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特表2022-547023感染の宿主RNAバイオマーカーの迅速な早期検出及びヒトにおけるCOVID-19コロナウイルス感染の早期同定のためのシステム、方法、及び組成物。
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-10
(54)【発明の名称】感染の宿主RNAバイオマーカーの迅速な早期検出及びヒトにおけるCOVID-19コロナウイルス感染の早期同定のためのシステム、方法、及び組成物。
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/50 20060101AFI20221102BHJP
   C12Q 1/70 20060101ALI20221102BHJP
   C12Q 1/6844 20180101ALI20221102BHJP
   C12Q 1/6816 20180101ALI20221102BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20221102BHJP
   C12Q 1/6837 20180101ALI20221102BHJP
   C12N 15/44 20060101ALI20221102BHJP
   C12Q 1/6888 20180101ALI20221102BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20221102BHJP
【FI】
C12N15/50
C12Q1/70 ZNA
C12Q1/6844 Z
C12Q1/6816 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/6837 Z
C12N15/44
C12Q1/6888 Z
C12Q1/6869 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514151
(86)(22)【出願日】2020-09-03
(85)【翻訳文提出日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 US2020049290
(87)【国際公開番号】W WO2021046278
(87)【国際公開日】2021-03-11
(31)【優先権主張番号】62/895,387
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/934,754
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/006,570
(32)【優先日】2020-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508128082
【氏名又は名称】ザ・リージエンツ・オブ・ザ・ユニバーシテイ・オブ・コロラド、ア・ボデイー・コーポレイト
(71)【出願人】
【識別番号】522080188
【氏名又は名称】ソーヤー,サラ,エル.
【氏名又は名称原語表記】SAWYER,Sara,L.
【住所又は居所原語表記】966 10th Street,Boulder,CO 80302(US)
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソーヤー,サラ,エル.
(72)【発明者】
【氏名】メイヤーソン,ニコラス,アール.
(72)【発明者】
【氏名】ペイジ,カミール,エル.
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チィン
(72)【発明者】
【氏名】ダウエル,ロビン
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QQ10
4B063QR08
4B063QR42
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS24
4B063QS25
4B063QS33
4B063QS34
4B063QX01
(57)【要約】
本発明の技術は、病原性感染の宿主特性の検出のためのシステム、方法、及び組成物、特に感染のバイオマーカーでありうる標的RNA転写物を検出するように構成された迅速な検出アッセイに関する。一実施形態において、本発明は、新規の側方流動アッセイを通じた無症候性対象における病原体又は感染の早期検出のためのシステム、方法、及び組成物を含みうるが、それは、好ましい実施形態において、病原体又は感染への応答において対象の自然免疫系により産生され、唾液中に存在する1つ又は複数のRNA転写物バイオマーカーを検出するように構成された迅速自己投与テストストリップを含みうる。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、宿主RNA転写物バイオマーカーを検出する方法:
- RNA転写物バイオマーカーを含む対象から体液サンプルを収集すること;
- 前記RNA転写物バイオマーカーを、DNAプローブ、例えば二本鎖DNA(dsDNA)、一本鎖DNA(ssDNA)、又は以下を有するハイブリッド二本鎖DNA(dsDNA)プローブなどに変換すること:
- dsDNA標的配列;
- 一本鎖DNA(ssDNA)アニーリング領域;及び
- ssDNA標的捕捉領域;
- 前記ハイブリッドdsDNAプローブをDNAコンジュゲートレポータープローブに導入することであって、ハイブリッドdsDNAプローブ上の前記ssDNAアニーリング領域は、2つのプローブが溶液中で一緒に結合されるように、前記DNAコンジュゲートレポータープローブのssDNAアニーリング領域に相補的である;
- ハイブリッドdsDNAプローブ及びDNAコンジュゲートレポータープローブ溶液を側方流動アッセイテストストリップに導入すること;
- 前記溶液を前記側方流動アッセイテストストリップ上の少なくとも1つの検出ゾーンを通過させ、前記検出ゾーンは、前記ハイブリッドdsDNAプローブ上の前記ssDNA標的捕捉領域に相補的であるssDNA領域を有する複数の埋め込まれた標的捕捉プローブを含む;
- 前記ハイブリッドdsDNAプローブ上の前記相補的標的捕捉領域を、前記標的捕捉プローブ上の前記標的捕捉領域とアニーリングすることにより、前記ハイブリッドdsDNAプローブ、前記DNAコンジュゲートレポータープローブ、及び前記標的捕捉プローブを含む、固定化された複合体凝集体を形成すること;
- 検出可能なシグナルが産生されるように、複数の固定化された複合体凝集体が前記検出ゾーン中に形成されることを可能にすること。
【請求項2】
前記体液サンプルが唾液サンプルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
変換する前記工程が、等温逆転写リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RT-RPA)反応を通じて前記RNA転写物バイオマーカーをDNAプローブに変換する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
等温逆転写リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RT-RPA)反応を産生するために必要な試薬が、反応シリンダー中に事前に充填される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記dsDNA標的配列が、リンカーを通じて前記ssDNAアニーリング領域及び前記ssDNA標的捕捉領域と結合される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記リンカーが、三炭素鎖スペーサー(C)リンカーを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記DNAコンジュゲートレポータープローブが、コンジュゲート金ナノ粒子(GNP)プローブを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記コンジュゲート(GNP)プローブが、チオール、PEG18、及びPolyA構築物を通じて前記ssDNAアニーリング領域に結合されたGNPを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記標的捕捉プローブが、前記ハイブリッドストレプトアビジン上の前記標的捕捉領域に相補的である前記ssDNA標的捕捉プローブ配列とさらに結合されうるビオチン―TEGリンカーと結合された固定化ストレプトアビジンベース四量体を有する標的捕捉プローブを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記側方流動アッセイテストストリップがさらに以下を含む、請求項1及び8のいずれか一項に記載の方法:
- 前記溶液が、毛細管作用を介して吸収パッドに向かって流れることを可能にする、膜との流体連結におけるコンジュゲートパッドであって、前記吸収パッドは、前記検出ゾーンの遠位に配置される;
- 非結合コンジュゲート金ナノ粒子(GNP)プローブを固定化させうる制御ゾーン。
【請求項11】
前記膜がニトロセルロース膜を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記RNA転写物バイオマーカーが、配列番号1~444、及び657~815からなる群より選択される少なくとも1つのヌクレオチド配列によりコードされる少なくとも1つのRNA転写物バイオマーカーを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
以下を含む、RNA転写物バイオマーカーの早期検出のための側方流動アッセイ:
- 対象からの、宿主RNA転写物バイオマーカーを有する体液サンプル;
- 唾液サンプルを受けるように構成され、等温逆転写リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RT-RPA)反応を通じて増幅サンプルを生成するようにさらに構成された反応シリンダーであって、前記増幅サンプルは、DNAコンジュゲートレポータープローブと結合されたハイブリッドdsDNAプローブを含む;
- 増幅サンプルを受けるように構成されたコンジュゲートパッド;
- 前記コンジュゲートパッドとの流体連結において、前記溶液が、毛細管作用を介して前記膜を通じて流れることを可能にするようにさらに構成された膜;
- 前記ハイブリッドdsDNAプローブを結合及び固定化するように構成された、複数の埋め込まれた標的捕捉プローブを含む検出ゾーン;
- 1つ又は複数の非結合DNAコンジュゲートレポータープローブを結合及び固定化するように構成された制御ゾーン;及び
- 前記検出ゾーン及び前記制御ゾーンの遠位に配置された吸収パッド。
【請求項14】
前記体液サンプルが唾液サンプルを含む、請求項13に記載の側方流動アッセイ。
【請求項15】
前記等温RT-RPA反応を産生するために必要な試薬が、前記反応シリンダー中に事前に充填されている、請求項13に記載の側方流動アッセイ。
【請求項16】
前記膜がニトロセルロース膜を含む、請求項13に記載の側方流動アッセイ。
【請求項17】
前記ハイブリッドdsDNAプローブが以下を含む、請求項13に記載の側方流動アッセイ:
- dsDNA標的配列;
- ssDNAアニーリング領域;及び
- ssDNA標的捕捉領域。
【請求項18】
ハイブリッドdsDNAプローブ上の前記ssDNAアニーリング領域が、前記2つのプローブが前記増幅溶液中で一緒に結合されるように、前記DNAコンジュゲートレポータープローブのssDNAアニーリング領域に相補的である、請求項17に記載の側方流動アッセイ。
【請求項19】
前記dsDNA標的配列が、リンカーを通じて前記ssDNAアニーリング領域及び前記ssDNA標的捕捉領域と結合される、請求項18に記載の側方流動アッセイ。
【請求項20】
前記リンカーが三炭素鎖スペーサー(C)リンカーを含む、請求項19に記載の側方流動アッセイ。
【請求項21】
前記DNAコンジュゲートレポータープローブが、コンジュゲート金ナノ粒子(GNP)プローブを含む、請求項13に記載の側方流動アッセイ。
【請求項22】
前記コンジュゲートGNPプローブが、チオール、PEG18、及びPolyA構築物を通じて前記ssDNAアニーリング領域に結合されたGNPを含む、請求項21に記載の側方流動アッセイ。
【請求項23】
前記標的捕捉プローブが、前記ハイブリッドdsDNAプローブ上の前記標的捕捉領域に相補的である前記ssDNA標的捕捉プローブ配列とさらに結合されうるビオチン―TEGリンカーと結合された固定化ストレプトアビジンベース四量体を有する標的捕捉プローブを含む、請求項13及び17のいずれかに記載の側方流動アッセイ。
【請求項24】
前記宿主RNA転写物バイオマーカーが、配列番号1~444、及び657~815からなる群より選択される少なくとも1つのヌクレオチド配列によりコードされる少なくとも1つのRNA転写物バイオマーカーを含む、請求項13に記載の側方流動アッセイ。
【請求項25】
以下を含む、RNA転写物バイオマーカーの早期検出のための抗体ベースの側方流動アッセイ:
- 対象からの、宿主RNA転写物バイオマーカーを有する体液サンプル;
- 唾液サンプルを受けるように構成され、等温逆転写リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RT-RPA)反応を通じて増幅サンプルを生成するようにさらに構成された反応シリンダーであって、前記増幅サンプルは、抗体コンジュゲートレポータープローブと結合されたハイブリッドdsDNAプローブを含む;
- 増幅サンプルを受けるように構成されたコンジュゲートパッド;
- 前記コンジュゲートパッドとの流体連結において、前記増幅サンプルが、毛細管作用を介して前記膜を通じて流れることを可能にするようにさらに構成された膜;
- 前記ハイブリッドdsDNAプローブを結合及び固定化するように構成された、複数の埋め込まれた抗体標的捕捉プローブを含む検出ゾーン;
