(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-27
(54)【発明の名称】バッテリー管理システム、バッテリーパック、電気車両及びバッテリー管理方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/388 20190101AFI20221020BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20221020BHJP
G01R 31/387 20190101ALI20221020BHJP
G01R 31/382 20190101ALI20221020BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221020BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20221020BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20221020BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20221020BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20221020BHJP
【FI】
G01R31/388
H01M10/48 P
H01M10/48 301
G01R31/387
G01R31/382
H02J7/00 P
H02J7/00 X
B60L3/00 S
B60L50/60
B60L53/14
B60L58/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513381
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(85)【翻訳文提出日】2022-03-01
(86)【国際出願番号】 KR2020018205
(87)【国際公開番号】W WO2021118312
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】10-2019-0164892
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ボム-ジン
【テーマコード(参考)】
2G216
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
2G216AB01
2G216BA03
2G216BA17
2G216BA41
2G216CA01
2G216CA04
2G216CA11
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503DA07
5G503EA05
5G503FA06
5G503GB06
5G503GC04
5G503GD03
5H030AA01
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF43
5H030FF44
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC01
5H125BC05
5H125BC12
5H125BC19
5H125CC01
5H125CD04
5H125DD02
5H125EE23
5H125EE25
5H125EE27
5H125EE48
(57)【要約】
本発明によるバッテリー管理システムは、第1開路電圧カーブ及び第2開路電圧カーブを保存するメモリと、バッテリーの両端にかかったバッテリー電圧を測定する電圧センサーと、制御回路と、を含む。第1開路電圧カーブは、バッテリーの放電時のバッテリーの開路電圧と充電状態との第1関係を規定する。第2開路電圧カーブは、バッテリーの充電時のバッテリーの開路電圧と充電状態との第2関係を規定する。制御回路は、キーOFF信号を受信すると、バッテリーを通す電流の流れを遮断するように構成される。制御信号は、キーOFF信号の受信時にバッテリーが放電中であったら、第1時点から第2時点まで、所定の時間ごとに測定されるバッテリー電圧及び第1開路電圧カーブに基づいて、所定の時間ごとにバッテリーの充電状態を推定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1開路電圧カーブ及び第2開路電圧カーブを保存するように構成されるメモリと、
バッテリーの両端にかかった電圧であるバッテリー電圧を測定するように構成される電圧センサーと、
前記メモリ及び前記電圧センサーに結合する制御回路と、を含み、
前記第1開路電圧カーブは、前記バッテリーの放電時の前記バッテリーの開路電圧と充電状態との第1関係を規定し、
前記第2開路電圧カーブは、前記バッテリーの充電時の前記バッテリーの開路電圧と充電状態との第2関係を規定し、
前記制御回路は、
キーOFF信号を受信すると、前記バッテリーが休止状態になるように前記バッテリーを通す電流の流れを遮断し、
前記キーOFF信号の受信時に前記バッテリーが放電中であったら、第1時点から第2時点まで、測定される前記バッテリー電圧及び前記第1開路電圧カーブに基づいて、前記バッテリーの充電状態を推定するように構成され、
前記第1時点は、前記キーOFF信号の受信時から第1待機時間が経過した時点であり、
