(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-10
(54)【発明の名称】最適化されたフェニルアラニンヒドロキシラーゼ発現
(51)【国際特許分類】
C12N 15/86 20060101AFI20220803BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20220803BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20220803BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20220803BHJP
C12N 15/53 20060101ALI20220803BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20220803BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20220803BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220803BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20220803BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20220803BHJP
【FI】
C12N15/86 Z ZNA
C12N15/867 Z
C12N15/113 Z
C12N15/864 100Z
C12N15/53
A61K48/00
A61K35/76
A61P25/00
A61P3/00
A61K31/7088
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021570364
(86)(22)【出願日】2020-06-01
(85)【翻訳文提出日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 US2020035584
(87)【国際公開番号】W WO2020243717
(87)【国際公開日】2020-12-03
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517428713
【氏名又は名称】アメリカン ジーン テクノロジーズ インターナショナル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ラフーゼン, テイラー
(72)【発明者】
【氏名】シャオ, リンジ
(72)【発明者】
【氏名】パウザ, チャールズ デイビッド
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZC211
4C084ZC212
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA06
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZC21
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZA02
4C087ZC21
(57)【要約】
レンチウイルス粒子を発現させるためのレンチウイルスベクターシステムを開示する。レンチウイルスベクターシステムは、治療ベクターを含む。レンチウイルスベクターシステムは、フェニルケトン尿症(PKU)に罹患した被験体の細胞におけるPAH発現を上方調節するためにコドン最適化PAHをコードするレンチウイルス粒子を産生する。本開示の態様は、フェニルケトン尿症(PKU)を処置するための遺伝子医薬に関する。より具体的には、本開示の態様は、コドン最適化PAH含有レンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクターに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療カーゴ部分を含むウイルスベクターであって、
前記治療カーゴ部分が
コドン最適化PAH配列またはそのバリアント;
プロモーター;および
肝臓特異的エンハンサー
を含み、前記コドン最適化PAH配列またはそのバリアントが、前記プロモーターおよび前記肝臓特異的エンハンサーの両方によって動作可能に制御されている、ウイルスベクター。
【請求項2】
前記コドン最適化PAH配列またはそのバリアントが、配列番号70と少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する配列を含む、請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項3】
前記コドン最適化PAH配列またはそのバリアントが、配列番号70の配列を含む、請求項2に記載のウイルスベクター。
【請求項4】
前記コドン最適化PAH配列またはそのバリアントが、配列番号71と少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する配列を含む、請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項5】
前記コドン最適化PAH配列またはそのバリアントが、配列番号71の配列を含む、請求項4に記載のウイルスベクター。
【請求項6】
前記コドン最適化PAH配列またはそのバリアントが、配列番号72と少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する配列を含む、請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項7】
前記コドン最適化PAH配列またはそのバリアントが、配列番号72の配列を含む、請求項6に記載のウイルスベクター。
【請求項8】
前記コドン最適化PAH配列またはそのバリアントが、配列番号73と少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する配列を含む、請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項9】
前記コドン最適化PAH配列またはそのバリアントが、配列番号73の配列を含む、請求項8に記載のウイルスベクター。
【請求項10】
前記コドン最適化PAH配列またはそのバリアントが、配列番号74と少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する配列を含む、請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項11】
前記コドン最適化PAH配列またはそのバリアントが、配列番号74の配列を含む、請求項10に記載のウイルスベクター。
【請求項12】
前記コドン最適化PAH配列またはそのバリアントが、配列番号75と少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する配列を含む、請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項13】
前記コドン最適化PAH配列またはそのバリアントが、配列番号75の配列を含む、請求項12に記載のウイルスベクター。
【請求項14】
前記コドン最適化PAH配列またはそのバリアントが、配列番号76と少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する配列を含む、請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項15】
前記コドン最適化PAH配列またはそのバリアントが、配列番号76の配列を含む、請求項14に記載のウイルスベクター。
【請求項16】
前記肝臓特異的エンハンサーがプロトロンビンエンハンサーを含む、請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項17】
前記プロモーターが肝臓特異的プロモーターを含む、請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項18】
前記肝臓特異的プロモーターがhAATプロモーターを含む、請求項17に記載のウイルスベクター。
【請求項19】
前記治療カーゴ部分がベータグロビンイントロンをさらに含む、請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項20】
前記治療カーゴ部分が少なくとも1つのスモールRNA配列をさらに含む、請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項21】
レンチウイルスベクターまたはアデノ随伴ウイルスベクターである、請求項1に記載のウイルスベクター。
【請求項22】
前記ウイルスベクターはレンチウイルスベクター、請求項21に記載のウイルスベクター。
【請求項23】
パッケージング細胞によって産生され、標的細胞に感染することができるレンチウイルス粒子であって、標的細胞に感染することができるエンベロープタンパク質および請求項1に記載のウイルスベクターを含む、レンチウイルス粒子。
【請求項24】
被験体におけるフェニルケトン尿症(PKU)を処置する方法であって、請求項23に記載のレンチウイルス粒子の治療有効量を前記被験体に投与することを含む、方法。
【請求項25】
被験体におけるPKUを処置するためのコドン最適化PAH配列またはそのバリアントの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権および参照による援用
本出願は、2019年5月31日に出願され、「Codon-Optimized Phenylalanine Hydroxylase」との表題の米国仮特許出願第62/855,506号(この開示は参照により本明細書に援用される)への優先権を主張する。
【0002】
分野
本開示の態様は、フェニルケトン尿症(PKU)を処置するための遺伝子医薬に関する。より具体的には、本開示の態様は、コドン最適化PAH含有レンチウイルスベクターを含むレンチウイルスベクターに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
フェニルケトン尿症(PKU)は、無処置のままであれば、罹患した小児に知的障害、発作、行動上の問題、ならびに成長および発達不全をもたらし得る不均一な群の障害を指す。高フェニルアラニン血症が知的障害をもたらす機構は、高用量フェニルアラニンの驚くべき毒性を反映し、神経系組織のミエリン形成不全または脱髄を伴う。PKUは、北米では12,000人に1人の平均発生率であると報告され、男女に等しく罹患する。障害は、ヨーロッパまたはネイティブアメリカンを祖先に持つ人々において最も一般的であり、東部地中海地域では非常に高レベルに達する。
【0004】
PKUを有する患者における神経学的変化は、生後1ヶ月以内に実証されており、成人PKU患者の磁気共鳴画像法(MRI)は、脳の白質病変を示している。これらの病変のサイズおよび数は、血中のフェニルアラニン濃度に関係する。PKUを有する青年および成人の認知プロファイルは、対照の被験体と比較してIQ、処理速度、運動制御、および抑制能力の有意な低減、ならびに注意力検査での成績の低減を含み得る。
【0005】
PKUの大部分は、肝フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)の欠乏によって引き起こされる。PAHは、酸素分子およびその非タンパク質補因子であるテトラヒドロビオプテリン(BH4)の触媒量の存在下でフェニルアラニン(Phe)からチロシン(Tyr)へのヒドロキシル化を触媒する多量体肝酵素である。PAHが十分に発現されない場合、PKU患者では、血液中のフェニルアラニンレベルが増加して高フェニルアラニン血症および有害な副作用をもたらす。PAH活性の減少または非存在は、チロシン、ならびにメラニン、l-チロキシン、およびドーパミンを含むカテコラミン神経伝達物質を含むその下流の生成物の欠乏をもたらし得る。
【0006】
PKUは、PAHの変異および/またはPAH補因子(すなわち、BH4)の合成もしくは再生の欠損によって引き起こされ得る。特に、いくつかのPAH変異が小胞体におけるタンパク質フォールディングに影響を及ぼし、酵素触媒活性を減弱させるかまたは大きく消失させるタンパク質構造のミスセンス変異(63%)および小さい欠失(13%)により、分解および/または凝集の加速をもたらすことが示されている。
【0007】
一般的に、血漿中Pheレベル、Pheに対する食事耐性、および治療に対する潜在的応答性に基づいて、3つの主要な表現型の群を用いてPKUが分類されている。これらの群は、古典的PKU(Phe>1200μΜ)、非定型または軽度のPKU(Pheは600~1200μΜである)、および永続的な軽度の高フェニルアラニン血症(HPA、Pheは120~600μΜである)を含む。
【0008】
PKUの検出は、ユニバーサル新生児スクリーニング(NBS)に依存する。かかとの穿刺から収集した血液1滴を、米国の50全ての州で義務づけられているスクリーニングにおいてフェニルアラニンレベルに関して試験する。
【0009】
現在、PKUに関して利用可能な2つのみの処置選択肢は、Pheの一生涯の食事制限およびBH4の補給であり、罹患した乳児における最適な臨床転帰を確実にするためには早期の治療介入が極めて重要である。しかし、高価な薬剤および特別な低タンパク食は、患者の大きい負担となっており、特にこれらの製品が私的な健康保険によって十分にカバーされていない場合には、栄養不良、心理社会的なまたは神経認知の合併症をもたらし得る。その上、BH4療法は、BH4生合成の欠損に関連する軽度の高フェニルアラニン血症の処置にとって主に有効であるが、軽度または古典的PKUを有する患者のわずか20~30%が応答するに過ぎない。このため、重荷となるPhe制限食に対する代替としてPKUに関する新規処置モダリティが必要である。
【0010】
遺伝子医薬は、PKUを有効に処置する潜在性を有する。遺伝子医薬は、疾患の治療または防止目的での遺伝子構築物の送達および発現を伴い得る。遺伝子構築物の発現は、様々なプロモーター、エンハンサー、および/またはその組み合わせによってモジュレートされ得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
概要
一態様では、治療カーゴ部分を含むウイルスベクターであって、治療カーゴ部分が、モジュレートされたフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)発現のために改変されたPAH配列またはそのバリアントを含む、ウイルスベクターが提供される。さらなる態様では、治療カーゴ部分を含むウイルスベクターであって、治療カーゴ部分がPAH発現の増強のためにコドン最適化PAH配列またはそのバリアント、ならびに必要に応じてプロモーターおよび肝臓特異的エンハンサーを含み、PAH配列またはそのバリアントが、プロモーターおよび肝臓特異的エンハンサーの両方によって動作可能に制御されている、ウイルスベクターが提供される。
【0012】
実施形態では、ウイルスベクターは、配列番号70と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、少なくとも95パーセントの配列同一性を有するコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含む。実施形態では、ウイルスベクターは、配列番号70の配列を含むコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含む。
【0013】
一態様では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含むウイルスベクターであって、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントが、配列番号71と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する、ウイルスベクターが提供される。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは配列番号71の配列を含む。実施形態では、ウイルスベクターは、コドン最適化PAH配列またはそのバリアント、プロモーター、および肝臓特異的エンハンサーを含む治療カーゴ部分をさらに含み、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、プロモーターおよび肝臓特異的エンハンサーの両方によって動作可能に制御される。
【0014】
一態様では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含むウイルスベクターであって、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントが、配列番号72と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する、ウイルスベクターが提供される。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号72の配列を含む。実施形態では、ウイルスベクターは、コドン最適化PAH配列またはそのバリアント、プロモーター、および肝臓特異的エンハンサーを含む治療カーゴ部分をさらに含み、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、プロモーターおよび肝臓特異的エンハンサーの両方によって動作可能に制御される。
【0015】
実施形態では、肝臓特異的エンハンサーは、プロトロンビンエンハンサーを含む。実施形態では、プロトロンビンエンハンサーは、配列番号3と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの同一性を有する配列を含む。実施形態では、プロトロンビンエンハンサーは配列番号3の配列を含む。
【0016】
実施形態では、プロモーターは肝臓特異的プロモーターを含む。実施形態では、肝臓特異的プロモーターはhAATプロモーターを含む。実施形態では、hAATプロモーターは、配列番号4と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの同一性を有する配列を含む。実施形態では、hAATプロモーターは配列番号4の配列を含む。
【0017】
実施形態では、治療カーゴ部分はベータグロビンイントロンをさらに含む。実施形態では、ベータグロビンイントロンは、配列番号5または6と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの同一性を有する配列を含む。実施形態では、ベータグロビンイントロンは配列番号5または6の配列を含む。
【0018】
実施形態では、治療カーゴ部分は、少なくとも1つの肝細胞核内因子結合部位をさらに含む。実施形態では、肝細胞核内因子結合部位は、配列番号7(1XHNF1)、8(5XHNF1)、9(1XHNF1/4)、または10(3XHNF1/4)と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの同一性を有する配列を含む。実施形態では、肝細胞核内因子結合部位は、配列番号7、8、9、または10の配列を含む。
【0019】
実施形態では、少なくとも1つの肝細胞核内因子結合部位は、プロトロンビンエンハンサーの下流に配置される。
【0020】
実施形態では、治療カーゴ部分は、少なくとも1つのスモールRNA配列をさらに含む。実施形態では、少なくとも1つのスモールRNA配列は、配列番号11または12と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの同一性を有する配列を含む。実施形態では、少なくとも1つのスモールRNA配列は、第1のプロモーターの制御下にあり、PAH配列は第2のプロモーターの制御下にある。実施形態では、第1のプロモーターはH1プロモーターである。実施形態では、第2のプロモーターは肝臓特異的プロモーターである。
【0021】
実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターまたはアデノ随伴ウイルスベクターである。実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクター、または本明細書に記載のコドン最適化PAH配列を送達するために適した別のウイルスベクターもしくは非ウイルスシステムである。実施形態では、ウイルスベクターはレンチウイルスベクターである。
【0022】
一態様では、治療カーゴ部分を含むウイルスベクターであって、治療カーゴ部分が、配列番号70と95パーセントより高い配列同一性を共有する配列を含むコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含む、ウイルスベクターが提供される。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは配列番号70を含む。
【0023】
一態様では、治療カーゴ部分を含むウイルスベクターであって、治療カーゴ部分が、配列番号71と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95の配列同一性を有する配列を含むコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含む、ウイルスベクターが提供される。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは配列番号71を含む。
【0024】
一態様では、治療カーゴ部分を含むウイルスベクターであって、治療カーゴ部分が、配列番号72と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95の配列同一性を有する配列を含むコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含む、ウイルスベクターが提供される。実施形態では、コドン最適化配列またはそのバリアントは配列番号72を含む。
【0025】
一態様では、治療カーゴ部分を含むウイルスベクターであって、治療カーゴ部分が、配列番号73と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する配列を含むコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含む、ウイルスベクターが提供される。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号73の配列を含む。
【0026】
一態様では、治療カーゴ部分を含むウイルスベクターであって、治療カーゴ部分が、配列番号74と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する配列を含むコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含む、ウイルスベクターが提供される。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号74の配列を含む。
【0027】
一態様では、治療カーゴ部分を含むウイルスベクターであって、治療カーゴ部分が、配列番号75と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する配列を含むコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含む、ウイルスベクターが提供される。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号75の配列を含む。
【0028】
一態様では、治療カーゴ部分を含むウイルスベクターであって、治療カーゴ部分が、配列番号76と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する配列を含むコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含む、ウイルスベクターが提供される。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号76の配列を含む。
【0029】
一態様では、配列番号73と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する配列を含むコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含むウイルスベクターが提供される。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号73の配列を含む。実施形態では、ウイルスベクターは、コドン最適化PAH配列またはそのバリアント、プロモーター、および肝臓特異的エンハンサーを含む治療カーゴ部分をさらに含み、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、プロモーターおよび肝臓特異的エンハンサーの両方によって動作可能に制御される。
【0030】
一態様では、配列番号74と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する配列を含むコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含むウイルスベクターが提供される。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号74の配列を含む。実施形態では、ウイルスベクターは、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含む治療カーゴ部分をさらに含み、プロモーターおよび肝臓特異的エンハンサーをさらに含み、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、プロモーターおよび肝臓特異的エンハンサーの両方によって動作可能に制御される。
【0031】
