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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-07
(54)【発明の名称】液滴吐出デバイスのノズル配置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20220930BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220930BHJP
【FI】
B41J2/14 501
B41J2/14 607
B41J2/01 203
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021575032
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(85)【翻訳文提出日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 GB2020051840
(87)【国際公開番号】W WO2021023975
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】1911217.6
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516154934
【氏名又は名称】ザール テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】XAAR TECHNOLOGY LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(74)【代理人】
【識別番号】100165847
【弁理士】
【氏名又は名称】関 大祐
(72)【発明者】
【氏名】クルス ウリベ トニー
(72)【発明者】
【氏名】クバン ルカシュ
(72)【発明者】
【氏名】ボルトリック ピーター
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA07
2C056EC08
2C056EC37
2C056EC72
2C056HA22
2C056KB16
2C057AF30
2C057AG11
2C057AG16
2C057AG29
2C057AK07
2C057AM15
2C057AM19
(57)【要約】
液滴吐出ヘッド用のノズルプレートであって、前記ノズルプレートは、液滴を堆積媒体上に堆積させるように配置されるノズルの第一の列を備え、
前記ノズルの第一列は列方向に延在し、二つ以上のノズルクラスターを備え、各ノズルクラスターは前記列方向に沿ってクラスター長cで配置され、前記列方向に垂直なクラスター奥行き方向に沿ってクラスター奥行きdで延在し、
各ノズルクラスターは複数のノズルを備え、そのうちの各ノズルクラスター内の一つまたは複数のノズルは前記クラスター長cを画成し、各ノズルクラスター内の二つ以上のノズルは前記クラスター奥行きdを画成し、
各ノズルクラスターは、前記列方向に沿って隣接するノズルクラスターからクラスター間隔a離間され、その結果、強制空気が制御された方法で前記ノズルの列を通過するための空気流路が創出され、
前記第一の列が列方向上へ横方向に投影される場合、隣接するノズルクラスターの間の移行領域は、第一のクラスターの二つ以上のノズルおよび第二のクラスターの二つ以上のノズルからなり、前記第二のクラスターは前記第一のクラスターに隣接し、前記移行領域内の前記ノズルは投影されたノズル間隔で互いに等距離に離間されている、ノズルプレート。
【選択図】図3B

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴吐出ヘッド用のノズルプレートであって、前記ノズルプレートは、液滴を堆積媒体上に堆積させるように配置されるノズルの第一の列を備え、
前記ノズルの第一列は列方向に延在し、二つ以上のノズルクラスターを備え、各ノズルクラスターは前記列方向に沿ってクラスター長cで配置され、前記列方向に垂直なクラスター奥行き方向に沿ってクラスター奥行きdで延在し、
各ノズルクラスターは複数のノズルを備え、そのうちの各ノズルクラスター内の一つまたは複数のノズルは前記クラスター長cを画成し、各ノズルクラスター内の二つ以上のノズルは前記クラスター奥行きdを画成し、
各ノズルクラスターは、前記列方向に沿って隣接するノズルクラスターからクラスター間隔a離間され、その結果、強制空気が制御された方法で前記ノズルの列を通過するための空気流路が創出され、
前記第一の列が列方向上へ横方向に投影される場合、隣接するノズルクラスターの間の移行領域は、第一のクラスターの二つ以上のノズルおよび第二のクラスターの二つ以上のノズルからなり、前記第二のクラスターは前記第一のクラスターに隣接し、前記移行領域内の前記ノズルは投影されたノズル間隔で互いに等距離に離間されている、ノズルプレート。
【請求項2】
前記ノズルの第一列は、それぞれの副列の方向に互いに並んで延在する第一および第二の副列からなる副列の第一のセットを備え、前記第一および第二の副列は前記列方向に平行に延在し、
前記第一および第二の副列は、前記列方向に垂直な前記横方向に第一の副列間隔b離間し、
前記第一および第二の副列の各々は、前記一つまたは複数のノズルクラスターを備え、
副列内の各ノズルクラスターは、隣接するノズルクラスターから前記クラスター間隔a離間し、
前記移行領域内に設けられる前記第一のクラスターの二つ以上のノズルおよび前記第二のクラスターの二つ以上のノズルは、それぞれ前記第一および第二の副列内に設けられる、請求項1に記載のノズルプレート。
【請求項3】
前記クラスター奥行きdは、千鳥オフセット距離sdと同一である、請求項2に記載のノズルプレート。
【請求項4】
前記副列の第一のセットは、第三の副列をさらに備え、
前記第一、第二、および第三の副列のそれぞれの一つまたは複数のノズルクラスターは、前記第一の副列と前記第二の副列との間の第一の副列間隔、および前記第一の副列と前記第三の副列との間の第二の副列間隔を画成する、請求項2または請求項3に記載のノズルプレート。
【請求項5】
第二の列方向に延在するノズルの第二の列をさらに備え、前記第二の列方向は第一の列方向に平行であり、
前記ノズルの第二の列は、それぞれの副列の方向に互いに並んで延在する第一および第二の副列を備える副列の第二のセットを備え、前記副列の第二のセットの前記第一および第二の副列は、前記第二の列方向に平行に延在し、
前記副列の第二のセットの前記第一および第二の副列は、前記第二の列方向に垂直な横方向に第三の副列間隔bだけ離間され、
副列の前記第二のセットの前記第一および第二の副列のそれぞれは、一つまたは複数のノズルクラスターを備え、各ノズルクラスターは、前記それぞれの副列方向に沿ってクラスター長cで延在する複数のノズルを備え、前記副列の第二のセットの副列内の各ノズルクラスターは、隣接するノズルクラスターからクラスター間隔a離間され、
前記副列の第二のセットの前記第一および第二の副列の隣接するノズルクラスター間の第二の移行領域は、前記副列の第二のセットの前記第一の副列の二つ以上のノズルおよび前記第二の副列の二つ以上のノズルを備え、前記第二の移行領域内の前記ノズルは、第二の投影されたノズル間隔で互いに等間隔に離間され、前記副列の第二のセットの前記第一および第二の副列の各投影されたノズルクラスターは、隣接する投影されたノズルクラスターから前記第二の投影されたノズル間隔で離間されている、請求項2~4のいずれか一項に記載のノズルプレート。
【請求項6】
列方向上に横方向に投影される場合、前記第一および第二の移行領域の重なり合う領域では、前記連続する投影されたノズルは、第三の投影されたノズル間隔で互いに等距離に離間され、前記第三の投影されたノズル間隔は、前記第一の投影されたノズル間隔よりも小さい、請求項5に記載のノズルプレート。
【請求項7】
前記副列の第一のセットの前記第一の副列の一つまたは複数のノズルクラスターは、前記副列の第一のセットの前記第二の副列の一つまたは複数のノズルクラスターのクラスター長とは異なるクラスター長を有する、請求項2~6のいずれか一項に記載のノズルプレート。
【請求項8】
前記副列のうちの一つは、ノズルクラスターの第一および第二のサブセットを備え、前記ノズルクラスターの第一のサブセットの前記クラスター長は、前記ノズルクラスターの第二のサブセットの前記クラスター長とは異なる、請求項2~7のいずれか一項に記載のノズルプレート。
【請求項9】
前記第一の副列間隔bは、150μm超かつ900μm未満である、請求項1~8のいずれか一項に記載のノズルプレート。
【請求項10】
各クラスターは、最大で、4~10個のノズルを備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のノズルプレート。
【請求項11】
各ノズルクラスターは、前記列方向に沿って隣接するノズルクラスターから、ノズルクラスターの隣接するノズル間のノズル間隔nsよりも大きいクラスター間隔a離間されている、請求項1に記載のノズルプレート。
【請求項12】
前記第一の列の各投影されたノズルクラスターは、隣接する投影されたノズルクラスターから投影されたノズル間隔で離間される、請求項11に記載のノズルプレート。
【請求項13】
前記複数のノズルクラスターのうちの一つまたは複数は、実質的に前記列方向に沿って延在するノズルの二つ以上のサブクラスターを備え、前記サブクラスターは、ノズルのマトリックスを形成するように互いに平行に配置され、各ノズルクラスターは、前記列方向および前記列方向に垂直な方向に沿って隣接するノズルクラスターと重なり合うように配置される、請求項11または12に記載のノズルプレート。
【請求項14】
前記ノズルクラスターは、平行四辺形、台形、または三角形の形状のうちの一つまたは複数で配置される、請求項11~13のいずれか一項に記載のノズルプレート。
【請求項15】
前記列方向に沿って互いに隣接するノズルクラスターは、前記クラスターの奥行き方向に互いにオフセットされる、請求項1~14のいずれか一項に記載のノズルプレート。
【請求項16】
前記クラスター長cは、800μm以下である、請求項1~15のいずれか一項に記載のノズルプレート。
【請求項17】
各クラスターは、最大10個のノズルを備える、請求項1~16のいずれか一項に記載のノズルプレート。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の前記ノズルプレートを備える、液滴吐出デバイス。
【請求項19】
前記ノズルの第一の列は、対応する圧力チャンバーの第一の列と流体連通して配置され、前記圧力チャンバーの第一の列の前記圧力チャンバーは、前記列の方向に平行でない方向に伸長し、並んで延在し、それぞれは隣接する圧力チャンバーと少なくとも部分的に重なり合い、前記ノズルはそれぞれの圧力チャンバーの細長い側壁に配置され、前記側壁は前記ノズルプレートによって形成され、前記ノズルの少なくとも一つのグループは、伸長方向に圧力チャンバーに対して中心から外れて配置され、前記圧力チャンバーの第一の列の前記ノズル位置は、前記第一の列の前記ノズルクラスター、および強制ガスがノズルの前記第一の列を通過するための前記空気流路を画成する、請求項18に記載の液滴吐出デバイス。
【請求項20】
前記第一列の一つのクラスターの前記ノズルは、前記圧力チャンバーの前記中心から伸長方向に第一の距離に配置され、前記列方向に沿って前記隣接するクラスターの前記ノズルは、前記圧力チャンバーの前記中心から伸長方向に第二の距離に配置される、その結果、前記第一のクラスターは、前記列方向に沿って前記隣接するクラスターから前記クラスター間隔aa離間されて前記空気流路を創出する、請求項19に記載の液滴吐出デバイス。
【請求項21】
前記第一の距離および前記第二の距離は、前記第一と第二の副列を画成し、前記ノズルの第一の列は、それぞれの副列方向に互いに並んで延在する第一および第二の副列からなる副列の前記第一のセットを備え、前記第一および第二の副列は前記列方向に平行に延在し、
前記第一と第二の副列は、前記列方向に垂直な前記横方向に前記第一の副列間隔b離間し、
前記第一および第二の距離は、前記副列間隔bを画成する、請求項20に記載の液滴吐出デバイス。
【請求項22】
前記ノズルの第一の列は、圧力チャンバーの対応する第一の列と流体連通して配置され、前記圧力チャンバーの第一の列の前記圧力チャンバーは、前記列の方向に平行でない方向に細長く、並んで延在し、前記ノズルは、それぞれの圧力チャンバーの細長い側壁において、伸長方向に関して中央に配置され、前記圧力チャンバーは、ノズルクラスター、および強制ガスがノズルの前記第一の列を通過するための空気流路を画成するように配置される、請求項18に記載の液滴吐出デバイス。
【請求項23】
前記第一の列の前記ノズルクラスターの一つまたは複数のノズルからそれぞれのピクセルラインに一つまたは複数の液滴を堆積させることをさらに含み、前記第一の列の各ノズルは、前記ピクセルラインのそれぞれのピクセルに対応する、請求項18~22のいずれか一項に記載の液滴吐出デバイスを用いて液滴を堆積させる方法。
【請求項24】
前記第一の列は、第一の副列および第二の副列を備え、それぞれは列方向に延在し、互いに平行であり、前記第一の副列はノズルクラスターの第一のグループを備え、前記第二の副列はノズルクラスターの第二のグループを備え、前記方法は、
ノズルクラスターの前記第一グループの前記ノズルから液滴を前記ピクセルラインに時間tで堆積させることと、続いて、前記ノズルクラスターの第二のグループの前記ノズルから液滴を前記ピクセルラインに時間tで堆積させることと、をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ノズルクラスターのうちの一つまたは複数は、複数のサブクラスターを備え、前記サブクラスターは、一般的に前記第一の列方向に沿って、互いに平行に延在し、前記方法は、
第一のサブクラスターの前記ノズルから液滴を前記ピクセルラインに時間tで堆積させることと、続いて、第二のサブクラスターの前記ノズルから液滴を前記ピクセルラインに時間tで堆積させることと、をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記ピクセルラインの画像データを受信することと、
メディアエンコーダー信号を受信することと、
前記画像データおよび前記メディアエンコーダー信号に基づいて、駆動データを決定することであって、前記駆動データは、前記ノズルクラスターのうちの一つまたは複数内の一つまたは複数のノズルを作動させて、一つまたは複数の液滴を前記ピクセルラインのそれぞれのピクセルに堆積させるための前記タイミングtを画成する、決定することと、
前記副列のうちの一つまたは複数の一つまたは複数のノズルに前記一つまたは複数の液滴を前記ピクセルラインに堆積させるための前記駆動データに基づいて作動信号を生成することと、
前記一つまたは複数のノズルに前記一つまたは複数の液滴を前記ピクセルラインに堆積させるように、前記ノズルに対応するアクチュエーターに前記作動信号を提供することと、をさらに含む、請求項23~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記駆動データは調節値に基づいてさらに決定され、および調節値に基づく調節信号を含み、前記調節信号は、前記列の一つまたは複数のノズルの前記液滴量を変更させて、バンディングの前記影響を低減する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
請求項23~27のいずれか一項に記載の方法を実行するよう動作可能な駆動信号コントローラーであって、前記駆動信号コントローラーは、
画像データおよびメディアエンコーダー信号を受信し、
前記画像データに基づいて、かつ前記メディアエンコーダー信号に基づいて、駆動データを決定し、
前記駆動データをプリントヘッドコントローラーに提供して、ノズル列内に設けられる前記一つまたは複数のノズルクラスターのノズルのうちの一つまたは複数に、一つまたは複数の液滴のそれぞれを、それぞれのピクセルラインのピクセルであって、前記列の異なるノズルに対応する前記ピクセルラインの各ピクセルに吐出させる、ように構成される、回路を備える、駆動信号コントローラー。
【請求項29】
プリントヘッドコントローラーに駆動データを提供することは、前記第一の副列の前記一つまたは複数のノズルクラスターの前記ノズルに液滴を時間tでピクセルラインに吐出させ、続いて、前記第二の副列の一つまたは複数のノズルクラスターの前記ノズルに液滴を時間tで前記ピクセルラインに吐出させるための前記駆動データの一部としてタイミング信号を提供することを含む、請求項28に記載の駆動信号コントローラー。
【請求項30】
プリントヘッドコントローラーをさらに備え、前記プリントヘッドコントローラーは、
前記タイミング信号および画像データに基づいて、前記作動信号を生成する、および
前記ノズルクラスターのうちの少なくとも一つの一つまたは複数のノズルに一つまたは複数の液滴を前記ピクセルラインに堆積させるように、前記ノズルに対応するアクチュエータに前記作動信号を提供する、ように構成される、請求項28または請求項29に記載の駆動信号コントローラー。
【請求項31】
前記駆動信号コントローラー回路は、
印刷された画像データを受信し、
前記印刷された画像データに基づいて、強制空気流によるバンディングを低減または防止するために液滴量の調節値を決定し、
前記ノズルから吐出される前記液滴量を調節するように、前記調節値に基づいて、前記プリントヘッドコントローラーに調節信号を提供する、ようにさらに構成される、請求項28~30のいずれか一項に記載の駆動信号コントローラー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液滴吐出デバイス用のノズルプレート、このようなノズルプレートを使用する液滴吐出の方法、およびこのようなノズルプレートを使用する液滴吐出デバイスを備える液滴吐出装置に関する。ノズルプレートは、高解像度の画像をざらつきのあるまたは柔軟な表面に高速で印刷する必要がある用途で特に有利に使用されることができる。
【背景技術】
【0002】
液滴吐出装置は、より従来的な用途、例えばインクジェット印刷、もしくは3D印刷、または他のラピッドプロトタイピング技術かにかかわらず、現在広く使用されている。とりわけ、高い信頼性とスループットで、紙、カード、セラミックタイル、およびその他の堆積媒体上に直接インクを堆積させることができる液滴吐出デバイス、またはインクジェットプリントヘッドが開発されている。他の用途では、液滴吐出ヘッドは、フラットスクリーンテレビの製造で使用されるLCDまたはOLEDディスプレイにおける色フィルタなどの素子を形成するために使用され得る。
【0003】
液滴吐出装置およびその構成要素は、これまで以上に困難な用途の要件を満たすように進化し続けており、一般的に、高印刷品質での解像度およびスループットが向上している。
【発明の概要】
【0004】
本発明の態様を添付の独立請求項に記載し、本発明の特定の実施形態を添付の従属請求項に記載する。
【0005】
以下の開示は、一態様では、液滴吐出ヘッド用のノズルプレートを記載し、ノズルプレートは液滴を堆積媒体上に堆積させるように配置されるノズルの第一の列を備え、ノズルの第一の列は、列方向に延在し、および一つまたは複数のノズルクラスターを備え、各ノズルクラスターは、列方向に沿ってクラスター長cで配置され、および列方向に垂直なクラスター奥行き方向に沿ってクラスター奥行きdで延在し、各ノズルクラスターは複数のノズルを備え、そのうちの各ノズルクラスター内の一つまたは複数のノズルはクラスター長cを画成し、および各ノズルクラスター内の二つ以上のノズルはクラスター奥行きdを画成し、各ノズルクラスターは、列方向に沿って隣接するノズルクラスターからクラスター間隔a離間され、その結果、強制空気が制御された方法でノズルの列を通過するための空気流路が創出され、ならびに第一の列のノズルの少なくとも大部分は、列方向上に横方向に投影される場合、投影されたノズル間隔で互いに等距離に離間される。
