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特表2022-538399老眼でない個人の近見視力調節状態を自動的に評価するための方法および関連する装置
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  • 特表-老眼でない個人の近見視力調節状態を自動的に評価するための方法および関連する装置 図1
  • 特表-老眼でない個人の近見視力調節状態を自動的に評価するための方法および関連する装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-02
(54)【発明の名称】老眼でない個人の近見視力調節状態を自動的に評価するための方法および関連する装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/103 20060101AFI20220826BHJP
【FI】
A61B3/103
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575918
(86)(22)【出願日】2020-06-15
(85)【翻訳文提出日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2020066470
(87)【国際公開番号】W WO2020254239
(87)【国際公開日】2020-12-24
(31)【優先権主張番号】1906593
(32)【優先日】2019-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521552213
【氏名又は名称】シービュー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピシェロー,ロール
(72)【発明者】
【氏名】ウッグ,ケリー
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA13
4C316AA15
4C316AA16
4C316FA01
4C316FA18
4C316FB07
4C316FZ01
(57)【要約】
本発明の一態様は、老眼でない個人の近見視力調節状態を自動的に評価するための方法であって、コンピュータによって実行され、遠見視力評価報告の生成に至る個人の遠見視力の評価後に実行され、遠見視力評価報告に応じた少なくとも1つの推奨を任意選択的に含む近見視力評価報告を生成するステップを含む方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
老眼でない個人の近見視力調節状態を自動的に評価するための方法(100)であって、方法(100)は、個人の遠見視力の評価が遠見視力評価報告の作成に至った後に実行され、順番に実行される以下のステップ、すなわち、
-個人の眼から固定した距離に少なくとも1つの視力表を配置するステップ(101)であって、
個人が視力表を読み取ることができなかった場合(C1)、方法(100)を中断して、第一の初期の推奨を含む近見視力評価報告を生成する(102)、
ステップ(101)と、
-範囲[+0.50;+1.00]ジオプトリ内の値である初期凸レンズを個人の眼の前に配置するステップ(103)であって、
個人が初期のレンズがあるよりも初期のレンズがないことを好む(C2)場合、方法(100)を中断して、第二の初期の推奨を含む近見視力評価報告を生成し(104)、
個人が初期のレンズの有無で違いを見出さない(C3)場合、初期のレンズを取り外し(105)、
個人が初期のレンズを取り外した後に再び明瞭に見るための調節時間がある(C4)場合、初期のレンズを配置する(106)、
さもなければ、
遠見視力評価報告が近見視力評価を助言しない場合(C5)、方法(100)を中断して、近見視力評価報告を生成し(107)、
さもなければ、初期のレンズを配置する(106)、
ステップ(103)と、
-範囲[+0.50;+1.00]ジオプトリ内の値である第一の凸レンズを個人の眼の前に配置するステップ(108)であって、
個人が第一のレンズを配置した後に視界のぼやけを有する場合(C6)、方法(100)を中断して、第一の推奨を含む近見視力評価報告を生成する(109)、
ステップ(108)と、
-範囲[+0.50;+1.00]ジオプトリ内の値である第二の凸レンズを個人の眼の前に配置するステップ(110)であって、