前記第2時点は、前記キーOFF信号の受信時から前記第1待機時間よりも長い第1切換時間が経過した時点である、バッテリー管理システム。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記キーOFF信号の受信時に前記バッテリーが放電中であったら、基準充電状態及び基準温度に基づいて前記第1待機時間及び前記第1切換時間を決定するように構成され、
前記基準充電状態は、前記キーOFF信号が受信されたときの前記バッテリーの充電状態を示し、
前記基準温度は、前記キーOFF信号が受信されたときの前記バッテリーの温度を示す、請求項1に記載のバッテリー管理システム。
【請求項3】
前記メモリは、前記第1関係と前記第2関係の平均を示す第3関係を規定している第3開路電圧カーブをさらに保存するように構成され、
前記制御回路は、
前記キーOFF信号の受信時に前記バッテリーが放電中であったら、前記第2時点から、所定の時間ごとに測定される前記バッテリー電圧及び前記第3開路電圧カーブに基づいて、前記所定の時間ごとに前記バッテリーの充電状態を推定するように構成される、請求項1または2に記載のバッテリー管理システム。
【請求項4】
前記制御回路は、
前記キーOFF信号の受信時に前記バッテリーが充電中であったら、第3時点から第4時点まで、所定の時間ごとに測定される前記バッテリー電圧及び前記第2開路電圧カーブに基づいて、前記所定の時間ごとに前記バッテリーの充電状態を推定するように構成され、
前記第3時点は、前記キーOFF信号の受信時から第2待機時間が経過した時点であり、
前記第4時点は、前記キーOFF信号の受信時から前記第2待機時間よりも長い第2切換時間が経過した時点である、請求項1から3のいずれか一項に記載のバッテリー管理システム。
【請求項5】
前記制御回路は、
前記キーOFF信号の受信時に前記バッテリーが放電中であったら、基準充電状態及び基準温度に基づいて前記第2待機時間及び前記第2切換時間を決定するように構成され、
前記基準充電状態は、前記キーOFF信号が受信されたときの前記バッテリーの充電状態を示し、
前記基準温度は、前記キーOFF信号が受信されたときの前記バッテリーの温度を示す、請求項4に記載のバッテリー管理システム。
【請求項6】
前記メモリは、前記第1関係と前記第2関係の平均を示す第3関係を規定している第3開路電圧カーブをさらに保存するように構成され、
前記制御回路は、
前記キーOFF信号の受信時に前記バッテリーが充電中であったら、前記第4時点から、前記所定の時間ごとに測定される前記バッテリー電圧及び前記第3開路電圧カーブに基づいて、前記所定の時間ごとに前記バッテリーの充電状態を推定するように構成される、請求項4に記載のバッテリー管理システム。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の前記バッテリー管理システムを含む、バッテリーパック。
【請求項8】
請求項7に記載の前記バッテリーパックを含む、電気車両。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか一項に記載の前記バッテリー管理システムによって実行可能なバッテリー管理方法であって、
前記キーOFF信号を受信すると、前記バッテリーが休止状態になるように前記バッテリーを通す電流の流れを遮断する段階と、
前記キーOFF信号の受信時に前記バッテリーが放電中であったら、前記第1時点から前記第2時点まで、所定の時間ごとに測定される前記バッテリー電圧及び前記第1開路電圧カーブに基づいて、前記所定の時間ごとに前記バッテリーの充電状態を推定する段階と、を含む、バッテリー管理方法。
【請求項10】
前記キーOFF信号の受信時に前記バッテリーが充電中であったら、第3時点から第4時点まで、前記所定の時間ごとに測定される前記バッテリー電圧及び前記第2開路電圧カーブに基づいて、前記所定の時間ごとに前記バッテリーの充電状態を推定する段階をさらに含み、
前記第3時点は、前記キーOFF信号の受信時から第2待機時間が経過した時点であり、
前記第4時点は、前記キーOFF信号の受信時から前記第2待機時間よりも長い第2切換時間が経過した時点である、請求項9に記載のバッテリー管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーの充電状態を決定する技術に関する。
【0002】
本出願は、2019年12月11日出願の韓国特許出願第10-2019-0164892号に基づく優先権を主張し、該当出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
最近、ノートブックPC、ビデオカメラ、携帯電話などのような携帯用電子製品の需要が急増し、電気自動車、エネルギー貯蔵用蓄電池、ロボット、衛星などの開発が本格化するにつれ、反復的な充放電の可能な高性能バッテリーについての研究が活発に進行しつつある。
【0004】
現在、商用化したバッテリーとしては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池、リチウムバッテリーなどがあり、このうち、リチウムバッテリーは、ニッケル系のバッテリーに比べてメモリ効果がほとんど起こらず、充放電が自由で、自己放電率が非常に低くてエネルギー密度が高いという長所から脚光を浴びている。
【0005】
バッテリーは、使用状態と休止状態とが反復的に行われる。使用状態は、バッテリーの充放電が行われる状態を指す。休止状態とは、バッテリーの充放電が遮断(中断)された状態、即ち、バッテリーを介して充電電流と放電電流が流れない状態を指す。
【0006】
バッテリーが休止状態に維持される間にも、使用状態における充放電履歴、バッテリーの自己放電、バッテリー管理システムによって消耗される電力などによって、バッテリーの充電状態(SOC:State Of Chage)は一定に維持されないこともある。したがって、バッテリーが休止状態に維持される間にもバッテリーのSOCをモニターする必要がある。
