(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(54)【発明の名称】脳脊髄液を処理するシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20220915BHJP
A61M 1/00 20060101ALI20220915BHJP
【FI】
A61M25/00 534
A61M1/00 170
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504686
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(85)【翻訳文提出日】2022-02-28
(86)【国際出願番号】 US2020043551
(87)【国際公開番号】W WO2021016579
(87)【国際公開日】2021-01-28
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520306831
【氏名又は名称】ミネトロニクス ニューロ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MINNETRONIX NEURO,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】マーティン、ブリン アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】カニ、モハマドレザ
(72)【発明者】
【氏名】マッケイブ、アーロン アール.
(72)【発明者】
【氏名】ジテッラ バービック、ローラ マリー
【テーマコード(参考)】
4C077
4C267
【Fターム(参考)】
4C077AA16
4C077BB02
4C077DD21
4C077FF01
4C077GG12
4C077HH09
4C077JJ08
4C267AA02
4C267BB02
4C267BB08
4C267BB11
4C267CC12
4C267CC27
(57)【要約】
脳脊髄液を処理するシステムが開示される。システムは、基端側サブアセンブリ(540,740)及び先端側サブアセンブリ(560,760)を有するカテーテル(500,700)を含む。ポンプ及び濾過システムは、カテーテル(500,700)に連結されている。ポンプ及び濾過システムによって濾過された脳脊髄液を注入するための注入ルーメンは、先端側サブアセンブリ(560,760)に沿って画定されている。先端側サブアセンブリ(560,760)は、注入ルーメンと流体連通する複数の注入開口部(732b)を画定している。複数の注入開口部(732b)は、先端側サブアセンブリ(560,760)に沿って先端側で大きさが大きくなっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳脊髄液を処理するシステムであって、
基端側サブアセンブリ及び先端側サブアセンブリを有するカテーテルと、
前記カテーテルに連結されたポンプ及び濾過システムと、を備え、
前記ポンプ及び濾過システムによって濾過された脳脊髄液を注入するための注入ルーメンは、前記先端側サブアセンブリに沿って画定されており、
前記先端側サブアセンブリは、前記注入ルーメンと流体連通する複数の注入開口部を画定しており、
前記複数の注入開口部は、前記先端側サブアセンブリに沿って先端側で大きさが大きくなっている、システム。
【請求項2】
前記複数の注入開口部の少なくともいくつかは、円形状を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の注入開口部の少なくともいくつかは、非円形状を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の注入開口部の全ては、同じ形状を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の注入開口部のうちの少なくともいくつかは、形状が異なる、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記複数の注入開口部は、軸方向に整列した一列の注入開口部を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記複数の注入開口部のうちの少なくともいくつかは、前記先端側サブアセンブリの周りに周方向に設けられている、請求項1~6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記基端側サブアセンブリは、複数の吸引開口部を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記複数の吸引開口部の少なくともいくつかは、円形状を有する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記複数の吸引開口部の少なくともいくつかは、非円形状を有する、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記複数の吸引開口部の全ては、同じ形状を有する、請求項8~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記複数の吸引開口部のうちの少なくともいくつかは、形状が異なる、請求項8~10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記複数の吸引開口部は、軸方向に整列した一列の吸引開口部を含む、請求項8~12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記複数の吸引開口部のうちの少なくともいくつかは、前記基端側サブアセンブリの周りに周方向に設けられている、請求項8~13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数の吸引開口部は、前記基端側サブアセンブリに沿って先端側で大きさが大きくなっている、請求項8~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記複数の吸引開口部は、前記基端側サブアセンブリに沿って基端側で大きさが大きくなっている、請求項8~14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
脳脊髄液を処理するシステムであって、
基端側サブアセンブリ及び先端側サブアセンブリを有するカテーテルと、
前記カテーテルに連結されたポンプ及び濾過システムと、を備え、
前記脳脊髄液を吸引するための吸引ルーメンは、前記先端側サブアセンブリに沿って画定されており、
前記基端側サブアセンブリは、前記吸引ルーメンと流体連通する複数の吸引開口部を画定しており、
前記複数の吸引開口部は、前記基端側サブアセンブリに沿って大きさが変化している、システム。
【請求項18】
前記複数の吸引開口部は、前記基端側サブアセンブリに沿って先端側で大きさが大きくなっている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記複数の吸引開口部は、前記基端側サブアセンブリに沿って基端側で大きさが大きくなっている、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記複数の吸引開口部の少なくともいくつかは、円形状を有する、請求項17~19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記複数の吸引開口部の少なくともいくつかは、非円形状を有する、請求項17~20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記複数の吸引開口部の全ては、同じ形状を有する、請求項17~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記複数の吸引開口部のうちの少なくともいくつかは、形状が異なる、請求項17~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記複数の吸引開口部は、軸方向に整列した一列の吸引開口部を含む、請求項17~23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記複数の吸引開口部のうちの少なくともいくつかは、前記基端側サブアセンブリの周りに周方向に設けられている、請求項17~24のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
前記先端側サブアセンブリは、複数の注入開口部を含む、請求項17~25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
脳脊髄液を処理するシステムであって、
基端側サブアセンブリ及び先端側サブアセンブリを有するカテーテルと、
前記カテーテルに連結されたポンプ及び濾過システムと、を備え、
前記ポンプ及び濾過システムによって濾過された脳脊髄液を注入するための注入ルーメンは、前記先端側サブアセンブリに沿って画定されており、
前記先端側サブアセンブリは、前記注入ルーメンと流体連通する複数の注入開口部を画定しており、
前記複数の注入開口部は、前記先端側サブアセンブリに沿って先端側で大きさが大きくなっており、
前記脳脊髄液を吸引するための吸引ルーメンは、前記先端側サブアセンブリに沿って画定されており、
前記基端側サブアセンブリは、前記吸引ルーメンと流体連通する複数の吸引開口部を画定している、システム。
【請求項28】
