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特表2022-545410バッテリーパックシミュレーション装置及びこれを用いたバッテリー管理ユニットの点検方法
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  • 特表-バッテリーパックシミュレーション装置及びこれを用いたバッテリー管理ユニットの点検方法 図1
  • 特表-バッテリーパックシミュレーション装置及びこれを用いたバッテリー管理ユニットの点検方法 図2
  • 特表-バッテリーパックシミュレーション装置及びこれを用いたバッテリー管理ユニットの点検方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-27
(54)【発明の名称】バッテリーパックシミュレーション装置及びこれを用いたバッテリー管理ユニットの点検方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/42 20060101AFI20221020BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20221020BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20221020BHJP
   G01R 31/367 20190101ALI20221020BHJP
【FI】
H01M10/42 P
H02J7/00 Q
H02J7/00 S
H01M10/48 P
H01M10/48 301
G01R31/367
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022510190
(86)(22)【出願日】2021-01-27
(85)【翻訳文提出日】2022-02-16
(86)【国際出願番号】 KR2021001047
(87)【国際公開番号】W WO2021153976
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】10-2020-0011365
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0162970
(32)【優先日】2020-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・オク・イ
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
2G216BB16
2G216CB32
2G216CB51
2G216CC05
2G216CD05
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503EA09
5G503FA16
5G503FA17
5H030AS06
5H030AS18
5H030FF22
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
本発明の実施形態に係るバッテリーパックシミュレーション装置は、電圧値、電流値、温度、初期のインピーダンス値を入力される入力部と、前記入力された電圧値、電流値、温度、初期のインピーダンス値に基づいて、出力値を生成する出力値生成部と、前記生成された出力値をバッテリー管理ユニット(BMU)に送る伝送部と、前記バッテリー管理ユニット(BMU)の動作をモニタリングするモニタリング部と、を備えていてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリー管理ユニットに接続されてバッテリー管理ユニットの機能を点検するバッテリーパックシミュレーション装置であって、
電圧値、電流値及び初期のインピーダンス値を含む仮想のバッテリーパック初期データが入力される入力部と、
入力された前記電圧値、前記電流値及び前記初期のインピーダンス値に基づいて、仮想のバッテリーに対して変動するインピーダンス値及び電圧値を含む仮想のバッテリーパック測定データを生成する出力値生成部と、
生成された前記仮想のバッテリーパック測定データの少なくとも一部をバッテリー管理ユニットに送る伝送部と、
前記バッテリー管理ユニットから該バッテリー管理ユニットの機能に関する所定の情報を受信し、前記所定の情報に基づいて、前記バッテリー管理ユニットの正常動作有無をモニタリングするモニタリング部と、
を備えることを特徴とするバッテリーパックシミュレーション装置。
【請求項2】
前記出力値生成部は、
入力された前記初期のインピーダンス値を所定の時間ごとに、所定の値に見合う分だけ変化させた変動インピーダンス値を出力するインピーダンス値変動部と、
入力された前記電流値及び前記インピーダンス値に基づいて、電圧値を算出し直す電圧値再算出部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載のバッテリーパックシミュレーション装置。
【請求項3】
前記仮想のバッテリーパック測定データは、算出し直された前記電圧値と入力された前記電流値をそれぞれ仮想の測定電圧値と仮想の測定電流値として含み、
前記モニタリング部は、前記バッテリー管理ユニットが前記仮想の測定電圧値と仮想の測定電流値に基づいて算出する前記仮想の測定電圧における計算インピーダンス値を受信することを特徴とする請求項2に記載のバッテリーパックシミュレーション装置。
【請求項4】
前記モニタリング部は、前記変動インピーダンス値と前記計算インピーダンス値とを比較する比較部をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載のバッテリーパックシミュレーション装置。
【請求項5】
前記モニタリング部は、前記バッテリー管理ユニットが前記仮想の測定電圧値と前記仮想の測定電流値から生成するバッテリー制御信号を受信することを特徴とする請求項3または4に記載のバッテリーパックシミュレーション装置。
【請求項6】
前記モニタリング部は、
前記仮想のバッテリーパック測定データから、バッテリー保護条件の充足有無を判断し、バッテリー保護必要信号を生成する保護条件判断部と、
