(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-02
(54)【発明の名称】複数のコントローラおよび隣接するコイル切断を伴う無線送電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 50/40 20160101AFI20221026BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20221026BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221026BHJP
H01F 38/14 20060101ALI20221026BHJP
H02J 50/60 20160101ALN20221026BHJP
【FI】
H02J50/40
H02J50/12
H02J7/00 301D
H01F38/14
H02J50/60
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022512716
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(85)【翻訳文提出日】2022-04-12
(86)【国際出願番号】 US2020049180
(87)【国際公開番号】W WO2021046204
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】201911035597
(32)【優先日】2019-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】315005451
【氏名又は名称】ジーイー・ハイブリッド・テクノロジーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】カナカサバイ, ヴィスワナサン
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤナ バト, スマ, メマナ
(72)【発明者】
【氏名】ガネーシャ, ジャヤンティ
(72)【発明者】
【氏名】タティコンダ, スバッラオ
(72)【発明者】
【氏名】バサック, ルパム
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BB01
5G503FA06
5G503GB08
(57)【要約】
本開示は、1つまたは複数の無線受電装置の充電を補助する無線送電装置のための、記憶媒体に符号化されたコンピュータプログラムを含む、システム、デバイス、装置および方法を提供する。無線送電装置(充電パッドまたは充電表面など)は、複数の一次コイルおよび複数のローカルコントローラ(一次コイルごとに1つのローカルコントローラなど)を含み得る。各ローカルコントローラは、一次コイルを独立して起動し、無線受電装置に電力を供給することができる。したがって、無線送電装置は、複数の無線受電装置の同時の充電を支えることができる。第1の一次コイルが起動されると、ローカルコントローラは、望ましくない干渉を緩和するために、隣接する一次コイル(第1の一次コイルの近く)をミュートまたは無効にすることができる。いくつかの実装形態では、ローカルコントローラは、(隣接する一次コイルに関連付けられた)他のローカルコントローラにステータスを提示して、隣接する一次コイルを無効にすることができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線送電装置であって、
独立して無線電力を伝送することができる複数の一次コイルであって、互いに隣接するまたは重なる少なくとも第1の一次コイルおよび第2の一次コイルを含む、複数の一次コイル、および
前記複数の一次コイルを管理するように構成された複数のローカルコントローラであって、前記第1の一次コイルおよび前記第2の一次コイルをそれぞれ制御するための第1のローカルコントローラおよび第2のローカルコントローラを少なくとも含む複数のローカルコントローラを備え、
第1の無線受電装置が前記第1の一次コイルに近接しているという判定に応答して、前記第1のローカルコントローラは、
前記第1の一次コイルに無線電力を伝送させ、
前記第2のローカルコントローラに第1のステータス信号を送信し、前記第1のステータス信号が、前記第2のローカルコントローラに、前記第1の一次コイルに隣接するまたは重なる前記第2の一次コイルを無効にさせるように構成される、無線送電装置。
【請求項2】
前記第1の無線受電装置が前記第2の一次コイルに近接しているという判定に応答して、前記第2のローカルコントローラは、
前記第2の一次コイルに無線電力を伝送させ、
前記第1のローカルコントローラに第2のステータス信号を送信し、前記第2のステータス信号は、前記第1のローカルコントローラに、前記第2の一次コイルに隣接するまたは重なる前記第1の一次コイルを無効にさせるように構成される、請求項1に記載の無線送電装置。
【請求項3】
前記第1のローカルコントローラおよび前記第2のローカルコントローラは、前記第1の一次コイルおよび前記第2の一次コイルによる無線電力の同時の送信を防止するように構成される、請求項2に記載の無線送電装置。
【請求項4】
前記複数のローカルコントローラの各々は、別個の一次コイルを介した無線電力の伝送を独立して管理することができる、請求項1に記載の無線送電装置。
【請求項5】
前記第1の無線受電装置が、前記第1の一次コイルを介して前記第1のローカルコントローラによって前記第1の無線受電装置から受信された第1の通信に少なくとも部分的に基づいて、前記第1の一次コイルに近接していると判定される、請求項1に記載の無線送電装置。
【請求項6】
前記複数のローカルコントローラは、第3のローカルコントローラをさらに含み、前記複数の一次コイルは、第3の一次コイルをさらに含み、
前記第1の一次コイルと前記第3の一次コイルとは隣接していないか、または互いに重なっておらず、
前記第1のローカルコントローラおよび前記第3のローカルコントローラは、前記第1の一次コイルおよび前記第3の一次コイルを介して、異なる無線受電装置に同時に無線電力を伝送するように構成されている、請求項1に記載の無線送電装置。
【請求項7】
前記複数のローカルコントローラの各々は、隣接するまたは重なる一次コイルに関連する少なくとも1つの他のローカルコントローラに通信可能に結合される、請求項1に記載の無線送電装置。
【請求項8】
少なくとも第1の論理回路であって、
前記第1のステータス信号を、前記第2の一次コイルに隣接するまたは重なる一次コイルに関連付けられた1つまたは複数の他のローカルコントローラからの1つまたは複数のステータス信号と結合して、結合されたステータス信号を形成し、
前記結合されたステータス信号を前記第2のローカルコントローラの無効化入力へ送信し、前記第2のローカルコントローラの前記無効化入力は、前記第1のステータス信号または1つもしくは複数の他のステータス信号のいずれかが、隣接するまたは重なる一次コイルが無線電力を伝送していることを示す場合に、前記第2のローカルコントローラに前記第2の一次コイルを無効化させるように構成されている、少なくとも第1の論理回路をさらに含む、請求項1に記載の無線送電装置。
【請求項9】
各ローカルコントローラは、隣接するまたは重なる一次コイルに関連付けられた他のローカルコントローラから1つまたは複数のステータス信号を受信する無効化入力を有し、前記無効化入力は、隣接するまたは重なる一次コイルに関連付けられた前記他のローカルコントローラのいずれかが無線電力を伝送しているときに、前記ローカルコントローラに、その関連付けられた一次コイルを無効化させる、請求項1に記載の無線送電装置。
【請求項10】
隣接するまたは重なる一次コイルに関連付けられた他のローカルコントローラからの1つまたは複数のステータス信号を結合させ、結合されたステータス信号を前記無効化入力に提示する1つまたは複数の論理回路をさらに備える、請求項9に記載の無線送電装置。
【請求項11】
前記1つまたは複数の論理回路は論理ORゲートを備える、請求項10に記載の無線送電装置。
【請求項12】
各ローカルコントローラは、隣接するまたは重なる一次コイルに関連する1つまたは複数の他のローカルコントローラにステータス信号を提示するように構成され、前記ステータス信号は、前記ローカルコントローラが無線電力を伝送しているときに、前記1つまたは複数の他のローカルコントローラに、それらの関連する一次コイルを無効にさせる、請求項1に記載の無線送電装置。
【請求項13】
各ステータス信号は、各ローカルコントローラがその関連する一次コイルを介して無線電力を送信しているか否かを示すブール値を表す、請求項12に記載の無線送電装置。
【請求項14】
各ステータス信号は浮動小数点の値であり、各浮動小数点の値は関連する一次コイルの無線送電に関する異なる情報を示す、請求項12に記載の無線送電装置。
【請求項15】
複数の無線受電装置を配置することができる充電パッドであって、前記複数の一次コイルが、前記充電パッドの複数の層に分布される重なるパターンで配置されている、充電パッドをさらに含む、請求項1に記載の無線送電装置。
【請求項16】
前記第1の無線受電装置は可動デバイスであり、前記無線送電装置は、前記可動デバイスが動いている間に前記可動デバイスに電力を伝送するための表面を含む、請求項1に記載の無線送電装置。
【請求項17】
無線電力の伝送方法であって、