個人が第二のレンズを配置した後に視界のぼやけを有する場合(C7)、方法(100)を中断して、第一の推奨を含む近見視力評価報告を生成する(109)、
ステップ(110)と、
-範囲[+0.25;+0.50]ジオプトリ内の値である第三の凸レンズを個人の眼の前に配置するステップ(111)であって、
個人が第三のレンズを配置した後に視界のぼやけを有する場合(C8)、方法(100)を中断し、第一の推奨を含む近見視力評価報告を生成する(109)、
ステップ(111)と、
-範囲[+0.25;+0.50]ジオプトリ内の値である第四の凸レンズを個人の眼の前に配置するステップ(112)であって、
第四のレンズを配置した後に個人が視界のぼやけを有する場合(C9)、および、
遠見視力評価報告が近見視力評価を助言しない場合(C5)、方法(100)を中断し、近見視力評価報告を生成する(107)、
さもなければ、方法(100)を中断し、第二の推奨を含む近見視力評価報告を生成する(113)、
ステップ(112)と、
-範囲[+0.25;+0.50]ジオプトリ内の値である第五の凸レンズを個人の眼の前に配置するステップ(114)であって、
個人が第五のレンズを配置した後に視界のぼやけを有する(C10)場合、および、
遠見視力評価報告が近見視力評価を助言しない場合(C5)、方法(100)を中断し、近見視力評価報告を生成する(107)、
さもなければ、方法(100)を中断し、第三の推奨を含む近見視力評価報告を生成する(115)、
ステップ(114)と、
-範囲[+0.25;+0.50]ジオプトリ内の値である第六の凸レンズを個人の眼の前に配置するステップ(116)であって、
個人が第六のレンズを配置した後に視界のぼやけを有する(C11)場合、および、
遠見視力評価報告が近見視力評価を助言しない場合(C5)、方法(100)を中断し、近見視力評価報告を生成する(107)、
さもなければ、方法(100)を中断し、第三の推奨を含む近見視力評価報告を生成する(115)、
さもなければ、
初期のレンズならびに第一、第二、第三、第四、第五および第六レンズを取り外し(117)、
中間補正の第一の最終凸レンズを個人の眼の前に配置し、次いで第一の最終レンズを取り外し、強い補正の第二の最終凸レンズを個人の眼の前に配置し(118)、
個人が第二の最終レンズよりも第一の最終レンズを好む場合、または個人が第一の最終レンズと第二の最終レンズとの間の差を見出せない場合(C12)、第四の推奨を含む近見視力評価報告を生成する(119)、
さもなければ、第五の推奨を含む近見視力評価報告を生成する(120)、
ステップ(116)と、
を含むことを特徴とする、方法(100)。
【請求項2】
第一の初期の推奨は、眼科医に相談すること、および/または試験用眼鏡で近見視力評価を行うことであることを特徴とする、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
第二の初期の推奨は、調節訓練を実施すること、および/または両眼視力評価を行うことであることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の方法(100)。
【請求項4】
第一の推奨は、調節訓練を実施することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項5】
第二の推奨は、両眼視力評価を行うことであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項6】
第三の推奨は、弱い補正値の追加を提案することであることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項7】
第四の推奨は、中間補正値を有する追加を提案することであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項8】
第五の推奨は、強い補正値を有する追加を提案することであることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法(100)を実施するために、老眼でない個人の近見視力調節状態を評価するための装置(200)であって、
少なくとも1つの視力表を個人の眼から固定した距離で表示し、少なくとも1つの選択の提案および/または記号を表示するように構成された表示手段(201)と、
光学レンズを個人の眼の前に配置するように構成された配置手段(202)と、
記憶メモリ(203)と、
計算機(204)と、
選択の提案および/または記号を選択するように構成された選択手段(206)と、
