IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧

特表2022-535321親水性ヒュームドシリカを含むフィルム層を有するPVモジュール
<>
  • 特表-親水性ヒュームドシリカを含むフィルム層を有するPVモジュール 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-08
(54)【発明の名称】親水性ヒュームドシリカを含むフィルム層を有するPVモジュール
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/00 20060101AFI20220801BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20220801BHJP
   C08K 5/14 20060101ALI20220801BHJP
   C08K 5/5415 20060101ALI20220801BHJP
   C08K 5/5425 20060101ALI20220801BHJP
   C08L 23/08 20060101ALI20220801BHJP
   C08J 5/18 20060101ALI20220801BHJP
   H01L 31/048 20140101ALI20220801BHJP
【FI】
C08L23/00
C08K3/36
C08K5/14
C08K5/5415
C08K5/5425
C08L23/08
C08J5/18 CES
H01L31/04 560
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557431
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(85)【翻訳文提出日】2021-11-29
(86)【国際出願番号】 CN2019080466
(87)【国際公開番号】W WO2020198953
(87)【国際公開日】2020-10-08
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(72)【発明者】
【氏名】ホー、チャオ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ホン
(72)【発明者】
【氏名】マー、ウェイミン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ユンフォン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ユヤン
(72)【発明者】
【氏名】ハーバースベルガー、ブライアン エム.
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ホンユウ
【テーマコード(参考)】
4F071
4J002
5F151
【Fターム(参考)】
4F071AA15
4F071AA18
4F071AA82
4F071AA84
4F071AA88
4F071AB26
4F071AC11
4F071AC16
4F071AC19
4F071AE03
4F071AE05
4F071AE22
4F071AF30Y
4F071AF39Y
4F071AF58Y
4F071AH12
4F071BA01
4F071BB03
4F071BC01
4F071BC12
4J002BB051
4J002DJ016
4J002EK087
4J002EX018
4J002FD016
4J002GQ00
4J002GQ05
5F151CB29
5F151JA02
5F151JA03
5F151JA04
5F151JA05
(57)【要約】
【解決手段】 フィルム層として使用するための組成物は、(A)5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーと、(B)親水性ヒュームドシリカと、(C)アルコキシシランと、(D)有機過酸化物と、任意選択で、(E)0重量%~1.5重量%の架橋助剤とを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
(A)5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーと、
(B)親水性ヒュームドシリカと、
(C)アルコキシシランと、
(D)有機過酸化物と、
(E)0重量%~1.5重量%の架橋助剤と、を含む、組成物。
【請求項2】
前記組成物の総重量に基づいて、
(A)90重量%~100重量%未満のエチレン/α-オレフィンコポリマーと、
(B)ビニルトリメトキシシラン、(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される0.01重量%~2重量%のアルコキシシランと、
(C)0.01重量%~5.0重量%の前記親水性ヒュームドシリカと、
(D)0.1重量%~5.0重量%の前記有機過酸化物と、
(E)0重量%超~1.5重量%の前記架橋助剤と、を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記オレフィン系ポリマーが、500psi以上~6000psi未満の曲げ弾性率(2%割線)を有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物を含むフィルム層であって、前記組成物が、
(A)5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーと、
(B)親水性ヒュームドシリカと、
(C)アルコキシシランと、
(D)有機過酸化物と、
(E)0重量%~1.5重量%の架橋助剤と、を含み、
前記フィルム層が、5.0*1017ohm.cm~6.0*1018ohm.cmの体積抵抗率を有する、フィルム層。
【請求項5】
前記組成物が、前記組成物の総重量に基づいて、
(A)90重量%~100重量%未満のエチレン/α-オレフィンコポリマーと、
(B)0.01重量%~2重量%の前記アルコキシシランと、
(C)0.01重量%~5.0重量%の前記親水性ヒュームドシリカと、
(D)0.1重量%~5.0重量%の前記有機過酸化物と、
(E)0重量%超~1.5重量%の前記架橋助剤と、を含む、請求項4に記載のフィルム層。
【請求項6】
前記アルコキシシランが、ビニルトリメトキシシラン、(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項4または5に記載のフィルム層。
【請求項7】
前記フィルム層が、160N/cm~190N/cmのガラス接着力を有する、請求項4~6のいずれか一項に記載のフィルム層。
【請求項8】
前記フィルム層が、11.250分未満~10.250分のt90を有する、請求項4~7のいずれか一項に記載のフィルム層。
【請求項9】
光起電力モジュールであって、
光起電力セルと、
(A)5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーと、
(B)親水性ヒュームドシリカと、
(C)アルコキシシランと、
(D)有機過酸化物と、
(E)0重量%~1.5重量%の架橋助剤と、を含む組成物の反応生成物である組成物から構成されるフィルム層と、を含み、
前記フィルム層が、5.0*1017ohm.cm~6.0*1018ohm.cmの体積抵抗率を有する、光起電力モジュール。
【請求項10】
前記組成物が、前記組成物の総重量に基づいて、
(A)90重量%~100重量%未満のエチレン/α-オレフィンコポリマーと、
(B)0.01重量%~2重量%の前記アルコキシシランと、
(C)0.01重量%~5.0重量%の前記親水性ヒュームドシリカと、
(D)0.1重量%~5.0重量%の前記有機過酸化物と、
(E)0重量%超~1.5重量%の前記架橋助剤と、を含む、請求項9に記載の光起電力モジュール。
【請求項11】
前記オレフィン系ポリマーが、6000psi未満~500psi以上の曲げ弾性率(2%割線)を有する、エチレン/C-Cα-オレフィンコポリマーである、請求項9または10に記載の光起電力モジュール。
【請求項12】
前記アルコキシシランが、ビニルトリメトキシシラン、(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9~11のいずれか一項に記載の光起電力モジュール。
【請求項13】
前記フィルム層が、160N/cm~190N/cmのガラス接着力を有する、請求項9~12のいずれか一項に記載の光起電力モジュール。
【請求項14】
前記フィルム層が、前面封入剤フィルム層であり、90.00%以上~92.00%の平均透過率を有する、請求項13に記載の光起電力モジュール。
【請求項15】
前記フィルム層が、11.250分未満~10.250分のt90を有する、請求項9~14のいずれか一項に記載の光起電力モジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、改善された体積抵抗率を有するオレフィン系封入剤フィルム、およびそのような封入剤フィルムを含む光起電力モジュールなどの電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
光起電力(PV)モジュールなどの典型的な電子デバイスの構築は、典型的には、前面光透過および受容層、通常はガラス、それに続く前面封入剤フィルム層、電子部品(例えば、光起電力セル)、後面封入剤フィルム層、ならびに最後に、ポリマーバックシートまたはガラスである後面層を含む。場合によっては、後面封入剤フィルム層およびバックシートは、封入剤およびバックシート機能が統合された単一のフィルム、または裏面封入剤複合(BEC)フィルムであり得る。PVモジュールは屋外で使用されるため、耐候性が必要であり、例えば、電子部品を湿気、衝撃、および振動から保護し、電気抵抗を提供する必要がある。封入剤フィルムは、PVモジュールで使用される光起電力セルなど、電子デバイスで使用される電気部品の絶縁および環境保護を提供する。
【0003】
エチレン酢酸ビニル(EVA)は、その透明性、柔軟性、および架橋可能なシートへの変換の容易さから、現在、PVセルの封入材料として広く使用されている。ただし、EVAは耐候性が乏しく、極性が高いため、体積抵抗率(VR)の低下をもたらす。VRは、潜在的な誘導劣化(PID)抵抗性能に影響を与えるため、重要である。低いVR封入材料で太陽セルを封入すると、PIDに起因して、大幅なモジュールの電力の喪失がもたらされ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーなどのオレフィン系封入材料もまた、優れた透明性、耐熱性を有し、架橋可能なフィルムに容易に変換され得る。オレフィン系封入材料は、一般に、EVAと比較して改善されたVRを有するが、オレフィン系封入材料は、広い範囲のVRを有し、最良のPID防止性能は、1017ohm.cm超のVRを有するオレフィン系封入材料で達成される。より低いVRを有するオレフィン系封入材料は、VRの改善から恩恵を受けるであろう。
【0005】
改善された体積抵抗率を有するオレフィン系樹脂を含有する封入剤フィルムのニーズが存在する。
