(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-20
(54)【発明の名称】眼科用タンパク質医薬品の精製方法(Refining method of ophthalmic protein pharmaceuticals)
(51)【国際特許分類】
C07K 1/18 20060101AFI20220912BHJP
C07K 1/22 20060101ALI20220912BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20220912BHJP
【FI】
C07K1/18
C07K1/22
C07K19/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022501046
(86)(22)【出願日】2019-09-09
(85)【翻訳文提出日】2022-01-07
(86)【国際出願番号】 KR2019011642
(87)【国際公開番号】W WO2021006419
(87)【国際公開日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】10-2019-0082061
(32)【優先日】2019-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516057509
【氏名又は名称】サム チュン ダン ファーム.カンパニー,リミテッド
【住所又は居所原語表記】71,Jeyakgongdan 2-gil,Hyangnam-eup,Hwaseong-si,Gyeonggi-do 18622 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】ハ、ビョン-ジプ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヨン-ソプ
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ミ-ラン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジェ-ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ドン-ギュ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ジェ-イン
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA50
4H045EA34
4H045FA74
4H045GA10
4H045GA23
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、陽イオン交換樹脂または陰イオン交換樹脂クロマトグラフィーを適用して、特定範囲の等電点を有する眼科用タンパク質調製を精製する方法を提供する。本発明によれば、3個または4個のクロマトグラフィー工程を適用してより経済的であり、高純度の眼科用タンパク質医薬品を製造することができるという利点がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次のように実施され、陽イオン交換樹脂クロマトグラフィー法を適用し、pH6.0~8.3の範囲の等電点を有するアフリベルセプトの精製方法:
(a)pH4.5~6.6の緩衝液で平衡化された陽イオン交換樹脂に、アフリベルセプト混合物を装填する工程;
(b)pH4.5~6.6の条件で0~40mM濃度の塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含む緩衝液で洗浄する工程;および
(c)pH4.5~6.6の条件で工程(b)過程よりも高い濃度で、かつ40~120mM濃度の塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含む緩衝液で溶出し、pH6.0~8.3の範囲の等電点を有するアフリベルセプトを採取する工程。
【請求項2】
カラムの平衡化、洗浄及び溶出の工程に用いられる緩衝液は、酢酸ナトリウムまたはリン酸ナトリウムである請求項1に記載のアフリベルセプトの精製方法。
【請求項3】
陽イオン交換樹脂のリガンドは、カルボキシメチル(CM)基である請求項1に記載のアフリベルセプトの精製方法。
【請求項4】
以下のように実施される、陰イオン交換樹脂クロマトグラフィー法を適用して、pH6.0~8.3の範囲の等電点を有するアフリベルセプト(aflibercept)の精製方法:
(a)pH7.5~9.0の緩衝液で平衡化された陰イオン交換樹脂にアフリベルセプト混合物を装填する工程;
(b)pH7.5~9.0の条件で0~20mM濃度の塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含む緩衝液で洗浄する工程;および
(c)pH7.5~9.0の条件で工程(b)よりも高い濃度であり、かつ20mM~150mMの塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含む緩衝液で溶出し、pH6.0~8.3の範囲の等電点を有するアフリベルセプトを採取する工程。
【請求項5】
カラムの平衡化、洗浄及び溶出の工程に用いられる緩衝液は、リン酸ナトリウムまたはトリス(Tris)である請求項4に記載のアフリベルセプトの精製方法。
【請求項6】
陰イオン交換樹脂のリガンドは、第四級アンモニウム(Q)基である請求項4に記載のアフリベルセプトの精製方法。
【請求項7】
アフリベルセプトタンパク質の混合物に対してイオン交換クロマトグラフィーを行う前に、プロテインA アフィニティクロマトグラフィー、ミックスモード(mixed-mode)またはマルチモーダル(Multimodal)クロマトグラフィー、脱塩限外濾過工程からなる群から選択される一つ以上の方法を適用する請求項1または4に記載のアフリベルセプトの精製方法。
【請求項8】
請求項1に記載の陽イオン交換樹脂クロマトグラフィー方法と請求項4に記載の陰イオン交換樹脂クロマトグラフィー法を併用することにより、pH6.0~8.3の範囲の等電点を有するアフリベルセプトを精製する方法。
【請求項9】
アフリベルセプト最終精製物を硝子体内注射(intravitreal injection)に適合するように次の3つのいずれか1つの組成物に配合する方法:
(a)10mM酢酸ナトリウム、7%スクロース、0.03%ポリソルベート20、pH5.5の組成、
(b)10mM酢酸ナトリウム、6.5%スクロース、15mM塩化ナトリウム、0.03%ポリソルベート20、pH5.5の組成、
(c)50mM酢酸ナトリウム、6%スクロース、0.03%ポリソルベート20、pH5.5の組成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科用タンパク質医薬品の活性成分として用いられるアフリベルセプトを精製する方法に関する。本発明によれば、陽イオン交換樹脂クロマトグラフィーまたは陰イオン交換樹脂クロマトグラフィーを特定の条件で行い、特定範囲の等電点を有するアフリベルセプトを精製することができるので、眼科用タンパク質医薬品の品質及び生産性の向上を図ることができる。
【背景技術】
【0002】
