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特表2022-532415ゴッシペチンを含む退行性脳疾患の予防又は治療用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-14
(54)【発明の名称】ゴッシペチンを含む退行性脳疾患の予防又は治療用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/352 20060101AFI20220707BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220707BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20220707BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20220707BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220707BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20220707BHJP
【FI】
A61K31/352
A61P25/00
A61P25/16
A61P25/14
A61P25/28
A23L33/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021568441
(86)(22)【出願日】2020-04-16
(85)【翻訳文提出日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 KR2020005080
(87)【国際公開番号】W WO2020231024
(87)【国際公開日】2020-11-19
(31)【優先権主張番号】10-2019-0056524
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.witepsol
(71)【出願人】
【識別番号】521498173
【氏名又は名称】ノブメタヘルス シーオー., エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】NOVMETAHEALTH CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム,キョン タイ
(72)【発明者】
【氏名】リ,ドヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ヨ,キュン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ヨンフン
【テーマコード(参考)】
4B018
4C086
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LB10
4B018MD08
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF10
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明は、ゴッシペチン(Gossypetin)又はその塩を含む、退行性脳疾患の予防または治療用組成物に関する。
本発明の組成物は、退行性脳疾患の予防及び治療に優れた効果があり、記憶力及び認知機能の改善効果も優れるため、本発明の組成物は、退行性脳疾患の予防及び治療だけでなく、記憶力及び認知機能の改善に有用である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴッシペチン(Gossypetin)又はその塩を含む、退行性脳疾患の予防又は治療用薬学的組成物。
【請求項2】
上記ゴッシペチンは、下記化学式1で表されるものである、請求項1に記載の退行性脳疾患の予防又は治療用薬学的組成物:
【化1】
【請求項3】
上記退行性脳疾患は、VRK2の活性増加、ベータアミロイド(Aβ)タンパク質の凝集、及びタウ・タンパク質の凝集から選択される一つ以上の原因により発症するものである、請求項1に記載の退行性脳疾患の予防又は治療用薬学的組成物。
【請求項4】
前記退行性脳疾患は、認知症、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、多系統萎縮症(Multiple system atrophy)、多発性硬化症(multiple sclerosis)、タウ病症(tauopathies)、脳腫瘍、 ピック病又はクロイツフェルト・ヤコブ病からなる群から選択されるものである、請求項1に記載の退行性脳疾患の予防又は治療用薬学的組成物。
【請求項5】
ゴッシペチン又はその塩を含む、VRK2活性抑制用組成物。
【請求項6】
ゴッシペチン又はその塩を含む、記憶力又は認知機能改善用薬学的組成物。
【請求項7】
ゴッシペチン又はその塩を含む、退行性脳疾患の予防又は改善用健康機能食品組成物。
【請求項8】
ゴッシペチン又はその塩を含む、記憶力又は認知機能改善用健康機能食品組成物。
【請求項9】
ゴッシペチン又はその塩を含む組成物を個体に投与することを含む、退行性脳疾患の予防又は治療方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴッシペチン(Gossypetin)又はその塩を含む、退行性脳疾患の予防または治療用組成物及びそれを用いた退行性脳疾患治療方法に関する。また、本発明は、ゴッシペチン又はその塩を含む記憶力及び認知機能改善用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
所得水準と医療及び保健環境の発展により西欧を中心に高齢人口の比重は次第に増加している。韓国も2017年を基準に65才以上人口の比率が14%を超えて高齢社会になり、2025年には超高齢社会に突入することが予見されている。従って、高齢人口の老人性疾患の解決が緊急の社会的問題として台頭している。
【0003】
特に、老人性認知症疾患の約半分を占めるアルツハイマー病は、現在、効果的な原因治療薬がなく、予防法もない。米国食薬庁(FDA)の承認を受けてアルツハイマー病の患者に処方される薬物は、アセチルコリンエステラーゼ(acetylcholine esterase)阻害剤とグルタミン酸受容体阻害剤など、5種の薬物があるが、いずれも症状緩和の作用をするだけである。
【0004】
退行性脳疾患は、脳組織にタンパク質の凝集が沈着して発生する。アルツハイマー病は、Aβペプチドがもつれて細胞外にプラーク(plaque)を形成する。これにより活性酸素の発生が行われ、小膠細胞(microglia)による炎症反応が起こる。小膠細胞からIL-1、TNFα、PGE2、NO、NOO-、O‥、Hなどが分泌され、周囲神経細胞の死滅を促進する。活性酸素種は、酸化的ストレスにより発生し、ミトコンドリアでシトクロムCの遊離とカスパーゼ-3の活性化を引き起こしアポトーシスが進行される。そして、Aβペプチドの凝集が増加すると共に神経細胞内に存在する微小管(microtubule)を安定化させるタウ(Tau)タンパク質の凝集も誘導される。微小管が崩壊すれば、神経細胞の軸索突起及び樹状突起が萎縮して脳神経細胞の退化が起き、タウ・タンパク質が凝集して細胞内に蓄積されることにより神経細胞内の物質輸送など神経信号伝達の障害をもたらしてアポトーシスが起こる。