【0006】
本開示の実施形態によれば、組成物が提供される。本組成物は、(A)5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーと、(B)親水性ヒュームドシリカと、(C)アルコキシシランと、(D)有機過酸化物と、(E)0重量%~1.5重量%の架橋助剤と、を含む。
【0007】
本開示のさらなる実施形態によれば、フィルム層が提供される。フィルム層は、(A)5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーと、(B)親水性ヒュームドシリカと、(C)アルコキシシランと、(D)有機過酸化物と、(E)0重量%~1.5重量%の架橋助剤と、を含む組成物から作製され、フィルム層は、5.0*1017ohm.cm~6.0*1018ohm.cmの体積抵抗率を有する。
【0008】
本開示のさらなる実施形態によれば、光起電力モジュールが提供される。光起電力モジュールは、光起電力セル、および(A)5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーと、(B)親水性ヒュームドシリカと、(C)アルコキシシランと、(D)有機過酸化物と、(E)0重量%~1.5重量%の架橋助剤と、を含む組成物の反応生成物である組成物から構成されるフィルム層を含み、フィルム層は、5.0*1017ohm.cm~6.0*1018ohm.cmの体積抵抗率を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の実施形態による、光起電力モジュールの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
定義
反対のことが記載されないか、文脈から示唆されないか、または当該技術分野で慣習的でない限り、すべての部およびパーセントは、重量に基づく。米国特許実務の目的で、任意の参照された特許、特許出願、または特許公開の内容は、特に定義の開示(特に本開示で提供されている任意の定義と矛盾しない範囲まで)および当技術分野での一般的な知識に関して、参照によってそれらの全体が組み込まれる(あるいはその同等の米国版がそのように参照によって組み込まれる)。
【0011】
本明細書に開示される数値範囲は、下限値および上限値からの、それらを含むすべての値を含む。明示的な値を含む範囲(例えば、1、または2、または3~5、または6、または7の範囲)の場合、任意の2つの明示的な値の間の部分範囲が含まれる(例えば、上記の範囲1~7は、すべての部分範囲1~2、2~6、5~7、3~7、5~6などを含む)。
【0012】
「アルファ-オレフィン」またはα-オレフィン」は、炭化水素分子であり、炭化水素分子は、(i)第1および第2の炭素原子の間に位置する1つのエチレン性不飽和のみ、ならびに(ii)2個、または3個、または4個~5個、または8個、または10個、または20個の炭素原子を含む。エラストマーが調製されるα-オレフィンの非限定的な例としては、エテン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-ドデセン、およびこれらのモノマーのうちの2つ以上の混合物が挙げられる。
【0013】
「ブレンド」または「ポリマーブレンド」は、2つ以上のポリマーの組成物である。そのようなブレンドは、混和性であっても、そうでなくてもよい。そのようなブレンドは、相分離していても、していなくてもよい。そのようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、および当技術分野で既知の任意の他の方法から決定される、1つ以上のドメイン構成を含有している場合も、そうでない場合もある。
【0014】
「組成物」または「配合物」は、2つ以上の構成成分の混合物またはブレンドである。製造品が製作される材料の混合物またはブレンドの文脈において、組成物は、混合物のすべての構成成分、例えば、ポリマー、触媒、および硬化触媒、酸化防止剤、難燃剤などの任意の他の添加剤または薬剤を含む。
【0015】
「~を含む(comprising)」、「~を含む(including)」、「~を有する(having)」という用語、およびそれらの派生語は、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、任意の追加の構成成分、ステップ、または手順の存在を除外することを意図するものではない。「含む」の使用を通じて特許請求されるすべてのプロセスは、反対に述べられない限り、1つ以上の追加のステップ、機器もしくは構成要素の部品、および/または材料を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、任意の以降の記述の範囲から任意の他の構成要素、ステップ、または手順を除外する。「からなる」という用語は、具体的に規定または列挙されていない任意の構成要素、ステップ、または手順を除外する。「または」という用語は、別途記載がない限り、列挙された部材を個々に、および任意の組み合わせで指す。
【0016】
「直接的な接触」は、2つの構成要素が互いに物理的に接触しており、2つの接触する構成要素の一部の間に位置する介在する層および/または介在する材料がない構成である。
【0017】
「エチレン/α-オレフィンコポリマー」は、コポリマーの重量に基づいて、過半量の重合エチレンを含有するインターポリマーであり、唯一の2つのモノマータイプとしてα-オレフィンである。
【0018】
「エチレン/α-オレフィンインターポリマー」は、インターポリマーの重量に基づいて、過半量の重合エチレン、および少なくとも1つのα-オレフィンを含有するインターポリマーである。
【0019】
「エチレン系インターポリマー」は、インターポリマーの重量に基づいて、過半量の重合エチレン、および少なくとも1つのコモノマーを含有するインターポリマーである。
【0020】
「エチレン系ポリマー」は、50重量パーセント超の重合エチレンモノマーを含有し、任意選択で1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。
【0021】
「フィルム」という用語は、より厚い物品の「フィルム層」を指す場合を含め、指定された厚さを明示的に有さない限り、典型的には25マイクロメートル~1.25ミリメートル(mm)以上の一般に一貫した均一な厚さを有する、任意の薄くて平らな押し出しまたはキャスト物品を含む。フィルムの「層」は、ナノレイヤー、またはマイクロレイヤーの場合のように、非常に薄くてもよい。本明細書で使用される場合、「シート」という用語は、指定された厚さを明示的に有さない限り、「フィルム」よりも一般に一貫した均一な厚さを有する、任意の薄くて平らな押し出しまたはキャスト物品を含む。
【0022】
「ガラス」は、純粋な二酸化ケイ素(SiO)、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、砂糖ガラス、雲母ガラス(白雲母ガラス)、光起電力ガラス、または酸窒化アルミニウムを含むがこれらに限定されない、窓、ボトル、またはアイウェアに使用されるような、硬く、もろく、透明な固体である。
【0023】
「インターポリマー」は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されるポリマーである。したがって、一般用語のインターポリマーには、コポリマー(2つの異なるタイプのモノマーから調製されたポリマーを指すために使用される)、ターポリマー(3つの異なるタイプのモノマーから調製されたポリマーを指すために使用される)、および3つ以上の異なるタイプのモノマーから調製されたポリマーが含まれる。
【0024】
「線状低密度ポリエチレン」(「LLDPE」)は、エチレン系ポリマーであり、重合形態で、LLDPEの総重量に基づいて大部分の重量パーセントのエチレンと、C-C20α-オレフィンコモノマーまたはC-Cα-オレフィンコモノマーとを含む。LLDPEは、従来のLDPEとは対照的に、長鎖分岐があるとしてもわずかであることを特徴とする。
【0025】
「低密度ポリエチレン」(「LDPE」)は、エチレン系ポリマーであり、重合形態で、LDPEの総重量に基づいて大部分の重量パーセントのエチレンと、任意選択で、C-C20α-オレフィンコモノマーまたはC-Cα-オレフィンコモノマーとを含む。LDPEは、分岐または不均一分岐ポリエチレンである。LDPEは、主ポリマー骨格から延在する比較的多くの長鎖分岐を有する。LDPEは、フリーラジカル開始剤を用いて高圧で調製することができ、典型的には0.915g/cc~0.940g/ccの密度を有する。
【0026】
「オレフィン系ポリマー」は、(オレフィン系ポリマーの総重量に基づいて)50パーセント超の重合オレフィンモノマーを含有し、任意選択で、1つ以上のコモノマーを含有し得るポリマーである。オレフィン系ポリマーの非限定的な例としては、エチレン系ポリマーおよびプロピレン系ポリマーが挙げられる。「オレフィン系ポリマー」および「ポリオレフィン」という用語は、交換可能に使用され得る。
【0027】
「光起電力セル」、「PVセル」、および同様の用語は、いくつかの無機または有機タイプのいずれかの1つ以上の光起電力効果材料を含有する構造を意味する。例えば、一般的に使用される光起電力効果材料には、結晶性ケイ素、多結晶性ケイ素、非晶質ケイ素、(ジ)セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)、セレン化銅インジウム(CIS)、テルル化カドミウム、ヒ化ガリウム、色素増感材料、および有機太陽セル材料を含むが、これらに限定されない、既知の光起電力効果材料のうちの1つ以上が含まれる。図1に示されるように、PV電池は、典型的には、積層体構造に用いられ、入射光を電流に変換する少なくとも1つの光反応性表面を有する。光起電力セルは、当業者に既知であり、一般に、電池を保護し、かつ様々な用途環境、典型的には、屋外用途での使用を可能にする光起電性モジュールにパッケージングされる。PV電池は、本質的に可撓性または剛性であり、光起電性効果材料およびそれらの生産に適用される任意の保護コーティング表面材料、ならびに適切な配線および電子駆動回路を含む。
【0028】
「光起電力モジュール」、「PVモジュール」などの用語は、PV電池を含む構造を指す。PVモジュールは、カバーシート、前面封入剤フィルム、後面封入剤フィルム、およびバックシートも含み得、PV電池は前面封入剤フィルムと後面封入剤フィルムとの間に挟まれている。例示的なPVモジュール2は図1に示され、最上層3、前面封入剤層4、少なくとも1つの光起電力セル5、典型的には線状または平面パターンに配列された複数のそのようなセル、後面封入剤層6、およびバックシート7を含む。前面封入剤層4は、光起電力セル5および部分的に後面封入剤層6の両方と直接接触している。前面封入剤層4および後面封入剤層6は、光起電力セル5を完全に取り囲むか、または封入する。バックシート7は、PVモジュール2の裏表面を保護する単層構造または多層構造またはガラス(ガラス/ガラスPVモジュールを作製する)であり得る。
【0029】
