(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-25
(54)【発明の名称】ラインアレイを用いた物体の検出
(51)【国際特許分類】
G01S 17/89 20200101AFI20220818BHJP
G01S 7/483 20060101ALI20220818BHJP
G05D 1/02 20200101ALI20220818BHJP
A47L 9/28 20060101ALI20220818BHJP
【FI】
G01S17/89
G01S7/483
G05D1/02 L
A47L9/28 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021564849
(86)(22)【出願日】2019-05-09
(85)【翻訳文提出日】2021-11-16
(86)【国際出願番号】 EP2019061900
(87)【国際公開番号】W WO2020224782
(87)【国際公開日】2020-11-12
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516124465
【氏名又は名称】アクチエボラゲット エレクトロルックス
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォルスベルグ、ペッテル
【テーマコード(参考)】
3B057
5H301
5J084
【Fターム(参考)】
3B057DE02
5H301AA02
5H301BB11
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301GG08
5H301GG09
5J084AA01
5J084AA05
5J084AB17
5J084AC07
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA05
5J084BA13
5J084BA16
5J084BA36
5J084BA39
5J084BA40
5J084CA03
5J084CA31
5J084EA22
5J084EA27
5J084EA31
(57)【要約】
本発明は、ロボット清掃デバイス(100)、及びロボット清掃デバイス(100)における、ロボット清掃デバイス(100)が清掃対象表面上で移動するとともに物体を検出する方法に関する。一態様では、ロボット清掃デバイス(100)であって、それが清掃対象表面上で移動するとともに物体を検出するように構成された、ロボット清掃デバイス(100)が提供される。ロボット清掃デバイス(100)は、ロボット清掃デバイス(100)の前方に近距離広角光ビームを生成するように構成された第1の光源(102)と、ロボット清掃デバイス(100)の前方に長距離水平狭角光ビームを生成するように構成された第2の光源(103)と、光源(102、103)のうちの1つ以上からの反射光を検出し、前記光が反射された、照明された物体を検出するように構成されたアレイセンサ(101)と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット清掃デバイスであって、それが清掃対象の表面の上で移動するとともに物体を検出するように構成された、ロボット清掃デバイスにおいて、前記ロボット清掃デバイスが、
前記ロボット清掃デバイスの前方に近距離広角光ビームを生成するように構成された第1の光源と、
前記ロボット清掃デバイスの前方に長距離水平狭角光ビームを生成するように構成された第2の光源と、
前記光源のうちの1つ以上からの反射光を、前記反射光が反射された、照明された物体を検出するために検出するように構成されたアレイセンサと、
を備える、ロボット清掃デバイス。
【請求項2】
前記ロボット清掃デバイスの前方に前記表面に向けて近距離水平狭角光ビームを生成するように構成された第3の光源をさらに備える、請求項1に記載のロボット清掃デバイス。
【請求項3】
前記光源を、1度に1つの光源ずつ、光を放射するように制御し、前記それぞれの光源から放射され、前記アレイセンサ上へ反射されている前記光の飛行時間を計算し、前記計算された飛行時間、及び前記アレイセンサ上の前記反射光の位置に基づいて、前記光が反射された物体の位置を決定するように構成されたコントローラをさらに備える、請求項1又は2に記載のロボット清掃デバイス。
【請求項4】
前記光源が、60~120°、より特定的には、85~95°、さらにより特定的には、90°の水平放射角度をもって光を放射するように構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載のロボット清掃デバイス。
