(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-29
(54)【発明の名称】インターフェロンベースの疾患治療法
(51)【国際特許分類】
A61K 38/21 20060101AFI20220921BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220921BHJP
A61P 31/12 20060101ALI20220921BHJP
A61P 31/18 20060101ALI20220921BHJP
A61P 31/22 20060101ALI20220921BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220921BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220921BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220921BHJP
A61K 31/282 20060101ALI20220921BHJP
A61K 31/704 20060101ALI20220921BHJP
A61K 31/337 20060101ALI20220921BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20220921BHJP
C07K 14/555 20060101ALN20220921BHJP
C07K 14/56 20060101ALN20220921BHJP
C07K 14/565 20060101ALN20220921BHJP
C07K 14/57 20060101ALN20220921BHJP
C12N 9/99 20060101ALN20220921BHJP
C07K 16/30 20060101ALN20220921BHJP
【FI】
A61K38/21 ZNA
A61P43/00 111
A61P31/12
A61P31/18
A61P31/22
A61P35/00
A61P35/02
A61K45/00
A61K31/282
A61K31/704
A61K31/337
A61K31/7068
C07K14/555
C07K14/56
C07K14/565
C07K14/57
C12N9/99
C07K16/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504577
(86)(22)【出願日】2020-07-22
(85)【翻訳文提出日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 CN2020103613
(87)【国際公開番号】W WO2021013204
(87)【国際公開日】2021-01-28
(31)【優先権主張番号】201910660749.1
(32)【優先日】2019-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522030208
【氏名又は名称】シャーメン アモイトップ バイオテック カンパニー, リミテッド
【氏名又は名称原語表記】XIAMEN AMOYTOP BIOTECH CO., LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】522030219
【氏名又は名称】バイオスティード ジーン トランスフォーメーション テック. カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BIOSTEED GENE TRANSFORMATION TECH.CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】スン, リー
(72)【発明者】
【氏名】チョウ, ウェイドン
(72)【発明者】
【氏名】リャオ, シャオジン
(72)【発明者】
【氏名】チュワン, ル
(72)【発明者】
【氏名】ヘ, リュオイー
(72)【発明者】
【氏名】チョウ, チン
(72)【発明者】
【氏名】ゼン, リンイン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, メイファ
(72)【発明者】
【氏名】ワン, シーユアン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, ジェファ
(72)【発明者】
【氏名】チャン, リンジョン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA03
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4H045AA10
4H045AA11
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4H045EA22
4H045EA28
4H045EA29
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、生物医学の分野に関するものである。特に、本発明は、疾患を治療するためのインターフェロンベースの方法であって、インターフェロンベースの治療剤を対象に間欠的投与することを含み、疾患は、例えば、ウイルス感染又は癌である、方法に関する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の疾患を治療する方法であって、インターフェロンベースの治療剤を前記対象に複数の連続的な治療コースで間欠的に投与するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記インターフェロンベースの治療剤が、インターフェロン又はその変異体若しくは誘導体を含むか、インターフェロン又はその変異体若しくは誘導体をコードする核酸分子を含むか、又は内在性インターフェロンの生成を促進する物質を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記インターフェロンが、I型、II型又はIII型のインターフェロン、例えば、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ又はインターフェロンλ、好ましくはインターフェロンαである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記インターフェロンベースの治療剤が、インターフェロンα2a、インターフェロンα2b、インターフェロンα1b、インターフェロンλ、又はその変異体若しくは誘導体を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記インターフェロン又はその変異体若しくは誘導体がPEG化されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記インターフェロンベースの治療剤が、P1101、ペグベロン(Pegberon)、ペガシス(Pegasys)、ペギントロン(Pegintron)、インファーゲン(Infergen)、ノバフェロン(Novaferon)、イントロンA(INTRONA)、ロフェロン(Roferon)-A、ハプゲン(Hapgen)、ペギンファー(PEGINFER)及びペグインターフェロンλからなる群から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記インターフェロンベースの治療剤が、TLR、RLR、及びSTINGシグナル経路のアゴニストを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記インターフェロンベースの治療剤が、GS-9620、GS-9688、RO7020531、RO6864018、TQ-A3334、JNJ-4964、SB9200、MIW815、DMXAA、MK-1454、及びdiABZIからなる群から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記連続的な治療コースにおいて、実質的に全コースの間、対象におけるネオプテリンの濃度が、最初の投与前のネオプテリンの濃度よりも高くなるように、例えば、最初の投与前のネオプテリンの濃度の約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約200%、約250%に又はそれより高くなるように、インターフェロンベースの治療剤が投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記連続的な治療コースの期間が、最初の投与から最後の投与までの期間、プラス治療剤のインビボ半減期の約5倍である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の連続的な治療コースのそれぞれの期間が、約1週間~約24週間、好ましくは約1週間~約12週間、さらに好ましくは約1週間~約8週間、さらに好ましくは約2週間~約6週間である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記連続的な治療コースのそれぞれの期間が約1週間~約12週間であり、連続的な治療コース間の間隔が約1週間~約12週間である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記連続的な治療コース間の間隔が、約1週間~約24週間、好ましくは約1週間~約12週間、さらに好ましくは約1週間~約8週間、よりさらに好ましくは約2週間~約6週間である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記連続的な治療コースのそれぞれの期間が約1週間~約8週間であり、連続的な治療コース間の間隔が約1週間~約8週間である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記連続的な治療コースのそれぞれの期間が約2週間~約6週間であり、連続的な治療コース間の間隔が約2週間~約6週間である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記インターフェロンベースの治療剤を2~25以上の連続的な治療コースで投与する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記連続的な複数の治療コースの期間が実質的に同じである、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
連続的な治療コース間の間隔が実質的に同じである、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記疾患がウイルス感染症であり、例えば、B型肝炎ウイルス感染症、C型肝炎ウイルス感染症、D型肝炎ウイルス感染症、HIV感染症、EBV感染症、HPV感染症、CMV感染症及びヘルペスウイルス感染症から選択されるウイルス感染症であり、好ましくはB型肝炎ウイルス感染症である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記疾患が癌であり、例えば、白血病(急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病、多毛性白血病等)、肝臓癌、肺癌、結腸直腸癌、皮膚癌、胃癌、乳癌、前立腺癌、非ホジキンリンパ腫、黒色腫、多発性骨髄腫、喉頭乳頭腫、濾胞性リンパ腫、AIDS関連のカポジ肉腫、及び腎細胞癌、好ましくは肝臓癌、肺癌、乳癌、結腸直腸癌、又は黒色腫である、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