【0005】
アルツハイマー病だけでなく、ハンチントン病もハンチンチンというタンパク質の凝集が起きて細胞内に蓄積されることによりアポトーシスが起こる。特に、ハンチンチン(huntingtin)遺伝子にCAG反復配列が遺伝的に生成されれば、タンパク質のN末端にグルタミンが100余個以上付くようになり、正常なタンパク質構造を形成し難くなる。これと併せて、シャペロン(chaperone)タンパク質の機能が弱化すれば、タンパク質の3次元構造形成が困難になり、ミスフォールディング(misfolding)が起こったタンパク質は、互いにもつれて凝集体を作る。また、パーキンソン病でもα-シヌクレイン(α-synuclein)タンパク質の凝集が増えて糸状の構造を形成してアミロイド繊維構造を有する。そうすると、細胞内にレビー小体(Lewybody)の形成が増えて細胞の機能を阻害し、結局は、神経細胞死滅を引き起こす。最近、正常なα-シヌクレインの役割が究明されたが、神経細胞内カルシウムイオンの濃度が上がれば、α-シヌクレインが神経伝達物質を貯蔵している小胞体に付着して分泌が正常に起きるようにする。あたかもカルシウムセンサの役割をし、細胞内でカルシウムとα-シヌクレイン間に精巧な均衡が取れている。従って、この均衡が崩れれば、α-シヌクレインの凝集が始まってパーキンソン病につながると説明されている。
【0006】
このように、退行性脳疾患の代表症状は、脳組織においてタンパク質凝集体の増加が生じる。タンパク質の凝集により脳組織で炎症免疫反応が起こり、周辺組織に拡散する。そして、細胞内の小器官の機能がくずれアポトーシス反応が進行することにより脳組織の退行が起こる。
【0007】
退行性脳疾患に対しては薬物の長期服用がなされなければならないため、毒性がほとんどなく、効能のよい物質の開発が必須である。従って、食用として用いる天然の物から治療及び予防の機能を有する物質を開発すれば、副作用を最小化できる。
【0008】
一方、大韓民国登録特許公報第10-1424547号(特許文献1)及び大韓民国公開特許公報第10-2015-0047687号(特許文献2)には、乳酸菌又は乳酸菌により発酵した産物を含む退行性脳疾患治療用組成物が開示されているが、これらは認知症などの退行性脳疾患の治療効果が高くないため、商業的に適用するには限界があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】大韓民国登録特許公報第10-1424547号
【特許文献2】大韓民国公開特許公報第10-2015-0047687号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、鋭意努力した結果、天然の物由来の小分子物質であるゴッシペチン(gossypetin)が退行性脳疾患の予防及び治療効能に優れることを確認することにより、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、ゴッシペチン(Gossypetin)又はその塩を含む、退行性脳疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、ゴッシペチン又はその塩を含む、VRK2活性抑制用組成物を提供することにある。
【0013】
本発明のもう一つの目的は、ゴッシペチン又はその塩を含む、退行性脳疾患の予防又は改善用健康機能食品組成物を提供することにある。
【0014】
本発明のもう一つの目的は、ゴッシペチン又はその塩を含む、記憶力又は認知機能改善用薬学的組成物を提供することにある。
【0015】
本発明のもう一つの目的は、ゴッシペチン又はその塩を含む、記憶力又は認知機能改善用健康機能食品組成物を提供することにある。
【0016】
本発明のもう一つの目的は、ゴッシペチン又はその塩を含む組成物をヒトを除いた個体に投与することを含む、退行性脳疾患の予防又は治療方法を提供することにある。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、ゴッシペチンが脳細胞におけるタンパク質凝集を抑制する効果に優れ、動物実験でも退行性脳疾患の予防及び治療と記憶力の改善効果に優れたことを究明したところ、本発明のゴッシペチンを含む組成物は退行性脳疾患の予防及び治療と記憶力及び認知機能の改善に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】ゴッシペチンの細胞内タンパク質凝集抑制効果を示す結果である。(a)はゴッシペチンを細胞に処理した後、フィルタに通過しないタンパク質凝集体の生成量を測定したものであり、(b)はタンパク質凝集体の量をゲルに電気泳動させて確認したものである。(c)は細胞でタンパク質凝集体の生成とゴッシペチン処理による減少を緑色蛍光タンパク質の凝集で示したものであり、(d)はこれを定量的に分析したものである。(e)は溶解性タンパク質凝集体に比べて不溶性凝集体の量を比較分析し、(f)は水溶性タンパク質凝集体の量を分析したものである。(g)はこのようなタンパク質凝集体を有する細胞の数を測定し、(h)は蛍光タンパク質の発現を有する全体細胞数を測定した結果である。
図2】ゴッシペチンの濃度によるVRK2活性阻害程度を示す結果である。
図3】ゴッシペチンに対してY字迷路型試験を通じたアルツハイマー誘導マウスの短期記憶を再度評価した結果である。
図4】ゴッシペチンに対してモリス水迷路試験を通じたアルツハイマー誘導マウスの脱出時間(escape latency)の測定により学習機能改善効果を見た結果である。
図5】ゴッシペチンに対してモリス水迷路試験を通じたアルツハイマー誘導マウスのプラットフォーム位置の記憶能力を測定した結果である。(a)はプラットフォームをなくした後、プラットフォームがあった所にとどまる時間を測定したものであり、(b)は水迷路試験でマウスの全体移動距離を測定したものである。
図6】ゴッシペチンに対してマウス脳の海馬でアミロイド凝集体の沈着の減少程度を測定した結果である。
図7】ゴッシペチンに対してマウス脳でアミロイド凝集体の沈着程度を生化学的に測定した結果である。(a)は脳に蓄積されたタンパク質凝集体の中でフィルタに通過しないアミロイド凝集体の量を測定したものであり、(b)は溶解性アミロイド凝集体の量を測定したものである。(c)は脳に蓄積されたアミロイド凝集重合体をゲルに電気泳動して分析したものであり、(d)はアミロイド単一体と重合体の量をそれぞれ比較分析したものである。
図8】ゴッシペチンに対してマウス脳で小膠細胞による神経膠症の減少程度を測定した結果である。
図9】ゴッシペチンに対してマウス脳で星状細胞による神経膠症の減少程度を測定した結果である。
図10】試験管でAβ及びタウ・タンパク質の凝集を有意に抑制することが知られている化合物に対してVRK2活性阻害効能をゴッシペチンの活性と比較した結果である。