無線送電装置の複数の一次コイルを管理することであって、前記複数の一次コイルは、独立して無線電力を伝送することができ、前記複数の一次コイルは、互いに隣接するまたは重なる少なくとも第1の一次コイルおよび第2の一次コイルを含み、前記複数の一次コイルは、対応する複数のローカルコントローラによって管理され、前記複数のローカルコントローラは、前記第1の一次コイルおよび前記第2の一次コイルをそれぞれ制御するための少なくとも第1のローカルコントローラおよび第2のローカルコントローラを含む、管理すること、
第1の無線受電装置が前記第1の一次コイルに近接していると判定すること、および
第1の無線受電装置が前記第1の一次コイルに近接しているという判定に応答して、前記第1のローカルコントローラは、
前記複数のローカルコントローラのうちの第1のローカルコントローラが、前記第1の一次コイルに無線電力を伝送させ、
前記第2のローカルコントローラに第1のステータス信号を送信し、前記第1のステータス信号は、前記第2のローカルコントローラに、前記第1の一次コイルに隣接するまたは重なる前記第2の一次コイルを無効にさせるよう構成されることを含む、方法。
【請求項18】
第2の無線受電装置が前記第2の一次コイルに近接しているという判定に応答して、前記第2のローカルコントローラは、
前記第2の一次コイルに無線電力を伝送させ、
前記第1のローカルコントローラに第2のステータス信号を送信し、前記第2のステータス信号は、前記第1のローカルコントローラに、前記第2の一次コイルに隣接するまたは重なる前記第1の一次コイルを無効にさせるよう構成され
装置と前記第2の無線受電装置とをそれぞれさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のローカルコントローラおよび前記第2のローカルコントローラは、前記第1の一次コイルおよび前記第2の一次コイルによる無線電力の同時の送信を防止するように構成される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記複数のローカルコントローラの各々は、隣接するまたは重なる一次コイルに関連する少なくとも1つの他のローカルコントローラに通信可能に結合される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記第1のステータス信号を、前記第2の一次コイルに隣接するまたは重なる一次コイルに関連付けられた1つまたは複数の他のローカルコントローラからの1つまたは複数のステータス信号と結合して、結合されたステータス信号を形成すること、
前記結合されたステータス信号を前記第2のローカルコントローラの無効化入力へ送信し、前記第2のローカルコントローラの前記無効化入力は、前記第1のステータス信号または1つもしくは複数の他のステータス信号のいずれかが、隣接するまたは重なる一次コイルが無線電力を伝送していることを示す場合に、前記第2のローカルコントローラに前記第2の一次コイルを無効化させること、をさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
システムであって、
無線送電装置の複数の一次コイルを管理する手段であって、前記複数の一次コイルは、独立して無線電力を伝送することができ、前記複数の一次コイルは、互いに隣接するまたは重なる少なくとも第1の一次コイルおよび第2の一次コイルを含み、前記複数の一次コイルは、対応する複数のローカルコントローラによって管理され、前記複数のローカルコントローラは、前記第1の一次コイルおよび前記第2の一次コイルをそれぞれ制御するための少なくとも第1のローカルコントローラおよび第2のローカルコントローラを含む、管理する手段、
第1の無線受電装置が前記第1の一次コイルに近接していると判定する手段、および
第1の無線受電装置が前記第1の一次コイルに近接しているという判定に応答して、前記第1のローカルコントローラが、
前記複数のローカルコントローラのうちの第1のローカルコントローラが、前記第1の一次コイルに無線電力を伝送させる手段と、
前記第2のローカルコントローラに第1のステータス信号を送信する手段であって、前記第1のステータス信号は、前記第2のローカルコントローラに、前記第1の一次コイルに隣接するまたは重なる前記第2の一次コイルを無効にさせる、送信する手段に対して構成されることを含む、システム。
【請求項23】
第2の無線受電装置が前記第2の一次コイルに近接しているという判定に応答して、前記第2のローカルコントローラは、
前記第2の一次コイルに無線電力を伝送させる手段、
前記第1のローカルコントローラに第2のステータス信号を送信する手段であって、前記第2のステータス信号は、前記第1のローカルコントローラに、前記第2の一次コイルに隣接するまたは重なる前記第1の一次コイルを無効にさせる、送信する手段、に対して構成され、
装置と前記第2の無線受電装置とをそれぞれさらに含む、請求項22に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、無線電力に関し、より具体的には、無線送電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
従来の無線電力システムは、モバイルデバイス、小型電子デバイス、ガジェットなどの無線受電装置内のバッテリを充電することを主目的として開発されてきた。従来の無線電力システムでは、無線送電装置は、電磁界を生成する一次コイルを含み得る。電磁界は、二次コイルが一次コイルに近接して配置されたときに、無線受電装置の二次コイルに電圧を誘起することができる。この構成では、電磁場は、無線で二次コイルに電力を伝送することができる。電力は、一次コイルと二次コイルとの間の共振または非共振誘導結合を使用して伝達され得る。無線受電装置は、受け取った電力を使用して動作し得、または受け取ったエネルギーをその後使用するためにバッテリに貯蔵し得る。送電能力は、一次コイルと二次コイルとが互いにどれだけ近接して配置されるかに関連し得る。したがって、いくつかの従来の無線電力システムでは、無線送電装置の構造は、無線受電装置の位置決めを制限し、一次コイルと二次コイルとの間に予想される整列を課すように設計することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示のシステム、方法、および装置はそれぞれいくつかの革新的な態様を有し、そのうちの1つだけが本明細書に開示された望ましい属性を単独で担うものではない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示に記載の主題の1つの革新的な態様は、無線送電装置において実施することができる。いくつかの実装形態では、無線送電装置は、無線電力を独立して伝送することができる複数の一次コイルを含み得る。複数の一次コイルは、互いに隣接するまたは重なる第1の一次コイルおよび第2の一次コイルを少なくとも含んでもよい。無線送電装置は、複数の一次コイルを管理するように構成された複数のローカルコントローラを含み得、複数のローカルコントローラは、第1の一次コイルおよび第2の一次コイルをそれぞれ制御するための第1のローカルコントローラおよび第2のローカルコントローラを少なくとも含む。第1の無線受電装置が第1の一次コイルに近接しているという判定に応じて、第1のローカルコントローラは、第1の一次コイルに無線電力を伝送させるよう構成されてもよい。第1のローカルコントローラは、第1のステータス信号を第2のローカルコントローラに送信するように構成されてもよく、第1のステータス信号は、第2のローカルコントローラに、第1の一次コイルに隣接するまたは重なる第2の一次コイルを無効にさせる。この態様の他の実施形態は、各々が方法の動作を実行するように構成された、1つまたは複数のコンピュータ記憶デバイスに記録された対応するコンピュータシステム、装置、およびコンピュータプログラムを含む。
【0005】
本開示に記載された主題の別の革新的な態様は、無線送電装置によって実行される方法として実施することができる。本方法は、無線送電装置内の複数の一次コイルを管理することを含み得、複数の一次コイルは独立して無線電力を伝送することができる。複数の一次コイルは、互いに隣接するまたは重なる第1の一次コイルおよび第2の一次コイルを少なくとも含んでもよい。複数の一次コイルは、第1の一次コイルおよび第2の一次コイルをそれぞれ制御するための少なくとも第1のローカルコントローラおよび第2のローカルコントローラを含む、対応する複数のローカルコントローラによって、管理され得る。本方法はまた、第1の無線受電装置が第1の一次コイルに近接していると判定すること、および第1の無線受電装置が第1の一次コイルに近接しているという判定に応答して、複数のローカルコントローラのうちの第1のローカルコントローラによって、第1の一次コイルに無線電力を伝送させることを含む。本方法はまた、第1のステータス信号を第2のローカルコントローラに送信することを含み得、第1のステータス信号は、第2のローカルコントローラに、第1の一次コイルに隣接するまたは重なる第2の一次コイルを無効にさせる。
【0006】
いくつかの実装形態では、無線送電装置および方法は、第1の無線受電装置が第2の一次コイルに近接しているという判定に応答して、第2のローカルコントローラが第2の一次コイルに無線電力を伝送させることを含み得る。第2のローカルコントローラはまた、第2のステータス信号を第1のローカルコントローラに送信することができ、第2のステータス信号は、第1のローカルコントローラに、第2の一次コイルに隣接するまたは重なる第1の一次コイルを無効にさせる。
【0007】