一態様では、配列番号75と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する配列を含むコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含むウイルスベクターが提供される。実施形態では、コドン最適化配列またはそのバリアントは配列番号75を含む。実施形態では、ウイルスベクターは、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含む治療カーゴ部分をさらに含み、プロモーターおよび肝臓特異的エンハンサーをさらに含み、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、プロモーターおよび肝臓特異的エンハンサーの両方によって動作可能に制御される。
【0032】
一態様では、配列番号76と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する配列を含むコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含むウイルスベクターが提供される。実施形態では、コドン最適化配列またはそのバリアントは配列番号76を含む。実施形態では、ウイルスベクターは、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含む治療カーゴ部分をさらに含み、プロモーターおよび肝臓特異的エンハンサーをさらに含み、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、プロモーターおよび肝臓特異的エンハンサーの両方によって動作可能に制御される。
【0033】
一態様では、パッケージング細胞によって産生され、標的細胞に感染することができるレンチウイルス粒子が開示される。実施形態では、レンチウイルス粒子は、標的細胞に感染することができるエンベロープタンパク質および本明細書で詳述されるウイルスベクターを含む。
【0034】
一態様では、被験体におけるフェニルケトン尿症(PKU)を処置する方法が開示される。方法は、本明細書で詳述されるレンチウイルス粒子の治療有効量を被験体に投与することを含む。
【0035】
一態様では、被験体におけるPKUを処置するためのコドン最適化PAH配列またはそのバリアントの使用が提供される。別の態様では、被験体におけるPKUを処置するための医薬の製剤化のためのコドン最適化PAH配列またはそのバリアントの使用が提供される。
【0036】
一態様では、被験体におけるPKUの処置に使用するためのコドン最適化PAH配列またはそのバリアントが提供される。別の態様では、被験体におけるPKUの処置に使用するための医薬を製剤化するためのコドン最適化PAH配列またはそのバリアントが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】
図1は、環状の例示的な3ベクターレンチウイルスベクターシステムを示す。
【0038】
【
図2】
図2は、環状の例示的な4ベクターレンチウイルスベクターシステムを示す。
【0039】
【
図3】
図3は、PAHの発現を調節するために、プロトロンビンエンハンサーおよびhAATプロモーターの変形を含有する4つの例示的なレンチウイルスベクターの線状マップを示す。
【0040】
【
図4】
図4A~4Bは、hPAHおよび様々な形態のコドン最適化PAH配列の形質導入後のHepa1-6細胞におけるPAHのレベルを比較するイムノブロットデータを示す。
図4Aは、hPAHをOPT2コドン最適化PAHと比較する。
図4Bは、hPAHをコドン最適化PAHのOPT3、OPT2/3、およびOPT3/2バージョンと比較する。
【0041】
【
図5】
図5は、レンチウイルスベクターを形質導入したHepa1-6細胞におけるPAH RNA発現、hPAHおよびPAHのコドン最適化バージョンの発現を示す。
【0042】
【
図6】
図6A~6Bは、プロトロンビンエンハンサーの上流でHNF1およびHNF1/4結合部位を有するコドン最適化PAHのレベルを比較するイムノブロットデータを示す。
図6Aは、Hepa1-6細胞におけるイムノブロットデータを示す。
図6Bは、Hep3B細胞におけるイムノブロットデータを示す。
【0043】
【
図7】
図7は、プロトロンビンエンハンサー/hAATプロモーター/マウス微小ウイルスイントロンまたはhAATエンハンサー/トランスサイレチンプロモーター/マウス微小ウイルスイントロンのいずれかを含有する調節配列を有するコドン最適化PAHのレベルを比較するイムノブロットデータを示す。
【0044】
【
図8】
図8は、変異体WPRE配列もしくは短鎖WPRE(WPREs)配列、またはPAHもしくはアルブミン3’UTR配列を含有する調節配列を有するコドン最適化PAHのレベルを比較するイムノブロットデータを示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
詳細な説明
本開示の概要
本開示は、治療ベクターおよび治療ベクターの細胞への送達に関する。一態様では、治療ベクターは、治療カーゴ部分を含むウイルスベクターであり、治療カーゴ部分は、コドン最適化PAH配列またはそのバリアント;プロモーター;および肝臓特異的エンハンサーを含み、PAH配列またはそのバリアントは、プロモーターおよび肝臓特異的エンハンサーの両方によって動作可能に制御される。実施形態では、ベクターは、コドン最適化PAH配列またはそのバリアント、および/または肝臓特異的エンハンサーを含む。実施形態では、ベクターは、宿主(すなわち内因性)のPAHタンパク質発現を調節するスモールRNAを含む。実施形態では、ウイルスベクターは、レンチウイルスベクターである。
【0046】
定義
本明細書中で別様に定義しない限り、本開示との関連で使用する科学技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を有する。さらに、文脈上別様に要求されない限り、単数の語は複数を包含し、複数の語は単数を包含する。一般に、本明細書中に記載する細胞および組織の培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、ならびにタンパク質および核酸の化学およびハイブリダイゼーションとの関連で使用する学術用語およびそれらの技術は周知であり、当該技術分野において一般に使用されている。本開示の方法および技術は、別段の記載がなければ、当該技術分野において周知の、本明細書全体で引用し議論する様々な一般的およびより具体的な参考文献に記載される従来の方法にしたがって一般に行われる。例えば、Sambrook J.およびRussell D.、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(2000年);Ausubelら、Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology、Wiley, John&Sons, Inc.(2002年);HarlowおよびLane、Using Antibodies: A Laboratory Manual;Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1998年);およびColiganら、Short Protocols in Protein Science、Wiley, John&Sons, Inc.(2003年)を参照。あらゆる酵素反応または精製技術は、当該技術分野において一般に遂行されるように、または本明細書中に記載するように、製造業者の仕様にしたがって行われる。本明細書中に記載する分析化学、合成有機化学、医薬品化学、および製薬化学との関連で使用する学術用語、ならびに実験の手順および技術は、当該技術分野において周知であり一般に使用されるものである。
【0047】
本明細書において使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は交換可能に使用し、文脈がそうでないと示さない限り、複数形も包含すること、およびそれぞれの意味の範囲内に包含されることを意図する。また、本明細書中で使用する場合、「および/または」は、挙げた項目の1つまたは複数のあらゆる全ての可能な組み合わせ、ならびに、選択肢(「または」)として解釈する場合には組み合わせないことを指し、およびこれらを包含する。
【0048】
範囲を含む全ての数値の指定、例えば、パーセント、pH、温度、時間、濃度、および分子量は、例えば0.1%または0.1の増分で(+)または(-)の変動を含み得る近似値である。必ずしも明示的には述べないが、数値による全ての指定には「約」という用語が先行することを理解するべきである。必ずしも明示的には述べないが、本明細書中に記載する試薬は単に例示的なものであり、そのようなものの同等物が当該技術分野で公知であることも理解するべきである。
【0049】
本明細書中で使用する場合、「約」という用語は、当業者によって理解され、また、それが使用される文脈に応じてある程度変動する。使用されている文脈を考慮して当業者に明確でない用語が使用されている場合、「約」は、その値およびその値のプラスまたはマイナス10%までを含む。「約」という用語は、「X」+0.1%またはX-0.1%などの「X」の小さな増分に加えて、「X」という正確な値も含む。
【0050】
本明細書中で使用する場合、「の投与」または「投与する」という用語は、処置を必要とする被験体に対して本開示のベクター、ベクター組成物、医薬組成物、または本明細書に開示される他の活性剤のいずれかを、治療的に有用な形態かつ治療有効量でその個体の体内に導入できる形態で提供することを意味する。本開示のベクター、ベクター組成物、または他の活性剤を投与する方法は、本明細書に開示の方法のいずれかであり得る。
【0051】
本明細書中で使用する場合、「コード配列」という語句は、転写され得るまたは逆転写され得る任意のウイルスベクター配列を記載する。「コード配列」は、転写され得るまたは逆転写され得る外因性の配列(例えば、細胞に形質導入されているまたはトランスフェクトされているベクター中の配列)を非限定的に含む。
【0052】
本明細書中で使用する場合、「コドン最適化」という用語は、以下の少なくとも1つに従ってコード配列をモジュレートすることを意味する;(i)天然に存在するコドン配列を、コードされたタンパク質のアミノ酸配列を保存するが、コードするRNAの組成および/または構造を変更する代替コドンで置換すること;(ii)コード配列の天然に存在するグアノシンシトシン含有量と比べてコード配列のグアノシンシトシン含有量をモジュレートすること;(iii)天然に存在するコード配列におけるCpG部位の数と比べてコード配列のCpG部位の数をモジュレートすること;ならびに(iv)天然に存在するコドン配列を、(ii)グアノシンシトシン含有量および/または(iii)CpG部位の数と比べて代替コドンで置換すること。コドン最適化は、特定の組織におけるtRNA発現の文脈におけるコドンの調整を含み得る、および/または天然の組織特異的shRNAもしくはmiRNAの作用を回避する方法を含み得る。
【0053】
本明細書中で使用する場合、「含む」という用語は、組成物および方法が、記載した要素を含むが、他の要素を除外しないことを意味する。組成物および方法を定義するために使用する場合、「から本質的になる」は、組成物または方法に対して何らかの本質的な重要性を持つその他の要素を除外することを意味する。「からなる」は、特許請求される組成物および実体的な方法ステップにとって軽微ではないその他の成分の要素を除外することを意味する。これらの移行句のそれぞれによって定義される実施形態は、本開示の範囲内にある。したがって、方法および組成物は、追加のステップおよび成分を含み得るか(含む)、あるいは重要でないステップおよび組成物を含むか(から本質的になる)、あるいは記載した方法ステップまたは組成物のみを意図する(からなる)ことが意図される。
【0054】
本明細書中で使用する場合、「CpG部位」という用語は、その5’→3’方向に沿った塩基の線状配列においてシトシンヌクレオチドの後にグアニンヌクレオチドが続くDNAの領域を指す。CpG部位は、CpGアイランド(またはCGアイランド)と呼ばれるゲノム領域において高頻度で起こる。CpGジヌクレオチドにおけるシトシンは、メチル化されて5-メチルシトシンを形成することができる。哺乳動物では、CpGシトシンの70%~80%がメチル化される。遺伝子内のシトシンのメチル化は、その発現を変化させ得る。
【0055】
本明細書中で使用する場合、「UTR」という用語は、一般的にRNAスプライシングの完了後に残っているメッセンジャーRNA(mRNA)の非翻訳領域を指す。本明細書中で使用する場合、「3’UTR」は、翻訳終止コドンの直後に続くmRNAの非翻訳領域を指す。3’UTRは、結果としてのタンパク質に翻訳されない。
【0056】
本明細書中で使用する場合、「アデノ随伴ウイルスベクター」という用語は、治療DNAカーゴを細胞または組織に送達するためにアデノ随伴ウイルスの構造構成成分を利用する合成送達システムを指す。「アデノ随伴ウイルスベクター」という用語はまた、本明細書において「AAVベクター」とも称され得る。
【0057】
本明細書中で使用する場合、「アデノ随伴ウイルス」という用語は、軽度の免疫応答を生成し、宿主細胞にそれ自身の染色体外DNAコピーを配置することができ、時に宿主ゲノムにDNAコピーを組み込み、相対的に非病原性である小さいウイルスを指す。アデノ随伴ウイルスは、本明細書に記載のAAV2を非限定的に含む多数の天然および合成の血清型を含む。
【0058】
本明細書中で使用する場合、「AAV/DJ」という用語(本明細書において「AAV-DJ」とも称される)は、野生型AAV血清型より高い形質導入率および感染率を媒介する異なるAAV血清型から操作されたAAVベクターの血清型である。
【0059】
本明細書中で使用する場合、「AAV2」という用語(本明細書において「AAV/2」または「AAV-2」とも称される)は、天然に存在するAAV血清型である。
【0060】
本明細書中で使用する場合、「ApoEエンハンサー」という用語は、アポリポタンパク質Eエンハンサーを指す。
【0061】
本明細書中で使用する場合、「発現」、「発現される」、または「コードする」という用語は、ポリヌクレオチドがmRNAに転写される、もしくはDNAに逆転写される過程、および/または転写されたmRNAがその後にペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質に翻訳される過程を指す。発現は、真核細胞中でのmRNAのスプライシング、または転写後修飾もしくは翻訳後修飾というその他の形態を含み得る。
【0062】
本明細書中で使用する場合、「遺伝子医薬」または「複数の遺伝子医薬」という用語は、一般的に臨床疾患または症状発現を処置するために遺伝子標的に集中する治療薬および治療戦略を指す。「遺伝子医薬」という用語は、遺伝子療法等を包含する。
【0063】
本明細書中で使用する場合、「hAAT」という用語は、hAATプロモーターを指す。
【0064】
本明細書中で使用する場合、「肝細胞核内因子」という用語は、肝臓において主に発現される転写因子を指す。肝細胞核内因子の種類は、肝細胞核内因子1、肝細胞核内因子2、肝細胞核内因子3、および肝細胞核内因子4を非限定的に含む。
【0065】
本明細書中で使用する場合、「HNF」という用語は肝細胞核内因子を指す。したがって、HNF1は肝細胞核内因子1を指し、HNF2は肝細胞核内因子2を指し、HNF3は肝細胞核内因子3を指し、およびHNF4は肝細胞核内因子4を指す。
【0066】
本明細書中で使用する場合、「HNF結合部位」という用語は、HNF転写因子が結合することができるDNAの領域を指す。したがって、HNF1結合部位は、HNF1が結合することができるDNAの領域であり、HNF4結合部位は、HNF4が結合することができるDNAの領域である。
【0067】
本明細書中で使用する場合、「ヒトベータグロビンイントロン」という用語は、RNA成熟の際にスプライシングによって除去され、タンパク質をコードしないヒトベータグロビン遺伝子内の核酸セグメントを指す。
【0068】
本明細書中で使用する場合、「個体」、「被験体」、および「患者」という用語は本明細書中では交換可能に使用され、任意の個体である哺乳動物被験体(例えば、マウス、ブタ、ウシ、イヌ、ネコ、ウマ、非ヒト霊長類またはヒト霊長類)を指す。
【0069】
本明細書中で使用する場合、「LV」という用語は、一般的に「レンチウイルス」を指す。非限定的な例として、「LV-PAH」への言及は、PAH配列を含有し、PAHを発現するレンチウイルスへの言及である。PAH配列は、hPAH配列またはコドン最適化PAH配列であり得る。
【0070】
本明細書中で使用される場合、「LV-Pro-hAAT-PAH」という用語は、プロトロンビンエンハンサー、hAATプロモーター、およびPAH配列を含むLVベクターを指す。
【0071】
本明細書中で使用する場合、「パッケージング細胞株」という用語は、レンチウイルス粒子を発現させるために使用することができる任意の細胞株を指す。
【0072】
本明細書中で使用する場合、2つまたはそれより多くの核酸配列またはポリペプチド配列の文脈における「同一性パーセント」または「配列同一性パーセント」という用語は、下記する配列比較アルゴリズム(例えば、BLASTPおよびBLASTN、または当業者に利用可能なその他のアルゴリズム)の1つを使用して、または目視検査によって測定されるように、最大の一致のために比較およびアラインメントした時に同一となるヌクレオチドまたはアミノ酸残基を特定のパーセンテージで有する2つまたはそれより多くの配列または部分配列を指す。適用に応じて、「同一性パーセント」または「配列同一性パーセント」は、比較されている配列の一領域にわたり(例えば、機能ドメインにわたり)存在し得るか、あるいは比較される2つの配列の全長にわたり存在し得る。配列比較のために、通常は1つの配列が、試験配列がそれに対して比較される参照配列の役目を持つ。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験配列および参照配列をコンピューターに入力し、部分配列座標を指定し、必要であれば配列アルゴリズムプログラムのパラメーターを指定する。次いで、配列比較アルゴリズムは、指定されたプログラムパラメーターに基づいて、参照配列に対する試験配列の配列同一性パーセントを計算する。
【0073】
本明細書中で使用する場合、「薬学的に許容される」という用語は、妥当な医学的判断の範囲内で、合理的な利益/リスク比に見合うように、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、またはその他の問題もしくは合併症を起こすことなくヒトおよび動物の組織、臓器、および/または体液との接触に使用するために好適な化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。
【0074】
本明細書中で使用する場合、「フェニルアラニンヒドロキシラーゼ」という用語は、本明細書においてPAHと称され得る。フェニルアラニンヒドロキシラーゼという用語は、PAH配列の断片を含む、全ての野生型、バリアント、およびコドン最適化PAH配列のヌクレオチドおよびペプチド配列を含む。非限定的に、フェニルアラニンヒドロキシラーゼという用語は、配列番号1、2、および70~76への言及を含み、それと少なくとも約75%の同一性を有するバリアントをさらに含む。
【0075】
本明細書中で使用する場合、「hPAH」という用語は、そのコドンが合成によって変更されていない、ヒトまたはヒト起源に由来するPAH配列を指す。
【0076】
本明細書中で使用する場合、「フェニルケトン尿症」という用語は、本明細書で「PKU」とも称され、軽度および古典的な型の疾患を含む、フェニルアラニンヒドロキシラーゼの慢性的な欠乏ならびにそれに関連する全ての症状を指す。したがって、「フェニルケトン尿症」の処置は、PKUに関連する全てまたは一部の症状に対する処置に関連し得る。
【0077】
本明細書中で使用する場合、「プロトロンビンエンハンサー」という用語は、プロトロンビン遺伝子の転写をもたらす、タンパク質が結合することができるプロトロンビン遺伝子の領域である。
【0078】
本明細書中で使用する場合、「Pro」という用語は、プロトロンビンエンハンサーを指す。
【0079】
本明細書中で使用する場合、「ウサギベータグロビンイントロン」という用語は、RNA成熟の際にスプライシングによって除去され、タンパク質をコードしないウサギベータグロビン遺伝子内の核酸セグメントを指す。
【0080】
本明細書中で使用する場合、「スモールRNA」という用語は、一般に約200ヌクレオチドまたはそれ未満の長さの、サイレンシング機能または干渉機能を持つノンコーディングRNAをいう。その他の実施形態では、スモールRNAは、約175ヌクレオチドまたはそれ未満、約150ヌクレオチドまたはそれ未満、約125ヌクレオチドまたはそれ未満、約100ヌクレオチドまたはそれ未満、あるいは約75ヌクレオチドまたはそれ未満の長さである。そのようなRNAとしては、マイクロRNA(miRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、および短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、核内低分子RNA(small nuclear RNA;snRNA)、および核小体低分子RNA(small nucleolar RNA;snoRNA)が挙げられる。本開示の「スモールRNA」は、一般に、標的遺伝子mRNAの分解を生じさせる経路または標的遺伝子のmRNAの翻訳を防止する経路を通じて、標的遺伝子の遺伝子発現を阻害することまたはノックダウンすることができるべきである。
【0081】
本明細書中で使用する場合、「shPAH」という用語は、PAHを標的とするスモールヘアピンRNAを指す。
【0082】
本明細書中で使用する場合、「配列番号」という用語は、「配列ID番号」という用語と同義である。
【0083】
本明細書中で使用する場合、「チロキシン結合グロブリン」という用語は、血流中で甲状腺ホルモンの輸送に関与する輸送タンパク質である。本明細書中で使用する場合、「TBG」という略語は、チロキシン結合グロブリンを指す。
【0084】
本明細書中で使用する場合、「治療有効量」という用語は、所与の病気、傷害、疾患、または状態に罹患した患者に見られる症状、進行、または合併症の発症を処置し、または防止するために好適な組成物中および好適な剤形中の本開示の活性剤の十分な量を指す。治療有効量は、患者の状態の状況またはその重篤度、および処置される被験体の年齢、体重などに応じて変化する。治療有効量は、例えば、投与経路、被験体の状態などのいくつかの要因、ならびに当業者によって理解されるその他の要因のいずれかに応じて変化し得る。
【0085】
本明細書中で使用する場合、「治療ベクター」という用語は、レンチウイルスベクターまたはアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターへの言及を非限定的に含む。さらに、レンチウイルスベクターシステムを参照して本明細書中で使用する場合、「ベクター」という用語は「プラスミド」という用語と同義である。例えば、2ベクターおよび3ベクターのパッケージングシステムを含む3ベクターシステムおよび4ベクターシステムは、3プラスミドシステムおよび4プラスミドシステムとも称され得る。
【0086】
本明細書中で使用する場合、「処置」または「処置すること」という用語は、一般に、処置されている被験体の自然経過を変えようとする介入を指し、予防のため、または臨床病理の経過の間に行われ得る。望ましい効果としては、疾患の発生または再発の予防、症状の軽減、疾患の任意の直接的または間接的な病理学的帰結の抑制、減少、または阻害、疾患状態の改善または緩和、および寛解または予後改善の惹起が挙げられるが、これらに限定されない。「処置」は、疾患状態を標的化し、それと戦うこと、すなわち、疾患状態を改善し、または予防することを意図する。よって、特定の処置は、標的化される疾患状態、ならびに医薬療法および治療アプローチの現在または将来の状況に依存する。処置は、関連する毒性を有し得る。
【0087】
本明細書中で使用する場合、「切断された(truncated)」という用語は、本明細書において「短縮された(shortened)」または「存在しない(without)」ことを指し得る。
【0088】
本明細書中で使用する場合、「バリアント」という用語は、参照配列と比較した場合に、一塩基多型、一塩基多様性、変換、逆位、重複、欠失、または置換のうちの少なくとも1つを含有するヌクレオチド配列を指す。「バリアント」は、「バリアント」ヌクレオチド配列に由来するアミノ酸配列、ならびにその転写後および翻訳後修飾を含む。
【0089】
本明細書中で考えられる場合、比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、SmithおよびWaterman、Adv. Appl. Math.2巻:482頁(1981年)の局所相同性アルゴリズム、NeedlemanおよびWunsch、J. Mol. Biol.48巻:443頁(1970年)の相同性アラインメントアルゴリズム、PearsonおよびLipman、Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 85巻:2444頁(1988年)の類似性検索法、これらのアルゴリズムのコンピューターによる実行(GAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA;Wisconsin Genetics Software Package、Genetics Computer Group、575 Science Dr.、Madison、Wis.)、または目視検査(一般には後述のAusubelらを参照)によって実行することができる。
【0090】
配列同一性パーセントおよび配列類似性パーセントを決定するために好適なアルゴリズムの一例は、Altschulら、J. Mol. Biol.215巻:403~410頁(1990年)に記載されるBLASTアルゴリズムである。BLAST解析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationのウェブサイトを通じて公開されている。
【0091】