【0006】
一例示的な実施形態では、ノズルの第一の列は、それぞれの副列方向に互いに並んで延在する第一および第二の副列からなる副列の第一のセットを備え、第一および第二の副列は列方向に平行に延在し、第一と第二の副列は、列方向に垂直な横方向に第一の副列間隔bだけ離間され、第一および第二の副列のそれぞれは、一つまたは複数のノズルクラスターを備え、副列内の各ノズルクラスターは、隣接するノズルクラスターからクラスター間隔a離間され、第一および第二の副列の各投影されたノズルクラスターは、隣接する投影されたノズルクラスターから投影されたノズル間隔で離間されている。
【0007】
別の例示的な実施形態では、各ノズルクラスターは、列方向に沿って隣接するノズルクラスターから、ノズルクラスターの隣接するノズル間のノズル間隔nsよりも大きいクラスター間隔aで離間されている。
【0008】
このようなノズルプレートを使用して液滴を堆積させる方法(例えば、印刷)、このような方法を実行するように動作可能な駆動信号コントローラー、このようなノズルプレートを備える液滴排出デバイス(例えば、プリントヘッド)、およびこのようなノズルプレートを備える液滴吐出装置(例えば、プリンター)も提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
ここで、本発明の実施形態は、例としてのみ、そして以下の図面を参照して説明される。
図1A図1Aは、試験装置の概略図である。
図1B図1Bは、図1Aの試験装置によって印刷される印刷画像である。
図1C図1Cは、動作中の図1Aの試験装置についての強制空気の気流の大きさのシミュレーションである。
図1D図1Dは、図1A~1Cで使用される試験ノズルプレートの概略平面図である。
図2図2は、本発明の実施形態による、ノズル列を通る空気流路を示す概略平面図である。
図3A図3Aは、第一の実施形態によるノズルクラスターを示し、および圧力チャンバーの配置を示すノズルプレートの概略平面図である。
図3B図3Bは、図3Aのノズルプレートの別の概略平面図である。
図4A図4Aは、図3Aのノズルプレートのノズルクラスターを通過する強制空気流ラインの例示である。
図4B図4Bは、図3Aのノズルプレートのノズルクラスターを通過する強制空気の気流の大きさのシミュレーションである。
図5A-5B】図5Aおよび図5Bは、それぞれ6×6および8×8ノズルクラスターの3mmギャップで、20kHzで印刷した場合の印刷画像シミュレーションである。
図5C-5D】図5Cおよび図5Dは、それぞれ6×6および8×8ノズルクラスターの3mmギャップで、60kHzで印刷した場合の印刷画像シミュレーションである。
図6A-6B】図6Aおよび図6Bは、それぞれ6×6および8×8ノズルクラスターの4mmギャップで、20kHzで印刷した場合の印刷画像シミュレーションである。
図6C-6D】図6Cおよび図6Dは、それぞれ6×6および8×8ノズルクラスターの4mmギャップで、60kHzで印刷した場合の印刷画像シミュレーションである。
図7図7A図7Dは、6×6ノズルクラスターの4mmギャップで、20kHzで印刷する様々な副列間隔の印刷画像シミュレーションである。
図8図8A図8Cは、(i)テストノズルプレート、(ii)図3Aのノズルプレート、(iii)図14Aのノズルプレート、および(iv)図14Bのノズルプレートについて、3mmのギャップおよび6×6のノズルクラスターについて様々な印刷周波数で印刷された画像である。
図9図9は、3つの副列のノズルクラスターを示すノズルプレートの概略平面図である。
図10図10は、二つの列のノズルクラスターを示すノズルプレートの概略平面図である。
図11図11は、二つの列のノズルクラスターを示す別のノズルプレートの概略平面図である。
図12図12Aおよび図12Bは、3つの副列にわたる様々なノズルクラスター配置を示す、ノズルプレートの概略平面図である。
図13図13は、圧力チャンバーの別の配置を示す、図3Aによるノズルプレートの概略平面図である。
図14図14Aおよび図14Bは、第二の実施形態によるノズルプレートの概略平面図である。
図15図15は、第二の実施形態による、マトリックス内に配置されるクラスターを有するノズルプレートの概略平面図である。
図16図16Aおよび図16Bは、第一の実施形態の要素に従って配置された、平行図形状のノズルクラスターを有するノズルプレートの概略平面図である。
図17図17Aおよび図17Bは、第一の実施形態の要素に従って配置された、台形状のノズルクラスターを有するノズルプレートの概略平面図である。
図18図18は、図3Aのノズルプレートのノズルがどのようにタイミングを合わせて液滴をピクセルラインに堆積させるかの概略図である。
図19図19は、実施形態によるノズルプレートから液滴吐出を作動させるための制御システムのブロック図である。
図20図20A図20Cは、4×4ノズルクラスターの3mmギャップ、および20kHzで印刷する様々な副列間隔の印刷画像シミュレーションである。
図21図21A図21Cは、8×8ノズルクラスターの3mmギャップ、および20kHzで印刷される様々な副列間隔の印刷画像シミュレーションである。
図22A-22B】図22A図22Bは、4×4ノズルクラスターの3mmギャップ、および60kHzで印刷される狭い副列間隔の印刷画像シミュレーションである。
図22C-22D】図22C図22Dは、8×8ノズルクラスターの3mmギャップ、および60kHzで印刷される狭い副列間隔の印刷画像シミュレーションである。
【0010】
図面中、同様の要素は、全体にわたり同様の参照番号で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図2図22に関して述べる実施形態のおよびそれらの様々な実施例の機能を強調するために、最初に図1Aの公知の試験装置を参照する。
【0012】
図1Aは、搬送機構5によって移動可能な堆積媒体3の上方に取り付けられる液滴吐出デバイス、例えば液滴吐出ヘッド2を備える液滴吐出装置1を示す。液滴吐出ヘッド2は、コントローラー4によって送信される信号に応答して、液滴を堆積媒体上に吐出するためのノズル12を有するノズルプレート6を備える。液滴吐出ヘッド2は、堆積媒体3と液滴吐出ヘッド2との間にギャップGがあるように取り付けられる。
【0013】
ノズル12の典型的なパターンの詳細を図1Dの平面図に示す。図1Dは、インクジェットプリントヘッド2内に備えられるノズルプレート6平面図の一部を示す。ノズル12の列13の一部は、ノズルプレート6の後ろに構成され、ならびにリストリクター18a、18bおよびインクポート16a、16bと流体連通する圧力チャンバー14を備える、流体チャネル(破線)に関連して示される。図1Dでは、ノズルプレートの後ろに示される流路を有する例示的なプリントヘッドは、各ノズル12を通る再循環を有するものであり、インクポートの一方16aは、一方の端部からリストリクター18aを経由して圧力チャンバー14にインクを供給し、ノズル12から吐出されないあらゆるインクは、反対側の端部でリストリクター18bおよびインクポート16bを経由してインク流路に戻される。
【0014】
図1Dでは、圧力チャンバー14は細長い形状を有し、チャンバーの伸長方向に沿って各圧力チャンバー14の中央に配置されるノズル12と対応する関係で配置される。各ノズル12は、隣接するチャンバー内のノズルから、列方向26(y方向)に沿ってノズル距離ns/2離間している。
【0015】
図1Dでは、ノズル12は、流体のおよび/または機械的な「クロストーク」を低減または防止する典型的な構成で配置され、クロストークは、一つのノズルからの液滴の吐出により隣接するノズルのメニスカスに影響を与える。パターンは千鳥状のノズル構成のパターンであり、それにより各交互に並ぶノズル12は、列方向26に直交する方向(x方向)に沿ってずらし距離sdその隣からオフセットされる。列方向26は、千鳥状のノズルが伸びる全体の方向によって画定される。ノズルは、同じ千鳥オフセットを有する最も近い隣接するノズルから、ノズル間隔nsで間隔を置いている。
【0016】
千鳥オフセット距離は、機械的、電気的、および流体的考慮の組み合わせに関連し、ならびに典型的には経験的に決定される。図1Dおよび後続の図のオフセット距離は、クロストークを軽減するためのノズルオフセットの一般的な概念に関してのみ例示する。流路が異なって設計される他の装置では、このようなオフセットは必要ではなく、ノズルは代わりにオフセットではない列に配置されてもよい。クロストークの有無は、説明される様々な実施形態および実施例に関して必須ではない。
【0017】
図1Dの従来的なノズル配置を使用するいくつかの状況では、液滴吐出ヘッド2のノズルプレート6を使用して試験装置1を動作させる場合に、「木目調」現象が発生する場合がある。本明細書で使用される場合、「木目調」現象は、液滴吐出ヘッド2と堆積媒体3との間の相対的な動きに起因より、液滴吐出ヘッド2のノズルプレート6と印刷される堆積媒体3との間のギャップ内に、誘発される、または強制される空気の流れの結果であると考えられる望ましくない印刷のアーティファクトである。強制空気流は、吐出される液滴の軌道に大きな、制御不能なずれを生じさせ、それらの着地位置を変更させ、ならびにミストおよびサテライトを堆積媒体上の予測不可能な位置に、ならびにノズル12を囲む液滴吐出ヘッド2の部分上に堆積させる場合がある。一つの視覚的現象は、波打つ「木目調」模様の現象である場合があるが、その現象により、印刷された画像に他の不規則な模様が明らかに現れる場合がある。木目調は、より大きなギャップ距離Gを必要とする用途で、例えば、堆積媒体3の表面が粗い、柔軟なまたはざらざらの用途、例えば繊維またはカートンで、特に発生する可能性がある。
【0018】
典型的な木目調模様の図が、図1Bの試験印刷試料に示される。試験印刷試料は、図1Aのヘッド配置を使用して、ノズル間隔84.7μm(300ノズル/インチ)およびギャップG距離3mmで、全負荷(全てのノズルプリンティング)で吐出することによって達成された。この試料の媒体速度は80m/分であり、ノズルプレートから1mmの距離で測定された落下速度は6.1m/秒であった。木目調現象の非存在下で予想される模様は、均一な被覆の模様であろう。実際の模様は、主液滴(ここで、「主液滴」は所望の目標体積の液滴またはその近くの液滴を示す)のずれによって生じるものであり、媒体搬送方向xに沿って画像全体にわたって不規則で、分岐し、および波打つ模様を形成し、ならびに木目調模様に似た、暗い「不規則な筋」となる。木目調は、主液滴のずれによるだけでない。様々な流れはまた、ミストまたはサテライトをもたらし、それらに「木目調」と認識される密度の目に見える変化を形成させる。
【0019】
いくつかの用途では、液滴吐出ヘッド2が強固に取り付けられ、かつ印刷される堆積媒体3がその下を通過する、図1Aに示すような液滴吐出装置1を使用することが望ましい。これは多くの場合シングルパスプリンティングと呼ばれる。この装置のセットアップでは、移動堆積媒体3は、シングルパスプリンティング状況に特有な速度プロファイルで、ギャップG内に強制空気流を生成する。
【0020】
別の配置は、液滴吐出ヘッド2が媒体搬送方向xに直交するy方向で前後に移動される走査液滴吐出装置のものである。この配置では、液滴吐出ヘッド2は周囲の(静的な)空気に対して高速で移動し、空気を液滴吐出ヘッド2の周りに流す。液滴吐出ヘッド2の周りの空気のこの流れの一部として、いくらかの空気流が、走査用途に特徴的な速度プロファイルで、堆積媒体3と液滴吐出ヘッド2のノズルプレートとの間のギャップ内に押し込まれる。このような配置における空気流の状態は、単一のパスのセットアップの状態とは異なるが、液滴のずれおよび木目調模様は依然として生じる場合がある。
【0021】
より一般的には、液滴吐出ヘッド2が堆積媒体3に対して移動されるか、または堆積媒体3が液滴吐出ヘッド2に対して移動されるかに関わらず、液滴吐出ヘッド2と堆積媒体3との間に速度差が存在し、それにより液滴吐出ヘッド2の周りに、および/またはヘッド液滴吐出2と堆積媒体3との間のギャップGに強制空気流が生じる。特に、ギャップGが数ミリメートルである場合、さらに高分解能ノズル密度および/または高スループット(液滴吐出ヘッドと堆積媒体との間の高速相対速度)および/または高印刷周波数を必要とする高ギャップ距離用途では、強制空気流を慎重に管理して高い印刷品質を維持する必要がある。
【0022】
発明者らは、ここで図2~22に関して説明されるノズルプレート10に修正されたノズルを配置することによって、木目調現象を低減または除去できることを見出した。
【0023】
概要
図2は、説明される実施形態に続いて原理を例示するブロック図である。ノズルの列20は、全てのノズルが異なるクラスター24にグループ化されるように配置される。クラスター内のノズルは、(x、y)配列に配置されてもよい。クラスターは、列方向26に沿ってクラスター間隔で互いに離間している。このように、クラスター24間に空気流路がクラスター間隔で設けられて、列の前に達する大きな矢印によって示される強制空気が、制御された方法で小さな矢印によって示されるクラスターの列を通過し、その後再び組み合わされて、木目調現象が減少される。ノズルのこのような列20は、例えば図1Dに記載の従来の列と同じ、列に沿ったノズル間隔を依然として示す。還元すると、xに沿って投影方向を見ると、二つの隣接するクラスター24間の移行領域T内のノズルは等距離に離間している。これは、以下に記載の実施形態、およびそれらの様々な実施例に従って達成されることができる。
【0024】
概ね、液滴吐出ヘッド用のノズルプレートの本実施形態は、ノズルプレートが、液滴を堆積媒体上に堆積させるよう配置されたノズルの第一の列を備え、ノズルの第一の列は列方向に延在し、および二つ以上のノズルクラスターを備える、包括的原理を用いている。各ノズルクラスターは、列方向に沿ってクラスター長cで配置され、列方向に対して垂直なクラスター奥行き方向に沿ってクラスター奥行きd延在する。各ノズルクラスターは複数のノズルを備え、そのうちの各ノズルクラスター内の一つまたは複数のノズルはクラスター長cを画定し、各ノズルクラスター内の二つ以上のノズルはクラスター奥行きdを画定する。各ノズルクラスターは、隣接するノズルクラスターから列方向に沿ってクラスター間隔a離間し、その結果、強制空気が制御された方法でノズルの列を通過するための空気流路が創出され、第一の列のノズルの少なくとも大部分は、列方向上に横方向に投影される場合、投影されたノズル間隔で互いに等距離に離間されている。換言すると、第一の列が列方向上に横方向に投影される場合、隣接するノズルクラスターの間の移行領域は、第一のクラスターの二つ以上のノズルおよび第二のクラスターの二つ以上のノズルからなり、第二のクラスターは第一のクラスターに隣接し、移行領域内のノズルは投影されたノズル間隔で互いに等距離に離間されている。
【0025】
第一の実施形態では、ノズルの第一の列は、それぞれの副列の方向に互いに並んで延在する第一の副列および第二の副列からなる副列の第一のセットを備え、第一および第二の副列は列方向に平行に延在する。第一の副列と第二の副列は、列方向に垂直な横方向に第一の副列間隔b離間されており、第一および第二の副列のそれぞれは、一つまたは複数のノズルクラスターを備える。副列内の各ノズルクラスターは、隣接するノズルクラスターからクラスター間隔a離間され、移行領域内に設けられる第一のクラスターの二つ以上のノズルおよび隣接する第二のクラスターの二つ以上のノズルは、それぞれ第一および第二の副列内に設けられ、第一および第二の副列の各投影されたノズルクラスターは、隣接する投影されたノズルクラスターから投影されたノズル間隔で離間されている。
【0026】
いくつかの変形例では、クラスター奥行きdは、千鳥オフセット距離sdと同一であってもよい。換言すると、クラスター奥行きは、一つの副列の奥行きであってもよい。
【0027】
必要に応じて、副列の第一のセットは、第三の副列をさらに備えてもよく、第一、第二および第三の副列のそれぞれの一つまたは複数のノズルクラスターは、第一の副列と第二の副列との間の第一の副列間隔、および第一の副列と第三の副列との間の第二の副列間隔を画成する。第一および第二の副列間隔は、互いに同じでもよく、またそれらは互いに異なっていてもよい。
【0028】
必要に応じて、ノズルプレートは、第二の列方向に延在するノズルの第二の列を有してもよく、第二の列方向は第一の列の方向に平行である。ノズルの第二の列は、それぞれの副列の方向に互いに並んで延在する第一および第二の副列からなる副列の第二のセットを備え、副列の第二のセットの第一の副列および第二の副列は、第二の列方向に平行に延在する。副列の第二のセットの第一の副列と第二の副列は、第二の列方向に垂直な横方向に第三の副列間隔b離間されている。副列の第二のセットの第一および第二の副列のそれぞれは、一つまたは複数のノズルクラスターを備え、各ノズルクラスターは、それぞれの副列方向に沿ってクラスター長cで延在する複数のノズルを備える。副列の第二のセットの副列内の各ノズルクラスターは、隣接するノズルクラスターからクラスター間隔a離間している。副列の第二のセットの第一および第二の副列のノズルの少なくとも大部分は、第二の列方向上に横方向に投影される場合、第二の投影されたノズル間隔で互いに等距離に離間され、副列の第二のセットの第一および第二の副列の各投影されたノズルクラスターは、隣接する投影されたノズルクラスターから第二の投影されたノズル間隔で離間される。換言すると、副列の第二のセットの第一および第二の副列の隣接するノズルクラスター間の第二の移行領域は、副列の第二のセットの第一の副列の二つ以上のノズルおよび第二の副列の二つ以上のノズルからなり、第二の移行領域内のノズルは、第二の投影されたノズル間隔で互いに等距離に離間される。空気流路は、強制空気が制御された方法でノズルの第二の列を通過するための流路を創出するために、クラスター間隔によって創出される。
【0029】
列方向上に横方向に投影される場合、副列の第一および第二のセットのノズルの少なくとも大部分は、第三の投影されたノズル間隔で互いに等距離に離間されてもよく、第三の投影されたノズル間隔は、第一の投影されたノズル間隔よりも小さい。換言すると、列方向上に横方向に投影される場合、第一および第二の移行領域の重なり合う領域では、連続する投影されたノズルは、第三の投影されたノズル間隔で互いに等距離に離間され、第三の投影されたノズル間隔は、第一の投影されたノズル間隔よりも小さい。
【0030】
必要に応じて、副列の第一のセットの第一の副列の一つまたは複数のノズルクラスターは、副列の第一のセットの第二の副列の一つまたは複数のノズルクラスターのクラスター長とは異なるクラスター長を有する。
【0031】
必要に応じて、副列の一つは、ノズルクラスターの第一および第二のサブセットを備え、ノズルクラスターの第一のサブセットのクラスター長は、ノズルクラスターの第二のサブセットのクラスター長とは異なる。
【0032】
第一の副列間隔bは、150μmより大きく、必要に応じて300μmより大きく、さらに必要に応じて500μmより大きくてもよい。
【0033】
副列を有する実施形態では、空気流路は、副列間隔bと組み合わせてクラスター間隔aによって創出されることが理解されるであろう。
【0034】
第二の実施形態では、各ノズルクラスターは、列方向に沿って隣接するノズルクラスターから、ノズルクラスターの隣接するノズル間のノズル間隔nsよりも大きいクラスター間隔a離間されることができる。
【0035】
必要に応じて、第一の列の各投影されたノズルクラスターは、隣接する投影されたノズルクラスターから投影されたノズル間隔で離間されてもよい。
【0036】
さらに、または代わりに、いくつかの変形例では、複数のノズルクラスターのうちの一つまたは複数は、実質的に列方向に沿って延在するノズルの二つ以上のサブクラスターを備えてもよく、サブクラスターは、ノズルのマトリックスを形成するように互いに平行に配置され、各ノズルクラスターは、列方向に沿っておよび列方向に垂直な方向に沿って隣接するノズルクラスターと重なり合うように配置される。
【0037】
さらに、または代わりに、いくつかの変形例では、ノズルクラスターは、平行四辺形、台形、または三角形の形状のうちの一つまたは複数に配置されることができる。