いくつかの実装形態では、無線送電装置および方法は、第1のローカルコントローラおよび第2のローカルコントローラが、第1の一次コイルおよび第2の一次コイルによる無線電力の同時の送信を防止するように構成されることを含み得る。
【0008】
いくつかの実装形態では、第1の無線受電装置が、第1の一次コイルを介して第1のローカルコントローラによって第1の無線受電装置から受信された第1の通信に少なくとも部分的に基づいて、第1の一次コイルに近接していると判定される。
【0009】
いくつかの実装形態では、無線送電装置および方法は、第3のローカルコントローラおよび第3の一次コイルを含み得る。また、無線送電装置は、第1の一次コイルと第3の一次コイルとが隣接していなくてもよいし、または互いに重なっていなくてもよいということを含み得る。また、無線送電装置は、第1のローカルコントローラおよび第3のローカルコントローラが、第1の一次コイルおよび第3の一次コイルを介して無線電力を異なる無線受電装置に同時に伝送するように構成されることを含み得る。
【0010】
いくつかの実装形態では、複数のローカルコントローラの各々は、隣接するまたは重なる一次コイルに関連する少なくとも1つの他のローカルコントローラに通信可能に結合される。
【0011】
いくつかの実装形態では、無線送電装置および方法は、第1のステータス信号を、第2の一次コイルに隣接するまたは重なる一次コイルに関連付けられた1つまたは複数の他のローカルコントローラからの1つまたは複数のステータス信号と結合させて、結合させたステータス信号を形成するように構成された少なくとも第1の論理回路を含み得る。無線送電装置はまた、結合させたステータス信号を第2のローカルコントローラの無効化入力に送信することを含み得、第2のローカルコントローラの無効化入力は、第1のステータス信号または1つもしくは複数の他のステータス信号のいずれかが、隣接するまたは重なる一次コイルが無線電力を伝送していることを示す場合に、第2のローカルコントローラに第2の一次コイルを無効化させる。
【0012】
いくつかの実装形態では、無線送電装置および方法は、各ローカルコントローラが、隣接するまたは重なる一次コイルに関連付けられた他のローカルコントローラから1つまたは複数のステータス信号を受信する無効化入力を有し、無効化入力は、隣接するまたは重なる一次コイルに関連付けられた他のローカルコントローラのいずれかが無線電力を伝送しているときに、ローカルコントローラに、その関連付けられた一次コイルを無効化させることを含み得る。
【0013】
いくつかの実装形態では、無線送電装置および方法が、隣接するまたは重なる一次コイルに関連付けられた他のローカルコントローラからの1つまたは複数のステータス信号を結合させ、結合されたステータス信号を無効化入力に提示する1つまたは複数の論理回路を含み得る。
【0014】
いくつかの実装形態では、1つまたは複数の論理回路は、論理「OR」ゲートを含み得る。
【0015】
いくつかの実装形態では、各ローカルコントローラは、隣接するまたは重なる一次コイルに関連する1つまたは複数の他のローカルコントローラにステータス信号を提示するように構成され、ステータス信号は、ローカルコントローラが無線電力を伝送しているときに、1つまたは複数の他のローカルコントローラに、それらの関連する一次コイルを無効にさせ得る。
【0016】
いくつかの実装形態では、各ステータス信号は、各ローカルコントローラがその関連する一次コイルを介して無線電力を送信しているか否かを示すブール値を表す。
【0017】
いくつかの実装形態では、各ステータス信号は浮動小数点の値であり、各浮動小数点の値は関連する一次コイルの無線送電に関する異なる情報を示す。
【0018】
いくつかの実装形態では、無線送電装置および方法は、複数の無線受電装置を配置することができる充電パッドであって、複数の一次コイルが、充電パッドの複数の層に分布される重なるパターンで配置されている、充電パッドを含み得る。
【0019】
いくつかの実装形態では、第1の無線受電装置は可動デバイスであり、無線送電装置は、可動デバイスが動いている間に可動デバイスに電力を伝送するための表面を含む。
【0020】
記載された技術の実装形態は、ハードウェア、方法もしくはプロセス、またはコンピュータアクセス可能媒体上のコンピュータソフトウェアを含み得る。
【0021】
本開示に記載された主題の1つまたは複数の実装形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。他の特徴、態様、および利点は、説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。以下の図の相対的な寸法は、縮尺通りに描かれていない場合があることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】例示的な無線電力システムに関連する構成要素の概要を示す。
【
図2】重なるパターンで配置された複数層の一次コイルを有する例示的な無線送電装置を示す。
【
図3】各一次コイルに関連付けられ得る例示的な送信機回路を示す。
【
図4】隣接する一次コイルミューティングを伴う例示的な無線送電装置を示す。
【
図5】ステータス信号結合器を使用して隣接する一次コイルをミュートする例を示す。
【
図6】複数のローカルコントローラからのステータス信号に基づく無効化入力の例を示す。
【
図7】ローカルコントローラをミュートまたは無効にできる方法のさらなる例を示す。
【
図8】無線送電のための例示的なプロセスを説明するフローチャートを示す。
【
図9】ローカルコントローラが複数の一次コイルを管理し、他のローカルコントローラとローカルに調整する例示的な無線電力システムを示す。
【
図10】無線電力システムで使用するための例示的な電子デバイスのブロック図である。 様々な図面における同様の参照番号および符号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下の説明は、本開示の革新的な態様を説明する目的のための特定の実施態様を対象とする。しかし、当業者は、本明細書の教示が多数の異なる方法で適用され得ることを容易に認識するであろう。記載された実施態様は、無線電力を送信または受信するための任意の手段、装置、システムまたは方法で実施することができる。
【0024】
従来の無線電力システムは、無線送電装置と無線受電装置とを含んでもよい。無線送電装置は、無線エネルギーを(無線電力信号として)無線受電装置内の対応する二次コイルに伝送する一次コイルを含み得る。一次コイルは、無線送電装置における無線エネルギー(誘導または磁気共鳴エネルギーなど)の供給源を指す。無線受電装置の二次コイルは、無線エネルギーを受け取る。無線送電は、一次コイルおよび二次コイルが近接して配置されている場合により効率的である。逆に、一次コイルおよび二次コイルが位置ずれしている場合、効率が低下する(または送電が停止する)可能性がある。従来の無線送電装置は、無線送電装置に対して無線受電装置がどれだけ近接して配置されているかに基づいて、無線エネルギーの伝送を有効または無効にするコントローラを含むことがある。例えば、無線エネルギーの伝送は、送信コイルと受信コイルとの間の位置合わせの程度に依存し得る。本開示では、位置合わせは、無線受電装置の二次コイルと無線送電装置の一次コイルとの間の空間的関係を指すことがある。
【0025】
位置ずれの懸念に対処し、より多大な位置決めの柔軟性をもたらすために、いくつかの無線送電装置は、複数の一次コイルを含み得る。例えば、無線送電装置の充電面は、一次コイルの配置を有し得る。一次コイルは、重なり合って、または重なり合わない配置で構成され得る。一次コイルの配置(重なるまたは重ならない)は、デッドゾーンを最小化、低減、または排除するように設計することができる。充電面上の無線受電装置の向きおよび位置に応じて、異なる一次コイルを作動させて、無線受電装置の対応する二次コイルに電力を供給することができる。したがって、無線送電装置は、充電面に対する無線受電装置の位置または向きに関係なく無線受電装置を充電することができるように位置の自由度の支えとなることができる。さらに、複数の無線受電装置は、無線送電装置の異なる一次コイルを使用して同時に充電され得る。しかし、無線送電装置が複数の一次コイルを有する場合、未使用の一次コイルが、無線電力を無線受電装置に供給している近くの一次コイルへの望ましくない電磁干渉(EMI)を引き起こす可能性がある。
【0026】
本開示の様々な実施態様は、一般に、無線送電装置における複数の一次コイルの使用に関する。いくつかの実装形態は、より具体的には、異なる一次コイルを作動させるための複数のローカルコントローラを有する無線送電装置(充電パッドまたは充電表面など)に関する。本開示によれば、無線送電装置は、異なる一次コイルを管理する複数のローカルコントローラを有することができる。したがって、一次コイルは、独立して無線電力を伝送することができる。本開示の実施態様によれば、1つの一次コイルが無線電力を伝送しているとき、そのローカルコントローラは、隣接するまたは重なるコイルからの望ましくない干渉を緩和するために、隣接するまたは重なるコイルを無効にすることができる。本開示における技術は、隣接するまたは重なる一次コイルに関連付けられた他のローカルコントローラからステータス信号を送信または受信することができるローカルコントローラによって使用され得る。
【0027】