- 前記ハイブリッドdsDNAプローブを結合及び固定化するように構成された、複数の埋め込まれた抗体標的捕捉プローブを含む制御ゾーン;
- 1つ又は複数の抗体DNAコンジュゲートレポータープローブに結合及び固定化するように構成された抗体を有する捕捉ゾーン。
【請求項26】
前記体液サンプルが唾液サンプルを含む、請求項25に記載の抗体ベースの側方流動アッセイ。
【請求項27】
前記等温RT-RPA反応を産生するために必要な試薬が、前記反応シリンダー中に事前に充填されている、請求項25に記載の抗体ベースの側方流動アッセイ。
【請求項28】
前記膜がニトロセルロース膜を含む、請求項25に記載の抗体ベースの側方流動アッセイ。
【請求項29】
前記ハイブリッドdsDNAプローブが以下を含む、請求項25に記載の抗体ベースの側方流動アッセイ:
- dsDNA標的配列;
- 5’フォワードssDNAオリゴ;及び
- 5’リバースssDNAオリゴ。
【請求項30】
前記5’フォワードssDNAオリゴが5’FITCフォワードオリゴを含む、請求項29に記載の抗体ベースの側方流動アッセイ。
【請求項31】
前記5’リバースssDNAオリゴが5’DIGリバースオリゴ、又は5’ビオチンリバースオリゴを含む、請求項25に記載の抗体ベースの側方流動アッセイ。
【請求項32】
前記コンジュゲートレポータープローブが、抗体コンジュゲートレポータープローブを形成する抗体と結合された金ナノ粒子(GNP)を含む、請求項30に記載の抗体ベースの側方流動アッセイ。
【請求項33】
前記抗体が抗FITC抗体を含む、請求項32に記載の抗体ベースの側方流動アッセイ。
【請求項34】
前記FITC抗体が、前記ハイブリッドdsDNAプローブの前記5’FITCフォワードオリゴに結合する、請求項30及び33に記載の抗体ベースの側方流動アッセイ。
【請求項35】
前記検出ゾーンの前記標的捕捉プローブが抗DIG抗体を含む、請求項25に記載の抗体ベースの側方流動アッセイ。
【請求項36】
前記抗DIG抗体が、前記ハイブリッドdsDNAプローブの5’DIGリバースオリゴに結合する、請求項31及び35に記載の抗体ベースの側方流動アッセイ。
【請求項37】
前記制御ゾーンの前記標的捕捉プローブが、前記5’ビオチンリバースオリゴとさらに結合されうるビオチン―TEGリンカーと結合された固定化ストレプトアビジンベース四量体を有する標的捕捉プローブを含む、請求項25及び31に記載の抗体ベースの側方流動アッセイ。
【請求項38】
前記検出ゾーンの前記標的捕捉プローブが抗ウサギ抗体を含む、請求項30に記載の抗体ベースの側方流動アッセイ。
【請求項39】
前記宿主RNA転写物バイオマーカーが、配列番号1~444、及び657~815からなる群より選択される少なくとも1つのヌクレオチド配列によりコードされる少なくとも1つのRNA転写物バイオマーカーを含む、請求項25に記載の抗体ベースの側方流動アッセイ。
【請求項40】
以下の工程を含む、早期病原体検出の方法:
- 第1の対象から体液サンプルを収集すること;
- 宿主由来の感染のバイオマーカー及び病原体バイオマーカーを前記体液サンプルから抽出すること;
- PCR、リアルタイムPCR(RT-PCR)、又は定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(qRT-PCR)を通じて、前記の宿主由来の感染のバイオマーカー及び病原体バイオマーカーを定量化すること;
- 宿主由来の感染のバイオマーカーのレベルの時間経過を確立し、場合により、前記の宿主由来の感染のバイオマーカーを、前記体液サンプル中の病原体バイオマーカーの前記レベルと相関させること;
- 場合により、上の4つの工程を異なる時間点で反復すること;
- 宿主由来の感染のバイオマーカーを含む第2の対象から体液サンプルを収集すること;
- 前記病原体での感染と相関する1つ又は複数の宿主由来の感染のバイオマーカーを検出すること。
【請求項41】
前記体液サンプルが唾液サンプルを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記の宿主由来の感染のバイオマーカーが、宿主由来の感染のRNAバイオマーカーを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記病原体バイオマーカーが、ウイルス病原体バイオマーカー、細菌病原体バイオマーカー、及び病原体真菌バイオマーカーからなる群より選択される病原体バイオマーカーを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記ウイルス病原体バイオマーカーが、新型コロナウイルスSARS-CoV-2からのウイルス病原体バイオマーカーを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
新型コロナウイルスSARS-CoV-2からの前記ウイルス病原体バイオマーカーが、配列番号469~480に従ったヌクレオチドプライマーによるPCR反応において増幅されうる1つ又は複数のバイオマーカーを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
前記の宿主由来の感染のバイオマーカーが、宿主由来の感染のRNAバイオマーカーを含み、前記宿主由来の感染のRNAバイオマーカーを、等温逆転写リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RT-RPA)反応を通じてハイブリッド二本鎖DNA(dsDNA)プローブ中に変換する工程をさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
前記の検出する工程が、請求項1~12に記載の方法を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項48】
感染の少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーを、前記対象により提供される生物学的サンプルからを検出する工程を含み、感染の前記の少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーが、配列番号1~444、及び657~815に従ったヌクレオチド配列によりコードされる感染の宿主由来RNAバイオマーカーからなる群より選択される、それを必要とする対象において感染を検出する方法。
【請求項49】
前記の検出する工程が、請求項1~12に記載の方法を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記の検出する工程が、前記の宿主由来の感染のRNAバイオマーカーを検出する工程を含み、宿主由来の感染のRNAバイオマーカーを、PCR、RT-PCR、又はqRT-PCRを使用して検出することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーを、対象により提供される生物学的サンプルから検出するように構成された側方流動アッセイであって、前記の少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーが、配列番号1~444、及び657~815に従ったヌクレオチド配列によりコードされる宿主由来RNAバイオマーカーからなる群より選択される側方流動アッセイ。
【請求項52】
少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーを、対象により提供される生物学的サンプルから検出するように構成されたアッセイであって、前記の少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーが、配列番号1~444、及び657~815に従ったヌクレオチド配列によりコードされる宿主由来RNAバイオマーカーからなる群より選択され、前記アッセイが、PCRアッセイ、RT―PCRアッセイ、又はqRT―PCRアッセイであるアッセイ。
【請求項53】
少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーを、対象により提供される生物学的サンプルから検出するように構成されたマイクロアレイアッセイであって、前記の少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーが、配列番号1~444、及び657~815に従ったヌクレオチド配列によりコードされる宿主由来RNAバイオマーカーからなる群より選択されるマイクロアレイアッセイ。
【請求項54】
ウイルス感染について示す少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーを、対象により提供される生物学的サンプルから検出するように構成された側方流動アッセイであって、ウイルス感染について示す前記の少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーが、IFIT2、ICAM1、ERG1、IFIH1、ISG15、CFB、CXCL10、DDX58、及びIRAK2からなる群より選択される側方流動アッセイ。
【請求項55】
ウイルス感染について示す少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーを、対象により提供される生物学的サンプルから検出するように構成されたアッセイであって、ウイルス感染について示す前記の少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーが、IFIT2、ICAM1、ERG1、IFIH1、ISG15、CFB、CXCL10、DDX58、及びIRAK2からなる群より選択され、前記アッセイが、PCRアッセイ、RT―PCRアッセイ、又はqRT―PCRアッセイであるアッセイ。
【請求項56】
ウイルス感染について示す少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーを、対象により提供される生物学的サンプルから検出するように構成されたマイクロアレイアッセイであって、ウイルス感染について示す前記の少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーが、IFIT2、ICAM1、ERG1、IFIH1、ISG15、CFB、CXCL10、DDX58、及びIRAK2からなる群より選択されるマイクロアレイアッセイ。
【請求項57】
対象により提供される生物学的サンプルにおいて示される少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーを検出することを含む、それを必要とする対象においてウイルス感染を検出する方法であって、ウイルス感染について示す前記の少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーが、IFIT2、ICAM1、ERG1、IFIH1、ISG15、CFB、CXCL10、DDX58、及びIRAK2からなる群より選択され、生物学的サンプルが唾液である方法。
【請求項58】
SARS-CoV-2感染について示す少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーを、対象により提供される生物学的サンプルから検出するように構成された側方流動アッセイであって、ウイルス感染について示す前記の少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーが、MX1、PARP12、IFITM2、CD68、及びSERINB3からなる群より選択される側方流動アッセイ。
【請求項59】
SARS-CoV-2感染について示す少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーを、対象により提供される生物学的サンプルから検出するように構成されたアッセイであって、ウイルス感染について示す前記の少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーが、MX1、PARP12、IFITM2、CD68、及びSERINB3からなる群より選択され、前記アッセイが、PCRアッセイ、RT-PCRアッセイ、又はqRT-PCRアッセイであるアッセイ。
【請求項60】
SARS-CoV-2感染について示す少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーを、対象により提供される生物学的サンプルから検出するように構成されたマイクロアレイアッセイであって、ウイルス感染について示す前記の少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーが、MX1、PARP12、IFITM2、CD68、及びSERINB3からなる群より選択されるマイクロアレイアッセイ。
【請求項61】
対象により提供される生物学的サンプルにおいて少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーを検出することを含む、それを必要とする対象においてSARS―CoV―2感染を検出する方法であって、SARS-CoV-2感染について示す前記の少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーが、MX1、PARP12、IFITM2、CD68、及びSERINB3からなる群より選択され、前記生物学的サンプルが唾液である方法。
【請求項62】
インフルエンザ感染について示す少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーを、対象により提供される生物学的サンプルから検出するように構成された側方流動アッセイであって、ウイルス感染について示す前記の少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーが、PLRG1、MSC、NKG7、NME8、及びMMP12からなる群より選択される側方流動アッセイ。
【請求項63】