対象に追加の薬剤を投与することをさらに含む、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記インターフェロンベースの治療剤の投与が、追加の薬剤の投与と重複しない、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記追加の薬剤が、前記複数の連続的な治療コースの間に投与される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記インターフェロンベースの治療剤の投与が、追加の薬剤の投与と重複する、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記追加の薬剤が、複数の連続的な治療コースの間に投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記追加の薬剤が従来のスキームに従って投与される、請求項21~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記追加の薬剤が抗ウイルス剤である、請求項21~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記抗ウイルス剤が、アマンタジン、リマンタジン、エンフビルチド、マラビロ等の侵入・脱殻阻害剤;アシクロビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル、ホスカルネット等のDNAポリメラーゼ阻害剤;ラミブジン、ジドブジン、エムトリシタビン、テノホビル、アデホビルジピボキシル、TAF、エンテカビル等のヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤、エファビレンツ、ネビラピン等の逆転写酵素阻害剤;サキナビルなどの蛋白質阻害剤;オセルタミビル、ザナミビル等のノイラミニダーゼ阻害剤;リバビリン等の広範囲抗ウイルス剤等である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記インターフェロンベースの治療剤がペグベロンであり、抗ウイルス剤がエンテカビルである、請求項21~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
B型肝炎ウイルス感染症の治療に用いられ、前記インターフェロンベースの治療剤がペグベロンであり、連続的な治療コースのそれぞれの期間が約5週間~約24週間であり、連続的な治療コース間の間隔が約2週間~8週間であり、抗ウイルス剤が毎日投与されるエンテカビルである、請求項21~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記追加の薬剤が抗癌剤である、請求項21~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記抗癌剤が
i)化学療法剤、例えば、アルキル化剤、アルキル化剤;ニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、シクロホスファミド、イホスファミド、グリシホスホラミド、セムスチン;代謝拮抗剤:デオキシフルオグアノシン、ドキシフルグアニジン、5-フルオロウラシル、メルカプトプリン、チオグアニン、シタラビン、フルグアノシン、テガフール、ゲムシタビン、カルモフール、ヒドロキシウレア、メトトレキサート、UFT、アンシタビン、カペシタビン;抗腫瘍性抗生物質:アクチノマイシンD、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、ペロマイシン、ピンヤンマイシン、ピラルビシン;化学療法の抗腫瘍性動物及び植物成分:イリノテカン、ハリントニン、ヒドロキシカンプトテシン、ビノレルビン、パクリタキセル、アルブミンパクリタキセル、タキソテール、トポテカン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンデシン、ビンブラスチン、テニポシド、エトポシド、エレメン;抗腫瘍剤ホルモン:アタメスタン、アナストロゾール、アミノグルテチミド、レトロゾール、フォルメスタン、メタステロン、タモキシフェン;種々の化学療法剤:アスパラギナーゼ、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、オキサリプラチン、ロキサジン、エロキサチン、ミトキサントロン、プロカルバジン;又は
ii)PD-1、PD-L1、CTLA4の阻害剤等の免疫チェックポイント阻害剤、例えば:ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブから選択される抗体;又は
iii)低分子標的薬、例えば、イマチニブ、ゲフィチニブ、ボルテゾミブ、エルロチニブ、ソラフェニブ、レナリドミド、スニチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ラパチニブ、パゾパニブ、エベロリムス、バンデタニブ、クリゾチニブ、ベロフィニブ、ルキソリチニブ、アキシチニブ、ビスモデギブ、カルフィルゾミブ、レゴラフェニブ、ボスチニブ、トファシチニブ、カルボチニブ、パナチニブ、ポマリドマイド、トラメチニブ、ダブラフェニブ、アファチニブ、イコチニブ、イブルチニブ、セリチニブ、イデラリス、アパチニブ、パブチリブ、レバチニブ、アキシチニブ、イコチニブ、アパチニブ、ソニデギブ、コビメチニブ、オシメルチニブ、アレクチニブ、イキサゾミブ;又は
iv)リツキサン、ハーセプチン等の腫瘍関連抗原特異的抗体であり、
好ましくは、抗癌剤が、オキサリプラチン、エピルビシン、パクリタキセル及びゲムシタビンから選択され、より好ましくはゲムシタビンである、請求項31に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医学の分野に関する。特に、本発明は、疾患を治療するためのインターフェロンベースの方法であって、インターフェロンベースの治療剤を対象に間欠的に投与することを含み、疾患が、例えば、ウイルス感染症又は癌である、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インターフェロン(IFN)は、複数の機能を有する活性タンパク質であり、単球及びリンパ球から産生されるサイトカインである。広範囲抗ウイルス活性、細胞の増殖、分化への影響、及び免疫機能の調節等、種々の生物活性を有しており、インターフェロンは、現在、最も重要な抗ウイルス感染症及び抗腫瘍の生物学的製剤である。広範囲抗ウイルス物質としてのインターフェロンは、ウイルスを直接的に死滅又は抑制するものではない。代わりに、インターフェロンは、主に細胞表面の受容体に作用し、細胞が抗ウイルスタンパク質を生成することによって、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、マクロファージ、及びTリンパ球の活性を増強しながら、ウイルスの複製を阻害し、これによってインターフェロンが免疫調節を行い、抗ウイルス能力を向上するようになっている。
【0003】
現在、インターフェロンはI型、II型、及びIII型インターフェロンに分類される。タイプIインターフェロンは、IFN-α、及びIFN-β等を含む。IFN-αインターフェロンは、主に単球-マクロファージによって生成される。さらに、B細胞及び線維芽細胞もIFN-αインターフェロンを合成し得る。IFN-βインターフェロンは、主に繊維芽細胞によって生成される。IFN-αインターフェロン及びIFN-βインターフェロンは共に、例えば単球-マクロファージ、多形核白血球、B細胞、T細胞、血小板、上皮細胞、内皮細胞、及び腫瘍細胞に広く分布する同じ受容体に結合する。IFNαには23を超えるサブタイプがあることが知られている。IFNβには1つのサブタイプしかない。II型インターフェロン、又はγインターフェロンは、主に活性化T細胞(Th0、Th1細胞、殆ど全てのCD8+T細胞を含む)及びNK細胞によって生成され、いわゆるリンパカインに属する。IFN-γは、細胞外マトリクスに結合した形で存在している場合もあり、バイスタンダー効果によって細胞の増殖を制御し得る。IFN-γは、成熟した赤血球を除く殆ど全ての細胞の表面に分布し得る。IFN-γには1つのサブタイプしかない。III型インターフェロンは、主にインターフェロンλを指す。
【0004】
インターフェロン、インターフェロン変異体、及びインターフェロン誘導体は、種々の治療に広く使用することが承認されている。ヒトの臨床治療について承認されているインターフェロン及び変異体としては、インターフェロンα2a、インターフェロンα2b、インターフェロンα1b、化合物インターフェロン(インファーゲン(Infergen))、及びインターフェロン変異体(例えばノバフェロン(Novaferon))、インターフェロンβ、及びインターフェロンγ(1b)等が挙げられる。インターフェロン誘導体としては、ペグインターフェロンα2a、ペグインターフェロンα2b、及び統合型インターフェロン等が挙げられる。
【0005】
また、近年、TLR、RLR、及びSTING等のシグナル経路の発見及び解明に伴い、上述のシグナル経路に作用してインターフェロンを生成する一連のアゴニストが発見及び解明され、その使用も今後のインターフェロンベースの治療の新たな方向性となっている。現在のところ、この種のアゴニストは、HBV及び関連する腫瘍の治療に用いられている。
【0006】
しかし、インターフェロン物質及びそのアゴニストによって一定の治療効果が得られているものの、その応用効果はあまり満足できるものではない。B型慢性肝炎の治療を例にとると、e抗原陽性のB型慢性肝炎患者においては、約30%のみのe抗原の血清転換、及び1~3%のみのS抗原のクリアランス率しかもたらし得ないことが示されており(ペグベロン(Pegberon)のマニュアル参照)、そのため、臨床使用効果は低いものとなっている。多数の臨床試験によって、インターフェロン製剤を連続的に使用した場合、治療プロセス初期において表面抗原指標及びe抗原指標は、後期の指標よりも速く低下し、後期の変化は緩やかであることが示されている。HBVの複数の遺伝子型を対象とした研究の結果は類似しており、その作用機序は特定のT細胞の疲弊及び免疫抑制に関係し得ることが多くの研究で示されている。治療効果を改善するための方法は徐々に進行している。
【0007】
I型IFNは、癌の臨床治療のためにFDAが承認した最初の免疫療法薬剤のバッチである。IFNは、血液系腫瘍に最も優れた治癒効果を示し、次いでリンパ系腫瘍にも効果があるが、悪性黒色腫、卵巣腫瘍、結腸直腸癌等の固形腫瘍については治癒効果が20%以下と最悪の結果となる。また、インターフェロンと化学療法、放射線療法、免疫療法との併用適用は、現在のところインターフェロンを用いた一般的な抗腫瘍療法である。例えば、肝臓癌及び結腸直腸癌の治療に対するインターフェロンと5-フルオロウラシルとの併用適用、肺癌を治療するためのインターフェロンとシスプラチン、カルボプラチン等との併用適用がある。これらの研究は一定の成果を上げているが、全体的な効果はそれほど満足できるものではなく、予後は不良である。また、インターフェロンは一般的に臨床現場では大量に連続適用によって投与され、これにより、薬剤関連毒性、及び患者のコンプライアンス又は耐性が低いなどの問題が必然的に引き起こされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
要約すると、インターフェロンの適用、又はインターフェロンと抗癌剤若しくは放射線療法及び他の治療方法との併用適用については、臨床応用がある程度進んでいるが、一般的には、そのような方法は、望ましくない効果をもたらし、予後が不良であり、毒性の副作用が大きい。
【0009】
したがって、当技術分野では、インターフェロンベースの治療法を改善し、より優れた治療効果を達成することが依然として望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】ペガシス(Pegasys)又はペグベロンを従来のレジメンで投与した場合のB型慢性肝炎の治療効果(表面抗原-時間曲線)を示す。
【
図2】インターフェロンを間欠的に投与することで、治療後期におけるインターフェロンの有効性が改善し得ることを示す。
【
図3】インターフェロンを間欠的に投与することで、繰り返して免疫クリアランスを開始し得ることを示す。
【
図4】インターフェロンを間欠的に投与することで、患者の血清中のB型肝炎表面抗原が陰性化し得ることを示す。
【
図5】mIFN-α4発酵上清のSP セファロースファーストフロー(Sepharose Fast Flow)の溶出プロファイルを示す。
【
図6】SPセファロースファーストフロー精製標的mIFN-α4の非還元SDS-PAGE(14%分離ゲル、銀染色)電気泳動の結果を示す。
【
図7】グリコシルを除去したmIFN-α4のQ Sepharose Fast Flow精製溶出プロファイルを示す。
【
図8】グリコシルを除去したmIFN-α4のQ セファロースファーストフロー精製原液の非還元SDS-PAGE(14%分離ゲル、銀染色)電気泳動の結果を示す。
【
図9】PEG-mIFN-α4のSP セファロースファーストフロー精製溶出プロファイルを示す。
【
図10】PEG-mIFN-α4原液の非還元SDS-PAGE(銀染色)電気泳動の結果を示す。
