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特表2022-530217照明光をEUVリソグラフィのための投影露光システムの物体視野内へ案内するための測定照明光学ユニット
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  • 特表-照明光をEUVリソグラフィのための投影露光システムの物体視野内へ案内するための測定照明光学ユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-28
(54)【発明の名称】照明光をEUVリソグラフィのための投影露光システムの物体視野内へ案内するための測定照明光学ユニット
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/20 20060101AFI20220621BHJP
   G02B 21/06 20060101ALI20220621BHJP
   G02B 17/02 20060101ALI20220621BHJP
【FI】
G03F7/20 503
G03F7/20 521
G02B21/06
G02B17/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021562994
(86)(22)【出願日】2020-04-28
(85)【翻訳文提出日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2020061791
(87)【国際公開番号】W WO2020221763
(87)【国際公開日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】102019206057.9
(32)【優先日】2019-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019217158.3
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【弁理士】
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ウィシュマイヤー ラース
(72)【発明者】
【氏名】パトラ ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ホルダーラー フバート
【テーマコード(参考)】
2H052
2H087
2H197
【Fターム(参考)】
2H052AC01
2H052AC27
2H087KA21
2H087TA02
2H087TA05
2H197AA09
2H197AA10
2H197BA11
2H197CA10
2H197GA01
2H197GA04
2H197GA05
2H197GA06
2H197GA10
2H197GA11
2H197GA22
2H197GA23
2H197HA03
(57)【要約】
測定照明光学ユニットは、照明光(3)を、EUVリソグラフィのための投影露光装置の、リソグラフィマスクが配置可能である、物体視野内へ案内する役割を果たす。照明光学ユニットの視野ファセットミラーは複数の視野ファセット(7、7’)を含み、照明光学ユニットの瞳ファセットミラーは複数の瞳ファセット(11)を含む。後者は、視野ファセット(7)の視野ファセット像(12)の物体視野内の重ね合わせ結像のための役割を果たす。照明光(3)の視野ファセット結像チャネル(12a)はいずれか1つの視野ファセット(7)およびいずれか1つの瞳ファセット(11)を介して案内される。視野絞り(29)は、物体視野が配置された物体平面(17)内の照明視野(31)の視野境界を指定する役割を果たす。照明視野(31)は、1つの視野寸法(y)に沿って、視野ファセット像(12)のうちのいずれか1つよりも大きい範囲を有する。視野ファセット(7’)のうちの少なくともいくらかは、様々な視野ファセット(7、7’)および全く同一の瞳ファセット(11)を介した照明視野(31)内への照明光(3)の案内を確実にする傾斜アクチュエータ(7a)を含む。これは、1つの視野寸法に沿って物体平面内の視野ファセット像よりも大きい範囲を有する照明視野の全照明を促進する測定照明光学ユニットをもたらす。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明光(3)を、EUVリソグラフィのための投影露光装置(1)の、リソグラフィマスク(18)が配置可能である、物体視野(19)内へ案内するための測定照明光学ユニット(28)であって、
- 複数の視野ファセット(7、7’、7”)を有する視野ファセットミラー(6)を備え、
- 前記視野ファセット(7)の視野ファセット像(12)の前記物体視野(19)内の重ね合わせ生成のための複数の瞳ファセット(11)を有する瞳ファセットミラー(10)であって、前記照明光(3)の視野ファセット結像チャネル(12a)がいずれか1つの視野ファセット(7)およびいずれか1つの瞳ファセット(11)を介して案内される、瞳ファセットミラー(10)を備え、
- 測定視野(19、31)が、1つの視野寸法(y)に沿って、前記視野ファセット像(12)のうちのいずれか1つよりも大きい範囲を有し、
- 前記視野ファセット結像チャネル(12)によって測定視野全体(19、31)の照明を生成するために前記視野ファセット結像チャネル(12)を介した前記照明光(3)の案内に影響を及ぼす少なくとも1つの測定視野照明デバイス(35、37、39、41)を備え、
- 前記測定視野照明デバイス(35、37、39、41)が、前記視野ファセット結像チャネル(12a)を介して前記測定視野全体(19、31)の続いて起こる照明を生成する目的のために、前記照明光(3)を照明光源(2)と前記物体視野(19)との間で案内する、少なくとも1つの光学構成要素(6、10、13、28)を変位させるための少なくとも1つの変位アクチュエータを備える、測定照明光学ユニット(28)。
【請求項2】
前記変位アクチュエータ(35、37、39、41)が、少なくともいくらかのファセット像(12;12、12’)が前記測定視野(19、31)に対して前記視野寸法(y)に沿って共に変位可能となるように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の測定照明光学ユニット。
【請求項3】
前記変位アクチュエータ(35)が、視野ファセットグループ(8)を持っている前記視野ファセットミラー(6)の少なくとも一部分と相互作用し、前記相互作用が、前記視野ファセットミラー(6)または前記視野ファセットミラーの部分を変位させる目的を果たすことを特徴とする、請求項1または2に記載の測定照明光学ユニット。
【請求項4】
前記変位アクチュエータ(37)が、それが、瞳ファセットグループ(8)を持っている前記瞳ファセットミラー(10)の少なくとも一部分と相互作用するように構成されており、前記相互作用が、前記瞳ファセットミラー(10)または前記瞳ファセットミラーの部分を変位させる目的を果たすことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の測定照明光学ユニット。
【請求項5】
前記照明光(3)を前記瞳ファセットミラー(10)と前記物体視野(19)との間で案内する少なくとも1つのさらなるミラー構成要素(13)によって特徴付けられ、前記変位アクチュエータ(39)が、それが、前記ミラー構成要素(13)を変位させる目的のために前記ミラー構成要素(13)と相互作用するように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の測定照明光学ユニット。
【請求項6】
前記変位アクチュエータ(41)が、前記測定照明光学ユニット(28)を、前記測定照明光学ユニット(28)の下流に配設されており、前記物体視野(19)を像視野(23)内に結像する役割を果たす投影光学ユニット(20)の前記物体視野(19)に対して変位させるように構成されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の測定照明光学ユニット。
【請求項7】
前記変位アクチュエータ(22)が、物体保持器(21)を前記測定照明光学ユニット(28)の残りの部分に対して変位させるように構成されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の測定照明光学ユニット。
【請求項8】
照明光(3)を、EUVリソグラフィのための投影露光装置(1)の、リソグラフィマスク(18)が配置可能である、物体視野(19)内へ案内するための測定照明光学ユニット(28)であって、
- 複数の視野ファセット(7、7’、7”)を有する視野ファセットミラー(6)を備え、