本開示の核酸配列およびタンパク質配列は、例えば関連配列を同定するために、公共データベースに対して検索を行うための「クエリ配列」としてさらに使用することができる。そのような検索は、Altschulら(1990年)、J. Mol. Biol.215巻:403~10頁のNBLASTおよびXBLASTプログラム(バージョン2.0)を使用して行うことができる。BLASTヌクレオチド検索は、本開示中に提供される核酸分子に相同的なヌクレオチド配列を得るために、NBLASTプログラムをスコア=100、ワード長=12で用いて行うことができる。BLASTタンパク質検索は、本開示のタンパク質分子に相同的なアミノ酸配列を得るために、XBLASTプログラムをスコア=50、ワード長=3で用いて行うことができる。比較目的のギャップ付きアラインメントを得るために、Altschulら(1997年)Nucleic Acids Res.25巻(17号):3389~3402頁に記載されるようにGapped BLASTを利用することができる。BLASTプログラムおよびGapped BLASTプログラムを利用する場合、各プログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトのパラメーターを使用することができる。http://www.ncbi.nlm.nih.gov.を参照。
【0092】
態様および実施形態の説明
一態様では、治療カーゴ部分を含むウイルスベクターであって、治療カーゴ部分が、コドン最適化PAH配列またはそのバリアント、プロモーター、およびエンハンサーを含む、ウイルスベクターが提供される。
【0093】
一態様では、治療カーゴ部分を含むウイルスベクターであって、治療カーゴ部分が、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントおよびプロモーターを含む、ウイルスベクターが提供される。
【0094】
一態様では、治療カーゴ部分を含むウイルスベクターであって、治療カーゴ部分が、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントおよびエンハンサーを含む、ウイルスベクターが提供される。
【0095】
一態様では、治療カーゴ部分を含むウイルスベクターであって、治療カーゴ部分が、コドン最適化PAH配列またはそのバリアント、プロモーター、および肝臓特異的エンハンサーを含む、ウイルスベクターが提供される。
【0096】
一態様では、治療カーゴ部分を含むウイルスベクターであって、治療カーゴ部分が、コドン最適化PAH配列またはそのバリアント、プロモーター、および肝臓特異的エンハンサーを含み、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントが、プロモーターおよび肝臓特異的エンハンサーの両方によって動作可能に制御されている、ウイルスベクターが提供される。
【0097】
一態様では、治療カーゴ部分を含むウイルスベクターであって、治療カーゴ部分が、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントおよびプロモーターを含み、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントがプロモーターによって動作可能に制御されている、ウイルスベクターが提供される。
【0098】
一態様では、治療カーゴ部分を含むウイルスベクターであって、治療カーゴ部分が、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントおよびエンハンサーを含み、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントがエンハンサーによって動作可能に制御されている、ウイルスベクターが提供される。実施形態では、エンハンサーは肝臓特異的エンハンサーである。
【0099】
実施形態では、本明細書中で記載のプロモーターのいずれかは、組織特異的プロモーター、構成的プロモーター、および合成プロモーターのうちの少なくとも1つである。
【0100】
実施形態では、組織特異的プロモーターは肝臓特異的プロモーターである。実施形態では、肝臓特異的プロモーターはhAATプロモーターである。実施形態では、hAATプロモーターは、配列番号4と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントを有する配列を含む。例えば、実施形態では、hAATプロモーターは、配列番号4と75パーセント、76パーセント、77パーセント、78パーセント、79パーセント、80パーセント、81パーセント、82パーセント、83パーセント、84パーセント、85パーセント、86パーセント、87パーセント、88パーセント、89パーセント、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、または99パーセント同一である配列を含む。実施形態では、hAATプロモーターは配列番号4の配列を含む。
【0101】
実施形態では、本明細書に記載の肝臓特異的エンハンサーのいずれかは、天然に存在するエンハンサーおよび合成エンハンサーのうちの少なくとも1つである。
【0102】
実施形態では、肝臓特異的エンハンサーはプロトロンビンエンハンサーである。実施形態では、プロトロンビンエンハンサーは、配列番号3と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの同一性を有する配列を含む。例えば、実施形態では、プロトロンビンエンハンサーは、配列番号3と75パーセント、76パーセント、77パーセント、78パーセント、79パーセント、80パーセント、81パーセント、82パーセント、83パーセント、84パーセント、85パーセント、86パーセント、87パーセント、88パーセント、89パーセント、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、または99パーセント同一である配列を含む。実施形態では、プロトロンビンエンハンサーは配列番号3を含む。
【0103】
実施形態では、ウイルスベクターは、プロモーターに対して5’であるエンハンサーを含む。実施形態では、ウイルスベクターは、プロモーターに対して3’であるエンハンサーを含む。
【0104】
実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントのいずれかは、天然に存在するPAH配列のバリアントである。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントのいずれかは、合成PAH配列のバリアントである。
【0105】
実施形態では、ウイルスベクターは、配列番号70と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、少なくとも95パーセントの配列同一性を有する配列を含むコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含む。例えば、実施形態では、コドン最適化PAH配列は、配列番号70と75パーセント、76パーセント、77パーセント、78パーセント、79パーセント、80パーセント、81パーセント、82パーセント、83パーセント、84パーセント、85パーセント、86パーセント、87パーセント、88パーセント、89パーセント、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、または99パーセント同一である。実施形態では、ウイルスベクターは、配列番号70の配列を含むコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含む。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号70と90.0%、90.1%、90.2%、90.3%、90.4%、90.5%、90.6%、90.7%、90.8%、90.9%、91.0%、91.1%、91.2%、91.3%、91.4%、91.5%、91.6%、91.7%、91.8%、91.9%、92.0%、92.1%、92.2%、92.3%、92.4%、92.5%、92.6%、92.7%、92.8%、92.9%、93.0%、93.1%、93.2%、93.3%、93.4%、93.5%、93.6%、93.7%、93.8%、93.9%、94.0%、94.1%、94.2%、94.3%、94.4%、94.5%、94.6%、94.7%、94.8%、94.9%、95.0%、95.1%、95.2%、95.3%、95.4%、95.5%、95.6%、95.7%、95.8%、95.9%、96.0%、96.1%、96.2%、96.3%、96.4%、96.5%、96.6%、96.7%、96.8%、96.9%、97.0%、97.1%、97.2%、97.3%、97.4%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0106】
実施形態では、本明細書に記載の治療カーゴ部分のいずれかはイントロンをさらに含む。実施形態では、イントロンは、任意の植物または動物種に由来する。実施形態では、イントロンはベータグロビンイントロンである。実施形態では、ベータグロビンイントロンはヒトベータグロビンイントロンである。実施形態では、ベータグロビンイントロンはウサギベータグロビンイントロンである。実施形態では、ベータグロビンイントロンは、配列番号5または6と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの同一性を有する配列を含む。例えば、実施形態では、ベータグロビンイントロンは、配列番号5または6と75パーセント、76パーセント、77パーセント、78パーセント、79パーセント、80パーセント、81パーセント、82パーセント、83パーセント、84パーセント、85パーセント、86パーセント、87パーセント、88パーセント、89パーセント、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、または99パーセント同一である。実施形態では、ベータグロビンイントロンは、配列番号5または6の配列を含む。
【0107】
実施形態では、本明細書に記載の治療カーゴ部分のいずれかは、核内受容体が結合することができる部位をさらに含む。実施形態では、核内受容体は肝臓において発現される。実施形態では、部位は肝細胞核内因子結合部位である。
【0108】
実施形態では、肝細胞核内因子結合部位は、配列番号7、8、9、または10と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの同一性を有する配列を含む。例えば、実施形態では、肝細胞核内因子結合部位は、配列番号7、8、9、または10と75パーセント、76パーセント、77パーセント、78パーセント、79パーセント、80パーセント、81パーセント、82パーセント、83パーセント、84パーセント、85パーセント、86パーセント、87パーセント、88パーセント、89パーセント、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、または99パーセント同一である。実施形態では、肝細胞核内因子結合部位は、配列番号7、8、9、または10の配列を含む。
【0109】
実施形態では、本明細書に記載の肝細胞核内因子結合部位のいずれかは、プロトロンビンエンハンサーの下流に配置される。実施形態では、本明細書に記載の肝細胞核内因子結合部位のいずれかは、プロトロンビンエンハンサーの上流に配置される。本明細書中で使用する場合、下流とは、機能的なRNAの転写方向に沿って連続するヌクレオチド位置で測定される距離を指す。上流とは、機能的RNAの転写方向とは反対の連続する位置で測定される距離を指す。
【0110】
実施形態では、本明細書に記載の治療カーゴ部分のいずれかは、少なくとも1つの既定のPAH mRNA配列に結合することができる少なくとも1つのスモールRNA配列をさらに含む。
【0111】
実施形態では、本明細書に記載の少なくとも1つのスモールRNAのいずれかは、スモール核RNAである。実施形態では、少なくとも1つのスモールRNAは、スモール核小体RNAである。実施形態では、少なくとも1つのスモールRNAはマイクロRNAである。実施形態では、少なくとも1つのスモールRNAは、低分子干渉RNAである。実施形態では、少なくとも1つのスモールRNAは、短鎖ヘアピンRNAである。
【0112】
実施形態では、少なくとも1つのスモールRNA配列は、配列番号11または12と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの同一性を有する配列を含む。例えば、実施形態では、少なくとも1つのスモールRNA配列は、配列番号11または12と75パーセント、76パーセント、77パーセント、78パーセント、79パーセント、80パーセント、81パーセント、82パーセント、83パーセント、84パーセント、85パーセント、86パーセント、87パーセント、88パーセント、89パーセント、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、または99パーセント同一である。実施形態では、少なくとも1つのスモールRNA配列は、配列番号11または12の配列を含む。
【0113】
実施形態では、本明細書に記載のウイルスベクターのいずれかは、レンチウイルスベクターおよびAAVベクターのうちの少なくとも1つである。さらなる実施形態では、以下のウイルスベクターもまた、本開示の態様にしたがって使用することができる:単純ヘルペスウイルス1型;アデノウイルス、モロニーマウス白血病ウイルス;HTLV-1およびHTLV-2を非限定的に含むオンコレトロウイルスに基づくベクター;ウマ伝染性貧血ウイルス、サル免疫不全ウイルス、ネコ免疫不全ウイルス、またはビスナマエディレンチウイルスに基づくレンチウイルスベクター;麻疹ウイルスベクター;ムンプスウイルスベクター;アルボウイルスベクター;ウマ伝染性貧血ウイルスベクター;およびアレナウイルスに基づくベクター。一態様では、本開示にしたがう遺伝子送達は、PAHをコードする遺伝子以外の位置で相補的遺伝子コピーの組み込みをもたらし得る、PAHをコードする染色体外DNAもしくはRNAエレメントの作製をもたらし得る、相同組み換えを通じて天然のPAH遺伝子の代わりとなり得るか、ゲノム編集を利用して、正常なPAH遺伝子もしくはそれから離れた場所に相補的遺伝子配列を挿入し得るかまたは染色体PAH遺伝子の配列を改変するために遺伝子変換を利用し得る。別の態様では、相補的DNAを、肝臓の、肝臓に移植された単離された肝細胞または肝細胞幹細胞のDNAトランスフェクションを通じて環状または線状形態で送達してもよい。別の態様では、相補的RNAを、肝臓の、肝臓に移植された単離された肝細胞または肝細胞幹細胞のトランスフェクションを通じて送達してもよい。別の態様では、単離されたDNAまたはRNAを直接送達して、PAH遺伝子の遺伝子変換を達成してもよく、近位もしくは遠位の座で相補的遺伝子を挿入してもよく、またはPAH遺伝子の負の相補的染色体対立遺伝子の発現をモジュレートしてもよい。
【0114】
一態様では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含むウイルスベクターであって、コドン最適化配列またはそのバリアントが、配列番号71と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する、ウイルスベクターが提供される。例えば、実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号71と75パーセント、76パーセント、77パーセント、78パーセント、79パーセント、80パーセント、81パーセント、82パーセント、83パーセント、84パーセント、85パーセント、86パーセント、87パーセント、88パーセント、89パーセント、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、または99パーセント同一である。実施形態では、コドン最適化配列またはそのバリアントは、配列番号71の配列を含む。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号71と90.0%、90.1%、90.2%、90.3%、90.4%、90.5%、90.6%、90.7%、90.8%、90.9%、91.0%、91.1%、91.2%、91.3%、91.4%、91.5%、91.6%、91.7%、91.8%、91.9%、92.0%、92.1%、92.2%、92.3%、92.4%、92.5%、92.6%、92.7%、92.8%、92.9%、93.0%、93.1%、93.2%、93.3%、93.4%、93.5%、93.6%、93.7%、93.8%、93.9%、94.0%、94.1%、94.2%、94.3%、94.4%、94.5%、94.6%、94.7%、94.8%、94.9%、95.0%、95.1%、95.2%、95.3%、95.4%、95.5%、95.6%、95.7%、95.8%、95.9%、96.0%、96.1%、96.2%、96.3%、96.4%、96.5%、96.6%、96.7%、96.8%、96.9%、97.0%、97.1%、97.2%、97.3%、97.4%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0115】
実施形態では、ウイルスベクターは、コドン最適化PAH配列またはそのバリアント、プロモーター、および肝臓特異的エンハンサーを含む治療カーゴ部分をさらに含み、コドン最適化配列またはそのバリアントは、プロモーターおよび肝臓特異的エンハンサーの両方によって動作可能に制御される。
【0116】
実施形態では、ウイルスベクターは、コドン最適化PAH配列またはそのバリアント、プロモーター、およびエンハンサーを含む治療カーゴ部分をさらに含む。
【0117】
実施形態では、プロモーターは、本明細書に記載の任意のプロモーターであり得る。実施形態では、エンハンサーは、本明細書に記載の任意のエンハンサーであり得る。
【0118】
一態様では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含むウイルスベクターであって、コドン最適化配列またはそのバリアントが、配列番号72と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する、ウイルスベクターが提供される。例えば、実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号72と75パーセント、76パーセント、77パーセント、78パーセント、79パーセント、80パーセント、81パーセント、82パーセント、83パーセント、84パーセント、85パーセント、86パーセント、87パーセント、88パーセント、89パーセント、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、または99パーセント同一である。実施形態では、コドン最適化配列またはそのバリアントは、配列番号72の配列を含む。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号72と90.0%、90.1%、90.2%、90.3%、90.4%、90.5%、90.6%、90.7%、90.8%、90.9%、91.0%、91.1%、91.2%、91.3%、91.4%、91.5%、91.6%、91.7%、91.8%、91.9%、92.0%、92.1%、92.2%、92.3%、92.4%、92.5%、92.6%、92.7%、92.8%、92.9%、93.0%、93.1%、93.2%、93.3%、93.4%、93.5%、93.6%、93.7%、93.8%、93.9%、94.0%、94.1%、94.2%、94.3%、94.4%、94.5%、94.6%、94.7%、94.8%、94.9%、95.0%、95.1%、95.2%、95.3%、95.4%、95.5%、95.6%、95.7%、95.8%、95.9%、96.0%、96.1%、96.2%、96.3%、96.4%、96.5%、96.6%、96.7%、96.8%、96.9%、97.0%、97.1%、97.2%、97.3%、97.4%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0119】
実施形態では、ウイルスベクターは、コドン最適化PAH配列またはそのバリアント、プロモーター、および肝臓特異的エンハンサーを含む治療カーゴ部分をさらに含み、コドン最適化配列またはそのバリアントは、プロモーターおよび肝臓特異的エンハンサーの両方によって動作可能に制御される。
【0120】
実施形態では、ウイルスベクターは、コドン最適化PAH配列またはそのバリアント、プロモーター、およびエンハンサーを含む治療カーゴ部分をさらに含む。
【0121】
実施形態では、プロモーターは、本明細書に記載の任意のプロモーターであり得る。実施形態では、エンハンサーは、本明細書に記載の任意のエンハンサーであり得る。
【0122】
一態様では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含むウイルスベクターであって、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントが、配列番号73と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する、ウイルスベクターが提供される。例えば、実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号73と75パーセント、76パーセント、77パーセント、78パーセント、79パーセント、80パーセント、81パーセント、82パーセント、83パーセント、84パーセント、85パーセント、86パーセント、87パーセント、88パーセント、89パーセント、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、または99パーセント同一である。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号73の配列を含む。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号73と90.0%、90.1%、90.2%、90.3%、90.4%、90.5%、90.6%、90.7%、90.8%、90.9%、91.0%、91.1%、91.2%、91.3%、91.4%、91.5%、91.6%、91.7%、91.8%、91.9%、92.0%、92.1%、92.2%、92.3%、92.4%、92.5%、92.6%、92.7%、92.8%、92.9%、93.0%、93.1%、93.2%、93.3%、93.4%、93.5%、93.6%、93.7%、93.8%、93.9%、94.0%、94.1%、94.2%、94.3%、94.4%、94.5%、94.6%、94.7%、94.8%、94.9%、95.0%、95.1%、95.2%、95.3%、95.4%、95.5%、95.6%、95.7%、95.8%、95.9%、96.0%、96.1%、96.2%、96.3%、96.4%、96.5%、96.6%、96.7%、96.8%、96.9%、97.0%、97.1%、97.2%、97.3%、97.4%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0123】
実施形態では、ウイルスベクターは、コドン最適化PAH配列またはそのバリアント、プロモーター、および肝臓特異的エンハンサーを含む治療カーゴ部分をさらに含み、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、プロモーターおよび肝臓特異的エンハンサーの両方によって動作可能に制御される。
【0124】
実施形態では、ウイルスベクターは、コドン最適化PAH配列またはそのバリアント、プロモーター、およびエンハンサーを含む治療カーゴ部分をさらに含む。
【0125】
実施形態では、プロモーターは、本明細書に記載の任意のプロモーターであり得る。実施形態では、エンハンサーは、本明細書に記載の任意のエンハンサーであり得る。
【0126】
一態様では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含むウイルスベクターであって、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントが、配列番号74と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する、ウイルスベクターが提供される。例えば、実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号74と75パーセント、76パーセント、77パーセント、78パーセント、79パーセント、80パーセント、81パーセント、82パーセント、83パーセント、84パーセント、85パーセント、86パーセント、87パーセント、88パーセント、89パーセント、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、または99パーセント同一である。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号74の配列を含む。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号74と90.0%、90.1%、90.2%、90.3%、90.4%、90.5%、90.6%、90.7%、90.8%、90.9%、91.0%、91.1%、91.2%、91.3%、91.4%、91.5%、91.6%、91.7%、91.8%、91.9%、92.0%、92.1%、92.2%、92.3%、92.4%、92.5%、92.6%、92.7%、92.8%、92.9%、93.0%、93.1%、93.2%、93.3%、93.4%、93.5%、93.6%、93.7%、93.8%、93.9%、94.0%、94.1%、94.2%、94.3%、94.4%、94.5%、94.6%、94.7%、94.8%、94.9%、95.0%、95.1%、95.2%、95.3%、95.4%、95.5%、95.6%、95.7%、95.8%、95.9%、96.0%、96.1%、96.2%、96.3%、96.4%、96.5%、96.6%、96.7%、96.8%、96.9%、97.0%、97.1%、97.2%、97.3%、97.4%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0127】
