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特表2022-545827グラインダおよびこのようなグラインダを備えたコーヒーメーカー
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-31
(54)【発明の名称】グラインダおよびこのようなグラインダを備えたコーヒーメーカー
(51)【国際特許分類】
   A47J 42/18 20060101AFI20221024BHJP
   A47J 31/18 20060101ALI20221024BHJP
【FI】
A47J42/18
A47J31/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022513404
(86)(22)【出願日】2020-08-10
(85)【翻訳文提出日】2022-02-25
(86)【国際出願番号】 EP2020072422
(87)【国際公開番号】W WO2021037546
(87)【国際公開日】2021-03-04
(31)【優先権主張番号】102019122996.0
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510098962
【氏名又は名称】メリッタ プロフェッショナル コーヒー ソリューションズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Melitta Professional Coffee Solutions GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Zechenstrasse 60, D-32429 Minden, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アーミン ヘンゼル
(72)【発明者】
【氏名】ベアント ブーフホルツ
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA16
4B104AA25
4B104BA12
4B104EA09
4B104EA31
(57)【要約】
コーヒー豆(5)を挽砕するためのグラインダ(1)であって、このグラインダ(1)は、第1の挽砕工具(2)と第2の挽砕工具(8)とを有しており、これらの挽砕工具は1つの挽砕間隙(14)を形成しており、第2の挽砕工具(8)は第1の挽砕工具(2)に対して回転可能であって、グラインダ(1)は、コーヒー豆に伝達することができる調節可能な力Fを、第1の挽砕工具(2)または第2の挽砕工具(8)に付与するための少なくとも1つの力発生装置(15)を有している、グラインダ(1);このようなグラインダを備えたコーヒーメーカー、ならびにこのようなコーヒーメーカーおよびこのようなグラインダによってコーヒーを調製するための方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒー豆(5)を挽砕するためのグラインダ(1)であって、前記グラインダ(1)は、それぞれ1つの挽砕工具(2,8)を備えた2つの挽砕ディスク支持体(M1,M2)、駆動ユニット(AE)、および少なくとも1つの力発生装置(15)を有している、グラインダ(1)において、
前記少なくとも1つの力発生装置(15)は、前記コーヒー豆(5)に伝達される調節可能な力Fを、第1の挽砕工具(2)または第2の挽砕工具(8)に付与するために、前記力Fの調節装置(17)を備えて形成されており、前記力Fは、該力Fによって負荷される前記各挽砕工具(2,8)を、それぞれ他方の挽砕工具(2,8)の方向に押すように向けられていることを特徴とする、グラインダ(1)。
【請求項2】
前記調節装置(17)は、傾斜路(26c)と調節エレメント(27)とを備えた調節リング(26)を有しており、前記傾斜路(26c)は、前記第1の挽砕ディスク支持体(M1)に係合している、請求項1記載のグラインダ(1)。
【請求項3】
前記第1の挽砕ディスク支持体(M1)は、前記第1の挽砕工具(2)、充填ホッパ(4)、および支持体(23)を含み、前記支持体(23)は、前記調節リング(26)の前記傾斜路(26c)に係合しており、前記第1の挽砕工具(2)は、軸方向の自由度をもって配置されていて、少なくとも1つのばね、特に圧縮ばね(16)を介して前記充填ホッパ(4)に接続されている、請求項2記載のグラインダ(1)。
【請求項4】
前記少なくとも1つのばねは、前記第1の挽砕工具(2)に軸方向力を加え、前記少なくとも1つのばねの予荷重力は、前記調節装置(17)の前記調節リング(26)によって調節可能である、請求項3記載のグラインダ(1)。
【請求項5】
前記調節リング(26)は、前記グラインダ(1)の挽砕ケーシング(25)に回動可能に取り付けられている、請求項1から4までのいずれか1項記載のグラインダ(1)。
【請求項6】
前記調節リング(26)は、前記挽砕ケーシング(25)の収容区分(25b)を取り囲んでいて、前記挽砕ケーシング(25)の環状のカラー(25c)上に回動可能にガイドされており、前記第1の挽砕ディスク支持体(M1)は、前記挽砕ケーシング(25)の前記収容区分(25b)内に配置されている、請求項5記載のグラインダ(1)。
【請求項7】
前記調節リング(26)には、前記調節エレメント(27)が係合する外側歯列(26b)が設けられている、請求項6記載のグラインダ(1)。
【請求項8】
前記力発生装置(15)は、前記少なくとも1つのばねと、前記ばねの予荷重力を調節するための、特にサーボモータの形態の前記調節装置(17)とを有している、請求項1から7までのいずれか1項記載のグラインダ(1)。
【請求項9】
前記力発生装置(15)は、ニューマチック式作用原理、流体的作用原理、および/または電磁的作用原理に基づいている、請求項1から8までのいずれか1項記載のグラインダ(1)。
【請求項10】
前記調節装置(17)は、前記グラインダ(1)の作動状態または休止状態に依存しない、請求項1から9までのいずれか1項記載のグラインダ(1)。
【請求項11】
前記グラインダ(1)は、ディスク状グラインダ、またはロール状グラインダ、または円錐状グラインダとして形成されている、請求項1から10までのいずれか1項記載のグラインダ(1)。
【請求項12】
前記グラインダ(1)の作動中、前記両挽砕工具のうちの一方の挽砕工具(2または8)は静止しており、前記両挽砕工具のうちの第2の挽砕工具(2または8)は、前記駆動ユニット(AE)によって、特に駆動モータ(10)によって回転可能に作動させられる、請求項1記載のグラインダ(1)。
【請求項13】
前記グラインダ(1)、および前記ばねの予荷重力を調節するための前記調節装置(17)は、制御および/または評価ユニット(18)によって、
a)コーヒー豆、特に豆種および豆の焙煎度、
b)前記グラインダ(1)の温度、および/または
c)前記グラインダ(1)の摩耗度
に依存して作動させられる、請求項1から12までのいずれか1項記載のグラインダ(1)。
【請求項14】
前記第1の挽砕工具(2)および前記第2の挽砕工具(8)は、各挽砕工具支持体(26,9a)に、前記各挽砕工具(2,8)の周面における係止突起(2a,8a)を介して連結されている、請求項1から13までのいずれか1項記載のグラインダ(1)。
【請求項15】
前記駆動ユニット(AE)は、駆動軸(9)と、伝動装置ケーシング(20)と、駆動モータ(10)とを有しており、前記駆動軸(9)は、前記第2の挽砕工具(8)を駆動するために前記第2の挽砕ディスク支持体(M2)に連結されていて、前記駆動モータ(10)に、伝動装置を介して間接的に、または直接的に係合しており、前記伝動装置ケーシング(20)内に回動可能に支持されている、請求項1から14までのいずれか1項記載のグラインダ(1)。
【請求項16】
前記駆動軸(9)は前記駆動モータ(10)に、ウォームギヤを介して係合しており、前記駆動軸(9)は前記ウォームギヤのウォームホイール(9c)に接続されており、前記駆動軸(9)は前記第2の挽砕工具(8)に、支持体区分(9a)を介して係合している、請求項15記載のグラインダ(1)。
【請求項17】
前記駆動軸(9)は前記ウォームホイール(9c)および前記支持体区分(9a)と一体に形成されている、請求項16記載のグラインダ(1)。
【請求項18】
前記駆動軸(9)は2つの部分から形成されており、前記駆動軸(9)の第1の部分は支持体区分(9a)を含み、前記駆動軸(9)の第2の部分はウォームホイール(30)を含む、請求項16記載のグラインダ(1)。
【請求項19】
前記伝動装置ケーシング(20)は、前記グラインダ(1)の挽砕ケーシング(25)に接続されており、前記伝動装置ケーシング(20)の前記駆動モータ(10)の位置に対して、前記挽砕ケーシング(25)の取出し区分(25e)の様々な位置が規定されている、請求項15から18までのいずれか1項記載のグラインダ(1)。
【請求項20】
前記挽砕ケーシング(25)の前記取出し区分(25e)の前記様々な位置が、グラインダ軸線(1a)に対する様々な角度位置として、前記挽砕ケーシング(25)の各突起(28)またはピンに係合する、前記伝動装置ケーシング(20)のフランジ(20e)に一体成形された凹部(20f)または切欠きによって規定されている、請求項19記載のグラインダ(1)。
