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特表2022-540093個別化された分子ベースの健康管理およびデジタル相談および治療のための方法およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-14
(54)【発明の名称】個別化された分子ベースの健康管理およびデジタル相談および治療のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20220907BHJP
【FI】
G16H50/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022500576
(86)(22)【出願日】2020-07-03
(85)【翻訳文提出日】2022-03-03
(86)【国際出願番号】 CA2020050924
(87)【国際公開番号】W WO2021003560
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】62/871,040
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522005103
【氏名又は名称】モレキュラー ユー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(74)【代理人】
【識別番号】100137729
【弁理士】
【氏名又は名称】赤井 厚子
(74)【代理人】
【識別番号】100151301
【弁理士】
【氏名又は名称】戸崎 富哉
(72)【発明者】
【氏名】アンワー、モハマド アシュラフル
(72)【発明者】
【氏名】マルク、アナ ガブリエラ
(72)【発明者】
【氏名】ブーデル、ニティア
(72)【発明者】
【氏名】フレイザー、ロバート アラン
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】
本開示は、個人化された健康、特に分子ベースの健康管理およびデジタル相談に関する。特に、本開示は、マルチオミクス手段(例えば、ゲノミクス、メタボロミクス、エクスポソミックおよびプロテオミクス)と公開研究データ中に開示されている疾患若しくは健康リスクとの間の相関に基づいて個人の健康状態を評価するための方法およびシステムに向けられている。本開示はまた、健康状態に関する個人へのカスタマイズされたカウンセリングおよび彼らの健康状態を改善するための実行可能な手段のための方法およびシステムに関する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人の健康状態を評価する方法であって、該方法が
該個人から得られる生物学的試料を提供すること;
該個人に関する該試料からの測定データを提供するために、ゲノムマーカー、プロテオミクスマーカー、メタボロミクスマーカー、エクスポソミックマーカーおよびそれらの組合せからなる群から選択される、該生物学的試料中の少なくとも25個の、好ましくは少なくとも20個の、好ましくは少なくとも15個の、好ましくは少なくとも10個のまたは好ましくは少なくとも5個の疾患リスクマーカーを測定すること;および
疾患若しくは健康リスクまたはその発症のリスクに対応する予測方程式を該測定データに適用することによって、該疾患若しくは健康リスクまたは該その発症のリスクに対応する予測健康状態を決定すること(ここで、該予測方程式は、該疾患若しくは健康リスクを有するヒト対象の公開データの、コンピューターで実行される多変量回帰分析によって決定する)
を含み、
ここで、該コンピューターで実行される多変量回帰分析は、該ヒト対象の該公開データのそれぞれの信頼スコアを出力することを含み、該公開データは、該疾患若しくは健康リスクを有する各ヒト対象に対応する複数の測定値を含み、
該複数の測定値は、該疾患若しくは健康リスクに関連し、該公開データ中の各ヒト対象の公開疾患リスクマーカーから決定した各疾患リスクマーカーに対応し、
該予測健康状態は、該疾患若しくは健康リスクまたは該その発症のリスクを有する該個人を表す、
方法。
【請求項2】
予測健康状態を決定するステップが
測定した疾病リスクマーカーを、疾病または健康リスクに関連する公開疾患リスクマーカーと比較すること;および
測定した疾患リスクマーカーと公開疾患リスクマーカーとの間のギャップの大きさを決定すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
健康推奨を提供することをさらに含み、ここで、該健康推奨は、個人の健康状態を改善するのに適した、食事の変更、栄養補助食品、運動行動またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
推奨がギャップの大きさに基づく、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
疾患若しくは健康リスクのそれぞれについて、それぞれの予測健康状態を決定すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
個人のサンプリングされた測定データに基づいて、疾患若しくは健康リスクのそれぞれに対応するそれぞれの現在の健康状態を決定すること;および
該疾患若しくは健康リスクのそれぞれについて、それぞれの予測健康状態とそれぞれの現在の健康状態との間のそれぞれのギャップのそれぞれの大きさを決定すること
をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
後の時点での個人の次の測定データの分析から該個人の次の健康状態を決定すること;および
該個人の予測健康状態と該次の健康状態との間のギャップの次の大きさを決定すること
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
測定するステップがゲノムマーカーにおける1つ以上の多型の存在または不在を決定することをさらに含み、ここで、該1つ以上の多型は、疾患若しくは健康リスクに関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
測定するステップが生物学的試料中のプロテオミクスマーカー、メタボロミクスマーカー、エクスポソミックマーカーまたはそれらの組合せのレベルを、疾患若しくは健康リスクを有するヒト対象の試料からの公開データからの対応するマーカーのレベルと比較することをさらに含み、ここで、該レベルは、該疾患若しくは健康リスクを有することと相関しているまたは発症するリスクにある、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
信頼スコアが疾患若しくは健康リスクを有するまたは発症するリスクがある可能性を決定するために使用される公開データの予測性の強さに対する信頼性の尺度に関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
信頼スコアが公開データが再現可能な結果を有する可能性を示し、該信頼スコアが該公開データによって受け取られた引用の数および該公開データによって引用された参照の数の比較に基づいて量られる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
エクスポソミックマーカーがビタミン、アミノ酸、無機化合物、生体アミン、有機酸、アミンオキシド、炭化水素誘導体およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
ビタミンがビタミンA、ビタミンB3-アミド、ビタミンB6、ビタミンB1、カルシジオール、ビタミンD2、ビタミンB7、ビタミンB5、ビタミンB2およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
アミノ酸が分枝鎖アミノ酸、芳香族アミノ酸、脂肪族アミノ酸、極性側鎖アミノ酸、酸性および塩基性アミノ酸、並びに特異アミノ酸好ましくはグリシンおよびプロリン、並びにそれらの組合せからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
無機化合物が銅、鉄、ナトリウム、カルシウム、カリウム、リン、マグネシウム、ストロンチウム、ルビジウム、アンチモン、セレン、セシウム、亜鉛、バリウムおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
生体アミンがトランス-OH-プロリン、アセチル-オルニチン、アルファ-アミノアジピン酸、ベータ-アラニン、タウリン、カルノシン、メチルヒスチジンおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
有機酸が馬尿酸、3-(3-ヒドロキシフェニル)-3-ヒドロキシプロピオン酸、5-ヒドロキシインドール-3-酢酸、サルコシン、ヒドロキシフェニル酢酸およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
アミンオキシドがトリメチルアミンN-オキシドである、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
炭化水素誘導体がトリゴネリンである、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
メタボロミクスマーカーがアシルカルニチン、生体アミン、リゾリン脂質、グリセロリン脂質、スフィンゴ脂質、有機酸、アミノ酸、糖、炭化水素誘導体およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
代謝マーカーが長鎖アシルカルニチン、中鎖アシルカルニチン、および短鎖アシルカルニチン並びにそれらの組合せからなる群から選択されるアシルカルニチンである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
代謝マーカーがクレアチニン、キヌレニン、メチオニン-スルホキシド、スペルミジン、スペルミン、不斉ジメチルアルギニン、プトレシン、セロトニンおよびそれらの組合せからなる群から選択される生体アミンである、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
代謝マーカーがリゾホスファチジルコリンである、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
代謝マーカーがグリセロリン脂質である、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
代謝マーカーがスフィンゴ脂質、ヒドロキシ脂肪酸スフィンゴミエリンおよびそれらの組合せからなる群から選択されるスフィンゴ脂質である、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
代謝マーカーが短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸およびそれらの組合せからなる群から選択される有機酸である、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
代謝マーカーがベタイン、クレアチン、クエン酸およびそれらの組合せからなる群から選択されるアミノ酸である、請求項20に記載の方法。
【請求項28】
代謝マーカーがグルコースである、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
代謝マーカーが乳酸、ピルビン酸、コハク酸およびそれらの組合せからなる群から選択される炭化水素誘導体である、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
プロテオミクスマーカーが血液凝固タンパク質、細胞接着タンパク質、免疫応答タンパク質、輸送タンパク質、酵素、ホルモン様タンパク質およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項31】
血液凝固タンパク質がプロテインZ依存性プロテアーゼ阻害剤、凝固因子タンパク質、アンチトロンビン-III、血漿セリンプロテアーゼ阻害剤、プラスミノーゲン、プロトロンビン、カルボキシペプチダーゼB2、キニノーゲン-1、ビタミンK依存性プロテインS、アルファ-2-アンチプラスミン、フィブリノーゲンガンマ鎖、テトラネクチン、ヘパリン補因子2、フィブリノーゲンベータ鎖、フィブリノーゲンアルファ鎖、ビタミンK依存性プロテインZ、アルファ-2-マクログロブリン、内皮プロテインC受容体、フォンウィルブランド因子およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
細胞接着タンパク質がインターアルファトリプシン阻害剤重鎖H1、軟骨酸性プロテイン1、インターアルファトリプシン阻害剤重鎖H4、プロテオグリカン4、フィブロネクチン、ビトロネクチン、アトラクチン、細胞間接着分子1、ルミカン、ガレクチン-3-結合タンパク質、カドヘリン-5、ロイシンリッチアルファ-2-糖タンパク質1、テネイシン、バソリン、フィブリン-1、プロバブルG-プロテイン結合受容体116、L-セレクチン、トロンボスポンジン-1およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
免疫応答タンパク質がマンノース結合プロテインC、補体成分タンパク質、フィコリン-2、カリスタチン、プラスチン-2、Ig mu鎖C領域、プロテインAMBP、CD44抗原、フィコリン-3、IgGFc結合タンパク質、マンナン結合レクチンセリンプロテアーゼ2、血清アミロイドA-1タンパク質、ベータ-2-ミクログロブリン、プロテインS100-A9、C反応性タンパク質およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
輸送タンパク質がアポリポタンパク質、アルファ-1-酸糖タンパク質1、血清アルブミン、レチノール結合タンパク質4、ホルモン結合グロブリン、セロトランスフェリン、クラステリン、ベータ-2-糖タンパク質1、リン脂質転移タンパク質、ベータ-2-糖タンパク質1、リン脂質転移タンパク質、ヘモペキシン、インターアルファトリプシン阻害剤重鎖H2、ゲルゾリン、トランスチレチン、アファミン、ヒスチジンリッチ糖タンパク質、血清アミロイドA-4タンパク質、リポ多糖結合タンパク質、ハプトグロビン、セルロプラスミン、ビタミンD結合タンパク質、ヘモグロビンサブユニットアルファ1およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
酵素がホスファチジルイノシトール-グリカン特異的ホスホリパーゼD、カルボキシペプチダーゼNサブユニット2、血清パラオキソナーゼ/アリールエステラーゼ1、ビオチニダーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ3、カルボキシペプチダーゼN触媒鎖、コリンエステラーゼ、Xaa-Proジペプチダーゼ、炭酸脱水酵素1、リゾチームC、ペルオキシレドキシン-2、ベータ-Ala-Hisジペプチダーゼおよびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
ホルモン様タンパク質が細胞外マトリックスタンパク質1、アルファ-2-HS糖タンパク質、アンギオゲニン、インスリン様成長因子結合タンパク質複合体酸不安定サブユニット、フェチュイン-B、脂肪細胞原形質膜関連タンパク質、色素上皮由来因子、亜鉛-アルファ-2-糖タンパク質、アンジオテンシノーゲン、インスリン様成長因子結合タンパク質3、インスリン様成長因子結合タンパク質2およびそれらの組合せからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
ゲノムマーカーが表1の遺伝子1から477またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項38】
ゲノムマーカーにおける1つ以上の多型が表1の一塩基多型1から477またはそれらの組合せからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項39】
健康推奨がデジタルでコンピューターディスプレイに出力される、請求項2に記載の方法。
【請求項40】
疾患若しくは健康リスクに対応する一連の疾患リスクマーカーおよび測定した疾患リスクマーカーと公開疾患リスクマーカーとの間のギャップの大きさに基づいて個人の健康状態を決定する方法であって、該方法が
個人の疾患若しくは健康リスクまたはその発症のリスクを示す測定データを決定するために、該個人の少なくとも25個の、好ましくは少なくとも20個の、好ましくは少なくとも15個の、好ましくは少なくとも10個のまたは好ましくは少なくとも5個のサンプリングした疾患リスクマーカーを分析すること(ここで、該少なくとも25個の、好ましくは少なくとも20個の、好ましくは少なくとも15個の、好ましくは少なくとも10個のまたは好ましくは少なくとも5個の測定データは、該疾患若しくは健康リスクに対応する);
該個人からの該測定データから、該サンプリングした疾患リスクマーカーにおける多型の不在若しくは存在または該サンプリングされた疾患リスクマーカーのレベルを決定すること;並びに
コンピューターデバイスによって、および該少なくとも25個の、好ましくは少なくとも20個の、好ましくは少なくとも15個の、好ましくは少なくとも10個のまたは好ましくは少なくとも5個の測定データに基づいて、該試料の疾患リスクマーカーと対応する公開疾患リスクマーカーとの間のギャップの大きさを計算すること(ここで、各疾患リスクマーカーは、1つ以上の該疾患若しくは健康リスクに影響を与えることと相関している)
を含み、
ここで、該ギャップの該大きさは、該個人の該健康状態を示す、
方法。
【請求項41】
疾患若しくは健康リスクまたはその発症のリスクが予測方程式を適用することに基づいて決定され、ここで、該予測方程式は、該疾患若しくは健康リスクまたは該その発症のリスクに対応し、該疾患若しくは健康リスクを有するヒト対象の公開データの多変量回帰分析によって決定する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
個人の身体機能を評価する方法であって、該方法が
該個人から得られる生物学的試料を提供すること;
該個人に関する該試料からの測定データを提供するために、ゲノムマーカー、プロテオミクスマーカー、メタボロミクスマーカー、エクスポソミックマーカーおよびそれらの組合せからなる群から選択される、該生物学的試料中の少なくとも25個の、好ましくは少なくとも20個の、好ましくは少なくとも15個の、好ましくは少なくとも10個のまたは好ましくは少なくとも5個の疾患リスクマーカーを測定すること;および
該測定データに対応する予測方程式を該身体機能に適用することによって、該身体機能に対応する予測健康状態を決定すること
を含み、
ここで、該予測方程式は、該身体機能に対応し、該疾患若しくは健康リスクを有するヒト対象の公開データの、コンピューターで実行される多変量回帰分析によって決定し、
該コンピューターで実行される多変量回帰分析は、該ヒト対象の該公開データのそれぞれの信頼スコアを計算することを含み、該公開データは、各ヒト対象に対応する該身体機能に対する複数の測定値を含み、
該測定値は、ゲノムマーカー、プロテオミクスマーカー、メタボロミクスマーカー、および/またはエクスポソミックマーカーのネットワークを含む生物学的経路に関連し、該公開データ中の各ヒト対象の公開疾患リスクマーカーから決定し、
該予測健康状態は、該個人の該身体機能を表す、
方法。
【請求項43】
身体機能を決定するステップが
測定した疾患リスクマーカーを、身体機能に関連する公開疾患リスクマーカーと比較すること;および
測定した疾患リスクマーカーと公開疾患リスクマーカーとの間のギャップの大きさを決定すること
をさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
個人の健康状態を評価する方法であって、該方法が
個人から得られる生物学的試料を提供すること;
該個人に関する該試料からの測定データを提供するために、ゲノムマーカー、プロテオミクスマーカー、メタボロミクスマーカー、エクスポソミックマーカーおよびそれらの組合せからなる群から選択される、該生物学的試料中の少なくとも25個の、好ましくは少なくとも20個の、好ましくは少なくとも15個の、好ましくは少なくとも10個のまたは好ましくは少なくとも5個の疾患リスクマーカーを測定すること;および