前記バッテリー管理ユニットから受信したバッテリー制御信号と前記バッテリー保護必要信号とを比較する比較部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載のバッテリーパックシミュレーション装置。
【請求項7】
前記比較部の比較結果に基づいて、バッテリー管理ユニットの正常または非正常の動作信号を出力することを特徴とする請求項4または請求項6に記載のバッテリーパックシミュレーション装置。
【請求項8】
バッテリーパックシミュレーション装置を用いてバッテリー管理ユニットの機能を点検する方法であって、
バッテリーパックの電圧、電流、温度及び初期のインピーダンスを含むバッテリーパックデータをバッテリーパックシミュレーション装置に入力するバッテリーパックデータ入力ステップと、
前記バッテリーパックシミュレーション装置において、入力された前記バッテリーパックデータに基づいて、仮想のバッテリーパック測定データを出力値として生成する出力値生成ステップと、
前記バッテリーパックシミュレーション装置において、生成された前記出力値をバッテリー管理ユニットに送る出力値伝送ステップと、
前記バッテリーパックシミュレーション装置において、バッテリー管理ユニットの正常動作有無をモニタリングするモニタリングステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記出力値生成ステップは、
入力された前記初期のインピーダンス値を所定の時間ごとに、所定の値に見合う分だけ変化させて仮想のインピーダンス値を生成するインピーダンス値変動ステップと、
入力された前記バッテリーパックデータの電流値及び前記仮想のインピーダンス値に基づいて、電圧値を算出し直して仮想のバッテリー測定電圧を算出する電圧値再算出ステップと、
を含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記モニタリングステップは、
前記バッテリーパックシミュレーション装置がバッテリー管理ユニットの動作をモニタリングして、
前記バッテリー管理ユニットがバッテリーパック保護動作を正常に行う場合に正常信号を出力し、
前記バッテリー管理ユニットがバッテリーパック保護動作を正常に行えない場合にエラー信号を出力することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記モニタリングステップは、
前記バッテリーパックシミュレーション装置が、バッテリー管理ユニットが仮想のバッテリーパック測定電圧から算出した計算インピーダンス値をバッテリー管理ユニットから受信するステップと、
前記仮想のバッテリー測定電圧に対応する仮想のインピーダンス値と前記計算インピーダンス値とを比較して、バッテリー管理ユニットのインピーダンス算出機能の正常動作有無を判断するインピーダンス算出機能モニタリングステップと、
を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記モニタリングステップは、
前記バッテリーパックシミュレーション装置が、仮想のバッテリーパック測定データから過充電過放電の制御または過電圧過電流の制御機能のうちの少なくとも一方の制御を含むバッテリー保護機能の起動条件の充足有無を判断する保護機能の起動条件判断手順と、
バッテリー管理ユニットが仮想のバッテリーパック測定データから生成した過充電過放電の制御または過電圧過電流の制御機能のうちの少なくとも一方の制御のための保護制御信号を受信するバッテリー保護制御信号受信手順と、
前記保護機能の起動条件が満たされた場合、前記保護制御信号が正常に受信されるか否かをもってバッテリー管理ユニットのバッテリー保護機能の正常動作有無を判断する判断手順と、
を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーパックをシミュレーションする装置及び方法に関する。
【0002】
さらに詳しくは、バッテリーパックの状況によるバッテリーパックのバッテリー管理ユニット(BMU/BMS)及びその保護アルゴリズムが正常に動作するか否かを検査するバッテリーパックシミュレーション装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近頃、ノート型パソコン、ビデオ付きカメラ、携帯電話などといった持ち運び可能な携帯型電子製品の需要が急増され、しかも、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格的に行われることに伴い、繰り返し充放電可能な高性能バッテリーパックへの取り組みが盛んに行われている。なお、近年、炭素エネルギーがどんどん枯渇され、且つ、環境への関心が高まることに伴い、貯蔵された電力を効率よく活用できるバッテリーパックに関心が寄せられ、そのバッテリーパックへの取り組みが盛んに行されている。
【0004】
一方、かようなバッテリーパックには、バッテリー管理ユニット(BMU)またはバッテリー管理システム(BMS)が搭載されるが、BMUまたはBMSに対して、実際にバッテリーをつないで運用する間に正常に動作するか否かについて、予めその機能を検証する過程が必要である(この明細書において、「バッテリー管理ユニット」としたとき、通常のBMU(Battery Management Unit)、BMS(Battery Management System)を網羅する意味を有するものとする)。
【0005】
これにより、バッテリーをつなぎ、実際にバッテリーの動作の最中にバッテリー管理ユニットが正常に動作するか否かを点検することを余儀なくされるが、このような過程を実際にバッテリーをつないで行うのには限界があるため、仮想のバッテリーをシミュレーションするシミュレーション装置を用いて、接続されるバッテリー管理ユニットが正常に動作するか否かという、その動作の異常有無を検査するといった、いわばシミュレーション装置が望まれる。
【0006】
これと関連して、本発明の出願人により出願された韓国特許出願第10-2014-0175284号には、設定された電圧、温度、電流を入力し、入力された電圧、温度、電流に基づいて、バッテリー装置をシミュレーションする装置が開示されている。
【0007】