血管新生(Angiogenesis)は、固形腫瘍(Solid tumor)、増殖網膜症(Proliferative retinopathies)、加齢黄斑変性(AMD)、関節リウマチ(Rheumatoid arthritis)のような種々の疾患の発症機転に関与することが知られている。このような血管新生に必要とされる因子の一つである血管内皮増殖因子(VEGF)は、ヒトの癌において発現しており、腫瘍血管新生(Tumor neoangiogenesis)においても重要な役割を果たす。また、眼液中(Eye fluid)の高濃度のVEGFは、糖尿病性及びその他の虚血性の網膜症患者における血管増殖活性と高い相関関係があり(Aiello LP et al., N Engl J Med 1994;331:1480-1487)、加齢黄斑変性(AMD)患者の脈絡膜新生血管膜(Choroidal Neovascular Membranes)における増殖因子の局在化(localization)につながることが知られている(Amin R1 et al., Invest Ophthalmol Vis Sci., 1994 Jul;35(8):3178-88)。したがって、抗-VEGF抗体またはVEGF阻害剤は、固形腫瘍と眼内血管新生関連疾患の治療に有望な候補であることができる。
【0003】
VEGF阻害剤のうちの1つであるアフリベルセプト(Aflibercept)は、ヒトIgG1免疫グロブリンのFc部分に融合したヒト血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor、VEGF)受容体1及び2の細胞外ドメイン由来のVEGF結合部位からなる組換え融合タンパク質である。アフリベルセプトは、商標EyleaTMとして滲出型加齢黄斑変性症の治療のために米国及びヨーロッパなどで承認されている。
【0004】
アフリベルセプトは、遺伝子組換え技術を用いて、CHO細胞、NS0細胞などの動物細胞において発現され得、二量体形態で存在し、生物学的活性を示す。発現された二量体は、合計10個のアスパラギン残基に糖鎖構造が結合した形態を示すことが知られており、それぞれの糖鎖構造の末端部位には、負電荷を帯びたシアル酸(sialic acid)が含まれ得るので、細胞培養工程を通じて発現される、アフリベルセプト物質は、多様な含有量で存在するシアル酸糖によりpH6.0~10以上の非常に広い範囲で等電点値を有する複合物の形態を示す。
【0005】
ところで、遺伝子組換え技術を用いて生産されたタンパク質医薬品を人体に使用するためには、極めて厳しい安全性と有効性検証の手続きが必要とされ、そのためには、極めて高純度に精製することができる効果的な精製工程が必要となる。すなわち、細胞培養工程を通じて生成された培養液には、さまざまな工程に由来する不純物のみならず、上記の種々の含有量で存在するシアル酸糖が含まれるので、このことから安定性や有効性を厳密に検証するために設けられた基準内に分布する等電点値を有するタンパク質のみを高純度に精製する工程が要求される。さらに、そのようなたんぱく質は、十分な精製収率を確保することによってはじめて経済性が確保され、工業的に利用可能となる。
【0006】
従来の抗体医薬品またはFc融合タンパク質の精製スキーム(または手順)は、種々の不純物の結合または保持力と比較した時、クロマトグラフィーカラムの固相によって好ましく結合するか、或いは保持されるかに対する抗体分子の能力を試験するクロマトグラフィー工程をしばしば含む。これらのクロマトグラフィー工程には、プロテインAまたはプロテインGが固定されたアフィニティクロマトグラフィー、固定化金属アフィニティクロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、サイズ排除ゲル濾過クロマトグラフィー、ミックスモード(mixed-mode)またはマルチモーダル(Multimodal)クロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイト・クロマトグラフィーなどの種々の技術からなる一連のクロマトグラフィー法を所定の条件下で行うことを特徴とする。ただし、アフリベルセプト(またはアフリベルセプトバイオシミラー)物質を高純度に精製するために行われるクロマトグラフィーの特定の条件は未だ明らかにされていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、動物細胞株を用いた細胞培養から生成されたアフリベルセプトで重合体、エンドトキシン、異種タンパク質、核酸、高等電点類似体の形態の不純物などを効果的に除去し、ヒトに使用することができる高純度医薬品として開発するための一連の工程を完成しようとした。
【0008】
本発明者らは、本発明に至る工程において、試料の注入量が限られているため生産性に否定的な影響を及ぼす可能性があるサイズ排除クロマトグラフィーは除外し、有機溶媒等を使用しないのでタンパク質変性させ難いという利点を有する工程を完成しようとした。
【0009】
本発明者らは、特に、アフリベルセプトは一般的な抗体医薬品に比べてはるかに多い計10個のN-結合型糖鎖構造を含み、それぞれの糖鎖構造の末端部位には、負電荷を帯びるシアル酸が含まれることから、種々の含有量で存在するシアル酸糖によってpH6~10以上の非常に広い範囲で等電点値を有する複合物の形態を示すという点に着眼し、陰イオン交換樹脂クロマトグラフィーと陽イオン交換樹脂クロマトグラフィーを特定の条件で行うことにより、非常に特定な範囲(pH6.0~8.3)の等電点値を示す物質のみを高純度で精製する技術を提供することを試みた。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記技術的課題を解決するために本発明は、
(a)pH4.5~6.6の緩衝液で平衡化された陽イオン交換樹脂にアフリベルセプト混合物を装填する工程;
(b)pH4.5~6.6の条件で0~40mM濃度の塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含む緩衝液で洗浄する工程;及び
(c)pH4.5~6.6の条件で、工程(b)工程よりも高い濃度で、かつ40~120mM濃度の塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含む緩衝液で溶出し、pH6.0~8.3の範囲のアフリベルセプトを採取する工程;
で行われる陽イオン交換樹脂クロマトグラフィー法を提供し、これによってpH6.0~8.3の範囲の等電点を有するアフリベルセプトを精製することができる。
【0011】
前記においてカラムの平衡化、洗浄及び溶出の工程に用いられる緩衝液は、酢酸ナトリウムまたはリン酸ナトリウムである。
【0012】
また、前記において陽イオン交換樹脂のリガンドは、カルボキシメチル(CM)基である。
【0013】
また、本発明は、
(a)pH7.5~9.0の緩衝液で平衡化された陰イオン交換樹脂にアフリベルセプト混合物を装填する工程;
(b)pH7.5~9.0の条件で0~20mM濃度の塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含む緩衝液で洗浄する工程;及び
(c)pH7.5~9.0の条件で工程(b)よりも高い濃度で、かつ20mM~150mMの塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含んで溶出し、pH6.0~8.3の範囲の等電点を有するアフリベルセプトを採取する工程;
で行われる陰イオン交換樹脂クロマトグラフィー法を提供することにより、pH6.0~8.3の範囲の等電点を有するアフリベルセプトを精製することができる。
【0014】
上記においてカラムの平衡化、洗浄及び溶出の工程に用いられる緩衝液は、リン酸ナトリウムまたはトリス(Tris)である。