前記複数の吸引開口部は、前記基端側サブアセンブリに沿って先端側で大きさが大きくなっている、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記複数の吸引開口部は、前記基端側サブアセンブリに沿って基端側で大きさが大きくなっている、請求項27に記載のシステム。
【請求項30】
脳脊髄液を処理するシステムであって、
基端側サブアセンブリ及び先端側サブアセンブリを有するカテーテルと、
前記カテーテルに連結されたポンプ及び濾過システムと、を備え、
前記ポンプ及び濾過システムによって濾過された脳脊髄液を注入するための注入ルーメンは、前記先端側サブアセンブリに沿って画定されており、
前記先端側サブアセンブリは、前記注入ルーメンと流体連通する複数の注入開口部を画定しており、
前記複数の注入開口部は、前記先端側サブアセンブリに沿って先端側で大きさが大きくなっており、
前記脳脊髄液を吸引するための吸引ルーメンは、前記先端側サブアセンブリに沿って画定されており、
前記基端側サブアセンブリは、前記吸引ルーメンと流体連通する複数の吸引開口部を画定しており、
前記複数の吸引開口部は、前記基端側サブアセンブリに沿って大きさが変化している、システム。
【請求項31】
前記複数の吸引開口部は、前記基端側サブアセンブリに沿って先端側で大きさが大きくなっている、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記複数の吸引開口部は、前記基端側サブアセンブリに沿って基端側で大きさが大きくなっている、請求項30に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、米国特許法第119条の下で2019年7月25日に出願された米国仮特許出願第62/878,587号に対する優先権の利益を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、中枢神経系に沿って治療を行うためのシステム、カテーテル、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
種々様々な医療用デバイスが医療用に開発されてきた。これらのデバイスのうちのいくつかは、ガイドワイヤ、カテーテルなどを備えている。これらのデバイスは様々な異なる製造方法のうち任意の1つによって製造され、かつ様々な方法のうち任意の1つに従って使用されうる。既知の医療用デバイス及び方法のうち、各々がある一定の長所及び欠点を有している。代替的医療用デバイス並びに医療用デバイスを製造及び使用するための代替法を提供することが、現在もなお必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
この開示は、医療用デバイスの構成、材料、製造方法、およびの使用代替物を提供する。脳脊髄液を処理するシステムが開示されている。該システムは、基端側サブアセンブリ及び先端側サブアセンブリを有するカテーテルと、前記カテーテルに連結されたポンプ及び濾過システムと、を備え、前記ポンプ及び濾過システムによって濾過された脳脊髄液を注入するための注入ルーメンは、前記先端側サブアセンブリに沿って画定されており、前記先端側サブアセンブリは、前記注入ルーメンと流体連通する複数の注入開口部を画定しており、前記複数の注入開口部は、前記先端側サブアセンブリに沿って先端側で大きさが大きくなっている。
【0005】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の注入開口部の少なくともいくつかは、円形状を有する。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の注入開口部の少なくともいくつかは、非円形状を有する。
【0006】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の注入開口部の全ては、同じ形状を有する。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の注入開口部のうちの少なくともいくつかは、形状が異なる。
【0007】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の注入開口部は、軸方向に整列した一列の注入開口部を含む。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の注入開口部のうちの少なくともいくつかは、前記先端側サブアセンブリの周りに周方向に設けられている。
【0008】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記基端側サブアセンブリは、複数の吸引開口部を含む。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の吸引開口部の少なくともいくつかは、円形状を有する。
【0009】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の吸引開口部の少なくともいくつかは、非円形状を有する。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の吸引開口部の全ては、同じ形状を有する。
【0010】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の吸引開口部のうちの少なくともいくつかは、形状が異なる。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の吸引開口部は、軸方向に整列した一列の吸引開口部を含む。
【0011】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の吸引開口部のうちの少なくともいくつかは、前記基端側サブアセンブリの周りに周方向に設けられている。
【0012】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の吸引開口部は、前記基端側サブアセンブリに沿って先端側で大きさが大きくなっている。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の吸引開口部は、前記基端側サブアセンブリに沿って基端側で大きさが大きくなっている。
【0013】
脳脊髄液を処理するシステムが開示される。該システムは、基端側サブアセンブリ及び先端側サブアセンブリを有するカテーテルと、前記カテーテルに連結されたポンプ及び濾過システムと、を備え、前記脳脊髄液を吸引するための吸引ルーメンは、前記先端側サブアセンブリに沿って画定されており、前記基端側サブアセンブリは、前記吸引ルーメンと流体連通する複数の吸引開口部を画定しており、前記複数の吸引開口部は、前記基端側サブアセンブリに沿って大きさが変化している。
【0014】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の吸引開口部は、前記基端側サブアセンブリに沿って先端側で大きさが大きくなっている。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の吸引開口部は、前記基端側サブアセンブリに沿って基端側で大きさが大きくなっている。
【0015】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の吸引開口部の少なくともいくつかは、円形状を有する。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の吸引開口部の少なくともいくつかは、非円形状を有する。
【0016】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の吸引開口部の全ては、同じ形状を有する。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の吸引開口部のうちの少なくともいくつかは、形状が異なる。
【0017】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の吸引開口部は、軸方向に整列した一列の吸引開口部を含む。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の吸引開口部のうちの少なくともいくつかは、前記基端側サブアセンブリの周りに周方向に設けられている。
【0018】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記先端側サブアセンブリは、複数の注入開口部を含む。
脳脊髄液を処理するシステムが開示されている。該システムは、基端側サブアセンブリ及び先端側サブアセンブリを有するカテーテルと、前記カテーテルに連結されたポンプ及び濾過システムと、を備え、前記ポンプ及び濾過システムによって濾過された脳脊髄液を注入するための注入ルーメンは、前記先端側サブアセンブリに沿って画定されており、前記先端側サブアセンブリは、前記注入ルーメンと流体連通する複数の注入開口部を画定しており、前記複数の注入開口部は、前記先端側サブアセンブリに沿って先端側で大きさが大きくなっており、前記脳脊髄液を吸引するための吸引ルーメンは、前記先端側サブアセンブリに沿って画定されており、前記基端側サブアセンブリは、前記吸引ルーメンと流体連通する複数の吸引開口部を画定している。
【0019】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の吸引開口部は、前記基端側サブアセンブリに沿って先端側で大きさが大きくなっている。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の吸引開口部は、前記基端側サブアセンブリに沿って基端側で大きさが大きくなっている。