しかしながら、この種の従来の方式は、実際にバッテリーパックにおいて生じるインピーダンスに伴われる出力電圧の変化は反映することができないが故に、実際にバッテリーパックとは違いがあるため、実際にバッテリーパックを正確にシミュレーションすることができないという不都合があり、バッテリーをシミュレーションする方式のみを開示していることに留まっており、実際にBMSの動作状態を点検する方法を提示することができないという限界があった。
【0008】
したがって、本発明においては、バッテリーパックにおいて生じるインピーダンスを反映して、実際にバッテリーパックの動作状態をさらに類似するようにシミュレーションし、このような仮想のバッテリーに対してバッテリー管理ユニットの保護動作などの機能が正常に行われるか否かを検査するシミュレーション装置及び方法を提案する。
【0009】
本発明の関連する先行技術としては、特許文献1、特許文献2が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国公開特許2018-0006264号公報
【特許文献2】韓国公開特許2016-0069384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、実際にバッテリーパックと類似する出力値をバッテリー管理ユニットに出力してバッテリー管理ユニットの機能が正常に行われるか否かを検査するバッテリーパックシミュレーション装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の実施形態に係るバッテリーパックシミュレーション装置は、電圧値、電流値、温度、初期のインピーダンス値を入力される入力部と、前記入力された電圧値、電流値、温度、初期のインピーダンス値に基づいて、出力値を生成する出力値生成部と、前記生成された出力値をバッテリー管理ユニット(BMU)に送る伝送部と、前記バッテリー管理ユニット(BMU)の動作をモニタリングするモニタリング部と、を備えていてもよい。
【0013】
前記出力値生成部は、前記入力された初期のインピーダンス値を所定の時間ごとに、所定の値に見合う分だけ変化させるインピーダンス値変動部と、前記入力された電流値及び前記インピーダンス値に基づいて、電圧値を算出し直す電圧値再算出部と、を備えていてもよい。
【0014】
前記バッテリー管理ユニット(BMU)は、前記算出し直された電圧値と入力された電流値及び温度に基づいて、バッテリーパック保護動作を行ってもよい。
【0015】
前記モニタリング部は、前記算出し直された電圧値と入力された電流値及び温度に基づいて、前記バッテリー管理ユニット(BMU)がバッテリーパック保護動作を正常に行う場合に正常信号を出力し、前記算出し直された電圧値と入力された電流値及び温度に基づいて、前記バッテリー管理ユニット(BMU)がバッテリーパック保護動作を正常に行えない場合にエラー信号を出力してもよい。
【0016】
前記保護回路ユニットは、前記入力された初期のインピーダンス値と、測定されたバッテリーパックのインピーダンス値と、を比較する比較部を備えていてもよい。
【0017】
本発明の実施形態に係るバッテリーパックシミュレーション装置を用いて、バッテリーパックの保護アルゴリズムが正常に動作するか否かを検査する方法は、バッテリーパックの電圧、電流、温度、初期のインピーダンスを入力するバッテリーパックデータ入力ステップと、前記入力されたデータに基づいて、出力値を生成する出力値生成ステップと、前記生成された出力値をバッテリー管理ユニット(BMU)に送る出力値伝送ステップ及び前記送られてきた出力値に基づいて、バッテリー管理ユニット(BMU)が保護動作を正常に行うか否かをモニタリングするモニタリングステップを含んでいてもよい。
【0018】
前記出力値生成ステップは、前記入力された初期のインピーダンス値を所定の時間ごとに、所定の値に見合う分だけ変化させるインピーダンス値変動ステップと、前記入力された電流値及び前記インピーダンス値に基づいて、電圧値を算出し直す電圧値再算出ステップと、を含んでいてもよい。
【0019】
前記モニタリングステップは、バッテリー管理ユニット(BMU)の動作をモニタリングして、前記バッテリー管理ユニット(BMU)がバッテリーパック保護動作を正常に行う場合に正常信号を出力し、前記バッテリー管理ユニット(BMU)がバッテリーパック保護動作を正常に行えない場合にエラー信号を出力してもよい。
【0020】
前記バッテリー管理ユニット(BMU)は、前記入力された初期のインピーダンス値と、測定されたバッテリーパックのインピーダンス値と、を比較する比較ステップを行って、比較結果に基づいて、バッテリー管理ユニット(BMU)の動作を制御してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、実際にバッテリーパックにおいて生じるインピーダンスを反映して、バッテリー管理ユニット(BMU/BMS)をバッテリーパックに取り付ける前に正常動作有無を検査することができる。
【0022】
また、本発明は、実際にバッテリーパックにおいて生じるインピーダンスを反映して、バッテリーパックにおける保護動作が正常に行われるか否かを検査することにより、従来の検査装置及び方法よりもなお一層正確にバッテリーパックの保護動作の遂行有無を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】通常のバッテリーパックとバッテリー管理ユニットとの接続状態を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係るバッテリーパックシミュレーション装置を示す構成図である。
図3】本発明の実施形態に係るバッテリーパックのシミュレーション方法を示す手順図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、添付図面に基づいて、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明について詳しく説明する。しかしながら、本発明は、種々の異なる形態に具体化可能であり、ここで説明する実施形態に限定されるものではない。なお、図中、本発明を明確に説明するために、説明とは無関係な部分は省略し、明細書の全般に亘って、類似の部分には類似の図面符号を付している。
【0025】
1.実際のバッテリーの駆動とバッテリー管理ユニット
図1は、実際にバッテリーパック200が外部装置100と連動して駆動される接続状態を示す図である。
【0026】