【請求項21】
前記グラインダ(1)は、表示器(36)を備えた挽砕度インジケータ(32)を有している、請求項1から20までのいずれか1項記載のグラインダ(1)。
【請求項22】
前記挽砕度インジケータ(32)は、前記調節装置(17)と協働しており、前記グラインダ(1)の挽砕度を表示器(36)によって表示する、請求項21記載のグラインダ(1)。
【請求項23】
前記挽砕度インジケータ(32)は、前記調節装置(17)の調節リング(26)の外側歯列(26b)と協働する、請求項22記載のグラインダ(1)。
【請求項24】
前記挽砕度インジケータ(32)は調節駆動装置を有しており、前記調節装置(17)の前記調節リング(26)を、挽砕度を調節するために調節する、請求項21から23までのいずれか1項記載のグラインダ(1)。
【請求項25】
前記挽砕度インジケータ(32)は、最小限におよび/または最大限に発生させることのできる挽砕度を規定する少なくとも1つのストッパを有している、請求項21から24までのいずれか1項記載のグラインダ(1)。
【請求項26】
請求項1から25までのいずれか1項記載の少なくとも1つのグラインダ(1)を備えたコーヒーメーカー、特に全自動コーヒーメーカー。
【請求項27】
請求項26記載のコーヒーメーカー、特に全自動コーヒーメーカーによって、および請求項26に引用される請求項1から25までのいずれか1項記載のグラインダ(1)によって、コーヒーを調製するための方法であって、前記グラインダによってコーヒー豆を挽砕し、挽砕された前記コーヒー豆またはこの際に得られたコーヒー粉末と水とから、抽出ユニットにおいて所定の種類のコーヒーを調製する方法において、
例えば、エスプレッソからカフェオレへのコーヒーの種類の変更の際に、コーヒーの種類に応じて、挽砕前に、挽砕度の調節または切替えが調節装置(17)によって自動的に行われることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念によるコーヒー豆を挽砕するためのグラインダ、ならびにこのようなグラインダを備えたコーヒーメーカー、特に全自動コーヒーメーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒー粉末の適切な粒度(Feinheit)は、効果的なコーヒー調製ための前提条件である。コーヒー粉末の適切な粒度は、どのような速度で水がコーヒー粉末を貫流することができ、かつどのような時間で芳香および味覚成分をコーヒー粉末から溶かし出すことができるかを決定する。この時間は抽出時間と呼ばれ、それぞれのコーヒー飲料の味覚成分および芳香成分の適切な抽出のための品質基準である。
【0003】
コーヒー飲料の抽出強度は、プレス圧、水温、水質、および豆特性のほか、コーヒー粉の挽砕度によって大きな影響を受ける。挽砕度は、どのような粒度で豆が挽かれるかを表す。コーヒー豆の挽砕過程時に粒度の分布が発生し、つまり、すべてのコーヒー粒子は同一のサイズではなく、コーヒーにとって典型的な粒サイズ分布で存在している。
【0004】
挽砕が細かければ細かいほど粒子全表面積は大きくなり、したがって水とコーヒー粉末との接触時間も長くなる。
【0005】
コーヒー粉末の挽砕度は、グラインダを備えたコーヒーメーカーにおいて、通常調節することができる。高価なコーヒーメーカーは、グラインダの無段階式の調節すら行うことができ、グラインダコンポーネントの後調整によって不所望の境界条件(例えば熱膨張、挽砕ディスク摩耗等)を補償することができる。いくつかのシステムは、適切な挽砕度調節を検査するために、コーヒー飲料の抽出時間を間接的な特徴として使用する。
【0006】
品質的に高価なコーヒー飲料を調製するためには、製品に関連した適切な挽砕度調節が最も重要である。
【0007】
従来技術により、主として、コーヒーメーカーにおいて使用されるコーヒーグラインダの2つの定評のある構造形式が公知である。一方はディスク状グラインダであり、他方は円錐状グラインダである。両グラインダ形式は、両グラインダが2つの挽砕工具から成っており、これらの工具の一方は固定され他方は駆動されるという共通点を有している。一方の挽砕工具の回転運動によって、豆は挽砕間隙内に引き込まれ、先細りになる挽砕間隙幅を介してどんどん細かく挽かれる。両挽砕工具の最小間隔が、コーヒー粉末の、生ぜしめられる挽砕度のための基準である。挽砕度を変更するために、固定された工具を回転する工具に対して移動させることができ、これによって間隔が変化する。これらのシステムは、挽砕度を変化させるためのジオメトリに基づく方法である。
【0008】
したがって、欧州特許第2286699号明細書の技術的な教示によれば、コーヒーメーカー用のグラインダが、駆動手段を介して回転軸線を中心にして駆動可能な第1の挽砕ディスクと、第2の挽砕ディスクとを有していることが提示されている。第2の挽砕ディスクはねじ込み部分に固定されており、このねじ込み部分は、ケーシング内にねじ込み可能であり、かつ調節手段によってケーシングに対して回動可能である。これによって両挽砕ディスクの間の挽砕間隙が調節可能である。調節手段は、ねじ込み部分に対して同軸に配置された駆動ホイールとして形成されており、この駆動ホイールは、調節手段を介して回転可能な調節ホイールと協働する。さらに、グラインダは、挽砕すべきコーヒー豆を供給するための供給開口と、両挽砕ディスクの間で挽砕されたコーヒーを排出するための排出開口とを有している。グラインダは、挽砕間隙を調節するための、無段階式に作動する中央の調節手段を有している。
【0009】
これらのグラインダシステムにおいて存在する問題は、最小の粒度程度を定義することができるゼロ点の確定である。これが成功した場合にしか、このゼロ点に関連して、製品のために適切な挽砕度を直接かつ正確に調節することができない。そのための前提条件は、グラインダの構造全体における特に高い製造精度(例えばディスク状グラインダにおける高い心振れ精度(Planlaufgenauigkeit))である。
【0010】
さらに、従来のコーヒーグラインダでは、グラインダコンポーネントの熱膨張、挽砕ディスク摩耗、豆交換等のような外乱影響は、(例えば抽出時間の評価を介して)間接的にしか補償することができない。特に熱影響は、挽砕度を変化させ、抽出ユニットにおけるコーヒー粉末の種々様々な膨潤挙動を生じさせ、ひいては変動する流出時間の主要な原因となる。
【0011】
このような事実によって、コーヒーメーカーのグラインダを所望の製品および味覚プロファイルに理想的に合わせるために、しばしば長い調節サイクルが必要になる。さらに、挽砕度は、通常、確定された製品のためにしか調節することができず、かつ確定された製品に対してしか調整することができない。
【0012】
欧州特許第1493368号明細書には、収容のさらなる可能性が説明されている。挽砕ディスクは、バヨネットクロージャによって、各支持体内に回し入れられる。このために、ディスクの周囲には、差込み回転運動によって支持体スリット内に取り付けられる、細長い断続的な隆起部が位置している。このグラインダは、常に、一方の回転方向でのみ作動するので、ディスクと支持体とは相対回動不能であって、さらにディスクは、軸方向の自由度が遮断されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、冒頭で述べた形式のグラインダを機能的に有利に発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題は、本発明によれば、請求項1の特徴を備えたグラインダ、請求項26のコーヒーメーカー、および請求項27の特徴を備えた方法によって解決される。
【0015】
本発明によるグラインダは、コーヒー豆を挽砕するために用いられる。このグラインダは、独立型の機器として、しかしながらまたは、コーヒーメーカー、例えば全自動コーヒーメーカーに組み込まれた形態で、使用することができる。
【0016】
このグラインダは、それぞれ1つの挽砕工具を備えた2つの挽砕ディスク支持体、駆動ユニット、および少なくとも1つの力発生装置を有している。この少なくとも1つの力発生装置は、コーヒー豆に伝達される調節可能な力Fを、第1の挽砕工具または第2の挽砕工具に付与するために、力Fの調節装置を備えて形成されており、この場合、力Fは、力Fによって負荷される各挽砕工具を、それぞれ他方の挽砕工具の方向に押すように向けられている。
【0017】
このグラインダは、第1の挽砕工具と第2の挽砕工具とを含む。
【0018】
これらの挽砕工具は、挽砕間隙を形成しているか、または、互いに対向する側からこのような挽砕間隙を画定している。挽砕間隙は、平坦に、または中央に向かって増大するように形成されていてよい。
【0019】
この場合、第2の挽砕工具は、第1の挽砕工具に対して回転可能に、特に、例えば駆動モータのような駆動ユニットによって回転可能に駆動されている。
【0020】
力発生装置によって、挽砕工具の自重に加えて、力発生装置によって負荷されるさらに別の調節可能な力が加えられる。この場合、力Fは、この力Fによって負荷される各挽砕工具を、特に軸方向で、それぞれ他方の挽砕工具の方向に押す。すなわち、力発生装置は、両挽砕工具を互いに近付くように押し、従来技術により公知であるように、互いに離すように押すのではない。
