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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-29
(54)【発明の名称】金属-配位子錯体を作製する方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 19/00 20060101AFI20220622BHJP
   C07F 7/00 20060101ALI20220622BHJP
   C07F 17/00 20060101ALI20220622BHJP
【FI】
C07F19/00
C07F7/00 A
C07F7/00 Z
C07F17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021561757
(86)(22)【出願日】2020-04-27
(85)【翻訳文提出日】2021-10-15
(86)【国際出願番号】 US2020030040
(87)【国際公開番号】W WO2020223144
(87)【国際公開日】2020-11-05
(31)【優先権主張番号】62/840,865
(32)【優先日】2019-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】クールマン、ロジャー エル.
(72)【発明者】
【氏名】ネーゲル、パメラ ディー.
【テーマコード(参考)】
4H049
4H050
【Fターム(参考)】
4H049VN06
4H049VN07
4H049VP01
4H049VQ08
4H049VQ12
4H049VR22
4H049VR24
4H049VR32
4H049VS12
4H049VU33
4H049VV06
4H049VW02
4H049VW38
4H049VW39
4H050AA02
4H050AB40
4H050AB84
4H050AB99
4H050AC90
4H050BB15
(57)【要約】
【解決手段】 本開示の実施形態は、金属-配位子錯体を作製する方法に関連し、方法は、(L)H化合物および塩基を一次溶媒中で反応させて、一次溶媒中に中間アニオン性L化合物を含む反応混合物を作製することと、中間アニオン性L化合物およびLMX錯体を反応させて、LMX錯体(式中、LおよびLは、独立してシクロペンタジエニル型(Cp型)配位子であり、Mはジルコニウムまたはハフニウムであり、各Xはハライドである)を作製することとを含み、中間アニオン性L化合物は反応混合物から単離されていない。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属-配位子錯体を作製する方法であって、
(L)H化合物および塩基を一次溶媒中で反応させて、前記一次溶媒中に中間アニオン性L化合物を含む反応混合物を作製することと、
前記中間アニオン性L化合物およびLMX錯体を反応させて、LMX錯体(式中、LおよびLは、独立してシクロペンタジエニル型(Cp型)配位子であり、Mはジルコニウムまたはハフニウムであり、各Xはハライドである)を作製することとを含み、前記中間アニオン性L化合物は、前記反応混合物から単離されていない方法。
【請求項2】
前記LMX錯体をアルキル化剤と反応させてLMR錯体を作製することを含み、前記LMX錯体は前記反応混合物から単離されておらず、各Rはヒドロカルビル置換基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記一次溶媒が、エーテル、ポリエーテル、チオエーテル、および炭化水素から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記一次溶媒が、ジメトキシエタン、トルエン、エーテル、テトラヒドロフラン、およびそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
各XがClである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記アルキル化剤がハロゲン化アルキルマグネシウムである、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記塩基が、ブチルリチウム、1-メチルプロピルリチウム、2-メチルプロピルリチウム、および1,1-ジメチルエチルリチウムから選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
およびLの各々が、独立して置換シクロペンタジエニルまたは置換インデニルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
およびLが異なる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
各Rが、独立してC~C20アルキルまたはベンジルである、請求項2~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記(L)H化合物および前記塩基を前記反応させて前記中間アニオン性L化合物を作製すること、ならびに前記中間アニオン性L化合物および前記LMX錯体を前記反応させて前記LMX錯体を作製することが、反応容器から前記中間アニオン性L化合物を除去することなく同じ反応容器内で行われる、請求項2~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記(L)H化合物および前記塩基を前記反応させて前記中間アニオン性L化合物を作製すること、ならびに前記中間アニオン性L化合物および前記LMX錯体を前記反応させて前記LMX錯体を作製すること、ならびに前記LMX錯体および前記アルキル化剤を前記反応させて前記LMR錯体を作製することが、前記反応容器から前記中間アニオン性L化合物および前記LMX錯体を除去することなく前記同じ反応容器内で行われる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記(L)H化合物および前記塩基を前記反応させること、前記中間アニオン性L化合物および前記LMX錯体を前記反応させること、ならびにLMX錯体を前記アルキル化剤と前記反応させることが、前記一次溶媒中で行われる、請求項2~12のいずれか一項に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、金属-配位子錯体を作製する方法、より具体的には、中間化合物を単離することなく金属-配位子錯体を作製する方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