図11】試験管でAβ及びタウ・タンパク質の凝集を有意に抑制することが知られている化合物に対して細胞内のタンパク質凝集を阻害する程度をゴッシペチンの効果と比較した結果である。
図12】試験管でAβ及びタウ・タンパク質の凝集を有意に抑制することが知られている化合物に対してアルツハイマー認知症誘導マウスの短期記憶能力の改善程度をY-迷路実験でゴッシペチンの効果と比較した結果である。
図13】試験管でAβ及びタウ・タンパク質の凝集を有意に抑制することが知られている化合物に対してアルツハイマー認知症誘導マウスの短期記憶能力の改善程度を迷路実験でゴッシペチンの効果と比較した結果である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
これを具体的に説明すると、次の通りである。一方、本発明で開示されたそれぞれの説明及び実施形態は、それぞれの異なる説明及び実施形態にも適用され得る。即ち、本発明で開示された多様な要素の全ての組合わせが本発明の範疇に属する。また、下記記述された具体的な記述により本発明の範囲は制限されない。
【0020】
また、当該技術分野の通常の知識を有する者は、通常の実験のみを用いて本発明に記載された本発明の特定様態に対する多数の等価物を認知したり確認することができる。また、このような等価物は本発明に含まれることが意図される。
【0021】
本発明の一つの様態は、ゴッシペチン(Gossypetin)又はその塩を含む、退行性脳疾患の予防又は治療用薬学的組成物を提供する。
【0022】
本発明のもう一つの様態は、ゴッシペチン又はその塩を含む、記憶力又は認知機能改善用健康機能食品組成物を提供する。
【0023】
上記組成物は、ゴッシペチンを有効成分として含むものであってもよい。
【0024】
本発明において、「ゴッシペチン」は、下記化学式1で表される化合物であってもよい。
【0025】
【化1】
【0026】
上記ゴッシペチンは、2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)-3,5,7,8-テトラヒドロキシ-4H-クロメン-4-オン(2-(3,4-dihydroxyphenyl)-3,5,7,8-tetrahydroxy-4H-chromen-4-one)と命名される化合物であってもよい。
【0027】
上記ゴッシペチンは、化学的に合成したり、植物から抽出したり、市販される物質を用いることができるが、入手方法は、特に限定されず、当業界に公知となった方法を用いることができる。
【0028】
本発明の薬学組成物は、上記ゴッシペチンだけでなく、その薬学的に許容可能な塩を含んでもよい。本発明において、「薬学的に許容可能な塩」とは、上記化合物が他の物質と結合した塩の形態のもので、薬学的に同様の活性を示す物質を意味する。
【0029】
上記薬学的に許容可能な塩の種類には、塩化水素酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩又は硫酸塩のような無機酸塩とカルボン酸塩やスルホン酸塩のような有機酸塩が含まれるが、これに限定されない。また、カルボン酸塩の種類には、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩又は安息香酸塩が含まれるが、これに限定されない。また、スルホン酸塩の種類には、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、又はナフタレンジスルホン酸塩が含まれるが、これに限定されない。
【0030】
本発明において、「退行性脳疾患」とは、脳細胞損傷により発生する疾患を意味する。
【0031】
上記退行性脳疾患は、タンパク質の凝集、VRK2の活性増加、シャペロンタンパク質の分解量増加、タンパク質のミスフォールディング、レビー小体形成、ポリグルタミンの凝集、神経膠細胞炎症反応の一つ以上をその発病原因とする、又はそれを病理学的様相として示すものであってもよく、上記タンパク質の凝集は、アミロイドAβ、タウ・タンパク質、ハンチンチン(huntingtin)、α-シヌクレインの凝集であってもよいが、これに制限されない。
【0032】
具体的には、本発明の退行性脳疾患は、認知症、アルツハイマー、ハンチントン病、パーキンソン病、多系統萎縮症(Multiple system atrophy)、多発性硬化症(multiple sclerosis)、タウ病症(tauopathies)、脳腫瘍、ピック病又はクロイツフェルト・ヤコブ病からなる群から選択される一つ以上の疾病であってもよく、より具体的には、アルツハイマー、ハンチントン病、パーキンソン病から選択される一つ以上の疾病であってもよいが、これに制限されない。
【0033】
本発明において、「記憶力/認知機能」とは、知識と情報を効率よく操作する能力であり、脳を用いて思考し、話し、記憶し、判断し、実行する全ての過程を含む。脳細胞損傷により記憶力及び認知機能が喪失又は損傷することがあり、これは、健忘症、記憶減退、記憶障害などの症状として現れる。
【0034】
本発明における用語、「予防」とは、本発明による組成物の投与により認知機能障害又は神経炎症の発病を抑制又は遅延させる全ての行為を意味し、「治療」とは、上記薬学組成物の投与により認知機能障害または神経炎症の疑い及び発病個体の症状が好転したり有益に変更される全ての行為を意味し、「改善」とは、本発明の組成物の投与により治療される状態と関連したパラメータ、例えば、症状の程度を少なくとも減少させる全ての行為を意味する。
【0035】
本発明の一具現例では、ゴッシペチンがin vitroでVRK2の活性を抑制することを確認し、in vivoで認知症誘導マウスにゴッシペチンを投与して記憶力が改善され、認知症の進行が抑制されることを確認した。従って、本発明の組成物をVRK2活性抑制に用いることができ、退行性脳疾患の予防及び治療とともに記憶力及び認知機能の改善に有用に用いられる。
【0036】
本発明の組成物は、薬学的組成物の製造に通常用いる適切な担体、賦形剤及び希釈剤をさらに含んでもよい。また、常法により散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾルなどの経口型剤形、外用剤、坐剤及び滅菌注射溶液の形態に剤形化して用いられる。
【0037】
本発明によるゴッシペチン又はその薬剤学的に許容される塩を含む薬学的組成物は、それぞれ常法により散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアロゾルなどの外用剤及び滅菌注射溶液の形態に剤形化して用いられ、クリーム、ゲル、パッチ、噴霧剤、軟膏剤、硬膏剤、ローション剤、リニメント剤、パスタ剤またはカタプラズマ剤の剤形を有することができるが、これに制限されない。
【0038】