「ポリマー」は、同じタイプであるか異なるタイプであるかにかかわらず、モノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物である。したがって、「ポリマー」という総称は、通常、1タイプのみのモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられるホモポリマーという用語、およびインターポリマーという用語を包含する。
【0030】
試験方法
密度は、ASTM D792、方法Bに従って測定され、結果は、1立方センチメートル当たりのグラム(g)(g/ccまたはg/cm)で記録される。
【0031】
曲げ弾性率(2%割線)は、ASTM D790に従って測定され、psiで報告される。
【0032】
ガラス接着:ラミネートされたサンプルは、幅1インチの3つの標本に切断される(切断されたバックシートおよびフィルム層)。180°剥離試験を使用して、ガラス接着強度(最大ガラス接着強度および1インチ~2インチの層間剥離の平均ガラス接着強度)を測定する。この試験は、制御された周囲条件下でInstron TM5565で実行される。平均を得るために、少なくとも3つの標本が試験される。結果は、ニュートン/センチメートル(N/cm)で報告される。
【0033】
平均透過率:圧縮成形フィルムの透過率は、150mmの積分球を備えるLAMBDA950UV/Vis分光光度計(PerkinElmer)を使用して決定される。少なくとも3つのサンプルが試験され、380nm~1100nmの平均透過率が収集される。結果は、パーセントで報告される。
【0034】
メルトインデックス(MI)は、ASTM D1238、条件190℃/2.16キログラム(kg)重量に従って実施され、10分当たりに溶出されるグラム(g/10分)で報告される。
【0035】
融解結晶化およびガラス転移:示差走査熱量測定(DSC)を使用して、広範囲の温度でのポリマーの融解、結晶化、およびガラス転移挙動を測定することができる。例えば、RCS(冷蔵冷却システム)およびオートサンプラーを備えるTA Instruments Q1000 DSCを使用して、この分析を実施する。試験中、50ml/分の窒素パージガス流量を使用する。各サンプルを、約175℃で融解プレスして薄膜にし、次いで融解したサンプルを室温(約25℃)まで空冷する。冷却されたポリマーから3~10mg、直径6mmの標本を抜き取り、重量を測定し、軽い(約50mg)アルミニウムパンに入れ、圧着して閉じる。次いで、その熱的特性を決定するために分析を行う。
【0036】
サンプルの熱挙動は、サンプル温度を昇降して熱流量対温度プロファイルを作成することにより決定する。まず、サンプルを180℃まで急速に加熱し、3分間等温に保持して熱履歴を除去する。次に、サンプルを10℃/分の冷却速度で-40℃まで冷却し、3分間、-40℃の等温に保持する。次いで、サンプルを、10℃/分の加熱速度で180℃まで加熱する(これは「第2の加熱」勾配である)。冷却曲線および第2の加熱曲線を記録する。結晶化の開始から-20℃までのベースラインエンドポイントを設定することによって、冷却曲線を分析する。-20℃から融解終了までのベースラインエンドポイントを設定することによって、加熱曲線を分析する。決定した値は、外挿された融解の開始Tmであり、および外挿された結晶化の開始Tcである。(1グラム当たりのジュールでの)融解熱(H)、および以下の等式を使用して計算されたポリエチレンサンプルの結晶化度%:
結晶化度%=((H)/292J/g)×100
【0037】
融解熱(H)およびピーク溶解温度は、第2の熱曲線から報告される。ピーク結晶化温度は、冷却曲線から決定される。
【0038】
融点Tmは、まず融解転移の開始と終了との間のベースラインを引くことにより、DSC加熱曲線から決定される。次いで、融解ピークの低温側のデータに接線を引く。この線がベースラインと交差する場所は、外挿される融解開始(Tm)である。これは、Bernhard Wunderlich,The Basis of Thermal Analysis,in Thermal Characterization of Polymeric Materials 92,277-278(Edith A.Turi ed.,2d ed.1997)に記載されている通りである。
【0039】
結晶化温度Tcは、接線が結晶化ピークの高温側に引かれていることを除き、上記のDSC冷却曲線から決定される。この接線がベースラインと交差する場所は、外挿される結晶化の開始(Tc)である。
【0040】
ガラス転移温度Tgは、Bernhard Wunderlich,The Basis of Thermal Analysis,in Thermal Characterization of Polymeric Materials 92,278-279(Edith A.Turi ed.,2d ed.1997)に記載のように、サンプルの半分で液体熱容量が増加したDSC加熱曲線から決定される。ガラス転移領域の下および上からベースラインを引き、Tg領域を介して外挿する。サンプルの熱容量がこれらのベースラインの中間となる温度が、Tgである。
【0041】
ムービングダイレオメーター(MDR):MDRには、約4グラムの各キャストフィルムが搭載されている。MDRは、150℃で25分間実行される。各サンプルの時間対トルク曲線は、指定された間隔で記録される。25分の試験間隔(MH)中にMDRによって加えられる最大トルクは、デシ-ニュートンメートル(dNm)で記録される。MHは、典型的には、25分で加えられる最大トルクに対応する。トルクがMHのX%(t)に達するまでの時間は、分単位で報告される。tは、各樹脂の硬化速度を理解するために標準化された測定値である。MHの90%(t90)に達するまでの時間は、分単位で記録される。
【0042】
体積抵抗率:体積抵抗率は、Keithley8009試験治具と組み合わせたKeithley6517B電位計を使用して決定される。Keithleyモデル8009試験チャンバは、高温で動作することができる強制空気オーブン内にある(最大温度60℃)。漏電流は、ソフトウェアを介して機器から記録され、以下の等式を使用して、体積抵抗率(VR)が計算され、
【数1】
式中、pはohm.cm単位の体積抵抗率であり、Vはボルト単位の印加電圧であり、Aはcm単位の電極接触面積であり、Iは10分の印加電圧後に記録されたアンペア単位の漏電流であり、tはサンプルの厚さである。圧縮成形フィルムの厚さは、試験前に測定される。フィルムの5点を測定して、計算に使用される平均厚さを得る。試験は、室温で、1000ボルトで実行される。2つの圧縮成形フィルムが試験され、記録されたVRは2つの試験の平均である。結果は、オームセンチメートル(ohm.cm)で報告される。
【0043】
詳細な説明
本開示は、(A)5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーと、(B)親水性ヒュームドシリカとから構成されるペレット化ポリマー組成物を提供する。本開示のペレットは、電子デバイス、例えば、光起電力モジュール用などの封入剤フィルム用の組成物を形成するのに使用される。
【0044】
本開示は、(A)5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーと、(B)親水性ヒュームドシリカと、(C)アルコキシシランと、(D)有機過酸化物と、任意選択で、(E)架橋助剤と、から構成される組成物をさらに提供する。本開示の組成物は、電子デバイス、例えば、光起電力モジュール用などの封入剤フィルムを生成するために使用される。別の実施形態では、本開示は、光起電力モジュールなどの電子デバイス用のフィルム層を提供する。
【0045】
本開示は、A)5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーと、(B)親水性ヒュームドシリカと、(C)アルコキシシランと、(D)有機過酸化物と、任意選択で、(E)架橋助剤と、を含む組成物から構成される光起電力モジュールなどの電子デバイス用のフィルム層をさらに提供する。
オレフィン系ポリマー
【0046】
オレフィン系ポリマーは、任意のオレフィン系ホモポリマー(オレフィンが唯一のモノマーである)またはオレフィンが一次モノマーであるオレフィン系インターポリマー(つまり、オレフィン系インターポリマーが50重量%超のオレフィン由来の単位を含む)である。オレフィン系ポリマーがオレフィン系インターポリマーである実施形態では、コモノマーは、異なるC2-20線状、分岐状、または環状のα-オレフィンである。本開示の目的のために、エチレンは、α-オレフィンである。コモノマーとしての使用のためのC2-20α-オレフィンの非限定的な例としては、エチレン、プロペン(プロピレン)、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、および1-オクタデセンが挙げられる。
【0047】
実施形態では、オレフィン系ポリマーは、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーであるエチレン系ポリマーである。エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーの非限定的な例としては、エチレンとC-Cα-オレフィンまたはC-Cα-オレフィンとのコポリマー、例えば、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/ブテンコポリマー、エチレン/1-ヘキセンコポリマー、エチレン/1-オクテンコポリマー、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0048】
オレフィン系ポリマー、またはさらにエチレン系ポリマー、またはさらにエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーは、ランダムまたはブロック状であり得る。
【0049】
実施形態では、オレフィン系ポリマーは、ランダムなオレフィン系ポリマー、またはさらにランダムなエチレン系コポリマー、またはさらにランダムなエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーである。
【0050】
オレフィン系ポリマーは、5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有する。実施形態では、オレフィン系ポリマーは、5.0*1015ohm.cm超、または1.0*1016ohm.cm超、または2.0*1016ohm.cm超、または3.0*1016ohm.cm超の体積抵抗率を有する。実施形態では、オレフィン系ポリマーは、5.0*1015ohm.cm超、または1.0*1016ohm.cm超、または2.0*1016ohm.cm超、または3.0*1016ohm.cm超~4.0*1016ohm.cm、または5.0*1016ohm.cm、または7.0*1016ohm.cm、または1.0*1017ohm.cm、または5.0*1017ohm.cm、または1.0*1018ohm.cmの体積抵抗率を有する。
【0051】