【0038】
一部のハイブリッド変形例では、列方向に沿って互いに隣接して配置される第一の実施形態による変形例のノズルクラスターは、クラスターの奥行き方向に沿って互いにオフセットされてもよい。換言すると、二つの副列のクラスターが創出されてもよく、各副列は、列方向に平行に延在し、副列は互いに横方向に副列間隔b離間し、横方向は列方向に垂直である。
【0039】
いずれかの実施形態のいくつかの変形例では、複数のノズルクラスターのうちの一つまたは複数は、実質的に列方向に沿って延在するノズルの二つ以上のサブクラスターを備えてもよく、サブクラスターは、ノズルのマトリックスを形成するように互いに平行に配置される。サブクラスターは、列方向に垂直な方向に互いに千鳥オフセット距離sdオフセットされることができる。
【0040】
ノズルプレートの第一の実施形態
図3Aは、液滴吐出ヘッド2内に設けられる、第一の例示的な実施形態によるノズルプレート10の平面図の断面を示す。ノズル12の列20の一部は、リストリクター18と連通する圧力チャンバー14、およびノズルにインクを供給するためにノズルプレート10の後方に構成されることができるインクポート16を備える流体チャネル(破線)に関連して示されている。ノズル12の列20は、列方向26に延在する。
【0041】
図1Dとは対照的に、ノズル12は、クラスター化された構成で配置され、これにより、複数のノズル12を備える交互に並ぶノズルクラスター24は、列方向26に直交する方向に沿って(x方向に沿って)互いにオフセットされる。このノズル配置は、第一および第二の副列22_1および22_2を生成し、第一の副列22_1はノズルクラスター24_1によって画成され、第二の副列22_2はノズルクラスター24_2によって画成される。
【0042】
第一および第二の副列22_1および22_2は、それぞれの副列方向で互いに平行に延在し、そして、副列方向は、列20の全体の列方向26に平行に延在する。したがって、第一の副列と第二の副列は副列間隔b離間し、これは、図3Bおよび図7~11では、二つの副列の内側ノズル間の、つまり列方向26に直交する距離に沿った最短距離であり、ノズルが占めていない間隔を表す。
【0043】
これは、図3Aのノズルプレート10のノズル12の配置をより詳細に示す図3Bにさらに例示されている。具体的には、ノズルプレート10の抜粋では、列20の各副列22_1および22_2は、それぞれ二つのノズルクラスターを有し、副列22_1は、それぞれの副列方向に互いに隣接して配置される少なくともノズルクラスター24_1aおよび24_1bを有することが示され、副列22_2は、それぞれの副列方向に互いに隣接して配置される少なくともノズルクラスター24_2aおよび24_2bを有する。
【0044】
各ノズルクラスター24_1a、24_1b、24_2aおよび24_2bのノズル12は、それぞれの副列方向に沿ってクラスター長cにわたって延在し、クラスター長cは、図3Aと3Bおよび図7~11では、それぞれの副列方向に沿って測定された、各クラスターの最も外側のノズル間の距離として表される。
【0045】
クラスター24_1aは、隣接するクラスター24_1bから、それぞれの副列方向にクラスター間隔a離間されている。図3Aと3Bおよび図7~11では、クラスター間隔aは、同じ副列内の隣接するクラスターの最も外側のノズル間の距離として表され、それぞれの副列方向に沿って測定され、ノズルが占めていない間隔を表す。
【0046】
クラスター24_2aも、隣接するクラスター24_2bから、それぞれの副列方向にクラスター間隔a離間されている。ノズルクラスター24_1aおよび24_1bは副列22_1を画成し、ノズルクラスター24_2aおよび24_2bは副列22_2を画成し、副列22_1は、副列22_2と平行に、副列間隔bで副列22_2まで延在する。
【0047】
したがって、この実施形態では、液滴吐出ヘッド2用のノズルプレート10が提供され、ノズルプレート10は、液滴を堆積媒体上に堆積させるように配置されるノズル12の少なくとも第一の列20を備える。ノズルの第一の列は、列方向26に延在し、それぞれの副列方向に互いに並んで延在する第一および第二(またはそれより多い)の副列22の第一のセットを備え、副列方向は列方向26に平行に延在する。第一および第二の副列22は、列方向26に垂直な横方向に第一の副列間隔bだけ離間され、各副列は一つまたは複数のノズルクラスター24を備える。各ノズルクラスター24は、それぞれの副列方向に沿ってクラスター長cで延在する複数のノズル12を備え、副列22内の各ノズルクラスター24は、クラスター間隔aで隣接するノズルクラスターから離間されている。好ましくは、第一の副列間隔bは、300μmよりも大きい。副列の第一のセットのノズル12は、列方向26上に横方向に投影される場合、隣接する投影されたノズルから投影されたノズル間隔で等距離に離間され、第一および第二の副列22の各投影されたノズルクラスターは、隣接する投影されたノズルクラスターから投影されたノズル間隔で離間されている。いくつかの実施形態では、副列間隔は900μmよりも小さくてもよい。あるいは、副列間隔は、400μm超、または500μm超であってもよい。
【0048】
図3Aの例示的な実施形態では、クラスター内のノズルは、図1Dのように千鳥状のノズル構成のパターンで示され、これにより、交互に並ぶノズル12は、列方向に直交する方向に(x方向に)それらの隣接ノズルからずらし距離sdオフセットされる。ノズル12は、図3Bに示されるように、(y方向に沿って)同じ千鳥オフセットのそれらの最近接ノズルからノズル間隔ns離間されている。しかし、これは必須ではない。一部の液滴吐出ヘッドでは、異なる方法で、例えば、流体経路に流体ダンパーを設けることによって、または隣接する圧力チャンバー14の流路間の十分な分離によって、クロストークを回避することが可能である可能性があり、ノズル12は、ずらし距離sdオフセットされてはならない。副列間隔bは、少なくとも300μmまたは少なくとも400μmであってもよい。いくつかの実施形態では、副列間隔bは、クラスター間隔aと同様のサイズであってもよい。例えば、クラスターがそれぞれ4つのノズルを備え、例えばns/2=84.67μmの場合、クラスター間隔aは423.35μmであってもよく、クラスター長は254μmであってもよく、副列の間隔bはa=b=423.35μmであってもよい。
【0049】
図3Aおよび3Bの例示的な実施形態では、ノズルクラスター24_1a、bおよび24_2a、bによってそれぞれ画定される第一および第二の副列22_1および22_2は、図1Dに示される列13の意味で、完全な列20を画定する。これは、ノズル12の列20を使用して、画像データに従って、堆積媒体3上の同じ「ラインピクセル」に液滴を堆積することを意味する。さらに、図3Aのx方向に沿って、一方の副列を他方の副列上へ横方向に投影する方向に沿って見る場合、図3Bに点線の輪郭で示され、各ノズルクラスター24からの(例えば、クラスター24_1bおよび24_2aからのそれぞれ3つのノズルが示されるように)複数のノズルを備える移行領域T内のノズル12は、等距離に、およびノズル間で重なり合うことなく配置され、図1Dの列13の場合と同様に、移行領域で一定のノズル間隔ns/2を達成し、全てのノズル12がノズル間隔ns/2離間している。図3Bに示す例では、全てのノズルクラスター24は、図1Dの列13と同様に、ノズルクラスター24間で重なり合うことなく完全な列20を画成し、全てのノズル12はノズル間隔ns/2で離間している。これは、ノズルの個々の列を備えるノズルプレート間の移行とは区別され、この場合一方のノズルプレートのノズルの列が、通常、もう一方のノズルプレートのノズルの列と部分的に重なり合い、重なり合う領域にいくらかの重複性を作り出し、その結果、一つのノズルプレートから次のノズルプレートへの最適な移行を選択する場合がある。このような配置では、投影されたノズル間隔は、ノズルプレート間の位置ずれの結果として一定ではなく、ノズルプレートは共通フレームに取り付けられる個々のシリコンダイであってもよい。
【0050】
図3Bに示される二つの副列は、後述するように、完全な列を画成する副列の第一のセットの一部であってもよい。
【0051】
図3Aに示されるノズルプレートの後ろの特定の流体配置は重要ではなく、単にノズル12がどのように流体を供給されることができるかを例示するのに役立つに過ぎない。図3Aの例示的実施形態におけるノズル12は、副列方向に沿って配置されるノズルのクラスターを画成するように、圧力チャンバー14の細長い方向に沿って配置されるように示されているが、圧力チャンバーは二つの副列の画成に寄与していない。インクポート16a、16bは、リストリクター18a、18bを介して圧力チャンバー14と流体連通している。この配置は、例えば、ノズルまたは圧力チャンバーの両端の流体供給部を通過する再循環を可能にする。再循環のために、インクポート16aのうちの一つは、それぞれの圧力チャンバー14に、対応するリストリクター18aを介して、圧力チャンバーの一方の端部からインクを供給し、ノズル12から吐出されなかった全てのインクは、圧力チャンバー14のもう一方の端部でリストリクター18bを介して対応するインクポート16bに戻される。圧力チャンバー14は、それぞれ一つのノズルを有することが示されているが、これは必須ではない。各圧力チャンバーは、例えば、二つのノズルを並べて有することができる。
【0052】
図1Aに戻ると、これは、木目調現象の緩和のない状態での液滴着地位置に対する堆積媒体3の移動によって引き起こされる強制ガス流の効果を例示している。媒体搬送方向xに移動する堆積媒体3によって作り出されるギャップG内の強制空気流、またはクエット流は、異なる長さの一連の平行矢印によって示され、より長い矢印は短い矢印よりも速い空気流を示す。分かるように、ノズルプレート6から吐出される液滴は、強制空気流の結果として、吐出時のノズル12の真下の位置から、ギャップGを横切って移動した後の堆積媒体3上の着地位置まで、時間とともに変位される。
【0053】
これ以降、一次流れと呼ばれる強制空気流によって引き起こされる液滴変位は、液滴ヘッド2全体で均一であると見なされる。液滴変位のこの部分は、媒体の速度を知り、それに応じて吐出のタイミングを調整することによって管理されることができる。
【0054】
一方、二次空気流およびそれらの一次流れとの相互作用は、媒体搬送の方向、xへ、または列方向への液滴の別の予測不可能な変位をもたらす可能性がある。ずれのこの部分は、例えば、タイミングによって、従来の手段では制御することができない。
【0055】
二次空気流の一例は、ノズル12からの液滴の吐出によって引き起こされると考えられるものである。例えば、6m/sで移動する各液滴は、液滴と共に空気を下向きに引っ張り、下向きの円柱状の空気流を引き起こす。このような空気カラムは、列方向に沿って組み合わされて、隣接するノズル12の群の周りに空気流の「カーテン」を形成する可能性がある。これは特に、ノズル間隔が狭く、カラムがより密に詰まっている高分解能液滴吐出ヘッドの場合に当てはまる。
【0056】
「エアカーテン」およびそれに関連する流れは、液滴が速くなるほど強くなり、液滴が吐出される周波数がより高くなる可能性がある。堆積媒体3に衝突する液滴によって誘発される強制流れ、および空気カーテンと強制流れとの相互作用は、循環渦の形成をもたらす。これは図1Cに概略的に示される。これらの渦の液滴吐出方向における強度と程度は、液滴の速度および体積(重量)に依存すると考えられる。
【0057】
強制空気流は、液滴カーテンによって作られた「エアカーテン」を突き破り、液滴カーテンを通過すると、媒体搬送方向を横切る循環運動を伴う渦を形成すると、本発明者は考えている。これは、特に液滴カーテンの弱い点またはギャップで発生する可能性がある。液滴カーテンの弱点、したがって「エアカーテン」によって示されるバリアのギャップは、ノズルの列全体の不均一性により、例えば、一部のノズルが隣接するノズルと比較してより少ない液滴量および/もしくはより遅い液滴を生み出すために、一部のノズルがノズル軸と同軸に液滴を吐出しないために、または画像情報による非アクティブなノズルのために、発生する可能性がある。
【0058】
単独でまたは組み合わせて、乱流(eddy)または渦(vortex)の様々な源は、媒体方向xを横切り、液滴吐出方向に反平行であるギャップGに流れ成分を導入し、これらの成分が、図1Bに示される認識される「木目調」模様を引き起こす。この模様の生成と、ノズルをクラスターに配置することの効果は、シミュレーションによってさらに確認された。
【0059】
図1Dによる従来のノズル列13を最初に考察すると、図1Cは、ノズルプレート6と堆積媒体3との間の空気の速度の大きさの等高線図である。図の態様は、ノズルプレート6から垂直な方向に下向きである。速度の大きさは、ノズルプレート6と堆積媒体3との間の、平行な平面の中間上で評価され、および流れの方向に関係なく、特定の場所での空気速度の最大の大きさである。したがって、3mmのギャップの場合、平面は、速度の大きさの等高線がプロットされる堆積媒体3から1.5mm離れて位置する。シミュレーションは、3plの液滴サイズで設定され、20kHzの印刷周波数と0.416m/秒の媒体速度により、印刷方向で(つまり、図1Cのx方向に沿って)1200dpi(1インチあたりのドット数)の解像度が得られる。
【0060】
図1Cの暗い領域は、(ゼロに近い)低速の大きさを表し、明るい領域は、約1.5m/秒の速度の大きさを表す。ノズルの列13は、高速の上部水平線に沿って配置され、図1Cの列方向(矢印)26によってさらに示される。図1Cのクエット流れの方向は、堆積媒体3の運動方向に沿っている、すなわち、x方向に沿っている。印刷開始時に、強制空気流は、堆積媒体の移動方向に沿って(x方向に沿って)、列方向26に垂直な方向に生成される。さらに、強制空気を遮断する液滴カーテンが生成されている。この強制空気流は、液滴カーテンの前方に渦60を生成する。この渦60は、移動基材によって連続的にエネルギーを与えられ、渦は液滴カーテンを突破し、液滴カーテンの中を通って、ノズルの後ろに下流の空気流62を生成する。それらの下流の空気流62は、視覚的な木目調現象を生み出してしまう、液滴着地位置の変位を引き起こす。渦60が液滴カーテンを突破する位置は、時間とともに動的かつ予測不可能に変化するので、下流の空気流62は連続的に変化し、画像に沿って進化する木目調模様を生み出す。
【0061】
本発明者らは、ノズルクラスター24を設けることにより、図1Dの従来のノズル列13の液滴カーテンを制御不能に突破する代わりに、強制空気流によって引き起こされる渦60が、液滴カーテンを通ってエネルギーを制御可能に消失させることができ、印刷品質を維持することができることを提案する。
【0062】
この提案を例示するために、図4Aは、同じ副列22_1、22_2の隣接するクラスター間のノズル間隔、およびノズルクラスター24によって画成される副列22_1と22_2との間の副列間隔によって設けられるパスに沿って、ノズル12のノズルクラスター24の列20を通過する強制空気の流線を示している。図1Cのシミュレーションは、それぞれns/2=84.67μm、ずらし距離sd=84.67μm、クラスター間隔a=592.67μm、副列間隔677.33μmで配置される6つの千鳥状のノズルを備えるクラスターの図3Bの配列に従って、ノズルプレート10のノズル配置を使用して繰り返された。従来のノズル列13の図1Cのシミュレーションに使用されるプロセス条件およびギャップ距離と同じものを使用して、印刷の進化における空気流の速度の大きさの結果のスナップショットを図4Bに示す。ここで、高速位置は、副列22_1および22_2のクラスター24_1および24_2の位置でのみ観察できる(全てのノズルが印刷している)。本発明者らは、クラスターの前方のこれらの高速の大きさは、移動する堆積媒体によってではなく、むしろ液滴カーテンによって生成されることを提案している。列20の前の速度の大きさは、図1Cのプロットに比べて大幅に減少している。本発明者らは、これは、クラスターのギャップ間で容易にカーテンの中を通る機会があるため、カーテンの前で渦60が生成されていないことを示唆していると考えている。重要なことに、下流の空気流62は、図1Cのものと比較して大きさがはるかに小さいだけでなく、図1Cの動的模様とは反対に安定した模様で均一に分布している。したがって、図4Bは、ノズルクラスター24の存在が、強制空気流が制御された方法で通過するために液滴カーテンを通る経路をどのように提供するかを示している。制御された下流の空気流62の安定したパターンは、液滴量および/または速度を(「トリミング」によって)変更することによって調節でき、これらのずれは時間の経過とともに一定であるため、列方向に沿った液滴のずれを説明できる
【0063】
様々なクラスター設計を評価するために、適合したMPPICFoamソルバー(OpenFOAMソフトウェア)を使用して、液滴の着地位置のシミュレーションを実行した。シミュレーションは、次の寸法の長方形のボックスで実行され、印刷方向(x方向)に7.5cm、幅方向(y方向)に9cm、ドメインの高さはギャップ距離Gによって制約された。ドメインのトップの壁は、速度がゼロの条件の固定壁として制約された。底部壁は、適切な速度条件が設定された移動堆積媒体をシミュレートした。ノズルは、ギャップG内への入口から3cm下流(媒体搬送の方向)に配置された。ノズル20の列の全長は3cmに等しく、その結果、9cmのドメイン幅に対して、流れは液滴カーテンの端部の周りを流れることができた。クエット流の速度プロファイルが入口に設定され、ゼロ圧力境界が出口に設定された。全てのシミュレーションは、印刷方向に(x方向に沿って)12cmの長さの画像を生成するように時間調整された。
【0064】
シミュレーションでは、ノズルクラスター当たり4、6、および8個のノズルである、3種類のノズルクラスター24が評価された。ノズル12は、図3に示されているのと同じ間隔の定義に従って、ずらし距離sd=84.67μmずらされ、ノズル間隔ns/2=84.67μmで間隔が空けられた。ノズルプレート10と堆積媒体3との間の3mmおよび4mmのギャップ距離Gが、液滴量が3pl、初期の液滴速度が8m/秒までで試験され、液滴の密度は1100kg/mであった。1200dpiの解像度を得るために、1.248m/秒と3.744m/秒の媒体速度に対応する二つの印刷周波数、20kHzおよび60kHzが評価された。
【0065】
図5および図6は、シミュレーションによる液滴のずれの画像であり、全てのノズル印刷のy方向の変位の大きさを示し、*(最大副列間隔を有する6×6および8×8)で示される表1および表2に記載される試験実行による代表的な結果である。3つのノズルクラスタータイプ「4×4」、「6×6」、および「8×8」は、両方の副列22が同一のノズルクラスターサイズに相当し、「4×4」クラスターについては各ノズルクラスターに4つのノズルで、「6×6」クラスターについては各ノズルクラスターに6つのノズルで、「8×8」クラスターについては各ノズルクラスターに8つのノズルで定義される。以下のノズルクラスターの間隔および長さが適用される。
- 4×4クラスター:a=423.34μmおよびc=254.00μm、
- 6×6クラスター:a=592.67μmおよびc=423.34μm、
- 8×8クラスター:a=762.00μmおよびc=592.67μm。
各クラスタータイプを、ノズル距離nsの倍数、2、4、6、8倍である4つの異なる副列間隔b、すなわち、169.33μm、338.67μm、508.00μm、および677.34μmで試験した。
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0066】
表は、木目調現象の動的要素(DE)の視覚認知の画像品質インジケーターDEを含む。分析は、同じギャップ、クラスター配置、および周波数に対して行われ、本質的に、最も小さい副列間隔の視覚品質を次に大きい副列間隔と、以下同様に最も大きい副列間隔まで比較する。「DEが除去された」とは、木目調現象の動的要素が目に見えない場合、「はい」が縦列に入力されることを意味する。動的要素DEの出現の増大は、「ほとんど」、「大幅に減少」、および「いいえ」によって示され、ここで「いいえ」は、DEの強い存在を示す。