を含む、装置(200)。
【請求項10】
プログラムがコンピュータで実行されるときに、コンピュータに請求項1~9のいずれか一項に記載の方法(100)のステップを実施させる命令を含む、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の技術分野は、老眼でない個人の近見視力調節状態を評価するための方法の技術分野である。
【0002】
本発明は、老眼でない個人の近見視力調節状態を評価する方法に関し、特に、老眼でない個人の近見視力調節状態を自動的に評価する方法に関する。また、本発明は、装置、コンピュータプログラム製品および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
これまで、近見視力検査は、時間および/または実施の不足のために、老眼の対象者、すなわち、加齢とともに調節状態が劣悪化し、近見視力の矯正を必要とする40歳を超える対象者に対して、概ね専ら行われてきた。
【0004】
しかしながら、若齢の対象者が過調節または過少調節の問題に苛まれるのは、一般的である。これらの問題は遠見視力に影響を及ぼすため、これらの若年対象者はよく誤診され、それにより、近見視力について管理することができた場合に遠見視力の管理が不十分になることが多く、そのために遠見視力と近見視力の愁訴を強調することが回避される。
【0005】
近見視力検査は、とりわけ、対象者の調節状態、特に、調節/収束関係の柔軟性を評価するものである。一般に、対象者が固定の収束面での調節の漸進的変化(0.25ジオプトリの段階)を実行することを必要とする、運動能力、および、対象者が、段階が0.25ジオプトリよりも大きく、一般に2.00ジオプトリである同じ固定の収束面で瞬間的調節を実行することを必要とする、位相的能力の2つのタイプの能力が検査される。
【0006】
近見視力検査の中でも、負の相対振幅および正の相対振幅に関するNRA/PRA検査は、老眼または老眼でない個人の運動能力を評価するために医療専門家によって使用される検査の1つである。
【0007】
この検査は、対象者の最大近見視力の80%の視力に対応するテキストを、対象者が老眼であるか老眼でないかに応じて異なる所与の距離に配置し、対象者が第一の定常的なぼけを知覚するまで凸レンズを+0.25ジオプトリのステップで前進させ(RNA)、次いで、対象者が第一の定常的なぼけを知覚するまで凹レンズを-0.25ジオプトリのステップで前進させる(PRA)ものである。次いで、老眼の個人が必要とする追加、または老眼でない対象者における調節/収束関係の柔軟性のいずれかを評価することが可能であり、より広範には、可能な管理(追加、視覚訓練、遠見視力再評価など)について老眼の対象者に対する指示を与えることが可能である。
【0008】
RNA/PRA検査は、開業医により手作業で行われ、したがって比較的時間がかかり、増加する患者数を管理するのとは相容れない。
【0009】
これらの理由から、開業医は、+2.00ジオプトリの値を有する凸レンズ、次いで-2.00ジオプトリの値を有する凹レンズを対象者の眼の前に交互に配置する、老眼でない者のための調節性ロック検査を好むことが多い。対象者が眼から40cmのところに置かれた最大視力の80%の視力に対応するテキストを明瞭かつ簡単に見ることができると、1つのレンズから別のレンズへの切り替えが直ちに行われる。次いで、1分間に実行されるサイクル数により、個人の位相的能力を評価することができる。
【0010】
調節性ロック検査は、NRA/PRA検査よりも速いが、個人の運動能力に関するいずれの情報をも与えず、対象者が必要とする、可能な近見視力矯正の評価を有効にしない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、若年対象者の調節状態、すなわち、運動能力および位相的能力の両方の評価を可能にする、高速で、信頼性があり、自動的な検査を実現する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、老眼でない対象者の運動および位相的能力の自動的な評価を可能にすることによって、上記の問題に対する解決策を提供する。
【0013】
本発明の第一の態様は、老眼でない個人の近見視力調節状態を自動的に評価するための方法に関し、この方法は、個人の遠見視力の評価が、遠見視力評価報告の作成に至った後にコンピュータで実施および実行され、順番に実行される以下のステップ、すなわち、
-個人の眼から固定した距離に少なくとも1つの視力表を配置するステップであって、