無線送電装置は、各一次コイルが独立して通電され得るように、各一次コイルに対して別個の回路を有し得る。例えば、各一次コイルは、異なるローカルコントローラ、ドライバ、電圧レギュレータなどに関連付けられてもよい。ローカルコントローラは、通信機能、制御機能、ドライバ、または他の電力信号生成処理回路を含み得る。いくつかの実装形態では、ローカルコントローラ(一次コイルのうちの1つに接続されている場合)は、Wireless Power Consortiumによって提供されるQi(登録商標)の仕様などの標準化された無線電力仕様に従って無線送電を実装することができる。例えば、無線送電装置は、複数の一次コイルを含み得、各一次コイルは、Qi仕様に準拠するようにローカルコントローラに接続することができる。各ローカルコントローラは、その関連する一次コイルに無線電力を送信させるかどうかを決定することができる。例えば、ローカルコントローラは、一次コイル(および直列コンデンサ)に関連する1つまたは複数のスイッチを周期的に作動させて、一次コイルを励磁(または短時間励磁)することができる。ローカルコントローラは、無線受電装置が一次コイルの近くに配置されているかどうかを判定するためにコイル電流感知プロセスを実行することができる。ping動作に応答して無線受電装置から通信を受信するローカルコントローラは、無線受電装置がその一次コイルに近接していると判定することができる。ローカルコントローラは、その一次コイルに無線エネルギーを無線受電装置の二次コイルに供給させることができる。無線受電装置が検出された場合、ローカルコントローラは、一次コイルに無線電力を伝送させるために、一次コイルに関連付けられた1つまたは複数のスイッチを作動させることができる。
【0028】
しかし、特に無効にされない限り、近くの一次コイルに関連付けられた他のローカルコントローラは、第2の無線受電装置の存在を求めてpingを続けることができる。これは、望ましくない干渉またはEMIを引き起こす可能性があり、これは干渉し、したがって既に作動している一次コイルによる無線送電の速度を低下させる。したがって、本開示の実施形態によれば、ローカルコントローラがその関連する一次コイルを起動したとき、ローカルコントローラは、ステータス信号を他のローカルコントローラに送信して、隣接するまたは重なるコイルが起動するのを無効にすることができる。例えば、ステータス信号は、1つまたは複数の他のローカルコントローラの無効化入力に送信されて、隣接するまたは重なるコイルが隣接するまたは重なるコイルをpingまたは他の様態で起動しようとするのを防止することができる。いくつかの実装形態では、第1のローカルコントローラは、第1のローカルコントローラに関連付けられた一次コイルと干渉する隣接していないコイルに関連付けられた他のローカルコントローラに、ステータス信号を送信することができる。簡潔にするために、この説明は、最も高い外乱または干渉をもたらし得る隣接するまたは重なるコイルに基づいている。しかし、これらの技術は、現在電力を供給している一次コイルに対する干渉を引き起こす可能性がある、隣接していない、または重なっていないコイルを無効にするために使用され得る。
【0029】
いくつかの実装形態では、無線送電装置は、無線受電装置の位置または向きに関係なく無線受電装置が充電され得るように位置の自由度の支えとなることができる。例えば、一次コイルは、無線受電装置と位置合わせされているかどうかに基づいて、独立して作動または停止され得る。いくつかの実装形態では、無線送電装置は、隣接しないまたは重ならない異なる一次コイルを使用して複数の無線受電装置を同時に充電する補助ができる。各一次コイルは、一次コイルに近接する無線受電装置の検出に基づいて独立して作動または停止することができる。また、無線受電装置の向きに制限を設けなくてもよい。無線送電装置(ローカルコントローラを使用する)は、無線受電装置の位置に基づいて、無線受電装置に無線電力を供給するのに最も適したいずれかの一次コイルを作動させることができる。
【0030】
いくつかの実装形態では、一次コイルは、隣接するまたは重なるコイルに基づいて、一次コイルのグループに論理的に編成することができる。一次コイルは、無線送電装置の他の一次コイルとの隣接関係に基づいて、複数のグループに属することができる。一次コイルのグループは、本開示のいくつかの態様ではゾーンと呼ばれることがある。無線送電装置の各ゾーンは、複数のローカルコントローラからのステータス信号を結合し、ローカルコントローラがその関連する一次コイルを無効にするように、ゾーン内のローカルコントローラに、結合されたステータス信号を発することができるゾーン回路を有することができる。例えば、ローカルコントローラがping動作に応答して無線受電装置から通信を受信すると、ローカルコントローラは、ゾーン内に一次コイルを有する他のローカルコントローラにステータス信号を送信することができる。ゾーンの第1の一次コイルが無線受電装置に電力を供給している間、他の一次コイルは無効のままである。したがって、いくつかの実装形態では、ステータス信号は、隣接する一次コイル(第1の一次コイルの近く)がエネルギーまたはpingを伝送するのを防止するために、隣接する一次コイルを無効にするか切断する(「ミュート」とも呼ばれる)ことができる。隣接する一次コイルをミュートすることは、隣接する一次コイルに関連付けられたローカルコントローラを無効にすることによって実行され得る。
【0031】
いくつかの実装形態では、各ローカルコントローラは、隣接するまたは重なる一次コイルに関連付けられた他のローカルコントローラから1つまたは複数のステータス信号を受信する無効化入力を有することができる。無効化入力は、隣接するまたは重なる一次コイルに関連付けられた他のローカルコントローラのいずれかが無線電力を伝送しているときに、ローカルコントローラにその関連する一次コイルを無効化させることができる。例えば、論理回路(論理ORゲートなど)は、隣接するまたは重なる一次コイルに関連付けられた他のローカルコントローラからのステータス信号を結合させることができる。結合されたステータス信号は、隣接するまたは重なるコイルのうちの1つが起動されたときにそのローカルコントローラがその一次コイルを起動するのを防止するために、ローカルコントローラの無効化入力に関連付けられ得る。いくつかの実装形態では、論理回路は、ローカルコントローラに組み込まれてもよく、またはローカルコントローラ間の別個の構成要素であり得る。
【0032】
本開示に記載された主題の特定の実装形態は、以下の潜在的な利点のうちの1つまたは複数を実現するために実装することができる。いくつかの実装形態では、記載された技術を使用して、様々な位置または向きで1つまたは複数の無線受電装置の充電を可能にすることができる。無線送電装置の効率は、各一次コイルの充電状態に基づいて、重なるまたは隣接するコイルをミュートまたは無効にすることによって改善することができる。隣接する一次コイルをミュートできることは、無線受電装置に電力を供給する効率、速度、および信頼性を向上させることができる。例えば、隣接する一次コイルをミュートすることは、そうでなければ無線受電装置を充電するために使用される充電時間に影響を与えるであろう外乱を防止することができる。
【0033】
図1は、複数の無線受電装置を充電することができる無線送電装置を含む例示的な無線電力システムを示す。無線電力システム100は、複数の一次コイル120(一次コイル121、122、123などとして示されている)を有する無線送電装置110を含む。一次コイル120の各々は、電力信号発生器およびローカルコントローラに関連付けられてもよい。例えば、第1の一次コイル121は、電力信号発生器141に関連付けられ、第1のローカルコントローラ131によって管理され得る。同様に、第2の一次コイル122は第2のローカルコントローラ132によって管理されてもよく、第3の一次コイル123は第3のローカルコントローラ133によって管理されてもよく、以下同様である。各一次コイルは、無線電力信号(無線エネルギーとも呼ばれ得る)を送信するワイヤコイルであり得る。一次コイルは、誘導または磁気共鳴場を使用して無線エネルギーを伝送することができる。電力信号発生器は、無線電力信号を準備するための構成要素(図示せず)を含み得る。例えば、電力信号発生器は、1つまたは複数のスイッチ、ドライバ、直列コンデンサ、または他の構成要素を含み得る。いくつかの実装形態では、電力信号発生器、ローカルコントローラ、および他の構成要素(図示せず)は、まとめて送信機回路130と呼ばれることがある。いくつかの実装形態では、送信機回路130の一部またはすべては、別個の一次コイルの独立したまたは分散した制御のために本開示の特徴を実装する集積回路(IC)として具現化される。マイクロコントローラ、専用プロセッサ、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)などを含む、ローカルコントローラを実装する様々な方法があり得る。いくつかの実装形態では、集積回路(IC)は、1つまたは複数のローカルコントローラの特徴を実装することができる。無線送電装置110は、無線送電装置110内の各送信機回路に電力を供給するように構成された電源180を含み得る。電源180は、交流(AC)を直流(DC)に変換することができる。
【0034】
ローカルコントローラは、無線受電装置が存在または近接していることを検出するように構成され得る。例えば、ローカルコントローラは、それらの関連する一次コイルに検出信号を周期的に送信させ、一次コイルの近くの物体を示すコイル電流または負荷の変化を測定させることができる。ローカルコントローラは、無線受電装置がその関連する一次コイルに近接して配置されるときを決定するように構成され得る。例えば、第1のローカルコントローラは、関連する一次コイルに検出信号を周期的に送信させ、一次コイルの近くの物体を示すコイル電流または負荷の変化を測定させることができる。いくつかの実装形態では、ローカルコントローラは、ping、無線通信、負荷の変調などを検出することができる。