【0067】
表1A、1Bおよび2A、2B(最大の副列間隔を有する6×6および8×8)の(*)で示されるシミュレーション画像の選択について、図5A~5Dおよび6A~6Dは、(x方向に沿って)印刷方向に沿った各ノズル12の液滴変位を示す。各液滴の変位は、段階的な尺度によって表され、黒が最大の変位であり、白色が変位なしである目的のノズル座標と実際の(シミュレーションされた)液滴着地座標との間の差として計算された。図5および図6は、木目調模様の動的変化を評価する目的で、y方向に沿った変位の絶対値のみを示す。図の下のスケールに示すように、図5の場合は、y方向の最大変位は絶対値2.5μmであり、図6の場合は絶対値5μmであった。
【0068】
3mmのギャップ試験および副列間隔b=677.34μmの場合、図5A~5Dは、20kHで6×6クラスター(図5A、試験番号24)および20kHで8×8クラスター(図5B、試験番号40)、ならびに60kHで6×6クラスター(図5C、試験番号28)および60kHで8×8クラスター(図5D、試験番号44)の画像を示す。20kHzで動作する6×6クラスターの図5Aから分かるように、時間の経過とともに液滴の不規則なずれが、y方向に沿って見られる場合があり、特に起動時に画像の左側に弱い「木目調」模様が現れている。他の3つの図、図5B~5Dは、より規則的な模様を示す。全ての画像において、模様は強制空気流によって引き起こされる。y方向に沿ったずれが(プロットの左側での起動時間の後)時間の経過とともに一定である場合、これは、動的要素が防止される間、木目調模様の非動的要素のみが存在することを示す。結果として生じる模様は、一定量の液滴のずれによる「バンド」模様である。このような「バンディング」は、より暗いバンド状領域に少ない液滴量を堆積させ、より明るいバンド状領域に多い液滴量を堆積させるために、対応するノズルの液滴サイズを適切に調節することによって軽減されることができる。液滴量の調節はまた液滴の「トリミング」とも呼ばれ、堆積媒体表面での様々な液滴量、したがって色素密度を達成する。したがって、図5A~5Dのシミュレーションについては、起動時間の後、木目調現象のDEが除去される(表のDEの縦列に「はい」と示される)。
【0069】
図5Aを5Cと比較し、図5Bを5Dと比較すると、模様は、6×6クラスターではなく8×8クラスターを使用することによって、より優れた制御を達成できることを示唆する。さらに表1Aは、6×6および8×8のクラスターの両方で、より大きな副列間隔677.34μmの場合、20kHzでDEが早期に除去されることを示唆している。6×6の場合、b>aおよびb>cである。試験された2番目に大きな副列間隔b=508μmでも、DEは早期に除去(8×8)または大幅に低減(6×6)される。
【0070】
60kHzでは、6×6クラスター(図5C)および8×8クラスター(図5D)はそれぞれ、画像の左側の起動期間の後、時間の経過とともに、より強いが一定のずれの模様を示す。シミュレーションは、適用条件に応じて、十分に高い副列間隔を選択することによって、木目調現象の良好な減少が達成される可能性があることを示唆している。例えば、6×6または8×8のクラスターの場合、副列間隔は300μmより大きくてもよい。20kHzまたは60kHz、および3mmのギャップでは、副列間隔は、クラスター長よりも大きい場合b>cがある。
【0071】
4mmのギャップについて、図6A~6Dは、最大副列間隔b=677.34μmにおける、6×6および8×8のクラスターの時間に対する液滴のずれのシミュレーション結果を示す。図6Aは試験番号32(6×6クラスター、20kHz)に、図6Bは試験番号48(8×8クラスター、20kHz)に、図6Cは試験番号36(6×6クラスター、60kHz)に、および図6Dは試験番号52(8×8クラスター、60kHz)に関する。
【0072】
20kHzでは、6×6および8×8のクラスターの両方が、典型的な波状の木目調現象を示す(DEは除去されない)。試験された副列間隔bのいずれについても完全には除去されていないが、木目調現象のDEは、677.34μmの副列間隔bを有する8×8クラスターでは、同じ副列間隔bの6×6クラスターよりもより見えにくい。しかし、DEは8×8配置よりも6×6配置のほうがより目立つが、6×6配置の場合、b=677μmの最大副列間隔は、その配置の最小副列間隔(b=169μm)と比較して、大幅に低減されたDEを有し、これは同じ条件で試験された図7Aに示される、ことに留意されたい。したがって、図6Bの場合、印刷された画像の大部分は、液滴量を削減することによって調節されることができる。図6Bの場合、副列間隔はクラスター長よりも大きく、b>cである。副列間隔を長くすると、木目調現象がさらに減少するか、さらにまたは代わりにクラスター長が長くなる可能性があり、例えば10×10型クラスター、例えばc=762μmおよび/またはb>677.34μmもしくは762μm以上である。本明細書に記載されるものよりも著しく長いクラスター長は、最終的に、制御可能に通過することができず、木目調現象を引き起こす可能性がある、流入する強制空気流に対してかなりの長さの液滴カーテンを示すであろうことが理解されるであろう。
【0073】
表2Bに記載されるように、60kHzの液滴周波数および4mmのギャップでの木目調現象のDEは、20kHzの液滴周波数と比較して優位でないように見える。表2Aおよび2Bは、最小の4×4型のクラスターはDEを低減するが6×6および8×8クラスターよりも有利ではなく、6×6および8×8クラスターはb=169μmより大きい任意の副列間隔bで好適な程度にDE減少させることを示唆する。したがって、より高い液滴周波数では、クラスター長cおよび/またはクラスター間隔aは、副列間隔bよりも木目調現象のDEの低減により大きな影響を与える可能性がある。
【0074】
副列間隔bの増加に伴う木目調現象の動的要素DEの減少は、図7A~7Dにはっきりと見ることができる。これらの図では、シミュレートされた画像は、図5A~5Dおよび6A~6Dで試験された6×6クラスターと同じ寸法とプロセスに従って、6×6クラスター配置について20kHzで4mmギャップGの液滴配置の動的進展を示している。図は、表2Aの試験番号33~36(記号+で示される)に対応し、169.33μmの初期副列間隔は、338.67μm(図7B)に、そして508.00μm(図7C)に、そして最後に677.34μm(図7D)に増加する。図7Aの最小の副列間隔は、動的現象によって急速に変化する「サバ肌」模様を示す強いDEをもたらす。図7Bでは、液滴のずれが安定し始め、DEが減少する。508μmの副列間隔(図7C)は、169μmの副列間隔と比較してDEの著しい減少を示し、b=677.33μmはDEのさらに優れた減少をもたらす(図7D)。b=677.33μmでもある程度のDE(他の副列間隔と比較して「大幅に減少」と示される)が可能であるが、図7A~7Dは、副列間隔bが増加するにつれてDEが徐々に減少することを明確に示す。
【0075】
図5A~5D、図6A~6D、および図7A~7Dに示すシミュレーションは、DEの改善された低減または防止さえも、媒体速度、液滴周波数、液滴量(質量)、および特定用途のギャップGの特定の組み合わせに依存することを示唆している。したがって所与の用途に好適なノズルクラスター配置は、クラスター長c、クラスター間隔aおよび副列間隔bを変えることによって特定されることができる。
【0076】
好適なクラスター寸法および間隔(クラスターおよび副列)が選択された場合に、クラスターを通る流路を提供することによる視覚的な影響を説明するために、低周波数/小さいギャップ(20kHz、3mm)の液滴配置の動的進展の別のシミュレーション結果を図20および21に、ならびに高周波数/小さいギャップ(60kHz、3mm)の、4x4クラスターについては図22に示す。これらの図では、副列間隔を増加する効果がさらに例示される。
【0077】
図20A~20C(記号□で示される表1Aの試験番号5、7、および8)は、表1Aの試験番号5、7、および8の4×4のクラスター配置、すなわち、副列間隔b=169.33μm(A)、b=508μm(B)、およびb=677.34μmμm(C)を有する配置について、20kHz、3mmのギャップでシミュレートされた画像を示す。このクラスター配置では、試験した範囲では木目調現象の動的要素DEは完全には除去されないが、副列間隔が169.33μmから677.34μmに増加すると、画像はDEの大幅な減少を明確に示す。試験した最大副列間隔(677.34μm)については、木目調現象のDE成分はほぼ完全に除去され、主にバンディング現象のみが見られる。
【0078】
同様に、図21A~21C(記号oで示される表1Aの試験番号37、38、および40)は、副列間隔b=169.33μm(A)、b=338.67μm(B)、およびb=677.34μm(C)を有する8×8クラスター配置について、20kHz、3mmのギャップでシミュレートされた画像を示す。DEは、最小の副列間隔b=169.33μm(図21A)で非常に優勢であるが、副列間隔をb=338.67μmに少し増やすことによりほとんど除去される(図21B)。試験された最大の副列間隔、b=677.34μmではDEは完全に除去されているように見える(図21C)。したがって、低解像度の画像を印刷するいくつかの用途では、約338μmの副列間隔bで十分である場合があり、例えば、副列間隔は少なくとも300μmであるが、より要求の厳しい用途では、副列間隔bは約677μmが必要であり、例えば少なくとも600μmである。
【0079】
図22A~22Dは、(記号Δで示される)表1Bの試験番号9、10、および41、42について、最小の副列間隔b=169.33μmで4×4クラスター配置(A)および8×8クラスター配置(C)、ならびに次の間隔サイズb=338.67μmで4×4配置(B)および8×8配置(D)について、60kHz、3mmのギャップでシミュレートされた画像を示す。液滴吐出の周波数が高いほど、木目調現象による液滴が動的ずれ(DE)を起こしにくいことが分かる。これらの場合、最小の副列間隔b=169.33μmは、クラスターがない場合(b=0、図示せず)と比較してDEを大幅に低減した。次の副列の間隔b=338.67μmでは、DEは完全に除去される。したがって、より高い周波数用途と要求が厳しくない解像度要件の場合、少なくとも150μmの小ささの副列間隔は許容可能な画質をもたらす可能性がある。より要求の厳しい用途の場合、副列間隔は170μmより大きく、好ましくは250μmより大きく、より好ましくは300μmより大きくなければならない場合がある。
【0080】
上記のシミュレーション結果は、試験番号23および24の6×6ノズル配列と同様だが、その配列の中間に副列間隔を有するノズルプレート配列を使用する実験によって試験された。ノズル間隔ns/2=84.67μmの場合、6×6の実験用ノズルクラスター配列はクラスター長c=423.3μm、クラスター間隔a=592.7μm、副列間隔b=592.7μmを有し、そのためこの場合はa=bである。これらのノズルプレートは液滴吐出ヘッド内に組み込まれ、同じns/2だがノズルクラスターはない従来の液滴吐出ヘッドと比較された(つまり、図2の配列を使用)。図8A~8Cは、(i)従来のノズルプレート、および(ii)6×6クラスターを有する実験用ノズルプレートについて3mmのギャップで印刷された印刷試験試料を示す。両方とも、媒体速度を適宜変化させることにより(20kHzで0.416m/秒、30kHzで0.635m/秒、および47kHzで0.995m/秒)、20 kHz(図8A)、30kHz(図8B)、および47kHz(図8C)で印刷方向に1200dpiの解像度を達成する。試験された全ての周波数で、(i)従来のノズルプレートを使用した印刷試料は、はっきりと目に見える動的要素を有する典型的な木目調模様を示す。6×6クラスターを有するノズルプレートを使用する対応する印刷試料は、DEが除去された通常の「バンディング」のみを示す。
【0081】
したがって、実験試験では、副列間隔b離間する二つの副列に配列される6×6クラスターを使用して、目に見える木目調現象の動的要素DEを除去し、静的現象の「バンディング」のみを残す方法を示し、また、液滴量を調節(トリミング)してバンディング現象も除去することにより、さらに軽減することができる。これについては、以下でさらに説明する。
【0082】
図3の例示的実施形態に戻ると、クラスター間隔a、クラスター長c、および副列間隔bは、副列の列の全てのノズルクラスター24に関して一定である。言い換えれば、いくつかの実施形態では、副列間隔bは、二つの副列間で実質的に等しくてもよい。さらに、または代わりに、クラスター間隔aは、各副列に関して実質的に等しくてもよい。
【0083】
必要に応じて、第一の副列と第二の副列との間の第一の副列間隔bは、第一の副列のノズルクラスター間のクラスター間隔aに等しくてもよい。さらに、または代わりに、副列間隔bは、クラスター長cに実質的に等しくてもよく、例えば、第一の副列と第二の副列との間の第一の副列間隔bは、第一の副列のクラスター長cに等しくてもよい。
【0084】
さらに、または代わりに、クラスター間隔aは、同じ副列内のクラスター長cおよび/または異なる副列のクラスター長cに実質的に等しくてもよい。
【0085】
あるいは、図9は、ノズル12の第一の副列22_1の少なくとも第一のノズルクラスター24_1aが、第一の副列の第二のノズルクラスター24_1bの第二のクラスター長c12と異なる第一のクラスター長c11を有することができる実施形態を示す。換言すると、第一の副列は、ノズルクラスターの第一および第二のサブセットを備え、ノズルクラスターの第一のサブセットのクラスター長は、ノズルクラスターの第二のサブセットのクラスター長と異なる。さらに、または代わりに、ノズルの第一の副列の少なくとも第一のノズルクラスター24_1aは、隣接する第二のノズルクラスター24_1bに対して第一のクラスター間隔a11を有することができ、間隔a11は、第一の副列の隣接する第三のノズルクラスター24_1cに対する第二のノズルクラスター24_1bの第二のクラスター間隔a12とは異なる。いくつかの実施形態では、別々の副列のノズルクラスター間の間隔は異なってもよく、例えば、ノズルの列の少なくとも3つの副列22_1、22_2、22_3を画成することによって、第一の副列22_1は第二の副列22_2から副列間隔b12離間し、第一の副列は第三の副列22_3から副列間隔b13離間している。換言すると、第一、第二、および第三の副列のそれぞれの一つまたは複数のノズルクラスターは、第一の副列と第二の副列との間の第一の副列間隔、および第一の副列と第三の副列との間の第二の副列間隔を画成する。第一の副列間隔は、第二の副列間隔とは異なってもよい。これは、(y方向に関して)液滴吐出ヘッド2のノズルプレート10の液滴カーテンの前部に対して、印刷方向(x方向)に沿った空気の流れを変化させるために有利である可能性がある。例えば、液滴吐出ヘッド2の側面の周りの強制空気流は、プリントヘッドの側面に近いまたはノズル列の端部に近いノズル12から吐出される液滴のずれを、液滴吐出ヘッド2の中心近傍またはノズル列の中心近傍のノズル12から吐出される液滴よりもより強く引き起こす可能性がある。
【0086】
例えば、液滴吐出ヘッド2の側面により近いノズルクラスター24は、強制空気が液滴カーテンを通過するためのより広い流路が得られるように配置されることができる。
【0087】
ここで図9を参照すると、これは、ノズルの列の端部領域内に様々なクラスター長cおよび様々な副列間隔bを提供する例示的な実施形態を示す。ノズル12の列20は、ノズルクラスター24を備える。ノズルは、一定のノズル間隔nsで互いに離間されている。ノズルクラスターは、3つの副列22_1、22_2、および22_3を画成する。副列22_1は、ノズルクラスター24_1a、24_1b、24_1c、...を有し、副列22_2は、ノズルクラスター24_2a、24_2b、24_2c、...を有し、副列22_3は、ノズルクラスター24_3aおよび24_3bを有する。ノズルクラスター24_3bは、ノズルの列のもう一方の端に配置されるため示されていない。3つの副列は二つの副列の間隔を画成し、副列22_1と22_2とは副列間隔b12離間され、副列22_1と22_3とは副列間隔b13離間されている。副列22_1の第一のノズルクラスター24_1aおよび副列22_3の第一のノズルクラスター24_3aは、「8×8」クラスターの例であり、各ノズルクラスターは8つのノズルを有する。この実施形態では、c11=a11=b12であり、すなわち、第一の副列22_1の第一のノズルクラスター24_1aと第二のノズルクラスター24_1bとの間のクラスター間隔a11は、第三の副列22_3の第一のノズルクラスター24_3aのクラスター長c31(図示せず)によって画成され、これは、第一の副列22_1の第一のノズルクラスター24_1aのクラスター長c11と同じである。さらに、例えばノズルクラスター24_1aと24_3aとの間の、隣接するノズルクラスターの端部に配置されるノズル間の間隔は、副列のセットを列方向上へ投影する方向に沿って見る場合、同じノズルクラスター24内のノズル間隔nsと同じである。これは、副列のセットを列方向上へ投影する方向に沿って見る場合、第一の副列22_1の第一のノズルクラスター24_1aおよび第三の副列22_3の第一のノズルクラスター24_3aのノズル12が、一定のノズル間隔nsのノズル12の連続した列を形成することを意味する。この実施形態では、ノズルクラスターの同様のペア、24_1nと24_3bは、列20(図示せず)の反対側の端部に配置され、ノズルクラスターのペア24_1aと24_3aと同じ構成を有する。
【0088】
第一の副列22_1の第二および第三のノズルクラスター24_1b、24_1c、ならびに第二の副列22_2の第一および第二のノズルクラスター24_2aおよび24_2bは、「6×6」クラスターの例であり、各ノズルクラスターは6つのノズルを有する。この実施形態では、c12=a12=b12であり、つまり、第一の副列22_1の第二のノズルクラスター24_1bと第三のノズルクラスター24_1cとの間のクラスター間隔a12は、第二の副列22_2の第一のクラスター24_2aのクラスター長によって画成され、これは、第一の副列22_1の第二のノズルクラスター24_1bのクラスター長c12と同じである。
【0089】
さらに、副列のセットを列方向26上へ横方向に投影する方向に沿って見る場合、隣接するノズルクラスターの端部に配置されるノズル12間、例えば、ノズルクラスター24_1bと24_2aとの間の間隔は、同じノズルクラスター24内のノズル間隔nsと同じである。これは、副列のセットを列方向上へ投影する方向に沿って見る場合、第一の副列、第二の副列、および第三の副列のノズルクラスターのノズル12が、一定の投影されたノズル間隔のノズル12の連続した列を形成することを意味する。
【0090】
図9の配置では、ノズル12から吐出される液滴によって引き起こされる強制空気流がエアカーテンを通過するために、列の端部の近傍により広い経路が存在する。ノズルクラスター24_1aと24_1bと24_3aとの間の経路は、例えば、ノズルクラスター24_1b、24_1cと24_2a、24_2bとの間の経路よりも、空気が通過するための抵抗が少ない。
【0091】
別の実施形態では、ノズルクラスターの複数のペアは、列の端部近くでより長い長さと副列間隔を有する場合がある。列の端部の近傍のノズルクラスターは、徐々に長くなり、かつ列の中央付近よりも列の端部のより近傍でより多くのノズル12を備えるノズルクラスターによって、強制空気流が通過するための徐々に広がる経路を有することができる。
【0092】
図9の実施形態とは別に、クラスター長が減少し、列の端部の近傍でより短い長さおよび副列間隔を有してもよい。列の端部近傍のノズルクラスターは、列の中心と比較して、列の端部のより近傍で、液滴によって生成されるエアカーテンを通過する強制空気流のためのより速いより小さな流路を設けるために、徐々に狭くなる経路を有してもよい。この別の実施形態では、全てのノズルクラスターが二つの副列内に設けられるように、副列間隔は一定に維持されることができる。