個人が視力表を読み取ることができなかった場合、方法を中断して、第一の初期の推奨を含む近見視力評価報告を生成する、
ステップと、
-範囲[+0.50;+1.00]ジオプトリ内の値である初期凸レンズを個人の眼の前に配置するステップであって、
個人が初期のレンズがあるよりも初期のレンズがないことを好む場合、方法を中断して、第二の初期の推奨を含む近見視力評価報告を生成し、
個人が初期のレンズの有無で違いを見出さない場合、初期のレンズを取り外し、
個人が初期のレンズを取り外した後に再び明瞭に見るための調節時間がある場合、初期のレンズを配置する、
さもなければ、
遠見視力評価報告が近見視力評価を助言しない場合、方法を中断して、近見視力評価報告を生成し、
さもなければ、初期のレンズを配置する、
ステップと、
-範囲[+0.50;+1.00]ジオプトリ内の値である第一の凸レンズを個人の眼の前に配置するステップであって、
個人が第一のレンズを配置した後に視界のぼやけを有する場合、方法を中断して、第一の推奨を含む近見視力評価報告を生成する、
ステップと、
-範囲[+0.50;+1.00]ジオプトリ内の値である第二の凸レンズを個人の眼の前に配置するステップであって、
個人が第二のレンズを配置した後に視界のぼやけを有する場合、方法を中断して、第一の推奨を含む近見視力評価報告を生成する、
ステップと、
-範囲[+0.25;+0.50]ジオプトリ内の値である第三の凸レンズを個人の眼の前に配置するステップであって、
個人が第三のレンズを配置した後に視界のぼやけを有する場合、方法を中断し、第一の推奨を含む近見視力評価報告を生成する、
ステップと、
-範囲[+0.25;+0.50]ジオプトリ内の値である第四の凸レンズを個人の眼の前に配置するステップであって、
個人が第四のレンズを配置した後に視界のぼやけを有する場合、および、
遠見視力評価報告が近見視力評価を助言しない場合、方法を中断し、近見視力評価報告を生成する、
さもなければ、方法を中断し、第二の推奨を含む近見視力評価報告を生成する、
ステップと、
-範囲[+0.25;+0.50]ジオプトリ内の値である第五の凸レンズを個人の眼の前に配置するステップであって、
個人が第五のレンズを配置した後に視界のぼやけを有する場合、および、
遠見視力評価報告が近見視力評価を助言しない場合、方法を中断し、近見視力評価報告を生成する、
さもなければ、方法を中断し、第三の推奨を含む近見視力評価報告を生成する、
ステップと、
-範囲[+0.25;+0.50]ジオプトリ内の値である第六の凸レンズを個人の眼の前に配置するステップであって、
個人が第六のレンズを配置した後に視界のぼやけを有する場合、および、
遠見視力評価報告が近見視力評価を助言しない場合、方法を中断し、近見視力評価報告を生成する、
さもなければ、方法を中断し、第三の推奨を含む近見視力評価報告を生成する、
さもなければ、
初期のレンズならびに第一、第二、第三、第四、第五および第六レンズを取り外し、
中間補正の第一の最終凸レンズを個人の眼の前に配置し、次いで第一の最終レンズを取り外し、強い補正の第二の最終凸レンズを個人の眼の前に配置し、
個人が第二の最終レンズよりも第一の最終レンズを好む場合、または個人が第一の最終レンズと第二の最終レンズとの間の差を見出せない場合、第四の推奨を含む近見視力評価報告を生成する、
さもなければ、第五の推奨を含む近見視力評価報告を生成する、
ステップと、
を含む。
【0014】
本発明により、開業医は、老眼でない対象者に調節され、時間的に最適化されたRNA/PRA検査の代替法を実施することによって、若年の対象者の調節状態、すなわち運動および位相的能力の両方を評価することができる。一方、本発明の第一の態様による方法は、自動的な検査および収集される情報の状況において、凹レンズを前進させることは、凸レンズを前進させることによって得られる結論に追加の要素を付与しないので、凹レンズの前進を省く。実際、通常から高PRAは、対象者が良好な調節および発散を有するという事実以外、ほとんど示唆することがない。低PRAは、RNAの測定によって定められ、必要に応じて他の試験によってのみ確認することができる収束問題に関連するであろう、追加の必要性と、ほぼ常に同義である。一方、若年の対象者は、一般に、1.50ジオプトリ未満の凸レンズの脱調節にいずれの問題もない。したがって、本発明の第一の態様による方法は、0.25ジオプトリの段階ではなく[0.50および1.00]ジオプトリの範囲の段階で第一の凸レンズを前進させ、したがって、この方法を実施するのに要する時間を短縮し、レンズを前進させることによって評価される運動能力に加えて、各レンズ間の補正のより大きな差(0.25ジオプトリを超える段階)によって位相的能力を評価することを可能にする。さらに、検査は完全に自動であり、すなわち、開業医の介入を必要としない。したがって、この評価は非限定的であり、開業医の診断の補助となる。
