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特表2022-534594神経障害性疼痛の治療に用いるための置換4-[5-(ベンゾフラン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル]安息香酸化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-02
(54)【発明の名称】神経障害性疼痛の治療に用いるための置換4-[5-(ベンゾフラン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル]安息香酸化合物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4245 20060101AFI20220726BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20220726BHJP
   A61P 25/02 20060101ALI20220726BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220726BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220726BHJP
【FI】
A61K31/4245
A61P25/04 ZNA
A61P25/02
A61P25/00
A61P29/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570750
(86)(22)【出願日】2020-05-29
(85)【翻訳文提出日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 EP2020064969
(87)【国際公開番号】W WO2020239978
(87)【国際公開日】2020-12-03
(31)【優先権主張番号】1907647.0
(32)【優先日】2019-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.SPAN
(71)【出願人】
【識別番号】513200313
【氏名又は名称】キングス・カレッジ・ロンドン
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コルコラン,ジョナサン パトリック トーマス
(72)【発明者】
【氏名】デ カストロ ヴァスコンセロス ゴンサルヴェス,マリア ベアトリス
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC71
4C086GA02
4C086GA09
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA17
4C086MA52
4C086NA14
4C086ZA08
4C086ZA21
(57)【要約】
本発明は、一般に治療の分野に関する。より具体的には、本発明は、神経障害性疼痛の治療または予防の方法において使用するための、特定の置換4-[5-(ベンゾフラン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル]安息香酸化合物(本明細書ではBOBA化合物と総称)、及びそれらの化合物を含む医薬組成物に関連する。(式(A))
【化1】
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経障害性疼痛の治療又は予防方法における使用のための、以下の式の化合物、又はその薬学的に許容される塩、水和物、若しくは溶媒和物:
【化1】
(式中:
-RQ1は、独立して、-RQ1A、-RQ1B、又は-RQ1Cであり;
-RQ1Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ1Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ1Cは、-CF3であり;

-RQ2は、独立して、-RQ2A、-RQ2B、又は-RQ2Cであり;
-RQ2Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ2Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ2Cは、-CF3であり;

-RQ3は、独立して、-H、-RQ3A、-RQ3B、又は-RQ3Cであり;
-RQ3Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ3Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ3Cは、-CF3であり;

-RQ4は、独立して、-H、-RQ4A、-RQ4B、又は-RQ4Cであり;
-RQ4Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ4Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ4Cは、-CF3であり;

-RQ5は、独立して、-H、-RQ5A、-RQ5B、又は-RQ5Cであり;
-RQ5Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ5Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ5Cは、-CF3であり;

-RP1は、独立して、-H又は-RP1Xであり;
-RP1Xは、独立して、-RP1A、-RP1B、-RP1C、又は-RP1Dであり;
-RP1Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RP1Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RP1Cは、-CF3であり;
-RP1Dは、独立して、-NH2、-NHRP1DD、又は-NRP1DD 2であり;
-RP1DDは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;

-RP2は、独立して、-H又は-RP2Xであり;
-RP2Xは、独立して、-RP2A、-RP2B、-RP2C、又は-RP2Dであり;
-RP2Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RP2Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RP2Cは、-CF3であり;
-RP2Dは、独立して、-NH2、-NHRP2DD、又は-NRP2DD 2であり;
-RP2DDは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;

-RAは、独立して、-H又は-RAAであり;
-RAAは、独立して、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキル、フェニル、又はベンジルである)
あるいは、かかる化合物と、薬学的に許容される担体、希釈剤、若しくは賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項2】
神経障害性疼痛の治療又は予防のための医薬の製造における、以下の式の化合物、又はその薬学的に許容される塩、水和物、若しくは溶媒和物:
【化2】
(式中:
-RQ1は、独立して、-RQ1A、-RQ1B、又は-RQ1Cであり;
-RQ1Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ1Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ1Cは、-CF3であり;

-RQ2は、独立して、-RQ2A、-RQ2B、又は-RQ2Cであり;
-RQ2Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ2Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ2Cは、-CF3であり;

-RQ3は、独立して、-H、-RQ3A、-RQ3B、又は-RQ3Cであり;
-RQ3Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ3Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ3Cは、-CF3であり;

-RQ4は、独立して、-H、-RQ4A、-RQ4B、又は-RQ4Cであり;
-RQ4Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ4Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ4Cは、-CF3であり;

-RQ5は、独立して、-H、-RQ5A、-RQ5B、又は-RQ5Cであり;
-RQ5Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ5Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ5Cは、-CF3であり;

-RP1は、独立して、-H又は-RP1Xであり;
-RP1Xは、独立して、-RP1A、-RP1B、-RP1C、又は-RP1Dであり;
-RP1Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RP1Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RP1Cは、-CF3であり;
-RP1Dは、独立して、-NH2、-NHRP1DD、又は-NRP1DD 2であり;
-RP1DDは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;

-RP2は、独立して、-H又は-RP2Xであり;
-RP2Xは、独立して、-RP2A、-RP2B、-RP2C、又は-RP2Dであり;
-RP2Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RP2Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RP2Cは、-CF3であり;
-RP2Dは、独立して、-NH2、-NHRP2DD、又は-NRP2DD 2であり;
-RP2DDは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;

-RAは、独立して、-H又は-RAAであり;
-RAAは、独立して、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキル、フェニル、又はベンジルである)
の使用。
【請求項3】
神経障害性疼痛の治療又は予防方法であって、治療を必要とする患者に、治療有効量の、以下の式の化合物、又はその薬学的に許容される塩、水和物、若しくは溶媒和物:
【化3】
(式中:
-RQ1は、独立して、-RQ1A、-RQ1B、又は-RQ1Cであり;
-RQ1Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ1Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ1Cは、-CF3であり;

-RQ2は、独立して、-RQ2A、-RQ2B、又は-RQ2Cであり;
-RQ2Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ2Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ2Cは、-CF3であり;

-RQ3は、独立して、-H、-RQ3A、-RQ3B、又は-RQ3Cであり;
-RQ3Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ3Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ3Cは、-CF3であり;

-RQ4は、独立して、-H、-RQ4A、-RQ4B、又は-RQ4Cであり;
-RQ4Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ4Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ4Cは、-CF3であり;

-RQ5は、独立して、-H、-RQ5A、-RQ5B、又は-RQ5Cであり;
-RQ5Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ5Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ5Cは、-CF3であり;

-RP1は、独立して、-H又は-RP1Xであり;
-RP1Xは、独立して、-RP1A、-RP1B、-RP1C、又は-RP1Dであり;
-RP1Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RP1Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RP1Cは、-CF3であり;
-RP1Dは、独立して、-NH2、-NHRP1DD、又は-NRP1DD 2であり;
-RP1DDは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;

-RP2は、独立して、-H又は-RP2Xであり;
-RP2Xは、独立して、-RP2A、-RP2B、-RP2C、又は-RP2Dであり;
-RP2Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RP2Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RP2Cは、-CF3であり;
-RP2Dは、独立して、-NH2、-NHRP2DD、又は-NRP2DD 2であり;
-RP2DDは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;

-RAは、独立して、-H又は-RAAであり;
-RAAは、独立して、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキル、フェニル、又はベンジルである)
あるいは、かかる化合物と、薬学的に許容される担体、希釈剤、若しくは賦形剤とを含む医薬組成物
を投与することを含む、前記方法。
【請求項4】
神経障害性疼痛の治療又は予防方法における、以下の式の化合物、又はその薬学的に許容される塩、水和物、若しくは溶媒和物:
【化4】
(式中:
-RQ1は、独立して、-RQ1A、-RQ1B、又は-RQ1Cであり;
-RQ1Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ1Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ1Cは、-CF3であり;

-RQ2は、独立して、-RQ2A、-RQ2B、又は-RQ2Cであり;
-RQ2Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ2Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ2Cは、-CF3であり;

-RQ3は、独立して、-H、-RQ3A、-RQ3B、又は-RQ3Cであり;
-RQ3Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ3Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ3Cは、-CF3であり;

-RQ4は、独立して、-H、-RQ4A、-RQ4B、又は-RQ4Cであり;
-RQ4Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ4Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ4Cは、-CF3であり;

-RQ5は、独立して、-H、-RQ5A、-RQ5B、又は-RQ5Cであり;
-RQ5Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ5Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ5Cは、-CF3であり;

-RP1は、独立して、-H又は-RP1Xであり;
-RP1Xは、独立して、-RP1A、-RP1B、-RP1C、又は-RP1Dであり;
-RP1Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RP1Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RP1Cは、-CF3であり;
-RP1Dは、独立して、-NH2、-NHRP1DD、又は-NRP1DD 2であり;
-RP1DDは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;

-RP2は、独立して、-H又は-RP2Xであり;
-RP2Xは、独立して、-RP2A、-RP2B、-RP2C、又は-RP2Dであり;
-RP2Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RP2Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RP2Cは、-CF3であり;
-RP2Dは、独立して、-NH2、-NHRP2DD、又は-NRP2DD 2であり;
-RP2DDは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RAは、独立して、-H又は-RAAであり;
-RAAは、独立して、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキル、フェニル、又はベンジルである)
あるいは、かかる化合物と、薬学的に許容される担体、希釈剤、若しくは賦形剤とを含む医薬組成物
の使用。
【請求項5】
以下の式の化合物、又はその薬学的に許容される塩、水和物、若しくは溶媒和物:
【化5】
(式中:
-RQ1は、独立して、-RQ1A、-RQ1B、又は-RQ1Cであり;
-RQ1Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ1Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ1Cは、-CF3であり;

-RQ2は、独立して、-RQ2A、-RQ2B、又は-RQ2Cであり;
-RQ2Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ2Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ2Cは、-CF3であり;

-RQ3は、独立して、-H、-RQ3A、-RQ3B、又は-RQ3Cであり;
-RQ3Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ3Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ3Cは、-CF3であり;

-RQ4は、独立して、-H、-RQ4A、-RQ4B、又は-RQ4Cであり;
-RQ4Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ4Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ4Cは、-CF3であり;

-RQ5は、独立して、-H、-RQ5A、-RQ5B、又は-RQ5Cであり;
-RQ5Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ5Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ5Cは、-CF3であり;

-RP1は、独立して、-H又は-RP1Xであり;
-RP1Xは、独立して、-RP1A、-RP1B、-RP1C、又は-RP1Dであり;
-RP1Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RP1Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RP1Cは、-CF3であり;
-RP1Dは、独立して、-NH2、-NHRP1DD、又は-NRP1DD 2であり;
-RP1DDは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;

-RP2は、独立して、-H又は-RP2Xであり;
-RP2Xは、独立して、-RP2A、-RP2B、-RP2C、又は-RP2Dであり;
-RP2Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RP2Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RP2Cは、-CF3であり;
-RP2Dは、独立して、-NH2、-NHRP2DD、又は-NRP2DD 2であり;
-RP2DDは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;