【0035】
図1の例では、第1の無線受電装置210は、第1の一次コイル121で検出され得る。第1の無線受電装置210は、二次コイル220を含む。無線受電装置は、携帯電話、コンピュータ、ラップトップ、周辺機器、ガジェット、ロボット、車両などを含む、無線電力を受け取ることができる任意のタイプのデバイスであり得る。無線受電装置(例えば、第1の無線受電装置210)が第1の一次コイル121近傍の無線送電装置110に設置されている場合、第1のローカルコントローラ131は、その存在を検出し得る。例えば、検出段階中、第1の一次コイル121は検出信号(pingとも呼ばれ得る)を送信し得る。第1の一次コイル121におけるコイル電流は、コイル電流が第1の一次コイル121の電磁場内の物体を示す閾値を超えたかどうかを判定するために測定され得る。物体が検出された場合、第1のローカルコントローラ131は、第1の無線受電装置210からのハンドシェイク信号(識別信号、セットアップ信号など)を待って、物体が無線受電装置か異物かを判定し得る。ハンドシェイク信号は、一連の負荷の変化(負荷の変調など)を使用して第1の無線受電装置210によって通信され得る。負荷の変化は、コイル電圧または電流感知回路によって検出可能であり、第1のローカルコントローラ131によって解釈され得る。第1のローカルコントローラ131は、負荷の変動を解釈して第1の無線受電装置210からの通信を復旧し得る。通信は、充電レベル、要求電圧、受信電力、受信機電力能力、無線充電規格の補助などの情報を含み得る。
【0036】
第1の無線受電装置210は、二次コイル220と、整流器230と、受信(RX)コントローラ240と、オプションのバッテリモジュール250とを含んでもよい。いくつかの実装形態では、バッテリモジュール250は、一体型充電器(図示せず)を有することができる。二次コイル220は、第1の一次コイル121から受信した無線電力信号に基づいて誘起電圧を生成し得る。コンデンサ(図示せず)は、二次コイル220と整流器230との間に直列にあり得る。整流器230は、誘起電圧を整流し、整流電圧をバッテリモジュール250に供給することができる。バッテリモジュール250は、無線受電装置210内にあり得るし、または電気的インターフェースによって結合された外部デバイスであり得る。バッテリモジュール250は、充電器ステージと、温度検出回路等の保護回路と、過電圧および過電流保護回路とを備えていてもよい。あるいは、受信コントローラ240は、バッテリモジュール250の充電状態に関する情報を収集して処理するためのバッテリ充電管理モジュールを含んでもよい。いくつかの実装形態では、受信コントローラ240は、二次コイル220を介して負荷の変調を使用して第1のローカルコントローラ131と通信するように構成され得る。
【0037】
図1の例では、第1の無線受電装置210が第1の一次コイル121で検出されるため、第1のローカルコントローラ131は、第1の一次コイル121を作動させて、第1の無線受電装置210に無線電力を伝送することができる。第1のローカルコントローラ131は、隣接するまたは重なる一次コイル(第2の一次コイル122など)に関連付けられた他のローカルコントローラ(第2のローカルコントローラ132を含む)にステータス信号161を送信し得る。ステータス信号161は、第1のローカルコントローラ131がその関連する第1の一次コイル121を起動したか否かを示すためのローカルブーリアン(bolean)値(「1」または「0」など)であり得る。いくつかの実装形態では、ステータス信号161は、充電状態、品質メトリック、効率などの追加情報を伝達することができる浮動小数点値または通信信号であり得る。ステータス信号161は、第1の一次コイル121が無線電力を伝送している間、近くの一次コイルに関連付けられたローカルコントローラにそれらの一次コイルを無効にさせることができる。したがって、近くの一次コイル(第2の一次コイル122を含む)は無効のままであり、pingや干渉の発生もない。
【0038】
図1の無線電力システム100は、第3の一次コイル123の近くにある第2の無線受電装置260を含む。上記のように、第3のローカルコントローラ133は、他の送信機回路とは別に第3の一次コイル123を制御し得る。したがって、第3のローカルコントローラ133は、第3の一次コイル123に第2の無線受電装置260へ無線電力を伝送させ、第1のローカルコントローラ131は、第1の一次コイル121に第1の無線受電装置210へ無線電力を伝送させてもよい。さらに、第1のローカルコントローラ131および第3のローカルコントローラ133は、それぞれの一次コイルにおける無線充電に関連するパラメータを管理し得る。例えば、電圧レベル、送電の周波数および電圧、電力レベル、または他のパラメータは、無線受電装置の種類またはそれらのそれぞれのバッテリの充電レベルに基づいて、第1の一次コイル121および第3の一次コイル123のそれぞれについて異なり得る。
【0039】
第3のローカルコントローラ133は、隣接するまたは重なる一次コイルに関連付けられたローカルコントローラにステータス信号163を送信し得る。
図1の例では、第2のローカルコントローラ132は、第1のローカルコントローラ131および第3のローカルコントローラ133の両方からステータス信号161および163を受信し得る。したがって、第1の一次コイル121または第3の一次コイル123のいずれか(両方とも第2の一次コイル122の近くにある)が無線電力を供給している場合、第2のローカルコントローラ132は、それらの一次コイル121および123への干渉を防止するために第2の一次コイル122を無効にし得る。
【0040】
図2は、重なるパターンで配置された複数層の一次コイルを有する例示的な無線送電装置を示す。例示的な無線送電装置200は、2つの重なる層に配置された18個の一次コイルを含む。しかし、一次コイルの数および配置は例として提供される。他の数の一次コイル、層の数、または配置が可能であり得る。
【0041】
底部151から始まって、第1のローカルコントローラ131、第2のローカルコントローラ132および第3のローカルコントローラ133を含むいくつかのローカルコントローラ135が示されている。ローカルコントローラは、必ずしもそれらの関連する一次コイルの直下に配置される必要はない。しかし、説明を容易にするために、それらは、第1の層152および第2の層153に配置されたそれらの対応する一次コイルと同じ構成で示されている。例えば、第1の一次コイル121は、いくつかの他の一次コイルと共に第1の層152上に示されている。第2の一次コイル122は、他の一次コイルと共に第2の層153上に示されている。結合時のビュー154は、各コイルの中心にある対応するローカルコントローラと重なるコイルを示す。ここでも、この描写は説明を容易にするために設けられている。いくつかの実装形態では、コイルおよびオーバーラップの量は、充電面155にデッドゾーンがほとんどまたはまったくないものであり得る。無線送電装置200に加えて、
図2は、充電面155上に配置された第1の無線受電装置210および第2の無線受電装置260を示す。第1の無線受電装置210は、当該の送信機回路上のその位置に基づいて、第1の一次コイル121から無線電力をラッチして受け取ることができる。同様に、第2の無線受電装置260は、第3の一次コイル123から無線電力をラッチして受け取れる。
【0042】
様々な任意選択の特徴が無線送電装置の設計に組み込まれてもよい。例えば、いくつかの実装形態では、無線送電装置の一部にフェライト材料を使用して、デッドゾーンのない(または少ない)磁場を維持することができる。フェライト材料は、電磁場を均一に分布させるために使用され得る。いくつかの実装形態では、コイルの形状、重なりの量、および材料が、効率を改善する、デッドゾーンを減らす、またはその両方のために選択され得る。
【0043】
充電パッドとして説明したが、無線送電装置の構造は異なっていてもよい。例えば、無線送電装置は、車両、家具、壁の一部、または床などに配置され得る。いくつかの実装形態では、無線送電装置は、テーブルトップ、コーヒーテーブル、机、カウンタなどの一部として統合され得る。
【0044】
図3は、各一次コイルに関連付けられ得る例示的な送信機回路を示す。上述のように、いくつかの実装形態では、送信機回路130は集積回路として具現化され得る。あるいは、送信機回路130の構成要素の一部または全部は、プリント回路基板上の別個の電気部品として実装され得る。
図3では、送信機回路130への可能な接続を参照するために、電源180および第1の一次コイル121が示されている。いくつかの実装形態では、電源180、送信機回路130、および第1の一次コイル121の間の接続は、プリント回路基板を使用して達成され得る。
【0045】
図3の例示的な送信機回路130は、本開示と共に使用することができる多数の設計のうちの1つである。
図3の設計では、第1のローカルコントローラ131は、電源180に電気的に結合されたDC入力線350を使用してDC電力を受け取る。DC電力は、特定の電圧(5Vまたは12Vなど)であり得る。あるいは、ローカルコントローラは、ローカルコントローラ内のサブモジュールの電圧の要件に応じるための電力調整ステージを含み得る。同じDC電圧は、スイッチ330などのいくつかのスイッチに電気的に結合され得る。スイッチ330は、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)などの半導体スイッチを含み得る。あるいは、スイッチ330は、機械式スイッチを含んでもよい。