【0020】
脳脊髄液を処理するシステムが開示されている。該システムは、基端側サブアセンブリ及び先端側サブアセンブリを有するカテーテルと、前記カテーテルに連結されたポンプ及び濾過システムと、を備え、前記ポンプ及び濾過システムによって濾過された脳脊髄液を注入するための注入ルーメンは、前記先端側サブアセンブリに沿って画定されており、前記先端側サブアセンブリは、前記注入ルーメンと流体連通する複数の注入開口部を画定しており、前記複数の注入開口部は、前記先端側サブアセンブリに沿って先端側で大きさが大きくなっており、前記脳脊髄液を吸引するための吸引ルーメンは、前記先端側サブアセンブリに沿って画定されており、前記基端側サブアセンブリは、前記吸引ルーメンと流体連通する複数の吸引開口部を画定しており、前記複数の吸引開口部は、前記基端側サブアセンブリに沿って大きさが変化している。
【0021】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の吸引開口部は、前記基端側サブアセンブリに沿って先端側で大きさが大きくなっている。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、前記複数の吸引開口部は、前記基端側サブアセンブリに沿って基端側で大きさが大きくなっている。
【0022】
いくつかの実施形態の上記した要約は、本開示の開示された各実施形態またはすべての実装を説明することを意図していない。以下の図面および詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本開示は、添付の図面に関連して以下の詳細な説明を考慮すると、より完全に理解され得る。
【
図1】
図1は、特定の実装によるカテーテルのYコネクタ部分、基端側サブアセンブリ、及び先端側サブアセンブリを示す。
【
図2】
図2は、
図1のカテーテルの切断線A‐Aで示された部位から得られた断面図を示す。
【
図3】
図3は、
図1のカテーテルの切断線B‐Bで示された部位から得られた断面図を示す。
【
図4】
図4は、
図1のカテーテルのYコネクタの一部分の拡大詳細図を示す。
【
図5】
図5は、特定の実装によるカテーテル上の複数のポジションマーカーの位置を示す。
【
図6】
図6は、
図5のカテーテルの切断線J‐Jで示された部位から得られた断面図を示す。
【
図7】
図7は、特定の実装による、基端側サブアセンブリと先端側サブアセンブリとの接合部の近くのカテーテルの一部分を示す。
【
図8】
図8は、特定の実装による、基端側サブアセンブリの一部分を示す。
【
図10】
図10は、
図8の基端側サブアセンブリの切断面A‐Aで示された部位から得られた断面図を示す。
【
図11】
図11は、線D‐Dの視点で得られた
図9の基端側サブアセンブリの一部分の詳細図を示す。
【
図12】
図12は、
図8の基端側サブアセンブリの切断面E‐Eで示された部位から得られた断面図を示す。
【
図13】
図13は、特定の実装による、先端側サブアセンブリの一部分を示す。
【
図16】
図16は、
図13の先端側サブアセンブリの切断面A‐Aで示された部位から得られた断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示は、様々な修正形態および代替形態が可能であるが、その詳細は、例として図面に示されており、詳細に説明される。しかしながら、その意図は、記載された特定の実施形態に本開示を限定することではないことを理解されたい。それどころか、その意図は、本開示の趣旨および範囲に含まれるすべての修正、均等物、および代替物を網羅することである。
【0025】
脳脊髄液(Cerebrospinal fluid : CSF)は、脳内の脳室にある脈絡叢で生産される水と同様の粘度を有する一般に透明で無色の流体である。CSFの総量は、健康な成人では約150~300ミリリットルの範囲であると推定されている。脈絡叢は、毒素及び代謝産物を除去するためのCSFの洗い流し(flushing)又は再利用(recycling)に対応するために、毎日およそ500ミリリットルのCSFを生産すると考えられている。CSFの総量は、睡眠サイクル及びその他の活動中に1日に数回または場合によってはそれ以上補充される。CSFはまた、アルキメデスの原理によって繊細な脳組織を浮かせる働きをしており、組織を緩衝することによって突然の動きから脳を保護している。CSFは、脈絡叢から脳および脊柱を取り囲む空間への一連の開口部を通ってゆっくりと流れ、その後、クモ膜顆粒、篩板(cribuform plate)、硬膜リンパ管、脊髄神経根スリーブ、および可能性がある脳組織内の他の経路を含む複数の流出経路を通って体内へ流れる。CSFは、脳軟膜とクモ膜との間の、クモ膜下腔として知られる空間に見出され、また脳の脳室系内および脳の外部にある一連の槽にも存在する。CSFの流れの正味の産出と吸入に加えて、CSFは、心臓及び呼吸のサイクルと同期して前後の動きで変動する。これらの変動の大きさは、CSFの特定の領域に応じて変化する。CSFの流れは、バルサルバ(valsalva)、咳、くしゃみ、楽器の演奏、運動等の様々な手法に基づいて断続的に変更され得る。健康な成人のCSF圧は、仰臥位で約10水銀柱ミリメートルである。CSF圧は、CSF系に沿った静水圧勾配(hydrostatic pressure gradient)によって立位で変化し、咳等の手法によって一時的に影響を受ける可能性もある。
【0026】
研究は、CSFの生化学的組成の変化が、中枢神経系の多数の病状の病理学的過程において示されおよび/または関与し得ることを示している。たとえば、脳卒中又はその他の脳損傷が発生した場合、血液がCSF系に入り、血液凝固やその他の生物学的プロセスによって脳が損傷する可能性がある。筋萎縮性側索硬化症に関連して、いくつかの化学物質(炎症性タンパク質またはCHIT1等のサイトカイン(cytokines))が異常に上昇し、疾患の病理に寄与する可能性があることが判明した。同様に、多発性硬化症のタンパク質では、サイトカイン及びケモカイン(chemokines)が上昇し、潜在的に疾患の進行の原因となることが判明している。従って、原理的には、異常な生化学的組成を有するCSFを取り出すことは有益であり得る。しかし、安全に取り出すことができるのは比較的少量であるため、CSFの直接的な取り出しには限界がある。つまり、ある1つの位置(例えば脊柱の頚部、又は脳室)からCSFを取り出し、これを変更(例えば、濾過)し、かつそれを第2の位置(例えば脊柱の腰部)においてCSF腔に返戻することが望ましい可能性がある。このプロセスは、総CSF量を同様に維持しながら、不要な生化学産物を取り出すために使用できる。しかしながら、CSF腔に医療機器を正確に送り込むことは非常に難易度が高い可能性がある。
【0027】
本開示は、脳脊髄液(cerebrospinal fluid : CSF)の取り出し、交換及び再循環に関する。本明細書中に開示されるデバイス、システム及び方法は、CSFが身体を流れる場である脳及び脊髄並びにその周囲の空間(CSF腔としても知られる)を、安全かつ効率的に通行するために使用される。専用のデバイス及びシステムは、出入りが困難な場所であること、及びもし誤りがあれば生命を脅かす結果となる可能性から、CSF腔を通行するために有用であり場合によっては必須である。
【0028】
Neurapheresis(商標)は、CSFからの物質の修正(例えば微生物、細胞、ウイルス、外来物質、薬物、これらの組み合わせなどの除去、又は薬剤等の物質の循環及び/又は添加)であると理解することができる。上記及びその他の治療技法は、多くの神経系の疾患又は状態、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、様々な原因による脳炎、様々な原因による髄膜炎、ギラン‐バレー症候群(GBS)、多発性硬化症(MS)、HIV関連神経認知障害、脊髄損傷、外傷性脳損傷、脳血管痙攣、脳卒中及びその他の疾患又は状態を治療するために使用可能である。さらに、Neurapheresisは、切開または内視鏡による脊椎手術または脳手術中に、例えば、手術中にCSFに混入するかもしれない血液を除去するために使用されることができる。
【0029】
濾過に焦点を当てる精製、状態調整、及び化合物除去のうち少なくともいずれかのスキーマは、具体的な疾患又は疾患群に合わせて適切に、例えば、大きさ、親和性、生化学的性質、温度、及びその他の特徴のようないくつかの特徴に基づいて、策定されることが可能である。精製スキーマは、拡散、サイズ排除、固定化された抗体又は抗体フラグメントを使用するex‐vivoの免疫療法、疎水性/親水性、陰イオン性/陽イオン性、高/低結合親和性、キレート化剤、抗菌性、抗ウイルス性、抗DNA/RNA/アミノ酸、酵素系、及び磁気系のシステム並びにナノ粒子を用いるシステムのうち少なくともいずれかに基づくことができる。システムは、広範囲にわたる生化学的なパラメータ及び流動に合わせて調整可能である。
【0030】
特にNeurapheresisシステムに関して、開示されるシステムは、CSF流の妨げを最小限として安全かつ迅速にCSF腔にアクセスするために使用可能である。本明細書中に開示されるシステム及びデバイスは、安全かつ迅速な流動回路を提供し、かつ濾過を提供する。
【0031】
Neurapheresisシステムは、安全かつ効率的に、CSFの交換、取り出し、及び再循環のうち少なくともいずれかを提供しなくてはならない。本明細書中に開示されるシステム及びデバイスは、Neurapheresisシステムにおいて使用可能である。
【0032】