- 前記視野ファセット(7)の視野ファセット像(12)の前記物体視野(19)内の重ね合わせ結像のための複数の瞳ファセット(11)を有する瞳ファセットミラー(10)であって、前記照明光(3)の視野ファセット結像チャネル(12a)がいずれか1つの視野ファセット(7)およびいずれか1つの瞳ファセット(11)を介して案内される、瞳ファセットミラー(10)を備え、
- 前記物体視野(19)が配置された物体平面(17)内の照明視野(31)の視野境界を指定するための視野絞り(29)を備え、
- 前記照明視野(31)が、1つの視野寸法(y)に沿って、前記視野ファセット像(12)のうちのいずれか1つよりも大きい範囲を有し、
- 前記視野ファセット(7’、7”)のうちの少なくともいくらかが、様々な視野ファセット(7、7’、7”)および全く同一の瞳ファセット(11)を介した前記照明視野(31)内への前記照明光(3)の案内を確実にする傾斜アクチュエータ(7a)を含む、測定照明光学ユニット(28)。
【請求項9】
前記視野ファセット(7)が、2よりも大きいアスペクト比を有する反射面を有し、前記傾斜アクチュエータ(7a)の実施形態を有し、これにより、1つの視野ファセット長手方向辺(7L)を通じて互いに隣接した視野ファセット(7、7’;7、7”)を介し、全く同一の瞳ファセット(11)を介した前記照明視野(31)内への照明光(3)の前記案内が確実にされることを特徴とする、請求項8に記載の測定照明光学ユニット。
【請求項10】
前記投影露光装置(1)のための生成照明光学ユニットとしてさらに構成されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の測定照明光学ユニット(28)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項に記載の測定照明光学ユニット(28)を備え、前記照明光(3)のための光源(2)を備える照明システム。
【請求項12】
請求項1~9のいずれか1項に記載の測定照明光学ユニット(28)を備え、前記物体視野(19)を、前記投影露光装置(1)の、基板(25)が配置可能である、像視野(23)内に結像するための投影光学ユニット(20)を備える、照明システム。
【請求項13】
請求項1~7のいずれか1項に記載の測定照明光学ユニット(28)を備え、前記物体視野(19)を、前記投影露光装置(1)の、基板(25)が配置可能である、像視野(23)内に結像するための投影光学ユニット(20)を備える、照明システムであって、前記変位アクチュエータ(41)が、前記投影光学ユニット(20)に対する前記照明光学ユニット(28)のための並進アクチュエータとして構成されていることを特徴とする、照明システム。
【請求項14】
請求項11~13のいずれか1項に記載の照明システムを備える投影露光装置(1)。
【請求項15】
構造化構成要素を製造するための方法であって、以下のステップ:
- 感光性材料で作られた層が少なくとも部分的につけられた、ウェーハ(25)を提供するステップと、
- 結像されるべき構造を有する物体(18)としてのレチクルを提供するステップと、
- 請求項14に記載の投影露光装置(1)を提供するステップと、
- 前記投影露光装置(1)の助けにより前記レチクル(18)の少なくとも一部分を前記ウェーハ(25)の前記層の領域上に投影するステップと、
を含む、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法に従って製造された、構造化構成要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、ドイツ特許出願第10 2019 206 057.9号および第10 2019 217 158.3号の優先権を主張する。同出願の内容は本明細書において参照により組み込まれている。
【0002】
本発明は、照明光をEUVリソグラフィのための投影露光装置の物体視野(object field)内へ案内するための測定照明光学ユニットに関する。さらに、本発明は、このような測定照明光学ユニットを備える照明システム、このような照明システムを備える投影露光装置、このような投影露光装置を用いてマイクロ構造化もしくはナノ構造化構成要素を製造するための方法、およびこのような製造方法を用いて製造された構造化構成要素に関する。
【背景技術】
【0003】
生成照明光学ユニットを有する投影露光装置が、DE 10 2011 004 615 A1, DE 10 2012 213 368 A1, DE 10 2012 218 076 A1, DE 10 2016 201 317 A1, DE 10 2011 076 145 B4, DE 10 2012 208 016 A1 及び DE 10 2011 006 003 A1から知られている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、1つの視野寸法(field dimension)に沿って物体平面内の視野ファセット像よりも大きい範囲を有する照明視野(illumination field)の全照明(full illumination)を促進する測定照明光学ユニットを提供することを目的とする。
【0005】
周知の投影露光装置において、生成照明光学ユニットは、投影露光装置の投影光学ユニットによって結像される(imaged)能力を有する物体視野全体が、少なくとも、1つの視野寸法に沿って、視野ファセット像のうちのいずれか1つ(any one)よりも大きく、それゆえ、また、生成照明光学ユニットによって生成されたとおりの、照明視野とも称される、物体平面内の全ての視野ファセット像の重なり(superposition)よりも大きくなるように構成されている。視野寸法に沿って、照明視野もまた、視野ファセット像のうちのいずれか1つよりも大きい。それゆえ、照明視野全体の全照明は、生成照明光学ユニットを用いて可能でない。例として、このような全照明は、照明視野全体にわたって、および場合によっては、この視野寸法に沿ってさらにより大きい物体視野にわたって、下流の投影光学ユニットの結像特性を完全に測定するために必要とされる。それゆえ、照明視野および物体視野は、測定されるべき測定視野を表すことができる。このような全測定は、投影光学ユニットの結像収差を補正するための光学構成要素のその後の作製のために、特に、補正非球面を作製するために用いることができる。
【0006】
冒頭において説明された目的は、本発明に従って、請求項1において指定された特徴を有する測定照明光学ユニットを用いた第1の態様によって、および請求項8において指定された特徴を有する測定照明光学ユニットを用いた第2の態様によって達成される。
【0007】
測定照明光学ユニットの実施形態によっては、全測定視野照明に寄与するそれぞれの視野ファセット結像チャネルの対応付けを通じて、均一性、照明設定、および様々なチャネル間のクロストークなどの照明性能変数を、測定照明光学ユニットにおいて用いられる波面測定技術の要求に適合させることが可能である。この目的を達成するために、全測定視野照明、および下流の投影光学ユニットの結像特性のその後の測定のために、特に、対象を定めた仕方で、特定の視野ファセット結像チャネルを追加するか、または取り除くことが可能である。特に、生成投影照明においても用いられる照明設定を指定することも可能である。これは、異なる視野ファセット結像チャネル間のチャネルクロストークを検出することができる特定の設定をもたらすこともできる。最後に、暗視野照明を、対象を定めた仕方で設定することもできる。この場合には、構造化物において回折させられた光のみが投影光学ユニットを通して案内され、直接反射された光は案内されない。例として、同形(isomorphy:同形、同様形)から逸脱した瞳結像のゆえに生み出された楕円率を補正するために、測定照明光学ユニットを用いた測定の結果を用いることができる。
【0008】
第1の態様によれば、視野ファセット結像チャネルによって測定視野全体の続いて起こる照明(sequential illumination:連続して起こる照明、順次的照明)を生成するための、照明光を案内する、光学構成要素の変位が、測定視野の有効な全照明を促進することが認められた。これは測定視野全体の動的照明をもたらす。
【0009】
測定照明光学ユニットまたは結像光学ユニットは、物体視野が配置された物体平面内の測定視野の視野境界を指定するための視野絞りを備えることができる。全照明視野寸法に沿って、測定視野は、視野ファセット像のうちのいずれか1つ(any one)よりも大きい範囲を有することができる。少なくともいくらか(at least some)の(視野)ファセット像は、照明光学ユニットの少なくとも1つの構成要素のための少なくとも1つの変位アクチュエータを通じて測定視野に対して全照明視野寸法に沿って共に変位可能となることができる。