疾患若しくは健康リスクまたはその発症のリスクに対応する予測方程式を該測定データに適用することによって、該疾患若しくは健康リスクまたは該その発症のリスクに対応する予測健康状態を決定すること
を含み、
ここで、該予測方程式は、該疾患若しくは健康リスクを有するヒト対象の公開データのコンピューターで実行される多変量回帰分析によって決定し、
該コンピューターで実行される多変量回帰分析は、該ヒト対象の該公開データのそれぞれの第1の信頼スコアを計算することを含み、ここで、該第1の信頼スコアは、該疾患若しくは健康リスクを有するまたは発症するリスクがある可能性を決定するために使用される該公開データの予測性の強さに対する信頼性の尺度に関連し;
該公開データは、該疾患若しくは健康リスクを有する各ヒト対象に対応する複数の測定値を含み、
該測定値は、該疾患若しくは健康リスクに関連し、該公開データ中の各ヒト対象の公開疾患リスクマーカーから決定する各疾患リスクマーカーに対応し、
該予測健康状態は、該疾患若しくは健康リスクまたは該その発症のリスクを有する該個人を表す、
方法。
【請求項45】
疾患若しくは健康リスクを有するヒト対象の公開データの多変量回帰分析によって決定する、該疾患若しくは健康リスクを有するまたは発症するリスクがある可能性を決定するために、疾患リスクマーカーのそれぞれが従来どおり診断方法において使用されるかどうかを決定すること(ここで、該多変量回帰分析は、該ヒト対象の該公開データの追加の信頼スコアを計算することを含み、ここで、該追加の信頼スコアは、該疾患若しくは健康リスクを有するまたは発症するリスクがある可能性を決定するための診断方法における該疾患リスクマーカーのそれぞれの使用の信頼性の尺度に関連する);および
該信頼スコアの全てからの入力に基づいて、該公開データの加重信頼スコアを計算すること
をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
疾患リスクマーカーのそれぞれが疾患若しくは健康リスクを有するヒト対象の公開データの多変量回帰分析によって決定する健康推奨によって標的とされ得る実行可能な経路の構成要素であるかどうかを決定すること(ここで、該多変量回帰分析は、該ヒト対象の該公開データの追加の信頼スコアを計算することを含み、ここで、該追加の信頼スコアは、該疾患リスクマーカーのそれぞれが該健康推奨によって標的とされ得る該実行可能な経路の該構成要素であるという信頼性の尺度に関連する);および
該信頼スコアの全てからの入力に基づいて、該公開データの加重信頼スコアを計算すること
をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
予測方程式が疾患若しくは健康リスクを有するヒト対象の制御された実験の多変量回帰分析によってさらに決定され、
該疾患若しくは健康リスクについての健康推奨を、対象を該健康推奨に曝露することを含む該制御された実験の多変量回帰分析によって決定する有効性に関して、検証することができるかどうかを決定すること(ここで、該決定は、該制御された実験のそれぞれの追加の信頼スコアを計算することを含み、ここで、該追加の信頼スコアは、該疾患若しくは健康リスクについての該健康推奨が効果的であると検証することができるという信頼性の尺度に関連する);および
該信頼スコアの全てからの入力に基づいて、該公開データおよび該制御された実験の加重信頼スコアを計算すること
をさらに含む、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
請求項1から47のいずれか一項の方法を実施するためのシステム(100)。
【請求項49】
個人の健康状態を評価するためのシステム(100)であって、該システムが
少なくとも1つのプロセッサー(104);
インターフェース(106);および
少なくとも1つのプロセッサー(104)によって実行されるとき、該システム(100)に、
疾患リスクマーカー測定プロバイダー(115)を介して、該個人からの生物学的試料中の疾患リスクマーカーの存在、不在またはレベルの表示を取得させ(ここで、該疾患リスクマーカーは、ゲノムマーカー、プロテオミクスマーカー、メタボロミクスマーカー、エクスポソミックマーカーおよびそれらの組合せからなる群から選択される);および
該サンプリングされた疾患リスクマーカーの該存在、不在またはレベルの表示に基づいて、該サンプリングされた疾患リスクマーカーに対応する予測方程式を適用することによって、疾患若しくは健康リスクまたはその発症のリスクに対応する予測健康状態を決定させる
(ここで、該予測方程式は、該疾患若しくは健康リスクを有するヒト対象の公開データの多変量回帰分析によって決定し、
該多変量回帰分析は、該ヒト対象の該公開データのそれぞれの第1の信頼スコアを計算することを含み、ここで、該第1の信頼スコアは、該疾患若しくは健康リスクを有するまたは発症するリスクの可能性を決定するために使用される該公開データの予測性の強さに対する信頼性の尺度に関連し、該公開データは、該疾患若しくは健康リスクを有する各個人に対応する複数の測定値を含み、
該測定値は、該疾患若しくは健康リスクに関連し、該公開データ中の各ヒト対象の公開疾患リスクマーカーから決定し、
該健康状態は、該疾患若しくは健康リスクまたはその発症のリスクを有する該個人を表す)、
コンピューター実行可能命令(108)を格納する少なくとも1つの有形の非一時的なコンピューター可読記憶媒体
を含む、システム。
【請求項50】
少なくとも1つの有形の非一時的なコンピューター可読記憶媒体が、少なくとも1つのプロセッサー(104)によって実行されるとき、システム(100)に、
個人の健康状態を改善するのに適した食事の変更、栄養補助食品、運動行動またはそれらの組合せを特定すること;および
該食事の変更、該栄養補助食品、該運動行動または該それらの組合せのアイデンティティーをインターフェース(106)に提示すること
によって健康推奨を行わせる、追加のコンピューター実行可能命令(108)をさらに含む、請求項49に記載のシステム(100)。
【請求項51】
少なくとも1つの有形の非一時的なコンピューター可読記憶媒体が、少なくとも1つのプロセッサー(104)によって実行されるとき、システム(100)に、
サンプリングされた疾患リスクマーカーに基づいて、疾患若しくは健康リスクの群に含まれる各疾患若しくは健康リスクに対応するそれぞれの現在の健康状態を決定させ;
該疾患若しくは健康リスクの群に含まれる各疾患若しくは健康リスクについて、それぞれの予測健康状態と該それぞれの現在の健康状態との間のそれぞれのギャップのそれぞれの大きさを決定させ;
該決定されたギャップの大きさに関連する特定の疾患若しくは健康リスクを特定させ;および
該特定の疾患若しくは健康リスクを改善するのに適した、食事の変更、栄養補助食品、運動行動またはそれらの組合せを特定させる、
コンピューター実行可能命令(108)をさらに含む、請求項49に記載のシステム(100)。
【請求項52】
少なくとも1つの有形の非一時的なコンピューター可読記憶媒体が、少なくとも1つのプロセッサー(104)によって実行されるとき、システム(100)に、
後の時点での個人の次のサンプリングされた疾患リスクマーカーの分析から該個人の次の健康状態を決定させ;および
該個人の予測健康状態と該次の健康状態との間のギャップの次の大きさを決定させる、
コンピューター実行可能命令(108)をさらに含む、請求項49に記載のシステム(100)。
【請求項53】
多変量回帰分析が、診断方法における疾患リスクマーカーのそれぞれの使用の信頼性の尺度から選択された1つ以上の尺度に対する追加の信頼スコアを計算して、疾患若しくは健康リスクを有するまたは発症するリスクの可能性、あるいは該疾患リスクマーカーのそれぞれが健康推奨によって標的化され得る実行可能な経路の構成要素であるという信頼性の尺度を決定すること、および該信頼スコアの全てからの入力に基づいて公開データの加重信頼スコアを計算することをさらに含む、請求項49に記載のシステム(100)。
【請求項54】
予測方程式が、疾患若しくは健康リスクを有するヒト対象の制御された実験の多変量回帰分析によってさらに決定され、該多変量回帰分析が、該制御された実験のそれぞれの追加の信頼スコアを計算すること(ここで、該追加の信頼スコアは、該疾患若しくは健康リスクについての健康推奨が有効であると検証することができるという信頼性の尺度に関連する)、および該信頼スコアの全てからの入力に基づいて公開データおよび該制御された実験の加重信頼スコアを計算することをさらに含む、請求項53に記載のシステム(100)。
【請求項55】
a)ヒト対象における疾患若しくは健康リスクに関連する疾患リスクマーカー(Markets)の公開データを含むデータベース(121)(ここで、該疾患リスクマーカーは、ゲノムマーカー、プロテオミクスマーカー、メタボロミクスマーカー、エクスポソミックマーカーおよびそれらの組合せからなる群から選択される);
b)該公開データのそれぞれの第1の信頼スコアを決定するためのコンピューター可読命令を含むコンピューター(122)(ここで、該第1の信頼スコアは、該疾患リスクマーカーの該公開データ中の該疾患若しくは健康リスクに対する関連の可能性が再現可能であることを示し、ここで、該コンピューター可読命令は、
(i)該公開疾患リスクマーカーのそれぞれと該関連との間の関係を表す関連データを生成し;および
(ii)該関連データを使用して、該関連の該信頼スコアを決定する)
を含むシステム(120)。
【請求項56】
関連データが公開データによって受け取られた引用の数および公開データによって引用された参照の数の比較に基づく、請求項55に記載のシステム(120)。
【請求項57】
コンピューター可読命令のセットが、公開データおよび制御された実験の1つ以上の尺度の追加の信頼スコアをさらに決定し(ここで、該1つ以上の尺度は、疾患若しくは健康リスクを有するまたは発症するリスクの可能性を決定するための診断方法における疾患リスクマーカーのそれぞれの使用の信頼性の尺度、該疾患リスクマーカーのそれぞれが健康推奨によって標的化され得る実行可能な経路の構成要素であるという信頼性の尺度、または該疾患若しくは健康リスクについての該健康推奨が有効であると検証することができるという信頼性の尺度から選択される)、および該信頼スコアの全てからの入力に基づいて、該公開データおよび該制御された実験の加重信頼スコアを計算する、請求項55に記載のシステム(120)。
【請求項58】
対象における疾患または状態を治療する方法であって、該方法が請求項1から47のいずれか一項の方法に従って個人の健康状態を決定すること(ここで、前記健康状態は、該疾患または状態の進行を示す)、並びに該疾患または状態を治療するために該個人のための投薬、サプリメントおよび/または栄養における変更を推奨することを含む、方法。
【請求項59】
疾患または状態が、乾癬、クローン病、双極性障害、うつ病、統合失調症、加齢黄斑変性症、思春期特発性側弯症、ハーラー症候群、歯の無歯症、セリアック病、多発性硬化症、輸精管の状態、喘息、アレルギー性鼻炎、ヘロイン中毒(addition)、低骨塩密度、骨粗鬆症、痛風、ADHD、潰瘍性大腸炎、膵臓炎、心的外傷後ストレス障害、自閉症、1型糖尿病、2型糖尿病、腎細胞癌、ピーナッツアレルギー、フックスジストロフィー、クロイツフェルト・ヤコブ病、C型肝炎、強迫性障害、冠状動脈疾患、心血管疾患、膵臓癌、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、コカイン依存症、深部静脈血栓症、ヒルシュスプルング病、ニコチン依存症、糖尿病性腎症、虚血性脳卒中、T2D、自己免疫疾患、いくつかのアルコール離脱、心房細動、強直性脊椎炎、メラノーマ、ALS、片頭痛関連めまい、子宮内膜卵巣癌、冠状動脈性心臓病、パーキンソン病、肺癌、前立腺癌、小児期発症ステロイド感受性腎症候群、統合失調症、恐怖症、パセドウ病、肥満、湿性ARMD、ドセタキセル誘発性腎症、肺結核、男性型脱毛症、双極性障害、CRP、変形性関節症、パーキンソン病、血清尿酸濃度、心筋梗塞リスク、頭蓋内動脈瘤リスク、代謝症候群、脊椎炎、高トリグリセリド、狼瘡、虚血性脳卒中、耳硬化症、皮膚黒色腫、ADHA、非アルコール性脂肪肝疾患、アテローム性動脈硬化性脳梗塞、むずむず脚症候群、ナルコレプシー、顎関節症(TMD)、結腸直腸癌、強直性脊椎炎、神経症傾向、パニック障害、静脈血栓症、緑内障、遺伝性ヘモクロマトーシス、ベシェ病、高血圧、インスリン感受性、食欲不振、トゥーレット症候群、原発性胆汁性肝硬変、頭蓋内動脈瘤、白斑、アルコール依存症、神経膠腫、高血圧、高尿酸血症、肺結核、脊椎炎、静脈血栓塞栓症、腰椎椎間板疾患、心筋症、原発性硬化性胆管炎、結腸直腸癌、食道癌および乳癌からなる群から選択される、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
任意の数の請求項1から59の別のいずれかとの組み合わせた、請求項1から59のいずれか。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、デジタル医療プロファイリングおよび/または健康状態を評価すること、並びに患者相談のためのシステムおよび方法に関する。特に、該開示は、個別化された分子健康プロファイリング、診断、モニタリング並びに/または治療処方およびそれらの治療の方法に向けられている。
【背景技術】
【0002】
背景
個別化健康(個別化医療または精密保険高精度医療としても知られる)の分野は、特に(i)予防医学並びに疾患の早期発見および治療;並びに(ii)健康、フィットネスおよび栄養の最適化に関して注目を集めてきている。個別化健康は、バイオインフォマティクスと組み合わせて、健康管理専門職および/または個人が個人の現在の健康状態、疾患リスク、フィットネスおよび/またはリスクを最もよく軽減する方法を正確に評価することを可能にする、複数の生物学的パラメーターの測定値を含む。実際、個人の全体的な健康状態を理解することは、疾患リスクを低下させ、改善しおよび/若しくは予防し並びに/またはその個人についてカスタマイズされた健康/パフォーマンスを最適化するのを助けるための実行可能な推奨を有する患者カウンセリングにおいて重要な役割を果たす。
【0003】
ハイスループットバイオサイエンス技術における最近の進歩は、特定の個人および状況についての疾患リスクのより正確なモデリングの可能性に至った。例えば、バイオマーカーは、これらの疾患リスクを診断し、プロファイリングしおよび/または管理することにおいて重要な役割を果たす。バイオマーカーおよびそれらの関連する疾患リスクに関する、多量の利用可能な公開研究情報がある。しかしながら、情報を健康状態およ/または疾患リスクに相関させるには、課題がある。そのうえ、データのいくつかは、互いに矛盾し得る。さらに、データは、個人の全体的な健康状態の客観的な尺度を提供しないように、他の関連する健康情報から分離され得る。
【0004】
さらに、新しい研究情報は、世界中の異なる研究グループによって、毎月でなくても、毎年、常に公開され、更新されている。従って、そこから信頼できる有用な情報を導き出すことができるように、疾患リスクに関連するバイオマーカー間の研究証拠の強さを一貫して、正確におよび動的に評価する方法が存在することが重要である。いったんそのような情報を所有すると、患者は、次いで直接、または間接的に、医療専門家(例えば、医師、臨床医、栄養士、セラピスト等)の助けを借りて、彼の/彼女の健康状態を最大化するためにまたは疾患の進行を遅らせるための予防手段として有用であり得るであろう、実行可能な手段(投薬および栄養補助食品、並びに食事および運動などのライフスタイル介入における変更を含む)のタイプの情報に基づいた決定をすることができる。
【0005】
公開研究情報、特に新たに公開された研究論文の性能価値を、特にそれらの結果の再現性の観点から評価すること(assessing)および評価すること(evaluating)は、受け入れ可能な既存の解決策が何らない、重大で、ますます必要で重要な問題であり続けてきた。現在、例えば:(i)主に研究論文について使用されている引用スコア;(ii)主にジャーナルについて使用されているインパクトファクター(IF)(ジャーナルインパクトファクター(JIF)としても知られている);および(iii)主に研究者について使用される科学的H指数(H因子またはH値としても知られている)などのさまざまな基準が使われている。これらの基準のほとんど全ては、次いで公開研究結果の再現性に相関すると推定される、受け取った引用(すなわち、どの出版物および/または研究者によって引用されたか並びに引用の数)の決定に基づいている。
【0006】
上記のように、1つのアプローチは、引用スコアを使用することであった。引用スコアは、2番目の論文による最初の研究論文の引用の数を反映し、任意に2番目の論文の影響が引用スコア中に考慮される。別のアプローチは、そのジャーナル中で公開された最近の記事に対する年間平均引用数を測定し、その分野内のジャーナルの相対的な重要性についての代用として役立つ、インパクトファクターに依存してきた。さらにさらなるアプローチは、科学者または学者の公開著作の生産性および影響の両方を測定しようとする指数である、一般に知られているH指数に基づく科学的評判に依存してきた。例えば、大きなH指数を有する研究者は、研究コミュニティ内でかなりの量の名声および影響を有し得る。
【0007】
しかしながら、これらの基準は、それらの有効性に疑問を投げかける多くの一般的な問題を有するため、限られた価値を有する。第一に、該基準は、科学のさまざまな分野にわたってまたはさまざまなタイプの論文にわたってでさえも容易に比較することができない。例えば、科学研究論文、臨床論文または単一の事例研究に向けられた論文ではなくむしろ公開総説が、引用の数、インパクトファクターおよび/または出版物のH指数さえをも増加させるのにより役立つであろうと考えられている。第二に、研究者は、偏見を有し得、潜在的により多くの出版物に至りより多くの引用を引き付け得る「ホットな」分野またはトレンドの研究分野において働く傾向がある。最後に、いくらかの研究者は、典型的にはしばしば著者自分自身を含む、特定の共同研究者または組織からのみの記事または出版物を引用する傾向がある。そのような実行は、一般的に「自己引用」と呼ばれ、研究者のメトリックスコアをさらに増強するために使用される。結果として、これらの基準およびそのような基準を使う方法は、バイオマーカーを関連する疾患リスクに正確に相関させることができない。
【0008】
患者相談において支援するための有意義で正確な情報を提供する、健康状態、好ましくは全体的な健康状態を評価する改善された方法が、必要とされる。現在の情報に基づいて将来特定の疾患を発症する対象のリスクを予測するための健康状態を評価するためのシステムについての必要性も、存在する。
【発明の概要】
【0009】
要約
本明細書において具現化され記載されるように、一つの一面においては、本開示は、ヒト対象の健康状態を評価する方法に関する。該方法は、個人から得られる生物学的試料を提供すること;該個人に関する該試料からの測定データを提供するために、ゲノムマーカー、プロテオミクスマーカー、メタボロミクスマーカー、エクスポソミックマーカーおよびそれらの組合せからなる群から選択される、該生物学的試料中の少なくとも25個の、好ましくは少なくとも20個の、好ましくは少なくとも15個の、好ましくは少なくとも10個のまたは好ましくは少なくとも5個の疾患リスクマーカーを測定すること;および疾患若しくは健康リスクまたはその発症のリスクに対応する予測方程式を該測定データに適用することによって、該疾患若しくは健康リスクまたは該その発症のリスクに対応する予測健康状態を決定することを含む。予測方程式は、疾患若しくは健康リスクまたはその発症のリスクに対応し、該疾患若しくは健康リスクを有するヒト対象の公開データの多変量回帰分析によって決定する。多変量回帰分析は、ヒト対象の公開データのそれぞれの信頼スコアを計算することを含み、該公開データは、疾患若しくは健康リスクを有する各ヒト対象に対応する複数の測定値を含む。複数の測定値は、疾患若しくは健康リスクに関連し、公開データ中の各ヒト対象の公開疾患リスクマーカーから決定した各疾患リスクマーカーに対応する。予測健康状態は、疾患若しくは健康リスクまたはその発症のリスクを有する個人を表す。
【0010】