実施形態では、ウイルスベクターは、コドン最適化PAH配列またはそのバリアント、プロモーター、および肝臓特異的エンハンサーを含む治療カーゴ部分をさらに含み、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、プロモーターおよび肝臓特異的エンハンサーの両方によって動作可能に制御される。
【0128】
実施形態では、ウイルスベクターは、コドン最適化PAH配列またはそのバリアント、プロモーター、およびエンハンサーを含む治療カーゴ部分をさらに含む。
【0129】
実施形態では、プロモーターは、本明細書に記載の任意のプロモーターであり得る。実施形態では、エンハンサーは、本明細書に記載の任意のエンハンサーであり得る。
【0130】
一態様では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含むウイルスベクターであって、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントが、配列番号75と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する、ウイルスベクターが提供される。例えば、実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号75と75パーセント、76パーセント、77パーセント、78パーセント、79パーセント、80パーセント、81パーセント、82パーセント、83パーセント、84パーセント、85パーセント、86パーセント、87パーセント、88パーセント、89パーセント、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、または99パーセント同一である。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号75の配列を含む。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号75と90.0%、90.1%、90.2%、90.3%、90.4%、90.5%、90.6%、90.7%、90.8%、90.9%、91.0%、91.1%、91.2%、91.3%、91.4%、91.5%、91.6%、91.7%、91.8%、91.9%、92.0%、92.1%、92.2%、92.3%、92.4%、92.5%、92.6%、92.7%、92.8%、92.9%、93.0%、93.1%、93.2%、93.3%、93.4%、93.5%、93.6%、93.7%、93.8%、93.9%、94.0%、94.1%、94.2%、94.3%、94.4%、94.5%、94.6%、94.7%、94.8%、94.9%、95.0%、95.1%、95.2%、95.3%、95.4%、95.5%、95.6%、95.7%、95.8%、95.9%、96.0%、96.1%、96.2%、96.3%、96.4%、96.5%、96.6%、96.7%、96.8%、96.9%、97.0%、97.1%、97.2%、97.3%、97.4%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0131】
実施形態では、ウイルスベクターは、コドン最適化PAH配列またはそのバリアント、プロモーター、および肝臓特異的エンハンサーを含む治療カーゴ部分をさらに含み、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、プロモーターおよび肝臓特異的エンハンサーの両方によって動作可能に制御される。
【0132】
実施形態では、ウイルスベクターは、コドン最適化PAH配列またはそのバリアント、プロモーター、およびエンハンサーを含む治療カーゴ部分をさらに含む。
【0133】
実施形態では、プロモーターは、本明細書に記載の任意のプロモーターであり得る。実施形態では、エンハンサーは、本明細書に記載の任意のエンハンサーであり得る。
【0134】
一態様では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含むウイルスベクターであって、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントが、配列番号76と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する、ウイルスベクターが提供される。例えば、実施形態では、コドン最適化PAH配列は、配列番号76と75パーセント、76パーセント、77パーセント、78パーセント、79パーセント、80パーセント、81パーセント、82パーセント、83パーセント、84パーセント、85パーセント、86パーセント、87パーセント、88パーセント、89パーセント、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、または99パーセント同一である。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号76の配列を含む。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号73と90.0%、90.1%、90.2%、90.3%、90.4%、90.5%、90.6%、90.7%、90.8%、90.9%、91.0%、91.1%、91.2%、91.3%、91.4%、91.5%、91.6%、91.7%、91.8%、91.9%、92.0%、92.1%、92.2%、92.3%、92.4%、92.5%、92.6%、92.7%、92.8%、92.9%、93.0%、93.1%、93.2%、93.3%、93.4%、93.5%、93.6%、93.7%、93.8%、93.9%、94.0%、94.1%、94.2%、94.3%、94.4%、94.5%、94.6%、94.7%、94.8%、94.9%、95.0%、95.1%、95.2%、95.3%、95.4%、95.5%、95.6%、95.7%、95.8%、95.9%、96.0%、96.1%、96.2%、96.3%、96.4%、96.5%、96.6%、96.7%、96.8%、96.9%、97.0%、97.1%、97.2%、97.3%、97.4%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0135】
実施形態では、ウイルスベクターは、コドン最適化PAH配列またはそのバリアント、プロモーター、および肝臓特異的エンハンサーを含む治療カーゴ部分をさらに含み、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、プロモーターおよび肝臓特異的エンハンサーの両方によって動作可能に制御される。
【0136】
実施形態では、ウイルスベクターは、コドン最適化PAH配列またはそのバリアント、プロモーター、およびエンハンサーを含む治療カーゴ部分をさらに含む。
【0137】
実施形態では、プロモーターは、本明細書に記載の任意のプロモーターであり得る。実施形態では、エンハンサーは、本明細書に記載の任意のエンハンサーであり得る。
【0138】
一態様では、治療カーゴ部分を含むウイルスベクターであって、治療カーゴ部分が、配列番号70と90パーセントより高い配列同一性を共有する配列を含むコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含む、ウイルスベクターが提供される。例えば、実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号70と91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、または99パーセント同一である。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号70を含む。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号70と90.0%、90.1%、90.2%、90.3%、90.4%、90.5%、90.6%、90.7%、90.8%、90.9%、91.0%、91.1%、91.2%、91.3%、91.4%、91.5%、91.6%、91.7%、91.8%、91.9%、92.0%、92.1%、92.2%、92.3%、92.4%、92.5%、92.6%、92.7%、92.8%、92.9%、93.0%、93.1%、93.2%、93.3%、93.4%、93.5%、93.6%、93.7%、93.8%、93.9%、94.0%、94.1%、94.2%、94.3%、94.4%、94.5%、94.6%、94.7%、94.8%、94.9%、95.0%、95.1%、95.2%、95.3%、95.4%、95.5%、95.6%、95.7%、95.8%、95.9%、96.0%、96.1%、96.2%、96.3%、96.4%、96.5%、96.6%、96.7%、96.8%、96.9%、97.0%、97.1%、97.2%、97.3%、97.4%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0139】
一態様では、治療カーゴ部分を含むウイルスベクターであって、治療カーゴ部分が、配列番号71と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95の配列同一性を有する配列を含むコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含む、ウイルスベクターが提供される。例えば、実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号71と75パーセント、76パーセント、77パーセント、78パーセント、79パーセント、80パーセント、81パーセント、82パーセント、83パーセント、84パーセント、85パーセント、86パーセント、87パーセント、88パーセント、89パーセント、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、または99パーセント同一である。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは配列番号71を含む。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号71と90.0%、90.1%、90.2%、90.3%、90.4%、90.5%、90.6%、90.7%、90.8%、90.9%、91.0%、91.1%、91.2%、91.3%、91.4%、91.5%、91.6%、91.7%、91.8%、91.9%、92.0%、92.1%、92.2%、92.3%、92.4%、92.5%、92.6%、92.7%、92.8%、92.9%、93.0%、93.1%、93.2%、93.3%、93.4%、93.5%、93.6%、93.7%、93.8%、93.9%、94.0%、94.1%、94.2%、94.3%、94.4%、94.5%、94.6%、94.7%、94.8%、94.9%、95.0%、95.1%、95.2%、95.3%、95.4%、95.5%、95.6%、95.7%、95.8%、95.9%、96.0%、96.1%、96.2%、96.3%、96.4%、96.5%、96.6%、96.7%、96.8%、96.9%、97.0%、97.1%、97.2%、97.3%、97.4%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0140】
一態様では、治療カーゴ部分を含むウイルスベクターであって、治療カーゴ部分が、配列番号72と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95の配列同一性を有する配列を含むコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含む、ウイルスベクターが提供される。例えば、実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号72と75パーセント、76パーセント、77パーセント、78パーセント、79パーセント、80パーセント、81パーセント、82パーセント、83パーセント、84パーセント、85パーセント、86パーセント、87パーセント、88パーセント、89パーセント、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、または99パーセント同一である。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは配列番号72を含む。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号72と90.0%、90.1%、90.2%、90.3%、90.4%、90.5%、90.6%、90.7%、90.8%、90.9%、91.0%、91.1%、91.2%、91.3%、91.4%、91.5%、91.6%、91.7%、91.8%、91.9%、92.0%、92.1%、92.2%、92.3%、92.4%、92.5%、92.6%、92.7%、92.8%、92.9%、93.0%、93.1%、93.2%、93.3%、93.4%、93.5%、93.6%、93.7%、93.8%、93.9%、94.0%、94.1%、94.2%、94.3%、94.4%、94.5%、94.6%、94.7%、94.8%、94.9%、95.0%、95.1%、95.2%、95.3%、95.4%、95.5%、95.6%、95.7%、95.8%、95.9%、96.0%、96.1%、96.2%、96.3%、96.4%、96.5%、96.6%、96.7%、96.8%、96.9%、97.0%、97.1%、97.2%、97.3%、97.4%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0141】
一態様では、治療カーゴ部分を含むウイルスベクターであって、治療カーゴ部分が、配列番号73と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する配列を含むコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含む、ウイルスベクターが提供される。例えば、実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号73と75パーセント、76パーセント、77パーセント、78パーセント、79パーセント、80パーセント、81パーセント、82パーセント、83パーセント、84パーセント、85パーセント、86パーセント、87パーセント、88パーセント、89パーセント、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、または99パーセント同一である。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは配列番号73を含む。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号73と90.0%、90.1%、90.2%、90.3%、90.4%、90.5%、90.6%、90.7%、90.8%、90.9%、91.0%、91.1%、91.2%、91.3%、91.4%、91.5%、91.6%、91.7%、91.8%、91.9%、92.0%、92.1%、92.2%、92.3%、92.4%、92.5%、92.6%、92.7%、92.8%、92.9%、93.0%、93.1%、93.2%、93.3%、93.4%、93.5%、93.6%、93.7%、93.8%、93.9%、94.0%、94.1%、94.2%、94.3%、94.4%、94.5%、94.6%、94.7%、94.8%、94.9%、95.0%、95.1%、95.2%、95.3%、95.4%、95.5%、95.6%、95.7%、95.8%、95.9%、96.0%、96.1%、96.2%、96.3%、96.4%、96.5%、96.6%、96.7%、96.8%、96.9%、97.0%、97.1%、97.2%、97.3%、97.4%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0142】
一態様では、治療カーゴ部分を含むウイルスベクターであって、治療カーゴ部分が、配列番号74と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する配列を含むコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含む、ウイルスベクターが提供される。例えば、実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号74と75パーセント、76パーセント、77パーセント、78パーセント、79パーセント、80パーセント、81パーセント、82パーセント、83パーセント、84パーセント、85パーセント、86パーセント、87パーセント、88パーセント、89パーセント、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、または99パーセント同一である。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは配列番号74を含む。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号74と90.0%、90.1%、90.2%、90.3%、90.4%、90.5%、90.6%、90.7%、90.8%、90.9%、91.0%、91.1%、91.2%、91.3%、91.4%、91.5%、91.6%、91.7%、91.8%、91.9%、92.0%、92.1%、92.2%、92.3%、92.4%、92.5%、92.6%、92.7%、92.8%、92.9%、93.0%、93.1%、93.2%、93.3%、93.4%、93.5%、93.6%、93.7%、93.8%、93.9%、94.0%、94.1%、94.2%、94.3%、94.4%、94.5%、94.6%、94.7%、94.8%、94.9%、95.0%、95.1%、95.2%、95.3%、95.4%、95.5%、95.6%、95.7%、95.8%、95.9%、96.0%、96.1%、96.2%、96.3%、96.4%、96.5%、96.6%、96.7%、96.8%、96.9%、97.0%、97.1%、97.2%、97.3%、97.4%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0143】
一態様では、治療カーゴ部分を含むウイルスベクターであって、治療カーゴ部分が、配列番号75と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する配列を含むコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含む、ウイルスベクターが提供される。例えば、実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号75と75パーセント、76パーセント、77パーセント、78パーセント、79パーセント、80パーセント、81パーセント、82パーセント、83パーセント、84パーセント、85パーセント、86パーセント、87パーセント、88パーセント、89パーセント、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、または99パーセント同一である。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは配列番号75の配列を含む。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号75と90.0%、90.1%、90.2%、90.3%、90.4%、90.5%、90.6%、90.7%、90.8%、90.9%、91.0%、91.1%、91.2%、91.3%、91.4%、91.5%、91.6%、91.7%、91.8%、91.9%、92.0%、92.1%、92.2%、92.3%、92.4%、92.5%、92.6%、92.7%、92.8%、92.9%、93.0%、93.1%、93.2%、93.3%、93.4%、93.5%、93.6%、93.7%、93.8%、93.9%、94.0%、94.1%、94.2%、94.3%、94.4%、94.5%、94.6%、94.7%、94.8%、94.9%、95.0%、95.1%、95.2%、95.3%、95.4%、95.5%、95.6%、95.7%、95.8%、95.9%、96.0%、96.1%、96.2%、96.3%、96.4%、96.5%、96.6%、96.7%、96.8%、96.9%、97.0%、97.1%、97.2%、97.3%、97.4%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0144】
一態様では、治療カーゴ部分を含むウイルスベクターであって、治療カーゴ部分が、配列番号76と少なくとも75パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも85パーセント、少なくとも90パーセント、または少なくとも95パーセントの配列同一性を有する配列を含むコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含む、ウイルスベクターが提供される。例えば、実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号76と75パーセント、76パーセント、77パーセント、78パーセント、79パーセント、80パーセント、81パーセント、82パーセント、83パーセント、84パーセント、85パーセント、86パーセント、87パーセント、88パーセント、89パーセント、90パーセント、91パーセント、92パーセント、93パーセント、94パーセント、95パーセント、96パーセント、97パーセント、98パーセント、または99パーセント同一である。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは配列番号76を含む。実施形態では、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、配列番号76と90.0%、90.1%、90.2%、90.3%、90.4%、90.5%、90.6%、90.7%、90.8%、90.9%、91.0%、91.1%、91.2%、91.3%、91.4%、91.5%、91.6%、91.7%、91.8%、91.9%、92.0%、92.1%、92.2%、92.3%、92.4%、92.5%、92.6%、92.7%、92.8%、92.9%、93.0%、93.1%、93.2%、93.3%、93.4%、93.5%、93.6%、93.7%、93.8%、93.9%、94.0%、94.1%、94.2%、94.3%、94.4%、94.5%、94.6%、94.7%、94.8%、94.9%、95.0%、95.1%、95.2%、95.3%、95.4%、95.5%、95.6%、95.7%、95.8%、95.9%、96.0%、96.1%、96.2%、96.3%、96.4%、96.5%、96.6%、96.7%、96.8%、96.9%、97.0%、97.1%、97.2%、97.3%、97.4%、97.5%、97.6%、97.7%、97.8%、97.9%、98.0%、98.1%、98.2%、98.3%、98.4%、98.5%、98.6%、98.7%、98.8%、98.9%、99.0%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0145】
実施形態では、ウイルスベクターは、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含む治療カーゴ部分をさらに含み、プロモーターおよび肝臓特異的エンハンサーをさらに含み、コドン最適化PAH配列またはそのバリアントは、プロモーターおよび肝臓特異的エンハンサーの両方によって動作可能に制御される。
【0146】
一態様では、パッケージング細胞によって産生され、標的細胞に感染することができるレンチウイルス粒子が開示される。実施形態では、レンチウイルス粒子は、標的細胞に感染することができるエンベロープタンパク質および本明細書で詳述するウイルスベクターを含む。
【0147】
一態様では、被験体におけるフェニルケトン尿症(PKU)を処置する方法が開示される。方法は、本明細書で詳述するレンチウイルス粒子の治療有効量を被験体に投与することを含む。
【0148】
一態様では、被験体におけるPKUを処置するためのコドン最適化PAH配列またはそのバリアントの使用が提供される。別の態様では、被験体におけるPKUを処置するための医薬を製剤化するためのコドン最適化PAH配列またはそのバリアントの使用が提供される。
【0149】
一態様では、被験体におけるPKUの処置に使用するためのコドン最適化PAH配列またはそのバリアントが提供される。別の態様では、被験体におけるPKUの処置に使用するための医薬を製剤化するためのコドン最適化PAH配列またはそのバリアントが提供される。
【0150】
一態様では、PAH配列の発現を増強するレンチウイルスベクターが提供される。実施形態では、PAH配列またはPAH 3’UTR配列のうちの少なくとも1つが改変される。さらなる実施形態では、そのような改変は、PAH配列のmRNA転写物の二次構造を変更する。さらなる実施形態では、そのような改変は、mRNA PAHの二次構造配列およびmRNA 3’UTRの二次構造配列のうちの少なくとも1つの変更を含む。さらなる実施形態では、そのような改変は、PAH mRNAのコード領域および3’UTR領域の相互作用を変更する。さらなる実施形態では、そのような改変は、PAHタンパク質産生に及ぼすPAH二次構造の負の調節効果を阻害する。
【0151】