【0015】
また、前記において陰イオン交換樹脂のリガンドは、第四級アンモニウム(Q)基である。
【0016】
上記においてアフリベルセプトタンパク質の混合物に対して陽イオン交換樹脂クロマトグラフィーまたは陰イオン交換樹脂クロマトグラフィーを行う前に、プロテインAアフィニティクロマトグラフィー、ミックスモードまたはマルチモーダルクロマトグラフィー、及び脱塩限外濾過工程からなる群から選択される一つ以上の方法を適用することができる。
【0017】
また、前記陽イオン交換樹脂クロマトグラフィー法と前記陰イオン交換樹脂クロマトグラフィー法を併用することにより、pH6.0~8.3の範囲の等電点を有するアフリベルセプトを精製することもできる。
【0018】
本発明では、アフリベルセプト最終精製物を硝子体内注射(intravitreal injection)に適合するように、次の3つの組成のいずれかに製剤化する方法も提示する:
(a)10mM酢酸ナトリウム、7%スクロース、0.03%ポリソルベート20、pH5.5の組成;
(b)10mM酢酸ナトリウム、6.5%スクロース、15mM塩化ナトリウム、0.03%ポリソルベート20、pH5.5の組成;
(c)50mM酢酸ナトリウム、6%スクロース、0.03%ポリソルベート20、pH5.5の組成。
【0019】
上記の本発明について詳細に説明する。
【0020】
本発明を実施するための一態様は、形質転換された動物細胞であるチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO cell)からの細胞培養を通じて発現された標的タンパク質であるアフリベルセプトを高収率かつ高純度で精製する方法である。
【0021】
工業的な生産規模において、サイズ排除クロマトグラフィーに注入することができる試料の注入量は限られており生産性に否定的な影響を及ぼしうるので、本発明では、サイズ排除クロマトグラフィー工程は除外した。また、有機溶媒などの使用によるタンパク質変性の可能性がある逆相クロマトグラフィー工程や高濃度塩の使用によるタンパク質変性があり得る疎水性クロマトグラフィー工程も除外した。
【0022】
本発明の好ましい一実施形態によれば、糖鎖構造の末端に存在するシアル酸の含有量の異質性(heterogeneity)によって引き起こされる種々の等電点を有するアフリベルセプト物質から比較的高い等電点類似体形態の不純物を除去し、特定の範囲の等電点値を示す物質のみを高純度で精製するための陽イオン交換樹脂クロマトグラフィーの特定の実施条件が1回以上適用される。
【0023】
また、本発明の好ましい一実施形態によれば、糖鎖構造の末端に存在するシアル酸の含有量の異質性によって引き起こされる種々の等電点を有するアフリベルセプト物質から比較的高い等電点類似体形態の不純物を除去し、特定の範囲の等電点値を示す物質のみを高純度で精製するための陰イオン交換樹脂クロマトグラフィーの特定の実施条件が1回以上適用される。
【0024】
また、本発明の好ましい一実施形態によれば、前記陽イオン交換樹脂クロマトグラフィーの特定の実施条件と、陰イオン交換樹脂クロマトグラフィーの特定の実施条件とを一緒に適用することができる。
【0025】
1つの具体例において、本発明の精製方法を実施する前に、プロテインAを固定化したアフィニティクロマトグラフィー工程、ミックスモードまたはマルチモーダルクロマトグラフィー工程、及び限外濾過(Diafiltration)工程をさらに実施することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の特徴及び利点は、以下のように要約される。
【0027】
(a)本発明は、pH6.0~8.3の範囲の等電点を有するアフリベルセプト(またはアフリベルセプトバイオシミラー)のみを効果的に精製することができる新規な精製方法を提供する。
【0028】
(b)本発明によれば、非常に広い範囲の等電点分布を示すアフリベルセプトの物理化学的性質による、製造における困難性を克服し、工業的規模で大量生産することができる精製方法を提供する。
【0029】
(c)本発明は、各クロマトグラフィー工程間の歩留まり低下を引き起こしうる緩衝液交換工程である限外濾過工程を実施しなくても、高収率で大量生産することができる精製方法を提供する。
【0030】
(d)本発明によれば、細胞培養工程を通じて発現されるアフリベルセプト物質から3回または4回のクロマトグラフィー工程を通じて不純蛋白質を効果的に除去することにより、滲出型加齢黄斑変性症、糖尿病性黄斑浮腫などの種々の眼の疾患に罹患している患者の硝子体内投与(intravitreal administration)および眼内投与に好適に適用することができるアフリベルセプトを獲得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】Capto adhere樹脂を用いたマルチモーダルクロマトグラフィーの結果を示すグラフである。装填および洗浄中に得られた画分は、図面の下部に示す。
【
図2】本発明による精製方法において、陽イオン交換クロマトグラフィーを用いて、pH6.0~8.3の範囲の等電点値を有するアフリベルセプトを含む画分物を、等電点分析電気泳動のクマシー染色結果を示す図である。 レーン1:pIマーカー(SERVA社) レーン2:アフリベルセプト内部標準品 レーン3:陽イオン交換樹脂クロマトグラフィー分画物(実施形態1-1) レーン4:陽イオン交換樹脂クロマトグラフィー分画物(実施形態1-2) レーン5:陽イオン交換樹脂クロマトグラフィー分画物(実施形態1-3) レーン6:陽イオン交換樹脂クロマトグラフィー分画物(実施形態1-4) レーン7:陽イオン交換樹脂クロマトグラフィー分画物(実施形態1-5)
【
図3】本発明による精製方法において、陰イオン交換クロマトグラフィーを用いて、pH6.0~8.3の範囲の等電点値を有するアフリベルセプトを含む画分物を等電点分析電気泳動のクマシー染色結果を示す図である。 レーン1:pIマーカー(SERVA社) レーン2:アフリベルセプト内部標準品 レーン3:陰イオン交換樹脂クロマトグラフィー分画物(実施形態2-1) レーン4:陰イオン交換樹脂クロマトグラフィー分画物(実施形態2-2) レーン5:陰イオン交換樹脂クロマトグラフィー分画物(実施形態2-3) レーン6:陰イオン交換樹脂クロマトグラフィー分画物(実施形態2-4) レーン7:陰イオン交換樹脂クロマトグラフィー分画物(実施形態2-5) レーン8:陰イオン交換樹脂クロマトグラフィー分画物(実施形態2-6)
【
図4】本発明による精製方法において、陽イオン交換クロマトグラフィーの適用後の試料を陰イオン交換クロマトグラフィーに装填し、洗浄過程後に溶出させた画分物を等電点分析電気泳動のクマシー染色結果を示す図である。 レーン1:pIマーカー(SERVA社) レーン2:アフリベルセプト内部標準品 レーン3:陰イオン交換樹脂クロマトグラフィーの洗浄画分物 レーン4:陰イオン交換樹脂クロマトグラフィーの溶出液画分物 レーン5:陰イオン交換樹脂クロマトグラフィーの装填試料(陽イオン交換樹脂クロマトグラフィーの溶出液)
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明のアフリベルセプトの精製工程を各工程別に、また実施形態と共に詳細に説明すると次の通りである。ただし、これらの工程の説明や実施形態は、本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲がこれに限定されるものではない。