-RAは、独立して、-H又は-RAAであり;
-RAAは、独立して、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキル、フェニル、又はベンジルである)
あるいは、かかる化合物と、薬学的に許容される担体、希釈剤、若しくは賦形剤とを含む医薬組成物、
及び神経障害性疼痛の治療又は予防のための使用のための使用説明書
を含むキット。
【請求項6】
-RQ1が-RQ1Aである、
請求項1に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2に記載の化合物の使用、
請求項3に記載の方法、
請求項4に記載の化合物又は医薬組成物の使用、又は
請求項5に記載のキット。
【請求項7】
-RQ1が-RQ1Bである、
請求項1に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2に記載の化合物の使用、
請求項3に記載の方法、
請求項4に記載の化合物又は医薬組成物の使用、又は
請求項5に記載のキット。
【請求項8】
-RQ1が-RQ1Cである、
請求項1に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2に記載の化合物の使用、
請求項3に記載の方法、
請求項4に記載の化合物又は医薬組成物の使用、又は
請求項5に記載のキット。
【請求項9】
-RQ2が-RQ2Aである、
請求項1及び6~8のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~8のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~8のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~8のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用
請求項5~8のいずれか1項に記載のキット。
【請求項10】
-RQ2が-RQ2Bである、
請求項1及び6~8のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~8のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~8のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~8のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用
請求項5~8のいずれか1項に記載のキット。
【請求項11】
-RQ2が-RQ2Cである、
請求項1及び6~8のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~8のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~8のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~8のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用
請求項5~8のいずれか1項に記載のキット。
【請求項12】
-RQ3が-Hである、
請求項1及び6~11のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~11のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~11のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~11のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~11のいずれか1項に記載のキット。
【請求項13】
-RQ4が-Hである、
請求項1及び6~12のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~12のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~12のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~12のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~12のいずれか1項に記載のキット。
【請求項14】
-RQ5が-Hである、
請求項1及び6~13のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~13のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~13のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~13のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~13のいずれか1項に記載のキット。
【請求項15】
-RQ5が-RQ5Aである、
請求項1及び6~13のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~13のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~13のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~13のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~13のいずれか1項に記載のキット。
【請求項16】
-RQ1Aが、存在する場合、-Meである、
請求項1及び6~15のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~15のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~15のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~15のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~15のいずれか1項に記載のキット。
【請求項17】
-RQ2Aが、存在する場合、-Meである、
請求項1及び6~16のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~16のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~16のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~16のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~16のいずれか1項に記載のキット。
【請求項18】
-RQ5Aが、存在する場合、-Meである、
請求項1及び6~17のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~17のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~17のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~17のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~17のいずれか1項に記載のキット。
【請求項19】
-RQ1Bが、存在する場合、-Fである、
請求項1及び6~18のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~18のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~18のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~18のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~18のいずれか1項に記載のキット。
【請求項20】
-RQ1Bが、存在する場合、-Clである、
請求項1及び6~18のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~18のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~18のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~18のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~18のいずれか1項に記載のキット。
【請求項21】
-RQ2Bが、存在する場合、-Fである、
請求項1及び6~20のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~20のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~20のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~20のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~20のいずれか1項に記載のキット。
【請求項22】
-RQ2Bが、存在する場合、-Clである、
請求項1及び6~20のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~20のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~20のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~20のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~20のいずれか1項に記載のキット。
【請求項23】
-RP1が-Hである、
請求項1及び6~22のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~22のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~22のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~22のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~22のいずれか1項に記載のキット。
【請求項24】
-RP1が-RP1Xである、
請求項1及び6~22のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~22のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~22のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~22のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~22のいずれか1項に記載のキット。
【請求項25】
-RP2が-Hである、
請求項1及び6~24のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~24のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~24のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~24のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~24のいずれか1項に記載のキット。
【請求項26】
-RP2が-RP2Xである、
請求項1及び6~24のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~24のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~24のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~24のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~24のいずれか1項に記載のキット。
【請求項27】
-RP1Xが、存在する場合、-RP1Aである、
請求項1及び6~26のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~26のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~26のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~26のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~26のいずれか1項に記載のキット。
【請求項28】
-RP1Xが、存在する場合、-RP1Bである、
請求項1及び6~26のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~26のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~26のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~26のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~26のいずれか1項に記載のキット。
【請求項29】
-RP1Xが、存在する場合、-RP1Cである、
請求項1及び6~26のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~26のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~26のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~26のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~26のいずれか1項に記載のキット。
【請求項30】
-RP2Xが、存在する場合、-RP2Aである、
請求項1及び6~29のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~29のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~29のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~29のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~29のいずれか1項に記載のキット。
【請求項31】
-RP2Xが、存在する場合、-RP2Bである、
請求項1及び6~29のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~29のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~29のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~29のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~29のいずれか1項に記載のキット。
【請求項32】
-RP2Xが、存在する場合、-RP2Cである、
請求項1及び6~29のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~29のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~29のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~29のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~29のいずれか1項に記載のキット。
【請求項33】
-RP1Aが、存在する場合、-Meである、
請求項1及び6~32のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~32のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~32のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~32のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~32のいずれか1項に記載のキット。
【請求項34】
-RP2Aが、存在する場合、-Meである、
請求項1及び6~33のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~33のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~33のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~33のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~33のいずれか1項に記載のキット。
【請求項35】
-RP1Bが、存在する場合、-Fである、
請求項1及び6~34のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~34のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~34のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~34のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~34のいずれか1項に記載のキット。
【請求項36】
-RP1Bが、存在する場合、-Clである、
請求項1及び6~34のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~34のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~34のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~34のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~34のいずれか1項に記載のキット。
【請求項37】
-RP2Bが、存在する場合、-Fである、
請求項1及び6~36のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~36のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~36のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~36のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~36のいずれか1項に記載のキット。
【請求項38】
-RP2Bが、存在する場合、-Clである、
請求項1及び6~36のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~36のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~36のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~36のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~36のいずれか1項に記載のキット。
【請求項39】
-RAが-Hである、
請求項1及び6~38のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~38のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~38のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~38のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~38のいずれか1項に記載のキット。
【請求項40】
化合物が、以下の式のうちの1つの化合物、又はその薬学的に許容される塩、水和物、若しくは溶媒和物:
【化6】
である、
請求項1に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2に記載の化合物の使用、
請求項3に記載の方法、
請求項4に記載の化合物又は医薬組成物の使用、あるいは
請求項5に記載のキット。
【請求項41】
化合物が、以下の式の化合物、又はその薬学的に許容される塩、水和物、若しくは溶媒和物:
【化7】
である、
請求項1に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2に記載の化合物の使用、
請求項3に記載の方法、
請求項4に記載の化合物又は医薬組成物の使用、あるいは
請求項5に記載のキット。
【請求項42】
神経障害性疼痛が、以下のもの:
末梢神経障害性疼痛;
中枢神経障害性疼痛;
慢性神経障害性疼痛;
難治性神経障害性疼痛;
代謝機能不全、例えば糖尿病及び前糖尿病などに伴う神経障害性疼痛;
糖尿病に伴う神経障害性疼痛;
前糖尿病に伴う神経障害性疼痛;
有痛性多発神経障害に伴う神経障害性疼痛;
有痛性糖尿病性神経障害、例えば糖尿病性末梢神経障害などに伴う神経障害性疼痛;
有痛性糖尿病性多発神経障害に伴う神経障害性疼痛;
ヘルペス後神経痛に伴う神経障害性疼痛;
三叉神経性神経痛に伴う神経障害性疼痛;
後頭部神経痛に伴う神経障害性疼痛;
有痛性神経根障害、例えば腰椎及び頸椎有痛性神経根障害などに伴う神経障害性疼痛;
感染性疾患、例えば、帯状ヘルペス(帯状疱疹)、HIV感染症、ライム病、ジフテリア及びハンセン病などに伴う神経障害性疼痛;
肝障害又は腎障害、例えば慢性肝障害又は腎障害など、例えば肝疾患、肝不全、腎疾患、及び腎不全などに伴う神経障害性疼痛;
免疫障害又は炎症性障害、例えばギランバレー症候群、関節リウマチ、ループス、シェーグレン症候群、及びセリアック病などに伴う神経障害性疼痛;
遺伝性神経障害又はチャネル病、例えば遺伝性肢端紅痛症、発作性激痛症、及びシャルコー・マリー・トゥース病(CMT)などに伴う神経障害性疼痛;
小径線維感覚神経障害に伴う神経障害性疼痛;
甲状腺ホルモン障害、例えば甲状腺機能低下症などに伴う神経障害性疼痛;
脳卒中に伴う神経障害性疼痛;
がん、例えばリンパ腫及び多発性骨髄腫などに伴う神経障害性疼痛;
化学療法、例えば、がん化学療法に伴う神経障害性疼痛;
末梢神経損傷疼痛に伴う神経障害性疼痛;
外傷後の神経損傷に伴う神経障害性疼痛;
外傷後神経障害に伴う神経障害性疼痛;
脊髄損傷、例えば外傷、例えば交通事故により引き起こされる脊髄損傷などに伴う神経障害性疼痛;
外傷性末梢神経損傷に伴う神経障害性疼痛;
手術後神経障害に伴う神経障害性疼痛(例えば、手術後神経障害性疼痛);
手術後の神経障害性疼痛、例えば神経手術、例えば脊髄手術などの後の神経障害性疼痛など;
線維筋痛に伴う神経障害性疼痛;
腰痛に伴う神経障害性疼痛;
手根管症候群に伴う神経障害性疼痛;
灼熱痛に伴う神経障害性疼痛;
反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)に伴う神経障害性疼痛;
複合性局所疼痛症候群(CRPS)、例えば1型及び2型などに伴う神経障害性疼痛;
切断術に伴う神経障害性疼痛;
神経変性疾患、例えばパーキンソン病に伴う神経障害性疼痛;
脳卒中に伴う神経障害性疼痛、例えば中枢性脳卒中後疼痛など;
脊髄空洞症に伴う神経障害性疼痛;
脱髄疾患、例えば多発性硬化症、横断性脊髄炎、及び視神経脊髄炎などに伴う神経障害性疼痛;又は
特発性神経障害性疼痛
である、
請求項1及び6~41のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~41のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~41のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~41のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~41のいずれか1項に記載のキット。
【請求項43】
神経障害性疼痛が、以下のもの:
代謝機能不全、例えば糖尿病及び前糖尿病などに伴う神経障害性疼痛;
糖尿病に伴う神経障害性疼痛;
前糖尿病に伴う神経障害性疼痛;
有痛性糖尿病性神経障害、例えば糖尿病性末梢神経障害などに伴う神経障害性疼痛;又は
有痛性糖尿病性多発神経障害に伴う神経障害性疼痛
である、
請求項1及び6~41のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~41のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~41のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~41のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~41のいずれか1項に記載のキット。
【請求項44】
神経障害性疼痛が、ヘルペス後神経痛に伴う神経障害性疼痛である、
請求項1及び6~41のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~41のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~41のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~41のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~41のいずれか1項に記載のキット。
【請求項45】
神経障害性疼痛が、以下のもの:
末梢神経損傷疼痛に伴う神経障害性疼痛;
外傷後の神経損傷に伴う神経障害性疼痛;
外傷後神経障害に伴う神経障害性疼痛;
脊髄損傷、例えば外傷、例えば交通事故により引き起こされる脊髄損傷などに伴う神経障害性疼痛;
外傷性末梢神経損傷に伴う神経障害性疼痛;
手術後神経障害に伴う神経障害性疼痛(例えば、手術後神経障害性疼痛);又は
手術後の神経障害性疼痛、例えば神経手術、例えば脊髄手術などの後の神経障害性疼痛など
である、
請求項1及び6~41のいずれか1項に記載の使用のための化合物又は医薬組成物、
請求項2及び6~41のいずれか1項に記載の化合物の使用、
請求項3及び6~41のいずれか1項に記載の方法、
請求項4及び6~41のいずれか1項に記載の化合物又は医薬組成物の使用、
請求項5~41のいずれか1項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2019年5月30日出願の英国特許出願番号第1907647.0号に関し、その内容は全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に治療の分野に関する。より具体的には、本発明は、神経障害性疼痛の治療又は予防の方法において使用するための、特定の置換4-[5-(ベンゾフラン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル]安息香酸化合物(ここではBOBA化合物と総称)、及びそれらの化合物を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
本発明及び本発明の属する技術分野の技術水準をより完全に記載及び開示するために、本明細書中で多数の刊行物が引用される。これらの刊行物はそれぞれ、各個別の刊行物が参照により組み込まれるよう具体的且つ個別に示されたかのような同じ程度まで、その全体が本明細書中で参照により本開示へと組み込まれる。
【0004】
本明細書全体を通して、後続の特許請求の範囲を含め、文脈が別段に必要としない限り、単語「含む(comprise)」という語並びに「含む(comprises)」及び「含んでいる(comprising)」などの変化形は、記載された整数若しくはステップ又は整数若しくはステップの群の包含を意味するが、任意の他の整数若しくはステップ又は整数若しくはステップの群の排除を意味するものではないことが理解されるであろう。
【0005】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、文脈が明確に別段に指示しない限り、「a」、「an」、及び「the」という単数形は、複数の指示対象を包含することに留意しなければならない。従って、例えば「医薬担体」との言及は、2種以上のかかる担体の混合物などを包含する。
【0006】
本明細書中で、多くの場合、範囲は、「約」1つの特定の値から及び/又は「約」別の特定の値までとして表現される。このような範囲が表現される場合、別の実施形態は、その1つの特定の値から及び/又はその他の特定の値までを含む。同様に、値が近似値として表される場合、「約」という先行詞の使用により、特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるであろう。
【0007】
本開示は、本発明を理解する上で有用であり得る情報を包含する。これは、本明細書中で提供される情報がいずれも、先行技術であること、若しくは本明細書で請求される発明に関連しているということを認めることでもなく、又は具体的に又は暗示的に言及される刊行物がいずれも先行技術であるということを認めることでもない。
【0008】
(神経障害性疼痛)
神経障害性疼痛は、体性感覚神経系の病変又は疾患に続発する慢性病態であり、母集団の7~10%に影響を及ぼす(例えば、Colloca et al., 2017を参照)。
【0009】
慢性疼痛集団において、神経障害性疼痛は、例えば、帯状疱疹後神経痛、有痛性糖尿病性多発神経障害、手術後神経障害性疼痛、多発性硬化症、脊髄損傷、脳卒中、及びがんにおいて見られる(例えば、Colloca et al., 2017を参照)。臨床的に最も重要な有痛性一般化末梢神経障害としては、例えば、糖尿病、前糖尿病、及び他の代謝機能不全;感染性疾患(主にHIV感染症及びハンセン病);化学療法;免疫障害及び炎症性障害(例えば、ギランバレー症候群);遺伝性神経障害及びチャネル病(例えば、遺伝性肢端紅痛症、血管が偶発性に遮断され、その後充血して炎症する障害;例えば、Colloca et al., 2017を参照)に伴うものが挙げられる。
【0010】
神経障害性疼痛には、2つの主な特徴が存在する:(1) 痛覚過敏 - 通常は疼痛を誘発する刺激に由来する疼痛の増加;及び(2) 異痛 - 通常は疼痛を引き起こさない刺激に起因する疼痛(例えば、Jensen et al., 2014参照)。
【0011】
これらの特徴の発生には少なくとも2つの異なる態様が存在すると考えられる:(a) 自然発火の可能性を含む末梢侵害受容器の閾値の変化を伴う末梢感作、及び(b) 痛覚を伝える中枢シナプスにおいて、特に脊髄の後角において反応性の変化が存在する中枢性感作。
【0012】
中枢性感作の重要性、及び中枢性感作がその維持について末梢的に感作された入力に依存しているか否かについては、依然として議論がある(例えば、Meacham et al., 2017参照)。それでもなお、Aβ機械受容器線維の活性化が疼痛を引き起こす機械的異痛の発生は、むしろその軽減よりも明らかな中枢性変化の証拠であり、その一部は後角における脳由来神経栄養因子(BDNF)の放出に起因する。これは2つの効果を引き起こすと考えられる:(1) 機械受容性入力が、GABA逆転電位(EGABA)のシフトにより、痛覚を伝える神経細胞に対して阻害性ではなく興奮性である;及び(2) 侵害求心性線維に対するシナプス前抑制の効果の低減(例えば、Chen et al., 2014参照)。
【0013】
これらの結果に従うと、BDNFの単回髄腔内注射は48日間の疼痛をもたらすが、その後解消し(例えば、Constandil et al., 2011参照)、したがって、永久ではないが長時間持続する中枢性変化が存在することを示唆している。
【0014】
(神経障害性疼痛の治療)
神経障害性疼痛は、一般的に、三環系抗鬱薬(例えば、アミトリプチリン、ノルトリプチリン、デシプラミン)により、又は特定の抗てんかん薬(例えば、パロキセチン及びシタロプラムなどの選択的セロトニン再取り込み阻害剤;ベンラファキシン、ブプロピオン)によって管理される。抗発作治療薬(例えば、カルバマゼピン、フェニトイン、ガパペンチン、プレガバリン、ラモトリギン)もまた、神経障害性疼痛の有効な治療薬であり得る。
【0015】
神経障害性疼痛は、トラマドール塩酸塩、モルヒネ、及びオキシコドン塩酸塩などのオピオイド鎮痛薬に応答し得る。
【0016】
経口薬を摂取することができない限局性疼痛を有する患者は、多くの場合はパッチ形態又はゲル/クリーム形態の、リドカイン及びカプサイシンなどの局所限局性麻酔調製物から利益を得ることができる。
【0017】
脊髄刺激による神経調節は、一部の患者には有効であり得る。慢性神経障害性疼痛を有する多くの患者は、集学的管理、例えば理学療法及び心理的支援などを必要とする。
【0018】
(神経障害性疼痛(NP)の新規な治療法)
先に出願人は、様々なビシクロヘテロアリール-ヘテロアリール-安息香酸化合物が、レチノイン酸受容体ベータ(RARβ)アゴニストとして作用し、また神経損傷のモデルにおいて軸索伸長を引き起こすことを示した。例えば、Borthwick et al., 2016を参照。
【0019】
神経細胞が互いにコミュニケーションをとるためには、これらの細胞はシナプスを形成する必要がある。しかし、他の軸索伸長分子又は介入を用いた他の研究からは、正確なシナプス接続が形成されるであろうという証拠は得られていない。従って、軸索伸長を引き起こす化合物による治療(例えば、Borthwick et al., 2016に記載される治療)は、偶発的な様式で形成され、且つ誤接続を有するシナプスをもたらすことが予想される。疼痛を引き起こすのは、これらの誤接続である。疼痛は、脳内の炎症細胞、例えばシナプスの構造及び機能を調節するミクログリア及びアストロサイトに起因する可能性がある。
【0020】
出願人は本発明において、驚くべきことに且つ予想外に、軸索伸長を引き起こす特定の化合物(Borthwick et al., 2016に記載されている)は、神経障害性疼痛の治療及び予防に使用することが可能であり、炎症経路をダウンレギュレートすることによりこの治療及び予防を行い得ることを示した。
【0021】
本明細書中に記載されるとおり、BOBA-001は、ラットにおける神経障害性疼痛を予防し;BOBA-001は、熱的閾値及び機械的閾値を調節し、鍵となる炎症メディエーター及び疼痛メディエーターをダウンレギュレートする。
【0022】
従って、BOBA-001、並びに本明細書中に記載される他のBOBA化合物は、神経障害性疼痛の治療及び予防のために有用である可能性が高い。このことは、BOBA-001並びに本明細書中に記載される他のBOBA化合物も軸索伸長を引き起こすため、驚くべきであり且つ予想外である。
【0023】
(公知化合物)
Borthwick et al., 2016は、特定のビシクロヘテロアリール-ヘテロアリール-安息香酸(BHBA)化合物、RARβ2(例えば、RARβ2)の(選択的)活性化におけるそれらの活性、及びRARβ(例えば、RARβ2)により媒介される疾患及び症状(例えば脊髄損傷などの神経損傷を含む)の治療におけるそれらの使用について記載している。それらの文献中で提供される例の中に「BHBA-001」~「BHBA-020」と呼ばれる特定の置換4-[5-(ベンゾフラン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル]安息香酸化合物がある。
【0024】
Borthwick et al., 2017は、当該文献中で「BHBA-001」と呼ばれる特定の結晶形態の4-(5-(4,7-ジメチルベンゾフラン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)安息香酸の調製及び特性決定について記載している。
【0025】
Chiang et al., 2008は、神経障害性疼痛は、レチノイン酸受容体(RAR)アゴニスト(例えば、RARα、RARβ等のいずれのサブタイプであるかは特定されていない)により治療することができる、と主張する。この文献は、単に2つのクラスの化合物(1つはタザロテンをベースとし、1つはR-667をベースとする)に言及しているに過ぎず、これらは(それぞれ乾癬及び気腫の治療のための)臨床試験研究を受けた。上記文献は、これらの化合物が、神経障害性疼痛を含む疼痛の治療にも使用し得ると主張する。この文献は、裏付けのデータは提供しておらず、それどころか未だ実施されていない研究に言及している(例えば、当該文献中の第14頁、第11~12行を参照されたい;「R-667及びタザロテンの活性は、以下のプロトコルを有するSNLモデルにおいて示されるであろう」)。
【発明の概要】
【0026】
発明の概要
本発明は、本明細書中に記載される神経障害性疼痛の治療又は予防のために有用な、本明細書中に記載される特定の置換4-[5-(ベンゾフラン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル]安息香酸化合物(本明細書中でBOBA化合物と総称される)及びそれらの化合物を含む医薬組成物に関する。
【0027】
本発明の一態様は、神経障害性疼痛の治療又は予防方法における使用のための、本明細書中に記載されるBOBA化合物、又は本明細書中に記載されるBOBA化合物を含む医薬組成物に関する。
【0028】
本発明の別の態様は、神経障害性疼痛の治療又は予防のための医薬の製造における本明細書中に記載されるBOBA化合物の使用に関する。
【0029】
本発明の別の態様は、治療を必要とする患者に、治療有効量の本明細書中に記載されるBOBA化合物又は本明細書中に記載されるBOBA化合物を含む医薬組成物を投与することを含む、神経障害性疼痛の治療又は予防方法に関する。
【0030】
本発明の別の態様は、神経障害性疼痛の治療又は予防における、本明細書中に記載されるBOBA化合物又は本明細書中に記載されるBOBA化合物を含む医薬組成物の使用に関する。
【0031】
本発明の別の態様は、(a) 本明細書中に記載されるBOBA化合物、又は本明細書中に記載されるBOBA化合物を含む組成物、例えば、好ましくは好適な容器中に、及び/又は好適なパッケージングと共に提供されるもの;及び(b) 使用のための使用説明書、例えば神経障害性疼痛の治療又は予防のための本化合物又は組成物の投与方法についての文書の使用説明書を含むキットに関する。
【0032】
一実施形態において、BOBA化合物又はBOBA化合物を含む医薬組成物は、例えば経口投与により、経口医薬等を経口的に投与することによって、経口投与される。
【0033】
当業者であれば理解されるように、本発明の一態様の特徴及び好ましい実施形態は、本発明の他の態様にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】(a) プラセボによる処置、末梢神経損傷と同側(白丸);(b) プラセボによる処置、末梢神経損傷の反対側(白ひし形);(c) BOBA-001による処置、末梢神経損傷と同側(黒丸);(d) BOBA-001による処置、末梢神経損傷の反対側(黒ひし形)についての、手術後の時間(日数)に対する機械的足逃避閾値(グラム)のグラフである。データは、平均±標準誤差(SEM)として報告される;1群当たり8匹の動物(n=8);2元配置反復測定分散分析(2-way repeated measures ANOVA):**p≦0.01;***p≦0.001。
図2】(a) プラセボによる処置、末梢神経損傷と同側(白丸);(b) プラセボによる処置、末梢神経損傷の反対側(白ひし形);(c) BOBA-001による処置、末梢神経損傷と同側(黒丸);(d) BOBA-001による処置、末梢神経損傷の反対側(黒ひし形)についての、手術後の時間(日数)に対するホットプレート足逃避(秒)のグラフである。データは、平均±標準誤差(SEM)として報告される;1群当たり8匹の動物(n=8);2元配置反復測定分散分析:**p≦0.01;***p≦0.001。
図3】(a) プラセボによる処置、末梢神経損傷と同側(白丸);(b) プラセボ、末梢神経損傷の反対側(白ひし形);(c) BOBA-001による処置、末梢神経損傷と同側(黒丸);(d) BOBA-001による処置、末梢神経損傷の反対側(黒ひし形)についての、手術後の時間(日数)に対するコールドプレート足逃避(秒)のグラフである。データは、平均±標準誤差(SEM)として報告される;1群当たり8匹の動物(n=8);2元配置反復測定分散分析:**p≦0.01;***p≦0.001。
図4】(a) プラセボによる処置、末梢神経損傷と同側(白丸);(b) プラセボ、末梢神経損傷の反対側(白ひし形);(c) BOBA-001による処置、末梢神経損傷と同側(黒丸);(d) BOBA-001による処置、末梢神経損傷の反対側(黒ひし形)についての、手術後の時間(日数)に対するランダルセリット(Randall Sellito)足逃避閾値(グラム)のグラフである。データは、平均±標準誤差(SEM)として報告される;1群当たり8匹の動物(n=8);2元配置反復測定分散分析:**p≦0.01;***p≦0.001。
図5】(a) プラセボで処置したラット及び(b) BOBA-001で処置したラットについての、末梢神経損傷と同側の後角におけるTNFα:GAPDH発現比を示す棒グラフである。1群当たり3匹の動物(n=3)。データは、平均±標準誤差(SEM)として報告される;スチューデントのt検定:**p≦0.01、***p≦0.001。
図6】(a) プラセボで処置したラット及び(b) BOBA-001で処置したラットについての、末梢神経損傷と同側の後角におけるTNFR1:GAPDH発現比を示す棒グラフである。1群当たり3匹の動物(n=3)。データは、平均±標準誤差(SEM)として報告される;スチューデントのt検定:**p≦0.01、***p≦0.001。
図7】(a) プラセボで処置したラット及び(b) BOBA-001で処置したラットについての、末梢神経損傷と同側の後角におけるBDNFレベル(任意単位)を示す棒グラフである。1群当たり3匹の動物(n=3)から得られた、1つの分析対象の損傷脊髄当たり5つの連続切片。データは、平均±標準誤差(SEM)として報告される;スチューデントのt検定:**p≦0.01、***p≦0.001。
【発明を実施するための形態】
【0035】
発明の詳細な説明
化合物
本発明は、本明細書中に記載される神経障害性疼痛の治療又は予防のために有用な特定の化合物及びそれらの化合物を含む医薬組成物に関する。
【0036】
上記化合物は、以下に示される4-[5-(ベンゾフラン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル]安息香酸:
【0037】
【化1】
に関する。
【0038】
従って、本化合物は、-RQ1、-RQ2、-RQ3、-RQ4、-RQ5、-RP1、-RP2、-及び、-RAが以下に定義されるとおりである、以下の式の化合物、及びその薬学的に許容される塩、水和物、及び溶媒和物である(便宜上、本明細書中では「ベンゾフラニル-オキサジアゾリル-安息香酸化合物」すなわち「BOBA化合物」と総称される):
【0039】
【化2】
【0040】
本発明の一部の実施形態において、本化合物は、 以下のとおりに定義される:
【0041】
(1) 以下の式の化合物、又はその薬学的に許容される塩、水和物、若しくは溶媒和物:
【0042】
【化3】
(式中:
-RQ1は、独立して、-RQ1A、-RQ1B、又は-RQ1Cであり;
-RQ1Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ1Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ1Cは、-CF3であり;