実施形態では、モジュレートされたPAH配列は、天然に存在するPAH配列が、その任意のバリアントを含むそのヌクレオチドの任意の1つまたは複数の任意の付加、欠失、置換、または改変を含む、改変されている任意の配列を含む。実施形態では、改変は、天然に存在する配列のグアノシンシトシン含有量、天然に存在する配列の1つもしくは複数のコドン、または天然に存在する配列の1つもしくは複数のCpG部位のうちの1つまたは複数をモジュレートすることを含む。実施形態では、改変は、コドン最適化PAH配列を含む。PAHコドン最適化配列は、本明細書に記述および記載の配列を含む任意の適したPAHコドン最適化配列であり得る。実施形態では、改変PAH配列(コドン最適化配列を含む)をコードするベクターは、改変されていない(例えば、コドン最適化されていない)PAH配列をコードするベクターと比べて高いPAH発現をもたらす。
【0152】
実施形態では、改変PAH配列は、配列番号1、70、71、または72のいずれかと少なくとも70%、75%、80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%、しかし100%未満の配列同一性を有する配列を含む。実施形態では、改変PAHは、配列番号70、71、または72の配列のいずれかを含む。
【0153】
実施形態では、モジュレートされたPAH 3’UTR配列は、天然に存在するPAH 3’UTR配列が、その任意のバリアントを含むそのヌクレオチドの任意の1つまたは複数の任意の付加、欠失、置換、または改変を含む、改変されている任意の配列を含む。実施形態では、モジュレートされたPAH 3’UTR配列は、そのヌクレオチドの1つまたは複数の置換または欠失のうちの少なくとも1つを含む。さらなる実施形態では、3’UTRヌクレオチドの全てまたは実質的に全てが置換または欠失される。
【0154】
実施形態では、改変された3’UTR配列は、異なる遺伝子の3’UTR配列に由来する3’UTR配列を含む。実施形態では、PAHの3’UTR配列は、異なる遺伝子の3’UTR配列によって置換されている。実施形態では、3’UTR配列はアルブミン3’UTRを含む。実施形態では、アルブミン3’UTRは、配列番号86と少なくとも70%、75%、80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%、しかし100%未満の配列同一性を有する配列を含む。実施形態では、アルブミン3’UTRは配列番号86の配列を含む。
【0155】
実施形態では、改変されたPAH 3’UTR配列を含むPAH配列をコードするレンチウイルスベクターは、PAH 3’UTRが破壊されていないPAH配列をコードするレンチウイルスベクターより高いPAH発現をもたらす。
【0156】
実施形態では、改変PAH 3’UTRおよび改変PAH配列(コドン最適化配列を含む)をコードするレンチウイルスベクターは、改変されていないPAH 3’UTRおよび/または改変されていない(例えば、コドン最適化されていない)PAH配列のいずれかをコードするベクターと比べて高いPAH発現をもたらす。
【0157】
フェニルケトン尿症
PKUは、PAHの変異および/またはPAH補因子(すなわち、BH4)の合成もしくは再生の欠損によって引き起こされると考えられている。特に、いくつかのPAH変異が、小胞体におけるタンパク質のフォールディングに影響を及ぼし、酵素触媒活性を減弱させるかまたはほぼ消失させるタンパク質構造のミスセンス変異(約63%)および小さい欠失(約13%)により、分解および/または凝集を加速させることが示されている。PAHの機能性に影響を及ぼし得る多数の変異が存在するため、PKUを処置するための有効な治療アプローチは、異常なPAH、ならびにPAH補充療法を投与および/または生成することができる様式に対処する必要がある。
【0158】
一般的に、診断時に測定されたPheレベル、Pheに対する食事耐性、および治療に対する潜在的応答性に基づいて、3つの主要な表現型の群がPKUにおいて分類されている。これらの群は、古典的PKU(約Phe>1200μΜ)、非定型または軽度のPKU(Pheは約600~1200μΜである)、および永続的な軽度の高フェニルアラニン血症(HPA、Pheは120~600μΜである)を含む。
【0159】
PKUの検出は、ユニバーサル新生児スクリーニング(NBS)に依存する。かかとの穿刺から収集した血液1滴を、米国における50全ての州で義務づけられており、ほとんどの先進諸国でルーチンとして使用されるスクリーニングにおいてフェニルアラニンレベルに関して試験する。
【0160】
遺伝子医薬
遺伝子医薬は、疾患の治療または予防を目的として、遺伝子構築物を宿主細胞に送達するために使用されるウイルスベクターへの言及を含む。
【0161】
遺伝子構築物には、既存の欠陥を修正または補完する機能的遺伝子または遺伝子の一部、調節タンパク質をコードするDNA配列、アンチセンス、低分子ヘアピンRNA、低分子相同性RNA(short homology RNA)、長い非コードRNA、低分子干渉RNAまたはその他を含む調節性RNA分子をコードするDNA配列、ならびに病状を変化させるために、重大な細胞因子について競合するように設計されたRNAまたはタンパク質のいずれかをコードするデコイ配列が含まれ得るが、これらに限定されない。実施形態では、遺伝子医薬は、特定の疾患の処置または緩和を与えるために、これらの治療的遺伝子構築物を標的細胞へ送達することを含む。
【0162】
機能的なPAH遺伝子をin vivoで肝臓に送達することによって、PAH活性を再構成して、血液中のPheの正常なクリアランスをもたらし、したがって食事制限または頻繁な酵素補充療法の必要性をなくすことができる。この治療アプローチの効果は、内因性のPAHに対するshRNAの標的化によって改善することができる。本開示の一態様では、胎児がPKU遺伝子型に対するリスクがあると同定されている場合には、機能的なPAH遺伝子またはそのバリアントをまた子宮内に送達することができる。実施形態では、機能的PAH遺伝子またはそのバリアントは、コドン最適化PAH遺伝子である。実施形態では、胎児がPKU表現型のリスクがあるかどうかを決定するために、診断ステップを実行することができる。診断ステップが、胎児がPKU表現型のリスクがあると決定する場合、胎児を、本明細書で詳述する遺伝子医薬によって処置することができる。処置は子宮内またはin vitroで行うことができる。
【0163】
レンチウイルスベクターシステム
本明細書における種々の態様および実施形態に従うレンチウイルスのビリオン(粒子)は、ビリオン(ウイルス粒子)を産生するために必要なウイルスタンパク質をコードするベクターシステムによって発現される。種々の実施形態では、レンチウイルスのPolタンパク質をコードする核酸配列を含有する1つのベクターは、プロモーターに作動可能に連結されて、逆転写および組込みのために提供される。別の実施形態では、Polタンパク質は、複数のベクターによって発現される。別の実施形態では、プロモーターに作動可能に連結された、ウイルスカプシドを形成するためのレンチウイルスのGagタンパク質をコードする核酸配列を含有するベクターが提供される。実施形態では、このgagの核酸配列は、polの核酸配列の少なくとも一部とは別のベクター上にある。他の実施形態では、gagの核酸配列は、polタンパク質をコードする全てのpolの核酸配列とは別のベクター上にある。
【0164】
野生型復帰変異体を得る機会をさらに最小化するための粒子の作製に使用される多数の改変を、本明細書におけるベクターに対して行うことができる。これらとしては、LTRのU3領域の欠失、tatの欠失、およびマトリックス(MA)の欠失が挙げられるが、これらに限定されない。実施形態では、gag、pol、およびenvのベクターは、レンチウイルスパッケージング配列と称される、レンチウイルスRNAをパッケージングするレンチウイルスゲノム由来のヌクレオチドを含有しない。
【0165】
実施形態では、粒子を形成するベクター(複数可)は、エンベロープタンパク質を発現するレンチウイルスゲノムからの核酸配列を含有しない。実施形態では、プロモーターに作動可能に連結されたエンベロープタンパク質をコードする核酸配列を含有する別のベクターが使用される。実施形態では、エンベロープタンパク質をコードするこの別のベクターは、レンチウイルスパッケージング配列を含有しない。一実施形態では、エンベロープ核酸配列をコードする配列は、レンチウイルスエンベロープタンパク質をコードする。
【0166】
別の実施形態では、エンベロープタンパク質は、レンチウイルス由来のものではなく、異なるウイルスに由来する。生じる粒子は、シュードタイプ化粒子と称される。エンベロープの適切な選択により、実質的にあらゆる細胞に「感染」することができる。例えば、エンドサイトーシス区画を標的化するエンベロープタンパク質をコードするenv遺伝子を使用することができる。そのようなenv遺伝子およびエンベロープタンパク質が由来し得るウイルスの例としては、インフルエンザウイルス(例えば、インフルエンザAウイルス、インフルエンザBウイルス、インフルエンザCウイルス、インフルエンザDウイルス、イサウイルス、クアランジャウイルス、およびトゴトウイルス)、ベシクロウイルス(例えば、インディアナベシクロウイルス)、アルファウイルス(数ある中でも例えば、セムリキフォレストウイルス、シンドビスウイルス、アウラウイルス、バーマフォレストウイルス、ベバルウイルス、カバソウウイルス(Cabassou virus)、ゲタウイルス、ハイランズJウイルス、トロカラウイルス(Trocara virus)、ウナウイルス、ヌドゥムウイルス、およびミドルブルグウイルス)、アレナウイルス(例えば、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、マチュポウイルス、フニンウイルスおよびラッサ熱ウイルス)、フラビウイルス(数ある中でも例えば、ダニ媒介性脳炎ウイルス、デングウイルス、C型肝炎ウイルス、GBウイルス、アポイウイルス、バガザウイルス、エッジヒルウイルス、ジュグラウイルス(Jugra virus)、カダムウイルス(Kadam virus)、ダカールコウモリウイルス、モドックウイルス、ポワッサンウイルス、ウスツウイルス、およびサルビエハウイルス(Sal Vieja virus))、ラブドウイルス(例えば、水疱性口内炎ウイルス、狂犬病ウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、流行性耳下腺炎または麻疹)およびオルトミクソウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)が挙げられる。
【0167】
好ましく使用され得る他のエンベロープタンパク質としては、内在性レトロウイルス(例えば、ネコ内在性レトロウイルスおよびヒヒ内在性レトロウイルス)ならびに密接に関連するガンマレトロウイルス(数ある中でも例えば、モロニー白血病ウイルス、MLV-E、MLV-A、テナガザル白血病ウイルス、GALV、ネコ白血病ウイルス、コアラレトロウイルス、トレーガーアヒル脾臓壊死ウイルス、クサリヘビレトロウイルス、ヒヨコ合胞体ウイルス(Chick syncytial virus)、ガードナー-アーンスタインネコ肉腫ウイルス、およびブタC型がんウイルス)に由来するものが挙げられる。これらのガンマレトロウイルスは、初代細胞を標的化するためのenv遺伝子およびエンベロープタンパク質の供給源として使用することができる。宿主細胞が初代細胞である場合、ガンマレトロウイルスは特に好ましい。
【0168】
エンベロープタンパク質は、特定の所望の宿主細胞を標的化するために選択することができる。例えば、ドーパミン受容体などの特定の受容体を標的化することは、脳送達のために使用することができる。別の標的は血管内皮であり得る。これらの細胞は、フィロウイルス科の任意のウイルス(例えば、クウェバウイルス、ディアンロウイルス(Dianloviruses)、エボラウイルス、およびマールブルグウイルス)に由来するエンベロープタンパク質を使用して標的化することができる。エボラウイルスの種としては、タイフォレストエボラウイルス、ザイールエボラウイルス、スーダンエボラウイルス、ブンディブギョエボラウイルス、およびレストンエボラウイルスが挙げられる。
【0169】
追加的に、実施形態では、糖タンパク質は、転写後修飾を起こすことができる。例えば、一実施形態では、エボラのGPは、翻訳後に修飾されてGP1およびGP2糖タンパク質になることができる。別の実施形態では、シュードタイプ化エンベロープを有する異なるレンチウイルスカプシドを使用することができる(例えば、FIVまたはSHIV[米国特許第5,654,195号])。SHIVシュードタイプ化ベクターは、サルなどの動物モデルにおいて容易に使用することができる。
【0170】
本明細書中で提供される通りのレンチウイルスベクターシステムは、通常、gag遺伝子、pol遺伝子、またはrev遺伝子のうちの少なくとも1つを含む少なくとも1つのヘルパープラスミドを含む。gag遺伝子、pol遺伝子、およびrev遺伝子のそれぞれが個々のプラスミド上に提供されてもよいし、あるいは1つまたは複数の遺伝子が一緒に同一のプラスミド上に提供されてもよい。一実施形態では、gag遺伝子、pol遺伝子、およびrev遺伝子は、同一のプラスミド上に提供される(例えば、
図1)。別の実施形態では、gag遺伝子およびpol遺伝子は第1のプラスミド上に提供され、rev遺伝子は第2のプラスミド上に提供される(例えば、
図2)。したがって、3ベクター(例えば、
図1)および4ベクター(例えば、
図2)システムの両方を使用して、本明細書に記載のレンチウイルスを産生することができる。実施形態では、治療ベクター、少なくとも1つのエンベローププラスミド、および少なくとも1つのヘルパープラスミドを、パッケージング細胞、例えばパッケージング細胞株にトランスフェクトする。パッケージング細胞株の非限定的な例は、293T/17 HEK細胞株である。治療ベクター、エンベローププラスミド、および少なくとも1つのヘルパープラスミドをパッケージング細胞株にトランスフェクトすると、レンチウイルス粒子が最終的に産生される。本明細書で提供されるレンチウイルスベクターシステムは、典型的にgag、pol、またはrev遺伝子のうちの少なくとも1つを含む少なくとも1つのヘルパープラスミドを含む。gag、pol、およびrev遺伝子の各々は個々のプラスミドに提供されてもよく、または1つもしくは複数の遺伝子が同じプラスミドに共に提供されてもよい。一実施形態では、gag、pol、およびrev遺伝子は同じプラスミドに提供される(例えば、
図1)。別の実施形態では、gagおよびpol遺伝子が第1のプラスミドに提供され、rev遺伝子が第2のプラスミドに提供される(例えば、
図2)。したがって、3ベクターシステムおよび4ベクターシステムの両方が、本明細書中に記載するようなレンチウイルスを製造するために使用され得る。実施形態では、治療ベクター、少なくとも1つのエンベローププラスミド、および少なくとも1つのヘルパープラスミドは、パッケージング細胞、例えば、パッケージング細胞株中にトランスフェクトされる。パッケージング細胞株の非限定的な例は、293T/17 HEK細胞株である。治療ベクター、エンベローププラスミド、および少なくとも1つのヘルパープラスミドがパッケージング細胞株中にトランスフェクトされた時に、レンチウイルス粒子が最終的に産生される。
【0171】
別の態様では、レンチウイルス粒子を発現するためのレンチウイルスベクターシステムが開示される。システムは、本明細書中に記載するレンチウイルスベクター、細胞に感染するために最適化されたエンベロープタンパク質を発現するためのエンベローププラスミド、ならびにgag遺伝子、pol遺伝子、およびrev遺伝子を発現するための少なくとも1つのヘルパープラスミドを含み、レンチウイルスベクター、エンベローププラスミド、および少なくとも1つのヘルパープラスミドがパッケージング細胞株中にトランスフェクトされた時に、レンチウイルス粒子がパッケージング細胞株によって産生され、レンチウイルス粒子は、PAHの産生を阻害することができる。
【0172】
別の態様では、本明細書で治療ベクターとも称されるレンチウイルスベクターは、以下のエレメントを含む:ハイブリッド5’長鎖末端反復配列(ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター/5’長鎖末端反復配列(LTR))(配列番号13~14)、プサイパッケージングシグナル(RNAパッケージング部位)(配列番号15)、Rev応答エレメント(RRE)(配列番号16)、中心ポリプリントラクト(cPPT)(ポリプリントラクト)(配列番号17)、ヒトアルファ1アンチトリプシンプロモーター(hAAT)(配列番号4)、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)(配列番号1、2、および70~76)、長鎖ウッドチャック転写後調節エレメント(WPRE)配列(配列番号18)、およびデルタU3 3’LTR(配列番号19)。実施形態では、本明細書で治療ベクターとも称されるレンチウイルスベクターは、以下のエレメントを含む:ハイブリッド5’長鎖末端反復配列(ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモーター/5’長鎖末端反復配列(LTR))(配列番号13~14)、プサイパッケージングシグナル(RNAパッケージング部位)(配列番号15)、Rev応答エレメント(RRE)(配列番号16)、中心ポリプリントラクト(cPPT)(ポリプリントラクト)(配列番号17)、H1プロモーター(配列番号20)、PAH shRNA(配列番号11および12)、ヒトアルファ1アンチトリプシンプロモーター(hAAT)(配列番号4)、長鎖ウッドチャック転写後調節エレメント(WPRE)配列(配列番号18)、およびデルタU3 3’LTR(配列番号19)。実施形態では、置換、欠失、付加、または変異による配列変化が、本明細書中で言及する配列を改変するために使用され得る。
【0173】
別の態様では、ヘルパープラスミドは、以下のエレメントを含む:CMVエンハンサー/ニワトリベータアクチンプロモーター(配列番号21);HIV構成成分gag(配列番号22);HIV構成成分pol(配列番号23);HIV Int(配列番号24);HIV RRE(配列番号25);およびHIV Rev(配列番号26)。別の態様では、ヘルパープラスミドは、gag遺伝子(配列番号22)およびpol遺伝子(配列番号23)を発現させるための第1のヘルパープラスミド、ならびにrev遺伝子(配列番号26)を発現させるための第2のおよび別のプラスミドを含むように改変され得る。実施形態では、置換、欠失、付加、または変異による配列変化が、本明細書中で言及する配列を改変するために使用され得る。
【0174】
別の態様では、エンベローププラスミドは、以下のエレメントを含む:サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター(配列番号27)および水疱性口内炎ウイルスG糖タンパク質(VSV-G)(配列番号28)。実施形態では、置換、欠失、付加、または変異による配列変化が、本明細書中で言及する配列を改変するために使用され得る。
【0175】
様々な態様では、レンチウイルスのパッケージングのために使用されるプラスミドは、ベクター機能を失うことなく、様々なエレメントの置換、付加、サブトラクション、または変異によって改変される。例えば、非限定的に、以下のエレメントは、パッケージングシステムを含むプラスミド中の類似のエレメントを置き換えることができる:伸長因子-1アルファ(EF-1アルファ)およびユビキチンC(UbC)プロモーターは、CMVまたはCAGプロモーターを置き換えることができる。SV40ポリAおよびbGHポリAは、ウサギベータグロビンポリAを置き換えることができる。別の態様では、ヘルパープラスミド中のHIV配列は、異なるHIVの株またはクレードから構築することができる。例えば、VSV-G糖タンパク質を、ガンマレトロウイルス(例えば、中でもテナガザル白血病ウイルス、GALV、マウス白血病ウイルス10A1、MLV、コアラレトロウイルス、トレーガーアヒル脾臓壊死ウイルス、バイパーレトロウイルス、ニワトリ合胞体ウイルス、ガードナー-アーンスタインネコ肉腫ウイルス、およびブタC型腫瘍ウイルス)、内因性レトロウイルス(例えば、中でもネコ内因性ウイルス(RD114)、ヒト内因性レトロウイルス、例えばHERV-W、およびヒヒ内因性レトロウイルス、BaEV)、リッサウイルス(例えば、狂犬病ウイルス、FUG)、マンマレナウイルス(例えば、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、LCMV、インフルエンザウイルス、例えばA型インフルエンザウイルス、A型インフルエンザ家禽ペストウイルス(Influenza A fowl plague virus)、FPV、B型インフルエンザウイルス、C型インフルエンザウイルス、D型インフルエンザウイルス、イサウイルス、クアランジャウイルス、およびトゴトウイルス)、アルファウイルス(例えば、ロスリバーアルファウイルス、RRV、またはエボラウイルス、EboV、例えばスーダンエボラウイルス、タイ森林エボラウイルス、ザイールエボラウイルス、ブンディブギョエボラウイルス、およびレストンエボラウイルス)に由来する膜糖タンパク質で置換することができる。
【0176】
様々なレンチウイルスパッケージングシステムは市販のものを入手でき(例えば、Lenti-vpak packaging kit、OriGene Technologies,Inc.、Rockville、MD)、また本明細書中に記載するように設計することもできる。さらに、レンチウイルスパッケージングシステムの態様を置換または改変して、レンチウイルス粒子の産生効率などのいくつもの関連因子を向上させることは関連分野の当業者の技術的範囲内である。
【0177】
別の態様では、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターもまた使用することができる。実施形態では、AAVベクターはAAV-DJ血清型である。実施形態では、AAVベクターは、血清型1~11のいずれかである。実施形態では、AAV血清型はAAV-2である。実施形態では、AAVベクターは、ヒト肝細胞の最適な形質導入のために操作された非天然型である。
【0178】
AAVベクターの構築。本開示の態様では、PAHコード配列(配列番号1、2、および70~76)およびプロトロンビンエンハンサー(配列番号3)をhAATプロモーター(配列番号4)と共にpAAVプラスミド(Cell Biolabs、San Diego、CA)に挿入する。EcoRIおよびSalI制限部位が隣接するPAHコード配列を、Eurofins Genomics(Louisville、KY)により合成する。pAAVプラスミドおよびPAH配列を、EcoRIおよびSalI酵素によって消化し、共にライゲートする。PAH配列の挿入をシークエンシングによって確認する。次に、MluIおよびEcoRI制限部位が隣接するプロトロンビンエンハンサーおよびhAATプロモーターを、Eurofins Genomics(Louisville、KY)により合成する。PAHコード配列およびプロトロンビンエンハンサー/hAATプロモーター配列を含有するpAAVプラスミドを、MluIおよびEcoRI酵素によって消化し、共にライゲートする。プロトロンビンエンハンサー/hAATプロモーターの挿入を、シークエンシングによって確認する。
【0179】
さらに、PAHを発現させるための代表的なAAVプラスミドシステムは、AAVヘルパープラスミド、AAVプラスミド、およびAAV Rev/Capプラスミドを含み得る。AAVヘルパープラスミドは、左ITR(配列番号29)、プロトロンビンエンハンサー(配列番号3)、ヒトアンチアルファトリプシンプロモーター(配列番号4)、PAHエレメント(配列番号1、2、および70~76)、ポリAエレメント(配列番号30)、および右ITR(配列番号31)を含有し得る。AAVプラスミドは、適したプロモーターエレメント(配列番号21または配列番号27)、E2Aエレメント(配列番号32)、E4エレメント(配列番号33)、ウイルス関連(VA)RNAエレメント(配列番号34)、およびポリAエレメント(配列番号30)を含有し得る。AAV Rep/Capプラスミドは、適したプロモーターエレメント(配列番号21または配列番号27)、Repエレメント(配列番号35;AAV2 Rep)、Capエレメント(配列番号36(AAV2 Cap)、37(AAV8 Cap)、または38(AAV DJ Cap))、およびポリAエレメント(配列番号30)を含有し得る。
【0180】
実施形態では、プロトロンビンエンハンサーおよびPAH配列を含むAAV/DJプラスミド(AAV/DJ-Pro-PAH)が提供される。実施形態では、PAH配列は、本明細書に開示のコドン最適化PAH配列のいずれかである。実施形態では、プロトロンビンエンハンサー、イントロン、およびPAH配列を含むAAV/DJプラスミド(AAV/DJ-Pro-イントロン-PAH)が提供される。実施形態では、イントロンはヒトベータグロビンイントロンである。実施形態では、イントロンはウサギベータグロビンイントロンである。実施形態では、GFPを含むAAV/DJプラスミド(AAV/DJ-GFP)が提供される。
【0181】
実施形態では、プロトロンビンエンハンサーおよびPAH配列を含むAAV2プラスミド(AAV2-Pro-PAH)が提供される。実施形態では、PAH配列は、本明細書に開示のコドン最適化PAH配列のいずれかである。実施形態では、プロトロンビンエンハンサー、イントロン、およびPAH配列を含むAAV2プラスミド(AAV2-Pro-イントロン-PAH)が提供される。実施形態では、イントロンは、ヒトベータグロビンイントロンである。実施形態では、イントロンは、ウサギベータグロビンイントロンである。実施形態では、GFPを含むAAV2(AAV2-GFP)が提供される。
【0182】
実施形態では、本明細書に開示のAAVベクターのいずれかは調節性RNAを発現するコード配列を含有し得る。実施形態では、調節性RNAは、lncRNAである。実施形態では、調節性RNAはマイクロRNAである。実施形態では、調節性RNAはpiRNAである。実施形態では、調節性RNAはshRNAである。実施形態では、調節性RNAは、配列番号11または12と少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、またはそれより高いパーセント同一性を有する配列を含むスモールRNA配列である。
【0183】