【0015】
前の段落で論じたばかりの特徴に加えて、本発明の第一の態様による方法は、個別にまたは任意の技術的に可能な組み合わせに従って考慮される、以下の追加の特徴のうちの1つまたは複数を有してもよい。
【0016】
代替の実施形態によれば、第一の初期の推奨は、眼科医に相談すること、および/または試験用眼鏡で近見視力評価を実行することである。
【0017】
前の代替の実施形態に匹敵する代替の実施形態によれば、第二の初期の推奨は、調節訓練を実施すること、および/または両眼視力評価を行うことである。
【0018】
前の代替の実施形態に匹敵する代替の実施形態によれば、第一の推奨は、調節訓練を実施することである。
【0019】
前の代替の実施形態に匹敵する代替の実施形態によれば、第二の推奨は、両眼視力評価を実施することである。
【0020】
前の代替の実施形態に匹敵する代替の実施形態によれば、第三の推奨は、弱い補正値の追加を提案することである。
【0021】
前の代替の実施形態に匹敵する代替の実施形態によれば、第四の推奨は、中間補正値の追加を提案することである。
【0022】
前の代替の実施形態に匹敵する代替の実施形態によれば、第五の推奨は、強い補正値を有する追加を提案することである。
【0023】
本発明の第二の態様は、老眼でない個人の近見視力調節状態を評価するための装置であって、
少なくとも1つの視力表を個人の眼から固定した距離で表示するように構成された表示手段と、
光学レンズを個人の眼の前に配置するように構成された配置手段と、
記憶メモリと、
本発明の第一の態様による方法のステップを実行するように構成された手段を含む計算機と、
を含む、装置に関する。
【0024】
一実施形態によれば、表示手段は、少なくとも1つの選択の提案および/または記号を表示するように構成され、本発明の第二の態様による装置は、選択の提案および/または記号を選択するように構成された選択手段と、選択を処理するように構成された処理手段とを含む。
【0025】
したがって、本発明の第一の態様による方法は、調節状態が評価されている個人によって実施されてもよい。実際、個人自身は、選択手段を介して、表示手段に表示される選択の提案および/または記号を選択し、処理手段は、これらの選択を考慮に入れて方法のステップを順序付ける。
【0026】
本発明の第三の態様は、プログラムがコンピュータによって実行されるときに、本発明の第一の態様による方法を実施するソフトウェア命令を含むコンピュータプログラム製品に関する。
【0027】
本発明の第四の態様は、本発明の第三の態様によるコンピュータプログラム製品が記録されるコンピュータ可読記録媒体に関する。
【0028】
本発明およびその様々な用途は、以下の説明を読み、添付の図面を検討することにより、よりよく理解されるであろう。
【0029】
図面は、本発明を示すために記載されており、決して本発明を限定する目的ではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の第一の態様による方法のブロック図を示す。
図2】本発明の第二の態様による装置の一実施形態の概略的な表現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
別段の指定がない限り、異なる図に現れる同じ要素は、固有の参照符号を有する。
【0032】
本発明の第一の態様は、老眼でない個人の近見視力調節状態を評価するための方法に関する。
【0033】
「調節」とは、網膜上に鮮明な画像を形成するように、特に、対象物の距離に応じた水晶体の曲率の変化による視覚の集中を意味する。
【0034】
「個人の近見視力調節状態」とは、その個人の近見調節の行動を意味する。
【0035】
「老眼でない個人」とは、40歳未満の個人を意味する。
【0036】
本発明の第一の態様による方法は自動的なものである、すなわちコンピュータで実装される。特に、その実施は開業医の介入を必要としない。
【0037】
本発明の第一の態様による方法は、個人の遠見視力の評価後に実行される。この評価の最後に、遠見視力評価報告が作成される。この報告は、個人の近見視力評価を助言するか否かを指示する。遠見視力評価報告が近見視力評価を助言しない場合でも、開業医は依然として近見視力を評価することを選択することができる。