本明細書において具現化され記載されるように、別の一面においては、本開示はまた、疾患若しくは健康リスクに対応する一連の疾患リスクマーカーおよび測定した疾患リスクマーカーと公開疾患リスクマーカーとの間のギャップの大きさに基づいて個人の健康状態を決定する方法に関する。該方法は、ヒト対象の疾患若しくは健康リスクまたはその発症のリスクを示す測定データを決定するために、該個人の少なくとも25個の、好ましくは少なくとも20個の、好ましくは少なくとも15個の、好ましくは少なくとも10個のまたは好ましくは少なくとも5個のサンプリングした疾患リスクマーカーを分析すること(ここで、該少なくとも25個の、好ましくは少なくとも20個の、好ましくは少なくとも15個の、好ましくは少なくとも10個のまたは好ましくは少なくとも5個の測定データは、該疾患若しくは健康リスクに対応する);該個人からの該測定データから、該サンプリングした疾患リスクマーカーにおける多型の不在若しくは存在または該サンプリングされた疾患リスクマーカーのレベルを決定すること;並びにコンピューターデバイスによって、および該少なくとも25個の、好ましくは少なくとも20個の、好ましくは少なくとも15個の、好ましくは少なくとも10個のまたは好ましくは少なくとも5個の測定データに基づいて、該試料の疾患リスクマーカーと対応する公開疾患リスクマーカーとの間のギャップの大きさを計算することを含む。各疾患リスクマーカーは、1つ以上の該疾患若しくは健康リスクに影響を与えることと相関し、該ギャップの該大きさは、該個人の該健康状態を示す。
【0011】
本明細書において具現化され記載されるように、さらに別の一面においては、本開示はまた、個人の身体機能を評価する方法に関する。該方法は、個人から得られる生物学的試料を提供すること;該個人に関する該試料からの測定データを提供するために、ゲノムマーカー、プロテオミクスマーカー、メタボロミクスマーカー、エクスポソミックマーカーおよびそれらの組合せからなる群から選択される、該生物学的試料中の少なくとも25個の、好ましくは少なくとも20個の、好ましくは少なくとも15個の、好ましくは少なくとも10個のまたは好ましくは少なくとも5個の疾患リスクマーカーを測定すること;および該測定データに対応する予測方程式を身体機能に適用することによって、該身体機能に対応する予測健康状態を決定することを含む。予測方程式は、身体機能に対応し、疾患若しくは健康リスクを有するヒト対象の公開データの多変量回帰分析によって決定する。多変量回帰分析は、ヒト対象の公開データのそれぞれの信頼スコアを計算することを含み、該公開データは、各ヒト対象に対応する身体機能に対する複数の測定値を含む。測定値は、ゲノムマーカー、プロテオミクスマーカー、メタボロミクスマーカー、および/またはエクスポソミックマーカーの複雑なネットワークを含む生物学的経路に関連し、公開データ中の各ヒト対象の公開疾患リスクマーカーから決定する。予測健康状態は、個人の身体機能を表す。
【0012】
本明細書において具現化され記載されるように、さらに別の一面においては、本開示はまた、個人の健康状態を評価する方法に関する。該方法は、個人から得られる生物学的試料を提供すること、該個人に関する該試料からの測定データを提供するために、ゲノムマーカー、プロテオミクスマーカー、メタボロミクスマーカー、エクスポソミックマーカーおよびそれらの組合せからなる群から選択される、該生物学的試料中の少なくとも25個の、好ましくは少なくとも20個の、好ましくは少なくとも15個の、好ましくは少なくとも10個のまたは好ましくは少なくとも5個の疾患リスクマーカーを測定すること、および疾患若しくは健康リスクまたはその発症のリスクに対応する予測方程式を該測定データに適用することによって、該疾患若しくは健康リスクまたは該その発症のリスクに対応する予測健康状態を決定することを含む。予測方程式は、疾患若しくは健康リスクを有するヒト対象の公開データの多変量回帰分析によって決定する。多変量回帰分析は、ヒト対象の公開データのそれぞれの第1の信頼スコアを計算することを含み、ここで、該第1の信頼スコアは、疾患若しくは健康リスクを有するまたは発症するリスクがある可能性を決定するために使用する該公開データの予測性の強さに対する信頼性の尺度に関連する。公開データは、疾患若しくは健康リスクを有する各ヒト対象に対応する複数の測定値を含む。測定値は、疾患若しくは健康リスクに関連し、公開データ中の各ヒト対象の公開疾患リスクマーカーから決定する各疾患リスクマーカーに対応する。予測健康状態は、疾患若しくは健康リスクまたはその発症のリスクを有する個人を表す。
【0013】
本明細書において具現化され記載されるように、さらに別の一面においては、本開示はまた、本明細書において記載される方法のいずれか1つを実施するためのシステムに関する。
【0014】
本明細書において具現化され記載されるように、さらに別の一面においては、本開示はまた、個人の健康状態を評価するためのシステム(100)に関する。システム(100)は、少なくとも1つのプロセッサー(104);インターフェース(106);およびコンピューター実行可能命令(108)を格納する少なくとも1つの有形の非一時的なコンピューター可読記憶媒体を含む。命令(108)は、少なくとも1つのプロセッサー(104)によって実行されるとき、システム(100)に、疾患リスクマーカー測定プロバイダー(115)を介して、個人からの生物学的試料中の疾患リスクマーカーの存在、不在またはレベルの表示を取得させ(ここで、該疾患リスクマーカーは、ゲノムマーカー、プロテオミクスマーカー、メタボロミクスマーカー、エクスポソミックマーカーおよびそれらの組合せからなる群から選択される);および該サンプリングされた疾患リスクマーカーの該存在、不在またはレベルの表示に基づいて、該サンプリングされた疾患リスクマーカーに対応する予測方程式を適用することによって、疾患若しくは健康リスクまたはその発症のリスクに対応する予測健康状態を決定させる。予測方程式は、疾患若しくは健康リスクを有するヒト対象の公開データの多変量回帰分析によって決定する。多変量回帰分析は、ヒト対象の公開データのそれぞれの第1の信頼スコアを計算することを含み、ここで、該第1の信頼スコアは、疾患若しくは健康リスクを有するまたは発症するリスクの可能性を決定するために使用する該公開データの予測性の強さに対する信頼性の尺度に関連し、該公開データは、該疾患若しくは健康リスクを有する各ヒト対象に対応する複数の測定値を含む。測定値は、疾患若しくは健康リスクに関連し、公開データ中の各ヒト対象の公開疾患リスクマーカーから決定する。健康状態は、疾患若しくは健康リスクまたはその発症のリスクを有する個人を表す。
【0015】
本明細書において具現化され記載されるように、さらに別の一面においては、本開示はまた、システム(120)に関する。システム(120)は、a)ヒト対象における疾患若しくは健康リスクに関連する疾患リスクマーカー(Markets)の公開データを含むデータベース(121)(ここで、該疾患リスクマーカーは、ゲノムマーカー、プロテオミクスマーカー、メタボロミクスマーカー、エクスポソミックマーカーおよびそれらの組合せからなる群から選択される);およびb)該公開データのそれぞれの第1の信頼スコアを決定するためのコンピューター可読命令を含むコンピューター(122)(ここで、該第1の信頼スコアは、該疾患リスクマーカーの該公開データ中の該疾患若しくは健康リスクに対する関連の可能性が再現可能であることを示す)を含む。コンピューター可読命令は、(i)公開疾患リスクマーカーのそれぞれと該関連との間の関係を表す関連データを生成し;および(ii)該関連データを使用して、該関連の信頼スコアを決定する。
【0016】
本明細書において具現化され記載されるように、さらにさらなる一面においては、本開示はまた、の健康状態を評価する方法に関し、該方法は、(i)から得られる生物学的試料を提供すること;(ii)に関連する該試料からの収集した測定データを提供するために、ゲノムマーカー、プロテオミクスマーカー、メタボロミクスマーカー、エクスポソミックマーカーおよびそれらの組合せからなる群から選択される、該生物学的試料中の少なくとも25個の、好ましくは少なくとも20個の、好ましくは少なくとも15個の、好ましくは少なくとも10個のまたは好ましくは少なくとも5個の疾患リスクマーカーを測定すること;(iii)該収集した測定データをコンピューターで実行されるデータ処理システムに入力すること;(iv)ヒト対象における疾患若しくは健康リスクに関連する疾患リスクマーカーの公開データに対応するデータベース中の複数の電子データエントリーにおけるそれぞれのエントリーに個々のバイオマーカーレベルを割り当てることによって、データ処理システム中で該収集した測定データを処理すること(ここで、該疾患リスクマーカーは、ゲノムマーカー、プロテオミクスマーカー、メタボロミクスマーカー、エクスポソミックマーカーおよびそれらの組合せからなる群から選択される);(v)該収集した測定データに、疾患若しくは健康リスクまたはその発症リスクに対応する予測方程式を適用することによって、該疾患若しくは健康リスクまたは該疾患またはそのリスクを発症する該リスクに対応する予測健康状態を出力すること(該予測方程式は、該疾患若しくは健康リスクを有するヒト対象の公開データのコンピューターで実行される多変量回帰分析によって決定し、該多変量回帰分析は、該ヒト対象の該公開データのそれぞれの信頼スコアを出力することを含み、ここで、該公開データは、該疾患若しくは健康リスクを有する各ヒト対象に対応する複数の測定値を含み、該複数の測定値は、該疾患若しくは健康リスクに関連する各疾患リスクマーカーに対応し、該公開データ中の各ヒト対象の公開疾患リスクマーカーから決定し、該予測健康状態は、該疾患若しくは健康リスクまたは該その発症のリスクを有する該個人を表す);および(vi)該データ処理システムに直接または無線で接続された電子ディスプレイ上に該予測健康状態を表示することを含む。
【0017】
一つの実施態様においては、測定ステップ(ii)は、少なくとも1つの質量分析のステップを含む。別の実施態様においては、収集した測定データは、データベースに入力する。さらなる実施態様によれば、信頼スコアは、参考文献に戻る(return-on-bibliography)(ROB)スコアからの出力に基づく。さらなる実施態様においては、該方法はさらに、ギャップの大きさ技術に基づいて疾患リスクスコアを決定することを含む。さらにさらなる実施態様においては、信頼スコアは、初期信頼スコアを1つ以上の追加の信頼スコアで積み重ねることによって計算される加重スコアである。
【0018】
一つの一面においては、出願人は、複数反応モニタリング質量分析、高速液体クロマトグラフィー、および液体クロマトグラフィー-質量分析の組合せが、最も正確で、定量化可能で、確実に一貫したバイオマーカーレベルの結果を達成することができることを見出した。すなわち、本開示は、質量分析、高速液体クロマトグラフィー、および液体クロマトグラフィー-質量分析の1つまたは組合せを使用してバイオマーカーを測定する、本開示の上記の一面および/または実施態様のいずれか1つに関する。一つの実施態様においては、分析は、任意に別の分析技術と相まって、質量分析単位で行い得る、少なくとも1つの質量分析のステップを含む。
【0019】
さらに別の一面においては、本開示は、本明細書において開示される方法のいずれかに基づいて個人の健康状態を決定すること(ここで、前記健康状態は、疾患または状態の進行を示す)、および該疾患または状態を治療するための該個人についての投薬、サプリメントおよび/または栄養における変更を推奨することを含む、対象における該疾患または状態を治療する方法に関する。ある実施態様においては、疾患または状態は、乾癬、クローン病、双極性障害、うつ病、統合失調症、加齢黄斑変性症、思春期特発性側弯症、ハーラー症候群、歯の無歯症、セリアック病、多発性硬化症、輸精管の状態、喘息、アレルギー性鼻炎、ヘロイン中毒(addition)、低骨塩密度、骨粗鬆症、痛風、ADHD、潰瘍性大腸炎、膵臓炎、心的外傷後ストレス障害、自閉症、1型糖尿病、2型糖尿病、腎細胞癌、ピーナッツアレルギー、フックスジストロフィー、クロイツフェルト・ヤコブ病、C型肝炎、強迫性障害、冠状動脈疾患、心血管疾患、膵臓癌、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、コカイン依存症、深部静脈血栓症、ヒルシュスプルング病、ニコチン依存症、糖尿病性腎症、虚血性脳卒中、T2D、自己免疫疾患、いくつかのアルコール離脱、心房細動、強直性脊椎炎、メラノーマ、ALS、片頭痛関連めまい、子宮内膜卵巣癌、冠状動脈性心臓病、パーキンソン病、肺癌、前立腺癌、小児期発症ステロイド感受性腎症候群、統合失調症、恐怖症、パセドウ病、肥満、湿性ARMD、ドセタキセル誘発性腎症、肺結核、男性型脱毛症、双極性障害、CRP、変形性関節症、パーキンソン病、血清尿酸濃度、心筋梗塞リスク、頭蓋内動脈瘤リスク、代謝症候群、脊椎炎、高トリグリセリド、狼瘡、虚血性脳卒中、耳硬化症、皮膚黒色腫、ADHA、非アルコール性脂肪肝疾患、アテローム性動脈硬化性脳梗塞、むずむず脚症候群、ナルコレプシー、顎関節症(TMD)、結腸直腸癌、強直性脊椎炎、神経症傾向、パニック障害、静脈血栓症、緑内障、遺伝性ヘモクロマトーシス、ベシェ病、高血圧、インスリン感受性、食欲不振、トゥーレット症候群、原発性胆汁性肝硬変、頭蓋内動脈瘤、白斑、アルコール依存症、神経膠腫、高血圧、高尿酸血症、肺結核、脊椎炎、静脈血栓塞栓症、腰椎椎間板疾患、心筋症、原発性硬化性胆管炎、結腸直腸癌、食道癌および乳癌からなる群から選択される。
【0020】
この開示において記載され、相互に排他的ではない例示的な実施態様の全ての特徴は、互いに組み合わせることができる。一つの実施態様の要素は、さらなる言及なしに、他の実施態様において利用することができる。本開示の他の一面および特徴は、添付の図と組み合わせて特定の実施態様の以下の説明の再検討で、当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
明細書は、開示を特に指摘し、明確に主張する特許請求の範囲で終わるが、本開示は、添付の図の以下の説明からよりよく理解されるであろうと考えられる。
図1図1は、本開示の例示的な実施態様による、個人の健康状態を評価する方法(10)の流れ図である。
図2図2は、本開示の例示的な実施態様によるシステムの概略図である。
図3図3は、本開示のある実施態様による疾患リスクマーカーを用いた身体機能評価の視覚化である。
図4図4は、ライフスタイル行動計画(すなわち、健康推奨)の疾患リスクマーカーとの間のリンクを視覚化するサンキーダイアグラムである。
図5図5は、本開示の一つの一面による、公開研究論文について生成したROBスコアの例示的な分布を表示するグラフである。多くの研究論文は、低いROBスコアを有し、一方、少しだけが、高いROBスコアを有する。分布は、各疾患リスクマーカーに対応する信頼スコア(または信頼区間)を疾患関連に割り当てるために使用した、4つの四分位に分割している。
図6図6は、各疾患リスクマーカーについてリスクスコアがどのように計算されるかの全体的なプロセスを表すフローチャートである。これらの疾患リスクマーカーのリスクスコアは、最終的にクライアントと共有される前に科学者によって再検討される最終健康レポート中に自動生成される、健康リスクおよびライフスタイル行動計画の推奨を形成するために一緒に集計する。
図7図7は、概念実証研究の例示的な研究デザインであり、ここでは、それぞれ50人の参加者の3つのコホート(合計150人の研究参加者)に、ライフスタイル行動計画が長期にわたって健康にプラスの影響を与えることができるかどうかを決定するために、健康レポートおよび該行動計画を与えた。
図8図8は、コホートの約20%が2型糖尿病およびアルツハイマー病を含むさまざまな疾患について中程度のおよび高い健康リスクを示したことを表示する、これらの研究参加者の集計情報を表示するチャートである。線グラフは、さまざまな疾患における健康リスクの完全な低下を示す、研究の開始時および行動計画に続く100日後のこれらの参加者についての健康リスクの集計結果を表示する。
図9図9は、研究参加者の大多数(68%)が多くの慢性疾患についての初期指標および/または原因因子(casual factors)として典型的に関連付けられる、異常なレベルの疾患リスクマーカーを有することを示す、これらの研究参加者の集計情報を表示するチャートである。線グラフは、疾患の初期指標および/または原因因子についての異常な疾患リスクマーカーレベルに関連する身体機能リスクの完全な低下を示す、研究の開始時および行動計画に続く100日後のこれらの参加者についての身体機能リスク(臓器の健康としても呼ばれる)状態の集計ステータス結果を表示する。
図10図10は、疾患リスクマーカーの公開データおよび/または制御された実験における疾患若しくは健康リスクへの関連、並びに該疾患リスクマーカーの健康推奨システムへの影響におけるさまざまなレベルの信頼度についての概略図を示す。 図面において、例示的な実施態様は、例として例示されている。説明および図面は、特定の実施態様を例示する目的のためのみであり、理解の助けとなるものであることが明確に理解されるべきである。それらは、いかなる方法でも本発明に対して限定するものとして解釈されることを意図していない。
【発明を実施するための形態】
【0022】
詳細な説明
本発明の1つ以上の実施態様の詳細な説明を、本発明の原理を例示する添付の図とともに以下に提供する。本発明を、そのような実施態様に関連して説明するが、本発明は、本明細書において記載されるいかなる特定の実施態様にも限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によってのみ限定される。多数の特定の詳細を、本発明の完全な理解を提供するために以下の説明において記載している。これらの詳細は、非限定的な例を提供する目的で提供しており、本発明は、これらの特定の詳細の一部または全てなしに特許請求の範囲に従って実行し得る。明確化の目的のために、本発明に関連する技術分野において知られている特定の技術資料は、本発明がそのような説明によって不必要に不明瞭にならないように詳細に説明していない。
【0023】
定義
別途定義されていない限り、本明細書において使用される全ての技術および科学用語は、本発明が関係する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書において使用されているように、および別途明記されていない限りまたは文脈により別途必要とされない限り、以下の用語のそれぞれは、下記の定義を有するものとする。
【0024】
特許請求の範囲において使用されるとき、「a」および「an」などの冠詞は、請求されているまたは説明されているものの1つ以上を意味すると理解される。
【0025】
用語「バイオマーカー」または「マーカー」は、本明細書においては、生物学的状態の指標として使用する物質(例えば、遺伝子、mRNA、マイクロRNA(miRNA)、タンパク質、代謝物、糖、脂肪、金属、ミネラル、栄養素、毒素等)を意味するために互換的に使用される。
【0026】
用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「含有する(contain)」、「含有する(contains)」および「含有する(containing)」は、非限定的である、すなわち、結果の終わりに影響を与えない他のステップおよび他のセクションを加えることができることを意味する。上記の用語は、用語「からなる」および「本質的にからなる」を包含する。
【0027】
用語「疾患」は、一般に、生物(例えば、ヒト)における構造または機能に悪影響を与える障害または特定の異常な状態、特に、しばしば病状として解釈される特定の徴候または症状を生じるものを指す。疾患は、外的因子(例えば、病原体)によってまたは内部機能障害によって引き起こされ得る。疾患の非限定的な例は、癌、糖尿病、心臓病、アレルギー、免疫不全および喘息を含む。
【0028】
用語「疾患リスクマーカー」は、一般に、生物(例えば、ヒト)における疾患若しくは健康リスクを有することまたは発症することに関連するマルチオミクス手段(例えば、ゲノム、プロテオミクス、メタボロミクスおよびエクスポソミック)を指す。疾患リスクマーカーはまた、生物における身体機能を特徴付けるために使用し得る。
【0029】
用語「エクスポソミックマーカー」は、一般に、気候、ライフスタイル要因(例えば、タバコ、アルコール)、食事、身体活動、汚染物質、放射線、感染等を含む、個人が経験する環境曝露を示す情報を提供するバイオマーカーを指す。エクスポソミックマーカーはまた、個人の健康に対して影響を有し得る個人の住居の場所、住居の質などの、個人の環境を示す情報も提供し得る。エクスポソミックマーカーは動的であり、それらの結果は例えば環境要因における変化によって影響を受けることが理解されるであろう。「エクスポソミックマーカー」の適切な例は、本明細書において以下明細書中に記載されている。