AAV粒子の産生。AAV-PAHプラスミドを、プラスミドpAAV-RC2(Cell Biolabs)およびpHelper(Cell Biolabs)と組み合わせてもよい。pAAV-RC2プラスミドは、RepおよびAAV-2カプシド遺伝子を含有してもよく、pHelperは、アデノウイルスE2A、E4、およびVA遺伝子を含有し得る。AAVカプシドはまた、AAV-8(配列番号39)またはAAV-DJ(配列番号40)配列も含み得る。AAV粒子を産生するために、これらのプラスミドを1:1:1(pAAV-PAH:pAAV-RC2:pHelper)の比で293T細胞にトランスフェクトしてもよい。150mmディッシュ(BD Falcon)での細胞のトランスフェクションの場合、10マイクログラムの各プラスミドをDMEM 1mlに添加してもよい。別のチューブでは、60マイクロリットルのトランスフェクション試薬PEI(1マイクログラム/ml)(Polysciences)を1mlのDMEMに添加してもよい。2本のチューブを共に混合し、15分間インキュベートしてもよい。次いでトランスフェクション混合物を細胞に加えてもよく、細胞を3日後に収集する。凍結/融解溶解により細胞をドライアイス/イソプロパノールに溶解してもよい。37℃で30分間、ベンゾナーゼヌクレアーゼ(Sigma)を細胞溶解液に加えてもよい。4℃で15分間の12,000rpmでの遠心分離により細胞デブリを次いでペレット化してもよい。上清を収集した後、標的細胞に加えてもよい。
【0184】
投薬量および剤形
本開示の組成物は、疾患の様々な段階の間にPKU患者を処置するために使用することができる。開示されるベクター組成物は、目的の遺伝子または配列の短期、中期、または長期の発現を可能にし、本開示のベクターのエピソームでの維持を可能にする。したがって、投与レジメンは、処置される状態および投与方法に基づいて変化し得る。
【0185】
実施形態では、ベクター組成物は、必要とする被験体に様々な用量で投与され得る。具体的には、被験体は、約≧106感染量(1用量は、平均で1つの標的細胞を形質導入するために必要である)を投与され得る。より具体的には、被験体は、約≧107、約≧108、約≧109、約≧1010、約≧1011、または約≧1012感染量/kg体重、またはこれらの値の間の任意の数の用量を投与され得る。投与の上限は、各々の疾患適応症に関して決定され、各々の個々の生成物または生産ロットの毒性/安全性プロファイルに依存する。
【0186】
さらに、本開示のベクターは、1日に1回または2回、あるいは任意のその他の好適な期間で定期的に投与され得る。例えば、ベクター組成物は、週に1回、2週間に1回、3週間に1回、1カ月に1回、2カ月毎、3カ月毎、6カ月毎、9カ月毎、1年に1回、18カ月毎、2年毎、30カ月毎、または3年毎に、必要とする被験体に投与され得る。
【0187】
実施形態では、本開示のベクター組成物は、医薬組成物として投与される。実施形態では、医薬組成物は、多様な剤形に製剤化され得、これらの剤形としては、臨床適用のための経鼻、経肺、経口、局所、または非経口の剤形が挙げられるが、これらに限定されない。各剤形は、様々な可溶化剤、崩壊剤、界面活性剤、充填剤、増粘剤、結合剤、湿潤剤などの希釈剤、またはその他の薬学的に許容される賦形剤を含み得る。医薬組成物は、注射、ガス注入(insufflation)、注入、または皮内曝露用にも製剤化され得る。例えば、注射製剤は、好適なpHおよび張度の水性または非水性の溶液中に本開示のベクターを含み得る。
【0188】
本開示のベクター組成物は、ガイド下の注射による肝臓への直接注射を介して被験体に投与され得る。一部の実施形態では、ベクターは、動脈または静脈循環を介して全身に投与され得る。一部の実施形態では、ベクター組成物は、脾臓または膵臓を含む肝臓のすぐ周囲の組織にガイドされたカニューレ挿入を介して投与され得る。一部の実施形態では、ベクター組成物は、ガイドされたカニューレ挿入または針を介して腎臓に投与され得る。一部の実施形態では、ベクター組成物は、黒質を含む脳の特定の領域にガイドされたカニューレ挿入または針を介して投与され得る。一部の実施形態では、ベクター組成物は、門脈または門脈洞に注射によって送達されてもよく、注射によって臍帯静脈に送達されてもよい。
【0189】
本開示のベクター組成物は、例えば、鼻腔内投与、口腔内投与、舌下投与、経口投与、直腸投与、眼投与、非経口(静脈内、皮内、筋肉内、皮下、腹腔内)投与、経肺投与、腟内投与、局所投与、局部投与、乱切後の局部投与、粘膜投与、エアロゾルを介して、アガロースまたはゼラチンなどの半固体媒体中で、あるいは口腔内または経鼻噴霧製剤を介してなど、任意の薬学的に許容される方法を使用して投与され得る。
【0190】
さらに、本開示のベクター組成物は、例えば、固体剤形、錠剤、丸剤、ロゼンジ剤、カプセル剤、液体分散液剤、ゲル剤、エアロゾル剤、肺エアロゾル剤、鼻エアロゾル剤、軟膏剤、クリーム剤、半固体剤形、液剤、乳剤、および懸濁剤などの任意の薬学的に許容される剤形に製剤化され得る。さらに、医薬組成物は、制御放出製剤、徐放製剤、即時放出製剤、またはこれらの任意の組み合わせであり得る。さらに、医薬組成物は、経皮送達システムであり得る。
【0191】
実施形態では、医薬組成物は、経口投与用の固体剤形として製剤化され得、固体剤形は、散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、または丸剤であり得る。実施形態では、固体剤形は、例えば、炭酸カルシウム、デンプン、スクロース、ラクトース、微結晶性セルロース、またはゼラチンなどの1つまたは複数の賦形剤を含み得る。加えて、固体剤形は、賦形剤に加えて、タルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤を含み得る。一部の実施形態では、経口剤形は、即時放出形態または放出調節形態であり得る。放出調節剤形としては、制御放出または持続放出、腸管での放出などが挙げられる。放出調節剤形において使用される賦形剤は、当業者に一般に公知である。
【0192】
実施形態では、医薬組成物は、舌下剤形または口腔内剤形として製剤化され得る。そのような剤形は、舌下に投与される舌下錠または舌下溶液組成物および頬と歯肉との間に配置される口腔内錠を含む。
【0193】
実施形態では、医薬組成物は、経鼻剤形として製剤化され得る。本開示のそのような剤形としては、経鼻送達用の溶液組成物、懸濁物組成物、およびゲル組成物が挙げられる。
【0194】
実施形態では、医薬組成物は、懸濁剤、乳剤、またはシロップ剤などの経口投与用の液体剤形として製剤化され得る。実施形態では、液体剤形は、水および液体パラフィンなどの一般に使用される単純な希釈剤に加えて、保湿剤、甘味剤、芳香剤、または防腐剤などの様々な賦形剤を含み得る。実施形態では、組成物は、小児患者への投与のために好適となるように製剤化され得る。
【0195】
実施形態では、医薬組成物は、滅菌水性液剤、懸濁剤、乳剤、非水性液剤、または坐剤などの非経口投与用剤形として製剤化され得る。実施形態では、液剤または懸濁剤は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、またはオレイン酸エチルなどの注射可能エステルを含み得る。
【0196】
医薬組成物の投与量は、患者の体重、年齢、性別、投与の時間および様式、排泄速度、ならびに疾患の重篤度に応じて変化し得る。
【0197】
実施形態では、PKUの処置は、針または血管内カニューレ挿入を使用して肝臓への本開示のベクター構築物のガイドされた直接注射によって達成される。実施形態では、ベクター組成物は、静脈もしくは動脈へのカニューレ挿入によって、または注射、皮内送達、筋肉内送達、もしくは肝臓付近の排出器官への注射によって脳脊髄液、血液、またはリンパ循環中に投与される。
【0198】
以下の実施例は、本発明の態様の実例を挙げるために与えたものである。しかしながら、本発明は、これらの実施例に記載する特定の条件にも詳細にも限定されないことを理解するべきである。本明細書中で参照する全ての出版物は、参照により具体的に組み込まれる。
【実施例】
【0199】
(実施例1.レンチウイルスベクターシステムの開発)
【0200】
図1に要約するように、レンチウイルスベクターシステムを開発した(環状形態)。
【0201】
治療ベクター、エンベローププラスミド、およびヘルパープラスミドのトランスフェクション後に293T/17 HEK細胞(American Type Culture Collection、Manassas、VAから購入)中でレンチウイルス粒子を産生した。293T/17 HEK細胞のトランスフェクションは、機能的なウイルス粒子を産生し、プラスミドDNAの取込み効率を増加させるために試薬ポリ(エチレンイミン)(PEI)を使用した。最初に、血清を含まない培養培地中にプラスミドおよびDNAを3:1の比(PEIのDNAに対する質量比)で別々に加えた。2~3日後、細胞培地を収集し、高速遠心分離および/または濾過とその後の陰イオン交換クロマトグラフィーによってレンチウイルス粒子を精製した。レンチウイルス粒子の濃度は、形質導入単位/ml(TU/ml)によって表すことができる。TUの決定は、培養液中のHIV p24レベルの測定(p24タンパク質はレンチウイルス粒子中に組み込まれる)、定量PCRによる形質導入細胞あたりのウイルスDNAコピー数の測定、または細胞の感染および光の使用(ベクターがルシフェラーゼまたは蛍光タンパク質マーカーをコードする場合)によって達成した。
【0202】
3ベクターシステム(すなわち、2ベクターのレンチウイルスパッケージングシステムを含む)を、レンチウイルス粒子を産生するために設計した。3ベクターシステムの概略図を
図1に示す。
図1に関して簡潔に述べれば、一番上のベクターはヘルパープラスミドであり、これはこの場合、Revを含む。
図1の中央に見られるベクターはエンベローププラスミドである。一番下のベクターは、本明細書中に記載する治療ベクターである。
【0203】
図1を参照して、ヘルパープラスRevプラスミドは、CMVエンハンサー/ニワトリベータアクチンプロモーター(配列番号21);ニワトリベータアクチンイントロン(配列番号39);HIV Gag(配列番号22);HIV Pol(配列番号23);HIVインテグラーゼ(配列番号24);HIV RRE(配列番号25);HIV Rev(配列番号26);およびウサギベータグロビンポリA(配列番号40)を含む。
【0204】
エンベローププラスミドは、CMVプロモーター(配列番号27);ベータグロビンイントロン(配列番号5または6);VSV-Gエンベロープ糖タンパク質(配列番号28);およびウサギベータグロビンポリA(配列番号40)を含む。
【0205】
ヘルパー(プラスRev)プラスミドおよびエンベローププラスミドを含有する2ベクターレンチウイルスパッケージングシステムを含む3ベクターシステムの合成を開示する。
【0206】
材料および方法:
【0207】
ヘルパープラスミドの構築:Gag、Pol、およびインテグラーゼ遺伝子を含有するpNL4-3 HIVプラスミド(NIH Aids Reagent Program)由来のDNA断片の初期PCR増幅によってヘルパープラスミドを構築した。pCDNA3プラスミド(Invitrogen)中の同じ部位に挿入するために使用され得るEcoRIおよびNotI制限部位を有する断片を増幅するためのプライマーを設計した。フォワードプライマーは(5’-TAAGCAGAATTCATGAATTTGCCAGGAAGAT-3’)(配列番号41)であり、リバースプライマーは(5’-CCATACAATGAATGGACACTAGGCGGCCGCACGAAT-3’)(配列番号42)であった。
【0208】
Gag、Pol、インテグラーゼの断片の配列は以下の通りであった:
【0209】
GAATTCATGAATTTGCCAGGAAGATGGAAACCAAAAATGATAGGGGGAATTGGAGGTTTTATCAAAGTAAGACAGTATGATCAGATACTCATAGAAATCTGCGGACATAAAGCTATAGGTACAGTATTAGTAGGACCTACACCTGTCAACATAATTGGAAGAAATCTGTTGACTCAGATTGGCTGCACTTTAAATTTTCCCATTAGTCCTATTGAGACTGTACCAGTAAAATTAAAGCCAGGAATGGATGGCCCAAAAGTTAAACAATGGCCATTGACAGAAGAAAAAATAAAAGCATTAGTAGAAATTTGTACAGAAATGGAAAAGGAAGGAAAAATTTCAAAAATTGGGCCTGAAAATCCATACAATACTCCAGTATTTGCCATAAAGAAAAAAGACAGTACTAAATGGAGAAAATTAGTAGATTTCAGAGAACTTAATAAGAGAACTCAAGATTTCTGGGAAGTTCAATTAGGAATACCACATCCTGCAGGGTTAAAACAGAAAAAATCAGTAACAGTACTGGATGTGGGCGATGCATATTTTTCAGTTCCCTTAGATAAAGACTTCAGGAAGTATACTGCATTTACCATACCTAGTATAAACAATGAGACACCAGGGATTAGATATCAGTACAATGTGCTTCCACAGGGATGGAAAGGATCACCAGCAATATTCCAGTGTAGCATGACAAAAATCTTAGAGCCTTTTAGAAAACAAAATCCAGACATAGTCATCTATCAATACATGGATGATTTGTATGTAGGATCTGACTTAGAAATAGGGCAGCATAGAACAAAAATAGAGGAACTGAGACAACATCTGTTGAGGTGGGGATTTACCACACCAGACAAAAAACATCAGAAAGAACCTCCATTCCTTTGGATGGGTTATGAACTCCATCCTGATAAATGGACAGTACAGCCTATAGTGCTGCCAGAAAAGGACAGCTGGACTGTCAATGACATACAGAAATTAGTGGGAAAATTGAATTGGGCAAGTCAGATTTATGCAGGGATTAAAGTAAGGCAATTATGTAAACTTCTTAGGGGAACCAAAGCACTAACAGAAGTAGTACCACTAACAGAAGAAGCAGAGCTAGAACTGGCAGAAAACAGGGAGATTCTAAAAGAACCGGTACATGGAGTGTATTATGACCCATCAAAAGACTTAATAGCAGAAATACAGAAGCAGGGGCAAGGCCAATGGACATATCAAATTTATCAAGAGCCATTTAAAAATCTGAAAACAGGAAAGTATGCAAGAATGAAGGGTGCCCACACTAATGATGTGAAACAATTAACAGAGGCAGTACAAAAAATAGCCACAGAAAGCATAGTAATATGGGGAAAGACTCCTAAATTTAAATTACCCATACAAAAGGAAACATGGGAAGCATGGTGGACAGAGTATTGGCAAGCCACCTGGATTCCTGAGTGGGAGTTTGTCAATACCCCTCCCTTAGTGAAGTTATGGTACCAGTTAGAGAAAGAACCCATAATAGGAGCAGAAACTTTCTATGTAGATGGGGCAGCCAATAGGGAAACTAAATTAGGAAAAGCAGGATATGTAACTGACAGAGGAAGACAAAAAGTTGTCCCCCTAACGGACACAACAAATCAGAAGACTGAGTTACAAGCAATTCATCTAGCTTTGCAGGATTCGGGATTAGAAGTAAACATAGTGACAGACTCACAATATGCATTGGGAATCATTCAAGCACAACCAGATAAGAGTGAATCAGAGTTAGTCAGTCAAATAATAGAGCAGTTAATAAAAAAGGAAAAAGTCTACCTGGCATGGGTACCAGCACACAAAGGAATTGGAGGAAATGAACAAGTAGATAAATTGGTCAGTGCTGGAATCAGGAAAGTACTATTTTTAGATGGAATAGATAAGGCCCAAGAAGAACATGAGAAATATCACAGTAATTGGAGAGCAATGGCTAGTGATTTTAACCTACCACCTGTAGTAGCAAAAGAAATAGTAGCCAGCTGTGATAAATGTCAGCTAAAAGGGGAAGCCATGCATGGACAAGTAGACTGTAGCCCAGGAATATGGCAGCTAGATTGTACACATTTAGAAGGAAAAGTTATCTTGGTAGCAGTTCATGTAGCCAGTGGATATATAGAAGCAGAAGTAATTCCAGCAGAGACAGGGCAAGAAACAGCATACTTCCTCTTAAAATTAGCAGGAAGATGGCCAGTAAAAACAGTACATACAGACAATGGCAGCAATTTCACCAGTACTACAGTTAAGGCCGCCTGTTGGTGGGCGGGGATCAAGCAGGAATTTGGCATTCCCTACAATCCCCAAAGTCAAGGAGTAATAGAATCTATGAATAAAGAATTAAAGAAAATTATAGGACAGGTAAGAGATCAGGCTGAACATCTTAAGACAGCAGTACAAATGGCAGTATTCATCCACAATTTTAAAAGAAAAGGGGGGATTGGGGGGTACAGTGCAGGGGAAAGAATAGTAGACATAATAGCAACAGACATACAAACTAAAGAATTACAAAAACAAATTACAAAAATTCAAAATTTTCGGGTTTATTACAGGGACAGCAGAGATCCAGTTTGGAAAGGACCAGCAAAGCTCCTCTGGAAAGGTGAAGGGGCAGTAGTAATACAAGATAATAGTGACATAAAAGTAGTGCCAAGAAGAAAAGCAAAGATCATCAGGGATTATGGAAAACAGATGGCAGGTGATGATTGTGTGGCAAGTAGACAGGATGAGGATTAA(配列番号43)。
【0210】
次に、XbaIおよびXmaI隣接制限部位と共にRRE、Rev、およびウサギベータグロビンポリAの配列を含有するDNA断片は、Eurofins Genomicsによって合成された。次いで、XbaIおよびXmaI制限部位においてDNA断片をプラスミドに挿入した。DNA配列は以下の通りであった:
【0211】
TCTAGAATGGCAGGAAGAAGCGGAGACAGCGACGAAGAGCTCATCAGAACAGTCAGACTCATCAAGCTTCTCTATCAAAGCAACCCACCTCCCAATCCCGAGGGGACCCGACAGGCCCGAAGGAATAGAAGAAGAAGGTGGAGAGAGAGACAGAGACAGATCCATTCGATTAGTGAACGGATCCTTGGCACTTATCTGGGACGATCTGCGGAGCCTGTGCCTCTTCAGCTACCACCGCTTGAGAGACTTACTCTTGATTGTAACGAGGATTGTGGAACTTCTGGGACGCAGGGGGTGGGAAGCCCTCAAATATTGGTGGAATCTCCTACAATATTGGAGTCAGGAGCTAAAGAATAGAGGAGCTTTGTTCCTTGGGTTCTTGGGAGCAGCAGGAAGCACTATGGGCGCAGCGTCAATGACGCTGACGGTACAGGCCAGACAATTATTGTCTGGTATAGTGCAGCAGCAGAACAATTTGCTGAGGGCTATTGAGGCGCAACAGCATCTGTTGCAACTCACAGTCTGGGGCATCAAGCAGCTCCAGGCAAGAATCCTGGCTGTGGAAAGATACCTAAAGGATCAACAGCTCCTAGATCTTTTTCCCTCTGCCAAAAATTATGGGGACATCATGAAGCCCCTTGAGCATCTGACTTCTGGCTAATAAAGGAAATTTATTTTCATTGCAATAGTGTGTTGGAATTTTTTGTGTCTCTCACTCGGAAGGACATATGGGAGGGCAAATCATTTAAAACATCAGAATGAGTATTTGGTTTAGAGTTTGGCAACATATGCCATATGCTGGCTGCCATGAACAAAGGTGGCTATAAAGAGGTCATCAGTATATGAAACAGCCCCCTGCTGTCCATTCCTTATTCCATAGAAAAGCCTTGACTTGAGGTTAGATTTTTTTTATATTTTGTTTTGTGTTATTTTTTTCTTTAACATCCCTAAAATTTTCCTTACATGTTTTACTAGCCAGATTTTTCCTCCTCTCCTGACTACTCCCAGTCATAGCTGTCCCTCTTCTCTTATGAAGATCCCTCGACCTGCAGCCCAAGCTTGGCGTAATCATGGTCATAGCTGTTTCCTGTGTGAAATTGTTATCCGCTCACAATTCCACACAACATACGAGCCGGAAGCATAAAGTGTAAAGCCTGGGGTGCCTAATGAGTGAGCTAACTCACATTAATTGCGTTGCGCTCACTGCCCGCTTTCCAGTCGGGAAACCTGTCGTGCCAGCGGATCCGCATCTCAATTAGTCAGCAACCATAGTCCCGCCCCTAACTCCGCCCATCCCGCCCCTAACTCCGCCCAGTTCCGCCCATTCTCCGCCCCATGGCTGACTAATTTTTTTTATTTATGCAGAGGCCGAGGCCGCCTCGGCCTCTGAGCTATTCCAGAAGTAGTGAGGAGGCTTTTTTGGAGGCCTAGGCTTTTGCAAAAAGCTAACTTGTTTATTGCAGCTTATAATGGTTACAAATAAAGCAATAGCATCACAAATTTCACAAATAAAGCATTTTTTTCACTGCATTCTAGTTGTGGTTTGTCCAAACTCATCAATGTATCTTATCAGCGGCCGCCCCGGG(配列番号44)。
【0212】
最後に、pCDNA3.1のCMVプロモーターをCAGプロモーター(CMVエンハンサー、ニワトリベータアクチンプロモータープラスニワトリベータアクチンイントロン配列)で置換した。MluIおよびEcoRI隣接制限部位と共にCAGエンハンサー/プロモーター/イントロン配列を含有するDNA断片は、Eurofins Genomicsによって合成された。次いで、MluIおよびEcoRI制限部位においてDNA断片をプラスミドに挿入した。DNA配列は以下の通りであった:
【0213】
ACGCGTTAGTTATTAATAGTAATCAATTACGGGGTCATTAGTTCATAGCCCATATATGGAGTTCCGCGTTACATAACTTACGGTAAATGGCCCGCCTGGCTGACCGCCCAACGACCCCCGCCCATTGACGTCAATAATGACGTATGTTCCCATAGTAACGCCAATAGGGACTTTCCATTGACGTCAATGGGTGGACTATTTACGGTAAACTGCCCACTTGGCAGTACATCAAGTGTATCATATGCCAAGTACGCCCCCTATTGACGTCAATGACGGTAAATGGCCCGCCTGGCATTATGCCCAGTACATGACCTTATGGGACTTTCCTACTTGGCAGTACATCTACGTATTAGTCATCGCTATTACCATGGGTCGAGGTGAGCCCCACGTTCTGCTTCACTCTCCCCATCTCCCCCCCCTCCCCACCCCCAATTTTGTATTTATTTATTTTTTAATTATTTTGTGCAGCGATGGGGGCGGGGGGGGGGGGGGCGCGCGCCAGGCGGGGCGGGGCGGGGCGAGGGGCGGGGCGGGGCGAGGCGGAGAGGTGCGGCGGCAGCCAATCAGAGCGGCGCGCTCCGAAAGTTTCCTTTTATGGCGAGGCGGCGGCGGCGGCGGCCCTATAAAAAGCGAAGCGCGCGGCGGGCGGGAGTCGCTGCGTTGCCTTCGCCCCGTGCCCCGCTCCGCGCCGCCTCGCGCCGCCCGCCCCGGCTCTGACTGACCGCGTTACTCCCACAGGTGAGCGGGCGGGACGGCCCTTCTCCTCCGGGCTGTAATTAGCGCTTGGTTTAATGACGGCTCGTTTCTTTTCTGTGGCTGCGTGAAAGCCTTAAAGGGCTCCGGGAGGGCCCTTTGTGCGGGGGGGAGCGGCTCGGGGGGTGCGTGCGTGTGTGTGTGCGTGGGGAGCGCCGCGTGCGGCCCGCGCTGCCCGGCGGCTGTGAGCGCTGCGGGCGCGGCGCGGGGCTTTGTGCGCTCCGCGTGTGCGCGAGGGGAGCGCGGCCGGGGGCGGTGCCCCGCGGTGCGGGGGGGCTGCGAGGGGAACAAAGGCTGCGTGCGGGGTGTGTGCGTGGGGGGGTGAGCAGGGGGTGTGGGCGCGGCGGTCGGGCTGTAACCCCCCCCTGCACCCCCCTCCCCGAGTTGCTGAGCACGGCCCGGCTTCGGGTGCGGGGCTCCGTGCGGGGCGTGGCGCGGGGCTCGCCGTGCCGGGCGGGGGGTGGCGGCAGGTGGGGGTGCCGGGCGGGGCGGGGCCGCCTCGGGCCGGGGAGGGCTCGGGGGAGGGGCGCGGCGGCCCCGGAGCGCCGGCGGCTGTCGAGGCGCGGCGAGCCGCAGCCATTGCCTTTTATGGTAATCGTGCGAGAGGGCGCAGGGACTTCCTTTGTCCCAAATCTGGCGGAGCCGAAATCTGGGAGGCGCCGCCGCACCCCCTCTAGCGGGCGCGGGCGAAGCGGTGCGGCGCCGGCAGGAAGGAAATGGGCGGGGAGGGCCTTCGTGCGTCGCCGCGCCGCCGTCCCCTTCTCCATCTCCAGCCTCGGGGCTGCCGCAGGGGGACGGCTGCCTTCGGGGGGGACGGGGCAGGGCGGGGTTCGGCTTCTGGCGTGTGACCGGCGGGAATTC(配列番号45)。
【0214】
VSV-Gエンベローププラスミドの構築:
【0215】
水疱性口内炎インディアナウイルス糖タンパク質(VSV-G)配列は、隣接EcoRI制限部位を用いてEurofins Genomicsによって合成された。次いで、EcoRI制限部位においてDNA断片をpCDNA3.1プラスミド(Invitrogen)に挿入し、CMV特異的プライマーを使用するシークエンシングによって正しい配向であることを決定した。
【0216】
DNA配列は以下の通りであった:
【0217】