メタロセンは、重合触媒、ガソリンのアンチノック添加剤、および潤滑剤を含む様々な用途に使用され得、またがん、マラリアおよび細菌感染症治療等の医療用途にも潜在的に使用され得る。メタロセンの用途は、例えば、合理的なコストおよび規模で、望ましくない不純物を減らすために、メタロセンを作製するための簡単な方法に部分的に依存し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、以下を含む様々な実施形態を提供する。
【0004】
金属-配位子錯体を作製する方法であって、(L)H化合物および塩基を一次溶媒中で反応させて、一次溶媒中に中間アニオン性L化合物を含む反応混合物を作製することと、中間アニオン性L化合物およびLMX錯体を反応させて、LMX錯体(式中、LおよびLは、独立してシクロペンタジエニル型(Cp型)配位子であり、Mはジルコニウムまたはハフニウムであり、各Xはハライドである)を作製することとを含み、中間アニオン性L化合物は反応混合物から単離されていない方法。
【0005】
MX錯体をアルキル化剤と反応させてLMR錯体を作製することを含み、LMX錯体は反応混合物から単離されておらず、各Rはヒドロカルビル置換基である方法。
【発明を実施するための形態】
【0006】
ハライド置換基を有する金属-配位子錯体と呼ばれ得るLMX錯体は、不飽和環式炭化水素と呼ばれ得る(L)H化合物および塩基を一次溶媒中で反応させ、一次溶媒中に中間アニオン性L化合物を含む反応混合物を作製すること、ならびに中間アニオン性L化合物およびLMX錯体を反応させることによって作製され得る。驚くべきことに、LMX錯体は、反応混合物から中間アニオン性L化合物を単離することなく作製され得ることが見出されている。換言すれば、LMX錯体は、中間アニオン性L化合物およびLMX錯体を反応させる前に、中間アニオン性L化合物を単離することなく作製され得る。
【0007】
本出願とは対照的に、ハライド置換基を有する金属-配位子錯体を作製する以前の方法は、1種以上の中間化合物を単離していた。理論に束縛されることを望まないが、ハライド置換基を有する金属-配位子錯体を作製する以前の方法は、中間化合物を副生成物から分離するため、異なる反応ステップに対して異なる溶媒に変更するため、中間化合物を副産物から分離するため、および/または、例えば競合反応から実行不可能なほど低い生成物収率の可能性を低減するために1種以上の中間化合物を単離していたと考えられる。副生成物は、望ましい反応の結果として作製される。副産物は副反応から作製される。
【0008】
本明細書で使用される場合、元素周期表およびその群へのすべての参照は、ローマ数字で記された以前のIUPAC方式(これも同じように表示される)を参照しない限り、または特に明記されていない限り、HAWLEY’S CONDENSED CHEMICAL DICTIONARY,Thirteenth Edition,John Wiley&Sons,Inc.,(1997)(IUPACの許可を得て複製)に公開されたNEW NOTATIONへの参照である。
【0009】
実施形態は、LMX錯体が、Cp型配位子、例えば(L)配位子を利用して作製され得ることを提供する。Cp型配位子、例えば、シクロペンタジエニル(「Cp」)およびシクロペンタジエニルとアイソローバルな配位子は、1つ以上の環または環系であり、その少なくとも一部は、インデニル、フルオレニル、5H-シクロペンタ[b]ピリジニル、6aH-シクロペンタ[b]チオフェン、およびその他の複素環式類似体等のπ結合系を含む。環または環系は、13~16族原子からなる群から選択される原子を含むことができ、特定の実施形態では、Cp型配位子を構成する原子は、炭素、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、リン、ゲルマニウム、ホウ素、アルミニウム、およびそれらの組み合わせから選択され、炭素原子は環員の少なくとも50%を構成する。Cp型配位子は、置換および非置換シクロペンタジエニル配位子およびシクロペンタジエニルとアイソローバルである配位子からなる群から選択することができ、その非限定的な例には、インデニル、ベンズインデニル、フルオレニル、およびフェナントリンデニルが含まれる。そのような配位子のさらなる非限定的な例には、シクロペンタジエニル、シクロペンタフェナントレニル、インデニル、ベンズインデニル、フルオレニル、オクタヒドロフルオレニル、シクロオクタテトラエニル、シクロペンタシクロドデセニル、フェナントリンデニル、3,4-ベンゾフルオレニル、9-フェニルフルオレニル、8-H-シクロペンタ[a]アセナフチレニル、7-H-ジベンゾフルオレニル、インデノ[1,2-9]アンスレニル、チオフェノインデニル、チオフェノフルオレニル、それらの水素化型が含まれる。Cp型配位子は、任意選択で置換されたシクロペンタジエニルおよび任意選択で置換されたインデニルであってもよい。Cp型配位子は、シクロペンタジエニル、アルキルシクロペンタジエニル、ジアルキルシクロペンタジエニル、トリアルキルシクロペンタジエニル、テトラアルキルシクロペンタジエニル、ペンタアルキルシクロペンタジエニル、インデニル、アルキルインデニル、ジアルキルインデニル、トリアルキルインデニル、テトラアルキルインデニル、ペンタアルキルインデニル、ヘキサアルキルインデニル、ヘプタアルキルインデニルおよびオクタアルキルインデニルであってもよい。Cp型配位子は、シクロペンタジエニル、メチルシクロペンタジエニル、エチルシクロペンタジエニル、n-プロピルシクロペンタジエニル、i-プロピルシクロペンタジエニル、n-ブチルシクロペンタジエニル、i-ブチルシクロペンタジエニル、sec-ブチルシクロペンタジエニル、ジメチルシクロペンタジエニル、トリメチルシクロペンタジエニル、テトラメチルシクロペンタジエニル、(メチル)(ブチル)シクロペンタジエニル、インデニル、アルキルインデニル、ジアルキルインデニルおよびトリアルキルインデニルであってもよい。Cp型配位子は、テトラメチルシクロペンタジエニルおよびジアルキルインデニルであってもよい。Cp型配位子は、シクロペンタジエニルおよびアルキルシクロペンタジエニルであってもよい。Cp型配位子は、1,4-ジメチルインデニル、1,5-ジメチルインデニル、1,6-ジメチルインデニルおよび1,7-ジメチルインデニルであってもよい。Cp型配位子は、シクロペンタジエニル、メチルシクロペンタジエニルおよびn-プロピルシクロペンタジエニルであってもよい。
【0010】
不飽和環式炭化水素、例えば(L)Hは、任意のCp型配位子の共役酸であり得る。例えば、インデニルの場合、不飽和環式炭化水素はインデンであり得、またシクロペンタジエニルの場合、不飽和環式炭化水素はシクロペンタジエンであり得る。
【0011】
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」は、水素が1つ欠乏した水素および炭素を含む脂肪族、環式、オレフィン、アセチレンおよび芳香族基(すなわち炭化水素基)を含む。「ヒドロカルビレン」は水素が2つ欠乏している。