【0007】
一方、従来に、バッテリーのSOCの推定に広く活用されている開路電圧カーブは、バッテリーの充放電が中断された状態で充分に長い時間が経過してヒステリシスが完全に解消されたときのバッテリーの開路電圧(OCV:Open Circuit Voltage)とSOCとの関係を規定するデータセットである。
【0008】
ところが、バッテリーが使用状態から休止状態に切り換えられたときから休止状態に維持された時間が長くなければ、使用状態における充放電履歴によって発生したヒステリシスが充分に解消されない。
【0009】
したがって、バッテリーが休止状態に維持された時間を考慮せず、休止状態の開始時点(即ち、使用状態の終了時点)から開路電圧カーブのみに基づいてバッテリーのSOCを推定する場合、正確度が低下するという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、バッテリーが使用状態から休止状態に切り換えられたときからバッテリーが休止状態に維持された時間によって、OCVとSOCとの関係を規定する開路電圧カーブを変更することで、バッテリーの休止中のSOCを正確に決定することを目的とする。
【0011】
本発明の他の目的及び長所は、下記の説明によって理解でき、本発明の実施例によってより明らかに理解されるであろう。また、本発明の目的及び長所は、特許請求の範囲に示される手段及びその組合せによって実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一面によるバッテリー管理システムは、第1開路電圧カーブ及び第2開路電圧カーブを保存するように構成されるメモリと、バッテリーの両端にかかった電圧であるバッテリー電圧を測定するように構成される電圧センサーと、メモリ及び電圧センサーに結合する制御回路と、を含む。第1開路電圧カーブは、バッテリーの放電時のバッテリーの開路電圧と充電状態との第1関係を規定する。第2開路電圧カーブは、バッテリーの充電時のバッテリーの開路電圧と充電状態との第2関係を規定する。制御回路は、キーOFF信号を受信すると、バッテリーが休止状態になるようにバッテリーを通す電流の流れを遮断するように構成される。制御回路は、キーOFF信号の受信時にバッテリーが放電中であったら、第1時点から第2時点まで、所定の時間ごとに測定されるバッテリー電圧及び第1開路電圧カーブに基づいて、所定の時間ごとにバッテリーの充電状態を推定するように構成される。第1時点は、キーOFF信号の受信時から第1待機時間が経過した時点である。第2時点は、キーOFF信号の受信時から第1待機時間よりも長い第1切換時間が経過した時点である。
【0013】
制御回路は、キーOFF信号の受信時にバッテリーが放電中であったら、基準充電状態及び基準温度に基づいて第1待機時間及び第1切換時間を決定するように構成され得る。基準充電状態は、キーOFF信号が受信されたときのバッテリーの充電状態を示す。基準温度は、キーOFF信号が受信されたときのバッテリーの温度を示す。
【0014】
メモリは、第1関係と第2関係の平均を示す第3関係を規定している第3開路電圧カーブをさらに保存するように構成され得る。制御回路は、キーOFF信号の受信時にバッテリーが放電中であったら、第2時点から、所定の時間ごとに測定されるバッテリー電圧及び第3開路電圧カーブに基づいて、所定の時間ごとにバッテリーの充電状態を推定するように構成され得る。
【0015】
制御回路は、キーOFF信号の受信時にバッテリーが充電中であったら、第3時点から第4時点まで、所定の時間ごとに測定されるバッテリー電圧及び第2開路電圧カーブに基づいて、所定の時間ごとにバッテリーの充電状態を推定するように構成され得る。第3時点は、キーOFF信号の受信時から第2待機時間が経過した時点である。第4時点は、キーOFF信号の受信時から第2待機時間よりも長い第2切換時間が経過した時点である。
【0016】
制御回路は、キーOFF信号の受信時にバッテリーが放電中であったら、基準充電状態及び基準温度に基づいて第2待機時間及び第2切換時間を決定するように構成され得る。基準充電状態は、キーOFF信号が受信されたときのバッテリーの充電状態を示す。基準温度は、キーOFF信号が受信されたときのバッテリーの温度を示す。
【0017】
メモリは、第1関係と第2関係の平均を示す第3関係を規定している第3開路電圧カーブをさらに保存するように構成され得る。制御回路は、キーOFF信号の受信時にバッテリーが充電中であったら、第4時点から、所定の時間ごとに測定されるバッテリー電圧及び第3開路電圧カーブに基づいて、所定の時間ごとにバッテリーの充電状態を推定するように構成され得る。
【0018】
本発明の他面によるバッテリーパックは、バッテリー管理システムを含む。
【0019】
本発明のさらに他面による電気車両は、バッテリーパックを含む。
【0020】
本発明のさらに他面によるバッテリー管理方法は、バッテリー管理システムによって実行可能である。バッテリー管理方法は、キーOFF信号を受信すると、バッテリーが休止状態になるように バッテリーを通す電流の流れを遮断する段階と、キーOFF信号の受信時にバッテリーが放電中であったら、第1時点から第2時点まで、所定の時間ごとに測定されるバッテリー電圧及び第1開路電圧カーブに基づいて、所定の時間ごとにバッテリーの充電状態を推定する段階と、を含む。
【0021】