【請求項5】
前記第1の光源が、65~75°、より特定的には、70°の鉛直放射角度をもって光を放射するように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のロボット清掃デバイス。
【請求項6】
前記第2の光源が、0.1~1.5°、より特定的には、1°の鉛直放射角度をもって光を放射するように構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載のロボット清掃デバイス。
【請求項7】
前記第3の光源が、0.1~1.5°、より特定的には、1°の鉛直放射角度をもって光を放射するように構成されている、請求項2~4のいずれか1項に記載のロボット清掃デバイス。
【請求項8】
前記第1の光源が発光ダイオードを含み、
前記第2の光源がレーザを含み、
前記第3の光源がレーザを含む、請求項2~4および7のいずれか1項に記載のロボット清掃デバイス。
【請求項9】
前記アレイセンサがラインアレイセンサを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載のロボット清掃デバイス。
【請求項10】
ロボット清掃デバイスの、それが清掃対象表面上で移動するとともに物体を検出する方法であって、前記ロボット清掃デバイスが、
第1の光源を、前記ロボット清掃デバイスの前方に近距離広角光ビームを生成するように制御し、アレイセンサ上で、前記第1の光源からの反射光を、前記反射光が反射された、照明された物体を検出するために検出することと、
第2の光源を、前記ロボット清掃デバイスの前方に長距離水平狭角光ビームを生成するように制御し、アレイセンサ上で、前記第2の光源からの反射光を、前記反射光が反射された、照明された物体を検出するために検出することと、
を含む、方法。
【請求項11】
第3の光源を、前記ロボット清掃デバイスの前方に長距離水平狭角光ビームを生成するように制御し、アレイセンサ上で、前記第3の光源からの反射光を、前記反射光が反射された、照明された物体を検出するために検出することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の光源、前記第2の光源、および前記第3の光源を、1度に1つの光源ずつ、光を放射するように制御し、前記第1の光源、前記第2の光源、および前記第3の光源のそれぞれから放射され、前記アレイセンサ上へ反射されている前記光の飛行時間を計算し、前記計算された飛行時間、及び前記アレイセンサ上の前記反射光の位置に基づいて、前記光が反射された物体の位置を決定することをさらに含む、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
コンピュータ実行可能命令が、デバイス内に含まれるコントローラ上で実行されたときに、前記デバイスに、請求項10~12のいずれか1項に記載の方法を遂行させるための前記コンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラム。
【請求項14】
コンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータ可読媒体が、その上に組み込まれた請求項13に記載のコンピュータプログラムを有する、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット清掃デバイス、及びロボット清掃デバイスにおける、ロボット清掃デバイスが清掃対象表面上で移動するとともに物体を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの技術分野において、あり得る障害物と衝突することなく空間を自由に動き回ることができるよう、自律的挙動を有するロボットを用いることが望まれる。
【0003】
当技術分野においては、掃除機を、清掃対象表面を横切って移動させるためのモータの形態の駆動手段を装備した、ロボット真空掃除機が知られている。ロボット真空掃除機は、ロボット真空掃除機が、例えば、床の形態の表面を自由に動き回り、清掃することができるよう、自律的挙動を生じさせるための、マイクロプロセッサの形態の知能、及び進路誘導手段をさらに装備する。それゆえ、これらの従来技術のロボット真空掃除機は、部屋を、家具、ペット、壁、扉等などの、部屋内に配置された障害物と衝突することなく、多かれ少なかれ自律的に横切って移動し、真空掃除する能力を有する。
【0004】