【0012】
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、水素が1つ欠乏した線状、分岐状および環式パラフィン基を含む。したがって、例えば、CH(「メチル」)およびCHCH(「エチル」)は、アルキルの例である。
【0013】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」は、水素が1つ欠乏した線状、分岐状および環式オレフィン基を含み、アルキニル基には、水素が1つ欠乏した線状、分岐状、および環式アセチレン基が含まれる。
【0014】
本明細書で使用される場合、「アリール」基には、フェニル、ナフチル、ピリジル、および分子がベンゼン、ナフチレン、フェナントレン、アントラセン等に特徴的な環構造を有する他の基が含まれる。「アリール」基は、C~C20アリール基であってもよいことが理解される。例えば、C芳香族構造は「フェニル」であり、C 2芳香族構造は「フェニレン」である。「アリールアルキル」基は、そこからぶら下がったアリール基を有するアルキル基である。「アラルキル」基は、C~C20アラルキル基であってもよいことが理解される。「アルキルアリール」は、そこからぶら下がった1つ以上のアルキル基を有するアリール基である。
【0015】
本明細書で使用される場合、「アルキレン」は、水素が2つ欠乏した線状、分岐状および環式炭化水素基を含む。したがって、CH(「メチレン」)およびCHCH(「エチレン」)は、アルキレン基の例である。水素が2つ欠乏した他の基には、「アリーレン」および「アルケニレン」が含まれる。
【0016】
本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子」という用語は、B、Al、Si、Ge、N、P、O、およびSからなる群から選択される任意の原子を含む。「ヘテロ原子含有基」は、ヘテロ原子を含む炭化水素基であり、特定の実施形態では、1つ以上の同じまたは異なるヘテロ原子、および1~3つのヘテロ原子を含み得る。ヘテロ原子含有基の非限定的な例には、イミン、アミン、オキシド、ホスフィン、エーテル、ケトン、オキソアゾリン複素環式化合物、オキサゾリン、およびチオエーテルの基(モノラジカルおよびジラジカル)が含まれる。
【0017】
本明細書で使用される場合、「アルキルカルボキシレート」、「アリールカルボキシレート」、および「アルキルアリールカルボキシレート」は、それぞれ、任意の位置にカルボキシル基を有するアルキル、アリール、およびアルキルアリールである。アリールカルボキシレートの例にはCCHC(O)Oが含まれ、アルキルカルボキシレートの例にはCHC(O)Oが含まれる。
【0018】
本明細書で使用される場合、「アラルキル」基は、飽和炭素原子に自由原子価を有するアリール置換アルキル基であると定義される。
【0019】
本明細書で使用される場合、「置換」という用語は、親構造中の1つ以上の水素原子が、置換基原子または基によって独立して置き換えられていることを意味する。各置換基原子は、ハロゲン(特に、Cl、F、Br)から独立して選択され、各置換基は、ヒドロキシル基、カルボニル基、カルボキシル基、アミン基、ホスフィン基、アルコキシ基、フェニル基、ナフチル基、C~C20アルキル基、C~C20アルケニル基、およびそれらの組み合わせから独立して選択される。置換アルキルおよびアリールの例としては、一次アシル基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、ジアルキルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキル-およびジアルキル-カルバモイル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アリールアミノ基、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
【0020】
(L)H化合物は、商業的に入手することができる。(L)H化合物は、既知のプロセスによって、例えば既知の成分および既知の条件を利用することによって合成されてもよい。
【0021】
実施形態は、(L)H化合物を一次溶媒中で塩基と反応させて、一次溶媒中に中間アニオン性L化合物を含む反応混合物を作製することを提供する。実施形態は、塩基が、反応条件で(L)配位子を生成するのに十分に強いことを提供する。塩基には、アレニウス塩基、ルイス塩基、およびそれらの組み合わせが含まれる。塩基の例には、水素化物およびアミド等のカルバニオンの1族および2族塩が含まれる。塩基の例には、ブチルリチウム(例えば、n-ブチルリチウム、t-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム)、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化リチウム、ナトリウムアミド、カリウムアミド、リチウムアミド、ナトリウムジエチルアミド、カリウムジエチルアミド、リチウムジエチルアミド、ナトリウムジイソプロピルアミド、カリウムジイソプロピルアミド、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド、リチウムヘキサメチルジシラジド、および(エチル)(ブチル)マグネシウムが含まれる。
【0022】
実施形態は、(L)H化合物が、10:1~1:10モルの(L)H化合物対塩基のモル比で塩基と反応することを提供する。10:1~1:10の(L)H化合物のモル対塩基のモルからのすべての個々の値および部分範囲が含まれ、例えば、(L)H化合物は、10:1、8:1、4:1、または2:1の(L)H化合物のモル対塩基のモルからのモル比から、1:2、1:4、1:8、または1:10の(L)H化合物のモル対塩基のモルからのモル比で塩基と反応し得る。1つ以上の実施形態は、(L)H化合物が2:1~1:2のモル比で、または1.2:1~1:1.2のモル比で塩基と反応することを提供する。
【0023】
(L)H化合物は塩基と反応し、中間化合物が作製される。換言すれば、中間化合物は、(L)H化合物および塩基の反応生成物、例えば中間アニオン性L化合物である。有利なことに、合成後、この中間アニオン性L化合物は単離されない、すなわち中間アニオン性L化合物は、金属-配位子錯体の合成のためのその後の化学反応の前に単離されない。本明細書において、金属-配位子錯体を合成するためのその後の化学反応の前に中間アニオン性L化合物を単離することなく、中間アニオン性L化合物を利用する合成は、ワンポット合成と呼ぶことができる。本明細書で使用される場合、「単離」とは、中間アニオン性L化合物を形成する反応において使用および/または生成された他の試薬から中間アニオン性L化合物を分離するために利用される物理的および/または化学的手順を指す。単離手順の例には、蒸留、抽出、濾過、およびデカンテーションが含まれる。したがって、「単離されていない」とは、金属-配位子錯体の合成のためのその後の化学反応の前に中間アニオン性L化合物を形成する反応において使用および/または生成された他の試薬と共に中間アニオン性L化合物が残留することを示す。換言すれば、中間アニオン性L化合物の純度は、金属-配位子錯体の合成のためのその後の化学反応の前に増加しない。