【0010】
視野絞りは測定視野の視野境界を指定することができる。測定視野は、物体視野が配置された物体平面内に配置され得る。
【0011】
変位アクチュエータは、光学構成要素のための傾斜アクチュエータとして、および/または並進(translation)アクチュエータとして構成することができる。
【0012】
光学構成要素は制振手段を介して保持され得る。変位アクチュエータの運動は閉ループ制御を受けることができる。この目的を達成するために、測定照明光学ユニットは、特に、光学構成要素の光学表面の位置を取り込むための、センサシステムを備えることができる。
【0013】
測定情報は、測定照明光学ユニットの検出デバイスによって、空間分解された、非走査的な仕方で測定される。物体視野が配置された物体平面を物体視野の外部で照明することは、物体視野内の点のための投影光学ユニットの特性の測定に負の影響を与えない。
【0014】
照明視野または測定視野に対する少なくともいくらかの視野ファセット像の変位を照明視野または測定視野の有効な全照明のために用いることができる。この場合には、照明視野または測定視野の全照明は、ファセット像が照明視野または測定視野を通して変位させられることによって、続けて(sequentially:連続的に、順次的に)実施することができる。
【0015】
変位アクチュエータは瞳ファセットミラーのための傾斜アクチュエータとして構成することができる。測定照明光学ユニットは、視野ファセットミラーを作り出すための結像光学ユニットの一部としての集光ミラーを備えることができる。変位アクチュエータは集光ミラーのための傾斜アクチュエータとして構成することができる。変位アクチュエータは、視野平面に対する照明光学ユニットための並進アクチュエータとして構成することができる。変位アクチュエータのこのような実施形態および/または請求項3に記載の変位アクチュエータの実施形態は、照明視野または測定視野に対する少なくともいくらかのファセット像の共通相対変位のために特に適している。請求項3に記載の変位アクチュエータは、例えば、視野ファセットミラーのちょうど1つのバー(bar)、すなわち、視野ファセットグループの変位をもたらすことができる。請求項3に記載の変位アクチュエータの変位デバイスは、変位させられるべき視野ファセットミラー上または視野ファセットミラーの部分上の視野ファセットの配置面と垂直であることができる。
【0016】
変位アクチュエータによる変位は、変位させられるべき視野ファセットミラーの構成要素の光学表面上の入射点における法線方向に実施することができる。
【0017】
請求項4に記載の変位アクチュエータの変位デバイスは、変位させられるべき瞳ファセットミラー上または瞳ファセットミラーの部分上の瞳ファセットの配置面と垂直であることができる。それに対する代替として、またはそれに加えて、変位アクチュエータは、瞳ファセットミラーの個々の瞳ファセットの個々の変位が可能になるように構成することができる。それゆえ、個々の瞳ファセットに個々に対応付けられた変位アクチュエータのアクチュエータ領域は共に制御可能となることができ、その結果、これは瞳ファセットの共通変位ももたらすことができる。
【0018】
請求項5に記載の変位アクチュエータは並進または傾斜アクチュエータとして具体化することができる。変位アクチュエータの変位方向はミラー構成要素の光学表面と垂直であることができる。ミラー構成要素は、視野ファセット像を生成するための結像光学ユニットの部分としての集光ミラーであることができる。
【0019】
請求項6に記載の変位アクチュエータは並進および/または傾斜アクチュエータとして具体化することができる。
【0020】
請求項7に記載の変位アクチュエータは、特に、物体平面と垂直な変位方向を有する並進アクチュエータとして、および/または傾斜アクチュエータとして構成することができる。
【0021】
第2の態様によれば、様々な視野ファセットおよび全く同一の(one and the same:1つのそして同一の)瞳ファセットを介した照明光の案内が、視野ファセット結像チャネルを介した案内を通じた視野ファセットの重ね合わせ結像によって照明が存在しない領域内でさえも照明視野を照明する選択肢をもたらすことが認められた。視野ファセット結像チャネルの相対位置の不可避の空間変化のために、これは、重ね合わせられた様態で結像された視野ファセット像の近傍に配置された、現れる追加の視野ファセットミラーの位置付けにおける混成を生じさせ、照明視野の完全照明をもたらす。
【0022】
瞳ファセットは視野ファセット像全体の重ね合わせ生成をもたらすことができるか、またはさもなければ、いずれの場合にも視野ファセットを物体平面内に結像する結像光学ユニットの部分であることができる。
【0023】
測定照明光学ユニットを用いて、全ての照明視野点において、指定公差以内で一様である瞳を提供することが可能である。
【0024】
視野ファセットであって、それらの傾斜を通じて全く同一の瞳ファセットを介して照明視野内に結像されるであろう視野ファセットは、視野ファセットミラーの直接隣接した視野ファセットであることができる。
【0025】
請求項9に記載の一実施形態は照明視野のとりわけ有効な全照明を促進する。
【0026】
具体的には、変位アクチュエータはヘキサポッド支持接続部(hexapod support connection:6脚の支持接続部)を有することができる。このようなヘキサポッド支持接続部を通じて、変位アクチュエータは、変位させられるべき光学構成要素の本体(main body:メインボディ)に接続され得る。ヘキサポッド支持接続部の収縮可能または伸張可能なヘキサポッド脚の個々の制御が、本体の、および/または変位アクチュエータによって変位させられるべき光学構成要素の光学表面の異なる傾斜および/または並進の調整の実現を可能にする。
【0027】
第1に、測定照明光学ユニットの光学構成要素のうちの1つ、および、第2に、変位アクチュエータで作られた組立品は、測定照明光学ユニットのさらなる構成要素とは関わりなく、本発明の主題の部分となることができる。
【0028】
同時に生成照明光学ユニットとして用いられる測定照明光学ユニットは著しく柔軟な投影露光装置をもたらす。請求項10に記載の測定照明光学ユニットならびに請求項11および12に記載の照明システムの利点は、他の点では、以上においてすでに説明されたものに対応する。
【0029】
請求項13に記載の変位アクチュエータは、ファセット像を照明視野に対して変位させるためのさらに有利な変形例を示す。
【0030】
照明光を、EUVリソグラフィのための投影露光装置の、リソグラフィマスクが配置可能である、物体視野内へ案内する役割を果たす測定照明光学ユニットのさらなる変形例では、測定照明光学ユニットは、
- 測定視野内の照明光強度の空間分解された取り込みのための検出デバイスと、
- 照明光を照明光光源と物体視野との間で案内する測定照明光学ユニットの少なくとも1つの光学構成要素を変位させるための変位アクチュエータと、
- 光学構成要素の光学表面の位置を取り込むためのセンサと、
を備え、
- 変位アクチュエータの制御された運動のために、後者はセンサおよび/または検出デバイスに信号接続されている。
【0031】
特に、このような測定照明光学ユニットは、変位アクチュエータの制御された運動のために用いることができる。
【0032】
請求項13または14に記載の光学システム、請求項14に記載の投影露光装置、請求項15に記載の製造方法、および請求項16に記載のマイクロ構造化もしくはナノ構造化構成要素の利点は、以上において本発明に係る照明光学ユニットを参照してすでに説明されたものに対応する。製造される構成要素は、半導体チップ、特に、メモリチップであることができる。
【0033】
投影露光装置は、結像されるべき物体を物体変位方向に変位させるための物体変位駆動装置を有する物体保持器を有することができる。投影露光装置は、結像されるべき物体の構造が結像されることになるウェーハを像変位方向に変位させるためのウェーハ変位駆動装置を有するウェーハ保持器を有することができる。物体変位方向は像変位方向と平行に延び得る。
【0034】
上述の題目は、互いに組み合わせて、または単独で、本発明の主題の部分となることができる。
【0035】
以下において図面を参照して本発明の例示的な実施形態がより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】概略的に、および測定照明光学ユニットに対する子午断面内で、この測定照明光学ユニットを用いるマイクロリソグラフィ投影露光装置を示す図である。
図2】「矩形視野」の実施形態における、図1に係る投影露光装置の照明光学ユニットの視野ファセットミラーのファセット配置の図を示す。
図3】「弓形視野」の実施形態における視野ファセットミラーのさらなる実施形態のファセット配置を図2と同様の図で示す図である。
