークピースのコーティングの可能性の多様性を示す。同じことが、例えば、印刷インク又はインクを適用するために又はコーティングを適用するために、代替物の表示にも適用される。
【0036】
合成樹脂の使用が以下に記載されている限りにおいて、典型的には、硬化剤、湿潤剤などの通常の補助物質を含むか又は含むことができる合成樹脂が使用され、それは、通常、使用される合成樹脂の総量の1重量%から5重量%に達する。
【0037】
例示的な実施形態1
紙アセンブリを備えてプレスされたキャリアボード
装飾紙とオーバーレイが、キャリアボードの上面に配置され、任意に使用されるバッキングが、キャリアボードの下面の下に配置され、三つ又は四つの層で構成されるプレスされた材料スタックが、短サイクルプレスでプレスされる。オーバーレイ、装飾紙、及び任意に使用されるバッキングは、それぞれ合成樹脂含浸紙として使用される。
【0038】
例示的な実施形態1では、装飾紙が、キャリアボードをコーティングするための含浸紙として、以下に基づいて、110から200g/m2の総重量で使用される。
-50から90g/m2の重さの装飾原紙、それには、
-例えば、印刷ローラーによるアナログ方式にて及び/又は例えばインクジェットプリンターによるデジタル方式にて適用される着色インクから生成された、1から6色の装飾オーバープリント(加刷)を備える。インクは水ベースであるため、塗布後に温風で乾燥させることができ、又、インクは、UV硬化させることができ及び塗布後に紫外線照射で硬化させることができる。さらに、装飾含浸紙を製造するために、
-印刷の前後に行われる樹脂の含浸は、尿素樹脂又はメラミン樹脂、又は二つの樹脂の混合物に基づいて行われ、合成樹脂は、液体として又は固体として、特に粉末の形態で適用される。そして、合成樹脂は、60g/m2から110g/m2の重量で状態Bにて存在するまで、乾燥されるが未だ硬化されない。
【0039】
さらに、総重量120から400g/m2の含浸紙としてのオーバーレイは、以下に基づいてコーティングとして使用される。
-重量が3g/m2から70g/m2の原紙、ここでは、重量が10g/m2から25g/m2の軽い原紙が好ましく使用される。
-メラミン樹脂をベースにした樹脂含浸、これは、水状又は固体、特に粉末状で適用され、状態Bで乾燥した後に存在し、85g/m2から280g/m2の重量で、未だ硬化していないことを意味し、
-5g/m2から50g/m2、好ましくは10g/m2から15g/m2の量で、仕様F180からF240(FEPA規格に準拠)のコランダムで充填、そこでは、コランダムが、散在させられているか又は合成樹脂との混合物で適用される。
【0040】
最後に、含浸紙としてのバッキングが、任意に、以下に基づいて、総重量150g/m2から240g/m2で使用される。
-70g/m2から120g/m2の重さの原紙
-尿素樹脂及び/又はメラミン樹脂又は二つの樹脂の混合物に基づく樹脂含浸、それは、水状又は固体、特に、重量が80から120g/m2で、状態Bで存在する、粉末状で適用(塗布)される。
【0041】
或は代わりに又はバッキングに加えて、足音遮音材、例えば、板紙又は段ボール紙又はEPSの層を、典型的には積層することによって、すなわち、接着剤で接着することによって、キャリアボードの下面に取り付けることができる。
【0042】
ワークピース上のコーティングのさらなる生成は、上から下に、含浸紙としてのオーバーレイ、含浸紙としての装飾紙、キャリアボード、及び任意で選択される含浸紙としてのバッキング(裏打ち)を有するプレスされた材料スタックが生成されるという点で行われる。プレスされた製品スタックは、ラミネートを形成するべく短サイクルホットプレスでプレスされ、短サイクルプレスは、オーバーレイに作用する上部プレスプレートと、キャリアボード又はバッキングの下面に作用する下部プレスプレートを有し、又、短サイクルプレスは次のように調整される。すなわち、
-プレスプレートで測定される、少なくとも25kg/cm2の上昇する圧力、180℃から220℃、好ましくは200℃までの上昇する温度の影響下、
-及び6秒から30秒のプレス時間、