【0038】
遠見視力評価報告は、例えば、個人が近見視力の愁訴を有するとき、および/または遠見視力評価の間に個人に調節痙攣があるとき、および/または遠見視力評価が異常な適応挙動を示したときに、近見視力に対して助言を与えることができる。
【0039】
図1は、本発明の第一の態様による方法100のステップ101~120のシーケンスを示すブロック図である。
【0040】
方法100の第一ステップ101は、個人の眼から固定した距離に少なくとも1つの視力表を配置するものである。
【0041】
「視力表」とは、視力を測定するために使用される文字または図形を意味する。
【0042】
例えば、第一ステップ101は、4/10の最低視力に対応する少なくとも一群の文字を個人の眼の前に配置するものである。
【0043】
視力表は、例えば、個人の眼から40cmのところに置かれる。
【0044】
第一条件C1が満たされた場合、すなわち、個人が視力表を読み取ることができなかった場合、方法100の第二ステップ102が実行される。
【0045】
方法100の第二ステップ102は、方法100を中断し、第一の初期の推奨を含む近見視力評価報告を生成するものである。
【0046】
第一の初期の推奨は、例えば、眼科医に相談すること、および/または試験用眼鏡で近見視力評価を実行することである。
【0047】
第一条件C1が満たされない場合、方法100の第三ステップ103が実行される。
【0048】
方法100の第三ステップ103は、閉じた範囲[+0.50;+1.00]ジオプトリ内の値を有する初期凸レンズを個人の眼の前に配置するものである。次いで、初期のレンズは、個人の眼と視力表との間に配置される。
【0049】
第二条件C2が満たされる場合、すなわち、個人が、初期のレンズを用いるよりも初期のレンズを用いないことを好む場合、方法100の第四ステップ104が実行される。
【0050】
「個人が、初期のレンズを用いるよりも初期のレンズを用いないことを好む」とは、初期のレンズを使用する場合よりも初期のレンズを使用しない場合の方が個人の視覚に関連する不快感が少ないこと(初期のレンズを使用しない場合の方が、視覚がより快適)を意味する。
【0051】
方法100の第四ステップ104は、方法100を中断し、第二の初期の推奨を含む近見視力評価報告を生成するものである。
【0052】
第二の初期の推奨は、例えば、調節訓練を実施すること、および/または両眼視力評価を行うことである。
【0053】
第二条件C2が満たされず、第三条件C3が満たされる場合、方法100の第五ステップ105が実行される。
【0054】
第三条件C3は、個人が初期のレンズの有無で差を見出せない場合に満たされる。
【0055】
方法100の第五ステップ105は、初期のレンズを取り外すものである。
【0056】
第四条件C4が満たされた場合、すなわち、個人が初期のレンズを取り外した後に再び明瞭に見るための適合時間を有する場合、方法100の第六ステップ106が実行される。
【0057】
方法100の第六ステップ106は、初期のレンズを再び配置するものである。
【0058】
次いで、方法100の第六ステップ106の後に、方法100の第八ステップ108が続く。
【0059】
第四条件C4が満たされず、第五条件C5が満たされる場合、方法100の第七ステップ107が実行される。
【0060】
第五条件C5は、遠見視力評価報告が近見視力評価を助言しない場合に満たされる。
【0061】
方法100の第七ステップ107は、方法100を中断し、近見視力評価報告を生成するものである。
【0062】
第四条件C4が満たされず、第五条件C5が満たされない場合、方法100の第六ステップ106が実行される。
【0063】
方法100の第八ステップ108は、閉じた範囲[+0.50;+1.00]ジオプトリ内の値を有する第一凸レンズを個人の眼の前に配置するものである。
【0064】
第六条件C6が満たされた場合、すなわち、個人が第一のレンズを配置した後に視界のぼやけを有する場合、方法100の第九ステップ109が実行される。
【0065】
方法100の第九ステップ109は、方法100を中断し、第一の推奨を含む近見視力評価報告を生成するものである。
【0066】
第一の推奨は、例えば、調節訓練を実施することである。
【0067】
第六条件C6が満たされない場合、方法100の第十ステップ110が実行される。
【0068】