図3の例では、各スイッチはダイオード320と対になっていてもよい。他の構成要素(ドライバなど)は、図には示されていないが、経路に含まれてもよい。
【0046】
また、第1のローカルコントローラ131は、ブリッジの2つの脚の中心点を跨いで電源180をDC出力からAC出力に変換するようにデバイスを切り替えてもよい。コイル電圧VACは、リンク340を用いてローカルコントローラに供給される。スイッチは、コンデンサと一次コイルの対へ印加される電圧を制御するために使用することができる。例えば、第1のローカルコントローラ131は、各スイッチの脚のデューティ比、スイッチの脚の間の印加された電圧の位相角、印加された電圧の周波数、またはこれらの組合せを変更し得る。第1のローカルコントローラ131、スイッチ、ドライバ、ダイオードなどは、電力信号発生器141と称され得る。いくつかの実装形態では、ドライバは、第1のローカルコントローラ131に組み込まれてもよい。また、第1のローカルコントローラ131は、各スイッチへの出力(1、2、3、4のマークをつけている)を用いて電力信号発生器141を制御し得る。第1のローカルコントローラ131およびスイッチは、回路を完成させるために接地線360に電気的に結合され得る。コンデンサおよび一次コイルは共振回路を形成する。
【0047】
いくつかの実装形態では、送信機回路130は、本開示ではローカルセンサ310と呼ばれるコイル電流感知回路を含み得る。送信機回路130は、第1の一次コイル121の負荷の変化を検出可能であり得る。ローカルセンサ310は、第1の一次コイル121と直列に接続された電流センサであり得る。第1のローカルコントローラ131は、ローカルセンサ310が計測した負荷の変化に基づいて、物体の有無を判定し得る。ローカルコントローラは、負荷の変化を判定するために、感知電流、感知電圧VAC340、またはそれらの組合せを使用することができる。また、通信ユニット(図示せず)が存在し得るし、第1のローカルコントローラ131に組み込まれてもよい。通信ユニットは、負荷変調データを復号するために、ローカルセンサ310および/またはVAC340によって測定された負荷の変化を監視することができる。通信ユニットは、無線受電装置によって報告された識別情報(ID)、充電状態情報、電圧制御情報、または他の情報を受信することができる。
【0048】
第1のローカルコントローラ131は、1つ以上の他のローカルコントローラ370にステータス信号341を送信するように構成されている。ステータス信号341は、異なる実施態様では単純であってもよいしまたは複雑でもあり得る。例えば、一実施態様では、ステータス信号341は、第1のローカルコントローラ131が現在第1の一次コイル121を介して無線電力を伝送している場合、第1のブール値「オン」(または「1」、「5V」など)を表し、第1のローカルコントローラ131が現在第1の一次コイル121を介して無線電力を伝送していない場合、第2のブール値「オフ」(または「0」、「0V」など)であり得る。あるいは、ステータス信号341の電圧は異なる値を示してもよく、またはステータス信号341は変調された通信信号を含んでもよい。第1のローカルコントローラ131は、他のローカルコントローラからのステータス信号を受信するように構成されている。例えば、着信ステータス信号は、第1のローカルコントローラ131の無効化入力351によって受信され得る。無効化入力351が、他のローカルコントローラ370のうちの1つまたは複数が起動されていることを示す場合、第1のローカルコントローラ131は、第1の一次コイル121を無効化し得る。
【0049】
図3に記載された送信機回路130は、無線送電装置に複製され得る。例えば、無線送電装置の一次コイルごとに異なる送信機回路があり得る。他の設計も可能である。例えば、第1のローカルコントローラ131は、複数の一次コイルを制御し得る。あるいは、ICは、異なる一次コイルを独立して制御するための複数の送信機回路を含み得る。一次コイルは、それらの対応するローカルコントローラによって独立して制御され得るので、ゾーンレスの自由位置充電パッドの設計を単純化することが可能である。例えば、各一次コイルは、無線受電装置を検出可能な別々の送信機回路によって駆動制御される。無線受電装置が存在し、隣接するまたは重なる一次コイルが起動されることを示す無効化入力を有さないそれらの一次コイルのみが充電のために通電される。この設計は、充電パッド上の無線受電装置の位置を検出するための追加の位置センサまたは配向センサの必要性を排除または低減することができる。無線受電装置が存在しない一次コイルを非活性化することにより、EMIを低減することができる。さらに、無線受電装置は、異なる向き(異なる一次コイルによって補助される)を有し得る。
【0050】
図4は、隣接する一次コイルミューティングを伴う例示的な無線送電装置を示す。
図4の充電面400は、複数のローカルコントローラ(401から413番)によって管理される13個の一次コイル(1から13番)の配置を示す。第1のローカルコントローラ401は、第1の一次コイル1に関連付けられ、第2のローカルコントローラ402は、第2の一次コイル2に関連付けられ、以下同様である。
図4の図解は、コイルを重なり合わないものとして示しているが、いくつかの実施態様では、コイルは部分的に重なり合っていてもよい。
【0051】
ローカルコントローラは、重なるまたは隣接する一次コイルに関連する他のローカルコントローラに通信可能に結合される(図示せず)。
図4の例では、無線受電装置(図示せず)は、一次コイル6に近接していてもよい。一次コイル6に関連付けられたローカルコントローラ406は、一次コイル6による無線充電を起動し、ステータス信号を送信して、隣接する一次コイル1、2、5、7、10、および11を無効にすることができる。
図5および
図6は、ステータス信号がどのように通信され得るかをより詳細に提示する。いくつかの実装形態では、ステータス信号は、近くの一次コイルのための他のローカルコントローラの無効化入力に関連付けられた論理値であり得る。あるいは、ステータス信号は、近くの一次コイル1、2、5、7、10、および11の使用を無効にするか、そうでなければローカルコントローラ401、402、405、407、410、および411に無効にさせる、別の入力(故障状態、スタンバイ状態、または他の機構など)に接続され得る。
【0052】
どの一次コイルが有効にされるかに応じて、近傍にある(隣接または重なりとも呼ばれる)コイルが無効にされ得る。表1は、特定の一次コイルが無線電力を供給しているときに無効にされる
図4の一次コイル間の関係の例を示す。これらの一次コイルに関連するローカルコントローラは、起動された一次コイルのローカルコントローラが近傍にある一次コイルに関連するローカルコントローラを無効にすることができるように接続され得る。
【0053】
【0054】
本開示のいくつかの実施態様では、近傍にあるコイルの無効化は、監視コントローラまたはマスタコントローラを使用せずに達成することができる。むしろ、無効化は、(表1に記載されているような)近傍にある一次コイルとの関係に従ってローカルコントローラ間の接続を使用して達成され得る。例えば、ローカルコントローラ402は、近傍にある一次コイル1、6、7、または3のいずれかの起動を示すステータス信号を受信すると、一次コイル2を無効にすることができる。
図5および
図6は、複数の近傍にあるローカルコントローラからのステータス信号を結合するためのいくつかの技術を記載する。
【0055】
図5は、ステータス信号結合器を使用して隣接する一次コイルをミュートする例を示す。
図5は、
図4および表1の例に基づいている。一次コイル6のためのローカルコントローラ406が一次コイル6を介して無線電力を供給しているとき、ローカルコントローラ406は、ローカルコントローラ401、402、405、407、410および411の無効化入力501、502、505、507、510、および511においてそれぞれ受信され得るステータス信号606を送信し得る。表1を参照すると、(一次コイル6の)ローカルコントローラ406からのステータス信号606は、一次コイル1、2、5、7、10、および11(図示せず)に関連付けられたローカルコントローラ401、402、405、407、410、および411に送信される。
図5の例では、ステータス信号606は、近傍にあるローカルコントローラの無効化入力で受信される第1のブール値(「オン」など)であってもよい。ローカルコントローラ401、402、405、407、410および411は、第一のブール値を検出すると、それらの一次コイルの使用を無効にするように構成される。したがって、近傍にある一次コイルは、別様に一次コイル6に生じる干渉を緩和するためにミュートまたは無効にされる。
【0056】
いくつかの実装形態では、ステータス信号結合器550は、近傍にある(隣接するまたは重なる)一次コイルに関連する複数のローカルコントローラからのステータス信号を結合することができる。例えば、ローカルコントローラ401(一次コイル1)は、近傍にあるコイル2、5、または6が起動されると無効になる。
図4の例を参照すると、表2は、どのステータス信号が一次コイルを無効にするかの関係を示している。(表2は表1と同様であり、近傍にあるコイルを無効にするための関係を示すために単純に繰り返されている)
【0057】
【0058】