上記ゴッシペチンを含む組成物に含まれ得る担体、賦形剤及び希釈剤としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、オリゴ糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルギネート、ゼラチン、カルシウムホスフェート、カルシウムシリケート、セルロース、メチルセルロース、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、マグネシウムステアレート及び鉱物油を挙げることができる。製剤化する場合には、通常用いる充填剤、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩解剤、界面活性剤などの希釈剤又は賦形剤を用いて調剤される。経口投与のための固形製剤には、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤などが含まれ、そのような固形製剤は、上記組成物に少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、カルシウムカーボネート(calcium carbonate)、スクロース(sucrose)又はラクトース(lactose)、ゼラチンなどを混ぜて調剤される。また、単純な賦形剤以外にマグネシウムステアレート、タルクのような潤滑剤も用いられる。経口のための液状製剤としては、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが該当するが、よく用いられる単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外に種々の賦形剤、例えば、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤などが含まれてもよい。非経口投与のための製剤には、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、坐剤が含まれる。非水性溶剤、懸濁剤としては、プロピレングリコール(propyleneglycol)、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、オレイン酸エチルのような注射可能なエステルなどが用いられる。坐剤の基剤としては、ウィテプゾール(witepsol)、マクロゴール、ツイン(tween)61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが用いられる。
【0039】
本発明のもう一つの様態は、ゴッシペチン又はその塩を含む、退行性脳疾患の予防又は改善用健康機能食品組成物を提供する。
【0040】
本発明のもう一つの様態は、ゴッシペチン又はその塩を含む、記憶力又は認知機能改善用健康機能食品組成物を提供する。
【0041】
上記組成物は、ゴッシペチンを有効成分として含むものであってもよい。
【0042】
ゴッシペチン、退行性脳疾患、記憶力及び認知機能、予防、治療、改善については前述した通りである。
【0043】
本発明のゴッシペチンを食品添加物として用いる場合、上記ゴッシペチンをそのまま添加したり他の食品又は食品成分と共に用いることができ、常法により好適に用いることができる。有効成分の混合量は、使用目的(予防、健康または治療的処置)により適切に決定され得る。一般に、食品又は飲料の製造時に本発明のゴッシペチンは原料に対して15重量%以下、望ましくは10重量%以下の量で添加される。しかし、健康及び衛生を目的としたり、または健康調節を目的とする長期間の摂取の場合、上記量は上記範囲以下であってもよく、安全性の面で何ら問題がないため、有効成分は、上記範囲以上の量でも用いられる。
【0044】
上記食品の種類には特別な制限はない。上記物質を添加できる食品の例としては、肉類、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディ類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料水、茶、ドリンク剤、アルコール飲料及びビタミン複合剤などがあり、通常の意味での健康機能食品をいずれも含む。
【0045】
本発明による健康飲料組成物は、通常の飲料のように様々な香味剤又は天然炭水化物などを更なる成分として含有することができる。上述した天然炭水化物は、ブドウ糖及び果糖のようなモノサッカライド、マルトース及びスクロースのようなジサッカライド、デキストリン及びシクロデキストリンのようなポリサッカライド、及びキシリトール、ソルビトール及びエリスリトールなどの糖アルコールである。甘味剤としては、ソーマチン、ステビア抽出物のような天然甘味剤や、サッカリン、アスパルテームのような合成甘味剤などを使用することができる。前記天然炭水化物の比率は、本発明の組成物100mL当たり一般的に約0.01~0.20g、好ましくは約0.04~0.10gである。
【0046】
上記以外に本発明の組成物は、様々な栄養剤、ビタミン、電解質、風味剤、着色剤、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含有することができる。その他、本発明の組成物は、天然果物ジュース、果物ジュース飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含有することができる。このような成分は、独立して、又は組み合わせて使用することができる。このような添加剤の比率は、それほど重要なことではないが、本発明の組成物100重量部当たり0.01~0.20重量部の範囲で選択されることが一般的である。
【0047】
その他に添加され得る配合成分としては、油脂成分、保湿剤、エモリエント剤、界面活性剤、有機及び無機顔料、有機粉体、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、酸化防止剤、植物抽出物、pH調整剤、アルコール、色素、香料、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、精製水などが挙げられる。
【0048】
油脂成分としては、エステル系油脂、炭化水素系油脂、シリコーン系油脂、フッ素系油脂、動物油脂、植物油脂などが挙げられる。
【0049】
エステル系油脂としては、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ネオペンタン酸イソアルキル、トリ(カプリル、カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、カプリル酸セチル、ラウリン酸デシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、リシノレイン酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、パルミチン酸イソセチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リノール酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル、カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸オクチル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルデシル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンイソステアリン酸エステル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソアルキル、クエン酸トリイソオクチル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸デヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリルなどのエステル系などが挙げられる。