【0093】
印刷の分野での多くの用途の要求に対処するために、液滴吐出ヘッドの解像度は、上記の実施形態およびその様々な実施形態に示されるように、一つの列を備えるよりもより多くの列が必要である場合がある。これは、ノズル12の別の列を設け、副列のセットを列方向上への投影方向に沿って見る場合、別の列のノズル12が第一の列のノズル12に対して中間位置に配置されることによって達成されることができる。1列の解像度を2倍にするための2列のノズル12のノズル構成の例を図10に示す。二つの列20Aおよび20Bは、列方向に(y方向に沿って)互いに平行に延在する。各列は、ノズルクラスター24Aおよび24Bをそれぞれ備える。列20Aのノズルクラスターはそれぞれ、それぞれの列方向26Aに延在し、副列距離bで離隔される二つの平行な副列22A_1および22A_2を画成する。列20Bのノズルクラスターはまた、それぞれの列方向26Bに延在し、副列距離bで離隔される二つの平行な副列22B_1および22B_2を画成する。
【0094】
図10の実施形態では、各列は、サブクラスターグループとも呼ばれる同じ千鳥オフセットグループの隣接するノズル12からノズル間隔ns離間されるノズル12を備える。さらに、ノズルクラスターの二つの千鳥オフセットグループ(またはサブクラスターグループ)を列方向(y方向)上へ投影する方向に沿って見る場合、別々の千鳥オフセットグループの隣接するノズルの間の投影されたノズル間隔は、ns/2に等しい。列20Aおよび列20Bは列方向に沿ってさらに配置され、列方向上へ投影する方向に沿って列を見る場合、列20Bの投影されたノズルは、隣接する列20Aの投影されたノズルから、ノズル間隔ns/4、すなわちノズル間隔の4分の1離間される。これは、第二の列のノズルは第一の列の投影されたノズル間の中間位置に投影されることを意味する。したがって、同じラインピクセル内に印刷するために一つの行として使用される場合、二つの列の組み合わせの有効なノズル間隔はns/2であり、単一の列20Aまたは20Bの2倍の解像度が得られる。この状態、条件は、第一および第二の列の全長にわたっては持続しない場合があり、例えば、列の末端の近傍では、例えば、異なるノズルプレートの列間の正確な位置合わせを可能にするために、ノズル間隔は列の中央付近のノズル間隔と同じではない場合がある。しかし、隣接する投影されたノズルクラスターのそれぞれの二つ以上のノズル間の移行領域において、投影されたノズル間隔は一定である、すなわち、移行領域内のノズルは等距離であると予想されることができる。図10では、これは、ノズルクラスター24A_1と24A_2との隣接する端部の間の移行領域Tによって、ならびにノズルクラスター24B_1と24B_2との隣接する端部の間の移行領域Tによって示される。この例では、移行領域TおよびTは、列方向上へ投影される場合に重なり合い、重なり合う領域は移行領域と同じである。
【0095】
さらに、列20Aのノズルクラスターは、それぞれクラスター長cで延在し、同じ副列22A_1、22A_2の隣接するノズルクラスターからクラスター間隔a離間されている。同様に、列20Bのノズルクラスターは、それぞれクラスター長cで延在し、同じ副列22B_1、22B_2の隣接するノズルクラスターからクラスター間隔a離間されている。図10の実施形態では、ノズルクラスターは、各列内でクラスター長c、クラスター間隔a、および副列間隔bが一定になるように配置されるが、これは必須ではない。さらに、列20B内のノズルクラスターは、列20A内のノズルクラスターと同様に配置され、その結果、副列の間隔は同じ、b=bであり、クラスター長およびクラスター間隔は同じ、c=c、およびa=aである。しかしこれは必須ではなく、別の実施形態では、列ごとに3つ以上の副列が存在する可能性があるため、副列の距離は列の方向に沿って変化する。さらに、または代わりに、クラスター長cは同じ列内で変化してもよく、および/またはクラスター間隔aは同じ列内で変化してもよい。さらに、二つの列がノズルクラスターの同様の配置を構成することは必須ではない。別のノズルクラスター内に異なる数のノズル12を有することにより、例えば、副列間隔が同じではない、b≠bの場合があり、ならびに/または例えば、クラスター長cおよび/もしくはクラスター間隔が同じではない、c≠cおよびa≠aの場合がある。
【0096】
したがって、ノズルプレート10は、それぞれの副列方向に互いに並んで延在する二つ以上の副列の第二のセットを備えるノズル12の第二の列を備えることができる。副列の第二のセットの少なくとも二つの副列(すなわち、第一および第二の副列)は、列方向に垂直な、横方向に第三の副列間隔で離間されている。副列の第二のセットの各副列22は、それぞれが複数のノズル12を備える一つまたは複数のノズルクラスター24から構成される。さらに、各ノズルクラスター24は、それぞれの副列方向に沿ってクラスター長cで延在し、隣接するクラスター24からクラスター間隔a離間されている。好ましくは、第三の副列間隔は、300μmよりも大きい。
【0097】
用途によっては、副列のセットの第一の副列と第二の副列との間の副列間隔は、400μmより大きくても、または500μmより大きくてもよい。いくつかの実施形態では、副列間隔は900μmよりも小さくてもよい。
【0098】
副列の第二のセットは、3つ以上の副列を備えてもよい。例えば、副列の第二のセットの第一、第二および第三の副列のそれぞれの一つまたは複数のノズルクラスターは、副列の第二のセットの第一の副列と第二の副列との間の第三の副列間隔b、および副列の第二のセットの第一の副列と第三の副列との間の第四の副列間隔bを画成し、第三の副列間隔は第四の副列間隔と異なる。
【0099】
列20Aが、ノズルクラスター24Bを有する第二の列20Bとは異なるノズルクラスター24Aの配置を有する実施形態が図11に示されている。列20Aのノズルクラスター24A_1および24A_2は、副列距離b離間する二つの副列22A_1および22A2を画成するように配置される。ノズルクラスター24A_1a、b…および24A_2a、b…は、「6×6」方式に従って配置され、各ノズルクラスターは、クラスター長cおよびクラスター間隔aを有する6つのノズルを備える。列20Bのノズルクラスター24B_1a, b…および24B_2a,b…は、副列距離b離間する二つの副列22B_1および22B_2を画成するように配置される。ノズルクラスター24B_1a、bおよび24B_2a、bは、「8×8」方式に従って配置され、各ノズルクラスター24Bは、クラスター長cおよびクラスター間隔aを有する8つのノズルを備える。この実施形態では、列間の副列間隔は同一ではなく、b≠bであり、クラスター長とクラスター間隔も同じではなく、c≠cおよびa≠aである。
【0100】
ノズルクラスターの具体的な配置は、用途の要件、例えばギャップG、印刷周波数、および/または液滴速度および質量に応じて変化することができる。例えば、強制空気流を受けるためのノズル12の第一の副列または第一の列は、ノズル12の第二の列よりもより速いまたは特別に調整された空気逃げ道を可能にする配置を必要とする場合があると考えられる。
【0101】
これは、列内で、短い長さcのノズルクラスター24を、ノズルの列の第一の副列内の隣接するノズルクラスターに対して短いクラスター間隔a離間することによって、および短い長さcのノズルクラスターを、ノズルの列の第二の副列内の隣接するノズルクラスターに対してクラスター間隔a離間する同様な配置によって、達成されることができ、c=aおよびa=cである。例えば、ノズルクラスターは、それぞれ、4個、6個、または8個のノズルのみを備えてもよい。さらに、いくつかのノズルクラスターを備える第三の副列は、例えば列の端部近傍で、第一の副列への第二の副列間隔bを提供して、プリントヘッドの側面を通過する強制空気流によるあらゆるサイドフロー効果を低減することができる。この場合、第一および第二の副列は列の中央近傍にノズルクラスターを備え、第一および第三の副列は列の端部近傍にノズルクラスターを備える。
【0102】
このような配置の実施形態を図12Aに概略的に示すが、列20は、二つの副列間隔を提供する3つの副列22_1、22_2、22_3を有し、第一の副列間隔bはノズルクラスター24_1と24_2とによって画成され、第二の副列間隔bはノズルクラスター24_1と24_3とによって画成される。この実施形態では、列20の端部近傍で副列22_2のノズルクラスターが欠落しており、副列22_3の場合、ノズルクラスターは列の端部近傍にのみに設けられている。3つの副列を(y方向に沿う)列方向上へ投影する方向に沿って(x方向に沿って)見る場合、全てのクラスターのノズルは一つの連続する列を形成し、各ノズルは隣接する(投影された)ノズルから一定のノズル間隔nsで離間する。3つの全ての副列のクラスター長は同じ、c=c=cであり、その結果、クラスター間隔も同じ、a=a=aである。ノズルクラスターの配置により、二つの副列間隔は、第一の副列と第二の副列との間の第一の副列間隔bが、第一の副列と第三の副列との間の第二の副列間隔bよりも小さく、b>bである。ただし、第二と第三の副列とを第一と第二の副列との距離と同じに離間する必要はない。図12Aは、単に例示的な配置である。
【0103】
図12Aの実施形態の目的は、列の端部近傍および/または端部の別々の副列のノズルクラスター間により大きな距離を創出するために、列の端部近傍および/または端部のノズルクラスター間の副列間隔が、列の中央近傍のそれと比較してより大きくなることである。この実施形態では、列の中央近傍の別々の副列のノズルクラスター24間、この実施形態では、少なくとも別々の列24_1cと24_2aの、24_2aと24_1dの、24_1dと24_2bの、24_2bと24_1eの隣接するノズルクラスター間、の距離と比較して、ノズルクラスター24_1a、24_3a、24_1bおよび24_3bの間に、より大きな副列距離、ならびに強制空気が通過するためのこのより広い流路が存在する。一方、少なくとも第一の副列のクラスター長aとクラスター間隔cの特定の寸法は、渦によってもたらされるクロスフローを創出せずに液滴をy方向に視覚的にずらす程度まで強制空気流を通過させるのに十分な幅と頻度の切れ目を液滴カーテンに創出する。設計を特定のアプリケーションに合わせて調整するには、必要に応じて、副列間隔を調節してbとbの差を変化させてもよく、強制空気がノズルクラスター間を通過するために利用できるスペースを増加させる。さらに、または代わりに、各副列のクラスター長および/または間隔が調節されてもよい。
【0104】
図12Aの実施形態の代替として、第一の列のノズルクラスターの第一の列は、短い長さcのノズルクラスターを、隣接するノズルクラスターに対して比較的長いクラスター間隔aで備えることができ、c<aであり、第一の列の第二の副列は、長さcの比較的長いノズルクラスターを、隣接するノズルクラスターに対して短いクラスター間隔aで備えることができ、c>aである。二つの副列のノズル12は、副列を第一の列上へ投影する方向に沿って見る場合、等間隔のノズルの連続した列を形成するので、このことは、第一の副列のノズルクラスター長cが、第二の列のノズルクラスター間隔aに等しいこと、c=a、を意味する。同様に、第二の副列のノズルクラスター長cは、第一の列のノズルクラスターの間隔aに等しく、c=aである。例示的な実施形態を図12Bに概略的に示す。
【0105】
図12Bから分かるように、ノズルの列20(特に示されていない)は、副列22_1のノズルクラスター24_1および副列22_2のノズルクラスター24_2によって画成される第一の副列間隔b離間する二つの平行な副列22_1、22_2を有する。第一の副列22_1のノズルクラスター24_1は、第二の副列22_2のノズルクラスター24_2よりも短い長さ、すなわちc<cである。その結果、第一の副列のクラスター間隔は第二の副列のクラスター間隔よりも大きく、すなわちa>aである。換言すると、第一の副列のクラスター長は第二の副列のクラスター間隔に等しく、その逆も同様であり、すなわち、c=aおよびc=aである。この実施形態では、厳密には必要ではないが、第一の副列のノズルクラスターおよび間隔は一定のままであり、ならびに第二の副列のノズルクラスターおよび間隔は一定のままである。例えば、長さおよび間隔は、別の実施形態では列の端部に向かって変化する可能性がある。二つの副列を列方向(y方向)上へ横方向に投影する方向に沿って(x方向に沿って)見る場合、全てのノズルクラスターのノズルは一つの連続する列を形成し、各ノズルは、隣接する(投影された)ノズルから一定のノズル間隔ns分、離間される。
【0106】
図12Bの実施形態のノズルクラスター配列により、第一の副列は強制空気流に対して抵抗が少なくなり、第二の副列は強制空気流に対して抵抗がより大きくなる。強制空気流が第一の副列を通過すると、いくらかのエネルギーが消費されるため、第二の副列はわずかに弱くなった強制空気流と接触する。副列間隔bは、クラスターの最小長と少なくとも同じ大きさ、例えばb=cであるように選択されることができる。より好ましくは、最大のクラスター間隔より大きくならない、すなわちc最小≦b≦a最大のように選択されることができる。
【0107】
一部のノズルプレート10では、図12Aおよび図12Bの実施形態による配置が同じ列内に存在してもよい。さらに、複数列のノズル12を有するノズルプレート10を備える一部の液滴吐出ヘッドでは、図12Aおよび12Bの実施形態による配置が別の列に適用されてもよい。
【0108】
上記実施形態によるノズルプレートのノズルクラスターおよびその様々な実施形態は、さらに以下のように配置されることができる。
【0109】
さらに、または代わりに、第一の副列間隔bは、クラスター間隔aに実質的に等しくてもよい。さらに、または代わりに、第一の副列間隔bは、クラスター長cに実質的に等しくてもよい。
【0110】
さらに、ノズルの列の第一の副列の一つまたは複数のノズルクラスターを備える第一のグループは、第一の副列の一つまたは複数のノズルクラスターの第二のグループのクラスター長c12とは異なるクラスター長c11を有することができる。
【0111】
さらに、または代わりに、ノズルの列の第一の副列の一つまたは複数のノズルクラスターを備える第一のグループは、第二の副列の一つまたは複数のノズルクラスターの第一のグループのクラスター長c21とは異なるクラスター長c11を有することができる。
【0112】
さらに、または代わりに、一つまたは複数の副列の一つまたは複数のクラスターのノズルクラスター長cは、4つ以上のノズル12を備えることによって画成されることができる。
【0113】
さらに、または代わりに、一つまたは複数の副列の一つまたは複数のクラスターのノズルクラスター長cは、6つのノズル12を備えることによって画成されることができる。
【0114】
二つ以上の列を有し、第二の列が副列の第二のセットを備えるノズルプレート10の場合、副列の第一のセットのノズルクラスターのクラスター長は、副列の第二のセットのノズルクラスターのクラスター長と同じであってもよく、副列の第一のセットのノズルクラスターのクラスター間隔は、副列の第二のセットのノズルクラスターのクラスター間隔と同じである。一方で、別の実施形態では、副列の第一のセットのノズルクラスター間のクラスター間隔は、副列の第二のセットのノズルクラスター間のクラスタ間隔とは異なる。
【0115】
さらに、各列の各ノズル12は、列方向の上の方へ投影される場合、別の列の別のノズル12に直接隣接していてもよい。換言すると、全ての列の全てのノズル12は、液滴吐出ヘッド2の解像度に寄与し、同じピクセルライン内に印刷するために使用されることができる。さらに、例えば、複数のノズルプレート10間の位置合わせを可能にするために、投影されたノズルの50%より多い(すなわち過半数)または少なくとも75%は、隣接する投影されたノズルから等距離にあり、列の各端部近傍のノズル間の異なる距離を可能にする。これは、副列の第一および第二のセットを列方向上へ投影する方向に沿って見る場合、副列の第一のセットおよび第二のセットの全てのノズルクラスター24のノズル12は、変更された一定の投影されたノズル間隔のノズル12の連続した列を形成する。例えば、投影されたノズル間隔は、副列の第一のセットの隣接する投影されたノズル間の投影されたノズル間隔の半分であってもよい。したがって、副列の二つのセットを使用して、ノズルプレートの解像度を二倍にすることができる。副列の第一および第二のセットの端部は、場合によっては、例えば、二つの部分的に重なり合うノズルプレートのノズルの列間の正確な位置合わせを可能にするために、異なる投影されたノズル間隔を有してもよい。異なる投影されたノズル間隔を有する各列のノズルの数は、例えば、列のノズルの総数の25%または50%に近づく場合がある。
【0116】
上記の実施形態のいずれかにおいて、各ノズルクラスターのノズルは、列方向に沿って延在する平行なサブクラスターに配置されてもよく、サブクラスターは、列方向に垂直な方向に互いにサブクラスター間隔sd離間している。例えば、図3Aでは、それぞれ6つのノズル12のノズルクラスター24は、それぞれ3つのノズルからなる二つのサブクラスターを備え、それにより、同じサブクラスター内のノズルは、x方向に沿って同じ千鳥オフセットを有すると説明されることができる。
【0117】
ノズルのずれに関する考慮事項
図3Aに戻ると、この実施形態におけるノズルクラスターは、対応する圧力チャンバー14の側面に対して特定の位置にノズル12を設けることにより達成され、圧力チャンバー14は、列方向に直交する方向に(すなわち、x方向に沿って)細長く示されている。ノズル12を備える圧力チャンバー14の側面は、ノズルプレート10の表面に対して平面である。圧力チャンバーは、列方向(y方向)に沿って互いに平行に配置される。このタイプの「サイドシューター」圧力チャンバー14では、ノズル12が圧力チャンバー14の細長い側に関して中央位置から圧力チャンバー14の端部の一つに向かってオフセット位置に移動された場合、液滴吐出特性は許容レベル内に留まることが分かった。このずれは、中心位置から数百μmであり、その細長い側に沿って1mmの長さを備える特定の圧力チャンバー設計では最大約400μmである可能性がある。したがって、いくつかの実施形態では、圧力チャンバー14のクラスターを設けることなく、ノズルクラスター24を創出することが可能であり、例えば、圧力チャンバー14をずらす必要なしに、ノズル12をずらしてノズルクラスター24を創出することが可能である場合がある。例えば、二つの副列にわたる6×6のクラスター配置は、ノズル間隔ns/2が84.67μmの6つのノズルを有してもよく、そのためクラスター長は5×84.67μm=423.35μmとなる。ノズルクラスター間の距離は、副列間隔と等しくてもよく、すなわち、a=b=7×84.67μm=592.69μmである。この副列間隔bを創出するために、ノズルクラスターは、圧力チャンバー14の配列の中心線Cから反対方向に296.35μmずらされてもよく、モデル化された圧力チャンバーの長さが約1mmの場合、この副列間隔は圧力チャンバーの全長の50%近くになる。
【0118】
したがって、上記の実施形態およびその様々な実施形態では、各副列の副列間隔bは、300μmより大きく、900μm未満であることができる。いくつかの実施形態では、各副列の副列間隔bは、500μm超、または600μm超であってもよい。場合によっては、副列間隔は、圧力チャンバーの全長の最大75%であってもよい。
【0119】
副列間隔が創出される可能性のある全範囲は、圧力チャンバー14の長さによって制限されるが、圧力チャンバー14は、細長く、ノズルプレート10の平面に沿って(すなわち、x方向に)延在し、中心線 Cに対してノズルをずらすが圧力チャンバー14をずらさないでノズルクラスター24を創出し、ノズル12が圧力チャンバー14の細長い側に対して中央またはほぼ中央の位置に留まる、千鳥状の圧力チャンバー14のクラスターを備える設計に必要な流体供給経路と比較して、より単純な流体供給経路を可能にする。