【0030】
用語「ゲノムリスクマーカー」は、一般に、個人のDNA上の1つのまたは一連の特徴的な遺伝的変異および疾患若しくは健康リスクの因果関係の直接推論を指す。遺伝的変異のタイプは、特定の位置でのDNAの挿入または欠失、および特定のヌクレオチドが変化する一塩基多型(SNP)を含み得る。ゲノムリスクマーカーは、典型的には静的であると考えられ(例えば、遺伝性の特性)、時間の経過とともに変化しない。しかしながら、特定の例においては、ゲノムリスクマーカーが動的であり、例えば腫瘍形成において可変であることがあり得る。個人から得られたゲノムリスクマーカーの評価は、各変異体が疾患の病因およびそれらの疾患への感受性にどのように影響を与えるかについての情報を提供することが期待される。「ゲノムリスクマーカー」の適切な例は、本明細書において以下明細書中に記載されている。
【0031】
用語「健康リスク」は、一般に、特定の疾患または状態による有害事象または負の健康結果を指す。例えば、肥満の健康リスクは、糖尿病、関節疾患、特定の癌の増加した可能性、および心血管疾患を含み得る。これらの全ては、肥満に関連する結果であり、従って肥満に関連する健康リスクであると考えられる。健康リスクはまた、遺伝的状態、慢性疾患、特定の職業(例えば、鉱夫は、重金属汚染物質に曝露されている)若しくはスポーツ(例えば、サッカー選手における脳震盪は、記憶喪失、うつ病、不安等に関連している)、ライフスタイル要因(例えば、アルコール依存症は、脂肪肝を発症する高いリスクにある)または任意の数の事象若しくは状況に関連し得る。
【0032】
用語「健康状態」は、一般に、評価時の個人のそれぞれの健康状態のプロファイルの定性的または定量的表示を指す。
【0033】
用語「代謝マーカー」は、一般に、個人におけるシステム中の生物学的状態および機能に関連する代謝経路の情報を提供する代謝物および/または代謝物プロファイルを指す。「代謝経路」は、ある化合物を別の化合物に変換し、細胞機能に中間体およびエネルギーを提供する一連の酵素媒介反応を指す。代謝経路は、線形でまたは周期的であり得る。代謝物および/または代謝物プロファイルの機能的影響は、疾患若しくは健康リスクの因果性を推測するのに有用である。結果として、代謝マーカーは、特に疾患または疾患への感受性を参照して、個人の健康状態を正確に特定するのに有用である。代謝マーカーは動的であり、それらの結果は例えば健康、投薬および栄養における変更によって影響を受ける。「代謝マーカー」の適切な例は、本明細書において以下明細書中に記載されている。
【0034】
用語「予測健康状態」は、一般に、評価後の後の時点でのそれぞれの健康状態のプロファイルのそのような定量的表示を指す。例えば、DNA分析を介して予測健康状態を取得するとき、予測健康状態は、予測方程式を測定したゲノムマーカーに適用することによって計算する。
【0035】
用語「好ましい」、「好ましくは」および変形は、一般に、特定の状況下で特定の利益をもたらす本開示の実施態様を指す。しかしながら、他の実施態様もまた、同じまたは他の状況下で好ましくあり得る。さらに、1つ以上の好ましい実施態様の列挙は、他の実施態様が有用でないことを意味せず、他の実施態様を本開示の範囲から除外することを意図しない。
【0036】
用語「予防すること」または「予防」は、一般に、疾患若しくは健康状態を獲得するリスクにおける低下を指す。結果として、疾患または健康状態の症状の少なくとも1つは、該疾患または健康状態に曝露され得るまたはかかりやすい素因を有し得るが、該疾患または健康状態の症状をまだ経験していないまたは表していない個人においては発症しない。
【0037】
用語「プロテオミクスマーカー」は、一般に、個人における進行中の生理学的、発達的または病理学的事象の情報を提供し、疾患若しくは健康リスクに相関する機能性タンパク質および/またはタンパク質プロファイルを指す。ゲノム技術は特に疾患に関連する遺伝子を特定したが、一方、そのような遺伝子の機能およびそれらの遺伝子のさまざまなプロセス(例えば、タンパク質分解、翻訳後修飾、複雑な構造における関与、および区画化)による機能調節の文脈におけるデータ解釈は、プロテオミクスマーカーの評価によって支援される。「プロテオミクスマーカー」は、生体液、細胞小器官、細胞、組織、臓器、システムまたは個人全体である、定義されたエンティティのタンパク質レパートリーを見ることに関係している。個人から得られたプロテオミクスマーカーの評価は、疾患の病因およびそれらの疾患への感受性の理解およびモニタリングを増加させることが期待される。プロテオミクスマーカーは動的であり、それらの結果は例えば健康、投薬、栄養における変更によって影響を受ける。「プロテオミクスマーカー」の適切な例は、本明細書において以下明細書中に記載されている。
【0038】
本開示の全ての実施態様において、全てのパーセント、部分および比率は、別途指定されていない限り、本開示の組成物の総重量に基づく。リストされている成分に関連する全ての重量は、活性レベルに基づいており、従って、別途指定されていない限り、市販の材料中に含まれ得る溶媒や副産物を含まない。
【0039】
全ての比率は、別途特に明記されていない限り、重量比である。全ての温度は、別途特に明記されていない限り、摂氏の度(℃)である。本明細書において開示される全ての寸法および値(例えば、量、パーセント、部分、および割合)は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきでない。代わりに、別途指定されていない限り、各そのような寸法または値は、列挙されている値およびその値を取り巻く機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。
【0040】
健康状態を評価する方法
一つの一面においては、本開示は、少なくとも部分的に、マルチオミック手段(例えば、ゲノミクス、メタボロミクス、エクスポソミックおよびプロテオミクス)と疾患若しくは健康リスクとの間の相関の発見につながったハイスループットバイオサイエンス技術における最近の進歩に基づいている。特に、本発明者らは、疾患若しくは健康リスクとの関連を獲得するための生物学的パラメーターのマルチオミック手段の評価が、該疾患若しくは健康リスクに関する個人の健康状態のより正確な評価、または該疾患若しくは健康リスクを発症する該個人の感受性の予測を可能にすることを発見した。
【0041】
疾患若しくは健康リスクに関連する複雑な病因は、各個人および状態に特有の遺伝的および環境的要因の組合せによって影響される。実際、疾患若しくは健康リスクは、任意の数の生理学的、行動的および環境的ダイナミクスによって引き起こされる。疾患若しくは健康リスクの因果関係に寄与する根本的な要因の広い範囲を考えると、疾患若しくは健康リスクについて予測するマルチオミック手段の特定は予測できなかった。特定のマルチオミクス手段と複数の疾患若しくは健康リスクとの間の強い相関を確認するための公開研究情報を評価する方法およびシステムの発見が、これまで達成されてこなかった方法での個人の健康状態の正確な評価を可能にした。さらに、本開示は、彼らの特定の健康状態について個人にカスタマイズされた「コンシェルジュ」カウンセリングを提供するためのコンピューターで実行される方法およびシステムを提供する。従って、本開示主題は、当技術分野における進歩を表す。
【0042】
本明細書において記載されるように、本発明者らは、上記のような不利な点を克服するためのマルチオミック手段と疾患若しくは健康リスクとの間の驚くべき相関を発見した。特に、本発明者らは、それらの公開結果の再現性に関して公開研究情報を一貫して、正確におよび動的に評価することができる、参考文献に戻る(ROB)スコアと呼ばれるコンピューター生成のスコアリングメトリックを開発した。実際、ROBスコアは、研究情報が新しく公開された研究情報で更新されるにつれてまたは以前の研究情報が撤回され得るにつれて、時間の経過とともに進化することが観察された。
【0043】
すなわち、公開結果の再現性の観点から公開研究情報を客観的に評価するための新しい方法を提供することは、本開示の利点である。該方法は、計算するには単純であるが、さまざまな分野(すなわち、サブフィールドを含む研究フィールド)およびさまざまなタイプの出版物にわたって比較するその能力において一貫性がある。複数のタイプのバイオマーカーに関連する研究情報を利用して、個人の全体的な健康状態に対するより正確なおよび完全な洞察を提供することは、本開示のさらなる利点である。個人の結果の受け入れを増加させ、疾患若しくは健康リスクを軽減するためのライフスタイル介入を開始して忠実に守る可能性を増加させることは、さらにさらなる利点である。本明細書において記載される健康評価方法論におけるゲノムおよびメタボロミクス情報の組込みは、この望ましい効果を有し得る。
【0044】
具体的には、一つの一面においては、本開示は、個人の健康状態を評価する方法を提供する。該方法は、生物学的試料からの測定データを提供するために、該試料中の少なくとも25個の、好ましくは少なくとも20個の、好ましくは少なくとも15個の、好ましくは少なくとも10個のまたは好ましくは少なくとも5個の疾患リスクマーカーを測定すること;および疾患若しくは健康リスク、またはその発症のリスクに対応する予測健康状態を決定することを含む。特定の実施態様においては、該方法は、生物学的試料中の少なくとも300、275、250、225、200、175、150、125、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、35、20、15、10、または5個の疾患リスクマーカーを測定することを含む。
【0045】
疾患リスクマーカーは、ゲノムマーカー、プロテオミクスマーカー、メタボロミクスマーカー、エクスポソミックマーカーおよびそれらの組合せからなる群から選択される。予測健康状態は、疾患若しくは健康リスクまたはその発症のリスクに対応する予測方程式を測定データに適用することによって決定する。予測方程式は、ヒト対象からの公開データのそれぞれの信頼スコアを計算するために、疾患若しくは健康リスクを有する該ヒト対象の該公開データの多変量回帰分析によって決定する。公開データは、疾患若しくは健康リスクを有する各ヒト対象に対応する複数の測定値を含む。測定値は、疾患若しくは健康リスクに関連付けられており、公開データ中の各ヒト対象の公開疾患リスクマーカーから決定する。さまざまな実施態様において、予測健康状態は、疾患若しくは健康リスクまたはその発症のリスクを有する個人を表す。
【0046】
任意に、本明細書において記載される方法は、ゲノムマーカー、プロテオミクスマーカー、メタボロミクスマーカーおよびエクスポソミックマーカーからなる群から選択される少なくとも2つの、少なくとも3つのまたは4つ全ての疾患リスクマーカーを測定することによって、それぞれの予測健康状態を決定することを含む。すなわち、いくつかの実施態様においては、疾患リスクマーカーの公開データは、ゲノムマーカー、プロテオミクスマーカー、メタボロミクスマーカーおよびエクスポソミックマーカーの少なくとも2つ、少なくとも3つまたは4つ全てを組み込む予測健康状態を計算するために、少なくとも2つの、少なくとも3つのまたは4つ全ての異なる予測方程式において適用される。すなわち、一つの一面においては、本開示の方法は、個人の健康状態のより包括的なおよび正確な評価を可能にする、4つの異なる生物学的バイオマーカーに基づく個人の健康状態または疾患若しくは健康リスクを発症するリスクに関する情報を提供する。
【0047】
一つの実施態様においては、本開示は、予測健康状態を決定するステップがさらに、測定した疾患リスクマーカーを疾患若しくは健康リスクに関連する公開疾患リスクマーカーと比較すること;および該測定した疾患リスクマーカーと該公開疾患リスクマーカーとの間のギャップの大きさを決定することを含む方法を提供する。この点について、ギャップの大きさが大きければ大きいほど、個人の健康状態は対照群(すなわち、疾患若しくは健康リスクを有さないヒト対象)と比較して「より悪い」ことが理解される。これらの個人については、ギャップの大きさを低下させるまたは最小化するのを助けるために実行可能な手段が推奨/選択されることを確実にするために、彼らが彼らの健康状態をより認識するようになることが推奨される。この情報は、疾患若しくは健康リスクの進行の遅延または相殺からの任意の利益を増加させるために、個人の人生においてより早く(例えば、40歳以下、35歳以下、30歳以下、または25歳以下)取得することが望ましい。
【0048】
別の実施態様においては、より小さなギャップの大きさは、その時点までの個人のより良い健康状態を反映するが、一方、ギャップの大きさが後の時点で小さいままであり続けるという保証は何らない。これは、一部は、例えば、変化する身体の生理、変化する投薬、変化する栄養および/または経時的な個人のライフスタイル選択による。従って、個人は、定期的に彼の/彼女の健康状態を継続的に監視することが推奨される。結果として、本開示による方法はまた、個人が経時的に健康状態における変化をモニターすることを可能にする。
【0049】
従って、特定の実施態様においては、該方法はさらに、疾患若しくは健康リスクのそれぞれについてそれぞれの予測健康状態を決定することを含む。各それぞれの予測健康状態は、それぞれの予測方程式を疾患リスクマーカーのそれぞれについてのそれぞれの測定データに適用することによって計算する。一つの実施態様においては、ゲノムマーカー、プロテオミクスマーカー、メタボロミクスマーカーおよびエクスポソミックマーカーのそれぞれについての固有の予測方程式を、必要に応じて適用し、例えば、そのそれぞれが疾患若しくは健康リスクのそれぞれに対応する4つの予測健康状態をもたらす。一つの一面においては、予測方程式は、疾患リスクマーカーのそれぞれの疾患若しくは健康リスクへの相関のそれぞれの強さに基づいている。
【0050】
本開示の方法はまた、好ましくはさらに、個人のサンプリングされた測定データに基づいて、疾患若しくは健康リスクのそれぞれに対応するそれぞれの現在の健康状態を決定すること;および該疾患若しくは健康リスクのそれぞれについて、それぞれの予測健康状態と該それぞれの現在の健康状態との間のそれぞれのギャップのそれぞれの大きさを決定することを含む。必要に応じて、最大のそれぞれのギャップの大きさに関連する疾患若しくは健康リスクが、特定される。例えば、該方法は、疾患若しくは健康リスクにおけるそれぞれの予測健康状態によって予測されるであろうよりも大きな重症度(すなわち、最悪の状態)を示すそれぞれの現在の健康状態を特定すること、および例えば、投薬および栄養補助食品、並びに食事および運動などのライフスタイル介入における変更を選択するまたは推奨するのを助けるために最大のそれぞれのギャップの大きさを有する疾患若しくは健康リスクを優先することを可能にする。
【0051】
本明細書において記載される方法は好ましくはさらに、後の時点での個人の次の測定データの分析から該個人の次の健康状態を決定すること;および予測健康状態と該個人の次の健康状態との間のギャップの次の大きさを決定することを含む。従って、本開示の方法はまた、彼らがギャップが低いままであることを確実にするためにそのようなギャップを日常的にモニターしたいであろう可能性が高いため、そのギャップの大きさが小さい個人に利益をもたらすであろう。
【0052】
個人の健康状態を評価する方法はまた、図1中に示すように説明することができる。図1は、本開示のある実施態様による、個人の健康状態を評価する例となる方法(10)を例示する。図1中で例示される全てのステップが、本発明の文脈において必要とされるわけではないが、そのさまざまな一面を例示するために提供する。方法(10)は、個人から生物学的試料を取得することを含む(ブロック11)。生物学的試料は、例えば、唾液、血液、尿、羊水、脳脊髄液または事実上任意の組織試料(例えば、皮膚、毛髪、筋肉、頬または結膜粘膜、胎盤、胃腸管または他の臓器からの)などの個人の任意の供給源から取得し得る。生物学的試料は、任意の臨床的に受け入れられた方法を使用して個人から取得する。いくつかの実施態様においては、生物学的試料は、実験室または診療所において侵襲的に(例えば、採血)取得する。一方、他の実施態様においては、試料は非侵襲的に(例えば、口の内側を綿棒で拭くことまたはこすることを介して)取得する。任意に、生物学的試料は、DNA試料収集のための材料を含むキットを使用して、個人の家において自己収集することができる。例示的なキットは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,291,171号中に記載されている。収集した試料は、その後、分析のために実験室に直接送り得る。
【0053】
ブロック12で、生物学的試料は、個人の健康状態の質または状態に対応するかまたは影響を与える1つ以上の疾患若しくは健康リスクに関連する1つ以上の疾患リスクマーカーの測定データを提供するために測定する。疾患リスクマーカーは、ゲノムマーカー、プロテオミクスマーカー、メタボロミクスマーカーおよびエクスポソミックマーカーを含み得る。4つ全ての疾患リスクマーカーが本明細書において論じられているが、これは代表的であるのみであり、4つ全てより少ない疾患リスクマーカーもまた、本明細書において記載される方法、システムおよび技術に関して利用し得る。
【0054】
ブロック12を引き続き参照して、個人からの生物学的試料は、バイオマーカーの存在または不在を決定するために分析し得る。一つの一面においては、測定のステップは、ゲノムマーカーにおける1つ以上の多型の存在または不在を決定することを含み、ここで、該1つ以上の多型は、疾患若しくは健康リスクに関連している。一つの実施態様においては、そのようなゲノムマーカーは、表1(以下に示す)中の遺伝子1から477またはそれらの任意の組合せからなる群から選択される。あるいは、本発明の実施態様による方法において、ゲノムマーカーは、表1(以下に示す)中の多型1から477またはそれらの任意の組合せからなる群から選択される。例として(およびいかなる特定の理論によっても縛られることを望まず)、KCNJ11は、インスリン分泌において重要な役割を有するカリウム内向き整流チャネルをコードする。KCNJ11中に、例えばrs5215などの一塩基多型(SNP)を有する個人は、それによってSNPを有さない対照の対象(rs5215についての参照SNP(refSNP)クラスターレポート;https://www.ncbi.nlm.nih.gov/snp/rs5215)と比較して増加した2型糖尿病のリスクにつながる、限定されたインスリン分泌機能を有するであろう。従って、本開示のこの例は、KCNJ11中にSNPを有する個人に利益をもたらし、それによって、彼の/彼女のマーカーを正常化し、2型糖尿病に関連する健康リスクを低下させるために、可能な食事の変更を求めるであろう。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
【表7】
【0062】
【表8】
【0063】
【表9】
【0064】
【表10】
【0065】
【表11】
【0066】
【表12】
【0067】
【表13】
【0068】
【表14】
【0069】
【表15】
【0070】
【表16】
【0071】
【表17】
【0072】
【表18】
【0073】
【表19】
【0074】
【表20】
【0075】
【表21】
【0076】
【表22】
【0077】
【表23】
【0078】
【表24】
【0079】
【表25】
【0080】
多型の存在または不在は、任意の適切な方法を使用して決定する。多型の検出を行う方法は、重要ではない。例えば、多型の発生は、ハイブリダイゼーション、制限断片長分析、インベーダーアッセイ、遺伝子チップハイブリダイゼーションアッセイ、オリゴヌクレオチドライゲーション(litigation)アッセイ、ライゲーションローリングサークル増幅、5’ヌクレアーゼアッセイ、ポリメラーゼ校正法、対立遺伝子特異的PCR、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法飛行時間型(MALDI-TOF)質量分析、リガーゼ連鎖反応アッセイ、酵素増幅電子変換、単一塩基対伸長アッセイ、還元配列データおよび配列分析を含むがこれらに限定されない方法によって検出することができる。
【0081】