方法100の第十ステップ110は、閉じた範囲[+0.50;+1.00]ジオプトリ内の値を有する第二の凸レンズを個人の眼の前に配置するものである。
【0069】
第七条件C7が満たされた場合、すなわち、個人が第二のレンズを配置した後に視界のぼやけを有する場合、方法100の第九ステップ109が実行される。
【0070】
第七条件C7が満たされない場合、方法100の第十一ステップ111が実行される。
【0071】
方法100の第十一ステップ111は、閉じた範囲[+0.25;+0.50]ジオプトリ内の値を有する第三の凸レンズを個人の眼の前に配置するものである。
【0072】
第八条件C8が満たされる場合、すなわち、個人が第三のレンズを配置した後に視界のぼやけを有する場合、方法100の第九ステップ109が実行される。
【0073】
第八条件C8が満たされない場合、方法100の第十二ステップ112が実行される。
【0074】
方法100の第十二ステップ112は、閉じた範囲[+0.25;+0.50]ジオプトリ内の値を有する第四の凸レンズを個人の眼の前に配置するものである。
【0075】
第九条件C9が満たされた場合、すなわち、個人が第四のレンズを配置した後に視界のぼやけを有し、第五条件C5が満たされた場合、方法100の第七ステップ107が実行される。
【0076】
第九条件C9が満たされ、第五条件C5が満たされない場合、方法100の第十三ステップ113が実行される。
【0077】
方法100の第十三ステップ113は、方法100を中断し、第二推奨を含む近見視力評価報告を生成するものである。
【0078】
第二の推奨は、例えば、両眼視力評価を行うことである。
【0079】
第九条件C9が満たされない場合、方法100の第十四ステップ114が実行される。
【0080】
方法100の第十四ステップ114は、閉じた範囲[+0.25;+0.50]ジオプトリ内の値を有する第五の凸レンズを個人の眼の前に配置するものである。
【0081】
第十条件C10が満たされた場合、すなわち、個人が第五のレンズを配置した後に視界のぼやけを有し、第五条件C5が満たされた場合、方法100の第七ステップ107が実行される。
【0082】
第十条件C10が満たされ、第五条件C5が満たされない場合、方法100の第十五ステップ115が実行される。
【0083】
方法100の第十五ステップ115は、方法100を中断し、第三の推奨を含む近見視力評価報告を生成するものである。
【0084】
第三の推奨は、例えば、弱い補正値の追加を提案することである。弱い補正は、例えば0.50ジオプトリである。
【0085】
第十条件C10が満たされない場合、方法100の第十六ステップ116が実行される。
【0086】
方法100の第十六ステップ116は、閉じた範囲[+0.25;+0.50]ジオプトリ内の値を有する第六の凸レンズを個人の眼の前に配置するものである。
【0087】
初期のレンズの値ならびに第一、第二、第三、第四、第五、および第六のレンズの各々の値は、これらのレンズの値の合計が個人の眼と視力表との間の固定したメートルでの距離の逆数に等しくなるように選択される。
【0088】
したがって、40cmという固定した距離では、初期のレンズの値と第一、第二、第三、第四、第五および第六のレンズの値との合計は+2.50ジオプトリに等しい。
【0089】
第十一条件C11が満たされた場合、すなわち、個人が第六のレンズを配置した後に視界のぼやけを有し、第五条件C5が満たされた場合、方法100の第七ステップ107が実行される。
【0090】
第十一条件C11が満たされ、第五条件C5が満たされない場合、方法100の第十五ステップ115が実行される。
【0091】
第十一条件C11が満たされない場合、方法100の第十七ステップ117が実行され、続いて方法100の第十八ステップ118が実行される。
【0092】
方法100の第十七ステップ117は、個人の眼の前から第一、第二、第三、第四、第五、および第六のレンズを取り外すものである。
【0093】
方法100の第十八ステップ118は、中間補正の第一の最終凸レンズを個人の眼の前に配置し、次いで第一の最終レンズを取り外し、強い補正の第二の最終凸レンズを個人の眼の前に配置するものである。
【0094】
中間補正は強い補正よりも厳密に低い補正値に相当し、弱い補正は中間補正よりも厳密に低い補正値に相当する。
【0095】
中間補正および強い補正は、以下の値から選択することができる:+0.50ジオプトリ;+0.75ジオプトリ;+1.00ジオプトリ;+1.25ジオプトリである。
【0096】