【0033】
工程1.アフリベルセプト発現動物細胞の培養物から前処理溶液を得る
まず、アフリベルセプト発現動物細胞の培養物から動物細胞を除去し、前処理溶液を得た。アフリベルセプト発現動物細胞は、好ましくは哺乳類、げっ歯類、鳥類または昆虫細胞であり、より好ましくはCHO(Chinese hamster ovary)、VERO、BHK(Baby hamster kidney)、NS0細胞であり、最も好ましくはCHO細胞である。
【0034】
アフリベルセプト発現動物細胞は、当業界に公知の多様な方法で培養することができる。例えば、当業界に公知のCHO細胞培養方法のうちの一つである回分培養法(batch culture)、流加培養法(fed-batch culture)、繰り返し流加培養法(repeated fed-batch culture)、連続培養法(continuous culture)または潅流培養法(perfusion culture)からなる群から選択されたいずれか1つ以上の方法を実施することができる。
【0035】
動物細胞の培養液には、一般的に、タンパク質、糖類、脂肪など多様な不純物が混入しているので、本発明による精製方法において、精製効率を高めるためにカラムクロマトグラフィーを行う前に不純物を除去する前処理工程が必要である。
【0036】
好ましくは、前処理工程は、デプスフィルター及びメンブレンフィルター法のような当該技術分野で公知の多様な方法によって実施することができる。
【0037】
工程2.前処理された培養液からアフリベルセプトを精製する
上記の前処理された培養液は、特定の範囲の等電点値を有するアフリベルセプトのみを精製するための陽イオン交換クロマトグラフィーまたは陰イオン交換クロマトグラフィーを行う前に、アフィニティクロマトグラフィー、ミックスモードまたはマルチモーダルクロマトグラフィー、脱塩限外濾過工程からなる群から選択される少なくとも一つ以上の方法により精製することができるが、これに限定されるものではない。
【0038】
モノクローナル抗体及びFc-融合タンパク質の場合、精製工程用の業界標準は、典型的にいくつかの工程を含む精製工程を含む。本発明の一実施形態では、プロテインAアフィニティクロマトグラフィーを用いて前処理した培養液を1次精製した。これは、抗体またはFc-融合タンパク質のFc-領域に結合するプロテインAと呼ばれるリガンド親和性を適用する精製工程であり、前培養液をプロテインAカラムに装填し、洗浄し、次いで約pH3内外の酢酸またはクエン酸緩衝液で溶出させることによって一次的に精製されたアフリベルセプト画分を得ることができた。
【0039】
タンパク質凝集体または高分子量タンパク質種は、Fc-融合タンパク質または抗体分子を含む生物学的調製物から除去する必要がある主要汚染物質の1つである。例えば、タンパク質凝集体および他の汚染物質は、製品が、診断、治療または他の用途に使用される前に、生物学的物質から除去しなければならない。本発明の一実施形態では、ミックスモードまたはマルチモーダルクロマトグラフィーを使用したが、プロテインAクロマトグラフィーを介して1次精製された画分物を何ら限外濾過工程なしにミックスモードまたはマルチモーダル樹脂に装填することにより実施した。
【0040】
互いに異なるが機能する2以上の部位が標的タンパク質と相互作用するマルチモーダルクロマトグラフィーが有用に適用することができ、溶出されたプールは、タンパク質凝集体および他の培養液中の不純物が除去されることにより、より高純度のアフリベルセプト物質を得ることができる。
【0041】
本発明において、アフリベルセプトの精製に使用されるミックスモードまたはマルチモーダル樹脂は、市中で入手可能であり、例えば、Capto MMCTM(GE Healthcare)、Capto adhereTM(GE Healthcare)、MBI HyperCelTM(Pall)などがある。Capto adhereTMは、従来のイオン交換体に対して別の選択性を付与するマルチモーダル官能基を有するリガンドを含有し、標的分子と相互作用するための多用な官能基を示すが、イオン性相互作用、水素結合相互作用、および疎水性相互作用を提供する。本発明の一実施形態において用いられたマルチモーダル樹脂は、Capto adhereTMであるが、これに限定されるものではないことは当業者には自明であろう。
【0042】
ミックスモードまたはマルチモーダルクロマトグラフィーは、通常、カラム平衡化工程、装填工程および溶出工程によって行われるが、装填後、溶出の前に1つ以上の洗浄工程を含むことができる。高純度アフリベルセプト収得物は、装填および洗浄工程中に、樹脂に結合しない方法で得ることができるか、或いは一旦樹脂に結合した後に溶出工程で得られるように実施条件を調整することができる。本発明の一例では、Capto adhere(GE healthcare)樹脂10mlを充填したカラム(GE healthcare、XK16/20)に20mM濃度の塩化ナトリウムを含有する50mMの酢酸ナトリウム緩衝液(pH=5.5)で平衡化した樹脂を用いて、
図1のカラムクロマトグラフィーグラフに示す、装填工程及び洗浄工程(平衡化緩衝液と同じ)中に、樹脂に結合することなく流出する溶液を得ることにより効果的にタンパク質凝集体およびその他の不純物を除去することができ、次の工程であるイオン交換クロマトグラフィー工程で装填試料を装填するために、装填試料の緩衝液を交換する限外濾過工程を行わないことがさらに可能であった。
【0043】
工程3.特定の範囲の等電点値を有するアフリベルセプトを精製する
上記の前処理された培養液は、特定の範囲の等電点値を有するアフリベルセプトのみを精製するための陽イオン交換クロマトグラフィーまたは陰イオン交換クロマトグラフィーを行う前に、アフィニティクロマトグラフィー、ミックスモードまたはマルチモーダルクロマトグラフィー、脱塩限外濾過工程からなる群から選択される一つ以上の方法により精製することができるが、これに限定されるものではない。
【0044】
等電点パターンを解析する方法としては、等電点電気泳動法(Isoelectric focusing)を採用したが、20μgの標準液と検液を用意したのち、Novex pH3~10 IEF Gel 1.0mm、10well(Life technologies)に装填し、100V、200V、500Vの電圧でそれぞれ1時間、1時間、30分間電気泳動させた。12%トリクロロ酢酸で30分間ゲルを固定し、超純水で10分間ずつ3回洗浄し、クマシー染色液で染色した後、観察した。
【0045】
以下、陽イオン交換クロマトグラフィー(実施形態1)を行い、陰イオン交換クロマトグラフィー(実施形態2)を行い、陽イオン交換クロマトグラフィーと陰イオン交換クロマトグラフィーを併用して行う(実施形態3)ことについて、別に説明する。
【0046】
<実施形態1:陽イオン交換クロマトグラフィーを実施>
(1)陽イオン交換クロマトグラフィーの実施方法
工程2のプロテインAアフィニティクロマトグラフィーにより得られたアフリベルセプトの試料溶液、またはプロテインAアフィニティクロマトグラフィーとマルチモーダルクロマトグラフィーを併用して、採取されたアフリベルセプト試料溶液を、陽イオン交換クロマトグラフィーに適用して、特定の範囲の等電点値を有するアフリベルセプト物質のみを精製する。
【0047】