図4】瞳ファセットミラーのファセット配置の一実施形態を示す図である。
図5A図3に係る視野ファセットミラーの3つの隣り合った視野ファセットから全く同一の瞳ファセットを介して、測定照明光学ユニットの物体平面内の照明視野内へ送られる照明光の、視野ファセット像へのビーム案内を非常に概略的に示す図である。
図5B】投影露光装置の、および測定照明光学ユニットの物体平面内の異なる視野領域の図を概略的に示す。
図5C】投影露光装置の像平面内の異なる視野領域を示す図である。
図6】第1に、視野ファセットの視野ファセット像の重ね合わせ結像が存在する測定照明光学ユニットの物体視野の、および、第2に、測定照明光学ユニットの視野絞りの視野境界を通じて指定された照明視野の、位置およびサイズ関係を示す図であって、この位置関係は照明視野中心の領域内の測定の通常動作の最中に示されている、図である。
図7】照明視野の縁部における測定照明光学ユニットによる測定の場合の位置関係が示されている、図6と同様の図を示す。
図8】2つのファセットおよびそれらの視野ファセット像のみが示されているものの、この場合も先と同様に瞳ファセットミラーの全く同一の瞳ファセットを介した、測定照明光学ユニットの代替的実施形態の場合の照明光のビーム案内を図5と同様の図で示す図である。
図9】2つのファセットミラー、および3つのミラーを有する下流の伝達光学ユニット(transfer optical unit)を有する測定照明光学ユニットのさらなる実施形態を示す図である。
図10図4に係る、同図における線X-Xによる、瞳ファセットミラーの部分を貫く軸方向断面図を概略的に示す。
図11】本体からフレーム本体へのヘキサポッド支持接続部を含み、ヘキサポッド支持接続部が初期位置にある、例えば、図2/3に係る視野ファセットミラーの、または図4に係る瞳ファセットミラーの、ファセットミラーの本体の側面図を概略的に示す。
図12】ヘキサポッド支持接続部が第1の傾斜位置にある、図11に係る機構を示す図である。
図13】ヘキサポッド支持接続部が、第1の傾斜位置に対して本体のファセット配置面と垂直にさらなる線形変位を有する、第2の傾斜位置にある、図11に係る機構を示す図である。
図14】照明光学ユニットによって照明されるべき物体を図1と同様の図で概略的に示す図であって、該物体が、実線を用いて示された第1の位置に、および物体平面と垂直に変位させられた第2の位置に示されている、図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
マイクロリソグラフィ投影露光装置1は、マイクロ構造化またはナノ構造化電子半導体構成要素を製造する役割を果たす。光源2が、例えば、5nm~30nmの波長範囲内の照明のために用いられるEUV放射線を放射する。光源2は、GDPP(gas discharge produced plasma(ガス放電生成プラズマ))源、またはLPP(laser produced plasma(レーザ生成プラズマ))源であることができる。シンクロトロンまたは自由電子レーザ(free electron laser、FEL)に基づく放射線源もまた、光源2のために用いられ得る。このような光源に関する情報が、当業者によって、例えば、US6 859 515B2において見出され得る。照明光ビームまたは結像光ビーム3の形態のEUV照明光または照明放射線が投影露光装置1内の照明および結像のために用いられる。光源2の下流の結像光ビーム3は、まず、例えば、従来技術から知られた多殻構造を有する入れ子状集光子、または代替的に、次に光源2の下流に配置された楕円状集光子であることができる、集光子4を通過する。対応する集光子がEP1 225 481Aから知られている。集光子4の下流において、EUV照明光3は、まず、結像光ビーム3を望ましくない放射線または粒子部分から分離するために用いることができる、中間焦平面5を通過する。中間焦平面5を通過した後に、結像光ビーム3は、まず、視野ファセットミラー6に衝突する。視野ファセットミラー6は投影露光装置1の第1のファセットミラーを構成する。視野ファセットミラー6は、第1のミラー保持体(carrier)6a上に配置された複数の視野ファセット(図2および図3も参照)を含む。ミラー保持体6aは視野ファセットミラー6の本体とも称される。
【0038】
位置関係の説明を容易にするために、いずれの場合にもデカルト全体xyz座標系が図面内に示されている。図1において、x軸は、図面の平面と垂直に、後者の外へ延びる。y軸は図1における右に向かって延びる。z軸は図1における上に向かって延びる。
【0039】
投影露光装置1の個々の光学構成要素のための位置関係の説明を促進するために、いずれの場合にもデカルト局所xyzまたはxy座標系が以下の図において同様に用いられる。それぞれの局所xy座標は、特に説明のない限り、光学構成要素のそれぞれの主配置面、例えば、反射面に広がる。全体xyz座標系ならびに局所xyzまたはxy座標系のx軸は互いに平行に延びる。局所xyzまたはxy座標系のそれぞれのy軸は、全体xyz座標系のy軸に対して、x軸の周りのそれぞれの光学構成要素の傾斜角に対応する角度をなしている。
【0040】
図2は、「矩形視野」の実施形態における視野ファセットミラー6の視野ファセット7のファセット配置を例示的な様態で示す。視野ファセット7は矩形であり、いずれの場合にも、同じx/yアスペクト比を有する。x/yアスペクト比は2よりも大きい。x/yアスペクト比は、例えば、12/5であることができ、25/4であることができ、104/8であることができ、20/1であることができ、または30/1であることができる。
【0041】
視野ファセット7は視野ファセットミラー6の反射面をあらかじめ定め、各々、6つ~8つの視野ファセットグループ8a、8bを有する4つの列にグループ化されている。視野ファセットグループ8aは7つの視野ファセット7をそれぞれ有する。2つの中心の視野ファセット列の、縁部における、2つの追加の視野ファセットグループ8bは4つの視野ファセット7をそれぞれ有する。視野ファセットミラー6のファセット配置は、2つの中心ファセット列の間、および第3のファセットラインと第4のファセットラインとの間に、視野ファセットミラー6が集光子4の保持スポークの影になる隙間9を有する。LPP源が光源2として用いられる限りは、集光子4に隣接して配置されており、図面には示されていないスズドロップレット生成器(tin droplet generator:スズ(錫)液滴生成器)からも、対応する影が出現し得る。
【0042】
視野ファセット7は、いずれの場合にも複数の異なる傾斜位置の間で位置変更可能であり、例えば、3つの傾斜位置の間で位置変更可能である。視野ファセットミラー6の実施形態によっては、視野ファセット7の全てまたはさもなければ一部は、2つの異なる傾斜位置の間、または3つを超える異なる傾斜位置の間で位置変更可能であることもできる。この目的を達成するために、視野ファセットの各々は、図2において非常に概略的に示される、アクチュエータ7aにそれぞれ接続されている。全ての傾斜可能な視野ファセット7のアクチュエータ7aは、図2において同様に概略的に示される、中央制御デバイス7bを通じて作動させることができる。
【0043】
アクチュエータ7aは、それらが、視野ファセット7、7’、7”(図5参照)を、離散的な絶対傾斜値を通じて傾斜させるように設計することができる。例として、これは、2つの端部ストッパ間の傾斜によって確実にすることができる。連続傾斜、またはより多数の離散的な傾斜位置の間の傾斜も可能である。
【0044】
視野ファセットミラー6における反射後に、個々の視野ファセット7に対応付けられた結像光部分ビームに分割された結像光ビーム3は瞳ファセットミラー10に衝突する。結像光ビーム3全体のそれぞれの結像光部分ビームは、照明チャネルまたは視野ファセット結像チャネルとも称される、それぞれの結像光チャネルに沿って案内される。
【0045】
図3は、視野ファセットミラー6のさらなる「弓形視野」の実施形態を示す。以上において図2に係る視野ファセットミラー6を参照して説明されたものに対応する構成要素部分は同じ参照符号を有し、これらが図2に係る視野ファセットミラー6の構成要素部分とは異なる範囲でのみ説明される。
【0046】
図3に係る視野ファセットミラー6は、弓形視野ファセット7を有する視野ファセット配置を含む。これらの視野ファセット7は、いずれの場合にも、複数の視野ファセットグループ8を有する、合計5つの列内に配設されている。視野ファセット配置は視野ファセットミラー6のミラー保持体6aの円形境界に内接している。
【0047】
図3に係る実施形態における視野ファセット7は全て、同じ面積、および図2に係る実施形態の視野ファセット7のx/yアスペクト比に対応する、x方向における幅とy方向における高さとの同じ比を有する。