-RQ2は、独立して、-RQ2A、-RQ2B、又は-RQ2Cであり;
-RQ2Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ2Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ2Cは、-CF3であり;

-RQ3は、独立して、-H、-RQ3A、-RQ3B、又は-RQ3Cであり;
-RQ3Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ3Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ3Cは、-CF3であり;

-RQ4は、独立して、-H、-RQ4A、-RQ4B、又は-RQ4Cであり;
-RQ4Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ4Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ4Cは、-CF3であり;

-RQ5は、独立して、-H、-RQ5A、-RQ5B、又は-RQ5Cであり;
-RQ5Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RQ5Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RQ5Cは、-CF3であり;

-RP1は、独立して、-H又は-RP1Xであり;
-RP1Xは、独立して、-RP1A、-RP1B、-RP1C、又は-RP1Dであり;
-RP1Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RP1Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RP1Cは、-CF3であり;
-RP1Dは、独立して、-NH2、-NHRP1DD、又は-NRP1DD 2であり;
-RP1DDは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RP2は、独立して、-H又は-RP2Xであり;
-RP2Xは、独立して、-RP2A、-RP2B、-RP2C、又は-RP2Dであり;
-RP2Aは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;
-RP2Bは、独立して、-F、-Cl、-Br、又は-Iであり;
-RP2Cは、-CF3であり;
-RP2Dは、独立して、-NH2、-NHRP2DD、又は-NRP2DD 2であり;
-RP2DDは、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルであり;