インフルエンザ感染について示す少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーを、対象により提供される生物学的サンプルから検出するように構成されたアッセイであって、ウイルス感染について示す前記の少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーが、PLRG1、MSC、NKG7、NME8、及びMMP12からなる群より選択され、前記アッセイが、PCRアッセイ、RT-PCRアッセイ、又はqRT-PCRアッセイであるアッセイ。
【請求項64】
インフルエンザ感染について示す少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーを、対象により提供される生物学的サンプルから検出するように構成されたマイクロアレイアッセイであって、ウイルス感染について示す前記の少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーが、PLRG1、MSC、NKG7、NME8、及びMMP12からなる群より選択されるマイクロアレイアッセイ。
【請求項65】
対象により提供される生物学的サンプルにおいて少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーを検出することを含む、それを必要とする対象においてインフルエンザ感染を検出する方法であって、インフルエンザ感染について示す前記の少なくとも1つの宿主由来RNAバイオマーカーが、PLRG1、MSC、NKG7、NME8、及びMMP12からなる群より選択され、前記生物学的サンプルが唾液である方法。
【請求項66】
前記RNAバイオマーカーが、配列番号1~444、及び657~815に従ったヌクレオチド配列によりコードされる宿主由来RNAバイオマーカーからなる群より選択される、請求項51~64のいずれかに記載の方法。
【請求項67】
それを必要とする対象における感染を検出するために使用される宿主由来RNAバイオマーカーをコードするヌクレオチド配列であって、前記RNAバイオマーカーが、配列番号1~444、及び657~815に従ったヌクレオチド配列からなる群より選択される、ヌクレオチド配列。
【請求項68】
以下を含む、宿主由来RNAバイオマーカーを検出する方法:
- 宿主由来RNAバイオマーカー及び、場合により、ウイルス感染、細菌感染、又は真菌感染のバイオマーカーを潜在的に含む体液サンプルを収集すること;
- サンプル中の前記宿主由来RNAバイオマーカーの転写物及び、場合により、ウイルス感染、細菌感染、又は真菌感染のバイオマーカーを、PCR、RT-PCR、qPCR、転写物配列決定、側方流動アッセイ、ハイブリダイゼーションアッセイ、マイクロアレイ、核酸検出アッセイからなる群より選択される方法を使用して同定すること。
【請求項69】
前記体液サンプルが唾液サンプルを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記の宿主由来の感染のバイオマーカーが、宿主由来の感染のRNAバイオマーカーを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記の宿主由来の感染のRNAバイオマーカーが、ウイルス病原体バイオマーカー、細菌病原体バイオマーカー、及び病原体真菌バイオマーカーからなる群より選択される病原体バイオマーカーを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記ウイルス病原体バイオマーカーが、新型コロナウイルスSARS-CoV-2からのウイルス病原体バイオマーカーを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
新型コロナウイルスSARS-CoV-2からの前記ウイルス病原体バイオマーカーが、配列番号469~480に従ったヌクレオチドプライマーによるPCR反応において増幅されうる1つ又は複数のバイオマーカーを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記の宿主由来の感染のバイオマーカーが、宿主由来の感染のRNAバイオマーカーを含み、前記宿主由来の感染のRNAバイオマーカーを、等温逆転写リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RT-RPA)反応を通じてハイブリッド二本鎖DNA(dsDNA)プローブ中に変換する工程をさらに含む、請求項70に記載の方法。
【請求項75】
前記宿主由来の感染のバイオマーカーが、宿主由来の感染のRNAバイオマーカーを含み、配列番号1~444、及び657~815に従ったヌクレオチド配列によりコードされる宿主由来の感染のRNAバイオマーカーからなる群より選択される、請求項70に記載の方法。
【請求項76】
ウイルス感染、細菌感染、又は真菌感染の前記バイオマーカーが、ウイルス感染、細菌感染、又は真菌感染のRNAバイオマーカーを含む、請求項70に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年9月3日に出願された米国仮出願第62/895,387号、2019年11月13日に出願された米国仮出願第62/934,754号、及び2020年4月7日に出願された米国仮出願第63/006,570号の利益及び優先権を主張する。上で参照した出願の全体の明細書及び図は、参照によりその全体において本明細書により組み込まれる。
【0002】
連邦政府により資金提供された研究の声明
本発明は、国防脅威削減局(DTRA)によって授与された助成金番号HDTRA1-18-1-0032の下で政府の支援によりなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
配列リスト
本願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、参照によりその全体において本明細書により組み込まれる配列表を含む。前記ASCIIコピーは、2020年8月30日に作成されたが、「90245.00432-Sequence-Listing.txt」と名付けられており、サイズは2476キロバイトである。
【0004】
本発明の技術は、病原性感染の宿主特性の検出のためのシステム、方法、及び組成物、特に感染のバイオマーカーでありうる標的RNA転写物を検出するように構成された迅速な検出アッセイに関する。
【背景技術】
【0005】
病原性微生物による感染の早期検出は、適当な処置及びポジティブな臨床転帰のために重要である。しかし、感染した個人は、病原体を他人に積極的に伝染させながら、感染後数日間にわたり無症候性のままでありうる。従来の病原体検出システムは、しばしば、症状の発症後まで感染を検出するのに効果的でない。従来の病原体テストは、血清学又は抗体ベースのテスト、細菌/ウイルス/真菌の増殖培養、及び核酸ベースの検出、例えばPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)などを含む。そのような従来のテストは、しばしば、時間及び労力を集約的であり、患者が感染の症状を示し始めた後にだけ効果的である。加えて、従来の診断テストでは、特定の病原体、高価な検査室装置、訓練を受けた人員についての臨床的な疑いが要求され、上流及びエンドユーザーの費用を増加させてきた。
【0006】
例えば、図2中で強調するように、典型的な感染経過において、未知の病原体への曝露は0日目に生じ、図の左側に沿って垂直に走るタイムラインにより示されるように、感染の後の臨床段階を通じて進行する。病原体は感染者内で複製するため、標準的な診断テストは、典型的には、症状の発症後、人々が何か間違ったことがあることを知って、医療及び診断を求める場合に機能するように設計されている。しかし、その時点で、その人は数日又は数週間にわたり他者に感染させていたであろう。早期検疫を実施し、妨害されない病原体伝染の破壊的な下流効果を制限する機会は過ぎている。この診断までの時間遅延は、患者が伝染性であることを知る前に、より不良な患者の転帰及び進行性の疾患伝染を招きうる。
【0007】
特殊化され、後に発生する適応免疫応答とは対照的に、病原性微生物に対する宿主の最初の防御線は「自然免疫」応答である。身体の自然免疫は、感染の数時間以内に生じる自己増幅的で非特異的な生理学的応答である。そのようなものとして、宿主の自然免疫応答により産生された分子の存在を検出する能力によって、患者が依然として無症候性である間に、最初期段階で感染を迅速に検出する能力が提供されうる。そのような進歩によって、より効果的な検疫プロトコール、ならびに改善された処置及び臨床転帰が可能になりうる。
【0008】
病原体を、特に感染サイクルの初期に検出する改善された方法についての必要性が、世界的なコロナウイルスのパンデミックにより拡大されている。具体的には、2019年に、COVID-19として同定された新型コロナウイルスが、高い感染率及び死亡率を有し、中国の武漢地域において出現し、後に世界中に広がり、重大な公衆衛生危機を招いた。コロナウイルスは、コロナウイルス科及びコロナウイルス亜科のメンバーであり、哺乳類及び鳥類において見出される。顕著なメンバーは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)であり、それによって、2002年から2003年の間での中国における大流行の間に、罹患した個人のほぼ10%が殺された。中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERSコロナウイルス又はMERS-CoV)と呼ばれる別の顕著なコロナウイルスMERS-CoVは、SARS-CoV大流行と一部の類似性を共有する。SARSの典型的な症状。MERS及びCOVID-19コロナウイルス感染は、発熱、咳、息切れ、肺炎、及び胃腸症状を含む。重度の病気は、集中治療室における人工呼吸及び補助を要求する呼吸不全に導きうる。両方のコロナウイルスが、高齢者、弱まった免疫系を伴う人々、慢性疾患、例えば癌、慢性肺疾患、及び糖尿病などを伴う人々において、より重度の疾患を起こすように見える。現在、ワクチン又は特定の処置は、COVID-19については利用可能ではない。COVID-19コロナウイルス感染と診断された患者は、個人の症状及び臨床状態に基づいた補助的処置を受けるだけである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以下に概説するように、本発明者らは、宿主の早期自然免疫応答(インターフェロン応答を含むが、排他的ではない)を活用し、感染、COVID-19コロナウイルスでの特定の感染を示すRNAバイオマーカーを迅速に検出しながら、従来の病原体検出システムの制限を克服している。この迅速なポイントオブケア診断適用によって、患者が典型的には無症候性である早期段階での感染の検出を可能にする。そのような早期発見は、より標的化された効果的な治療的介入ならびに全体的な改善された臨床転帰と直接的に相関している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の技術は、新規の側方流動アッセイを通じた無症候性対象における病原体及び/又は感染の早期検出のためのシステム、方法、及び組成物を含みうるが、それは、好ましい実施形態において、病原体又は感染への応答において対象の自然免疫系により産生され、唾液中に存在する1つ又は複数のRNA転写物バイオマーカーを検出するように構成された迅速テストストリップを含みうる。
【0011】
別の態様において、本発明の技術は、新規の側方流動アッセイを通じた無症候性対象における病原体及び/又は感染の早期検出のためのシステム、方法、及び組成物を含みうるが、それは、好ましい実施形態において、病原体又は感染への応答において対象の自然免疫系により産生され、唾液中に存在しうる、配列番号1~444、及び657~815に従ったヌクレオチド配列の1つ又は複数によりコードされる1つ又は複数のRNA転写物バイオマーカーを検出するように構成された迅速テストストリップを含みうる。
【0012】
本発明の追加の態様は、配列番号1~444、及び657~815において同定されたヌクレオチド配列に従った、ヒトにおける感染、好ましくは病原体感染についての1つ又は複数のバイオマーカーの使用を含む。
【0013】
別の態様において、本発明の技術は、これらの標的RNA転写物の検出のためのシステム、方法、及び組成物を含みうるが、それは、対象における早期感染についてのバイオマーカーとして作用しうる。
【0014】
別の態様において、本発明の技術は、対象における早期感染の検出のためのシステム、方法、及び組成物を含みうるが、それは少なくとも以下を含みうる:毛細管作用を介して液体の流れを可能にするように構成された繊維状又は紙ベースの側方流動ストリップ、好ましくは含みうる側方流動アッセイテストストリップデバイス;2)事前に調製された反応シリンダー(対象から液体サンプルを受けるように構成され、RT-RPA反応を実施するように事前に調製された回収容器を含みうる)中で生じうるRT-RPA(逆転写リコンビナーゼポリメラーゼ増幅)反応;及び3)1つ又は複数のRNAバイオマーカー転写物、例えば、流体サンプル(好ましい実施形態において、対象により提供される唾液サンプルを含みうる)中で供給される、バイオマーカーとしても一般的に言及される、配列番号1~444、及び657~815として同定されるヌクレオチド配列によりコードされる1つ又は複数のバイオマーカー。好ましい実施形態において、RNAバイオマーカー転写物は、等温増幅RT-RPA反応において反応シリンダー中で増幅されて、一本鎖アダプター配列を有するハイブリッドdsDNAプローブ又は下流ハイブリダイゼーション用の5’修飾を含むdsDNA産物のいずれかを形成しうる。
【0015】
追加の態様は、ハイブリッドdsDNAプローブと結合しうる新規のコンジュゲートレポータープローブ(7)を含みうる。特定の態様において、新規のコンジュゲートプローブは、GNP、又はdsDNAプローブに結合しうるssDNA配列又は抗体もしくは抗体フラグメントとコンジュゲートされた他の単一レポーターを含みうる。依然として、本発明のさらなる態様は、コンジュゲートレポータープローブ(7)、好ましくはGNPレポータープローブにさらに結合されるハイブリッドdsDNAプローブと結合された埋め込み捕捉プローブを含む、固定化された「サンドイッチ」複合凝集体に結合し、それを形成しうる新規の標的捕捉プローブを含みうる。この態様において、局在化された固定化は、例えば、テストストリップ、又は溶液でさえ、視覚シグナルの生成を促進しうる。