【0050】
炭化水素系油脂としては、スクアレン、流動パラフィン、α-オレフィンオリゴマー、イソパラフィン、セレシン、パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリンなどの炭化水素系油脂などが挙げられる。
【0051】
シリコーン系油脂としては、ポリメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルシクロシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、アルキル変性シリコーン油、アミノ変性シリコーン油などが挙げられる。
【0052】
フッ素系油脂としては、ペルフルオロポリエーテルなどが挙げられる。
【0053】
動物又は植物油脂としては、アボカド油、アーモンド油、オリーブ油、ごま油、こめ油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、油菜油、杏仁油、パーム核油、パーム油、ひまし油、ひまわり油、ブドウ種子油、綿実油、ヤシ油、ココナッツ油、小麦胚芽油、こめ胚芽油、シアバター、月見草油、マカダミアナッツ油、メドウフォーム油、卵黄油、牛脂、麻油、ミンク油、オレンジラフィー油、ホホバ油、キャンデリラワックス、カルナバワックス、液状ラノリン、硬化ひまし油などの動物又は植物油脂が挙げられる。
【0054】
保湿剤としては、水溶性低分子保湿剤、脂溶性分子保湿剤、水溶性高分子、脂溶性高分子などが挙げられる。
【0055】
水溶性低分子保湿剤としては、セリン、グルタミン、ソルビトール、マンニトール、ピロリドン-カルボン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコールB(重合度n=2以上)、ポリプロピレングリコール(重合度n=2以上)、ポルリグリセリンB(重合度n=2以上)、乳酸、乳酸塩などが挙げられる。
【0056】
脂溶性低分子保湿剤としては、コレステロール、コレステロールエステルなどが挙げられる。
【0057】
水溶性高分子としては、カルボキシビニルポリマー、ポリアスパラギン酸塩、トラガカント、キサンタンガム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、水溶性キチン、キトサン、デキストリンなどが挙げられる。
【0058】
脂溶性高分子としては、ポリビニルピロリドン・エイコセン共重合体、ポリビニルピロリドン・ヘキサデセン共重合体、ニトロセルロース、デキストリン脂肪酸エステル、高分子シリコーンなどが挙げられる。
【0059】
エモリエント剤としては、長鎖アシルグルタミン酸コレステリルエステル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、12-ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸、ロジン酸、ラノリン脂肪酸コレステリルエステルなどが挙げられる。
【0060】
界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
【0061】
非イオン性界面活性剤としては、自己乳化型モノステアリン酸グリセリン、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POE(ポリオキシエチレン)ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ひまし油、POEひまし油、POE・POP(ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン)共重合体、POE・POPアルキルエーテル、ポリエーテル変性シリコーン、ラウリン酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキシド、水素添加大豆リン脂質などが挙げられる。
【0062】
アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、α-アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N-アシルアミノ酸塩、POEアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸ナトリウム、アシル化加水分解コラーゲンペプチド塩、ペルフルオロアルキルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0063】
カチオン性界面活性剤としては、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラノリン誘導体第4級アンモニウム塩などが挙げられる。
【0064】
両性界面活性剤としては、カルボキシベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボキシル酸塩型、イミダゾリン誘導体型、アミドアミン型などの両性界面活性剤などが挙げられる。
【0065】
有機及び無機顔料としては、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、ベンガラ、クレー、ベントナイト、チタン被覆雲母、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄、群青、酸化クロム、水酸化クロム、カラミン及びこれらの複合体などの無機顔料;ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、シルクパウダー、セルロース、CIピグメントイエロー、CIピグメントオレンジなどの有機顔料及びこれらの無機顔料と有機顔料の複合顔料などが挙げられる。
【0066】
有機粉体としては、ステアリン酸カルシウムなどの金属石鹸;セチルリン酸亜鉛ナトリウム、ラウリルリン酸亜鉛、ラウリルリン酸カルシウムなどのアルキルリン酸金属塩;N-ラウロイル-β-アラニンカルシウム、N-ラウロイル-β-アラニン亜鉛、N-ラウロイルグリシンカルシウムなどのアシルアミノ酸多価金属塩;N-ラウロイル-タウリンカルシウム、N-パルミトイル-タウリンカルシウムなどのアミドスルホン酸多価金属塩;N-イプシロン-ラウロイル-L-リジン、N-イプシロン-パルミトイルリジン、N-α-パルミトイルオルニチン、N-α-ラウロイルアルギニン、N-α-硬化牛脂脂肪酸アシルアルギニンなどのN-アシル塩基性アミノ酸;N-ラウロイルグリシルグリシンなどのN-アシルポリペプチド;α-アミノカプリル酸、α-アミノラウリン酸などのα-アミノ脂肪酸;ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、四フッ化エチレンなどが挙げられる。