【0024】
(L)H化合物は一次溶媒中で塩基と反応し、一次溶媒中に中間アニオン性L化合物を含む反応混合物が作製される。本明細書で使用される場合、「一次溶媒」は、金属-配位子錯体の合成の各反応に利用される溶媒を指す。1つ以上の実施形態は、一次溶媒の一部が、LMX錯体との付加物として供給され得ることを提供する。一次溶媒は、環式エーテル、ポリエーテル、チオエーテルを含むエーテル、および芳香族炭化水素を含む炭化水素から選択することができる。一次溶媒の例には、ジメトキシエタン、トルエン、エーテル、テトラヒドロフラン、およびそれらの組み合わせが含まれる。一次溶媒は非プロトン性、例えば非プロトン性液体であってもよい。一次溶媒は、20℃~200℃の沸点、または30℃~120℃の沸点を有し得る。
【0025】
(L)H化合物と塩基との反応では、一次溶媒は、(L)H化合物、塩基、および一次溶媒の総重量を基準として20~95重量パーセントであってもよい。20~95重量パーセントのすべての個別の値および部分範囲が含まれ、例えば、一次溶媒は、(L)H化合物、塩基、および一次溶媒の総重量を基準として、20、25、または30重量パーセントの下限から95、75、または60重量パーセントの上限までであってもよい。
【0026】
一方、(L)H化合物と塩基との反応では、一次溶媒は、(L)H化合物、塩基、および一次溶媒の総重量を基準として20~95重量パーセントであってもよく、追加の一次溶媒を1つ以上のその後の反応段階で加えることができる。また、(L)H化合物と塩基との反応では、一次溶媒は、(L)H化合物、塩基、および一次溶媒の総重量を基準として、20~95重量パーセントであってもよく、当技術分野で知られている他の溶媒を本明細書で考察される任意の反応段階で利用することができる。様々な量の他の既知の溶媒が、異なる用途に利用され得る。
【0027】
実施形態は、(L)H化合物および塩基を反応させることにより中間アニオン性L化合物が作製された後、中間アニオン性L化合物およびLMX錯体が反応してLMX錯体(式中、各Xはハライドである)が作製されることを提供する。中間アニオン性L化合物は、一次溶媒の存在下で、例えば反応混合物中でLMX錯体と反応する。前述のように、有利には、中間アニオン性Lは、反応混合物から単離されない。例えば、中間アニオン性Lは、中間アニオン性L化合物およびLMX錯体を反応させてLMX錯体(式中、各Xはハライドである)を作製する前に反応混合物から単離されない。
【0028】
本明細書で使用される場合、「LMX錯体」は、Lが本明細書で考察されるCp型配位子であり、Mがジルコニウムまたはハフニウムであり、各Xがハライドである錯体を指す。実施形態は、Cp型配位子がCp型配位子Lと同じであっても異なってもよいことを提供する。実施形態は、LおよびLが互いに独立して選択され得ることを提供する。1つ以上の実施形態は、LおよびLが異なることを提供する。LMX錯体は当技術分野で知られており、商業的に入手することができる。LMX錯体は、例えば既知の成分および既知の条件を利用することによって既知のプロセスで合成され得る。
【0029】
実施形態は、中間アニオン性L化合物が、10:1~1:10の中間アニオン性L化合物のモル対LMX錯体のモルのモル比でLMX錯体と反応することを提供する。10:1~1:10の中間アニオン性L化合物のモル対LMX錯体のモルからのすべての個々の値および部分範囲が含まれ、例えば、中間アニオン性L化合物は、10:1、8:1、4:1、または2:1の中間アニオン性L化合物のモル対LMX錯体のモルからのモル比から、1:2、1:4、1:8、または1:10の中間アニオン性L化合物のモル対LMX錯体のモルからのモル比で塩基と反応し得る。1つ以上の実施形態は、中間アニオン性L化合物が1.5:1~1:1.5のモル比で、または1.2:1~1:1.2のモル比でLMX錯体と反応することを提供する。中間アニオン性L化合物のモルは、反応物質、すなわち中間アニオン性L化合物を合成するために利用される(L)H化合物および塩基の量によって計算することができる。
【0030】
中間アニオン性L化合物とLMX錯体との反応では、一次溶媒は、中間アニオン性L化合物、LMX錯体、および一次溶媒の総重量を基準として20~95重量パーセントであってもよい。20~95重量パーセントのすべての個別の値および部分範囲が含まれ、例えば、一次溶媒は、中間アニオン性L化合物、LMX錯体、および一次溶媒の総重量を基準として、20、25、または30重量パーセントの下限から95、75、または60重量パーセントの上限までであってもよい。
【0031】
実施形態は、LおよびLが以前に考察されたように独立してCp型配位子であり、Mがジルコニウムまたはハフニウムであり、各Xがハライドである、LMX錯体がアルキル化剤と反応して、LMR錯体(式中、各Rはヒドロカルビル置換基である)が作製されることを提供する。さらに驚くべきことに、LMRは、反応混合物からLMX錯体を単離することなく作製され得ることが見出されている。換言すれば、実施形態は、LMX錯体およびアルキル化剤を反応させる前に、LMX錯体が単離されないことを提供する。「単離することなく作製される」、すなわち単離されないことは、金属-配位子錯体の合成のためのその後の化学反応の前にLMX錯体を作製する反応において使用および/または生成された他の試薬と共にLMX錯体が残留することを示す。換言すれば、LMX錯体の純度は、LMR錯体の合成のためのその後の化学反応の前に増加しない。
【0032】
本出願とは対照的に、アルキル置換基を有する金属-配位子錯体を作製する以前の方法は、ハライド置換基を有する金属-配位子錯体およびアルキル化剤を反応させる前に、ハライド置換基を有する金属-配位子錯体を単離していた。理論に束縛されることを望まないが、副生成物の生成、副産物の生成、異なる反応ステップに異なる溶媒を用いたいという願望、および/または実行不可能なほど低い生成物収率のために、以前の方法はこの単離を利用したと考えられる。
【0033】