【
図11】1μg/マウスのPEG-mIFN-α4をBALB/cマウスに単回皮下注射したときの血漿濃度時間曲線を示す。
【
図12】マウスの移植肝癌H
22の治療におけるPEG-mIFN-α4の連続投与及び間欠的投与の有効性に関する比較実験の生存曲線を示す。
【
図13】マウスの肝臓癌H
22の治療におけるゲムシタビンの投与と組み合わせたインターフェロンの間欠的投与の腫瘍変化を示す。
【
図14】マウスの肺癌LLCの治療におけるゲムシタビンの投与と組み合わせたインターフェロンの間欠的投与の腫瘍変化を示す。
【
図15】結腸直腸癌CT26の治療におけるゲムシタビンの投与と組み合わせたインターフェロンの間欠的投与の腫瘍変化を示す。
【
図16】黒色腫B16の治療におけるゲムシタビンの投与と組み合わせたインターフェロンの間欠的投与の腫瘍変化を示す。
【
図17】マウスの移植肝癌H22の治療におけるゲムシタビンの投与と組み合わせたPEG-mIFN-α4の間欠的投与の有効性についての比較実験の生存曲線を示す。
【
図18】マウスの移植肝癌H22の治療における抗癌剤エピルビシンの投与と組み合わせたインターフェロンの間欠的投与の生存曲線を示す。
【
図19】マウスの移植肝癌H22の治療における抗癌剤オキサリプラチンの投与と組み合わせたインターフェロンの間欠的投与の生存曲線を示す。
【
図20】マウスの移植肝癌H22の治療における抗癌剤パクリタキセルの投与と組み合わせたインターフェロンの間欠的投与の生存曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者らは、インターフェロンを一定の治療コースで連続的に投与する場合と比較して、複数の治療コースでインターフェロンを間欠的に投与することにより、有意に優れた治療効果を達成し得ること、例えば、実質的に同じ用量で、実質的に同じ投与時間で、又は実質的に同じ治療期間で、有意に優れた治療効果を達成し得ることを予想外に見出した。
【0012】
理論に限定されるものではないが、インターフェロンを長期間連続的して投与すると、回復が困難な免疫細胞の消費が引き起こされ得ると考えられている。インターフェロンの有効性は、免疫系に依存している。そのため、インターフェロンベースの療法は、免疫細胞が未だ十分にある治療初期には、高いウイルスクリアランス又は腫瘍抑制等の良好な治療効果を達成し得る。しかし、治療後期には、インターフェロンの長期投与によって引き起こされる免疫細胞の欠乏により、治療効果が大幅に低下し、インターフェロンの投与を継続しても改善されないことがある。この問題は、インターフェロンを間欠的に投与することで回避し得る。例えば、一定の治療効果を達成するためにインターフェロンを一定期間投与した後、部分的な免疫抑制及び免疫細胞が疲弊する前に、インターフェロンの投与を一定期間停止し、免疫細胞ができるだけ速く回復することを可能にし、その後、インターフェロンの投与を再開した場合、良好な治療効果をなお達成し得る。
【0013】
したがって、一態様において、本発明は、インターフェロンベースの治療剤を複数の連続した治療コースで対象に間欠的に投与することを含む、対象の疾患を治療するための方法を提供する。
【0014】
「インターフェロン」は、ヒトインターフェロン、例えば、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ又はインターフェロンλ、好ましくはインターフェロンα等のI型、II型又はIII型インターフェロンであってもよい。
【0015】
本明細書で使用する「インターフェロンベースの治療剤」は、天然のインターフェロンの効果の少なくとも一部を生成することができる治療剤を指す。
【0016】
例えば、「インターフェロンベースの治療剤」は、自然に単離されたインターフェロン、又は組換え生成されたインターフェロン、例えばI型インターフェロン、好ましくはインターフェロンαを含み得る。好適なインターフェロンαとしては、インターフェロンα2a、インターフェロンα2b又はインターフェロンα1bが挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
また、「インターフェロンベースの治療剤」は、インファーゲン(組換え統合型インターフェロン)等のインターフェロン変異体を含み得る。
【0018】
また、「インターフェロンベースの治療剤」は、インターフェロン誘導体、例えば、PEG化インターフェロン又はその変異体、アルブミン化インターフェロン又はその変異体、及び他のタンパク質及び有機修飾されたインターフェロン及びその変異体等を含み得る。PEG化修飾インターフェロン又はその変異体の例としては、ペグインターフェロンα2a(例えば、ペガシス、40Kd二分枝UPEG-NHS修飾)、ペグインターフェロンα2b(例えば、ペギントロン(Pegintron)、12Kd直鎖PEG-SC修飾)、ペグインターフェロンα2b(例えば、ペグベロン、Y型40Kd PEG修飾)、培養インターフェロンα-2(例えば、ペギンファー(PEGINFER))、ペグインターフェロンλ、及びP1101等が挙げられる。
【0019】
いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」は、PEG化インターフェロン又はその変異体等の長時間作用型インターフェロンを含む。いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」は、短時間作用型インターフェロンを含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」は、複数の種類のインターフェロン又はその変異体若しくは誘導体を含む。
【0021】
「インターフェロンベースの治療剤」という用語は、販売が承認されているインターフェロン又はその変異体若しくは誘導体を含む種々の治療剤を網羅する。いくつかの実施形態では、「インターフェロンベースの治療剤」は、ペグベロン(Y型40Kd PEG修飾、ペグインターフェロンα2b、アモイトプ(Amoytop))である。いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」は、ペガシス(ペグインターフェロンα2a、Roche)である。いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」はペギントロン(ペグインターフェロンα2b注射薬、Schering-Plough)である。いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」はインファーゲン(組換え統合型インターフェロン、Amgen、USA)である。いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」は、Intron A(組換えヒトインターフェロンα2b、Schering-Plough)である。いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」は、Roferon-A(インターフェロンα2a、Roche)である。いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」は、ハプゲン(Hapgen)(組換えヒトインターフェロンα1b、Beijing Sanyuan Jiyin Engineering CO.,Ltd)である。いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」は、PEGINFER(PEG化-統合型インターフェロンα-2注射薬、Beijing Kawin Technology Co.,Ltd.)である。いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」は、ペグインターフェロンλ(Nanogen Pharmaceutical biotechbology)である。
【0022】
いくつかの好ましい実施形態において、インターフェロンベースの治療剤は、インターフェロンα2bを含む。いくつかの好ましい実施形態において、インターフェロンベースの治療剤は、ポリエチレングリコール修飾インターフェロンα2bを含む。いくつかの好ましい実施形態において、インターフェロンベースの治療剤はペグベロンである。
【0023】
いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」は、インターフェロン又はその変異体若しくは誘導体を含み、ここで、インターフェロン又はその変異体若しくは誘導体は、配列番号1~5のいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、又は、インターフェロン又はその変異体若しくは誘導体は、配列番号1~5のいずれか1つに対して、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0024】
いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」は、インターフェロン又はその変異体若しくは誘導体をコードする核酸分子、例えば、組換え核酸発現ベクターも含む。適切な発現ベクター、特に治療用途に適した発現ベクターは、当技術分野の当業者によって容易に決定することができる。
【0025】
「インターフェロンベースの治療剤」には、また、内在性インターフェロンの生成を促進することができる物質、例えば、TLR、RLR、及びSTINGシグナル経路のアゴニスト等が含まれていてもよい。内在性インターフェロンの生成を促進することができる物質の例としては、GS-9620、GS-9688、RO7020531、RO6864018、TQ-A3334、JNJ-4964、SB9200、MIW815、DMXAA、MK-1454、diABZI等が挙げられるが、これらに限定されない[1]-[34]。
【0026】
本明細書において使用する用語「連続的な治療コース」は、治療コース中に治療剤を投与することにより、患者体内の(外因性又は内在性)インターフェロンのインビボ有効濃度(例えば、有効血中濃度)を連続的に維持すること、又は患者体内のインターフェロンの主要薬力学マーカーであるネオプテリン(NPT)のインビボ濃度(例えば、血中濃度)を、治療剤を投与していない時の濃度(初期濃度又はベースライン濃度)よりも連続的に高く維持することが可能になることを意味する。インターフェロンの主要薬力学的マーカーであるネオプテリンとインターフェロンの投与との間には良好な相関関係があるため、ネオプテリンのインビボ濃度(血中濃度等)の変化を「連続的な治療コース」の指標として使用することが特に好ましい。例えば、「連続的な治療コース」は、インターフェロンベースの治療剤を1回又は複数回投与することにより、実質的に治療コース全体の間、対象のネオプテリン濃度を最初の投与前のネオプテリン濃度(ベースライン濃度)よりも高く、例えば、最初の投与前のネオプテリン濃度の約110%、約120%、約130%、約140%、約150%、約200%、約250%又はそれより高く保つことができる治療コースと定義することができる。ネオプテリンのインビボ濃度は、当技術分野で知られている方法によって決定し得る。
【0027】
連続的な治療コースでは、インターフェロンベースの治療剤の投与スキームは、一般的には、インビボにおける半減期等、選択された治療剤の特性によって決定される。例えば、連続的治療コースにおいて、長時間作用型インターフェロン(インビボの半減期が概ね30~120時間)は、1週間に1回程度、2週間に1回程度で投与しても、又は1ヶ月に1回程度若しくは投与量を増やす場合にはさらに長期間にわたって投与してもよく、短時間作用型インターフェロン(インビボの半減期が概ね2~5時間)は、1日1回、2日に1回、又は1週間に3回投与しても、又は投与量を増やす(例えば9~36MIU以上)の場合は1週間に1回投与しても、又は投与量を低下させる場合は1日に複数回投与してもよい。連続的な治療コースにおいて、インターフェロンベースの治療剤の投与回数は、上記の「連続的な治療コース」の定義を満たす限り、特に限定されるものではない。当技術分野の当業者であれば、インターフェロンベースの治療剤の、ネオプテリン等の薬力学的マーカーのインビボ濃度(血中濃度等)に基づいて連続的な治療コースを決定することができる。
【0028】