【0048】
図4は、瞳ファセットミラー10の瞳ファセット11の例示的なファセット配置を非常に概略的に示す。瞳ファセットミラー10は投影露光装置1の第2のファセットミラーを構成する。瞳ファセット11は、図4において周囲部分においてのみ指示された、瞳ファセットミラー10の保持体プレート10a上に配置されている。瞳ファセット11は瞳ファセットミラー保持体10a上のファセット配置の中心の周りに配置されている。瞳ファセットミラー保持体10aは瞳ファセットミラー10の本体とも称される。
【0049】
1つの瞳ファセット11が、視野ファセット7のうちの1つによって反射されたEUV照明光3の各結像光部分ビームに対応付けられ、その結果、いずれの場合にも衝突され、視野ファセット7のうちのちょうど1つおよび瞳ファセット11のうちのちょうど1つを有するファセット対は、EUV照明光3の関連結像光部分ビームのための結像光チャネルを指定する。
【0050】
視野ファセット7への瞳ファセット11のチャネルごとの対応付けは、投影露光装置1による所望の照明に基づいて実施される。異なる可能な視野ファセット傾斜位置を通じて、視野ファセット7の各々は異なる結像光チャネルを指定することができる。照明光部分ビームは、互いに重ね合わせられて、かように指定された視野ファセット結像チャネルを介して投影露光装置1の、これから説明される、物体視野内へ案内される。
【0051】
瞳ファセットミラー10(図1)、および集光ミラー13を有する下流の伝達光学ユニット16を介して、視野ファセット7は投影露光装置1の物体平面17内に結像される。
【0052】
図5Aは、「弓形視野」の実施形態の例を用いて視野ファセット7のうちの1つを視野ファセット像12内に結像する(imaging)際の条件を概略的に示す。関連視野ファセット結像チャネル12aのビーム経路が、図5Aにおいて、広げられた様態で示されており、この視野ファセット結像チャネル12aの関連瞳ファセット11は伝達光学ユニット16の構成要素としてのみ説明されている。さらに、図5Aには、一方では、視野ファセット7、および他方では、物体平面17が図面の平面内に示されている。すなわち、それらは図5A内の1つの平面内に配置されているが、これは通常、実際には当てはまらない。
【0053】
それぞれの瞳ファセット11のみが視野ファセット像12への関連視野ファセット7の結像を確実にする伝達光学ユニットの変形例も可能である。瞳ファセットミラー10が投影光学ユニット20の入口瞳(entry pupil:入射瞳)内に直接配置されている限り、伝達光学ユニット16を省くことが可能である。伝達光学ユニット16も複数のミラーを含むことができる。物体平面17内に配置されるのは、リソグラフィマスクまたはレチクル18の形態の物体であり、その照明領域はEUV照明光3を用いて照明され、投影露光装置1の下流の投影光学ユニット20の物体視野19と重なる。照明領域は、以下において、以下においてこれから説明される、照明視野(図5A参照)とも称され、物体視野19と同様に、以下においてこれから説明される測定照明光学ユニットの測定視野を表すことができる。物体視野19は、投影露光装置1の照明光学ユニットの具体的な実施形態に依存して、矩形または弓形である。視野ファセット結像チャネルの視野ファセット像12は照明視野内で重ね合わせられる。全ての視野ファセット像12の完璧な重なりの場合には、この重ね合わせ領域は視野ファセット像12のうちのちょうど1つと同じ外輪郭を有する。様々な視野ファセット結像チャネルの異なる空間的ビーム案内のために生じることは、物体平面17内の個々の視野ファセット像12の重なりが通常は完璧でなくなることである。
【0054】
EUV照明光3はレチクル18によって反射される。レチクル18は、概略的に指示される物体変位駆動装置22の助けにより変位方向yに駆動される仕方で変位可能である、物体保持器21によって保持されている。
【0055】
投影光学ユニット20は物体平面17内の物体視野19を像平面24内の像視野(image field)23内に結像する。該像平面24内に配置されるのは、投影露光装置1を用いた投影露光の間に露光される、感光層を持っている(carry)ウェーハ25である。ウェーハ25、すなわち、結像が果たされる基板は、同様に概略的に指示されたウェーハ変位駆動装置27の助けにより物体保持器21の変位と同期して変位方向yに変位可能である、ウェーハまたは基板保持器26によって保持されている。投影露光の最中に、レチクル18およびウェーハ25の両方は、同期された仕方でy方向に走査される。投影露光装置1はスキャナとして具体化される。走査方向yは物体変位方向である。
【0056】
視野ファセットミラー6、瞳ファセットミラー10、および伝達光学ユニット16の集光ミラー13は投影露光装置1の照明光学ユニット28の部分である。投影光学ユニット20と共に、照明光学ユニット28は投影露光装置1の照明システムを形成する。照明光学ユニット28は、以下においてこれから説明されるように、測定照明光学ユニットの機能を同時に有する。
【0057】
適切な照明チャネルに対応付けられた視野ファセット7を介して照明光3によって衝突された、瞳ファセット11のそれぞれのグループは、それぞれの照明設定、すなわち、投影露光装置1によってあらかじめ定められ得る、物体視野19を照明する際の照明角度分布を規定する。視野ファセット7の傾斜位置を位置変更することによって、様々なこのような照明設定の間の変更が可能である。このような照明設定の例が、WO2014/075902A1およびWO2011/154244A1に記載されている。
【0058】
図5Aは、視野ファセット像12に加えて、物体平面17内の、走査スリットとも称される、視野絞り29を示す。視野絞り29の内側境界30が照明視野31または測定視野19の視野境界を指定する。物体視野19は照明視野31または測定視野に対応することができるか、あるいはその部分であることができる。したがって、参照符号19および31は両方とも以下において測定視野に対応付けられる。
【0059】
視野絞り29は、物体平面17の近傍に、またはそれと共役な平面内に配置されている。図1には、物体平面17の近傍における視野絞り29の配置が指示されている。
【0060】
図5Bおよび図5Cが、以下において、第1に、物体平面17(図5B)内の、および第2に、像平面24(図5C)内の、様々な上述の領域の間のサイズ関係を説明するために用いられる。
【0061】
投影光学ユニット20は、レチクル18が配置された、物体平面17の領域を像平面24上に結像する。結像の質は物体平面17の特定の領域のためには十分に高く、したがって、この領域を、構造をレチクル18上に結像するために用いることができる。物体平面17内のこの領域が物体視野19である。物体視野10と共役であり、物体視野19が投影光学ユニット20によって結像される像平面24の領域が像視野23である。
【0062】
物体視野19のやや外側で投影光学ユニット20に進入するEUV照明光3も同様に像平面24に到達し、それゆえ、ウェーハ35上の感光層を露光することができる。しかし、物体視野19の外側の領域のための投影光学ユニット20による結像は物体視野19の結像よりも劣り、したがって、外側の領域は用いられない。
【0063】
照明光学ユニット28は物体平面17の領域を照明する。この領域が照明視野31である。照明視野31は全ての視野ファセット像12の連合として生じる。そのうちの2つの視野ファセット像121および122図4Bに例示的な仕方で示されている。原則として、各視野ファセット像12は照明視野31よりも小さい。
【0064】
走査手順の間に、像視野23は走査方向または物体変位方向yに沿ってウェーハ25に対して運動させられ、それゆえ、ウェーハ25上の感光層が露光される。それぞれの個々の走査運動によってウェーハ上の特定の領域31aを構造化することができ、この領域31aは露光視野と称され、レチクル18上の構造領域31b内の構造全体の像に対応する。通例、レチクル18上の構造領域31bの幅は、x寸法、すなわち、走査方向yと垂直な寸法において物体視野19の幅と一致させられる。具体的には、構造領域31bのx幅は物体視野19のx幅またはレチクル18上の構造領域31bのx幅と等しく、物体視野19の幅よりもごくわずかに小さい。
【0065】
露光視野31aのx幅は像視野23のx幅によって与えられる。交差走査方向xに物体視野19のやや隣において投影光学ユニット20に進入するEUV照明光3は、露光視野31aのやや隣の領域を露光することができる。x方向におけるこのようなクロストークの不利な効果は、第1に、投影露光に用いられない小さい間隔31cが、隣接した露光視野31aの間に交差走査方向xに空いたまま残されているおかげで、および第2に、EUV照明光3が交差走査方向xにおいて物体視野19の隣に入射しないよう、レチクル18が、構造領域31bの外側では吸収性を有するように構成されているおかげで、防止することができる。