【0021】
力の負荷は、いわば、対応支持部における挽砕工具の支持に置き換えられる。調節可能な力により、プロセス条件が変更された場合でもほぼ変わらない、製品固有の最適な挽砕度を得ることができる。
【0022】
力発生装置の、調節装置によって調節可能なプロセス力による力の付与により、製品固有の挽砕度を、再現性をもって調節することができることが好適には想定されてよい。したがって、(ミルが組み込まれている全自動コーヒーメーカーでの製品購入時に、例えば、エスプレッソからカフェオレへの)コーヒーの種類の変更または製品種類の変更の際に、自動で、製品固有の挽砕度調節または挽砕度変更が行われることも想定されてよい。このような挽砕度調節は、例えば、エスプレッソ用の挽砕度調節からカフェオレ用の挽砕度調節に変更するために、本発明によれば極めて迅速に実施可能である。調節または変更が極めて迅速に行われるので、場合によっては、全自動コーヒーメーカーにおいて、第2のミルを省くことができる。
【0023】
相応して、請求項27記載の本発明は、コーヒーメーカー、特に全自動コーヒーメーカーによって、およびこの請求項に引用される先行する請求項のうちのいずれか1項記載のグラインダによって、コーヒーを調製するための有利な方法であって、グラインダによってコーヒー豆を挽砕し、コーヒー豆と水とから抽出ユニットにおいて所定の種類のコーヒーを調製する方法を提供する。例えば、エスプレッソからカフェオレへのコーヒーの種類の変更の際に、コーヒーの種類に応じて(水量および挽砕されたコーヒーの量に応じて、場合によっては、ミルクのような添加材料に応じて)、挽砕前に、挽砕度の調節または変更が調節装置によって自動的に行われる。
【0024】
グラインダの作動中、両挽砕工具のうちの一方の挽砕工具は静止しており、両挽砕工具のうちの第2の挽砕工具は、駆動ユニット、例えば、駆動モータによって回転可能に作動させられてよい。しかしながら、両挽砕工具が、特に互いに逆方向に回転してもよい。
【0025】
力発生装置は、第1の挽砕工具および第2の挽砕工具に作用することができ、これにより均一な力の分布が行われる。しかしながら、力発生装置が、一方の挽砕工具にのみ、特に両挽砕工具のうちの静止している方の挽砕工具にのみ作用すると、構造的により簡単になる。
【0026】
さらに、それぞれ1つの力発生装置が、第1の挽砕工具と第2の挽砕工具とに作用してもよい。
【0027】
1つの構成では、調節装置は、傾斜路と調節エレメントとを備えた調節リングを有しており、傾斜路は、第1の挽砕ディスク支持体と係合する。これにより、好適には簡単かつコンパクトな構造が得られる。
【0028】
この場合、第1の挽砕ディスク支持体は、第1の挽砕工具、充填ホッパ、および支持体を含み、支持体は、調節リングの傾斜路に係合しており、第1の挽砕工具は、軸方向の自由度をもって配置されていて、少なくとも1つのばね、特に圧縮ばねを介して充填ホッパに接続されていると、省スペースであるという利点がある。
【0029】
別の構成では、少なくとも1つのばねは、第1の挽砕工具に軸方向力を加え、少なくとも1つのばねの予荷重力は、調節装置の調節リングによって調節可能である。ばねは、高品質の安価な構成部分であり、多種多様の構成で形成することができる。
【0030】
これに関して基本的に注意されたいのは、どちらの挽砕工具(以下では、「切断工具」と同義に記載される)が、すなわち駆動される挽砕工具または静止している挽砕工具のどちらが、プロセス力の方向で自由度を有していて、この方向で積極的に力を負荷されるのかということは最重要事項ではない、ということである。力の調節は、自動的に(例えば、駆動モータによって)または手動で(例えば、調節ホイールによって)行われてよい。駆動モータによる調節では、制御ループが考えられ、この場合、最後の抽出時間が目標流出時間からずれていた場合、挽砕度が変更される。
【0031】
力制御の構造的な実行は、様々な方法で実現される。1つの可能性では、公知の力・距離特性線によって所定の距離xだけ、機械的なばねを圧縮させることである。
【0032】
好適な簡単な調節のために、調節リングは、グラインダの挽砕ケーシングに回動可能に取り付けられている。
【0033】
別の構成では、調節リングは、挽砕ケーシングの収容区分を取り囲んでいて、挽砕ケーシングの環状のカラー上に回動可能にガイドされており、第1の挽砕ディスク支持体は、挽砕ケーシングの収容区分内に配置されていることが想定されている。これにより、好適な省スペースの構造が可能とされる。
【0034】
さらに別の構成では、調節リングには、調節エレメントが係合する外側歯列が設けられている。
【0035】
力発生装置は、少なくとも1つのばねと、ばねの予荷重力を調節するための、特にサーボモータの形態の調節装置とを有していると、さらに好適である。このような態様は、構造的に、特に簡単に実施可能であって、良好に制御可能および/または調整可能である。
【0036】
しかしながら、切断工具の一方に所定の力を負荷するための別の手段もある。まずは、ニューマチック的な手法が考えられ、この場合、一方の挽砕ディスク支持体を、可変の空気圧によって他方の挽砕ディスク支持体に、能動的に押し付けることができる。受動的な態様は、一定の力・距離特性線を有するガス圧ばねであって、この場合は、グラインダにおいて、規定された挽砕度しか調節することはできない。しかしながら、可変のガス圧を有するばねも入手可能である。しかしながら代替的に、力発生装置が、流体的な作用原理に基づいていることも想定することができる。ディスク状グラインダにおける挽砕工具または切断工具の間隔は、挽砕の際のプロセス力に応じて、ごく僅かに最大0.2mmまでしか変更してはならないので、力の制御のために、比較的高い圧縮モジュールの流体による液圧的な手段も可能である。それでも、システムでは挽砕中に減衰作用が生じる場合がある。したがって、調整可能な減圧装置を介して水が充填されるゴムダイヤフラムを、力の負荷のために用いることができる。液圧的なウォーターシステムは、コーヒーメーカーに既に存在しており、挽砕度制御のために利用することができる。
【0037】
さらに、力発生装置は、好適には電磁的な作用原理に基づいていてもよい。このような手段では、可動の切断工具支持体が、可変の磁力に基づき、不動の切断工具支持体に対して押し付けられる。アーマチュアとヨークとの間の間隔が増大するにつれ磁力は変化するので、電磁システムでも、挽砕プロセスの際の力の均衡を切断工具間で調節することができる。
【0038】
したがって、力発生装置は、別の構成では、ニューマチック式作用原理、流体的作用原理、および/または電磁的作用原理に基づいていてよい。
【0039】
別の構成では、調節装置は、グラインダの作動状態または休止状態に依存しない。このようにして、調節装置は、グラインダの作動状態でも、すなわち、グラインダがコーヒー豆の挽砕のために駆動されている場合でも、グラインダの休止状態でも、すなわち、グラインダが静止している場合でも、操作することができる。
【0040】
挽砕工具は、ディスク状グラインダ、またはロール状グラインダ、または円錐状グラインダとして形成することができる。したがって、調節装置は、好適には広い使用範囲を有している。
【0041】
1つの構成では、グラインダの作動中、両挽砕工具のうちの一方の挽砕工具は静止しており、両挽砕工具のうちの第2の挽砕工具は、駆動ユニット、特に、駆動モータによって回転可能に作動させられる。これにより、好適な構造が得られる。
【0042】
力発生装置は、ばねの、特に圧縮ばねの予荷重力を調節するための、特にサーボモータの形態の装置を有することができる。このサーボモータは、好適には、制御および/または評価ユニットによって制御および/または調整される作動部材である。
【0043】
サーボモータの調節は、
a)コーヒー豆、特に豆種および豆の焙煎度、
b)グラインダの温度、
および/または
c)グラインダの摩耗度
に依存して行うことができる。
【0044】
例えば、コーヒー豆の種類は手動で設定することができ、または1つのまたは複数の挽砕工具を駆動するための駆動モータの出力に応じて規定することができる。この場合、算出される出力は、所定の挽砕度を得るために負荷すべき力に応じた出力に関する、または所定の挽砕度を得るために負荷すべき力に依存した豆種に関する、制御および/または評価ユニット内に格納されたデータセットとの実際値/目標値比較の範囲内で比較される。
【0045】
第1の挽砕工具および第2の挽砕工具は、各挽砕工具支持体に、各挽砕工具の周面における係止突起を介して連結されていると、このようにして簡単な組立ておよび迅速な交換も可能であるので、好適である。係止突起により、同時に、各挽砕工具へのトルクの伝達も可能である。
【0046】
さらに別の構成では、駆動ユニットは、駆動軸と、伝動装置ケーシングと、駆動モータとを有しており、駆動軸は、第2の挽砕工具を駆動するために第2の挽砕ディスク支持体に連結されていて、駆動モータに、伝動装置を介して間接的に、または直接的に係合しており、伝動装置ケーシング内に回動可能に支持されていることが想定されている。これにより、好適にはコンパクトな構造が得られる。
【0047】