第十二条件C12が満たされる場合、すなわち、個人が第二の最終レンズよりも第一の最終レンズを好む場合、または個人が第一の最終レンズと第二の最終レンズとの間に差を見出せない場合、方法100の第十九ステップ119が実行される。
【0097】
「個人が第二の最終レンズよりも第一の最終レンズを好む」とは、個人が、第二の最終レンズよりも第一の最終レンズで、自分の視覚に関連する不快感をあまり経ない(第一の最終レンズで視覚がより快適)ことを意味する。
【0098】
方法100の第十九ステップ119は、第四の推奨を含む近見視力評価報告を生成するものである。
【0099】
第四の推奨は、例えば、中間補正値での追加を提案することである。
【0100】
第十二条件C12が満たされない場合、方法100の第二十ステップ120が実行される。
【0101】
方法100の第二十ステップ120は、第五の推奨を含む評価報告を生成するものである。
【0102】
第五の推奨は、例えば、強い補正値での追加を提案することである。
【0103】
方法100を通して、条件を確認するか否かにかかわらず、個人はいくつかの選択肢の中から選択する。例えば、個人は、第一条件C1を確認するか否かの選択肢「視力表が見える」と選択肢「視力表が見えない」との間で選択しなければならない。選択は、選択手段を介して個人自身によって、または開業医もしくは個人の選択に入る任意の他の人によって、例えばコンソールまたはコンピュータにおいて、行うことができる。
【0104】
本発明の第一の態様による方法100の最後に、結論および場合によっては前述の推奨のうちの1つを含む近見視力評価報告が生成される。
【0105】
近見視力評価報告はまた、例えば、個人の遠見視力評価報告に応じて、追加の推奨を含んでもよい。
【0106】
次いで、この近見視力評価報告を開業医が使用して、個人に適合した解決策を提案することができる。開業医は、近見視力評価報告で提案された推奨事項に従うか否かを選択することができる。
【0107】
若年性の老視、すなわち40歳~44歳(両端を含む)の対象者については、本発明の第一の態様による方法100の代替案が提案されてもよい。したがって、方法100の第三ステップ103の後に、個人が初期のレンズを好む場合、または方法100の第五ステップ105の後に、第四条件C4が満たされる場合、または方法100の第五ステップ105の後に、第四条件C4および第五条件C5が満たされない場合、方法100の第十八ステップ118が実行される。
【0108】
本発明の第二の態様は、老眼でない個人の近見視力調節状態を評価するための装置に関する。
【0109】
図2は、本発明の第二の態様による装置200の概略的な表現を示す。
【0110】
本発明の第二の態様による装置200は、記憶メモリ203と、本発明の第一の態様による方法100のステップを実行するように構成された手段を含む計算機204とを含む。
【0111】
装置200はまた、個人の眼の前に光学レンズを配置するように構成された配置手段202を含む。
【0112】
配置手段202は、例えば、自動屈折ヘッドである。
【0113】
装置200はまた、個人の眼から一定の距離にある少なくとも1つの視力表を表示するように構成された表示手段201を含む。
【0114】
表示手段201は、例えば、スクリーンまたはポスターである。
【0115】
第一の実施形態によれば、表示手段201はまた、表示確認提案および/または記号を表示するように構成される。
【0116】
表示手段201は、例えば、一方のレンズが他方のレンズよりも好ましいことを確認するための記号を表示するように構成される。
【0117】
次いで、装置200はまた、提案および/または記号を選択するように、より正確には提案および/または記号の使用者の選択を可能にするように構成された選択手段206と、使用者の選択を処理するように構成された処理手段205とを含む。
【0118】
選択手段は、例えば、リモコン、タブレット、コンソールまたはマイクロフォンである。
【0119】
処理手段205は、例えば計算機である。処理手段205は、例えば、計算機204に含まれる。
【0120】
例えば、方法100の第三ステップ103に続いて、表示手段201は、初期のレンズを選択するための第一記号、初期のレンズなしで選択するための第二記号、および初期のレンズありまたはなしで違いがないことを示すための第三記号を表示する。個人は、選択手段206によって第三記号を選択し、処理手段205は、方法100の第五ステップ105の実行を開始するために第三記号の選択を処理する。
図1
図2
【国際調査報告】