【0066】
照明視野31はx方向において物体視野19よりも広い。照明視野31がx方向において小さすぎれば、公差のために、レチクル18の特定の領域は照明されず、したがって、投影光学ユニット20によって結像もされ得ないであろう。必ず存在する公差のために、したがって、照明視野31はx方向において物体視野19よりも広くなければならない。
【0067】
交差走査方向xにおいて、像視野23の境界は露光視野31aの境界と同一である。したがって、物体視野19の外側におけるEUV照明光3の問題は、露光視野31aの間の間隔31cによって、および/またはレチクル18上の吸収領域によって回避することができる。走査方向yにおいては露光視野31aが像視野23よりも遠く延びるため、これは走査方向yにおいては可能でない。
【0068】
走査方向において、EUV照明光3は、物体視野19の外側で投影平面20に進入することを防止されなければならない。これは、照明視野31が走査方向において物体視野19よりも短い実施形態を有するおかげで確実にされる。
【0069】
レチクル18が物体視野19を通して走査され、それゆえ、レチクル18の構造領域31b全体が物体視野19の照明領域に達するため、すなわち、物体視野19と照明視野31との間の重なりのため、物体視野19の照明されない縁部領域、例えば、走査方向yにおける照明視野31の外側に配置された縁部領域19aおよび19bはウェーハ25内の構造の生成を損なわない。縁部領域19aおよび19bは、以下においてなおも説明されるように、測定照明光学ユニット28の測定視野内に同様に配置される。x方向およびy方向の両方において、この測定視野の範囲は少なくとも物体視野19に対応し、したがって、この参照符号19は以下において測定視野のために同様に用いられる。
【0070】
照明視野31または測定視野19は、物体変位方向yと一致する、視野寸法に沿って視野ファセット像12よりも大きい範囲を有し、また、重ね合わせ結像の間の様々な視野ファセット像12の重なり領域よりも大きい範囲を有する。
【0071】
対応する視野寸法yがまた、視野ファセットミラーの配置面内のこの物体視野寸法yに対応付けられる。ミラー保持体6aのこの配置面内において、図5は、この視野寸法yに沿って、視野ファセット結像チャネル12aによって結像される、視野ファセット7に最も近い2つの視野ファセット、視野ファセット7の下方に示された、7’、および視野ファセット7の上方に示された、7”を示す。
【0072】
図5において、視野ファセット7’、7”はそれぞれのファセット長手方向辺7Lを通じて互いに隣接している。
【0073】
これらのさらなる視野ファセット7’、7”のアクチュエータ7aは、これらの視野ファセット7’、7”に入射する照明光3が、図5に示される瞳ファセット11に同様に向けられ得るような程度までの、x軸と平行な軸の周りのこれらの視野ファセット7’、7”の傾斜を促進する。この場合に瞳ファセット11を通じて生成された視野ファセット像12’、12”が、図5において、視野ファセット像12の上方および下方に同様に示されている。これらの視野ファセット像12’、12”は、図5におけるチャネル12aの様式で視野ファセット結像チャネルを介して案内されない。すなわち、それらは、投影露光装置1の物体視野19内へ互いに重ね合わせられて案内されない。
【0074】
視野ファセット像12’、12”は、図5においてハッチングによって示される重なり領域32’、32”内で照明視野31と重なる。それゆえ、視野ファセット7’、7”の傾斜アクチュエータ7aは、照明視野31または測定視野19内への、特に、照明視野31または測定視野19の重なり領域32’、32”内へのこれらの視野ファセット7’、7”および全く同一の瞳ファセット11を介した照明光3の案内を確実にする。
【0075】
図5は、視野ファセット7’、7”を有するちょうど1つの視野ファセットトリプレット(field facet triplet:視野ファセットの三つぞろい)の例を用いて追加の重なり領域32’、32”の照明を示している。図2および図3において例示的な実施形態によって示されるように、視野ファセットミラーは、実際には、はるかにより多数の視野ファセット7を有し、これは、実際には、例示された実施形態よりもさらに相当に多い。さらに、いずれも視野ファセット結像チャネル12aを通じて互いに対応付けられた視野ファセット7および瞳ファセット11の空間配置関係の結果、各瞳ファセット11の視野ファセット像12、12’、12”は、それらのサイズ、向き、および縁部鮮明度に関して互いに異なることになる。これは、第1に、それぞれの視野ファセット結像チャネル12aの視野ファセット像12によって、および互いに異なる重なり領域32’、32”によって覆われた照明視野31内の領域をもたらす。これらの異なる範囲を混成することによって、全ての可能な視野ファセット結像チャネル12aの合計から照明視野31または測定視野19の完全照明が生じ、したがって、図5において視野ファセット像12と重なり領域32’、32”との間に存在する間隙も照明または結像光3によって照明される。
【0076】
それゆえ、アクチュエータ7aの適切な位置変更を通じて、たとえ、それぞれの視野ファセット結像チャネル12aを通じて対応付けられた視野ファセット像12の各々が、視野寸法yにおいて照明視野31または測定視野19よりも小さい範囲を有しても、完全な照明視野31または測定視野19が照明される状態を「測定照明光学系」動作モードにおいて達成することができる。
【0077】
照明視野31または測定視野19のこの達成可能な完全照明を、結像収差補正構成要素、例えば、補正非球面のその後の作製のための投影光学ユニット20の完全な測定のために用いることができる。
【0078】
図1と併せて、測定照明光学ユニットのさらなる実施形態が以下において図6および図7に基づいて説明される。以上において図1図5を参照してすでに説明されたものに対応する構成要素および機能は同じ参照符号を有し、再度詳細に説明されない。
【0079】
図5と同様に、図6は、視野ファセット結像チャネル12aを通じて物体平面17内に結像された、視野ファセット像12、ならびに視野絞り29によって指定された照明視野31または測定視野19の両方を示す。この場合も先と同様に、照明視野31または測定視野19は、全照明視野寸法とも称される、視野寸法yに沿ってそれぞれの視野ファセット像12よりも大きい範囲を有する。この場合には、図6は、測定照明光学ユニットが、視野ファセット像12、および特に、また、物体平面17内の様々な視野ファセット結像チャネル12aを通じて生成された視野ファセット像12の重なりが、全照明視野寸法yに沿って照明視野31または測定視野19内の中心に配置されるように整列した、測定照明光学ユニットの動作中の瞬間状況を示す。
【0080】
図7は、少なくとも1つの変位アクチュエータの助けにより視野ファセット像12と照明視野31または測定視野19との間の相対変位(両矢印33参照)が達成された、測定照明光学ユニットを動作させている際のさらなる瞬間状況を示す。この変位の場合には、視野ファセット像12は照明視野31または測定視野19に対して図7における負のy方向に変位させられた。これは、図6においてハッチングによって示される、中心に配置された視野ファセット像12によって覆われていない、下部の全照明領域34内における、照明視野31または測定視野19の照明を達成する。正のy方向における視野ファセット像12の対応する変位の結果、図6において、視野ファセット像12の上方に、および照明視野31または測定視野19内に、ハッチングによって同様に示される、全照明領域35の照明を達成することも可能である。
【0081】
相対変位33は、測定視野照明デバイスの部分としての少なくとも1つの変位アクチュエータの助けにより作り出すことができ、これについて、図1は、個々に、またはどれかの組み合わせで用いることができる複数の例示的な実施形態を概略的に示している。
【0082】
後述される変位アクチュエータのうちの少なくとも1つを有する、測定視野照明デバイスは、視野ファセット結像チャネル12aによって測定視野31全体の照明を生成するために視野ファセット結像チャネル12aを介した照明光3の案内に影響を及ぼす。測定視野照明デバイスの少なくとも1つの変位アクチュエータは、視野ファセット結像チャネル12aによって照明視野31全体または測定視野19の続いて起こる照明を生成する目的のために、照明光3を照明光光源2と物体視野19との間で案内する少なくとも1つの光学構成要素、具体的には、視野ファセットミラー6、瞳ファセットミラー10、集光ミラー13、照明光学ユニット28全体、またはさもなければレチクル18を変位させる役割を果たす。
【0083】