バッテリーは、負荷として働く電子装置、または充電電流をバッテリーに入力する充電装置であってもよい外部装置100につながれた状態で電流/電圧を入/出力し、このようなバッテリーの動作状態をバッテリー管理ユニット300がリアルタイムにて電圧/電流/温度などを測定し、バッテリーの保護のための動作などを行う。
【0027】
2.本発明の実施形態に係るバッテリーパックシミュレーション装置
図2は、本発明の実施形態に係るバッテリーパックシミュレーション装置を示す構成図である。
【0028】
以下では、図2に基づいて、本発明の実施形態に係るバッテリーパックシミュレーション装置について説明する。
【0029】
本発明の実施形態に係るバッテリーパックシミュレーション装置400は、電圧値、電流値、温度、初期のインピーダンス値を入力される入力部410と、前記入力された電圧値、電流値、温度、初期のインピーダンス値に基づいて、出力値を生成する出力値生成部420と、前記生成された出力値をバッテリー管理ユニット300に送る出力部430と、前記BMSのバッテリー管理ユニット300の動作をモニタリングするモニタリング部440と、を備えてなる。以下、それぞれの構成要素について説明する。
【0030】
2-1.入力部410
入力部410は、シミュレーションしようとするバッテリーパックの電圧値、電流値、温度、初期のインピーダンス値を入力する構成要素である。
【0031】
例えば、下記の表1に示すように、電圧値、電流値、温度及び初期のインピーダンス値を入力してもよい。
【0032】
【表1】
【0033】
上記のようにして入力されたバッテリーパックの電圧値、電流値、温度、初期のインピーダンス値は、後述する出力値生成部420に送られる。上記の表1の入力データは、外部入出力装置をつないで入力されてもよく、入力データを格納しているメモリー装置により実現されてもよい。上記の表1の入力データの項目の中でも、電圧、電流、温度値は、実際にバッテリーを駆動する場合を想定した仮想のバッテリーを駆動するに当たって生成される電圧、電流、温度値をシミュレーションするデータであり、インピーダンス値は、実際にバッテリーのインピーダンス値をシミュレーションする値である。
【0034】
本発明のシミュレーション装置を初期に駆動する場合、所定の初期のインピーダンス値が入力され、初期のインピーダンス値は、時間が経つにつれて、後述するインピーダンス値変動部421において変動させることにより、実際にバッテリーの駆動に際して変化するインピーダンス値をシミュレーションするように設定される。
【0035】
入力部410は、パソコン、手持ち型PDA装置などといった入力装置と接続されるインタフェースを有し、これらの入力装置からデータを入力されることができ、USBメモリーなどメモリー読み取り端子を備えてメモリーから入力データを入力されることもできる。
【0036】
入力データは、仮想のバッテリーをシミュレーションできるバッテリーパックの電圧値、電流値、温度、初期のインピーダンス値を含んでなり、シミュレーションすべきバッテリーの仕様(spec)、バッテリーの駆動状態及び駆動条件などをシミュレーションするデータであって、本発明においては、「仮想のバッテリーパック初期のデータ」と称する。
【0037】
2-2.出力値生成部420
出力値生成部420は、前記入力部から受信された仮想のバッテリーパック初期データに基づいて、実際にバッテリーの測定データをシミュレーションする出力値を生成する構成要素である。シミュレーション装置から出力される出力値は、出力部430を介してバッテリー管理ユニット(BMU)500に送られる。
【0038】
出力値は、前記入力された電流値及び温度については、入力された値のそのままで出力し、前記入力された電圧値及び初期のインピーダンス値については、所定の過程を通して変換して出力値を生成する。このような出力値は、実際にバッテリーの運用の最中に測定した電圧値、電流値、温度、インピーダンスをシミュレーションする「仮想のバッテリーパック測定データ」である。
【0039】
例えば、前記出力値生成部420は、前記入力された初期のインピーダンス値を所定の時間ごとに、所定の値に見合う分だけ変化させるインピーダンス値変動部421及び前記入力された電流値及び前記インピーダンス値に基づいて、電圧値を算出し直す電圧値再算出部422を備えてなり、インピーダンス値を変動させて、それによる電圧値を算出し直す。
【0040】
2-2-1.インピーダンス値変動部421
インピーダンス値変動部210は、仮想のバッテリーが駆動されながら変動するインピーダンスをシミュレーションするために、初期のインピーダンス値を所定の時間ごとに所定の値に見合う分だけ変化させる構成要素である。
【0041】
このように、初期のインピーダンス値を入力されるだけではなく、これに加えて、初期のインピーダンス値を変化させることにより、実際にバッテリーのインピーダンスを反映して、実際にバッテリーを用いる場合と略同じ環境を造って、バッテリー管理ユニット(BMU)がインピーダンスの変化に従って保護動作を正常に行うか否かを検出することができる。
【0042】
例えば、前記インピーダンス値変動部は、初期のインピーダンスが3ミリオーム(3mΩ)である場合、1秒につき1ミリオーム(1mΩ)ずつインクリメントして、インピーダンスを10ミリオーム(10mΩ)までインクリメントすることができる。
【0043】
2-2-2.電圧値再算出部422
電圧値再算出部422はインピーダンスが反映された電圧を算出する構成要素である。
【0044】
従来には、インピーダンス値を考慮せず、単に入力される電圧値だけで、シミュレーションを行っていたが故に、実際にバッテリーパックのインピーダンス値またはインピーダンスの変化を反映することができなかった。すなわち、入力される電圧値と実際にバッテリーパックの電圧との間には差があった。
【0045】
このような問題を解決するために、本発明においては、実際にバッテリーパックにおいて生じるインピーダンス値またはその変動値を電圧に反映している。これにより、実際にバッテリーパックの電圧の変動に伴うシミュレーションを行うことが可能である。
【0046】
例えば、上記の表1の欄の入力された電圧は、入力された初期のインピーダンス値により下記の表2のように算出し直されても良い。
【0047】