-RAは、独立して、-H又は-RAAであり;
-RAAは、独立して、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキル、フェニル、又はベンジルである。
【0043】
用語「飽和直鎖又は分岐鎖C1-3アルキル」は、-CH3(メチル、-Me)、-CH2CH3(エチル、-Et)、-CH2CH2CH3(n-プロピル、-nPr)、及び-CH(CH3)2(イソ-プロピル、-iPr)を意味する。
【0044】
用語「飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキル」はさらに、-CH2CH2CH2CH3(n-ブチル、-nBu)、-CH2CH(CH3)2(イソ-ブチル、-iBu)、-CH(CH3)CH2CH3(sec-ブチル、-sBu)、及び-CH(CH3)3(tert-ブチル、-tBu)を包含する。
【0045】
疑義を回避するため、-RQ1、-RQ2、-RQ3、-RQ4、-RQ5、-RP1、RP2、及び-RAの任意の2つ以上が一緒になって、それらが結合する環(1つ又は複数)に縮合する環を形成することは意図されない。例えば、-RP1及び-RP2が一緒になって、それらが結合する環に縮合する環を形成することは意図されない。同様に、-RQ1及び-RQ3が一緒になってそれらが結合する環に縮合する環を形成することは意図されない。
【0046】
基-RQ1
(2) -RQ1が-RQ1Aである、(1)による化合物。
(3) -RQ1が-RQ1Bである、(1)による化合物。
(4) -RQ1が-RQ1Cである、(1)による化合物。
【0047】
基-RQ2
(5) -RQ2が-RQ2Aである、(1)~(4)のいずれか1つによる化合物。
(6) -RQ2が-RQ2Bである、(1)~(4)のいずれか1つによる化合物。
(7) -RQ2が-RQ2Cである、(1)~(4)のいずれか1つによる化合物。
【0048】
基-RQ3
(8) -RQ3が-Hである、(1)~(7)のいずれか1つによる化合物。
(9) -RQ3が-RQ3Aである、(1)~(7)のいずれか1つによる化合物。
(10) -RQ3が-RQ3Bである、(1)~(7)のいずれか1つによる化合物。
(11) -RQ3が-RQ3Cである、(1)~(7)のいずれか1つによる化合物。
【0049】
基-RQ4
(12) -RQ4が-Hである、(1)~(11)のいずれか1つによる化合物。
(13) -RQ4が-RQ4Aである、(1)~(11)のいずれか1つによる化合物。
(14) -RQ4が-RQ4Bである、(1)~(11)のいずれか1つによる化合物。
(15) -RQ4が-RQ4Cである、(1)~(11)のいずれか1つによる化合物。
【0050】
基-RQ5
(16) -RQ5が-Hである、(1)~(15)のいずれか1つによる化合物。
(17) -RQ5が-RQ5Aである、(1)~(15)のいずれか1つによる化合物。
(18) -RQ5が-RQ5Bである、(1)~(15)のいずれか1つによる化合物。
(19) -RQ5が-RQ5Cである、(1)~(15)のいずれか1つによる化合物。
【0051】
基-RQ1A
(20) -RQ1Aが、存在する場合、飽和直鎖又は分岐鎖C1-3アルキルである、(1)~(19)のいずれか1つによる化合物。
(21) -RQ1Aが、存在する場合、-Meである、(1)~(19)のいずれか1つによる化合物。
【0052】
基-RQ2A
(22) -RQ2Aが、存在する場合、飽和直鎖又は分岐鎖C1-3アルキルである、(1)~(21)のいずれか1つによる化合物。
(23) -RQ2Aが、存在する場合、-Meである、(1)~(21)のいずれか1つによる化合物。
【0053】
基-RQ3A
(24) -RQ3Aが、存在する場合、飽和直鎖又は分岐鎖C1-3アルキルである、(1)~(23)のいずれか1つによる化合物。
(25) -RQ3Aが、存在する場合、-Meである、(1)~(23)のいずれか1つによる化合物。
【0054】
基-RQ4A
(26) -RQ4Aが、存在する場合、飽和直鎖又は分岐鎖C1-3アルキルである、(1)~(25)のいずれか1つによる化合物。
(27) -RQ4Aが、存在する場合、-Meである、(1)~(25)のいずれか1つによる化合物。
【0055】
基-RQ5A
(28) -RQ5Aが、存在する場合、飽和直鎖又は分岐鎖C1-3アルキルである、(1)~(27)のいずれか1つによる化合物。
(29) -RQ5Aが、存在する場合、-Meである、(1)~(27)のいずれか1つによる化合物。
【0056】
基-RQ1B
(30) -RQ1Bが、存在する場合、独立して-F又は-Clである、(1)~(29)のいずれか1つによる化合物。
(31) -RQ1Bが、存在する場合、-Fである、(1)~(29)のいずれか1つによる化合物。
(32) -RQ1Bが、存在する場合、-Clである、(1)~(29)のいずれか1つによる化合物。
【0057】
基-RQ2B
(33) -RQ2Bが、存在する場合、独立して-F又は-Clである、(1)~(32)のいずれか1つによる化合物。
(34) -RQ2Bが、存在する場合、-Fである、(1)~(32)のいずれか1つによる化合物。
(35) -RQ2Bが、存在する場合、-Clである、(1)~(32)のいずれか1つによる化合物。
【0058】
基-RQ3B
(36) -RQ3Bが、存在する場合、独立して-F又は-Clである、(1)~(35)のいずれか1つによる化合物。
(37) -RQ3Bが、存在する場合、-Fである、(1)~(35)のいずれか1つによる化合物。
(38) -RQ3Bが、存在する場合、-Clである、(1)~(35)のいずれか1つによる化合物。
【0059】
基-RQ4B
(39) -RQ4Bが、存在する場合、独立して-F又は-Clである、(1)~(38)のいずれか1つによる化合物。
(40) -RQ4Bが、存在する場合、-Fである、(1)~(38)のいずれか1つによる化合物。
(41) -RQ4Bが、存在する場合、-Clである、(1)~(38)のいずれか1つによる化合物。
【0060】
基-RQ5B
(42) -RQ5Bが、存在する場合、独立して-F又は-Clである、(1)~(42)のいずれか1つによる化合物。
(43) -RQ5Bが、存在する場合、-Fである、(1)~(42)のいずれか1つによる化合物。
(44) -RQ5Bが、存在する場合、-Clである、(1)~(42)のいずれか1つによる化合物。
【0061】
基-RP1
(45) -RP1が-Hである、(1)~(44)のいずれか1つによる化合物。
(46) -RP1が-RP1Xである、(1)~(44)のいずれか1つによる化合物。
【0062】
基-RP2
(47) -RP2が-Hである、(1)~(46)のいずれか1つによる化合物。
(48) -RP2が-RP2Xである、(1)~(46)のいずれか1つによる化合物。
【0063】
基-RP1X
(49) -RP1Xが、存在する場合、独立して-RP1A、-RP1B、又は-RP1Cである、(1)~(48)のいずれか1つによる化合物。
(50) -RP1Xが、存在する場合、-RP1Aである、(1)~(48)のいずれか1つによる化合物。
(51) -RP1Xが、存在する場合、-RP1Bである、(1)~(48)のいずれか1つによる化合物。
(52) -RP1Xが、存在する場合、-RP1Cである、(1)~(48)のいずれか1つによる化合物。
【0064】
基-RP2X
(53) -RP2Xが、存在する場合、独立して-RP2A、-RP2B、又は-RP2Cである、(1)~(52)のいずれか1つによる化合物。
(54) -RP2Xが、存在する場合、-RP2Aである、(1)~(52)のいずれか1つによる化合物。
(55) -RP2Xが、存在する場合、-RP2Bである、(1)~(52)のいずれか1つによる化合物。
(56) -RP2Xが、存在する場合、-RP2Cである、(1)~(52)のいずれか1つによる化合物。
【0065】
基-RP1A
(57) -RP1Aが、存在する場合、飽和直鎖又は分岐鎖C1-3アルキルである、(1)~(56)のいずれか1つによる化合物。
(58) -RP1Aが、存在する場合、-Meである、(1)~(56)のいずれか1つによる化合物。
【0066】
基-RP2A
(59) -RP2Aが、存在する場合、飽和直鎖又は分岐鎖C1-3アルキルである、(1)~(58)のいずれか1つによる化合物。
(60) -RP2Aが、存在する場合、-Meである、(1)~(58)のいずれか1つによる化合物。
【0067】
基-RP1B
(61) -RP1Bが、存在する場合、独立して-F、-Cl、又は-Brである、(1)~(60)のいずれか1つによる化合物。
(62) -RP1Bが、存在する場合、独立して-F又は-Clである、(1)~(60)のいずれか1つによる化合物。
(63) -RP1Bが、存在する場合、-Fである、(1)~(60)のいずれか1つによる化合物。
(64) -RP1Bが、存在する場合、-Clである、(1)~(60)のいずれか1つによる化合物。
【0068】
基-RP2B
(65) -RP2Bが、存在する場合、独立して-F、-Cl、又は-Brである、(1)~(64)のいずれか1つによる化合物。
(66) -RP2Bが、存在する場合、独立して-F又は-Clである、(1)~(64)のいずれか1つによる化合物。
(67) -RP2Bが、存在する場合、-Fである、(1)~(64)のいずれか1つによる化合物。
(68) -RP2Bが、存在する場合、-Clである、(1)~(64)のいずれか1つによる化合物。
【0069】
基-RP1D
(69) -RP1Dが、存在する場合、-NH2である、(1)~(68)のいずれか1つによる化合物。
【0070】
基-RP2D
(70) -RP2Dが、存在する場合、-NH2である、(1)~(69)のいずれか1つによる化合物。
【0071】
基-RP1DD
(71) -RP1DDが、存在する場合、飽和直鎖又は分岐鎖C1-3アルキルである、(1)~(70)のいずれか1つによる化合物。
(72) -RP1DDが、存在する場合、-Meである、(1)~(70)のいずれか1つによる化合物。
【0072】
基-RP2DD
(73) -RP2DDが、存在する場合、飽和直鎖又は分岐鎖C1-3アルキルである、(1)~(72)のいずれか1つによる化合物。
(74) -RP2DDが、存在する場合、-Meである、(1)~(72)のいずれか1つによる化合物。
【0073】
基-RA
(75) -RAが-Hである、(1)~(74)のいずれか1つによる化合物。
(76) -RAが-RAAである、(1)~(74)のいずれか1つによる化合物。
【0074】
基-RAA
(77) -RAAが、存在する場合、飽和直鎖又は分岐鎖C1-4アルキルである、(1)~(76)のいずれか1つによる化合物。
【0075】
(幾つかの好ましい化合物)
(78)以下の式の1つで表される化合物、又はその製薬上許容される塩、水和物若しくは溶媒和物である、(1)に記載の化合物:
【0076】
【表1】
【0077】
(79)以下の式の化合物、又はその製薬上許容される塩、水和物若しくは溶媒和物である、(1)に記載の化合物:
【0078】
【表2】
【0079】
(組み合わせ)
明確性のため、別々の実施形態の文脈において記載される本発明の特定の特徴は、単一の実施形態として組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔性のため、単一の実施形態の文脈において記載される本発明の様々な特徴もまた、別々に提供されてもよく、又は任意の好適な副組み合わせとして提供されてもよい。可変要素(例えば、-RQ1、-RQ1A、-RQ1B、-RQ1C、-RQ2、-RQ2A、-RQ2B、-RQ2C、-RQ3、-RQ3A、-RQ3B、-RQ3C、-RQ4、-RQ4A、-RQ4B、-RQ4C、-RQ5、-RQ5A、-RQ5B、-RQ5C、-RP1、-RP1X、-RP1A、-RP1B、-RP1C、-RP1D、-RP2、-RP2X、-RP2A、-RP2B、-RP2C、-RP2D、-RA、-RAA等)により表される化学基に関する実施形態の全ての組み合わせは、本発明により具体的に包含され、ちょうどそれぞれの及び全ての組み合わせが、このような組み合わせが安定化合物(すなわち、単離し、特性決定し、生物学的活性について試験することができる化合物)である化合物を包含する程度まで、個別に且つ明示的に開示されているかのように本明細書中に開示される。さらに、このような可変要素について記載している実施形態に列挙される化学基の全ての副組み合わせもまた、本発明により具体的に包含され、ちょうどそれぞれの及び全てのこのような化学基の副組み合わせが個別に且つ明示的に本明細書中に開示されているかのように本明細書中に開示される。
【0080】
(実質的に精製された形態)
本発明のいくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるBOBA化合物は、実質的に精製された形態及び/又は実質的に混入物を含まない形態で使用される。
【0081】
一実施形態において、化合物は、純度が少なくとも50重量%、例えば、少なくとも60重量%、例えば、少なくとも70重量%、例えば、少なくとも80重量%、例えば、少なくとも90重量%、例えば、少なくとも95重量%、例えば、少なくとも97重量%、例えば、少なくとも98重量%、例えば、少なくとも99重量%の、実質的に精製された形態である。
【0082】
一実施形態において、化合物は、実質的に混入物を含まない形態であり、混入物は、50重量%以下、例えば40重量%以下、例えば30重量%以下、例えば20重量%以下、例えば10重量%以下、例えば5重量%以下、例えば、3重量%以下、例えば、2重量%以下、例えば、1重量%以下である。
【0083】
(異性体)
特定の化合物は、1種以上の特定の幾何異性体形態、光学異性体形態、鏡像異性体形態、ジアステレオ異性体形態、エピマー形態、アトロプ形態、立体異性体形態、互変異性体形態、立体配座形態、又はアノマー形態、例えば、限定するものではないが、シス形及びトランス形、E形及びZ形、c形、t形、及びr形、エンド形及びエキソ形、R形、S形、及びメソ形、D形及びL形、d形及びl形、(+)形及び(-)形、ケト形、エノール形、及びエノラート形、シン形及びアンチ形、向斜形及び背斜形、α形及びβ形、アキシアル形及びエクアトリアル形、舟形、いす形、ねじれ形、エンベロープ形、及び半いす形、並びにこれらの組み合わせ(本明細書中以降、総称的に「異性体」(又は「異性体形態」)と呼ばれる)などで存在し得る。
【0084】
なお、互変異性体形態について後述する場合を除き、本明細書で使用する「異性体」という用語から特に除外されるのは、構造(structual)(又は構造(constitutional))異性体(すなわち、単に空間における原子の位置ではなく、原子間の結合に関して異なる異性体)である。例えば、メトキシ基(-OCH3)についての言及は、その構造異性体であるヒドロキシメチル基(-CH2OH)についての言及とは解されない。しかし、構造のクラスへの言及は、そのクラスに属する構造的に異性体の形態を含むことも十分にあり得る(例えば、C1-4アルキルにはnプロピル及びisoプロピルが含まれ、ブチルにはn、iso、sec、及びtertブチルが含まれる)。
【0085】
上記の除外は、例えば、以下の互変異性体対:ケト/エノール(以下に例示される)、イミン/エナミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/アミジン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エンチオール、N-ニトロソ/ヒドロキシアゾ、及びニトロ/アシ-ニトロにおけるような互変異性体形態、例えばケト形、エノール形、及びエノラート形に関するものではない。
【0086】
【化4】
【0087】
「異性体」という用語に具体的に包含されるのは、1種以上の同位体置換を有する化合物であることに留意されたい。例えば、Hは、1H、2H(D)及び3H(T)などの任意の同位体形態であり得;Cは、12C、13C、及び14Cなどの任意の同位体形態であり得;Oは、16O及び18Oなどの任意の同位体形態であり得る。
【0088】
別段に特定されない限り、特定の化合物についての言及は、このような異性体形態を全て包含し、それらの混合物も含む。
【0089】
(塩)
上記化合物の対応する塩、例えば、製薬上許容される塩を調製し、精製し、及び/又は取り扱うことが好都合であるか又は望ましい場合がある。製薬上許容される塩の例は、Berge et al., 1977, “Pharmaceutically Acceptable Salts,” J. Pharm. Sci., Vol. 66, pp. 1-19において考察されている。
【0090】
例えば、化合物がアニオン性である場合、又はアニオン性であり得る官能基を有する場合(例えば、-COOHは-COO-であり得る)、好適なカチオンと共に塩を形成し得る。好適な無機カチオンの例としては、限定するものではないが、Na+及びK+などのアルカリ金属イオン、Ca2+及びMg2+などのアルカリ土類カチオン、及びAl3+などの他のカチオンが挙げられる。好適な有機カチオンの例としては、限定するものではないが、アンモニウムイオン(すなわち、NH4 +)及び置換アンモニウムイオン(例えば、NH3R+、NH2R2 +、NHR3 +、NR4 +)などが挙げられる。幾つかの好適な置換アンモニウムイオンの例は、エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン、及びトロメタミン、並びにリジン及びアルギニンなどのアミノ酸から誘導されるものである。一般的な第4級アンモニウムイオンの一例は、N(CH3)4 +である。