駆動軸は駆動モータに、ウォームギヤを介して係合することができ、駆動軸はウォームギヤのウォームホイールに接続されており、駆動軸は第2の挽砕工具に、支持体区分を介して係合している。
【0048】
支持体区分を含む駆動軸のこのような多機能を備えた構成により、複数の利点が得られる:まず、グラインダの組み付けのために必要な接合工程が少なくなる。さらに、構成部品数が減ることにより、特に安価かつコンパクトな構造が得られる。最後に、大きな上側の軸受によって、支持体区分の極めて良好な心振れ特性のほか、潤滑された伝動装置領域と、上側の軸受の上方で、伝動装置ケーシングのフランジに取り付けられている挽砕ケーシングとの間のシールが自動的に行われる。
【0049】
1つの構成では、駆動軸はウォームホイールおよび支持体区分と一体に形成されている。
【0050】
代替的な構成では、駆動軸は2つの部分から形成されていてよく、駆動軸の第1の部分は支持体区分を含み、駆動軸の第2の部分はウォームホイールを含んでいる。これにより、極めてコンパクトな省スペースの構造が可能となる。
【0051】
別の構成では、伝動装置ケーシングは、グラインダの挽砕ケーシングに接続されており、伝動装置ケーシングの駆動モータの位置に対して、挽砕ケーシングの取出し区分の様々な位置が規定されていることが想定される。この場合、利点は、グラインダを、様々なコーヒーメーカーに簡単に適合させることができることにある。
【0052】
コーヒーメーカーにおいて、複数のグラインダをできるだけコンパクトに収めるためには、取出し位置を周囲の複数の位置に変化させることができることが好適である。このために、1つの構成では、挽砕ケーシングの取出し区分の様々な位置が、グラインダ軸線に対する様々な角度位置として、挽砕ケーシングの各突起またはピンに係合する、伝動装置ケーシングのフランジに一体成形された凹部または切欠きによって規定されている。
【0053】
さらに別の構成では、グラインダは、表示器を備えた挽砕度インジケータを有していることが想定されている。この場合の利点は、所定の挽砕度を常に再現性をもって調節することができることである。
【0054】
この場合、挽砕度インジケータが調節装置と協働しており、グラインダの挽砕度を表示器によって表示すると好適である。
【0055】
1つの構成では、挽砕度インジケータは、調節装置の調節リングの外側歯列と協働することができ、したがって好適には、所定の挽砕度に相当する調節リングの直接的な位置を表示することができる。
【0056】
別の好適な構成では、挽砕度インジケータは調節駆動装置を有していてよく、調節装置の調節リングを、挽砕度を調節するために調節すると同時に、調節された挽砕度を表示することができる。
【0057】
挽砕工程では、豆の切断により、切断工具(挽砕ディスク)を互いに離すように押す力が生じる。プロセス力によるまたは反作用する力発生装置による力の負荷が強くなるほど、挽砕度は微細になる。豆がもはや存在しない場合には、ディスク状の挽砕工具は、押し付け力によって相互に支持される。挽砕工具は通常、互いにひっかかり得ないように設計されているので、グラインダの故障には到るおそれはない。
【0058】
しかしながら、豆容器が空の機能障害時には、ひきずりノイズが生じ、挽砕ディスクの偏平表面に損傷が生じるおそれがある。さらに、望ましくない熱作用が生じるおそれがあり、これは、コーヒー挽砕物の品質に不都合に作用するおそれがある。円錐状グラインダでは、切断工具のロックにつながるおそれもある。この問題を解決するために、グラインダがストッパを、特に、最小の挽砕度を調節するための、調節可能なストッパを有していることが好適には想定されてよい。
【0059】
したがって、特に、軸方向で可動の工具部分または相応の挽砕工具がストッパに押し付けられることが想定されてよい。このような端部ストッパは、グラインダの作動前に調節可能であって、同時に、最小限に発生させることのできる挽砕度を規定する。力を負荷する際には、理想的には、切断工具間に最小の間隙がまだ存在していてよい。その後、挽砕工程におけるプロセス力よりも大きな押し付け力が設定されると、この挽砕ディスク間隙の粒度を備えた挽砕物が生じる。
【0060】
このために、別の構成では、挽砕度インジケータは、最小限におよび/または最大限に発生させることのできる挽砕度を規定する少なくとも1つのストッパを有していることが想定されている。
【0061】
実際に、挽砕ディスクグラインダの接触点(可聴挽砕音の開始)は、グラインダのゼロ点の指標である。しかしながら、このことは、挽砕ディスクの心振れと、挽砕技術者の個人の聴覚に大きく依存している。
【0062】
さらに好適な構成は、その他の従属請求項に記載されている。
【0063】
以下に本発明を、実施例に基づき、図面を参照しながら説明する。図面は、本発明を詳しく説明するためにだけ役立ち、本発明を制限するものではない。個々に記載した特徴は、一般的な専門知識の範囲で、単独で別の実施態様に転用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】コーヒー豆を挽くための本発明によるグラインダの第1の実施例を切断して概略的に示す正面図である。
図2】本発明によるグラインダの第2の実施例の概略的な分解図である。
図3図2による本発明によるグラインダの駆動ユニットの概略的な分解図である。
図4図2図3による第2の実施例の駆動ユニットの概略的な断面図である。
図5図2図3による第2の実施例の第1の挽砕ディスク支持体の概略図である。
図6図2図3による第2の実施例の第1の挽砕ディスク支持体の概略図である。
図7図2図3による第2の実施例の挽砕ケーシングの概略的な分解図である。
図8図7による挽砕ケーシングおよび調節リングの概略図である。
図9図7による挽砕ケーシングおよび調節リングの概略図である。
図10図7による挽砕ケーシングおよび調節リングの概略図である。
図11図2図3による第2の実施例の挽砕ディスクを示す概略図である。
図12図2図3による第2の実施例の挽砕ディスクを示す概略図である。
図13図2図3による第2の実施例の駆動軸を示す概略図である。
図14図2図3による第2の実施例の駆動軸を示す概略図である。
図15図5図6による第1の挽砕ディスク支持体の変化態様を示す概略図である。
図16図5図6による第1の挽砕ディスク支持体の変化態様を示す概略図である。
図17図2図3による第2の実施例の伝動装置ケーシングおよび挽砕ケーシングを示す概略図である。
図18図2図3による第2の実施例の伝動装置ケーシングおよび挽砕ケーシングを示す概略図である。
図19図2図3による第2の実施例の伝動装置ケーシングおよび挽砕ケーシングを示す概略図である。
図20図2図3による第2の実施例の伝動装置の変化態様を示す概略的な斜視図である。
図21図2図3による第2の実施例の伝動装置の変化態様を示す概略的な斜視図である。
図22図20図21による伝動装置の変化態様を示す概略的な断面図である。
図23図20図22による伝動装置の変化態様と挽砕度インジケータとを含む第2の実施例の概略的な分解図である。
図24図23による挽砕度インジケータを拡大して示した概略的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1には、コーヒー豆5を挽くための本発明によるグラインダ1の第1の実施例が切断されて概略的に正面図で示されている。グラインダ1は、グラインダ軸線1aと、第1の挽砕工具2を備えた第1の挽砕ディスク支持体M1と、第2の挽砕工具8を備えた第2の挽砕ディスク支持体M2と、駆動ユニットAEとを有している。挽砕工具2,8は、この場合、いわゆる挽砕ディスクとして形成されている。第1の挽砕工具2は、さらに後述する、図1に示されていないケーシング内に相対回動不能に支持されている。したがって、第1の挽砕工具2は、グラインダ1の作動中に静止している。
【0066】
第1の挽砕工具2は、円筒状のカバージオメトリと中央の貫通開口3とを有している。挽砕工具2は、他の形態で、例えば挽砕コーンとして形成されていてもよい。貫通開口3は、ここで充填ホッパ4によって貫通係合されている。充填ホッパ4および貫通開口3を通して、グラインダ1には挽くべきコーヒー豆5が供給される。グラインダ1は、他の嗜好品または食料品を挽くために設けられていてもよいが、好ましくはコーヒー豆5を挽くために設けられている。充填ホッパ4は、好ましくは、充填ホッパ4内でのコーヒー豆5の望ましくないブリッジ形成が阻止されるように形成されている。
【0067】
第1の挽砕工具2は、充填ホッパ4とは反対の側に円錐形状の凹部6を有している。凹部6は、少なくとも1つの挽砕切刃7を有している。
【0068】
第2の挽砕ディスク支持体M2の第2の挽砕工具8は、グラインダ軸線1aと第1の挽砕工具2とに対して同軸に、かつ第1の挽砕工具2の下に配置されている。「下」という概念は、図1の図平面に関連するものである。第2の挽砕工具8は、ここでは図示されていない、さらに詳しく後述するケーシング内に回動可能に支持されている。したがって、第2の挽砕工具8は、グラインダ1の作動中に回転する。
【0069】