本明細書中に開示されたシステム及びデバイスは、安全かつ効率的に、ある1つの位置(例えば脊柱の頚部若しくは腰部、又は脳室)からCSFを取り出すためにCSF腔にアクセスし、該CSFを濾過又はその他の方法で処理し、そしてそれをCSF腔に、例えば第2の位置(例えば脊柱の頚部若しくは腰部、又は脳室)において返戻するために使用可能である。様々な態様において、本明細書中に開示されたシステム及びデバイスは、内因性の頭蓋内又は脊髄内圧力を生理的範囲内に、例えば、約5~約20mmHg、又は約0~約10mmHg、又は約-5~約10mmHg、又は約-5~約25mmHgに、維持する。これらの例のいくつかおよび他の例において、本システムは、例えば水頭症(脳の脳室内におけるCSFの異常滞留)による脊髄性頭痛を、異常であった圧力を回復することによって解決するのを助けるために使用され得る。例えば、本システムはさらに、圧力低下(例えばドレナージ過剰、ヘルニア形成などに起因するもの)によって引き起こされた脊髄性頭痛を軽減するために使用されてもよい。いくつかの態様では、システムは、システム内の障害物又は遮断物を検知するためにカテーテル内又は流動回路内にセンサを備え、これにより閉ループの圧力制御を提供することができる。様々な態様において、本明細書中に開示されたシステム及びデバイスはさらに、再循環する流動ループの縮小又は削除によりシステムが効率的に働くのを支援する。システム及びデバイスは、入口と出口との間の間隔を、例えば約10cm~約40cmに維持する。ある実装では、間隔は約10cm~約30cmである。入口及び出口はCSF腔の中の適所に位置付けられて、ポンプの作動又はその他のシステム内における陽圧若しくは陰圧の生成が、カテーテル中に組織が引き込まれる原因となったり引き込まれるのを助長したりしないようになっている。いくつかの局面において、入口および出口は、組織がカテーテルに引き込まれるのを防ぐために、腰椎/頸椎槽の近くに配置される。いくつかの態様では、組織がいくつかの穴を塞いでいる場合に備えて、冗長性のために入口および出口に沿って複数の穴があり得る。特定の実施形態では、カテーテルのねじれを低減するために、カテーテル内のコイル状ワイヤの特定のコイルピッチを選択することができる。特定の態様では、入口と出口の間隔は、患者の頸部のレベルより下にとどまりながら最大になるように選択することができる。ある態様では、入口‐出口間隔は椎骨の間隔に基づいて選択されてもよい。例えば、間隔は、入口‐出口間隔が椎骨およそ5個~椎骨およそ12個の長さであるように、選択可能である。ある実装では、椎骨およそ10個の間隔が選択されうるが;しかしながら、その他の構成(本明細書中他所に記述されるものなど)が利用されてもよい。そのような間隔を設計する場合、椎骨はおよそ2~3cmの長さであると仮定されてよいが、また一方でその他の計測値及び設計が使用されてもよい。ある実装では、ルーメンの特定の大きさ、形状、及び他の構成のうち少なくともいずれかは、カテーテルの障害物除去及びカテーテルが閉塞状態に抵抗する能力のうち少なくともいずれか一方を促進するように、選択可能である。例えば、およそ1.52ミリメートル(0.060インチ)~およそ1.78ミリメートル(0.070インチ)の基端側のルーメン外径、及びおよそ0.635ミリメートル(0.025インチ)~1.52ミリメートル(0.060インチ)の基端側の内径が、選択されてもよいが;また一方で、その他の構成(本明細書中他所に記述されるものなど)が利用されてもよい。
【0033】
開示されたシステム及びデバイスは、CSF腔にアクセスするために使用され、かつ脊柱の頚部(C1‐C7)、胸部(T1‐T12)、又は腰部(L1‐L5)のうち任意のアクセスポイントで使用可能である。頚部のアクセス部位は、脳内の脳室系にアクセスするために使用可能である。1つの実施形態では、システム及びデバイスは腰部にアクセスするために使用される。いくつかの実施形態では、入口及び出口は、ドレナージのプロセスにより組織がカテーテル中に引き込まれることのないように、脊柱の適所に位置付けられる。例えば、患者が手術台に横たわっている場合、進入は、脊柱にアクセスするために例えば約90度のような適切な角度で行われるとよい。従来のカテーテルは、L4‐L6領域における90度の屈曲部を通して押し込まれるはずである。本明細書中に開示されたカテーテル及び関連する送達デバイスは、それらがこの角度をなした屈曲部についてより容易かつ効率的にアクセス及び通行することが可能であるように、湾曲していてもよい。
【0034】
図1~16は、ある実装によるカテーテル500の実施形態の、全体図、基端側サブアセンブリの図、及び先端側サブアセンブリの図を示している。
図1は、Yコネクタ部分502、基端側サブアセンブリ540、及び先端側サブアセンブリ560を示す。Yコネクタ部分502は、コネクタ504、506、機構508、510、512、ポジションマーカー514、及びその他の構成要素を備えることができる。コネクタ504、506は様々な形態をとることができる。例えば、図示されるように、コネクタ504、506はそれぞれメス型及びオス型のルアーロック式(Luer-lock)コネクタである。機構508、510、512は、例えば、張力緩和かつ耐キンク性の機構60に関して上述されるような、張力緩和かつ耐キンク性の機構であってよい。機構508は、Yコネクタ502の中央合流点付近の部分におけるカテーテル500の撓み又は変形を可能にするように構成されうる。機構510、512は、コネクタ504、506の近くにおけるカテーテル500の撓み又は変形を可能にするように構成されうる。ある実装では、機構510、512は、コネクタ504、506がマルチルーメンカテーテルのどのルーメンに対応しているかを表示するために色分けされてもよい。ある実施形態では、機構508、510、512は、およそ3.18mm(1/8”)のポリオレフィン製熱収縮チューブの形態であってもよい。ポジションマーカー514は、ポジションマーカー100に関して上述されるようなポジションマーカーであってよい。
【0035】
カテーテル500は、可視化を可能にする材料/特徴を含み得る。例えば、カテーテル500は、放射線不透過性の特徴を含み得る。これらの例のいくつかおよび他の例において、カテーテル500は、MRI適合性の材料から形成されるか、そうでなければMRI適合性の材料を含んでもよい。
【0036】
カテーテル500の長さL1はおよそ1,300mm、併せて作業長さL2はおよそ1,150mmであってよい。作業長さL2は様々な用途及び設計を考慮して規定されうる。図示されるように、作業長さL2は、先端側サブアセンブリ560の先端部から機構508の先端部までの距離である。機構508の先端部からコネクタ506の基端部までの距離D1は、およそ150mmであってよい。機構508はおよそ35mmの長さL3を有してもよく、機構510、512はおよそ7mmの長さL4を有してもよい。ある実装では、カテーテル500はおよそ400mm~およそ1200mmの長さL1と、併せて様々な度合で適宜変更される作業長さL2及びその他の寸法を有することができる。
【0037】
図2は、カテーテル500の切断線A‐Aで示された部位から得られた断面図を示す。この図は、壁部516Bによって画成されたルーメン(lumen)516Aを示している。ルーメン516A及び壁部516Bの特性及び性質は、本明細書中に記載された他の壁部及びルーメンに類似していてよい。図示されるように、壁部516Bはおよそ0.54mmの内径D
2及びおよそ1.14mmの外径D
3を有する。
【0038】
図3は、カテーテル500の切断線B‐Bで示された部位から得られた断面図を示す。この図は、内側壁部518Bによって画成されたルーメン518A、及び内側壁部518Bと外側壁部520Bとの間の空間によって画成されたルーメン520Aを示している。ルーメン518A、520A及び壁部518B、520Bの特性及び性質は、本明細書中に記載された他の壁部及びルーメンに類似していてよい。内側壁部518Bは、およそ0.56mmの内径D
4及びおよそ0.71mmの外径D
5を有しうる。外側壁部520Bは、およそ1.32mmの内径及びおよそ1.689mmの外径を有しうる。
【0039】
図4は、複数のチューブ522、第1の分枝部524、及び第2の分枝部526を備えている、ある実装によるYコネクタ502の一部分の拡大詳細図を示している。チューブ522は、ハイポチューブ又はその他の管材料であってよい。チューブ522はおよそ10mmの長さL
5を有しうる。ある実装では、第1の分枝部524はルーメン520Aと流体接続しているコネクタ504を設置することが可能であり、第2の分枝部526はルーメン518Aと流体接続しているコネクタ506を設置することが可能である。
【0040】
図5は、カテーテル500の2つのポジションマーカー514の位置を示している。第1のポジションマーカー514の先端部は、カテーテル500の先端部からおよそ450mmの距離D
9だけ離れて位置している。第2のポジションマーカー514の先端部は、カテーテル500の先端部からおよそ550mmの距離D
8だけ離れて位置している。ポジションマーカー514の長さL
4はおよそ10mmである。ある実装では、バンド及びポジションマーカーのうち少なくともいずれか(例えばポジションマーカー514)は、PET製熱収縮チューブを含むことができる。
【0041】
図6は、カテーテル500の切断線J‐Jで示された部位から得られた断面図を示す。この図は、ポジションマーカー514の外側部分が壁部520Bの内側部分にほぼ隣接している実施形態を示している。従って、本実施形態のこの部分では、ルーメン520Aは、壁部518Bの外側部分及びポジションマーカー514の内側部分によって画成されている。図示されるように、外側壁部520Bはおよそ1.75mmの外径D