【0091】
化合物がカチオンであるか、又はカチオンであり得る官能基を有する場合(例えば、-NH2は-NH3 +であり得る)、好適なアニオンと塩を形成し得る。好適な無機アニオンの例としては、限定するものではないが、以下の無機酸:塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、リン酸、及び亜リン酸から誘導されるものが挙げられる。
【0092】
好適な有機アニオンの例としては、限定するものではないが、以下の有機酸から誘導されるものなどが挙げられる:2-アセトキシ安息香酸(2-acetyloxybenzoic)、酢酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、桂皮酸、クエン酸、エデト酸、1,2-エタンジスルホン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシマレイン酸、ヒドロキシナフタレンカルボン酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、オレイン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、パントテン酸、フェニル酢酸、フェニルスルホン酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、トルエンスルホン酸、及び吉草酸。好適なポリマー有機アニオンの例としては、限定するものではないが、以下のポリマー酸:タンニン酸、カルボキシメチルセルロースから誘導されるものなどが挙げられる。
【0093】
別段に特定されない限り、特定の化合物についての言及は、その塩形態も包含する。
【0094】
(水和物及び溶媒和物)
本化合物の対応する溶媒和物を調製し、精製し、及び/又は取り扱うことが好都合であるか又は望ましい場合がある。本明細書において、用語「溶媒和物」は、従来の意味で、溶質(例えば、化合物、化合物の塩)と溶媒の複合体を指すために使用される。溶媒が水である場合、溶媒和物は、水和物(例えば、一水和物、二水和物、三水和物等)と好都合に呼ぶことができる。
【0095】
別段に特定されない限り、特定の化合物についての言及は、その溶媒和物形態及び水和物形態も包含する。
【0096】
(化学的に保護された形態)
化学的に保護された形態の化合物を調製し、精製し、及び/又は取り扱うことが好都合であるか、又は望ましい場合がある。「化学的に保護された形態」という用語は、本明細書において従来の化学的な意味で用いられ、1つ以上の反応性官能基が特定の条件(例えば、pH、温度、放射線、溶媒など)下で望ましくない化学反応から保護される化合物に関する。実際、周知の化学的方法は、特定の条件下で、非反応性にされなければ反応性の官能基を可逆的に非反応性にするために用いられる。化学的に保護された形態において、1つ以上の反応性官能基は、保護された基又は保護基(マスクされた基若しくはマスキング基、又はブロックされた基若しくはブロック基としても知られている)の形態である。反応性官能基を保護することにより、他の保護されていない反応性官能基が関わる反応を、保護された基に影響を及ぼすことなく実施することが可能であり、通常は後続のステップにおいて、分子の残りの部分に実質的に影響を及ぼすことなく、保護基を除去し得る。例えば、Protective Groups in Organic Synthesis(T. Greene and P. Wuts;第4版;John Wiley and Sons, 2006)を参照のこと。
【0097】
様々なこのような「保護」、「ブロッキング」、又は「マスキング」方法は、有機合成において広く使用されておりかつ周知である。例えば、両方とも特定の条件下で反応性であり得る2つの非等価の反応性官能基を有する化合物を、それらの官能基のうちの1つが「保護される」、従って特定の条件下で非反応性であるように誘導体化することが可能であり、そのように保護された化合物を、効果的に1つの反応性官能基のみを有する反応体として使用することができる。所望の反応(他方の官能基が関与する)が完了した後、保護された基は、その元の官能性へ戻るように「脱保護され」得る。
【0098】
例えば、アミン基は、例えば、アミド(-NRCO-R)又はウレタン(-NRCO-OR)として、例えば、メチルアミド(-NHCO-CH3)として;ベンジルオキシアミド(-NHCO-OCH2C6H5、-NH-Cbz)として;t-ブトキシアミド(-NHCO-OC(CH3)3、-NH-Boc)として。2-ビフェニル-2-プロポキシアミド(-NHCO-OC(CH3)2C6H4C6H5、-NH-Bpoc)、9-フルオレニルメトキシアミド(-NH-Fmoc)として、6-ニトロベラトリルオキシアミド(-NH-Nvoc)として、2-トリメチルシリルエチルオキシアミド(-NH-Teoc)として、2,2,2-トリクロロエチルオキシアミド(-NH-Troc)として、アリルオキシアミド(-NH-Alloc)として、2(-フェニルスルホニル)エチルオキシアミド(-NH-Psec)として、又は好適な場合(例えば環状アミン)、ニトロキシドラジカル(>N-O・)として、保護されていてもよい。
【0099】
例えば、カルボン酸基は、エステルとして、例えば、C1-6アルキルエステル(例えば、メチルエステル;t-ブチルエステル);C1-6ハロアルキルエステル(例えば、C1-6トリハロアルキルエステル);トリC1-6アルキルシリル-C1-7アルキルエステル;又はC5-20アリール-C1-6アルキルエステル(例えば、ベンジルエステル;ニトロベンジルエステル)として;又はアミド、例えば、メチルアミドとして保護されていてもよい。
【0100】
(プロドラッグ)
プロドラッグの形態の化合物を調製し、精製し、及び/又は取り扱うことが好都合であるか、又は望ましい場合がある。本明細書中で使用される用語「プロドラッグ」は、代謝された場合に(例えばin vivoで)、所望の活性化合物を生じさせる化合物に関する。典型的には、プロドラッグは不活性であるか、又は所望の活性化合物よりも活性が低いが、有利な取り扱い特性、投与特性、又は代謝特性を提供し得る。
【0101】
例えば、一部のプロドラッグは、活性化合物のエステル(例えば、生理学的に許容可能な易代謝性エステル)である。代謝中、エステル基(-C(=O)OR)が切断されて活性薬物を生じる。このようなエステルは、例えば、親化合物中のカルボン酸基(-C(=O)OH)のいずれかとのエステル化、適切な場合、親化合物中に存在する保護前の任意の他の反応性基とのエステル化により形成することが可能であり、その後、必要であれば脱保護される。
【0102】
この場合も先と同様に、一部のプロドラッグは酵素的に活性化されて活性化合物を生じるか、又は、さらなる化学反応により活性化合物を生じさせる化合物を生じる(例えば、ADEPT、GDEPT、LIDEPT等におけるとおり)。例えば、プロドラッグは、糖誘導体若しくは他のグリコシドコンジュゲートであってもよく、又はアミノ酸エステル誘導体であってもよい。
【0103】
(一般的な化学合成)
本明細書に記載されるようなBOBA化合物の化学合成のための方法は、例えば、Borthwick et al, 2016に見出すことができ、その内容は参照により本明細書に組み込まれるものとする。特にその中の35~48頁(一般的な方法)及び63~94頁(例示的な方法)を参照されたい。本明細書に記載されるようなBOBA-001の化学合成のための追加の方法は、例えば、Borthwick et al, 2017に見出すことができ、その内容は参照により本明細書に組み込まれるものとする。特にその中の21~28頁を参照されたい。それら及び/又は他の周知の方法は、追加のBOBA化合物の合成を促進するために、周知の方法で改変し及び/又は適合させることができる。
【0104】
(医薬組成物)
本明細書に記載される医薬組成物は、神経障害性疼痛の治療又は予防に有用である。
【0105】
医薬組成物は、本明細書に記載のBOBA化合物と、薬学的に許容される担体、希釈剤、又は賦形剤とを含む。
【0106】
一実施形態では、医薬組成物は、1種以上の追加の治療剤をさらに含む。
【0107】
(使用)
本明細書中に記載されるBOBA化合物、及び本明細書中に記載されるBOBA化合物を含む医薬組成物は、本明細書中に記載される神経障害性疼痛の治療又は予防において有用である。
【0108】
本発明の一態様は、神経障害性疼痛の治療又は予防方法における使用のための、本明細書中に記載されるBOBA化合物、又は本明細書中に記載されるBOBA化合物を含む医薬組成物に関する。
【0109】
本発明の別の態様は、神経障害性疼痛の治療又は予防のための医薬の製造における、本明細書中に記載されるBOBA化合物の使用に関する。一実施形態において、上記の医薬はBOBA化合物を含む。
【0110】
本発明の別の態様は、治療を必要とする患者に、治療有効量の本明細書中に記載されるBOBA化合物又は本明細書中に記載されるBOBA化合物を含む医薬組成物を投与することを含む、神経障害性疼痛の治療又は予防方法に関する。
【0111】
本発明の別の態様は、神経障害性疼痛の治療又は予防における、本明細書中に記載されるBOBA化合物又は本明細書中に記載されるBOBA化合物を含む医薬組成物の使用に関する。
【0112】
(神経障害性疼痛)
本発明は、本明細書中に記載される神経障害性疼痛の治療又は予防のために有用な特定の化合物及びそれらの化合物を含む医薬組成物に関する。
【0113】
上記のとおり、神経障害性疼痛は、神経系内の病変又は病理学的変化により引き起こされる慢性症状である。神経障害性疼痛は、神経損傷及び脊髄損傷の後、頻繁に、また多くの場合急速に出現し、特定の疾患においては、患者の衰弱及び生活の質の低下を生じる。
【0114】
神経障害性疼痛は神経系内の細胞の炎症から生じ、この炎症がシナプス喪失及び/又は残りの神経細胞における誤接続の形成をもたらす。本明細書中に記載されるBOBA化合物は、(a) 軸索伸長を引き起こし、このためシナプス接続を修正することが可能であり、且つ(b) 抗炎症効果を有する。従って、本明細書中に示されるとおり、本化合物は、神経障害性疼痛の治療及び予防に使用することができる。
【0115】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、末梢神経障害性疼痛である。
【0116】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、中枢神経障害性疼痛である。
【0117】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、慢性神経障害性疼痛である。
【0118】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、難治性神経障害性疼痛である。
【0119】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、代謝機能不全、例えば糖尿病及び前糖尿病などに伴う神経障害性疼痛である。
【0120】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、糖尿病に伴う神経障害性疼痛である。
【0121】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、前糖尿病に伴う神経障害性疼痛である。
【0122】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、有痛性多発神経障害に伴う神経障害性疼痛である。
【0123】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、有痛性糖尿病性神経障害、例えば糖尿病性末梢神経障害などに伴う神経障害性疼痛である。
【0124】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、有痛性糖尿病性多発神経障害に伴う神経障害性疼痛である。
【0125】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、ヘルペス後神経痛に伴う神経障害性疼痛である。
【0126】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、三叉神経性神経痛に伴う神経障害性疼痛である。
【0127】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、後頭部神経痛に伴う神経障害性疼痛である。
【0128】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、有痛性神経根障害、例えば腰椎及び頸椎有痛性神経根障害などに伴う神経障害性疼痛である。
【0129】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、感染性疾患、例えば帯状ヘルペス(帯状疱疹)、HIV感染症、ライム病、ジフテリア、及びハンセン病などに伴う神経障害性疼痛である。
【0130】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、肝障害又は腎障害、例えば慢性肝障害又は腎障害など、例えば肝疾患、肝不全、腎疾患、及び腎不全などに伴う神経障害性疼痛である。
【0131】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、免疫障害又は炎症性障害、例えばギランバレー症候群、関節リウマチ、ループス、シェーグレン症候群、及びセリアック病などに伴う神経障害性疼痛である。
【0132】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、遺伝性神経障害又はチャネル病、例えば遺伝性肢端紅痛症、発作性激痛症、及びシャルコー・マリー・トゥース病(CMT)などに伴う神経障害性疼痛である。
【0133】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、小径線維感覚神経障害に伴う神経障害性疼痛である。
【0134】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、甲状腺ホルモン障害、例えば甲状腺機能低下症などに伴う神経障害性疼痛である。
【0135】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、脳卒中に伴う神経障害性疼痛である。
【0136】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、がん、例えばリンパ腫及び多発性骨髄腫などに伴う神経障害性疼痛である。
【0137】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、化学療法、例えば、がん化学療法に伴う神経障害性疼痛である。
【0138】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、末梢神経損傷疼痛に伴う神経障害性疼痛である。
【0139】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、外傷後の神経損傷に伴う神経障害性疼痛である。
【0140】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、外傷後神経障害に伴う神経障害性疼痛である。
【0141】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、脊髄損傷、例えば外傷、例えば交通事故により引き起こされる脊髄損傷などに伴う神経障害性疼痛である。
【0142】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、外傷性末梢神経損傷に伴う神経障害性疼痛である。
【0143】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、手術後神経障害(例えば、手術後神経障害性疼痛)に伴う神経障害性疼痛である。
【0144】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、手術後の神経障害性疼痛、例えば神経手術(例えば脊髄手術など)の後の神経障害性疼痛である。
【0145】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、線維筋痛に伴う神経障害性疼痛である。
【0146】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、腰痛に伴う神経障害性疼痛である。
【0147】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、手根管症候群に伴う神経障害性疼痛である。
【0148】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、灼熱痛に伴う神経障害性疼痛である。
【0149】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)に伴う神経障害性疼痛である。
【0150】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、複合性局所疼痛症候群(CRPS)、例えば1型及び2型などに伴う神経障害性疼痛である。