-上部プレスプレートによって表面構造を形成しながら、その上部プレスプレートは、少なくとも、装飾(“エンボスインレジスタ(embossed in register)”として知られている)に部分的に適合する構造を任意に有する。
【0043】
この方法で製造されたコーティングされたキャリアボードは、水の影響下でも寸法的に安定しており、膨潤せず、又、面の変形も見られず、つまり、曲がりや歪みが無い。
【0044】
例示的な実施形態2
単層又は複層のワニス層をオーバーレイに適用することができ、その中において、特に表面の光沢、高光沢、又はマット効果のような表面特性を調整するために又は指紋防止特性を形成するために、例示的な実施形態1によるコーティングされたワークピースに従って、構造がエンボス加工される。ワニスは、好ましくは、UVワニスとして、通常二層から三層で塗布され、好ましくは複層のワニス塗布の場合、各ワニス層が塗布された後に、すでに塗布された層が部分的にセット(硬化)される。最後のワニス層が塗布された後に、ワニス層は完全に硬化する。オーバーレイ上のワニス層の接着性は、ワニスが塗布される前にプライマーがオーバーレイに塗布されるという点で、必要に応じて改善することができる。
【0045】
オーバーレイへのワニス塗布の典型的な例は、例えば、ハイドロワニスとして知られる水性ワニス、例えば、UV硬化性アクリルワニスによって行われる。10g/m2のワニスの第1層が、オーバーレイの表面に塗布されて部分的に固まる(硬化する)。この層は、オーバーレイの合成樹脂と次のワニス層の間の接着剤として機能する。例えば、全体層厚が50g/m2のワニスコーティングを実現するために、28g/m2のハイドロワニスを含む第2層が第1層に塗布され、続いて、5.5g/m2のハイドロワニスを含む二つの追加層が塗布される。各層の後で、適用されたワニスは部分的に固まることができ、全ての層が塗布された後に、塗布されたワニスは完全に硬化する。ワニスは、注入により、スプレーにより、ローリングにより、又はドクターナイフを用いて、任意の方法で塗布することができる。
【0046】
好ましくは、ワニス層は、ワニス表面の耐引っかき性を改善するために、通常最後の層又は最後の二層において、好ましくは1μmから5μmの直径を有するコランダムで補足される。コランダムは、好ましくは、未だ硬化していないワニス層にばら撒かれる(散乱させられる)。したがって、装飾は、エンボス構造によってさらに進展し、ワニスのコーティングによってさらに保護される。
【0047】
合成樹脂表面にワニスを塗布するこの方法は、例えば、EN16511に準拠した使用クラス23~34のラミネートを作製するのに適している。その後、コーティングされたキャリアボードは、1000から2800mmの長さで90から500mmの幅の長方形のパネルに分割される。さねはぎ形式の接続手段は、四つの側面においてパネル上に機能し、その四つの側面には、隣接するパネルが配置されてフローティング結合(クリックパネルとして知られている)において水平方向及び垂直方向に固定される固定プロファイルを形成するための固定要素が任意に装備されており、ここでは、接続手段及び/又は固定要素は、キャリアボードのコア材料からなりかつこの目的のためにそれから切り取られるか、又は、固定要素は別個の要素として成し遂げられ、その中に、固定プロファイルが導入され、それがキャリアボードの側面に取り付けられる。
【0048】
このようにラミネートとして製造されたコーティングされたキャリアボードは、耐水性があり又寸法的に安定している。それは、とりわけ、床、壁、又は天井カバーとして、屋内建築の構造要素として、屋外建築の構造要素として、車両構造において、又はファサードを設計するために、使用することができる。
【0049】
例示的な実施形態3
PVC製のラミネート層を備えたキャリアボード
コーティングとしてのPVCの層は、上記のようにキャリアボード上に積層される。この目的のために、例えば60g/m2から100g/m2の量の接着剤がキャリアボードの上面に塗布される。PVCの層を固定するに、全てのホットメルト接着剤を使用することができるが、ポリウレタンベースの耐水性ホットメルト接着剤が好ましい。外側に装飾が施されたPVCの層は、その内側がキャリアボード上の接着剤の上に配置される。PVCの層は、通常1mmから5mmの厚さである。