いくつかの従来技術のロボット真空掃除機は、部屋を走行し、障害物を検出するために、飛行時間(time-of-flight、TOF)カメラなどの高度な3Dセンサを用いる。しかし、3Dセンサに関する一般的問題は、それらが高価であることである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、当技術分野におけるこの問題を解決するか、又は少なくとも緩和し、ロボット清掃デバイスが清掃対象表面を走行することを可能にする代替的な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明の第1の態様において、ロボット清掃デバイスであって、それが清掃対象表面上で移動するとともに物体を検出するように構成された、ロボット清掃デバイスによって達成される。ロボット清掃デバイスは、ロボット清掃デバイスの前方に近距離広角光ビームを生成するように構成された第1の光源と、ロボット清掃デバイスの前方に長距離水平狭角光ビームを生成するように構成された第2の光源と、光源のうちの1つ以上からの反射光を、前記光が反射された、照明された物体を検出するために検出するように構成されたアレイセンサと、を備える。
【0007】
この目的は、本発明の第2の態様において、ロボット清掃デバイスの、それが清掃対象表面上で移動するとともに物体を検出する方法によって達成される。本方法は、第1の光源を、ロボット清掃デバイスの前方に近距離広角光ビームを生成するように制御し、アレイセンサ上で、第1の光源からの反射光を、前記光が反射された、照明された物体を検出するために検出することと、第2の光源を、ロボット清掃デバイスの前方に長距離水平狭角光ビームを生成するように制御し、アレイセンサ上で、第2の光源からの反射光を、前記光が反射された、照明された物体を検出するために検出することと、を含む。
【0008】
実施形態に係るロボット真空掃除機では、ロボット清掃デバイスの前方に近距離広角光ビームを生成するように構成された、例えば、発光ダイオード(light-emitting diode、LED)によって具体化された、第1の光源が、衝突を回避するべく任意の障害物を検出するために主に利用される。
【0009】
例えば、レーザによって具体化された、第2の光源は、ロボット清掃デバイスの前方に、例えば、同時位置決め地図作成(simultaneous localization and mapping、SLAM)を利用した進路誘導のために用いられるべき反射詳細情報が取得され得る長距離水平狭角光ビームを生成するように構成されている。
【0010】
有利に、2つの光源を用いることで、比較的低い分解能のラインアレイセンサを用いるが、依然として、物体検出及び進路誘導をロボット清掃デバイスのために可能にすることが可能である。
【0011】
一実施形態では、ロボット清掃デバイスは、ロボット清掃デバイスの前方の表面(例えば、床)に向けて近距離水平狭角光ビームを生成するように構成された第3の光源を備える。第3の光源はレーザの形態で具体化され得、例えば、家具などの、近距離物体、さらにまた、接近する壁、又は例えば、下の階への階段室の形態の棚部(一般的に「断崖検出」と称される)を検出するために有利に利用される。
【0012】
一実施形態では、ロボット清掃デバイスは、光源を、1度に1つの光源ずつ、光を放射するように制御し、それぞれの光源から放射され、アレイセンサ上へ反射されている光の飛行時間を計算し、計算された飛行時間、及びアレイセンサ上の反射光の位置に基づいて、光が反射された物体の位置を決定するように構成されたコントローラを備える。
【0013】
一実施形態では、光源は、60~120°、より特定的には、85~95°、さらにより特定的には、90°の水平放射角度をもって光を放射するように構成されている。
【0014】
一実施形態では、第1の光源は、65~75°、より特定的には、70°の鉛直放射角度をもって光を放射するように構成されている。
【0015】
一実施形態では、第2の光源は、0.1~1.5°、より特定的には、1°の鉛直放射角度をもって光を放射するように構成されている。
【0016】
一実施形態では、第3の光源は、0.1~1.5°、より特定的には、1°の鉛直放射角度をもって光を放射するように構成されている。
【0017】
以下において、本発明の好ましい実施形態が説明される。
【0018】