【0151】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、切断術に伴う神経障害性疼痛である。
【0152】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、神経変性疾患、例えばパーキンソン病に伴う神経障害性疼痛である。
【0153】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、脳卒中に伴う神経障害性疼痛、例えば中枢性脳卒中後疼痛などである。
【0154】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、脊髄空洞症に伴う神経障害性疼痛である。
【0155】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、脱髄疾患、例えば多発性硬化症、横断性脊髄炎、及び視神経脊髄炎などに伴う神経障害性疼痛である。
【0156】
一実施形態において、神経障害性疼痛は、特発性神経障害性疼痛である。
【0157】
(治療及び予防)
上記のとおり、本発明は、本明細書中に記載される神経障害性疼痛の治療又は予防のために有用な特定の化合物及びそれらの化合物を含む医薬組成物に関する。
【0158】
本化合物は、例えば神経損傷の時に、又は神経損傷の直後に(例えば、交通事故、脊髄手術の後等)投与し、神経障害性疼痛の発症を予防又は緩和することができる。あるいは、本化合物は、神経障害性疼痛が検出されたとき、例えば疾患(例えば、糖尿病性神経障害)の経過中、又は神経損傷又は手術からの回復中に投与してもよい。
【0159】
本明細書中で症状の治療又は予防の文脈において使用される用語「治療又は予防」は、一般的に、ヒトの治療及び療法であるか動物(例えば獣医学的適用における)の治療及び療法であるかに関わらず、幾つかの所望の治療効果、例えば症状の進行の阻止及び、例えば進行速度の低減、進行速度の停止、症状の症候の軽減、症状の寛解、及び症状の治癒などが達成される治療及び療法に関する。予防的手段としての治療(すなわち、予防)も包含され、例えば、症状を発症していないが、症状を発症するリスクを有する患者による使用が挙げられる。
【0160】
例えば、神経障害性疼痛の治療又は予防として、以下のものが挙げられる:神経障害性疼痛の発症の予防、神経障害性疼痛の進行の阻止、神経障害性疼痛の進行速度の低減、神経障害性疼痛の発生率の低減、神経障害性疼痛の重篤度の低減、神経障害性疼痛の1つ以上の症候の軽減、神経障害性疼痛の寛解、神経障害性疼痛の治癒、等。
【0161】
本明細書中で使用される用語「治療有効量」は、所望の治療レジメンに従って投与された場合、幾つかの所望の治療効果を生じさせるために有効であり、合理的な利益/リスク比と釣り合う化合物、又は化合物を含む材料、組成物又は剤形の量に関する。
【0162】
(キット)
本発明の一態様は、(a)例えば、好適な容器中で及び/又は好適なパッケージングを用いて好ましく提供される、本明細書中に記載されるBOBA化合物、又は本明細書中に記載されるBOBA化合物を含む組成物と、(b)神経障害性疼痛の治療又は予防のための、使用説明書、例えば、上記化合物、又は組成物を投与する方法に関する文書による説明書とを含むキットに関する。
【0163】
(投与経路)
上記BOBA化合物、又は上記BOBA化合物を含む医薬組成物は、全身的/末梢的であるか、又は局所的(すなわち、所望の作用部位における)であるかに関わらず、任意の好都合な投与経路により対象に投与され得る。
【0164】
投与経路としては、経口(例えば、消化による)投与;頬側投与;舌下投与;経皮投与(例えば、パッチ剤、硬膏剤等による投与など);経粘膜投与(例えば、パッチ剤、硬膏剤等による投与など);鼻内投与(例えば、鼻内スプレー、点鼻薬による投与、又は噴霧器若しくは乾燥粉末送達デバイスからの投与)、眼投与(例えば、点眼薬による投与)、肺投与(例えば、エアゾールを、例えば、口又は鼻を通して用いる吸入療法又は吹送療法による投与)、直腸投与(例えば、坐薬又は浣腸による投与)、膣投与(例えば、ペッサリーによる投与);非経口投与、例えば、皮下注射、皮内注射、筋肉内注射、静脈内注射、動脈内注射、心腔内注射、髄腔内注射、脊髄内注射、嚢内注射、嚢下注射、眼窩内注射、腹腔内注射、気管内注射、表皮下注射、関節内注射、くも膜下注射、及び胸骨内注射などの注射による投与;例えば、皮下又は筋肉内へのデポー剤(depot)又はリザーバ剤(reservoir)のインプラントによる投与などが挙げられる。
【0165】
1つの好ましい実施形態において、投与経路は、経口(例えば、消化による)投与である。
【0166】
(対象/患者)
対象/患者は、脊索動物、脊椎動物、哺乳類、有胎盤哺乳類、有袋類(例えば、カンガルー、ウォンバット)、齧歯類(例えば、モルモット、ハムスター、ラット、マウス)、ネズミ科(例えば、マウス)、ウサギ目(例えば、ウサギ)、鳥類(例えば、トリ)、イヌ科(例えば、イヌ)、ネコ科(例えば、ネコ)、ウマ科(例えば、ウマ)、ブタ(porcine)(例えば、ブタ(pig))、ヒツジ(ovine)(例えば、ヒツジ(sheep))、ウシ属(例えば、ウシ)、霊長目、サル(simian)(例えば、サル(monkey)又は類人猿)、サル(monkey)(例えば、マーモセット、ヒヒ)、類人猿(例えば、ゴリラ、チンパンジー、オランウータン、テナガザル)、又はヒトであり得る。さらに、対象/患者は、その発達形態のいずれのものであってもよく、例えば、胎児であってもよい。
【0167】
1つの好ましい実施形態において、対象/患者は、ヒトである。
【0168】
(製剤)
BOBA化合物を単独で投与することが可能であるが、本明細書中に記載される少なくとも1種のBOBA化合物を、例えば、製薬上許容される担体、希釈剤、賦形剤、アジュバント、充填剤、バッファー、保存料、抗酸化剤、潤滑剤、安定化剤、可溶化剤、界面活性剤(例えば、湿潤剤)、マスキング剤、着色料、着香料、及び甘味料などの、当業者に周知の1種以上の他の製薬上許容される成分と共に含む、医薬組成物(例えば、製剤、調製物、薬剤)として提供することが好ましい。上記組成物はさらに、他の活性な薬剤、例えば、他の治療剤又は予防薬を含み得る。
【0169】
また、本明細書中に記載される少なくとも1種のBOBA化合物を、当業者に周知の1種以上の他の製薬上許容される成分、例えば、担体、希釈剤、賦形剤等と混合することを含む、医薬組成物の製造方法も提供する。別々の単位(例えば、錠剤等)として製剤化される場合、各単位は、所定量(投与量)の化合物を含有する。
【0170】
本明細書中で使用される「製薬上許容される」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、又は他の問題若しくは合併症を伴うことなく合理的なベネフィット・リスク比に見合う、当該対象(例えば、ヒト)の組織と接触させた使用に好適な、化合物、成分、材料、組成物、剤形等に関する。各担体、希釈剤、賦形剤等は、製剤の他の成分と適合するという意味においても「許容可能」でなければならない。
【0171】
好適な担体、希釈剤、賦形剤等は、標準的な医薬の教科書、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第18版, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1990;及びHandbook of Pharmaceutical Excipients, 第5版, 2005において見出され得る。
【0172】
上記製剤は、薬学の技術分野において周知の任意の方法により調製することができる。このような方法は、上記化合物を、1種以上の副成分を構成する担体と会合させるステップを含む。一般的に、上記製剤は、上記化合物と担体(例えば、液体担体、微細固体担体など)とを均一かつ密接に会合させ、その後、必要であれば上記生成物を成形することによって調製される。
【0173】
上記製剤は、急速放出(rapid release)又は徐放(slow release)、即時放出(immediate release)、遅延放出(delayed release)、タイミング放出(timed release)、又は持続放出(sustained release)、あるいはこれらの組み合わせを提供するように調製することができる。
【0174】
製剤は、好適には、液剤、溶液剤(例えば、水溶液剤、非水溶液剤)、懸濁液剤(例えば、水性懸濁液剤、非水性懸濁液剤)、エマルション剤(例えば、水中油型、油中水型)、エリキシル剤、シロップ剤、舐剤、マウスウォッシュ剤、ドロップ剤、錠剤(例えば、コーティングされた錠剤など)、顆粒剤、散剤、ロゼンジ剤、トローチ剤、カプセル剤(例えば、硬質ゼラチンカプセル及び軟質ゼラチンカプセルなど)、カシェ剤、丸剤、アンプル剤、ボーラス剤、坐剤、ペッサリー剤、チンキ剤、ゲル剤、ペースト剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、油剤、フォーム剤、スプレー剤、ミスト剤、又はエアゾール剤の形態であり得る。
【0175】
製剤は、好適には、1種以上の化合物及び任意選択的に1種以上の他の製薬上許容される成分(例えば浸透増強剤、透過増強剤、及び吸収増強剤など)が含浸されたパッチ剤、絆創膏、包帯、創傷被覆材(dressing)などとして提供され得る。製剤は、好適には、デポー剤又はリザーバ剤の形態で提供することもできる。
【0176】
上記化合物は、1種以上の他の製薬上許容される成分中に溶解されていてもよく、上記成分中に懸濁されていてもよく、又は上記成分と混合されていてもよい。上記化合物は、その化合物を、例えば血液成分又は1つ以上の器官に標的化するように設計されたリポソーム又は他の微粒子中で提供され得る。
【0177】
経口投与(例えば、消化による)に適した製剤としては、液剤、溶液剤(例えば、水溶液剤、非水溶液剤)、懸濁剤(例えば、水性懸濁剤、非水性懸濁剤)、エマルション剤(例えば、水中油型、油中水型)、エリキシル剤、シロップ剤、舐剤、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、アンプル剤、ボーラス剤などが挙げられる。
【0178】
頬側投与に適した製剤としては、マウスウォッシュ剤、ロゼンジ剤、トローチ剤、並びにパッチ剤、絆創膏、デポー剤、及びリザーバ剤などが挙げられる。ロゼンジ剤は、典型的には、上記化合物を、風味付けした基剤(通常はスクロース及びアカシア又はトラガカント)中に含む。トローチ剤は、典型的には、上記化合物を、ゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアカシアなどの不活性マトリクス中に含む。マウスウォッシュ剤は、典型的には、上記化合物を好適な液体担体中に含む。
【0179】
舌下投与に適した製剤としては、錠剤、ロゼンジ剤、トローチ剤、カプセル剤、及び丸剤などが挙げられる。
【0180】
経口経粘膜投与に適した製剤としては、液剤、溶液剤(例えば、水溶液剤、非水溶液剤)、懸濁剤(例えば、水性懸濁剤、非水性懸濁剤)、エマルション剤(例えば、水中油型、油中水型)、マウスウォッシュ剤、ロゼンジ剤、トローチ剤、並びにパッチ剤、絆創膏、デポー剤、及びリザーバ剤などが挙げられる。
【0181】
非経口経粘膜投与に適した製剤としては、液剤、溶液剤(例えば、水溶液剤、非水溶液剤)、懸濁剤(例えば、水性懸濁剤、非水性懸濁剤)、エマルション剤(例えば、水中油型、油中水型)、坐剤、ペッサリー剤、ゲル剤、ペースト剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、油剤、並びにパッチ剤、絆創膏、デポー剤、及びリザーバ剤などが挙げられる。
【0182】
経皮投与に適した製剤としては、ゲル剤、ペースト剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、及び油剤、並びにパッチ剤、絆創膏、包帯、創傷被覆材、デポー剤、及びリザーバ剤などが挙げられる。
【0183】
錠剤は、従来の手段、例えば、任意選択的に1種以上の副成分と共に、圧縮又は成形によって製造することができる。圧縮錠剤は、1種以上の結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、アカシア、ソルビトール、トラガカント、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤又は希釈剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロース、リン酸水素カルシウム)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ)、崩壊剤(例えば、グリコール酸デンプンナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤又は分散剤又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、保存料(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチル、p-ヒドロキシ安息香酸プロピル、ソルビン酸)、着香料、風味増強剤、及び甘味料と任意選択的に混合された粉末又は顆粒などの自由流動形態の化合物を、好適な機械の中で圧縮することにより調製することができる。成形錠剤は、好適な機械の中で、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を成形することによって製造することができる。上記錠剤は、任意選択的にコーティングされているか又は切れ目が入っていてもよく、例えば、所望の放出プロファイルを提供するための様々な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いて、錠剤中の化合物の徐放又は制御放出を提供するように製剤化することができる。錠剤は、任意選択的に、例えば放出に影響を及ぼすコーティング、例えば、胃以外の腸の複数部分における放出を提供する腸溶性コーティングを備え得る。
【0184】
軟膏剤は、典型的には、上記化合物及びパラフィン基剤又は水混和性軟膏基剤から調製される。
【0185】
クリーム剤は、典型的には、上記化合物及び水中油型クリーム基剤から調製される。所望の場合、クリーム基剤の水相は、例えば、少なくとも約30%w/wの多価アルコール、すなわち、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール及びポリエチレングリコールなどの2個以上のヒドロキシル基を有するアルコール、並びにこれらの混合物を含み得る。局所製剤は、望ましくは、皮膚又は他の影響を受ける領域を通した上記化合物の吸収又は浸透を増強する化合物を含み得る。このような経皮浸透増強剤の例としては、ジメチルスルホキシド及び関連の類似体が挙げられる。
【0186】
エマルションは、典型的には、上記化合物及び油相から調製され、この油相は、任意選択的に乳化剤(別名エマルジェントとしても知られる)のみを含み得るか、あるいは上記油相は、少なくとも1種の乳化剤と脂肪若しくは油との混合物又は脂肪及び油の両方との混合物を含み得る。好ましくは、親水性乳化剤は、安定化剤として作用する親油性乳化剤と一緒に含まれる。油と脂肪の両方を含むことも好ましい。全体として、安定化剤(1種又は複数種)を伴う又は伴わない乳化剤(1種又は複数種)は、いわゆる乳化ワックスを構成し、このワックスは、油及び/又は脂肪と共に、クリーム製剤の油状分散相を形成するいわゆる乳化軟膏基剤を構成する。
【0187】
好適なエマルジェント及びエマルション安定化剤としては、Tween 60、Span 80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、グリセリルモノステアレート及びラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。製剤のための好適な油又は脂肪の選択は、所望の化粧特性を達成することに基づくが、これは、医薬エマルション製剤中で使用される可能性が高い大部分の油中の化合物の溶解度が極めて低い場合があるためである。このため、上記クリーム剤は、好ましくは、チューブ又は他の容器からの漏出を回避するために好適な粘度を有する、べたつかず、非染色性の、水で落とせる製品であるべきである。ジイソアジピン酸エステル、ステアリン酸イソセチル、ココナッツ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、若しくはクロダモールCAPとして公知の分枝鎖エステルの配合物などの直鎖又は分枝鎖の一塩基性又は二塩基性アルキルエステルを使用することが可能であり、最後の3つが好ましいエステルである。これらは、必要とされる特性に応じて、単独で又は組み合わせて使用することができる。あるいは、白色軟質パラフィン及び/若しくは液体パラフィンなどの高融点脂質又は他の鉱油を使用することができる。
【0188】
鼻内投与に適した製剤としては、担体が液体である場合、例えば、上記化合物の水性溶液剤若しくは油性溶液剤を含む、鼻内スプレー、点鼻薬、又は、噴霧器によるエアゾール投与などが挙げられる。
【0189】
鼻内投与に適した製剤としては、担体が固体である場合、例えば、嗅ぐ様式で、すなわち、鼻の近くに保持された粉末の容器からの鼻腔を通した急速吸入により投与される、例えば約20~約500ミクロンの範囲内の粒径を有する、粗粉末として提供される製剤などが挙げられる。
【0190】