アルキル化剤は当技術分野で知られており、商業的に入手することができる。アルキル化剤は、例えば既知の成分および既知の条件を利用することにより、既知のプロセスによって合成されてもよい。1つ以上の実施形態は、アルキル化剤がグリニャール試薬、例えば、ハロゲン化アルキルマグネシウムと呼ばれ得るアルキルグリニャール試薬であることを提供する。アルキル化剤の例には、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、メチルリチウム、フェニルマグネシウムブロミド、ベンジルマグネシウムブロミド、トリメチルシリルメチルリチウム、トリメチルシリルメチルマグネシウムブロミド、およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0034】
実施形態は、LMX錯体が、10:1~1:10のLMXのモル対アルキル化剤のモルのモル比でアルキル化剤と反応することを提供する。10:1~1:10のLMX錯体のモル対アルキル化剤のモルからのすべての個々の値および部分範囲が含まれ、例えば、LMX錯体は、10:1、8:1、4:1、または2:1のLMX錯体のモル対アルキル化剤のモルからのモル比から、1:2、1:4、1:8、または1:10のLMX錯体のモル対アルキル化剤のモルからのモル比でアルキル化剤と反応し得る。LMX錯体のモル数は、ハライド置換基を有する金属-配位子錯体を合成するために利用される反応物質の量によって計算され得る。
【0035】
MX錯体とアルキル化剤との反応では、一次溶媒は、LMX錯体、アルキル化剤、および一次溶媒の総重量を基準として20~95重量パーセントであってもよい。20~95重量パーセントのすべての個別の値および部分範囲が含まれ、例えば、一次溶媒は、LMX錯体、アルキル化剤、および一次溶媒の総重量を基準として、20、25、または30重量パーセントの下限から95、75、または60重量パーセントの上限までであってもよい。
【0036】
MX錯体とアルキル化剤との反応によって作製されるLMR錯体は、式(L)(L)MR(式中、LおよびLは以前に考察されたとおりであり、Mはジルコニウムまたはハフニウムであり、各Rはヒドロカルビル置換基である)で表現され得る。1つ以上の実施形態は、各Rが独立してC~C20アルキルであることを提供した。
【0037】
さらに驚くべきことに、本明細書で考察される化学反応の各々は、同じ反応容器内で行うことができることが見出された。例えば、(L)H化合物および塩基を一次溶媒中で反応させて中間アニオン性L化合物を作製することを、特定の反応容器内で行うことができる。続いて、中間アニオン性L化合物およびLMX錯体を反応させてLMX錯体を作製することを、その特定の反応容器内行うことができる。その後、LMX錯体をアルキル化剤と反応させてLMR錯体を作製することを、その特定の反応容器内で行うことができる。
【0038】
同じ反応容器を利用することは、多くの精製手順を有利に回避し、化学廃棄物を最小限に抑えるのを助け、および/または標的分子、例えば本明細書で考察される金属-配位子錯体の合成時間を短縮するのを助けることができる。理論に束縛されることを望まないが、副生成物の生成、副産物の生成、異なる反応ステップに異なる溶媒を用いたいという願望、および/または実行不可能なほど低い生成物収率のために、以前の方法は複数の反応容器を利用したと考えられる。
【0039】
本明細書で考察される金属-配位子錯体、すなわちLMX錯体およびLMR錯体は、多くの用途に利用することができる。例えば、金属-配位子錯体は、メタロセン触媒と呼ばれ得る重合触媒を作製するために利用され得る。メタロセン触媒は当技術分野で知られている。例えば、金属-配位子錯体は、活性化条件下で、金属-配位子錯体を活性化するように活性剤と接触させられ、それにより、重合触媒を作製することができる。活性化条件は、当技術分野において周知である。
【0040】
金属-配位子錯体から作製される重合触媒は、ポリマーを作製するために利用され得る。例えば、重合触媒およびオレフィンを重合条件下で接触させて、ポリマー、例えばポリオレフィンポリマーを形成することができる。重合プロセスは、懸濁重合プロセス、スラリー重合プロセス、および/または気相重合プロセスであってもよい。重合プロセスは、既知の機器および反応条件、例えば既知の重合条件を使用して利用することができる。重合プロセスは、いかなる特定のタイプの重合システムにも限定されない。ポリマーは、フィルム、繊維、不織布および/もしくは織布、押し出し物品、ならびに/または成形品等の多くの物品に利用することができる。
【0041】
金属-配位子錯体から作製される重合触媒は、支持体と共に利用することができる。担体とも呼ばれる「支持体」は、タルク、無機酸化物、および無機塩化物等の多孔性支持材料を含む任意の支持材料を指す。
【0042】
本開示のいくつかの態様は、以下のように提供される。
【0043】
態様1は、金属-配位子錯体を作製する方法を提供し、この方法は、
(L)H化合物および塩基を一次溶媒中で反応させて、一次溶媒中に中間アニオン性L化合物を含む反応混合物を作製することと、
中間アニオン性L化合物およびLMX錯体を反応させて、LMX錯体(式中、LおよびLは、独立してシクロペンタジエニル型(Cp型)配位子であり、Mはジルコニウムまたはハフニウムであり、各Xはハライドである)を作製することとを含み、中間アニオン性L化合物は前記反応混合物から単離されていない。
【0044】
態様2は、LMX錯体をアルキル化剤と反応させてLMR錯体を作製することを含み、LMX錯体は反応混合物から単離されておらず、各Rはヒドロカルビル置換基である、態様1の方法を提供する。
【0045】
態様3は、一次溶媒が、エーテル、ポリエーテル、チオエーテル、および炭化水素から選択される、態様1または2の方法を提供する。
【0046】
態様4は、一次溶媒が、ジメトキシエタン、トルエン、エーテル、テトラヒドロフラン、およびそれらの任意の2つ以上の組み合わせから選択される、態様1~3のいずれか1つの方法を提供する。
【0047】
態様5は、各XがClである、態様1~4のいずれか1つの方法を提供する。
【0048】
態様6は、アルキル化剤がハロゲン化アルキルマグネシウムである、態様1~5のいずれか1つの方法を提供する。
【0049】
態様7は、塩基が、ブチルリチウム、1-メチルプロピルリチウム、2-メチルプロピルリチウム、および1,1-ジメチルエチルリチウムから選択される、態様1~6のいずれか1つの方法を提供する。
【0050】
態様8は、LおよびLの各々が、独立して置換シクロペンタジエニルまたは置換インデニルである、態様1~7のいずれか1つの方法を提供する。
【0051】
態様9は、LおよびLが異なる、態様1~8のいずれか1つの方法を提供する。
【0052】
態様10は、各Rが、独立してC~C20アルキルまたはベンジルである、態様2~9のいずれか1つの方法を提供する。
【0053】