概して、請求項において使用される全ての用語は、本明細書において別途明示的に定義されない限り、当技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「a/an/the element,apparatus,component,means,step,etc.(要素、装置、構成要素、手段、ステップなど)」への言及は全て、別途明示的に断りのない限り、要素、装置、構成要素、手段、ステップなどの少なくとも1つの例に言及するものとしてオープンに解釈されるべきである。本明細書において開示される任意の方法のステップは、明示的に断りのない限り、開示されている正確な順序で遂行される必要はない。
【0019】
次に、添付の図面を参照して本発明を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1a】
図1aは、一実施形態に係る、ロボット清掃デバイスが移動する表面上の物体の検出の側面図を示す。
【
図1b】
図1bは、一実施形態に係る、
図1aのロボット清掃デバイスの3つの上面図を示す。
【
図1c】
図1cは、一実施形態に係るロボット清掃デバイスのさらなる側面図を示す。
【
図2】
図2は、一実施形態に係るロボット清掃デバイスの正面図を示す。
【
図3】
図3は、一実施形態に係る、物体を検出する方法のフローチャートを示す。
【
図4】
図4は、ロボット清掃デバイスが移動する表面上の物体の検出の変形例の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、以下において、本発明の特定の実施形態が示された添付の図面を参照して、本発明をより完全に説明する。しかし、本発明は多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書において説明されている実施形態に限定されるように解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的で完全になり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えることになるよう、例として提供されている。本記載全体を通じて同様の番号は同様の要素を指す。
【0022】
本発明は、ロボット清掃デバイス、又は換言すれば、表面を清掃するための自動自己推進式機械、例えば、ロボット真空掃除機、ロボットスイーパ、又はロボット床洗浄機に関する。本発明に係るロボット清掃デバイスは、商用電源駆動式でコードを有するか、電池駆動式であるか、又は任意の他の種類の好適なエネルギー源、例えば、太陽エネルギーを用いることができる。
【0023】
図1aは、本発明の一実施形態に係る、ロボット清掃デバイスが移動する表面上の物体の検出の側面図を示す。
【0024】
それゆえ、ロボット清掃デバイス100は、椅子120の形態の障害物が壁140の前方のラグ130上に配置された床110の上で移動する。それゆえ、ロボット清掃デバイス100は、椅子120を、壁140と同様に、検出し、衝突を回避するためにそれを避けて走行することができ、場合によっては、床110を効果的に清掃するために、及び進路誘導のために、壁140づたいに進むことができなければならない。さらに、例えば、ラグ130の繊維がブラシロールに絡まることを回避するべくロボット100のブラシロール(図示せず)の回転速度を制御するため、又はラグ130の周辺に沿って清掃するため、又はラグ130が、後の機会に、例えば、床を最初に清掃した後に、清掃されるべきであると決定するために、ラグ130を検出することもできることが有利になり得る。これは、例えば、敷居を横断する際にも有用である。
【0025】
上述されたように、例えば、例として、320x340画素のサイズを有する画素アレイを装備したTOFカメラの形態の高度な3Dセンサが利用される、従来技術のロボット掃除機が存在する。このような従来技術のロボット清掃デバイスは、通例、ロボットの周囲を照明するレーザ光源を装備しており、この場合、TOFカメラは、遭遇した物体から反射された光を検出し、かくして、放射されたレーザ光の往復時間を測定することによってロボットからのそれらの距離を決定する。
【0026】
それゆえ、画素ごとにアレイの水平及び鉛直方向に沿って反射光を検出することに加えて、TOFカメラは、画素ごとにTOF測定結果から奥行き情報をさらに導出し、その周囲状況の3D表現を作成する。しかし、このようなカメラは高価である。
【0027】
一実施形態に係るロボット清掃デバイス100は、その代わりに、例えば、1x30画素を有するラインアレイセンサ101、すなわち、単列アレイセンサなどの、はるかにより小さいセンサアレイを装備している。このようなラインアレイセンサははるかにより安価であるが、周囲状況に関して与えられる情報が不可避的に減少することにもなる。