肺投与(例えば、吸入療法又は吹送療法による)に適した製剤としては、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、又は他の好適なガスなどの好適な高圧ガスの使用による、圧縮パックからのエアゾールスプレーとして提供されるものなどが挙げられる。
【0191】
眼への投与に適した製剤としては、上記化合物が、好適な担体、特に上記化合物用の水性溶媒に溶解又は懸濁された点眼薬などが挙げられる。
【0192】
直腸投与に適した製剤は、例えば、天然油若しくは硬化油、ワックス、脂肪、半液体若しくは液体ポリオール、例えば、ココアバター若しくはサリチル酸塩を含む好適な基剤を有する坐剤として、又は浣腸による治療のための溶液剤若しくは懸濁剤として提供され得る。
【0193】
膣投与に適した製剤は、上記化合物に加えて、当技術分野において適切であることが公知の担体を含有する、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤又はスプレー製剤として提供され得る。
【0194】
非経口投与(例えば、注射による)に適した製剤としては、上記化合物が溶解され、懸濁されているか、又は別の方法で(例えば、リポソーム又は他の微粒子中で)提供される、水性又は非水性の、等張性の、発熱物質非含有の、滅菌の液剤(例えば、溶液剤、懸濁剤)などが挙げられる。このような液剤は、抗酸化剤、バッファー、保存料、安定化剤、静菌剤、懸濁化剤、増粘剤、及び上記製剤を意図される受容者の血液(又は他の関連の体液)と等張にする溶質などの、他の製薬上許容される成分を付加的に含有し得る。賦形剤の例としては、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油などが挙げられる。このような製剤における使用に適した等張性担体の例としては、塩化ナトリウム注射液、リンゲル溶液、又は乳酸化リンゲル注射液などが挙げられる。典型的には、液剤中の化合物の濃度は、約1ng/mL~約10μg/mL、例えば、約10ng/mL~約1μg/mLである。上記製剤は、単位用量又は複数回用量の密封容器、例えば、アンプル及びバイアル中で提供することが可能であり、使用直前に滅菌液体担体(例えば、注射用の水)の添加のみを必要とする、フリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存され得る。即席注射溶液剤及び懸濁剤は、滅菌済みの散剤、顆粒剤、及び錠剤から調製することができる。
【0195】
(投与量)
当業者であれば、BOBA化合物、及びBOBA化合物を含む組成物の適切な投与量が患者ごとに異なり得ることを理解するであろう。最適投与量の決定は、一般的に、任意のリスク又は有害な副作用に対する治療上の利益のレベルの均衡を包含するであろう。選択される投与量レベルは、例えば、特定のBOBA化合物の活性、投与経路、投与時刻、BOBA化合物の排出速度、治療期間、併用される他の薬剤、化合物、及び/若しくは材料、症状の重症度、並びに患者の種別、性別、年齢、体重、症状、全体的な健康状態、及び既往歴などの様々な因子により決定されるであろう。BOBA化合物の量及び投与経路は、究極的には、医師、獣医師、又は臨床医の裁量によるであろうが、一般的に、投与量は、実質的に有害(harmful)又は有害(deleterious)な副作用を引き起こすことなく所望の効果を達成する、作用部位における局所濃度を達成するために選択されるであろう。
【0196】
投与は、治療期間を通して、1回投与、連続投与、又は断続的投与で(例えば、適切な間隔の分割投与)で行うことができる。投与の最も有効な手段及び投与量の決定方法は当業者に周知であり、療法に使用される製剤、療法の目的、治療される標的細胞(1つ又は複数)、及び治療される対象により異なるであろう。単回投与又は複数回投与は、治療を行う医師、獣医師、又は臨床医により選択される用量レベル及び投与パターンで実施することができる。
【0197】
一般的に、BOBA化合物の好適な用量は、1日当たり対象の体重1キログラム当たり約10μg~約20mg(より典型的には、約100μg~約10mg、例えば約1mg)の範囲内である。上記化合物が、塩、エステル、アミド、プロドラッグなどである場合、投与される量は親化合物に基づいて計算され、このため、実際の使用重量は、比例して増加する。
【実施例
【0198】
(化学合成)
上述したように、本明細書に記載されるようなBOBA化合物の化学合成のための方法は、例えば、Borthwick et al, 2016に見出すことができ、その内容は参照により本明細書に組み込まれるものとする。特にその中の35~48頁(一般的な方法)及び63~94頁(例示的な方法)を参照されたい。
【0199】
本明細書に記載されるようなBOBA-001の化学合成のための追加の方法は、例えば、Borthwick et al, 2017に見出すことができ、その内容は参照により本明細書に組み込まれるものとする。特にその中の21~28頁を参照されたい。
【0200】
それら及び/又は他の周知の方法は、追加のBOBA化合物の合成を促進するために、周知の方法で改変し及び/又は適合させることができる。
【0201】
容易に参照できるように、BOBA-001の化学合成の詳細を以下に記載する。
【0202】
BOBA-001の調製のための1つの合成ルートは、Borthwick et al., 2016に記載されており、以下のスキーム1に示される。
【0203】
スキーム1
【化5】
【0204】
この方法では、2,5-ジメチルフェノール(1)をパラホルムアルデヒドと反応させて2-ヒドロキシ-3,6-ジメチルベンズアルデヒド(2)を得、これをtert-ブチル2-ブロモアセテートと反応させてtert-ブチル4,7-ジメチルベンゾフラン-2-カルボキシレート(3)とし、脱保護して4,7-ジメチルベンゾフラン-2-カルボン酸(4)を得る。この酸を、次いで4-(N'-ヒドロキシカルバミミドイル)安息香酸メチル(5)と反応させ、4-(5-(4,7-ジメチルベンゾフラン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)安息香酸メチル(6)を得、その後、これを脱保護して目的化合物である4-(5-(4,7-ジメチルベンゾフラン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)安息香酸(BOBA-001)を得る。
【0205】
この合成ルートの例を下記に記載する。
ステップ1:2-ヒドロキシ-3,6-ジメチルベンズアルデヒド(2)
【化6】
【0206】
無水MeCN(550mL)中の2,5-ジメチルフェノール(1)(20g、160mmol)、パラホルムアルデヒド(34g、1.1mol)、MgCl2(23.4g、246mmol)及びEt3N(86mL、610mmol)の懸濁液を還流下で2時間攪拌した。反応混合物を半量まで真空中で濃縮し、Et2O(200mL)と1M HCl(200mL)の間で分配した。水相をさらにEt2O(400mL)で抽出し、合わせた有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過した。溶液を真空中で濃縮し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(330g、ヘキサン中0-20% Et2O)で精製して、標題化合物(2)(8.6g、35%)を黄色固体として得た:
1H NMR(400MHz, DMSO-d6)δ: 12.12(1H, s), 10.29(1H, s), 7.25(1H, d), 6.61(1H, d), 2.56(3H, s), 2.20(3H, s)。
【0207】
ステップ2:tert-ブチル4,7-ジメチルベンゾフラン-2-カルボキシレート(3)
【化7】
【0208】
2-ブロモ酢酸tert-ブチル(10.6mL、71.5mmol)を、無水DMF(40mL)中の2-ヒドロキシ-3,6-ジメチルベンズアルデヒド(2)(8.6g、57mmol)及び炭酸カリウム(19.8g、143mmol)の撹拌懸濁液に滴下して添加した。反応混合物を還流下で20時間攪拌した。混合物をEtOAc(100mL)と水(100mL)の間で分配し、水相をEtOAc(100mL)でさらに抽出した。合わせた有機物をブライン(5x100mL)で洗浄し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(330g、ジクロロメタン(DCM)中20% MeOH)で精製し、標題化合物(3)(12.3g、収率87%)を赤色の油状物として得た:
1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ: 7.42(1H, s), 7.04(2H, dd), 8.33(1H, d), 2.52(3H, s), 2.50(3H, s), 1.63(9H, s)。
【0209】
ステップ3:4,7-ジメチルベンゾフラン-2-カルボン酸(4)
【化8】
【0210】
トリフルオロ酢酸(TFA)(19.2mL、249mmol)を、DCM(100mL)中のtert-ブチル4,7-ジメチルベンゾフラン-2-カルボキシレート(3)(12.3g、49.8mmol)の溶液に0℃で滴下して添加した。添加後、混合物を室温まで温め、20時間攪拌した。溶媒を真空中で除去し、残留物をEtOAc(100mL)と1M HCl(100mL)の間で分配した。水相をさらにEtOAc(100mL)で抽出し、合わせた有機相をブライン(300mL)で洗浄し、次いで真空中で濃縮した。残留物をEtOAc(100mL)に溶解し、次いで飽和NaHCO3溶液(200mL)で抽出した。水溶液を濃HClの添加により酸性化し、EtOAc(200mL)で抽出した。有機溶液を真空中で濃縮し、トルエンを加えて共蒸発させ、標題化合物(4)(7.7g、収率81%)を淡褐色固体として得た:
m/z 190 [M+H]+(ES+). 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ: 13.48(1H, s), 7.72(1H, s), 7.11(2H, dd), 2.47(3H, s), 2.44(3H, s)。
【0211】
ステップ4:4-(5-(4,7-ジメチルベンゾフラン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)安息香酸メチル(6)
【化9】
【0212】
EtOAc(50%)中の2-プロパンホスホン酸無水物(T3P)の溶液(23.2mL、39.4mmol)を、無水N,N-ジメチルホルムアミド(25mL)中の4,7-ジメチルベンゾフラン-2-カルボン酸(4)(3.0g、16mmol)、4-(N'-ヒドロキシカルバミミドイル)安息香酸メチル(5)(3.1g、16mmol)及びEt3N(11mL、79mmol)の混合物に0℃にて滴下して加えた。混合物を0℃で10分間攪拌した後、90℃に加温し、18時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、氷水(150mL)中に注いだ。固体を集めて、冷EtOAcで洗浄し、吸引下で乾燥させた。MeOHでトリチュレーションして精製し、真空中で乾燥することにより、標題化合物(6)(3.6g、収率65%)を薄紅色の固体として得た:
m/z 349 [M+H]+(ES+). 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ: 8.29-8.26(3H, m), 8.19(2H, d), 7.29(1H, d), 7.13(1H, d), 3.92(3H, s), 2.56(3H, s), 2.54(3H, s)。
【0213】
ステップ5:4-(5-(4,7-ジメチルベンゾフラン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)安息香酸(BOBA-001)
【化10】
【0214】
テトラヒドロフラン(THF)(1mL)中の4-(5-(4,7-ジメチルベンゾフラン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)安息香酸メチル(6)(100mg、0.287mmol)の懸濁液を、LiOH(2M、水溶液、720μL、1.4mmol)で処理し、混合物を40℃で20時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、次いで1M HClを滴下添加して酸性にした。得られた固体を濾過して集め、その後MeOHに溶解し、蒸発乾固して、標題化合物(BOBA-001)(95mg、収率99%)を白色固体として得た:
m/z 335 [M+H]+(ES+), 333 [M-H]-(ES). 1H NMR(400 MHz, DMSO-d6)δ: 13.34(1H, br. s), 8.25-8.23(3H, m), 8.16(2H, d), 7.29(1H, d), 7.12(1H, d), 2.56(3H, s), 2.53(3H, s)。
【0215】
BOBA-001の別の調製方法を、以下のスキーム2に示す。
スキーム2
【化11】
【0216】
この方法では、4-シアノ安息香酸メチル(III)を、メタノールを溶媒とする水性ヒドロキシルアミンで処理する。反応終了後、メチルtert-ブチルエーテル(MTBE)を加え、混合物を冷却し、一晩熟成させた後、生成物の4-(N'-ヒドロキシカルバミミドイル)安息香酸メチル(IV)を固体として単離する。
【0217】
4,7-ジメチルベンゾフラン-2-カルボン酸(I)をジクロロメタン中、触媒N,N-ジメチルホルムアミド存在下で塩化オキサリルで処理する。反応終了後、生成物である4,7-ジメチルベンゾフラン-2-カルボニルクロリド(II)を含む溶液をテレスコープし(telescoped)、次の段階へ進む。
【0218】
4,7-ジメチルベノゾフラン-2-カルボニルクロリド(II)を、塩基としてトリエチルアミン、溶媒として2-ブタノンの存在下で4-(N'-ヒドロキシカルバミミドイル)安息香酸メチル(IV)で処理する。溶媒を除去した後、最後から2番目の中間体4-[5-(4,7-ジメチルベンゾフラン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル]安息香酸メチル(VI)をメタノールから結晶化し、ろ過により単離する。
【0219】
4-[5-(4,7-ジメチルベンゾフラン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル]安息香酸メチル(VI)をテトラヒドロフラン(THF)中60~65℃で水酸化カリウムで処理して加水分解し、その後水及びエタノールで希釈する。濃塩酸を添加すると、目的化合物である4-(5-(4,7-ジメチルベンゾフラン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)安息香酸(BOBA-001)が沈殿し、ろ過により単離する。
【0220】
この合成ルートの例を下記に記載する。
ステップ1:4-(N'-ヒドロキシカルバミミドイル)安息香酸メチル(IV)
【化12】
【0221】
4-シアノ安息香酸メチル(III)(2.50kg、1wt)のメタノール(7.5L、3vol)中の溶液をメチルtert.-ブチルエーテル(9.3kg、3.7wt)で希釈した。水性ヒドロキシルアミン(50%溶液; 1.23kg、0.5wt、1.2eq.)を20~25℃で約0.5時間かけてドーズした(dosed)。ドージングライン(dosing line)をメタノール(1kg、0.4wt)でリンスし、20~25℃で約12時間反応を進行させた。このバッチを5±5℃に冷却し、5±5℃で3時間熟成させた。生成物である4-(N'-ヒドロキシカルバミミドイル)安息香酸メチル(IV)をろ過により単離し、メチルtert.-ブチルエーテルで洗浄し(2x5.5kg、2x2.2wt)、周囲温度で(at ambient)窒素流下約4時間乾燥した(2.38kg、93%)。
【0222】
ステップ2:4,7-ジメチルベノズフラン-2-カルボニルクロリド(II)
【化13】
【0223】
反応器に4,7-ジメチルベンゾフラン-2-カルボン酸(I)(1.96kg、1wt)、N,N-ジメチルホルムアミド(8g、0.004wt)及びジクロロメタン(6.85kg、3.5wt)を入れ、バッチを25~30℃に加熱した。約15分かけて、塩化オキサリル(1.47kg、0.75wt、1.1eq)を混合物にドーズし、ドーズラインをジクロロメタン(1.3kg、0.66wt)でリンスした。このバッチを30~35℃で約1.5時間撹拌し、得られた生成物である4,7-ジメチルベンゾフラン-2-カルボニルクロリド(II)をさらに精製せずに次のステップで直接使用した。
【0224】
ステップ3:4-[5-(4,7-ジメチルベンゾフラン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル]安息香酸メチル(VI)
【化14】
【0225】
反応器に4-(N'-ヒドロキシカルバミミドイル)安息香酸メチル(IV)(1.97kg、1wt、(I)を基準として0.97eq)、トリエチルアミン(2.34kg、1.2wt、2.2eq)及びメチルイソブチルケトン(23.9kg、12wt)を仕込んだ。バッチを30~35℃に加熱し、温度が60℃を超えないようにしながら、4,7-ジメチルベンゾフラン-2-カルボニルクロリド(II)(ステップ2で調製)の溶液をドーズした。ドージングラインをジクロロメタン(0.66wt)でリンスし、最初に溶媒を蒸留して一部溶媒を除去した後、大気圧下、110~115℃で、約3時間加熱した。バッチを60~70℃に冷却し、メタノール(8kg、4wt)を加え、バッチをこの温度でさらに30分間加熱した。このバッチを20±3℃に冷却し、この温度で約1時間熟成させた。固体生成物を濾過し、メタノールで洗浄し(2x6.2kg、2x3.1wt)、窒素気流下、周囲温度で16時間乾燥した(3.3kg、93%)。