いくつかの実施形態において、「連続的な治療コース」で、「インターフェロンベースの治療剤」をその従来の投与スキームで投与してもよい。例えば、インファーゲン(組換え統合型インターフェロン)、インターフェロンα2b(イントロンA等)、インターフェロンα2a(ロフェロン-A等)、インターフェロンα1b(ハプゲン等)は、3~18MIUの用量範囲で、1日1回、又は2日に1回、又は1週間に3回、投与してもよい。ペグインターフェロンα2a(例えば、ペガシス)、ペグインターフェロンα2b(例えば、ペギントロン又はペグベロン)、PEG化統合型インターフェロンα-2(例えば、ペギンファー)又はペグインターフェロンλは、45~270μgの投与量範囲で週に1回投与し得る。P1101は、約400μgを2週間に1回投与してもよい。アルブミン化インターフェロンα2bは、約900~約1800μgを2週間に1回、又は約1200μgを4週間に1回投与してもよい。
【0029】
複数の連続的なコースの各1つの期間は、治療剤が一定の治療効果を達成することを可能にするが、免疫細胞の過剰な消費は避けるべきである。治療コースにおける免疫細胞の消費は、通常、治療指標の変化によって特定される。例えば、関連する治療指標が治療剤の有効性の悪化を示す場合、免疫細胞の過剰な消費を示している可能性がある。例えば、B型慢性肝炎をインターフェロンで治療する標準的なスキーム(インターフェロン剤による12ヶ月間の連続的治療)では、治療初期(例えば、最初の3ヶ月間や最初の6ヶ月間)の表面抗原の減少が、治療後期(例えば、後半の9ヶ月間又は後半の6ヶ月間)の表面抗原の減少に比べて有意に大きく、部分的な免疫抑制と免疫細胞の欠乏(例えば、3ヶ月間又は6ヶ月間の連続的投与後)を示す(実施例1参照)。
【0030】
いくつかの実施形態において、複数の連続的な治療コースのそれぞれの期間は、少なくとも約1週間である。
【0031】
いくつかの実施形態では、複数の連続的な治療コースのそれぞれの期間は、最大で約24週間である。
【0032】
いくつかの実施形態において、複数の連続的な治療コースのそれぞれの期間は、約1週間~約24週間であり、例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約13週間、約14週間、約15週間、約16週間、約17週間、約18週間、約19週間、約20週間、約21週間、約22週間、約23週間、又は約24週間である。
【0033】
いくつかの好ましい実施形態において、複数の連続的な治療コースのそれぞれの期間は、約1週間~約12週間である。いくつかのさらに好ましい実施形態において、複数の連続的な治療コースのそれぞれの期間は、約1週間~約8週間である。いくつかのさらに好ましい実施形態において、複数の連続的な治療コースのそれぞれの期間は、約2週間~約6週間である。いくつかのさらに好ましい実施形態において、複数の連続的な治療コースのそれぞれの期間は、約2週間である。
【0034】
いくつかの実施形態において、それぞれの連続的な治療コースの終点(すなわち、連続的な治療コース間の間隔の開始点)は、連続的な治療コースにおけるインターフェロンベースの治療剤の最後の投与の時点、プラス治療剤のインビボ半減期の約5倍であってもよい。すなわち、連続的な治療コースの期間は、最初の投与から最後の投与までの期間、プラス治療剤のインビボ半減期の約5倍である。半減期の5倍後では、治療剤は実質的な治療効果をもはや生じないようになると考えられている。
【0035】
本発明の方法では、複数の連続的な治療コース間の間隔は、免疫細胞の再生サイクルに依存し得る。間隔の期間は、治療によって減少した患者の免疫細胞が、治療を効果的に実施できるレベルまで回復するのを可能にすべきである。一般的に、免疫細胞が増殖するには約1~2週間かかると考えられている。したがって、複数の連続的な治療コースの最短の間隔は、約1週間とし得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、複数の連続的な治療コース間の間隔は、少なくとも約1週間の間隔である。
【0037】
いくつかの実施形態において、複数の連続的な治療コース間の間隔は最大で約24週間である。
【0038】
いくつかの実施形態において、複数の連続的な治療コース間の間隔は、約1週間から約24週間であり、例えば、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間、約12週間、約13週間、約14週間、約15週間、約16週間、約17週間、約18週間、約19週間、約20週間、約21週間、約22週間、約23週間、又は約24週間である。
【0039】
いくつかの好ましい実施形態において、複数の連続的な治療コース間の間隔は、約1週間~約12週間である。いくつかのより好ましい実施形態において、複数の連続的な治療コース間の間隔は、約1週間~約8週間である。さらにいくつかの好ましい実施形態において、複数の連続的な治療コース間の間隔は、約2週間~約6週間である。
【0040】
いくつかの実施形態において、連続的な治療コースのそれぞれの期間は、約1週間から約24週間であり、治療コース間の間隔は、約1週間から約24週間である。
【0041】
いくつかの実施形態において、連続的な治療コースのそれぞれの期間は約1週間~約12週間であり、治療コース間の間隔は約1週間~約12週間である。
【0042】
いくつかの実施形態において、連続的な治療コースのそれぞれの期間は、約1週間~約8週間であり、治療コース間の間隔は、約1週間~約8週間である。
【0043】
いくつかの実施形態において、連続的な治療コースのそれぞれの期間は約2週間~約6週間であり、治療コース間の間隔は約2週間~約6週間である。
【0044】
いくつかの実施形態において、連続的な治療コースのそれぞれの期間は約2週間であり、治療コース間の間隔は約2週間である。
【0045】
いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25の、又はそれより多い連続的な治療コースで投与される。
【0046】
いくつかの実施形態において、複数の連続的な治療コースの期間は実質的に同じである。
【0047】
いくつかの実施形態において、治療コースの時間間隔は実質的に同じである。
【0048】
いくつかの具体的な実施形態において、インターフェロンベースの治療剤はペグベロンであり、連続的な治療コースのそれぞれの期間は約5週間~約24週間であり、連続的な治療コース間の間隔は約2週間~8週間である。
【0049】
いくつかの実施形態において、疾患は、ウイルス感染症である。ウイルス感染症としては、B型肝炎ウイルス感染症、C型肝炎ウイルス感染症、D型肝炎ウイルス感染症、HIV感染症、EBV感染症、HPV感染症、CMV感染症、及びヘルペスウイルス感染症等が挙げられるが、これらに限定されず、好ましくはB型肝炎ウイルス感染症である。
【0050】
いくつかの実施形態において、疾患は、癌である。癌としては、白血病(急性リンパ性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性リンパ性白血病、多毛性白血病等)、肝臓癌、肺癌、結腸直腸癌、皮膚癌、胃癌、乳癌、前立腺癌、非ホジキンリンパ腫、黒色腫、多発性骨髄腫、喉頭乳頭腫、濾胞性リンパ腫、AIDS関連カポジ肉腫、及び腎細胞癌等が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、疾患は骨髄増殖性腫瘍(MPN)である。いくつかの好ましい実施形態において、疾患は、肝臓癌、肺癌、乳癌、結腸直腸癌又は黒色腫である。
【0051】
いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」は、追加の薬剤と併用して投与される。追加の薬剤は、抗ウイルス剤、及び抗癌剤等を含むが、これらに限定されない。
【0052】
いくつかの実施形態において、抗ウイルス剤は、侵入・脱殻阻害剤、例えば非限定的にはアマンタジン、リマンタジン、エンフビルチド、マラビロ;DNAポリメラーゼ阻害剤、例えば非限定的にはアシクロビル、ガンシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル、ホスカルネット;逆転写酵素阻害剤:ヌクレオシド:例えば非限定的にはラミブジン、ジドブジン、エムトリシタビン、テノホビル、アデホビルジピボキシル、TAF、エンテカビル、非ヌクレオシド:例えば非限定的には、エファビレンツ、ネビラピン;タンパク質阻害剤:サキナビル;ノイラミニダーゼ阻害剤:例えば非限定的にはオセルタミビル、ザナミビル;広範囲抗ウイルス剤:例えば非限定的にはリバビリン等である。いくつかの好ましい実施形態において、抗ウイルス剤はエンテカビル、テノホビル、及びTAF等である。
【0053】
いくつかの実施形態において、抗HIVウイルス治療において、追加の薬剤は、エムトリシタビン、テノホビル、ラミブジン、サキナビル、インジナビル、リトナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ロピナビル、アタザナビル、カレトラ、ネビラピン、デラビルジン、及びエファビレンツ等を含むが、これらに限定されない。
【0054】
いくつかの実施形態において、インターフェロンベースの治療剤はペグベロンであり、抗ウイルス剤はエンテカビルである。
【0055】
いくつかの具体的な実施形態において、本方法は、B型肝炎ウイルス感染症を治療するために使用され、インターフェロンベースの治療剤はペグベロンであり、連続的な治療コースのそれぞれの期間は約5週間~約24週間であり、連続的な治療コース間の間隔は約2週間~8週間であり、抗ウイルス剤はエンテカビルであり、毎日投与される。
【0056】
いくつかの実施形態において、抗癌剤は、化学療法剤であり、例えば、アルキル化剤:ニムスチン、カルムスチン、ロムスチン、シクロホスファミド、イホスファミド、グリシホスホラミド、セムスチン;例えば、化学療法的な代謝拮抗剤:デオキシフルオグアノシン、ドキシフルグアニジン、5-フルオロウラシル、メルカプトプリン、チオグアニン、シタラビン、フルグアノシン、テガフール、ゲムシタビン、カルモフール、ヒドロキシウレア、メトトレキサート、UFT、アンシタビン、カペシタビン;例えば、化学療法的な抗腫瘍抗生物質:アクチノマイシンD、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、ペロマイシン、ピンヤンマイシン、ピラルビシン;例えば化学療法的な抗腫瘍性動物及び植物成分:イリノテカン、ハリントニン、ヒドロキシカンプトテシン、ビノレルビン、パクリタキセル、アルブミンパクリタキセル、タキソテール、トポテカン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビンデシン、ビンブラスチン、テニポシド、エトポシド、エレメン;例えば、抗腫瘍剤のホルモン:アタメスタン、アナストロゾール、アミノグルテチミド、レトロゾール、フォルメスタン、メタステロン、タモキシフェン;種々の化学療法剤等:アスパラギナーゼ、カルボプラチン、シスプラチン、ダカルバジン、オキサリプラチン、ロキサジン、エロキサチン、ミトキサントロン、又はプロカルバジンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
いくつかの実施形態において、追加の薬剤は小分子標的薬剤であり、イマチニブ、ゲフィチニブ、ボルテゾミブ、エルロチニブ、ソラフェニブ、レナリドミド、スニチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、ラパチニブ、パゾパニブ、エベロリムス、バンデタニブ、クリゾチニブ、ベロフィニブ、ルキソリチニブ、アキシチニブ、ビスモデギブ、カーフィルゾミブ、レゴラフェニブ、ボスチニブ、トファシチニブ、カルボチニブ、パナチニブ、ポマリドマイド、トラメチニブ、ダブラフェニブ、アファチニブ、イコチニブ、イブルチニブ。セリチニブ、イデラリス、アパチニブ、パブチリブ、レバチニブ、アキシチニブ、イコチニブ、アパチニブ、ソニデギブ、コビメチニブ、オシメルチニブ、アレクチニブ、イキサゾミブを含むがこれらに限定されない。
【0058】
いくつかの実施形態において、追加の薬剤は、リツキサン、及びハーセプチン等の腫瘍関連抗原特異的抗体である。
【0059】
また、追加の薬剤は、PD1、PDL1、CTLA4等の阻害剤等の免疫チェックポイント阻害剤であってもよく、例えば、特異的抗体等であってもよい。免疫チェックポイント阻害剤の例としては、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、及びアベルマブ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
いくつかの特定の実施形態において、化学療法剤はオキサリプラチンである。いくつかの特定の実施形態において、化学療法剤は、エピルビシンである。いくつかの特定の実施形態において、化学療法剤はパクリタキセルである。