10を有する。他の場合には、ポジションマーカー514は、壁部520Bの外側部分に沿って、壁部518Bの外側部分に沿って、又はカテーテル500の別の領域に沿って、配置されてもよい。
【0042】
図7は、バンド528A、528B、及び530A、開口部532A及び532B、並びにR形状のチップ530を備えている、カテーテル500の一部分を示す。バンド530Aの先端側部分は、バンド528Aの先端側部分からおよそ300mm(又は例えば患者の体格/身長に応じてそれ以上若しくはそれ以下)の距離D
11だけ離れて位置することができる。この間隔により、局所的な再循環を低減すること、及び頚椎の中の敏感な神経構造を回避する助けとなること、のうち少なくともいずれかを支援することができる。バンド528Aの先端部は、R形状のチップ530の先端部からおよそ2mmの距離D
12だけ離れて位置することができる。R形状のチップは、およそ0.28mmの半径R
1を有しうる。
【0043】
図8は、基端側サブアセンブリ540の一部を示す。図示されるように、基端側サブアセンブリ540の先端部から基端側サブアセンブリ540の基端部までの距離D
1はおよそ893mmである。マーカーバンド544Bの先端部からバンド530Aの先端部までの距離D
2はおよそ248mmである。基端側サブアセンブリ540の基端部からバンド530Bの先端部までの距離D
4はおよそ845mmである。マーカーバンド544Aの先端部からバンド530Aの先端部までの距離D
3はおよそ148mmである。マーカーバンド544A、544Bはおよそ10mmの長さL
1を有しうる。基端側サブアセンブリ540の一部分は、およそ0.457mm(0.018”)のコイルピッチを有するコイル巻ワイヤ542Bを具備することができる。基端側サブアセンブリ540の一部分は、およそ2.41mm(0.095”)のコイルピッチを有するコイル巻ワイヤ542Aを具備することができる。ある実装では、ワイヤ542A、542Bは、304Vスプリングテンパー材のおよそ0.0762mm(0.003”)の丸形ワイヤスプールを具備することができる。
【0044】
ある実装では、カテーテル500の基端側サブアセンブリ540は、およそ1.52mm(0.06”)~およそ1.78mm(0.07”)の外径を有しうる。この構成は、座屈することなく所望のレベルのドレナージ及び吸引のうち少なくともいずれか一方を可能にするように組織の層の間のカテーテルの大きさを最大限にすることができる。カテーテル500の基端側サブアセンブリ540及びその他の部分の厚さは、コイル及びシースの1以上の層の設計に応じたものであってよい。厚さは、カテーテル500の剛性及び押し込み性(pushability)、並びに耐キンク性に影響しうる。ある実装では、カテーテル500の内側ルーメンの直径(例えば基端側サブアセンブリ540のルーメンの直径など)は、特定の解剖学的構造又は手技の制約のもとで最適なドレナージ及び吸引のうち少なくともいずれか一方を提供するために選択されることが可能である。例えば、基端側の内側ルーメンの最小径は、およそ0.635mm(0.025”)~およそ1.524mm(0.060”)であるように選択可能である。
【0045】
図9は、
図8の基端側サブアセンブリ540の詳細図を示す。図示されるように、基端側サブアセンブリ540の一部分は複数の開口部532A(例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10 11、12.13 14.15、16個又はそれ以上の開口部532A)を画成する。開口部532Aは、カテーテル500のルーメン520Aと流体接続することが可能であり、かつ少なくともいくつかの実例では、カテーテル500の対向する「上部」側及び「底部」側に配置構成されることが可能である。開口部532Aは、ワイヤ542Aのコイルピッチ2個分の間隔で間を置いて配置されてもよい。バンド530Bの先端部とバンド530Aの先端部との間の距離D
6はおよそ45mmである。バンド530Aの先端部から基端側サブアセンブリ540の先端部までの距離D
5はおよそ3mmであってよい。ある実装では、バンド530A、530Bは、およそ1.55mm(0.061”)の内径及びおよそ1.63mm(0.064”)の外径を有する放射線不透過性のバンドを含んでなることができる。
【0046】
図10は、ライナー(liner)546及び管材料548を備えている、基端側サブアセンブリ540の切断線A‐Aで示された部位から得られた断面図を示す。ライナー546及び管材料548は、管材料548がライナー546の内側にあるように配置構成されうる。コイル542Aはライナー546と管材料548との間に配置されてもよい。ある実装では、ライナー546はおよそ0.0254mm(0.001”)のWTのPTFE製ライナーを含んでなることができる。管材料548はおよそ0.102mm(0.004”)のWTのポリエーテルブロックアミド製管材料を含んでなることができる。管材料548及びライナー546の組み合わせの外径D
7はおよそ1.69mmであってよい。前記組み合わせの内径D
8はおよそ1.32mmであってよい。
【0047】
図11は、線D‐Dの視点で得られ、かつ複数の開口部532Aのうちの1つを示している、基端側サブアセンブリ540の一部分の詳細図を示す。図示された開口部532Aは、およそ1.57mm×およそ0.56mmの寸法を有している。少なくともいくつかの実例では、開口部532Aは形状が楕円形であってよい。その他の形状も企図される。複数の開口部532Aの形状は、基端側サブアセンブリ540の長さに沿って同じであってもよいし、又は複数の開口部532Aの形状が基端側サブアセンブリ540の長さに沿って異なっていてもよい。少なくともいくつかの実例では、開口部532Aは開口部532Bよりも大きくてよい。
【0048】
図12は、基端側サブアセンブリ540の切断面E‐Eで示された部位から得られた断面図を示す。図示されるように、マーカーバンド544を含めたこの部分の外径D
9は、およそ1.75mmである。
【0049】
図13は、先端側サブアセンブリ560の一部を示している。先端側サブアセンブリ560の長さL
1はおよそ302mmであってよい。先端側サブアセンブリ560の基端部からバンド528Bの先端部までの距離D
1はおよそ270mmである。先端側サブアセンブリ560の一部分は、およそ0.813mm(0.032”)のコイルピッチを有しうるコイル巻ワイヤ562Bを具備することが可能である。カテーテル500の上記及びその他の部分は、内径がおよそ0.559mm(0.022”)であるおよそ0.0762mm(0.003”)のWTのナイロン12製の管材料、及び内径がおよそ1.02mm(0.04”)であるおよそ0.178mm(0.007”)のWTのPEBAX製の管材料を具備することができる。
【0050】
図14は、バンド528A、複数の開口部532B、バンド528B、ワイヤ562A、及びワイヤ562Bを備えている、先端側サブアセンブリ560の詳細部分を示している。ある実装では、ワイヤ562A、562Bは同じワイヤの異なる部分であってもよいし、又は別個のワイヤ部分であってもよい。図示されるように、ワイヤ562A及び562Bはバンド528Bによって分離されていてもよい。ワイヤ562Aは、およそ1.65mm(0.065”)のコイルピッチを有しうる。ワイヤ562A、562Bは先端側サブアセンブリ560の層の間に配置可能であり、かつおよそ0.0762mm(0.003”)の丸形ワイヤスプール304Vスプリングテンパー材を具備することができる。開口部532Bは、コイルピッチ2個分の間隔を置かれてカテーテル500の上部及び底部に配置構成されて、カテーテル500の内側ルーメン516Aと流体接続せしめられてもよい。少なくともいくつかの実例では、開口部532Bは円形又はほぼ円形であってよい。その他の形状も企図される。複数の開口部532Bの形状は先端側サブアセンブリ560の長さに沿って同じであってもよいし、又は複数の開口部532Bの形状は先端側サブアセンブリ560の長さに沿って異なっていてもよい。バンド528Bの先端部とバンド528Aの先端部との間の距離D
2はおよそ30mmであってよい。ワイヤ562Aはこの領域内に配置されうる。バンド528A、528Bは、およそ0.813mm(0.032”)の内径及びおよそ0.864mm(0.034”)の外径を有しうる。バンド528A、528Bは放射線不透過性材料を備えることができる(例えば、バンド528A、528Bは、PT/10%IRのような材料を具備することができる)。バンド528A、528Bは先端側サブアセンブリ560の層の間に配置されてもよい。
【0051】
図15は、R形状のチップ530、バンド528A、及びワイヤ562Aを備えている、先端側サブアセンブリ560の詳細部分を示している。バンド528Aの先端部からR形状のチップ530の先端部の距離はおよそ2mmである。R形状のチップは、およそ0.28mmの半径R
1を有しうる。
【0052】
図16は、先端側サブアセンブリ560の切断面A‐Aで示された部位から得られた断面図を示す。図示されるように、先端側サブアセンブリ560のこの断面はおよそ1.14mmの外径及びおよそ0.53mmの内径を有する。
【0053】