ATGAAGTGCCTTTTGTACTTAGCCTTTTTATTCATTGGGGTGAATTGCAAGTTCACCATAGTTTTTCCACACAACCAAAAAGGAAACTGGAAAAATGTTCCTTCTAATTACCATTATTGCCCGTCAAGCTCAGATTTAAATTGGCATAATGACTTAATAGGCACAGCCTTACAAGTCAAAATGCCCAAGAGTCACAAGGCTATTCAAGCAGACGGTTGGATGTGTCATGCTTCCAAATGGGTCACTACTTGTGATTTCCGCTGGTATGGACCGAAGTATATAACACATTCCATCCGATCCTTCACTCCATCTGTAGAACAATGCAAGGAAAGCATTGAACAAACGAAACAAGGAACTTGGCTGAATCCAGGCTTCCCTCCTCAAAGTTGTGGATATGCAACTGTGACGGATGCCGAAGCAGTGATTGTCCAGGTGACTCCTCACCATGTGCTGGTTGATGAATACACAGGAGAATGGGTTGATTCACAGTTCATCAACGGAAAATGCAGCAATTACATATGCCCCACTGTCCATAACTCTACAACCTGGCATTCTGACTATAAGGTCAAAGGGCTATGTGATTCTAACCTCATTTCCATGGACATCACCTTCTTCTCAGAGGACGGAGAGCTATCATCCCTGGGAAAGGAGGGCACAGGGTTCAGAAGTAACTACTTTGCTTATGAAACTGGAGGCAAGGCCTGCAAAATGCAATACTGCAAGCATTGGGGAGTCAGACTCCCATCAGGTGTCTGGTTCGAGATGGCTGATAAGGATCTCTTTGCTGCAGCCAGATTCCCTGAATGCCCAGAAGGGTCAAGTATCTCTGCTCCATCTCAGACCTCAGTGGATGTAAGTCTAATTCAGGACGTTGAGAGGATCTTGGATTATTCCCTCTGCCAAGAAACCTGGAGCAAAATCAGAGCGGGTCTTCCAATCTCTCCAGTGGATCTCAGCTATCTTGCTCCTAAAAACCCAGGAACCGGTCCTGCTTTCACCATAATCAATGGTACCCTAAAATACTTTGAGACCAGATACATCAGAGTCGATATTGCTGCTCCAATCCTCTCAAGAATGGTCGGAATGATCAGTGGAACTACCACAGAAAGGGAACTGTGGGATGACTGGGCACCATATGAAGACGTGGAAATTGGACCCAATGGAGTTCTGAGGACCAGTTCAGGATATAAGTTTCCTTTATACATGATTGGACATGGTATGTTGGACTCCGATCTTCATCTTAGCTCAAAGGCTCAGGTGTTCGAACATCCTCACATTCAAGACGCTGCTTCGCAACTTCCTGATGATGAGAGTTTATTTTTTGGTGATACTGGGCTATCCAAAAATCCAATCGAGCTTGTAGAAGGTTGGTTCAGTAGTTGGAAAAGCTCTATTGCCTCTTTTTTCTTTATCATAGGGTTAATCATTGGACTATTCTTGGTTCTCCGAGTTGGTATCCATCTTTGCATTAAATTAAAGCACACCAAGAAAAGACAGATTTATACAGACATAGAGATGAACCGACTTGGAAAGTGA(配列番号28)。
【0218】
3ベクターレンチウイルスパッケージングシステムを含む4ベクターシステムもまた、本明細書に記載の方法および材料を使用して設計および産生されている。4ベクターシステムの概略図を
図2に示す。
図2に関して簡潔に述べれば、一番上のベクターはヘルパープラスミドであり、これはこの場合、Revを含まない。第2のベクターは、別のRevプラスミドである。第3のベクターはエンベローププラスミドである。一番下のベクターは、本明細書に記載の治療ベクターである。
【0219】
図2を参照して、ヘルパープラスミドは、CMVエンハンサー/ニワトリベータアクチンプロモーター(配列番号21);ニワトリベータアクチンイントロン(配列番号39);HIV Gag(配列番号22);HIV Pol(配列番号23);HIVインテグラーゼ(配列番号24);HIV RRE(配列番号25);およびウサギベータグロビンポリA(配列番号40)を含む。
【0220】
Revプラスミドは、RSVプロモーターおよびHIV Rev(配列番号46);ならびにウサギベータグロビンポリA(配列番号40)を含む。
【0221】
エンベローププラスミドは、CMVプロモーター(配列番号27);ベータグロビンイントロン(配列番号5または6);VSV-Gエンベロープ糖タンパク質(配列番号28);およびウサギベータグロビンポリA(配列番号40)を含む。
【0222】
一態様では、PAHを発現する治療レンチウイルスベクターは、
図3のベクターAに示すエレメントの全てを含む。別の態様では、PAHを発現する治療レンチウイルスベクターは、
図3のベクターBに示すエレメントの全てを含む。別の態様では、PAHを発現する治療レンチウイルスベクターは、
図3のベクターCに示すエレメントの全てを含む。別の態様では、PAHを発現する治療レンチウイルスベクターは、
図3のベクターDに示すエレメントの全てを含む。
【0223】
ヘルパー、Rev、およびエンベローププラスミドを含有する3ベクターレンチウイルスパッケージングシステムを含む4ベクターシステムの合成を開示する。
【0224】
材料および方法:
【0225】
Revを含まないヘルパープラスミドの構築:
【0226】
RREおよびウサギベータグロビンポリA配列を含有するDNA断片を挿入することによって、Revを含まないヘルパープラスミドを構築した。この配列は、隣接XbaIおよびXmaI制限部位を用いてEurofins Genomicsによって合成された。次いで、XbaIおよびXmaI制限部位においてRRE/ウサギポリAベータグロビン配列をヘルパープラスミドに挿入した。
【0227】
DNA配列は以下の通りである:
【0228】
TCTAGAATGGCAGGAAGAAGCGGAGACAGCGACGAAGAGCTCATCAGAACAGTCAGACTCATCAAGCTTCTCTATCAAAGCAACCCACCTCCCAATCCCGAGGGGACCCGACAGGCCCGAAGGAATAGAAGAAGAAGGTGGAGAGAGAGACAGAGACAGATCCATTCGATTAGTGAACGGATCCTTGGCACTTATCTGGGACGATCTGCGGAGCCTGTGCCTCTTCAGCTACCACCGCTTGAGAGACTTACTCTTGATTGTAACGAGGATTGTGGAACTTCTGGGACGCAGGGGGTGGGAAGCCCTCAAATATTGGTGGAATCTCCTACAATATTGGAGTCAGGAGCTAAAGAATAGAGGAGCTTTGTTCCTTGGGTTCTTGGGAGCAGCAGGAAGCACTATGGGCGCAGCGTCAATGACGCTGACGGTACAGGCCAGACAATTATTGTCTGGTATAGTGCAGCAGCAGAACAATTTGCTGAGGGCTATTGAGGCGCAACAGCATCTGTTGCAACTCACAGTCTGGGGCATCAAGCAGCTCCAGGCAAGAATCCTGGCTGTGGAAAGATACCTAAAGGATCAACAGCTCCTAGATCTTTTTCCCTCTGCCAAAAATTATGGGGACATCATGAAGCCCCTTGAGCATCTGACTTCTGGCTAATAAAGGAAATTTATTTTCATTGCAATAGTGTGTTGGAATTTTTTGTGTCTCTCACTCGGAAGGACATATGGGAGGGCAAATCATTTAAAACATCAGAATGAGTATTTGGTTTAGAGTTTGGCAACATATGCCATATGCTGGCTGCCATGAACAAAGGTGGCTATAAAGAGGTCATCAGTATATGAAACAGCCCCCTGCTGTCCATTCCTTATTCCATAGAAAAGCCTTGACTTGAGGTTAGATTTTTTTTATATTTTGTTTTGTGTTATTTTTTTCTTTAACATCCCTAAAATTTTCCTTACATGTTTTACTAGCCAGATTTTTCCTCCTCTCCTGACTACTCCCAGTCATAGCTGTCCCTCTTCTCTTATGAAGATCCCTCGACCTGCAGCCCAAGCTTGGCGTAATCATGGTCATAGCTGTTTCCTGTGTGAAATTGTTATCCGCTCACAATTCCACACAACATACGAGCCGGAAGCATAAAGTGTAAAGCCTGGGGTGCCTAATGAGTGAGCTAACTCACATTAATTGCGTTGCGCTCACTGCCCGCTTTCCAGTCGGGAAACCTGTCGTGCCAGCGGATCCGCATCTCAATTAGTCAGCAACCATAGTCCCGCCCCTAACTCCGCCCATCCCGCCCCTAACTCCGCCCAGTTCCGCCCATTCTCCGCCCCATGGCTGACTAATTTTTTTTATTTATGCAGAGGCCGAGGCCGCCTCGGCCTCTGAGCTATTCCAGAAGTAGTGAGGAGGCTTTTTTGGAGGCCTAGGCTTTTGCAAAAAGCTAACTTGTTTATTGCAGCTTATAATGGTTACAAATAAAGCAATAGCATCACAAATTTCACAAATAAAGCATTTTTTTCACTGCATTCTAGTTGTGGTTTGTCCAAACTCATCAATGTATCTTATCAGCGGCCGCCCCGGG(配列番号44)。
【0229】
Revプラスミドの構築:
【0230】
RSVプロモーターおよびHIV Rev配列は、隣接MfeIおよびXbaI制限部位を用いて、Eurofins Genomicsによって単一のDNA断片として合成された。次いで、CMVプロモーターがRSVプロモーターで置換されたMfeIおよびXbaI制限部位において、DNA断片をpCDNA3.1プラスミド(Invitrogen)に挿入した。DNA配列は以下の通りであった:
【0231】
CAATTGCGATGTACGGGCCAGATATACGCGTATCTGAGGGGACTAGGGTGTGTTTAGGCGAAAAGCGGGGCTTCGGTTGTACGCGGTTAGGAGTCCCCTCAGGATATAGTAGTTTCGCTTTTGCATAGGGAGGGGGAAATGTAGTCTTATGCAATACACTTGTAGTCTTGCAACATGGTAACGATGAGTTAGCAACATGCCTTACAAGGAGAGAAAAAGCACCGTGCATGCCGATTGGTGGAAGTAAGGTGGTACGATCGTGCCTTATTAGGAAGGCAACAGACAGGTCTGACATGGATTGGACGAACCACTGAATTCCGCATTGCAGAGATAATTGTATTTAAGTGCCTAGCTCGATACAATAAACGCCATTTGACCATTCACCACATTGGTGTGCACCTCCAAGCTCGAGCTCGTTTAGTGAACCGTCAGATCGCCTGGAGACGCCATCCACGCTGTTTTGACCTCCATAGAAGACACCGGGACCGATCCAGCCTCCCCTCGAAGCTAGCGATTAGGCATCTCCTATGGCAGGAAGAAGCGGAGACAGCGACGAAGAACTCCTCAAGGCAGTCAGACTCATCAAGTTTCTCTATCAAAGCAACCCACCTCCCAATCCCGAGGGGACCCGACAGGCCCGAAGGAATAGAAGAAGAAGGTGGAGAGAGAGACAGAGACAGATCCATTCGATTAGTGAACGGATCCTTAGCACTTATCTGGGACGATCTGCGGAGCCTGTGCCTCTTCAGCTACCACCGCTTGAGAGACTTACTCTTGATTGTAACGAGGATTGTGGAACTTCTGGGACGCAGGGGGTGGGAAGCCCTCAAATATTGGTGGAATCTCCTACAATATTGGAGTCAGGAGCTAAAGAATAGTCTAGA(配列番号46)。
【0232】
パッケージングシステムに使用するプラスミドは、類似のエレメントによって改変することができ、イントロン配列は、ベクター機能を失うことなく潜在的に取り除くことが可能である。例えば、以下のエレメントは、パッケージングシステム中の類似のエレメントを置き換えることができる。
【0233】
プロモーター:伸長因子-1アルファ(EF1-アルファ)プロモーター(配列番号47)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)プロモーター(配列番号48)、チロキシン結合グロブリンプロモーター(配列番号60)、およびユビキチンC(UbC)プロモーター(配列番号49)は、CMVプロモーター(配列番号27)またはCMVエンハンサー/ニワトリベータアクチンプロモーター(配列番号21)を置き換えることができる。これらの配列を、付加、置換、欠失、または変異によってさらに変化させることもできる。
【0234】
ポリA配列:SV40ポリA(配列番号50)およびbGHポリA(配列番号30または配列番号51)は、ウサギベータグロビンポリA(配列番号40)を置き換えることができる。これらの配列を、付加、置換、欠失、または変異によってさらに変化させることもできる。
【0235】
HIV Gag、Pol、およびインテグラーゼ配列:ヘルパープラスミド中のHIV配列は、異なるHIVの株またはクレードから構築することができる。例えば、Bal株由来のHIV Gag(配列番号22);HIV Pol(配列番号23);およびHIV Int(配列番号24)を、本明細書中に概説したように、ヘルパー/ヘルパープラスRevプラスミド中に含有されるgag、pol、およびint配列で交換することができる。これらの配列を、付加、置換、欠失、または変異によってさらに変化させることもできる。
【0236】
エンベロープ:VSV-G糖タンパク質を、ネコ内因性ウイルス(RD114)エンベロープ(配列番号52)、テナガザル白血病ウイルス(GALV)エンベロープ(配列番号53)、狂犬病(FUG)エンベロープ(配列番号54)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)エンベロープ(配列番号55)、A型インフルエンザ家禽ペストウイルス(FPV)エンベロープ(配列番号56)、ロスリバーアルファウイルス(RRV)エンベロープ(配列番号57)、マウス白血病ウイルス10A1(MLV 10A1)エンベロープ(配列番号58)、またはエボラウイルス(EboV)エンベロープ(配列番号59)由来の膜糖タンパク質で置換することができる。これらのエンベロープの配列は、本明細書中の配列部分として特定される。さらに、これらの配列を、付加、置換、欠失、または変異によってさらに変化させることもできる。
【0237】
要約すると、3ベクターシステムと4ベクターシステムとを以下の通りに、比較および対比することができる。3ベクターレンチウイルスベクターシステムは以下を含み得る:(1)ヘルパープラスミド:HIV Gag、Pol、インテグラーゼ断片(配列番号43)、RRE、およびRev;(2)エンベローププラスミド:VSV-Gエンベロープ;ならびに(3)治療ベクター:RSV、5’LTR、プサイパッケージングシグナル、RRE、cPPT、プロトロンビンエンハンサー、アルファ1アンチトリプシンプロモーター、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、WPRE、および3’デルタLTR。4ベクターレンチウイルスベクターシステムは以下を含み得る:(1)ヘルパープラスミド:HIV Gag、Pol、インテグラーゼ断片(配列番号43)、およびRRE;(2)Revプラスミド:Rev;(3)エンベローププラスミド:VSV-Gエンベロープ;ならびに(4)治療ベクター:RSV、5’LTR、プサイパッケージングシグナル、RRE、cPPT、プロトロンビンエンハンサー、アルファ1アンチトリプシンプロモーター、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、WPRE、および3’デルタLTR。上記のエレメントに対応する配列は、本明細書中の配列表の部分において特定される。
【0238】
(実施例2)
治療ベクター
【0239】
例示的な治療ベクターは、例えば
図3に示すように設計および開発されている。
【0240】
最初に
図3のベクターAを左から右に参照して、重要な遺伝子エレメントは以下の通りである:ハイブリッド5’長鎖末端反復配列(RSV/LTR)、プサイ配列(RNAパッケージング部位)、RRE(Rev-応答エレメント)、cPPT(ポリプリントラクト)、プロトロンビンエンハンサー、hAATプロモーター、実施形態では本明細書に詳述するコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含むPAH配列、ウッドチャック転写後調節エレメント(WPRE)、およびU3領域に欠失を有するLTR。
【0241】
次に、
図3のベクターBを左から右に参照して、重要な遺伝子エレメントは以下の通りである:ハイブリッド5’長鎖末端反復配列(RSV/LTR)、プサイ配列(RNAパッケージング部位)、RRE(Rev-応答エレメント)、cPPT(ポリプリントラクト)、プロトロンビンエンハンサーの上流の1つのHNF1/HNF4(肝細胞核内因子)結合部位、hAATプロモーター、実施形態では本明細書に詳述するコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含むPAH配列、ウッドチャック転写後調節エレメント(WPRE)、およびU3領域に欠失を有するLTR。
【0242】
次に、
図3のベクターCを左から右に参照して、重要な遺伝子エレメントは以下の通りである:ハイブリッド5’長鎖末端反復配列(RSV/LTR)、プサイ配列(RNAパッケージング部位)、RRE(Rev-応答エレメント)、cPPT(ポリプリントラクト)、プロトロンビンエンハンサーの上流の3つのHNF1/4(肝細胞核内因子)結合部位、hAATプロモーター、実施形態では本明細書に詳述するコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含むPAH配列、ウッドチャック転写後調節エレメント(WPRE)、およびU3領域に欠失を有するLTR。
【0243】
次に、
図3のベクターDを左から右に参照して、重要な遺伝子エレメントは以下の通りである:ハイブリッド5’長鎖末端反復配列(RSV/LTR)、プサイ配列(RNAパッケージング部位)、RRE(Rev-応答エレメント)、cPPT(ポリプリントラクト)、プロトロンビンエンハンサーの上流の5つのHNF1(肝細胞核内因子)結合部位、hAATプロモーター、実施形態では本明細書に詳述するコドン最適化PAH配列またはそのバリアントを含むPAH配列、ウッドチャック転写後調節エレメント(WPRE)、およびU3領域に欠失を有するLTR。
【0244】
図3に一般的に概要したベクターを産生するために、本明細書に記載のおよびそうでなければ当業者によって理解される方法および材料を使用した。
【0245】
阻害性RNAの設計:Homo sapiensフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)(NM_000277.1)mRNAの配列を使用して、ヒト細胞におけるPAHレベルをノックダウンするための潜在的shRNA候補体を検索した。潜在的RNA shRNA配列を、siRNAまたはshRNA設計プログラム、例えばBroad Institute(portals.broadinstitute.org/gpp/public/)主催のGPPウェブポータル、またはThermo Scientific(https://rnaidesigner.thermofisher.com/rnaiexpress/)のBLOCK-iT RNAi Designerから選択した候補体から選択した。個々に選択したshRNA配列を、shRNA発現を調節するために、RNAポリメラーゼIIIプロモーターH1(H1プロモーター)(配列番号20)のすぐ3’側でレンチウイルスベクターに挿入した。これらのレンチウイルスshRNA構築物を使用して、細胞を形質導入し、特定のmRNAレベルの変化を測定した。
【0246】
ベクター構築:PAHを標的化するshRNA配列を合成するために、BamHIおよびEcoRI制限部位を含有するオリゴヌクレオチド配列を、Eurofins MWG Operonにより合成した。重複するセンスおよびアンチセンスオリゴヌクレオチド配列を混合し、70℃から室温へと冷却しながらアニーリングさせた。レンチウイルスベクターを、制限酵素BamHIおよびEcoRIによって37℃で1時間消化した。消化したレンチウイルスベクターをアガロースゲル電気泳動により精製し、Thermo ScientificのDNAゲル抽出キットを使用してゲルから抽出した。DNA濃度を決定し、ベクターをオリゴに混合し(3:1の比)、アニーリングおよびライゲートさせた。ライゲーション反応は、室温で30分間、T4 DNAリガーゼによって行った。2.5マイクロリットルのライゲーション混合物を25マイクロリットルのSTBL3コンピテント細菌細胞に加えた。42℃での熱ショック後に形質転換が達成された。アンピシリンを含有する寒天プレート上に細菌細胞を広げ、薬物抵抗性コロニー(アンピシリン抵抗性プラスミドの存在を指し示す)を回収し、LBブロス中で拡大増殖させた。オリゴ配列の挿入を確認するために、Thermo ScientificのDNAミニプレップキットによって、回収した細菌培養物からプラスミドDNAを抽出した。レンチウイルスベクター中へのshRNA配列の挿入を、shRNAの発現を調節するために使用されるプロモーター用の特異的プライマーを使用してDNAシークエンシングにより検証した。以下のコード配列を使用して、PAHをノックダウンする例示的なshRNA配列を決定した。
【0247】
PAH shRNA配列 #1:
TCGCATTTCATCAAGATTAATCTCGAGATTAATCTTGATGAAATGCGATTTTT(配列番号11)
【0248】
PAH shRNA配列 #2:
ACTCATAAAGGAGCATATAAGCTCGAGCTTATATGCTCCTTTATGAGTTTTTT(配列番号12)
【0249】
(実施例3)
肝臓特異的プロトロンビンエンハンサー/hAATプロモーター
【0250】
Hepa1-6マウスヘパトーマおよびHep3Bヒト癌細胞に、肝臓特異的プロトロンビンエンハンサー(配列番号3)、およびヒトアルファ1アンチトリプシンプロモーター(配列番号4)を含有するレンチウイルスベクターを形質導入し、プロトロンビンエンハンサーおよびヒトアルファ1アンチトリプシンプロモーターを含有するDNA断片を作製した。結果としてのDNA配列は以下の通りである:
GCGAGAACTTGTGCCTCCCCGTGTTCCTGCTCTTTGTCCCTCTGTCCTACTTAGACTAATATTTGCCTTGGGTACTGCAAACAGGAAATGGGGGAGGGACAGGAGTAGGGCGGAGGGTAGCCCGGGGATCTTGCTACCAGTGGAACAGCCACTAAGGATTCTGCAGTGAGAGCAGAGGGCCAGCTAAGTGGTACTCTCCCAGAGACTGTCTGACTCACGCCACCCCCTCCACCTTGGACACAGGACGCTGTGGTTTCTGAGCCAGGTACAATGACTCCTTTCGGTAAGTGCAGTGGAAGCTGTACACTGCCCAGGCAAAGCGTCCGGGCAGCGTAGGCGGGCGACTCAGATCCCAGCCAGTGGACTTAGCCCCTGTTTGCTCCTCCGATAACTGGGGTGACCTTGGTTAATATTCACCAGCAGCCTCCCCCGTTGCCCCTCTGGATCCACTGCTTAAATACGGACGAGGACAGGGCCCTGTCTCCTCAGCTTCAGGCACCACCACTGACCTGGGACAGTGAAT(配列番号61)。これらの感染の結果を、本明細書のさらなる実施例において詳述する。
【0251】
(実施例4)
プロトロンビンエンハンサーおよび肝細胞核内因子(HNF)結合部位を有するhAATプロモーター
Hepa1-6マウスヘパトーマおよびHep3Bヒト癌細胞に、肝臓特異的プロトロンビンエンハンサー(配列番号3)、ヒトアルファ1アンチトリプシンプロモーター(配列番号4)、および1つまたは複数の肝細胞核内因子(HNF)結合部位を含有するレンチウイルスベクターを形質導入した。プロトロンビンエンハンサー、ヒトアルファ1アンチトリプシンプロモーター、および5つのHNF1結合部位(下線のフォントで指定する)を含有するDNA断片を含む、結果としてのDNA配列は以下の通りであった:
【化1】
プロトロンビンエンハンサー、ヒトアルファ1アンチトリプシンプロモーター、および1つのHNF1/HNF4結合部位(HNF1を下線のフォントで指定し;HNF4を太字のフォントで指定する)を含有するDNA断片を含む、結果としてのDNA配列は以下の通りである:
【化2】
【化3】
プロトロンビンエンハンサー、ヒトアルファ1アンチトリプシンプロモーター、および3つのHNF1/HNF4結合部位(HNF1を下線のフォントで指定し;HNF4を太字のフォントで指定する)を含有するDNA断片を含む、結果としてのDNA配列は以下の通りである:
【化4】
これらのベクターからのコドン最適化PAHの発現を、本明細書のさらなる実施例で詳述する。
【0252】
(実施例5)
PAHを含有するベクターを合成するための材料および方法
【0253】
遺伝子の遠位および近位末端にEcoRIおよびSalI制限酵素部位が位置するHomo sapiensフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(hPAH)mRNA(Gen Bank:NM_000277.1)の配列を、Eurofins Genomics(Louisville、KY)により化学合成した。EcoRIおよびSalI制限酵素によって処置したhPAHを、ApoE(NM_000001.11、U35114.1)またはプロトロンビン(AF478696.1)、およびhAAT(HG98385.1)座制御領域の部分を含むハイブリッドプロモーターの制御下でpCDHレンチウイルスプラスミド(System Biosciences、CA)にライゲートした。
【0254】