【0120】
図13は、圧力チャンバー14が、チャンバーの長さに関して少なくとも中央のノズル位置の近傍を維持するようにクラスター化されるそのような別の実施形態を示している。図13では、ノズル12の第一の副列22_1のノズルクラスター24_1およびノズル12の第二の副列22_2のノズルクラスター24_2、ならびにノズルプレート10の列20が、圧力チャンバー14の細長い面に沿って中央に形成されている。圧力チャンバー14自体が、ノズルクラスター24_1a、24_2a、および24_1bによってどのようにクラスター化されているかを見ることができる。したがって、ノズルプレート構成は、プリントヘッド2内にノズルプレート10を支持する異なる流体配置用と同じままであってもよい。
【0121】
図3図13に示す実施形態のノズルクラスターは、ノズルクラスター当たり偶数個のノズルに限定されない。代わりに、任意の数のノズル、例えば、ノズルクラスター当たり5つまたは7つのノズルが好適な場合がある。示されているような千鳥状(または「サブクラスター」)構成で配置される奇数個のノズルのノズルクラスターでは、一つの副列から次の副列への流路をより均等にすることができる。例えば図3Bから分かるように、6×6クラスター24_1bの周囲およびクラスター24_2a、bの先に/周囲に形成される強制空気が通るための流路であり、その流路の最も狭い部分はP1とP2で示される。ノズルクラスター当たり偶数個のノズルの千鳥オフセットにより、この配置では、流路はわずかに非対称であり、副列間隔がより小さい場合に重要になる可能性がある。ノズルクラスター当たり奇数個のノズルは、この影響を軽減し、流路を対称にさせることになる。
【0122】
ノズルプレートの第二の実施形態
液滴カーテンを通る制御された経路を創出することは、上記のようなノズル配置を有するノズルプレートに限定されない。一部のノズルプレートでは、第二の実施形態によれば、ノズルクラスターは、列方向に沿って、およびクラスター奥行き方向に沿っていくつかのノズルにわたって延在する配列に配置される複数のノズルを備えることができ、クラスター奥行き方向は列方向に垂直である。各ノズルクラスターは、列方向に沿ってその最近接クラスターからクラスター間隔で配置される。ノズルプレートは、このようなノズルクラスターのうちの一つまたは複数の列を備えることができ、各列のノズルクラスターは、列方向に垂直な方向に互いにさらにオフセットされてもよい。このタイプの実施形態のノズルクラスターの配置は、前の実施形態およびその様々な実施形態と同様に、強制空気が制御機構方式で通過することができるノズルクラスター間の経路も定義する。第二の実施形態のノズルクラスターは、例えば、クラスター奥行き方向に対してある角度に沿って延在する側面を有する形状を有してもよい。例えば、ノズルクラスターは、台形、三角形、または平行四辺形形状であってもよい。各ノズルクラスターは、それぞれが一つまたは複数のノズル12を有する複数の副列によって画成されることができる。副列を列方向上へ投影する方向(この場合はクラスター奥行き方向)に沿って見る場合、全てのノズルクラスターの複数のノズルは連続するノズルの列を形成し、各投影されたノズルは、最近接の投影されたノズルから投影されたノズル間隔で等距離に離間している。換言すると、投影されたノズルは重なり合わないため、使用中、ノズルクラスターの列の各ノズルは、一つまたは複数の液滴を同じピクセルライン内の対応するピクセルに堆積させる。
【0123】
木目調現象を軽減または防止するのに好適なノズル配置の実施例による実施形態を図14A~14Bおよび図15に示す。
【0124】
図14A~14Bは、ノズル12の列20の一部を例示する。図14Aでは、列に沿って4つのノズルごとにノズルクラスター24に配置され、連続するノズルクラスター24a、24b、および24cが示されている。ノズルクラスターは、列方向26に沿って配置され、列方向26に垂直な方向に沿って測定されるクラスター奥行きdにわたって延在する。ノズル12に供給する圧力チャンバー14は、クラスター奥行き方向に沿って、x方向に沿って細長く、互いに平行に延在することができ、ノズルクラスター24を画成する4つのノズルのグループは、4つの隣接する圧力チャンバー14によって供給される。この実施形態におけるノズルクラスター24は、列方向に沿ってns、およびクラスター奥行き方向に沿った連続するノズル間の一定間隔sdで示される一定のノズル間隔で、ノズルクラスター内の各ノズルを離間することによって、列方向に向かって鋭角に角度付けられる。この配置により、空気がノズルクラスターを通過するための幅 wの線形経路が得られる。
【0125】
しかし、各ノズルクラスター内のノズルが一定の間隔sd離間していることは必須ではなく、代わりに、sdは連続するノズル間で変化する場合がある。これにより、空気がノズルクラスター間を通過するための非直線状経路が創出されることになる。
【0126】
図14Bは、同様のノズル配置を示すが、今回はノズルクラスター当たり二つのノズルしかない。列20に設けられる複数のノズルクラスターのうち、3つのノズルクラスター24a、24b、24cが示されている。各ノズルクラスター24内の二つのノズルは、列方向26に垂直な方向に間隔sd離間することによってクラスター奥行きd を画成する。列方向26に沿って、ノズルクラスターは、クラスター間隔a離間している。列方向上26へ投影される場合、全てのノズルは、一定のノズル間隔ns離間している。換言すると、列20の全てのノズルは、列方向26上へ投影される場合、投影されたノズル間隔で互いに等距離に離間する投影されたノズルの連続する列を形成し、その中で、どのノズルも同じ列の他のいずれのノズルと重なり合わないため、使用中、ノズルクラスターの列の各ノズルは、同じピクセルラインの対応するピクセルに一つまたは複数の液滴を堆積させる。この配置はまた、空気がノズルのクラスターを通過するための幅wの直線状経路をもたらし、xに沿うクラスター奥行き方向に沿った各ノズルクラスター内のノズル間により大きな距離ももたらす。
【0127】
図14Aおよび14Bの両方において、クラスター間隔aは、列20のノズルクラスター24間を強制空気が流れるための幅wの経路を提供する。これらの実施態様では、流路は直線状であり、列方向26に向かって鋭角で角度が付けられている。奥行き方向および列方向26に沿ったノズルクラスターの側面間に形成される角度は、ノズル間隔ns 、およびtan(角度)=d/(n-1)×nsとして直線的に配置されるn個のノズルのクラスター奥行きdによって定義される。
【0128】
図14Aおよび14Bに示されるノズル配置は、ノズルプレートに設けられ、図7の実験(i)および(ii)のものと同一のプリントヘッドに組み立てられた。プリントヘッドは、3mmのギャップを使用、ならびに20kHz(図8A)、30 kHz(図8B)、および47kHz(図8C)について、媒体速度を適宜変更する(20kHzで0.416m/秒、30kHzで0.635m/秒、47kHzで0.995m/秒)ことにより、印刷方向に1200dpiの解像度を達成、の同じ条件下で試験された。
【0129】
図14Aによるノズル配置は、ns=84.67μm、a=338.7μm、sd=254μm、したがってd=762μmとなるようにノズルプレート10に設けられた。
【0130】
図14Bによるノズル配置は、ns=84.67μm、a= 169.3μm、sd=677.3μm、したがってd=677.3μmとなるようにノズルプレート10に設けられた。
【0131】
いずれの実施形態についても、木目調現象の大幅な低減を達成することができ、用途によっては、許容可能な画質、または現在の実施形態と組み合わせた他の手段によってさらに改善されることができる画質を提供することができることが分かる。
【0132】
したがって、本実施形態の実施によるノズルの列を通る流路を設けることは、ノズルの列を通る空気の通過を制御することによって、目に見える木目調模様の発生を低減または防止することができ、それにより少なくとも木目調現象の動的要素を低減または防止することができることが明らかである。
【0133】
図14Aおよび14Bに示す変形例では、クラスター長は一つのノズルの長さ、またはc=nsである。クラスター長は、強制空気が最初にクラスターに到達する時に強制空気と接触する液滴カーテンの幅として想定されることができる。
【0134】
次に、クラスター長cに沿ってノズルクラスター当たり二つ以上のノズルを備える別の実施形態を、図15を参照して述べる。図15は、同一のノズルクラスター24の列を示す。各ノズルクラスターは複数のノズルを有し、この場合、9つのノズル12のマトリックスに配置されている。
【0135】
各ノズルクラスター24は、平行四辺形の形状を取り、短辺と長辺の両方が列方向26に向かって鋭角を形成する。このノズル配置のいくつかの実施形態では、ノズルプレート10自体は、例えば、ノズルプレートを並べて隣接させるのを助けるために、ノズルクラスターの長辺をたどるように形成される平行四辺形であるが、ノズルプレートは異なる形状をとる場合がある。
【0136】
列20は、y方向に沿って、ノズルクラスターの列の一般的な方向に沿うように示されている。ノズルクラスターは、空気がノズルクラスター間を通過するための幅wの平行な流路を画成するように、列方向に沿って測定されるクラスター間隔a離間している。図14Aおよび14Bのように、経路は直線状であり、列方向26に対して鋭角で延在する。
【0137】
各ノズルクラスター24は、クラスター奥行き方向に沿って配置されるノズルのサブクラスターを備え、およびクラスター奥行きdを画成するように画成され、これにより、各サブクラスターはそれに続く副列からサブクラスター間隔sd離間されることができる。各サブクラスター内のノズルは、列方向に沿って最近接ノズルからノズル間隔sd離間している。各サブクラスターは、列方向26に対して鋭角で延在する。クラスターの奥行き方向は、前のように、列方向26に垂直な方向に延在する。
【0138】
列20のノズルクラスター24内のノズル12は、全てのノズルクラスターの全てのノズルが列方向26上へ投影される場合、列20のノズルは、nsよりも小さい一定の間隔で離間される等距離のノズル12の連続する列を形成する。これは、各ピクセルが列の一つのノズルに対応するピクセルライン8によって示され、列20のノズル12は、ピクセルライン8のピクセルに1:1で対応している。
【0139】
このようにして、列20の各ノズルクラスター内のn×mマトリックスに配置されるノズルを使用して、各ノズルが一つまたは複数の液滴をそれぞれ一つのピクセルに堆積させるように、それぞれ一つまたは複数の液滴を堆積媒体上の同じピクセルライン内に堆積させることができる。図のノズルクラスター配置を使用して、強制空気を通過させるための、列20の各ノズルクラスター内のn×mマトリックスに配置されるノズルを通る平行な流路を創出し、その結果木目調現象は、液滴量を削減することによりさらに低減されることができる非動的要素に変えることができる。
【0140】
いくつかの実施形態では、ノズルクラスターの短辺は、列方向と鋭角を形成しない場合があり、例えば、3つのノズルの副列のそれぞれを、列方向に平行に整列させることができる。ノズルクラスターの奥行き方向に沿ったノズルの特定の位置は、全ての液滴が堆積媒体上のピクセルライン8に着地するように、各ノズルが液滴を吐出する必要があるタイミングを決定する。さらに、各ノズルクラスターは、それぞれ9つのノズルを有することに限定されないが、強制空気がノズルの列を通過するための流路を創出する同じ目的を実現する、n×mマトリックスに配置される様々なノズル数のノズルクラスターを想定することができる。
【0141】
図14および図15の実施態様のいずれかの流路は、クラスター奥行き方向に沿って、交互に並ぶノズルのクラスターをオフセットすることによってさらに変更されてもよい。例えば、それらは、前の図の副列と同様な別個の副列22_1および22_2を創出するまでオフセットされる可能性があり、そしてそれは同じ副列のノズルクラスター間のクラスター間隔を二倍にすることに加えて、副列間隔bを提供する。
【0142】
次に、第一および第二の実施形態の概念を共有し、および木目調現象の動的要素を防止または低減するために、強制空気がノズルの列を通過するための流路を創出する同じ目的を有するハイブリッドと考えることができる変形例について述べる。
【0143】
図16Aは、m×nマトリックスに配置される複数のノズル12を有する従来の列13の一部を示し、mは3であり、ここで、nはx方向に沿ったノズルの数であり、mはy方向に沿ったノズルの数である。換言すると、列13は3つのノズルの奥行きである。従来の列13の各ノズルは、他の全てのノズルに対して列方向に沿ってオフセットされ、その結果、各ノズルを用いて、一つまたは複数の液滴をピクセルライン8の対応するピクセルに堆積させることができる。この従来の列13は、ノズルクラスター24_1a、bおよび24_2a、bをそれぞれ備える二つの副列22_1、22_2を有する列20を形成するように再配置されることができる。各ノズルの列方向に沿った位置は、順番に、ノズルとピクセルライン8のピクセルとが1:1の対応を維持するように、従来の列13に対して維持される。これは、ピクセルと各ノズルクラスターの第一のノズルとの間の破線の引き出し線によって示される。
【0144】
列20のノズルの配置を達成するために、列13は、それぞれ5×3のノズルアレイを有する等しいサブマトリックスに分割され、交互の5×3マトリックスは、列方向に垂直な方向に沿って平行移動されて、強制空気が通過することを可能にする列20を通る流路を創出するノズルクラスター24を形成する。この実施形態では、各ノズルクラスター24は、列方向26に沿ってノズル間隔ns離間する5つのノズルによって、およびクラスター奥行き方向に沿ってオフセット間隔sd離間する3つのノズルによって画定される平行四辺形の形状を取り、長さcを有する。同じ副列のノズルクラスター間の直線状経路に加えて、副列間の副列間隔bは、空気が第二の副列22_2のノズルクラスター24_2の周りを通過するための流路を画成する。このノズル配置は、平行四辺形の形状のノズルプレートに設けられてもよいが、ノズルプレートの形状は、列20のノズル配置を生成するのに必須ではない。
【0145】
図16Aと同様のアプローチを使用して、図16Bは、列26に移された従来の列13を示す。図16Aのものと比較して、列方向に平行なそれらの中心線の周りで形状が反転している副列22_1のノズルクラスター24_1a、bを除いて、図は同一である。クラスター長ccおよびクラスター間隔aaは維持されるが、副列間および第一の副列のノズルクラスターと第二の副列のノズルクラスターとの間の流路は、二つの副列間の内部クラスターコーナー間の間隔P1、P2が類似しているため、より類似した流れ特性を有する可能性がある。
【0146】
図17Aに示す別の実施形態では、従来の列13のノズルは台形形状に割り当てられ、交互に並ぶ台形領域は列方向に垂直な方向にオフセットされ、列20の二つの副列22_1および22_1に配置されるノズルクラスター24を形成する。二つの副列は、別々の副列のクラスターの内側ノズルによって画成される流路幅である副列距離b離間している。
【0147】
各ノズルクラスターは、クラスター奥行き方向に沿って配置されるノズルのサブクラスターを備え、これにより、各サブクラスターは、それに続くサブクラスターからサブクラスター間隔sd離間している。各サブクラスター内の各ノズルは、最近接のノズルから列方向26に沿ってノズル間隔ns離間している。各サブクラスターのノズルは、隣接する並列サブクラスター内の隣接するノズルに対してオフセットされ、そのため、全てのノズルクラスターの全てのノズルが列方向26上へ投影される場合、列20全体のノズルは等距離のノズル12の連続する列を形成する。
【0148】
このようにして、列20の全てのノズルを使用して、一つまたは複数の液滴のそれぞれを堆積媒体上の同じピクセルラインに堆積させることができる。クラスターの奥行きが延在する方向と同じ方向である印刷方向に沿って(x方向に沿って)見る場合、ノズルクラスター24_1a、bのノズルの第一のサブクラスターはクラスター長cを有し、ノズルクラスター24_2a、bの第一のサブクラスターのクラスター長cを有する。ノズルクラスター24_1a、bの場合、クラスター長は、クラスター奥行き方向に沿ってクラスター長cまで徐々に増加し、ノズルクラスター24_2a、bの場合、クラスター長は、クラスター奥行き方向に沿ってクラスター長cまで徐々に減少する。
【0149】
台形のノズルクラスター配置は、平行四辺形のノズルプレート、または図16Bに示すような台形のノズルプレートで使用されることができ、強制空気の流路を創出して、木目調現象を非動的要素に変えて、液滴量を削減することによりさらに改善できるようにする。図17Aでは、同じ副列のノズルクラスター間に創出される流路は、合流または分岐する流路である。別の実施形態では、図16Bの第一の副列のノズルクラスターと同様に、第一の(または第二の)副列のノズルクラスターを中心線を中心に反転させることができ、等しい流路抵抗を創出するように、流路は列20の全てのノズルクラスター間で分岐または合流する。さらに、これは、別々の副列のノズルクラスターの内側の角の間の流路、特に列方向26に沿った流路の任意の狭い通路の長さを変えるであろう。図17Aの配置は、図17Aの矢印によって示されるように、第一の副列のノズルクラスターと第二の副列のノズルクラスターとの間に狭い流路領域NRを示すことができる。換言すると、列方向26上へ投影される場合、二つの副列の間の中心線CLに隣接して測定されるクラスター長の重なり合いは、列20を通過する場合に強制空気に対して重要な流れ抵抗をもたらす長さを有することができる。
【0150】
ノズルクラスター間の狭い流路領域NRは、副列間隔bを増加させることにより、および/または、台形形状が一方の副列の短い長さともう一方の副列の長い長さが互いに向かい合うように、副列の一つのノズルクラスターを反転することにより、減少または防止されることができる。ノズルクラスターの反転を図17Bに示す。この場合、対向する強制空気は、同じ副列のノズルクラスター間の分岐流路を通って第一および第二副列のノズルクラスターを通過する。結果として、別々の副列のノズルクラスター間の流路の長さは、図17Aの流路NRと比較して短くなる。さらに、ノズル20の列に接触する際に強制空気によって接触する二つの副列のノズルクラスターの初期の長さcおよびcは同じであり、いずれかの副列のノズルクラスター間の流路を通過する際に強制空気によって接触されるクラスター間隔a、aは同じである。換言すると、列方向26上へ投影される場合、二つの副列間の中心線Cに隣接して測定されるクラスター長の重なり合いは、図17Aの配置と比較して図17Bの配置で減少する。
【0151】
図15および図16の全ての実施形態では、流路特性は、クラスター長および/または間隔、ならびに副列間隔bを変更することにより変えることができ、特定の用途に合わせる、および木目調現象の動的要素を低減または防止さえすることができる。
【0152】
必要に応じて、副列の数は二つの副列に限定されない。代わりに、ノズルクラスターを二つ以上の副列、例えば3つまたは4つの副列に配置して、狭い流路の幅をさらに大きくする、および/またはその長さを短くしてノズルクラスターを通る流路の流れ抵抗を低減することができる。
【0153】
したがって、第二の実施形態およびその実施によれば、液滴吐出ヘッド用のノズルプレート10が設けられ、これは、液滴を堆積媒体上に堆積させるように配置される、ノズル12の少なくとも第一の列20を備え、ノズルの第一の列20は、列方向26に延在し、および一つまたは複数のノズルクラスター24を備える。各ノズルクラスター24は、列方向26に沿ってクラスター長cで配置され、列方向に垂直なクラスター奥行き方向に沿ってクラスター奥行きd延在する。各ノズルクラスター24は、複数のノズル12を備え、そのうちの各ノズルクラスター内の一つまたは複数のノズルはクラスター長cを画成し、各ノズルクラスター内の二つ以上のノズルはクラスター奥行きdを画成し、各ノズルクラスター24は、列方向26に沿って隣接するノズルクラスターから、同じノズルクラスターの隣接するノズル間のノズル間隔nsよりも大きいクラスター間隔a離間されている。さらに、第一の列のノズルは、列方向26上へ投影される場合、隣接する投影されたノズルから投影されたノズル間隔で等距離に離間される。