態様11は、(L)H化合物および塩基を反応させて中間アニオン性L化合物を作製すること、ならびに中間アニオン性L化合物およびLMX錯体を反応させてLMX錯体を作製することが、反応容器から中間アニオン性L化合物を除去することなく同じ反応容器内で行われる、態様2~10のいずれか1つの方法を提供する。
【0054】
態様12は、(L)H化合物および塩基を反応させて中間アニオン性L化合物を作製すること、ならびに中間アニオン性L化合物およびLMX錯体を反応させてLMX錯体を作製すること、ならびにLMX錯体およびアルキル化剤を反応させてLMR錯体を作製することが、反応容器から中間アニオン性L化合物およびLMX錯体を除去することなく同じ反応容器内で行われる、態様11の方法を提供する。
【0055】
態様13は、(L)H化合物および塩基を反応させること、中間アニオン性L化合物およびLMX錯体を反応させること、ならびにLMX錯体をアルキル化剤と反応させることが、一次溶媒中で行われる、態様2~12のいずれか1つの方法を提供する。
【実施例
【0056】
以下の式:
【化1】
で表現され得る3,6-ジメチル-1H-インデンを、次のように合成した。3,6-ジメチル-1H-インデンは、脱プロトン化されると、1,5-ジメチル-インデニルと呼ばれ得るアニオンを形成することができる。グローブボックス内で、温度計(側方の口)および固形物添加漏斗を備えた250mLの2口容器に、テトラヒドロフラン(25mL)およびメチルマグネシウムブロミド(2当量、18.24mL、54.72mmol)を入れた。容器の内容物を-35℃に設定した冷凍庫内で40分間冷却し、冷凍庫から取り出した際、容器の内容物は-12℃であると測定された。撹拌しながら、インダノン[5-メチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(カタログ#HC-2282)](1当量、4.000g、27.36mmol)を固体として少量ずつ容器に加えると、発熱反応により温度が上昇した。添加は、温度を室温以下に維持するように制御された。添加が完了したら、漏斗を取り外し、容器を密封した(SUBA)。密封された容器をドラフト内に移し(内容物はすでに室温になっている)、窒素パージ下に置き、3時間撹拌した。窒素パージを除去し、蒸発した溶媒を置き換えるためにジエチルエーテル(25mL)を容器に加え、次に反応物質をアセトン/氷浴を使用して冷却した。HCl(15%体積)溶液(9当量、50.67mL、246.3mmol)を、添加漏斗を使用して非常にゆっくりと容器の内容物に加え、温度を10未満に維持した。次いで、容器の内容物を約12時間ゆっくりと温めた(浴を設置)。次いで、容器の内容物を分液漏斗に移し、相を分離した。水相をジエチルエーテル(3×25mL)で洗浄した。次いで、合わせた有機相を重炭酸ナトリウム(50mL、飽和水溶液)、水(50mL)、およびブライン(50mL)で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、溶媒を回転蒸発により除去した。得られた暗色の油をNMRで生成物として確認し、ペンタン(25mL)に溶解し、硫酸ナトリウムでキャップされた短いシリカプラグ(ペンタンで事前に湿らせたもの)で濾過した。追加のペンタン(25~35mL)を使用してプラグを洗い流し、次いで最初のペンタンと合わせた。溶液を回転蒸発により乾燥させて、2.87g(収率74%)の3,6-ジメチル-1H-インデンを得たが、これはNMRにより生成物として確認された。H NMR(C):δ7.18(d,1H)、7.09(s,1H)、7.08(d,1H)、5.93(mult,1H)、3.07(mult,2H)、2.27(s,3H)、2.01(q,3H)。
【0057】
実施例1の金属-配位子錯体の合成は、以下のように行った。グローブボックス内で、(L)H化合物(3,6-ジメチル-1H-インデン;1.000グラム)および一次溶媒(エーテル;10mL)を容器(118mL)に加え、容器の内容物を-35℃まで冷却した。容器の内容物に塩基(n-ブチルリチウム;1.6Mヘキサン;4.3mL;0.0069モル)を加え、容器の内容物を約3時間撹拌し、撹拌しながら追加の一次溶媒(エーテル;10mL)を容器の内容物に加え、発熱が観察された後にこれを再び-35℃まで冷却した。次いで、NMRを利用し、(L)H化合物および塩基が反応して中間アニオン性L化合物を形成したことを確認した。その後、LMX錯体(CpZrCl;1.821グラム)を撹拌しながら容器の内容物に少しずつ加えた。約3時間後、LMX錯体、すなわちシクロペンタジエニル(1,5-ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリドが、NMRにより生成物として確認された。H NMR(d-THF):δ7.48(d,1H)、7.42(m,1H)、7.07(dd,1H)、6.54(d,1H)、6.43(dd,1H)、6.19(s,5H)、2.44(s,3H)、2.42(s,3H)。
【0058】
シクロペンタジエニル(1,5-ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリドのNMR確認後、容器の内容物を約12時間撹拌した。次いで、アルキル化剤(メチルマグネシウムブロミド;エーテル中3.0M;4.6mL)を容器の内容物に加え、それを約24時間撹拌し、次いで室温まで温めた。その後、LMR錯体、すなわちシクロペンタジエニル(1,5-ジメチルインデニル)ジルコニウムジメチルが、NMRにより生成物として確認された。H NMR(d-THF):δ7.35(d,1H)、7.07(m,1H)、6.91(dd,1H)、6.01(d,1H)、5.94(dd,1H)、5.86(s,5H)、2.29(s,3H)、2.28(s,3H)、-0.74(s,3H)、-1.12(s,3H)。
【0059】
実施例2の金属-配位子錯体の合成は、以下のように行った。グローブボックス内で、(L)H化合物(1,5-Me-インデン;1.000グラム)および一次溶媒(ジメトキシエタン;10mL)を容器(118mL)に加え、容器の内容物を-35℃まで冷却した。容器の内容物に塩基(n-ブチルリチウム;1.6Mヘキサン;4.3mL;0.0069モル)を加え、容器の内容物を約3時間撹拌し、発熱が観察された後に再び-35℃まで冷却した。次いで、NMRを利用し、(L)H化合物および塩基が反応して中間アニオン性L化合物を形成したことを確認した。その後、LMX錯体(CpZrCl;1.821グラム)を撹拌しながら容器の内容物に少しずつ加えた。約3時間後、LMX錯体、すなわちシクロペンタジエニル(1,5-ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリドが、NMRにより生成物として確認された。H NMR(d-THF):δ7.48(d,1H)、7.42(m,1H)、7.07(dd,1H)、6.54(d,1H)、6.43(dd,1H)、6.19(s,5H)、2.44(s,3H)、2.42(s,3H)。