分析において使用するポリヌクレオチド材料は、必要に応じて、DNA(例えば、cDNAを含む)またはRNA(例えば、mRNAを含む)であり得る。任意に、RNAまたはDNAは、ハイブリダイゼーションまたは配列分析の前にポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅する。ハイブリダイゼーションについては、多型に関連する配列の領域に特異的なオリゴヌクレオチドに曝露され、任意に基質(例えば、アレイまたはマイクロアレイ)上に固定化されたポリヌクレオチド試料。目的の遺伝子座に特異的な1つ以上の適切なプローブの選択および適切なハイブリダイゼーション条件またはPCR条件の選択は、核酸を扱う科学者の通常のスキルの範囲内である。
【0082】
ゲノムマーカーは上記されているが、一方、さらなる実施態様においては、プロテオミクスマーカー、メタボロミクスマーカーおよびエクスポソミックマーカーを含む他のバイオマーカーは、本明細書において記載される方法を使用して分析することができる。尿試料において測定することができるそのようなバイオマーカーの例を、表2において提供する。
【0083】
【表26】
【0084】
【表27】
【0085】
【表28】
【0086】
限定することなく、表2におけるバイオマーカーの1つ以上のレベルは、特定の病状の存在またはそのような状態を発症するリスクを示し得る。例として、限定することなく、自閉症および/または慢性腎臓病は、バイオマーカーであるインドキシル硫酸(Dieme et al.,J Proteome Res,2015 Dec 4;14(12):5273-82;およびLeong et al.,J Proteome Res,2015 Dec 4;14(12):5273-82)およびp-クレゾール硫酸(Gabriele et al.,J Proteome Res,2015 Dec 4;14(12):5273-82およびJ Proteome Res,2015 Dec 4;14(12):5273-82)と相関し得る。
【0087】
再びブロック12を参照して、個人からの生物学的試料を分析して、該生物学的試料中のバイオマーカーのレベルを決定し得る。別の一面においては、測定のステップは好ましくは、生物学的試料中のプロテオミクスマーカー、代謝マーカー、エクスポソミックマーカーまたはそれらの組合せのレベルを、疾患若しくは健康リスクを有する個人からの試料からの公開データからの対応するマーカーのレベルと比較することを含み、ここで、該レベルは、該疾患若しくは健康リスクに関連している。換言すると、生物学的試料中のバイオマーカーのレベルは、最適範囲外にあるバイオマーカーを特定するために、身体機能を疾患若しくは健康リスクと相関させたデータベース中のバイオマーカーのレベルと比較する。
【0088】
好ましくは、エクスポソミックマーカーがビタミン、アミノ酸、無機化合物、生体アミン、有機酸、アミンオキシド、炭化水素誘導体およびそれらの組合せからなる群から選択される、本発明による方法。一つの一面においては、ビタミンは、好ましくはビタミンA、ビタミンB3-アミド、ビタミンB6、ビタミンB1、カルシジオール、ビタミンD2、ビタミンB7、ビタミンB5、ビタミンB2およびそれらの組合せからなる群から選択される。別の一面においては、アミノ酸は、好ましくは分枝鎖アミノ酸、芳香族アミノ酸、脂肪族アミノ酸、極性側鎖アミノ酸、酸性および塩基性アミノ酸、並びに特異アミノ酸好ましくはグリシンおよびプロリン、並びにそれらの組合せからなる群から選択される。さらに別の一面においては、無機化合物は、好ましくは銅、鉄、ナトリウム、カルシウム、カリウム、リン、マグネシウム、ストロンチウム、ルビジウム、アンチモン、セレン、セシウム、亜鉛、バリウムおよびそれらの組合せからなる群から選択される。さらに別の一面においては、生体アミンは、好ましくはトランス-OH-プロリン、アセチル-オルニチン、アルファ-アミノアジピン酸、ベータ-アラニン、タウリン、カルノシン、メチルヒスチジンおよびそれらの組合せからなる群から選択される。さらに別の一面においては、有機酸は、好ましくは馬尿酸、3-(3-ヒドロキシフェニル)-3-ヒドロキシプロピオン酸、5-ヒドロキシインドール-3-酢酸、サルコシン、ヒドロキシフェニル酢酸およびそれらの組合せからなる群から選択される。さらに別の一面においては、アミンオキシドは、好ましくはトリメチルアミンN-オキシドである。さらに別の一面においては、炭化水素誘導体は、好ましくはトリゴネリンである。
【0089】
一つの実施態様によれば、メタボロミクスマーカー(本明細書においては「代謝マーカー」としても呼ばれる)は、アシルカルニチン、生体アミン、リゾリン脂質、グリセロリン脂質、スフィンゴ脂質、有機酸、アミノ酸、糖、炭化水素誘導体およびそれらの組合せからなる群から選択される。一つの一面においては、代謝マーカーは、好ましくは長鎖アシルカルニチン、中鎖アシルカルニチン、および短鎖アシルカルニチン並びにそれらの組合せからなる群から選択されるアシルカルニチンである。さらに別の一面においては、代謝マーカーは、好ましくはクレアチン、キヌレニン、メチオニン-スルホキシド、スペルミジン、スペルミン、不斉ジメチルアルギニン、プトレシン、セロトニンおよびそれらの組合せからなる群から選択される生体アミンである。さらに別の一面においては、代謝マーカーは、好ましくはリゾホスファチジルコリンである。さらに別の一面においては、代謝マーカーは、好ましくはグリセロリン脂質である。さらに別の一面においては、代謝マーカーは、好ましくはスフィンゴ脂質、ヒドロキシ脂肪酸スフィンゴミエリンおよびそれらの組合せからなる群から選択されるスフィンゴ脂質である。さらに別の一面においては、代謝マーカーは、好ましくは短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、および長鎖脂肪酸並びにそれらの組合せからなる群から選択される有機酸である。さらに別の一面においては、代謝マーカーは、好ましくはベタイン、クレアチン、クエン酸およびそれらの組合せからなる群から選択されるアミノ酸である。さらに別の一面においては、代謝マーカーは、好ましくはグルコースである。さらに別の一面においては、代謝マーカーは、好ましくは乳酸、ピルビン酸、コハク酸およびそれらの組合せからなる群から選択される炭化水素誘導体である。
【0090】
別の実施態様によれば、開示される方法の特定の実施態様における使用のためのプロテオミクスマーカーは、血液凝固タンパク質、細胞接着タンパク質、免疫応答タンパク質、輸送タンパク質、酵素、ホルモン様タンパク質およびそれらの組合せからなる群から選択される。一つの一面においては、血液凝固タンパク質は、好ましくはプロテインZ依存性プロテアーゼ阻害剤、凝固因子タンパク質、アンチトロンビン-III、血漿セリンプロテアーゼ阻害剤、プラスミノーゲン、プロトロンビン、カルボキシペプチダーゼB2、キニノーゲン-1、ビタミンK依存性プロテインS、アルファ-2-アンチプラスミン、フィブリノーゲンガンマ鎖、テトラネクチン、ヘパリン補因子2、フィブリノーゲンベータ鎖、フィブリノーゲンアルファ鎖、ビタミンK依存性プロテインZ、アルファ-2-マクログロブリン、内皮プロテインC受容体、フォンウィルブランド因子およびそれらの組合せからなる群から選択される。別の一面においては、細胞接着タンパク質は、好ましくはインターアルファトリプシン阻害剤重鎖H1、軟骨酸性タンパク質1、インターアルファトリプシン阻害剤重鎖H4、プロテオグリカン4、フィブロネクチン、ビトロネクチン、アトラクチン、細胞間接着分子1、ルミカン、ガレクチン-3結合タンパク質、カドヘリン-5、ロイシンリッチアルファ-2-糖タンパク質1、テネイシン、バソリン、フィブリン-1、プロバブルG-プロテイン結合受容体116、L-セレクチン、トロンボスポンジン-1およびそれらの組合せからなる群から選択される。さらに別の一面においては、免疫応答タンパク質は、好ましくはマンノース結合プロテインC、補体成分タンパク質、フィコリン-2、カリスタチン、プラスチン-2、Ig mu鎖C領域、プロテインAMBP、CD44抗原、フィコリン-3、IgGFc結合タンパク質、マンナン結合レクチンセリンプロテアーゼ2、血清アミロイドA-1タンパク質、ベータ-2-ミクログロブリン、プロテインS100-A9、C反応性タンパク質およびそれらの組合せからなる群から選択される。さらに別の一面においては、輸送タンパク質は、好ましくはアポリポタンパク質、アルファ-1-酸糖タンパク質1、血清アルブミン、レチノール結合タンパク質4、ホルモン結合グロブリン、セロトランスフェリン、クラステリン、ベータ-2-糖タンパク質1、リン脂質転移タンパク質、ベータ-2-糖タンパク質1、リン脂質転移タンパク質、ヘモペキシン、インターアルファトリプシン阻害剤重鎖H2、ゲルゾリン、トランスチレチン、アファミン、ヒスチジンリッチ糖タンパク質、血清アミロイドA-4タンパク質、リポ多糖結合タンパク質、ハプトグロビン、セルロプラスミン、ビタミンD結合タンパク質、ヘモグロビンサブユニットアルファ1およびそれらの組合せからなる群から選択される。さらに別の一面においては、酵素は、好ましくはホスファチジルイノシトール-グリカン特異的ホスホリパーゼD、カルボキシペプチダーゼNサブユニット2、血清パラオキソナーゼ/アリールエステラーゼ1、ビオチニダーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ3、カルボキシペプチダーゼN触媒鎖、コリンエステラーゼ、Xaa-Proジペプチダーゼ、炭酸脱水酵素1、リゾチームC、ペルオキシレドキシン-2、ベータ-Ala-Hisジペプチダーゼおよびそれらの組合せからなる群から選択される。さらに別の一面においては、ホルモン様タンパク質は、好ましくは細胞外マトリックスタンパク質1、アルファ-2-HS-糖タンパク質、アンギオゲニン、インスリン様成長因子結合タンパク質複合体酸不安定サブユニット、フェチュイン-B、脂肪細胞原形質膜関連タンパク質、色素上皮由来因子、亜鉛-アルファ-2-糖タンパク質、アンジオテンシノーゲン、インスリン様成長因子結合タンパク質3、インスリン様成長因子結合タンパク質2およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0091】
バイオマーカーのレベルは、任意の適切な方法を使用して決定する。すなわち、バイオマーカーのレベルの測定が重要ではない方法。例えば、バイオマーカーレベルは、質量分析、液体クロマトグラフィー、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)等を含むがこれらに限定されないさまざまな方法を使用して測定し得る。一つの一面においては、現在のプラットフォームは、最も正確で、定量化可能で、確実に一貫したバイオマーカーレベルの結果を達成するために、質量分析、高速液体クロマトグラフィー、および液体クロマトグラフィー-質量分析をモニターする、複数の反応の組合せを使用する。
【0092】
ブロック13では、予測健康状態を、個人の測定データに基づいて決定する。例えば、個人の測定データを、予測健康状態を決定するために、予測方程式中に入力するかまたは予測方程式によって操作し得る。いくつかの一面においては、予測方程式(以下でより詳細に説明する)は、疾患リスクマーカーに関する公開データのそれぞれの疾患若しくは健康リスクへの相関のそれぞれの強さに基づいている。予測方程式は、疾患若しくは健康リスクを有するヒト対象の公開データの多変量回帰分析によって決定する。
【0093】
いくつかの実施態様においては、個人の予測健康状態は、該個人の生涯にわたって(または、例えば、少なくとも2か月、少なくとも4か月、少なくとも6か月、少なくとも1年、少なくとも2年、少なくとも5年、少なくとも10年、少なくとも20年、少なくとも40年または少なくとも50年などの少なくとも長期間にわたって)の1つ以上の疾患若しくは健康リスクを発症するリスクに対応する。従って、それは、個人の将来の健康状態変化のモニタリングのための情報を生成するための効果的な方法およびシステムである。実際、特定のバイオマーカーと疾患若しくは健康リスクとの間の相関は、高齢の個人においてより強い可能性がある。さまざまな一面において、予測健康状態は、長期間にわたる個人の全体的な健康状態(少なくとも分析した疾患リスクマーカーに関して)の代表的な、または定量的な表示である。
【0094】
次いで、測定の結果を、疾患若しくは健康リスクに関連する公開データからの疾患リスクマーカーと比較する(ブロック14)。例示的であるが非限定的な例として、個人から取得した体液試料(例えば、血液試料)を分析して、炎症に関連する4つのバイオマーカー、具体的には、グリシン(低い)、アルファ-アミノアジピン酸(低い)、アルファ-1-酸糖タンパク質1(高い)およびマンノース結合プロテインC(高い)のレベルを決定する。各疾患リスクマーカーのレベルには、疾患若しくは健康リスク(すなわち、個人が経験する慢性関節痛)へのその寄与のそれぞれの重み付け(例えば、低い、高いまたは最適の)を反映する。予測健康状態は、個人の生物学的試料中の各疾病リスクマーカーのレベルに対応する重み付けを含む。
【0095】
予測健康状態はまた、個人の「予測された」健康の尺度として見なすことができ、そのようなものとして、健康状態における可能な改善のための実行可能な手段について個人にカウンセリングする際の有用な情報を提供する。健康状態レポートは、予測健康状態(ブロック14A)に基づいて生成し、疾患若しくは健康リスクまたはその発症のリスクを有する個人を表す。任意に、予測健康状態はまた、一部、彼の/彼女の健康状態を改善するための個人の生理学および環境の影響について収集した情報に基づいて、個人にカウンセリングするシステムおよび方法を含めて、健康推奨を個別化するために使用することができる(ブロック14B)。健康状態レポートおよび健康推奨の両方を、webベースのまたはモバイルのアプリケーションプラットフォームを介して個人に表示することができる。
【0096】
ある実施態様においては、それぞれの予測健康状態は、疾患若しくは健康リスクのそれぞれについて決定する。例えば、予測健康状態を計算する方法は、疾患若しくは健康リスクを有する対象での公開データを取得し、疾患リスクマーカーのそれぞれへの相関についてそれらのそれぞれを分析することである。そのデータを用いて、次いで疾患若しくは健康リスクのそれぞれに対する各バイオマーカーの有病率に相関する各疾患リスクマーカーについての予測方程式を作成することが可能であり、次いで測定データに適用する。
【0097】
これらの疾患若しくは健康リスクに特有の予測健康状態は、本明細書においては「それぞれの予測健康状態」として呼ばれ、それぞれが、後の期間にそれぞれの疾患若しくは健康リスクを有するまたはそれぞれの疾患若しくは健康リスクを発症するリスクを表す若しくは示し得、または個人におけるそれぞれの疾患若しくは健康リスクの発症の最大程度を表す若しくは示し得る。例えば、第1のそれぞれの予測健康状態は、遺伝子(例えば、KCNJ11)上で作用して2型糖尿病の予測される増加リスクを決定し得、第2のそれぞれの予測健康状態は、より低い代謝バイオマーカー(例えば、クレアチン)上で作用して予測される増加した前糖尿病リスクを決定し得る。結果として、本発明の方法は、個人の健康状態の包括的な概観を提供する。
【0098】
本開示の一つの一面によれば、予測方程式は、疾患若しくは健康リスクを有するヒト対象の公開研究データに基づいて決定する。各それぞれの予測方程式は、特定の疾患リスクマーカーの疾患若しくは健康リスクへの相関に対応する信頼スコアを含む。特定の一面においては、信頼スコアは、疾患若しくは健康リスクを有するまたは発症するリスクがある可能性を決定するために使用する公開データの予測性の強さに基づく。一つの実施態様においては、信頼スコアは、公開データが再現可能な結果を有する可能性の表示であり、ここで、該信頼スコアは、公開データによる受け取られた引用の数および公開データによる引用された参照の数の比較に基づいて重み付けされる。換言すると、信頼スコアは、公開データの再現性の反映である。信頼スコアは、公開研究情報の再現性を評価するために発明者によって開発されたスコアリングメトリックである、参考文献に戻る(ROB)スコア計算からの出力に基づく。例えば、ROBスコアは、以下のように定義される。
【0099】
【数1】
【0100】
ROBスコアの計算は、2つの部分を含む:(i)出版物が科学文献において他の論文によって引用された回数である分子、および(ii)該出版物が該出版物内で他の論文を参照した回数である分母。非常にまれではあるが、出版物が該出版物内で何ら参照を引用していない可能性があるため、分母が1の追加を含み、これが「0」による除算を妨げることが注目に値する。また、特定の出版物についての分母は、いったん該論文が出版されると固定され、時間の経過とともに新しい引用の量に依存して異なる速度で成長し得ることも注目に値する。従って、元の出版物についてROBスコアを計算することが重要である。
【0101】
受け取られた引用の数は、発行年までずっと過去の年について捉え得、これが、それまでの引用パフォーマンスのタイムラインを可能にする。あるいは、ROBスコアは、特定の出版物に適用される、例えば現在の年などの特定の期間について特定し得る。例えば、2019年の特定の期間についてのROBスコアは、その期間までの全ての出版物の総パフォーマンスを与える。例えば、2008年に発行された出版物の2019年におけるROBスコアは、2008年から2019年までに発行された対応する論文をその出版物によってカウントし、
【0102】
【数2】
【0103】
によって与えられるであろう。
【0104】
出版物のROBスコアが特定の年について特定されるとき、分母は、また固定される。結果として、特定の出版物のROBスコアは増加し得るが、時間の経過とともに決して減少はしない、およびROBスコアにおける増加の速度は出版物間で異なり得、パフォーマンスを追跡するのに使用することができると結論付け得る。現在の年までの特定の出版物のより高いROBスコアは、出版物の全体的なパフォーマンスに正比例し、従って、研究文献における証拠の強さ(すなわち、再現性)を示す。
【0105】
各出版物についての引用およびROBスコアの計算を促進するために、出願人は、出版物データベース(例えば、Google Scholar)に照会し、各疾患リスクマーカーについての各特定された出版物について分子(引用の数)および分母(参照の数)の両方を出力するパイソン(python)スクリプトを開発した。例えば、パイソンスクリプトは、形式:
【0106】
【数3】
【0107】
【数4】
【0108】
【数5】
【0109】
に従い得る。
【0110】
ROBスコア計算からの出力は、1から数十万の範囲であり得、これは、個人にとって容易に有用ではまたは理解可能ではないであろう。従って、出願人は、バイオマーカーの疾患若しくは健康リスクへの相関を単純に表すために、信頼スコア(スケールにおいて1から4にわたる)を策定した。信頼スコアを決定するために、ROBスコアの全てを分布グラフ中にプロットし、4つの四分位に分ける(図5中に示すように)。四分位で分けたROBスコアは、(i)第1四分位;(ii)第2四分位、(iii)第3四分位;および(iii)第4四分位にグループ分けする。具体的には、第1四分位は、最小ROBスコアから総ROBスコア範囲の最大25%であるROBスコアを表し、信頼スコア1を有するとして定義する。これは、典型的には疾患関連付けに対するバイオマーカーの信頼性を確実にするために必要とされる最小閾値である。第2四分位は、総ROBスコア範囲の25%超からROBスコア中央値であるROBスコアを表し、信頼スコア2を有するとして定義する。第3四分位は、ROBスコア中央値超から総ROBスコア範囲の最大75%であるROBスコアを表し、信頼スコア3を有するとして定義する。第4四分位は、総ROBスコア範囲の75%超であるROBスコアを表し、信頼スコア4を有するとして定義する。信頼スコアの要約を、以下の表において提供する。
【0111】
【表29】
【0112】
信頼スコアは、1から4のスコアによって表され得、1は、より低い信頼性(すなわち、より低いROBスコア)として一緒にグループ化された値であり、再現性について公開証拠のより低い力を反映することが容易に理解されるであろう。逆に、頂上近くで一緒にグループ化された値は、4の信頼スコア(すなわち、より高いROBスコア)を有する最高レベルの信頼性として定義され、再現性について公開証拠のより高い強さを示している。言い換えると、信頼スコアは、公開文献からの証拠の強さを指し、または「公開証拠スコア」としても知られている。
【0113】
本開示の一つの一面においては、予測方程式は、公開データに基づいて決定する。各それぞれの予測方程式は、特定の疾患リスクマーカーの疾患若しくは健康リスクへの相関に対応する信頼スコアを含み得る。本明細書において記載されるように、各信頼スコアの値は、公開データからの対象の疾患リスクマーカーの複数の測定値の多変量回帰分析によって決定し得る。好ましくは、信頼スコアは、公開データによる受け取られた引用の数および公開データによる引用された参照の数の比較に基づいて重み付けされる。