【0016】
本発明の追加の態様は、病原体特異的バイオマーカーに関する、好ましくはPCR、RT-PCR、又はqRT-PCRにより生成された定量化データと組み合わされうる、又はされない、感染の初期宿主由来バイオマーカーの定量化のためのシステム、方法、及び組成物を含む。1つの好ましい態様において、RNAは、潜在的に曝露又は感染された対象により提供される生物学的サンプルから抽出されうる。RNAはqRT-PCT反応を経て、病原体バイオマーカー、ならびに感染の宿主由来バイオマーカー、好ましくは対象の唾液中に存在する宿主由来RNAバイオマーカーのレベルを決定してもよい。複数の生物学的サンプルを1人又は複数の対象から採取し、病原体の相対レベル、及び経時的な宿主由来バイオマーカーを示す感染の時間経過を生成してもよい。このデータを使用し、病原体特異的な宿主由来バイオマーカーを検出するための側方流動アッセイ用のバイオマーカー候補を生成してもよい。この側方流動アッセイを、それを必要とする対象に施し、感染の指標、ならびに1つ又は複数の特定の病原体による感染の段階を提供してもよい。1つの好ましい態様において、特定の病原体は、一般にCOVID―19コロナウイルスとして言及されるSARS―CoV―2を含みうる。
【0017】
本発明の追加の態様は、特許請求の範囲において示す、好ましい実施形態の1つ又は複数を含みうる。
【0018】
本発明の追加の態様は、以下に提供する明細書、特許請求の範囲、及び図面から証明されうる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示の新規の態様、特徴、及び利点は、添付の図面との併用において取られた以下の詳細な記載からより良好に理解されるであろうが、それらの全てを図示のためだけに与えており、現在開示する実施形態を限定しておらず、それにおいて:
【0020】
図1A図1(A)は、その本発明の一実施形態における側方流動アッセイの一般的な概略図を示す。
図1B】(B)その本発明の一実施形態における側方流動アッセイテストストリップの別の一般的な概要を示す。
図2図2は、感染経過の代表的な例を示す。
図3A図3(A)は、病原体感染を検出のための現在の最先端技術を実証する、例示的なインビボマウス実験を示す。この場合において、マウスの群が病原体に感染されうるが、血液サンプルを、感染後の示した日に収集する。これらのサンプルを、バイオマーカーの存在を特徴付けるために、ハイスループットシーケンシングを行うために使用し、また、本発明を、現在の最先端技術の検出方法と比較するためのテストを行うために使用してもよい。以下に示すのは、他の方法の数日前に病原体感染を検出する本発明の能力を示す例示的なデータである。図示するアッセイの全てを、以前のインビボ実験の間に行う。
図3B】(B)仮説上のウイルス感染の予定表及びその感染を検出するために設計された種々のテストを示す。
図4図4は、その一実施形態における例示的な病原体検出デバイスを示し、特に、多重化のためのデバイスの能力を強調している。本発明の技術、特に側方流動アッセイテストストリップ又はテストストリップは、エンドユーザーの目的に依存し、複数の構成に適応可能である。(A)初期スクリーニングテストとして、最も重要なパラメーターは、感染した個人が、彼らが実際に「病気」である場合に、「病気ではない」と不注意でラベル付けされないことを確実にする感度である。高感度テストは、真陽性の病気の症例の100%近くを同定し、0%に近い偽陰性率を有する。RNA転写物バイオマーカーアッセイの感度は、異なるバイオマーカーについての複数のテストラインの追加により調整可能であり、組み合わせにおいて検出される場合、全ての真陽性を同定する可能性が増加する。(B)多様な医療環境(例、救急部門、プライマリケアオフィス、補助医療施設、野戦病院など)の間で既に症候性の患者を評価する臨床医にとって、病原体の一般的なカテゴリー(即ち、ウイルスvs.細菌vs.真菌)を区別し、原因物質の完全な同定の前に、最良の早期処置を開始することが重要である。本発明のアッセイは、処置計画を知らせ、非細菌感染の場合における抗生物質の使用を劇的に低下させ、抗生物質耐性細菌の伝播を制限するのを助けることができるであろう。(C)特定の生物への応答における宿主シグナルの早期研究によって、特定の病原性生物による感染が同定されうるアッセイ構成が可能になりうる。テストされた微生物のパネルは、エンドユーザーのニーズにより特定することができうる。例えば、軍隊は多様な空中浮遊病原体及び兵器化可能な病原体に最も関心があるであろうが、国内の診療所は季節性インフルエンザ、RSV、ライノウイルス、及びノロウイルスについて患者を評価する必要がある。
図5図5は、その一実施形態における例示的な病原体検出デバイスの使用を示す。この実施形態において、患者は唾液サンプルを反応シリンダー中に提供し、それは、ここでは、増幅反応を室温で進行させ、バイオマーカー濃度を増加させることが可能でありうる、反応試薬が事前に充填されたチューブ容器として表されうる。これに続いて、増幅されたバイオマーカーを含む溶液を、側方流動ストリップに適用してもよい。流体がストリップを流れ落ちる際、目に見えるピンク色のシグナルが出現する。ストリップの最も単純な反復において、1つのバンドは陰性結果を意味し、2つのバンドは感染を示す陽性結果に等しい。消費者製品の実施形態において、ストリップは、結果の解釈の容易さのために、ハウジング中に含まれる。
図6図6(A)は、健康なヒトのサンプルの配列データに従った、唾液及びPBMC(末梢血単核細胞)中で発現されたRNA転写物の同一性における有意な重複を示すベン図を示す。この重複は、血液中に存在する転写物が唾液中にも出現する可能性が高いことを意味する。この転写物シークエンシングデータは、平均1,000万回のリードカバレッジに対して標準化されており、これらの転写物の存在量を記載していないことに注意すること。(B)唾液及びPBMC(同じ個人からの2つのサンプル)の両方において存在するRNA転写物の相対的な発現レベルを示す代表的なPCC(パターン相関係数)プロット。このグラフ中のすべてのドットが、Aにおけるベン図の重複セクション中での異なる転写物を象徴する。平均r値=0.64(>0.5は有意な相関と考えられる)。全体的には、PBMC vs.唾液における大半の転写物のより高いレベルの発現があるが、しかし、また、PBMCと比べて唾液中で上方調節されている転写物のサブセットがある。このデータに起因して、本発明者らは、初期感染の重要なシグナルを同定するために選択される本発明者らのサンプル型として唾液を追跡することができる。
図7図7は、その一実施形態において感染のバイオマーカーを同定するための一般的なアプローチを示す。
図8図8は、インビトロトランスクリプトームデータセットを使用して同定された、感染についての宿主RNAバイオマーカーIFIT2の例を示す。水平方向では、遺伝子構造が濃い青色バーで示され、遺伝子のコード領域を示している。垂直方向では、ピークの高さは、示されたRNAの相対的な存在量を表す。各々の試験について、「-」レーンは非感染サンプルを示し、「+」レーンは種々の型のウイルス感染を示す。異なる試験についての存在量における変化を、異なる色で強調した。一緒に、同定されたRNAバイオマーカーは、9つの異なる細胞型及び10の異なるウイルス感染にわたり上方調節される。このバイオマーカーの上方調節は、任意の観察可能な症状の十分に前である感染後4時間という早期にインビトロで検出することができる。追加のバイオマーカーを、上に一般的に記載したのと同様の手順での本発明における使用のために同定し、選択してもよい。
図9図9は、感染細胞におけるバイオマーカー候補のqPCRを示す。ヒト肺細胞(A549)を、インフルエンザウイルス(左)又は水疱性口内炎ウイルス(VSV、右)のいずれかに24時間にわたり偽感染又は感染させた。RNAを収集し、qPCRを使用して定量化した。結果を「偽を上回る倍率変化」として示し、点線は感染の間に変化がないことを示す。IFIT2は、感染のグローバルマーカーであるRNAの例であり、図8において図示する通りである。この例において、NEAT1はVSVをインフルエンザから区別しうる、及びOAS1はインフルエンザをVSVから区別しうる。
図10図10は、ヒト唾液からバイオマーカーを増幅及び検出するために使用される最適化工程の概略図を示す。工程3.1、2μLのヒト唾液からのRNAを成功裏にDNAに逆転写させて、カスタマイズされたRT-RPAキットを使用して増幅させた。反応を一定の37℃で20分以内に達成させた。工程3.2、感染についての潜在的バイオマーカーの成功裏の検出時に、異なる長さ及び配列を伴う複数のプライマーセットを設計してバイオマーカー増幅を最適化させた。最も高い増幅効率(ゲル画像上のバンドの強度により反映される)をもたらしたプライマーセットを、実際の診断において使用されるように選んだ。工程3.3、前の工程からの選択されたプライマーを、アダプター配列を保有するように改変し、側方流動アッセイテストストリップ及び金ナノ粒子レポータープローブへの下流ハイブリダイゼーションを可能にする。37℃で20分間にわたるRT-RPA増幅後、結果として得られたアンプリコンは、アダプター配列及び標的バイオマーカーからの配列の両方を含む。最終反応産物を次に、可視化のためにテストストリップに直接的に適用することができる。
図11図11は、相補的DNA結合が、視覚的な読み出しのために凝集する核酸「サンドイッチ」を形成することを実証する。増幅されたバイオマーカーは、特定の一本鎖オーバーハングアダプターにより隣接される二本鎖DNA(dsDNA)領域を有する。このバイオマーカーを伴う溶液を、金ナノ粒子レポーターと混合し、それ自体を、増幅されたバイオマーカーのアダプターに相補的な一本鎖DNAアダプター及びニトロセルロース上のコントロール捕捉プローブにコンジュゲートさせる。相補的DNA塩基対合の機構に起因して、これらのオーバーハングDNAアダプター鎖が、膜を通じて流れる溶液中で相互作用するため、それらは、ssDNAコンジュゲート金ナノ粒子及び核酸「サンドイッチ」を形成する静止オリゴ捕捉プローブと結合してdsDNA構造を形成する(図4A)。ますます多くのこれらのレポーター増幅バイオマーカー捕捉プローブサンドイッチ構造が形成し、凝集するにつれて、目に見えるピンクシグナルが、標的検出ゾーン(B)中のニトロセルロース上に出現し、本来のサンプル中でのそのバイオマーカーの存在を示している。ここで、左端のピンク点は、パネルA中に図示される複合体を表しており、第2のピンク点は、金レポーター単独でその相補的なプローブに結合しているコントロールである。このコントロールによって、サンプルがストリップ上を正しく流れたことが検証される。
図12図12は、合成RT-RPA産物の10倍希釈物で実行された一連のテストストリップの比色画像を示す。
図13A図13A~Dは、その一実施形態における使用の容易さのための外部カバーを有する側方流動アッセイテストストリップを示す。
図13B】同上。
図13C】同上。
図13D】同上。
図14図14は、その本発明の一実施形態において抗体ベースの捕捉機構を組み込んだ側方流動アッセイの一般的な概略図を示す。
図15図15は、バイオマーカーの検出のための例示的な検査室ベースのテスト及び側方流動テストの一般的な流れ図を示す。
図16図16は、バイオマーカー候補のためのプライマーを設計及び確証するためのフローチャート図を示す。図16の開示に関して参照により本明細書中に組み込まれる、米国仮出願第62/934,873号及び第63/006561号において記載されているシステム。
図17図17A~B:宿主RNAバイオマーカーが、感染細胞の最初期の免疫応答から由来する遺伝子転写物であることを示す。ヒートマップを、公開されているRNAシークエンシングデータセットから生成したが、異なる病原体を用いた培養ヒト細胞の感染時での特定のRNA種の発現変化のレベル(左のカラーコード)を示す(最上部)。全ての場合において、偽感染(-)細胞及び感染(+)細胞を比較する。SARS-CoV-2及びインフルエンザA特異的バイオマーカーの一部を、オレンジ色及び緑色の強調されたボックス中に示す。
図18図18は、多様な型の感染への応答において上方調節され、ヒト唾液中で検出可能である種々のRNAバイオマーカーを示す。(A)ヒートマップを、公開されているRNAシークエンシングデータセットから生成したが、異なる病原体を用いた培養ヒト細胞の感染時での特定のRNA種の発現変化のレベル(下のカラーコード)を示す(最上部)。(B)全ての場合において、偽感染(-)細胞及び感染(+)細胞を比較する。ここでは、本発明者らは、感染性疾患ユニットにおける3人の患者からの唾液サンプルを有する。これらは、真菌(患者1;コクシジオイデス)、ウイルス(患者2;水痘帯状疱疹ウイルス)、及び細菌(患者3;大腸菌)のいずれかでの急性感染症を表す。定量的RT-PCRを行い、健康な唾液コントロールと比べた、本発明者らのバイオマーカーRNAの8つの倍率変化を測定した。Y軸上の対数目盛に注意すること。これらのバイオマーカーが、健康な個人の唾液と比較し、感染した個人の唾液中で10~10,000倍高いレベルで見出されることを示している。また、1つの型の感染を他から区別できうる唾液バイオマーカー、例えば真菌感染には応答しないが、しかし、ウイルス感染において100,000倍上方調節されるEGR1などがある。
図19図19は、宿主バイオマーカーの上方調節を、マルチプレックスRT-qPCR反応において検出することができることを示す。ヒト肺細胞(A549)を、インフルエンザウイルスで偽感染又は感染させ、RNAを、感染後24時間に細胞ライセートから精製した。RNAを次に、Taqmanプローブ及び化学を使用してRT-qPCR反応に供した。X軸上に示すバイオマーカーを、表4において収載されているプラ■■イマー及びプローブを使用し、シングルプレックス(黒色バー)又はマルチプレックス(オレンジバー)反応において測定した。相対的なmRNA発現(Y軸)を、最初に宿主コントロール遺伝子を使用してサンプルを内部標準化し、次に偽感染サンプルと比較することにより計算した。