第2の挽砕工具8は、同様に円筒形のカバージオメトリを有している。第2の挽砕工具8は、他の形態で、例えば挽砕コーンとして形成されていてもよい。第2の挽砕工具は、グラインダ軸線1aを中心として第1の挽砕工具2に対して回転可能である。ここでは第2の挽砕工具8は、駆動ユニットAEの駆動モータ10の駆動軸9に相対回動不能に結合されているので、第2の挽砕工具8は、グラインダ1の作動中に回転運動し、これに対して第1の挽砕工具2は静止している。
【0070】
このことは好適ではあるが、必須ではない。代替的に、第1の挽砕工具2が回転可能であって、これに対して第2の挽砕工具8は静止していてもよい。また、両挽砕工具2,8が、例えば互いに逆の回転方向にかつ/または互いに異なった速度で回転可能であってもよく、このようにすると、常に両挽砕工具2,8の間に相対運動が生じる。
【0071】
駆動軸9は、この場合、シンボルとしてのみ示されており、さらに詳しく後述する。
【0072】
代替的にまた、両挽砕工具2,8のうちの一方が駆動モータ10のロータである、軸なしの直接駆動形態か、または駆動モータ10が伝動装置を介して両挽砕工具2,8のうちの一方に作用する、間接的な駆動形態も可能である。
【0073】
第2の挽砕工具8は、駆動モータ10とは反対の側に、円錐形状の凹部11を有している。凹部11は、少なくとも1つの挽砕切刃12を有している。
【0074】
これによって、第1の挽砕工具2の円錐形状の凹部6と、第2の挽砕工具8の円錐形状の凹部11とは、一種のダブル円錐形状の挽砕室13を形成しており、この挽砕室は、その外周部で挽砕間隙14において開口している。挽砕間隙14には捕集装置(ここでは図示せず)が接続していてよく、この捕集装置は、挽砕間隙14から流出するコーヒー豆、好ましくはコーヒー粉末を捕集し、抽出プロセスへと供給する。
【0075】
挽砕工具2,8は、挽砕間隙14を形成しているか、または、互いに対向する側からこの挽砕間隙14を画定している。挽砕間隙は、平坦に、または中央に向かって増大するように形成されていてよい。挽砕間隙は、好ましくは平面Eを、好適には対称平面を規定する。挽砕間隙14は、平面Eにわたって延在している。
【0076】
グラインダ1は、さらに少なくとも1つの力発生装置15を有している。力発生装置15は、ここでは第1の挽砕工具2に作用する。これによって、それぞれの力Fが、常に、第1の挽砕工具2と第2の挽砕工具8との間に位置しているコーヒー豆に作用する。このことは好適ではあるが、必須ではない。力発生装置15は、第2の回転可能な挽砕工具8に作用しても、または両挽砕工具2,8に作用してもよい。
【0077】
力発生装置15は、ここでは2つの圧縮ばね16を含んでおり、これらの圧縮ばねには、相応の装置17によって、例えばサーボモータによって、可変の予荷重距離Xだけ予荷重を加えることができ、これによって、第1の挽砕ディスク2に、ひいてはコーヒー豆に作用するそれぞれの力Fの値が、可変または調節可能である。
【0078】
圧縮ばね16は、このようにして調節可能または可変の軸方向力を、平面Eに対して垂直に、第1の挽砕工具2および/または第2の挽砕工具8に加える。
【0079】
力発生装置15は、図1に示されたものとは異なる形態で形成されていてもよい。この場合、重要なことは、力作用であり、力Fの値が好ましくは可変または調節可能なことである。この場合、力発生装置15は、力Fの値が自動的にかつ/または無段階式に、コーヒーメーカーの最優先の作動パラメータに関連して調整されるように形成されていてもよい。力発生装置15については、実施例に基づき詳しく後述する。
【0080】
これによって、力Fは、挽かれたコーヒーの各挽砕度に、つまり挽かれたコーヒーの50%中央値の粒子サイズによって特徴付けられた、挽かれた被挽砕物粒子のサイズ分布に、関連しているので、所定の挽砕度の定義された予調節を行うことが好適に可能であるが、このことについてはここではこれ以上、言及しない。
【0081】
さらに、グラインダ1によってコーヒー豆に作用する力は、挽くべきコーヒー豆5および所望の各挽砕度に関連して、好ましくは力発生装置15によって調節することができる。好ましくは、そのために、各挽砕度、豆タイプ、および力発生装置15によって発生させるべき力に関するデータセットが、コーヒーメーカーを、特にグラインダ1を制御するための制御および/または評価ユニット18のデータメモリ内に格納されている。上述した制御および/または評価ユニット18は、グラインダ1に対応配置されていてもよいし、またはコーヒーメーカーの、例えば全自動コーヒーメーカーの一部であってもよい。
【0082】
つまり、挽砕度Cの調節は、豆固有に調整することができる(例えば、硬い/強く焙煎された豆なのか、あるいは、より低い強度で焙煎されたカフェオレ豆なのか)。代替的に、一定の力のもとで挽砕出力差を計算し、次いでこの出力差を、力適合のための係数として使用することにより、固有の豆種に挽砕度を適合させることができる。
【0083】
さらに、各挽砕度の力制御された調節によって、挽砕度の持続的な再現性を、挽砕工具の摩耗時にも可能にすることができる。そのために、時間的な摩耗に対する特性線を豆タイプに応じて格納することができる。挽砕工程の回数は、使用される豆タイプに応じて様々に重み付けすることができる。したがって、例えば「硬い」豆タイプの100回の挽砕工程の後では、装置17によって後調整を行うことができる。
【0084】
同様に、各挽砕度の力制御された調節によって、好ましくは、特に挽砕工具2,8の熱膨張作用を補償することができる。そのために、図示されていない温度センサが、コーヒー豆の温度をグラインダ1からの進出時に検出することができ、挽砕工具2,8の材料の熱膨張係数を考慮して、力発生装置15の力、特に圧縮ばね16の予荷重力を相応に調整することができる。
【0085】
図2は、本発明によるグラインダ1の第2の実施例の概略的な分解図を示している。
【0086】
第1の挽砕ディスク支持体M1は、第1の挽砕工具2、充填ホッパ4、および外周面に分配された突起23aを備えた支持体23を含む。第1の挽砕ディスク支持体M1は、上側の挽砕ディスク支持体M1とも呼ばれ、さらに詳しく後述する。
【0087】
力発生装置15は、第1の挽砕ディスク支持体M1内に配置されている3つの圧縮ばね16(図5参照)を有しており、これについてはさらに後述する。
【0088】
調節装置17は、調節リング26と調節エレメント27とを有している。調節装置17は挽砕ケーシング25に取り付けられており、第1の挽砕ディスク支持体M1と協働する。これについてはさらに詳しく後述する。
【0089】
挽砕ケーシング25は、互いに上下に重ねられて配置され、互いに結合されている底面区分25aと収容区分25bとを含む。この結合部は、半径方向外側に向かって突出している環状のカラー25cを取り囲んでいる。
【0090】
挽砕ケーシング25は、グラインダ軸線1aに対して同軸に配置されていて、収容区分25b内に第1の挽砕ディスク支持体M1を収容している。この場合、支持体23の突起23aが、挽砕ケーシング25の収容区分25bの壁に設けられた軸方向に延在する開口25dに係合している。
【0091】
調節装置17の調節リング26には外側歯列26bが設けられていて、挽砕ケーシング25の収容区分25bを取り囲んでおり、調節リングの下面は、挽砕ケーシング25の環状のカラー25c上に回動可能にガイドされている。
【0092】
調節エレメント27は、リング区分27aを有しており、このリング区分の内径には、等間隔で分配された歯列区分27bが一体成形されている。歯列区分27bは、外側歯列26bに対応する内側歯列として形成されている。調節エレメント27は、歯列区分27bが外側歯列26bに係合し、調節エレメント27の下面が挽砕ケーシング25のカラー25c上に回動可能に載置されるように、調節リング26の外側歯列26bの周囲に配置されている。座金19aを備えた取付けエレメント19は、カラー25cの周囲に等間隔で分配配置されていて、調節エレメント27の軸方向の固定部を形成している(図7も参照)。
【0093】
例えばレバーの形態の、半径方向外側に向かって突出している操作区分27cによって、調節エレメント27を、したがって、調節エレメントに係合している調節リング26を、グラインダ軸線1aを中心として回動させることができる。このような回動によって、調節装置17は、力Fを調節するための力発生装置15を調節する。これについてはさらに後述する。
【0094】
挽砕ケーシング25の底面区分25aは、半径方向外側に向かって開かれている取出し区分25eを有している。底面区分25aはさらに、第2の挽砕工具8を収容している。
【0095】
第2の挽砕ディスク支持体M2は、下側の挽砕ディスク支持体M2とも呼ばれ、したがって第2の挽砕工具8と、挽砕ケーシング25の底面区分25aとを含む。
【0096】
第2の挽砕工具8は、駆動軸9の支持体区分9a上に載着されていて、突起8aを介して駆動軸9に相対回動不能に結合されている。これについてはさらに詳しく後述する。
【0097】
駆動軸9は、駆動ユニットAEの伝動装置ケーシング20の内室20b内に配置されている。駆動モータ軸線10aを備えた駆動モータ10は、この例では、伝動装置ケーシング20のねじ固定フランジ20aを介して、伝動装置ケーシング20に取り付けられている。
【0098】