【0050】
キャリアボード、接着剤、及びPVC層で構成されたスタックは、ホットメルト接着剤が実質的に接着力を発揮するまで、圧力をかけ、通常は温度を上げながら、ラミネートプレスでプレスされる。
【0051】
PVCでコーティングされたキャリアボードは、例えば、床の敷物の耐水性パネルとして使用できるが、屋外建築の構造物、例えばファサード又は仕切りやプライバシーシールド壁のような構造要素にも使用できる。
【0052】
例示的な実施形態4
装飾的な直接印刷を含む液体オーバーレイを備えたキャリアボード
ワークピース、この場合は、液体合成樹脂でコーティングされたキャリアボードが製造され、事前にプライマーがキャリアボードに塗布され、そして直接印刷を使用してこのプライマーに装飾が適用される。そして、直接印刷が、液体として適用(塗布)される合成樹脂の層で覆われ、そこでは、コランダムが(外側の層ではない)非外層に導入される。このようにコーティングされたキャリアボードは、短サイクルプレス(SCプレス)で硬化される。具体的には、例示的な実施形態2からのコーティングが、以下のように適用される。
・コーティングとして液体の形で、約20g/m2から30g/m2の量(固形分:メラミン樹脂:約65重量%、尿素樹脂:合成樹脂総塗布量の約50重量%)が適用される、メラミン樹脂、尿素樹脂、又は二つの合成樹脂の混合物を用いて、ボードを下塗りする。塗布はローラーを用いて行われる。
・空気循環乾燥機又はIR放射器を使用して、約20%の水分量まで樹脂を乾燥する。
・カラープライマー(例えば、顔料とカゼインやコーンプロテインのような結合剤の混合物)を液体の形でそれぞれ5g/m2から10g/m2(固形分:約50重量%)の量で、例えば空気循環又はIR放射器によって中間乾燥し、繰り返し塗布する。カラープライマーの塗布は、ローラー塗布で行われる。この場合、白色顔料(二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム)の使用が好ましい。
・後で塗布される層の接着性を改善するために、液体プライマー、例えばイソシアネートプライマーを、約10g/m2から20g/m2の量で塗布する。プライマーは、空気循環乾燥機又はIR放射器によって乾燥される。ここでもローラー塗布が使用される。
・アナログ方式で例えばローターによって又はデジタル方式で例えば水性インクを使用したインクジェットプリンターを用いて、その表面に装飾を印刷し、その接着性はプライマーによって改善され、そして必要に応じて、空気循環乾燥機を使用してインクを乾燥する。
・ローラー塗布によりコーティングとしてのシーラントを塗布し、ここで、液体シーラントは、メラミン樹脂(固形分約65重量t%)とそれに混合されたガラス球(ガラス球の直径:70μmから90μm)から成る。その塗布量は、20g/m2~30g/m2である。そして、
・合成樹脂の硬化しない乾燥が、B状態に達するまで、空気循環又はIR放射器を使用して行われ、その後、冷却及び中間保管が行われる。
・液体メラミン樹脂で作られた別のコーティングを、ローラー塗布により、60g/m2から80g/m2の量(固形分約65重量%)で、印刷され合成樹脂の層で既にシールされたボードの側面に、塗布する。
・散乱(スキャッタリング)装置を用いて、乾燥していない液体メラミン樹脂にコランダムを散乱させる。コランダムは、FEPA規格に準拠してF180からF240の粒径を有する。コランダムの量は、10g/m2から50g/m2で、必要な耐摩耗性に依存する。
・ボードの上面へのメラミン樹脂のコーティングの塗布が、1層あたり20g/m2から40g/m2の量で(好ましくは5層まで)繰り返され、ここで、メラミン樹脂は、上記された固形分を有する。最後の層の塗布中に、ガラス球(直径:70μmから90μm)が樹脂に加えられる。各々の塗布後に、中間乾燥が空気循環又はIR放射器を使用して行われる。
・上面のコーティングと並行して、バッキング(裏打ち)として液体メラミン樹脂の塗布を、ボードの裏側に行うことができる。これは、ローラー塗布プラントの一部において行うことができ、例えば、合計量が100g/m2から140g/m2に達する。メラミン樹脂は、上記の通常の固形分を含んでいる。さらに、合成樹脂には染料や顔料を含めることもできる。この場合、中間乾燥が、空気循環又はIR放射器のいずれかによって実行される。