実施形態では、オレフィン系ポリマーは、ASTM D790に従って測定した場合、500psi以上、または750psi以上、または1000psi以上~2000psi、または3000psi、または3500psi、または4000psi、または6000psi未満の曲げ弾性率(2%割線)を有する。
【0052】
実施形態では、オレフィン系ポリマーは、ASTM D792に従って測定した場合、0.850g/cc、または0.855g/cc、または0.860g/cc、または0.865g/cc、または0.880g/cc~0.885g/cc、または0.890g/cc、または0.900g/cc、または0.905g/cc、または0.910g/cc、または0.915g/cc、または0.920g/ccの密度を有する。
【0053】
実施形態では、オレフィン系ポリマーは、ASTM D1238に従って測定した場合、1g/10分、または5g/10分、または8g/10分、または10g/10分~20g/10分、または30g/10分、または35g/10分、または50g/10分、または75g/10分、または100g/10分のメルトインデックス(MI)を有する。
【0054】
実施形態では、オレフィン系ポリマーは、DSCを使用して測定した場合、55℃、または60℃、または75℃、または90℃、または95℃、または100℃~105℃、または110℃の融点(Tm)を有する。
【0055】
実施形態では、オレフィン系ポリマーは、DSCを使用して測定した場合、-30℃、または-35℃~-40℃、または-45℃、または-50℃、または-60℃のガラス転移温度Tgを有する。
【0056】
実施形態では、オレフィン系ポリマーは、以下の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有するエチレン/C-Cアルファ-オレフィンコポリマーである:
(i)5.0*1015ohm.cm超、もしくは1.0*1016ohm.cm超、もしくは2.0*1016ohm.cm超、もしくは3.0*1016ohm.cm超~4.0*1016ohm.cm、もしくは5.0*1016ohm.cm、もしくは7.0*1016ohm.cm、もしくは1.0*1017ohm.cm、もしくは5.0*1017ohm.cm、もしくは1.0*1018ohm.cmの体積抵抗率、および/または
(ii)500psi以上、もしくは750psi以上、もしくは1000psi以上~2000psi、もしくは3000psi、もしくは3500psi、もしくは4000psi、もしくは6000psi未満の曲げ弾性率(2%割線)、および/または
(iii)0.850g/cc、もしくは0.855g/cc、もしくは0.860g/cc、もしくは0.865g/cc、もしくは0.880g/cc~0.885g/cc、もしくは0.890g/cc、もしくは0.900g/cc、もしくは0.905g/cc、もしくは0.910g/cc、もしくは0.915g/cc、もしくは0.920g/ccの密度、および/または
(iv)1g/10分、もしくは5g/10分、もしくは8g/10分、もしくは10g/10分~20g/10分、もしくは30g/10分、もしくは35g/10分、もしくは50g/10分、もしくは75g/10分、もしくは100g/10分のメルトインデックス(MI)、および/または
(v)55℃、もしくは60℃、もしくは75℃、もしくは90℃、もしくは95℃、もしくは100℃~105℃、もしくは110℃の融点、Tm、および/または
(vi)-30℃、もしくは-35℃~-40℃、もしくは-45℃、もしくは-50℃、もしくは-60℃のガラス転移温度、Tg。
【0057】
実施形態では、エチレン/C-Cアルファ-オレフィンコポリマーは、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または6つすべての特性(i)~(vi)を有する。
【0058】
実施形態では、エチレン/C-Cアルファ-オレフィンコポリマーは、特性(i)および特性(ii)~(vii)のうちの少なくとも1つの他の特性を有する。
【0059】
実施形態では、エチレン/C-Cアルファ-オレフィンコポリマーは、エチレンと、オクテン、ヘキセン、ブテン、およびプロピレンから選択されるコモノマーとのコポリマーである。実施形態では、エチレン/C-Cアルファ-オレフィンコポリマーは、エチレン/1-オクテンコポリマーである。
【0060】
ブレンドの体積抵抗率が5.0*1015ohm.cm超である限り、上記のオレフィン系ポリマーのいずれかのブレンドも使用され得る。オレフィン系ポリマーまたはそれらのブレンドは、オレフィン系ポリマーおよび他のポリマーが、(i)互いに混和性であり、(ii)他のポリマーが、もしあれば、オレフィン系ポリマーの望ましい特性(すなわち、光学系および低弾性率)に影響をほとんど有さず、(iii)オレフィン系ポリマーの含有量が、ブレンドの総重量に基づいて、ブレンドの50重量%、または60重量%、または70重量%、または75重量%、または80重量%超~90重量%、または95重量%、または98重量%、または99重量%、または100重量%未満を構成する程度に1つ以上の他のポリマーとブレンドまたは希釈され得る。
【0061】
5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
親水性ヒュームドシリカ
【0062】
ヒュームドシリカは、合成アモルファスシリカの一種である。合成アモルファスシリカ(SAS)は、意図的に製造された二酸化ケイ素(SiO)の形態であり、それによって、天然に存在するアモルファスシリカ、例えば、珪藻土とは異なる。人工生成物として、SASは、ほぼ100%純粋なアモルファスシリカであるが、天然に存在するアモルファスシリカは、結晶形態のシリカも含有する。SASは、(1)湿式プロセスシリカ(沈降シリカおよびシリカゲルを含む)および(2)熱プロセスシリカ(ヒュームドシリカとしても既知の焼成シリカを含む)の2つの異なる製造実践を特徴とする2つの形態に作製され得る。したがって、ヒュームドシリカは、湿式プロセスではなく、熱プロセスによって形成されたSASである。
【0063】
ヒュームドシリカを製造するための熱プロセスは、火炎熱分解を使用する。具体的には、ヒュームドシリカは、四塩化ケイ素の火炎熱分解または3000℃の電気アークで気化した石英砂から作製される。アモルファスシリカの微細な液滴を電気アークに晒すと、液滴が融合して、分岐した鎖状の三次元粒子になり、次いで凝集して、三次粒子になる。その結果、ヒュームドシリカ粒子は、シリカゲルなどの湿式プロセスのシリカ粒子よりも低いかさ密度およびより大きな表面積、ならびに沈降シリカと比較してより高い純度を有する。また、ヒュームドシリカ粒子は非多孔性であるが、湿式プロセスのシリカ粒子は多孔性である。
【0064】
ヒュームドシリカ粒子を作製するために使用される熱プロセスの結果として、ヒュームドシリカ粒子は、特別に処理されない限り、本質的に親水性である。疎水性ヒュームドシリカ粒子を形成するために、ヒュームドシリカ粒子(親水性)は、疎水性剤による化学的後処理にかけられる。アルコキシシラン、シラザン、またはシロキサンなどの疎水性剤は、ヒュームドシリカ粒子上の二酸化ケイ素分子の酸化物基と共有結合し、それによって、ヒュームドシリカ粒子を疎水性にする。本明細書で使用される場合、「親水性ヒュームドシリカ」という用語は、ヒュームドシリカ粒子の表面に二酸化ケイ素分子の反応性酸化物基を有する粒子形態の非多孔性ヒュームドアモルファスシリカである。言い換えれば、親水性ヒュームドシリカは、疎水性剤による化学的後処理にかけられていないヒュームドアモルファスシリカである。
【0065】
実施形態では、親水性ヒュームドシリカは、500m/g未満の比表面積(BET)を有する。実施形態では、親水性ヒュームドシリカは、120m/g、または130m/g、または140m/g、または150m/g、または175m/g~190m/g、または200m/gm、または210m/g、または220m/g、または230m/g、または250m/g、または275m/g、または300m/g、または310m/g、または320m/g、または340m/g、または360m/g、または380m/g、または410m/g、または500m/g未満の比表面積(BET)を有する。
【0066】
市販の親水性ヒュームドシリカの非限定的な例としては、Evonik Industriesから入手可能なAEROSIL(登録商標)380が挙げられる。
【0067】
親水性ヒュームドシリカは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0068】
アルコキシシラン
アルコキシシランは、少なくとも1つのアルコキシ基を含有するシラン化合物である。好適なアルコキシシランの非限定的な例としては、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル-トリス-(β-メトキシ)シラン、γ-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エトキシ-シクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-(メタ)アクリルオキシ、プロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、および3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートが挙げられる。
【0069】
実施形態では、アルコキシシランは、ビニルトリメトキシシラン、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、またはそれらの組み合わせから選択される。実施形態では、シラン化合物は、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートである。
有機過酸化物
【0070】
好適な有機過酸化物の非限定的な例としては、過酸化ジクミル、過酸化ラウリル、過酸化ベンゾイル、過安息香酸第三ブチル、過酸化ジ(第三ブチル)、クメンヒドロペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチル-ペルオキシ)ヘキシン-3、2,-5-ジ-メチル-2,5-ジ(t-ブチル-ペルオキシ)ヘキサン、第三ブチルヒドロペルオキシド、過炭酸イソプロピル、アルファ,アルファ’-ビス(第三ブチルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ペルオキシ-2-エチルヘキシル-モノカルボン酸t-ブチル、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジヒドロキシ過酸化物、過酸化t-ブチルクミル、アルファ,アルファ’-ビス(t-ブチルペルオキシ)-p-ジイソプロピルベンゼン等が挙げられる。
【0071】
好適な市販の有機過酸化物の非限定的な例としては、AkzoNobelのTRIGONOX(登録商標)およびARKEMAのLUPEROX(登録商標)TBECが挙げられる。
架橋助剤
【0072】