バッテリー管理方法は、キーOFF信号の受信時にバッテリーが充電中であったら、第3時点から第4時点まで、所定の時間ごとに測定されるバッテリー電圧及び第2開路電圧カーブに基づいて、所定の時間ごとにバッテリーの充電状態を推定する段階をさらに含み得る。第3時点は、キーOFF信号の受信時から第2待機時間が経過した時点であり得る。第4時点は、キーOFF信号の受信時から第2待機時間よりも長い第2切換時間が経過した時点であり得る。
【発明の効果】
【0022】
本発明の実施例の少なくとも一つによると、バッテリーが使用状態から休止状態に切り換えられたときからバッテリーが休止状態に維持された時間によって、OCVとSOCとの関係を規定する開路電圧カーブを変更することで、バッテリーの休止中のSOCを正確に決定することができる。
【0023】
本発明の効果は上述した効果に制限されず、言及されていない本発明の他の効果は請求範囲の記載から当業者により明らかに理解されるだろう。
【0024】
本明細書に添付される次の図面は、本発明の望ましい実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割をするため、本発明は図面に記載された事項だけに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明による電気車両の構成を例示した図である。
【
図2】バッテリーの使用状態における充放電履歴によるヒステリシスを説明するための図である。
【
図3】バッテリーの放電によって発生したヒステリシスが休止状態で解消される現象を説明するための図である。
【
図4】バッテリーの充電によって発生したヒステリシスが休止状態で解消される現象を説明するための図である。
【
図5】本発明の第1実施例によるバッテリー管理方法を例示したフローチャートである。
【
図6】
図5の方法のためのデータテーブルを例示する。
【
図7】本発明の第2実施例によるバッテリー管理方法を例示したフローチャートである。
【
図8】
図7の方法のためのデータテーブルを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的や辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応ずる意味及び概念で解釈されねばならない。
【0027】
第1、第2などのように序数を含む用語は、多様な構成要素のうちいずれか一つを残りと区別する目的として使用され、このような用語によって構成要素が限定されることではない。
【0028】
なお、明細書の全体にかけて、ある部分が、ある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くことではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。また、明細書に記載の「制御部」のような用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を示し、これはハードウェアやソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの結合せにより具現され得る。
【0029】
さらに、明細書の全体に亘って、ある部分が他の部分と「連結(接続)」されているとするとき、これは、「直接的に連結(接続)」されている場合のみならず、その中間に他の素子を介して「間接的に連結(接続)」されている場合も含む。
【0030】
図1は、本発明による電気車両1の構成を例示した図である。
【0031】
図1を参照すると、電気車両1は、車両コントローラ2、バッテリーパック20、スイッチ30、インバータ40及び電気モータ50を含む。
【0032】
車両コントローラ2は、電気車両1に設けられた始動ボタン(図示せず)が使用者によってON位置に切り換えられたことに応じてキーON信号を生成するように構成される。車両コントローラ2は、始動ボタンが使用者によってOFF位置に切り換えられたことに応じてキーOFF信号を生成するように構成される。
【0033】
スイッチ30は、バッテリーパック20のための電力ライン3に設けられる。 スイッチ30がオンされた間に、電力ライン3を通してバッテリーパック20とインバータ40のいずれか一つから他の一つへの電力伝達が可能である。スイッチ30は、リレー、電界効果トランジスター(FET:Field Effect Transistor)などのような公知のスイッチング器機の一つまたは二つ以上を組合せによって具現され得る。
【0034】
インバータ40は、バッテリーBから供給される直流電力を交流電力に変換して電気モータ50に供給する。電気モータ50は、インバータ40からの交流電力を電気車両1のための運動エネルギーに変換する。
【0035】
バッテリーパック20は、バッテリーB及びバッテリー管理システム100を含む。
【0036】
バッテリーBは、少なくとも一つのバッテリーセルを含む。バッテリーセルは、例えば、リチウムイオンセルのように、反復的な充放電が可能なものであれば、その種類は特に限定されない。
【0037】
バッテリー管理システム100は、電圧センサー110、メモリ140及び制御回路150を含む。バッテリー管理システム100は、温度センサー120、電流センサー130及び通信回路160のうち少なくとも一つをさらに含み得る。
【0038】
電圧センサー110は、バッテリーBの正極端子及び負極端子に電気的に接続可能に提供される。電圧センサー110は、所定の時間ごとに、バッテリーBの両端にかかった電圧(以下、「バッテリー電圧」と称することがある。)を測定し、測定されたバッテリー電圧を示す信号を制御回路150に出力するように構成される。