【0114】
該方法は、次いで積み重ねて「信頼スタック」または「信頼ピラミッド」(200)を形成し得る(図10中に示すように)、信頼性の複数の尺度を使用する一連のコンピューター可読命令または計算ステップを使い得る。信頼スタック(200)を使うことによって、方法論における信頼レベルが増加する。基本的に、疾患若しくは健康リスクを有するまたは発症するリスクの可能性を決定するために使用する公開データの予測性の強さに関連する本明細書において上で概説した信頼スコアは、積み重ねられる第1の信頼スコア(210)を含み得る。次いで、疾患リスクマーカーの他の手段に関連する追加の信頼スコアを計算し、それに応じて積み重ねることができる。
【0115】
本開示の別の一面においては、該方法はさらに、疾患リスクマーカーのそれぞれが、疾患若しくは健康リスクを有するまたは発症するリスクの可能性を決定するために、従来診断方法において使用されているかどうかを決定することを含む。予測方程式は、特定の疾患リスクマーカーが診断基準として伝統的なまたは従来の医療行為において使用されているかどうかのバイナリー特性に基づいて決定する。例えば、空腹時血糖値は、2型糖尿病を診断するために臨床実践において日常的に使用されており、この特性は、予測方程式における重み係数として含まれる。このバイナリスコアまたは信頼スコアはまた、「臨床/診断証拠スコア」としても呼ばれ得る。
【0116】
決定は、疾患若しくは健康リスクを有するヒト対象の公開データの多変量回帰分析を含む。多変量回帰分析は、公開データの追加の信頼スコアを計算することを含み、ここで、該追加の信頼スコアは、診断方法における、疾患若しくは健康リスクを有するまたは発症する可能性を決定するための、疾患リスクマーカーのそれぞれの使用の信頼性の尺度に関連する。次いで、加重信頼スコアを、信頼スコアの全てからの入力に基づいて公開データから計算する。図10を引き続き参照して、診断方法における疾患リスクマーカーのそれぞれの使用の信頼性の尺度に関連する追加の信頼スコアまたは第2の信頼スコア(220)は、加重信頼スコアを計算するために第1の信頼スコア(210)と積み重ねる。
【0117】
本開示の別の一面においては、該方法はさらに、疾患リスクマーカーのそれぞれが、健康推奨(例えば、特定の栄養、運動および/または補足的なライフスタイル行動)によって標的とされ得る実行可能な経路の構成要素であるかどうかを決定することを含む。本明細書において使用される表現「実行可能な経路」は、疾患若しくは健康リスクに関与する経路における他のタンパク質の活性または発現の影響を改善するために直接または間接的に標的とされ得るバイオマーカーを指す。予測方程式は、特定の健康推奨に関連する特定の疾患リスクマーカーが、健康推奨によって標的とされ得る実行可能な経路の構成要素であるかどうかのバイナリ特性に基づいて決定する。このバイナリスコアまたは信頼スコアはまた、「実用性証拠スコア」としても呼ばれ得る。
【0118】
この決定は、疾患若しくは健康リスクを有するヒト対象の公開データの多変量回帰分析を含む。多変量回帰分析は、公開データの追加の信頼スコアを計算することを含み、ここで、該追加の信頼スコアは、疾患リスクマーカーのそれぞれが健康推奨によって標的とされ得る実行可能な経路の構成要素であるという信頼性の尺度に関連する。次いで、加重信頼スコアを、信頼スコアからの全てからの入力に基づいて公開データから計算する。図10を参照して、疾患リスクマーカーのそれぞれが健康推奨によって標的とされ得る実行可能な経路の構成要素であるという信頼性の尺度に関連する追加の信頼スコアまたは第3の信頼スコア(230)は、加重信頼スコアを計算するために第1の信頼スコア(210)および/または第2の信頼スコア(220)と積み重ねられる。
【0119】
本開示の別の一面においては、該方法はさらに、疾患若しくは健康リスクについての健康推奨を有効性に関して検証し得るかどうかを決定することを含む。そのような実施態様においては、予測方程式は、疾患若しくは健康リスクを有し、健康の推奨に曝露されているヒト対象の制御された実験の多変量回帰分析に基づいて決定する。多変量回帰分析は、制御された実験のそれぞれの追加の信頼スコアを計算することを含み、ここで、該追加の信頼スコアは、疾患若しくは健康リスクについての健康推奨を有効であるとして検証することができるという信頼性の尺度に関連する。この信頼スコアはまた、「内部検証証拠スコア」としても呼ばれ得る。
【0120】
次いで、加重信頼スコアを、信頼スコアの全てからの入力に基づいて、公開データから計算する。図10を参照して、疾患若しくは健康リスクについての健康推奨を有効であるとして検証することができるという信頼性の尺度に関連する追加の信頼スコアまたは第4の信頼スコア(240)は、加重信頼スコアを計算するために第1の信頼スコア(210)および/または第2の信頼スコア(220)および/または第3の信頼スコア(230)と積み重ねられる。
【0121】
多変量分散分析、すなわち、多変量回帰分析などの方法は、当業者によって行うことができる。多変量回帰分析手法は、各パラメーターの効果を推定し得るように、複数のパラメーターを別々に考慮する。プロセスの簡単な説明を、図6中に示す。多変量回帰分析を使用したリスク計算についての入力は、科学文献および個人の試料測定値の両方からの疾患リスクマーカーを含むさまざまな入力に依存する。あるいは、リスク計算についての入力は、制御された実験からの疾患リスクマーカーからのさまざまな入力から導き出すことができる。多変量回帰モデルは、スコア調整およびスケーリングパラメーターに基づいて当業者によって調整し得る(例えば、個人が、自己申告した表現型形態で疾患を有する/有していたことを示した場合)。一つの実施態様においては、多変量回帰モデルの出力は、クライアントについての最終健康状態レポートを生成する前に、適合度について評価する。
【0122】
もちろん、当業者は、本明細書において記載されるもの以外の実施態様を利用して、予測方程式を作成しおよび/または該予測方程式の予測の精度を増加させ得ることを認識するであろう。モデルの過剰適合などの、多変量回帰分析を使用することからの予測に影響を与える標準的な問題が存在する。従って、一つの実施態様においては、適合度の評価およびモデル診断を、一度に各疾患についての各回帰について行う。さらに、新しい研究に基づくものなどの、導入する必要のある疾患関連付けへの任意の新しい疾患リスクマーカー(すなわち、新しい予測変数)は、これらの方程式の精度を増加させることができる、予測方程式への変更をもたらすであろう。
【0123】
図1中に示す方法(10)に戻って、該方法(10)は、健康状態を改善するための健康推奨に関して個人にカウンセリングすることを任意に含み得、ここで、該健康推奨は、ギャップの大きさに基づく(ブロック14B)。「ギャップの大きさ」は、プラットフォームによって計算され、個人の試料の疾病リスクマーカーから計算したスコアと公開疾病リスクマーカーから計算したスコアとの間の差の大きさを指す。「ギャップの大きさ」、すなわち、公開疾患リスクマーカーからの疾患スコアと個人の試料の疾患リスクマーカーからの疾患スコアの数学的差異は、対象の健康状態を示す。一つの実施態様においては、該方法は、個人の健康状態を改善するのに適した食事の変更、栄養補助食品または両方を推奨することを含む。
【0124】
図1を引き続き参照して、方法(10)はさらに、信頼スコアの増加によって個人の健康状態を改善する健康推奨を特定することおよび検証することを含む(ブロック15)。基本的に、個人が彼らの健康レポートを受け取り、健康推奨に従うとき、どの健康推奨が該個人における疾患若しくは健康リスクを改善したかを確認するためにモニタリングを行う。次いで、疾患若しくは健康リスクにおける改善につながった健康推奨にフラグを立てる。操作ステップの順序を更新し、疾患若しくは健康リスクを有する特定の疾患リスクマーカーにリンクした、改善された健康推奨を組み込む。
【0125】
別の一面においては、本開示は、健康状態を決定するために、疾患若しくは健康リスクに対応する一連の疾患リスクマーカーに基づいて、サンプリングされた疾患リスクマーカーとヒト対象の公開疾患リスクマーカーとの間のギャップの大きさを決定する方法に向けられている。該方法は、ヒト対象の疾患若しくは健康リスクまたはその発症のリスクを示す測定データを決定するために、該ヒト対象の少なくとも25個の、好ましくは少なくとも20個の、好ましくは少なくとも15個の、好ましくは少なくとも10個のまたは好ましくは少なくとも5個のサンプリングされた疾患リスクマーカーを分析することを含み、ここで、該少なくとも25個の、好ましくは少なくとも20個の、好ましくは少なくとも15個の、好ましくは少なくとも10個のまたは好ましくは少なくとも5個の測定データは、該疾患若しくは健康リスクに対応する。特定の実施態様においては、該方法は、測定データを決定するために、ヒト対象の少なくとも300、275、250、225、200、175、150、125、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、35、20、15、10、または5個のサンプリングされた疾患リスクマーカーを分析することを含む。特定の実施態様においては、測定データは、疾患若しくは健康リスクの少なくとも100、90、80、70、60、50、40、30、20、15、10、5、2または1個に対応する。
【0126】
該方法はさらに、対象からの測定データからサンプリングされた疾患リスクマーカーにおける多型の不在若しくは存在またはサンプリングされた疾患リスクマーカーのレベルを決定すること、並びにコンピューターデバイスによっておよび少なくとも25個の、好ましくは少なくとも20個の、好ましくは少なくとも15個の、好ましくは少なくとも10個のまたは好ましくは少なくとも5個の測定データに基づいて、試料の疾患リスクマーカーと対応する公開疾患リスクマーカーとの間のギャップの大きさを計算することを含み、ここで、各疾患リスクマーカーは、疾患若しくは健康リスクの1つ以上に影響を与えることと相関し、該ギャップの該大きさは、該対象の健康状態を示す。
【0127】
一つの実施態様においては、疾患若しくは健康リスクまたはその発症リスクは、予測方程式を適用することに基づいて決定し、ここで、該予測方程式は、該疾患若しくは健康リスクまたは該その発症リスクに対応し、該疾患若しくは健康リスクを有するヒト対象の公開データの多変量回帰分析によって決定する。
【0128】
別の一面においては、本開示は、疾患若しくは健康リスクの発症に関連する、本発明者らが「身体機能」(「臓器の健康」としても呼ばれる)と呼んでいる、異なる生物学的経路についての閾値を決定する方法に向けられている。本明細書において使用される「身体機能」は、一般に特定の生理学的プロセスに関連し、個人の全体的な健康状態に影響を与える複数の臓器系を含み得る。身体機能の適切な非限定的な例は、凝固、脂質代謝、炎症、免疫応答、老化、栄養および/または食事の健康、認知の健康、腎臓の健康、肝臓の健康、酸化ストレス、疾患保護およびインスリン抵抗性を含み得る。
【0129】
凝固は、血液凝固としても知られ、血液が液体からゲルに変化して血栓を形成するプロセスである。それは、損傷した血管からの失血の停止であり、修復によって伴われる、止血をもたらし得る。凝固は、多くのバイオマーカー(すなわち、分子メディエーター)を巻き込み、身体機能の評価にとって有用であり得るフィブリン血餅の沈着および成熟と共に、血小板の活性化、接着および凝集を含むがこれらに限定されないプロセスを通して従う。
【0130】
脂質代謝は、脂肪を合成すること(すなわち、脂質生成)並びにエネルギーのためのこれらの脂肪の分解および貯蔵の両方のプロセスに関与し得る手段を含む。
【0131】
炎症は、病原体、損傷した細胞または他の刺激物などの有害な刺激に対する身体の組織の複雑な生物学的反応に関与し得る手段を含む。炎症経路は、細胞損傷の初期原因を排除し、組織の再生および修復を開始するための、免疫細胞、血管および多くのバイオマーカー(例えば、分子メディエーター)を巻き込む保護反応である。炎症は、感染、病気または怪我に対する身体の自然な反応である。以下の議論は、身体において発生する炎症プロセスのより詳細な説明を提供するために急性炎症、慢性炎症、全身性炎症、および血管炎症の4つのカテゴリーに分けている。
【0132】
急性炎症においては、腫れ、発赤、熱、および痛みなどの症状があり得る。それは、治癒の重要な部分であり、一般的に2週間未満続く。しかしながら、身体がより長い期間にわたってストレスを経験するとき、炎症は、慢性になり得る。毒素、過剰な脂肪、アレルゲン、腸内細菌叢の機能不全、オーバートレーニング、および多くの他の要因が、慢性炎症に寄与する。身体が刺激に対して炎症反応を有するとき、これは、全身性炎症として知られている。全身性炎症は、慢性でまたは急性であり得る。炎症はまた、血管においても発生し得る。このプロセスは、血管の炎症と呼ばれる。それは、血管の損傷を引き起こし、それは、特定の信号を生成する。オメガ3脂肪酸が豊富な食品を選択すること、赤身の肉および加工食品を避けること、並びに軽度から中程度の運動が、炎症を抑えることができる。
【0133】
ホルモン調節は、身体における循環する活性ホルモンの調節、輸送および/または効果を調節することに関与する手段を含む。
【0134】
免疫の健康は、免疫系がその機能をどのように実施するかに関与する手段および免疫系の発達に関与するプロセスに関与する調節、自然免疫系における病原体監視法、適応免疫系における進化する免疫、並びに免疫応答の炎症および抗炎症メカニズムの両方の調節を含む。これらの手段の機能不全は、免疫不全または自己免疫の発症につながり得る。
【0135】
老化は、時間の経過とともに個人において発生する身体的、生理学的および社会的変化の蓄積を表す。老化は、多くのメカニズムによって引き起こされ得る。例えば、DNA酸化損傷を介する損傷の蓄積は、加齢とともに生物学的システムを機能しなくさせ得るか、または塩酸生成における減少を引き起こし得る。結果として、個人は、正常な細胞プロセス、組織の修復および再生について必要とされるタンパク質を消化する能力を失うかまたは損なわれた能力を有する。
【0136】
栄養および/または食事の健康は、個人の適切な維持、成長、再生、および健康状態に関する食品中の栄養素および他の物質の相互作用を含む。本開示の目的のために、食物分解、吸収、同化、生合成、異化および排泄に関与するバイオマーカーは、身体機能を評価するために分析するための有用な手段であり得る。
【0137】
酸化ストレスは、フリーラジカルの生成と抗酸化物質による中和を通してそれらの有害な効果を打ち消すまたは解毒する身体の能力との間の不均衡として理解される。フリーラジカルは、1つ以上の、他の分子と高い反応性を有するようにさせる不対電子を含有する酸素含有分子である。典型的には、フリーラジカルは、例えば、DNA、タンパク質、または脂質などの細胞成分と化学的に相互作用し、安定化するためにそれらの電子を盗み、次いで該細胞成分の分子を不安定化し、これは、フリーラジカル反応の大きな連鎖を引き起こし得る。酸化ストレスに関係するバイオマーカーは、身体機能を評価するのに有用であり得る。
【0138】
疾患保護(すなわち、疾患予防および臓器保護)は、疾患の病因または悪化を予防することにおいて重要な保護的役割を有し得る。これらの手段はまた、臓器系を損傷および劣化から保護することに関与し得る。疾患予防に関係するバイオマーカーは、身体機能を評価するのに有用であり得る。
【0139】
インスリン抵抗性または感受性は、身体がインスリンの効果にどのように反応するかを説明する。インスリン感受性があると言われる個人は、低い感受性を有する個人よりも血糖値を下げるためにより少量のインスリンを必要とするであろう。インスリン抵抗性は、細胞がインスリンホルモンにうまく応答していないことを意味する。これは、より高いインスリンレベル、より高い血糖値を引き起こし、2型糖尿病および他の健康問題につながり得る。インスリン抵抗性または感受性に関係するバイオマーカーは、身体機能を評価するのに有用であり得る。
【0140】
認知の健康は、脳が実行する推論、記憶、注意および他の知的機能を包含する手段を含む。脳は総体重の2%のみを占めるが、生成されるエネルギーの20%超を使用する。グルコースおよび脂肪は、脳についての重要なエネルギー源である。アミノ酸は、これらの栄養素を血液脳関門を横切って輸送するのを助ける。血管の健康、炎症、ビタミンおよびミネラルもまた、認知の健康に寄与する。脳はいかなる他の臓器よりも多くのエネルギーを使用するため、認知能力は、これらの寄与マーカーにおける変化に感受性が高い傾向がある。定期的な運動、健康的な食事、並びに知的および社会的刺激は、適切な認知の健康の維持に寄与する。
【0141】
肝臓の健康は、肝機能および適切な肝機能に関連する生物学的システムの維持に関連する手段を含む。肝臓は、生命に不可欠な500超の機能を実施する重要な臓器である。それは、主要な解毒器官であり、消化を助け、エネルギーを作り、ホルモンのバランスをとることにおいても役割を果たす。それは、全ての薬剤、サプリメント、および化学物質への暴露を含む、消費される全てを処理する。創傷治癒および免疫プロセスに関与するものを含むほとんどのタンパク質は、同様に肝臓において作られる。肝臓は弾力性があり、たとえその3分の2が損傷しても機能し続けるであろう。これにもかかわらず、血液マーカーは、肝臓の健康を特定するのを助けることができる。健康的な食事をとること、アルコール摂取を低下させることまたは避けること、並びに市販薬およびサプリメントに注意することは、適切な肝機能の維持に寄与する。
【0142】
腎臓の健康は、腎機能および適切な腎機能の維持に関連する手段を含む。腎臓は、胸郭の下の2つの拳サイズの臓器である。それらは、血圧を調節し、血液から老廃物および毒素をろ過する。それらはまた、ビタミンDを活性化し、赤血球を作り、電解質のバランスを保つ。腎臓は全体的な健康において重要な役割を果たすが、悪い腎臓の健康の初期症状は明らかでない。血液中のマーカーは、腎臓がどれだけうまく機能しているかの兆候を示す。健康的な食事をとることおよび健康的な体重を維持することは、腎臓の機能性を維持するのを助けることができる。
【0143】
個人の身体機能を評価する方法は、健康状態を評価する方法と実質的に同様の方法で機能することが注目されるであろう。特に、身体機能を評価する方法は、疾患若しくは健康リスクを有する対象における異なる生物学的経路の閾値を決定することおよびこれらの相関についての信頼スコアを決定することを含む。
【0144】
具体的には、本開示は、個人の身体機能を評価するための方法に向けられている。該方法は、個人から取得される生物学的試料を提供すること;該ヒト対象に関する該試料からの測定データを提供するために、ゲノムマーカー、プロテオミクスマーカー、メタボロミクスマーカー、エクスポソミックマーカーおよびそれらの組合せからなる群から選択される、該生物学的試料中の少なくとも25個の、好ましくは少なくとも20個の、好ましくは少なくとも15個の、好ましくは少なくとも10個のまたは好ましくは少なくとも5個の疾患リスクマーカーを測定すること;並びに該測定データに対応する予測方程式を身体機能に適用することによって、該身体機能に対応する予測健康状態を決定することを含む。特定の実施態様においては、該方法は、ヒト対象に関して試料からの測定データを提供するために、生物学的試料における少なくとも300、275、250、225、200、175、150、125、100、95、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、35、20、15、10、または5個のサンプリングされた疾患リスクマーカーを測定することを含む。
【0145】
任意に、本明細書において記載される該方法は、ゲノムマーカー、プロテオミクスマーカー、メタボロミクスマーカーおよびエクスポソミックマーカーからなる群から選択される少なくとも2つの、少なくとも3つのまたは4つ全ての疾患リスクマーカーを測定することを含む。すなわち、一つの一面においては、本開示の方法は、個人の身体機能または個人の身体機能のより包括的で正確な評価を可能にする4つの異なる生物学的バイオマーカーに基づく該身体機能に関連する疾患若しくは健康リスクを発症するリスクに関する情報を提供する。
【0146】