【0060】
シクロペンタジエニル(1,5-ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリドのNMR確認後、容器の内容物を約12時間撹拌した。次いで、アルキル化剤(メチルマグネシウムブロミド;エーテル中3.0M;4.6mL)を容器の内容物に加え、それを約24時間撹拌し、次いで室温まで温めた。その後、LMR錯体、すなわちシクロペンタジエニル(1,5-ジメチルインデニル)ジルコニウムジメチルが、NMRにより生成物として確認された。H NMR(d-THF):δ7.35(d,1H)、7.07(m,1H)、6.91(dd,1H)、6.01(d,1H)、5.94(dd,1H)、5.86(s,5H)、2.29(s,3H)、2.28(s,3H)、-0.74(s,3H)、-1.12(s,3H)。
【0061】
実施例3の金属-配位子錯体の合成は、以下のように行った。グローブボックス内で、(L)H化合物(1,5-Me-インデン;1.000グラム)および一次溶媒(トルエン;10mL)を容器(118mL)に加え、容器の内容物を-35℃まで冷却した。容器の内容物に塩基(n-ブチルリチウム;1.6Mヘキサン;4.3mL;0.0069モル)を加え、容器の内容物を約3時間撹拌し、発熱が観察された後に再び-35℃まで冷却した。次いで、NMRを利用し、(L)H化合物および塩基が反応して中間アニオン性L化合物を形成したことを確認した。その後、LMX錯体(CpZrCl;1.821グラム)を撹拌しながら容器の内容物に少しずつ加えた。約3時間後、LMX錯体、すなわちシクロペンタジエニル(1,5-ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリドが、NMRにより生成物として確認された。H NMR(d-THF):δ7.48(d,1H)、7.42(m,1H)、7.07(dd,1H)、6.54(d,1H)、6.43(dd,1H)、6.19(s,5H)、2.44(s,3H)、2.42(s,3H)。
【0062】
シクロペンタジエニル(1,5-ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリドのNMR確認後、容器の内容物を約12時間撹拌した。次いで、アルキル化剤(メチルマグネシウムブロミド;エーテル中3.0M;4.6mL)を容器の内容物に加え、それを約24時間撹拌し、次いで室温まで温めた。その後、LMR錯体、すなわちシクロペンタジエニル(1,5-ジメチルインデニル)ジルコニウムジメチルが、NMRにより生成物として確認された。H NMR(d-THF):δ7.35(d,1H)、7.07(m,1H)、6.91(dd,1H)、6.01(d,1H)、5.94(dd,1H)、5.86(s,5H)、2.29(s,3H)、2.28(s,3H)、-0.74(s,3H)、-1.12(s,3H)。
【0063】
実施例4の金属-配位子錯体の合成は、以下のように行った。グローブボックス内で、(L)H化合物(1,5-Me-インデン;10.00グラム)および一次溶媒(ジメトキシエタン;100mL)を容器(500mL)に加えた。容器の内容物を約30℃に維持しながら、添加漏斗により約38分かけて容器の内容物に塩基(n-ブチルリチウム;1.6Mヘキサン;43.3mL)を加えた。次いで、容器の内容物を約37℃の温度で約5分間撹拌した。次いで、NMRを利用し、(L)H化合物および塩基が反応して中間アニオン性L化合物を形成したことを確認した。それから約40分後、LMX錯体(CpZrCl;18.21グラム)を撹拌および約30℃の温度で維持しながら容器の内容物に約12分かけて少しずつ加えた。約5分後、および再び約30分後、LMX錯体、すなわちシクロペンタジエニル(1,5-ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリドが、NMRにより生成物として確認された。H NMR(d-THF):δ7.48(d,1H)、7.42(m,1H)、7.07(dd,1H)、6.54(d,1H)、6.43(dd,1H)、6.19(s,5H)、2.44(s,3H)、2.42(s,3H)。LMX錯体の添加が完了してから約50分後、容器の内容物を約28℃に維持しながら、添加漏斗を介してアルキル化剤(メチルマグネシウムブロミド;エーテル中3.0M;46.2mL)を容器の内容物に約2.5時間かけて加えた。その後、LMR錯体、すなわちシクロペンタジエニル(1,5-ジメチルインデニル)ジルコニウムジメチルが、NMRにより生成物として確認された。H NMR(d-THF):δ7.35(d,1H)、7.07(m,1H)、6.91(dd,1H)、6.01(d,1H)、5.94(dd,1H)、5.86(s,5H)、2.29(s,3H)、2.28(s,3H)、-0.74(s,3H)、-1.12(s,3H)。
【0064】
実施例5の金属-配位子錯体の合成は、以下のように行った。グローブボックス内で、(L)H化合物(1,2,3,4-テトラメチル-1,3-シクロペンタジエン;1.00g;8.18mmol)および一次溶媒(ジメトキシエタン;20mL)を容器(40mL)に加え、約-30℃まで冷却した。次いで、温度を約56℃未満に維持しながら、塩基(n-ブチルリチウム;3.47mL;8.18mmol)をゆっくりと容器の内容物に加えた。約15分後、中間アニオン性L化合物の存在をNMRにより確認した。次いで、LMX錯体(CpZrCl;2.15グラム、8.18mmol)を5分かけて少しずつ容器の内容物に加えた。次いで、温度を30℃未満に維持しながら、アルキル化剤(メチルマグネシウムブロミド;エーテル中2.7M;6.06mL;16.4mmoL)を注射器によって容器の内容物にゆっくりと加え、容器の内容物を約12時間反応させた。溶媒を真空中で除去し、生成物をn-ヘキサン(約20mL)に抽出し、次いで珪藻土で濾過し、追加のn-ヘキサン(10mL)で洗浄し、真空中で乾燥させると、1.34gのLMR錯体、すなわちシクロペンタジエニル(1,5-ジメチルインデニル)ジルコニウムジメチルが得られ、これはNMRにより生成物として確認された。H NMR(d-ベンゼン):δ5.77(s,5H)、4.95(s,1H)、1.77(s,6H)、1.66(s,6H)、-0.29(s,6H)。
【0065】