【0039】
温度センサー120は、バッテリーBから所定の距離内の領域に配置される。例えば、熱電対などが温度センサー120として用いられ得る。温度センサー120は、所定の時間ごとに、バッテリーBの温度(以下、「バッテリー温度」と称し得る。)を測定し、測定されたバッテリー温度を示す信号を制御回路150に出力するように構成される。
【0040】
電流センサー130は、電力ライン3に設けられる。電流センサー130は、電力ライン3によってバッテリーBに電気的に直列で接続可能に提供される。例えば、シャント抵抗やホール効果素子などが電流センサー130として用いられ得る。電流センサー130は、所定の時間ごとに、電力ライン3を通して流れる電流(以下、「バッテリー電流」と称し得る。)を測定し、測定されたバッテリー電流を示す信号を制御回路150に出力するように構成される。バッテリーBが放電中に測定されるバッテリー電流を「放電電流」と称し、バッテリーBが充電中に測定されるバッテリー電流を「充電電流」と称し得る。
【0041】
メモリ140は、後述する実施例によるバッテリー管理方法の実行に必要なプログラム及び各種データを保存するように構成される。メモリ140は、例えば、フラッシュメモリタイプ(flash(登録商標) memory type)、ハードディスクタイプ(hard disk type)、SSDタイプ(Solid State Disk type,ソリッドステートディスクタイプ)、SDDタイプ(Silicon Disk Drive type,シリコンディスクドライブタイプ)、マルチメディアカードマイクロタイプ(multimedia card micro type)、RAM(random access memory,ランダムアクセスメモリ)、SRAM(static random access memory,スタティックランダムアクセスメモリ)、ROM(read‐only memory,リードオンリメモリ)、EEPROM(electrically erasable programmable read‐only memory,エレクトリカリーイレーサブルリードオンリメモリ)、PROM(programmable read-only memory,プログラマブルリードオンリメモリ)の少なくとも一つのタイプの保存媒体を含み得る。
【0042】
制御回路150は、車両コントローラ2、スイッチ30、電圧センサー110、温度センサー120、温度センサー130、メモリ140及び通信回路160に動作可能に結合する。二つの構成が動作可能に結合するということは、二つの構成間に単方向または双方向に信号を送受信可能に接続していることを意味する。制御回路150は、ハードウェア的に、ASICs(application specific integrated circuits)、DSPs(digital signal processors)、DSPDs(digital signal processing devices)、PLDs(programmable logic devices)、FPGAs(field programmable gate arrays)、マイクロプロセッサー(microprocessors)、その他の機能の遂行のための電気的ユニットの少なくとも一つを用いて具現され得る。
【0043】
通信回路160は、電気車両1の車両コントローラ2と通信可能に結合し得る。通信回路160は、車両コントローラ2からのメッセージを制御回路150に伝送し、制御回路150からのメッセージを車両コントローラ2に伝送し得る。通信回路160と車両コントローラ2との間の通信には、例えば、LAN(local area network,ローカルエリア・ネットワーク)、CAN(controller area network,コントローラー・エリア・ネットワーク)、デージチェーンのような有線ネットワーク及び/またはブルートゥース(登録商標)、ジグビー、Wi-Fi(登録商標)などの無線ネットワークを提供し得る。
【0044】
制御回路150は、バッテリー電圧、バッテリー電流及び/またはバッテリー温度に基づき、バッテリーBのSOCを決定し得る。バッテリーBの充放電中のSOCの決定は、電流積算法、カルマンフィルターなどのような公知の方式が用いられ得る。以下、バッテリーBが休止状態にあるときのSOCの決定について具体的に説明する。
【0045】
図2は、バッテリーBの使用状態における充放電履歴によるヒステリシスを説明するための図である。
【0046】
図2を参照すると、カーブ201は、バッテリーBの放電時のバッテリーBのOCVとSOCとの第1関係を規定するものであって、「第1OCVカーブ」または「放電OCVカーブ」と称し得る。カーブ201は、所定の基準温度(例えば、25℃)に維持される環境で、バッテリーBと同じ仕様の他のバッテリーが完全充電されたときから完全放電するまで、定電流放電と休止を交互に反復する放電テスト過程から予め得られたデータであり得る。例えば、放電テスト過程中、第1テスト時間(例えば、60分)に亘る所定の電流レート(例えば、0.1C)を用いた放電と、第2テスト時間(例えば、5分)にかける休止と、が繰り返され得る。この場合、カーブ201のOCVは、放電テスト過程中、バッテリーBが第2テスト時間の間に休止される度のバッテリー電圧を示し得る。
【0047】