図17は、カテーテル500とともに利用可能なポンプ/濾過システム600を概略的に示している。カテーテル500は、ポンプ/濾過システム600の入口670に接続することができる。例えば、コネクタ504が直接又は仲介のチューブ若しくはメカニズムを通じて入口670に接続してもよい。入口670は第1のフィルタ672に通じることができる。いくつかの実例では、第1のフィルタ672は接線流フィルタである。例えば、第1のフィルタ672は、5kDaの接線流フィルタ(tangential flow filter : TFF)、100kDaのTFF、0.2μmのTFF、0.45μmのTFFなどを備えることができる。いくつかの実例では、第1のフィルタ672は、デッドエンド型フィルタ(例えば5kDaのデッドエンド型フィルタ)を備えてもよい。いくつかの実例では、第1のフィルタ672は、エレクトロフィルタ(例えば電荷に基づいて物質を除外するフィルタ)を備えてもよい。いくつかの実例では、1つのフィルタ(例えば第1のフィルタ672)のみが利用されてもよい。例えば、第1のフィルタ672は5kDaのフィルタであってよく、かつ第1のフィルタ672が唯一のフィルタであってよい。清浄なCSF676は経路678を進むことができる。CSFの廃棄物674は経路680を進むことができる。廃棄物の経路680は第2のフィルタ682に通じることができる。いくつかの実例では、第2のフィルタ682は接線流フィルタである。例えば、第2のフィルタ682は、5kDaのTFF、100kDaのTFF、0.2μmのTFF、0.45μmのTFFなどを備えることができる。いくつかの実例では、第2のフィルタ682はデッドエンド型フィルタ(例えば5kDaのデッドエンド型フィルタ)を備えてもよい。いくつかの実例では、第2のフィルタ682はエレクトロフィルタを備えてもよい。少なくともいくつかの実例では、第1のフィルタ672及び第2のフィルタ682は、大きさ及び種類のうち少なくともいずれか一方が同じである(例えば、第1のフィルタ672及び第2のフィルタ682はいずれも100kDaのTFFである)。他の実例では、第1のフィルタ672及び第2のフィルタ682は異なっている(例えば、第1のフィルタ672は5kDaのフィルタであり、第2のフィルタ682は100kDaのTFFフィルタである)。清浄なCSF684は経路686を進むことができる。CSFの廃棄物688は経路690を進むことができる。バルブ又は流量計測装置692が、廃棄物経路690に沿って、経路694及び収集装置696で終了する前に、配置されてもよい。経路678及び686は合流して返戻出口698となってよく、該返戻出口はカテーテル500のコネクタ506に(例えば直接、又は仲介のチューブを通じて)接続することができる。
【0054】
使用時、カテーテル500は、脳脊髄腔内に(例えば腰部の脳脊髄腔に沿って)配置可能である。CSFは、カテーテル500(例えばルーメン520Aを経由)及びポンプ/濾過システム600を使用して、採取/吸引されうる。吸引された流体はポンプ/濾過システム600を使用して濾過されることが可能であり、濾過/状態調整がなされたCSFは、カテーテル500(例えばルーメン518Aを経由)及びポンプ/濾過システム600を使用して、患者に返戻されることが可能である。いくつかの実例では、第2のカテーテル500(形態及び機能についてカテーテル500と類似していてよい)が、脳室内など頭蓋のCNSの一部分に配置されてもよい。第2のカテーテル500は、頭蓋領域(例えば脳室)から脳脊髄液を採取/吸引し、ポンプ/濾過システム600を使用して脳脊髄液の状態調整/濾過を行い、状態調整/濾過がなされた脳脊髄液を頭蓋領域又は隣接している領域に返戻するために、使用可能である。これらのうちのいくつか及びその他の実例では、第2のカテーテル500は、頭蓋領域へ薬物(例えばメトトレキセートのような化学療法薬)を注入するために使用可能である。カテーテル500(例えば脳脊髄腔内のもの)及び第2のカテーテル500(脳室内のもの)は一緒に使用されてもよいし、それらが交代で使用されてもよい。脳脊髄腔内及び脳室内の両方で、吸引及び注入の両方のためにカテーテル500を使用することにより、CNS全体にわたる脳脊髄液の循環を改善する可能性のある頭蓋‐腰部ループが形成されうる。
【0055】
いくつかの理由から、流体をCNSに沿って吸引および/または注入する場合、カテーテルに沿っておよび/または吸引/注入開口部に沿って流体を均等に(例えば、ほぼ均等に)吸引/注入することが望ましい場合がある。
図18~22は、流体を均等に注入および/または吸引するように構成された、本明細書において開示される他のカテーテルと形態および機能が類似している複数の例示的なカテーテルを示している。これらのカテーテルに関するいくつかの詳細は、本明細書において開示されている。
【0056】
図18は、本明細書において開示されている他のカテーテルと形態および機能が類似し得る別の例示的なカテーテル700を示す。カテーテル700は、基端側サブアセンブリ740を含み得る。概して、基端側サブアセンブリ740は、基端側サブアセンブリ540の複数の構造および複数の特徴と同様の複数の構造および複数の特徴の少なくともいくつかを含み得る。例えば、基端側サブアセンブリ740は、チューブの形態を含むか、そうでなければチューブの形態であってもよい。カテーテル700は、先端側サブアセンブリ760を含み得る。概して、先端側サブアセンブリ760は、先端側サブアセンブリ560の複数の構造および複数の特徴と同様の複数の構造および複数の特徴の少なくともいくつかを含み得る。例えば、先端側サブアセンブリ760は、チューブの形態を含むか、そうでなければチューブの形態であってもよい。(
図18には示されていないが、概してルーメン518Aに類似している)注入ルーメンは、先端側サブアセンブリ760に沿って配置されるか、そうでなければ先端側サブアセンブリ760内に形成され得る。(
図18には示されていないが、概してルーメン520Aと同様である)吸引ルーメンは、先端側サブアセンブリ760の外面(例えば、先端側サブアセンブリ760の一部であるか、そうでなければ先端側サブアセンブリ760を形成する管状部材の外面)と基端側サブアセンブリ740の内面(例えば、基端側サブアセンブリ740の一部であるか、そうでなければ基端側サブアセンブリ740を形成する管状部材の内側表面)との間に設けられ画定され得る。
【0057】
基端側サブアセンブリ740は、該基端側サブアセンブリ740に形成された複数の開口部またはアパーチャ732Aを含み得る。概して、複数の開口部732Aは、例えば、カテーテル700がポンプ/濾過システム600に連結されている場合に、CNS内の流体(例えば、CSF流体)がCNSから取り出され/吸引され得るように構成されている。先端側サブアセンブリ760はまた、複数の開口部またはアパーチャ732Bを含み得る。概して、複数の開口部732Aは、例えばカテーテル700がポンプ/濾過システム600に連結されている場合に、流体(例えば、ポンプ/濾過システム600によって濾過、状態調整、処理などされたCSF流体)がCNSに返戻され/注入され得るように構成されている。
【0058】
上述のように、カテーテル700は、流体を均等に注入および/または吸引するように構成され得る。いくつかの事例では、カテーテル700は、複数の開口部732Bを利用して、流体(例えば、ポンプ/濾過システム600によって濾過、状態調整、処理などされたCSF流体)をCNSに注入し得る。本開示の目的のために、流体を均等に注入することは、流体が複数の開口部732Bを通して注入されるとき、比較的等しい量の流体が複数の開口部732Bのそれぞれを通過することを意味すると理解され得る。換言すれば、注入された流体の量の大部分は、複数の開口部732Bのうちの基端側部分を通過する傾向はなく、むしろ、注入された流体の量は、複数の開口部732B(例えば、全ての開口部732B)において比較的均等または均等に分散される。
【0059】
いくつかの事例では、複数の開口部732Bは、開口部732Bが先端側に向かうにつれて、開口部732Bを大きくすることができる。この変化は、連続的(例えば、後続の各開口部732Bを、より大きくする)、段階的(例えば、開口部732Bのグループは同じ大きさであり、先端側の開口部732Bのグループがより大きい)、規則的(例えば、大きさの変化が予測可能なパターンになっている)、不規則的(例えば、大きさの変化がランダムになっている)などであり得る。
【0060】
大きさの変化は、同じ形状であるが、異なる(例えば、先端方向に増大する)大きさである複数の開口部732Bによるものであってもよい。例えば、いくつかの事例では、最初のまたは最も基端側の1つまたは複数の開口部732Bは、概して形状が円形であり、後続の開口部もまた円形であるが、より大きくなっている(例えば、開口部が広がる表面積)。いくつかの事例では、後続の先端側の複数の開口部732Bは、1~100%、または約5~50%、または約10~25%だけ大きさを増大させてもよい。複数の開口部および開口部間の複数の距離は、チューブに沿って不均等な流体力学的抵抗を生じさせ、各孔から等しい流体流量を送達または取り出すように調整されることができる。流体力学的抵抗は、管材料内の圧力ヘッド損失(pressure head loss)及び特定の孔形状による損失に基づくものである。これらの損失は、各孔からの所望の1つまたは複数の流量が得られるように調整されることができる。
【0061】
これらのいくつかの事例および他の事例では、大きさの変化は、先端方向において形状を変化させた複数の開口部732Bによるものであってもよい。例えば、最初のまたは最も基端側の開口部732Bは、概して形状が円形であり、後続の複数の開口部は、開口部732Bの形状を、基端側の開口部よりも大きな異なる形状、そうでなければ大きな表面積を有する異なる形状に変化させることによって増大させてもよい。例えば、1つまたは複数の最初の開口部732Bは円形であり、後続の複数の開口部732Bはより大きく、より楕円形に変化させてもよい。これらの孔を、表面への細胞接着を減少させる滑らかな(丸みを持たせた)表面変化を形成するために機械加工してもよい。これらはまた、カテーテルの長さに沿って不均等に配置されてもよい。
【0062】