本発明で用いられる陽イオン交換樹脂で帯電した官能基としては、カルボキシメチル(CM)、スルホエチル(SE)、スルホプロピル(SP)、ホスフェート(P)などが可能であり、陽イオン交換樹脂の支持体としては、ポリスチレン(polystyrene)、ポリスチレン/ジビニルベンゼン(polystyrene/divinyl benzene)、セルロース(cellulose)、デキストラン(dextran)、アガロース(agarose)およびトヨパール(Toyopearl)等が挙げられる。本発明では一実施形態として用いられた陽イオン交換体としては、特にカルボキシメチル(CM)リガンドが挙げられる。
【0048】
本発明の陽イオン交換クロマトグラフィー工程に用いられる緩衝液としては、緩衝能を有する種々の緩衝液も使用可能であり、例えば、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムおよびグリシン-HClが挙げられる。
【0049】
平衡溶液としては、各種の緩衝液、特に酢酸ナトリウム及びリン酸ナトリウム緩衝液を用いることができ、pHが4.5~6.6である。洗浄溶液としては、各種の緩衝液、特に酢酸ナトリウム及びリン酸ナトリウム緩衝液を用いることができ、pHが4.5~6.6であり、低濃度(すなわち、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含有していない場合は0~40mM濃度範囲であり、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含有する場合は0超40以下の濃度範囲であることを意味する)の塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含むことができる。溶出溶液としては、種々の緩衝液、特に酢酸ナトリウムとリン酸ナトリウム緩衝液を用いることができ、pHは4.5~6.6であり、塩化ナトリウムあるいは塩化カリウム塩の濃度が増加するにつれて、pI値が低いタンパク質から順に溶出されることが確認された。等電点が8.3以下の物質を精製するためには、約120mM未満の塩濃度で溶出することが好ましい。
【0050】
本発明者らは、陽イオン交換クロマトグラフィーを行うに際に、平衡化、洗浄及び溶出工程でpH4.5~6.6の範囲の溶液を使用したが、これは、pHが4.5未満の条件ではシアル酸含有量の低いアフリベルセプト物質が採取されるという短所があり、pH6.6超の条件では採取しようとする特定範囲(pH6.0~8.3)の等電点値を有するアフリベルセプト物質が焼失してしまい、精製の収率が低下する短所があるからである。
【0051】
本発明の具体的な一実施形態を参照して、上記工程を説明すると、次の通りである。
【0052】
弱酸性陽イオン交換樹脂の一種であるCM-sepharose FF(GE healthcare)樹脂2mlを充填したTriconカラム(GE healthcare、直径0.5cm、高さ10cm)を用いて、pI cuttingを適正なpH、塩濃度を見出すための予備実験として、1)NaCl塩濃度勾配溶出法と、2)pH勾配溶離法を実施した。
【0053】
まず、NaCl塩濃度勾配法(Salt gradient method)試験は、50mM酢酸ナトリウム(pH5.5)10カラムボリューム(CV)の平衡緩衝液でカラムを平衡化し、前述した工程2のプロテインAアフィニティクロマトグラフィーまたはCapto adhereマルチモーダルクロマトグラフィーを行って得られたアフリベルセプト試料溶液をそれぞれの平衡化緩衝液で希釈し、pHを平衡化緩衝液のpHと同じになるように調整した後、上記のカラムに0.3mL/分の流速で装填した。カラムを5CVの同じ平衡緩衝液で洗浄した後に、30CVの溶出緩衝液(50mM酢酸ナトリウム、0.5M塩化ナトリウム、pH5.5)を0%~100%になるように流して、塩濃度の増加によりタンパク質が溶出されるようにしながら、自動分画器で16分画を採取した。採取した画分を等電点電気泳動分析法で分析した結果、塩化ナトリウム塩の濃度が増加するにつれて、pI値が低いタンパク質から順に溶出されることが確認され、等電点が8.3以下の物質を精製するためには、約120mM未満の塩濃度で溶出することが好ましい。
【0054】
pHグラジェント溶出法(pH gradient method)試験では、10CVの平衡緩衝液(20mM酢酸ナトリウム、20mMリン酸ナトリウム、pH5.5)でカラムを平衡化し、アフリベルセプト試料溶液を、前記塩濃度勾配法と同様の方法で処理した後、5CVの平衡緩衝液で洗浄した後に、30CVの溶出緩衝液(20mM酢酸ナトリウム、20mMリン酸ナトリウム、pH8.5)を0%~100%となるように流し、pHを上昇させることによりタンパク質を溶出され、自動分画器で20分画を採取した。採取した画分を、等電点電気泳動で分析し、その結果、pHが上昇するにつれて、pI値が低いタンパク質から順に溶出されることを確認した。より詳細なpH条件を探索するために、段階的pH溶出(stepwise pH elution)条件の試験を行ったところ、pHが6.6以下の条件で陽イオン交換クロマトグラフィーの平衡および洗浄工程を実施することが好ましいことを見出し、将来のスケールアップの再現性のために、pH溶出法よりはより安定した工程を実現することが可能な塩濃度増加溶出法を選択し、表1のようなより精密な溶出条件を完成するに至った。
【0055】
表1の各実施形態の条件により、平衡緩衝液を150cm/時の流速で樹脂を平衡化させる。次いで、前述した工程2のプロテインAアフィニティクロマトグラフィーまたはCapto adhereマルチモーダルクロマトグラフィーを行って得られたアフリベルセプト試料溶液を、各種の平衡化緩衝液で希釈した後、pHを平衡化緩衝液のpHと同一に調整した後に、CM-sepharose FF樹脂を充填した上記のカラムに150cm/時間の流速で装填した。それから、表1の各実施形態の条件に応じて洗浄緩衝液で洗浄工程を150cm/時の流速で実施し、等電点値が相対的に高いアフリベルセプト物質を除去した後に、溶出緩衝液を150cm/時の流速で流してあげ、特定の範囲(pH6.0~8.3)の等電点値を有するアフリベルセプト物質のみを採取することができた。試験に用いられた樹脂は、0.5N水酸化ナトリウム溶液で再生した後に、各種の平衡緩衝液で再平衡化した後、再利用した。
【0056】
【0057】
(2)陽イオン交換クロマトグラフィーの実施結果
弱陽イオン交換樹脂の一種であるCM-sepharose FF(GE healthcare)樹脂を用いて種々の平衡化、洗浄条件、及び溶出条件を試験したが、平衡溶液としては、主に酢酸ナトリウムとリン酸ナトリウム緩衝液を用いており、pHが4.5~6.6である。洗浄溶液としては、主に酢酸ナトリウムとリン酸ナトリウム緩衝液を用いており、pHが4.5~6.6であり、低濃度(すなわち、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含有しない場合は0~40mM濃度範囲であり、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含有する場合は、0超40以下の範囲であることを意味する)の塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含むことが好ましい。酢酸ナトリウムとリン酸ナトリウム緩衝液を用いた溶出溶液で用いられるpHは4.5~6.6であり、より高い濃度(40~120mM濃度範囲)の塩化ナトリウムまたは塩化カリウムが含まれた。より好ましい溶出溶液の塩化ナトリウム塩濃度は40~100mMであり、表1に示すそれぞれの平衡化工程、装填工程、洗浄工程、溶出工程を実施し、標準品アフリベルセプトとほぼ同等の等電点値の範囲(pH6.0~8.3)を有するアフリベルセプト物質を効果的に精製することができた。