表2においては、電流、温度、初期のインピーダンス値は表1と同じであり、インピーダンス値を反映して電圧が算出し直された電圧値に変動されたことを示している。
【0048】
【表2】
【0049】
すなわち、表2において、T1、T4が、電流が0であるときであり、このときの電圧値が初期にそれぞれ1200、3800であるとすれば、T2、T3が、バッテリー電流がそれぞれ500、1000mAずつインクリメントし、T5、T6が、バッテリー電流がそれぞれ500、1000mAずつデクリメントするときであり、このとき、インピーダンス値がそれぞれ1Ωであるすれば、電圧値再算出部は、T2、T3、T5、T6であるときの電圧値をそれぞれ1700、2200、3300、2800に算出し直す。
【0050】
表3は、バッテリーのインピーダンスが2Ωに変動した場合を示す。
【0051】
【表3】
【0052】
すなわち、表3において、T2、T3、T5、T6においてインピーダンスが2であるため、電圧値再算出部は、それぞれ2200、3200、2800、1800の電圧値を算出し直す。
【0053】
このように、本発明のバッテリーパックシミュレーション装置は、バッテリーの充/放電状態及びバッテリーのインピーダンス値、並びにその変動により電圧が変動することまで、実際のバッテリーの運用状態と非常に類似する状態をシミュレーションする。
【0054】
これにより、本発明のバッテリーパックシミュレーション装置は、従来のシミュレーション装置よりも、実際にバッテリーパックと類似する電圧をバッテリー管理ユニット300に送ることにより、実際のバッテリーパックの状況と類似する状況下でバッテリー管理ユニット300が正常に動作するか否かを検査することができる。
【0055】
2-3.出力部430
出力部430は、出力値生成部420において生成された電圧、電流、温度出力値をバッテリー管理ユニット300に送る。
【0056】
出力部430は、また、前記出力値生成部420において生成された電圧、電流、温度、インピーダンス値を後述するモニタリング部440にも送る。
【0057】
出力部430は、前記出力値生成部から入力されたデータを実際に物理的な出力値に変換してバッテリー管理ユニット300に出力して、これをバッテリー管理ユニット300が認識できるようにする。例えば、出力部430は、出力値生成部420から送られてきた電圧値に関する情報を実際に電圧信号に変換してバッテリー管理ユニット300に出力する。
【0058】
これと同様に、電流値は、バッテリー管理ユニット300が受信できるように実際に電流信号に変換し、温度値もまた、バッテリー管理ユニット300が温度の測定のために入力される信号の形式に変換して出力する。
【0059】
例えば、電圧、電流出力値は、シミュレーション装置内にパワーサプライを構成して、実際に電圧/電流を出力し、通常のバッテリー管理ユニット300が内部のサーミスター(Thermistor)抵抗測定値と変換テーブルから温度を算出するため、温度値に対する出力は、当該温度に対応するサーミスター入力電圧値に変換して出力する。このような温度値を対応するサーミスター入力電圧値に変換するために、本発明のシミュレーション装置は、内部記憶装置に検査しようとするバッテリー管理ユニット300に組み込まれたサーミスター電圧に対応する温度変換値テーブルを備えていてもよい。
【0060】
2-4.モニタリング部440
モニタリング部440は、前記出力値生成部420において生成された出力値に基づいて、バッテリー管理ユニット(BMU)500がどのように動作するかをモニタリングする構成要素である。
【0061】
モニタリング部440は、バッテリー管理ユニット300からバッテリー充/放電遮断信号SG1、過電流/過電圧の遮断のための制御信号SG2及びバッテリーインピーダンス測定信号IMのうちの少なくとも一つ以上の情報を受信する。
【0062】
バッテリー充/放電遮断信号SG1、過電圧の遮断のための制御信号SG2は、検査すべきバッテリー管理ユニット300に応じて互いに同じ信号であってもよく、バッテリー管理ユニット300を構成する保護ICに応じて出力されるピン番号が異なってくることもあるが、通常の技術者がバッテリー管理ユニット300から前記信号を取り出してモニタリング部440に入力するインタフェース部を構成することは、通常の技術により実現することが可能である。
【0063】
モニタリング部440は、保護条件判断部と、比較部と、エラー決定部と、を備え、これらを用いて、バッテリー管理ユニット300のエラー有無を判断することができる。
【0064】
2-4-1.保護条件判断部
保護条件判断部は、出力値生成部420において受信した仮想のバッテリーパック測定データの電圧、電流、温度値から過電流/過電圧の制御条件または充/放電の遮断条件などのバッテリー保護条件の充足有無を判断し、その結果、バッテリー保護必要信号を生成する。過電流/過電圧の条件は、バッテリーの容量、バッテリーの種類などに応じて異なってくることがあるが、この条件は、シミュレーション装置400の保護条件判断部に予め格納されておいてもよく、あるいは、入力部410を介してバッテリーパックシミュレーション条件(電圧、電流、温度、初期のインピーダンス)が入力される際に一緒に入力されてもよい。
【0065】
2-4-2.比較部
比較部は、保護条件判断部において判断した過電流/過電圧条件、充/放電遮断条件の充足有無信号と、バッテリー管理ユニット300から受信したバッテリー充/放電遮断信号SG1、過電流/過電圧の遮断のための制御信号SG2と、を比較して一致有無を判断する。
【0066】
例えば、前記出力値生成部420において生成された出力値が、バッテリーパックの保護動作のうち、過電圧遮断保護動作が行われるべき範囲内の値である場合、保護条件判断部は、過電圧遮断条件になったと判断し、バッテリー保護必要信号を算出する筈であるが、このとき、バッテリー管理ユニット300が正常の動作を行う場合、過電流/過電圧遮断制御信号SG2をモニタリング部440に送信する筈であるため、このような場合、比較部は、両信号を比較してエラー決定部に正常の判定信号を送信する。
【0067】
しかしながら、前記出力値生成部420において生成された出力値が、バッテリーパック保護動作のうち、過電圧遮断保護動作が行われるべき範囲内の値であるにも拘わらず、バッテリー管理ユニット300が過電圧遮断保護動作を行わない場合、バッテリー管理ユニット300が正常に動作しないと判断する。