【0226】
ステップ4:4-[5-(4,7-ジメチルベンゾフラン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル]安息香酸(BOBA-001)
【化15】
【0227】
反応器に4-[5-(4,7-ジメチルベンゾフラン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル]安息香酸メチル(VI)(3.0kg、1wt)、テトラヒドロフラン(THF)(22kg、7.1wt)及び脱塩水(DEMI水、7.5kg、2.5wt)中の固体KOH(0.69kg、0.23wt)から調製した水酸化カリウムの水溶液を仕込んだ。このバッチを65±5℃に加熱し、65±5℃で約3時間攪拌した。バッチを30~35℃に冷却し、反応混合物を排出させた。この溶液を、インラインフィルターを介して反応器に仕込んだ(すなわち、清澄化工程)。反応器にインラインフィルターを介してDEMI水(6kg、2.0wt)及び無水エタノール(9.6kg、3.2wt)を仕込んだ。バッチを55±5℃に加熱した。反応器に、インラインフィルターを介して、濃塩酸(30wt%)(1.35kg、0.45wt)をドーズし、バッチを55±5℃で約15分間攪拌した。このバッチを20±3℃に冷却し、この温度で2時間熟成させた。生成物を濾過し、ろ過ケーキをDEMI水(1.5kg、0.5wt)と無水エタノール(8.4kg、2.8wt)の混合物で2回洗浄した。このバッチをフィルター上で周囲温度で約1時間乾燥させ、目的化合物であるBOBA-001を得た。
【0228】
生物学的研究
動物研究
動物
成体の雄のSprague-Dawleyラット(150~200g)を天然光:暗サイクルの下で飼育し、水及び餌をその場で提供した。これらの動物を、データ収集の前に、3~5日間試験パラダイムに慣れさせた。プロトコルは全て、ロンドン大学キングスカレッジ及びイギリス内務省の動物実験委員会により承認された。
【0229】
手術
神経障害性疼痛(腰椎第5脊髄神経結紮(L5 SNL);例えば、Kim et al., 1992を参照)についての標準モデルを用いて動物を研究した。これは、自発性疼痛及び誘発性疼痛(痛覚過敏、異痛)の高い再現性、及び自切がないことにより、神経障害性疼痛研究において最も広く用いられているモデルである(例えば、Barrot, 2012;Huang et al., 2016参照)。
【0230】
成体のラットは、イソフルラン(Abbott Animal Health)吸入麻酔下で左側坐骨神経の部分的な神経結紮を受けた(例えば、Seltzer et al., 1990を参照)。左大腿部の少し上を小さく切開し、坐骨神経を曝露した。後部二頭筋半腱様筋神経が総坐骨神経から分岐する点のすぐ遠位の転子付近の部位で、神経から周囲の結合組織を注意深く取り除いた。神経厚の1/3~1/2が結紮内に保持されるように、5-0バイクリル縫合糸(Ethicon社、イギリス)を神経中に挿入して堅く結紮した。
【0231】
処置
2つの11匹のラットの群を研究した。各群において、ラットは、上記のとおり左側坐骨神経(L5 SNL)の部分的神経結紮を受けた。一方の群では、ラットは試験化合物による処置を受けた;他方の群では、ラットはプラセボによる処置を受けた。下記のとおり、各群において8匹の動物を行動学的研究に使用した(手術後28日間)。下記のとおり、各群において3匹の動物を組織分析に使用した(手術後14日目)。
【0232】
ラットを、手術の翌日に開始してその後1日おきに4週間、処置溶液又はプラセボで経口的に処置した。
【0233】
処置溶液は、4mgの試験化合物(BOBA-001)を1mLの0.1N NaHCO3水溶液中に溶解させることによって調製した(約4mg/mLの濃度を得た)。
【0234】
処置した動物については、処置溶液を強制経口投与によって経口的に投与し(po)、3mg/kgの用量を与えた。
【0235】
対照動物については、強制経口投与により対応容量のビヒクル(0.1N NaHCO3水溶液)をプラセボとして経口的に投与した(po)。
【0236】
行動研究
疼痛閾値を以下の方法に従って測定し、ベースラインは手術の1日前、さらに手術後1、6、9、16、23、及び28日目に測定した。
【0237】
(疼痛閾値 - 機械的異痛)
フォンフレイヘア(von Frey hair)(タッチテスト、Stoelting社、米国イリノイ州)を後足の足底面に適用することにより、静的機械的逃避閾値(Static mechanical withdrawal thresholds)を評価した。無拘束動物を、アクリル製の小個室(8x5x10cm)中、ワイヤーメッシュグリッド上で、試験前に60分間慣れさせた。較正フォンフレイヘア(規定レベルの力を与える、直径が漸増する複数の柔軟なナイロン繊維)を、繊維が曲がるまで後足の足底面に適用した。このヘアを、3秒間、又は運動又は毛繕いに伴わない反射において足を逃避するまで所定の位置に保持した。各ヘアを、最も低力のヘアから開始して、左足(末梢神経損傷と同側)及び右足(末梢神経損傷の反対側)の両方に交互に5回適用した。力を増大させてヘアを順次適用した(1ヘア当たり5回適用)。5回の適用にわたって40%の逃避応答が生じた場合に、ポジティブな応答を記録した。
【0238】
図1は、(a) プラセボによる処置、末梢神経損傷と同側(白丸);(b) プラセボによる処置、末梢神経損傷の反対側(白ひし形);(c) BOBA-001による処置、末梢神経損傷と同側(黒丸);(d) BOBA-001による処置、末梢神経損傷の反対側(黒ひし形)についての、手術後の時間(日数)に対する機械的足逃避閾値(グラム)のグラフである。データは、平均±標準誤差(SEM)として報告される;1群当たり8匹の動物(n=8);2元配置反復測定分散分析ANOVA:**p≦0.01;***p≦0.001。
【0239】
(疼痛閾値 - 熱的痛覚過敏 - ホットプレート)
Hargreaves et al., 1988の改変法を用いて、熱的痛覚過敏を評価した。手短に言えば、ラットを、昇降ガラステーブル上の個別のプレキシガラスボックスからなる装置に10分間慣れさせた。テーブルの下に可動性放射熱源を置き、後足に焦点を合わせ、ラットがその後足を熱源から離すために要した時間として足逃避潜時を定義した。カットオフ点は25秒に設定し、組織損傷を防止した。ナイーブなラットでは約15秒間の足逃避潜時を与えるように装置を較正した。左足(末梢神経損傷と同側)及び右足(末梢神経損傷の反対側)の両方について、少なくとも5分間離した3回の記録の平均をとった。
【0240】
図2は、(a) プラセボによる処置、末梢神経損傷と同側(白丸);(b) プラセボによる処置、末梢神経損傷の反対側(白ひし形);(c) BOBA-001による処置、末梢神経損傷と同側(黒丸);(d) BOBA-001による処置、末梢神経損傷の反対側(黒ひし形)についての、手術後の時間(日数)に対するホットプレート足逃避(秒)のグラフである。データは、平均±標準誤差(SEM)として報告される;1群当たり8匹の動物(n=8);2元配置反復測定分散分析:**p≦0.01;***p≦0.001。
【0241】
(疼痛閾値 - 熱的痛覚過敏 - コールドプレート)
4±0.1℃に設定されたインクリメンタルホット/コールドプレート(IITC Life Sciences社)を用いて、有痛性冷刺激に応答する後足の逃避を評価した。ラットを軽く拘束し、足底面をコールドプレートにつけて後足を保持した。足を逃避するまでの潜時をほぼ0.01秒まで測定した。組織損傷を回避するため、許容される最大潜時期間は20秒間であった。左足(末梢神経損傷と同側)及び右足(末梢神経損傷の反対側)の両方について、少なくとも5分間離した3回の記録の平均をとった。手術後9日目には、ラットを試験しなかった。
【0242】
図3は、(a) プラセボによる処置、末梢神経損傷と同側(白丸);(b) プラセボ、末梢神経損傷の反対側(白ひし形);(c) BOBA-001による処置、末梢神経損傷と同側(黒丸);(d) BOBA-001による処置、末梢神経損傷の反対側(黒ひし形)についての、手術後の時間(日数)に対するコールドプレート足逃避(秒)のグラフである。データは、平均±標準誤差(SEM)として報告される;1群当たり8匹の動物(n=8);2元配置反復測定分散分析:**p≦0.01;***p≦0.001。
【0243】
(疼痛閾値 - ランダルセリット試験(Randall Sellito Test))
Analgesy-Meter(Ugo Basile社、イタリア、コメーリオ)を用いて、機械的侵害閾値を評価した(例えば、Raghavendra et al., 2003を参照)。ラットを穏やかに保持し、後足の背面に圧力を徐々に増加させて(最大25g)を適用した。この圧力は、足逃避を誘発するために必要とされ、足圧閾値(グラム)が決定された。左足(末梢神経損傷と同側)及び右足(末梢神経損傷の反対側)の両方について、少なくとも5分間離した3回の記録の平均をとった。手術後9日目には、ラットを試験しなかった。
【0244】
図4は、(a) プラセボによる処置、末梢神経損傷と同側(白丸);(b) プラセボ、末梢神経損傷の反対側(白ひし形);(c) BOBA-001による処置、末梢神経損傷と同側(黒丸);(d) BOBA-001による処置、末梢神経損傷の反対側(黒ひし形)についての、手術後の時間(日数)に対するランダルセリット(Randall Sellito)足逃避閾値(グラム)のグラフである。データは、平均±標準誤差(SEM)として報告される;1群当たり8匹の動物(n=8);2元配置反復測定分散分析:**p≦0.01;***p≦0.001。
【0245】
(結果)
上記のデータは、L5 SNLを受け、BOBA-001で4週間処置したラットが、熱的閾値試験及び機械的閾値試験において顕著な改善を示し、プラセボで処置したラットと比較して疼痛の顕著な寛解を享受したことを示す。
【0246】
上記のデータは、神経損傷後に、BOBA-001による処置が機械的過敏性及び熱的過敏性を低下させ、機械的感受性及び熱的感受性を回復させることを示す。これは、BOBA-001軸索伸長も引き起こすという事実を考慮すると、驚くべきであり且つ予想外である。
【0247】
組織分析
末梢神経損傷に対して同側及び反対側の後角及び後根神経節における神経障害性疼痛に伴うマーカーのレベルを測定した:(1) 腫瘍壊死因子-α(TNF-α)、NPの開始に関与する(例えば、Schafers et al., 2003A参照);(2) TNFR1、SNL後にアップレギュレートされる(例えば、Schafers et al., 2003B参照);及び(3) 脳由来神経栄養因子(BDNF)、そのシナプス前阻害及びシナプス後阻害に対する作用(例えば、Meacham et al., 2017参照)は別として、シャファー側枝(SC)におけるシナプス可塑性及び中枢性感作に関与し、後角NR2B-含有NMDA(NMDA-2B)受容体(例えば、Geng et al., 2010参照)の活性化による神経障害性疼痛の発症及び維持の一因となることが示されている。
【0248】
全RNA単離及びRT-qPCR分析
損傷の14日後、各群由来の3匹のラットを屠殺した。損傷領域から脊髄を単離し、テフロンガラス製ホモジナイザー及びQIAshredderカラム(Qiagen社)を用いて溶解させた。全RNAをQiagen RNeasy(登録商標)ミニキットで単離し、QuantiTect(登録商標)逆転写キット(Qiagen社)で逆転写した。各遺伝子について、LightCycler(登録商標) SYBR(登録商標) Green Iマスター試薬(Roche社)を用いたLightCycler(登録商標) 480装置上のRT-qPCR分析により、グリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)及び3重非鋳型対照に対して、腫瘍壊死因子α(TNFα)及び腫瘍壊死因子受容体1(TNFR1)発現のレベルを3反復で定量した。
【0249】
使用したプライマー対は以下のものであった:
TNFαフォワード:5'-CTGTGCCTCAGCCTCTTCTC-3';
TNFαリバース:5'-ACTGATGAGAGGGAGCCCAT-3';
TNFR1フォワード:5'-CCTCTCTCCCCTCGGCTTTA-3';
TNFR1リバース:5'-CCCGGGTTAGAAAGGCTCAA-3';
GAPDHフォワード:5'-TGACCTCAACTACATGGTCTACA-3';及び
GAPDHリバース:5'-GACTCCACGACATACTCAGCA-3'。
【0250】
RT-qPCR サイクリングパラメーターを各遺伝子に対して最適化し、そのパラメーターは以下のとおりであった:95℃で5分間の開始ステップ後、95℃、10秒間;60℃、20秒間;72℃、10秒間を45サイクル。
【0251】
図5は、(a) プラセボで処置したラット及び(b) BOBA-001で処置したラットについての、末梢神経損傷と同側の後角におけるTNFα:GAPDH発現比を示す棒グラフである。1群当たり3匹の動物(n=3)。データは、平均±標準誤差(SEM)として報告される;スチューデントのt検定:**p≦0.01、***p≦0.001。
【0252】
図6は、(a) プラセボで処置したラット及び(b) BOBA-001で処置したラットについての、末梢神経損傷と同側の後角におけるTNFR1:GAPDH発現比を示す棒グラフである。1群当たり3匹の動物(n=3)。データは、平均±標準誤差(SEM)として報告される;スチューデントのt検定:**p≦0.01、***p≦0.001。
【0253】
(免疫細胞化学(IHC))
最初に、パラフィンワックス中に埋め込まれた脊髄組織をキシレン及び100%工業用変性アルコール(IMS)中で脱ろうし、次いで沸騰するまでクエン酸(10mM、pH6)中で加熱し、その後流れている水道水の下で5分間洗浄した。この切片を、それぞれリン酸緩衝食塩水(PBS)中で3x 5分間洗浄し、その後PBS-0.02% Tween中で一次抗体と共に4℃で一晩インキュベートした。一次抗体を、それぞれPBS中で3x 5分間洗浄することによって除去した。次いで、サンプルを、PBS-0.02% Tween中、二次抗体中で室温にて1時間インキュベートし、その後、それぞれPBS中で3x 5分間洗浄した。使用した抗体は以下のとおりであった:BDNF抗体(Novuf Biologicals社、NBP1-46750)及びAlexaFluor(商標)594。
【0254】
Zeiss LSM 700レーザー走査共焦点顕微鏡を用いて、マルチチャンネル蛍光(DAPI-FITC-Texas Redフィルターセット)画像をとらえた。高倍率画像については、63x油侵アポクロマート対物レンズ(Carl Zeiss社)を使用した。ゲイン(gain)、絞り値、コントラスト及び輝度についての設定を最初に最適化し、各研究を通して一定に保つことにより、同じ照射条件下で全片をデジタル化した。複数チャネルを連続的に画像化して漏れ込み(bleed through)を除去し、Adobe Photoshop 7.0(Adobe Systems社)を用いてマルチチャンネルイメージオーバーレイを得た。Axiovisionソフトウェアを使用して、定量の目的で使用されるピクセル免疫反応性についての情報を収集した。全ての統計的分析は、SigmaSTAT ソフトウェア(SPSS Software Ltd社、英国、バーミンガム)を用いて実施した。
【0255】
図7は、(a) プラセボで処置したラット及び(b) BOBA-001で処置したラットについての、末梢神経損傷と同側の後角におけるBDNFレベル(任意単位)を示す棒グラフである。1つの分析対象の損傷脊髄当たり5つの連続切片、1群当たり3匹の動物(n=3)。データは、平均±標準誤差(SEM)として報告される;スチューデントのt検定:**p≦0.01、***p≦0.001。
【0256】
結果
上記のデータは、神経損傷後に、BOBA-001による処置がTNFα、TNFR1、及びBDNFを調節することを示す。損傷と同側の後角におけるこれらの3つのマーカー(TNFα、TNFR1、及びBDNF)の発現レベルは、BOBA-001による処置後、プラセボと比較して有意にダウンレギュレートされた。これらの結果は、神経障害性疼痛をもたらす経路における調節効果を強く示唆している。
【0257】
上記では、本発明の原理、好ましい実施形態、及び操作様式について記載してきた。しかしながら、本発明は、考察された特定の実施形態に限定されるものと解されるべきではない。そうではなく、上記の実施形態は、限定的であるというよりもむしろ例示的であるとみなされるべきである。本発明の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態において当業者が変更を行い得ることが認識されるべきである。
【0258】
(参考文献)
本発明及び本発明が属する技術分野の技術水準をより完全に説明及び開示するため、多くの刊行物が本明細書中で引用されている。これらの刊行物についての完全な引用を以下に提供する。
【0259】
これらの刊行物のそれぞれは、各個別の刊行物が参照により具体的且つ個別に参照により組み込まれるように示された場合と同じ程度まで、その全体が本明細書中で参照により本開示へと組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
2022534594000001.app
【国際調査報告】