【0028】
例えば、2x30画素、又はさらに、3x30画素を有するマルチラインアレイセンサが用いられることが企図され得る。例えば、1x16画素のアレイなどの、なおいっそう小さいラインアレイセンサが用いられてもよい。
【0029】
例えば、ラインアレイが水平に装着されている場合には、単一の画素列のみが存在することになり、これは、例えば、320x340画素を含むアレイと比べて、鉛直方向の分解能を大幅に制限する。しかし、
図1aにおいて見ることができるように、実施形態に係るロボット清掃デバイス100は複数の光源を装備している。
【0030】
ロボット真空掃除機100の主本体の正面側の上部区分に、ロボット清掃デバイス100の前方に近距離広角光ビームを生成するように構成された第1の光源102が配置されている。第1の光源は、例えば、発光ダイオード(LED)によって具体化され得る。第1の光源は、主に、衝突を回避するべく任意の障害物を検出するために利用される。
【0031】
図1b(ロボット真空掃除機100の3つの上面図を例示目的のために示す)及び
図1c(ロボット真空掃除機100のさらなる側面図を示す)を参照して示される一実施形態では、第1の光源102の水平放射角度α1は、90°前後、例えば、範囲85~95°などの、範囲60~120°にあり、その一方で、第1の光源102の鉛直放射角度α2は、70°前後、例えば、範囲65~75°にある。
【0032】
通例、第1の光源102によって生成される近距離広角光ビームは、反射光の検出時にきめの細かい情報を全くもたらさず、むしろ、物体が掃除機100の前方に存在するか否かに関する粗いタイプの情報を提供することになる。
【0033】
さらに、ロボット真空掃除機100は、ロボット清掃デバイス100の前方に長距離水平狭角光ビームを生成するように構成された第2の光源103を装備している。それゆえ、第2の光源103は、水平面内に広がるが、鉛直方向に狭い、光の「スライス」を生成することになる。第2の光源は、例えば、レーザによって具体化され得る。
【0034】
一実施形態では、第2の光源103の水平放射角度β1は、90°前後、例えば、範囲85~95°などの、範囲60~120°にあり、その一方で、第2の光源103の鉛直放射角度β2は、1°前後、例えば、範囲0.1~1.5°にある。
【0035】
第2の光源103は、通例、そのビームが、ロボット100の視点から多かれ少なかれ真っ直ぐ前方に向けられるように装着されている。第2の光源103は、例えば、同時位置決め地図作成(SLAM)を利用した進路誘導のために用いられるべき反射詳細情報が取得され得る光を放射するレーザであり得る。長距離狭角の第2の光源103を用いることで、任意の検出された物体の詳細が反射光から導出され得、これが、これらの反射が進路誘導のために用いられることを可能にする。
【0036】
任意選択的に、ロボット清掃デバイス100の前方の床120に向けて近距離水平狭角光ビームを生成するように構成された第3の光源104が主本体の正面側に装着されている。第3の光源104はレーザの形態で具体化され得、例えば、家具などの、近距離物体、さらにまた、接近する壁、又は例えば、下の階への階段室の形態の棚部(一般的に「断崖検出」と称される)を検出するために利用される。この場合も先と同様に、これらの反射から導出される情報は、第1の光源102を用いて提供されるものよりも詳細である。
【0037】
一実施形態では、第3の光源104の水平放射角度γ1は、90°前後、例えば、範囲85~95°などの、範囲60~120°にあり、その一方で、第3の光源104の鉛直放射角度γ2は、1°前後、例えば、範囲0.1~1.5°にある。
【0038】
光源のうちの1つ以上は、それぞれの光源のビームを光学的に制御するための光学素子を装備し得ることが理解される。
【0039】
上述されたように、各光源のビームはロボット清掃デバイス100の前方の任意の物体に当たり、アレイの水平及び鉛直方向に沿って反射光を検出し、周囲状況の2D表現を達成する能力を有する、ラインアレイセンサ101に向かって後方反射することになる。
【0040】
さらに、それぞれの光源によって放射されている光ビームの飛行時間を測定することによって、ロボット清掃デバイスに対する物体の位置を決定することが可能であり、これにより、周囲状況の3D表現を提供する奥行き情報を追加的に達成する。
【0041】
図2は、上述されたラインアレイセンサ101、第1の光源102、第2の光源103、及び第3の光源104を示す、本発明の一実施形態における