【0068】
バッテリー充/放電遮断信号SG1に対しても、比較部における過程と同様にしてバッテリー管理ユニット300の正常動作有無の判断のために比較を行う。
【0069】
すなわち、比較部とバッテリー管理ユニット300は、それぞれ仮想のバッテリーパック測定データからバッテリー保護条件の充足有無を判断し、バッテリー保護必要信号とバッテリー制御信号を生成し、比較部は、これらの両信号を比較してバッテリー管理ユニット300の正常動作有無を判断する。
【0070】
比較部はまた、バッテリー管理ユニット300から計算インピーダンス値を受信して、これを出力値生成部420において出力する変動インピーダンス値と比較してバッテリー管理ユニット300の正常動作有無を判断する。バッテリー管理ユニット300は、実際にバッテリーを運用する場合、バッテリー電流/電圧値からバッテリーインピーダンスを計算するが、本発明のシミュレーション装置400を接続した場合、出力部430から入力される電流/電圧値から内部アルゴリズムを用いて仮想のバッテリーのインピーダンスを計算して、計算されたバッテリーインピーダンス値を算出する。
【0071】
バッテリー管理ユニット300は、前記計算されたバッテリーインピーダンス値をインピーダンス信号IMとしてモニタリング部440に出力し、比較部は、これを受信して出力値生成部420から受信した仮想のバッテリーの実際のインピーダンス値と比較することにより、バッテリー管理ユニット300のインピーダンス算出内部アルゴリズムの異常有無及びバッテリー管理ユニット300のインピーダンス算出構成のエラーを検出する。
【0072】
前記仮想のバッテリーの実際のインピーダンス値は、入力部410を介して与えられた初期のインピーダンス値がインピーダンス値変動部421において変動したインピーダンス値であって、実際のバッテリーの場合のように、インピーダンスの変化を適用して当該電流、電圧値とともに出力値生成部420からモニタリング部440へと出力される値である。
【0073】
2-4-3.エラー決定部
エラー決定部は、前記比較部における比較の結果に基づいて、バッテリー管理ユニット300の正常動作有無を決める。エラー決定部または本発明の実施形態に係るバッテリーパックシミュレーション装置400は、所定の位置に前記正常動作有無の決定結果をディスプレイするディスプレイ部をさらに備えていてもよい。
【0074】
例えば、前記比較部、バッテリー管理ユニット300が正常に動作すると判断されれば、正常信号をディスプレイ部に送ってディスプレイ部において正常状態である旨を報知する表示を出力し、モニタリング部において、バッテリー管理ユニット300が正常に動作しないと判断されれば、不良信号をディスプレイ部に送ってディスプレイ部においては不良状態を報知する表示を出力してもよい。
【0075】
2-5.バッテリー管理ユニット300
2-5-1.インピーダンスの計算
バッテリー管理ユニット300は、上述したように、前記出力値生成部420において生成された仮想バッテリーの電流/電圧値に基づいて、当該仮想バッテリーに対してバッテリー管理ユニット300の内部のインピーダンス算出構成を用いて仮想バッテリーのインピーダンス値を計算し、これをモニタリング部440にインピーダンス信号IMとして出力する。
【0076】
すなわち、バッテリー管理ユニット300は、実際にバッテリーから入力される電流/電圧値などの信号を本発明のバッテリーパックシミュレーション装置400から入力されて、これらに基づいてインピーダンス値を計算してモニタリング部440に出力することにより、モニタリング部440は、バッテリー管理ユニット300がインピーダンスの計算を正確に行ったか否かを確かめることにより、バッテリー管理ユニット300の異常有無を把握するのである。
【0077】
2-5-2.バッテリー充/放電遮断信号SG1、過電流/過電圧の遮断のための制御信号SG2の生成
また、バッテリー管理ユニット300は、出力値生成部420から入力された電流/電圧に基づいて、過充電/過放電の防止のためのバッテリー充/放電遮断信号SG1及び過電流/過電圧の防止のための制御信号SG2を生成し、これらをモニタリング部440に送る。
【0078】
すなわち、バッテリー管理ユニット300は、実際にバッテリーから入力される電流/電圧値などの信号を本発明のバッテリーパックシミュレーション装置400から入力されて、これに基づいて、過電流/過電圧の有無、過充電/過放電の有無を判断し、その判断信号または制御信号をモニタリング部440に送り、モニタリング部440は、バッテリー管理ユニット300が送った前記充/放電遮断信号SG1、過電流/過電圧の防止のための制御信号SG2が正常に生成されたか否かを判断して、バッテリー管理ユニット300の異常有無を把握するのである。
【0079】
3.本発明の実施形態に係るバッテリーパックのシミュレーションを用いたバッテリー管理ユニットの正常動作有無の判断方法
図3は、本発明の実施形態に係るバッテリーパックのシミュレーション装置を用いたバッテリー管理ユニットの点検方法を示す手順図である。
【0080】
以下では、図3に基づいて、本発明の実施形態に係るバッテリーパックのシミュレーション方法について説明する。
【0081】
本発明の実施形態に係るバッテリーパックのシミュレーション方法は、バッテリーパックの電圧、電流、温度、初期のインピーダンスを入力するバッテリーパックデータ入力ステップ(S100)と、前記入力されたデータに基づいて、出力値を生成する出力値生成ステップ(S200)と、前記生成された出力値をバッテリー管理ユニット300に送る出力値伝送ステップ(S300)及び前記送られてきた出力値に基づいて、バッテリー管理ユニット300が正常に動作するか否かをモニタリングするモニタリングステップ(S400)を含んでなる。
【0082】
3-1.バッテリーパックデータ入力ステップ(S100)
バッテリーパックデータ入力ステップ(S100)は、シミュレーションしようとするバッテリーパックの電圧値、電流値、温度、初期のインピーダンス値などのバッテリーパックデータを入力する過程である。これは、上述した本発明のシミュレーション装置400の入力部410により行われる。
【0083】