【0154】
必要に応じて、第一の列の各投影されたノズルクラスターは、隣接する投影されたノズルクラスターから投影されたノズル間隔で離間されてもよい。例えば、これは、図13および図14のノズルクラスター24の場合である。列方向上へ投影される場合、これらの図中のノズルクラスターは互いに嵌合しない。一方、図16図17のノズルクラスターは、列方向の上の方へ投影される場合、互いに嵌合する。
【0155】
いくつかの実施形態では、クラスター間隔aは、4つの隣接するノズル間の間隔よりも大きい場合がある。
【0156】
さらに、または代わりに、列20の複数のノズルクラスターは、ノズルの二つ以上のサブクラスターを備えることができる。サブクラスターは、実質的に列方向に沿って延在し、ノズルのマトリックスを形成するように互いに平行に配置される。このようなサブクラスターの例は図15~17に示され、ノズルクラスターはノズルのマトリックスの形態をとる。図15から、サブクラスターは列方向に向かって鋭角で角度が付けられており、列方向26に45°未満の角度で「実質的に列方向に沿って延在する」ことがわかる。
【0157】
いくつかの実施形態では、ノズルクラスターは、平行四辺形、台形、または三角形の形状のうちの一つまたは複数に配置されることができる。平行四辺形または台形のクラスター形状を図15~17に示す。ノズルクラスターの傾斜した側面は、列方向に沿ってノズルクラスターに重なり合うまたは嵌合する役割を果す。
【0158】
さらに、図16および17に示すように、列方向に沿って互いに隣接するノズルクラスターは、クラスターの奥行き方向に沿って互いにオフセットされることができる。例えば、ノズルクラスターは二つの副列22_1および22_2に配置されることができ、二つの副列間に創出される流路は、副列間隔bによって画成される幅を有し、副列間隔bは、別々の副列のノズルクラスターの列の中心線Cに最も近い内側ノズル間の、奥行き方向に沿った距離である。これは、例えば、図17Aおよび図17Bに示される。
【0159】
図15図17Bに示すクラスターでは、クラスター24は、列方向(yに沿った)および列方向に垂直な方向(xに沿った)の両方において隣接するクラスターと重なり合うように配置される。
【0160】
上記の実施形態の全ておよびそれらの様々な実施例において、空気流路は、強制空気が制御された方法でノズルの列を通過するための流路を創出するように、クラスター間隔aによって創出される。「制御された方法で」は、木目調現象の動的要素の低減または防止を意味し、例えば、動的現象ではないバンディングに対してのみ現象を低減させることを意味すると理解できる。
【0161】
したがって、一般的に、ノズルプレート10は、液滴を堆積媒体上に堆積させるように配置されるノズル12の少なくとも第一の列20を備える液滴吐出ヘッド2のために設けられ、ノズルの第一の列は、列方向26に延在し、一つまたは複数のノズルクラスター24を備える。各ノズルクラスター24は、列方向26に沿ってクラスター長cで配置され、各ノズルクラスターは、列方向26に沿って隣接するノズルクラスターからクラスター間隔a離間し、強制空気が制御された方法でノズルの列を通過するための流路を創出する。ノズルクラスター24を列方向26上への投影する方向に沿って見る場合、列20の複数のノズル12は、投影されたノズルが、投影されたノズル間隔によって互いに等距離に離間される連続するノズルの列を形成する。換言すると、投影されたノズルのいずれも、同じ列の他のいずれのノズルと完全には重なり合わないため、使用時に、ノズルクラスターの列の各ノズルを使用して、一つまたは複数の液滴を、堆積媒体上の同じピクセルライン内の対応するピクセルに堆積させることができる。
【0162】
いくつかの実施形態では、クラスター間隔は、列方向に沿って変化することができる。例えば、隣接するノズルクラスターの第一の対の間のノズルクラスター間隔は、列の隣接するノズルクラスターの第二の対の間のクラスター間隔とは異なる場合がある。
【0163】
さらに、または代わりに、ノズルクラスターの間隔は、クラスターの奥行き方向に沿って変化する可能性があり、クラスターの奥行き方向は、ノズルの列の方向に垂直である。
【0164】
ノズルクラスターは、二つ以上の副列に配置されてもよく、副列は列方向に沿って延在し、互いに平行であり、隣接する副列間の副列間隔bによる幅の流路を創出し、強制空気が一つの副列から次の副列に通過する。第一の副列と第二の副列との間の副列間隔は、第二の副列と第三の副列との間の副列間隔と同じであっても異なっていてもよい。
【0165】
ノズルクラスターは、さらに、または副列に配置される代わりに、二つ以上のサブクラスターを備え、ノズルクラスター内の各サブクラスターは実質的に列方向に沿って延在し、各ノズルクラスター内のサブクラスターは互いに平行に配置され、サブクラスター間隔sd離間している。
【0166】
サブクラスターは、列方向に対して鋭角で延在するように配置されることができ、「列方向に沿って実質的に延在する」は、列方向に対して最大45°の鋭角であることを意味することができる。
【0167】
第二の実施形態のクラスターは、それぞれ最大15個のノズルのマトリックスを備えるように示されている。第一の実施形態の変形例のモデル化された結果は、木目調現象の減少を決定するのが、クラスター長cと、強制空気が制御された方法でノズルの列を通過するためのクラスター間隔a/副列間隔bによって形成されるエアギャップとの組み合わせであることを示唆している。同様の結果が、強制空気によって、または第一の副列の第一のサブクラスターによって接触するノズルの第一の副列に関して、例えば、最大10のノズル幅のクラスター長および800μm以下のクラスター長cについて、第二の実施形態について期待されることができる。
【0168】
方法
図18は、第一の副列にノズルクラスター24_1、および第二の副列にノズルクラスター24_2を有する二つの副列を備える一つの列20の実施形態に適用できる駆動パルス32のタイミングイベントtの概略図である。各ノズルクラスター24のノズル12は、千鳥グループ28内で列方向に垂直な方向にずらされている。ピクセルライン8のピクセル位置を含む堆積媒体が列20のノズルの下を通過する時、列20の全てのノズルは、個別に制御されて、一つまたは複数の液滴のそれぞれを、堆積媒体上のピクセルライン8の対応するピクセルに堆積させることができる。
【0169】
ノズルクラスター24および駆動パルス32に並んで、堆積媒体上のピクセルライン8への効果が、駆動パルス32の異なるタイミングtで、例示されている。
【0170】
ノズル12に対応するアクチュエーターを制御して、各ノズル12にラインピクセル当たり一つまたは複数の液滴を吐出させる方法は、列方向に直交する方向に(y方向に沿って)同じ千鳥オフセット距離で配置される同じ副列内のノズル12の千鳥グループ28に基づいている。千鳥グループ28_1(i)および28_1(ii)は、第一の副列のノズルクラスター24_1内に設けられ、千鳥グループ28_2(i)および28_2(ii)は、第二の副列のノズルクラスター24_2内に設けられる。ノズルクラスター24_1のクラスターグループ28_1(i)は、堆積媒体が(x方向に沿って)下を印刷方向に通過する時に、最初に液滴を吐出する必要があり、クラスターグループ28_1(ii)、クラスターグループ28_2(i)、最後にクラスターグループ28_2(ii)がそれに続く。
【0171】
対応するノズル12のアクチュエーターに印加されるアクチュエーター信号30は、駆動パルス32を含み、視覚的な単純化のために振幅(V)軸に沿ってオフセットされている。各千鳥グループ28は、作動信号30内の対応する駆動パルス32の印加に応答して液滴を吐出するように配置される。それぞれの駆動パルスは、点線で各千鳥グループに関連している。簡略化のために、一つの液滴を放出するための一つの駆動パルスのみが示されているが、実際には、いくつかの液滴が同じノズルから吐出されて同じピクセルに堆積されることができる。
【0172】
視覚的な単純化のために、図18は、全てのノズルが液滴をピクセルラインに吐出する、全て使用する印刷を例示する。実際には、画像データに応じて、一つまたは複数のノズルのみが、液滴をピクセルラインに堆積させることができる。
【0173】
印刷されるピクセルライン8の位置が液滴吐出ヘッド2の下を通過する時、4つの千鳥グループ28からの液滴の動作は指定時間に作動され、ピクセルライン8が列20の第一の千鳥オフセットグループ(サブクラスターグループ)28_1(i)の下を通過する時、第一の千鳥オフセットグループ28_1(i)は、時間tで最初に駆動パルス32_1(i)を受信し、千鳥オフセットグループ28_1(i)のノズル12のそれぞれから、ピクセルライン8上の対応するピクセルへの液滴を吐出する。
【0174】
ピクセルライン8がさらに移動して、第二の千鳥グループ28_1(ii)の下を通過する時、千鳥グループ28_1(ii)は、時間tでその駆動パルス32_1(ii)を受信して、千鳥オフセットグループ28_1(ii)の各ノズル12からピクセルライン8上の対応するピクセルに液滴を吐出する。
【0175】
次に、堆積媒体上のピクセルラインの位置が、第二の副列の第一の千鳥オフセットグループである、列20の第三の千鳥グループ28_2(i)の下を移動する時、駆動パルス32_2(i)が時間tで印加されて、千鳥オフセットグループ28_2(i)のそれぞれのノズル12からピクセルライン上の対応するピクセルに液滴を吐出し、最後に、ピクセルラインが、第二の副列の第二の千鳥オフセットグループである列20の第四の千鳥オフセットグループ28_2(ii)の下を通過する時、駆動パルス32_2(ii)が時間t3で印加されて、千鳥オフセットグループ28_2(ii)の各ノズル12からピクセルライン上の対応するピクセルへ液滴を吐出する。これでピクセル線8は完了である。
【0176】
図18は、完全に印刷されたピクセルラインを例示し、各ノズル12はピクセルライン上のその対応するピクセルに液滴を吐出する。もちろんそうではないが、ほとんどの画像において、印刷プロセスの特定の時間に、画像データに従って、ノズル12の一部または全ては駆動パルスを受信しないことになる。しかし、ノズル12は全て、常に同じ千鳥グループのメンバーのままである。
【0177】
同様の原理は、列20の二つ以上の副列から、またはそれぞれ一つまたは複数の副列を有する二つ以上の列20から同じピクセルラインに印刷するために適用される。
【0178】
図18は、ノズルクラスターが列20の副列内に生成される第一の実施形態によるノズル配置に基づくが、列20の全てノズルで一つのピクセルラインに印刷する同じ原理は第二の実施形態による配置を使用し、ここで、ノズルクラスターが二つのサブ列に配列されるのではないが、角度の付いた流路が同じノズルクラスター内でクラスターの奥行き方向にノズルをずらすことによってノズルクラスター間で生成され、列方向に沿って見る場合、ノズルクラスターは重なり合う。図14および15の配置では、サブクラスターは、印刷方向に沿って(x方向に沿って)同じ位置を有するそれらのサブクラスター内の全てのノズルが同じタイミングtで作動するように、好適に指定時間に作動する。したがって、サブクラスターは、図18の千鳥オフセットグループ28と同様な方法で処理される。
【0179】
図16および図17のハイブリッド配置は、サブクラスターならびに副列を備える。タイミングの観点から、印刷方向に沿って列の前面から増加する距離に配置される連続するサブクラスターは、同じピクセルライン8に液滴を吐出するように、増加したタイミング遅延で作動される。
【0180】
上記の実施形態によるノズルプレート10を使用する方法およびそれらが実施され、列のノズルクラスターの一つまたは複数のノズルから一つまたは複数の液滴をピクセルラインに堆積させる工程であって、列の各ノズルは、ピクセルラインの一つのピクセルに対応する、堆積させる工程を含む。
【0181】
列20が第一の副列および第二の副列を備えるいくつかの実施形態では、各副列は列方向に互いに平行に延在し、第一の副列はノズルクラスターの第一のグループを構成し、および第二の副列はノズルクラスターの第二のグループを構成し、この方法は、ノズルクラスターの第一のグループのノズルから液滴を時間t1でピクセルラインに堆積させる工程と、ノズルクラスターの第二のグループのノズルから液滴を時間t2でピクセルラインに堆積させる工程と、をさらに含んでもよい。
【0182】
2列のノズルプレートでは、この方法は、以下の工程、第二の列の第一の副列のノズルクラスターのノズルから液滴を時間t3でピクセルラインに堆積させる工程と、第二の列の第二の副列のノズルクラスターのノズルから液滴を時間t4でピクセルラインに堆積させる工程と、をさらに含んでもよい。
【0183】
あるいは、一つまたは複数のノズルクラスターが複数のサブクラスターを含む場合、サブクラスターは、一般的に、列方向に沿って互いに平行に延在し、代わりに、方法は、第一のサブクラスターのノズルから液滴を時間t1でピクセルラインに堆積させる工程と、第二のサブクラスターのノズルからの液滴を時間t2でピクセルラインに堆積させる工程と、をさらに含んでもよい。
【0184】
例えば、制御システムによって実行される方法は、ピクセルラインの画像データを受信する工程と、メディアエンコーダー信号の受信する工程と、画像データおよびメディアエンコーダー信号に基づいて、駆動データ33を決定する工程と、を含んでもよく、駆動データは、一つまたは複数のノズルクラスター内の一つまたは複数のノズルを作動させるタイミングtを定義し、ピクセルラインの対応するピクセルに液滴を堆積させる。
【0185】
さらに、駆動データ33を決定する工程は、第二の列の副列の第二のセットの駆動データを決定する工程をさらに含むことができ、副列の第二のセットの駆動データは、副列の第二のセットの各副列のノズルのタイミングtを定義し、液滴をピクセルラインに堆積させる。
【0186】
方法は、一つまたは複数の副列の一つまたは複数のノズルに液滴をピクセルラインに堆積させるための駆動データ33に基づいて作動信号30を生成する工程と、一つまたは複数のノズルに液滴をピクセルラインに堆積させるために、作動信号30をノズルに対応するアクチュエーター11に提供する工程と、をさらに含んでもよい。この工程は、いくつかの実施形態では、液滴吐出ヘッド2に設けられる液滴吐出ヘッドコントローラーによって液滴吐出ヘッド2から実行されることができる。
【0187】
必要に応じて、方法は、強制空気流によるバンディングを低減または防止するように、印刷された画像データに応答して各ノズルの液滴量を調節する工程を含んでもよい。この工程を使用して、木目調現象のバンディングの非動的要素を軽減することができる。これは、ピクセルラインに沿った色素密度の視覚的な変化を低減または防止するために、より暗いバンドとより明るいバンドの試験印刷データを生成し、バンドに堆積する液滴量を調節することによって達成される。例えば、試験印刷データ40は、測定されるプリントピクセル密度の範囲について、特定のプロセス設定(例えば、ギャップ距離、ピクセル周波数、媒体速度)で達成されるピクセルライン全体のピクセル密度を測定することによって、およびバンディングを防ぐために必要な目標密度を達成するための調節値42を決定することによって、試験印刷から生成されることができる。これは、例えば、各ノズルに調節値を適用することによって、知覚された色素密度をピクセルごとおよびノズルごとの目標色素密度に変換するルックアップテーブルを使用することによって行われることができる。この調節値は、例えば、ノズルからの液滴を吐出させる作動パルスの公称駆動電圧の調節値であってもよい。ピーク間作動パルス電圧は、例えば、印刷画像のより暗いバンドに寄与するノズルの液滴量を減少させるために低減されることができる。さらに、または代わりに、電圧は、印刷画像のより明るいバンドに寄与するノズルの液滴量を増加させるために、増大されてもよい。調節値42は、一連の実験的印刷試験によって、列20全体のノズルあたりの変更された液滴量について経験的に特定され、ルックアップテーブルに格納され、印刷中にノズルあたりの液滴量を増加または減少させるために使用されることができ、視覚的なバンディング現象を低減または防止する。例えば、駆動パルス32を変更するために特定および使用される調節値42の結果として、暗いバンドに寄与するノズルにより少ない液滴量を吐出させて、より低いピクセル密度をもたらすことができ、一方、より明るいバンドに寄与するノズルにより大きな液滴量を吐出させて、より高いピクセル密度をもたらすことができる。調節値は、駆動データ33の一部として、液滴吐出ヘッドコントローラーに調節信号として提供されてもよい。
【0188】
したがって、駆動データ33が調節値に基づいてさらに決定され、および調節値に基づく調節信号を含む場合、調節信号は、バンディングの影響を低減するために、列の一つまたは複数のノズルの液滴量を変更させる。
【0189】
コントローラー
図19は、上記のノズル配置を使用して印刷する、および液滴カーテンを通過する強制空気による少なくとも木目調現象の動的要素を低減または防止することを目的とする、方法を実行するための制御システム50のブロック図である。
【0190】
千鳥オフセットグループ24のアクチュエーターを作動させるタイミングは、図1Aの液滴吐出装置1の一部として示される駆動信号コントローラー4によって制御されることができる。駆動信号コントローラー4は、図19に示されるように、液滴吐出装置の制御システム50の一部である。
【0191】
図19の制御システム50は、メディアエンコーダー回路7をさらに備える。メディアエンコーダー回路7は、媒体搬送ポートシステム5上の媒体の位置に関連する入力を媒体搬送ポートシステム5から受信する。メディアエンコーダー回路7は、メディアエンコーダー信号34を駆動信号コントローラー4に提供し、コントローラーが堆積媒体上のピクセルライン8の位置を決定することを可能にする。
【0192】
駆動信号コントローラー4は、メディアエンコーダー信号34を受信するように構成され、例えば、液滴吐出装置1内に設けられる、またはそれに関連付けられるPCから画像データ36を受信するようにさらに構成される。駆動信号コントローラー4は、メディアエンコーダー信号34および画像データ36からの駆動信号を決定し、液滴吐出ヘッド2の液滴吐出ヘッドコントローラー9に駆動信号を提供するように構成される。
【0193】
液滴吐出ヘッド2は、アクチュエーター11を備え、各アクチュエーター11は、作動信号30に基づいて、少なくとも一つのノズル12のそれぞれに液滴を吐出させるように構成される。作動信号30は、コントローラー4から受信した駆動データ33に基づいて、液滴吐出ヘッドコントローラー9によってアクチュエーター11に提供され、各千鳥グループの液滴は正しいタイミングtでピクセルラインに堆積する。したがって、図18のtからtのタイミングは、動的な媒体位置(および、したがって媒体速度)に基づいており、連続するラインピクセル、または連続する千鳥オフセット(サブクラスター)グループに対しても動的に、例えば、画像の印刷の開始時と終了時の加速および減速中のような媒体速度の変化について、調節されることができる。
【0194】
したがって、駆動信号コントローラー4は、上記の実施形態およびそれらの様々な実施のノズル配置を使用して記載される方法を実行するように設けられる。駆動信号コントローラーは、画像データおよびメディアエンコーダー信号を受信し、画像データに基づいて、およびメディアエンコーダー信号に基づいて、駆動データ33を決定するように構成される。駆動信号コントローラーはさらに、駆動データ33を液滴吐出ヘッドコントローラーに提供して、ノズル列20内に設けられる一つまたは複数のノズルクラスター24のノズル12のうちの一つまたは複数に、一つまたは複数の液滴のそれぞれをピクセルライン8のピクセルであって、列20の異なるノズルに対応するピクセルラインの各ピクセルに吐出させるように構成される。
【0195】