・そして、例示的な実施形態1において既に説明したように、片面又は両面がコーティングされたキャリアボードは、ラミネート(積層体)を形成するべく短サイクルホットプレスにおいて、
-少なくとも25kg/cm2の上昇する圧力、200℃の上昇する温度の影響下で、
-6から30秒のプレス時間で、
-“エンボスインレジスタ”として知られ、任意に相互に適合される、表面構造を装飾の上に形成しながら、
プレスされる。
【0053】
コーティングされたキャリアボードのさらなる機械加工が望まれる場合、これは、例示的な実施形態1に記載されたものと同じ方法で行うことができる。コーティングされたキャリアボード又はコーティングされたキャリアボードから製造されたパネルの使用も同じ方法で行うことができる。例示的な実施形態4によるコーティングされたキャリアボードの特性は、例示的な実施形態1によるコーティングされたキャリアボードの特性に匹敵する。
【0054】
この例示的な実施形態4によるコーティングを有するキャリアボードの場合、液体として適用される合成樹脂の代わりに、合成樹脂含浸紙をバッキングとして使用することもできる。或は代わりに、板紙又はEPSの層を、接着剤を使用してキャリアボードの下面に固定することもできる。
【0055】
例示的な実施形態5
装飾的な直接印刷を含むホットメルトカバーを備えたキャリアボード
・白色着色ポリウレタンホットメルト(PUホットメルト)を、コーティングとして液体又は溶融状態でキャリアボードに塗布する(塗布量:約60g/m2から60g/m2)。ホットメルトは、好ましくは、それぞれ5g/m2から20g/m2の複数の層に塗布される。塗布は、この場合はワークピースとして機能するキャリアボードの表面又は上面にローラー塗布プラントを使用して、液体として120℃の温度で行われる。必要に応じて、まだ液体のホットメルトの平滑化が、第2の塗布プラントで行われる。PU配合物における顔料の割合は、約20重量%である。
・その表面を冷却する。
・最初の代替案によれば:デジタルプリンターで白色の液体カラー層を印刷し(塗布量:10g/m2から20g/m2)、そして、任意に、カラー層を、例えば赤外線又は空気循環乾燥機で乾燥させる。
・水性インク又はUVインクを使用して、デジタルプリンターでその表面に装飾を印刷し、任意に、例えばUV又は空気循環乾燥機でインクを乾燥させる。
・第2の代替案によれば:硬化した合成樹脂を含浸させた装飾紙又は装飾紙フィルムをまだ液体のホットメルト上に配置し、圧力及び殆どの場合上昇する温度の影響下で、望ましい接着剤の力が発揮されるまで、ラミネートプレスで接着剤を活性化する。80℃から150℃の温度と150N/cm2から350N/cm2の圧力が一般的である。
・上記の両方の代替案の場合:ローラー塗布ユニットを用いて、別のコーティング、この場合は、無着色、好ましくは透明なPUホットメルト層(塗布量:50g/m2)を塗布する。
・任意選択:散乱装置を用いて、ホットメルト内にコランダム粒子(粒径:FEPA基準に準拠したF180からF240)を散乱させる(適用量:10g/m2から50g/m2の間、所望される耐摩耗性に依存する)。
・ローラー塗布ユニットを用いて別のPU層を塗布する(塗布量:約30g/m2)。
・その表面を冷却する。
・任意選択:後に続くUV硬化で耐引っかき性を改善するべく、コランダムで作られた約30g/m2のナノ粒子を含むUVワニスで表面を塗装する(ワニスの塗布量:10g/m2から40g/m2)。
【0056】
このコーティングされたキャリアボードは、例示的な実施形態1に記載されているように、パネルに分割することもでき、又、エッジプロファイルを設けることもできる。例示的な実施形態5によるコーティングされたキャリアボードの使用、及び該当する場合、そこから製造されたパネルは、例示的な実施形態1のように説明される。
【0057】
例示的な実施形態6
多層プラスチックフィルムへのラミネーティング(積層)及びUVワニスの塗布