【0058】
表2と
図2に示す等電点の分析結果によれば、アフリベルセプト標準品との比較を考慮し、表1におけるクロマトグラフィーを実施するための詳細条件に従って、CM-sepharose FF樹脂を用いたクロマトグラフィー精製方法を有効に利用することができることを確認した。
【0059】
一方、本発明者らは、洗浄工程および溶出工程中に、自動分画器を用いて洗浄液および溶出液から1カラムボリユーム(CV)に相当する容積単位の画分を得、これらの分画をそれぞれ等電点分析で分析し、標準品アフリベルセプトと最も類似する等電点範囲を有するように特定の洗浄液および溶出液画分を回収したときに、等電点プロファイルの類似性を確保することがより容易であることを見出し、このような分画化の方法は、陽イオン交換クロマトグラフィー工程で選択的に利用することができる。
【0060】
【0061】
<実施形態2:陰イオン交換クロマトグラフィーの実施>
(1)陰イオン交換クロマトグラフィーの実施方法
工程2のプロテインAアフィニティクロマトグラフィーを通じて採取したアフリベルセプト試料溶液またはプロテインAアフィニティクロマトグラフィーとマルチモーダルクロマトグラフィーを併用して採取されたアフリベルセプト試料溶液を陰イオン交換クロマトグラフィーに適用し、特定範囲の等電点値を有するアフリベルセプト物質のみを精製する。
【0062】
本発明で用いられる陰イオン交換樹脂が帯電した官能基は、アミンまたはアミノ基、より好ましくは一級アミン、二級アミン、三級アミンまたは四級アミン、最も好ましくは三級アミン、四級アミンであり、陰イオン交換樹脂の支持体はポリスチレン、ポリスチレン/ジビニルベンゼン、セルロース、デキストラン、アガロースおよびトヨパール(Toyopearl)などがある。本発明において一実施形態として用いられた陰イオン交換体には、特にジエチルアミノエチル(DEAE)、四級アンモニウム(Q)リガンドを有する。
【0063】
本発明の陰イオン交換クロマトグラフィーの工程で用いられる緩衝液としては、緩衝能を有する各種の緩衝液も用いることができ、例えば、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、HEPES、グリシン-HClおよびトリス(Tris)を含む。
【0064】
平衡溶液としては、種々の緩衝液、特にリン酸ナトリウムとトリス緩衝液を用いることができ、pHは7.5~9.0の範囲で行うことができる。洗浄溶液としては、種々の緩衝液、特にリン酸ナトリウムとトリス緩衝液を用いることができ、pHは7.5~9.0の範囲であり、低濃度(すなわち、0~20mm濃度範囲は、塩化ナトルムまたは塩化カリウムを含有しないもの、またはもしあれば0以上20mM以下の濃度範囲で塩化ナトリウムおよび塩化カリウムを含有することを意味する)の塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含むことができる。溶出溶液としては、各種の緩衝液、特にリン酸ナトリウムとトリス緩衝液を用いることができ、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムの塩濃度が増加するにつれて、pI値の高いタンパク質から順に溶出されることが確認されており、等電点が8.3以下の物質を精製するためには、約150mM以下の塩濃度で溶出することが好ましかった。
【0065】
本発明者らは、陰イオン交換クロマトグラフィーを行う際に、平衡化、洗浄および溶出工程中、pH7.5~9.0の範囲の溶液を用いた。これはpH7.5未満の条件では、採取しようとする特定範囲(pH6.0~8.3)で等電点値を有するアフリベルセプト物質が焼失してしまうことがあるので、精製収率が減少するという短所があり、pH9.0超の条件ではシアル酸含量が低いアフリベルセプト物質を採取するからである。
【0066】
以下、具体例を参照して、本発明の一実施形態について説明する。強塩基性陰イオン交換樹脂の一種であるQ-sepharose FF(GE healthcare)樹脂2mlを充填したTriconカラム(GE healthcare、直径0.5cm、高さ10cm)を用いて、pI cuttingをする適正なpH、塩濃度を求めるための予備実験として、1)NaCl塩勾配溶出法と2)pH勾配溶離法を実験した。
【0067】
まず、NaCl塩勾配法試験では、20mMトリス(pH8.5)10カラムボリユーム(CV)の平衡緩衝液でカラムを平衡化し、前述した工程2のプロテインAアフィニティクロマトグラフィーまたはCapto adhereマルチモーダルクロマトグラフィーを行って得られたアフリベルセプト試料溶液を各種の平衡化緩衝液で希釈した後、pHを平衡化緩衝液のpHと同一に調整した後に、上記のカラムに0.3mL/分の流速で装填した。同じ5CVの平衡緩衝液で洗浄した後に、30CVの溶出緩衝液(20mMトリス、0.5M塩化ナトリウム、pH8.5)を0%~100%になるように流してあげて、塩濃度の増加によりタンパク質が溶出されるようにしながら、自動分画器で13分画を採取した。採取した分画を、等電点電気泳動によって分析した結果、塩化ナトリウムの塩濃度が増加するにつれて、pI値の高いタンパク質から順次溶出されることが確認されており、等電点が8.3以下の物質を精製するためには、約150mM以下の塩濃度で溶出することが好ましい。
【0068】
pHグラジェント溶出法のための試験は、10CVの平衡緩衝液(20mM酢酸ナトリウム、20mMトリス、pH8.5)でカラムを平衡化し、アフリベルセプト試料溶液を、前記塩濃度勾配法と同様の方法で行った後、5CVの平衡緩衝液で洗浄した後、30CVの溶出緩衝液(20mM酢酸ナトリウム、20mMトリス、pH5.5)を0%~100%となるように流してあげ、pHの減少によってタンパク質が溶出されるようにしながら、自動分画器で25分画を採取した。採取した分画を、等電点電気泳動法で分析した結果、pHが減少するにつれて、pI値が高いタンパク質から順次溶出されることが確認されており、pH7.5以下の平衡および洗浄条件では、等電点が比較的に低いアフリベルセプトタンパク質もカラムに吸着しないので、pH7.5以上の条件でクロマトグラフィーを行うことが好ましいことを見出し、将来のスケールアップの再現性のために、pH溶出法よりより安定した工程を実現することができる塩濃度増加溶出法を選択し、表3に示すようにより精密なクロマトグラフィー条件を完成するに至った。
【0069】
表3の各実施形態の条件により平衡緩衝液を150cm/時の流速で樹脂を平衡化させた。次いで、前記工程2のプロテインAアフィニティクロマトグラフィーまたはCapto adhereマルチモーダルクロマトグラフィーを行って得られたアフリベルセプト試料溶液を各種の平衡化緩衝液で希釈した後、pHを平衡緩衝液のpHと同一に調整した後に、Q-sepharose FF樹脂を充填した上記のカラムに150cm/時の流速で装填した。それから、表3の各実施形態の条件に従って洗浄緩衝液で洗浄工程を150cm/時の流速で行い、比較的に高い等電点値を有するアフリベルセプト物質を除去した後に、溶出緩衝液を150cm/時の流速で流してあげ、特定範囲(pH6.0~8.3)の等電点値を有するアフリベルセプト物質のみを採取することができた。試験に用いられた樹脂は、1N水酸化ナトリウム溶液で再生した後に各種の平衡緩衝液で再平衡化した後、再利用した。
【0070】
【0071】
(2)陰イオン交換クロマトグラフィーの実施結果