実施例6の金属-配位子錯体の合成は、以下のように行った。グローブボックス内で、(L)H化合物(1,2,3,4-テトラメチル-1,3-シクロペンタジエン;0.50g;4.09mmol)および一次溶媒(ジメトキシエタン;20mL)を容器(40mL)に加え、約-30まで冷却した。次いで、温度を約40℃未満に維持しながら、塩基(n-ブチルリチウム;ヘキサン中2.36M;1.56mL;3.68mmol)をゆっくりと容器の内容物に加えた。約15分後、中間アニオン性L化合物の存在をNMRにより確認した。次いで、LMX錯体((n-PrCp)ZrCl(DME);1.45グラム;3.68mmol)を5分かけて少しずつ容器の内容物に加えた。次いで、温度を30℃未満に維持しながら、アルキル化剤(メチルマグネシウムブロミド;エーテル中2.7M;2.73mL;7.36mmol)を注射器によって容器の内容物にゆっくりと加え、容器の内容物を約12時間反応させた。溶媒を真空中で除去し、生成物をn-ヘキサン(約20mL)に抽出し、次に珪藻土で濾過し、追加のn-ヘキサン(10mL)で洗浄し、真空中で乾燥させると、1.19gのLMR錯体、すなわち(n-プロピルシクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチルが得られ、これはNMRにより生成物として確認された。H NMR(d-ベンゼン):δ5.72(t,2H)、5.46(t,2H)、4.98(m,1H)、2.41(m,2H)、1.81(s,6H)、1.70(s,6H)、1.57(m,2H)、0.91(t,3H)、-0.31(s,6H)。
【0066】
実施例7の金属-配位子錯体の合成は、以下のように行った。グローブボックス内で、(L)H化合物(1,5-Me-インデン;2.00グラム)および一次溶媒(ジメトキシエタン;20mL)を容器(100mL)に加えた。-7℃まで冷却した後、容器の内容物を約23℃に維持しながら、塩基(n-ブチルリチウム;2.5Mヘキサン;5.6mL)を注射器で約5分間にわたって容器の内容物に加えた。次いで、容器の内容物を約23℃の温度で約15分間撹拌した。NMRを利用し、(L)H化合物および塩基が反応して中間アニオン性L化合物を形成したことを確認した。溶液を再び-7℃まで冷却し、LMX錯体((MeCp)HfCl(DME);6.30グラム)を撹拌および約12℃未満の温度で維持しながら容器の内容物に約12分かけて少しずつ加えた。約15分後、追加のジメトキシエタン(20mL)を加え、効率的な撹拌を再開した。次に、容器の内容物を約21~35℃に維持しながら、アルキル化剤(メチルマグネシウムブロミド;エーテル中3.0M;11.1mL)を注射器で容器の内容物に約30分かけて加えた。約3時間後、LMR錯体、すなわち(メチルシクロペンタジエニル)(1,5-ジメチルインデニル)ハフニウムジメチルが、NMRにより生成物として確認された。溶媒を真空中で除去し、生成物をn-ヘキサン(約80mL)に抽出し、次いで珪藻土で濾過し、追加のn-ヘキサン(60mL)で洗浄し、真空中で乾燥させると、低温でペンタンから再結晶した後の3.30gのLMR錯体、すなわち(メチルシクロペンタジエニル)(1,5-ジメチルインデニル)ハフニウムジメチルが得られ、これはNMRにより生成物として確認された。H NMR(d-ベンゼン):d7.27(1H)、6.94(1H)、6.84(1H)、5.71(1H)、5.61(1H)、5.49(1H)、5.44(1H)、5.25(2H)、2.22(3H)、2.19(3H)、1.92(3H)、-0.46(3H)、-0.80(3H)。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属-配位子錯体を作製する方法であって、
(L)H化合物および塩基を一次溶媒中で反応させて、前記一次溶媒中に中間アニオン性L化合物を含む反応混合物を作製することと、
前記中間アニオン性L化合物およびLMX錯体を反応させて、LMX錯体(式中、LおよびLは、独立してシクロペンタジエニル型(Cp型)配位子であり、Mはジルコニウムまたはハフニウムであり、各Xはハライドである)を作製することとを含み、前記中間アニオン性L化合物は、前記反応混合物から単離されていない方法。
【請求項2】
前記LMX錯体をアルキル化剤と反応させてLMR錯体を作製することを含み、前記LMX錯体は前記反応混合物から単離されておらず、各Rはヒドロカルビル置換基である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記一次溶媒が、エーテル、ポリエーテル、チオエーテル、および炭化水素から選択され、前記塩基が、ブチルリチウム、1-メチルプロピルリチウム、2-メチルプロピルリチウム、および1,1-ジメチルエチルリチウムから選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
およびLの各々が、独立して置換シクロペンタジエニルまたは置換インデニルであり、LおよびLが異なる、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記LMX錯体が(メチルシクロペンタジエニル)(1,5-ジメチルインデニル)ハフニウムジクロリドである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
各Rが、独立してC~C20アルキルまたはベンジルであり、前記アルキル化剤がアルキルマグネシウムハライドである、請求項2~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記LMR錯体が(メチルシクロペンタジエニル)(1,5-ジメチルインデニル)ハフニウムジメチルである、請求項2~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記(L)H化合物および前記塩基を前記反応させて前記中間アニオン性L化合物を作製すること、ならびに前記中間アニオン性L化合物および前記LMX錯体を前記反応させて前記LMX錯体を作製することが、反応容器から前記中間アニオン性L化合物を除去することなく同じ反応容器内で行われる、請求項2~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記(L)H化合物および前記塩基を前記反応させて前記中間アニオン性L化合物を作製すること、ならびに前記中間アニオン性L化合物および前記LMX錯体を前記反応させて前記LMX錯体を作製すること、ならびに前記LMX錯体および前記アルキル化剤を前記反応させて前記LMR錯体を作製することが、前記反応容器から前記中間アニオン性L化合物および前記LMX錯体を除去することなく前記同じ反応容器内で行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記(L)H化合物および前記塩基を前記反応させること、前記中間アニオン性L化合物および前記LMX錯体を前記反応させること、ならびにLMX錯体を前記アルキル化剤と前記反応させることが、前記一次溶媒中で行われる、請求項2~9のいずれか一項に記載の方法。

【国際調査報告】