この場合、上方に向かって挽砕ディスク支持体M2,M1に面している、伝動装置ケーシング20のフランジ20e上に、挽砕ケーシング25が、取付けエレメント29、例えばねじを介して取り付けられている。この場合、底面区分25aは第2の挽砕工具8を取り囲んでいる。挽砕ケーシング25は、グラインダ軸線1aに対して様々な角度位置で、伝動装置ケーシング20のフランジ20e上に取り付けられてよい。このような角度位置は、各突起28(図17参照)に係合する、フランジ20eに一体成形された凹部20fによって規定されている。これについては、図17図19に基づきさらに説明する。
【0099】
図3には、グラインダ1の駆動ユニットAEの概略的な分解図が示されている。さらに図4は、図2図3の実施例の駆動ユニットAEの概略的な断面図を示している。
【0100】
駆動ユニットAEは、この実施例では、駆動軸9と駆動モータ10との間にウォームギヤを有している。
【0101】
駆動軸9は、支持体区分9a、本体9b、歯列9c、および軸受ジャーナル9dを含む。
【0102】
駆動軸9は、本体9bを成す、円形の横断面を有する中空円筒体であって、この場合、その上端部で、支持体区分9aによって閉じられている。
【0103】
支持体区分9aは板状に形成されており、挽砕ケーシング25に面したその上面に、グラインダ1の連行および取出しジオメトリが設けられている。支持体区分9aの外周面には、支持体区分9aから突出する、等間隔で分配された舌片状の突起が配置されている。
【0104】
その下方で、支持体区分9aには環状の壁が設けられており、この壁内には軸受座部9eが一体成形されている。この軸受座部9eの外径は、本体9bの外径よりも大きい。
【0105】
駆動軸9の本体9bの下側の自由端部には歯列9cが一体成形されており、この歯列は、ウォームギヤのウォームホイールを形成し、ウォームとして形成された、駆動モータ10の歯列10bに噛み合う。
【0106】
中空円筒状の本体9bの内側には、軸受ジャーナル9dが中央に配置されており、軸受ジャーナルの一方の端部は、挽砕支持体区分9aの内面に一体成形されている。軸受ジャーナル9dの他方の自由端部は、本体9bの下縁部を越えて突出している。
【0107】
駆動軸9の下側の支持体区分9aは、このようにして、同時に、ウォームギヤのウォームホイールの機能も果たすように形成されている。
【0108】
伝動装置ケーシング20内に駆動軸9を最適に収容するために、駆動軸9は、上側の軸受21と下側の軸受22とによって、グラインダ軸線1aを中心として回転可能に伝動装置ケーシング20内で支持されている。軸受21,22は、例えばシールされたまたはカバーされた軸受である。
【0109】
図4に示された上側の軸受21のインナレースは、駆動軸9の軸受座部9eに取り付けられていて、駆動軸9の本体9bにおける歯列9cを備えたウォームホイールを、組付けのために、この上側の軸受21を貫通させて差し込むことができるようなサイズである。軸受21のアウタレースは、伝動装置ケーシング20の軸受座部20cに装着されている。上側の軸受21を含むこの軸受個所は、挽砕工程中、実質的に軸方向のプロセス力を受ける。
【0110】
本体9bの下側の端部における、駆動軸9と歯列9cを備えたウォームホイールとの半径方向のガイドのために、軸受ジャーナル9dの自由端部は、下側の軸受22の、例えばラジアル深溝玉軸受の、インナレースのための軸受座部を形成している。下側の軸受22のアウタレースは、伝動装置ケーシング20の軸受座部20dに収容されている。
【0111】
多機能部分として形成された駆動軸間の伝動装置は、グラインダ1において、ベルト伝動装置または平歯車伝動装置が所望される場合には、ベルト伝動装置または平歯車伝動装置として形成されることも考えられる。
【0112】
支持体区分9aを含む駆動軸9の多機能を備えた構成により、複数の利点が得られる:まず、グラインダ1の組み付けのために必要な接合工程が少なくなる。さらに、構成部品数が減ることにより、特に安価かつコンパクトな構造が得られる。最後に、大きな上側の軸受21によって、支持体区分9aの極めて良好な心振れ特性のほか、(伝動装置ケーシング20の内室20b内における)潤滑された伝動装置領域と、上側の軸受21の上方で、上述したように伝動装置ケーシング20のフランジ20eに取り付けられている挽砕ケーシング25との間のシールが自動的に行われる。
【0113】
図5は、図2図3による第2の実施例の第1の挽砕ディスク支持体M1の概略的な分解図を示している。図6には、第1の挽砕ディスク支持体M1の概略的な断面図が示されている。図7は、調節装置17の概略的な分解図を示している。図8は、挽砕ケーシング25の概略的な平面図を示している。図9は、挽砕ケーシング25、調節リング26、および調節エレメント27の概略的な断面図を示している。図10には、調節リング26の概略的な断面図が示されている。
【0114】
上側のまたは第1の挽砕ディスク支持体M1は、圧縮ばね16によってばね負荷される第1の挽砕工具2から成っていて、この第1の挽砕工具は、支持体23内にガイドされていて、3つの取付けエレメント24、例えばねじによって、充填ホッパ4に支持されている。
【0115】
第1の挽砕工具2は、軸方向の自由度を有している。
【0116】
圧縮ばね16は、この場合、力発生装置15を形成しており、それぞれ一方の端部で、充填ホッパ4の、第1の挽砕工具2に面した突出部4bにガイドされていて、それぞれ他方の端部は、第1の挽砕工具2の収容部2b内に収容されている。
【0117】
圧縮ばね16は、最適に分配された力の負荷を得るために、グラインダ軸線1aを中心として対称に配置されている。図示した3つの圧縮ばね16よりも多数の圧縮ばねが設けられていてもよい。
【0118】
この用途のための圧縮ばね16としては、コイルばねが好適である。しかしながら、別の構成形式のばねまたはばねパッケージも使用可能である。
【0119】
圧縮ばね16の予荷重は、好適には、(例えば、フィルターコーヒー用の)所望の最大限の挽砕度が得られる値に相応している。圧縮ばね16のさらなる予荷重は、グラインダ軸線1aを中心として調節装置17の調節リング26を回動させることによって生じる。
【0120】
調節リング26は、外周面に外側歯列26bが設けられている円筒状の壁26aを有している。壁26aの内面には、傾斜路26cが一体成形されている。この調節リング26は、挽砕ケーシング25に軸方向で位置固定されていて、グラインダ軸線1aを中心として調節エレメント27によって回動させることができる。上側の挽砕ディスク支持体M1は、取付けエレメント24の3つのねじ頭部を介して、調節リング26の内壁の周面に均等に延びる、傾斜路26cのそれぞれ3つの溝内で調節リング26内でガイドされているので、調節リング26の回転運動により、第1のまたは上側の挽砕ディスク支持体M1の全体が、グラインダ軸線1aの方向の軸方向で、圧縮ばね16がさらに予荷重をかけられ、第1の挽砕工具2が回転角度に応じてより強力にばね負荷されるように、移動する。取付けエレメント24のねじ頭部は、挽砕ケーシング25の収容区分25bの壁を貫通する開口25dを貫通して、周囲の調節リング26の傾斜路26c内へと延在している。
【0121】
圧縮ばね16のばね定数と、傾斜路26cの傾斜ピッチとを介して、このシステムを、柔軟に、様々な挽砕度レベルに適合させることができる。
【0122】
調節リング26はさらに、上側の挽砕ディスク支持体M1全体をグラインダ1から取り外すことができるように位置決めされてよい。このことは特に、グラインダ1のクリーニングおよび保守整備に関して好適である。
【0123】
特に、上側の挽砕ディスク支持体M1は、一体に形成されていてもよい。この場合、第1の挽砕工具2に取り付けられた係止突起2aを介して、両部分の直接的なプレス嵌めが行われる。突起は、支持体23からの第1の挽砕工具2の抜け落ちを阻止する。例えば、ねじ固定のような、別の接合工程は省くことができる。
【0124】
通常、挽砕工具としての挽砕ディスクは、ディスク状グラインダ内に、ねじとねじ固定孔とによって各支持体に位置固定される。これらの穴は、一方では、挽砕ディスクの切断性能を低下させる。他方では、この領域には、コーヒー粉末が堆積することがあり、したがってグラインダから完全には排出されない。
【0125】
図11には、図2図3による第2の実施例の第2の挽砕工具8としての挽砕ディスクの概略的な平面図が示されている。図12は、その側面図である。図13は、図2図3による第2の実施例の駆動軸9の概略的な平面図を示しており、図14は、駆動軸9の概略的な断面図を示している。
【0126】
ここでは、ねじ固定孔またはねじ山付き袋孔を有さない挽砕工具2,8を、各挽砕ディスク支持体M1,M2にいかにして結合することができるのかという別の可能性を示している。図11および図12では、第2の挽砕工具8が、第2の挽砕工具8の周面に半径方向の突出部として3つの係止突起8aを備えた例として示されている。
【0127】
このような係止突起8aは、必要なトルクを伝達することができるように、下側の挽砕ディスク支持体M2において、支持体区分9aの溝9gに係合する。溝9gはこの場合、それぞれ舌片状の突出部9fの脚部領域に一体成形されており、各溝9gは、側方のストッパによって固定されている。
【0128】