架橋助剤は、これらには限定されないが、エステル、エーテル、ケトン、シアヌレート、イソシアヌレート、ホスフェート、オルトギ酸を含み、アリル、ビニルまたはアクリレートのような少なくとも2つの不飽和基、好適には3つの不飽和基を含有する脂肪族エーテルまたは芳香族エーテルを含む架橋助剤のうちいずれか1つ、または架橋助剤の混合物とすることができる。架橋助剤中の炭素原子の数は、9~40の範囲、またはそれよりも多い数とすることができ、好ましくは9~20である。
【0073】
助剤の具体例としては、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)としても既知のトリアリル-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、ヘキサアリルメラミン、リン酸トリアリル(TAP)、オルトギ酸トリアリル、テトラ-アリルオキシ-エタン、トリアリルベンゼン-1,3,5-トリカルボキシレート、ジアリルフタレート、亜鉛ジメタクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート、C14またはC15の平均鎖長を有するメタクリレート末端モノマー、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、デペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、2,4,6-トリアリル-1,3,5-トリオン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、トリアリルトリメリテート(TATM)、3,9-ジビニル-2,4,8,10-テトラ-オキサスピロ[5.5]ウンデカン(DVS)、およびアルファ-メチルスチレンダイマー(AMSD)、ならびにUSP5,346,961および4,018,852に記載されている他の助剤が挙げられるが、これらには限定されない。
【0074】
実施形態では、1つ以上の助剤は、AMSD、TAP、TAC、およびTAICのうちの1つ以上である。
他の添加剤
【0075】
本組成物は、親水性ヒュームドシリカに加えて、1つ以上の添加剤を含有し得る。好適な添加剤の非限定的な例としては、他のポリマー、UV安定剤および/または吸収剤、酸化防止剤、スコーチ抑制剤、滑り止め剤、抗ブロック剤、顔料、充填剤、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。これらの添加剤は、既知の量で提供することができ、いくつかの実施形態では、ある量のポリマー組成物に事前にブレンドされたマスターバッチの形態で添加することができる。
【0076】
実施形態では、本組成物は、UV安定剤を含む。好適なUV安定剤の非限定的な例としては、ヒンダードフェノール、亜リン酸塩、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、UV吸収剤、ヒンダードベンゾエート、およびこれらの組み合わせが挙げられる。実施形態では、HALSおよびヒンダードベンゾエートとしては、TCIから入手可能なUV531、Cynergy A400、A430およびR350、Cyasorb UV-3529、Cyasorb UV-3346、Cyasorb UV-3583、Hostavin N30、Univil 4050、Univin5050、Chimassorb UV-119、Chimassorb944 LD、Tinuvin622LDなどが挙げられるが、これらに限定されない。実施形態では、UV吸収剤は、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、トリアジン、およびこれらの組み合わせ、例えば、Tinuvin328またはCyasorbUV-1164を含む。
【0077】
実施形態では、本組成物は、加工安定剤、酸化防止剤、滑り止め、顔料、および充填剤から選択される1つ以上の他の添加剤を含む。実施形態では、抗酸化剤は、TCIから入手可能なT770、Cyanox2777、Irganox1010、Irganox1076、IrganoxB215、IrganoxB225、PEPQ、Weston399、TNPP、Irgafos168、およびDevoerphos9228からなる群から選択される。
【0078】
ペレット化ポリマー組成物
本開示は、(A)5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーと、(B)親水性ヒュームドシリカとから構成されるペレット化ポリマー組成物を提供する。ペレット化ポリマー組成物は、(A)5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーと、(B)親水性ヒュームドシリカとを融解ブレンドし、ブレンドをペレット化することによって形成される。
【0079】
実施形態では、ペレット化ポリマー組成物は、ペレット化ポリマー組成物の総重量に基づいて、85重量%、または88重量%、または90重量%~92重量%、または95重量%の5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーと、5重量%、または8重量%~10重量%、または12重量%、または15重量%の親水性ヒュームドシリカとを含有する。
【0080】
実施形態では、ペレット化ポリマー組成物は、マスターバッチと呼ばれ得る。
【0081】
本開示のペレットは、電子デバイス、例えば、光起電力モジュール用の封入剤フィルムなど、以下に記載されるような組成物を形成するのに使用される。
【0082】
組成
本開示は、(A)5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーと、(B)親水性ヒュームドシリカと、(C)アルコキシシランと、(D)有機過酸化物と、任意選択で、(E)架橋助剤と、を含む組成物を提供する。
【0083】
実施形態では、本組成物は、本組成物の総重量に基づいて、50重量%、または60重量%、または70重量%、または80重量%、または90重量%超~95重量%、または98重量%、または99重量%、または100重量%未満の5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーまたはそれらのブレンドを含む。実施形態では、本組成物は、樹脂組成物の総重量に基づいて、95重量%、または96.0重量%、または96.5重量%、または97.0重量%超~97.5重量%、または98.0重量%、または98.5重量%の5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーまたはそれらのブレンドを含む。
【0084】
親水性ヒュームドシリカは、本組成物の総重量に基づいて、0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.5重量%~1.0重量%、または1.5重量%、または2.0重量%、または2.5重量%、または3.0重量%、または4.0重量%、または5.0重量%の量で存在する。実施形態では、親水性ヒュームドシリカは、本組成物の総重量に基づいて、0.3重量%、または0.5重量%、または0.7重量%~0.9重量%、または1.0重量%、または1.2重量%、または1.3重量%の量で存在する。
【0085】
アルコキシシランは、本組成物の総重量に基づいて、0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%~0.3重量%、または0.5重量%、または1重量%、または2重量%の量で存在する。実施形態では、アルコキシシランは、本組成物の総重量に基づいて、0.10重量%、または0.15重量%、または0.20重量%~0.25重量%、または0.30重量%、または0.35重量%の量で存在する。
【0086】
実施形態では、有機過酸化物は、樹脂組成物中に、本組成物の総重量に基づいて、0.1重量%、または0.5重量%、または0.75重量%~1.5重量%、または2重量%、または3重量%、または5重量%の量で存在する。実施形態では、有機過酸化物は、樹脂組成物中に、本組成物の総重量に基づいて、0.8重量%、または0.9重量%、または1.0重量%~1.1重量%、または1.2重量%、または1.3重量%、または1.5重量%の量で存在する。
【0087】
助剤は、本組成物の重量に基づいて、0重量%、または0重量%超(例えば、0.01重量%)、または0.1重量%、または0.2重量%~0.4重量%、または0.5重量%、または1.0重量%、または1.1重量%、または1.2重量%、または1.3重量%、または1.5重量%の量で使用される。実施形態では、助剤は、本組成物の総重量に基づいて、0.30重量%、または0.40重量%、または0.50重量%~0.60重量%、または0.70重量%、または0.80重量%の量で使用される。
【0088】
実施形態では、酸化防止剤は、本組成物の総重量に基づいて、0重量%、または0.1重量%、または0.2重量%超~0.3重量%、または0.5重量%、または1.0重量%、または3.0重量%の量で使用され、存在する。
【0089】
実施形態では、UV安定剤は、本組成物の総重量に基づいて、0重量%、または0.01重量%、または0.05重量%超~0.07重量%、または0.10重量%、または0.25重量%、または0.50重量%の量で使用され、存在する。
【0090】
実施形態では、本組成物は、疎水性処理されたヒュームドシリカおよび微粉化シリカゲルを含むすべての他のシリカを排除して親水性ヒュームドシリカを含有し、本組成物は、本組成物の総重量に基づいて、(A)90重量%~100重量%未満のエチレン/C-Cα-オレフィンコポリマーと、(B)0.01重量%~5.0重量%の親水性ヒュームドシリカと、(C)ビニルトリメトキシシラン、(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、およびそれらの組み合わせから選択される0.01重量%~2重量%のアルコキシシランと、(D)0.1重量%~5.0重量%の有機過酸化物と、(E)0重量%超~1.5重量%の架橋助剤とを含む。
【0091】
実施形態では、本組成物は、すべての他のシリカを排除し、すべての他の充填剤を排除して親水性ヒュームドシリカを含有する。
【0092】
実施形態では、本組成物は、構成成分のすべてを一緒に融解ブレンドすることによって作製される。(A)5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーおよび(B)親水性ヒュームドシリカは、ペレット化ポリマー組成物またはマスターバッチとして提供され、親水性ヒュームドシリカの最終濃度が得られるような適切な比率で5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーの追加のペレットと組み合わされ、次いで本組成物の残りの構成物質、すなわちアルコキシシラン、有機過酸化物、ならびに任意選択で、架橋助剤、抗酸化剤、および/またはUV安定剤の混合物に浸漬される。
【0093】
フィルム層
本開示は、電子デバイス用のフィルム層を提供する。フィルム層は、本明細書に開示されるような、(A)5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーと、(B)親水性ヒュームドシリカと、(C)アルコキシシランと、(D)有機過酸化物と、任意選択で、(E)架橋助剤と、から構成される組成物から作製される。