図20図20は、一部の宿主バイオマーカーの上方調節がウイルスRNA検出に先行することを示す。ヒト肝細胞株(Huh7)を、SARS-CoV-2コロナウイルスで偽感染又は感染させた。RNAを、感染後0、2、4、8、12、24、及び48時間で細胞ライセートから精製した(X軸)。RNAを次に、表4において収載しているプラ■■イマー及びプローブを使用してRT-qPCRに供した。相対的なmRNA発現(Y軸)を、最初に宿主コントロール遺伝子を使用してサンプルを内部標準化し、次に偽感染サンプルと比較することにより計算した。バイオマーカーの完全なパネルを左側に示しているのに対し、バイオマーカーのサブセットを右側に示しており、感染の初期段階(青色)、感染の後期段階(緑色)において上方調節されているバイオマーカー、及び上方調節されていない宿主コントロールバイオマーカー(灰色)を強調している。SARS-CoV-2核タンパク質遺伝子(N2)の検出をまた、赤色で示している。
図21図21は、抗体捕捉スキームを伴う例示的な側方流動ストリップを示す。側方流動ストリップを、図4の概略図に従ってストリッピングした。模倣アンプリコンを、側方流動ストリップの感度をテストするために生成した。「過剰」線は、過剰な抗FITCコンジュゲート金ナノ粒子を捕捉している。「コントロール」線は、FITC及びビオチンとコンジュゲートされた模倣アンプリコンを捕捉している。「テスト」線は、FITC及びDIGとコンジュゲートされた模倣アンプリコンを捕捉している。
図22図22は、感染の宿主バイオマーカーを検出するためのプライマーを含む表3を示す。候補バイオマーカーのサブセットを、プライマーの最適化のために選んだ。収載しているプライマーセットを使用してRT-qPCRを行い、プライマー効率、Ct値、融解曲線、及び2つの宿主コントロールバイオマーカー(RACK1又はCALR)に関する対数倍率変化を最適化した。未処理ヒト肺細胞(A549)中での発現を、インターフェロン処理A549細胞(A549+IFN)又はインフルエンザウイルス感染A549細胞(A549+flu)のいずれかと比較した。
図23図23は、宿主バイオマーカーのマルチプレックス検出用のプライマー及びプローブを含む表4を示す。表3からの候補バイオマーカーのサブセットを、それらの大きな倍率変化に基づいて選んだ。Taqmanプローブを、RT-qPCR反応におけるTaqman蛍光化学と適合性があるように、各々のプライマーセットについて設計した。バイオマーカーを、多重化のために適合性があるように、Ct値に基づいて3通りにグループ化した。
図24図24は、等温RT-RPAを使用して宿主バイオマーカーを増幅するためのプライマーを含む表5を示す。候補バイオマーカーのサブセットを、RT-RPA反応の最適化のために選んだ(A)。図16において提示する条件を満たすプライマーセットを次に、本発明の側方流動アッセイとの適合性のために5’修飾(FITC、ビオチン、又はDIG)を含むように修飾させた(B)。
図25図25は、RT-RPA反応からの増幅産物を側方流動ストリップ上で検出することができることを示す。(A)二次抗ウサギ抗体(金ナノ粒子過剰線)、ストレプトアビジン(コントロール線)、又は抗DIG抗体(バイオマーカー線)でストリッピングされた側方流動ストリップを使用し、示したRT-RPA反応を分解した。サンプル#1はPBSだけを含み、RT-RPA反応産物は含まないのに対し、全ての他のサンプルはRT-RPA反応(20分反応)産物を含む。RT-RPAを、インフルエンザ感染ヒト肺細胞(A549)からの精製RNAをテンプレートとして使用して行った。(B)パネルA中に記載する側方流動ストリップを使用し、プライマーセット自体が偽陽性シグナルを産生しないことを確認した。示したプライマーセットを、RT-RPA反応の同じ濃度でPBSと混合し、ストリップ上で実行した。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の技術は、新規の側方流動アッセイを通じた無症候性対象における病原体及び/又は感染の早期検出のためのシステム、方法、及び組成物を含みうるが、それは、好ましい実施形態において、病原体又は感染への応答において対象の自然免疫系により産生され、唾液中に存在する1つ又は複数の宿主RNA転写物バイオマーカー(コーディングまたは非コーディング)を検出するように構成された迅速自己投与テストストリップを含みうる。
【0022】
図1Bにおいて一般的に示すように、一実施形態において、本発明の技術は、対象における早期感染の検出のためのシステム、方法、及び組成物を含みうるが、それは少なくとも以下を含みうる:毛細管作用を介して液体の流れを可能にするように構成された、繊維状又は紙ベースの側方流動ストリップ(2)を好ましくは含みうる側方流動アッセイテストストリップデバイス(1)(また、テストストリップ、又は側方流動ストリップとして言及する);2)事前に調製された反応シリンダー(3)(対象から液体サンプルを受けるように構成され、RT-RPA反応を実施するように事前に調製された回収容器を含みうる)中で生じうるRT-RPA(逆転写リコンビナーゼポリメラーゼ増幅)反応;及び3)1つ又は複数のRNAバイオマーカー転写物であって、流体サンプル( 好ましい実施形態において、対象により提供される唾液サンプルを含みうる)中で供給される、バイオマーカーとしても一般的に言及される。
【0023】
患者の免疫応答(一般的に自然免疫応答又は感染時に上方調節される任意の他の細胞経路)により産生され、唾液中に見出される特定の標的RNA転写物又はバイオマーカー(9)は、早期感染を示しうる。結果として、本発明の技術の一実施形態は、これらの標的RNA転写物の検出のためのシステム、方法、及び組成物を含みうるが、それは、対象における早期感染についてのバイオマーカーとして作用しうる。しかし、上に記述するように、この実施形態において、ヒト対象により提供される典型的な流体サンプル中に存在する標的RNA転写物バイオマーカーは、一般的に、低い濃度で存在し、検出されるために増幅を要求する。この物理的制限を克服するために、図1B中でさらに示すように、本発明の一実施形態において、対象は、流体サンプル(この場合では唾液サンプルを含みうる)を反応シリンダー(3)中に沈着させ、ここで、それは増幅工程を受けうる。具体的には、反応シリンダー(3)は、流体サンプルを受けうるが、そこで、それはRT-RPA反応を経て、流体サンプル中に存在するRNAバイオマーカー転写物を増幅させうる。この好ましい実施形態において、反応シリンダー(3)は、RT-RPA反応が反応シリンダー内で進行することを可能にしうる量の、事前に調製されたタンパク質、酵素、塩、及び他の試薬で事前に充填させてもよい。図1Aにおいて示すように、反応シリンダー(3)は、C3スペーサーエレメントをさらに含みうる標的RNAバイオマーカー転写物に向けられたプライマーで事前に充填してもよい。別の好ましい実施形態において、反応シリンダー(3)は、1つ又は複数のコンジュゲートレポータープローブ(7)、例えばコンジュゲート金ナノ粒子(GNP)レポータープローブなどでさらに事前に充填してもよい。
【0024】
他の実施形態において、コンジュゲートレポータープローブ(7)、例えばコンジュゲート金ナノ粒子(GNP)レポータープローブなどは、反応シリンダー中に事前に充填される代わりに、事前に埋め込まれ、乾燥され、凍結乾燥され、又は他の方法としてコンジュゲートパッドに付着されうる。この特定の実施形態は、異なるコンジュゲートレポータープローブを伴う、複数の事前に埋め込まれたコンジュゲートパッドを有する側方流動アッセイテストストリップの生成を可能にしうる(7)。
【0025】
再び、図1Bにおいて示すように、流体サンプルは、対象により手動で、又は別の自動化もしくは半自動化過程を通じて反応シリンダー(3)中に導入されうるが、流体サンプル中に存在する1つ又は複数のRNAバイオマーカー転写物が、RT-RPA成分(反応シリンダー(3)中に事前に充填された修飾プライマーを含む)と相互作用して、RT-RPA増幅反応を促進する。重要なことに、この好ましい実施形態において、反応シリンダー(3)は、等温的にRT-RPA反応を生成するように構成されうる。
【0026】
一実施形態では、反応シリンダー(3)は、RT-RPA反応がほぼ室温(~25℃)又は体温(~37℃)で等温的に進行するために必要な、事前に調製されたタンパク質、酵素、塩、及び他の試薬を含みうるが、手で持つことにより、核酸を増幅するために一般的に要求される検査室装置についての必要性が排除される。1つの好ましい実施形態において、RT-RPA反応は、反応シリンダー(3)中で、ほぼ30分又はそれ以下の期間にわたり進行しうる。
【0027】
図1Aにおいて強調しているように、この等温RT-RPA反応の結果は、この場合ではC- 3スペーサーを通じて、3’及び5’末端でのオーバーハング一本鎖DNA(ssDNA)領域と結合された、標的バイオマーカー配列(GREEN(10))のハイブリッド二本鎖DNA(dsDNA)プローブを有する操作プローブを含みうる。図1a中で、dsDNAプローブの5’末端での第1のオーバーハングssDNA領域は、アニーリング領域(ORANGE(11))を含みうるが、第2のオーバーハングssDNA領域は、ここでdsDNAプローブの5’末端に示しており、標的捕捉領域(BLUE(12))を含みうる。
【0028】
一度、RT-RPA反応が完了すると、反応シリンダー(3)の内容物を、1つ又は複数のコンジュゲートレポータープローブ(7)中に導入してもよく、それは、好ましい実施形態において、例えば、サンプル中の標的RNAバイオマーカー転写物の存在の観察可能な指標を産生することにより視覚レポーターとして作用しうる。上に示すように、コンジュゲートレポータープローブは、以下で考察するように、ハイブリッド二本鎖DNA分子のアニーリング領域及びコントロール捕捉プローブ(24)の両方に相補的な一本鎖DNA(ssDNA)分子(5)にコンジュゲートされたコンジュゲート金ナノ粒子(GNP)(4)を含む。当然、GNPの使用は単に例示的である。なぜなら、種々の形状及びサイズの多様なメタロイドナノ粒子レポーターが、本発明の技術中に組み込まれうるためである。追加的な実施形態はまた、1つ又は複数の非メタロイドレポータープローブ、例えば蛍光レポーター、酵素レポーター、又は抗体レポーターなどを含みうる。
【0029】
再び、図1Aを参照すると、上で強調する好ましい実施形態において、このアニーリング領域は、チオール、PEG18、及びPolyA構築物を通じてGNPと結合されうる。注目すべきことに、この構成において、コンジュゲートGNPレポータープローブが溶液中に、又は小さな表面積、例えば図13において示す側方流動テストストリップ上の1つ又は複数の別々のバンドなどにおいて集中している場合、それらは視覚シグナルを提供しうるが、それは、この実施形態において、図1B及び13において赤色バンドとして示される、着色バンドを含みうる。
【0030】
図1Bにおいてさらに示すように、反応シリンダー(3)中での増幅反応において生成されたアニーリング領域及び標識捕捉領域を伴う標的dsDNA転写配列を含むハイブリッドdsDNAプローブ(6)は、DNAコンジュゲートGNPレポータープローブと組み合わせてもよい。この実施形態において、最適な泳動用緩衝液の存在において、ハイブリッドDNA分子及びDNAコンジュゲートGNPレポータープローブの相補的領域をアニーリングさせて、凝集複合体を形成させてもよい(13)。本開示から理解されるはずであるように、そのような凝集複合体は、予想される標的配列、この場合では早期感染を示すバイオマーカーが、両方ともサンプル中に存在し、反応シリンダー中に局在化するRT―RPA反応を介して増幅される場合にだけ形成しうる。
【0031】
ここで図1A~Bを参照すると、好ましい実施形態において、DNAコンジュゲートGNPレポータープローブと結合したハイブリッドdsDNAプローブ(6)により形成された凝集複合体を含む組み合わせ溶液を、側方流動ストリップに導入してもよい。好ましい実施形態において、この組み合わせ溶液を、好ましくはガラス繊維で作製されたコンジュゲートパッド(14)領域中に導入してもよい。組み合わせ溶液は、毛細管作用を介して、膜、例えばニトロセルロース繊維膜などを通じて、側方流動ストリップの表面、好ましくはテストストリップのニトロセルロース膜(15)の表面に埋め込まれている1つ又は複数の捕捉プローブを有する検出ゾーン(17)を含みうる側方流動ストリップ(2)上の吸収パッド(16)領域に向かって流れうる。テストストリップのニトロセルロース膜(15)中に埋め込まれた捕捉プローブの位置及び方向を調整し、シグナル生成又はサンプル-プローブ相互作用を最適化してもよい。注目すべきことに、吸収パッド(16)領域は、側方流動ストリップ(2)の遠位端に配置され、検出ゾーンを通じて、毛細管作用を介したサンプルの流れを促進する。
【0032】
図1Aにおいて強調するように、捕捉プローブは、側方流動ストリップのニトロセルロース表面中に埋め込まれた固定化ストレプトアビジンベース四量体(21)を含みうる。この固定化ストレプトアビジンベースは、ビオチン-TEGリンカー(22)と結合させてもよく、それはさらに、ハイブリッドdsDNAプローブ上の標的捕捉領域に相補的でありうるssDNA標的捕捉プローブ(8)配列と結合させてもよい。
【0033】
再び、図1Aにおいて示す好ましい実施形態において、ハイブリッドdsDNAプローブ(6)の標的捕捉領域を相補的捕捉プローブssDNA配列(5)にアニーリングさせてもよく、DNAコンジュゲートGNPレポータープローブにさらに結合されたハイブリッドdsDNAプローブ(6)と結合された埋め込み「サンドイッチ」複合凝集体を形成する。図1A~1Bにおいて見ることができるように、目的のバイオマーカーが存在する場合(即ち、対象における病原体感染を示すバイオマーカー)、「サンドイッチ」複合体は、側方流動ストリップに沿った別々の位置に固定化されうる。上に記述するように、本発明のGNPレポータープローブは、溶液中で、又は側方流動ストリップ上に固定化された場合に赤色シグナルを産生する。そのようなものとして、特定の濃度の複合体凝集体が互いに近接して捕捉される場合、検出ゾーン(17)内の目に見えるシグナルが生成されうるが、それは、この例示的な実施形態において、側方流動ストリップ上の赤色ピンクのバンドとして示される。検出ゾーン(17)内のこの目に見えるシグナルは、標的病原体の存在を示す陽性結果、又は対象における感染の早期徴候を示しうる。注目すべきことに、上に一般的に記載するこの過程は、完了まで実行して識別可能なシグナルを提供するのに10分未満、一部の例において、3分未満を要しうる。