これらの変位アクチュエータのうちの第1のものが図1に35において示されており、図1において両矢印36によって指示されるように、視野ファセットミラー6全体の、または視野ファセットミラー6の視野ファセットグループ8のうちの1つの相対変位をもたらす。この相対変位36は、ミラー保持体の、または視野ファセットミラー6の本体6aのファセット配置面と平行に延びることができる。それに対する代替として、またはそれに加えて、変位アクチュエータ35は、図1においてさらなる両矢印36aによって指示される、本体6a上の視野ファセット7のこの配置面と垂直な相対変位をもたらすことができる。
【0084】
これらの変位アクチュエータのうちのさらなるものが図1に37において示されている。これは、図1において両矢印38によって指示されるように、瞳ファセット11のグループを持っている、瞳ファセットミラー10を傾斜させるため、または瞳ファセットミラー10の部分をx軸と平行な軸の周りに全体的に傾斜させるための傾斜アクチュエータである。それに対する代替として、またはそれに加えて、変位アクチュエータ37は、図1において両矢印38aによって指示されるように、ミラー保持体または本体10aの配置面と垂直な瞳ファセットミラー10の変位をもたらすことができる。
【0085】
これらの変位アクチュエータのうちのさらなるものが、図1に39において伝達光学ユニット16の集光ミラー13のための傾斜アクチュエータとして指示されている。この傾斜アクチュエータは、図1において両矢印40によって指示されるように、x軸と平行な軸の周りの集光ミラー13の傾斜をもたらす。それに対する代替として、またはそれに加えて、変位アクチュエータは、図1において両矢印40aによって指示されるように、その反射面と垂直な、特に、集光ミラー13上の照明光3の入射点における法線方向における集光ミラー13の変位をもたらすことができる。
【0086】
さらなる変位アクチュエータが図1に41において概略的に指示されており、図1において両矢印42によって指示されるように、視野絞り29または投影光学ユニット20に対する照明光学ユニット28の並進変位をもたらす。それに対する代替として、またはそれに加えて、変位アクチュエータ41は、図1において両矢印42aによって指示されるように、x軸と平行な軸の周りの視野絞り29または投影光学ユニット20に対する照明光学ユニット28全体の傾斜をもたらすことができる。
【0087】
照明視野31全体の完全または全照明はまた、特に、以上において図6および図7と併せて説明された実施形態の助けにより確実にされる。
【0088】
相対変位33の助けにより照明視野31全体または測定視野19を照明するには、20%~50%の範囲内で、それぞれの視野ファセット像12の対応するy範囲に対応する、視野寸法yに沿った絶対変位を有することで十分である。
【0089】
変位アクチュエータ35、37、39または41は連続的に変位可能である必要はない。例えば、2つの端部ストッパの間の、控えめな(discreet)作動で十分である。離散的な作動はまた、例えば、スペーサ、例えば、スペーサディスクを変更することによって達成することもできる。
【0090】
アクチュエータ7a、35、37、39および41の端部ストッパは調整可能な実施形態を有することができる。
【0091】
照明光学ユニット28内の照明光ビーム経路の設計は、自由度36に沿った視野ファセットミラー6の変位が、y方向における同じ絶対値分の照明視野31の照明の変位を生じさせるというものであることができる。照明光学ユニット28は、視野ファセット7とそれらの像12との間の1と等しくない絶対値を有する結像倍率が存在するように設計することもできる。この場合には、自由度36に沿った視野ファセットミラー6の変位は、ちょうど規定の結像倍率だけより大きい照明視野31の照明の変位を生じさせる。
【0092】
変位自由度38を用いて、例えば、3mm分のy方向における照明視野31の照明の変位をもたらすには、およそ1mradにわたる瞳ファセットミラー10の本体10aの傾斜、またはおよそ0.5mrad~1mradにわたる集光ミラー13の傾斜(自由度40)が必要であり得る。
【0093】
照明視野31または測定視野19の完全または全照明を確実にするための、上述の自由度を通じた変位の組み合わせも可能であり得る。
【0094】
測定照明光学ユニットのさらなる実施形態が以下において図8を参照して説明される。以上において図1図7を参照してすでに説明された構成要素および機能は同じ参照符号を有し、再度詳細に説明されない。
【0095】
図8に係る測定照明光学ユニットは、以上において、特に、図5図7を参照してすでに説明された測定照明光学ユニットの組み合わせであると考えることができる。第1に、図8に係る測定照明光学ユニットは、この場合も先と同様に、照明光3が、複数の隣接した視野ファセット7’、7”および全く同一の瞳ファセット11を介して物体平面17内へ案内されることを可能にする、ファセット視野傾斜アクチュエータ7aを備える。同時に、図8に係る測定照明光学ユニットは、以上において図1に関連して説明された、変位アクチュエータ35、37、39、41の様式の少なくとも1つの変位アクチュエータを備え、したがって、この場合も先と同様に、視野ファセット像12、12’と照明視野31または測定視野19との間の相対変位33が確実にされる。それゆえ、照明視野31または測定視野19の全照明が、以上において、特に、図5図7に関連して説明された方策の組み合わせによって達成される。
【0096】
この場合も先と同様に測定照明光学ユニットを有する、投影露光装置1のさらなる実施形態が以下において図9を参照して説明される。以上において図1図8を参照してすでに説明されたものに対応する構成要素および機能は同じ参照符号を有し、再度詳細に説明されない。
【0097】
単一の集光ミラーの代わりに、図9に係る伝達光学ユニット16は、視野ファセットミラー6の視野ファセットを物体平面17内に結像する(imaging)ための合計3つのEUVミラー14a、14bおよび15を有する。2つのEUVミラー14a、14bは、45°よりも小さい照明光3の入射角を有するNI(normal incidence(直入射))鏡として構成されている。EUVミラー15は、45°よりも大きい照明光3の入射角を有するGI(grazing incidence(斜入射))鏡として具体化されている。ミラー14a、14bおよび15を有する伝達光学ユニット16は、さらに、投影光学ユニット20の入口瞳内への瞳ファセットミラー10の配置面の領域内の照明瞳平面の結像をもたらすことができる。原理的に、照明光学ユニットのこのような構造がDE10 2015 208 571A1から知られている。
【0098】
図9は、この場合も先と同様に、矢印を用いたそれぞれの変位自由度の表現を通じて、適切な変位アクチュエータ(より詳細には示されない)の使用による相対変位33(図7および図8参照)を作り出すための例示的な実施形態を説明する。
【0099】
相対変位33を生成するためのこれらの自由度のうちの1つが図9に45において示されており、図1に関連してすでに説明されたように、視野ファセットミラー6全体、または視野ファセットミラー6の視野ファセットグループのうちの1つの相対変位を生じさせる。
【0100】
これらの自由度のうちのさらなるものが図9に46において示されており、x軸と平行な軸の周りの瞳ファセットミラー10全体の傾斜を確実にする。
【0101】
これらの自由度のうちのさらなるものが図9に47において示されており、x軸と平行な軸の周りのEUVミラー14aの傾斜を確実にする。
【0102】
これらの自由度のうちのさらなるものが図9に48において示されており、x軸と平行な軸の周りのEUVミラー14bの傾斜を確実にする。
【0103】
これらの自由度のうちのさらなるものは、図1に関連してすでに説明された変位自由度42(視野絞り29または投影光学ユニット20に対する照明光学ユニット28の並進変位)である。
【0104】
これらの自由度のうちのさらなるもの49はx軸と平行な軸の周りのEUVミラー15の傾斜を確実にする。
【0105】
これらの自由度のうちのさらなるもの50は、そのGI反射面とほぼ垂直なEUVミラー15の相対変位を確実にする(図9における両矢印50参照)。
【0106】
今度はここでも、自由度42および45~50を実現する変位アクチュエータは連続的に変位可能である必要はなく、以上において、図1および図8に係る測定照明光学ユニットの実施形態の変位アクチュエータに関連して説明されたように、離散的な作動で十分であり得ることが言える。
【0107】
図1に係る実施形態にあるようにちょうど1つのミラーを有する伝達光学ユニット16、または図9に係る実施形態にあるようにちょうど3つのミラーを有する伝達光学ユニットに対する代替として、伝達光学ユニットはまた、例えば、2つ、またはさもなければ、3つを超えるミラーを備えてもよい。原理的に、伝達光学ユニット全体を省くことも可能であり得、これにより、例えば、視野ファセットミラー6および瞳ファセットミラー10が、照明光3を中間焦平面5と物体平面17との間で案内する唯一の構成要素を表す。