【0067】
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸アミル、パラアミノ安息香酸オクチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸フェニル、サリチル酸オクチル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ブチルフェニル、サリチル酸ホモメンチル、ケイヒ酸ベンジル、パラメトキシケイヒ酸-2-エトキシエチル、パラメトキシケイヒ酸オクチル、ジパラメトキシケイヒ酸モノ-2-エチルヘキサングリセリル、パラメトキシケイヒ酸イソプロピル、ジイソプロピル・ジイソプロピルケイヒ酸エステル混合物、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその塩、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2,4,6-トリアニリノ-p-(カルボ-2’-エチルヘキシル-1’-オキシ)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0068】
殺菌剤としては、ヒノキチオール、トリクロサン、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、クロロヘキシジングルコン酸塩、フェノキシエタノール、レゾルシン、イソプロピルメチルフェノール、アズレン、サリチル酸、ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム、感光素301号、モノニトログアヤコールナトリウム、ウンデシレン酸などが挙げられる。
【0069】
酸化防止剤としては、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、エリソルビン酸などが挙げられる。
【0070】
pH調整剤としては、クエン酸、クエン酸ナトリウム、リンゴ酸、リンゴ酸ナトリウム、フマル酸、フマル酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、リン酸一水素ナトリウムなどが挙げられる。
【0071】
アルコールとしては、エチルアルコール、高級アルコールなどが挙げられる。
【0072】
また、これ以外に添加してもよい配合成分は、これらに限定されるものではなく、また、前記いずれの成分も本発明の目的及び効果を損傷させない範囲内で配合が可能であるが、総重量に対して好ましくは0.01~5%重量百分率、より好ましくは0.01~3%重量百分率で配合される。
【0073】
本発明の剤形がローション、ペースト、クリーム又はゲルである場合には、担体成分として動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルク又は酸化亜鉛などが用いられてもよい。
【0074】
本発明の剤形がパウダー又はスプレーである場合には、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシリケート又はポリアミドパウダーが用いられてもよく、特にスプレーである場合には、さらにクロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタン又はジメチルエーテルのような推進体を含むことができる。
【0075】
本発明の剤形が溶液又は乳濁液の場合には、担体成分として溶媒、溶媒化剤又は乳濁化剤が用いられ、例えば水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール又はソルビタン脂肪酸エステルがある。
【0076】
本発明の剤形が懸濁液である場合には、担体成分として水、エタノール又はプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガー又はトラガントなどが用いられてもよい。
【0077】
本発明の剤形が界面活性剤含有クレンジングである場合には、担体成分として脂肪族アルコールサルフェート、脂肪族アルコールエーテルサルフェート、スルホコハク酸モノエステル、イセチオン酸、イミダゾリニウム誘導体、メチルタウレート、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテルサルフェート、アルキルアミドベタイン、脂肪族アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物性油、ラノリン誘導体又はエトキシル化グリセロール脂肪酸エステルなどが用いられてもよい。
【0078】
本発明の更に他の様態は、上記薬学的組成物を個体に投与することを含む、退行性脳疾患の予防又は治療方法を提供する。
【0079】
本発明において「個体」とは、疾病の治療を必要とする対象を意味する。具体的には、ヒト又は非ヒトである霊長類、マウス(mouse)、ラット(rat)、犬、ネコ、馬、及び牛などの哺乳類を意味してもよく、より具体的には、ヒトを除いた動物であってもよく、又はヒトを意味してもよいが、これに制限されない。
【0080】
発明による薬学的組成物は、薬学的に有効な量投与され得る。上記「薬学的に有効な量」とは、医学的治療に適用可能な合理的な恩恵/リスクの比率で疾患を治療するのに十分な量を意味し、有効用量の水準は、患者疾患の種類、重症度、薬物の活性、薬物に対する敏感度、投与時間、投与経路及び排出比率、治療期間、同時に用いられる薬物を含む要素及びその他医学分野によく知られている要素により決定され得る。一具体例として、投与されるゴッシペチンの濃度は、投与個体の体重を基準に、0.1mg/kg以上500mg/kg以下であってもよく、具体的には、0.1mg/kg以上100mg/kg以下、0.5mg/kg以上100mg/kg以下、0.5mg/kg以上50mg/kg以下、0.5mg/kg以上30mg/kg以下、0.5mg/kg以上15mg/kg以下、7mg/kg以上13mg/kg以下、より具体的には10mg/kgの濃度のゴッシペチンが投与されてもよいが、これに制限されない。本発明による薬学的組成物は、個別治療剤として投与したり他の治療剤と併用して投与されてもよく、従来の治療剤と順次に又は同時に投与されてもよく、単一又は多重投与されてもよい。上記要素をいずれも考慮して副作用なしに最小限の量で最大の効果が得られる量を投与することが重要であり、これは、本発明が属する技術分野において通常の技術者により容易に決定され得る。
【0081】
本発明の薬学的組成物は、個体に多様な経路に投与され得る。投与の全ての方式は予想され得るが、例えば、経口投与、皮下、静脈、筋肉、子宮内硬膜又は脳血管内注射により投与されてもよい。本発明の薬学的組成物は、治療する疾患、投与経路、患者の年齢、性別、体重及び疾患の重症度等の種々の関連因子と共に、活性成分である薬物の種類に応じて決定される。
【実施例
【0082】