【0094】
フィルム層は、本組成物を押し出すことによって作製される。本開示の組成物で作製されたフィルム層は、様々なタイプの押し出し機、すなわち、一軸または二軸スクリュータイプを使用して調製され得る。典型的な押し出し機は、その上流端にホッパーを有し、その下流端にダイを有する。一般に、本組成物は、必要な構成成分に浸漬されたペレット化ポリマー組成物の形態で提供される。浸漬されたペレットは、ホッパーに供給され、次いで85℃、または90℃、または95℃、または100℃~105℃、または110℃、または115℃の温度で融解および押し出される。実施形態では、ローター速度は、20rpm、または25rpm、または30rpm~35rpm、または40rpmである。
【0095】
一般に120℃未満の温度で本組成物を融解および押し出すことは、アルコキシシランの架橋、硬化、または他の反応を開始しない。特に、120℃未満の温度で本組成物を融解および押し出すことは、過酸化物を活性化せず、それによって、架橋を開始しない。積層までの架橋を回避または制限することが望ましい。有機過酸化物の時期尚早の架橋および/または時期尚早の分解は、ガラス接着力が低下したフィルム層をもたらし得る。言い換えれば、フィルム層は、積層まで反応性を維持し、この時点で架橋が開始され、フィルム層の組成物は、(A)5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーと、(B)親水性ヒュームドシリカと、(C)アルコキシシランと、残留物があったとしてもごくわずかな(D)有機過酸化物と、任意選択で、(E)架橋助剤と、を含む反応生成物になる。
【0096】
実施形態では、フィルム層は、単層構造であり、100μm、または150μm、または200μm、または250μm、または300μm、または350μm、または400μm~450μm、または500μm、または550μm、または600μm、または650μm、または700μm、または800μmの厚さを有する。
【0097】
フィルム層は、フィルム層の総重量に基づいて、50重量%、または60重量%、または70重量%、または80重量%、または90重量%超~95重量%、または98重量%、または99重量%、または100重量%未満の5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーまたはそれらのブレンドを含む組成物から構成される。実施形態では、フィルム層は、フィルム層の総重量に基づいて、95重量%、または96.0重量%、または96.5重量%、または97.0重量%超~97.5重量%、または98.0重量%、または98.5重量%の5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーまたはそれらのブレンドを含む組成物から構成される。
【0098】
親水性ヒュームドシリカは、フィルム層の総重量に基づいて、0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.5重量%~1.0重量%、または1.5重量%、または2.0重量%、または2.5重量%、または3.0重量%、または4.0重量%、または5.0重量%の量で存在する。実施形態では、親水性ヒュームドシリカは、フィルム層の総重量に基づいて、0.3重量%、または0.5重量%、または0.7重量%~0.9重量%、または1.0重量%、または1.2重量%、または1.3重量%の量で存在する。
【0099】
実施形態では、アルコキシシランは、フィルム層の総重量に基づいて、0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.2重量%~0.3重量%、または0.5重量%、または1重量%、または2重量%の量で存在する。実施形態では、アルコキシシランは、フィルム層の総重量に基づいて、0.15重量%、または0.20重量%、または0.25重量%~または0.30重量%、または0.35重量%、または0.40重量%、または0.50重量%、または0.60重量%の量で存在する。
【0100】
有機過酸化物は、フィルム層中に、フィルム層の総重量に基づいて、0.1重量%、または0.5重量%、または0.75重量%~1.5重量%、または2重量%、または3重量%、または5重量%の量で存在する。実施形態では、有機過酸化物は、フィルム層中に、フィルム層の総重量に基づいて、0.8重量%、または0.9重量%、または1.0重量%~1.1重量%、または1.2重量%、または1.3重量%、または1.5重量%の量で存在する。
【0101】
助剤は、フィルム層の重量に基づいて、0重量%、または0重量%超(例えば、0.01重量%)、または0.1重量%、または0.2重量%~0.4重量%、または0.5重量%、または1.0重量%、または1.1重量%、または1.2重量%、または1.3重量%、または1.5重量%の量で使用される。実施形態では、助剤は、フィルム層の総重量に基づいて、0.30重量%、または0.40重量%、または0.50重量%~0.60重量%、または0.70重量%、または0.80重量%の量で使用される。
【0102】
実施形態では、酸化防止剤は、フィルム層の総重量に基づいて、0重量%、または0.1重量%、または0.2重量%超~0.3重量%、または0.5重量%、または1.0重量%、または3.0重量%の量で使用され、存在する。
【0103】
実施形態では、UV安定剤は、フィルム層の総重量に基づいて、0重量%、または0.01重量%、または0.05重量%超~0.07重量%、または0.10重量%、または0.25重量%、または0.50重量%の量で使用され、存在する。
【0104】
実施形態では、フィルム層は、疎水性処理されたヒュームドシリカおよび微粉化シリカゲルを含むすべての他のシリカを排除して親水性ヒュームドシリカを含有し、フィルム層は、フィルム層の総重量に基づいて、(A)90重量%~100重量%未満のエチレン/C-Cα-オレフィンコポリマーと、(B)0.01重量%~5.0重量%の親水性ヒュームドシリカと、(C)ビニルトリメトキシシラン、(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、およびそれらの組み合わせから選択される0.01重量%~2重量%のアルコキシシランと、(D)0.1重量%~5.0重量%の有機過酸化物と、(E)0重量%超~1.5重量%の架橋助剤とを含む。
【0105】
実施形態では、フィルム層は、すべての他のシリカおよびすべての他の充填剤を排除して親水性ヒュームドシリカを含有する。
【0106】
実施形態では、フィルム層は、2.0*1017ohm.cm以上、または5.0*1017ohm.cm以上、または8.0*1017ohm.cm以上の体積抵抗率を有する。実施形態では、フィルム層は、2.0*1017ohm.cm以上、または5.0*1017ohm.cm以上、または8.0*1017ohm.cm以上、または1.0*1018ohm.cm以上~1.2*1018ohm.cm、または1.4*1018ohm.cm、または1.6*1018ohm.cm、または2.0*1018ohm.cm、または4.0*1018ohm.cm、または6.0*1018ohm.cmの体積抵抗率を有する。
【0107】
実施形態では、フィルム層は、89.00%以上の平均透過率を有する。実施形態では、フィルム層は、89.00%、または90.00%、または90.50%、または90.75%、または90.80%、または90.85%以上~90.90%、または90.92%、または90.94%、または90.95%、または91.00%、または91.50%、または91.75%、または92.00%の平均透過率を有する。
【0108】
フィルム層1:実施形態では、フィルム層は、フィルム層の総重量に基づいて、(A)90重量%~95重量%、または98重量%、または99重量%、または100重量%未満の5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーと、(B)0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.5重量%~1.0重量%、または1.5重量%、または2.0重量%、または2.5重量%、または3.0重量%、または4.0重量%、または5.0重量%の親水性ヒュームドシリカと、(C)0.15重量%、または0.20重量%、または0.25重量%~または0.30重量%、または0.35重量%、または0.40重量%、または0.50重量%、または0.60重量%のアルコキシシランと、(D)0.8重量%、または0.9重量%、または1.0重量%~1.1重量%、または1.2重量%、または1.3重量%、または1.5重量%の有機過酸化物と、(E)0.00重量%、または0.01重量%、または0.30重量%、または0.40重量%、または0.50重量%~0.60重量%、または0.70重量%、または0.80重量%の架橋助剤と、を含む組成物から構成される。
【0109】
フィルム層2:実施形態では、フィルム層は、フィルム層の総重量に基づいて、(A)90重量%~95重量%、または98重量%、または99重量%、または100重量%未満の5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するエチレン/C-Cα-オレフィンコポリマーと、(B)0.01重量%、または0.05重量%、または0.1重量%、または0.5重量%~1.0重量%、または1.5重量%、または2.0重量%、または2.5重量%、または3.0重量%、または4.0重量%、または5.0重量%の親水性ヒュームドシリカと、(C)0.15重量%、または0.20重量%、または0.25重量%~または0.30重量%、または0.35重量%、または0.40重量%、または0.50重量%、または0.60重量%のアルコキシシランと、(D)0.8重量%、または0.9重量%、または1.0重量%~1.1重量%、または1.2重量%、または1.3重量%、または1.5重量%の有機過酸化物と、(E)0.00重量%、または0.01重量%、または0.30重量%、または0.40重量%、または0.50重量%~0.60重量%、または0.70重量%、または0.80重量%の架橋助剤と、を含む組成物から構成される。
【0110】
フィルム層3:実施形態では、フィルム層は、フィルム層の総重量に基づいて、(A)90重量%~95重量%、または98重量%、または99重量%、または100重量%未満の5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するエチレン/C-Cα-オレフィンコポリマーと、(B)0.3重量%、または0.5重量%、または0.7重量%~0.9重量%、または1.0重量%、または1.2重量%、または1.3重量%の親水性ヒュームドシリカと、(C)0.15重量%、または0.20重量%、または0.25重量%~または0.30重量%、または0.35重量%、または0.40重量%、または0.50重量%、または0.60重量%のアルコキシシランと、(D)0.8重量%、または0.9重量%、または1.0重量%~1.1重量%、または1.2重量%、または1.3重量%、または1.5重量%の有機過酸化物と、(E)0.30重量%、または0.40重量%、または0.50重量%~0.60重量%、または0.70重量%、または0.80重量%の架橋助剤と、を含む組成物から構成される。