強塩基性陰イオン交換樹脂の一種であるQ-sepharose FF(GE healthcare)樹脂を用いて種々の平衡化及び洗浄条件、溶出条件を試験したが、平衡溶液としては、特にリン酸ナトリウムとトリス緩衝液を用いることができ、pHは7.5~9.0の範囲で行うことができ、洗浄溶液としては、特にリン酸ナトリウムとトリス緩衝液を用いることができ、pHは7.5~9.0の範囲であり、低濃度(0~20mM濃度範囲)の塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含むことが好ましい。溶出溶液としては、特にリン酸ナトリウムとトリス緩衝液を用いることができ、等電点が8.3以下の物質を精製するためには、洗浄工程の塩濃度よりも高い20mM以上、かつ約150mM以下の塩濃度で溶出することが好ましく、より好ましくは溶出溶液の塩化ナトリウム塩濃度は、pH=7.5~8.5のpHの条件で20mM~90mM条件である。しかし、90mM以上の塩濃度であっても標的とする等電点範囲のアフリベルセプトを精製することが可能であるが、溶出ピークの形状が比較的シャープでありながら、採取される分画間の等電点値の差が小さくなる傾向があった。
【0072】
表3に示す各種の平衡化工程、装填工程、洗浄工程、溶出工程を実施し、標準品アフリベルセプトとほぼ同様の等電点値範囲(pH6.0~8.3)を有するアフリベルセプト物質を効果的に精製することができ、表4と
図3に示す等電点分析結果によれば、アフリベルセプト標準品との比較を考慮し、表3のクロマトグラフィーの詳細な実施条件に従って、Q-sepharose FF樹脂を用いたクロマトグラフィー精製方法を有効に利用することができることを確認した。
【0073】
一方、本発明者らは、洗浄工程および溶出工程中に1カラムボリユーム(CV)に相当する容積単位で洗浄液および溶離液を自動分画器を用いて分画を得、これらの分画のそれぞれを等電点分析法で分析した後、標準品アフリベルセプトと最も類似する等電点範囲を有するように特定の洗浄液および溶出液分画を収取したときに等電点プロファイルの類似性は確保しやすいことを見出し、このような分画化方法は、陰イオン交換クロマトグラフィー工程で選択的に用いることができる。
【0074】
【0075】
<実施形態3:陽イオン交換クロマトグラフィーと陰イオンクロマトグラフィーとw併用して実施>
前記工程2のプロテインAアフィニティクロマトグラフィーを通じて採取したアフリベルセプト試料溶液またはプロテインAアフィニティクロマトグラフィーとマルチモーダルクロマトグラフィーが一緒に採取されたアフリベルセプト試料溶液に対して陽イオン交換クロマトグラフィーと陰イオン交換クロマトグラフィーを併用して、特定範囲の等電点値を有するアフリベルセプト物質のみを精製する。
【0076】
すなわち、前記実施形態1の実施方法に従って、最初に陽イオン交換樹脂であるCM-sepharose FF樹脂クロマトグラフィーを行った後、陰イオン交換樹脂であるQ-sepharose FF樹脂クロマトグラフィーを順次実施するか、または最初に陰イオン交換樹脂であるQ-sepharose FF樹脂クロマトグラフィーを行った後、陽イオン交換樹脂であるCM-sepharose FF樹脂クロマトグラフィーを順次行えば、pH6.0~8.3の特定範囲の等電点値を有するアフリベルセプト物質のみをより容易に精製することができ、精製収率もまた単独でイオン交換クロマトグラフィーを実施した時より増加することができるという長所がある。
【0077】
陽イオン交換樹脂であるCM-sepharose FF樹脂クロマトグラフィーを行った後に陰イオン交換樹脂であるQ-sepharose FF樹脂クロマトグラフィーを並行して実施する方法を詳細に説明すれば次の通りである。順次クロマトグラフィー法を適用するためには、表1の洗浄緩衝液と溶出緩衝液の塩濃度をそれぞれ0~30mM程度下げるのが有利である。CM-sepharose FF樹脂10mlを充填したカラム(GE healthcare、XK16/20)に平衡緩衝液(50mM酢酸ナトリウム、pH5.5)を1mL/分の流速で樹脂を平衡化させる。次いで、前記工程2のプロテインAアフィニティクロマトグラフィーまたはCapto adhereマルチモーダルクロマトグラフィーを行って得られたアフリベルセプト試料溶液を平衡緩衝液で希釈した後にpHを平衡緩衝液のpHと同一に調整した後に、CM-sepharose FF樹脂を充填した上記のカラムに1mL/分の流速で装填した。3カラムボリューム(CV)の平衡緩衝液を流した後に20mMリン酸ナトリウム(pH6.5)の洗浄緩衝液で洗浄工程を1mL/分の流速で行い、比較的高い等電点値を有するアフリベルセプト物質を除去した後に、溶出緩衝液(20mMリン酸ナトリウム、50mM塩化ナトリウム、pH6.5)を1mL/分の流速で流してあげながら自動分画に分画される。特定範囲(pH6.0~9.0)の等電点値を有するアフリベルセプト物質のみを採取した後に、この試料を以降のQ-sepharoseクロマトグラフィー工程の平衡緩衝液で10倍に希釈し、pHを8.5に調整して用意した。強塩基性陰イオン交換樹脂の一種であるQ-sepharose FF樹脂10mlを充填したカラム(GE healthcare、XK16/20)に平衡緩衝液(10mMトリス、pH8.5)を1mL/分の流速で樹脂を平衡化させる。次いで、陽イオン交換クロマトグラフィーの実施後、用意されたアフリベルセプト試料溶液をカラムに1mL/分の流速で装填した。その後に20mM塩化ナトリウムを含む10mMトリス(pH8.5)の洗浄緩衝液で洗浄工程を、1mL/分の流速で行い、比較的高い等電点値を有するアフリベルセプト物質を除去した後に、溶出緩衝液(10mMトリス、120mM塩化ナトリウム、pH8.5)を1mL/分の流速で流してあげ、特定範囲(pH6.0~8.3)の等電点値を有するアフリベルセプト物質のみを採取することができた。
【0078】
実施形態3の陽イオン交換クロマトグラフィーと陰イオン交換クロマトグラフィーの併用的な実行方法による、特定範囲の等電点値の範囲を有するアフリベルセプトの精製収率は、単独で行われた陽イオン交換クロマトグラフィーまたは陰イオン交換クロマトグラフィーの実施方法に比べて約15~30%高い値を示し、
図4に示す等電点分析結果から分かるように、標準品に比べて非常に類似した等電点分布を有するアフリベルセプト物質を製造することができる。
【0079】
工程4.配合過程を通じた最終原液の調製
前記の陽イオン交換クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィーまたは陽イオン/陰イオン交換樹脂を併用して精製する工程により採取したpH6.0~8.3の等電点を有するアフリベルセプト溶液を最終的に剤形化して原液を溶液を調製するために、Vivaspin(Sartorius、MWCO 50kDa)を用いて濃縮した後に、配合緩衝液を繰り返し添加する方法で配合緩衝液で置換し、ポリソルベート20の場合は、最終的に0.03%の含有量になるように添加し、約40mg/mlの含有量を有するアフリベルセプトを含む最終原液を調製した。このとき選択される配合緩衝液の組成は、10mM酢酸ナトリウム、7%スクロース、0.03%ポリソルベート20、pH5.5の組成を選択してもよく、長期安定性をより改善するために塩の濃度を高めた10mM酢酸ナトリウム、6.5%スクロース、15mM塩化ナトリウム、0.03%ポリソルベート20、pH5.5の組成を選択してもよく、50mM酢酸ナトリウム、6%スクロース、0.03%ポリソルベート20、pH5.5の組成を選択してもよく、除菌ろ過工程は、0.22umPES膜を用いて実施した。