以下、本発明を実施例及び実験例を通じてより詳しく説明する。しかし、これら実施例及び実験例は本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれら実施例及び実験例に限定されるものではない。
【0083】
実施例1:ゴッシペチンのin vitro効果の確認
天然の物由来の化合物であるゴッシペチンが退行性脳疾患抑制に効果があるかどうかを確認するためにin vitro実験を遂行した。
【0084】
実施例1-1:ゴッシペチンの濃度依存的な細胞内ポリグルタミンタンパク質凝集抑制効能の確認
ポリグルタミンタンパク質の凝集は、退行性脳疾患の発病原因になる。ゴッシペチンのポリグルタミンタンパク質凝集抑制の効果を確認するために、VRK2を発現しているU2OS細胞に緑色蛍光タンパク質が結合したポリグルタミンタンパク質を発現させた後、ゴッシペチンを濃度別に処理してドットブロット(Dot blot assay)方法で確認した。また、細胞内で生成されたタンパク質凝集体を電気泳動して観察し、細胞内タンパク質凝集体の生成程度を蛍光顕微鏡で観察して定量的に表示した。
【0085】
その結果、ゴッシペチン濃度依存的にポリグルタミンタンパク質凝集体が減少することを確認することができた(図1A,1B)。また、不溶性タンパク質凝集体が特に大きく減少し(図1C-E)、タンパク質凝集体を有する細胞数も減少することを確認することができた(図1F-1H)。
【0086】
実施例1-2:ゴッシペチン(GSP)とVRK2の相互結合の確認及びゴッシペチンの濃度依存的VRK2活性阻害とシャペロンタンパク質保存の確認
リン酸化酵素であるVRK2は細胞内でTRiCシャペロンタンパク質を調節してポリグルタミン凝集体の除去を防ぐことが知られている。従って、VRK2を抑制すれば、ポリグルタミン凝集を抑制できると予想し、ゴッシペチンがVRK2活性抑制効果を有するかどうかを確認するために、ゴッシペチンを種々の濃度で処理してVRK2活性阻害度を測定した。
【0087】
まず、ゴッシペチンとセファロース4Bを化学的に結合させた(図2A)後、ゴッシペチンとVRK2が互いに結合するかどうかを確認した。VRK2はセファロース4Bに結合せず、ゴッシペチン-セファロース4Bにのみ結合することを確認することにより、VRK2とゴッシペチンが互いに結合することが分かる(図2B)。そして、ゴッシペチンを添加すれば、VRK2とゴッシペチン-セファロース4B間の結合を妨害することを確認することによりゴッシペチンとVRK2間の相互結合が特異的であることを究明した(図2C)。そして、ゴッシペチンの濃度依存的にVRK2の活性が阻害されることを示し(図2D)、ゴッシペチンの添加によりシャペロンタンパク質であるCCT-4の量が減らずに増加することを確認した(図2E)。
【0088】
実験の結果、ゴッシペチンがin vitroでVRK2活性を抑制することを確認したところ、退行性脳疾患の予防及び治療に効果があると予測した。
【0089】
実施例2:ゴッシペチンのin vivo効果の確認
実施例1の結果を通じて退行性脳疾患の予防及び治療に効果があることを予想したゴッシペチンが実際の動物でも効果があるかどうかを確認するために動物実験を行った。
【0090】
実験には、7週齢の5xFADアルツハイマー誘導マウスを用い、ゴッシペチンを10mg/kgの濃度で14週間経口投与した(図3A、3B)。その後、認知機能の確認に広く用いられる試験であるY字迷路試験及びモリス水迷路実験を行った。具体的には、Y字迷路実験を通じて短期記憶を測定した。Y字迷路実験の1週間後にモリス水迷路実験を行い、5日間プラットフォームの位置をマウスが記憶するように訓練させた後、プラットフォームを見出す時間を測定した。また、プラットフォーム記憶訓練後6日目に水槽からプラットフォームをなくした後、マウスがプラットフォームが位置した区間でとどまる頻度を測定した。
【0091】
Y字迷路型実験の結果、ゴッシペチンを投与した5xFADアルツハイマー誘導マウスは、正常マウスと同様の程度に短期記憶力の改善がなされることを確認した(図3C)。また、モリス水迷路実験を通じてアルツハイマー誘導マウスがプラットフォームを記憶するかどうかを確認した結果、ゴッシペチン投与群は、アルツハイマーマウスだけでなく、正常マウスに比べてもさらに短時間内にプラットフォームを見出すことを確認した(図4)。
【0092】
また、プラットフォームをなくした後、プラットフォームが位置した区間でとどまる頻度を確認した結果、動いた合計距離は類似するが、アルツハイマー誘導マウスにゴッシペチンを食べさせたグループではプラットフォームが位置した区間でとどまる頻度が増加したところ、アルツハイマー誘導マウスの記憶力が増加したことを確認した(図5)。
【0093】
これを通じて、ゴッシペチンがアルツハイマー予防及び治療効果があることを立証し、認知機能の改善にも非常に優れた効果があることを確認した。
【0094】
実施例3:ゴッシペチンを処理したアルツハイマー誘導マウス脳組織の分析
実施例3-1:ゴッシペチンを処理したアルツハイマー誘導マウス脳の組織の分析
アルツハイマー誘導マウス(5xFAD)にゴッシペチンを食べさせたグループと食べさせないグループの脳を摘出して切片を作った後、チオフラビンS(Thioflavin S)染色方法でAβアミロイド凝集体の生成程度を分析した。脳の海馬(図6A-6C)と前頭葉(図6D-6F)の組織を観察した時、ゴッシペチンを食べさせたマウスグループでAβアミロイド凝集体が大きく減少することを確認することができる。
【0095】
実施例3-2:ゴッシペチンを処理したアルツハイマー誘導マウス脳の海馬部位に対する生化学的分析
ゴッシペチンを食べさせたアルツハイマー誘導マウスの脳組織を粉砕し、タンパク質定量及びウェスタンブロットなど生化学的分析方法で分析した時、ドットブロットとウェスタンブロットの結果で水溶性Aβアミロイドタンパク質の量だけでなく、単一体と重合体がいずれも統計的に有意に減少することを確認することができた(図7A-E)。Aβアミロイドタンパク質は、APPアミロイド前駆体タンパク質が酵素により切断されて生成するタンパク質である。Aβアミロイドタンパク質の減少がAPPアミロイド前駆体タンパク質(Amyloid Precursor Protein)の量が減少して生じた現象であるかを確認してみるために、ウェスタンブロットを進行したところ、APPアミロイド前駆体タンパク質の量は変わっていないことを確認した(図7F,7G)。
【0096】
実施例3-3:ゴッシペチンを処理したアルツハイマー誘導マウス脳で小膠細胞の過多活性による神経膠症(gliosis)程度の分析
アルツハイマー誘導マウス(5xFAD)にゴッシペチンを食べさせたグループと食べさせないグループの脳を摘出して切片を作った後、小膠細胞の特異的タンパク質であるIB-1に対する抗体と星状細胞の特異的タンパク質であるGFAPに対する抗体を用いて小膠細胞及び星状細胞の分布と増殖を分析した。
【0097】
脳の海馬(図8A-8B,図9A-9B)と前頭葉(図8C-8D、図9C-9D)の組織を観察したところ、ゴッシペチンを食べさせたマウスグループで小膠細胞及び星状細胞の過多活性、即ち、神経膠症が大きく減少することを確認することができた。
【0098】
実施例4:他の化合物とゴッシペチンのVRK2活性阻害効果の比較