カーブ202は、バッテリーBの充電時のバッテリーBのOCVとSOCとの第2関係を規定するものであって、「第2OCVカーブ」または「充電OCVカーブ」と称し得る。カーブ202は、所定の基準温度(例えば、25℃)に維持される環境で、バッテリーBと同じ仕様の他のバッテリーが完全放電したときから完全充電されるまで、定電流充電と休止を繰り返す充電テスト過程から予め得られたデータであり得る。例えば、充電テスト過程中、第3テスト時間(例えば、60分)にかける所定の電流レート(例えば、0.1C)を用いた充電と、第4テスト時間(例えば、5分)にかける休止と、が繰り返され得る。この場合、カーブ202のOCVは、充電テスト過程中、バッテリーBが第4テスト時間の間に休止される度のバッテリー電圧を示し得る。
【0048】
カーブ203は、第1関係と第2関係の平均を示す第3関係を規定するものであって、「第3OCVカーブ」または「平均OCVカーブ」と称し得る。第1関係と第2関係を平均することによって、放電によるヒステリシスと充電によるヒステリシスとが相互に相殺される。したがって、第3関係は、バッテリーBのヒステリシスが完全に解消されたときのバッテリーBのOCVとSOCを示すといえる。
【0049】
同じSOCにおいて、カーブ201のOCVは、放電によって発生したヒステリシスによってカーブ203のOCVよりも低い一方、カーブ202のOCVは、充電によって発生したヒステリシスによってカーブ203のOCVよりも高い。例えば、SOC=A[%]の場合、カーブ201のOCV V1は、カーブ203のOCV V2よりも低く、カーブ202のOCV V3は、カーブ203のOCV V2よりも高い。参考までに、カーブ203は、カーブ201とカーブ202の平均であることから、V2=(V1+V3)/2となる。
【0050】
同様の理由で、同じOCVにおいて、カーブ201のSOCは、カーブ203のSOCよりも大きい一方、カーブ202のSOCは、カーブ203のSOCよりも小さい。例えば、OCV=V1[V]の場合、カーブ201のSOC A[%]は、カーブ203のSOC B[%]よりも大きく、カーブ202のSOC C[%]は、カーブ203のSOC B[%]よりも小さい。
【0051】
図3は、バッテリーBの放電によって発生したヒステリシスが休止状態で解消される現象を説明するための図である。
【0052】
図3を参照すると、バッテリーBの放電中にキーOFF信号が受信されることによって、時点T
0からバッテリーBが休止状態になる。説明の便宜のために、時点T
0におけるバッテリーBの実際のSOCがA[%]であると仮定する。
【0053】
図2及び
図3を参照すると、放電によるヒステリシスが時点T
0から解消されていきながらバッテリー電圧が徐々に上昇する。時点T
1で、バッテリー電圧は、カーブ201のOCV V
1に到達する。時点T
1は、時点T
0からある程度の時間が経過した時点であり得る。時点T
0から十分な時間が経過したら、バッテリー電圧は、カーブ203のOCV V
2に到達するようになる。
【0054】
時点T1後の時点T2において、バッテリー電圧VxはV1とV2との間に位置する。もし、カーブ201を参照する場合、時点T2におけるSOCはD[%]に決定される。一方、カーブ203を参照する場合、時点T2におけるSOCはE[%]に決定される。
【0055】
バッテリーBの休止中、V
xはV
2に向かって徐々に上昇するため、V
xとV
1との差は増加する一方、V
xとV
2との差は減少することを
図2及び
図3から確認することができる。また、バッテリーBの休止中、AとDとの差ΔE
1は増加する一方、AとEとの差ΔE
2は減少する。
【0056】
ΔE1がΔE2よりも小さいときには、カーブ201に基づいて決められたSOCが、カーブ203に基づいて決定されたSOCよりも実際のSOCに近い。一方、ΔE1がΔE2よりも大きいときには、カーブ203に基づいて決定されたSOCがカーブ201に基づいて決定されたSOCよりも実際のSOCに近い。
【0057】
これに着目して、制御回路150は、ΔE1とΔE2とが相互に同一になるまで必要な時間の予測値としての第1切換時間ΔtC1を決定するように構成され得る。制御回路150は、時点T0から第1待機時間ΔtR1が経過したときからカーブ201に基づいて所定の時間ごとにSOCを決定し、時点T0から第1切換時間ΔtC1が経過したときからは、カーブ203に基づいて所定の時間ごとにSOCを決定し得る。
【0058】
図4は、バッテリーBの充電によって発生したヒステリシスが休止状態で解消される現象を説明するための図である。
【0059】
図4を参照すると、バッテリーBの充電中にキーOFF信号が受信されることによって、時点T
10からバッテリーBが休止状態になる。説明の便宜のために、時点T
10におけるバッテリーBの実際のSOCがA[%]であると仮定する。
【0060】
図2及び
図4を参照すると、充電によるヒステリシスが時点T
10から解消されていきながらバッテリー電圧が徐々に下降する。時点T
11で、バッテリー電圧は、カーブ202のOCV V
3に到達する。時点T
11は、時点T
10からある程度の時間が経過した時点であり得る。時点T
10から十分な時間が経過したら、バッテリー電圧は、カーブ203のOCV V
2に到達するようになる。
【0061】
時点T11後の時点T12において、バッテリー電圧Vyは、V3とV2との間に位置する。もし、カーブ202を参照する場合、時点T12におけるSOCは、F[%]に決定される。一方、カーブ203を参照する場合、時点T12におけるSOCはG[%]に決定される。
【0062】
バッテリーBの休止中、V
yはV
2に向かって徐々に下降するため、V
yとV
3との差は増加する一方、V
yとV
2との差は減少することを
図2及び
図4から確認することができる。また、バッテリーBの休止中、AとFとの差ΔE
3は増加する一方、AとGとの差ΔE