【0108】
集光子4における反射に続く照明光3の第1の入射方向は、図1に係る実施形態に示されるように、上部から斜めになっているか、または図9に示されるように、下部から斜めになっていることができる。例えば、上方から垂直または下方から垂直な入射方向も可能であり、該入射方向は、次に、物体視野19を照明する目的のためにそれぞれの照明光学ユニット28によって入射方向に適宜変換される。
【0109】
図10は、保持体プレートの、または瞳ファセットミラー10の本体10aの部分の軸方向断面を示す。瞳ファセット11はアクチュエータ領域51を介して本体10aに接続されている。アクチュエータ領域51を通じて、瞳ファセット11の反射面を変位自由度38a(図1参照)に沿って、すなわち、本体10aのファセット配置面と垂直に変位させることが可能である。アクチュエータ領域51を通じて、瞳ファセット11を自由度38aに沿って個々に変位させることが可能である。アクチュエータ領域51の共通制御を通じて、自由度38aに沿った瞳ファセット11の共通変位を達成することも可能である。アクチュエータ領域51は圧電アクチュエータとして構成することができる。例として、運動の振幅は最大1mmであることができる。線形運動のための他のアクチュエータ、例えば、リニアモータを用いることもできる。運動の振幅は1mm~100mmの範囲に及ぶことができ、例えば、10mmであることができる。
【0110】
図11は、視野ファセットミラー6において、および/または瞳ファセットミラー10において用いられる、本体6aまたは10aのうちの1つのヘキサポッド支持接続部を示す。本体6a、10aは、ヘキサポッド支持接続部52を通じて投影露光装置1のフレーム本体53に接続されている。図11は、ヘキサポッド支持接続部52の3つのヘキサポッド脚54を概略的に示す。図11は、本体6a、10a上のファセット配置の中心Zと、フレーム本体53の対応する中心領域との間の初期間隔zoを有する、初期位置にある本体6a、10aを示す。この初期位置では、本体6a、10aのファセット配置面55はフレーム本体53のフレーム平面56と平行である。
【0111】
図12および図13は、図11に係る初期位置に対して変位させられた、本体6a、10aの2つの異なる測定位置を示す。
【0112】
図12に係る第1の測定位置では、図11図13の右側に示されるヘキサポッド脚54rは少し伸張されており、図11図13の左側に示されるさらなるヘキサポッド脚54lは、それに対応する仕方で収縮されており、その結果、これは、x軸と平行な軸の周りのファセット配置面55の傾斜、すなわち、例えば、かの変位自由度38を生じさせる。図11図13において中央に見られるヘキサポッド脚54mは、図12に係る測定位置において、図11に係る初期位置の場合と同じ長さを有する。
【0113】
図13に係る第2の測定位置では、図11図13の左側のヘキサポッド脚54lは、図11に係る初期位置の場合と同じ長さを有する。図13に係る第2の測定位置では、図11図13の中央のヘキサポッド脚54mは、図12における右側のヘキサポッド脚54rの伸長にほぼ対応する絶対値分、初期位置に対して伸張されている。図13に係る第2の測定位置では、図11図13の右側のヘキサポッド脚54rは、中央のヘキサポッド脚54mと比べて絶対値の2倍分伸張されている。これは、初期位置と比べて、変位自由度38(x軸と平行な軸の周りの傾斜)および36aもしくは38a(ファセット配置面55と垂直な並進変位)の重なりとして理解することができる、図13に係る第2の測定位置における本体6a、10aの変位を生じさせる。図13に係る第2の測定位置における、本体6a、10a上のファセット配置の中心Zとフレーム本体53の中心領域との間の距離z1は、図11に係る初期位置における距離z0よりも大きい。
【0114】
集光ミラー13はまた、対応するヘキサポッド支持接続部を通じて投影露光装置1のフレーム本体に接続され得る。
【0115】
以上において、特に、図1および図9に関連して説明された他の変位自由度も、ヘキサポッド支持接続部52を用いて容易に達成することができる。
【0116】
図14は、照明視野31全体の、または測定視野19の動的な完全または全照明を確実にするための追加の変位自由度としての物体平面17と垂直なレチクル18の変位57を示す。このようなz変位57は物体変位駆動装置22を通じてもたらすことができる。
【0117】
レチクル18の第1の初期位置が図14において実線を用いて示されている。初期位置に対して変位自由度57(図1も参照)に沿って物体平面17と垂直に絶対値dzだけ変位させられたレチクルの測定位置が、図14において破線を用いて示されている。これは、第1に、初期位置(実線)にあり、第2に、測定位置(破線)にあるレチクル18を通じて、照明光3の中心視野点の反射主光線CRの図14における図によって説明されるとおりの、照明視野31または測定視野19の照明の変位dyを生じさせる。今度は、この変位を、照明視野31全体の、または測定視野19の動的な完全または全照明のために用いることができる。次式が成り立つ:
dy=dz sin(CRA)
ここで、CRAは物体平面17上の中心視野点の主光線CRの入射角である。CRAは3°~9°範囲に及ぶことができ、例えば、6°であることができる。3mmの変位dyのためには、例えば、およそ30mmのdz変位が必要となるであろう。
【0118】
ヘキサポッド支持接続部52のヘキサポッド脚54が伸張または収縮されなければならない値は+/-100μmまたは+/-50μmの領域内にあることができる。
【0119】
上述の自由度のうちの少なくとも1つをもたらすための変位アクチュエータシステムは能動的制振と組み合わせることができる。さらに、それぞれの変位運動の測定/閉ループ制御が可能である。
【0120】
測定照明光学ユニット28は、測定視野19または31内の照明光強度の空間分解された取り込みのための、図1において概略的に指示される、検出デバイス60を備えることができる。さらに、測定照明光学ユニット28は、それぞれの光学構成要素6、10、13、28の光学表面の位置を取り込むためのセンサ61を備えることができ、該センサは、瞳ファセットミラー10の位置を取り込む目的のために、図1において概略的に、例示的な仕方で説明されている。
【0121】
検出デバイス60は、測定視野19または31が結像されるCCDセンサであることができる。
【0122】
センサ61は、光センサ、またはさもなければ、任意の他の位置敏感センサであることができる。
【0123】
第1に、検出デバイス60、および第2に、センサ61はそれぞれの変位アクチュエータ35、37、39、41に信号接続されている。
【0124】
それぞれの変位アクチュエータの制御された運動は、アクチュエータに、ならびに検出デバイス60およびセンサ61に信号接続された、開ループ/閉ループ制御ユニット62を通じた適切な処理を通じて確実にすることができる。このように、照明性能変数を、特に、指定公差以内に維持することが可能である。
【符号の説明】
【0125】
1 投影露光装置
2 光源
3 照明光
4 集光子
5 中間焦平面
6 視野ファセットミラー
6a、10a ミラー保持体
7、7’、7” 視野ファセット
7a アクチュエータ
7b 中央制御デバイス
L ファセット長手方向辺
8、8a、8b 視野ファセットグループ
9 隙間
10 瞳ファセットミラー
11 瞳ファセット
12、121、122、12’、12” 視野ファセット像
12a 視野ファセット結像チャネル
13 集光ミラー
14a、14b、15 EUVミラー
16 伝達光学ユニット
17 物体平面
18 レチクル
19 物体視野
20 投影光学ユニット
21 物体保持器
22 物体変位駆動装置
23 像視野
24 像平面
25 ウェーハ
26 ウェーハまたは基板保持器
27 ウェーハ変位駆動装置
28 照明光学ユニット
29 視野絞り
30 内側境界
31 照明視野
31a 露光視野
31b 構造領域
31c 間隔
32’、32” 重なり領域
33 相対変位
34、35 全照明領域
35、37、39、41 変位アクチュエータ
36、36a、38、38a、40、42、45、46、47、48、49、50、57 自由度
51 アクチュエータ領域
52 ヘキサポッド支持接続部
53 フレーム本体
54、54r、54l、54m ヘキサポッド脚
55 ファセット配置面
56 フレーム平面
57 変位
60 検出デバイス
61 センサ
62 開ループ/閉ループ制御ユニット
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】