一つの実施態様においては、予測方程式は、身体機能に対応し、疾患若しくは健康リスクを有するヒト対象の公開データの多変量回帰分析によって決定する。多変量回帰分析は、ヒト対象の公開データのそれぞれの信頼スコアを計算することを含み、該公開データは、各ヒト対象に対応する身体機能に対する複数の測定値を含む。複数の測定値は、身体機能と呼ばれるプロテオミクスマーカー、メタボロミクスマーカー、およびエクスポソミックマーカーの複雑なネットワークを含む生物学的経路に関連し、公開データ中の各ヒト対象の公開疾患リスクマーカーから決定する。予測健康状態は、疾患若しくは健康リスクまたはその発症のリスクを有するヒト対象を表す。
【0147】
好ましくは、本開示の方法において、身体機能を決定するステップは、サンプリングされた疾患リスクマーカーを、疾患若しくは健康リスクに関連する公開疾患リスクマーカーと比較すること;およびサンプリングされた疾患リスクマーカーと公開疾患リスクマーカーとの間のギャップの大きさを決定することを含む。
【0148】
図3は、10個の手段にわたる個人の例示的な身体機能評価を提供する。例えば、本発明者らは、初期の疾患病因に関連する10個の生体機能を特定し、バイオマーカーレベルから疾患リスクを予測するために同様の技術を使用して、本発明者らは、バイオマーカーレベルから生体機能リスクをスコアリングすることができた。これは、測定したバイオマーカーのそれぞれを10個の生体機能ビンに分類することによって達成された(図3中に示すように)。正常範囲外であるバイオマーカーは、正常範囲からの逸脱のレベルの大きさに依存して、より明るい灰色の影によって示す。より明るい灰色の範囲に入る生体機能が多ければ多いほど、より多くの特定の生体機能との関連性があり、特定のスコアを割り当てた。身体機能評価の一部として、個人は、健康リスクを減少させ、最適な範囲外のバイオマーカーを正常化するために、実行可能な手段(例えば、食事のおよびサプリメントの推奨)を含有する計画についての個別化カウンセリングを任意に受け得る。理想的には、行動計画は、栄養素摂取量および食事パターンを代謝およびプロテオミクスマーカーレベル並びに遺伝子多型に関連付ける公開研究データに基づくであろう。
【0149】
本開示の一つの一面においては、以前に上で論じたように、信頼スコアは、(i)公開証拠スコア、(ii)臨床/診断証拠スコア、(iii)実用性証拠スコア、および/または(iv)内部検証証拠スコアを含むさまざまな尺度から計算される複数の信頼スコアの積み重ねのまたは層状の組合せから構成される加重信頼スコアである。加重信頼スコア(すなわち、積み重ねた信頼スコア)は、各疾患リスクマーカーについての証拠の強さについて、自動生成した最終のクライアントの健康レポートにおいてピラミッド型のまたは層状のビジュアルグラフ(図10中に示すように)として視覚化する。
【0150】
健康状態を評価するシステム
本開示は特定のシステムに依存しないが、本開示の方法の文脈における使用のためのシステムは、一つの実施態様において、本明細書において記載される特徴の1つ以上を有する。ここで図2に目を向けて、本明細書において記載される方法、具体的には個人の健康状態を評価する方法または個人の身体機能を評価する方法を実施するためのシステム(100)の実施態様を例示している。システム(100)は、個人の疾患若しくは健康リスクのリスクを評価するおよび/または予測するためのマルチオミクス測定値を統合するプラットフォームである。システム(100)はさらに、より効果的なおよび/または包括的な医療を支援するために、複数の時点および疾患クラスターにわたるモニタリングおよび比較を可能にし得る。一つの実施態様においては、システム(100)は、個人の健康状態を評価するかまたは個人の身体機能を評価する方法の少なくとも一部を実施し得る。
【0151】
図2中に示される例示された実施態様においては、システム(100)は、例えば、コンピューター、ハンドヘルドデバイス、複数のネットワーク化されたコンピューティングデバイス、複数のクラウドコンピューティングデバイス等であり得るコンピューティングデバイス(102)を含み得る。従って、議論の容易さのためのみであり、限定目的のためではないが、いくつかの実施態様においてはコンピューティングデバイス(102)は複数の物理デバイスを含み得るが、コンピューティングデバイス(102)は、本明細書においては単数時制(singular tense)を使用して参照する。ある実施態様においては、コンピューティングデバイス(102)は、物理的に個人と配置され得、医療従事者によってリモートアクセス可能であり得る。ある実施態様においては、コンピューティングデバイス(102)は、個人から離れて配置されているが、ネットワーク(例えば、インターネット)(103)、ウェブサイト、ポータル等を介してウェブサーバーを用いて医療従事者に通信可能にアクセス可能であるウェブサーバーであり得る。
【0152】
コンピューティングデバイス(102)は、少なくとも1つのプロセッサー(例えば、コントローラー、マイクロコントローラーまたはマイクロプロセッサー)(104)、ランダムアクセスメモリ(RAM)(105)、インターフェース(106)、プログラムメモリ(107)および入力/出力(I/O)回路(110)を含み得、それらのそれぞれは、アドレス/データバスを介して相互接続され得る。ある実施態様においては、インターフェース(106)は、ディスプレイ並びにキーボードおよび/またはマウスを含む入力デバイスを含み得る。プログラムメモリ(107)は、ある実施態様においては、少なくとも1つの有形の非一時的なコンピューター可読記憶媒体またはデバイスを含み得る。少なくとも1つの有形の非一時的なコンピューター可読記憶媒体またはデバイスは、少なくとも1つのプロセッサー(104)によって実行するとき、コンピューティングデバイス(102)に個人の健康状態を評価する方法(10)または個人の身体機能を評価する別の方法を実行させる、コンピューター実行可能命令(108)を格納するように構成し得る。
【0153】
命令(108)は、疾患リスクマーカー測定プロバイダー(115)を介して、個人からの生物学的試料中の疾患リスクマーカーの存在、不在またはレベルの表示を取得し;サンプリングされた疾患リスクマーカーの存在、不在またはレベルの該表示に基づいて、疾患若しくは健康リスクまたはその発症のリスクに対応する予測健康状態を決定するための第1の部分(108A)を含み得る。議論の容易さのために、第1の部分の命令(108A)は、本明細書においては「予測健康状態」(108A)として呼ばれ、ある実施態様においては、該予測健康状態(108A)は、図1中に示す方法(10)のブロック14を実施する。
【0154】
さらにまたはあるいは、命令(108)は、サンプリングされた疾患リスクマーカーを、疾患若しくは健康リスクに関連する公開疾患リスクマーカーと比較し;該サンプリングされた疾患リスクマーカーと該公開疾患リスクマーカーとの間のギャップの大きさを決定するための第2の部分(108B)を含み得る。議論の容易さのために、第2の部分の命令(108B)は、本明細書においては「ギャップの大きさ評価器」(108B)と呼ばれ、ある実施態様においては、該ギャップの大きさ評価器(108B)は、サンプリングされた疾患リスクマーカーと公開疾患リスクマーカーとの間のギャップの大きさを決定し得、該ギャップの大きさの表示をユーザーインターフェース(106)にまたはリモートユーザーインターフェースに提示させ得る。
【0155】
さらにまたはあるいは、コンピューター実行可能命令(108)の1つ以上の他のセットは、プロセッサー(104)によって実行可能であり得る。ある実施態様においては、コンピューター実行可能命令(108)の1つ以上の他のセットは、システム(100)に、健康状態レポートを生成させる並びに例えば、個人の健康状態を改善するのに適した食事の変更、栄養補助食品または両方を特定させる;およびユーザーインターフェース(106A)に該食事の変更、該栄養補助食品または両方の正体を提示させるなどの健康推奨を提案させるために、プロセッサー(104)によって実行可能であり得る。
【0156】
別の実施態様においては、コンピューター実行可能命令(108)の1つ以上の他のセットは、システム(100)に、サンプリングされた疾患リスクマーカーに基づいて、疾患若しくは健康リスクのグループ中に含まれる各疾患若しくは健康リスクに対応するそれぞれの現在の健康状態を決定させ;該疾患若しくは健康リスクのグループ中に含まれる各疾患若しくは健康リスクについて、それぞれの予測健康状態とそれぞれの現在の健康状態との間のそれぞれのギャップのそれぞれの大きさを決定させ;該決定されたギャップの大きさに関連する特定の疾患若しくは健康リスクを特定させ;および該特定の疾患若しくは健康リスクを改善するのに適した食事の変更、栄養補助食品または両方を特定させるために、プロセッサー(104)によって実行可能であり得る。
【0157】
さらに別の実施態様においては、コンピューター実行可能命令(108)の1つ以上の他のセットは、システム(100)に、後の時点での個人の次のサンプリングされた疾患リスクマーカーの分析から該個人の次の健康状態を決定させ;および該個人の予測健康状態と該次の健康状態との間のギャップの次の大きさを決定させるために、プロセッサー(104)によって実行可能であり得る。
【0158】
システム(100)は、1つ以上のデータ記憶装置(114)からデータにアクセスするまたはデータを受け取るように構成しまたは適合させ得る。例えば、命令(108)は、1つ以上のデータ記憶装置(114)にアクセスするためにまたは該データ記憶装置(114)上に記憶されたデータを受け取るために、プロセッサー(104)によって実行可能であり得る。さらにまたはあるいは、コンピューター実行可能命令(108)の1つ以上の他のセットは、1つ以上のデータ記憶装置(114)からデータにアクセスするまたは受け取るために、プロセッサー(104)によって実行可能であり得る。
【0159】
1つ以上のデータ記憶装置(114)は、例えば、1つ以上のメモリ装置、データバンク、クラウドデータ記憶装置、または1つ以上の他の適切なデータ記憶装置を含み得る。図2中で例示される実施態様においては、コンピューティングデバイス(102)は、1つ以上のデータ記憶装置(114)との通信接続においてリンク(109)に結合しているネットワークまたは通信インターフェース(103)を介して該1つ以上のデータ記憶装置(114)から情報にアクセスするまたは受け取るように構成しているとして示している。図2中のリンク(109)は、必要とはされないが、1つ以上のプライベートまたはパブリックネットワーク(103)へのリンクとして表している(例えば、該1つ以上のデータ記憶装置(114)は、該コンピューティングデバイス(102)から離れて配置されている)。リンク(109)は、有線リンクおよび/または無線リンクを含み得るか、または任意の適切な通信技術を利用し得る。
【0160】
ある実施態様(図示せず)においては、1つ以上のデータ記憶装置(114)の少なくとも1つは、コンピューティングデバイス(102)中に含まれ、コンピューティングデバイス(102)のプロセッサー(104)(またはプロセッサー(104)によって実行される命令(108))は、読み取り若しくは書き込みコマンド、機能、プリミティブ、アプリケーションプログラミングインターフェース、プラグイン、操作、若しくは命令、または同様のものを含むリンクを介して該1つ以上のデータ記憶装置(114)にアクセスする。
【0161】
1つ以上のデータ記憶装置(114)は、物理装置上に含み得るか、または該1つ以上のデータ記憶装置(114)は、複数の物理装置を含み得る。しかしながら、1つ以上のデータ記憶装置(114)は、論理的に、そこに含まれる物理装置の数に関係なく、単一のデータ記憶装置として現れ得る。従って、議論の容易さのためのみであり、限定目的のためではないが、データ記憶装置(114)は、本明細書においては単数時制を使用して参照する。
【0162】
データ記憶装置(114)は、システム(100)に関連するデータを記憶するように構成しまたは適合させ得る。例えば、データ記憶装置(114)は、そのそれぞれが疾患リスクマーカー(例えば、ゲノムマーカー、プロテオミクスマーカー、代謝マーカー、エクスポソミックマーカー)に関する公開データに対応し得る、1つ以上の予測方程式、および疾患若しくは健康リスクまたはその発症のリスクへのそれらの相関を記憶するように構成しまたは適合させ得る。ある実施態様においては、予測方程式は、少なくとも図1に関して上で論じた方程式を含む。
【0163】
ある実施態様においては、「予測健康状態」(108A)は、予測方程式の1つ以上に基づいて個人の予測健康状態(ブロック14)を決定するように構成しまたは適合させる。予測健康状態(108A)は、必要に応じて1つ以上の予測方程式についてデータ記憶装置(110)に問い合わせ得、および/または該1つ以上の予測方程式は、事前にコンピューティングデバイス(102)に配信しまたはダウンロードし得る。予測方程式は、疾患若しくは健康リスクを有するヒト対象の公開データの多変量回帰分析によって決定する。多変量回帰分析は、ヒト対象の公開データのそれぞれの第1の信頼スコアを計算することを含む。第1の信頼スコアは、疾患若しくは健康リスクを有するまたは発症するリスクの可能性を決定するために使用される、公開データの予測性の強さに対する信頼性の尺度に関連する。公開データは、疾患若しくは健康リスクを有する各個人に対応する複数の測定値を含む。複数の測定値は、疾患若しくは健康リスクに関連し、公開データ中の各ヒト対象の公開疾患リスクマーカーから決定する。健康状態は、疾患若しくは健康リスクまたはその発症のリスクを有する個人を表す。
【0164】
図2を引き続き参照して、疾患リスクマーカー測定プロバイダー(115)は、個人から取得した生物学的試料に対して分析を実施して、疾患若しくは健康リスクに対応する疾患リスクマーカーの複数の測定値を決定し得る。ある実施態様においては、疾患リスクマーカー測定プロバイダー(115)は、試料を取得、分析を実施の両方を行うように構成する。例えば、疾患リスクマーカー測定プロバイダー(115)は、個人から生物学的試料を取得して、次いでそれらを疾患リスクマーカーの存在、不在またはレベルの表示について分析する診療所または実験室であり得る。疾患リスクマーカー測定プロバイダー(115)は、個人からの複数のサンプリングされた測定データをコンピューティングデバイス(102)に配信させるように構成する。
【0165】
ある実施態様においては、疾患リスクマーカー測定プロバイダー(115)は、コンピューティングデバイス(102)から離れて配置され得、予測健康状態(108A)が予測健康状態を決定し得るように、ネットワーク(103)およびネットワークインターフェース(111)を使用して、サンプリングされた測定値をコンピューティングデバイス(102)に送信させ得る(ブロック14)。ある実施態様においては、疾患若しくは健康リスクに相関する疾患リスクマーカーに対応する複数のサンプリングされた測定値を決定することに加えて、疾患リスクマーカー測定プロバイダー(115)はまた、サンプリングされた疾患リスクマーカーと公開疾患リスクマーカーとの間のギャップの大きさを決定するために、コンピューティングデバイス(102)のギャップの大きさ評価器(108B)への伝達を引き起こし得る。
【0166】
再び図2中のコンピューティングデバイス(102)に目を向けて、予測健康状態(108A)は単一のブロックとして示しているが、該予測健康状態(108A)は、該コンピューティングデバイス(102)に該予測健康状態(108A)を集合的に実行させ得る、多くの異なるプログラム、モジュール、ルーチン、およびサブルーチンを含み得ることが認識されるであろう。ある実施態様においては、予測健康状態(108A)は、コンピューティングデバイス(102)に、ゲノムマーカーにおける1つ以上の多型の存在または不在を決定させるために、プロセッサー(104)によって実行可能であり得る。例えば、1つ以上の多型の存在または不在の表示は、本明細書において他の場所で記載されるように、個人からの生物学的試料からの核酸の分析から決定し得た。さらに、1つ以上の多型の存在または不在は、疾患若しくは健康リスクに関連し得、該関連する疾患若しくは健康リスクは、個人の予測健康状態を示す。
【0167】
別の実施態様においては、予測健康状態(108A)は、コンピューティングデバイス(102)に、生物学的試料中の疾患リスクマーカー(例えば、プロテオミクスマーカー、代謝マーカー、エクスポソミックマーカー)の1つ以上のレベルを決定させるために、プロセッサー(104)によって実行可能であり得る。例えば、1つ以上のバイオマーカーのレベルの表示は、本明細書において他の場所で記載されるように、個人からの生物学的試料(例えば、体液)の分析から決定し得た。さらに、1つ以上のバイオマーカーのレベルは、疾患若しくは健康リスクに関連し得、該関連する疾患若しくは健康リスクは、個人の予測健康状態を示す。
【0168】
一つの実施態様においては、予測健康状態(108A)はさらに、その存在または不在が決定された各多型について、各疾患若しくは健康リスクに対するそれぞれの予測健康状態を決定するために、プロセッサー(104)によって実行可能であり得る。予測健康状態(108A)はさらに、生物学的試料に基づいて、各疾患若しくは健康リスクに対応するそれぞれの現在の健康状態を決定し、各疾患若しくは健康リスクについてのそれぞれの予測健康状態と該それぞれの現在の健康状態との間のそれぞれのギャップのそれぞれの大きさを決定するために、プロセッサー(104)によって実行可能であり得る。ある実施態様においては、予測健康状態(108A)はさらに、評価した健康状態をユーザーインターフェース(106)に提示させるために、プロセッサー(104)によって実行可能であり得る。
【0169】
同様に、ギャップの大きさ評価器(108B)は単一のブロックとして示しているが、サンプリングされた疾患リスクマーカーと公開疾患リスクマーカーとの間のギャップの大きさを評価するための他の命令は、コンピューティングデバイス(102)に該ギャップの大きさ評価器(108B)を評価するための他の命令を集合的に実行させ得る多くの異なるプログラム、モジュール、ルーチン、およびサブルーチンを含み得ることが認識されるであろう。ある実施態様においては、ギャップの大きさ評価器(108B)は、コンピューティングデバイス(102)に、本明細書において他の場所で記載されるように、個人のそれぞれの現在の健康状態を示す、該個人からの生物学的試料中のバイオマーカーの少なくとも1つの多型の存在若しくは不在またはレベルの少なくとも1つの表示を含む第1のデータを受け取らせるために、プロセッサー(104)によって実行可能であり得る。ギャップの大きさ評価器(108B)はさらに、コンピューティングデバイス(102)に、個人のそれぞれの現在の健康状態を示す値(すなわち、ギャップの大きさ)を決定させるために、プロセッサー(104)によって実行可能であり得、ここで、該それぞれの現在の健康状態は、第1のデータおよびバイオマーカーの公開研究データ中の疾患若しくは健康リスクへの相関に基づいて決定する。
【0170】
さらに、ギャップの大きさ評価器(108B)は、コンピューティングデバイス(102)に、本明細書における他の場所で記載されるように、個人の次の健康状態を示す、該個人からの生物学的試料中のバイオマーカーの少なくとも1つの存在若しくは不在またはレベルの少なくとも1つの表示を含む第2のデータを受け取らせるために、プロセッサー(104)によって実行可能であり得る。ギャップの大きさ評価器(108B)はさらに、コンピューティングデバイス(102)に、個人の予測健康状態と次の健康状態との間のそれぞれのギャップを示す次の値(すなわち、ギャップの次の大きさ)を決定させるために、プロセッサー(104)によって実行可能であり得る。ギャップの大きさ評価器(108B)はさらに、コンピューティングデバイス(102)に、ギャップの次の大きさの表示をユーザーインターフェース(106A)および/またはユーザーインターフェース(106B)などのユーザーインターフェース(106)に提示させるために、プロセッサー(104)によって実行可能であり得る。
【0171】
1つのプロセッサー(104)のみを示しているが、コンピューティングデバイス(102)は、複数のプロセッサー(104)を含み得ることが認識されるべきである。さらに、I/O回路(110)は単一のブロックとして示しているが、I/O回路(110)は多くの異なるタイプのI/O回路を含み得ることが認識されるべきである。同様に、コンピューティングデバイス(102)のメモリは、複数のRAM(105)および複数のプログラムメモリ(107)を含み得る。さらに、命令(108)はプログラムメモリ(107)中に記憶させるとして図2中に示しているが、命令(108)はさらにまたはあるいは、RAM(105)または他のローカルメモリ(図示せず)中に記憶させ得る。