レンチウイルスベクターおよびhPAH配列を、制限酵素BamHIおよびEcoRI(NEB、Ipswich、MA)によって37℃で2時間消化した。消化したレンチウイルスベクターをアガロースゲル電気泳動によって精製し、ThermoFisher(Waltham、MA)のDNAゲル抽出キットを使用してゲルから抽出した。DNA濃度を決定し、インサートのベクターに対する比3:1を使用して、PAH配列と混合した。混合物をT4 DNAリガーゼ(NEB)によって室温で30分間ライゲートした。2.5マイクロリットルのライゲーション混合物を25マイクロリットルのSTBL3コンピテント細菌細胞(ThermoFisher)に加えた。形質転換を42℃での熱ショックによって行った。細菌細胞を、アンピシリンを含有する寒天プレートに画線し、コロニーをLBブロス中で拡大増殖させた。PAH配列の挿入を確認するために、ThermoFisherのDNAミニプレップキットによって、回収した細菌培養物からプラスミドDNAを抽出した。レンチウイルスベクター(LV)中へのPAH配列の挿入を、DNAシークエンシング(Eurofins Genomics)により検証した。次に、ClaIおよびEcoRI制限部位を有するApoEエンハンサー/hAATプロモーターまたはプロトロンビンエンハンサー/hAATプロモーター配列を、Eurofins Genomicsにより合成した。PAHコード配列およびハイブリッドプロモーターを含有するレンチウイルスベクターを、ClaIおよびEcoRI酵素によって消化し、共にライゲートした。ハイブリッドプロモーターを含有するプラスミドをDNAシークエンシングによって確認した。次に、hPAHおよびハイブリッドプロモーター配列を含有するレンチウイルスベクターを使用してレンチウイルス粒子をパッケージングし、形質導入された細胞におけるそのPAH発現能に関して試験した。哺乳動物細胞に、レンチウイルス粒子を形質導入した。細胞を、3日後に収集し、タンパク質をPAH発現に関するイムノブロットによって分析した。
【0255】
hPAH配列の調節:
肝臓特異的エンハンサー-プロモーターを、レンチウイルスベクターに加え、肝臓特異的にPAH発現を調節した。具体的には、プロトロンビンエンハンサーを、レンチウイルスベクター中でヒトアルファ1アンチトリプシンプロモーターと組み合わせて、PAH発現を調節した。導入遺伝子の発現を肝細胞に限定することは、フェニルケトン尿症を処置するための遺伝子医薬に関するベクターの安全性および標的特異性に関する重要な検討事項である。
【0256】
(実施例6)
コドン最適化PAH配列の合成
【0257】
コドン内のある特定の塩基を、Homo sapiensフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(hPAH)mRNA(Gen Bank:NM_000277.1)配列において変化させ、OPT2 PAH配列(配列番号2)およびOPT3 PAHコドン最適化配列(配列番号70)を作製した。EcoRIおよびSalI制限部位に挟まれたOPT2およびOPT3 PAH配列を、Eurofins GenomicsおよびIDTにより合成し、EcoRIおよびSalIによって消化したレンチウイルスベクターにライゲートした。
【0258】
ハイブリッドPAHコドン最適化配列を、StuI(New England Biolabs)による制限エンドヌクレアーゼ消化によって構築した。C末端断片を、OPT2またはOPT3配列のいずれかを含有するLV-Pro-hAAT-PAHプラスミドから消化した。C末端OPT3断片を、N末端OPT2配列を含有するプラスミドにライゲートし直して、OPT2/3配列(配列番号71)を作製した。C末端OPT2配列を、N末端OPT3配列を含有するプラスミドにライゲートし直して、OPT3/2配列(配列番号72)を作製した。断片の正確な方向をシークエンシングによって確認した(Eurofins Genomics)。
【0259】
(実施例7)
Hepa1-6細胞においてPAHのコドン最適化バージョンを発現するLV-Pro-hAAT-hPAHによるPAHの発現
【0260】
本実施例は、Pro hAATおよびPAHのコドン最適化バージョンを含有するレンチウイルスベクターを使用するPAHの発現の実例を示す。
【0261】
実施例6に記載のように、hPAHをコドン最適化し(GeneArt ThermoおよびIDT)、合成し(IDTおよびEurofins Genomics)、およびプロトロンビンエンハンサー-hAATプロモーターを含有するレンチウイルスベクターに挿入した。配列の挿入を、DNAシークエンシング(Eurofins Genomics)によって確認した。
【0262】
次に、hPAHまたはコドン最適化hPAHを含有するレンチウイルスベクターを使用して、マウスHepa1-6細胞(American Type Culture Collection)を形質導入した。細胞にレンチウイルス粒子を5感染多重度(MOI)で形質導入し、3日後、タンパク質発現を、PAH発現に関してイムノブロットによって分析した。細胞を、1%NP-40およびプロテアーゼ阻害剤混合物(Thermo)を含有するTris-HCl(pH7.5)緩衝液によって溶解した。細胞溶解物を、10000RPMで15分間遠心分離し、タンパク質濃度をタンパク質アッセイ試薬(Bio-Rad)によって決定した。タンパク質溶解物を4~12%Tris-Bisゲル(Thermo)上で分離し、Bio-Rad転写ユニットにおいて12時間転写した。PAHの発現を、抗PAH抗体(MilliporeSigma)を使用するイムノブロットによって検出し、抗ベータアクチン抗体(MilliporeSigma)をローディングコントロールのために使用した。PAH発現は、プロトロンビンエンハンサーおよびhAATプロモーターによって駆動された。様々な例において、レンチウイルスベクターは、hPAHまたはhPAH遺伝子のコドン最適化バージョンのいずれかを組み込んだ。
【0263】
図4Aは、Hepa1-6細胞におけるプロトロンビン-hAAT PAHおよびプロトロンビン-hAATコドン最適化PAH(OPT2;配列番号2)を含有するレンチウイルスベクターからのPAH発現を実証するデータを示す。PAHのコドン最適化バージョン(OPT2)の発現はhPAHの発現より44%少なかった。
図4Bは、Hepa1-6細胞におけるプロトロンビン-hAAT PAHまたはPAHの3つの異なるコドン最適化バージョンのいずれかを含有するレンチウイルスベクターからのイムノブロットによってPAHタンパク質発現を比較する。イムノブロットの第1のレーンは、非形質導入細胞からなり、第2のレーンはPAHのヒトバージョン(hPAH)を発現するレンチウイルスを形質導入した細胞であり(1に設定)、第3のレーンはPAHのコドン最適化バージョン3(OPT3;配列番号70)を発現するレンチウイルスを形質導入した細胞であり(2.6倍の増加)、第4のレーンは、PAHのコドン最適化バージョン2/3(OPT2/3;配列番号71)を発現するレンチウイルスを形質導入した細胞であり(1.9倍の増加)、および最後のレーンは、PAHのコドン最適化バージョン3/2(OPT3/2;配列番号72)を発現するレンチウイルスを形質導入した細胞(1.4倍の増加)である。各々のイムノブロットについてのバンドの強度は、Adobe PhotoShop(登録商標)を使用してデンシトメトリーによって決定した。
【0264】
図4Aおよび4Bに示すように、コドン最適化OPT3 PAH配列による形質導入は、(i)コドン最適化OPT2(配列番号2)、OPT2/3(配列番号71)、およびOPT3/2 PAH(配列番号72)配列による形質導入と比べて、ならびに(ii)hPAH配列(配列番号1)による形質導入と比べてPAH発現の増加をもたらした。
【0265】
(実施例8)
Hepa1-6細胞におけるhPAHおよびPAHのコドン最適化バージョンの形質導入後のPAH mRNAの発現レベルの測定
【0266】
本実施例は、PAH RNAの発現が、
図5に示すように、コドン最適化されていないPAH配列(配列番号1)と比べてプロトロンビン-hAATコドン最適化PAH(OPT3(配列番号70)およびOPT2/3(配列番号71))を含有するレンチウイルスベクターを5MOIで形質導入したHepa1-6癌細胞において増加することの実例を示す。
【0267】
hPAHを、コドン最適化し(GeneArt Thermo)、合成し(IDTおよびEurofins Genomics)、プロトロンビンエンハンサー-hAATプロモーターを含有するレンチウイルスベクターに挿入した。配列の挿入を、DNAシークエンシング(Eurofins Genomics)によって確認した。非最適化PAHまたはコドン最適化PAHを含有するレンチウイルスベクターを使用して、Hepa1-6マウス癌細胞(American Type Culture Collection)に形質導入した。細胞に、レンチウイルス粒子を形質導入し、3日後にRNAをRNeasyキット(Qiagen)によって抽出し、QuantStudio3(Thermo)によるqPCRによって分析した。hPAH RNA発現を、TaqManプローブおよびプライマー(IDT):hPAHに関して、hPAH FAM TaqManプローブ(5’-TCGTGAAAGCTCATGGACAGTGGC-3’:配列番号64)およびプライマーセット(PAH TaqManフォワードプライマー:5’-AGATCTTGAGGCATGACATTGG-3’:配列番号65;およびPAH TaqManリバースプライマー:5’-GTCCAGCTCTTGAATGGTTCTT-3’:配列番号66)によって検出した。総RNA(100ng)をアクチンFAMプローブ(5’-AGCGGGAAATCGTGCGTGAC-3’:配列番号67)およびプライマーセット(アクチンフォワードプライマー:5’-GGACCTGACTGACTACCTCAT-3’:配列番号68;およびアクチンリバースプライマー:5’-CGTAGCACAGCTTCTCCTTAAT-3’:配列番号69)で正規化した。
【0268】
図5に示すように、3つの群を比較する:PAH(配列番号1)(バー1)またはPAHのコドン最適化バージョン(OPT3(配列番号70)およびOPT2/3(配列番号71、それぞれ、バー2および3)のコード領域を発現するレンチウイルスベクターを5MOIで形質導入したHepa1-6細胞。PAH RNAレベルを、PAH(配列番号1)(1に設定)を発現するHepa1-6細胞からのRNAの倍率変化として表記する。コドン最適化バージョン(OPT3:配列番号70)からPAHを発現する細胞では、PAH(配列番号1)と比較して発現が4.5倍増加した。コドン最適化バージョン(OPT2/3:配列番号71)からPAHを発現する細胞では、PAH(配列番号1)と比較して発現が2.2倍増加した。
【0269】
(実施例9)
Hepa1-6細胞およびHep3B細胞におけるHNF1またはHNF1/4結合部位を含有するコドン最適化PAH配列およびプロトロンビンエンハンサーによるPAHのレンチウイルス送達による発現
【0270】
本実施例は、
図6A~6Bに示すように、コドン最適化hPAHの発現が、プロトロンビンエンハンサーおよび上流のHNF1/4結合部位と共にhAATプロモーターを含有するレンチウイルスベクターを形質導入した場合に、マウスHepa1-6およびヒトHep3B癌細胞において増加することの実例を示す。本実施例はまた、hPAHコード配列のコドン最適化バージョン(OPT3)が、Hepa1-6細胞およびHep3B細胞において非最適化hPAHコード領域配列より多く発現することも示す。本実施例は、プロトロンビンエンハンサーと組み合わせて肝細胞核内因子-1および-4(HNF1およびHNF1/4)結合部位を発現するレンチウイルスベクターがHepa1-6細胞およびHep3B細胞においてPAHタンパク質のレベルを増加させることの実例もさらに示す。
【0271】
hPAH(最適化および非最適化)およびHNF1/4結合部位を有するプロトロンビンエンハンサーの変形を合成し(Eurofin GenomicsおよびIDT)、hAATプロモーターを含有するレンチウイルスベクターに挿入した。配列の挿入をDNAシークエンシング(Eurofin Genomics)によって確認した。次に、確認されたPAH配列を含有するレンチウイルスベクターを使用して、Hepa1-6マウス肝臓がん細胞(American Type Culture Collection、Manassas)に形質導入した。細胞に、レンチウイルス粒子を5MOIで形質導入し、3日後にタンパク質をPAH発現に関してイムノブロットによって分析した。細胞を、1%NP-40およびプロテアーゼ阻害剤混合物(Thermo)を含有するTris-HCl(pH7.5)緩衝液によって溶解した。細胞溶解物を、10000RPMで15分間遠心分離し、タンパク質濃度をタンパク質アッセイ試薬(Bio-Rad)によって決定した。タンパク質溶解物を、4~12%Tris-Bisゲル(Thermo)上で分離し、Bio-Rad転写ユニットに12時間転写した。PAHの発現を、抗PAH抗体(MilliporeSigma)を使用してイムノブロットによって検出し、抗ベータアクチン抗体(MilliporeSigma)をローディングコントロールのために使用した。PAH発現は、プロトロンビンエンハンサーおよびhAATプロモーターにより駆動された。レンチウイルスベクターは、様々な例においてhPAH遺伝子のコドン最適化バージョンまたはコドンが変更されないままであるhPAH遺伝子のいずれかを組み込んだ。加えて、これらの構築物におけるPAH発現は、上流のHNF1またはHNF1/4結合部位を有する肝臓特異的プロトロンビンエンハンサーを含有するhAATプロモーターによって駆動された。イムノブロットについてのバンドの強度は、Adobe PhotoShop(登録商標)を使用するデンシトメトリーによって決定した。
【0272】
図6Aに示すように、6つの群を比較する:(1)Hepa1-6細胞単独(レーン1)、(2)プロトロンビンエンハンサー/hAATプロモーターによりhPAHのコード領域を発現するレンチウイルスベクター(レーン2)(1に設定)、(3)プロトロンビンエンハンサー/hAATプロモーターによりコドン最適化hPAH(OPT3)を発現するレンチウイルスベクター(レーン3)(5.7倍の増加)、(4)プロトロンビンエンハンサーの上流に1つのHNF-1および-4結合部位を有するプロトロンビンエンハンサー/hAATによりコドン最適化hPAH(OPT3)を発現するレンチウイルスベクター(レーン4)(5.6倍の増加)、(5)プロトロンビンエンハンサーの上流に3つのHNF-1および-4結合部位を有するプロトロンビンエンハンサー/hAATによりコドン最適化hPAH(OPT3)を発現するレンチウイルスベクター(レーン5)(5.8倍の増加)、ならびに(6)プロトロンビンエンハンサーの上流に5つのHNF-1結合部位を有するプロトロンビンエンハンサー/hAATによりコドン最適化hPAH(OPT3)を発現するレンチウイルスベクター(レーン6)(5.9倍の増加)。本実験に使用したhPAHについての配列は、配列番号1であった。本実験に使用したコドン最適化PAHのために使用した配列は、配列番号70であった。
【0273】
図6Bに示すように、6つの群を比較する:(1)Hep3B細胞単独(レーン1)、(2)プロトロンビンエンハンサー/hAATプロモーターによりhPAH(配列番号1)のコード領域を発現するレンチウイルスベクター(配列番号61)(レーン2)(1に設定)、(3)プロトロンビンエンハンサー/hAATプロモーター(配列番号61)によりコドン最適化hPAH(OPT3)(配列番号70)を発現するレンチウイルスベクター(レーン3)(4.1倍の増加)、(4)プロトロンビンエンハンサーの上流に1つのHNF-1および-4結合部位(配列番号9)を有するプロトロンビンエンハンサー/hAATプロモーターによりコドン最適化hPAH(OPT3)を発現するレンチウイルスベクター(レーン4)(5.3倍の増加)、(5)プロトロンビンエンハンサーの上流に3つのHNF-1および-4結合部位(配列番号10)を有するプロトロンビンエンハンサー/hAATプロモーターによりコドン最適化hPAH(OPT3)を発現するレンチウイルスベクター(レーン5)(4.8倍の増加)、および(6)プロトロンビンエンハンサーの上流に5つのHNF-1結合部位(配列番号8)を有するプロトロンビンエンハンサー/hAATプロモーターによりコドン最適化hPAH(OPT3)を発現するレンチウイルスベクター(レーン6)(4.5倍の増加)。
【0274】
図6Aおよび6Bは、PAHの発現が、PAHを形質導入したHepa1-6およびHep3B癌細胞と比べて、プロトロンビンエンハンサーの上流にHNF1またはHNF1/4結合部位を有するPAH(OPT3)のコドン最適化バージョンを含有するレンチウイルスベクターを形質導入した場合、Hepa1-6およびHep3B癌細胞において増加することを実証する。
【0275】
(実施例10)
コドン最適化PAH配列、およびhAATエンハンサー/トランスサイレチンプロモーター/マウス微小ウイルスイントロンまたはプロトロンビンエンハンサー/hAATプロモーター/マウス微小ウイルスイントロンのいずれかを含有する調節配列を有する、Huh-7細胞におけるレンチウイルス送達によるhPAHの発現
【0276】
本実施例は、
図7に示すように、コドン最適化ヒトPAHの発現が、イントロンおよび代替のエンハンサー/プロモーターの組み合わせを含有する代替の構築物と比較して、肝臓特異的調節エレメントを含有するレンチウイルスベクターによりヒト肝細胞癌細胞において増加することの実例を示す。
【0277】
プロトロンビンエンハンサー(配列番号61)と組み合わせたhAATプロモーターは、PAH発現を増加させたが、マウス微小ウイルスのイントロン配列(配列番号80)を加えても発現を増強しなかった。プロトロンビンエンハンサーおよびhAATプロモーター(配列番号61)をコドン最適化PAH配列(配列番号70)と組み合わせると、hAATプロモーター(配列番号82)およびトランスサイレチンエンハンサー(配列番号81)と比較してPAHのより高い発現をもたらした。
【0278】
肝臓特異的調節配列を合成し(IDT)、最適化PAH配列の上流でレンチウイルスベクターに挿入した。配列の挿入をDNAシークエンシング(Eurofin Genomics)によって確認した。次に、確認された配列を含有するレンチウイルスベクターを使用して、Huh-7肝臓がん細胞(Japanese Collection of Research Bioresources Cell Bank)を形質導入した。細胞に、レンチウイルス粒子を50MOIで形質導入し、3日後にタンパク質をPAH発現に関してイムノブロットによって分析した。細胞を、1%NP-40およびプロテアーゼ阻害剤混合物(Thermo)を含有するTris-HCl(pH7.5)緩衝液によって溶解した。細胞溶解物を、12,000RPMで15分間遠心分離し、タンパク質濃度をタンパク質アッセイ試薬(Bio-Rad)によって決定した。タンパク質溶解物を、4~12%Tris-Bisゲル(Thermo)上で分離し、Bio-Rad転写ユニットに16時間転写した。PAHの発現を、抗PAH抗体(MilliporeSigma)を使用してイムノブロットによって検出し、抗ベータアクチン抗体(MilliporeSigma)をローディングコントロールのために使用した。イムノブロットのバンドの強度は、Adobe PhotoShop(登録商標)を使用するデンシトメトリーによって決定した。
【0279】
図7に示すように、4つの群を比較する:(i)Huh-7細胞単独(レーン1);(ii)コドン最適化hPAH(OPT3;配列番号70)およびプロトロンビンエンハンサー/hAATプロモーター(配列番号61)を発現するレンチウイルスベクター(レーン2)(ベースラインのバンド強度を1に設定した);(iii)プロトロンビンエンハンサー/hAATプロモーターおよびマウス微小ウイルスのイントロン配列(配列番号78)によりコドン最適化hPAH(OPT3)を発現するレンチウイルスベクター(レーン3)(バンド強度0.80);および(iv)hAATプロモーター/トランスサイレチンエンハンサーおよびマウス微小ウイルスのイントロン配列(配列番号79)によりコドン最適化hPAH(OPT3)を発現するレンチウイルスベクター(レーン4)(バンド強度0.36)。
【0280】
結果は、マウス微小ウイルスのイントロン配列をコードするレンチウイルスベクターが、このイントロン配列を欠如するレンチウイルスベクターと比べて低いPAH発現をもたらしたことの実例を示す(
図7のレーン2をレーン3と比較する)。この知見は、以前の研究が、マウス微小ウイルスのイントロン配列がベクターからの外因性の遺伝子発現を増加させることを示唆しているために予想外である。加えて、本実施例は、意外にも肝臓特異的遺伝子発現のために使用したプロモーター/エンハンサーの組み合わせを含有するレンチウイルスベクターが、本明細書に提供される追加のイントロンを有しないプロトロンビンエンハンサー/hAATプロモーターの特定の組み合わせを含有するレンチウイルスベクターより低いPAH発現をもたらしたことを示している(
図7のレーン2をレーン4と比較)。
【0281】
(実施例11)
変異体WPRE配列または短鎖WPRE(WPREs)配列のいずれかを有し、PAHまたはアルブミン3’UTR配列のいずれかを含有するコドン最適化PAH配列による、Huh-7細胞におけるレンチウイルス送達によるhPAHの発現
【0282】
本実施例は、
図8に示すように、コドン最適化ヒトPAHの発現が、3’UTRおよび代替のWPRE配列を含む代替のベクター構築物と比較して肝臓特異的調節エレメントを含有するレンチウイルスベクターにより、ヒト肝細胞癌細胞において増加することの実例を示す。
【0283】
WPREを、Xタンパク質配列(配列番号87)を有しないより短い変異体バージョンに改変すると、PAHの発現は、野生型WPRE(配列番号18)を含有するベクターより低いが類似であった。PAH遺伝子(配列番号85)またはアルブミン遺伝子(配列番号86)のいずれかからの3’UTR配列を、PAHコード配列の下流に加えると、PAH最適化バージョンの3-PAH 3’UTR配列(配列番号83)またはPAH最適化バージョン3-アルブミン3’UTR配列(配列番号84)のいずれかをもたらし、3’UTRを含有しないベクターと比べてPAHの発現が減少した。
【0284】
WPREおよび3’UTR配列を合成し(IDT)、最適化PAH配列の上流でレンチウイルスベクターに挿入した。配列の挿入をDNAシークエンシング(Eurofin Genomics)によって確認した。次に、確認された配列を含有するレンチウイルスベクターを使用して、Huh-7肝臓がん細胞(Japanese Collection of Research Bioresources Cell Bank)に形質導入した。細胞に、レンチウイルス粒子を50MOIで形質導入し、3日後にタンパク質をPAH発現に関してイムノブロットによって分析した。細胞を、1%NP-40およびプロテアーゼ阻害剤混合物(Thermo)を含有するTris-HCl(pH7.5)緩衝液によって溶解した。細胞溶解物を、12,000RPMで15分間遠心分離し、タンパク質濃度をタンパク質アッセイ試薬(Bio-Rad)によって決定した。タンパク質溶解物を、4~12%Tris-Bisゲル(Thermo)上で分離し、Bio-Rad転写ユニットに16時間転写した。PAHの発現を、抗PAH抗体(MilliporeSigma)を使用してイムノブロットによって検出し、抗ベータアクチン抗体(MilliporeSigma)をローディングコントロールのために使用した。イムノブロットのバンドの強度は、Adobe PhotoShop(登録商標)を使用するデンシトメトリーによって決定した。
【0285】
図8に示すように、5つの群を比較する:(i)Huh-7細胞単独(レーン1);(ii)コドン最適化hPAH(OPT3;配列番号70)、プロトロンビンエンハンサー/hAATプロモーター(配列番号61)、および野生型WPRE(配列番号18)を発現するレンチウイルスベクター(レーン2)(ベースラインバンド強度を1に設定した);(iii)コドン最適化hPAH(OPT3;配列番号70)、プロトロンビンエンハンサー/hAATプロモーター(配列番号61)、およびX-タンパク質の発現を欠如する変異体WPRE(配列番号87)を発現するレンチウイルスベクター(レーン3)(バンド強度0.81);(iv)コドン最適化hPAH(OPT3;配列番号70)、プロトロンビンエンハンサー/hAATプロモーター(配列番号61)を発現し、PAH 3’UTR(配列番号85)を有するレンチウイルスベクター(レーン4)(バンド強度0.68);ならびに(v)コドン最適化hPAH(OPT3;配列番号70)およびプロトロンビンエンハンサー/hAATプロモーター(配列番号61)を発現し、アルブミン3’UTR(配列番号86)(レーン5)を有するレンチウイルスベクター(バンド強度は0.85)。
【0286】
結果は、変異体WPREを正常に使用される野生型WPREに代えて用いる、またはヒトPAH遺伝子の天然の3’UTRを加える、または細胞の形質導入のために使用されるヒトアルブミン遺伝子の3’UTRを加えるレンチウイルスベクターが、野生型WPREを含有し、3’UTR配列を含有しないPro-hAAT-PAH(OPT3)ベクターと比較してPAHのより低い発現をもたらすことの実例を示す。結果はまた、アルブミンPAH 3’UTRをコードするレンチウイルスベクターと比べて天然のヒトPAH 3’UTRをコードするレンチウイルスベクターを使用した場合、PAH発現に負の効果を及ぼすことの実例も示す(
図8のレーン4をレーン5と比較する)。この知見は、天然のヒトPAH 3’UTRと比べてアルブミンPAH 3’UTRを使用する場合に起こるPAH mRNAの二次構造の変化が原因であり得る。二次構造のこの変化は、PAHのコード領域と3’UTRとの間の相互作用を低減し、それによってより高いPAH発現レベルをもたらし得る。その上、この例で示すように、3’UTR PAHを欠如するレンチウイルスベクターを使用する場合、PAHの発現レベルは最高である(
図8のレーン4および5をレーン2と比較する)。
【0287】
配列表
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【表1-15】
【表1-16】
【表1-17】
【表1-18】
【表1-19】
【表1-20】
【表1-21】
【表1-22】
【表1-23】
【表1-24】
【表1-25】
【表1-26】
【表1-27】
【配列表】
【国際調査報告】