いくつかの実施形態では、駆動信号コントローラーはさらに、駆動データ33の一部としてタイミング信号を液滴吐出ヘッドコントローラーに提供して、ノズルクラスター24のノズルクラスター24_1の第一のグループのノズル12に、時間tで液滴をピクセルラインに吐出させるように、およびノズルクラスター24のノズルクラスター24_2の第二のグループのノズル12に、時間tで液滴をピクセルラインに吐出させるように構成される。ノズルクラスターの第一のグループは、第一の副列22_1内に設けられ、ノズルクラスターの第二のグループは、列20の第二の副列22_2内に設けられる。
【0196】
さらに、または代わりに、駆動信号コントローラーは、ノズルクラスター24のうちの少なくとも一つ内に設けられる一つまたは複数のサブクラスターのノズル12に、時間tで液滴をピクセルラインに吐出させるように、および第二の副列22_2の一つまたは複数のノズルクラスター24_2のノズル12に、時間tで液滴をピクセルラインに吐出させるように、駆動データ33を液滴吐出ヘッドコントローラーに提供するようにさらに構成されてもよい。
【0197】
必要に応じて、駆動信号コントローラーは、印刷試験画像に基づいてデータを受信するように構成されてもよい。
【0198】
このデータは、強制空気がノズルクラスター24の周りを通過することによって引き起こされる木目調現象の非動的要素によるバンディングの影響を軽減するための調節値42を含むことができる。あるいは、データは、特定用途のプロセス設定(例えば、ギャップ距離、ピクセル周波数、媒体速度)で達成される試験印刷ピクセル密度の形であってもよく、駆動信号コントローラーは、試験印刷ピクセル密度を用いて、駆動信号コントローラーによってアクセス可能なルックアップテーブルから各ノズルの調節値42を決定することができる。ルックアップテーブルは、例えば、印刷前に決定された、測定された印刷ピクセル密度の範囲のピクセル密度データ、および必要な目標密度を達成するための調節値を含むことができる。
【0199】
したがって、必要に応じて、駆動信号コントローラー回路は、印刷された画像データを受信し、印刷された画像データに基づいて、強制空気流によるバンディリングを低減または防止するための液滴量の調節値を決定し、調節値に基づいて調節信号をプリントヘッドコントローラーに提供して、ノズルから吐出される液滴量を調節するようにさらに構成されることができる。
【0200】
どちらの場合も、駆動信号コントローラー4は、調節値42に基づいて調節信号44を提供し、駆動データ33の一部として調節信号44を提供するように構成され、調節信号44は、作動信号30に増加または減少した液滴量の液滴を吐出させ、木目調現象の非動的要素によるバンディング現象を軽減するピクセルライン全体の調節された密度を達成する。例えば、駆動信号コントローラー4によって提供される調節信号44の結果として、暗いバンドに寄与するノズルには、より少ない液滴量を吐出させることができ、一方、より明るいバンドに寄与するノズルには、より多い液滴量を吐出させることができる。
【0201】
いくつかの実施形態では、駆動信号コントローラー4は、図19に示すように、液滴吐出ヘッドの外部に配置されてもよい。
【0202】
別の実施形態では、駆動信号コントローラー4は、液滴吐出ヘッド2内に配置されてもよく、液滴吐出ヘッドコントローラー9を備えてもよい。
【0203】
上記の実施形態のいずれかに加えて、駆動信号コントローラー4は、画像データ36に基づき、かつ二つ以上のアクチュエーター11に共通な画像信号、および各アクチュエーターに個別のメディアエンコーダー信号34に基づくタイミング信号を含む駆動データ33を生成するように、ならびに共通の画像信号および個々のタイミング信号の同期されたストリームの形で駆動データ33を液滴吐出ヘッドコントローラーに提供するように構成されることができる。
【0204】
個々のタイミング信号は、バンディングの影響を軽減するように、対応するノズルから吐出される液滴量を調節(削減)するように、各アクチュエーターの調節信号44をさらに含むことができる。
【0205】
駆動コントローラーが液滴吐出ヘッド2に搭載されて配置される実施形態では、駆動信号コントローラーおよび液滴吐出ヘッドコントローラーは、制御システム内に設けられてもよい。
【0206】
液滴吐出ヘッドコントローラーは、タイミング信号および画像データに基づいて作動信号30を生成し、ノズルに対応するアクチュエーター11に作動信号30を提供するように構成されることができ、ノズルクラスター24のうちの少なくとも一つの一つまたは複数のノズルに、一つまたは複数の液滴をピクセルライン8に堆積させるようにする。
【0207】
一部の制御システムでは、駆動信号コントローラー4は、液滴吐出ヘッドコントローラー9を備えてもよく、液滴吐出ヘッド2に搭載されて配置されてもよい。
【0208】
総論
いくつかの実施形態では、ノズルクラスターを通る強制空気のバランスのとれた流れを創出するように、ノズルクラスター24を配置することが有利である場合がある。これを達成するために、ノズルクラスター24は、同じ長さおよび同じ間隔であってもよく、さらに、一方の副列のクラスター24の長さが他方の副列のクラスター間隔と等しくなるように副列間に配置されてもよい。これは、ノズル12の第一の列と接触する強制空気流が、均等に等間隔の部分に分割され、そして均等に等間隔の部分を再び組み合わせることを意味する。これは、列の長さに沿った別々の領域間の圧力の大きな差を回避または低減すると考えられる。
【0209】
上記の実施形態では、各列のノズルクラスター内のノズル12は、列を列方向上へ投影する方向に沿って見る場合、列の全てのノズルクラスター24のノズル12は、一定の投影されたノズル間隔で互いに離間される等距離のノズル12の連続する列を形成する。換言すると、列20の全てのノズルは、列方向上へ投影される場合、投影されたノズル間隔で互いに等距離に離間する投影されたノズルの連続する列を形成し、その中で、どのノズルも同じ列の他のいずれのノズルと重なり合わないため、使用中、ノズルクラスターの列の各ノズルは、同じピクセルラインの対応するピクセルに一つまたは複数の液滴を堆積させる。
【0210】
さらに、隣接するノズルクラスター24の端部に配置されるノズル12間の間隔は、列を列方向上へ投影する方向に沿って見る場合、投影されたノズル間隔と同じであってもよい。別の実施形態では、列方向上へ投影される場合、隣接するノズルクラスターの一部のノズルは、一つのノズルクラスターのうちの二つ以上の投影されたノズルが隣接するノズルクラスターの投影されたノズルに隣接するように嵌合することができる。
【0211】
いくつかの実施形態では、ノズル12の列の始まりと終わりは、列の中心により近傍のノズルクラスターと比較して、異なるノズル間隔を有することができる。例えば、ノズルの列の端部近傍の一つまたは複数のノズルクラスターにおけるノズル間隔は、一方の端部の公称ノズル間隔nsと比較してより大きく、列の反対側の端部の公称ノズル間隔nsと比較してより小さい場合がある。
【0212】
あるいは、ノズル12の列の端部近傍の一つまたは複数のノズルクラスターにおけるノズル間隔は、中心または列のより近傍の公称ノズル間隔nsから、列の端部に向かってより小さなまたはより大きなノズル間隔へと徐々に変化してもよい。これにより、同じプリントヘッド2内の別々のノズルプレート10のノズル12の列間の正確な位置合わせを行うことができる。
【0213】
したがって、様々な実施形態および実施に従って記載されるノズルプレート10のノズル12の列の一部または全ては、各副列の各ノズル12は、列方向上へ投影される場合、別のノズル12に直接隣接し、ノズル12の50%超(すなわち、大部分)または75%は、隣接するノズル12から一定の距離で離間している。好ましくは、投影されたノズルのいずれも完全には重なり合わないため、使用中、各印刷されるピクセルは、対応するノズルによって対処される。
【0214】
換言すると、少なくとも二つの隣接するクラスターについて、各副列のノズル12は、ノズル12が列方向上へ投影される場合、少なくとも第一のクラスターの複数のノズル12からなる、隣接するクラスターの複数のノズル12への移行領域において、各ノズル12は別のノズル12に直接隣接しており、各ノズル12は隣接するノズル12から一定の距離で離間している。移行領域は、隣接する(列方向上へ投影される場合に隣接する)副列の端部からのノズルからなる領域を表す。
【0215】
上記の実施形態およびそれらの様々な実施は、強制空気がノズルの列を通過するための流路が得られるように配置されるノズルのノズルクラスターを提供し、少なくとも木目調現象の動的要素を低減または防止する。低減の程度は、特定の用途の媒体速度、液滴周波数、液滴量(質量)、およびギャップGの特定の組み合わせに依存し、クラスター長cおよびクラスター間隔a、ならびに該当する場合、副列間隔bを変更することによってさらに低減できる場合がある。バンディングと呼ばれる木目調現象の非動的要素は、関連するノズルの液滴量を調節することによりさらに軽減されることができる。
【0216】
ノズル12を供給する圧力チャンバー14は、図3Aおよび図13に示すように、クラスター奥行き方向に沿って、x方向に沿って細長く、互いに平行に延在してもよい。圧力チャンバーは、さらにyに沿って列方向に並んで配置され、ノズルの列は、アクチュエーターユニットの長さの大部分に沿って延在することができる。換言すると、圧力チャンバーの列は、単一のシリコン片内に、または単一の圧電材料等内に形成されてもよい。したがって、クラスターは、クラスターがクラスター化された配置で複数のアクチュエーターユニットを配置して創出されることができる配置とは対照的に、単一のアクチュエーターユニット内に形成されてもよい。しかし、多数の小さなクラスター(例えば、8ノズルの長さ、または10ノズルの長さ)を配置することは、製造の複雑さ、時間、コスト、および妥協する歩留まりに加えて、多数のユニットを慎重に取り付けて位置合わせすることを意味することになるので、アクチュエーターユニット全体をクラスター化することにより、クラスターサイズが制限される場合がある。代わりに、クラスターは、位置合わせならびに製造時間および製造歩留まりの別の課題なしに、単一のアクチュエーターユニットで形成されることができる。
【0217】
ノズルクラスターを含む液滴吐出デバイスの上記の例は、インクジェット液滴吐出ヘッド2内のノズルプレート10のいくつかの実施形態でのノズル12の後ろの再循環経路を示している。ノズルプレート10は、圧力チャンバー14の両端部からの再循環または供給を有しない液滴吐出ヘッドにおいて同様に利用されることができる。一部の液滴吐出ヘッドでは、圧力チャンバー14は、列方向に垂直でない方向に、またはノズルプレート10の平面に沿って延在する方向に細長い場合がある。いくつかの液滴吐出ヘッドでは、圧力チャンバー14は、本明細書に記載の実施形態に従って、ノズルプレート10の平面に直交する方向に延在することができる。他の液滴吐出ヘッドでは、圧力チャンバーはノズルプレート10の平面に沿って延在するが、列方向に垂直ではない。例えば、それらは、列方向に垂直に対して90°未満で角度を付けられてもよい。
【0218】
別のノズルプレート10では、ノズルプレート10の一つまたは複数の列の二つ以上のノズル12が一つまたは複数の液滴をピクセルラインの同じピクセルに吐出するように、ピクセルラインを印刷することができる。いくつかの液滴吐出ヘッドでは、圧力チャンバーは、ピクセル幅よりも小さい最大寸法で円形または正方形であってもよい。このような液滴吐出ヘッドは、本明細書の実施形態に記載されるノズルプレート10またはその変形でも使用することができ、強制空気の影響を軽減するために好適なサイズのクラスターを提供する。
【0219】
いくつかの変形例では、副列を画定するノズル12のノズルクラスター24は、列方向に沿って位置合わせされていない場合がある。代わりに、それらは、同じ副列の隣接するノズルクラスター24に平行でありながら、列方向に対して角度を付けてもよい。この場合、副列方向は、ノズルクラスターの副列によって記載される平均方向であり、列方向は副列の平均方向である。
【0220】
最後に、上記の実施形態およびそれらの様々な実施によるノズルプレート10は、液滴吐出装置1内に設けられてもよい。液滴吐出装置1は、液滴吐出デバイス、例えば液滴吐出ヘッド2を備えてもよい。
【0221】
液滴排出デバイスは、ノズル12の第一の列が、圧力チャンバー14の対応する第一の列と流体連通しているように配置されるように構成されることができる。
【0222】
さらに、圧力チャンバー14の第一の列の圧力チャンバー14は、列の方向に平行でない方向に細長くてもよく、並んで延在することができ、ノズル12はそれぞれの圧力チャンバー14の細長い側壁に配置され、側壁はノズルプレートによって形成され、圧力チャンバー14の第一の列のノズル位置が、ノズルクラスター24と、強制ガスがノズルの第一の列を通過するための空気流路とを画成するように、ノズル12の少なくとも一つのグループは、伸長方向に圧力チャンバー14に対して中心から外れて配置される。
【0223】
この場合のノズルは、圧力チャンバーの中心からオフセットされているため、チャンバーのヘルムホルツ周波数は全てのチャンバーで実質的に同じ値に維持され、目標液滴速度を達成するための駆動電圧は全てのノズルについて実質的に同じ値に維持される。
【0224】
第一列の一つのクラスターのノズルは、圧力チャンバーの中心から伸長方向に第一の距離に配置されることができ、列方向に沿って隣接するクラスターのノズルは、圧力チャンバーの中心から伸長方向に第二の距離に配置されることができ、その結果、第一のクラスターは、列方向に沿って隣接するクラスターからクラスター間隔a離間されて空気流路を創出する。
【0225】
さらに、したがって、第一の距離と第二の距離は、第一と第二の副列との間隔を画成し、ノズルの第一の列は、それぞれの副列方向に互いに並んで延在する第一および第二の副列からなる副列の第一のセットを備えることができ、第一および第二の副列は列方向に平行に延在する。したがって、第一と第二の副列は、列方向に垂直な横方向に第一の副列間隔b離間し、第一と第二の距離は副列間隔bを画成する。
【0226】
このような配置は、圧力チャンバー自体のクラスター化を可能にするような方法では容易には製造されない可能性がある液滴吐出ヘッドにおいて有利である場合があり、ノズルは、細長い圧力チャンバーの中心またはその近傍に維持されることができる。このような液滴吐出ヘッドの例は、共有壁ヘッドであり、対向する壁は、圧力チャンバーを形成する平行な溝が切られる圧電材料のシートから形成される。このような装置では、圧力チャンバーは、列方向に100%重なり合うように平行に並んで配置され、クラスター化は、必要なクラスター長および副列間隔に応じてノズルを設けることによってのみ達成されることができる。記載のように、ノズルは、性能を大きく変えることなく、圧力チャンバーの長さ方向に沿って途中で中央位置からオフセットされることができることが見出された。したがって、必要なクラスターは、単にノズル穴あけ段階で形成されることができる。このタイプのデバイスはMEMS製造によって作製されないため、提案された実施形態は、プロセスを大幅に変更することなく、短い時間枠内に吐出ヘッドの既存の設計に容易に適用されることができる。
【0227】
別の液滴吐出ヘッドでは、ヘッド内の流体経路は、圧力チャンバーに共通の流体経路を設けることができるキャップウェーハによって覆われる少数の層のみによって、例えば、ノズルプレート、圧力チャンバー層、およびアクチュエーター層によって画成されることができる。このようなヘッドは、流路の配置においてより大きな柔軟性を可能にするMEMS製造方法によって作製されてもよい。しかし、コンパクトな装置では、ノズルは、圧力チャンバーからつながる供給経路の端部ではなく、圧力チャンバー内に直接設けられる。このような圧力チャンバーは、細長いチャンバーの各端部からの圧力波の反射、およびチャンバーの中心近傍における増強された圧力プロファイルへのそれらのその後の干渉を利用することによって、液滴を吐出させることができる。MEMS方法によって圧力チャンバーのクラスター化を創出することは可能である可能性があるが、一部の圧力チャンバーは、一方の端部にインクを供給し、もう一方の端部にインクを戻すことにより、ノズルを通過して再循環させる。チャンバーのクラスター化は、一般的なマニホールドからのインク供給をより複雑にする、または製造に非常に時間がかかる可能性がある。したがって、このような装置では、ノズル形成段階で、ノズルプレートを介してのみクラスター化を創出し、クラスターを画成するために、各縦方向チャンバーの中心から少なくともいくつかのクラスター内のノズルをオフセットすることが有益である可能性がある。
【0228】
さらに、一部の吐出ヘッドでは、圧力チャンバー14の第一の列の圧力チャンバー14は、列の方向に平行でない方向に細長くてもよく、および並んで延在することができ、ノズル12は、それぞれの圧力チャンバー14の細長い側壁において、伸長方向に関して中央に配置され、圧力チャンバー14は、ノズルクラスター24、および強制ガスがノズルの第一の列20を通過するための空気流路を画成するように配置される。
【0229】
さらに、または代わりに、ノズル12の第一の列は、共通のマニホールドから、圧力チャンバー14の対応する第一の列を介して供給されてもよい。
【0230】
液滴吐出装置1および/または液滴吐出デバイスは、50kHz以上のピクセルライン周波数を提供するように構成されることができる。
【0231】
各ノズル12は、別の全てのノズル12から独立して液滴を吐出するように構成されることができる。
【0232】
上記および本明細書でプリントヘッド2の周囲の、またはプリントヘッドと基材(堆積媒体)との間のギャップG内の「空気」への言及は、プリントヘッドの周囲および/またはプリントヘッドと基材(堆積媒体)との間の環境を形成する全てのガスに等しく適用されることは言うまでもない。環境は、周囲空気雰囲気であってもよく、または、例えば、使用中に所望のガス(例えば、不活性ガス、例えばヘリウムもしくはアルゴン)またはガスの混合物を含むチャンバー内に液滴吐出装置1を収容することによってもたらされる、課せられた/制御されたガス環境であってもよい。
【0233】
図3および図7~12ならびに図13~14のノズル配置は、ノズルプレートと堆積媒体との間のギャップに入る強制空気が制御された方法で液滴カーテンを通過するための流路を提供し、例えば、渦の発生は、液滴の配置に及ぼすそれらの影響が、印刷された画像の目には見えない程度に防止または低減される。これらの配置は、特定の用途要件に一致する場合、木目調現象の低減または発生の防止を達成する可能性がある。
【0234】
したがって、この効果を達成するために、図3および図7~12による実施形態のノズル配置は、例えば、圧力チャンバーがノズルプレートの平面内の方向に沿って細長い、図3Aに示されるように構成される流体経路によって提供されることは必須ではない。
【0235】
木目調現象の発生の減少または防止を達成するために、流体経路がノズル12の後方で再循環することも必須ではない。例えば、図3および図7~12に示すノズル配置のいくつかの実施形態では、流体経路は、流体がノズル軸に平行な経路に沿ってノズルに供給されるように配置されてもよい。この経路は、圧力チャンバー自体であってもよく、または(他の場所に設けられる)圧力チャンバーをノズルに連結する供給経路であってもよい。このような配置では、流体は、ノズルの隣に戻り経路を設けることによって必要に応じて再循環されてもよい。別の実施例では、図3および図7~12の圧力チャンバーは、圧力チャンバーがノズル位置の直後に閉じられるように、すなわち、戻りが省略されるように、ノズルプレートの後ろに配置されてもよい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A-C】
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14A-B】
図15
図16A-B】
図17A-B】
図18
図19
図20
図21
図22
【国際調査報告】