挽砕工具2,8は、挽砕プロセスの際に、グラインダ軸線1aの方向で互いに離れるように押されるので、第2の挽砕工具8のさらなる軸方向の固定は不要である。したがって、第2の挽砕工具8は単に、駆動軸9の支持体区分9a内に挿入され、これにより極めて組付けおよび保守整備のしやすい手段を成している。
【0129】
図15は、図5図6による第1の挽砕ディスク支持体M1の変化態様の概略的な平面図を示している。図16には、図15の断面図が示されている。
【0130】
上側の第1の挽砕ディスク支持体M1では、力制御される挽砕度調節の際に、一方ではトルクを伝達し、他方では圧縮ばね16の調節可能なばね力に抗する軸方向の自由度を生じさせる、第1の挽砕工具2の係止突起2aを溝内にガイドすることが提示されている。
【0131】
力制御を行わないグラインダ1を備えたシステムでは、第1の挽砕工具2の軸方向の動きを阻止する第2の構成部分が必要である。この場合、鋼製の挽砕ディスクでは、係止突起2aの輪郭をフライス加工することができ、または周囲に位置する孔に、ピンを設けることができる。セラミック製の挽砕ディスクでは、係止突起2aは好適にはオフツール品として直接設けられる。
【0132】
図17には、図2図3による第2の実施例の挽砕ケーシング25の下面の概略的な平面図が示されている。図18は、伝動装置ケーシング20の概略的な平面図を示しており、図19は、伝動装置ケーシング20の断面図を示している。
【0133】
挽砕ケーシング25は、取出し区分25eを備えた取出し位置を有している。この取出し位置は、アングル歯車において、駆動モータ10に対して常に所定の角度で取り付けられている(図2参照)。駆動モータ10の位置は、ねじ固定フランジ20aによって伝動装置ケーシング20に固定されている。コーヒーメーカーにおいて、複数のグラインダをできるだけコンパクトに収めるためには、取出し位置を周囲の複数の位置に変化させることができることが好適である。
【0134】
図示した例示的な構造では、挽砕ケーシング25と伝動装置ケーシング20との間にインターフェースがある。挽砕ケーシング25は下面に3つの突起28(図17)を有しており、これらの突起は、伝動装置ケーシング20のフランジ20eに設けられた凹部20fに係合して、挽砕プロセスの際に必要なトルクを伝達する。これら両部分、すなわち挽砕ケーシング25と伝動装置ケーシング20とは、フランジ手段によって互いにねじ固定されている。挽砕ケーシングにおける3つの長孔25f(図17)と伝動装置ケーシング20における貫通孔20g(図18図19)とを介して、伝動装置ケーシング20と挽砕ケーシング25とを互いに、取付けエレメント29(図2)によってねじ固定することができる。
【0135】
伝動装置ケーシング20のフランジ20eの周囲には、この場合、15の凹部20fが位置しており、これにより、挽砕ケーシング25の取出し区分25eの取出し位置を、駆動モータに対して15の異なる位置で組み付けることができる。フランジねじ(取付けエレメント29)を緩めて、挽砕ケーシング25をその隣に位置する凹部内に装着することにより、5つごとの位置は簡単に変更することができる。それ以外の10の位置に組み付けるためには、両ケーシング部分(伝動装置ケーシング20と挽砕ケーシング25)を、長孔25f内にさらにセットすることができるように、取付けエレメント29を完全にはずさなければならない。
【0136】
1つの機械または機械の1つの世代で、グラインダ1の複数の位置が必要な場合は、同じ部品を使用することができるので、保守および組付けに関して大きな利点が得られる。多くの類似の構造では、取出し位置は限定的にのみ、または大きな手間をかけてしか変更することはできない。
【0137】
図20は、図2図3による第2の実施例の伝動装置の変化態様の概略的な斜視図を示している。図21には、図20の伝動装置の変化態様の概略的な分解斜視図が示されている。図22は、図20図21の伝動装置の変化態様の概略的な断面図を示している。
【0138】
伝動装置の変化態様は、第2の実施例の伝動装置に対してサイズが著しく減じられた伝動装置ケーシング20を有している。
【0139】
挽砕ケーシング25と伝動装置ケーシング20との間の上述したインターフェースは図示されていないが、容易に想像可能である。
【0140】
変化態様の伝動装置ケーシング20は、駆動モータ10のためのねじ固定フランジ20aを有している。第2の実施例の伝動装置に対する相違点として、内室20bと、軸受座部20cおよび20dとが変更されている。
【0141】
内室20bは、駆動モータ10のウォーム10bのための開口が一体成形された環状の内壁20hを有している。内室20bは、円形の横断面を有しており、その上方の領域は、上側の軸受21のための軸受座部20cとして設けられている。内壁20hの内径は、上側の軸受21のアウタレースの外径に相当する。
【0142】
下側の軸受22のインナレースは、他方の軸受座部20dに載着されている。この軸受座部20dは、内室20bの底面から内室20b内へと、一種の円筒状のコラムとして突出している。軸受座部20dの外径は、下側の軸受22のインナレースの内径に相当する。
【0143】
挽砕ディスク直径が同じ場合に、より大きな歯の強度(弾性率)を有したより大きなウォームホイール(歯列9c)を使用することができるように、この変化態様では、駆動軸9は、支持体区分9aと、今やウォームホイール30の歯列30aとして形成された、第2の実施例の歯列9cとの2つの部分から形成されている。
【0144】
駆動軸9の第1の部分は、軸受座部9eと本体9bとを備えた支持体区分9aを含み、駆動軸9の第2の部分は、歯列30aとハブ区分30bとを備えたウォームホイール30を有している。
【0145】
上側の軸受21のインナレースは、支持体区分9aの軸受座部9eの部分区分に、支持体区分9aの下側で被せられる。この場合、上側の軸受21は完全に、その上に配置されている支持体区分9aによってカバーされ、支持体区分9aの環状のカラーは突出して、伝動装置ケーシング20の軸受座部20cの、軸方向で上方に向かって突出する環状のウェブ区分に係合して、一種のラビリンスシール31を形成する。伝動装置とコーヒー放出領域との間のシールは、このようなラビリンスシール31を介して行われる。
【0146】
支持体区分9aは、この場合、ボルト状に形成されている本体9bによって、ウォームホイール30に相対回動不能に結合されている(図22)。このために、ボルト状の本体9bは、ウォームホイール30のハブ区分30bに、例えば、セレーション結合またはスプライン軸・スプラインボス結合等としての形状接続的な結合のような、軸・ハブ結合を介して、相対回動不能に係合しており、これによりアッセンブリはコンパクトかつ簡単に形成することができる。
【0147】
ウォームホイール30の歯列30aの頭部円直径の最大直径は、この場合、外径によって制限されており、もはや上側の軸受21の内径によっては制限されていない。この場合、好適には、支持体区分9a、歯列30aを備えたウォームホイール30、および2つの転がり軸受21,22は予め組み付けられ、構成群として伝動装置ケーシング20に組み付けられる。
【0148】
駆動軸9の両部分が組み付けられた状態で、ウォームホイール30のハブ区分30bの上側の部分区分は、上側の軸受21のインナレースのための軸受座部の別の部分区分を形成する。
【0149】
このような特別な実施形態では、歯列30aを備えたウォームホイール30が、下側の軸受22にプレス嵌めされていて、上側の載置面(図示していないが、図22により明らかにわかる)で、上側の軸受21のインナレース上に載置されている。上側の軸受21は、この場合、例えば、ニードルローラベアリングであってもよい。この場合、挽砕工程の際にいずれにせよ、プロセス力によって、支持体区分9aが軸方向で上側の転がり軸受21の方向に押されるので、支持体区分9aとウォームホイール30とを備えた駆動軸9のさらなる軸方向の固定は不要である。これにより、他の標準部品を使用することなく、プレス嵌め工程によって簡単な組付けが可能となる。
【0150】
図23には、図20図22の伝動装置の変化態様と挽砕度インジケータ32とを含む第2の実施例の概略的な分解図が示されている。図24は、図23の挽砕度インジケータ32を拡大して示した概略的な斜視図を示している。
【0151】
通常、上側の、すなわち第1の挽砕ディスク支持体M1を、グラインダ軸線1aを中心として回転させることにより、コーヒーグラインダ(この場合、グラインダ1)の挽砕度が変更される。これは、ねじ山または傾斜路において実施される。第1の挽砕工具2の調節冠(調節リング26)と、調節ウォーム(図示していないが、容易に想像可能)との間にはしばしばウォームギヤが存在している。調節ウォームによって、調節リング26を無段階に調節することができるが、調節ウォームは360°以上回転するので、グラインダ軸線1aに関する垂直方向の位置における第1の挽砕工具2の実際の位置に関する表示はない。
【0152】
このために、この実施例では、挽砕度インジケータ32が設けられている。この挽砕度インジケータ32は、この場合、単なる例として記載されており、もちろん別の構成で形成することもできる。
【0153】