【0061】
いくつかの好ましい実施形態において、化学療法剤は、ゲムシタビン、カペシタビン、及びアンシタビン等の抗代謝性化学療法剤である。いくつかの最も好ましい実施形態において、化学療法剤はゲムシタビンである。
【0062】
いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」の投与は、追加の薬剤の投与とは重複しない。
【0063】
いくつかの実施形態において、追加の薬剤は、複数の連続的な治療コースの間に投与される。例えば、追加の薬剤は、「インターフェロンベースの治療剤」の投与間隔の間の期間に投与されてもよく、前記期間は、前記間隔よりも短いか又は等しい。
【0064】
いくつかの実施形態において、「インターフェロンベースの治療剤」の投与は、追加の薬剤の投与と重複している。
【0065】
いくつかの実施形態において、複数の連続的な治療コースの間に追加の薬剤が投与される、つまり、治療期間全体で追加の薬剤が投与される(完全に重複する)。
【0066】
抗ウイルス剤等の追加の薬剤を「インターフェロンベースの治療剤」の治療期間全体又は治療間隔内に投与することは、「インターフェロンベースの治療剤」の投与を中断している期間中のウイルスの再感染を抑制又は回避することができるため、B型肝炎ウイルス感染症等のウイルス感染症の治療に特に好ましい。いくつかの実施形態において、追加の薬剤は、従来のスキーム、例えば、治療される疾患に対するその従来の投与スキームに従って投与される。
【0067】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、対象者のウイルス負荷の低減、例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%の低減をもたらす。好ましくは、本発明の方法により、対象のウイルスが実質的に除去され、例えば、従来の方法では検出できなくなる。好ましくは、本発明の方法により、ウイルス感染に関連する1つ又は複数の症候が緩和又は除去される。
【0068】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、腫瘍の退縮若しくは腫瘍体積の減少、又は対象の生存期間の延長をもたらす。特に、本発明の方法は:癌細胞数の減少、腫瘍体積の低下、末梢器官への癌細胞の浸潤の阻害(すなわち、遅延又は停止)、腫瘍転移の阻害(すなわち、遅延又は停止)、腫瘍成長の阻害、及び/又は癌に関連する1つ又は複数の症候の緩和をもたらす。
【0069】
一態様において、本発明は、本発明の方法による対象の疾患の治療に使用するための、インターフェロンベースの治療剤を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態において、医薬組成物はまた、追加の薬剤を含む。インターフェロンベースの治療剤及び化学療法剤は、上記で定義した通りである。
【0070】
一態様において、本発明は、本発明の方法によって対象の疾患を治療するための医薬組成物の調製における、インターフェロンベースの治療剤の使用を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物はまた、追加の薬剤を含む。インターフェロンベースの治療剤及び化学療法剤は、上記で定義した通りである。
【0071】
一態様において、本発明は、対象の疾患を治療するための医薬組成物の調製における、追加の薬剤と組み合わせたインターフェロンベースの治療剤の使用を提供する。インターフェロンベースの治療剤及び化学療法剤は、上記で定義した通りである。インターフェロンベースの治療剤及び/又は追加の薬剤は、本発明の方法に従って投与し得る。
【0072】
一態様において、本発明は、追加の薬剤の有効性を高めるための医薬組成物の調製におけるインターフェロンベースの治療剤の使用を提供する。インターフェロンベースの治療剤及び化学療法剤は、上記で定義した通りである。インターフェロンベースの治療剤及び/又は追加の薬剤は、本発明の方法に従って投与し得る。
【0073】
一態様において、本発明は、インターフェロンベースの治療剤及び使用説明書を含むキットを提供し、使用説明書は、インターフェロンベースの治療剤が本発明の方法に従ったものであってもよいこと、又は対象の疾患を治療するために本発明の方法に従って投与してもよいことの説明を提供する。いくつかの実施形態において、キットはまた、追加の薬剤を含む。インターフェロンベースの治療剤及び化学療法剤は、上記で定義した通りである。
【実施例】
【0074】
以下の実施例は、本発明をよりよく説明するために提示するに過ぎず、本発明をいかなる形でも限定することを意図するものではない。
【0075】
実施例1.従来のインターフェロンを用いたB型肝炎治療
本発明者らは、ペグインターフェロンα2a(ペガシス)及びペグインターフェロンα2b(Y型40kDペグベロン)で治療を受けたB型肝炎患者のB型肝炎表面e抗原データを収集した。これらの患者は、薬剤の説明書に記載された治療スキームに従って連続的に治療を受けた。ペガシスの治療スキーム:ペガシスのみを1週間毎に180マイクログラムの投与量で48週間連続的投与を行った。ペガロン(Pegaron)の治療スキーム:ペガロンのみを1週間毎に180マイクログラムの投与量で48週間連続的して投与した。
【0076】
結果を
図1に示す。ペグインターフェロンα2a(ペガシス)及びペグインターフェロンα2b(Y型40kDペグベロン)によるB型慢性肝炎の治療において、表面抗原の減少は、初期段階での減少が速く、後期段階での減少が遅いという特性に一致したものであった。ペグベロン及びペガシスを用いた対照治療におけるe抗原陽性の慢性B型肝炎表面抗原の減少量の平均データグラフにおいて、治療効果は最初の24週間が最後の24週間よりも優れており、最初の12週間が最後の36週間よりも優れていたことが示されている。インターフェロンを12週間超又は24週間超連続的して使用することにより、部分的な免疫抑制及び免疫細胞の疲弊が引き起こされる可能性があり、それにより追跡治療の効果が悪くなり得る。
【0077】
実施例2.インターフェロンベースの治療の改善
実施例1に示すように、連続的なインターフェロン治療の有効性は低い。本発明者らは驚くべきことに、インターフェロンを間欠的に投与することにより、有意に優れた治療効果が得られることを見出した。
【0078】
B型慢性肝炎の患者において、ペグベロンを48週間使用した後、ペグベロンの投与を中断し、ウイルスの複製を阻害するためにヌクレオチドアナログであるエンテカビル(ETV)を定期的に投与した。ペグベロンの投与を5週間中断した後、再びペグベロンを8週間使用し、その後再び6週間中断した。このプロセスを次の段階で繰り返した。
【0079】
ペグベロンの投与:1週間毎に180マイクログラム:ヌクレオチドアナログETVは1日0.5mgを経口投与した。
【0080】
具体的には、
図2に示すように、0週目から48週目までペグベロンを患者に投与し、49週目からヌクレオチドアナログETVを投与した。49週目から52週目まではペグベロンの投与を中断し、53週目~61週目までは再開した。62週目以降、ペグベロンは4週間超中断した。図から、8週間投与を実施し、4週間投与を中断した53週目から65週目の表面抗原の減少は、36週目から48週目の減少に比べて有意に速いことが分かり得る。投与を中断した5週間で、免疫クリアランス能力の回復が達成されていてもよいことが示されている。
【0081】
他のB型慢性肝炎患者の治療では、ペグベロンとETVの併用治療を8週間実施した後、ETVの使用を連続的しながらペグベロンの投与を5週間中断し、その後ペグベロンを5週間使用して2週間中断した。
【0082】
ペグベロンの投与:1週間に90マイクログラム。ヌクレオチドアナログETVは1日0.5mgを投与した。
【0083】
図3に示すように、インターフェロンの使用中、最初の4週間の期間後に、トランスアミナーゼの増加に伴って表面抗原が増加することが観察され、インターフェロンが関連する細胞クリアランス機構を活性化する可能性があることが示された。5週間投与を中断し、2週間投与を再開した後、トランスアミナーゼの増加及び表面抗原の増加のプロセスが観察された。インターフェロン治療後、一定期間の中断及び投与再開によって、免疫クリアランスが繰り返して開始し得ることが示唆された。投与中断によって、関連する免疫抑制が解除され得る。トランスアミナーゼの上昇は、感染した細胞が免疫によってクリアされたことを意味すると推測されている。破壊された肝細胞から関連する代謝酵素が放出される一方で、破壊された細胞からの表面抗原の放出が一時的に増加していた。
【0084】
他のB型慢性肝炎患者に対しては、ペグベロンを週に180マイクログラム投与し、ヌクレオチドアナログETVを1日0.5mg投与した。第4週から開始して24週間、ペグベロンをETVと併用して投与した。28週目~40週目は、ペグベロンを中断し、ETVのみを投与した。44週目~68週週目は、ペグベロンをETVと併用して投与した。68週目~76週週目は、ペグベロンを中断し、ETVのみを投与した。76~80週目にペグベロンをETVと併用して投与した。
【0085】
図4に示すように、インターフェロンを使用している間、最初の24週間の期間では、表面抗原が増加した後、トランスアミナーゼの増加とともに減少することが観察され、インターフェロンが関連する細胞クリアランス機構を活性化し得ることを示している。76~80週目の治療では、表面抗原が0.05未満となり、B型肝炎の表面抗原が検出ラインよりも低くなり、それにより表面抗原が除去されていることが見出された。インターフェロン治療後、一定期間の中断と投与再開により、繰り返して免疫クリアランスが開始される可能性が示唆された。
【0086】
以上の結果から、サイクル化した投与によって、インターフェロン投与時には免疫クリアランス及び免疫細胞の消費を繰り返し、中断期間にはヌクレオチドアナログを用いてウイルスの再感染を防ぎながら、部分的な免疫回復及び免疫抑制の排除を行い、最終的にはB型肝炎ウイルスに感染した肝細胞を排除することで、B型慢性肝炎患者の血清中の表面抗原が陰性化し、臨床的治癒が達成されることが示唆された。
【0087】
実施例3.組換えマウスインターフェロンα4(mIFN-α4)の調製
インターフェロンは、癌治療にも広く用いられているが、その効果を改善する必要がある。そこで、インターフェロンの連続的投与によって、実際に部分的な免疫抑制及び免疫細胞の疲弊が起こり、その後の治療効果が悪くなるかどうかを検討するために、マウスにおいてインターフェロンの間欠的投与と連続的投与の効果を比較した。
【0088】
抗腫瘍効果に関する多くの研究は、ヌードマウス(正常な胸腺がない)を宿主として行われていた。ヌードマウスの免疫状態は正常なマウスに比べて弱いため、正常な状態での免疫反応を反映させることは困難である。正常マウスに基づいた抗腫瘍モデルでは、インターフェロンの免疫系への作用が部分的に実現されてもよく、これは、インターフェロンを投与する抗腫瘍療法の効果が反映されていると考えられる。機能実現の観点からは、インターフェロンがその抗ウイルス及び抗腫瘍効果を十分に発揮するためには、宿主の免疫系に依存する必要がある。インターフェロンには強い種特異性があるため、実施例で正常なマウスを研究対象として使用した場合、マウスのインターフェロン又はその誘導体を使用することで、その生理作用及び実施効果をよりよく反映させることができる。本発明のマウスを用いた研究モデルでは、インターフェロン治療薬剤及びその誘導体の代表として、PEG化組換えマウスインターフェロンα4(PEG-mIFNα4)を用いた。
【0089】
mIFN-α4のアミノ酸配列(GenBank NP_034634)に従い、ピキア・パストリスの好ましいコドンに合わせてmIFN-α4のcDNA配列を最適化して設計し、GenScript Biotechnology Co.,Ltd.に委託してcDNAを合成した。mIFN-α4をコードするcDNAをpPIC9Kプラスミドに組み換え、TOP10コンピテントセルに形質転換し、LB固体培地上にプレーティングし、37℃で一晩培養した。単一のクローンを選んでLB液体培地に接種し、次いでこれを37℃で一晩培養した。プラスミドを抽出し、XhoI及びNotIで二重消化を行った。陽性クローンは、核酸電気泳動で同定し、さらに核酸配列決定で確認した。陽性クローンのプラスミドをSalIで消化して線状化し、ピキア・パストリスGS115に電気形質導入し、RDプレートにプレーティングし、28~30℃で3日間培養した。陽性の形質転換体を選んでYPD液体培地に接種し、28-30℃で一晩培養し、OD600nmの最終濃度が約1になるようにBMMY培地に移し、28-30℃で約24時間インキュベートした。メタノールを最終濃度が約1%になるまで添加し、さらに28~30℃で約24時間培養した。培養液を遠心分離して上清を回収し、SDS-PAGE電気泳動によりmIFN-α4の発現を検出した。SDS-PAGE電気泳動の結果によって、より高い発現及び安定した発現を有する操作株を選択し、その後、発酵槽で発酵させた。