【0034】
図1Aにおいてさらに示すように、検出ゾーン(17)内に固定化されていない任意の非結合GNPレポータープローブは、側方流動ストリップ(2)を通じて遠位吸収パッド(16)に向かって流れ続け、側方流動ストリップの表面上のコントロール領域に固定化されたコントロール捕捉プローブ(24 )にアニーリングしうる。この様式において、コントロール領域中に固定化された非結合GNPレポータープローブはまた、システムについて陽性コントロールを提供する、目に見えるシグナルを産生する。
【0035】
代替の実施形態において、本発明は、抗体ベースの捕捉機構を有する側方流動アッセイストリップを含みうる。図1Aにおいて記載する側方流動アッセイと同様に、この等温RT-RPA反応の結果は、コントロールバイオマーカーとして作用しうる増幅RPA産物、及び感染バイオマーカーとして作用しうる別の増幅RPA産物を含みうる。一度、RT-RPA反応が完了すると、反応シリンダー(3)の内容物を、1つ又は複数のコンジュゲート抗体レポータープローブ中に導入してもよく、それは、好ましい実施形態において、例えば、サンプル中の標的RNAバイオマーカー転写物の存在の観察可能な指標を産生することにより視覚レポーターとして作用しうる。より具体的には、図14において示すように、等温RT-RPA反応は、少なくとも2つの増幅RPA産物、又はアンプリコン、すなわち、プローブ捕捉領域及び標的捕捉領域をそれぞれ形成する改変5’ssDNAオーバーハング領域をそれぞれ有するコントロールバイオマーカー及び感染バイオマーカーを生成しうる。この実施形態において、コントロールバイオマーカーは、5’FITCフォワードssDNAオリゴ(緑)及び5’ビオチンリバースssDNAオリゴ(オレンジ)と結合したdsDNA転写領域を含みうる。この実施形態の感染バイオマーカーは、5’FITCフォワードssDNAオリゴ(緑及びピンク)及び5’DIG ssDNAリバースオリゴ(青)と結合したdsDNA転写領域を含みうる。
【0036】
図14においてさらに示すように、GNPは、抗FITC(フルオレセインイソチオシアネート)抗体、好ましくはウサギにおいて産生された抗FITC抗体(19)とコンジュゲートされうる。また、図14において示すように、ストレプトアビジンはまた、上に一般的に記載するように、膜(15)上にストリッピングし、増幅RPA産物中に存在するコントロールバイオマーカーアンプリコンを捕捉しうる。この実施形態において、抗DIG(ジゴキシゲニン)抗体(20)、好ましくはマウスにおいて産生された抗DIG抗体はまた、側方流動膜(15)上にストリッピングし、増幅RPA産物中に存在する感染バイオマーカーアンプリコンを捕捉してもよい。
【0037】
図14においてさらに示すように、増幅反応において生成されたハイブリッドdsDNAコントロール及び感染アンプリコンプローブは、抗FITC抗体コンジュゲートGNPレポータープローブと組み合わせてもよい。この実施形態において、抗FITC抗体は、コントロール及び感染バイオマーカーの5’FITCフォワードオリゴに結合して、凝集複合体を形成しうる(13)。この実施形態において、凝集複合体(13)を、本発明の側方流動ストリップ(2)にさらに導入してもよい。好ましい実施形態において、この組み合わせ溶液を、好ましくはガラス繊維で作製されたコンジュゲートパッド(14)領域中に導入してもよい。組み合わせ溶液は、毛細管作用を介して、膜、例えばニトロセルロース繊維膜などを通じて、側方流動ストリップの表面、好ましくはテストストリップのニトロセルロース膜(15)の表面に埋め込まれている1つ又は複数の捕捉プローブを有する検出ゾーン(17)を含みうる側方流動ストリップ(2)上の吸収パッド(16)領域に向かって流れうる。テストストリップのニトロセルロース膜(15)中に埋め込まれた捕捉プローブの位置及び方向を調整し、シグナル生成又はサンプル-プローブ相互作用を最適化してもよい。注目すべきことに、吸収パッド領域は、側方流動ストリップ(2)の遠位端に配置され、検出ゾーンを通じて、毛細管作用を介したサンプルの流れを促進する。
【0038】
上に記述するように、捕捉プローブは、側方流動ストリップのニトロセルロース表面中に埋め込まれた固定化ストレプトアビジンベース四量体(21)を含みうる。この固定化ストレプトアビジンベースは、ビオチン-TEGリンカー(22)と結合させてもよく、それはさらに、ハイブリッドdsDNAプローブ、好ましくは5’ビオチン-リバースオリゴ上の標的捕捉領域に相補的でありうるssDNA標的捕捉プローブ配列と結合させてもよい。さらに、捕捉プローブは、5’DIG-リバースオリゴに結合するように構成されうる固定化抗DIG抗体を含みうる。この構成において、コントロール及び感染バイオマーカーアンプリコンは、それらのそれぞれの捕捉プローブにより、それらのそれぞれの位置に結合させてもよい。上に記述するように、本発明のGNPレポータープローブは、溶液中で、又は側方流動ストリップ上に固定化された場合に赤色シグナルを産生する。そのようなものとして、特定の濃度の複合体凝集体が互いに近接して捕捉される場合、検出ゾーン(17)内の目に見えるシグナルが生成されうる。検出ゾーン(17)内のこの目に見えるシグナルは、標的病原体の存在を示す陽性結果、又は対象における感染の早期徴候を示しうる。注目すべきことに、上に一般的に記載するこの過程は、完了まで実行して識別可能なシグナルを提供するのに10分未満、一部の例において、3分未満を要しうる。
【0039】
図1Aにおいてさらに示すように、検出ゾーン内に固定化されていない任意の非結合GNPレポータープローブは、側方流動ストリップ(2)を通じて遠位吸収パッドに向かって流れ続け、非結合抗体コンジュゲートGNPレポータープローブを捕捉するように構成されている、側方流動ストリップの表面上のコントロール領域に固定化された抗ウサギコントロール捕捉プローブ(23)にアニーリングしうる。この様式において、コントロール領域中に固定化された非結合GNPレポータープローブはまた、システムについて陽性コントロールを提供する、目に見えるシグナルを産生しうる。
【0040】
当然、このシステムは、多様な実用的な適用に適応されうる。例えば、システムは、側方流動ストリップ上の複数の検出ゾーンで複数の別個の捕捉プローブに対応する複数のバイオマーカーRNA転写物を検出するように改変されうる。さらに、そのようなプローブ及びそれらの設計は、単に例示的であることに注意すべきである。なぜなら、多様な異なるプローブ構成、ならびにプローブ生成シグナルが、本明細書中で一般的に記載されるようにシステム内で互換的でありうるためである。
【0041】
例えば、図4において示すように、一実施形態において、上に記載する側方流動検出システムを使用し、変動する程度の感度を伴って、既知又は未知の病原体による対象の感染を検出してもよい。他の実施形態において、上に記載する側方流動検出システムを使用し、病原体の種類、例えば細菌、ウイルス、又は真菌などを決定してもよい。追加の実施形態において、上に記載する側方流動検出システムを使用し、特定の病原体又はそれらの血清型を決定してもよい。
【0042】
一実施形態において、本発明の技術は、それを必要とする対象における病原体特異的感染の検出のための新規のシステム、方法、及び組成物を含みうる。1つの好ましい実施形態において、本発明の技術は、ヒト対象における特定の病原体の感染の検出を提供しうる。この好ましい実施形態において、生物学的サンプルは、好ましくは唾液サンプルを含みうるが、特定の病原体での感染についての1つ又は複数のバイオマーカーを含みうる対象により提供されうる。この実施形態において、唾液サンプルは、例えば、現場での又は現場外での臨床検査室によりさらに処理されうるが、それにおいて、唾液サンプル中に存在するRNA分子がさらなるテストのために抽出される。抽出RNAは次に、病原体のバイオマーカーについてのqRT-PCR過程を経る。一実施形態において、標的病原体の成分に向けられることが公知であるプライマーシーケンサーの1つ又は複数を使用し、標的病原体により産生される特定のバイオマーカーを同定してもよい。この実施形態において、対象は、病原体バイオマーカーの時間経過を生成するために、RNA抽出及びqRT-PCT処理のための複数の生物学的サンプルを提供しうる。これらの複数のサンプルは、対象における病原体への曝露の初期点からの、標的病原体バイオマーカーの定量化されたベースライン進行を提供しうる。前述のことから理解できるように、そのような過程は、複数の標的病原体について実施されうるが、複数の対象を使用して連続してさらに行い、標的病原体の時間経過バイオマーカーのライブラリーを生成してもよい。
【0043】
上に記述するように、本発明の技術によって、ウイルスを検出することができる前に、及び感染の任意の症状が生じうる十分に前に、対象の生物学的サンプル中に存在しうる宿主由来のバイオマーカーの検出が可能になりうる。1つの好ましい実施形態において、RNAは、生物学的サンプルから抽出されうるが、それは、この場合において、宿主由来の感染のバイオマーカーを含み、さらにqRT-PCRに供される唾液サンプルである。この実施形態において、対象は、宿主由来バイオマーカーの時間経過を生成するために、RNA抽出及びqRT-PCT処理のための複数の生物学的サンプルを提供しうる。再び、複数のサンプルは、宿主由来のバイオマーカー、例えば病原体への曝露の初期点から、及びインキュベーション期間を通して、標的病原体への応答において宿主の自然免疫応答により生成されるRNAバイオマーカーなどの定量化されたベースライン進行を提供しうる。再び、前述のことから理解できるように、そのような過程は、複数の標的病原体について実施されうるが、複数の対象を使用して連続してさらに行い、時間経過の宿主由来バイオマーカー、好ましくは標的病原体への応答において産生される宿主由来RNAバイオマーカーのライブラリーを生成してもよい。潜伏期間の間に生じる宿主の自然免疫応答、及び標的病原体自体の両方からのRNAマーカーを組み合わせることにより、本発明は、種々の病原体による感染についての検出ウィンドウを拡大しうる。
【0044】
1つの好ましい実施形態において、本発明の技術は、ヒト対象における新型コロナウイルスSARS-CoV-2(COVID-19)の感染の検出、特に、ヒト対象における新型コロナウイルスSARS-CoV-2(COVID-19)の感染への応答において生成される感染の宿主由来バイオマーカーを提供しうる。上に記述するように、この実施例は、COVID-19コロナウイルスの場所において組み込まれうる多数の異なる病原体の単なる例示である。図15において示すように、この好ましい実施形態において、生物学的サンプルは、好ましくは唾液サンプルを含みうるが、COVID-19感染についての1つ又は複数のバイオマーカーを含みうる対象により提供されうる。この実施形態において、唾液サンプルは、例えば、現場での又は現場外での臨床検査室によりさらに処理されうるが、それにおいて、唾液サンプル中に存在するRNA分子がさらなるテストのために抽出される。抽出RNAは次に、qRT-PCR過程を経て、ここで、病原体のバイオマーカー、この場合においてはCOVID-19コロナウイルスが同定される。実施形態において、以下の表2(配列番号469~480)中で同定されたプライマーシーケンサーの1つ又は複数を使用し、COVID-19コロナウイルスにより産生される特定のバイオマーカーを同定してもよい。この実施形態において、対象は、病原体バイオマーカーの時間経過を生成するために、RNA抽出及びqRT-PCT処理のための複数の生物学的サンプルを提供しうる。例えば、図15Bにおいて示すように、複数のサンプルは、病原体への曝露の初期点からの病原体バイオマーカーの定量化されたベースライン進行を提供しうる。
【0045】
上に記述するように、本発明の技術によって、対象の生物学的サンプル中に存在しうる宿主由来のバイオマーカーの検出が可能になりうるが、ウイルスを、感染の任意の症状が生じうる前に検出することができる。1つの好ましい実施形態において、RNAは、生物学的サンプルから抽出されうるが、それは、この場合において、宿主由来の感染のバイオマーカーを含み、さらにqRT-PCRに供される唾液サンプルである。この実施形態において、対象は、宿主由来バイオマーカーの時間経過を生成するために、RNA抽出及びqRT-PCT処理のための複数の生物学的サンプルを提供しうる。例えば、図15Bにおいて示すように、複数のサンプルは、宿主由来のバイオマーカー、例えば病原体への曝露の初期点から、及びインキュベーション期間を通して、COVID-19病原体への応答において宿主の自然免疫応答により生成されるRNAバイオマーカーなどの定量化されたベースライン進行を提供しうる。再び、図15において示すように、潜伏期間の間に生じる宿主の自然免疫応答、及びCOVID-19コロナウイルス自体の両方からのRNAマーカーを組み合わせることにより、本発明は、COVID-19コロナウイルス感染についての検出ウィンドウを拡大しうる。
【0046】
ここで図15Cを参照し、別の実施形態において、側方流動アッセイストリップは、COVID-19感染の1つ又は複数の宿主由来バイオマーカー、好ましくはCOVID-19感染の宿主由来RNAバイオマーカー、ならびに COVID-19感染症のバイオマーカーを検出するように構成されうる。図15Cにおいて記述するように、側方流動アッセイストリップは、上に記載するqRT-PCRにより確立された、感染の時間経過の間でのそれらの有病率に従って連続的に配置されたCOVID-19感染の複数の宿主由来RNAバイオマーカーを含むように構成されうる。この様式において、本発明の側方流動アッセイストリップは、病原体、例えばCOVID-19コロナウイルスなどに曝露された対象を同定することができるだけでなく、選択された感染の時間経過に対応する1つ又は複数のバイオマーカーが埋め込まれた連続検出ラインを含みうる。この好ましい実施形態において、対象は、生物学的サンプル、好ましくは唾液サンプルを提供しうる。唾液サンプルは、増幅反応を経て、バイオマーカーの量を増加させることが可能であり、次に、上に一般的に記載するように、側方流動アッセイストリップに適用される。この実施形態において、COVID-19感染の宿主由来RNAバイオマーカーは、標的捕捉プローブにより固定化されて、固定化された凝集複合体を形成しうるが、それは次に、再び、上に一般的に記載するように、目に見える単一を生成しうる。