ステータス信号結合器550は、ローカルコントローラ402および405(図示せず)からのステータス信号と、ローカルコントローラ406からのステータス信号とを結合して、ローカルコントローラ401の無効化入力501のための結合されたステータス信号を準備することができる。いくつかの実装形態では、ステータス信号結合器550は、論理回路であり得、例えば近傍にあるローカルコントローラからのステータス信号のいずれかが、それらがアクティブ化されていることを示すときに、第1のブール値(「オン」)を提示する論理「OR」ゲートであり得る。
【0059】
図6は、複数のローカルコントローラからのステータス信号に基づく無効化入力の例を示す。ステータス信号結合器650は、一次コイル6に関連付けられたローカルコントローラ406の無効化入力506に、結合されたステータス信号を提示するように構成され得る。ステータス信号601、602、605、607、610または611(近傍にあるローカルコントローラ401、402、405、407、410、411各々から)のいずれかが、これらの近傍にあるローカルコントローラのうちの1つが無線電力を供給していることを示す場合、ステータス信号結合器650は、ローカルコントローラ406を無効にする結合されたステータス信号を生成する。
図5に記載されるように、ステータス信号結合器650は、ステータス信号601、602、605、607、610または611のいずれかが第1のブール値を有する場合に第1のブール値(「オン」など)を提供する論理回路(論理「OR」ゲートなど)であってもよい。
【0060】
図7は、ローカルコントローラをミュートまたは無効にする方法のさらなる例を示す。
図7は、一次コイル6が励磁されていることをローカルコントローラ406が示しているシナリオに基づいている。簡潔にするために、
図7の図解には、一次コイル1および6各々のローカルコントローラ401および406のみが示されている。ステータス信号結合器550は、ローカルコントローラ406および他のローカルコントローラ(図示せず)からステータス信号を取得することができる。前述したように、ステータス信号結合器550からの結合されたステータス信号は、ローカルコントローラ401に一次コイル1を無効にさせるために、ローカルコントローラ401の無効化入力に伴い使用されてもよい。本開示における多くの例は、各ローカルコントローラにおける離散入力(「無効化入力」)に基づいているが、近隣のローカルコントローラからのステータス信号が近傍にあるローカルコントローラを無効にすることができる他の方法もあり得る。
図7は、別個にまたは様々な組合せで使用することができるいくつかの他の例を含む。
【0061】
一例では、ステータス信号は、近傍にあるローカルコントローラ401をスタンバイモードにするために使用され得る。例えば、近傍にあるローカルコントローラのスタンバイ入力または他の離散入力は、近傍にあるローカルコントローラに、電圧または電流の設定をスタンバイまたは無効のステータスに設定させることができる。いくつかの実装形態では、スタンバイ入力(スタンバイまたはシャットダウンピンとも呼ばれ得る)は、近傍にあるローカルコントローラにスタンバイモードに入らせることができる。
【0062】
別の例では、ローカルコントローラ406は、ローカルコントローラ401の故障モードを誘発することが可能である。例えば、(ステータス信号およびステータス信号結合器550を介して)ローカルコントローラ406は、ローカルコントローラ401によって検出される電圧または電流の変化を引き起こすことができる。コントローラ401における故障モードは、他の例の中でも、過電圧、過電流、過温度に関連付けられ得る。故障モードを引き起こすことによって、ローカルコントローラ406は、ローカルコントローラ401が一次コイル1を無効にする準備状態または故障状態に、このローカルコントローラを強いることができる。いくつかの実装形態では、故障モードが正常状態に戻ると、ローカルコントローラ401が一次コイル1を再び調整または制御し始めることができるため、故障モードまたは準備モードは、一次コイル1を一時的にのみ無効にすることができる。
【0063】
別の例では、ローカルコントローラ406(ステータス信号およびステータス信号結合器550などを介して)は、一次コイル1に接続されたタンク回路または一次コイルスイッチを開かせることができる。例えば、ステータス信号(または結合させたステータス信号)は、近傍にある一次コイル1のタンク回路を物理的に開くことができる。
【0064】
本開示の範囲内で他の例も可能であり得る。(その関連するローカルコントローラまたはタンクスイッチを介して)隣接する一次コイルを無効にする手段に関係なく、手段は、各ローカルコントローラが、そのローカルコントローラの一次コイルが無線送電のために起動されたときに、近傍にある(隣接するまたは重なる)一次コイルを無効にすることを可能にする。
【0065】
図8は、無線送電のための例示的なプロセスを説明するフローチャートを示す。フローチャート800はブロック810で始まる。ブロック810において、無線送電装置は、複数の一次コイルを管理することができる。複数の一次コイルは、独立して無線電力を伝送することができる。複数の一次コイルは、互いに隣接するまたは重なる第1の一次コイルおよび第2の一次コイルを少なくとも含んでもよい。複数の一次コイルは、第1の一次コイルおよび第2の一次コイルをそれぞれ制御するための少なくとも第1のローカルコントローラおよび第2のローカルコントローラを含む、対応する複数のローカルコントローラによって管理され得る。ブロック820において、無線送電装置は、第1の無線受電装置が第1の一次コイルに近接していると判定することができる。例えば、第1のローカルコントローラは、第1の無線受電装置からのpingを検出し、第1の一次コイルを無線受電装置の二次コイルにラッチすることができる。
【0066】
第1の無線受電装置が第1の一次コイルに近接しているという判定に応じて、ブロック830において、第1のローカルコントローラは、第1の一次コイルに無線電力を伝送させてもよい。ブロック840において、第1のローカルコントローラは第2のローカルコントローラへ第1のステータス信号を送信し得る。第1のステータス信号は、第2のローカルコントローラに、第1の一次コイルに隣接するまたは重なる第2の一次コイルを無効にさせることができる。
【0067】
図9は、ローカルコントローラが複数の一次コイルを管理し、他のローカルコントローラとローカルに調整する例示的な無線電力システムを示す。本開示の例は、各ローカルコントローラによって制御される1つの一次コイルを含む。しかし、他の例は、2つ以上の一次コイルを制御することができるローカルコントローラを含み得る。例えば、無線電力システム900は、いくつかのローカルコントローラ(第1のローカルコントローラ131および第2のローカルコントローラ132など)が複数の一次コイルを管理することができる無線送電装置110を含む。第1のローカルコントローラ131は、一次コイル921A、921B、および921Cを管理し得る。第2のローカルコントローラ132は、一次コイル922Aおよび922Bを管理し得る。第3のローカルコントローラ133は一次コイル923を管理し得る。いくつかの実装形態では、ローカルコントローラ毎の一次コイルの数は、同じであっても異なっていてもよい(
図9に示すように)。いくつかの実装形態では、一次コイルは、リレー(図示せず)を利用してそれぞれのローカルコントローラに結合され得る。いくつかの他の実装形態では、ローカルコントローラは、(
図9に示すように)複数の一次コイルおよび電力信号発生器を管理するように構成され得る。いくつかの実装形態では、ローカルコントローラに結合された単一の発電機が存在することができ、複数のコイル921A、921B、および921Cは、リレー(図示せず)を使用して電力信号発生器に結合することができる。
【0068】
図1の例と同様に、ローカルコントローラ131、132および133は、隣接するまたは重なる一次コイルを管理する他のローカルコントローラと調整することができる。例えば、第1のローカルコントローラ131は、第1の無線受電装置210が一次コイル921Aにラッチされている場合、第2のローカルコントローラ132と連携して一次コイル922Aを無効にし得る。例えば、第1のローカルコントローラ131は、第2のローカルコントローラ132にステータス信号961を送信して、第2のローカルコントローラ922Aに一次コイル922Aに対するpingを控えさせてもよい。しかし、いくつかの実装形態では、第2のローカルコントローラ132は、一次コイル922Bをpingし続けることができる。
【0069】
第2の無線受電装置220が第3のローカルコントローラ133の一次コイル923にラッチすると、第3のローカルコントローラ133は第2のローカルコントローラ132にステータス信号962を送ることができる。ステータス信号962は、第2のローカルコントローラ132に、一次コイル923に隣接する一次コイル922Bを使用したpingを控えさせることができる。
【0070】
図10は、無線電力システムで使用するための例示的な電子デバイスのブロック図である。いくつかの実装形態では、電子デバイス1000は、無線送電装置(無線送電装置110など)で使用することができる。電子デバイス1000は、ローカルコントローラ(例えば、本明細書に記載のローカルコントローラのいずれか)として使用するための集積回路または他の装置であり得る。電子デバイス1000は、プロセッサ1002(場合によっては、複数のプロセッサ、複数のコア、複数のノード、または実装マルチスレッディングなどを含む)を含むことができる。電子デバイス1000はまた、メモリ1006を含むことができる。メモリ1006は、システムメモリ、または本明細書に記載のコンピュータ可読媒体の可能な実現のいずれか1つまたは複数であり得る。電子デバイス1000はまた、バス1090(例えば、PCI、ISA、PCI-Express、HyperTransport(登録商標)、InfiniBand(登録商標)、NuBus(登録商標)、AHB、AXIなど)を含むことができる。