【0080】
以上のように、本発明は陽イオン交換樹脂クロマトグラフィーまたは陰イオン交換樹脂クロマトグラフィーを用いて、それぞれの工程を特定の条件下で行い、特定範囲の等電点値を有するアフリベルセプトを精製する方法であって、最終的には、前記工程1~4までの製造工程を通じてより経済的で、高純度の眼科用タンパク質医薬品を製造することができる利点を提供する。
【0081】
本発明が属する技術分野の当業者は本発明がその技術的思想や必須の特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で実施することができることを理解することができる。これに関連して、以上で記述した実施形態はすべての面で例示として解釈されるべきであり、本発明を限定するものではないと解釈されるべきである。本発明の範囲は前記詳細な説明より後述する特許請求範囲の定義及び範囲に由来する全ての変更または修正およびそれらの等価物は、本発明の範囲内にあることも理解されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-01-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽イオン交
換クロマトグラフィー法
の後に陰イオン交換クロマトグラフィー法を行うことによる、pH6.0~8.3の範囲の等電点を有するアフリベルセプトの精製方法
であって、
前記陽イオン交換クロマトグラフィー法の工程が下記の工程:
(a
-1)pH4.5~6.6の緩衝液で平衡化された陽イオン交換樹脂に、アフリベルセプト混合物を装填する工程;
(
a-2)pH4.5~6.6の条件で0~40mM濃度の塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含む緩衝液で洗浄する工程;および
(
a-3)pH4.5~6.6の条件で工程(
a-2)よりも高い濃度で、かつ40~120mM濃度の塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含む緩衝液で溶出し、pH6.0~
9.0の範囲の等電点を有するアフリベルセプトを採取する工程
を含み、かつ、
前記陰イオン交換クロマトグラフィー法の工程が下記の工程:
(b-1)pH7.5~9.0の緩衝液で平衡化された陰イオン交換樹脂に工程(a-3)におけるpH6.0~9.0の範囲の等電点を有するアフリベルセプトを装填する工程;
(b-2)pH7.5~9.0の条件で0~20mMの塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含む緩衝液で洗浄する工程;および
(b-3)pH7.5~9.0の条件で工程(b-2)よりも高い濃度であり、かつ20~150mMの塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含む緩衝液で溶出し、pH6.0~8.3の範囲の等電点を有するアフリベルセプトを採取する工程
を含む、方法。
【請求項2】
陰イオン交
換クロマトグラフィー法
の後に陽イオン交換クロマトグラフィー法を行うことによる、pH6.0~8.3の範囲の等電点を有するアフリベルセプト(aflibercept)の精製方法
であって、
前記陰イオン交換クロマトグラフィー法の工程が下記の工程:
(
b-1)pH7.5~9.0の緩衝液で平衡化された陰イオン交換樹脂にアフリベルセプト混合物を装填する工程;
(b
-2)pH7.5~9.0の条件で0~20mM濃度の塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含む緩衝液で洗浄する工程;および
(
b-3)pH7.5~9.0の条件で工程(b
-2)よりも高い濃度であり、かつ20mM~150mMの塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含む緩衝液で溶出し、pH6.0~8.3の範囲の等電点を有するアフリベルセプトを採取する工程
を含み、かつ、
前記陽イオン交換クロマトグラフィー法の工程が下記の工程:
(a-1)pH4.5~6.6の緩衝液で平衡化された陽イオン交換樹脂に工程(b-3)におけるpH6.0~8.3の範囲の等電点を有するアフリベルセプトを装填する工程;
(a-2)pH4.5~6.6の条件で0~40mMの塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含む緩衝液で洗浄する工程;および
(a-3)pH4.5~6.6の条件で工程(a-2)よりも高い濃度であり、かつ40~120mMの塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含む緩衝液で溶出し、pH6.0~8.3の範囲の等電点を有するアフリベルセプトを採取する工程
を含む、方法。
【請求項3】
前記工程(a-1)、(a-2)および(a-3)における緩衝液が、酢酸ナトリウム緩衝液およびリン酸ナトリウム緩衝液からなる群から選択される少なくとも1種であり、かつ、
前記工程(b-1)、(b-2)および(b-3)における緩衝液が、リン酸ナトリウム緩衝液およびTris緩衝液からなる群から選択される少なくとも1種である、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記陽イオン交換樹脂のリガンドが、カルボキシメチル(CM)基である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
陰イオン交換樹脂のリガンドは、第四級アンモニウム(Q)基である
、請求項
1または2に記載
の方法。
【請求項6】
アフリベルセプ
ト混合物に対して
陽イオン交換クロマトグラフィーを行う前に、プロテインA アフィニティークロマトグラフィー、ミックスモード(mixed-mode)またはマルチモーダル(Multimodal)クロマトグラフィー、脱塩限外濾過工程からなる群から選択される一つ以上の方法を適用する
、請求項1または
2に記載
の方法。
【請求項7】
アフリベルセプト混合物に対して陰イオン交換クロマトグラフィーを行う前に、プロテインA アフィニティークロマトグラフィー、ミックスモードまたはマルチモーダルクロマトグラフィー、および脱塩限外濾過工程からなる群から選択される一つ以上の方法を適用する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記工程(b-3)における緩衝液が20~90mMの塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記工程(b-3)における緩衝液が20~90mMの塩化ナトリウムまたは塩化カリウムを含み、pHが7.5~8.5である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
アフリベルセプト最終精製物を硝子体内注射(intravitreal injection)に適合するように次の3つのいずれか1つの組成物に配合する方法:
(a)10mM酢酸ナトリウム、7%スクロース、0.03%ポリソルベート20、pH5.5の組成、
(b)10mM酢酸ナトリウム、6.5%スクロース、15mM塩化ナトリウム、0.03%ポリソルベート20、pH5.5の組成、
(c)50mM酢酸ナトリウム、6%スクロース、0.03%ポリソルベート20、pH5.5の組成
であって、前記アフリベルセプトが請求項1~9のいずれか一項に記載の方法により精製される、方法。
【国際調査報告】