これらのいくつかの事例および他の事例では、複数の開口部732Bは、同じかまたは同様の大きさ/形状のものであり得るが、単位長さあたりの開口部732Bの数を、先端方向に増加させてもよい。換言すると、開口部732Bの密度を増加させてもよく、それらはまた、目詰まりの傾向を低減し、および/またはCSFに対する溶質の除去または送達を改善するために、カテーテルのルーメンの周りの異なる角度位置に配置されてもよい。
【0063】
複数の開口部732Bは、いくつかの方法で先端側サブアセンブリ760に沿って分散され得る。例えば、先端側サブアセンブリ760は、軸方向に整列された複数の列の開口部732Bのうちの1つまたは複数の列を含み得る。これらのいくつかの事例および他の事例では、複数の開口部732Bの少なくともいくつかは、先端側サブアセンブリ760の周りに周方向に配置されてもよい。一例では、複数の開口部732Bの少なくともいくつかは、先端側サブアセンブリ760の周りにらせん状に配置されている。
【0064】
使用時、カテーテル700は、脳脊髄腔内に(例えば、腰部の脳脊髄腔に沿って)配置可能である。CSFは、基端側サブアセンブリ740の複数の開口部732Aを使用して取り出され/吸引され、ポンプ/濾過システム600に送られ得る。吸引された流体は、(例えば、血液、異物、化学物質/薬物などを取り出すために)ポンプ/濾過システム600を使用して濾過され得、濾過/状態調整されたCSFは、(例えば、ポンプ/濾過システム600および)先端側サブアセンブリ760の複数の開口部732Bを使用して、(例えば、腰部または他の領域に沿って)患者に返戻され得る。いくつかの事例では、薬物または治療薬が注入され得る。複数の開口部732Bは、先端側サブアセンブリ760の長さに沿って、濾過/状態調整されたCSFをCNSに実質的に均等に供給し得る。本明細書に開示される他のカテーテルの使用と類似していてもよい。いくつかの他の事例では、カテーテル700は、腰椎クモ膜下腔腹腔短絡術などの既存の(例えば、埋め込まれた)CSF短絡術に追加および/または連結されることができる。
【0065】
図19は、本明細書において開示されている他のカテーテルと形態および機能が類似し得る別の例示的なカテーテル800を示す。カテーテル800は、基端側サブアセンブリ840を含み得る。概して、基端側サブアセンブリ840は、基端側サブアセンブリ540の複数の構造および複数の特徴と同様の複数の構造および複数の特徴の少なくともいくつかを含み得る。例えば、基端側サブアセンブリ840は、チューブの形態を含むか、そうでなければチューブの形態であってもよい。カテーテル800は、先端側サブアセンブリ860を含み得る。概して、先端側サブアセンブリ860は、先端側サブアセンブリ560の複数の構造および複数の特徴と同様の複数の構造および複数の特徴の少なくともいくつかを含み得る。例えば、先端側サブアセンブリ860は、チューブの形態を含むか、そうでなければチューブの形態であってもよい。(
図19には示されていないが、概してルーメン518Aと同様な)注入ルーメンは、先端側サブアセンブリ860に沿って配置されるか、そうでなければ先端側サブアセンブリ860内に形成され得る。(
図19には示されていないが、概してルーメン520Aと同様な)吸引ルーメンは、先端側サブアセンブリ860の外面(例えば、先端側サブアセンブリ860の一部であるか、そうでなければ先端側サブアセンブリ860を形成する管状部材の外面)と基端側サブアセンブリ840の内面(例えば、基端側サブアセンブリ840の一部であるか、そうでなければ基端側サブアセンブリ840を形成する管状部材の内側表面)との間に設けられ画定され得る。
【0066】
基端側サブアセンブリ840は、該基端側サブアセンブリ840に形成された複数の開口部またはアパーチャ832Aを含み得る。概して、複数の開口部832Aは、例えば、カテーテル800がポンプ/濾過システム600に連結されている場合に、CNS内の流体(例えば、CSF流体)がCNSから取り出され/吸引され得るように構成されている。先端側サブアセンブリ860はまた、複数の開口部またはアパーチャ832Bを含み得る。概して、複数の開口部832Aは、例えばカテーテル800がポンプ/濾過システム600に連結されている場合に、流体(例えば、ポンプ/濾過システム600によって濾過、状態調整、処理などがされたCSF流体)がCNSに返戻され/注入され得るように構成されている。
【0067】
上述のように、カテーテル800は、流体を均等に注入および/または吸引するように構成され得る。いくつかの事例では、カテーテル800は、複数の開口部832Aを利用して、CNSから流体を均等に吸引することができる。本開示の目的のために、流体を均等に吸引することは、流体が複数の開口部832Aを通して吸引されるとき、比較的等しい量の流体が複数の開口部832Aのそれぞれを通過することを意味すると理解され得る。
【0068】
いくつかの事例では、複数の開口部832Aは、開口部832Aが先端側に向かうにつれて、開口部832Aを大きくすることができる。この変化は、連続的(例えば、後続の各開口部832Aを、より大きくする)、段階的(例えば、開口部832Aのグループは同じ大きさであり、先端側の開口部832Aのグループはより大きい)、規則的(例えば、大きさの変化は予測可能なパターンになっている)、不規則的(例えば、大きさの変化はランダムになっている)などであり得る。
【0069】
この大きさの変化は、同じ形状であるが、異なる(例えば、先端方向に増大する)大きさである複数の開口部832Aによるものでもよい。例えば、いくつかの事例では、最初のまたは最も基端側の1つまたは複数の開口部832Aは、概して形状が円形であり、後続の開口部もまた円形であるが、より大きくなっている(例えば、開口部が広がる表面積)。いくつかの事例では、後続の先端側の複数の開口部832Aは、1~100%、または約5~50%、または約10~25%だけ大きさを増大させてもよい。
【0070】
これらのいくつかの事例および他の事例では、大きさの変化は、先端方向において形状を変化させた複数の開口部832Aによるものでもよい。例えば、最初のまたは最も基端側の開口部832Aは、概して形状が円形であり、後続の複数の開口部は、開口部832Aの形状を、基端側の開口部よりも大きな異なる形状、そうでなければ大きな表面積を有する異なる形状に変化させることによって増大させてもよい。例えば、1つまたは複数の最初の開口部832Aは円形であり、後続の複数の開口部832Aはより大きく、より楕円形に変化させてもよい。
【0071】
これらのいくつかの事例および他の事例では、複数の開口部832Aは、同じかまたは同様の大きさ/形状のものであり得るが、単位長さあたりの開口部832Aの数は、先端方向に増加させてもよい。換言すると、開口部832Aの密度を増加させてもよい。
【0072】
複数の開口部832Aは、いくつかの方法で基端側サブアセンブリ840に沿って分散され得る。例えば、基端側サブアセンブリ840は、軸方向に整列された複数の列の開口部832Aのうちの1つまたは複数の列を含み得る。これらのいくつかの事例および他の事例では、複数の開口部832Aの少なくともいくつかは、基端側サブアセンブリ840の周りに周方向に配置されてもよい。一例では、複数の開口部832Aの少なくともいくつかは、基端側サブアセンブリ840の周りにらせん状に配置されている。
【0073】
図20は、本明細書において開示されている他のカテーテルと形態および機能が類似し得る別の例示的なカテーテル900を示す。カテーテル900は、基端側サブアセンブリ940を含み得る。概して、基端側サブアセンブリ940は、基端側サブアセンブリ540の複数の構造および複数の特徴と同様の複数の構造および複数の特徴の少なくともいくつかを含み得る。例えば、基端側サブアセンブリ940は、チューブの形態を含むか、そうでなければチューブの形態であってもよい。カテーテル900は、先端側サブアセンブリ960を含み得る。概して、先端側サブアセンブリ960は、先端側サブアセンブリ560の複数の構造および複数の特徴と同様の複数の構造および複数の特徴の少なくともいくつかを含み得る。例えば、先端側サブアセンブリ960は、チューブの形態を含むか、そうでなければチューブの形態であってもよい。(
図20には示されていないが、概してルーメン518Aと同様な)注入ルーメンは、先端側サブアセンブリ960に沿って配置されるか、そうでなければ先端側サブアセンブリ960内に形成され得る。(
図20には示されていないが、概してルーメン520Aと同様な)吸引ルーメンは、先端側サブアセンブリ960の外面(例えば、先端側サブアセンブリ960の一部であるか、そうでなければ先端側サブアセンブリ960を形成する管状部材の外面)と基端側サブアセンブリ940の内面(例えば、基端側サブアセンブリ940の一部であるか、そうでなければ基端側サブアセンブリ940を形成する管状部材の内側表面)との間に設けられ画定され得る。
【0074】
基端側サブアセンブリ940は、該基端側サブアセンブリ940に形成された複数の開口部またはアパーチャ932Aを含み得る。概して、複数の開口部932Aは、例えば、カテーテル900がポンプ/濾過システム600に連結されている場合に、CNS内の流体(例えば、CSF流体)がCNSから取り出され/吸引され得るように構成されている。先端側サブアセンブリ960はまた、複数の開口部またはアパーチャ932Bを含み得る。概して、複数の開口部932Aは、例えばカテーテル900がポンプ/濾過システム600に連結されている場合に、流体(例えば、ポンプ/濾過システム600によって濾過、状態調整、処理などされたCSF流体)がCNSに返戻され/注入され得るように構成されている。
【0075】