【0071】
電子デバイス1000は、ローカルコントローラであり得る。いくつかの実装形態では、ローカルコントローラ1062は、プロセッサ1002、メモリ1006、およびバス1090内に分布させることができる。電子デバイス1000は、本明細書で説明される動作の一部またはすべてを実行することができる。メモリ1006は、
図1~
図9に記載された実施態様の機能を実施するためにプロセッサ1002によって実行可能なコンピュータ命令を含むことができる。これらの機能のいずれか1つが、ハードウェアまたはプロセッサ1002に部分的に(または全体的に)実装され得る。例えば、機能は、特定用途向け集積回路、プロセッサ1002に実装されたロジック、周辺デバイスまたはカードのコプロセッサなどで実装され得る。さらに、
図10に示されていない、より少ないまたは追加の構成要素の実現を含んでもよい。プロセッサ1002、メモリ1006、およびローカルコントローラ1062は、バス1090に結合され得る。バス1090に結合されているものとして示されているが、メモリ1006はプロセッサ1002に結合され得る。
【0072】
いくつかの実装形態では、電子デバイス1000は、一次コイル1010に電力信号を供給するための電力信号発生器(例えば、ドライバ、他の電力信号発生器の構成要素、または他の手段)を含み得る。電子デバイス1000はまた、ステータス信号を別のローカルコントローラ(図示せず)に供給するためのステータス信号発生器1080を含み得る。ステータス信号発生器1080は、一次コイル1010が作動している(無線電力を供給している)か否かに関する指示を有するステータス信号を提示することができる。いくつかの実装形態では、ステータス信号は、ステータス信号結合器または別のローカルコントローラの無効化入力に送信することができるブール値(「オン」または「オフ」など)であり得る。
【0073】
電子デバイス1000はまた、無効化入力1085(または故障状態入力、スタンバイ入力、または他の同様に機能する入力)を含み得、無効化入力1085が、近傍にある一次コイル(図示せず)が起動されているという別のローカルコントローラ(図示せず)からの表示を受信した場合に、電力信号発生器1070または一次コイル1010を無効にすることができる。
【0074】
図1~
図10および本明細書に記載の動作は、例示的な実装形態の理解を助けることを意図した例であり、潜在的な実装形態を制限したり、特許請求の範囲を制限したりするために使用されるべきではない。いくつかの実装形態は、追加の動作、より少ない動作、並列または異なる順序での動作、およびいくつかの異なる動作を実行することができる。
【0075】
本明細書で使用される場合、「のうちの少なくとも1つ」または「のうちの1つ以上」という項目の列挙を指す語句は、単一の部材を含む、それらの項目の任意の組合せを指す。例えば、「a、b、またはcのうちの少なくとも1つ」は、aのみ、bのみ、cのみ、aとbの組合せ、aとcの組合せ、bとcの組合せ、およびaとbとcの組合せの可能性を網羅することを意図している。
【0076】
本明細書に開示された実施態様に関連して説明された様々な例示的な構成要素、論理、論理ブロック、モジュール、回路、動作およびアルゴリズムのプロセスは、本明細書に開示された構造およびその構造的均等物を含む、電子ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、またはハードウェア、ファームウェアもしくはソフトウェアの組合せとして実装され得る。ハードウェア、ファームウェア、およびソフトウェアの互換性は、機能に関して一般的に説明されており、上述の様々な例示的な構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびプロセスに示されている。そのような機能がハードウェア、ファームウェア、またはソフトウェアで実装されるかは、特定のアプリケーションおよびシステム全体に課される設計の制約に拠る。
【0077】
本明細書に開示された態様に関連して記載された様々な例示的な構成要素、論理、論理ブロック、モジュール、および回路を実装するために使用されるハードウェアおよびデータ処理装置は、汎用シングル・チップ・プロセッサまたはマルチ・チップ・プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)またはその他のプログラマブル論理デバイス(PLD)、ディスクリート・ゲートまたはトランジスタ・ロジック、ディスクリート・ハードウェア構成要素、または本明細書に記載された機能を実行するように設計されたこれら任意の組合せを用いて実装または実行され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサ、または任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンであり得る。プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組合せ、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと組み合わせた1つまたは複数のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として実装され得る。いくつかの実装形態では、特定のプロセス、動作、および方法は、所与の機能に固有の回路によって実行され得る。
【0078】
上述のように、いくつかの態様では、本明細書に記載の主題の実装形態は、ソフトウェアとして実装することができる。例えば、本明細書に開示された構成要素の様々な機能、または本明細書に開示された方法、動作、プロセスもしくはアルゴリズムの様々なブロックもしくはステップは、1つまたは複数のコンピュータプログラムの1つまたは複数のモジュールとして実装することができる。そのようなコンピュータプログラムは、本明細書に記載のデバイスの構成要素を含むデータ処理装置によって実行するために、またはその動作を制御するために、1つまたは複数の有形のプロセッサまたはコンピュータ可読記憶媒体に符号化された非一時的なプロセッサまたはコンピュータ実行可能命令を含むことができる。限定ではなく例として、そのような記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMもしくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置もしくは他の磁気記憶装置、または命令もしくはデータ構造の形態でプログラムコードを記憶するために使用することができる任意の他の媒体を含み得る。上記の組合せも記憶媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0079】
本開示に記載された実施態様に対する様々な変更は、当業者には容易に明らかであり得、本明細書で定義された一般的な原理は、本開示の範囲から逸脱することなく他の実施態様に適用され得る。したがって、特許請求の範囲は、本明細書に示される実施態様に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される本開示、原理、および新規な特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【0080】
さらに、別個の実施態様の文脈で本明細書に記載されている様々な特徴は、単一の実施態様において組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施態様の文脈で説明されている様々な特徴はまた、複数の実施態様において別々に、または任意の適切な部分的な組合せで実施することができる。このように、特徴は、特定の組合せで作用するものとして上述され、最初はそのように特許請求することさえあってもよいが、特許請求される組合せからの1つまたは複数の特徴は、場合によっては、その組合せから削除することができ、特許請求される組合せは、部分的な組合せまたは部分的な組合せの変形を対象とすることができる。
【0081】
同様に、動作は特定の順序で図面に示されているが、これは、望ましい結果を達成するために、そのような動作が示された特定の順序で、または連続した順序で実行されること、または示されたすべての動作が実行されることを必要とすると理解されるべきではない。さらに、図面は、1つ超の例示的なプロセスをフローチャートまたは流れ図の形式で概略的に示すことができる。しかし、図示されていない他の動作は、概略的に示されている例示的なプロセスに組み込むことができる。例えば、1つまたは複数の追加の動作を、図示の動作のいずれかの前、後、同時に、またはその間に実行することができる。状況によっては、マルチタスク処理および並列処理が有利な場合がある。さらに、上述の実装形態における様々なシステム構成要素の分離は、すべての実装形態においてそのような分離を必要とすると理解されるべきではなく、記載されたプログラムの構成要素およびシステムは、一般に、単一のソフトウェア製品に一緒に統合されるか、または複数のソフトウェア製品にパッケージ化され得ることを理解されたい。
【国際調査報告】