退行性脳疾患の原因になるタンパク質の凝集を試験管の水準で抑制することが知られている他の化合物とゴッシペチンのVRK2活性抑制水準を比較した。
【0099】
具体的には、退行性脳疾患の原因であるAβ及びタウ・タンパク質の凝集を試験管の水準で有意に抑制することが知られているロスマリン酸(Rosmarinic acid)、そして、ラクモイド(Lacmoid)に対し、VRK2阻害活性をin vitro kinase assayで測定した。また、細胞にポリグルタミン(polyglutamine)タンパク質凝集を誘導しながら各化合物を処理して細胞内タンパク質凝集量の減少程度を蛍光顕微鏡で観察した。そして、細胞でタンパク質凝集が起こった総面積、タンパク質凝集の平均サイズ、薬物処理していない対照群に比べてタンパク質凝集阻害程度を表で示した。各化合物の細胞毒性についても確認した。
【0100】
VRK2の自己リン酸化活性を測定してみた結果、25μMの同一の濃度でゴッシペチンがVRK2の自己リン酸化活性を最も強力に阻害し、ロスマリン酸は非常に弱い阻害効果を奏し、ラクモイドはVRK2活性阻害の程度が微少であることを示した(図10)。
【0101】
また、各化合物は、細胞毒性をほぼ示さなかったが(図11C)、ゴッシペチンは細胞内タンパク質凝集を43%阻害した一方、他の化合物は細胞内タンパク質凝集を阻害しなかった(図11A-11B)。
【0102】
これを通じて、ゴッシペチンが細胞内で毒性を示さず、しかもタンパク質凝集を抑制する効果に最も優れていることを確認した。また、in vitro、即ち、試験管の水準でアルツハイマーの原因物質の一部を抑制する活性があるとしても、アルツハイマー原因物質の全部に対して活性を有することではないことを確認したところ、in vivo実験では効果が異なって示されることを予想した。
【0103】
実施例5:他の化合物とゴッシペチンのin vivo効果の比較
実施例4の化合物をアルツハイマーマウスモデルに投与し、実際の認知機能の改善に対する効果を確認した。
【0104】
実施例5-1:Y迷路実験を通じて確認したアルツハイマーの予防及び治療の効果
具体的には、アルツハイマー誘導マウスモデルである5xFADを用い、5xFADが8週齢になる時点から15週間ゴッシペチン(GSP)、ロスマリン酸、ラクモイドをそれぞれ10mg/kgで経口投与した後、Y迷路実験を行って認知機能を検討した。
【0105】
実験の結果、正常マウスに比べて5xFADマウスの遂行能力は顕著に低下し(図12A)、in vitroでAβ及びタウ・タンパク質の凝集を抑制することが知られている化合物であるラクモイド(図12B)又はロスマリン酸(図12C)の処理も、このような認知機能の低下を改善するのに全く寄与できなかった。しかし、ゴッシペチン投与は、行動変更水準をほぼ正常な水準に回復させ(図12D)、ゴッシペチン投与により認知機能が向上することを確認した。
【0106】
実施例5-2:水迷路実験を通じて確認したアルツハイマー予防及び治療の効果
具体的には、認知症誘導マウスである5xFADが8週齢になる時点から16週間ゴッシペチン(GSP)、ロスマリン酸、ラクモイドをそれぞれ10mg/kgで経口投与した後、水迷路実験を行って認知機能を検討した。水迷路実験は5日間水槽の水面下に置かれたプラットフォームを見出す訓練をさせた後、6日目にプラットフォームをなくした後、プラットフォームがあった位置をどのくらい記憶するかを確認した。
【0107】
実験の結果、正常マウスに比べて5xFADマウスの記憶能力は顕著に低下した(図13A)。また、in vitroでAβ及びタウ・タンパク質の凝集を抑制することが知られている化合物であるラクモイドとロスマリンを処理した場合、認知機能がむしろ何も投与していない場合より低下したり(図13B)、それほど回復できないことを確認した(図13C)。しかし、ゴッシペチン投与をした場合、正常マウスよりも優れた記憶能力を示すことが確認された(図13D)。
【0108】
これを通じて、in vitroで効果があることが知られている化合物であってもin vivo実験結果は異なって示されることを確認し、ゴッシペチンが認知機能の改善に非常に優れた効果があることを確認した。
【0109】
以上の説明から、本発明が属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施されうることが理解できるだろう。これに関連し、以上で記述した実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本発明の範囲は上記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導かれるあらゆる変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2022-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0091】
Y字迷路型実験の結果、ゴッシペチンを投与した5xFADアルツハイマー誘導マウスは、正常マウスと同様の程度に短期記憶力の改善がなされることを確認した(図3C)。また、モリス水迷路実験を通じて5xFADアルツハイマー誘導マウスが訓練によりプラットフォームの位置を記憶するかどうかを確認し、正常対照群と比較した。その結果、5xFADマウスは正常対照群に比べてプラットフォーム見出すのに長い時間がかかった。しかし、ゴッシペチン投与した5xFADマウスは、正常マウスのレベルで短時間内にプラットフォームを見出すことを確認した(図4)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0094
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0094】
実施例3:ゴッシペチンを処理したアルツハイマー誘導マウス脳組織の分析
実施例3-1:ゴッシペチンを処理したアルツハイマー誘導マウス脳の組織の分析
アルツハイマー誘導マウス(5xFAD)にゴッシペチンを食べさせたグループと食べさせないグループの脳を摘出して切片を作った後、免疫組織化学染色方法でAβアミロイド凝集体の生成程度を分析した。脳の海馬(図6A-6C)と前頭葉(図6D-6F)の組織を観察した時、ゴッシペチンを食べさせたマウスグループでAβアミロイド凝集体が大きく減少することを確認することができる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0107
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0107】
実験の結果、正常マウスに比べて5xFADマウスの記憶能力は顕著に低下した(図13A)。また、in vitroでAβ及びタウ・タンパク質の凝集を抑制することが知られている化合物であるラクモイドとロスマリンを5xFADマウスに処理した場合、認知機能がむしろ何も投与していない場合より低下したり(図13B)、それほど回復できないことを確認した(図13C)。しかし、ゴッシペチン投与をした場合、正常マウスよりも優れた記憶能力を示すことが確認された(図13D)。
【国際調査報告】