【0090】
発酵槽は30Lであった。発酵培養及びメタノール誘導については「Pichia Fermentation Process Guidelines」を参照し、誘導時間は約30hであった。発酵上清を遠心分離で回収し、5kDの中空糸膜チューブで3~5回限外濾過して濃縮し、緩衝液系を20mMリン酸緩衝液-20mMアルギニン塩酸塩-50mM塩化ナトリウム緩衝溶液(pH6.5)に置き換えた。続いて、SP Sepharose Fast Flowクロマトグラフィーカラム(GEヘルスケア、カラム床Φ38mm×160mm)に装填した後、20mMリン酸緩衝液-20mMアルギニン塩酸塩(pH6.5)(溶液A)を用いて、カラムの約3容量を洗浄した。溶液A及び20mMリン酸緩衝液-20mMアルギニン塩酸塩-1M塩化ナトリウム溶液(pH6.5)(溶液B)を使用して、勾配溶出を行った。mIFN-α4標的サンプルを回収し、非還元SDS-PAGE用サンプル(分離ゲル濃度14%、銀染色)を採取した。溶出プロファイルを
図5に、電気泳動の結果を
図6に示す。
【0091】
mIFN-α4 SP Sepharose Fast Flow精製サンプルを5K限外濾過膜パッケージを用いた限外濾過によって濃縮し、20mMリン酸緩衝液-50mMアルギニン塩酸塩-10mMメチオニン-20mM塩化ナトリウム(pH7.0)に置換した後、その濃度を約1.0mg/mlに調整した。mIFN-α4タンパク質と酵素の質量比が約20:1になるようにグリコシダーゼを添加し、25℃で約20時間消化を行い、グリコシル基を除去した。消化したサンプルを5mMホウ酸緩衝液-10mMアルギニン塩酸塩(pH9.0)で約6倍に希釈し、Q Sepharose Fast Flow クロマトグラフィーカラム(GEヘルスケア、カラム床Φ50mm×154mm)に装填した。20mMホウ酸緩衝液-20mMアルギニン塩酸塩-10mMメチオニン(pH9.0)(溶液C)を用いて、カラムの約3容量を洗浄した。溶液C及び20mMホウ酸緩衝液-20mMアルギニン塩酸塩-10mMフォルマザンチオニン-0.3M塩化ナトリウム(pH9.0)(溶液D)を用いて勾配溶出を行った。目的の脱グリコシル化mIFN-α4サンプルを回収し、10%酢酸でpHを約pH5.0に調整した。5K限外濾過膜を用いて限外濾過により濃縮し、緩衝液を5mM酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液-50mMアルギニン塩酸塩-100mM塩化ナトリウム(pH5.0)に置換した。得られたサンプルは、脱グリコシル化mIFN-α4のストック溶液であった。サンプルは検査に出すために採取して送られ、残りのサンプルは後で使用するために-70℃で凍結した。溶出プロファイルを
図7に示し、SDS-PAGE電気泳動の結果を
図8に示す。
【0092】
脱グリコシル化mIFN-α4ストック溶液の細菌性エンドトキシン含有量は、リムルス試薬法により60EU/mg未満と決定した。特異的活性は、市販のmIFN-α4(R&D、カタログ番号12115-1)を標準として使用し、マウス線維芽細胞/脳心筋炎ウイルス(L929/EMCV)サイトパス阻害法を用いて5.4×108U/mgと決定した。
【0093】
実施例4.PEG化組換えマウスインターフェロン(PEG-mIFN-α4)の調製
この脱グリコシル化mIFN-α4ストック溶液を、5kD限外濾過膜パッケージを用いた5mM酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液-50mM塩化ナトリウム(pH5.0)の緩衝液による限外濾過によって置換した。約333mlのサンプル(脱グリコシル化mIFNα4含量約500mg)を採取し、約22mlの0.8Mホウ酸/水酸化ナトリウム緩衝液(pH9.4)を添加し、よく撹拌した。タンパク質と40kDのY型ポリエチレングリコールスクシンイミドエステル(YPEG-NHS)の質量比が約1:8になるようにYPEG-NHSを添加した後、これを素早く撹拌し、室温で10分間反応させた。その後、約20mlの0.2Mメチオニンを添加して反応を停止させ、10%酢酸でpHを5.0に調整した。その後、550mlの純水を添加した後、さらに600mlの20mM酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液-20mMアルギニン塩酸塩-10mMメチオニン(pH5.1)(溶液E)を添加し、よく混合した。その後、SP Sepharose Fast Flowクロマトグラフィーカラム(GEヘルスケア、カラム床Φ50mm×194mm)に装填し、溶液Eを用いてカラムの約5容量の洗浄を行った。その後、溶液E及び20mM酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液-20mMアルギニン塩酸塩-10mMメチオニン-600mM塩化ナトリウム(pH5.1)(溶液F)を用いて勾配溶出を行い、PEG-mIFN-α4標的サンプルを回収した。5kD限外濾過膜パッケージを用いた限外濾過により緩衝液を20mMリン酸緩衝液-123mM塩化ナトリウム(pH6.5)に置換した後、適当に濃縮し、0.5%のTween80をTween80の最終濃度が約0.005%になるように添加した。得られたサンプルは、PEG-mIFN-α4ストック溶液(PEG-mIFN-α4)であった。サンプルを採取してから検査に出し、残ったサンプルは後で使用するために凍結して-70℃で保存した。溶出プロファイルを
図9に示し、SDS-PAGE電気泳動の結果を
図10に示す。
【0094】
PEG-mIFN-α4ストック溶液の細菌性エンドトキシン含有量は、リムルス試薬法により15EU/mg未満と決定した。特異的活性は、市販のmIFN-α4(R&D、カタログ番号12115-1)を標準として使用し、マウス線維芽細胞/脳筋心筋炎ウイルス(L929/EMCV)のサイトパス阻害法を用いて、6.1×106U/mgと決定した。
【0095】
実施例5.健康なBALB/cマウスにおけるPEG-mIFN-α4の皮下注射の薬物動態学的研究
本実施例では、BALB/cマウスは、Beijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.,Ltd.から購入した。PEG-mIFN-α4の血中濃度を二重抗体サンドイッチELISAにより検出した。Mouse IFN alpha Platinum ELISAキット(カタログ番号BMS6027/ BMS6027TEN,Thermo)の試験キットを使用したが、内在性mIFN-αの測定結果への干渉を避けるため、レポーター抗体を抗PEG抗体3.3ビオチン(Institute of Biomedical Sciences,Academia Sinica(IBMS),Taiwan)に変更した。
【0096】
6~8週齢、SPFグレードのBALB/cマウス(N=60、雌雄半々)に、1μg/マウスのPEG-mIFN-α4を首後部の皮下に単回皮下注射した。注射前(0時間)と、注射後の15時間、24時間、36時間、48時間、72時間、96時間、120時間、168時間、216時間、264時間、312時間に血漿サンプルを回収し、血中濃度を決定した。薬物動態パラメータの算出にはPhoenix WinNonlin 6.4ソフトウェアを使用した。
【0097】
血中濃度決定の結果を表1に、血中濃度-投与時間曲線を
図11に、及び薬物動態パラメータの結果を表2に示す。1μg/マウスのPEG-mIFN-α4をBALB/cマウスの首後部に単回皮下注射し、血漿濃度ピーク時間(T
max)は24時間、ピーク濃度時間(T
max)は268ng/ml、排出半減期(T
1/2)は28.3時間であった。
【0098】
【0099】
【0100】
実施例6.マウスに移植された肝臓癌H22に対するPEG-mIFN-α4の間欠的投与(48時間に1回投与、3回連続投与、144時間中断;4回連続)、及び連続的投与(48時間に1回投与、21回連続投与)の治療効果の比較試験
本実施例では、BALB/cマウスはBeijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.,Ltd.から購入し、マウス肝臓癌H22細胞株はChina Center for Type Culture Collection(CCTCC)から購入した。
【0101】
6~8週齢、18~22gのSPFグレードのBALB/cマウスに、H22細胞(0.5×106細胞/mL、0.2ml/マウス)を右前肢腋窩に皮下接種した。腫瘍接種の日に無作為にグループ分けを行った。実験群は、PEG-mIFN-α4連続投与群(N=15、雄7匹、雌8匹)、PEG-mIFN-α4間欠的投与群(N=15、雄7匹、雌8匹)、通常の生理食塩水対照群(N=10、雌5匹、雄5匹)等を含んでいた。
【0102】
PEG-mIFN-α4は、動物1匹あたり1マイクログラムの投与量で、首後部に皮下注射により投与した。PEG-mIFN-α4間欠的投与群は、48時間に1回、3回投与した後、144時間休止し、これを4回繰り返した。PEG-mIFN-α4連続的投与群は、48時間に1回、21回の連続投与を行った。通常の生理食塩水対照群には、同体積の通常の生理食塩水を投与した。
【0103】
全ての群で生存率分析を行い、群間の差を比較した。統計解析にはSAS9.4及びoffice2010ソフトウェアを使用し、統計検定は全て両側検定とした。
【0104】
生存曲線を
図12に示し、統計的比較結果を表3に示す。腫瘍接種後40日目、通常の生理食塩水対照群の生存期間の中央値は19.5日であり、PEG-mIFN-α4連続的投与群では38日であった。PEG-mIFN-α4間欠的投与群の生存率は93.3%であったが、生存期間の中央値はまだ算出できない。PEG-mIFN-α4連続的投与群と間欠的投与群の生存曲線は、通常の生理食塩水対照群と比較して有意に異なっていた。また、PEG-mIFN-α4連続的投与群と間欠的投与群の差も有意であった(P=0.0035)。PEG-mIFN-α4の間欠的投与群の生存期間は、連続的投与群よりも有意に長かった。マウスに移植された肝臓癌H
22の治療において、PEG-mIFN-α4の間欠的投与は連続的投与に比べて有意に優れた治癒効果を示す。
【0105】
【0106】
実施例7.マウスの肝臓癌H22を治療するためのゲムシタビンと併用したインターフェロンの間欠的投与
本発明者らは、ゲムシタビンと併用したPEG化組換えマウスインターフェロンα(PEG-mIFN-α4)をマウス肝癌H22に間欠的投与することによる抗腫瘍効果を検討し、インターフェロンとゲムシタビンの併用投与の有効性を探った。本発明者らは驚くべきことに、PEG-mIFN-α4を間欠的投与し、同時にゲムシタビンを投与することにより、ゲムシタビンを単独で投与する場合又はPEG-mIFN-α4を単独で間欠的投与する場合と比較して、H22腫瘍の治療において有意に良好な結果が得られる可能性があることを見出した。
【0107】
本実施例において、BALB/cマウスはBeijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.,Ltd.から購入し、H22マウス肝臓癌細胞株はChina Center for Type Culture Collection(CCTCC)から購入し、抗癌剤ゲムシタビンの製造者はJiangsu Hansoh Pharmaceutical Group Co.,Ltd.であった。
【0108】
120匹の6~8週齢、18~22gのSPFグレードのBALB/cマウスに、肝臓細胞癌H22腫瘍細胞(1×106細胞/mL、0.2ml/マウス)を右前肢腋窩に皮下接種した。腫瘍を接種してから3日後に、通常の生理食塩水対照群、PEG-mIFN-α4単独の群、ゲムシタビン単独の群、PEG-mIFN-α4とゲムシタビンの併用群を含むいくつかの試験群に無作為に分けた。投与は群分けの翌日から週1回で開始した。PEG-mIFN-α4は首後部に皮下注射し、ゲムシタビンは腹腔内に注射した。腫瘍の直径を測定し、V=1/2ab2(a、bはそれぞれ長さ、及び幅(mm)を表す)の式に基づいて各個体群の平均腫瘍体積を算出し、抗腫瘍効果を動的に観察した。