図1a~1cのロボット清掃デバイス100の正面図を示す。
図2において、全ての3つの光源はセンサ101の鉛直中心線に沿って配置されている。しかし、多くの異なる場所が光源のために企図され得る。
【0042】
図2にさらに示されているのは、駆動車輪105、106、床120の上のロボット清掃デバイスの移動などの、ロボット清掃デバイス100の行動を制御するマイクロプロセッサなどのコントローラ107である。コントローラ107は、ロボット清掃デバイス100の近傍の画像を記録するためのラインアレイセンサ101に動作可能に結合されている。
【0043】
さらに、コントローラ107は、光源の光放射を制御し、ラインアレイセンサ101上への反射ビームの飛行時間を計算するために光源102、103、104に動作可能に結合されている。それゆえ、コントローラ107は、ビームがラインアレイセンサ101上のどこで反射されたのか(すなわち、x及びy位置)を、計算された飛行時間(すなわち、z位置)と組み合わせて分析することによって、遭遇した物体の位置データを導出する能力を有する。任意の動作データは、通例、コントローラ107によって、コンピュータプログラム109に含まれるコンピュータ実行可能命令によって定義されたロボット100の制御を遂行するために実行されるコンピュータプログラム109と共に、メモリ108内に記憶される。前記位置データを導出する際には、アレイセンサに対する光源の配置及び角度が考慮されることが留意される。
【0044】
それゆえ、コントローラ107は、ラインアレイセンサ101を、画像を取り込んで記録するように制御する。コントローラ107は、ロボット清掃デバイス100が清掃対象表面を横切って移動している間に、放射された光ビームが反射された、検出された物体を表現する画像から特徴点を抽出することによって、及びロボット清掃デバイス100からこれらの物体までの距離を測定することによって、画像から、ロボット清掃デバイス100が動作している周囲状況の表現又はレイアウトを作成する。それゆえ、コントローラは、記録された画像の検出された物体から清掃対象表面に対するロボット清掃デバイス100の位置データを導出し、導出された位置データから周囲状況の3D表現を生成し、駆動モータを、生成された3D表現と、生成された3D表現を考慮することによって清掃対象表面が自律的に進路誘導され得るよう、ロボット清掃デバイス100に供給された進路誘導情報とに従って、ロボット清掃デバイス100を、清掃対象表面を横切って移動させるように制御する。導出された位置データはロボット清掃デバイスの進路誘導のための基礎の役割を果たすことになるため、位置付けが正しいことが重要である。さもなければ、ロボットデバイスは、その周囲状況の、誤誘導を招く「地図」に従って走行することになる。
【0045】
それゆえ、ラインアレイセンサ101及びコントローラ107によって記録された画像から生成された3D表現は、ロボット清掃デバイスが避けて走行しなければならない、壁、フロアランプ、テーブル脚、及びロボット清掃デバイス100が横断しなければならない、ラグ、じゅうたん、上り段などの形態の障害物の検出を促進する。それゆえ、ロボット清掃デバイス100は、動作/清掃によってその環境又は周囲状況について学習するように構成されている。
【0046】
一実施形態では、各光源102、103、104の光の放射は、コントローラ107によって、ラインアレイセンサ101が1度に3つのセンサのうちの1つからの反射光のみを検出するように制御される。
【0047】
例えば、
図3のフローチャートに、一実施形態に係る物体を検出する方法が示されている。
【0048】
この例示的な実施形態では、コントローラ107は、ステップS101において、第1の光源102を、光ビームを放射するように制御し、椅子120に当たってラインアレイセンサ101上へ後方反射されている第1の光源102の光ビームを表現するデータを導出する。これは、例えば、30msの期間にわたって遂行される。それゆえ、コントローラ107は、かくして、ロボット清掃デバイス100からの第1の計算された距離に配置された物体内に、すなわち、椅子120が存在すると結論を下す。
【0049】
その後、ステップS102において、コントローラ107は、第2の光源103を、光ビームを放射するように制御し、壁140に当たってラインアレイセンサ101上へ後方反射されている第2の光源103の光ビームを表現するデータを導出する。この場合も先と同様に、これは、例えば、30msの期間にわたって遂行される。それゆえ、コントローラ107は、かくして、ロボット清掃デバイス100からの第2の計算された距離に配置された壁140の形態の物体内に存在すると結論を下す。