【0111】
フィルム層4:実施形態では、フィルム層は、フィルム層の総重量に基づいて、(A)95.0重量%、または96.0重量%、または96.5重量%、または97.0重量%超~97.5重量%、または98.0重量%、または98.5重量%の5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するエチレン/C-Cα-オレフィンランダムコポリマーと、(B)0.3重量%、または0.5重量%、または0.7重量%~0.9重量%、または1.0重量%、または1.2重量%、または1.3重量%の親水性ヒュームドシリカと、(C)ビニルトリメトキシシラン、(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、およびそれらの組み合わせから選択される0.15重量%、または0.20重量%、または0.25重量%~または0.30重量%、または0.35重量%、または0.40重量%、または0.50重量%、または0.60重量%のアルコキシシランと、(D)0.8重量%、または0.9重量%、または1.0重量%~1.1重量%、または1.2重量%、または1.3重量%、または1.5重量%の有機酸化物と、(E)0.30重量%、または0.40重量%、または0.50重量%~0.60重量%、または0.70重量%、または0.80重量%の架橋助剤と、を含む組成物から構成される。
【0112】
実施形態では、フィルム層は、フィルム層1、フィルム層2、フィルム層3、またはフィルム層4に従っており、以下の特性のうちの1つ、いくつか、または3つすべてを有する:
(i)2.0*1017ohm.cm以上、もしくは5.0*1017ohm.cm以上、もしくは8.0*1017ohm.cm以上、もしくは1.0*1018ohm.cm以上~1.2*1018ohm.cm、もしくは1.4*1018ohm.cm、もしくは1.6*1018ohm.cm、もしくは2.0*1018ohm.cm、もしくは4.0*1018ohm.cm、もしくは6.0*1018ohm.cmの体積抵抗率、および/または
(ii)89.00%、もしくは90.00%、もしくは90.50%、もしくは90.75%、もしくは90.80%、もしくは90.85%以上~90.90%、もしくは90.92%、もしくは90.94%、もしくは90.95%、もしくは91.00%、もしくは91.50%、もしくは91.75%、もしくは92.00%の平均透過率;
(iii)100μm、もしくは150μm、もしくは200μm、もしくは250μm、もしくは300μm、もしくは350μm、もしくは400μm~450μm、もしくは500μm、もしくは550μm、もしくは600μm、もしくは650μm、もしくは700μm、もしくは800μmの厚さ。
【0113】
実施形態では、フィルム層は、フィルム層1、フィルム層2、フィルム層3、またはフィルム層4に従っており、1つ、2つ、または3つすべての特性(i)~(iii)を有する。
【0114】
フィルム層は、本明細書に記載される2つ以上の実施形態を含み得る。
PVモジュール
【0115】
本開示の組成物は、電子デバイスモジュール、特に電子デバイスモジュールの構築に使用される封入剤フィルムを構築するために使用される。封入剤フィルムは、電子デバイスの1つ以上の「スキン」として使用され、すなわち、電子デバイスの片面または両面に、例えば、前面封入剤フィルムもしくは後面封入剤フィルムとして、または前面封入剤フィルムおよび後面封入剤フィルムの両方として適用され、例えば、電子デバイスが材料内に完全に封入される。
【0116】
「光起電力モジュール」または「PVモジュール」は、積層構造であり、図1に示されるように、最終的なモジュール構造に組み立てられる次の層の構成要素を含む。
1.光受容および透過層、
2.前面封入剤フィルム層(透明)、
3.1つ以上の光起電力セル(または「PVセル」)、
4.後面封入剤フィルム層、および
5.バックシート。
【0117】
実施形態では、光受容および透過層は、ガラス、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル、またはフッ素含有樹脂である。実施形態では、光受容および透過層は、ガラスである。
【0118】
所与の光起電力モジュール内の光起電力セルの数は、光起電力モジュールを利用する電子デバイスの性質および用途に応じて変化するであろう。実施形態では、少なくとも1つの光起電力セルは、前面封入剤フィルム層および後面封入剤フィルム層と直接接触している。
【0119】
実施形態では、バックシートは、ポリマーバックシートまたはガラスバックシートである。
【0120】
上記の積層構造を有するPVモジュールの層(1)~(5)は、積層によって接合されている。積層により、トップシートは前面封入剤フィルム層と直接接触しており、バックシートは後面封入剤フィルム層と直接接触している。光起電力セルは、前面封入剤フィルム層と後面封入剤フィルム層との間に固定され、それらと直接接触している。その結果、前面封入剤フィルムの一部および後面封入剤フィルムの一部が互いに直接接触している。
【0121】
実施形態では、本開示は、PVモジュールを提供する。PVモジュールは、本開示のフィルム層を含む。本開示のフィルム層は、前面封入剤フィルム層、後面封入剤フィルム層、バックシートフィルム層、およびそれらの組み合わせであり得る。他の実施形態では、本フィルム層は、フィルム全体であり得るか、またはフィルムのより別個の副層である。
【0122】
実施形態では、フィルム層は、前面封入剤フィルム層である。前面封入剤フィルム層は、光起電力セルと直接接触している。さらなる実施形態では、前面封入剤フィルム層は、単層構造であり、100μm、または150μm、または200μm、または250μm、または300μm、または350μm、または400μm~450μm、または500μm、または550μm、または600μm、または650μm、または700μm、または800μmの厚さを有する。
【0123】
実施形態では、フィルム層は、後面封入剤フィルム層である。後面封入剤フィルム層は、光起電力セルと直接接触している。さらなる実施形態では、後面封入剤フィルム層は、単層構造であり、100μm、または150μm、または200μm、または250μm、または300μm、または350μm、または400μm~450μm、または500μm、または550μm、または600μm、または650μm、または700μm、または800μmの厚さを有する。
【0124】
実施形態では、前面封入剤フィルム層および後面封入剤フィルム層の両方が、本明細書に開示されるようなフィルム層である。前面封入剤フィルム層および後面封入剤フィルム層の各々は、光起電力セルに直接接触している。前面封入剤フィルム層の一部はまた、後面封入剤フィルム層の一部と直接接触している。前面封入剤フィルム層および後面封入剤フィルム層は、前述の通りであり得る。
【0125】
実施形態では、本開示の組成物を含むフィルム層は、1つ以上の積層技法によって電子デバイスに適用される。積層により、カバーシートは封入剤フィルム層の第1の上表面と直接接触しており、電子デバイスは封入剤フィルム層の第2の上表面と直接接触している。別の実施形態では、カバーシートは前面封入剤フィルム層の第1の上表面と直接接触しており、バックシートは後面封入剤フィルム層の第2の上表面と直接接触しており、電子デバイスは、前面封入剤フィルム層の第2の上表面と後面封入剤フィルム層の第1の上表面との間に固定され、それらと直接接触している。
【0126】
実施形態では、積層温度は有機過酸化物を活性化し、本組成物を架橋するのに十分であり、つまり、本明細書に開示されるような(A)5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーと、(B)親水性ヒュームドシリカと、(C)アルコキシシランと、(D)有機過酸化物と、任意選択で、(E)架橋助剤と、を含む組成物が、架橋が起こるとき、積層まで反応性のままである。アルコキシシランはまた、カバーシートの表面と相互作用して、封入剤フィルム層とカバーシートとの間の接着力を増加させる。積層後、本組成物は、(A)5.0*1015ohm.cm超の体積抵抗率を有するオレフィン系ポリマーと、(B)親水性ヒュームドシリカと、(C)アルコキシシランと、(D)有機過酸化物と、任意選択で、(E)架橋助剤と、を含む組成物の反応生成物である。つまり、積層時に、過酸化物の少なくとも一部が消費され、オレフィン系ポリマーが、アルコキシシランとの反応によって架橋される。したがって、本明細書で使用される場合、「封入剤フィルム層」という用語は、積層後の電子デバイスのフィルム層を指し、これは、シラン架橋フィルム層である。
【0127】
実施形態では、電子デバイスを生産するための積層温度は、130℃、または135℃、または140℃、または145℃~150℃、または155℃、または160℃である。実施形態では、積層時間は、8分間、または10分間、または12分間、または15分間~18分間、または20分間、または22分間、または25分間である。
【0128】
実施形態では、本開示の電子デバイスは、100N/cm超、または110N/cm超、または130N/cm超、または140N/cm超、または150N/cm超、または160N/cm超のガラス接着力を有する封入剤フィルム層を含む。実施形態では、本開示の電子デバイスは、100N/cm超、または110N/cm超、または120N/cm超~130N/cm、または140N/cm、または150N/cm、または160N/cm、または165N/cm、または170N/cm、または180N/cm、または190N/cmのガラス接着力を有する封入剤フィルム層を含む。実施形態では、本開示の電子デバイスは、160N/cm超、または165N/cm超、または170N/cm超~180N/cm、または190N/cmのガラス接着力を有する封入剤フィルム層を含む。
【0129】
実施形態では、本開示の電子デバイスは、3.1dNm超のMHを有する封入剤フィルム層を含む。実施形態では、本開示の電子デバイスは、3.10dNm、または3.15dNm超~3.20dNm、または3.25dNm、または3.50dNmの最大トルク(MH)を有する封入剤フィルム層を含む。
【0130】
実施形態では、本開示の電子デバイスは、13.000分未満のt90を有する封入剤フィルム層を含む。実施形態では、本開示の電子デバイスは、13.000分未満、または12.500分未満、または12.000分未満、または11.750分未満、または11.500分未満、または11.250分未満~11.000分、または10.900分、または10.800分、または10.750分、または10.500分、または10.250分のt90を有する封入剤フィルム層上に含む。
【0131】