【0109】
統計解析には、SAS 9.4、office2010ソフトウェアを使用した。統計検定は全て両側検定とした。
【0110】
各群の腫瘍体積の変化を
図13に示す。腫瘍接種8日後、通常の生理食塩水対照群では、全てのマウスにおいて腫瘍が肉眼で確認できた。腫瘍接種から18日後、投与群の平均腫瘍体積は生理食塩水投与群よりも低く、ゲムシタビン、PEG-mIFN-α4、PEG-mIFN-α4とゲムシタビンとの併用は、いずれも一定の抗腫瘍効果を生み出していることが示された。PEG-mIFN-α4とゲムシタビンの併用群の平均腫瘍体積は、PEG-mIFN-α4単独の群及びゲムシタビン単独の群より有意に低かった(P<0.0001)。
【0111】
結果により、マウスペグインターフェロンαをゲムシタビンと併用して間欠的投与した場合の抗癌活性は、ペグインターフェロンα4を単独で間欠的投与した場合又はゲムシタビンを単独で投与した場合に比べて有意に優れていることが示された。
【0112】
【0113】
実施例8.マウスの肺癌LLCを治療するためのゲムシタビンと併用したインターフェロンの間欠的投与
本発明者らは、マウス肺癌LLCに対するゲムシタビンと併用したPEG-mIFN-α4の間欠的投与の抗腫瘍効果を調べ、インターフェロンとゲムシタビンの併用投与の有効性を探った。PEG-mIFN-α4を間欠的投与し、同時にゲムシタビンを投与することによって、ゲムシタビンを単独で投与した場合又はPEG-mIFN-α4を単独で間欠的投与した場合に比べて、肺癌LLCの治療においても有意に良好な結果が得られる可能性があることが実験により見出された。
【0114】
本実施例において、C57BL/6NマウスはBeijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.,Ltd.から購入し、LLCマウス肺癌細胞株はCell Resource Center,IBMSから購入した。抗癌剤はゲムシタビン(Jiangsu Hansoh Pharmaceutical Croup CO.,Ltd)であった。
【0115】
120匹の6~8週齢、18~22gのSPFグレードのC57BL6/Nマウスに、肺癌LLC腫瘍細胞(1×107細胞/mL、0.2ml/マウス)を右前肢腋窩に皮下接種した。腫瘍接種の3日後に、通常の生理食塩水対照群、ゲムシタビン単独の群、PEG-mIFN-α4とゲムシタビンの併用群に無作為に分けた。投与は、群分けの翌日から週1回で開始した。PEG-mIFN-α4は首後部に皮下注射し、ゲムシタビンは腹腔内に注射した。腫瘍の直径を測定し、V=1/2ab2(a、bはそれぞれ長さ、及び幅(mm)を表す)の式に基づいて各個体群の平均腫瘍体積を算出し、抗腫瘍効果を動的に観察した。
【0116】
統計解析には、SAS 9.4、office2010ソフトウェアを使用した。統計検定は全て両側検定とした。
【0117】
各群の腫瘍体積の変化を
図14に示す。腫瘍接種8日後、通常の生理食塩水対照群では、全てのマウスにおいて腫瘍が肉眼で確認できた。腫瘍接種から24日後、投与群の平均腫瘍保有体積は生理食塩水投与群よりも低く、ゲムシタビン、PEG-mIFN-α4、及びPEG-mIFN-α4とゲムシタビンとの併用が、いずれも一定の抗腫瘍効果を生み出していることが示された。PEG-mIFN-α4とゲムシタビンの併用群の平均腫瘍体積は、PEG-mIFN-α4単独の群及びゲムシタビン単独の群より有意に低かった(P<0.0001)。
【0118】
結果より、ゲムシタビンと併用して間欠的投与したマウスペグインターフェロンαの抗肺癌活性は、ペグインターフェロンα4を単独で間欠的投与した場合又はゲムシタビンを単独で投与した場合に比べて、有意に優れていることが示された。
【0119】
【0120】
実施例9.マウスの結腸直腸癌CT26を治療するためのゲムシタビンと併用したインターフェロンの間欠的投与
本発明者らは、マウスの結腸直腸癌CT26に対して、ゲムシタビンと併用したPEG-mIFN-α4の間欠的投与の抗腫瘍効果を調べ、インターフェロンとゲムシタビンの併用投与の有効性を探った。PEG-mIFN-α4を間欠的投与し、同時にゲムシタビンを投与することによって、ゲムシタビンを単独で投与した場合又はPEG-mIFN-α4を単独で間欠的投与した場合に比べて、結腸直腸癌CT26の治療においても有意に良好な結果が得られる可能性があることが実験を通じて見出された。
【0121】
本実施例では、BALB/cマウスはBeijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.,Ltd.から購入し、CT26マウス結腸直腸癌細胞株はCell Resource Center,Shanghai Academy of Biological Sciences,Chinese Academy of Sciencesから購入した。抗癌剤はゲムシタビン(Jiangsu Hansoh Pharmaceutical Group Co.,Ltd)であった。
【0122】
120匹の6~8週齢、18~22gのSPFグレードのBALB/cマウスに、結腸直腸癌CT26腫瘍細胞(1×106細胞/mL、0.2ml/マウス)を右前肢腋窩に皮下接種した。腫瘍を接種してから3日後に、通常の生理食塩水対照群、PEG-mIFN-α4単独の群、ゲムシタビン単独の群、PEG-mIFN-α4とゲムシタビンの併用群を含むいくつかの試験群に無作為に分けた。投与は群分けの翌日から、週1回で開始した。PEG-mIFNαは首後部に皮下注射し、ゲムシタビンは腹腔内に注射した。腫瘍の直径を測定し、V=1/2ab2(a、bはそれぞれ長さ、及び幅(mm)を表す)の式に基づいて各個体群の平均腫瘍体積を算出し、抗腫瘍効果を動的に観察した。
【0123】
統計解析には、SAS 9.4、office2010ソフトウェアを使用した。統計検定は全て両側検定とした。
【0124】
各群の腫瘍体積の変化を
図15に示す。腫瘍接種8日後、通常の生理食塩水対照群の全てのマウスの腫瘍が肉眼で確認できた。43日目までに、投与群の平均腫瘍保有体積は、通常の生理食塩水投与群よりも有意に低く(P<0.05)、投与群の平均腫瘍保有体積は、通常の生理食塩水投与群よりも有意に低く、ゲムシタビン、PEG-mIFN-α4、PEG-mIFN-α4とゲムシタビンとの併用が一定の抗腫瘍効果を有することが示された。PEG-mIFN-α4とゲムシタビンの併用群の平均腫瘍体積は、PEG-mIFN-α4単独の群(P<0.0001)及びゲムシタビン単独の群(P=0.0054)よりも有意に低かった。
【0125】
結果より、マウスペグインターフェロンαをゲムシタビンと併用して間欠的投与した場合の抗結腸直腸癌活性は、ペグインターフェロンα4を単独で間欠的投与した場合又はゲムシタビンを単独で投与した場合に比べて有意に優れていることが示された。
【0126】
【0127】
実施例10.マウスの黒色腫B16を治療するためのゲムシタビンと併用したインターフェロンの間欠的投与
本発明者らは、マウスの黒色腫B16に対するゲムシタビンと併用したPEG-mIFN-α4の間欠的投与の抗腫瘍効果を調べ、インターフェロンとゲムシタビンの併用投与の有効性を探った。PEG-mIFN-α4を間欠的投与し、同時にゲムシタビンを投与することによって、ゲムシタビンを単独で投与した場合又はPEG-mIFN-α4を単独で間欠的投与した場合と比較して、黒色腫B16の治療においても有意に良好な結果が得られる可能性があることが、実験を通じて見出された。
【0128】
本実施例において、C57BL/6NマウスはBeijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.,Ltd.から購入し、B16マウス黒色腫細胞株はATCCから購入した。抗癌剤はゲムシタビン(Jiangsu Hansoh Pharmaceutical Group CO.,Ltd)であった。
【0129】
120匹の6~8週齢、18~22gのSPFグレードのC57BL/6Nマウスに、右前肢腋窩にB16腫瘍細胞(1×107細胞/mL、0.2ml/マウス)を皮下接種した。腫瘍を接種してから3日後に、通常の生理食塩水対照群、PEG-mIFN-α4単独の群、ゲムシタビン単独の群、PEG-mIFN-α4とゲムシタビンの併用群を含むいくつかの試験群に無作為に分けた。投与は群分けの翌日から週1回で開始した。PEG-mIFN-α4は首後部に皮下注射し、ゲムシタビンは腹腔内に注射した。腫瘍の直径を測定し、V=1/2ab2(a、bはそれぞれ長さ、及び幅(mm)を表す)の式に基づいて各個体群の平均腫瘍体積を算出し、抗腫瘍効果を動的に観察した。
【0130】
統計解析には、SAS 9.4、office2010ソフトウェアを使用した。統計検定は全て両側検定とした。
【0131】
各群の腫瘍体積の変化を
図16に示す。腫瘍接種8日後、通常の生理食塩水対照群の全てのマウスの腫瘍が肉眼で確認できた。腫瘍接種から14日後、投与群の平均腫瘍保有体積は生理食塩水投与群よりも低く、ゲムシタビン、PEG-mIFN-α4、及びPEG-mIFN-α4とゲムシタビンの併用が、いずれも一定の抗黒色腫効果を生み出していることが示された。PEG-mIFN-α4とゲムシタビンの併用群の平均腫瘍体積は、PEG-mIFN-α4単独の群(P=0.0002)及びゲムシタビン単独の群(P<0.0001)よりも有意に低かった。
【0132】
結果より、マウスペグインターフェロンαをゲムシタビンと併用して間欠的投与した場合の抗黒色腫活性は、ペグインターフェロンα4を単独で間欠的投与した場合又はゲムシタビンを単独で投与した場合に比べて有意に優れていることが示された。
【0133】
【0134】
実施例11.PEG-mIFN-α4を抗癌剤ゲムシタビンと併用して間欠的投与(48時間毎に1回、3回連続して投与した後、144時間で中断)した場合と、ゲムシタビンを単独で投与した場合の、マウスの移植肝臓癌H22に対する有効性の比較試験
本実施例では、BALB/cマウスはBeijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.,Ltd.から購入し、H22マウス肝臓癌細胞株はChina Center for Type Culture Collection(CCTCC)から購入し、抗癌剤ゲムシタビンの製造者は、Jiangsu Hansoh Pharmaceutical Group Co.,Ltdであった。
【0135】
6~8週齢、18~22gのSPFグレードのBALB/cマウスに、肝臓癌H22腫瘍細胞(1×106細胞/mL、0.2ml/マウス)を右前肢腋窩に皮下接種した。腫瘍接種から3日後、無作為に群分けし、各群26匹(雌雄半々)で、通常の生理食塩水対照群、ゲムシタビン群、PEG-mIFN-α4とゲムシタビンの併用群が含まれていた。群に分けた後、対応する薬剤又は生理食塩水を投与した。PEG-mIFN-α4は、マウス1匹あたり1マイクログラムの投与量で、首後部に皮下投与した。間欠的投与する場合は、48時間毎に1回、3回連続して投与し、144時間後に中断した。ゲムシタビンは、体重1キログラム当たり60mgの用量で1週間に1回毎回腹腔内注射により投与した。通常の生理食塩水対照群には、同体積の通常の生理食塩水を投与した。PEG-mIFN-α4間欠的投与とゲムシタビンの併用群は、最初のPEG-mIFN-α4の注射時にゲムシタビンを投与し、その後は週1回ゲムシタビンを投与した。
【0136】
全ての群で生存率分析を行い、群間の差を比較した。統計解析には、SAS 9.4及びoffice2010ソフトウェアを使用し、統計検定は全て両側検定とした。
【0137】
41日目までの死亡率は、通常の生理食塩水対照群が100%(26/26)、ゲムシタビン群が73.1%(19/26)、PEG-mIFN-α4間欠的投与とゲムシタビンの併用群が3.8%(1/26)であった。生理食塩水対照群の生存期間中央値は15.5日、ゲムシタビン群の生存期間中央値は21.5日、ゲムシタビンと併用したPEG-mIFN-α4間欠的投与群の生存率は96.2%であった。
【0138】
生存曲線を
図17に示し、統計的比較結果を表8に示す。PEG-mIFN-α4間欠的投与とゲムシタビン併用群の生存曲線は、生理食塩水対照群と有意に異なり(P<0.0001)、ゲムシタビン群とも有意に異なっていた(P<0.0001)。マウスに移植された肝臓癌H
22の治療には、PEG-mIFN-α4を正の薬剤であるゲムシタビンと併用して間欠的投与することで、正の対照薬剤であるゲムシタビンの投与よりも優れた効果が得られた。
【0139】