【0172】
RAM(105)およびプログラムメモリ(107)は、半導体メモリ、磁気的に読み取り可能なメモリ、化学的若しくは生物学的に読み取り可能なメモリ、および/または光学的に読み取り可能なメモリとして実行し得るか、あるいは任意の適切なメモリ技術を利用し得る。コンピューティングデバイス(102)はまた、リンク(109)およびI/O回路(110)を介してネットワーク(103)に動作可能に接続し得る。ネットワーク(103)は、専有ネットワーク、安全なパブリックインターネット、仮想プライベートネットワークまたは専用アクセス回線、普通の通常の電話回線、衛星リンク、これらの組合せなどのある他のタイプのネットワークであり得る。ネットワーク(103)がインターネットを含む場合、データ通信は、例えば、インターネット通信プロトコルを介してネットワーク(103)上で行い得る。
【0173】
さらに、ユーザーインターフェース(106)は、コンピューティングデバイス(102)に統合し得る(例えば、ユーザーインターフェース(106A))、および/または該ユーザーインターフェースは、コンピューティングデバイス(102)と一体でなくあり得る(例えば、ユーザーインターフェース(106B))。例えば、ユーザーインターフェース(106)は、ウェブページまたはクライアントアプリケーションなどのリモートコンピューティングデバイスでのリモートユーザーインターフェース(106B)であり得る。いずれにせよ、ユーザーインターフェース(106)は、事実上、コンピューティングデバイス(102)とユーザとの間の通信インターフェースであり得る。
【0174】
さらに、システム(100)中への生のオミクス質量分析データの複数のベンダーのアップロードを処理するために、データ処理システムを、該生データを処理するために開発した。データ処理システムの一部として、それは、データを読み取り、健康レポートを生成する。具体的には、データ処理システムは最初に、一度に入ってくる生ファイル全体を読み取り、生の検査結果をデータベースに保存する。次いで、それは、保存されたデータを、最終の「報告可能な」濃度を設定すること、参照範囲を一致させること、および個々のバイオマーカーレベルを割り当てることに関して処理する。最後に、さまざまな健康および身体機能のリスクに関連するバイオマーカーを評価することによって、健康データレポートを生成する。開発したデータ処理システムは、自動化されており、データが処理パイプライン中のどこにあるかの詳細な追跡とともに個々の試料を処理するために、マルチレベルのキューイングシステムを使用することによって大きなデータセットをタイムリーに処理することができる。
【0175】
このデータ処理システムを用いて、いったんベンダーデータファイルを受け取ると、各サンプル識別子は、データを保存するためのジョブを管理する高優先度のキュー中に配置され得る。これは、システム(100)を圧倒することなく、多くの試料が含まれる任意の量のデータファイルの受取りを可能にする。この設定を用いて、複数のジョブを同時に実行することはなお可能であるが、メモリおよびサーバーのニーズに従って、および各ジョブの状態を追跡する能力でこれらを制限する。そのような実施態様によるこのアプローチはまた、特定のエラーを保存し、これらが発生したときに自動化された電子メールを送信することができる。いったん完了すると、各試料は、個別に次のデータプロセスに進む。各プロセスは、異なる優先度設定を有する異なるキューを有する。いったん処理が行われると、完全なデータセット(例えば、メタボロミクス、プロテオミクス等プロファイル)を有する患者のみが、健康データレポートを生成するために次にキューに入れられる。一つの実施態様においては、試料は、「ジョブバッチ」中のジョブのそれぞれが完了したかまたは成功したかどうかに関係なく、一つのプロセスから次に進行し得る。識別子は、レポートの完了をスピードアップするために、プロセスの各タイプで再グループ化される。このプロセスはまた、データバッチ全体をリロードしなければならないことなく、特定の試料について個々のコンポーネントを再実行することを可能とする。生データ(データを全体的に拒否するものを除く)またはパイプラインにおいてエラーが検出された場合、成功したエントリーは、保留しない。
【実施例
【0176】
以下の実施例は、本明細書において記載されている特定の方法を実行するいくつかの例示的なモードを記載する。これらの実施例は、例示目的のためのみであり、本明細書において記載されるシステムおよび方法の範囲を限定することを意味しないことが理解されるべきである。
【0177】
実施例1
この実施例は、バイオマーカー、予測健康状態と、健康推奨(すなわち、ライフスタイル行動計画)を介した健康上の利点との間の重要な関係を実証する。特に、該実施例は、彼の予測健康状態を診断するための、個人(すなわち、フレッド)の症例対照研究における本発明の実行を提示し、彼の健康リスクを減少させ正常範囲外にあるバイオマーカーを正常化するために、食事、運動、およびサプリメントの推奨を含有するライフスタイル行動計画をカスタマイズする。診断およびライフスタイル行動計画は、栄養素摂取量および食事パターンをメタボロミクスおよびプロテオミクスのマーカーレベル並びに遺伝子多型に関連付ける最近公開された科学的証拠に基づく。
【0178】
最初の相談
a.生物学的試料は、フレッドから取得する。取得した試料を、前述の分析技術(すなわち、多重反応モニタリング質量分析(MRM-MS)、高速液体クロマトグラフィー(HLPC)、および液体クロマトグラフィー-質量分析(LC_MS))を使用して、バイオマーカーの存在、不在および/またはレベルについて分析する。これらの方法は、例えば、取得した試料中に存在するゲノム、メタボロミクス、プロテオミクス、および/またはエクスポソミックバイオマーカーのレベルを定量化するために使用する。測定値を、記録する。
【0179】
b.分析評価が進行中である間、フレッドにまた、自己申告の表現型フォームを完了するよう求める。該フォームの目的は、年齢、性別、身長、体重、家族の病歴、個人の病歴および症状、食事日記、並びに/または身体活動を含むがこれらに限定されない、フレッドについての多くの特徴に関する情報を引き出すことである。例えば、フレッドは、彼が糖尿病の病歴を有する50代前半の白人男性であり、過去に前糖尿病を有すると診断されたことがあると自己申告した。フレッドの以前の診断は、彼のワークアウトルーチンを増加させること、マラソンのためのトレーニングおよび高強度インターバルトレーニング(HIIT)プログラムに参加することを含めて、彼のライフスタイルにおける変更をもたらした。これらの変更以来、フレッドは、いくらかの体重を失い、それは、彼が通常のBMIを達成することを可能にした。彼の血糖値は、彼の前回の医師の診察から正常であり;結果として、フレッドは、彼は彼の糖尿病のリスクを克服したと信じていた。フレッドは、彼のライフスタイルの変更を考慮して彼の健康状態についてより学びたいと思い、このケーススタディに参加した。
【0180】
c.フレッドの測定したバイオマーカーレベルを、本発明に従って以前に疾患若しくは健康リスクに相関付けられた疾患リスクマーカーのデータベースと比較する。リスクスコアを、報告されている各疾患について計算し、これらのリスクを、「ギャップの大きさ」手法に基づいて、最高リスクスコアから最低リスクスコアに分類しランク付けする(本明細書において前記したように)。言い換えると、フレッドの生物学的試料からの疾患リスクマーカーおよび公開された科学データからの疾患リスクマーカーを、比較し、フレッドの健康状態を表すであろうリスク閾値を予測する(すなわち、高リスク、中程度のリスク、または低リスクに分ける)ために使用する。
【0181】
d.ROBスコアを計算し(本明細書において前記したように)、疾患リスクマーカーのそれぞれと疾患リスクのそれぞれとの間の関連の強さにおける信頼度を表すために表示する。フレッドの健康状態は、さまざまな疾患の高い、中程度の、または低いリスクとして表示する(健康リスクとして呼ばれる)。例えば、電子ディスプレイは、疾患リスクマーカーのそれぞれと疾患リスクのそれぞれとの間の関連の強さにおける計算された信頼スコアのグラフィック描写を生成する。図3は、糖尿病についての初期の疾患病因に関連しているとして出願人が特定した7つの尺度にわたる例示的な身体機能評価を視覚的に要約する棒グラフを示す。フレッドの前糖尿病の健康リスクは、公開されている通常のバイオマーカーの測定レベル外の測定レベルを有し、前糖尿病および前糖尿病のために実施されているスコアスケーリングまたはアルゴリズム調整に関連する、疾患リスクマーカーの数から計算する疾患スコアのため、高リスクゾーン中にスコアリングする。図3は、フレッドの糖尿病についてのリスクが脂質代謝障害および炎症によって動かされていることを明らかにする。さらに、該結果は、フレッドが、糖尿病を発症するより高いリスクに自身をおくいくつかの遺伝子マーカーを有することを示した。フレッドのメタボロミクスおよびプロテオミクスバイオマーカーはまた、肉、全脂肪乳製品および卵などの飽和脂肪が高く、一方、魚、ナッツ、マメ科植物および全粒穀物などの食品が低い食事を彼が消費している可能性が高いことを示した(「栄養」の下)。これは、フレッドの健康に利益をもたらさず、糖尿病、彼の脂質代謝障害および高炎症についての彼のリスクの原動力であった可能性がある。
【0182】
e.生体機能によって表されるフレッドの予測健康状態もまた計算し、生体機能カテゴリー中に分類する。例えば、フレッドの炎症の健康リスクは、公開されている通常のバイオマーカーの測定レベル外の測定レベルを有し、炎症および炎症のために実施されている任意のスコアスケーリングまたは操作ステップ調整に関連する、疾患リスクマーカーの数のため、高リスクゾーン中にスコアリング(得点付け)した。
【0183】
f.フレッドは、bにおいて上で述べた以前の変更に基づいて、まだ糖尿病についての高いリスクにいることを予想していなかったので、受け取ったデータに驚いた。実際、フレッドは、彼のライフスタイルの選択が彼にとって有益であるよりむしろ彼の健康リスクに寄与しているかもしれないであろうと心配していた。従って、フレッドはまだ、糖尿病を発症するリスクを低下させるための助けを必要としていたようである。
【0184】
ライフスタイル行動計画
g.出願人はまた、公開調査研究からのデータに基づいて、疾患リスクマーカーおよび健康リスクのレベルに影響を与え得る栄養、サプリメント、および/または運動行動(ライフスタイル行動とも呼ばれる)のデータベースを確立した。特定のバイオマーカーを特定し、疾患に関連するそれらのレベル、およびライフスタイル行動のデータベースと比較する。これを使用して、出願人は、さまざまな食品カテゴリー、運動カテゴリー、微量栄養素および/またはサプリメントを、正常範囲外である疾患リスクマーカーに一致させることができる。
【0185】
h.目標は、ライフスタイル行動(例えば、栄養、運動、および/またはサプリメント)のいくつかを、特定され最も重要な疾患リスクマーカーおよび健康リスクの彼のレベルを正常化するために、フレッドが実行することができる、フレッドについてのライフスタイル行動計画を生成することである(図4中に示すように)。例えば、推奨は、最適な範囲外の健康リスクおよび通常のマーカーを減少させるために特定の食事、運動、および/またはサプリメントの習慣を変更し得る。フレッドは、彼の食事、特に不飽和脂肪の高い摂取量および動物性脂肪の低い摂取量並びに果物および野菜の消費量における増加への変更を有する、個別化されたライフスタイル行動計画を提供された。
【0186】
後の相談
フレッドは、4ヶ月間個別化されたライフスタイル行動計画に従った。フレッドは、以前のように彼のトレーニングルーチンを続けたが、それ以外は彼のライフスタイルへのさらなる変更は何ら行わなかった。4ヶ月の期間が終了した後、生物学的試料を、フレッドから取得し、上記のように分析した。
【0187】
試験結果に基づいて、フレッドは、彼の健康を大幅に改善することができたようであり、これは、糖尿病についての減少したリスクにおいて反映されていた。飽和脂肪の高い摂取量の任意の代謝またはプロテオミクス指標は、正常化した(データは示していない)。フレッドの代謝およびプロテオミクスプロファイルは、シフトし、食事における変更、特に不飽和脂肪の高い摂取量および動物性脂肪の低い摂取量を反映していた。
【0188】
実施例2
この実施例は、バイオマーカー、予測健康状態と、健康推奨(すなわち、ライフスタイル行動計画)を介した健康上の利点との間の重要な関係を実証する。特に、該実施例は、彼らの予測健康状態を診断するための、複数のグループの研究参加者の概念実証研究を提示し、彼らの健康リスクを減少させ正常範囲外にある彼らのバイオマーカーを正常化するために、食事、運動、およびサプリメントの推奨を含有するライフスタイル行動計画をカスタマイズする。診断およびライフスタイル行動計画は、栄養素摂取量および食事パターンをメタボロミクスに関連付ける最近公開された科学的証拠に基づく。研究デザインおよびタイムラインを、図7中に表す。
【0189】
最初の相談
a.生物学的試料は、研究参加者から取得する。取得した試料を、前述の分析技術(すなわち、多重反応モニタリング質量分析(MRM-MS)、高速液体クロマトグラフィー(HLPC)、および液体クロマトグラフィー-質量分析(LC_MS))を使用して、バイオマーカーの存在、不在および/またはレベルについて分析する。これらの方法は、例えば、取得した試料中に存在するゲノム、メタボロミクス、プロテオミクス、および/またはエクスポソミックバイオマーカーのレベルを定量化するために使用する。測定値を、記録する。
【0190】
b.分析評価が進行中である間、研究参加者にまた、自己申告の表現型フォームを完了するよう求める。該フォームの目的は、年齢、性別、身長、体重、家族の病歴、個人の病歴および症状、食事日記、並びに/または身体活動を含むがこれらに限定されない、フレッドについての多くの特徴に関する情報を引き出すことである。研究参加者は、この研究に参加する前の以前のライフスタイルの変更を考慮して彼らの健康状態についてより学びたいと思っていた。
【0191】
c.参加者の測定したバイオマーカーレベルを、本発明に従って以前に疾患若しくは健康リスクまたはその発症のリスクに相関付けられた疾患リスクバイオマーカーのデータベースと比較する。リスクスコアを、報告されている各疾患について計算し、これらのリスクを、「ギャップの大きさ」手法に基づいて、最高リスクスコアから最低リスクスコアに分類しランク付けする(本明細書において前記したように)。言い換えると、参加者の生物学的試料からの疾患リスクマーカーおよび公開された科学データからの疾患リスクマーカーを、比較し、参加者の健康状態を表すであろうリスク閾値を予測する(すなわち、高リスク、中程度のリスク、または低リスクに分ける)ために使用する。
【0192】
d.研究参加者のメタボロミクスバイオマーカープロファイリングの集計データ分析は、人口の約20%が、2型糖尿病およびアルツハイマー病を含む(データは示していない)、メタボロミクスバイオマーカープロファイリングを通して通知される9つの分析された疾患の少なくとも1つについて、最初の時点で彼らの健康状態に対する中程度のおよび高いリスクを示すことを示した。
【0193】
e.生体機能(または身体機能)によって表される参加者の予測健康状態もまた計算し、生体機能カテゴリー中に分類する。生体機能(または身体機能)によって表される健康状態の集計分析は、最初の時点で、参加者の大多数(68%)が慢性疾患の初期の指標および原因因子を表す代謝バイオマーカーの異常なレベルを示すことを明らかにした。
【0194】
ライフスタイル行動計画
f.出願人はまた、公開調査研究からのデータに基づいて、疾患リスクマーカーおよび健康リスクのレベルに影響を与え得る栄養、サプリメント、および/または運動行動(ライフスタイル行動とも呼ばれる)のデータベースを確立した。特定のバイオマーカーを特定し、疾患に関連するそれらのレベル、およびライフスタイル行動のデータベースと比較する。これを使用して、出願人は、さまざまな食品カテゴリー、運動カテゴリー、微量栄養素および/またはサプリメントを、正常範囲外である疾患リスクマーカーに一致させることができる。
【0195】
g.目標は、特定のターゲットを定めたライフスタイル行動(例えば、栄養、運動、および/またはサプリメント)を、特定され最も重要な疾患リスクマーカーおよび健康リスクの彼らのレベルを正常化するために、参加者が実行することができる、該研究参加者のそれぞれについてのライフスタイル行動計画を生成することである。例えば、推奨は、最適な範囲外の健康リスクおよび通常のマーカーを減少させるために特定の食事、運動、および/またはサプリメントの習慣を変更し得る。
【0196】
h.研究参加者全員に、彼らの疾患リスクマーカー、健康リスク、および現在の個人ライフスタイルに基づいて、個別化されたライフスタイル行動計画を提供した。彼らの100日間の行動計画に従った後、第2の時点で、彼らの疾患リスク、健康リスク、および生体機能/身体機能に対する影響を決定するために、参加者の2回目のプロファイリングを行った。
【0197】
参加者の疾患リスクおよび健康リスクの集計分析は、例えば第2の時点で、2型糖尿病およびアルツハイマー病を含めて、疾患リスクの低下を示した(図8を参照)。生体機能/身体機能スコアの低下によって示されるように、異常な代謝バイオマーカーレベルにおける有意な低下もあった(図9を参照)。
【0198】
実行の他の実施例は、本説明の教示を考慮して読者に明らかになるであろう、およびそのようなものとして、ここではさらに説明しない。
【0199】
タイトルまたはサブタイトルは、読者の便宜のために本開示全体を通して使用し得るが、決してこれらは本発明の範囲を制限すべきではないことに注意されたい。さらに、特定の理論を、本明細書において提案しおよび開示し得る;しかしながら、そのような理論は、正しいか正しくないかにかかわらず、行動のいかなる特定の理論またはスキームにも関係なく、本発明を本開示に従って実行する限り、決して本発明の範囲を制限すべきでない。
【0200】
実施例に関連して記載される本開示の方法および/またはシステムの要素は、必要な変更を加えて、本開示の他の態様に適用される。従って、言うまでもなく、本開示の方法および/またはシステムは、各そのようなステップまたは構成要素が本明細書において定義されているように独立して存在する任意の実施態様において、本明細書において引用されるステップおよび/または構成要素のいずれかを含む任意の方法および/またはシステムを包含する。本明細書において具体的に記載されているもの以外の多くのそのような方法および/またはシステムは、本発明の範囲によって包含され得る。
【0201】
本明細書において開示される寸法および値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。代わりに、別途特定されていない限り、各そのような寸法は、列挙されている値およびその値を取り巻く機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。用語「約」は、特定の値からの+/-5%の偏差を包含する。
【0202】
任意の相互参照する若しくは関連する特許または出願、およびこの出願が優先権またはその利益を主張する任意の特許出願または特許を含む、本明細書において引用される全ての文書は、明示的に除外されるかまたは別途制限されない限り、これにより参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。任意の文書の引用は、それが本明細書において開示されまたは請求される任意の開示に関して先行技術であること、またはそれが単独で、若しくは任意の他の参考文献若しくは参考文献(複数)との任意の組合せで、任意のそのような開示を教示し、示唆しまたは開示することを認めるものではない。さらに、この文書における用語の任意の意味または定義が、参照により組み込まれた文書における同じ用語の任意の意味または定義と矛盾する限りにおいて、この文書においてその用語に割り当てられた意味または定義が適用されるものとする。
【0203】
本開示の特定の実施態様を例示し記載してきたが、本開示の範囲から逸脱することなく、さまざまな他の変更および修正を行うことができることが、当業者に明らかであろう。従って、添付の特許請求の範囲においてこの開示の範囲内にある全てのそのような変更および修正をカバーすることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】