入力データは、仮想のバッテリーをシミュレーションできるバッテリーパックの電圧値、電流値、温度、初期のインピーダンス値を含んでなり、シミュレーションすべきバッテリーの仕様(spec)、バッテリーの駆動状態及び駆動条件などを実現するデータであって、仮想のバッテリーパックデータと称する。
【0084】
バッテリーパックデータ入力ステップ(S100)において入力された仮想のバッテリーパックデータは、出力値生成部420に送られ、以下で説明する出力値生成ステップ(S200)を通して出力値(仮想のバッテリーパック測定データ)として生成される。
【0085】
3-2.出力値生成ステップ(S200)
出力値生成ステップ(S200)は、バッテリーパックデータ入力ステップ(S100)において入力された前記バッテリーパックデータに基づいて、シミュレーション装置から出力される出力値である仮想のバッテリーパック測定データを生成する過程である。
【0086】
その一実施形態によれば、電圧、電流、温度、初期のインピーダンス値を含むバッテリーパックデータを入力されて、仮想のバッテリーパック測定データを出力するが、前記バッテリーパックデータ入力ステップ(S100)において入力された電流値及び温度は、入力された値をそのまま出力し、電圧及びインピーダンス値は、前記初期のインピーダンス値を変動させ、変動した変動インピーダンス値と前記電流値から電圧値を算出し直した電圧値を出力する。
【0087】
3-2-1.インピーダンス値変動ステップ(S210)
インピーダンス値変動ステップ(S210)は、仮想のバッテリーパックのインピーダンス値が時間が経つにつれて変動することをシミュレーションするための過程であって、バッテリーパックデータとして入力された初期のインピーダンス値を所定の時間ごとに所定の値に見合う分ずつ変化させて、変動したインピーダンス値である「仮想のインピーダンス値」を算出する過程である。上記の表3の例をみると、T1、T4をそれぞれ初期の時間とし、T1~T3、T4~T5の区間においてインピーダンス値を表1の初期のインピーダンス値に対してそれぞれ1ずつ変動させた。
【0088】
このようにして算出された仮想のインピーダンス値を用いて、後述するモニタリング過程において、バッテリー管理ユニット300がバッテリーのインピーダンスの変化に対応して、正常に動作するか否かをモニタリングすることができる。
【0089】
3-2-2.電圧値再算出ステップ(S220)
電圧値再算出ステップ(S220)は、仮想のインピーダンス値が反映された「再算出電圧」を算出する過程である。再算出電圧とは、仮想のバッテリーの実際の測定電圧をシミュレーションする「仮想のバッテリー測定電圧」のことをいう。
【0090】
実際のバッテリーパックは、インピーダンスが変化する。インピーダンスが変動すれば、バッテリーパックの電圧もまた異なってくる。従来には、このような実際のバッテリーパックにおいて生じるインピーダンスを考慮せず、単に入力される電圧値をもって、シミュレーションを行っていたため、実際のバッテリーパックの電圧とシミュレーション電圧との間に差があり、かつ、バッテリー管理ユニット300がインピーダンスを正確に計算するか否かが分からないという不都合があった。
【0091】
これを解決すべく、本発明においては、電圧値再算出ステップ(S220)を用いて、バッテリーのインピーダンス及び変動するインピーダンスを反映して、仮想のインピーダンス値と入力されたバッテリーパックデータの電流値から仮想バッテリー電圧を算出し直すことにより、仮想のバッテリー測定電圧を求める。このような仮想のバッテリー測定電圧値(再算出電圧値)は、バッテリー管理ユニット300に入力され、バッテリー管理ユニット300は、バッテリーパックデータの電流値及び仮想のバッテリー電圧値から計算インピーダンス値を計算する。
【0092】
電圧値再算出ステップを用いて、実際のバッテリーパックの電圧変動に対するシミュレーションを行うことができて、バッテリー管理ユニット300が再算出電圧値から計算したインピーダンス値が前記インピーダンス値変動部において初期のインピーダンス値を変動させた変動インピーダンス値と一致するか否かをモニタリング部440において検証することにより、バッテリー管理ユニット300のインピーダンス算出機能の正常/非正常(正常有無)を判定してバッテリー管理ユニット300の機能を点検することが可能になる。
【0093】
3-3.出力値伝送ステップ(S300)
伝送ステップ(S300)は、上述した出力値生成ステップ(S200)において生成された出力値生成部420の出力値をバッテリー管理ユニット300に送る過程である。
【0094】
出力値は、実際のバッテリーの運用に際して、バッテリーの電圧/電流/温度/インピーダンス値などをシミュレーションした仮想のバッテリーパック測定データであって、これを用いて、バッテリー管理ユニット300の正常動作有無を点検する。
【0095】
3-4.モニタリングステップ(S400)
モニタリングステップ(S400)は、前記出力値生成ステップ(S200)において生成された出力値に基づいて、バッテリー管理ユニット300が正常に動作するか否かをモニタリングする過程である。
【0096】
具体的に、前記生成された出力値が、バッテリーパック保護動作のうち、過電圧遮断保護動作が行われるべき範囲内の値である場合、バッテリー管理ユニット300が過電圧遮断保護動作を正常に行う場合にバッテリー管理ユニット300が正常に動作すると判断する。しかしながら、生成された出力値が、バッテリーパック保護動作のうち、過電圧遮断保護動作が行われるべき範囲内の値であるにも拘わらず、バッテリー管理ユニット300が過電圧遮断保護動作を行わない場合に、バッテリー管理ユニット300が正常に動作しないと判断する。
【0097】
モニタリングステップ(S400)は、下記のように、インピーダンス算出機能モニタリング手順、過充電/過放電制御機能モニタリング手順、過電流/過電圧制御機能モニタリング手順を含んでいてもよい。
【0098】
3-4-1.インピーダンス算出機能モニタリング手順
通常、バッテリー管理ユニット300は、バッテリー電流/電圧または電流/電圧/温度からバッテリーインピーダンスを算出する。
【0099】
本発明においては、バッテリーパックシミュレーション装置400が実際にバッテリーをシミュレーションするため、バッテリー管理ユニット300は、バッテリーパックシミュレーション装置400の出力部430から出力される出力値である仮想のバッテリーパック測定データのうち、電圧/電流または電圧/電流/温度値から「計算インピーダンス値」を計算する。