結果により、ゲムシタビンと併用したPEG-mIFN-α4の間欠的投与の抗癌作用は、ゲムシタビン単独投与よりも有意に優れていることが示された。
【0140】
【0141】
実施例12.インターフェロンと抗癌剤エピルビシンの間欠的投与によるマウスの移植肝臓癌H22の治療に関する研究
本実施例で使用する抗癌剤は、化学療法剤の中でも抗腫瘍性抗生物質であるエピルビシンであり、マウスに移植された肝臓癌H22の治療において、抗癌剤エピルビシンと併用したインターフェロンの間欠的投与の効果を調べた。
【0142】
本実施例では、BALB/cマウスはBeijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.,Ltd.から購入し、マウス肝癌H22細胞株はChina Center for Type Culture Collection(CCTCC)から購入した。エピルビシンの製造者はBeijing Union Pharmaceutical Factoryであった。
【0143】
6~8週齢、18~22gのSPFグレードのBALB/cマウスに、肝臓癌H22腫瘍細胞(1×106細胞/mL、0.2ml/マウス)を右前肢腋窩に皮下接種した。腫瘍接種の3日後、無作為に群分けし、各群28匹(雌雄半々)で、通常の生理食塩水対照群、エピルビシン単独の群、及びPEG-mIFN-α4とエピルビシンの併用群が含まれていた。
【0144】
群分けの翌日から週1回で投与を開始した。PEG-mIFN-α4を首後部に皮下注射し、エピルビシンを腹腔内に、毎回3.5mg/kgの用量で投与した。通常の生理食塩水の対照群には、同体積の通常の生理食塩水を投与した。
【0145】
全ての群で生存曲線分析を行い、生存期間の中央値を比較した。統計解析には、SAS 9.4及びoffice2010ソフトウェアを使用した。統計検定は全て両側検定とした。
【0146】
生存曲線を
図18に示し、生存時間の中央値を表9に示す。生理食塩水群の生存期間の中央値は13.5日、エピルビシン群の生存期間の中央値は15日、PEG-mIFN-α4とエピルビシンの併用群の観察期間中の生存率は57.1%であった。PEG-mIFN-α4とエピルビシンの併用群の生存曲線は、通常の生理食塩水群と比較して有意に異なっていた(P<0.0001)。エピルビシンと併用してPEG-mIFN-α4を間欠的投与することによって、エピルビシン単独投与に比べて、腫瘍保有マウスの生存期間が有意に延長し得ることが示された(P<0.0001)。
【0147】
本実施例は、マウスに移植された肝臓癌H22の治療において、PEG-mIFN-α4をエピルビシンと併用して間欠的投与することで、エピルビシン単独投与に比べて有意に優れた効果が得られたことを示唆している。
【0148】
【0149】
実施例13.抗癌剤オキサリプラチンと併用したインターフェロンの間欠的投与によるマウスの移植肝臓癌H22の治療に関する研究
本実施例で使用する抗癌剤は化学療法剤オキサリプラチンであり、マウスに移植された肝臓癌H22の治療において、抗癌剤オキサリプラチンと併用したインターフェロンの間欠的投与の効果を調べた。
【0150】
本実施例では、BALB/cマウスはBeijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.,Ltd.から購入し、H22マウス肝癌細胞株はChina Center for Type Culture Collection(CCTCC)から購入した。オキサリプラチンの製造者は、Qilu Pharmaceutical(Hainan)Coであった。
【0151】
6~8週齢、18~22gのSPFグレードのBALB/cマウスに、肝臓癌H22腫瘍細胞(1×106細胞/mL、0.2ml/マウス)を右前肢腋窩に皮下接種した。腫瘍接種の3日後、無作為に群分けし、各群28匹(雌雄半々)で、通常の生理食塩水対照群、オキサリプラチン単独の群、PEG-mIFN-α4とオキサリプラチンの併用群が含まれていた。
【0152】
群分けの翌日から週1回で投与を開始した。PEG-mIFN-α4は首後部に皮下注射し、オキサリプラチンは腹腔内に注射し、毎回10mg/kgの用量で投与した。通常の生理食塩水対照群には、同体積の通常の生理食塩水を投与した。
【0153】
全ての群で生存曲線分析を行い、生存期間の中央値を比較した。統計解析には、SAS 9.4及びoffice2010ソフトウェアを使用した。統計検定は全て両側検定とした。
【0154】
生存曲線を
図19に示し、生存期間の中央値を表10に示す。通常の生理食塩水群の生存期間の中央値は11日、オキサリプラチン群の生存期間の中央値は12.5日、PEG-mIFN-α4とオキサリプラチンの併用群の生存期間の中央値は31日であった。PEG-mIFN-α4とオキサリプラチン併用群の生存曲線は、通常の生理食塩水群と比較して有意に異なり(P=0.0001)、オキサリプラチン単独群と比較しても有意に異なっていた(P=0.0014)。オキサリプラチンと併用したPEG-mIFN-α4を間欠的に投与することで、腫瘍保有マウスの生存期間を有意に延長し得る。
【0155】
本実施例は、マウスに移植された肝臓癌H22の治療において、PEG-mIFN-α4をオキサリプラチンと併用して間欠的投与することによって、オキサリプラチン単独に比べて有意に優れた効果が得られたことを示している。
【0156】
【0157】
実施例14.インターフェロンと抗癌剤パクリタキセルの間欠的投与によるマウスの移植肝臓癌H22の治療に関する研究
本実施例で使用する抗癌剤は化学療法剤パクリタキセルであり、マウスに移植された肝臓癌H22の治療における、抗癌剤パクリタキセルと併用したインターフェロンの間欠的投与の効果を調べた。
【0158】
本実施例では、BALB/cマウスはBeijing Vital River Laboratory Animal Technology Co.,Ltd.から購入し、H22マウス肝臓癌細胞株はChina Center for Type Culture Collection(CCTCC)から購入した。パクリタキセルの製造者は、Qilu Pharmaceutical(Hainan)Co.,Ltd.であった。
【0159】
6~8週齢、18~22gのSPFグレードのBALB/cマウスに、肝臓癌H22腫瘍細胞(1×106細胞/mL、0.2ml/マウス)を右前肢腋窩に皮下接種した。腫瘍接種から3日後、無作為に群分けし、各群28匹(雌雄半々)で、通常の生理食塩水対照群、パクリタキセル単独の群、及びPEG-mIFN-α4とパクリタキセルの併用群が含まれていた。
【0160】
投与は群分けの翌日から週1回で開始した。PEG-mIFN-α4は毎回1mg/マウスの用量を首後部に皮下注射し、オキサリプラチンは毎回10mg/kgの用量を腹腔内に注射した。
【0161】
全ての群で生存曲線分析を行い、生存期間の中央値を比較した。統計解析には、SAS 9.4及びoffice2010ソフトウェアを使用した。統計検定は全て両側検定とした。
【0162】
生存曲線を
図20に示し、生存時間の中央値を表11に示す。通常の生理食塩水群の生存期間の中央値は15日であり、パクリタキセル群の生存期間の中央値は17日であった。観察期間中、PEG-mIFN-α4とパクリタキセルの併用群の生存率は82.1%であった。PEG-mIFN-α4とパクリタキセルの併用群の生存曲線は、通常の生理食塩水群と有意に異なり(P=0.0001)、またパクリタキセル単独の群とも有意に異なった(P<0.0001)。パクリタキセルと併用したPEG-mIFN-α4の間欠的投与により、腫瘍保有マウスの生存期間を有意に延長し得る。
【0163】
本実施例は、マウスに移植された肝臓癌H22の治療において、パクリタキセルと併用したPEG-mIFN-α4の間欠的投与の効果が、パクリタキセル単独の効果よりも有意に優れていたことを示している。
【0164】
【0165】
本発明の上記結果は、PEG-mIFN-α4をゲムシタビン、パクリタキセル、オキサリプラチン、エピルビシン等の化学療法剤と併用して間欠的投与することで、化学療法剤を単独で投与するよりも格段に優れた癌治療効果を得ることができることを示唆している。
【0166】
B型肝炎や及び癌の治療における同様の結果により、インターフェロンを長期間連続的に投与すると、免疫抑制及び免疫細胞の欠乏が引き起こされ、回復が困難になることが示唆されている。インターフェロンの有効性は、免疫系に依存する。そのため、インターフェロンベースの治療は、免疫細胞が未だ十分である治療初期段階には、高いウイルスクリアランスや腫瘍抑制等の良好な治療効果を達成し得る。しかし、治療の後期段階になると、インターフェロンの長期投与による免疫細胞の減少欠乏又は免疫抑制により、治療効果が大幅に低下し、インターフェロンを投与し続けても高い有効性が維持できない場合がある。この問題は、インターフェロンを間欠的投与することによって回避することができる。例えば、一定の効果を得るためにインターフェロンを一定期間投与した後、部分的な免疫抑制及び免疫細胞の疲弊が起こる前に、インターフェロンの投与を一定期間中断して、免疫細胞をできるだけ速く回復させるようにし、その後、インターフェロンを再投与することで、やはりより優れた治療効果を達成し得る。また、インターフェロン治療剤を他の薬剤と合理的に併用して間欠的投与することにより、より優れた治療効果を達成し得る。
【0167】
配列及び説明
>配列番号1は、インターフェロンα2a(例えば、ロフェロン-A又はペガシス)のアミノ酸配列である。
CDLPQ THSLG SRRTL MLLAQ MRKIS LFSCL KDRHD FGFPQ EEFGN QFQKA ETIPV LHEMI QQIFN LFSTK DSSAA WDETL LDKFY TELYQ QLNDL EACVI QGVGV TEPLM KEDSI LAVRK YFQRI TLYLK EKKYS PCAWE VVRAE IMRSF SLSTN LQESL RSKE
>配列番号2は、インターフェロンα2b(例えば、イントロンA又はペグ-イントロン又はペグベロン)のアミノ酸配列である。
CDLPQ THSLG SRRTL MLLAQ MRRIS LFSCL KDRHD FGFPQ EEFGN QFQKA ETIPV LHEMI QQIFN LFSTK DSSAA WDETL LDKFY TELYQ QLNDL EACVI QGVGV TETPL MKEDS ILAVR KYFQR ITLYL KEKKY SPCAW EVVRA EIMRS FSLST NLQES LRSKE
>配列番号3は、組換え統合型インターフェロン(例えば、インファーゲン)のアミノ酸配列である。
MCDLPQTHSL GNRRALILLA QMRRISPFSC LKDRHDFGFP QEEFDGNQFQ KAQAISVLHE MIQQTFNLFS TKDSSAAWDE SLLEKFYTEL YQQLNDLEAC VIQEVGVEET PLMNVDSILA VKKYFQRITL YLTEKKYSPC AWEVVRAEIM RSFSLSTNLQ ERLRRKE
>配列番号4は、統合型インターフェロンα-2(例えば、ペギンファー)のアミノ酸配列である。
GSGGGCDLPQTHSLGNRRALILLAQMRRISPFSCLKDRHDFGFPQEEFDGNQFQKAQAISVLHEMIQQTFNLFSTKDSSAAWDESLLEKFYTELYQQLNDLEACVIQEVGVEETPLMNVDSILAVRKYFQRITLYLTEKKYSPCAWEVVRAEIMR SFSLSTNLQERLRRKD
>配列番号5は、インターフェロンλのアミノ酸配列である。
MGPVP TSKPT TTGKG CHIGR FKSLS PQELA SFKKA RDALE ESLKL KNWSC SSPVF PGNWD LRLLQ VRERP VALEA ELALT LKVLE AAAGP ALEDV LDQPL HTLHH ILSQL QACIQ PQPTA GPRPR GRLHH WLHRL QEAPK KESAG CLEAS VTFNL FRLLT RDLKY VADGN LCLRT STHPE ST
>配列番号6は、マウスペグインターフェロンα4のアミノ酸配列である。
CDLPHTYNLGNKRALTVLEEMRRLPPLSCLKDRKDFGFPLEKVDNQQIQKAQAILVLRDLTQQILNLFTSKDLSATWNATLLDSFCNDLHQQLNDLKACVMQEPPLTQEDSLLAVRTYFHRITVYLRKKKHSLCAWEVIRAEVWRALSSSTNLLARLSEEKE
【0168】
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【配列表】
【国際調査報告】