上述のように、カテーテル900は、流体を均等に注入および/または吸引するように構成され得る。いくつかの事例では、カテーテル900は、複数の開口部932A/932Bを利用して、CNSから流体を均等に吸引/注入することができる。本開示の目的のために、流体を均等に吸引/注入することは、流体が複数の開口部932A/932Bを通して吸引/注入されるとき、比較的等しい量の流体が複数の開口部932A/932Bのそれぞれを通過することを意味すると理解され得る。この例では、先端側サブアセンブリ960の複数の開口部932Bは(例えば、先端側サブアセンブリ760および/または複数の開口部732Bに関して説明された方法で)より大きくなり、基端側サブアセンブリ940の複数の開口部932Aは(例えば、基端側サブアセンブリ840および/または複数の開口部832Aに関して説明された方法で)より大きくなる。
【0076】
図21は、本明細書において開示されている他のカテーテルと形態および機能が類似し得る別の例示的なカテーテル1000を示す。カテーテル1000は、基端側サブアセンブリ1040を含み得る。概して、基端側サブアセンブリ1040は、基端側サブアセンブリ540の複数の構造および複数の特徴と同様の複数の構造および複数の特徴の少なくともいくつかを含み得る。例えば、基端側サブアセンブリ1040は、チューブの形態を含むか、そうでなければチューブの形態であってもよい。カテーテル1000は、先端側サブアセンブリ1060を含み得る。概して、先端側サブアセンブリ1060は、先端側サブアセンブリ560の複数の構造および複数の特徴と同様の複数の構造および複数の特徴の少なくともいくつかを含み得る。例えば、先端側サブアセンブリ1060は、チューブの形態を含むか、そうでなければチューブの形態であってもよい。(
図21には示されていないが、概してルーメン518Aと同様な)注入ルーメンは、先端側サブアセンブリ1060に沿って配置されるか、そうでなければ先端側サブアセンブリ1060内に形成され得る。(
図21には示されていないが、概してルーメン520Aと同様な)吸引ルーメンは、先端側サブアセンブリ1060の外面(例えば、先端側サブアセンブリ1060の一部であるか、そうでなければ先端側サブアセンブリ1060を形成する管状部材の外面)と基端側サブアセンブリ1040の内面(例えば、基端側サブアセンブリ1040の一部であるか、そうでなければ基端側サブアセンブリ1040を形成する管状部材の内側表面)との間に設けられ画定され得る。
【0077】
基端側サブアセンブリ1040は、該基端側サブアセンブリ1040に形成された複数の開口部またはアパーチャ1032Aを含み得る。概して、複数の開口部1032Aは、例えば、カテーテル1000がポンプ/濾過システム600に連結されている場合に、CNS内の流体(例えば、CSF流体)がCNSから取り出され/吸引され得るように構成されている。先端側サブアセンブリ1060はまた、複数の開口部またはアパーチャ1032Bを含み得る。概して、複数の開口部1032Aは、例えばカテーテル1000がポンプ/濾過システム600に連結されている場合に、流体(例えば、ポンプ/濾過システム600によって濾過、状態調整、処理などされたCSF流体)がCNSに返戻され/注入され得るように構成されている。
【0078】
上述のように、カテーテル1000は、流体を均等に注入および/または吸引するように構成され得る。いくつかの事例では、カテーテル1000は、複数の開口部1032Aを利用して、CNSから流体を均等に吸引することができる。本開示の目的のために、流体を均等に吸引することは、流体が複数の開口部1032Aを通して吸引されるとき、比較的等しい量の流体が複数の開口部1032Aのそれぞれを通過することを意味すると理解され得る。
【0079】
いくつかの事例では、複数の開口部1032Aは、開口部1032Aが基端側に向かうにつれて、開口部1032Aを大きくすることができる。この変化は、連続的(例えば、後続の各開口部1032Aを、より大きくする)、段階的(例えば、開口部1032Aのグループは同じ大きさであり、基端側の開口部1032Aのグループはより大きい)、規則的(例えば、大きさの変化は予測可能なパターンになっている)、不規則的(例えば、大きさの変化はランダムになっている)などであり得る。
【0080】
この大きさの変化は、同じ形状であるが、異なる(例えば、基端方向に増大する)大きさである複数の開口部1032Aによるものであってもよい。例えば、いくつかの事例では、最初のまたは最も基端側の1つまたは複数の開口部1032Aは、概して形状が円形であり、後続の複数の開口部もまた円形であるが、より大きくなっている(例えば、開口部が広がる表面積)。いくつかの事例では、後続の基端側の複数の開口部1032Aは、1~100%、または約5~50%、または約10~25%だけ大きさを増大させてもよい。
【0081】
これらのいくつかの事例および他の事例では、大きさの変化は、基端方向において形状を変化させた複数の開口部1032Aによるものであってもよい。例えば、最初のまたは最も先端側の開口部1032Aは、概して形状が円形であり、後続の複数の開口部は、開口部1032Aの形状を、先端側の開口部よりも大きな異なる形状、そうでなければ大きな表面積を有する異なる形状に変化させることによって増大させてもよい。例えば、1つまたは複数の最初の開口部1032Aは円形であり、後続の複数の開口部1032Aはより大きく、より楕円形に変化させてもよい。
【0082】
これらのいくつかの事例および他の事例では、複数の開口部1032Aは、同じかまたは同様の大きさ/形状のものであり得るが、単位長さあたりの開口部1032Aの数は、基端方向に増加させてもよい。換言すると、開口部1032Aの密度を増加させてもよい。
【0083】
複数の開口部1032Aは、いくつかの方法で基端側サブアセンブリ1040に沿って分散され得る。例えば、基端側サブアセンブリ1040は、軸方向に整列された複数の列の開口部1032Aのうちの1つまたは複数の列を含み得る。これらのいくつかの事例および他の事例では、複数の開口部1032Aの少なくともいくつかは、基端側サブアセンブリ1040の周りに周方向に配置されてもよい。一例では、複数の開口部1032Aの少なくともいくつかは、基端側サブアセンブリ1040の周りにらせん状に配置されている。
【0084】
図22は、本明細書において開示されている他のカテーテルと形態および機能が類似し得る別の例示的なカテーテル1100を示す。カテーテル1100は、基端側サブアセンブリ1140を含み得る。概して、基端側サブアセンブリ1140は、基端側サブアセンブリ540の複数の構造および複数の特徴と同様の複数の構造および複数の特徴の少なくともいくつかを含み得る。例えば、基端側サブアセンブリ1140は、チューブの形態を含むか、そうでなければチューブの形態であってもよい。カテーテル1100は、先端側サブアセンブリ1160を含み得る。概して、先端側サブアセンブリ1160は、先端側サブアセンブリ560の複数の構造および複数の特徴と同様の複数の構造および複数の特徴の少なくともいくつかを含み得る。例えば、先端側サブアセンブリ1160は、チューブの形態を含むか、そうでなければチューブの形態であってもよい。(
図22には示されていないが、概してルーメン518Aと同様な)注入ルーメンは、先端側サブアセンブリ1160に沿って配置されるか、そうでなければ先端側サブアセンブリ1160内に形成され得る。(
図21には示されていないが、概してルーメン520Aと同様な)吸引ルーメンは、先端側サブアセンブリ1160の外面(例えば、先端側サブアセンブリ1160の一部であるか、そうでなければ先端側サブアセンブリ1160を形成する管状部材の外面)と基端側サブアセンブリ1140の内面(例えば、基端側サブアセンブリ1140の一部であるか、そうでなければ基端側サブアセンブリ1140を形成する管状部材の内側表面)との間に設けられ画定され得る。
【0085】
基端側サブアセンブリ1140は、該基端側サブアセンブリ1140に形成された複数の開口部またはアパーチャ1132Aを含み得る。概して、複数の開口部1132Aは、例えば、カテーテル1100がポンプ/濾過システム600に連結されている場合に、CNS内の流体(例えば、CSF流体)がCNSから取り出され/吸引され得るように構成されている。先端側サブアセンブリ1160はまた、複数の開口部またはアパーチャ1132Bを含み得る。概して、複数の開口部1132Aは、例えばカテーテル1100がポンプ/濾過システム600に連結されている場合に、流体(例えば、ポンプ/濾過システム600によって濾過、状態調整、処理などされたCSF流体)がCNSに返戻され/注入され得るように構成されている。
【0086】
上述のように、カテーテル1100は、流体を均等に注入および/または吸引するように構成され得る。いくつかの事例では、カテーテル1100は、複数の開口部1132A/1132Bを利用して、CNSから流体を均等に吸引/注入することができる。本開示の目的のために、流体を均等に吸引/注入することは、流体が複数の開口部1132A/1132Bを通して吸引/注入されるとき、比較的等しい量の流体が複数の開口部1132A/1132Bのそれぞれを通過することを意味すると理解され得る。この例では、先端側サブアセンブリ1160の複数の開口部1132Bは(例えば、先端側サブアセンブリ760および/または複数の開口部732Bに関して説明された方法で)より大きくなり、基端側サブアセンブリ1140の複数の開口部1132Aは(例えば、基端側サブアセンブリ840および/または複数の開口部832Aに関して説明された方法で)より大きくなる。
【0087】
この開示は、多くの点で、単なる例示であることを理解されたい。本開示の範囲を超えることなく、詳細において、特に形状、大きさ、および複数のステップの並びに関して変更を行うことができる。これは、適切な範囲で、他の実施形態で使用されている1つの例示的な実施形態の特徴のいずれかの使用を含んでもよい。本発明の範囲は、もちろん、添付の特許請求の範囲が表現される言葉で定義される。
【国際調査報告】