ワークピース、この場合はキャリアボードを、多層プラスチックフィルムでコーティングすることが記載されており、その層は、接着剤又は合成樹脂によって互いに接続され、又、例えば、キャリアボードの上面に、接着剤で接続される。プラスチックフィルムは、装飾が施されたすぐに使用できる表面を有する。さらに、UVワニスがシーラントとして塗布される。キャリアボードの反対側、この場合下面には、バッキング(裏打ち)が適用される。コーティングされたキャリアボードは、以下により製造される。
・ローラー塗布プラントを用いて、キャリアボードの下面に、約100g/m2の量で、PUホットメルトを塗布する。
・薄いラミネート、多層プラスチックフィルム、又は多層合成樹脂含浸紙から成るバッキングを、PUホットメルト上に配置する。
・ラミネートプレスでバッキングをプレスする。ラミネートプレスは、次のラミネートプロセスでも使用されるものであり、80℃から160℃の温度と、150N/cm2から350N/cm2の圧力である。ラミネーティング(積層)は、例えば、約120℃の温度、300N/cm2の圧力、及び0.8秒のプレス時間で、行うことができる。
・下面にコーティングされたキャリアボードを回転させる。
・ローラー塗布プラントを用いて、キャリアボードの上面に、コーティングとして約100g/m2のPUホットメルトを塗布する。
・それぞれ内側のコア層と外側の装飾フィルムにより形成され、この場合、しかしながら、コーティングとしての摩耗層(wear layer)が無い、多層装飾プラスチックフィルム又は多層合成樹脂含浸紙を、キャリアボードの上面に塗布されたPUホットメルトの層上に適用する。そして、
・連続プレスとして設計されたラミネートプレスで、上記のプレス条件の範囲内で、ここでは、約120℃の温度、300N/cm2の圧力、1秒のプレス時間で、フィルムをプレスする。
・UVワニスの複数層(通常は2層から5層)で作られたコーティングを塗布する。ここで、非外層には、耐摩耗性を高めるためのコランダムと、耐引っかき性を高めるためのナノ粒子(例えば、アエロジル(Aerosil))が含まれ、好ましくは、耐引っかき性を高めるための粒子は、コーティングの外側に近いワニス層に適用される。
・他の例示的な実施形態で既に説明したように、各々の塗布後に個々のワニス層を部分的に硬化させ(定着させ)、最後の塗布後にUV又はEBH放射器を用いて最後の硬化をする。
【0058】
このコーティングされたキャリアボードは、例示的な実施形態1に記載されているようにパネルに分割することもでき、エッジプロファイルを設けることもできる。例示的な実施形態6によるコーティングされたキャリアボードの使用、及び該当する場合、そこから製造されたパネルも、例示的な実施形態1のように説明される。
【0059】
例示的な実施形態7
CPL/HPLへのラミネーティング(積層)
例示的な実施形態7は、例示的な実施形態6に類似しているが、コーティングとしての装飾、装飾紙、又は装飾フィルムの代わりに、装飾が施された薄いラミネート(CPL又はHPL)が、摩耗層を有するワークピースに適用される。したがって、コーティングは、ワニスを塗布せずに行うことができる。以下のことが行われる。
・ボードの下面に、約100g/m2の量のPUホットメルトを、ローラー塗布により塗布する。
・薄いラミネート、プラスチックフィルム、又は紙で構成されるバッキングを、ワークピース、この場合キャリアボードの下面に配置する。
・例示的な実施形態6にて述べたように調整できるラミネートプレスで、この場合、連続プレスで、約120℃の温度、300N/cm2の圧力、及び約1秒のプレス時間で、バッキングをプレスする。
・キャリアボードを回転させる。
・ボードの上面に100g/m2の量のPUホットメルトの層をローラーで塗布する。
・装飾が施されたCPL又はHPLの薄いラミネートを配置する。このラミネートは、例えば、使用クラス23から32のためのEN13329の要件を満たす。
・ラミネートプレスで、約120℃の温度、300N/cm2の圧力、及び1秒のプレス時間で、アセンブリをプレスする。
【0060】
ワークピース、この場合はコーティングされたキャリアボードのさらなる機械加工が望まれる場合、これは、例示的な実施形態1に記載されたものと同じ方法で行うことができる。コーティングされたキャリアボード又はコーティングされたキャリアボードから製造されたパネルの使用は、同様に行うことができる。例示的な実施形態7によるコーティングされたキャリアボードの特性は、例示的な実施形態1によるコーティングされたキャリアボードの特性に匹敵する。