4は減少する。
【0063】
ΔE3がΔE4よりも小さいときには、カーブ202に基づいて決定されたSOCがカーブ203に基づいて決定されたSOCよりも実際のSOCに近い。 一方、ΔE3がΔE4よりも大きいときには、カーブ203に基づいて決定されたSOCが、カーブ202に基づいて決定されたSOCよりも実際のSOCに近い。
【0064】
これに着目して、制御回路150は、ΔE3とΔE4が互いに同一になるまで必要な時間の予測値としての第2切換時間ΔtC2を決定するように構成され得る。制御回路150は、時点T10から第2待機時間ΔtR2が経過したときからカーブ202に基づいて所定の時間ごとにSOCを決定し、時点T10から第2切換時間ΔtC2が経過したときからは、カーブ203に基づいて所定の時間ごとにSOCを決定し得る。
【0065】
図5は、本発明の第1実施例によるバッテリー管理方法を例示したフローチャートであり、
図6は、
図5の方法のためのデータテーブルを例示する。
図5の方法は、バッテリーBの放電中に車両コントローラ2からのキーOFF信号によって開始され得る。
【0066】
図1~
図3、
図5及び
図6を参照すると、段階S510で、制御回路150は、基準SOC及び基準温度をメモリ140に記録する。基準SOCは、キーOFF信号が受信されたときのバッテリーBのSOCを示す。基準温度は、キーOFF信号が受信されたときのバッテリー温度を示す。
【0067】
段階S520で、制御回路150は、バッテリーBを通す電流の流れを遮断する。即ち、制御回路150は、スイッチ30をオフする。これによって、バッテリーBが使用状態から休止状態に切り換えられる。
【0068】
段階S530で、制御回路150は、基準SOC及び基準温度に基づいて、第1待機時間ΔtR1及び第1切換時間ΔtC1を決定する。
【0069】
第1待機時間ΔtR1は、カーブ201を用いてバッテリーBのSOCを決定するために、キーOFF信号の受信時から経過すべき時間である。休止状態の初期には、バッテリー電圧が速く上昇するため、休止状態が開始されたときからカーブ201を用いてバッテリーBのSOCを決定することは望ましくないためである。例えば、第1待機時間ΔtR1は、休止状態の開始時点からバッテリー電圧の上昇速度が所定の臨界速度(例えば、0.01V/分)と同一になるまで必要とする時間の予測値である。
【0070】
第1切換時間ΔtC1は、第1待機時間ΔtR1より長い。第1切換時間ΔtC1は、カーブ201の代わりにカーブ203を用いてバッテリーBのSOCを決定するために、キーOFF信号の受信時から経過すべき時間である。
【0071】
図6を参照すると、データテーブル610とデータテーブル620は、メモリ140に保存されている。データテーブル610は、基準SOC、基準温度及び第1待機時間Δt
R1との関係を規定している。データテーブル610は、基準SOCが同じ場合、相対的に低い基準温度が相対的に長い第1待機時間Δt
R1に関連付けられるように規定している。例えば、基準SOCが90[%]、基準温度が25[℃]であれば、1分が第1待機時間Δt
R1として決定され、基準 SOCが90[%]、基準温度が0[℃]であれば、5分が第1待機時間Δt
R1として決定される。また、データテーブル610は、基準温度が同じ場合、相対的に低い基準SOCが、相対的に長いかまたは同一の第1待機時間Δt
R1に関連付けられるように規定している。例えば、基準SOCが80[%]、基準温度が25[℃]であれば、2分が第1待機時間Δt
R1として決定され、基準SOCが70[%]、基準温度が25[℃]であれば、3分が第1待機時間Δt
R1として決定される。
【0072】
データテーブル620は、基準SOC、基準温度及び第1切換時間ΔtC1の関係を規定している。データテーブル620は、基準SOCが同じ場合、相対的に低い基準温度が、相対的に長い第1切換時間ΔtC1に関連付けられるように規定している。また、データテーブル620は、基準温度が同じ場合、相対的に低い基準SOCが、相対的に長いかまたは同一の第1切換時間ΔtC1に関連付けられるように規定している。
【0073】
勿論、データテーブル610とデータテーブル620の数値は、理解を助けるための例示である。
【0074】
代案的に、第1待機時間Δt
R1及び第1切換時間Δt
C1は各々、SOC及び温度とは関係なく、特定値として予め決定されていてもよい。この場合、段階 S510及び段階S530は、
図5の方法から省略され得る。
【0075】
段階S540で、制御回路150は、バッテリー電圧を測定する。
【0076】
段階S550で、制御回路150は、キーOFF信号の受信時から第1待機時間ΔtR1が経過したか否かを判定する。段階S550の値が「はい」である場合、段階S560へ進む。
【0077】
段階S560で、制御回路150は、キーOFF信号の受信時から第1切換時間ΔtC1が経過したか否かを判定する。段階S560の値が「いいえ」である場合、段階S570へ進む。段階S560の値が「はい」である場合、段階S580へ進む。
【0078】
段階S570で、制御回路150は、バッテリー電圧及び第1OCVカーブ201に基づいてバッテリーBのSOCを決定する。
【0079】
段階S580で、制御回路150は、バッテリー電圧及び第3OCVカーブ203に基づいて、バッテリーBのSOCを決定する。
【0080】
制御回路150は、車両コントローラ2からのキーON信号が受信されるまで、段階S540~段階S580を繰り返すことで、所定の時間ごとにバッテリーBのSOCを決定し得る。
【0081】
図7は、本発明の第2実施例によるバッテリー管理方法を例示したフローチャートであり、