挽砕度インジケータ32は、この場合、調節リング26の調節回転運動が伝達エレメントを介して挽砕度インジケータ32に伝えられるように、調節装置17と、特に調節装置17の調節リング26と協働している。挽砕度インジケータ32は、伝達エレメントのこの入力値を、それぞれ調節された挽砕度に相当する直線距離値および/または角度値に変換し、適切な方法で、挽砕度インジケータ32の表示器36によって表示する。
【0154】
この場合、挽砕度インジケータ32は、ホルダ33、軸エレメント34、表示エレメント35、および表示器36を含む。
【0155】
軸エレメント34は、入力部としての歯列34cと、出力部としての移動ねじ山34dとを備えた伝達エレメントとして形成されている。
【0156】
ホルダ33は、保持プレート33aを有しており、その下面には、両端部に、それぞれ1つの取り付けドーム33bと、下方に向かって突出するそれぞれ1つの軸受壁33c,33dが取り付けられている。取り付けドーム33b、および所属の取付けエレメント33e、例えばねじによって、ホルダ33は、挽砕度インジケータ32と共に、保持区分25g上に取り付けられている。保持区分25gは、この場合、挽砕ケーシング25のカラー25cの拡幅部である。ホルダ33の取り付けのために、取付けエレメント33eのための(例えば、ねじ山を備えた)相応の孔が、保持区分25gに一体成形されている。
【0157】
軸受壁33cおよび33dは互いに平行に配置されていて、軸の軸線34aを中心として回転可能な軸エレメント34のための軸受を形成しており、軸エレメント34は図示されていないが、容易に想像可能な形式で、ホルダ33に軸方向で固定されて配置されている。
【0158】
軸エレメント34は軸本体34bを有しており、この軸本体には、軸受壁33c,33dの間で歯列34cが設けられている。軸本体34bの一方の端部は、この場合、右側に配置されている軸受壁33cに支持されている。他方の軸端部は端面34eを有していて、移動ねじ山34dを介して軸本体34bに結合されている。
【0159】
移動ねじ山34dは、表示エレメント35と協働している。
【0160】
表示エレメント35は、駆動区分35aと、表示目盛り36およびガイドラグ35cを備えた目盛り支持体35bとを有している。駆動区分35aは、上方に向かって90°屈曲して、目盛り支持体35bの、ホルダ33側の一方の端部に取り付けられており、その下面では、目盛り支持体35bに対して90°下方に向かって突出するガイドラグ35cを支持している。軸エレメント34の移動ねじ山34dは、駆動区分35aのねじ山に螺合しており、軸の軸線34aの長手方向で、目盛り支持体35bの表示目盛り36の上方に延在している。表示目盛り36は、この場合、上方に向けられて、目盛り支持体35b上に設けられている。
【0161】
組み込まれた状態では、挽砕度インジケータ32は、ホルダ33によって保持区分25gに取り付けられている。この場合、一方では、軸エレメント34は、軸エレメント34の歯列34cが、調節リング26の外側歯列26bに噛み合うように、調節リング26に対して接線状に延在している。調節リング26の外側歯列26bと、軸エレメントの歯列34cとは、このように互いに対応している。他方では、ガイドラグ35cは、挽砕ケーシング25の保持区分25gの溝25h内に摺動可能にガイドされて収容されている。溝25hは、軸エレメント34の軸の軸線34aに対して平行に、かつ軸エレメントと同様に、調節リング26に対して接線状に延在している。
【0162】
この場合、挽砕度位置を特定するために、図23および図24のこの実施例では、軸エレメント34の歯列34cに噛み合う、調節リングの外側歯列26bを介して行われる調節リング26の調節回転運動により、軸の軸線34aを中心とした軸エレメント34の回転運動が生じる。この場合、表示エレメント35の駆動区分35aに係合する移動ねじ山34dによる、軸エレメント34の回転運動により、表示エレメント35の直線運動が発生し、表示エレメント35自体は、溝25h内に相対回動不能にガイドされたガイドラグ35cを介して、同じく相対回動不能である。このようにして、目盛り支持体35bは、軸の軸線34aに関して軸方向で調節される。軸エレメント34の端面34eは、表示目盛り36と組み合わせられて、表示目盛り36上の挽砕度の読取り手段として機能する。
【0163】
溝25hの各端部には、表示エレメント35のガイドラグ35cがそれぞれ当接する。このような当接により、表示エレメント35の移動距離が制限され、したがって、調節リング26の調節回転運動が制限される。換言すると、このような当接部は、同時に、グラインダ1のそれぞれ最小限の挽砕度および最大の挽砕度のためのストッパを成す。
【0164】
挽砕度インジケータ32の(図示されていないが、容易に想像可能な)別の実施形態では、軸エレメント34の代わりに、調節リング26の外側歯列26bに噛み合う歯車、例えば、平歯車が、調節リング26の調節回転運動の際に回動することが考えられる。この歯車は、例えば、グラインダ軸線1aに対して平行に延在する軸線を中心として回転することができ、挽砕度は、歯車の角度位置に応じて、例えば歯車上の角度目盛りに応じて、一義的に対応させることができる。この歯車は、表示のために減速または変速させるために、所定の伝動装置の別の歯車に噛み合うこともできる。ストッパを実現するために、角度目盛りを備えた歯車または伝動装置の被駆動歯車は、例えば、ピンによって、2つのストッパの間で回動可能であってよい。
【0165】
さらに、挽砕度インジケータ32は、図示されていない構成で、同時に、調節リング26の調節のために使用されてもよい。この場合、調節リング26の外側歯列26bは、ウォームホイール歯列として形成されており、軸エレメント34の歯列34cは、対応するウォームであって、調節駆動装置によって駆動される。
【0166】
歯列34cではなく歯車の場合には、この歯車はもちろん、調節リング26の調節のためにも駆動されてよい。
【0167】
調節リング26の調節のための軸エレメント34または歯車の駆動装置は、多様な形式で、とりわけ、例えばステップモータによって、実現することができる。
【0168】
挽砕度の上述したような変更、すなわち、グラインダ軸線1aを中心とした第1の挽砕ディスク支持体M1の調節または回動は、グラインダ1のすべての作動位置および休止位置で行うことができる。
【0169】
本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、請求項の範囲で変更可能である。
【0170】
したがって、例えば、挽砕工具2,8の収容ジオメトリをプラスチック射出成形によって一体成形することが考えられる。
【0171】
より多数のばね16が、特に圧縮ばねが設けられていてもよい。最適に分配された力の負荷を得るために、これらのばねを、挽砕工具2,8がそのまわりを回転するグラインダ軸線1aを中心として対称に配置することができる。
【0172】
圧縮ばねの代わりにまたは圧縮ばねと共に引っ張りばねを使用することも考えられる。
【0173】
さらに、駆動モータ10と駆動軸9との間のウォームギヤの代わりに、平歯車、傘歯車、はすば歯車を備えた別の形式のギヤが使用されてもよいことが考えられる。平歯車ギヤによって大きな減速を得るためには、最小の歯列数を備えたピニオンの使用も可能である。
【符号の説明】
【0174】
1 グラインダ
1a グラインダ軸線
2 第1の挽砕工具
2a 係止突起
2b 収容部
3 貫通開口
4 充填ホッパ
4a カラー
4b 突出部
5 コーヒー豆
6 凹部
7 挽砕切刃
8 第2の挽砕工具
8a 係止突起
9 駆動軸
9a 支持体区分
9b 本体
9c 歯列
9d ドーム
9e 軸受座部
9f 突出部
9g 溝
10 モータ
10a モータ軸線
10b 歯列
11 凹部
12 挽砕切刃
13 挽砕室
14 挽砕間隙
15 力発生装置
16 圧縮ばね
17 調節装置
18 制御および/または評価ユニット
19 取付けエレメント
19a 座金
20 伝動装置ケーシング
20a ねじ固定フランジ
20b 内室
20c,20d 軸受座部
20e フランジ
20f 凹部
20g 貫通孔
20h 内壁
21,22 軸受
22a 固定エレメント
23 支持体
23a 突起
23b 溝
24 取付けエレメント
25 挽砕ケーシング
25a 底面区分
25b 収容区分
25c カラー
25d 開口
25e 取出し区分
25f 長孔
25g 保持区分
25h ガイド溝
26 調節リング
26a 壁
26b 外側歯列
26c 傾斜路
26d カラー
27 調節エレメント
27a リング区分
27b 歯列区分
27c 操作区分
28 突起
29 取付けエレメント
30 ウォームホイール
30a 歯列
30b ハブ区分
30c 軸受座部
31 ラビリンスシール
32 挽砕度インジケータ
33 ホルダ
33a 保持プレート
33b 取付けドーム
33c,33d 軸受壁
33e 取付けエレメント
34 軸エレメント
34a 軸の軸線
34b 軸本体
34c 歯列
34d 移動ねじ山
34e 端面
35 表示エレメント
35a 駆動区分
35b 目盛り支持体
35c ガイドラグ
36 表示目盛り
AE 駆動ユニット
E 平面
F 力
M1,M2 挽砕ディスク支持体
X 予荷重距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
【国際調査報告】