【0047】
注目すべきことに、この実施形態において、COVID-19バイオマーカーはまた、標的捕捉プローブにより固定化されて、固定化された凝集複合体を形成しうるが、それは次に、宿主由来のRNAバイオマーカー視覚シグナルとは別の目に見える単一を産生しうる。この様式において、対象又は医療従事者は以下を迅速に特定できるであろう:1)対象が、この場合においては、COVID-19コロナウイルスに曝露されているか否か;2)対象がCOVID-19コロナウイルスに感染しているが、しかし、依然としてウイルスの感染サイクルの潜伏期間中にあるか否か;3)COVID-19コロナウイルスへの曝露からのおおよその時間;4)COVID-19コロナウイルスバイオマーカーでの感染が伝染性でありうるおおよその時間。さらに理解することができるように、追加の実施形態において、側方流動アッセイストリップは、前症候性の対象、ならびに無症候性の対象を同定するようにさらに構成されうる。最も重要なことに、側方流動アッセイの結果によって、感染の早期同定が可能になり、適当な検疫及び接触者追跡プロトコールが促進されうる。
【0048】
ここで一般的に記載されている本発明は、以下の実施例への参照により、より容易に理解されるであろうが、実施例は、本発明の実施形態の特定の態様の図示の目的だけのために含まれる。実施例によって本発明を限定することを意図しない。なぜなら、当業者は、上の教示及び以下の実施例から、他の技術及び方法が、特許請求の範囲を満たすことができ、請求項に係る発明の範囲から逸脱することなく用いることができることを認識しうるからである。実際に、本発明を、その好ましい実施形態への参照を伴って特に示し、記載してきた一方で、形態及び詳細における種々の変化を、添付の特許請求の範囲により包含される、本発明の範囲から逸脱することなく、それにおいて作ることができることが当業者により理解されるであろう。
実施例
【0049】
実施例1:感染の標的バイオマーカーの同定。
一実施形態において、本発明は、1つ又は複数のRNA転写物バイオマーカーの同定及び使用のためのシステム、方法、及び組成物を含みうる。図7において示すように、1つの好ましい実施形態において、第1の組織培養実験(左)を確立及びテストし、実験的感染の間に上方調節されうる、及び、また、標的細胞から分泌されうる標的RNA転写物を同定することができる。上方調節されるRNAは、候補バイオマーカーとして使用し、一般的に上に記載するように側方流動システムとの互換性のために操作されうる。並行して、健康な及び感染したヒト唾液からのRNAは、ヒトにおける感染のRNAバイオマーカーを同定するために、臨床治験(右)において特徴付けられうる。これらのバイオマーカーは、組織培養実験においてまだ同定されていない場合、上に一般的に記載するように、側方流動システムとの互換性のためである。
【0050】
実施例2:初期宿主バイオマーカーの同定。
図8において一般的に示すように、本発明の一実施形態は、バイオインフォマティクスメタアナリシスを使用した、感染についての初期宿主バイオマーカーの同定を含む。感染への応答において産生された宿主核酸バイオマーカーを早期段階で同定するために、本発明者らは、公的に利用可能なトランスクリプトームデータセットを検索した。選択されたデータセットは、複数の時間点で異なるウイルスにより感染された種々のヒト組織型を使用して生成されたデータセットに向けられた。本発明者らは、標準化されたバイオインフォマティクスパイプラインを使用してこれらのデータセットを分析し、感染への応答において上方調節されるヒトコーディング及び非コーディングRNAを同定した。これらのデータは、異なる試験にわたって一般に上方調節されている宿主RNA転写物を要約する。一般に上方調節されたRNA転写物のこのリストは、例示的な候補RNA転写物バイオマーカーで構成された。これらのRNA転写物の上方調節は、進行中の感染のシグナルとなる(図1中の実施例)。
【0051】
同時に、本発明者らはまた、健康な臨床のヒト参加者の唾液サンプルから精製されたRNAを収集し、配列決定した。バイオインフォマティクスデータ分析を通じて、健康な参加者と感染した患者の間で有意に異なるRNA転写物が同定され、分類された。これらの臨床データセットを次に使用し、潜在的なバイオマーカーを除去してもよい。まとめると、宿主RNAバイオマーカーの最終リストは、唾液を非侵襲的診断材料として使用し、健康な個人を、種々の病原体(ウイルス、細菌、真菌、及び原生生物)により感染された対象から区別する可能性を有しうる。
【0052】
実施例3:標的バイオマーカーの検証。
図9において一般的に示すように、本発明の一実施形態は、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プロトコールを使用した標的バイオマーカーの検証を含む。上で概説する方法を使用して同定されたバイオマーカーは、組織培養感染実験においてさらに確認されうる。RNAの逆転写定量PCR(RT-qPCR)によって、非感染細胞と比較した感染細胞における「倍率変化」として、候補バイオマーカーの上方調節の特異的な定量化が可能になる。そのような情報は、所与のバイオマーカーに関して、側方流動アッセイスティックの検出感度を評価する際に役立つ。
【0053】
6つの例示的なバイオマーカー候補だけをここに示している一方で、そのようなリストは、本発明で使用されうるバイオマーカーの数を制限するものとして解釈すべきではない。実際に、本明細書中に記載するように、本発明中に組み込まれうる多数のバイオマーカー候補が存在しうる。
【0054】
実施例4:体液サンプルからの感染バイオマーカーの等温増幅。
インビトロでの感染の間に上方調節されるRNAバイオマーカーの成功裏の検証時に、標的RNAバイオマーカーを1つ又は複数の最適化過程に供して、ヒト唾液からのバイオマーカーの成功裏の等温増幅及び側方流動アッセイスティックでの可視化を確実にしうる。
【0055】
図10において一般的に示すように、体液サンプル中の標的RNA転写物バイオマーカーの存在は、好ましい実施形態において唾液を含みうるが、等温のワンステップ逆転写及びリコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RT-RPA,Piepenburg et al., PLoS Biology 2006)を使用して確認される(図10工程3.1)。RT-RPAは、TwistDX TwistAmp Basic RPAキットを、追加のRNase阻害剤、逆転写酵素、及びオリゴdTプライマーと組み合わせることによりカスタマイズしてもよい。このカスタマイズされた試薬の使用によって、標的RNAからDNAへのワンステップ変換が可能になり、それを次に増幅させて、摂氏37度(体温に近い)で10~20分以内にシグナルを増強することができる。
【0056】
図3工程3.1においてさらに示すように、アンプリコンは2%アガロースゲル上で分離され、エチジウムブロマイド染色により可視化されうる。陽性コントロールと比較し、RT-RPAによって、追加の精製を伴うことなく、インプットとして2μLの低いヒト唾液を使用して標的RNAバイオマーカーが増幅された。効率的な増幅及び検出を達成するために、複数のプライマーセットを設計して標的バイオマーカーを増幅させた(図10工程3.2)。これらのプライマーセットは、長さ及び配列において変動する。他のパラメーターを一定に保つ一方で、標的RNAを増幅するための各々のプライマーセットについての効率を、2%アガロースゲル上で可視化されたアンプリコンの強度に基づいて比較する。図10において示す実施例において、全てのプライマーセットが標的バイオマーカーを増幅することができる一方で、プライマーセット#3が最も高い増幅効率をもたらした。このように、プライマーセット#3は下流の過程にさらに統合される。最後に、工程3.2からのテスト結果に基づき、最適なプライマー配列を、金ナノ粒子ベースのプローブ及びテストストリップ中に埋め込まれた標的捕捉プローブ(8)上のプローブ配列とそれぞれ相補的でありうる3’及び5’末端でのカスタマイズされたアダプター配列と連結させた(図3工程3.3)。アダプターを伴うプライマーを次に使用し、バイオマーカーRNAを増幅した。
【0057】
アダプター配列がRPA増幅後に一本鎖のままであることを確実にするために、本発明者は、プライマー配列内に三炭素鎖スペーサー(C)を導入し、DNAポリメラーゼがアダプター配列の相補鎖を生成するのを防止した。結果として、最終産物は、標的dsDNA転写物領域を有する、増幅されたハイブリッドDNAプローブを含みうる一方で、下流のハイブリダイゼーションのための一本鎖アダプター配列を維持する。
【0058】
実施例5:側方流動アッセイスティックを使用した増幅産物の可視化。
図11において示すように、検出アッセイの主要なユニットは膜であり、それは、増幅されたバイオマーカー及びレポーターを含む溶液が流れる基質である。1つの好ましい実施形態において、膜(15)は、膜を通じて流れる溶液中の相補的プローブに結合することができる1つ又は複数の埋め込まれた捕捉プローブ(8)を含みうる。捕捉プローブが、それらのそれぞれの増幅されたバイオマーカー又はレポーターに結合する際、感染又は無感染を示すシグナルが出現する。このアッセイのこの広範な記載内での複数の変数は、異なる種類の結果を表すことができるように調整可能である。
【0059】
合成RT-RPA産物の10倍希釈物で実行された一連のテストストリップの比色画像を図12において示す。この実施例では、サンプルは2μLの増幅バイオマーカー、10μLの金レポーターを含み、8μLの泳動緩衝液を、テストストリップ(2)のコンジュゲートパッド(14)に適用する。(RT-RPA産物の濃度を、視覚的な読み取りとともに収載している。)この溶液は、毛細管作用を介して、ニトロセルロース膜を通じて吸収パッドに向かって流れる。検出限界を上回る、増幅されたバイオマーカーを伴うサンプルは、検出ゾーン中の最初の円で凝集するであろう。増幅されたバイオマーカーと相互作用しない過剰な金レポーターは、それらが初期サンプル中に存在しなかった、又はそれらの濃度が検出限界を下回っているため、ストリップを流れ落ちて、コントロールゾーンで凝集し続けるであろう(18)。
【0060】
(A)に示すストリップの実施例において、陰性結果は右側での1つの円を示し、陽性結果は存在する2つの円を示す(弱い強度でさえ)。視覚シグナルの強度を増強するために、追加の10μLの金レポーター及び8μLの泳動緩衝液を組み合わせて、コンジュゲートパッドに再び適用した。(B)は、比較のために示した(A)におけるのと同じストリップのカラー画像である。(C)このアッセイは、テストストリップ上の異なる捕捉プローブ及びRT-RPA反応中の異なるアダプタープライマーを使用して多重化するように組み立てることができる。
【0061】
実施例6:材料及び方法。
図中に一般的に示すように、一実施形態において、側方流動アッセイテストストリップ又はテストストリップは、ニトロセルロース膜で形成されうるが、それはGE Whatmanで裏打ちされたニトロセルロース膜FF120HP;5cm×0.4cmでありうる。
ガラス繊維コンジュゲートパッドは、Millipore G041「SureWick」GFCP103000、1cm×0.4cmを含みうる。セルロース吸収パッドは、Millipore C083「SureWick」セルロース繊維サンプルパッドストリップCFSP173000、1cm×0.75cmを含みうる。
【0062】
図中に示し、上に一般的に記載するように、コンジュゲートGNPプローブは、ストレプトアビジンに結合されたビオチン化オリゴ捕捉プローブを含みうるが、それは次に、ニトロセルロース膜に埋め込まれうる。1つの例において、600μMのオリゴ捕捉プローブを200μMのストレプトアビジンと室温で1時間にわたりインキュベートした。ストレプトアビジンとの複合体中の捕捉プローブをここで用いて、それらを異なる濃度に希釈し、結合条件及びシグナル強度を最適化してもよい。好ましい例において、この捕捉プローブ-ストレプトアビジン複合体を含む0.5μLの溶液を、適切な方向でニトロセルロース膜(15)上にピペットで移し、標的プローブをコンジュゲートパッドの最も近くに置き、コントロールプローブを吸収パッドの最も近くに置く。
【0063】
上に記述するように、コンジュゲートされたGNPプローブ又はレポーターは、塩熟成方法を介して1つ又は複数の一本鎖DNA配列と結合させてもよい(60nm又は15nm又は12.5nm直径)。泳動緩衝液を、RT-RPA増幅溶液産物及びコンジュゲートされた金ナノ粒子と、テストストリップ上で泳動する直前に混合してもよい。
【0064】
本明細書中で使用する用語法は、実施形態を記載するためであり、限定することを意図しない。本明細書中で使用するように、単数形「a」、「及び」及び「the」は、内容及び文脈が明らかに他を指示しない限り、複数の指示対象を含む。このように、例えば、「バイオマーカー」への言及は、2つ又はそれ以上のそのようなバイオマーカーの組み合わせを含みうる。他に定めない限り、全ての科学的用語及び技術的用語は、それらが関係する技術において一般に使用されているのと同じ意味を有すると理解すべきである。本明細書中で使用するように、「約」又は「ほぼ」は、記載する濃度範囲の10%以内又は記載する時間枠の10%以内を意味する。
【0065】
句「及び/又は」は、本明細書中で及び特許請求の範囲中で本明細書において使用するように、そのように等位接続された要素、即ち、一部の場合において接続的に存在し、他の場合において離接的に存在する要素の「いずれか又は両方」を意味すると理解すべきである。「及び/又は」で収載されている複数の要素は、同じ様式において解釈すべきであり、即ち、そのように等位接続された要素の「1つ又は複数」である。他の要素が、場合により、具体的に同定される要素に関係する又は無関係であるかにかかわらず、「及び/又は」節により具体的に同定される要素以外に存在しうる。このように、非限定的な例として、「A及び/又はB」への言及は、無制限の言語、例えば「含む」などと組み合わせにおいて使用■■される場合、一実施形態において、Aだけ(場合により、B以外の要素を含む);別の実施形態において、Bだけ(場合により、A以外の要素を含む);さらに別の実施形態において、A及びBの両方(場合により、他の要素を含む);等を指すことができる。