【0050】
その後、ステップS103において、ロボット清掃デバイスがラグ140に接近した際に、コントローラ107は、第3の光源104を、光ビームを放射するように制御し、ラグ130に当たってラインアレイセンサ101上へ後方反射されている第3の光源104の光ビームを表現するデータを導出する。この場合も先と同様に、これは、例えば、30msの期間にわたって遂行される。それゆえ、コントローラ107は、かくして、ロボット清掃デバイス100からの第3の計算された距離に配置されたラグ130の形態の物体内に存在すると結論を下す。
【0051】
その後、本方法は、ロボット清掃デバイス100が床110上で移動するとともに、ステップS101において再び最初から開始し得る。
【0052】
有利に、
図3を参照して説明されるように2つの(又はさらに、3つの)光源を交互に用いることで、比較的低い分解能のラインアレイセンサ101を用いるが、依然として、物体検出及び進路誘導をロボット清掃デバイス100のために可能にすることが可能である。
【0053】
期間は、異なる光源102、103、104のために異なってもよく、それらは、必ずしも、
図3において説明された順序で制御されないことが留意される。例えば、ラグ130に接近すると、その特定の期間におけるラグ130の検出が、壁140を検出することよりも重要であるため、第3の光源104は、他の2つのうちのいずれかが、光を再び放射するように制御される前に、比較的長い時間にわたって光を放射するように制御される。
【0054】
図2をさらに参照すると、1つ以上のマイクロプロセッサの形態で具体化されたコントローラ/処理ユニット107は、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)、フラッシュメモリ、又はハードディスクドライブなどの、マイクロプロセッサに関連付けられた好適な記憶媒体108にダウンロードされたコンピュータプログラム109を実行するように構成されている。コントローラ107は、コンピュータ実行可能命令を含む適切なコンピュータプログラム109が記憶媒体108にダウンロードされ、コントローラ107によって実行されたときに、本発明の実施形態に係る方法を実施するように構成されている。記憶媒体108はまた、コンピュータプログラム109を含むコンピュータプログラム製品であってもよい。代替的に、コンピュータプログラム109は、デジタル多用途ディスク(digital versatile disc、DVD)、コンパクトディスク(compact disc、CD)、又はメモリスティックなどの、好適なコンピュータプログラム製品を用いて記憶媒体108へ転送されてもよい。さらなる代替例として、コンピュータプログラム109は有線又は無線ネットワークを通じて記憶媒体108にダウンロードされてもよい。コントローラ107は、代替的に、デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field-programmable gate array、FPGA)、複合プログラマブル論理デバイス(complex programmable logic device、CPLD)などの形態で具体化されてもよい。
【0055】
図4は、LEDなどの、第4の光源111が利用される、
図1a~1cのロボット清掃デバイス100の変形例を示す。任意選択的な第3の光源104は
図4に示されていない。
【0056】
第1の光源102と同様に、第4の光源111は、ロボット清掃デバイス100の前方に近距離広角光ビームを生成するように構成されている。第4の光源111の水平放射角度は、90°前後、例えば、範囲85~95°などの、範囲60~120°にあり得、その一方で、第4の光源111の鉛直放射角度は、70°前後、例えば、範囲65~75°にあり得る。
【0057】
第4の光源111は、鉛直分解能を増大させるために、鉛直方向に放射された光が、第1の光源102から放射された光と(少なくとも部分的に)重なるよう、ロボット清掃デバイス100の正面側に配置されている。また、物体を検出するため、又は物体を経時的に追跡するために、受信信号の強度を利用することも可能である。
【0058】
本発明は主に以上において数個の実施形態を参照して説明された。しかし、当業者によって容易に理解されるように、以上に開示されているもの以外の実施形態も、添付の特許請求項によって定義されるとおりの本発明の範囲内で同等に可能である。
【国際調査報告】