図8は、
図6の方法のためのデータテーブルを例示する。
図7の方法は、バッテリーBの充電中に車両コントローラ2からのキーOFF信号によって開始され得る。
【0082】
図1、
図2、
図4、
図7及び
図8を参照すると、段階S710で、制御回路150は、基準SOC及び基準温度をメモリ140に記録する。基準SOCは、キーOFF信号が受信されたときのバッテリーBのSOCを示す。基準温度は、キーOFF信号が受信されたときのバッテリー温度を示す。
【0083】
段階S720で、制御回路150は、バッテリーBを通す電流の流れを遮断する。即ち、制御回路150は、スイッチ30をオフする。これによって、バッテリーBが使用状態から休止状態に切り換えられる。
【0084】
段階S730で、制御回路150は、基準SOC及び基準温度に基づいて、第2待機時間ΔtR2及び第2切換時間ΔtC2を決定する。
【0085】
第2待機時間ΔtR2は、カーブ202を用いてバッテリーBのSOCを決定するために、キーOFF信号の受信時から経過すべき時間である。休止状態の初期には、バッテリー電圧が速く下降するため、休止状態が開始されたときからカーブ202を用いてバッテリーBのSOCを決定することは望ましくないためである。例えば、第2待機時間ΔtR2は、休止状態の開始時点からバッテリー電圧の下降速度が所定の臨界速度(例えば、0.01V/分)と同一になるまで必要とする時間の予測値である。
【0086】
第2切換時間ΔtC2は、カーブ202の代わりにカーブ203を用いてバッテリーBのSOCを決定するために、キーOFF信号の受信時から経過すべき時間である。
【0087】
図8を参照すると、データテーブル810とデータテーブル820は、メモリ140に保存されている。データテーブル810は、基準SOC、基準温度及び第2待機時間Δt
R2の関係を規定している。データテーブル810は、基準SOCが同じ場合、相対的に低い基準温度が、相対的に長い第2待機時間Δt
R2に関連付けられるように規定している。例えば、基準SOCが80[%]、基準温度が25[℃]であれば、15分が第2待機時間Δt
R2として決定され、基準SOCが80[%]、基準温度が0[℃]であれば、41分が第2待機時間Δt
R2として決定される。また、データテーブル810は、基準温度が同じ場合、相対的に高い基準SOCが、相対的に長いかまたは同一の第2待機時間に関連付けられるように規定している。例えば、基準SOCが20[%]、基準温度が25[℃]であれば、3分が第2待機時間として決定され、基準SOCが30[%]、基準温度が25[℃]であれば、7分が第2待機時間として決定される。
【0088】
データテーブル820は、基準SOC、基準温度及び第2切換時間ΔtC2の関係を規定している。データテーブル820は、基準SOCが同じ場合、相対的に低い基準温度が、相対的に長い第2切換時間ΔtC2に関連付けられるように規定している。また、データテーブル820は、基準温度が同一の場合、相対的に高い基準SOCが、相対的に長いかまたは同一の第2切換時間ΔtC2に関連付けられるように規定している。
【0089】
勿論、データテーブル810とデータテーブル820の数値は、理解を助けるために例示したものである。
【0090】
代案的に、第2待機時間Δt
R2及び第2切換時間Δt
C2は各々、SOC及び温度とは関係なく、特定値として予め決定されていてもよい。この場合、段階S710及び段階S730は、
図5の方法から省略され得る。
【0091】
段階S740で、制御回路150は、バッテリー電圧を測定する。
【0092】
段階S750で、制御回路150は、キーOFF信号の受信時から第2待機時間ΔtR2が経過したか否かを判定する。段階S750の値が「はい」である場合、段階S760へ進む。
【0093】
段階S760で、制御回路150は、キーOFF信号の受信時から第2切換時間ΔtC2が経過したか否かを判定する。段階S760の値が「いいえ」である場合、段階S770へ進む。段階S760の値が「はい」である場合、段階S780へ進む。
【0094】
段階S770で、制御回路150は、バッテリー電圧及び第2OCVカーブ202に基づいて、バッテリーBのSOCを決定する。
【0095】
段階S780で、制御回路150は、バッテリー電圧及び第3OCVカーブ203に基づいて、バッテリーBのSOCを決定する。
【0096】
制御回路150は、車両コントローラ2からのキーON信号が受信されるまで、段階S740~S780を繰り返すことで、所定の時間ごとにバッテリーBのSOCを決定し得る。
【0097】
以上で説明した本発明の実施例は、必ずしも装置及び方法を通じて具現されることではなく、本発明の実施例の構成に対応する機能を実現するプログラムまたはそのプログラムが記録された記録媒体を通じて具現され得、このような具現は、本発明が属する技術分野における専門家であれば、前述した実施例の記載から容易に具現できるはずである。
【0098】
以上、本発明を限定された実施例と図面によって説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想と特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【0099】
また、上述の本発明は、本発明が属する技術分野における通常の知識を持つ者によって本発明の技術思想から脱しない範囲内で多様な置換、変形及び変更が可能であるため、上述の実施例及び添付された図面によって限定されず、多様な変形が行われるように各実施例の全部または一部を選択的に組み合わせて構成可能である。
【国際調査報告】