実施形態では、本開示の電子デバイスは、2.0*1017ohm.cm以上、または5.0*1017ohm.cm以上、または8.0*1017ohm.cm以上の体積抵抗率を有する封入剤フィルム層を含む。実施形態では、本開示の電子デバイスは、2.0*1017ohm.cm以上、または5.0*1017ohm.cm以上、または8.0*1017ohm.cm以上、または1.0*1018ohm.cm~1.2*1018ohm.cm、または1.4*1018ohm.cm、または1.6*1018ohm.cm、または2.0*1018ohm.cm、または4.0*1018ohm.cm、または6.0*1018ohm.cmの体積抵抗率を有する封入剤フィルム層を含む。
【0132】
実施形態では、本開示の電子デバイスは、89.00%以上の平均透過率を有する封入剤フィルム層を含む。実施形態では、本開示の電子デバイスは、89.00%、または90.00%、または90.50%、または90.75%、または90.80%、または90.85%以上~90.90%、または90.92%、または90.94%、または90.95%、または91.00%、または91.50%、または91.75%、または92.00%の平均透過率を有する封入剤フィルムを含む。
【0133】
実施形態では、本開示の電子デバイスは、100μm、または150μm、または200μm、または250μm、または300μm、または350μm、または400μm~450μm、または500μm、または550μm、または600μm、または650μm、または700μm、または800μmの厚さを有する単層構造である封入剤フィルム層を含む。
【0134】
実施形態では、フィルム層1、フィルム層2、フィルム層3、またはフィルム層4に従うフィルム層が、電子デバイスを形成するのに使用される。したがって、得られる電子デバイスは、封入剤フィルム層である、封入剤フィルム層1、封入剤フィルム層2、封入剤フィルム層3、または封入剤フィルム層4を含み、これらは、それぞれフィルム層1、フィルム層2、フィルム層3、またはフィルム層4のシラン架橋積層生成物である。
【0135】
実施形態では、本開示の電子デバイスは、以下の特性のうちの1つ、いくつか、またはすべてを有する封入剤フィルム層1、封入剤フィルム層2、封入剤フィルム層3、または封入剤フィルム層4による封入剤フィルム層を含む:
(i)160N/cm超、もしくは165N/cm超、もしくは170N/cm超~180N/cm、もしくは190N/cm、もしくは195N/cm、もしくは200N/cmのガラス接着力、および/または
(ii)3.1dNm、もしくは3.15dNm超~3.20dNm、もしくは3.25dNm、もしくは3.5dNmのMH、および/または
(iii)13.000分未満、もしくは12.500分未満、もしくは12.000分未満、もしくは11.750分未満、もしくは11.500分未満、もしくは11.250分未満~11.000分、もしくは10.900分、もしくは10.800分、もしくは10.750分、もしくは10.500分、もしくは10.250分のt90、
(iv)2.0*1017ohm.cm以上、もしくは5.0*1017ohm.cm以上、もしくは8.0*1017ohm.cm以上、もしくは1.0*1018ohm.cm以上~1.2*1018ohm.cm、もしくは1.4*1018ohm.cm、もしくは1.6*1018ohm.cm、もしくは2.0*1018ohm.cm、もしくは4.0*1018ohm.cm、もしくは6.0*1018ohm.cmの体積抵抗率、および/または
(v)89.00%、もしくは90.00%、もしくは90.50%、もしくは90.75%、もしくは90.80%、もしくは90.85%以上~90.90%、もしくは90.92%、もしくは90.94%、もしくは90.95%、もしくは91.00%、もしくは91.50%、もしくは91.75%、もしくは92.00%の平均透過率、および/または
(vi)100μm、もしくは150μm、もしくは200μm、もしくは250μm、もしくは300μm、もしくは350μm、もしくは400μm~450μm、もしくは500μm、もしくは550μm、もしくは600μm、もしくは650μm、もしくは700μm、もしくは800μmの厚さ。
【0136】
実施形態では、本開示の電子デバイスは、特性(i)~(vi)の場合、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、または6つすべてを有する封入剤フィルム層1、封入剤フィルム層2、封入剤フィルム層3、または封入剤フィルム層4に従う封入剤フィルム層を含む。
【0137】
本開示のいくつかの実施形態を、以下の実施例において詳細に記載する。
【実施例
【0138】
材料
【表1】
【0139】
サンプル調製
エチレン/オクテンコポリマーペレットを、130℃の温度、10rpmのローター速度でブラベンダーミキサーに供給する。次いで、以下の表2に提供する配合に従って、様々なヒュームドシリカを添加する。最終混合を130℃および80rpmのローター速度で5分間実行する。得られた化合物を収集し、小片に切断する。
【0140】
エチレン/オクテンコポリマー/シリカの小片(または、シリカが添加されていない場合は、エチレン/オクテンコポリマーのみ)をブラベンダー単一押し出し機のホッパーに供給する。小片を押し出して、110℃、25rpmのスクリュー速度でストランドを融解する。融解ストランドをブラベンダーペレット製造機に供給して、ペレットを調製する。
【0141】
アルコキシシラン、過酸化物、助剤、ならびにUV安定剤および酸化防止剤などの任意の追加の添加剤を秤量し、以下の表2に従って密封可能なプラスチックボトルで混合する。ペレットを表2に従って秤量し、プラスチックボトルに添加する。均一な分布および完全な浸漬を確実にするために、プラスチックボトルを最初に1分間タンブルし、次いでランニングローラーに置いて40℃のオーブンで15~20時間さらに均質化した後に使用する。
【0142】
フィルムの調製
浸漬させた後、ペレットを105℃で30rpmのローター速度のブラベンダー一軸スクリューミキサーに供給する。約0.5mmの厚さを有するフィルムを調製し、試験用に密封されたアルミニウムホイルバッグに保管する。
【0143】
圧縮成形
キャストフィルムを0.5mmのフィルムに圧縮成形する。サンプルを型に入れ、120℃で5分間予熱し、次いで8サイクルの圧力負荷/放出を介して脱気する。次いで、脱気したサンプルを150℃で15分間プレスし、室温まで冷却する。圧縮成形したシートを体積抵抗率および透過率の試験に使用する。
積層
【0144】
水を使用して4インチ×6インチのガラスプレートを洗浄し、使用前に乾燥させる。バックシートを4つの6インチの正方形に切断する。フィルムサンプルをガラスおよびバックシートのサイズに合わせて断片に切断する。バックシート、フィルムサンプル、およびガラスを積層して、バックシート/フィルムサンプル/ガラス構造を形成し、次いでPENERGY L036ラミネーター上で150℃で20分間(4分の真空および16分のプレス)積層する。積層サンプルをガラス接着力試験に使用する。
【表2】
【0145】
CS1~4によって示されるように、5.0*1015未満のVRを有するベースエチレン/オクテンコポリマーを有する樹脂組成物に親水性ヒュームドシリカを組み込むと、本組成物のVRが悪化する。比較サンプル1は、5.0*1015ohm.cm未満のVRを有するニート樹脂(添加剤なし)で作製されたフィルム層である。比較サンプル2は、5.0*1015ohm.cm未満のVRを有するエチレン/オクテンコポリマーと添加剤とを含み、シリカを含まない樹脂組成物で作製されたフィルム層である。シリカ以外の添加剤を含めると、本組成物のVRに最小の効果(CS1におけるニート樹脂の組成物の1.0*1015ohm.cmからCS2の1.1*1015ohm.cmへ)を有する。CS3によって示されるように、親水性ヒュームドシリカを添加すると、5.0*1015ohm.cm未満のVRを有するエチレン/オクテンコポリマーを有する樹脂組成物のVRが減少(悪化)する。CS3は、5.0*1015ohm.cm未満のVRを有するベースポリマーを有する樹脂組成物と組み合わせて親水性ヒュームドシリカを含み、CS3と同じベース樹脂および添加剤を使用するが、親水性ヒュームドシリカを除くCS2と比較して8.7*1014ohm.cmのVR値を有する。CS4は、CS3の親水性ヒュームドシリカ含有樹脂組成物にUV安定剤を添加すると、予想どおり樹脂組成物のVRがわずかに改善されることを示すが、その改善は、CS1のニート樹脂から1桁未満の改善であり、すなわち1.0*1015ohm.cmから6.9*1015ohm.cmへの改善である。
【0146】
比較サンプル5は、5.0*1015ohm.cm超のVRを有するニート樹脂(添加剤なし)で作製されたフィルム層である。比較サンプル6は、5.0*1015ohm.cm超のVRを有するベースポリマーを有し、シリカ以外の添加剤を含む樹脂組成物で作製されたフィルム層である。出願人は、驚くべきことに、親水性ヒュームドシリカを含めると、オレフィン系ポリマー中のベース樹脂が5.0*1015ohm.cm超のVRを有するサンプルにおいて、VRの大幅な改善がもたらされることを発見した。IE1は、2.0*1017ohm.cm未満のVR値を有するCS5~6と比較して、2.0*1017ohm.cm超のVR、およびさらに8.0*1017ohm.cm超のVRを有する。特に、CS5およびCS6は、それぞれ4.0*1016ohm.cmおよび1.8*1017ohm.cmのVR値を有し、IE1は、1.06*1018ohm.cmのVR値を有する。
【0147】
さらに、出願人は、驚くべきことに、5.0*1015ohm.cm超のVRを有するエチレン/オクテンコポリマーを有するフィルムに親水性ヒュームドシリカを含めると、改善されたVR(すなわち、2.0*1017ohm.cm超のVR)と、望ましいガラス接着力(すなわち、100N/cm超のガラス接着力)との組み合わせを有するフィルムがもたらされることを発見した。CS6(硬化樹脂、シリカなし)は、140.55N/cmのガラス接着力および乏しいVR(1.8*1017ohm.cm)を有する。親水性ヒュームドシリカを含めることは、シリカを含まない硬化樹脂(CS6)と比較して、ガラス接着力にほとんどまたはまったく影響を有さなかった。IE1~2の各々は、100N/cm超、実際には120N/cm超のガラス接着力を有する。特に、IE1~2のガラス接着力は、164.1N/cm(IE1)~192.5N/cm(IE2)の範囲であった。
【0148】
CS1~6およびIE1~4の比較によって示されるように、5.0*1015ohm.cm超のVRを有するオレフィン系ポリマーを含む樹脂組成物で構成されるフィルムに親水性ヒュームドシリカを含めると、改善されたVR(すなわち、2.0*1017ohm.cm超のVR)と、望ましいガラス接着力(すなわち、100N/cm超のガラス接着力)との組み合わせを有するフィルムがもたらされた。
【0149】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態および例示に限定されず、実施形態の一部、および異なる実施形態の要素の組み合わせを含むこれらの実施形態の修正された形態を、以下の特許請求の範囲の範囲内にあるものとして含むことが明確に意図される。

図1
【国際調査報告】