【0061】
例示的な実施形態8
合成樹脂コーティンを備えたキャリアボード及びワニス処理
接着剤(例えば、PVAc接着剤、尿素ベースの接着剤等)を使用して、装飾仕上げフィルムが上面のコーティングとしてキャリアボードに積層され、バッキングが下面に積層される。装飾が施された仕上げフィルムは、約80g/m2の紙の重さを有し、装飾的な印刷に耐え、バッキングは、約60g/m2の紙の重さを有し、仕上げフィルムとバッキングには、それぞれ合成樹脂例えばメラミンが含浸されている。仕上げフィルムとバッキングを固着させるために、それぞれの場合に、約60g/m2の量の接着剤が、仕上げフィルム又はバッキングがそれぞれ配置される前に液体の形でキャリアボードに塗布される。
【0062】
ラミネーション(積層)は、約160℃温度、20m/分の速度、及び300N/cm2の圧力において、連続プレスで行われる。
【0063】
接着剤が冷却されて硬化した後、コランダムを含むEBHワニスが、コーティングとして、約90g/m2(コランダムの含有量:約15重量%)で仕上げフィルムに塗布される(EBH:電子ビーム硬化)。ワニスは、部分的にUV放射器でセット(硬化)される。次に、EBHサンディングベース(塗布量:約80g/m2)が塗布され、EBH放射器で部分的にセット(硬化)される。その後、ナノ粒子を充填した20gのトップコートが、耐引っかき性を改善するために、コーティングとして塗布された。全ての塗布は、ローラーユニットを用いて行われた。次に、アセンブリ全体が、別のEBH放射器で硬化された。
【0064】
この製品は、DINEN14978のクラス33の要件を満たす。
【0065】
例示的な実施形態9
ワニスベースのコーティングが施されたキャリアボード
第1のプリプレグ(prepreg)が、キャリアボードの上面に積層される。第1のプリプレグは、透明、着色されているがまだ透明、又は半透明のワニスを、又は、着色された、通常は不透明なワニスを含浸させた紙であり、この紙は、ワニスを乾燥又は硬化させることによって事前に含浸されている。ラミネーティング(積層)の場合、先ず、ホットメルトがキャリアボードに塗布され、次に、第1のプリプレグが配置され、そして、キャリアボードと第1のプリプレグが、例示的な実施形態4又は5で述べられた条件でホットメルトによって第1のプリプレグをキャリアボードに固定する、ラミネートシステムを介してガイドされる。淡い色付け又は着色されたワニスが使用される場合、キャリアボードは、プライマーのように着色された均一な表面を示し、その上に適用された装飾は、特によく誇示される。
【0066】
プリプレグを備えたこのキャリアボード上に、第2のプリプレグが、追加のコーティングとして配置され、これもワニスを含浸させた紙で構成され、任意に装飾が印刷される。任意選択で、第1のプリプレグへの第2のプリプレグの接着を最適化するためにプライマーが適用される。例えば、サンディングベースが適用され得る。これは、サンディングなしで追加のコーティングを適用できるワニスを意味する。第2のプリプレグは、第1のプリプレグについて説明したのと同じ方法で積層することによって第1のプリプレグに固着される。或は代わりに、第2のプリプレグが、溶媒含有接着剤によって、第1のプリプレグに固着され得る。
【0067】
しかしながら、ここで、少なくとも単層、好ましくは多層のワニスコーティングが、第1及び第2のプリプレグでコーティングされたキャリアボードに塗布される。通常、二つ又は三つのワニス層が適用される。任意に(必要に応じて)、プリプレグへのワニス層の結合を改善するために、プライマーを第2のプリプレグに適用することができる。或は代わりに、第2のプリプレグに導入されたワニス及びその後に塗布されたワニス層は、ワニス層が第2のプリプレグのワニスに十分に付着するように、互いに適合される。
【0068】
任意選択で、足音遮音材が、キャリアボードの下面に適用される。
【0069】
例示的な実施形態10
ベニヤを備えたキャリアボード