【0066】
本発明の核酸及び/又は他の部分は、単離又は「抽出」されうる。本明細書中で使用するように、「単離された」とは、それが天然供給源に由来するか、又は全体で又は部分で合成的に作製されるかにかかわらず、通常関連付けられる成分の少なくとも一部から分離されていることを意味する。本発明の核酸及び/又は他の部分は、精製されうる。本明細書中で使用するように、「精製された」は、他の化合物又は実体の大部分から分離されていることを意味する。化合物又は部分は、部分的に精製されうる、又は実質的に精製されうる。純度は、重量測定により表示されうる、及び多様な分析技術、例えば、限定しないが、質量分析、HPLCなどを使用して決定されうる。
【0067】
用語「プライマー」は、本明細書中で使用するように、適した条件下でDNA合成の開始点として作用することが可能なオリゴヌクレオチドを指す。そのような条件は、核酸鎖に相補的なプライマー伸長産物の合成が、4つの異なるヌクレオシド三リン酸及び伸長のための薬剤(例えば、DNAポリメラーゼ又は逆転写酵素)の存在において、適切な緩衝液中で、及び適した温度で誘導される条件を含む。
【0068】
プライマーは、好ましくは一本鎖DNAである。プライマーの適切な長さは、プライマーの意図される使用に依存するが、しかし、典型的には、約6~約225ヌクレオチドの範囲であり、中間範囲、例えば15~35ヌクレオチド、18~75ヌクレオチド、及び25~150ヌクレオチドなどを含む。短いプライマー分子は、一般的に、テンプレートと十分に安定なハイブリッド複合体を形成するために、より冷たい温度を要求する。プライマーは、テンプレート核酸の正確な配列を反映する必要はないが、しかし、テンプレートとハイブリダイズするために十分に相補的でなければならない。所与の標的配列の増幅のための適したプライマーの設計は、当技術分野において周知であり、本明細書中で引用する文献において記載されている。
【0069】
本明細書中で使用するように、生物学的マーカー(「バイオマーカー」又は「マーカー」)は、正常な生物学的過程、病原性過程、又は治療的介入への薬理学的応答の指標として客観的に測定及び評価される特徴であり、NIH Biomarker Definitions Working Group (1998)と一致する。マーカーはまた、特定の生物学的過程を示す特徴のパターン又はアンサンブルを含むことができる。バイオマーカーの測定値は増加又は減少し、特定の生物学的事象又は過程を示しうる。また、バイオマーカーの測定値が、典型的には、特定の生物学的過程の非存在において変化する場合、一定の測定値はその過程の発生を示すことができる。好ましい実施形態において、バイオマーカーは、感染又は他の正常もしくは異常な生理学的過程を示しうる1つ又は複数のRNA転写物を含む。
【0070】
本明細書中で言及するように、用語「核酸」、「核酸分子」、「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド」、及び「ヌクレオチド」は、互換的に使用されうる。これらの用語は、デオキシリボヌクレオチド(DNA)、リボヌクレオチド(RNA)のポリマー、及び別々のフラグメントの形態における、あるいはより大きな構築物の成分としてのそれらの修飾形態、線状もしくは分枝状、一本鎖、二本鎖、三本鎖、又はそのハイブリッドに関する。この用語はまた、RNA/DNAハイブリッドを包含する。ポリヌクレオチドは、DNA又はRNAのセンス及びアンチセンスオリゴヌクレオチド配列又はポリヌクレオチド配列を含みうる。DNA分子は、例えば、限定しないが、相補的DNA(cDNA)、ゲノムDNA、合成DNA、組換えDNA、又はそれらのハイブリッドでありうる。RNA分子は、例えば、限定しないが、ssRNA又はdsRNAなどでありうる。この用語はさらに、天然の塩基、糖、及び共有結合的なヌクレオシド間連結で構成されるオリゴヌクレオチド、ならびにそれぞれの天然部分と同様に機能する非天然部分を有するオリゴヌクレオチドを含む。用語「核酸セグメント」及び「ヌクレオチド配列セグメント」、又はより一般的には「セグメント」は、ゲノム配列、リボソームRNA配列、転移RNA配列、メッセンジャーRNA配列 、オペロン配列、及びコード化されている、又はペプチド、ポリペプチド、もしくはタンパク質をコード化するように適合されうる、より小さな操作ヌクレオチド配列の両方を含む機能用語として当業者により理解されるであろう。全ての核酸プライマー、例えば配列番号445~468などは、他に記述しない限り、5’から3’のプライム方向で提示される。
【0071】
本明細書中で使用するように、「相補的」は、逆平行ポリヌクレオチド一本鎖のヌクレオチドの間の隣接する塩基対合(それは、不対ヌクレオチドにより中断されない)により、逆平行ポリヌクレオチド鎖(又はその一部)にハイブリダイズし、それにより、相補鎖の間に二本鎖ポリヌクレオチドを形成するポリヌクレオチドの一本鎖(又はその一部)の能力を指す。第1のポリヌクレオチドは、第1のポリヌクレオチドの各々の及びすべてのヌクレオチドが、第2のポリヌクレオチドの相補的領域内のヌクレオチドと塩基対合を形成する場合、第2のポリヌクレオチド鎖に「完全に相補的」であると言う。第1のポリヌクレオチドは、第1のポリヌクレオチド中の1つのヌクレオチドが、第2のポリヌクレオチド中の対応するヌクレオチドと塩基対合しない場合、第2のポリヌクレオチドに完全には相補的ではない(即ち、部分的に相補的である)。ポリヌクレオチド鎖の間の相補性の程度は、ポリヌクレオチド鎖の間のアニーリング又はハイブリダイゼーションの効率及び強度に対する有意な効果を有する。これは、増幅反応において特に重要であり、それはポリヌクレオチド鎖の間の結合に依存する。オリゴヌクレオチドプライマーは、プライマーの少なくとも50%(好ましくは60%、より好ましくは70%、80%、さらにより好ましくは90%又はそれ以上)のヌクレオチドが、標的ポリヌクレオチド上のヌクレオチドと塩基対を形成する場合、標的ポリヌクレオチドに「相補的」である。
【0072】
本明細書中で言及するように、用語「データベース」は、デジタル形式において保存されうるヌクレオチド配列情報の組織化されたコレクションに関する。一部の実施形態において、データベースは、任意の配列情報を含みうる。一部の実施形態において、データベースは、対象又は微生物のゲノム配列を含みうる。一部の実施形態において、データベースは、発現配列情報、例えば、EST(発現配列タグ)又はcDNA(相補的DNA)データベースなどを含みうる。一部の実施形態において、データベースは、非コード配列(つまり、非翻訳配列)、例えばRNAファミリー(Rfam)のコレクションなどを含みうるが、それは、非コードRNA遺伝子、構造化シス調節エレメント、及び自己スプライシングRNAに関する情報を含む。例示的な実施形態において、データベースは、冗長又は非冗長なGenBankデータベース(NIH遺伝子配列データベース、全ての公的に利用可能なDNA配列の注釈付きコレクションである)より選択されうる。例示的なデータベースは、以下より選択されうるが、それらに限定しない:GenBank CDS(コード化配列データベース)、PDB(タンパク質データベース)、SwissProtデータベース、PIR(タンパク質情報源)データベース、PRF(タンパク質配列)データベース、EMBLヌクレオチド配列データベース、及び同様のもの、又はそれらの任意の組み合わせ。
【0073】
本明細書中で使用するように、用語「検出」は、サンプル中の微生物の存在又は非存在の定性的決定を指す。用語「検出」はまた、微生物の「同定」、即ち、当技術分野における認められている分類法に従って、及び本明細書中に記載するように、微生物の属、種、又は株を決定することを含む。用語「検出」は、サンプル中の微生物、例えば、マイクロリットル(又はミリリットルもしくはリットル)又はマイクログラム(又はミリグラムもしくはグラムもしくはキログラム)のサンプル中の微生物のコピー数の定量化をさらに含む。用語「検出」はまた、対象又はサンプル中での感染の同定を含む。
【0074】
本明細書中で使用するように、用語「病原体」は、生物(微生物を含む)を指し、それは、他の生物に直接的に感染することにより、又は別の生物において疾患を起こす病原物質を産生することにより(例、病原性毒素などを産生する細菌)、別の生物(例、動物及び植物)において疾患を起こす。本明細書中で使用するように、病原体は、限定しないが、細菌、原生動物、真菌、線虫、ウイロイド、及びウイルス、又はそれらの任意の組み合わせを含み、それにおいて、各々の病原体は、それ自体により、又は別の病原体と協調して、脊椎動物(限定しないが、哺乳動物を含み、及び、限定しないが、ヒトを含む)において疾患を誘発することが可能である。本明細書中で使用するように、用語「病原体」はまた、非免疫不全宿主において通常は病原性ではないであろう微生物を包含する。
【0075】
本明細書中で使用する用語「感染」又は「感染する」は、対象の身体及び/又は対象の細胞内の微生物の存在を指す。例えば、ウイルスが対象の細胞に感染中でありうる。寄生虫(例えば、線虫など)が対象の細胞/身体に感染中でありうる。一部の実施形態において、微生物は、ウイルス、細菌、真菌、寄生虫、又はそれらの組み合わせを含みうる。一部の実施形態に従い、微生物は、例えば、ウイルス、例えばdsDNAウイルス(例えば、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルスなど)、ssDNAウイルス(例えば、パルボウイルスなど)、dsRNAウイルス(例えば、レオウイルスなど)、(+)ssRNAウイルス(+)センスRNA(例えば、ピコルナウイルス、トガウイルスなど)、(-)ssRNAウイルス(-)センスRNA(例えば、オルトミクソウイルス、ラブドウイルスなど)、ライフサイクル中のDNA中間体を伴うssRNA-RTウイルス(+)センスRNA(例えばレトロウイルスなど)、dsDNA-RTウイルス(例えばヘパドナウイルスなど)などである。一部の実施形態において、微生物は、細菌、例えば、グラム陰性菌、グラム陽性菌などである。一部の実施形態において、微生物は、真菌、例えば酵母、カビなどである。一部の実施形態において、微生物は、寄生虫、例えば、原生動物及び蠕虫などである。一部の実施形態において、微生物による感染は、対象に疾患及び/又は臨床的に検出可能な症状を与えうる。一部の実施形態において、微生物による感染は、臨床的に検出可能な症状を起こさないであろう。一部の実施形態において、微生物は共生微生物である。追加の実施形態において、微生物は古細菌、原生生物;微小植物(緑藻)、プランクトン、及びプラナリアを含みうる。一部の実施形態において、微生物は単細胞(単一細胞)である。一部の実施形態において、微生物は多細胞である。
【0076】
本明細書中で使用するように、用語「無症候性」は、所与の病原体、又は病原体の所与の組み合わせで感染されることに特徴的な身体的症状を示さない個体を指す。
【0077】
本発明の標的バイオマーカーは、診断及び予後の目的のために、ならびに治療、薬物スクリーニング、及び患者の層別化の目的(例、評価のために患者を多数の「サブセット」中にグループ化する)、ならびに本明細書中に記載する他の目的のために使用してもよい。
【0078】
本発明の一部の実施形態は、患者からのサンプル中で、バイオマーカーのレベルを検出することを含み、バイオマーカーの存在又は発現レベルは、1つ又は複数の病原体による感染又は感染の可能性を示している。本明細書中で使用するように、用語「生物学的サンプル」又は「サンプル」は、任意の体液又は組織からのサンプルを含む。本明細書中で提供する方法に従った使用のために適切な生物学的サンプル又はサンプルは、血液、血清、尿、唾液、組織、細胞、及び器官、あるいはそれらの一部を含むが、それらに限定しない。「対象」は、目的の任意の生物、一般的には哺乳動物の対象、好ましくはヒトの対象である。
【0079】
任意の等温増幅プロトコールを、本明細書中で提供する方法に従って使用することができる。等温増幅の例示的な種類は、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、鎖置換増幅(SDA)、ヘリカーゼ依存性増幅(HDA)、ニッキング酵素増幅反応(NEAR)、RNA技術のシグナル媒介増幅(SMART)、ローリングサークル増幅(RCA)、等温多重置換増幅(EVIDA)、シングルプライマー等温増幅(SPIA)、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅(RPA)、及びポリメラーゼスパイラル反応(PSR、ワールドワイドウェブ上のnature.com/articles/srepl2723で利用可能である)を含むが、それらに限定しない。一部の場合では、フォワードプライマーを使用し、結果として得られたDNAテンプレート中にT7プロモーター部位を導入し、T7RNAポリメラーゼを介して増幅RNA産物の転写を可能にする。他の場合では、逆プライマーを使用し、トーホールド配列ドメインのトリガー配列を加える。
【0080】
本明細書中で使用するように、用語「増幅」は、増幅反応において産生された、特定のポリヌクレオチドのコピーであるポリヌクレオチドを指す。増幅産物は、本発明に従い、DNA又はRNAでありうるが、それは二本鎖又は一本鎖でありうる。増幅産物はまた、本明細書中で「アンプリコン」として言及される。本明細書中で使用するように、用語「アンプリコン」は、核酸増幅反応からの増幅産物を指す。この用語は一般的に、所与の増幅プライマーのセットを使用して生成された、公知のサイズの予想される特定の増幅産物を指す。
【表1】


【表2】

図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
【配列表】
2022547023000001.app
【国際調査報告】