【0100】
ところが、前記仮想のバッテリーパック測定データは、上述した出力値生成ステップ(S200)において生成した前記バッテリー管理ユニット300に入力される電圧/電流または電圧/電流/温度値に対応する「仮想のインピーダンス値」を含んでいる。
【0101】
本発明のバッテリーパックシミュレーション装置400のモニタリング部440は、バッテリー管理ユニット300から前記「計算インピーダンス値」を受信し、前記計算インピーダンス値を算出する同じ時間区間において前記出力値生成部420から生成した前記「仮想のインピーダンス値」を受信して、これらを互いに比較することにより、バッテリー管理ユニット300のインピーダンス算出機能が正常に動作するか否かをモニタリングする。
【0102】
前記「計算インピーダンス値」と「仮想のインピーダンス値」とが所定の範囲内において一致する場合、バッテリー管理ユニット300のインピーダンス算出機能が正常に動作すると判断し、そうではない場合、バッテリー管理ユニット300のインピーダンス算出機能が正常に動作しないと判断する。
【0103】
例えば、表3のデータが出力値生成部420からバッテリー管理ユニット300へと出力される場合、バッテリー管理ユニットは、T2において、2Ωのインピーダンス値を算出してモニタリング部440に送らなければならないが、モニタリング部440における比較の結果、この値が2Ωではない場合、バッテリー管理ユニットのインピーダンス算出機能が非正常であると判断するのである。
【0104】
3-4-2.バッテリーパック保護機能モニタリング手順
バッテリー管理ユニット300は、バッテリー電圧/電流の測定値に基づいて、バッテリーの保護機能を行う。本発明のモニタリング手順は、このようなバッテリーパックの保護機能をモニタリングする手順を設けているが、これは、バッテリーパックシミュレーション装置が、仮想のバッテリーパック測定データから過充電/過放電の制御または過電圧/過電流の制御機能のうちの少なくとも一方の制御を含むバッテリー保護機能の起動条件の充足有無を判断する保護機能の起動条件判断手順と、バッテリー管理ユニットが仮想のバッテリーパック測定データから生成した過充電/過放電の制御または過電圧/過電流の制御機能のうちの少なくとも一方の制御のための保護制御信号を受信するバッテリー保護制御信号受信手順と、前記保護機能の起動条件が満たされた場合、前記保護制御信号が正常に受信されるか否かをもって、バッテリー管理ユニットのバッテリー保護機能の正常動作有無を判断する判断手順と、を含んでいてもよい。
【0105】
また、バッテリーパック保護機能は、過充電/過放電の制御機能、過電流/過電圧制御機能を含んでいてもよいが、これらのそれぞれについて説明すれば、以下の通りである。
【0106】
3-4-2-1.過充電/過放電制御機能モニタリング手順
通常、バッテリー管理ユニット300は、バッテリーの電圧を測定し、それにより過充電/過放電の状態を検出し、これを防ぐために、充/放電遮断制御信号を出力する。本発明のシミュレーション装置400は、バッテリー管理ユニット300からこのような充/放電遮断制御信号を受信して制御信号を生成すべき電圧条件下で正常の制御信号が出力されるか否かをモニタリングする。
【0107】
このような過充電/過放電制御機能モニタリング手順は、モニタリング部440が出力値生成部420から出力される変動電圧値を受信して、シミュレーションする当該バッテリーにおいて過充電/過放電の制御が行われるべき電圧区間であるか否かを判断し、過充電/過放電の制御が行われるべき電圧区間である場合、バッテリー管理ユニット300から前記変動電圧値に対する「充/放電遮断制御信号」が受信されるか否かを判断して、バッテリー管理ユニット300の過充電/過放電の制御機能が正常に動作するか否かを判断する。
【0108】
3-4-2-2.過電流/過電圧制御機能モニタリング手順
また、バッテリー管理ユニット300は、バッテリーの過電流/過電圧の状況に対して過電流/過電圧の状況を解消する制御信号を出力する。
【0109】
本発明のシミュレーション装置400は、バッテリー管理ユニット300がこのような過電流/過電圧に対する制御信号を正常に生成するか否かをモニタリングする。
【0110】
このような過電流/過電圧制御機能モニタリング手順は、モニタリング部440が出力値生成部420から出力される変動電流/電圧値を受信して、シミュレーションする当該バッテリーにおいて過電圧/過電流制御が行われるべき区間であるか否かを判断し、過電圧/過電流制御が行われるべき電圧/電流区間である場合、バッテリー管理ユニット300から「過電圧/過電流遮断制御信号」が受信されるか否かを判断して、バッテリー管理ユニット300の過電圧/過電流の制御機能が正常に動作するか否かを判断する。
【0111】
一方、本発明の実施形態に係るバッテリーパックシミュレーション装置は、検査結果をディスプレイするディスプレイステップをさらに含んでいてもよい。
【0112】
例えば、ディスプレイステップは、モニタリングステップ(S400)において、バッテリー管理ユニット300が正常に動作すると判断されれば、正常信号をディスプレイ部に送って、ディスプレイ部においては正常状態である旨を報知する表示を出力し、モニタリングステップ(S400)において、バッテリー管理ユニット300が正常に動作しないと判断されれば、不良信号をディスプレイ部に送って、ディスプレイ部において不良状態である旨を報知する表示を出力してもよい。
【0113】
一方、本発明の技術的思想は、前記実施形態に基づいて具体的に記述されたが、前記実施形態はその説明のためのものであり、その制限のためのものではないということに留意すべきである。なお、本発明の技術分野における当業者であれば、本発明の技術思想の範囲内において種々の実施形態が実施可能であるということが理解できる筈である。
【0114】
本発明の各図面における符号と関わる名称は、次の通りである。
【符号の説明】
【0115】
100:外部装置
200:バッテリーパック
300:バッテリー管理ユニット
400:バッテリーパックシミュレーション装置
410:入力部
420:出力値生成部
421:インピーダンス値変動部
422:電圧値再算出部
430:出力部
440:モニタリング部
図1
図2
図3
【国際調査報告】