本発明に係るキャリアボードは、上面のみ又は上面及び下面のいずれかに、オーク材で形成されたベニヤで覆われる。ベニヤが上面にのみ適用される場合、ボードの変形を防ぐために、バッキングが下面に有利に適用される。
【0070】
その接着効果のためにベニヤを固定する接着剤、又は結合剤、この場合は好ましくは部分的に架橋された結合剤が、ベニヤとキャリアボードとの間に導入される。
【0071】
部分的に架橋された結合剤は、有利には合成樹脂、有利には熱硬化性プラスチック、特にアミノプラストであり、好ましくは、結合剤は、例えばメラミン-ホルムアルデヒド樹脂としてのメラミン樹脂を有する。結合剤は、ベニヤをキャリアボードの上面又は下面に固定するのにちょうど十分な量で使用することができる。好ましくは、結合剤は、結合剤がベニヤに浸透し、おそらくそれに浸みわたるように、過剰に使用される。結合剤は、任意選択で、結合剤を含浸させた紙の形で導入することができる。紙は対称的に結合剤を含浸させるか、又は、過剰の結合剤を紙の少なくとも片面に塗布することができる。結合剤は、紙を液体の形で含浸させるために使用され、その後、部分的に架橋された状態で乾燥される。或は代わりに、それは、紙に含浸するまだ液体の部分的に架橋された結合剤に付着する、例えば粉末又は粉塵として、部分的に固体状態で使用することもできる。結合剤は、或は代わりに、ベニヤ又はキャリアボードの上面又は下面に直接的に塗布することもできる。
【0072】
ベニヤは、プレスによって、キャリアボードに固定される。ベニヤを固定するために接着剤が使用される場合、例えば、それ自体が知られている真空プレスを、固定するために使用することができる。
【0073】
結合剤がベニヤを固定するために使用される場合、例えば、短サイクルプレスを使用することができ、そこでは、合成樹脂は、100℃から240℃の温度、25N/mm2から50N/mm2の圧力、20秒から60秒の範囲内で、その後架橋されて、硬化する。
【0074】
この場合、架橋中に液体である合成樹脂は、少なくとも部分的にベニヤに浸透し、任意選択で、特に過剰の結合剤が使用される場合、結合剤は、少なくとも部分的にベニヤに浸みわたる。好ましい代替案によれば、合成樹脂がベニヤに完全に浸みわたり、キャリアボードのコーティングの外面を形成するように、非常に多くの過剰な結合剤が使用される。上記の圧力では、ベニヤも通常圧縮される。結合剤が使用されるとき、ベニヤはプレス後の耐圧性が高くなり、圧縮されていないベニヤよりも繊細でない(虚弱でない)表面を提供する。
【0075】
結合剤と同じように、ポリウレタンプレポリマー(PUプレポリマー)を、代わりに使用して、キャリアボード又はベニヤの表面に直接塗布することができる。PUプレポリマーを硬化させてポリウレタンを形成することにより、ベニヤはキャリアボードに結合される。芳香族イソシアネートと比較して耐光性が改善されるため、ポリウレタンプレポリマーとして脂肪族イソシアネートが好ましい。黄変や変色が問題にならない場合は、芳香族イソシアネートをポリウレタンプレポリマーとして使用することもできる。ベニヤとキャリアボードは、上記の結合剤のプレス条件下で、例えば短サイクルプレスで一緒にプレスすることができる。
【0076】
ベニヤに面する結合剤の表面に添加剤を塗布することができる。添加剤は、例えば、色、導電率、又は耐光性に影響を及ぼすことができる。また、添加剤は、互いに組み合わせて使用することもできる。添加剤が結合剤の表面に塗布される場合、添加剤は、プレスでの架橋中に、その後液化した結合剤によって、結合剤がベニヤに浸みわたる程度までベニヤを通して運ばれる。このように、添加剤の使用量を少なくすることで、最大の効果が得られる。
【0077】
このようにベニヤでコーティングされたキャリアボードは、さらにコーティングすることができ、特に、湿気の影響に対してシールすることができ、例えば、ベニヤを塗装することができる。
【0078】
結合剤がベニヤキャリアボードの表面を形成する場合、又は、シーラントが湿気から保護するためにその後に適用される場合、耐水性キャリアボードは、例えば、床のカバーや家具、特にバスルーム又はキッチンの家具として、又はサウナやスイミングプールに設置するために、湿った部屋において、装飾的で耐水性のコーティングと一緒に使用することができる。
【国際調査報告】